ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録(2018年12月3日)

 
 

2018年12月3日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成30年12月3日(月)16:00~

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

出席委員(14名)五十音順

赤 羽 悟 美、 大 賀 正 一、 大 森 哲 郎、○奥 田 晴 宏、
金 子 明 寛、 神 田 敏 子、 柴 田 大 朗、  杉      薫、
代 田 浩 之、 武 田 正 之、 長 島 公 之、  増 井    徹、
森    保 道、 山 田 清 文
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人3名
 

欠席委員(6名)

石 川 欽 也、  岡   淳一郎、 川 上 純 一、 佐 藤 雄一郎、
平 石 秀 幸、◎松 井    陽
 

行政機関出席者

森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 本    史 (医薬品審査管理課長)
関 野 秀 人 (医薬安全対策課長)
磯 部 総一郎 (監視指導・麻薬対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森 口    裕 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
宇 津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
鈴 木 章 記 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていただきます。
本日はお忙しい中、御参集いただきましてまことにありがとうございます。
本日の委員の御出席状況でございますが、石川委員、岡委員、川上委員、佐藤委員、平石委員、松井委員より御欠席との御連絡をいただいております。
また、大森先生はちょっとおくれての御到着との御連絡もいただいております。
本日現在のところ、当部会委員数20名のうち13名の委員の御出席をいただいていますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
なお、本日は審議事項の議題3のところで御参考人をお呼びしております。東京女子医科大学の大澤真木子先生、慶應義塾大学の武内俊樹先生、埼玉県立精神医療センターの和田清先生でございます。
このお3方の参考人の先生方には、議題3の審議の際に会場のほうにお越しいただく予定にしております。
続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況について御報告申し上げます。
まず、当日配付資料11を1枚お配りしておりますので、ごらんいただければと思います。
資料11と左上に記載したほうが表でございます。その表の一番下に記載をさせていただいておりますが、薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。
続きまして、裏面のほうをごらんください。このたび、本部会の今井委員におかれましては、薬事に関する企業から定期的な報酬を得る顧問等に就任していたことが判明いたしましたため、本日付で委員を辞任いただいております。
また、当該案件につきまして、本日付で公表しておりますことを御報告申し上げます。
なお、その他の委員の皆様につきましては、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、その点も御報告させていただきます。今後も、この制度の運用につきまして、しっかりと薬事分科会の運営をとり行い、個別事案には適切に対処させていただく所存でございます。
また、先生方におかれましては規定に抵触するかどうか、判断に迷うケースもあろうかと思います。御遠慮なく、事務局まで御照会いただければと存じます。
委員の皆様には会議の開催の都度、書面を御提出いただくなど、非常に御負担をおかけしておりますが、何とぞ御理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
それでは、本日、部会長の松井委員が御欠席ですので、会議の進行につきましては部会長代理の奥田先生にお願いしたいと存じます。
奥田先生、以降の進行をよろしくお願い申し上げます。
○奥田部会長代理 それでは、本日の審議に入ります。
事務局から、まず配付資料の確認と、審議事項に関する競合品目、競合企業リストについて報告を行ってください。
○事務局 それでは、配付資料の確認を順番にさせていただきます。
本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配付してございます。
議事次第に記載されております資料1~10-6をあらかじめお送りしてございます。
このほか、資料11は「薬事・食品衛生審議会薬事分科会規程に基づく委員等への対応について」。
資料12-1「ビバンセカプセル適正流通管理策(案)の概要」。
資料12-2「ビバンセカプセル適正流通管理策(案)」。
資料13「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」。
資料14「専門委員リスト」。
資料15「競合品目・競合企業リスト」を配付しております。
また、当日配付参考資料として「ビバンセカプセルに関する要望書」を配付しております。
加えて、前回までと同様に、各議題の対象の品目について、製剤の見本を机上に置かせていただいております。こちらは会議終了後に回収をいたしますので、机上に置いたままとしていただきますようお願いいたします。
また、前回より会議のペーパーレス化に向けた試みとして、机上には従前の紙の資料に加えて、同じ内容の電子媒体を格納したタブレット本体、スタンド、スタイラスペン、操作説明書を配付しております。
なお、本日の医薬品部会では前回と同様に試行的にタブレットと紙資料の両方を配付することとしておりますので、どちらか見やすいほうを御利用いただければと思います。来年以降から、紙資料の一部の廃止について検討する予定としております。
それでは、タブレットで電子ファイルをごらんになる際の操作方法を御説明いたします。タブレットを起動されていない先生方は、画面下の丸いボタンを2回押してください。
画面が表示されましたら、議題ごとにフォルダーが表示されておりますので、「審議議題1」をタッチしてください。
議題1の資料一覧が表示され、ごらんになりたい資料名をタッチしていただくと資料が表示されます。ほかの資料を御確認いただく場合には、左上の青い字の「審議議題1」をタッチしていただきますと、資料一覧が再度表示されます。
また、ほかの議題を御確認いただく場合には、左上の「マイプライベートファイル」をタッチしていただきますと、再び議題ごとのフォルダーが表示されますので、必要に応じてフォルダーをタッチしてごらんいただくようにお願いいたします。
なお、タブレットの動作などに不具合がございましたら、会議の途中でも結構ですので事務局までお申しつけください。
続きまして、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」、資料15について御報告をさせていただきます。
資料15の1ページをごらんください。「イベニティ皮下注105mgシリンジ」でございますが、本品目は「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページをごらんください。「スーグラ錠25mg 他1規格」でございますが、本品目は「1型糖尿病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページをごらんください。「ビバンセカプセル20mg 他1規格」でございますが、本品目は「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページをごらんください。「ビムパットドライシロップ10% 他3規格」でございますが、本品目は「てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページをごらんください。「タリージェ錠2.5 mg他3規格」でございますが、本品目は「末梢性神経障害性疼痛」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページをごらんください。「ミネブロ錠1.25mg 他2規格」でございますが、本品目は「高血圧症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
7ページをごらんください。「デムサーカプセル250mg」でございますが、本品目は「褐色細胞腫のカテコールアミン分泌過剰状態の改善」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
8ページをごらんください。「レルミナ錠40mg」でございますが、本品目は「子宮筋腫に基づく諸症状(過多月経、下腹痛、腰痛、貧血)の改善」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上でございます。
○奥田部会長代理 今の事務局からの説明に、特段の御意見はございますか。
それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものとします。
それでは、委員からの申し出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申し出状況については、次のとおりでございます。
議題1「イベニティ」、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員、代田委員、武田委員。
議題2「スーグラ」、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員、代田委員、武田委員。
議題3「ビバンセ」、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員、代田委員。
議題4「ビムパット」、退室委員、杉委員、議決には参加しない委員なし。
議題5「タリージェ」、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員、金子委員、杉委員、代田委員、武田委員、山田委員。
議題6「ミネブロ」、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員、金子委員、杉委員、代田委員、武田委員、山田委員。
議題7「デムサー」、退室委員、議決には参加しない委員、ともになし。
議題8「レルミナ」、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員、代田委員、武田委員。
「委員からの申し出状況について」は、以上でございます。
○奥田部会長代理 ありがとうございます。
今の事務局からの説明に、特段の御意見はございますでしょうか。
よろしければ、皆さんに御確認いただいたものといたします。
本日は、審議事項が8議題、報告事項2議題となっております。特に、議題3については参考人の先生方が御到着後に審議を始めたいと思います。このため、議題1、2の次は到着次第ですけれども、議題4以降を先に審議したいと思います。
審議品目はたくさんございますので、効率的な審議に御協力お願いいたします。
それでは、審議事項1の議題1に移ります。
まず、議題1について機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題1、資料1、医薬品イベニティ皮下注105mgシリンジの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
本剤は、スクレロスチンに対するヒト化IgG2モノクローナル抗体であるロモソズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする骨粗鬆症治療薬です。骨細胞により産生される糖タンパク質スクレロスチンは、古典的Wntシグナル経路の負の調節因子であり、骨芽細胞による骨形成を抑制するとともに、破骨細胞による骨吸収を促進します。本薬はスクレロスチンに結合し、古典的Wntシグナル伝達の抑制を阻害することで、骨形成を促進及び骨吸収を抑制し、骨強度を増強すると考えられております。本剤は、2018年10月現在、海外において承認されておらず、米国及び欧州等において審査中です。
本品目の専門協議では、資料14に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
それでは、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性については、審査報告書52ページの表38をごらんください。閉経後骨粗鬆症患者を対象としたプラセボ対照比較試験が国際共同試験として実施され、本剤またはプラセボを12カ月投与後、両群ともに骨吸収抑制薬として既に承認されているデノスマブを12カ月投与した結果、主要評価項目である新規椎体骨折発生率について、12カ月時点及び24カ月時点でいずれも本剤群でプラセボに対して有意な骨折発生率の低下が認められました。
続いて、審査報告書57ページの表44をごらんください。男性骨粗鬆症患者を対象としたプラセボ対照比較試験が国際共同試験として実施され、本剤またはプラセボを12カ月投与した結果、主要評価項目であるベースラインから投与12カ月時までの腰椎骨密度変化率について、本剤群でプラセボに対して有意な増加が認められました。
次に、安全性について、審査報告書の54ページの表42をごらんください。閉経後骨粗鬆症患者を対象としたプラセボ対照比較の国際共同試験として実施された試験の結果となりますが、有害事象の発現状況はプラセボ群と本剤群で類似した結果が得られました。本薬の作用機序等から想定されるリスクとして、低カルシウム血症や過骨症などが考えられましたが、いずれも臨床試験の結果からは臨床的に問題となる結果は認められておらず、臨床試験時に実施されていたように、本剤投与中には適切なカルシウム及びビタミンDの補給を行う旨などの注意喚起がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
次に、審査報告書78ページ、「7.R.2.6心血管系事象」の項をごらんください。アレンドロン酸ナトリウムを対照とした海外第III相試験において、本剤群において実薬対照群と比較して重篤な心血管系事象の発現割合が高い傾向が認められました。
この報告に基づき、米国ではこの事象に関する第三者機関の再解析等が必要であるとされ、その結果が本邦における承認審査においても提示されました。
このアレンドロン酸ナトリウム対照の海外第III相試験である20110142試験の結果については、審査報告書80ページの表70をごらんください。重篤な心血管系事象について、投与12カ月時点において実薬対照群と比較して本剤群で発現割合が高い傾向が認められております。
一方で、審査報告書79ページ、前のページの表69をごらんください。日本人が組み入れられた国際共同試験である20070337試験において、プラセボ群と本剤群で重篤な心血管系事象の発現割合に差は認められませんでした。
この結果に加えて、いずれの試験ともにプラセボ群またはアレンドロン酸群と比較して、本剤群での骨折の抑制効果の優越性が認められていることなどから、日本人においては本剤投与時の心血管系事象に関する安全性プロファイルは臨床上許容可能と判断しております。
ただし、これらの試験結果の情報提供及び処方医が海外第III相試験の結果も考慮の上で薬剤選択がなされるよう注意喚起が必要と考え、本剤の添付文書にこれらの内容を記載することとしました。
また、本剤の製造販売後においては、製造販売後データベース調査を用いて、本剤投与時と他の骨粗鬆症治療薬投与時の心血管系事象の発現割合について比較、検討する予定です。
以上のとおり、機構での審査の結果、「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」を効能・効果として本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。
本剤の再審査期間は8年とすることが適切であり、原体及び製剤は劇薬及び毒薬のいずれにも該当せず、生物由来製品に該当すると判断しております。
薬事分科会では、報告を予定しております。
御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○奥田部会長代理 どうもありがとうございました。
それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。
