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第114回社会保障審議会医療部会 議事録
日時
令和6年12月18日(水)14:00~16:00
場所
航空会館ビジネスフォーラム 7階 大ホール
議題
〇医療提供体制の在り方について
〇令和6年度補正予算について(報告)
議事
- 議事内容
○医療政策企画官 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第114回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の委員の出欠状況でございます。本日は、内堀委員、河本委員より御欠席との連絡をいただいております。医療部会の総定員数24名、定足数は8名となってございまして、本日は22名の皆様が御出席でございます。定足数に達していることを御報告申し上げます。
それから、資料の確認でございます。本日の資料は、資料1、それから、資料2でございます。お手元に御準備いただければと思います。
それでは、カメラ撮りはここまででお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○医療政策企画官 では、以降の議事進行を遠藤部会長にお願いしたいと思います。
○遠藤部会長 皆様、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
議事に入ります前に、欠席の内堀委員の代理としまして玉川参考人、河本委員の代理として松本参考人の御出席をお認めいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
また、玉川参考人より、公務のため途中離席されるとの御連絡をいただいております。
それでは、議事に入りたいと思います。
議題の1「医療提供体制の在り方について」、事務局から関連の資料の説明をお願いいたします。
○医療政策企画官 医療政策企画官でございます。
議事1でございまして、「医療提供体制の在り方について」としてございます。
これまで本医療部会におきまして、医療提供体制の主要課題について御意見を伺ってまいりました。
本日は医療部会としての御意見を取りまとめていただきたいということでございまして、資料1として意見書の案という形で御用意をさせていただいております。
資料1を御覧いただければと思います。
表題につきましては「2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革に関する意見 案」という形にさせていただいております。
冒頭、頭書きのところでございますけれども、医療部会において以下のとおり意見を取りまとめたという旨、それから、厚生労働省においては本部会の意見を踏まえ、さらに所要の検討を進めて医療法等の改正を行うなど、着実にその実施を図られたいという形で始めております。
1ポツは基本的な考え方といたしまして、最初の○のところで、将来の人口構造の変化に対応した医療提供体制を構築することが求められている。そこから人口構造の変化に触れ、さらに85歳以上の人口が増えていくということ、それに伴って医療需要も変化が見込まれているということ。さらに、地域ごとに見ると、それぞれ地域で変化があり、こうした地域差の拡大に伴って地域に求められる医療提供体制の在り方はそれぞれ異なったものとなるということ。さらにというところで、生産年齢人口の減少に伴って医療従事者の確保がさらに困難となるということが見込まれる。働き方改革、医療DX、タスクシフト・シェアなどを着実に推進していくことが重要となると。
次の○のところでございますけれども、医師についてはということで、人口が減少する中での医師養成の在り方、医師偏在が課題となっている。特に診療所の医師の高齢化、さらにその下の○でございます。歯科医師、薬剤師、看護師等の医療従事者についても、その養成の在り方や偏在等の課題、こうした課題が指摘されているというところでございます。
次の○でございまして、これらの課題に対応し、85歳以上の高齢者の増加、人口減少がさらに進む2040年以降においても、全ての地域・世代の患者が適切な医療・介護を受け、同時に、医療従事者の方も持続的な働き方を確保するということを目指して、医療提供体制を整備していく必要があるとしてございます。
こうしたことを踏まえて、新たな地域医療構想の策定を進め、医師偏在の是正を総合的に推進し、医療分野のデジタル・トランスフォーメーションを確実に実施していくということを通じて、より質の高い医療やケアを効率的に提供する体制を構築していくことが必要であるとしてございます。
続きまして、2ポツ目で具体的な改革の内容ということで大きく6点置いております。新たな地域医療構想について、それから、2つ目が医師偏在対策について、3つ目以降、医療DXの推進についてから6番目まで、(3)から(6)については前回の医療部会で御審議いただきまして、方向性を御了承いただいた案件でございます。
(1)新たな地域医療構想についてと(2)医師偏在についてにつきましては別添資料ということで、本部会における審議も踏まえまして、検討会のほうで取りまとめを行ってございます。これを別添1、別添2という形でつけてございます。この説明につきましては説明者が替わりまして、それぞれ別添1、別添2について説明をさせていただきます。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 医療提供体制改革担当の参事官です。
そうしましたら、資料1の別添1で新たな地域医療構想に関する取りまとめの御説明いたします。
12月10日の新たな地域医療構想等に関する検討会で座長一任となった報告書案について、本日付で取りまとまったものになります。
1枚目が概要資料で、2枚目以降に取りまとめの報告書本体をおつけしています。説明は1枚目の概要で行います。
真ん中のところに新たな地域医療構想という箱がございます。そこのまず基本的な考え方として、2040年に向けて、入院だけでなく、外来・在宅医療、介護との連携、人材確保なども含めたあるべき医療提供体制の実現に資するよう、新たな地域医療構想を策定・推進していく。その内容としては、病床だけでなく、医療機関機能に着目した医療機関の機能分化・連携を進めていく。
2つ目のポツはスケジュールになります。2025年度、来年度に国でガイドラインを作成、2026年度に都道府県で医療提供体制全体の方向性、グランドデザインのようなもの、それから、必要病床数の推計を行っていただく。2027年度、28年度で医療機関機能に着目した協議を行うというスケジュールを想定しています。
3つ目のポツ、医療法の立てつけを変えるということです。新たな地域医療構想を医療計画の上位概念に位置づけ、医療計画は新たな地域医療構想に即して具体的な取組を進めるものとするということです。
(2)の①病床機能です。これまでの回復期の機能について、2040年に向けて増加する高齢者救急に対応するという観点で、急性期と回復期を併せて提供するということが重要になるということも踏まえ、その内容に高齢者等の急性期患者への医療提供の機能を追加して、名称を「包括期機能」として位置づけるということです。
②が医療機関機能報告で、下のポツに括弧書きで書いていますが、高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能、専門等機能、それから、広域な観点で大学病院本院の担う医育及び広域診療機能を報告いただいて、地域の協議に活用するということです。
③構想区域・協議の場については、これまでの二次医療圏を中心とした構想区域のほか、広域の観点での区域、都道府県単位での協議や在宅医療等のより狭い区域での協議を行う。
右側の(3)医療介護総合確保基金です。新たな地域医療構想が医療機関機能に着目した取組というものを進めていきますので、その医療機関機能に着目した取組の支援を基金の対象に追加する。
(4)都道府県の権限になります。①が医療機関機能の報告を行うということになりますので、その報告内容が実態に合わない場合に報告の見直しを求めることができるというような規定でしたり、②基準病床数と必要病床数の整合性の確保の観点で、必要病床数を超えた増床等の場合には調整会議で認められた場合に許可をするということに変えるということ。それから、既存病床数が基準病床数を上回る場合などには、地域の実情に応じて、必要な医療機関に調整会議の出席を求めて地域で協議を行うことができるようにするということ。
(5)国・都道府県・市町村の役割です。まず①で国の責務・支援を明確化する。②で都道府県の取組の見える化、それから、調整会議で協議が整った事項を実施に都道府県が努めるというようにすること。③で在宅医療等の協議に関して市町村の調整会議への参画、それから、医療介護総合確保基金の活用による在宅医療などの取組を推進していくということです。
最後、(6)精神医療を新たな地域医療構想に位置づけることとする。こちらの精神医療については地域医療構想に初めて位置づけるものですので、具体的な内容については、施行に向けて十分な期間を設けて関係者で議論をしていくこととするとしています。
続いて別添2、医師偏在対策に関する取りまとめになります。こちらも12月10日の検討会において座長一任となった報告書案について、本日付で取りまとまったものになります。
1枚目が概要で、2ページ目以降に報告書の本体をおつけしています。
1ページ目の概要で御説明いたします。下のほうの具体的な取組になります。
(1)医師確保計画の実効性の確保として、1つ目のポツです。重点医師偏在対策支援区域を設定して、優先的・重点的に対策を進める。この重点区域については、厚労省の示す候補区域を参考としつつ、都道府県が地域の実情に応じて地対協・保険者協議会で協議の上、選定する。
3つ目のポツです。都道府県において医師確保計画で医師偏在是正プランを策定する。このプランについても地対協・保険者協議会で協議の上、重点区域、それから、支援対象医療機関、具体的な取組などを定めることとする。
スケジュールについては、偏在是正プランについて緊急的な取組を要する事項から策定して、全体は令和8年度に策定する。
その下の①医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の対象医療機関の拡大です。これは対象医療機関に公的医療機関、国立病院機構・地域医療機能推進機構・労働者健康安全機構の病院を追加する。それから、勤務経験の期間を1年以上に延長する。その際、検討会でも管理者には幅広い経験が求められるなどの指摘があったことを踏まえ、施行時に柔軟な対応を行う。
②外来医師多数区域における新規開業希望者への地域で必要な医療機能の要請の仕組みです。こちらについては、都道府県から外来医師多数区域の新規開業希望者に対して開業6か月前に提供予定の医療機能などの届出を求める。その上で、外来医療の協議の場への参加を求めることができるようにする。地域で不足する医療、医師不足地域での医療の提供の要請をできるようにする。右側で、要請に従わない医療機関に対して都道府県医療審議会での理由などの説明の求めや勧告・公表ができるようにする。その要請・勧告を受けた医療機関については、保険医療機関の指定期間を6年ではなくて3年などに短縮する。
③が保険医療機関の管理者要件です。保険医療機関に管理者を設け、保険診療に一定期間従事したことを要件とする。
(3)が経済的インセンティブです。左側にある重点対策支援区域において、診療所の承継・開業の支援を行う。その重点対策支援区域に派遣される医師、そこで従事する医師への手当の増額を行う。括弧書きで書いています。保険者から広く負担を求め、給付費の中で一体的に捉える。ここの※で書いてあるように、保険給付との関連の乏しい使途に当たるのではないかという意見がございました。
それから、3つ目のポツ、重点対策支援区域に医師の勤務・生活環境の改善、あるいはそこに医師を派遣する派遣元医療機関への支援を行う。
(4)全国的なマッチング機能の支援です。中堅・シニア世代などの医師を対象として、医師の掘り起こし、現場体験につなぐ医師不足地域の医療機関とのマッチング、定着支援などの全国的なマッチング支援を行う。
(5)はリカレント教育の支援、都道府県と大学病院との連携パートナーシップ協定の推進、こちらは医師養成課程の偏在是正の検討会のほうで議論された内容をまとめています。あと、(8)医師養成課程を通じた取組ですとか、(9)の診療科偏在の是正に向けた取組も進めていくということとしています。
別添2の説明は以上になります。
○特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官 それでは、(3)医療DXの推進について御説明をさせていただきます。
