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2018年8月30日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成30年8月30日(木)15:00~

 

○場所

航空会館501+502会議室

○出席者

出席委員(15名)五十音順

赤 羽 悟 美、  石 川 欽 也、  今 井 輝 子、 大 賀 正 一、
大 森 哲 郎、  岡   淳一郎、○奥 田 晴 宏、 川 上 純 一、
神 田 敏 子、  柴 田 大 朗、  杉      薫、 長 島 公 之、
増 井    徹、◎松 井    陽、  森    保 道
(注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(6名)

金 子 明 寛、 佐 藤 雄一郎、 代 田 浩 之、 武 田 正 之、
平 石 秀 幸、 山 田 清 文
 

行政機関出席者

森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 本    史 (医薬品審査管理課長)
関 野 秀 人 (医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森 口    裕 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
宇 津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 定刻となりましたので、何人か先生方遅れておられるようですが、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催します。本日は暑い中、またお忙しい中御参集いただき誠にありがとうございます。本日の委員の御出席状況ですが、金子委員、佐藤委員、代田委員、武田委員、平石委員、山田委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、何人か少し遅れている先生方もおられるようですが、現在のところ、当部会委員数21名のうち12名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達していることを御報告します。続きまして、事務局に人事異動がありましたので御紹介します。まず厚生労働省ですが、遅れての到着になりますが、私の左隣に医薬品安全対策課長に関野が着任しております。続きまして、医薬品医療機器総合機構の審議役として鈴木、審査第一部長朝倉が着任しております。事務局の人事異動は以上です。続きまして、部会を開始する前に事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適用状況の確認結果を御報告します。
 今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。毎回ではありますが、委員の皆様には書面を御提出いただいております。大変御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解と御協力を何卒いただけますようよろしくお願いいたします。それでは、松井部会長に以降の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○松井部会長 皆さん今日は。それでは本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。
○事務局 それでは配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~資料11-2をあらかじめお送りしております。このほか資料12、審議品目の薬事分科会における取扱い等の案、資料13、専門委員リスト、資料14、競合品目・競合企業リスト、資料15、前回部会後の対応についてを配布しております。
 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、資料14について御報告いたします。資料14の1ページ、ベオーバ錠50mgですが、本品目は、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページ、ロラピタ静注2mgですが、本品目は、てんかん重積状態を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページ、エイベリス点眼液0.002%ですが、本品目は緑内障、高眼圧症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページ、メトアナ配合錠LD及び同配合錠HDですが、本品目は、2型糖尿病(ただしアナグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 5ページ、モビコール配合内用剤ですが、本品目は、慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 6ページ、ラブリズマブ(遺伝子組換え)ですが、本品目は、発作性夜間ヘモグロビン尿症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 7ページ、Defibrotideですが、本品目は造血幹細胞移植後の肝中心静脈閉塞症(肝類洞閉塞症候群)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 8ページ、セルリポナーゼ アルファ(遺伝組換え)、ですが、本品目は、セロイドポフスチン症2型を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。以上です。
○松井部会長 ただいまの事務局からの説明に対して、特段の御意見はありませんか。よろしいですか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆さんの御了解を得たものとします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については次のとおりです。議題1、ベオーバ、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員。議題2、ロラピタ、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員。議題3、エイベリス、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員。議題4、メトアナ、退室委員なし、議決には参加しない委員、大森委員、川上委員。議題5、モビコール、退室委員、議決には参加しない委員共になし。議題6、ラブリズマブ、退室委員、議決には参加しない委員共になし。議題7、Defibrotide、退室委員、柴田委員、議決には参加しない委員なし。議題8、セルリポナーゼ アルファ、退室委員、議決には参加しない委員共になし。委員からの申出状況については以上です。
○松井部会長 ただいまの事務局からの説明に対して、特段の御意見はありませんか。よろしければ、委員の皆さんの御了解、御確認を得たものとします。議題に入る前に、事務局から、前回の部会における委員の先生方からの御意見に対して説明があると聞いておりますので、それを発表してください。
○事務局 それでは、当日配布資料15、A4横の一枚紙を御覧ください。本年、7月27日に開催された前回の医薬品第一部会にて、希少疾病用医薬品として指定することの可否について御審議いただきましたCaplacizumabについては、資料の7月部会での御意見の欄に記載させていただきましたとおり、本剤は分子量の小さいナノボディであり、糸球体濾過を受けやすいと考えられるため、肝臓取り込み後の消失過程や半減期とのつじつまが合わない。またvWF(因子)に結合して肝臓に取り込まれた後の消失過程や毒性に関して御意見を頂きました。
 御指摘いただいた点については申請者に伝え、今後の開発や臨床試験実施に当たっては注意深く情報収集を行うように指示いたしました。また承認申請の際には、本剤の薬物動態特性も踏まえ、厳密に審査を行ってまいります。以上です。
○松井部会長 今井委員、何か。新しい概念でしたので、詳しく説明してもらうことにしました。
○今井委員 はい。
○松井部会長 ほかの委員の先生方から、この点に関して何か御質問はありますか。よろしければ、委員の皆様に今日の時点で御確認いただいたということで、議題に入ります。本日は、審議事項は8議題、報告事項は3議題となっております。審議事項1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品ベオーバ錠50mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明をさせていただきます。審査報告書2ページ上段の「1起原又は発見の経緯及び外国における使用状況」の項を御覧ください。本剤の有効成分であるビベグロン(以下、「本薬」)は、MSD社が創製したβ3アドレナリン受容体作動薬です。過活動膀胱(以下、「OAB」)は、尿意切迫感・頻尿・切迫性尿失禁で構成される症状症候群を呈する病的状態と定義され、その治療には抗コリン薬やβ3アドレナリン受容体作動薬が用いられております。今般、杏林製薬株式会社により、国内外の臨床試験成績等に基づき、OABに係る効能・効果で本薬の医薬品製造販売承認申請がなされました。
 本剤の審査に関し、専門委員として資料13に記載のある委員を指名いたしました。本剤の審査の概略について、臨床試験成績を中心に説明をいたします。
