第110回社会保障審議会医療部会 議事録

日時

令和6年9月5日(木)16:00~18:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム 7階 大ホール

議題

  1. 新たな地域医療構想の検討状況について(報告)
  2. 医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案について(報告)
  3. 「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」の報告書について(報告)

議事

議事内容

○医療政策企画官 それでは、ただいまから、第110回「社会保障審議会医療部会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日も前回に引き続きまして、先生方におかれてはウェブ、それから、現地での選択をいただいた上で参加をいただいております。
 まず、本日の委員の出欠状況でございます。本日は内堀委員、野村委員、藤田委員、村椿委員、山崎親男委員より御欠席との連絡をいただいております。
 医療部会の総数24名、定足数は8名となっておりますので、本日19名の皆様に御出席いただいております。定足数に達していることをまず御報告申し上げます。それから、山崎學委員より途中退席されるとの御連絡をいただいております。
 本日の資料でございますけれども、名簿類のほかに、資料1、資料2、資料3、参考資料、それから、角田委員・城守委員提出資料を送付させていただいております。お手元のタブレットにもあるかと思いますので、不具合等はありましたら随時お申しつけいただければと思います。
 それから、前回の医療部会以降、事務局で人事異動がございましたので、お手元の事務局名簿に反映しております。
 では、カメラの方はここまでとさせていただきますので御協力をよろしくお願いします。
 それでは、遠藤部会長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 皆様、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、代理出席についてお諮りをしたいと思います。御欠席の内堀委員の代理としまして玉川参考人、福島県保健福祉部次長の御出席をお認めいただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(委員首肯)
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 まず、議題1、新たな地域医療構想の検討状況について、事務局から説明をお願いいたします。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 医療提供体制改革担当の参事官です。資料の1を用いまして新たな地域医療構想の検討状況について、3月21日の医療部会で検討を開始するというような報告をしておりますが、現在、新たな地域医療構想等に関する検討会で検討を進めているところです。
 本日は、その検討会の検討状況について途中経過を報告いたします。本日の医療部会でいただいた意見も踏まえて、引き続き検討会で検討を深めていきたいと考えています。
 資料の枚数が多くなっていますので、ポイントを絞って説明をいたします。
 2ページ目は3月の医療部会でも報告をした資料になります。一番上の四角ですが、2040年頃を見据えて、病院のみならず、かかりつけ医機能や在宅療養、医療・介護連携等を含め、地域の医療提供体制全体の地域医療構想として検討していこうということです。
 下のほうの主な課題、あるいは主な検討事項というものの検討を進めているところです。
 3ページの右側、新たな地域医療構想等に関する検討会、こちらの構成員の先生方で検討を進めています。
 4ページ、骨太の方針の2024になります。こちらの下のほうに新たな地域医療構想の記載がございます。2040年頃を見据えて85歳以上人口の増大、現役世代の減少などに対応できるよう、地域医療構想の対象範囲について、かかりつけ医機能、在宅医療、医療・介護連携、人材確保等を含め、地域の医療提供体制全体に拡大する。それから、病床機能の分化・連携に加えて、医療機関機能の明確化、都道府県の責務・権限、市町村の役割、財政支援の在り方等について、法制上の措置を含めて検討を行い、2024年末までに結論を得るとされています。
 5ページが検討会の開催状況になります。3月に第1回を開催して、その後、関係団体・有識者のヒアリングを4回行っています。6月の検討会で論点を改めて提示し、8月に目指すべき医療についての総論の議論を行っています。引き続き各論の議論を進め、制度改正の具体的な内容の検討を行い、年内に取りまとめを行う予定としています。さらにその後、令和7年度に国でガイドラインの検討、発出、新たな地域医療構想における地域ごとの医療提供体制のモデルなどの詳細については、こちらのガイドラインの検討の中で整理をしていきたいと考えています。令和8年度、都道府県で新たな地域医療構想の検討・作成、令和9年度に新たな地域医療構想を開始するというスケジュールを想定しています。
 6ページは第1回から第5回の検討会の主な意見を項目ごとに整理したものになります。12ページまで続いています。
 その上で、13ページ、6月の検討会でお示しをした論点の案になります。1番目は総論、新たな地域医療構想の方向性ということで、2番目からが具体的な内容、その達成に向けた取組各論の項目になります。
 1番目の(1)の入院(病床の機能分化・連携等)から、14ページの外来医療、在宅医療、(3)の医療・介護連携、(4)の人材確保、15ページの医療機関機能、構想区域、医療提供体制のモデル、(6)で地域医療構想調整会議、基金、都道府県知事の権限、市町村の役割等というので論点を提示しています。
 総論の議論を16ページでも行っていますが、19ページ以降、8月26日の検討会で新たな地域医療構想を通じて目指すべき医療について総論的な議論を行っています。
 20ページ、2040年頃の医療を取り巻く状況と課題ということで、21ページ以降、様々なグラフ・データをお示ししています。その示しているグラフや表の内容をまとめた資料が43ページになり、2040年頃の医療を取り巻く状況と課題をまとめています。医療事業については2040年頃を見据えると、高齢者数がピークを迎え、生産年齢人口の減少が見られる、地域ごとに見ると、生産年齢人口はほぼ全ての地域で減少、高齢人口は大都市部を中心に増加、過疎地域を中心に減少が見込まれる。
 その次のポツ、85歳以上の高齢者の増加に伴い、2040年にかけて85歳以上の救急搬送の増加、在宅医療需要の増加が見込まれる。このうち高齢者救急については、自宅だけでなく高齢者施設等からの救急搬送の増加が見込まれる。
 その次の在宅医療については提供する医療機関、近年、病院数は増加傾向にあるが診療所数は横ばい、在宅医療の需要は増加が見込まれる。
 その下の入院医療については病床利用率が低下傾向、医療機関の医業利益率も低下をしている。多くの医療資源を要する医療について、手術件数が全診療領域において半数以上の構想区域で減少となる見込み、外来医療についての事業は既に減少傾向にある。
 その次のマンパワーについて、日本全体の生産年齢人口の減少に伴い、医療従事者の確保がますます困難となる。特に医師について地域偏在・診療科偏在の是正、勤務環境の改善も喫緊の課題。診療所に関して、人口の少ない二次医療圏では診療所数が減少傾向、人口の多い二次医療圏では診療所数が増加傾向にある。
 その下の地域差について、地域ごとに人口変動の状況が異なり、求められる医療提供の在り方も様々、例えば都市部では増加する高齢者救急・在宅医療の受け皿の整備が課題、過疎地域においては人口減少・患者減少に対応した医療提供体制の維持が課題となるという議論をしています。
 次のページが、これまでの地域医療構想の評価と課題になります。こちらも概要の資料をお付けしていますが、まとめた内容が54ページになります。これまでの地域医療構想のまとめとして、上のこれまでの取組、現行の地域医療構想については2025年に向けて高齢化により増大する医療需要に対応するために、病床の機能分化・連携を通じて質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指して取組をしてきた。
 真ん中のところに評価を書いています。病床の機能分化・連携を進めない場合、高齢化により2025年時点で152万床程度の病床が必要と推計をされていた。目標としては、2025年時点必要病床数を機能分化・連携により119.1万床とする目標としている。実際の病床機能報告による病床数は、2023年には119.3万床になり、現行の地域医療構想で推計した目標と同程度の水準となっている。機能区分別に見ても急性期が減少、回復期が増加、慢性期が減少するなど必要量に近づいており、全体として進捗が認められる。
 その下に課題を書いています。構想区域ごと、機能ごとに必要量との差異が生じている中で、2040年頃に向けて医療需要のピーク、その後の減少にも対応できる取組が求められる。また、これまで以下のような指摘もなされているということで3つチェックを記載しています。病床機能報告制度において、高度急性期と急性期、急性期と回復期の違いが分かりづらい、あるいは将来の病床の必要量と基準病床数との関係も分かりづらい、病床数に着目した議論をしてきたため、医療機関の役割分担・連携の推進につながりにくい、また、将来のあるべき医療提供体制の実現に向けた議論が十分なされたとは言いがたい、このような状況を踏まえて、55ページから2040年頃を見据えた目指すべき医療になります。
 56ページは医療介護総合確保方針のポスト2025年の医療介護提供体や制の姿をまとめている概要になります。
 それも踏まえて57ページ、目指すべき医療提供体制の基本的な考え方の案です。2040年以降においても患者が適切な医療・介護を受け、必要に応じて入院し、日常生活に戻ることができる。医療従事者も持続可能な働き方を確保できる医療提供体制を実現する。このため、入院だけでなく外来、在宅、介護連携等を含め、地域における長期的に共有すべき医療提供体制のあるべき姿・目標として地域医療構想を位置づける。構想区域調整会議の在り方などを見直す医療介護関係者、都道府県市区町村が連携をして「治す医療」を担う医療機関と「治し、支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化、「地域完結型」の医療・介護提供体制を構築する。
 「具体的には」として4つの矢羽根を掲げています。
 1つ目が高齢者救急への対応です。高齢者救急の受入体制を強化する。入院早期から必要なリハビリを提供し、早期に生活の場に戻ることを目指す。日頃から在宅高齢者施設等と地域の医療機関の連携、かかりつけ医機能の発揮等を通じ、在宅や高齢者施設等を含む対応力の強化を目指す。
 2つ目は在宅医療需要への対応です。現行の構想区域よりも小さい単位で地域の医療機関の連携による24時間の在宅医療の提供体制の構築、オンライン診療の活用、介護連携など、在宅医療の体制強化を目指す。外来医療においてもかかりつけ医機能を発揮して、必要な提供体制を目指す。
 3つ目は医療の質やマンパワーの確保のため、手術等の労働集約的な治療が減少し、急性期病床の稼働率の低下による医療機関の経営への影響が見込まれる中で、必要に応じて現行の構想区域を越えて一定の症例や医師を集約して、高度医療救急を提供する体制の構築を目指す。
 一番下は特に過疎地域において、人口減少、医療従事者不足の中で、地域で不可欠な医療機能について、拠点となる医療機関からの医師派遣、巡回診療、ICT等の活用で機能の維持を目指すとしています。
