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第6回医道審議会医道分科会診療科名標榜部会 議事録
日時
令和7年9月4日(木)15:00~16:30
場所
航空会館ビジネスフォーラム(7階:701+702号室)
(東京都港区新橋1-18-1)
(東京都港区新橋1-18-1)
議題
1.部会長の選任等について
2.睡眠障害について
3.その他
2.睡眠障害について
3.その他
議事
○保健医療技術調整官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第6回「医道審議会医道分科会診療科名標榜部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、本日は御多忙のところ、御出席を賜り、誠にありがとうございます。
ウェブ参加の委員の皆様方におかれましては、参加中、基本的にマイクはミュートにしていただきまして、御発言の際には挙手ボタンで挙手をいただきまして、事務局もしくは部会長から指名がございましたら、初めにお名前をいただいてから御意見、御発言いただくようお願いいたします。
また、会場から参加されている委員の皆様方におかれましては、挙手いただき、事務局もしくは部会長から指名がございましたら、同じく初めにお名前をいただいてから御意見、御発言いただくようお願いいたします。
それでは、初めに医政局長の森光より御挨拶をさせていただきます。
○医政局長 医政局長の森光でございます。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、当部会の委員に御就任いただきまして、誠にありがとうございます。
また、本日は大変お忙しい中、御出席いただきまして重ねて御礼を申し上げます。
当部会は、国民の選択に資する医療機関における診療科名の標榜につきまして検討、審議することを目的に開催するものでございます。
診療科名に関しましては、患者や住民自身が自分の病状に合った適切な医療機関の選択を支援するという観点から、平成20年に当部会での議論を踏まえて政令を改正し、一定の性質を有する事項を包括的に規定する方式に改めました。これによりまして、単独で標榜可能な事項、内科や外科、精神科などと組み合わせて標榜可能な事項、小児や老人、呼吸器、循環器、がん、糖尿病などを定めておりまして、医療機関が標榜できる診療科名を拡大したところでございます。
今般、日本睡眠学会より、関係学会の賛同を得た上で、単独で標榜可能な診療科名と組み合わせて標榜できる用語として新たに睡眠障害を追加することについて御要望をいただいております。
構成員の皆様方には、それぞれ御専門の立場から忌憚のない御意見を賜りたく存じます。どうぞよろしく御審議をお願いしたいと思います。
○保健医療技術調整官 それでは、部会長が選任されるまでの間、私、事務局の医政局総務課保健医療技術調整官の九十九が進行を務めさせていただきます。
それでは、委員の皆様方の御紹介に移らせていただきたいと思います。
恐縮ではございますが、お名前を呼ばれました際には、一言御挨拶のほど、よろしくお願いいたします。
名簿の順番となりますが、日本歯科医学会総務理事、天野敦雄委員、よろしくお願いします。
○天野委員 大阪大学歯学部の名誉教授をしております、日本歯科医学会総務理事の天野でございます。本日はよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、国立研究開発法人国立成育医療研究センター理事長、五十嵐隆委員、よろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 御紹介いただきました、成育医療研究センターの五十嵐と申します。もともとは小児科医です。
こどもの正常な発達には睡眠が大事と、40年以上前から瀬川昌也先生がおっしゃっておられます。睡眠障害は発達障害のこどもを中心に問題となっています。
今日はどうぞよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、日本医学会会長、門脇孝委員、よろしくお願いいたします。
○門脇委員 日本医学会、虎の門病院の門脇でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML委員バンク登録会員、坂本純子委員、よろしくお願いいたします。
○坂本委員 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの委員バンク登録会員の坂本と申します。
患者家族の視点から意見を述べられればと思っております。よろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、公益社団法人日本歯科医師会常務理事、末瀬一彦委員、よろしくお願いいたします。
○末瀬委員 御紹介いただきました末瀬でございます。
現在、日本歯科医師会のほうでは学術国際渉外、そして、学会の担当の常務理事を拝命しております。よろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、明治学院大学法学部政治学科教授、西村万里子委員、よろしくお願いいたします。
○西村委員 明治学院大学の西村と申します。
法学部で公共政策を担当しております。政策の視点から意見を言わせていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、産経新聞社東京本社編集局文化部記者、平沢裕子委員、よろしくお願いします。
○平沢委員 産経で記者をしております平沢と申します。
医療とか食の安全を長く取材してきたもので、その経験からいろいろなことを今回お話しさせていただければと思います。よろしくお願いします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、公益社団法人日本医師会会長、松本吉郎委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員 日本医師会の会長の松本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、常葉大学法学部教授、峯川浩子委員、よろしくお願いします。
○峯川委員 常葉大学法学部の峯川浩子と申します。本日はよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 委員の先生方、ありがとうございました。
本日は、日本学術会議副会長、磯博康委員より御欠席の御連絡をいただいております。
それでは、現時点で委員9名の出席がございまして、過半数を満たしておりますので、本部会は成立しますことを御報告申し上げます。
なお、門脇委員からは都合により途中退席されると伺っております。
また、本日は、参考人として一般社団法人日本睡眠学会より内村直尚理事長に御出席いただいております。
内村参考人、一言御挨拶をお願いいたします。
○内村参考人 日本睡眠学会の理事長を務めております、久留米大学の内村です。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございました。
それでは、撮影につきましてはここまでとさせていただきます。
なお、引き続き傍聴される方は、今後は写真撮影、ビデオ撮影、録音はすることはできませんので、御留意いただければと思います。
それでは、続きまして資料の確認をさせていただきます。
ウェブ参加の委員の皆様には、事前に事務局からメールでお送りさせていただいております。
会場出席の皆様については、お手元に配付しております議事次第、資料1~3、参考資料1~4の御確認をお願いいたします。不足する資料がございましたら、事務局にお申しつけください。
それでは、早速ですが、議題1「部会長の選任等について」に移りたいと思います。
参考資料2を御覧ください。
こちらは審議会の運用規定を定めました医道審議会令を示させていただいておりますが、第6条の3におきまして「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」となっております。
本規定に基づきまして、委員の互選によりまして部会長を選任いただきたいと考えておりますが、どなたか御推薦はございますでしょうか。
門脇委員、よろしくお願いいたします。
○門脇委員 大変経験が豊富で、学識も高く、医道分科会長も務めておられます五十嵐委員に部会長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(委員首肯)
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
委員の皆様が首肯されておりますので、それでは、五十嵐委員、部会長席のほうに移動をよろしくお願いいたします。
それでは、改めまして、五十嵐部会長より一言御挨拶をいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 部会長に選出いただきました、成育医療研究センターの五十嵐と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
本会は17年ぶりの開催とのことです。睡眠障害が国民にとって大きな課題であることの反映ではないかと考えております。ぜひ皆さんから貴重な御意見をいただきまして、方向性を決めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 五十嵐部会長、ありがとうございました。
続きまして、本部会には部会長が指名する形で部会長の代理を置くこととなってございます。
五十嵐部会長より部会長代理を御指名いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。
それでは、日本医学会会長の門脇委員に部会長代理をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
○保健医療技術調整官 門脇委員、部会長代理についてよろしいでしょうか。
○門脇委員 承知いたしました。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
それでは、門脇委員に部会長代理をお願いしたいと思います。
それでは、以降の進行につきましては、五十嵐部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。
皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
では、議事に入りたいと思います。
今日は2つございまして、一つは「睡眠障害について」、もう一つは「その他」でございます。
まず、事務局から資料1「標榜診療科名について」の御説明をお願いしたいと思います。
○保健医療技術調整官 事務局でございます。
それでは、お手元の資料1を御覧ください。
1ページ目をめくっていただきまして、本日はまず標榜診療科名の基本的な制度の概要と、睡眠障害の標榜について睡眠学会から御要望いただいた件について御報告いたします。
それでは、4ページ目を御覧ください。
こちらですが、まず医療広告規制の概要について御説明申し上げます。
この医療広告規制につきましては、そもそも広告に該当するか否かにつきまして誘引性、特定性で判断いたします。誘引性に関しましては、患者の受診等を誘引する意図があること。また、特定性に関しましては、医療等を提供する者の氏名、病院や診療所の名称が特定可能であることになっておりますが、この2つのいずれにも該当する場合に医療広告規制に該当するということになっております。このため、学術論文であったり院内掲示といったものは医療広告規制には該当しないということになってございます。
この広告規制の概要でございますが、医業等に関する広告をするに当たりましては、医療法第6条の5により広告禁止の対象となる内容が規定されておりまして、そちらは下の①のところに書かせていただいております。
また、医療広告規制におきましては、患者等の利用者保護の観点から広告可能な事項を診療科名や医療機関の名称などに限定しておりまして、それら以外の広告については原則禁止しております。
次のページを御覧ください。
5ページ目ですが、医療法における規制の基本的な考え方を示したものでございます。
1つ目は、医療は人の生命・身体に関わるサービスでありまして、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害はほかの分野に比べ著しいこと。
2つ目ですが、医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。
そういったところから、限定的に認められた事項以外は原則として広告禁止となっております。
具体的な広告可能な事項につきまして①から⑬まで書いておりますが、本日御議論いただくのは2番目の診療科名になってございます。
次のページを御覧ください。
6ページ目になりますが、医療法における記載内容でございます。
第6条の6に、広告可能な診療科名ですが、医業及び歯科医業につき、政令で定める診療科名となってございます。
第6条の6の2のところですが、こちらの政令の制定または改廃の立案をしようとするときは、医学医術に関する学術団体及び医道審議会の意見を聴かなければならないとなっておりまして、本日御議論いただくという流れになります。
次のページを御覧ください。
7ページ目になりますが、医業に係る標榜診療科名の変遷についてお示ししたものでございます。昭和23年から順に下線の診療科名が追加となってございますが、平成20年以降が現行の制度となっております。
次の8ページ目を御覧ください。
それでは、この平成20年の改正の内容でございますが、改正前は具体的な標榜診療科名を限定列挙する形でございました。
こちらが改正後、平成20年4月以降でございますが、単独で広告可能な診療科名、こちらの箱にあります内科とか外科とか精神科でございますが、そういったものとこのような単独で広告可能な診療科名と組み合わせることが可能なもののように整理してございます。
次のページを御覧ください。
9ページ目になりますが、まず医業についてでございます。単独で標榜可能な診療科名につきましてピンクの枠で囲っておりますが、先ほど申し上げましたような内科、外科、精神科、アレルギー科、そういったものでございます。
もう一つが①の単独で標榜可能な診療科名と組合せで用いることができるものとしてこの四角の箱で整理しておりますが、区分としましては、1つ目の(a)が身体や臓器の名称であるもの、(b)が患者の年齢、性別等の特性を示したもの、(c)が診療方法の名称、(d)が患者の症状、疾患の名称、こういった分類ごとに診療科名と組合せで用いることができるものとしたものを列挙しております。
10ページ目を御覧ください。
しかしながら、全ての組合せが可能というわけではございませんので、不合理な組合せにつきましてもこのように明記してございます。具体的には4行目の小児科と老人の組合せだったり、5行目の皮膚科と呼吸器だったり、また、産婦人科と男性であったり、こういったものが不合理な例として示されてございます。
また、歯科医業に関しましては、歯科についても単独で標榜が可能でございまして、歯科と組合せで用いることができるものとして、小児であったり、また、矯正、口腔外科といったものがございます。
次のページを御覧ください。
11ページ目ですが、このような整理から、通常考えられる診療科名を右の箱の中に示してございます。
12ページ目を御覧ください。
次のページになりますが、こちらはやや細かい内容の規定になりますが、2つ目の○でありますが、医療機関が広告する診療科名の数についてですが、患者等による自分の病状等に合ったより適切な医療機関の選択を支援する観点から、医師または歯科医師1人に対して主たる診療科名を原則2つ以内とすることが望ましいとなってございます。
次のページを御覧ください。
13ページ目ですが、標榜診療科に関する基本的な考え方でございます。こちらは、標榜診療科名の広告としての役割は、患者等にとって適切かつ迅速な医療機関の選択と受診等を確保することであります。このため、標榜診療科名として適当か否かにつきましては、平成8年当時の委員会、これは本部会の前身に当たる医道審議会審議部会診療科名標榜専門委員会でございますが、このような整理となっておりまして、具体的にはこの①~④の基本的な考え方を示しております。
