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第115回労働政策審議会安全衛生分科会(議事録)

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成30年7月11日(水)10:00~
 

○場所

厚生労働省省議室(中央合同庁舎第5号館9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
 

○出席者

委員(五十音順、敬称略)

       青木 健、明石 祐二、漆原 肇、熊崎 美枝子、栗林 正巳、佐保 昌一、城内 博、高田 礼子、土橋 律、中澤 善美、
       中村 節雄、縄野 徳弘、増田 将史、三柴 丈典、水田 勇司、山口 直人、
       田久氏(勝野委員代理)  
 

事務局:
   田中 誠二(安全衛生部長)
   久知良 俊二(計画課長)
   井上 仁(安全課長)
   縄田 英樹(建設安全対策室長)
   神ノ田 昌博(労働衛生課長)
   毛利 正(産業保健支援室長)
   奥村 伸人(化学物質対策課長)
   藤枝 茂(労働条件政策課長)
 

○議題

(1)労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について
(2)平成29年労働災害発生状況について(報告)
(3)「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について(報告)
(4)その他

○議事

 

○土橋分科会長 ただいまから、第115回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日の出欠状況ですが、公益代表委員は水島委員、労働者代表委員は袈裟丸委員と勝野委員が欠席されております。なお、勝野委員の代理として、全国建設労働組合総連合の田久様が御着席されております。使用者代表委員は、最川委員と矢内委員が欠席です。傍聴の方へのお願いです。カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
それでは議事に入ります。議題(1)、労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱についてです。資料はNo.1-1と1-2です。これは前回説明があって議論をしておりますが、継続審議ということになっておりますので、前回に引き続き御議論いただきたいと思います。本件について質問、発言等がある方は挙手をお願いいたします。
○栗林委員 ストレスチェック実施者の追加に関する労働安全衛生規則の改正の件で、事業者として意見を申し上げます。前回の本分科会において、ストレスチェックの実施者に必要な研修を終了した歯科医師及び公認心理師を追加することが諮問された際、事業場での影響や効果などについて、慎重に検討したいということで時間を頂きました。検討の結果、本件については了承いたします。ただし、参画いただく歯科医師及び公認心理師については、必要な研修をしっかりと受講していただくとともに、事業場の諸事情を理解していただいた上で、事前にストレスチェック制度の趣旨、目的、内容等を十分に御認識いただけるための施策を講じることをお願いさせていただきたいと思います。
○土橋分科会長 御要望もありました。事務局側、よろしいですか。
○毛利産業保健支援室長 ただいま御意見を頂いた点についてですが、ストレスチェックの実施者については、これまでも看護師等に実施する場合には、研修の受講が義務付けられておりました。その内容は、労働者の健康管理、事業場におけるメンタルヘルス対策、事業場における労働者の健康の保持増進を図るための労働者個人及び労働者の集団に対する支援の方法という科目が指定され、時間も指定されており、適切な講師により実施することとなっています。今回の歯科医師、公認心理師についても、同様の研修の実施を求めることを考えております。つきましては、ただいま御意見があった内容についても実施機関のほうに周知するなどして、適切に実施していきたいと考えております。
○土橋分科会長 他にいかがでしょうか。
○漆原委員 今検討されている研修についてです。御存知のとおり、厚生労働省の中でも労働者の健康情報を扱う検討がなされております。それが仕上がり次第、こういった研修の中にもその趣旨を取り入れて、適切な研修を行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○毛利産業保健支援室長 ただいま御意見があった労働者の健康情報の保護についても、今ほど申した科目の中の労働者の健康管理の中に含まれております。現在、これについては別途検討会で検討しておりますが、その成果物も含めて周知したいと考えております。
○土橋分科会長 他にはよろしいでしょうか。それでは、当分科会としては「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」について、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。

(異議なし)

