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2018年11月8日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成30年11月8日(木)17:00~

 

○場所

新橋8E会議室(8階)

○出席者

出席委員(16名)五十音順

  浦 野 泰 照、○奥 田 真 弘、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、
◎清 田    浩、  宗 林 さおり、 田 島 優 子、 登 美 斉 俊、
  長 島 公 之、  中 野 貴 司、 濵 口    功、 半 田    誠、
  増 井    徹、  南    博 信、 山 口 拓 洋、 山 本 善 裕
 

欠席委員(5名)

  大槻 マミ太郎、 亀 田 秀 人、 菊 池    嘉、 舘 田 一 博、 
  渡 辺    亨
(注)◎部会長 ○部会長代理
 

行政機関出席者

宮 本 真 司(医薬・生活衛生局長)
森    和 彦(大臣官房審議官)
山 本    史(医薬品審査管理課長)
関 野 秀 人(医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森 口    裕 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
宇 津    忍(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
鈴 木 章 記(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。

 本日はお忙しい中、また、遅い時間に御参集いただき、まことにありがとうございます。

 本日の委員の御出席でございますが、大槻委員、亀田委員、菊池委員、舘田委員、渡辺委員より御欠席との御連絡をいただいております。

 また、お二人ほど少し到着が遅れられております。現在のところ当部会委員数21名のうち14名の委員の御出席をいただいております。この時点でも定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。

 また、部会を開始する前に、薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告申し上げます。今回全ての委員の皆様より11条に適合している旨を御申告いただいております。毎回のことではございますが、委員の皆様には書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解・御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、清田部会長に以降の進行をよろしくお願い申し上げます。

○清田部会長 皆さん、こんばんは。

 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品・競合企業リストについて御報告いただきます。よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、配付資料の確認を順番にさせていただきます。

 本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付してございます。

 議事次第に記載されております資料1~11-2、また、議事次第には記載されておりませんが、資料12をあらかじめお送りしてございます。

 このほか、資料13「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料14「専門委員リスト」、資料15「競合品目・競合企業リスト」を配付しております。

 また、今回より会議のペーパーレス化に向けた試みとして、机上には従前の紙の資料に加えて、同じ内容の電子媒体を格納したタブレット本体、スタンド、スタイラスペン、操作説明書を配付しております。

 なお、本日及び次回の医薬品部会では、試行的にタブレットと紙資料の両方を配付することとしておりますので、どちらか見やすいほうを御利用いただければと思います。その後、部会の状況を踏まえまして、来年以降から紙資料の一部の廃止について検討していく予定としております。

 それでは、タブレットで電子ファイルをごらんになる際の操作方法を御説明いたします。

 タブレットを縦にしていただきまして、画面下の丸いボタンを2回押してください。

 画面が表示されましたら、議題ごとにフォルダーが表示されておりますので、「審議議題1」をタッチしてください。

 議題1の資料一覧が表示され、ごらんになりたい資料名をタッチしていただくと資料が表示されます。ほかの資料を御確認いただく場合には、左上の青字「審議議題1」をタッチしていただくと、資料一覧が再度表示されます。

 また、ほかの議題を御確認いただく場合には、左上のマイプライベートファイルをタッチしていただくと、再び議題ごとのフォルダーが表示されますので、必要に応じてフォルダーをタッチして御覧いただくようお願いいたします。

 なお、タブレットの動作不良や操作についての御質問などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけください。

 続きまして、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」、資料15について御報告させていただきます。

 1ページをごらんください。「ジャルカ配合錠」でございますが、本品目は「HIV-1感染症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページをごらんください。「アテゾリズマブ(遺伝子組換え)」でございますが、本品目は「小細胞肺癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページをごらんください。「Entrectinib」でございますが、本品目は「NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形がん」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。

 以上でございます。

○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。

 それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解をいただいたものといたします。

 それでは、委員からの申し出状況について、御報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申し出状況については、次のとおりでございます。

 議題1「ジャルカ」、退室委員なし、議決には参加しない委員、中野委員、南委員、山口委員、山本委員。

 議題2「アテゾリズマブ」、退室委員、川上委員、議決には参加しない委員、清田委員、中野委員、南委員、山口委員、山本委員。

 議題3「Entrectinib」、退室委員なし、議決には参加しない委員、南委員。

 また、議題4についても、各委員より寄附金・契約金等の受け取りの申告をいただいておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当いたしますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。

 以上でございます。

○清田部会長 ありがとうございました。今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ皆様に御確認いただいたものといたします。

 議題に入る前に、事務局から、前回の部会における委員の先生方からの御意見に対して御説明がございます。よろしくお願いいたします。

○事務局 資料12を御準備ください。パージェタ点滴静注に係る前回部会後の対応について、事務局より説明いたします。

 パージェタ点滴静注の効能追加に係る製造販売承認事項一部変更承認につきましては、8月の当部会にて報告したところです。その際に、国際共同第III相試験で示された本薬の有効性の結果はわずかであり、本剤が適切な患者に使用されるような方策を検討すべきとの御意見をいただきました。

 いただいた御意見を踏まえて機構において再検討が行われ、資料12の別添としております審査報告書()が作成されております。

 機構における再検討の結果、効能・効果に関しては申請どおり「HER2陽性の乳癌」に変更することは可能であるものの、ベネフィットが明らかな患者に対して本剤が使用されるように、現時点では添付文書の効能・効果に関連する使用上の注意の項において、「HER2陽性の早期乳癌の術後患者のうち、再発リスクの低い患者(リンパ節転移のない患者)における本剤の有効性は確立していないことから、再発リスクが高い患者を対象とすること」と注意喚起を行うことが適切と判断されております。また、再発リスクの低い患者に対する本剤の有効性について、現時点で結論づけることは困難であり、引き続き情報収集し、当該注意喚起の要否について検討することが必要と判断されております。