(3)の①、②につきましては10月30日の医療部会で、③、④につきましては11月にそれぞれ御説明をさせていただいた内容でございます。
①電子カルテ情報共有サービスでございますが、少子高齢化・人口減少が進展し、医療・介護の担い手確保が厳しくなる中で、医療機関や薬局等で電子的な情報共有をすることが不可欠であるということを前提に、電子カルテ情報をこれらの機関で共有する電子カルテ情報共有サービスを法律に位置づけ、令和7年度中に本格稼働を行うべきということが1つ目の○でございます。
具体的には、3文書6情報を社会保険診療報酬支払基金に対して電子的に提供することができる旨を法律に位置づける予定でございます。これにより都度の患者の同意取得を不要にしますが、一方で、ほかの医療機関等が登録された文書を閲覧する際には、患者の同意が必要でございます。これら提供された3文書6情報につきましては、共有サービスによる医療機関等への共有以外の目的には使用してはならないこととする。それから、速やかな普及促進のために、特に救急や災害時における医療提供を担う病院等の管理者に対する体制整備の努力義務を設けることとしたいと思います。
また、次の感染症危機に備えた対応として、発生届をこのサービスを経由して感染症サーベイランスシステムに届け出ることができるようにするとともに、感染対策上必要なときは、厚生労働大臣から社会保険診療報酬支払基金に対し必要な電子カルテ情報等の提供を求めることができる規定を置きたいと思っております。
この共有サービスにつきましては、患者(被保険者)、医療機関、保険者、国等に一定のメリットがもたらされることを踏まえ、サービス全体に要する費用をそれぞれが一定程度負担する。国においてはシステムの開発や改修、それから、医療機関の電子カルテシステムの標準化対応の改修費用への財政補助など、サービスの立ち上げに要する費用を負担。医療機関においては、電子カルテシステムの標準化対応の改修を行うとともに、未導入の医療機関に標準型電子カルテ等の導入を進める。また、システムの必要な運用保守を行いながら、この電子カルテ情報を登録していただくということが必要になります。また、保険者等においては、制度として一定程度確立した後に、共有サービスに係るシステム・データベース等の運用費用を負担する。
また、このシステムの改修につきましては、国は十分な支援を行うとともに、電子カルテシステム未導入の医療機関への標準型電子カルテの普及を速やかに進めるべきである。国は、電子カルテ未導入の医療機関を含め、電子カルテ情報の共有のために必要な支援について検討するべきであるという旨も記載しております。
なお、今後の情報の拡充につきましては、医療関係者の意見を聴きながら速やかに検討を進めるべきである。これら電子カルテの情報の利用停止等を求める患者の要望がある場合には、その対応について検討を行うべきである。
その次、情報の保存期間、これは各病院の電子カルテシステムに記録されている情報の保存期間の在り方について、関係者の意見や技術的課題等を踏まえて検討するべきである。
保険者の負担については、共有サービスが一定程度普及し、その効果を見極め、保険者に確実にメリットが生じるようになってからにすべきとの意見も踏まえ、速やかな普及に向けて国としてあらゆる方策を講ずるべきであると記載をしております。
②でございますけれども、マイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化についてでございます。こちらは、ほかもそうなのですが、12月12日の医療保険部会でおおむね御了承いただいた方向性やこれまでの部会の議論に沿って取りまとめを行っております。
1つ目の○と2つ目の○につきましては、現状の課題とマイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化によるメリットをまとめております。
3つ目の○では、現在の先行実施事業として実施している事業メリットを全国規模で広げていくため、公費負担医療におけるオンライン資格確認を制度化するとともに、支払基金または国保連において関連システムの管理・運用等の業務を全国規模で実施するための法的整備を行うべきであると。
4つ目の○では、全国展開の体制の構築以後の関連システムの管理・運用等の業務に要する費用については、生活保護のオンライン資格確認の費用負担等を勘案し、自治体システムの標準化の取組の状況等を踏まえつつ、医療費助成の実施主体である自治体等が負担する方向で調整を進めることが妥当と考えられると記載しております。
5つ目の○では、国は、自治体及び医療機関の医療システム改修が進むよう、環境整備を進めるとともに、自治体や医療機関・薬局に対する十分な情報提供を行うべきである。
最後の○では、国においてPMH全体に係るシステム及び費用負担の全体像を示すとともに、自治体の過度な負担にならないよう配慮すべき旨を記載しております。
5ページの③医療等情報の二次利活用の推進でございますけれども、医学・医療分野のイノベーションを進め、その成果を還元するために医療等情報の二次利用を推進することは重要ですが、幾つかの課題があると指摘をされています。これらの指摘に対応するべく、記載を行っております。
電子カルテ情報の二次利活用につきましては、先ほどお話をしましたが、現在、共有サービスで共有される電子カルテ情報について、氏名等を削除するなどして個人が特定できない形にして二次利用を可能とします。匿名化・仮名化両方の利活用を可能とし、その具体的な制度設計については、医療関係団体等の関係者や利活用者の意見を踏まえながら検討をしたいと思っております。
それから、仮名化情報の利活用でございますけれども、公的データベースについて、仮名化情報の利活用を可能とし、ほかの公的データベースの仮名化情報や次世代医療基盤法に基づく認定作成事業者のデータベースの仮名加工情報との連結を可能にします。この仮名化情報を提供するデータベースについては、個人情報保護法上、個人情報の保有主体に求められるものと同等の安全管理措置や不適正利用の禁止、職員の義務等の措置を講じてまいります。仮名化情報の利用は相当の公益性がある場合に認めることとして、その目的や内容に応じて必要性やリスクを適切に審査するということ。それから、クラウドの情報連携基盤上で解析を行い、データ自体を相手に提供しないことを基本とすること、匿名化情報よりも厳格な管理を担保すること等を記載しております。
これら公的データベースの利用手続・利用環境の整備としては、申し上げたような情報連携基盤を構築するとともに、利用申請の受付、目的審査を一元的に行う体制を整備するということを記載しております。
6ページでございます。
電子カルテ情報の維持利用に当たっては、電子カルテに入力された病名の取扱い等、留意するべき点があるため、今後のガイドライン等の作成においては、医療関係者等の意見を十分に聴いて検討を進めるべきであるとさせていただいております。
これら医療等情報は機微な情報であるため、情報セキュリティー対策に万全を期すとともに、利用・提供に当たっては、研究目的の公益性や研究内容、利用者のセキュリティー対策等を適切に審査することなどを記載させていただいております。また、この情報を用いて行われた研究の成果について、適切な評価・フォローアップの在り方についても検討を行うべきであると記載をしております。
最後に、医療等情報の二次利用については、現状、国民・患者に十分理解されていない。国は、医療等情報の二次利用の意義や情報セキュリティー対策等について国民・患者に十分周知するとともに、医療現場や介護現場の理解を得ながら丁寧に進めるべきである。
④は社会保険診療報酬支払基金の抜本改組でございます。
1つ目、この抜本改組については、「医療DXの推進に関する工程表」に記載されている内容でございます。
改組に当たっては、審査支払機能を適切に維持することを基本的な考え方とした上で、法人の名称、目的、業務及び組織体制について以下の見直しを行うこととするということで、それぞれの見直しの内容につきまして御説明させていただいた内容が記載されているところでございます。
次の7ページ、1つ目の○でございますけれども、支払基金が実施する医療DX関連業務に対する国のガバナンスを適切に発揮するために、国が「医療DX総合確保方針(仮称)」を定め、それに基づき、支払基金が中期計画を策定することとする。
それから、セキュリティー対策の強化、それから、こうした改組に当たって、支払基金が特別民間法人であるという点や審査支払業務に従事する職員の心情等に十分配慮するべきである。また、改組後の組織運営に要する費用の負担の在り方については、審査支払業務と医療DX関連業務の両方を担っていくことなどを踏まえ、検討するべきであるということで記載をさせていただいております。
医療DXに関する記載については以上でございます。
○医療政策企画官 続きまして、(4)美容医療の適切な実施についてでございます。こちらにつきましては、前回医療部会におきまして報告書を御了承いただいたところでございまして、別添3として報告書の概要、それから、2ページ目からは報告書の本体をつけてございます。説明は前回の資料と同じですので割愛させていただきます。
続きまして、(5)がオンライン診療についてというところでございます。こちらも前回の医療部会で御了承いただいた案件になります。
オンライン診療については、これまで法令の解釈運用で実施を図ってきたというところでございまして、今後適切なオンライン診療を推進していくに当たりまして、法制上の位置づけを明確にすべきということを書いてございます。その際、現行制度の運用を生かす形で、医療法にオンライン診療に関する規定を設けるべきであるとしてございます。
ページをめくりまして、具体的にはというところでオンライン診療の定義をするということ、それから、オンライン診療を行う医療機関が都道府県知事に届け出るというところ、それから、適切かつ有効な実施を図るための基準を定めるということを書くということでございます。
それから、加えてというところで、オンライン診療の受診の場を定義するということ。当該場の設置者については、これも都道府県知事に届出をするということ。それから、必要な事項を公表するということとするとしてございます。
その上で、引き続き実態把握を進めつつ、オンライン診療の実施における遵守事項を検討すべきである。加えて、今後いわゆるD to D等の論点についても検討を進めるべきであるとしてございます。
最後(6)でございます。
①認定医療法人制度の延長についてというところです。こちらは制度の活用は進んできている一方で、多くの持分あり医療法人が存在するということで、制度を延長し、移行をさらに促進すべきであるとしてございます。
②が一般社団法人が開設する医療機関の非営利性の徹底についてというところで、○の2つ目でございますけれども、医療法人と同程度の確認が可能となるよう、開設時などにおいて新たに各種事項の届出を求める。あわせて、自治体に対して非営利性の確認のポイントを示すべきである。こうした見直しを行った上で、引き続き対策を検討すべきであるということとしてございます。
次のページは、最後にポンチ絵という形で、今ほど申し上げました各項目ごとの事項、主な変更点、改革点についてポイントをまとめさせていただいている資料をつけてございます。
資料1の説明は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明内容につきまして御質問、御意見等を承りたいと思いますが、本日はオンライン参加の委員が多いので、オンライン参加の委員から始めたいと思います。どなたかいらっしゃいますか。
では、玉川参考人、お願いいたします。
○玉川参考人 ありがとうございます。参考人の立場で出席をさせていただきます。
今回は、広範な内容につきまして、限りある期間の中、総合的な改革に対する意見として取りまとめていただきました。各委員の皆様と厚生労働省事務局の皆様のこれまでの御尽力に対し、敬意と感謝を申し上げます。
特に新たな地域医療構想と医師偏在対策の検討などに当たっては、全国知事会としての提言の反映や実務を担う都道府県への説明と意見照会を丁寧に行っていただいたことに対しまして、都道府県の立場を代表して重ねて御礼を申し上げます。
意見案に盛り込まれた各項目は、安全で質の高い医療を将来にわたって確保していくために極めて重要な内容であり、意見案について賛同いたします。
その上で、今後の各制度の具体化に向け、3点コメントをさせていただきます。
1点目は新たな地域医療構想についてです。今後、ガイドラインを含めたより具体的な検討を行う際には、基準病床数と必要病床数についてそれぞれの目的、役割等を整理するとともに、関係者の負担軽減を図るための制度設計や報告システムの改善、各種支援体制の確保などをお願いいたします。また、看護師等の確保が今後ますます課題となることから、具体的な方策の検討についてもお願いいたします。
