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2018年5月23日 第114回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成30年5月23日10:00~
 

○場所

厚生労働省共用第6会議室(中央合同庁舎第5号館3階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

○出席者

委員(五十音順、敬称略)

       青木 健、明石 祐二、漆原 肇、袈裟丸 暢子、熊崎 美枝子、栗林 正巳、佐保 昌一、城内 博、高田 礼子、土橋 律、中澤 善美、
       中村 節雄、縄野 徳弘、増田 将史、三柴 丈典、水田 勇司、最川 隆由、矢内 深雪、
       田久氏(勝野委員代理)  
 

事務局:
   田中 誠二(安全衛生部長)
   久知良 俊二(計画課長)
   井上 仁(安全課長)
   縄田 英樹(建設安全対策室長)
   安井 省侍郎(副主任中央産業安全専門官)
   神ノ田 昌博(労働衛生課長)
   毛利 正(産業保健支援室長)
   奥村 伸人(化学物質対策課長)

○議題

(1)労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(3)働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案について(報告)
(4)その他

○議事

 

○土橋分科会長 定刻になりましたので、ただいまから第114回「労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。
 本日の出欠状況ですが、公益代表委員は水島委員、労働者代表委員は勝野委員が欠席されております。なお、勝野委員の代理として、全国建設労働組合総連合の田久様が御着席されております。田中安全衛生部長と神ノ田労働衛生課長は、国会対応のため欠席されるとのことです。
 本日の分科会は、タブレットによるペーパーレス開催となります。事務局から何か説明があればお願いします。
○久知良計画課長 本日、タブレットが確保できましたので、ペーパーレス開催とさせていただいております。タブレットについては、1月の分科会で使用したものと同じものです。使用方法については、資料を机上に配布しておりますが、御不明な点等がありましたら、近くに職員を配置しておりますので、お気軽にお申し付けください。以上です。
○土橋分科会長 傍聴の方へのお願いですが、カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 議事に入ります。議題(1)「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱(諮問)」について、事務局から説明をお願いします。
○井上安全課長 労働安全衛生法施行令の一部を改正する政省令案等の概要について、説明をさせていただきます。改正案要綱は資料1-1ですが、その内容について資料1-2にまとめておりますので、そちらをお開きください。
 資料1-2ですが、2ページから御説明をします。今回の改正の背景について説明をします。従来、労働安全衛生法令では、高さ2メートル以上の作業時においては、作業床などを設けることが困難な場合には、労働者に安全帯の使用をさせる等の措置が義務付けられております。
 従来、安全帯といいますと胴ベルト型安全帯が主ですが、胴ベルト型安全帯は、墜落時の衝撃、胸部の圧迫などによる危険性が指摘されており、国内でも胴ベルト使用時の災害が確認されております。さらに、国際規格などにおいては、胴ベルト型ではなく、着用者の身体を肩や腿など、複数箇所で支持する構造のフルハーネス型の保護具が採用されております。これを踏まえ、墜落防止用の個人用保護具に関する規制の在り方について、2ページに記載の検討会参集者の専門家にご参集のうえ検討いただき、本年6月に報告書を取りまとめました。その報告書については、3ページに内容をお付けしております。
 報告書の内容については多岐にわたりますが、主要な点について御説明します。安全帯使用時の墜落災害の状況ですが、過去10年間で、墜落時に胴ベルトがずり上がって圧迫され死亡した事例が国内で6件ありました。過去5年間で、安全帯を使用していたにもかかわらず墜落時に負傷した事例が170件、過去1年間で、U字つり安全帯を使用していたにもかかわらず墜落した事例が15件ありました。