 当該判断を踏まえ、現時点では添付文書の効能・効果に関連する使用上の注意の項において注意喚起を追加することとし、平成301010日に製造販売承認事項一部変更承認をしております。説明は以上です。

○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に御意見はございますか。

 よろしければ皆様に御確認いただいたものとして議題に入りたいと思います。

 本日は、審議事項4議題、報告事項5議題、その他2議題となっております。

 それでは、審議事項の議題1に移ります。議題1につきまして、機構から概要の御説明をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1-1及び1-2、医薬品ジャルカ配合錠の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。

 ジャルカ配合錠(以下「本剤」)は、HIV-1感染症に対する治療薬として、インテグラーゼ阻害剤であるドルテグラビルナトリウム及び非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤であるリルピビリン塩酸塩を有効成分として含有する配合剤です。本邦では、これらのいずれかの成分を含有するHIV-1感染症に対する治療薬として、エジュラント錠25mg、テビケイ錠50mg、コムプレラ配合錠及びトリーメク配合錠が承認されています。

 現在、本邦において推奨されているHIV感染症に対する治療は、キードラッグに分類される3つの薬剤群、インテグラーゼ阻害剤、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤またはプロテアーゼ阻害剤、これらの中からいずれか1剤と、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤の2剤、合計3剤の組合せを併用する抗レトロウイルス療法です。また、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤については、乳酸アシドーシス、骨密度低下、腎機能障害等の長期服用に伴う副作用が課題とされており、リスクが低い薬剤の開発が求められており、当該薬剤を含まない新たなレジメンの開発が期待されています。

 本剤は、キードラッグに分類される2つの有効成分のみを含有する配合剤として、抗レトロウイルス療法によるウイルス学的抑制が得られた成人HIV-1感染症患者を対象に、他の抗HIV薬と併用せずに用いる1日1回投与の薬剤として開発されました。

 また、本剤は、抗HIV薬として米国及び欧州で、それぞれ201711月及び2018年5月に承認されています。

 本申請の専門委員として、資料14に記載の4名の委員を指名しました。

 審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。

 有効性について、審査報告書15ページ、表9をごらんください。表9は、抗レトロウイルス療法によりウイルス学的抑制が得られている成人HIV-1感染症患者を対象とした海外第III相試験の2試験における主要評価項目である投与開始後48週時点におけるHIV-1 RNA量が50copies/mL未満の被験者の割合等の結果を示しています。いずれの試験においても、群間差の95%信頼区間の下限値が事前に設定された非劣性マージン(-10%)を上回ったことから、ベースライン時の抗レトロウイルス療法を継続するレジメン(以下「継続投与」)に対するドルテグラビル(DTG)とリルピビリン(RPV)の併用へ切りかえるレジメン(以下「DTG+RPV」)の非劣性が検証されました。

 以上の臨床成績を踏まえ、抗レトロウイルス療法によりウイルス学的抑制が得られている成人HIV-1感染症患者に対する本剤への切りかえの有効性は期待できると判断しました。

 次に、安全性について、審査報告書18ページ、表13及び表14をごらんください。表13は、海外第III相試験の併合解析における投与開始後48週までの安全性の概要を示しており、表14はいずれかの群で発現割合が5%以上の事象を示しています。

 副作用の発現割合は、継続投与群と比較してDTG+RPV群で高い傾向が認められましたが、これは安定して継続できていた抗レトロウイルス療法を新たなDTGRPVとの併用レジメンに切りかえたことが要因の1つと考えられました。また、DTG+RPV群において多く認められた副作用は頭痛及び下痢であり、いずれも既承認のDTGまたはRPVを含むレジメンにおいて認められた副作用でした。

 なお、DTG+RPVの2剤レジメンの変更の主な目的である抗HIV薬の長期服用に伴う副作用、合併症のリスク軽減については、提出された臨床試験成績、公表文献を含めて、現時点では骨密度低下、腎機能障害等について、明確な差を示す十分なエビデンスは得られておりません。しかしながら、現在の抗HIV治療では一生涯にわたって抗HIV薬の服用を継続する必要があることから、国内外の診療ガイドラインでは維持療法として2剤レジメンへの変更は有用な治療選択肢の1つになり得ると期待されています。

 続いて、審査報告書20ページ中段「7.R.2.3項、児の先天性異常(神経管欠損)に及ぼす影響について」をごらんください。本剤の事前評価中において、海外(ボツワナ共和国)における調査研究の中間解析結果に基づき、DTG含有製剤が投与された妊婦より出生した児における神経管閉鎖障害の発現リスクの上昇が報告されました。さらに、米国において本剤を含むDTG含有製剤の添付文書で、当該事象に関する注意喚起が追加されました。この神経管閉鎖障害の発現リスクについては、本剤の添付文書等で既承認のDTG含有製剤と同様の注意喚起を行うとともに、引き続き情報収集に努め、得られた情報について医療現場に情報提供するよう申請者に対して指導しています。

