第117回社会保障審議会医療部会 議事録

日時

令和7年9月4日(木)17:00~19:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム 7階 大ホール

議題

  • 診療報酬改定の基本方針について(前回改定の振り返り)
  • 医療法人の経営情報等の第三者提供制度について

議事

○医療政策企画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第117回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 本日は、委員の先生方につきましては、あらかじめオンラインまたは現地会場での参加を選択していただいた上で御出席をしていただいております。
 まず最初に、委員の異動がありましたので御紹介をさせていただきます。
 日本歯科医師会、藤田委員の御後任として、新たに日本歯科医師会副会長、内堀典保委員、島崎委員の御後任として新たに政策研究大学院大学教授、小野太一委員、河本委員の御後任として、新たに健康保険組合連合会副会長、米川孝委員が就任されております。
 内堀典保委員、小野委員、米川委員より一言御挨拶をお願いしたいと思います。
 では、内堀委員、お願いします。
○内堀(典)委員 こんにちは。このたび、日本歯科医師会の副会長に就任いたしまして、藤田委員に代わりまして出席をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○医療政策企画官 ありがとうございました。
 続きまして、小野委員、お願いいたします。
○小野委員 政策研究大学院大学の小野と申します。
 内外の社会保障や医療政策を研究し、修士、博士の外国人の学生、また、日本人の学生に教育をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療政策企画官 ありがとうございました。
 続きまして、米川委員、お願いします。
○米川委員 健保連の米川でございます。
 このたび、河本の後を継ぎまして、専務理事に就任いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○医療政策企画官 ありがとうございました。
 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、全国知事会の内堀委員、松原委員、山崎親男委員より欠席との御連絡をいただいております。本日は20名の皆様の御出席となりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 次に、議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。
 本日の資料につきましては、議事次第、委員名簿、座席表、事務局名簿のほか、資料1と2、参考資料が1から4まで、委員提出資料が1となっております。
 また、前回の医療部会、7月4日でしたけれども、それ以降、事務局におきまして人事異動がありましたので、配付させていただいています厚生労働省の出席者名簿に代えて御報告とさせていただきます。
 報道の方はここまでとさせていただきますので、カメラはここまででお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○医療政策企画官 では、以降の議事進行は遠藤部会長にお願いさせていただきます。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 皆様、こんばんは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります前に、御欠席される委員の代理について御承認をいただきたいと思います。本日御欠席の内堀雅雄委員の代理としまして、玉川参考人の御出席をお諮りしたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 本日の議事の1番目は「診療報酬改定の基本方針について(前回改定の振り返り)」でございます。
 事務局から説明をお願いしたいと思います。
○保険局医療介護連携政策課長 医療介護連携政策課長でございます。よろしくお願いいたします。
 資料1「診療報酬改定の基本方針について」の1ページをお開きください。
 議論のスケジュールのイメージを示させていただいております。右側に令和6年度、前回の実績を記載しておりまして、真ん中の欄が今回のスケジュールのイメージでございます。本日が9月4日、前回改定の振り返り、言わばキックオフの議論でございまして、その後、具体的方向性➀、➁、4回目ぐらいに骨子案、5回目で基本方針案というものを示させていただきまして、12月上旬ぐらいに基本方針を定めていただきたいと考えております。
 回数、スケジュールともに前回の改定と同様に進められればと考えております。
 また、医療保険部会、医療部会を1回目、2回目となるべく近い時期に開催して、同時に議論を進めていきたいと考えております。
 2ページをお願いいたします。
 令和6年度診療報酬改定の基本方針の概要でありまして、これは既存の資料でございます。
 基本方針の上段のほうは「基本認識」とございます。令和6年度は4つの「基本認識」でございました。1つ目、物価高騰・賃金上昇、人材確保の必要性、保険料負担の影響。2つ目に全世代型社会保障の実現、サービスの連携強化、感染症対策など。3つ目で医療DXやイノベーション。4つ目で制度の安定性・持続可能性、経済財政との調和となっておりました。
 下段のほうでありますが、「基本的視点」と「具体的方向性」です。「基本的視点」も(1)から(4)の4つでした。(1)人材確保・働き方改革などの推進、これは4つの「基本的視点」の中でも重点課題と位置づけさせていただいております。(2)地域包括ケアシステムの深化、医療DX。(3)は少し広くなっておりますが、安心・安全で質の高い医療。(4)効率化・適正化、制度の安定性となっておりました。それぞれの「基本的視点」の下に「具体的方向性」というものが細かく定められております。
 3ページをお願いいたします。
 3ページ以降、今回の改定用に新たに作った資料になります。令和6年度の基本方針が結局どのように診療報酬改定に反映されたのかということを整理した資料になります。
 (1)に書かれておりますのが先ほどの「基本的視点」でして、(1)人材確保・働き方改革。
 左側の欄には基本方針の中で「具体的方向性」として記載した内容を記載しております。右側が実際に診療報酬改定でどのように対応したかであります。
 幾つか紹介させていただきます。(1)の1つ目の項目、「具体的方向性」の中で人材確保や賃上げと記載されました。右側を見ていただきますと、ベースアップ評価料の新設、入院基本料や初再診料の引上げ。2つ目の項目でありますと、勤務環境の改善、タスク・シェアとあります。右側を見ていただきますと、遠隔ICUモニタリングにより支援を受けることを評価。
 (2)です。地域包括ケアシステムの深化でございます。1つ目を見ていただきますと医療DXの推進とありまして、右側、医療DX推進体制整備加算の新設とございます。
 (3)です。安心・安全で質の高い医療の推進でございます。1つ目の項目ですと、食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応とあり、右側を見ていただきますと入院時の食費基準額の引上げとございます。
 下から4つ目、歯科です。口腔疾患の重症化予防という「具体的方向性」の中で、右側を見ていただきますと、う蝕の重症化予防の推進とございます。
 薬に関しては、下から2番目の欄を見ていただきますと、薬局の経営状況も踏まえた医薬品供給拠点としての役割の評価の推進とあります。右側を見ていただきますと、薬局の地域支援体制加算のかかりつけ薬剤師に関する要件の見直しとございます。
 (4)です。医療保険制度の安定性・持続可能性の向上。1つ目の項目でバイオ後続品の使用促進という方向性が記載されています。右側を見ていただきますとバイオ後続品の使用促進に関する評価の見直しとあります。下から2番目の項目ですと、例えば医薬品の適正使用等の推進と記載があり、右側を見ていただきますと、薬剤総合評価調整加算について、ポリファーマシー対策の評価の要件の見直しとございます。
 このような「具体的方向性」と実際の改定内容でございます。
 参考資料1-1は令和6年度のスケジュール、大臣折衝事項など、参考資料1-2は令和6年度の基本方針そのものなどを添付しております。
 私からの説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明がありました内容に関連して、何か御意見、御質問等があればいただきたいと思います。
 では、黒瀨委員、お願いいたします。
○黒瀨委員 最初にありがとうございます。
 御丁寧な御説明ありがとうございました。
 私、今日が最後になろうかと思うのですけれども、その点も踏まえてお話をさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、これからの日本の医療に関しましては、かかりつけ医機能を有する医療機関を中心とした外来、在宅、そして、病院機能並びに病棟機能に応じた患者の受入れを行う病院における入院医療が有機的に連携・協力することで、面としての地域住民の健康、そして、命を守っていく。こういったことが基本となるということと、これをさらに充実させていくことで国民の皆様方のウェルビーイングにつなげていくということが大切であり、新しい地域医療構想にその実現が求められているところだと承知しております。
 ところが、周知のとおり、医療機関の経営状態は物価や賃金の高騰によりまして非常に悪化しておりますし、また、瀕死の状態に陥っていると言っても過言ではない状況で、これでは新しい地域医療構想を幾ら頑張って構想を立てても、実際に地域医療を守っていけるのかという不安が拭えません。