○長島委員 骨粗鬆症に対するさまざまなほかの薬剤もありますけれども、それとの併用に関しては何か評価がありますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。
今回のデータパッケージにおいては、他剤との併用に関しては特に試験上、評価されておりません。
したがって今、臨床現場に提供された後も、ほかの薬剤との併用などは基本的には考えていません。
○奥田部会長代理 最後は、一般的な併用を考えて。
○医薬品医療機器総合機構 考えておりません。
○奥田部会長代理 はい。
○金子委員 概括報告書の2.5のタブの56ページを見ていただきますと、顎骨壊死のところなんですけれども、きょうの薬品とは異なりまして、本剤の場合ですと1年間未満で起こっているような報告がなされております。
それで、添付文書におきましても、基本的な注意のところに従来と同様に書いていただいているわけですけれども、この1年未満というのは割と少ない、今までの骨粗鬆症の薬剤ですと割ともうちょっと後から発生していることが多いのではないかと思うんですね。それで、添付文書上、書いていただいているんですけれども、(5)のあたりで顎骨壊死のところで、本剤は12カ月以前でも発症するみたいな、早期でも出てしまうんだよ、だから歯科を受診したほうがいいよというイメージで書いていただいたほうが、添付文書上はよろしいのではないかと思うんですけれども。いかがでございましょうか。
○奥田部会長代理 顎骨壊死の問題について、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見いただき、ありがとうございます。
本剤の作用機序は骨形成促進がメインであり、その上で骨吸収阻害もある程度認められているというようなプロファイルになっています。
御質問いただきました顎骨壊死に関しては、後者の骨吸収抑制剤で認められているということで、本剤においても評価されております。
御指摘いただきました症例に関しましては、確かに本剤投与1年以内に発現していますが、本剤のデータパッケージとしては数千例の規模の試験が実施されており、その中での1例ということですので、今のところその添付文書上で既存の骨吸収阻害剤よりも強く注意喚起するような状況には至っていないと考えています。
○金子委員 従来ですと、2年とか3年とか長期に使用していた患者さんにおいて多く認められるからと一般的に従来の薬剤を想定していたけれども、本剤の場合ですと1年以内でも出ているところは強調する必要はないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。
この剤の投与期間そのものが1年であり、その1年の範囲内で事象が生じるか否かとなるため、発生している以上は1年以内の中で1例いるか、いないかという話になってきてしまいます。
先ほど機構側からもお話させていただいたとおり、本剤の数千例の検討の規模の中で1例、顎骨壊死が出ているという状況であるため、添付文書にその発現している時期まで、この1例をもって記載することについては、現時点では困難と考えております。
○金子委員 わかりました。早期には出にくいという解釈でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。そもそも、この顎骨壊死そのものの頻度が極めてまれであり、また、顎骨壊死は基本的には骨吸収抑制剤で懸念される事象になります。
○金子委員 では、今度はどういう機序で顎骨壊死が起こるかということを追求せざるを得なくなってきてしまうと思うんですが。
○医薬品医療機器総合機構 顎骨壊死そのものは、既承認の薬剤では骨吸収抑制剤において懸念されている事象です。本剤は骨吸収抑制作用も少なからず有している中で、臨床試験の中で1例、少ない数ですけれども発現したという状況と考えています。
ただし、現状では1例しか認められていないものの、作用機序上の懸念があり、リスクとしてもゼロではありませんので、今後は市販後においても顎骨壊死は医薬品リスク管理計画の重要な潜在的リスクにも入れさせていただいておりまして、事象としては着目して、市販後に引き続き情報を収集して、必要であれば注意喚起を強化するという対応をとっていきたいと思います。
○奥田部会長代理 よろしいでしょうか。今はフラッグを立てておいて市販後で見て、それがリスクがあるようであればまた改定をしていくというお答えですね。よろしいでしょうか。
私から1つ、今お話があったのは12カ月で投与が終わる。こういう言い方がいいのかどうか、これは基本的には可逆的なお薬ですよね。そうすると、まただんだん骨粗鬆症が進行してきたときに、もう一回投与するというデザインなんでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。
本剤は、海外第II相試験などにおいて12カ月以上投与した経験があり、その結果、骨形成促進マーカーが投与12カ月よりも前に下がることが明らかとなったため、有効性の観点から、12カ月という投与期間が設定されています。
同じ海外第II相試験においては、探索的な結果ではあるものの、再投与した結果も提出されており、再投与時にも骨密度の上昇が認められております。安全性上も特段、何か問題が生じているというわけではございませんので、再投与を制限するような状況ではないと考えております。
○奥田部会長代理 わかりました。
ほかに、委員の先生方から、このイベニティ皮下注について御意見、御質問はございますか。
杉委員お願いします。
○杉委員 確認させてもらいたいのですけれども、添付文書の重大な副作用というところにQT延長とあって、これは低カルシウム血症でしょうか。これによるものということになりますので、私どもの概念では確かにQT延長はくるんですけれども、STの部分が延びてQT延長がくるのですが、低カルシウム血症でトルサルポアンを見たことがないのです。
あることはあるんだろうけれども、機構のほうではその頻度を御存じでしょうか。それで、ここに載っているのは注意喚起のためという意味合いで受けてよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。
現時点、QT延長と低カルシウム血症の関係に関する具体的な数値は持ち合わせていなものの、重大な副作用に記載した意図としては、本剤は作用機序として体内のカルシウムを用いて骨形成を促進することから、血中カルシウム濃度が低下する可能性があるということで、低カルシウム血症を記載しています。
○杉委員 ありがとうございます。
もう一つ、先ほどの説明だと心血管系の副作用が結構あったのです。これは、やはり低カルシウム血症ということで心収縮を落とすというようなことで理解してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤の心血管系に対する作用機序は解明されておりませんで、申請者も幾つか非臨床試験を実施していますが、特に本剤投与によって何か影響が認められたというような結果は認められていません。
○杉委員 ありがとうございました。
○代田委員 それに関連して、海外ではこの心血管系の有害事象が多くて、日本の治験では差がない。これは、何か合理的な説明があるんでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 海外の試験はアレンドロン酸を対照としているという試験デザインである一方、日本人が組み入れられた試験はプラセボを対照としています。
文献報告にはなるものの、アレンドロン酸が心血管系に対して寄与するのではないかとの報告もあるため、可能性としてはアレンドロン酸が何らかプラスに働いたと解釈することも可能と考えているところです。
○奥田部会長代理 よろしいでしょうか。
それでは、特段追加の質問がないようでしたら、議決に入りたいと思います。
なお、大森委員、代田委員、武田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議ないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題2に移ります。議題2について、医薬品機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 それでは議題2、資料2、医薬品スーグラ錠25mgほかの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
本剤の適応対象といたしまして、一変申請されました1型糖尿病につきましては、膵β細胞の破壊により絶対的インスリン欠乏に至るため、基本治療といたしましてインスリン療法というものが行われておりますが、インスリン療法につきましては体重増加に注意を要することや、インスリン投与量の増加に伴って低血糖の発現リスクが高くなる可能性があり、インスリンの投与量を適切量まで増量できない患者も存在いたします。
本剤は、インスリン非依存的に血糖降下作用を発現するSGLT2阻害薬でありまして、2014年1月に「2型糖尿病」を効能・効果として本邦で承認されております。今般、インスリン療法下で血糖コントロールが不十分な1型糖尿病患者を対象に、本剤を併用投与する開発が行われました。
なお、2018年9月時点におきまして、本剤は1型糖尿病における適応に対して、海外のいずれの国・地域においても開発はなされておりません。
本品目の専門協議では、資料No.14に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本剤の有効性及び安全性につきまして、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
有効性につきましてですが、審査報告書の7ページ表5をご覧いただければと思います。インスリン療法下で血糖コントロールが不十分な1型糖尿病患者を対象に、本剤を併用投与する国内第III相試験が実施されまして、主要評価項目でありますベースラインから二重盲検期終了時である投与24週までのHbA1c変化量につきまして、プラセボ群に対する本剤群の優越性が示されております。
長期投与時の有効性につきましては、次のページの審査報告書8ページ、図1をご覧いただけるとおり、本剤継続群におきまして、52週間にわたりベースライン時からのHbA1cの低下が認められ、効果の持続性が確認されております。
安全性につきましては、審査報告書17ページの上段に示しましたように、低血糖やケトアシドーシスの個別の事象につきまして検討した結果から、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
以上のとおり、機構での審査の結果、「1型糖尿病」を効能・効果とし、1型糖尿病に対する本剤の用法・用量といたしまして、インスリン製剤との併用下で本剤を投与することが明確になるように「インスリン製剤との併用において」と記載した用法・用量とすることで、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。
本剤は、新効能及び新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年とすることが適切と判断しております。
薬事分科会では、報告を予定しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○奥田部会長代理 ありがとうございます。
委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。
○赤羽委員 同意説明文書にも少し書いてあったんですけれども、1型糖尿病の患者さんに使う場合に特に注意しなくてはいけないことということで、体重の減少であったりとか、ケトン体の増加みたいなことに触れてはあったんですけれども、具体的にどのような形で指導するのかとか、体重や食事のコントロールに関して何か特段の指導などを行うのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より、御回答させていただきます。
先生の御指摘の1型糖尿病に関する注意につきましては、添付文書1.8をご覧いただければと思います。具体的には、添付文書の1.8の4ページの部分をご覧いただければと思いますが、用法・用量に関連する使用上の注意のところに、1型糖尿病に関する注意喚起を今回新たに記載させていただきました。
具体的な記載内容でございますが、まず本剤につきましてはインスリンの代替薬ではないので、インスリンに上乗せした形で本剤を使ってくださいということがわかるように注意喚起をさせていただいております。
また、先生の御指摘いただきましたケトアシドーシスに関する注意喚起につきましては、次の部分に記載しておりますが、まずはインスリン製剤の投与を中止すると、急激な高血糖やケトアシドーシスが起こるおそれがあるため、本剤の投与に至ってはインスリン製剤を中止しないこと。
また、本剤とインスリン製剤の併用にあたっては、低血糖リスクを軽減するためにインスリン製剤の減量を検討すること。ただし、この際には過度な減量はケトアシドーシスのリスクを高めるため、注意することが適切であるとの注意喚起をさせていただいております。
なお、臨床試験では、インスリン製剤の1日投与量は15%減量することが推奨された上で試験が実施され、実際には糖尿病性ケトアシドーシスは臨床試験では発現していなかったというような状況でございます。
さらに、先生御指摘のケトアシドーシスに関連する注意喚起につきましては、添付文書の次のページをおめくりいただけますでしょうか。具体的には5ページの左下になりますが、こちらで実際にケトアシドーシスにかかる注意喚起を今回新たに付しております。
まずは、ケトアシドーシスを発現しやすい患者として、新たに1型糖尿病患者というものを追記させていただきました。
また、さらに患者に対して以下の点を指導することといたしまして、今回新たに血糖が高値でなくてもケトアシドーシスが発現しうること、また、特に1型糖尿病患者さんにつきましてはケトアシドーシスのリスクが高いことについても、患者さんに十分に説明しながら本剤を使用するようにというところを注意喚起させていただいております。
機構からの説明は、以上となります。
○奥田部会長代理 よろしいでしょうか。ほかにこのスーグラ錠についてございますか。
この1型糖尿病のときに、インスリン製剤が入って、それからスーグラ錠が入る。それ以外に、ほかの糖尿病薬の併用というのは考えられていないんですか。理論的に、使えるものが少なくなってしまうと思うんですけれども。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。
現在、1型糖尿病での臨床現場で使用されるお薬というのはαGIというものが1つございます。こちらは、効能・効果として糖尿病の食後過血糖の改善ということで、現場では1型糖尿病と2型糖尿病に使われるお薬として使われておりますが、その他の経口剤としては2型糖尿病患者のみで使用されておりますので、基本的に1型糖尿病患者ではインスリン製剤が使用されており、そこに併用可能な経口薬はαGIというところが現状でございます。
○奥田部会長代理 どうもありがとうございます。ほかに議題2について、委員の先生方から追加で御質問、御意見はよろしいですか。
それでは、議決に入りたいと思います。
なお、大森委員、代田委員、武田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題3に移りたいと思います。
○森委員 先生、申しわけございません。
妊婦への注意喚起は、この程度にとどめることになっているんでしたか。禁忌のところになかったのは、重要な注意事項のところに記載するのが今の標準的な方法でしたか。
○奥田部会長代理 済みません。今は私が先走ってしまったようで、一度戻ります。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。
先生の御指摘は、妊婦等についてはケトアシドーシスが起こりやすいとか、そういう懸念があっての御質問でしょうか。
○森委員 違います。イプラグリフロジンを妊娠中の方に使うということを、禁忌にはしていないということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現状では禁忌とはしておりませんで、妊婦等に関する投与につきましては添付文書の7ページの下の部分に記載させていただいておりますが、妊娠している可能性のある婦人に本剤を投与せずに、インスリン製剤等を使用することというふうに記載しているのが現状であります。
○森委員 糖尿病の経口血糖降下薬で、妊娠中の方に使用することは原則禁忌になっているというのが今、多分専門医や医療療養では通例になっているんですが、添付文書上は禁忌指定していないという現状でよろしいですか。これは、SGLT2クラス全部そうなっていらっしゃるんですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○奥田部会長代理 よろしいでしょうか。
それでは再度、議決に入りたいと思います。