○土橋分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で手続をお願いいたします。次に議題(2)、平成29年労働災害発生状況の報告事項です。まずは事務局からお願いいたします。
○井上安全課長 私のから資料No.2に基づき、去る5月30日に公表した平成29年労働災害発生状況について、御報告いたします。この統計は、平成29年1~12月までに発生した労働災害の統計です。死亡災害については、労働基準監督署が管内で死亡災害が発生したことを把握した場合に、都道府県労働局及び本省に行う死亡災害報告の情報のうち、平成29年中に発生した労働災害について、今年の場合平成30年4月9日までに本省に報告されたものについて、集計したものです。
休業4日以上の死傷災害については、労働安全衛生法に基づき、事業者から労働基準監督署に提出された労働者死傷病報告の情報のうち、平成29年中に発生した労働災害について、平成30年4月9日までに私どものシステムに入力されたものを集計したものです。毎年、同様のやり方で取りまとめて、5月中を目途に公表しています。
まず1ページから、死亡災害の状況です。平成29年は前年の平成28年と比較して、全産業で50人、5.4%の増加となりました。業種別では陸上貨物運送事業が大幅に増えて38人、38.4%の増加です。建設業では29人、9.9%の増加となっております。2年前の平成27年には全産業で972人、陸上貨物運送事業で125人、建設業で327人でしたので、残念ながら2年前の水準におおむね戻ってしまったという感じです。
事故の状況などを見ますと、死亡災害の増加があった陸上貨物運送事業においては、交通事故は前年と同水準でしたが、荷の積込時などの墜落・転落、あるいはフォークリフトやトラックの逸走によるはさまれ・巻き込まれ等が増加しております。建設業については墜落・転落がかなり多く、そこは前年とは同程度でしたが、作業現場と事務所との間の移動などでの交通事故の死亡が増加しました。
休業4日以上の死傷災害については、全産業で前年から2,550人、2.2%の増加です。業種別では製造業、建設業で僅かに増加しており、陸上貨物運送事業が5.2%の増加です。それから、労働者数の増加が近年著しい第三次産業、小売業や社会福祉施設では、腰痛が主になりますが、転倒あるいは動作の反動・無理な動作の増加が顕著でした。
2ページで、事故の型別の発生状況を示しております。全産業の状況で、構成比は毎年、そんなに大きな変化はありませんが、死亡災害では墜落・転落が4分の1、交通事故が5分の1といったところです。死傷災害では転倒が一番多くなっており、その後に墜落・転落、動作の反動・無理な動作となっております。
3ページを御覧いただきますと、長期的なトレンドを示しております。長期的には御覧のとおり減少傾向ではありますが、近年はなかなか減ってこないというところです。死亡災害については3年ぶりに増加、死傷災害については2年連続で増加となっております。
4ページは、昨年までの第12次労働災害防止計画の状況の図です。速報値の状況は、第13次労働災害防止計画策定時に御説明しております。そのときと状況が大きく変わったものではありませんが、確定値ということでお示ししております。全産業の目標であった、平成24年と比べて15%減少ということについては、死傷・死亡とも残念ながら達成できませんでした。業種別にも目標があり、製造業での死亡災害5%減少というところは達成できたのですが、それ以外の建設業で20%減少とか、陸上貨物で死傷災害10%減少といったところは、残念ながら達成できなかったという状況です。
5ページが参考ということで、一人親方等の死亡災害の発生状況です。一人親方、中小事業主、役員などの一人親方等が建設現場で被災して死亡した災害の昨年の発生状況です。これらの一人親方などの方々は労働者ではありませんので、労働安全衛生法における労働災害に該当しません。そのために、先ほど説明した労働災害発生状況の中には含まれていないものです。また、労働災害に該当しませんので、労働基準監督署への報告が義務付けになっているものではありません。
ただ、各機関からの通報や報道、労災保険特別加入の支給状況などから、可能な限り労働基準監督署等で把握に努め、それを取りまとめて平成26年から公表しています。この表の中の括弧書きが、平成28年の数値です。平成29年の一人親方等の死亡災害の発生状況を見ますと、103名が亡くなっているという状況です。前年比28人の増加です。このうち中小事業主、役員、家族従業者を除いた一人親方については51人、前年比5人の増加となっております。
この3つの表では工事の種類別、事故の型別、墜落・転落災害に係る起因物別ということでまとめております。工事の種類別では建築工事が全体の6割です。事故の型別では墜落・転落災害が全体の6割で、先ほど御報告した労働者の労働災害では、墜落・転落災害が4割を占めておりますので、それよりも高い比率となっております。私からは以上です。