 さらに、先日の中医協でも報告された厚生労働省の2023年度におけるデータによりますと、営業利益率が6.9%と比較的経営が安定していると言われている診療所でございますけれども、全国各地の医療現場からは全く異なった、むしろ厳しい経営環境に苦しんでいるという悲鳴が聞こえてきております。実際に私ども日本医師会の総研が行った診療所の経営に係る調査の中間報告によりますと、2024年度に入り、診療所の収支状況も病院同様に悪化の一途をたどっておりまして、四半期前の収支統計を取りますと、2023年度の初頭から連続8四半期にわたって顕著に利益率が低下してきているという実態が確認されております。
 さらに注目すべき点としましては、診療所あるいは病院の所在地にかかわらず、利益率が悪化している点が挙げられます。すなわち、大、中、小都市及び町村別に比較した場合に、むしろ大都市に所在する診療所であっても利益率が低下している傾向がございまして、また、外来医師の多数あるいは中間、少数区域の別でも区域間に差が認められておりません。
 つまり、都市の規模等にかかわらず、診療所の経営環境も病院の経営と同様に極めて厳しい事態が推察されておりまして、かかりつけ医療機関の外来診療と病院における入院治療により、面で地域住民の命と健康を守る地域医療体制が崩壊の危機に瀕しているという実態を強く認識した上で、今回の改定に当たることが肝要であろうと考えております。
 この危機的な状況を打破するためには、初診料あるいは再診料、入院基本料など、基本診療料の大幅な引上げが不可欠と考えます。なぜなら、地域医療や医療機関の置かれた環境などの実態は一律ではなく、その個々の事情、例えば地域で求められる病棟機能などに即した体制整備などは、その経営判断を行うことを医療機関に与えることが重要であり、したがって、個々に使い道を指定されている、あるいは限定されているような加算ではなく、あくまでも基本診療料を上げることによって経営判断の選択肢が多く得られるということを我々は意識すべきであろうと考えております。
 加えまして、入院においては、人員配置などの体制に係る評価につきまして、実際に医療現場の置かれた環境、つまり、刻々と変化していく状況に合わせて体制を適切に再整備することを可能とするように、より柔軟に評価できる取組に改善していく必要があろうかと考えます。
 地域の人口や人口構成、社会的な基盤など、医療を取り巻く環境は年々変化してきておりまして、その変化の度合いや範囲、そして、スピードも地域によって多種多様で全く異なるものでありますので、現状のみならず将来を見据えて、全国各地の医療機関が適切に経営判断をできるよう後押しするような診療報酬体系とし、そして、それがひいては地域の皆様方の健康と幸せに資するということを我々が実現していかない限り、地域医療の未来はないという覚悟が欠かせないと申し上げたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 まずは会場で御参加の委員4~5人に御発言いただきまして、その後、オンラインで御参加の方に移りたいと思います。
 それでは、先ほどお手を挙げておられました順番で、神野委員、勝又委員の順番でお願いいたします。
○神野委員 ありがとうございます。神野でございます。
 今、黒瀨先生からお話があったように、今は大変な状況であります。これは診療所もそうですけれども、それ以上に病院が大変であります。そういった意味では、本会の役割とは違うかもしれませんけれども、改定率そのものを何とかしていくということが重要ですし、デフレの中の医療と、今、まさにデフレがなくなって超インフレになったときの物価賃金といったものに対して、そこをきちんと担保いただくような改定率をまず最初に厚労省、それから、我々、いろいろな団体もそろって改定率を何とかしていただきたいというのが一番かなと思います。
 その中で基本方針云々の話になると思いますけれども、一言で言うと、人口減時代の医療提供体制をどう構築するかといったところが非常に重要になってくるのかなと思います。具体的に、例えば今回の2ページの概要を見てみますと、基本認識の3番目に医療DXやイノベーションの推進等と書いてありますけれども、恐らくこのときは、先ほど御説明がありましたように、オン資の話とか、電子処方箋の話とか、それから、オンライン診療の話といった医療DXの話だと思うのです。けれども医療DXあるいは病院のDXということを考えますと、恐らく2年前の診療報酬改定のときに比べて、この2年間で生成AIも含めてDX絡みといったところで非常に世の中は進歩しているわけであります。医療はやはりそれについていかなくてはいけないわけですし、厚労省がおっしゃる医療DXだけではなくて、我々は働き方改革とか、あるいは医療の質とか、安全といったところのDXを積極的に入れていかなくてはいけない。そのためにはということになると思いますけれども、やはりDXに対するインセンティブとして人員配置基準といったところに踏み込んでいただきたい。今、本当に各地域、都会も地方も人がいないのです。人がいなくても回していくためには、やはりDXを積極的に取り入れていくことで回していく。その中で人員配置基準が足かせになっているとするならば、そこはDXのインセンティブとして配置基準の見直し、緩和ということをぜひお願いしたいと思ってございます。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、勝又委員、よろしくお願いいたします。
○勝又委員 ありがとうございます。
 私のほうからは3点意見を述べさせていただきます。
 まず1点目ですけれども、前回の改定の基本的視点のところで、地域包括ケアシステムの深化と推進は引き続き重要であると考えております。医療と介護の連携がより一層求められるのですけれども、先ほどお話がありましたように、人材が限られている状況では、地域全体での効果的・効率的な支援体制の構築と人材の活用が重要だと考えています。
 例えば病院に所属する専門性の高い看護師が地域の介護保健施設を訪問して支援するなど、組織を越えた活動を展開しておりまして、その結果、介護施設における対応力の強化、それから、救急搬送の減少などが成果として見られております。本会の調査では、専門性の高い看護師は9割地域で活動したいと言っております。
 一方、実際に行うためには、他施設に対して支援をすることが病院の機能の一つとされていることや、また、地域全体で相互支援や役割分担に関する協議ができていることなどが必要だと考えております。次期改定におきまして地域における医療機関等の役割を明確にしていただきまして、医療と介護の連携を具体的に推進していただきますようお願いしたいということが一点でございます。
 2点目ですけれども、効果的・効率的な医療の提供に向けては、多職種連携とかタスク・シフト、ICTの活用、様々な取組が必要でありまして、病棟間、職種間、さらには地域における施設間での複雑な調整が求められます。高齢化に伴いまして患者、家族との調整も増えており、こういったときに看護管理者によるマネジメント機能を強化する方策が必要だと考えておりますので、よろしくお願いしたいということです。
 最後に、処遇改善です。前回改定におきましてはベースアップ評価料の新設などを行っていただきました。しかし、この2年でさらに物価が高騰いたしまして、経営状況は大変な状況です。十分な賃上げができないというような状況でございまして、このままではコストの増加に追いつかずに危機的な状況に陥ることが先ほどからもお話があったかと思います。
 本会調査によりますと、2024年度の看護師の基本給の前年度比賃金増率はわずか1.1%にとどまりまして、ベースアップ評価料により月額給与が上がっても、賞与が減ったと回答した看護師が約3割に上っております。
 また、夜勤者の確保や負担軽減が大きな課題でございまして、確保策として夜勤手当の増額や回数に応じた加算手当の支給が有効であるものの、この10年間、本当に夜勤の手当というのはほぼ横ばいというような状況になってございます。
 必要とされる医療・看護を国民に届けるために、次期改定におきましては、ベースアップ評価料の拡充に加えまして、医療機関の経営状況を大幅に改善させるための措置を講じていただきたいと思っております。
 以上、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 先ほど佐保委員がお手を挙げておられましたので、佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 診療報酬改定の基本方針の議論に当たりまして、総論的な考え方を申し上げます。
 まず、少子高齢化は進んでおり、医療保険財源には限りがありますので、医療保険制度の持続可能性、国民負担の状況、賃金の動向なども総合的に考慮した改定率とすべきと考えております。
 その上で、充実すべき項目と適正化すべき項目とめり張りのある改定とすることが必要だと考えております。
 充実すべき項目としては、今後も賃金、物価の上昇が見込まれておりますので、人材確保に向けて医療現場で働く人たちの処遇改善を継続的に行うことが重要と考えております。
 適正化すべき項目といたしましては、医療費の伸びの抑制に向けて、昨年の新たな地域医療構想等に関する検討会の取りまとめにおいて、高齢者救急、在宅医療の需要等が増加する中、地域の実情に応じて、「治す医療」を担う医療機関と「治し支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、医療機関の連携・再編・集約化を推進すると示されていることを踏まえ、医療機関の機能分化を強力に進め、患者の状態像に応じて効率的に医療を提供できるようにしていくことが必要と考えます。
 なお、診療報酬で対応すべきことと、補助金など公費で対応すべきことと、それぞれの性格に応じて検討を行う必要があると考えます。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、内堀典保委員、お願いいたします。
○内堀(典)委員 基本方針についての説明をありがとうございました。
