ホーム> その他> 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録(2018年2月2日)




2018年2月2日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成30年2月2日(金)10:00~


○場所

厚生労働省専用第15会議室


○出席者

出席委員(14名)五十音順

渥 美 達 也、○奥 田 真 弘、 川 上 純 一、 川 崎 ナ ナ、
菊 池    嘉、◎清 田    浩、 鈴 木 邦 彦、 田 島 優 子、
登 美 斉 俊、  中 野 貴 司、 半 田    誠、 増 井    徹、
南    博 信、  山 口 拓 洋

欠席委員(6名)

浦 野 泰 照、 大槻 マミ太郎、 舘 田 一 博、 濱 口    功、
山 本 善 裕、 渡 辺    亨
(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 本    史 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
宇 津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
林    憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会を開催させていただきます。本日は、天候の悪い中、またお忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の委員の御出席状況ですが、浦野委員、大槻委員、舘田委員、濱口委員、山本委員、渡辺委員より御欠席との御連絡を頂いております。本日は、現在のところ、当部会委員数20名のうち14名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程11条への適合状況の確認結果について御報告します。全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、その旨を御報告申し上げます。委員の皆様におかれましては、少し前から会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き何とぞ御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、清田部会長に以降の進行をお願いします。

○清田部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いします。

○事務局 配布資料の確認をします。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~12をあらかじめお送りしております。このほか、資料13「審議品目の薬事分科会における取扱等()」、資料14「専門委員リスト」、資料15「競合品目・競合企業リスト」、また、当日配布参考資料として、先日発出した最適使用推進ガイドラインの通知と、その後に続けて同日発出された保険局医療課長通知を配布しております。内容については、既に当部会で御確認いただいた内容から大きな変更はありませんので御紹介は割愛させていただきます。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料15)について御報告します。資料15の1ページを御覧ください。「オレンシア点滴静注用250mg」ですが、本品目は、既存治療で効果不十分な多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページです。「ゾフルーザ錠10mg及び同錠20mg」ですが、本品目は、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページです。「トラスツズマブBS点滴静注用60mg「NK」他3規格」ですが、本品目は、HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております

 4ページです。「ダラツムマブ(遺伝子組換え)」ですが、本品目は、未治療の多発性骨髄腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○清田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。

 それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては皆様の御了承を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況について報告をお願いします。

○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりです。議題1「オレンシア」:退出委員は渥美委員、議決には参加しない委員は南委員。議題2「ゾフルーザ」:退出委員なし、議決には参加しない委員は渥美委員、川上委員、清田委員、中野委員、南委員、山口委員。議題3「トラスツズマブ」:退出委員は南委員、山口委員、議決には参加しない委員は渥美委員。議題4「ダラツムマブ」:退出委員なし、議決には参加しない委員は渥美委員、清田委員。以上です。

○清田部会長 今の事務局からの説明に特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様の御確認を頂いたものといたします。

 本日は、審議事項4議題、報告事項7議題、その他議題1となっております。

 それでは、審議事項の議題1に移ります。渥美委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議題1の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。

                                    ( 渥美委員退室)

○清田部会長 それでは、議題1について機構から概要を御説明いただきます。よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、オレンシア点滴静注用250mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。

 本剤の有効成分であるアバタセプト(遺伝子組換え)は、ヒト細胞傷害性Tリンパ球抗原4の細胞外領域とヒトIgG1のFc領域の遺伝子組換え融合タンパクであり、抗原提示細胞表面のCD80及びCD86に結合することで、T細胞の活性化を抑制します。

 本邦では、2010年7月に「関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)」の効能・効果で承認されています。今般、小児期リウマチ性疾患に分類される多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎(以下、pJIA)に関する効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。

 海外において、pJIAに関する効能・効果は、米国で2008年、欧州で2010年に承認され、201712月時点で、50か国以上で承認されております。なお、一般社団法人日本小児リウマチ学会より、本剤のpJIAに対する開発要望が提出されており、平成24年3月に開催された第11回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議で医療上の必要性が高いと評価され、申請者に対し、本効能の開発要請がなされております。本申請の専門委員として、資料14に記載されている5名の委員を指名いたしました。

 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡単に御説明します。有効性について、審査報告書8ページの表7を御覧ください。この表は、既存治療で効果不十分なpJIA患者を対象に実施された国内試験における有効性の成績を示しています。本試験の主要評価項目は、審査報告書20ページに示しているACR Pedi30を達成した患者の割合であるACR Peidi30達成割合が設定されています。表7の上から1段目を御覧ください。投与16週後において、本剤投与例20例のうち18例でACR Pedi30達成が認められています。

 次に、審査報告書10ページ、図2及び表9を御覧ください。これらは、既存治療で効果不十分なpJIA患者を対象に実施された海外試験における有効性の成績を示しています。表9の上から3段目を御覧ください。主要評価項目である再燃までの期間について、本剤群とプラセボ群との比較において統計学的に有意な差が認められました。また、本試験で本剤が投与された既存治療で効果不十分なpJIA患者190例のうち、123例で投与16週後にACR Pedi30達成が認められ、国内試験と類似した結果が得られています。これらの成績から、既存治療で効果不十分なpJIAに対する本剤の有効性は期待できると判断しました。

 安全性について、審査報告書16ページ、表16及び表17を御覧ください。これらの表は、pJIA及び関節リウマチの臨床試験において認められた主な有害事象を示しています。これらの結果を踏まえると、現時点で、pJIA患者における本剤の安全性について、既承認の関節リウマチと明らかに異なる兆候は示唆されておらず、関節リウマチと同様の安全対策を行うことにより、本剤のリスクは許容可能と考えています。

 用法・用量については、pJIAの類似疾患である既承認の関節リウマチにおいて、本剤10mg/kg相当の体重別の固定用量で有効性及び安全性が確認されていることを踏まえ、pJIAに対する用法・用量は本剤10mg/kgを静脈内投与することと設定しました。

 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新効能及び新用量医薬品としての申請であることから、本申請に係る効能・効果及びその用法・用量の再審査期間は4年とすることが適当と判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお伺いします。いかがでしょうか。

○菊池委員 どなたもなければ、日本人も20例しかいないので仕方がないと思うのですが、4~17歳となっていますが、年齢分布はどんな感じなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の15ページを御覧ください。表15の一番上にありますが、12歳以上が9例、12歳未満が11例で、一番低いところが5歳となっております。

