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2018年3月2日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成30年3月2日(金)14:00~

 

○場所

厚生労働省専用第21会議室

○出席者

出席委員(13名)五十音順

 大槻 マミ太郎、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、 菊 池    嘉、 
◎清 田    浩、 鈴 木 邦 彦、 田 島 優 子、 登 美 斉 俊、 
  中 野 貴 司、 濵 口    功、 増 井    徹、 南    博 信、 
  渡  辺    亨
 

欠席委員(7名)

渥 美 達 也、 浦 野 泰 照、○奥 田 真 弘、 舘 田 一 博、 
半 田    誠、 山 口 拓 洋、  山 本 善 裕
(注)◎部会長 ○部会長代理
 

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 本    史 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
林    憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

 

○医薬品審査管理課長 それでは定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催させていただきます。本日は年度末のお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日の委員の御出席についてですが、渥美委員、浦野委員、奥田委員、舘田委員、半田委員、山口委員、山本委員より、御欠席との御連絡を頂いております。また、川崎委員、菊池委員より遅れるとの御連絡を頂いております。本日、現在のところ当部会委員数20名のうち11名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
部会を開始する前に事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告させていただきます。今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。その旨御報告させていただきます。委員の皆様には、本部会会議の開催の都度、署名を御提出いただく御負担をお掛けしておりますが、引き続き何とぞ御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。それでは、清田部会長に以降の御進行をお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。事務局から、配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告をお願いします。
○事務局 それでは、配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されております資料1~12をあらかじめお送りしております。このほか、資料21「デュクピクセント皮下注300mgシリンジの最適使用推進ガイドライン(案)」、資料22「プレバイミスの医薬品リスク管理計画書(差し替え)」、資料23「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料24「専門委員リスト」、資料25「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。
本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、資料25について御報告させていただきます。資料25の1ページを御覧くさい。タフィンラーカプセル50mg及び同カプセル75mgですが、本品目はBRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページを御覧ください。メキニスト錠0.5mg及び同錠2mgですが、本品目はBRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページを御覧ください。レンビマカプセル4mgですが、本品目は切除不能な肝細胞癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページを御覧ください。シングリックス筋注用ですが、本品目は帯状疱疹の予防を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページを御覧ください。ヘムライブラ皮下注30mg他4規格ですが、本品目は血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する先天性血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページを御覧ください。トレムフィア皮下注100mgシリンジですが、本品目は既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
7ページを御覧ください。シベクトロ錠200mg及び同点滴静注用200mgですが、本品目はテジゾリドに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対する深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
8ページを御覧ください。プレバイミス錠240mg及び同点滴静注240mgですが、本品目は同種造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
9ページを御覧ください。doravirineですが、本品目はHIV-1感染症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
10ページを御覧ください。ギルテリチニブフマル酸塩ですが、本品目はFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
11ページを御覧ください。リツキシマブ(遺伝子組換え)ですが、本品目はCD20陽性の慢性リンパ性白血病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はありますか。よろしいですか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。議題1、タフィンラー、退室委員は南委員、議決には参加しない委員は大槻委員、中野委員。議題2、メキニスト、退室委員は南委員、議決には参加しない委員は大槻委員、中野委員。議題3、レンビマ、退室委員はなし、議決には参加しない委員は大槻委員、南委員、渡辺委員。議題4、シングリックス、退室委員は中野委員、議決には参加しない委員はなし。議題6、ヘムライブラ、退室委員はなし、議決には参加しない委員は南委員、渡辺委員。議題7、トレムフィア、退室委員は大槻委員、南委員、議決には参加しない委員は中野委員。議題8、シベクトロ、退室委員はなし、議決には参加しない委員は清田委員、中野委員、南委員。議題9、プレバイミス、退室委員はなし、議決には参加しない委員は中野委員、南委員。議題10、doravirine、退室委員は菊池委員、議決には参加しない委員は中野委員、南委員。議題11、ギルテリチニブフマル酸塩、退室委員はなし、議決には参加しない委員は大槻委員、清田委員、中野委員、南委員。議題12、リツキシマブ(遺伝子組換え)、退室委員は南委員、議決には参加しない委員は大槻委員、清田委員、中野委員。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はありますか。よろしいですか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものとします。
本日は、審議事項は12議題、報告事項は7議題、その他1議題となっています。なお、委員の先生方からの申出状況を踏まえ、まず審議事項議題11、議題10、議題12を審議した後、菊池先生がいらっしゃいましたら、到着次第、議題7を審議して、その後は議題1から議題順どおりに進めたいと思います。
それでは、審議事項の議題11に移ります。議題11について、事務局から概要を御説明いただきます。よろしくお願いします。
○事務局 議題11、資料11、ギルテリチニブフマル酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について事務局より御説明いたします。資料11の評価報告書のタブをお開きください。資料11ですが、評価報告書のタブの報告書1ページ中段を御覧ください。資料11の御説明をさせていただきます。申請者はアステラス製薬株式会社、予定効能・効果はFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病となります。
評価報告書1ページの対象患者数について、御説明させていただきます。本邦における急性骨髄性白血病の総患者数は、約7,000人と報告されております。急性骨髄性白血病患者のうちFLT3遺伝子変異陽性という方は、約30%に認められるという報告があります。以上より、5万人未満という基準を満たすものと考えております。
評価報告書2ページ、医療上の必要性について御説明いたします。急性骨髄性白血病に対する治療においては、FLT3遺伝子変異の有無にかかわらず、シタラビンとアントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤等が用いられるものの、再発が多いと報告されております。また、再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対しては、標準的な治療は確立されていないことから、新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、2ページ中段からの開発の可能性について御説明させていただきます。再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病を対象に、現在及び治験担当医師が選択する治療の有効性及び安全性を比較することを目的とした国際共同第III相臨床試験が実施中であり、中間解析の結果、本剤群における奏効率は〇〇%でした。また、未治療のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病患者を対象とした臨床試験も実施中です。
以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方から御質問、その他の御意見をお伺いしたいと思います。いかがですか。では、よろしいですか。御意見がないようでしたら、ありがとうございます。それでは、議決に入ります。なお、大槻委員、中野委員、南委員においては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくこととします。また、私についても同様の扱いとします。本議題について、指定を可としてよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、議題10に移ります。菊池委員はまだいらっしゃいませんので、利益相反に関する申出に基づき、退室されているということで審議を進めます。議題10について、事務局から概要を御説明いただきます。よろしくお願いします。
○事務局 資料10、doravirineを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料10の事前評価報告書のタブをお開きください。評価報告書1ページ中段を御覧ください。申請者はMSD株式会社、予定される効能・効果はHIV-1感染症となります。
1つ目の対象患者数についてですが、1ページ下段を御覧ください。厚生労働省エイズ動向委員会報告によると、本邦における2017年6月25日までのHIV感染者及び後天性免疫不全症候群患者の累積報告例数は、それぞれ1万9,357例及び8,676例であり、また、2016年5月31日までの凝固因子製剤によるHIV感染者の累積報告例数は1,439例でした。以上より5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
2.医療上の必要性についてを御覧ください。抗HIV薬は、核酸系逆転写酵素阻害薬、非核酸系逆転写酵素阻害薬(以下、NNRTI)、プロテアーゼ阻害薬、インテグラーゼ阻害薬、CCR5阻害剤の5種類の作用機序の薬剤が承認されており、これらの抗HIV薬を3剤又は4剤組み合わせた併用療法が現在の標準的な治療方法となっております。しかしながら、既存の抗HIV薬に対する耐性ウイルスの出現や長期投与に伴う副作用等の発現があります。
2ページの2段落目に行っていただき、本剤は新規のNNRTIとして開発をされております。本邦で製造販売承認されているNNRTIのうち主に初回治療としての使用が推奨されているリルピビリンは、臨床試験において投与開始前のHIVRNA量が100,000copies/mLを超える患者では、ウイルス学的失敗例の割合の多いことが報告されていること、また、本剤はin vitro試験においてHIV-1の野生株及び既存のNNRTIに耐性を示す数種類の変異株に対して抗ウイルス活性が確認されており、抗HIV療法における選択肢の1つとなり得ることが期待されております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、2ページ中段からの3.開発の可能性について御説明いたします。抗HIV薬の治療実績のないHIV-1感染症患者を対象とした海外第III相試験が実施されており、その結果、既存薬に対して本薬の非劣性が検証されております。
3ページ上段に有害事象の発現割合と副作用の発現割合が記載されておりますが、安全性について現時点で重大な懸念は認められておりません。また、海外での開発状況については、平成30年1月時点で米国において本薬のみを含有する錠剤及び本薬配合剤が承認申請されております。
有効性や安全性の御判断は、本薬の承認申請後に改めて本部会において御審議いただく予定ですが、有効性や安全性が示唆される結果が得られていること、また、米国でも本薬の承認審査中であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお伺いします。いかがですか。よろしいですか。特にないようでしたら、議決に移ります。中野委員、南委員においては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題に関して指定を可としてよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは議題12に移ります。南先生は御退室いただくことになります。よろしくお願いします。
