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第118回社会保障審議会医療部会 議事録
日時
令和7年9月19日(金)13:00~15:00
場所
全国都市会館 3階 第1会議室
議題
- 医療機関等をとりまく状況(経営状況・人材確保等)
- 基幹インフラ制度への医療分野の追加について
- 特定機能病院のあり方に関するとりまとめ
議事
○医療政策企画官 それでは、定刻より少し前ですけれども、皆様おそろいでございますので、ただいまから第118回「社会保障審議会医療部会」を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日、委員の先生方におかれましては、あらかじめオンライン、または現地会場での参加をそれぞれ御選択いただいた上で御出席をいただいております。
最初に、委員の異動がありましたので、御紹介をさせていただきます。
山口育子委員の御後任として、新たに認定NPO法人マギーズ東京共同代表理事、鈴木美穂委員、黒瀬委員の御後任として、新たに日本医師会常任理事、長島公之委員、山崎親男委員の後任として、新たに全国町村会理事(山梨県身延町長)、望月幹也委員が就任されております。
本日は、望月幹也委員は御欠席との御連絡をいただいておりますので、鈴木美穂委員、長島公之委員から一言御挨拶をお願いしたいと思います。
では、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
皆さん、初めまして。こんにちは。鈴木美穂と申します。認定NPO法人マギーズ東京という、がんに影響を受けた全ての方が無料で医療の専門家に相談できるセンターを運営しています。
私自身、24歳のときに乳がんになった、がんを経験した当事者・患者視点で、また市民目線で発言していければと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療政策企画官 ありがとうございました。
それでは、長島委員、お願いいたします。
○長島委員 日本医師会常任理事の長島公之でございます。
先日まで中医協の委員を務めさせていただきました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○医療政策企画官 ありがとうございました。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、伊藤委員、内堀雅雄委員、望月幹也委員より御欠席との御連絡をいただいております。医療部会の総委員数は24名で、定足数は3分の1の8名でございます。本日は21名の皆様が御出席ですので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
また、小野委員、勝又委員、松原委員、望月泉委員より途中退席との御連絡をいただいております。
次に、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1~5、参考資料1~3、委員提出資料1と2を送付させていただいておりますので、お手元に御準備をお願いいたします。
報道の方でカメラ撮りをされている方は、ここまででお願いをいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○医療政策企画官 では、以降の進行は遠藤部会長にお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 皆さん、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議題に入る前に、御欠席されておられます内堀雅雄委員の代理としまして玉川参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に移らせていただきます。
まず議題の1、「医療機関をとりまく状況(経営状況・人材確保等)」について、関連する資料を事務局より説明をお願いしたいと思います。
○医療政策企画官 医療政策企画官でございます。
それでは、資料1について御説明をさせていただきます。
資料1につきましては、前回9月4日の医療部会で診療報酬改定の基本方針に向けたキックオフの議論をしていただきました。その際、医療機関の現下の経営状況の厳しさとか人手不足の状況に関する御指摘、御意見を多数いただいたと認識をしております。来月以降、また診療報酬改定の基本方針の議論も医療部会で行わせていただきますし、今後、政府としての様々な対応もありますので、医療部会でもさらに経営状況・人材確保の問題についてより深く御議論いただきたいということで、資料1を御用意させていただいております。
大変多数のスライドがありますので、ざっと御説明させていただきます。
1ページ、2ページは、病院の事業利益率、経常利益率の推移でございます。これは福祉医療機構のデータに基づいて作成したものでございますけれども、2018年以降、低下傾向にございまして、コロナの補助金の影響を除きますと、一般病院についてはマイナスになっているという状況でございます。経常利益率についても、おおむね同様の状況でございます。
3ページは、医療経済実態調査の損益率の推移でございます。こちらもコロナの補助金を除いたものでお出しをしておりますが、一般病院、精神病院においてマイナスという状況になってございます。
4ページは、病院の病床利用率の推移でございます。新型コロナのあった令和2年に大きく低下しておりまして、その後も低下を続けて75.3%で底を打ち、令和5年度は75.6%という状況でございます。
5ページは、病院の患者数の推移でございます。こちらも令和2年度に大きく減少して、その後も在院患者数が減少傾向にある。外来患者数は少し回復傾向になっているという状況であります。
6ページをお願いいたします。こちらもWAMのデータに基づいて作成をしたもので、病院の収支構造の変化であります。2018年と2023年を比較したものでございます。事業収益もこの間伸びておりますが、それ以上に事業費用が伸びているという状況になって、利益が悪化しているということであります。
また、事業費用の内訳を見ますと、人件費が50%超を占めておりますので、費用のどの項目も伸びているわけですけれども、50%超を占める人件費増加の影響が大きいという状況になってございます。
7ページ、8ページは人件費の動向でございます。
7ページの左半分のグラフは、春闘の結果による賃上げ率の状況でございます。左下のところを見ていただきますと、薄いブルーの賃上げ率のところ、2024年が3.56%、2025年が3.70%という状況でございます。
一方で、8ページは、診療報酬のベースアップ評価料届出医療機関の賃金増率(計画値)でございますが、こちらについて全医療機関の平均で2.74%という状況でございます。
9ページは、物価、建築単価の高騰の状況でございます。上半分がCPIの推移で、足元の高騰が続いているような状況、下半分のブルーのグラフは病院・診療所の着工建築単価の推移でございますが、こちらも足元の高騰が続いているという状況でございます。
10ページは、委託費の状況であります。委託費の内訳としては様々な項目が含まれておりますが、どの項目も2018年から20%以上上昇しているという状況でございます。
11ページからは、医療法人の経営状況のデータベース(MCDB)からのデータでございます。こちらはまだ令和4年度、5年度のデータでございまして、令和6年度のデータについては現在集計中でございますが、令和4年度から5年度にかけて経常利益率の悪化が見てとれるということになっております。
また、一番ボリュームゾーンになっています最頻値というところを見ていただきますと、病院、無床診、有床診ともに0.0~1.0%のところに最もボリュームゾーンとして集中しているところが分かるかと思います。
12ページ以降はさらに詳しく見たものでございまして、12ページが2023年度の病院の類型別の状況でございます。医業利益率に関しましては、一般、療養型、精神科病院、いずれも中央値でマイナスになっているという状況でございます。
13ページは、病床規模別で見たものでございますけれども、特に一般病院の200床以上のところを見ていただきますと、200床以上では医業利益率、経常利益率ともにマイナスになっているという状況でございます。
14ページは、機能別に見たものでございます。高度急性期、急性期A、Bという形で分類した場合でも、医業利益率、経常利益率ともにマイナスになっているという状況でございます。
15ページは、自治体病院の経営状況でございます。こちらは総務省の調査を基に厚生労働省にて作成したものでございますが、先ほどの病院全体の傾向と同様に、2018年から医業収益も伸びておりますが、医業費用がそれ以上に伸びて、全体として利益率が低下しているという状況でございます。
16ページが、医科診療所の経営状況でございます。こちらについても医業利益率、経常利益率ともに低下の傾向でございまして、先ほども見ていただきましたとおり、ボリュームゾーンとしてはやはり0.0%近傍に集まっているという状況でございます。
歯科診療所についても同様の傾向でございますが、特に赤字の歯科診療所が42.3%に上っているという状況でございます。
18ページ以降、こうした経営状況の急変に対する政府としての支援の内容をつけさせていただいております。
18ページ、令和6年度補正予算で1311億円の緊急的な支援パッケージを実施してございます。その具体的な内容を19ページ以降におつけをしております。
19ページ、さらなる賃上げに向けた生産性向上・職場環境改善の支援として828億円の支援を行わせていただいております。こちらは病院・有床診には1床4万円、診療所・訪問看護ステーションには1施設18万円の支援を行ったものでございます。
20ページにつきましては、病床数の適正化への支援事業、また足元の建築単価の高騰を受けまして、国庫補助事業の対象となる施設への補助を行ったものでございます。こちらは428億円の規模で行ってございます。
21ページは、骨太方針2025の抜粋でございます。
22ページは、先ほど御説明した病床数適正化事業の内示状況でございます。4月に7,170床の内示を行いまして、その後、2次内示で4,100床余り、合計1万1000床余りの内示を行ったところでございます。
23ページは、分娩数が減少している分娩取扱い施設とか患者数が減少している小児医療への支援を55億円の規模で行ったものでございます。
24、25ページが、重点支援地方交付金に関する概要でございます。こちらは、食料品価格とか光熱水費など物価高騰への支援でございまして、生活者支援と事業者支援の両方のメニューがあるわけですけれども、その中で医療施設への食料品、光熱水費の高騰への支援を行っていただいているものであります。
26ページは、福祉医療機構による優遇融資の拡充でございます。4月から新たに無利子・無担保融資の拡充を行ってございます。無担保での融資上限額を7.2億円まで拡充し、2年間無利子ということで、4月から行ってございます。
27ページは、その申請状況でございます。4月以降申請件数は伸びております。8月末時点で1,377件の申請件数があり、累計申請額としては1835億円となってございます。
以上が、医療機関の経営状況に関する資料でございます。
28ページ以降は、人材確保に関する資料をおつけしております。
28ページは、2018年に厚生労働省が行ったマンパワーの推計に関する資料でございます。今後2040年に向けまして就業者数が大きく減少していく中で、医療・福祉の人材をどう確保していくかということでございます。真ん中に赤字の吹き出しがございますけれども、女性や高齢者をはじめとした多様な就労・社会参加を促していく。一方で、健康寿命の延伸、医療・福祉サービス改革、1人当たりのサービス提供量を増やしていくような改革をしていく必要があるということでございます。
29ページ以降、看護職員や医師の勤務環境に関する資料をおつけしております。
29ページの右側のグラフでございますが、有効求人倍率です。看護職員については、全職業計を上回る有効求人倍率となっておりまして、不足傾向が見てとれるということでございます。
30ページは、都道府県別の倍率になっております。
31ページが、看護職員の超過勤務時間の現状でございます。右側の赤い棒グラフでございますが、看護職員の病院における業務の実態を表したものでございます。日々の看護記録や情報共有など、間接業務に多くの時間が取られていることが分かるかと思います。この結果、時間外労働につながっている現状があるということかと思います。
32ページ以降、医師の時間外・休日労働時間の現状でございます。医師の時間外労働につきましては、近年は減少傾向にございますが、依然として960時間超えの割合が約2割となってございます。
33ページですけれども、令和6年4月から医師の時間外労働の上限規制がスタートしておりますが、この中で地域医療確保の暫定特例水準についてB水準の指定が最も多く、417という状況でございます。
34ページが、勤務状況の改善の必要性ということで、中医協の入院・外来医療等における実態調査の結果でございますが、「改善の必要性がある」と答えた医師が47%に上っているような状況でございます。
35ページから、そうした中で政府として今年の6月に新資本主義実現会議の中での実行計画というのを閣議決定しております。こちらについては、赤字のところを御覧いただきますと、生産年齢人口が減少して労働供給制約がますます強まっていく中で、我が国ではまだまだ十分な省力化投資やデジタル化が進んでいないという問題意識があります。
そうした中で、特にサービス業を中心に今後人手不足がとりわけ深刻となる12業種、この中には飲食業、宿泊業、小売業などが入っておりますが、医療、介護・福祉、保育なども含まれております。そういった分野については、さらに生産性を向上する必要性が高いという認識でおりまして、今後それに取り組んでいくべきだということで、分野ごとに省力化投資促進プランを策定したところでございます。その内容が36ページ、37ページでございます。
36ページの「2.多面的な促進策」というところで、看護業務、医師の労働時間短縮に向けた様々な機器の導入支援とか、オンライン診療に係る整備、タスク・シフト/シェアの推進といったことを掲げております。また、そういったことを医療機関に広げていくためのサポート体制の整備・周知広報などを行っていくということにしてございます。
38ページ以降、具体的な業務効率化の例を幾つかおつけしております。38ページは、スマートフォンによる音声入力サービスによって時間外労働時間を大きく減少させた事例、39ページは、バイタルサインの自動入力による作業の効率化を行った事例でございます。
こうした取組につきまして、40ページ、41ページにありますように、6年度補正予算、また8年度の当初要求においても必要な予算額を計上しているところでございます。
43ページ以降は、参考資料になりますけれども、医政局の令和8年度概算要求の概要とか、国立大学病院の経営状況の資料、また、働き方改革に関連してタスク・シフト/シェアに関する状況、看護師の特定行為研修に関する資料などおつけしてございます。
資料1の説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明のあった内容につきまして、御意見、御質問等をいただければと思います。
まずは会場参加の委員の方からお願いしたいと思います。いかがでございましょう。
岡委員、どうぞ。
○岡委員 日本病院会の岡でございます。
詳細な説明をありがとうございました。
病院の経営状況について詳細なデータを出していただいたことには感謝いたしますし、病院の経営が厳しいということは御理解いただいています。
しかし、今回出していただいたデータは2023年度のものであり、やはりまだコロナ補助金や特例措置の影響が一部あり、それでもこのような状況である。そして、2024年度はコロナ補助金や特例措置はなくなり、さらに診療報酬改定では物価上昇分はほとんど考慮されず、実質マイナス改定であったため、経営状況はさらに悪化しており、2025年度も物価上昇が進み、人件費も上がり、まさに病院経営は危機的状況である。詳細は、神野委員から出していただいた資料を御覧いただければと思います。
もう一点申し上げたいのは、病院団体の調査でも、物価高騰、人件費上昇などの医療提供コストの上昇に比べて、医業利益の悪化は低く抑えられているということなのですね。これは何を意味しているかというと、各医療機関がコスト削減などの経営努力をかなりしてきた結果であるということもぜひ申し上げたいと思います。
ただ、このコスト削減のために行っている中には、医療機器や施設整備の更新を控えているというケースもあり、ある意味医療安全にも関わる問題で、これももはや限界に来ていると思います。このこともぜひ理解していただきたい。さらに、人件費も費用削減のため他産業並みのアップができない病院が多いです。人事院勧告でも今回出していただいた経営のデータの2023年は0.96%でしたが、2024年は2.76%、2023年は3.62%と。これでは病院の医療従事者の待遇は全く追いついておりません。このことが医療界から他産業への人材流出につながり、この点においても将来医療提供体制の維持が困難になる可能性が高いという危機感をぜひ共有していただきたいと思います。
その上で喫緊の対策として、やはり今年度は補正予算での緊急的支援、そして、2026年度の診療報酬改定においては、物価高騰、人件費上昇、医療の高度化に見合った改定をお願いしたいと思います。
そして、人材に関しては、29ページの看護職員の就業者数を見ますと、2023年が174.6万人から2025年は180.1万人と増えておりますが、つい最近出た中医協の就業場所別看護職員数の推移を見ますと、病院においては2020年が101.2万人、ところが2023年は98.7万人と、初めて病院の就業者数が減っております。これは我々の肌感覚でもあります。
もう一つ問題なのは、人数も減っていますけれども、この中で夜勤をできない、あるいは夜勤を希望しない看護師が多いということで、病院は24時間やっていますので、これが今後非常に重要な問題になってくるわけです。看護部長に聞いてみたのですけれども、これをどうしたらいいかというと、やはり夜勤手当がこの二、三十年間ほとんど上がっていないという現実がございます。我々も経営者として上げたいのですけれども、原資がない。このまま放っておくと本当に病院が24時間維持できないという危機感をぜひ持っていただいて、そのためにはやはり処遇改善をきっちりしていただきたいと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、先ほどお手を挙げておられました佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。
医療機関を取り巻く状況として様々なデータや情報をまとめていただき、ありがとうございます。病院の経営状況については類型や機能により状況が異なることが分かりましたので、その要因は何か、より詳細な分析をいただきたいと考えます。
また、28ページに記載があるとおり、「2025年以降人材確保がますます課題」となる状況ですから、人材確保に向けてさらなる賃金、労働条件の継続的な改善は欠かせません。
7ページの国内の賃上げの動向にあるとおり、医療・福祉分野の賃上げ状況は他産業と比べても低い状況です。
8ページのベースアップ評価料届出医療機関の賃金割増率は、加重平均で2.74%となっておりますが、8月21日開催の厚生労働省「第9回入院・外来医療等の調査・評価分科会」資料によりますと、令和7年6月30日時点の集計値として、令和6年度の計画書及び令和7年度計画書、いずれも簡素化前の届出書で提出した医療機関におけるベースアップ評価料の対象職員に係る令和5年度と比較した賃上げ比率は2年間で計3.4%となっており、2024年度診療報酬改定などを通じて2年間で計4.5%引き上げるとした目標値にも届いていない状況ですので、さらなる処遇改善が必要と考えます。
あわせて、医療現場の労働者が安心して働き続けられる職場環境づくりに向けて、働き方改革や業務負担軽減などについてもさらに推し進めていくことが重要と考えます。
最後に、事務局の方に2点お願いがあります。看護業務の効率化の例を資料に記載いただいておりますが、他の職種などについても情報があれば今後提供いただければと考えております。
もう一点、18ページの補正予算において、医療機関への緊急的な支援として、さらなる賃上げに向けた生産性向上、職場環境改善等の支援が行われておりますので、どのように活用されたのか、賃上げに回っているのかなどについては、実態を把握して医療部会に御報告いただきますようお願いいたします。
なお、診療報酬は診療への対価ですので、医療機関への経営支援については補助金など、公費で対応すべきと考えております。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局への要望事項もありましたけれども、それに関連して何か事務局からコメントはありますか。
○医療政策企画官 医療政策企画官でございます。
今いただきました2点について検討させていただきます。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
それでは、会場でどなたかいらっしゃいますか。
山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 委員提出資料2を御覧いただきたいと思います。
この医療部会は、各分野における有識者の先生方が出られて審議しているわけですけれども、前回の会でも上がりましたが、診療報酬の改定の議論をするときに、実際に診療報酬がどのような仕組みになっているかについて総論的な話をさせていただきます。
