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2018年8月3日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成30年8月3日(金)17:00~

 

○場所

厚生労働省専用第15会議室

○出席者

出席委員(14名)五十音順

大槻 マミ太郎、○奥 田 真 弘、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、
菊 池    嘉、◎清 田    浩、 宗 林 さおり、 田 島 優 子、
長 島 公 之、  中 野 貴 司、 濵 口    功、 半 田    誠、
増 井    徹、  山 口 拓 洋
 

欠席委員(7名)

浦 野 泰 照、 亀 田 秀 人、 舘 田 一 博、 登 美 斉 俊、
南    博 信、 山 本 善 裕、 渡 辺    亨
(注)◎部会長 ○部会長代理
 

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 本    史 (医薬品審査管理課長)
関 野 秀 人 (医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森 口    裕 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
宇 津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。
本日は暑い中、また、お忙しい中御参集いただきまして、まことにありがとうございます。
初めに、本日より新しく当部会の委員になられました先生を御紹介させていただきます。公益社団法人日本医師会常任理事の長島公之先生でございます。
○長島委員 よろしくお願いします。
○医薬品審査管理課長 本日の委員の御出席状況でございますが、浦野委員、亀田委員、舘田委員、登美委員、南委員、山本委員、渡辺委員より御欠席との御連絡をいただいております。
また、少し御到着がおそくなっておられる委員もおいででございますが、本日現在のところ当部会委員数21名のうち13名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
また、頭撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、事務局に人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。まずは、厚生労働省でございます。医薬安全対策課長の関野でございます。
続きまして、医薬品医療機器総合機構でございます。審査第四部長、尾崎でございます。再生医療製品等審査部長、丈達でございます。以上でございます。
続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告申し上げます。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。毎回のことではございますが、委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、清田部会長に以降の進行をお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、配付資料の確認を順番にさせていただきます。
本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付してございます。
議事次第に記載されております資料1~16-3、17-2~18をあらかじめお送りしてございます。
このほか、資料17-1「最適使用推進ガイドライン(オプジーボ)」、資料19「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料20「専門委員リスト」、資料21「競合品目・競合企業リスト」を配付しております。
また、当日配付参考資料としまして、先日発出いたしました最適使用推進ガイドラインの通知と、その後に続けて同日配付されました保険局医療課長通知を参考資料として配付しております。内容については、既に当部会で御確認いただいた内容から大きな変更はございませんので、説明は割愛させていただきます。
続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、資料21について御報告させていただきます。
資料21の1ページをごらんください。「ベージニオ錠50mg他2規格」でございますが、本品目は「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページをごらんください。「オプジーボ点滴静注20mg他2規格」でございますが、本品目は「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫及び悪性黒色腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページをごらんください。「ビーリンサイト点滴静注用35μg」でございますが、本品目は「再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページをごらんください。「ヤーボイ点滴静注液50mg」でございますが、本品目は「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページをごらんください。「オデフシィ配合錠」でございますが、本品目は「HIV-1感染」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページをごらんください。「トラスツズマブBS点滴静注用60mg『第一三共』他1規格」でございますが、本品目は「HER2過剰発現が確認された乳癌、HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
7ページをごらんください。「キュビシン静注用350mg」でございますが、本品目は「ダプトマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
8ページをごらんください。「キザルチニブ塩酸塩」でございますが、本品目は「FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解をいただいたものといたします。
それでは、委員からの申し出状況について、御報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申し出状況については、次のとおりでございます。
議題1「ベージニオ」、退室委員なし、議決には参加しない委員、大槻委員。
議題2「オプジーボ」、退室委員、山口委員、議決には参加しない委員、大槻委員、中野委員。
議題3「ビーリンサイト」、退室委員なし、議決には参加しない委員、大槻委員、川崎委員、清田委員、中野委員。
議題4「ヤーボイ」、退室委員なし、議決には参加しない委員、大槻委員。
議題5「オデフシィ」、退室委員、菊池委員、議決には参加しない委員、大槻委員、山口委員。
議題6「トラスツズマブBS」、退室委員、川上委員、議決には参加しない委員、清田委員、中野委員、山口委員。
議題7「キュビシン」、退室委員なし、議決には参加しない委員、清田委員、中野委員。
議題8「キザルチニブ」、退室委員、川上委員、議決には参加しない委員、清田委員、中野委員、山口委員。以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。
よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
本日は、審議事項8議題、報告事項8議題、その他2議題となっております。
そして、委員の先生方からの申し出状況等を踏まえまして、まず審議事項議題1~6まで議題順に審議した後、議題8を審議します。そして議題7を審議したいと思います。
それでは、審議事項の議題1に移ります。議題1につきまして、医薬品機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料番号1、医薬品ベージニオ錠50mg他の製造販売承認の可否等について機構より説明させていただきます。
本剤の有効成分であるアベマシクリブは、サイクリン依存性キナーゼ4及び6とサイクリンDの複合体の活性を阻害し、Rbタンパクのリン酸化を阻害することにより、細胞周期の進行を停止し、腫瘍増殖を抑制すると考えられています。
今般、本剤は「手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として承認申請されました。
平成30年4月時点において、本剤は乳癌に係る効能・効果にて米国のみで承認されております。
本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20にございますとおり8名の委員です。
以下、臨床試験成績を中心に、審査の概略を説明いたします。
今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、ホルモン受容体陽性かつヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)陰性の手術不能又は再発乳がん患者を対象とした2つの国際共同第III相試験、すなわちMONARCH2試験と呼ばれるI3Y-MC-JPBL試験及びMONARCH3試験と呼ばれるI3Y-MC-JPBM試験が提出されました。
有効性については、審査報告書40ページ本文下から6行目以降、47ページ上から7行目以降及び77ページ上から14行目以降に記載しています。
42ページの表31及び図2をごらんください。先ほど述べた患者のうち、内分泌療法歴のある患者を対象としたMONARCH2試験において、主要評価項目とされた無増悪生存期間(PFS)について、プラセボとフルベストラントの併用投与群と比較して、本剤とフルベストラントの併用投与群の優越性が示されました。
また、44ページの表33及び図4をごらんください。先ほど述べた患者のうち、内分泌療法歴のない患者を対象としたMONARCH3試験において、主要評価項目とされたPFSについて、プラセボとレトロゾール又はアナストロゾール併用投与群と比較して、本剤とレトロゾール又はアナストロゾール併用投与群の優越性が示されました。
以上の成績等から、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
安全性については、審査報告書51ページ本文下から11行目以降及び78ページ上から1行目以降をごらんください。本剤の使用時において注意すべき有害事象として、消化管障害、骨髄抑制、肝機能障害及び間質性肺疾患が認められています。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。
ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、間質性肺疾患のリスクを検討することを目的とした製造販売後データベース調査の実施が必要であると判断しております。
以上のような審査の結果、機構は「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。
薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。
それでは、委員の先生方からの御質問・御意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○菊池委員 これは併用する抗がん剤のことは全く書いていないのですけれども、もう当たり前だということでいいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 実施された臨床試験では、3種類の内分泌療法剤との併用がなされ、それぞれの臨床試験でどういったものが使われたかは添付文書の臨床成績の項に記載しております。その上で、用法・用量では、いずれも内分泌療法剤ですので内分泌療法剤と併用するということを規定しておりますが、用法・用量に関連する使用上の注意の項で、併用する内分泌療法剤については、臨床成績の項の内容を熟知する旨を注意喚起する予定にしております。
○菊池委員 レトロゾールとかそういうものは、もう当たり前の既知の薬なので、それを使うのだということは前のほうには書かないで、臨床成績のほうでいいよということなのですね。
○医薬品医療機器総合機構 乳癌の専門家であれば分かる内容だと思っておりますので、添付文書の臨床成績の項であってもご理解いただけると思います。
