ホーム> その他> 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録(2017年12月4日)




2017年12月4日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成29年12月4日(月)17:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(16名)五十音順

赤 羽 悟 美、 石 川 欽 也、  磯 部 光 章、 今 井 輝 子、
大 森 哲 郎、 岡   淳一郎、○奥 田 晴 宏、 金 子 明 寛、
神 田 敏 子、 柴 田 大 朗、  杉      薫、 鈴 木 邦 彦、
武 田 正 之、 増 井   徹、 ◎松 井    陽、 森    保 道
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名)

大 賀 正 一、 川 上 純 一、 佐 藤 雄一郎、 平 石 秀 幸、
山 田 清 文

行政機関出席者

森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 本    史 (医薬品審査管理課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
宇 津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
林    憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 では、定刻になりましたので、薬事食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の委員の出席状況ですが、大賀委員、川上委員、佐藤委員、平石委員、山田委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、赤羽委員は少し御到着が遅れているようでございますが、現在のところ、当部会委員数21名のうち15名の委員の御出席を頂いていますので、定足数に達していますことを御報告いたします。

 続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、その旨御報告させていただきます。委員の先生方におかれましては、会議の開催の都度、署名を御提出いただいて、大変御負担をお掛けしておりますが、何とぞ引き続き、御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。それでは、松井部会長に以後の進行をよろしくお願いいたします。

○松井部会長 皆さんこんばんは。それでは早速、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。

○事務局 それでは、配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日席上に、議事次第、座席表、当部会員の名簿を配布してございます。議事次第に記載されております資料1から11-12をあらかじめお送りしています。このほか、資料12-1は、レパーサ皮下注140mgシリンジ、同皮下注140mgペン及び同皮下注420mgオートミニドーザーの最適使用推進ガイドラインの改正箇所新旧対照表、資料12-2は、レパーサ皮下注140mgシリンジ、同皮下注140mgペン及び同皮下注420オートミニドーザーの最適使用推進ガイドライン()、資料13は、新規品目の薬事分科会における取扱い等の案、資料14は、専門委員リスト、資料15、競合品目・競合企業リストを配布しております。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、資料15について御報告させていただきます。資料15の1ページを御覧ください。レキサルティ錠1mg及び同錠2mgですが、本品目は統合失調症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。ソリリス点滴静注300mgですが、本品目は、全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページを御覧ください。ナルベイン注2mg及び同注20mgですが、本品目は、中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページを御覧ください。グーフィス錠5mgですが、本品目は慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページを御覧ください。オゼンピック皮下注2mgですが、本品目は2型糖尿病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 6ページを御覧ください。イブリーフ静注20mgですが、本品目は未熟児動脈管開存症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページを御覧ください。リアルダ錠1200mgですが、本品目は潰瘍性大腸炎(重症を除く)を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

8ページを御覧ください。モガムリズマブ(遺伝子組換え)ですが、本品目はHTLV-1関連脊髄症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。御説明は以上でございます。

○松井部会長 ただいまの事務局からの説明に、特段の御意見ございますでしょうか。もしなければ、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆さんの了解を得たものといたします。それでは、委員の中からの申出状況について御報告してください。

○医薬品医療機器総合機構 各委員からの申出状況については次のとおりです。議題1、レキサルティ、退室委員なし、議決には参加しない委員、磯部委員、大森委員、森委員。議題2、ソリリス、退室委員なし、議決に参加しない委員、大森委員、武田委員。議題3、ナルベイン、退室委員なし、議決には参加しない委員、武田委員。議題4、グーフィス、退室委員、議決には参加しない委員ともになし。議題5、オゼンピック、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員。議題6、イブリーフ、退室委員、議決には参加しない委員ともになし。議題7、リアルダ、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員、杉委員、武田委員。議題8、モガムリズマブ、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員、森委員。委員からの申出状況については以上でございます。

○松井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明について、特段の御意見ございますか。よろしいでしょうか。よろしければ、御確認いただいたものといたします。

 本日は、審議事項が8議題、報告事項が3議題、その他の議題が1議題となっております。それでは、早速、審議事項の議題1に移ります。議題1につきまして、医薬品機構から概要を御報告ください。

○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品レキサルティ錠1mg他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。本剤の有効成分であるブレクスピプラゾールは、ドパミン受容体に対する部分アゴニスト作用及びセロトニン受容体等に対する阻害作用を有する非定型抗精神病薬であり、既承認の非定型抗精神病薬であるアリピプラゾールの構造変換の過程で発見されました。海外では2017年9月現在、アメリカなど3か国で承認されております。今般、統合失調症に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。本申請の専門委員として、資料14に記載されている8名の委員を指名しております。

 臨床成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。まず、有効性ですが、審査報告書43ページの表32を御覧ください。統合失調症患者を対象とした国内第 II / III 相試験が実施され、主要評価項目に設定された、FASにおける投与後6週のPANSS合計スコアのベースラインからの変化量について、本剤2mg群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。また、審査報告書65ページの表51を御覧ください。国内第 II / III 相試験の副次評価項目として設定されていたCGI-S、CGI-I及び反応例の割合についても、本剤2mg群で有効性を示唆する結果が得られました。以上の試験成績及び海外臨床試験成績に基づき、日本人患者において少なくとも本剤2mgの有効性が示されたことから、本剤2mgを維持用量として位置付けることは可能と判断しております。

 次に安全性ですが、戻って恐縮なのですが、審査報告書60ページの表48を御覧ください。非定型抗精神病薬では、耐糖能異常のリスクが知られており、本剤でも国内臨床試験において、耐糖能異常関連の有害事象が認められました。非定型抗精神病薬の耐糖能異常に関連する注意喚起は、3段階に分かれておりまして、本剤の耐糖能異常のリスクにつきましては、添付文書において重要な基本的注意の項で注意喚起することが適切と考えております。

 その背景について、次のとおり御説明いたします。既承認の非定型抗精神病薬のうち、オランザピン及びクエチアピンでは、製造販売後に因果関係を否定できない糖尿病性ケトアシドーシスなどが複数報告され、死亡例も認められたことから、緊急安全情報が発出され、添付文書の警告欄において、血糖値モニタリングの必要性などについて記載されているほか、糖尿病患者などが禁忌に設定されております。

 また、本剤の構造及び作用機序が類似しているアリピプラゾールは、耐糖能に与える影響は大きくないと考えられていたものの、初回承認時に血糖値及びHbA1cの体系的な評価結果が得られていなかったこと、当時オランザピン及びクエチアピンでは、緊急安全性情報が出されていたことを踏まえまして、予防的な措置として警告欄に血糖値モニタリングの必要性などについて記載されています。最後に、それ以外の抗精神病薬に関しましては、重要な基本的注意の項について、注意喚起が行われております。

 本剤については、血糖値及びHbA1cの影響を評価した国内臨床試験などの治験成績及び海外製造販売後安全性情報を踏まえると、オランザピン及びクエチアピンを除いた他の非定型抗精神病薬と比較して、耐糖能異常のリスクは高くないと考えられたこと、また、添付文書には、その製剤のリスクに応じた注意喚起をすべきと考えることから、他の非定型抗精神病薬と同様に注意喚起をすることで問題はないと考えております。また、非定型抗精神病薬に特徴的な有害事象としまして、審査報告書55ページの表42に錐体外路症状関連の有害事象、審査報告書56ページ表43に傾眠や浮動性めまいなどの中枢神経系の有害事象の発現割合、審査報告書58ページ表46に体重変動への影響について記載しており、いずれも既存の非定型抗精神病薬を大きく上回るリスクは示されなかったことから、既存薬と同様に、添付文書において注意喚起することが適切と考えております。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、生物由来製品、特定生物由来製品には該当せず、原体及び製剤は、いずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方からの御質疑をお願いいたします。

○金子委員 ちょっと教えてほしいのですけれども、4mgでは今回、成績としては余りよい成績は出ていないわけですけれども、添付文書上で用法・用量は1日1回2mgとしておりまして、4mgの場合は安全性は確立していない、使用経験が少ないと、そういう記載なのですが、これは結局、4mgはお認めしているのかしていないのかというところが、添付文書上ではあやふやな書き方ではないでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。本剤の用法・用量についてですが、添付文書の用法・用量欄に記載しておりますように、維持用量としましては1日1回2mgを経口投与するというように設定しておりまして、4mgに関しては維持用量に設定はしていないという形になっております。添付文書の用法・用量に関連する使用上の注意におきまして、本剤の1日量4mgを超える用量での安全性は確立していないと記載されていることに関して、海外の臨床試験成績におきまして、4mgまで投与したときの成績が、FDAの審査資料などにおきまして、もう既に公表されているということを踏まえまして、本邦の承認最高用量である2mgを超える用量を、医師の裁量により使用される可能性もあるということから、適正使用の観点で、4mgを超えて投与した場合の安全性は確認されていないといった注意喚起を行いたいとの強い意見が申請者からございました。その点を踏まえまして、審査管理課とも協議の上、事実に基づいた範囲で記載するといったところを認めた形になっています。なお、申請者におきましても、2mgを超える投与というところは適切ではないと考えておりまして、保険で査定される可能性もあるということや、副作用が発現したときに健康被害救済制度の対象とならないということは理解した上で記載していると伺っております。

○松井部会長 いかがですか、この点について。

○金子委員 どうですかね。もう少しはっきりしたほうがよろしいかなと思っただけなのですが。

○松井部会長 ほかの委員の先生方、いかがでしょうか。

○大森委員 そうですね。現場では、現在は用量に関しては相当慎重になってきているので、この記載でむやみに2mg以上の例が出るとは現場感覚的には思えないので、これでいいのかなと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。あくまでも承認用法・用量としては、1日1回2mgということですので、承認用法・用量を超える投与はしないようにというところは、資材でも十分に情報提供をしていくように指導はさせていただきたいと考えています。

○松井部会長 よろしいですか。ほかに。

○森委員 有効性の項目を拝見していまして、1mgを服用した方と、プラセボの成績が極めて拮抗しているのですが、もちろん1mgは基本的に導入時に使う用量という位置付けになっていますが、1mgを服用時もリスクは伴う可能性があるので、1mgを導入時に使用するということは、専門協議でどのように議論になったのでしょうか。これで見ると1mgで有効性があるようには見えないのですが、実証もされていませんし。ただ、導入時は1mgから始めて2mgをするようにすると記載されていらっしゃいますよね。それが1mgを使っている時期というのは、有効性はないけれども、リスクはあるわけですが、1mgから導入するということは、専門家の中ではそれが望ましいという御意見があったのでしょうか。その点を1点確認してもいいでしょうか。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。1mgに関しましては、森委員から御指摘いただきましたように、有効性に関しては、特段検証されているということではなく、臨床試験の際には1mgから開始して2mgに増量するという形で実施しておりますので、その用法・用量で投与するということに関して、投与開始時の安全性も含めまして、特段試験成績に関して問題は認められていないという形になっています。そのデータも含め専門協議でも、開始用量としては1日1回1mgから開始するというところも含めて、用法欄の適切性も検討しましたが、特段開始用量として問題になるというような御意見は頂いてはいないという状況になります。

○松井部会長 よろしいですか。そのときに有害事象のことは話題には上らなかったのですか。血糖値の。森委員はそういうことをお聞きになろうとしてはいませんか。

○森委員 2mgのみ使用しうるというようにデータ上は見えるのですけれども、つまり1mgは有効性がほとんど証明されていませんし、ただし1日1mgを使う時期というのは、導入時のほうが安全だからという御配慮なのかなと考えたので、それを確認したかったのです。

○松井部会長 分かりました。

○森委員 すみません。例えば漫然と1mgを使用することの有用性が証明されていないという1文があってもいいのかなと思いましたが、余り一般的ではないと思いましたので、今の内容でも結構です。

○大森委員 恐らく多くの抗精神病薬が開始用量は1日用量よりも少なく設定されています。それは森委員の御指摘のとおり副作用回避、初期から投与量が多いと副作用が生じやすいということで、段階を経て増量するというのが多くの抗精神病薬に共通した使用法になっています。そして、1mgが全く効果がないかというと、このプラセボ対照試験はここに出ておりませんが、どうしても導入される患者層が実臨床とは若干違ってくるので、プラセボ効果が非常に大きく出るということもあるので、実際使っていくと、1mgでも有効な例というのも恐らく出てくると思います。補足です。

○松井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。ほかに御質問はありますか。それでは議決に入ろうと思いますが、よろしいでしょうか。なお、磯部委員、大森委員、森委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告をいたします。それでは議題2に移ります。

○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品ソリリス点適静注300mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。本薬はヒト補体成分であるC5に対して高い親和性を有するヒト化モノクローナル抗体であり、海外では2017年9月現在、米国、欧州等49の国又は地域で承認されており、全身型重症筋無力症(以下「gMG」)については、欧州で2017年8月、米国では201710月に承認されております。また、本邦で本剤は2010年4月に発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制、2013年9月に非典型溶血性尿毒症症候群における血栓性微小血管障害の抑制の効能・効果で承認されております。今般、gMG患者における有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更申請が行われました。本申請の専門委員として、資料14に記載されている5名の委員を指名しております。