資料にあります一般科の診療報酬と精神科、それから、精神科は医療観察法による入院がありまして、犯罪を犯した精神障害者を治療するというプログラムと2本立てになっています。一般科の点数に比べると精神科がものすごく安く設定されています。しかも、精神科救急急性期医療入院料というのは、365日24時間、地域で警察関係の患者、保健所からの患者、あるいは家族からのSOSの患者とか、そういうものを含めて全部対応しているのに、地域包括ケア病棟入院料よりも更に安い状態です。また、精神科の4割ぐらいを占める慢性期の精神療養病棟に至っては、資料の下段にありますように、ビジネスホテルよりも3割ぐらい安いという、とんでもなく低い診療報酬しかついていないわけです。
さらに、その下にある医療観察法というのは、先ほどお話ししたように、犯罪を犯した患者を鑑定して入院させるわけですが、その入院料が1日6万8000円で、特定機能病院入院料と同じぐらいの点数にはなっていて、月に200万円ぐらいですが、実はこれは治療可能性のある精神障害者しか入院していないので、治療可能性のないもっと重症な患者は精神病棟入院基本料のところで措置入院で入ってきます。鑑定入院に1か月に200万円も払っていて、より重症の精神病棟入院は1か月50~60万円にしかならないという、重症度を無視したような診療報酬が設定されています。
その結果として、次のページにありますように、精神科医療費は全医療費の4.3%しかないのに精神科病床は全体の20%あります。20%の精神病床に何で4.3%の医療費しかついていないのか。これはすごく大きな問題だと思いまして、情報提供をさせていただきました。
○遠藤部会長 御意見として承りました。ありがとうございます。
それでは、神野委員、どうぞ。
○神野委員 ありがとうございます。
いろいろなデータをありがとうございます。
今回、経営状況ということで、2022、2023年のデータが中心に出ています。後のほうの参考資料2、3のWAMのデータも2022、2023年のデータで、今回あえて委員提出資料1といたしまして、今年の3月に公開した6つの病院団体で調査した2024年の結果を出させていただきました。これは、日本病院会の岡先生もこのデータの分析チームとして参画されておられます。
6ページを御覧いただければと思います。まず、医業収益・医業費用の推移というものを見ると、今回資料が出た2023年に比べて私たちの調査の2024年はもっと悪化している。また、利益率のほうも悪化しているというのが見てとれると思います。
次の7ページを御覧ください。この結果として、医業利益・経常利益とも2024年度は赤字病院が増加してございます。2024年は、医業利益で7割、経常利益で61%の病院が赤字であるという結果でございます。
次の8ページです。今日の厚労省の資料にもいろいろな経費のことがついておりましたけれども、2018年と2023年の5年間で経費がどう変わったかということであります。医薬品に関しては診療報酬で補填されていると思いますけれども、材料費、委託費、経費、そして、なんと控除対象外消費税が5割近く経費の内訳の中で増えているという結構大きなデータが出ているということであります。
その次のページは、2023年、2024年の比較であります。
こういうことで、これから恐らく福祉医療機構の2024年のデータも出てくると思いますし、病院団体も今2025年6月データを調査しておりますので今後出てくるということですが、状況は年々悪化しているということをまずお知りいただきたいと思います。
その上で、今日いろいろな資料を出していただきましたけれども、その中で15ページに、私どもは民間法人でありますけれども、自治体病院のデータが出てございます。一番下に他会計負担等の総計が非常に大きくなっているということであります。恐らく、給与を人事院勧告に準拠すると、他会計負担が大きくなるということであります。そこのところが、民間の病院は、同じ労働をしている看護師、あるいはいろいろな医療スタッフに対して人事院勧告準拠のものが出せないというのは、まさにこの他会計負担がないという病院が大変苦しい。
しかも、民間中小病院は、本部会とは直接関係ないかもしれませんけれども、介護事業を行っている。これまでは、介護事業の黒字で医療事業の赤字を埋めていたというような収益構造があったと思いますけれども、御承知のように前回の介護報酬改定で介護事業そのものもきつくなっている。また、人件費も上がって介護事業も赤字化している、その上で医療事業が赤字化しているということで、大変苦しい状況です。このままでは病院を続けていけないような状況に陥っていることを御理解いただきたいと思います。
そして、診療報酬改定はまさに今我々が議論して、中医協でこれから議論されると思いますけれども、その話とは別に、将来予見性を考えるならば、将来物価賃金あるいはGDP等々のいろいろな指標で改定率をどうスライドすべきなのかということも、恐らくこれは中医協マターではなくて、こちらのほう、あるいは医療保険部会にも関係するところだと思いますけれども、こういったところで早いうちから次の次の改定に向けての議論も進めていただきたいとお願いするところでございます。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
会場でほかに御発言がある方はいらっしゃいますか。
それでは、オンラインに移りたいと思います。お待たせいたしました。
お手を挙げた順番で、石飛委員、お願いいたします。
○石飛委員
全国市長会の代表をしております石飛でございます。
本日御提供いただいたデータを拝見しましても、急激な物価高騰や賃上げによりまして本当に医療機関は厳しい状況にある、そのように認識しております。
こうした状況を受けまして、全国市長会では、地域の医療機関に対して緊急に十分な財政支援を講じること、診療報酬につきましても社会経済状況等に応じて改定期を待たずして必要な見直しを行うような仕組み、期中改定を含めて、そうした制度の導入など、柔軟に対応していただくことを求めているところでございます。
また、厚生労働省におきましても、診療報酬ではまかないきれない部分への財政支援について、何らかの工夫を凝らして前向きに御検討いただきたいと思っております。
そうした中で、資料22ページの病床数適正化支援事業でございます。このたび2次の内示があったわけですが、実際には申請は5万床あると伺っておりまして、この1万床の内示によって、まだ4万床の配分が現在も行われていないという状況でございます。自治体病院も含めまして、事業活用を希望する全ての医療機関に対して必要な給付金の支給が行われるよう、十分な財源の確保も併せてお願い申し上げます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
引き続きまして、木戸委員、よろしくお願いいたします。
○木戸委員 本日の資料では医療機関の経営が極めて厳しい状況が示されており、患者さんや住民にとって必要な医療が近い将来本当に受けられなくなるリスクが懸念されています。
ただ、現状、病院が何とかやりくりして存続しているように一見見えていますが、実は医療において最も重要である医療安全、そして、医療の質が既に相当脅かされつつあることを、現場で実際に夜勤も担当している勤務医の立場から問題提起したいと思います。
医療機器も長く使っていると劣化しますので、安全と質を保つためには定期的に更新をする必要がありますけれども、その費用が出せなければ、多少不具合があってもだましだまし使わざるを得ません。でも、例えば超音波などの画像検査におきまして、不鮮明にしか見えないと病変の見落としにつながるリスクが生じてしまいます。
安全と質の確保には、機械など設備だけではなく、ある程度の余裕を持った人員配置が必要ですけれども、経営が厳しければ定員を減らされたり、定員があっても業務に見合う待遇が得られなければ人員確保ができず、マイナスの人員で何とか対応せざるを得なくなります。
特に命に直結する医療の現場、救急、周産期、外科などではぎりぎりの人数でやっていて、もし対応が遅れ、結果がよくないケースでも、システムの問題よりも個人の責任が厳しく問われることが少なくありません。例えば、産科におきましても、帝王切開の手術中で手が離せないときに、別の妊婦さんの赤ちゃんの状態が悪化して、そちらにも今すぐ対応しなければならないなど、切迫した状況も珍しくありません。対応する人手がなければ、どちらの患者さんにもベストの対応を尽くすことは到底できません。
もし結果が悪ければ、もちろん患者さんにとっても不幸なことで取り返しがつきませんけれども、対応した医療者にとっても、その状況でトリアージを考えてベストを尽くしたのにと悔いが残って、かなり大きなトラウマになります。そうしたつらい気持ちのところにさらに追い打ちをかけるようにクレームや訴訟に発展すれば、それにも対応しなければならなくなります。そのような現場で働きたいという人材は、ますます確保しにくくなるのはやむを得ないことと思います。
外科学会からも、近い将来、外科医が足りなくなって手術が受けられなくなるなど、深刻な状況が提言されていますけれども、決して単なる脅しではないと思います。スキルを持った専門職を育成するにはかなりの時間がかかりますので、そうなってからではもう遅いということを皆でしっかりと認識するべきと思います。
夜間・休日などの時間外に病気やけがが起こったときに必要な医療を安全に受けられるためには、朝になってみたら、結果的に夕べは患者さんは来なかったねという日もある中で、ピーク需要に備えて体制を整えておかなければなりませんが、そういったところはなかなか一般の方には見えにくく、理解が難しいかもしれません。
先ほども看護師の夜勤手当が長い間全然上がらないという御指摘がありましたけれども、人手の薄い夜間・休日の時間外に、患者さん、そして、リスクが高い診療に関わる医療従事者に対しまして貢献に見合う待遇によってそうした業務を担う人材をしっかり確保し、かつ、患者さんと医療者の両者をしっかり守る必要な仕組みを早急に検討していただきたいと思います。
医療だけではなくて、鉄道などのほかのインフラ産業も同様ですけれども、安全は決してただではありません。安全を確保するには、目に見えない多くのコストと人手がかかっていることをぜひエビデンスを示して国民の皆様に理解を求めていくことも重要です。
もちろんDXの推進も重要ですけれども、DXの推進は将来的に不可欠かもしれませんが、そうしたシステムは導入コスト、ランニングコスト、更新に多大な費用と手間がかかって、診療報酬のかなりの部分がそういったシステムのほうに流出しているのが現状です。経営がこれだけ厳しい状況で、医療機関にはさらなる負担がそういったことでかかっています。
費用の問題だけではなく、システム導入で現場の負担を減らすはずが、実際は入力作業に追われて、医者が電子カルテばかり見ていて、目を見て話を聞いてくれないという話はよく耳にしますけれども、患者さんに向き合う時間や心の余裕が減ってしまっては何にもなりません。ぜひ、現場の医療従事者や病院に負担にならないようなDXの推進のやり方について、十分配慮していただきたいと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、勝又委員、お願いいたします。
○勝又委員 ありがとうございます。
本日資料にもお示しいただきましたし、各委員からも御発言があったかと思いますが、医療機関の経営は本当に大変厳しく、他産業並みの賃上げとか処遇改善が行われない状況となっています。
今後のさらなる生産年齢人口の減少を考えれば、人材確保に向けた取組とともに、限られた人材を地域全体で効果的に活用することや、医療従事者が働き続けられる環境を整備することが急務だと考えております。
看護におきましては、病院の認定看護師が介護施設などを訪問して相談や支援を実施したり、都道府県や都道府県看護協会、ナースセンターが地域での調整機能を担って、看護職の出向事業を行うなど、地域全体で看護職を育成・共有する体制の構築が進められています。今ある人材をいかに活用していくかといった方策について、今後も十分に検討していく必要があると考えております。
また、限られた人材で安全で質の高い医療提供体制を維持するためには、ICTやAIを活用した業務効率化や、さらにタスク・シフト/シェアの一層の推進が必要かと思います。
令和6年度入院・外来医療等における実態調査では、ICT、AI等を活用しているのはわずか2割の病院であることが明らかとなっています。令和6年度補正予算におきまして、「看護現場におけるデジタルトランスフォーメーション効果検証事業」が行われていますけれども、ICT、AI等の導入や維持には多くのコストがかかりますので、補助金等によるさらなる支援と、省力化投資促進プランにも医療DXの推進やICTを活用した看護業務の効率化について記載されていることからも、ICT等の活用がさらに進むよう、実効性のある着実な取組の推進を強く要望いたします。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
医療分野における人手不足で、私たちが地域で安心して受けられるはずの医療やケアの質が低下したり、ひいては医療機関の倒産によって必要な医療へのアクセス自体が困難になる事態は何としても避けなければなりません。地域に暮らす誰もが必要なときに適切な医療を受けられる体制を維持していくことこそが大切で、そのためには医療・福祉分野に優秀な人材が集まり、長く働き続けられるような環境を整備することがまさに急務であると強く感じております。
その上で、人材確保が難しい現状において質の高い医療・ケアを維持していくためには、医療現場で働く方々がそれぞれの専門性を最大限に生かせるような持続可能で効率的なシステムが不可欠です。医療従事者には医療従事者でなければできない患者さんへの直接的なケアや心の通ったコミュニケーションに時間を割いていただくためにも、勝又委員からもありましたが、AIやICTの活用、DXを積極的に進めるべきだと考えます。
例えば、31ページに、日々の記録作成といった業務が時間外労働につながっていることが記されていましたが、問診や記録作成など、AIにできることはAIを頼る事例を普及していくことで、大幅な効率化が図れて、勤務状況の改善につながるはずです。これにより、医療従事者の皆様が本来の専門性を発揮し、患者さん一人一人に寄り添う時間を増やすことができるようになると考えます。
AIやICTによる効率化は、医療業界に限らず、あらゆる分野で人材不足の中で求められている生産性向上のための重要な手段です。医療現場においても、その導入をさらに加速して進めていくことが不可欠であると認識しています。
木戸委員からもありましたが、その導入にはコストが伴います。医療機関が経営を圧迫されることなく、適正な価格でこれらの技術やサービスを導入し、さらに最大限現場で使いこなしていけるように、国や自治体による支援体制のさらなる構築も同時に必要だと考えています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 ありがとうございます。
厚生労働省医政局では、平成16年度から昨年まで国立以外の全病院を対象に、毎年、財務状況に関するアンケート調査を実施しまして、病院経営管理指標を作成してきました。私は、初年度の平成16年度からずっと事務局または委員、委員長を務めて、回答を寄せた全国の病院のデータを見てきました。
公立病院は別ですけれども、従来、民間病院は診療報酬が厳しくても、平均値は利益率が高いか低いかは別にして必ず黒字、赤字病院は2~3程度でした。それが、令和元年からは、一般病院は平均値でさえ赤字となっております。令和4年度からは、一般病院以外の病院も皆平均値が赤字という状況で、これは異常事態と言えます。
医療費は公定価格ですけれども、公定価格はあくまで平均的な病院であれば黒字であるのが普通です。平均的な経営をしても赤字という状況、しかも、一般病院にとってはそれが令和元年からずっと続いているという状況は、価格設定に問題があるということだと考えます。これにより、地域医療が崩壊することを強く懸念しております。
次に、経営が苦しい中、投資ファンドが病院経営に乗り出している例が出てきています。銀行が融資に躊躇するところに手を出してもらって、経営が改善して地域医療が確保できればいいのですけれども、その実態は、病院側が投資ファンドが入っていることを公表したがらないこともあって、不明となっています。
OECDの報告書によりますと、各国では投資ファンドの一つであるプライベートエクイティによる純粋な投資目的の医療機関所有・運営が進んでいるということです。それによって、設備投資の拡大や効率化の可能性などのメリットも考えられる一方で、利益優先による医療の質の低下などの可能性も指摘されています。実証研究でも、こうしたメリット・デメリットが実際に起きている点が報告されています。
これらの研究のほとんどがアメリカのもので、日本は皆保険制度のため、そのまま同じ現象が起きるかは不明ですけれども、透明性確保とチェックが今後求められると思います。
地域医療がなくなって困るのは国民です。また、経営難から医療が営利化していくことで医療格差が拡大していけば、社会不安も想定されることにも留意する必要があると考えます。あわせて、医療側も、質の向上と効率化に向け、DXも含めて引き続き取り組むことが求められると考えます。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
では、荻野委員、よろしくお願いします。
○荻野委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の荻野でございます。
私からは、薬局の状況について意見を申し上げたいと思います。
資料1の51ページに、参考として保険薬局の損益構造についての資料がございます。こちらにお示しいただいておりますとおり、薬局では総収益に対して約7割を医薬品等費が占めており、それに次いで給与費・その他の経費がそれぞれ1割強を占めている状況となっております。
また、本日の資料にはございませんけれども、この資料と同じ令和5年度第24回医療経済実態調査報告によりますと、約3割の保険薬局は既に赤字経営であり、黒字の薬局でも最頻階級の薬局では1か月当たりの収益差額は9万円程度に下落しているなど、薬局の経営状況は年々厳しさを増しております。
加えて、昨今の急激な物価高騰、頻回の薬価改定により、薬局の維持・運営等にも大きな影響が生じており、この状況に開設者の個人資金投入等で対応が行われていると報告されています。
そのような状況から、当然人材についても事務職員の新規確保ができないのみならず、他産業に人材が流出しています。経営的、人員的に経営が極めて厳しいことを御理解いただきたいと考えております。
薬局は、地域において薬剤の提供を通じて医療提供の一翼を担っております。特に人口減少の進んでいる地域においては、地域に密着した中小薬局は地域住民・患者にとって必要欠くべからざる存在ですので、そのような地域医療を担う薬局が存続できるような対応を強く要望させていただきます。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、小野委員、よろしくお願いします。
○小野委員 ありがとうございます。
先ほど来の先生方と重複するのですけれども、診療報酬改定の話と省力化の投資の話を申し上げたいと思います。
診療報酬改定につきましては、データにありますように、医療従事者の賃上げが他産業に比べて伸びが鈍いこと、また、病院のコスト構造において人件費が相当なシェアを占めていること、さらに諸経費、物件費等の物価高の状況を見ますと、それに見合う経常的なランニングコストを賄うべき診療報酬の増が必要になるのだろうと思っております。
就労者や事業主の社会保険料の負担のほうは基本的に賃金に連動しておりますし、公的年金に依存する高齢者の保険料負担能力についても、マクロ経済スライドの影響はありますけれども、基本的に賃金や物価に連動して上昇しているということがありますし、税収も上振れをしているということもあるかと思いますので、それに応じて医療部門の賃金増が全体の賃金増と同等程度のものになるべきではないかと思っております。
そうした発想は、先ほど神野先生からもありましたけれども、改定のルール化みたいな議論をしていく中でも視野に入れるべきではないかと思っておりますし、前回も申したとおり、医療部門の雇用規模と関連産業の裾野の広さを考えれば、地域経済の活性化のためにも不可欠かなと思っております。
省力化への投資に関してですけれども、提起されているようなDXへの投資に関しましては、医療の質とか患者の利便性の向上、あるいは費用の効率化、また、デジタルネイティブ世代の若い人たちが医療産業、医療ビジネスに関して魅力を持ってくれるという意味で、もちろん木戸先生のおっしゃった点は大変懸念されるのですけれども、その上で国民皆保険の持続性を高める上では大変必要なことだと思っております。
その上で、タスク・シフト、タスク・シェアについても言及がございました。こちらは、特定行為研修などをはじめとして一定の投資が必要なことだと思っております。これも、人材が意欲を持ってスキルを高めていくという意味で、医療部門への人材の確保・定着に不可欠なことであると思いますので、これもエビデンスを重ねて、さらにルールの見直しなども今後視野に入れていくべきではないかと考えております。
もちろん省力化によりましてコストダウンを図っていくという考え方は正しいと思っております。一方で、省力化に伴う就労者1人当たりの生産性の向上というものが、生産性を向上させた一人一人の賃金の増に的確に結びつけていくことも必要ではないかと考えております。