                                  (南委員退室)
○清田部会長 では、議題12をよろしくお願いします。
○事務局 それでは、議題12、資料12、リツキシマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。こちらも資料12をお手元に御準備ください。資料12の評価報告書のタブをお開きください。資料12、評価報告書のタブの1ページ中段を御覧ください。申請者は全薬工業株式会社、予定される効能・効果はCD20陽性の慢性リンパ性白血病となります。1ページ、対象患者数について御説明いたします。本邦における慢性リンパ性白血病の総患者数は、約2,000人と報告されております。このことから5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
1ページ下段から、医療上の必要性について御説明いたします。慢性リンパ性白血病に対する治療においては、フルダラビンを含むレジメンが第一選択とされているものの、治癒を得ることは困難とされております。また、次のページですが、同種造血幹細胞移植が治癒を目指すことができる治療選択肢ですが、対象疾患においては高齢者が多いことから、適応は限定的となります。
フルダラビンとシクロホスファミドとの併用に対する本剤の上乗せ投与の有効性及び安全性を検討することを目的とした海外第III相臨床試験において、本剤上乗せ群で無増悪生存期間の有意な延長が確認されております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いものと考えております。
最後に、2ページ中段からの開発の可能性について御説明いたします。先に述べました海外第III相試験に加え、再発又は難治性のCD20陽性の慢性リンパ性白血病を対象とした臨床試験も実施されており、その結果として、無増悪生存期間の有意な延長が確認されております。また、国内においても、未治療のCD20陽性の慢性リンパ性白血病患者を対象とした第II相試験が実施され、その結果、奏効率が71.4%となっております。
以上より、本剤の開発の可能性は高いものと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、この議題に関して御意見はありますか。よろしいですか。御意見がないようですので、議決に入ります。大槻委員、中野委員においては、利益相反に関する申出に基づき議決に参加を御遠慮いただくことにします。私も同様の扱いとします。本議題について、指定を可としてよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。
まだ菊池先生がお見えでないようなので、議題1と2に移らせていただきます。南先生は、そのまま退室していただき、議題1と2をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、タフィンラーカプセル50mg他及び議題2、資料2、メキニスト錠0.5mg他の製造販売承認の可否等について、両品目は併用して投与されることから、併せて機構より説明させていただきます。
コドン600のアミノ酸であるバリンが他のアミノ酸に変異したBRAF遺伝子は、恒常的に活性化し、下流のMEKを活性化することで、BRAF V600変異陽性の非小細胞肺癌の発生、腫瘍細胞の生存や増殖に寄与する重要な原因遺伝子であると考られております。
タフィンラーカプセルの有効成分であるダブラフェニブは、活性化したBRAFを阻害することにより、BRAF V600変異を有する腫瘍の増殖を抑制すると考えられている抗悪性腫瘍剤です。また、メキニスト錠の有効成分であるトラメチニブは、BRAFの下流のMEKを阻害することにより、BRAFV600変異を有する腫瘍の増殖を抑制すると考えられている抗悪性腫瘍剤です。現在、ダブラフェニブ及びトラメチニブは、いずれもBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫に対して承認されております。今般、ダブラフェニブ及びトラメチニブの併用投与は、BRAF V600遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果として承認申請されました。
なお、ダブラフェニブ及びトラメチニブは、平成28年9月の当医薬品第二部会での審議を経て、いずれも希少疾病用医薬品に指定されております。平成29年11月時点においてダブラフェニブ及びトラメチニブの併用投与は、BRAF V600変異陽性の非小細胞肺癌に係る効能・効果にて、38の国又は地域で承認されております。本申請の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料24にありますとおり4名の委員です。
以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。なお、両品目の記載内容は同一であることから、ダブラフェニブの審査報告書を御覧ください。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、BRAF遺伝子にV600変異を有する進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同第II相試験であるE2201試験が提出されました。有効性については、審査報告書9ページ、本文上から6行目以降、11ページ上から12行目以降及び25ページ下から14行目以降を御覧ください。E2201試験の結果、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある患者を対象としたコホートB及び化学療法歴がない患者を対象としたコホートCにおいて、主要評価項目とされた奏効率について、事前に設定された閾値奏効率を上回ったこと等から、ダブラフェニブ及びトラメチニブの併用投与の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
○清田部会長 ただいま菊池先生が到着されましたので、中断させていただきまして、大変申し訳ないですが、議題7を先にこの途中でやらせていただいて、議題7を審議するということで、御迷惑をお掛けして申し訳ありません。では、議題7をよろしくお願いします。大槻先生と南先生においては、利益相反に関する申出に基づき、この間退席していただくことになります。
                                 (大槻委員退室)
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料7、トレムフィア皮下注100mgシリンジの製造販売承認の可否等について、資料に添付されている審査報告書に沿って、機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるグセルクマブ(遺伝子組換え)は、インターロイキン-23のp19のサブユニットに結合し、インターロイキン-23のシグナル伝達を阻害するヒトモノクローナル抗体です。今般、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に関する効能・効果で製造販売承認申請がされました。なお、海外では昨年7月に米国、11月に欧州及びカナダにて、本邦への申請用法・用量と同じ100mgの8週間隔投与で承認されております。本申請の専門委員としては、資料24に記載されている10名の委員を指名いたしました。
主な審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。有効性については審査報告書の25ページの表26を御覧ください。中等症から重症の局面型皮疹を有する尋常性乾癬及び関節症性乾癬患者を対象とした、国内臨床試験成績を示しております。有効性の主要評価項目として、投与16週時の医師による全般的な重症度の評価スコア0又は1を達成した患者の割合であるIGA(0又は1)達成率、及び全身の皮膚症状を示すスコアであるPASIスコアが、ベースラインから90%以上減少した患者の割合であるPASI90達成率が設定されています。それぞれ表26の上から2段目及び5段目のとおりで、100mg群及び50mg群ともに、プラセボに対する優越性がそれぞれ検証されております。
次に、審査報告書の31ページの表36、表37を御覧ください。国内臨床試験に組み入れられた関節症性乾癬患者の関節症状に対する有効性の成績を示しております。表36にお示ししたとおり、投与16週時のプラセボ群では、関節症状の改善指標であるACR20、50、70の改善を示した患者が0であったのに対し、50mg又は100mg投与群ではそれぞれ改善傾向が認められていることなどから、関節症性乾癬の関節症状についても、本剤の有効性は期待できるものと考えております。
また、審査報告書28ページの表29及び表30を御覧ください。膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症患者を対象とした、国内臨床試験成績を示しております。膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症は、いずれも患者数が非常に限られていることから、それぞれの検証的試験を実施することは困難ですが、表29に示した主要評価項目である投与16週時の臨床全般印象度、すなわちCGIで3以下を達成した患者の割合、表30にお示しした皮膚症状と全身性炎症に伴う検査所見を示す指標であるJDAの重症度指標、乾癬性紅皮症の病変面積の縮小などの複数の評価項目において、本剤投与による改善傾向が示されていることを踏まえ、いずれの乾癬病型についても、本剤による一定の有効性は期待できるものと判断いたしました。
安全性について、審査報告書の33ページ、34ページ、表40、41、42を御覧ください。こちらに国内及び海外の臨床試験で認められた主な有害事象を示しています。主な有害事象としては鼻咽頭炎、上気道感染などが認められております。ここに示した臨床試験における有害事象の発現状況に加え、本剤の薬理作用を踏まえた検討の結果、既存治療で効果不十分な乾癬患者における本剤の安全性は、許容可能と考えております。ただし、本剤投与時には既承認の乾癬に対する生物製剤と同様に、重篤な感染症の発現に注意する必要があり、既承認の生物製剤と同様の安全対策を講ずる必要があると考えております。
効能・効果は提出された臨床試験成績及び本剤と同じ位置付けで、既に臨床現場で使用されている類薬を踏まえて、申請効能・効果である既存治療で効果不十分な下記疾患、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症として差し支えないと判断いたしました。また、用法・用量は、申請された100mg製剤の有用性が認められ、安全性に大きな問題も認められないことに加えて、お手持ちのCTDのモジュール2.5の41ページ目、図2の4-7、4-8を御覧ください。こちらは事後的な解析ではありますけれども、16週時にPASI100を達成した患者で、その後のPASI100達成率の推移を示しており、50mgよりも100mgで寛解をより維持できているという傾向が認められており、以上の状況も踏まえ、本剤100mgの8週間隔投与と設定することは差し支えないと判断いたしました。
以上の審査を踏まえて、本剤を承認して差し仕えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年間、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 皆様の御意見、御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。100mg製剤でいくという御理解は得られたというか、これでよろしいですか。
○菊池委員 50mgでも大丈夫ではないでしょうか。そういうように読めます。
○清田部会長 私も事前の説明で、同じ質問をしました。それで先ほどの事後のデータをお示ししたわけです。
○菊池委員 最後に説明されたところで、寛解率が100mgでいいと説明されましたけれども、有効性だけを見ると、50mgで効くように読めますよね。トラフ濃度が50mgでも100mgでもそれほど変わってないですよね。トラフ値が16ページの表13にありますけれども、日本人は50mgでいけるというのは、むしろ私は英断ではないかと思うのです。50mgと100mgで余り差がないですよね。
○清田部会長 同じような質問を私も前にしました。
○医薬品医療機器総合機構 ご指摘の50mgでも有効性があるのではないかという点に関して、我々も専門協議で議論を行い、50mg製剤も一定程度の必要性があるのではないかと御意見を頂いているところです。申請者に50mg製剤の必要性について問合せたところ、48ページの審査報告(2)に記載したように、日本の患者に対して50mg製剤の必要性というものを、製造販売後の調査等を通じて今後も検討し、必要に応じて50mg製剤の剤形追加等も考えていくとの説明がなされているところです。
○清田部会長 ですから今後、50mg製剤が出てくるような情報も頂いているということですか。
○医薬品医療機器総合機構 50mg製剤を直ちに申請するかどうかはまだ分かりませんが、他の効能での開発等も踏まえながら、引き続き50mg製剤の必要性を考えていきたいと、申請者としては説明しているところです。
○清田部会長 そういうことだそうです。よろしいでしょうか。
○菊池委員 16ページの表13の有効数字の扱い方というのが、ちょっと雑だと思うのです。1.1±0.6というのは、もう1桁なくていいのかと、今直感的に見ただけでも思います。もう1桁つまり3桁くらい。
○清田部会長 有効数字3桁ですね。
○菊池委員 企業は、そういう資料を提出してないのではないですか。企業から3桁の結果が提出されているのであれば、それで出すべきだと思います。添付文書のほうはどうなっていますか。
○医薬品医療機器総合機構 こちらの試験での血中薬物濃度の測定の定量下限が、小数点2桁が定量限界になっておりますので、四捨五入して、小数点1桁まで表中の数値を記載しております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○菊池委員 いいですけれども、余り格好が良くないなと思います。
○清田部会長 それは申請者にお伝えいただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 承知しました。