 一方、国際的な動向ですが、ISO規格などにおいては、墜落防止用の保護具を3つに分類しています。1つ目がフォールアレスト用保護具。これは、墜落時に労働者を地面に衝突させることなく制止し、保持できるような性能を有する保護具です。2つ目がワークポジショニング用器具。これは、ロープ等の張力により、労働者の身体を作業箇所に保持するための器具です。3つ目がレストレイント用保護具。これは、労働者が墜落する危険のある箇所に到達することを制止する保護具です。我が国においては、1つ目と2つ目を合わせて、安全帯としております。また、3つ目は、命綱という形で運用しております。
こういった災害状況や国際的な動向を踏まえ、検討会では新たな規制の基本的な考え方として3点を提言いただいております。1点目は、フォールアレスト用保護具での身体保持方法です。墜落時の身体保護の観点から、国際基準に適合し、フルハーネス型を原則とすることが提言されました。一方で、フルハーネス型は胴ベルト型に比較して一定程度落下距離が長くなることがあります。墜落時にフルハーネス型着用者が地面に到達する場合などへの対応として、一定の条件に適合する胴ベルト型安全帯の使用を認めることが提言されております。2点目は、U字つり用胴ベルトの位置付けです。今後、U字つりについては、ワークポジショニング用器具として位置付けて、U字つり用の使用時には必ずフォールアレスト用保護具を併用することが提言されました。3点目は、「その他の命綱」の位置付けです。これについては、現行で規定されている「その他の命綱」については、レストレイント用保護具として位置付け、従来どおり使用することが提言されました。
 これらの提言を踏まえた政令改正の内容を御説明いたします。4ページをご覧ください。従来、労働安全衛生法第42条において、政令で定める機械等について、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しない場合の譲渡等を禁止しております。そして、同条に基づき、労働安全衛生法施行令第13条第3項各号において、その機械等を具体的に定めております。
今回の政令改正は、従来、第13条第3項第28号に書いてある「安全帯(墜落による危険を防止するためのものに限る。)」という文言を、「墜落制止用器具」という文言に改めるというものです。これにより、法第42条の規定の対象機械等から、いわゆる「U字つり」(ワークポジショニング)の安全帯を除き、「一本つり」(フォールアレスト)に限定することになります。
 「墜落制止用器具」の名称について、説明をします。この名称については、ISO規格において、「フォールアレストシステム(fall-arrest system)」という言葉が用いられております。和訳しますと、高所から墜落してしまった場合に、地面等に激突する前に墜落をおしとどめるという意味ですので、「墜落制止」という名称にしました。なお、かつて、ヨーロッパ諸国の規格等においては、「インダストリアル・セーフティベルト(industrial safety belt)」といった用語が使用されておりました。近年、ISO規格や諸外国の法令・規格等においても、既にこの言葉は使用されておりません。我が国においても、今後、フルハーネス型を原則としていくということですので、国際的な動向も踏まえ、安全帯という用語は使用しないこととしました。
 改正政令の施行日については、平成31年2月1日から施行する予定と考えております。
 続いて労働安全衛生規則等の改正内容を説明します。5ページを御覧ください。政令改正の内容のうちの墜落による危険の防止関係です。従来、安衛法第27条第1項の規定に基づき、安衛則において、事業者は、転落することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、安全帯を使用させる等の転落の危険を防止するための措置を講じることが義務付けられております。また、作業主任者等に、「安全帯」の使用状況の監視や機能の点検等を行うことも義務付けられております。今回の改正は、「安全帯」という文言を「墜落による危険のおそれに応じた性能を有する墜落制止用器具(以下「要求性能墜落制止用器具」という。)」に改めるものです。
 「墜落による危険のおそれに応じた性能を有する」という文言には、専門家検討会による提言を踏まえ、作業箇所の高さ、あるいはフックを掛ける位置などに応じた性能を有する墜落制止用器具を使用させるということを、事業者に義務付けるという趣旨です。具体的には、フルハーネス型を原則としつつ、墜落時にフルハーネス型の着用者が地面に到達するおそれのある場合として、「6.75メートル以下」の高さでの作業においては、胴ベルト型の使用が認められるところです。この高さについては、最低限の基準であり、作業内容及び取付設備の高さに応じた、より適切な高さをガイドラインで推奨することを予定しております。具体的には、建設業では5メートル以下、電柱上での作業などでは2メートルなど、このような数値をガイドラインでお示ししたいと考えております。なお、使用可能な胴ベルト型の基準についても強化し、墜落時の衝撃荷重が4キロニュートン以下、ランヤードの長さが1.7メートル以下などの基準を構造規格で定める予定としております。