 今日は議論のキックオフということでスタートラインだと思いますので、歯科の立場で総論的なところで少し要望をさせていただきます。
 先ほど来、医療現場は経済的に非常に苦しいというお話がございますけれども、御存じのように、歯科診療所というのは約45%が個人立でございまして、非常に経済的基盤が弱い。そこの中で、基本認識の中にもありました昨今の物価高騰、賃金上昇に伴って、歯科医院というのは材料費の比率が非常に高いということで、物価高騰が直接経営にボディブローのように効いてくるということで、人材確保が非常に厳しい状況が続いており、危機感を持っておるところでございます。
 このような状況から、私どもは物価高騰、賃金上昇及び人材確保については、前回同様に喫緊の課題と捉えておりますので、引き続き基本方針の中で位置づけていただく方向で御検討をよろしくお願いしたいということ。そして、かかりつけ歯科医を中心とした口腔疾患の重症化予防、そして、口腔機能低下への対応、これまでどおり生活の質に配慮した歯科医療の推進も併せて御検討いただければありがたいと思っております。
 そして、今、歯科のほうで一番問題になっているのが、歯科医師が非常に高齢化しておりまして、地域によっては事業継承ができない、いわゆる後継ぎがいないということで、在宅歯科医療を含めた歯科医療提供体制の確保が非常に難しくなっている地域、こういったものも存在してきているということで、僻地での歯科診療の提供体制ができないのではないかという危機感を持っております。
 歯科医師会としても偏在対策には取り組んでおりますけれども、今、非常に医療DXが進んでおりまして、歯科医師会としてもフォローはしておるのですが、高齢の先生方がついていけないということで、こんな設備投資をすることもできないし、もう辞めたいというような声がたくさん聞かれまして、昨年は歯科医院の閉院の数も過去最高になっておりまして、こういった急速なDXの進展というのが高齢の歯科医師の働く意欲をそいで、こういった方々が早くにリタイヤしてしまうといったことがないように、丁寧に進めていっていただければありがたいなと思っております。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、会場御参加の御意見はひとまずこれぐらいにさせていただいて、また後で戻ってまいりますけれども、お待たせいたしました。オンライン参加の委員の方々にお願いしたいと思います。
 それでは、野村委員、お願いいたします。
○野村委員 野村と申します。よろしくお願いします。
 令和6年度の診療会診療報酬の改定で実際に改定された部分が分かりやすくまとまっており、こうして反映されたのだと改めて認識しております。
 令和8年度の改定に向けても、医療の体制も変化していき、また、変わらず物価上昇も持続しております。病院側の状況も厳しい中で、医療の質や体制を整備していただいていることも十分理解しておりますが、私たち国民の状況もまたこの物価上昇や医療の集約化や、一部の地域では病院が閉院するなど、変化に伴い困難なものになりつつあります。また、地域によっては今もなっている状況であるかと思います。
 令和8年度の改定に向けても、社会の変化に即した診療報酬の改定になっていくことかと思います。それによって、私たちの医療の受け方や状況も変わっていく部分もあるかと思います。必要な医療が受けたくても受けられないとか、また、医療や治療は容易に受けられたけれども、受けてみたら大変な状況になってしまったなど、誤った状況に陥らないように、今後の議論を引き続き丁寧に進めていただきたいと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。井上委員、よろしくお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。
 初回ですので、基本的な認識につきまして御意見を申し上げたいと思います。
 今後の報酬改定を検討する上で、人口の減少、超高齢化の進展ということが一番重要な変化だと思います。医療需要が変化しますし、生産年齢人口も減少するということで担い手不足もあります。こういった変化を見据えながら、提供体制自体もその変化に迅速に適応するような方向に舵を切ることが必要であると思います。各地域のニーズに応えながら、限りある資源、財源を活用していくためには、医療機能の分化・連携、集約化をこれまで以上に力強く進めること、また、医療DXを一層活用して、効率的な提供体制の構築を後押しするような報酬改定にしていただきたいと思います。
 また、現役世代の過度な負担をいかに抑制していくかということが先般の選挙でも非常に重要な論点になっております。さらに、経済、財政との調和といったことにも配慮をする必要があると思います。
 参考資料3に示されたとおり、先般の骨太方針において、これまでの改革を通じた保険料負担の抑制努力も継続しつつ、経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算するということが政府の方針とされているところでございます。
 中医協で示された資料では病院と診療所間で収益状況に差があるということが示されております。恐らく病院間にも機能によって収益状況に差があるでしょうし、診療所の中でも都市部、地方部ということで差があると思います。
 こういった点を踏まえながら、一律的な対応ではなく、機能に応じてめり張りを利かせて、そして、データにしっかり基づいた議論を行っていただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、木戸委員、よろしくお願いいたします。
○木戸委員 ありがとうございます。
 資料の2ページには前回の基本方針が掲げられていますけれども、いずれも今後も継続して取り組むべき課題が並んでおり、ここから今回あえて削るべき項目は見当たらないように思われます。
 ただ、先ほどからお話がありますように、多くの医療機関の経営が大変厳しくなっており、医療提供体制を地域におけるインフラとしていかに確保・維持していくか。これはぜひ優先的な課題として位置づけるべきと思います。
 医療機関のほうも生き残りをかけまして、不採算のところは容赦なく病床や人員を削減するなど、必死に対応していますが、対象者が減っている産科や小児科はその影響を真っ先に受けやすく、待遇の悪化が現実に起こりつつあります。例えば定員が削減されてしまい、就職を希望する方がいてもポストがないとお断りしたり、人員が減っても夜間・休日などの時間外の当番は減りませんので、1人当たりの分担は増えています。
 また、働き方改革を進める中で、宿日直許可を取得しているところが増えておりまして、産婦人科医会の調査によりますと、分娩取扱病院の7割が取得しているのですけれども、それによって当直翌日に早めに帰れる、こうした勤務緩和の実施率が半減してしまっているということも調査で分かっています。
 また、前回の改定でMFICUなど集中治療室の加算要件が厳しくなって、特に人口の減っている地方では要件を満たせなくなって、収益が減ったり、周産期センターを返上したり、そういったところも出てきています。
 診療報酬改定や働き方改革によってよかれと思ったことが現場に逆に悪影響を及ぼしているのであれば、見直しを含めて対応する必要があると思います。
 前回の改定での具体的方向性の例として、重点的な対応が求められる分野への適切な評価ということで小児・周産期、救急医療についても盛り込んでいただいておりますけれども、予想を上回るスピードで少子化が進んでおります。これで対象者が激減していることを踏まえ、小児・周産期医療につきましては診療報酬で賄うのが数としてはもし困難であれば、政策として別枠で何らかの形で体制を維持する仕組みも検討していただき、少子化対策の側面からも、国として地域で安心して出産・子育てができる体制確保、人口維持のためにちゃんと国もやっているということを国民に示していくべきと思います。
 最後に1点質問ですけれども、資料の3ページ以降で基本方針と改定項目の整理を表にして、大変分かりやすいと思いますけれども、右側に挙げられている例が非常に少ないので、ごく一部だと思いますが、もしもう少し詳しい対応リストがあれば、そうした資料は検討の参考になると思いますが、そうした資料はありますでしょうか。前回の改定項目を見直して、基本方針がしっかりと反映されているか、検討する上でそういった資料をぜひ出していただければと思います。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、事務局にお尋ねがありました。この例として挙げられているもの、より詳細なことを提示することが可能かどうかという御趣旨だと思いますけれども、いかがでしょうか。
 医療課長、どうぞ。
○保険局医療課長 御質問ありがとうございます。
 令和6年度診療報酬改定の内容を令和6年の2月に公表した際に、この基本方針の項目に沿った形で全ての内容を一度公表しておりますので、非常に大部なものではあるのですけれども、ホームページ上にお示ししているという意味ではお示しさせていただいております。もしそれを御覧いただける際は御覧いただければと思いますし、この会議においてどういう形でお示しするかということはまた考えさせていこうと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。御検討いただければと思います。
 それでは、続きまして岡委員、お待たせいたしました。よろしくお願いします。
○岡委員 ありがとうございます。日本病院会の岡でございます。
 令和6年度の診療報酬改定の基本方針の重点課題として医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組を一番上に持ってきてあるのは評価できますし、確実に医療従事者の賃上げを実現するための手法としてベースアップ評価料を新設した取組は一応評価したいと思います。