 最後の58ページ、新たな地域医療構想の基本的な方向性の案になります。左側のピンク色の現行の地域医療構想では病床の機能分化連携を進めてきましたが、右側の新たな地域医療構想では入院だけでなく外来・在宅、介護連携などを含む医療提供体制全体の課題解決を図るための地域医療構想にするということ。
 その下に基本的な方向性を3つ挙げています。
 1つ目が地域の患者・要介護者を支える地域全体を俯瞰した構想、特に高齢者救急、在宅医療等の課題に対応する。
 2つ目は医療機関機能に着目をした医療提供体制の構築、病床の機能だけでなく、急性期医療の提供、高齢者救急の受け皿、在宅医療提供の拠点など、医療機関の役割も踏まえ、医療提供体制を構築する。
 3つ目は限られたマンパワーにおけるより効率的な医療提供の実現ということで、総論的な検討を行っています。
 また、本日いただいた意見も踏まえ、引き続き新たな地域医療構想の検討会で各論の議論を進めていきたいと考えています。
 資料の説明は以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ただいま説明ありましたが、これについて御意見を承りたいと思います。
 では、山崎學委員、お願いいたします。
○山崎學委員 地域医療構想については、従来、精神科医療は参画していなかったわけですが、これから精神障害者の地域移行を考えたときに、この地域医療構想に入ってなければいけないかなということで方針転換いたしまして、前々回の親部会で櫻木先生から、精神科医療についても地域医療構想に参画するということを厚生労働省に申し入れをしてあります。
 したがって、検討しなければいけないのは、一般科の議論でも入っていますが、2040年に向けて地域の精神科医療体制をどのような形にしていかなければいけないかということで、病床機能分化を含めた適正な病床数を、日本精神科病院協会で今検討を進めております。その案ができましたら提示させていただきたいと思うのが1点です。
 もう一つ、一般科の場合は地域医療構想が二次医療圏になっています。ところが精神科医療は全県1区です。全県1区といっても人口が増加している地域と減少している地域があって、都道府県、あるいは市町村によってかなり地域特性が違うと思います。したがって、地域特性に合った形での地域医療構想を考えた場合、精神科も二次医療圏でどのような適正病床数が必要なのかということを検討していかなければいけないと考えています。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ある意味で新しい御提案でもありますので、事務局のお考えをお聞きしたいと思います。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 精神医療につきまして、今、山崎委員からもお話がございましたとおり、新たな地域医療構想の検討会で構成員である日本精神科病院協会の櫻木理事からヒアリングを行っています。また、6月の検討会に提示をした論点の案においても精神病床の取扱い・在り方をどう考えるかというようなことを論点として示したところです。
 今、山崎委員のほうから新たな地域医療構想に精神病床を追加することについて御提案をいただきましたので、この御意見も踏まえて、早急に省内の障害保健福祉部と連携をして進め方、あるいは検討課題などの整理をしたいと考えています。
○遠藤部会長  ありがとうございます。
 山崎委員、よろしゅうございますか。
○山崎學委員 ありがとうございます。
○遠藤部会長 泉委員、お願いいたします。
○泉委員 非常に多岐にわたる地域医療構想について多くのヒアリングを重ねた後に、大体18ページにまとめられている図が今後の課題になって論議されていくのだろうと思っております。
 今後の進展を期待したいところなのですけれども、一つお願いしたいのが、37ページのところに医師数の分布が書かれています。この表現の仕方なのですが、医療の複雑化によってリハビリテーションとか放射線管理士が増えているという実情を表しているのですけれども、よく分からない人が見ると外科医が全然増えていなくてどんどん減っているではないかと見えてしまうのです。実際には外科を専攻してある程度、お年を召す外科医も結構いらっしゃるわけで、外科医がすごく不足しているかのような印象を与えてしまうのですけれども、必要量に応じた変化なのだろうなと思いますので、この表現の仕方をもう少し工夫していただいて、本当に足りないのか、余っているのかということを分かるようなグラフに工夫できないかなというのが1点でございます。
 2点目ですけれども、50ページに各都道府県知事の権限の強化というものが示されていて今後の地域医療構想についての知事の権限が記載されているわけです。よく聞く話で、区市町村で様々な合併とかいろいろなやり取りがあってほぼ決まっているという中で、選挙があって首長さんが変わってしをまうと、今までの方針がガラッと変わって、結局統廃合が振り出しに戻ってしまったというようなことがよくあるのです。ですから、ここで知事さんの権限が非常に強化されているということが記載されているわけですが、それぞれ区市町村の首長さんとの意見にそごがあったときに、それ知事さんが凌駕して意見を覆す、あるいは決定をより強固なものにということが、きちんと明記されているかどうかという点について、お伺いしたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、何かコメントはございますか。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) まず、37ページの診療科別の医師のところについては、医師偏在のほうの次の議題でも関係するかと思いますので、診療科別の医師数で足りているのか、足りていないのかなどが検討できるように考えたいと思います。
 あと、50~51ページの都道府県の権限のところで、市町村との関係がどうなっているのかというような御指摘だと思います。それについて、例えば11ページの真ん中に医療法の30条の16というものがありまして、地域医療構想調整会議で地域医療構想の達成をするために必要な事項を調整会議で協議をすると、その協議が整わないときに、その右側の30条の16の第1項、公的医療機関に対しては不足する医療機能を提供するよう指示することができるというような権限はございます。その後、この指示に従わない場合には、公表するというところはあるのだけれども、公表して、まさに地域医療支援病院とか特定機能病院の場合には承認を取り消すことができるという規定もありますが、それ以上、何か強制的に何々をするというような仕組みにはなっていないというのが現状になります。
○泉委員 よく聞く話で、せっかく合併とか統廃合の話ができたのに、新たな首長さんが決まって、私は病院をつぶさないみたいに立候補して当選なさると、結局新たな医師を募集、大学病院と同じなのです。そうすると、足りないものは足りないわけで、幾ら首長さんが変わっても同じことになってしまうと思いますので、知事さんにある程度権限を与えないと難しいのではないかと思った次第です。
 以上です。
○遠藤部会長 御意見として承りました。ありがとうございます。
 加納委員、どうぞ。
○加納委員 今後の地域医療構想としましては、入院医療だけではなくて外来医療、在宅医療・介護と連携を図っていくということなのですが、そうはいっても高齢者救急というのが一番医療面では出てきている中で、必ず24ページのスライドが出てくるわけなのです。このスライドを見ますと、これには年齢・重症度別という形で高齢者に軽症、中等症が多いという、絶えずこの図をもって使われて、先ほどのまとめのところにもそういった形で書かれている原因のスライドになっています。
 これは前から申していますように、これに書いてある軽症というのは、あくまでも外来診療で処置ができた人、例えば喘息重積発作のひどい重篤な人でも点滴等処置で一旦外来で帰っていただいた人は軽症になってしまうわけでして、中等症というのは入院をされた人で、それも3週間以内の入院患者さんです。入院が3週間を超すと重症という、これは総務省が消防を通して把握するやり方で過去からずっと続いているのでこういう表現になっているのですけれども、これは非常に誤解をされると私は思っております。
 以前と違って薄いブルーから赤に変わったり、表現がきつく無くなったような感じがするので多少は意識して書かれているのかなと、重症のところに括弧して長期入院とかいう形で書いているのですけれども、これはあくまでも総務省が使う重症度の分類でありますので、これを厚労省が使うのはどうかという感じがしております。
 例えば43ページのところでまとめていただいている3つ目のポツのところでは、軽症・中等症の救急搬送が増加しているという表現だけしか書いていません。入院患者とか外来という括弧が入っていませんから、これを見た方は高齢者の救急は重症がいない軽いのばかりという表現になってしまいます。
 最後の57ページのところでも明らかにそういった誤解を得るような表現、増加する高齢者救急に対応するため軽症・中等症を中心としたという表現になっております。これは総務省でいう長期入院患者は少ない、ほとんどの重症患者はここで言う中等症に入っており、今どきの平均在院日数が14日とかそういった感じで考えますと、3週間なんて入院しないわけなので、これをほかの人が見られると病的重症がいないと誤解を与えると思います。できましたら、このスライドを入れる必要があるのかどうかだけお尋ねしたいと思っております。
○遠藤部会長 では、事務局、お答えいただければと思います。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 救急搬送のデータの一つとして24ページをおつけしました。今後、また検討会の中で高齢者救急などの議論をしていく際に、高齢者の救急、あるいは急性期の患者の状態などのデータも示して議論を検討していきたいと考えています。
○遠藤部会長 加納委員、よろしゅうございますかね。
○加納委員 重症度という表現となると、これは総務省が言っている長期入院かどうかだけの話のスライドですので、あくまでも重症度を見るならば、厚労省として別の表現のスライドできっちりと示すべきだと思っておりますので、その御検討をぜひともよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 高齢化が急速に進む中、18ページに書かれているイメージになるように、医療・介護の連携の方向性を目指すことは必要だと思っております。地域包括ケアをどう進めていくかについては重要であり、具体的な連携の方法など、今後さらに検討すべきだと考えております。
 地域医療構想調整会議では設置主体にかかわらず、全ての医療機関、地域の関係者が関与し、一丸となって地域医療構想の着実な実現に向けて図っていくことが重要だと考えます。そのためには、地域医療構想調整会議で踏み込んだ議論ができるよう、在り方も含めて強化を図る必要があると考えております。その際、人口構造の状況や今後の変化をしっかり見据えて、地域のまちづくりとの整合性も必要になると思いますので、都道府県が連携し、サポートする体制を構築すべきであると考えております。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、井上委員、お願いできますか。
○井上委員 まず、現行の地域医療構想は2025年が目途だと思いますけれども、今回示された5ページの想定スケジュールでは、新たな地域医療構想は2027年度からというようにも見えます。1年間ギャップが生じるようにも見えますが、この間、機能分化、連携の推進や、効率的な医療提供体制の構築に向けた病床機能の転換・再編など、これまでの取組が継続をされるように、間断のない対応をお願いしたいと思います。