 以上の試験成績や調査研究を踏まえ、本剤の添付文書においても、本剤の有効成分を含有する既承認製剤と同様の注意喚起を行い、他の治療選択肢を十分に検討した上で、本剤への切りかえが適切と判断される抗HIV薬既治療患者に使用されるのであれば、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。

 なお、日本人に本剤を投与した際の有効性及び安全性情報は得られていないこと等を踏まえ、製造販売後には本剤の全投与症例を対象とした使用成績調査を実施する予定としています。

 以上の審査を踏まえ、機構は審査報告書2~3ページに記載している承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品ですが、本剤と同一の有効成分を含有する製剤として「テビケイ錠50mg」が平成26年3月に、「エジュラント錠25mg」が平成24年5月にそれぞれ承認されており、本邦においてHIV-1感染症患者に対する一定の使用経験を有することから、再審査期間は希少疾病用医薬品の再審査期間である「6年を超え10年を超えない範囲」のうち、6年1日と設定することが適切と判断しています。また、生物由来製品、特定生物由来製品には該当せず、本剤は劇薬に該当すると判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。

 なお、本日御欠席の菊池委員より事前質問をちょうだいしており、海外第III相試験2試験の治験に移行する前の前治療におけるART(抗レトロウイルス療法)の組合せが何であったか詳細を確認したいという御趣旨の御質問をいただいております。この点につきましては、審査報告書15ページ、表10をごらんください。こちらはベースライン時のキードラッグ別の有効性のデータを示させていただいておりますが、こちらの表については、キードラッグに限定した上、さらに薬剤のクラスごとに要約したデータのみであったことから、現在、詳細な情報を申請資料から抽出し、前治療における具体的な抗ウイルス療法の組合せの一覧及び主要評価項目を達成できなかった被験者における前治療での具体的な抗ウイルス療法の組合せについて、菊池委員に御確認をいただいております。

 なお、機構としては、前治療における特定の抗ウイルス治療の組合せによって有効性に大きな差異が認められていないことを確認しています。

 以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 ありがとうございました。

 それでは、委員の先生方からの御質問・御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。

○南委員 確認したいのですが、日本人患者での有効性のデータはないので、海外のデータを外挿するということだと思うのですが、添付文書案の薬物動態の図を見ますと、平均値をプロットするのは好ましくない提示の仕方だと思うのですが、海外の健常人に比べて、日本の健常人は最高血中濃度が大体3分2になっています。ばらつきが大きいとはいえ、血中濃度に差があるかもしれない状況で、有効性が日本人でも担保できるという点に関してどの程度検討されているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今、データを確認いたします。

 御質問の趣旨を確認させていただいてよろしいでしょうか。南委員から御指摘いただいた点は、本剤2つの有効成分を含有しているうちの添付文書における。

○南委員 添付文書の4ページに、薬物動態の血中濃度の推移の曲線がプロットしてあります。海外の健常成人では血中濃度のピークが大体4μg/mLぐらいで、日本人の健常人では3μg/mLぐらいがピークになっていて、ばらつきは大きいし、各個人間の各ポイントでの血中濃度の平均値をプロットするということは余りよろしいことではないのですが、この図を見る限り、日本人では海外健常人の血中濃度の大体3分の2ぐらいになっています。それでも海外の有効性のデータが日本人に当てはまると推論できるのか、どの程度有効性が担保されていると考えているのか、を知りたいと思います。例えば、この血中濃度のばらつきを考えても、in vitroでの有効性は十分超えているとか、有効性の外挿に関してデータはあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。南委員からドルテグラビルに関する海外及びこれまでに得られている本剤単剤等での血漿中薬物動態パラメータの比較をしたときに、ドルテグラビルの日本人における暴露量が海外と比べて低い傾向が見られるデータに関して、この配合剤に関して日本人への投与経験がない中で有効性を外挿可能かどうかという御質問と理解いたしました。

 御指摘のとおり、ドルテグラビルに関しましては日本人では暴露量が低い傾向ですが、もう一つの有効成分であるリルピビリンに関しては、日本人のほうが健康成人ではございますが、高い傾向が示されています。審査報告書の11ページの「6.R.2 日本人における薬物動態について」をごらんください。こちらはリルピビリンのパラメータとなりますが、リルピビリンに関しては、逆に日本人の方が暴露量が高いという状況になっております。御指摘のとおり、日本人におけるPKパラメータ等のデータも本剤では得られていないと、情報が限られていますので、製造販売後には日本人健康被験者を対象とした本剤投与時のPK等を検討する製造販売後臨床試験が既に計画されており、こちらのデータを踏まえて慎重に検討させていただきたいと思います。こちらは抗HIV薬という特殊で必要性の高い薬剤ということを踏まえて、製販後のデータも慎重に確認しつつ、それらの情報も含めた審査と考えております。

○清田部会長 ちょっとわかりづらいのですけれども、既存の薬剤の配合剤だというのがまずベースにあって、既存の薬剤の有効性データがある上でものを言っているのではないかと。私の想像ですけれども、そう理解していますが、よろしいでしょうか。

 ほかに御質問ございますか。よろしいでしょうか。

 それでは、議決に入りたいと思います。中野委員、南委員、山口委員、山本委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。

 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題2に移ります。川上委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議題2の審議の間、別室で御待機いただくことにいたします。

(川上委員 退室)

○清田部会長 議題2につきまして、事務局から概要を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

○事務局 議題2、資料2のアテゾリズマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。

 資料のタブ「3.総合機構による事前評価報告書」をお開きください。報告書1ページの中段をごらんください。申請者は「中外製薬株式会社」。予定される効能・効果は「小細胞肺癌」になります。

