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第118回労働政策審議会安全衛生分科会(議事録)

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成30年10月24日(水)16:30~
 

○場所

厚生労働省 労働基準局第1会議室(中央合同庁舎第5号館16階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者


委員(五十音順、敬称略):
   明石 祐二、漆原 肇、勝野 圭司、栗林 正巳、袈裟丸 暢子、佐保 昌一、城内 博、土橋 律、
   中村 節雄、増田 将史、三柴 丈典、水島 郁子、水田 勇司、最川 隆由、山口 直人

事務局:
   久知良 俊二(計画課長)
   奥村 伸人(安全課長)
   佐々木邦臣(建設安全対策室長)
   神ノ田昌博(労働衛生課長)
 

○議題

 

(1)伐木関係の省令改正について(諮問)
(2)その他
 

○議事


○土橋分科会長 ただいまから、第118回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日の出欠状況は、公益代表委員は熊崎委員、髙田委員、労働者代表委員は青木委員、縄野委員、使用者代表委員は中澤委員、矢内委員が欠席されています。事務局からご紹介があるということなので、お願いします。
○久知良計画課長 本日はペーパーレス開催としています。これまでも安全衛生分科会は度々ペーパーレス開催を行ってきましたが、厚生労働省全体としては、これまでの開催は試行的な実施、トライアルとしての実施ということでの開催でした。今般、10月に厚生労働省全体として方針が定められまして、今後は審議会については原則ペーパーレス化で行うということになっています。当分科会としても、今後それに沿って対応していきたいと思っています。
本日は安全衛生部長、化学物質対策課長は所用のため欠席とさせていただいています。それから、本日の議題の関連で、建設安全対策室長の佐々木が夏の着任以降、初めて出席していますので御紹介申し上げます。
○佐々木建設安全対策室長 建設安全対策室の佐々木でございます。よろしくお願いいたします。
○土橋分科会長 傍聴の方にお願いですが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。
議事に入ります。本日は1件です。議題の伐木関係の省令改正につきまして、事務局から資料の説明をお願いします。
○奥村安全課長 安全課長の奥村です。伐木関係の省令改正についての諮問内容を説明いたします。お手元の資料1の省令案の改正要綱が諮問の主体ですが、内容につきましては資料2を用いて説明したいと思います。
2ページから説明いたします。伐木等の作業における労働災害の発生状況ですが、まず、図1を御覧ください。平成24~28年の林業における死傷年千人率の推移を示しています。死傷年千人率とは、1年間に発生した労働者1,000人当たりの労働災害による休業4日以上の死傷者を示しています。平成28年の数値を見ますと、折れ線グラフの下のほうから、全産業が2.2、建設業4.5、陸上貨物運送事業8.2、林業31.2となっており、林業における死傷年千人率が他の産業と比べてかなり高い数字になっていることが分かります。
図2を御覧ください。平成11~28年の林業における労働災害の死亡者数の推移です。長期的には減少傾向にありますが、平成23年以降の死亡者数は40人前後で推移しており、高止まりの状況になっていると考えています。図3は、平成27年と平成28年に発生した林業における死亡者数79人について、作業の種類別の死亡者数を示しています。チェーンソー作業による伐木中に発生した死亡災害が全体の約6割となっています。次に、図4は、平成21~28年の林業における労働災害による休業4日以上の死傷者数の推移です。これも長期的には減少しています。平成11~28年の間に、おおむね半分に減少しています。図5は、平成27年と平成28年に発生した休業4日以上の死傷者3,180人について、起因物別に示しています。立木等の件数が全体の3割。伐木する際に反発したチェーンソーのソーチェーンで足を切ってしまう災害などが見られます。このように、チェーンソーを起因物とするものが全体の約2割を占めています。