 2040年を見据えると、人口が1億2400万人から1億1300万人へ1100万人減ってしまい、生産年齢人口も1100万人減ってしまうということ、さらにその先も人口減少が進行することも視野に据えながら検討していく必要があると思います。支え手が減少していくことはすなわち人手も財源も減少していくこととなります。そのため、全国医療情報プラットフォームなど医療DXを早々に推し進めて、より質の高い医療、あるいは効率的な提供ということが非常に重要になってくると思います。
 さらに人口減少下で地域のサービスをどうするかという話は、医療だけに限った話ではありません。集中でありますとかコンパクトシティなどの話が他の省庁の会議でも進んでいると思いますので、そういうところとも連携を図りながら議論を進めていただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 御意見として承りました。ありがとうございました。
 それでは、神野委員、お願いします。
○神野委員 神野でございます。2点お話をさせてください。
 1点目、これは今更ながらですけれども、32ページに病院の経営状況があって、稼働率の低下とともに病院の医業利益率が低下しているというようなデータがございます。特に一般病院であります。近々の福祉医療機構の6月のレポートを見ましても人件費率が上がっているのと材料費が上がっているのと光熱費等の経費が上がっていて、経営状態が悪化しているというデータも先日見ました。
 その中で、全ての病院をどうこうせよという話ではなくて、もちろんいろいろな構造的なものがあると思いますけれども、ただ、地域に必要な医療を提供している病院に対してどうするのだというところで、公的・公立病院に対する総務省の予算だけではなくて、厚生労働省には地域医療介護総合確保基金という玉があるわけであります。ぜひそれをそういった必要な医療、これは公私を問わず必要な医療に投入いただけないか。単に病床転換したからつけるとか、あるいは地域枠の学生に対する奨学金にする以外に使い方があるのではないのかということを申し上げたいと思います。
 2点目、この地域医療構想はそもそもですけれども、総量規制ではなくて、これから地域医療とか介護とか地域を守っていくために、足らないものは足らないとして増やす、それから、無駄なもの、あるいは多いものは何とかしようというものではないのかと思います。そういった意味で、これから各論に入っていくとお聞きしておりますので、お願いといたしましては今までの地域医療構想は病床の数の話ばかりだったわけですけれども、今度は少し横展開していただいて、介護、あるいは在宅のニーズ、あるいはその量といったものと医療の量の両方を、いろいろなところに書いてありますように、医療・介護、在宅を連携させるような数字等を出していただいて各論で議論していただきたいというのがお願いでございます。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 御意見ではありましたけれども、事務局、何かコメントはありますか。2番目についてはそういうようなお考えで議論を進めているのだろうと思いますけれども、確保基金の使用対象についての御意見もありました。答えられる範囲で結構でございます。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 地域医療介護総合確保基金、地域医療構想の達成に向けた施設設備の整備ですとか、あるいは病床を減らした場合の給付金というようなものもございます。そのほか、在宅医療の提供ですとか、あるいは医療従事者の確保に関する事業などのソフト面、運用面に関する支援というのもできることになっています。そのような中で、今、御意見をいただいたような必要な医療提供に関する支援ができないか、また検討したいと思います。
○遠藤部会長 よろしいですか。
 では、島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 島崎です。全体的な印象を申し上げると、これは前回の医療部会でも申し上げたのですけれども、土俵を広げすぎていて、医療提供体制にまつわるいろいろな問題を全て地域医療構想にぶちまけてしまっている感がありますが、果たして本当に現場で対応できるのか。そもそも、率直に申し上げれば、地域医療構想調整会議にしても必ずしも十分機能していない実態がある中で、土俵を広げてしまって大丈夫なのかという印象を持ちます。
 地域医療構想は「白地に絵を描く」ものではなく、これまで積み重ねがあるわけですので、私は、まず、今後ともそのスキームを基本的に維持・延長するのか、抜本的に見直すのかということをきちんと議論すべきだと思います。
 具体的なことを言うと、私自身は在宅も対象に入れることについては全く異論ないのですけれども、これまでの地域医療構想において在宅医療が議論の対象から外れていたかというとそうではありません。そんなことはなくて、特養や介護医療院なども含め「在宅等」という形で、慢性期の病床との代替関係については、きちんと議論すべきだということはこれまでも強調されてきたわけです。
 そうでありながら、それが市町村と議論を積み重ねてボトムアップでできていなかったことに問題があるのであって、在宅医療を正面に出したからといって議論が進むのか。また、地域医療計画でも在宅医療は対象であり、地域医療構想と地域医療計画の関係にしても、地域医療構想のほうが長いタームで医療計画のほうは6年タームでということになるとすると、そもそも法律上は地域医療構想というのは医療計画の一部だという位置づけなのだけれども、それが逆転するような形を想定しているのかとも思います。別にそれが悪いわけではないのですが、そこまでやるのだったらやるで、そういうスキームでやるということをきちんと正面から打ち出さないとまずいと思います。
 もう一つ申し上げたいことは、以前から議論がありますとおり、病床機能報告との関係です。地域医療構想の各病床の必要量というのは4つの病床区分ごとに推計入院患者数を出しそれを病床数に置き換えたものです。これに対して、病床機能報告は病棟単位でみた病床数で、1つの病棟にはさまざまな状態の患者が混在しているので、そもそも見ている観点が全然違うわけです。ですから、これを比較して、例えば、まだ回復期が足りないといった議論は、本当に耐えられ得る議論なのかと思います。そこのところをきちんと整理しないと、例えば都道府県に権限を与えても、そもそも議論の前提があやふやなところで権限行使などできませんので、病床機能報告と比較対照するというスキームを維持するのかどうかは基本論です。
 分かりやすい例で言えば、今般の診療報酬改定で地域包括医療病棟が新設されました。看護体制は10対1ですから一応急性期と考えていいのかもしれませんけれども、患者に対しリハビリを行い退院する頃は回復期の状態になっているかもしれないわけで、地域包括医療病棟が急性期か回復期かとか、病床機能を4つの区分ごとに算定して、どの病床機能が足りていないとかといった議論をするのにどれだけの意味があるのかと思います。
 要するに、言いたいことは、これまでの地域医療構想の評価をしっかり行い、その延長線で対応するもの、維持しなくてはいけないもの、新たな考え方を組み込むもの、抜本的に改めるべきものというようにきちんと仕切らないと、議論が拡散してしまって実効性がないことになるのではないかということを危惧します。
 この議論はもう少し早目にやるべきことかもしれませんけれども、遅ればせながら、ぜひそこの点は検討会できちんと議論していただきたいと思います。
○遠藤部会長 御意見として承りました。事務局の意見は特段よろしくて、それは検討会への御一考という理解でよろしいですか。
○島崎委員 病床と病棟の関係のところについてはコメントをいただければと思います。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 検討会の中でも将来の必要病床数の推計というのは推計患者から病床の単位で推計をしていて、病床機能報告は病棟単位で選んで報告をしているというような御指摘をいただいています。そのために数字にも差異が生じているところがあると、今までの2025年に向けた地域医療構想でもそのような差異、病棟単位と病床単位の差異があるということを言われていたので、どれぐらいの差異が生じて、それによる差異はどれぐらいなのかというものも都道府県に勘案した上で、地域での議論をやってくださいというようなこともお願いをしているところです。
 その上で、今回新しい地域医療構想で推計をどのようにやるか、あるいは病床機能報告をどのようにやるかについては、またこの後、各論の中で議論していこうと考えています。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 確かにその対象を拡大しておりますので、これまでのような病床だけでもあれだけいろいろと議論があったわけでありますから、対象が非常に拡大して、それらが相互に代替関係にあったりしますので、なかなか難しい方程式を解くのだろうなという形に思いますので、実行する上では仕掛けが大変難しいだろうなという認識は私も持っております。そういうことを踏まえながら、多分検討していくことになると思いますけれども、ひとつよろしくお願いいたします。
 何か事務局でありますか。よろしいですか。
 では、玉川参考人、お待たせしました。
○玉川参考人 初めに、厚生労働省におかれましては、地域医療構想の取組に関しまして、各都道府県への事前の説明や意見交換の機会など、地方との緊密な連携に御配慮いただいていることについて改めて感謝を申し上げます。その上で、新たな地域医療構想の検討について、都道府県の立場から4点ほど申し上げます。
 1点目、国全体が目指す医療の将来像についてです。地域医療構想はこれまでは各構想区域における病床機能の最適化が議論の軸となっておりましたが、新たな構想では各構想区域における医療の将来像全体が議論されています。各構想区域で目指すべき将来像を議論するに際しては、国全体が目指す方向性を踏まえる必要があります。したがって、新たな地域医療構想においては、国としてのグランドデザイン、将来ビジョンをしっかりと明確に示すことが必要と考えます。
 2点目、実効性の確保についてです。入院医療だけではなく、外来・在宅医療、介護との連携などを含む広範な内容となる中、各構想区域において主体的に取り組み、期待される成果が上げられるようにしていく上では、どのようにすれば実効性を確保できるかといった観点を踏まえた検討が非常に重要となります。
 3点目、都道府県意見の反映です。実効性を確保していく上でも地域医療構想の作成主体であり、具体的な実務を担う各都道府県への早めの情報提供や意見照会、意見交換の場を設けるなど、都道府県の意見を十分に反映しながら、中長期的な課題や国として講ずべき制度的対応について十分検討するようお願いいたします。なお、この点につきましては先ほど島崎委員から御指摘があった部分と共通する意見を5月22日の検討会の中でも出しています。今までの地域医療構想がどのような課題があってというところから、次に向けてどのような課題を検討していくべきかということも整理したつもりでございますので、そういった点も含めて検討いただければと思います。
 4点目、関係者の負担軽減についてです。新たな地域医療構想の対象が拡大し、そして、取組がより深くなる一方で、実務を担う都道府県や現場の医療機関等の負担が大きくなる懸念があります。自治体においてもマンパワーが限られていることを踏まえ、構想が対象とする範囲の適正化、業務重複を避けるための効率的な推進、スタート段階からの各種支援体制の確保など、負担軽減の観点から検討を進める必要があると考えます。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 どうもありがとうございました。
 続きまして、城守委員、よろしくお願いいたします。