1つ目が、独立した診療分野を形成していること。
2つ目が、国民の求めの高い診療分野であること。
3つ目が、診療科名が分かりやすく国民が適切に受診できること。
4つ目が、国民の受診機会が適切に確保できるよう、診療分野に関する知識・技術が医師に普及・定着していることとなっておりますので、このような観点で本部会は御議論いただきたいと思っております。
次のページを御覧ください。
15ページ目になりますが、今般、日本睡眠学会より、関係学会の賛同を得た上で、単独で標榜可能な診療科名と組み合わせて標榜できる用語として、新たに「睡眠障害」を追加することについて御要望をいただいております。
標榜可能な診療科名につきましては、医療法に基づき、医学医術に関する学術団体及び医道審議会の意見を聴くこととされております。
標榜診療科名に関する基本的な考え方等に基づきまして、睡眠障害を組み合わせて標榜可能な診療科名に追加することについて、本部会で御議論いただきたいと考えております。
次のページになります。
こちらはあくまで現状のスケジュール案でございますが、本日1回目の御議論をいただきまして、後ほど日本睡眠学会より睡眠障害に関する基本的な事項について御説明いただきます。
次回、1月頃を想定しておりますが、2回目の本部会におきまして、今回委員からいただきました御意見を踏まえまして、さらに睡眠障害を標榜する上での考え方について御議論いただく予定でございます。
3月頃に第3回目を開催しまして、議論の取りまとめ、改正条文案の提示、また、その後、医学医術に関する学術団体への意見照会を経まして、パブリックコメント等を行っていきたいと考えております。
あくまでこちらは現在のスケジュールなので、今後変わり得るというところは御留意いただければと思います。
事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から御説明いただきました標榜診療科名につきまして、基本的な制度、概要等の説明に対して、何か御質問等がございましたらお願いしたいと思います。
よろしいですか。
それでは、特にないようですので、続きまして、日本睡眠学会理事長の内村参考人から資料2「睡眠障害の標榜実現に向けて」につきまして御説明をお願いいたします。
○内村参考人 久留米大学、また、日本睡眠学会理事長の内村です。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
座って説明させていただきます。
それでは、この資料2ですけれども、資料を見ていただいても構いませんので、よろしくお願いします。
次をお願いします。
これはOECDが発表している世界の各国の睡眠時間を示したものですけれども、よくこれはテレビにも出て、マスコミにもよく出てくるのですけれども、日本が最も睡眠時間が少なくて、7時間22分。世界の平均と比べると1時間以上短いということが分かります。
次をお願いします。
これは2019年の国民健康栄養調査の結果です。日本人の5人に1人は睡眠の問題を抱えているということがよく言われるわけですけれども、このデータを見ていただきますと、青が男性で黄色が女性です。一番上が寝つきが悪い、2番目が夜中に何回も目が覚める、3番目が朝早く目が覚める。それぞれ20%近く男性も女性も訴えている。4番目が睡眠時間が足りない、5番目の睡眠の質が満足できないというところもやはり20%近い。そして、一番多いのは、その下の昼間に眠気を感じる。これは女性で40%近く、男性も30%を超えるぐらいの割合の方が訴えておられて、これは睡眠時間が足りないから昼間眠いのか、あるいは過眠症があるために眠いのか、あるいは子供さんたちがリズムが乱れた上で昼間眠気を感じるのか、様々な要因が考えられます。
次をお願いします。
これはICSD-3、睡眠障害の国際分類の主な睡眠障害を示しています。臨床的によく見られるものです。
まず不眠症です。
その次にというか、それと変わらないぐらい多いのが閉塞性の無呼吸症候群です。
それと、過眠症の代表的なナルコレプシー。
そして、4番目が子供たちが思春期によく見られる睡眠リズムの特に後退ですね。睡眠覚醒相後退障害。
そして、5番目が睡眠随伴症と言われます睡眠中の異常行動で、レム睡眠行動障害は高齢者に多くて、レビー小体型認知症の前駆症状あるいはパーキンソン病の前駆症状とも言われております。睡眠時遊行症は子供に起こる夢中遊行です。こういう睡眠中の異常行動。
そして、6番目が睡眠関連運動障害です。これは代表的なのはむずむず脚症候群、レストレスレッグス症候群、あるいは周期性四肢運動障害、夜間不随意運動が起こって覚醒してしまう。このむずむず脚症候群、周期性四肢運動障害は高齢者に多いということが臨床的には言われています。
このような睡眠障害が臨床的にはよく遭遇しますので、睡眠障害をいかに診断していくかというのも大事になってきます。
次をお願いします。
睡眠障害がどのような悪影響を及ぼすかということもたくさんのエビデンスで示されていまして、当然、昼間の眠気を訴えるというだけではなくて、産業事故ですね。有名なところでは、チェルノブイリの原発事故は睡眠の問題で起こったということが明らかにされています。あと、アメリカのスリーマイル島の原発事故ですね。そういうものもやはり睡眠の問題ということが明らかになっています。
あと、交通事故、仕事のパフォーマンスが下がって生産性が低下するとか、思春期の欠席とか、あるいは欠勤ですね。
また、睡眠が障害されますと肥満になりやすいということも分かっていまして、その結果、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などを誘発する。さらに、心筋梗塞、脳血管障害の原因になるということも分かっています。
また、精神科的な鬱病あるいは認知症の発症の引き金になる。
また、最近ではがんの発症率を増加するということで、男性は前立腺がん、女性は乳がんの誘因になるということも示されています。
また、神経発達症ですね。ADHDやアスペルガー症候群などの誘因になるというようなことも示されてきていますので、結果的には医療費の増大にもつながっているということが言えると思います。
次をお願いします。
2023年に母子手帳が10年ぶりに改訂されまして、2か月から6歳までの母子手帳の中で子供の睡眠と保護者の睡眠というのが改訂されました。これは先ほど言いましたように、子供の成長発達に睡眠がすごく大事であること。神経発達症の引き金になるとか、あるいは日本は子供の自殺が多いということで、睡眠の問題から子供の鬱病から自殺、あるいはひきこもり、不登校、そういうものに関与してくる。あるいは母親の虐待ですね。虐待というのは0歳のときが一番多いので、母親が睡眠が十分取れなくていらいらすることによって虐待につながるとか、あるいは産後鬱病からの自殺、そういうものに関係するということで、母子手帳の中に子供の睡眠と保護者の睡眠というのが入りました。
次をお願いします。
次は健康づくりのための睡眠ガイド2023、これは健康日本21の第三次提言で示されたもので、昨年発表されまして、ここでは睡眠時間と睡眠の質を目標として掲げています。これは、朝起きたときに休養感を感じるかどうかというのが睡眠の質を表すということで、目標を高齢者、成人、子供ということでライフステージごとに示していまして、少し説明しますと、高齢者は床の上にいる時間が8時間以上にならないようにしましょうと。8時間以上になると死亡リスクが高まる。そういうエビデンスが示されています。
また、お昼寝も30分以上すると、やはりこれも死亡リスクが高まるということで、お昼寝も長時間は避けましょうということです。
成人の場合は、少なくとも6時間以上の睡眠を取ることが大事であると。そして、子供の場合は睡眠時間がはっきり明記されまして、小学生は9時間から12時間、中学生・高校生は8時間から10時間ということが示されています。この目標値を守ることで、子供の成長発達あるいは健康維持、そして、死亡リスクを下げる、健康寿命を延長するということを実現させようということでこの睡眠ガイド2023が発表されています。
次をお願いします。
8枚目ですけれども、これは今年の骨太の方針で、下から3行目のところを見てもらいますと、運送業での睡眠時無呼吸対策、睡眠障害の医療アクセスの向上、睡眠研究の推進、睡眠ガイド等の普及啓発、健康経営の普及、睡眠関連の市場拡大や企業支援に一層取り組むということで、骨太の方針の中でも睡眠が取り上げられています。
次をお願いします。
これは小児・思春期で不眠や過眠がどのくらい認められるかという日本の疫学調査ですけれども、不眠・過眠の中学1年生から高校3年生までのデータを示しています。
不眠の場合は、男性も女性も20%程度ということが示されていますから、5人に1人ぐらいが不眠を訴えている。
一方、過眠のほうが多くて、男性が39%、女性は46%ということで、高校生に入ると、特に女性では昼間の眠気を半数ぐらいの方が訴えている。これはやはり睡眠のリズムが乱れてしまうとか、あるいはナルコレプシーなどを発症しやすい年齢である。あるいはストレスなどで睡眠が十分取れていないとか、あるいはスマホなどブルーライトで睡眠が取れていない。そのために昼間の眠気を訴える。様々な要因がこういう結果を生んでいるのだということが分かると思います。
次をお願いします。
次は成人の不眠の割合を示していまして、年代ごとに示していますけれども、成人の場合は男性も女性も10%から15%ぐらいと。これで見ると、女性の70歳以上が多い。60歳ぐらいから多くなっているのが分かります。
次をお願いします。
これは不眠症です。今まで示したのは不眠といって夜の睡眠の問題がある方なのですけれども、不眠症というのは夜の睡眠の問題のために昼間に何らかの機能障害、例えば眠くてたまらないとか、体が疲れやすいとか、そういう昼間のQOLの障害があって初めて不眠症という診断がついて、睡眠薬が適用となります。
この不眠症と疾患の割合はどのくらいあるかということで、これも日本のデータで示しますと、男性で25%、女性で30%と。これはアテネ不眠尺度というものを使って、自覚的な評価で示したものです。
慢性不眠障害というのは3か月以上、週3回以上続くような慢性の不眠障害の割合ですけれども、ここでは約10%ということが示されています。
次をお願いします。
続きまして、不眠症等と同じように頻度として多い睡眠呼吸障害です。これはながはま研究ということで滋賀県で行われた研究で、パルスオキシメーターを用いて、酸素飽和度が3%以上低下している方を対象に、1時間に5回以上ある場合が軽症、5から15回未満ですね。15回以上ある場合が中等症ということで有病率を見ているのですけれども、男性では治療を要する中等症以上の患者さんたちが、23.7%、閉経前の女性は1.5%、閉経後の女性は10%ぐらいに上がってくるということが示されています。
次をお願いします。
これは、世界の中で無呼吸症候群の多い上位の国を示したもので、日本はAHIが15以上の中等症が約900万人ということで、そのうちCPAPの治療をしている人は70万人ぐらいだということで、十分な治療をされていないということが分かります。
次をお願いします。
この閉塞性無呼吸症候群がなぜ問題かといいますと、やはり生命予後に影響してくる。高血圧から心血管イベントを引き起こして死亡リスクが高まるとか、あるいは気分障害、認知機能障害を呈してくる。また、産業事故や交通事故などの原因になるということが示されています。
次をお願いします。
これは睡眠障害の鑑別のためのスクリーニングを示したものです。睡眠学会でつくったもので、先ほど示した主な6つの疾患をどう鑑別していくかということです。不眠があると、まず鬱病などの精神疾患を鑑別する必要がありますし、あとは無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群、ナルコレプシー、レム睡眠行動障害、概日リズムの後退、そういう疾患を鑑別診断していって、最後に残って不眠症かどうかというような形でスクリーニングしていくということを睡眠障害の診断治療、そして、医療連携を考えてつくったものです。
次をお願いします。
これは2013年につくりました睡眠薬の治療アルゴリズムでして、今はこの改訂版をつくり始めています。不眠症と診断された場合には薬物療法と認知行動療法を併用して 、不眠症が改善したら睡眠薬はできるだけ中止を目標としようということがここでは示されています。
次をお願いします。
これは今、日本で使える睡眠薬です。オレキシン受容体拮抗薬が中止しやすい睡眠薬で、副反応も少ないということで第一選択薬として使われてきています。今3つあるのですが、もうすぐ4剤目が発売される予定であり、新しい睡眠薬の適正使用のアルゴリズムの改訂版をつくっているところです。
次をお願いします。
これは日本睡眠学会の現状を紹介しようと思って示したものです。会員数が約4,200名、そのうち医師が2,700名です。そして、専門医と総合専門医、専門医は、2002年から始めて最初試験を受けずに専門医になった方々で、その後に、試験を受けて専門医になった方が総合専門医です。指導医が約300名、そして、専門医療機関が約120施設あります。歯科医が約400名いらっしゃって、睡眠学会の歯科専門医が80名、また、検査技師が800名ぐらいいらっしゃって、専門検査技師の方が616名というような構成になります。
次をお願いします。
これは参考資料3に示していますけれども、今回4月30日に標榜診療科名についての要望ということで提出したものです。睡眠障害で悩んでいる患者さん方が医療機関へアクセスしやすいようにということで、組合せに睡眠障害という疾患名を追加してほしいという要望です。それによって国民の健康増進や生活の質の向上に貢献できること。また、医療者の診断・治療に関する知識・技術の普及啓発も進むと考えています。
次をお願いします。
先ほどの説明にもありました標榜診療科名について、②の一番下の(d)患者の症状、疾患の名称のところ、感染症とか糖尿病がありますけれども、ここに睡眠障害という疾患名を加えてもらいたいと考えております。
次をお願いします。
これは先ほど示された4つの条件を満たしているかどうかということですが、睡眠障害という疾患は2018年にICD-11で独立しました。そして、国民の求めが高いかどうかということで、約3,500名の一般の方々にアンケートした結果、80%ぐらいの人が睡眠障害が標榜されたら受診したいと答えられました。
また、睡眠障害というのは国民には分かりやすいということは間違いないのではないかと考えています。
そして、4番目の診療分野に関する知識・技術が定着・普及しているかということですけれども、これも睡眠薬などを投与している約1,200名の医師にアンケートを取ったところ、82%ぐらいが睡眠障害の標榜が必要と答えて、72%が標榜しても構わないということを答えていらっしゃいました。
また、睡眠関係の6学会、精神神経学会、呼吸器学会、循環器学会、神経学会、耳鼻咽喉科学会、小児科学会の承認を得た上で、これらの4つの条件もほぼ満たしていると考え、今回要望書を提出しました。
次をお願いします。
また、大学病院に対してアンケートを取りまして、睡眠の専門外来をしているところが76%ぐらいあって、できていないところはやはり人が足りないとか、無呼吸症候群の診療が主体であるという意見が多かったので、我々睡眠学会としては、大学病院に睡眠医療特定地域専門医制度というのをつくって、今それを進めています。各地域での医療格差があると睡眠医療のいわゆる医療アクセスが低下しますので、大学を中心として専門医・専門施設を各都道府県につくって、そして、地域医療の中心である日本医師会の先生方と連携を取りながら、睡眠医療のアクセスを高めていこうと考えております。
次をお願いします。
最後に、睡眠学会の取組としてどういうことをやってきたかというのをまとめているのですけれども、2022年の12月に森光医政局長に要望書を提出しまして、先ほど示した6学会の賛同を得ております。
また、この6学会との連携を取っていくために、標榜科推進学術交流ワーキンググループを設立して、6学会とのシンポジウムを開催しており、さらに、医師会主催の生涯教育を通して、一般の先生方に睡眠医療のアプローチを学んでいただくために、研修会やE-learningを提供する予定です。