○菊池委員 添付文書は専門家でなくても分からなければいけないかなと個人的には思っていて、例えばホルモン受容体と言ったときに、これは乳がんだったら分かるわけですけれども、そういうことも全然普通ですか。例えば、トリプルネガティブとかそういうことが乳がんでは話題になっていますけれども、これはHER2だけネガティブのものを選んでいるわけですけれども、そういうことはごく当たり前のこととしてとらえているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 そうです。乳癌の専門家であればご理解いただけると考えています。
○清田部会長 よろしいでしょうか。そこのところは誤解のないような感じで書かれていると理解してよろしいですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。抗がん剤の添付文書では、冒頭の警告のところでがん化学療法の専門家が使うということを注意喚起させていただいているので、確かに一般の方には分かりづらい可能性はあるのですけれども、少なくとも抗がん剤を使うことが想定されるがん化学療法の専門家の間では御理解いただけると考えています。
○清田部会長 ありがとうございます。
○半田委員 有効性についてですけれども、この薬剤のoverall survival(OS)に関しては、もちろん増悪はしていないと書かれているのですけれども、例えば、添付文書にそういうデータがきちんと示されていないということなのですが、この辺はいつも特に抗がん剤に関してはこういう添付文書の書き方があるのですけれども、OSのデータも入れるべきなのではないかという感じはあるのですけれども、どうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には、プライマリーエンドポイントの結果を記載させていただいているのが一般的な添付文書のつくりになっていまして、その中で例えば、OSで本剤群が少し劣るように見える場合等、特に注意喚起したいような場合には添付文書の中でも記載させていただいています。今回の場合は、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇等から、添付文書での注意喚起は必要ないと判断させていただきました。
○清田部会長 よろしいですか。
○半田委員 分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問・御意見ございますか。ありがとうございました。
それでは、議決に入ります。なお、大槻委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題2、議題4及び報告事項5に移ります。議題2、議題4及び報告事項5につきまして、医薬品機構から概要を御説明願います。よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項議題2、資料番号2及び報告事項議題5、資料番号13、医薬品オプジーボ点滴静注20mg他、並びに審議事項議題4、資料番号4、医薬品ヤーボイ点滴静注液50mgの製造販売承認の可否等について、あわせて機構より説明させていただきます。
ニボルマブを有効成分とするオプジーボ点滴静注は、現在、「根治切除不能な悪性黒色腫」、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」、「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」及び「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌」を効能・効果として承認されております。
また、イピリムマブを有効成分とするヤーボイ点滴静注液は、現在、「根治切除不能な悪性黒色腫」を効能・効果として承認されております。
資料番号2と資料番号4の審査報告書について、頭紙の部分はそれぞれニボルマブとイピリムマブの内容に書き分けており、異なる内容となっておりますが、その後ろの別紙の部分は同一であることから、以降、資料番号2の審査報告書に基づいて説明させていただきます。
頭紙1ページ、下から3行目以降に記載しているとおり、今般、4つの内容について承認申請が行われております。具体的には、一つは、悪性胸膜中皮腫に対するニボルマブ単独投与に関する承認申請です。その他、悪性黒色腫に対する術後補助療法におけるニボルマブ単独投与に関する承認申請、腎細胞癌に対するニボルマブとイピリムマブとの併用投与に関する承認申請、それからもう一つは、ニボルマブの用量を、既承認の効能・効果も含めて体重換算用量から固定用量に変更する承認申請が行われました。
なお、悪性胸膜中皮腫については、平成29年11月の当部会における審議を経て、ニボルマブは希少疾病用医薬品に指定されております。
平成30年4月時点における海外での承認状況については、審査報告書5ページ、上から12行目以降に記載しているとおり、悪性胸膜中皮腫に対するニボルマブ単独投与が承認されている国はなく、また、悪性黒色腫に対する術後補助療法におけるニボルマブ単独投与は2カ国で、腎細胞癌に対するニボルマブとイピリムマブとの併用投与は米国のみで、ニボルマブの固定用量での用法・用量は米国及びEUで承認されております。
本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20にございますとおり4名の委員です。
以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。
今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、化学療法歴のある切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫患者を対象とした41試験と呼ばれる国内第II相試験、病期IIIb/c又はIVの悪性黒色腫の術後患者を対象とした238試験と呼ばれる国際共同第III相試験及び化学療法歴のない根治切除不能又は転移性の腎細胞癌患者を対象とした214試験と呼ばれる国際共同第III相試験が提出されました。
有効性について、悪性胸膜中皮腫は審査報告書10ページ下から5行目以降、悪性黒色腫に対する術後補助療法は審査報告書17ページ本文上から5行目以降、腎細胞癌は審査報告書27ページ本文上から5行目以降に記載しています。
まず、悪性胸膜中皮腫患者に関しては11ページの表6をご覧ください。41試験において、主要評価項目とされた奏効率について、事前に設定された閾値奏効率を上回りました。
悪性黒色腫に対する術後補助療法に関しては18ページの表12及び図1をご覧ください。238試験において、主要評価項目とされた無再発生存期間について、イピリムマブ単独投与群と比較して、ニボルマブ単独投与群の優越性が示されました。
腎細胞癌に関しては28ページの表19及び29ページの図4をご覧ください。214試験において、主要評価項目とされた全生存期間について、スニチニブ群と比較して、ニボルマブとイピリムマブとの併用投与群の優越性が示されました。
以上の成績等から、悪性胸膜中皮腫及び悪性黒色腫の術後患者に対するニボルマブ単独投与、並びに腎細胞癌患者に対するニボルマブとイピリムマブとの併用投与の有効性は示されたと判断いたしました。
安全性については、審査報告書12ページ上から7行目以降、20ページ下から6行目以降、32ページ上から15行目以降及び55ページ上から10行目以降をご覧ください。ニボルマブ単独投与時及びニボルマブとイピリムマブとの併用投与時において注意すべき有害事象は、既承認の効能・効果と同様であり、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師による慎重な観察と、過度の免疫反応による副作用を考慮した鑑別診断や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。
ただし、悪性胸膜中皮腫患者に対するニボルマブ単独投与、並びにニボルマブとイピリムマブとの併用投与における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
また、ニボルマブの用量を体重換算用量から固定用量に変更することに関しては、審査報告書7ページ上から1行目以降、及び44ページ本文上から1行目以降に記載しております。
ニボルマブの母集団薬物動態モデルを利用したシミュレーションにより、体重換算用量である3mg/kgと固定用量である240mgとの間で有効性及び安全性に明確な差異はないと予測されたこと、また、実際に悪性胸膜中皮腫患者を対象とした41試験において、240mgを2週間間隔で投与した場合に臨床的に意義のある有効性が確認でき、かつ安全性についても忍容可能であったこと等を考慮すると、既承認の効能・効果も含めて、ニボルマブの用量を体重換算用量から固定用量に変更することは可能と判断いたしました。
以上のような審査の結果、機構は、ニボルマブは審査報告書63ページ下から2行目以降に記載した効能・効果及び用法・用量にて、イピリムマブは審査報告書66ページ上から14行目以降に記載した効能・効果及び用法・用量にて、承認することは可能と判断いたしました。
ニボルマブについて、悪性胸膜中皮腫に関しては希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とし、その他の効能・効果等は残余期間とすることが適当であると判断いたしました。また、剤形追加に係る医薬品であるオプジーボ点滴静注240mgについては、オプジーボ点滴静注20mg他と同様に、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。
また、イピリムマブについては、希少疾病用医薬品として承認された新有効成分含有医薬品に対する希少疾病用医薬品に指定されていない効能・効果等の追加に係るものであることから、追加される効能・効果等に対する再審査期間を5年10カ月とすることが適当であると判断いたしました。
薬事分科会には報告を予定しております。
○事務局 ここで事務局より1点追加で御紹介させていただきます。
オプジーボの悪性胸膜中皮腫に関しましては、本年1月に特定非営利活動法人日本肺癌学会、日本肺がん患者連絡会、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会より、厚生労働大臣宛てに早期承認の要望が寄せられているところでございます。追加の御紹介は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。
それでは、山口委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議題2の審議の間、別室で御待機いただくことにいたします。
(山口委員 退室)
○清田部会長 それでは、ここで委員の先生方から御質問・御意見をお伺いしたいと思います。
○長島委員 体重換算用量から固定用量に変えることのメリットは何でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。御質問ありがとうございます。
審査報告書44ページ下から1行目以降をご覧ください。体重換算用量での投与と比較して固定用量での投与は、一般的に薬剤の調製時に人為的な事故の発生リスクを軽減できる等の臨床的なメリットがあると考えている点等がございます。なお、癌腫ごとで用法・用量が異なることになりますと、医療現場において混乱が生じる可能性があると考えることから、いずれの癌腫に対しても一律固定用量に変更することが適当と判断しております。
〇長島委員 それに関連しまして、実際に調剤時の人為的なミスというのが、ほかの薬剤でもどれくらいあるのか、あるいはほかのところで固定用量に変えたことで実際にそういう効果が確認されているか、いかがでしょうか。
〇事務局 事務局より御説明いたします。
まず、本剤につきましては、体重換算の用法・用量と固定用量の用法・用量での人為的な事故の発生のリスクについて比較したものはございませんが、例えば、日本医療機能評価機構が公表している医療事故情報収集等事業の医療安全情報での、2015年7月に公表されているものですと、体重を誤って入力し過剰投与になったミスの事例が、2011年1月1日から2015年5月30日までに4件報告されていることが記載されております。このように、体重換算の用法・用量ですと、人為的な事故としては体重の入力ミスというところもございますが、固定用量の用法・用量では当該可能性はないと考えられますので、体重換算の用法・用量と比較して固定用量の用法・用量では人為的な事故の発生リスクが減らせる可能性はあると考えております。
〇長島委員 もう一点よろしいですか。固定用量240に設定した、要するに標準体重を80kgに設定した根拠は何でしょうか。