○城守委員 今回、今後の新しい地域医療構想に関してのスケジュール感を示していただいたわけですけれども、43ページにありますように、2040年の事情というのは、全国的に見れば一定の傾向があるにしても、各都道府県によってそれぞれ、人口構成や医療提供体制の在り方も含めて、その事情が異なるのは当然のことだろうと思います。
 その中で、ガイドラインについては、5ページのスケジュールに合わせて見ますと、これから策定をされるということになると思います。以前にもお話ししたのですけれども、このお話は医療提供体制そのもの、医療計画そのものであるわけでございますので、要するにこの検討会一つで全て外来から入院、そして、在宅まで議論するのはタイムスケジュール的にもなかなか難しいのではないかなと思いますので、分科会なりワーキングが必要なのではないかということをお聞きしたいと思います。
 その点に関して事務局はどう考えているのかということを1点お聞きした上で、ガイドラインの作成を今後していただくに当たって2点ほど要望があります。
 1点目は、国として基本的に何らかの方針・指針というものを、これまでの地域医療構想の考え方をベースにしつつ、今後またこの会で議論していただくことになるのだろうと思いますけれども、その中で、あまり厳格な基準みたいなものを明確にしてしまいますと、各都道府県に合致しないということ、都道府県は言われたとおりに国の方針に沿ってしなければいけないと、硬直的なものの考え方をされることが多いですから、結果的に地域医療構想がこれまで進んでなかったということがあると思います。
 ですから、国の考え方としては、あまり細部にわたった示し方を示さないほうがいいのではないかなと思います。一方、都道府県に関しては、都道府県に任していたのではできないというお話もございましたが、私はそうではなくて、これは都道府県がやらないと進まないと思います。そのためには都道府県の働き方というか業務の仕方、その在り様とか、さらには裁量権の在り方ということを明確に、このガイドラインの中には示していただいたほうがいいのではないかなと思います。
 あと1点、コンパクトシティ構想があります。まちづくりとして新たに考えられるという都市があれば、このガイドラインの中では、その考え方も踏まえた上でこの構想の整理をしていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 御意見が多かったのですけれども、御質問もあったかと思いますので、事務局のコメントをいただければと思います。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) ガイドラインの検討の体制、分科会なりワーキングが必要ではないかという御指摘をいただきました。まずは制度改正の具体的な内容を今ある新たな地域医療構想の検討会で議論をしていくということに注力していきたいと考えています。その上で、制度改正をやった上でガイドラインの検討になります。なので、まだガイドラインの検討体制をどうするかまでは決めていないというか、まだ考えられていないというのが実情になります。幅広い分野ですので、その分野ごとの検討体制が必要ではないかというような御意見も踏まえて考えたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、荻野委員、お願いいたします。
○荻野委員 過日は、新たな地域医療構想に関する検討会でヒアリングの機会をいただきましてありがとうございました。資料の中では18ページに反映していただいていると理解しております。その上で、1点意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 57ページの目指すべき医療提供体制の基本的な考え方(案)の具体的説明の2つ目の矢羽根でございます。増加する在宅医療需要に対応するための記載で、介護との連携等とまとめられておりますけれども、在宅医療での連携は医療機関はもちろんでございますけれども、医療機関、薬局、訪問看護事業所等との連携を含むという視点で、こういった関係が読みづらいと感じております。その後の外来医療の記載についても同様でございます。医薬品提供体制としての薬局も含めていただき、抜け落ちのないよう、また、医療計画の在宅指針においての記載とも齟齬がないようにしていただきたいと考えております。この点について、事務局からコメントをお願いしたいと思います。
 また、検討会の中では各論の議論が今後されると理解をしておりますけれども、検討会のスケジュールの中で、この部分の整理のための議論が行われることを期待しているということを申し上げさせていただきます。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、事務局、御質問がありましたのでコメントをお願いします。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 御指摘いただいたように、在宅医療、あるいは外来において、薬局の役割は重要な役割だと認識をしています。資料の18ページの図の中にも薬局という位置づけを入れています。また、今後の新しい地域医療構想の検討の中で、在宅医療、あるいは外来医療の在り方、ガイドラインを検討する際に、そのような薬局の役割・位置づけもしっかりと議論をしたいと考えています。今議論しているのは制度改正の内容になるような骨の議論になりますので、その後、ガイドラインで具体的に詳細な議論をする際にしっかりと考えたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 よろしいですか。
 本件については以上とさせていただければと思います。
 いろいろな御意見が出ましたので、事務局におかれましては本日いただきました意見を踏まえて、引き続き議論を深めていくようにお願いをいたします。
 それでは、2番目の議題に移ります。医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案について、事務局から説明をお願いいたします。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 医療提供体制改革担当の参事官です。資料2を用いまして医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案について説明いたします。
 8月30日に厚生労働大臣から、この対策パッケージの骨子案を公表していますので、本日はその内容の報告ということになります。まだ骨子案ですので、具体的な内容というよりも検討項目などを示すものになっています。年末に向けて本日いただいた意見も踏まえ、関係する検討会で検討を進めていきたいと考えています。こちらも資料の枚数が多くなっていますのでポイントを説明いたします。
 まず、3ページから医師偏在の現状に関係するデータの主なものを入れています。
 4ページは医師数の年次推移になります。医師数は全体として増加をしているということです。
 5ページは日本の人口の推移、人口の減少が既に始まっているということです。
 6ページは令和2年度の医師の需給推計になります。下のほうですが、2032年頃に均衡するという推計が現在の推計になります。
 7ページから医師の地域偏在についてです。都道府県別の医師偏在指標になります。人口当たりの医師数を基本に一定の仮定を置いて算定式をつくって、全国の医師偏在の状況を示す一つの指標として医師偏在指標をつくっています。これを踏まえまして各都道府県で取組を進めていただいているというものです。都道府県別の医師偏在指標、黄色が上位3分の1の都道府県、青の下位3分の1が医療少数県の都道府県となっています。
 8~10ページは、都道府県の中でも医師の偏在があるということで、二次医療圏別の医師偏在指標の状況になります。
 11ページは施設の種別・年齢別に見た医師数になります。上の四角ですが、令和2年に比べ、令和4年は病院の従事者は1,430人増加、大学の病院の従事者は2,190人増加をしている診療所の従事者は120人の増加となっています。年齢別に見ますと、若手の医師ほど、病院の従事者が多く、年齢が高くなると診療所の従事者が多くなっていくということになっています。
 12ページ、診療所従事医師の年齢階級別の割合です。2つ目の○ですが、診療所が主たる従事者の医師について、60歳以上の医師の割合が増加をしてきているという状況です。
 13ページは人口規模別の二次医療圏ごとの診療所の数の変化です。人口規模が小さい二次医療圏において診療所は減少傾向、50万人以上、100万人以上の二次医療圏では診療所数が増加傾向にあるということです。
 14ページからが診療科別の状況になります。診療科別医師数の推移、実人数になります。内科が一番多くて増加傾向、次は外科が多いということです。
 15ページは平成20年を起点とした場合の診療科別医師数の推移になります。それぞれの診療科で増加をしているが、先ほど外科の指摘がありましたが、外科はおおむね横ばいという状況になっています。
 16ページは診療科別の時間外・休日労働時間になります。外科ですとか産婦人科、脳神経外科の時間が長くなっているということです。
 17ページ、今度は美容医療に関連する医師数で、診療所において主に皮膚科、美容外科、形成外科に従事する医師は、医師全体に比べると30代以下の医師の占める割合が多くなっています。
 18ページからは現在行っている取組の概要資料になります。平成30年に医療法、医師法の改正を行って、都道府県の医師確保計画の策定ですとか、あるいは臨床研修病院の指定権限などの都道府県への移譲を行っています。
 19ページが医師確保対策に関する取組の全体像になります。左上の医師養成課程における取組として、大学医学部の地域枠の設定ですとか、臨床研修における都道府県別の研修医の募集、定員の上限数の設定、あるいは専門研修のシーリングの設定ということを行っています。右側の各都道府県において医師確保計画を策定して、医師偏在指標による偏在状況の把握、それから、確保すべき目標医師数の設定などを行い、取組を推進しています。
 具体的な施策として、左側と連動しますが地域枠の設定ですとか、地域医療対策協議会において、都道府県、大学、都道府県医師会などの協議会で、医師確保の方針、派遣調整などについて協議を行い、地域医療支援センターにおいて派遣される医師のキャリア支援、負担軽減などを実施しています。
 また、キャリア形成プログラム、医師不足地域の医師確保、それから、派遣される医師の能力開発向上、両立するようなプログラムの策定というものを行っています。さらに医師少数区域で一定期間勤務した医師を厚生労働大臣が認定をする制度というものを先ほどの平成30年の医療法改正で創設をして、その制度の活用ということを進めています。
 併せて、一番下、医師の働き方改革による勤務環境の改善などを行って進めているところです。
 20ページ以降はそれぞれの施策の概要資料を載せています。
 26ページまで飛んでいただいて、医師養成課程を通じた取組などによる状況になります。35歳未満の医療施設従事医師数の推移です。医師少数都道府県の若手の医師数は医師多数都道府県と比較して増加している。若手の医師については地域偏在が縮小してきているという状況です。
 他方で27ページ、若手医師に限らない医療施設従事医師数の推移を見ると、医師少数都道府県の医師数の伸び率は多数都道府県よりも大きいけれども、若手医師の差と比較すると小さいという状況になっています。
 28ページ以降は医師確保計画などの概要資料おつけしています。
 36ページは医師確保計画を通じた目標の達成状況になります。真ん中の医師少数県における目標として、第7次医師確保計画終了時までに計画開始時の医師偏在指標下位3分の1基準に達するという目標としていたところ、16県のうち目標までいっているのが6県、医師少数区域においては105区域のうちの43区域ということで、残りの区域はそこまではいっていないという状況です。