 まず、1ページの対象患者数について説明いたします。肺がん患者全体に占める約20%が小細胞肺がんであると報告されており、本邦における小細胞肺がん患者数は約2万9000人と推定され、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 次に、医療上の必要性について御説明いたします。小細胞肺がん患者は、限局型及び進展型の区分に基づき治療が行われ、進展型小細胞肺がん患者に対する化学療法としては、白金系抗悪性腫瘍剤とエトポシドまたはイリノテカン塩酸塩との併用投与が推奨されています。しかしながら、白金系抗悪性腫瘍剤とエトポシドとの併用投与の全生存期間の中央値は9~11カ月と報告されており、進展型小細胞肺がんは予後不良な疾患であることが報告されております。

 以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、2ページ中段からの開発の可能性について御説明いたします。化学療法歴のない進展型小細胞肺がん患者を対象としたカルボプラチンとエトポシドとの併用投与に本剤またはプラセボを上乗せして投与した際の有効性及び安全性を比較することを目的とした国際共同第IIII相試験が実施され、主要評価項目として設定された無増悪生存期間及び全生存期間の結果は、いずれもプラセボ群と比較して本剤群で統計学的有意な延長が認められました。

 以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。

 よろしく御審議のほどお願いいたします。

○清田部会長 ありがとうございました。

 それでは、委員の先生方からの御質問・御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは、議決に入りたいと思います。中野委員、南委員、山口委員、山本委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。私も同様でございます。

 議題2につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、別室で待機されている川上委員をお呼びいただきたいと思います。

(川上委員 入室)

○清田部会長 それでは、議題3に移ります。議題3につきまして、事務局から概要を御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局 議題3、資料3、Entrectinibを希少疾病用医薬品とすることの可否について、事務局より御説明いたします。資料のタブ「3.総合機構による事前評価報告書」をお開きください。

 報告書の1ページ中段をごらんください。申請者は「中外製薬株式会社」、予定される効能・効果は「NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形がん」になります。

 まず、1ページの対象患者数について説明いたします。NTRK融合遺伝子はさまざまな固形がんで認められており、非小細胞肺癌、結腸・直腸癌等の患者数の多いがん腫で認められることはまれですが、一方、患者数の少ないがん腫では多く報告されております。

 本邦におけるNTRK融合遺伝子陽性の固形がんの患者数は、多くても1万人から1万1000人程度と推測されており、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 続いて、3ページ以降の医療上の必要性について御説明いたします。NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形がんに対する現状の治療としては、がん腫ごとの治療体系に基づき、NTRK融合遺伝子陰性の患者と同一の化学療法等が行われておりますが、治療効果は限定的であり、NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形がんは予後不良な疾患です。NTRK融合タンパクは、単一で細胞の形質転換を誘導することから、NTRK融合遺伝子を有する進行固形がんの生存・増殖に大きく寄与することが報告されており、NTRKのチロシンキナーゼを阻害する本剤は、NTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形がんに対する有効性が期待されます。

 以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、4ページ中段からの開発の可能性について御説明いたします。2つの海外第I相試験及び1つの国際共同第II相試験が実施され、当該3試験においてNTRK融合遺伝子陽性の局所進行又は遠隔転移を有する固形がん患者は26例登録され、当該患者に対する中央判定による奏効率は57.7%でした。

 以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。

 したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○清田部会長 ありがとうございました。

 それでは、委員の先生方からの御質問・御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。対象が割とおもしろい固形がんとなっております。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは、議決に入りたいと思います。南委員におれかましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。

 本義題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、議題4に移らせていただきます。議題4につきまして、事務局から概要を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、御説明させていただきます。資料4をお願いいたします。生物学的製剤基準の一部を改正する件について、事務局より御説明させていただきます。

 まず、1ページをごらんください。「1.制度の概要」でございますが、医薬品医療機器等法第42条第1項に基づき、保健衛生上特別の注意を要する医薬品等につきまして、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて必要な基準を設けることができるとされており、生物学的製剤基準において、ワクチン・血液製剤等に係る基準を定めております。

 続いて「2.改正の概要」をお願いいたします。3行目からなりますが、今般「人血清アルブミン」及び「pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)」の条に関しまして、含有するタンパク質の含量試験、すなわち人血清アルブミンであればアルブミンの量、pH4処理酸性人免疫グロブリンであれば免疫グロブリンGの含量を測定する試験について、これまでたん白質窒素定量法及びセルロースアセテート膜電気泳動試験法を組み合わせて用いて算出する方法が示されておりましたけれども、こちらについて試験方法を追加させていただくものでございます。

 具体的な内容につきましては、3ページをお願いいたします。まず「人血清アルブミン」の条の「アルブミン含量試験」について、総タンパク質含量を測定する方法としまして、現行では「たん白質窒素定量法」のみとしていましたが、これに加えて改正案では「日本薬局方のタンパク質定量法の方法7(窒素測定法)の操作法B」、いわゆるデュマ法を追加させていただいております。

 また、総タンパク質中のアルブミン含量の割合を測定する方法として、現行では「セルロースアセテート膜電気泳動法」を規定しておりましたが、これに加えて改正案では「アガロースゲル電気泳動法」を追加させていただいております。

 続いて、表の下からの「pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)」の条の「免疫グロブリンG含量試験」につきましても、同じような改正・追加をさせていただいておりますので、説明は省略させていただきたいと思います。