以上です。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、玉川参考人、よろしくお願いいたします。
○玉川参考人 ありがとうございます。
提示いただきました資料にも示されているように、物価高騰や患者動向の変化により、病院を中心に医療機関の経営が急激に悪化し、地域医療は危機的な状況にあります。また、2025年度現在においては、この資料にある2023年度以上に厳しい経営状況にあるとの認識で対応することが重要と考えます。この状況を踏まえ、社会経済情勢を適切に反映した診療報酬の改定や、医療機関に対する緊急的な財政支援などを早期に取り組むようお願いいたします。
また、全国知事会として国に要望しておりますが、令和6年度補正予算により措置されました病床数適正化支援事業につきましては、厳しい経営状況にある医療機関に対する重要な支援策であるものの、残念ながら要望額に対してこれまでの内示額が大幅に下回っていることから、引き続き必要な財源を確保するなどの対応をお願いいたします。
さらに、医療分野における省力化につきましては、業務効率化の手段は様々であり、適切な方策は病院規模の大小や地域によっても異なることから、事例の類型化を行った上で横展開を図るなど、国による技術的・財政的支援を行うとともに、医療DXに係るシステムの運用コストに対応できる診療報酬の在り方についても検討をお願いいたします。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、井上委員、どうぞ。
○井上委員 経営状況が危機的な状況だという説明をどうもありがとうございました。一方で、病院間、診療所間でも様々に差があるということで、まずは違いをもう少し詳しく分析をしていく必要があると思います。
それと、危機的な状況というのは、今後も賃金の引上げは我々としても呼びかけていくつもりですし、それに見合って物価についてもある程度の上昇が見込まれるということでございますので、中期的なトレンドでいった場合にそれを本当に診療報酬のみで賄えるのかどうかということも、中期的な視点で検証が必要な時期に来ているのではないかなと思いました。
人件費や物価高に対する公的な価格の在り方というのは、医療分野以外でも同じように議論がなされておりますので、ぜひそういうところとも平仄を合わせながら検討を進めていっていただきたいと思います。
この部会としては、構造的な問題があるのであれば、そこは医療機能の分化・連携、集約化でありますとか、効率的な提供体制を整えていくというところは真剣に議論をしていかなくてはならないと思います。
あと一つ、先ほど神野委員から御説明があった中で、控除対象外の消費税の負担額の話がございました。これは単なるコメントになりますけれども、これを診療報酬で賄うということになると、税と保険料の役割が逆転をしていて、本来であれば全世代で支えている消費税で賄うべきものが保険料でも賄われているというようなおかしな話にもなっていると私は考えますので、コメントをしておきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、米川委員、お願いいたします。
○米川委員 ありがとうございます。健康保険組合連合会の米川でございます。
皆様のお話を伺っておりまして、医療機関の経営状況における物価高騰、賃金上昇への希望がよく伝わってまいりました。
私は資料の説明をいただいたときにもお尋ねしたのですけれども、今回の数字がグロスの全医療機関を合計したものでなくて、平均した数字の統計ということなのですね。何を申し上げたいかというと、大変困っていらっしゃる医療機関もあれば、中には黒字で健全に経営していらっしゃる病院もあるという事実は付言しておかないといけないと思うのです。
限られた資源を必要なところに届けるに当たっては、緊急度もそうですけれども、優先順位をつけていくことは必ず必要だと思いますので、その意味において、医療提供体制を守るということは保険者としては絶対に必要だと思いますし、全力で応援したいと思うのです。ただ、その際に優先順位をつけて、必要なところにまず届くような形でないといけないと思うのです。
その意味で、今回の統計も、例えば機能による分類とか、規模、病院と診療所の違い、そういったところに踏み込んで、この組合せは重要ですから優先しましょうねと。精神病の病院の診療報酬が低いのですというお話がありましたけれども、緊急度が高いのであれば精神病棟から行くというジャッジがあってもいいと思うのですね。この審議を通じまして、優先順位とめりはりをつけていくということも今回の議論の中に織り交ぜてもいいのではないかなと思います。
人材確保のお話も大変重要なのですけれども、人材の中で今どこが一番重要なのか。人件費を上げる必要がありますよねと皆さんおっしゃるのですけれども、1番は看護職ではないですか、コメディカルの皆さんではないですかという、最初に届くところはどこにというのも併せて考えないと、総論として、「医療機関の人件費を上げるべきだ、以上、終わり」で前に進まないという残念な議論になってしまう懸念があるなと感じました。
今後の議事の進行に応じて深まっていくものだと思いますけれども、ぜひ、めりはりというか優先順位をつけようよというところで御意見を発信していただけると、私どもとしては大変聞きやすいなと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
続いて、長島委員、その後、角田委員ということでお願いしたいと思います。
○長島委員 ありがとうございます。日本医師会の長島でございます。
医療機関の経営状況について、病院が大変厳しい状況にあることは多くの委員から発言をいただきました。実は、診療所も全く同様に、極めて厳しい状況にございます。本日紹介された資料は大部分が2023年までのものですけれども、インフレが進行したその後、2024年、2025年とさらに厳しくなっているものと思われます。
そこで、日本医師会では、令和5年度、6年度の診療所の経営実態を会員である診療所管理者に対して緊急調査を行いました。その詳細は記者会見で発表いたしましたが、本日はポイントのみ紹介いたします。
収支について有効な回答が1万1103件得られました。診療所の直近の経営状況は、医療法人、個人立ともに減収減益で、前年度から大幅に悪化、医療法人の約4割が赤字となり、個人立では経常利益が約2割減少という結果でした。これは、物価高騰、人件費上昇に加え、コロナ補助金、診療報酬上の特例措置を含めた影響が現れたものと考えられます。
また、診療所の診療科や地域にかかわらず経営が悪化しており、直近の決算期ほど利益率が低いことから、経営環境の悪化が顕著に進んでいることが見てとれます。
このように、病院に加え、診療所においても厳しい経営に直面していることは明らかであり、この状況が続けば、多くの診療所が経営困難となり、地域医療から撤退、消滅せざるを得なくなり、病院とともに担っている地域の医療提供を継続できなくなる危険性が極めて高いと言わざるを得ません。
このように、病院も診療所も極めて厳しい経営状況にある中では、現在進められている新たな地域医療構想や医師偏在対策等の検討も実現は極めて困難で、いわば絵に描いた餅となってしまいます。
また、先ほども御指摘がありましたが、ICTやAIを活用した医療DXの推進は、医療の質の向上や効率化、働き方改革に大いに貢献するものと思われますが、それには多大なコストが発生します。現在、このコストは担保されておらず、極めて厳しい経営状況ではとても対応できない状況です。医療DXを推進するためには、十分な財政支援、あるいは診療報酬の評価が必須であります。
このように、あらゆる分野において、病院も診療所も医療機関の健全経営の担保が必須な状況であり、診療報酬上の評価、補助金、税制、その他あらゆる手法を使った対応をぜひお願いしたいと思います。
人材確保については、7ページのデータにも明らかなように、医療分野では他の産業に比べ賃上げが十分になされていないことが明らかであり、医療従事者の他産業への流出が起き得る状況と言わざるを得ません。医療分野における人材確保対策においても、医療機関の経営基盤の全体的な底上げが必須と考えています。
また、現在、国で施行している医療分野の各種予算事業の補助金については、自治体の財政状況も原因となって、各地域において必ずしも十分に活用されているとは言い難い状況です。これが課題となっておりますので、必要な財源の確保について、分かりやすく、使いやすい、また、公的か民間かを問わない公平な運用について、改めて御検討いただけますようお願い申し上げます。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
引き続いて、角田委員、よろしくお願いします。
○角田委員 部会長、ありがとうございます。
本日の部会においては、医療界は大変深刻な状況にあることを再認識していただいたかと思っております。私ども日本医師会では、今年の3月に今日御参加いただいています6つの病院団体と合同声明を取りまとめました。また、先日は、日本歯科医師会、日本薬剤師会の会長とともに、厚生労働大臣宛てに賃金・物価の上昇などへの今年度中の対応についての要望書を提出いたしました。
もちろん日本看護協会をはじめ、医療や介護等の関係団体と国民医療推進協議会を組織いたしまして、医療界を挙げて現在の危機に対応していかなければならないと考えております。
病院、診療所、薬局、介護施設、そして、そこに勤める医療従事者、介護従事者など、医療・介護の各関係者が環境の改善と課題の解決に向けて協議・連携しながら、医療界、介護界が一丸となって対応していくことが必要だと思っております。
私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、松田委員、よろしくお願いいたします。
○松田委員 松田でございます。
これから人的資源が逼迫する状況の中で、生産性を上げていくことは非常に重要だろうと思います。その意味で、特に病院の中において一番働き手として多い看護業務の効率化をICTを使ってやっていこうという方向性は間違っていないと思います。
ただ、医療情報共通基盤との関係でいうと、何をどのようにインテークするのかという情報の標準化をしない状態でICT化を進めてしまうと、後でそれを合わせて整理するというところで莫大なコストがかかってしまいます。その意味で、今ちょうど始まったところですので、看護記録のICT化に関する情報のフォーマットの標準化も併せて検討していただけたらなと思います。
特に、集めたデータをどういうふうに現場で活用していくのか、それにつきましては、例えば福岡県の麻生飯塚病院が看護業務の標準化ということをやっておりますので、そういうものを参考にしながら、情報の標準化、それをどのようにICT化していくか、その順番で考えていただけるといいと思います。その経験を基にして、薬剤師とかセラピストというほかの職種にも反映させていただけるといいのではないかなと思いました。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、内堀典保委員、お願いいたします。
○内堀(典)委員 ありがとうございます。
今回、法人を中心としたデータを詳細にお示しいただきまして、ありがとうございます。私は歯科の立場で発言をさせていただきます。
データベースシステムのMCDBのデータの中で、17ページに歯科診療所のデータが示されておりますが、そこで42.3%が赤字になっております。この資料では客体数が5,000程度ということで、多分この時点でデータが集まっているところは歯科診療所の中でも大規模な法人が多いということを加味すると、実態はもう少し厳しいのかなという気はいたします。
御存じのように、歯科診療所は個人立の歯科診療所が75%を占めておりますので、できれば個人立歯科診療所のデータを日本医師会のように示せればいいのですが、今のところそういったデータがないとお聞きしております。個人立の歯科診療所はさらに小規模であって経済的基盤が弱いということを考えますと、昨今の物価高騰及び人材不足で非常に厳しい経営状態になっていると推測されます。
また、今、医師の働き方改革で、休日・時間外労働を減らす議論がされておりますが、歯科の場合は個人立で歯科医師が1人でやってみえるところが多く、そういったところは経営者である院長がぎりぎりまで経費を削減して、逆行する形で休日とか時間外の労働時間を増やして赤字に対応しています。このような状況下では、安心・安全な歯科医療が確保できるのかどうか、本当に危惧しているところであります。
もう一点、前回も発言させていただきましたけれども、歯科医師も非常に高齢化が進んでおりまして、歯科診療所の継承が最重要の問題として考えられております。地域の歯科医療を担っている小規模な、1人でやっている歯科診療所、こういったところが経済的に疲弊して廃院に追い込まれる、それによって地域歯科医療が成り立たないということがないように御配慮をいただければありがたいと思っております。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。会場でもオンラインでも結構でございますけれども、ございますか。
山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 先ほど精神科の医療についてお話をさせていただきましたが、外国の精神科医療と日本の精神科医療の根本的な違いは、外国の精神科医療は政策医療と位置付けられています。したがって、90%は公がやっています。つまり、外国の精神科医療関係者の90%は公務員です。ところが、日本は代用精神病院制度により90%が民間病院で対応していて、こういう精神科の地域医療体制を取っている先進国はありません。
したがって、先ほどお話ししたように、一般科の3分の1ぐらいの診療報酬では、4.3%という精神科の配分というのは非常におかしいと思っています。診療報酬が安いために、先ほどの表にあった一般科人件費の比率が50%に対して、精神科の場合は65~70%という、もう倒産寸前のような経営を強いられているわけです。
なおかつ、日本の民間精神科病院というのは、精神保健福祉法という法律がありまして、措置入院とか、応急入院とか、医療保護入院というような精神保健福祉法による法的入院もほとんど民間病院がやっています。そこで働く看護師を含めた医療関係者は、公的病院よりも給与が40%ぐらい安い状態で働いています。公的業務を民間病院に押し付けるのであれば、少なくとも従業員の給料を公的病院に合わせるぐらいのお金を交付金で出す等準公的病院としての役割をきちんと評価するような体制をつくってほしいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。非常に活発な御意見を頂戴いたしました。
それでは、本件につきましては以上とさせていただきます。
議題の2に移りたいと思います。「基幹インフラ制度への医療分野の追加について」、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
資料2を御覧いただければと思います。
まず1ページ目でございますが、「経済安全保障推進法の概要」という資料でございます。
安全保障確保に関する経済施策を総合的・効果的に推進するための方策ということでございますが、そのうちの3番のところで、「基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度」ということがございます。これにつきまして、今回、医療分野を追加するということがございますので、それについて今日お諮りするものでございます。
詳細は2ページ目を御覧いただければと思います。昨年、経済安全保障推進法の改正の際の附帯決議、あるいはいわゆる骨太の方針の2024において、基幹インフラ制度に医療分野を追加することが明記をされております。
それを受けまして、昨年の12月に有識者会議が行われておりまして、具体的には2つ、1と2でございますが、個別の医療機関について、基幹インフラ制度の対象となり得る医療機関や特定重要設備等の検討を行い、令和7年度夏までに結論を得ること、支払基金については、基幹インフラ制度の対象となり得る特定重要設備等の検討を行い、令和7年度夏までに検討を得ることとされているところでございます。
その具体は3ページ目に書いてございます。基幹インフラの重要設備が役務の安定的な提供を妨害する行為の手段として使用されることを防止するため、国が一定の基準の下、基幹インフラ事業、事業者を指定し、国が定めた重要設備の導入・維持管理等の委託をしようとする際には、事前に国に届出を行い、審査を受けるという制度ということでございます。
現状は、下半分のところに書いてございますが、1~15の対象事業が法律の中で位置づけられているところでございまして、今般、16番目として医療分野を追加することがこれまでの経緯ということで、議論をされていると承知をしてございます。具体的な対象事業者につきましては、絞り込んだ事業ごとに事業所管大臣が省令で基準を作成し、該当する者を指定・告示をするというものになってございまして、今回の医療分野ということであるならば、厚生労働大臣がその作成等を行うことになってございます。
4ページ目に、医療分野の追加についての基本的な考え方をお示ししてございます。まず、個々の医療機関についてでございます。○の2つ目にございますように、医療機関がサイバー攻撃等を受けた場合でも、地域の医療を安定的に提供するための「最後の砦」を確保することが必要ということで、救命・災害医療等を含む高度な医療を提供する能力を有する医療機関については、地域の医療の安定的な提供の確保に重要な役割を果たしている医療機関として基幹インフラ制度の対象としてはどうかというものでございます。
具体的な対象範囲につきましては、事業規模、医療分野であれば病床数等でございますけれども、事業規模や代替可能性のほか、地域性、救急医療や災害拠点としての役割等の観点から、引き続き精査を行うこととしてはどうかというものでございます。その際には、過度な負担とならないように留意をしながら精査をしてはどうかというものでございます。
また、具体的に特定重要設備等についてどのようにするかということについても、医療機関の役務の提供に当たって重要な設備であることを念頭に、引き続き精査を行ってはどうかというものでございます。
2つ目の支払基金についてでございます。これにつきましては、医療DXの推進に当たって中心的な役割を果たし、電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋の管理サービス、そして、オンライン資格確認等システムの開発・運用主体となる予定になってございますので、こういったものを対象としてはどうかという考え方でございます。
5ページ目でございますが、こういった基幹インフラ事業者につきましては、サイバー対処能力強化法に基づく対応も併せて必要になるというものでございます。具体的には、特定重要設備に関連する一連の電子計算機の届出やインシデント報告が必要となる。届出情報等を活用して、政府から脆弱性の情報など、サイバー被害防止のための情報提供を行うというスキームでございますので、併せてこの法律の対象にもなるということでございます。この法律につきましては内閣府が所管しているものでございますが、本日の部会においては医療分野の追加の際の考え方についてお諮りするものでございます。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、会場の委員の方で御意見がおありになる方、よろしくお願いいたします。
山本部会長代理、どうぞ。
○山本部会長代理 この文面はもわっと書いてあるので詳細が分かりませんけれども、私の理解するところでは、高度な医療を提供するということで、大学病院あるいは高次の医療機関において、基幹的な設備の導入に関してはこういう部分を配慮しなければいけないと、国の指示に従う必要が出てくるという理解なのですが、そうすると、経費の増加がおのずと出てくるのではないか。
4ページの資料にも、公定価格であるからそのことを留意するというふうに書かれておりますけれども、ここは非常に重要なところで、国策として推進するのであれば、仮に経費増が生じるのであれば、特に大学病院あるいは高次の医療機関というのは経営の余力が少ないところでございますので、そこは十分配慮が必要ではないかなと思います。
この辺、経費増という点について、特に公定価格で回っている部分についてはどんなお考えがあるのでしょうか。
○遠藤部会長 事務局、お願いいたします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
基幹インフラ制度につきましては、まずどの医療機関を指定するのかということは当然ございますが、それと同時に、その医療機関の何を重要設備として指定をするのかという2段階がございます。何を指定するのかによって、医療機関にとっての負担感は大分異なると思っております。
3ページの内閣府がお示しされている法律のスキーム、制度のスキームというところを申し上げますと、特定社会基盤事業者が導入等計画書の届出をしていただいて、その間、30日の審査が必要と。30日間で審査をして、特段問題がなければそれを開始し、通常どおりのシステムの導入が可能になるというスキームだとお聞きしておりますので、一義的には審査の期間のところにプラスアルファの負担がかかるということだと思っておりますが、先ほど山本部会長代理からございましたように、予算的なものも含めてどういう負担が新たに発生し得るのか、その場合にはどういう対応が我々としてできるのかということにつきましては、個々の事業者、個々の設備を指定する際には、それと同時に検討してまいりたいと考えてございます。
○遠藤部会長 山本委員、いかがでしょう。
○山本部会長代理 ありがとうございます。