 次に特別教育関係を御説明いたします。6ページをお開きください。安衛法の第59条第3項では、事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、特別教育を行うことを義務付けております。今回の改正は、特別教育の対象となる業務について、「高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務(ロープ高所作業に係る業務を除く。)」という文言を追加するものです。この改正は、安全帯を着用だけして使用していなかったという事例や、安全帯を使用していてもその使用方法が適切でなかった事案も多かったということから、労働者に対する教育を強化すべきであるという検討会の提言を踏まえてのものです。対象業務については、作業床の設置が困難な場所での作業は、他の高所作業と比較して墜落の危険性が高いこと、さらに、フルハーネス型は胴ベルトと比較して適切な着用や使用方法が難しく、胴ベルトよりも高い箇所で使用されることが多いことから定められたものです。
 特別教育の概要を6ページの右側に御紹介しております。学科科目で4時間30分、実技科目で1時間30分の計6時間を予定しております。詳細については、特別教育規程において定める予定です。
 続いて、諮問案件ではありませんが、参考として墜落制止用器具の規格の概要について説明をさせていただきます。基本的な考え方ですが、原則として、ISO規格(ISO 10333)に整合させるということです。一部、日本人の体格等を踏まえ、ISO規格に適合させると重量が重くなるところもありますので、そういったところで労働災害防止に支障の生ずるおそれがあるものについては、独自の基準を設定する予定です。もう1つの柱として、構造規格の性能要件化を行う予定としております。技術の進展に迅速に対応するために、規定内容を可能な限り性能要件化し、試験方法などの詳細については、日本工業規格(JIS)を引用することにしたいと考えております。
 マル3の使用条件については、6.75mを超える高さの箇所で使用する墜落制止用器具については、フルハーネス型のものでなければならないこと、着用者の体重及びその装備品の質量の合計に耐える墜落制止用器具でなければならないことなどを規定する予定です。
 構造、強度、耐衝撃性等については、定められた試験で基準値を下回ればよいこととし、こういったものは可能な限り性能規定化する予定です。
 最後に、経過措置について説明をいたします。8ページです。安衛則等の施行日については、平成31年2月1日からの施行を予定しております。墜落災害防止措置については、経過措置として平成31年8月1日以前に製造された安全帯、又は同日において現に製造されている安全帯については、平成34年1月1日までの間、「墜落による危険のおそれに応じた性能を有する墜落制止用器具」とみなすという規定を置き、平成34年1月1日までの間は、改正前の規定による安全帯の使用を認めることとしたいと考えております。
 特別教育についても、平成31年2月1日より施行する予定としております。経過措置により、旧規格のみに適合するハーネス型安全帯についても、墜落制止用器具とみなされることになりますので、このような旧規格のみに適合するハーネス型安全帯を用いて作業する場合であっても、平成31年2月1日以降は、特別教育の実施が義務付けられることになります。なお、安衛則第37条の規定により、十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目の教育を省略することができることになっております。具体的には、施行日に現にハーネス型安全帯の使用について、十分な経験を有している者又は類似の作業に係る特別教育の修了者などについては、科目の省略が可能となります。これらの場合に、省略可能な科目については、施行時の通達で示す予定としております。私の説明は以上です。
○土橋分科会長 ただいま御説明いただいた要綱案の審議に移りたいと思います。質問等、発言のある方は挙手をお願いします。