 いずれも追加した試験方法について、製造販売業者からバリデーションデータが提出されており、この追加試験法でも問題ないことを確認させていただいております。

 以上、生物学的製剤基準の改正につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○清田部会長 ありがとうございました。

 それでは、委員の先生方からの御質問・御意見をどうぞ。

○川崎委員 2つございまして、事前にコメントを送付させていただきました。まず、日本薬局方のタンパク質定量法を準用することに関して、この試験法は一般試験法ではなく参考情報ですので、各条で引用してよいかと質問をいたしました。それに対して、先ほどご説明いただきましたように、バリデーションデータが提出されているので問題ないという回答をいただき、本件については了承いたしました。

 もう一つですが、日本薬局方の「たん白質定量法」を引用することについて、日本薬局方では「タンパク質定量法」に変わっています。「たん白質」という表記は一般的ではありませんし、日局との整合性を考えると、いずれかの段階で「タンパク質」に変えてはいかがかと思います。

 また、「クロマトグラフ法」も、一般的ではありませんので、日局同様「クロマトグラフィー」と変えることを検討されてはいかがかと思いました。

 以上です。

○清田部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。用語の問題なのですが。

○事務局 御指摘いただきまして、ありがとうございます。現状の生物学的製剤基準では今お示ししているような表記の仕方をさせていただいておりますので、このような表記をさせていただいているところなのですけれども、御指摘の点については全体を見直す際などに見直すことができないかどうかを含めて、こちらで引き続き検討させていただきたいと思います。

○清田部会長 それでよろしいですか。ありがとうございます。

 ほかに御意見・御質問ございますか。どうぞ。

○浦野委員 表現が法律上のものだとこうなるのかもしれないのですけれども、クロマトグラフ法とかクロマトグラフィーの前にある「適当な支持体」というのは具体的に何を示しているのでしょうか。

○事務局 御質問いただきまして、ありがとうございます。液体クロマトグラフィーを用いておりまして、そのカラムのことを指しているところでございます。

○浦野委員 それは、私も「カラム」と書いたほうがいいというか、支持体というと担体のことを言っていて、中にどのような、例えばゲルだったりを入れているのかとか、そういったことがあれば担体の表面の修飾だったり、そういうことを知りたいと言っているのかなと思ってしまうので、むしろ一般的な言葉のほうが誤解が少なくていいのではないかと個人的には思います。

○清田部会長 いかがでしょうか。

○事務局 御指摘ありがとうございます。ほかの条でどういった記載をしているのかがすぐには分からないので、その記載ぶりとも検討した上で、こちらで検討させていただきたいと思います。

○清田部会長 ぜひ、その結果をお知らせいただければと思います。

 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは、議決に入りたいと思います。本議題に対しまして、改正を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、報告事項に移ります。

 報告事項につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、事務局より報告事項について、まとめて御説明させていただきます。

 初めに、報告事項議題1「医薬品ゴナックス皮下注用80mg及び同皮下注用120mgの製造販売承認事項一部変更承認並びに医薬品ゴナックス皮下注用240mgの製造販売承認について」御報告いたします。資料5をごらんください。

 本剤は、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアンタゴニストであるデガレリスク酢酸塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は「前立腺癌」を効能・効果として4週間間隔投与に係る用法・用量で承認されております。

 今般、アステラス製薬株式会社から、本剤の12週間間隔投与に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。

 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。

 なお、今回の変更は維持用量の用法について、既存の4週間間隔投与に加えて、12週間間隔投与も可能とする用法・用量の変更であるため、薬事分科会における確認事項に基づき、部会報告事項とさせていただきました。

 次に、報告事項議題2「医薬品トレムフィア皮下注100mgシリンジの製造販売承認事項一部変更承認について」御説明いたします。資料6をごらんください。

 本剤の有効成分であるグセルクマブ(遺伝子組換え)は、ヒトIL-23に対するモノクローナル抗体であり、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に対して、1回100mgを初回、4週後以降8週間隔で皮下投与する用法・用量で承認されております。

 今般、ヤンセンファーマ株式会社より、国内試験成績等により有効性及び安全性が確認されたとして、既存治療で効果不十分な掌蹠膿疱症を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。

 機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 なお、今回追加する掌蹠膿疱症は、既存効能の1つである膿疱性乾癬の類似の疾患であることから、薬事分科会における確認事項に基づき、部会報告事項とさせていただきました。

 続きまして、報告事項議題3、資料7-1、医療用医薬品の承認条件について、事務局より御説明いたします。

 表紙を1枚おめくりいただきまして、評価報告書をごらんください。こちらは「アレクチニブ塩酸塩」を有効成分とする医薬品「アレセンサカプセル150mg」の承認条件に係る御報告となります。

 本剤は、平成26年7月に「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能・効果で承認されており、その際、1ページに示しております承認条件が付されております。このたび、中外製薬株式会社から、全例調査に係る報告書並びに医薬品の使用条件の設定に対する考察及び対応に関する報告書が提出され、機構において評価されましたので、御報告いたします。

 2ページ「2.提出された資料の概要」の「()製造販売後調査の結果」をごらんください。本調査は、平成26年9月5日から開始され、平成27年6月30日までに投与開始され、かつ平成29年3月31日までに本調査を登録された1,251例の情報をもとに調査結果がまとめられました。