2点目は医師偏在対策についてです。対策の実効性を高めるためにも、取りまとめられた各取組を着実に実行していくことはもちろん、医師養成課程の課題ではありますが、専攻医募集定員に係る実効性あるシーリングなどについてもより具体的に進めていくことが必要です。また、国と地方が連携して対策に取り組む必要があることから、引き続き地域の実情を十分認識した上で対策を講じていただくとともに、地域医療介護総合確保基金の拡充などの財政支援についてもお願いをいたします。
3点目は医療DXや美容医療への対応、その他の項目についてです。各制度には、保健所をはじめとした都道府県等の新たな業務の追加や新たな財政負担も含まれています。今後の法改正や各種制度の施行に際しては、都道府県等をはじめとする関係者との丁寧な調整や業務負担軽減に最大限配慮した制度設計、都道府県等の費用負担や体制整備に対する地方財政措置等の検討をお願いいたします。
最後に、構想や医師偏在の検討に当たっては、検討段階における早めの情報提供や意見照会、意見交換など、都道府県意見の十分な反映をいただきました。今後においても同様の対応をよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして井上委員、お願いできますか。
○井上委員 ありがとうございます。
今回の2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革に関する意見の取りまとめ、労を多としたいと考えております。
1点、医師偏在対策につきまして、私どもの立場をもう一度だけ申し上げておきたいと思います。この医師偏在の是正は、地域ごとにこれから人口減少が異なる形で進んでいくことを踏まえると、非常に重要な課題であると考えております。この偏在を是正するには、インセンティブだけでは効果が限定的だと思います。実効性のある規制的手法を中心に今後も対応していくということはどうしても必要になってくるのではないかと考えます。
また、この別添2の11ページに明確に記載がありますけれども、私どもとしては、偏在是正、医療提供体制の確保というのは本来国、自治体が責任を持って対応すべきものだと考えております。そのため、偏在対策の費用が保険料から出るということに関しましては、とりわけ我々サラリーマン、職域保険ということを考えますと、もともと職域保険というのは従業員の健康増進が組織全体のエンゲージメントに働くのだという前提で労使が支払っているというものでございますので、その観点からすると、やはり保険料による負担ということにつきまして納得感に欠けるということは明確に申し上げておきたいと考えております。
その上で、1点細かいところの確認になりますが、別添の11ページで、医師への手当の増額の支援につきまして、診療報酬を代替するものであることを踏まえ、給付費の中で一体的に捉えることが考えられると書かれております。これはどのような理解をすればいいのか。診療報酬全体の中で一体的に考えるという意味合いは、あえてこの部分について保険者に追加的な負担は生じないという調整を図っていくという理解でよろしいかどうかというところを確認させていただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、事務局、確認事項が出されましたので、お願いいたします。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 11ページのところの確認でございました。医師の手当増額の支援については医師の人件費ということで、本来診療報酬で賄われるものだということです。この診療報酬を代替するものであることを踏まえて給付費の中で一体的に捉えるということで考えられるというようなことを検討会のほうで議論してまいりました。なので、保険者のほうにこの部分で新たな負担というよりも、給付費の中で一体的に捉えて対応していこうということだと認識しています。
以上です。
○遠藤部会長 井上委員、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、藤田委員。
○藤田委員 ありがとうございます。日本歯科医師会の藤田でございます。
資料1には意見の取りまとめが提出されておりまして、これまでの議論をおおむね反映していると思います。その上で、主に医師の偏在対策を中心に議論してきたという認識でございますけれども、1ページ目には歯科医師やその他の医療職種についてのという記載をいただいておりまして、まずは感謝をいたします。歯科医師におきましても偏在問題や過疎地での提供体制は喫緊の課題と捉えておりまして、できるだけ地域の実態に即した検討と対策をお願いいたしたいと思います。
また、別添2の(2)③には、保険局での議論と聞いておりますけれども、保険医療機関の管理者要件など、急に歯科医師にも関連する事項もあり、ほとんど議論がされていない中で仕組みだけが決まっていくような形になっており、少し危惧をしております。引き続き丁寧な議論と即効性のある対策をお願い申し上げます。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして木戸委員、お願いいたします。
○木戸委員 人口減少が続いて、このままでは医療がもたないかもという懸念がある中で、今回この部会から取りまとめが提言されることは大変意義深いことと思います。
項目の内容につきましては、これまでこの部会で検討された内容が過不足なく盛り込まれており、特に異論はございませんが、私からもこの(2)の医師偏在対策について少しコメントしたいと思います。
そもそもこの医師の偏在という言葉ですが、問題の根本にあるのはむしろ医療需給のミスマッチではないかと思います。医師の偏在ということをあまり前面に出し過ぎますと、都市部に住みたがって地方に行かないのは問題だ、最近は美容など自由診療に進む人が多くてけしからんと医師を責める風潮を招いて、必ずしも建設的な方向につながらないことも懸念されます。
偏在問題の議論におきまして、ざっくりとした人口当たりの医師数で多数県、少数県としていますが、なかなか具体的なイメージも湧かず、誤解を招きやすいところです。そこで、もっと具体的にこの地域では救急の先生が何人足りない、ここでは循環器内科がこれだけ不足しているなど明確に示して、具体的な対策につなげることが最も大切かと思います。その点で、この取組(4)の全国的なマッチング機能の支援が重要で、どこがどれだけ困っているのかを明らかにできる可能性があり、期待できると思います。
ただ、不足しているとされる診療科は都市部でさえ必ずしも人員が余っているわけではなく、一見人が多そうに見える大学でも、教育とか研究とかいろいろな大切な業務があります。
また、医師にとっては、住み慣れた地域を離れて赴任する際には、生活環境が変わるだけではなく、設備や人員など医療環境もかなり違うところで働く、そういった大変さがあります。家庭の事情などで地域をどうしても離れられない人もかなり多い中、善意とかやりがいだけではこうした任務を引き受けるのはなかなかハードルが高く、実際にどれだけマッチングが成立するかは慎重に見守る必要があると思います。そこで、例えば医師一人が行くのだけではなくて、例えば気心の知れたスタッフとチームで派遣してもらうとか、いろいろ派遣の方法も工夫されるべきで、具体的にどうすればそこに赴く環境ができやすいかをぜひ検討していただいて、好事例があれば横展開をして、よりよい運用ができるようにすべきと思います。
今回の取りまとめ案の中にはインセンティブについての記載がありますが、不足しているところの待遇改善が急務であることから非常に妥当な内容かと思いますけれども、経済的支援に限らず、勤務・生活環境改善という項目が盛り込まれており、ここがむしろ大切と思います。人口減少が予想を上回って加速する中で、患者不足の影響が医療機関の経営だけではなく医療人材の教育、それから、スキル維持におきましても深刻な影響をもたらしつつあります。特に救急医療や外科手術、また、未来に安全に命をつなぐ周産期医療などをはじめ、医療を社会、そして、地域のインフラとしてなくてはならないものとしてぜひ位置づけていただいて、今回取りまとめた内容で地域医療構想、医療計画を進める中で、単なる数合わせではなくて、質の確保や安全の視点を持ってしっかりと構築できるようにするべきと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして神野委員、お願いいたします。
○神野委員 ありがとうございます。
私からは大きく2つであります。
まず一つはDXのところのオンライン診療でありますけれども、これは確認ですが、オンライン診療の受診の場という言葉がございました。特にこれから次に出てくる医師偏在と関係してくると思うのですけれども、医師が常駐しないオンライン診療の場というものの重要性というのは、もしかしたら医師不足地域あるいは過疎地で重要なキーワードになるのかなと思います。その際の急変時の対応をきちんとするというお約束をきちんと守っていただくということが第一なのかなと思いますし、それを守った上で、医師が常駐しないオンライン診療の場というのは、これから過疎地だからこそ必要な手段なのかなと思います。
次に、医師偏在の話であります。今年2024年末までにという総合的なパッケージという宿題の中でいろいろまとめていただいたのだと思いますけれども、果たしてこれは十分な議論がなされたのか。それから、本当にここにいらっしゃる皆さんはこれで納得しているのですか。ここに書いてあることを全部やったら、これで医師偏在はなくなるのですか。しかも、一体いつまでになくなるのかということであります。というのは、例えば管理者要件とかという話は、実際に動き出すのは随分先の話ですよね。そうすると、喫緊の偏在に対してどうするのだという解決策が正直まだ少ない。やはり先ほど井上委員がおっしゃったような規制的手法も含めて、もう少し即効性のある偏在対策というものが絶対に必要ではないのかなと思います。
そのためには、この報告書、今回の取りまとめを最終とすることに対しては反対いたします。やはりこれは中間取りまとめであって、この偏在対策に関しては継続的に次の何らかの審議会あるいはどこかの部会の中で継続的に議論しないと、これで終わりということについては私は納得できないということで、これをはっきりさせておきたいと思います。それをやらないと、医師養成課程、医師の養成数とかという議論が進まないと思ってしまいます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見として承りました。
それでは、しばらくオンラインが続きましたので、今度は会場の委員にお聞きしたいと思います。
それでは、黒瀨委員、お願いいたします。
○黒瀨委員 ありがとうございます。
まず全体を通して、この医療提供体制の在り方についての取りまとめをいただきまして、ありがとうございます。様々な検討会あるいは審議会等で私どもが主張してきた意見も十分に取り入れられていると思っております。
その中で、まず資料1の基本的な考え方から申し上げますと、考え方について特に異論はございませんが、特に地域差を考慮した対策が重要であるということは我々も認識しております。
一方で、医師の養成の在り方あるいは医師偏在が課題であるということは、まず喫緊の問題は、確かに例えば勤務医を派遣できる仕組みをつくって、何とか急場をしのぐという考え方はあろうかと思いますけれども、やはり開業規制あるいは強制的に地方で開業するとなると、先ほど委員からも御発表がありましたように、その医師その医師の今までの人生もありますし、これからの人生もあるわけで、強制的な手法というのは必ずしもそぐわない。10年、20年、30年のスパンで考えて、その方の人生というものもしっかり考えていかなければいけないと思います。
これは本当にそもそも論になるのですけれども、今の教育制度、例えば高校から大学に進学する際に、成績の優秀なお子さんたちを将来的な収入が安定するからということだけで医師になるように勧めるような風潮が少なくとも散見されます。こういったことは将来にわたって決して幸せなことではなく、やはり高等教育の中から社会保障ですとか医療に関することをしっかりと学ぶことができるような環境づくりあるいは教育のカリキュラムというのを医学部に進学する前の段階からスタートするべきであろうと。それによってヘルスリテラシーあるいは社会保障に対するリテラシーをしっかりと医学部進学者以外にも学んでいただいて、国民の皆さんと一緒になって我々は未来の医療について考えていく。今、喫緊の課題はともかくとして、そういったことが中長期的には絶対に必要な視点であろうと考えています。教育の時点の問題を考えていただきたいと思います。
