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第116回社会保障審議会医療部会 議事録
日時
令和7年7月4日(金)13:00~15:00
場所
全国都市会館 2階 大ホール
議題
〇地域医療構想、医師偏在対策等の検討体制について
〇他の医療機関で製造された PET 製剤の使用に係る医療法上の取扱いについて(報告)
〇経済財政運営と改革の基本方針等の閣議決定について(報告)
〇経済財政運営と改革の基本方針等の閣議決定について(報告)
議事
- 議事内容
-
○医療政策企画官 定刻より若干早いですけれども、皆さんおそろいということでございますので、会議を開会させていただきます。
ただいまから第116回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中の御出席ありがとうございます。
本日でございますけれども、先生方におかれましてはハイブリッドの参加ということで、選択いただいた上で出席いただいております。
まず、委員の方の御異動がございましたので御紹介させていただきます。
村椿委員の御後任として、新たに全国市長会、雲南市長、石飛厚志委員、オンラインの御参加でございます。
○石飛委員 石飛でございます。全国市長会を代表します。よろしくお願いいたします。
○医療政策企画官 ありがとうございます。
それから、加納委員の御後任として、新たに日本医療法人協会会長、伊藤伸一委員でございます。
○伊藤委員 日本医療法人協会の伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療政策企画官 ありがとうございます。
泉委員の御後任として、新たに日本病院会副会長、岡俊明委員でございます。よろしくお願いいたします。
○岡委員 日本病院会の岡でございます。よろしくお願いいたします。
○医療政策企画官 ありがとうございます。
楠岡委員の御後任として、地域医療機能推進機構理事長、山本修一委員でございます。
○山本委員 JCHOの山本でございます。よろしくお願いいたします。
○医療政策企画官 ありがとうございました。
次に、本日の委員の出欠状況でございます。本日欠席の委員でございますけれども、内堀委員、野村委員、山崎親男委員、山崎學委員より御欠席との連絡をいただいております。医療部会の総委員数24名、定足数は8名となってございまして、本日は20名の皆様が御出席となります。また、勝又委員より途中退席との御連絡をいただいております。
それから、資料の確認を最後にさせていただきます。
議事次第、名簿類のほかに資料1、2、3、資料3点でございます。お手元に御準備いただければと思います。
それでは、報道の方、カメラはここまでとさせていただきます。
(冒頭カメラ撮り終了)
○医療政策企画官 では、遠藤部会長に以降の議事進行をお願いいたします。
○遠藤部会長 皆様、こんにちは。久しぶりの開催でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、初めに欠席の内堀委員の代理としまして玉川参考人、また山崎學委員の代理としまして平川参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○遠藤部会長 ありがとうございました。
次に、楠岡委員が御退任されましたので、私が不在のときに議事の進行をお願いする部会長代理を新たに選任する必要がございます。
これにつきましては、社会保障審議会令第6条第5項の規定によりまして、部会長が指名するということになっております。
私といたしましては、山本委員にお願いしたいと思います。山本委員、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に移らせていただきたいと思います。
まず第1番目、「地域医療構想、医師偏在対策等の検討体制について」、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 医療提供体制改革担当の参事官です。
資料1を用いまして、「地域医療構想、医師偏在対策等の検討体制について」、説明をいたします。資料の枚数が多くなっていますので、適宜飛ばしながら説明をいたします。
資料を1枚めくっていただいて1ページ目ですが、新たな地域医療構想、医師偏在対策などについては、昨年、検討会などで議論をして、報告書を取りまとめました。その報告書を踏まえて、本年2月に医療法等改正法案を国会に提出をしています。その法案の概要資料になります。今国会では、医療法等改正法案は成立しておらず、継続審議となっているところです。
次のページ、2ページになります。新たな地域医療構想、それから医療計画の進め方のスケジュール、昨年12月に検討会に提出をした資料になります。
下のほうの赤枠で囲っているところですが、令和7年度、地域医療構想に関してガイドラインの検討を国のほうで行い、令和8年度に都道府県で将来の方向性、グランドデザインですとか、あるいは将来の病床数の必要量の推計を行い、令和9年度、10年度で医療機関の機能分化・連携の協議などを行っていただくというスケジュールにしています。
また、下のほう、第8次医療計画、後期の3年間の計画については、これも国のほうで令和7年度に指針の検討を行うというスケジュールです。
3ページ、医師偏在対策のスケジュールになります。これも昨年12月にお示しをしているものです。
赤枠で囲っているところ、本年度、これも国のほうで医師偏在是正プランのガイドラインの検討を行うというスケジュールになっていたということです。
4ページ、昨年12月の新たな地域医療構想等に関する検討会の報告書の概要になります。
様々な取組を行うということになっており、法律事項もあれば法律事項以外の取組もたくさんあるということです。
5ページ、6ページ、昨年12月に取りまとめた医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージの概要資料になります。
6ページに、こちらも様々な取組を行うこととしており、法律事項もあれば法律事項以外の取組内容も様々あるということです。
9ページに飛んでいただいて、今回の地域医療構想、医師偏在対策などに関する検討体制になります。
上の四角ですが、新たな地域医療構想の策定、医師偏在対策の推進、それらの内容を反映した第9次医療計画の策定などに向け、下のほうに書いてある地域医療構想及び医療計画等に関する検討会、それからその下に関連する4つのワーキンググループを設置したいと考えています。
検討会のほうでは、地域医療構想、医療計画全般に関する事項、医師偏在対策に関する事項などについて議論をして、新たな地域医療構想、医師偏在対策の推進などについて、今年度中に一定の取りまとめを行いたいと考えています。また、医療計画のうち、外来医療計画など3か年の計画についても今年度一定の取りまとめを行いたいと考えています。
ワーキンググループでは、在宅医療、医療介護連携などについてワーキンググループで議論を行い、これも今年度一定の取りまとめを行う。小児・周産期医療もワーキンググループで議論を行い、今年度一定の取りまとめを行う。救急医療、災害医療、新興感染症医療などについては、第9次医療計画の策定などに向けて、ワーキンググループで議論をしていきたいと考えています。
右下になりますが、検討会のスケジュールです。7月には議論を開始して、秋頃、中間取りまとめ、12月、それから3月に取りまとめを行って、年度内にガイドラインなどの発出を行いたいと考えています。また、検討会の検討の途中で、その検討状況をこちらの医療部会にも適宜報告をして、意見をいただきながら検討を進めていきたいと考えています。
右下に※印で書いていますが、医療法等改正法案の法律事項、例えば新たな地域医療構想に精神医療を追加するですとか、あるいは医師手当事業の創設などについては、法案成立後にまた検討するということです。
新たな地域医療構想に精神医療を追加することについては、改正法案が成立した場合にはまたその検討をするための検討会議を立ち上げたいと考えています。
それから、11ページ以降、この検討会やワーキンググループにおける検討事項の例として幾つかの事項の関連資料をつけています。これは検討事項の例ですので、これ以外の事項についても検討会、ワーキンググループで検討していきますし、また、具体的な内容については、本日いただく御意見も踏まえて、今後、検討会、ワーキンググループで議論をして進めていきたいと考えています。
13ページ、新たな地域医療構想についてガイドラインの検討を行っていくわけですが、そのガイドラインにおいては、入院だけでなく外来や在宅、医療介護連携なども含めた医療提供体制の構築に向けた考え方などについて検討していきます。
14ページからが区域に関する資料を幾つかつけています。
14ページは昨年12月の検討会報告書をまとめた資料になります。
二次医療圏を基本とした、これまでの構想区域のほか、広域の観点が求められる診療、医師派遣などの検討をするための広域な区域、在宅医療などの検討をするためのより狭い区域を設定することとしています。
左下、基本となる構想区域のところに書いています二次医療圏を基本としつつ人口規模が20万人未満の区域や100万人以上の区域で医療体制に課題がある場合には、必要に応じて構想区域の見直しを検討することとしています。
それから、16ページ、医療計画の5疾病6事業とその他の医療との関係についてまとめている資料になります。
5疾病6事業について、領域ごとに圏域を設定するなど、それぞれの医療提供体制の確保に取り組んでいるところです。
この中で、領域をまたいで共通する医療資源を有効に活用する観点から、5疾病6事業の医療提供体制の確保に当たっても、それ以外の地域の医療体制全体を踏まえた検討が必要であろうということです。
それから、20ページまで飛んでいただいて、二次医療圏ごとの人口規模になります。
二次医療圏ごとに人口規模は様々で、中央値は20万人程度です。
下の2つ目の○ですが、二次医療圏を構成する市町村が変化しないと仮定をすると、2040年には20万人未満の二次医療圏が182、10万人未満の二次医療圏が109に増えると推計されています。
21ページ、そのような二次医療圏が増えるということではあるのですが、人口規模が同じような地域であっても、人口減少の度合いというのは、30%程度減少する地域から数%減の地域まで様々になるということです。地域ごとに医療体制を考える必要があろうということです。
それから、23ページ、患者の移動・搬送手段についてまとめた資料になります。
救急車、病院救急車、ドクヘリ、飛行機、船舶など様々な手段が今用いられているということです。
24ページ、住民・患者の移動の支援の例になります。こども家庭庁の事業になります。
妊婦の方に対する遠方の分娩取扱施設への交通費・宿泊費を支援、補助するような事業が今行われているということです。
25ページからは病床に関係する資料をつけています。
2023年度の病床機能報告においては、病床数全体で119.2万床ですので、一番右側の2025年の病床の必要量、推計されたものですが、119.1万床とほぼ同じ水準になっています。
他方で、機能区分ごとに見るとまだ差があるというような指摘もされているところです。
26ページが、新たな地域医療構想において病床機能の区分見直しを行うこととしているということです。これまでの回復期機能について、高齢者救急などの受皿として急性期と回復期の機能を併せ持つことが重要ということを踏まえて、包括期機能として位置づける。また、将来の病床数の必要量の推計について、需要率の変化なども踏まえて、ガイドラインの検討において、改革モデルも含めて具体的な検討をすることとしています。