○清田部会長 そろそろ議決に入りたいと思います。中野委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。それでは、大槻委員を別室からお呼びいただきたいと思います。南先生は引き続き退室していただくことになります。
                                (大槻委員入室)
○清田部会長 それでは議題1、2に移ります。鈴木先生、どうもありがとうございました。それでは再び大槻先生が戻られてから、先ほどの続きの御説明を頂きたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 先ほどに続いて、議題1と2を合わせて説明させていただきます。途中からになります。ダブラフェニブの審査報告書を御覧いただきたいと思います。今般の承認申請では主な臨床試験成績として、BRAF遺伝子にV600E変異を有する進行・再発の非小細胞肺癌を対象とした国際共同第II相試験である、E2201試験が提示されました。
有効性については、審査報告書の9ページの本文の上から6行目以降、11ページの上から12行目以降及び25ページの下から14行目以降を御覧ください。E2201試験の結果、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある患者を対象としたコホートB、及び化学療法歴がない患者を対象としたコホートCにおいて、主要評価項目とされた奏効率について、事前に設定された閾値奏効率を上回ったこと等から、ダブラフェニブ及びトラメチニブの併用投与の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
安全性については、審査報告書の12ページの下から11行目以降及び25ページの下から4行目以降を御覧ください。ダブラフェニブ及びトラメチニブの併用投与時において注意すべき有害事象として、二次性悪性腫瘍、心臓障害、肝機能障害、発熱、眼障害及び横紋筋融解症が認められております。これらの有害事象については、癌化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による、有害事象の観察や管理等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後にはダブラフェニブ及びトラメチニブの併用投与を行った全例を対象とした、使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
以上のような審査の結果、機構はBRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果とし、ダブラフェニブ及びトラメチニブの併用投与を承認することは可能と判断いたしました。ダブラフェニブ及びトラメチニブは、希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回追加する効能・効果等に対する再審査期間は、いずれも10年と設定することが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。議題1及び議題2について、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 私もうっかりしていました。菊池先生は前半の御説明を聞かれてないということになってしまいますね。大丈夫ですか。ありがとうございます。それでは、全ての御説明を聞かれた先生から、御意見や御質問はありますか。
○渡辺委員 おっしゃるとおり、市販後の調査は重要だと思うのですけれども、今までいろいろな薬剤の市販後調査に協力してきていて、非常にがっかりしていることは、まず有害事象だけに絞って調査をして、その結果がどこかで発表されるかというと、論文にもならないし、結果がまとまったものを見せてもらっても、別に大したことは書いてないのです。何のためにやったのか。ただアリバイとしてやったに過ぎないことばかりです。
今回の両薬剤の併用というのは、非常に対象症例数は少ないけれども、とても重要な薬剤です。やはり知りたいのは、ここでせっかく調査をやるのだったら、このようなドライバージーンのミューテーションがある患者が実際にはどれぐらいいて、その年齢分布がどうかとか、日本人における実態がしっかり分かるような形で調査をしていただければ、後々そういう情報が非常に役に立つのではないかと思うのです。その辺りのお考えを聞かせていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 使用成績調査に関しては現在、企業と詳細を詰めているところです。今、渡辺委員から頂いたコメントを持ち帰り、調査の中でどういったものができるのかということを検討させていただきたいと思います。
○渡辺委員 機構の管轄とは関係ないかと思うのですが、両薬剤が現在の市販薬価で見ると、月180万円ぐらい掛かるというように、一応計算してみたのです。効果持続期間などを見ると10か月ぐらいということだと、今の薬価でいくと2,000万円ぐらいになるのです。もしこれがメラノーマに加えて、Non small cell lung cancerが適応拡大した場合に、対象症例数はトータルでどれぐらいに増えて、そういう場合に薬価はどうなるのかということを知りたいのです。
○医薬品医療機器総合機構 対象患者数につきましては、今回のBRAF遺伝子変異を有する非小細胞肺癌は非常にまれで、非小細胞肺癌の2%以下と言われています。企業の推定ですと、承認後の1年間でBRAF遺伝子変異を有する非小細胞肺癌にかかる患者は約70例程度という推定をしております。
○渡辺委員 メラノーマに加えても、それほど。
○医薬品医療機器総合機構 はい、今回の承認で、対象はそれほどそれほど大きく広がるものではないと考えております。
○清田部会長 有害事象の報告についての先生の御意見は、本当によく分かります。あれでは何も分からないという報告はいっぱいありますよね。ですから是非、もうちょっと因果関係ありというものをはっきりさせていただいて、まとめて報告していただくのがいいと思います。それは是非、依頼者のほうにお伝えいただきたいと思います。ほかに御質問、御意見はありますか。ありがとうございました。それでは議決に入りたいと思います。大槻委員、中野委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは議題3に移ります。別室で待機されている南委員をお呼びいただきたいと思います。
                                 (南委員入室)
○清田部会長 それでは議題3について医薬品医療機器総合機構から、概要を御説明いただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、レンビマカプセル4mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明させていただきます。
本剤の有効成分であるレンバチニブメチル酸塩は、血管内皮増殖因子受容体等、種々のキナーゼを阻害する低分子化合物であり、腫瘍細胞の増殖等に関わる当該キナーゼ活性を介したシグナル伝達を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。現在、本剤は根治切除不能な甲状腺癌に対して承認されております。今般、本剤は切除不能な肝細胞癌を、効能・効果として承認申請されました。平成30年2月時点において、肝細胞癌に係る効能・効果にて、本剤が承認されている国又は地域はありません。本申請の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料24にあるとおり4名の委員です。
以下臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では主な臨床試験成績として、304試験と呼ばれる国際共同第III相試験である、E7080-G-000-304試験が提出されました。有効性については、審査報告書の9ページの上から1行目以降、11ページの上から1行目以降及び27ページの上から14行目以降を御覧ください。全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞癌患者を対象とした304試験において、主要評価項目とされた全生存期間について、ソラフェニブ群に対する本剤群の非劣性が検証されたこと等から、本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
安全性については、審査報告書の12ページの本文の上から10行目以降、及び27ページの下から12行目以降を御覧ください。本剤の使用時に特に注意を要する有害事象としては高血圧/高血圧クリーゼ、感染症、腎障害、出血関連事象、手掌・足底発赤知覚不全症候群、血液毒性、肝障害、不整脈、心機能障害、低カルシウム血症、血栓塞栓症、消化管穿孔及び消化管瘻、可逆性後白質脳症症候群、創傷治癒遅延並びに血中甲状腺刺激ホルモンの増加が認められております。
本剤の使用に当たっては、これらの有害事象の発現に注意すべきであると考えておりますが、これらの有害事象については、癌化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
以上のような審査の結果、機構は切除不能な肝細胞癌を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品として承認された新有効成分含有医薬品に対する、希少疾病用医薬品に指定されていない効能・効果等の追加に係るものであることから、追加される効能・効果等に対する再審査期間を、5年10か月とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会に報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは委員の先生から御質問、御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
○菊池委員 これは追加申請になるわけですけれども、全然病気が違いますよね。添付文書を読むと、全く同じように書かれてしまっているのです。先ほどのメラノーマと非小細胞のBRAFは用量も同じですが、本剤は違うわけですから、本来、添付文書を並列で書くのは分かりづらくないかと、すごく感じました。
添付文書の書き方に決め事があるのかもしれませんが、これは全く別の病気で、用量も全然違うし、関連性がないのです。甲状腺がんのときには24mgですか。ですから10ミリ2つと。4ミリ1つで、含有量は違っていますが、カプセルのサイズはともに4号カプセルで見た目が同じです。もちろん識別があるのかもしれませんけれども、肝細胞癌は60kg以上と未満で線引きして4ミリが3か2かという使い方でわかりにくいと思うのです。
また、用法・用量に関連する使用上の注意の書き方がChild-Pughの7、8は駄目だと書いてありましたけれども、臨床試験ではChild-Pughの5と6に対してしかやっていませんよね。ですから切除不能だけれども、肝機能状態がいい肝細胞癌の人に使うということを、もっと明記すべきだと思うのです。甲状腺の人たちのほうは多分肝臓の機能が悪くないですから、24mgという高用量で使っていいわけですが、異なる癌に対して異なる用量の記載がこの添付文書では非常に分かりにくいと感じました。 あと、後ろを見れば分かりますけれども、臨床成績のところでは、甲状腺癌と肝細胞癌のKaplan-Meier曲線が並んで書いてあって、ゴチャゴチャしているように見えます。添付文書は何枚までにしなければいけないとなっていないと思うので、それぞれの癌を別個にすべきではないかとすごく強く思います。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。製剤自体については、既にカプセルとして4mg、10mgの2つがあり、区別できるように作られており、甲状腺癌で使われているときに、そこで取違え等の問題が起きたという話は特段聞いておりません。また、肝細胞癌では4mgカプセルのみの使用となりますが、特段の問題はないかと考えております。
また、添付文書の記載ぶりに関して、確かに可能な限り癌種ごとの違いを分かりやすく記載しなければならないと考えていますが、本剤では副作用の発現状況等についても、全体的なプロファイルとして、甲状腺癌で24mgで使っているときと、肝細胞癌で60kg以上・未満というときに、それぞれ12mgや8mgで使ったときで明確な差異はないという状況等を踏まえ、添付文書はあえて書き分ける必要まではないと考え、このように纏めることといたしました。先生の御指摘の趣旨を踏まえ、資材等も用いて医療現場に分かりやすく伝えられるように申請者に伝達させていただきます。
○南委員 安全性の概要の表7が15ページにまとまっていて、日本人と外国人患者での比較のデータが出ています。休薬に至った有害事象、減量に至った有害事象が、日本人では多くなっています。一方でグレード3以上の有害事象の頻度は、それほど差がありません。これは、日本の医師が早めにやめてしまっていると解釈できませんか。これは恐らくソラフェニブも同様でしょうか。以前、この癌種の臨床試験についてはいろいろ問題がありましたので、しっかり使いこなせる医療体制が整えられているかという点から、評価する必要があると思いますが、その点はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 先生のおっしゃるとおりと考えております。副作用の管理について、慎重な対応がなされ、結果として管理可能、忍容可能となったと考えております。
○南委員 要するに、ソラフェニブも同じように減量されてしまっていたのですか。そうすると、差が付かないということになってしまうかと思うのです。その点は対照薬に関しても、同じような検討はされましたか。
○医薬品医療機器総合機構 対照群についても同様に検討し、ソラフェニブについても同様に、適切な管理がされていることを確認しております。その上で両剤ともに、管理可能という状況になっていると考えております。
○南委員 ソラフェニブのほうも有害事象には差がないけれども、日本人だけ早めに減量・休薬が行われていたという理解でいいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 先生の言われたとおりです。
○清田部会長 ほかにどなたかありますか。
○菊池委員 繰り返すようですが。これは、非劣性は言えたけれども優越性はやはり言えていないですよね、言えたのですか。
○医薬品医療機器総合機構 優越性は示せていないというのは御指摘のとおりです。