 しかし、ベースアップ評価料で賃上げできる率は2024年度2.5%、2025年度2.0%に対して、春闘で示された賃上げ率は5%を超えていますし、今年度の人事院勧告では3.62%とベースアップ評価料が全く追いついていないという現実があります。
 今後ももしベースアップ評価の手法を継続するのであれば、春闘や人事院勧告に準じたアップ率、さらには春闘の賃上げ率や人事院勧告との差が顕著であれば、ベースアップ評価料だけでも期中改定を行うことなどを考えるということもぜひ今後検討していただければと思います。これを確実に行わないと、医療に従事する人材が他産業に流出する危機はまさに目の前に迫っております。このことが最終的に医療崩壊につながると思いますので、ぜひ今後重点的に検討していただければと思います。
 そして、ICTや医療DXの推進は持続可能な医療体制を構築するために必要であり、まさにこれは国策であると思いますが、これらを導入するには多大なコストがかかり、現状の病院の経営状況では多くの病院が導入できないという事実があります。やはりICTや医療DXの推進に対してしっかり診療報酬で評価するということと、神野先生もおっしゃったように、ICTや医療DXを推進しても、現在の診療報酬の人員配置基準でそれがあまり生かされないということで、現状のストラクチャー評価からプロセスあるいはアウトカム評価に変えていく方向性をぜひ令和8年度では考えていただきたいと思いますし、具体的に言うと、専従要件とかがあまりにも多過ぎて、せっかく我々が業務を効率化してもそれが生かされないということなので、こういう専従要件とか兼務の禁止ということもぜひ今後考えていただければと思います。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 では、続きまして望月委員、よろしくお願いいたします。
○望月委員 望月です。よろしくお願いいたします。
 まず、基本的に診療報酬改定には大きな2つの要素があると思うのです。一つは全体の改定率、もう一つが個々の改定の基本的視点と具体的方向性ということになると思うのですけれども、全体の改定率に関してはここで話す話ではないのかもしれませんけれども、やはり全体の改定率は今回の骨太方針にあるように経済の動向を踏まえた状況を加算するをぜひとも実現してもらいたいと思います。今、病院の経営は諸物価高騰にとても苦しんでいる状況ですので、公定価格である診療報酬をしっかり世の中の動向に合わせてほしいと思います。全体の改定率が上げてもらえるのであれば、その中で個々の改定の基本的視点というのが出てくるのではないかなと思います。
 あと、個別事項でベースアップ評価料の新設、入院基本料や初再診料等の引上げというのが令和6年度に出たわけですけれども、診療報酬に人件費をこうやって用途を指定して盛り込むという方法は今まではなかったです。看護師の処遇改善のときからこれが入ってきて、ベースアップ評価料ということになったわけですけれども、これは全然足りていないというのは先ほど岡先生もおっしゃっていましたし、ベースアップがこの金額だけではとても足りなくて、結局は医療機関が持ち出して何とかベースアップしているという状況に今なっていますので、用途を指定してこのようにパーセントを決めてしまって、これが2年間動かないというのもいかがなものかと思います。ベースアップ評価料ともし出すのであれば、社会の動向に合わせて、期中改定ではないですけれども、ここのところはフレキシブルに考えてもらいたいなというのはあります。何としても全体の改定率は何とか確保してほしいなという思いなのですけれども、その辺の議論もこの会で取り上げてもらえればなと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、また会場で御参加の委員に戻りたいと思います。
 山本委員、お願いいたします。
○山本部会長代理 令和6年度の診療報酬改定の基本方針の概要の一番最初に物価高騰・賃金上昇への対応と書いてあるにもかかわらず、皆さんお話しのとおり、全然足りていないということで、現状の病院などの経営危機が訪れているということは間違いないことだと思います。
 本当に大変なことばかりなのですが、その一方でコロナの補助金でちょっと緩んでいた病院経営者に思いきり冷や水をかけたと。水を頭からぶっかけたという効果は実はあって、多くの病院で経営の効率化あるいは集約化というところが進んでいることも事実だと思います。
 ただ、そういうことを一生懸命やって、そして、地域ニーズに一生懸命しっかり応えて、患者もしっかり診ている病院でも赤字になってしまう。これはやはり何とかしていただかないと、現場で働いている人間はたまったものではないということをまず申し上げたいと思います。何でもかんでも救えというのは、今の日本の財政を考えれば難しいことは十分承知しておりますが、やはりしっかり経営の効率化・集約化などを進め、そして、地域ニーズに確実に応えている医療機関、これは将来の今後の建て替えの問題も当然関わってきますので、持続可能な病院経営ができるような体制をぜひ構築するべきだと考えます。
 ここをちゃんとやらないと、地域医療構想でいろいろどの地域にどれだけの病院を残すのだという議論をしても、それに先んじて病院の淘汰が進んでしまうという非常に危険な状態が訪れるのではないかなと危惧するところでございます。それが1つ目です。
 もう一つは、昨年決まった地域医療構想の中では高齢者急性期に非常にフォーカスが当てられて、重点的ないろいろな医療機関機能などにも定められています。前回の改定では、むしろ地域医療構想を先取りする形で、地域包括医療病棟など高齢者の急性期に対応する施策がいろいろ盛り込まれていることは、要件が厳しいといってなかなか手挙げをする病院が少ないというところはありますけれども、コンセプトとしては評価できるのではないかと思います。その辺がこの改定項目の整理の中であまり書かれていないのがどうしてかなと思いましたが、これは次の改定でもやはりああいう病棟ができる、あるいは高齢者急性期に注力しなければいけないのだというメッセージが診療報酬改定でも明確に出されることで、多くの病院がそこにしっかり取り組むということになるのではないかと思いますので、その点の後押しはしっかりしていただきたいなと思います。
 それから、3つ目は、先ほど菅野委員ほかからもお話がありましたが、医療DXが医療現場の実態からはどうなのかなと。実態に即していないのではないか。要するに、今後医療需要は増えるにもかかわらずどんどん医療従事者が減っていくという中で、そこを埋めるものはDXなのではないかなと思います。国はいろいろトータルとしての全体的なシステムの整備にいろいろ注力されているのは分かりますけれども、医療現場で本当にDXを進めて、今よりも少ない人手でも今と同じあるいはそれ以上のクオリティーの医療サービスが提供できるような、そこの投資こそぜひしていただきたいなと思うところでございます。
 以上、3点申し上げました。ありがとうございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、小野委員、それから米川委員の順番でお願いしたいと思います。
○小野委員 ありがとうございます。
 最初ですので、総論的なことを若干申し上げさせていただきたいと思います。
 先ほどの自己紹介のときに外国人の教育という話もさせていただいたのですけれども、そういった機会につくづく感じますのは、やはり国民皆保険体制というもののすばらしさというか、安全で高い質の医療を全国で平等に提供できることの貴重さだと思っておりまして、別の機会に自由診療の分野に関わる議論にも厚労省の関係で参画させていただいておりまして、その点からもやはり国民皆保険体制の価値というものをすごく再認識するところでございます。
 ただ、それを続けていくためには、やはり国民の人々の支持というものが必要になるかと思っておりまして、そのために、供給のお立場からすると、地域医療構想にせよ、DXにせよ、効率化とか適正化といったことも含めまして、社会から求められている改革をどのように主体的に成し遂げていくのかということに関する前向きで具体的なメッセージというものがそういった支持につながっていくのではないかなと思っております。
 他方、費用の負担のお立場のほうの話は医療保険部会の話になるのかもしれないのですけれども、もちろん国民皆保険を持続させていくための適正な医療費の水準というものが必要かと思いますが、それに加えまして、先ほど木戸先生もおっしゃられたように、医療というのは地域社会を支えていく、持続させていくために必要なインフラであるということの認識であるだとか、あとは就業セクターとしては介護と合わせると3位の大きさにもなりますし、医療はそのうちの半分弱ぐらいだったと思うのですけれども、かなり大きな就業セクターである。医療費の適正な水準を確保することで賃金水準が確保されることが従業員の方々の賃金増につながって、それが地域でお金を回して地域経済を支えていくという役割がある。その側面というのは、やはり雇用の相対的な規模を考えれば地方部のほうでより大きいものがあるのではないか。そういった点なども踏まえた上で、様々な議論を今後展開していかれることが期待されるなと考えています。
 以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。米川委員、よろしくお願いします。
○米川委員 ありがとうございます。
 私は保険者を代表してということで、健保連としての考え方を申し上げたいと思います。
 皆様の御意見を伺っておりましても、現場からの悲鳴というか、医療現場がいかに大変な状況にあるかということは十分理解しておるつもりでありますし、また、我々保険者にとっても医療提供体制を維持していくということは最重要のことだと認識しております。
 近い将来を見通した人口減、医療ニーズに応じた医療提供体制を整えるということについては、健保連としても協力したいと思っています。ただ、その中では、保険の財政という面において言うと、いわゆる保険者を支えております一般の被保険者、それから、事業主が保険料を拠出しておるわけなので、その方々から見たときに、これまでのいわゆる診療報酬改定がある中で、自分たちの賃金が上がらない状況の中で応えてきたという実績を考えると、今後も医療保険制度の持続可能性に資するためには、より一層の賃金の上昇とそれを支える被保険者国民の理解というものが必要だと思います。