 それらの状況を踏まえて、37ページが総合的な対策パッケージの骨子案になります。
 38ページ、昨年12月の全世代型社会保障の改革工程にも医師偏在対策の記載がございます。養成課程における取組を進める、それから、医師少数区域の勤務医師の認定制度において管理者として評価する医療機関の拡大、あるいは下のほうの医学部臨時定員、経済的インセンティブ、外来医師多数区域の都道府県への権限強化をはじめとする規制的手法の在り方の検討ということが記載をされていました。
 39ページ、骨太の方針2024でも医師偏在の是正の記載がございます。医師確保計画の深化、それから、養成課程での地域枠の活用、大学病院からの医師派遣、総合的な診療能力を有する医師の育成、リカレント教育の実施など、必要な人材を確保するための取組、それから、経済的インセンティブによる偏在是正、あと、医師少数区域勤務経験を求める管理者要件の拡大などの規制的手法を組み合わせた取組の実施など、総合的な対策のパッケージを2024年末までに策定するとされています。
 これを踏まえ、40ページ、8月30日に厚生労働大臣から総合的な対策パッケージの骨子案が公表されています。
 ①医師確保計画の深化として、都道府県における医師偏在の是正プランの策定、それから、国における重点的な支援対象区域の選定。
 ②医師の確保・育成、医師少数区域等で従事する医師の育成、増やす観点からの取組になります。医師少数区域の勤務経験を求める管理者要件の拡大、外来医師多数区域の都道府県の権限、保険医制度における取扱い等の規制的手法の検討、それから、養成課程では臨床研修の広域連携プログラムの制度化、あるいは中堅医師、シニア医師などの総合的な診療能力に係るリカレント教育の予算の要求、医師多数県の臨時定員地域枠の医師少数県への振替の検討。
 ③については実効的な医師の配置の観点の取組になります。医療介護基金等による重点的な支援区域の医療機関、それから、そのような区域で従事する医師の処遇改善のための経済的なインセンティブ、その区域への医師派遣を行う中核的な病院への支援、全国的なマッチング機能の支援などの検討。
 一番下については実効性を高める観点で、都道府県と大学病院との連携パートナーシップ協定について検討するということを骨子案として公表しています。
 これらについて年末に向けて検討していくということです。
 41ページ、本日厚生労働省の医師偏在対策推進本部を開催しました。それの資料になります。省内の大臣をトップとした会議体になります。
 主な論点として、①の医師確保計画については都道府県が主体的に取り組み、国がサポートする仕組みの検討。
 ②の医師の確保養成については、医学生、若手医師の地域への理解、意識の涵養、臨床研修の広域連携プログラム、あるいは医師少数区域の勤務経験の管理者要件の対象医療機関の拡大の検討。
 2つ目の■で外来医師多数区域における新規開業希望者に対する医療機能の要請等の現行の仕組みをより実効力のあるものとするなどの規制的手法について、医療法等における位置づけを含めた検討。
 3つ目の■、保険医制度の中で、保険診療の質を高めつつ、医師の偏在是正に向けてどのような方策が考えられるか。
 4つ目は、より一層の対応が必要な診療科の医師のインセンティブを高める方策。
 その次はリカレント教育の推進、さらに医師養成課程、診療報酬の観点からの案についても検討ということ。
 ③実効的な医師配置、こちらは重点的な支援対象区域の開業、承継の支援、あるいは経済的インセンティブを含め、医師の勤務意欲につながる方策の検討、医師派遣を行う病院への支援、全国的なマッチング機能の支援等の検討ということです。
 ④実施に向けてということで、①から③の取組を推進していく上で、規制的手法はもとより、経済的インセンティブとしてどのような対応が必要か。国・地方のほか、保険者等からの協力を得るなど、あらゆる方策を検討すべきではないか。
 最後の■で、取組を国、地方、医療関係者、保険者等がどのように協力して実施していくべきか。
 これらの論点などについて、年末に向けた検討をしていきたいと考えています。
 具体的な検討については42ページ、今後年末に向けて関係する検討会などで検討を進めていきたいと考えています。42ページの新たな地域医療構想等に関する検討会では、医師養成課程を通じた対策を除く医師偏在対策に関する事項を検討事項としています。
 43ページの医師養成課程を通じた医師の偏在是正の検討会でも医師養成課程の対策について検討を進めていきたいと考えています。また、検討の途中で医療部会にも報告をしながら進めていきたいと考えています。また、骨子案の中には保険局に関連する事項もございます。保険局のほうでも関係する会議体で検討を行うこととしています。
 資料の説明は以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 本件に関連しまして、角田委員、城守委員より資料が提出されておりますので御紹介をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○角田委員 遠藤部会長、ありがとうございます。日本医師会の角田でございます。
 私ども日本医師会が医師偏在に対する考え方を8月21日に公表いたしましたので、お時間をいただいて説明させていただきたいと思います。
 医師偏在については、解決のためにあらゆる手段で複合的に対応していく必要があるので、私どもはこれまでもずっと検討してまいりましたし、当たってまいりました。さらにここでもう一段ギアを上げて、主体的かつ積極的に取り組むべきと考えております。
 ただ、一方では医師の多数区域、少数区域といった一律の基準によって決めるのではなくて、先ほどから御指摘のあるように都道府県が主体となって、地域で本当に必要な医療がどの程度あるのか、そういったことを議論した上で進めていきたいと思います。
 以下の6つを述べさせていただきました。
 1つ目が公的・公立病院の管理者要件でございます。現在、地域医療支援病院の管理者要件には医師少数区域での勤務経験ということでございますが、これを将来、そういった公的な使命を担う病院の管理者になるために、医師少数区域で勤務する経験を積んでいただくということで、公的・公立病院に管理者用件を広げていただくことでございます。
 2つ目が医師少数地域の開業支援などでございます。医師少数地域においては新たに診療所を開設する医師に対して、開設から一定期間の資金の支援策を創設する。また、医師少数地域で働く医師、これは勤務医・開業医も合わせてですが、確保・派遣を強化するということでございます。確保・派遣を強化するためには、地方で医師が高齢化して、なかなか後継者もいないということもございますので、しっかりと承継面でも支援は必要だと考えております。
 3つ目が全国レベルの医師マッチング支援でございます。これは医師少数地域で勤務を希望する医師に対してリカレント研修や現場体験を行いつつ、医師少数地域での勤務を全国的にマッチングするという仕組みでございます。それぞれの都道府県が主体となることが基本でございますが、それだけでは対応できない場合には、こういった広域的なマッチングを行う仕組みが必要と考えます。
 4つ目が保険診療実績要件でございます。保険医療機関の管理者として、卒後一定期間の保険診療実績の要件を加え、保険診療の質を高めるということでございます。我が国は御存じように世界に冠たる国民皆保険の制度を有しておりますので、一定期間、保険医療機関で保険医としてしっかりと研修を積んでいただく、それを保険医療機関の管理者要件にしていただくということが一つの提案でございます。
 5つ目が地域医療貢献の枠組みの推進でございます。具体的には外来の医師多数区域等において、新規開設を希望する者には地域で不足する医療機能を担うことを要請する仕組みはございます。要請された医療機関に、資料の2枚目にございますが、初期救急であったり、時間外診療、在宅医療、公衆衛生活動や学校医といったことをしっかりと担っていただくということ、それを要請して承諾いただければ受けていただく、受け入れていただけない場合には協議の場に出席を求めて、その結果を住民等に公表するということでございます。これは現在でも行われておりますが実効性がない面もありますので、しっかりとそういったことを強く要請できる仕組みが必要と考えております。
 6つ目は今まで述べてきた医師偏在対策の基金の創設でございます。基金は国においてしっかりと創設いただいて、骨太の方針2024でも、経済的インセンティブによる偏在是正が明記されていますので、医師偏在対策ではディスインセンティブを行うのではなく、しっかりとしたインセンティブをつけて行うことが大前提だと思っております。
 例えば診療所を継続していただける方や、地域の病院で勤務をする医師に対して、一方では、医師を派遣する病院に対しても、しっかりとしたそういったインセンティブをつけていただくことが重要だと思います。地域で必要とされる医療機能を維持して確保するためには、これらの医療機関の承継や派遣元の医療機関、また、診療所の開設など、経済的に支援するために、医師偏在解消に特化した基金を国において創設していただきたいと考えております。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 角田委員、ありがとうございました。
 それでは、皆さんから御意見をいただきたいと思います。
 山口委員、お願いします。
○山口委員 山口でございます。私からは2点ほど意見がございます。
 一つが、17ページに美容医療に関する医師数について年代別に占める割合が書かれていたので、実際に数が増えているのかどうかが分からないので、人数を教えていただきたいと申し上げましたところ、美容医療に関する検討会が行われているところの資料をいただきました。すると、2010年には美容医療に関する診療所従事医師が406名だったのが、12年後の2022年には1,230名ということで824名増えていることが分かりました。特に20代、30代でいうと159名だったのが656名になって、約500名も増えているということでした。この数字を見たときに、何か対策を講じていかないといけないのではないかなと思いました。
 先ほど地域医療支援病院で管理者になるためには、医師少数区域で一定期間働いて認定されるという話がありましたが、美容医療に携わる人も、一定期間医師少数地域で働いて社会貢献をしていただいてから美容医療に従事するようなことを課してもいいのではないかなと思うぐらい、何らかの対策を講じていく必要があるのではないかなということが、まず一つです。
 もう一つが、いろいろと若手医師、例えば専攻医の研修にシーリングをかけたり、それから、その結果、26ページに若手医師が少数県で人数が増えてきているというようなお話もありました。しかし、実は私、医師専門研修部会で委員を務めていますが、シーリングの結果、何の効果があったかというと、医師多数県での専攻医は減っているわけですけれども、実際に少数県に行っているかというと、医師多数県の近隣の県に専攻医が流れているという現状があって、シーリングの限界ではないかと感じています。
 さらに36ページに、医師少数県16県の中で目標を達成した医師少数県が6県ということで、この6県はどこなのかと伺いましたら、栃木、群馬、長野、岐阜、三重、宮崎ということで、東北の問題になっている医師少数県は充足できていないということが見えてきました。医師偏在については、初期研修医や専攻医での対策ということは少し限界ではないかと思っていますので、ぜひ中堅の即戦力になる、初期研修医にしても専攻医にしても指導医が必要になってくると、それでなくても医師の数が少ないところに指導医を充足しないという問題がありますので、ぜひ中堅の方が少数県、あるいは少数区域へ行っていただけるような対策に力を入れていく時期に来ているのではないかなと思っております。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 貴重な情報も含めて御意見をいただきました。
