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第121回労働政策審議会安全衛生分科会(議事録)

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成31年3月19日(火)10:00~

○場所

合同庁舎第5号館省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者


委員(五十音順、敬称略):
   明石 祐二、漆原 肇、熊崎 美枝子、袈裟丸 暢子、佐保昌一、
        城内 博、砂原 和仁、土橋 律、中澤 善美、中村 節雄、縄野 徳弘、
        三柴 丈典、水田 勇司、最川 隆由、山口 直人

事務局:
   椎葉 茂樹(安全衛生部長)
   久知良 俊二(計画課長)
   奥村 伸人(安全課長)
   神ノ田 昌博(労働衛生課長)
   塚本勝利(化学物質対策課長)
   小沼 宏治(産業保健支援室長)
       

○議題

(1)労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)その他

 

○議事

○土橋分科会長 定刻になりましたので、ただいまから第121回「労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。
 本日の出欠状況ですが、公益代表委員は高田委員、水島委員、労働者代表委員は青木委員、勝野委員、使用者代表委員は増田委員、矢内委員が欠席されております。
 傍聴の方へのお願いですが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。
 議事に入ります。まず、議題(1)「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について」でございます。まずは事務局から、資料の説明をお願いします。
○小沼産業保健支援室長 産業支援室長でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、議題1の、健康管理手帳の交付対象業務にオルト-トルイジンを取り扱う業務を追加するための労働安全衛生法施行令と労働安全衛生規則の改正案について、説明をさせていただきます。
 最初に、資料1-2を使って説明させていただきます。こちらをごらんください。
 まず、健康管理手帳制度について説明をさせていただきます。1の改正趣旨の1つ目の○にありますように、労働安全衛生法第67条に基づき、がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で、一定の要件に該当する方に、離職の際または離職の後に、国が健康管理手帳を交付して、健康診断を無償で受けていただくという制度になります。
 現在、健康管理手帳の交付対象とされている業務ですが、ベンジジンやその塩を取り扱う業務、石綿を取り扱う業務など、13業務が労働安全衛生法施行令に列挙されております。最近の追加例としましては、平成25年の、1,2-ジクロロプロパンを取り扱う業務があります。こちらのほうは印刷会社の胆管がんの原因物質でございます。
 健康管理手帳の交付状況でございますが、平成29年現在で、13業務の合計で約7万人となっております。
 次に、健康管理手帳の交付対象に新たな業務を追加するための要件について説明させていただきます。資料1-2の、1の「改正の趣旨」の2つ目の○になります。こちらにありますとおり、平成7年の専門家による検討会において、※部分にありますマル1からマル3の要件をいずれも満たすことが求められております。
 一つずつ説明いたしますと、マル1の要件につきましては、安全衛生関係法令で規制が加えられていること、というものです。オルト-トルイジンにつきましては、化学工場での膀胱がんの発生を受け、平成29年に特定化学物質に追加されておりますので、この要件を満たしております。
 マル2の要件につきましては、業務上の疾病として列挙されていることというものです。この点につきましては、今月11日に開催されました労働政策審議会労災保険部会におきまして、業務上疾病を列挙している労働基準法施行規則の別表第1の2に、オルト-トルイジンにさらされる業務による膀胱がんを追加することについて、答申をいただいておりますので、この要件を満たしております。
 マル3の要件につきましては、業務に起因する疾病として高い確率で労災認定された事案があることというものです。オルト-トルイジンにさらされる業務に従事した方の膀胱がんについては、平成30年度までに12件の労災申請があり、うち11件が認定済みです。残り1件が審査中という状況ですので、この要件を満たすものと考えております。