○菊池委員 ですから、そこでしか分からないのですが、実際に5歳と、何歳までいたのですか。

○医薬品医療機器総合機構 一番上の年齢は、16歳です。

○菊池委員 それから、アメリカのリウマチ学会のものでは16歳以下の人が対象になっていますが、これは何で17歳になっているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 JIAについては、発症年齢が16歳未満というのが定義なのですが。

○菊池委員 その後、少なくとも6週間だからということですね。

○医薬品医療機器総合機構 治療している患者もいますので、16歳より上の年齢の患者も入っているということです。

○菊池委員 分かりました。しょうがないのでしょうけれど、5歳以下の人が発症する場合は、私は少ししか知らないのですが、教科書的には二峰性の発症で3歳と8歳に(発症のピークの)山があると書かれていますが、この検討では5歳以上からしか使っていないとなると、二峰性の前のほうに起きると言われている3歳児とか、そういう年齢層の使用経験がなくても使っていいということにしてしまうわけですか。

○医薬品医療機器総合機構 現時点では使用を禁止するというところまでのものではないと考えています。

○菊池委員 分かりました。それでは、同じことで、海外でやっていた033試験の年齢分布はどうなのでしょうか。15ページでは12歳以上が12712歳未満が63と読めますが、その辺りはいかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 海外の年齢分布は、5~17歳までが入っております。分布については、先ほどの審査報告書15ページの表15にありますが、12歳未満が3分の1ぐらい、12歳以上が3分の2ぐらいとなっております。

○菊池委員 日本人の20人を追いかけている中で、再燃等はなかったのですか。今のところないのですか。

○医薬品医療機器総合機構 効果があった症例での再燃ということでしょうか。

○菊池委員 はい。海外のデータでは再燃の報告が出ているので、日本は20例ですが、全部が効いているというのはもちろんいいのですが。

○医薬品医療機器総合機構 中止例は2例あり、そのうち有効性の欠如が1例認められています。この症例については、そもそも効果があまり認められていませんので、再燃とまで判断できるかどうか難しいのですが、効果のあった患者では投与がほぼ継続されていまして、52週時点でも18例が投与を継続しており、そのうち16例ではPedi30を達成しています。

○菊池委員 分かりました。あと、この薬は小児への投与は初めてなわけですが、その辺りの情報は前のRAのところで取れているから、新しい資料が提出していないとなっていますが、そういうことでいいのですか。

○新薬審査第四部長 承認事項一部変更承認申請時に提出する資料については、添付が必要とされる資料のうち、過去の承認申請時に既に提出されているものについては提出を省略することが可能です。提出する資料は申請区分ごとに決まっておりますので、今回の承認申請では、非臨床の薬理や薬物動態、品質の資料は新たに提出されていないという意味です。

○菊池委員 ですから、前のは大人のリウマチに対して使っているわけであって、子供についてはPKPDの表は出ていますが、その程度でいいということですか。

○新薬審査第四部長 例えば、用法・用量が明らかに変わるような場合等には必要となる場合もありますが、今回は基本的に用法・用量はリウマチに近いところに設定されているので、毒性等は新たに要求していないということです。

○菊池委員 でも、体重当たりの割合でいくと、RAよりもpJIAのほうが非常に少ない量になっているわけで、それで効果があるのでいいのでしょうけれども、それはいいのですか。単純計算すると、RAのほうが体重当たりの量が多いですよね。そういうことを含めていろいろなことが、ここに出ているPKPDの類推している表も、多分、大人のリウマチの動態から考えている部分も含めてやっているのだと思うので、私はそこの考え方は余りよく知りませんが、そういう感じで大丈夫なのかということです。

○医薬品医療機器総合機構 本剤の用法・用量に関しては、10mg/kgが基本となっておりまして、リウマチでは10mg/kgを体重ごとの区分を区切って使っているので、基本的には体重当たりの投与量はRAとpJIAで同程度と御理解いただければと思います。

○菊池委員 RAの人で、60kg未満の人に500mgを2バイアル使うということなので、そうすると、1,000÷60だから、16ぐらいではないですか。

○新薬審査第四部長 60kg未満の人は500mgです。1バイアルは250mgですので、2バイアルを使うと500mgということになります。

○菊池委員 そういう意味なのですね。それならいいと思います。

○清田部会長 ほかに御意見、御質問はありますか。

○中野委員 BCGとの関連についてお教えいただきたいと思います。添付文書上も、結核の既往とか結核の感染歴の注意事項がありますが、この結核既往との関連で、小児科領域では恐らくレミケードですかね、インフリキシマブが川崎病等にも使われるので注意が必要かと思いますが、本剤も年齢の下限がないとなると、場合によってはBCG接種後に短期間でこの薬剤を使う方が出てこないとも限らないかと考えております。本薬剤を使った後の生ワクチンまでの間隔は3か月というのが添付文書にも書いていただいているので、それが目安になると思いますが、過去にBCG歴があった方への注意事項、すなわち海外で成人も含めて本剤によって結核が再燃したとか、結核菌感染症によって何か困ったことが起こったという例は報告されているのでしょうか。それについてお教えください。

○医薬品医療機器総合機構 確認しますのでお待ちください。今、結核の再燃かどうかまで確認ができませんが、審査報告書16ページの表17の上から5段目に結核感染の発現状況がございまして、海外臨床試験では結核感染の有害事象が認められています。

○中野委員 分かりました。現状では、類似薬ということで、わざわざ結核のことが書いてあるだろうという理解で、よろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○医薬品医療機器総合機構 補足をしますと、基本的に生物製剤は、どの製剤も結核再燃のリスクはあるのですが、本剤については、成人リウマチ患者に使用される生物製剤の中では比較的結核のリスクが少ない薬剤と言われておりますので、そういう意味でのリスクは、もちろん厳重に管理しなければいけないことはほかの薬剤と同様ですが、とりわけリスクが高いという薬剤ではありません。

○中野委員 ありがとうございます。了解いたしました。

○清田部会長 ほかに御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうした。

 それでは、議決に入ります。なお、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加は御遠慮いただくことにいたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異義がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告させていただきます。別室で御待機されている渥美委員をお呼びいただきます。

                                    ( 渥美委員入室)