3ページにお進みください。伐木等における安全作業の在り方に関する検討会です。この趣旨は、先ほどの災害発生状況のとおり、長期的には災害は減少傾向にありますが、平成23年以降の死亡者数は40人前後で推移しており、残念ながら改善が見られません。死亡災害の起因物は作業中に伐木した立木等に激突されるなど、約6割は立木等が起因物です。また、休業4日以上の死傷者数で見れば、立木等が約3割、チェーンソーが約2割と、これらが多数を占めています。
林業におきましては、林野庁の「緑の雇用」事業等により若年者の入職を推進しています。現在、若年者率は上昇傾向にあり、また、従事者数は長期的には減少しているものの近年は下げ止まっている傾向にあります。戦後の植林が盛んであった時代に植林された人工林では今、木が成長しており、丸太として切り出すのに適当な時期を迎えています。このため、供給サイドの事情により伐木作業が増加することが見込まれています。
このような状況を踏まえ、本検討会では、林業における労働災害の一層の減少を図るため、伐木等作業における安全対策のあり方について検討していただきました。検討に当たりましては、3の参集者名簿のとおり、林業・木材製造業労働災害防止協会をはじめ林業に関係する労働組合、使用者側の代表の方、有識者の方に参集いただきました。また、林野庁からもオブザーバーとして参加していただいています。座長につきましては、林野庁関係の独立行政法人である森林総合研究所にいらした広部先生にお願いしました。
4の検討経過のとおり、昨年11月29日の第1回の検討会から計3回の検討会を開催し、報告書を取りまとめ、本年3月6日に報告書を発表しました。
報告書の結論としては、5の提言の概要にまとめました。1のチェーンソーによる伐木・造材作業における災害の防止、2の教育の充実、3の国、地方自治体、業界団体、労働災害防止団体等の取組、4のその他としてまとめていただきました。私どもは、これらに基づきまして、今般、省令改正案を作成いたしました。
4ページを御覧ください。労働安全衛生規則の一部を改正する省令(案)についての概要です。1の「改正の趣旨」につきましては、報告書を踏まえ、安全衛生規則の見直しを行うものです。また併せて、安全衛生特別教育規程の内容も見直すこととしています。
2「改正の概要」の(1)チェーンソーによる伐木作業等の特別教育を統合については、現行では、大径木を伐木するときの特別教育と、それ以外の立木をチェーンソーで伐木するときの特別教育の2つがありますが、これを1つに統合するというものです。省令の改正ではありませんが、特別教育の統合に合わせて、安全衛生特別教育規程の告示の改正を行い、今般の省令 改正で規制が強化される事項について、新たな教育のカリキュラムに盛り込むことにしています。具体的には、学科教育の中で、「伐木作業に関する知識」の科目及び実技試験の中で「伐木の方法の科目」の範囲に、新たに造材の方法及び下肢の切創防止用保護衣等の正しい着用の仕方を追加するものです。
(2)車両系木材伐出機械による作業、林業架線作業及び簡易林業架線作業の計画に示す事項に、労働災害が発生した場合の応急の措置及び傷病者の搬送方法を追加することとしました。林業では救急車が入れない山林での作業が多いので、労働災害が発生した場合には現場で応急措置を取って、担架等により搬出するということが必要になります。その方法につきましても計画を作ることを事業者に義務付けるというものです。
(3)伐木作業における受け口を作るべき立木の対象を、胸高直径が40cm以上のものから20cm以上のものへと拡大するとともに、伐根直径の4分の1以上の深さの受け口に加えて適当な深さの追い口を作ることとする。この場合において、技術的に困難である場合を除き、受け口と追い口の間には適当な幅の切り残しを確保すること、と記載しています。
この図1で言いますと、左側に伐倒しようとしているのですが、伐倒したい方向に「受け口」という三角形の切り込みを入れます。現行の労働安全衛生規則におきましては、高さ1.2m程度における立木の直径である胸高直径が40cm以上の、いわば大きな木を対象にしていましたが、実際、現場では20cm以上の立木を伐採することが主流になっており、そこらで労働災害も発生していることから、受け口対象の範囲を40cm以上から20cm以上のものへと拡大するものです。また、立木を伐倒する際には、受け口という三角形の切り込みに加えて、受け口の反対側にチェーンソーで「追い口」という切り込みを付けます。この追い口の切り込みを受け口までつなげてしまうと、その場で倒れてしまって退避する時間がなくなってしまいますので、現場では、図1にありますように、「つる」という切り残しを一定幅設けて、通常直径の10分の1程度になりますが、これを残し、これが、倒れるときにヒンジの役割になって安全に倒れるというものです。このような措置を20cm以上の伐木に対して設けるというものです。