○土橋分科会長 報告ということですが、質問、発言等のある方は挙手をお願いいたします。
○水田委員 平成29年度の確定値を説明いただきましたが、労働災害の発生状況を見れば、転倒、墜落・転落、交通事故、あるいは動作の反動・無理な動作などとあります。今説明がありましたように、それぞれの業種によって、どういう原因が多いのかという傾向はあると思っています。13次防でも、原因究明をした上での目標設定がされておりますが、近年の増加傾向を見ても、厚生労働省として更なる分析と具体的な対応が必要だと思います。労働災害を確実に減少させる対応を、是非お願いしたいと思います。
○土橋分科会長 事務局側、いかがでしょうか。
○井上安全課長 私どもとしましても、いかにしたら労働災害が減るかということで分析をしていきたいと思います。最近、非常に多く増えているのが第三次産業の関係です。労働者数も増えておりますし、転倒災害が非常に多くなっておりますので、その辺りの分析もしながら、対応していきたいと考えております。
○縄田建設安全対策室長 補足いたします。災害の分析をしっかりして、対応をきちんとやれという御指摘だと思います。林業で言うと、伐木中の災害が多いということで昨年検討会をやって、伐木安全の省令改正の手続をやっておりますし、建設業では墜落災害が4割以上を占めているということで、現在墜落の分析をして検討会をやっております。そういった形で、きちんと対策を取っていきたいと考えております。
○土橋分科会長 他にいかがでしょうか。
○城内委員 確認です。今回の資料では、死亡者数と死傷者数の目標値に対する現実の数字が示されているのですが、これまでの資料だと、確かストレスチェックの実施状況とか、化学品の危険有害性情報がどれくらい行われているか等についても目標値が設定され、途中経過の数値が公表されていたと思います。最終的な数字は、どこかに発表されているのでしょうか。よろしくお願いします。
○久知良計画課長 12次防の目標に対する達成度の話だと思います。今回の災害発生状況については、既に平成29年の数字で判断するということになっておりますので、既に確定しております。ただ様々な項目については、今年の秋頃に発表される労働安全衛生の基本調査などの数字で評価をすることになってきますので、まだ全体の数字での評価ができる状態にはないということです。12次防の項目について全部の結果が明らかになった時点が来たら、またこの分科会の場に報告等をさせていただければと思っております。
○オブザーバー田久氏 私のほうからは2点あります。1つ目に、一人親方の関係が増えているという点では、今年度も対策を強化するということで、教育等の事業が行われると聞いております。そういったところでは建設工事従事者としての事故の分析なども、是非していただきたいというのが1点目です。
もう1つは、先週、大きな豪雨災害がありました。実は熊本の地震があった後に、本格的な復興ではない復興のところで地元の組合から、けががすごく多く出てきているということがありました。今回もかなりの広域で、そういったことが考えられます。とにかく建設の仲間は、第一番にそういった現場に行き作業をするという関係で、けがが出やすい状況が生まれるということも考えられますので、是非、厚生労働省からも改めて、そういったことを通達等でもお知らせし、復興を迅速に進めていただきたいと思っております。これはお願いです。
○縄田建設安全対策室長 一人親方については安全衛生の知識を習得する機会が、労働者に比べるとやはり少ないので、田久代理がおっしゃったように、平成30年度から一人親方等を対象とした、安全衛生教育を行う事業を立ち上げております。今、一人親方の災害の過去3年間の分析を進めて、それを踏まえたテキストを開発しており、9月以降、全国の一人親方等を対象に教育を提供していきたいと考えております。
もう一点、西日本の降雨の復旧工事における災害防止についての御指摘がありました。今、私どもで作業をしていることは3つあります。1つ目は、建設業界と都道府県労働局に対し、復旧工事における安全対策の徹底について通知を出し、要請するということをやっております。
2つ目は、復旧災害の過去の事例を見ますと、ボランティアの方が出てきたり、あるいは建設業以外の方が、復旧工事に入ってくるということが多くあります。そこで、建設業のプロでない方を対象に、工事の安全に関する基本的な対策のリーフレットを作って、労働局を通じて、あるいは業界を通じて配布するという周知啓発のようなことをやっています。