大森委員、代田委員、武田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととしたいと思います。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議ないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告といたします。
どうも済みません。私の不手際がございました。
(大澤参考人 武内参考人 和田参考人 監視指導・麻薬対策課長入室)
○奥田部会長代理 それでは、議題3について、医薬品機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、医薬品ビバンセカプセル20mgほかの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。
本剤は、注意欠陥/多動性障害、以下「AD/HD」と略させていただきます。この治療薬であり、2017年9月現在、米国、欧州等21カ国で承認されております。
本薬はd-アンフェタミンのプロドラッグであり、吸収された後にd-アンフェタミンとL-リシンに加水分解され、活性本体であるd-アンフェタミンは類薬のメチルフェニデートと同様に、ノルアドレナリントランスポーター及びドパミントランスポーターの阻害作用等を介して中枢神経刺激作用を示します。
本邦では20〇年〇月から臨床試験が開始され、今般、小児期におけるAD/HDに対する有効性及び安全性が確認されたとして製造販売承認申請が行われました。
本申請の専門委員としては、資料14に記載されている11名の委員を指名しております。
臨床成績を中心に、審査の内容を説明させていただきます。
まず、有効性ですが、審査報告書42ページの表28をごらんください。小児AD/HD患者を対象とした国内第III相試験が実施され、主要評価項目であるm-ITTでのAD/HD Rating Scale IV合計スコアでの最終評価時点でのベースラインからの変化量について、本剤30mg/日群、50mg/日群及び70mg/日群とプラセボ群との間にそれぞれ統計学的有意差が認められました。
次に安全性ですが、中枢神経刺激作用を有するAD/HDに対する中枢刺激薬の代表的な有害事象である心血管系、中枢神経系、消化器系及び成長への影響等に注目して評価いたしました。
審査報告書の52ページの表37に心血管系の有害事象、審査報告書53ページの表38に中枢神経系の有害事象、審査報告書55ページの表39に消化器系の有害事象、審査報告書56ページの表40に成長への影響について記載しており、これらの有害事象については類薬のメチルフェニデートを大きく上回るリスクは示唆されていないことから、メチルフェニデートと同様に添付文書において注意喚起することが適切と考えております。
さらに、本剤はd-アンフェタミンのプロドラッグであることを踏まえ、依存性について評価いたしました。
まず、戻って恐縮ですが、審査報告書31ページの「6.2.5薬物嗜好性試験」の項をごらんください。中枢刺激薬の乱用歴がある外国人健康成人を対象に、プラセボ、海外においてAD/HDの治療薬として使われているd-アンフェタミンの臨床用量である40mg、また本剤の臨床用量である50mg及び臨床用量を上回る100mg及び150mgを投与したときの薬物嗜好性を検討したところ、d-アンフェタミン及び本剤150mg群の薬物嗜好性スコアについて、プラセボ群との間に統計学的有意差が認められました。
そのため、本剤を大量に服用した場合はd-アンフェタミンと同程度の乱用・依存性リスクを示す可能性があると考えられるものの、依存性形成の可能性について慎重に検討しながら、本剤を小児のAD/HD患者に対して使用する限りにおいては、乱用・依存性が臨床的に大きな問題となる可能性は高くないと考えました。
次に、審査報告書48ページの表34をごらんください。海外の製造販売後における安全性情報において、薬物違法流用、過量投与などの有害事象が報告されておりますが、多くは成人において認められました。
その上で、審査報告書50ページ、「7.R.2.1.2本剤の適正使用について」の項をごらんください。本邦においては、ほかの依存性を有する薬物と比較してアンフェタミン類の乱用が多く、社会的な問題となっていることを踏まえ、適正使用を目的として次に述べる流通管理を行うことといたしました。
1点目として、本剤の投与がAD/HDの診断・治療に精通し、本剤の乱用・依存性リスクを十分に管理できる医師により行われるよう、本剤の適正使用及び薬物依存についてWeb講習を受講した医師及び薬局などの調剤責任者を登録した上で、薬局などにおいて登録された医師による処方に対してのみ調剤を行うことといたします。
なお、医師についてはAD/HDに関する症例報告及び文献等により、一定の治療実績が確認できることを登録の要件といたします。
2点目として、本剤が複数の医療機関等から不適正に入手されることを防止するため、本剤を使用する患者に関する情報及び処方情報の登録を必須とした上で、登録済みの可能性のある患者が別の医療機関を受診した場合は、受診した患者の登録の有無を医師が確認し、不適正使用の可能性があると判断した患者に対しては処方を行わないことといたします。
3点目として、有識者からなる第三者委員会を設置し、登録医師及び調剤責任者の適切性、異動などの情報、患者登録の実施状況及び本剤の各医療機関における流通量を確認し、適切に実施されていない場合は第三者委員会にて登録取り消しの要否を含めて対応を検討することといたします。
なお、流通管理に関しましては、この後、審査管理課からも詳細について御説明させていただきます。
以上を踏まえた上で、最後に本剤の投与対象患者について御説明いたします。審査報告書69ページの「機構は、本剤の活性本体は」で始まる段落をごらんください。
本剤については、国内第III相試験において前治療薬の有無にかかわらず有効性が示唆されていること、安全性について類薬のメチルフェニデートを上回る大きな問題は認められていないことを踏まえると、臨床試験成績の観点からは、ほかのAD/HD治療薬と同様の臨床的位置づけになり得ると判断しております。
しかしながら、本邦においてはほかの依存性を有する薬物と比較して覚醒剤などの乱用が多く、社会的な問題となっていることを踏まえると、本剤の不正入手が行われ、既承認薬よりも本剤の目的外使用及び不正流通のリスクが高くなる可能性が否定できないことから、厚生労働省とも協議した上で、製造販売後に本剤の使用経験が蓄積されるまでの間は、本剤の使用をほかのAD/HD治療薬で効果不十分な患者に限定し、目的外使用及び不正流通が生じないよう監視を行うことが適切と判断いたしました。
したがって、効能・効果としては「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」とした上で、承認条件として「使用実態下における乱用・依存性に関する評価が行われるまでの間は、ほかのAD/HD治療薬が効果不十分な場合にのみ使用されるよう、必要な措置を講じること。」とすることが適切と判断しております。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品、特定生物由来製品に該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。
薬事分科会には、報告を予定しております。
説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○事務局 続きまして、事務局より追加で、本剤の流通管理策について改めて御説明をいたします。
流通管理に関する資料としまして、当日配付資料の12-1と12-2を配付しておりますが、このうち資料12-1「ビバンセカプセル適正流通管理策(案)の概要」、1枚紙を用いて御説明いたします。資料12-1を御用意ください。
本剤の製造販売に当たりましては、製造販売承認申請者である塩野義製薬が流通管理策を実施予定としております。
全体の概要を「1.実施体制」として記載をしております。一番下に、全体の概要図をお示ししておりますので、こちらも御参照ください。
1つ目の「○」でございますが、本流通管理策では類薬であるコンサータと同様に、本剤の流通管理全体を監督するため、医師、薬剤師、弁護士等からなる「ビバンセカプセル適正流通管理委員会」を社外に組織し、医師等の登録時の審査や登録取り消し、流通管理の実施状況の確認、必要に応じた管理策の見直しなどの役割を担っていただくこととしております。
2点目、この流通管理委員会の登録事務局が管理する「ビバンセカプセル適正流通管理システム」において、医師や医療機関等の登録のほか、各施設の納入量などの流通量を一元管理することとしております。
3点目、取り扱う医療機関、薬局とその調剤責任者について、それぞれ事前の登録を求めることとし、登録された施設以外では納入を禁止することとしております。
4点目、医師についても登録を求めることとし、登録時にはe-ラーニングの受講や、流通管理への同意を求めるほか、関連学会への参加、こちらはコンサータで求められております日本精神神経学会、または日本小児科学会の専門医であることに加えて、日本小児神経学会等の専門領域の学会への参加を確認することとしております。
さらに、AD/HDの症例報告や関連論文を求めることにより、AD/HDの治療経験について確認をすることとしております。
また、この医師登録については定期的な更新を求めることとしております。
5点目、本剤については処方を受ける患者の登録も行うこととしており、初回処方の前にあらかじめ処方医を通じて登録を行っていただくこととなります。
続きまして裏面、2ページ目にまいりまして、「2.処方及び調剤の手順」でございます。主な流れを、一番下の図に記載しております。
1つ目の「○」ですが、先ほど申し上げましたとおり、本剤の処方に当たっては患者登録が必要となりますので、医療機関において患者及び代諾者の同意を取得した上で、イニシャル、性別、生年月日の患者情報をシステムに登録します。また、その際には薬物乱用歴がないことや、第三者からの症状に関する情報の確認についてもチェックを行った上で登録を行います。
2つ目、患者登録の際には二重登録ではないこと、つまり、既に登録された患者との情報の重複がないことをシステムによって確認した上で登録が行われることとなります。登録が完了しますと、患者IDが記載されたIDカードが登録事務局から発行され、登録医師から患者に渡されます。
4つ目の「○」でございます。登録医師が本剤の処方を行う際には、患者カードと登録システムを用いて過去の処方内容を確認した上で、今回の処方内容を登録システムに入力し、処方箋を発行します。
5つ目でございます。薬局における調剤時には患者カード、処方箋に記載された処方医と医療機関を確認した上で調剤を行い、薬剤を交付することとなります。
以上が、本剤を処方、調剤する際の主な手続となります。
なお、管理手順の詳細については、資料12-2に文書形式でまとめているほか、流通管理の実施に当たって医師向け、患者向けといった各種資材の案を机上の水色の紙ファイルにまとめておりますので御参照ください。
また、関連資料としまして、同じく当日配付資料として、市民の人権擁護の会からの要望書が送付されておりますので、参考資料として配付させていただいております。
御説明は以上になりますが、本議題につきましては、よろしければ本剤の承認の可否の方向性及び流通管理策の妥当性を本日御確認いただいた後、御説明いたしました流通管理策の概要について、パブリックコメントを実施することとしたいと考えております。
その上で、次回以降の部会において、流通管理策に対するパブリックコメントの結果も踏まえて、承認の可否等について改めて議決を行っていただいてはいかがかと考えております。
また、本議題では本剤の臨床的位置づけや流通管理策等について御説明をいただくため、参考人をお呼びしておりますので御紹介させていただきます。
東京女子医科大学の大澤真木子参考人、慶應義塾大学の武内俊樹参考人、埼玉県立精神医療センターの和田清参考人です。
また、本議題については、事務局より監視指導・麻薬対策課長の磯部も出席しております。
御説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長代理 御苦労さまです。大澤参考人、武内参考人、和田参考人、お越しいただきありがとうございます。
では、まず本剤の品質、有効性及び安全性に関して質疑を行った後で、流通管理策の質疑を行うこととしたいと思います。
まず、本剤の臨床的な位置づけについて絞って審議を行いたいと思いますが、大澤参考人から御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大澤参考人 大澤でございます。今までいろいろな形で御説明がございましたけれども、AD/HDについて簡単に申し上げますと、AD/HD、注意欠陥/多動性障害の患者さんというのは、不注意な面と、それから衝動性の面と、そしてその両者が混合した面と、そういう形で症状を呈しておられます。
実際には、小学校に入った年齢以降において、学校の先生がお話いただいていることを集団の一人として聞いているときにはうまく聞き取ることができなかったり、何か常に外のものに注意が向いてしまいまして、そちらに注意が向いてしまうとその時点で席を立ったり、あるいはそれに関わる順番を待つことができなかったりといった衝動性の部分もございます。
繰り返しますが、不注意な面が目立つ方、衝動性が目立つ方と、両方の特徴を持っている患者さんがいらっしゃいます。
このビバンセに関しては、どちらかというと衝動性の強い方に比較的効果があらわれるのではないか。コンサータと同じように、そのように考えます。
簡単ですが、以上でよろしいでしょうか。
○奥田部会長代理 どうもありがとうございます。
引き続きまして、武内参考人から御発言をいただきたいと思います。
○武内参考人 武内でございます。
今、大澤先生から概要を御説明いただきましたけれども、私たち小児神経の領域では非常によく相談を受ける主訴でございます。学校でいわゆる落ち着きがない子であったり、急に何か飛び出して行ったりということであったり、あとは気が散っていろいろなことに手がつかないというような人でございます。小さいお子さんを我々は相手にしていますが、非常に小さいお子さんというのはもともと割と多動なんです。それが社会的に社会生活を送る上でいろいろなことの障害に出てくるのは、やはり学校に入るぐらいの年齢ですね。
この手のお薬は処方の年齢として6歳ぐらいが基準になっています。そこでやはり学校生活がうまくいかなくなると、親御さんに少しお薬を使って落ち着いて社会生活が送れるようなお手伝いをしたほうがいい場合があるという御説明をすることがあります。
それで、今、幾つか既にお薬が出ていますけれども、我々はお薬が幾つかある中で、やはり今、大澤先生がおっしゃいましたように衝動性ですとか、多動性ですとか、そういうことをいろいろ加味しながら使います。今、使われているコンサータというお薬はビバンセに似たお薬なんですけれども、それをうまく使うことによって社会生活が送れる患者さんというのは、学校生活が送れるようになって、お友達とのトラブルが減って、うまくやっていけるお子さんというのは一定数いらっしゃると私が感じているところでございます。
ですので、このお薬のいろいろなそういう社会的な面等々はありますけれども、そういうことがうまく送れる患者さんはいらっしゃるという印象を持っております。以上です。
○奥田部会長代理 どうもありがとうございます。
今の先生方の御発言も含めて、委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
では、まず長島委員、よろしくお願いします。
○長島委員 これだけ厳重な管理策が必要だったり、一般市民団体からの反対があるけれども、それでもやはりこの薬は臨床上、ぜひ必要な薬であるという認識でよろしいのでしょうか。
○奥田部会長代理 機構、もしくは参考人の先生方からコメントをいただければいただきたいですし、機構の御判断を再度確認したいと思います。
○大澤参考人 大澤でございます。現在3剤がございまして、その3剤でもかなりの患者さんたちはよくなられています。しかし、その3剤を使用しても、なおかつうまくいかないという方も少数ではありますけれどもいらっしゃいますので、そういう方の場合にコンサータではうまくいかないけれども、もしかするとこれを使うとうまくいくんじゃないか。
衝動性があったり、多動性のあるお子さんというのは、我慢ができないものですから、お友達との暴力沙汰になってしまったりすることがあります。それが起こらないようにしたいと考えますと、あったほうがいいと思います。
ただし、この流通管理の先ほど御説明いただいた状況というのはかなりハードルが高いものでございますので、その辺はこの薬剤に行き着くところはかなりステップが厳しいなという感じはいたしております。
○奥田部会長代理 長島委員、今の御回答でよろしいでしょうか。
○長島委員 このお薬で救える患者さんがいるということですね。従来のものでは十分対応できない患者さんのグループもあるということで、よろしいでしょうか。
○大澤参考人 はい。
○長島委員 わかりました。
○奥田部会長代理 武内先生、何か追加で御発言はございますか。