(4)事業者に対して、伐木作業における「かかり木」の速やかな措置を義務付けることとする。ただし、速やかに処理することが困難なときには、当該かかり木が激突することにより労働者に危険が生ずる箇所において、当該処理の作業に従事する労働者以外の労働者が立ち入ることを禁止し、また、その旨を縄張・標識の設置等の措置によって明示した後、遅滞なく処理すれば足りることとしています。「かかり木」というのは、チェーンソーで伐木した木が隣の木に掛かってしまって倒れなくなってしまう状況です。風が吹いたりすると、いつ倒れるか分からないという大変危険な状態が続きます。そのために速やかな処置を義務付けるものです。図2は、かかり木の処理の仕方について、作業員が複数あるいは1人で倒そうとしている図があります。これらが一般的に行われている作業です。このほかに、倒れかけた木にロープを巻き付けて、それをウインチで牽引するなどによって、木そのものを回して歯車の効果で木を倒すという方法も行われていますが、この図では省略しています。これは危険な状態です。現在、林業の現場では若年者が入職していることもあり、伐木作業に従事した労働者が単独でかかり木を処理できず、ベテランの労働者に応援・支援を依頼するために、その場を離れることも想定されます。このように、かかり木を安全な方法で速やかに処理できない場合には、立入禁止の措置を講じるというものです。
(5)かかり木の処理において、労働者にかかり木に掛かられている立木を伐倒させ、又はかかり木に激突させるために、かかり木以外の立木を伐倒させてはならず、また、労働者がこれを行ってはならないこととします。図3、4を御覧ください。図3が掛かられている木の伐倒で、図4は「浴びせ倒し」という、第3の木で第1の木を倒すものです。
また、かかり木処理においては「元玉切り」という方法もあります。図にはないのですが、図の3で申しますと、倒れて斜めになっている木の根元をもう一度切って更に倒そうというのが元玉切りです。同じ木を2回に分けて切るというのが元玉切りというものです。これを禁止することについては、検討会におきまして賛否が分かれました。検討会の結論としましては、元玉切りについては省令では禁止とはしないが、厚生労働省が定める、かかり木処理ガイドラインで強く注意を促すこととするとされたものです。このため、今般の改正では、元玉切りを改正規則において禁止にはしないものの、危険な作業ですので、安易に実施されることがないよう留意すべきであり、今般の省令改正後に見直すことになるガイドラインにおいてその危険性を明確に示し、元玉切りは安全であるというような誤解が生じないよう注意喚起を徹底したいと考えています。また、周知・啓発用のリーフレットでも、かかり木の処理における元玉切りが危険なことをはっきり示し、関係する事業者・労働者への周知を徹底していきたいと考えています。
5ページの(6)事業者は、伐木作業においては当該立木の高さの2倍に相当する距離を半径とする円形の内側には、当該立木の伐倒の作業に従事する労働者以外の労働者の立入りを禁止しなければならないとすることを設けました。
(7)かかり木の処理におきましては、かかり木が激突する危険が生じる恐れがある所には当該かかり木処理の作業に従事する労働者以外を立ち入らせてはならないとすることにつきましても、(6)と同じような考え方で立入禁止にするというものです。
(8)修羅による集材又は運材の作業において、労働者を木材の滑路に入らせない等の措置の事業者に対する義務付けを廃止することについてです。図5に「修羅」の絵があります。過去の林業の現場では、修羅という、いわば木材の滑べり台を設けまして、そこで集材や運材を行っていました。大変危険な作業ですが、現行の労働安全衛生規則には残っています。これは現在の林業の現場では用いられていない、過去の遺物のような規定となっています。このため、実態に合わせて、これを廃止するものです。