医療を基幹インフラとして位置づけるというのは非常に重要なことだと思いますけれども、3ページにあるこれまでの対象事業はいずれも経費を価格に転嫁できる産業であることを考えると、やはり医療の特殊性というところは十分に配慮する必要があるかなと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、佐保委員、よろしくお願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。
提案に異論はございませんが、医療分野の追加によって現場の事務負担が増すのではないかと懸念をしております。
今後に向けては、支払基金における円滑な体制整備を支援するとともに、医療現場の負担が強まることのないよう、現場の声を踏まえつつ対応いただければと考えます。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかに会場の委員で御意見がある方はいらっしゃいますか。
それでは、オンラインに移りたいと思います。
長島委員、お手を挙げておられます。よろしくお願いいたします。
○長島委員 ありがとうございます。
まず、3ページの資料を見ますと、医療分野が下のほうに書いてある1~15の電気、ガス、石油、あるいは郵便、金融などと並ぶ、安全保障上の重要なインフラであることは異論ありません。したがいまして、基幹インフラに追加されること自体には特に異論はありませんが、ここに書かれた15分野と医療分野では大きな違いがあります。
それは何かと申しますと、例えば電気とか金融は国を代表するような大企業がたくさんあります。一方、医療分野では、大学病院ですらこれらと比べれば本当に小規模で、それ以外の医療機関は小規模の小規模です。
医療分野で、サイバーセキュリティーに関して3つ足りないものがあります。知識、人材、財源です。医療関係者は、IT、サイバーセキュリティーに関する教育はほとんど受けていません。専用の人材は、大学病院でもごく少数しかいません。一般の病院にはいないです。そして、何よりも財源です。ほかの分野と違って、サイバーセキュリティーに関わるコストを価格や料金に転嫁できません。全部持ち出しになります。そして、現在これだけ極めて厳しい経営状況です。つまり、知識、人材、財源が足りない医療分野において、基幹インフラに加わったときに求められるレベルに達することは極めて大きな負担になると思われます。
したがいまして、まず、上のほうの医療機関については、そこに耐え得るようなものはどこなのかということを丁寧にしっかりと吟味する必要がありますし、恐らく現状ではどこも対応できないと思うので、ここに関しては財政支援、人的支援、人材育成、あるいは外部の資源の活用など、あらゆる点でしっかりと国が支援する必要があると思います。ここのところの選定をかなり慎重にする必要があります。
次に、支払基金に関して、これはもう医療DXの基盤を扱っていますので、ここはしっかりと対応していただく必要がありますが、ここも財源も人材も足りないと思います。ここもしっかりと国の支援が必要です。したがいまして、これは丁寧に慎重に進める、また国がしっかりと支援することが大前提だと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、玉川参考人、お願いいたします。
○玉川参考人 ありがとうございます。
基幹インフラ制度への医療分野の追加につきましては、近年、医療機関がサイバー攻撃を受けている実態を踏まえまして、速やかな対応が必要であると認識しております。
基幹インフラ制度の対象となり得る医療機関等の指定基準につきましては、高度な医療を提供する能力等を有する医療機関とされておりますが、地域によっては果たす役割や医療提供能力等が異なっていることから、地域の実情を踏まえながら検討されるようお願いいたします。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、米川委員、お願いいたします。
○米川委員 ありがとうございます。健保連の米川でございます。
この説明を受けて、国の経済安全保障に基づくものであるわけですから、国として必要なことだよねということでは皆さん同意なさっていると思いますし、私どもも理解しているつもりであります。
ただ、スキームを見ると、特定社会基盤事業者に指定されたところが自ら申請をして、導入計画書を書いて、それについて審査を受けて、そして決める。何かおかしくないですか。国にとって大切な基盤ですよねということがあるわけですから、素人的に考えると、国から指定があって、あなたのところは大切だから、お金も出すからちゃんと体制を整えてくださいよというのが一般国民的には分かりやすいのではないでしょうか。
手続的に、指定された業者、私どもに関係があるところとしては支払基金なども医療DXのデータを膨大に持つわけで、ここを誰かにサイバー攻撃をされたら大変困るので、何としても守らなければいけないと思いますけれども、それは自助努力でやりなさいよと言われたら、ちょっと待ってくださいねと思います。
国防に関する話ですから、国家が責任を持って担保することは必要だと思いますので、そのように私からも意見を表明させていただきます。ありがとうございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
ほかに、会場でもオンラインでも結構でございますけれども、御発言はございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございました。
それでは、事務局におかれましては、本日いただいた意見を踏まえまして、引き続きの検討を進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、最後の議題、「特定機能病院のあり方に関するとりまとめ」です。事務局から関連資料について説明をお願いします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
資料3~5で説明させていただきます。
まず資料3でございますが、特定機能病院とはということでございます。1番の「検討の経緯」のところに書かせていただいてございますけれども、平成5年の第2次医療法改正において医療法上に位置づけられたものでございまして、高度な医療の提供、高度な医療技術の開発及び評価、高度な医療に関する研修並びに医療における高度な安全確保のそれぞれを実施する能力を備える病院ということで、厚生労働大臣が承認をしているものでございます。現時点におきましては、全国で88の病院が特定機能病院として厚生労働大臣の承認を受けているというものでございます。
今般、第65回の社会保障審議会医療分科会におきまして、特定機能病院の承認の要件の在り方について検討しろということで、会長の意見書が昨年の3月に出されまして、そこから約1年強、検討会で検討を進めてきているものでございます。
本日は、その内容につきまして御審議いただきまして、最後の3番の「今後の対応」のところに書かせていただいてございますけれども、本日この部会で御審議いただいた上で、今後、省令改正等の所要の対応を行ってはどうかということで、御意見を今日いただきたいというものでございます。
具体は資料5のパワーポイントのほうを御覧いただければありがたいと思います。
3ページ目でございますけれども、88あります特定機能病院につきまして、大きく3つの類型に分けてはどうかということの御提案でございます。
「基礎的基準導入後」の欄を見ていただければと思いますが、大学病院本院79を対象とした特定機能病院A(仮称)というもの、ナショナルセンターを対象とした特定機能病院B(仮称)というもの、そのほか旧基準によるものということで、まずは大きくこの3つの類型に分けてはどうかということの御提案でございます。
その上で、基礎的な基準ということで、これまでも医療提供、研究、教育、医療安全については基準を定めていたところでございますが、それに加えて医師の地域医療への人的な貢献ということ、いわゆる医師派遣につきまして、その要件、基礎的な基準ということで加えてはどうかというものでございます。また、ナショナルセンターにつきましては、全国的な政策医療の取組ということを併せて評価をしてはどうかというものでございます。
その基礎的な基準につきましては、4ページ目にまとめてございます。下線がないものにつきましては、これまでも基準あるいは項目として定められているものでございまして、本日御提案を申し上げますのは、下線を引いている太字の部分について新たに基準項目として追加をしていってはどうかというものでございます。
具体には、5ページ目以降にございます。例えば、5ページ目の最初ですけれども、「基本診療科の幅広い設置」ということで、現行基準で幾つかの診療科が定められておりますが、それに加えて基本的な診療科を追加して並べてはどうか、専門医の基本領域の全ての診療科を並べてどうかというものでございます。
その際には、実質的な診療を担っている部門が存在していることで差し支えないとか、ここに幾つか書かせていただいてございまして、現状の大学病院は様々だと思いますので、そういった状況を見ながら基準を設定したらどうかというものでございます。
6ページ以降は、「いわゆるStudent Doctorの育成」ということで、臨床実習生を受け入れていることを新たな基準として加えてはどうかといったもの。あるいは、6ページの一番下のところには、地域への貢献ということで、地域の医療機関に向けた教育・研修といったものを特定機能病院として担っていただきたい、こういった基準も設けてはどうかというものでございます。
7ページ目には、全く新しい項目として、看護師、薬剤師の実習受け入れ・育成ということで、こういったものも特定機能病院として担っていただきたいということでございます。
8ページ目には研究がございますし、9ページ目には、今回、医師の人的な協力という項目を新しく追加をさせていただいてございます。
これまでも特定機能病院、特に大学病院につきましては、様々な人的協力をしていただいていると思いますが、それを何か規定するというものではなくて、特定機能病院の要件ということで基準を定める際にどういったものをカウントするのかという考え方を今回9ページでお示しをしてございます。雇用形態によらずということで、常勤・非常勤に限らず、大学本院と派遣先の連携・調整で半年以上継続して派遣していただいている医師を常勤換算で評価をしてはどうかというものでございます。
その際には、ポツの2つ目に書いてございますが、地域医療構想、医師確保計画を踏まえて、都道府県と連携をしていただきたいということを書かせていただいてございます。
ただ、どの程度大学病院が医師の人的な協力をされているのかということは、現状は把握できているものがございませんので、まずは現時点で調査をさせていただきまして、派遣の実績等も見ながら具体的な基準を設定してはどうかというものを括弧の中に書かせていただいてございます。
その具体は、10ページ、11ページにお示しをしてございます。
今年度は、10ページに書いてありますように、まずは大学病院に調査をさせていただいて、数を出していただくということでございますが、令和9年以降は、11ページに少し書かせていただいてございますように、大学病院での医師の派遣の名簿等を作成していただいて、少し細かく派遣の実績をこの基準の中に載せていくことができればどうかということを考えているというものでございます。
また、12ページ、13ページには、これまでもございましたが、医療安全についても基準がございますが、その明確化、あるいは具体性を持たせたような形で新しい基準を今回設けさせていただいてございます。
いずれにつきましても、先ほどの医師の人的協力にしろ、医療安全にしろ、一定の経過措置の期間も設けながら、新しい基準を現場に混乱がないような形で入れ込んでいってはどうかというものでございます。
最後に、資料を前に戻っていただいて3ページ目でございます。るる御説明させていただいているのは基礎的な基準でございまして、3ページの最後のところに「発展的基準導入後」がございます。今日御説明させていただいている基礎的な基準は、まず最初に入れさせていただきますけれども、これから上乗せの基準的な形で、将来的に発展的な基準も併せて導入させていただいて、より自主的な大学病院も含めた特定機能病院の取組をさらにこういった制度の中で評価してはどうかということを、これは将来的な取組の予定ですけれども、考えていきたいということでございます。
私からの説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、まず会場の委員の方々から、本件について何か御意見はございますでしょうか。
神野委員、どうぞ。
○神野委員 ありがとうございます。
2点ございます。まず、特定機能病院に、医療提供、研究、教育に人的貢献というのを足したということに関しましては画期的なのかなと思います。ただ、特定機能病院側からすると、恐らく派遣するためにはそれなりの人員の確保が必要になってくるということでありますので、この派遣基準というのを入れる以上は、大学病院に勤めていらっしゃる医師の皆さんの処遇の問題というところをきちんと担保してあげないといけないのかなと思います。そのためには、診療報酬でいくのか、また全部診療報酬ではないとするならば、補助金というもので処遇を確保した上で派遣しろというのはありなのかなと思います。
もう一点は、3ページの一番右側のピンクのところに、「旧基準による新規の承認を行わない」と書いてございます。そして、資料3の「とりまとめの概要」のところにも、「既に特定機能病院であるその他の病院について」ということで、基礎的基準を満たすことができなくなった場合でも当面の間ということですけれども、基準を満たさないのに当面の間ということでありますが、この当面というのはいつまでですということをある程度明確にして、診療報酬も高いわけでありますので、いつまでに基準を満たさない場合にはやめていただきましょうということも必要ではないかと思います。2点目については、もし事務局で腹案があったら教えていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局、いかがでしょう。
○医療安全推進・医務指導室長 医療安全推進・医務指導室長の加藤でございます。
御指摘ありがとうございます。
現時点では、旧基準による特定機能病院に関して、明確な時期を含めた方向性が定まったものではないという状況でございますけれども、御指摘を踏まえましてしっかりと検討していきたいと思います。
○遠藤部会長 よろしいですか。
ほかにいかがでしょう。
山本部会長代理、どうぞ。
○山本部会長代理 特定機能病院が以前から行ってきた地域への医師派遣というのが評価基準に乗ったというのは、すばらしいことだと思います。ただ一方で、派遣といっても、決して大学病院は派遣業をやっているわけではないので、この辺の境界線が非常にファジーであるし、病院によってもどこまでを派遣と見るかとか、定義がいろいろあると思います。
もう一つ、大学病院の場合、規模によって当然出せる人数、先ほど神野委員からもお話がありましたが、出したくても出せるだけの人がいないとか、この辺の問題と、国立と私立とでも当然その辺の状態が変わってくると思います。基準は一度定めると非常にがちがちで動きがちな傾向がございますので、ぜひこの先に検討するときは、実態調査を踏まえてということになると思いますけれども、あまりぎちぎちにならずに、それぞれの地域の実態あるいは大学の実態に合わせた運用ができるということを望みます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
会場でほかにいかがでございましょうか。
それでは、オンラインに移りたいと思います。
まず、石飛委員、お願いいたします。
○石飛委員
私も、現在、地域に一定の人的協力を行っているという項目が載ったことは大変ありがたいことだと思っております。ただ、先ほども話がありましたが、基準という形でがちがちになることで、これまで柔軟な形で地域に貢献いただいた、そうした取組が逆に阻害されるおそれも懸念しているところでございます。
例えば、半年ではなく、短期間でも代診医という形で派遣いただいたり、あるいは読影医として他の病院の診療を支援したり、そうした様々な支援も現状行っている中で、こうした評価に該当しないような協力に対するネガティブな判断につながることは避けなければならないのではないかと感じております。
ぜひ今後も、大学病院が地域への貢献を弾力的に柔軟にできるような形での運用を検討していただきますように、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、角田委員、よろしくお願いします。
○角田委員 遠藤部会長、ありがとうございます。
私からは3点ほどお話ししたいと思います。
1点目でございます。少し細かいことでございますが、資料5の5ページ、専門医基本領域(医科)に含まれる診療科のうち、「総合的な診療」については標榜可能な診療科ではないということが一番下の注記に示されております。6ページのように、今後、教育の部分においては総合的な診療を担う人材の育成が重要であることは十分理解しております。
一方で、現在は認められていない標榜科としての総合診療科について、5ページの「総合的な診療を担う診療科」の設置とは別の話と考えます。本件は実質的な総合的な診療を担う機能を有していればよいという話ですので、混乱が生じないように明確に分けて考えることが重要ではないかと思っております。
2点目です。医師派遣機能については、特定機能病院としては、都道府県単位ではなくて、もっと広域的な視点で捉えた対応が求められると考えております。
また、都道府県医師会によっては大学病院に講座を持っているケースもございますが、勤務医の先生方には地域での連携が重要であるということについてより理解を深めていただくよう、よろしく御対応をお願いしたいと思っております。
3点目です。医療提供体制、教育、研究、開発、これらはそれぞれ求められる機能が異なりますので、ここは明確に分けて整理していくことが適切かと思っております。
私からは以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、玉川参考人、よろしくお願いいたします。
○玉川参考人 ありがとうございます。
大学病院本院である特定機能病院に関して新たに評価項目が新設されますことで、医師偏在の是正や地域の医師確保により一層力になっていただけるものと期待しております。
今後検討されます発展的基準につきましては、地域の実情を踏まえた実効性のある評価基準となるよう検討をお願いいたします。
また、医師派遣に当たりましては、大学病院単体で派遣を行うケースのほか、医学部、大学院と連携して派遣を行っているケースもあることから、このような派遣についても評価がなされるよう配慮をお願いたします。
そして、大学病院本院でも人的資源が限られており、厳しい経営状況となっている病院も多く生じていることから、特定機能病院の社会的な役割と貢献を考慮し、人材確保や財政支援など、医師派遣を支援する施策について、厚労省、文科省が連携しながらセットでの検討をお願いいたします。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、内堀典保委員、よろしくお願いします。
○内堀(典)委員 ありがとうございます。
お聞きしたいのですが、今病院における歯科の設置率は非常に低いのですけれども、資料5のところで、<基礎的基準>の医療提供の現行基準のところ、また新基準のところでも「専門医基本領域(医科)に含まれる診療科及び歯科のすべて」と記載されていますが、22ページの資料の「特定機能病院制度の概要」の承認要件の人員配置のところには、医師、薬剤師、看護師等、管理栄養士ということが承認要件で、歯科医師の要件は含まれていないのですが、承認要件には歯科医師は含まれないと理解すればよろしいのでしょうか。
○遠藤部会長 事務局、いかがでしょうか。
○医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
今手元に詳細な資料がないので、歯科医師の具体的な要件について速やかにお答えできないのですけれども、今回の見直しにおいて、新たに歯科医師の基準などを設ける予定はないということがまず1点。
あと、歯科に関しましては、例えば、現状標榜を行っていない場合などは近隣の歯科との連携をしっかり行うことといった要件がございますので、そういった形で、全ての特定機能病院について歯科領域に関しても一定程度カバーをいただいているという状況でございます。
○内堀(典)委員 ということは、5ページの新基準の中に「診療科及び歯科のすべて」と書いてあるところは、病院内に歯科を設置するという意味ではなくて、地域歯科医療機関と連携するという意味合いで書かれていると理解すればよろしいわけでしょうか。
○医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
ここについて何か新しいものを課すものではなく、現行と変わらないということでございます。地域の歯科医療との連携も含めているものでございます。
○内堀(典)委員 了解しました。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ほかにございますでしょうか。オンラインでも会場でも結構でございますけれども、よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、本日いただきました御意見を踏まえまして、省令改正等の所要の対応を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題についてはこれまでにさせていただきたいと思いますけれども、事務局から何かございますか。