○武内参考人 今、我々はその3剤出ているお薬をもちろん初めに使う前提で、それが効かない方に使うという順序だてが先ほど御説明いただいた流れになっておりますので、それは適切かというふうに思います。
○奥田部会長代理 機構の方、何か追加で、ここで情報提供はございますか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構よりお答えいたします。
参考人の先生方から御説明いただいた点でもございますけれども、メチルフェニデートが効かない、効果不十分である患者さんにつきましても約30%はいるというようなデータもございます。その上で、ほかの薬剤を使っても効果が出ない患者さんもいらっしゃるということで、そういう患者さんに使っていくという観点からは、この本剤を使っていく意義というのはあるのではないかと判断しているところでございます。
○奥田部会長代理 大森委員、よろしくお願いします。
○大森委員 今のところに関連していると思うんですが、ヨーロッパのほうは、添付文書にメチルフェニデートが効果がなかった例に使用するということがはっきり書かれています。それに対して今、機構の御説明だと、日本の場合は、添付文書には書かずに指導みたいな形で、当面はメチルフェニデートが無効な例に使用するというような形でということだったんですが、添付文書に明記されたほうが明解のような気がいたしますが、あえてそうしなかったのはどういうことなのかなと、ちょっと疑問に思いました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構よりお答えいたします。
審査報告書の47ページを御確認いただければと思います。こちらの表33に、前に治療薬があるか、ないかという患者さんに関しまして、主要評価項目であるAD/HD RS-IV合計スコアの変化量を記載してございます。
こちらからおわかりいただけますように、第III相試験、その下に海外第III相試験もあり、上の2つ、中枢刺激薬、中枢刺激薬以外というのは前に治療薬があった患者さんですけれども、その下の「なし」と書かれているところに関しましては、前に特に治療薬がなかった患者さんでございます。この患者さんにおいても、傾向としては全体集団と同じように有効性を示す傾向があったというような成績となっております。
全体として、前に治療薬がない患者さんも含めまして有効性、それとともに安全性も示されたというような成績にはなっておりますので、この観点から効能効果として、例えば既存治療薬に対して効果不十分であるということを記載するというのは、そのほかにこういった制限をかけている効能・効果のものとは少し位置づけは違うのではないかと判断したところでございます。
○大森委員 日本の治験のデータから見て、そういったメチルフェニデートの無効例のみ使うというような示す根拠はないということなんでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。臨床試験成績から見て効能・効果を縛るという根拠はなくて、どちらかというとアンフェタミンのプロドラッグということに関して乱用・依存性であったり、目的外使用が懸念される。
ですから、効能・効果の外でのどうしても不正流通、不適正使用が懸念されるという観点から投与対象を絞るということになるので、このような承認条件でという形にさせていただいた次第でございます。
○大森委員 その対象を絞るというところがいま一つわかりにくいんですけれども、この流通管理の上でそういうふうにしていく。どこかにそういう文言が入るんですか。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の70ページを御確認いただければと思います。
承認条件としまして70ページの中ほどに、使用実態下における乱用依存性に関する評価が行われるまでの間、ほかのAD/HD治療薬が効果不十分な場合のみ使用されるよう必要な措置を講じることと記載しておりまして、この承認条件に関しまして今お配りしている添付文書案には入っていないんですけれども、実際に、製造販売されるときの添付文書にはこの承認条件も書かれるような形になりますので、この添付文書を見て、この対象はこういう患者さんになってくるということがわかるようになっております。
○大森委員 それは、現在の添付文書の案にはまだ記載されていないけれども、また入ってくるということですか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。まだ案の段階では入っていないという形になっておりますけれども、実際に製造販売されるときには入ってくるという形です。
○大森委員 非常に重要な違いになってくると思うので、ぜひきちんと入れていただきたいと思います。
○奥田部会長代理 今の話は、実は私は事前に質問を事務局に投げて、回答は私だけいただいてしまったんです。その回答を多分、事務局の方からしていただくのが一番いいんだろうと思います。
○医薬品審査管理課長 私からも同じことなのですが、御説明させていただきます。
今、この分厚い資料の中の添付文書案というものには、承認条件というのは我々が審議会の御了解をいただいた後に決まるものでございますので、それについては記載しておりませんが、最終的にここでも承認の可否も含めて御了解いただいたら、それは添付文書の最後に承認条件としてきちんと明記されることになります。
それで、具体的に今のところどんな文言を考えているかといいますと、随所に出てくるのですが、例えば審査報告書の75ページをごらんいただければ、前のページから1.2.がございまして、3.として75ページのところで、きちんとした評価が行われるまでの間は他のAD/HD治療薬が効果不十分な場合にのみ使用する。このことを、承認条件としてきちんと課す。それは、添付文書にもきちんと書かれるという構図になっております。
○大森委員 理解いたしました。
○奥田部会長代理 いろいろ法律的なことがあるようで、そういう仕切りになっているようなんですが、ただ、今回の資料の中にもあらかじめ承認条件が書いてある添付文書案があったりするので、多分、大森先生も少しこれは混乱されたのかなと思いますが、そういうことだそうです。
大賀委員、お願いします。
○大賀委員 そうしますと、先ほど参考人の大澤先生からお話がありましたように、衝動性の高い人に効きそうだというときに、承認条件の1.から3.までがあるうちはファーストラインとして使いにくいんですけれども、それが外れるまではファーストラインでは使わずに、これが外れてしまったらそういう患者さんにも効果を確認して使うことができるようになるというふうな捉え方で現場はよろしいんでしょうか。
私は小児科医で、これは専門ではございませんけれども、どういう患者さんに具体的に出されるかというところが少し気になりましたもので、機構のほうにも、参考人のお二人の先生にも、質問させていただきました。
○奥田部会長代理 参考人の先生、あるいは機構から、今の大賀委員の質問に対して。
○審議役 これは承認条件をつけておりますので、この承認条件が解除されるまではこのとおりに使っていただく。つまり、セカンドライン以降になるということです。
それで、流通管理上しっかりできて、乱用とか問題ないというふうな話が出てくるようであれば、そのときに改めて承認条件を解除するかどうかの御審議をいただいて、それでオーケーとなればファーストラインでも使えるという御理解でございます。
○奥田部会長代理 ありがとうございます。
杉委員、お願いします。
○杉委員 循環系の医者なので、参考人の先生に伺いたいことがあります。非常によく効くというところもあるのでとっておきたいという薬だろうと思うんです。覚醒剤であるd-アンフェタミンのプロドラッグになるので、管理を厳重にしてという皆さんの盛んな御意見はよくわかります。効くというところと、もう一つはその副作用という点で伺っておきたいと思っております。
この説明書を見ますと、まず1つが心筋症を発生することがあるということと、これの副作用に血圧が上がる、脈が上がるということがあって20%ぐらいの上昇なんですね。
でも、最後のほうには死亡、突然死というのがあるんです。突然死は大抵不整脈なんですけれども、その20%ぐらいに脈が上がっただけで不整脈が起こるとはちょっと思えないのです。そういうような突然死を起こすのは、覚醒剤であるd-アンフェタミンの反復使用で心筋がかなりダメージを受けた人がそういう不整脈を起こすのではないかなと、私は理解していたのです。
ですから、こういう管理された子供において、そんなに反復してずっと使うということではないのではないかなとは思うのです。参考人の先生方で、そういうような危険な状況というのをごらんになったことがあるかどうか、伺いたいのです。つまり、類似の薬に関しまして、そういうような危険性が日本人にあるかどうかですね。それを伺いたいと思います。
○武内参考人 私個人としては、いわゆる重篤な心血管系の副作用に遭遇したことはございません。
あとは、今、使われているコンサータとか、その手の薬は休薬日を比較的設けていただくように指導することが多いので、例えば長期の夏休みで余り多動が問題にならないといいますか、学校が休みの時期ですとか、そういうときには親御さんにお休みをするような感じで指導しております。
○杉委員 私は素人ですけれども、はたから聞いていると、よく効くというものと、その反面で何か反対があるということはきっと危ないんだということがあると思うのですけれども、今の管理の仕方でいえばそれほど危ない薬ではないという理解でよろしいんでしょうか。
○奥田部会長代理 今の心毒性の観点から、何か機構から追加で御発言はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験のデータについても一応補足はさせていただきますけれども、臨床試験の中で心筋症として認められたというようなケースは認められてはおりません。
また、本剤の投与方法に関しては参考人の先生方から御説明があったとおりですけれども、例えば休日ですとか、長期間の休みに入るときなどに時々、休薬をしていただく。それも含めて、安全性に問題がないかというところに関して定期的に確認はしていただく。これに関しては、添付文書にも注意喚起はしておりますので、そこも考慮しながら慎重に使っていただくということで、ある程度の対応はできるのではないかと考えております。
○杉委員 ありがとうございました。
○奥田部会長代理 大賀委員、お願いします。
○大賀委員 そうしますと、コンサータもそうですが、この薬についても休薬などを経験した後、離脱率というか、このお薬をやめるということに関する資料というか、海外も含めてそういう情報はあるんでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より、まず御説明させていただきます。
海外で長期間使用したというようなデータは、幾つか文献のベースでは見つかっているんですけれども、実際に離脱して何が起きるかというところに関しては、離脱した後にどういう評価をしていくか、なかなか難しいところもございまして、明確にこうであると結論づけられるようなデータは現在のところ得られていない状況ではございます。
ただ、本剤に関しましては製造販売後の調査も今後実施しますので、そこで本剤の投与を終了してしまった患者さんに関しましても、継続的に依存・乱用に関してはデータをとっていくというところで、まず長期間投与して、投与を終了した後に離脱症状が起きないか、あるいはきちんとその投与をやめられているかという点に関して、ある程度の検討はしていくということは考えております。
○奥田部会長代理 長島委員、どうぞ。
○長島委員 今のことに関連してなんですけれども、適正の量を使用した場合の副作用はここでわかるのですが、依存性があるとか乱用性があるということで、適正な使い方以上の使い方がされた場合の副作用とか、そういうもののデータはありますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より、お答えいたします。ありがとうございます。
端的に記載しておりますのは、添付文書を御確認いただければと思います。3ページ目の過量投与のところに記載をしておりまして、急性過量投与の症状として落ち着きのなさ、振戦、反射亢進、頻呼吸等々、あとは錯乱攻撃性、幻覚、パニック障害など認められているというような記載もございますので、こちらを参照いただければと思います。
この患者さんを対象とした臨床試験に入る前の海外で実施されている臨床薬理試験などで、臨床用量の70mgよりも高用量を投与したときにはこういう症状が認められたということもございますので、こちらに記載しているような形となっております。
○長島委員 今のことに関連してなんですけれども、コンサータに関してはそのような不適切な利用によって何か問題が起こったというようなことをもし御参考人で御存じでしたら教えていただきたいのですが。
○奥田部会長代理 いかがでしょうか。
○大澤参考人 大澤でございます。その不適切な量ということに関しては私にはわかりませんが、もう5年ぐらい前かと思いますけれども、1例、コンサータを服用していた自閉症の患者さんで、たまたま押さえつけて予防接種をした。その後に、その方が亡くなったというような報告はあったかと記憶しております。
ただ、その場合にコンサータそのものの問題なのか、あるいは自閉症の患者さんの場合は、ある程度いろいろなことを本人に予測させておくことが重要なんですけれども、それを予測させたり納得させないで、無理やり押さえつけて予防接種を行ったということそのものの行為が与えた影響なのか、そのあたりのところは少し問題があるのではないかというような議論になったという記憶はございます。
すみませんが、それ以上のことは私にはわかりません。
○奥田部会長代理 ほかに武内参考人、もしくは和田参考人が何かそういうような御事例をお持ちでしたら。
○武内参考人 私は、特に遭遇したことはございません。
○奥田部会長代理 長島委員、よろしいでしょうか。
○長島委員 要するに、しっかり厳重に適正に管理されるということが前提の薬だということがよくわかりました。
○奥田部会長代理 そうしましたら、今のことは大事な問題ですので、今度は流通管理策の話題に移りたいと思います。
これについて3先生から御発言をお願いしたいんですけれども、この流通管理について何か御発言、特にコメントを和田先生からまずお願いします。
○和田参考人 和田でございます。依存性薬物、依存性薬剤に関しましてはこれまで幾つかの問題が起きておりますし、その経験もあると思います。
まず、リタリンの不正使用は大きな社会問題となりました。そのときの問題点を挙げますと、いわゆる鬱というものに対する評価尺度としてのいわゆるバイオマーカーが存在しない。診断は、患者さんの自己申告による症状と、それを診察する医師の見立てによらざるを得なかったという問題があったかと思います。その結果、いわゆる詐病問題と、安易に処方する医師の存在が社会問題化した背景にあったかと思います。その後のコンサータですが、医師による不適切使用問題がまた起きていたようです。
それから、国立精神・神経医療研究センターでは全国の精神科病院調査というのを行っておりまして、依存性薬物の使用が原因で精神科病院を受診、あるいは入院した患者さんの主な原因薬物は何であったかという調査をやっております。覚醒剤が53%強で圧倒的に多いわけですが、実は2番目に多いのは睡眠薬・抗不安薬といういわゆる医薬品で17%を占めております。
さらに話は変わりますが、2011年ごろからの危険ドラッグ、これは本質的には脱法ドラッグです。法の網をかいくぐるという脱法ドラッグ問題が社会問題化しまして、2014年には脱法ハーブ使用者による池袋での自動車運転死傷事故が発生して大変な騒ぎになったのは記憶に新しいかと思います。
今、言いましたこれらに共通することは、いわゆる薬です。医薬品ですから、使うことに対する罰則がないということが共通項だと考えています。したがって、依存性薬物に関してはその薬物に応じた流通管理が必要であって、使うことに対する罰則がない依存性薬物の流通管理には特に配慮が必要だろうと考えております。
今回のビバンセは何度も出ておりますが、d-アンフェタミンのプロドラッグでありまして、そういう意味ではこれまでの依存性薬物に対する流通管理以上に、より厳格な管理が要求されるかと考えております。
具体的には、まず1番として、間違いなくAD/HDの患者さんかどうか。
2番目としまして、処方する医師の要件は適切かどうか。
3番目は、やはり本人確認及び保護者確認は厳格になされているのか。
4番目は、飲み忘れ等による残薬の処理法は大丈夫であろうか。
5番目は、保護者による保護者自身が使ってしまう、あるいはその横流し、それに対する防止策は大丈夫であろうか。
6番目としまして、医師による不適切使用に対する防止策は大丈夫か。
具体的には、そういうところが問題になってくるかと考えております。
この中でも、対応策等を拝見しましたが、保護者による保護者自身が使うということに対する対策はどうなのかなと、若干個人的には気になったところがあります。
そういうことですが、リタリンはナルコレプシーといういわば非常に数が少ない、あるいはその検査もそれなりにできる疾患への適用に絞られたことによりまして、問題をほぼ解決したと思っておりますが、コンサータ自身、これは現行の規制で十分かどうか、今回の検討を機会にコンサータも少し考える必要があるのかなという気がしないでもないです。これが、私からの意見でございます。