 続きまして、安全衛生法施行令と安全衛生規則の改正内容について説明させていただきます。具体的には、2の、改正内容のとおりになります。
 安全衛生法施行令の改正内容につきましては、1つ目の○にありますとおり、健康管理手帳を交付する業務として「オルト-トルイジン(これをその重量の1パーセントを超えて含有する製剤その他の物を含む。)を製造し、又は取り扱う業務を追加する」こととしております。
 また、安全衛生規則の改正内容につきましては、2つ目の○にありますとおり、この業務に5年以上従事した経験をお持ちの方を交付対象にすることとしております。この5年につきましては、オルト-トルイジンを取り扱う業務に従事した方の膀胱がんに関する研究論文などを、専門家に御検討いただいた結果を踏まえて設定したものになります。もちろんこれに関連いたしまして、健康管理手帳の様式の改正というものもございます。
 なお、これらの改正内容について御了解をいただけるようでございましたら、4月上旬から早速、制度改正を施行したいと考えているというものでございます。
 以上のほか、少し説明の順番が前後しますが、オルト-トルイジンの概要について説明をさせていただきます。平成28年の第97回安全衛生分科会で、オルト-トルイジンを特定化学物質に追加する際に説明をさせていただいておりますが、要点だけ申しますと、アゾ系及び硫化系染料の原料、それから溶剤などとして用いられております。
 国内の取り扱い状況ですが、労働基準監督署に報告のあった特殊健康診断結果によりますと、平成29年に104事業所、1,008人の方が取り扱っておられます。
 最後に、健康管理手帳には交付業務の経歴などが記載されているのかどうか、そういった御質問をいただくことがございますので、この点について説明します。健康管理手帳の様式には、職歴の記載欄が設けられており、従事した事業所の名称、従事した業務の内容、従事期間について記入欄が設けられております。また、この記入欄は、複数の事業所で交付業務に従事した場合は、それらを全て記載できるようになっております。したがいまして、どの事業所でどのような業務に、どれくらいの期間従事したのかがわかるようになっているというものでございます。
 加えまして、離職前のオルト-トルイジンによる疾病ですとか、既往歴、それから治療歴、離職前直近の健康診断の結果につきましても、記載する欄が設けられておりまして、健康管理手帳による健康診断を行う医師が確認できるようになっております。
 議題1の説明は以上です。御審議をお願いいたします。
○土橋分科会長 ただいま、事務局より説明いただきました内容について、質問等、発言のある方は挙手をお願いいたします。
 明石委員。
○明石委員 数字を教えていただきたいのですけれども、資料1-2の、改正の内容のところの、まず、オルト-トルイジンを製造し取り扱う業務に携わっている方がどれぐらいなのかと、その下の5年以上従事した経験者、これがどれぐらいか、概数で結構なので教えてください。
○小沼産業保健支援室長 オルト-トルイジンを取り扱う業務に従事している方につきましては、特殊健康診断結果報告、こちらは事業所の規模にかかわらず提出いただいておりますので、ほぼ全数だと思いますが、平成29年に全国で1,008人でございます。
 ただその中で、5年以上取り扱っている方が何人いるのかということは、私どもも把握できていないという状況でございます。
○土橋分科会長 よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょうか。山口委員。
○山口委員 今の1,008人は、特殊健康診断を受けているということですから、現役の方ということですね。
○小沼産業保健支援室長 そうなります。
○山口委員 過去にオルト-トルイジンを使って、何年も前に離職したという方が健康管理手帳の交付を申請する場合は、勤めていた会社からそういう情報を得てということになるのでしょうか。質問です。
○小沼産業保健支援室長 申請のときに、どのような作業、どういう物質を、いつ頃使っていたかということを書いていただく様式がございますので、それについては会社のほうに御確認をいただいて、記入をして出していただくという形になります。
○山口委員 例えば5年前までオルト-トルイジンを扱っていたという方の作業歴は、会社に10年前、15年前というものがあり得ると思うのですが、その情報は会社に保管されているということでよろしいのでしょうか。
○小沼産業保健支援室長 特化物に追加された時期が平成29年でございますので、それ以前について、特殊健診が行われているわけではありませんので、明確な健診結果が残っているかというと、それは平成29年度以前については残っていないということになります。