 有効性について御説明します。審査報告書40~42ページの「7.3.1 国内第III相比較試験」の項を御覧ください。日本人OAB患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験である国内第III相比較試験(以下、「T301試験」)における主要評価項目である12週時の1日平均排尿回数のベースラインからの変化量につきましては、審査報告書40ページの表34のとおりであり、本薬群でプラセボ群と比較して統計学的に有意に大きい改善が認められました。また、その変化量の大きさは参照群として設定された既承認の抗コリン薬であるイミダフェナシン群での変化量と同程度でした。
 次に審査報告書41ページ、表35を御覧ください。冒頭に述べたOABの定義を踏まえて、副次評価項目とされた1日平均尿意切迫感回数及び1日平均切迫性尿失禁回数のいずれについても、本薬群ではプラセボ群と比較して統計学的に有意に大きい改善が認められ、変化量の大きさはそれぞれイミダフェナシン群での変化量と同程度でした。以上の結果から、本剤にはOABに対する意義のある有効性が期待できるものと判断いたしました。
 続きまして、安全性について審査報告書41ページ、表36を御覧ください。T301試験において、本薬群でプラセボ群よりも発現割合の高かった有害事象のうち、膀胱炎及び鼻咽頭炎は、ほとんどの症例で本薬との因果関係は否定されていました。また、口内乾燥の発現割合はイミダフェナシン群を上回るものではありませんでした。以上のことから、本剤の臨床使用において、これらは大きな問題とはならないものと判断しました。
 またOAB治療薬の使用時に注意が必要な副作用である尿閉について、審査報告書51ページ、表42~45を御覧ください。表42のとおり、国際共同第II相試験、(以下、「008試験」)において、本薬50mg群の1例に因果関係が否定できない尿閉が発現しましたが、他の試験も含めて、本薬群で発現した尿閉関連の有害事象(排尿困難、残尿量増加、尿流量減少)はほとんどが軽度でした。しかしながら、これらの発現割合は、各試験の抗コリン薬単独投与群(008試験のトルテロジン群及びT301試験のイミダフェナシン群)と同程度であったことから、他のOAB治療薬と同様に、本薬投与時にも尿閉等の排尿障害に関連する有害事象の発現に注意する必要があると判断しました。以上のような検討の結果、OAB患者における本剤の安全性は、認められた有効性を考慮すれば、臨床的に許容可能と判断しました。
 次に用法・用量について御説明します。審査報告書57ページの下段、「7.R.4 用法・用量について」の項を御覧ください。申請時の用法・用量について、T301試験の結果等を踏まえ、本薬の通常用法・用量を「50mgを1日1回食後に経口投与」とすることは妥当と判断しました。一方、申請時の用法・用量では、「症状に応じて1日1回100mgまで増量できる」と規定されていましたが、審査報告書の58ページに挙げているように、T301試験の主要評価項目である1日平均排尿回数の12週時のベースラインからの変化量の絶対値は、有効性に関する説明の際にお示しした40ページ表34のとおり、本薬100mg群が本薬50mg群を上回っておりません。また申請者は、国内長期投与試験であるT302試験で、増量規定の下増量された集団では増量前に比べて増量後に、1日平均排尿回数の更なる減少が認められた旨主張していましたが、T302試験は、非盲検非対照試験であることや評価指標の特徴を考慮すると、増量時のプラセボ効果や疾患の自然経過の影響を分離して評価できず、増量の妥当性を説明する根拠としては不十分と判断せざるを得ないと考えました。以上を踏まえ、100mgへの増量規定の設定は妥当とは言えないと判断しました。申請者に再検討を求めたところ、本剤の用法・用量から100mgを削除する旨回答され、また、この機構の判断は専門協議においても委員に支持されたことから、本剤の用法・用量について、「通常、成人にはビベグロンとして50mgを1日1回食後に経口投与する」とすることは妥当と判断しました。
 次に効能・効果について御説明します。審査報告書63ページの下段、「7.R.6 効能・効果について」の項を御覧ください。申請時の効能・効果には、既承認のOAB治療薬では明記されていない「夜間頻尿」も明記されておりましたが、申請者が「夜間頻尿」を明記する根拠としたT301試験の夜間平均排尿回数に関する結果は、試験デザイン等を考慮すると、既承認のOAB治療薬と効能・効果の差別化を図る根拠として十分ではないと判断しました。申請者に再検討を求めたところ、効能・効果に「夜間頻尿」は記載しない旨回答され、また、この機構の判断は専門協議においても委員に支持されたことから、本剤の効能・効果について、有効性における議論も踏まえ、「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」とすることは妥当と判断しました。以上の審査の結果、本剤を「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」の効能・効果にて承認して差し支えないとの結論に達し、本部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。
 本剤の再審査期間は8年、また、本剤は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがですか。
○杉委員 確認だけしたいのですが、副作用のところを見ますと「動悸」というのがあって、これはアドレナリン作動だから、脈が早くなるかなと思ったら、血圧が上がるということで動悸があると理解してよろしいですか。
○松井部会長 いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 副作用に動悸があるという御指摘かと存じますが、本剤についてはβ3アドレナリン作動薬ですが、β3アドレナリン受容体の発現は膀胱に多いということを考慮しますと、薬理作用により血圧が上がるのかとのご質問であれば、当該事象について、本薬がβアドレナリン作動薬ということによってこのような事象が起きたとは判断しておりません。
○松井部会長 いかがですか。
○杉委員 分かりました。中の心血管系の有害事象のところでも、脈の増加はなくて、血圧の上昇が1.5%ぐらいあったので、それかなと思ったのですが、一応、動悸と書いてあるものですから、それをお尋ねしたわけです。
○医薬品医療機器総合機構 心拍数への影響は、私どもも気にして評価いたしました。臨床試験で心拍への影響を実際に評価しており、そこでは著明な増加は確認されていないため、もしかすると血圧上昇に伴う動悸だったのかもしれません。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。杉委員、よろしいですか。
○杉委員 どうもありがとうございました。
○松井部会長 ほかに御質疑はありませんか。もしよろしければ、議決に入りたいと思いますが、よろしいですか。なお、大森委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。それでは、本議題について、承認を可としてよろしいですか。
 ありがとうございます。本議題について、御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告いたします。それでは、議題2に移ります。議題2について、機構から概要を御説明ください。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2、医薬品ロラピタ静注2mgの製造販売承認の可否等について機構より御説明いたします。
 本剤は、ベンゾジアゼピン誘導体であるロラゼパムを有効成分とする注射剤であり、1976年にオランダで承認されて以降、てんかん重積状態に対しては、2017年4月現在、米国等7か国で承認されております。なお、効能・効果である「てんかん重積状態」とは、国際抗てんかん連盟により「発作がある程度以上に続くか、又は短い発作でも反復し、その間の意識の回復がないもの」と定義されております。本剤は、海外においててんかん重積状態に対する第一選択薬として長期間の使用実績があることを踏まえ、本剤の申請効能・効果に対する開発については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性が高いとされ、2010年12月に申請者に対して開発要請が行われました。その後、2013年12月から臨床試験が開始され、今般、てんかん重積状態に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。なお、本邦では、同一の有効成分を含有する経口剤であるワイパックス錠0.5等が「神経症における不安・緊張・抑うつ」等の効能・効果で承認されております。
 本申請の専門委員として資料13に記載されている5名の委員を指名しております。臨床成績を中心に審査の内容を説明させていただきます。
 まず、有効性ですが、審査報告書15ページの1行目、「主要評価項目である」から始まる段落を御覧ください。てんかん重積状態の患者を対象とした国内第III相試験が実施され、主要評価項目である初回投与までの有効率について、95%信頼区間の下限値は事前に規定した期待最小有効率である30%を下回りました。しかしながら、審査報告書19ページの2行目、「その上で」から始まる段落を御確認ください。てんかん重積状態は重篤な状態であり、ガイドラインにおいて本剤及び類薬のジアゼパムでは、1回の投与で十分な有効性が得られない場合、2回目の投与を行い、それでも効果が得られない場合は他の治療を行うことが推奨されていることを踏まえ、2回目の投与までの有効性についても検討いたしました。その結果、重要な副次評価項目である2回目投与までの有効率は64%であり、すぐ下の表19、こちらに記載いたしました海外臨床試験成績及び公表文献における2回目投与までの有効率も踏まえると、得られた有効率に一定の臨床的意義はあり、本剤のてんかん重積に対する有効性は期待できると判断しております。
