第7回医道審議会医道分科会診療科名標榜部会 議事録

日時

令和8年1月15日(木)15:00~17:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム(7階:大ホール)
(東京都港区新橋1-18-1)

議題

1.睡眠障害について

議事

○医事課主査 定刻になりましたので、ただいまから第7回「医道審議会医道分科会診療科名標榜部会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、本日は御多忙のところ、御出席を賜り、誠にありがとうございます。
 ウェブ参加の委員の皆様方におかれましては、参加中、基本的にマイクをミュートにしていただき、御発言の際には挙手ボタンで挙手いただきまして、部会長から指名がございましたら、初めにお名前をいただいてから御意見、御発言いただくようお願いいたします。
 また、会場から参加されている委員の皆様方におかれましては、挙手いただき、部会長から指名がございましたら、同じく初めにお名前をいただいてから御意見、御発言いただくようお願いいたします。
 本日の出欠状況については、現時点で委員10名の御出席があり、過半数を満たしておりますので、本部会は成立しますことを御報告申し上げます。
 また、参考人として一般社団法人日本睡眠学会より内村直尚理事長に御出席いただいております。
 それでは、撮影についてはここまでとさせていただきます。
 なお、引き続き傍聴される方は、今後は写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
 それでは、資料の御確認をお願いいたします。
 資料については、事前に事務局からメールでお送りさせていただいております。会場出席の皆様については、お手元に配付しております議事次第と資料1、資料2、参考資料1から4の御確認をお願いいたします。不足する資料がございましたら、事務局にお申しつけください。
 それでは、以降の議事運営につきましては、部会長にお願いいたします。五十嵐部会長、よろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。皆さん、こんにちは。寒いところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 早速ですが、議事に入りたいと思います。本日の議題は「睡眠障害について」を議題に上げておりますので、まず事務局から、資料1で「睡眠障害の標榜について」の御説明をいただきたいと思います。
○保健医療技術調整官 事務局でございます。
 それでは、お手元の資料1を御覧ください。
 本日の議題としまして、1ページめくっていただきまして、睡眠障害の標榜に関する意見などでございます。
 まず4ページ目を御覧ください。
 こちらは昨年9月に第1回目の議論を行いまして、日本睡眠学会様より、今回、単独で標榜可能な診療科名と組み合わせて標榜できる用語として、新たに「睡眠障害」を追加することについて御要望いただいたことを踏まえ、御議論いただきました。
 5ページ目を御覧ください。
 こちらが要望いただいた内容でございます。
 6ページ目を御覧ください。
 こちらは前回もお示しした資料でございますが、標榜診療科名に関する基本的な考え方の視点である①から④につきまして、前回も御議論いただきましたが、前回の議論からさらに今回の標榜部会までに、事前に各委員の皆様より、この①から④の観点について、今回標榜可能とすることが妥当かどうかについて御意見を聴取しております。そちらについて、今回、事務局から説明させていただきます。
 7ページ目を御覧ください。
 まず1つ目の視点であります、独立した診療分野を形成しているかどうかについての御意見でございます。こちらですが、ICD11によりまして、睡眠覚醒障害は精神疾患や神経疾患とは独立した疾患として分類されており、客観的に見て妥当と思料するという意見が複数ございました。
 また、例えば「内科(睡眠障害)」と「精神科(睡眠障害)」のどちらを受診しても同様の対応がなされると考えてよいのか。それぞれの専門診療科では得意とする睡眠障害も異なると思うので、患者に対してより具体的な情報提供が必要と感じるという意見がございました。こちらに関しては、おおむね御異論はなかったと考えてございます。
 続きまして、②でございます。8ページ目でございます。
 国民の求めの高い診療分野であるかどうかについての御意見でございます。睡眠障害がエビデンスに基づいて医学的に様々な疾患の誘因・増悪要因となるのであれば、客観的に見て国民の求めの高いものと思料する。こちらに関しては、バイアスがかからずに適切な手法で行われたことを前提とした御意見でございます。
 2つ目ですけれども、不眠症の有病率は20~30%とされており、睡眠障害が標榜されれば80%の人は受診したいという調査もあり、該当すると考えられるという意見でございました。
 続きまして、睡眠に悩む人の数は多く、高齢者から子供まで関心の高い、必要な診療分野である。社会の仕組みが複雑になればなるほど、睡眠障害の標榜への必要度は高まると考えられるという意見でございます。
 最後に、需要の高さから安易な受診が増えることが危惧される。医療費増大につながらないように、病気の睡眠障害について多くの人が理解できるように、周知・広報をお願いするという意見でございました。全体としましては、国民の求めの高いというような認識の御意見だったかというふうに思います。
 9ページ目を御覧ください。3つ目の視点であります、診療科名が分かりやすく国民が適切に受診できるかどうかについての御意見でございます。
 1つ目ですが、不眠症をはじめとする眠りの悩みについて受診できる診療科名を標榜可能とすることで国民が受診しやすくなることから、該当すると考えられる。
 2つ目ですが、睡眠障害が、単なる体調不良ではなく診療が必要な疾病であることを示し、かかりつけ医機能の下で国民が適切に受診したり、専門医・専門医療機関へ紹介を受けたりすることができる点で、妥当と思料する。
 3つ目でございますが、内科、耳鼻咽喉科、小児科などと組合せで診療科名が用いられることで、患者からは、分かりやすい診療内容になると思う。個別の科に細分化することで、それぞれの科の専門医の数が足りなくならないこと、また足りないために実際には診察を受けられない人が生じたりしないように希望する。様々な要因による、場合によっては複数の要因が一緒になった睡眠障害があり得るため、総合的に睡眠障害を診察できる医師が必要とされるという御意見がございます。
 最後に、うつ病が原因の不眠症患者が「内科(睡眠障害)」を受診した場合、うつ病と診断されずに根本治療が遅れるケースもあるのではないか。やはり一般の人は「睡眠障害」の看板があれば、どこを受診しても問題を解決してくれると思いがちである。本当はかかりつけ医がその辺を見極めて紹介するのがいいと思うが、若い人や健康な人ではかかりつけ医がいない人が多く、自分で判断しての受診となることが予想される。受診の目安のための適切な情報発信を期待するといった御意見でございました。
 次のページをおめくりください。
 一番多くの意見をいただきましたのは4つ目の視点でございまして、国民の受診機会が適切に確保できるよう、診療分野に関する知識・技術が医師に普及・定着しているかどうかに関する意見でございます。
 まず1つ目ですが、日本睡眠学会の総合専門医、指導医、専門医療機関、こういった数を踏まえまして、関連の精神神経学会、呼吸器学会、循環器学会、神経学会、耳鼻咽喉科頭頸部外科学会、小児科学会からも共同で要望があり幅広い患者からニーズのある領域である。今後、より多くの専門医、指導医の育成、専門医療機関の認定が行われ、診療科連携を通じて、本診療分野に関する知識・技術がさらに幅広い医師に普及・定着することが望まれるという御意見です。
 2つ目ですけれども、日本睡眠学会により普及・定着が推進されているところであるが、同学会以外の多様な関係学会の承認を得ていることから、妥当と思料する。なお、こちらは②の回答と同様に、日本睡眠学会による調査について、バイアスがかからず適切な手法で行われたことを前提とする意見でございます。
 3つ目ですが、近年、患者が「何となく気分が落ち込み眠れない」といった訴えを示した際に、安易に睡眠薬が処方されるケースが散見される。特に、軽度のうつ症状などの背景に睡眠障害が存在する可能性があり、適切なスクリーニングが必要となる。治療の妥当性や医療資源の適正配分の観点から、スクリーニングを含めた適切な診断プロセスを徹底することが重要であるという御意見でございます。
