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2018年8月29日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成30年8月29日(水)14:00~

 

○場所

新橋8E会議室(8階)

○出席者

出席委員(15名)五十音順

浦 野 泰 照、  亀 田 秀 人、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、
菊 池    嘉、◎清 田    浩、 宗 林 さおり、 田 島 優 子、
舘 田 一 博、  登 美 斉 俊、 長 島 公 之、 半 田    誠、
増 井    徹、  南    博 信、 山 本 善 裕
 

欠席委員(6名)

大槻 マミ太郎、○奥 田 真 弘、 中 野 貴 司、 濵 口    功、
山 口 拓 洋、  渡 辺    亨
(注)◎部会長 ○部会長代理
 

行政機関出席者

森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 本    史 (医薬品審査管理課長)
関 野 秀 人 (医薬安全対策課長)
森 口    裕 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
宇 津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 それでは、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の出席状況ですが、大槻委員、奥田委員、中野委員、濵口委員、山口委員、渡辺委員より、御欠席との御連絡を頂いております。また、宗林委員が少し遅れておられるようです。以上、本日は現時点で当部会委員数21名のうち、14名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
続いて、事務局に人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。機構の鈴木審議役です。もう1人が、ワクチン等審査部長の紀平です。よろしくお願いいたします。
部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。今回、全ての委員の皆様より、第11条に適合している旨を御申告いただいております。委員の皆様には、毎回毎回のことで恐縮でございます。書面を提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解と御協力を賜りますよう、何とぞお願い申し上げます。それでは、以降の進行を清田部会長にお願いしたいと思います。
○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~16-6は、あらかじめお送りしております。このほかに資料17、審議品目の薬事分科会における取り扱い等について(案)、資料18、専門委員リスト、資料19、競合品目・競合企業リストを配布しております。また、当日配布の参考資料として、先日、発出した最適使用推進ガイドラインの通知を配布しております。既に当部会で御確認いただいたものから大きな変更はありませんので、内容の御紹介は割愛させていただきます。
なお、お配りしている通知のうち、イミフィンジ、デュルバルマブ(遺伝子組換え)の最適使用推進ガイドラインについて補足があります。8月3日に開催した前回の当部会において、PD-L1の発現状況別の結果の記載の要否等について追加で検討を行い、メール等で委員の先生方に御確認いただく旨を御説明しておりましたが、その後の検討の結果、新たな有効性に関する臨床データが得られておらず、このデータを機構において十分評価した上でガイドラインに反映すべきと思われたことから、本日お配りした通知のとおり、一旦以前の当部会で御確認いただいた内容でガイドラインを発出しつつ、引き続き検討を進め、PD-L1の発現状況別の結果については、新たなデータの評価後、できるだけ早い段階でガイドラインに反映する改定を行うことといたしました。ガイドラインの改訂案ができましたら、改めて当部会において御報告・御確認を頂くことになりますので、その際にはどうぞよろしくお願いいたします。
続いて資料19、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料19の1ページを御覧ください。フィラジル皮下注30mgシリンジですが、本品目は、遺伝性血管性浮腫の急性発作を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページを御覧ください。ジビイ静注用250他4規格ですが、本品目は、血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページを御覧ください。ローブレナ錠25mg他1規格ですが、本品目は、ALKチロシンキナーゼ阻害剤による治療後に増悪したALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページを御覧ください。ゾスパタ錠40mgですが、本品目は、再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページを御覧ください。トラスツズマブBS点滴静注用60mg「ファイザー」他1規格ですが、本品目は、HER2過剰発現が確認された乳癌、HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
○清田部会長 ただいまの事務局からの御説明に特段の御意見はありますか。よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものといたします。それでは、委員からの申出状況についての御報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。議題1、フィラジル、退室委員・議決には参加しない委員は共になし。議題2、ジビイ、退室委員なし、議決には参加しない委員は南委員。議題3、ローブレナ、退室委員は南委員、議決には参加しない委員は亀田委員、舘田委員、山本委員。議題4、ゾスパタ、退室委員なし、議決には参加しない委員は亀田委員、清田委員、舘田委員、南委員。議題5、トラスツズマブBS、退室委員なし、議決には参加しない委員は亀田委員、舘田委員、南委員、山本委員。また、議題6についても各委員より、寄附金・契約金等の受取りの申請を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。
○清田部会長 ただいまの事務局からの御説明に特段の御意見はありませんか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
本日は審議事項が6議題、報告事項が10議題となっております。それでは、審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品フィラジル皮下注30mgシリンジの製造販売承認の可否等について、機構より御説明を申し上げます。
本剤の有効成分であるイカチバント酢酸塩は、ブラジキニンB2受容体の競合的拮抗作用を有する合成デカペプチドであり、今般、遺伝性血管性浮腫の急性発作に関する効能・効果で製造販売承認申請が行われました。遺伝性血管性浮腫(以降「HAE」という)は、皮膚、咽頭及び消化器等の身体の様々な部位に浮腫発作を繰り返すことを主な特徴とする常染色体優性遺伝疾患です。本剤は、2008年7月に欧州、2011年8月に米国で承認され、2018年6月現在、海外45か国で承認されております。また、本剤は2014年5月に開催された当部会で御審議いただき、遺伝性血管性浮腫の急性発作を、予定する効能・効果とする希少疾病用医薬品として指定されております。本申請の専門委員として、資料18に記載されている10名の委員を指名させていただきました。
以降、主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明申し上げます。有効性については、審査報告書の28ページの表27を御覧ください。HAE成人患者を対象とした国内臨床試験において、主要評価項目である喉頭浮腫以外の発作における症状緩和の指標であるTOSR、こちらの詳細は審査報告書の52ページ、「10.その他」に記載させていただいておりますが、このTOSRという指標において、海外第III相試験である054試験と類似した成績が得られております。
次に、審査報告書の29ページ、表28及び図2を御覧ください。こちらがHAE成人患者を対象とした海外第III相試験054試験における成績を示しております。主要評価項目であるTOSRは、本剤群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する本剤の優越性が検証されております。また、喉頭浮腫の発作については、審査報告書の40ページの1行目以降に詳細を記載しておりますように、054試験において喉頭浮腫の発作に対し、本剤を投与した際のTOSRは、喉頭浮腫以外の発作を発現した集団における本剤群のTOSRと類似しておりました。以上より、機構は本剤のHAEの急性発作に対する有効性は示されていると判断しております。
安全性については、審査報告書の41ページ以降の「7.R.3安全性について」に記載しております。提出された第III相試験の安全性解析対象集団における有害事象の発現状況については、審査報告書の42ページの表44にお示ししているとおりです。臨床試験において認められている有害事象のうち、44ページ以降の「7.R.3.2注射に伴う事象」の項で検討している注射部位反応については、臨床試験で、ほぼ全ての被験者において認められており、多くは軽度から中等度のものでしたけれども、海外製造販売後において本剤投与と考えられる重篤な過敏症反応関連の報告が認められております。以上を踏まえ、審査報告書の53ページ以降の「1.1.1重篤な過敏症反応について」の項に記載しておりますとおり、添付文書において、アナフィラキシー等の重篤な過敏症を注意することに加え、製造販売後においても重篤な過敏症反応の発現状況には引き続き注視する必要があると判断しております。
以上を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会にて御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは委員の先生方からの御質問、御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
○川崎委員 国内製造に当たって技術移管された製剤所で、長期保存試験中に不溶性異物が認められたこと、海外でも有効期限を超過すると不溶性異物が検出されたこと、この異物は、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇から構成される凝集物であったことが書かれています。また、この凝集物は、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇微粒子であると書かれています。一般に凝集体は、免疫反応を引き起こすリスク要因と考えられることがあり、審査報告(1)でも、それについての記載があります。
申請者は安全上の問題はないと説明し、機構も46ページの記載のように、「臨床試験で認められた注射部位反応は本剤投与時のリスクと考えられるものの、中程度であって忍容可能」としています。審査報告(2)では、「注射部位反応の発生率が高いこと、海外ではアナフィラキシー等の重篤な過敏症が複数報告されていることから、本剤による重篤な過敏症発生リスクは否定できない。そこで添付文書等で注意喚起をする」と書かれています。54ページの添付文書では、「不溶性異物を認めた場合は使用しない旨を注意喚起する」と書かれています。