 次に、安全性ですが、国内臨床試験成績及び海外製造販売後安全性情報に基づいて検討を行い、ベンゾジアゼピン系薬剤の代表的な有害事象として、心血管系の有害事象、呼吸抑制、中枢神経系の有害事象に注目して評価いたしました。審査報告書の20ページ、7.R.3.1の項以降に記載しておりますが、例えば審査報告書21ページ目の5行目を御覧ください。心血管系の有害事象を見ていただきますと、海外製造販売後安全性情報において報告された主な有害事象は、低血圧、心停止等であり、類薬と大きく異なる傾向は認められませんでした。呼吸抑制、中枢神経系の有害事象についても、既存のベンゾジアゼピン系薬剤のてんかん重積治療薬と大きく異なる傾向は認められませんでした。したがいまして、既存薬と同様に、添付文書において注意喚起をすることが適切と考えております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新投与経路医薬品であることから、再審査期間は6年、生物由来製品、特定生物由来製品には該当せず、製剤は、毒薬、劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。なお、原体はワイパックス錠0.5等の承認時に、毒薬、劇薬のいずれにも該当しないと判断されております。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の皆様から御質疑をお願いいたします。
○大森委員 添付文書の所で質問いたします。添付文書の中の「重要な基本的注意」という所の(1)。
○松井部会長 何ページとおっしゃいましたか。
○大森委員 「添付文書(案)」と書いてある所の添付文書の1ページ目の「重要な基本的注意」という所です。
○松井部会長 はい。
○大森委員 そこの(1)の2行目に「本剤投与中の患者には」という表現があるのですが、何か、これがピンとこないのです。というのは、重積状態というのはめったにあることではないので、投与中というのがどういうところを指しているのか分かりにくい。むしろ、「投与後」としたほうが分かりやすいのではないかと思うのです。
 ついでにそこの(3)の所も見ていただくと、こちらの「本剤投与中」というのは、正しく投与中のことなのです。ですので、この「投与中」という表現の意味が曖昧になっていると思います。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきまして、ありがとうございます。御指摘いただきましたとおり、(1)の「本剤投与中」というのが自動車運転というところになりますと、ちょっとイメージが付きづらいというところと、(3)の「本剤投与中」は正に本剤を注射剤として投与しているときに何を行うかという注意喚起というところになるかと思いますので、御指摘を踏まえまして、(1)の記載について、もう少し適切な表現になるよう検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○大森委員 お願いいたします。
○松井部会長 よろしいですか。
○大森委員 はい。
○松井部会長 ほかにございませんか。
○岡委員 臨床試験でジアゼパムなどと比較したデータのようなものはないのでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 ジアゼパムとの比較ですが、申請者が実施した臨床試験としましては、海外で実施した臨床試験はあるのですが、こちらで有効性に関しては大きな違いは特にはございませんでした。また、公表文献の形ではあるのですが、申請者とはまた別の所でジアゼパムを対照とした試験というところも2試験行われておりまして、こちらでも有効性に関して明確に劣る傾向は認められなかったというような報告もございます。
○松井部会長 今の御説明でいかがでしょうか。
○岡委員 そうしますと、ジアゼパムやミダゾラムがある中で新薬としてロラゼパムを加えるメリットというのは、代謝・排泄経路が若干違うということだけでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね、御指摘いただきました代謝と排泄の経路が違うというところは、また、あるかとは思います。今回、未承認薬・適応外薬検討会議において議論された点でもございますが、どちらかといいますと、ジアゼパムの有効性と見比べてみたときに、有効性が得られる時間が少し長いというような傾向が見られるといったようなデータも出てはおります。
○松井部会長 その点につきまして、大賀先生、何かコメントして、私よりは大賀先生のほうがいいと思うのですけれども。重症度がはるかに違うのではないかと私は思いましたが、いかがでしょうか。
○大賀委員 私も経験がないので分からないのですが。重積の場合に2回までの効果が幾つかの薬でこうやって比較されると思うので、できるだけ数が多い方が、薬の種類としては効かなかった場合の次の対策としてという臨床的な意味で望ましいかと思って拝見していたのですけれども、私自身としてはですね。そういう考えでよろしいのですか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。
○大賀委員 余り差はないけれども、2回までで64%で効くということがここであるということは、同じ薬を3回投与するということは余りないですよね。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね、その点に関しましては、審査報告書ですと、28ページを御確認いただければと思います。28ページ目の2段落目ですが、本剤2回目を投与した場合に、1回目で効かなかった場合に関しましても2回目の投与をした場合に、10例中8例が有効であった。という一方で、例数は限られてはいるのですが、3回目の投与を行った場合というところに関しては余り有効性は得られなかったというような状況もございますので、2回目の投与まででの有効性というところは検討することになるかと思います。
○大賀委員 具体的には小児のけいれん重積のときのガイドラインの中に、この薬の位置付けがどのように考えられるかということが今の御質問だろうと思います。、実際上は、もう退官されていますが久留米の松石教授などが今回入っておられますが、どのようにこのガイドラインの中での位置付けがされていますでしょうか、まだこれからでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ガイドラインでの位置付けに関しましては、27ページの表の22を御確認いただければと思います。こちらは海外のガイドラインではあるのですが、てんかん重積に関しまして、ジアゼパムと同じような位置付けではあるのですが、第一選択の位置付けで投与されております。本邦におきましても、第一選択というような形で位置付けられるものと考えております。
○松井部会長 いかがですか。
○大賀委員 第一選択ということで、そうすると、第一選択は幾つかのものを選んでもいいという考えでよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。患者さんの状態とか併用薬などによって、ジアゼパムを選ばれる患者さん、本剤を選ばれる患者さん、いらっしゃるかと思います。
○石川委員 私、成人のてんかん重積発作の患者さんを診ることがあるのですが、やはり有効性がきちんとしていることが重要で、先の先生の、お名前が分かりませんでしたが御質問された方と同じ意見です。逆に、有効性が余りはっきりしていないとか低い場合ですね。この薬の場合は60何パーセントで余り高くないように思うのですが、ほかの薬剤だったら重積発作を止められるのに、この薬だと止めにくいとか、少し差異が出た場合に、結局はその患者さんの利益が下がるということになると思いますので、本当にその有効性の判定はきちんとされていたほうがいいかなと思いました。具体的には、先ほどおっしゃった海外との比較で60何パーセントという、そこは許容されるという件がありましたね。比較の中ではほかの薬剤と比べて有効性が一番低いとも取れるのではないかと思いまして、そこは本当にそれでいいのかどうかと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構よりお答えいたします。本剤の有効性に関してですが。
○石川委員 19ページの記載です。
○医薬品医療機器総合機構 19ページの表ですが、こちらの有効性に関しまして、海外の本剤での臨床試験であったり公表文献においてという所ですと、2回目までの有効率というところは御覧いただきましたとおりの数値が出ております。こちらの有効性について、もう少し詳しく御説明させていただければと思います。審査報告書の18ページを御確認いただければと思います。
 本剤で有効性がはっきりと出なかった原因という所です。表18の治療抵抗性が示唆される基礎疾患や合併症ですが、こちらを見ていただきますと、基礎疾患・合併症が「あり」の患者さんですと、初回投与までの有効性が42.1%、一方で「なし」の患者さんですと、初回までの有効性ですと66.7%というところで、治療抵抗性が示唆される基礎疾患や合併症を有している患者さんにおきましては、有効性が比較的得られにくいという傾向がございます。こういった患者さんが含まれたというところもありまして、有効性が示唆されにくかったというところが説明されております。
 この試験の実施状況ですが、国内でのてんかん重積患者さんを対象として試験を行いました。その中で、てんかん重積の患者さんが対象となっておりますので、てんかん重積が起きているという中で同意を得た上で組み入れるということがなかなか難しいという状況もございまして、組入れに関して事前に同意を得た患者さんの組入れがどうしても多くなったというところもございます。そのような中ですと、てんかん重積を何回も経験した患者さんに、この試験の患者さんというところが偏ってしまいまして、このように治療抵抗性が示唆される患者さんにおきまして、有効率が比較的低い状態になったというところが考えられております。
 したがいまして、てんかん重積患者さんの中に今回、試験に組み入れられなかった基礎疾患や合併症を有していない患者さんもいらっしゃるかとは思いますが、その患者さんも含めて本剤が日本の患者さんに対してその有効性が期待できるかというところを考えてみますと、ある程度の有効性は考えられるのではないかというような考察を行った次第です。