○清田部会長 私も、事前説明ではソラフェニブがあればいいではないかと、それはちょっと申し上げました。その辺の違いの説明は明解ではなかったのです。そこをちょっと説明を加えていただきたいと。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。ソラフェニブについては、手足症候群のために投与が中断されることが臨床上問題になっております。一方で本剤では手足症候群のために投与が中断されるといったことは認められておらず、そのような安全性プロファイルの違いがあること等を基に、個々の患者で本剤とソラフェニブのいずれかが選択されることになると考えております。
○清田部会長 そこは重要なところだろうと思います。
○渡辺委員 この試験でoverall survivalでは、事前に設定して1.08という非劣性のところを下回ったからOKということだけれども、progression-free survivalでは、セカンダリー・エンドポイントだけれども勝っていたということはあったと思うのですが、それが今の議論にどのように反映されているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 おっしゃるとおりで、PFSや奏効率については本剤の方がよりよい結果となっているデータは得られており、それらのデータも審査の中で確認はしておりますが、あくまでも有効性の評価としては主要評価項目であるOSを中心に評価しております。
○清田部会長 そういうことにも配慮というか、考慮してということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そういう点も考慮しております。加えて、我々としては、特に安全性プロファイルの観点から、ソラフェニブと本剤ではプロファイルが違いますので、そういった点で使い分けをする意義はあると判断させていただいていまして、承認する意義はあると考えております。
○清田部会長 そんなところですね。よろしいでしょうか。まだありますか。
○菊池委員 すみません何度も、添付文書の7ページ目を見ると、右側のほうの肝細胞癌のときのKaplan-Meierの線は何が何だか見えませんよね。これはいけないですよね、隣の、せめて本剤とプラセボ群となっているのと同じぐらいの字にしないと。また蒸し返すようで悪いですけれども、やはりこれは違う病気に使っているものが、たまたまですが、偶然、隣同士になっていて、それぞれの。やはり、おかしいなとどうしても思いますよね。ですからやはり、その用量も違うし、効くものも違うので、私はやはりこれ。多分、海外のものは別になっていたような気がするのです、私が、昔のお話ですけれども。まあ、いいや。でも、分かりづらいですよねというのだけは何度も言いたいです。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。Kaplan-Meier曲線の図については、今後、添付文書が医療現場等で実際に使われるときまでには鮮明なものを掲載するように申請者と調整しております。
○審査第五部長 菊池委員の御指摘、ありがとうございます。一般的に添付文書の話ですが、欧米も含めて、ラベルの説明は製剤について入っております。ですから製剤の中で、違う効能であってもやはり同じようなその品目のプロファイル、承認されている内容、全ての情報について入れることになっていますので、この場合はたまたま抗癌剤ですが、抗癌剤以外の他の効能であっても、同じ販売名であったら同じような臨床データなどがザーッと付いてくるということになっております。
後は、今、ちょっと説明がありましたが、医療関係者のほうには提供資材という形で、各疾病群ごととか、分かりやすいもので、また補足で医療機関の先生方には御説明するということで誤解のないような形で運用されているというものです。添付文書につきましてはよほど、適応が全く変わっていて、医療現場で用法・用量も違っていて誤解されるという場合でしたら、販売名を変えて、添付文書から全部、医療過誤がないような形で承認をされるとかいうような形できっちり分けるというようなことがたまにされますが、一般的な場合は、同じ販売名で違う効能・効果であっても1つの添付文書の中で記載されているというものです。
○清田部会長 ありがとうございます。
○菊池委員 いや、そう言われると。ですからこれは、私は一般的ではないと思っているのです、用量も違うわけであって。24mgと12mgと8mgですよね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○菊池委員 それで別の病気であるから。ですからこれはHIVの薬とB肝の薬で使うときの名前を変えるぐらいの、そういうのでおっしゃるとおりだと思うのです。私はそのように思います。これは効能追加でいくからこのようになっているのかもしれませんが、私はこのやり方がちょっと安易で、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇こだわってしまいました。
○清田部会長 今後の課題として御検討いただければと思います。名前を変えるとまた別の申請になりますので、企業のほうの負担も大分掛かってきますよね。それに似た要素もあるのかなと理解していますけれども。
○南委員 その点なのですが、抗癌剤の領域では、例えば癌種が違うと用量が変わるということは頻繁にあります。例えばシスプラチンですが、ある癌種は体表面積当たり60mg、ある癌種は75mg、ある癌種は80mg、ある癌種は100mgを用います。これを、全部、名前を変えていたのでは現場は混乱しますので、先ほどの件は現場で十分、対応可能なレベルだと私は思います。
○清田部会長 という追い風も頂きましたので、そろそろ議決に入りたいと思います。
それでは議決に入らせていただきます。大槻委員、南委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくこととなります。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、議題4、そして議題5に移ります。なお、これに関しましては、中野委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、この間、別室で御待機をお願いいたします。
                                (中野委員退室)
○清田部会長 そうしましたらば、議題4及び5につきまして医薬品医療機器総合機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品シングリックス筋注用製造販売承認の可否等について機構より御説明します。
本剤は水痘・帯状疱疹ウイルスの糖タンパク質E抗原を有効成分として含む帯状疱疹の予防を目的とする遺伝子組換えサブユニットワクチンであり、アジュバントとしてリポ多糖の誘導体であるMPL及び精製キラヤサポニンの2つをリポソーム化したAS01Bが含まれております。本剤は、カナダ及び米国において2017年10月に承認されております。本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料24にお示しした7名の方々です。
審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。まず有効性について、審査報告書16ページの表13を御覧ください。国際共同第III相試験(ZOSTER006試験)において50歳以上の成人における帯状疱疹の発症率を本剤群とプラセボ群で比較した結果です。なお、審査報告書では帯状疱疹を「HZ」と記載しております。帯状疱疹の発症率は、プラセボ群では1,000人年当たり9.1、本剤群では0.3であり、本剤の帯状疱疹に対する予防効果が検証されました。また、70歳以上の成人を対象にした帯状疱疹の予防効果を検証した国際共同第III相試験(ZOSTER022試験)の結果を審査報告書18ページ、表17に示しております。帯状疱疹の発症率は、プラセボ群では1,000人年当たり9.2、本剤群では0.9であり、70歳以上の成人においても帯状疱疹の予防効果は検証されました。これらの試験結果から、帯状疱疹に対する発症予防効果は期待できると判断いたしました。
安全性につきましては、審査報告書22ページから28ページに記載しておりますように、提出された資料から本剤に起因した臨床上問題となるような副反応は認められておらず、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。
以上の審査の結果、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、また、生物由来製品に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。また、本剤の承認に伴い、議題5の生物学的製剤基準の一部改正において、資料5にお示ししました基準を生物学的製剤基準に追加することを予定しております。併せて御審議くださいますようお願いいたします。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員からの御意見、御質問をお願いいたします。
○濵口委員 安全性に関連したところで御質問したいと思います。先ほど、安全性に関しては忍容可能ということだったのですが、報告書の中にはグレード3の筋肉痛とか疲労とかがあって、ある意味で、全身症状というか、局所の症状もあるのかなと思うのですが、このパーセンテージが果たしてあまり高くないのか、例えば既に出ている同じような生ワクチンなどに比べて、その辺りでどのように解釈すればよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。審査報告書の42ページを御覧ください。グレード3につきましてはこの42ページで詳細に考察しております。表37を見ていただきたいのですが、グレード3の事象の発現から回復までの期間につきましては、大部分は7日以内に回復しております。また、中央値では、大体4日ぐらいです。審査報告書にも記載してあるように、本剤の注射部位疼痛の発現割合は少し高いのですが、既承認のプレベナー13のグレード3の回復の期間と大きな差はないという考察をしております。また、こちらのグレード3の事象は回復又は軽快が確認されておりますので、忍容性は問題ないと判断いたしました。
○濵口委員 追加でよろしいですか。
○清田部会長 どうぞ。
○濵口委員 今回のワクチンに使われているアジュバントは、昨年10月、11月に欧米で一応、承認はされているということですが、実際にヒトに接種して、その状況はどうだったかというところまでは、多分、まだ集まっていないのかなと思います。
ちょっとしつこいようですが、この痛みとこういったアジュバントの関連。例えば、先ほど御説明があったように、1週間ほどで大体、軽快するという話だったのですが、こういったものを動物に接種した場合に筋組織がどのような経過をたどるのかというような詳しい解析等がもしあれば教えていただきたいのですが。
○医薬品医療機器総合機構 非臨床試験の結果につきましては、AS01Bを投与したときに一過性の炎症が認められましたが回復を示していまして、特に、毒性上、特段の懸念があったということはございませんでした。
○濵口委員 その炎症というのは、筋組織への影響とか、そういったものを見ているということなのですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、筋組織の影響を見ています。
○濵口委員 分かりました。
○清田部会長 ほかにどなたか、御質問、御意見はございますでしょうか。
○濵口委員 これは要望ですが。先ほどから市販後調査のところが少し議論になっていますが、国際的にも日本が先駆けてこれを承認するということになった場合には、やはりその後の確認は必要だと思います。特に新しいアジュバントが含まれておりますので、是非そこはよく相談をされて、しっかりとした市販後調査をやっていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 はい、筋組織の影響です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。製販後には市販後調査で7,500例を見ることになっておりまして、それに加えて通常の安全性監視活動、これらを踏まえて、引き続き、アジュバントの影響がないかどうかというところを確認してまいりたいと思っております。
○ワクチン等審査部長 補足をさせていただきます。当初、1,500例という調査計画が組まれていたのですが、先生のお考えと同じで、専門協議におきましても専門家の先生からちょっと少ないのではないかという御指摘を頂きましたので、再度、企業に検討いただきまして、それで、当初よりも5倍多い7,500例で市販後調査をやるというようになった経緯がございます。
○清田部会長 そこはきっちりやられるようですので、よろしいかと思います。ほかに御意見、御質問はございませんか。
○菊池委員 本剤を1回目と2回目を打つ間に帯状疱疹を発症した人はいるのですか。投与間隔が2か月以内ですからもしかすると一回のみの接種で帯状疱疹に対する免疫が賦活化されるかもしれないと思います。一回で効果がでるかどうかを、市販後調査の7,500例でやるべきだと思うのです。1回打ってから2か月以内に発症した人と、それ以降やらなくてもいいかもしれないので、痛いのだったらなおさらやらなくていいかもしれない。
○医薬品医療機器総合機構 1回接種の有効性についてですが、本来は2回接種しないといけないのですが、限られた情報での検討において1回接種の人に対しても発症予防効果が見られたということは申請者が提出した資料にはございました。
○菊池委員 そうすると、ここに出ている。年代別のふたつの数千人規模のIII相試験でプラセボに比べて絶対的な効果がありますよね。数千人対象からせいぜい20何人ずつぐらいしか起きていないと思うのですが、その人たちの中で1回目と2回目の間に起きた人というのはいるのですか、というのは分かりますか。
○清田部会長 その間に起きてしまったら2回目は打たないのではないですかね。
○菊池委員 まあ、そうですよね。
○清田部会長 ええ。
○菊池委員 ただ、起きてしまったらですから。
○医薬品医療機器総合機構 発症したら2回目は恐らく接種されていないと。
○菊池委員 分かりました。
あと、添付文書の「通常」というのはどこに掛かるのですか。通常、50歳以上という所に掛かるのか、それとも、通常、2回打ちだという所の「通常」なのですか、この言葉は絶対改めるべきだと思います。
○医薬品医療機器総合機構 通常、50歳以上ということに掛けております。
○菊池委員 そういうことですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○菊池委員 では、免疫能が悪そうだという人で30歳でも打てるという判断ですか。