 4つ目ですが、米国においては、認知行動療法が不眠症の標準治療として位置づけられている。また、健康のためにぐっすり眠らなければいけないとか、長く眠らなければいけないとか、睡眠に対する過大な理想や要求を持っている人、これは病気ではない人に対しても認知行動療法が効果的だとされている。一方で、日本の医療施設では不眠を訴える患者の治療として、生活習慣の改善に係るアドバイスは格別、睡眠薬の処方・治療しか行っていないように思える。日本の医療施設において認知行動療法は、どのような医療施設で、どの程度普及(一般化)しているのか。紹介状や選定療養費の負担のない開業医レベルで実施している施設は何割程度あるのかを教えてほしいということでございます。
 続きまして、日本の現行制度の下では、専門医や学会の認定等資格がなくても、麻酔科以外は厚生労働省が示す診療科目の中から自由に標榜できる。そのため、現在の制度下で「睡眠障害」の標榜を認めた場合、「睡眠障害」に係る専門的知見を持たない医師であっても、「睡眠障害」を標榜することができる。入眠困難、中途覚醒等睡眠に問題を抱える国民が少なくないことを前提とすると、集患を求めて、「睡眠障害」に係る知見や診療態勢を持たない医師・医療施設が「睡眠障害」を標榜することも考えられる。そうした医師等が標榜した場合、質の担保されていない診療が、社会的に広がる可能性がある。具体的には、今以上に安易な睡眠薬の処方・投与である。また、睡眠薬は従来から違法に取引されており、そのリスクも増大するであろう。専門医でなければ「睡眠障害」を標榜できないとするのが最善であるが、それができない現行制度の下にあっては、質を担保する何らかのシステムを構築する必要がある。そのような意見でございました。
 続きまして、次のページでございますが、同じ4つ目の意見の続きでございます。
 睡眠障害の専門医の多くは、大学病院や専門病院等に所属していると考えられる。他方、睡眠に問題を抱える人の多くは、まずは紹介状や選定療養費のない開業医・かかりつけ医を受診していると思われる。患者を診た医師が睡眠障害が疑われる患者を適切に専門医へ紹介してくれればよいが、それがなされなかった場合には、国民の睡眠障害に係る医療へのアクセス権は事実上阻害されることになる。学会員のうち開業医に属する専門医は何名いるのか。開業医レベルの「睡眠障害に関する知識・技術」の普及・定着の程度はどの程度であると考えるかを説明してほしい。
 2つ目ですが、どのような診療科が睡眠障害を訴える患者に対応しているか、睡眠障害に適切に対応できる医師の全国における分布状況などが分かれば資料を提示してほしい。
 3つ目ですが、患者自身が睡眠障害だと意識していない場合でも、診察で睡眠障害であると判断できる医師が広くいることを望む。都市部だけでなく、地方でも睡眠障害の専門医がいるようにお願いする。
 専門医の育成に力を入れているとのことだが、専門医となった医師のレベルをどう保っていくのか。質の担保に関する具体的な基準を明確にする必要性を感じる。
 地域における医療提供体制を考えた場合、睡眠障害の領域であっても、大学病院や地域の中核病院等のみで対応するのでは不十分であり、かかりつけ医を中心とした診療体制の整備が不可欠である。かかりつけ医が睡眠障害のスクリーニングの意義を理解し、睡眠障害が疑われる患者については適切に専門医へ紹介する。そして、治療方針が固まり、そのフォローアップを行う際には再びかかりつけ医に戻すといった「病診連携」の仕組みを確立することが望まれる。今後、学会を中心に、こうした連携体制を広く浸透させていただきたい。
 続きまして、睡眠障害の原因が口腔にある場合の診断、治療、また睡眠時無呼吸症候群の治療のための口腔内装置の製作・管理は歯科医師の参画が必要となる。医科歯科連携のためにどのようなシステム構築を念頭に置かれているか。また、互いの連携に必要な医科知識、歯科知識を共有させる方策についても伺いたい。
 医師だけでなく、看護師、薬剤師などとも一緒にチーム医療で診断に当たれるように進めていただければと考える。がんや認知症など、ほかの病気と睡眠障害の関連についても診察できる専門医がいることが必要である。
 診療には看護師や臨床心理士など医師以外の職種との連携が不可欠と考えるが、そうした診療にインセンティブが働くような診療報酬は可能なものかどうか。
 中学校、高等学校などで、睡眠障害について、そして睡眠に関わる服薬などについて、考える機会がある授業などを望むといった意見でございました。
 次のページは、①から④の観点には直接的には含まれないかもしれませんが、その他の御意見としていただいた意見を御紹介させていただきます。
 まず1つ目ですが、診療科名標榜に当たりまして、当該の医師・医療機関や日本睡眠学会等におかれては、幅広く、関連する診療科・診療領域に係る学会、団体等と協議等を行い、適切な役割分担や連携に努められたい。
 「睡眠障害」の診療科名は、必要だと思うが、歯科医院にも口腔内アプライアンスの製作を求めて来院される患者も多く、今後は「睡眠障害」と「歯科」とが連携できるシステムの構築も必要と思われる。
 睡眠障害は、睡眠障害国際分類に基づけば、6つに分類できるとのことだが、1~6の各類型の患者の割合はどのくらいかを具体的に説明してほしい。
 睡眠障害への対応として、服薬より前に、生活環境の改善、心理療法などに力を入れていただきたい。特に若い世代に向けての周知をお願いする。
 睡眠障害の専門医が全国的に増えていくことにより、専門ではない医療者が睡眠導入剤を必要以上に処方するのを防げることになるようにお願いする。
 睡眠障害の治療について、「睡眠導入剤を処方するだけ」と誤解している人が多いように思う。また、誤解だけでなく、クリニックの中には患者の話をあまり聞かず、睡眠導入剤を処方するだけのところがあるのも事実だろう。睡眠障害が診療科として追加されることで、適切な医療が施されるようになることをこれからしっかりと広報してもらえればと思う。
 睡眠障害の科が病院内に新たに設置されるときに、できれば関連の科のそばに設置していただきたい。関連の科のそばにあれば、例えば待合室などで睡眠障害の科があることを知って、自ら受診することもできるかもしれない。
 現在内科・心療内科その他で不眠症・睡眠障害などの治療をしている患者の方々も多いと思うが、「睡眠障害」が診療科名と標榜された場合、睡眠障害を診療科名につけていない内科・心療内科などの疾病治療において、不眠症・睡眠障害等の治療をするのに影響が出てくるのか。また、どのような問題が生じることが想定されるか。
 最後ですけれども、交代勤務のために睡眠障害に悩まされている人もいるが、勤務に従事する際、配置前教育として睡眠教育が必要なのではないかといった御意見をいただきました。非常に多くの御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 こうした意見を事前に内村参考人のほうに提供いたしまして、それをもちまして、資料2のほうを作成いただいておりますので、後ほど説明いただきます。
 資料としては以上でございます。よろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 御説明ありがとうございました。
 せっかく説明いただきましたので、この時点で何か御質問等ございますか。よろしいですか。
 それでは、本日は、日本睡眠学会理事長の内村参考人に九州から遠いところをおいでいただきました。ありがとうございます。
 資料2の「『睡眠障害』の標榜実現に向けて」について御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○内村参考人 ただいま御紹介いただきました、日本睡眠学会の理事長を務めております内村直尚です。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
 この4つの項目について、特に皆さん方からいただいた御質問について、可能な限り答えさせていただきたいと思っております。また、その後にいろいろな御意見をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 次をお願いします。
 これは前回も出したスライドで、睡眠障害というのは不眠を訴える方が多いということと、ただ、不眠を訴えたからといって、不眠症だけではなくて、睡眠時無呼吸症候群などいろいろなほかの睡眠障害も疑われるので、きちんとした診断、治療を行う必要がある。そして、自分の睡眠を、最近はスマホをはじめ様々なデバイスで可視化できるようになって、自分の睡眠に問題があるということが自覚できるようになってきた。そこで、いかに困ったときには受診するのかと。今まではどちらかというと、睡眠障害は日本では精神科を受診するという流れだったのですけれども、例えば無呼吸症候群で精神科を受診するのは、やはりちゅうちょする患者さんも多くて、あるいは思春期で朝起きられないような子供たちも、なかなか精神科は受診しづらいというのがあるということで、そういうことから睡眠障害の医療アクセスの向上が不可欠であると。また、睡眠障害の標榜は国民の高いニーズがあるのではないかということで、今回、このように睡眠障害の標榜ということで、睡眠学会から要望を出させていただきました。