○医療政策企画官 事務局でございます。
次回の医療部会の詳細につきましては、決まり次第追って御連絡させていただきます。
○遠藤部会長 それでは、本日の会議はこれにて終了したいと思います。大変お忙しい中、ありがとうございました。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本日、委員の先生方におかれましては、あらかじめオンライン、または現地会場での参加をそれぞれ御選択いただいた上で御出席をいただいております。
最初に、委員の異動がありましたので、御紹介をさせていただきます。
山口育子委員の御後任として、新たに認定NPO法人マギーズ東京共同代表理事、鈴木美穂委員、黒瀬委員の御後任として、新たに日本医師会常任理事、長島公之委員、山崎親男委員の後任として、新たに全国町村会理事(山梨県身延町長)、望月幹也委員が就任されております。
本日は、望月幹也委員は御欠席との御連絡をいただいておりますので、鈴木美穂委員、長島公之委員から一言御挨拶をお願いしたいと思います。
では、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
皆さん、初めまして。こんにちは。鈴木美穂と申します。認定NPO法人マギーズ東京という、がんに影響を受けた全ての方が無料で医療の専門家に相談できるセンターを運営しています。
私自身、24歳のときに乳がんになった、がんを経験した当事者・患者視点で、また市民目線で発言していければと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療政策企画官 ありがとうございました。
それでは、長島委員、お願いいたします。
○長島委員 日本医師会常任理事の長島公之でございます。
先日まで中医協の委員を務めさせていただきました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○医療政策企画官 ありがとうございました。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、伊藤委員、内堀雅雄委員、望月幹也委員より御欠席との御連絡をいただいております。医療部会の総委員数は24名で、定足数は3分の1の8名でございます。本日は21名の皆様が御出席ですので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
また、小野委員、勝又委員、松原委員、望月泉委員より途中退席との御連絡をいただいております。
次に、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1~5、参考資料1~3、委員提出資料1と2を送付させていただいておりますので、お手元に御準備をお願いいたします。
報道の方でカメラ撮りをされている方は、ここまででお願いをいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○医療政策企画官 では、以降の進行は遠藤部会長にお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 皆さん、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議題に入る前に、御欠席されておられます内堀雅雄委員の代理としまして玉川参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に移らせていただきます。
まず議題の1、「医療機関をとりまく状況(経営状況・人材確保等)」について、関連する資料を事務局より説明をお願いしたいと思います。
○医療政策企画官 医療政策企画官でございます。
それでは、資料1について御説明をさせていただきます。
資料1につきましては、前回9月4日の医療部会で診療報酬改定の基本方針に向けたキックオフの議論をしていただきました。その際、医療機関の現下の経営状況の厳しさとか人手不足の状況に関する御指摘、御意見を多数いただいたと認識をしております。来月以降、また診療報酬改定の基本方針の議論も医療部会で行わせていただきますし、今後、政府としての様々な対応もありますので、医療部会でもさらに経営状況・人材確保の問題についてより深く御議論いただきたいということで、資料1を御用意させていただいております。
大変多数のスライドがありますので、ざっと御説明させていただきます。
1ページ、2ページは、病院の事業利益率、経常利益率の推移でございます。これは福祉医療機構のデータに基づいて作成したものでございますけれども、2018年以降、低下傾向にございまして、コロナの補助金の影響を除きますと、一般病院についてはマイナスになっているという状況でございます。経常利益率についても、おおむね同様の状況でございます。
3ページは、医療経済実態調査の損益率の推移でございます。こちらもコロナの補助金を除いたものでお出しをしておりますが、一般病院、精神病院においてマイナスという状況になってございます。
4ページは、病院の病床利用率の推移でございます。新型コロナのあった令和2年に大きく低下しておりまして、その後も低下を続けて75.3%で底を打ち、令和5年度は75.6%という状況でございます。
5ページは、病院の患者数の推移でございます。こちらも令和2年度に大きく減少して、その後も在院患者数が減少傾向にある。外来患者数は少し回復傾向になっているという状況であります。
6ページをお願いいたします。こちらもWAMのデータに基づいて作成をしたもので、病院の収支構造の変化であります。2018年と2023年を比較したものでございます。事業収益もこの間伸びておりますが、それ以上に事業費用が伸びているという状況になって、利益が悪化しているということであります。
また、事業費用の内訳を見ますと、人件費が50%超を占めておりますので、費用のどの項目も伸びているわけですけれども、50%超を占める人件費増加の影響が大きいという状況になってございます。
7ページ、8ページは人件費の動向でございます。
7ページの左半分のグラフは、春闘の結果による賃上げ率の状況でございます。左下のところを見ていただきますと、薄いブルーの賃上げ率のところ、2024年が3.56%、2025年が3.70%という状況でございます。
一方で、8ページは、診療報酬のベースアップ評価料届出医療機関の賃金増率(計画値)でございますが、こちらについて全医療機関の平均で2.74%という状況でございます。
9ページは、物価、建築単価の高騰の状況でございます。上半分がCPIの推移で、足元の高騰が続いているような状況、下半分のブルーのグラフは病院・診療所の着工建築単価の推移でございますが、こちらも足元の高騰が続いているという状況でございます。
10ページは、委託費の状況であります。委託費の内訳としては様々な項目が含まれておりますが、どの項目も2018年から20%以上上昇しているという状況でございます。
11ページからは、医療法人の経営状況のデータベース(MCDB)からのデータでございます。こちらはまだ令和4年度、5年度のデータでございまして、令和6年度のデータについては現在集計中でございますが、令和4年度から5年度にかけて経常利益率の悪化が見てとれるということになっております。
また、一番ボリュームゾーンになっています最頻値というところを見ていただきますと、病院、無床診、有床診ともに0.0~1.0%のところに最もボリュームゾーンとして集中しているところが分かるかと思います。
12ページ以降はさらに詳しく見たものでございまして、12ページが2023年度の病院の類型別の状況でございます。医業利益率に関しましては、一般、療養型、精神科病院、いずれも中央値でマイナスになっているという状況でございます。
13ページは、病床規模別で見たものでございますけれども、特に一般病院の200床以上のところを見ていただきますと、200床以上では医業利益率、経常利益率ともにマイナスになっているという状況でございます。
14ページは、機能別に見たものでございます。高度急性期、急性期A、Bという形で分類した場合でも、医業利益率、経常利益率ともにマイナスになっているという状況でございます。
15ページは、自治体病院の経営状況でございます。こちらは総務省の調査を基に厚生労働省にて作成したものでございますが、先ほどの病院全体の傾向と同様に、2018年から医業収益も伸びておりますが、医業費用がそれ以上に伸びて、全体として利益率が低下しているという状況でございます。
16ページが、医科診療所の経営状況でございます。こちらについても医業利益率、経常利益率ともに低下の傾向でございまして、先ほども見ていただきましたとおり、ボリュームゾーンとしてはやはり0.0%近傍に集まっているという状況でございます。
歯科診療所についても同様の傾向でございますが、特に赤字の歯科診療所が42.3%に上っているという状況でございます。
18ページ以降、こうした経営状況の急変に対する政府としての支援の内容をつけさせていただいております。
18ページ、令和6年度補正予算で1311億円の緊急的な支援パッケージを実施してございます。その具体的な内容を19ページ以降におつけをしております。
19ページ、さらなる賃上げに向けた生産性向上・職場環境改善の支援として828億円の支援を行わせていただいております。こちらは病院・有床診には1床4万円、診療所・訪問看護ステーションには1施設18万円の支援を行ったものでございます。
20ページにつきましては、病床数の適正化への支援事業、また足元の建築単価の高騰を受けまして、国庫補助事業の対象となる施設への補助を行ったものでございます。こちらは428億円の規模で行ってございます。
21ページは、骨太方針2025の抜粋でございます。
22ページは、先ほど御説明した病床数適正化事業の内示状況でございます。4月に7,170床の内示を行いまして、その後、2次内示で4,100床余り、合計1万1000床余りの内示を行ったところでございます。
23ページは、分娩数が減少している分娩取扱い施設とか患者数が減少している小児医療への支援を55億円の規模で行ったものでございます。
24、25ページが、重点支援地方交付金に関する概要でございます。こちらは、食料品価格とか光熱水費など物価高騰への支援でございまして、生活者支援と事業者支援の両方のメニューがあるわけですけれども、その中で医療施設への食料品、光熱水費の高騰への支援を行っていただいているものであります。
26ページは、福祉医療機構による優遇融資の拡充でございます。4月から新たに無利子・無担保融資の拡充を行ってございます。無担保での融資上限額を7.2億円まで拡充し、2年間無利子ということで、4月から行ってございます。
27ページは、その申請状況でございます。4月以降申請件数は伸びております。8月末時点で1,377件の申請件数があり、累計申請額としては1835億円となってございます。
以上が、医療機関の経営状況に関する資料でございます。
28ページ以降は、人材確保に関する資料をおつけしております。
28ページは、2018年に厚生労働省が行ったマンパワーの推計に関する資料でございます。今後2040年に向けまして就業者数が大きく減少していく中で、医療・福祉の人材をどう確保していくかということでございます。真ん中に赤字の吹き出しがございますけれども、女性や高齢者をはじめとした多様な就労・社会参加を促していく。一方で、健康寿命の延伸、医療・福祉サービス改革、1人当たりのサービス提供量を増やしていくような改革をしていく必要があるということでございます。
29ページ以降、看護職員や医師の勤務環境に関する資料をおつけしております。
29ページの右側のグラフでございますが、有効求人倍率です。看護職員については、全職業計を上回る有効求人倍率となっておりまして、不足傾向が見てとれるということでございます。
30ページは、都道府県別の倍率になっております。
31ページが、看護職員の超過勤務時間の現状でございます。右側の赤い棒グラフでございますが、看護職員の病院における業務の実態を表したものでございます。日々の看護記録や情報共有など、間接業務に多くの時間が取られていることが分かるかと思います。この結果、時間外労働につながっている現状があるということかと思います。
32ページ以降、医師の時間外・休日労働時間の現状でございます。医師の時間外労働につきましては、近年は減少傾向にございますが、依然として960時間超えの割合が約2割となってございます。
33ページですけれども、令和6年4月から医師の時間外労働の上限規制がスタートしておりますが、この中で地域医療確保の暫定特例水準についてB水準の指定が最も多く、417という状況でございます。
34ページが、勤務状況の改善の必要性ということで、中医協の入院・外来医療等における実態調査の結果でございますが、「改善の必要性がある」と答えた医師が47%に上っているような状況でございます。
35ページから、そうした中で政府として今年の6月に新資本主義実現会議の中での実行計画というのを閣議決定しております。こちらについては、赤字のところを御覧いただきますと、生産年齢人口が減少して労働供給制約がますます強まっていく中で、我が国ではまだまだ十分な省力化投資やデジタル化が進んでいないという問題意識があります。
そうした中で、特にサービス業を中心に今後人手不足がとりわけ深刻となる12業種、この中には飲食業、宿泊業、小売業などが入っておりますが、医療、介護・福祉、保育なども含まれております。そういった分野については、さらに生産性を向上する必要性が高いという認識でおりまして、今後それに取り組んでいくべきだということで、分野ごとに省力化投資促進プランを策定したところでございます。その内容が36ページ、37ページでございます。
36ページの「2.多面的な促進策」というところで、看護業務、医師の労働時間短縮に向けた様々な機器の導入支援とか、オンライン診療に係る整備、タスク・シフト/シェアの推進といったことを掲げております。また、そういったことを医療機関に広げていくためのサポート体制の整備・周知広報などを行っていくということにしてございます。
38ページ以降、具体的な業務効率化の例を幾つかおつけしております。38ページは、スマートフォンによる音声入力サービスによって時間外労働時間を大きく減少させた事例、39ページは、バイタルサインの自動入力による作業の効率化を行った事例でございます。
こうした取組につきまして、40ページ、41ページにありますように、6年度補正予算、また8年度の当初要求においても必要な予算額を計上しているところでございます。
43ページ以降は、参考資料になりますけれども、医政局の令和8年度概算要求の概要とか、国立大学病院の経営状況の資料、また、働き方改革に関連してタスク・シフト/シェアに関する状況、看護師の特定行為研修に関する資料などおつけしてございます。
資料1の説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明のあった内容につきまして、御意見、御質問等をいただければと思います。
まずは会場参加の委員の方からお願いしたいと思います。いかがでございましょう。
岡委員、どうぞ。
○岡委員 日本病院会の岡でございます。
詳細な説明をありがとうございました。
病院の経営状況について詳細なデータを出していただいたことには感謝いたしますし、病院の経営が厳しいということは御理解いただいています。
しかし、今回出していただいたデータは2023年度のものであり、やはりまだコロナ補助金や特例措置の影響が一部あり、それでもこのような状況である。そして、2024年度はコロナ補助金や特例措置はなくなり、さらに診療報酬改定では物価上昇分はほとんど考慮されず、実質マイナス改定であったため、経営状況はさらに悪化しており、2025年度も物価上昇が進み、人件費も上がり、まさに病院経営は危機的状況である。詳細は、神野委員から出していただいた資料を御覧いただければと思います。
もう一点申し上げたいのは、病院団体の調査でも、物価高騰、人件費上昇などの医療提供コストの上昇に比べて、医業利益の悪化は低く抑えられているということなのですね。これは何を意味しているかというと、各医療機関がコスト削減などの経営努力をかなりしてきた結果であるということもぜひ申し上げたいと思います。
ただ、このコスト削減のために行っている中には、医療機器や施設整備の更新を控えているというケースもあり、ある意味医療安全にも関わる問題で、これももはや限界に来ていると思います。このこともぜひ理解していただきたい。さらに、人件費も費用削減のため他産業並みのアップができない病院が多いです。人事院勧告でも今回出していただいた経営のデータの2023年は0.96%でしたが、2024年は2.76%、2023年は3.62%と。これでは病院の医療従事者の待遇は全く追いついておりません。このことが医療界から他産業への人材流出につながり、この点においても将来医療提供体制の維持が困難になる可能性が高いという危機感をぜひ共有していただきたいと思います。
その上で喫緊の対策として、やはり今年度は補正予算での緊急的支援、そして、2026年度の診療報酬改定においては、物価高騰、人件費上昇、医療の高度化に見合った改定をお願いしたいと思います。
そして、人材に関しては、29ページの看護職員の就業者数を見ますと、2023年が174.6万人から2025年は180.1万人と増えておりますが、つい最近出た中医協の就業場所別看護職員数の推移を見ますと、病院においては2020年が101.2万人、ところが2023年は98.7万人と、初めて病院の就業者数が減っております。これは我々の肌感覚でもあります。
もう一つ問題なのは、人数も減っていますけれども、この中で夜勤をできない、あるいは夜勤を希望しない看護師が多いということで、病院は24時間やっていますので、これが今後非常に重要な問題になってくるわけです。看護部長に聞いてみたのですけれども、これをどうしたらいいかというと、やはり夜勤手当がこの二、三十年間ほとんど上がっていないという現実がございます。我々も経営者として上げたいのですけれども、原資がない。このまま放っておくと本当に病院が24時間維持できないという危機感をぜひ持っていただいて、そのためにはやはり処遇改善をきっちりしていただきたいと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、先ほどお手を挙げておられました佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。
医療機関を取り巻く状況として様々なデータや情報をまとめていただき、ありがとうございます。病院の経営状況については類型や機能により状況が異なることが分かりましたので、その要因は何か、より詳細な分析をいただきたいと考えます。
また、28ページに記載があるとおり、「2025年以降人材確保がますます課題」となる状況ですから、人材確保に向けてさらなる賃金、労働条件の継続的な改善は欠かせません。
7ページの国内の賃上げの動向にあるとおり、医療・福祉分野の賃上げ状況は他産業と比べても低い状況です。
8ページのベースアップ評価料届出医療機関の賃金割増率は、加重平均で2.74%となっておりますが、8月21日開催の厚生労働省「第9回入院・外来医療等の調査・評価分科会」資料によりますと、令和7年6月30日時点の集計値として、令和6年度の計画書及び令和7年度計画書、いずれも簡素化前の届出書で提出した医療機関におけるベースアップ評価料の対象職員に係る令和5年度と比較した賃上げ比率は2年間で計3.4%となっており、2024年度診療報酬改定などを通じて2年間で計4.5%引き上げるとした目標値にも届いていない状況ですので、さらなる処遇改善が必要と考えます。
あわせて、医療現場の労働者が安心して働き続けられる職場環境づくりに向けて、働き方改革や業務負担軽減などについてもさらに推し進めていくことが重要と考えます。
最後に、事務局の方に2点お願いがあります。看護業務の効率化の例を資料に記載いただいておりますが、他の職種などについても情報があれば今後提供いただければと考えております。
もう一点、18ページの補正予算において、医療機関への緊急的な支援として、さらなる賃上げに向けた生産性向上、職場環境改善等の支援が行われておりますので、どのように活用されたのか、賃上げに回っているのかなどについては、実態を把握して医療部会に御報告いただきますようお願いいたします。
なお、診療報酬は診療への対価ですので、医療機関への経営支援については補助金など、公費で対応すべきと考えております。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局への要望事項もありましたけれども、それに関連して何か事務局からコメントはありますか。
○医療政策企画官 医療政策企画官でございます。
今いただきました2点について検討させていただきます。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
それでは、会場でどなたかいらっしゃいますか。
山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 委員提出資料2を御覧いただきたいと思います。
この医療部会は、各分野における有識者の先生方が出られて審議しているわけですけれども、前回の会でも上がりましたが、診療報酬の改定の議論をするときに、実際に診療報酬がどのような仕組みになっているかについて総論的な話をさせていただきます。