それから、医療DXに関しては、角田委員のほうから多分お話があると思うので割愛しますけれども、1点、6ページの一番上の○に今後の電子カルテ情報の二次利用についてのガイドラインの作成等について言及がございます。御承知のとおり、今、PHRもかなり普及してまいりまして、いわゆる健康情報、ライフログを入れた健康情報が、受診した際にかかりつけの先生の電子カルテの中にPHRを通して取り込まれていく。あるいは逆に電子カルテ情報をかかりつけ医が患者さんのPHRに提供して、それをもってまた他の医療機関を受けるといったことで、いわゆる医療情報と健康情報がかなりシームレスになってきていて、そこに区別がなかなかつかない状況になっています。これを別々のガイドラインで規定するというのはなかなか難しく、まずはしっかりとした役割分担について定義する必要があるのですけれども、将来的には統一的なガイドラインを用いることによって、より質の高い医療健康情報が得られるように、それがまた二次利用されていかれるように、こういったこともセキュリティーをしっかり担保しながら考えるべきであろうと思いますし、その点のガイドラインづくりというのが必要になろうかと思います。これも含めて国民の皆様方の理解を得られないと、こういったものはしっかりと適切な方向に進んでいきませんので、広報戦略あるいは啓発戦略といったものも医療現場の声をしっかりと入れた上で検討していただければなと思います。
それから、地域医療構想に関しましては、角田委員のほうからまたお話があるかと思いますけれども、私としては先ほど言及されたグランドデザインの作成は非常に重要なことであり、グランドデザインを示すことによって国民の理解、協力を得ることができる。それが推進につながっていくと考えますので、ぜひグランドデザインをしっかりと国民の皆さんに分かりやすく、理解しやすい情報提供をしていただきたいなと思います。
区域構想等については、細かいことは言及しませんけれども、ただ1つ、既存病床数が基準病床数を上回る場合の対応についてはより慎重に、民間の医療機関は経営状態も非常に逼迫しておりますし、また、その中で医療従事者の雇用を守っていかなければいけない、さらにはその地域の医療も守っていくという立場にございますので、決して規制的な方法で解決を図るのではなく、やはり丁寧な話合いの中で方向性を見いだしていただきたいと思いますし、地域の実情が反映された医療提供体制がしっかりと確立していくことによって、国民あるいは患者さんよし、医療従事者よし、そして、行政もよしといわゆる三方よしの考え方でぜひ進めていっていただければ、ウェルビーイング社会の実現により近づいていくのではないかと私は考えております。
それから、医師偏在対策についてですけれども、こちらも医師の方の区域の新規開業に関するいろいろな方策を考えてくださっておりますが、例えば在宅医療といった非常に習得に時間のかかる医療機能に関しては一朝一夕にできるわけではなく、むしろインスタントに機能を習得すること、座学だけで習得することによって、かえって医療の質が担保できなくなってしまうおそれがありますので、こういった機能機能に関して一定の猶予期間を与える、あるいは一定の医療機関の中でその機能を習得できるような、例えば地域の医師会を使ってでも結構ですので、そういった機能習得のための支援といったことも考えた上で、開業時期が決してずれないように、適切な時期に開業しつつ機能を習得していって将、来的にその機能を担っていくというような考え方もぜひ考えに入れていただければと思いますし、それがひいてはまちづくりにもつながっていくと思いますので、いいまちづくりなしにはいい医療はないと思います。ぜひその点を御考慮いただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、お待たせしました。山口委員、よろしくお願いいたします。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。
これまでの議論をまとめていただいて、全体としては特に異論はございません。
1つだけ、5ページの医療等情報の二次活用の推進という中に、匿名化情報、仮名化情報、仮名加工情報というのが出てくるのですけれども、私、次世代医療基盤法の内閣府の検討会に入っていた関係で、匿名化、仮名化、匿名化情報、匿名加工情報など、微妙に全部意味が違うと聞いています。ここに書いてある内容に匿名化・仮名化情報というのと仮名加工情報というのも出てくるのですけれども、これは厳密な意味で使い分けていらっしゃるのでしょうか。もし厳密な意味で使い分けていらっしゃるのだとしたら、この5ページの下のほうにある注4に書いてある内容だけでは国民の理解が得られないと思いました。例えば匿名化情報であれば、個人情報から氏名、生年月日、住所など個人を識別することができる情報を取り除くことですけれども、匿名加工情報になると認定事業者が情報を加工して復元して再識別できないようにする。仮名加工情報であれば認定事業者が加工しますが再度識別できるように特別にするというようなことだと思うのですよね。この辺り、独り歩きしているところが研究者の中でもあるように聞いていますので、こういう国が出す取りまとめですので、正確に使われたほうがいいのかということと、もし使い分けているのであれば、もう少し丁寧な解説が必要ではないかなと感じましたので、その辺り、事務局の御説明をお聞きしたいと思いました。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、事務局、お答えください。
○特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官 御指摘ありがとうございます。
今回、我々が新たな電子カルテの例えばデータベースをつくるといったときの匿名化、仮名化したものをそれぞれ御指摘いただいた5ページにある匿名化・仮名化情報としております。一方で、次世代医療基盤法の中で位置づけられている情報について、それぞれ匿名加工情報、仮名加工情報ということで書き分けをしています。
一方で、御指摘のございました注のところが少ないのではないかということでございますので、特に次世代医療基盤法に基づく用語の使い方の部分については、注釈を新たに付け加えたいと思っております。
また、4番の仮名化情報のところの注は御指摘いただいた内容とほぼ同じ内容かなと思うので、その部分を補足しつつ、皆様の御理解をいただけるような形に改めたいと思います。よろしいでしょうか。
○遠藤部会長 よろしいですか。
よろしくお願いいたします。
それでは、望月委員、お願いいたします。
○望月委員 それでは、別添2の医師の偏在対策ですが、今回は地域偏在についての議論のみが行われたという理解です。診療科の偏在に関しましては、13ページ(9)ですが、医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会等における議論を踏まえつつ、別途、必要な議論を行うことが適当であるとなっています。やはり診療科間の偏在対策は非常に大事で、例えば外科医のなり手が非常に少なくなってきている点は、医師養成課程だけの話ではとても進まないのではないかなと思います。処遇改善等も含め、診療報酬での手当て等広い範囲でこの偏在対策は取り組んでもらいたいと思います。
先ほど神野委員から即効性のある偏在対策が必要であるという話も出ましたが、今回の規制的手法3点は、即効性という面ではそんなに早くはできないと思います。経済的インセンティブに関して言えば、ある程度進めていけるという状況ではないかなと思いますので、十分に御検討されながら、来年度以降取りかかれるものから取りかかっていっていただければよろしいのかなと思います。
それから、DXの3文書6情報で標準型電子カルテの導入がありますが、これは診療所に導入していく話でしょうか。電子カルテが入っていない診療所は多いと聞いていますが、電子カルテが入っていない中小病院も結構ありますので、同時に中小病院も補助事業のような形で標準型電子カルテの導入を進めていただけるのかどうかという点を1点質問したいと思います。
○遠藤部会長 事務局、いかがでしょうか。
○特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官 ありがとうございます。
現時点では、標準型の電子カルテの開発については、その対象を医科の診療所にフォーカスを当てて進めているところでございます。
一方で、今後、御指摘のとおり、中小の医療機関においてもなかなか普及が進んでいないという現状も踏まえて、医療の分野のシステム全体でクラウドを活用していくという方針に沿った形で、この中小規模の病院についても、標準型電子カルテをつくるか、国が開発するかどうかはまだ開発の状況を見ないと分かりませんが、少なくともそういったところに対して標準規格に準拠した電子カルテを普及していくことについては変わりはございません。
また、こちらの記載も、未導入の医療機関においてはというのと標準型電子カルテ等ということでその部分を読んでいるということですが、あくまで診療所だけを意識して書いたものではございませんので、先生の御指摘の点については含まれていると認識しております。
○遠藤部会長 よろしいですか。
それでは、佐保委員、お待たせいたしました。
○佐保委員 ありがとうございます。
私からは医師偏在対策、電子カルテ情報共有サービス、社会保険診療報酬支払基金の抜本改組について、これまで発言した内容と重複する部分もありますが、意見を申し上げます。
最初に医師偏在対策でございます。医師偏在是正対策は重要であり、医師少数地域だけでなく、多数地域も含めて規制的手法を中心に対応を進めていくべきと考えます。
実効性の確保に向けて、例えば、外来医師過多区域での要請・勧告について要請等を拒否できる合理的な理由など、ガイドライン等で具体的な内容を記載するとともに、別添の取りまとめの9ページ「医師偏在対策の効果を施行後5年目途に検証」とありますが、どういった対策に効果があったのかなどを検証の上、適宜見直す必要があると考えます。
経済的インセンティブについては、派遣医師、従事医師への手当増額として保険者に拠出を求める内容がありますが、この内容に対しましては、資料の意見にもありますように、保険給付と関連性の乏しい使途に保険料を充当することは妥当性を欠きます。給付と負担の関係性に基づく社会保険の原則からしても、納得することは難しいということを改めて申し上げます。
続いて、電子カルテ情報共有サービスについてです。費用負担について、患者、被保険者、保険者等にも一定のメリットがあることを踏まえて、それぞれ一定程度負担するとあります。保険者の負担については共有サービスが一定程度普及し、その効果を見極めてからとあるように、その効果を見極められるようになった段階で負担の有無等に関して議論できるよう、条文を追加すべきです。
電子カルテ情報の利用停止等を求める患者の要望への対応について、患者・国民が不安を抱くことのないよう、自らの情報をコントロールする権利に十分留意し、検討いただくようお願いいたします。
システムに記録される情報の保存期間の在り方について、患者の情報保全の観点から、電子カルテの保存期間の延長についてきちんと検討いただくよう、改めてお願いいたします。
続いて、社会保険診療報酬支払基金の抜本改組についてです。医療DX関連業務は追加されますが、重要な機能である審査支払業務を引き続き適切に担える人員配置をお願いいたします。
また、資料7ページの記載「改組に当たっては、支払基金が特別民間法人であるという点や審査支払業務に従事する職員の心情等に十分配慮すべき」ということは重要な視点でございます。6ページにある、組織の名称につきましても、審査支払業務を担ってきた歴史を尊重した名称にしていただくようお願いいたします。
私からは以上です。
○遠藤部会長 御意見として承りました。どうもありがとうございました。
お待たせいたしました。楠岡部会長代理、お願いいたします。
○楠岡部会長代理 楠岡でございます。
何点かございます。まず、新たな地域医療構想に関する取りまとめに関してですが、内容に関しては特にコメントするところはございません。ただ、今の計画ですと、28年度にいろいろな計画を立てて、それをスタートさせるような方向と伺っておりますけれども、現在、例えば少子化に関しては当初予想していたよりも相当早くに少子化になっている現状があり、また、高齢者も増えるのは間違いないわけですけれども、医療の発展等によりさらに増える可能性もある。そうすると、そのバランスが2040年よりも早くに崩れてしまう可能性も十分考えられるので、28年度に案ができたものはなるだけできるものから前倒しでやっていかないと、何か災害とか感染のようなカタストロフィックな事情が起こると、途端に崩壊してしまう可能性があります。2040年まで、28年にできて10年余裕があるというような考え方ではなく、できるものから素早く前倒しでやっていただきたいということをぜひ注意点としてお願いしたいと思います。