○清田部会長 それでは、議題2に移ります。議題2について、機構から概要を説明いただきます。よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品ゾフルーザ錠10mg及び同錠20mgの製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。

 本剤の有効成分であるバロキサビル マルボキシルは体内で速やかに活性体に変換され、インフルエンザウイルスによる宿主細胞のpre-mRNAのキャップ構造を切断するエンドヌクレアーゼ活性を阻害します。この作用により、感染細胞内でのインフルエンザウイルスRNAの転写反応が阻害され、ウイルス増殖を抑制すると考えられています。

 本申請では、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症を予定効能・効果として申請されました。なお、本剤は先駆け審査指定品目であり、本邦において海外に先駆けて申請されております。本申請の専門委員としては、資料14に記載の10名の委員を指名いたしました。審査内容について、臨床成績を中心に説明いたします。

 有効性について、審査報告書49ページの表34及び図5を御覧ください。表3412歳以上のインフルエンザウイルス感染症患者を対象とした国際共同第III相試験における、本薬又はプラセボを投与したときの主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間を示しています。インフルエンザ罹病期間、すなわち投与開始時点からインフルエンザウイルス感染症に伴う咳、喉の痛み等の主要な7症状の全てが「無し」又は「軽症」と患者日誌に記録されるまでの時間とされ、その時間の中央値は、本剤群53.7時間、プラセボ群80.2時間であり、プラセボに対する本薬の優越性が検証されました。図5はインフルエンザ罹病期間に係るKaplan-Meierプロット図を示しています。

 次に、日本人部分集団での有効性について、審査報告書49ページの図5に続く段落、及び50ページの図6を御覧ください。日本人部分集団でのインフルエンザ罹病期間の中央値は、本薬群は46.4時間、プラセボ群は77.7時間であり、全体集団と同様の結果が認められています。図6は日本人部分集団でのインフルエンザ罹病期間に係るKaplan-Meier プロット図を示しています。

 次に、対照薬との比較について、審査報告書54ページ中段の「また、国際共同第III相試験」から始まる段落、及び図8を御覧ください。対照薬のオセルタミビル群が設定された20歳以上の部分集団でのインフルエンザ罹病期間の中央値は、本薬群は53.5時間、オセルタミビル群は53.8時間、プラセボ群は77.8時間であり、本薬群とオセルタミビル群との群間差は-0.3時間、その95%信頼区間は-6.66.6時間となり、本薬のインフルエンザウイルス感染症に伴う臨床症状の改善効果については、既承認薬と同程度でした。図8は20歳以上の部分集団でのインフルエンザ罹病期間に係るKaplan-Meierプロット図を示しています。

 続いて、12歳未満の小児での有効性について、審査報告書51ページ下段の「有効性について」から始まる段落及び52ページの図7を御覧ください。12歳未満のインフルエンザ感染症患者を対象とした国内試験における主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間の中央値は、44.6時間であり、12歳以上の患者における本剤群と同様の結果が認められました。図7は12歳未満の患者でのインフルエンザ罹病期間に係るKaplan-Meierプロット図を示しています。また、12歳未満の患者と12歳以上の患者のそれぞれの用量における本剤投与時の活性代謝物の血漿中曝露量は類似していました。以上より、本剤のA型又はB型インフルエンザウイルス感染症に対する有効性は示されたと判断しました。

 次に、安全性について、審査報告書60ページの表41、表42を御覧ください。表41はインフルエンザ感染症患者を対象とした国内第II相試験及び国際共同第III相試験の併合、並びに12歳未満の患児を対象とした国内試験での安全性の概要を表42はいずれかの投与群で発現割合が2%以上であった有害事象及び副作用をそれぞれ示しています。有害事象発現割合は、本薬群は22.2%、プラセボ群は25.7%であり、本薬群の有害事象の発現割合は、プラセボ群と同程度でした。また、いずれかの投与群で発現割合が2%以上であった有害事象は、下痢、気管支炎、悪心、副鼻腔炎であり、本剤群でのこれらの発現合割は、プラセボ群と比べて低値又は同程度でした。これらの成績に基づき、A型又はB型インフルエンザウイルス感染症患者に対する本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 ただし、既承認の抗インフルエンザウイルス薬では投与後に因果関係は不明ですが異常行動が認められたとの報告があり、臨床試験において本剤群では異常行動は認められておりませんが、精神・神経系障害に該当する有害事象の発現は認められていること等から、本剤でも他剤と同様の注意喚起を行う必要があると判断しました。なお、配布資料の添付文書案、使用上の注意、重要な基本的注意(1)に当該注意喚起がありますが、その中で、「本剤を含む抗インフルエンザウイルス薬投与後に」と記載されている箇所については、「本剤を含む」を削除し、「抗インフルエンザウイルス薬投与後に」と修正いたします。

 以上の審査を踏まえ、機構は、審査報告書2ページに記載した用法・用量で本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、原体及び製剤は、生物由来製品、特定生物由来製品、毒薬・劇薬のいずれにも該当しないと判断しています。なお、薬事分科会には報告を予定しています。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見がございましたらお伺いします。いかがでしょうか。

○中野委員 剤形を拝見しますと、10mg錠、20mg錠ともに大変小さな剤形で、小児にも服用しやすくて有り難いことだと思っています。参考までに、味についてですが、情報があればお教えいただきたいのですが、お分かりになるでしょうか。難しいですか。

○医薬品医療機器総合機構 今は味に関する情報を入手しておりません。

○中野委員 それは市販後でよろしいですね。それに関して一つコメントなのですが、逆に、小さくて飲みやすいので、10mg20mgですが、20mgのほうでも子供でもゴクンと飲めてしまいます。ですから、10mg20mgの用量を間違えないためにも、見掛けを丸と楕円で工夫していただいていると理解はしているのですが、ヒートシールの色を変えるとか、何かあったほうがいいと思いました。

○医薬品医療機器総合機構 10mg錠に関しては、お手元のPTPシートは青、20mg錠はオレンジということで、今のところ、申請者は予定しています。

○中野委員 見た目には区別できるということですね。

 もう一点です。あと、年齢と体重なのですが、この薬剤の場合は12歳と40kgです。体重の表をプロットしてみたのですが、何歳で40kg未満の子がどれだけいるかを考えると、12歳で設定するなら40kgは適切なところだと思うのですが、ほかの薬剤で、例えば13歳で切ってあるものもあったり、いろいろな年齢区分、いろいろな体重区分があって、今後、医療安全の観点からその間違いをなくすためには、小児用量の年齢や体重というのが、ある程度一つのところで集約していったほうが現場での間違いが少ないので、医療安全の観点から今後はそういうことが大事だと思っています。