○松井部会長 いかがですか。まず、岡先生はいかがですか。納得なさいますか。このてんかん重積状態というのは非常に重篤な状態で、機構の説明にも出ていたと思いますが、何分このてんかん発作が止まらなければ重積という明確な定義はありませんが、およそ30分も続けば生命の危機に瀕したり、あるいは、後遺症として低酸素血症が残るというような大変重篤なやっかいな病態になります。その64%をどう取るかということになりますが、もしそれでも止まらない場合には、新たに気管内挿管をして全身麻酔をかけなければならないようなことも生じてまいります。そういう非常に重篤な状態だということを委員の先生方に分かっていただきたいと、私、委員の1人として希望します。
○柴田委員 念のために確認させていただきたいのですが。今、部会長がおっしゃったように重篤な状態であるので、この薬の意義がないとか、そういう話をしているわけではないのですが、念のために確認させていただきたいのです。
 先ほどおっしゃったように、日本の治験に参加された患者さんが治療抵抗性が示唆される基礎疾患・合併症のある方の割合が高かったせいで、見掛け上、成績が低く見える可能性があるということであるならば、一番シンプルな確認の仕方は、海外の成績あるいは類薬の成績も同じようなサブグループで見て治療抵抗性が示唆される基礎疾患・合併症のある集団の中で見たら、このものの成績はさほど悪くないというデータを見せればシンプルに結論が付くわけです。そのデータが出ていないのは、海外の試験とか、そういうものが古い試験でそういう分析ができなかったからということですか、それとも、確認されているけれどもここに載っていないだけですか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 おっしゃっていただいた中の前者のほうでして、こちらもその内容は是非確認したいと考えてはいたのですが、海外でのそもそもの承認が1976年、試験が実施されたのもかなり前というような状況で元のデータが残ってはおりませんでしたので、部分集団での検討はできなかったところです。
○柴田委員 ありがとうございます。
○松井部会長 よろしいですか。ほかに。
○川上委員 添加物のベンジルアルコールについてお伺いしたいのですが。添付文書(案)の2ページ目の右側の7「小児等への投与」の所で、注意は書かれているのですが、海外ですと、例えばドイツの添付文書を拝見すると早産児や新生児は禁忌であり、アメリカでも早産児は禁忌でして、添付文書内でベンジルアルコールによる有害事象とかアナフィラキシーショックに関して説明されていると思います。日本では禁忌の扱いではなかったり、RMPの中でも特段そういった副作用をモニターする計画もないのですが、問題ないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ベンジルアルコールに関してですが、国内でもベンジルアルコールが含まれている製剤に関して、まず注意喚起をどうするかというところに関しては議論があったところではございます。添付文書に書いてあります、あえぎ呼吸やアシドーシス、けいれんなどで気管挿管に至った例が報告されたというような状態になったとき、元のデータではあるのですが、添付文書に記載がなされておりますように、静脈内の大量投与、99~234mg/kgの投与で関連する症状が認められたという一方で、こちらの元の文献ですと、1日当たりの投与量27~99mg/kgを投与したときには関連する症状は認められなかったというようなデータが確認されております。本邦での、この薬剤に限らず添付文書での注意喚起ですが、関連する症状が認められたときがこのベンジルアルコールを含む製剤の大量投与のときであるということも踏まえまして、大量投与を行うようなビタミンB6のような製剤ですと、用法・用量に関連する使用上の注意などで注意喚起はされていることもあるのですが、ほかの製剤では、現状、このロラピタの添付文書のように小児等への投与のみで注意喚起がされているというのが現状で、禁忌に設定しているという所はないというのが状況です。
 本剤の投与でのベンジルアルコールの投与を添加剤の量から計算してみると、1mg/kg程度と低くなっております。また類薬のジアゼパム、てんかん重積に使える薬剤に関しましても、ベンジルアルコールは含まれているのですが、こちらも乳児に対しては禁忌とはされておりませんので、これも踏まえまして禁忌とはしないというような形で考えております。
○松井部会長 よろしいですか。
○川上委員 はい、ありがとうございます。
○松井部会長 先ほどのことに戻りたいのですが、特に柴田委員、いかがでしょうか。これで通してしまっていいのかどうか。
○柴田委員 事前に設定した最低限の有効性の、クリアしたいという基準をクリアできていなかったというのは事実だと思いますが、基本的にこのものの薬効の存在を疑わせるようなデータでないことまでは、多分、御出席の先生方も同じように思われていると思います。問題はそれが相対的に、ほかの選択肢と比べたときに、十分成績が高いと言えるのかどうか。類薬と比べてこちらを選択しようか、ほかのものを選択しようと思うかというときに、こちらが相対的に真に効果が低いのであれば、そのことに関して情報を出したほうがいいのではないかと思うところなのです。つまり、承認の可否という観点で足りないというところはないと思うけれども、その効果が低い可能性に対して、現在得られるデータでベストなspeculationが提示できているかというところが問題だと思いましたので、先ほど質問した次第です。
○松井部会長 では、それは後日、報告してもらうということでも。
○柴田委員 いいえ。先ほどお伺いしたように、このものについては、そのサブグループ解析とか、より突っ込んだ解析をしようにも十分なデータが既に存在していないということなので、これはやむを得ないところかなと考えました。なので、きちんと、できるだけのことはやったということは確認させていただきました。
○松井部会長 ありがとうございます。
○大賀委員 今の質問にしっかりした答えになることが先ほど私が質問した、16ページの表16の各提唱者の第一選択薬の中に本剤の位置付けがはっきりあるのですが、日本小児神経学会の中では、今、ジアゼパムとミダゾラムの静注が第一選択になって、ほかにこの本剤はないわけです。認められていないからないわけですけれども。だから今後、そうした場合に日本小児神経学会や日本神経学会は、この薬剤をどういう位置付けで第一選択に持ってこようとしているかというのがガイドラインなどの会議の中で話されているかということが今のお答えになるのではないかと思うので、それを準備されたらいいのではないかと思うのです。
○松井部会長 ありがとうございます。どうぞ。
○審議役 先生方、いろいろコメントをありがとうございます。正に先生がおっしゃったとおりでして、これは未承認薬の検討会に掛かって医療上の必要性が高いということになったということは、古いので詳細は私は把握しておりませんが、どちらかの学会からこの薬剤がやはり欲しいということで要望が上がってきたのだろうと思います。ただ、これは、やはり承認がないものですからガイドライン上は位置付けられていないということだと思いますので、もしこの場で御承認いただきましたら、関連する学会の先生方にもこういう情報をお伝えして、使い方をどうするのかとか、そうしたことについて御相談させていただければと思います。
○松井部会長 よろしいですか。
○大賀委員 だから、承認されてからではなくて、この委員の先生方の中で、もしこれが使えるようになった場合にはどのように使っていこうかというのが、あらかじめ少しあるのではないかと思うのです。その意見があると、より具体的に分かりやすいかなという意味だと私は思ったので、発言させていただきました。だから、これが通ったら、具体的にどういう状態のときに使おうかということが既に専門家の間では話し合われているのではないかと感じた次第です。
○松井部会長 委員の先生方、よろしいでしょうか。では、大賀先生の今の御意見を十分に反映した議事録と、それから、これに対処していただきたいと思いますが、よろしいですか。何か御意見がありますか。
○審議役 私の経験ですと、学会の位置付けとガイドラインに盛り込むときは、やはり承認がされてから、これでどうなるかというのがされていたような気がいたしますが。
○大賀委員 だから盛り込まれてはいないのですよね、今。だから、盛り込まれない状態でこれが承認されたら、具体的に専門家の集団はどのような使い方をしたらいいだろうかという感覚があるだろうと思うのです。それを文面として出さなくても、この場で説明をされることが先ほどの先生のお答えにもなるのではないかと思った次第です。
○医薬品医療機器総合機構 補足させていただきます。このてんかん重積の患者さんをよく診られている専門委員の先生方にも本剤の位置付けについてお伺いしましたが、第一選択として使われることになるのではないかという御意見を頂いていると補足させていただきます。
○松井部会長 よろしいですか。ちょっと難しいところにはきていると思いますが。委員の先生方の議決を取ろうと思いますが、いかがでしょうか、いいでしょうか。本議題につきまして承認を可としてよろしいとお考えの方、手を挙げてください。
 失礼しました。その前に、大森先生におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。もう一度お聞きします。この承認を可としてよろしいとお考えの方。
 賛成多数と認めます。ありがとうございます。それでは、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。ありがとうございます。それでは議題3に移ります。議題3につきまして、機構から概要を説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料3、エイベリス点眼液0.002%の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。本剤はオミデネパグ イソプロピルを有効成分とする点眼剤です。今般、緑内障及び高眼圧症に関する本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請がなされました。なお、2017年11月時点でオミデネパグ イソプロピルを有効成分とする点眼剤は、海外においては承認されておりません。