27ページ、入院医療の需要について、2040年にかけて年齢階級ごとの医療需要、提供が変わらないと仮定して推計した場合、左側のように日本全体としては入院患者数は増加する見込みになります。ただし、右側のように、圏域ごと、人口規模ごとに見ると、例えば10万人未満の二次医療圏では半数以上で入院患者数は減少する見込みとなっています。
28ページ、入院受療率が低下傾向にあるということです。
医療の高度化、低侵襲化、在院日数短縮、外来・在宅の充実、介護移行などを背景に、年齢階級別の入院受療率は低下傾向にあるということです。
29ページ、入院受診延べ日数が減少傾向、病床利用率も低下をしているということです。
30ページが医療機関機能の資料になります。昨年12月の検討会の報告書をまとめたものになります。
地域ごとの医療機関機能として、高齢者救急、地域急性期機能、在宅医療と連携機能、急性期拠点機能、それから広域の観点の医療機関機能として、大学病院本院の医育及び広域診療機能を位置づけることとしています。
33ページで、高齢者救急、地域急性期機能に関する資料をおつけしています。
今後増加が見込まれる85歳以上の患者の急性期の入院に多い傷病名、それから包括期機能と考えられる病棟に多い傷病名を比較して、一定程度共通をしています。今後の高齢者救急などにおいて、包括期機能を担うと考えられる地域包括ケア病棟、地域包括医療病棟を有する医療機関での対応が重要になるということです。
34ページ、各病棟における理学療法士などの配置状況になります。
上のほうですが、理学療法士などについて、回リハの病棟に多く配置されていて、それに比べると急性期の病棟などにはあまり配置をされていない。提供量についても同様の傾向になっています。
35ページ、急性期の病棟における休日のリハビリテーションです。
平日と比較をすると、休日にはリハビリがあまり提供されていないということです。
それから、38ページからは外来・在宅医療関連の資料をつけています。
43ページで、在宅医療の人口当たりの提供量に地域差があるという資料をつけています。
人口の少ない医療圏では、在宅医療の人口当たりの提供量が少なくなっているということです。
44ページで、そのような人口の少ない二次医療圏においては、在宅医療において病院が一定の役割を担っているということです。
それから、45ページ、今、在宅医療、訪問診療の患者に地域差があるということですが、その訪問診療の患者数に介護保険施設の定員数、それから一定の療養病床数を合わせると地域差が縮小しています。地域ごとに医療資源、介護資源の状況に応じて対応されているということです。
46ページが、在宅医療の連携の事例の資料をおつけしています。
左側が、病院と診療所、歯科診療所、薬局、訪問看護、介護などがICTを活用して情報を共有しながら在宅医療を協力して提供する体制を構築している例です。
右側は、駒ヶ根市が中核病院と在宅医療を担う医療機関の連携を推進して、円滑な在宅医療を推進している例になります。
47ページから、昨年12月に医師偏在対策について総合的な対策パッケージの資料をまとめていますので、それをつけています。
今後、この具体化について検討を行っていきます。
54ページまで飛んでいただいて、54ページからは各ワーキンググループの関係資料になります。
まず54ページが第8次医療計画の救急医療の概要資料になります。
55ページで、各都道府県において、三次医療圏を基本として救命救急センターの整備をしてきているところです。
左側にあるように、三次医療圏ごとの救命救急センターの数、整備状況には地域差がある状況です。
右側で、救命救急センターの機能強化の観点から、充実段階評価を行っています。
56ページ、その充実段階評価について、現在、試行調査を行っているところで、その結果も踏まえた上で見直しの検討を進めていくこととしています。
57ページからは周産期医療になります。
周産期医療の第8次医療計画の概要資料、それから58ページで周産期医療、特に分娩の取扱いにおいて、ハイリスク分娩の対応のほか、分娩前まで正常な経過であっても、出生日時、分娩時間、緊急的な対応の必要性が予測困難で、分娩が長時間に及ぶこともあり、一定規模の体制の確保が必要ということです。
60ページ、小児医療になります。第8次医療計画の概要資料があり、61ページで小児医療の外来に関して、出生数の減少により小児医療の需要は減少しますが、小児ではほかの年齢に比べて外来医療のニーズが相対的に高い、また、外来診療に加えて、予防接種、健診、学校医など幅広い役割が求められます。地域ごとに、小児の外来医療提供体制の維持・確保が重要ということです。
62ページ、小児の入院になります。
小児科を標榜する病院数は減少していますが、こどもを安心して産み育てるため、地域ごとに小児の入院医療体制の維持・確保が重要ということです。
63ページから災害医療になります。
まず第8次医療計画の災害医療の概要資料、64ページで取組状況として災害拠点病院の整備ですとか事業継続計画の策定などの取組を進めています。
65ページで、新興感染症発生・蔓延時の医療体制として、令和4年の感染症法の改正を受けて、都道府県と医療機関で医療措置協定の締結を進めているところです。その協定締結の状況の資料をおつけしています。
66ページから、それまでの資料を踏まえて主な検討事項の例を記載しています。
具体的には、今後、検討会、ワーキンググループで議論を進めていきます。
まず地域医療構想です。圏域の在り方について、今後の人口減少などを踏まえながら、急性期拠点機能、高齢者救急、地域急性期機能などを地域ごとに確保していくため、地域によって他圏域との統合を含む二次医療圏構想区域の見直しの検討が必要ではないか。
2つ目のポツで、ただし搬送手段の確保などを行うことが前提で、離島などではアクセスの見直しが困難な場合があることに留意が必要ということです。
次が必要病床数です。2040年に向けて年齢階級ごとの医療需要、提供が変わらないと仮定して推計した場合には、日本全体としては入院患者数が増加する見込みであるが、既に減少局面の地域、減少する見込みの地域が多く存在します。さらに、今後一層入院受療率が下がる可能性もあり、人口構成の変化、受療率の傾向、地域における連携・再編・集約化の取組、リハビリの一貫した提供、生産性向上などを踏まえて、2040年の必要病床数について検討が必要ということです。
次は医療機関機能です。2040年に向けて、85歳以上が増加をし、生産年齢人口が減少する中、持続可能な働き方や医療の質の確保、中長期的な体制の確保に資するよう、地域によって急性期医療の連携・再編・集約化を推進する必要があるのではないか。人口の少ない圏域でも、急性期拠点機能を有する医療機関を1つ確保・維持する必要があるだろうと。
一方、都道府県では、増加する高齢者救急等を受け入れるため、急性期拠点機能や高齢者救急、地域急性期機能を有する複数の医療機関で対応することが考えられる。こうした地域の人口規模も踏まえた医療提供に即した医療機関機能の在り方について検討をしていきます。
一番下のポツは広域の機能です。大学病院本院から地域医療構想に基づく医師派遣が必要と考えられると。地域の実情や大学病院本院、特定機能病院の在り方などを踏まえ、医育及び広域診療機能の在り方について検討をしていきます。
67ページ、外来・在宅医療です。
かかりつけ医機能報告で今後提出されるデータも含め、地域ごとに状況を共有するためのデータについて検討をしていく。人口の少ない圏域でもこの提供体制を確保・維持するため、病院が担う外来・在宅医療や、訪問看護も含めた検討が必要。在宅医療だけでなく、地域の医療資源、介護資源に応じて、療養病床や介護施設等と組み合わせて受皿の確保が必要。在宅医療について、オンライン診療、訪問看護などと組み合わせて、提供の在り方について検討が必要。
次がリハビリテーションです。これまで急性期を経過した患者に重点的に提供されてきたところ、今後、高齢者救急をはじめとして、入院早期からのリハビリ提供、早期退院に向けた支援をさらに推進して、患者の機能改善などにつなげることが重要と。急性期の早期のリハビリ、退院後速やかに外来等でのリハビリを提供できるよう、検討していくということです。
その次が医師偏在対策です。こちらは昨年12月の総合対策パッケージの具体化について検討していく。
救急医療については、救命救急センターの充実段階評価の見直しも含め、救急体制の在り方について検討していく。
最後、68ページで、小児周産期医療です。
少子化にあっても、地域でこどもを安心して産み育てることができる体制の確保が必要。
周産期医療においてハイリスク症例の集約は進めているところ、地域の小児周産期医療の体制を確保・維持するため、一般的な分娩や小児医療についても、地域によって連携体制の構築・集約化について検討が必要。
最後の災害医療・新興感染症医療について、災害拠点病院の整備や協定締結による感染症の医療体制の整備などを推進しているところ、平時の医療提供体制と整合した体制について検討していくということです。
資料の説明は以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
大変盛りだくさんな内容でありましたけれども、ただいまの説明内容につきまして、御意見、御質問があればいただきたいと思います。それでは、まず会場の委員からお願いしたいと思います。黒瀨委員、山口委員の順番でお願いします。
○黒瀨委員 ありがとうございます。
御説明ありがとうございました。
地域医療構想並びに医師偏在対策等の検討体制につきましては、御案内いただいたとおりでございまして、また、検討会や今までのワーキンググループ等で日本医師会の発言あるいは意見等も集約していただいて織り込んでいただいておりますので、その件に関しましては特に異存はございません。
ただ、現行の医療計画の中間的な見直しですとか、あるいは次期介護保険事業の計画等々の整合性等も見据えた上で御議論いただくことがまず大切ではないかと思っております。
また、その上で、今後検討を進めていただく際に留意していただきたい点を幾つか述べたいと思います。
66ページにまとめて書いていただいておりますけれども、都市部を含みます各地域の医療機能の集約化につきましては、それぞれの医療機関自らが医療ニーズをしっかりと判断し、踏まえた上で行っていくという枠組みが必要であろうかと思います。
また、地域の医療機能の集約化の議論は、小児あるいは周産期等は別としても、地域によっては避けられない問題だと思います。こちらに関しては地域医療構想等で進めていくということになろうかと思いますが、それはあくまでも目的ではなく結果であって、将来の医療ニーズと医療資源等を踏まえた上で導き出される問題だと思います。集約先の病院と連携する地域の診療所あるいは中小病院への配慮も十分行っていただきたいと思っております。加えて、大変厳しい経営環境にある医療機関への支援も十分に御考慮いただければと思っております。
病床機能の転換やダウンサイジング等に関しましては、極めて重要な経営判断となりますので、財政面等、非常に機微な問題かと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
集約化や病床の削減は、方法論を間違えますと、地域住民の皆さん、そして患者さんとその御家族、あるいは医療現場で懸命に働いてくださっていらっしゃる皆様方、こういった皆様方にとっても非常に心配事であり、また、大変な混乱や不安を与えることになろうかと思いますので、今後詳細が詰められ、関係者の理解と納得が得られる内容となりますよう、議論を進めていただきたいと思います。