資料にあります一般科の診療報酬と精神科、それから、精神科は医療観察法による入院がありまして、犯罪を犯した精神障害者を治療するというプログラムと2本立てになっています。一般科の点数に比べると精神科がものすごく安く設定されています。しかも、精神科救急急性期医療入院料というのは、365日24時間、地域で警察関係の患者、保健所からの患者、あるいは家族からのSOSの患者とか、そういうものを含めて全部対応しているのに、地域包括ケア病棟入院料よりも更に安い状態です。また、精神科の4割ぐらいを占める慢性期の精神療養病棟に至っては、資料の下段にありますように、ビジネスホテルよりも3割ぐらい安いという、とんでもなく低い診療報酬しかついていないわけです。
さらに、その下にある医療観察法というのは、先ほどお話ししたように、犯罪を犯した患者を鑑定して入院させるわけですが、その入院料が1日6万8000円で、特定機能病院入院料と同じぐらいの点数にはなっていて、月に200万円ぐらいですが、実はこれは治療可能性のある精神障害者しか入院していないので、治療可能性のないもっと重症な患者は精神病棟入院基本料のところで措置入院で入ってきます。鑑定入院に1か月に200万円も払っていて、より重症の精神病棟入院は1か月50~60万円にしかならないという、重症度を無視したような診療報酬が設定されています。
その結果として、次のページにありますように、精神科医療費は全医療費の4.3%しかないのに精神科病床は全体の20%あります。20%の精神病床に何で4.3%の医療費しかついていないのか。これはすごく大きな問題だと思いまして、情報提供をさせていただきました。
○遠藤部会長 御意見として承りました。ありがとうございます。
それでは、神野委員、どうぞ。
○神野委員 ありがとうございます。
いろいろなデータをありがとうございます。
今回、経営状況ということで、2022、2023年のデータが中心に出ています。後のほうの参考資料2、3のWAMのデータも2022、2023年のデータで、今回あえて委員提出資料1といたしまして、今年の3月に公開した6つの病院団体で調査した2024年の結果を出させていただきました。これは、日本病院会の岡先生もこのデータの分析チームとして参画されておられます。
6ページを御覧いただければと思います。まず、医業収益・医業費用の推移というものを見ると、今回資料が出た2023年に比べて私たちの調査の2024年はもっと悪化している。また、利益率のほうも悪化しているというのが見てとれると思います。
次の7ページを御覧ください。この結果として、医業利益・経常利益とも2024年度は赤字病院が増加してございます。2024年は、医業利益で7割、経常利益で61%の病院が赤字であるという結果でございます。
次の8ページです。今日の厚労省の資料にもいろいろな経費のことがついておりましたけれども、2018年と2023年の5年間で経費がどう変わったかということであります。医薬品に関しては診療報酬で補填されていると思いますけれども、材料費、委託費、経費、そして、なんと控除対象外消費税が5割近く経費の内訳の中で増えているという結構大きなデータが出ているということであります。
その次のページは、2023年、2024年の比較であります。
こういうことで、これから恐らく福祉医療機構の2024年のデータも出てくると思いますし、病院団体も今2025年6月データを調査しておりますので今後出てくるということですが、状況は年々悪化しているということをまずお知りいただきたいと思います。
その上で、今日いろいろな資料を出していただきましたけれども、その中で15ページに、私どもは民間法人でありますけれども、自治体病院のデータが出てございます。一番下に他会計負担等の総計が非常に大きくなっているということであります。恐らく、給与を人事院勧告に準拠すると、他会計負担が大きくなるということであります。そこのところが、民間の病院は、同じ労働をしている看護師、あるいはいろいろな医療スタッフに対して人事院勧告準拠のものが出せないというのは、まさにこの他会計負担がないという病院が大変苦しい。
しかも、民間中小病院は、本部会とは直接関係ないかもしれませんけれども、介護事業を行っている。これまでは、介護事業の黒字で医療事業の赤字を埋めていたというような収益構造があったと思いますけれども、御承知のように前回の介護報酬改定で介護事業そのものもきつくなっている。また、人件費も上がって介護事業も赤字化している、その上で医療事業が赤字化しているということで、大変苦しい状況です。このままでは病院を続けていけないような状況に陥っていることを御理解いただきたいと思います。
そして、診療報酬改定はまさに今我々が議論して、中医協でこれから議論されると思いますけれども、その話とは別に、将来予見性を考えるならば、将来物価賃金あるいはGDP等々のいろいろな指標で改定率をどうスライドすべきなのかということも、恐らくこれは中医協マターではなくて、こちらのほう、あるいは医療保険部会にも関係するところだと思いますけれども、こういったところで早いうちから次の次の改定に向けての議論も進めていただきたいとお願いするところでございます。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
会場でほかに御発言がある方はいらっしゃいますか。
それでは、オンラインに移りたいと思います。お待たせいたしました。
お手を挙げた順番で、石飛委員、お願いいたします。
○石飛委員
全国市長会の代表をしております石飛でございます。
本日御提供いただいたデータを拝見しましても、急激な物価高騰や賃上げによりまして本当に医療機関は厳しい状況にある、そのように認識しております。
こうした状況を受けまして、全国市長会では、地域の医療機関に対して緊急に十分な財政支援を講じること、診療報酬につきましても社会経済状況等に応じて改定期を待たずして必要な見直しを行うような仕組み、期中改定を含めて、そうした制度の導入など、柔軟に対応していただくことを求めているところでございます。
また、厚生労働省におきましても、診療報酬ではまかないきれない部分への財政支援について、何らかの工夫を凝らして前向きに御検討いただきたいと思っております。
そうした中で、資料22ページの病床数適正化支援事業でございます。このたび2次の内示があったわけですが、実際には申請は5万床あると伺っておりまして、この1万床の内示によって、まだ4万床の配分が現在も行われていないという状況でございます。自治体病院も含めまして、事業活用を希望する全ての医療機関に対して必要な給付金の支給が行われるよう、十分な財源の確保も併せてお願い申し上げます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
引き続きまして、木戸委員、よろしくお願いいたします。
○木戸委員 本日の資料では医療機関の経営が極めて厳しい状況が示されており、患者さんや住民にとって必要な医療が近い将来本当に受けられなくなるリスクが懸念されています。
ただ、現状、病院が何とかやりくりして存続しているように一見見えていますが、実は医療において最も重要である医療安全、そして、医療の質が既に相当脅かされつつあることを、現場で実際に夜勤も担当している勤務医の立場から問題提起したいと思います。
医療機器も長く使っていると劣化しますので、安全と質を保つためには定期的に更新をする必要がありますけれども、その費用が出せなければ、多少不具合があってもだましだまし使わざるを得ません。でも、例えば超音波などの画像検査におきまして、不鮮明にしか見えないと病変の見落としにつながるリスクが生じてしまいます。
安全と質の確保には、機械など設備だけではなく、ある程度の余裕を持った人員配置が必要ですけれども、経営が厳しければ定員を減らされたり、定員があっても業務に見合う待遇が得られなければ人員確保ができず、マイナスの人員で何とか対応せざるを得なくなります。
特に命に直結する医療の現場、救急、周産期、外科などではぎりぎりの人数でやっていて、もし対応が遅れ、結果がよくないケースでも、システムの問題よりも個人の責任が厳しく問われることが少なくありません。例えば、産科におきましても、帝王切開の手術中で手が離せないときに、別の妊婦さんの赤ちゃんの状態が悪化して、そちらにも今すぐ対応しなければならないなど、切迫した状況も珍しくありません。対応する人手がなければ、どちらの患者さんにもベストの対応を尽くすことは到底できません。
もし結果が悪ければ、もちろん患者さんにとっても不幸なことで取り返しがつきませんけれども、対応した医療者にとっても、その状況でトリアージを考えてベストを尽くしたのにと悔いが残って、かなり大きなトラウマになります。そうしたつらい気持ちのところにさらに追い打ちをかけるようにクレームや訴訟に発展すれば、それにも対応しなければならなくなります。そのような現場で働きたいという人材は、ますます確保しにくくなるのはやむを得ないことと思います。
外科学会からも、近い将来、外科医が足りなくなって手術が受けられなくなるなど、深刻な状況が提言されていますけれども、決して単なる脅しではないと思います。スキルを持った専門職を育成するにはかなりの時間がかかりますので、そうなってからではもう遅いということを皆でしっかりと認識するべきと思います。
夜間・休日などの時間外に病気やけがが起こったときに必要な医療を安全に受けられるためには、朝になってみたら、結果的に夕べは患者さんは来なかったねという日もある中で、ピーク需要に備えて体制を整えておかなければなりませんが、そういったところはなかなか一般の方には見えにくく、理解が難しいかもしれません。
先ほども看護師の夜勤手当が長い間全然上がらないという御指摘がありましたけれども、人手の薄い夜間・休日の時間外に、患者さん、そして、リスクが高い診療に関わる医療従事者に対しまして貢献に見合う待遇によってそうした業務を担う人材をしっかり確保し、かつ、患者さんと医療者の両者をしっかり守る必要な仕組みを早急に検討していただきたいと思います。
医療だけではなくて、鉄道などのほかのインフラ産業も同様ですけれども、安全は決してただではありません。安全を確保するには、目に見えない多くのコストと人手がかかっていることをぜひエビデンスを示して国民の皆様に理解を求めていくことも重要です。
もちろんDXの推進も重要ですけれども、DXの推進は将来的に不可欠かもしれませんが、そうしたシステムは導入コスト、ランニングコスト、更新に多大な費用と手間がかかって、診療報酬のかなりの部分がそういったシステムのほうに流出しているのが現状です。経営がこれだけ厳しい状況で、医療機関にはさらなる負担がそういったことでかかっています。
費用の問題だけではなく、システム導入で現場の負担を減らすはずが、実際は入力作業に追われて、医者が電子カルテばかり見ていて、目を見て話を聞いてくれないという話はよく耳にしますけれども、患者さんに向き合う時間や心の余裕が減ってしまっては何にもなりません。ぜひ、現場の医療従事者や病院に負担にならないようなDXの推進のやり方について、十分配慮していただきたいと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、勝又委員、お願いいたします。
○勝又委員 ありがとうございます。
本日資料にもお示しいただきましたし、各委員からも御発言があったかと思いますが、医療機関の経営は本当に大変厳しく、他産業並みの賃上げとか処遇改善が行われない状況となっています。
今後のさらなる生産年齢人口の減少を考えれば、人材確保に向けた取組とともに、限られた人材を地域全体で効果的に活用することや、医療従事者が働き続けられる環境を整備することが急務だと考えております。
看護におきましては、病院の認定看護師が介護施設などを訪問して相談や支援を実施したり、都道府県や都道府県看護協会、ナースセンターが地域での調整機能を担って、看護職の出向事業を行うなど、地域全体で看護職を育成・共有する体制の構築が進められています。今ある人材をいかに活用していくかといった方策について、今後も十分に検討していく必要があると考えております。
また、限られた人材で安全で質の高い医療提供体制を維持するためには、ICTやAIを活用した業務効率化や、さらにタスク・シフト/シェアの一層の推進が必要かと思います。
令和6年度入院・外来医療等における実態調査では、ICT、AI等を活用しているのはわずか2割の病院であることが明らかとなっています。令和6年度補正予算におきまして、「看護現場におけるデジタルトランスフォーメーション効果検証事業」が行われていますけれども、ICT、AI等の導入や維持には多くのコストがかかりますので、補助金等によるさらなる支援と、省力化投資促進プランにも医療DXの推進やICTを活用した看護業務の効率化について記載されていることからも、ICT等の活用がさらに進むよう、実効性のある着実な取組の推進を強く要望いたします。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
医療分野における人手不足で、私たちが地域で安心して受けられるはずの医療やケアの質が低下したり、ひいては医療機関の倒産によって必要な医療へのアクセス自体が困難になる事態は何としても避けなければなりません。地域に暮らす誰もが必要なときに適切な医療を受けられる体制を維持していくことこそが大切で、そのためには医療・福祉分野に優秀な人材が集まり、長く働き続けられるような環境を整備することがまさに急務であると強く感じております。
その上で、人材確保が難しい現状において質の高い医療・ケアを維持していくためには、医療現場で働く方々がそれぞれの専門性を最大限に生かせるような持続可能で効率的なシステムが不可欠です。医療従事者には医療従事者でなければできない患者さんへの直接的なケアや心の通ったコミュニケーションに時間を割いていただくためにも、勝又委員からもありましたが、AIやICTの活用、DXを積極的に進めるべきだと考えます。
例えば、31ページに、日々の記録作成といった業務が時間外労働につながっていることが記されていましたが、問診や記録作成など、AIにできることはAIを頼る事例を普及していくことで、大幅な効率化が図れて、勤務状況の改善につながるはずです。これにより、医療従事者の皆様が本来の専門性を発揮し、患者さん一人一人に寄り添う時間を増やすことができるようになると考えます。
AIやICTによる効率化は、医療業界に限らず、あらゆる分野で人材不足の中で求められている生産性向上のための重要な手段です。医療現場においても、その導入をさらに加速して進めていくことが不可欠であると認識しています。
木戸委員からもありましたが、その導入にはコストが伴います。医療機関が経営を圧迫されることなく、適正な価格でこれらの技術やサービスを導入し、さらに最大限現場で使いこなしていけるように、国や自治体による支援体制のさらなる構築も同時に必要だと考えています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、松原委員、よろしくお願いいたします。
○松原委員 ありがとうございます。
厚生労働省医政局では、平成16年度から昨年まで国立以外の全病院を対象に、毎年、財務状況に関するアンケート調査を実施しまして、病院経営管理指標を作成してきました。私は、初年度の平成16年度からずっと事務局または委員、委員長を務めて、回答を寄せた全国の病院のデータを見てきました。
公立病院は別ですけれども、従来、民間病院は診療報酬が厳しくても、平均値は利益率が高いか低いかは別にして必ず黒字、赤字病院は2~3程度でした。それが、令和元年からは、一般病院は平均値でさえ赤字となっております。令和4年度からは、一般病院以外の病院も皆平均値が赤字という状況で、これは異常事態と言えます。
医療費は公定価格ですけれども、公定価格はあくまで平均的な病院であれば黒字であるのが普通です。平均的な経営をしても赤字という状況、しかも、一般病院にとってはそれが令和元年からずっと続いているという状況は、価格設定に問題があるということだと考えます。これにより、地域医療が崩壊することを強く懸念しております。
次に、経営が苦しい中、投資ファンドが病院経営に乗り出している例が出てきています。銀行が融資に躊躇するところに手を出してもらって、経営が改善して地域医療が確保できればいいのですけれども、その実態は、病院側が投資ファンドが入っていることを公表したがらないこともあって、不明となっています。
OECDの報告書によりますと、各国では投資ファンドの一つであるプライベートエクイティによる純粋な投資目的の医療機関所有・運営が進んでいるということです。それによって、設備投資の拡大や効率化の可能性などのメリットも考えられる一方で、利益優先による医療の質の低下などの可能性も指摘されています。実証研究でも、こうしたメリット・デメリットが実際に起きている点が報告されています。
これらの研究のほとんどがアメリカのもので、日本は皆保険制度のため、そのまま同じ現象が起きるかは不明ですけれども、透明性確保とチェックが今後求められると思います。
地域医療がなくなって困るのは国民です。また、経営難から医療が営利化していくことで医療格差が拡大していけば、社会不安も想定されることにも留意する必要があると考えます。あわせて、医療側も、質の向上と効率化に向け、DXも含めて引き続き取り組むことが求められると考えます。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
では、荻野委員、よろしくお願いします。
○荻野委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の荻野でございます。
私からは、薬局の状況について意見を申し上げたいと思います。
資料1の51ページに、参考として保険薬局の損益構造についての資料がございます。こちらにお示しいただいておりますとおり、薬局では総収益に対して約7割を医薬品等費が占めており、それに次いで給与費・その他の経費がそれぞれ1割強を占めている状況となっております。
また、本日の資料にはございませんけれども、この資料と同じ令和5年度第24回医療経済実態調査報告によりますと、約3割の保険薬局は既に赤字経営であり、黒字の薬局でも最頻階級の薬局では1か月当たりの収益差額は9万円程度に下落しているなど、薬局の経営状況は年々厳しさを増しております。
加えて、昨今の急激な物価高騰、頻回の薬価改定により、薬局の維持・運営等にも大きな影響が生じており、この状況に開設者の個人資金投入等で対応が行われていると報告されています。
そのような状況から、当然人材についても事務職員の新規確保ができないのみならず、他産業に人材が流出しています。経営的、人員的に経営が極めて厳しいことを御理解いただきたいと考えております。
薬局は、地域において薬剤の提供を通じて医療提供の一翼を担っております。特に人口減少の進んでいる地域においては、地域に密着した中小薬局は地域住民・患者にとって必要欠くべからざる存在ですので、そのような地域医療を担う薬局が存続できるような対応を強く要望させていただきます。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、小野委員、よろしくお願いします。
○小野委員 ありがとうございます。
先ほど来の先生方と重複するのですけれども、診療報酬改定の話と省力化の投資の話を申し上げたいと思います。
診療報酬改定につきましては、データにありますように、医療従事者の賃上げが他産業に比べて伸びが鈍いこと、また、病院のコスト構造において人件費が相当なシェアを占めていること、さらに諸経費、物件費等の物価高の状況を見ますと、それに見合う経常的なランニングコストを賄うべき診療報酬の増が必要になるのだろうと思っております。
就労者や事業主の社会保険料の負担のほうは基本的に賃金に連動しておりますし、公的年金に依存する高齢者の保険料負担能力についても、マクロ経済スライドの影響はありますけれども、基本的に賃金や物価に連動して上昇しているということがありますし、税収も上振れをしているということもあるかと思いますので、それに応じて医療部門の賃金増が全体の賃金増と同等程度のものになるべきではないかと思っております。
そうした発想は、先ほど神野先生からもありましたけれども、改定のルール化みたいな議論をしていく中でも視野に入れるべきではないかと思っておりますし、前回も申したとおり、医療部門の雇用規模と関連産業の裾野の広さを考えれば、地域経済の活性化のためにも不可欠かなと思っております。
省力化への投資に関してですけれども、提起されているようなDXへの投資に関しましては、医療の質とか患者の利便性の向上、あるいは費用の効率化、また、デジタルネイティブ世代の若い人たちが医療産業、医療ビジネスに関して魅力を持ってくれるという意味で、もちろん木戸先生のおっしゃった点は大変懸念されるのですけれども、その上で国民皆保険の持続性を高める上では大変必要なことだと思っております。
その上で、タスク・シフト、タスク・シェアについても言及がございました。こちらは、特定行為研修などをはじめとして一定の投資が必要なことだと思っております。これも、人材が意欲を持ってスキルを高めていくという意味で、医療部門への人材の確保・定着に不可欠なことであると思いますので、これもエビデンスを重ねて、さらにルールの見直しなども今後視野に入れていくべきではないかと考えております。
もちろん省力化によりましてコストダウンを図っていくという考え方は正しいと思っております。一方で、省力化に伴う就労者1人当たりの生産性の向上というものが、生産性を向上させた一人一人の賃金の増に的確に結びつけていくことも必要ではないかと考えております。
以上です。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、玉川参考人、よろしくお願いいたします。
○玉川参考人 ありがとうございます。