○医薬品医療機器総合機構 いや、それは適応外になっております。そういった50歳未満の免疫が落ちているようなリスクのある方については、今、別に臨床試験をやっておりまして、それの試験結果をもって用法・用量の一部変更申請を検討していると聞いております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○菊池委員 多分、これ、企業は、「通常」は50歳に掛かっていないと思います。今、審査の1と2を見ましたけれども、1の所には通常、年齢のことは書いていなくて、それから、最終的に年齢が入っていますよね。国語の問題ではなくて、企業は、これは、「通常」は50歳に掛かっていないです。1ページ目の1月4日にやった審査報告書の所には、通常、0.5mLずつを2~6か月間隔でとなっているので、ここに50歳は入っていないわけですから、50歳というのを入れたのはその後ですよね。
○医薬品医療機器総合機構 「通常」という所は、やはり全体的に掛かっていると。回数とか期間も含めて通常という形で、すみません、訂正をさせていただければと思います。
これまでのワクチンの表記方法、過去の例がありますので、いろいろ確認させていただきまして、最も分かりやすいような表現にしたいと考えております。ありがとうございました。
○清田部会長 今のお答えでよろしいですか。
○菊池委員 はい、時々部会で申し上げております添付文書全体の記載整備を宜しくお願い致します。
○清田部会長 それでいいのですか、この終わり方で。「通常」がどちらに掛かるのか、両方に掛かるのか。では両方に掛かっているのですね。
○医薬品医療機器総合機構 失礼いたしました、「通常」はそれ以降の全てのものに掛かっております。
○清田部会長 全部に掛かるのですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○清田部会長 では、そのように分かりやすく表現を誤解のないように変えていただけるのですよね。
○医薬安全対策課長 よろしいでしょうか。
○清田部会長 はい。
○医薬安全対策課長 添付文書の記載ぶりですが、通常、ポツで後ろ全体に掛けるというのは他の添付文書で見たことがございます。割とこういう言い方をするのは添付文書の言い方という特殊な世界なのかもしれません。添付文書全体の記載要領の切替えというのをこれからやることになっていまして、来年の4月以降に製造販売される品目については、新記載要領で順次対応するということになってございます。そういう中で先生御指摘のような、現場の先生方から見て分かりにくい言い回しとか、そういったものについても全体的に見直しつつ、対応していきたいと思っておりますので、また、御指導のほど、よろしくお願いしたいと思っております。
○清田部会長 では、この議題ですが、この議題に関しては、「通常」は両方に掛かるという解釈でよろしいのですよね。
○医薬安全対策課長 よろしいかと思います。
○清田部会長 ということで進めさせていただきたいと思います。
○川崎委員 品質管理に関して議題4と5、併せてコメントさせていただきます。まず4ですが、 まず、これは抗原タンパク質が正しく形成されていることが重要だと思うのですが、試験を見ますと、gE抗原に対する抗体との反応性を確認しているだけで、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇が設定されていません。これでこのタンパク質の形成を担保できるのか、お聞きしたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 抗原性につきましては、先ほど先生がおっしゃったようにELISAなのですが、〇〇〇〇の抗VZVの抗体を用いて抗原性を確認しております。この手法を使いまして臨床試験も行われておりますので、この手法で有効性・安全性が管理できていると考えております。
○川崎委員 ただ、この抗体が認識するエピトープも分かりませんし、今後、この抗体を更新していくときに同じような抗体が出来るのかという懸念があります。この抗体の更新方法について、項目はあるのですが更新方法が明確に書かれていません。また、本剤や標準物質との反応性で評価されますが、標準物質についてもタンパク質の〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇が設定されていませんので、今後、抗体が更新され続けたとき、その抗体との反応だけでタンパク質を確認できるのかということを少し不安に思いました。
2つ目ですが、本剤はアジュバントがリポソーム製剤になっています。しかし、リポソームの〇〇〇〇が設定されていません。このリポソームの〇〇〇〇がなくても大丈夫かということをお聞きしたいと思います。
○清田部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 先生、今、確認をしているのですが、今すぐに答えられないものになりますので、また改めて説明させていただくという形でよろしいでしょうか。
○川崎委員 はい。では、生物基のほうですか、かなり簡略化されており、重要なところだけを記載されているのだろうと思うのですが、省かれたところについて、お聞きしたいと思います。
2-2のアジュバント溶液である専用溶解溶液の項目に、DOPC(ジオレオイルホスファチジルコリン)、これはリポソームの成分と思うのですが、記載が必要ではないでしょうか。これは新添加剤ということで、承認申請書にも〇〇〇〇〇〇が設定されています。、
○医薬品医療機器総合機構 DOPCの所が抜けているというところでよろしいですか。
○川崎委員 はい、そうです、2-2にDOPCも必要なのではないかと思います。この専用溶解溶液の構成成分は、審査報告書などを見ますと、MPLとQS21とDOPCとコレステロールと記載されています。
○医薬品医療機器総合機構 今、先生のおっしゃった所はリン脂質という所で記載しております。
○川崎委員 分かりました。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、少し分かりにくかったかもしれません。
○川崎委員 順番が逆になっていて。分かりました、DOPCをリン脂質と記載したということなのですね。
○医薬品医療機器総合機構 そうです、はい。
○川崎委員 分かりました。つぎに、3-3の2ですが、ここも〇〇〇〇が必要かどうかという機構さんの御回答と併せて回答いただきたいのですが、MPLとQS21の含量試験はありますが、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇はありません。必要ないのでしょうか。また、このAS01Bアジュバントは新規アジュバントであるということで、MPLはかなり〇〇〇〇が高いのですが、含量試験だけでなく、〇〇〇〇に関する試験も必要ではないかと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 MPLはHPVワクチンで既に使用前例がございまして、同じような形で記載させていただいております。
○医薬品医療機器総合機構 あと、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の管理につきましては、承認申請書のほうで規格を立てておりますので、そちらで管理できるようになっています。
○川崎委員 はい、承認申請書では規格が設定されていますが、資料5はかなり簡略されているので、どのような基準で〇〇〇〇を載せたり外したりしたのか、お聞きしたいと思います。
○事務局 よろしいでしょうか。こちらの生物基につきましては、法律、薬機法に基づく基準として必要な最低限の基準として定めているというところです。このアジュバントとして重要なものとして、MPL、QS21の含量を基準として規定していると。一方、承認書においてまた必要なものについて定めているということで、その基準と承認書の中身という位置付けのところもありまして、そういった形にしているというところです。
○川崎委員 本アジュバントはリポソーム製剤ですので、リポソームの構成成分の管理は必要ないのかをお聞きしたのですが、記載の必要はないという判断だったということで、分かりました。
それから、添付文書なのですが。通常は最後のほうに有効成分に関する理化学的な性質が記載されるのですが、本製剤には理化学的な情報が全くないのです。遺伝子組換えですので、他の遺伝子組換え製剤のように情報があっても良いのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 その点につきましては、ほかの製剤の添付文書の記載ぶりも含めて検討させていただきまして、もし必要であれば、追加させていただくような対応をさせていただければと思っております。
○清田部会長 何か、いろいろな質問がありましたが、全部答えていましたか。大丈夫ですか。
○川崎委員 〇〇〇〇の必要性がまだです。
○医薬品医療機器総合機構 〇〇〇〇の必要性については、改めまして先生に説明させていただきたいと考えております。
○川崎委員 よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 今の添付文書のものにつきましても、ほかの製剤の添付文書等を含めて検討しまして、並びで記載しないという判断もあるかと思いますが、その点も含めて。
今の添付文書の件につきましては、添付文書の記載要領の中で理化学的所見については記載しなくて良いという形になっております。すみません、確認できましたので、その点は回答させていただきます。
○川崎委員 分かりました。
○清田部会長 ではそろそろ、こんなところでよろしいでしょうか。
○濵口委員 生物基に関しては我々の国立感染症研究所もちょっと関わっておりますので、少し補足ですけれども。一応、、minimum requirementという観点から、メーカーのほうで設定された規格の中から必要なものだけがピックアップされる形になります。それは多分、先ほど説明があったように、大体、これまでのワクチンと同じような形で、重要なものをその中から多くなりすぎないような形で一応ピックアップするということになると思います。これについては、一応、QS21とMPLがアジュバントとしてはこの規格にのっとって妥当だというようには、我々は考えております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、そろそろ議決に入らせていただきたいと思います。
本議題につきまして承認及び改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認及び改正を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、別室で待機されている中野先生をお呼びいただきたいと思います。
                                (中野委員入室)
○清田部会長 議題6に移りたいと思います。それでは、議題6につきまして医薬品医療機器総合機構から概要の御説明をお願い申し上げます。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品ヘムライブラ皮下注30mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。血友病A患者に対する治療として、欠乏している第VIII因子の補充が行われますが、一部の患者では第VIII因子に対する中和抗体であるインヒビターが発現することがあります。インヒビターを保有する患者では、第VIII因子を迂回する血液凝固反応による止血の達成を目的とした、バイパス製剤による治療が行われます。
本剤の有効成分であるエミシズマブ(遺伝子組換え)は、活性型第IX因子と第X因子に結合するヒト化二重特異性モノクローナル抗体であり、第VIII因子の機能を代替することから、インヒビターを保有する患者において、出血傾向抑制効果が期待できるとして、開発が行われました。なお、本剤は米国では2017年11月に、欧州では本年2月に承認されています。
本申請の専門委員として、資料24に示す8名の委員を指名しました。主な審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、審査報告書22ページ、表の18を御覧ください。国際共同第III相試験において主要評価項目とされた、治療を要した出血の年間出血回数(ABR)について、本剤を週1回、定期的に投与するA群と、本剤を投与しないB群との間に有意差が認められたことから、本剤の有効性は示されたと判断しました。
安全性については審査報告書26ページ、表の21を御覧ください。本剤との因果関係が否定されない重篤な有害事象として、血栓塞栓性事象及び血栓性微小血管症が認められています。これらの症例では、いずれも本剤投与中の出血に対して、バイパス製剤である活性型プロトロンビン複合体製剤(aPCC製剤)が複数回、連日にわたって高用量で投与されていたことから、aPCC製剤との併用に関する注意喚起を行う予定です。
また、製造販売後には、本剤を使用可能な医師及び施設の要件の設定、医師施設要件を満たす場合にのみ納入を行う流通管理を安全対策として実施することで、本剤の安全性は忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討例数は限られていることから、製造販売後には本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としています。
以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないと判断しました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、原体及び製剤は、毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品に該当すると判断しました。薬事分科会には報告を予定しています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見はありますか。ないようでしたら、議決に入りたいと思います。なお、南委員、渡辺委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、議題8に移りたいと思います。議題8について、医薬品医療機器総合機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題8、資料8、医薬品シベクトロ錠200mg及び同点滴静注用200mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。本剤の有効成分であるテジゾリドリン酸エステルは、体内で活性体であるテジゾリドに変換され、細菌リボソームの50Sサブユニットに結合し、ペプチド合成の開始複合体の形成を阻害することにより、細菌のタンパク質合成を阻害し、抗菌活性を示します。
