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第113回社会保障審議会医療部会 議事録
日時
令和6年11月28日(金)14:00~16:00
場所
航空会館ビジネスフォーラム 7階 大ホール
議題
- 医療DXの更なる推進等について
- 「美容医療の適切な実施に関する検討会」の報告書について(報告)
- 認定医療法人制度の延長等について
- 医師偏在是正対策について
議事
- 議事内容
- ○医療政策企画官 それでは、定刻より若干早い時間でございますが、皆様おそろいいただいておりますので、会議を開催させていただきたいと思います。カメラはオンでよろしくお願いいたします。
ただいまから、第113回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、参加いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の委員の出欠状況でございます。本日欠席の委員におかれましては、井上委員、内堀委員、河本委員、松田委員、村椿委員、山口委員、山崎親男委員、山崎學委員より御欠席の連絡をいただいております。医療部会の総定員数24名、定足数は8名となっておりまして、本日16名の皆様の御出席となります。定足数に達していることを報告申し上げます。それから、勝又委員より途中からの御参加という御連絡をいただいております。
まず、資料の確認でございます。資料といたしましては、資料1-1、1-2、1-3、それから、資料2、3、4、参考資料1、委員提出資料1、2にとなってございます。過不足がございましたら、お申しつけいただければと思います。
それでは、カメラはここまでとさせていただきます。
以降の議事進行は遠藤部会長、よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 皆さん、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
初めに、欠席の井上委員の代理としまして清家参考人、内堀委員の代理としまして玉川参考人、河本委員の代理として松本参考人、山崎學委員の代理といたしまして平川参考人の御出席をお認めいただきたいと存じますけれども、よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
本日御欠席の村椿委員より委員提出資料ということで意見書が提出されておりますので、審議の際、御参考にしていただければと思います。
また、本日は限られた時間の中で非常に多くの議題について議論を行う予定でございますので、御発言の際は要点をまとめていただくなど、円滑な議事の進行に御協力をお願いできればと思います。
それでは、早速議事に入りたいと思います。
医療DXのさらなる推進等について、事務局から関連資料の説明をお願いいたします。
○企画官(医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室) 医政局の医療DX担当企画官でございます。それでは、資料1-1について御説明させていただきます。社会保険診療報酬支払基金の抜本改組についてでございます。
まず1ページ、昨年6月に政府でまとめました医療DXの推進の工程表の抜粋でございます。社会保険診療報酬支払基金を医療DXに関するシステムの開発・運用主体の母体として抜本的に改組する。また、その改組に当たりまして地方関係者の参画を得るということ、国が責任を持ってガバナンスを発揮できる仕組みとするということ、また、一元的な意思決定を可能にするということが書かれてございます。
2ページ、改組に当たっての基本的な考え方でございます。DXの基盤となりますのがオンラインレセプト・オンライン請求のネットワーク、また、オンライン資格管理システムでございますので、支払基金の審査支払機能を適切に維持することを大前提にしたいと考えております。
3ページ、法人の目的と業務の見直しでございます。支払基金法の第1条に法人の目的が規定されてございます。現在、医療DXの推進というのは位置づけられておりませんので、医療DXの推進、医療DXの基盤の整備や運営を担うという旨を第1条に規定したいと考えております。
(2)が法人の業務でございます。支払基金法第15条に法人が担う業務が列挙されてございます。現在、ここには医療DXの関連業務は位置づけられておらず、別の法律に書かれてございます。この第1条の目的規定の見直しと併せまして、第15条も改正して医療DXの業務を位置づけたいと考えてございます。
4ページ、支払基金が担う医療DX業務への国のガバナンスを適切に発揮するために、国がDX総合確保方針を定め、それに基づきまして支払基金がDX中期計画を定めることとしてはどうかと考えてございます。
5ページ、支払基金の組織体制の見直しでございます。こちらについては6ページで御説明させていただきます。右側に現行がございます。現行は理事会が意思決定機関としてございまして、四者構成掛ける4人、合計16人の体制で運営がされております。これを左側にありますように見直したいということでございます。理事会に代えまして運営会議というのを新たに設けたいと考えております。人数についても現行の理事会の半数程度ということでスリム化してやっていきたいと考えております。構成としましては学識経験者、被保険者、保険者、診療担当者から成る形でやりたいと思っております。この保険者の中に地方の関係者の参画を得るという観点から、地域保健・地域行政の代表を入れてはどうかと考えております。
また、その下の真ん中の薄いグレーの四角ですけれども、常勤理事を3名といたしまして、この中に新たに医療DXを担当するCIOを入れたいと考えてございます。審査支払運営委員会、それから、医療DXの推進体制を設けまして、審査支払に関しては、現行の理事会の構成を踏襲した審査支払運営委員会で議論・決定をしていただく。また、医療DXのほうについては運営会議での方針決定を受けまして、真ん中の黄色いところですけれども、理事長やCIOが中心となって業務を執行していく体制としたいと考えております。
最後の7ページ、サイバーセキュリティー対策の強化と法人の名称でございます。重大なサイバーセキュリティーインシデントや情報漏えいが発生した場合、厚生労働大臣の報告義務を新たに設けたいと考えております。法人の名称につきましては審査支払業務とDXの業務の両方を担う法人であることが分かるような適切な名称を検討したいと考えてございます。
資料1-1は以上でございます。
続きまして、資料1-2を御説明させていただきます。医療情報の二次利用に係る現状と今後の対応方針でございます。
4ページ、医療情報の二次利用につきましては昨年の11月に有識者から成るワーキンググループを設置しまして、この推進方策について検討してきております。
5ページ、今年の5月に議論の中間整理を行っておりまして、今回医療部会で御議論いただきたい電子カルテ情報の二次利用についても、貴重なアウトカム情報が含まれている電子カルテ情報の二次利活用を推進するという方向性をまとめていただいたところでございます。
6ページ、今回医療等情報の二次利用の推進に向けまして、対応方針を主に3点にまとめてございます。
1つ目が電子カルテ情報の二次利用でございます。現在構築中であります電子カルテ情報共有サービスで共有します電子カルテ情報を個人が特定できない形にした上で、匿名化・仮名化をして利活用を進めていきたいと考えてございます。
2点目が真ん中の黄色い箱で、厚生労働大臣が持っています医療・介護の公的データベースの利活用促進でございます。これまで匿名化情報の利用・提供を進めてまいりましたが、諸外国の状況、また、次世代医療基盤法の改正といった状況も踏まえまして、仮名化情報の利活用を可能としていきたい。また、仮名化情報同士の連結・解析を可能としていきたいと考えてございます。
最後が利活用環境の整備でございます。公的データベースに研究者や企業がリモートアクセスをして、一元的に利用・解析を行うことができるクラウドの基盤をつくっていきたいと考えてございます。また、その利用申請の手続や審査体制についても一元化を図って利用者の利便性を上げていきたいと考えてございます。
7ページは今申し上げた内容をイメージにしたものでございます。
9ページ、医療部会で御議論いただきたい点としまして、この電子カルテ情報の二次利用でございます。先ほど御説明したとおりになりますけれども、現在構築中の電子カルテ情報共有サービスの図が下の左半分でございます。ここで集めてきた3文書6情報につきまして、氏名等の情報を削除して、個人が特定できない形でデータベースに格納いたします。これにつきまして研究者や企業などから利用申請があれば、審査委員会で適切に審査をしていただきまして、その内容に応じて匿名化ないし仮名化してデータを提供していくことにしたいと考えてございます。
10ページ以降はその内容の詳細でございますが、11ページをお願いしたいと思います。今回、仮名化情報の提供に当たりましては、匿名化情報よりも多くの情報が含まれる場合がございますので、より厳格な安全管理措置を講じた上で提供していきたいと考えてございます。このデータベースにつきましては、個人情報保護法上も個人情報を保有する主体と同水準の安全管理措置、または不適正利用の禁止などの措置を講じていきたいということでございます。
その上で、一番下ですけれども、匿名化情報よりも厳格な措置としまして、厚生労働大臣による利用者への措置要求の義務ですとか、罰則などを上乗せで設ける形で厳格な管理を担保しながらやっていきたいということでございます。
資料の説明は以上でございます。
○医療政策企画官 続きまして、資料1-3、適切なオンライン診療の推進についてを御覧いただきたいと思います。
2ページ、前々回御議論いただきまして、その際にも自治体に対してオンライン診療の状況について1月に発出した通知の状況をお聞きしているということでございました。その結果の紙になってございます。公民館等を利用したオンライン診療のための医師非常駐の診療所、これについては16診療所という御回答をいただいております。それから、その下の囲みでございますけれども、通所介護事業所等の療養生活の場でのオンライン診療、これは自治体に相談が2件あったという御回答いただいております。
それから、※で書いていますけれども、介護団体を通じた御回答については最終的に1件がオンライン診療を行っていたという内容でございました。
こうした状況を踏まえまして、通知の内容も含めてより分かりやすい形で周知を図っていくということで、適切なオンライン診療の推進を図っていきたいと考えてございます。
3ページ、これも前々回オンライン診療の総体的な規定の創設についてということで御審議をいただきました。その際の主な意見を整理させていただいて載せてございます。こうしたいただいた御意見を踏まえて、真ん中の矢印のところに書いておりますけれども、オンライン診療に関する総体的な規定の創設に向けて取り組んでまいりたいと思ってございます。必要な法令面での手当を検討していきたいと思ってございます。また、その実施に向けてはオンライン診療の実施における遵守事項、こういったものの検討と併せて分かりやすい形での周知を図っていきたいと思います。
併せて、その際の御審議で外国との関係、それから、D to D、分散型臨床治験等についての御指摘・御意見をいただきました。こうしたオンライン診療に限定されない論点につきまして、法の履行確保、医師間の責任の所在、それから、医療機関の業務委託といった論点について引き続き関係部局と連携しながら丁寧に議論を進めていきたいと思っております。
参考資料以下は前々回の資料になってございます。
資料の説明は以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明のありました内容について御意見・御質問等があればいただきたいと思います。まずは会場御参加の委員から行いたいと思います。
泉委員、どうぞ。
○泉委員 泉でございます。医療DXについて支払基金のデータを用いた我が国の国民皆保険を利用したということで、非常に我が国特有のやりやすいシステムかなと思っています。しかし、支払基金のデータをそのまま医療DX用いることについて重要事項があると思っています。特に企業とか研究者が使うことも今御説明あったので、より慎重な討論が必要と思っています。
1番目としまして、所見診療するに当たって、いろいろながんの疑いとかをいっぱいつけるわけです。私はそんなにいっぱいがんの疑いあったのかと患者さんはびっくりなさるし、例えば認知症の疑いなどをつけられても認知症の検査はできないわけです。ですから、疑い病名を削除してからDXに載せるとか、そうでないと、患者さんとか医療機関に非常に混乱を生じるのではないかということで、どういう病名を載せるのかということについて、よく医療情報が分かった方の御意見が必要なのではないかと思います。