 それでは、楠岡委員、お願いいたします。
○楠岡部会長代理 楠岡です。これまでの偏在対策に関しまして、特に地域枠はある意味で成功している、地域枠の出身者はかなり定着もあるし、また、都会等の病院に行ってもUターンする方もいらっしゃるということで一定の効果が出ているかと思います。
 しかしながら、そういう対策が対象にしているのは卒後15年以内ぐらいの医師であって、すなわち40歳以下の医師に関しましては、この10年間の地域枠等の効果が出ているのに対して、40歳以上の偏在に関しては全く手が打てていないと思います。40歳以上の医師に対する偏在対策というのを考えていかないと、実質的に偏在対策にならない。ただ、地域枠でも10年たってやっとここですので、今からすぐに効果があるようなものが出るかどうかというのは難しいですけれども、そこをまず考えていかないと根本的な解決にはつながらないだろうということです。
 もう1点は、偏在対策に対してインセンティブとして医師少数区域で勤務した医師を認定するという制度ができたわけですけれども、これまでに何人を認定して、その中から管理者になった方が何人いるのかという、その辺りもう一度はっきり出していただかないと、これが本当にインセンティブになっているのかどうか、認定された方がほとんど若手で当面まだ院長にはほど遠いので、将来、10年、20年後が期待できるというのであれば、それはあまり効果がないのではないか。
 逆に今、院長のなり手を探すのに非常に苦労しているという現状があって、若手医師は院長などになりたくないという人も結構いらっしゃる。認定されると院長を押し付けられるかもしれないから、認定を受けないという逆のインセンティブになりかねない要素もあるので、この辺りはしっかり若手の医師の意向等も調査して、どういうインセンティブがいいのかということを考えていただく必要があるのではないかと思います。
 例えばこれはほとんど不可能に近いと思うのですけれども、認定を受けた方が将来40歳、50歳を過ぎて開業されたときに、開業の直後何年間は診療報酬上、少し優遇処置をつけるとか、あるいはこういう認定を受けた方が小規模病院で一定数いらっしゃると、そこに診療報酬の何かをつけるというような形で、管理者以外のところで、しかも本人のインセンティブではなくて、雇い入れするほう、あるいは地域で活動する中での何かそういう経済的インセンティブを加えると、認定を受けようということで、地域で若い時代を過ごそうという方も増えるでしょうし、逆にそれをもって一旦都会には出られても、それが使えるのであればということで、またUターンされる方も増えてくるかと思います。いろいろな方策、特にインセンティブに関しては、いろいろ考えていただいたほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 神野委員、どうぞ。
○神野委員 確認ですけれども、42ページで、これから医師偏在対策に関する事項は新たな地域医療等に関する検討会でやると書いてございます。先ほどの議論で地域医療構想に関する検討会に検討すべきことがたくさんあるという話をした挙げ句に今度はここもでもやるのかという確認と、次のページの医師養成課程を通じた医師の偏在対策、これがまさに地域枠等だと思いますけれども、こちらに関してはこちらの委員会ということで、両方とも遠藤部会長が座長であらせられるので大変御愁傷様ですけれども、頑張っていただかなくてはいけないのかなと思いました。
 40ページの大臣から出た資料であります。骨太でも出ておりますけれども、2024年末までに総合的な対策のパッケージ、2024年末はあと何か月ですか、2か月、3か月、それでこれに対するパッケージ、このパッケージが何かという話になるのですけれども、みんな検討するではないですか、検討するだったら結論が出ていないわけです。検討するとあって、検討するでパッケージは終わらないですよねというのを確認したいと強く思います。
 その次のページに主な論点がありますけれども、この41ページの論点を見ましても検討すべきではないかとかいうような結論が最後の文面でありますので、では、どうするのですかというようなところ、今年末までにつくるのですかということを確認させていただきたいと思います。
 その一つの骨子ができることで、証拠として、先ほど山口委員がおっしゃったような、例えば都会で若い開業が増えて、美容内科・美容外科が多いところが、この骨子でいかに減ってくるかというのは、まさにその証拠になるのだと思います。41ページの下のほうにありますけれども、国、地方、医療関係者、保険者ということが書いてありますので、これはもしかしたら先ほど日医のほうから出ました管理者要件でいきなり自費品量ではなく保険診療をやらなくては駄目だとか、そういったような保険者、保険医といったところに手をつけるのですかということも確認したいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 事務局に確認したいということですね。御回答できる範囲でお願いいたします。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 最初の検討の場ですが、神野委員のおっしゃられたとおり、新たな地域医療構想に関する検討会で医師養成課程を通じた対策以外の部分、養成課程のところは養成課程を通じた医師偏在対策検討会のほうで議論をしていこうと考えています。あと、保険局に関連する事項については保険局のほうの検討する場で議論いただくということです。
 その上で、今回8月30日に公表されたものはパッケージの骨子案ということで、それぞれの項目に検討というような言葉を書いていますが、年末には対策のパッケージを策定するということなので、基本的にこういうことをやっていくのだというようなところをまとめるべく、年末に向けた検討をやっていきたいと考えています。
○神野委員 ありがとうございます。
 検討が取れるということで、期待したいと思います。
○遠藤部会長 木戸委員、お願いいたします。
○木戸委員 資料2の40ページに骨子案をまとめていただいていると思いますが、幾つかコメントさせていただきます。
 まず、②の医師の確保・養成のところですが、山口委員の御意見に私も賛成で、医師の偏在を若手医師の配置で何とかしようとすることにはもはや限界があると思います。今回新たに提案されている広域連携プログラムにつきましても、研修医が充実した研修が受けられて、医師不足の地域での研修で得た経験から地域医療の関心を高めることを期待するものであって、メーンはあくまでもよりよい医師を養成することであって、これを偏在是正策の切り札として過剰に期待して規制を強めすぎるのは適切ではないと思います。
 また、全体として規制的手法とインセンティブとで偏在是正を図るとされておりますが、いわゆる北風と太陽のたとえのように、開業を制限するとか、規制的手法は一時的には多少効果があるように見えても、長い目で見るとサスティナブルではなく、北風を吹かせることで人手不足でよい人材がほかの産業に流出してしまって、大切な医療の支え手を失うリスクも考えなければなりません。それよりも太陽政策、すなわちインセンティブによる対策をメーンに施策を展開していただいて、基幹病院の勤務医の立場からは、現在医師不足の地域や診療科で医療を支えるために全国の現場で奮闘している医師たちを守って、できるだけその方たちが辞めないような対策をぜひ前面に打ち出していただくことを強く要望したいと思います。
 骨子案の3のところには、重点的な支援地域の医療機関や処遇改善のための経済的インセンティブと記載されていますけれども、かなり限定的で分かりにくい書き方であり、重点的な支援区域のみならず、また、経済的インセンティブだけではなく、勤務医・開業医にかかわらず、医師の心身の負担を減らして健康的に働き続けられる体制づくり、マンパワーの適切な集約など、やるべきことはまだ多く残されており、医師不足の地域や診療科における待遇改善を対策項目の中に大きく明示していただきたいと思います。
 今、何とか頑張っている人たちが疲弊して辞めてしまうと、残った医師はさらに負担が増えて医師不足に拍車がかかります。何でそこに医師が増えないのか、定着しないのかをしっかり分析することがとても大切で、例えば夜間・休日に少ないリソースの下で救急対応をして翌日また通常勤務するとか、主治医だから何回も昼夜を問わず問い合わせや呼び出しに対応するとか、それは大変負担が大きいものです。複数主治医制や当番制、医療機関の集約化、それから、夜間・休日だけでも地域で輪番制とするとか、現在業務が集中している医師の負担をできるだけ減らして、負担が少ないならそこで働いてもいいと思ってもらえる、それこそが医師不足や偏在対策になると思います。
 働き方改革もようやく始まりましたけれども、まだまだ道半ばです。今現場を支えている医師たちに希望の光が差し、太陽が当たるような施策を私からは強く期待します。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。御意見として承りました。
 では、望月委員、お待たせしました。
○望月委員 こういう医師偏在是正に向けた総合的な対策を取ろうということ、本当にうれしく思います。私は医師少数県の代表である岩手県にいます。岩手県は奨学金養成医師・地域枠の医師が活躍をしてきました。県奨学金、地域枠と合計して奨学金養成医師が300名程度になりました。300名中約半数の150名が義務履行として地域病院で勤務しています。残りの150名は大学病院等で研修をしながら、キャリア形成プログラムにのっとって、地域だけではなくて基幹病院での専門医制度の研修とか、あと、大学病院での研究もできるような形でキャリアアップを図っています。医師多数県の地域枠を少数県がもらえるような話もありますので、これはぜひお願いしたいなと思います。
 それから、管理者要件なのですけれど、先ほど楠岡先生がおっしゃっていましたけれども、実際に地域の中小病院の医師たちは病院長になるのだったら開業するという感じの人が多くなって、なかなか病院長になってくれないのです。病院長になると、まず、医師確保のために大学病院の医局を回らなくてはいけないとか、すごいストレスが出てくるのです。そういうこともあって、実際問題として管理者要件をやるのだったら全医療機関に拡大してとか、そのぐらいやらないと、これはあまり効果が出ないのではないかなと思います。
 それから、世代別に医師の偏在を考えていくのは非常に大事で、初期臨床研修、それから、専門医、この若い世代には症例数を多数経験してもらわなければいけないので、地域に行きっ放しというわけにいかないと思うのです。地域と基幹病院を行ったり来たりができるような制度を構築していく必要があり、よい医者をつくって地域に残ってもらうということを主眼にして育てる。40歳代ぐらいの医師から50歳、あと、シニアクラスになると、勤務医をされている方に関してはローテーションで結構地域に行ってくれると思います。
 ですから、大学病院の医師派遣は生活のためというのももちろんありますので、大学病院の医師派遣はもちろんそのまま続けてもらうわけですけれども、ある程度の基幹病院からの医師派遣というのが非常に大切になります。我々は昔、医局人事とかで何々病院に行けと、行ったら行きっ放しでそこに置いていかれることがあったのですけれども、今はそういうのではなくて、地域と基幹病院とを行ったり来たりできるような仕組みを構築して、それに対するインセンティブ等を与えてもらえれば、基幹病院からの医師派遣というのが、より活発にできるのではないかなと思います。その辺、このパッケージの中で、これは新たな地域医療構想の中で議論するということですので、意見を述べて、いい形になればいいなと思っています。