次をお願いします。
さらに、医師会主催の産業医講習会への講師派遣です。これは産業保健スタッフへの睡眠知識の普及啓発のために行います。また、睡眠検診に関するガイドラインを今策定しようとしております。
ところで、無呼吸症候群の治療では口腔内装置を歯科の先生に作っていただいていますので、その連携を今後はさらに発展していこうと考えています。
また、今まで英文誌のSBRというのを睡眠学会が発行していたのですけれども、邦文誌、日本語でのオンライン版、『睡眠医療ネクサス』を今年の6月に出版して、より多くの方が睡眠学に関して学べるような形を取っております。
そして、大学病院に特定地域専門医を創設し、全ての都道府県に専門医を少なくとも複数名以上配置しています。
次をお願いします。
これは来年の学会は、睡眠学会、日本睡眠歯科学会、日本睡眠検査学会、3学会が合同で行う予定になっております。
次をお願いします。
これは、新しく始める5歳児健診の中に睡眠の項目が入っていまして、子供の成長・発達には睡眠が重要であること、また、5歳児に睡眠を切り口として神経発達症を早めに診断して対応していくべきだと考え、小児科の先生方と一緒に5歳児健診の中にこのようなリーフレットを作製しました。
次をお願いします。
これは、2027年の4月の日本医学会総会の合同シンポジウムに6学会で連携して応募しました。
次をお願いします。
最後です。睡眠障害の標榜の必要性に関して、説明致しました。睡眠に問題がある方が日本人の5人に1人ぐらいはいらっしゃる。ただ、様々な睡眠障害を鑑別する必要があります。一方、デバイスによって睡眠の問題というのがより客観視できるようになってきています。そこで、睡眠で困っている方がどこを受診してよいか明確にするために、睡眠障害の標榜が実現できれば医療アクセスの向上が可能になると考えています。また、国民の睡眠へのニーズも高く、健康維持や身体的・精神的疾患の予防・早期診断・治療のためにも、ぜひ睡眠障害の標榜をお願いしたいと考え、今回日本睡眠学会から要望を提出させていただきました。
以上です。どうもありがとうございます。
○五十嵐部会長 内村先生、詳細な御説明をいただきましてありがとうございました。
それでは、ただいまの説明を基に御議論していただきたいと思います。睡眠障害に関する基本的な事項について御質問等がありましたらお願いしたいと思います。
平沢委員、お願いします。
○平沢委員 先生、説明をありがとうございました。
18ページで睡眠学会の会員の専門医と総合専門医というような人数も出ているのですけれども、目標としてたしか各県に2人いるようにみたいにあったのですけれども、現状として全国にあまねく睡眠学会の総合専門医を持っていらっしゃる方がいらっしゃるものなのかどうかということと、やはりお医者さんだけだと睡眠の治療というのはなかなか難しいと思うのですけれども、今、薬を使わないで認知行動療法というのが第一選択みたいなっているというような記述がどこかにあったかと思うのですけれども、そうすると、それに対応するお医者さんだけではなくて、臨床心理士さんが関わってくるというようなことかと思うのですけれども、そういう方たちというのはどれぐらいいらっしゃるものでしょうか。
○内村参考人 専門医は、今、47都道府県に全て1人はいて、複数名いなかったところが4県あったのですけれども、そこも今後、大学に特定地域専門医を置くことによって、複数名以上の全ての県にそろうようになります。
専門施設は、これも約10都道府県にないところがあったのですけれども、それも大学病院に特定地域専門施設を設置することで、全ての県に施設ができるようになります。
あと、心理士の方は、ここには書いていないのですけれども100名ぐらいいらっしゃって、昨年から睡眠学会専門心理士の制度を作り、資格試験を始めました。認知行動療法などを専門的にやってもらうような心理士さんです。やはり医師だけでは睡眠障害の治療はできませんので、心理士さん。さらに、訪問看護での睡眠指導などを考えて今年度からは睡眠学会専門看護師制度も始めます。さらに、今後は睡眠学会専門薬剤師、やはり睡眠薬の適正な使用のためには薬剤師さんの力が必要になってきます。心理士、看護師、薬剤師等の多職種と連携して睡眠障害の治療をやっていく必要があります。
○五十嵐部会長 よろしいですか。
○平沢委員 はい。ありがとうございます。
○五十嵐部会長 どうぞ。お願いします。
○坂本委員
本日は御説明いただきましてありがとうございました。睡眠がとても大事であるということは日常生活で意識しているつもりではいましたが、改めて非常に重要であることを今回認識いたしました。
1点お伺いがあります。9ページの資料で小児・思春期の不眠・過眠の年代別の割合というものがございます。高校生の男女とも約半数が過眠であるということには驚いたのですが、このデータは2011年のものとなっておりまして、その後もネット環境やスマホの普及など様々な変化が生じていると思います。もし何かその後の研究などがあれば、お教えください。
○内村参考人 なかなかこういうまとまった研究というのがなされていなくて、今おっしゃいましたように、最近、ネット環境の問題も多いと思います。夜遅くまでテレビとかSNSとかゲームとかで起きていて睡眠不足になっています。ブルーライトによって遅寝遅起きになってしまって、朝起きられずに、起きて学校に行っても眠気を訴える方は増えています。
生物学的に10代になるとだんだん遅寝遅起きになっていきます。大体20歳が遅寝遅起きのピークで、20歳を過ぎるとまた早寝早起きの朝型に少しずつ戻っていくのですけれども、10代の後半というのは最も生物学的に夜型になりやすい。そのときにスマホとかゲーム等のブルーライトを夜に浴びることによって、さらにそれを助長してしまうことが多く、朝起きられないとか、あるいは昼間に眠気を訴えたりというのは増えていると思います。
また、女性の場合は月経周期も睡眠と関連しています。エストロゲンやプロゲステロンの女性ホルモンは睡眠と関与し、プロゲステロン優位となる黄体期では、睡眠が浅くなり、日中の眠気が強まります。特に思春期の女性の場合は月経周期が不規則で不眠や過眠の要因になっている可能性があり、多要因ですが、増えてきているのは間違いないです。
あと、昼間の眠気というのはあまり本人が自覚していない部分があります。ですから、学校の先生方や保護者に気づいてほしいと考えています。
さらに、今は腕時計式とか指輪みたいなデバイスがあって、そのデバイスをつけると行動量で夜の睡眠だけではなくて昼間の眠気というのが測れるようになっています。今まではあまり自分で昼間の眠気を自覚できなかったのが、そういうデバイスを使うことによって昼間の眠気、居眠りしているところがある程度可視化できるということで、より分かりやすくなってきています。昔のデータというのは自覚的な眠気だけをアンケート調査で取るので比較的少なくなっています。それがデバイスなどを使ってくると、頻度としてはかなり高くなってきていると感じています。
○坂本委員 ありがとうございました。
○門脇委員 五十嵐先生、よろしいでしょうか。
○五十嵐部会長 どうぞ。門脇先生、お願いします。
○門脇委員 門脇です。ありがとうございます。
私は内科をバックグラウンドにしています。内村先生には、非常に分かりやすい説明をありがとうございます。改めて、睡眠障害の重要性、また、睡眠医療の重要性について強く認識させていただきました。
私が質問したかったのは、資料の2ページなのですが、平均睡眠時間の国際比較で、日本が7時間22分ということで、OECDの各国平均に比べて1時間以上短いです。このリストされている国の中では最も短いということがデータとして指摘されていますが、このバックグラウンドにある原因についてはどのように考えられているのでしょうか。
○内村参考人 ありがとうございます。
このデータは、そこの下にも書いてありますように15歳から64歳の方を対象に行った調査ですから、日本でいうと高校生以上ということになります。日本の場合は戦後、約1時間睡眠時間が短縮しています。その一番の理由は、成人の方が睡眠時間を削って働いてきた。それによって経済が成長してきたというのはあると思いますし、最近は働き方改革であまりないのですけれども、夜遅くまで残業することが頑張っているあかしとされ、寝る時間を削って仕事するのが賞賛されていたと思います。1990年代頃に「24時間戦えますか」というコマーシャルが流れていた。ですから、眠るの犠牲にして働くのが美徳だというところが日本の場合はあったと思います。
また、学生さんの場合も睡眠時間を削って勉強するのが一般的だと思います。我々のときもそうですけれども、「四当五落」が叫ばれ、高校の先生が5時間寝たら大学に落ちるよ、4時間以内にしましょうと指導していました。今は逆で、「六当五落」で、6時間以上睡眠を取らないとパフォーマンスを発揮できないという時代なのですけれども、やはり高校生も睡眠時間が取れない状況です。
そして、高校生は朝課外があって、通学時間が長いため朝は6時前に起きなくてはいけない。夕方はクラブ活動、夜は塾に行かなくてはいけない。そうなると、睡眠時間がかなり削られてきます。大人の場合も、先ほど言いましたようにやっと働き方改革が導入され、インターバル時間を医者も9時間以上取らなくてはいけないということになってきましたけれども、それでもまだまだ睡眠が取れずに働いている方も多いし、あと、日本は約20%交代勤務の方がいらっしゃって、不規則な生活習慣になりやすい。また、ストレス社会ですし、日本で一番寝ていらっしゃらないのは女性の40代、50代なのです。これは女性の方で働いていて、家事、育児、あるいは介護等で女性に負担がかかってきて、睡眠時間が短くなる。
さらに、ブルーライトですね。今、ほとんどの家庭がLEDだと思うのですけれども、LEDはブルーライトが強くて、夜遅くまでブルーライトを浴びると睡眠時間が短くなってくるし、睡眠の質も低下してきます。生活・睡眠環境、社会的・文化背景、日本人の気質、そういうものが結果的には睡眠時間が短くなってきた要因ではないかと考えています。
○門脇委員 内村先生、非常によく分かりました。睡眠時間が少ないことを美徳にする、やはりそういう社会文化的な問題ですね。そういった意識なども改革していく必要があることもよく分かりました。
内村先生、ありがとうございました。
○内村参考人 どうもありがとうございます。
○天野委員 内村先生、よろしいでしょうか。歯科医学会の天野です。
私、歯医者ですので、歯科の立場からお伺いしたいと思うのですが、標榜に必要な4つの条件に知識・技術が医師に普及していることとございましたけれども、睡眠障害に対する知識・技術が歯科医師に普及しているかどうかお伺いしたいと思います。
先生のところの学会には80名の歯医者の専門医がいらっしゃいますし、そして、歯科には睡眠歯科学会がありますので、睡眠障害に関心を持っている歯医者さんは多いと思います。
また、睡眠時無呼吸症候群へのファーストチョイスの治療が口腔内装置の製作・管理ですので、歯科医師にとって非常にアフィニティーの高い分野とは思います。一方、子供に対しての睡眠時無呼吸症候群に対して口腔周囲の筋機能訓練をファーストチョイスとしたり、歯列矯正を進めたりする歯科医師もいらっしゃいます。また、歯科的な疾患として睡眠時の歯ぎしり、ブラキシズム、顎関節症、慢性口腔顔面の疼痛、こういうものが睡眠障害とともに表出した場合は、対応に苦慮する歯科医師は少なくないのではと思うのですが、内村先生の肌感覚で歯科医師が睡眠障害に十分対応できるかお聞かせいただきたいと思います。お願いいたします。
○内村参考人 ありがとうございます。
1,200名と言われたように睡眠歯科学会もすごく会員数が増えていっていますし、あと、睡眠学会の中にも400名近くの歯科の先生が入られて、そして、専門医も取っていただいて、様々な面で連携していまして、来年、一緒に学会を行うわけですけれども、無呼吸症候群の口腔内装置は需要がすごく多くて、治療という面では歯科の先生方に貢献していただいています。
あと、今日は示せなかったのですけれども、子供の無呼吸症候群というのが日本にはすごく多いのですよね。これはアデノイド、扁桃肥大が直接的な原因なのですけれども、元来日本人というのは欧米人に比べて下顎が後退し、小さいので、そのために気道が狭いのが解剖学的な特徴です。ですから、アデノイドや扁桃肥大があることによって容易に無呼吸になりやすいということで、子供の無呼吸をいかに早期に発見していくかということで、この5歳児健診のリーフレットの中では4つの注意事項の中の一つに示しています。いわゆるいびきを毎日かくようだったら、これは健康な状態ではないので無呼吸を疑いましょうと。子供の無呼吸というのは大人の無呼吸以上に怖くて、漏斗胸を呈してしまって外科的な手術をしないといけなくなったり、あるいは子供の無呼吸が睡眠を障害しますので、神経発達症の原因になったりということもあります。
では、子供の睡眠をどうやって気づいてあげるかというところで、先ほど5歳児健診の話をしましたけれども、1歳半健診、3歳児健診なども行われるのですけれども、小学校に入ってからの健診でなかなか睡眠の問題というのが日本では行われていません。今、睡眠学会では、歯科健診というのが小学校ではあるので、そのときに扁桃肥大とかアデノイドなどを見ていただいたり、呼吸の状態、あるいはできれば睡眠の問題などを聞いていただきたいと思います。歯科の先生方が小学校で歯科健診を行う中で睡眠のことも意識していただくと、子供たちの睡眠の問題がより可視化できるのではないかということを考えています。
あと、診断の面では、歯科の先生方に検査でセファログラムを撮っていただいて、小下顎、下顎後退の有無や気道の大きさ等を評価していただくことが重要です。歯科の先生方とは治療だけではなくて診断においても協力が必要です。
また、無呼吸症候群の場合は、50前後から顎の筋肉が緩んできて口を開けて寝るようになると、気道の直径が半分になって無呼吸になりやすいということで、口の緩みというのがやはり無呼吸の原因になってきますので、最近は歯科の先生がこの緩みを予防するような体操、運動を指導していただくこともあり、中高年以降の無呼吸の予防にも貢献していただいているということで、本当に歯科の先生とは様々な面で、診断、治療あるいは予防という点で、子供から高齢者まで様々な年齢において連携を取りながら今もやっていっていますし、さらに高齢化社会になっていくと、歯科の先生方との連携はより不可欠になってくると考えています。また、歯ぎしりなどで睡眠が障害される時は治療の対象になるので、詳しい検査を睡眠専門施設で行うこともありますし、さらに連携を深めていきたいと思います。
以上です。
○天野委員 ありがとうございます。
内村先生、ということは、睡眠障害という標榜名が認められた場合は、睡眠障害歯科というのも念頭に置かれているわけでしょうか。
○内村参考人 いえ、今回はまだそこまでは考えていないのですけれども、まずは医科のほうで睡眠障害というのを組合せという形で加えていただき、それが実現すれば、患者さんを診断するときにセファログラムなど歯科の先生に紹介して、特に無呼吸症候群の場合は治療に歯科の先生の協力を仰ぐ、連携するということで、今回は医科のほうでの組合せということで要望書を出しております。このことについては、睡眠学会の歯科の先生方とも十分話合いをした上で、今回はまず医科のほうでの睡眠障害の組合せを実現させようということで進めています。
○天野委員 ありがとうございました。
○五十嵐部会長 どうぞ。お願いします。
○西村委員 明治学院の西村です。
御説明ありがとうございました。
スライド4ページの睡眠障害の分類について、この標榜が認められた場合、現在はまだ睡眠障害というのが診断や説明のときには使われていないのかということと、睡眠障害というのが標榜名として認められた場合には、診断名として睡眠障害とつけることになるのかと、今はそれが認められていないので、どのような診断名を使っているのでしょうか。