〇医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。
海外において、オプジーボの臨床試験に組み入れられた患者のデータに基づいて約80kgの患者に投与することを想定することとして検討を始めたところ、シミュレーションの結果から3mg/kgと240mgとの間で曝露量、有効性及び安全性に明確な差異はないと予測されたため、固定用量としては240mgが選択されました。日本人においても、シミュレーションの結果から、3mg/kgと240mgとの間で安全性等に明確な差異はないと予測され、また、実際に悪性胸膜中皮腫患者を対象とした臨床試験で240mg投与の有効性・安全性が確認されたという経緯から、240mgでの申請に至っております。
〇長島委員 対象患者の大部分が80kg以下であるというようなデータはございますか。
〇医薬品医療機器総合機構 現地点で日本人におけるそういった分布について明確なデータは持ち合わせておりません。
〇長島委員 例えば、80kgを超えて120kgとなるとプロキロ2になってしまいますが、プロキロ3を下回った場合での有効性はどうなっていますか。
〇医薬品医療機器総合機構 シミュレーションの結果から、体重が重い患者も含めて有効性について240mgと3mg/kgは同等と予測されており、特段の問題ないと考えております。なお、0.1mg/kg以上の用量でニボルマブは腫瘍縮小効果が示されているという臨床試験のデータも得られております。
〇長島委員 とすると、従来の体重当たり3よりもっと少なくても実際は効果があったということでしょうか。
〇医薬品医療機器総合機構 240mgよりも少ない用量でも有効性が示される可能性は否定できませんが、240mg以外の用量に設定可能なデータは得られておらず、現時点では不明と考えております。
〇長島委員 例えば、さっき言った120kgぐらいの場合も大丈夫だと言い切る根拠はあるということですか。
〇医薬品医療機器総合機構 そういった臨床試験成績はありません。一方で、実際に臨床試験を実施する際、一般的には、臨床試験に組み入れられる患者さんの体重の分布はいろいろあり、臨床試験に組み入れられた患者さんにおいてその用法・用量での有効性及び安全性が検討されています。そういった状況も考慮すると、確かに極端な場合の説明ができない、そういったことを示すデータがないのは間違いありませんが、がん患者さんの一般的な体重を想定したときに、240mgに変更することは可能ではないかというのが我々の考えです。
〇長島委員 非常に体重が重い場合に、医師の判断で量をふやすというようなことは可能でしょうか。
〇清田部会長 プロキロ3mgでということですね。お相撲さんみたいな人がいた場合ですよね。これは今までの製剤がありますよね。
〇医薬品医療機器総合機構 我々としては、薬物動態のPPK解析の結果等も踏まえて、体重換算用量の3mg/kgと固定用量での240mgというのは、同じくらいの曝露量になると考えていますので、その必要は我々としてはないのかなと考えています。
〇清田部会長 お相撲さんみたいな方でも有効性は余り変わらないという予測は立てておられるようですよね。
〇医薬品医療機器総合機構 ちなみに、ニボルマブ3 mg/kg又は240 mgを日本人患者に投与した際の曝露量を検討したシミュレーションで対象とされた日本人患者の体重は、中央値で57.3kg、最小値で33.0kg、最大値で105kgといった範囲であり、当該シミュレーションの結果から、有効性及び安全性について問題がないということが確認されているという状況です。
〇清田部会長 非常に分かりにくい資料で恐縮ですけれども、逆に、痩せている方での安全性は大丈夫か、これも大丈夫だという資料はあると、それを明確に説明してあげていただければと思いますが。
〇医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。審査報告書7ページの表1をご覧ください。ニボルマブのPKパラメータを記載しておりまして、3mg/kgと比較して240mgで日本人患者においては若干高い曝露量になることが示されております。しかしながら、10mg/kgでも日本人患者で安全性、忍容性が確認されており、10mg/kgよりも低い用量ということになること等からも、安全性上問題ないと考えております。
〇清田部会長 この分厚い資料でうかがい知るのはなかなか難しいのではないかと思いますけれども、大まかな根拠としては、そんなところで御理解いただければという感じなのですが、よろしいですか。
〇菊池委員 日本人の平均体重は普通の健康人で幾つか御存じですか。厚生労働白書をお読みになりましたか。HIVの薬の話で恐縮なのですけれども、欧米の基準でやっているとだめなものもあるので実臨床では減量して使っている場合もありますし、これは抗体薬ですから、その中での大ざっぱな量で本当にいいのかというのはみんな心配するところだと思いますし、実際に今までのほかの抗がん剤というのは腎機能のこととか考えたら、プロキロ当たりの体重に合わせたり、腎機能に合わせて減らすのが当たり前であって、そちらのほうがむしろ医療安全的には重要な気が本当はすると思いますけれども、60kgが大体日本人の平均で、病気になる人もその程度だと思いますから、そうすると75%くらいの量で本当は効くはずだと思うのですが、そこをあえて承認というところがちょっと苦しいかなと。
後、ここで審議する話ではないでしょうけれども、もともとの薬価があるわけですから、当然240になったときにそれなりの薬価をつけないと、同じ治療を外来でやるときに分割してやるようなことも医療現場ではもしかしたら考えてくるかもしれないし、それはちょっと余計な話ですけれども、体重のことについてはこの先もよく調べた方がいいと思います。
〇清田部会長 いかがでしょうか。
〇医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。今後、製造販売後調査等も実施されますので、体重と用量の関連等について引き続き検討させていただきます。
〇長島委員 今の点なのですけれども、先ほどのお話だと、別にプロキロ3を下回っても効果があるのだと、体重がふえてもいいということは、別に標準体重を80kgにしなくて日本人の標準体重の60kgにしても全く問題ないという話になってしまうかと思うのですが、それでも80kgにする根拠が実はよくわからないのですが。
〇清田部会長 いかがでしょうか。
〇医薬品医療機器総合機構 先ほどの説明が分かりづらかったかもしれませんので、もう一度説明させていただくと、シミュレーションでの検討においては、日本人データでの体重の中央値は57.3kgで、範囲としては33kgから105kgのデータを用いて検討しておりますので、日本人においても240mgの用量で有効性及び安全性で特段の問題はないのではないかと考えています。
〇長島委員 そうではなくて、有効性が別に3より低くても効くのであれば、体重60kgに合わせても問題ないのではないでしょうかということなのですが。
医薬品医療機器総合機構 確かに、240mgよりも少ない用量でも臨床的有用性が認められる可能性は否定できませんが、ただ、シミュレーション結果から3mg/kgと明確な差異はないと考えられる240mgを選択し、申請者が実際に悪性胸膜中皮腫患者を対象とした臨床試験を実施しまして、当該臨床試験において有効性及び安全性も確認されておりますので、少なくとも現時点で設定できる固定用量は240mgのみであると考えております。なお、欧米につきましても、240mgの固定用量で既に承認されております。
〇清田部会長 よろしいでしょうか。
〇菊池委員 話題を変えるというのは変ですけれども、オプジーボはもともとあった「根治切除不能な悪性黒色腫」から「根治切除不能な」を除きましたよね。ヤーボイはそのままですよね。それはいいのですか。
〇医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。悪性黒色腫について、ニボルマブに関しては根治切除不能な悪性黒色腫としてもともと承認がございまして、そこに今般、術後補助療法としての投与も承認することが可能と判断したことから、効能・効果を「悪性黒色腫」に変更するという経緯でございます。一方、イピリムマブ(ヤーボイ)に関しては、現時点で、悪性黒色腫の術後補助療法のデータは得られていませんので、「根治切除不能な悪性黒色腫」のままということになります。
〇菊池委員 それでいくと、ヤーボイを使ったほうで有害事象がちょっと違いますよね。その辺こともしっかり書くというか、それはこちらのガイドラインなどに出てくるのかもしれませんけれども、26ページでPLD1の発現によって有害事象の出方が、EPがついているほうが倍ぐらい高いので、こういうものの注意というのが必要だろうと思うので、今回はたくさんあって見ていないですけれども、ヤーボイの添付文書にはニボルマブと一緒に使ったときに、こういった事象が起きるのだといったことは書かれているのですか。
〇医薬品医療機器総合機構 イピリムマブについて、本邦においては悪性黒色腫の術後補助療法としての承認はございません。238試験の結果から、ニボルマブ単独投与のみ臨床的有用性が示されているという状況であり、引き続きイピリムマブは悪性黒色腫の術後補助療法としての投与は想定されません。
〇菊池委員 分かりました。
〇清田部会長 よろいでしょうか。ありがとうございました。
そうしましたら、利益相反に関する申し出に基づきまして、議題2と議題4につきまして、それぞれ別に議決を行うことにいたします。
それでは、議題2について議決に入りたいと思います。なお、大槻委員、中野委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。
議題2につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、別室で待機されている山口委員をお呼びいただきたいと思います。
(山口委員 入室)
〇清田部会長 それでは、議題4につきまして、山口委員を含めて委員の先生方から御質問と御意見を伺いたいと思います。
山口委員が御不在のときにいろいろ御質問をいただきましたけれども、山口委員からはよろしいでしょうか。改めてほかの委員の先生方、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、議題4について議決に入ります。なお、大槻委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。議題4につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可としまして薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、事務局から引き続き御説明をお願いします。
〇事務局 それでは、今、御審議をいただきましたオプジーボにつきまして、最適使用推進ガイドラインの作成対象品目となってございますので、本日お配りしております17-1に基づきまして、最適使用推進ガイドラインの内容について御説明させていただきます。資料17-1は、100ページを超えるホッチキスどめの資料になってございます。それでは、資料17-1につきまして御説明をさせていただきます。
今回、先ほどの体重換算を固定用量にするというものが全部のがん種にかかっておりますので、こちらについては全部のがん種ごとにそれぞれ変更箇所がございまして、1つのくくりにしております。
まず1ページからでございますけれども、今回新たにがん種として追加いたしました悪性胸膜中皮腫に関しましては新規に作成いたしましたので、こちらから順次御説明させていただきます。
ページ番号につきましては、一番下の大きい数字で申し上げさせていただきますので、3ページをごらんください。
今回、悪性胸膜中皮腫につきましては、枠のすぐ上に記載がございますけれども、ガイドラインの作成に当たりまして、日本臨床腫瘍学会、日本臨床内科医会、日本肺癌学会及び日本呼吸器学会の御協力をいただいて作成しております。対象となる効能・効果につきましては、先ほど御議論いただきましたように「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の悪性胸膜中皮腫」となってございます。
続きまして4ページ「2.本剤の特徴、作用機序」ですけれども、こちらはこれまでのオプジーボのものと内容は同様となってございます。
また、5ページからは先ほども御議論いただきましたが、今回の臨床試験成績として国内第II相試験、プラチナ製剤とペメトレキセドナトリウム水和物との併用に不応又は不耐の患者を対象とした臨床試験の成績を記載しております。
また、安全性に関しましても、これまでのほかのがん種とプロファイルは同様でございました。