 次をお願いします。
 これも前回お示ししました、睡眠障害国際分類は、多くの疾患がありますが、主に分けますとこの6つです。不眠症、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーなどの中枢性の過眠症、そして、中高校生などでリズムが遅れてしまったりして朝に起きられない、夜に寝られないような状態の概日リズム睡眠・覚醒障害、特に睡眠相が後退したような睡眠覚醒相後退障害です。そして、睡眠中に異常行動を起こします、高齢者で夢の内容に一致して大声を出したり暴れたりするレム睡眠行動障害、あと子供の夢中遊行です。6番目は、睡眠関連運動障害としまして、夜になると脚がむずむずしてじっとしていられなくて眠れない、むずむず脚症候群です。それと、寝入った後に膝や足の関節が異常運動を起こして覚醒してしまうような周期性四肢運動障害。このような睡眠関連運動障害の6つに分けることができます。
 次をお願いします。
 御質問にもあったのですけれども、この主な6つの睡眠障害の発症頻度は日本においてどのくらいかということで、これは日本のデータとなるとそんなにないのですけれども、一番上は不眠症です。今日も先ほど話が出ましたように、不眠を訴える方は20%から30%いるのですけれども、不眠を訴えて、そのために昼間に何らかの機能障害、我慢できない眠気や気分が落ち込んだりした場合を不眠症と診断するわけです。その不眠症は大体10%ぐらいではないかということが一般的に言われているのですけれども、ここでは一番厳しく、対面で20歳から95歳の方を対象にインタビュー調査をした結果で、有病率として3.8%と報告されています。
 睡眠時無呼吸症候群は、治療を必要とする中等症の人で、日本では14%でした。ただし、この前紹介したのですけれども、ながはま研究といいまして、2018年に報告された客観的にSPO2で酸素濃度をはかって、アクチグラフで睡眠を測定したデータでは、男性では23%、女性では閉経前が1.5%、閉経後が9.5%でした。
 ナルコレプシーは、日本では、75歳未満のデータベースで見ますと0.0185%です。
 概日リズム睡眠・覚醒障害は、15~30歳を対象としたウェブ調査で睡眠覚醒相後退障害が4.3%でした。
 レム睡眠行動障害も、電話と対面でのインタビュー調査で65歳以上の対象者で1.23%です。
 子供の夢中遊行です。これは山梨医大での睡眠外来の調査結果ですので、少し高く出ているのですけれども、1.1%です。
 むずむず脚症候群は12歳以上の質問票調査で3%、20歳以上の質問票と電話によるインタビュー調査で1.8%です。
 周期性四肢運動障害に関しては、ベッドパートナーに尋ねる20歳以上を対象とした質問票調査で、週に1~2回の方が5.8%、週に3回以上の方が1.3%です。日本におけるこの6つの睡眠障害の有病率としてはこのくらいであるということが報告されています。
 次をお願いします。
 次に、これは睡眠障害がどのくらい日本で認められるのかということで、保険者データベースから取ってきたものなのですけれども、睡眠障害を抱える方が月に、これは2年間のデータで一月の平均で見ているのですけれども、大体865万人と推定されて、そのうちの85%が不眠症で、睡眠時無呼吸症候群が10.96%、それ以外は、これを見てもらいますと、ナルコレプシーが0.22%ですね。やはり一番多いのが不眠症です。これは不眠症の方がどの診療科にかかっているかというのを見ています。内科が一番多くて54%、2番目が精神科で32%です。その次は、多分これは更年期障害とかでかかっていると思うのですけれども、産婦人科という割合になります。
 内科の中でどこが多いのかという御質問がありましたので、次をお願いします。
 これは内科の中でどの科を受診しているのかということで、全体の患者数を100%とした場合に、内科が約半数、50%で、その中で不眠症は呼吸器内科が0.62%、循環器内科が1.14%、神経内科が0.98%ということで、あまり多くないのですけれども、心療内科というのは、日本の場合は精神科医が心療内科ということで開業してあるクリニックが多いので、ここは精神科の先生がかなり含まれているのではないかと思うのですけれども、16.26%。それと、このように呼吸器とか循環器とか神経内科とかを標榜されていない内科だけのところもありますので、それ以外が31%という結果でした。
 次をお願いします。
 続きまして、睡眠時無呼吸症候群です。左側は、中枢性も合わせて睡眠時無呼吸症候群で一番多いのは内科で76%、2番目が耳鼻科で16%、3番目が精神科で2%です。右側は、その中で閉塞性の無呼吸症候群と診断がついているものです。閉塞性無呼吸症候群も睡眠時無呼吸症候群という診断しかついていないケースがかなり多いので、ここではかなり閉塞性無呼吸症候群の数は減っているのですけれども、内科が75%、耳鼻科が18%です。あと、子供の無呼吸症候群も多いので、小児科が1.86%、精神科が1.58%でした。
 次をお願いします。
 内科の中でどこが多いかというのを見ているのですけれども、左側は、睡眠時無呼吸症候群全体で見ますと、内科74%の中の内訳で見ると、呼吸器内科が6.38%、循環器内科が4.30%、神経内科が0.65%、心療内科は睡眠時無呼吸症候群では少なくて0.99%。それ以外が61%と多いのですけれども、実際は、やはり呼吸器とか循環器の先生が無呼吸症候群を診られていることが多いと思うのですけれども、ただ、これは内科としか標榜されていない可能性があるので、循環器、呼吸器があまり多くないというデータになっているのだと思います。
 その右側は、閉塞性無呼吸症候群という診断がついている場合です。多分、より検査などもして詳しく診断された結果だと思うのですけれども、その場合は、内科73%、その中で呼吸器内科が6.6%、循環器内科が3.93%、神経内科0.45%、心療内科0.35%、その他の内科が61%という結果でした。
 次をお願いします。
 次に、左側はナルコレプシーで、精神科が47%で、ほぼ同じぐらいの割合で内科が46%です。右側は、睡眠中に夢の内容に一致して異常行動を起こすレム睡眠行動障害ですけれども、これも一番多いのが精神科で50%、2番目が内科で41%でした。そして、3番目に脳神経科4.4%でした。脳神経科というのは、詳しく調べますと、脳神経外科が4分の3ぐらいを占めて、神経科というのが残りの4分の1ぐらいを占めるのですが、神経内科が多いようです。
 次をお願いします。
 これは内科の中で内訳を見ているのですけれども、ナルコレプシーのほうは、内科の中では呼吸器内科1.6%、循環器内科は0.25%と少なくて、神経内科が4.39%と少し多いのが分かります。それと心療内科17.5%、それ以外の内科20.85%でした。
 右側のレム睡眠行動障害も、内科の中では、呼吸器内科0.52%、循環器内科0.5%と少なくて、神経内科7.95%、心療内科が14.9%と少し多いという結果でした。
 次をお願いします。
 これは睡眠障害のスクリーニングガイドラインで、一般医療機関に睡眠障害の患者さんが受診した場合に、どのように診断して紹介していくかと、いわゆる病診連携の仕組みということで、これは睡眠学会で作ったガイドライン、フローチャートです。患者さんが睡眠に問題があるということで訴えられた場合、これは一般診療科、かかりつけ医の先生を受診したということを想定しています。そうした場合に、まず鬱病を鑑別しましょうということです。食欲の低下とか、興味の減退とか、鬱病の可能性がある場合は精神科や心療内科に紹介する。あるいは先生によっては、抗鬱薬を試してみて、そして効果がないような場合は精神科、心療内科に紹介する。あと、いびきや無呼吸がある場合は睡眠呼吸障害を疑いましょうと。
 そしてその下は、問診によってレストレスレッグス症候群、ナルコレプシー、レム睡眠行動障害、概日リズム睡眠相後退症候群などを鑑別します。今日は示していませんけれども、精神科の鬱病疑いも含めてそれぞれの疾患のフローチャートをつくっていまして、疑いがある場合には、どのような診断、治療をして専門医に紹介するかという病診連携として使うためです。これは一般医療機関を患者さんが受診されてもきちんとした診断、治療が行えるようにということで、このようなガイドラインをつくって、今これが運用されています。
 次をお願いします。
 その中のどういう治療をするかということで、これは不眠症の治療アルゴリズムです。これも前回お見せしたと思うのですが、患者さんが不眠を訴えてきた場合には、夜の睡眠だけではなくて、昼間の何らかの機能障害、我慢できない眠気があるとか、あるいは気分の落ち込みがあるとか、そういう場合には不眠症と診断されて、睡眠衛生指導を行って、認知行動療法を行いながら睡眠薬を使っていくと。ただ、今のところ日本では不眠症の認知行動療法が保険収載されていませんので、欧米では、認知行動療法が第一の治療として使われるわけです。