次が医師偏在対策に関するところでありますけれども、先ほど神野委員からもございましたように、これが最終案というわけではなく、案によっては10年、20年のスパンでないと効果が出ないものもありますし、また、インセンティブなどではすぐに効果を期待できるものもありますので、あくまでこれは中間的な取りまとめで、例えば5年ごとに見直すことによって、あまり効果がなかったものは変えていかなくてはいけませんし、10年、20年かかるもので結果が出ていないからやめてしまおうというわけにもいかないと思いますが、その辺の定期的な見直しを行って、ぜひ進めていただきたいと思います。
それから、幾つかの長期的、短期的なものがあるわけですけれども、これが個々の特に若手から中堅の医師にどのような影響を及ぼすかというのが、これからはなかなか読み取れない。そうすると、若手、中堅の医師からすると、自分たちの将来がどうなるかというのはすごく不安な状況になってしまって、そうすると例えば大学にいるとどこかに飛ばされるかもしれないからといって大学から逃げてしまうとか、あるいは別の考え方も出てくるかもしれません。それから、極端なことを言うと、今、美容医療で起こっているような新たな医療形態というものを誰かが考え出して言い出すと、一斉にそちらに流れてしまう可能性もある。そういうリスクが非常にあるので、そういうことを含めて、若手、中堅の方々にこれがどういうように将来に影響が出てくるのか、その中で考えなくてはいけないことはどういう点があるのかというのを早くにしっかりと伝える必要があるかと思います。もし変な誤解があって、それがSNS等で拡散すると、一斉に若手医師がいなくなってしまうというような状況も出かねませんので、ぜひその辺のことを進める中で考えていっていただきたいと思います。
最後に、今回の案の中で大学病院との連携というのが非常に大事なところになってきますけれども、私も大学に長くおりましたが、大学のトップは理解していても、末端の医師あるいは各医局がそこを理解してくれなくて、大学の言うとおりには動いてくれないという可能性もあります。大学はそういう意味ではなかなかコントロールの効きにくい組織でありますので、そういう点も踏まえて、大学本体のみならず、医局あるいは若手の医師、それぞれにまで何らかのメリットを含めた影響をはっきり伝えられるようなこと、そして、それを含んだ施策というのを立てていただく必要があるのではないかと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、お待たせいたしました。オンラインに戻りたいと思います。
加納委員、お願いいたします。
○加納委員 ありがとうございます。
まず、今の議論から少し入りたいと思いますが、医師需給に関しましていろいろな問題があった中で、こうやって決めてしまうのはやはりよくないと私も思っております。例えば女性医師の問題、これは間もなく卒業してくるのではないかと思うのですが、ある医大の問題から女子の入学数が増えているかと思います。これは若手の医師における女性医師の割合という問題でいろいろな現場に影響を与えてくるかと思いますので、これに関しましても医師需給に関して大きな問題だと思っておりますし、入学定員をどうするかということの議論、変な形での尚早な決め方はやはりまずいと思っております。これはぜひとも検討していただきたいと思っております。
それで、資料のほうに戻るのですが、資料1、2040年頃に向けた我々の意見でございますが、2040年まで、先週出たWAMの数字を見ますと、2023年度の一般病院の赤字が51%、WAMのデータというのは基本的に民間病院のデータでありますが、このままですと、今回の診療報酬改定の結果でも厳しい結果が出ておりますので、3年もしない間に半分ぐらいの一般病院、民間病院が潰れてしまうという状況下で2040年を議論するのはどうかという話も出てくるかと思います。これらも含めて、しっかりとした医療部会からの意見というのも出していただきたいかなと思っております。
それで、最初に書いてあります医療DXです。1ページ目のところ、トータルで見ますと4ページ目になるのでしょうか。そこに書いてあります医療従事者の確保がさらに困難になる中で医療DXをという形で、我々はこういった提案をしているわけなのですが、ほとんど電子カルテ情報に関する問題点ばかりを羅列しているかと思っております。これから生産年齢人口が減っていく中で医療従事者の確保という問題でいきますと、果たしてこれでどの程度助かるのかという話になってくるかと思います。私も前からこの会に意見として言わせていただいておりますが、医療現場で例えば患者さんの看護監視システムとか、また、リハビリ等におけるものも含めたロボット化とか、いろいろな形が具体化してこない。また、診断におけるAIもそうですし、こういった意味での本当の医療従事者を助ける医療DXの議論もしっかりと我々は言っていかなくてはいけないかと思うのですが、どこにも書いていないような感じがします。これはぜひとも加筆していただけたらと思っております。
もう一つ、これは質問に通じる話なのですが、通しの番号でいきますと13ページ、地域医療構想のまとめの概要で先ほど説明があったかと思います。それの表紙の問題であります。今回(2)の①に病床機能ということで、これまでの各機能についてということで、その内容に高齢者等の急性期患者への医療提供機能を追加し、包括期機能として位置づけるといったことが明記されておりますが、例えばこの前から議論になっております高齢者救急は包括期機能なのでしょうか。これは質問させていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○遠藤部会長 事務局、いかがでしょうか。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 別添1の報告書の19ページに病床機能のところの記載がございます。この中で、一番下の○でこれまでの回復期に代えて、高齢者等の急性期患者について治療と入院、そこからのリハビリなどを行い、早期の在宅復帰を目的とした治し支える医療を提供する機能というものを追加した上で、包括期機能として位置づけるというような議論を行ったところです。
以上になります。
○加納委員 ということは、高齢者救急は包括期機能に入ってしまうということですか。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) これは病床の機能区分の話でして、病床だけではなくて医療機関として高齢者救急を受け止めるものだと考えています。その際、この包括期機能では高齢者救急等も含めて受け入れて、リハビリ、早期在宅復帰というものを行う機能を内容に含むということです。
○加納委員 高齢者救急といいますと、例えば脳卒中、これから増えてくる骨折も含めて、そういった形で我々は考えているわけなのですが、これは二次救が主体で頑張ってやっていることも含めて我々は対応している中で、今後そういった領域が包括期機能の領域に入ってしまうのか、急性期に入るのか、いろいろこれは取り方によっては私は高齢者救急の一部が包括期機能に入るが、ほとんどは急性期機能のままという理解であったのですが、それとは違うのでしょうか。
○地域医療計画課医師確保等地域医療対策室長 事務局でございます。
高齢者救急に関して何期と一概にお答えすることは難しくて、先生の御指摘のとおりで、高齢者救急の中には当然にICUに入るような患者もいて、その場合、その患者に関してはどこに該当するかというと高度急性期となることもあると思いますので、高齢者救急すなわち包括期という認識ではおりません。
○加納委員 私もそう思っていたわけなので、ただ、こういう書き方をされてしまいますと、そういった方向性で、高齢者救急は一時は軽症、中等症者が多いとか間違った概念で主張もされておりましたので、書き方によっては誤解されるかなと思いますので、これは注意していただきたいかなと思っております。
それともう一つ、これはまた違う質問なのですが、都道府県の知事の権限というところでございます。いわゆる既存病床数が超える場合、いろいろな形で調整会議で議論ができるという形なのですが、これは調整会議に出席を求めるだけで、今までありました知事からの勧告とか中止命令というものは継続されているということでいいのでしょうか。出席を求めるだけになってしまったのかなというような書きぶりだと思うのですが、
○遠藤部会長 事務局、どうぞ。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 今のは別添1の22ページの一番下の○のことをおっしゃっているということでよいでしょうか。
○加納委員 概要の②の下ポツのところなのですが。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 分かりました。
報告書本体で言うと、22ページの一番下の○になります。こちらのほうで、既存病床数が基準病床数を上回る場合などには、地域の実情に応じて、必要な医療機関に対し調整会議への出席を求めることができるということにしています。検討会の中では、ここからさらに要請、勧告、公表などをどうするかというような議論もいただきましたが、そこは既存の病院の経営に関する内容でもあるので、まずは調整会議への出席を求めて地域で協議、話合いをするということが大事ではないかということでこのような記載になっています。
以上です。
○加納委員 だということは、知事の勧告とかそういったものが、例の30条の15項がどういう形で展開されると考えていいのでしょうか。会議に出席したらいいのだけであれば、全く好き勝手やっていいよというのにつながるような感じもするのですけれども、どうでしょうか。30条の15項がなくなったということでしょうか。
○遠藤部会長 今調べていますので、その答えは時間がかかるかもしれませんので、先に進ませていただいてよろしいでしょうか。
○加納委員 すみません。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 では、村椿委員、よろしくお願いいたします。
○村椿委員 ありがとうございます。
大きく3つです。
新たな地域医療構想の基本的な方向につきましては理解いたしますけれども、別添1の24ページの市町村の役割におきまして、上から2つ目の○の途中から「在宅医療、介護連携、かかりつけ医の確保等に努める」とありまして、この確保等に努めるのは誰かと主語を事前説明のときに確認させていただいたのですけれども、国あるいは都道府県であると伺いました。
これを伺った趣旨は、仮にこれを市町村が確保等に努めるとされた場合には、きめ細かに医療と介護の連携に対応できる自治体もあると思いますけれども、既に医療資源が不足していることや医師等の確保に係る権限がないなどの理由から、対応に苦慮する自治体が出てくると思っておりまして、一律に市町村に努力を課すことについてはなかなか難しいのではないかなと考えた次第です。
今後、在宅医療、介護連携、かかりつけ医機能の確保等に係る都道府県の取組に対しまして、市町村は地域の実情に応じて協力するといった方向性で政省令の整備やガイドライン等の策定に当たって十分御検討いただければというふうにお願いをいたします。また、市町村の協力が必要であるということであれば、都道府県だけでなく、市町村にも説明や意見交換をする場を設けるなど、丁寧な対応をお願いしたいと思います。
2つ目ですけれども、医師偏在対策につきましては、自治体としても非常に重要であると思っております。その対策の中の経済的インセンティブにつきまして、別添2の11ページの上から2つ目の○に重点医師偏在対策支援区域(仮称)の医師への手当増額の支援につきまして、全ての被保険者に広く協力いただくよう、保険者からの負担を求めることも考えられると記載されております。全ての被保険者からの協力を求めるということであれば、保険者からの負担ではなく、国費による財政措置を講じることにつきましても検討するべきではなかろうかと存じます。
また、保険財政からの負担を認めることは、国全体の医療提供体制の確保に保険者が一定の役割があるとの前提、根拠を生むものでございますので、今後、看護師の確保、偏在対策をはじめ、地域で不足する医療資源の確保に関しまして、保険財政からの拠出が拡大していきかねないことを非常に危惧しております。特に市町村は財政基盤が非常に脆弱な国保の保険者の立場でありますので、給付費の中で一体的に捉え得ることになれば、今後、保険料にも大きく影響が出かねない話にもなりますので、拙速に結論を出すのではなくて、丁寧な検討をお願いしたいと存じます。