○内村参考人 睡眠障害の中に4ページに示しているような疾患があります。ですから、保険適用になってくるのは、それぞれ不眠症、睡眠時無呼吸症候群等の疾患名が診断名としてはついてきます。睡眠障害というのはそれを全部総括的に捉えた場合の名称です。例えば眠れない。これは不眠症とかの症状になってきますし、あとは我慢できない眠気がある。朝起きられない。あるいは5番の睡眠時随伴症では夜大声を上げる、夜暴れる、小さな子供さんが夜歩き回るとか、そういうのが症状になってきますし、6番の睡眠関連運動障害のむずむず脚症候群というのは、夜になるとふくらはぎがむずむずして異常感覚があって、じっとしていられない。そういう症状が患者さんの訴えとして起こってきて、それをどう診断していくのかが大切になります。睡眠学会では、これらの症状に合わせてどのように診断していったらいいかという睡眠障害の診断ガイドラインをつくっていまして、一般のかかりつけ医の先生方が診断しやすいようなスクリーニングのガイドラインをつくっております。
○西村委員 分かりました。
保険適用にはより具体的な6つの症状のようなものも診断のときに記載するような形になるということなのですね。
○内村参考人 まず患者さんは症状で訴えてこられますので、医療者としてはその訴えに対してどういう疾患を考えるのかということで、主にこの6つの疾患が考えられますので、それをどう鑑別していくかということで診断名をつけていきます。
○西村委員 次に、関連してスライドの11について、睡眠障害という障害のところで、慢性不眠障害は週に3回3か月以上持続というときに障害という言葉を使うというような補足的な説明が括弧にあります。睡眠障害という場合にも、総括的な概念とですが、そうした持続性とか週に何回などの程度で使うのか、それ以外の場合は睡眠障害ではなく、基準をつくっていく中でまた別の言い方になってくるのでしょうか。
○内村参考人 我々が診断するときはICD-10、今は11なのですけれども、基づいて診断していきますので、例えば不眠症でも週3回以上3か月以上続く場合は慢性の不眠障害と。それよりも短い場合は短期の不眠障害ということになります。それぞれの疾患によって基準があって、その基準に合致しているかどうかということで診断するようになっています。
○西村委員 長期、短期とか、慢性とか。
○内村参考人 ただ、みんなが長期、短期となっているわけではなくて、不眠症は慢性、短期になっていますけれども、それ以外の疾患はまた診断基準があって、それに応じて、例えば全てに障害とつくわけではなくて、例えばナルコレプシーとかそういう疾患名もありますので、睡眠障害の中にもっと本当は100種類ぐらい診断名があって、それをつけていく形になります。ここでは睡眠障害の中の6つの主なものを示しているところです。
○西村委員 それによって治療とか処方できる保険適用が分類されてくるということなのですよね。
○内村参考人 疾患によって適用になっているお薬というのが決まっていまして、それを使っていくという形になります。
○西村委員 分かりました。ありがとうございます。
○五十嵐部会長 そのほかいかがでしょうか。
どうぞ。お願いします。
○峯川委員 峯川でございます。
先ほどの御説明ですと、睡眠障害の専門医と指導医を合わせると大体1,000名程度、それから、専門の医療機関がAとBとをあわせると100施設ぐらいだったと思います。片や国民の80%が睡眠障害が標榜された場合は受診したいと思っていらっしゃるということなのですが、実際のところ、私たちがフリーに自由にアクセスできる医療施設といいますと診療所等です。つまり、紹介状とか選定療養費がない施設が一番かかりやすいわけですけれども、そういった診療所等一般病院などに所属される専門医の方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。
○内村参考人 睡眠専門医や専門施設の半数は市中のクリニックや病院です。また、多くのクリニック、病院は睡眠薬を投与しておられます。ですから、医師会に入っておられるような先生であれば、ほとんどの医療機関で睡眠薬の投与を行っていらっしゃると思います。それは不眠症とつけば睡眠薬が投与できるという保険体制になっていますので、不眠の方は、今、一番多く受診するのはやはり内科あるいは精神科、心療内科のクリニックだと思います。今日は詳しく説明しませんでしたけれども、市民、3,500名のアンケート調査の結果では、眠れないときにどこに行っているかというアンケートでは、1番が内科で2番が精神科、心療内科ということで、様々なかかりつけの先生のところにまず受診していることが今は多いようです。そして、そこで例えば不眠症だけではなくてほかの睡眠障害の可能性があるような場合は、睡眠学会の専門医の先生、専門医施設のところに紹介していただくことが望ましいと考えています。
○峯川委員 そうしますと、やはり自分が行っているかかりつけ医・主治医の御判断という形となり、患者本人は専門の施設で診てもらいたくても紹介状が必要だったり、選定療養費を支払わなければならないので、なかなか自由にアクセスすることができないような気がするのですけれども。
○内村参考人 もし組合せで標榜できるようになると、例えば内科、あるいは精神科括弧睡眠障害と標榜できるようになってくると、そこに様々な形でアクセスできるようになってきますし、一般のクリニックや病院であれば直接そこを受診することができますし、そして、そこである程度診療していただいて、詳しい検査が必要な場合はそこから専門医とか専門施設に紹介していただくようなシステムの構築を考えています。実際、睡眠専門医や専門施設はクリニックや病院等に多いので、受診しやすいと思います。
今は睡眠と標榜できませんから、どこに行っていいか分からないというのが現状です。ただ、それでも困った場合はかかりつけの先生のところに行っているというのが現状だと思うのです。睡眠障害を標榜できれば、そこにアクセスできるようになってきますので、そこに直接受診されたり、あるいは連絡を取られて、そこで予約を入れられたりして直接行くことは可能ですので、そこに行っていただいて、そして、そこで診断できて治療できれば、継続して治療を受けられることになると思うのですけれども、専門施設での詳しい検査が必要な場合は、そこに紹介していただいて、鑑別していただくということになると思います。
○峯川委員 つまり、専門医でなくても、一般の内科の先生であれば睡眠薬等の処方というのができるので、睡眠障害に関する治療は第一次的にはまずはかかりつけ医でという理解でよろしいでしょうか。
○内村参考人 まず睡眠障害という標榜が組合せでできるようになれば、標榜された先生方には、日本睡眠学会が研修会やE-learningとか様々な面で診断・治療の知識や技術を提供する予定です。また、詳しい検査ができるクリニックや病院の情報も共有したいと思います。
○峯川委員 ありがとうございました。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。
今の御質問はとても大事なのですけれども、やはり医療側もしっかりと睡眠障害の患者さんたちを診られるドクターが増えてくるということ、これが医療の均てん化にもつながりますので、そして、標榜する方が増えてくれば患者さんもアクセスしやすくなるということで、ドクター側の努力も必要だということになるのではないかと思います。御質問どうもありがとうございました。
それでは、時間も押していますので、最初の資料1の13ページに事務局が新しく標榜診療科をつくるに当たって基本的にどういうことが必要かという4つの条件を示していただいております。この点につきまして、委員の先生方のほうから何か御質問等がありましたらお願いしたいと思います。
どうぞ。坂本委員、お願いします。
〇坂本委員 ありがとうございます。
質問というよりも意見に近いものですけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
今、詳しくお話しいただきまして、既に学会としても様々なことに取り組んでいらっしゃるということは大変よく分かりました。
その上で、患者の立場としては、実際に今、診察をしている主治医やかかりつけ医などが睡眠障害の科があることを知っていていること。そして患者本人は睡眠障害と思っていなくても医療者が診て、この人は睡眠障害かもしれないとして適切な科につなげてくれるということが非常に重要です。特に睡眠障害は小児科、耳鼻咽喉科、精神科と幅広いジャンルに関わっております。例えば先ほどもご説明にあった足が痛むというようなときには、もしかしたら患者さんは整形外科に行くかもしれません。部会長もおっしゃられたように、医療者の側もできるだけ幅広く睡眠障害について理解していただくことが大事だと思いました。
同時に、患者や一般の人に睡眠障害を診察してくれる科があるということを今後広く周知していただければと思っています。加えて、仮にですが、例えば睡眠障害内科があったときに、実際にどういう内容の科なのかということが一般の人向けに分かりやすく説明されているとさらにいいのではと考えます。なお科が細かく分かれることはよい面もありますが、科によっては医師が少ないということがあったりすると、患者のアクセスの機会が減ってしまう可能性もあるので、その辺りの御配慮もお考えいただければと思います。
あと医師の偏在、地域の格差は、患者にとっても深刻な課題です。先ほど47都道府県に専門医2名以上、82大学病院に専門医を育成との御説明がありました。学会のホームページを拝見しましたところ、いまは都市部に専門の医療機関、専門医などが多いように思われますので、ぜひ地方に住んでいる患者への睡眠障害の科へのアクセスをさらにご検討ください。
最後に、今後、睡眠障害の科が病院内に新たに設置されるということも増えてくると思います。そういうときに、できれば関連の科のそばに設置していただければというのが患者の希望です。といいますのは、多分病院の様々な事情からかもしれませんが、新しい科が少し離れたところに設置されているということが実際にはあったりします。関連の科のそばにあれば、例えば待合室などで睡眠障害の科があることを知って、自分から受診することもできるかもしれません。
以上になります。
○五十嵐部会長 貴重な御意見をありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。
どうぞ。
○内村参考人 今、御質問があったことは、十分認識して、少しでも患者さん方が受診しやすいような医療アクセスを実現していく所存です。地域格差をなくすために、大学病院に専門医、専門施設をつくるだけではなくて、睡眠学会の専門医がオンライン診療を行う。例えば一般の先生方が診療されたことを相談できるようなオンライン支援、遠隔医療なども含めて、地域格差がないように、どこを受診されても適切な診療が可能なような形を実現していきたいと思います。そして、睡眠障害の正確な診断、治療を行っていきたいと考えています。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。
ほかはよろしいですか。
平沢委員、どうぞ。
○平沢委員 平沢です。
ここに関係するかはどうかあれなのですけれども、1点気になったのが、やはり睡眠障害というのはどこから病気かというのがなかなか判断しづらいというか、私自身も加齢で中途覚醒というのですかね。夜中に何度も目が覚めるとか、でも、これが結構続くから病気なのかどうかみたいなのがなかなか分かりにくくて、だから、どういうときにこういうところにかかればいいのかというような一般の方への啓蒙活動みたいなことも併せてやらないと、みんな睡眠障害ができたから病院に行けばいいのねみたいになってしまっても困るかなと思ったので、そこら辺のところもうまく広報活動というのをやっていただければいいかなと思いました。
○内村参考人 ありがとうございます。
確かに夜の睡眠の問題があり、例えば寝られないとか夜中に目が覚めるというのは、加齢とともに症状は起こってくるのですけれども、病気かどうかというのが一番分かりやすいのは、夜の睡眠の問題のために我慢できない眠気がある、倦怠感が強い、イライラする等の症状があり、昼間の日常生活に大きな何らかの支障が起こってくると、これは疾患ということできちんと治療するのが一般的な考えです。これは11ページに示していますけれども、昼間の生活に支障が起こらないようであれば、受診しなくて様子を観察すると一般的には考えられていますので、その辺りをきちんと市民公開講座で啓蒙したり、睡眠学会のホームページで説明していますので、今後さらに周知していきたいと思っております。ありがとうございました。
○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。
今日は時間がないので、この4つの観点についてまた次回質疑応答をしたいと思います。どうもありがとうございました。
では、最後、今日欠席されていらっしゃる磯委員から御意見をいただいておりますので、事務局から代読をお願いいたします。
○保健医療技術調整官 事務局でございます。
本日御欠席の磯委員よりの意見を代読させていただきます。
2つございまして、まず1つ目が睡眠障害のスクリーニングの重要性につきましてです。近年、患者が何となく気分が落ち込み、眠れないといった訴えを示した際に、安易に睡眠薬が処方されるケースが散見される。特に軽度の鬱症状などの背景に睡眠障害が存在する可能性があり、適切なスクリーニングが必要となる。治療の妥当性や医療資源の適正配分の観点から、スクリーニングを含めた適切な診断プロセスを徹底することが重要であることを改めて強調させていただきたい。
2つ目でございます。睡眠障害の診療における病診連携の強化についてでございます。地域における医療提供体制を考えた場合、睡眠障害の領域であっても大学病院や地域の中核病院等のみで対応するのは不十分であり、かかりつけ医を中心とした診療体制の整備が不可欠である。かかりつけ医が睡眠障害のスクリーニングの意義を理解し、睡眠障害が疑われる患者については適切に専門医へ紹介する。そして、治療方針が固まり、そのフォローアップを行う際には再びかかりつけ医に戻すといった病診連携の仕組みを確立することが望まれる。今後、学会を中心にこうした連携体制を広く浸透させていただきたい。
以上でございます。
○五十嵐部会長 どうもありがとうございます。
磯先生の御意見も、それから、既にフロアから御意見をいただきましたけれども、同じような内容だったのではないかと思います。どうもありがとうございます。
それでは、今日は御意見をいただきましたけれども、まだ少し残っておる点がありますが、次回、もう一度日本睡眠学会に、内村先生だと思いますけれども、おいでいただいて、またディスカッションしたいと思います。その際に必要な資料やデータを御準備いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それから、事務局も今日の意見を整理するなどして、適切な対応をお願いしたいと思います。
続きまして、議題の3「その他」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○保健医療技術調整官 事務局でございます。
議題3の前に、今回は少し時間が足りなかったところもございますので、標榜診療科名に関する4つの観点につきまして事務局が委員の先生から事前に御意見を伺いまして、それにつきまして事前に内村先生にお伝えいたしますので、それをもって内村先生に資料を御準備いただきまして、次回の会議とさせいただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料3について御説明させていただきます。
1ページめくっていただきまして、まず、こちらは報告事項になりますが、令和6年に閣議決定されております規制改革実施計画及び令和6年の地方からの提案等に関する対応方針におきまして、標榜可能な診療科名に総合診療科を追加することについて検討し、令和7年に結論を得るとされております。
具体的な文章は資料にお示ししたとおりでございます。規制改革実施計画と令和6年の地方からの提案等に関する対応方針を記載させていただいてございます。
これらを踏まえて、厚生労働省としましては、現在、総合診療に関連する学術団体等に検討を依頼しているところでございますので、報告させていただきます。
以上でございます。
○五十嵐部会長 これは御報告ですけれども、何かございますか。よろしいですね。
ありがとうございました。
では、時間にもなりましたので、本日の議事は以上にしたいと思います。
進行を事務局にお返ししたいと思います。