続いて、7ページからでございます。「4.施設について」に関しましては、ほかのがん種と同様に、マル1-1に関しては、がん治療に精通していらっしゃる医療機関ということで、こちらに掲げる5つを挙げてございます。
また、マル1-2といたしまして、悪性胸膜中皮腫の化学療法及び副作用反応時の対応に十分な知識と経験を持つ医師を治療責任者として配置していただくということで、まず1点目ですけれども、がん治療の臨床研修を5年以上行っていらっしゃる方で、そのうち2年以上は、がん薬物療法を主とした臨床腫瘍学の研修を行っていること。2点目は、4年以上の臨床経験のうち3年以上は、悪性胸膜中皮腫のがん薬物療法を含む呼吸器病学の臨床研修を行っていることを要件としてございます。
マル2とマル3に関しましては、これまでのオプジーボの他のがん種と同様の記載となってございます。
9ページですけれども、「5.投与対象となる患者」ということで、先ほど御議論いただきましたが、有効性に関する事項のマル1化学療法歴のある患者ということで、セカンドラインでの使用ということになってございます。
また、10ページは「6.投与に際して留意すべき事項」ということで、こちらも副作用のマネジメント等に関してこれまでのがん種と同様でございまして、マル4の項目に定期的に有効性の評価を行っていただくことを記載してございます。悪性胸膜中皮腫に関しましては、以上でございます。
11ページからが、悪性黒色腫の最適使用推進ガイドライン案でございます。網かけになっている部分が今回の変更箇所となってございます。
13ページでございますけれども、今回の変更箇所は先ほど御議論いただきましたが、枠内の対象となる用法及び用量の項目で、体重換算の240mgに変更するという箇所が1つと、もう一つが術後補助療法の場合の用法を追加したものでございます。
枠の下に参考といたしまして、イピリムマブと併用する場合がございますので、イピリムマブの使い方を分かりやすくということで記載させていただいております。
次に、19ページに臨床試験成績を追加しておりまして、こちらは先ほど御確認いただきましたが、国際共同第III相試験の結果を掲載してございます。
続きまして、29ページです。今回、用法・用量を体重当たり3mgという用量から、240mgの固定用量とする変更がございましたので、そちらに関して先ほどの審査報告書でも御確認いただきましたが、シミュレーションを行った場合の結果とともに、血中の薬物動態のパラメータについても記載してございます。
続きまして30ページですが、これまでの施設についての要件は同様となってございまして、32ページの「5.投与対象となる患者」の有効性に関する事項で、今回記載を修正しておりますけれども、具体的には2点目の完全切除後の第III期、第IV期の悪性黒色腫患者における術後補助療法を追加したのが変更でございます。
また、35ページですけれども、マル5に関しては根治切除不能な患者に使用する場合、マル6については術後補助療法で使う場合の有効性を確認するタイミングが、それぞれ臨床試験の設定で異なっておりましたので、そちらを記載してございます。
続きまして、36ページから腎細胞がんになります。こちらも変更箇所を網かけにしてございます。
38ページ、こちらも今回変更となった箇所が枠内の対象となる用法及び用量の項目ですけれども、先ほどの体重換算だったものを240mgの固定用量に変更するというものと、化学療法未治療の患者の場合に、イピリムマブと併用するという用法・用量の追加がございました。
枠の下の参考は先ほどと同様に、腎細胞がんに対して併用する場合のイピリムマブの用法・用量を参考として記載しております。
また、臨床試験成績に関しましては、42ページに先ほど御議論いただきました試験の成績を記載しております。また、こちらは今回の主要な評価項目の対象となっておりました患者が、リスク分類がございまして、そちらでリスク分類の高い方が対象となっておりまして、今回そちらの方を対象に使っていただくという承認を、注意喚起内容も含めてそうなっているのですけれども、43ページに関しては、リスク分類の低い患者ですと、対象となったスニチニブ群と全く成績が変わらないということがございましたので、リスクの高い方に使っていただくことを記載することで、そちらの根拠となるデータとして記載してございます。
続きまして、47ページも体重換算の変更がございましたので、先ほどの悪性黒色腫と同様の記載を追加してございます。
48ページですが、「4.施設について」ということで、これまでの使っていただいている施設の要件は特に変更はございません。
また、50ページから「5.投与対象となる患者」とございますが、変更箇所としては51ページ、有効性に関する事項のマル1の1点目が、これまでのセカンドライン以降で使う場合の問題の単独投与の記載でございまして、2点目に追加しているのが、化学療法未治療の患者でリスク分類としてリスクの高い患者に使っていただくことを記載しております。
また、52ページのマル4に変更がございますが、こちらも先ほどと同様でございまして、それぞれの臨床試験で有効性の確認を行っていたタイミングが異なりますので、そちらを記載しているところでございます。
最後、53ページから、この後4つのがん種がついておりますけれども、変更内容は同様でございますので、53ページからの非小細胞肺がんで説明させていただきます。
変更箇所としては55ページをごらんいただきまして、対象となる用法・用量のところを体重当たり3mgから240mgの固定用量に変更するという変更がございました。
それに伴いまして、先ほど既にごらんいただいておりますけれども、64ページに用法・用量を変更する場合の先ほどのシミュレーション結果を記載してございます。
それ以降の内容については特段変更ございませんので、ほかの頭頸部がん、古典的ホジキンリンパ腫、胃がんについても同様の変更を加えることにしてございます。
なお、240mgの製剤も今回追加になりますので、全てのガイドラインに240mg製剤も追加する予定になっておりますけれども、240mg製剤はこれから保険適用になりますので、保険適用になった際に追加することを予定しております。
長くなりましたが、御説明は以上でございます。
〇清田部会長 ありがとうございました。
それでは、このガイドラインにつきまして、委員の先生方から御質問等ございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。
〇菊池委員 いろいろ長く説明いただいたので見比べていたのですけれども、医者の責任者の資格みたいなものは意味がないような気がしますが、いかがですか。例えば、ある疾患領域では卒後2年の初期研修をやって4年やってから3年以上それに従事しているとか、4年とか2年とかごちゃごちゃしていて、責任者とかこの辺の医者を置いている理由は何かあるのですか。
〇事務局 それぞれのがん種におきまして、専門性を有する医師の要件としてどういったものが適切かという御意見を伺っておりまして、多くの場合ですけれども、基本的には各関連学会の、例えば、専門医をとるにはどれくらいの臨床経験が必要かというような基準を参考にさせていただいて設定しておりますので、そういう意味で、それぞれの領域ごとに必要な経験年数といったものが異なっている状況です。
〇菊池委員 学会がそう言っているのかもしれませんけれども、そこだけ横を見ても不釣り合いで、珍しいがんだから短くていいとか、一般的なものだから長いとか、そういうところもやるのだったら統一性をとったほうがいいような気がしましたというだけなので、何となく臨床医としては違和感を持ちます。
〇事務局 御指摘ありがとうございます。今後もそういった要件に関しまして、見直しのタイミングで改正の必要があるかどうかは検討させていただきます。
〇菊池委員 そもそも施設を認定しているわけですから、その中であえて医者のことまで細かく言う必要があるのかという意味も含めています。
〇清田部会長 御検討いただければと思います。
〇事務局 今後の検討の参考にさせていただきます。
〇清田部会長 ほかに御意見・御質問はよろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、議題3に移りたいと思います。
議題3につきまして、医薬品機構から御説明をお願いします。
〇医薬品医療機器総合機構 議題3、資料番号3、医薬品ビーリンサイト点滴静注用35μgの製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。
本剤は、CD3とCD19に対する2種類のマウスモノクローナル抗体の可変領域を、リンカーを介して結合させたブリナツモマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。
本剤は、T細胞に発現するCD3及び腫瘍細胞に発現するCD19の両者に結合することにより、CD19陽性の腫瘍に対してT細胞依存性の細胞傷害活性を誘導し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられています。
今般、本剤は「再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病」を効能・効果として承認申請されました。
なお、本剤は平成29年8月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。
平成30年4月時点において、本剤は再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)に係る効能・効果にて、56の国で承認されております。
本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料20にございますとおり、9名の委員です。
以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。
今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、18歳以上の再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陰性B-ALL患者を対象とした海外第III相試験である00103311試験、18歳以上の再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性B-ALL患者を対象とした海外第II相試験である20120216試験、及び18歳未満の再発又は難治性のB-ALL患者を対象とした海外第I/II相試験であるMT103-205試験が提出されました。以下、それぞれ311試験、216試験、205試験と略させていただきます。
有効性については、審査報告書29ページ上から1行目以降、33ページ上から1行目以降及び71ページ上から14行目以降に記載しております。審査報告書30ページの表23及び31ページの図2をごらんください。311試験において主要評価項目とされた全生存期間について、化学療法群と比較して、本剤群の優越性が示されました。
また、審査報告書29ページ表22をごらんください。216試験において、主要評価項目と設定された最初の2サイクル以内に完全寛解(CR)又は部分的な造血の回復を伴う完全寛解(CRh)を達成した患者の割合は35.6%であり、事前に設定された基準を満たしました。
さらに、審査報告書35ページの表26をごらんください。205試験の第II相パートにおいて、主要評価項目と設定された最初の2サイクル以内に寛解(CR+CRh+CRi)を達成した患者の割合は31.8%であり、事前に設定された基準を満たしました。
以上の結果等から、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
安全性については、審査報告書35ページ本文上から8行目以降及び71ページ下から4行目以降をごらんください。本剤の使用時に特に注意すべき有害事象として、神経学的事象、サイトカイン放出症候群、腫瘍崩壊症候群、骨髄抑制、感染症及び膵炎が認められております。
これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。
ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
以上のような審査の結果、機構は「再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
本剤は、希少疾病用医薬品に指定された新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。
薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
〇清田部会長 ありがとうございました。
それでは、委員の先生方から御質問・御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