2つ目として、精神科の先生がいらっしゃると思いますが、今、秘匿性の高いものが多くて、主治医による確認を経ることが重要だと思っていますし、特に参考資料で本人の同意の確保ということが書かれていますので、ここもよく検討すべき事項だと思います。それから、肝炎ウイルスの感染とか、ほかの感染症の検査は、個人情報に非常に厳しい方がいらっしゃいますので、御本人さんの同意をきちんと確認することも重要だのではないかと思います。
もう一つ、保険診療をしない、例えば妊娠したとか、それから、生後から持っているような先天性の疾患、例えば目の色覚異常だとか、こういうのはレセプトに載らないので、こういう情報をどう扱っていくかということもぜひ検討していただければと思っています。4ページのところにワーキンググループの名前が入っておりますけれども、こういう保険医療制度をよく熟知した方の意見を取り入れていただきたいと思っています。
それから、オンライン診療のところでは放射線の読影などのD to Dというのは有用性が高いと思いますが、保険に使うときの規定をきちんと検討しておいていただきたいと思います。それから、急変時の対応、それから、オンライン診療の対象にならないということもきちんと規定しておいていただきたい。紹介状が必要な患者さんとか、対面診療が必要だということになりますので、医師1人でオンライン診療を断ることはかなり難しい場合も結構あるので、こういうものは対象ではないということもきちんと書いておいていただければと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見としていただきました。
それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 では、各々意見を述べたいと思っております。
最初に、支払基金の抜本改組についてですが、組織体制の見直しに当たっては、被保険者の声をきちんと反映できる運営体制にしていただくとともに、支払基金というのは被用者保険の審査支払という重要な機能を担っている特別民間法人であることを踏まえて、その主体性が損なわれないようにすることも必要だと考えております。また、名称については、今後医療DXの業務が追加されることになりますが、審査支払業務を担ってきた歴史を尊重したものにしていただければと思います。
次に、医療等情報の二次利用に関してですが、被保険者の立場からも情報の利活用によって研究開発が進み、医療の質の向上につながることへの期待はありますが、医療情報は機微性の高い情報で特定の個人が識別された場合は権利侵害につながるリスクもあるものです。適切な審査や保護措置等を行うとのことですが、患者・国民が不安を抱くことのないよう個人情報保護などの考え方を踏まえ、プライバシーを含む権利・利益の保護を図ることはもちろん、自らの情報をコントロールする権利にも十分留意することも重要と考えております。そういった点も含めて検討いただきたいと思っております。
最後に、オンライン診療ですが、その形態は様々だと思いますので、引き続き実態把握を行いながら適切な実施に向けてしっかり対応いただきたいと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見として承りました。
それでは、黒瀨委員、お願いいたします。
○黒瀨委員 詳細な御説明をありがとうございました。
まず、医療DXについて総論的な話になるかと思いますけれども、DXをなぜ進めるかというと、それは国民の皆さんの医療の質の向上が第一でございまして、それに向けて我々はどう進めていくのかという視点が重要であろうと考えています。
その中で、国民の皆さんの認識と医療関係者の認識が一致していくこと、一緒に進んでいくことが大切であり、例えばDXに関してはどうしてもいろいろ国民の皆さんからの誤解ですとか、認識がなかなか得られないためにかえって支障になってしまうことが多くて、例えばマイナ保険証の問題ですとか、なかなか難しい問題があるかと思います。その点を国民の皆さんにしっかりと理解していただいて、これがいかに国民の皆さんの健康に資するものなのかということを周知していただく広報戦略も重要であろうかと思います。
特に情報の二次利用はなかなか御理解いただけない部分かと思いますし、皆さんが危惧する部分であると思いますし、また、外国との共同研究というのも今後大切な分野であろうと思いますけれども、こういったところで、どう情報を担保していくのかというところも重要かなと感じています。
また、資料1-2の7ページ目に出ておりますスキームですけれども、こういったデータベースが連結されてより質の高い情報にしていく、これは本当に重要な話であろうと思いますけれども、残念ながらデータベースごとに情報の開示の仕方ですとか、あるいは制限がそれぞれ違ってまいります。特に私が関係しているがんのデータベースに関しては、全国がん登録等はかなり厳しい制約をしておりますので、例えば電子カルテの情報等の連結等を含めて、本来であれば十分に連結をして質の高い情報にしていかなければいけないのですけれども、そこら辺の整合性がなかなか取りづらいということもございます。そういったデータベース間の整合性の取り方ということも含めて、また御検討いただければと考えております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見としていただきました。
角田委員、どうぞ。
○角田委員 私からはオンライン診療についてお話ししたいと思います。意見と2つほど確認をさせていただきたいと思います。
オンライン診療においては、実施医療機関と受診施設、患者さん、急変時に対応できる医療機関、これらのしっかりした関係構築が重要と思っております。一方では、オンライン診療はもともと基本的には対面診療の補完という原則は変わっておりません。特に患者さんはかかりつけ医を持っていただき、さらにオンライン診療を受けている中で病態が急変したときに、しっかりと対応していただくということが必要であります。
また、各地域での医療提供体制の実情は様々ですので、地域単位での医療連携を求められています。ですから、地域における必要性を含めて、しっかり地域医師会などの各地域の関係団体と関わって協議をすることが極めて重要と考えております。
それで、今回新たに規定する特定オンライン診療受診施設、参考資料の5ページになりますが、これについて意見を述べさせていただきます。患者さんにとっては医療を受ける大切な空間で、当然プライバシーも守られ、また、衛生面も一定程度保たなければならないというのが求められます。また、患者さんはそこが診療所などの医療機関なのか、そうでないのかということで混乱をしないようにということも重要でございます。あと、医療の非営利原則は堅持されなければなりません。医療への信頼を守るためにも医療安全を第一にするということにも必要なことでございます。医療機関に適用される広告規制に準じた規制をしっかりとしていただくことが重要だと思います。
そこで懸念しているのが、営利企業の店舗内で展開されるような調剤薬局などが、こういった特定オンライン診療受診施設を設置するというような懸念でございます。これは患者さんにしてみれば、御自身が薬局にいるのか医療機関にいるのかよく分からないという事態が想定されます。そして、こういった状況では調剤薬局の場合は、まさに医薬分業に逆行するものといえるかもしれません。また、医療の非営利的原則にも抵触しかねないのではないかと思います。
さらに具体的な例で言えば、例えば特定オンライン診療受診施設の場を提供した薬局が、そのオンライン診療で交付される処方せん等に基づき調剤するという運用が考えられます。これは療担規則の特定保険薬局への誘導というような禁止とか、薬担規則の健康保険事業の健全な運営の遵守、を妨げる可能性がございます。特にこれまで国として推進してきました医薬分業の流れに反するものといえるのかもしれません。薬局は特定オンライン受療施設の対象に含まれないのかということでよろしいのかということを確認させていただきたいと思います。
あと、オンライン診療の適切な実施に当たっては、オンライン診療を実施する医師向けに提供されているアプリケーション、これはシステムの環境によるところが非常に大きいと考えております。システム環境の原因で情報のセキュリティーとか、個人情報に係る問題が生じた場合などを想定して、オンライン診療などを実施するためのシステム環境を提供しているものに対しても、医療法に基づく立入検査とか命令などの対象として位置づけられることを検討していただけるかということでございます。
感想と2つの確認をお願いしたいと思います
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、事務局、確認事項がございましたけれども、何かコメントはございますか。
○医療政策企画官 ありがとうございました。
角田委員から特定オンライン受診施設と医薬分業について御質問いただきました。今検討中の特定オンライン受診施設でございますけれども、この受診施設が医薬分業の趣旨にのっとって、そういった形で行われるということについて、どういった政策手法が適当かということも含めて、関係部局ともよく相談・連携しながら検討を進めていきたいと思います。そうした中で具体のルールづくりを図ってまいりたいと考えております。
もう1点、アプリケーション、システムに対する御質問でございました。この特定オンライン施設において、どういったシステム上の要件などを求めるのかというところも含めて今後の検討と考えております。システム業者に対する直接的な指導というところについては、御意見として受け止めさせていただきたいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかに会場で御発言されたい方はいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。また後で戻ります。
お待たせいたしました。オンラインに移りたいと思います。
神野委員、お願いいたします。
○神野委員 支払基金で2点、それから、二次利用で1点質問をさせていただきたいと思います。
まず、支払基金のほうですけれども、私はいつもと立場が違いまして、弱小ですが保険者でございますので、保険者的な質問になるかもしれません。これまでの支払基金の原資は、保険料と診療報酬請求の審査が原資であると伺っております。今回、非常に図体が大きくなるということで、その原資たるやどこから来るのか、この保険料と診療報酬請求の審査資金だけで、大きくなった支払基金はこれから運営されていくのか、それとも政府からある程度の予算的裏付けがあるのかということが1点目でございます。
2点目ですけれども、電子カルテの標準化等につきまして、これまでデジ庁でやるという話になっていると思います。医療DX絡みはみんなこっちに来るのかどうか、支払基金のほうに来るのかどうか、そうなりますと、人員を含めて図体が非常に大きくならなければいけないのかなと思います。その辺のところを教えていただきたいと思います。
3つ目、二次利用のほうですけれども、11ページに罰則というところがございます。もちろんセキュリティーをきちんと強くすることは必要かもしれませんけれども、ただ、これから利活用して日本のデータヘルスとしていろいろな新たな試みをやっていくためには、セキュリティーも重要ですけれども、それよりも多くの人が使って、そして、その後で、悪いことをしたら罰則、厳罰に処すというほうがいいのではないのか。とすると、この罰則というのはどの程度の罰則かということを御質問したいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、事務局、御対応をお願いいたします。
○企画官(医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室) 御質問ありがとうございます。
支払基金の1点目で、医療DX業務の原資はどこから来るのかということだと思います。現在も支払基金におきましては、電子処方せんですとか履歴照会業務などの医療DX関連業務を担っておりますが、これについては事業ごとにその費用を誰が負担するのかというのを決めた上で支払基金にやっていただいていると認識をしております。ですので、これから新しく担うDXの業務につきましても、費用負担を決めていくということで必要があると考えております。一方で、審査支払業務につきましては、引き続き審査支払手数料などで運営がされていくと考えてございます。
2つ目の御質問で、今後DXの業務が全部支払基金に来るのかということだと思います。今、標準型電子カルテをデジタル庁で開発をしていたりしますが、これをどう普及させていくか、それをどこで担っていただくかというのは、まだこれからの検討でございます。また、医療DXの業務もいろいろあります。その全部を支払基金が担うということが必ずしも決まっているわけではございません。これをどこの主体が担うのが適切か、それが適切かどうかを一つ一つ検討して、支払基金が担うべきものはやっていただくということだろうと思っております。