 臨床成績を中心に審査の内容を説明いたします。まず、有効性ですが、審査報告書8ページの表3を御覧ください。難治性のgMG患者を対象とした国際共同第III相試験が実施され、治験実施計画書に主要評価項目として記載された、FASにおける投与26週のMG-ADL総スコアのベースラインからの変化量及び臨床的イベント(レスキュー治療)について、本剤群とプラセボ群の間に統計学的な有意差が認められました。

 また、審査報告書9ページの表4及び審査報告書12ページの表8を御覧ください。米国規制当局からの指摘、中止例の中止理由等を考慮し、臨床的イベントの順位付け方法を変更して実施した補足的解析では、投与26週のMG-ADLの総スコアのベースラインからの変化量及び臨床的イベントについて本剤群とプラセボ群を比較した結果、前者では統計学的な有意差が認められませんでしたが、後者では統計学的な有意差が認められました。

 以上の試験成績を踏まえ、審査報告書32ページの1.1.1項を御覧ください。マル1臨床的な観点に即した評価方法であったと考えられる表8の解析において、探索的な検討結果ではあるものの、本剤群とプラセボ群の間に統計学的な有意差が認められたこと、マル2治験実施計画書に記載された主要解析は、臨床的な観点からは必ずしも適切ではないものの、本剤群とプラセボ群の間に統計学的な有意差が認められていること、そしてマル3表4の解析では、MG症状は改善しているものの、有害事象により中止した患者を保守的に取り扱ったために、本剤の有効性が過小評価された可能性が高いことを踏まえると、本剤のgMGに対する有効性は期待できると判断しております。

 次に安全性です。戻って恐縮ですが、審査報告書19ページの表14を御覧ください。原疾患の悪化を除き、gMG患者対象の臨床試験で認められた主な有害事象の種類は、既存効能の患者を対象とした臨床試験と比較して、大きく異なりませんでした。

 しかしながら、審査報告書22ページの中ほど、「機構は以下のように考える」以降の段落を御覧ください。本剤では、致死的な髄膜炎菌感染症のリスクが知られていますが、本剤の投与対象となる難治性のgMG患者では、複数の免疫抑制剤を投与されている患者が多いと想定されることを踏まえると、gMG患者では単回の髄膜炎菌ワクチンによって、十分な免疫を獲得できない可能性が想定されます。免疫抑制状態にある患者に対するワクチン接種に係る国内外ガイドライン等では、髄膜炎菌ワクチンの第1期2回接種及び5年ごとの追加接種が推奨されていることを踏まえ、添付文書にワクチンの追加接種の必要性について追記する必要があると判断しております。また、既存効能の対象患者では、ワクチンが承認されていない血清型の髄膜炎菌の感染が一定数報告されていることから、髄膜炎菌感染症のリスクについて、医療従事者及び患者と、その家族向けの情報提供を徹底する必要があると判断しております。

 以上の審査を踏まえ、本剤のベネフィットとリスクを勘案し、本剤の効能・効果をgMG(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)に整備した上で、本効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年と設定することが適切と判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 委員の先生方から、この議題につきまして御質疑をお願いします。いかがでしょうか。私から質問しますが、髄膜炎菌による死亡例というのは、どれぐらいの頻度で、あるいは数が報告されているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。髄膜炎菌の発現頻度ですけれども、審査報告書の20ページ、21ページを開いていただけますでしょうか。20ページ目の一番下のポチのところに、本剤を使用した臨床試験における有害事象の発現状況について記載をさせていただいております。こちらの2行目になりますけれども、本剤gMGだけではなくて、これまでに実施された全ての臨床試験を合わせますと、本剤の投与患者さんのうち0.3%で有害事象が認められております。

 それから、審査報告書21ページ目になりますけれども、上のほうにポチを三つ書かせていただいております。このうち三つ目のポチ、ちょうど真ん中付近になりますけれども、本剤の国内外製造販売安全性情報では、死亡例として10例の報告があります。20ページ目に戻るのですが、製造販売後の曝露人年としては、国内が2,373人年で、海外が2万9,792人年ということになっておりますので、約3万人年使った範囲において、亡くなられた方が10名出ているというような状況になっております。

○松井部会長 以上ですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、以上になります。

○松井部会長 ほかに御質疑ありますか。

○神田委員 必要な薬剤なのだとは思いますけれども、適切な投与が非常に難しそうだなと感じました。特に本剤の投与を中止するのか継続するのかという辺りが、字面だけ見ますとどのように判断するのかなと。専門家ですから、多分うまく判断するのだろうと思いますけれども。

 例えば一定期間、症状の寛解が得られた場合には、投与中止を考慮することが適切な場合もあるという説明もありますし、同時に改善が認められた場合も中止することは必ずしも適切ではないとか、それから髄膜炎感染症のリスクを踏まえると、投与は必要最低限にすることが適切であるということで、継続するのか中止するのかという判断が、とても難しそうだなと思いました。

 そうしたら、今日、専門家なり患者さんらに配られる適正使用ガイド等というものが配られているので、パラパラと見たので詳しくは見ていませんけれども、12週後に有効性が認められなかった患者さんは、中止しましょうと。それだけがはっきり分かって、そのことには触れられているのですけれども、そのほかのどちらなのかなという辺りが、触れられているのでしょうか。

 そういったことがちょっと読み取れなかったので、この手立てにおいて、そういった専門家の方々が携わる場合に、フォローがされているのかどうかというところは、ちょっと気になりました。条件として、そういった専門的な方が携わりましょうという承認条件が付いておりますので、心配は要らないのでしょうけれども、非常に難しい薬なのかなと思いましたので、一言だけお願いいたします。

○松井部会長 いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。まず本剤をどのような患者さんに使っていただくかというところですけれども、今、御説明させていただいたとおり、有効性が検証的試験の中で、厳密に確認されたと説明させていただくのが、少し難しいような状況になっております。

 一方で、髄膜炎菌感染症の非常に致死的なリスクもあるということで、専門協議のほうでも専門家の先生方と議論させていただきまして、臨床的位置付けとしては、現在、重症筋無力症については第1から第3まで選択肢がある中で、一応その第3選択の中でも後ろのほう、あるいは第4選択のような形で使っていただく、現在、第3選択というのが効能・効果にも書かせていただいておりますけれども、免疫グロブリンの大量静注療法と、それから血液浄化療法になっておりますので、それでなかなか、やはり症状を管理していくことが難しい患者さんに対して使ってくださいということで、効能・効果のほうは明示させていただいております。

 それから、臨床試験を見ておりますと、おおよそレスポンスされる患者さんとレスポンスされない患者さんに、結構きれいに分かれているような試験成績になっております。レスポンスされている患者さんについては、ほぼ12週で改善が認められております。そういったこともありまして、添付文書のほうには神田委員から御指摘いただいたとおり、12週までで有効性が認められなかった患者さんでは、中止を考慮してくださいというように書かせていただいています。

 このお薬は使い始めてから、最終的に継続するのかやめていくのかというところ、我々の審査の中でも議論はさせていただいたのですが、なかなか患者さんごとに、やはり症状を見極めていただくのがMGの場合は難しいです。臨床試験の中でも少しよくなったかなということで、長期投与試験の中で中止をされた患者さんが何例かいらっしゃるのですが、その中でも、やはり中止後に悪くなってしまった患者さんというのが一部いらっしゃいます。

 そのような症例も踏まえますと、なかなか添付文書あるいは情報提供資材の中で、一律にこのお薬をやめることを推奨できる状況にあるかというと、MGの場合、治療をやめてしまった結果、症状が急速に増悪していくような症例がたまに出てきます。MGクリーゼといって非常に重篤・致死的な状態になることもあります。

 そのようなリスクを考えた場合に、やはりこのお薬の投与中止を推奨していけるのかということを、専門家の先生にも確認させていただきましたが、一律その情報を出してしまうことによって、やはり患者さんのリスクになるのではないかということで、今、情報提供資材等では投与中止について、積極的に情報提供するということは差し控えさせていただいています。患者さんごとに通常のお薬と同様で、そろそろやめられるかなと思った場合に中止を考慮いただくということで、今、チームとしては考えております。

○松井部会長 神田委員、よろしいですか。

○神田委員 ありがとうございます。患者さんを個別に判断していくということがあるのでしょうけれど、そういった非常に使い方が難しいけれども必要な薬であると考えれば、よろしいということなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御回答させていただきます。やはり非常に難しいお薬ではありますけれども、今、実際に第3選択に至られる患者さんが、全身型の重症筋無力症の患者さんの中で約10%いらっしゃいます。その中で免疫グロブリン大量静注療法になりますと、5日間連日で病院に通っていただかないといけない。

 それから血漿交換療法が血液浄化療法の中ではメインになりますが、それを連続して行うというのは非常に身体的な負担が大きいということもありまして、なかなか効かないという患者さんもいらっしゃいますが、長期に社会生活を続けながら、それらの治療を行っていくのが難しい患者というのも一定数いらっしゃるとは伺っています。

 そのような患者に対して、本剤は一応、一つ選択肢を提供するということで、今回、位置付けさせていただいております。現状やはり治療に難渋されている患者さんは一定数いらっしゃるということで、専門家の先生方からも御意見を頂いておりますので、そのような患者さんに対して使っていただくお薬ということで、医療上の必要性はあると考えております。

○松井部会長 ほかにありますか。

○石川委員 私、神経内科なので、当該疾患の専門家ですけれども、今の御質問もありましたように、重症筋無力症で急性増悪のときに使うお薬と、慢性的にゆっくり悪化しているときとの薬の使い方が違っています。御存じのとおり、この免疫グロブリン大量静注療法と血液浄化療法は、急性増悪のときに使うもので、慢性に悪化しているときとか、普通は適用にならないと理解しています。

 それの代替療法という意味では、例えばここに急性増悪のときに使うものなのか、あるいは慢性に少しずつ悪化して、免疫抑制療法でも悪化していくときとか、使用するときの記載をもうちょっと明確にすると理解されやすいのかなと思うのです。すなわち急性増悪のときだけ使うとか、あるいは慢性の免疫抑制剤で効きにくい、そういう人もいるのですが、そういうときにも適用とか、もうちょっと、これですと急性増悪のときだけのような感じもするのですけれども。

○松井部会長 いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。今回、臨床試験につきましては、基本的には急性増悪期ではなくて、慢性的に徐々に増悪されている患者様で、ただ、症状をなかなか一定のところに維持できないような患者さんを対象に、臨床試験が実施されております。

 ですので、このお薬を現在MGクリーゼとかの病態に使用した場合に、有効であるかという点についてはデータがありませんので、どちらかというと慢性期のほうで、ただ、なかなか症状を抑え込み切れない患者さんを対象に使っていただく位置付けになります。その点は石川委員の御指摘のとおり、今の資材からですと少し分かりにくいかなと思いますので、情報提供資材にその内容については追記させていただきまして、現場の先生方に分かりやすく使っていただけるように対応させていただきたいと思います。ありがとうございます。

○石川委員 ありがとうございます。具体的には、この添付文書の10/17ページの「免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法」という所をもうちょっと変えるというか、免疫抑制剤にも反応しにくいという追加をしていただくといいのかなと思います。

○松井部会長 それでよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。今、石川委員から御指摘いただいた点なのですけれども、一応この剤の申請時につきましては、そういった効能・効果、既存の免疫抑制剤で、なかなかレスポンスしない患者さんというところを対象に御申請いただいたのですが、他にも免疫グロブリン大量静注療法ですとか血漿交換療法という治療選択肢がある状況で慢性期に増悪しているときに、このお薬を治療選択肢とするのが本当によいのかということを、専門協議でも議論させていただきました。

 今の時点で示されている有効性のデータと安全性のデータを考えた場合に、やはりそこと同じ位置付けとして使っていくよりは、他の選択肢も考慮した上で、なかなかそこではうまくいかないような患者さんに対して使っていってほしいという意見を頂きました。そのような経緯もありまして、免疫抑制剤で効果不十分というような記載については、落とさせていただきました。

 一方で、情報提供資材のほうで、MGについては第1から第3まで治療体系はこのようになっていて、本剤というのはお話させていただいたとおり、第3から第4にかかるような部分で使っていただくお薬ですと書かせていただく形で、対応させていただきたいと考えております。

○石川委員 ありがとうございました。

○松井部会長 よろしいですか。ほかにありますか。

○柴田委員 審査報告書2の32ページ、33ページを拝見しますと、301試験の解釈として、解析方法を幾つか変えると、それぞれ結果がちょっとぶれると。なおかつ事前にこれが開鍵前に行うプライマリーの解析だとされているものについては、きちんとした差が見られていなかったということも踏まえて、審査報告書のほうには、33ページですが、本剤群の有効性が検証されたとはいえないこと、などと書いていらっしゃいます。

 この解釈と、前のページの解析方法によって結果が異なるということは、その有効性のエビデンスとして不安定なものであるという専門協議での議論は、私はそのとおりだと思いますし、なおかつこの報告書のまとめ方は適切だと思うのですが、適正使用ガイドのほうには、そういう話は一切書いていなくて、これをパッと見ると、あたかもきれいに差が付いたかのように見えるので、そこのところの内容は、審査報告での議論を踏まえた書きぶりにする必要があるのではないかと思います。