〇菊池委員 日本人の部分集団の話が全然なかったのですけれども、これはどんな感じですか。
○清田部会長 いかがでしょうか。
〇医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えさせていただきます。審査報告書の34ページをごらんください。今回、主な試験として、成人の再発難治のフィラデルフィア染色体陰性B-ALL患者を対象とした311試験というものがございますが、311試験は海外第III相試験となっておりまして、日本人患者は含まれておりませんでした。日本人患者を対象とした試験としては265試験がございまして、そちらの成績は審査報告書34ページの表25に記載させていただいております。265試験におきまして、一定のCR+CRh率が認められておりますので、日本人の成人患者についても有効性は期待できると判断しております。
また、小児につきましては、審査報告書の35ページをごらんください。小児の患者自体がかなり限られているということはございますが、日本人の小児の患者におきましても同様に、一定のCR+CRh+CRi率が認められていることを確認しております。
〇清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見ございますか。どうぞ。
〇菊池委員 もう一点。フィラデルフィア染色体陰性がほとんどみたいですけれども、それは限らなくていいのですか。陽性もやっているのですか。
〇医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。審査報告書の34ページをごらんください。今回、成人を対象とした試験としては、フィラデルフィア染色体陽性の患者を対象とした216試験も実施されておりまして、そちらで有効性の評価を行っております。
具体的には、34ページの中ほどに2.と書かせていただいております。この216試験の結果は審査報告書29ページの表22に記載されておりまして、残念ながら検証的試験という形ではありませんが、一定のCR+CRh率が認められております。35.6%という結果です。
〇清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御質問ございますか。
ありがとうございます。それでは、議決に入りたいと思います。大槻委員、川崎委員、中野委員におかれましては、利益相反関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私も同様の取り扱いでございます。
本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、議題5に移ります。菊池委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議題5の審議の間、別室で待機していただくことといたします。
(菊池委員 退室)
〇清田部会長 議題5につきまして、医薬品機構から概要の御説明をお願いいたします。
〇医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5-1及び5-2、医薬品オデフシィ配合錠の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。
オデフシィ配合錠(以下「本剤」)は、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤であるリルピビリン塩酸塩、並びにヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤であるエムトリシタビン及びテノホビルアラフェナミドフマル酸塩を有効成分として含有する配合剤です。本邦では、これらのいずれかの成分を含有する抗HIV薬として、エジュラント錠、ゲンボイヤ配合錠、デシコビ配合錠、コムプレラ配合錠等が承認されています。本剤は、抗HIV薬として2016年3月及び6月にそれぞれ米国及び欧州で承認され、2018年3月時点で35以上の国又は地域で承認されています。
本申請の専門委員として、資料20に記載の4名の委員を指名しました。
まず、本剤の審査方針について説明いたします。本剤の承認申請に際し、既承認のリルピビリン塩酸塩含有製剤、エムトリシタビン及びテノホビルアラフェナミドフマル塩酸含有製剤等の承認審査時に評価済みの臨床試験成績が提出され、これらに基づき機構は本剤の審査を行いました。それらの試験成績を用いて本剤の審査を行うことが可能と判断した理由について説明いたします。
審査報告書17ページの下から1段落目「機構は、以下の点を踏まえると」で始まる段落の1つ目をごらんください。生物学的同等性試験において、本剤投与時の各有効成分の血漿中薬物動態パラメータについて、既承認のリルピビリン塩酸塩製剤又はエムトリシタビン及びテノホビルアラフェナミドフマル塩酸含有製剤投与時と比較して、事前に設定された生物学的同等の許容域の範囲内であったこと。また、続く審査報告書18ページの1つ目に記載していますとおり、欧米規制当局にもこれらの臨床試験成績を含む臨床データパッケージが提出され、これらの成績に基づき本剤が承認されていることから、平成10年11月12日付医薬審第1015号「HIV感染症治療薬の製造又は輸入承認申請の取扱いについて」に基づき、海外と同様に既承認製剤の臨床試験成績を用いて、本剤の審査を行うことは可能と判断しました。
次に、有効性に関する成績は、審査報告書16ページの表12及び表13に提示しています。今、御説明したとおり、これらの臨床試験成績はエムトリシタビン及びテノホビルアラフェナミドフマル塩酸含有製剤並びにリルピビリン塩酸塩含有製剤の承認審査時に提出され、評価済みであり、これらの試験成績に基づき、エムトリシタビン及びテノホビルアラフェナミドフマル塩酸を含有する製剤、リルピビリン塩酸塩を含有する製剤が既に本邦で承認されています。
また、審査報告書17ページの表14に、本剤を用いた2つの海外第III相試験の成績を記載しています。これらは、欧米での本剤承認申請時には各規制当局に提出されていなかった試験です。これらは、抗HIV療法によりウイルス学的抑制が得られている成人HIV-1感染症患者を対象として実施されており、投与48週時のHIV-1RNA量が50コピー/ml未満の被験者の割合について、各試験での対照レジメンに対する本剤の非劣性が示されています。
以上の審査方針、試験成績等を踏まえ、未治療又は抗HIV療法によりウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染症患者に対する本剤の有効性は期待できると判断しました。
次に、安全性について、審査報告書13ページの表8及び14ページの表10をごらんください。これらの表は、先ほど御説明した、本剤を用いた海外第III相試験における治験薬投与後48週時までに認められた、発現割合が5%以上の有害事象及び副作用を示しています。本剤群の有害事象の発現状況から重大な懸念は認められていないと判断し、添付文書において、本剤の有効成分を含有する既承認製剤と同様の注意喚起を行った上で、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
なお、日本人に本剤を投与した際の有効性及び安全性情報は得られていないこと等を踏まえ、製造販売後には、本剤の全投与症例を対象とした使用成績調査が実施される予定です。
以上の審査を踏まえ、機構は、審査報告書3ページに記載している承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本医薬品第二部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤として申請されていますが、本剤の成分はいずれも本邦で既承認であり、再審査期間は、本剤の有効成分の1つであるテノホビルアラフェナミドフマル塩酸を含有するゲンボイヤ配合錠の再審査期間である平成38年6月16日までとし、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断しています。
薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
〇清田部会長 ありがとうございました。
それでは、委員の先生方から御質問・御意見がございましたら、承りたいと思います。いかがでしょうか。既に承認されているお薬の組み合わせということで、そう大きな問題はなさそうだなと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、議決に入りたいと思います。大槻委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。
本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
別室で待機されています菊池委員をお呼びいただきたいと思います。
(菊池委員 入室)
〇清田部会長 それでは、議題6、報告事項議題の1に移りたいと思います。
川上委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議題6及び議題8の審議の間、別室で御待機いただくことにいたします。
(川上委員 退室)
〇清田部会長 議題6及び報告事項の議題1につきまして、医薬品機構から御説明をお願いいたします。
〇医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題6と報告事項の議題1について、説明させていただきます。資料6と資料9をごらんください。
まず、審議事項の議題6について御説明させていただきます。
本剤は、抗HER2モノクローナル抗体であるトラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続2]を有効成分とする製剤であり、ハーセプチンを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として第一三共株式会社により、製造販売承認申請がなされました。
本剤は、チャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、生物由来製品とすることが適当と考えております。また、先行バイオ医薬品のハーセプチンは原体・製剤ともに毒薬及び劇薬に指定されていないことから、ハーセプチンと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないとすることが適当と考えております。
次に、同一品目に係る報告事項の議題1につきまして、あわせて御説明申し上げます。
機構における審査の結果、本剤とハーセプチンの同等性/同質性が確認されたことから、本剤をハーセプチンのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。
報告事項につきましては、以上です。
なお、事前に送付させていただきました審査報告書に誤記がありました。審査報告書25ページ表21をご覧ください。術後補助化学療法期の本剤への切替え時における死亡に至った有害事象につきまして、2例(1.2%)と記載しておりますが、正しくは1例(0.6%)になります。審査報告書の公開時には修正させていただきます。申しわけございませんでした。なお、当該誤記による審査内容への影響はございません。
以上、審議事項の議題6、本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否につきまして、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
〇清田部会長 ありがとうございます。
そうしましたら、委員の先生方からの御質問・御意見を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。
〇菊池委員 前も同じことを聞いたかもしれないのですけれども、バイオ後続品の審査というのは、事前に審査員に配られる書類はすごく簡単ではないですか。でも、もっと詳しいものは見てくれているのですよね。
〇医薬品医療機器総合機構 はい。
〇菊池委員 前回と同じことを聞きましたね。機構の方の机に堆くつまれている資料を見て思い出しました、失礼しました。
〇清田部会長 ほかにはよろしいでしょうか。御質問ございませんか。
ありがとうございました。それでは、議決に入りたいと思います。中野委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。私も同様でございます。