最後3点目、医療DXの推進についてでございます。医療DXにつきまして、資料1の4ページの下から3つ目の○にマイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化に関連するシステムの管理・運用等の業務に要する費用につきまして、医療費助成の実施主体である自治体等が負担する方向で調整を進めることが妥当とされております。地方単独事業ではない公費負担医療につきましては、国の制度に基づきまして、国からの補助も含めて自治体が指定難病の医療費助成や自立支援医療費助成などを行っております。そういったことからも、この運用等に要する費用につきましては、自治体のみならず、国費による財政措置も講じるべきではないかなと思われます。
また、この4ページの一番下の○にPMHに関する記載がございまして、過去の私の発言内容が反映されているものと理解をしておりまして、ありがとうございます。
その上で、自治体の基幹業務システムの標準化につきまして、令和7年度末までの移行とされていたところなのですが、デジタル人材不足などを理由に移行が間に合わない自治体が少なからず出てきたことから、デジタル庁におかれまして、期限に間に合わないシステムにつきましては令和12年度末まで移行期限を延長する方針が検討されております。
昨年取りまとめられました医療DXの推進に関する工程表におきましては、介護情報、予防接種事務のデジタル化や母子保健、公費負担医療等のシステムに関しましては、自治体システムの標準化の取組の状況などを踏まえながら全国展開とされておりますので、PMH等につきましても現場の進捗状況をフォローするなど、丁寧に進めていただきたいと存じます。
以上、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 御意見として承りました。ありがとうございました。
それでは、事務局、先ほどの件はよろしいでしょうか。
それでは、加納委員からの御質問に対するお答えということになるかと思います。よろしくお願いします。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 加納委員から指摘のあった医療法の30条の15については、病床機能報告で報告する機能を変更する、変えるというような場合に、必要病床数を超えている地域において必要病床数を超えるような機能に変更するというようなものに対して、変更しないように命ずる、あるいは要請をするというような規定になっています。
先ほど加納委員から指摘があった、今回記載している既存病床数が基準病床数を上回る場合に調整会議に出席を求めることができるというのはまた別の場面での規定になります。今回記載している別の場面の規定においては、調整会議の出席を求めることができるというようなことにしていて、その後の要請、勧告、公表というものは、検討会の議論の中でそこまでは今回難しいのではないかという議論になったということです。
○加納委員 これは大変大きなことで、調整会議をしても好きなようにできるということになってしまう。会議さえ出席して、その議論さえ耐えれば、思うようにやっていいよという話になってしまうわけなのですよね。今後、勧告とかそういうことがなくなってしまうということですか。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 既存の規定をなくすとか、そういうような検討はしていないです。
○加納委員 でも、結論的には、会議に出席さえすれば、そこの会議の内容で、というのは、実は昨日大阪でそういう調整会議が行われまして、やはり好き勝手する病院が出てきて、それを止めることができないというような状況が出てきているのです。だったら、幾ら議論してもこういった議論が全く無駄になってしまうから、こんな会議は必要ではないのではないかという御意見が出てきまして、これはそういうことではなくて、やはりそれは制度化されてきちんと我々が決めた結論に沿ってなるよという話をしていたわけなのですが、これは非常に大きなことで、調整会議に出るだけで思い通りに好きなようにできるというほうに取られてしまう可能性があるのです。ここらをしっかりとした議論なしでこれをやっていいのでしょうか。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 先ほど説明しましたとおり、既存の規定を変えて、その既存の規定で要請、勧告、公表みたいなものをなくす、やらないというものではありません。
今回、新しく既存病床数が基準病床数を上回る場合に調整会議に出席することを求めるようにするというようなことでして、調整会議の役割を緩めるというような内容にはなっていないということです。
○加納委員 ぜひともそこのところの確認をよろしくお願いしたいと思います。現場はやはりそれで混乱しますので、何とかしっかりとした導きをしていただきたいかなと思います。
その質問以外によろしいでしょうか。
○遠藤部会長 簡潔にお願いいたします。
○加納委員 取りまとめの11ページ、これは逆に下から2つ目のところですが、三次救急の在り方について検討する必要があるということで、これは今後やはりしっかりと三次救を削減していく。というのは、もともと100万人に1か所、120か所つくればいいというところが今307か所になっているから、ここらはやはりしっかりと検討していくという方向性だと認識しておりますので、よろしくお願いします。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、角田委員、お願いいたします。
○角田委員 遠藤部会長、ありがとうございます。
私からは大きく2つお話ししたいと思います。
地域医療構想についてのことでございます。まず、先日の12月2日に私ども日本医師会と全国知事会との意見交換を開催いたしました。そのときに地域医療構想について意見を交換したわけでございますが、この地域医療構想の策定に当たっては、各地で医師会と行政がしっかりと連携することが重要であるということで共通認識を持ったということを御報告させていただきます。
また、この地域医療構想の検討会では、私どもの医師会の構成員からも回復期機能を包括期機能とする。また、地域医療構想という名称を地域医療・介護構想とすることについて提言させていただきました。前者については、名称が分かりづらいといった意見も多々ありました。取りまとめでも丁寧に説明、周知することが重要であると思います。
先ほど加納先生からもお話がありましたが、私ども日本医師会としては、全国の都道府県医師会や郡市区医師会とともに連携しながら、この包括期機能という意味、つまり、高齢者救急等を受け入れる。そして、入院早期から治療とともにリハビリテーション、栄養、口腔管理、これらの一体的取組を推進して、早期の在宅復帰を包括的に提供する機能と考えております。これを国民や患者さん、また、病床機能報告をしていただく地方、地域の医療機関にも周知していきたいと考えております。
また、この名称についての地域医療・介護構想、これはかないませんでしたが、随所に医療と介護の連携についての書きぶりがございます。こうした点は非常に評価しております。取りあえず重要なのは、地域医療構想とは、一つは各医療機関が自分の地域の医療供給の変化やほかの医療機関の機能報告、こういうのをしっかり認識しながら、自分の地域での将来の立ち位置を検討する。そして、自主的に考えていくということで、2つ目としては、地域の関係者で協議して、自分たちの地域の将来の医療提供体制の方向性をしっかりと議論するということが基本であると考えております。日本医師会としては、それぞれの地域の実情が反映された地域医療構想となるように、制度設計に挑んでまいりたいと思います。
続きまして、医師の偏在について申し上げます。総論的には、日本医師会の医師偏在対策、これは10月に6項目の提案をいたしました。今回のこの厚生労働省の検討会の取りまとめではおおむねその内容が盛り込まれていますので、基本的には評価できると思っております。
重要なのは、来年の通常国会での医療法の改正法案、またはその後の関連政省令や通知、ガイドライン、これらが国民皆保険をしっかり堅持して、保険診療が確保され、かつ良質で安全な医療提供体制につながる制度改革にしていくということが極めて重要ですので、引き続き検討をお願いしたいと思います。
具体的なところで、別添2の5ページのところから申し上げます。ここで国立病院機構とかJCHO、労災病院を含めまして、公立・公的医療機関に拡大すること自体、管理者要件を日本医師会の医師偏在対策にも挙げたところではございます。その上で、検討会では、日本医師会の構成員から、医師少数区域等での勤務経験の計算方法を6か月から1年以上に延長する場合には、連続ではなくて断続的に算定することも含めて柔軟な対応を求めてまいりました。取りまとめた中では、例えば医師免許取得後9年以上経過していない場合は、最初の6か月以上は勤務の継続が1か月以上連続するというような勤務にしますし、また、残りの期間は断続的な勤務日の積み上げでいいとされておりますなど、柔軟な方針が示されております。実際に制度に反映される場合も同様の取扱いをするように求めます。
続きまして、7ページからのところ、まず同じ検討会の取りまとめでは、開業の6か月ほど前から地域の外来協議の場で必要な機能を担ってもらうよう協議することが提案されました。新規開業を考えている医師に対しまして、その地域の医療の提供体制、診療科、今後20~30年先の医療ニーズ、これらの見通しなどの情報をしっかり提供して、そして、一部の既存の開業医の先生方も含めまして、地域で不足しているないしは今後不足すると思われる機能、あとは地域でも必要な機能、こういったものを担っていただくという意識を持っていただくことは何より大切でございます。そのためには、開業に先立って、なるべく早めにその地域の医療をしっかりと担っています地区医師会等が中心になってそういった情報提供をしたり、あとは協議をすること、これらが問題なくできるような仕組みづくりが重要だと思います。こうしたことは外来医療過多区域にはとどまりません。国におかれましてはぜひ検討をお願いしたいと思います。
最後に、先ほどから御議論がありましたように、医師偏在についてのこれらの施策ですが、確かに今までの大きな課題がございますので、一朝一夕にこういったものが成し遂げられると思いません。ただ、私ども、継続的にこれらの幾つもの施策等に協力しながら迎えたいと思っております。
その中で1つだけ、先ほどから規制的な手法についての御意見がございました。前回の会でも言いましたが、私、実は5月にドイツに行ってまいりまして、ドイツは大変規制的な、例えばその地域で保険医を認めないというような非常に規制的な手法を取っております。ドイツに行ったときに、保険医協会のガッセン会長とシュタイナー副会長と医師の偏在についてかなり議論いたしました。そのときに彼らは、規制的な手法では効果が上がらない、強い規制をしても若い人達はそれらから逃げていってしまう、そういったことをお話しされていました。ですから、規制的な手法というよりも、やはりインセンティブをしっかりと与えて、しかも、彼らの将来的なことも考えながらの施策が必要であるとおっしゃったことを今御報告いたします。
私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、お待たせしました。荻野委員、お願いいたします。
○荻野委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の荻野でございます。
まず、2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革に関する意見案について、御説明ありがとうございました。全体的な方向性につきましては異論ございませんし、これまでの私どもの意見も反映いただき、感謝申し上げます。
その上で、細かい点で恐縮でございますけれども、意見と確認をさせていただければと思っております。
別添1、新たな地域医療構想に関する取りまとめ案についてでございますけれども、まず3ページ目に現状の歯科医師、薬剤師、看護師等の医療従事者に関する偏在の課題等が示され、その対応として6ページ目の1つ目の○で医療従事者の確保が記載されております。御承知のとおり、薬剤師確保、とりわけ病院薬剤師の確保は喫緊の課題として医療計画に位置づけられているところでございますので、ガイドラインの検討時においてもくれぐれも抜け落ちることのないように御対応いただきたいと存じます。これはまず意見でございます。
次に1点質問でございますけれども、まず5ページ目の一番下の○、「在宅医療について、地域の実情に応じて、医療機関や訪問看護ステーション等の連携により」という文章、この医療機関や訪問看護ステーション等の「等」には薬局が含まれているのかいないのか。また、18ページの在宅医療等連携機能の「地域での在宅医療の実施、他の医療機関や介護施設、訪問看護、訪問介護等」のここの「等」には薬局による訪問薬剤管理指導が含まれるのか、含まれないのかを質問させていただきたいと思います。