○保健医療技術調整官 五十嵐先生、ありがとうございました。
委員の皆様におかれましても、様々な御意見をいただきましてありがとうございました。
次回の本部会の開催日程につきましては、調整の上、改めて御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして、第6回「医道審議会医道分科会診療科名標榜部会」を終了いたします。ありがとうございました。
委員の皆様方におかれましては、本日は御多忙のところ、御出席を賜り、誠にありがとうございます。
ウェブ参加の委員の皆様方におかれましては、参加中、基本的にマイクはミュートにしていただきまして、御発言の際には挙手ボタンで挙手をいただきまして、事務局もしくは部会長から指名がございましたら、初めにお名前をいただいてから御意見、御発言いただくようお願いいたします。
また、会場から参加されている委員の皆様方におかれましては、挙手いただき、事務局もしくは部会長から指名がございましたら、同じく初めにお名前をいただいてから御意見、御発言いただくようお願いいたします。
それでは、初めに医政局長の森光より御挨拶をさせていただきます。
○医政局長 医政局長の森光でございます。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、当部会の委員に御就任いただきまして、誠にありがとうございます。
また、本日は大変お忙しい中、御出席いただきまして重ねて御礼を申し上げます。
当部会は、国民の選択に資する医療機関における診療科名の標榜につきまして検討、審議することを目的に開催するものでございます。
診療科名に関しましては、患者や住民自身が自分の病状に合った適切な医療機関の選択を支援するという観点から、平成20年に当部会での議論を踏まえて政令を改正し、一定の性質を有する事項を包括的に規定する方式に改めました。これによりまして、単独で標榜可能な事項、内科や外科、精神科などと組み合わせて標榜可能な事項、小児や老人、呼吸器、循環器、がん、糖尿病などを定めておりまして、医療機関が標榜できる診療科名を拡大したところでございます。
今般、日本睡眠学会より、関係学会の賛同を得た上で、単独で標榜可能な診療科名と組み合わせて標榜できる用語として新たに睡眠障害を追加することについて御要望をいただいております。
構成員の皆様方には、それぞれ御専門の立場から忌憚のない御意見を賜りたく存じます。どうぞよろしく御審議をお願いしたいと思います。
○保健医療技術調整官 それでは、部会長が選任されるまでの間、私、事務局の医政局総務課保健医療技術調整官の九十九が進行を務めさせていただきます。
それでは、委員の皆様方の御紹介に移らせていただきたいと思います。
恐縮ではございますが、お名前を呼ばれました際には、一言御挨拶のほど、よろしくお願いいたします。
名簿の順番となりますが、日本歯科医学会総務理事、天野敦雄委員、よろしくお願いします。
○天野委員 大阪大学歯学部の名誉教授をしております、日本歯科医学会総務理事の天野でございます。本日はよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、国立研究開発法人国立成育医療研究センター理事長、五十嵐隆委員、よろしくお願いいたします。
○五十嵐委員 御紹介いただきました、成育医療研究センターの五十嵐と申します。もともとは小児科医です。
こどもの正常な発達には睡眠が大事と、40年以上前から瀬川昌也先生がおっしゃっておられます。睡眠障害は発達障害のこどもを中心に問題となっています。
今日はどうぞよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、日本医学会会長、門脇孝委員、よろしくお願いいたします。
○門脇委員 日本医学会、虎の門病院の門脇でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML委員バンク登録会員、坂本純子委員、よろしくお願いいたします。
○坂本委員 認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの委員バンク登録会員の坂本と申します。
患者家族の視点から意見を述べられればと思っております。よろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、公益社団法人日本歯科医師会常務理事、末瀬一彦委員、よろしくお願いいたします。
○末瀬委員 御紹介いただきました末瀬でございます。
現在、日本歯科医師会のほうでは学術国際渉外、そして、学会の担当の常務理事を拝命しております。よろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、明治学院大学法学部政治学科教授、西村万里子委員、よろしくお願いいたします。
○西村委員 明治学院大学の西村と申します。
法学部で公共政策を担当しております。政策の視点から意見を言わせていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、産経新聞社東京本社編集局文化部記者、平沢裕子委員、よろしくお願いします。
○平沢委員 産経で記者をしております平沢と申します。
医療とか食の安全を長く取材してきたもので、その経験からいろいろなことを今回お話しさせていただければと思います。よろしくお願いします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、公益社団法人日本医師会会長、松本吉郎委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員 日本医師会の会長の松本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
続きまして、常葉大学法学部教授、峯川浩子委員、よろしくお願いします。
○峯川委員 常葉大学法学部の峯川浩子と申します。本日はよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 委員の先生方、ありがとうございました。
本日は、日本学術会議副会長、磯博康委員より御欠席の御連絡をいただいております。
それでは、現時点で委員9名の出席がございまして、過半数を満たしておりますので、本部会は成立しますことを御報告申し上げます。
なお、門脇委員からは都合により途中退席されると伺っております。
また、本日は、参考人として一般社団法人日本睡眠学会より内村直尚理事長に御出席いただいております。
内村参考人、一言御挨拶をお願いいたします。
○内村参考人 日本睡眠学会の理事長を務めております、久留米大学の内村です。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 ありがとうございました。
それでは、撮影につきましてはここまでとさせていただきます。
なお、引き続き傍聴される方は、今後は写真撮影、ビデオ撮影、録音はすることはできませんので、御留意いただければと思います。
それでは、続きまして資料の確認をさせていただきます。
ウェブ参加の委員の皆様には、事前に事務局からメールでお送りさせていただいております。
会場出席の皆様については、お手元に配付しております議事次第、資料1~3、参考資料1~4の御確認をお願いいたします。不足する資料がございましたら、事務局にお申しつけください。
それでは、早速ですが、議題1「部会長の選任等について」に移りたいと思います。
参考資料2を御覧ください。
こちらは審議会の運用規定を定めました医道審議会令を示させていただいておりますが、第6条の3におきまして「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」となっております。
本規定に基づきまして、委員の互選によりまして部会長を選任いただきたいと考えておりますが、どなたか御推薦はございますでしょうか。
門脇委員、よろしくお願いいたします。
○門脇委員 大変経験が豊富で、学識も高く、医道分科会長も務めておられます五十嵐委員に部会長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(委員首肯)
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
委員の皆様が首肯されておりますので、それでは、五十嵐委員、部会長席のほうに移動をよろしくお願いいたします。
それでは、改めまして、五十嵐部会長より一言御挨拶をいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 部会長に選出いただきました、成育医療研究センターの五十嵐と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
本会は17年ぶりの開催とのことです。睡眠障害が国民にとって大きな課題であることの反映ではないかと考えております。ぜひ皆さんから貴重な御意見をいただきまして、方向性を決めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○保健医療技術調整官 五十嵐部会長、ありがとうございました。
続きまして、本部会には部会長が指名する形で部会長の代理を置くこととなってございます。
五十嵐部会長より部会長代理を御指名いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。
それでは、日本医学会会長の門脇委員に部会長代理をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
○保健医療技術調整官 門脇委員、部会長代理についてよろしいでしょうか。
○門脇委員 承知いたしました。
○保健医療技術調整官 ありがとうございます。
それでは、門脇委員に部会長代理をお願いしたいと思います。
それでは、以降の進行につきましては、五十嵐部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。
皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
では、議事に入りたいと思います。
今日は2つございまして、一つは「睡眠障害について」、もう一つは「その他」でございます。
まず、事務局から資料1「標榜診療科名について」の御説明をお願いしたいと思います。
○保健医療技術調整官 事務局でございます。
それでは、お手元の資料1を御覧ください。
1ページ目をめくっていただきまして、本日はまず標榜診療科名の基本的な制度の概要と、睡眠障害の標榜について睡眠学会から御要望いただいた件について御報告いたします。
それでは、4ページ目を御覧ください。
こちらですが、まず医療広告規制の概要について御説明申し上げます。
この医療広告規制につきましては、そもそも広告に該当するか否かにつきまして誘引性、特定性で判断いたします。誘引性に関しましては、患者の受診等を誘引する意図があること。また、特定性に関しましては、医療等を提供する者の氏名、病院や診療所の名称が特定可能であることになっておりますが、この2つのいずれにも該当する場合に医療広告規制に該当するということになっております。このため、学術論文であったり院内掲示といったものは医療広告規制には該当しないということになってございます。
この広告規制の概要でございますが、医業等に関する広告をするに当たりましては、医療法第6条の5により広告禁止の対象となる内容が規定されておりまして、そちらは下の①のところに書かせていただいております。
また、医療広告規制におきましては、患者等の利用者保護の観点から広告可能な事項を診療科名や医療機関の名称などに限定しておりまして、それら以外の広告については原則禁止しております。
次のページを御覧ください。
5ページ目ですが、医療法における規制の基本的な考え方を示したものでございます。
1つ目は、医療は人の生命・身体に関わるサービスでありまして、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害はほかの分野に比べ著しいこと。
2つ目ですが、医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。
そういったところから、限定的に認められた事項以外は原則として広告禁止となっております。
具体的な広告可能な事項につきまして①から⑬まで書いておりますが、本日御議論いただくのは2番目の診療科名になってございます。
次のページを御覧ください。
6ページ目になりますが、医療法における記載内容でございます。
第6条の6に、広告可能な診療科名ですが、医業及び歯科医業につき、政令で定める診療科名となってございます。
第6条の6の2のところですが、こちらの政令の制定または改廃の立案をしようとするときは、医学医術に関する学術団体及び医道審議会の意見を聴かなければならないとなっておりまして、本日御議論いただくという流れになります。
次のページを御覧ください。
7ページ目になりますが、医業に係る標榜診療科名の変遷についてお示ししたものでございます。昭和23年から順に下線の診療科名が追加となってございますが、平成20年以降が現行の制度となっております。
次の8ページ目を御覧ください。
それでは、この平成20年の改正の内容でございますが、改正前は具体的な標榜診療科名を限定列挙する形でございました。
こちらが改正後、平成20年4月以降でございますが、単独で広告可能な診療科名、こちらの箱にあります内科とか外科とか精神科でございますが、そういったものとこのような単独で広告可能な診療科名と組み合わせることが可能なもののように整理してございます。
次のページを御覧ください。
9ページ目になりますが、まず医業についてでございます。単独で標榜可能な診療科名につきましてピンクの枠で囲っておりますが、先ほど申し上げましたような内科、外科、精神科、アレルギー科、そういったものでございます。
もう一つが①の単独で標榜可能な診療科名と組合せで用いることができるものとしてこの四角の箱で整理しておりますが、区分としましては、1つ目の(a)が身体や臓器の名称であるもの、(b)が患者の年齢、性別等の特性を示したもの、(c)が診療方法の名称、(d)が患者の症状、疾患の名称、こういった分類ごとに診療科名と組合せで用いることができるものとしたものを列挙しております。
10ページ目を御覧ください。
しかしながら、全ての組合せが可能というわけではございませんので、不合理な組合せにつきましてもこのように明記してございます。具体的には4行目の小児科と老人の組合せだったり、5行目の皮膚科と呼吸器だったり、また、産婦人科と男性であったり、こういったものが不合理な例として示されてございます。
また、歯科医業に関しましては、歯科についても単独で標榜が可能でございまして、歯科と組合せで用いることができるものとして、小児であったり、また、矯正、口腔外科といったものがございます。
次のページを御覧ください。
11ページ目ですが、このような整理から、通常考えられる診療科名を右の箱の中に示してございます。
12ページ目を御覧ください。
次のページになりますが、こちらはやや細かい内容の規定になりますが、2つ目の○でありますが、医療機関が広告する診療科名の数についてですが、患者等による自分の病状等に合ったより適切な医療機関の選択を支援する観点から、医師または歯科医師1人に対して主たる診療科名を原則2つ以内とすることが望ましいとなってございます。
次のページを御覧ください。
13ページ目ですが、標榜診療科に関する基本的な考え方でございます。こちらは、標榜診療科名の広告としての役割は、患者等にとって適切かつ迅速な医療機関の選択と受診等を確保することであります。このため、標榜診療科名として適当か否かにつきましては、平成8年当時の委員会、これは本部会の前身に当たる医道審議会審議部会診療科名標榜専門委員会でございますが、このような整理となっておりまして、具体的にはこの①~④の基本的な考え方を示しております。
1つ目が、独立した診療分野を形成していること。
2つ目が、国民の求めの高い診療分野であること。
3つ目が、診療科名が分かりやすく国民が適切に受診できること。