機構は製剤で発生する凝集体が過敏症発生リスクのリスク源と考えているにもかかわらず、そのリスク対応を製造販売業者ではなく、医師や医療従事者に求めているのではないかと思いました。これは品質リスクですから、申請者のほうが保存条件や製剤化のパラメータなどとその凝集体生成の関係を突き止めて対応すべきだったのではないかと思いました。最近審議した製品の中に、不溶性異物対策としてフィルターを使用したり、異物が検出されたときには試験を実施するなど品質管理がなされていた事例がありました。それと比較すると、添付文書で対応というのは品質管理として十分ではなかったのではないかという印象を持ちました。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見、ありがとうございます。まず、事実関係を整理させていただきたいと思います。まず、先生に御指摘いただいた審査報告書の4ページで、不溶性異物が問題となったのは、申請当初に製剤の製造所として申請されていた〇〇〇社という製造所で製造した製剤でした。こちらは先生も御指摘いただいたとおり、なぜそのような異物が発生したのかという探索については現在も進めているところですけれども、現時点で原因等の究明に十分至っていないというところがあります。
そこで、申請当初とは方針を変えて、審査途中に海外の市場流通品を製造している製造所である〇〇〇〇〇社の製造所に切り替えております。こちらについても、確かに有効期間を超過するような検体では、同じような不溶性異物が発生する場合があるという情報はありますが、今般設定した保存条件や保存期間においては、不溶性異物は確認されておりません。あと、過去に2件、海外で出荷後に異物に関する苦情が寄せられておりますが、正確な原因等は把握できていないものの、非常に限られた事象というところで、〇〇〇〇〇社で製造した製剤については、基本的には有効期間内の不溶性異物に関する問題はないものと考えております。
続いて、御指摘いただいた添付文書の注意喚起に関しましては、医療従事者等に判断を任せたという意図ではございません。この審査報告(1)を書かせていただいた時点では、この不溶性異物に関する規格設定については、まだ議論の途中でして、具体的には、申請者は出荷時点で不溶性異物がないことは確認するけれども、出荷後については異物を認めても許容するという規格を設定したいと主張しておりました。ただ、こちらについても機構との議論を踏まえ、最終的には出荷後のものに異物を認めた時点で「規格不適合」とすると設定されております。以上より、機構としては、製剤の規格においても適切な管理ができているものと考えております。
○川崎委員 御説明、ありがとうございました。不溶性異物について管理がなされているというお話であったかと思います。それについては分かりました。しかし懸念されるのは、この凝集体が〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇、つまり、異物として〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇、不溶性異物試験だけでは管理できず、添付文書で注意を喚起したのではないかと思われることです。今後も異物の対応策について継続して検討いただいたら良いのではないかと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 今回、添付文書の異物を認めた場合には使用しないことという注意喚起の意図は、先生の御指摘のとおりでございます。また、製造販売業者のほうから異物が認められた製剤の情報を得た場合には、現物を回収して、異物等の解析や検討を行っていくということも、説明を受けております。それから今、御指摘いただいた発生の頻度の低減といったところについても、製造方法に関する見直し等も含めた検討も行っており、今後も引き続き品質面の向上に関して努力していくとの説明を受けております。
○川崎委員 分かりました。ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御意見はありますか。
○菊池委員 HAEの診断はどうやってやっているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 このHAEという疾患ですけれども、病型が主に2つ、細かくは3つあります。いずれもC1インアクチベーターの活性の低下が原因になっておりますので、HAEのような症状を呈した方に対しては、C1インアクチベーターの活性を測定し、その結果、活性が下がっているということであれば、実際にC1インアクチベーターのタンパク量が減っているかどうか、活性が下がっているだけなのかどうか。あと、こちらは遺伝子性の疾患ですので家族歴等を確認したり、遺伝子検査で最終的な確定診断をすると伺っております。こちらについては日本補体学会という学会があり、そちらで診断に関する相談を受け付けるということはホームページにも書かれておりますので、恐らく疑わしい患者さんがいらっしゃったら、そのようなものを利用して診断をされているのではないかと考えております。
○菊池委員 今、それだけ難しい疾患の説明をされたのですが、これ自体、私は習ったことがないのです。若い研修医に聞いても、この病気のことは知らなくて、調べてもらっても出てないのです。だから、それくらいのことをしないと出てこないというか、診断が難しい病気なのです。
「遺伝性」と言っている以上、例えば最近だと何々耐性のがんのコンパニオンキットがあって、それを基にして診断していますよね。日本人で8人しかやっていません。この人たちが本当にHAEで、それを診断して、これが使われて、その効果が言われているのかというのが、私の中ではすごく心配です。今言われたようなC1アクチベーターとかインヒビターという話は、調べてもなかなか分からないことだったので伺ったのです。ですから診断の仕方は、医師がしろということであればそうですけれども、これはかなり難しい形になるのではないかと、個人的には思いました。
しかし、それは良しとしても、この治験の中に死亡例が3例あって、実薬群では重度後頭部発作で1例となっています。この重度後頭部発作というのも、余り聞き慣れない言葉です。これはどういうものですか。
○医薬品医療機器総合機構 HAEの症状として、浮腫が主な症状としてあります。この浮腫が喉頭部に発生しますと、気道が閉塞して窒息等により亡くなってしまう患者さんがいると伺っております。日本のHAEガイドラインによりますと、無治療で喉頭の浮腫が発生したときに、およそ30%の方が亡くなられるというお話をされていました。
○菊池委員 41ページにある重度後頭部発作というのは、字の間違いですね。「コウトウ」というのは、edema(浮腫)という意味ですよね。
○医薬品医療機器総合機構 申し訳ございません。
○菊池委員 重大な誤植だと思います。昨日も重度後頭部発作というのを研修医に、「これ知ってるか」と言ったら「聞いてない」と言っています。こんな肝心な所の字を間違えては困ります。言っている意味が全然違うじゃないですか。
○医薬品医療機器総合機構 申し訳ございません。適切に訂正し、修正させていただきたいと思います。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見はありますか。それでは議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題2に移ります。機構より御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品ジビイ静注用250他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。本剤は、ダモクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)を有効成分とする遺伝子組換え血液凝固第VIII因子製剤です。本剤は、ポリエチレングリコールを結合させることで、血漿中消失半減期を非修飾型の血液凝固第VIII因子よりも延長させることを目的に開発されたものです。海外においては、米国では2017年8月に、欧州では2017年9月に申請され、いずれも現在審査中となっています。本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料18にお示しした6人の方々です。
審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明します。有効性については、審査報告書18ページの表13を御覧ください。12歳以上を対象とした試験13024では、年間出血回数であるABRが9回未満であった被験者がレスポンダーと定義され、レスポンダーの割合が主要評価項目として評価されました。その結果、レスポンダーの割合は、出血時投与群では5.0%であったのに対し、定期的投与群では75.9%と高い値が得られました。また、19ページの表14に示しますように、ABRの中央値は定期的投与群では2.82回と低い値でした。以上の結果から、本剤の定期的な投与による出血回数の低減効果は期待できると判断いたしました。また、本剤を出血時に投与した際の止血効果が「非常に良好」又は「良好」と評価された出血エピソードの割合は72.4%であり、本剤の止血効果についても期待できると判断いたしました。
安全性については、審査報告書25~28ページに記載しています。12歳以上の患者においては、試験13024の結果から、既存の血液凝固第VIII因子製剤と比べて問題となる有害事象等は認められておらず、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。一方、12歳未満を対象とした試験15912では、本剤に結合しているポリエチレングリコールに対する抗体が産生され、有効性の欠如に至ったと考えられる症例が73例中10例報告されました。この結果から申請者は、リスク・ベネフィットの観点から、12歳未満の患者は本剤の投与対象から除外すると説明しています。機構は、本剤の投与対象を12歳以上とすることは受入れ可能と判断いたしました。
以上の審査の結果、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○半田委員 年齢ですが、12歳以上という適応ですよね。その理由としては、PEG抗体。特に6歳未満は、非常にできやすい状態で改善率が低下するということですが、12歳というのは、もちろん臨床試験の対象群としての年齢があると思うのですが、これは年齢との連続性は多分あると思うのです。この辺のメカニズム、その辺はどこまで追求されているのでしょうか。要するに、年齢が上がってくれば、当然、PEG抗体ができなくなってくることを断定してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構よりお答えさせていただきます。ポリエチレングリコールに対する抗体の年齢による発現状況の違いですが、PEG抗体の産生には、主に自然免疫が関与していると考えられており、成長していくに従い、獲得免疫が発達し、免疫系において自然免疫よりも獲得免疫の占める割合が高くなっていくので、ある程度の年齢になればPEG抗体の産生は少なくなるだろうと申請者は考察しております。実際、データとしても、12歳以上ではPEG抗体の発生頻度は低いという状況になっております。
○半田委員 審査状況が、欧米では1年ぐらい掛かっていて、まだ承認されていないのですが、この辺はやはり何か問題があるのですか。
○医薬品医療機器総合機構 欧米の状況については、何か問題があって審査が止まっているという話はないと企業から聞いております。申請内容についても、日米欧の3局全てで12歳以上を適応として申請されています。適応対象を変更するという議論は特になく、海外と日本では同じ状況で承認審査が進んでいると理解しております。