3つ目の二次利用の点でございますけれども、仮名化情報の提供の際の罰則についてはこれからの検討になります。現在、匿名化情報の利用をやっておりますが、そのときに利用者が不適正な利用をするとか、禁止されている照合を行うことについての罰則については、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金となってございます。こうした現状も踏まえまして新たな罰則をどうするか、これから検討していきたいと考えてございます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
神野委員、いかがでしょうか。
○神野委員 松本参考人もおっしゃると思いますけれども、支払基金の図体が大きくなって保険料で賄うという話は、恐らくなかなか国民から受け入れられないことではないのかなと思います。ありがとうございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、島崎委員、よろしくお願いいたします。
○島崎委員 オンライン診療の総体的な規定の創設につきまして意見を2つ述べます。本当は質疑を行いたいのですけれども、本日は議題が多く時間がありませんので意見に留めたいと思います。
1つ目ですが、オンライン診療は時間の壁だけではなくて空間の壁もなくしてしまいますので、国をまたがるオンライン診療が現れてくるというのは当然のことだと思います。言うまでもないことですけれども、法律でオンライン診療についての総体的な規定を設ければ、国をまたがる診療について適用があるかないかということは、イエスかノーかのいずれしかありませんので、中期的な検討課題ということにはなりません。
私見になりますけれども、恐らく個人情報保護法のような域外適用の規定を医療法に設けることはなかなか難しいだろうと思います。そうしますと、今でも数多く存在します外国からの医療相談の勧誘を端緒とするオンライン診療につきまして、この中には悪質なものもかなり含まれていますけれども、医療法で直接的な規制ができませんので、いかなる対処が可能なのかということについて、いろいろ限界があると思いますけれども、消費者庁等とも協議しておく必要があるのではないかと思います。
2つ目ですけれども、D to Dの形態についていろいろな論点・課題があるのはそのとおりだと思いますが、以前から申し上げておりますように、D to Dは決してマイナーな存在ではありません。むしろ市場規模も大きいわけです。それから技術進歩がまさしく日進月歩です。実際、2024年度の診療報酬改定において、現実に遠隔ICUモニタリングの加算が創設されております。D to Dの形態について、オンライン診療についての総体的な規定の適用がないとしますと、この遠隔ICUの加算の施設基準、例えば情報通信機器を用いて支援する体制の整備などにつきまして、オンライン診療の総体的な規定が適用されないことになってしまいます。もちろん診療報酬の施設基準と医療法の規制の問題は別だという整理も可能かもしれませんが、私は決して好ましいことだと思っておりません。
要するに、結論として申し上げたいことは、D to Dの形態については中期的な課題と書いていますけれども、そうではなくて、外国の医療法制の比較研究も含め、D to Dの形態について関係学会等の協力を求め研究を鋭意進めていただきたいということです。
以上、意見2つです。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見として承りました。
続きまして、玉川参考人、お願いいたします。
○玉川参考人 社会保険診療報酬支払基金の抜本改組についてコメントさせていただきます。医療DXを強力に推進していくために必要な取組と認識しております。その上で、支払基金の新たな体制に係る費用を含め、医療DXに関する組織や様々なシステムの構築・運用等における費用負担につきましては、全体像を示した上で関係者と丁寧に調整をしながら検討を進める必要があると考えます。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、平川参考人、お願いいたします。
○平川参考人 日本精神科病院協会の平川と申します。山崎会長のほうから意見を言わせていただきます。日精協の会員病院での電子カルテの導入率は40%を超えたぐらいのところで、まだ、60%程度の病院が入れていません。その中で、どうして導入しないのかと聞きますと、お金がかかるということで経済的な問題を第一に挙げている病院が多いです。現在50%以上の病院が赤字ということで、とても電子カルテを導入する資金がないというのが実情で、国のDXについては大変望ましいことだと思いますが、実際進まないというのが現状です。今後、インフレが進んできた中では運営コストが上がっていきますので、なかなか電子カルテの費用を捻出することはできないと思います。
そこで質問ですが、政策には必ず予算というものがついてくると思いますが、導入や維持についての予算を今後つける予定がおありになるかどうか。これが質問でございます。
2つ目は、オンライン診療のことですけれども、精神科においては診断書だけを専門に発行するような診療所が出現しています。また、中毒性・依存性のあるような精神安定剤等の処方なども簡単に行われるような仕組みになりつつあります。そういう中で、ガイドライン等ができていますけれども、まだまだ議論が進まない実態もございます。この辺は慎重にお願いしたいと思います。これは意見としてお願いいたします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
事務局、御質問がありましたので、よろしくお願いします。
○企画官(医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室) ありがとうございます。
電子カルテの導入や維持についての予算措置ということだったと思います。これまでも例えば中小企業庁のIT導入補助金で電子カルテの費用などもあるところでございますが、今後、未導入の診療所向けには標準型電子カルテを現在開発しております。安価なものをつくって普及をさせていきたいと考えております。その際の支援についても、政府の医療DXの工程表の中では今後検討していくということが書かれてございますので、こうした辺りについて今後検討を進めていきたいと考えてございます。
以上です。
○平川参考人 診療所のα版については存じ上げておりますが、病院のほうについては全くないというようなお話ですので、病院についての予定を聞きたいと思います。
○企画官(医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室) まだ電子カルテが入っていない中小病院向けの電子カルテをどうするのかということですが、これについてはまだ方針が決まってございません。診療所向けの標準型電子カルテをつくった後、それをどう病院向けにするのかといったところも検討しなければいけないと思っておりますが、ここについてはまだ方針が決まっていないところでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
平川参考人、よろしいですか。
○平川参考人 それが決まってから協力すればいいというような理解でよろしいでしょうか。
○企画官(医政局特定医薬品開発支援・医療情報担当参事官室) 中小病院向けには民間のシステムベンダーの電子カルテの開発も進んでおります。100床規模向けのクラウド型の電子カルテも既に導入されているところも増えてきているところであります。ですので、必ずしも標準型電子カルテを待っていただきたいというわけではなく、既にある民間の電子カルテの導入についても、ぜひ御検討いただきたいと考えております。
○平川参考人 それはお金がないのでよろしくお願いします。
○遠藤部会長 続きまして、清家参考人、よろしくお願いします。
○清家参考人 私からは、資料1-2、1-3、それぞれ1点ずつ意見を申し上げます。
まず資料1-2、電子カルテ情報共有サービスで共有される臨床情報の二次利用につきまして、医療分野のイノベーション推進、それから、医療の質の向上という意味で非常に有意義と考えております。したがいまして、適切な形で仮名化情報の二次利用を可能とする取組が早期に進むことを期待しております。
次にオンライン診療について申し上げます。今後オンライン診療に関する総体的な規定が創設された後、適切なオンライン診療をより一層推進する観点から、どういった課題や対処法があるか、関係者から実態を把握いただいて、適宜この場で御報告をお願いできればと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
お待たせしました。松本参考人、お願いいたします。
○松本参考人 まず、全体といたしまして、医療DXとオンライン診療につきましては、医療の質を担保しつつ効率化につなげていくことが非常に重要だと認識しており、異論はございません。国民・患者がメリットを早期に実感できるよう、国が積極的に関与し、健全な形で強力に推進すべきだと考えております。
個別の関係でございますが、先ほど神野委員からもお話がございましたけれども、支払基金の関係です。これまでオンライン資格確認や電子処方せんのシステム運営費を保険料で負担してまいりましたが、支払基金の運営費は当然のごとく保険料で負担するものではなく、受益者が誰なのか、十分にメリットを享受できているのかといったことをしっかり議論した上で、その都度判断すべきものだと認識しております。
続きまして、資料の1-3のオンライン診療関係ですが、期待と懸念が両方ございますけれども、推進と規制のバランスも踏まえまして、医療法に明確な根拠を置いた制度を確立して、健全な形でオンライン診療を普及させることが有用だと考えます。特定オンライン診療受診施設というものが資料の参考の5ページにありますけれども、具体的にどのような形で活用されるのか、少し予測が難しい部分もございますけれども、厚生労働省におかれましては、詳細なルールを設定した上で、実態を継続的に把握するようにしていただきたいと思います。
私は以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、荻野委員、お願いいたします。
○荻野委員 日本薬剤師会の荻野でございます。私からもオンライン診療についてでございますけれども、先ほど医薬分業の理念から外れたオンライン診療についての御意見がございました。この点につきましては懸念点や問題点を整理した上で、あるべき姿や方向性などを踏まえて検討することが必要でないかと考えております。確かに運用ややり方によっては不適切と言わざるを得ないケースもあるかもしれませんので、その辺りを丁寧に整理した上で考えていくことが必要ではないかと考えております。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
フロアでどなたかいらっしゃいますか。加納委員、お願いいたします。
○加納委員 先ほど神野委員、平川参考人からもお話が出ておりましたが、医療DXに関しましては費用負担の問題をぜひとも考えていただきたいということです。そういう意味で、私も支払基金の審査委員を20年近くやらせていただいて、お世話になっていたわけなのですが、今回新たにレセプト審査支払以外にこういった医療DXの情報をつかさどるという形の新しい事業が始まるということでありますけれども、審査支払とDX、その点に関しましても、先ほどから議論になっております費用負担に関しましては明確に分けてやるべきと考えておりますので、ぜひともきっちりとした形で我々に説明していただけたらありがたいかなと思っております。日本の医療情報をしっかりと二次利用することは非常に大事なことだと私は認識しておりますので、その点を含めてきちんとした運営がなされることを期待しております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかによろしゅうございますか。
それでは、大体御意見は出尽くしたかと思いますけれども、非常に重要な御指摘・御要望等々がございましたけれども、基本的に事務局の出された案につきましての方向性については御了解いただけたという理解をさせていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
それでは、2番目の議題に移りたいと思います。美容医療の適切な実施に関する検討会の報告書について、事務局から説明をお願いします。
○医事課長 お手元の資料2を御覧いただければと思います。美容医療の適切な実施に関する検討会の報告書(概要)というタイトルでございます。
2ページ目、本検討会につきましてはこれまで4回開催してございまして、今般11月22日にその報告書が取りまとめられましたので、本日、その御報告をさせていただきたいと思います。参考資料1として報告書そのものは今回御用意させていただいておりますが、時間の関係上、資料2の5ページを御覧いただいて、その概要をまとめておりますので、これで御紹介させていただきたいと思います。