3つ目は、やはりプロの建設業の方とは違って、無防備な形で作業をして災害に遭う方も多いのです。そこで、保安用品協会という安全衛生用品を作っているメーカーの団体にお願いして、例えば切創防止用の手袋とか、粉じんを吸わないような使い捨て式の防じんマスク、トラテープ、それから暑い時期に入ってきますので、熱中症防止のための粉末や飴などを、無償で提供していただけないかということをお願いしております。うまくいけば、こういった物を被災地に届けたいと考えております。
○土橋分科会長 他にいかがでしょうか。では、私のほうから1つ。厚生労働省から過労死等の労災補償状況というものが、最近公表されたと思います。本日、御報告いただいた労働災害発生状況の死亡災害の件数に、過労死事案というのは含まれているのでしょうか。
○毛利産業保健支援室長 一部が含まれているということになります。7月6日に公表された過労死等の労災補償状況は対象の年度中、今回で言うと平成29年4月から平成30年3月に、過労死等として認定された件数を取りまとめたものです。脳・心臓疾患で92件、精神障害の自殺で98件、計190件が死亡で認定されているということです。一方、本日の資料にある労働災害発生状況については、対象の年の間、平成29年1月から12月に発生して業務上であることが明らかとなって、平成30年4月の第1週までに労働局から本省に報告された件数を取りまとめるという労働災害の統計のルールがあります。これに沿ったものを集計しているので、件数が異なるということです。
直近の数字で申しますと、脳・心臓疾患で45件、精神障害の自殺で14件、計59件が死亡災害です。先ほど978件という話がありましたが、この円グラフの中では、「その他」の中に含まれております。これは別途、業務上疾病発生状況の調査結果として公表しているものですが、そういった状況にあるということです。
○土橋分科会長 その年のうちに認定されたものが入るということで、平成29年は59件が入っていると。
○毛利産業保健支援室長 その年に発生し、翌年の3月までということです。
○土橋分科会長 年をまたいでしまうと、もう統計には残らないということになるのですか。
○毛利産業保健支援室長 それを過ぎてしまいますと、この死亡災害統計の中には入ってこないということになります。
○土橋分科会長 一応統計ですので、古いものも状況が変われば修正ということも、多少は考えたほうがいいように思いますので、そこは御検討いただければと思います。
○山口委員 1つは全体に関することです。例えば死亡災害については、平成28年に比べると増えたということですが、やはり全体の大きなトレンドを見ることが大事ではないかと。1年1年で上がった下がったというのも、非常に大事だとは思いますが、むしろ3ページの全体のトレンドでいって、以前に比べると減少が下げ止まってきているというほうが大きいのではないかと思います。1年単位の上がり下がりよりも、そういうことにもっと目を向けたほうがいいのではないかと感じました。
もう一点は前にも申し上げたのですが、例えば死亡災害で一番多いのは墜落・転落です。どんな状況で、どういうことが理由で墜落・転落に至ったかという、ちょっと日本語が出てこないのですが、Root causeですよね。Root causeで分析した事例がいっぱいあると思うのです。そういうものを集積して、Root causeにどのような傾向があるのかという統計を取っていただくと、予防に更に直接的につながる貴重な情報になるのではないかと思います。今後詳細な結果が出てくるのかもしれませんが、その辺を是非進めていただけたらと思います。
○土橋分科会長 御意見を頂きました。他にいかがでしょうか。それでは次に、議題(3)、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について、まずは事務局から説明をお願いします。
○久知良計画課長 働き方改革関連法案について御報告申し上げます。前回この分科会の場で、法案が提出されたというところまでは御説明いたしました。その後、法案が成立し、公布されておりますので、それについて附帯決議も含めて報告いたします。資料No.3-1、与党及び国会における審議の状況についての資料を御覧ください。国会での審議経過が書かれております。4月6日、法案が提出され、その後、衆議院で審議がなされ、5月31日に衆議院の本会議で一部、修正の上、可決されたところです。その後、参議院については、6月29日の参議院の本会議で可決し、法案として成立しました。その後、7月6日に法律の公布がなされたということです。前回も少し申し上げましたが、この間、法案提出までの与党審査の過程、その後の衆議院での審議等で一部、修正があった所があります。その部分についても説明いたします。