(9)事業者は、チェーンソーによる伐木作業等を行う労働者に下肢の切創防止用保護衣を着用させなければならず、また、当該労働者は当該切創用保護衣を着用しなければならないとすることとしました。伐木する際に、反発するチェーンソーのソーチェーンで足を切ってしまう災害などが見られます。全体の約2割をチェーンソーによる災害が占めていますから、下肢を保護する保護衣の着用を義務付けるというものです。図6に、示しています。こういった防護ズボンが開発されています。
(10)です。「木馬運材」及び「雪そり運材」に係る規制を廃止します。過去に林業の現場では、「木馬」という、いわば筏のようなものに積んで、木馬道という通路の上を人力で運搬していました。これも大変危険な作業です。また、冬期には木材を積んだ「そり」で雪の上を運んでいました。これはもう現在は行われていないものですので、廃止するという内容です。(11)その他所要の改正を行います。
3は、施行期日等ですが、現時点では本年12月の公布を目指したいと思っています。施行日については、修羅、木馬運材及び雪そり運材などの廃止に係るものは公布日に施行し、特別教育に係る2の(1)につきましては、周知と追加教育の受講期間を1年半設けることとして2020年6月に施行したいと。それ以外につきましては2019年6月に施行するという予定にしています。
改正省令の施行に向け、林業事業者、労働者、関係者にしっかりと改正の内容を周知する必要があると考えており、分かりやすくポイントをまとめたリーフレットをなるべく早期に作成し、これを用いて監督署等を通じて周知を図って参ります。
次に、参考資料です。パブリックコメントの御意見を御紹介いたします。まず、1番目は概要についてです。平成30年7月27日~8月26日までの1か月間、意見募集期間を設けました。改正省令の順番に合わせて御意見を整理した表を載せています。
まず、全体の意見78件のうち15件が、かかり木の処理についてのものでした。元玉切りについて、改正省令案には、元玉切りという文言はありませんが、大きな関心があり、11件の意見を頂いています。元玉切りを禁止すべきという御意見が10件、禁止すべきではないという御意見が1件ありました。禁止すべきという意見の内容は、林業・木材製造業労働災害防止協会の林業・木材製造業労働災害防止規程の中で禁止となっていること、元玉切りで起因する災害が発生していること、したがって、報告書の内容にかかわらず、かかり木の処理の禁止事項に、元玉切りを追加するべきであるという御意見です。その下の案も、元玉切りを追加すべきという案です。一方、禁止するべきではないという御意見では、技術として認めるべきである、ドイツではフォレスターを含め、この「フォレスター」というのはドイツの公務員で「森林官」という森林技術者ですが、そういった方たちも技術として使っているといったことを理由としています。
次のページです。浴びせ倒しについて3件の意見を頂いています。浴びせ倒しを禁止するべきという意見が1件、禁止すべきではないという御意見が2件です。かかられている木の伐倒につきましては、禁止すべきという意見が1件、禁止すべきではないという意見が1件でした。
次に、項目の2番目です。伐木作業において受け口を作るべき立木の対象を胸高直径40cm以上から20cm以上に拡大することにつきましては9件の意見を頂いています。これに賛成という意見は0件、反対という意見が5件でした。
3番目のチェーンソーによる切創防止用保護衣の着用の義務付けにつきましては9件の御意見を頂きました。賛成とする御意見が1件、反対とする意見は0件なのですが、そのほかに8件あり、防護ズボンだけではなく靴も着用を義務付けるべきであるという御意見であったことを御紹介いたします。
4番目の特別教育の統合につきましては5件の意見を頂いていまして、賛成とする御意見が0件、反対とする御意見が1件でした。安全衛生特別教育規程の内容につきましては、賛成0件、反対1件という内容です。以上がパブリックコメントの大まかな説明です。私からの説明は以上です。
○土橋分科会長 ただいま事務局より説明いただいた内容について、質問等、発言のある方は挙手をお願いします。