まず、1つ目のポツとして、適切な美容医療が安全に提供されるようにするための対応策ということで、美容医療を提供する医療機関の管理者に対して、安全管理措置の実施状況等について1年に1回の報告を求めることとし、また、その内容について都道府県等において公表するというものでございます。それと併せて、保健所等が立入検査、あるいは指導するためのプロセス等々について明確化を行うということ。さらには診療録等についての記載、各診療の実態を確認するための必要な内容の記載を徹底していただく。このようなことについて、概要となりますが、報告書が取りまとめられてございます。
また、2つ目のポツとして、美容医療の質をより高め、質の高い医療機関が患者に選ばれるようにするための対応策ということで、関係学会によるガイドラインの策定ということで、具体的にガイドラインに記載すべきことは右側のところに書かせていただいてございますけれども、このようなものをこれから進めるべきだということでございます。併せて医療広告の規制の取締りの強化、また、国民の理解の促進等ということで、このような形で報告書がまとめてられておりますので御報告をさせていただきます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
報告書はできたわけでありますけれども、これについて何か御意見・御質問等はございますか。こちらも会場からいきたいと思います。いかがでございましょう。
黒瀨委員、どうぞ。
○黒瀨委員 この報告書の目指す方向性については全く異論ございませんので、ぜひ進めていただきたいと思います。
その中で、競合されている診療科というのは例えば必ずしも美容ということではなく、例えば内科と標榜されている医療機関の中で行われている美容的なもの、そういったこともしっかりと確認をしていただければと思いますので、その点をぜひ御理解いただきたいと思います。
もう1点、この報告書の中に書いてあります医療広告規制の取締り強化ということで、ネットパトロールの強化をするというところがさらっと書いてあるのです。正直に言うと、このネットパトロールはまだ始まったばかりで、あまり実効性が担保されていないというか、人力でやっている部分が多くて、できれば今後、もう少しAI等も用いてできるだけ早く、広告が出てしまってネットパトロールで引っかかって、それを是正勧告してということになると、そのタイムラグの間に広告を見た他の医療機関が同じようなことをしてしまう、同じような広告を出してしまうことがよくありますので、できるだけその期間を短くするためにも、ぜひ御尽力いただければと願っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 重要な御指摘をありがとうございました。
佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 私も報告書の内容について異論はありませんが、患者の安全安心が第一ですから、後遺症も含めて既に起きている問題もありますので、できるところから早急に対応策の具体化を進めていただきたいと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、泉委員、お願いします。
○泉委員 こういうきちんとした検討会で検討されていることはいいことだと思うのですが、一番大きな問題は、美容医療で起きた自由診療で有害事象とか合併症が起きた場合、病院にかかって、そのときに自由診療で起きたことは自由診療で対応するのですよというと、理解されていない方が非常に多いのです。ですから、自由診療で起きた合併症、有害事象については、自由診療で対応するのだということをもっときちんと広報するということで、今回の広報の中にも規定が書いてありますけれども、広報の中にぜひ記載していただいて、患者さんが病院で保険診療で治したいという誤解をしないようにということをぜひお願いしたいと思います。
もう一つ、後で医師の偏在対策のところで出てきますけれども、最近、美容診療に行かれる方が非常に多いということで、医師の育成の中に高額な公費が投入されています。美容診療というのは収益事業になるわけですので、一定期間社会に貢献する、保険診療をしっかりやるのだということをきちんと盛り込まないと、医師の偏在というのはますます助長してしまうことになろうかと思うので、そこら辺について何か予定がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、何かコメントはございますか。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 事務局でございます。後ほどの議題、医師偏在対策の中でも出てきますが、一定期間の保険診療に従事する観点に関しましては、保険医療機関の運営管理の責任者として管理者を設けるということで、その要件として一定期間の保険診療に従事することを要件としてはどうかという検討を今行っているところでございます。
以上です。
○保険局医療課長 誤解のないように申し上げますけれども、今の説明は保険医療機関の管理者になるに当たっての要件としての検討でありますので、美容を行う自由診療の医療機関の開設に当たっての要件ということではないです。報道の方もいらっしゃるので。ご指摘に直接的にお答えするものではないかもしれませんけれども、そういう検討を行っているということで参考に御説明したものでございます。
○泉委員 どんどん人材が流出して保険医療機関が非常に大変なっているので、ぜひ検討していただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 それでは、楠岡部会長代理、お願いします。
○楠岡部会長代理 年に1回報告をさせるというのは非常にいい方法だと思うのですが、途中で、要するに1年報告する前に閉じてしまった場合、極端なことを言うと、毎年毎年衣替えしていくと、1回も報告しないで継続してそのまま存在することが可能な形になるので、年に1回、もしくは閉院時に報告させるということで、必ず最後のところが次につながるような形にしていただいたほうがいいのではないかと思います。コメントだけです。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、角田委員、お願いいたします。
○角田委員 短く意見でございます。法に基づく報告とか、公表の対象となるような美容医療についてしっかりと規制の実効性が担保されるように定義することが極めて重要だと思っています。また、必要に応じて行政による立入検査が適切にちゃんと行われるように、そういったことを求めます。
私は以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、オンラインに移りたいと思います。
神野委員、お待たせしました。どうぞ。
○神野委員 先ほど泉先生からお話をいただきました5ページの一番下の国民への周知広報の話ですけれども、先ほど泉先生がおっしゃった合併症の話もあります。それは単に姿形の合併症だけではなくて、美容外科の結果としてメンタルがどうこうなったといったような場合も、もし、美容外科がやってなかったらそのメンタルは大丈夫なわけです。この辺のところ、美容外科に関わるものはみんな自由診療になりますということをきちんと国民に伝えないと、その後始末を保険診療でやってもらえるという話では、保険財源も圧迫されますし、それから、私たちの医療の無駄遣いになってしまうということがあると思います。ですので、その辺のところをしっかり書き込んでいただきたいと思います。
以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
それでは、玉川参考人、お願いいたします。
○玉川参考人 厚生労働省におかれましては、美容医療を行う医療機関の報告制度に係る都道府県の説明会の開催や、検討会の参考人として都道府県の代表者を参加させるなど、地方の意見を踏まえた対応いただいておりますことに御礼を申し上げます。
その上で、2点ほど発言をさせていただきます。
1点目、都道府県等に対する技術的な支援についてです。新たな取組になることに加えまして、同一法人が複数県に医療機関を開設しているケースも多いことから、各保健所において統一的な対応ができるよう、指導・監督や立入検査などに関する指針やマニュアル等の作成が必要となります。
2点目、負担軽減についてです。保健所の現場の業務負担が増えることは本取扱いで避けられないことから、負担軽減に最大限配慮した検討を行っていただくとともに、体制の整備に対する地方財政措置等についても検討などをお願いできればと思っております。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいらっしゃいますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございました。
こちらも様々な御指摘・御要望が出されましたけれども、これは報告書が出ているということもありますが、方向性につきましてはおおむね御了解いただいたと理解させていただきますが、よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
続きまして、認定医療法人制度の延長等について、事務局から説明をお願いいたします。
○医療経営支援課医療法人支援室長 続きまして、認定医療法人制度の延長等について、資料3を御覧ください。
1ページ、認定医療法人制度の延長です。「1現状」では認定医療法人の概要を御説明しております。医療法人につきましては平成18年の医療法改正で大きく見直しがなされまして、平成19年度以降は持分あり医療法人の新規開設ができないこととなっております。左下の絵のところを御覧いただきますと、持分あり医療法人と持分なし医療法人が並んでおります。19年度の改正前につくられた持分あり医療法人を持分なしの医療法人に移行する、それを促進するための制度が認定医療法人制度でございます。
右のほうに認定医療法人制度のメリットとして1、2、3と税制の優遇内容が書かれてございます。1の「相続税の納税猶予」、あるいは2の「出資者間の贈与税の納税猶予」、こちらが平成26年の医療法改正で認定医療法人の優遇措置として設けられた制度でございます。それから、その右側に3「医療法人への贈与税の非課税」とあります。こちらが平成29年10月に追加されました認定医療法人の優遇措置でございます。この3の制度を追加することで、かなり認定医療法人の活用が促進されたという経緯がございます。
ポツの4つ目でございますが、持分なしへの移行は着実に進んでおりますが、現状でもまだ持分ありの医療法人が存在しております。注意書きの2行目にありますとおり、令和5年度末の時点で5万9000の医療法人のうち、持分ありの医療法人が3万6000ございます。
このため、「2改正内容」のところを御覧いただきますと、この認定医療法人制度は令和8年12月31日までの措置でございますので、この制度をさらに3年延長して、令和11年12月31日まで延ばすことによって、さらに持分なし医療法人への移行を促進してまいりたいという改正内容でございます。
○医療政策企画官 続きまして、同じ資料の2枚目、一般社団法人が開設する医療機関の非営利性の徹底についてというところでございます。医療法におきましては医療法の開設者は営利を目的としてはならないという形になっているわけでございます。昨今、一般社団法人における医療機関の開設事例が増加しており、また、非営利性の観点で疑義が生じているというお声を聞いていると認識しております。
真ん中のところの四角につきましては、今年の3月時点で都道府県の皆さんに対して調査をさせていただいた概要でございます。まず、社団法人・一般社団法人を開設する医療機関の数でございますけれども、令和5年時点で病院が82、医科診療所で780、歯科診療所で151ということでございました。括弧については5年前との比較でございます。
それから、いただいた回答の内容といたしまして、真ん中の○のところにありますけれども、非営利性の確認方法でございます。※に書いておりますが、開設時の非営利性の確認のための基準などを設けてらっしゃるのは9都県の一部の自治体、それから、監督・指導のための基準などを定めていらっしゃるのは3都県の一部の自治体、そういう御回答をいただいてございます。
それから、課題につきましては、一般社団法人については行政の監督機能が及ばないということで、事業報告書等の届け出を求めることが必要ではないかという御意見など、こういったことをいただいております。
こうしたことを踏まえまして、一般社団法人立の医療機関の非営利性について、医療法人と同程度の確認が可能となるように、開設時などにおいて新たに各種事項の届け出を求めることとしてはどうかと考えております。また、併せて非営利性の確認のポイントも改めて示すことを検討してはどうかと考えているところでございます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、御意見を承りたいと思います。
加納委員、お願いします。
○加納委員 医療法人協会としまして、ぜひとも御確認したいと思っております。