 安全性については、3ページ「2)安全性」に記載しております。本調査では、間質性肺疾患、肝機能障害、好中球減少及び白血球減少、徐脈、QT間隔延長、視覚障害、消化管穿孔並びに血栓塞栓症を安全性検討事項として情報収集することとされ、安全性検討事項として設定された事象の副作用の発現状況は4ページの表1のとおりです。安全性検討事項として設定された事象については、製造販売承認審査時に検討された国内第III相試験及び製造販売後臨床試験と比較して、本調査で副作用発現率が高い傾向は認められなかったと説明されております。

 有効性については、4ページの「3)有効性」に記載しております。本調査では、有効性について全生存率が調査され、12カ月時点では全生存率は本調査で82.4%、国内第III相試験で93.5%でした。承認取得者は、本調査と国内第III相試験とでは患者背景等に違いがあり、比較には限界があるものの、本調査結果により本剤の有効性が否定されるものではないと考えると説明しています。

 医薬品の使用条件の設定に対する報告は、5ページ「()製造販売後に実施されたリスク最小化活動」をごらんください。承認取得者は、承認条件に基づき「マル1医薬品の使用条件の設定」を行い、また、その他に実施した追加のリスク最小化活動としてマル2以降の内容を実施しました。

 9ページ「III.総合評価」をごらんください。機構は、提出された資料から、承認条件は対応されたものと判断しています。

 以上を踏まえ、承認条件1及び2は満たされたものと判断しております。

 続きまして、資料7-2、同じく医療用医薬品の承認条件について御説明いたします。

 表紙を1枚おめくりいただきまして、「承認条件に係る評価報告書」をごらんください。こちらは「アザシチジン」を有効成分とする医薬品「ビダーザ注射用100mg」の承認条件に係る御報告となります。

 本剤は、平成23年1月に「骨髄異形成症候群」の効能・効果で承認されており、その際、1ページに示しております承認条件が付されております。このたび、日本新薬株式会社から、全例調査に係る報告書が提出され、機構において評価されましたので御報告いたします。

 2ページ「2.提出された資料の概要」の「()製造販売後調査の結果」をごらんください。本調査は、平成23年3月11日から開始され、平成25年3月31日までに本剤の投与が開始され、本調査に登録された4,013例の情報をもとに調査結果がまとめられました。

 安全性については、4ページ「2)安全性」に記載しております。本調査では、骨髄機能抑制に伴う血液障害、感染症、出血症状及び腎機能障害が重点調査項目とされ、本調査及び本剤の製造販売承認審査時に検討された主な臨床試験である国内第III相試験における重点調査項目に係る副作用の発現状況は表3のとおりです。重点調査項目として設定した副作用の発現率は、製造販売承認審査時の臨床試験と比較して同程度であり、特記すべき事項はなかったと説明しています。

 有効性については、6ページの「3)有効性」に記載しております。本調査及び承認審査時の臨床試験における有効性の結果は、表4のとおりです。承認取得者は、本調査において、本剤の有効性を否定する結果は得られていない旨を説明しています。

 7ページ「III.総合評価」をごらんください。機構は、提出された資料から、承認条件は対応されたものと判断されています。

 以上を踏まえ、承認条件は満たされたものと判断しています。

 続きまして、承認条件に係る報告書につきまして3つ目でございますが、資料7-3、プレジコビックス配合錠の承認条件に係る報告書の評価について、続けて御説明させていただきます。

 3ページをごらんください。「ダルナビル エタノール付加物/コビシスタット」を有効性成分とする医薬品「プレジコビックス配合錠」の承認条件に係る御報告となります。

 本剤は、平成2811月に「HIV感染症」の効能・効果で承認されており、その際、3ページの中ほどに示しております承認条件が付されております。このたび、ヤンセンファーマ株式会社から、承認条件のうち4番目の下線が付されている条件で求められておりました、日本人の薬物動態を評価することを目的とした試験の成績が提出され、機構において評価されましたので御報告いたします。

 4ページにまいりまして「2.提出された資料の概要」をごらんください。本調査は、平成29年4月24日から開始され、日本人健康被験者8例の情報をもとに調査結果がまとめられました。

 本試験で得られた各投与群におけるダルナビル及びコビシスタットの薬物動態パラメータを表1に示しております。コビシスタットの暴露量は投与群間で同程度でしたが、ダルナビルのCmax及びAUCは外国人と比較して日本人で低い傾向が認められました。また、安全性については、有害事象は認められませんでした。

 5ページ「3.機構における評価の概要」をごらんください。先ほどのダルナビルの暴露量について、要因は不明であるものの、日本人と外国人における暴露量の範囲はおおむね同様であったこと、本剤の有効性が確認された海外第III相試験から得られたデータを用いてダルナビルの暴露量と有効性との関連を検討した結果、検討された暴露量の範囲においては有効性との関連は認められなかったことから、日本人と外国人との間で認められたダルナビルの暴露量の差異について、臨床的に意味のある差ではないとする企業の説明は、受け入れ可能と判断しております。

 以上を踏まえ、製造販売後臨床試験が適切に実施され、日本人における薬物動態は明らかにされたと考えられることから、承認条件4は満たされたものと判断しております。

 次に、報告事項議題4「希少疾病用医薬品の指定の取消しについて」御説明いたします。資料8をごらんください。

 届出者は「ヤマサ醤油株式会社」、医薬品の名称は「ペントスタチン」です。

 本剤は、平成5年1115日、「成人T細胞白血病・リンパ腫及びヘアリーセル白血病の自覚的及び他覚的症状の寛解」を予定される効能または効果として希少疾病用医薬品に指定されております。