○水田委員 資料の今説明いただいた3ページ右側で、「墜落時の身体保護の観点から、国際基準に適合し、胴ベルト型ではなく、フルハーネス型を原則とすべき」と記載があります。フルハーネスを原則とするということについては、13次防でも掲げていたとおりですから、落下距離などの課題をクリアしながら進めていくことについては理解をしたいと思います。
 ただ、その一方で、このフルハーネスは胴ベルトに比較すると非常に高いわけです。保護具の支給については基本的に使用者負担となるとは思いますが、企業に対する導入支援などについては検討をしているのか。そこを確認しておきたいと思います。それと併せて作業者が一人親方などの場合、本人の負担増というものも考えられますから、そうしたことに対する補助などについて考えているかも、併せて確認をしておきたいと思います。
○井上安全課長 この安全帯、あるいはフルハーネスについては、3年ぐらいで買い換える必要がありますので、買換えの時期にできるだけ新しいフルハーネス型に買い換えてほしいと思います。耐用年数が3年ぐらいですので、通常これまでの安全帯もそういったサイクルで買い換える必要が出てくるということでございます。これまで安全帯は1~2万円、フルハーネスでは2~3万円ということで倍ぐらいの価格と伺っております。安全も考えて買い換えていくことをお願いしたいと思っております。
 そういったところに対する支援も今御質問いただきましたが、これからになりますが、考えていきたいと思っております。
○土橋分科会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。
○最川委員 今回の改正についてなのですが、まず3ページの使用条件、一定の使用条件下です。私が考えるには5メートル以上程度を考えているのですが、そこでの死亡事故というのは今回の改正で減るのかなと、一定の効果があるのかと考えています。また、頭からの落下とか、保護具による身体への負担とか、ずれによる落下というのは今回の改正で減ってくるのかなと考えておりますので、一定下では今回の条件はとても良いものになると考えております。ただ建設業界ですので、3メートル程度の作業がとても多くて、そこの高さでは、今回のフルハーネス型では床に衝突してしまう場面というのは考えられなくない。
 私は検討会にも出席しておりまして、胴ベルト型も認めていただいたのですが、経過期間の3年を設けていただいて、今メーカーともいろいろ協議をしている最中です。日本では高所作業は2メートル以上の作業で、法的な義務化になっていまして、そこで、この同じ器具で誰もが安全に使えるという商品は、実はないと今思っています。付け替えとか、今回の改正では事業者とか作業員が適切な保護具を使うというような、使う側に委ねられてしまっているところもあるのです。
 今回の改正はこのまま反対するわけではないのですが、この猶予期間の間に、今建設業界も研究会を立ち上げて、適切な使用方法、メーカーにお願いして、2メートル以上で器具を付け替えないで使える保護具を開発していただこうということで今動いています。今回改正になって、この13次防の間にそのデータも取っていただいて、メーカーが新しいものを開発したときにそれがすぐに使えるような対応を、研究会との意見交換を続けていただいて、新しい製品が出たらすぐ対応できるような、そういう動きをお願いしたい。要望です。以上です。
○土橋分科会長 事務局側、よろしいですか。御要望ということです。ほかにいかがですか。
○勝野委員(オブザーバー田久氏) 水田委員に関連して要望でありますが、1つ支援ということと同時に、今もう1つ問題になっているのは、一人親方や中小零細企業に対して実際多くの方々が安全経費に対してはなかなか請求できていない状況とかもありますので、環境の整備、請求しやすいとか、そういったことも是非この3年の買換えの間に作り上げていただきたい。そういうことによって不利益を被らないような体制作りを是非検討していただきたいということで、要望としてお伝えしたいと思います。
○縄田建設安全対策室長 建設安全対策室長です。今、田久代理がおっしゃったように、安全衛生経費が明確化されて、下請けまでしっかりと行きわたるということは安全衛生を確保する上で非常に大事なことだと理解しております。それで、建設職人基本法、それからこの法律に基づいて昨年6月に閣議決定された基本計画には、この安全衛生経費の確保について政府としてしっかりと検討して、実効ある施策をとることが書かれており、同じ趣旨のことを第13次労働災害防止計画にも書き込ませていただきました。現在、国交省で安全衛生経費の在り方に関する検討会を立ち上げて、6月6日に第1回の検討会を開催することになっております。我々厚生労働省としては国交省と緊密な連携を取りながら、この安全衛生経費の確保、下請けまでしっかり渡るような施策を作っていけるように頑張っていきたいと思っております。