○水田委員 改正案についてですが、改正概要の(5)かかり木の処理の関係です。これは説明がありましたが、かかり木の処理に関わって、かかり木に、かかられている木の伐倒と、かかり木以外の立木を伐倒する、いわゆる浴びせ倒しについて禁止事項として、この省令案に挙がっています。平成14年のかかり木処理の作業における労働災害防止のためのガイドラインは、この2つと合わせて説明のありました「元玉切り」、かかっている木の「肩担ぎ」、かかり木の「枝切り」ということで、5つが禁止事項として挙げられています。そのうち、かかられている木の伐倒と浴びせ倒しの2つだけが省令案の禁止事項となったのか、どうも理解ができないということです。
肩担ぎや、かかり木の枝切りについては、現実的にはそういう作業はしないだろうということだと思うのですが、元玉切りの関係については、これは省令案にある、かかられている木の伐倒と浴びせ倒しと同じように、死亡災害が多く発生している作業です。現実に、9月に元玉切りをやったことで、それに起因するような死亡災害も発生しているという状況になっています。そうしたことを踏まえれば、この検討委員会の提言に関わらず元玉切りについても同様の扱いとして禁止事項に加えるべきだと思います。「同様に」ということの厚生労働省の話も今ほどありましたが、改めて、この元玉切りもかかられている木の伐倒、浴びせ倒しと同様に禁止事項として挙げるべきだということでの意見です。
もう1つですが、林業における労働災害を減少させるということでいけば、とにかく未然防止が大前提ですから、この労働災害の未然防止のために、事業者の責務を明確化して、厳格化しながら、きちんと末端まで周知されて、安全対策が図られるような対応をお願いしたいということです。検討会報告書の趣旨を見れば、若年層が占める割合が上昇傾向にあるということにされています。災害実態などを見ると、経験豊富な方、いわゆるベテランの災害も多い状況です。若年層への教育と併せて、全労働者に対しての繰り返しの研修とか指導を行っていく必要があると思いますから、きちんと末端まで指導が行き届くような周知などの対策を、併せて求めておきたいと思います。
○土橋分科会長 事務局側、いかがですか。
○奥村安全課長 最初の御意見は、元玉切りも禁止すべきではないかということですが、検討会においても元玉切りを禁止すべきという意見もあり、また、安全な元玉切りを行わせるべきであるという意見もありましたが、検討会の報告書では、結局、禁止することには至らなかったわけです。私どもにおいては、その検討会の結論を踏まえ、禁止はしないものの、元玉切りについても浴びせ倒しとか、かかられた木の伐木と同様に危険な作業ですので、それをしっかりとガイドライン等により危険性を十分に周知していきたいと考えております。つまり、ガイドラインとかリーフレットには、元玉切りの危険性を十分に周知で示して、それでガイドラインの概要で、安全なかかり木の処理の仕方を示していきたいと考えています。
2番目のベテランであっても事故が起こっているという件です。私どもも、再教育が必要であると考えており、能力向上教育という名前で、ベテランの方を対象にしても教育制度を設けております。林業・木材製造業労働災害防止協会と連携して、そういった講習会をしっかりと開催して対応していきたいと考えております。ガイドラインの改定、また、そのガイドラインの周知のために教育や事項の研修をこれから設けてまいります。そういったときにベテランの方への再教育についても呼び掛けて指導していきたいと考えております。
○土橋分科会長 私のほうからも。この検討会は専門家と関係者が集まってやられたものかと思いますが、その中で元玉切りは出てきたけれども、ガイドラインレベルという少し違いを出しているわけですが、この辺りはどういう理由で、リスクの問題ですか、それとも何か技術ということでしょうか。
○奥村安全課長 報告書ではリスク論において、リスクはもちろんあるのですが、今、省令で禁止しようしているものに比べると、リスクの程度は比較すると違いがあるということでこの内容になっております。
○土橋分科会長 御意見等はありますか。
○三柴委員 この問題については私も調べてみたのですが、今問われているのが省令という強制力がある規制ですので余計に、国外の例を見ても、いろいろな意味でバランスが取れた規制が必要だろうと思います。私は、その観点で見たときに、2点の理由から、省令で元玉切りまで、にわかに規制しなくてもいいのではないかと考えます。