 本申請の専門委員としては、資料13に記載されている8名の委員を指名いたしました。審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。
 本品目の有効性については、審査報告書21ページ、表18を御覧ください。原発開放隅角緑内障又は高眼圧症の患者を対象とした本剤の第II/III相試験(01171503試験)において、主要評価項目である治験薬投与4週後の平均日中眼圧のベースラインからの変化量は表18のとおりであり、本剤群と対照薬とされたラタノプロスト群の群間差の95%信頼区間の上限値は1.26mmHgと、あらかじめ設定された非劣性マージンである1.5mmHgを下回りました。以上の試験成績に基づき、緑内障及び高眼圧症に関する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 次に、安全性について御説明いたします。審査報告書21ページの下段を御覧ください。本剤の第II/III相試験のステージ2において、有害事象は本剤群の48.9%、ラタノプロスト群の27.1%に認められました。国内臨床試験の本剤群で高発現した主な事象としては眼炎症、黄斑浮腫及び角膜肥厚が挙げられ、本剤投与に際してはこれらの有害事象に対する注意が必要であると判断いたしました。黄斑浮腫については審査報告書29ページ、表25を御覧ください。国内臨床試験の併合解析において、ラタノプロスト投与集団では黄斑浮腫に関連する有害事象が認められなかったのに対し、本薬投与集団では高発現し、黄斑浮腫に伴って網膜剥離、視力障害及び視力低下が認められました。表25の下に記載したように、特に、国内臨床試験における黄斑浮腫の発現割合は、両眼とも有水晶体眼であった被験者では0.4%であったのに対し、少なくとも片眼が眼内レンズ挿入眼であった被験者では27.6%であり、眼内レンズ挿入眼の被験者において黄斑浮腫が高発現いたしました。以上を踏まえ、無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者に対しては、本剤の投与を禁忌と設定することが適切であると判断いたしました。
 続いて、本剤と他の緑内障治療薬との併用について、審査報告書32ページ、表27及び28を御覧ください。海外の第I/II相試験(海外33-001試験)において、濃度0.003~0.03%の本薬点眼液とプロスタグランジンFP受容体作動薬であるタフルプロストとの併用について検討がなされております。当該試験では、試験開始直後に羞明による試験治療の中止例が認められたこと等により、一部の投与群が試験中止に至っております。羞明が認められた被験者のうち半数以上が重症度が中等度以上でした。
 一方でこれらの被験者では、あらかじめ定められた規定に従い試験治療が中止されたことから、これらの被験者で試験治療を継続した場合に、当該有害事象が管理可能であったのかを含め、タフルプロストとの併用時における本剤の忍容性は不明です。以上の理由等から、タフルプロストとの併用時における羞明等のリスクの程度を評価することは困難であり、両剤を併用した場合の忍容性を許容可能と判断できないことから、禁忌と設定することが適切であると判断いたしました。タフルプロスト以外の緑内障治療薬と本剤との併用については、審査報告書34ページ中段を御覧ください。本剤の国内第III相試験(01171504試験)において、本剤単独投与群と比較してチモロールとの併用時に結膜充血等の有害事象の発現割合が高かったこと、並びにタフルプロスト及びチモロール以外の緑内障治療薬と本剤との併用時における安全性は検討されていないことから、添付文書等において、他の緑内障治療薬との併用時に結膜充血等の有害事象のリスクが高まる可能性があることを、医療現場に適切に注意喚起する必要があると判断いたしました。
 以上より、本剤投与時における眼炎症、黄斑浮腫及び角膜肥厚の発現割合は既存の緑内障治療薬と比較して高く、本剤の使用に際してはこれらの有害事象の発現に注意すべきであると考えるものの、眼内レンズ挿入眼の患者に対する本剤投与及びタフルプロストとの併用を禁忌と設定した上で、有害事象の観察及び管理、本剤の投与中止等の適切な対応を医療現場において実施することが可能となる安全対策を講じることを前提とし、本剤は忍容可能であると判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医医薬品に該当することから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤のいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは委員の先生方、御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○今井委員 この薬はエステル化合物で、プロドラッグと言われるものだと思いますけれども、加水分解して初めて活性体に変換するということだと思います。まず眼のどこで分解が起こって活性体になるのかということと、それに対して眼にある代謝酵素の個人差などで、作用に差が出てくることはなかったのかということをお聞かせください。
○医薬品医療機器総合機構 本剤の代謝については、審査報告書の10ページを御覧ください。
○今井委員 10ページの4.3.1.2に、カルボキシルエステラーゼというように書かれてはいるのですけれども、ヒトの眼にどれだけあるのかは、まだ余り詳しく調べられていないのが現状だと思います。実は、私はカルボキシルエステラーゼをメインに研究しておりますので、大体のことは知っております。ウサギでほとんど分解したと書いてありますね。ウサギは、涙液中にかなりのカルボキシルエステラーゼが存在すると思います。ウサギ血漿中にかなり多く存在しますので、涙液にも存在すると考えられます。ただ、ヒトには血漿中にカルボキシルエステラーゼが全く存在しませんので、涙液中に存在するとは、考えにくいと思います。
 となると、眼組織のどこかの細胞で交換されるということになります。眼の場合は細胞の種類が多く、細胞ごとの発現がばらばらということまでは、検討したことがあったのですが、余りにも複雑過ぎて、それ以上のことはやらなかったのです。ですから私も詳しくは存じ上げないのですが、ヒトに投与されたときに活性体への交換の個人差が本当に大丈夫だろうかと思います。切れたものと切れてないものでは活性が全く違いますので、それが何かの副作用に関わってくるとか。加水分解されていない元のプロドラッグは、疎水性が非常に高いので、分布もかなり深部まで至る可能性を含んでいますので、加水分解酵素の発現の個人差によっていろいろ違いが出てこないかというところをお聞かせください。
○医薬品医療機器総合機構 まず、ヒトの眼の限局の薬物動態に関しては、やはり臨床で評価せざるを得ないということもあり、かなり知見が限られてまいりますので、先ほど御指摘いただいた非臨床の成績で考察を中心に行ってきました。最終的には臨床試験成績に基づいて、この薬剤が有効であるかということを判断したわけです。第一選択薬ですので、ラタノプロストと比較して有効性が劣らないという成績がありますから、その成績をもって有効であろうということが言えるのだろうと思います。また、ヒトだと眼の組織を通過して全身血中に移行した後しか測ることができないわけですが、全身血中ではカルボキシルエステラーゼの代謝を受けた物質が検出されているという状況ですので、特に説明に何か矛盾があるという状況はありません。先生の御指摘の点は非常に興味の対象であるとは思いますけれども、現状では非臨床に基づく考察が中心になると言わざるを得ないと考えております。
○今井委員 市販後になるかもしれませんけれども、ヒトでの効き方の違い、個人差というところをもう少し注意して見ていかれたほうが良いと思います。まだ詳しく分かってない代謝酵素を利用した薬だと思いますので、その辺は個人差なり、レンズを挿入した人としてない人とでは代謝酵素の量が違っているかもしれませんから、そういうところも評価していただきたいと思います。効果として十分あるということは私も理解しております。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。審査報告書の18ページを御覧いただければと思います。本剤について薬物動態を検討した試験成績は健康成人を対象としたものであり、患者での検討はなされておりません。そういったことも踏まえ、製造販売後にも薬物動態について、引き続き公表文献等も含めて情報収集をし、新たな知見が得られた場合には、医療現場に速やかに情報をフィードバックするように、申請者にもお伝えする予定です。
○松井部会長 よろしくお願いします。ほかに御質疑はありますか。
○森委員 閉塞隅角緑内障の取扱いについてです。閉塞隅角緑内障と開放隅角緑内障がありますけれども、今回の薬について閉塞隅角の方では臨床試験がされていない、対象に含まれていないということで、しかも全く新規の治療薬を使っているので、類薬に関する情報もないかと思うのです。添付文書の扱いを拝見しますと、1ページの「使用上の注意」の2番目の「重要な基本的注意」に「本剤を閉塞隅角緑内障に投与する場合は、使用経験がないことから慎重に投与することが望ましい」という表現にとどめられているのです。専門部会のほうでは、何か議論にならなかったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 閉塞隅角緑内障の患者については御指摘のように、臨床試験では対象とされておりませんでした。こちらに関して現在、「重要な基本的注意」に書かれている文言が、基本的に他剤においても同様の注意喚起となっております。本剤について、他剤と1点異なる点としては、眼内レンズ挿入眼の患者は禁忌となりますので、閉塞隅角緑内障の患者においてはガイドラインにおける主要な治療が現在は手術になっているのですけれども、現在のスタンダードである、白内障と同様のレンズを入れるという手術がなされた場合にはもうその時点で本剤を投与することがなかなか考えにくいという状況になります。以上については、専門協議でも先生方からご指摘いただきました。