 ただ、アプリの不眠症の認知行動療法が医療機器として一昨年に認められて、今、保険収載されるかどうかということでヒアリングをしているところです。そのアプリの不眠症の認知行動療法が保険収載されれば、今まで以上に認知行動療法が使われるようになるのではないかと思っております。不眠症が改善すれば、お薬は減量して、中止するというのが、不眠症治療の目標としてここでは掲げています。
 これは2014年につくったもので、睡眠薬は、新しいオレキシンアンタゴニストが4剤登場してきまして、今までのベンゾ・非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬から、ファーストラインとしては、オレキシン受容体拮抗薬が使われるようになっています。現在、この不眠症治療アルゴリズムの改定を進めています。
 次をお願いします。
 これも先ほどの一般診療科を受診された場合、かかりつけ医を受診された場合、どのように診断していくかというスクリーニングガイドライン(フローチャート)をつくったわけですけれども、プライマリ・ケアの先生方が、睡眠の問題で訴えてこられた患者さんたちをどのように治療していくのか、そして、どのようなタイミングで専門医に紹介するのか、そして、紹介した後ある程度治療がうまくいったら、またプライマリ・ケアの先生方がそれを継続してフォローアップしていくような病診連携を考えてつくった治療一覧です。鬱病の場合は、治療戦略としては、抗鬱薬をかかりつけ医の先生が、もし使う場合は、抗鬱薬1剤を十分に使用して効果がないような場合は専門家に紹介してくださいということで、右から2番目の専門医紹介のタイミングで書いています。あと、希死念慮が強いときとか、躁状態になったときは紹介してくださいと。
 またプライマリ・ケアの先生方が専門家の先生から患者さんを引き継いで診たりとか、あるいは継続して診るような場合はどういう場合かということで、一番右に書いています。抗鬱薬の反応がよくて希死念慮が弱い場合とか、あるいはある程度落ち着いて、再発予防のために少量の抗鬱薬を継続するような場合は、また専門の先生からかかりつけの先生に戻していただいて、フォローしていくと。
 その下の睡眠呼吸障害の場合は、治療戦略としては、CPAPや口腔内装置を行うと。そして、専門医の紹介というのは、診断をするためには睡眠の専門医に紹介するということで、紹介して診断をつけて、そして、CPAPあるいは口腔内装置で落ち着けば、またかかりつけの先生がフォローすることも可能であるということです。
 一番下の周期性四肢運動障害、レストレスレッグス症候群も、皮膚疾患や多発神経炎との鑑別をしていただいて、できればかかりつけ医の先生が治療薬であるドパミンアゴニストを1~2週間使って、それで効果がないような場合は専門家に紹介する。ここで言う専門家というのは、鬱病の場合は下に書いていますように精神科あるいは心療内科で、それ以外は睡眠医療専門医療機関を示しています。
 次をお願いします。
 ナルコレプシーとかの過眠症の場合は、休日でも眠気が取れないのか、そのようなことを聞いた上で、睡眠時間を十分取っても過眠があるような場合は専門家に紹介する。ナルコレプシーの場合は、モディオダールという専門的なお薬を使わなくてはいけないので、投与できるのは専門医でないとできませんので、専門医が投与して、フォローするという形になります。ただし、モダフィニルを使ってある程度コントロールできれば、またプライマリ・ケア医の先生に戻すことは可能であるということです。
 あと、レム睡眠行動障害、これも環境の調整をして、それでも改善しないような場合、睡眠中に異常行動を起こしたりして対応できないような場合は、専門医に紹介するということです。そして、安定したら、またプライマリ・ケアの先生がフォローすると。
 その下の概日リズム睡眠障害です。これもやはり不登校や休職につながっていきますので、生活指導や、少量の睡眠薬を投与して、あるいは鬱病を疑って少量の薬を使って、効かないような場合は専門医を紹介する。そして、安定したら、またプライマリ・ケアの先生が診療していく、フォローしていくということです。
 こういうことで、まずプライマリ・ケアの先生のところに、睡眠の問題で受診したら、どのように治療して、どのようなタイミングで専門医に送って、落ち着けばまたプライマリ・ケアの先生でフォローすることも可能であるというような、こういう病診連携の仕組みをつくったものを現在も運用しています。
 次をお願いします。
 続きまして、これは医科と歯科の連携のシステムを示しています。特に口腔内装置を歯科の先生につくってもらって、そして治療するときの連携の各施設の役割ということです。まず、一般の医療施設を受診された場合、簡易検査によってスクリーニングを行って、PSGが必要な場合は睡眠医療の専門施設に送ると、これがaを示しています。bというのは、睡眠医療専門施設である程度検査をして、CPAPの適用になれば、一般医療施設でCPAPの管理を行う。そして、CPAPやその他の治療の効果が不十分であったり治療の継続が困難な場合は、口腔内装置を含む医療を行うということで、歯科の先生に対応していただくことになります。eというのは、一定の条件を満たした場合は、歯科の先生に口腔内装置の治療を依頼するということです。そして、fというのは、ある程度、口腔内装置で治療がうまくいったら、その治療の効果判定を一般の施設で簡易装置によって行うことも十分あり得ますよということを示しています。また、睡眠医療専門施設は、口腔内装置の適応症例を歯科に紹介すると、これがcですね。dというのは、口腔内装置を行って、そして、その効果判定を睡眠医療専門施設で行う。
 歯科のほうのcとeというのは、一般医療施設あるいは睡眠医療専門施設から紹介を受けて、歯科の先生が口腔内装置の適応を診断し、適応があればその治療を行う。そして、連携を取りながら管理するということを意味しています。
 そして、dとfというのは、口腔内装置の効果判定を依頼することと、もう一つは、歯科の先生が歯科治療をしているときに、顎顔面の形態異常があったりとか、咽頭の状態に異常を持つような場合は、無呼吸の可能性があるということで、歯科の診療をした先生が、簡易検査ができる一般医療施設、あるいは専門的なPSG検査をできる睡眠医療専門施設に送って、歯科の先生のほうから無呼吸症候群を疑って、そして連携を取るような仕組みということで示しています。
 このように、一般のかかりつけ医の先生と睡眠医療専門施設、そして歯科の先生が連携を取りながら、特に無呼吸症候群の口腔内治療を行っていくという仕組みとそれぞれの役割を示したものを、現在運用しています。
 次をお願いします。
 これも前回お見せしましたけれども、日本睡眠学会は今、4,230名ぐらいいまして、その中に医師が2,700名です。専門医は、試験を受けていなくて移行期間に専門医になった方が40名で、その後、多くの方が試験を受けて総合専門医に移行しております。総合専門医622名、指導医が309名。専門施設は3つに分かれていまして、合わせて120施設ぐらいが専門施設です。歯科は382名いらっしゃって、専門歯科医が80名。技師が805名で、専門検査技師が616名です。あと、今は専門心理師というのもつくっていまして、心理師が49名いらっしゃって、その中で専門心理師が7名です。今年から睡眠学会の専門看護師というのを創設しましたが、看護師102名、そして薬剤師は33名です。このような睡眠学会の現状です。
 次をお願いします。
 質問の中で、全国にどのくらい専門医がいるかという質問がありましたので、これは総合専門医622名、そして、試験を受けていない移行期間に専門医になった40名の全国分布を示しています。和歌山県だけがいないのですけれども、和歌山県以外は全て専門医がいるという現状です。
 次をお願いします。
 これも総合病院とクリニックでどのくらい専門の先生がいらっしゃるかという御質問がありましたので、総合病院が314名、この中で大学病院が151名です。ですから、半数が大学病院で、残りの150名が大学以外の総合病院ということになります。
 次をお願いします。
 次に、クリニックが223名です。ここには示していませんけれども、他に単科精神科病院に専門医が64名います。さらに、その他、それ以外の先生方が21名ということで、総合病院とクリニック診療科で半数ずつぐらい専門医の先生がいらっしゃることが分かります。大体、全国的に睡眠障害を診療できる専門医がいらっしゃることが分かります。
 次をお願いします。
 今度は医療機関です。先ほど示しました121の全国の医療機関の分布を示していまして、東京とか愛知とか福岡とか大阪などに多いのですけれども、121ありまして、この中で総合病院に66あります。ちょうど半分ぐらいが総合病院で、66のうちの33が大学病院です。総合病院以外のクリニック診療所に50医療機関あります。ですから、大体半分、4割ぐらいが診療所・クリニックで、6割ぐらいが総合病院で、総合病院の半分が大学病院ということになります。