今、病院の7割が医療法人でありまして、また、診療所の95%が民間で、多くが医療法人であります。そういう意味では日本の地域医療を含めた医療を守っている民間病院の主体的な形態だと認識しているのが医療法人だと思っておりますので、これを医療機関として継続していくことが大事であれば、いろいろな問題が起こってきます。一つは相続、また、出資者間の問題、いろいろな問題が出てくるのですが、これに関しましては、今、実は病院の持分あり医療法人は66%、7割近くまだあるかと思います。これらの医療法人がこういった問題に際しましても認定医療法人制度を維持する必要があるかと認識しております。一度切れたときもありましたが、今回は前もってこういう形で継続していただくということですので、これはぜひともきちんとやっていただけたらありがたいかなと思っております。
次の一般社団法人に関しましてですが、我々医療法人から見れば、この形は少しおかしいということは前から疑問視しておりました。その中でも今のお話ですと、9都道府県では開設時の非営利性の確認のための基準を設けられているということと、監督・指導も医療法人並みにやっている都道府県が3都道府県あることがお話に出ておりました。一般社団法人に関しましては同じ医療機関として安全性や質の向上等も踏まえて非営利性の確認、これは非常に大事なことだと思っておりますので、医療法人と同程度の確認、監督、指導を推し進めていただくための議論をすぐにやっていただきたいと思います。
その間に関しましては、既に9都道府県、3都道府県で開設時の非営利性の確認とか監督・指導をしっかりとやっているということでありましたら、きちんと決まるまでの間、全都道府県にぜひともこういった形のことを推奨するということを厚労省のほうから申し上げていただいて、決まるまでの間の一つの施策としてやっていただけたらと思っておりますがどうでしょうか。
○遠藤部会長 御意見かと思ったら最後にどうでしょうかとありましたので、事務局、お答えをお願いします。
○医療政策企画官 御質問ありがとうございます。
都道府県にお聞きしてこういった御回答をいただいておりますので、いただいている都道府県の皆さんとも話をした上で、いい事例ということで横展開を図っていきたいと考えております。
○加納委員 ぜひともお願いしたいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、黒瀨委員、お願いいたします。
○黒瀨委員 まず、認定医療法人制度についてです。こちらは3分の2の医療機関が持分ありの医療法人であるという実態を鑑みまして、また、地方の古くからやっている先生方が持分ありの医療法人であることが多分多いと思いますが、もし、これが拙速に持分なしのほうに移行させるようなことがあると、そこで断念して、継承もせずにそこで終わってしまう医療機関が出てくる、そういった危惧が我々にはございます。であると、これから出てくる地域偏在の問題にも関わってくるわけでございますけれども、地方の医療機関が継続して診療を安心安全にやっていけるためにも3年延長というだけではなくて、その後も慎重に持分なしの医療法人への移行を検討していただければと、慎重・丁寧に行っていただければということを希望しております。
もう1点、一般社団法人立の非営利性に関しましては、先ほど加納委員からも御指摘がありましたように、都道府県による違いがあるというのも一つ問題かなと、特に法人によっては都道府県をまたいでクリニックや診療所を持っているところもございますので、ここは均てん化していただくための一歩を進めていただきたいと希望しております。また、開業時だけではなくて、一定の期間を置きながらチェックを働かせていくことも重要であろうと感じております。よろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 御提案いただいた内容に異論はございません。医療機関の非営利性の徹底については、資料の2ページに美容医療での開設が増加傾向との記載がありますが、美容医療に限らず営利目的と疑うようなものもあると思いますので、さらに実態把握も行いながら実効性のある対応に向けて御検討いただきたいと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインに移りたいと思います。
松本参考人、お願いします。
○松本参考人 まず、事務局の御提案全般には異論ございません。保険者の立場といたしましても医療の非営利性は重要だと認識しております。
ただ、資料の1ページにあるように、認定医療法人制度等について、この制度があるにもかかわらず、持分なしのほうになかなか移行が進んでいないという印象は否めないと思っております。こうした持分なし医療法人への速やかな移行や、一般社団法人の非営利性の確保と経営の透明性はしっかり進めていただきたいと思います。
資料の2ページに関して質問でございますが、一般社団法人に対して、届け出であるとか、あるいは確認のポイントを示すということがうたわれておりますけれども、具体的に何かお考えがあれば教えていただきたいというのが私の質問でございます。
私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
事務局、よろしくお願いします。
○医療政策企画官 御質問ありがとうございます。
資料の2ページに記載のとおりでございまして、一般社団法人が開設する際において、都道府県等への届け出事項について、医療法人設立時に提出を求めている事項を追加することを検討してございます。方針として了承いただければ、必要な政省令の改正を行ってまいりたいと考えております。
併せて、非営利性の確認のポイントも国の通知で示しているものがございますけれども、さらに検討した上で、自治体にこれをお示しすることを考えてございます。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
松本参考人、よろしゅうございますか。
○松本参考人 ありがとうございました。
医療法人と同程度に進めていただきたいと思います。
○遠藤部会長 お待たせしました。玉川参考人、お願いいたします。
○玉川参考人 一般社団法人が開設する医療機関の非営利性について、確認が可能となる仕組みを検討することは重要だと考えております。その上で、論点として示されております各種事項の届出や非営利性の確認について実務を担うのが各都道府県等と想定されることから、検討段階における各都道府県等への情報提供や都道府県等の意見反映についてもよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
加納委員、どうぞ。
○加納委員 先ほどの訂正なのですが、診療所の95%は民間医療機関でありということをうっかり民間医療法人と申し上げましたが、医科診療所の45%は医療法人であるということで、数字の訂正だけ申し上げたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。いろいろな御意見をいただきましたけれども、本件につきましても事務局提案について、方向性については御了解いただけるということにさせていただければと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(異議なしの意思表示あり)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
続きまして、医師偏在是正対策についてを議題としたいと思います。事務局から関連の資料の説明をお願いいたします。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 医療提供体制改革担当の参事官です。資料4を用いまして医師偏在是正対策について説明をいたします。
この医師偏在是正対策につきましては9月5日の医療部会で総合的な対策パッケージの骨子案を報告して御意見をいただきました。その後、医政局の検討会などで検討を進め、もう少し具体化をした案を検討しているところですので、本日はその検討会で議論いただいている資料を報告させていただいて、御意見をいただきたいと考えています。また、いただいた御意見を踏まえて引き続き調整させていただきたいと考えています。資料の枚数が多いのでポイント絞って説明をいたします。
1ページ、今年の6月の骨太の方針です。医師偏在対策について総合的な対策のパッケージを2024年末までに策定することとされています。
2ページが8月に厚生労働省で公表した総合的な対策パッケージの骨子案になります。
4ページ、これまでこのようなスケジュールで検討しているということです。医師養成課程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会、それから、新たな地域医療構想等に関する検討会、こちらのほうで検討を進めているということです。
5ページ、その検討会で示している医師偏在是正に向けた基本的な考え方の案になります。一番上の1つ目のポツで、医師の配置がこれまで基本的に職業選択の自由、営業の自由に基づき、医師が自由に選択することができるという考え方の下、へき地対策とともに医師養成課程での取組を中心に進めてきています。しかしながら、今後、人口構造が急激に変化していく中で、この医師配置の不均衡が拡大しかねない状況にある。
3つ目のポツで、このような中、従来のへき地対策を超えた新たな総合的な対策を講じていく必要がある。その際、若手医師を対象とした医師養成課程中心の対策から、全ての世代の医師へのアプローチが求められる。さらに人口減少が進む中で「保険あってサービスなし」という事態に陥る可能性があり、将来にわたって国民皆保険を維持し、こうした地域を守るため、国、地方自治体、医療関係者、保険者など、全ての関係者が共同して医師偏在対策に取り組むことが重要としています。
また、何か一つの対策をやれば、医師偏在是正が解決をするというものではなくて、いろいろな医師の方がおられる中で、様々な対象者に少しずつでも当てはまりそうな対策を幅広くやっていくことが重要と考えています。
6ページから項目ごとの案になります。最初が8ページの医師偏在是正プラン、それから、重点医師偏在対策支援区域の案です。上のほうが重点医師偏在対策支援区域です。想定しているのは、1行目に書いてあるような今後も一定の定住人口が見込まれるものの必要な医師が確保できず、人口減少よりも医療機関の減少のスピードのほうが早い地域など、へき地でなくとも人口規模、地理的条件などから医療機関の維持が困難な地域、こういうところを想定しています。
具体的にはその下のポツです。重点対策支援区域の設定に当たっては、都道府県において厚生労働省が提示した候補区域を参考としつつ、地域の実情に応じて医師偏在指標だけでなく、可住地面積当たり医師数、医療機関へのアクセスなどを考慮して、地域医療対策協議会、保険者協議会で協議をして、この重点対策支援区域を選定することとしてはどうかとしています。
※で書いてあるとおり、地域の実情に応じて、二次医療圏単位、市区町村単位、地区単位など、柔軟に設定ができるということを検討しています。
下のほうが医師偏在是正プランになります。都道府県において医師確保計画、より実効性のある取組を進めるため、この医師偏在是正プランを策定することとしてはどうか。定める内容がその下のポツです。重点対策支援区域、それから、支援対象医療機関、あと、具体的な取組などを定めることとする。策定に当たっては、こちらも地域医療対策協議会、保険者協議会で協議することとする。スケジュールはその下のポツです。国の定めるガイドラインを踏まえ、緊急的な取組を要する事項から先行して策定をしていき、令和8年度に全体を策定することとしてはどうかとしています。
次の項目が24ページ、医師少数区域などでの勤務経験を求める管理者要件の拡大になります。1つ目の○に書いていますが、現行は地域医療支援病院を対象としていますが、管理者に求められる幅広い経験の機会となる期間を考慮するとともに、対象医療機関を拡大することとしてはどうかとしています。これまで医療部会、それから、検討会において、管理者に求められる能力・経験は幅広いというような御指摘ですとか、あるいは管理者の成り手を探すのが大変という御指摘をいただいています。このような点も踏まえて、管理者に求められる幅広い経験の期間を考慮するというような運用上の対応を行ってはどうかと考えています。
具体的には、その下のポツになります。まず、対象医療機関、こちらは医療法31条において医師の確保に関する事項の実施に協力することなどが求められている公的医療機関、それから、厚生労働省関係の国立病院機構、地域医療機能推進機構などの病院を追加してはどうか。こちらが運用上の対応です。
他方、医師少数区域などに所在する対象医療機関の管理者となる場合は、その後に医師少数区域等の勤務を経験することとなるため、対象から除外してはどうか。また、地域医療対策協議会において調整された医師派遣の期間、地域医療対策協議会で認められた管理者に求められる幅広い経験の期間となる期間、例えば医育機関で医療従事者などの指導などに従事した期間など、チーム医療、あるいはマネジメントを経験する期間のようなものについて、医師少数区域などでの勤務経験の期間に一部認められることとしてはどうか。