 添付文書のほうも、本来であれば詳しく書いていただきたいと思うところですが、スペースに限界がありますので、せめて適正使用ガイドに関しては、分かりやすく機構での審査の結果が反映された情報提供になるように、作っていただく必要があるのではないかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきまして、ありがとうございます。先生方の資料、お手元に2名様の間に1部ずつお配りしております。この適正使用ガイドの16ページ目、17ページ目の部分が、今、柴田委員から御指摘いただいた点になります。臨床試験の成績につきましては、現在、試験成績が羅列されているような状況になっておりまして、この記載を読んだだけで何がプライマリーであったのか、結果的にこの試験結果をどのように解釈していいのかということが、確かに少し分かりにくい記載になっております。ただいま頂いた御指摘も踏まえまして、資材のほうにその辺りの情報を分かりやすく追記させていただくことで、対応させていただきたいと思います。どうもありがとうございます。

○松井部会長 よろしく御検討ください。ほかにありませんでしょうか。

○森委員 髄膜炎のワクチンに関する確認ですけれども、恐らくこの御病気の患者さんですと、髄膜炎菌のワクチンの注射をしても、抗体価の上昇のない方がいらっしゃることが想定されるのですが、それは実際に資料にもそのように書いていらっしゃる状況で、警告ではワクチンを接種することや、追加接種を促すこともガイドラインに沿って対応していらっしゃるのですが、それが限界があるといったことは、特に記載はされていらっしゃいましたか。

○松井部会長 いかがでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。その点は情報提供資材のほうになるのですが、こちらの4ページ目、5ページ目以降について、リスク管理のほうを記載させていただいております。まず4ページ目に、これまでの髄膜炎菌感染症の発現状況、それから5ページ目の下側のほうから、リスク管理の方法について記載させていただいております。この部分でワクチン接種の必要性について記載させていただいております。6ページ目のほうに進んでいただきますと、免疫抑制剤を使用している患者さんに対してということで、8、9と書かせていただきまして、その下の部分について、一応、ワクチン接種だけではなくて、髄膜炎菌感染症のリスクについて、十分理解した上で使ってくださいと書かせていただいております。

 ただいま森委員から御指摘いただいた点を踏まえますと、この部分について、ワクチン接種については限界がありますというようなことを、インフォメーションをもう少し入れさせていただいて、それで資材のほうを分かりやすく整理させていただくということで、先生方には理解して使っていただけるのかなと考えております。

○松井部会長 よろしいですか。御質問の趣旨に。

○森委員 先生方の御意見はいかがでしょうか。

○松井部会長 いかがでしょうか。特に基礎医学が御専門の先生。

○赤羽委員 今の御質問に関連してですけれども、今回の実際の試験でも、ワクチンによって抗体価がどれぐらい上がったかということは、実際には測られていないように書いてあったと思いますが、そういったことを何かデータとして、大体どれぐらい抗体価の上がりが期待できるとか、何か目安になるような数値というものはあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。審査の中でその点も、我々のほうから申請者のほうに投げ掛けさせてはいただいたのですが、やはり免疫抑制状態にある患者さんに対してワクチンを使うということが、そもそも余り通常は行われないと。加えて今回、かなり免疫抑制剤も入っていますし、患者さんの多くでは胸腺摘除が行われていますので、そこでどれぐらいワクチンを打った場合に抗体価が上がるのかというところについては、現状、データがないところです。

 本当は臨床試験の中できちんと測っていただくということが必要だったのだろうと考えておりますけれども、海外で主に走っていた臨床試験に日本がうまく参加させていただいて、結果が出たのでという申請になっているところで、なかなかそこまでプロトコルとしては配慮がされていなかったような開発になっております。現状、どれぐらい上がるのかについては、体系的な評価をされた結果はなく、今の時点でどれぐらい上がるかは分からないということになっております。

○松井部会長 今井委員もよろしいでしょうか。ほかにありますか。今、多くの委員の先生方から免疫機能の低下している状態についての御懸念が出されたと思いますけれども、この点を説明書類にどの程度書くか、十分に検討していただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。本日頂いた御意見を踏まえまして、適正使用ガイド、それから患者様に御説明いただく資材のほうも、しっかり本剤の有効性、安全性に関して、十分に御理解いただけるように、この後も引き続き整理させていただきまして、販売に間に合わせていきたいと考えております。ありがとうございます。

○松井部会長 それでは、その点を含めまして、委員の先生方にお聞きいたします。議決に入ってよろしいですか。なお、大森委員、武田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。本議題につきまして、承認を可としていいですか。よろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告してください。議題3に移ります。機構から概要を御説明ください。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品ナルベイン注2mg及び同注20mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。本剤はヒドロモルフォン塩酸塩を有効成分とする注射剤です。本邦では、ヒドロモルフォン塩酸塩を有効成分とする即放錠及び徐放錠が、中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛の効能・効果で、2017年3月に承認されております。今般、中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛に関する本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。なお、2017年3月時点でヒドロモルフォン塩酸塩を有効成分とする製剤は、43の国又は地域で承認されています。本申請の専門委員として、資料14に記載されている4名の委員を指名いたしました。

 以下、審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明します。本剤の静脈内投与時の有効性については、審査報告書11ページの表9の下の「有効性について」より始まる段落を御覧ください。登録時点でオピオイド鎮痛剤を使用していなかった患者であるオピオイド新規導入例及び他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて本剤を使用した患者であるオピオイド切替え例を対象とした非盲検非対照の静脈内投与試験(以下「C-305試験」)が実施され、主要評価項目である投与開始後7日目までの疼痛コントロール達成率は73.9%。その95%信頼区間は、61.983.7%であり、95%信頼区間の下限値は、あらかじめ設定された閾値である70%を上回りませんでした。

 審査報告書13ページの7...2「有効性の評価結果について」の項に示すように、即放錠及び徐放錠の承認申請時に提出されたがん性疼痛患者を対象とした国内第 III 相試験において、即放錠及び徐放錠のいずれについても、オキシコドン経口剤に対する非劣性が検証され、中等度から高度の疼痛を伴うがん性疼痛患者に対する即放錠及び徐放錠の有効性は示されていること、また、C-305試験において、がん性疼痛患者で本剤の静脈内投与により一定の鎮痛効果が認められていることなどを踏まえると、中等度から高度の疼痛を伴うがん性疼痛患者に対する本剤の静脈内投与による有効性は、期待できると判断いたしました。

 また、本剤の皮下投与時の有効性については、審査報告書14ページの上から9行目の「C-305試験及びC-306試験における」という記載より始まる段落を御覧ください。オピオイド新規導入例及びオピオイド切替え例を対象とした非盲検非対照の皮下投与試験(以下「C-306試験」)が実施されました。本剤を静脈内投与したC-305試験と比較して、C-306試験における疼痛コントロール達成率等の有効性の結果に明らかな差異は認められないことから、中等度から高度の疼痛を伴うがん性疼痛患者に対する本剤皮下投与による有効性は期待できると判断いたしました。

 次に、安全性について御説明します。審査報告書15ページの表11を御覧ください。静脈内投与時及び皮下投与時の本剤の安全性プロファイルについて、即放錠及び徐放錠投与時と比較して、明らかな差異は認められませんでした。したがって、本剤の静脈内投与及び皮下投与により、即放錠及び徐放錠では認められていない新たな安全性上の大きな問題が生じる可能性は低いと判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新投与経路医薬品に該当するものの、即放錠及び徐放錠の再審査期間の残余期間が6年以上であることから、再審査期間は即放錠及び徐放錠の再審査期間満了日である平成37年3月29日まで、生物由来製品及び特定生物由来製品にはいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断しています。薬事分科会には報告を予定しています。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 ありがとうございます。それでは、本議題について、委員の先生方、御質疑をお願いします。いかがですか。これらの御意見はありませんか。

○今井委員 この製剤は安定性のためだと思うのですが、PHを4に調整されているということで、クエン酸を加えてのPH調整ということですが、皮下投与とかの投与時の痛みとか、そういうものには全然問題はないのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より御説明させていただきます。本剤の静脈内投与時及び皮下投与時の安全性、有害事象の発現状況については、審査報告書の15ページの表11に記載させていただいております。表11には、C-305試験又はC-306試験で5%以上に認められた有害事象を記載させていただいておりますが、注射部位に関する有害事象として、この表の下から四つ目及び三つ目に穿刺部位疼痛及び注射部位紅班という事象が認められております。これらの事象について、重篤例はおりませんでしたので、本剤の注射部位の安全性について大きな問題となることはないと考えております。

○松井部会長 よろしいですか。今の点について特にありませんか。なければ、ほかに。

○鈴木委員 本剤は、国内治験において、あらかじめ設定した有効性評価の基準をクリアできていないにもかかわらず承認をということですが、これは本剤に限らずそうした場合に、何が問題かです。それを有効だと持っていく一定の基準があるのか、全て基準をクリアすることは余り重要ではないと考えているのか。取扱いをどのように考えているのか、ハードルが高過ぎたから低くすればいいではないかと考えているのか、一定の基準があるのか。その対応の仕方、とにかくやった以上は承認に持っていくのだという感じを強くするのですが、その基準をクリアしないことに対してどのようにお考えか、整理して教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構より御説明させていただきます。審査報告書の13ページを御覧ください。7...2「有効性の評価結果について」の項ですが、申請者は、今回試験で事前に設定された閾値を上回らなかった原因について、試験に登録されるオピオイド切替え例の割合が事前の想定を上回ったことなどが考えられると説明しています。

 C-305試験における疼痛コントロールの達成率は、オピオイド新規導入例では87.5%、オピオイド切り替え例のうち、ベースラインの疼痛強度がない又は軽度という患者では82.9%、ベースラインの疼痛強度が中等度又は高度の患者では57.7%という結果でした。

-305試験の計画当時、試験に登録されるオピオイド新規導入例及びオピオイド切替え例の割合については、類薬であるオキシコドン注射剤のがん性疼痛患者を対象とした第 III 相試験を参考に、それぞれ20%及び80%と想定していましたが、試験に登録されたオピオイド新規導入例は10%、オピオイド切替え例は約90%であり、オピオイド切替え例の割合が事前の想定を上回っておりました。

その結果、オピオイド切替え例のうちベースラインの疼痛強度が中等度又は高度の患者が事前の想定を超えて試験に登録され、疼痛コントロール達成率が想定よりも低くなり、95%信頼区間の下限値が事前に設定された閾値を上回らなかった可能性があると申請者は説明しています。

 機構としては、こういった申請者の説明によらず、本剤の静脈内投与時の有効性については、審査報告書13ページに記載している、即放錠及び徐放錠のオキシコドン経口剤に対する非劣性が示されており、がん性疼痛患者に対する有効性が示されていること、C-305試験における疼痛コントロール達成率は、類薬であるオキシコドン注射剤の疼痛コントロール達成率と比較して著しく低い値ではないことなども踏まえ、一定の鎮痛効果が認められていると判断いたしました。以上より、静脈内投与の有効性については期待できると判断しております。

○松井部会長 鈴木委員、これについてよろしいですか。

○鈴木委員 別に承認を認めないということではないのですが、結局、ハードルをだんだん下げていって、どこかに引っ掛かれば承認するという感じもするので、これだけはクリアしてほしいというものは示しておく必要があるのではないかというか、もう少し効くものを承認してほしいという気がするのです。

○松井部会長 どうでしょうか。大変答えにくい問題だとは思います。

○医薬品医療機器総合機構 補足させていただきます。御指摘いただきましてありがとうございます。この薬剤は未承認薬・適応外薬検討会議で開発要請があるような有効成分となっております。今年の3月に内服剤が承認され、その開発よりも若干遅れてこの注射剤が開発をされております。そういう意味ではパッケージとして開発をされてきたわけです。担当も申し上げましたが、先行する即放錠及び徐放錠では、それぞれに比較デザインの検証試験が行われており、そちらでは非劣性が検証されているということもありました。そういう状況の中でこの注射剤が開発をされていたということです。そういった有効成分としての薬効評価も、この審査品目については背景として一つありましたので、そういったところも配慮しながら、あとは結果解釈とはなりますが、臨床的な観点から専門協議での先生方の御意見も賜りながら進めさせていただいたと、そういう経緯があります。

○柴田委員 私もこの薬自体に有効性が存在することは、このデータから認め得ると思うのですが、事前に想定したハードルが超えられなかったということは、事前に思っていたほどには効かなかった。効いていることは効いているけれども、事前に思っていたほどには効かなかったというのは事実であるので、そこは解釈の上で注意が必要だと思います。

 一方で、先ほどの御説明を伺うと、切替え例の切替えの段階でまだそれなりの疼痛が残っておられる方に対する投与と、切替えの段階で既にコントロールされている方に対する投与では、そもそもこの薬を使う目的が少し違うはずで、そういう意味で切替えの段階で既に疼痛がある程度残っておられた方での成績が悪くなるのは、そもそも違う目的の方を混ぜて解析しているからこういう結果に、思ったよりも悪い成績が出た可能性があります。これが仮にコントロールを置いた試験であれば、コントロール群でも、そこは同じように成績が悪くなったことが推測されるので、そういうことも含めて有効性が存在するだろうと思うところについては機構の御判断でいいですが、先ほどと繰り返しになりますが、想定していた状況が達成できなかったという事実はあるので、思ったほどは効かなかったという解釈なのではないかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきまして、ありがとうございます。御指摘のとおりでして、想定したほどは有効性が示されなかったのだろうということは、私どもも全くそのとおりだと思っており、添付文書の臨床成績の項には、あらかじめ設定した閾値を上回らなかったことについては、しっかりと明記をさせて、医療現場において誤解を生じないように注意喚起をしていくことが重要だと考えております。