○川崎委員 本品目の製造方法ですが、〇Lのバイオリアクターを用いた〇〇培養と、マウスハイブリドーマで作成した抗体を用いたアフィニティクロマトグラフィー精製が行われています。安全性の面ですが、感染性因子の試験と、重要工程であるウイルス不活化を行った後で、抗体カラムを使った精製が行われています。この抗体に関しては、生物由来原料基準に適合することと、販売承認申請書の「参考」の5ページ目に、ウイルス不活化除去処理が行われていることが書かれているのですが、私が知り得る情報はそこまでなのですが、この抗体について、マイコプラズマ、ウイルスなどの感染性因子に対して、通常の医薬品などと比較してどの程度リスク対応がなされているのかを教えていただきたいと思います。
つぎに、バイオリアクターですが、〇〇〇〇〇を用いて〇〇培養されているのですが、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇、このような〇〇〇〇〇〇ときの〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇はどうなっているのかを教えていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 品質を担当した機構からお答えいたします。1点目のアフィニティクロマトグラフィーに関してですが、資料2の1.10に記載されているとおり、カラムについては製造方法が決まっており、ウイルスクリアランスについて評価されています。したがって、ウイルスが混入するリスクは極めて低いと考えております。
もう1点、エンドトキシン等の外来性の感染性因子については、この抗体カラム自体における対応状況については、審査において申請者に詳細を確認していませんが、エンドトキシンや他の微生物に関しては、製剤の規格試験により製剤で担保されますので、このカラム自体ではなく製剤として管理されていると考えております。
もう1点の製造方法の〇〇工程の〇〇〇〇〇ですが、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇されています。
○川崎委員 ありがとうございました。2つ目のご回答についてはよく分かりました。1つ目は、工程全体はウイルスクリアランス試験で担保されていることは予想がつくのですが、アフィニティクロマトグラフィーに使っている抗体そのものに感染性因子が含まれているというリスクはないかという質問でした。この製造に使った抗体の安全性に関しては、審査報告書を読んでも「生物由来原料基準に適合する」としか書かれていないので、その他の試験についてお聞きしたかったのです。
○医薬品医療機器総合機構 資料2の1.10に「生物由来製品又は特定生物由来製品の指定審査資料のまとめ」が付いており、別紙4として、アフィニティクロマトグラフィーに使っているモノクローナル抗体のマスターセルバンクの管理試験や、ウイルス不活化工程について、簡単にではありますが記載をしています。セルバンクにウイルスが混入していないことはウイルス否定試験等で確認しておりますし、抗体の製造工程に複数の不活化工程が導入されていることも確認しています。
○清田部会長 いかがですか。
○川崎委員 では、後で確認させていただきます。ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御質問、御意見はありますか。
○浦野委員 2つあります。1つ目は、レスポンダーとノンレスポンダーを分けるところが9回という数字があると思うのですが、この9回の根拠といったものが、どこにあるのかに関して、まず教えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。審査報告書の23ページを御覧ください。23ページの下の7.R.2.3の「定期的な投与の有効性について」で、申請者が「レスポンダーの割合」のレスポンダーの基準を「9回」と設定した理由を記載しています。試験の計画立案当時に得られていた、申請者のバイエル薬品が持っていた「コージネイトFS」という第VIII因子製剤及び他の第VIII因子製剤の臨床試験等の結果から、9回と設定したとされています。
○浦野委員 私もここを読んだのですが、その理由が、72.1%で9回になったことというのが理由として書いてあるのですが、これが理由になるのかというのが分からなかったのです。臨床的なことを考えたときに、9回というところが1つの基準になるといったものが何かあるのかどうかを伺いたかったのですが。
○医薬品医療機器総合機構 「何回未満であればよい」と明確な基準を設定することはなかなか難しいと思っております。ただ、試験計画立案当時ですと、定期的な投与の情報が少なかったこともありますので、情報として十分かと言われると、これで十分とまでは言えないかもしませんが、当時得られていた文献情報等から、出血時投与で出血回数が多い人でも、定期的な投与により大体出血回数が9回未満になるだろうということで、カットオフの値として9回を設定したということです。審査においては、レスポンダーの割合だけでなくて、ABRそのものも低くなっていることも確認した上で、有効性は期待できるだろうという判断をしております。
○浦野委員 だから、そういうカットオフ値を聞いて、レスポンダー、ノンレスポンダーという二値化をして、こうやって解析するよりも、中央値を使ったほうが、よりサイエンティフィックなのかと思ったのですが、念のために言えば、二値化したデータで議論されていくところが、これで本当にいいのかというのは疑問だったのですが、それはよろしいということですね。
○医薬品医療機器総合機構 今後もいろいろと試験が出てくるとは思いますので、どのような評価指標がよいか、企業とも考えて、今後の品目の審査を進めていきたいと思っております。
○浦野委員 もう1つは、製剤品ですが、基本的にはPEG60とか、平均分子6万のものを〇〇〇〇〇でシステインに付けているだけだと思うのですが、その平均分子量の6万が、実際に6万にプラス・マイナスどれぐらいの範囲に収まっているかといったところの品質と、あと、実際にシステインに対して平均何個付いているのかというところに対して、各バッチ、ロットでどれぐらい差異があるのかに関して、データがないのは危ないかという気はするのですが、そこに関しては膨大な文書で読み切れてはいないのですが、そこに関しては大丈夫なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 PEGが何個結合しているかについては、本剤ではピンポイントで1つ結合するように設計されていますので、1つの第VIII因子のタンパク質に1つのPEGが結合しているということになります。
○浦野委員 1つと、0個の混じりになってはいないということですか。
○医薬品医療機器総合機構 0個のものは、精製により除去されます。〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇等も不純物として想定されており、〇〇の規格等で管理されていますので、反応していない不純物は除かれていると思います。
○浦野委員 そこが少し分からなかったのです。〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇というのは除けると思うのですが、実際に〇〇〇〇〇なのかと思って見ていたのですが、〇〇〇〇〇だとすると、比較的0個と1個をちゃんと分けるのは難しいと思ったのですが、もちろん、さすがにどこかにきっちり書いてあるのだと思ったのですが見付けられなかったのが正直なところです。そこは機構のほうで、しっかりちゃんとやられているということが確認できれば、全く問題ないかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 こちらのほうで再度確認したいと思います。ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御質問、御意見はありますか。
○川崎委員 先ほどの件ですが、マスターセルバンクと、抗体そのものでも管理されていることを確認しました。ありがとうございました。
○清田部会長 よろしいですか。それでは、そろそろ議決に入りたいと思います。南委員においては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととします。議題2について、承認を可としてよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、議題3に移りたいと思います。南委員においては、利益相反に関する申出に基づき、議題3の審議の間、別室で御待機いただくことにします。議題3について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品ローブレナ錠25mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。
本剤の有効成分であるロルラチニブは、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)チロシンキナーゼ阻害剤であり、ALK融合遺伝子にG1202R等の耐性変異が生じることにより、既存のALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性となった腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
今般、本剤は、ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果として承認申請されました。なお、当日配布と記載された資料にあるとおり、本剤は、医薬品の条件付き早期承認制度の適用品目に指定することとされ、平成30年4月の当部会において報告させていただいております。
米国及びEUでは、それぞれ平成29年12月及び平成30年1月に承認申請が行われていますが、現時点において、本剤が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料18にあるとおり8名の委員です。以下、臨床試験成績を中心に審査の概略を説明いたします。
今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第I/II相試験である1001試験が提出されました。有効性については、審査報告書43ページの表32を御覧ください。ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対照とした1001試験の第II相パートのうち、コホート2~5における奏効率が47.2%であったこと等から、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌に関する腫瘍生物学的な知見等も考慮すると、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
安全性については、審議報告書46ページ、本文上から1行目以降を御覧ください。本剤の使用時において特に注意すべき有害事象として、QT間隔延長、中枢神経系障害、膵炎、肝機能障害及び間質性肺疾患が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応がなされ、かつ間質性肺疾患等の重篤な有害事象に対する厳重な注意と管理及び対応による安全管理がなされるのであれば、本剤は忍容可能と判断しました。
ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
以上のような審査の結果、機構は、「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。