本申請では適応菌種として、テジゾリドに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、適応症として深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染を予定効能・効果として申請されました。
なお、本剤は2014年6月に米国で、2015年3月に欧州で承認され、2017年11月時点で51の国又は地域において承認されています。また、本邦における同種同効薬としてリネゾリドが承認されています。本申請の専門委員として、資料24に記載している9名の委員を指名しました。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明します。有効性について、審査報告書51ページの表38を御覧ください。表38はMRSAによる成人皮膚軟部組織感染症患者を対象とした国内第III相試験における、本薬又はリネゾリドを投与したときの主要評価項目である治療薬投与終了後7~14日の臨床効果を示しています。本薬群の治癒率は92.6%。95%信頼区間の下限値は75.7%であり、事前に規定した閾値である30%を上回りました。なお、第III相試験の用量は、健康被験者を対象とした海外第I相試験で、用量依存的な血小板数減少等が認められたこと。また、海外第II相試験で200mg、300mg、400mgの有効性は同様であったことにより、海外試験で最小有効用量とされた200mgが選択されました。
次に審査報告書52ページの表40及び53ページの表42を御覧ください。急性細菌性皮膚組織感染症患者を対象とした海外第III相試験における、本薬又はリネゾリドを投与したときの主要評価項目である治験薬投与開始後48~72時間の早期臨床効果を示しています。いずれの試験でも、群間差の95%信頼区間の下限値が、事前に規定した非劣性マージンである-10%を上回り、リネゾリドに対する本薬の非劣性が検証されました。
有効性判定時期をそろえた国内外の第III相試験の結果については、審査報告書56ページの表44と表45、及び57ページの表46を御覧ください。表44はITT集団での臨床効果、表45はMRSAが原因菌であった被験者での臨床効果、表46はMRSAが原因菌であった患者での微生物学的効果を示しています。治験薬投与終了後7~14日の臨床効果及び微生物学的効果について、国内外第III相試験で、本薬群とリネゾリドで同様の結果が示されました。以上より、本薬のMRSAによる皮膚軟部組織感染症患者に対する有効性は期待できると判断しました。
なお、審査報告書19ページの3.R.3の項に示しますように、非臨床試験において、好中球減少マウスで本薬の抗菌活性が大幅に減弱しており、国内外の第III相試験で好中球減少症を伴う患者は除外されていたため、好中球数が低い患者では、申請用量で十分な効果が得られない可能性があることから、添付文書の効能・効果に関連する使用上の注意の項で、注意喚起をすることが適切と判断しました。
次に安全性について、審査報告書60ページの表51及び表52を御覧ください。表51は国内第III相試験及び海外第III相試験の併合データにおける安全性の概要を、表52はいずれかの投与群で発現割合が5%であった有害事象及び副作用を、それぞれ示しています。本薬群の有害事象の発現割合は、リネゾリド群と同程度でした。また、いずれかの投与群で発現割合が5%以上であった有害事象について、本薬群でのこれらの発現割合は、リネゾリド群と比べて低値又は同程度でした。これらの成績に基づき、本薬のMRSAによる皮膚軟部感染症患者に対する安全性は許容可能と判断しました。
以上の審査を踏まえ、機構は審査報告書2ページに記載した効能・効果及び用法・用量で、本剤を承認して差し支えないという結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年、原体及び製剤は生物由来製品、特定生物由来製品、毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御意見、御質問を承ります。いかがでしょうか。
○川上委員 錠剤のPTP包装が6錠シートなのですが、これは何か意図があるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 海外で製造されたものを、国内でも用いる予定になっていまして、海外では投与期間が6日間となっておりますので、その関係もあるのかと推測されます。
○川上委員 通常、臨床では7日や14日と、7日の単位で投与するので、常に購入しても残数が残っていくような包装形態というのは、現場での薬剤管理において負担感を感じるのですが、その点はいかがですか。
○審査第四部長 担当から説明させていただきましたように、海外では6日用として作っており、それをそのまま輸入しています。例えば7日分を1列にするということは、すぐには対応できないと思うのですが、頂いた御意見については申請者に伝達いたします。国内での利便性も考えて、将来的な解決策を検討するよう申請者に伝えさせていただきます。
○清田部会長 ほかにいかがでしょうか。それほど長く使う薬ではないですよね。何週間もというわけではないですから、そこら辺はそれほどそれほど膨らませる必要もないのではないかというのが私の印象なのですが。
○審査第四部長 そうですね。7日とか、10日程度とは思うのですが、やはり1列7錠の方が現場では使いやすいというのは、確かにそうかなと私も今思います。
○清田部会長 では、それは依頼者のほうにはお伝えいただいて、ほかはよろしいでしょうか。
○菊池委員 これはSSTIでやっているのが主だと思うのですが、適応症のほかに、火傷などにも使っていますが、そういうのに使った臨床研究みたいなものはあるのですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。疾患別の成績につきましては、審査報告書57ページの表47を御覧ください。表47に記載してありますとおり、それぞれの症例数は限られているものの、添付文書で適応症とされている各疾患についての成績は得られています。
○菊池委員 分かりました。あと、先ほどの投与期間のことも少し書いてありますが、これは試験の中で14日間しか投与していないのだったら、それ以上のものについては有効性が示されていないとか、いつも使う常套句が今回はないようなのですが、それはどうしてなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。御指摘のとおり国内第III相試験では、皮膚軟部感染症患者では最大14日までの成績しか得られておらず、また、海外試験においても投与10日ということで、臨床成績が限られているということは事実です。
ただ、皮膚軟部感染症に関する実臨床での投与の仕方を考えますと、添付文書の1-8に添付文書(案)が付属していますが、そちらの用法・用量に関連する使用上の注意の(1)の3)で「投与期間は感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に本薬の継続が必要か判断し、疾病の治療上、必要最小限の投与に留めること」という注意喚起はさせていただいておりまして、特段14日とは書いておりませんが、その辺りは現場の判断で適切に対応されると考えています。
○菊池委員 いや、ですから、過日審査された抗結核剤では、それ以上の使用経験がないのでという書き方を明確にしてあってある程度の制限が設けられていましたが、本剤には医療の裁量権みたいな感じに言われてしまうと、結局、あと保険で切られる切られないというのは、この辺のところですごく問題になっていて、こういう裁量がありすぎるのは、ある意味で有り難いのですが、そういうのは困るところもあるということです。
ですから、先ほども申し上げていますが、添付文書の統一性ということについて、宜しくお願い致します。
○清田部会長 恐らく注射に関しては抗MRSA製剤ですので、抗菌薬の適正使用の支援の観点から、いろいろな監査が入りますよね。そこで指導が入ると思います。この把握ができているのかとか、病院としてのですね。
ただし錠剤に関しては、外来で使われてしまいますと、歯止めがきかないかなと思いますが、普通は知っている人だったら副作用が気になるので、それほど何週間も処方する人はいないですね。ですから、多分メーカーのほうでそこら辺を十分注意喚起していただいて、長期投与ができないというような、必要最小限と先ほどおっしゃっていましたが、せいぜい2週間が投与の上限みたいな感じになると嬉しいのですけれどね。
○審査第四部長 リネゾリドのほうは、どれだけの投与期間の試験を日本で実施したのか詳細情報を持ち合わせていないのですが、ここの表現は、リネゾリドと同じようになっています。
○清田部会長 リネゾリドは案外、副作用が出ますよね。ですから、みんなそれを知っているから2週間以上は投与しないのかな。そういう傾向はあります。ですから、そこのところをメーカーのほうから十分注意喚起していただいて、というのでよろしいかなと思いますが、ほかに御意見はありますか。ありがとうございます。それでは、そろそろ議決に入りたいと思います。中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきます。私も同様です。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、議題9に移ります。議題9につきまして、医薬品医療機器総合機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題9、資料9、医薬品プレバイミス錠240mg及び同点滴静注240mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。ヒトサイトメガロウイルス(以下、CMV)は通常、乳幼児期に不顕性感染した後、生涯にわたり潜伏感染しますが、免疫抑制状態下にある同種造血幹細胞移植患者では、潜伏感染したCMVの再活性化等により、CMV感染症を発症するリスクがあり、発症した場合には全身状態の悪化や死亡に至ることがあるとされています。現在、同種造血幹細胞移植患者におけるCMV感染症対策として、移植施行後にCMV感染モニタリングにより、CMVの再活性化が認められた場合、患者の状態に応じてホスカルネットナトリウム水和物製剤等の抗CMV薬の投与を開始する先制治療が主に実施されています。
一方、本剤はCMVの再活性化が認められていない段階の移植患者に対して、予防的に投与される薬剤として開発されました。本剤の有効成分であるレテルモビルは、CMVのターミナーゼ複合体を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス剤であり、2017年11月に米国で、2018年1月に欧州で承認され、そのほか2018年1月時点でカナダで承認されています。本申請の専門委員として資料24に記載の8名の委員を指名いたしました。
審査内容について臨床試験成績を中心に説明いたします。本申請に際し、日本人を含むCMVIgG抗体陽性の同種造血幹細胞移植患者対象のプラセボを対象とした国際共同第III相試験の成績が提出されました。有効性について、審査報告書53ページ、下のほうのマル1全体集団に続く段落を御覧ください。主要評価項目とされた移植後24週以内にCMVの再活性化が認められ、抗CMV薬による先制治療が行われた被験者の割合、すなわち臨床的に意味のあるCMV感染が認められた被験者の割合は、本剤群37.5%、プラセボ群60.6%であり、本剤群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が示され、プラセボに対する本剤の優越性が検証されました。この試験成績等から、本剤の同種造血幹細胞移植患者におけるCMV感染症の発症抑制効果は期待できると判断しました。
次に安全性について、審査報告書48ページ目を御覧ください。48ページ及び49ページに表31として、国際共同第III相試験において、いずれかの投与群で発現割合が5%以上であった有害事象及び副作用を示しています。主な有害事象は本剤群、プラセボ群のいずれでもGVHD、悪心、下痢などであり、本剤投与時の有害事象及び副作用の発現状況はプラセボ投与時と比較して、特徴的な傾向は認められませんでした。
また、審査報告書50ページ、中段に「日本人部分集団において」で始まる段落に、本試験の日本人部分集団における安全性について記載しています。日本人部分集団でも特徴的な懸念は認められておらず、本剤の安全性は許容可能と判断しました。ただし、点滴静注製剤については、臨床試験での投与経験は最長でも47日間であり、より長期の投与により腎障害などの発現が懸念されることから、経口投与が可能な患者には経口剤を選択すること、経口投与が困難な患者などに長期間にわたり静脈内投与を行う場合や、腎機能障害を有する患者への静脈内投与時には腎機能検査を実施するなど、観察を慎重に行うことについて、医療現場に注意喚起する必要があると判断しました。なお、臨床試験における日本人への投与経験は限定的であることなどから、製造販売後において本剤の投与症例全例を対象とした使用成績調査の実施が予定されています。
以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は、いずれも劇薬と判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。
なお、事前にお送りさせていただいた資料中、タブの1.11医薬品リスク管理計画書(案)のタブ内の資料につきまして、誤って申請時の初版となっていました。最新のRMP案、使用成績調査実施計画書案などについては、当日配布の資料22として机上にお配りさせていただいております。本訂正について審査への影響はないことを確認しています。申し訳ございません。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 そうしましたら、委員の皆さんから御質問、御意見を承ります。いかがでしょう。
○登美委員 この薬剤、時間依存的なCYP3A4の阻害があるということで、併用禁忌の薬剤が出ていますが、これは特にそういう臨床結果のデータがあるわけではないと思います。それでいいと思うのですが、それをどのようにして決めたのか、何かしら基準があってそのようになっている、何かモデルを使って、こういうデータが出たら併用禁忌にしようみたいになっているのか。あるいは比較的アナログ的に誰かが指摘して、見付けてこれは良くないよねということになったのかというところ、どういう経緯でなったのかというのを教えていただけるといいのですが。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。こちらで注意喚起している併用禁忌としている薬については、治療域の狭い薬を設定しております。安全性の観点から設定されています。