 あと、それと別に、単科の精神科病院が5か所、専門医療機関と認定されています。
 次をお願いします。
 これは大学病院に専門医がいない都道府県の大学病院に、睡眠医療特定地域専門医というのをつくって、そこで大学病院を中心に睡眠医療のアクセスを高めてもらって人材育成をしてもらおうということで、専門医が少ないところに18名を任命しました。条件として、基本領域の専門医で、睡眠の専門外来を3年以上行っている。そして、睡眠学会に入会していただくということを条件に、睡眠医療特定地域専門医を創設して、まだ少し睡眠医療の施設や専門医が少ないところで、大学を中心として医師会と連携を取りながら、睡眠医療のシステムをより広げていただきたいということで、この専門医をつくりました。
 次をお願いします。
 これは不眠症に対する認知行動療法のマニュアルです。これは睡眠学会が中心になって2020年につくったもので、認知行動療法に関して心理教育、筋弛緩などの説明、そして、認知行動療法の中核になる睡眠スケジュール法を概説してます。刺激制御療法、これは寝室に入って刺激を受けないように、眠くないうちから寝室に入ったりすることは避けること、睡眠制限療法というのは、床に入る時間は実際に眠る時間にとどめましょうということで、床に就く時間を制限するなどの内容のマニュアルをつくっています。
 次をお願いします。
 不眠症に対する認知行動療法を全国に広めるということで、これは日本睡眠学会における教育活動として、2012年から日本睡眠学会の教育委員会が主催してワークショップを行っています。2015年からは、ベーシックコースとアドバンスコースというふうに、基礎と実際に難治の不眠症の方々に行うようなアドバンスコースと分けて行っていまして、2021年から年に2回実施しています。
 次をお願いします。
 これは2012年から行っていますベーシックコースとアドバンスコースの人数を示しています。2021年から年2回にしていますので、2021年から(1)(2)というふうにここでは示しています。2012年から2025年までの14年間で、ベーシックコースが1,752名、アドバンスコースが164名です。内訳としては、医師が25%、心理職が50%、それ以外では看護師とか薬剤師というコメディカルの方々が受けています。
 次をお願いします。
 睡眠学会だけではなくて、国立精神・神経医療研究センターも同じように主催していまして、こちらで大体、今までに641名が研修を受けています。ここに示していますように、2011年から2023年まで6回です。そして、厚生労働省の認知行動療法研修事業として2回行っています。2025年度もさらに行う予定です。ですから、睡眠学会と精神・神経センターを合わせると、2,000人以上の方が認知行動療法の研修を受けているということが分かります。
 次をお願いします。
 14年間行っているのですけれども、過去3年間、252名の方が全国にどのくらいいらっしゃるかを示しているのですけれども、ここで示しているように、過去3年間ですので、10分の1ぐらいの方がこのような形で全国に広がっていることが分かります。
 次をお願いします。
 この方々が、総合病院と診療所・クリニックとでどのくらいの数かということなのですけれども、これは総合病院が74名です。
 次をお願いします。
 クリニックが52名ということで、クリニック・診療所と総合病院は、そう差がないことが分かります。あと、単科の精神病院が多いです。精神病院では、やはり認知行動療法というのは専門的に行いますので、単科精神科病院の心理師さんとかがこのセミナーを受けてあるケースも多いのですけれども、このように総合病院と診療所・クリニックでは半分ぐらいずつがいらっしゃるということで、全国に少なくとも2,000名を超す方がいらっしゃるので、ほぼ全国で認知行動療法は受けられるのではないかと考えています。
 次をお願いします。
 これは前回も示した、組合せで標榜を要望しているということで、ピンクのところが単科で標榜できる診療科名で、それに対して②のほうが組合せで、睡眠学会は(d)の患者の症状、疾患の名称の施行令のところに、新しく「睡眠障害」を組合せで標榜できるようにということで希望しております。
 次をお願いします。
 これは先ほど説明があった4つの条件で、精神神経学会、呼吸器学会、循環器学会、神経学会、耳鼻咽喉科学会、小児科学会の承認を取っております。
 次をお願いします。
 これは患者さんの調査の結果で、約3,500名の一般の方を対象にアンケートを取っていまして、睡眠に課題を感じる人がこのときは6割ぐらいいらっしゃって、しかし、実際に受診した人は14%しかいないと。もし睡眠障害の標榜があれば、8割ぐらいは受診したいということを答えておられます。
 ここでは、この円グラフでは示していませんけれども、医師に相談しようと思ったけれども、どの科を受診していいか分からなくて迷ったという方が、男性、女性とも50%ぐらいいらっしゃって、もし睡眠障害の標榜があれば受診したという人が94%を占めていました。ですから、やはりどの科に行ったらいいかが分からないために受診しなかったという方が、一般の方では多く見られるということがここの結果からは示されているのではないかと思っています。
 次をお願いします。
 これは治療者側の医師約1,200名のアンケート結果ですけれども、ここではやはり、睡眠障害の標榜が必要と思っている先生方が8割ぐらいと。では標榜しますかと聞いた場合には、7割ぐらいが標榜したいと答えておられました。
 次をお願いします。
 これは先ほど説明しました、大学病院では、専門外来を持っているところは多いのですけれども、やはり各診療科ごとの専門外来で、無呼吸症候群が主体のところが多くて、医師が不足しているということで、なかなか困っているというところが多かったので、睡眠医療特定地域専門医・指導医というのをつくって、医師会の先生方と連携を取りながら、より睡眠医療を広げていっていただきたいと考えています。多科連携による睡眠医療ネットワークとか、多職種によるネットワークの促進。あと、大学病院に睡眠医療の専門医をつくって、診断、治療が十分行いづらいときは、睡眠学会の本部のほうから、あるいは専門施設のほうからオンライン支援を行って、診断、治療に格差が起こらないような形で支援していきたいと考えています。あと、やはり人材育成を行っていきたいということで大学病院に新たな専門医制度をつくりました。
 次をお願いします。
 これも御質問があったところなのですけれども、睡眠医療アクセスの向上や、医療格差に対する睡眠学会の取組として、承認していただいた6学会の先生方で睡眠学会に入っている先生方に、標榜科推進学術交流ワーキンググループというものを設立してもらって、この6学会と連携を取って、睡眠医療のアクセスの向上を実現したいということで、実際には、この6学会との合同シンポジウムや教育講演を企画したりとか、あとこれ以外でも、人間ドック学会とか、あるいは総合診療科の学会の先生方とシンポジウムを組んだりして、現在、行っています。
 さらに、「すいみんの日」というのが9月3日と3月18日にあるのですけれども、市民の方々に睡眠について、より知識を深めてもらいたいということで、今年もまた3月に行うのですけれども、市民公開講座をこの6学会で一緒に行っています。
 あと、医師会主催の生涯教育を通して、一般診療科の先生方に睡眠医療のアプローチを学ぶための講習会、あるいはeラーニングなどを提供しようとして、今、試みているところです。
 次に、これも質問にありました、専門医及び睡眠医療に関わる医療者に対する質の担保です。これに関しましては、現在ずっと行っています生涯教育セミナーや睡眠医療技術セミナー、認知行動療法セミナーです。あと、医師、歯科医師、臨床検査技師、こういう多職種の知識を共有するということで教育セミナーも行っていますし、さらに、オンデマンド配信で睡眠学の基礎的なこと、疫学、検査、診断、治療、最新の情報について現在配信を行っています。
 次をお願いします。
 やはり産業医には睡眠の知識というのは重要ですので、日本医師会主催の産業医講習会へ睡眠学会から講師を派遣するということを進めているところです。
 また、人間ドック学会と一緒に睡眠健診に関するガイドラインを策定しようと今始めているところです。
 さらに、多職種連携の強化ということで、今までは、睡眠学会専門医師と歯科医師と検査技師の3つだったのが、2024年より専門心理師、今年から専門看護師、今後は専門薬剤師、さらに専門栄養士を創設していきます。睡眠というのは、薬物療法や心理療法だけではなくて、運動や食事などが関係してきますので、多職種で治療を行っていこうということで、その連携の強化に努めています。