○奥田部会長代理 どうもありがとうございます。
もし大澤参考人、武内参考人から追加の御発言があればお伺いいたしますし、なければ委員から今のこの適正流通について御意見、御質疑をお願いいたします。
○長島委員 今、参考人からお話がありましたけれども、コンサータと比べて今回、より厳格にしたところが何かあれば、その変更点と、その変更した理由及びこの変更点をコンサータの管理に関しても反映する必要はないか。この3点について、教えてください。
○奥田部会長代理 お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構よりお答えいたします。
今回の流通管理におきまして、現在のコンサータの流通管理よりも少し強化したところとしましては、今回のビバンセの流通管理で患者登録を行うという点になります。それで、ビバンセを処方される患者さんに関して登録を行って、調剤される薬局においてもその患者さんがきちんと登録されていますかということを確認した上で調剤を行うという仕組みにしております。
この点なんですけれども、同じ患者さんが短期間にビバンセをもらうというような形で、例えば違う医療機関に何回も行ってしまう。いわゆるドクターショッピングをしてしまう可能性があるんですけれども、それを防ぐという観点から患者さんを登録して、ある日、医療機関に行って登録された患者さんが別の医療機関に短期間で行ってしまったときに、その医療機関のほうで登録されているかどうかというところを確認したときに、もし既に登録されて短期間で処方されていれば、もうわかってしまうというような形になりますので、この方法でいわゆるドクターショッピングを防いでいくというような形になります。この点が、コンサータとは大きく異なる点となります。
○事務局 加えまして補足させていただきますと、さらにコンサータの流通管理策に比べまして本剤の流通管理策で強化している点としまして、医師の登録基準の強化を実施してございます。
先ほど御説明の中で触れさせていただきましたとおり、コンサータの場合ですと、医師の登録の際の要件としまして日本小児科学会、または日本精神神経学会のいずれかの学会の専門医であることが要件となっておりますが、本剤の場合はそれに加えまして専門領域の学会に御参加いただいていることも加えて、重ねての要件とさせていただいています。
理由としましては日本小児科学会、あるいは日本精神神経学会の専門医の先生であったとしても、必ずしもAD/HDの治療の御経験がない先生もいらっしゃるということで、できるだけ専門領域の先生に限らせていただくという趣旨でこの件を追加させていただいております。
さらに、本剤の医師の登録の際には、AD/HDの治療の御経験について症例報告や関連論文等を確認させていただくということにしておりますので、これらによってAD/HDの診断、治療が適切に実施していただける先生に本剤を使用していただくことを確保しようと考えております。
○医薬品審査管理課長 継ぎはぎになってしまって申しわけありませんが、最後のコンサータに比べて厳しいところは今、御説明をさせていただいたとおりでございます。
一方、既存の品目であるコンサータについて、では今のレベルの対策でいいのかどうかということにつきましては、もし可能であれば本日の先生方の御意見などもいただきながら、本日はビバンセということでございますが、コンサータに対しても御意見をいただければ、私ども関連課長は出そろっておりますので、お預かりをさせていただいて検討をさせていただきたいと考えているところでございます。
○奥田部会長代理 ありがとうございます。
委員の先生方から、この件について御質問、御意見をお願いいたします。
大森委員、どうぞ。
○大森委員 ちょっと論点はそれるかもしれないのですが、この小児に適用の間はこれだけ厳重な管理体制をしけば、まず心配ないんじゃないかなという気がいたします。子供の場合のほうが、診断は正確なのではないかと私は思っています。
というのは、本人を見る、親に会う。そして、多くの場合、学校の先生などから効果を確認するというような作業が行われますので、まず診断も、それから効果もかなり適正に行われているような気がしますし、なおかつ、これだけの管理体制をしけばうまく使えるように思うんです。
ただ、問題は、これが将来大人に適用拡大されるのかという点で、そこになると最初に機構からの説明でも、海外の例で大人の場合に乱用が多いというようなことが出ていましたし、和田先生の御説明でも、大人の場合の問題が多かったと思うんです。
そうなると、実際に診断もより難しくなるといえば難しくなる。情報源が本人にかなり絞られてしまうというようなこととか、臨床症状からいっても難しくなる。ですので、大人に拡大になったときに非常に大きな問題が生じるのではないかと思っています。
その点で、現時点で大人の治験というのはもう始まっているんでしょうか。それとも、将来、既に計画があるんでしょうか。もし御存じでしたら、情報があればお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構よりお答えいたします。
審査報告の62ページに、ちょっと論点はずれますが、18歳以上の患者への継続投与についてというところで一部記載しているところはございますので、少し参照いただければと思います。
それで、御質問いただきました成人への投与に関してなんですけれども、いわゆる成人を対象として、成人になってAD/HDと初めて診断されたような患者さんに対して投与を始めるというのを、今後その臨床試験をやって承認申請というところに持っていくかという点でございます。この点に関しましては御指摘もいただいたとおりではございますけれども、まずAD/HDの診断はどうしても第三者の確認というのが難しくはなってくるというところであったり、一般的に成人期の患者さんのほうが薬物依存が形成されるリスクは高まってくるという点を踏まえますと、どうしても今、検討している小児に対する流通管理というところがしっかりと機能しているというのが、やはり前提にはなってくるだろうと考えております。
その上で、プラスアルファとしてどういう方策を成人に関して行っていけるかというのもかかわってはきますので、いろいろと検討が必要な点は多くなってくるかとは思います。
○大森委員 コンサータの場合も恐らく、ちょっと問題が生じたのは成人に拡大されてからではないかと思うので、もしそういう予定があるとしたら、先走った心配にはなりますが、そこが非常に大事になってくるのだろうと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。コンサータのときもそうでしたけれども、どうしても成人を開発するというところでハードルはございますので、実際のところ開発自体も現在行ってはいないという状況になってございます。
○奥田部会長代理 成人向けにということで積極的に開発しなくても、18歳でさらに引き続きその薬を必要とする患者さんが一定数いるかもしれないですね。
そうすると、やはりそういう患者さんに対して継続する必要があるかもしれない。多分、そのときのリスクを大森先生はおっしゃっているとも思うんですけれども、成人に対してということで和田参考人から何か追加で御発言いただければと思います。
○和田参考人 私自身は、いわゆるAD/HDの方を子供のときから見ているという立場ではないものですからわかりませんが、委員の方が言われたように、子供は必ず年をとるわけでして、必ずそういう年代になる。その辺のことは、やはりどうなのかなと私自身ちょっと感じます。
○奥田部会長代理 長島委員、どうぞ。
○長島委員 1点は、やはりコンサータといっても管理基準をしっかり同等レベルに上げていただくということを検討していただきたいと思います。
2点目は、先ほど和田参考人からお話がありました保護者とか横流しのチェックのシステムも、やはり何らかの形で追加していただけるとありがたいと思います。
3点目は、臨床の現場のお使いになる先生方から見て、これだけ厳重だとちょっと使いにくいとか、そういうことはございませんでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 先ほどの和田参考人からの御意見も踏まえまして、少し補足させていただければと思います。
本剤が小児から投与していって、投与している途中に成人、18歳を迎えてしまっているという場合ですけれども、この場合に関しては投与を継続することは可能と読めるようには、添付文書の注意喚起も含めまして記載をしております。
その経緯としましては、小児から投与を続けている患者さんに関しましては、小児から続けていることによって依存性のリスクなども評価しながら、時には休薬もしていったりというところもありながら、どういうプロファイルなのかというところをこの患者さんに関しては十分に経験が蓄積している状態にあるというところですので、こういった患者さんに関しまして継続するという点については許容できると考えてはいるところです。
ただ、一方で、18歳を超えてから投与を始める場合ですと、安全性のプロファイルも含めて全くわかっておりませんので、この点に関しては投与は認めているものではないという形にはなっております。
○奥田部会長代理 長島委員からの質問は、御専門の先生から見て、むしろこの管理というのでかえって何かお困りになることはないかという御質問だったと思うんですけれども。
○大澤参考人 例えば、医師の資格ですとか、今までは小児科学会の専門医、もしくは精神の専門医だけであったものが、小児神経やもう少しAD/HDの患者さんをより多く見ている可能性のある医師にかわったというような点などは良いと思います。
それから、同一の患者さんがいろいろなドクターショッピングをして回って、そしてあちこちで同じ薬をもらってくるようなことをチェックしていただくという点はいいと思いますけれども、実際問題として、まずは説明して、登録をして、その日には薬は出せないという状況があるので、そういう点は少しハードルが高いという感じはします。
ただ、それまでにほかの薬剤を使ってある程度はコントロールできていると思いますし、そこからワンステップ上がったところでの使用になると思うので、薬剤の性質を考えればやむを得ないのかなと思います。
それと、先ほど薬剤を中止した場合に、その再発の可能性というのも1つ議論になっていたかと思いますけれども、どちらかといいますとコンサータよりもストラテラのほうは中止しても、再発率は比較的低い。そして、コンサータのほうは中止した場合にやはり再発率が少し高いというようなことは言われています。
一般的に、男のお子さんと女のお子さんといるわけですけれども、男のお子さんのほうがやや衝動性が問題になる方が多く、その方たちは大体思春期とか、ある程度過ぎていきますと、その衝動性は落ち着いてくることが多く、また女性の場合は、衝動性よりも不注意というのが残って大人になっていくことが多いので、そういう点から考えてもそれほどは問題にならないかなというふうに思います。
○奥田部会長代理 武内参考人、お願いします。
○武内参考人 非常によく考えられたシステムで、基本的には私も賛成です。患者登録と、それからカードというのが両方そろわないと実際にお薬がもらえないということで、患者さんが実際に来た日に、もう今の薬は効かないので次の薬をお願いしますということになると思うのですが、そこの手間は現場でかなり周知してしっかりやらないと混乱が起きるかと思います。
あとは、カードですが、オンラインの情報はイニシャルが重なった場合などは確認するということだと思うんですが、例えばカードをなくした場合の対応や、先ほどお話が出ていましたけれども、きのうはおじいちゃんが来たのに、きょうはおばあちゃんが来たとか、そういうようなことがあった場合に、それはきちんと確認するということで、多少の混乱といいますか、今までこういうシステムはなかったので、現場がなれるのに少し時間がかかるかと思いますけれども、おおむねこのシステム自体は賛成です。
○奥田部会長代理 どうもありがとうございます。
○事務局 事務局から今、参考人より御指摘いただいた点につきまして補足をさせていただければと思います。
まず、大澤参考人から御指摘いただきました、初回の処方時は処方ができないという点につきましてですが、やむを得ない事情があった場合のみ、初回処方時であって、IDカードの送付が間に合わずIDカードを受け取る前にどうしても処方しなければならない場合につきましては、登録システム上で手続を行うことでIDカードを仮発行して、そのIDを用いて処方を行って、後日、IDカードを患者さんに渡すという例外的な方法をとることもできるような取扱いを現在想定しております。
また、武内参考人から御指摘いただきました、IDカードをなくした場合の対応でございますけれども、IDカードを紛失した旨の連絡が寄せられた場合には、IDカードが悪用されないように一旦そのIDは削除させていただきまして、当該患者様には再登録の手続をしていただいて新しいIDカードを発行するといったような手続をすることを現在想定しております。以上でございます。
○奥田部会長代理 神田委員、どうぞ。
○神田委員 医師登録について先ほど御説明があったんですけれども、その要件というのは報告書の70ページに書いてある医師要件というところが該当するというふうに考えてよろしいのでしょうか。
その場合、(1)はわかりやすかったんですけれども、(2)の複数の医師が判断して推薦した医師という(2)があるわけですが、この場合はその推薦条件というようなことがきちんと決まっているのかということです。
それからもう一つ、また別なんですが、使用上の注意で重要な基本的注意の(2)に目的外使用を防止するために1回分の処方日数を最小限にとどめるというふうなことが書かれておりますけれども、この最小限にとどめるという目安とか、それから縛りというようなことは何かあるんでしょうか。
○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。
1点目の医師の登録要件につきましてですが、御指摘いただきました(2)で、上記1に該当する専門の学会等に御所属をいただいている医師から推薦をいただいている方ということなんですけれども、具体的には資料が飛んで大変恐縮ですが、資料No.12-2、適正流通管理策(案)の3ページ目に医師の登録基準について詳細を記載させていただいております。
こちらの(1)が、先ほど御指摘いただきました学会等の基準になりまして、推薦の基準でございますけれども、基準Aを満たす医師2名以上がAD/HDの診断治療に精通していると判断し、推薦した医師となっておりますので、御自身以外の既に登録をされている基準Aを満たしているドクター、お2人以上から御推薦をいただくことを要件とさせていただいております。
さらに、先ほど申し上げましたAD/HDの症例報告、もしくは公表文献等で治療の御経験を確認させていただくことも3ページの(3)に記載させていただいておりますので、基準Bにて推薦で(1)の要件を満たす方であっても、(3)の症例報告、公表文献等は確認をさせていただくということにしております。
○監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課長でございます。
先ほど長島委員からのお話で、先ほど和田参考人のほうからもお話があった横流し防止ということを考えてほしいという御意見をいただきました。
実は、企業のほうともそういうことを考えなければいけないだろう。逆に言えば、患者の登録があり、医師の登録があって、当然、発注量はわかりますので、異常な発注だとかについて、それを第三者委員会にフィードバッグして、こういった患者さんの状態、それから実際の処方日数も今、出ましたけれども、そういったことを第三者委員会でもよく見ていただいて、そういう中から何かおかしなことがないかどうかという点についてもよく見ていただいて、必要な対応をやっていくということで考えてございます。
○奥田部会長代理 神田委員から、処方日数の件で、たしかもう一点御質問があったかと思いますが。
○事務局 失礼しました。先ほど、事務局からきちんと回答ができずに申しわけございませんでした。
処方制限、一度に処方できる数量についてでございますが、本剤は新薬品に該当いたしますので、通例、新医薬品の場合は薬価収載後1年間は一度に処方できる数量が14日分に制限されることになりますので、本剤もそのような取り扱いになる予定でございます。
その後の取り扱いにつきましては、流通管理の状況等も踏まえて判断されることになると考えております。
○奥田部会長代理 神田委員、よろしいでしょうか。14日はそのまま継続ということもあり得るということですね。
ほかにいかがでしょうか。いろいろ審議すべきことは多いんですが、通常ですとこれで審議、御意見が出尽くしたところで、承認の可否の議決に入るところではあるのですけれども、冒頭、事務局から説明がありましたように、本日の会議では承認の可否の方向性と、流通管理策についてここで確認をした上で、この流通管理策についてはパブリックコメントを実施して、次回以降の部会において改めて承認の可否について議決を行ってはいかがかというような提案がありました。このような進め方でよいかどうかを、まずこの場で御確認いただきたいと思うところであります。