 ただ、今までの薬剤もあるし、臨床試験をどのような設定でやったかによっても変わってくると思いますから、今すぐに全ての変更は難しいと思うのですが、将来的には年齢や体重の区分を一つに区切っていっていただいたほうが、臨床の現場で間違いが少ないと思います。特に、インフルエンザなどの一気に患者がたくさん押し寄せる疾患ですので、全ての方が新しい体重を測っているとは限らないので、今後の要望として一言申し添えさせていただきます。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございました。医療安全等の観点からも、類薬も含めて、今後検討させていただきたいと思います。

○清田部会長 ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。

○登美委員 食事との関係が添付文書にも載っていて、PDのほうには影響がないということで、用法・用量等には影響がないということでそれはいいと思うのですが、そのときに添付文書にAUCなどが下がっているというような情報だけが残ると、さも気にしたほうがいいのではないかというような捉え方をされてしまうと、それだけが一人歩きしてしまうようで、変わるけれども実際には影響はないということまで踏み込んでおいたほうが、情報提供されるほうとしては有り難いのではないかと思いました。これが1点です。

 あと、食事の影響がなぜ起きるかというのを、キレート形成という話で議論されていたのですが、例えばそれがマグネシウム製剤などとの併用では問題がないという判断なのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 キレートを形成しうる金属イオン含有製剤との併用については、臨床試験の中で併用した事例を確認しました。その結果、当該事例で特段安全性等の問題がないというところを確認した上で、注意喚起の必要はないと判断しております。

○医薬品医療機器総合機構 食事の影響について、PDには影響は認められていませんが、PKに対する影響は認められていることを踏まえて、今のところは情報提供という形で添付文書には示させていただきましたが、最大限に得られている情報は提供すべきということで記載していると御理解いただければと思います。

○清田部会長 ほかに御質問、御意見はございますか。

○菊池委員 インフルエンザBは何人ぐらいいたのですか。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の57ページを御覧ください。こちらは型・亜型別のインフルエンザ罹病期間(ITTI集団)で、第II相試験、第III相試験の一覧表を示して、B型に関しては、ここに示したとおり第II相試験のT0821試験では、本薬の各用量群又はプラセボ群に振った2124例、また第III相試験の全体集団では、本薬群が38例、プラセボは20例、20歳以上に限れば、本薬群33例、オセルタミビル群34例、プラセボ群は16例という数字になっています。

○菊池委員 いろいろな年齢階層でKaplan-Meierを書いていますが、これは含めてしまっていますよね。B型だけにしたらもっと効きは悪いのでしょうか。そのデータは持っていますか。

○新薬審査第四部長 今の表に罹病期間の中央値が出ているのですが、右側の第III相試験の本薬群とプラセボ群については、中央値で見るとほとんど差がない状況です。ただし、第II相試験ですと、B型についてはプラセボ群が83時間、本薬群はいずれの投与群においても60時間程度ということで、第III相試験のほうはあまり効いていないように見えるのですが、第II相試験の成績を見るとそれなりに効いているというところです。

 また、非臨床の薬理試験では、本薬はタミフルと同様にA型よりもB型で抗ウイルス活性が低い傾向が認められていますが、非臨床薬理試験の結果から、本薬の抗ウイルス活性はB型でも期待はできるだろうと考えています。

○菊池委員 今シーズンもB型が流行っていて、Bの人にはほかの薬剤が全然効かないのです。それで、Aにはスパッと効くという印象があるので、この切れ味はどうなのかと思って、向学のためにも聞きました。

 あと、結局のところ、下は何歳まで使っていいのでしょうか。上は65歳だから、注意喚起は「高齢者は注意しなさい」と添付文書の常套句を書いていますが、この薬剤で一番カバーしなければいけないのは高齢者と12歳の年齢層が一番多いわけですから、そこの検討に限ってはどういう見解なのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 まず、体重区分に関しては、10kg以上の小児から投与できるという設定になっています。高齢者に関しては、臨床試験では65歳を一つの区切りとして試験をしておりますが、現在のところハイリスク試験等の別試験が動いておりまして、それらの患者に対する有効性と安全性は別途確認しておりますが、現在のところ65歳以上は投与できないという規定は設定しておりません。

○菊池委員 いつも書いてあるような添付文書の書き方で、高齢者についての一般的な書き方がしてありますが、65歳以上については、医者の裁量で出してもいいということになるわけですよね。

○医薬品医療機器総合機構 はい、その理解で結構です。

○菊池委員 下の年齢のほうは、10kgに満たない子には駄目だと読み取れるわけですが、それについては書かれていないわけですよね。

○医薬品医療機器総合機構 用法・用量に、「10kg以上」と設定されています。

○菊池委員 「10kg未満は駄目」と書いてありましたか。これはそのように読めないのですよね。

○新薬審査第四部長 10kg未満の投与量が不明ということなので、用法・用量には記載がないという整理です。

○菊池委員 大きな子には投与してもいいという感じになるということなのですよね。そこら辺で、これを見ても、2歳以下の人に投与しているのが、せいぜい1人か2人しかなくて、あと、12歳未満でも100人ぐらいですよね。それで先駆けですから、日本でやって、良かれと思ってやるわけですが、それが外れたときは格好悪いと言っては変ですが、安全性などについても厳しく見ている。いつも言っているように、副作用というのは臨床試験の後から出てきますし、どうなのでしょうかということなのですが。

○医薬品医療機器総合機構 本品目に関しては、使用成績調査は3,000例を予定していまして、特に12歳未満、6歳未満の小児を重点的に集めるように、目標症例数を立てて、申請者に調査するよう伝達しているところです。

 また、10kg未満の患者に対しては、錠剤の投与が難しいということで、現在、申請者は剤形を変えた顆粒剤の開発を並行して進めていて、この準備が整い次第、申請予定という情報を確認しています。

○菊池委員 分かりました。

○清田部会長 ほかにいかがでしょうか。

○川崎委員 本品目は化成品で、原薬から品質リスクマネジメントの手法が取り入れられています。しかし、審査報告書には重要品質特性と品質管理戦略が明確に記載されていないように思います。