4つ目が、国民の受診機会が適切に確保できるよう、診療分野に関する知識・技術が医師に普及・定着していることとなっておりますので、このような観点で本部会は御議論いただきたいと思っております。
次のページを御覧ください。
15ページ目になりますが、今般、日本睡眠学会より、関係学会の賛同を得た上で、単独で標榜可能な診療科名と組み合わせて標榜できる用語として、新たに「睡眠障害」を追加することについて御要望をいただいております。
標榜可能な診療科名につきましては、医療法に基づき、医学医術に関する学術団体及び医道審議会の意見を聴くこととされております。
標榜診療科名に関する基本的な考え方等に基づきまして、睡眠障害を組み合わせて標榜可能な診療科名に追加することについて、本部会で御議論いただきたいと考えております。
次のページになります。
こちらはあくまで現状のスケジュール案でございますが、本日1回目の御議論をいただきまして、後ほど日本睡眠学会より睡眠障害に関する基本的な事項について御説明いただきます。
次回、1月頃を想定しておりますが、2回目の本部会におきまして、今回委員からいただきました御意見を踏まえまして、さらに睡眠障害を標榜する上での考え方について御議論いただく予定でございます。
3月頃に第3回目を開催しまして、議論の取りまとめ、改正条文案の提示、また、その後、医学医術に関する学術団体への意見照会を経まして、パブリックコメント等を行っていきたいと考えております。
あくまでこちらは現在のスケジュールなので、今後変わり得るというところは御留意いただければと思います。
事務局からの説明は以上でございます。
○五十嵐部会長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から御説明いただきました標榜診療科名につきまして、基本的な制度、概要等の説明に対して、何か御質問等がございましたらお願いしたいと思います。
よろしいですか。
それでは、特にないようですので、続きまして、日本睡眠学会理事長の内村参考人から資料2「睡眠障害の標榜実現に向けて」につきまして御説明をお願いいたします。
○内村参考人 久留米大学、また、日本睡眠学会理事長の内村です。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
座って説明させていただきます。
それでは、この資料2ですけれども、資料を見ていただいても構いませんので、よろしくお願いします。
次をお願いします。
これはOECDが発表している世界の各国の睡眠時間を示したものですけれども、よくこれはテレビにも出て、マスコミにもよく出てくるのですけれども、日本が最も睡眠時間が少なくて、7時間22分。世界の平均と比べると1時間以上短いということが分かります。
次をお願いします。
これは2019年の国民健康栄養調査の結果です。日本人の5人に1人は睡眠の問題を抱えているということがよく言われるわけですけれども、このデータを見ていただきますと、青が男性で黄色が女性です。一番上が寝つきが悪い、2番目が夜中に何回も目が覚める、3番目が朝早く目が覚める。それぞれ20%近く男性も女性も訴えている。4番目が睡眠時間が足りない、5番目の睡眠の質が満足できないというところもやはり20%近い。そして、一番多いのは、その下の昼間に眠気を感じる。これは女性で40%近く、男性も30%を超えるぐらいの割合の方が訴えておられて、これは睡眠時間が足りないから昼間眠いのか、あるいは過眠症があるために眠いのか、あるいは子供さんたちがリズムが乱れた上で昼間眠気を感じるのか、様々な要因が考えられます。
次をお願いします。
これはICSD-3、睡眠障害の国際分類の主な睡眠障害を示しています。臨床的によく見られるものです。
まず不眠症です。
その次にというか、それと変わらないぐらい多いのが閉塞性の無呼吸症候群です。
それと、過眠症の代表的なナルコレプシー。
そして、4番目が子供たちが思春期によく見られる睡眠リズムの特に後退ですね。睡眠覚醒相後退障害。
そして、5番目が睡眠随伴症と言われます睡眠中の異常行動で、レム睡眠行動障害は高齢者に多くて、レビー小体型認知症の前駆症状あるいはパーキンソン病の前駆症状とも言われております。睡眠時遊行症は子供に起こる夢中遊行です。こういう睡眠中の異常行動。
そして、6番目が睡眠関連運動障害です。これは代表的なのはむずむず脚症候群、レストレスレッグス症候群、あるいは周期性四肢運動障害、夜間不随意運動が起こって覚醒してしまう。このむずむず脚症候群、周期性四肢運動障害は高齢者に多いということが臨床的には言われています。
このような睡眠障害が臨床的にはよく遭遇しますので、睡眠障害をいかに診断していくかというのも大事になってきます。
次をお願いします。
睡眠障害がどのような悪影響を及ぼすかということもたくさんのエビデンスで示されていまして、当然、昼間の眠気を訴えるというだけではなくて、産業事故ですね。有名なところでは、チェルノブイリの原発事故は睡眠の問題で起こったということが明らかにされています。あと、アメリカのスリーマイル島の原発事故ですね。そういうものもやはり睡眠の問題ということが明らかになっています。
あと、交通事故、仕事のパフォーマンスが下がって生産性が低下するとか、思春期の欠席とか、あるいは欠勤ですね。
また、睡眠が障害されますと肥満になりやすいということも分かっていまして、その結果、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などを誘発する。さらに、心筋梗塞、脳血管障害の原因になるということも分かっています。
また、精神科的な鬱病あるいは認知症の発症の引き金になる。
また、最近ではがんの発症率を増加するということで、男性は前立腺がん、女性は乳がんの誘因になるということも示されています。
また、神経発達症ですね。ADHDやアスペルガー症候群などの誘因になるというようなことも示されてきていますので、結果的には医療費の増大にもつながっているということが言えると思います。
次をお願いします。
2023年に母子手帳が10年ぶりに改訂されまして、2か月から6歳までの母子手帳の中で子供の睡眠と保護者の睡眠というのが改訂されました。これは先ほど言いましたように、子供の成長発達に睡眠がすごく大事であること。神経発達症の引き金になるとか、あるいは日本は子供の自殺が多いということで、睡眠の問題から子供の鬱病から自殺、あるいはひきこもり、不登校、そういうものに関与してくる。あるいは母親の虐待ですね。虐待というのは0歳のときが一番多いので、母親が睡眠が十分取れなくていらいらすることによって虐待につながるとか、あるいは産後鬱病からの自殺、そういうものに関係するということで、母子手帳の中に子供の睡眠と保護者の睡眠というのが入りました。
次をお願いします。
次は健康づくりのための睡眠ガイド2023、これは健康日本21の第三次提言で示されたもので、昨年発表されまして、ここでは睡眠時間と睡眠の質を目標として掲げています。これは、朝起きたときに休養感を感じるかどうかというのが睡眠の質を表すということで、目標を高齢者、成人、子供ということでライフステージごとに示していまして、少し説明しますと、高齢者は床の上にいる時間が8時間以上にならないようにしましょうと。8時間以上になると死亡リスクが高まる。そういうエビデンスが示されています。
また、お昼寝も30分以上すると、やはりこれも死亡リスクが高まるということで、お昼寝も長時間は避けましょうということです。
成人の場合は、少なくとも6時間以上の睡眠を取ることが大事であると。そして、子供の場合は睡眠時間がはっきり明記されまして、小学生は9時間から12時間、中学生・高校生は8時間から10時間ということが示されています。この目標値を守ることで、子供の成長発達あるいは健康維持、そして、死亡リスクを下げる、健康寿命を延長するということを実現させようということでこの睡眠ガイド2023が発表されています。
次をお願いします。
8枚目ですけれども、これは今年の骨太の方針で、下から3行目のところを見てもらいますと、運送業での睡眠時無呼吸対策、睡眠障害の医療アクセスの向上、睡眠研究の推進、睡眠ガイド等の普及啓発、健康経営の普及、睡眠関連の市場拡大や企業支援に一層取り組むということで、骨太の方針の中でも睡眠が取り上げられています。
次をお願いします。
これは小児・思春期で不眠や過眠がどのくらい認められるかという日本の疫学調査ですけれども、不眠・過眠の中学1年生から高校3年生までのデータを示しています。
不眠の場合は、男性も女性も20%程度ということが示されていますから、5人に1人ぐらいが不眠を訴えている。
一方、過眠のほうが多くて、男性が39%、女性は46%ということで、高校生に入ると、特に女性では昼間の眠気を半数ぐらいの方が訴えている。これはやはり睡眠のリズムが乱れてしまうとか、あるいはナルコレプシーなどを発症しやすい年齢である。あるいはストレスなどで睡眠が十分取れていないとか、あるいはスマホなどブルーライトで睡眠が取れていない。そのために昼間の眠気を訴える。様々な要因がこういう結果を生んでいるのだということが分かると思います。
次をお願いします。
次は成人の不眠の割合を示していまして、年代ごとに示していますけれども、成人の場合は男性も女性も10%から15%ぐらいと。これで見ると、女性の70歳以上が多い。60歳ぐらいから多くなっているのが分かります。
次をお願いします。
これは不眠症です。今まで示したのは不眠といって夜の睡眠の問題がある方なのですけれども、不眠症というのは夜の睡眠の問題のために昼間に何らかの機能障害、例えば眠くてたまらないとか、体が疲れやすいとか、そういう昼間のQOLの障害があって初めて不眠症という診断がついて、睡眠薬が適用となります。
この不眠症と疾患の割合はどのくらいあるかということで、これも日本のデータで示しますと、男性で25%、女性で30%と。これはアテネ不眠尺度というものを使って、自覚的な評価で示したものです。
慢性不眠障害というのは3か月以上、週3回以上続くような慢性の不眠障害の割合ですけれども、ここでは約10%ということが示されています。
次をお願いします。
続きまして、不眠症等と同じように頻度として多い睡眠呼吸障害です。これはながはま研究ということで滋賀県で行われた研究で、パルスオキシメーターを用いて、酸素飽和度が3%以上低下している方を対象に、1時間に5回以上ある場合が軽症、5から15回未満ですね。15回以上ある場合が中等症ということで有病率を見ているのですけれども、男性では治療を要する中等症以上の患者さんたちが、23.7%、閉経前の女性は1.5%、閉経後の女性は10%ぐらいに上がってくるということが示されています。
次をお願いします。
これは、世界の中で無呼吸症候群の多い上位の国を示したもので、日本はAHIが15以上の中等症が約900万人ということで、そのうちCPAPの治療をしている人は70万人ぐらいだということで、十分な治療をされていないということが分かります。
次をお願いします。
この閉塞性無呼吸症候群がなぜ問題かといいますと、やはり生命予後に影響してくる。高血圧から心血管イベントを引き起こして死亡リスクが高まるとか、あるいは気分障害、認知機能障害を呈してくる。また、産業事故や交通事故などの原因になるということが示されています。
次をお願いします。
これは睡眠障害の鑑別のためのスクリーニングを示したものです。睡眠学会でつくったもので、先ほど示した主な6つの疾患をどう鑑別していくかということです。不眠があると、まず鬱病などの精神疾患を鑑別する必要がありますし、あとは無呼吸症候群、レストレスレッグス症候群、ナルコレプシー、レム睡眠行動障害、概日リズムの後退、そういう疾患を鑑別診断していって、最後に残って不眠症かどうかというような形でスクリーニングしていくということを睡眠障害の診断治療、そして、医療連携を考えてつくったものです。
次をお願いします。
これは2013年につくりました睡眠薬の治療アルゴリズムでして、今はこの改訂版をつくり始めています。不眠症と診断された場合には薬物療法と認知行動療法を併用して 、不眠症が改善したら睡眠薬はできるだけ中止を目標としようということがここでは示されています。
次をお願いします。
これは今、日本で使える睡眠薬です。オレキシン受容体拮抗薬が中止しやすい睡眠薬で、副反応も少ないということで第一選択薬として使われてきています。今3つあるのですが、もうすぐ4剤目が発売される予定であり、新しい睡眠薬の適正使用のアルゴリズムの改訂版をつくっているところです。
次をお願いします。
これは日本睡眠学会の現状を紹介しようと思って示したものです。会員数が約4,200名、そのうち医師が2,700名です。そして、専門医と総合専門医、専門医は、2002年から始めて最初試験を受けずに専門医になった方々で、その後に、試験を受けて専門医になった方が総合専門医です。指導医が約300名、そして、専門医療機関が約120施設あります。歯科医が約400名いらっしゃって、睡眠学会の歯科専門医が80名、また、検査技師が800名ぐらいいらっしゃって、専門検査技師の方が616名というような構成になります。
次をお願いします。
これは参考資料3に示していますけれども、今回4月30日に標榜診療科名についての要望ということで提出したものです。睡眠障害で悩んでいる患者さん方が医療機関へアクセスしやすいようにということで、組合せに睡眠障害という疾患名を追加してほしいという要望です。それによって国民の健康増進や生活の質の向上に貢献できること。また、医療者の診断・治療に関する知識・技術の普及啓発も進むと考えています。
次をお願いします。
先ほどの説明にもありました標榜診療科名について、②の一番下の(d)患者の症状、疾患の名称のところ、感染症とか糖尿病がありますけれども、ここに睡眠障害という疾患名を加えてもらいたいと考えております。
次をお願いします。
これは先ほど示された4つの条件を満たしているかどうかということですが、睡眠障害という疾患は2018年にICD-11で独立しました。そして、国民の求めが高いかどうかということで、約3,500名の一般の方々にアンケートした結果、80%ぐらいの人が睡眠障害が標榜されたら受診したいと答えられました。
また、睡眠障害というのは国民には分かりやすいということは間違いないのではないかと考えています。
そして、4番目の診療分野に関する知識・技術が定着・普及しているかということですけれども、これも睡眠薬などを投与している約1,200名の医師にアンケートを取ったところ、82%ぐらいが睡眠障害の標榜が必要と答えて、72%が標榜しても構わないということを答えていらっしゃいました。
また、睡眠関係の6学会、精神神経学会、呼吸器学会、循環器学会、神経学会、耳鼻咽喉科学会、小児科学会の承認を得た上で、これらの4つの条件もほぼ満たしていると考え、今回要望書を提出しました。
次をお願いします。
また、大学病院に対してアンケートを取りまして、睡眠の専門外来をしているところが76%ぐらいあって、できていないところはやはり人が足りないとか、無呼吸症候群の診療が主体であるという意見が多かったので、我々睡眠学会としては、大学病院に睡眠医療特定地域専門医制度というのをつくって、今それを進めています。各地域での医療格差があると睡眠医療のいわゆる医療アクセスが低下しますので、大学を中心として専門医・専門施設を各都道府県につくって、そして、地域医療の中心である日本医師会の先生方と連携を取りながら、睡眠医療のアクセスを高めていこうと考えております。
次をお願いします。
最後に、睡眠学会の取組としてどういうことをやってきたかというのをまとめているのですけれども、2022年の12月に森光医政局長に要望書を提出しまして、先ほど示した6学会の賛同を得ております。
また、この6学会との連携を取っていくために、標榜科推進学術交流ワーキンググループを設立して、6学会とのシンポジウムを開催しており、さらに、医師会主催の生涯教育を通して、一般の先生方に睡眠医療のアプローチを学んでいただくために、研修会やE-learningを提供する予定です。
次をお願いします。
さらに、医師会主催の産業医講習会への講師派遣です。これは産業保健スタッフへの睡眠知識の普及啓発のために行います。また、睡眠検診に関するガイドラインを今策定しようとしております。
ところで、無呼吸症候群の治療では口腔内装置を歯科の先生に作っていただいていますので、その連携を今後はさらに発展していこうと考えています。