なお、「確認」なんですけれども、念のために大森委員、代田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、この「確認」の参加を御遠慮いただくということにしたいと思います。もし御異議がなければ、本議題について承認の方向で進めること、ただし、この流通管理策についてパブリックコメントを実施するといったプロセスということでよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、承認の方向で進めること、それからこの管理策をパブリックコメントにかけることについて確認をしたということとさせていただきます。
それで、次回以降の部会において、当該パブリックコメントの結果も踏まえて、承認の可否について改めて議決を行うということとしたいと思います。
大澤参考人、武内参考人、和田参考人には御退席をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
○医薬品審査管理課長 1点だけ、本品目ではないのですが、審議の過程でコンサータについても幾つか御意見をいただきましたので、それにつきましてはちょっとお時間をいただきまして、私どもの関係各課で検討させていただいて、この部会にも御報告いしたいと思いますし、また関係部会も既承認品目でございますのでどこの部会が適切なのか、それも含め検討させていただきまして、何とかしかるべき流通管理策を考えたいと思います。ありがとうございます。
○奥田部会長代理 どうもありがとうございました。
(大澤参考人 武内参考人 和田参考人 監視指導・麻薬対策課長退席)
○奥田部会長代理 それでは、議題4に移りたいと思います。
杉委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議題4の審議の間、別室で御待機いただくことにいたします。よろしくお願いいたします。
(杉委員 退室)
○奥田部会長代理 まず、議題4について機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4-1及び4-2、医薬品ビムパットドライシロップ10%ほかの承認の可否等について、機構より御説明いたします。
本薬は米国で合成された抗てんかん薬であり、本邦では本薬を有効成分とする経口製剤について、2016年7月にてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)の併用療法に係る効能効果で承認され、その後、2017年8月に部分発作(二次性全般化発作を含む)の単剤療法に係る効能・効果が追加されております。
本申請は、本薬経口製剤の小児に係る用量の追加及び一時的に経口投与ができない患者におけるラコサミド経口製剤の代替療法としての本薬静注製剤の製造販売承認申請です。
なお、てんかん患者では長期間にわたる薬物治療の継続が必要ですが、手術時、消化管障害時、意識消失時などに一時的に経口投与ができない状況が想定されることから、本薬静注製剤は既承認の経口剤と類似した薬物動態が得られるような点滴静注用注射剤として開発されました。
2017年11月現在、海外では小児部分発作に対する効能・効果では米国、欧州等32カ国、本薬静注製剤は米国、欧州等72の国または地域で承認されております。
今般、てんかん部分発作を有する小児患者に対する本薬経口製剤の有効性及び安全性、並びに本薬静注製剤の有効性及び安全性が確認されたとして、承認申請が行われました。
本申請の専門委員として、資料14に記載されている5名の委員を指名しております。
臨床成績を中心に、審査の内容を説明させていただきます。
まず、本薬経口製剤の小児患者に対する有効性及び安全性について説明します。
有効性についてですが、審査報告書16ページの表11をごらんください。既存の抗てんかん薬で十分な効果が認められず、併用抗てんかん薬が3剤以内の部分発作(二次性全般化発作を含む)を有する小児てんかん患者を対象とした海外第III相試験において、主要評価項目であるFASにおける観察期間に対する維持期間28日当たりの部分発作回数の変化量について、本薬群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。
また、戻って恐縮ですが、審査報告書14ページの表9をごらんください。既存の抗てんかん薬で十分な効果が認められず、併用抗てんかん薬が3剤以内の部分発作(二次性全般化発作を含む)を有する小児てんかん患者を対象とした国際共同第II相試験において、日本人集団で外国人集団と比較して変化率の絶対値が小さい傾向でした。
この点について、審査報告書の20ページの表13をごらんください。いずれも重症の患者と考えられる「過去に使用した抗てんかん薬の数が多い患者」「治験薬投与開始時の併用抗てんかん薬の数が多い患者」「観察期間又はベースラインにおける発作回数が多い患者」及び「合併症精神遅滞有りの患者」の割合が日本人集団に多い傾向でした。また、患者背景別の部分集団解析結果を踏まえると、それぞれの集団での有効性は日本人集団と外国人集団で大きく異ならなかったことから、国内外で小児てんかん患者に対する本薬経口製剤の有効性に大きな差異はないと考えました。
次に、安全性について、審査報告書21ページの表14をごらんください。嘔吐、傾眠など、一部の有害事象では成人患者と比較して、特に小児における長期投与時に発現割合が高い傾向が認められたものの、重篤な事象や重症度が高度の事象はほとんど認められなかったこと、これらの事象については添付文書において既に注意喚起していることから、添付文書において新たな注意喚起を設定する必要はないと判断いたしました。
続いて、本薬静注製剤について、戻って恐縮ですが、審査報告書9ページの表2をごらんください。日本人健康成人患者を対象として、本薬経口製剤と静注製剤を単回投与したときの薬物動態を交叉比較法にて検討したところ、Cmax及びAUCは同程度でした。
また、本薬経口製剤から本薬静注製剤に切りかえて投与した際の有効性及び安全性に大きな問題はなかったことから、一時的に経口投与が困難なてんかん患者に対して、本薬経口製剤の代替療法として本薬静注製剤を使用することに大きな問題はないと判断いたしました。
次に、小児に対する用法・用量について、審査報告書36ページの下から4行目、「機構は、」で始まる段落をごらんください。維持用量について、小児を対象とした臨床試験はいずれも最高用量までの増量を必須とする、または任意の漸増を認める試験デザインであり、これらの試験成績をもとに小児における用量反応性を検討することには限界があると考えております。
しかしながら、いずれの試験においても成人に本薬200~400 mg/日を投与したときと同程度の曝露量が得られるように用法・用量が設定され、最高用量における有効性は成人と小児で類似していること、申請用法・用量における維持用量投与時の安全性及び有効性に特段の問題は認められていないことから、小児患者に対する維持用量として、成人の維持用量である200mg/日投与時と同程度の曝露量が得られるよう、体重30kg未満の患者には6mg/kg、体重30kg以上50kg未満の患者には4mg/kgと設定することが適切と考えております。
なお、体重30kg未満の小児では、体重30kg以上の小児と比較して体重当たりのクリアランスが高いことから、体重換算での維持用量が高く設定されております。
以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。
本薬経口製剤に係る申請は新用量医薬品としての申請であるものの、既に付与されている再審査期間の残余期間が4年以上であることから、再審査期間は残余期間(平成36年7月3日まで)と設定することが適切と判断いたしました。
また、本薬ドライシロップ剤は剤形追加に係る医薬品としても承認申請されており、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。
さらに、本薬静注製剤に係る申請は、新投与経路医薬品としての申請であることから、再審査期間は6年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。
薬事分科会には、報告を予定しています。
説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長代理 ありがとうございます。
委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。小児に対する用法・用量の追加と、あとは新しい注射剤の代替療法という2つの内容です。
1点、私から確認なんですけれども、この注射剤は小児に対してもその代替として使えるんですか。それで、それはそういう試験が実際に行われていたんですね。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。
審査報告書17ページの7.4国内第III相試験というところを御確認いただけますでしょうか。この試験は、本薬の錠剤を長期投与している患者におきまして、一部の患者で本薬の錠剤と同じ用量の静注製剤に5日間切りかえて投与した際の有効性、安全性、薬物動態を検討した試験になります。
こちらにおきましては、有効性の評価項目である発作回数の分布というのが切りかえ前後で大きく異ならなかったことと、安全性につきましても大きな問題はございませんでしたので、切りかえて使用することに関しては大きく問題はないと考えております。
○奥田部会長代理 小児に対しても実際にエビデンスがあってということなのか、そこは読み込んでということなのかという質問です。
○医薬品医療機器総合機構 大変失礼いたしました。小児に関しましては、臨床試験において本薬の注射剤を使用した経験はございません。
一方で、経口製剤に関しましても、小児と成人で有効性及び安全性は同等であるということを確認されておりますし、薬物動態に関しましても本薬の経口製剤と注射剤で同等であるということは確認されていますので、そういった観点で小児に使用しても大きな問題はないと考えております。
○奥田部会長代理 どうもありがとうございます。
赤羽委員、お願いします。
○赤羽委員 副作用についてお尋ねしたいんですが、お示しいただいている副作用に関する情報は経口投与のデータしか見つけられなかったんですけれども、静注すると血中濃度の上がりがシャープになるので、何かそれによって急性の副作用などで、特段ほかの経口投与などと違うことというのはあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきましてありがとうございます。
審査報告書の30ページの表28をごらんいただければと思います。静注製剤を投与した投与期間というのは限られてはいるんですけれども、経口製剤と静注製剤で有害事象の発現状況を比較したところ、注射部位の反応などを除きまして大きな差異はないと判断しております。
それで、今回の静注製剤なんですけれども、点滴静注でゆっくり投与することで、Cmaxに関しても経口製剤と同等の範囲にありますので、曝露量が上がることによる安全性の懸念は低いと考えております。
○奥田部会長代理 よろしいですか。
ほかに、この薬剤について、委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。
それでは、議決に入ってよろしいでしょうか。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議ないようですので、承認を可として薬事分科会には報告とさせていただきます。
それでは、別室で御待機されている杉委員をお呼びいただければと思います。
(杉委員 入室)
○奥田部会長代理 それでは、議題5について機構から概要の説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品タリージェ錠2.5 mgほかの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるミロガバリンベシル酸塩は、電位依存性カルシウムチャネルのα2δサブユニットに対するリガンドであり、電位依存性カルシウムチャネルを介してカルシウムの流入を減少させ、脊髄後角での興奮性神経伝達物質の放出を抑制することにより、神経障害性疼痛に対する作用を示すと考えられております。
今般、末梢性神経障害性疼痛に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。2018年2月現在、海外において本剤が承認されている国、または地域はありません。
本申請の専門委員として、資料14に記載されている13名の委員を指名しております。
臨床成績を中心に、審査の内容を説明させていただきます。
まず有効性ですが、審査報告書34ページの表34をごらんください。末梢性神経障害性疼痛の代表的な疾患である糖尿病性末梢神経障害性疼痛の患者さんを対象とした国際共同第III相試験において、主要評価項目である投与第14週の平均疼痛スコアのベースラインからの変化量について、本剤20mg/日群ではプラセボ群との間に統計学的な有意差は認められなかったものの、本剤30mg/日群ではプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められました。
次に、審査報告書37ページの表36をごらんください。同じく末梢性神経障害性疼痛の代表的な疾患である帯状疱疹後神経痛患者を対象とした国際共同第III相試験において、先ほどと同じ主要評価項目について、本剤20mg/日群及び30mg/日群とプラセボ群との間にそれぞれ統計学的な有意差が認められました。
末梢性神経障害性疼痛に含まれる各疾患に由来する疼痛は、体性感覚神経系の障害に起因し、同様の機序によって発現すると考えられること、本剤は疼痛シグナルの伝達のかなめである脊髄後角のシナプスに作用して疼痛を抑制することを踏まえると、以上2つの試験成績に基づき、糖尿病性末梢神経障害及び帯状疱疹以外に由来するものも含め、末梢性神経障害性疼痛に対して本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
用法・用量について、2つの試験において有効性が示された本剤30mg/日を維持用量として位置づけることは可能と判断しております。
また、末梢性神経障害性疼痛に含まれる疾患を対象とした国際共同第III相試験の1つにおいては、本剤20mg/日の有効性が示されたこと、糖尿病性末梢神経障害性疼痛の患者さんを対象とした臨床試験の部分集団解析の結果では、一部の患者集団においては本剤20mg/日の有効性が示唆され、帯状疱疹後神経痛患者を対象とした試験においても同様の成績が得られたことを踏まえ、本剤20mg/日も投与可能な用量として位置づけることは可能と判断いたしました。
以上の検討を踏まえ、用法・用量は審査報告書72ページの「用法・用量」の項に記載しております。
「通常、成人には、ミロガバリンとして初期用量1回5mgを1日2回経口投与し、その後1回用量として5mgずつ1週間以上の間隔をあけて漸増し、1回15mgを1日2回経口投与する。なお、年齢、症状により1回10mgから15mgの範囲で適宜増減し、1日2回投与する。」としております。
次に安全性ですが、主な有害事象として、審査報告書50ページの表46に傾眠やめまい等の中枢神経系の有害事象、審査報告書51ページの表47に転倒・外傷関連の有害事象、審査報告書55ページの表50に体重増加、審査報告書59ページの表54に肝機能障害関連の有害事象の発現状況を記載しております。これらの有害事象については、添付文書において注意喚起することが適切と考えております。
また、戻って恐縮ですが、審査報告書52ページの「7.R.4.3 心血管系の有害事象について」の項をごらんください。これまでに実際された本剤の臨床試験では、本剤群のみにおいて死亡例が認められており、また、糖尿病性末梢神経障害性疼痛及び帯状疱疹後神経痛を対象とした臨床試験では、自殺既遂以外の死亡例は本剤群で3例に認められております。
この点について、本剤による心血管系への影響が関与する可能性も含めて検討いたしましたが、現時点では死亡例が本剤群のみで認められた要因及び本剤との因果関係について結論づけることはできないことから、特定の患者において投与を制限するなどの注意喚起を行う必要はないと判断しております。
しかしながら、臨床試験において本剤群で死亡例が認められたことについては、添付文書において情報提供するとともに、製造販売後調査においては死亡と関連するリスク因子への影響の有無も含めて情報収集を行うことが適切と考えております。
最後に、審査報告書67ページの「7.R.8適正使用について」の項をごらんください。末梢性神経障害性疼痛の原因疾患は多岐にわたることから、本剤はさまざまな診療科で投与されると想定されること、また中枢性神経障害性疼痛及び侵害受容性疼痛などとの鑑別が困難である疼痛も認められることを踏まえると、末梢性神経障害性疼痛の要素を有さず、中枢神経障害性または侵害受容性疼痛の要素のみを有する可能性が考えられる疾患、例えば腰痛症及び腰椎症などに関しましては、慎重な鑑別が求められることから、医療従事者向け資材等において、それらの疾患の病態及び末梢性神経障害性疼痛の有無の検討方法について情報提供を行うことが適切と考えております。