 それから最川委員がおっしゃった研究会との連携、今までも我々は、建設業界の皆さんとはいろいろな形で意見交換させていただいておりますが、引き続き研究会とも連携を取りながら、良いものが出ればすぐ使えるようにしてまいりたいと思っております。以上です。
○土橋分科会長 ほかにいかがですか。
○明石委員 規格のところでお願い事です。基本的な考え方で「日本人の体格を踏まえた独自の基準を設定する」と書かれておりますが、今後建設業界に女性がかなり入ってくるのではないかと思うので、そのあたりも踏まえて、是非この基準の設定をお願いしたいと思います。
○安井副主任中央産業安全専門官 構造規格では着用する方に適合させなくてはいけないという規定を設けますので、当然、S、M、L等サイズ別のハーネスは作っていく。そういう製品も現にありますので、そういったことは当然配慮していきたいと考えております。
○土橋分科会長 ほかにいかがですか。
○中村委員 関連した質問です。S、M、Lのサイズもそうなのですが、胴型とフルハーネスの重量、重さの問題があると思うのですが、そこら辺はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。軽量化の検討は進んでいるのか等についての質問です。
○安井副主任中央産業安全専門官 重量については製品によって正直ばらつきがあり、軽い製品もございますし、比較的金属部品が多くて重たいものもございますので、女性の場合は比較的軽いものを買っていただくことにはなろうかと思います。今回ISO化するときに、フックの引張強度などISOにしてしまうとフックの重さが倍ぐらいになるというような議論がありました。そういったものは日本独自の規格を引き続き使いますので、重たすぎて使えないことにはならないように配慮していきたいと考えております。
○中村委員 女性もそうなのですが、作業員の高齢化も踏まえて、是非軽量化を進めることもお願いしたいと思います。以上です。
○土橋分科会長 ほかにいかがですか。
○熊崎委員 教えていただきたいのですが、図を見ますとハーネス型だと非常に身体に密着していますし、着脱にも手間がかかるのかなというようなことを拝見して思ったのですが、これからの時期、熱中症についてのリスクというのは胴ベルト型と比較していかがなものなのですか。
○安井副主任中央産業安全専門官 明確に何か研究があるのかと言うとないのですが、服のように完全に身体を覆ってしまうものではなくて、御案内のとおり、ベルトの一部が身体を覆っているものですので、いわゆる体温の上昇といったものにはそれほど寄与しないとは思っております。また、最近は空調服のようなものもありまして、そういったものが着用できるようなフルハーネスも開発されていますので、熱中症を防止するような器具とうまく組み合わせできるようにメーカーを指導していきたいと考えております。
○熊崎委員 それに関連してもう1つよろしいですか。空調服の場合、ファンとかを付けると思うのですが、例えば化学工場のような防爆施設での高所作業などでは防爆用のファンなどが使われるのですか、その空冷服に。
○安井副主任中央産業安全専門官 正直なところ、防爆構造の空調服というのが存在するということを存じ上げておりませんが、そういった特殊な場合における対応については課題ということはあろうと思いますので、引き続き製品開発についてメーカーと一緒に検討していきたいと思っております。
○熊崎委員 先ほど御意見で重量についてのお話で、装備品も含めた重量を検討するという話でしたので、もし熱中症を防ぐようなデバイスなどを付けるということもあるのでしたら、それも検討課題に入れていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○土橋分科会長 最初にあった適切な装着方法というようなことは特別教育の中に入っているということで、よろしいですね。
○安井副主任中央産業安全専門官 はい。特別教育の科目のかなり大きなところに、装着の方法と、あるいはフックをどのように掛けるかとか、そういったものが出てまいります。
○土橋分科会長 ほかにいかがですか。ほかにございませんか。
 それでは、当分科会といたしましては、「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱及び労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」について、妥当と認めることとしてよろしいですか。