※の2つ目の下に書いています。これは現行の制度でも令和2年度以降に臨床研修を開始した医師を管理者とする場合に適用されるというものになります。
続きがその下、勤務経験期間の延長です。現行の6か月以上から1年以上に延長してはどうか。
その下のポツで、その際、医師免許取得後9年以上経過している場合は、断続的な勤務日みの積み上げでよいこととし、9年以上経過していない場合は、6か月以上の連続した勤務に加えて、残りの期間は断続的な勤務日の積み上げでよいこととしてはどうかしています。
次の項目が31~32ページ、外来医師多数区域における新規開業希望者への地域で必要な医療機能の養成等の仕組みになります。現行はガイドラインによる対応を行っているところです。その次のポツに書いてあるように、都道府県において外来医師偏在指標が一定数値、例えば標準偏差の数倍を超える地域において、新規開業の希望者に対して開業の一定期間前に提供する予定の医療機能の届け出を求める、その内容を踏まえて地域の外来医療の協議の場への出席を求めることができるようにする。また、地域で不足している医療機能の提供、医師不足地域での医療提供を要請することができることを医療法に規定することとしてはどうか。
下の2つ目の※に書いてありますように、外来医師過多区域の中で、対象区域を市区町村単位、あるいは地区単位とすることもあり得るものと考えています。
続いて32ページ、この要請の実効性を確保するための仕組みとして、以下のような対応が考えられるのではないか。
1つ目の矢印が医療法になります。要請に従わず、地域で不足している医療機能の提供等を行わない開業者に対して、都道府県の医療審議会で理由の説明を求めた上で、やむを得ない理由と認められない場合は勧告を行う。勧告に従わない場合は公表を行うことができることとする。
その次の矢印は健康保険法になります。要請の勧告を行った場合、保険医療機関の指定期間を6年でなく3年とすることができることとするなど、保険医療機関の指定権限に関する取扱いについてどのように考えるか。
その下の参照条文の下の矢印、このような取組の在り方について、医療保険サイドでも議論を行ってはどうか。
その下、保険医療機関の管理者要件の3行目、保険医療機関の運営管理の責任者として管理者を設け、一定期間の保険診療に従事することを要件としてはどうか。
次の項目が42ページ、経済的インセンティブになります。
2つ目の○、都道府県の医師偏在是正プラン全体の策定に合わせて、令和8年度から経済的インセンティブの本格実施とするよう検討してはどうか。
内容は大きく3つあり、その下のポツ3つです。
重点対策支援区域で承継・開業する診療所に対する支援を行うこととしてはどうか。この支援については緊急的に先行して取り組むことが考えられるということで、今般の国の経済対策にもこれを盛り込んでいるところです。
2つ目が重点対策支援区域、この区域内の一定の医療機関に対して、そこに派遣される医師、それから、そこで従事する医師への手当増額の支援を行ってはどうか。また、土日の代替医師の確保など、医師の勤務・生活環境改善の支援を行うこととしてはどうか。
3つ目が重点対策支援区域に医師を派遣する派遣元の医療機関に対する支援を行ってはどうか。
3つ目の○、その際、国において事業費の総額を設定した上で、その範囲内で、都道府県ごとに予算額の上限を設定し、その範囲で支援を行うこととしてはどうか。
その下の○、地域の医療提供体制の確保は国と都道府県が連携して取り組んできたが、医師少数地域における適正な給付の維持・確保が保険者にも一定程度の責任が求められる。この重点対策支援区域の支援のうち、本来、診療報酬より賄われているが、その特定の地域に対して診療報酬で対応した場合には、当該地域の患者負担の過度の増加を招くおそれがあるものについて、保険者からの拠出を求めることとしてはどうか。
最後の○、こうした支援の検討に当たっては、給付費全体の中でバランスを取る観点から、医師偏在是正のための診療報酬での対応を図ることが考えられるのではないか。これらの中の医療保険に関するものは、また、医療保険サイドでも議論いただくものと考えています。
次の項目は51ページ、全国的なマッチング機能の支援、こちらは中堅・シニア世代などの医師を対象として、医師不足地域に関心・希望を有する医師の掘り起こし、必要に応じてリカレント教育などにつなぐ、医師不足地域の医療機関との定着支援などのマッチング機能の支援を行うこと。その右下にはリカレント教育、こちらも中堅・シニア世代などの医師に対する総合的な診療能力等に係るリカレント教育の推進ということです。一番下は都道府県と大学病院等との連携パートナーシップへの協定ということで、医師派遣調整機能等の強化のための協定の締結を推進してはどうかということです。
61ページ以降、医師の養成課程の取組になります。項目としては61ページからの臨床研修の広域連携型プログラムの検討ですとか、65ページから総合的な診療能力を要する医師の育成・リカレント教育、それから、69ページからは医学部の臨時定員についての検討、84ページからは診療科間の偏在についても検討しているところです。
86ページの下のほうで、今後の方向性ということで、診療科間の偏在の対策に資するための今後の医療提供体制の在り方についての検討ですとか、2つ目、専門研修制度における研修体制の在り方などについても、専門医機構、学会等の関係者とも必要な議論を行う。最後の3つ目で、外科医師が比較的長時間労働に従事しているなど、業務負担への配慮・支援等の観点から必要な議論を行っていくことを検討しているということです。
資料の説明は以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま報告のあった内容に関連して御意見・御質問等をいただければと思います。会場からお願いいたします。
それでは、望月委員、お願いします。
○望月委員 規制的手法と経済的手法を組み合わせて、地域偏在、診療科偏在に手を入れることに賛成です。最初に24ページの管理者要件の対象医療機関の対象期間の拡大です。ここで最初の大きな○の2つ目、医師派遣の期間、地域医療対策協議会で認められた管理者に求められるということなど、次の括弧で、例えば医育機関で医療従事者等の指導等に従事した期間、医育機関と言い切ってしまうと大学病院のことを指すことになると思うのですけれども、地域では臨床研修指定病院等からの医師派遣というのはかなり多くやられておりますし、やっていかなければいけないと思いますので、これは要望なのですけれども、医育機関と並んで、臨床研修指定病院等も加えていただきたいと思います。
次の医師少数区域等での勤務経験期間の延長、現行6か月以上になっていますが、1年以上に延長してはどうかというのは賛成です。
それから、その次のポツの9年以上経過しているというところですが、派遣を受ける中小病院の立場で言えば、日替わりでポツンポツンと来られてもあまり役に立たないというと失礼ですけれども、外来機能だけではなくて、欲しいのは入院患者さんを診てもらう機能と宿日直機能です。つまり常勤対応で来てもらいたいということが一番大きいので、断続的な勤務日の積み上げというのが気になる言葉で、基本1か月以上の常勤対応で来てもらう者をカウントしてほしいと思います。ここのところを検討してほしいと思いました。
それから、42ページの経済的インセンティブです。2つ目の大きな○の診療所の医師が高齢化しというところですけれども、まさに地方では承継がうまくいかず、診療所が閉鎖されていくことが多くなってきています。ここは緊急的に先行して、承継・開業する診療所に対する支援はぜひ行ってほしいと思います。
その次のポツで医師派遣ですが、派遣元・派遣先の病院間で通常病院間で協定を結んでいます。協定を結ばないと、公立・公的病院から医師を派遣しづらいので、協定を結んで派遣先・派遣元の病院、医療機関に経済的支援をしてほしいと思います。その医療機関の中から派遣された個人に対して何らかの経済的なインセンティブを与えるというスキームになると思いますので、直接医師個人への手当増額というのは病院間の協定の中で進むことだと思いますので、その辺は注意していただきたいと思います。
それから、下から2番目の○の保険者に拠出を求めるというところです。これは分かりにくい点もありますけれども、税で対応するのか、保険者に求めるのかというところは、これからの検討になるのかなと思います。
最後、診療科間の偏在のところで86ページに書いてあるのですけれども、今、外科医師のなり手が少なく非常に厳しい状況です。私はずっと外科をやってきましたが、後輩が仕事が厳しいとか、きついということで消化器外科を目指してくれません。外科医の集約化というポイントですが、高難度がん手術などの例をとれば待機的な手術ですので、集約化・重点化に賛成です。ただ一方、コモンディジーズである腹膜炎とか急性虫垂炎等の緊急手術は医師をあまり集約しすぎると、今度は緊急対応ができにくくなりますので、この辺のところもよく考えながら検討していく必要があるのかなと思いますので一言言わせていただきます。
以上です。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
黒瀨委員、お願いいたします。
○黒瀨委員 まず、総論的な話になるかと思うのですけれども、地域医療を今までずっと担ってきた、あるいは支えてきた、これはかかりつけ医、あるいは若い先生方も含めた地域に根差して医療を行っている者の志だと私は認識しております。ですから、地域偏在の問題を解決していく中でも、そのフレームづくりの中で、そういった若い医師たちが将来20年、30年、医師を続けていくときの志が閉ざされてしまうような、あるいは志を挫折させるようなことがあってはいけないということが、まず大前提であろうと考えます。
その点におきまして、例えば自分が生まれ育った故郷、あるいは自分が生まれ育った都会でもそうなのですけれども、その地域で自分が地域医療を担っていきたいと願っている医師が、求められている地域の機能が充足できないということで、十分に余っているのでということで、そこで開業できずに他の地域で開業することによって、自分が生まれ育ってきた町での貢献ができないということは、非常に大きなダメージになる可能性がございます。ただ、それはもちろん全てが満足することができるわけではないので、そこら辺は鑑みながらフレームワークをつくっていただきたいということを希望しております。
医師がいない、医療機関がないところには町はなかなか存在できませんし、また、町がなくても医療機関は存在できない。ですから、今少なくとも人口があってもいずれ減っていく、あるいは消滅してしまうようなところに、若い医師が多額のローンを抱えながらそこで新規開業して、20年、30年、地域で頑張ってきて、周りをふと見てみたら、患者さんどころか住民も全くいないという状況になった場合に、その医師の人生は一体どうなるのだろうかということを非常に危惧します。それがたとえ1万分の1であっても、そういったことが起こり得るようなフレームワークは行ってはいけないと我々は認識すべきだろうと思っています。
医療の進歩ですとか、あるいは例えば災害等で、その地域の状況というのは刻一刻と医療需要が変わっていきますので、必ずしも今の平面的なものだけではなくて、時間軸を加味した三次元的な考え方で見ていっていただきたいと思います。
そういう点では、例えば勤務医が短期派遣される、あるいは長期派遣される、こういったいわゆる短期的な解決策と、自由開業制に関わるような問題、あるいは管理者要件といった中長期的な問題、これはしっかりと切り分けて、特に中長期的な解決をするための対策は、できる限り弾力性を持たせて、あとは地域の実情をよく分かっている方々、かかりつけ医もそうですし、あるいはかかりつけ医の機能を支えている関係団体、そういったところの意見を十分に反映させたものにしていっていただきたいと願っております。
そういった意味では、医師偏在の是正プランに関しましても地域の実情をしっかり鑑みると、ここにも規定していただいておりますけれども、そういったところを慎重に行っていただきたいと考えます。
あと1点、50ページ目、都道府県と大学病院との連携パートナーシップ協定の締結を推進することが明記されております。これは決して反対するものでありませんし、いわゆる地域医療対策協議会等の機能を強化するためにも行っていただきたいと思います。
ただ、正直に言って今の医療で言うと、例えば東京には13大学がありまして、1大学が1県にあるところはなかなか医師が充足しないにもかかわらず、東京では非常に多くの医師がどんどん生まれてきます。ですから、東京なしにして多分関東近辺の地域偏在の問題が解決できないとすると、都道府県とだけのパートナーシップではなくて、もっと広域的な医師の派遣、あるいは地域偏在の問題の解決を行うような場が、国全体ではないけれども、都道府県単独でもないというところでの都道府県間の連携といいますか、そういったところがしっかりできるような仕組みも重要なものではないかと感じております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、加納委員、お願いします。