 また、歯科の先生方との先ほど示しましたガイドラインがあるわけですけれども、実際にその連携のシンポジウムを行って、医師と歯科医の連携を強化しています。来年は、睡眠学会と睡眠歯科学会を合同で行うのですけれども、今、睡眠歯科学会には1,200名の会員がいらっしゃって、睡眠歯科学会の専門医が100名いらっしゃいます。そのように歯科のほうにも睡眠専門歯科医の先生がいらっしゃって、より連携を強めていこうということで、いろいろなセミナーやシンポジウムを行っています。
 今までは英文誌、国際誌のジャーナルしか睡眠学会の機関誌はなかったのですけれども、多職種の方々に知識を共有していただきたいということで、邦文誌、日本語のオンラインジャーナル「睡眠医療ネクサス」というものを昨年から出版しています。
 あと、先ほど言いました、大学病院に特定地域専門医・指導医・専門施設制度をつくることによって、医療連携システムを強化して、人材を育成していって、大学病院は多科の先生方と一緒に連携が取りやすいということがありますので、ぜひ多職種あるいは多科で連携を取っていきたいと思います。
 そして、地域格差が生まれないように、全ての都道府県に専門医を育てて、医師会の先生方、かかりつけ医の先生と協力しながら、睡眠医療連携の向上、あるいは生涯教育を通して、睡眠障害の診断、治療のアクセスを高めていきたいと考えています。
 次をお願いします。
 これも質問にあったのですけれども、睡眠医療における医師・歯科医師以外の診療報酬の現状ということでは、今のところ認知行動療法は医師・看護師のみで、心理師には直接診療報酬はつかないというのが現状です。
 また、睡眠時無呼吸症候群のCPAP管理に対しては、在宅療養指導料は看護師の指導が算定の対象になっています。
 さらに、睡眠ポリグラフ検査の安全精度管理の施設基準に常勤技師が3名以上いるとつくということです。さらに、実施には医師、看護師または技師が専従するというのが条件で報酬がつくということで、今のところは睡眠医療に関わる医師・歯科医師以外では、ここに挙げているようなものに診療報酬がつくというのが現状です。
 次をお願いします。
 御質問の中に、やはり子供の頃から睡眠の教育が重要だという御質問がありましたけれども、「みんいく」という睡眠教育の副教材を皆さん方のお手元にお配りしていると思います。昨年の10月末に出来上がったものです。小学生、中学生を対象にした「みんいく」の副教材ということで、小学校1年から各学年ごとに、どういう目標で睡眠を教えたらいいのかということを示しています。また、どういう先生が教えても同じ内容の睡眠教育ができるということで、小学校6年間、中学校3年間で9年間、子供のときから睡眠の教育を行っていくことが大切です。この本を家庭で保護者と一緒に学んでいただいて、家庭の中で睡眠に関する行動変容していくことが将来大事ではないかということで、このような「みんいく」の副教材をぜひ学校に使っていただきたいということで用意しています。
 皆さん方の御質問に対して答えられることを今日お示ししましたし、4つの条件についても、今回示させていただきました。
 以上です。どうもありがとうございました。
○五十嵐部会長 内村先生、詳細な御説明をいただきまして、誠にありがとうございました。先生がおっしゃったように、日本睡眠学会のこれまでの豊富な取組や、あるいは前回のこの会議で皆さんからいただきました質問にもしっかりと答えていただいているのではないかと思います。ありがとうございました。
 では、ただいまの御説明に基づきまして、睡眠障害を組合せで標榜可能な診療科名に追加することにつきまして、資料1の6ページを御覧いただきたいと思うのですが、この4つの観点に基づいて御議論をいただきたいと思います。質問、あるいは御意見、何でも結構ですので、お願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 オンラインの先生方も、挙手をしていただくか、あるいは声を上げていただければ結構ですので、ぜひお願いいたします。
 それでは、内村先生、ガイドライン等は、2012年とか2014年からいろいろなものを、日本睡眠学会と関連する学会等でつくっていらっしゃるわけですけれども、例えば新しい睡眠導入薬なんかも出てきていますので、何か新しい、あるいは関連する学会全部を巻き込んだようなガイドラインをつくるという取組の予定はございますか。
○内村参考人 先ほどちょっと触れたのですけれども、睡眠薬の適正使用ガイドラインは2013年に出して、もう10年を超えています。そして、今、睡眠薬の第一選択薬となっているオレキシン受容体拮抗薬はもう4つ出そろいましたので、日本睡眠学会と日本臨床精神神経薬理学会と日本神経精神薬理学会、3つの学会で改定を行っていまして、ここ1年ぐらいで多分出来上がってくるのではないかと思っています。
 あと、不眠症をはじめ、無呼吸症候群などの睡眠障害の患者さんがかかりつけ医の先生を受診した場合に、診断、治療が円滑に行われるようにということで、これも10年以上前につくったガイドライン、いわゆる一般診療科を受診した場合にどう振り分けていくのか、診断、治療、そして医療連携を取っていくかというガイドラインをつくったのですけれども、今回、またそれを先ほど示した6学会と共に、ワーキンググループができていますので、そこで連携のガイドラインをつくろうということで始めているところです。
○五十嵐部会長 分かりました。
 オールジャパン体制で、指針あるいはガイドラインのようなものができると、大変現場では助かるのではないかと思います。ありがとうございます。
 そのほか何か御質問等ございますか。よろしいでしょうか。前回かなりいろいろな質問があったわけですけれども、本日、先生の御説明でかなり実態がよく分かって、御理解もいただけているのではないかと思います。
 平沢委員、どうぞ。
○平沢委員 先生、すごく詳細な説明をありがとうございました。本当に質問するところがないほど詳しく説明いただいたのですけれども、ちょっと気になったのが、やはり地域によってかなり専門医の方のばらつきがあるなというのは思ったのですけれども、それに対してオンラインでの診療支援というところがございまして、睡眠障害というのはオンラインでも診断できるものなのでしょうか。逆にオンラインになじみやすいような感じもするのですけれども、ちょっとそこが分からなかったので、教えていただければ。
○内村参考人 不眠症では、オレキシンアンタゴニストとメラトニンアゴニスト以外のベンゾ・非ベンゾジアゼピン系の多くの睡眠薬は向精神薬に入るので、オンライン診療で初診のときは処方できないのです。しかし、再診で出すことは可能です。睡眠時無呼吸症候群では診断は無理ですが、CPAP療法の再診は行われています。もし標榜が可能となった場合には、標榜した先生のところに患者さんがやってきて、診断がなかなか難しい場合は、その先生に対してオンライン支援を行うことで、直接的な診療だけではなくオンライン支援を行っていきたいと考えています。
 ただ、できれば専門医をたくさん全国につくるというのが一番、医療を高めるにはいいのですけれども、すぐにはなかなか難しい点もありますし、離島とかはなかなか難しいところがありますから、そういう意味では、その先生に対してオンライン支援を行っていこうと考えています。
○五十嵐部会長 それでは、磯委員、お願いいたします。
○磯委員 国立健康危機管理研究機構の磯です。
 詳細な説明をありがとうございます。私からは、日本医学会連合の副会長としての立場でコメントをさせていただきたいのですが、先生の学会は日本医学会の加盟学会でいらっしゃいますので、今後、様々な学会と、どのように連携されていくかについて、何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
 日本医学会連合の門脇理事長もいらっしゃいますので追加の御発言があればと思います。よろしくお願いします。
○内村参考人 やはり睡眠障害というのは、精神疾患だけではなくて、様々な身体疾患に併存する病気で、例えば生活習慣病や心血管系の病気、あるいはがんなどの誘因にもなりますし、増悪因子にもなるということがいろいろなエビデンスで示されていますので、いろいろな科の先生方と今後連携を取っていくつもりです。今回示しました6学会というのは、特に睡眠障害が医療現場で最も遭遇するということで、関連学会ということで6学会の先生方の承認を取って、6学会の先生方と共にワーキンググループをつくっているわけですけれども、先生がおっしゃいましたように、全ての診療科に関係してくる疾患ですから、様々な診療科の先生方、学会と連携を取りながらやっていきたいと思います。
 この前もお話ししましたけれども、今度の医学会総会では6学会共同で演題を出させていただいています。医学会に加入している学会の先生方とさらなる連携を強化して共有していければと思っております。
○磯委員 ありがとうございます。
○五十嵐部会長 それでは、日本医学会の門脇委員からお願いいたします。
○門脇委員 内村先生、すばらしいプレゼンテーションをありがとうございました。内村先生のプレゼンテーションの中で、これまで寄せられていた質問事項の多くに答えていただいたのではないかと思い、感謝いたします。