本議題に関しまして、生物由来製品の指定を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、議題8に移ります。議題8につきまして、事務局から概要を御説明いただきたいと思います。
〇事務局 議題8、資料8、キザルチニブ塩酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料のタブ2、希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書をお開きください。
報告書の1ページの中ほどをごらんください。申請者は、第一三共株式会社。予定される効能・効果は「FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病」になります。
1ページの対象患者数について説明します。
本邦におけるFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)患者数は約2,100人と推定されており、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
次に、2ページの医療上の必要性について説明いたします。
未治療のAML患者では、シタラビンとアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤との併用化学療法等が推奨されており、当該化学療法により寛解が得られた場合には、同種造血幹細胞移植の実施が推奨されているものの、既存治療を行った場合であっても再発率が高く生存期間が短いことが報告されていること、再発又は難治性のAML患者において標準的な治療は確立されていないことから、AMLに対する新たな治療薬の開発が望まれています。また、FLT3遺伝子変異陽性はAMLの予後不良因子であることが報告されています。
以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、2ページ中ほどからの開発の可能性について説明いたします。
海外において、再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性のAML患者を対象として、本剤の有効性及び安全性を治験担当医師により選択される救援化学療法と比較することを目的とした第III相試験が実施され、主要評価項目とされた全生存期間について、対照群に対する本剤群の優越性が示されました。また、本邦において、再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性のAML患者を対象とした第II相試験が実施されており、複合完全寛解率は〇〇%でした。さらに、未治療のFLT3遺伝子変異陽性のAML患者を対する本剤の開発も進められております。
以上より、本邦の開発の可能性は高いと考えております。
したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
〇清田部会長 ありがとうございました。
それでは、委員の先生方からの御質問あるいは御意見を伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。希少疾病用医薬品ということでございますが、御質問ございませんでしょうか。
ありがとうございます。それでは、御質問もないようですので、議決に入りたいと思います。中野委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私も同様でございます。
本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。
別室で待機されています川上委員をお呼びください。
(川上委員 入室)
〇清田部会長 それでは、順番が前後しますけれども、議題7について事務局から御説明をお願いしたいと思います。
〇事務局 議題7、資料7、医薬品キュビシン静注用350mgの再審査期間延長の可否について、事務局より御説明いたします。
まず、再審査期間の延長に係る制度について御説明いたします。
お手元の資料7の表紙が諮問書となっておりますが、こちらに記載された、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の4第2項におきまして、「厚生労働大臣は新医薬品の再審査を適正に行うため特に必要があると認めるときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、再審査期間をその製造販売の承認があった日から10年を超えない範囲内において延長することができる」旨の規定がございます。この規定に基づきまして、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合で、必要があると認められる場合には、個別に本部会にお諮りした上で、再審査期間の延長を行っているところでございます。
続きまして、資料に基づきまして、今回の品目の概要を御説明いたします。
1つ目の「品目概要」のタブをお開きください。本品目の申請者は、MSD株式会社。品目名は「キュビシン静注用350mg」です。有効成分としてダプトマイシンを含有し、今回の開発対象の適応菌種は「ダプトマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」。適応症は「敗血症、感染性心内膜炎、深在皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染」となっております。
用法・用量欄の記載のとおり、本品目は成人の用法・用量のみで、小児に対する用法・用量の設定はございません。
本品目の承認日は、平成23年7月1日、再審査期間は8年となっておりますが、再審査延長案の欄のとおり、今般、申請者からは小児を対象とした臨床試験の治験計画届が提出されたことを踏まえ、再審査期間を当初より2年延長し、2021年6月30日までの10年とする要望が提出されております。
続きまして、2つ目のタブ「再審期間延長に係る用件の該当性について」の1ページをごらんください。「1.小児適応の開発の必要性」ですが、1段落目の7行目にございますとおり、海外では近年、市中感染のMRSAが特に小児や若年層で広がりを見せており、本邦においても徐々にその割合が増加していること。また、ダプトマイシンはTDMの必要がなく、一日1回の投与で治療できる高い利便性を有しており、MRSA感染症治療薬の中で唯一、MRSAの細胞膜を標的として作用する薬剤であることから、キュビシン静注用の小児用量開発のニーズは高いと申請者は説明しております。
以上より、本剤の小児開発の必要性は高いものと考えます。
また、ページ番号を振っておらず申しわけございませんが、2枚おめくりいただきまして、「4.小児の臨床試験計画」をごらんください。先ほど御説明いたしました背景を踏まえ、複雑性皮膚・軟部組織感染症又は菌血症の日本人小児患者を対象とし、安全性・有効性及び薬物動態を検討する試験が計画されております。
以上のことから、再審査期間延長に係る要件に該当し、再審査期間を10年に延長することが適当と考えております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
〇清田部会長 ありがとうございました。
それでは、委員の先生方からの御質問・御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
キュビシンは既に広く使われているお薬ですので、アイデアとしてはよろしいかと思いますが、よろしいでしょうか。どうぞ。
〇菊池委員 これは、企業が独自に延ばしたいと言ってきているということですか。
〇事務局 事務局よりお答えさせていただきます。
今回、企業からの申請に基づきまして評価を行いまして、今回の諮問をさせていただいております。
〇菊池委員 この薬もそうですけれども、小児投与のことについて、後ろについている添付文書の使用上の注意7の小児のところですけれども、世の中ではいろいろな薬が割と、さっき私が別室で待機となった事項にこだわっているようで悪いのですが、成人用量から小児へ外挿する形で承認してしまっていますよね。それでも、ここでこだわって小児で大切だからこれをやるというのは、極めて正しいとは思うのですけれども、それといろいろなことに対する薬事に関する統一性というのはいかがなのでしょうか。
〇事務局 今回の製品につきましては、初回承認の際には成人の用法・用量のみ設定させていただいておりますが、小児の用法・用量の設定ニーズがあるということを踏まえて企業が申請してきております。個別の医薬品ごとの評価・判断ということになりますので、一概にお答えすることは難しいのですけれども、御指摘を踏まえ、今後の審査・評価等の参考とさせていただければと思います。
〇医薬安全対策課長 市販後におきまして、さまざまな小児のデータを集めているところでございますので、それらをまたエビデンスといたしまして、このあたりの記述あるいは実際の使用に向けて的確な使用が進むような形で記載を随時今後見直していければいいと考えてございます。
〇清田部会長 今後、そういう対応でぜひお願いしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。どうぞ。
〇宗林委員 単純な御質問ですけれども、小児の記載で15歳未満の投与結果についていろいろ書かれているところが既にあります。今回、17歳までというのは小児とは言わないのではないかと一般的には思うのですが、この年齢の違いと、過去に検討されていて割と重症例があったからという文章が書かれているので、その辺の整合性を教えていただきたいと思います。
〇清田部会長 いかがでしょうか。
〇事務局 まず、今回の試験計画についてでございますけれども、3つ目のタブの計画骨子、スケジュールをおめくりいただきまして3ページの冒頭でございますが、今回、小児患者の組み入れに当たりましては、年齢を区切って、それぞれの年齢区分ごとに患者を組み入れることを計画しておりまして、12歳以上17歳以下の患者も含めることとなりますが、それぞれの区分ごとにデータを集める計画としております。
〇清田部会長 あえて組み入れて、それを後々の参考にするという意図だと理解することでいかがかなと思いますが。17歳は大人ではないかという御意見はございますけれども、とりあえずここまで組み入れるというスタディーになろうかと思います。
〇宗林委員 表1の隣のページに、小児患者15歳未満の投与実績についてはという記載が既にありましたので、ここで15歳未満のところはある程度評価を得ていたのかと思いましたので、気になったところです。
〇清田部会長 了解しました。これに関しまして、機構からいかがですか。
〇事務局 申し訳ございません、どのような理由でこういった患者区分にしているか、細かい理由までお答えできるデータ等がございませんので、御確認させていただきまして、分かり次第、御報告等をさせていただければと思います。
〇清田部会長 よろしいですか。表1の分け方の理論的な根拠ですよね。これは、後でお知らせするということでよろしいでしょうか。
○宗林委員 はい。
○清田部会長 ありがとうございます。
ほかに御質問ございますか。ないようでございますので、議決に入りたいと思います。中野委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私も同様でございます。
本議題について、延長可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、延長可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、報告事項に移ります。報告事項につきまして、議題1は審議事項の議題6で報告済みでございます。議題5は審議事項2で報告済みでございますが、報告事項につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
〇事務局 それでは、事務局より、報告事項についてまとめて御説明をいたします。
先ほど部会長からお話しいただきましたとおり、報告事項、議題1及び5につきましては、審議事項、議題とともに御確認いただいておりますので、御説明は割愛させていただきまして、議題2から御説明させていただきたいと思います。
資料10をごらんください。議題2「医薬品トルツ皮下注80mgシリンジ及び同皮下注80mgオートインジェクターの製造販売承認事項一部変更承認について」御説明いたします。
本剤の有効成分であるイキセキズマブ(遺伝子組換え)は、インターロイキン-17Aに対するモノクローナル抗体であり、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に対して、初回に160mg、その後12週までは1回80mgを2週間隔、以降は1回80mgを4週間隔で皮下投与する用法・用量で承認されております。