1点目は、どうも調べてみますと、林業では車両による大型機械などが入っていけない所がありますが、そういう所でも事業自体は行わなくてはいけないという事情がある。もう1つには、EUの指令などに書かれている3ステップアプローチを考えると、たとえ最初のステップである本質的な対策は難しくても、第2ステップ目の追加的な防護策とか、3ステップ目の人への教育とか補完的な対策で対応できる問題なのではないかということです。だからこそ、今回はガイドラインのレベルでの規制にとどめる案に至ったのではないかと思います。
ところで、法律論者として見たときに、ガイドラインにはどういう意味があるかですが、1つは注意喚起という意味がある。その他に、民事の責任を考えると、実は事情に応じた対応を求めていると。要するに、ガイドラインに書いてあることが、このケースでは、是非ともやるべきであるというのに怠ったということになると、民事の責任を負うということにもなります。そういう意味も持ちますし、この課題については、別途、災防規程による補強もあるわけです。ですから、ガイドラインレベルだから、単に拘束力が弱いと考えなくてもいいのではないかということで、以上をもって、私としては、元玉切りをにわかに省令で書かなくてもいいのではないかと考えます。
○土橋分科会長 という御意見を頂きました。ほか、御意見、御質問等はありますか。
○漆原委員 今、法律に関するご意見を伺いましたが、実際、ガイドラインにより禁止と規定されていても、実際には、禁止されている切り方をして災害が起こっていることから、今回、ガイドラインから省令による規制をすることになったと思っています。仮に、ガイドラインにそれなりに効力があって業務災害を予防できているということであれば、改めて省令に格上げする必要もなく、これまでどおりでよかったわけだと思っております。
EUの林業は森で行われ、日本では山で行われます。そのため、日本では、山の傾斜が急で地形が複雑であるなど、両者の林業における対応を単純に比較はできないと思っております。さらに、今回、報告書がまとめられた後に、バブコメを実施してこれだけのご意見が集まったということは、元玉切りに対して、現場での危機感が相当あったと思っております。
現在、林災防のホームページを見ますと、こういうことは禁止するというような、いわゆるパンフが閲覧できますが、それを拝見しますと、先ほどの水田委員がおっしゃられた5つの類型が全部禁止とされており、すでにそれが周知されています。そのガイドラインが周知されていても、なお禁止されている切り方で業務災害が発生しており、先ほどの水田委員からもあったように、この9月に、また死亡災害が起きています。さらに、一人親方の方も被災をされていると聞いております。林業の場合の一人親方の場合は、全てが統計に全部入っているわけではなくて、例えば被災した統計にそうした者の案件が加算されずに千人率などのリスクをもとに元玉切りを除外するとされたとすると、なかなか難しいのではないかと思っております。
○三柴委員 労働側の方の御懸念については私も旨とするところですが、要するに、省令にしてしまうと、一律禁止になってしまうわけです。全く許容の余地を残さなくなってしまうので、そこは均衡を図るべきではないかと。その均衡をどこで求めるかという議論かと理解しています。
○最川委員 質問ですが、建設業でもそうですが、大体、事故が起こると禁止になるのですが、その禁止していったときに、例えば、かかり木の処理で全て対応できればいいのでしょうが、それ以外、それができない場合、やる方法がなくなってしまうことがないのかというのが懸念されるところなのです。今出ている図でみると、倒れている木を切ったり、浴びせ倒しは禁止、元玉処理も禁止だとすると、この絵でいくと、かかり木の処理は、人力で木を横に倒すという作業しかなくなってしまうのかというのを感じたのですが、本当にそれができるのかというのが心配になっているのですが、その点はどうでしょうか。
○奥村安全課長 検討会の議事録にあったかどうかは今定かではないのですが、改めて専門家の方々に意見を伺うと、確かに処理できなくなって放置されてしまうことの危険もあるということはおっしゃっていました。
○土橋分科会長 ということですが、ほかに御意見等はありますか。
○明石委員 質問を先にさせていただきます。今のこの省令案要綱、諮問案に関しては、基本的には報告書から書き出してくるというのが通常ですか。
○奥村安全課長 はい。