提示いただきました資料にも示されているように、物価高騰や患者動向の変化により、病院を中心に医療機関の経営が急激に悪化し、地域医療は危機的な状況にあります。また、2025年度現在においては、この資料にある2023年度以上に厳しい経営状況にあるとの認識で対応することが重要と考えます。この状況を踏まえ、社会経済情勢を適切に反映した診療報酬の改定や、医療機関に対する緊急的な財政支援などを早期に取り組むようお願いいたします。
また、全国知事会として国に要望しておりますが、令和6年度補正予算により措置されました病床数適正化支援事業につきましては、厳しい経営状況にある医療機関に対する重要な支援策であるものの、残念ながら要望額に対してこれまでの内示額が大幅に下回っていることから、引き続き必要な財源を確保するなどの対応をお願いいたします。
さらに、医療分野における省力化につきましては、業務効率化の手段は様々であり、適切な方策は病院規模の大小や地域によっても異なることから、事例の類型化を行った上で横展開を図るなど、国による技術的・財政的支援を行うとともに、医療DXに係るシステムの運用コストに対応できる診療報酬の在り方についても検討をお願いいたします。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、井上委員、どうぞ。
○井上委員 経営状況が危機的な状況だという説明をどうもありがとうございました。一方で、病院間、診療所間でも様々に差があるということで、まずは違いをもう少し詳しく分析をしていく必要があると思います。
それと、危機的な状況というのは、今後も賃金の引上げは我々としても呼びかけていくつもりですし、それに見合って物価についてもある程度の上昇が見込まれるということでございますので、中期的なトレンドでいった場合にそれを本当に診療報酬のみで賄えるのかどうかということも、中期的な視点で検証が必要な時期に来ているのではないかなと思いました。
人件費や物価高に対する公的な価格の在り方というのは、医療分野以外でも同じように議論がなされておりますので、ぜひそういうところとも平仄を合わせながら検討を進めていっていただきたいと思います。
この部会としては、構造的な問題があるのであれば、そこは医療機能の分化・連携、集約化でありますとか、効率的な提供体制を整えていくというところは真剣に議論をしていかなくてはならないと思います。
あと一つ、先ほど神野委員から御説明があった中で、控除対象外の消費税の負担額の話がございました。これは単なるコメントになりますけれども、これを診療報酬で賄うということになると、税と保険料の役割が逆転をしていて、本来であれば全世代で支えている消費税で賄うべきものが保険料でも賄われているというようなおかしな話にもなっていると私は考えますので、コメントをしておきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、米川委員、お願いいたします。
○米川委員 ありがとうございます。健康保険組合連合会の米川でございます。
皆様のお話を伺っておりまして、医療機関の経営状況における物価高騰、賃金上昇への希望がよく伝わってまいりました。
私は資料の説明をいただいたときにもお尋ねしたのですけれども、今回の数字がグロスの全医療機関を合計したものでなくて、平均した数字の統計ということなのですね。何を申し上げたいかというと、大変困っていらっしゃる医療機関もあれば、中には黒字で健全に経営していらっしゃる病院もあるという事実は付言しておかないといけないと思うのです。
限られた資源を必要なところに届けるに当たっては、緊急度もそうですけれども、優先順位をつけていくことは必ず必要だと思いますので、その意味において、医療提供体制を守るということは保険者としては絶対に必要だと思いますし、全力で応援したいと思うのです。ただ、その際に優先順位をつけて、必要なところにまず届くような形でないといけないと思うのです。
その意味で、今回の統計も、例えば機能による分類とか、規模、病院と診療所の違い、そういったところに踏み込んで、この組合せは重要ですから優先しましょうねと。精神病の病院の診療報酬が低いのですというお話がありましたけれども、緊急度が高いのであれば精神病棟から行くというジャッジがあってもいいと思うのですね。この審議を通じまして、優先順位とめりはりをつけていくということも今回の議論の中に織り交ぜてもいいのではないかなと思います。
人材確保のお話も大変重要なのですけれども、人材の中で今どこが一番重要なのか。人件費を上げる必要がありますよねと皆さんおっしゃるのですけれども、1番は看護職ではないですか、コメディカルの皆さんではないですかという、最初に届くところはどこにというのも併せて考えないと、総論として、「医療機関の人件費を上げるべきだ、以上、終わり」で前に進まないという残念な議論になってしまう懸念があるなと感じました。
今後の議事の進行に応じて深まっていくものだと思いますけれども、ぜひ、めりはりというか優先順位をつけようよというところで御意見を発信していただけると、私どもとしては大変聞きやすいなと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
続いて、長島委員、その後、角田委員ということでお願いしたいと思います。
○長島委員 ありがとうございます。日本医師会の長島でございます。
医療機関の経営状況について、病院が大変厳しい状況にあることは多くの委員から発言をいただきました。実は、診療所も全く同様に、極めて厳しい状況にございます。本日紹介された資料は大部分が2023年までのものですけれども、インフレが進行したその後、2024年、2025年とさらに厳しくなっているものと思われます。
そこで、日本医師会では、令和5年度、6年度の診療所の経営実態を会員である診療所管理者に対して緊急調査を行いました。その詳細は記者会見で発表いたしましたが、本日はポイントのみ紹介いたします。
収支について有効な回答が1万1103件得られました。診療所の直近の経営状況は、医療法人、個人立ともに減収減益で、前年度から大幅に悪化、医療法人の約4割が赤字となり、個人立では経常利益が約2割減少という結果でした。これは、物価高騰、人件費上昇に加え、コロナ補助金、診療報酬上の特例措置を含めた影響が現れたものと考えられます。
また、診療所の診療科や地域にかかわらず経営が悪化しており、直近の決算期ほど利益率が低いことから、経営環境の悪化が顕著に進んでいることが見てとれます。
このように、病院に加え、診療所においても厳しい経営に直面していることは明らかであり、この状況が続けば、多くの診療所が経営困難となり、地域医療から撤退、消滅せざるを得なくなり、病院とともに担っている地域の医療提供を継続できなくなる危険性が極めて高いと言わざるを得ません。
このように、病院も診療所も極めて厳しい経営状況にある中では、現在進められている新たな地域医療構想や医師偏在対策等の検討も実現は極めて困難で、いわば絵に描いた餅となってしまいます。
また、先ほども御指摘がありましたが、ICTやAIを活用した医療DXの推進は、医療の質の向上や効率化、働き方改革に大いに貢献するものと思われますが、それには多大なコストが発生します。現在、このコストは担保されておらず、極めて厳しい経営状況ではとても対応できない状況です。医療DXを推進するためには、十分な財政支援、あるいは診療報酬の評価が必須であります。
このように、あらゆる分野において、病院も診療所も医療機関の健全経営の担保が必須な状況であり、診療報酬上の評価、補助金、税制、その他あらゆる手法を使った対応をぜひお願いしたいと思います。
人材確保については、7ページのデータにも明らかなように、医療分野では他の産業に比べ賃上げが十分になされていないことが明らかであり、医療従事者の他産業への流出が起き得る状況と言わざるを得ません。医療分野における人材確保対策においても、医療機関の経営基盤の全体的な底上げが必須と考えています。
また、現在、国で施行している医療分野の各種予算事業の補助金については、自治体の財政状況も原因となって、各地域において必ずしも十分に活用されているとは言い難い状況です。これが課題となっておりますので、必要な財源の確保について、分かりやすく、使いやすい、また、公的か民間かを問わない公平な運用について、改めて御検討いただけますようお願い申し上げます。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
引き続いて、角田委員、よろしくお願いします。
○角田委員 部会長、ありがとうございます。
本日の部会においては、医療界は大変深刻な状況にあることを再認識していただいたかと思っております。私ども日本医師会では、今年の3月に今日御参加いただいています6つの病院団体と合同声明を取りまとめました。また、先日は、日本歯科医師会、日本薬剤師会の会長とともに、厚生労働大臣宛てに賃金・物価の上昇などへの今年度中の対応についての要望書を提出いたしました。
もちろん日本看護協会をはじめ、医療や介護等の関係団体と国民医療推進協議会を組織いたしまして、医療界を挙げて現在の危機に対応していかなければならないと考えております。
病院、診療所、薬局、介護施設、そして、そこに勤める医療従事者、介護従事者など、医療・介護の各関係者が環境の改善と課題の解決に向けて協議・連携しながら、医療界、介護界が一丸となって対応していくことが必要だと思っております。
私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、松田委員、よろしくお願いいたします。
○松田委員 松田でございます。
これから人的資源が逼迫する状況の中で、生産性を上げていくことは非常に重要だろうと思います。その意味で、特に病院の中において一番働き手として多い看護業務の効率化をICTを使ってやっていこうという方向性は間違っていないと思います。
ただ、医療情報共通基盤との関係でいうと、何をどのようにインテークするのかという情報の標準化をしない状態でICT化を進めてしまうと、後でそれを合わせて整理するというところで莫大なコストがかかってしまいます。その意味で、今ちょうど始まったところですので、看護記録のICT化に関する情報のフォーマットの標準化も併せて検討していただけたらなと思います。
特に、集めたデータをどういうふうに現場で活用していくのか、それにつきましては、例えば福岡県の麻生飯塚病院が看護業務の標準化ということをやっておりますので、そういうものを参考にしながら、情報の標準化、それをどのようにICT化していくか、その順番で考えていただけるといいと思います。その経験を基にして、薬剤師とかセラピストというほかの職種にも反映させていただけるといいのではないかなと思いました。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、内堀典保委員、お願いいたします。
○内堀(典)委員 ありがとうございます。
今回、法人を中心としたデータを詳細にお示しいただきまして、ありがとうございます。私は歯科の立場で発言をさせていただきます。
データベースシステムのMCDBのデータの中で、17ページに歯科診療所のデータが示されておりますが、そこで42.3%が赤字になっております。この資料では客体数が5,000程度ということで、多分この時点でデータが集まっているところは歯科診療所の中でも大規模な法人が多いということを加味すると、実態はもう少し厳しいのかなという気はいたします。
御存じのように、歯科診療所は個人立の歯科診療所が75%を占めておりますので、できれば個人立歯科診療所のデータを日本医師会のように示せればいいのですが、今のところそういったデータがないとお聞きしております。個人立の歯科診療所はさらに小規模であって経済的基盤が弱いということを考えますと、昨今の物価高騰及び人材不足で非常に厳しい経営状態になっていると推測されます。
また、今、医師の働き方改革で、休日・時間外労働を減らす議論がされておりますが、歯科の場合は個人立で歯科医師が1人でやってみえるところが多く、そういったところは経営者である院長がぎりぎりまで経費を削減して、逆行する形で休日とか時間外の労働時間を増やして赤字に対応しています。このような状況下では、安心・安全な歯科医療が確保できるのかどうか、本当に危惧しているところであります。
もう一点、前回も発言させていただきましたけれども、歯科医師も非常に高齢化が進んでおりまして、歯科診療所の継承が最重要の問題として考えられております。地域の歯科医療を担っている小規模な、1人でやっている歯科診療所、こういったところが経済的に疲弊して廃院に追い込まれる、それによって地域歯科医療が成り立たないということがないように御配慮をいただければありがたいと思っております。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。会場でもオンラインでも結構でございますけれども、ございますか。
山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 先ほど精神科の医療についてお話をさせていただきましたが、外国の精神科医療と日本の精神科医療の根本的な違いは、外国の精神科医療は政策医療と位置付けられています。したがって、90%は公がやっています。つまり、外国の精神科医療関係者の90%は公務員です。ところが、日本は代用精神病院制度により90%が民間病院で対応していて、こういう精神科の地域医療体制を取っている先進国はありません。
したがって、先ほどお話ししたように、一般科の3分の1ぐらいの診療報酬では、4.3%という精神科の配分というのは非常におかしいと思っています。診療報酬が安いために、先ほどの表にあった一般科人件費の比率が50%に対して、精神科の場合は65~70%という、もう倒産寸前のような経営を強いられているわけです。
なおかつ、日本の民間精神科病院というのは、精神保健福祉法という法律がありまして、措置入院とか、応急入院とか、医療保護入院というような精神保健福祉法による法的入院もほとんど民間病院がやっています。そこで働く看護師を含めた医療関係者は、公的病院よりも給与が40%ぐらい安い状態で働いています。公的業務を民間病院に押し付けるのであれば、少なくとも従業員の給料を公的病院に合わせるぐらいのお金を交付金で出す等準公的病院としての役割をきちんと評価するような体制をつくってほしいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。非常に活発な御意見を頂戴いたしました。
それでは、本件につきましては以上とさせていただきます。
議題の2に移りたいと思います。「基幹インフラ制度への医療分野の追加について」、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
資料2を御覧いただければと思います。
まず1ページ目でございますが、「経済安全保障推進法の概要」という資料でございます。
安全保障確保に関する経済施策を総合的・効果的に推進するための方策ということでございますが、そのうちの3番のところで、「基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度」ということがございます。これにつきまして、今回、医療分野を追加するということがございますので、それについて今日お諮りするものでございます。
詳細は2ページ目を御覧いただければと思います。昨年、経済安全保障推進法の改正の際の附帯決議、あるいはいわゆる骨太の方針の2024において、基幹インフラ制度に医療分野を追加することが明記をされております。
それを受けまして、昨年の12月に有識者会議が行われておりまして、具体的には2つ、1と2でございますが、個別の医療機関について、基幹インフラ制度の対象となり得る医療機関や特定重要設備等の検討を行い、令和7年度夏までに結論を得ること、支払基金については、基幹インフラ制度の対象となり得る特定重要設備等の検討を行い、令和7年度夏までに検討を得ることとされているところでございます。
その具体は3ページ目に書いてございます。基幹インフラの重要設備が役務の安定的な提供を妨害する行為の手段として使用されることを防止するため、国が一定の基準の下、基幹インフラ事業、事業者を指定し、国が定めた重要設備の導入・維持管理等の委託をしようとする際には、事前に国に届出を行い、審査を受けるという制度ということでございます。
現状は、下半分のところに書いてございますが、1~15の対象事業が法律の中で位置づけられているところでございまして、今般、16番目として医療分野を追加することがこれまでの経緯ということで、議論をされていると承知をしてございます。具体的な対象事業者につきましては、絞り込んだ事業ごとに事業所管大臣が省令で基準を作成し、該当する者を指定・告示をするというものになってございまして、今回の医療分野ということであるならば、厚生労働大臣がその作成等を行うことになってございます。
4ページ目に、医療分野の追加についての基本的な考え方をお示ししてございます。まず、個々の医療機関についてでございます。○の2つ目にございますように、医療機関がサイバー攻撃等を受けた場合でも、地域の医療を安定的に提供するための「最後の砦」を確保することが必要ということで、救命・災害医療等を含む高度な医療を提供する能力を有する医療機関については、地域の医療の安定的な提供の確保に重要な役割を果たしている医療機関として基幹インフラ制度の対象としてはどうかというものでございます。
具体的な対象範囲につきましては、事業規模、医療分野であれば病床数等でございますけれども、事業規模や代替可能性のほか、地域性、救急医療や災害拠点としての役割等の観点から、引き続き精査を行うこととしてはどうかというものでございます。その際には、過度な負担とならないように留意をしながら精査をしてはどうかというものでございます。
また、具体的に特定重要設備等についてどのようにするかということについても、医療機関の役務の提供に当たって重要な設備であることを念頭に、引き続き精査を行ってはどうかというものでございます。
2つ目の支払基金についてでございます。これにつきましては、医療DXの推進に当たって中心的な役割を果たし、電子カルテ情報共有サービス、電子処方箋の管理サービス、そして、オンライン資格確認等システムの開発・運用主体となる予定になってございますので、こういったものを対象としてはどうかという考え方でございます。
5ページ目でございますが、こういった基幹インフラ事業者につきましては、サイバー対処能力強化法に基づく対応も併せて必要になるというものでございます。具体的には、特定重要設備に関連する一連の電子計算機の届出やインシデント報告が必要となる。届出情報等を活用して、政府から脆弱性の情報など、サイバー被害防止のための情報提供を行うというスキームでございますので、併せてこの法律の対象にもなるということでございます。この法律につきましては内閣府が所管しているものでございますが、本日の部会においては医療分野の追加の際の考え方についてお諮りするものでございます。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、会場の委員の方で御意見がおありになる方、よろしくお願いいたします。
山本部会長代理、どうぞ。
○山本部会長代理 この文面はもわっと書いてあるので詳細が分かりませんけれども、私の理解するところでは、高度な医療を提供するということで、大学病院あるいは高次の医療機関において、基幹的な設備の導入に関してはこういう部分を配慮しなければいけないと、国の指示に従う必要が出てくるという理解なのですが、そうすると、経費の増加がおのずと出てくるのではないか。
4ページの資料にも、公定価格であるからそのことを留意するというふうに書かれておりますけれども、ここは非常に重要なところで、国策として推進するのであれば、仮に経費増が生じるのであれば、特に大学病院あるいは高次の医療機関というのは経営の余力が少ないところでございますので、そこは十分配慮が必要ではないかなと思います。
この辺、経費増という点について、特に公定価格で回っている部分についてはどんなお考えがあるのでしょうか。
○遠藤部会長 事務局、お願いいたします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
基幹インフラ制度につきましては、まずどの医療機関を指定するのかということは当然ございますが、それと同時に、その医療機関の何を重要設備として指定をするのかという2段階がございます。何を指定するのかによって、医療機関にとっての負担感は大分異なると思っております。
3ページの内閣府がお示しされている法律のスキーム、制度のスキームというところを申し上げますと、特定社会基盤事業者が導入等計画書の届出をしていただいて、その間、30日の審査が必要と。30日間で審査をして、特段問題がなければそれを開始し、通常どおりのシステムの導入が可能になるというスキームだとお聞きしておりますので、一義的には審査の期間のところにプラスアルファの負担がかかるということだと思っておりますが、先ほど山本部会長代理からございましたように、予算的なものも含めてどういう負担が新たに発生し得るのか、その場合にはどういう対応が我々としてできるのかということにつきましては、個々の事業者、個々の設備を指定する際には、それと同時に検討してまいりたいと考えてございます。
○遠藤部会長 山本委員、いかがでしょう。
○山本部会長代理 ありがとうございます。
医療を基幹インフラとして位置づけるというのは非常に重要なことだと思いますけれども、3ページにあるこれまでの対象事業はいずれも経費を価格に転嫁できる産業であることを考えると、やはり医療の特殊性というところは十分に配慮する必要があるかなと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、佐保委員、よろしくお願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。