もう一つ、この医療部会の立てつけにも関することになろうかと思いますけれども、こういった検討会とかワーキンググループを取りまとめが終わったら報告いただくということではなく、あくまでも現状の刻々と変化していく医療環境と、そして検討会の進捗状況を鑑みながら、適宜御報告いただいた上で、キャッチボールするような形で医療部会との意見交換をしていただきたいと願っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、先ほどお手を挙げておられた山口委員、お願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。
資料の中にはないのですけれども、前回のに2015年度地域医療構想を策定したときに、ガイドラインの中に、作成段階から住民の参加が必要であるという文言が記されたのですけれども、多くの都道府県ではそれが実現しませんでした。ぜひこれから高齢者が増えてきて、支える人が減っていく中で、次の新たな地域医療構想については、必ず住民参加ということが実現できるような内容でぜひともお願いしたいと思っております。
もう一つ、リハビリのことなのですけれども、私たちは電話相談を受けておりまして、特に高齢者が増えていることから、親御さんであったり、おじいさん、おばあさんのリハビリのことについての御相談が増えています。そうしたときに、生活を維持するためのリハビリの段階かなと思うような方に、回復期リハビリレベルのリハビリを求めるような方も結構いらっしゃって、今日出てきている急性期リハとか、回復期リハとか、それから生活維持のためのリハというようなさまざまな段階におけるリハビリの違いがあるということが、なかなか国民に正しく伝わっていない現状があると思います。その辺りは国からも、しっかりと伝えていく必要があると思いますので、そういったことも併せ持って、ぜひ進めていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見として承りました。
では、神野委員、島崎委員、岡委員の順番でお願いします。
○神野委員 神野でございます。
全体的に、これまでこちらでたくさん議論した結果ということですので賛同いたします。
その中で意見2つと質問を1点お願いしたいと思います。
まず意見ですけれども、14ページにあります新たな地域医療構想における構想区域といったもので、構想区域を大小分けていくというようなものが載っているわけであります。今回、資料の提供はないですけれども、以前、厚労省がお調べになった資料で、医療圏を大都市型、地方都市型、過疎地型に分けております。大都市型は、高齢者は増える、若者はちょっと減る。それから地方都市は、高齢者はちょっと増えて、若者はもっと減る。それから過疎地型というのは、若者がいっぱい減って、高齢者も減るというものでした。たしか日本の半分の医療圏は過疎地型だと思います。実際、現実的にそういった3つのレイヤーがあると思うのですけれども、そういったレイヤーごとに地域医療構想というものをきちんと考えていただく。大都市のものを全て地方都市、あるいは過疎地のものを全て大都市と言うには無理があるのかなと。その辺ところをまた御検討いただきたい、これからの議論でお願いしたいと思います。
それから、2点目の意見ですけれども、43ページに在宅医療の人口当たりの提供量という興味深いグラフがあって、実際に人口の少ない医療圏では在宅医療の提供が少なくて、人口の多いところは提供量が多いと。これはまさに提供側の論理だと思います。人口が少なくて医療機関も少ないところで本当は在宅が必要なのだけれども、それがやられていない。そこにどういう問題点があるのか。あるいは、もしどうしても効率性ということで在宅医療が提供できないような人口が少ない医療圏だとするならば、次の手段として集中、集住とか、そういったところまで何か提言できないものかなと思います。
あと1点は質問ですけれども、医師偏在対策に対するインセンティブの件でございます。51ページ辺りなのかな。予算とか、それから医療法改正とか、みんな絡んでくるのだと思いますけれども、51ページの資料では、令和8年度から経済的インセンティブの本格実施をすると書いてありますけれども、今回、医療法が通らなかったことを含めて、この辺のところのスケジュール感を教えていただきたいなと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、質問がありましたので、事務局、お願いします。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 御質問いただきました経済的インセンティブのスケジュールですが、経済的インセンティブは幾つか内容がございます。重点区域において承継、開業する診療所の支援ですとか、あとは重点区域に派遣される医師、従事する医師の医師手当事業、それからその重点区域で働く医師の勤務・生活環境の改善の支援、それと重点区域の医療機関に医師を派遣する派遣元の医療機関の支援というようなものをメニューに並べています。
このうち法律が関係するものは医師手当事業になります。なので、今回、医療法等改正法案、継続審議になっていますが、それ以外の経済的インセンティブのメニューについては、総合的な対策パッケージに書いてあるとおり、令和8年度予算編成過程において検討して、令和8年度から本格実施ということだと考えています。
他方、法律事項である、医師手当事業については、改正法案が成立した後、また具体化について検討したいと考えています。改正医療法案の中で、医師手当事業は成立して、公布から3年以内に政令で定める日に施行ということになっています。なので、成立してから3年以内のどこかで解消したいと考えています。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
神野委員、どうぞ。
○神野委員 ということで、恐らく医師手当事務が一番保険者とも関係する話ですよね。この辺のスケジュール感が極めて重要かなと思いました。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、先ほど来手を挙げておられた島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 周産期医療につきまして、2つ意見を申し上げたいと思います。
分娩件数の減少に加え、医師の働き方改革の影響・進展などもあり、分娩施設の集約化の検討や取組が進んでいます。しかし、実際にそうした現場を見てみますと、地元の住民から、住み慣れた地域でお産をするなと言うのかとか、少子化対策に逆行するのではないかといった声や反対運動が起こり、調整が難航している地域が少なくないだけでなく、中には頓挫している地域もみられます。
この問題は、医療の安全性を含めた質、アクセス、コストのトリレンマが象徴的に起こってくる問題だと思います。もちろん私もできるだけ住み慣れた地域でお産をしたいという気持ちはよく分かりますけれども、一方で、効率性の問題に加えて、特にお産の安全性の問題を重視すべきだと思います。
その意味では、先ほど参事官もスライドの58で的確に指摘されていましたけれども、分娩前まで正常な経過であっても、緊急的な対応が必要になることはありますので、常時一定規模の体制の確保が必要だということは強調していただきたいと思います。
それから、医師の働き方改革との関係で言うと、結構分娩施設はB水準のところがありますけれども、2035年末までにA水準に移行する必要があることを考えると、相当集約化が必要になってくると思います。そこでぜひお願いをしたいのは、スライドの最後のページを見てみますと、68ページの小児周・産期のところなのですけれども、やはり「働き方改革」という言葉をぜひ入れてほしいと思います。また、この書き方を見ますと、一般的な分娩とかについても、地域によって持続可能な云々ということが書いてあるのですけれども、先ほど申し上げたように、正常分娩が見込まれていたとしても最終的には緊急的な対応が必要になることもあり得ることを、ぜひ厚生労働省のほうから各都道府県や市町村、それからマスコミのほうにきちんと情報伝達していただきたい。そうしないとなかなか現場で集約化の議論は進まないということになると思います。
それから、併せてもう一つ言いますと、周産期医療については通常の二次医療圏よりも広域的な範囲でという記述もスライドの中には書いてあり、そのことは全くそのとおりだと思いますが、複数の圏域にまたがることもありえます。具体的な例で申し上げたほうがわかりやすいと思うので、私が理事を務めております長野県立病院機構の木曽病院を例に挙げます。木曽病院が属する木曽二次医療圏は東京都の3分の2ぐらいの面積があるのですけれども、人口は2.4万人しかおりません。したがって、いずれどこかの二次医療圏と合体することが必要になってくるのだろうと思います。ただ、これだけ広い圏域ですと、例えば分娩施設、実は来年度いっぱいで分娩施設は廃止するという方針を公表しているのですけれども、どこか1か所のところに集約化されるわけではありません。例えば松本に近い住民の方は松本市内の病院、それから木曽の東南部の方は伊那中央病院、岐阜に近いですと岐阜県の中津川市民病院にお願いをすることが必要になります。決してどこか特定の二次医療圏と合体し集約化されるわけではありません。要するに、当然のことながら、そうした地域の実態をよく踏まえて柔軟に対応していくことが必要だということを強調させていただきたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。御意見として承りました。
それでは、岡委員、お待たせしました。よろしくお願いいたします。
○岡委員 岡でございます。
検討体制については、おおむね賛同いたします。その中で2点ほど意見を述べたいと思います。
1つは66ページの検討事項の中の必要病床数でございますが、今回、地域医療構想を医療計画の上位概念に位置づけられたということで、これまでの基準病床数と必要病床数の関係もまた大きく変わってくると思います。もともと基準病床数、必要病床数の関係が分かりづらいということもありましたが、この概念も上下変わってきたということで、今後、必要病床数の検討も必要ですけれども、両者の関係を特に地域に下ろすときに分かりやすいような説明をお願いできたらと思います。
そして、ここに書いてありますように、2040年に向けて、年齢階級ごとの医療需要及び医療提供が変わらないと仮定して推計した場合に、日本全体としては入院患者数は増加する見込みであると書いてありますが、実際には入院患者数は減っている。27ページは増加ですけれども、29ページは減っているということで、肌感覚としても減っていると思います。
これは恐らく患者及び家族の考え方がコロナをきっかけにさらに大きく変わったと思うのですけれども、何でもかんでも特に高齢者の方が入院を希望するわけでもないですし、みとりも自宅を希望する方も多い。いろいろなこと。それから、医療の技術の進歩によって在院日数が短くなったり、もともと入院でできた医療が外来でできると。こういういろいろなことが変わっていますので、なかなか推計は難しいと思いますけれども、なるべく精緻な数字で出していただいたほうがそれぞれの地域で検討しやすいと思います。
それから、もう一点ですけれども、医師偏在対策も重要なのですけれども、今、地域で見ていると、医師もそうですが、看護師不足が非常に深刻でありまして、実際に稼働病床数は変わっていなくても、運用で病床を閉めていると。これは表の数字に出てこないのです。かなり病床を閉めざるを得ないと。今回も病床数の適正化事業で多くの病院が減らすということで、これは経営的な問題、それから患者数がいない問題、もう一つは看護師がいなくて病床を開けられないというのは結構大きいと思うのです。これから生産年齢人口も減っていきますので、看護師だけではないと思いますけれども、特に看護師の不足というのはこれから2040年に向けてかなり深刻になると思いますので、その点も少し検討事項の中に入れていただくと助かります。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、5人、会場の委員から御発言いただきましたので、お待たせしました。オンラインに移りたいと思います。ちょうど看護の話も出ましたので、勝又委員、お願いいたします。