 以上です。ありがとうございました。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、松田委員、お願いいたします。
○松田委員 今、望月先生が言われたことにかなり重なるのですけれども、今回40ページで実効性のある医師派遣・医師配置を実現するといわれているわけです。そこでポイントになってくるのが20ページにある医師の配置、マッチングの話になってくるのですけれども、これをやろうとすると、地域別の診療科別必要医師数みたいなものをかなりきちんとつくっていかないといけないと思います。それを今、専門医機構のほうに任せているわけですけれども、恐らく厚生労働省と少し話し合っていただいて、これをやる必要があるのだろうと思います。
 その上で、望月先生が言われたことにほとんども重なるのですけれども、例えば小児外科の指導医になろうとすると、例えば食道閉鎖症みたいなものの手術の経験がないといけないわけですけれども、そういう症例が人口の少ないところ、高齢が進んだところではほとんどないわけです。そうすると、一つの県単位で考えると専門医を症例数的に取れないところも出てくる。そうすると、広域である程度医師を養成するということを考えていかないといけないので、計画的な地域別のローテーションみたいなものも中に組み込んでいかないといけないのではないかなと思います。
 あと、楠岡先生が言われたとおり、若い医師、医学生がどういうキャリアを形成したいのかと思っているかということについてアンケート調査が必要だろうと思います。実は日本と同じような医師偏在の問題で悩んでいたフランスはBerland報告というかなり大規模な若い人、医学生に対する意識調査をやって、その結果を踏まえて医師偏在対策などをやっていますので、ぜひそういうこともやっていただきたいなと思います。
 あと、医師偏在で特に医師が少ない地域で問題になってくるのは、実はプライマリーケアを担っていただく診療所の医師がいない、あるいは高齢化が進んでいるという問題があり、その実態がどうなっているかということが明らかになったほうがいいと思います。これは厚生労働省が医師報告等を持たれていますので、地域別になかなか表に出せないと思うのですけれども、どの地域で開業されている先生が今何歳ぐらいであるのか、10年後にどうなることが予想されるのかみたいなデータがあって、それが地域医療構想調整会議等で議論されるような形にしていかないと、この医師偏在に実効性のある対策はなかなかつくれないと思います。
 あと、今回の医師偏在の話なのですけれども、特に地方に行きますと、看護師不足というのが非常に大きな課題になっていて、何が起こっているかというと、地方の看護養成機関のほとんどは定員が満たされないという状況になっています。そういう意味で、医師の偏在に合わせて看護助手、補助者の偏在についても議論していただきたい。多分、それがないと病院はベッドがあってもベッドが使えない状況になってしまいますので、ぜひそういう点も踏まえた資料の作成と検討をお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 続きまして、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 地域における医師の偏在是正に加えて、診療科目の偏在への対応も必要だと思っております。17ページに美容外科で近年、20代、30代の医師が占める割合が多いとありますが、医療ニーズは美容医療に限らないものですし、この状況は是正すべきだと考えます。連合はかねてより医師の地域偏在の是正に向けては、医師数の目安を超える地域では保険医の登録を行わないこと、診療科の偏在是正に向けては、診療科別医師数の目安を超える診療科の新規開設指定申請に対して指定を行わないことなどを求めております。
 41ページ、医師の偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案の論点では、規制的手法について具体的に書かれておりませんが、実効性のある対応を具体的に検討すべきだと考えております。
 また、この41ページでは経済的インセンティブについても言及されておりますが、それによる効果は全く分かりませんし、提供体制の確保を患者・被保険者に求めることはおかしいと思います。給付と負担の関係性に基づく社会保険の原則からしても到底納得いくものではありません。規制的手法でしっかりと対応を行っていくべきと考えます。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 松原委員、お願いします。
○松原委員 山口委員や木戸委員と重なりますが、職業選択の自由の確保は重要だと認識してはいる一方、医師になるために公的資金が多額に投入されており、それは社会性・公益性が高いからと考えられます。皆保険の維持のためには保険診療の充実が欠かせず、せっかく公的資金を投入して成長した医師が自由診療に多く流れる傾向があるというのは皆保険にひびが
入る、また、国民に疑念を抱かせるような事態になってしまうのではないかと懸念します。
 そのためにも何らかの制限、例えば医師免許を使うためには一定期間の保険診療を経験する必要があるとか、または開業する際の要件にするとか、何らかの縛りをつくっていくことが重要だと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 お待たせしました、勝又委員、お願いいたします。
○勝又委員 今、医師の偏在が論点となっておりますけれども、先ほど松田委員からも御意見がありましたように、医師だけではなくて看護職をはじめといたしまして、医療関係職種についても地域偏在、あるいは訪問看護などの領域の偏在がございます。なので、同様に検討していただきたいと考えております。
 特に看護職につきましては、令和5年に30年ぶりに改定されました指針においても医療機関、あるいは在宅等の領域間、それから、地域間で偏在が課題とされておりまして、2040年頃を視野に入れた新たな地域医療構想を踏まえて、地域別・領域別も含めた新たな看護師の需給推計を実施することが重要であるというように指針に記載されたところでございます。現状の看護師等の需給推計は2025年までとなっておりまして、また、1番目の議題にございましたように、新たな地域医療構想の大枠が年内に取りまとめられて、そして、2025年度にはガイドラインを発出するということであれば、早急に看護師等の需給推計を策定する必要があるのではないかと考えているところでございます。
 また、医師と同様に、その確保と地域偏在・領域偏在を是正するためにはどうしたらいいのかという方針、あるいは対策、さらには財政確保に関しても検討する必要があると考えております。事務局のほうからどのようにお考えなのかということについてお聞かせいただければと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 では、事務局、よろしくお願いします。
○看護職員確保対策官 看護課でございます。御指摘いただきましたような医師以外の看護職をはじめとした、そうした職種の確保や偏在是正なども大変重要と考えておりまして、看護師につきましては総合確保基金の活用を都道府県に働きかけたりするとともに、ナースセンターのほうの業務を都道府県看護協会様のほうにやっていただいたりしているというのもございますので、そうしたナースセンターの強化なども看護協会様とも御相談して進めていきたいと思っております。
 先ほどお話のありました看護士の需給推計、2025年より後につきまして、今後の地域医療構想の検討会での議論を踏まえまして、医療ニーズですとかサービスの見通しを踏まえて早急に検討してまいりたいと思っております。
 先ほど御指摘のあった養成校の件につきましても検討させていただきまして、また部会のほうにも御報告させていただきたいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、泉委員、どうぞ。
○泉委員 今まで議論が出なかったことについてお話をさせていただきたいと思います。公的病院とか地域医療支援病院の管理者になるためには、医師少数区域での勤務経験が必要だということで、何か立身出世をするためには派遣しなくてはいけないみたいな書き方になっているのですけれども、それほど魅力的な公的病院の管理者ということは今ないので、誤解がないように、ここは書き方を変えていただきたいと思っています。
 現在、地域医療支援病院とか公的病院になりますと、非常に多数の臨床経験、人のマネジメントですとか、医療安全とか、地域医療構想とか、医師の働き方改革とか、感染管理費、それから、災害対応、様々なマネジメント能力が必要で非常に経験が必要になるということで、これを満たす人材というのは極めて限られるということでございます。
 先ほど医師会からも御提案のあった図にも書いてあったのですが、2020年以降に研修した医師は地域医師少数区域での勤務体験が必要だということを書かれてしまうと、それだけ能力のある方なのに医師少数区域で勤務経験がないから管理者になれないというようなことになってしまうと、これは大変なことになりますので、ここは絶対にこれが必要なのだという条件を外していただきたい。それだけ長い年月を重ねていろいろな経験を積まないと管理者になれないという状況が、今、厳しい条件がございますので、そこは誤解がないようにしていただきたいというのが私の希望であります。
 以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、加納委員、よろしくお願いします。
○加納委員 私から3つです。
 まず一つはシーリングの話ですが、シーリングに関しましてはぜひとも効果の検討をしっかりやっていただきたいと思います。少数区域に関しましては先ほどから出ていますように、地域枠とか基幹病院からの派遣とか、そういったいろいろな形での効果が実際にあるところをしっかり拡大していくのが大事かと思っております。
 2つ目は今議論がありました管理者要件であります。本当に民間病院においても後継者がなかなか大変で、しっかりとした病院管理ができる方がなかなかいないのが現状であります。その中で、管理者要件にそれが入ってきますと、本当に今後の病院の運営ができない。先ほど出ましたように、民間病院の今の経営状況は経常利益率がマイナスに入っているわけです。その中で、管理者として病院の運営をやる条件の中に入れることは、本当にこれは筋が余りにも悪すぎる話ではないかなと思っております。
 3つ目は質問です。6ページには医師の需給のデータがいつもこういう形で出てくるわけなのですが、6年ほど前から女性医師の入学者の拡大が起こってきて、ぼちぼちそういった影響が出てきているかと思うのです。若手女性医師が救急現場とかいろいろなところで負担になっている、なかなか難しいということも出てきておりまして、実際にもう一度、女性医師の拡大において特に急性期の現場に影響を及ぼしているのか、そういったものを検討するのかどうかというのをぜひとも教えていただきたいと思います。需給状況に関する女性医師の今後の増加に関する検討をするのかどうか、それだけ御質問とさせていただきたいと思います。
○遠藤部会長 事務局、いかがでしょうか。
○医事課長 医事課長でございます。加納先生から御指摘のあった需給に関して、女性医師の影響ということですが、この資料の6ページ、かつて出したとき、需給のときにも女性医師の割合だとか、そういったものも勘案して出されたと承知をしてございます。一定程度、その需給を検討するに当たっては、男女差だけではなくて、なおかつ診療科ごとにどういう男女比があるのかとか、男女比以外のいろいろなファクターを様々検討する必要があると思っております。それを総合的に今後、需給、あるいは偏在の議論を検討会でやる場合にも、必要な資料等もそろえながら御議論いただくことを準備することについて検討してまいりたいと思います。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 加納委員、よろしいでしょうか。