また、今まで英文誌のSBRというのを睡眠学会が発行していたのですけれども、邦文誌、日本語でのオンライン版、『睡眠医療ネクサス』を今年の6月に出版して、より多くの方が睡眠学に関して学べるような形を取っております。
そして、大学病院に特定地域専門医を創設し、全ての都道府県に専門医を少なくとも複数名以上配置しています。
次をお願いします。
これは来年の学会は、睡眠学会、日本睡眠歯科学会、日本睡眠検査学会、3学会が合同で行う予定になっております。
次をお願いします。
これは、新しく始める5歳児健診の中に睡眠の項目が入っていまして、子供の成長・発達には睡眠が重要であること、また、5歳児に睡眠を切り口として神経発達症を早めに診断して対応していくべきだと考え、小児科の先生方と一緒に5歳児健診の中にこのようなリーフレットを作製しました。
次をお願いします。
これは、2027年の4月の日本医学会総会の合同シンポジウムに6学会で連携して応募しました。
次をお願いします。
最後です。睡眠障害の標榜の必要性に関して、説明致しました。睡眠に問題がある方が日本人の5人に1人ぐらいはいらっしゃる。ただ、様々な睡眠障害を鑑別する必要があります。一方、デバイスによって睡眠の問題というのがより客観視できるようになってきています。そこで、睡眠で困っている方がどこを受診してよいか明確にするために、睡眠障害の標榜が実現できれば医療アクセスの向上が可能になると考えています。また、国民の睡眠へのニーズも高く、健康維持や身体的・精神的疾患の予防・早期診断・治療のためにも、ぜひ睡眠障害の標榜をお願いしたいと考え、今回日本睡眠学会から要望を提出させていただきました。
以上です。どうもありがとうございます。
○五十嵐部会長 内村先生、詳細な御説明をいただきましてありがとうございました。
それでは、ただいまの説明を基に御議論していただきたいと思います。睡眠障害に関する基本的な事項について御質問等がありましたらお願いしたいと思います。
平沢委員、お願いします。
○平沢委員 先生、説明をありがとうございました。
18ページで睡眠学会の会員の専門医と総合専門医というような人数も出ているのですけれども、目標としてたしか各県に2人いるようにみたいにあったのですけれども、現状として全国にあまねく睡眠学会の総合専門医を持っていらっしゃる方がいらっしゃるものなのかどうかということと、やはりお医者さんだけだと睡眠の治療というのはなかなか難しいと思うのですけれども、今、薬を使わないで認知行動療法というのが第一選択みたいなっているというような記述がどこかにあったかと思うのですけれども、そうすると、それに対応するお医者さんだけではなくて、臨床心理士さんが関わってくるというようなことかと思うのですけれども、そういう方たちというのはどれぐらいいらっしゃるものでしょうか。
○内村参考人 専門医は、今、47都道府県に全て1人はいて、複数名いなかったところが4県あったのですけれども、そこも今後、大学に特定地域専門医を置くことによって、複数名以上の全ての県にそろうようになります。
専門施設は、これも約10都道府県にないところがあったのですけれども、それも大学病院に特定地域専門施設を設置することで、全ての県に施設ができるようになります。
あと、心理士の方は、ここには書いていないのですけれども100名ぐらいいらっしゃって、昨年から睡眠学会専門心理士の制度を作り、資格試験を始めました。認知行動療法などを専門的にやってもらうような心理士さんです。やはり医師だけでは睡眠障害の治療はできませんので、心理士さん。さらに、訪問看護での睡眠指導などを考えて今年度からは睡眠学会専門看護師制度も始めます。さらに、今後は睡眠学会専門薬剤師、やはり睡眠薬の適正な使用のためには薬剤師さんの力が必要になってきます。心理士、看護師、薬剤師等の多職種と連携して睡眠障害の治療をやっていく必要があります。
○五十嵐部会長 よろしいですか。
○平沢委員 はい。ありがとうございます。
○五十嵐部会長 どうぞ。お願いします。
○坂本委員
本日は御説明いただきましてありがとうございました。睡眠がとても大事であるということは日常生活で意識しているつもりではいましたが、改めて非常に重要であることを今回認識いたしました。
1点お伺いがあります。9ページの資料で小児・思春期の不眠・過眠の年代別の割合というものがございます。高校生の男女とも約半数が過眠であるということには驚いたのですが、このデータは2011年のものとなっておりまして、その後もネット環境やスマホの普及など様々な変化が生じていると思います。もし何かその後の研究などがあれば、お教えください。
○内村参考人 なかなかこういうまとまった研究というのがなされていなくて、今おっしゃいましたように、最近、ネット環境の問題も多いと思います。夜遅くまでテレビとかSNSとかゲームとかで起きていて睡眠不足になっています。ブルーライトによって遅寝遅起きになってしまって、朝起きられずに、起きて学校に行っても眠気を訴える方は増えています。
生物学的に10代になるとだんだん遅寝遅起きになっていきます。大体20歳が遅寝遅起きのピークで、20歳を過ぎるとまた早寝早起きの朝型に少しずつ戻っていくのですけれども、10代の後半というのは最も生物学的に夜型になりやすい。そのときにスマホとかゲーム等のブルーライトを夜に浴びることによって、さらにそれを助長してしまうことが多く、朝起きられないとか、あるいは昼間に眠気を訴えたりというのは増えていると思います。
また、女性の場合は月経周期も睡眠と関連しています。エストロゲンやプロゲステロンの女性ホルモンは睡眠と関与し、プロゲステロン優位となる黄体期では、睡眠が浅くなり、日中の眠気が強まります。特に思春期の女性の場合は月経周期が不規則で不眠や過眠の要因になっている可能性があり、多要因ですが、増えてきているのは間違いないです。
あと、昼間の眠気というのはあまり本人が自覚していない部分があります。ですから、学校の先生方や保護者に気づいてほしいと考えています。
さらに、今は腕時計式とか指輪みたいなデバイスがあって、そのデバイスをつけると行動量で夜の睡眠だけではなくて昼間の眠気というのが測れるようになっています。今まではあまり自分で昼間の眠気を自覚できなかったのが、そういうデバイスを使うことによって昼間の眠気、居眠りしているところがある程度可視化できるということで、より分かりやすくなってきています。昔のデータというのは自覚的な眠気だけをアンケート調査で取るので比較的少なくなっています。それがデバイスなどを使ってくると、頻度としてはかなり高くなってきていると感じています。
○坂本委員 ありがとうございました。
○門脇委員 五十嵐先生、よろしいでしょうか。
○五十嵐部会長 どうぞ。門脇先生、お願いします。
○門脇委員 門脇です。ありがとうございます。
私は内科をバックグラウンドにしています。内村先生には、非常に分かりやすい説明をありがとうございます。改めて、睡眠障害の重要性、また、睡眠医療の重要性について強く認識させていただきました。
私が質問したかったのは、資料の2ページなのですが、平均睡眠時間の国際比較で、日本が7時間22分ということで、OECDの各国平均に比べて1時間以上短いです。このリストされている国の中では最も短いということがデータとして指摘されていますが、このバックグラウンドにある原因についてはどのように考えられているのでしょうか。
○内村参考人 ありがとうございます。
このデータは、そこの下にも書いてありますように15歳から64歳の方を対象に行った調査ですから、日本でいうと高校生以上ということになります。日本の場合は戦後、約1時間睡眠時間が短縮しています。その一番の理由は、成人の方が睡眠時間を削って働いてきた。それによって経済が成長してきたというのはあると思いますし、最近は働き方改革であまりないのですけれども、夜遅くまで残業することが頑張っているあかしとされ、寝る時間を削って仕事するのが賞賛されていたと思います。1990年代頃に「24時間戦えますか」というコマーシャルが流れていた。ですから、眠るの犠牲にして働くのが美徳だというところが日本の場合はあったと思います。
また、学生さんの場合も睡眠時間を削って勉強するのが一般的だと思います。我々のときもそうですけれども、「四当五落」が叫ばれ、高校の先生が5時間寝たら大学に落ちるよ、4時間以内にしましょうと指導していました。今は逆で、「六当五落」で、6時間以上睡眠を取らないとパフォーマンスを発揮できないという時代なのですけれども、やはり高校生も睡眠時間が取れない状況です。
そして、高校生は朝課外があって、通学時間が長いため朝は6時前に起きなくてはいけない。夕方はクラブ活動、夜は塾に行かなくてはいけない。そうなると、睡眠時間がかなり削られてきます。大人の場合も、先ほど言いましたようにやっと働き方改革が導入され、インターバル時間を医者も9時間以上取らなくてはいけないということになってきましたけれども、それでもまだまだ睡眠が取れずに働いている方も多いし、あと、日本は約20%交代勤務の方がいらっしゃって、不規則な生活習慣になりやすい。また、ストレス社会ですし、日本で一番寝ていらっしゃらないのは女性の40代、50代なのです。これは女性の方で働いていて、家事、育児、あるいは介護等で女性に負担がかかってきて、睡眠時間が短くなる。
さらに、ブルーライトですね。今、ほとんどの家庭がLEDだと思うのですけれども、LEDはブルーライトが強くて、夜遅くまでブルーライトを浴びると睡眠時間が短くなってくるし、睡眠の質も低下してきます。生活・睡眠環境、社会的・文化背景、日本人の気質、そういうものが結果的には睡眠時間が短くなってきた要因ではないかと考えています。
○門脇委員 内村先生、非常によく分かりました。睡眠時間が少ないことを美徳にする、やはりそういう社会文化的な問題ですね。そういった意識なども改革していく必要があることもよく分かりました。
内村先生、ありがとうございました。
○内村参考人 どうもありがとうございます。
○天野委員 内村先生、よろしいでしょうか。歯科医学会の天野です。
私、歯医者ですので、歯科の立場からお伺いしたいと思うのですが、標榜に必要な4つの条件に知識・技術が医師に普及していることとございましたけれども、睡眠障害に対する知識・技術が歯科医師に普及しているかどうかお伺いしたいと思います。
先生のところの学会には80名の歯医者の専門医がいらっしゃいますし、そして、歯科には睡眠歯科学会がありますので、睡眠障害に関心を持っている歯医者さんは多いと思います。
また、睡眠時無呼吸症候群へのファーストチョイスの治療が口腔内装置の製作・管理ですので、歯科医師にとって非常にアフィニティーの高い分野とは思います。一方、子供に対しての睡眠時無呼吸症候群に対して口腔周囲の筋機能訓練をファーストチョイスとしたり、歯列矯正を進めたりする歯科医師もいらっしゃいます。また、歯科的な疾患として睡眠時の歯ぎしり、ブラキシズム、顎関節症、慢性口腔顔面の疼痛、こういうものが睡眠障害とともに表出した場合は、対応に苦慮する歯科医師は少なくないのではと思うのですが、内村先生の肌感覚で歯科医師が睡眠障害に十分対応できるかお聞かせいただきたいと思います。お願いいたします。
○内村参考人 ありがとうございます。
1,200名と言われたように睡眠歯科学会もすごく会員数が増えていっていますし、あと、睡眠学会の中にも400名近くの歯科の先生が入られて、そして、専門医も取っていただいて、様々な面で連携していまして、来年、一緒に学会を行うわけですけれども、無呼吸症候群の口腔内装置は需要がすごく多くて、治療という面では歯科の先生方に貢献していただいています。
あと、今日は示せなかったのですけれども、子供の無呼吸症候群というのが日本にはすごく多いのですよね。これはアデノイド、扁桃肥大が直接的な原因なのですけれども、元来日本人というのは欧米人に比べて下顎が後退し、小さいので、そのために気道が狭いのが解剖学的な特徴です。ですから、アデノイドや扁桃肥大があることによって容易に無呼吸になりやすいということで、子供の無呼吸をいかに早期に発見していくかということで、この5歳児健診のリーフレットの中では4つの注意事項の中の一つに示しています。いわゆるいびきを毎日かくようだったら、これは健康な状態ではないので無呼吸を疑いましょうと。子供の無呼吸というのは大人の無呼吸以上に怖くて、漏斗胸を呈してしまって外科的な手術をしないといけなくなったり、あるいは子供の無呼吸が睡眠を障害しますので、神経発達症の原因になったりということもあります。
では、子供の睡眠をどうやって気づいてあげるかというところで、先ほど5歳児健診の話をしましたけれども、1歳半健診、3歳児健診なども行われるのですけれども、小学校に入ってからの健診でなかなか睡眠の問題というのが日本では行われていません。今、睡眠学会では、歯科健診というのが小学校ではあるので、そのときに扁桃肥大とかアデノイドなどを見ていただいたり、呼吸の状態、あるいはできれば睡眠の問題などを聞いていただきたいと思います。歯科の先生方が小学校で歯科健診を行う中で睡眠のことも意識していただくと、子供たちの睡眠の問題がより可視化できるのではないかということを考えています。
あと、診断の面では、歯科の先生方に検査でセファログラムを撮っていただいて、小下顎、下顎後退の有無や気道の大きさ等を評価していただくことが重要です。歯科の先生方とは治療だけではなくて診断においても協力が必要です。
また、無呼吸症候群の場合は、50前後から顎の筋肉が緩んできて口を開けて寝るようになると、気道の直径が半分になって無呼吸になりやすいということで、口の緩みというのがやはり無呼吸の原因になってきますので、最近は歯科の先生がこの緩みを予防するような体操、運動を指導していただくこともあり、中高年以降の無呼吸の予防にも貢献していただいているということで、本当に歯科の先生とは様々な面で、診断、治療あるいは予防という点で、子供から高齢者まで様々な年齢において連携を取りながら今もやっていっていますし、さらに高齢化社会になっていくと、歯科の先生方との連携はより不可欠になってくると考えています。また、歯ぎしりなどで睡眠が障害される時は治療の対象になるので、詳しい検査を睡眠専門施設で行うこともありますし、さらに連携を深めていきたいと思います。
以上です。
○天野委員 ありがとうございます。
内村先生、ということは、睡眠障害という標榜名が認められた場合は、睡眠障害歯科というのも念頭に置かれているわけでしょうか。
○内村参考人 いえ、今回はまだそこまでは考えていないのですけれども、まずは医科のほうで睡眠障害というのを組合せという形で加えていただき、それが実現すれば、患者さんを診断するときにセファログラムなど歯科の先生に紹介して、特に無呼吸症候群の場合は治療に歯科の先生の協力を仰ぐ、連携するということで、今回は医科のほうでの組合せということで要望書を出しております。このことについては、睡眠学会の歯科の先生方とも十分話合いをした上で、今回はまず医科のほうでの睡眠障害の組合せを実現させようということで進めています。
○天野委員 ありがとうございました。
○五十嵐部会長 どうぞ。お願いします。
○西村委員 明治学院の西村です。
御説明ありがとうございました。
スライド4ページの睡眠障害の分類について、この標榜が認められた場合、現在はまだ睡眠障害というのが診断や説明のときには使われていないのかということと、睡眠障害というのが標榜名として認められた場合には、診断名として睡眠障害とつけることになるのかと、今はそれが認められていないので、どのような診断名を使っているのでしょうか。
○内村参考人 睡眠障害の中に4ページに示しているような疾患があります。ですから、保険適用になってくるのは、それぞれ不眠症、睡眠時無呼吸症候群等の疾患名が診断名としてはついてきます。睡眠障害というのはそれを全部総括的に捉えた場合の名称です。例えば眠れない。これは不眠症とかの症状になってきますし、あとは我慢できない眠気がある。朝起きられない。あるいは5番の睡眠時随伴症では夜大声を上げる、夜暴れる、小さな子供さんが夜歩き回るとか、そういうのが症状になってきますし、6番の睡眠関連運動障害のむずむず脚症候群というのは、夜になるとふくらはぎがむずむずして異常感覚があって、じっとしていられない。そういう症状が患者さんの訴えとして起こってきて、それをどう診断していくのかが大切になります。睡眠学会では、これらの症状に合わせてどのように診断していったらいいかという睡眠障害の診断ガイドラインをつくっていまして、一般のかかりつけ医の先生方が診断しやすいようなスクリーニングのガイドラインをつくっております。