○勝又委員 ありがとうございます。
所用のために途中退席いたしますので、資料1と資料3に関しまして質問と意見を述べさせていただきます。
まず資料1ですけれども、今後、医療法が改正されまして、医師確保計画等が検討されていくわけですが、以前からこの部会でも再三申し上げ、他の委員からも御賛同いただき、また、本日、岡委員からも御意見をいただいているところですが、医師以外の看護職員をはじめとする医療従事者の確保も同じように重要だと考えております。検討事項として、医師確保計画及び医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージが挙げられていますけれども、医師以外の医療従事者の確保や偏在是正等の取組については、どのように今後検討されていくお考えなのか、事務局に改めてお尋ねをしたいと思います。
また、令和7年度に国においてガイドラインの検討、それから策定を進める際には、医師偏在是正と共に、医師以外の医療従事者の確保、偏在是正についても、現状を十分に把握した上で、各都道府県において実効性のある取組が推進されるよう、具体的な記載をお願いしたいと考えております。
また、新たな地域医療構想のポイントの一つは、外来医療、それから在宅医療と介護の連携です。高齢者施設からの救急搬送の増加も見込まれる中、高齢者施設等の対応力の強化も求められておりまして、日頃から医療機関と高齢者施設の間で専門性の高い看護師が研修の実施や相談支援を行って、救急搬送の回避や、入院後、医療の必要性が低下した際には速やかに地域の療養の場に戻ることに貢献している事例もありますので、医療と介護の複合ニーズを有する方々への地域での支援体制についても検討をしていただきたいと考えております。
次に、資料3についてでございます。公定価格である医療機関や訪問看護ステーションは、物価上昇などの中で厳しい経営を強いられ、人材確保のための賃上げをしたくてもできないという状況にあります。本会の調査におきましても、2024年度の看護師の基本給の前年度比の賃金増率は僅か1.1%にとどまっておりまして、他産業並みの賃上げには遠く及ばない状況でございます。このままでは、看護職員をはじめとした医療従事者の他産業への流出が懸念されます。誰もが安心して医療や介護を受けられる社会を守るために、基本方針において明記いただきました医療・介護、障害福祉等の公定価格の分野の賃上げを確実に進めていただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局にお尋ねもありましたので、お願いいたします。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 資料の9ページ、検討事項の中で医療従事者の確保が入っていなくて、どう検討を進めるかというような質問がございました。
御指摘のとおり、医療計画の記載事項の中で、医師の確保だけでなくて、医師以外の医療従事者の確保も規定をされています。第8次医療計画の指針でも、医師以外に歯科医師、薬剤師、看護職員などの確保が記載をされているところです。
また、新たな地域医療構想の昨年12月の報告書でも、歯科医師、薬剤師、看護師等の確保の重要性が指摘をされて、新たな地域医療構想は、入院だけでなくて外来・在宅、介護連携、人材確保も含めた地域の医療提供体制全体の構想にしようということとしています。
他方で、歯科医師、薬剤師、看護職員などの確保については、それぞれの資格の観点からの養成あるいは確保対策の検討・対応が取り組まれていると承知をしています。今回の地域医療構想、医療計画等に関する検討会の検討の進め方、具体的にはまだ決まっていませんが、第9次医療計画あるいは地域医療構想の検討を行う中で、第8次医療計画の際と同様に、歯科医師、薬剤師、看護職員など、それぞれの資格の観点からの検討・対応を必要に応じて検討会に報告いただいて、議論いただくということも考えられるかなと思っています。いずれにしても各資格の担当課と相談・連携しながら進めていきたいと考えています。
以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
勝又委員、よろしいでしょうか。
○勝又委員 ありがとうございます。ガイドラインにぜひ偏在是正などについても記載していただきますよう、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 それでは、お待たせしました。藤田委員、お願いいたします。
○藤田委員 日本歯科医師会の藤田でございます。
本日の資料10ページに記載されております今後の地域医療構想及び医療計画等に関する検討会につきましては、了承をいたしました。そこで、歯科の立場で要望させていただきます。
現行の第8次医療計画において、地域医療介護総合確保基金を積極的に活用し、病院と歯科診療所の連携や、歯科専門職の確保等を行うことについては、既に記載をされているところでございます。先ほどの委員より、看護師さんの地域偏在、また、勝又委員よりも、医師以外の地域偏在に関しても議論が必要だという御意見がございました。歯科医療提供につきましても、近年、特に地方の現状を見ますと、歯科医師の高齢化等により、歯科医療提供の偏在が顕在化している地域があり、歯科医療提供体制の確保は課題になってきております。歯科保健課におきまして歯科医療提供体制等の議論が始まっておりますので、この地域医療構想及び医療計画等の検討会、またワーキンググループにおいても連携をして進めていただきたいと考えております。要望でございます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見として承りました。
それでは、松田委員、お待たせしました。よろしくお願いします。
○松田委員 松田でございます。
3点意見ですけれども、まず54ページの救急に関してですが、どうしても議論が二次救急、三次救急に偏りがちなのですけれども、高齢者救急が増えるというのは実は一次救急がすごく増えるということで、一次救急をいかに体系的に整備していくかがとても重要な視点になります。実際に医師の働き方改革の影響を受けて、大学からのアルバイト医が引き揚げられてしまって、一次救急が回らなくなって、三次救急をやっている機関に患者が集まってしまって、救急が立ち行かなくなっている地域が出ていますので、ワーキングループの議論におきましては一次救急の体系化についても議論していただけたらと思います。
2番目が57ページの周産期ですけれども、これも周産期の入院医療のほうにかなり力点を置かれているのですが、今、正常分娩に関して保険診療に入れるという議論もあって、民間の小さな産科クリニックが分娩をやめるという話がかなり出てきています。でも、分娩をやめるだけではないのです。妊産婦研修をやめてしまうという非常に大きな問題が出てきます。地域で妊産婦健診ができなくなってしまうと非常に問題になりますので、いろいろな議論の中で妊産婦健診をいかに維持していくかという視点の議論もお願いできればと思います。
あと、里帰り分娩が一般的に行われているということであると、必ず住んでいるところで皆さん産んでいるわけではないわけでありまして、そうすると今、北海道の札幌の天使病院が遠隔地に住まれている妊婦さんに対してやっているように、入院前の一定期間に、もう既に院内に設置されたホテルに入って、そこで分娩に備えるというやり方をやっていますので、そういうものをいかに保険診療の中で、あるいは予算措置みたいなもので保証していくかという議論もあってもいいのかなと思います。
3番目が60ページの入院患者の上昇という文言ですけれども、先ほど御指摘がありましたように、このまま書いてしまうとミスリーディングになってしまうのだろうと思います。高齢化が進んできていますので、一般病院に入院するような急性期のいわゆるボリュームゾーンである前期高齢者までのところが減っていますので、一般入院の入院患者数は減っていくのだろうと思います。
一方で、慢性期、要するに入院か介護施設か在宅医療でケアされているような状態像の方はこれから増えていく。多分ここのところの議論を分けて記載をしないとミスリーディングになってしまいますので、ぜひそこのところを少し文言の修正をお願いできたらと思います。
以上、意見です。
○遠藤部会長 重要な御指摘ありがとうございました。
それでは、お待たせしました。佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。
10ページ、地域医療構想、医師偏在対策の検討体制として、研究会やワーキンググループが設置されるとのこと。非常に重要な内容ですので、先ほど事務局から医療部会にて適宜報告すると説明がありましたが、この点につきましてはタイミングよく御報告のほどよろしくお願いいたします。
それから、67ページから69ページに検討事項の例が示されています。検討に当たりましては、2040年頃を見据えた医療提供体制に向けて日本全体でどうするのかという視点を持ちつつ、地域の実情を踏まえた検討が必要です。とりわけ救急医療や小児・周産期医療においては、持続可能性という側面だけでなく、地域住民に丁寧に説明しながら、アクセス面なども考慮した体制を構築することが重要と考えます。
その上で2点申し上げます。
必要病床数に関して急性期病床に偏った病床の転換を進め、手術後などにおける早期のリハビリを徹底することは重要と考えます。一方で、医療機関の機能分化・連携を進めることが必要ですので、地域包括医療病棟や外来・在宅との連携なども踏まえて御検討いただければと思います。
2点目、外来・在宅医療に関して、地域ごとに提供状況を共有するデータの検討が必要とありますが、しっかり実態を把握し、そのデータを踏まえて地域で議論することが重要と考えます。
私からは以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、木戸委員、お願いいたします。
○木戸委員 周産期の現場で働く産科医として、私もここ数年で分娩数が急速に減少していることを身をもって感じております。先ほど島崎委員からも御指摘がありましたが、少子化により、周産期医療を取り巻く状況は今大変な状況となっております。分娩取扱施設では、お産が急速に減ることで経営が厳しくなり、銀行から融資が受けられなくなるなどで閉鎖に追い込まれるケースが全国で相次いでいます。
全国の市町村のうち、分娩施設が一つもないところは何と6割に上ると言われています。また、まだ踏みとどまっている施設におきましても、収益が上がらないから人員を減らす、手当を減らすなど待遇の悪化や、お産や救急に対応できる体制で待機していても、これは宿日直許可ですとされて、宿直を挟んで30時間以上家に帰れないことがまさに常態化しているなど、現場では働き方改革がなかなか進んでいません。実効ある働き方改革により、周産期に携わっていただけるスタッフを確保できるよう、ぜひ重要な課題として議論に入れていただきたいと私も要望したいと思います。