 ガイドラインにおいて、閉塞隅角緑内障の患者の第一選択が薬剤の治療ではなく、手術であるということもあり、他剤でも基本的に臨床試験では閉塞隅角緑内障の患者は対象になっておらず、開放隅角緑内障の患者のみを対象としているという現状があります。その点においては本剤も、他剤と得られている状況や現時点での注意喚起に変わりはないのですけれども、本剤の場合は患者が手術適応になった場合の投与の可否というところが、他剤と異なってきますから、その点は今後の資材等においても注意喚起をしていく予定です。御質問の答えになっていますか。
○森委員 その答えはよく分かりました。他剤の場合は類薬を含め、長年の使用経験がある薬剤も多く、実際に閉塞隅角の方に使われた事例もあって、本日、添付文書がそのまま生き残っていると思うのです。しかし、この薬剤は新規コンパウンドで同系統の薬剤のない薬剤だという理解ですが、それは間違っていますか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりです。
○森委員 なので、閉塞隅角緑内障の方に使ったらどういうことが起こるかは、全くのノーデータだと思って読んでいたのですが、使用することに対する制約としては、従来薬と同じような表現にとどまっていたので、全く根拠がない薬品を、全く根拠がない疾患に使うことが禁止されていない状況なのかなというのが気になったのです。どういった情報を集めて、どういった段階で添付文書に書くべきかという議論を、少ししたほうがいいかなと思ってお話しました。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書の36ページを御覧いただきたいと思います。この審査の中でも臨床的位置付けのところで、閉塞隅角緑内障の患者に対し、本剤を適応とするかということに関して整理をしております。真ん中辺りですけれども、緑内障の国内診療ガイドラインでは、まずレーザーによる虹彩切開術とか水晶体の摘出術による、いわゆる手術が第一選択です。それでも眼圧が下がらないような方に対しては薬物治療が選択されます。これは「原発の開放隅角緑内障の薬物治療の考え方に準じて治療を行うこと」という記載がありますので、この考えに沿った臨床開発、臨床試験計画がなされているということです。私の記憶の範囲では、これまでの緑内障の新薬開発の中でも、恐らく閉塞隅角緑内障の患者をメインのターゲットとして試験を行うようなことはされておらず、閉塞隅角緑内障の患者が新薬の承認時に臨床データが十分だったかというと、そうではないと理解しております。
 審査の中では、この薬剤についても他の緑内障治療薬の新薬と同様の注意喚起が必要だろうということで、添付文書の「重要な基本的注意」の設定をしております。この薬剤特有の議論としては、先ほど来申し上げているように、水晶体を摘出したような方、あるいはレンズを入れたような方は禁忌となります。通常、そういう手術を行った後に眼圧が更に高い方に薬物治療を行うというガイドラインですが、この患者の場合、もう禁忌となってきますので、そこは使えないよねという議論が専門協議でありました。それがこの薬剤特有の状況ですが、閉塞隅角緑内障の方に対する治療の考え方はほかの薬剤と変わらないだろうという考えで、今のところは注意喚起を設定させていただいております。
○森委員 では、根拠はないということになりますか。
○医薬品医療機器総合機構 明確な根拠はありませんが、根拠とするのであれば、緑内障の診療ガイドラインになってくるかと考えております。
○森委員 開放隅角緑内障の治療薬を用いるということは書いてありますが、それは今までの薬ですよね。今回、新薬の開発をされていて、新薬を使うかどうかという議論をしているのに、今までの薬が使えているからこの薬も使えるはずだという議論でいいのかということを確認し、先生方の意見も聞きたかったということです。
○医薬品医療機器総合機構 まず、使用してはならないとは考えていないのですけれども、先生もご指摘のとおり、情報がないという状況ですので、やはり製造販売後に閉塞隅角緑内障の方にこの薬剤が使用された場合の安全性情報等は、慎重に収集する必要があると考えております。
○森委員 1つだけ確認します。この薬に関しては臨床試験の情報が全くないけれども、市販後に閉塞隅角緑内障の方に使ったほうがいいというのは、専門協議で意見があったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 専門協議でも使用を何らかの制限をするといった議論はありませんでした。注意喚起はもちろん必要ですので、他の緑内障治療薬と同様の注意喚起をした上で良いというような議論がありました。
○森委員 ほかの薬剤と同様の注意喚起をした上で、使って良いという判断だったのですね。
○医薬品医療機器総合機構 使うことを許容して良いのではないかという議論がありました。
○森委員 許容して良いという判断だったのですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○松井部会長 よろしいですか。
○森委員 はい。
○松井部会長 ほかに。
○柴田委員 市販後のことについて確認させてください。2点あります。1つは、審査報告書の39ページに、専門協議の議論の結果、黄斑浮腫のリスクを過小に評価した可能性もあるので、調査の中できちんと光干渉断層計による検査をするようにという話が書いてあるのです。そういうことであるならば、製造販売後の調査の結果は、それなりのタイミングできちんと臨床現場にフィードバックされるべきではないかと考えたのです。しかし42ページを見ますと、他剤との併用に関する事項についてのみ中間解析を実施し、結果を速やかに医療現場に情報提供する、と書いてあります。これは併用に限らず、ほかの項目も含めて中間解析の結果、どのタイミングにしたらいいかという議論はあると思いますが、中間解析の結果を適宜提供するほうがいいのではないかと思うのです。その点はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただいたように、併用時の比較のみではなくその他の有害事象の発現状況等についても、同様に中間解析とその結果の公表を予定しております。
○松井部会長 それは当然のことと考えているのですね。
○柴田委員 今の点について、ちょっとテクニカルな点で補足します。35ページの表30を御覧ください。こちらを見ますと、例えば黄斑浮腫に関しては比較的早期に出るものもあれば、ちょっとたってから出るものもありますので、中間解析の段階でまだ十分な長さのフォローがされてない段階でのデータを出すということは、早急にデータを出すことは重要だけれども、フォローアップの期間が不十分な中でデータを出すと、リスクを過小評価してしまう可能性もあるので、データを出すときにはその辺の解析をきちんと工夫した上で出していただきたいというのがコメントです。
 2点目は、また安全性に関する話です。審査報告書の39ページに角膜肥厚についての議論が出ています。これについて40ページのデータを見ますと、平均値±標準偏差が0.33±0.27になっています。これは0.25でレンズが1段階上がるので、それなりの影響があるということで情報提供が必要であるという話の結論になっていますが、標準偏差が0.27ということは、それなりに大きい値です。つまり、平均値で見ると0.33にとどまっていますが、比較的大きな変動をした人が含まれているということを示唆するデータなので、実際には最大値でどのぐらい動いたのかという情報も、情報提供資材などできちんと臨床現場に提供すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今、御指摘があった変化量の最大値についてですけれども、一番大きい方で1.25程度が認められております。それから、もう1点補足します。こちらは絶対値で変化量をお示ししています。球面屈折度数がマイナスに振れると近視で、プラスに振れると遠視ということになりますが、いずれについても同程度変化する患者が認められたということを補足させていただきます。
○松井部会長 ばらつきが大きいということですね。
○医薬品医療機器総合機構 ばらつきが大きいということと、近視傾向、遠視傾向のどちらかに偏っているわけではないということです。
○医薬品医療機器総合機構 それから1点御質問いただいた点ですが、この薬剤には様々な安全性の特徴があります。医薬品のリスク管理計画に、医療従事者向けの資材をしっかり作っていただくということを規定し、その資材は今詰めているところですが、御指摘のあった角膜肥厚の振れ幅に関して最大値・最小値・平均値といった情報も含め、しっかりと医療現場に誤解なく伝わるような資材を作成していきたいと考えております。
○松井部会長 是非、よろしくお願いいたします。ほかに御質疑はありますか。いかがですか。
○神田委員 具体的にお聞きできないので申し訳ないのですけれども、製造販売後の調査について、幾つか挙げられておりますね。これは承認をする上で基本的なことではないかと思うわけです。これを製造販売後の調査に委ねてしまっていいのだろうかということが不安になります。先ほど関連の御説明もあったのですけれども、もう1回、私のような素人でも安心できるように御説明いただければと思います。