○菊池委員 報告書47ページの「安全性の概要」の所に、死亡に至った有害事象が、大体、日本人と外国人で10%ぐらいと出ていますけれども、実際どういう有害事象が死亡に至ったものですか。
○医薬品医療機器総合機構 今、詳細を確認させていただきますので、少しお時間をください。
○菊池委員 同じことを4課題目でも聞きます。4課題目は25%あるので、今回、3課題目は10%で、いずれにしてもちょっと高いと思うので、お伺いします。報告書の中で、それぞれのいろいろなものを見ても、心臓の疾患で1例ぐらいしか疾患に伴うのがないとなっていて、その中から数え出せないのですけれども。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。審査報告書43ページ、一番下の段落を御覧ください。本試験においては、疾患進行による死亡例を除く患者の死因としては、第I相パートで低酸素症1例、第II相パートでは心筋梗塞、全身健康状態低下、肺炎、肺感染、急性肺水腫、呼吸窮迫、末梢動脈塞栓及び塞栓症が各1例であり、いずれも本薬との因果関係は否定されております。
○菊池委員 今、足して何例ですか。7例ぐらいしかないのではないですか。そのほかは。
○医薬品医療機器総合機構 今のは安全性についての本薬投与期間中又は投与終了後28日以内の死亡についての説明になりますが、この10例についての説明について、もう少しお時間をください。
機構より再度御説明させていただきます。トータルの外国人患者の22例については、肺炎、肺感染、急性肺水腫、塞栓症、全身健康状態低下、心筋梗塞、末梢動脈閉塞、呼吸窮迫がそれぞれ1例ずつで、それが8例で、その他については。
○菊池委員 だからそれは亡くなったときの死因ですよね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○菊池委員 これは有害事象で死に至ったということで書いてあるわけであり、そこら辺の把握をしっかりしていないと。4課題目の人にも早めに調べてほしいと思いますけれども、その意味が分かりますか。それは最終死因ですよね、今おっしゃっているのは。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○菊池委員 そうではなくて、有害事象というか。
○医薬品医療機器総合機構 有害事象として、今、御説明させていただいた8事象については1例ずつで、その他については疾患進行で亡くなっています。
○審議官 補足しますと、43ページの記述はナラティブに書いてあるのでサッと分からないのですが、第Ⅰ相パートでは7例亡くなっておられて、疾患進行によるものが6例、ですから残り1例についてその下のほうで低酸素症1例がありましたと。そして、第II相パートのところは、26例の死亡例があって、そのうちの18例が疾患進行で亡くなられていて、残りが8例、その8例というのは、心筋梗塞、全身健康状態低下、肺炎、肺感染、急性肺水腫、呼吸窮迫、末梢動脈塞栓、塞栓症の全部で8例という格好となっていますので、一応、疾患進行を除くものについては、それぞれ全部書かれてますので、すみません、そこが少し説明ができていないのだと思いますけれども。
○菊池委員 分かりました。足し算が多分、合いそうな気がしますけれども、でも、ここの有害事象というように書いてある部分で、その死に至ったということに対して、もっとテンションを高くしておいたほうがいいと思うのです。このように書いて、この薬で、例えば副作用で10%亡くなるといったような見え方にも見えますよね、これは。次のは4分の1になりますよ。4課題目の方、準備いいですかというか、これは全然、武士の情けで議事録からカットしてあれですけれども、かなり高いというように思えて、もちろん、もともとが重症な病気でしょうから、それぐらいのことはあってもいいのですが、まだ有害事象と副作用という意味ではないわけですけれども、そういったことを考えると、ここは臨床家としてはテンションが高くなりますよ。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、どうもありがとうございます。今後の参考にさせていただきたいと思います。
○菊池委員 ついでに言ってしまうと、そこに書いてある47ページ以降の所で、例えばその次のQT間隔の延長、その中では死亡に至ったQT間隔延長は認められなかったというような書き方がされてあって、その先のことも、それぞれがほとんどそのことで亡くなっていないとなるのですね。いつ、どこで亡くなったのかと思っても、全然そのまま1例ぐらいどこかで心筋障害か何かで1例というような形で出てきますが、そこの部分との齟齬があるので、多分、考え方とか、数え方の違いだとは思いますが、表に出した部分と、中に書いてある部分のものに、やはり国語的に齟齬があるので、ちょっと違和感を感じるというところです。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。今後の審査報告書のまとめ方の参考にさせていただきたいと思います。
○清田部会長 宗林委員、どうぞ。
○宗林委員 教えていただきたいのですが、例えば、47ページの全有害事象と書いてありますが、有害事象の場合は、病気の進行によるものは除いているトータルの数という意味ではないのですか。
○清田部会長 それはちょっと違うのです。
○宗林委員 これは含むのですか。
○清田部会長 治験中に起こった全てのイベントを包含してしまいますので、薬が悪いから死んだとかという話とは限らないのです。ですから、病気が進行して亡くなっていくというのも報告に上がってきてしまうのです。
○宗林委員 そうすると、例えば表36の全有害事象の39というのは、どことどこを足したときに、この39になっていくのですか。
○清田部会長 私が答えられるかどうか分かりませんが、これは延べ件数が入ってきますので、1人の患者さんに2、3つの有害事象が起こることがあるので。
○宗林委員 ダブルカウントもあるということですね。
○清田部会長 ここから読み取ることはちょっと難しいかなと思います。大体そういうカウントの仕方だろうと思います。
○宗林委員 分かりました。
○審議官 今のところは、先ほどの43ページの所と突き合わせると、例えば死亡に至った有害事象という、47ページの表36を見ていって、死亡に至った有害事象、この場合は死亡は1回しか起きませんので、例数と同じでいいと思いますが、これは日本人患者と外国人患者を分けて書いてあるので、このスタディ全体としては、ここの場合、4と22を足して26になります。26例の有害事象というのは、これは43ページの所に、先ほどお話して御説明していたように、これは第II相パートのところですので、結局26出ているというのとつじつまが合っているという関係になっていますので、一応、そういう疾患進行によるものも含めたトータルの数が有害事象というものの中には入っているということが、1つの例でありますけれども見て取れると思います。一応、そこはそういう整理で、有害事象は因果関係ありなしを問わず、全てを上げて治験の場合はカウントしてあって、その上で、因果関係のありそうなものは副作用というように捉えて、特に薬によるものは重視しているという捉え方にはなっています。ただ、因果関係の有り無しもなかなか特定しきれないものですから、有害事象として、まずきちんと挙げておくということで、見逃さないようにしようという考え方で治験ではやっているということです。そのデータをこのように書いてあります。
○宗林委員 よく分かりました。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はありますでしょうか。
○登美委員 この薬剤はリファンピシンとの併用が禁忌ということになっているのですが、当初、多分これを試験したときには、その併用によって肝障害が起きるということを必ずしも想定したような試験を行ったわけではないと思います。結果的にそういう結果が出たということで禁忌としたのかと思いますが、その機序が不明ということに今なっていると、結局、ほかの薬でも同様なことが起き得るのかということがどうしても懸念材料として出てくるのかなと思っているのですが。PXRの誘導が関係しているのではないかということが一応、報告書の中では書かれていたのですけれども、更にそれが、PXRの誘導が、どのCYPの誘導をもたらして、それが何か影響するのか、あるいは、違うところに影響するのかといった辺についてはある程度何か考えが実はあるのかを、1つお聞きしたいところと。
関連して、同じように併用したときに肝機能が、肝障害が起きるという感じでいうと、イソニアジドとリファンピシンの併用なども、やはりPXRの誘導などを介して肝障害が重篤化するようなこともこれまでにあったかと思いますが、例えば、もちろんほかのCYP誘導剤の影響を見るということも重要ですけれども、例えば、イソニアジドとか、そういったものと併用したときに、こういったことが起きるかどうかということを検討されたことはあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、本剤のリファンピシンの併用による肝機能障害の発現機序については、様々な角度から検討させていただきまして、代謝物の影響なのか、あるいは申請者が説明してきたように、PXRの活性化による影響なのかというところを、照会等で確認しましたが、明確にPXRの活性化によるものだということを結論付けることはできませんでした。御指摘のとおり、ほかにPXR活性化作用のある薬剤は幾つかあるかと思いますが、それらについて併用例において安全性がどうかというところについては明確なことは分かっておりません。
○登美委員 検討していないということですよね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○登美委員 例えばイソニアジドとかは、どうなのですか。全然そこは考慮されていないという。
○医薬品医療機器総合機構 ただいまデータは持ち合わせておりません。
○登美委員 今後、更に臨床試験などを行っていくという感じで、そのときに、要するに中程度の誘導剤などでやっていくということなのですが、具体的にどういうことを考えられているのか、なぜ強いものではなくて、中程度のものでやろうとしているのかという、その辺も教えてほしいのですが。
○医薬品医療機器総合機構 まず、強い誘導剤に関しては、リファンピシンとの併用の1011試験というのが今回の申請の中で実施されておりまして、本剤をリファンピシンとの併用で12例に投与したところ、全例で肝機能障害が生じております。このような情報がある中で、強い誘導剤について、再度試験をすることは困難と考えられる一方で、CYP3A誘導作用のある薬剤全般に肝機能障害が起きるかどうかということについては検討しなくてはならないということで、今回、申請者としては、引き続き、中程度の誘導剤について、併用した際の安全性等について検討する臨床試験を計画しているところです。
○登美委員 今後も引き続きということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そのように考えております。
○登美委員 分かりました。
○清田部会長 ほかに御意見、御質問はありますか。
○亀田委員 簡単な件なのですが、死亡例を出すときに、日本人の死因がどれかということは重要ではないかと思います。例えばチロシンキナーゼ阻害剤の場合には、日本人で肺障害が多いということが以前から知られておりますし、免疫抑制治療の場合に、例えば、誘発間質性肺炎、帯状疱疹と言うと、多くは日本人で占めているといった状況がありますので、この中で、例えば急性肺水腫、呼吸窮迫というものが日本人の可能性が高いかなと思えてしまうものですから、日本人の4例というものは、例えば原疾患の進行なのか、それとも、いわゆるこのような合併症なのかという情報は重要ではないかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 日本人の死因についても確認させていただいておりまして、いずれも疾患進行による死亡でした。