(異議なし)

○土橋分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で手続をお願いいたします。
 次の議題に移ります。議題の(2)「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について」、これも諮問案件ですが、事務局から説明をお願いいたします。
○毛利産業保健支援室長 産業保健支援室長です。諮問案件の2つ目は、ストレスチェックの関係省令改正に関する件です。資料2-1は省令改正の諮問文で、2ページが省令案の要綱となっております。労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査、これはストレスチェックのことですが、その実施者に必要な知識についての研修で、大臣が定めるものを修了した歯科医師及び公認心理師を追加することとしております。
 資料2-2で、改正趣旨を説明いたします。ストレスチェックは平成26年の安衛法改正により、平成27年12月から施行されております。事業者はストレスチェックを実施し、その結果に基づき医師による面接指導を実施し、必要な措置を行うことになっております。2つ目の○ですが、ストレスチェックの実施者とはストレスチェックを実施し、その結果を踏まえ、面接指導の必要性を判断する者ということで、現行では医師、保健師は無条件、それから看護師と精神保健福祉士については必要な研修を修了した者としております。3つ目の○ですが、※の1にあるように、平成26年のストレスチェックの導入の法改正時に附帯決議が付いており、「職域における歯科保健対策について具体的に検討を行うこと。」という内容です。歯科医師の位置付けについては、それ以降の課題となっていました。また、公認心理師については公認心理師法が昨年9月に施行されたことから、今回検討したということです。ストレスチェック実施者に求められる産業保健、メンタルヘルスに関する知識を医師、保健師、看護師、精神保健福祉士と同程度有しているかどうかについて、試験の出題基準に基づいて検討したところ、歯科医師及び公認心理師の国家試験の試験科目には精神保健及び産業保健に関するものが含まれており、必要な研修の修了という要件の下、ストレスチェック実施者に追加することが適当と考えられます。このため、今回ストレスチェックの実施者に必要な研修を修了した歯科医師及び公認心理師を追加する省令改正を行うことについて、諮問させていただくものです。
 施行時期は、答申後の平成30年6月を予定しております。以上です。
○土橋分科会長 ただいま御説明いただいた要綱案の審議に移りたいと思います。質問等、発言のある方は挙手をお願いします。
○中澤委員 質問ですが、今回の追加によりまして、どの程度の対象者の増加を見込んでおられるか、教えていただければありがたいと思います。
○毛利産業保健支援室長 まず、公認心理師については今年の9月に初めて試験が行われるものですので、どういった数になるかはなかなか難しいところがございます。それから歯科医師については、これまでも産業歯科医の方が事業場に近いところで仕事をしておられ、労働衛生コンサルタントの資格を取っていらっしゃる方も200人余りいらっしゃるということですので、一定の方が今回の改正により、実施者として追加されると考えております。
○増田委員 今回の歯科医師と公認心理師は一定の要件の下、研修を受ければ実施者になれるということかと思いますが、では既にその研修を受けて実施者になっている看護師、精神保健福祉士について、どの程度の人数の方がこの一定の研修を受けて資格をお取りになって、実施者として活躍していらっしゃるかについてお伺いできればと思います。既に足りているのかどうか、需給のところをお尋ねできればと思います。