○加納委員 ありがとうございます。
○遠藤部会長 では、玉川参考人、お待たせしました。
○玉川参考人 医師偏在是正に向けた検討に当たりまして、各都道府県と意見交換の場も設けていただきまして御礼申し上げます。
 医師の偏在につきましては、都道府県間、地域双方で生じており、各都道府県の取組に加え、オールジャパンの総合的な対策が不可欠な課題です。各都道府県でも医師確保対策に尽力してきた中、全国知事会としても医療人材の確保をはじめ、医師の地域偏在や診療科偏在の対策を国に要望してきたところであり、そうした中にあって、8月30日に武見厚生労働大臣から医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージの骨子案が示されたものと認識しております。真摯に取り組んでいただいていることに御礼申し上げます。
 一方で、地方としましては、専攻医募集定員に係るシーリングの厳格化など、従来の課題も含めて総合的にしっかりと取り組んでいくことが重要と考えております。具体的な方策は12月に公表されるとのことでありますが、実効性のある対策としていくためにも、引き続き地方との協議の場を設け、実情を十分に認識した上で対策を講じられるよう、お願いいたします。
 併せて、都道府県の医師確保、偏在是正対策に対して、地域医療介護総合確保基金の充実や弾力的な活用などを含む、抜本的な財政支援の強化についても御検討をお願いいたします。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、河本委員、よろしくお願いします。
○河本委員 医師偏在是正は大変に重要なテーマだと考えておりますけれども、偏在是正に当たっては外来医師多数区域の新規参入抑制、それと医師少数区域の医師確保をセットで行う必要があると認識をしております。
 資料の41ページに論点が示されております。やや唐突に示された論点で、具体的な内容も必ずしもよく分からないところもございますし、私どもも内部で議論できておりませんので、今後この論点については丁寧に議論する必要があると考えております。
 その前提で申し上げますと、医師偏在対策を進める上で、規制的な手法だけではなくて何らかの経済的なインセンティブが必要ということは理解をしております。ただ、保険料を保険給付以外の目的で使用するということは、保険料を負担する被保険者、それから、事業主に対して正直説明がつかないと思います。現時点においては到底賛成できるものではないということを申し上げさせていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、井上委員、お願いいたします。
○井上委員 今、河本委員からありましたように、論点のところで経済的インセンティブで保険者等からの協力という言及がございますが、我々事業者サイドとしても違和感を覚えます。国民の健康な生活を保護するというのは、基本的には第一義的には国の役目だと思いますので、検討に関しては慎重ではあるべきだと思います。
 以上でございます。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 島崎委員、どうぞ。
○島崎委員 時間がありませんので手短に申し上げます。率直に言うと、医師の偏在是正はなかなか決め手がなく、ほかの国でもいろいろ苦労しているのが実情だと思います。比較的、地域枠みたいなものは有効だと言われていますけれども、なかなか決め手がありません。柔道で例えると、「一本」とか「技あり」というのはなかなか難しくて、「有効」みたいなものをいろいろ積み重ねていくよりほかないと基本的に思います。
 その上で申し上げると、私は長野県立病院機構の理事を務めていますので分かるのですけれども、僻地医療も本当に開業医の高齢化が進んでおり、県立病院から医師を派遣してほしいという要請が強く来るのですけれども、そもそも県立病院自体も医師が不足しているというのが実態です。そうした中で、例えば、巡回診療とオンライン診療を組み合わせて地元の町村からの要望にどうにか応えているという実情もあります。何を申し上げたいかというと、先ほど知事会のほうからもお話がありましたとおり、現場で本当にどういうところで苦労しているのかということを丁寧に汲み上げていただきたいというのが私の意見です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。若干押しておりますので、御協力をありがとうございます。
 それでは、本件につきましては以上のとおりとさせていただきたいと思います。
 事務局におかれましては、本日いろいろな御意見をいただきましたので、これらの意見を踏まえまして、引き続き議論を深めていくようにお願いしたいと思います。
 それでは、最後の議題でございます。「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」の報告書について、事務局から説明をお願いします。
○参事官(救急・周産期・災害医療等、医療提供体制改革担当) 医療提供体制改革の担当参事官です。資料3で、かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会の報告書についての報告です。
 6月の医療部会にこの分科会の検討状況の報告をしたところです。その後、分科会のほうで検討を進め、7月31日に報告書が取りまとまりましたので、その報告書の報告です。令和7年度の施行に向けて、この報告書を踏まえて準備をしていきたいと考えています。
 2ページが分科会の構成員などになります。
 3ページが報告書の概要です。ポイントだけ、左側の上の真ん中のところに報告を求めるかかりつけ医機能の内容の主なものを記載をしています。いわゆる1号機能、発生頻度が高い疾患に係る診療、その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能、この中で6月の医療部会に報告した際に議論になっていた点としては、かかりつけ医機能に関する研修についての報告内容をどうするか、それから、一次診療をできるということの報告内容をどうするかというところが議論になっていました。取りまとめとしては、研修のところは、かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無、あるいは総合診療専門医の有無を報告する。それから、一次診療のところは診療領域ごとの一次診療の対応可能の有無、それから、一次診療を行う方が疾患を報告いただくということでまとまっています。
 その下に※で書いていますが、施行後5年を目途として、研修充実の状況、あるいは制度の施行状況などを踏まえ、報告事項について改めて検討することとまとまっています。
 3ページの右下ですが、施行に向けて今後関係省令・告示の改正、あるいはシステムの改修、医師の研修の詳細の整理、ガイドラインの作成、それから、都道府県などに対する研修、説明会の開催などに取り組んで、制度の施行を準備したいと考えています。
 資料の説明は以上になります。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、これに関しまして御意見・御質問をいただきたいと思います。
 勝又委員、どうぞ。
○勝又委員 かかりつけ医機能が医療機関の機能であると考えますと、その機能の発揮に向けては、医師はもとより、その他の職種の教育とか研修が非常に重要になるというように考えています。これについては今までも繰り返し日本看護協会としては発言をさせていただいたところでございます。医師の教育とか研修の充実については報告書の中で述べられているのですけれども、医師以外の他の職種の研修について、どのように考えておられるのかということをお聞きしたいと考えております。
 参考資料、報告書の4ページには、地域におけるかかりつけ医機能の実装に向けて、在宅医療・介護連携推進事業による相談支援とか、あるいは在宅医療研修等の取組ということが書かれていて、これが重要であると記載されているのですけれども、ここでいう研修の対象は医師だけでなく、他の医療関係職種も含めているということで考えていいのかどうかということについてお尋ねをしたいと思います。
 以上です。
○遠藤部会長 事務局、いかがでございましょうか。
○医療政策企画官 医療政策企画官でございます。かかりつけ医の施行に向けた分科会において議論が主にありました医師の研修についてメーンで書いております。その中でも、今、勝又委員から御指摘のあったように、看護師の研修という御意見もあったところでございます。今後、ガイドラインを策定してまいりますので、その中で関係職種の研修といったところも、今もやられている研修もあるでしょうし、そういったところを踏まえながら整理をしていきたいと思っております。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 それでは、佐保委員、お願いいたします。
○佐保委員 時間が限られていますので簡潔に言います。一次診療対応可能の有無は症状でなく、診療領域で記載するようになったようですが、国民・患者が医療機関を選択する際に分かりやすい内容となるよう、施行に向けて準備いただきたいと思います。
 また、かかりつけ医機能の発揮に向けては地域での連携が重要です。地域における協議の場においてはコーディネーターが重要となってきますので、スキルアップに向けた研修や人的資源が乏しい地域でも連携できる仕組みなど、ガイドライン等で具体的に記載いただき、実効性を確保していただきたいと思います。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、玉川参考人、よろしくお願いします。
○玉川参考人 2点コメントさせていただきます。
 1点目は実効性のある制度設計です。実効性のある制度とするため、具体的な運用方法などの決定につきましては、各都道府県と実務的な観点でのすり合わせを丁寧に行うことが重要と考えます。
 2点目は制度運用への支援についてです。施行に際しては都道府県が担う業務が多くあります。医療機関の報告のためのG-MISの改修についても、対象となる医療機関が多数となることから内容の周知や問い合わせ対応等の事務負担の発生も予想されます。
 制度の円滑な施行のためにも専門的な知見に基づく技術的な支援や財政的な支援のほか、システム改修に係る統一的な窓口設置による地方自治体の事務の省力化、ないしは人員体制を強化する場合における交付税措置など、地方の体制確保に必要な支援についても検討をお願いいたします。
 私からは以上です。
○遠藤部会長 ありがとうございました。
 それでは、大体予定されていた時間になりましたので、本件につきましてはこれぐらいにさせていただきたいと思います。
 事務局におかれましては、いろいろな御意見もありましたので御意見を踏まえまして制度の施行に向けた取組を進めていただければと思います。
 それでは、本日の議題は以上のとおりとさせていただきます。
 事務局から何か付け加えることありますか。
○医療政策企画官 長時間にわたり、ありがとうございました。
 次回の医療部会につきましては決まり次第、また御連絡をさせていただきます。
○遠藤部会長 よろしくお願いします。
 それでは、本日の会議はこれまでとさせていただきたいと思います。
 議事運営に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。