○森委員 先ほど皮下投与時の局所の反応に関して、もう一点だけ確認になりますが、実際のがん性疼痛の管理時に皮下投与をしているケースで、発赤、腫脹、疼痛が出てきて管理できなくなることがあります。この薬剤でも、データを見ますと、約1割の方が疼痛をお感じになっている。これはがん性疼痛の薬を使いながら疼痛があるという状況ですから、どのぐらいの痛みかは推して知っていただきたいと思うのです。ですので、添付文書の頻度の所にも、副作用の項目でそのほかで頻度不明になっていますが、皮下投与の場合に約1割あるようでしたら、そこは付記事項として、皮下投与の場合にはもう少し頻度が高いといったことが分かるようにしていただくことは重要かと思いました。

 また、当然、疼痛や発赤、腫脹があると、そのまま継続投与することは難しくなるので、どういった対応をすべきかといったことも併せて追記していただくことが望ましいと思います。もともとがん性疼痛の方は非常にるいそうも著明で皮下組織が緩くなっていますので、その中に皮下で入れるわけですから、特に観察事項としても、皮下の注入部位をよく観察して対応するようにという記載があったほうがいいと思います。以上です。

○松井部会長 いかがですか。私は重要な指摘だと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきまして、ありがとうございます。まず、現状の審査の状況ですが、審査報告書の16ページを御覧いただき、安全性プロファイルの項の「機構は、以下のように考える」という真ん中辺りのパラグラフが機構の見解ですが、そのパラグラフの上から8行目辺りです。内服剤と比較して注射剤という発現割合が高かった有害事象の発現状況については、まず資材で情報提供をすることになっておりますので、頻度も含めて詳細な情報提供をさせていただく予定となっております。

 追加で森委員から御指摘いただきました添付文書で、注射部位反応の発現頻度が不明となっている点については、御指摘のとおりかと思いますので、添付文書においても頻度が明確化できるように対応してまいりたいと考えております。

○松井部会長 よろしいですか。ほかにありますか。それでは、議論が出尽くしたと解釈し、議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。なお、武田委員においては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、承認を可としていいでしょうか。よろしいですか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは議題4に移ります。機構から概要を御説明ください。

○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品グーフィス錠5mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。便秘は発症経過から急性便秘と慢性便秘に大別され、更に原因・病態等により機能性便秘と器質性便秘等に分類されています。慢性便秘に対する薬物治療として、現在、大腸刺激性下剤、塩類下剤及び上皮機能変容薬等が単独又は併用で使用されています。これらの薬剤はそれぞれ長期連用による耐性又は習慣性、高マグネシウム血症を含む電解質異常、悪心の発現等が課題となっています。本薬は、回腸における胆汁酸再吸収に関わるトランスポーターであるIBATを阻害します。回腸における胆汁酸の再吸収を抑制することにより、大腸内の胆汁酸量を増加させ、便秘を改善することが期待され、開発に至りました。なお、2017年9月現在、海外で本薬が承認されている国はありません。本品目の専門協議では、本日の配布資料14に示す専門委員を指名しております。

 以下、本薬の有効性及び安全性について臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性に関しては報告書24ページ、表26を御覧ください。国内第 III 相試験の主要評価項目である「投与期間第1週における自発排便(SBM)回数の観察期間第2週からの変化量」について、本薬群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。以上より、機構は、本薬の有効性は示されたと判断しました。

 安全性に関しては同じ24ページ、表27を御覧ください。国内第 III 相試験における有害事象の発現状況を示しております。有害事象の発現割合について、プラセボ群と比較して本薬群で腹痛及び下痢の発現割合が高い傾向が認められましたが、いずれも軽度又は中等度であり、減量又は休薬等の適切な処置を行うことで回復していることから、臨床上大きな問題にはならないと考えました。以上より、機構は、本薬の安全性は許容可能と判断しました。ただし、本薬投与により腹痛や下痢の発現割合が高くなる傾向が認められたことから、本薬投与中に腹痛や下痢が認められた場合には症状に応じて減量又は休薬等の適切な処置を行うよう、添付文書で注意喚起する必要があると考えました。

 以上、機構での審査の結果、慢性便秘症患者に対する本薬の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、本薬を承認して差し支えないと判断し、本部会で審議されることが適当と判断しました。なお、本品目は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上です。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○松井部会長 ただいまの議題について、委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがですか。この胆汁酸トランスポーターというのは、20年ぐらいこの分野では大変話題になってきて、肝臓の細胞だけではなくて、腸管にもこういったトランスポーターがあることは分かってきたということが背景にあります。

○森委員 1点、脂溶性ビタミンの吸収に関する確認をさせていただきたい。データでは既にお示ししていただいていまして、ビタミンのA、D、Eに関する吸収阻害は平均的にないようなのですが、患者さんの中でばらつきがあると思いますが、脂溶性ビタミンのレベルが減ってしまった方が一定数いらっしゃった可能性はありますか。データ、その辺りのところは解析されていらっしゃいますか。

○医薬品医療機器総合機構 脂溶性ビタミンの推移については、報告書33ページの表43を御覧ください。血清ビタミンA、D及びE並びにビタミンKが関与するプロトロンビン時間(PT)及び活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の推移を示しております。本薬投与開始後にこれらについて一定程度減少した患者は認められましたが、施設基準値の下限値以下となった患者は認められませんでした。

○松井部会長 よろしいですか、ほかに。

○鈴木委員 資料を読むと、海外ではまだ販売されていないようですが、本邦初というか、本邦で開発された薬のようです。慢性便秘の方は非常に多いのですが、既存にもいろいろな薬があるわけで、作用機序からして有効性はあるとは思いますが、ファーストチョイスに使っていいのか、併用薬として考えていいのか。そうした効き目の強さについてはどのように分類されているのですか。分かったら教えてください。

○医薬品医療機器総合機構 本薬は、塩類下剤が持つ便中の水分量の増加作用と、刺激性下剤が持つ消化管運動亢進作用の両方を有すると考えられる薬剤であることから、作用機序の観点からは、本薬は初発の患者への使用も、既承認の緩下剤との併用も想定されます。

○松井部会長 よろしいですか。

○鈴木委員 両方可ということですね。

○医薬品医療機器総合機構 現時点までに得られている情報からは、初発の患者の場合も、既承認の緩下剤との併用の場合も本薬は使用可能と考えています。

○鈴木委員 かなり使われるような気がしますので、何か問題点があれば、その辺ははっきり分かるようにしておいていただければと思います。併用の際やファーストチョイスに使った場合ですが、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきありがとうございます。現時点までに提出された臨床試験成績からは、承認の可否に影響するような大きな問題点はないと考えています。鈴木委員からコメントいただきましたように、機構としても実臨床下での併用薬の影響等については製造販売後調査等において引き続き情報収集することが必要と考えています。

○松井部会長 便秘で悩んでいる方が大変多いからという御指摘があったと思います。ほかにありますか。

○柴田委員 有効性評価のエンドポイントの確認ですが、自発排便の定義の中には、下痢をしてしまって排便というのも有効だとカウントされる定義になっているという理解で正しいですか。

○医薬品医療機器総合機構 下痢による排便についてもカウントをしています。しかし、国内第III相試験において本薬群で下痢が認められた9例を除いた60例における自発排便回数の観察期間からの変化量は5.5回であり、プラセボ群の1.7回と比較して4回程度増加しており、下痢の影響を除いても本薬の有効性は示されていると考えます。

○松井部会長 ほかにいかがですか。

○武田委員 臨床試験では1日1回朝食前の経口投与という方法だったと思うのですが、添付文書を見ますと、1日1回食前にと書いてあるのですが、これは朝食ではなくてもよろしいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 本薬の服薬タイミングについては、報告書35ページを御覧ください。国内臨床試験はいずれも朝食前投与としておりました。本薬の慢性便秘症に対する作用は腸内の胆汁酸の量に依存し、また、胆汁酸は食事等の刺激により十二指腸に放出されることから、本薬の効率の良い効果発現のためには食前に投与する必要があると考えます。また、朝食前、昼食前、夕食前と服薬タイミングを規定することの要否については、胆汁酸は朝食だけでなく、昼食及び夕食によっても同様に分泌されること等から、本薬の服薬タイミングは朝食前に限らず、昼食前、夕食前に服薬も可能と考えられたため、本薬の用法・用量における記載は「食前」としました。

○武田委員 患者さんに説明するときに、1日3回御販を食べるとして、どこでもいいですよと言うのはあまり適切ではないような気がするのですが、その辺はドクターが勝手に決めてよろしいということですか。

○医薬品医療機器総合機構 本薬の初回排便までの時間を検討した国内第I相試験において90%の患者で服薬後7時間までに自発排便が認められています。朝食前、昼食前、夕食前と服薬タイミングを規定することの要否について、本薬の慢性便秘症に対する作用は腸内の胆汁酸の量に依存し、胆汁酸は朝食だけでなく、昼食及び夕食によっも同様に分泌されること等から、本薬の服薬タイミングは朝食前に限らず、昼食前、夕食前に服薬も可能と考えます。本薬は緩下剤であり、患者のライフスタイルに合わせて、朝食前に服薬するのか、あるいは昼食前、夕食前に服薬するのかを選んでいただくことが適切と考えております。

○鈴木委員 寝る前に飲むと、夜間に出てしまうということはないですか。

○医薬品医療機器総合機構 国内臨床試験では夕食前に投与したデータはありませんが、夕食前に投与した場合も朝食前に投与した場合と同様に下痢の副作用が認められる可能性は否定できないと考えます。

○武田委員 余り専門ではないのですが、通常ほかの緩下剤というのは寝る前に飲む薬が多いので、多分併用する場合は患者さんも寝る前に飲みたがるのではないかと思うのです。そうすると、鈴木先生がおっしゃったような危惧が出てくる可能性はあるのではないですか。

○医薬品医療機器総合機構 既存の緩下剤では夕食の時間帯に服薬するものもあります。既存の緩下剤も夕食の時間帯に服薬することで夜間に下痢の副作用が生じる可能性は否定できませんが、現時点では既存の緩下剤について、添付文書上で夕食の時間帯に服薬することを禁止しなければならないという情報は得られていない状況です。本薬についても既存の緩下剤と同様に夕食の時間帯に服薬することを添付文書上で禁止しなければならないことはないと考えます。

○鈴木委員 しつこいようですが、夕食時の投与はしていないわけではないですね。

○医薬品医療機器総合機構 本薬についても既存の緩下剤の用法・用量と同様に夕食の時間帯(夕食前)に服薬することを禁止しなければならないということではないと考えます。

○鈴木委員 高齢者は睡眠時間の長い方や何回も起きる方とか、パターンがいろいろあります。それでなくても頻尿で起きる方もいらっしゃるわけで、それを妨げるようなことがあってはどうなのかと言うことです。朝起きたときにお通じが穏やかにあるというのならいいと思うのです。その辺がどうなのかと思っています。

○医薬品医療機器総合機構 コメントありがとうございます。今回提出された臨床試験成績からは、本薬の下痢の副作用の程度と頻度は既存の緩下剤と大きく変わらないと考えております。もし、本薬がとても作用の強い薬で、便秘にもよく効く一方下痢の副作用も多く見られる薬剤であった場合には、既存の緩下剤と同じように、夕食前に服薬すると就寝中に下痢の副作用が高頻度に発現することが懸念されます。しかし、現時点までに提出された臨床試験成績を踏まえると、本薬は既存の緩下剤と比べて下痢の頻度は高くないと考えられたことから、夕食時に投与した場合でも下痢のリスクは既存の緩下剤と同等であると考えています。

○鈴木委員 分かりました。そうすると、それほど作用が強くないということですね。

○森委員 副作用に関することなのですが、腹痛についてです。腹痛の頻度が19%という頻度ですが、アミティーザは多分6%で、プルゼニドは11%で、この薬剤はやや腹痛の頻度が多いなという印象がありますが、腹痛の程度や、服薬後に発生する時間などの情報はありますか。特に、夜飲むと夜中にお腹が痛くなって目が覚めるというのでは困りますので、やはり腹痛がどの程度予測し得るものか。また、どういったときか、排便時に起こる腹痛なのか、それともかなりお腹がゴロゴロずっと痛いのかというところの情報が欲しいのですが、いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 本薬の腹痛の程度は概ね軽度でしたが、本薬の服薬後に腹痛が発現するまでの時間についての詳細なデータはありません。

○松井部会長 これ以上のことはかなり個別のことが含まれていると思いますので、患者さんと、それからドクターの間で話をしてということになるのではないかと思いますが、いかがですか。

○森委員 対応はそれでよろしいと思うのですが、下剤で腹痛が2割起こるというのは、率直に多いなという印象です。なぜそれだけ多いのかというところが、この薬剤の作用機序から説明ができるのか、資料を見ていてもよく分からなかったので。

○松井部会長 そういう質問だったわけですね。

○森委員 はい。つまり、重症な腹痛では困るということ。幸い「軽症」というふうに記載はされていますが。もう少し腹痛の頻度が多いことが警告されても、若しくは使用上注意していただく際に、腹痛の頻度が多いということは注意喚起していただく必要があるかと思いました。以上です。