○亀田委員 ありがとうございます。
○清田部会長 ほかによろしいでしょうか。
○浦野委員 非常に単純なことですが、構造式の書き方の所は、同じR体、2つ、これはR体とS体は存在するのですが、10位で、そのR体の書き方として一番初めに出てくるような書き方と、途中から出てくる原薬の所とか、全部もっと大きな環状構造で書いて、メチルのダウンで書いているのですが、全く同じで合ってはいるのですが、なぜこの2つの書き方というのが両方出てくるのかが分からなくて、どうせだったら、どちらかにちゃんと統一して書いたほうが誤解がなくていいのではないかと思うのと。
あと、これは、まだ海外では承認されていないのですよね。ですので、このRであることを絶対的にきちんと証明しておかないと、ここの段階で。もし、承認してしまうとまずいと思うので、実際にX線のデータが原薬のところにあるので合っていると思いますが、若干X線がすごく読みにくいとか、見えづらい、一番中心の10位の所のR、Sをしっかり判断するのが、あれは2つの共結晶で出ているのですが、片方は見えるのですけれども、もう片方はすごく、ぐちゃぐちゃの所にちょうど不斉中心があるので、もう少し見やすい図にするといいのではないかと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、どうもありがとうございます。企業に確認させていただいて、適切に対応させていただきます。
○浦野委員 はい。
○清田部会長 では、そろそろよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議決に入ります。なお、亀田委員、舘田委員、山本委員におかれましては利益相反に基づく申出に従いまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、御異議ないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。それでは、南委員をお呼びください。
                                  (南委員入室)
○清田部会長 それでは、議題4に移ります。議題4について、機構から概要の説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料番号4、医薬品ゾスパタ錠40mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)は、造血前駆細胞の分化、増殖等に関与すると考えられている受容体型チロシンキナーゼであり、FLT3遺伝子の活性化変異が生じることにより、FLT3を介したシグナル伝達が恒常的に活性化されること等が報告されております。本剤の有効成分であるギルテリチニブフマル酸塩(以下「本剤」)は、FLT3等のチロシンキナーゼを阻害する低分子化合物であり、FLT3を介したシグナル伝達を阻害することにより、FLT3遺伝子変異陽性の腫瘍の増殖を抑制すると考えられております。今般、本剤は、再発又は難治性FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病を効能・効果として承認申請されました。
なお、本剤は、平成30年2月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。また、本剤は先駆け審査指定制度の対象品目に指定されており、米国では本邦における承認申請後の平成30年3月に承認申請が行われておりますが、平成30年5月時点において、本剤が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料18にあるとおり8名の委員です。
以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明させていただきます。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験である0301試験が提出されました。有効性については、審査報告書32ページの表26を御覧ください。再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病患者を対象とした0301試験において、主要評価項目の1つとされた第1回中間解析時点において、本剤群で完全寛解又は部分的血液学的回復を伴う完全寛解を達成した患者の割合(CR/CRh率)の結果は28.2%であり、一定のCR/CRh率が認められたこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
安全性については、審査報告書37ページの本文上から3行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として、骨髄抑制、感染症、出血、心臓障害、肝機能障害、腎障害、消化管穿孔、間質性肺疾患、過敏症及び可逆性後白質脳症症候群が認められております。これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
以上のような審査の結果、機構は、「再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 先ほどの、菊池先生からの死亡例が多いという話も含めて、先に説明していただいたほうがいいのではないですか。
○医薬品医療機器総合機構 先ほど菊池委員から御質問いただきました、本剤での死亡例の状況については、審査報告書の37ページを御覧ください。先ほど御説明した本申請での主要な試験である0301試験での死亡の状況について、日本人集団と外国人集団の結果を表27に記載しており、日本人集団では1例、外国人集団では42例の死亡例が認められております。
この死亡例の死因につきましては、審査報告書の32ページの中ほどを御覧ください。この試験の中で認められた日本人の1例の死因は疾患進行によるものです。また、外国人患者42例の死亡のうち、16例は疾患進行による死亡であり、それ以外の死因については、そちらに記載しているように、敗血症性ショック4例、脳出血及び疾患進行/心停止各2例等です。
○清田部会長 ここから御質問、御意見を頂きます。
○菊池委員 日本人と外国人では死亡数がかなり違いますけれども、そこは何か分かっているのですか、分かっていないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 こちらについては原因を確認したのですけれども、先ほど御説明した審査報告書37ページの表27にあるとおり、全体集団が168例で、そのうち日本人集団が24例と日本人の症例が限られており、なぜ外国人集団と日本人集団で死亡の割合に差があるのかという原因は分かっておりません。
○菊池委員 分かりました。このFLT3ですか、初めてのときに私は聞くのですが、このコンパニオンキットは簡単にあるのですね。あるいは審査中というか、並行しているのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 この薬剤のコンパニオン診断薬については現在申請中です。この薬剤が販売されるまでにはきちんと使えるような状態になる予定と聞いております。
○菊池委員 そうなのですけれども、結局こうしてくるといろいろ遺伝性の疾患がある病気、例えば肺がんもそうですけれども、そのときに調べるのに、ものすごくこの検査自体の数が増えて、その検査も安くないのです。先ほどのALKもそうですけれども、そういうのを初めから狙うわけではなくて、自分が病気になれば当然ですけれども一緒に調べたいですよね。ですから、そうやってドンとやりますけれども、これもそのようになってくるのですね。
○清田部会長 より、その部分の経費がかかるということですよね。
○菊池委員 はい。やらざるを得ないのですけれども、そういうところで考えるしかないのです。保険適応とかそういう部分では、この病気を疑った時点で、もう許されないと、話にならないとは思うのですが。
○医薬品医療機器総合機構 今回のFLT3遺伝子変異陽性を判断する薬剤というのは、今回の医薬品が初めてということもあります。今後、同様の作用機序の薬剤を開発中という話は聞いています。それにおいても、共通するコンパニオン診断薬を使う場合もあれば、そうでない場合もあり得ると考えられます。ただし、将来的にそれが全て統一されるかどうかについては、この作用機序を有する薬剤がどれぐらい開発されていくかというところにも関わってくるのかと思いますので、現時点で明確にお答えすることはできない状況です。
○菊池委員 分かりました。あと1点です。32ページで、日本人の集団は18例で、これは第1回の中間解析時点だと思うのです。安全性のほうは24例となっています。日本人の集団で何人やってどうだったというようなことはいつも言いますけれども、やはりそこの部分をしっかりしてくれないと、日本の薬事としての審査にならないと思うのです。ここの差は現状はどうなっているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今御質問いただいた、有効性が評価された集団と、安全性が評価された集団が異なるという点につきましては、審査報告書の31ページの中ほどをご覧ください。有効性の解析対象集団としては、本薬が投与されて、かつ少なくとも112日経過された患者を有効性の解析対象集団と定義されております。一方、安全性解析対象集団については、治験薬が投与された患者が安全性の解析対象集団と定義されており、そこの差が出ているということです。
○菊池委員 分かりました。毎回、私は時々これを言うと思うのですけれども、ここの審査の段階の審査書を書かれるときに、日本人が何人いたのだということは、もっと明確に書いてほしいのです。いつも計算機を叩いて何人いるのだろうと私はやっているのです。私は普段の実験でもそういうところはすごくうるさくて、1ずれても気持ちが悪いのです。
だから、その辺は、ここの全体の集団もそうですけれども、日本人が何人いて、何人に投与されてと出す。OSの判断が違う部分は全然いいですし、安全性の部分もそうだと思います。そういう分かりづらい審査書を書いて満足しては困るのです。何度も言いますけれども、これが送られてきて短時間で見ているのです。昨日もずっと見ていました。2段階に送られてきて、質問が少なかった分はそれだけ読み込む時間がなかったのです。これは最初に来たほうだから読んだのですけれども、そういうことなのです。
あなたのほうを向いて言っていますけれども、皆に言っているのです。そのように分かりやすくしてくれないと、前から言っているように、何かここでエラーがあれば、私たちは一蓮托生になるということを常に考えていただきたいと思います。こっちの森さんに言ったほうがいいですか。
○医薬品医療機器総合機構 ただいま菊池委員から頂いたコメントにつきましては、今後の品目には留意していきたいと思います。ありがとうございました。
○菊池委員 今までも、1年以上前に同じことを言っていると思います。皆さんそうやって、書くと言っているけれども書いていない。分かりづらいのですよ。あなたに言っているわけではなくて、こっちの森さんのほうに言っています。
○審議官 はい。
○清田部会長 御検討いただいて、例えば32ページの表26というのは、全体集団と日本人部分集団というような表現もありますし、やっているということです。ここでのプレゼンをうまく、そのように散りばめていただければと思います。よろしいでしょうか。他に御質問等はありますか。