それから5枚ぐらいは法案の概要が載っておりますが、それは飛ばして、「与党での議論の経緯について」です。与党での議論で昨年9月にお示しした法案の要綱から修正がなされた部分ということで、1つは次ページにある施行期日の修正です。労働時間の上限規制についての中小企業に対する適用とか、同一労働同一賃金の部分等について、施行期日が修正された部分があります。ただ、安全衛生法、じん肺法については、平成31年4月1日ということで、当初お示しした法案要綱の中の施行期日がそのまま維持されているということです。すなわち、私どもとしてはそれに向けて今からちゃんと施行の準備をやっていかなければいけないことになるということです。
次ページです。法案の内容で幾つか、与党の議論の経緯での修正点がありました。これは前回も若干説明しましたが、労働安全衛生法に関係する部分としては、一番下の修正のマル4という部分です。「労働時間の状況」の把握の実効性の確保を高めるということで、もともと当初、建議にも、面接指導を的確に実施するために、労働時間の把握について、適切な方法で把握をすることを省令で定めることは想定していたところですが、与党の議論の中で、法律の中に四角の中にあるような形での規定を設けることとされたところです。その上で、方法について厚生労働省で定めることになったということです。
その後、衆議院での審議について、ここでもまた修正が行われております。ここについては「衆議院における法案修正について」というタイトルの次のページに、修正点が4点ほど挙げられております。高度プロフェッショナル制度の適用に係る同意の撤回の関係の整備等、4点ありますが、この部分については労働安全衛生法に係る修正はありませんでした。
衆議院及び参議院での採決に当たって、附帯決議が付いておりますので、附帯決議についても簡単に関係部分の説明をいたします。衆議院の附帯決議が資料No.3-2のマル2ということで、縦書きの資料が付いております。衆議院については、全体で12項目の附帯決議、参議院については47項目の附帯決議が付けられたところです。この部分のうち、労働安全衛生法等の関係部分ということで説明すると、衆議院については項目の八の部分です。この部分については正に、裁量労働制の労働者、管理監督者も含めて、全ての労働者の健康確保が適切に行われるよう、労働時間の状況の的確な把握、長時間労働者に対する医師による面接指導及びその結果を踏まえた適切な措置が、円滑かつ着実に実施されるようにするとともに、小規模事業場における産業保健機能の強化を図るための検討を行い、必要な措置を講ずることということが記載されております。衆議院の附帯決議については、この1項目です。
続きまして、参議院の附帯決議です。資料No.3-3のマル3の縦書きの資料のうち、労働安全衛生法等の関係の部分として、十一という項目があります。この十一という項目については、教員の働き方改革についての項目ですが、この教員の働き方改革の中で、勤務時間の客観的な把握等の適正な勤務時間管理の徹底とか、労働安全法に規定された衛生委員会の設置及び長時間勤務者に対する医師の面接指導など、長時間勤務の解消に向けた施策を推進することという記載がされております。次の項目の十二でも、本法による長時間労働削減策の実行に併せ、事業主が個々の労働者の労働時間の状況の把握を徹底し、かつその適正な記録と保存、労働者の求めに応じた労働時間情報の開示を推奨することなど、実効性ある改善策を講じていくこと」という記載がされております。
続きまして、項目の二十四の部分です。ここでは、今般の改正により新設される労働時間の状況の把握の義務化や、高度プロフェッショナル制度における健康管理時間の把握について、事業主による履行を徹底し、医師による面接指導の的確な実施等を通じ、労働者の健康が確保されるよう取り組むことということです。
また飛びますが、四十三の部分については、法案の直接の規定とは関係ある部分ではありませんが、国会の審議の中で取り上げられた部分に関するところです。事務所その他の作業場における労働者の休養、清潔保持等のため、事業者が講ずるべき必要な措置について、働き方改革の実現には職場環境の改善を図ることも重要であるとの観点を踏まえ、労働者のニーズを把握しつつ、関係省令等の必要な見直しを検討することということです。
四十五は、産業保健機能の強化の関係の部分ですが、全ての労働者の健康確保が適切に行われるよう、産業医等産業保健活動の専門職の育成や衛生委員会の活性化等を通じて、産業医・産業保健機能の強化を確実に推進すること。「とりわけ」以降で、小規模事業場の話が出てまいります。50人未満の小規模な事業場については、医師や保健師等産業保健活動の専門職の選任の促進、産業保健総合支援室センターによる支援や研修等を通じた産業保健活動の担い手の確保をはじめ、産業保健機能の強化を図るための検討を行い、必要な措置を講ずるとともに、働き方改革推進支援センターということで、今回の働き方改革全般の相談等を中小企業向けに行うセンターですが、こういうセンターとも産業保健の側でも連携して、きめ細かな支援を行うことということです。併せて、小規模な事業場におけるストレスチェックの実施が効果的に促されるよう、必要な支援を行うことと、このような附帯決議が付いたということです。