 もう1つは、用法・用量については1日1回1滴ですよね。ということは、1滴が確実に入る、間違いなく入るような。私も目薬を入れるのが下手なものですからお聞きしたいのです。こぼれないようにといったことで、容器について確実に1滴入るような工夫はされているのか、あくまでも患者が上手に入れてくださいという感じなのかが気になったのです。1滴ですから、2滴入ってもいけないし、半分ぐらいでもいけないし、こぼれてもいけない。余計な心配ですが、何か容器に工夫がなされているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 まず、最初の御質問についてです。御質問の内容は、調査で検討を求めているような事項について、承認前に確認する必要がないかという御指摘でよろしいでしょうか。まず、審査報告書の42ページの表31とか表33辺りを御覧いただければと思います。製造販売後には主にこのような事項について、検討が必要と考えております。臨床試験で得られる情報は対象患者の患者背景という点でも患者の数という点でも限られておりますので、最低限のリスクベネフィットバランスは受入れ可能と判断しておりますが、個々の患者を見ていった場合に、いろいろな背景の患者がいらっしゃると思います。そこについては製造販売後に1例ずつ見ていくしかないという判断です。お答えになっておりますか。
○神田委員 結構です。
○医薬品医療機器総合機構 2点目の御質問に関しては、1滴でなくて2滴出てしまうことがないかという御質問ですね。
○松井部会長 これはこの薬品に関係したことだけでなく、一般のことも含まれているのではないかと。
○医薬品医療機器総合機構 通常、点眼剤は1滴あたりが50μLとなるよう設計されますが、本剤に関しては承認申請資料によると平均値が〇μLです。ヒトの結膜は大体20μL程度を受けられますので、1滴を滴下するとちょっとこぼれ出るという設計が一般的であり、本剤の容器に関しても一般的な点眼剤の容器の設計になっております。
○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかに特に御意見がないようでしたら、議決に入ろうと思います。なお、大森委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは議題4に移ります。議題4について、機構から概要を御説明ください。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料4、医薬品メトアナ配合錠LD他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。本剤はDPP-4阻害薬のアナグリプチンとビグアナイド系薬剤のメトホルミン塩酸塩を有効成分とする糖尿病治療薬の配合剤です。2型糖尿病の治療では単剤で効果不十分な場合、作用機序が異なる薬剤を併用することが一般的であり、アナグリプチンについては、ビグアナイド系薬剤で効果不十分な場合の併用療法を含めた承認が既になされております。なお、本剤は2018年6月現在、海外において承認されておりませんが、同じ有効成分からの配合剤は韓国において承認されている状況です。
 本品目の専門協議では、資料13に示す先生方を、専門委員として指名させていただいております。それでは、本配合剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 有効性については、審査報告書8ページの表4を御覧ください。メトホルミン投与により効果不十分な日本人2型糖尿病患者を対象に、アナグリプチンとメトホルミンを併用投与したAM1001試験が実施され、主要評価項目であるベースラインから最終評価時までのHbA1c変化量について、メトホルミン単独投与に対するアナグリプチンとメトホルミンの併用投与の優越性が示されております。
 続いて、審査報告書11ページの表9を御覧ください。アナグリプチン投与により効果不十分な日本人2型糖尿病患者を対象に、アナグリプチンとメトホルミンを併用投与したAM1002試験が実施され、こちらも同様に主要評価項目であるベースラインから最終評価時までのHbA1cの変化量について、アナグリプチン単独投与に対するアナグリプチンとメトホルミンの併用投与の優越性が示されております。
 続いて、長期投与時の有効性については、審査報告書9ページの図1を御覧ください。こちらはAM1001試験の結果となりますが、○が当初24週まではメトホルミンを投与し、24週以降はメトホルミン及びアナグリプチンの併用投与を、●が開始時よりメトホルミン及びアナグリプチンを併用投与した結果となります。●でお示しした結果を御覧いただければと思いますが、アナグリプチンとメトホルミンの併用投与時の効果の持続性が確認されております。
 続いて、安全性については審査報告書16ページの中段を御覧ください。「7.R.2 安全性について」の項の機構の審査結果の概略です。こちらに記載したとおり、国内臨床試験における有害事象及び副作用の発現状況、並びにアナグリプチンの国内での製造販売後調査や市販後の安全性情報を検討した結果、これまでと同様の注意喚起が適切になされれば、安全性は許容可能と判断いたしました。
 続いて、医療用配合剤の承認要件への該当性に関しましては、審査報告書17ページの中段から18ページの上段を御覧ください。こちらは「7.R.3 本配合剤の配合意義及び臨床的位置付けについて」の項の機構の審査結果の概略となります。こちらに記載したとおり、アナグリプチンとメトホルミンの併用投与に一定の臨床的有用性が認められ、各単剤併用時と生物学的に同等とみなされる本配合剤の配合意義の科学的合理性は示されており、また患者の利便性についても、服薬アドヒアランス等の向上が期待できると判断いたしました。
 以上のとおり、機構での審査の結果、本配合剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。本配合剤の再審査期間は4年とすることが適切であり、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。
○森委員 メトホルミンを含む合剤に関係する内容ですが、現在メトホルミンの服用で腎障害の程度をどのように数値を基に規定するかということで、添付文書の多くは男性、女性でクレアチニンの上限値を決めていて、根拠としてはそれ以上の患者は治験をしていないということで、インタビューフォームにもそう書いてあると思いますし、今回の添付文書にも腎障害の注意喚起の所に男性1.2、女性1.1と書いてあると思いますが、糖尿病学会を含めて、eGFRを基準に使用の可否を決めていくというような動きもありまして、添付文書の対応と一部差異を生じてきているという現状かと思います。
 これはいろいろな考え方がありまして、お薬を承認する側と運用する側の立場の違いというものもあるかと存じますが、使用する現場の先生方のほうで、どちらを参考にしていいのかといったことも、多々意見が聞かれているようですので、一度御協議していただくことがよろしいのではないかと思っています。以上です。
○松井部会長 コメントというように考えてよろしいですか。
○森委員 もう少し具体的に申し上げますと、eGFRが30未満を禁忌としていて、30~45の方を慎重投与にするというのが、昨今の学会の見解になっていまして、メトホルミンの使用注意に関する喚起事項になっています。
 それは学会を通して、広く日本国内に周知が進められていますが、添付文書では余りそのようになっていないものが多いかなと思っています。ですので、本件にも関係ありますし、メトホルミンを含む合剤、メタクト、イニシンクなどにも関係している事象かと思います。私がこの部会に出てから初めてのメトホルミンを含む合剤なので、意見を言わせてもらいました。以上です。
○松井部会長 どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 本剤に限った話ではなくて、ほかの剤も含まれている話なので、今後学会等とも連携しながら、記載をどう変えていくかは今後検討していきたいと思います。
○松井部会長 よろしいですか。
○森委員 いつ頃までにされるのでしょうか。
○森委員 「やります」とおっしゃっているということは、やるというように理解してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現行の添付文書と、学会で出しているeGFRに着目して投与対象を検討していこうという動きに齟齬があることについては我々も認識しており、現在、市販後の安全対策を担当している安全部門で、記載を合わせていくかどうかを検討しているところです。
 本件に関しては本剤のみならず、既存のメトホルミンを含有する配合剤、あるいはメトホルミン製剤のそれぞれの添付文書も併せて検討している最中ですので、現時点でいつ頃までにという確約はできる状況ではないですが、検討は進めており、矛盾が生じないような方向性に持っていきたいところです。
○森委員 結構です。
○松井部会長 ほかにございますか。特にございませんか。それでは議決に入ってよろしいですか。なお、大森委員、川上委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは議題5に移ります。議題5について、機構から説明してください。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医薬品モビコール配合内用剤の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。便秘は発症経緯から急性便秘と慢性便秘に大別され、さらに原因・病態等により機能性便秘、器質性便秘等に分類されています。成人の便秘に対する薬物治療には、大腸刺激性下剤、浸透圧性下剤及び上皮機能変容薬等が単独又は併用で使用されていますが、それぞれ長期連用による耐性又は習慣性、高マグネシウム血症を含む電解質異常、悪心の発現等が課題となっております。小児の便秘に対する薬物治療は、浸透圧性下剤から治療を開始することが原則とされており、十分な効果が得られない場合には、大腸刺激性下剤等が使用されています。
 本剤はポリエチレングリコールと各種電解質を含む浸透圧性下剤で、欧米で慢性便秘症に対して小児も含めて広く用いられており、欧米のガイドラインでも推奨されています。このことから、日本小児栄養消化器肝臓学会より、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に対して要望書が提出され、「慢性便秘症」の効能・効果について、厚生労働省から申請者に対して開発要請が行われました。今般、申請者は慢性便秘症患者を対象とした国内臨床試験を実施し、本剤の承認申請に至りました。