○南委員 先ほどの御質問とも少し関係します。この試験で、入院で治療していたか、外来ベースで治療をしていたかというデータは取れていますか。先ほどの、日本と海外との差で、恐らく日本は入院で治療していて、海外では外来で治療していたのではないかと想像します。その実地診療の差が、患者さんのマネジメントに影響を与え死亡率の差につながったということも考えられます。死因を見ても、ほとんどが原病に関連すると思われる感染症死ですので、この実地診療の差がこの数字の差になった可能性があるのではないかと推察しています。もし可能であれば、それも御検討いただければと思います。
それから確認したいのですが、FLT3/ITDの遺伝子変異を検出するためのコンパニオン診断薬も含めて承認を考えているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、2点目の御質問から回答させていただきます。先ほど少し御説明させていただいたように、本剤と併せてコンパニオン診断薬の開発を実施しています。基本的にこの薬剤を使う際には、現在審査中のコンパニオン診断薬でFLT3変異が陽性と判定された患者において使用するということになると考えております。
○南委員 今後、血液の領域でも、パネルによる遺伝子診断の研究・開発が進んでいますので、それをみながら是非、他の遺伝子はパネルで、FLT3はコンパニオン診断薬で調べないと薬剤が使えないという事態が将来において起きないような配慮を是非お願いしたいと思います。
もう1つ質問があるのですが、このCR/CRhが2割を超えているというのは、この集団では評価できると思うのです。効果の期間のデータは取っていますか。奏効期間です。
○医薬品医療機器総合機構 今御指摘いただいたCR/CRhの持続期間のデータについては、審査報告書36ページの「7.R.3.2 有効性の評価結果」の項をご覧ください。0301試験におけるCR/CRhの持続期間は副次評価項目として設定されており、CRの持続期間の中央値は421日、CRhの持続期間の中央値が122日という結果が得られております。
○南委員 1年を超えていますので良いデータだと思います。ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 冒頭にいただいた1点目の御質問についてですが、入院、外来のいずれで治療されていたかという情報については、今は持ち合わせておりません。御指摘いただいた点も可能性として今後検討してまいりたいと思います。ありがとうございました。
○清田部会長 どうぞ。
○宗林委員 簡単なことですけれども、原薬の安定性の試験などは、この場合は24か月までしかやられていないのですが、設定は36か月とされています。これは一般的なことなのでしょうか。やられている期間が〇か月まではやるとは書かれていますが、今の時点でそれを超えて設定するというのは一般的なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点については、審査報告書の3ページの2.1.4という項があり、そちらに「原薬の安定性」という項があります。そちらの御指摘かと存じます。一般に、特に化成品、今回のような化学合成医薬品についてはICHにガイドラインがあります。審査報告書にも書きましたが、ICH-Q11ガイドラインというものです。そちらガイドラインで、実際のデータからシミュレーションを行い、その結果で許容しているという状況があり、その考え方に基づいて、今回の有効期間は36か月と設定されている状況です。
○宗林委員 〇か月までやると書かれていますが、その結果も何らかの形で、どこかに報告するというか、何かあればということですか。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には、例えばこの薬剤が仮に承認されたとしたら、承認書というものがあります。承認書の中に、原薬なり、製剤もそうなのですけれども、有効期間というものが記載されています。今回、今継続中の試験成績に基づいて、例えば有効期間を〇か月というように変更するということになれば、承認申請が、また更に必要になります。そのときに、そのデータを踏まえて有効期間を変更することが妥当かどうかというところを機構のほうで審査させていただいて、それで可能ということになった後に、そこの承認書の有効期間が変更されるという仕組みになっています。
○宗林委員 途中で問題が発生した場合はどのように反映されるのかなということをお聞きしたかったのです。〇か月の間で、ICHは分かりますけれども、途中で、もしかして何か起きた場合は、どこかでどういう形で反映されるのかをお聞きしたかったのです。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には36か月の間については問題ないだろうと。それは、あくまでシミュレーションも入っている状況ではありますが。仮に万が一、そういう品質上の問題があった際には、当然、開発企業が責任を持つ話ですけれども、そちらのほうからきちんと報告を受けるという形になっています。それを受けて適切な対応をさせていただくということになります。
○審議官 補足させていただきます。もともと長期安定性の試験の方法というのは、ICHのガイドラインができる前の更に昔から、室温で、なりゆきで、実態どおりでやって、3年なら3年やって、そのとおりという格好で設定する方法。それから25℃という少し高い温度で24か月(2年間)やって、その条件でやって、大丈夫であれば3年の室温保存を担保できるというのが、基本的にそういう実績に基づいて設定されていて、A法、B法という言い方を随分昔はしていました。それがICHのガイドラインでも採用されていて、B法の25℃で24か月をやるという方法も一応、信頼性のある方法というふうに国際的にも受け入れられているということです。この条件でやって、24か月大丈夫だったら室温で3年間は大丈夫ということは科学的にもかなりしっかりしているということになります。
確かに先生がおっしゃるように、続けてやって、例えば26か月ぐらいのところで何かが起きたらどうするのだろうという御懸念として、我々としてもその場合はどうなるのだろうかということについては、何かあれば、要するにデータを取っている企業側としても、安定性についての何らかの検討を配慮しなければいけなくなるということは考えられますので、そのような御指摘もあったということについては、一応企業側には伝えます。24か月過ぎて、30か月ぐらいのところで変なことになっていれば、ちゃんと相談してくださいと言うことはできると思います。そういう御議論があったということは当然お伝えするということかと思います。
○清田部会長 よろしいでしょうか。他に御質問、御意見はありますか。ありがとうございます。それでは議決に入ります。亀田委員、立田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。私も同様の扱いです。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
議題5と報告事項の議題3に移ります。議題5及び報告事項の議題3について機構から概要の説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項議題5と、報告事項の議題3について説明させていただきます。資料5と資料9を御覧ください。まず審議事項議題5について御説明いたします。本剤は、抗HER2モノクローナル抗体であるトラスツズマブ(遺伝子組換え)「トラスツズマブ後続3」を有効成分とする製剤であり、ハーセプチンを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、ファイザー株式会社により、製造販売承認申請がなされました。
本剤は、チャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、生物由来製品とすることが適当と考えております。また、先行バイオ医薬品のハーセプチンは、原体・製剤ともに、毒薬及び劇薬に指定されていないことから、ハーセプチンと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないとすることが適当と考えております。
次に、同一品目に係る報告事項の議題3についても、併せて御説明いたします。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤とハーセプチンの同等性/同質性が確認されたことから、本剤をハーセプチンのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。報告事項については以上です。
審議事項の議題5、本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、御質疑のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
○川崎委員 先行バイオ医薬品についてお尋ねします。これまでバイオ後続品の比較対象となる先行品は、原則国内承認されたものであること、海外製品の場合は国内製品との関連性が説明できる場合に先行品としてもよいと、説明されていたかと思います。今回のEU製品に関しては、品質の比較試験の結果から先行バイオ医薬品としてみなし非臨床・臨床の評価に用いてもよいと判断したということでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。
○川崎委員 それでは、今後も海外承認品であっても、品質比較試験の結果をもって、先行バイオ医薬品として使ってもよいという理解でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そのとおりです。
○川崎委員 ありがとうございました。
○清田部会長 他に御質問、御意見はありますか。
○川上委員 教えてほしいのですけれども、最近、トラスツズマブ後続2が承認されているかと思います。あの薬剤については、胃癌の患者で臨床試験を行い、乳癌に関しては外挿で効能・効果を取得して、その旨が添付文書上にも記されていたように思うのです。この薬剤については、乳癌の患者で臨床試験を行い、胃癌は外挿かと推測できるのですが、その旨が添付文書に分かるように書かれていないかと思います。同じバイオシミラーの製品で添付文書の書き方が違う印象を持ったのですが、こういうものなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 まず御説明させていただきます。先日、部会にかけられたトラスツズマブ後続2ですけれども、本剤と同様に、乳癌で試験が実施されており、胃癌についても効能・効果を取得しています。両製剤とも乳癌で試験が実施されていることは添付文書にも書かせていただいています。ただ、乳癌の試験結果により胃癌の効能・効果が取得されているというところまでは添付文書からは読み取れないと思いますけれども、基本的にはバイオ後続品というものはそういうことだということで、資材等で説明いただきたいと思っています。
○清田部会長 そういうことだそうです。
○川上委員 はい、分かりました。
○清田部会長 何か御要望があれば、ここで出しておいたほうがいいかと思いますが。
○医薬品医療機器総合機構 先生から御指摘いただいたのは、トラスツズマブ後続1のほうでしょうか。トラスツズマブ後続2は、ほとんど今回と同じ記載がされています。トラスツズマブ後続1のときは、乳癌で臨床試験を実施して、胃癌しか申請されなかったので、胃癌のみ取得したという形です。それでも添付文書においてほとんど同じような記載にはなっているのですけれども、本剤の臨床試験成績は乳癌しかありません。臨床試験の項において、先行バイオ医薬品の臨床試験成績の説明が少しあり、効能・効果として胃癌と乳癌の両方が書いてあるというようにはなっています。外挿という言葉は使っておりませんが、状況は同じです。
○川上委員 はい、分かりました。