分娩施設では、お産が多くても少なくても24時間対応できる体制で待機していますので、それはそれなりにコストはかかりますが、地域でお産ができる体制をどのように構築していくかについては、たくさんの人が意見を出して真剣に議論するべきです。こどもが減る影響を受ける小児医療も同様と思います。今後、資料にありますように、小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキングというものが設定されるとのことですけれども、様々な立場から、実際にこれからこどもを持つ若い世代、特に地方にお住まいの方、そして実際に現場で働く勤務医の意見や提案などもぜひ取り入れて、持続可能な体制に向けてしっかりと議論をしていただきたいと思います。
今後もこのペースで出生数が大幅に減少することを前提に、医療を含めた社会全体の制度設計を進めていく必要があって、この部会の役割は、様々な検討会とか部会の検討を踏まえて、医療提供の在り方全体についてのグランドデザインの方向性を議論する場であると認識しております。そのためには議論の基となるデータが必要で、本日も様々な資料をたくさん示していただいておりますけれども、このシミュレーションにおきまして、出生数や人口については、基本的にいわゆる中位推計を基にして行っているかを一つ確認したいです。実際には、出生数は低位推計をも下回る勢いで減っています。医療需要に合わせて、例えば医学部定員のこととか、医療従事者の養成数の設定などについても、実態に合った数値で適宜見直して施策を進めていく必要があるかと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局、何かコメントはありますか。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 人口推計についての御質問がございました。2040年に人口の変化に基づく推計をやっている資料については、国立社人研の将来推計人口の中位推計を用いてやっております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、また会場に戻したいと思いますので、お待たせいたしました。山本部会長代理、よろしくお願いします
○山本部会長代理 いろいろ委員から御意見が出ておりますが、私は少し現場の視点でお話をさせていただきたいと思います。
昨年取りまとめられた新たな地域医療構想の中で、高齢者の急性期に強いフォーカスを当てていただいて、それまで回復期と言われていたものを包括期と名前を改める。あるいは、高齢者急性期という医療機関機能も明確に打ち出されたこと、これはこれまでどちらかというと何ちゃって急性期と言われながらも急性期にぶら下がってきた医療機関にとっては、機能の転換がスムーズに行えるようになっているのではないかと思います。急性期拠点を取るためには、診療報酬のほうで急性期充実体制加算あるいは総合入院対策加算が必須というようなことが明示はされないものの、何となくそういう雰囲気が伝わってきているということで、医療機関も分かりやすくなってきているのかなと思います。
ただ、一方で、現場では、高齢者急性期を受け入れると決まったはいいけれども、一体医者は誰が診るのという問題が実際直面しています。多くの公的・公立病院は大学の医局から医師を派遣されておりますが、非常に専門細分化された教育を受けてきている中で、どの科に入るのか、誤嚥性肺炎であり、尿路感染であり、下血であり、一体どの科が診るのかというところが、みんなで押しつけ合いをしている状況であります。
普通に考えると、それは総合診療医にやってもらえばいいじゃないかとなるのですが、実際、御承知のように総合診療は非常に数が少ない。それから、彼らは決してどこの課にもはまらないものをやるのが自分たちの仕事とは思っていないので、例えば数人、どこの病院長も総合診療医の確保が急務ですと言いますけれども、仮に2人ぐらい確保できていると、言葉は悪いけれども、そこへみんな放り込んでしまうと。そうすると総合診療医たちはやっていられないよと言って辞めていくということが起きてきます。
それぞれの病院において、内科系の先生方に専門の矩を踰えてやってくださいねということをお願いはしていますが、一方で、派遣元の大学教授から、うちの医局員に専門外の高齢者を診させないでくれというような圧力が現実にかかってきているということがあります。だから、医師の確保対策とも関連すると思いますが、これからの本当の医療のボリュームゾーンである高齢者急性期を一体誰が診るのか。これは大学に対する啓発も重要ではないかなと思います。文科省の事業で、たしか地域医療講座みたいなものができてはいますが、本当に地域医療って何だか分かってやっているのかなというのが非常に疑問な講座も多いので、この辺は一体となった考え方の変化が必要かなと思います。
それから、2点目は、病院を取り巻く環境が急速に悪化している中で、この地域医療構想のスピードが合っているのかをすごく疑問に思います。一つは皆さん御承知の経営環境の悪化です。計画ができるときに一体病院は幾つ残っているのだというのが非常に危惧されるところです。もう一つは人材の確保。皆さん確保確保とおっしゃるけれども、これだけ少子化が急速に進んでいる中でどれだけの人間を医療業界に取り込めるのかというところを供給可能量から考えていかないと、確保確保と言ってもほかの産業から人を引っ張ってくるわけにいきませんから、どれだけの人材を果たして医療に投入できるのかという視点、なかなかここは国民に説明が難しいかもしれないけれども、そういう視点での検討も必要ではないかなと思います。
それから、3つ目は、機能確保と維持という言葉がございますけれども、やはり維持ですね。長期的に、この二次医療圏にこの医療機関を残そうと決めた後、そこをどう維持していくか。特に私が申し上げたいのは、病院は30年、40年で建て替えが必要になってくると。今、本当に建て替えが困難な状況です。1医療機関の財政的な余裕ではとてもできないという状況になっていますので、そこまで含めた、一度ここを守ると決めたら、そこのハード面も含めた維持をしっかり考えていくという視点も今後の検討に必要なのではないかなと思います。
以上です。
○遠藤部会長 重要な御指摘をありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。松原委員、どうぞ。
○松原委員 ありがとうございます。
この内容についてというよりは、今後についてになると思うのですけれども、若者の自殺が非常に増えておりまして、メンタルヘルスで精神科の医療機関にかかりたいと思っても、何か月も待たされるというような現状が起きておりますので、精神科の医師の偏在にも関わると思いますが、精神科の在り方とか、あともっと福祉と連携することで改善する部分もあると思いますので、そうした福祉との連携も含めて、より充実した検討をしていただければと思っております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、オンラインにまた戻りたいと思います。河本委員、よろしくお願いいたします。
○河本委員 ありがとうございます。
医療法の改正が継続審議になったことで、ガイドラインの検討がどうなるのか実は大変気になっていたのですけれども、可能なところから具体的な議論を開始するということでございますので、ぜひ事務局の御提案に沿って速やかに検討を進めていただきたいと思います。
一部には、法改正を待ってからということで、取りまとめまでの検討の期間は限られておりますけれども、都道府県の作業に間に合うように、検討会の皆様には精力的な議論をお願いしたいと思います。
その上で2点コメントさせていただきますけれども、67ページ以降に主な検討事項の例が示されております。いずれも重要な論点だと考えておりますけれども、このうち圏域の在り方はこれまであまり深く議論されていなかった印象がございます。現在でもかなり人口規模の小さい二次医療圏があって、さらに、2040年に向けて、人口の減少とか地域差の拡大が進む中で、どの程度の圏域で医療を完結させられるのかという議論は極めて重要だと思います。まずは構想区域の見直しについて、一定の考え方をぜひ整理していただきたいと思います。
最後に、地域における協議の場についても一言コメントしたいと思います。新たな地域医療構想は扱うテーマが極めて広くなりますし、また、重層的な協議も想定をされるということでございます。また、かかりつけ医機能報告に基づく協議も来年度から始まるということで、これまで以上に地域で活発な議論が行われると考えております。
こうした枠組みに保険者も関わっていくということになりますので、地域の協議の進め方ですとか、あるいは構想全体のPDCAの回し方についても、あらかじめ方向性をお示しいただきたいということをお願いしたいと思います。
私からは以上でございます。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、望月委員、お待たせをいたしました。
○望月委員 望月です。よろしくお願いいたします。
私から、まずは47ページにあります医師の偏在対策について、継続して議論をしてきたわけですけれども、パッケージとして出されました。具体的な取組は今後さらに議論をされると思いますが、今まではほぼ地域偏在についての議論でしたが、一番下にあります診療科偏在の是正に向けた取組が大切で、地域偏在と診療現在の双方を並行して進めていかないと、地域に必要な診療科の医師がいないということになってきています。
また、部会では開業医と勤務医の偏在も顕著になってきており、勤務医の不足が病院医療継続に厳しい状況もみられます。都会であってもそのような厳しい状況、特に診療科によっては足りないというようなことが起こってきています。
それから、一番最初にあります重点医師偏在対策支援区域の区域の設定について、一言申し上げます。大都市のある二次医療圏に医師少数スポットが点在した地方がある場合があります。二次医療圏で見ると医師はある程度いますねというようなことになって、医師少数スポットの地域が重点医師偏在対策支援区域から漏れてしまう可能性があります。私のいる岩手県ではそのようなことが結構見られますので、ぜひ医師少数スポットのようなところが二次医療圏ではなくても対策区域に入れるようなことを考えていく議論も必要なのかなと思っております。
以上医師偏在対策について述べさせていただきました。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、玉川参考人、お願いいたします。
○玉川参考人 ありがとうございます。
都道府県の立場から、今後の推進に向けて4点申し上げます。
1点目は、国としてのグランドデザインについてです。
新たな地域医療構想において、地域医療をつくり上げていくためには、医療関係者だけではなく、住民の方々が医療機関の役割分担などを理解することが重要であります。このため、目指すべき将来像を各構想区域で議論するに際しては、国全体の方向性を踏まえたグランドデザイン、将来ビジョンを明確に示されるようお願いいたします。
その上で、新たな地域医療構想と連携することになります介護における「2040年に向けたサービス提供体制等の在り方に関する中間まとめ」に示されておりますように、地域によっては、医療ニーズや医療資源の状況、高齢化や人口減少のスピードが大きく異なることから、大都市部、一般市等、中山間人口減少区域と主に3つの地域に分類するなど、構想の実効性を高めるため、地域の差異を踏まえた検討方法や類型ごとのモデルケースの提示などといった検討をお願いいたします。
2点目は、構想策定に向けた丁寧な制度設計等についてです。