○医薬品医療機器総合機構 服薬タイミングが腹痛や下痢等の副作用に及ぼす影響については、製造販売後調査等において情報を収集し検討することが必要と考えています。

○松井部会長 よろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 補足説明いたします。森委員からコメントいただきました本薬と既存の緩下剤の腹痛の頻度については、異なる臨床試験のデータとなります。試験環境や問診の仕方等が試験ごとに異なることが想定されます。本薬と既存の緩下剤の副作用の発現頻度を直接比較した試験ではございませんので、現時点までに提示された臨床試験成績のみでは、本薬と既存の緩下剤とでどちらの方がより腹痛を多く発現し得るのかを判断することは難しい部分があると考えております。

○医薬品医療機器総合機構 森委員からコメントいただきましたように、機構としても本薬の腹痛の頻度については製造販売後調査等で、実臨床において本薬の腹痛の頻度がどの程度なのか確認が必要と考えています。

○赤羽委員 腹痛に関してなのですが、やはり胆汁酸による刺激がこの頻度を上げる一つの原因になるのですかということと、それからその消化管の痛みに対する感覚神経のアクティビティというのが多分昼間と夜とで変わるのではないかと思いますので、どの食事の前後に飲むかを、もう少し配慮していただく必要があるのではないかと思うのですが。

○医薬品医療機器総合機構 本薬使用時に報告された腹痛は排便に伴うものと考えられます。慢性便秘症患者に対して本薬により急な排便が促された結果、投与初期に排便に伴う腹痛が多く認められたと考えられます。赤羽委員からコメントいただきましたように、機構としても、服薬タイミングが腹痛等の程度に及ぼす影響については、製造販売後調査等において引き続き情報収集する必要があると考えています。

○松井部会長 よろしいですか。大変に便秘の問題は議論が百出しましたが、私が委員としてお願いしたいことは、便秘と一律に言いますが、個人によって何を便秘とするかは違うと思うのです。毎日排便がなければ便秘と思っている患者さんも、一般の方もいらっしゃいますので。その辺のところも、毎日出なくてはいけないのだとはしないように説明をしていただきたいと、委員として思います。

○鈴木委員 世界にこれから売っていこうという意欲を余り感じられません。取りあえず国内で売れればいいというような感じがするので、もう少し丁寧な治験をしたらいいのではないかと思います。あとは製造販売後にやりますからという感じですが、これは国内専用ですか、海外で売るつもりはあるのですか、どうなのですか。

○医薬品医療機器総合機構 申請者は、まず国内開発を優先し、本邦で本薬の製造販売承認申請を行いました。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

○医薬品医療機器総合機構 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

○松井部会長 森委員、いかがですか。

○森委員 適する方にいち速く届けることは十分こちらも理解していますが、適さない方に使用されないように配慮するということも、同じように重要です。実臨床では便秘薬は大腸の精査をしていない方にも大量に使われています。しかも、こういった便秘薬は既存薬が非常に薬価が安いので、新薬が発売されますとメーカーは非常にプロモーションを積極的にしますから、便秘の方に使ってみることが実は非常に多いのです。その際に、やはり安全に使っていただくようにはどういった配慮をするのかといったことを、もう少し、特にファーストインジャパンですから十分御検討いただき、使用したときの副作用の状況によっては使用をやめるような、どういった手順で飲んでいただくかをもう少し真剣に議論したほうがいいと思います。これは単に便秘薬という形ですが、大腸がんの方で、閉塞病変があるけれども分かっていない方が飲んだ場合に、それが重篤な副作用を起こしたり、腸閉塞を起こしたりしないかということをやはり念頭に置く必要があるので、そこはどのように添付文書の中で注意喚起していくかを考えていました。御意見いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 大腸がん等の器質的疾患による便秘は本薬の効能・効果から除いています。先日、本邦において日本消化器病学会より慢性便秘症診療ガイドラインが発出されており、当該ガイドラインにおいて慢性便秘症の診断基準等が明記されておりますので、その診断基準に合わせて、本薬の投与対象が適切に選択されると考えております。

○奥田部会長代理 一つだけよろしいですか。委員の方々の懸念というのは、対象となる患者さんがこの臨床試験からはなかなか見えてこないということと、実際の使用のときの注意がなかなか見えてこないところで、議論が沸騰していると思うのですが。そういったことについて、今、資材というのはどの程度整備されているのですか。若しくは、その市販後の計画というのは既に出ているものに限られているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 資材については、現在、申請者が医療従事者向け資材を準備しているところです。医療従事者向け資材の中で、国内第III相試験等の選択基準について情報提供がされるものと考えています。

III相試験等の選択基準については、報告書22ページの表20を御覧ください。国内臨床試験では観察期間の間に排便回数が6回未満である等の明確な基準を設けて実施していました。

先ほど申し上げた慢性便秘症診療ガイドラインにおいても同様の基準が記載されていますので、慢性便秘症診療ガイドラインと本薬の医療従事者向け資材を合わせて参照していただくことで、本薬の対象患者は適切に選択されると考えています。

○松井部会長 その資材は提供されているというお考えですね。

○医薬品医療機器総合機構 本日の医薬品第一部会で、本薬の安全性や対象患者について部会委員からコメントいただいたこと、本薬は本邦で初めて開発された薬剤であることから、どのような患者を対象とすべきかを本薬の医療従事者向け資材等で情報提供する必要があることを申請者に伝達し適切に対応するように指示します。

○松井部会長 ありがとうございます。議論は出尽くしたように私は思いますので、今の資料等で何かありますか。いいですか。資料等を充実するというお答えですが、ここで議決をしていいかどうか、皆さんの御意見を聞こうと思います。いかがですか、議決に入っていいですか。よろしいですか。それでは本議題について、今、出たような委員の先生方の御懸念を十分に反映した資料を添えてということで、本議題について、承認を可としていいですか。それでは御異議がないと受け取りましたので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。どうか説明書の件、よろしくお願いいたします。それでは議題5に移ります。機構から概要を説明してください。

○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品オゼンピック皮下注2mgの製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。本剤につきましては、ヒトグルカゴン様ペプチド-(以下「GLP-1」)受容体作動薬であるセマグルチド(遺伝子組換え)を有効成分とする週1回投与製剤の糖尿病治療薬となります。GLP-1受容体作動薬としては5成分目になりますが、週1回投与薬剤としては3剤目となります。本剤は201612月に米国及び欧州で承認申請されておりますが、2017年9月現在、海外では承認されておりません。本品目の専門協議では、資料14に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。以下、本剤の有効性及び安全性につきまして、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。

 有効性につきましては、審査報告書の50ページの表26を御覧ください。単独療法の国際共同第 III 相試験におきまして、主要評価項目とされたベースラインから投与30週までのHbA1c変化量について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されております。47ページを御覧ください。審査報告書の47ページの図1に示す本剤の単独療法や、その下の図2に示す本剤とSU剤、グリニド、α-GI及びチアゾリジン系薬剤との併用療法につきまして、効果の持続性も示されております。更にメトホルミンやインスリンとの併用療法につきましては、国際共同第III相試験がそれぞれ実施されておりまして、審査報告書の53ページの表30と審査報告書の57ページの表34に示した結果などから、その有効性が認められていることが確認されております。

 安全性につきましては、審査報告書の68ページ~90ページの「7.R.3 安全性について」の項に示すように、臨床試験における有害事象及び副作用の発現状況並びに低血糖や胃腸障害等の個別の事象につきまして検討した結果、適切な注意喚起等がなされれば、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。以上のとおり、機構での審査の結果、2型糖尿病を効能・効果として本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。

 本剤は、新有効成分含有医薬品であるため、再審査期間は8年とすることが適切であり、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では、報告を予定しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松井部会長 それでは、委員の先生方、御質疑をお願いします。

○赤羽委員 先行して既に承認されているGLP-1関連の薬物と比べて、この薬剤の特徴と言いますか有効性、あるいは副作用、有害事象が少ないとか、不快感が少ないとか、何かそういった特徴についてもう少し説明をお願いしたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構よりお答えします。本剤の臨床的な位置付けについては、審査報告書の90ページの下から記載しております。既に説明したとおり、本剤は週1回の投与製剤でありまして、連日投与が可能なGLP-1受容体作動薬は既に3剤承認されております。その点と比較して、本剤は週1回の投与製剤ということで、投与頻度が少なく、利便性が高いと申請者も説明しております。

 また、週1回の製剤がこれまでGLP-1受容体作動薬として2剤承認されておりますが、その中の1剤につきましては、投与時に薬剤を懸濁させる必要があるエキセナチドの週1回の投与製剤と比較して、本剤は既にカートリッジにあらかじめ注射剤が充填されているペン型注入器を用いておりますので、その点では製剤の違いが本剤ではあります。

 もう1剤、週1回の製剤のトルリシティが2015年に承認されております。こちらの薬剤と本剤では有効性・安全性を直接比較することは困難ですが、特段、本剤にとって安全性が懸念されるような事象は認められておりません。本剤につきましては、トルリシティと比較した臨床データパッケージになりますが、海外でCV試験というものが数千例規模の症例数で実施されておりまして、その試験結果からは本剤は心血管イベントの増加が認められていないと判断されております。一方、トルリシティはCV試験が審査時には実施中とされていました。もう一つ、本剤についてはトルリシティでも実施中とされていたインスリンの併用試験が実施されておりまして、有効性が認められているという状態です。

○松井部会長 ほかにありますか。

○奥田部会長代理 一つだけ確認をさせてください。資料の1.06「外国における使用状況などに関する資料」で、後ろのほうの「Instructions on how to use Ozempic」にこの使い方が書いてある図が出ていますが、この英語の資料だけを見ますと、海外では自己注射を想定して開発されているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 そうですね。本邦につきましても、臨床試験でも自己投与で試験がされておりますので、本剤も本邦では自己投与されます。

○奥田部会長代理 それについては、また別に何か教育用の資材を作ってということですか。

○医薬品医療機器総合機構 この日本語の資材につきましては、1.11、医薬品リスク管理計画書()の所に、先ほど御指摘いただいた英語の日本語版が添付されておりまして、この説明書も本剤に同封されて、自己注射されると考えております。

○松井部会長 よろしいですか。

○奥田部会長代理 分かりました。ありがとうございます。

○松井部会長 ほかにありますか。

○神田委員 これは週1回同一の曜日に投与する薬剤と説明が書かれておりますが、これは同一曜日というところにこだわりがあるのですか。週1回同一曜日に投与する薬剤と添付文書にもなっておりますが、「投与のタイミングについて」を見ますと、1週間に1回なので忘れてしまうことがあるでしょうと。忘れた場合にどうするかということが書かれているわけですが、次回投与までの時間が2日間、48時間以上あれば気付いたときに投与して、その後はあらかじめ決めた曜日に投与するとなっています。この場合は、そうすると、5日目ぐらいに気付いた場合は、気付いたときに投与するわけですよね。そうすると、あらかじめ決めた曜日では、その2日後にまたすることになるので、その後の5日間というのは、それまでの持続している分と合わさって2回分という形になるのですが、それは過剰投与にはならないのですか。本文にはいろいろ説明があったのですが、過剰投与にはならないのかという確認です。

 あと、忘れたことに気付いてすぐ投与をして、投与した後、次は1週間後にしない理由は何なのか。ですから、曜日にこだわっているのかと思ったので、その辺の理由を教えてください。忘れた場合の投与の仕方は、0.25mgのときも、0.5mgのときも1.0mgのときも同じ対応でよろしいのですか。

 少し細かいことですが、この用法・用量は、最初は0.25mgから開始して、4週後に0.5mgに増量するとなっていて、「4週後」という表現になっておりますが、先ほどのような忘れた場合の対処をしたときに、1週抜けることがあるわけです。6日目に気付いたら投与しないわけですから。その場合のカウントの仕方はどうなるのですか。4週なのか、4回投与してから次の0.5mgに行くのか、その辺のところが細かいことですが分かりづらいと思いました。

○松井部会長 3点ですね。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。機構よりお答えします。まず、0.25mg0.5mg1.0mgについても、同じタイミングで基本的には週1回同一曜日に投与するように使用されるものと考えております。それと委員の御指摘については、添付文書の記載部分だと思います。実際に添付文書1.8の1ページに、まず用法・用量に関連する使用上の注意について、本剤は週1回投与する薬剤であり、基本的には同一曜日に投与させることと注意喚起されております。

 忘れたときの投与については、「重要な基本的注意」の(13)に記載している「本剤は週1回、同一曜日に投与する薬剤である。投与を忘れた場合は、次回投与までの期間が2日間(48時間)以上であれば、気付いた時点で直ちに投与し、その後はあらかじめ定められた曜日に投与すること。次回投与までの期間が2日間(48時間)未満であれば投与せず、次のあらかじめ定めた曜日に投与すること」と注意喚起させていただいております。この点で、投与を忘れたときの安全性については、審査報告書で議論させていただいております。

○松井部会長 審査報告書の何ページですか。

○医薬品医療機器総合機構 具体的には、審査報告書の39ページの下です。この際、本剤を予定日に投与しなかった場合に投与予定日から1~6日遅れて投与したときの血中濃度の曝露の程度についてシミュレーションがなされております。例えば、本剤を投与し忘れて、その5日後に投与したときに、また次回その投与日に本剤を投与したときの血中濃度のCmaxが13.6%増加すると予想されております。この点については、1.0mgより高用量を投与したQT試験などでは、本剤が1.5mgまで投与されておりますが、特に安全性について重篤な有害事象は認められていますが、その事象について治験薬との因果関係が認められたという事象はありません。したがいまして、投与し忘れたときに血中濃度がある程度増加することが予想されておりますが、本剤について、安全性に特段懸念は現時点では認められておりません。