○清田部会長 よろしいでしょうか。他に御意見、御質問はありますか。よろしいですか。ありがとうございます。それでは議決に入ります。亀田委員、立田委員、南委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、生物由来の指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。
議題6に移ります。事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 議題6、資料6、生物学的製剤基準の一部を改正することの可否について事務局より御説明させていただきます。資料の1ページを御覧ください。医薬品医療機器等法第42条第1項に基づき、保健衛生上特別の注意を要する医薬品等について、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、必要な基準を設けることができるとされております。生物学的製剤基準において、ワクチン、血液製剤等に係る基準を定めております。
今般、「新鮮凍結人血漿」に該当する医薬品に対し、一部変更承認申請がされており、それに伴い、対応する条について必要な改正を行うことを検討しております。なお、当該医薬品に係る一部変更承認の可否については、部会の審議事項又は報告事項に該当しないため、本日の議題には入っておりません。
基準の具体的な改正内容については、2ページを御覧ください。医薬品各条の部、新鮮凍結人血漿の条について、下線部を変更することとしております。具体的には、5.1表示事項について、これまで融解後3時間以内に使用する旨を規定していたところ、適切な温度で保存することにより、融解後24時間以内であれば、品質有効性及び安全性に影響がないと判断したことに伴い、生物学的製剤基準の表示事項から、「融解後3時間以内に使用する」を削除することといたしました。なお、変更後の融解方法、保存温度、使用期限、投与時の留意事項などの情報につきましては、添付文書や情報提供資材により現場へ情報提供することとしております。以上、生物学的製剤基準の改正につきまして御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方からの御質問、御意見をお願いいたします。
○菊池委員 融解後3時間以内というのは、私は研修時代から脈々とあったことであって、今の説明だと24時間以内ならばよいというようなことをおっしゃいました。そうすると、融解後24時間以内に使用しなさいと言うべきではないのですか。
○事務局 先ほど御説明させていただいたとおり、そういう情報については添付文書や情報提供資材で情報提供させていただくことにしております。今回、本剤の改正後の使用に当たっては、単に融解後24時間に使用すればよいというものではなくて、まず融解後直ちに使用するということが前提にあります。あらかじめ融解した製剤を準備しておく必要がある場合など、直ちに使用しない場合においては24時間以内に使用する。そして、保存温度、投与時の留意事項など、留意すべき点等がありますので、これらの情報を一体的に添付文書において情報提供することが適当と考えて、このような形とさせていただいています。
○菊池委員 もちろん意味はそのように分かりますけれども、結局これは「第42条第1項に基づき」というような、法律のことをここで、そこの文言から3時間以内というのを除くことを、ここにいる皆で審議してOKしたら、かなり重い話だと思うのです。それについて、今聞いただけの説明では何となく、一臨床医としては当然、融解したら早く使ったほうがいいということは事前知識としてあるわけです。それが抜けたことを、「はあ、よかったね」と言うのは何となく、他の臨床をされている先生方はいかがでしょうか。ちょっと抵抗がある気がしますけれども。それをもって、この条文みたいなことが許されることに対するプレッシャーを私はひしひしと重く感じているのです。
○医薬品審査管理課長 先ほど担当のほうから御説明させていただきましたが、単純に削除というのではなくて、臨床の現場の先生方がきちんと使っていただけるように添付文書に丁寧な説明をすることをもって、ここの「3時間」という非常にショートな使用の条件は削除させていただこうというものです。ボトルなり、そういう狭いスペースの所に、あえて今までは書いていただいていたのですけれども、そこの表示事項は消す。ただし、添付文書にきちんと適切な、丁寧な書き方をしようということにしております。本日の資料がシンプルすぎて。
○菊池委員 さっぱりしすぎています。
○医薬品審査管理課長 非常にさっぱりしていて、それが大きな原因だと深く反省しております。添付文書の書きぶりを、本日の部会が終わってすぐにでも先生方にメールでお知らせさせていただき、次回の部会で改めて御説明させていただくということで、きちんと丁寧に説明させていただきたいと思います。申し訳ございません。
○清田部会長 このさっぱりした対照表だけではちょっと分からないという感じで、補足の説明をメールなりで頂いてという形でよろしいですか。ここで承認してしまっていいのですか。
○半田委員 実際のところ、機能的には少なくとも24時間までは問題ないということです。つまり、冷蔵保存であれば効果はほとんど同等であるとのことです。欧米ではもともと3時間という限定はないのです。もう1つは献血によって成り立っていますから、血液製剤というのは無駄にできないということです。3時間の規定があると、どうしても廃棄に持っていかざるを得ないというようないろいろな問題がある。もう1つは、血液製剤は、ある程度厳重に病院の中で専門の部門が管理しているといった管理状況がありますので、当該基準で殊更に有効期限は融解後3時間というのは適切ではないのではないかということです。そういう理由からこうなったのだと思うのです。
ですから、添付文章上で24時間以内というのは、逆に言うと運用上、ある程度そういう管理下の中でやっていけばいいということなので、その辺はちょっと曖昧になっているということですが、特に私の意見としては問題ないかと思います。
○清田部会長 後で細かな補足の資料をお回しいただいて、ここでは取りあえず議決をさせていただくということでよろしいでしょうか。それでは議決に入ります。本議題について、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告させていただきます。事務局では速やかに、その資料をお配りいただければと思います。報告事項に移ります。よろしくお願いいたします。
○事務局 事務局より報告事項についてまとめて御説明します。初めに報告事項、課題1、医薬品オラビ錠口腔用50mgの製造販売承認について御報告します。資料7を御覧ください。本剤は、抗真菌剤であるミコナゾールを有効成分として含有する口腔用錠剤であり、現在、ミコナゾールを有効成分とする注射剤及び経口用ゲル剤は既承認で、経口用ゲル剤は口腔カンジダ症等の効能・効果で承認されております。今般、「株式会社そーせい」から、ミコナゾールを含有する新剤形薬品として、カンジダ属による口腔咽頭カンジダ症を効能・効果として、本剤の製造販売承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして、議題2、パージェタ点滴静注420mg/14mLの製造販売承認事項一部変更承認について御報告します。資料8を御覧ください。本剤は、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2型、以下HER2と略させていただきますが、HER2に対する免疫グロブリンG1サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるペルツズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は、HER2陽性の手術不能又は再発乳癌を効能・効果として承認されております。今般、中外製薬株式会社から、HER2陽性の早期乳癌の術前・術後患者を対象とした試験成績を基に、効能・効果を「HER2陽性の手術不能又は再発乳癌」から、「HER2陽性の乳癌」に変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
次の報告事項の議題3については、先ほど審議事項の議題5とともに御説明しておりますので、その次の議題4、医薬品アドセトリス点滴静注用50mgの製造販売承認事項一部変更承認について御報告します。資料10を御覧ください。本剤の有効成分であるブレンツキシマブ、ベドチン(遺伝子組換え)は、抗CD30モノクローナル抗体と、チューブリン重合阻害作用を有するモノメチルアウリスタチンEが、リンカーを介して共有結合している抗体薬物複合体であり、現在は、「再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び未分化大細胞リンパ腫」を効能・効果として承認されております。今般、武田薬品工業株式会社から、未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫に係る効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
続いて、議題5、医薬品エルプラット点滴静注液50mg他の製造販売承認事項一部変更承認について、そして、議題6、医薬品5-FU注250mg及び同注1,000mgの製造販売承認事項一部変更承認について。更に議題7、医薬品アイソボリン点滴静注用25mg他の製造販売承認事項の一部変更承認についての3議題について、併せて御報告します。それぞれ資料11、資料12、資料13を御覧ください。
資料11のオキサリプラチンは、oxalate基と、1,2-diaminocyclohexanc基を有する白金錯体であり、現在は、結腸・直腸癌、膵癌及び胃癌に係る効能・効果で承認されております。資料12のフルオロウラシルは、フッ化ピリミジン系代謝拮抗剤であり、現在は、結腸・直腸癌、膵癌等に係る効能・効果で承認されております。資料13のレボホリナートは、還元型葉酸製剤であり、現在は、結腸・直腸癌、膵癌等に係る効能・効果で承認されております。
これら3剤の小腸癌に対する併用投与について、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成30年4月25日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、株式会社ヤクルト本社、協和発酵キリン株式会社、ファイザー株式会社等から、小腸癌に係る効能・効果及び用法・量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、各品目を承認して差し支えないと判断しました。
続きまして、報告事項の議題8、医薬品ブスルフェクス点滴静注用60mgの製造販売承認事項一部変更承認について御報告します。資料14を御覧ください。本剤は、DNA合成及び細胞分裂の阻害作用を有する抗悪性腫瘍剤であり、現在は、「同種造血幹細胞移植の前治療」及び、「ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、神経芽細胞腫における自家造血幹細胞移植の前治療」を効能・効果として、本剤を1日4回投与する用法・用量で承認されております。
本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成30年4月25日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般、大塚製薬株式会社から、「成人に対する1日1回投与」の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断しました。