今般、日本イーライリリー株式会社より、本剤の投与12週時に効果不十分な乾癬患者において12週以降も2週間隔投与を継続することの有用性が確認されたとして、12週以降2週間隔投与継続する用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。
機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
次に、議題3「医薬品タグリッソ錠40mg及び同錠80mgの製造販売承認事項一部変更承認について」御報告いたします。資料11をごらんください。
本剤は、上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼのリン酸化を阻害するオシメルチニブメシル酸塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性のEGFR T790M変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」を効能・効果として承認されております。
今般、アストラゼネカ株式会社から、化学療法歴のないEGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者を対象とした試験成績をもとに、効能・効果を「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」に変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして、議題4「医薬品ポテリジオ点滴静注20mgの製造販売承認事項一部変更承認について」御報告いたします。資料12をごらんください。
本剤の有効成分であるモガムリズマブ(遺伝子組換え)は、CCケモカイン受容体4(CCR4)と結合し、抗体依存性細胞傷害活性を誘導することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられており、現在は「CCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫」「再発又は難治性のCCR4陽性の末梢性T細胞リンパ腫」及び「再発又は難治性のCCR4陽性の皮膚T細胞性リンパ腫」を効能・効果として承認されております。
今般、協和発酵キリン株式会社から、CCR4の発現の有無を問わない再発又は難治性の皮膚T細胞性リンパ腫患者を対象とした試験成績をもとに、再発又は難治性の皮膚T細胞性リンパ腫に係る効能・効果及び用法・用量を変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。
機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして、議題6「医薬品バリキサドライシロップ5,000mgの製造販売承認及び同錠450mgの製造販売承認事項一部変更承認について」御報告いたします。資料14をごらんください。
本剤は、バルガンシクロビル塩酸塩を有効成分とする製剤であり、バリキサ錠450mgについて、現在は成人におけるサイトメガロウイルス感染症の治療及び発症抑制に関する効能・効果で承認されています。
バリキサ錠450mgについては、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、小児における造血幹細胞移植患者を除く臓器移植におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制に関する公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成30年2月2日に開催されました本部会における事前評価を踏まえて、今般、田辺三菱製薬株式会社より小児の発症抑制の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。また、あわせてバリキサドライシロップ5,000mgが、剤形追加に係る医薬品として、製造販売承認申請されております。
機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして、議題7、優先審査指定品目の審査結果について御説明いたします。資料15-1をごらんください。
優先審査の取り扱いについては、2ページに概要をお示ししております。この制度は、医薬品医療機器等法第14条第7項の規定に基づき、希少疾病用医薬品やその他医療上特に必要性が高いと認められる品目を指定し、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たっては、適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断することとしております。
1ページに戻りください。今回は計4品目が優先審査の対象となっておりますので、それぞれ順番に御説明いたします。
1品目目につきまして、販売名「〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇」。一般名「〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇」。申請者は〇〇株式会社です。「〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇」に係る効能・効果で承認申請がなされております。
事前にとりまとめられた機構の報告書に基づき、当該薬剤の優先審査の該当性について御説明します。7ページをごらんください。
「(1)適応疾患の重篤性」については、当該疾患は「生命に重大な影響がある疾患(致命的な疾患)」に該当するとされております。
次に「(2)医療上の有用性」につきましては、現時点において適応疾患である〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇に対して使用可能な薬剤として、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇等が承認されており、適応疾患に対しては既存の治療法は存在すると判断されています。
一方、本剤については、適応疾患患者を対象に、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇が実施された結果、主要評価項目とされた全生存期間の中央値は〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇であり、プラセボ群と比較して本薬群で有意に延長しました。
なお、安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると忍容可能と考えられることから、本剤は「有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法若しくは診断法より優れていること」に該当すると判断されております。
続きまして、2品目目の御説明にまいりますので、資料15-2をごらんください。
対象品目は、販売名「テセントリク点滴静注1,200mg」。一般名「アテゾリズマブ(遺伝子組換え)」。申請者は中外製薬株式会社です。「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に係る効能・効果で承認申請がなされています。
こちらも、機構の報告書に基づき、当該薬剤の優先審査の該当性について御説明いたします。5ページをごらんください。
「(1)適応疾患の重篤性」については、当該疾患は「生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」に該当すると判断されています。
次に「(2)医療上の有用性」については、先ほど同様に既存の治療法は存在すると判断されております。
本剤については、適応疾患患者を対象に、既承認薬の投与下における本剤の有効性及び安全性をカルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブの併用投与と比較することを目的とした国際共同第III相試験が実施された結果、第2回中間解析時における主要評価項目とされた全生存期間の中央値は本薬、カルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブの併用投与群で19.2カ月、対照群で14.7カ月であり、本薬群で有意に延長しました。
なお、安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると忍容可能と考えられることから、本剤は「有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法若しくは診断法より優れていること」に該当すると判断されております。
続いて、3品目目にまいります。資料15-3をごらんください。
対象品目名は、販売名「ビジンプロ錠15mg、同錠45mg」。一般名「ダコミチニブ水和物」。申請者はファイザー株式会社です。「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」に係る効能・効果で承認申請がなされております。
7ページをごらんください。「(1)適応疾患の重篤性」については、当該疾患は「生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」に該当すると判断されております。
次に「(2)医療上の有用性」については、現時点において、適応疾患である化学療法歴のないEGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がんに対してゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩及びアファチニブマレイン酸塩による治療が行われており、適応疾患に対しては既存の治療法は存在すると判断されています。
本剤については、適応疾患患者を対象に、本剤の有効性及び安全性をゲフィチニブと比較することを目的とした国際共同第III相試験が実施された結果、主要評価項目で設定された無増悪生存期間の中央値は本薬群で14.7カ月、ゲフィチニブ群で9.2カ月であり、本薬群で有意に延長しました。また、副次評価項目と設定された全生存期間について、ゲフィチニブ群に対する本薬群のハザード比は0.760でした。
なお、安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると忍容可能と考えられることから、本剤は「有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法若しくは診断法より優れていること」に該当すると判断されております。
最後の4品目目の説明に移ります。資料15-4をごらんください。
対象品目は、販売名「エプクルーサ配合錠」。一般名「ソホスブビル/ベルパタスビル」。申請者はギリアド・サイエンシズ株式会社です。「C型慢性肝炎、C型代償性肝硬変又はC型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」に係る効能・効果で承認申請がなされています。
5ページをごらんください。「(1)適応疾患の重篤性」については、当該疾患は「生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」に該当すると判断されております。
次に「(2)医療上の有用性」については、まずは現時点において、C型非代償性肝硬変に対する治療薬は、本邦において承認されておりません。
6ページ下段のイをごらんください。
表2の一番上に示しておりますC型非代償性肝硬変患者を対象として、本剤及び本剤とリバビリンの併用における有効性及び安全性を確認することを目的とした国内第III相試験が実施された結果、7ページの表3に示すとおり、主要評価項目とされた投与終了12週後のHCV持続陰性化率は、ジェノタイプ1において本剤群95.1%、本剤とリバビリンの併用群で89.7%であり、ジェノタイプ2において本剤群88.9%、本剤とリバビリンの併用群で100%でした。
また、本剤を含むレジメンの安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると忍容可能と考えられることから、本剤はC型非代償性肝硬変に対して「既存の治療法、診断法若しくは予防法がないこと」に該当すると判断されております。
以上、15-1~15-4の4品目につきまして、優先審査品目に該当すると判断いたしました。
なお、ただいま御説明いたしました4品目いずれにつきましても、承認の可否については今後、機構での審査を経た後、改めてこの部会で御報告させていただく予定としております。