 お話を伺っていまして、今回の診療報酬の改定に期待する動きは非常に大きいのですけれども、これは診療報酬の改定だけで全てを賄うということではなくて、ほかの委員の先生もおっしゃっていましたけれども、特に財源ですね。ほかの税制であるとか、補助金であるとか、ほかのいわゆる財源に関する提言というか考え方を示すということも改定において基本方針の中に織り込んでもいいのではないかなと思います。
 最後に、今日は薬剤給付の最適化というお話は出ませんでしたけれども、医療DXと併せて長期収載品の選定療養の強化、OTC類似薬の給付の見直し等、効率的な薬剤給付の在り方というものについても御議論いただければありがたいなと思います。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかに会場で御参加の委員で何かございますか。
 それでは、オンラインにまた戻りたいと思います。
 それでは、荻野委員、お手を挙げておられますので、よろしくお願いします。
○荻野委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の荻野でございます。
 私からも前回改定の振り返りについて意見を述べさせていただきます。
 令和6年度改定におきましても、物価高騰・賃金上昇への対応を基本方針に入れていただきましたけれども、中小の薬局にとりましてはまだまだ十分な対応になっていないということが調査結果からも明らかになっております。要因としては、物価高騰に加えて毎年の薬価改定や、医療用医薬品・医療材料の納入価格が償還価格を上回る、いわゆる『逆ざや』となる品目が増加していることなどが挙げられ、中小薬局の経営は大変厳しい状況となっております。
 特に賃上げ対応でありますけれども、薬局は全産業平均を大きく下回っておりまして、私どもの調査では、薬局薬剤師は1.44%の賃上げ、かつ約半数の薬局が賃上げすらできなかったという現状の厳しさが出ております。
 これら地域に密着した中小薬局は、休日夜間対応、あるいは在宅医療等で医師と連携して役割を担い、薬局間での連携体制も構築しながら地域医療を支えていますが、これらの中小薬局ほど賃上げが厳しい状況が顕著であることを御理解いただきたいと思います。
 一方で、僻地の薬局を視察いたしますと、人口減少、高齢化、医療資源の減少の中で地域医療を何とか支えている状況であり、これらの薬局が経営難あるいは後継ぎ不在等から廃業に追い込まれ、地域医療の提供に滞りが発生することのないよう、2040年に向けての地域医薬品提供体制を確保することができる基本方針等にしていただくことが必要と考えております。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして石飛委員、よろしくお願いいたします。
○石飛委員 全国市長会を代表しております、雲南市長の石飛と申します。
 私からは2点申し上げます。
 現在、日本の国が置かれている状況、あるいはこれからも目指していく施策の方向性として、地方創生という言葉で言われておりますが、人口が減少する中でも何とか持続可能な地域をつくり、その中から少子化を克服し、あるいは食料安全保障を確保していく。そういうような視点の中での大きな施策として日本の政策が進んでいるものと思っております。
 そうした中で、医療は地域の持続可能性を維持するために必要不可欠なものでございます。何とか人口が減少する地域でも医療へのアクセスを確保できる体制を検討していくということで、今後、部会におきましても、医療提供体制の検討については、人口規模、そうしたものの視点も入れながら議論が進んでいくものと認識しております。ぜひ住民の安全・安心を守りながら、地域に必要な医療が持続的に確保できる。そうした報酬あるいはそれに関する対策が検討されることを期待するものでございます。
 2点目ですが、こうして人口が減少する中で、この部会でも地域の医療を支えていく上で公立病院、そうした地域の核となる病院に対して、様々な機能を発揮することについての期待が寄せられているものと思っております。一方で公立病院は人事院勧告に伴う給与改定というような特殊な事情がある中で、今回のベースアップ評価料を大きく上回るような人件費の負担が増えている状況です。他の病院もそうだとは思っておりますが、公立病院も非常に厳しい経営環境の中にございます。そうした公立病院をどう支えていくのかということ、その特異性も含めて、御議論がなされることを期待するものでございます。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、続いて角田委員、よろしくお願いいたします。
○角田委員 遠藤部会長、ありがとうございます。
 私からは、前回の改定の振り返りということでの御議論でございますが、資料1の2ページ目を御覧いただきたいと思います。各委員の先生が御発言されたように、改定に当たっての基本認識の1番目の矢羽に物価高騰、賃金上昇云々、それらの影響を踏まえて対応と出ております。
 3ページ目を見ますと、それに対する前回改定の項目の対応が整理されております。
ただ、結果を見ていただくと、どうでしょうか。先ほどから病院関係の先生方がおっしゃっているように、多くの病院の赤字がさらに増して、70%の病院が赤字になっている。また、冒頭に黒瀨委員から詳細にお話がありましたが、実は診療所も多くの診療所が赤字転落しております。このままでは、全く地域での医療を保つことはできません。そして、病院、診療所の施設の差、ないしは大都市であったり地域だったりという地域差もなく、全体の医療機関が実は赤字転落しております。ほかの歯科や薬剤師、看護士の方々からの御意見もありましたが、医療全体としてこのままでは存続することができない。そうしますと、新たな地域医療構想等で幾ら議論したとしても、地域にそういう医療機関が存続できるような状況になってしまったら、全く何もすることができません。ぜひ前回の診療報酬の改定の対応を超えた、もちろん診療報酬で対応できないところは補助金等の対応が必要だと思いますが、本当に今までにないしっかりとした対応をしていただかないと、今後とも多くの医療機関が存続できなくて、ひいては日本の医療介護制度は保てなくなりますので、ぜひその点はしっかりと御認識の上、進めていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして玉川参考人、よろしくお願いいたします。
○玉川参考人 ありがとうございます。
 都道府県の立場から発言させていただきます。
 前回の令和6年度診療報酬改定では、当時の経営状況等の影響を踏まえて引上げが行われましたが、現在の医療機関における運営コストはこれを上回っており、その結果、危機的な経営状況に置かれていることから、令和8年度診療報酬改定に向けては、前回改定の際の基本的な視点も踏まえて、併せて社会経済情勢をしっかりと反映した診療報酬となるよう、検討をお願いいたします。また、物価や賃金の上昇に応じて適時適切に診療報酬をスライドさせる仕組みの導入についてもお願いをいたします。
 なお、こうした診療報酬改定の内容については、全国知事会として国に要望しているところであり、骨太の方針2025でも、医療機関の経営の安定化や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につなげるため、経済・物価動向等を踏まえた増加分を加算すると明記されたほか、概算要求においても記載がなされたことから、確実な実現をお願いいたします。
 さらに、医療サービスの効率化、質の向上を図る上では医療DXの推進が不可欠であることから、電子カルテシステムの導入・維持をはじめ、システムの運用コストに対応できる診療報酬の在り方についても併せて検討をお願いいたします。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、伊藤委員、よろしくお願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。日本医療法人協会の伊藤でございます。
 私のほうからは、皆さんとほぼ同じような意見なのですが、前改定の振り返りということで、この振り返りについては、24年の診療報酬改定の振り返りというよりは、もはや既に22年あたりから始まっているインフレの緩やかな傾向の中で、これはコロナの支援によって随分マスクされていますけれども、現実にコロナの支援を受けていない中小の病院に当たっては、非常に厳しい環境が続いたということを振り返っておかなければならないだろうと思っています。支援を受けていない中小の医療機関は何とか過去の利益を食いつぶしながら医療を提供し続けてきたわけでありますけれども、24年改定の使途を決められたところの例で80%、この改定によって新たな投資を停止する。これは中小だけでなく、全ての医療機関が新たな投資を停止するのみならず、これまでの資産を取り崩すということでこれを耐えてきたわけであります。しかし、現状、その限界を超えて医療機関の破綻、閉鎖が続出する中、地域医療の体制そのものの崩壊が始まっているという大変危機的な状況にあります。
 次期の診療報酬改定におきましては、この過去の分をきちんと勘案しながら改定をしていただきたいということと同時に、もう一方では、改定後も2年間、これは物価が高騰し賃金がさらなる上昇をするということを見込んだ上で、大幅な改定率が求められているということをお願い申し上げたいということが一点でございます。
 2点目が医療DXに関するお話でございます。これは神野委員、岡委員からもお話がございましたけれども、人員配置基準というのは、これを緩和していただかなければ医療DXを行うことの意味がないということ。それからもう一点、過去の医療情報の管理システムが医療経営に与えた多大なる負荷というものを考慮して、DX化でこれを進めるとするならば、費用の適正な支援をお願い申し上げたいという2点でございます。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、松田委員、お手を挙げておられますので、よろしくお願いします。