 ただ、私どもは、これをあくまでも健康管理と予防という観点でやっておりますので、お勤めの会社でオルト-トルイジンを使っていたのだということだけでもはっきりしていただければ、それ以上余り細かなことを求めることはしていないというのが実体的な運用でございます。
○山口委員 ありがとうございます。
 質問しましたのは、健康情報のほうの検討会の中で、法令で定められている期間を超えて、いろいろな情報を保管することがむしろ望ましくないと。例えば大きな会社の中には、そういう作業歴とか暴露歴とかをきちんと自主的に保管している会社もあると思うのです。特に大企業です。その際に、そういう情報の管理、特にオルト-トルイジンみたいにIARC、国際がん研究機関が非常に厳しい判断を示しているような物質が過去の作業歴について、どんなふうな取り扱いになるのかということを考えますと、ここからは私の個人的な意見ですが、そういうふうなある程度の可能性の高いようなものについては、むしろ会社に情報の保管をある程度の期間、例えば30年とかの期間を義務づけるような形にして、作業歴が十分に情報として活用できるような体制をつくるということが今後求められるのではないかなと。
 オルト-トルイジンも、この前の1,2-ジクロロプロパンも、あくまでも分子が余りにも過激に、たくさんの型が発見、診断されたということで、大変極めてまれな偶然で、この御家族も対象になったということで、分母がきちんとしていればそんなことが起こる前に、疫学的な分析でいろいろなことがわかったはずだと。そういうことを考えますと、今後作業歴をどういうふうにしていくかということを、行政が中心になって御検討いただくのが今後望ましいのではないかと思いますので、質問させていただきました。
○小沼産業保健支援室長 13次防の中でも、そういった化学物質の取り扱い履歴ですとか、そういったものの扱いについて検討していくということになっておりますので、その中で何ができるか考えていきたいと思っております。
○土橋分科会長 よろしいでしょうか。
 ほかにいかがでしょうか。城内委員。
○城内委員 今回のいわゆる裾切り値といいますか、1%になっているわけですけれども、いろいろほかでも、例えば裾切り値については、0.1%とか1%とか3%とかあると思うのですが、特に健康管理手帳でのこの1%と、そのほかの裾切り値の考え方の基本といいますか、そういうことを御説明いただけるとありがたいかなと。
○小沼産業保健支援室長 ちょっとよく聞き取れなかったのですが。
○城内委員 ほかの、例えば管理とかでは、0.1%とか、ここでもありますけれども、3%とかいろいろな裾切り値が使われているように思うのですが、それについての基本的な考え方といいますか、それを教えていただければと思います。
○小沼産業保健支援室長 明確なルールがあるわけではないと思われます。正直申しまして、それぞれの物質を追加するときには、専門家の御意見を伺って決めているのですが、一般的には健康管理手帳制度の中では、重量の1%というものがありまして、例えば一部合金とか、そういったものについては3%というのがあるのですが、それ以外は1%というものが一般的になっております。
○城内委員 ありがとうございます。
○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、当分科会といたしましては「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について」につきまして、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○土橋分科会長 ありがとうございます。
 それでは、事務局で手続をお願いいたします。
 次に議題(2)「その他」ですが、何かございますでしょうか。
○奥村安全課長 安全課長の奥村と申します。その他につきまして、私から一つ、過去に分科会に提出した資料の訂正について、御報告をさしあげたいと思います。横長の資料2-1をごらんください。
 昨年2月に策定した第13次労働災害防止計画につきましては、陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設及び飲食店の4業種について、計画期間中に死傷年千人率で5%以上災害を減少させることを目標の一つとして、諮問、答申いただいているところでございます。今般、諮問の際にお示しした参考情報におきまして、小売業と飲食店の死傷年千人率に誤りがあることが判明いたしました。
 死傷年千人率とは、労働者千人当たりの休業4日以上の死傷災害のことです。どのような誤りかと申しますと、業種別の死傷年千人率を算出するに当たって、分母である総務省の「労働力調査」における業種別の平均労働者数のうち、小売業と飲食店の算出方法に誤りがあったものです。「持ち帰り・配達飲食サービス業」という業種につきまして、本来は「小売業」に分類されるべきところでしたが、平均労働者数を算出する際に、誤って「飲食店」に分類していたものです。