 製造販売業者の品質管理が新しい手法に変わってきていますので、審査報告書のほうも新しい手法に対応した分かりやすい記載を検討していただきたいと思いました。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。品質管理戦略に関しては、CTDのモジュール2.3.Sに製造販売業者が記載したものがあるのですが、我々の審査報告書では、それは十分に抽出しきれてないという、又は分かりづらい状況になっているという趣旨のコメントだと理解しましたので、内部に持ち帰り、検討したいと思います。

○清田部会長 ほかにいかがでしょうか。

○川上委員 参考のために教えてほしいのですが、将来的に、効能・効果は予防に拡大していく可能性はあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 申請者は現在、予防に関しても検討しており、現在までに得ている情報としては、臨床試験も計画しているということです。

○清田部会長 ほかによろしいでしょうか。ないようですので議決に移ります。なお、渥美委員、川上委員、中野委員、南委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮していただくことにいたします。また、私も同様です。

 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは、議題3に移ります。南委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題3の審議の間は別室で御待機いただきます。

(南委員、山口委員退室)

 それでは、議題3及び報告事項の議題3について、機構から概要の説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題3と報告事項の議題3について御説明いたします。資料3と、7-1と7-2の印の入った資料を御覧ください。

 まず、審議事項の議題3、資料3について説明いたします。トラスツズマブBS点滴静注用60mg「NK」他3品目は、抗HER2モノクローナル抗体であるトラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]を有効成分とする製剤であり、ハーセプチンを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、日本化薬株式会社及びCelltrion.Incにより製造販売承認申請がなされました。

 本剤はチャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、「生物由来製品」とすることが適当と考えております。また、先行バイオ医薬品のハーセプチンは、原体・製剤ともに毒薬及び劇薬に指定されていないことから、ハーセプチンと同等/同質である本剤についても原体・製剤ともに毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないとすることが適当と考えております。

 なお、同一品目に係る報告事項の議題3、資料7-1及び7-2についても、併せて御説明いたします。機構における審査の結果、本剤とハーセプチンの同等性/同質性が確認されたことから、本剤はハーセプチンのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。報告事項については、以上のとおりです。審議事項の議題3、本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否につきまして、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお伺いいたします。いかがでしょうか。

○川崎委員 事前にコメントしておりますが、添付文書の有効成分に関する理化学的知見の記載が、他の医薬品やバイオ後続品に比べて簡略化されすぎていますので、抗HER2抗体であることや、CHO細胞で産生されていることなども記載いただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。御指摘を踏まえて適切な情報に改めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 先行バイオ医薬品の承認が古く、先行バイオ医薬品の情報が少なかったということもあって、申請者は合わせてしまったと思うのですが、私たちの指導が行きわたらずに、すみませんでした。

○川崎委員 先行バイオ医薬品の本質記載は以前の記載要領に従って決められたもので、今のバイオ後続品は新しい記載要領で記載されています。ただ、使用される先生方には、それが同じであったほうが分かりやすいかもしれませんので、年月を経て変わった本質記載をどうするかは、課題ではないかと思います。

○清田部会長 そのコメントに基づいて、今後御検討ください。ほかにいかがでしょうか。

○菊池委員 私は不勉強なのですが、バイオ後続品の審査の決まりというのは、どこかに公開されているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 ガイドラインが出ていまして、平成21年3月4日付けで通知が出ていますので、そちらを御覧いただければと思います。

○菊池委員 今回は資料が早めに来たので、全部見たのですが、ちゃんと審査されているとは思うのですが、見た目にも、すごく簡単で、中に書いていることも「同等だ」と書かれてしまっているので、薬理などは自身の不勉強な遠い昔の記憶なので全く分からなくて、「ああ、そうですか」としか読めなくて、臨床的な効果もそれなりにやられていて、Head to Headでやられていて効果がOKだということになっていると思いますので、文句はないという感じだと思うのですが、バイオ後続品の審査の仕方も、今「平成21年」とおっしゃったので、同じやり方でいいのかどうかということも少しあるのかなと。生物製剤のほうは進化していくはずなので、それが普通の薬と同じやり方でいいのかなということを疑問に思ったので質問しました。

○医薬品医療機器総合機構 基本的にはガイドラインに、品質特性に高い類似性を認められた上で、非臨床も比較して、臨床試験でPK、そして有効性の同等性まで確認することとしております。また、製造販売後調査等で、安全性プロファイルも、実際の臨床実態下での安全性を確認していただいております。

 承認申請時の添付資料に関してですが、本品目の製造販売承認の可否については報告事項ですので、委員の皆様にはお配りしていないのですが、新薬と同レベルのこれだけ量のある資料が出されております。そして、現在の科学技術に基づいて審査を行っていますので、その審査のレベルもきちんと、今に合わせてやっております。

○医薬品医療機器総合機構 先生の御指摘のとおりガイドライン発出から時間が経っているので、適宜Q&Aを出しております。それで、今の審査レベルに合ったような審査をしていることが分かるようにしております。

○菊池委員 分かりました。あと全然関係のない話なのですが、結局、今回、適応拡大とかバイオ後続品ということになると、先行品の情報もたくさんあるでしょうし、先ほどのリウマチの薬もリウマチの薬の中でどういう位置になっているかというか、新しい知見がたくさん出ているはずです。そうすると、それらの新しい知見の部分は全くアップデートされないで、新しい効能追加のところだけが新しくなっていて、企業努力かもしれませんが、そのために新しい情報を国民に公開するというのは必要であって、バイオ後続品だったら元のほうの薬も、ある程度アップデートする機会はいつでもあるのでしょうけれども、そういうのを調べた限りで新しいことなどが分かっていれば、そういうのを進めるというか、そういうことは必要なのではないかと今回は感じたので、治療・効能を拡大するときには、そのことだけではなくて承認されていた疾患での現状がどうなのかということは、アップデートしたほうがいいのではないかと思いましたが、それは本省の問題になるのかもしれませんが。添付文書を国民に公開していく中での考え方というのは、どのように思われるのでしょうか。議事録に残さなくてもいいですし、後学のために。たまたま今回、思ったというか。