続きまして、議題9、資料15、医療用医薬品の承認条件について事務局より御説明します。3ページです。今回は、「エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩」を有効成分とする医薬品、「デシコビ配合錠LT及び同配合錠HT」の承認条件に係る御報告となります。
本剤は、平成28年12月に「HIV-1感染症」の効能・効果で承認されており、その際、3ページの中ほどに示してある承認条件が付されております。この度、日本たばこ産業株式会社から、承認条件のうち、4番目の下線が付されている条件で求められていた薬物動態及び安全性を評価することを目的とした臨床薬理試験の成績が提出され、機構において評価されましたので御報告します。
4ページの「2.提出された資料の概要」を御覧ください。本調査は、平成29年7月24日から開始され、日本人健康被験者24例の情報を基に調査結果がまとめられました。本試験で得られた各投与群におけるエムトリシタビン、テノホビル アラフェナミド、テノホビルの薬物動態パラメータは表1に示しております。エムトリシタビン及びテノホビルのばく露量は投与群間で同程度でしたが、テノホビル アラフェナミドのばく露量は、デシコビ配合錠HT投与時と比較して、ダルナビル及びリトナビル併用、又はダルナビル及びコビシスタット併用下でのデシコビ配合錠LT投与時で低値を示しました。また安全性について有害事象は認められませんでした。
5ページの「3.機構における評価の概要」を御覧ください。先ほどのデシコビ配合錠HT投与時と比較して、多剤併用でのデシコビ配合錠LT投与時で、テノホビル アラフェナミドのばく露量が低値を示している点については、同成分を含む他剤の成績を踏まえると、当該差異は臨床的に特段の問題とはならないと考えられること、また、6ページに示しているとおり、本試験で得られた日本人健康成人での薬物動態パラメータと海外臨床試験で得られた外国人健康成人における薬物動態パラメータを表2に示しておりますが、明らかな民族差が認められる可能性は低く、日本人にデシコビ配合錠HTを投与したとき、及びダルナビル、リトナビルの併用、又はダルナビル、コビシスタット併用下でデシコビ配合錠LTを投与したときの本剤の各成分の薬物動態に臨床的懸念はないことについて、これらの説明は受入れ可能と判断しております。以上を踏まえ、製造販売後臨床試験が適切に実施され、日本人における薬物動態は明らかにされたと考えられることから、承認条件4は満たされたものと判断しております。
続きまして、報告事項の議題10「医療用医薬品の再審査結果について」御報告します。資料16-1~資料16-6です。これらは各品目の医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますので、まとめて御報告します。
資料16-1、一般的名称は、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン、販売名は、ジェービックVのもの。資料16-2、一般的名称は、シクレソニド、販売名は、オルベスコ50μgインヘラー112吸入用他3規格のもの。資料16-3、一般的名称は、ベバシズマブ(遺伝子組換え)、販売名は、アバスチン点滴静注用100mg/4mL及び同400mg/16mLのもの。資料16-4、一般的名称は、インフリキシマブ(遺伝子組換え)、販売名は、レミケード点滴静注100mgのもの。資料16-5、一般的名称は、ドキソルビシン塩酸塩、販売名は、ドキシル注20mgのもの。資料16-6、一般的名称は、塩化ストロンチウム(89Sr)、販売名は、メタストロン注のものです。
これらの品目について、製造販売後の特定使用成績調査、使用成績調査及び製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器等の品質、有効成分及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。長くなりましたが、報告事項に関する事務局からの御説明は以上です。
○清田部会長 これらの報告事項に関して、委員の先生方から御質問はありますか。
○南委員 資料8のペルツズマブ「パージェタ」の効能の追加ですが、乳癌のアジュバントでの承認を追加という一変だと思いますが、これは確かに資料の10ページにある第III相試験の結果は、統計学的には有意です。ただ、薬剤費が非常に高い薬で、学会で発表されたときも統計学的には有意でも、臨床的にはどうなのかという疑問が投げかけられています。このカーブを見ても分かるとおり、これは虫メガネで見ないと分からないぐらいの差だと思いますが、これを例えばサブセットのデータを求めて、再発リスクの高いポピュレーションにだけ使用するような適正使用推進ガイドラインのような形で縛るおつもりはあるのですか。
○医薬品医療機器総合機構 まず機構の有効性に関する考え方については、審査報告書の23ページを御覧ください。23ページの左側の下から11行目の「機構が考察した内容は以下のとおりである」以降が機構の考え方になります。先ほど南委員からも御指摘いただいたように、今回実施されたAPHINITY試験で、主要評価項目とされたIDFSで統計学的な有意差が認められていて、かつOSに関しても短縮される傾向はなかったことと、リンパ節転移を有するような患者では、一般に再発するリスクが高いわけですが、そういった患者さんでは、本薬のベネフィットが大きな集団が認められていたこと、さらに日本人集団でも、明確に全体集団と異なる結果を得られていなかったことから、APHINITY試験の対象集団に対して、本薬の有効性が期待できるだろうと機構は考えておりますので、現状では最適使用推進ガイドラインを作成する計画にはしておりません。
○南委員 承認は試験全体では統計学的に有意となっていますので妥当だと思うのです。しかし、承認はするが、あとは医療現場に任せっきりというスタンスなのですか。ほかの薬では、最適使用推進ガイドラインで、かなりきつい制限をかけていますので、その辺はやはり一貫性を持った対応が必要になるのではないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から補足説明させていただきます。欧米ともに、同じAPHINITY試験の結果を見て最終的には再発リスクの高い患者にのみ承認される結果になっていることからも、我々はそれを事前に知っていましたので、その点を日本ではどうするかというところは機構としても慎重に検討させていただきました。
その結果として、実際に欧米ともに再発のリスクの高い患者に限定した承認のされ方をされていますが、一方で、どういった患者が再発リスクの高い患者とするかについては、厳密には定義されない状況で承認されている状況です。そういった点も踏まえ、日本の承認の仕方として、どういった仕方が適切なのかという観点から、日本の効能・効果としては再発リスクの高い患者さんに限定した承認とはしませんでした。
○南委員 承認はいいのです。問題はその先なのです。
○医薬品医療機器総合機構 その上で、実際に適正使用ガイドライン等を作って、適応を限定するかという検討もさせていただきましたが、一方で現状で得られている成績は部分集団の成績になりますので、機構から積極的にそういった資材を作るよりは、実際、本剤を使う医師は、がん化学療法の専門家であり、部分集団の結果もご存知だと思いますので、専門家の医師に判断していただくことの方が適切ではないかということが我々の考え方になります。
○南委員 それは一貫性がないと指摘しているのです。表2を見ますと、リスクリダクションが19%でハザード比0.81ですよね。再発リスクの高い集団で0.77ということは、低リスクではかなり1に近くなると思われます。他剤では、この程度のリスクリダクション、すなわちハザード比が0.8で、最適使用推進ガイドラインで使用を縛ってますよね。その辺のポリシーを一貫してもらわないと、現場は混乱します。
○医薬品審査管理課長 承認は承認として、先生がおっしゃるような最適使用推進ガイドラインを本件についても策定したほうがいいのではないかという御意見かと思います。もう一度、私どもも考えたいとは思いますので、承認は承認でいいということであれば、承認については御了解を頂くとして、最適使用推進ガイドラインについては、学会の先生方にも御協力を頂きながら、あと先生がおっしゃったサブグループ解析というか、そういったものも十分見ながら、どう作るのか、作ったほうがいい、作るとしたらどういうふうだというところを至急検討したいと思います。また、形は、次回まで待たずに御相談させていただきながら進めたいと思いますが、よろしいですか。
○南委員 御検討ください。
○清田部会長 ありがとうございます。そういう形で御了解いただきます。
○菊池委員 前回も聞いたのですが、審議になるのと報告になるのと基準を頂きましたが、やはり何となく分からなくて、今回も小腸癌がいろいろな薬が合わさってOKみたいな感じのものが来てますよね。その小腸癌だけを問題にしているわけではないのですが、投与法が変わったりとか、そういうこともかなり大きなことかなとも思いますが、数も少ないとか、公知申請を出しているとか、そういうことがあって、この報告でOKというのは全然いいかもしれませんが、私は文句ばかり言っていますが、ビビリ者ですから結局何かあったときに、一専門家というか、いた人間として、それをその場にいて、もし違ったときのこととか、びびっているわけであって、機構がやっていることが全部正しいというのでシャンシャンと言うならそれでいいのですが、この辺の責任というか、すごく気になって、やはり、頂いたものでも、これはそれに基づいてOKですというのは手続上のことで、審議に上がらずにこちらの報告で済んでいるのだと思いますが、そういうのがよく分からないのです。薄っぺらでこちらのほうがいいのですが、頂いたものを見れば見るほど分からないと思いました。これはコメントで一切消しても構いません。
○医薬品審査管理課長 一つずつに、例えば今ちょうど菊池委員がおっしゃったように、公知申請とか、あるいは用法・用量の付け足しとか、追記するとか、そういった部分について、1個ずつ、それなりの理由があっての報告案件にはなっておりまして、そこは事務局として審議会規定に照らし合わせながら、審議が必要なものを報告に落とすと、それはそれで大変ですので、そこは峻別をさせていただいております。審議会規定は先日お送りさせていただきましたが、1個ずつ必要があれば報告事項になっているところを御説明させていただくことは可能だと思っております。きちんと、そこは審議と報告を分けながら進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
○菊池委員 だから、本当に時間を短縮するのであれば、このような報告だけだったらメールベースでも済むことでしょうし、しかし、これをやらなければいけないというのはどこかで決まっているから、この報告をして、それをシャンシャンとするわけでしょうから。シャンシャンと言ってはいけないですが。今回はこの前にも話したので、これは消していただいても結構ですが、そういう辺りが、何となく選ばれてきている人間としてはプレッシャーになるという、私はビビリなので、そうだということです。やはり、一つずつ説明を受ければ絶対にそうだしねとなるのだと思いますが、それで機構に自信があるなら、もうOKですよということにもなるし、そんな気持です。
○清田部会長 素直な感想を汲んでやってください。皆さん、そういう印象はあると思います。ほかに御意見はありますか。ありがとうございます。それでは、事務局からよろしくお願いします。
○事務局 次回の部会は、11月8日(木)午後5時から開催する予定ですので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
 

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

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