○松田委員 皆様が言われたことと意見はほとんど同じなので、それ以外のことで1点だけお願いしたいと思うのですけれども、これから人が足りなくなってくる。多分それは医療者だけではなくて、医療を支える病院の事務職もこれから足りなくなるのです。全体として労働人口は減ってくるわけですので、そのときに課題となってくるのは、今の複雑な診療報酬の請求事務をできる人材がこれからも確保できるのかということです。医療の診療報酬の体系が複雑であるために、医療DXも複雑になってしまうということですので、今回の改定の中で、将来に向けて診療報酬の簡素化というものを少し考えていただきたいなと思います。それがないとなかなかDXも進みませんし、人員基準の見直しをすることも難しいと思いますので、ぜひそれもよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。画像のほうが鮮明ではなかったのですが、お言葉はきちんとお聞きしましたので、御意見として承りたいと思います。
 ほかに会場、オンラインを問わず、何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、本件につきましては、初回ということで様々な御意見が出ました。事務局におかれましては、本日いただきました御意見も踏まえながら、今後議論を深めていくことができますよう、資料の整理等をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、1番目の議題についてはこれまでとさせていただきたいと思います。
 それでは、次に医療法人の経営情報のデータベース(MCDB)に係る第三者提供体制について、事務局から関連の資料の説明をお願いしたいと思います。
○医療法人支援室長 医療法人支援室長です。
 資料2「医療法人の経営情報のデータベース(MCDB)に係る第三者提供制度について」を御覧ください。
 資料の2ページ、右下の番号で1です。
 このデータベースは、【データベースの概要】にあるとおり、原則全ての医療法人を対象として、病院・診療所における収益及び費用、また任意項目ですが、職種別の給与情報などを出していただくものです。国が集め、分析して公表するもので、このデータベースそのものは上の【施行日】にあるとおり、すでに令和5年8月1日から始まっています。
 今回お諮りしますのは、赤文字で書いてありますが、「➂医療法人に関するデータベースの情報を研究者等へ提供する制度」を第三者提供制度と申しておりまして、➂については、法律の公布日が令和5年5月だったのですけれども、この制度はそれから3年以内の政令で定める日から開始することとして、これから開始しますので、そのために必要な政令改正の案について本日お諮りするというものです。
 2ページ目を御覧ください。
 先ほど病院・診療所から情報を出していただくと申しましたが、含まれるデータとして、上にある法人ごとの情報、またその下にある病院・診療所ごとの詳細な収益、費用、どのような収支構造になっているか。あるいは任意項目ではありますが、職種別の給与情報なども出していただくというものです。
 3ページ目を御覧ください。
 この集まったデータの第三者提供制度をこれから始めるわけですが、「目的及び基本的な考え方」にあるとおり、「国民共有の財産として有効活用されるべきであり、研究目的等のためにデータを利用する第三者への提供制度について検討が必要」ということが、このデータベースの検討会報告書の中で報告されています。
 ただ、2つ目の○が重要で、「医療法人情報には医療法人の競争上の利益を侵害するおそれのある情報等が含まれていることに留意し、個人及び法人の権利利益が侵害されない制度とする」という指摘をいただいています。具体的には、それぞれの法人や医療機関の経営情報あるいは先ほど申し上げた職種別の給与情報なども入っておりますので、研究者にデータを提供する際に、どこの病院、どこの診療所、どこの法人ということが分からないように提供するというのがこの2つ目の○の趣旨です。
 では、具体的にどのように提供するかというのが、その下の「施行予定の仕組み」として、1つ目の○と2つ目の○で主に2本立てになっています。
 1つ目はオーダーメイド集計と申しまして、これは国にこういうふうに集計してほしいという依頼をいただき、その集計結果を出すもの。
 2つ目が医療法人情報の提供と申しまして、これが個別の医療機関のデータを先ほど申し上げたように匿名化をして、そのデータを見てもどこかということは分からないようにしたうえで、個別の医療機関のデータを出すというものです。
 矢羽にあるとおり、個別の情報になりますので、データ提供に当たっては、実際は審議会の下に専門委員会を設けることになると思いますが、あらかじめ社会保障審議会の意見を聞いて個別に審議をして提供するという仕組みになっております。
当然、その際には、3つ目の○にあるような、再識別の防止、そのデータを見てもどこの医療機関なのか分からないようにすることや、あるいは受け取ったデータの安全管理措置をどういうふうにしたらいいかということを今後ガイドライン等に定めていくことになっています。
 4ページ目を御覧ください。
今申し上げたオーダーメイド集計や、個別の医療法人情報の提供、再識別の防止措置、安全管理措置など、こうした項目をどのように進めていくべきかに関しては、第三者提供制度に関する検討会の報告書を8月26日に公表しまして、これに従い様々なガイドライン等を定めていくこととしております。本日お諮りするのは、事務的な内容で恐縮なのですが、その下にある手数料は実費を勘案して政令に定める、あるいは手数料の免除についても政令に定めるということになっておりますので、この政令の案についてお諮りするものです。
 5ページ目を御覧ください。
 タイトルに「医療法施行令の改正案について」とあります。
 施行日(案)について、これはいつから始めるかも政令で定めますので、赤文字部分ですが、令和8年4月1日から始めたいと考えております。
 手数料(案)については、赤文字部分ですが、手数料の額や減免・免除対象を医療法施行令に規定するとしています。
具体的には、一番下の箱の左下に、先ほど申し上げましたオーダーメイド集計と医療法人情報の提供があり、それぞれにかかる手数料については、例えばオーダーメイド集計であれば、1人が1時間作業するのに対して6,300円をいただく。あるいはその下の医療法人情報の提供につきましても同じく1時間当たり6,300円。これはなぜ6,300円かと申しますと、実際のデータベースは福祉医療機構(WAM)が国からの委託を受けてやっており、実際にWAMでどれくらい人件費がかかっているか、どれくらい物件費がかかっているかということを全部積み上げまして、1人1時間当たりを積算しております。
 医療法人情報の提供につきましては、先ほど申し上げたように一件一件提供できるかどうかを社会保障審議会で審査いただきますので、その審査にかかる費用も政令で定めるということになっています。こちらにつきましては、16万2,100円を超えない範囲で別途告示で規定することとしております。これは実際の社会保障審議会でどれくらいお金がかかるかということが今の時点で見込めませんので、16万2,100円を超えない範囲で別途規定することとして、まずスタート時点では0円でスタートしようと考えております。
 この16万2,100円がどこから出てきたのか、次のページをめくっていただきますと、縦に3列並んでおります。左のほうからMCDB、このデータベースと、真ん中にNDBというレセプト情報のナショナルデータベース、それから右端に統計法がありまして、実はMCDBはNDBに基本的には倣って、それに並びでいろいろな制度を考えております。
 真ん中あたりの段に作業費用という欄がございますが、NDBでは1時間当たりの金額はもう少し高いのですけれども、社会保障審議会に1回かかる金額を16万2,100円を超えない範囲と定めています。これも社会保障審議会にどれぐらいかかるかということを基に設定されたそうなのですが、MCDBにつきましても同じように16万2,100円を超えない範囲で定めるということにしたいと考えております。
 それから、その下に減免対象者という段がございます。こちらもNDBに倣って定めようと考えており、ア、イ、ウとあります。アが全額免除できる場合、イが半額にする場合、ウが半額で足りない場合、さらに減額できるという場合です。
 アは全額免除が公的機関、厚労省は自分のデータベースですのでもちろん使えるのですけれども、厚労省以外の国の行政機関ですとか自治体が使いたい場合は全額免除。あるいは厚労省からの補助金を受けて研究をする場合。あるいは補助ではなく受託して行う場合は全額免除。
 半額減額につきましては、厚労省以外の公的機関から補助金等を受けて研究を行う場合、あるいはナショナルセンター、基盤研など、厚労省が別途省令で定める公共法人、公益法人等、あるいはそれらからの受託者については半額にしたいと。
 あるいはウはさらにそれでももっと減額が必要という場合も厚生労働大臣が別途認めることができるという仕組みを考えています。
 これらの手数料の額と、どういう場合に減額、免除できるかについて、政令を定めますので、これらの内容について御審議いただければと考えております。
 説明は以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明のあった内容についての御意見、御質問等をいただきたいと思います。
 それでは、また会場で御参加の方からいきたいと思いますけれども、何かございますでしょうか。
 神野委員、どうぞ。
○神野委員 神野です。ありがとうございます。
 今回の御提案につきまして、特別異存はございません。