○医薬品医療機器総合機構 厚生労働省からお答えする話なのかもしれないのですが、「アップデート」という言い方が正しいかどうかは分かりませんが、抗がん剤などでは、例えば全生存期間の成績が後から出てきて、その情報を添付文書にアップデートする必要があると企業が判断すれば、その情報を添付文書の中に入れることが可能かどうかという相談は受けています。全く新しいものに変えないというわけではなくて、最新情報を追加できることもあるということを御理解いただければと思います。

○清田部会長 難しい問題ですが、公表の仕方とか、新薬の審査の中で、それをどういかしていくかというのは、またよく考えていただくとよろしいかと思います。先生のおっしゃることはよく分かります。

○医薬品審査管理課長 よろしいでしょうか。

○清田部会長 どうぞ。

○医薬品審査管理課長 同じことの繰り返しになってしまうのですが、厚生労働省としても、そもそも添付文書というのは、その時点の新しい情報でアップデートされていくべきものですので、バイオ後続品の申請のときもそういう機会を活用しながら、もちろん承認済みのものについても何か必要があれば、どんどんアップデートしていってもらうよう、こちらも指示をしていきたいと思っております。

○清田部会長 ありがとうございます。

○奥田部会長代理 別件です。承認された疾患がずれている形になっていると思います。具体的に言うと、乳癌の患者に対して試験されて、承認されたら胃癌ということです。理由は書いてあったので特許が関係しているというのは理解したつもりです。これは乳癌で必要としている患者も多いのではないかと思いますし、臨床試験自体はされているということであれば、今後の見通しというか、乳癌への適応に関しての見通しについて、何か情報はあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 現時点で、申請者と先行バイオ医薬品のメーカーである中外製薬株式会社及びジェンネンテック社で特許係争がなされていると聞いておりますので、それにもよって、いつになるかというところがあります。乳癌に関する特許を中外製薬株式会社の関連会社が有しているので、特許の抵触の有無により乳癌の効能・効果の取得時期が変わることになるかと思います。

○清田部会長 川崎先生、どうぞ。

○川崎委員 これも事前にコメントさせていただいたことですが、薬剤師さんから、先行バイオ医薬品とバイオ後続品の品質の違いが分からない、論文等にもなっていない、自分たちでそれを分析するのも難しい、何を参考に選択したらいいのかと質問されたことがあります。

 審査報告書がその一つと思います。例えば、この箇所が公開されるときに黒塗りされるのか、このままかは分からないのですが、□□□□の開発の経緯に、糖鎖プロファイルを先行バイオ医薬品に類似させることを目的に、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□変更を行ったという記載があります。ここから、糖鎖が先行バイオ医薬品とバイオ後続品間で課題になったのだろうということが分かるわけなのですが、この辺のことがユーザーに分かるような公開はできないのだろうかと思いました。

○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。それもなるべく分かりやすい説明を私たちも心掛けたいと思っているのですが、今回の場合は原薬はMFを利用しております。当部会での報告事項として、先生たちにはMFに関する報告書をお配りしているのですが、情報公開されるときにはこれは公開されない状態になります。したがいまして、先生におっしゃっていただいたような所は公開できないことにはなりますが、本剤の開発前にそういう変更が行われて、先行バイオ医薬品とそっくりになるように作っているということは、もう少し分かりやすくなるように今後は記載したいと思っております。

○清田部会長 ほかに何か御意見はございますか、よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。渥美委員におかれては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について、生物由来製品の指定を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。別室で御待機されている南委員、山口委員をお呼びください。

(南委員、山口委員入室)

 議題4について、事務局から概要を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは議題4、資料4、ダラツムマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料4の「総合機構による事前評価報告書」のタブをお開きください。報告書の1ページ中段を御覧ください。申請者は、ヤンセンファーマ株式会社、予定される効能・効果は、「未治療の多発性骨髄腫」となります。

 まず、1ページ目の1.対象患者数について御説明をいたします。本邦における多発性骨髄腫の総患者数は約1万8,000人と報告されております。以上より、5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 次に、2.医療上の必要性について、1ページ目下段から2ページ目について御説明いたします。2ページ目の中ほどに記載しておりますが、未治療の多発性骨髄腫患者における治療においては、自家造血幹細胞移植の適応となる場合には、多剤併用化学療法の後に奏功が得られた場合、自家造血幹細胞移植が施行されます。自家造血幹細胞移植が適応とならない患者では、ボルテゾミブ、メルファラン及びプレドニゾロンの併用投与、又はレナリドミド及びデキサメタゾンの併用投与が行われますが、いずれも治療によって根治に至ることはなく、新たな治療薬の開発が望まれています。

 本剤は、自家造血幹細胞移植の適応とならない多発性骨髄腫患者を対象に、ボルテゾミブ、メルファラン及びプレドニゾロンに本剤を上乗せしたときの有効性・安全性を検討する国際共同第III相臨床試験が実施され、本剤上乗せにより、有意な無増悪生存期間の延長が確認されております。以上より、医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に2ページ目の後半ですが、3.開発の可能性について説明します。先ほどの国際共同第III相臨床試験に加え、自家造血幹細胞移植の適応とならない未治療の多発性骨髄腫患者を対象に、レナリドミド及びデキサメタゾンの併用投与に本剤を上乗せしたときの有効性及び安全性を検討する海外第III相試験も実施中であり、国内でも第I相臨床試験を実施中です。

 以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3用件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 それでは委員の先生方から、御質問、御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。特にありませんでしょうか。ありがとうございました。それでは、特にありませんでしたので、議決に入りたいと思います。渥美委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。私も同様です。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告させていただきます。