 なお、類薬のトルリシティについては、同様の記載が添付文書で注意喚起がなされていることを併せてコメントいたします。増量時に、0.25mgから投与を開始して、4週間投与した後に0.5mgまで増量するというところで、この増量中に投与し忘れた場合に、4週カウントするかどうかという点については、特に臨床試験でそのような成績が収集されているわけではありません。この増量については、なぜ増量するかというと、本剤は胃腸障害が大幅な増量時に発現することが、GLP-1特有な事象としても知られております。したがって、低用量から投与するということで、0.25mgから投与して、4週後に0.5mgの維持量に増量することが規定されておりますが、その4週の中で、4回か3回かについては、おそらく胃腸障害の発現等を踏まえた上で増量を忘れたときも含めて、その増量を医療現場で判断するものと考えております。

○松井部会長 よろしいですか。

○神田委員 ありがとうございます。ただこれは自己注射ですので、3回でもよく、4回でもよくて、症状によってどっちかというのもなかなか難しいかと一つ思います。それから、自己注射なので、忘れた場合の対処がやや面倒かなと。曜日を統一するほうが便利とお考えになったのかもしれませんが、それは一概にはそうではないかという気もするのです。忘れないほうがいいのですが、忘れたら直ちに投与して、その次にやるのは1週間後で、そうしたらその曜日を定めた曜日にしましょうというのも分かりやすいですし、少しややこしさがあって、何日目なのかとか、そういうことにもなりかねないので、使い勝手のところでどちらがいいのか分かりませんが、余り使い勝手がよくないのが気になりました。あくまでもいろいろな注意をされるでしょうが、患者さんが判断してやる部分というのはできるだけ少ないほうがいいと思いますし、3回なのか4回なのかというのは、その典型例だと思いますが、分かったほうがいいかとも思いました。まとまらない話ですが、何となくややこしいなと思いました。

○奥田部会長代理 今の神田委員の御質問とも関連しますが、増量プログラムのときも自己注射で、それを行っていくというのが基本的な考え方ですね。

○医薬品医療機器総合機構 増量するときの0.25mgについても自己注射で、自身で投与すると考えております。臨床試験でもそのように実施されています。

○松井部会長 森委員、何か御発言はありますか。最後に先生に発言してもらおうと思っていたのですが。

○森委員 糖尿病専門医ですので発言させていただきます。このデバイスの確認ですが、今回オゼンピックの皮下注は2mgで、ボリュームが1.5mLです。ということは、例えば1mgの注射をする場合は、この半量の0.75mLが皮下注されるという理解でよろしいですか。0.75mLというのは、多分インスリンに直すと75単位分ぐらいになって、比較的ボリュームとしては多い量になりますが、問題なく注入できているのですか。これに針を付けて普通に打たれるのですよね。治験ができているわけですから、問題はないわけですかね。

○医薬品医療機器総合機構 臨床から御回答させていただきます。この剤の臨床試験で投与部位反応について情報収集しておりますが、その発現は非常に少ない状況で、その中には1.0mLに増やしてからの長期のデータも入っております。

○森委員 インフルエンザワクチンが0.5ccぐらいは皮下注しますので。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の80ページを御覧ください。類薬で、特に先生が御懸念を持たれる理由と思われます、週1回のGLP-1受容体作動薬のビデュリオンは投与部位反応が比較的多く認められていますが、本剤は発現割合がプラセボと同程度であり事象も非常に少なく、重篤なものもほぼ認められていない状況です。また、投与量が多い点に関しては、新しいデバイスで押す量の感覚も少なくなっていることから、特に問題ないと考えております。

○森委員 このペンは残量は分かる構造ですか。特に印は付いていませんが、残りは分かるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 この薬剤については残量は記載されておりませんが、薬液が少なくなった場合には、それ以上投与できない設定になっております。その点は先ほどの使用説明書にも記載されているとおりです。

○森委員 そうすると、途中で止まった場合、どのくらい入ったかは患者さんがこれを見て判断するということですか。

○医薬品医療機器総合機構 カートリッジの残量以上はダイヤルが回らない設定になっております。

○森委員 そこで分かるわけですね。A型の針を付けて注入した場合、注入時間はどのくらいかかるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 この説明書によりますと、6秒以上注射を刺して投与してくださいと。

○森委員 6秒かけて注射して、そのまますぐ抜いていいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○森委員 そういうふうになっているのですね。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○森委員 分かりました。

○松井部会長 森委員、技術的なことだけではなく、何かコメントはありますか。

○森委員 もっと根本的な質問は、この薬は腎不全の患者さんにも使用ができるように制限されていないのですが、臨床試験で重篤な腎障害や、透析の方にどの程度、今まで使用実績はあるのですか、教えてください。

○松井部会長 いかがですか。重要なことだと思いますよ。

○医薬品医療機器総合機構 腎機能障害患者に対する本剤の投与については、審査報告書の93ページから記載しております。本剤については、中等度以上の腎機能障害患者さんの組入れが非常に少ないことから明確な比較は困難ですが、現在得られている試験成績からは、腎機能が軽度、中等度、高度の患者には、特段、本剤を使用して安全性に大きな問題が認められたという成績はございません。曝露量についても、それらの被験者につきまして、特段、上昇するという結果は認められていないという状況です。

○森委員 最後に確認です。95ページの表683744試験の成績が示されていますが、重度の腎障害の方で、使用例は0.5mg20例、1mg群で21例、末期腎疾患の方は0.5mgでは1例、1mgでは4例に見えますが、これはこれが全例ですか。

○医薬品医療機器総合機構 先生御指摘のとおり、審査報告書の95ページの表68に記載のとおり、海外のCV試験、数千例規模の試験ですが、こちらの3744試験において、重度の腎障害の患者、末期腎不全の患者が御指摘の例数に投与されているという状況です。

○森委員 この成績のほかに、末期腎不全の方に、特に本邦の患者さんで使用した臨床試験成績はありますか。

○医薬品医療機器総合機構 国内では、重度の患者様は透析も含めて投与経験はない状況です。このCVのアウトカム試験の少数のデータに限られています。本剤は週1回製剤で利便性が高いことから、先生の御懸念どおり、透析患者に多く使われる可能性がありますので、製造販売後調査等において慎重に監視が必要と考えております。

○森委員 安全に使用できるかどうかは、臨床試験によるデータがなければ審査はできないと思いますが、それは販売後に調べればよいということですか。

○医薬品医療機器総合機構 腎機能障害患者への投与に関しては、御指摘のとおり、データに関しては94ページと95ページに示しているとおりです。国際共同あるいは国内試験に関しては、中等度の障害の患者まで組み入れられ、一方で海外で実施されたCV試験に関しては重度、末期の患者さんも含めて投与されているところです。検討された症例数自体の少なさはおっしゃるとおりだと思います。一方で、この結果からは、重度だから特に何か低血糖、胃腸障害の発現頻度等が特に上がるかどうかというところまでは見えてきていないところです。臨床試験の中で、限られた患者集団における情報を確認することの難しさもあるかと思います。製販後調査に関しては、この品目については実施させていただきますし、御指摘いただいている腎機能障害の有無別での安全性情報の収集に関してを徹底するようにというのは、こちらからも申請者に伝えさせていただきますので、そのような形で対応させていただきたいと思います。

○森委員 治験の対象となる症例が極めて希少の状況であれば、例えば末期腎疾患の患者さんが、実薬投与群が5例ですが、糖尿病患者さんの透析例は、年間新規に1万6,000人以上日本でも発生しています。この状況で、末期腎疾患の患者さんの治験が5人しか、しかも国際共同でこれしかないという状況で、なぜ日本で末期腎疾患の方が非常に多く使用される状況が想定されているのに治験がされていないのか、納得のいく説明をしてください。

○医薬品医療機器総合機構 重度以上の腎機能障害患者さんについては、海外の試験になりますが、100例程度の投与経験があると。先ほどのCV試験の結果になります。先生御指摘の末期腎疾患に関する被験者も、投与経験はゼロではありませんが非常に少なかったのが事実です。ただ、末期腎不全患者さんにおける安全性については、それまでの重度の腎機能障害患者さんにおける安全性なり、先ほど申しましたPKの曝露の状況等も踏まえて、特段、本剤におきまして末期腎不全患者さんについて、注意喚起が必要かという判断はいたしていないということです。

○森委員 重度障害の方が100例行われているというのは、3744試験では実薬は41人ですが、そのほかの試験があるという意味ですか。

○医薬品医療機器総合機構 すみません、プラセボも含めて100例程度なので、先生御指摘のとおり、本剤ではこのデータからは重度の患者は41例になります。

○鈴木委員 今の話を聞いていますと、海外でも申請して、承認審査中とのことですが、我が国が一番先の承認を目指しているにしては、治験が十分に行われていない気がするのです。別に我が国で開発したわけでもないので、何も我が国が最初に承認する必要もないと思いますが、非常に症例の多い疾患にもかかわらず、なぜ限定した症例で承認を急ごうとされているのか理解に苦しむのです。何か事情があるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 本剤については海外では欧米でそれぞれがほぼ同時期に審査をしております。米国は既にアドバイザリーコミッティ、専門協議が終了して、最後の書類が発出されるのが恐らく12月中と見込まれております。欧州も審査が淡々と進んでいる状況で、我々が得ている情報からは、おおむね国内承認と米国承認と相前後する形で承認が下ろされると考えております。

 先ほどの森先生の御質問にも関連しますが、一応、全体の国際共同の試験については、試験の開始の前に各規制当局、これは欧州のEU、EMA、米国FDA、我々機構とも相談をした上で、試験開始の時点における科学的に妥当と考えられる試験計画を、国際共同の試験として計画をしました。その上で、デザインの多少の御議論はありますが、基本的には各規制当局が合意した形で、全体の試験の計画とパッケージの計画が行われて、今日に至っております。

○鈴木委員 課長の発言からは、日本がせり合っている中で、一番最初に承認したいという思惑も感じるのですが、不十分な審査で通したらかえって恥をかくのではないですか。

○医薬品審査管理課長 せり合っているつもりは全然ありません。提出されたデータを粛々と読んでいくというところです。重度の腎機能障害については、例えば、審査報告書の33ページなどで、腎機能障害者における薬物動態試験などで、パラメータも見ながら曝露が上がらない等々、それなりにしっかりと検討結果をもって、今回の投与患者さんなどについて吟味をしたと私としても考えております。そういう意味で、重度の腎機能障害をお持ちの患者さんに対しては、そういうことでいかがかなとは思っているのですが、機構からそこの点についてもう少し補足することがあればお願いします。

○松井部会長 いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 課長からお話を頂いたとおりで、薬物動態に関してもよくあるパッケージどおりで、腎機能障害の有無別で動態に影響があるかないか検討させていただいております。それが先ほどの33ページ、34ページの所です。動態に関しては、大きな影響はないのではないかという結論にも至っております。

 あとは、ある情報としては、先ほどから議論している94ページ、95ページの情報になりますが、本剤は従来の申請において必要とされるデータパッケージを踏まえて臨床試験は実施されていると考えております。ただ一方で、医療現場において腎障害の程度の重い患者が今後投与されるだろうというのは、御指摘のとおりかと思います。その点に関しては、現状、医薬品リスク管理計画書で、安全性検討事項に腎機能障害の患者への投与を設定はしていないですが、それを設定することで積極的に市販後に情報を収集することもできますので、そういった方向性について申請者に提案し、市販後にきっちりと腎障害の程度の有無別で安全性に問題がないか確認させていただく活動を実施したいと考えております。

○松井部会長 委員の先生方からの御意見はありますか。

○鈴木委員 今回、委員の中に専門家がいらっしゃるので、専門家の御意見を伺ってから、私も判断したいと思いますが、いかがですか。

○森委員 糖尿病用薬で特には重度腎機能低下の患者さんに使用の安全を保障できるかどうかという基本の一つは、重篤な低血糖を起こさないかどうかということが非常に大きなアウトカムになっています。もちろん、有効性があることは、今、分かっていますが、もともと腎不全があると、腎臓の糖新生も減少して、薬剤も代謝も遷延しやすい薬剤、いわゆる併用薬が多いので、この薬剤自体の代謝が安定しても、もともと腎不全の方は低血糖を起こしやすい状況で、更にこの薬剤を追加された際に、安全に使用しうるかということに関する基本的な情報が少ないのではないかということが、懸念点としては挙げております。そういったことを十二分に注意喚起した上で、臨床の現場で御使用されるようにリリースするのか、それとも、その情報の収集を待って末期腎不全の患者さんにも使用できるように適用拡大していくのかということは、ここの委員会も含めて、先生方の御意見も聞いて決めていくことではないかと思います。以上です。