 製造を中止する理由について御説明いたします。本品目は、届出者と化学及血清療法研究所(化血研)の連名により、希少疾病用医薬品としての指定を受け、ヤマサ醤油株式会社は原薬の製造をしていました。今般、化血研が平成29年4月17日に原薬製造所を変更する承認事項一部変更承認を取得したため、届出者は原薬の製造を行わないこととなり、当該医薬品の製造中止届が提出されました。

 よって、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すことといたしました。

 続きまして、報告事項議題5「医療用医薬品の再審査結果ついて」御報告いたします。資料9-1~9-3で、これらは各品目の医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますので、まとめて御報告いたします。

 資料9-1は、一般的名称は「パクリタキセル」、販売名は「アブラキサン点滴静注用100mg」のもの。資料9-2は、一般的名称は「テビペネム ピボキシル」、販売名は「オラペネム小児用細粒10%」のもの。資料9-3は、一般的名称は「フルチカゾンフランカルボン酸エステル」、販売名は「アラミスト点鼻液27.5μg56噴霧用」のものでございます。

 これらの品目につきまして、製造販売後の特定使用成績調査及び使用成績調査に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものでございます。

 長くなりましたが、報告事項に関する事務局からの御説明は以上でございます。

○清田部会長 ありがとうございました。

 それでは、以上の報告事項につきまして、委員の先生方から御質問等がございましたらお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

○奥田部会長代理 1つだけよろしいでしょうか。報告事項1のゴナックス皮下注に関して、12週間あたりの投与量が、以前に認められた用量に比べると2倍になると思うのですが、ここの審議事項にはならないかもしれませんけれども、今後、薬価の見直しなどはされるのでしょうか。患者さんにとって負担がふえないような配慮が必要なのかなと思ったのですが、いかがでしょうか。

○清田部会長 いかがでしょうか。薬価はここの会議ではないのでお答えしにくいのではないかと思いますが。

○事務局 今、部会長から御説明いただいたとおり、薬価につきましては所管部署が異なりますので、こちらからお答えすることは難しいのですが、今後、担当部署においては審査報告書の内容も確認した上で、薬価について適切に検討されるものと思っております。

○清田部会長 ちょっと答えづらいマターではあります、済みません。

 ほかに御質問・御意見ございますか。どうぞ。

○川上委員 表現上のことですけれども、資料7-1、アレセンサカプセルの承認条件に係る評価報告書の5ページ中ほどで、「2」医療従事者及び薬局への事前説明」の1行目の最後で「調剤薬局」という記載があります。薬局とは調剤する場所なので、あえて「調剤薬局」と記さず、普通に「薬局」と表現いただきたく思いました。

○事務局 ご指摘ありがとうございます。承知いたしました。

○清田部会長 ほかに御質問・御意見ございますか。ありがとうございました。

 それでは、報告事項の議題1~議題5につきましては、御確認いただいたものといたします。

 その他の事項に移ります。その他の事項につきまして、事務局から御説明をお願いします。

○事務局 それでは、資料10-1及び10-2、「デュルバルマブ(遺伝子組換え)」の最適使用推進ガイドラインの改訂について、事務局より御説明いたします。

 デュルバルマブ(遺伝子組換え)につきましては、8月の当部会において新たな有効性データを機構にて評価した上でガイドラインに反映する改訂を行う予定である旨を報告したところでございます。このたび、新たな有効性データの機構における評価が終了し、ガイドラインの改訂案を作成いたしましたので御報告いたします。

 新たなデータとして、承認時に提出されておりました白金系抗悪性腫瘍剤を用いた根治的化学放射線療法後に疾患進行が認められなかった切除不能な局所進行の非小細胞肺がん患者を対象としたPACIFIC試験のOSのデータ等が提出されており、機構において資料10-1として配付しております評価報告書が作成されております。機構においては、新たに提出されたデータを踏まえて、効能・効果を変更する必要はないと判断されております。また、PACIFIC試験におけるPD-L1発現率別の結果について、医療現場に情報提供する必要があると判断されております。

 機構における評価結果を踏まえて、資料10-2の最適使用推進ガイドラインの改訂案を作成いたしました。それでは、資料10-2において、マーカーした部分が今回追記した箇所です。

 4ページをごらんください。下段以降に新たに提出されたOSの結果を記載しております。OSの中間解析において、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されています。

 続いて、6ページをごらんください。図4ではPD-L1発現率別でのPFS及びOSのフォレストプロット、図5では、ハザード比が1を上回っているPD-L1発現率の集団が認められたOSについて、カプランマイヤー曲線を示しています。

 10ページをごらんください。「5.投与対象となる患者」において、3.として新たに提出された試験結果を踏まえて、PD-L1発現率を確認した上で本剤の可否を判断することが望ましい旨及びPD-L1発現率が1%未満であることが確認された患者における本剤の投与は慎重に判断いただく旨の記載を追加いたしました。

 また、PACIFIC試験において、PD-L1発現率はVentana PD-L1(SP263)を用いて検討されておりましたが、現時点において当該診断薬は承認されていないことを踏まえ、Ventana PD-L1(SP263)と互換性が確認されている既承認の診断薬によりPD-L1発現率を確認し、本剤の投与の可否を検討できる旨を記載しております。

 なお、Ventana PD-L1(SP263)につきましては、現在、申請準備中と聞いておりますので、当該診断薬が承認されましたら、その内容を本ガイドラインに反映する改訂を行う予定です。