以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことは適当と判断いたしました。
本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。
薬事分科会には、報告を予定しています。
説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長代理 ありがとうございます。
委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。
では、まず長島委員からどうぞ。
○長島委員 今、御説明がありましたように、適正利用に関しては、特にきちんと末梢神経性であるという診断に基づいてされるように、きちんとこれは徹底していただきたいと思います。
次に投与を中止するかの対応ですけれども、一番下の添付文書のところを見ますと、類薬のリリカの場合は用法・用量に関連する使用上の注意の(1)のところに、本剤の投与を中止する場合には少なくとも1週間以上かけて徐々に減量することと、かなり厳しく大きく取り上げてあるんですけれども、本剤においてはそういうふうな厳密な書き方とか、大きくトップに持ってくるという書き方をしていないのですが、その根拠はなんでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構よりお答えいたします。
まず、臨床試験の実施の状況について御説明させていただきます。リリカに関しましては、臨床試験を投与した後、1週間かけて漸減していくといったような臨床試験も行われておりまして、それでほとんどの患者さんは適切に漸減できてはいるんですけれども、それでも離脱症状に関連するような症状が出てしまうような患者さんも認められたということで、御指摘いただいたようなリリカの注意喚起は行われているという形になります。
一方で、本剤につきましては臨床試験で投与中止後、徐々に漸減していくというようなデザインでは試験を実施してはおりませんでした。
その上でなんですけれども、審査報告書の61ページを御確認いただければと思います。表55ですが、臨床試験を実施した後に後観察期間を設定しておりまして、その時期にどういう有害事象が認められたかというような表をこちらに記載しております。
こちらは有害事象ではあるんですけれども、プラセボ群と比較しまして、本剤群で発現割合が大きく高くなるような傾向が明確に認められたというものではございませんでしたので、リリカと並べるほどの注意喚起という点に関しましては、特段必要ないものと判断いたしました。
ただ、その上でなんですけれども、一番右の列の長期投与におきましては幾つか有害事象も見られているようなものもございますので、注意喚起として添付文書に重要な基本的注意、2番の(4)になりますけれども、急激な投与中止によって症状があらわれることがあるので、徐々に減量するなど慎重に行うように注意喚起は設定させていただいているというような形となります。
○長島委員 リリカと比較して、投与を中止した場合の安全性が確認されたわけではないのですね。治験のデザインが、1週間で低減ということはやっていないということは。
○医薬品医療機器総合機構 実際、比較した試験というのはやっていないのですけれども、患者さんを対象とした臨床試験におきましては特段漸減する必要はなく、懸念すべき重篤な有害事象が出るというところはなく、一定の安全性を確保した上で、減量、投与中止はできていたことが確認されております。
もう一点補足させていただきますと、直接の比較ではないのですけれども、審査報告書を少し戻らせていただきます。審査報告書の25ページ~26ページに少しまたがってくるんですけれども、薬物乱用可能性試験というところになります。ここでは、プレガバリンは200と450mgで、臨床用量も含むような形になり、本剤ミロガバリンにつきましては臨床用量の15から、それよりも高い用量、105mgまで投与して、乱用可能性に関して検討しているのですが、本剤の臨床用量の範囲内におきまして、プラセボとの間に統計学的な有意差があるというような結果は出ていない。
一方で、プレガバリンに関しましては検討された用量でも有意差は出ているというところで、直接的な根拠ではないという前提ではあるんですけれども、ミロガバリンにおいては極端な注意喚起を行うところまでは必要ないと判断した次第でございます。
○長島委員 わかりました。
○奥田部会長代理 では、赤羽委員、その後に杉委員どうぞ。
○赤羽委員 一部は既に今の御質問でお答えいただいたんですけれども、プレガバリンと比較したときに有効性と、それから有害事象でどのような違いがあるのかということを簡単に御説明いただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきましてありがとうございます。総合機構よりお答えいたします。
プレガバリンと比較したとき、直接比較してその有効性、安全性を検討したというようなデータはないんですけれども、審査報告でいいますと67ページに一部記載してはございます。2つ目の「・」のところに、プレガバリンの糖尿病性末梢神経障害性疼痛及び帯状疱疹後の神経痛における第III相試験の成績も記載してはございます。違う試験にはなりますので、一概に比較はできないんですけれども、大きく極端に異なるような成績は得られていないというような状況になります。
また、安全性についても、主に認められた有害事象のプロファイルとしましては、浮動性めまいや傾眠、体重増加、末梢性浮腫に関しましてはプレガバリンについて認められておりますし、本剤についても認められているというような状況で、類似したプロファイルは持っているという形になります。
○杉委員 今の体重に増加については、そのメカニズムと長期安全性については余り問題がないという判断でよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。
体重増加に関しましては、本剤についても認められているところではございます。それで、体重増加に関しまして、臨床試験で測定した測定値のベースですと、臨床的に問題となるような7%以上の増加があったような患者さんに関しても、それぞれの臨床試験において認められているところではあるんですけれども、過去に類薬で認められたような事象でもございますし、同様に注意喚起をするということで対応できるのではないかと判断しているところでございます。
○杉委員 もう一点、よろしいですか。心血管系のリスクについて、かなりハイリスクな患者さんを対象としているので死亡例が出るのはいたし方ないと思うんですけれども、長期的に差がないということもなかなかこの症例数では言えないように思うんですが、その点についての確認をさせていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構よりお答えいたします。
御指摘いただきましたとおり、今回の臨床試験ですと、長期投与試験では投与期間も1年と限られてきているところですので、本当にそのリスクはないのかが明らかにできたわけではないとは思います。
ただ、その関連するリスク因子が投与に伴って変化していないかというところに関しては、審査の中でも検討させていただきまして、その点に関して試験の中で動いているものは見当たらなかったという判断ではございます。
ただ、製造販売後におきましても、実際に本当に動いていないのかというところは検討することが重要かとは考えておりますので、引き続き考えていきたいと思います。
○奥田部会長代理 ほかによろしいですか。
もし、追加で御意見、御質問がなければ議決に入りたいと思います。
なお、大森委員、金子委員、杉委員、代田委員、武田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議ないようですので、承認を可として薬事分科会に報告をさせていただきます。
それでは、議題6に移ります。機構から、説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。
議題6.資料6、医薬品ミネブロ錠1.25mgほかにつきまして、機構より御説明いたします。
本剤は、ミネラルコルチコイド受容体の選択的拮抗薬であるエサキセレノンを有効成分とし、腎臓においては尿細管のミネラルコルチコイド受容体に拮抗し、Naの再吸収を抑制することで降圧効果を示します。
今般、国内臨床試験成績をもとに、「高血圧症」を申請効能・効果として製造販売承認申請されました。
なお、本剤は2018年9月現在、いずれの国または地域でも承認されておりません。
本品目の審査に関しまして、専門委員として資料14に記載されております委員を指名しております。
本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。本剤2.5mg及び5mgの有効性、安全性を検討する目的で、本態性高血圧症患者を対象とし、既承認類薬エプレレノン50mgを対照薬とした無作為化二重盲検比較試験が第III相試験として実施されました。
有効性について、審査報告書32ページ、表29及び30をごらんください。主要評価項目であるトラフ時座位収縮期血圧及び拡張期血圧のベースラインからの変化量について、いずれもエプレレノン群に対する本剤2.5mg群の非劣性が示され、また、本剤5mg群の降圧効果は2.5mgと比較して大きいことが示されております。
続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書32ページ、表31をごらんください。国内第III相試験において、主な有害事象の発現状況はエプレレノン群と本剤群において同様の傾向が認められております。
引き続き、審査報告書42ページ、表37をごらんください。本剤の作用機序から想定されるリスクである高カリウム血症について、主要な臨床試験における発現状況等を検討した結果、エプレレノン使用時と比較して大きく異なる傾向は認められておらず、当該リスクは許容可能であると判断しております。
ただし、本剤の使用に際しては十分な注意が必要なリスクであることから、臨床試験における規定及び結果等を踏まえ、血清カリウム値の定期的なモニタリング及び血清カリウム値に基づく用量調節を行うこと、腎機能障害患者等、特定の患者集団では特に高カリウム血症に注意する必要があることを添付文書等で注意喚起することといたしました。
また、本剤では、類薬のエプレレノンにおいて高カリウム血症のリスクが高いことから禁忌とされている、中等度腎機能障害を有する患者及びアルブミン尿を伴う2型糖尿病患者を対象とした臨床試験がそれぞれ実施されております。
両試験とも高カリウム血症のリスクを考慮し、通常用量の半量である1.25mgから投与が開始され、血清カリウム値、血圧値等を継続的に評価しながら慎重に増量が行われ、いずれの試験においても本剤の一定の有効性が示されております。
また、第III相試験と比較して高カリウム血症が高頻度で認められておりますが、高カリウム血症が発現したいずれの患者も減量等を行うことで投与継続が可能でございました。
これら試験の結果を踏まえ、当該患者では1.25mgから投与を開始することや、血清カリウム値の測定を十分な頻度で行い、増量、減量、投与中止等を判断することを注意喚起することで本剤を投与することは可能と判断しております。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。
薬事分科会では、報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長代理 ありがとうございました。
委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。
よろしいでしょうか。1つ確認ですが、このお薬は、用量は2.5mgから始まっているけれども、実質的には1.25mgというところの投与も承認の範囲内ということですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。
基本的には、通常の本態性高血圧症患者さんにおける承認用量としては2.5と5mgが推奨されるというふうに考えております。
その一方で、高カリウム血症のリスクが高い患者さんについては、1.25mgから投与を開始することが推奨されると考えておりますので、そういった意味で総合的に見た場合には1.25mgから投与を開始することも承認の範囲と考えられるかと思います。
○奥田部会長代理 代田委員、お願いします。
○代田委員 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇。
○医薬品医療機器総合機構 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇。
○奥田部会長代理 ほかによろしいですか。もし追加で委員の先生方から御質問、御意見がなければ議決に入りたいと思います。
それでは、議決に入ります。
なお、大森委員、金子委員、杉委員、代田委員、武田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議ないようですので、承認を可として薬事分科会に報告をさせていただきます。
それでは、議題7に移ります。機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 議題7.資料7、医薬品デムサーカプセル250mgにつきまして、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。
褐色細胞腫は、副腎髄質又は副腎外傍神経節のクロム親和性細胞に由来し、カテコールアミンをはじめとする各種生理活性物質を生成・分泌する神経内分泌腫瘍で、国内の推定患者数は「厚生労働科学研究難治性疾患克服研究事業褐色細胞腫の実態調査と診療指針の作成平成21年度研究報告書」によると2,920例です。
褐色細胞腫に対する治療の第一選択は手術による腫瘍切除ですが、カテコールアミン過剰による高血圧や頭痛、動悸、頻脈、振戦等の症状に対して、褐色細胞腫の診断後は直ちに交感神経受容体遮断薬による治療の開始が必要とされています。
しかしながら、既存の交感神経受容体遮断薬では効果が不十分な症例もおり、そのような症例においてはカテコールアミン生合成阻害薬が必要となります。
本剤は、カテコールアミンの生合成を抑制するメチロシンを有効成分とする製剤であり、米国では1979年に承認されています。本邦では、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、本剤は「医療上の必要性が高い」と評価されて開発企業が募集され、それに応じた申請者が今般、国内臨床試験成績等に基づき、製造販売承認申請いたしました。
本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料14に記載されております委員を指名しました。
本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明いたします。
有効性について、審査報告書23ページ中段をごらんください。国内において、カテコールアミン分泌過剰に伴う症状を有する褐色細胞腫患者16例を対象とした非盲検非対照試験が実施されました。
主要評価項目は、本剤の米国添付文書における増量基準及び臨床研究で用いられている治療効果の評価基準等を参考に、審査報告書25ページ下段の本文中に示しますように、最終評価時における尿中メタネフリン2分画がベースラインから50%以上減少した被験者の割合とされ、その結果は、被験者全体で31.3%でした。また、治療期に褐色細胞腫に対する手術が実施された被験者である手術例で66.7%、それ以外の被験者である慢性例で23.1%でした。
審査報告書26ページ、表21に示しますように、カテコールアミン分泌過剰に伴う臨床症状の改善が示唆された症例も複数いたことなども踏まえ、カテコールアミン分泌過剰状態の改善に関する本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書26ページ、表22をごらんください。臨床試験では、鎮静、傾眠に関連する有害事象が多く認められ、その多くは本剤投与開始時の低用量投与時から発現し、長期間持続した症例も見られたことから、本剤の投与中は常に、鎮静の発現及びその経過には十分に注意するよう、添付文書で注意喚起するとともに、患者本人及び医療従事者への情報提供資材にて、鎮静の発現状況や特徴について情報提供することが適切と判断しております。その他、臨床試験成績や米国の添付文書等を踏まえ、精神障害、錐体外路障害、結晶尿、下痢、投与中止時の睡眠障害、腎機能障害患者への投与時の安全性等について、添付文書等で注意喚起することで臨床使用は可能と判断しております。
製造販売後調査については、本剤長期投与時の安全性、腎機能障害患者、高齢者及び高用量投与時の本剤の安全性、用量調節の状況等に関する情報も収集するため、一定期間、全投与症例を対象とした使用成績調査を実施することを承認条件とすることが適切と判断しております。