今後、我々としては労働安全衛生法については来年の4月1日が施行となっておりますので、精力的に施行準備をやっていかなければいけないということで、省令等の制定に向けた作業をやっていくということです。本日、まだとても省令案要綱をお示しできる段階ではありませんので、それはまた別途お示しして御議論いただくことにさせていただければと思っております。
ただ、一方で建議の中でも随分、省令事項について記載されておりましたので、それを整理した形で、以前の法案要綱のときに注としてお示ししたものがありますので、昨年の9月に一旦、説明したものではありますが、10か月ほどたっておりますので、本日、今一度、その部分については説明いたします。参考資料No.1、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案の要綱ということで、昨年9月に諮問した資料について、省令事項の部分についてのみ線を引いた資料を用意しております。その資料の21ページからが労働安全衛生法に関わる部分です。
具体的に22ページが労働安全衛生法の改正のうち、面接指導等に係る部分です。今般、1の労働基準法の上限規制の適用の除外とされた新技術・新商品の研究開発の業務については、労働時間が一定の時間を超えた場合には罰則付きで、申出を前提としない面接指導という制度が作られることになったところです。その具体的な時間については、省令で定めることになっております。これは建議に沿った形で当時、示したものですが、注にあるように、1週間当たり40時間を超えた場合のその超えた時間が、1月当たり100時間を超えた労働者について、面接指導を実施すべき旨を厚生労働省令で定めることとしております。
続きまして、2の特定高度専門業務・成果型労働制の対象労働者ということで、いわゆる高度プロフェッショナル制度の対象労働者に対する面接指導についての規定です。こちらも同様に、一定の時間を超えた場合に、罰則付きの申出なしの面接指導が法律に規定されたところです。その具体的な時間について省令で定めるということです。高度プロフェッショナル制度の労働者の場合は、労働時間という概念ではなく、健康管理時間という概念で管理されるということですので、その時間が1週間当たり40時間を超えた場合のその超えた時間が1月当たり100時間を超えた労働者について、面接指導を実施すべき旨を厚生労働省令で定めることとするとされているところです。
次の注のマル1、その他の面接指導に係る事項ということで、これも建議段階で指摘されておりましたが、当時、面接指導制度に関して、全ての労働者を対象として、労働時間の把握について、客観的な方法、その他適切な方法によらなければならないものとする旨を厚生労働省令で定めることとされたところです。この部分については、先ほど申し上げたように、把握をしなければならないという根拠規定が安全衛生法の法律に置かれることになり、その具体的な方法を省令で定めるという整理とされたところです。
次ページですが、もう1つ、面接指導に係る事項として、現在、100時間を超えたときに申出があれば事業者が面接指導義務を負うことになっているわけですが、この部分の100時間という時間を、1月当たり80時間と改正すること、これも建議の中で省令事項として実施するべきこととして記載されている部分です。
大きな2番目が産業医・産業保健機能の強化です。この部分について、1の(一)は産業医の責務を法律上、規定したもので、誠実にその職務を行わなければならないというものです。それと関連して、省令事項として、産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識及び能力の維持向上に努めなければならない旨を、厚生労働省令で定めることとされたところです。(二)産業医の勧告の関係の規定です。今回、法律の中に、産業医の勧告の内容等については、衛生委員会、又は安全衛生委員会に報告しなければならないという規定が置かれたところですが、勧告に関連して、省令の事項としては、産業医が勧告しようとするときについて、あらかじめ、当該勧告の内容について、事業者の意見を求めなければならない、この旨を厚生労働省令で定めることにしているところです。