 私が伺いたかったのは、プライマリ・ケア医から、その後、睡眠専門医療機関への紹介という流れについて、御提案はよく分かったのですが、そもそも日本睡眠学会の全国に622名いらっしゃる総合専門医のバックグラウンドの診療科についてです。日本睡眠学会の総合専門医は基本診療領域の専門医を持っていることが条件だというお話があったと思いますが、そうすると、精神科の専門医を持っている方、もう一つは、内科の専門医を持っている方が多いのではないかと思います。また、内科の場合には、サブスペシャルティとして呼吸器内科であったり、循環器内科であったり、あるいはもしかしたら神経内科であったり、今は脳神経内科ということなのかもしれませんが、その辺りの日本睡眠学会の総合専門医のバックグラウンドの内訳についてお伺いいたします。
○内村参考人 専門医は先生おっしゃったように622名いるのですけれども、その中で精神科の専門医が252名です。内科の中で呼吸器内科が143名、循環器内科が44名、神経内科が33名、それ以外の内科の先生が52名ということになりますので、大体内科の先生の専門医が270名ぐらいに合計するとなると思います。そして、精神科が250名、あと耳鼻科が104名です。小児科がちょっと少なくて10名で、それ以外が23名ということで、大きく分けますと、精神科250名、内科250名、耳鼻科が100名ぐらい、そして小児科が10名、それ以外の先生方が20名強というような割合になります。
○門脇委員 よく分かりました。バックグラウンドが精神科、内科で、内科の中でも呼吸器や循環器、そして耳鼻科ですね。かなりよくバランスが取れていることが分かって安心いたしました。
 それから、そうすると今後、標榜の在り方としては、睡眠障害ということと精神科を組み合わせることもありますし、内科と組み合わせることもありますし、耳鼻科と組み合わせることがあって、もしかしたら睡眠障害と内科と呼吸器を両方組み合わせることもある、そんなイメージを考えていらっしゃるということでよろしいでしょうか。
○内村参考人 組合せですから、睡眠障害・精神科とか、あるいは睡眠障害・心療内科とか、あるいは睡眠障害・内科、あるいは睡眠障害・呼吸器内科とか、睡眠障害・循環器内科とか、あるいは睡眠障害・耳鼻科という組合せですね。あと、ぜひ睡眠障害・小児科と。子供の睡眠障害の方はすごく多くて、なかなか子供の無呼吸とかは診察を受けられていないところがありますし、今、神経発達症、発達障害の方の7割ぐらいには睡眠障害が見られるのですけれども、その睡眠障害を早期に診療することによって、発達障害の症状が軽減するというエビデンスも出てきていますので、小児科に睡眠障害を標榜していただいて、ぜひ一緒にやっていきたいと考えています。
○門脇委員 先生のお話を聞いて、かなりイメージが分かってまいりました。
 そこで質問なのですが、現在75ぐらいの大学病院で睡眠障害の外来を持っているというお話があったと思います。この睡眠障害の専門外来は、精神科の場合もあるし、呼吸器内科の場合もあるし、耳鼻咽喉科の場合もあるし、まだ少数ですが小児科の場合もあるといったお話があったと思います。イメージとして、睡眠障害の標榜がされた場合には、もちろんそこの大学で精神科から内科から小児科、耳鼻科まで全部そろっているかどうか分からないと思うので、もしかしたら、ある大学では睡眠障害・精神科みたいなものができて、ただ、いわゆる睡眠時無呼吸症候群は呼吸器内科の中で診るとか、全部を睡眠障害という標榜科の中で診られればば良いのですが、診られない場合もあるのではないかと思い、移行期間はそういう睡眠障害科と、それから、その睡眠障害科の中にないような基本領域の場合には今までどおり従来の診療科の中の睡眠障害の専門外来で診ると、そんなイメージで考えてよろしいのでしょうか。
○内村参考人 そうですね。急に一つにというのはなかなか難しいと思いますので、そういう意味では、先生おっしゃったように、例えば無呼吸などは循環器や呼吸器内科がメインで診られることが多いと思うのですけれども、それ以外の例えばナルコレプシーとかそういうものを診るような場合は、精神科のほうに睡眠障害・精神科というふうにできて、呼吸器と循環器はそのままの標榜名で見られて、ただ、連携はぜひ院内では取っていただいてという形を取りたいと考えています。実は久留米大学は1981年から、44年前から精神科の中に睡眠障害外来をつくっているのです。ただ、そうすると無呼吸症候群の患者さんがなかなか来られなかったので、2002年から内科総合外来の中に、関係する循環器内科、呼吸器内科、耳鼻科とか、あと歯科も一緒になって診療するということで、内科の中に睡眠障害の専門内科というのをつくって、そこで診ていますので、我々としては、睡眠障害・内科とつけて、そこで内科の外来で関係する先生方がそこに集まって診療していく形を取りたいのです。それが僕は理想的だと思うのですけれども、なかなか急にそういうことは無理なので、先生がおっしゃったような形で移行していくのが現実的ではないかと考えます。
○門脇委員 最後のコメントですが、今の御説明で非常によく分かりました。プライマリ・ケアから専門医への流れの中で、鬱病では精神科、それ以外は睡眠専門医療機関ということで、ただ、睡眠障害の診療科がすぐに全てのところにできて、また、睡眠障害の中でも全てのいろいろな精神科から内科から呼吸器からできるわけではないと思うので、当面は睡眠障害科ができたとしても、その科の中に十分にまだ反映されないような場合には、従来の専門、例えば呼吸器内科の中の睡眠時無呼吸の専門外来とも連携しながら、でも、将来は全てのところに睡眠専門医療機関ができて、そこで診ると、そんなイメージで、内村先生、よろしかったでしょうか。
○内村参考人 そう実現したいと考えています。
○門脇委員 五十嵐部会長、私の持っている様々な疑問はほぼ全てが解消いたしました。ありがとうございます。
○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。
 磯先生、手を挙げていらっしゃいますか。
○磯委員 追加の質問になりますが、小児科は専門医が10人と少ないことの背景や、これから小児科の呼吸器障害の専門医をどのように育成していくかについて、見通しといいますか、戦略がありましたら、お伺いできればと思いました。
○内村参考人 循環器内科、呼吸器内科、あるいは神経内科の先生方は、特に睡眠時無呼吸症候群に関しては、実際に診療してある先生方が多くて、研究なども行っていらっしゃいます。例えば我々の大学で循環器内科に入院している方を対象にPSG検査をすると、半数ぐらいが無呼吸症候群なのです。ですから、高率に無呼吸症候群の患者さんがいらっしゃるのですけれども、実際なかなかそれが治療に結びついていないというのがあって、そういう意味では、呼吸器内科や循環器内科や神経内科の先生方は、やはり睡眠障害が併存する割合が多いので、その睡眠障害を診断、治療することが内科的な基礎疾患の改善にもつながりますし、再燃予防にもつながっていきますので、その辺りを共有して、そのためには循環器学会や内科の学会でシンポジウムなどを行って、先生方と共有していきたいと思っています。
 あと、小児科の先生方に対しては、今日この「みんいく」ハンドブックという小学校、中学校の方々を対象の「みんいく(睡眠教育)」の副読本をお持ちしたのですけれども、子供の頃から睡眠が大事だということと、あと、子供の無呼吸症候群、あるいは神経発達症、発達障害の方を早期に診断していくために、睡眠というのはすごく分かりやすい切り口になるということで、この前ちょっとお話ししたのですけれども、5歳児健診というのが今年からこども家庭庁が推進して始まったのですが、この5歳児健診の中に睡眠のリーフレットを入れました。
 実は昨年、小児科の中で永光先生という福大の教授の先生に睡眠学会の理事に入っていただきました。前は神山先生という先生が入っていたのですけれども、退職され、小児科の理事が不在でした。永光先生は5歳児健診の主任研究者として、こども家庭庁などと一緒に、子供の発達障害、神経発達症の早期診断、治療ということで始められたのですけれども、その中に睡眠も入れていただいて、小児科の代表として睡眠学会の理事にもなっていただいたのです。ぜひ、小児科の先生方に多く入っていただいて、専門医にもなっていただいて、特に小児科学会と連携を取りながらやっていきたいと思っていまして、小児科、内科の先生方に、ぜひ睡眠障害の診断、治療を一緒に共有してやっていただくように努力していきたいと考えています。
○磯委員 ありがとうございます。力強い見通しをありがとうございます。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。
 では、坂本委員、お願いします。
○坂本委員 今日は詳しくご説明いただきまして、ありがとうございました。