以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。
薬事分科会では、報告を予定しております。
御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長代理 ありがとうございました。
委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。
代田委員、お願いします。
○代田委員 大体、年間で何症例ぐらいこれが使用されるような予測になっているんでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 冒頭で平成21年度の調査での患者数を申し上げておりますけれども、それより新しい情報がなかなかないところでして、正確に年間どのぐらい増えているかというところは、申請者と機構でいろいろ調べたのですが、詳細な情報を持ち合わせていないところです。
○医薬品医療機器総合機構 少し補足させていただきますと、年間での推定の投与患者数の推測は困難でしたけれども、御参考までに製造販売後の調査における症例数としては250例を目標としております。
○奥田部会長代理 よろしくお願いします。
○武田委員 委員の武田です。私は2例投与したことがありまして、これはたしかアメリカのメルクがつくっていたお薬ですよね。教科書にも載っているんですけれども、30年ぐらい前に自分で輸入して患者さんに投与しました。これは悪性褐色細胞腫で、転移があってほかに治療がないという人で、非常に若い30歳ぐらいの方で、たしか500mgぐらい投与したらすごい傾眠になってしまって、高齢者の70歳ぐらいの女性は余り大したことなかったんですね。
ですから、これは若い人のほうが感受性がある薬なのかなという印象があるんですけれども、どうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 国内試験もかなり少数例で行われておりますので、なかなかその症例数の中で一定の傾向を見出すことは難しいかと考えております。
また、海外のほうでも年齢と有害事象の出方の相関関係について触れられているようなものはございませんでした。
○武田委員 確かに症例数は限られているんですけれども、この病気は手術できない場合も時々ありますので、絶対必要な薬だと思っていて、ようやく日の目を見そうで非常にうれしい限りです。
○奥田部会長代理 オーファンで、医療上必要性の高い未承認薬という指定を受けているお薬でございます。
大森委員、どうぞ。
○大森委員 一応、中枢神経の副作用なども出ていますが、結構移行するものなんですか。中枢移行性はどうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 中枢移行性も認められております。
○大森委員 ちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、日本の国内の少数例の中でも、例えば錐体外路症状の出現とか、鬱状態とか、そういうのはあったんですか。
○医薬品医療機器総合機構 報告書で申し上げますと、45ページの表28に結果がございまして、国内試験の中で認められた症例としては1例ですが、錐体外路障害も出てはおります。
○大森委員 そういった点も注意して使うということですね。分かりました。
○奥田部会長代理 ありがとうございます。
ほかに、このお薬について先生方から御質問、御意見お願いします。
なければ議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
御異議ないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、議題8に移ります。
○医薬品医療機器総合機構 議題8.資料8、医薬品レルミナ錠40mgの製造販売承認の可否等につきまして、機構より御説明をさせていただきます。
審査報告書2ページ上段、「1 起原又は発見の経緯及び外国における使用状況」の項をごらんください。
本剤の有効成分であるレルゴリクス、以下「本薬」と略させていただきますが、本薬は申請者が創製した性腺刺激ホルモン放出ホルモン、以下、「GnRH」のアンタゴニストでございます。
また、子宮筋腫は性ホルモンに依存して増殖する良性腫瘍であり、過多月経及びそれに伴う貧血や疼痛等の臨床症状を呈する場合がございます。本薬は、GnRH受容体においてGnRHと拮抗して性ホルモンの血中濃度を低下させることで、子宮筋腫に基づくこれらの症状を改善する薬剤として開発され、今般、武田薬品工業株式会社により、国内臨床試験成績等を根拠として、子宮筋腫に基づく諸症状の改善に係る効能・効果で医薬品製造販売承認申請がなされました。
本剤の審査に関し、専門委員として、資料14に記載されております委員を指名いたしました。
本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明をさせていただきます。
初めに、有効性について御説明をいたします。審査報告書36~38ページ、「7.3第III相試験」の項をごらんください。有効性は、主に2つの国内第III相試験「CCT-002試験」及び「3008試験」により検討されております。
CCT-002試験は、子宮筋腫に関する効能・効果で承認されておりますGnRHアゴニストであるリュープロレリン酢酸塩、以下「リュープロレリン」を対照とした無作為化二重盲検並行群間比較試験であり、過多月経に対する有効性がPBACスコアに基づき評価されました。
PBACスコアにつきましては審査報告書34ページの表39にお示しいたしましたように、生理用品への月経血の付着、血塊の大きさに基づき、月経血量をスコア化して評価する指標でございます。
審査報告書36~37ページ、「7.3.1過多月経を伴う子宮筋腫患者を対象とした国内第III相試験」の項をごらんください。先ほど述べましたCCT-002試験は、月経周期のPBACスコア合計点が120点以上の子宮筋腫患者を対象に「治験薬投与6週後から12週後までのPBACスコア合計点が10点未満であった症例の割合」を主要評価項目として実施されました。
主要評価項目の結果は、審査報告書36ページの表43のとおりであり、本薬40mgのリュープロレリンに対する非劣性が示されました。
また、副次評価項目とされた血中ヘモグロビン量は、審査報告書36ページの表44のとおり、本薬40mg群とリュープロレリン群とで同程度の変化量を示しました。
以上の結果、機構は本薬の子宮筋腫に基づく過多月経及び貧血に対する有効性は示されたと判断いたしました。
次に、審査報告書37~38ページ、「7.3.2疼痛症状を伴う子宮筋腫患者を対象とした国内第III相試験」の項をごらんください。3008試験は、疼痛を評価するNRSスコアの最大値が4点以上の疼痛症状を月経周期に有する子宮筋腫患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験であり、「治験薬投与終了前28日間におけるNRSスコア最大値が1点以下であった症例の割合」を主要評価項目として実施されました。
主要評価項目の結果は、審査報告書38ページの表46のとおりであり、本薬40mg群とプラセボ群の間に有意差が認められました。
以上の結果をあわせて、本剤により子宮筋腫に基づく過多月経、下腹痛、腰痛、貧血に対する意義のある有効性が示されたと判断いたしました。
続きまして、安全性について御説明いたします。審査報告書37ページの表45及び審査報告書38ページの表47をごらんください。国内第III相試験で認められた主な有害事象は、子宮出血に関連する有害事象、骨密度の減少に関連する有害事象、ほてり等の更年期様症状に関連する有害事象及び肝機能障害に関連する有害事象でした。なお、更年期様症状として、発現割合は低いものの、うつ病等の発現も認められました。
これらの有害事象は、血清エストロゲン濃度を低下させる本薬の薬理作用等からも想定される事象であり、また、その発現状況は既承認のGnRHアゴニストであるリュープロレリン使用時と同様であったことから、これらの事象についてはリュープロレリンと同様の注意喚起がなされれば管理可能と判断いたしました。
以上の検討の結果から、子宮筋腫患者における本剤の安全性は、適切な注意喚起の下で使用されるのであれば、認められた有効性を考慮すると臨床的に許容可能と判断いたしました。
以上の審査の結果、本剤を申請用法・用量にて「子宮筋腫に基づく下記諸症状の改善、過多月経、下腹痛、腰痛、貧血」の効能・効果にて承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
本剤の再審査期間は8年、また、本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。
薬事分科会では、報告を予定しております。
御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。以上でございます。
○奥田部会長代理 ありがとうございました。
委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。よろしくお願いします。
○武田委員 武田でございますが、メカニズムからいくとアゴニストよりもアンタゴニストが最初のサージがないのでいいのは分かるんですけれども、アゴニストだと月1回か、3カ月に1回注射すれば済むのに、これだと毎日飲まないといけないですね。そうすると、非常に手間です。
あとは、お金の問題で、注射も結構高いんですけれども、内服が毎日だとどちらが高いのかということで、それで選ばれるんじゃないかと思うのですが、その辺がもしお分かりだったら教えていただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より、お答えさせていただきます。
本剤を使用する際の費用がどのようになるのかというのは、現時点で御説明することは難しいことかと思います。
一方で、本剤につきましては、ご指摘いただきましたように、既承認のGnRHのアゴニストの製剤は注射剤であったりと、経口投与できる製剤はなかったというところで、経口投与できるという選択肢を提供することには、1つの意義があるのではないかと考えているところでございます。
○武田委員 きょうのお話と関係ないんですが、この薬はいずれは前立腺がんに適用拡大されるのではないかと思うんですが、既にLH-RHアゴニストの注射剤が出ていますね。
その場合は患者さんの選択になるんですけれども、月1回の注射、もしくは3カ月に1回の注射で済むのが毎日内服しなければいけないというのは、何となく時代に逆行しているのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。先ほどの繰り返しにもなりますが、やはり注射ということで3カ月に1回ではあるものの侵襲的な処置でして、それとも、経口投与という大分服用がしやすいものと、いずれが好まれるかということになりますが、申請者からは、ニーズがあるのではないかというふうに説明を受けておりますので、あとは患者さんの意向も考慮して医師に御判断いただくというところになろうかと思います。
○奥田部会長代理 武田委員、よろしいでしょうか。恐らく臨床的な位置づけとか、そういったところの御質問かと思ったんですけれども。
○武田委員 今もそうなんですけれども、基本的に前立腺がんに対してはLH-RHアンタゴニストが汎用されていました。特に申請者の武田薬品は6カ月製剤を持っていますので、非常に便利なんですね。それが、毎日外来に来てもらうと、かえって面倒くさいかなという気はあります。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。恐らく、現在使用されているのはLH-RHのアゴニストのほうで。
○武田委員 会社が違うんですけれども、武田はアゴニストだけで、アストロゼネカがアゴニストで、アステラスがアンタゴニストのデポ剤を持っているので、選択はいっぱいあるわけです。
ただ、これはあくまでも前立腺がんの話なので。
○奥田部会長代理 ほかに、委員の先生方から御質問、御意見ございますか。
1点確認すると、このお薬は安全性の懸念から6カ月の使用ということですね。
○医薬品医療機器総合機構 骨密度への影響が懸念されるため、原則的な投与期間は6カ月という注意喚起をしているところでございます。
○奥田部会長代理 この種のお薬は、みんなそうなんですか。
○医薬品医療機器総合機構 御説明の中にも出てまいりました類薬のGnRHのアゴニストについても、同様の注意喚起がなされております。
○奥田部会長代理 どうもありがとうございます。
ほかに、委員の先生方から御質問、御意見がもしなければ議決に入りたいと思います。
なお、大森委員、代田委員、武田委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
本議題について、承認は可としてよろしいでしょうか。
御異議ないようですので、承認は可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
それでは、報告事項に移ります。報告事項について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、事務局より報告事項についてまとめて御説明をいたします。
初めに報告事項、議題1、資料9、ビソノテープ2mgの製造販売承認について並びにピソノテープ4mg及び同テープ8mgの製造販売承認事項一部変更承認について御報告をいたします。
資料No.9をごらんください。本剤は、内因性交感神経刺激作用を有さない選択的アドレナリンβ1受容体遮断薬であるビソプロロールを有効成分とする貼付剤です。
本邦では、本剤4mg及び8mgが2013年に軽症から中等症の本態性高血圧症に係る効能・効果で承認されております。
今般、トーアエイヨー株式会社により、頻脈性心房細動に係る効能・効果及び用法・用量を追加する医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請、並びに頻脈性心房細動における減量投与の必要性に対応するため、本剤2mgの剤形追加に関する医薬品製造販売承認申請がなされました。
機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
なお、今回、効能追加を行う頻脈性心房細動は、同様の成分であるピソプロロールフマル酸塩の経口剤において既に承認されていることから、薬事分科会における確認事項に基づき、部会報告事項とさせていただきました。
続きまして、報告事項、議題2、「医療用医薬品の再審査結果について」、御報告をいたします。
資料番号は10-1~10-6で、これらは各品目の医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますので、まとめて御報告をいたします。
資料10-1は、有効成分名は「フェンタニルクエン酸塩」、販売名はアブストラル舌下錠100μほか2規格のもの。
資料10-2は、有効成分名は「テリパラチド酢酸塩」、販売名はテリボン皮下注用56.5㎍のもの。
資料10-3は、有効成分名は「アプレピタント」、販売名はイメンドカプセル125mgほか2規格のもの。
資料10-4は、有効成分名は「オキシコドン塩酸塩水和物」、販売名はオキファスト注lOmg及び同50mgのもの。
資料10-5は、有効成分名は「バルサルタン/アムロジピンベシル酸塩」、販売名はエックスフォージ配合錠のもの。
資料10-6は、有効成分名は「デュタステリド」、販売名はアボルブカプセル0.5mgのものでございます。
これらの品目につきまして、製造販売後の特定使用成績調査及び使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられております承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものでございます。
報告事項に関する事務局からの御説明は、以上でございます。
○奥田部会長代理 ありがとうございました。
委員の先生方から、この2つの報告事項について御質問がありましたらお願いします。
もし、特段御質問がなければ、報告事項の議題1及び2については御確認をいただいたものといたします。
本日の議題は以上ですけれども、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、来年1月31日木曜日、午後5時から開催させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。
○奥田部会長代理 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。
長時間御苦労さまでした。ありがとうございました。
( 了 )

 

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

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