○松井部会長 先生はどう思うかということですが。

○森委員 今、収集していただいている臨床的な情報では、中程度の腎機能障害の方までは安全に使用できることは十分担保されていると思います。重篤な腎障害の方や、透析使用の方の臨床的な情報は不十分なので、それに関する注意喚起を十分した上で、添付文書にもそのように書かれるか、ないしはそちらの臨床試験が別途行われた上で適用拡大をしていくことが、従来の糖尿病治療薬の審査の過程ではしばしば行われてきましたので、この薬剤についてもそのような扱いになっていくことは十分合目的であると思います。以上です。

○松井部会長 ほかに御意見はありませんか。いかがですか。御発言がなければ、特に重篤な糖尿病患者さんの腎障害に関して添付文書、あるいは説明書を更に詳しくするということで、これを議決していいかどうかを伺います。

○森委員 意見を申し上げます。類薬のトルリシティ、いわゆるデュラグルチドでは、どの程度の臨床試験があらかじめ行われていたのか、もし情報がおありでしたら伺ってもよろしいですか。参考になるかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 ただいま類薬のトルリシティの状況については調べさせていただきます。トルリシティの状況については、国内外の第III相試験において、EGFRが30未満の高度の患者さんは、本剤群で2例と少ない状況です。それに比べるとということは申しませんが、本剤では多少なり、臨床試験では投与例数はあったのかという状況です。

○松井部会長 それでは、決断しなければいけませんので、このようにいたします。今日の会議の結果、機構のほうに添付文書、その他の注意書きも含めて手を加えていただくと。次回、その書きぶりを委員の先生方に見ていただいて、その上で承認するということにしたいと思いますが、いかがですか。管理課長、何か御意見はありますか。

○医薬品審査管理課長 類薬等を少し見たいと思います。添付文書にするか資材にするか、並びも考えさせていただいた上で、しっかりと注意喚起をすると。いずれにしろ、添付文書ないしは資材でしっかりと注意喚起をさせていただく。次回の部会というよりも、是非、関係する先生方にメールなどで御連絡をさせていただいて、御確認を頂いて、それを座長に御報告と御確認を頂くということでいかがですか。

○松井部会長 保留にしないでということですか。

○医薬品審査管理課長 はい。

○松井部会長 それでは、次回の第一部会以前に、この書類の改訂した所を、森先生をはじめ見ていただいて、その上で承認を可とするということでよろしいですか。とにかく、今日これで議決を取って、そのままOKとはできないと思います。

○審議官 森先生に御指摘いただいた点が非常に重要なポイントであるということで、今、いろいろな資料やデータを確認しているのですが、基本、週1回投与の類薬、ほか二つにおいても、重度腎障害のケースについてどのような注意を特段するべきなのかというのが、現状の添付文書に記載されていない状態です。データ上どうだったのかということについて、更に森委員から御指摘があり、今、確認をして、一つについては、承認時には症例数はさほど多くなかったと説明されたところです。問題は、重度の腎障害をお持ちの患者さんにGLP-1のアナログを使うことにおける安全衛生上の懸念が特に高いかどうかによって、どのぐらいデータを確認し、更なる精査をしていく必要があるのか少し分かれるのではないかと思います。ここは専門家の森委員に、その点の具体的な懸念がどのくらい強くお持ちなのかというところをよく聞かせていただいた上で、先生方に御判断いただくことが大事ではないかと考えて補足で発言させていただきました。森先生にもう一遍、御意見を聞いていただきたいのですが。

○松井部会長 森先生、いかがですか。

○森委員 類薬のビデュリオンは重度腎機能の方に使用できますか。

○医薬品医療機器総合機構 禁忌です。バイエッタと同じ成分のためです。バイエッタは重度の腎機能障害のある患者さんは禁忌となっております。強い消化器症状により投与中止に至った例が認められています。また、急性腎不全の発現が海外で市販後に認められたことを踏まえて禁忌になっております。そのような経緯から、ビデュリオンも禁忌となっております。

○森委員 リラグルチドと今回のセマグルチドでは、HbA1c低下度はどちらが大きいですか。

○医薬品医療機器総合機構 直接比較した試験はありませんが、今、ビクトーザのHbA1c低下度は、0.9mgの投与でHbA1c低下量が-1.5%程度かと記憶しております。本剤では、0.5 mg以上でHbA1c低下量がベースラインからおおよそ-1.5%以上の低下が認められており、1.0mgまで用量を上げるとその低下量が-2.0%を超えるデータもあり、0.5 mg と比較すると1.0mgの低下量が大きい傾向です。

○森委員 少なくとも、今、試験が行われたのは国際試験で行われた重度の41例と、末期腎不全の5例の方についてのHbA1c低下度や低血糖の発生頻度等のデータはあったほうがよろしいのではないでしょうか。今、それは全く非公開のままで審議していますので、安全に使用できるかどうかということについてはデータがありませんので、先生方のほうに共有していただくことは可能ですか。どう考えていますか、いかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 先ほど御指摘いただいたのは、トルリシティ(デュラグルチド)と今回のもののHbA1cの低下の程度というお話だと思いますが、今はビクトーザのほうを申し上げたところで、実際のところは直接的な比較をしたデータは提示されていないため比較そのものの難しさはあるのですが、数値だけを見ますと、本剤の0.5mg、1mgで低下しているHbA1c変化量について、両剤の添付文書の臨床成績の項での記載上はほぼ同じ程度になっております。

○松井部会長 それでは、この問題は一応、今の重症の腎機能障害の患者さんに対する対処を説明書類その他で次回までに明らかにして、専門家を含めた意見が、委員の先生方の賛同が得られたら、これを薬事分科会に報告という形に持っていきたいのです。ですから、今日は完全に送ると、最終的な決断を下すのではないという段階で、専門家の意見を待つことにしたいと思いますが、それでよろしいですか。

○森委員 専門家は何名ですか。専門家はこの全員ですか、私1名ですか。

○松井部会長 森先生と、第一部会の全員という意味です。よろしいですか。

○鈴木委員 今日の審議の扱いは承認なのか、保留なのか、どういう扱いになるのですか。

○松井部会長 承認にはできないと思います。矛盾すると思います。ですから、あえて名前を付けるとすれば保留ということになります。そうしないといけないと私は思います。よろしいですか。

○森委員 それでは、重度腎機能低下障害のある方や、透析の患者さんに糖尿病治療薬を使ってよいという臨床試験の成績はどんな基準を満たせばよろしいのですか。それは、薬物動態は問題がないという以外に、どういった裏付けをされていることが薬剤の承認には通常求められているのか、ここで伺ってもよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 一般には曝露量の程度に加えて、先ほど申し上げたとおり、重度あるいは中等度までの腎機能障害患者における有効性及び安全性を総合的に判断して、透析が必要な患者における使用状況を判断させていただいております。1点整理させていただきますが、ビデュリオンは週1回の投与製剤になりますが、こちらは安全性情報に加えて薬物動態の曝露量の上昇の観点からも、中等度又は軽度の腎機能障害のある患者については慎重投与に設定されておりますが、同じく週1回投与製剤のトルリシティについては、そういった曝露量の観点から、特段問題がなく、慎重投与には特段の注意喚起は設定されていないという状況で、本剤もトルリシティと同じような状況であると考えております。

○松井部会長 それでは、この議題については「決定を保留する」、次回までにデータ、関係書類の改訂を確認した上で決定するということにしたいと思います。よろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、議題6に移ります。

○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料6、医薬品イブリーフ静注20mgにつきまして、機構より説明させていただきます。動脈管開存症は、胎児期に開存している動脈管が出生後も自然閉鎖せず、開存している状態で、開存が大きい場合には肺血流増加による心不全や肺出血等を来します。本邦では、未熟児動脈管開存症の治療に用いる薬剤として、シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるインドメタシンナトリウムの静注製剤が承認されています。イブリーフ静注20mgは、シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるイブプロフェンL-リシンを有効成分とする製剤であり、2006年に米国で未熟児動脈管開存症の治療薬として承認されています。本邦では、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、本剤は医療上の必要性が高いと評価され、開発要請がなされ、今般、国内臨床試験成績等に基づき、製造販売承認申請されました。本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料14に記載されている委員を指名しました。本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明します。

 有効性について、審査報告書17ページ中段を御覧ください。海外では、未熟児動脈管開存症患者を対象として、無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されました。主要評価項目は、試験開始後14日以内に、審査報告書18ページの表10に示す救済治療を必要とした症例の割合とされ、審査報告書18ページの表11に示すように、本剤群とプラセボ群との間に有意差が認められ、本剤の有効性が示されました。

 次に、審査報告書16ページを御覧ください。国内では、日本人未熟児動脈管開存症患者20例を対象に、海外臨床試験と同様の用法・用量、主要評価項目などを設定した非盲検非対照試験が実施されました。審査報告書16ページ中段に示しますように、主要評価項目で、海外臨床試験に基づき事前に規定された有効性が示されたと判断する基準を満たしたことから、日本人患者においても本剤の有効性が示唆されたと判断しました。

 続いて、安全性について説明します。審査報告書25ページの表17を御覧ください。国内外の臨床試験の比較において、日本人患者では外国人患者と比較して、本剤投与時に乏尿、尿量減少等の腎障害に関連する有害事象が高率に発現しましたが、発現した事象はいずれも非重篤であり、類薬であるインドメタシンナトリウム投与時にも発現する既知の事象でした。本品目の対象患者はNICUで管理されており、24時間体制でのモニタリングや検査、治療が可能であることなども考慮すると、現時点では腎機能の発現リスクやモニタリング等に関して、類薬の添付文書と同様の注意喚起をすることで本剤の使用に差し支えはないと判断しております。

 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品並びに毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いします。

○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、御意見、御質疑をお願いします。

○杉委員 確認だけしたいのですけども、この有効性の評価に関しては、この薬が動脈管を閉塞させるということではなくて、臨床所見がいい方向に行くであろうということが有効であるという理解でよろしいのですね。

○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。御指摘いただきましたように、動脈管の完全閉鎖に限らず、ある程度閉じて、外科的な手術等の回避につながることもお薬としての有効性であろうと考えられ、海外でも国内でも同じように評価されておりその有効性評価の方法は妥当と考えております。

○杉委員 もうちょっとだけ教えてもらいたいのですが、そうしますと多分、この薬を使うという先生は多いと思います。ただその場合みんなが誤解するのは、この薬を使うと動脈管は閉塞すると理解するのではないかと思います。有効だということになります。ですから、閉塞したのが何例で、状態がよくなったと判断したのが何パーセントだと、大体お分かりになれば少し教えてもらいたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 審査報告書16ページの表8に、国内第 III 相試験、つまり日本人を対象とした試験で、実際の閉鎖率がどのぐらいだったか、数値が書いてあります。

○杉委員 14日目で70%は閉じたと理解してよろしいですね。

○医薬品医療機器総合機構 そうです。

○杉委員 分かりました。

○松井部会長 よろしいですか。ほかに。

○柴田委員 審査報告書18ページの表について、解釈を教えてください。細かい話ですが、表11の救済治療を必要とした症例、25%、48.5%、17例、33例の患者さんは、その後に死亡している方はいらっしゃらないのですね。

○医薬品医療機器総合機構 いません。

○松井部会長 よろしいですか。ほかに。特にございませんか。特に御質疑がないようでしたら議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。

○杉委員 すみません。添付文書で、副作用について徐脈があると書いてあったと思うのですが、除細動の「除」になっていますので、遅い「徐」に直したほうがいいと思います。

○松井部会長 直せますよね。

○医薬品医療機器総合機構 失礼しました。適切に修正いたします。

○松井部会長 よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。それでは、議題7に移ります。事務局から議題を御説明ください。

○事務局 審議事項、議題7、資料7、医薬品リアルダ錠1200mgの再審査期間延長の可否について、事務局より説明します。まず、再審査期間の延長に係る制度につきましては、資料7の表紙にあるとおり、諮問書に記載しておりますが、医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の4第2項において、厚生労働大臣は、新医薬品の再審査を適正に行うため、特に必要があると認めるときは薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、再審査期間をその製造販売の承認があった日から10年を超えない範囲において延長することができる旨の規定があります。この規定に基づきまして、小児の用量設定等のための臨床試験を計画する場合で、必要があると認められる場合には、本審議会にお諮りした上で再審査期間を延長しています。

 それでは、本品目について説明します。リアルダ錠の品目概要のタブをお開きください。本品目の申請者は持田製薬株式会社、品目名はリアルダ錠1200mgです。有効成分としてメサラジンを含有し、効能・効果は潰瘍性大腸炎(重症を除く)となっております。本品目の承認日は平成28年9月28日で、再審査期間は4年となっております。本品目は、成人に係る用法・用量が設定されているものの、小児に係る用法・用量の設定がない状況です。今般、申請者から、小児の用法・用量設定等を目的とした試験を実施することから、試験の所要期間等を勘案し、当初より2年延長し、再審査期間を通算で平成34(2022)の9月27日までの6年間とする要望が提出されております。

 続きまして、要望書のタブをお開きください。1点目の小児潰瘍性大腸炎について、中ほどの所に記載がありますが、潰瘍性大腸炎の内科的治療において、経口メサラジン製剤は、小児の寛解導入及び寛解維持の第1選択薬となっておりますが、小児の潰瘍性大腸炎に係る用法・用量が承認されているのはペンタサのみとなっております。また、小児においても成人と同様に、寛解導入時には高用量を使用することが推奨されておりますが、ペンタサでは成人において、寛解導入時に使用可能な高用量が小児で承認されていないことから、本剤につきましても、小児開発を行う意義があると申請者が説明しております。以上より、小児開発の必要性は高いものと考えております。