○毛利産業保健支援室長 医師以外の実施者については研修を修了した者ということになっているわけで、ストレスチェック実施者の養成研修の実施機関からの報告を受けたところ、平成28年度までに約1万人がこの研修を修了しているということです。
○増田委員 それでは足りないから、今回追加ということになったのですか。
○毛利産業保健支援室長 今回検討しました趣旨は先ほど説明しましたとおりですが、足りないからというよりも、従前から課題になっていたことがある、あるいはメンタル関係で国家資格が設けられることがあり、そういう方に関わっていただくことで選択の幅が広がり、事業場のストレスチェック制度が適切に実施される、ことに寄与するものと考えているところです。
○増田委員 もう一点だけ、すみません。であるならば、平成30年6月というのはかなり急いでいらっしゃるなと思いましたので、それほど急がないといけない何か事情があるのかと思い、そこを確認させていただいた次第です。ありがとうございます。
○土橋分科会長 よろしいですか。ほかにいかがですか。
○漆原委員 質問と意見です。事業所において、ストレスチェックが適切に実施されるということは重要なことだとは思っております。今回追加される2つの職種にとりわけこだわっているわけではありませんが、ストレスチェックが適正に実施をされていくためには、これから新たに追加をされる方も含め、実施者になる方に対し実態に即した研修が必要ですので、これまで以上にその研修の充実をお願いできればと思います。1万人と伺っておりますが、その方のうちどの位の方が実際にストレスチェックの実施に関わっているのか、もし分かればお教えいただければと思います。
○毛利産業保健支援室長 ありがとうございます。この研修についてはこれまでも内容及び時間数を示し、また講師の要件も適切な者と示してやっていただいておるところですので、今後とも的確にやっていきたいと思っております。質問をいただいた点については、なかなかぴったりくる数字はないのですが、ストレスチェックの実施者についての調査の結果などを見ますと、大体事業場選任の産業医が半分ぐらい、残り半分が事業場所属の医師、保健師、看護師、精神保健福祉士、それから外部委託先の医師、保健師、看護師などとなっておりますので、この内数であることは間違いないわけですが、なかなか実数としては把握をしておらないところです。
○土橋分科会長 ほかにいかがですか。
○明石委員 今の質問にも少し関連するのですが、必要な研修が歯科医師と公認心理師では職場・職域に対する認識がちょっと違っているのではないかと思っていまして、必要な研修の内容はそのあたりを変えられるのですか。
○毛利産業保健支援室長 今御指摘がありましたところを踏まえて、内容については決めていきたいと思います。
○土橋分科会長 ほかにいかがですか。
○栗林委員 本件について、事業者として意見を申し上げたいと思います。ストレスチェックの実施者に必要な研修を修了した歯科医師及び公認心理師を追加することは、既に事業者が実施しているストレスチェック制度に少なからず影響を及ぼすものと考えられます。そのため、このストレスチェック制度の本来の趣旨や目的、あるいは実際の運用に照らして、それがふさわしいことなのか、現行の制度に対してどの程度効果をもたらすものなのか。現場に何らかのネガティブな影響を及ぼすようなことにならないか等、事業者として更なる検討が必要と考えております。つきましては、本案件の取扱いについては少し時間をいただきたいと考えております。以上です。
○土橋分科会長 事業場側から検討にもう少し時間がほしいという御意見が出ておりますので、この件に関しては引き続き議論ということにさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。