提案に異論はございませんが、医療分野の追加によって現場の事務負担が増すのではないかと懸念をしております。
今後に向けては、支払基金における円滑な体制整備を支援するとともに、医療現場の負担が強まることのないよう、現場の声を踏まえつつ対応いただければと考えます。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかに会場の委員で御意見がある方はいらっしゃいますか。
それでは、オンラインに移りたいと思います。
長島委員、お手を挙げておられます。よろしくお願いいたします。
○長島委員 ありがとうございます。
まず、3ページの資料を見ますと、医療分野が下のほうに書いてある1~15の電気、ガス、石油、あるいは郵便、金融などと並ぶ、安全保障上の重要なインフラであることは異論ありません。したがいまして、基幹インフラに追加されること自体には特に異論はありませんが、ここに書かれた15分野と医療分野では大きな違いがあります。
それは何かと申しますと、例えば電気とか金融は国を代表するような大企業がたくさんあります。一方、医療分野では、大学病院ですらこれらと比べれば本当に小規模で、それ以外の医療機関は小規模の小規模です。
医療分野で、サイバーセキュリティーに関して3つ足りないものがあります。知識、人材、財源です。医療関係者は、IT、サイバーセキュリティーに関する教育はほとんど受けていません。専用の人材は、大学病院でもごく少数しかいません。一般の病院にはいないです。そして、何よりも財源です。ほかの分野と違って、サイバーセキュリティーに関わるコストを価格や料金に転嫁できません。全部持ち出しになります。そして、現在これだけ極めて厳しい経営状況です。つまり、知識、人材、財源が足りない医療分野において、基幹インフラに加わったときに求められるレベルに達することは極めて大きな負担になると思われます。
したがいまして、まず、上のほうの医療機関については、そこに耐え得るようなものはどこなのかということを丁寧にしっかりと吟味する必要がありますし、恐らく現状ではどこも対応できないと思うので、ここに関しては財政支援、人的支援、人材育成、あるいは外部の資源の活用など、あらゆる点でしっかりと国が支援する必要があると思います。ここのところの選定をかなり慎重にする必要があります。
次に、支払基金に関して、これはもう医療DXの基盤を扱っていますので、ここはしっかりと対応していただく必要がありますが、ここも財源も人材も足りないと思います。ここもしっかりと国の支援が必要です。したがいまして、これは丁寧に慎重に進める、また国がしっかりと支援することが大前提だと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、玉川参考人、お願いいたします。
○玉川参考人 ありがとうございます。
基幹インフラ制度への医療分野の追加につきましては、近年、医療機関がサイバー攻撃を受けている実態を踏まえまして、速やかな対応が必要であると認識しております。
基幹インフラ制度の対象となり得る医療機関等の指定基準につきましては、高度な医療を提供する能力等を有する医療機関とされておりますが、地域によっては果たす役割や医療提供能力等が異なっていることから、地域の実情を踏まえながら検討されるようお願いいたします。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、米川委員、お願いいたします。
○米川委員 ありがとうございます。健保連の米川でございます。
この説明を受けて、国の経済安全保障に基づくものであるわけですから、国として必要なことだよねということでは皆さん同意なさっていると思いますし、私どもも理解しているつもりであります。
ただ、スキームを見ると、特定社会基盤事業者に指定されたところが自ら申請をして、導入計画書を書いて、それについて審査を受けて、そして決める。何かおかしくないですか。国にとって大切な基盤ですよねということがあるわけですから、素人的に考えると、国から指定があって、あなたのところは大切だから、お金も出すからちゃんと体制を整えてくださいよというのが一般国民的には分かりやすいのではないでしょうか。
手続的に、指定された業者、私どもに関係があるところとしては支払基金なども医療DXのデータを膨大に持つわけで、ここを誰かにサイバー攻撃をされたら大変困るので、何としても守らなければいけないと思いますけれども、それは自助努力でやりなさいよと言われたら、ちょっと待ってくださいねと思います。
国防に関する話ですから、国家が責任を持って担保することは必要だと思いますので、そのように私からも意見を表明させていただきます。ありがとうございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
ほかに、会場でもオンラインでも結構でございますけれども、御発言はございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございました。
それでは、事務局におかれましては、本日いただいた意見を踏まえまして、引き続きの検討を進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、最後の議題、「特定機能病院のあり方に関するとりまとめ」です。事務局から関連資料について説明をお願いします。
○地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。
資料3~5で説明させていただきます。
まず資料3でございますが、特定機能病院とはということでございます。1番の「検討の経緯」のところに書かせていただいてございますけれども、平成5年の第2次医療法改正において医療法上に位置づけられたものでございまして、高度な医療の提供、高度な医療技術の開発及び評価、高度な医療に関する研修並びに医療における高度な安全確保のそれぞれを実施する能力を備える病院ということで、厚生労働大臣が承認をしているものでございます。現時点におきましては、全国で88の病院が特定機能病院として厚生労働大臣の承認を受けているというものでございます。
今般、第65回の社会保障審議会医療分科会におきまして、特定機能病院の承認の要件の在り方について検討しろということで、会長の意見書が昨年の3月に出されまして、そこから約1年強、検討会で検討を進めてきているものでございます。
本日は、その内容につきまして御審議いただきまして、最後の3番の「今後の対応」のところに書かせていただいてございますけれども、本日この部会で御審議いただいた上で、今後、省令改正等の所要の対応を行ってはどうかということで、御意見を今日いただきたいというものでございます。
具体は資料5のパワーポイントのほうを御覧いただければありがたいと思います。
3ページ目でございますけれども、88あります特定機能病院につきまして、大きく3つの類型に分けてはどうかということの御提案でございます。
「基礎的基準導入後」の欄を見ていただければと思いますが、大学病院本院79を対象とした特定機能病院A(仮称)というもの、ナショナルセンターを対象とした特定機能病院B(仮称)というもの、そのほか旧基準によるものということで、まずは大きくこの3つの類型に分けてはどうかということの御提案でございます。
その上で、基礎的な基準ということで、これまでも医療提供、研究、教育、医療安全については基準を定めていたところでございますが、それに加えて医師の地域医療への人的な貢献ということ、いわゆる医師派遣につきまして、その要件、基礎的な基準ということで加えてはどうかというものでございます。また、ナショナルセンターにつきましては、全国的な政策医療の取組ということを併せて評価をしてはどうかというものでございます。
その基礎的な基準につきましては、4ページ目にまとめてございます。下線がないものにつきましては、これまでも基準あるいは項目として定められているものでございまして、本日御提案を申し上げますのは、下線を引いている太字の部分について新たに基準項目として追加をしていってはどうかというものでございます。
具体には、5ページ目以降にございます。例えば、5ページ目の最初ですけれども、「基本診療科の幅広い設置」ということで、現行基準で幾つかの診療科が定められておりますが、それに加えて基本的な診療科を追加して並べてはどうか、専門医の基本領域の全ての診療科を並べてどうかというものでございます。
その際には、実質的な診療を担っている部門が存在していることで差し支えないとか、ここに幾つか書かせていただいてございまして、現状の大学病院は様々だと思いますので、そういった状況を見ながら基準を設定したらどうかというものでございます。
6ページ以降は、「いわゆるStudent Doctorの育成」ということで、臨床実習生を受け入れていることを新たな基準として加えてはどうかといったもの。あるいは、6ページの一番下のところには、地域への貢献ということで、地域の医療機関に向けた教育・研修といったものを特定機能病院として担っていただきたい、こういった基準も設けてはどうかというものでございます。
7ページ目には、全く新しい項目として、看護師、薬剤師の実習受け入れ・育成ということで、こういったものも特定機能病院として担っていただきたいということでございます。
8ページ目には研究がございますし、9ページ目には、今回、医師の人的な協力という項目を新しく追加をさせていただいてございます。
これまでも特定機能病院、特に大学病院につきましては、様々な人的協力をしていただいていると思いますが、それを何か規定するというものではなくて、特定機能病院の要件ということで基準を定める際にどういったものをカウントするのかという考え方を今回9ページでお示しをしてございます。雇用形態によらずということで、常勤・非常勤に限らず、大学本院と派遣先の連携・調整で半年以上継続して派遣していただいている医師を常勤換算で評価をしてはどうかというものでございます。
その際には、ポツの2つ目に書いてございますが、地域医療構想、医師確保計画を踏まえて、都道府県と連携をしていただきたいということを書かせていただいてございます。
ただ、どの程度大学病院が医師の人的な協力をされているのかということは、現状は把握できているものがございませんので、まずは現時点で調査をさせていただきまして、派遣の実績等も見ながら具体的な基準を設定してはどうかというものを括弧の中に書かせていただいてございます。
その具体は、10ページ、11ページにお示しをしてございます。
今年度は、10ページに書いてありますように、まずは大学病院に調査をさせていただいて、数を出していただくということでございますが、令和9年以降は、11ページに少し書かせていただいてございますように、大学病院での医師の派遣の名簿等を作成していただいて、少し細かく派遣の実績をこの基準の中に載せていくことができればどうかということを考えているというものでございます。
また、12ページ、13ページには、これまでもございましたが、医療安全についても基準がございますが、その明確化、あるいは具体性を持たせたような形で新しい基準を今回設けさせていただいてございます。
いずれにつきましても、先ほどの医師の人的協力にしろ、医療安全にしろ、一定の経過措置の期間も設けながら、新しい基準を現場に混乱がないような形で入れ込んでいってはどうかというものでございます。
最後に、資料を前に戻っていただいて3ページ目でございます。るる御説明させていただいているのは基礎的な基準でございまして、3ページの最後のところに「発展的基準導入後」がございます。今日御説明させていただいている基礎的な基準は、まず最初に入れさせていただきますけれども、これから上乗せの基準的な形で、将来的に発展的な基準も併せて導入させていただいて、より自主的な大学病院も含めた特定機能病院の取組をさらにこういった制度の中で評価してはどうかということを、これは将来的な取組の予定ですけれども、考えていきたいということでございます。
私からの説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、まず会場の委員の方々から、本件について何か御意見はございますでしょうか。
神野委員、どうぞ。
○神野委員 ありがとうございます。
2点ございます。まず、特定機能病院に、医療提供、研究、教育に人的貢献というのを足したということに関しましては画期的なのかなと思います。ただ、特定機能病院側からすると、恐らく派遣するためにはそれなりの人員の確保が必要になってくるということでありますので、この派遣基準というのを入れる以上は、大学病院に勤めていらっしゃる医師の皆さんの処遇の問題というところをきちんと担保してあげないといけないのかなと思います。そのためには、診療報酬でいくのか、また全部診療報酬ではないとするならば、補助金というもので処遇を確保した上で派遣しろというのはありなのかなと思います。
もう一点は、3ページの一番右側のピンクのところに、「旧基準による新規の承認を行わない」と書いてございます。そして、資料3の「とりまとめの概要」のところにも、「既に特定機能病院であるその他の病院について」ということで、基礎的基準を満たすことができなくなった場合でも当面の間ということですけれども、基準を満たさないのに当面の間ということでありますが、この当面というのはいつまでですということをある程度明確にして、診療報酬も高いわけでありますので、いつまでに基準を満たさない場合にはやめていただきましょうということも必要ではないかと思います。2点目については、もし事務局で腹案があったら教えていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局、いかがでしょう。
○医療安全推進・医務指導室長 医療安全推進・医務指導室長の加藤でございます。
御指摘ありがとうございます。
現時点では、旧基準による特定機能病院に関して、明確な時期を含めた方向性が定まったものではないという状況でございますけれども、御指摘を踏まえましてしっかりと検討していきたいと思います。
○遠藤部会長 よろしいですか。
ほかにいかがでしょう。
山本部会長代理、どうぞ。
○山本部会長代理 特定機能病院が以前から行ってきた地域への医師派遣というのが評価基準に乗ったというのは、すばらしいことだと思います。ただ一方で、派遣といっても、決して大学病院は派遣業をやっているわけではないので、この辺の境界線が非常にファジーであるし、病院によってもどこまでを派遣と見るかとか、定義がいろいろあると思います。
もう一つ、大学病院の場合、規模によって当然出せる人数、先ほど神野委員からもお話がありましたが、出したくても出せるだけの人がいないとか、この辺の問題と、国立と私立とでも当然その辺の状態が変わってくると思います。基準は一度定めると非常にがちがちで動きがちな傾向がございますので、ぜひこの先に検討するときは、実態調査を踏まえてということになると思いますけれども、あまりぎちぎちにならずに、それぞれの地域の実態あるいは大学の実態に合わせた運用ができるということを望みます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
会場でほかにいかがでございましょうか。
それでは、オンラインに移りたいと思います。
まず、石飛委員、お願いいたします。
○石飛委員
私も、現在、地域に一定の人的協力を行っているという項目が載ったことは大変ありがたいことだと思っております。ただ、先ほども話がありましたが、基準という形でがちがちになることで、これまで柔軟な形で地域に貢献いただいた、そうした取組が逆に阻害されるおそれも懸念しているところでございます。
例えば、半年ではなく、短期間でも代診医という形で派遣いただいたり、あるいは読影医として他の病院の診療を支援したり、そうした様々な支援も現状行っている中で、こうした評価に該当しないような協力に対するネガティブな判断につながることは避けなければならないのではないかと感じております。
ぜひ今後も、大学病院が地域への貢献を弾力的に柔軟にできるような形での運用を検討していただきますように、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、角田委員、よろしくお願いします。
○角田委員 遠藤部会長、ありがとうございます。
私からは3点ほどお話ししたいと思います。
1点目でございます。少し細かいことでございますが、資料5の5ページ、専門医基本領域(医科)に含まれる診療科のうち、「総合的な診療」については標榜可能な診療科ではないということが一番下の注記に示されております。6ページのように、今後、教育の部分においては総合的な診療を担う人材の育成が重要であることは十分理解しております。
一方で、現在は認められていない標榜科としての総合診療科について、5ページの「総合的な診療を担う診療科」の設置とは別の話と考えます。本件は実質的な総合的な診療を担う機能を有していればよいという話ですので、混乱が生じないように明確に分けて考えることが重要ではないかと思っております。
2点目です。医師派遣機能については、特定機能病院としては、都道府県単位ではなくて、もっと広域的な視点で捉えた対応が求められると考えております。
また、都道府県医師会によっては大学病院に講座を持っているケースもございますが、勤務医の先生方には地域での連携が重要であるということについてより理解を深めていただくよう、よろしく御対応をお願いしたいと思っております。
3点目です。医療提供体制、教育、研究、開発、これらはそれぞれ求められる機能が異なりますので、ここは明確に分けて整理していくことが適切かと思っております。
私からは以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、玉川参考人、よろしくお願いいたします。
○玉川参考人 ありがとうございます。
大学病院本院である特定機能病院に関して新たに評価項目が新設されますことで、医師偏在の是正や地域の医師確保により一層力になっていただけるものと期待しております。
今後検討されます発展的基準につきましては、地域の実情を踏まえた実効性のある評価基準となるよう検討をお願いいたします。
また、医師派遣に当たりましては、大学病院単体で派遣を行うケースのほか、医学部、大学院と連携して派遣を行っているケースもあることから、このような派遣についても評価がなされるよう配慮をお願いたします。
そして、大学病院本院でも人的資源が限られており、厳しい経営状況となっている病院も多く生じていることから、特定機能病院の社会的な役割と貢献を考慮し、人材確保や財政支援など、医師派遣を支援する施策について、厚労省、文科省が連携しながらセットでの検討をお願いいたします。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、内堀典保委員、よろしくお願いします。
○内堀(典)委員 ありがとうございます。
お聞きしたいのですが、今病院における歯科の設置率は非常に低いのですけれども、資料5のところで、<基礎的基準>の医療提供の現行基準のところ、また新基準のところでも「専門医基本領域(医科)に含まれる診療科及び歯科のすべて」と記載されていますが、22ページの資料の「特定機能病院制度の概要」の承認要件の人員配置のところには、医師、薬剤師、看護師等、管理栄養士ということが承認要件で、歯科医師の要件は含まれていないのですが、承認要件には歯科医師は含まれないと理解すればよろしいのでしょうか。
○遠藤部会長 事務局、いかがでしょうか。
○医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
今手元に詳細な資料がないので、歯科医師の具体的な要件について速やかにお答えできないのですけれども、今回の見直しにおいて、新たに歯科医師の基準などを設ける予定はないということがまず1点。
あと、歯科に関しましては、例えば、現状標榜を行っていない場合などは近隣の歯科との連携をしっかり行うことといった要件がございますので、そういった形で、全ての特定機能病院について歯科領域に関しても一定程度カバーをいただいているという状況でございます。
○内堀(典)委員 ということは、5ページの新基準の中に「診療科及び歯科のすべて」と書いてあるところは、病院内に歯科を設置するという意味ではなくて、地域歯科医療機関と連携するという意味合いで書かれていると理解すればよろしいわけでしょうか。
○医療安全推進・医務指導室長 事務局でございます。
ここについて何か新しいものを課すものではなく、現行と変わらないということでございます。地域の歯科医療との連携も含めているものでございます。
○内堀(典)委員 了解しました。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ほかにございますでしょうか。オンラインでも会場でも結構でございますけれども、よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、本日いただきました御意見を踏まえまして、省令改正等の所要の対応を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題についてはこれまでにさせていただきたいと思いますけれども、事務局から何かございますか。
○医療政策企画官 事務局でございます。
次回の医療部会の詳細につきましては、決まり次第追って御連絡させていただきます。
○遠藤部会長 それでは、本日の会議はこれにて終了したいと思います。大変お忙しい中、ありがとうございました。