○事務局 続きまして、その他の2つ目でございますけれども、最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定を行いましたので、御説明させていただきます。資料10-3をごらんいただければと思います。2ページから御説明させていただきます。

 平成29年9月15日付の最適使用推進ガイドラインの取扱いに関する通知におきまして、最適使用推進ガイドラインの対象医薬品や作成の手続等をお示ししておりますが、「1.対象医薬品の選定の考え方」に記載されているような最適使用推進ガイドライン作成対象となる医薬品を選定した場合には、2の記載のとおり直近の薬事・食品衛生審議会の担当部会に報告することとしております。

 1ページにお戻りいただきまして、今般サノフィ株式会社より「デュピクセント皮下注」、一般名「デュピルマブ(遺伝子組換え)」につきまして、記載のとおり気管支喘息の効能・効果の追加に係る一部承認変更申請がなされたことから、当該医薬品の最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定いたしました。

 なお、今後、関係学会等に御協力いただきつつガイドライン案の検討を進め、本剤の承認について部会で御審議いただく際に改めてガイドライン案を御確認いただく予定としております。

 また、資料に記載しております効能・効果、用法・用量は申請時点のものでございまして、今後の審査において変更される可能性がございますので、念のため補足させていただきます。

 続きまして、その他事項議題2、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、御説明させていただきます。資料11-1と11-2をお手元に御準備ください。

 今回は、1017日に開催されました第36回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、公知申請を行うことが適当と判断されました品目のうち、本部会に御報告する品目が2品目ございました。

 まず、資料11-1ホスカルネットナトリウム水和物について、御説明させていただきます。

 3ページをごらんください。本要望は、日本造血細胞移植学会より、ホスカルネットナトリウム水和物の「造血幹細胞移植後ヒトヘルペスウイルス6脳炎」に関する要望でございます。本要望については、平成2912月の第33回の検討会議にて、医療上の必要性が高いと判断され、開発要請が行われておりました。

 本要望の公知該当性について、御説明いたします。26ページ、27ページをごらんください。

 まず、有効性についてでございます。26ページの7の()で有効性の総合評価を記載しております。国内外で、HHV-6脳炎患者に対する本剤の評価を目的とした臨床試験は実施されておりませんが、国内外の症例報告、臨床研究等により、造血幹細胞移植後のHHV-6脳炎に対するホスカルネットのウイルス学的効果及び臨床効果を示唆するデータが報告されております。

 また、緒方らの報告において、ホスカルネット投与例はガンシクロビル投与例と同様の神経症状の消失・改善が見られ、用量別の比較では、いずれの薬剤においても低用量よりも高用量で改善が認められております。

 以上より、造血幹細胞移植後のHHV-6脳炎患者に対するホスカルネットの有効性は期待できると判断されました。

 次に、安全性について27ページの()をごらんください。国内外で使用されているホスカルネットナトリウムの造血幹細胞移植後のHHV-6脳炎患者に対する用法・用量は、本邦で承認されている造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症に対する用法・用量とほぼ同一であり、投与患者も同じ造血幹細胞移植患者であり、全身状態はおおむね同様と考えられること。また、国内外の公表文献等においても、ホスカルネットに関連すると考えられる未知の副作用に関する記載はないことから、新たな安全性上の懸念が生じる可能性は低いとされております。

 以上より、本薬の造血幹細胞移植後のHHV-6脳炎に係るホスカルネットナトリウムの公知申請は妥当と判断されました。

 続きまして、同じく公知申請を行うことが適当と判断されました、メトトレキサートについて御説明いたしますので、資料11-2をごらんください。

 3ページからでございます。本要望は、日本皮膚科学会より、メトトレキサートの「尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」に関する要望です。本要望については、本年3月の第34回の検討会議にて、医療上の必要性が高いと判断され、開発要請が行われておりました。

 本要望の公知該当性について御説明いたしますので、19ページをごらんください。まず、有効性についてですが、7の()に有効性の総合評価を記載しております。メトトレキサートは、欧米等6カ国において乾癬の適応症を有しており、海外では乾癬の無作為化試験の報告があり、国内外の教科書やガイドラインで中等度、または重度の乾癬に対する使用が推奨されております。

 また、国内では、日本皮膚科学会によるメトトレキサートの使用実態調査が実施され、乾癬への治療効果ありとの回答は、皮膚症状で92.4%、関節症状で87.5%との結果が得られております。

 以上より、局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症に対する本剤投与の有効性は、医学薬学上公知であると判断されました。

 次に、安全性について、20ページの()をごらんください。国内外の文献、ガイドライン及び教科書で報告されている副作用は、現行の添付文書にて注意喚起されている既知の事象であったこと、並びに用量により副作用の発現傾向に大きな差は認められなかったことを踏まえると、要望内容に係るメトトレキサートの安全性は既承認の効能・効果と同様の安全対策を行うことで管理可能と考えられ、許容可能とされております。

 以上より、局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症患者における本剤の有効性・安全性は、医学薬学上公知であると判断可能とされております。

 資料11、公知申請を行うことが適当と判断された適用外薬の事前評価に関する御説明は、以上でございます。

○清田部会長 ありがとうございました。

 それでは、委員の先生方からの御質問等がございましたら、お伺いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、その他の事項の議題1及び議題2につきましては、御確認いただいたものといたします。

 本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告がございますか。

○事務局 次回の予定について御説明させていただきます。次回の部会は、1129日(木)午後4時から開催させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 それでは、本日はこれで終了といたします。ありがとうございました。

( 了 )

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

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