(異議なし)

○土橋分科会長 ありがとうございます。それでは、本件については引き続き議論ということにいたします。
次の議題に移ります。議題(3)の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案について」、事務局から報告をお願いします。
○久知良計画課長 それでは御報告を申し上げます。資料3を御覧ください。働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案、これにつきましては、その要綱について昨年の9月に労働政策審議会から答申をいただいておったところでございます。その後、4月6日に閣議決定を経て国会に提出をしたということになっておりますので御報告させていただきます。その際、4月6日までの間に、幾つか修正が行われております。これについては労働安全衛生法及びじん肺法とはかかわりのない部分についても御説明をさせていただきますと、既に報道等されておりますとおり、裁量労働制についての改正部分については、今回の法案からは削除をしたところでございます。
 また、施行日につきましても、提出の時期が当初の想定よりも遅れたことなどを考慮いたしまして、中小企業に対する労働時間の上限規制の部分、それから同一労働同一賃金などの規定に関する部分につきましては、当初の想定していた施行日よりも1年遅らせた形にしているということでございます。なお、労働安全衛生法の産業医・産業保健機能の強化の部分につきましては、当初規定しております施行日のとおりでございまして、平成31年の4月1日の施行ということで変わっていないということでございます。
 それから、労働安全衛生法にかかわる部分での修正点でございますが、当初、9月段階で御説明した段階では、面接指導の前提として労働者についての労働時間の把握について、それを省令で定めるという前提で、ここで説明をさせていただいていたところでございます。その後、法案提出までの間、与党の申入れなどもございまして、労働者の健康確保措置がより的確に行われるようにするという観点から、法律案の中で労働安全衛生法に、労働時間の状況を省令で定める方法により把握するというような規定を設けるということにしたところでございます。今後、また省令事項の段階でお諮りすることになるわけでございますけれども、現段階では、法案自体は、まだ国会で審議中の段階ということでございます。簡単ですが御報告を申し上げます。
○土橋分科会長 報告事項ですが、何かございますか。それでは、次の議題(4)「その他」ですが、何かございますか。
○久知良計画課長 「その他」ということで、1点申し上げます。資料4を御覧ください。
 これは、厚生労働省から提出している法案ではありませんが、内閣府で成年被後見人等の権利に係る措置の適正化等を諮るための関係法律の整備に関する法律案というものを、今国会に提出をしているところでございます。その中で当方にかかわる部分もありますので御報告を申し上げます。まず、資料の1ページにありますように、もともと成年被後見人等であるということを理由として、不当に差別されないように、成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度について検討を加え必要な見直しを行うということが、平成28年に成立した、成年後見制度の利用の促進に関する法律というところで定められたところでございます。これに基づきまして、平成29年の基本計画におきまして、成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度、それについてピックアップをして、この見直しを速やかに進めるということにされたところでございます。それを踏まえまして、内閣府を中心に政府として、成年被後見人等を資格・職種・業務等から一律に排除する規定、欠格条項の形で定められている規定につきまして、心身の故障等の状況を個別的、実質的に審査をして、各制度ごとに必要な能力の有無を判断する規定へと適正化をするというようなことで規定を整備していくということで、180程度の法律の規定を一括法にして改正をするということで内閣府のほうで法案を提出したというところでございます。
 2ページを御覧いただければと思いますが、その関係で当方にかかわる部分として労働安全衛生法に掲げております労働安全衛生コンサルタントの関係の登録の要件の中に、欠格事由として成年被後見人又は被保佐人というものが定められていたということ、それから、作業環境測定法の関係で、やはりここでも欠格条項として、成年被後見人又は被保佐人ということで定められていることがございましたので、政府一括の法律の下で右のような規定の形に改正をするということで、この3月に法案が提出をされているということでございますので、御報告をさせていただきます。以上です。
○土橋分科会長 御報告ということですが、何かありますか。それでは、議題としては以上ですが、全体として何かありますでしょうか。それでは、本日も熱心な御議論をありがとうございました。最後に事務局から連絡事項をお願いします。
○久知良計画課長 本日も熱心な御議論をいただきまして、本当にありがとうございました。本日御了解をいただきました諮問案件につきましては、早急に所要の手続を進めさせていただきます。また、今後の分科会につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。以上です。
○土橋分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。
 なお、議事録の署名につきましては、労働者代表委員は袈裟丸委員、使用者代表委員は中村委員にお願いしたいと思いますのでよろしくお願いします。本日はお忙しい中ありがとうございました。

 

(了)

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