注のマル2の部分は、事業者は産業医の勧告を受けたときは、当該勧告の内容、それから当該勧告の内容を受けて講じた措置の内容を記録して、これを保存しなければならないという旨を、厚生労働省令で定めることにしたものです。次の(三)と(四)です。今回、法律の中で事業者は産業医の業務の内容等を労働者に周知する義務が新しく設けられたところです。(四)については、50人未満の事業場で労働者の健康管理等を担当する医師等を選任した場合、同様に努力義務を置くものですが、省令事項として具体的にどのような内容を周知しなければならないかを規定するという整理になっているところです。それについては注のマル1、厚生労働省令で定める事項ということで、産業医等の業務の内容、健康相談の申出方法、労働者の心身の状態に関する情報の取扱方法、これらを厚生労働省令で定めることを想定しているものです。
もう1つ、注のマル2ですが、周知の方法についても、厚生労働省令で定めることを想定しており、1つは作業場に掲示するといったこととか、書面を交付するといった周知の仕方。それに加えて、磁気テープ、磁気ディスク等々と書かれておりますが、例えば社内のイントラネットにアップするといった方法もできるような形で、厚生労働省令で定めることを想定しているところです。
(五)は、事業者が労働者の健康管理等の適切な実施を図るために、適切に対応するために必要な体制の整備、その他の必要な措置を講ずるように努めなければならないという規定を、今回、法律の中で加えたところですが、その他の産業医の活動環境の整備に係る事項として、注のマル1にあるように、事業者は産業医を解任したとき、又は産業医が辞任したときについては、その旨及びその理由を衛生委員会、又は安全衛生委員会に報告しなければならないという旨を、省令で定めることを想定しているところです。注マル2は、その他の産業医の活動環境の整備に係る事項ということで、事業者が産業医に与えなければならない産業医の具体的な権限を厚生労働省令で例示するといったことです。
2です。今回、産業医がより職務を有効に行えるように、事業者は産業医に対して一定の情報を提供しなければならないという規定を、法律の中に置いたものですが、その関係で具体的に労働者の健康管理を適切に行うために必要な情報として、どのようなものを提供しなければいけないかという部分については、省令事項になるということです。注の所にあるように、66条の5第1項等による就業上の措置ということで、健康診断、面接指導等の後の就業上の措置の内容、措置を講じていない場合には、その旨及びその理由、1週間について40時間を超えて労働した場合における、その超えた時間が1月当たり80時間を超えた労働者、要するに長時間労働した労働者の氏名、及び当該労働者に係る超えた時間に関する情報、労働者の業務に関する情報であって産業医等が労働者の健康管理等を行うために必要と認めるものを、厚生労働省令で定めることを想定しているところです。
29ページです。注にありますが、その他の産業医・産業保健機能の強化に係る事項として、事業者は衛生委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容を記録し、これを保存しなければならない旨を厚生労働省令で定めるということ、こういうものを想定しているところです。
昨年9月の段階からの状況の変化として、労働時間の状況の把握の規定が法律に根拠を持つことになり、その具体的な方法を省令で定めるというように構成が変わったという部分がありますが、その部分について、もともと厚生労働省令の中で一定の規定をする予定になっていたものですので、当時から、建議に沿って行っていくというこの方針自体について、特に変更するような事情はありません。私どもとしては建議に沿った形で、早急に省令案の要綱を作成して、然るべき時期に、この場で諮問をさせていただき、御議論いただきたいと考えております。
その関係で、少し関連の状況として、労働政策審議会労働条件分科会のほうでも、当然ながらこれから審議がなされていくわけで、その関係の資料、昨日行われた労働条件分科会の関係資料については、参考に委員の皆様の机の上に配布しております。昨日の分科会の中で、今後の労働条件分科会の施行に向けた進め方として、罰則のある上限規制等についてと高度プロフェッショナル制度について、省令の審議については2段階でやるということが議論され、その方向性で労働条件分科会の中で了解されたところです。
そうしますと、私どもの審議にどう影響してくるかですが、高プロの関係で、安全衛生の規則を面接指導のところで改正するという部分があります。この部分は高プロ全体の省令の改正のタイミングと同時にやらなければいけない部分にもなりますので、今回の働き方改革関係の施行に向けた労働安全衛生の規則の改正についても、今後、2回に分けて諮問させていただくような進め方になっていこうかと思います。したがって、次回、こちらのほうで準備を進めた上で、諮問させていただく部分については、高度プロフェッショナル制度の関係を除いた部分の安全衛生規則の改正を諮問させていただくことになるかと思っております。それについては、私どもとしても早急に準備を進めていきたいと思っております。本日のところは以上です。