 この結果「小売業」の平均労働者が少なく算出され、死傷年千人率は実際より大きく計算されました。一方で「飲食店」の平均労働者数は多くなったため、死傷年千人率は実際よりも小さく算出されたというものでございます。
 なお、監督署が受理いたしました「持ち帰り・配達飲食サービス業」の死傷病報告につきましては、監督署の職員が労働基準局の業種分類に基づき、正しく「小売業」に分類しシステム入力しておりました。
 3ページ目でございます。現在の死傷年千人率の公表につきましては、第13次労働災害防止計画の案を諮問する際、添付資料である「『第13次労働災害防止計画』(案)」の参考資料として、平成24から平成28年の業種別死傷年千人率の推移が掲載されていました。2月20日に労働政策審議会長より答申をいただき、28日に厚生労働大臣が計画を策定、3月19日に官報公示したところでございます。
 一方、3月19日に官報に公示した計画本文には、前述の死傷年千人率の推移は含まれておりません。ただし、ホームページの参考資料には掲載されているというものでございます。
 4ページ目からは、今後の対応方針でございます。厚生労働省のホームページの参考資料に掲載されている、平成24年から平成28年の小売業と飲食店の死傷年千人率について修正いたします。
 第13次労働災害防止計画における目標の「死傷者数を2017年と比較して、2022年までに死傷年千人率で5%以上減少させる」という目標については変更しないと考えております。
 5ページ目に入ります。一方、厚生労働省のホームページ上に、第13次労働災害防止計画に基づき算出した、死傷年千人率の目標数値を参考資料として掲載しております。この【小売業】と【飲食店】の数値目標を修正いたします。具体的には【小売業】の目標数値を2.21から2.09としていたところを2.04から1.93へ。また【飲食店】の目標を1.74から1.65としていたところを2.16から2.05への修正です。
 6ページ目です。小売業及び飲食店の死傷年千人率の推移につきましては、グラフのとおり修正いたします。全体的な傾向をごらんいただきたいと思います。
 7ページ目の(参考)でございます。2月19日の分科会に御提出した資料でございまして、計画の本文に続く形で、参考資料として業種別の死傷年千人率の推移についての表が掲載されているところでございます。
 報告は以上でございますが、最後に、数値の誤ったことにより、関係者の皆さんには御迷惑をおかけいたしました。再発のないように徹底してまいりたいと考えております。
 以上です。
○土橋分科会長 御報告ということですが、質問等はございますでしょうか。
 漆原委員。
○漆原委員 今、御説明いただいた死傷年千人率は、第13次防以外のところで数値を利用しているとか、この数値の利用により影響が出ているということはあるのでしょうか。
○奥村安全課長 行政の正式な報告ですとか、ホームページ上ではこれ以外はありません。ただ、千人率は厚生労働省から寄稿する雑誌の記事ですとか、講演会での資料などに引用されていることもあるかもしれません。そういったものは、たちまちに修正はできないのですけれども、公表されている、オフィシャルなものとしてはこれ以外にはございません。○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。目標の「5%以上減少させる」というところは変えずに、スタートの数字が変わるという扱いということでございますが、よろしいですね。
 それでは、御報告として承ったということにさせていただきます。
 議題としては以上でございますが、全体を通して何かございますでしょうか。
 それでは、これで全ての議題を終了いたしました。本日も熱心に御議論いただきましてありがとうございました。
 最後に、事務局から連絡事項をお願いします。
○久知良計画課長 本日、答申をいただきました案件につきましては、早急に手続を進めたいと思います。次回の分科会につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。
 以上です。
○土橋分科会長 それでは、本日の分科会は、これで終了いたします。なお、議事録の署名につきましては、労働者代表委員は袈裟丸委員、使用者代表委員は中村委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日はお忙しい中、ありがとうございました。
 
 

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