 今、委員の先生方から出たことを患者家族の立場からお伺いいたします。先ほどがんのことにもふれられていました。2人に1人はがんになると言われていて、かつ医療が進歩してきていますので、患者は、がんとともに生きる時間が長くなっています。そういう意味で、がんの患者さんが何らかの睡眠の不調を抱えたときなどに、スムーズに専門医の方に移行できるような形が今あるのかどうかということを、おうかがいいたします。また、認知症の方も睡眠の問題を抱えることが多く、その場合は、家族も一緒に睡眠の問題に直面することが多いと思います。そういうときに、例えば認知症の専門医の方から睡眠の専門医の方につないでいく方法で、今後お考えのことなどがあれば、お伺いできればと思っております。
○内村参考人 今、高齢化社会になってきて、認知症というのがすごく増えてきているのは間違いなくて、認知症の予防というのは、今盛んにいろいろなことがエビデンスで示されてきていますけれども、睡眠障害自体も認知症のリスクを高めることが分かっています。したがって、適切な睡眠を確保することが認知症の予防になることも分かっています。あと、認知症の患者さんは9割以上で睡眠障害が起こってきますので、その睡眠障害を改善してあげると、認知機能もある程度改善してくるということも示されています。あと、やはり進行を少しでも抑制していくという意味では、特に昼夜逆転したりとか、あるいは夜に暴れたりする、せん妄ですね。睡眠が障害されることによって認知症の方の夜のせん妄が発症あるいは悪化したりしますので、そういう意味では、今でも、例えば大学病院とか総合病院ではリエゾン・コンサルテーションということで、精神科が介入して、認知症の患者さんの、入院患者さんであれば、睡眠障害の治療したりとか、せん妄の予防をしたりというのもありますし、外来レベルでも、ある程度、精神科が認知症の患者さんを診ているケースも多いです。神経内科の先生とか内科系の先生や脳外科の先生からの紹介というのはよくありますし、認知症の場合は、昼夜逆転しないで睡眠を夜に適切にとることが大事になっていきますので、現在も行っていますけれども、それを全国で行えるようにしていきたいと思っています。
 また、がんの患者さんに関しては、不眠、せん妄とか鬱などが起こってきますし、睡眠に障害があるとせん妄を起こしたり、鬱状態を増悪したりしますので、がん患者さんの日常生活のQOLを向上するためにも、適切な睡眠が重要です。また、ケアする側も、認知症の場合も、介護する方の睡眠というのがすごく大切ですし、家族にしても、例えば訪問看護の人でもそうですし、施設でもそうです。あと、がん患者さんのターミナルケア、ホスピスとかでも夜の睡眠というのは患者さんのQOLを高める意味でもすごく大事ですから、認知症やがんのターミナルの方には、ぜひ我々睡眠の専門医が関わっていきたいと思いますし、専門医がいなくても、例えば看護師さんとか、あるいはコメディカルの方々、心理師さんとかが関わっていくことが大切です。
 そのためには、睡眠についてのある程度の知識を共有するということで、睡眠学会としては、2年前から睡眠専門心理師、今年からは睡眠専門看護師、さらに今後は睡眠専門薬剤師、栄養士を創設しコメディカルの方々になっていただいて、医師だけではなくて多職種で、認知症の患者さんやがん患者さんを、病院だけではなくて、やはり家庭で、地域で支えていくことが大事だと思いますので、そういう関わり合い方をぜひやっていきたいと思っています。
○坂本委員 ありがとうございます。詳しくお話しいただき、また重要なお話をうかがうことができました。
 あともう一点は、先ほども出ていました、小児科の専門医が少ないということに関連してのことになります。今日御紹介いただきました「みんいく」の本を、拝読しました。分かりやすく、内容も充実していて、大人が読んでも参考になることが多いと思いました。一方、思春期の若い世代に向けてどうするのか、ということも今後、診療科をつくっていく上で重要だと思われます。特に若い世代の薬の過剰摂取などは社会的な問題になっています。その辺りも含めて、お考えのことがあればお伺いできればと思います。
○内村参考人 やはり若い方々、思春期ぐらいの方々の大量服薬が今すごく問題になっていると思うのですけれども、そういう意味では、今、大麻や覚醒剤とかの薬物に関しては薬剤師さんが小・中学校の授業の中で教育してあります。ですから、睡眠薬とか、あるいは抗ヒスタミン薬とか、そういうものに対してのきちんとした教育を小学校、中学校のレベルから学校の授業として行っていくことがすごく大事だと思います。また、10代半ばぐらいからだんだん体内のリズムが後退して、20歳ぐらいをピークに最も遅寝遅起きになってしまって、昼夜逆転したりして、そして引き籠もって、不登校になったりします。今御質問いただいたように、思春期は最も昼夜逆転したり、あるいは睡眠が十分取れないことによって衝動性が高まって、自殺企図とか衝動的なことが起こりやすいので、その辺りのきちんとした教育も含めて、家庭の保護者の方の教育も含めて行っていく必要がありますし、そこには小児科の先生の力が不可欠です。最近、小児精神科医も少しずつ増えてきています。
 今は少子化で、子供を増やすというのは難しいので、生まれたお子さんをいかに確実に成長、発達を促していくかというのは、我々大人にとっては不可欠なことだと思いますので、子供という宝物をきちんと育てていくために、睡眠というのはすごく大事で、その辺りを医療だけではなくて教育、保健・福祉も含めてサポートしていくことが大事だと思っていますので、睡眠学会としては、その辺りを十分支援していきたいと考えています。
○坂本委員 ありがとうございました。
○五十嵐部会長 大変重要な御指摘をいただいたと私も考えます。我が国は欧米に比べ、思春期医療や思春期保健への対応が大変遅れています。10歳から20歳までの子供たちに支払われ医療費は他の世代に比較して最も少なく、昨年のUNICEFの報告によると、日本の子供たちの身体的な健康度は世界一と評価されています。しかしながら、心理的な健康度は、OECD加盟36か国中32位という大変低い評価を受けています。わが国の学校健診では主に子どもの身体疾患のスクリーニングを行っています。その結果、思春期の子どもの心理社会的評価や支援がわが国ではおろそかになっています。小児科医の思春期医学への関与が乏しいことが日本睡眠学会に参画する小児科医が少ない結果になっていると想像します。御指摘いただいたように、今後の大きな課題だと考えます。ありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。
 それでは、前回、今回といろいろと御質問いただいたことに対しましても、内村先生が大変丁寧に対応していただきまして、いろいろな疑問点も氷解したのではないかと思います。
 これまでの議論をまとめますと、単独で標榜可能な診療科名と組み合わせて標榜できる用語として、新たに「睡眠障害」を追加することにつきまして、大きな御異存はなかった、むしろ賛同する方がほとんどだったかと思います。それでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○五十嵐部会長 ありがとうございます。
 「睡眠障害」という標榜科がフラグとして立つことにより、今まで潜在的に隠れていたたくさんの患者さんが掘り起こされることもあるでしょうし、今まで不十分だった対応が改善することも期待できるかと思います。
 では、事務局におかれましては、次回、議論の取りまとめを行う方向で準備をしていただきたいと思います。
 最後に、今後のスケジュールにつきまして、事務局から、資料1の続きから御説明をお願いいたします。
○保健医療技術調整官 事務局でございます。
 資料1に戻っていただきまして、14ページ目をお開きください。
 こちらは前回お示ししたものとほぼ同じですけれども、今回の議論を踏まえまして、次回は3月頃に診療科名標榜部会第3回目を開催しまして、議論の取りまとめと、具体的な改正条文案を事務局から御提示させていただきたいと思います。
 その後、本部会で御了承いただきましたら、医学医術に関する学術団体への意見照会というプロセスに入りまして、その後、パブリックコメント、改正法令の公布・施行と進んでいきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、全体を通して何か追加の御発言等はございますか。よろしいですか。
 それでは、ただいまの今後のスケジュールにつきましては、特に御異存もないようですので、本日の議論はこれで終了したいと思います。
 進行を事務局にお返ししたいと思います。
○医事課主査 ありがとうございました。
 次回の部会の開催日程につきましては、調整の上、改めて御連絡させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 それでは、以上をもちまして、第7回「医道審議会医道分科会診療科名標榜部会」を終了したいと思います。御協力どうもありがとうございました。