○西村委員 分かりました。
保険適用にはより具体的な6つの症状のようなものも診断のときに記載するような形になるということなのですね。
○内村参考人 まず患者さんは症状で訴えてこられますので、医療者としてはその訴えに対してどういう疾患を考えるのかということで、主にこの6つの疾患が考えられますので、それをどう鑑別していくかということで診断名をつけていきます。
○西村委員 次に、関連してスライドの11について、睡眠障害という障害のところで、慢性不眠障害は週に3回3か月以上持続というときに障害という言葉を使うというような補足的な説明が括弧にあります。睡眠障害という場合にも、総括的な概念とですが、そうした持続性とか週に何回などの程度で使うのか、それ以外の場合は睡眠障害ではなく、基準をつくっていく中でまた別の言い方になってくるのでしょうか。
○内村参考人 我々が診断するときはICD-10、今は11なのですけれども、基づいて診断していきますので、例えば不眠症でも週3回以上3か月以上続く場合は慢性の不眠障害と。それよりも短い場合は短期の不眠障害ということになります。それぞれの疾患によって基準があって、その基準に合致しているかどうかということで診断するようになっています。
○西村委員 長期、短期とか、慢性とか。
○内村参考人 ただ、みんなが長期、短期となっているわけではなくて、不眠症は慢性、短期になっていますけれども、それ以外の疾患はまた診断基準があって、それに応じて、例えば全てに障害とつくわけではなくて、例えばナルコレプシーとかそういう疾患名もありますので、睡眠障害の中にもっと本当は100種類ぐらい診断名があって、それをつけていく形になります。ここでは睡眠障害の中の6つの主なものを示しているところです。
○西村委員 それによって治療とか処方できる保険適用が分類されてくるということなのですよね。
○内村参考人 疾患によって適用になっているお薬というのが決まっていまして、それを使っていくという形になります。
○西村委員 分かりました。ありがとうございます。
○五十嵐部会長 そのほかいかがでしょうか。
どうぞ。お願いします。
○峯川委員 峯川でございます。
先ほどの御説明ですと、睡眠障害の専門医と指導医を合わせると大体1,000名程度、それから、専門の医療機関がAとBとをあわせると100施設ぐらいだったと思います。片や国民の80%が睡眠障害が標榜された場合は受診したいと思っていらっしゃるということなのですが、実際のところ、私たちがフリーに自由にアクセスできる医療施設といいますと診療所等です。つまり、紹介状とか選定療養費がない施設が一番かかりやすいわけですけれども、そういった診療所等一般病院などに所属される専門医の方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。
○内村参考人 睡眠専門医や専門施設の半数は市中のクリニックや病院です。また、多くのクリニック、病院は睡眠薬を投与しておられます。ですから、医師会に入っておられるような先生であれば、ほとんどの医療機関で睡眠薬の投与を行っていらっしゃると思います。それは不眠症とつけば睡眠薬が投与できるという保険体制になっていますので、不眠の方は、今、一番多く受診するのはやはり内科あるいは精神科、心療内科のクリニックだと思います。今日は詳しく説明しませんでしたけれども、市民、3,500名のアンケート調査の結果では、眠れないときにどこに行っているかというアンケートでは、1番が内科で2番が精神科、心療内科ということで、様々なかかりつけの先生のところにまず受診していることが今は多いようです。そして、そこで例えば不眠症だけではなくてほかの睡眠障害の可能性があるような場合は、睡眠学会の専門医の先生、専門医施設のところに紹介していただくことが望ましいと考えています。
○峯川委員 そうしますと、やはり自分が行っているかかりつけ医・主治医の御判断という形となり、患者本人は専門の施設で診てもらいたくても紹介状が必要だったり、選定療養費を支払わなければならないので、なかなか自由にアクセスすることができないような気がするのですけれども。
○内村参考人 もし組合せで標榜できるようになると、例えば内科、あるいは精神科括弧睡眠障害と標榜できるようになってくると、そこに様々な形でアクセスできるようになってきますし、一般のクリニックや病院であれば直接そこを受診することができますし、そして、そこである程度診療していただいて、詳しい検査が必要な場合はそこから専門医とか専門施設に紹介していただくようなシステムの構築を考えています。実際、睡眠専門医や専門施設はクリニックや病院等に多いので、受診しやすいと思います。
今は睡眠と標榜できませんから、どこに行っていいか分からないというのが現状です。ただ、それでも困った場合はかかりつけの先生のところに行っているというのが現状だと思うのです。睡眠障害を標榜できれば、そこにアクセスできるようになってきますので、そこに直接受診されたり、あるいは連絡を取られて、そこで予約を入れられたりして直接行くことは可能ですので、そこに行っていただいて、そして、そこで診断できて治療できれば、継続して治療を受けられることになると思うのですけれども、専門施設での詳しい検査が必要な場合は、そこに紹介していただいて、鑑別していただくということになると思います。
○峯川委員 つまり、専門医でなくても、一般の内科の先生であれば睡眠薬等の処方というのができるので、睡眠障害に関する治療は第一次的にはまずはかかりつけ医でという理解でよろしいでしょうか。
○内村参考人 まず睡眠障害という標榜が組合せでできるようになれば、標榜された先生方には、日本睡眠学会が研修会やE-learningとか様々な面で診断・治療の知識や技術を提供する予定です。また、詳しい検査ができるクリニックや病院の情報も共有したいと思います。
○峯川委員 ありがとうございました。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。
今の御質問はとても大事なのですけれども、やはり医療側もしっかりと睡眠障害の患者さんたちを診られるドクターが増えてくるということ、これが医療の均てん化にもつながりますので、そして、標榜する方が増えてくれば患者さんもアクセスしやすくなるということで、ドクター側の努力も必要だということになるのではないかと思います。御質問どうもありがとうございました。
それでは、時間も押していますので、最初の資料1の13ページに事務局が新しく標榜診療科をつくるに当たって基本的にどういうことが必要かという4つの条件を示していただいております。この点につきまして、委員の先生方のほうから何か御質問等がありましたらお願いしたいと思います。
どうぞ。坂本委員、お願いします。
〇坂本委員 ありがとうございます。
質問というよりも意見に近いものですけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
今、詳しくお話しいただきまして、既に学会としても様々なことに取り組んでいらっしゃるということは大変よく分かりました。
その上で、患者の立場としては、実際に今、診察をしている主治医やかかりつけ医などが睡眠障害の科があることを知っていていること。そして患者本人は睡眠障害と思っていなくても医療者が診て、この人は睡眠障害かもしれないとして適切な科につなげてくれるということが非常に重要です。特に睡眠障害は小児科、耳鼻咽喉科、精神科と幅広いジャンルに関わっております。例えば先ほどもご説明にあった足が痛むというようなときには、もしかしたら患者さんは整形外科に行くかもしれません。部会長もおっしゃられたように、医療者の側もできるだけ幅広く睡眠障害について理解していただくことが大事だと思いました。
同時に、患者や一般の人に睡眠障害を診察してくれる科があるということを今後広く周知していただければと思っています。加えて、仮にですが、例えば睡眠障害内科があったときに、実際にどういう内容の科なのかということが一般の人向けに分かりやすく説明されているとさらにいいのではと考えます。なお科が細かく分かれることはよい面もありますが、科によっては医師が少ないということがあったりすると、患者のアクセスの機会が減ってしまう可能性もあるので、その辺りの御配慮もお考えいただければと思います。
あと医師の偏在、地域の格差は、患者にとっても深刻な課題です。先ほど47都道府県に専門医2名以上、82大学病院に専門医を育成との御説明がありました。学会のホームページを拝見しましたところ、いまは都市部に専門の医療機関、専門医などが多いように思われますので、ぜひ地方に住んでいる患者への睡眠障害の科へのアクセスをさらにご検討ください。
最後に、今後、睡眠障害の科が病院内に新たに設置されるということも増えてくると思います。そういうときに、できれば関連の科のそばに設置していただければというのが患者の希望です。といいますのは、多分病院の様々な事情からかもしれませんが、新しい科が少し離れたところに設置されているということが実際にはあったりします。関連の科のそばにあれば、例えば待合室などで睡眠障害の科があることを知って、自分から受診することもできるかもしれません。
以上になります。
○五十嵐部会長 貴重な御意見をありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。よろしいですか。
どうぞ。
○内村参考人 今、御質問があったことは、十分認識して、少しでも患者さん方が受診しやすいような医療アクセスを実現していく所存です。地域格差をなくすために、大学病院に専門医、専門施設をつくるだけではなくて、睡眠学会の専門医がオンライン診療を行う。例えば一般の先生方が診療されたことを相談できるようなオンライン支援、遠隔医療なども含めて、地域格差がないように、どこを受診されても適切な診療が可能なような形を実現していきたいと思います。そして、睡眠障害の正確な診断、治療を行っていきたいと考えています。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。
ほかはよろしいですか。
平沢委員、どうぞ。
○平沢委員 平沢です。
ここに関係するかはどうかあれなのですけれども、1点気になったのが、やはり睡眠障害というのはどこから病気かというのがなかなか判断しづらいというか、私自身も加齢で中途覚醒というのですかね。夜中に何度も目が覚めるとか、でも、これが結構続くから病気なのかどうかみたいなのがなかなか分かりにくくて、だから、どういうときにこういうところにかかればいいのかというような一般の方への啓蒙活動みたいなことも併せてやらないと、みんな睡眠障害ができたから病院に行けばいいのねみたいになってしまっても困るかなと思ったので、そこら辺のところもうまく広報活動というのをやっていただければいいかなと思いました。
○内村参考人 ありがとうございます。
確かに夜の睡眠の問題があり、例えば寝られないとか夜中に目が覚めるというのは、加齢とともに症状は起こってくるのですけれども、病気かどうかというのが一番分かりやすいのは、夜の睡眠の問題のために我慢できない眠気がある、倦怠感が強い、イライラする等の症状があり、昼間の日常生活に大きな何らかの支障が起こってくると、これは疾患ということできちんと治療するのが一般的な考えです。これは11ページに示していますけれども、昼間の生活に支障が起こらないようであれば、受診しなくて様子を観察すると一般的には考えられていますので、その辺りをきちんと市民公開講座で啓蒙したり、睡眠学会のホームページで説明していますので、今後さらに周知していきたいと思っております。ありがとうございました。
○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。
今日は時間がないので、この4つの観点についてまた次回質疑応答をしたいと思います。どうもありがとうございました。
では、最後、今日欠席されていらっしゃる磯委員から御意見をいただいておりますので、事務局から代読をお願いいたします。
○保健医療技術調整官 事務局でございます。
本日御欠席の磯委員よりの意見を代読させていただきます。
2つございまして、まず1つ目が睡眠障害のスクリーニングの重要性につきましてです。近年、患者が何となく気分が落ち込み、眠れないといった訴えを示した際に、安易に睡眠薬が処方されるケースが散見される。特に軽度の鬱症状などの背景に睡眠障害が存在する可能性があり、適切なスクリーニングが必要となる。治療の妥当性や医療資源の適正配分の観点から、スクリーニングを含めた適切な診断プロセスを徹底することが重要であることを改めて強調させていただきたい。
2つ目でございます。睡眠障害の診療における病診連携の強化についてでございます。地域における医療提供体制を考えた場合、睡眠障害の領域であっても大学病院や地域の中核病院等のみで対応するのは不十分であり、かかりつけ医を中心とした診療体制の整備が不可欠である。かかりつけ医が睡眠障害のスクリーニングの意義を理解し、睡眠障害が疑われる患者については適切に専門医へ紹介する。そして、治療方針が固まり、そのフォローアップを行う際には再びかかりつけ医に戻すといった病診連携の仕組みを確立することが望まれる。今後、学会を中心にこうした連携体制を広く浸透させていただきたい。
以上でございます。
○五十嵐部会長 どうもありがとうございます。
磯先生の御意見も、それから、既にフロアから御意見をいただきましたけれども、同じような内容だったのではないかと思います。どうもありがとうございます。
それでは、今日は御意見をいただきましたけれども、まだ少し残っておる点がありますが、次回、もう一度日本睡眠学会に、内村先生だと思いますけれども、おいでいただいて、またディスカッションしたいと思います。その際に必要な資料やデータを御準備いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それから、事務局も今日の意見を整理するなどして、適切な対応をお願いしたいと思います。
続きまして、議題の3「その他」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○保健医療技術調整官 事務局でございます。
議題3の前に、今回は少し時間が足りなかったところもございますので、標榜診療科名に関する4つの観点につきまして事務局が委員の先生から事前に御意見を伺いまして、それにつきまして事前に内村先生にお伝えいたしますので、それをもって内村先生に資料を御準備いただきまして、次回の会議とさせいただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料3について御説明させていただきます。
1ページめくっていただきまして、まず、こちらは報告事項になりますが、令和6年に閣議決定されております規制改革実施計画及び令和6年の地方からの提案等に関する対応方針におきまして、標榜可能な診療科名に総合診療科を追加することについて検討し、令和7年に結論を得るとされております。
具体的な文章は資料にお示ししたとおりでございます。規制改革実施計画と令和6年の地方からの提案等に関する対応方針を記載させていただいてございます。
これらを踏まえて、厚生労働省としましては、現在、総合診療に関連する学術団体等に検討を依頼しているところでございますので、報告させていただきます。
以上でございます。
○五十嵐部会長 これは御報告ですけれども、何かございますか。よろしいですね。
ありがとうございました。
では、時間にもなりましたので、本日の議事は以上にしたいと思います。
進行を事務局にお返ししたいと思います。
○保健医療技術調整官 五十嵐先生、ありがとうございました。
委員の皆様におかれましても、様々な御意見をいただきましてありがとうございました。
次回の本部会の開催日程につきましては、調整の上、改めて御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして、第6回「医道審議会医道分科会診療科名標榜部会」を終了いたします。ありがとうございました。