○登美委員 それは、CYP3A4が阻害するということが分かった時点で、ある程度、自動的にそうなってくるようなものと理解していいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね、影響の程度などを勘案して設定しております。
○登美委員 ありがとうございます。
○清田部会長 ほかにいかがでしょうか。
○南委員 使われる臨床状況は恐らく同種造血幹細胞移植になると思うのですが、投与開始時期に関して何かガイダンスとか使用指針のようなものは入れておかなくていいかという点が1点です。また、2種類の剤形を同時に承認するということですが、健常人でのバイオアベイラビリティと、実際に使われる臨床状況でのバイオアベリラビリティが全く異なっていますよね。これに関して恐らく実際の使用は経口剤で入って、途中で内服できなくなって静脈内投与に切り替えて、また経口剤に戻すということが想定されるのですが、その際の指針、つまりどのぐらいの用量に切り替えたらいいのかということに関して、この添文の書き方だけだと現場は恐らく困ってしまうと思います。何かもう少し情報提供したほうがいいのではないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。まず、投与開始時期についてですけれども、お配りしておりますタブの1.8に添付文書案をお付けしております。そちらの「用法・用量に関連する使用上の注意」の、2ポツ目、同種造血幹細胞移植の移植当日から移植後28日目までを目安として投与を開始するとの規定を設定しております。こちらは臨床試験でもこのように設定されていたことから、注意喚起しております。
○南委員 ありがとうございます。そうしたら切替えに関しまして、どうでしょう。
○医薬品医療機器総合機構 切替えに関しましては、少々お待ちください。臨床試験でも切替え可能という設定でやられていたのですけれども、経口も静注もいずれも同じ用量で検討されていました。切替え前後の安全性等についても検討されましたが、そちらについても有害事象の発現割合は特に変わりませんでした。また、経口投与時で少しばく露が下がるのではないかという御懸念があるかと思うのですけれども、主に経口投与で有効性が確認されておりますので、経口投与に切り替えられた場合であっても、有効性は期待できると考えております。
○南委員 静注製剤に変えたときに、血中濃度が約3倍になるということになるのですが、それでも安全性は担保されたといえるだけのデータがあるという理解でいいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 切替え例の安全性については、審査報告書61ページにお示ししております。61ページの表44に経口投与から静脈内投与へ切り替えた場合の前後での有害事象の発現割合をお示ししておりますが、特段、差は認められず、内容についても特記すべきものはなかったと考えております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかにどなたか御質問ありますでしょうか。
○菊池委員 サイトメガロの陽性率は、実はそれほどそれほど最近の若い人は高くないので、欧米の添付文書にはちゃんとCMVセロポジティブレシピエントとなっているので、日本のほうには書かなくてもいいのですか。自験例で、CMV抗体は9割ぐらいしか陽性ではないですので、そういった意味です。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。サイトメガロ抗体、陽性に絞らなくてよいかという意図でしょうか。
○菊池委員 そうですね。
○医薬品医療機器総合機構 抗体陽性患者については臨床試験で検討しておりますが、抗体陰性患者に対して、例えば審査報告書の63ページを御覧ください。ここの中頃の段落に、「CMV抗体陽性ドナーから移植を受けるCMV抗体陰性のHSCT患者への本薬の投与について」という説明があります。CMV抗体陰性患者を対象とした臨床試験は実施されていませんが、本薬の作用機序を考慮すると、抗体陰性の患者においても、本薬の一定の有効性は期待できると考えております。また、抗体陰性の患者における安全性が抗体陽性の患者と大きく異なることは、現時点では想定されないと考えております。
○審査第四部長 抗体陰性の患者さんといっても、陽性のドナーから移植を受ける患者さんは、やはりリスクは多少あるので、そういった患者さんにも投与ができるということで、特にここの部分については、事前に抗体を持っている人でなければならないという規定は設けていません。使用上の注意の「用法・用量の関連注意」のところなのですけれども、患者のサイトメガロ感染症の発症リスクを考慮しながら投与してくださいという旨を記載していますので、そのリスクがある人に投与されるということになります。
○菊池委員 それは有り難いといえば有り難いですが、海外の添付文書にも記載されていますけれども、サイトメガロ抗体陽性のレシピエントと言ったほうがいいのではないかと思って、陰性者にはやっていないのですから推察ですよね。これは実際にやっているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 いえ、抗体陰性患者さんではやっていないのですが、本邦のガイドラインでも、先ほど申し上げたように抗体陽性のドナーから移植を受ける抗体陰性の患者さんというのは、リスクがあるとされていて、必要に応じてサイトメガロウイルス感染症の対策を行うとの記載はありますので、一定の意義はあると考えております。
○菊池委員 意義があるということと、やっていないのに推奨しているみたいなことを言わないほうがいいと思いますが。この添付文書に、サイトメガロ陽性の人に使うと言ってしまえば、それだけでいいのでは。発症予防に使いたいという気持ちは分かりますけれども、陰性者への経験がないというのであれば、陽性の人に対して使うというのを効能効果に入れて、陰性の人に対しての使用経験はないが考慮できるとかを使用上の注意に、そのように書くのが統一的な考え方ではないですか。
○清田部会長 つまりデータはないから、そこはちゃんと明記して、データはないのだけれど、効果は期待できると言えるのかな。
○菊池委員 言い過ぎだと思うのです。気持ちは分かりますけれども。
○清田部会長 つまり、あるエビデンスはないのですからということですね。
○菊池委員 そうです。
○審査第四部長 試験成績がないのですが、抗体陰性の方でも陽性のドナーの方から移植を受けると、体の中にサイトメガロウイルスが入ってくるので、基本的にはウイルス剤ですので、ウイルスの増殖を抑制するというところは同じと思います。恐らく発症のリスクが少し変わってくるのかとは思います。もともと陽性の方と陰性の方が、陽性のドナーさんから移植を受ける場合もあります。
○清田部会長 もちろんそうですよね。それは当たり前の話ですよね。ですからそうではなくて、もう少し表現は明解な、ここまで分かっていて、ここからは分からないのだというのは、はっきりしたほうがいいのではないかというのが、多分、菊池先生の御意見だろうと思いますけれども。ただ、本剤群でも37%は駄目だったので、その辺を少し正直に言ってくださいと、私のほうは前にお願いしましたけれども。100%は防げないのですね。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。情報提供の仕方は引き続き企業とも相談して検討させていただきます。
○南委員 今の点ですが、ドナーが陽性だった場合でも、やはり使えるような枠組みだけは必ず確保するようにお願いいたします。そうでないと現場は非常に混乱すると思います。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。
○清田部会長 どうなのでしょう、大丈夫ですか。よろしいでしょうか。そうしましたならば、議決に入りたいと思います。中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、御異議がないようですので承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。
それでは、ようやくトンネルの向こうに明かりが見えてまいりました。報告事項に移りたいと思います。それでは、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 報告事項について、事務局よりまとめて御報告、御説明をさせていただきます。まず初めに、議題1、医薬品ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8ml他2規格、同皮下注40mgペン0.4mL他1規格の製造販売承認事項一部変更承認について、御説明をいたします。資料13を御覧ください。本剤の有効成分であるアダリムマブ (遺伝子組換え)は、ヒトTNFαに対するモノクローナル抗体であり、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、及び関節症性乾癬などを効能・効果として承認されています。
今般、アッヴィ合同会社より、既存治療で効果不十分な膿疱性乾癬患者を対象とした臨床試験において、本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、既存治療で効果不十分な膿疱性乾癬の効能・効果を追加する、製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
続いて、報告事項議題2、資料14、乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン、H5N1筋注用「化血研」及び報告事項議題3、資料15、乳濁細胞培養インフルエンザHAワクチン(プロトタイプ)筋注用「化血研」の製造販売承認事項一部変更承認について、御報告いたします。なお2品目ありますので、資料14の製剤は、H5N1ワクチン、資料15の製剤はプロトタイプワクチンと呼ばせていただきます。
H5N1ワクチンは、細胞培養で増植させたH5N1株のインフルエンザウイルスを不活化し、界面活性剤処理して得たヘマグルチニン画分を有効成分とするワクチンであり、新型インフルエンザ(H5N1)の予防を効能・効果として、平成26年に承認されています。
またプロトタイプワクチンは、新型インフルエンザの発生時にパンデミックワクチンの承認供給を迅速に行うため、モデルとなるインフルエンザウイルスを用いて、品質管理や製造方法を設定した模擬ワクチンであり、パンデミックインフルエンザの予防を効能・効果として、平成27年に承認されております。
今般、一般財団法人化学及び血清療法研究所より、当該2品目の小児の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、当該2品目の申請を承認して差し支えないと判断しました。
続いて議題4、医薬品ベルケイド注射用3mgの製造販売承認事項一部変更承認について、御報告いたします。本剤は、プロテアソーム活性に対する阻害作用を有する抗悪性腫瘍剤であり、現在は多発性骨髄腫及びマントル細胞リンパ腫を効能・効果として承認されております。
本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請の該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成29年9月8日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、今般ヤンセンファーマ株式会社から、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断しました。
○事務局 続いて議題5、資料17、優先審査指定品目の審査結果について、御説明いたします。資料17を御覧ください。優先審査の取扱いにつきましては、資料の2ページに概要をお示ししています。この制度は、医薬品医療機器等法第14条第7項の規定に基づき、希少疾病用医薬品や、その他医療上特に必要性が高いと認められる品目を指定し、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たっては、適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断します。
資料の1ページ目にお戻りください。今回の対象品目は、販売名タグリッソ錠40mg、同錠80mg、一般名オシメルチニブメシル酸塩。申請者は、アストラゼネカ株式会社です。EGFR遺伝子変異陽性の手術不能、又は再発非小細胞肺癌に係る効能・効果で承認申請がなされています。事前に取りまとめられた、医薬品医療機器総合機構の報告書に基づき、当該薬剤の優先審査の該当性について御説明いたします。
資料5ページを御覧ください。(1)適応疾病の重篤性については、当該疾病は生命に重大な影響がある疾患に該当すると判断されています。次に(2)医療上の有用性について、現時点において適応疾患である化学療法歴のない、EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発の非小細胞肺癌に対して、EGFRチロシンキナーゼのリン酸化阻害作用を有するゲフィチニブ、エルロチニブ等による治療が行われており、適応疾患に対して既存治療法は存在すると判断されています。
また、本剤については、適応疾患患者を対象に、本剤とゲフィチニブ又はエルロチニブとの有効性・安全性を比較することを目的とした国際共同第III相臨床試験が実施された結果、主要評価項目とされた無増悪生存期間の中央値が、本剤群は18.9か月、ゲフィチニブ又はエルロチニブ群で、10.2か月であり、本剤群で有意に延長しています。また副次評価項目とされた全生存期間についても、対照群に対する本剤のハザード比は、0.63という結果が得られています。
なお、安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると、忍容可能と考えられることから、本剤は有効性・安全性、肉体的・精神的な患者の負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法・予防法若しくは診断法より優れていることに該当すると判断されております。
以上を踏まえ、当該薬剤は優先審査の品目に該当すると判断しています。なお、当該薬剤の承認の可否については、今後機構での審査を経た後に、改めてこの部会で御議論いただく予定になっています。