 それでは、報告事項に移ります。報告事項につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、事務局より報告事項について、まとめて御説明をさせていただきます。まず、報告事項の議題1、医薬品ミティキュアダニ舌下錠3,300JAU他の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。資料5を御覧ください。本剤はコナヒョウヒダニ、及びヤケヒョウヒダニから抽出、調整されたそれぞれのエキスを含有する舌下錠であり、現在は、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法を効能・効果として、12歳以上に係る用法・用量が承認されております。今般、鳥居薬品株式会社から、12歳未満に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項の一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続きまして、報告事項の議題2、医薬品アシテアダニ舌下錠100単位(IR)他の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。資料6を御覧ください。本剤は、コナヒョウヒダニ及びヤケヒョウヒダニから抽出、調整されたそれぞれのエキスを含有する舌下錠であり、現在は、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法を効能・効果として、12歳以上に係る用法・用量が承認されております。今般、塩野義製薬株式会社から、12歳未満に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続きまして議題3は、先ほど審議事項と併せて御報告いたしましたので、割愛させていただきます。報告事項の議題4、医薬品ハーボニー配合錠の製造販売承認事項一部変更承認について、御報告いたします。資料8を御覧ください。本剤はレジパスビル アセトン付加物及びソホスブビルを有効成分として含有する配合剤の抗ウイルス剤であり、現在は、セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果として承認されております。今般、ギリアド・サイエンシズ株式会社から、セログループ2(ジェノタイプ2)のC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて、報告事項議題5、医薬品ザイティガ錠250mgの製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。資料9を御覧ください。本剤の有効成分であるアビラテロン酢酸エステルは、アンドロゲン合成酵素の一つであるCYP17を阻害することによりアンドロゲン合成を阻害し、アンドロゲン依存的な腫瘍の増殖を抑制すると考えられており、現在は、去勢抵抗性前立腺癌を効能・効果として承認されております。今般、ヤンセンファーマ株式会社から、内分泌療法未治療のハイリスクの予後因子を有する前立腺癌患者を対象とした試験成績を基に、効能・効果を変更する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。

 次に報告事項の議題6、FDGスキャン注の製造販売承認事項一部変更承認について御説明いたします。資料10を御覧ください。本剤はグルコースの2位の水酸基を放射性フッ素で置換したグルコース誘導体であるフルデオキシグルコースを有効成分とするPET画像検査用の放射性医薬品であり、本邦においては、現在、悪性腫瘍の診断等の効能・効果で承認されております。本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成29年9月8日に開催された本部会における事前評価の結果、公知申請が適当と判断されたことを踏まえて、今般、日本メジフィジックス株式会社から、「大型血管炎の診断における炎症部位の可視化」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。

 最後に報告事項の議題7、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料番号は11-1~11-6で、これらは医薬品 再審査 確認等結果通知書となっておりますので、まとめて御報告いたします。資料11-1は、一般的名称は「スルバクタムナトリウム及びアンピシリンナトリウム」、販売名は「ユナシン-S静注用0.75g、同静注用1.5g、同静注用3g、同キット静注用1.5g及び同キット静注用3g」のもの。資料11-2は、一般的名称は「アタザナビル硫酸塩」、販売名は「レイアタッツカプセル150mg及び同カプセル200mg」のもの。資料11-3は、一般的名称は「エンテカビル水和物」、販売名は「バラクルード錠0.5mg」のもの。資料14-4は、一般的名称は「ファムシクロビル」、販売名は「ファムビル錠250mg」のもの。資料11-5は、一般的名称は「セツキシマブ(遺伝子組換え)」、販売名は「アービタックス注射液100mg」のもの。資料11-6は、一般的名称は「テモゾロミド」、販売名は「テモダールカプセル20mg、同カプセル100mg、及び同点滴静注用100mg」のものです。

 これらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。報告事項に関する事務局からの説明は以上です。

○清田部会長 それでは、委員の先生方から何か御質問、ありますでしょうか。

○南委員 教えていただきたいのですが、今の資料9のアビラテロンですが、これは効能・効果の追加になるわけですよね。クリニカルのセッティングが違いますので、有効性、安全性の観点から、バランスが既存の承認の疾患と、やはり違うと思うのですけれど、先ほどの審議事項1も、やはり効能・効果の追加・一変なのですが、その区別を審議として挙げるのと、報告として挙げる区別の基準というのは何かあるのでしょうか。

○新薬審査第四部長 先ほどの1番目の議題は、小児の用法・用量を追加するものですが、再審査期間が付与される予定であるため、審議という取り扱いになったのではないかと思っております。

○事務局 事務局から御説明をさせていただきます。薬事分科会の審議会規定に、部会のほうで御報告をするか審議をするかということを決めておりまして、部会で審議を行う場合というのが、明らかに異質の効能を追加しようとする新効能医薬品、別の効能を追加するような場合ですとか、あとは用法・用量の大幅な変更を伴うような場合に、審議とすることとしております。

 今回に関しましては、抗がん剤の有効性・安全性の内容を評価した上でということにはなりますけれども、今回の抗がん剤の場合は、新たな癌種の追加というより抗がん剤の中でも同じ癌種の中で対象患者が変わるということであり、明らかに異質の効能とまではいえないと考えておりまして、部会の報告という取扱いにさせていただいたところです。

○南委員 一定の基準があればいいのですが、ただ、今回の場合、やはり前立腺癌の治療においては、去勢抵抗性かどうかというのは、やはり現場では全く別の病態として扱っていますので、ちょっとお聞きさせていただきました。

○清田部会長 私、泌尿科医ですけれども、アビラテロンに関しては、このハイリスクグループは、すぐに去勢抵抗性になってしまうものですから、現実的には早めにアビラテロンが入ってくるのです。ですから、それをちょっと前倒しという理解かなと、悪くはないと思っています。

○南委員 承認するという内容としては、私は全然問題ないと思います。そうすべきだと思うのですけれども、その審議の手続上を明らかにしておいたほうがいいと思います。

○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ありますでしょうか。

○渥美委員 資料の5と6なのですが、これは同じものを2社で別名で販売しているということでしょうか。

○新薬審査第四部長 機構から御説明します。ものとしては違うものになっております。同じものではございません。

○渥美委員 この本質の構造式を見比べると、コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの順番がそれぞれ違っているのですけれど、何かこれは処方するときに、意図してこういう形になっているのか、たまたまなのかということですか。

○新薬審査第四部長 この資料は申請者が作成したもので、たまたま順番が違っていると御理解いただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 既に12歳以上の年齢で承認をしたときの承認時期が少しずれていたので、統一されていないと御理解いただければと思います。

○川上委員 教えていただきたいのですけれども、資料10でFDGスキャン注の効能・効果に関してです。既にある効能・効果が悪性腫瘍の診断で、今回加わるのが大型血管炎の診断における炎症部位の可視化ですけれども、大型血管炎の診断ではなくて、その後に「おける炎症部位の可視化」を、こちら側には、なぜ付いているのかということを教えていただけますか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。今回、炎症部位の可視化を効能・効果に表記させていただきましたのは、FDG-PETの結果のみをもって大型血管炎の診断はできないものですから、このPET薬剤の役割をより明確化させていただいたというところです。