今回示されました検討体制を踏まえますと、現場の医療機関や自治体など関係者の負担が大きくなる懸念があることから、構想が対象とする範囲の適正化、業務重複を回避した制度の設計、スタート段階からの各種支援体制の確保など、負担軽減の観点からも検討を進めるとともに、都道府県に対する技術的助言として発することになりますガイドラインにおいては、基準の提示にとどまらず、その基準を各都道府県で確実に具現化できるような、推進方法も含めた実務的な制度設計をお願いいたします。
3点目は、医師偏在是正対策についてです。
是正対策については、地方の現場において実効ある取組としていくことが重要となります。具体的な方策に関して、現時点では地方との議論が必ずしも十分とは言えない段階にありますことから、速やかに具体的な方策案の共有を行うとともに、地方との議論を踏まえながら、各地域で支障が生じないような制度設計をお願いいたします。
4点目となります。都道府県意見の反映です。
今回の検討に当たっては、特に具体的な観点が重要となりますので、検討状況等について経過を含め、適時、都道府県に情報共有をいただくとともに、適切なタイミングで意見照会や意見交換の場を設けるなど、都道府県意見を十分に反映しながら検討を進めていただくようお願いいたします。
以上となります。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、荻野委員、お願いいたします。
○荻野委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の荻野でございます。
私からは、新たな地域医療構想及び医療計画の今後の検討体制、進め方について意見を申し上げます。
まず地域医療構想及び医療計画等に関する検討会に、薬剤師を構成員としていただき、感謝申し上げます。薬剤師としては、医薬局の薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会での議論を含め、地域の実情に応じた薬剤・医薬品提供体制の整備は極めて重要な課題であると認識をしておりまして、新たな地域医療構想及び第9次医療計画にもその概念をしっかり反映いただけるよう、今後の議論に臨んでまいりたいと考えておるところでございますが、資料の66ページ以降にお示しをいただいた主な検討事項の例(案)において、特に薬局薬剤師として担うべき役割としては、67ページにございます外来医療、在宅医療、それと68ページの災害医療、新興感染症医療がまず挙げられるところかと存じます。
その上で、外来医療、在宅医療の記載についてでございますけれども、昨年末の第114回医療部会でも申し上げたとおり、ガイドラインの検討時に薬局も含めた検討をしていただくことを要望しており、また、その前の第112回医療部会におきましては、担当の参事官から、今後の新しい地域医療構想の検討の中で、在宅医療あるいは外来医療の在り方ガイドラインを検討する際に、そのような薬局の役割・位置づけもしっかりと議論をしたいという御発言をいただいたところです。
このように新しい地域医療構想の検討、とりわけガイドラインの検討では、薬局についても議論いただくものと理解しておりますが、1ポツに病院が担う外来医療、在宅医療や訪問看護も含めた提供体制の検討が必要とありますが、40ページの在宅医療の体制にもございますとおり、薬局は外来医療、在宅医療の提供体制において、特に医薬品提供体制の構築の一翼を担っていたり、訪問薬剤管理指導についても在宅医療において極めて重要な役割を担っていると自負をしているところでございます。検討の際には、薬局薬剤師に関するデータも含めて議論され、薬局の役割・位置づけや、訪問薬剤管理指導を含めて記載いただいていただきたいと思います。
同様に、2ポツのオンライン診療や訪問看護等と組み合わせて広く効果的・効率的にサービスが提供できるような体制の在り方について検討が必要のところについても、薬局からの訪問薬剤管理指導あるいはオンライン服薬指導などを含め、在宅医療における医薬品等の提供、これは医療提供体制の整備に大変重要であることから、広く効果的・効率的にサービスが提供できるように、その提供の在り方がきちんと検討がなされるよう、等ではなく明確に御記載をいただきたいと思います。
最後になりますが、全体的なこととして、厚労省の中でもそうでございますが、特に都道府県で地域医療構想、医療計画を検討する際には、その初期段階から医療政策主管課のみではなく、薬務主管課も参加をし、医薬品提供体制を含めた医療提供体制を検討できる仕組みとしていただきたく存じます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、お待たせしました。石飛委員、お願いいたします。
○石飛委員 全国市長会から出席させていただいております島根県雲南市の石飛でございます。私からは3点ほど御要望を申し上げます。
現在、国におきましては、地方創生2.0ということで、安心して働き、暮らせる生活環境の創生というものを5本柱のトップに掲げて取り組まれているところでございます。そうした中で今回、小児・周産期医療について、一般的な分娩や小児医療についても、集約化について検討が必要という表現がございまして、これは現下の医師不足の現状におけるものということで認識しておりますが、それについて大変大きな懸念を抱いているところでございます。
小児・周産期医療は、地域に特に若い世代が暮らしていく上で必要不可欠な要素でございます。妊婦健診や通常分娩に大きなアクセス負担が生じる地域を増やしていくということは、それが医師の不足による一時的なことであればともかく、国として2040年という将来を見据えて目指すべき姿としては許容ができないものではないかと考えているところでございます。まずは地域でこどもを安心して産み育てるために、将来的に必要となる医療体制を示していただいた上で、それに必要な医師等の確保を国の施策として強力に推し進めるべき問題だと考えておりますので、そうした観点での検討が行われることを希望いたします。
なお、その際には、小児科あるいは産婦人科といった専門医、スペシャリストの方々と、総合医やかかりつけの先生、そうしたジェネラリストとしての方々の役割、こうした方々の分担というものを含めて御検討いただく必要があるのではないかとも感じております。
2点目が、医療機関へのアクセスの問題でございます。
本日の資料も、それぞれの医療圏の面積についての分析という資料がついておりませんが、現在、各地方では、バスやタクシーといった公共交通の維持というものが非常に課題となってきております。今後、通院に対する負担は増加していく地域が増えていくわけでございます。こうした中で、医療アクセスの確保にかかるコストも増加していく、そうした今後の環境変化を踏まえた御議論をいただきたいという点が2点目でございます。
3点目でございます。従来、地域医療構想、医療の分野というのは都道府県の責務ということで、私ども市町村は都道府県からの情報提供が主でございました。しかしながら、今後、医療と介護の連携ということがテーマになる中でございますので、ぜひとも市町村に対する適切なタイミングでの情報提供をお願い申し上げます。
以上3点でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに何かございますか。会場でもオンラインでも結構でございます。よろしゅうございますか。
それでは、一通り御意見を承ったということにさせていただきたいと思います。
本件の議論は以上とさせていただきますけれども、事務局におかれましては、様々な非常に重要な御指摘をいただきましたので、本日いただきました意見も踏まえまして地域医療構想等に関する検討を行って、検討状況について適宜、本医療部会に報告するようにお願いしたいと思いますので、よろしく対応をお願いします。
それでは、次のアジェンダに移りたいと思います。「他の医療機関で製造されたPET製剤の使用に係る医療法上の取扱いについて」、これは報告事項でございますので、事務局より説明をお願いします。
○医療安全推進・医務指導室長 医療安全推進・医務指導室長でございます。
資料2を御覧いただければと思います。他の医療機関で製造されたPET製剤の使用に係る医療法上の取扱いを新しく定めるというものでございます。
1ページ目を御覧いただきまして、概要のところにございますけれども、1マル目、従来医療機関で製造されたPET製剤、院内製剤と言われるものでして、医師の裁量で医療機関の中で作っているものですけれども、これは医療法上も医療機関の中で使うものだけを想定した仕組みになってございます。
これとは全く別で、薬事法を取ったPET製剤が普通に流通しているのですけれども、院内でサイクロトロンという加速器でPET製剤を作る機械を院内で持っている場合は、院内製剤として使う。これも医療法で定められてございます。
医療法で定められていない放射性同位元素についてはRI法の規制になりまして、人に投与することはできないのですけれども、医療法で位置づけると、RI法、規制庁所管の法律ですけれども、こちらで適用除外となるので、人に投与ができるという仕組みになっているものでございます。
2マル目ですけれども、近年、PET製剤のニーズの変化があるということでございまして、2つの医療機関間でやるもの、使用する医療機関と製造設備が設置されているほかの医療機関が別なとき、使用医療機関側の医療従事者が使用医療機関側の医師の指示を受けて製造設備設置医療機関側に行きまして、そこで製造したPET製剤をその医療従事者が持って帰ってくる。つまり、使用医療機関側の医師の指示の下にずっとある場合は、今まで規定がなかったのですけれども、これを医療法の規制対象に位置づけて、使用医療機関側で実施可能にするものということでございます。
内容のところの1.の2)に小さく書いてあるのですけれども、薬機法、昔の薬事法の製造販売業の許可は不要であるという意思決定が15年ほど前に既に医薬局のほうからされておりまして、さながらそれをやりたいという実際の医療機関の希望も当面なかったのですけれども、最近、ニーズの変化を受けてニーズが出てきたということで、今般、医療法令の中で位置づけることで使用可能になりますよということでございます。
概要の3マル目にございますように、この位置づけ自体は医療法施行規則を改正することでできるのですけれども、安全管理体制など医療機関の間のところなどがございますので、それに関しては医療法施行規則、これは厚生労働省令ですけれども、それ以外、通知、学会ガイドラインに関しても改正をしていきたいと考えております。
それが内容のところに書いてございまして、1.です。これを医療法の規制対象として省令改正をして位置づける。これによって使用可能になるということです。
2.に項目がございまして、どんなことを定めるのですかということですが、矢羽根が5個ありまして、まず1つ目に安全管理体制そのもの、それから2つ目、製造設備設置医療機関側、サイクロトロン加速器がある側の品質管理の話、それからその間、運搬しているときの管理体制の話、それから受け取ったところでの品質管理の話、それから事故時の体制、責任の所在等を定めるというものでございます。
今後の方針のところに書いてあるのですけれども、そもそも3月に医療放射線の適正管理に関する検討会で検討しているということで、こちらは報告事項とさせていただいていますけれども、今後、パブリックコメント等を行いまして、省令改正等を秋頃めどに実施をするという予定でございます。
御説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
以上、報告でございましたけれども、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
では、黒瀨委員からどうぞ。
○黒瀨委員 黒瀨でございます。よろしくお願いします。
御説明ありがとうございました。