 ただ、今回MCDBが立ち上がるときにもいろいろ話があったわけですけれども、例えば先週の中医協に資料として使っていただけたことに関しては、民間病院の経営状態を出すという意味では非常に意義があったのかなと思いますし、自治体病院は総務省からも資料が出ているし、国立病院は厚労省からも資料が出ているわけです。一方、本件とは違いますけれども、最近増えている一般社団法人立のクリニックとか病院といったなかなか表に出ないところをやはりきちんと表に出していただくような仕組みというのは別途検討いただきたいなと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。関連で御意見として承りました。
 ほかにございますか。
 小野委員、どうぞ。
○小野委員 大変技術的で細かい質問で恐縮なのですけれども、資料の4ページなのですが、手数料の免除のところで高齢者医療確保法の施行令を踏まえてと書いてあるのですけれども、この趣旨を教えていただければと思います。
○医療法人支援室長 この施行令が高齢者の医療の確保に関する法律施行令、なぜかということで申しますと、これはもちろん医療法に基づく仕組みなのですけれども、医療法を3年前に改正するときの改正法が、大変失礼いたしました。先ほど申し上げましたようにNDBの仕組みを参考に定めますので、NDBの仕組みは高齢者の確保法に定められておりますので、それを参考にするという趣旨でございます。
○小野委員 NDBを参考にしたということですね。ありがとうございました。
○遠藤部会長 よろしいですか。
 ほかに何かございますか。
 黒瀨委員、どうぞ。
○黒瀨委員 ありがとうございます。
 非常に貴重なシステムだと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思いますけれども、1点だけ指摘させて頂きたく存じます。この社会保障審議会のほうで審査をするということを前提に、金額も決めようということでありますけれども、研究をする前の段階の審査だけではなく、その結果として得られたアウトカムに対してどういう評価をするのか。それによって今後どういうふうにまたこの審議会のほうでそれを継続していくのか、あるいは発展させていくのかというところの視点も含めて審議をいただければなと希望します。
 以上でございます。
○遠藤部会長 御意見として承りました。
 ほかにいかがでしょうか。
 佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 ありがとうございます。
 提案に異論はございません。医療法人情報の見える化は重要ですので、活用を進めていただきたいと考えております。
 一方で、先ほど説明にもありましたが、このデータベースには、医療法人の競争上の利益を侵害するおそれがある情報に加え、特定の個人の収入を推知できる情報といったものも含まれますので、個人及び法人の権利利益が侵害されないよう、ガイドライン等でしっかり定めていただければと考えております。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 ほかにございませんか。
 それでは、オンラインのほうに移りたいと思います。
 角田委員、よろしくお願いいたします。
○角田委員 遠藤先生、ありがとうございます。
 まず、資料2-5の5ページに示されました施行日と手数料に関する政令の改正案については、特に異論はございません。
 改めてこの制度について発言させていただきたいと思いますが、このデータベースを第三者に提供するに当たっては、個別の経営情報や個人の給与が推定できるような形で公開されたり、ないしはそれが漏えいしたりしないよう、参考資料4にございますが、検討会でまとめられた報告書の内容をしっかりと省令、ガイドライン等で定めていただき、慎重に運用していただく必要があると考えております。
 特に特定の地域に絞った分析を行うと、例えば病床数だけでも個人とか法人が特定されてしまいます。そのような分析を行う場合は、ある一定の病床数ごとにグループ分けをするとか、または個々の集計値については範囲で示すことや、地域をできるだけ広くするといった細かい配慮が必要と思っています。
 また、分析の結果として示された各項目の集計値に関しては、特定されるリスクを最小限にできる、あるいは最小値の基準といったものが必要ではないかと思っております。
 また、今度は利用の要件としましては、相当の公益性を有するものとして、学術研究であったり、教育ないしは医療提供体制の確保と発展が示されております。申請書の書き方によっては、この辺りは適切ではない申請が来てしまうことがあるので、この辺はしっかりとガイドライン等で十分対応していただくことが必要と思っております。
 また、本制度の施行に当たっては、まずはやはりオーダーメイド集計を前提として運用していただいた上で、制度の透明性と信頼性を確保するためにも検討を重ねて、段階的にこの制度を進めていただきたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、井上委員、よろしくお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。
 施行令の改正案自体には異論はございません。
 関連して1つだけ申し上げたいのですが、これは先ほどの診療報酬改定にも関連しますけれども、やはり国民の社会保険料負担に対する納得性を向上させていくということが非常に重要な局面になってきていると思いますので、骨太方針などでも経営の見える化というようなことも書いてありますように、このデータベースがそれに役立つようにしていただきたいと思います。
 なかなかまだ報告数が少ないということもあるようですし、また、任意の項目もまだ多いということでございますけれども、可能な限り充実したデータベースを構築して、そのデータに基づいて建設的な議論をしていただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 では、続きまして石飛委員、よろしくお願いいたします。
○石飛委員 1点要望といいますか、意見を言わせていただきたいと思います。こうしたデータベースの活用は非常に重要なことだと認識しております。ぜひともこうした重要なデータを行政における政策分析に活用できればと思っておるところでございます。
 ただ一方で、行政が行う政策分析において、地域の限定等をする場合、特に規模の小さな地域では個人や法人の特定という部分に引っかかる可能性もございます。そうした点で、バランスを取りながらではございますが、ぜひとも、今後のガイドラインの検討に当たっては、そうした分析主体の守秘義務の確度というのですか。そうしたことも考慮しながら、ぜひとも政策分析に活用できるような制度設計をされるように期待しているところでございます。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかにオンラインでお手を挙げておられる方はいらっしゃいますか。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。
 私ども、皆さん既に御発言いただいておりますけれども、同じようなことで恐縮なのですが、大変重要な基本的な考え方なので確認したいと思っております。
 医療法人の経営情報のデータベースというのは国民共有の財産として有効活用されるべき、これは当然であります。適正な政策の企画だとか立案に活用されて、医療制度の安定化、持続可能性の向上に資するべきであることは異論は全くございません。
 しかし、皆さんが懸念しておいでのように、情報処理の過程だとか、それともう一つは、ほかの非常に幅広い医療機関機能だとか、先ほどお話しいただいた地域性のデータとの突合によって、個人法人の識別が可能となる可能性がないわけではないということから言うと、これは絶対避けなければならないと考えております。データ提供側の心理的な安全性というものはしっかり確保されなければいけませんし、正直者がリスクを負うことのない仕組みにすべきだと考えております。どうか再識別が不可能な形での運用を強く要望いたします。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。会場でも結構でございますけれども、よろしゅうございますか。
 それでは、様々な御意見をありがとうございました。当制度の運用に関して、課題や要望についていろいろと御意見もございましたけれども、基本的にこの料金に関する事務局原案につきましては特段の反対はなかったと理解させていただきます。
 それでは、事務局におかれましては、本日はいろいろ御意見をいただきましたので、それらを踏まえて進めていくようにお願いしたいと思います。
 それでは、2つ目の議題はこれにて終了したいと思います。
 それでは、委員提出資料として山崎學委員から資料提出がされておりますので、山崎委員、御発言があればお願いしたいと思います。
○山崎(學)委員 ありがとうございます。
 私、日本精神科病院協会の会長の8期目が終わって9期目に入っており、この審議会の委員も、今期17年目に入りました。最近この医療部会の審議に当たっていろいろ考えるところがあって、まとめました。
 お手元の資料にありますように、1番目は社会保障審議会医療部会の法的な立ち位置と役割ということで、社会保障審議会は、厚生労働省設置法第6条に基づき設置された厚生労働大臣の諮問機関であり、「医療、年金、福祉、雇用など、社会保障全般にわたる重要事項を調査審議し、厚生労働大臣に意見を述べる役割を担う」とされています。
 そして、医療部会は、社会保障審議会令に基づき、社会保障審議会の下に設置された部会の一つである。医療部会は、特に医療提供体制の在り方や医療従事者の資格、医療機関の指導監督など、医療に関する具体的な専門事項を深く議論し、審議会全体として意見の形成に資する役割を担う組織です。
 このように、医療部会は単なる意見交換の場ではなく、法律及び政令に基づき設置された厚生労働大臣の諮問に応じ、又は重要事項を調査審議し、その結果を大臣に答申する重責を担う機関であります。その審議プロセスは医療政策の形成に直接的に影響を与えるものであり、透明性の確保に加え、実効性ある議論を経なければなりません。したがって、構成員の活発な議論と意見の尊重が不可欠と考えます。