現在、医薬局の薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会においても、在宅医療に係る薬剤提供については大きな課題として議論が進められているところです。「等」に含まれているということであれば、ここは厚労省が局をまたいで地域の医薬品提供体制に関する課題に対応していく意味からも、「等」でまとめるのではなく、5ページ目については薬局を明記いただきたいと思いますし、20ページ目も薬局の訪問薬剤管理指導を明記いただきたいと日本薬剤師会としては強くお願いをする次第でございます。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局、お答えいただけますか。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 5ページの一番下の○で医療機関、訪問看護ステーション等の連携によりで、あと、後ろのほうの18ページ、こちらも同じように訪問看護、訪問介護等と連携した在宅医療の体制ということで、こちらの「等」にはどちらも薬局が入っていると認識をしています。
薬局も含めた在宅医療の連携の記載については、例えば7ページの上から4つ目の○では、在宅医療について、医療機関、訪問看護ステーション、歯科医療機関、薬局、介護施設・事業所等が協働して対応しているというようなことで、薬局も記載した取りまとめにしているところです。
以上になります。
○遠藤部会長 荻野委員、いかがでしょうか。
○荻野委員 指摘した箇所の記載でも明示していただくということも含め、ガイドラインの作成のときには決して抜け落ちることの無いようぜひ御検討をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、島崎委員、お待たせしました。どうぞ。
○島崎委員 時間の関係もございますので、手続と内容につきましてそれぞれ1つずつ申し上げたいなと思います。というか、苦言を呈したいなと思います。
まず手続的なことなのですけれども、この意見案の冒頭には、医療提供体制の改革について審議を重ねてきたところであり、これまでの議論を踏まえ以下のとおり意見を取りまとめたと。そして、医療法等の改正を行うなど、改革に取り組むと書いてあるわけです。
しかし、医療法等の改正の最も重要な柱であります地域医療構想、それから、医師の偏在対策につきましては、2ページのところでそれぞれ検討会の取りまとめのとおりとすると書かれているだけです。
そもそも特に医師の偏在是正に関して言えば、検討会の議論の内容、方向性につきまして、医療部会において自主的に議論したのは前回の11月の28日の1回だけです。しかも、医師の偏在対策は4つの議題の中の一つにすぎませんし、検討会の報告書の案を基に議論したわけでもありません。
要するに申し上げたいことは、非常に重要な問題でありながら、進め方がいささか強引であると言わざるを得ないと思います。この点は医療部会の運営に関わる基本的な問題でありますので、ぜひ反省していただきたいなと思います。
次に内容でありますけれども、いろいろ申し上げたい点は思いますが、医師の偏在対策に関する取りまとめ案の経済的インセンティブについてのみ意見を申し上げます。
別添2の11ページの中段に重点医師偏在対策支援区域の医師への手当増額の支援については、保険者からの拠出を求めることも考えられる。また、医師への手当増額の支援については、診療報酬を代替するものであることを踏まえ、給付費の中で一体的に捉えることも考えられると書かれております。
医師不足の地域の医師であれ、その人件費が診療報酬の対象であることは事実だと思います。しかし、例えば僻地など以上過疎地の地域は、医師が不足しているだけではなくて、患者数も少なく、割高になってしまいます。そこで、こうした地域の医療を確保するために、国や自治体が補助金を交付するほか、消費税財源を基にした地域医療介護総合確保基金によって必要な措置が行われてきたわけであります。それから、僻地など不採算な医療には民間医療機関は手を出さず、現実問題として公立医療機関が対応せざるを得ない場合が多いので、そこの点については一般財源つまり税金で不採算部分の補填を行うとともに、地方交付税で財源手当が講じられてきたということであります。
つまり、何を申し上げたいかと言うと、地域医療の確保に関して診療報酬だけで対応することが不適当な場合には、公費による補完措置が講じられてきたという歴史的な積み重ねがあるわけです。ある意味から言えば、知恵と言っても差し支えないかなと思います。
こうした僻地医療をはじめ、特定の地域の医療の確保でありますとか医師不足対策との関係をきちんと整理しないまま、保険者に手当増額支援のお金を拠出せよというのはいかがなものかなと思います。つまり、そこは論理の飛躍があるのだと考えます。
それから、この取りまとめには、診療報酬において医師偏在への配慮を図る観点からどのような対応が考えられるか、さらに必要な検討を行うことが考えられるとも書かれております。しかし、これは前回も申し上げたとおり、診療報酬の法的な性格というのは診療の対価であって、医療政策の遂行のために国がフリーハンドで使える財布ではありません。目的が正しければ、診療報酬でいかようにも対応できるという認識はぜひ改めるべきだと思います。
私の意見は以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見として承りました。
事務局、何かコメントはありますか。よろしいですか。
ありがとうございました。
それでは、若干時間が押しておりますので、山崎學委員、お手を挙げておられますので、よろしくお願いいたします。
○山崎(學)委員 医師の地域偏在について少しお話ししたいと思います。この報告書の中では川下論ばかりを述べているような気がします。川上である大学の医局の機能は、私どもは正常に動いているのかということをきちんと確認しない。
○遠藤部会長 山崎先生、声が途絶えております。
○山崎(學)委員
川上である医局の医師派遣機能が相当衰退してしまっている事実に注目するべきです。
○遠藤部会長 山崎委員、また声が途絶えております。
○山崎(學)委員
20年ぐらい前に東北地方で派遣先の病院に運営資金や贈答品を強要していたという事件があって、医局講座制がよくないということで、医局講座制が否定された経緯があります。
それともう一つは、専門医制度で大学院に入って医学博士を取るという人がいなくなって、医局の人員が大幅に減ったことで、従来は無医村とかの僻地とか過疎地域とか離島というのは、大学の医局の派遣機能で1年交代で出してカバーしていましたが、医局機能が衰退してしまったためにいろいろな問題が出てきているのではないかなと感じています。
また、問題は、私は群馬なのですけれども、群馬大学は毎年120名卒業するわけですが、初期研修で一人も大学に残らないのです。その多くは地域の中核病院とか県外の病院に行ってしまって、初期研修で残る人というのはゼロなのです。うちは初期研修の中核病院の臨床協力病院をしていますが、彼らに話を聞くと、大学病院に初期研修で残った場合は大体給料が30万ぐらい地域の中核病院に行くと60万くらいだそうです。臨床実習についても、大学は中堅のスタッフが抜けてしまっていて、新人研修機能が落ちている現状にあり、地域の中核病院のほうが給料も倍ぐらいくれるし、教育研修も充実しているということで、大学に残らなくなってしまっている現状にあります。
それともう一つ、医局機能が大きく落ちている原因は、大学の職員の給料がすごく安いことです。これは全国医学部長病院長会議が出した資料ですが、平均の教授の給与が年収1200万です。教授と同等の厚生省立の病院の診療部長の給料は1800万です。大学は診療と教育と研究の3本柱を一人の教授が頑張っていて1200万で、診療だけやっている診療部長の給料が1800万だったら、大学にいい人材が残らないと思うのです。
○遠藤部会長 山崎委員、まだ御発言したい方がかなり残っておられますので、話は手短にお願いできますでしょうか。
○山崎(學)委員 すみません。では、少し省きますがあと、3年次の専攻医ですが、専攻医が大学に戻ってこないのは、専攻医の給料が初期研修医の給料とほとんど変わらない事を皆さん知っていますか。このような給料格差がある中で、大学の医師派遣機能が落ちている現実をこの検討会に出ている先生方は知らないと思います。こういうところをきちんと是正しないと、なかなか水源である大学病院の医局機能というのは残らないように感じています。
このままほっておくと、現在は2040年に向けての地域医療構想と言っていますが、2040年まで大学の機能が衰退すれば、医療は崩壊してしまいますよ。では、どうすればいいかということを考えると、今、医師の国家試験もそうですけれども、資格試験は年に1回しかしていませんが昔のように春、秋で2回やったらばどうなのですか。昔は、私たちの頃は春に落ちても秋にまた受験できたのですよね。そういうふうに医療に関する資格試験を改善して欲しいと思います。
○遠藤部会長 山崎學委員、大変貴重な御意見を承っておりますが、ここで議論する所掌でもありませんし、ここでの議論と直接関係いたしませんので、貴重な御意見として承りましたので。
○山崎(學)委員 でも、こういうことはほかの委員会で議論などしますかと言ったらしないのですよ。こういうところで言ってもほかの委員会の問題ですと言うけれども、ほかの委員会で議論してくれたためしがないでしょう。私はあえてここで発言などしているのです。よろしくお願いします。
○遠藤部会長 分かりました。承りました。ありがとうございます。
では、山崎親男委員、お願いいたします。
○山崎(親)委員 よろしくお願いします。
先ほどの山崎學委員の川上の話ですと、川下の我々にとって非常に大切な御意見だと拝察いたします。医師確保に大変苦労しています町村を代表して意見を申し上げます。
別添2の資料の8ページの5の(2)の②におきまして、外来医師多数区域での新規開業者についての記載があるわけでありますけれども、これは大都市部に限ったものであると思います。医師多数とされております県内におきましても、地域によって医療体制に差があり、医師の偏在が起きています。そういうようなところもいろいろな先生が仰ったことと同じでありますので、皆さん方の意見を尊重しながら、同じ意見だということを申し上げておきます。
また、同じ資料の11ページ、5の(3)のところでありますけれども、地域偏在対策における経済インセンティブの話がございました。保険者から広く負担を求めるという旨の記載があるわけですけれども、医師偏在対策費用を保険者の拠出財源に求めるのは合理性を欠くという意見があるように、保険者、被保険者からの納得が得られるように丁寧な議論をお願いするとともに、地域医療介護総合確保基金の増額あるいは柔軟な運用等につきましても御議論いただきたいと思います。
それから、資料1です。2ページの2ポツの(3)で医療DXの推進についてであります。市長会の村椿委員と同様であります。自治体の標準化に取り組む体制にばらつきが非常に多くございます。そういうところを確認いただきまして、いいタイミングを図って実行に努めていただきたいと思います。
それから、資料1の(3)の医療DXの体制、先ほどと一緒ですけれども、7ページの最後の○、(4)の上ですけれども、その文中の上から2行目の「従事する職員の心情等に十分配慮すべきである」という「心情等」の心情というのは、表現はこれでいいのでしょうか。また、何を示して「心情等」ということを挙げておられるのか、お聞きしたいです。
○遠藤部会長 では、事務局、その辺りの意味合いについて何かコメントはございますか。
○特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官 ありがとうございます。
こちらの記載につきましては、支払基金の改組に当たっての基本的な考え方ということで、今までの審査支払に十分に取り組みいただいてきたという背景、それから、実際に今、支払基金の中で審査支払に従事している職員の人数がかなり、もちろん長い歴史があって、そういった方も多くお取り組みいただいているという現状がございます。そういった現状を踏まえて、将来的に医療DXは今後進めていかなければならないのですが、まずはそういう方たちが自分たちは違うことしなくてはならないのかという御不安を持たないような形で、丁寧に名称も含めて議論をという御意見だったと私どもは承知しておりますので、その点を勘案して「職員の心情等に十分配慮すべきである」という記載をさせていただいたところでございます。