続いて議題6、資料18の医療用医薬品の承認条件について、事務局より御説明します。資料18を御準備ください。注射用メソトレキセート5mg、同50mgに係る承認条件に係る評価報告書です。
1枚めくっていただいて、評価報告書の1ページ目を御覧ください。メソトレキセートを有効成分とする医薬品、注射用メソトレキセート5mgと50mgは、平成8年6月21日に乳癌に対する効能・効果、用法・用量で承認をされており、その際に本剤の臨床的有用性を確認するため、市販後調査として進行・再発乳癌に対するCMF療法及び、乳癌の術後補助療法におけるCMF療法と他の適当な癌化学療法との比較臨床試験を行い、その結果を報告することという承認条件が付されています。このたび、ファイザー株式会社から、当該承認条件に係る承認取得者の見解に関する報告書が提出され、機構において評価がされましたので御報告します。
2ページ目の2ポツ、提出された資料の概要を御覧ください。当該承認条件に係る承認取得者の見解として、主に次の2点の内容が記載されています。1点目としては、CMF療法の承認を取得した平成8年以降ですけれども、タキサン系の抗悪性腫瘍剤がファーストラインとして、また5-FU系の経口抗癌剤が、セカンドラインとして国際的に評価されるようになったこと。また、CMF療法以外の有効な治療法も現れ、CMF療法の対象となる患者数が限定的となったことなどから、承認条件とされた製造販売後臨床試験の実施が極めて困難であったということが記載されています。
2点目として、乳癌に対するCMF療法については、複数の公表論文が出されています。乳癌の診療ガイドライン等の記載も踏まえると、現時点においても当該療法に関して、乳癌に対する臨床上必要な治療選択肢の1つと考えられているということが記載されています。
続いて3ページ目の3.医薬品医療機器総合機構における評価の概要を御覧ください。機構において提出された報告書を確認した結果、CMF療法の承認取得以降に乳癌の治療体系が大きく変化し、CMF療法の対象となる患者が限定的となったことから、製造販売後臨床試験の実施は極めて困難であると判断した旨の承認取得者の説明は理解可能であり、また公表論文、国内診療ガイドライン等に基づくと、CMF療法は乳癌に対する治療選択肢の1つであり、本剤の臨床的有用性は否定されていないと判断されています。
以上を踏まえて、承認条件である本剤の臨床的有用性を確認するため、市販後調査として、進行・再発乳癌に対するCMF療法及び乳癌の術後補助療法におけるCMF療法と、他の適当な癌化学療法との比較臨床試験を行い、その結果を報告することについては、これ以上の特段の対応は必要はないものと判断しています。
○清田部会長 報告事項ではありますけれども、ちょっとコメントを。
○渡辺委員 すみません、1ページの所の承認条件で、「進行・再発乳癌に対するCMF療法、及び術後補助療法におけるCMF療法と他の化学療法との比較試験を行い」と、書いてありますね。提出された資料は、進行・再発乳癌だけについて報告されていて、この術後補助療法に関しての資料が全く提出されていません。
この術後補助療法については、キュービックトライアルという、これは大鵬が行ったものと、それからNSBC01というのと、我々が行った試験がちゃんと、術後の試験としてあるのにもかかわらず、企業側がこれを出してこないということについて、なぜ出してないのかということは確認していただきたいと思います。確かにCMFは、過去の薬剤ではありますけれども、一応きっちりピリオドは打ってあるので、その辺りはこういう行政に関わる資料として、重要な判断だと思いますので、よろしくお願いします。
○清田部会長 その確認はお願いします。
○事務局 すみません、読み上げの中で割愛してしまって恐縮でございます。術後補助療法に関しても、申請者から見解が出ていて、2ページ目の中段、「また」から記載していますが、乳癌の術後補助療法についても、他の薬剤が広く投与されるようになったため、CMF療法が推奨される患者がかなり限定的となっているという現状に加え、3ページの「また」からですが、こちらに関しても2点目の所で、乳癌の術後補助療法におけるCMF療法について、HER2陰性の乳癌患者で、再発リスクの少ない場合、CMF療法又はタキサン系の抗腫瘍剤が治療選択肢となり得るという記載もあることで、術後補助療法に関する有用性についても、そちらの観点も評価をした上で、今回の承認条件について。
○渡辺委員 それならば、できることなら根拠となった論文が、もう既にJCOにも投稿してありますので、そういうものを引用した上でピリオドを打つような形で記載していただきたいと思います。
○事務局 報告書の記載については、今後留意したいと思います。ありがとうございます。
○審査第五部長 渡辺委員、ありがとうございます。ここには簡単に等とかでまとめていたのですが、企業の見解からは、渡辺亨先生の『Breast Cancer Research and Treatment』ですか、こちらの2010年の論文も参照文献として出ています。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○事務局 すみません、事務局より報告事項について、もう1つ議題がありますので、そちらを説明させていただいて、その後全体の質疑に移らせていただければと思います。
続いて議題7、医療用医薬品の再審査結果について、御報告いたします。資料19-1~11、これらは医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますので、まとめて御報告いたします。
資料19-1は、一般的名称はモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物、販売名はナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用他1規格のもの。資料19-2は、一般的名称はブテソニド及びホルモテロールフマル酸塩水和物。販売名はシンビコートタービュヘイラー30吸入他1規格のもの。資料19-3は、一般的名称はゲムシタビン塩酸塩、販売名はジェムザール注射用200mg他1規格のもの。資料19-4は、一般的名称はオキサリプラチン、販売名はエルプラット点滴静注液50mg他2規格のもの。資料19-5は、一般的名称はメトトレキサート及びホルナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)、販売名は注射用メトトレキセート50mg及びロイコボリン注3mg他1規格及び同錠5mgのもの。資料19-6は、一般的名称はボルテゾミブ、販売名はベルケイド注射用3mgのもの。資料19-7は、一般的名称は乾燥濃縮人活性化プロテインC、販売名は注射用アナクトC2,500単位のもの。資料19-8は、一般的名称はモキシフロキサシン塩酸塩、販売名はアベロックス錠400mgのもの。資料19-9は、一般的名称はリハブチン、販売名はミコブティンカプセル150mgのもの。資料19-10は、一般的名称はレボフロキサシン水和物、販売名はクラビット点滴静注用バッグ500mg/100mL他1規格のもの。資料19-11は、一般的名称はペメトレキセドナトリウム水和物、販売名はアリムタ注射用100mg他1規格のものです。
これらの品目については、製造販売後の特定使用成績調査、使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づき再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要のない、カテゴリー1と判定したものです。長くなりましたが、報告事項に関する事務局からの御説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。先ほど途中で御意見を頂きましたけれども、それ以外に御意見はよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは確認させていただいたものとして、終了したいと思います。事務局からは他に報告事項はありますか。その他事項はありますでしょうか。
○事務局 はい。その他事項の議題1として、最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定を行いましたので、そちらの説明をいたします。資料20を御準備ください。資料20ですけれども、3ページ目を御覧ください。平成29年9月15日に発出いたしました最適使用推進ガイドラインの取扱いについての通知において、最適使用推進ガイドラインの対象医薬品や、作成の手続等をお示ししたところです。
1点目の対象医薬品の選定の考え方に記載されているような、最適使用推進ガイドラインの作成対象となる医薬品の承認申請がなされた場合、2.に記載がありますように、直近の薬事・食品衛生審議会の担当部会に御報告することとしています。
今回の品目に関して、資料の表面に戻って1ページ目に、今般、小野薬品工業株式会社より、オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg及び同点滴静注240mgについて、資料に記載のある効能・効果、用法・用量の一部変更承認申請、及び剤形の追加に係る承認申請が相次いでなされたことから、当該医薬品を最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定しています。
なお、今後、関係学会等のガイドライン(案)の検討依頼を行って、対象医薬品の承認について、審議等を行う部会において最適使用推進ガイドライン(案)についても、御説明をさせていただくことになります。
○事務局 続いて、デュピルマブ(遺伝子組換え)の最適使用推進ガイドラインについて、一部修正の御報告をいたします。当日配布資料の21を御覧ください。デュピルマブ遺伝子組換え、販売名デュピクセント皮下注300mgシリンジについては、サノフィ株式会社より既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎の効能・効果で申請され、昨年11月6日に開催された本部会において御審議を頂き、本年1月に製造販売承認を行っています。
昨年、11月の本部会での御審議の際には、この最適使用推進ガイドラインの案についても御報告、御確認を頂いていますが、その後学会から御参加いただいております検討会の先生方から、追加の御意見を頂き、ガイドライン(案)について、若干の修正を行うこととしましたので、御報告いたします。
具体的な修正内容については、資料21の11ページ5.の投与対象となる患者の項を御覧ください。本剤の投与対象となる患者は、抗炎症外用薬による治療では十分な効果が得られず、一定以上の疾患活動性を有する患者に限定することとしています。その内疾患活動性の具体的要件については、2のbに記載された3つの条件の該当することを要件としていますが、二つ目のポツ、EASIスコアの要件について、症状が顔面近辺に集中している患者の場合には、このEASIスコア16以上の要件を満たせず、本来は本剤を投与すべきであっても投与ができなくなってしまうということが判明しました。
このため、顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹を有する場合、目安として頭頚部のEASIスコアが2.4以上といった例外的な規定を、先生方の御意見を踏まえ、追加することとしたものです。本ガイドラインについては引き続き準備を進め、当初の予定どおり本剤の薬価収載日までに通知として発出する予定としています。最適使用推進ガイドラインに関する御報告は以上です。
○清田部会長 はい、ありがとうございました。委員の先生方から何か御質問はございますか。よろしいでしょうか、ありがとうございました。そうしましたら、本議題に関しまして御確認いただけたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、議題4で川崎先生から頂いた質問に対して御回答します。まずリポソームを〇〇〇〇〇〇〇〇という御質問ですけれども、AS01B製剤におきまして、粒子径と多分散指数を規格として設定しておりますので、そちらで管理しています。
gE抗原について、〇〇〇〇試験は必要ないのかという御質問を頂きましたが、ワクチンの特性上、〇〇〇〇な性質の重要性については、通常のバイオ医薬品と異なると考えておりまして、規格試験としての設定は不要と考えています。その理由としましては、ワクチンの有効成分は管理すべき生物活性が存在しませんで、抗原性が維持されていることが重要であるということ、また糖鎖の及ぼす抗原性の影響は、先ほど申し上げたとおり、〇〇〇〇抗体を用いたELISAで管理されていると考えています。また糖鎖と抗原性との関連性が不明ですので、〇〇〇〇の抗体の反応性での管理がその抗原性を担保するものと考えています。
あと、ワクチンは局所的な免疫賦活化によって、その有効性が期待される製剤ですので、有効成分の薬物動態を考慮する必要がないという点。また本剤において糖鎖プロファイルとペプチドマップについては、実生産スケールで製造された5ロット以上の原薬で特性解析が行われていまして、糖鎖及びアミノ酸配列が恒常的に維持されていることは確認されています。以上をもちまして、〇〇〇〇な試験の設定は不要と判断しています。
もう一点ですが、〇〇の抗体についての更新の情報について、追加の管理が必要かどうかというところは、申請者に伝達して検討したいと思います。以上です。
○清田部会長 よろしいですか。
○川崎委員 はい、リポソームに関しては、粒子径と分布が設定されていることは確認しています。ただ脂質や構成分子が正しくリポソームを構成しているかどうかということを確認する必要はないのかということで、お聞きしました。
それから、抗原性があればよいということだったのですけれども、この抗体がどの配列を認識しているのか、あるいは高次構造を認識しているのかが分かりませんので、そういう意味でもタンパク質が正しく形成されていることを確認する必要はないでしょうかとお尋ねしました。
糖鎖は〇〇〇〇〇クロマトグラフィーを設定されていますので、そちらで管理しているのだろうと思いました。 でも私が質問したところは、十分に検討されたものと思いました。
○清田部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは次回の御案内をよろしいですか。
○事務局 次回の部会は、4月25日水曜日、午後5時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは本日これで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
( 了 )
 

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

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