○清田部会長 大丈夫ですか。ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。

○奥田部会長代理 資料9のザイティガ錠の中で、プレドニゾンに関する増量の記述がありまして、添付文書にも同量の基準を明記する必要があると書かれているのですが、これは本邦未承認ということで、実際にはプレドニゾロンの前駆体なので、臨床的には恐らくプレドニゾロンが使われるのかなと想像はするのですけれども、何もそういう情報がなくて、添付文書にこういう形で書かれるというのは、普通なのでしょうかと言うか、ちょっとその辺りは、ものによっては、そういう未承認のものか、どういうものかということが分からない形で書かれていると困るかなとも思いましたので、その考え方について教えていただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘のように、プレドニゾン自体は、本邦未承認ですけれども、医療現場ではプレドニゾンとプレドニゾロンは、ほぼ同じものと認識されていると考えております。添付文書の記載に関しては、臨床試験ではプレドニゾンが用いられたので、事実としてその旨を記載させていただいています。

 繰り返しになりますが、医療現場においては、プレドニゾンとプレドニゾロンほぼ同じものだと認識されていると考えておりますので、混乱なく使われていくものと考えております。

○清田部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見ありますか。大丈夫ですか。

 それでは、報告事項につきまして御確認いただけたものといたします。ありがとうございます。それでは、その他の事項に移ります。事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 その他事項の議題1、資料12、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、御説明いたします。はじめに、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議、以下、検討会議とさせていただきますが、検討会議による検討を踏まえました本「事前評価」の位置付けについて、御説明いたします。資料1227ページを御覧ください。検討会議とは、欧米等では使用が認められているものの、国内では承認されていない医薬品や適応等について、要望に応じて本邦での医療上の必要性の評価及び承認のために必要な試験の有無、及び種類の検討を行う会議です。

 資料の右上から御説明いたします。学会や患者会等からの要望を踏まえ、検討会議において医療上の必要性が高いと評価された医薬品については、厚生労働省より企業に対して開発要請を行います。開発の手段として、その医薬品が臨床現場において既に医学薬学上公知である場合には、公知申請を選択し、本邦において有効性・安全性を確認する試験が必要な場合には、治験等を行います。本部会での「事前評価」につきましては、図の真ん中の左下に記載されておりますが、企業が、開発の手段として公知申請を希望し、検討会議で公知申請を行うことが妥当と判断された場合に、公知申請の事前評価として御確認いただくこととしております。本部会での御確認を頂いた後に、企業が公知申請を行い、機構での審査を経て、改めて部会で御承認を頂くという流れになります。

 それでは、検討会議で公知申請を行うことが適当と判断されましたバルガンシクロビル塩酸塩について御説明いたします。お戻りいただきまして、資料12の3ページを御覧ください。本要望は、小児腎臓病学会より、バルガンシクロビル塩酸塩のサイトメガロウイルス感染症のリスクのある小児の固形臓器移植後のサイトメガロウイルス感染予防に関する要望です。本要望については、平成2412月の第14回の検討会議にて、医療上の必要性が高いと判断され、開発要請が行われたものになります。

 本要望の公知該当性について御説明いたします。資料1220ページを御覧ください。まず、有効性について、20ページの7.()の有効性の総合評価を御覧ください。海外臨床試験等において、外国人小児に本薬の海外小児用量を投与した場合、成人に本薬900mgを投与した際と同程度のばく露量が得られることが確認されたこと。成人において薬物動態に明らかな民族差は認められていないこと、日本人小児に海外小児用量を投与した場合、外国人小児に投与した場合と同程度のばく露量となると考えられることなどから、サイトメガロウイルス感染症発症リスクの高い小児固形臓器移植患者に対する本薬の予防効果が期待できると考えられます。

 次に安全性について、21ページを御覧ください。小児を対象とした海外臨床試験成績や国内文献等で報告されている有害事象は、いずれも本薬の既知の事象であったことから、サイトメガロウイルス感染症の予防を目的として、日本人小児に本薬を投与した際に、新たに重大な安全性の懸念を生じる可能性は低いと考えられます。以上より、本薬のサイトメガロウイルス感染症発症リスクの高い小児固形臓器移植患者に対するサイトメガロウイルス感染症の予防に対する有効性と安全性は、医学薬学上、公知であると判断されました。

 効能・効果については、2223ページにかけて記載されておりますが、既承認の効能・効果の内容から変更は不要であると判断されました。

 用法・用量については、2324ページを御覧ください。成人投与による明らかな民族差は認められておらず、小児においても明らかな民族差は生じないと考えられること、並びに海外小児用量投与時のばく露量が成人に本薬900mgを投与した場合と同程度であることが確認されております。

 一方、投与量の計算に用いられる推定糸球体ろ過量については、海外ではJaffe法によるSchwrtz式で推定されておりますが、本邦ではこの方法は、現在ではほとんど行われておらず、日常診療における推定糸球体ろ過量の推定においては、日本人小児に最適化された推定式が使用されております。また、体表面積は、海外の投与量の計算式に用いられるMostellar式のほかに、本邦では藤本式やDu Boisという方法も使われております。これらを踏まえまして、本邦における用法・用量では、推定糸球体ろ過量及び体表面積の特定の計算式は明示せず、23ページの真ん中にありますように、海外と同様の7×体表面積×推定糸球体ろ過量により投与量を算定すると記載することが適切と御判断いただいております。

 なお、使用します推定糸球体ろ過量及び体表面積の計算式によっては、特に低い年齢の場合に海外と若干異なる投与量が算出される可能性がありますので、本剤の投与に関しては、副作用の発現状況等を考慮して、必要に応じて投与量を調整するよう注意喚起することが適切であると判断されました。本剤に関する御説明は以上です。

○清田部会長 ありがとうございました。この件に関しまして、委員の先生方から御質問等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。そうしましたならば、本議題につきましては、御確認いただけたものといたします。本日の議題は以上です。事務局から何か報告はありますでしょうか。

○事務局 次回の部会は3月2日金曜日午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

携帯ホームページ

携帯版ホームページ では、緊急情報や厚生労働省のご案内などを掲載しています。

ホーム> その他> 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録(2018年2月2日)

ページの先頭へ戻る