○遠藤部会長 山崎親男委員、いかがでしょうか。
○山崎(親)委員 「心情等」というのはあまりにも幅があるので、何か表現の仕方が工夫できないのかなと思って発言させていただきました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見として承りました。
では、お待たせいたしました。松本参考人、よろしくお願いいたします。
○松本参考人 ありがとうございます。
最初に総論についてコメントさせていただきます。今回の内容はまさに2040年頃に向けた総合的な改革ということで、今後ますます制約が高まる医療資源を有効に活用して、効果的・効率的な医療提供体制を構築する上で重要な取組だと考えております。法改正の後には詳細な制度設計をすることになるかと思いますが、その際には医療保険財政にも限りがあり、さらに今後は現役世代の減少が加速し、これまで以上に財政状況が厳しくなることも十分に認識していただくことを強く要望いたします。
続いて、各論につきましては、別添2にあります医師偏在対策に絞って意見を申し上げます。全国で過不足のない医療を実現する上で、医師の配置は極めて重要な課題であり、多数対策と少数対策の両方が不可欠ということを検討会でも一貫して主張してまいりました。今回、検討会の取りまとめが示されましたけれども、この内容で医師偏在が本当に解決の方向に進むのか、健保組合からも多数疑問の声が出ております。特に多数地域においては、施行後に効果が不十分な場合にはさらに厳しい規制をかける必要があると考えております。
一方で、医師不足の地域における経済的インセンティブの財源を保険者が負担することについては、先日来のマスコミ報道を見た健保組合から、本来国と地方自治体の責任において負担すべきものを保険者に肩代わりさせるものだと。保険者として到底容認できないとの厳しい反応が多数寄せられております。我々の基本的な立場に変更はありませんけれども、そういう状況下で仮に保険者に新たな負担を求めるのであれば、現役世代の保険料負担の増加につながっていないのか、新たな負担が医師偏在是正に真に貢献しているのか、地域ごとに取組格差が生じていないか等の観点から進捗状況をチェックする仕組みが極めて重要であり、国、都道府県と保険者による新たな会議体の設置が不可欠と考えております。医師偏在是正に向けたきめ細かい計画を策定し、計画と実際の進捗状況をチェックできるよう、国においては体制をぜひ整備していただきたいと思います。
そこで質問でございますが、今申し上げましたチェックの仕組みにつきまして、新たな会議を設けることについて厚労省のお考えを確認したいと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 では、事務局、お願いいたします。
○総務課長 総務課長です。
今、松本参考人から事業の進捗状況をチェックする仕組み、新たな会議体の設置についての御意見を承りました。御指摘も踏まえまして、当該事業の実施につきまして、保険者がこの事業の実施状況、進捗状況、効果等を把握できる枠組みを今後検討していきます。
○遠藤部会長 松本参考人、いかがでしょうか。
○松本参考人 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、松田委員、お待たせしました。どうぞ。
○松田委員 松田でございます。
今回の取りまとめ、どうも御苦労さまでした。
今回、大学病院の関わりが書かれているわけですけれども、先ほど楠岡委員も御指摘されましたが、DPCのときと比較すると、地域医療構想とか医師の偏在対策とか、今回の報告書にあるような内容に関して大学の関心が低いという問題があります。そういう意味で、実効性を持たせるためには、やはり大学の関わり方が重要だと思いますので、全国医学部長病院長会議ですとか、あるいは国大協、私大協、あるいはこういう制度を教えるという意味では、衛生学、公衆衛生学担当者会みたいなものを通じたこの報告書の内容に関する周知をぜひお願いしたいと思います。
それから、実際にこれに基づいてこれからいろいろな計画、ガイドラインをつくったりするわけですけれども、実行に当たってはまだ不確定要素が大きいですので、柔軟性を持たせることが重要だろうと思います。いろいろな仮定の中で想定しないような環境変化とかが起こってきた場合には、それに柔軟に対応できるような枠組みをあらかじめ準備しておくことが重要ではないかなと思います。
以上です。
○遠藤部会長 貴重な御意見をありがとうございました。
では、松原委員、お願いいたします。
○松原委員 医師の偏在対策についてです。どうしても魔法のつえなどない以上、あらゆる策を取っていく必要があると思います。インセンティブも必要ですし、規制強化も避けられないのではないかと思います。医師を育成するのに何千万もかかって補助金もついているということを考えれば、規制強化についても国民の理解は得られるのではないかなと考えます。
一方で、対策を取ろうとするときにはどうしても資金の裏づけが必要になります。資金の裏づけは、保険料だろうが、税だろうか、国民に負担を求めることには変わりはありません。そういう意味でも、国民に対して医療というものを社会的共通資本として守らなければいけないものだという教育をしていくことの一方で、また、医療提供側も情報公開などで積極的に自分たちの状況を示して理解を得る努力、また、医師が働きやすい環境づくりですね。女性が多いから困るというだけではなくて、女性がちゃんと働けるような職場環境づくりなどの努力、両方が双方必要だと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、泉委員、よろしくお願いいたします。
○泉委員 時間がないので、ポイントだけ申し上げます。
まず、医師偏在対策なのですけれども、今まで専門医機構制度についてほとんど話がないのですけれども、やはり診療科の偏在なども含めて専門医機構が極めて重要なので、専門医機構の話もぜひ加えていただきたいということが一点です。
それから、リカレント教育についてなのですけれども、リカレント教育は比較的早く結果、効果が出る可能性が高いと思いますので、ぜひリカレント教育を進めていただければと思います。
それから、医療DXのところでは、患者さん本人が見るより先に、やはり主治医が表に出していい病名なのかどうかということもちゃんとチェックをしないと大きな問題になってしまうので、出してもいい情報なのかどうかということを主治医がきちんとチェックするということが最初に取るべき対策なのかなと思います。
それから、この会議のマターではないのですけれども、働き手が減りますので、これまで診療報酬で人員を配置したら点数をつけるみたいな点数をつけてきたのですが、そういうのではなくて、今後もう少し働き手が減ることを意識した診療報酬の改定にしなければうまくいかないなと思いますので、ぜひ御協力いただければと思います。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにございますか。よろしゅうございますか。
大体御意見は承ったと理解させていただきます。
それでは、少なくとも本件につきましてはこれぐらいにさせていただきたいと思いますけれども、事務局提案の原案につきましてはおおむね御了承はいただけたと私は認識しております。ただ、非常に多くの大変重要な御指摘をいただいておりますので、本日いただきましたそれらの御意見を踏まえて修正をさせていただきたいと。つまり、部会長である私にその修正については御一任いただきたいと思いますけれども、そういう段取りでよろしゅうございますでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。では、そのように対応させていただきます。
それから、1点だけ付け加えますと、偏在対策は大変重要でありますし、その効果に対して様々な御意見も出ておりましたけれども、この取りまとめ案の9ページに具体的に「見直しも含めて医師偏在対策の効果を施行後5年目途に検証し、十分な効果が生じていない場合には、更なる医師偏在対策が検討されるべきである」という一文が入っておりますので、決して今出されているものが固定化するというものではなくて、検証と見直しはするというようなことが入っていることも御理解いただければと思います。
それを受けまして、必要な文章については修文をさせていただきたいと思いますけれども、私が申し上げたことに関して何かございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。では、そのような対応をさせていただきたいと思います。
それでは、もう一つまだ議題が残っておりまして、令和6年度補正予算について、これは報告事項でございますけれども、事務局からよろしくお願いいたします。
○総務課長 総務課長です。
時間もないですので、手短に御説明させていただきます。
具体的に2枚目について説明します。
この6年度補正ですけれども、ちょうど昨日成立いたしました。御覧いただいているところで黄色のマーカーが塗られている部分が医政局関連の施策になります。
まず左上1つ目の○ですけれども、医療・介護・障害福祉分野の生産性向上・職場環境改善等によるさらなる賃上げ等の支援、1892億円と書いてありますけれども、このうち医療分野は828億円ということで、ベースアップ評価料を算定している医療機関を対象に、さらなる賃上げに向けて業務効率化等の設備投資や人件費に充てていただくという事業でございます。
それから、2つ目の○、医療需要の急激な変化を受けて、病床数の適正化を進める医療機関に対する支援ということで428億円を計上しています。
それから、3つ目の○、産科・小児科支援として、急激に分娩数が減少している分娩取扱施設や急激に患者数が減少している地域の小児医療拠点となる施設に対して支援を行う事業で55億円。
それから、右上の黄色マーカーの○に行きまして、医療・介護・障害福祉分野における食材料費・光熱水費等の支援、これは内閣府に計上している重点支援地方交付金の推奨事業メニュー分6000億円の内数として、医療機関などに対する食材料費・光熱費高騰支援を各都道府県から行っていただくための費用を計上しております。厚労省としても、各医療機関に確実に支援が行きわたるよう、参考指標などを自治体にお示しさせていただいたところでございます。
その下の○、医師偏在対策でございますけれども、まず先に取り組むものとして、102億になりますけれども、医師不足地域の診療所の承継・開業支援を先に補正で入れています。それから、先ほど泉委員からも御指摘がありましたけれども、リカレント教育、それから、広域マッチング事業などと合わせて全部で109億円を計上しております。
それから、左下の黄色マーカーに移ります。黄色マーカーがたくさん塗られているところは創薬力強化、医薬品の安定供給などで442億円を計上しております。
その下の左下の青色の枠、医療・介護DX等の推進では、全国医療情報プラットフォーム開発事業として、具体的には電子カルテ情報共有サービスを構築する事業60億円をはじめ、274億円を計上しております。
右の真ん中に戻りまして、オレンジ色のところですけれども、アジア諸国等における外国医療人材育成の促進等ということで、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)と連携して、外国人留学生受入れモデルを構築する事業2.9億円などを含め、4億円を計上しております。
その下の下ですけれども、次なる感染症への対応力強化に向けた体制強化として、都道府県と協定を締結している医療機関における個室化とかゾーニング等の施設設備整備に対する支援85億円などをはじめ、424億円を計上しております。
最後に右下、能登地域等の医療施設等の耐災害性強化として、医療施設の耐震化に伴う改修、非常用自家発電設備の整備等に対する支援39億円をはじめ、497億円を計上しています。
以上、報告になります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
報告事項ですけれども、何か御意見、御質問等はございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございました。
それでは、本日の議題につきましてはこれまでとさせていただければと思います。
事務局から何かございますか。
○医療政策企画官 長時間ありがとうございました。
先ほどの意見書案につきましては、部会長御一任をいただきました。これまでの精力的な御審議に感謝申し上げます。
次回の医療部会の詳細につきましては、決まり次第、改めて御連絡いたします。
○遠藤部会長 それでは、本日の会議はこれにて終了したいと思います。
大変お忙しい中、長時間御参集いただきましてどうもありがとうございました。