 2番目ですが、部会下部組織と検討会の位置付けということについてですが、現状、医療部会で検討すべき事項の一部が医政局長の私的懇談会である検討会において議論されていると認識しています。本来、専門的かつ継続的な検討が必要な事項については、医療部会の下部組織として専門委員会等を設置して、そこで詳細な議論を深めるべきであろうと考えております。
 検討会は、その設置目的や性格上、特定のテーマに特化した短期的な議論に適しているとはいえ、医療政策の根幹に関わる重要な議題や、継続的な見直しが必要な制度設計などにおいては、医療部会としての責任と権限の下、より深い議論を重ねるべきだろうと考えております。
 現状の運用では、検討会での議論が医療部会に報告される形で提示され、部会ではその内容について意見を述べるにとどまっている点が審議の形骸化を招いているのではないかという懸念があります。これは、医療部会が法的根拠を持つ審議機関として、その本来の役割を十分に果たせていない状況にあるということを危惧しております。
 3番目ですが、医療部会における議論と座長一任の運用についてですが、検討会から医療部会に報告された内容について、医療部会構成員から活発な意見が出されることは当然でありますが、その意見が十分に議論されず、また、取りまとめに反映されることなく、座長一任として結論が出されるケースが散見されることに対して強い疑問を感じています。
 医療部会は、医療に関する専門的知見を有する構成員によって多角的な視点から議論を尽くし、国民にとって最善の医療提供体制を構築するための重要な役割を担っています。構成員からの意見は、それぞれの専門性に基づく貴重な提言であり、その全てが真摯に受け止められ、議論に反映されるべきだと強く訴えるものであります。
 座長一任という運用は、部会構成員の議論の意義を希薄化させ、結果として部会の機能不全を招くことになりかねません。これは、国民の健康と医療に関する重要な決定プロセスにおいて、議論の透明性と多様な意見の反映を欠くことになり、医療行政に対する国民からの信頼を損なうことにつながり得ると危惧しています。
 ということで、今までの意見をまとめますと、抜本的な見直しが必要であると考えていまして、1つ目は議論の主導権の確保ですが、検討会で議論された内容について医療部会が主体的に議論を深め、必要に応じて修正や追加提言を行うことができる体制を確立すべきということと、意見反映の担保として、構成員から出された意見は、議事録に明記されるだけではなく、その後の政策決定プロセスにおいてどのように反映されたか、あるいはされなかったかということについて明確な説明責任が果たされるべきです。透明性の向上という点では、検討会の議事内容や医療部会での議論の過程について、国民に対してより一層の透明性を確保して情報公開を進めるべきであるという3点で、医療部会の役割と運用の在り方を考えていただきたいというのが私の提言ですが、この提言について、担当の医政局長の森光先生はどのようにお考えになるか、お考えを聞きたいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 このような御意見ですけれども、事務局として、また、医政局長というお名前も出ましたので、運用上の課題という御指摘ですので、何かコメントがあればお願いしたいと思います。
○医政局長 医政局長としてお答えさせていただきます。
 医療部会の役割というのは、まさに先生のおっしゃるとおりだと思っております。医療部会の議論が活性化されるべきであるということについても、そのとおりだと思っておるところでございます。
 ただ、残念ながら、医療に関しては非常に幅広い課題があり、また、専門性が非常に高い部分があるということで、これまで一部については検討会に委ねて検討させていただいてきたという経緯があるかと思います。
 それについて、おっしゃるとおり、この医療部会においてまさに意見をしっかり踏まえた上で検討が行われるべきだと。また、検討会の報告書についてもこの審議会の中で検討されるべきと。そのとおりだと思われますので、審議、運用の過程においてそのような点について配慮させていただきたいと思いますし、そのような形で医療部会の意見が反映できるよう、運営上進めていきたいと考えておるところでございます。
 よろしいでしょうか。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 山崎委員、よろしいですか。
○山崎(學)委員 3番目の座長一任のところですが、座長に一任した結果、どのような最終報告書になって、それがどのように政策に反映され、どうなったかという報告がありません。そのままでそれが政策になってしまっている印象が強く、その辺の整合性というか、その後の説明をやはりきちんと医療部会でしてほしいと思っています。その辺についてはどうなのですか。
○医政局長 これまで座長一任という形で預からせていただいたものにつきましては、基本的にはその後まとめる前に各委員の先生方に送らせていただいて、確認をいただいているという経緯を経ていると承知しています。
 ただ、先生がおっしゃるとおり、例えばこういう医療部会の場で再度報告書を示すというようなことがなかったというのは確かにそのとおりだと思いまして、そういうステップなりがどのように運営されるべきかということについては、少しこちらの事務局のほうで受け止めたいと思っております。
○山崎(學)委員 この医療部会が開催されるときは、大体法律の改正時期に合わせて集中して月に2回も3回もやって、あとは月によっては全然やらないで、議題がないと言えばそれまでかもしれませんけれども、もうちょっと委員から定期的にこういう議題についてこの医療部会で検討してほしいというのを提案できるような仕組みはできないのでしょうか。議題を事務局がつくったときだけに医療部会が開かれているという傾向があるような気がしています。
○医政局長 その点については、まさに法律、それから、政令、省令、それらのものをしっかり定めるときに医療部会の御意見を聞くということになっているので、申し訳ないのですけれども、法律の提出でとかそういう時期に集中させていただいているというところについてはそのとおりだと思います。ただ、それ以外の時期にもう少し広く医療部会の先生方の意見を聴きながら議論を進めていくということについては何らか工夫ができないか、少し検討させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 山崎委員の御指摘はいろいろ重要な指摘もあったかと思います。私も部会長としてそういう御要望もあったことを深く受け止めまして、事務局と相談しながら今後の議事運営に努めていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 どうぞ。
○山崎(學)委員 今日もそうなのですけれども、23人の委員がいて、職域の代表みたいな形で自分のバックグラウンドの意見を言うだけで、2時間という中で事務局の説明が30分あって、残りの90分で23人の委員が発言するということで終わってしまうので、やはり審議会なのだから、審議の事項があったら、3時間かかったって4時間かかったっていいと思うのですけれども、それを120分の中で収めるようにするから、結局尻切れとんぼになるのですよね。その辺はやはり開催時間にもうちょっと弾力性を持たせてほしいと思うのです。
○医政局長 その点についても、これはほかの委員の先生とも協議が必要な部分ではありますけれども、まさに十分な審議時間を取るべしという御意見だと受け止めますので、時期だとか時間等についても少し工夫ができないか、それも含めて受け止めさせていただきたいと思います。
○遠藤部会長 関連して申し上げますと、私も予定していた時間をオーバーするということを何度もやっておりまして、それでも30分ぐらいにしないと、さすがにほかの御予定のある委員も多いので、私、昔、中医協の会長をやっていた頃に、9時から始まって本来は12時に終わるという予定のところを2時までやったことがあるのです。不評でしたけれども、休憩を入れてやりましたが、徹底的にやろうと思いましてやったこともあります。ですが、その辺のところはバランスを取りながらと私は考えておるわけであります。
 よろしゅうございますか。
 それでは、本日の議事はこれで終了いたしますけれども、その他、全体を通しまして御発言等はございますでしょうか。
 では、黒瀨委員、よろしくお願いします。
○黒瀨委員 ありがとうございます。
 最後に、私の個人的なことで大変恐縮でございますけれども、先ほど申し上げましたように、本日をもってこの部会の委員を退任させていただく予定となっております。
 1年ちょっとという短い期間でございましたけれども、大変貴重な機会を与えていただいたと思います。特に昨年は新しい地域医療構想あるいは医師の偏在問題といった非常に重要な点に関して議論に参加させていただいたことに本当に感謝しております。ありがとうございました。
 今後、この貴重な経験を生かして、違うステージでまた頑張っていきたいと思いますし、国民の皆様方の健康と福祉に資するように私も研鑽し、努力していきたいと思います。
 最後に、先ほど山崎委員から御提言いただいたように、この部会がさらに活性化して、国民の皆様方に資するような会議へさらに発展していくことを祈念いたしまして、私の退任の皆様への感謝の気持ちとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。こちらこそ当部会の運営に大変御尽力いただきまして、部会長として心より御礼申し上げたいと思います。
 それでは、事務局、何かございますでしょうか。
○医療政策企画官 事務局です。
 次回の医療部会につきましては、決まり次第、改めて御連絡をさせていただきます。
 以上です。
○遠藤部会長 それでは、本日の会議はこれまでとさせていただきます。
 本日は、大変お忙しい中、御参加いただきましてどうもありがとうございました。