共同管理することによって製造コストを下げるという意味でも非常にこの方向性はいいと思うのですけれども、問題は移送時に何かのトラブルがあった場合に、どういう責任がどちら側にかかってくるのかというところは非常に重要なところかなと思いますし、今までいわゆる製薬メーカーからの購入であれば製薬メーカーがノウハウをしっかり持っているということがあろうかと思いますけれども、医療機関同士ですとなかなかそういった移送のノウハウというのが十分にまだ確立されていない可能性もありますし、今回の場合には、使用する医療機関が取りに行って持ち帰るということを想定されておりますけれども、逆に今度は製造されているところが届けるということは特に今後は想定されないのかということと、その場合に、移送する側のほうにかなり責任が重くなってくる可能性が高いと思うのですけれども、その点はどういったふうに今後考えていくのかということを教えていただきたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、どうぞ。
○医療安全推進・医務指導室長 ありがとうございます。
まず体制ですとかノウハウに関してですけれども、現在も200には満たないのですけれども、サイクロトロンを使って実際に製剤をしている医療機関がございますので、そちらは今までのガイドラインなどを守っていただきながら、清潔に安全に使用して、患者さんに投与するというノウハウがございます。
PET製剤ですけれども、御存じのとおりかなり半減期が短くて、有効なのが数時間ということで、遠くには運べないものですので、1時間程度を想定してございまして、もちろん、今日の参考資料で申しますと、例えばPDFの最後の17、18ページになります。参考のほうですと16と右下にございますけれども、無菌の状態を確認する手段、無菌操作のクオリティー、それから最後のページ、PDFで言うと18ページ、右下で言うと17ページと書いてありますけれども、ベリフィケーション・プロセスバリデーションの規定がございまして、出る前の無菌性試験、それから届いたときの無菌性試験に関しても定めを行うということでございまして、今、先生がおっしゃったように、この手順、それから使用側が製造側まで行って戻ってくるまでずっと責任を持っているということです。移動の間はRI法の許可でやるわけですけれども、それらは全部、使用医療機関側の責任に基本的にはなりますので、責任の所在はそのようになります。
逆に言うと、そのようなことをやるので薬機法上の製造販売業の許可が不要であるというのが今回の医薬局の整理でございまして、製造している側が配ってしまうというか、いろいろなところに送るだけだと製造販売業になってしまいますので、これは薬機法の製造販売業の許可が必要になるということで、あくまでも製造設備を借りているだけで、使用医療機関の医師の責任でやるので、今回は院内製剤ですよ、全てその中で完結しますというスキームということになりますので、そこはそのような整理になっております。
○黒瀨委員 ありがとうございました。
○遠藤部会長 よろしいですか。
それでは、お待たせしました。岡委員、どうぞ。
○岡委員 このスキームだと、使用医療機関の医療従事者が製造設備設置医療機関に出向いて製造するということですけれども、ただ、実際にはサイクロトロンは1回回すと、その日はほぼ被曝の問題で使えないと思うのです。そうすると、使用医療機関と製造設備医療機関が同時に、一気に作らないと多分無理だと思うのです。そうしたときに、使用医療機関が製造設備医療機関に出向いて製造するということはどういう役割を果たすか。基本的には同じものをどんとつくって、結局スキームでは分け与えることになってしまうと思うのですけれども、ある程度立ち会っていればいいとか、そこは何か明確な基準とかがあるのでしょうか。
○医療安全推進・医務指導室長 その辺りは、責任の所在が明確であることというのが重要だと思うのですけれども、実際は、機械が作っている部分というのは先生がおっしゃるようにございまして、どこまでの操作をというのはある程度現場の裁量というのがあると思うのですけれども、先生がおっしゃるように責任の所在だけは明確にしていただくというのが重要ではないかなと思います。
○岡委員 基本的には別個に分けて作るということは不可能だと思うのです。1日1回が限度なので、そこをどうするかということと、品質管理においても、作ったものを基本的には当院だと薬剤師がやっているのです。そういう管理も薬剤師も一緒に来てやるとか、そこを一度分かりやすくしていただいたほうが。逆に言えば、運送のための品質管理を最初に作ったところでして、使用医療機関では品質検査を薬剤師がするのかとか、その品質検査も同じことを2回に分けてやるのか、それぞれ違うのかということもまた明確にしていただければいいと思います。
以上です。
○医療安全推進・医務指導室長 その辺りはガイドラインでも明確にするのですけれども、先生がおっしゃるように、製造側に来たときのことを考えると、使用側で動く医療従事者、薬剤師が想定されるのではないかということは現場の方も言っているところなので、その辺りも踏まえて定めていきたいと思います。
○遠藤部会長 それでは、オンラインで佐保委員がお手を挙げておられますので、よろしくお願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
PET製剤の取扱いに関しまして、安全管理の体制などの所要の措置を講じるとありますが、使用する医療機関において適切な取扱いがなされるよう、安全面の確保をお願いいたします。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは、事務局におかれましては、本日いただきました意見を踏まえて、法令改正等の対応を進めていただくようお願いいたします。
それでは、最後のアジェンダですが、「経済財政運営と改革の基本方針等の閣議決定について」、これも報告事項でございますので、事務局から説明をお願いします。
○総務課長 資料3を御覧ください。この時期に政府が決める方針3つについて御説明させていただきます。
資料3は重複が多いですので、要所だけ説明させていただきます。
まず4ページ名の1個目ですけれども、防災関係ということで、2行目ですけれども、船舶活用医療提供体制の整備、医療コンテナ活用、歯科巡回診療や被災地の災害医療システム活用等の推進による医療の継続性確保が記載されています。
それから、その下の行の(5)ですけれども、外国人の医療費不払い情報の連携による在留審査への有効活用といったところが記載されています。
それから、次の5ページ、予算編成についての記述になります。
特に3行目になりますけれども、今回、とりわけ社会保障関係費については、医療・介護等の現場の厳しい現状や税収等を含めた財政の状況を踏まえ、これまでの改革を通じた保険料負担の抑制努力も継続しつつ、2025年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う。具体的には、高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算するということで、昨年とは違う特出しした記述になっています。昨年は全般的に経済・物価状況に配慮といったような記述でしたけれども、特出しした記述にしています。
それから、6ページ目になります。
全世代型社会保障の構築ということで、4行目になりますけれども、医療等の公定価格の分野の賃上げ公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、人材確保等がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある。3行目ですけれども、次期報酬改定をはじめとした必要な対応策において、力強い賃上げの実現、昨今の物価上昇による影響について、幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行うということで、このため、2024年診療報酬改定による処遇改善等の実態を把握・検証し、2025年末までに結論が得られるよう検討するということが書いてあります。
その次の段落ですけれども、持続可能な社会保障制度のための改革を実行しというところですが、この段落は先般の自由民主党・公明党・日本維新の会の3党協議の合意に基づく記述が入れられています。OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し、地域フォーミュラリの全国展開、新たな地域医療構想に向けた病床削減、医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現、現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底等々、2025年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、2026年度から実行すると。
それから、7ページは中段からになりますけれども、中長期的な医療提供体制の確保等ということで、毎回書かれていますけれども、内容を新しく充実して記載されています。2040年頃を見据え、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口の増大や現役世代の減少に対応できるようということで、質が高く効率的な医療提供体制を全国で確保すると。医療需要の変化を踏まえた病床数の適正化を進めつつ、かかりつけ医機能の発揮される制度整備、それから医療の機能分化・連携や医療介護連携、救急医療体制の確保、必要な資機材の更新を含むドクターヘリの安全かつ持続可能な運航体制の確保、大学病院・中核病院に対する支援を通じた医師派遣の充実、臨床実習に専念できる環境の整備、適切なオンライン診療の推進、減少傾向にある外科医師の支援、都道府県のガバナンス強化等を進めると。地域医療構想については、2025年度中に国がガイドラインを策定し、各都道府県での2026年度以降の新たな地域医療構想の策定を支援するということで、それから医師偏在への対応については、総合的な対策のパッケージを順次実施すると。それから、医師の適正配置のための支援の在り方について、全国的なマッチング機能やリカレント教育、医学教育を含めた総合的な診療能力を有する医師の育成、医師養成課程の取組と併せて2025年末までに検討を行うと。
下から2行目ですけれども、看護職員の確保・養成や、訪問看護におけるICT活用を含む看護現場におけるDXの推進、在宅サービスの多機能化といった在宅医療介護の推進に取り組むと記載されています。
8ページになりますけれども、小児・周産期医療について、地域でこどもを安心して産み育てることができるよう、最先端医療を含めた小児・周産期医療体制の確保を図るため、産科・小児科医療機関を取り巻く厳しい経営環境も踏まえ、医療機関の連携・集約化・重点化を含めた必要な支援を行うと。
それから、9ページですけれども、糖尿病と歯周病との関係など全身の健康と口腔の健康に関するエビデンスの活用、生涯を通じた歯科健診に向けた具体的な取組、オーラルフレイル対策等の重症化予防につながる歯科専門職における口腔健康管理の充実、歯科医療機関、医歯薬連携などの多職種連携、歯科衛生士・歯科技工士の移植対策を含む人材確保、歯科技工所の質の担保、歯科領域のICT活用、歯科医師の不足する地域の分析等を含めた適正な配置の検討を含む歯科保健医療提供体制構築の推進強化に取り組むといったようなことが書かれています。
それから、飛びまして11ページになりますけれども、11ページの下は国際保健の推進ということで、エリアと連携した外国医療人材育成、医療インバウンドを含む健康・医療・介護関連の国際展開といったことが書かれています。