続きまして、報告事項議題8「医療用非薬品の再審査結果について」御報告いたします。資料は16-1~16-3で、これらは医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますので、まとめて御報告いたします。
資料16-1及び16-2は、一般的な名称は「アジスロマイシン水和物」。販売名はそれぞれ「ジスロマック錠250mg及び同点滴静注用500mg」のもの。
資料16-3は、一般的名称は「タゾバクタム/ピペラシリン水和物」。販売名は「ゾシン静注用2.25、同静注用4.5及び同配合点滴静注用バッグ4.5」のものでございます。
これらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査に基づきまして再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものでございます。
長くなりましたが、報告事項に関する事務局からの御説明は以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございました。
それでは、委員の先生方からの御質問・御意見がもしございましたら、承りたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。
○菊池委員 今回、テキストがたくさんあったので、また分からなくなったので教えていただきたいのですけれども、一部変更承認で済んで機構の人がやってくれれば私たちが何もしなくて済むものと審議事項に行くものの差が、たくさんあったので、どこに違いがあるのか私の中では見当がつかなくなったのですけれども、それはどういう決まりがあって、どこかに簡単にありますか。全部審議してもらって報告なら楽なのですけれどもと思った次第です。
○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。薬事分科会で決定しております「薬事分科会における確認事項」という規定がございまして、こちらにおいて各部会でどういう議題を審議事項とするか、報告事項とするかが決まっております。例えば、新有効成分含有医薬品や新投与経路医薬品などは審議を行う。一方で、新効能医薬品や新用量医薬品のうち、既存の効能や用法からの変更が小さいものにつきましては、部会審議ではなく部会報告として報告させていただくという形でルールが定められております。
○菊池委員 余計に分からなくなりました。例えば、今回の報告事項の中でも難しそうなものがあるような気がしたのですけれども、その辺が機構の判断でいいというなら、私たちはそのほうが楽なのですけれども、今のだと線引きの仕方がよく分からないなと思いました。
○清田部会長 その基準は、どこかに書いてあるんですよね。
○事務局 こちらの基準は公表されております。また、先生方にお配りしております薬事分科会に係る冊子の中でお示しさせていただいているところでございます。
○清田部会長 委員の皆様に改めて配っていただいて、また御質問があれば、お答えいただくということでいかがですか。
○事務局 先ほど申し上げた部分につきましては、該当箇所を明示する形で委員の先生方に改めて御報告させていただきたいと思います。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしましたら、一応御確認いただいたものといたします。
それでは、その他事項の議題1に移ります。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 その他、議題1につきまして、事務局より御説明いたします。資料17-1につきましては先ほど御説明しておりますので、資料17-2及び17-3、最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定について、説明させていただきます。
資料17-2の2ページをごらんください。平成29年9月15日に発出した最適使用推進ガイドラインの取り扱いについての通知におきまして、最適使用推進ガイドラインの対象医薬品や作成の手順等をお示ししたところです。
「1.対象薬品の選定の考え方」に記載されているような、最適使用推進ガイドラインの作成対象となる医薬品の承認申請がなされた場合には、2に記載があるとおり、直近の薬事・食品衛生審議会の担当部会に報告することとしております。
1ページにお戻りください。今般、MSD株式会社よりキイトルーダ点滴静注20mg、同点滴静注100mgについて、記載のように効能・効果の追加及び変更、用法・用量の変更に係る一部変更承認申請が相次いでなされたことから、当該医薬品につきまして最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定いたしました。
また、資料17-3をごらんください。中外製薬株式会社より、テセントリク点滴静注1,200mgについて、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する用法・用量の追加に係る一部変更承認申請がなされたことから、当該薬品を最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定いたしました。
なお、今後、関連学会等にガイドライン案の検討依頼を行い、対象医薬品の承認について審議等を行う部会において、改めてガイドライン案を御説明することとなります。説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。
これに関しまして、御質問ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、本議題につきましても御確認いただいたものといたします。
それでは、議題2に移ります。その他事項につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 その他議題2の資料18、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、御説明いたします。
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(以下「検討会議」)、検討会議とは、欧米等では使用が認められているが、国内では承認されていない医薬品及び適応について、開発要望を募集し、要望があれば本邦での医療上の必要性の評価、承認のために必要な試験の有無及び種類の検討を行う会議です。
初めに、検討会議による検討における本「事前評価」の位置づけについて御説明いたします。34ページをごらんください。資料の右上から御説明いたします。
学会や患者会等から要望が挙げられ、検討会議で医療上の必要性を評価し、医療上の必要性が高いと評価された医薬品については、厚生労働省が企業に対して開発要請を行います。
企業は、開発の手段として、その医薬品が臨床現場において既に医学薬学上公知である場合には公知申請を選択し、本邦において有効性・安全性を確認する試験が必要な場合には治験等を行います。
本部会での事前評価につきましては、図の真ん中左下あたりに記載されておりますが、企業が開発の手段として公知申請を希望し、検討会議で公知申請に該当すると判断された場合に、公知申請の事前評価として御確認いただくこととしております。
本部会での御確認をいただいた後に、企業が公知申請を行い、機構での審査を経て、改めて部会で承認をいただくという流れになります。
それでは、検討会議で公知申請を行うことが適当と判断されましたテモゾロミドについて御説明いたします。3ページをごらんください。
本要望は、日本小児血液・がん学会より、再発・難治性ユーイング肉腫に対する適応追加の要望です。本要望については、平成29年2月の第30回の検討会議にて、医療上の必要性が高いと判断され、開発要請が行われたものになります。
本要望の公知該当性について説明します。有効性の評価については26~27ページをごらんください。
要望内容に関して、テモゾロミドは海外臨床試験成績、本邦の臨床使用実態及び国際的な教科書並びに診療ガイドラインの記載内容等を踏まえ、再発・難治性ユーイング肉腫に対する本剤とイリノテカンの併用投与の有効性は、医学薬学上公知と判断可能と評価されました。
続きまして、安全性の評価につきましては27~28ページをごらんください。
海外臨床研究による治療成績及び国内での臨床使用実態より、再発又は難治性のユーイング肉腫に対する本剤とイリノテカンの併用投与によるグレード3以上の有害事象は、いずれも本剤又はイリノテカンの国内添付文書で既に注意喚起されている有害事象の範囲内であり、管理可能と考える。また、本邦で既に承認されている用法・用量と比較して、イリノテカンとの併用において、本剤100mg/m2を連日5日間投与する用法・用量では、一部のグレード3以上の有害事象の発現率が上昇する傾向が認められるものの、本剤及びイリノテカンの国内添付文書で注意喚起されている事項について引き続き注意喚起が行われ、がん化学療法の治療に精通した医師により、有害事象の観察や管理等の適切な対応がなされるのであれば、日本人患者において、再発又は難治性のユーイング肉腫に対する上記の用法・用量は忍容可能と考えると評価されました。
以上より、本要望内容の臨床的有用性は医学薬学上公知であると判断されました。
続きまして、効能・効果及び用法・用量等の記載の妥当性について御説明します。効能・効果の評価については29ページをごらんください。
再発又は難治性のユーイング肉腫に対する本剤とイリノテカンの併用投与の臨床的有用性は、公表文献及び診療ガイドライン・教科書等への記載状況から、医学薬学上公知であると考えることから、「再発・難治性ユーイング肉腫」を本薬の効能・効果として設定することは妥当と判断されました。
用法・用量の評価については30ページをごらんください。
再発又は難治性のユーイング肉腫に対し、イリノテカンとの併用において、本剤100mg/m2を連日5日間投与する用法・用量の有用性は、公表文献及び診療ガイドライン・教科書等への記載状況から、医学薬学上公知であると考えることから「イリノテカンとの併用において、通常、テモゾロミドとして1回100mg/m2を1日1回連日5日間投与し、16日間以上休薬する。これを1クールとし、投与を反復する。なお、患者の状態により適宜増減する」と設定することが妥当と判断されました。以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、本議題につきましては御確認いただいたものといたします。
本日の議題は以上でございますけれども、事務局から何か報告はございますか。
○事務局 事前に議題の登録をしておらず、大変申しわけございませんが、本日、右肩に「当日配布」と手書きで記載しております英語の資料がございまして、そちらについて御説明させていただければと存じます。
右肩に「当日配布」と手書きで記載しているものに関しましては、ヨーロッパの規制当局であるEMAから出されたレターになっておりますけれども、どういった内容かと申しますと、1枚おめくりいただきまして、4月の当部会におきましてデュルバルマブ(遺伝子組換え)の非小細胞肺がんに関する承認の可否について御審議いただきまして、7月に承認しているところでございます。今回、同じ適応症につきまして、1枚おめくりいただきまして、矢印で示しておりますところですが、ヨーロッパではこちらの適応症がPD-L11%以上に限定する形で承認されることが勧告されました。
先ほどお示ししました最適使用推進ガイドラインにおきまして、こちらのPD-L1の発現状況について現在特段の記載がございませんので、これから専門家の先生方に改めて、こちらの記載の要否や記載内容について御意見を伺わせていただく予定としております。
一方で、こちらは8月下旬に薬価収載を控えていることがございまして、今度の医薬品第二部会までに先生方に御意見を伺うタイミングが来ないこともございまして、今後メール等で先生方に御確認いただくことになりますので、その点御了承いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。では、事務局から。
○事務局 それでは、次回の部会について御報告させていただきます。次回の部会は8月29日(水)午後2時から開催させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 きょうは、お疲れさまでございました。これで終了いたします。ありがとうございました。
( 了 )
 

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

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