○加納委員 私から2点お話しさせていただきたいと思います。
24ページ、いわゆる管理者要件にこれを入れるというのは、前も申しましたように、本当に今、民間病院においても地域支援病院であればこれの要件が係ってくるということですので、今、我々にとりまして病院経営は非常に厳しい状況下で、20年後に恐らくこの方々が管理者として院長としてやられるのであれば、20年後の診療報酬は誰がやってもちゃんと黒字になるような診療報酬になっているということであればいいかとは思うのですけれども、病院経営と地方へ行っての経験というのがどういう形でつながるかいうのはなかなか理解できないし、逆に乖離しているところもあるのではないかと心配しております。また、1年以上に延ばすというのも、これは6か月でも私は長いと思っておりますので、これを1年に延ばすのはどうかという感じがしております。
2つ目は31ページ、外来医師過多区域における開業に関しまして、いわゆる保険医療を制限するという形のお話が出てきたのは、ある意味でこれは大事ではないかと私も思うのですけれど、出し方によっては、この外来医師過多区域で開業したい先生方は、実はそこへ行きたいという願望がありますので、どういう形で出すかによっては、変な形で駆け込み開業とか、そういったものが起こらないような形で、タイミングとか出し方が非常に大事かと思っております。条件づけもしっかりと考えていただいて、いきなり病院からたくさんの方が開業するようなことがあれば、これはまた地域医療の崩壊につながりますので、ぜひとも考慮しながら慎重にですが、やる必要はあるかなと思っております。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、泉委員、お願いします。
○泉委員 まず、私がお願いしたいのはリカレント教育のことなのですけれども、今、専門性を変えて総合診療でやろうという方が結構いらっしゃるわけです。病院団体でいろいろなプログラムをやっております。総合診療を育成するということですが、垣根を低くしていろいろなプログラム認めていただいて総合診療をやろうということで、動機づけ、モチベーションを上げていただきたいということで、このプログラムを広く認めるような方向で検討していただきたいと思っています。
2つ目が、望月委員もおっしゃっているのですけれども、経済的インセンティブは非常に重要で、確かに派遣するのは病院間での締結になりますので、個人というよりは医療機関に支援していただいて、そして、それを御本人のインセンティブになるような形を考えていただければと思っています。
3つ目は、先ほどから何回も出ているように、地域医療支援病院も医育機関だけでなくて、地域医療支援病院も医師の育成ということに非常に大きな役割を果たしていることになります。そして、公立・公的病院の管理者というのは非常にいろいろなことをやらなくてはいけない。医療安全、医師の働き方改革、災害対応、感染対策、地域医療の構築、ガバナンスとかをやらなくてはいけない。そういうことをいろいろできる、そして、若手の医師を指導できる人、有能な医師は病院の中で極めて重要な役割を果たすわけです。ですから、この方に経験として認めていただきたいということで、こういう方が将来を担うことになりますので、こういう経験もぜひ認めていただきたいと思っています。
それから、先ほど申し上げた保険医療機関から美容に人材がどんどん流出しているということになりますので、医師偏在にさらに拍車をかけてしまいますので、ここは何とか対策を講じていただければと思います。
それから、外科のことは高難度の手術は集約化が必要ですけれども、緊急手術はどうしても必要ですから、ここは誤解がないように適切に考えていただきたいということです。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
佐保委員、どうぞ。
○佐保委員 5ページに記載があるとおり「保険あってサービスなし」という事態に陥ることなく、地域間、診療科間、病診間、それぞれにおける医師の偏在を是正することが重要だと考えます。そのため、医師の少数区域だけでなく、多数区域も併せ、規制的手法を中心に、より強力な対応を進めていただきたいと考えます。
39ページには、ドイツにおける需要計画による医師偏在対策が紹介されています。医師の均等の配置などに資することが期待されているということで、今後より詳しく資料をお示しいただきたいと思います。こうした対策などを参考に、切迫した地域もあると思いますので、期限を設けて実効性のある規制的手法を導入いただきたいと考えます。
また、42ページに書かれた経済的インセンティブ案の中に、医師少数区域における適正な給付の維持・確保は保険者にも一定程度の責任が求められると記載がありますが、これまで医療提供体制の構築に保険者の声がどれだけ尊重され、反映されてきたのでしょうか。基本的に、地域に必要な医療提供体制は都道府県が主体となって整備し、国が都道府県の取組を支援して責任を果たすべきものと考えておりますし、地域医療介護総合確保基金など、補助金との役割分担も明確でない中、保険給付と関連性の乏しい新たな経済的インセンティブをつくり、その負担を被保険者や患者に求めるという提案に納得するのは難しいということを申し上げます。
なお、地域の実情を踏まえた良質で効率的な医療提供体制の構築に当たっては、かかりつけ医機能の発揮、医療機関の機能分化・連携も重要だと思いますので、そうした点も併せて進めていただきたいということを申し添えたいと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
角田委員、お願いします。
○角田委員 今、39ページの規制的な手法についての御意見がございましたが、ドイツは実は規制的な手法を取っておりますが、私は何回かドイツの保険協会の会長先生と直接現地でお話しいたしました。実は規制的手法は決して効果がないという事情を伺っております。ですから、ぜひその辺はしっかりと考慮していただきたいと思います。
また、42ページの最下段ですが、我が国の公的保険医療制度においては、誰もがどこでも一定の自己負担で適切な医療を受けられることを基本としています。患者負担の公平性の観点からも全国一律の公定価格が決められておりますので、診療報酬での対応はあり得ないことを強調したいと思います。本検討会での議題ではございませんが、それだけは付け加えたいと思っております。
私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。それでは、オンラインに移りたいと思います。
木戸委員、よろしくお願いいたします。
○木戸委員 私からは内容についてのコメントと、質問が1点ございます。
まず、重点対策区域を決めて対策するという方向性は大変現実的で妥当な取組であり、その成果を基に横展開するべきと思います。
さて、この部会でも若手医師による対策はもう限界という意見がたびたびと出てきておりますけれども、このパッケージ案の中で、若手の対策と比べて中堅・シニア医師に対しての効果が期待できるものが大変少ないように思います。このリカレント教育で総合診療に対応できるようにするとありますが、専門以外の知識を新たに学んでいくというのも、大変多忙な臨床医にとってはなかなか気が進まないし、時間がなくてということが多いのではないかと思います。それよりも、それぞれの医師が今せっかく持っている技術と培った経験をそのまま活かせる場がどこかに必ずあるはずであり、このくらいならヘルプに行けるという条件もあると思います。それをうまくマッチングさせていく仕組みを考えることが現実的と思います。
その際に、9ページにある10万人対医師数というのが、医師の偏在の状況を十分に反映したものになっていないとありますが、本当にそのとおりで、どの地域でどの医療が足りなくて困っているのか、ここでは救急が足りないのか、周産期など待てない医療が足りないのか、それとも総合診療とか慢性疾患を見てくれる先生が足りないのか、それが全く見えてきません。
そこで御提案ですが、49ページの全国的なマッチング機能の支援等の仕組みにおきまして、実際に困っている住民の方々の声とか、受け入れできなくて、あとは距離が遠いとかで対応が間に合わず不幸な転帰になった事例がどのくらいあるかとか、もっと具体的なことが見えるように情報を共有する仕組みを考えていただきたいと思います。
制限をいろいろかけるとか、強制的に派遣するとか、そういった規制的な手法は私も反対したいと思います。結局、自由診療とか他の産業に人材が流出することになってしまって逆効果になります。もともと医療従事者には困っている人を助けたいとか、人の役に立ちたいとか、そういう意識を持ってこの業界に入っている人が多いので、困っている人が実際にあるという現実の姿を見れば、手を挙げて助けに来る人が出てくることも期待できますので、そういう特性を考えた取組を考えていただきたいと思います。
また、中堅・シニア医師が一人ぼっちで行くのでは心細いので、若手医師とか、あるいは看護職とかそういった気心の知れた仲間と一緒にチームで行くとか、そういういろいろな提案も示していくと不安を和らげて、行くところのハードルを下げることになると思います。
最後に1点御質問です。26ページの少数区域経験認定医師の認定数のグラフで総数が示されていますが、その内訳、例えば、取得した方の年齢構成とか、もともとのその方の活動拠点が少数地域だったのか、多数地域なのか、特に多数地域の方がこの認定を目的に少数地域の医療に従事したのか、あるいはたまたま派遣で従事して要件を満たしたとか、どういう方がこういう認定数になっているか、そこを調査分析されているかをお伺いしたいです。この制度が偏在是正に本当に効果があるか。なければ、どのように改善すべきかを考えるうえで参考になると思うので、お伺いしたいと思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
いかがでしょうか。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) まず、26ページの医師少数区域勤務認定医師の、どういうような理由で少数区域に行ったかというものについては、資料の125ページにおつけしています。少し前の調査にはなりますけれども、その勤務の理由については大学医局の人事異動が多くなっています。ただ、2つ目には、医師少数区域などでの経験を得たかったからですとか、下のほうになりますが、地域医療の貢献とか、認定制度が魅力的というようなものも一定の回答があるということです。
○地域医療計画課医師確保等地域医療対策室長 事務局でございます。認定医師の内訳については、今、手元に詳細な数字はないのですけれども、30代の医師が最も多いというところの年齢階級でございます。その次が50代となっております。比較的シニアだけに偏っているとか、若手だけに偏っているとかいう状況ではございません。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、勝又委員、お願いします。
○勝又委員 理事会のために遅れまして申し訳ございません。
今までの検討会とか、あるいは部会におきまして、複数の委員の方々から発言がありましたように、医療提供体制の確保のためには、医師のみならず看護職を含め、多くの医療関係職種の確保や偏在の是正等が不可欠だと考えております。そのために、地域全体での医療関係職種の確保も併せて検討していただきたいと思っております。
9月の医療部会で、看護職員の需給推計については今後の地域医療構想の検討での議論を踏まえ、医療ニーズやサービスの見通しを踏まえて早急に検討していきたいというお答えをいただいたところですけれども、需給推計の結果を待たなくても取り組める内容があるのではないかと考えております。例えば医師偏在是正プランと同じように、医療関係職種においても緊急的な取組を要する事項から先行して検討して、総合的な対策パッケージを策定することが必要だというように考えております。
看護職においても領域・地域別偏在が指摘されておりまして、その対策として、特定機能病院や地域医療支援病院等からの確保困難な地域へ看護職を派遣する仕組み、また、派遣調整機能の構築や派遣元医療機関に対する経済的支援の推進が重要と考えております。
また、医師が常駐しない診療所等での看護職が1人で勤務する場合には、より高い判断力が求められることから、看護職の能力強化のためのリカレント教育事業を実施していくことが今後重要になると思います。
増大する在宅療養へのニーズに応えるためには、訪問看護や介護施設等での看護職の能力強化も不可欠です。看護職のリカレント教育事業を計画的に盛り込んでいくことも重要と考えておりますので、そういった内容についても御検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、野村委員、お願いいたします。
○野村委員 野村です。医師の偏在是正対策については、今後も私たち国民が安心して医療を受けるために重要な課題であると思っております。幅広くきめ細やかに検討・分析していただいていることを感謝いたします。私たち医療を受ける側もしっかりこの現状を理解しつつ、医療のかかり方を今一度考えていくことも必要と考えております。