○明石委員 分かりました。であるなら、今の水田さんの意見は意見としてあると思いますが、報告書で記載されていることを超えて今回この諮問案で議論するのはなかなか難しいと思います。先ほど御紹介いただいたパブリックコメントでも意見が大きく分かれている部分があります。事業者としては、この報告書も確認させていただきましたし、諮問案の内容的には理解ができるところですが、このパブリックコメントでも、やはり大きく意見が分かれていることも考えれば、もう一度しっかりした検討をさせていただいたほうがいいのではないかと思っています。本日は答申を見送り、一定の検討をした上で、もう一度諮問としていただいたらいかがかなと思います。
○土橋分科会長 という意見も。そうしますと、どういった方法になりますか。検討会で、もう一回少し考えてもらうということもあり得るのでしょうか。
○久知良計画課長 今の再び検討というイメージについて、ちょっと具体的にどのようなイメージだったのかというのを、すみません。
○明石委員 事業者側で検討させて欲しいということです。
○土橋分科会長 これらの意見も含めて事業者側としては、ちょっと時間が欲しいということです。一応、他に。そういうことですと、少し継続審議となろうかと思いますが、この場で他に御意見がございましたら。はい、増田委員。
○増田委員 質問なのですが、資料2の2ページ目に労働災害発生状況のデータが載ってますが、より詳細なものはどこかに公開されているのでしょうか。例えば、作業の種類ごとの発生件数や、あと水田委員が先ほどおっしゃっていた内容に少しあったと思うのですが、実際に若年労働者がやはり労災事故を起こしているとか、そうでないのかとか、今すぐ出してくださいという訳ではないのですが、今後継続して議論していくのであれば、その辺りのデータが欲しいと思ってその確認です。
○奥村安全課長 元になっている検討会の報告書の中には、もう少し細かい分析が記載されております。いろいろ公開されているものはあります。
○土橋分科会長 他、何かありますでしょうか。はい、最川委員
○最川委員 今の増田委員の意見と同じなのですが、先ほどの「かかり木の処理」の方法なのですが、例えば元玉切りで何名の方とか、浴びせ倒しで何名の方って、それぞれの災害件数があれば、次回に提出していただきたいと思います。
○佐々木建設安全対策室長 今の質問ですが、この検討会において、データとして分析をさせていただきましたのは、平成27年と平成28年の死亡災害の結果ですが、かかり木に係る死亡災害が15件ありました。その中で、浴びせ倒しによるものが4件、かかられている木の伐倒によるものが3件、元玉切りについては、この期間では0件です。
○土橋分科会長 先ほど、一人親方の場合という話がありましたが、それは統計には出てこないことになるのですか。
○佐々木建設安全対策室長 ちょっと一人親方までは統計を取ってありません。
○土橋分科会長 もう把握できない、はい。分かりました。
○最川委員 今の、ちょっといいですか。15件のうちの7件なのですが、残りの8件はどういうケースですか。
○佐々木建設安全対策室長 あとは主なものとしては、かかり木が自然に落下してきまして、その下にいた作業者に当たる事故が多いのです。
○土橋分科会長 他、いかがでしょうか。ということで、事業主、使用者側のほうでは検討に時間が欲しいということであります。それから、先ほどの統計のほうも少しちゃんとまとめていただいて資料にしていただければと思います。ということで、引き続き議論ということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは本件については、引き続きの議論ということにいたします。議題としては、以上ですが、全体として何か御発言ありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは本日の議論はここまでといたします。事務局から連絡事項をお願いいたします。
○久知良計画課長 本日も熱心な御議論を頂きましてありがとうございました。次回の分科会については、改めて御連絡をさせていただきます。以上です。
○土橋分科会長 本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は勝野委員、使用者代表委員は増田委員にお願いいたしたいと思いますのでよろしくお願いします。本日は、お忙しい中ありがとうございました。
 
 
 

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