○土橋分科会長 本日は報告ということですが、質問等、発言のある方は挙手をお願いします。
○増田委員 1点、教えてください。附帯決議の中で、「労働時間の状況の把握」という用語があるのですが、これは労働時間以外に何か把握しないといけないということを意味しているのかどうか、教えてください。
○久知良計画課長 この規定の書きぶりについては、現在、裁量労働等の部分の労働基準法の書きぶりに倣ったもので、特に労働時間以外の何かを把握することを求めるというものではありません。
○土橋分科会長 他にいかがでしょうか。
○明石委員 今の点に関わるのですが、労働時間の把握について、藤枝課長が来られているのでお聞きしますが、結局、管理監督者の労働時間把握は義務化されるという意味なのでしょうか。それから、その保存です。一般労働者の保存は3年と聞いていますが、同時に管理監督者も保存する必要があるのか。もう一点は、今後、省令等になっていくのだと思いますし、労働条件分科会で審議されると思うのですが、いつぐらいに把握の方法等が決まっていくものなのか、教えてください。
○藤枝労働条件政策課長 労働条件政策課長でございます。今、御質問を頂きましたが、労働時間の状況の把握、医師の面接指導に係る部分については、労働条件分科会のほうでも御議論をお願いしようと思っております。恐縮ですが、お手元に昨日の労働条件分科会第143回の資料を配布しており、資料No.5、「今後御議論いただく省令や指針に定める項目について(案)」をお示ししております。今後、労働条件分科会で御議論いただきたい省令、指針事項の項目、そして関係する条文、今の時点での事務方の考え方をまとめたものを、一覧にして整理したものです。その資料No.5の9ページの所で、労働時間の状況の把握についても記載しております。
先ほど計画課長から説明があったように、与党審査の過程で、もともと、省令で規定すべきという建議を頂いていたところですが、労働安全衛生法の法律に位置付けるというもので、事業者は66条の8第1項、又は前条第1項、これは医師の面接指導の規定ですが、この規定による医師の面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により労働者の労働時間の状況を把握しなければならないということです。ですので、これは、裁量労働制の対象の方も、管理監督者の方も含めた形での法律上の義務付けという形になってまいります。ただ、罰則は付いていません。
その右側に、現時点の事務方の考え方等を示しておりますが、厚生労働省令で定める方法については、客観的な方法、その他適切な方法、これは既に建議の中でもそういった方法で把握すべしという御提言を頂いていますので、例えばタイムカードやパソコンのログイン・ログオフといったものの記録によることを省令で定めたいと思っております。また、保存の関係についても、現時点の案としてはその他の記録等と同様に、3年間の保存を省令事項として定めることを考えております。
いずれにしても、今後、労働条件分科会を中心に御議論いただくことになりますが、労働安全衛生法の施行もそうですが、労働時間の上限規制、あるいは年次有給休暇の5日付与の義務の施行が来年4月となっていますので、非常に時間がないということもありますし、周知期間、準備期間、相当用意すべき話ですので、できるだけ早く省令、指針事項は公布したいと思っております。今後の検討の状況によりますが、7月、8月の暑い時期ではありますが、集中的に御議論いただいて、9月以降、できるだけ早い時期に公布させていただければというのが、今の事務方の思いで、お願いしているところです。以上です。
○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。議題(4)はその他ですが、何かありますか。全体を通じて何かありましたら、よろしいでしょうか。それでは、これで全ての議題を終了いたしました。本日も長時間にわたり、熱心な御議論をありがとうございました。最後に、事務局から連絡事項をお願いします。
○久知良計画課長 本日も熱心に御議論いただき、ありがとうございました。御了解いただいた諮問案件については、早急に所要の手続を進めます。また、今後の分科会については、改めて御連絡いたします。以上です。
○土橋分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は水田委員、使用者代表委員は中澤委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。本日はお忙しい中ありがとうございました。

 

(了)

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