また、引き続き子供にもしっかり焦点を当てていただきたいと思います。子供たちが緊急を要する場合の医療や、専門的治療が必要な医療や、日々のかかりつけ医の医療など、高齢者とも違う部分もあります。孤立したり途切れたりしないよう、地域の実情に合わせて柔軟な対応で今後も引き続き検討していただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
続いて、玉川参考人、お願いいたします。
○玉川参考人 医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの検討に当たりまして、都道府県との意見交換の場を設けていただくとともに、重点支援区域の設定の柔軟化など、丁寧に議論を進めていただいていること、そして、今般の経済対策における財源確保も含め、医師不足地域への医師派遣を後押しする制度的な検討を進めていただいていることに感謝を申し上げます。ありがとうございます。
先般、11月19日に全国知事会として、福岡厚生労働大臣に対して47都道府県の総意としての「医師偏在是正に向けた総合的な対策に関する緊急提言」について要請をさせていただきました。委員提出資料として本日添付いただいております。これを踏まえまして、都道府県の立場から3点コメントさせていただきます。
1点目、医師の専門家や高齢化等、必要医師数の前提が変化している状況の中で、実効ある対策を進めていく上では、どのような課題がどのような背景から生じているか、地域の実情を踏まえた課題の整理・可視化は必要と考えます。これは総合的対策を国民に示す上でも重要な視点だと思いますので、改めて体系的な整理をお願いいたします。
2点目、県全体として医師不足が深刻化している県への取組が不可欠であるとともに、中山間地域や離島等の医師不足、地域で必要とされる診療科医師の不足など、全国各地域で共通する課題が深刻化している状況にあります。対策のさらなる検討をお願いいたします。
3点目、今般、医師の偏在是正・確保対策は地方創生を進める上でも極めて重要であり、国における直接的な対策に加え、地方においても実効性のある対策を講じる必要があることから、地域医療介護総合確保基金の拡充など、地方負担軽減への支援なども含めまして検討をお願いいたします。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、清家参考人、お願いいたします。
○清家参考人 まず、基本的な考え方を申し上げまして、その上で、42ページの経済的インセンティブについてコメントいたします。
まず、医師偏在の是正に当たり、実効性のある規制的手法を中心に対応いただきたいと思います。あくまでその前提の下に経済的インセンティブについて検討するということで理解をいたします。
続きまして、42ページの経済的インセンティブについて申し上げます。保険者の責任といった記述に関して先ほど佐保委員からも御指摘がありましたが、私どもも同様な認識を持っております。医師偏在は医療提供体制上の課題でございまして、基本的に国や都道府県が責任を負うべきものではないかと考えております。そういう意味で地域医療介護総合確保基金というものもあろうかと存じます。その上で、保険料は基本的に保険給付に充てるために徴収しているものでございます。この観点から、医師偏在の是正のための拠出、それを行うことについて保険料を保険給付以外の目的で使用することは、保険料負担者としてなかなか納得感がないという認識を持っております。
最後に、3番目の課題提起でございます。仮に診療報酬上の対応を講じるならば、仮にということでございますが、過剰と過小の間でメリハリをつけるという形での対応が考えられるのではないかと思っております。
以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、神野委員、お願いいたします。
○神野委員 今回の総合的対策パッケージは非常に期待しておりました。どれが一番現実的で実行に資するかということを考えると、正直に言ってなかなか難しいのではないのか。これをやらないと、まさに医師養成にも関わってまいりますし、地域医療ということが成り立たなくなってくるということで非常に大きな課題のはずであります。私も地方でありますので、偏在は早くやらないと、本当に地方に来る医師が減ってきております。本当に困っているというのが正直なところでございます。
具体的に管理者要件等についても少し今回工夫していただいたことは大変評価したいと思うのですけれども、ただこれを実行するのはまだまだ先の話であるというのも御承知のとおりであります。それから、新規開業対策ということに関しましても確かに規制的手法の一つかと思いますけれども、これも実行に至るまでには相当時間がかかると思って、もうちょっといいタマがないかと思ってしまうところであります。
その中で、これは質問なのですけれども、32ページの外来医師多数区域における新規開業者希望のところの下のほうに保険医療機関の管理者要件と書いてありますけれども、実際、美容外科にすぐに行く方がいらっしゃる中で、それを規制する手法として非常に重要ではないのかなと思ったわけであります。下から2行目、保険医療機関に運営管理の責任者として管理者を設け、一定期間の保険診療に従事することを要件、これは直美対策としてあり得ると思うのだけれども、この一番上の表題は外来医師多数区域におけるとなっているわけであります。では、そうではないところは、一番下の保険医療機関の管理者要件は引っかかってこないのかということについて質問したいと思います。
最後に86ページ辺りの診療科偏在であります。これも大変期待するところだけれども、今回外科の話ばかりで外科の話が中心であって、もっと診療科偏在を考えなくてはいけないところがあると思います。外科においてもジェネラルな外科、まさに腹膜炎とか均てん化する話、それから、スペシャルな外科、それから、スペシャルが終わった後、また、ジェネラルに行くリカレント教育といったところを細かに関係学会とも検討しながら、ジェネラルな方々が地方にたくさん来ていただけるような方策は、外科だけではなくて、いろいろな中でも言えると思います。
私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、質問がありましたので、よろしくお願いします。
○保険局医療課長 お答えいたします。32ページでございますけれども、保険医療機関の管理者要件という見出しは、一つ前の外来医師多数区域における新規開業希望者へのという見出しとは別のものでございます。このため、保険医療機関の管理者要件については全国一律にこういった要件を適用することをどう考えるかという形でお示しをさせていただいております。
ただ、1点御留意いただきたいのは、保険医療機関に運営管理の責任者として管理者を設けるという提案でございますので、あらゆる医療機関、自由診療の医療機関にまでこうした要件が係るわけではないということでございます。これがいわゆる直美対策になるかどうかということについては、むしろ直美のほうに逃げるのではないかという御指摘と、将来、保険医療機関の管理者になりたいのであれば、まずは保険医療機関に勤めておくとするのではないかという御指摘、両方があるということだと承知をしております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、島崎委員、お願いいたします。
○島崎委員 いろいろ申し上げたいことがあるのですけれども、時間の関係もありますので42ページの経済的インセンティブの案に絞って意見を申し上げます。
下から2つ目の○、それから、最後の○のところ、特定の地域に対して診療報酬でどうのこうのとか、あるいは地域間、診療科間の医師偏在是正のための診療報酬とかという言葉があるのですけれども、これは一体どういう意味なのでしょうか。医師の不足地域と過剰地域で診療報酬の差異を設けるとか、あるいは不足している診療科の医師の賃金というか給料の引き上げということを個別の診療報酬でやるというようなことを前提にしての話なのでしょうか。もし、そうだとすると、率直に申し上げていかがなものかと思います。
診療報酬というのは、別に国が医療政策の遂行とか政策誘導のためにフリーハンドで使える「お財布」ではありません。診療報酬は、法律上、あくまでも診療の対価であるということの認識が、率直に申し上げて乏しいのではないかなという印象を持ちます。
2つ目として、下から2つ目の本来診療報酬より賄われている特定の地域に対して診療報酬で対応した場合、当該地域の患者負担の過度な増加を招くものがあるものについてという記述なのですけれども、私は何度読んでも、この文章が何を言わんとしているのか十分理解できません。一体何を指しているのか、イニシャルコストなのか、あるいはランニングコストを含むのか、もし、ランニングコストを含むのだとするといつまでなのか、それから、地域医療介護総合確保基金との関係は一体どうなるのか等々が全くはっきりしません。
ついでに言うと、例えば過疎地であるとか、コスト高のところに対して全て診療報酬で対応してきたわけではないわけです。そうではなくて、へき地の補助金とか、あるいはそういうところに立地します公立病院に対しては、地方交付税で一定の補填をするとかということで対応してきたという政策の積み重ねがあるわけです。そうしたこととの整理が十分されないで、医師不足の対策のためであれば何でもありというのは、いかがなものかなと思います。
以上、意見です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、松本参考人、お願いいたします。
○松本参考人 今回の件は、医師偏在対策であり、地域間、診療科間、病院と診療所の間で指数の格差をいかに解消するかに尽きるものでございます。かかりつけ医の報告制度や新たな地域医療構想とも連動する形で、特に医師多数区域における規制を強化して、国と都道府県が関与しながら真に実効的な取組を進めるべきでございます。
先ほど来、規制的手法は効果がないのではないかという御指摘が幾つかございましたけれども、例えば美容医療の問題も例に挙げられましたが、美容医療に行ってしまうから規制をしましょうということは、別のときにも議論をしたばかりでございます。医師偏在を是正するには総合的な対策が必要ということは全くそのとおりだと思いますが、対策の一つとして規制は極めて重要な政策ツールだと考えております。特に保険診療という公法上の契約診療の枠組みの中で医療を行うのであれば、保険者の立場として、例えば過多地域における開業等については、その妥当性を判断することは不可欠だと強く主張させていただきます。
また、医療機関や医師個人の努力だけでは必要な医療を維持できない場合、何らかの支援が必要なことは理解できることでございます。ただ、医療提供体制の整備は、国と都道府県の極めて重要な役割です。資料の42ページを拝見いたしますと、保険者の責任に関する記載がございますが、仮に保険者が責任を負うとしても一定の範囲がございます。各保険者はそれぞれの加入者にまず責任を持って給付を行い、さらに保険者間の財政調整でも責任を果たしていることも十分認識いただき、医療提供体制の整備につきましては、まずは行政の責任で対応することが前提であり、現役世代の負担増につながる拠出は到底受けられるものではございません。行政と保険者の役割分担で補助金と診療報酬のすみ分けが曖昧になることがないよう、厚生労働省にはくれぐれも適切な対応をお願いするものです。
私からは以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、松原委員、お願いいたします。
○松原委員 残り時間が1分なので手短に話します。医師偏在化の対策に関する財源の問題についてです。診療報酬は人件費などのランニングコストだけではなくて、再生産コストも概念されております。それを踏まえれば、医療提供体制についても、診療報酬で見ていく、保険で見ていくということも十分検討に値するのではないかと考えております。基金との在り方、役割分担も含めて検討が必要ではないかと思います。
以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかに何かございますか。フロアでも結構でございますけれども、よろしゅうございますか。
積極的な御発言、どうもありがとうございます。感謝を申し上げたいと思います。
それでは、事務局におかれましては、ただいま様々な御意見が出ましたので、それらの意見を踏まえまして、引き続きの議論を深めていくようにお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題はこれまでにさせていただきたいと思います。
事務局から何かございますか。
○医療政策企画官 ありがとうございました。
次回の医療部会につきましては、また決まり次第、御連絡をさしあげます。
以上でございます。
○遠藤部会長 それでは、本日の会議はこれにて終了したいと思います。
本日は、大変お忙しいところ御参集をいただきまして、どうもありがとうございました。