 続きまして、別添のタブをお開きください。こちらに国内の小児臨床試験を記載しておりますが、ここに示す2試験を予定しており、現在、臨床試験を開始している状況です。国内の小児の潰瘍性大腸炎の患者は少なく、試験実施に可能な施設も限られることから、目標症例数を確保するためには、臨床試験の期間として□□月までが予定されております。したがいまして、再審査期間を6年、2022年9月27日までに延長することが適当と考えております。以上、御審議のほど、よろしくお願いします。

○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質疑をお願いします。特にございませんか。

○今井委員 確認させていただきたいのですけれども、小児は、一応17歳未満にはなっていますが、薬の添付文書を見ると、大きさが2cmの錠剤で、非常に大きいので、小児に対してもこの大きさの錠剤を服用していただくのですか。

○事務局 現在、小児の用法・用量については検討中ですが、□□□□□□□□□□□□□□□□する予定になっておりまして、□□□□□□□で投与を検討しております。

○松井部会長 ほかにございませんか。もしなければ議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。なお、大森委員、杉委員、武田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。それでは、本議題につきまして、再審査期間の延長を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御意義がないようですので、再審査期間の延長を可とし、薬事分科会に報告いたします。それでは、議題8に移ります。

○事務局 審議事項、議題8、資料8、モガムリズマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について事務局より御説明いたします。資料8の二つ目のタブ、機構による評価報告書のタブをお開きください。報告書1ページ中段を御覧ください。申請者は協和発酵キリン株式会社。予定される効能・効果はHTLV-1関連脊髄症(以下「HAM」)となります。まず、1ページ中段の対象患者数についてですが、HAMは指定難病であり、本邦における総患者数は約3,600人と推定されているため、5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 次に、1ページ下段からの医療上の必要性について御説明いたします。HAMに対して製造販売承認を取得している薬剤は、インターフェロン-αのみであり、そのほかの治療薬として、ステロイドや、ほかの免疫調整薬が用いられております。しかしながら、これらの薬剤は対症療法に過ぎず、長期的な予後の改善効果は確認されておりません。一方で、モガムリズマブ(遺伝子組換え)は、CCR-4に対する遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体であり、本剤はHTLV-1感染T細胞を直接除去することにより、HAMにおける慢性的な炎症を軽減し、病態を改善させることが期待され、本剤の有効性及び安全性が確認されれば、本剤はHAMの発症要因であるHTLV-1感染T細胞を直接除去する初めての治療法となる可能性があり、本剤の医療上の必要性は高いと考えられます。

 最後に2ページ下段からの開発の可能性について御説明いたします。本邦においてHAM患者を対象とした第I/ II a相試験が実施され、本剤の投与前後で抗感染細胞効果として末梢血中のHTLV-1プロウィルス量の減少が確認されました。現在、当該試験成績を踏まえ、第 III 相試験として、プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験を実施中です。以上により、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、本剤は希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。以上、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○松井部会長 ありがとうございます。ただいまの議題につきまして、委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。それでは、議決に入っていいでしょうか。なお、大森委員、森委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮ください。本議題につきまして、指定を可としてよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、報告事項に移ります。よろしくお願いします。

○事務局 事務局より、報告事項について、まとめて御説明をさせていただきます。まず、初めに報告事項、議題1、医薬品ジプレキサ錠2.5mg等の製造販売承認事項一部変更承認について報告いたします。資料9を御覧ください。本剤はオランザピンを有効成分とする製剤であり、現在は統合失調症等の効能・効果で承認されております。本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐)に対する公知申請の該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成29年6月9日に開催された本部会における事前評価を踏まえて、申請者から効能・効果及び用法・用量を追加するための製造販売承認事項1部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。

○事務局 続きまして、報告事項、議題2、資料10、医療用医薬品の承認条件について、エルシトニン注20S及び同注20Sディスポについて御説明をさせていただきます。資料10の1ページを御覧ください。1ページ1ポツ、臨床試験の実施の経緯の所に記載をしておりますが、エルカトニンを有効成分とする医薬品エルシトニン注20Sは、平成5年(1993)10月に、骨量増加効果を評価した臨床試験成績に基づき、骨粗鬆症の効能・効果で承認されており、その後、製造販売後に骨折抑制効果を評価するための臨床試験を実施することとされました。その後、骨折抑制効果を評価するための臨床試験が実施されましたが、エルカトニン20単位の骨折抑制効果を確認できなかったことから、平成15(2003)12月に、効能・効果が「骨粗鬆症」から「骨粗鬆症における疼痛」に変更されております。その際に試験計画の問題があったということで、プラセボ対照試験を追加で実施することが適切であるという承認取得者からの見解を踏まえて、承認条件として日本人骨粗鬆症患者における本薬の骨折抑制効果を確認する臨床試験を速やかに実施することという条件が付されております。今般、旭化成ファーマ株式会社から原発性骨粗鬆症患者を対象とした骨折抑制効果に関する臨床試験に係る試験成績が提出されまして、機構において評価されましたので御報告いたします。

 2ページを御覧いただきまして、骨折抑制臨床試験の項目を御覧ください。本試験は、日本人原発性骨粗鬆症患者を対象に、エルカトニン20単位の骨折抑制効果及び安全性を検討することを目的としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施されました。有効性については、2ページの一番下に記載しております。主要評価項目とされたFASにおけるベースラインからの投与144週後までの新規椎体骨折の累積発生率は、表1及び次ページの図1にあるとおりで、本薬群のプラセボ群に対する優越性は示されませんでした。安全性につきましては、4ページ目から記載しておりますが、有害事象の発現率はプラセボ群97.3%、本薬群97.2%という結果でした。

 機構における評価は5ページ目に記載しております。5ページ目の3ポツの所にありますが、有効性については、骨折抑制臨床試験におきまして、新規椎体骨折の累積発生率において、本薬群とプラセボ群の間に統計学的な有意差が認められなかったことから、本剤の骨折抑制効果は期待できないものと判断されております。安全性については、プラセボ群に比べ、本薬群で大きな問題となる事象は認められておらず、本剤の安全性に新たな対応が必要な特段な懸念はないと判断されております。なお、本剤の現行の効能・効果は、骨粗鬆症における疼痛であり、本剤は骨折抑制効果を期待して投与される薬剤ではなく、現在添付文書上では、その他の注意において、過去に行われた臨床試験成績において骨折抑制効果が認められなかった旨、記載されております。今般、提出されました試験におきましても骨折抑制効果が認められなかったことから、当該内容を医療現場に周知することが適切と考えております。以上を踏まえまして、承認条件である日本人骨粗鬆症患者における本薬の骨折抑制効果を確認する臨床試験を速やかに実施することは対応されたものと判断しております。

○事務局 続きまして、報告事項、議題3、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料番号は、11-1~11-12で、これらは各製剤の医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますので、まとめて御報告をいたします。資料11-1は、一般的名称は「トラボプロスト」、販売名は「トラバタンズ点眼液0.004%」のもの。資料11-2は、一般的名称は「ドルゾラミド塩酸塩、チモロールマレイン酸塩」、販売名は「コソプト配合点眼液及びコソプトミニ配合点眼液」のもの。資料11-3は、一般的名称は「トラボプロスト、チモロールマレイン酸塩」、販売名は「デュオトラバ配合点眼液」のもの。資料11-4は、一般的名称は「ラタノプロスト、チモロールマレイン酸塩」、販売名は「ザラカム配合点眼液」のもの。資料11-5は、一般的名称は「ペグビソマント(遺伝子組換え)」、販売名は「ソマバート皮皮下注用10mg、同皮下注用15mg及び同皮下注用20mg」のもの。資料11-6は、一般的名称は「エプレレノン」、販売名は「セララ錠25mg、同錠50mg及び同錠100mg」のもの。資料11-7は、一般的名称は「ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン」、販売名は「ゴナトロピン注用5000単位」のもの。資料11-8は、一般的名称は「トロンボモデュリンアルファ(遺伝子組換え)」、販売名は「リコモジュリン点滴静注用12800」のもの。資料11-9は、一般的名称は「ガニレリクス酢酸塩注射液」、販売名は「ガニレスト皮下注0.25mgシリンジ」のもの。資料11-10は、一般的名称は「ダルベポエチンアルファ(遺伝子組換え)」、販売名は「ネスプ注射液10 μ /mLプラシリンジ他16規格」のもの。資料11-11は、一般的名称は「トピラマート」、販売名は「トピナ錠50mg、同錠100mg、同錠50mg、同錠25mg及び同細粒10%」のもの。資料11-12は、一般的名称は「フェノバルビタールナトリウム」、販売名は「ノーベルバール静注用250mg」のものとなっております。

 これらの品目につきまして、製造販売後の特定使用成績調査、使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、即ち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものでございます。事務局からの報告事項に関する説明は以上でございます。

○松井部会長 ありがとうございます。何か御質疑はございますか。特にないようでしたら、報告事項については、御確認いただけたものといたします。それでは、その他事項に移ります。お願いします。

○事務局 事務局より、その他事項、議題1、最適使用推進ガイドラインについて、レパーサ皮下注140mgシリンジ、同皮下注140mgペン及び同皮下注420mgオートミニドーザーの最適使用推進ガイドライン案について御説明いたします。資料12-1及び資料12-2を御準備ください。抗PCSK9抗体であるエボロクマブ(遺伝子組換え)は、高コレステロール血症患者のLDLコレステロールを低下する治療薬として、平成28年4月に承認され、平成29年3月に最適使用推進ガイドラインを作成いたしました。今般、平成29年8月23日にエボロクマブ、販売名レパーサにレパーサ皮下注420mgオートミニドーザーの剤形追加が承認されました。それに伴い、最適使用推進ガイドラインの記載整備をし、改正を行いましたので、御報告をいたします。資料12-1は、記載整備の新旧表を示しており、資料12-2は改定を反映したものを示しております。資料12-1を御覧ください。左側がガイドラインの該当ページ、真ん中が改正後、一番右が改正前の記載を示しております。表紙、2、3ページでは、レパーサ皮下注420mgオートミニドーザーが承認されたことに伴う追記を行っております。

 次ページに移ります。ガイドライン13ページの投与に際して留意すべき事項の記載の変更に関しまして、レパーサ皮下注140mgシリンジ及びペンは、家族性高コレステロールヘテロ接合体及び非家族性の高コレステロール血症の患者に対しては、製造販売承認時に提出された資料から、140mgを2週間に1回投与と420mgを4週間に1回投与の用法・用量を承認しておりました。これまでは140mg製剤のみが承認されており、420mgの用法・用量で用いる場合には、1か月当たり3回の投与が必要であり、140mgの用法・用量と比較して投与回数が多かったこともあり、同患者に対しては、140mgを2週間に1回投与を推奨する記載としておりました。今般のレパーサ皮下注420mgオートミニドーザー剤形追加に伴い、1か月当たり1回の投与が可能となりましたので、記載を変更いたしました。420mgを4週間に1回又は2回投与の用法・用量については、420mgオートミニドーザーの製剤を使用する旨を追記しております。改訂内容の御報告は以上です。

○松井部会長 ありがとうございます。何か御質疑が委員の先生方、ございますか。よろしいでしょうか。それでは、本議題については御確認を頂いたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告がありますでしょうか。

○事務局 次回の部会は、来年1月26日金曜日午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○松井部会長 ありがとうございます。

○森委員 最後に1点だけ発言させてください。先ほどのセマグルチドのことに少し追加いたしますが、類薬のトルリシティが日本で承認されましたのは2015年、2年前になります。発売時には世界の45か国で承認されまして、日本の発売が10か国目でしたので、既に十分な実臨床の使用があった状況と考えています。セマグルチドはまだ世界中で発売されていませんので、臨床試験の使用のみの成績になっているということです。以上です。

○松井部会長 ありがとうございます。

○審議官 ただいまの森委員の御発言に加えて、腎機能の悪い方に対する注意喚起の状況なのですが、海外における添付文書の中では、腎機能障害患者に関する記述が盛り込まれております。この内容は、かなりいろいろな観点から検討されていることが伺える内容になっておりまして、こうした内容の中のどういった所を日本語の添付文書案の中に簡潔、明瞭に入れ込むことが必要なのではないかという御指摘のようにも受け止めております。したがいまして、本日ペンディングということで、次回までに検討する一つのポイントとして、欧米で検討されている添付文書の腎機能障害患者に対する注意、これと同様な記載を日本国内の添付文書においても盛り込むことについてどうか、そして、その内容としてどのような情報提供が適切であるかということについて、機構でも整理をしてもらい、その内容について部会の先生方にも御確認を頂いて、それで可否を論じていただくことが適切ではないかと考えます。基本的には腎機能障害患者でのデータが少ないので、それをどうだこうだと断定はできない。これは明らかですし、その前提でどういう注意を払ったらいいのか、市販後にはどのような検討をするのか、これがセットでないとどうしても納得できないという今日の御議論だったと思いますので、対応の方針としては、今申し上げた所を中心に精査をし、その上で先生方に対応案について御検討、御確認を頂いてということで、次回に臨みたいと考えておりますが、いかがでございましょうか。

○松井部会長 いかがですか。よろしいですか。これで閉会していいですね。どうも御苦労さまでございました。


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

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