次に2つ目、新資本主義実行計画ですけれども、ページ数で言うと23ページまで飛びます。
今回、新資本主義実行計画では、12業種を選んで、省力化投資を進めるということで、その具体策が書かれています。医療も取り上げられておりまして、御覧いただいている資料ですけれども、まず目標として、労働生産性の向上の取組により、医師、看護師等の時間外労働の削減、合理的な配置基準の見直しを目指す。また、持続的な賃上げにつなげていくということで、3の省力化促進策というところで、具体化する施策として、看護業務の効率化に資する機器あるいは医師の労働時間の短縮に資するICT機器等といったことの導入補助金の活用を進めると。
それから、電カル等情報基盤の整備、医療現場のニーズに即したサービスの技術開発、医療負担軽減に資する医療機器の開発、さらに看護業務の効率化の優良事例集の充実を図ると。
一番最後の行に主なKPIということで、2030年までに、おおむね全ての医療機関において電カルの導入を目指す。それから、2029年度までに長時間労働となる医療機関に勤務する医師の時間外労働の目標時間数を1,410時間にするといったことを掲げています。
それから、3つ目ですけれども、規制改革計画ということで、37ページまで飛びます。規制改革は基本的に主に3つになります。
まず1つ目「オンライン診療における更なる普及及び円滑化」ということで、御覧いただいているaというところで、4行目ですけれども、厚労省は、オンライン診療専用車両等の活用を円滑化し、適切な活用の推進を図るため、医事法制上の位置づけの明確化並びに解釈運用のさらなる明確化及び見直しについて検討し、所要の措置を講ずるということで、現在、医療法案でオンライン診療、御案内のとおり法律に位置づけて提出しておりますけれども、これが成立し、施行するまでに、この数ページに書かれている各事項について検討し、結論を得る。そして速やかに措置をするといったことが書かれています。
それから、飛びまして2つ目ですけれども、宿直になります。42ページの特に中段のbというところになります。医師の宿直体制の見直しということで、例外規定が医療法にありますけれども、2行目ですが、緊急治療に支障を来さないようにするという医師の宿直義務の規定の意義を確保しつつ、それから、入院患者の特性等により、宿直する医師が常に対応を求められる状況ではなく、近隣医療機関との協力の下、集中治療や手術等が必要となった場合の高度な救急医療を提供する施設等への搬送等を含む緊急時対応の協力体制が確保されている病院において、そして宿直医師を確保するために診療体制を縮小するなどの影響が出ている場合等々を念頭に、下から4行目ですけれども、ICT技術を活用することで複数の病院の宿直対応を遠隔かつ兼務で行うことが可能となるよう要件等を検討し、遅くとも令和9年度中に結論を得次第、速やかに所要の措置を講ずるといったことが書かれています。
それから、3番目、最後ですけれども、次のページ、43ページで救急救命措置の範囲の拡大ということで、これは現行の範囲にとどまらず、その範囲の不断の見直しを検討することが必要であるということで、令和8年度中に結論を得るもの、それから令和8年度中に検討するものが各種書かれているという状況です。
以上、報告になります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの報告内容について、御意見、御質問がおありになる方はいらっしゃいますでしょうか。
角田委員、お願いいたします。
○角田委員 遠藤部会長、ありがとうございます。
ここで示された規制改革をはじめとする閣議決定ですけれども、これから政府としては実際具体的に方策を進めていくことになると思いますが、ぜひ厚生労働省においては、しっかりとその影響を鑑みながら、適切な進め方をしていただきたいと思います。
特に先ほど5ページのところで特出しにして御説明いただいた部分ですが、各地域の医療機関とか介護施設がしっかりと継続できるようなことをまず念頭に進めていただきたいと思います。
その上で3点ほど指摘させていただきたいと思います。
6ページ目のOTC類似薬の保険給付の在り方についてです。これまで私どもも何回か記者会見等でお話ししております。この医療部会においても改めて意見を述べさせていただきたいと思います。
セルフメディケーションという視点のみによって進める、そして最も重要である患者利用者の安全性とかOTC医薬品の原理原則を軽視して、経済性に過度に偏った政策を進めることは、全国の患者、国民に大きなリスクをもたらす懸念があります。セルフメディケーションというのは、単独で推進するものではなくて、より大きな概念であるセルフケアにおける一つの手段であります。国民のヘルスリテラシーを向上させるということを共に論じるべきではないかと思っております。
また、OTC類似薬の定義自体が非常に曖昧ではございますが、その多くは医療の根幹を成すような基礎的な医薬品が多く含まれます。例えば院内での処置などに用いる薬剤であったりとか、さらには薬剤の処方、または在宅医療における薬剤使用、これらに影響することが懸念されます。
また、医療機関にアクセスすることができて、医療提供はできている地域でも、僻地などですと市販薬に容易にアクセスできない地域もあります。この辺を十分留意する必要がございます。
また、医療費負担だけではなくて、患者さんや家族が購入すること自体が、それぞれの個人の負担が非常に重くなってしまうということが懸念されます。OTC類似薬の保険給付の在り方によって、国民皆保険制度が非常に歪められてしまうようなことがないように、慎重な検討をお願いしたいと思います。
2点目は、医療DXについてでございます。
患者さん、国民に安心・安全で質の高い医療を提供して、医療現場の負担軽減に資するものとして、基本的には賛同いたします。ただ、拙速にこれを進めることがありますと、しかも現場の声をしっかりと聴いていただかないと、今、現場で頑張っている地域の医療機関等がやめてしまうことの背中を押すようなことにならないか非常に懸念していますので、ぜひその辺はよろしくお願いします。
3点目は、42ページで先ほど御説明いただきました規制改革実施計画の中での宿直についてでございます。当時、一部のメディアでは、1人の医師が複数の病院で宿直をオンラインで行えると大きく報道されましたが、先ほど御説明があったように、そのような目的ではなくて、入院患者の急変リスクがとても低い病院で、かつ緊急対応がしっかりと確保されている場合であって、さらに宿直医師の確保のために診療体制の縮小が起きてしまうような場合に、現場の負担軽減のために行うものということを改めて確認させていただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、井上委員、お願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。
事務局から御説明のあったとおり、今回の骨太方針あるいは新資本実行計画では、賃上げを起点とする成長型経済の実現ということが柱となって取りまとめられております。その中で社会保障分野におきましても、医療分野での賃上げの実現でありますとか、あるいは予算編成に当たって、これまでの目安に加えて、物価動向を踏まえた対応に相当する増加分を加算するという、これまでにない踏み込んだ書きぶりになっているところでございます。
一方で、同じ文章の中には、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減ということも書かれており、この2つの方向は違うわけですけれども、その真ん中をつなぐのが先ほど御説明のありました医療DX、ICT、タスク・シフト/シェア等々の省力化あるいは生産性の向上策でございますので、この3つを同時に達成するためには、3つをバランスよく進めていかなくてはならないということを念頭に置いて、今後の政策運営をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。私から2点申し上げたいと思います。
まず6ページの処遇改善に関して、医療・福祉の分野は、全体の賃上げの状況に比べて賃上げの率がまだ低いという状況にあります。持続可能な医療提供体制にとって人材確保は大変重要ですので、医療分野においても、医療従事者の業務負担の軽減はもとより、さらなる処遇改善策を継続的に行う必要があるということは共通認識とすべきと考えております。
2点目、42ページの医師の宿直体制の見直しについてです。見直しよって患者への医療安全という面に影響はないのか、また、医師の働き方改革を進めている中での影響はないのか、現場や当事者の意見を聴きながら、丁寧な議論が必要と考えます。加えて、これらの実施時期は、令和7年措置あるいは令和7年度上期の検討開始とされておりますが、既に四半期が過ぎております。ほかにも様々な施策が書かれておりますが、今年に入って医療部会は持ち回り開催が一度あっただけです。本来こうした内容はあらかじめ医療部会でも議論されるべきだと考えておりますので、検討のプロセスについて改善をよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、玉川参考人、お願いいたします。
○玉川参考人 ありがとうございます。
閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針等につきまして、コメントをさせていただきます。
医療・介護・福祉等の公定価格の引上げが記載されております。物価や人件費高騰に伴い医療機関等の経営が逼迫する中、これまで国に対して寄せられた現場の意見を真剣に受け止めていただいたものと感謝申し上げます。
今後は、その具体化が重要となりますので、持続可能性、質の高い医療・介護提供体制を確保できるよう、社会経済情勢を反映した診療報酬改定や処遇改善など諸政策の確実な実行についてお願いをいたします。
以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 先ほど総務課長から、規制改革に関して3点ばかりということで説明がありましたけれども、そのうちオンライン診療については、相当細かくいろいろな記述がなされています。率直に申し上げて、特に医療過疎地などにおいては、オンライン診療は不可欠なものになっており、規制改革の提言を細かく見ていくと、もっともと思われる記述があります。その一方で、私が危惧しておりますのは、規制の隙間を縫うような形で、悪用というと言い過ぎかもしれませんけれども、そういう実態がみられるのも事実です。
今、佐保委員からもお話がありましたとおり、オンライン診療をめぐる問題については、医療部会あるいは適当な検討会の場で、地域の実情でありますとか、実際に携わっている関係者の意見を十分聴取し、丁寧に検討を進めていただきたいと思います。事の重要性に鑑みまして、後で悔いることがないよう、よろしくお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
そのほか何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
ありがとうございました。それでは、本件につきましてもこれで終了したいと思います。
それでは、事務局に用意されました全ての案件は終了いたしましたけれども、事務局から何かございますでしょうか。
○医療政策企画官 ありがとうございました。
次の医療部会の日程につきましては、決まり次第、御連絡をさせていただきます。
以上です。
○遠藤部会長 それでは、本日の部会はこれにて終了させていただきたいと思います。
どうも長時間にわたりまして活発な御意見をいただきまして、ありがとうございました。