 なお、本剤は成人及び12歳以上の小児の慢性便秘症を効能・効果として、英国で1995年12月に承認され、2018年6月現在、欧州等の海外37か国で承認されています。また、2~11歳の小児の慢性便秘症については、2002年10月に英国で承認され、2018年6月現在、欧州等の海外27か国で承認されています。
 本品目の専門協議では、本日の配布資料13に示します専門委員を指名しています。以下、本薬の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。
 主な臨床試験成績として、15歳以上の日本人慢性便秘症患者を対象とした第III相試験及び2歳以上14歳以下の日本人慢性便秘症患者を対象とした第III相試験が提出されています。
 有効性について、まず15歳以上の慢性便秘症患者について説明いたします。審査報告書9ページの表10を御覧ください。15歳以上の慢性便秘症患者を対象とした第III相試験において、主要評価項目である「検証期第2週における自発排便回数の観察期間第2週からの変化量」で、本剤群のプラセボ群に対する統計学的な有意差が認められました。
 次に、14歳以下の慢性便秘症患者における有効性について説明いたします。審査報告書13ページの7.R.1.2.1項を御覧ください。14歳以下の日本人慢性便秘症患者を対象とした第III相試験において、主要評価項目である「投与期間第2週における自発排便回数の観察期間第2週からの変化量」は、15歳以上の慢性便秘症患者を対象とした第III相試験の本剤群と比較して劣る傾向は認められませんでした。以上より、慢性便秘症に対する本剤の有効性は示されたと考えました。
 安全性について、まず15歳以上の慢性便秘症患者について説明いたします。審査報告書9ページの表11を御覧ください。15歳以上の慢性便秘症患者を対象とした第III相試験において、プラセボ群と本剤群の有害事象の発現割合及び認められた事象は同様であり、プラセボ群と比較して本剤群で臨床的に問題となるような傾向は認められていないことを確認しました。また、審査報告書16ページの表21を御覧ください。15歳以上の慢性便秘症患者を対象とした第III相試験の時期別の有害事象の発現状況について、投与期間の長期化に伴い有害事象の発現が増加する傾向がないことを確認しました。
 次に、14歳以下の慢性便秘症患者における安全性について説明いたします。審査報告書17ページの7.R.2.2.2項を御覧ください。15歳以上の慢性便秘症患者を対象とした第III相試験と比較して、14歳以下の患者を対象とした第III相試験で有害事象の発現割合が増加する傾向は認められず、認められた事象を踏まえても現時点で明らかに問題となる傾向はないことを確認しました。以上より、慢性便秘症における本剤の安全性は許容可能と考えました。
 以上の審査の結果、慢性便秘症に対する本剤の有効性は示され、認められたベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、医薬品リスク管理計画に係る承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新医療用配合剤であることから、再審査期間は6年、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当せず、原体及び製剤はいずれも毒薬及び劇薬に該当しないと判断しました。また、薬事分科会では報告を予定しております。
 なお、審査報告書に誤記載がありましたので訂正させていただきます。審査報告書27ページの第2項「機構による承認申請書に添付すべき資料に係る適合性調査結果及び機構の判断」を御覧ください。2.1と2.2の項目名が入れ違いになっていましたので、修正させていただきます。正しくは、2.1が「GCP実施調査結果に対する機構の判断」、2.2が「適合性書面調査結果に対する機構の判断」となります。本修正について審査への影響がないことを確認しております。以上、御審議どうぞよろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の皆さん、御質疑をお願いいたします。今の2.1と2.2はタイトルだけを入れ替えればいいということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○森委員 大腸内視鏡のときに使われている洗腸剤のモビプレップも恐らく主成分が同じであると思いますが、量的にはあちらのほうが30倍ほど多くて、こちらは6gに満たないようですので、まずは負荷量が少ないことと、浸透圧の程度も、腸管から浸透圧で水分を引くというよりは、食事の水分を保持したまま便になると理解したほうがよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。先生の御理解のとおりです。
○森委員 そうしますと、電解質の影響とか血圧等の影響も、基本的にはほとんど見られていないという理解でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○森委員 分かりました。もう1つですが、味はどのようなものでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤に含まれる成分の味がします。本剤につきましては小児患者が服用することが想定されます。申請者から、患者向け資材においてジュース等と一緒に飲むことが可能である旨を情報提供すると聞いております。
○松井部会長 重要な御指摘だったと思います。ほかにございませんか。
○川上委員 今のことに関連して、約60mLの水に溶解するという内容についても、資材で具体的な飲み方を御説明されるという理解でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。溶解する水の量に関しては、CTD1.8の添付文書案の「6.適用上の注意」に記載しており、患者向け資材においても添付文書案の記載に基づき情報提供がなされる予定です。
○松井部会長 ほかにございませんか。それでは、ないようですので議決に入ろうと思いますが、よろしいでしょうか。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは議題6に移ります。議題6につきまして、事務局から概要を御説明ください。
○事務局 議題6、資料6、ラブリズマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料のタブ2「評価報告書」をお開きください。報告書1ページの中段を御覧ください。申請者はアレクシオンファーマ合同会社、予定される効能・効果は発作性夜間ヘモグロビン尿症です。
 1ページの「対象患者数」について説明いたします。発作性夜間ヘモグロビン尿症(以下、「PNH」)は、指定難病であり、1998年の調査結果において、推計患者数は約430人とされております。以上より、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えます。
 次に、2ページの「医療上の必要性について」、御説明いたします。PNHは補体第二経路が持続的に活性化され、慢性的な血管内溶血が生じる重篤な疾患です。現在、PNH治療薬として本邦で承認されているのは、エクリズマブ(遺伝子組換え)のみですが、エクリズマブによる治療中に一部のPNH患者において血管内溶血が再発するブレイクスルー溶血が起こることがあり、その一因として、C5濃度のばらつきが大きく、持続的な補体阻害効果が得られなかった可能性等が考えられております。本剤はエクリズマブを改変した薬剤であり、エクリズマブに比べて消失半減期が長いことから、血清中C5の十分な阻害が持続されることが期待できます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、3ページの「開発の可能性について」、御説明いたします。本剤は、PNH患者を対象とした国際共同第III相試験成績を踏まえ、本邦において承認申請予定となっておりまして、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。
○大賀委員 この対象疾患になるものはPNHだけでしょうか。
○事務局 はい。今回の予定される効能・効果はPNHのみです。
○大賀委員 ソリリスは、これに別の適応がありますよね。
○事務局 今回の希少疾病用医薬品の指定申請はPNHのみです。
○松井部会長 ほかにいかがですか。特に御質問、御意見はございませんか。ないようでしたら議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、議題7に移ります。まず、柴田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題7の審議の間、別室で御待機いただきたいと思います。
                                 (柴田委員退室)
○松井部会長 それでは、議題7について、事務局から概要を御説明ください。
○事務局 議題7資料7、Defibrotideを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料の評価報告書のタブをお開きいただき、1ページ目を御覧ください。申請者は日本新薬株式会社、予定される効能・効果は、造血幹細胞移植後の肝中心静脈閉塞症(肝類洞閉塞症候群)となります。
 まず、「対象患者数」について御説明いたします。肝中心静脈閉塞症(以下、「VOD」)は、肝類洞閉塞症候群(以下、「SOS」)とも呼ばれ、主に造血幹細胞移植(以下、「HSCT」)前の骨髄破壊的前処置により、肝類洞内皮細胞が傷害され、肝類洞の狭小化や非血栓性閉塞を生じ、引き続いて凝箇能亢進による血栓形成や肝類洞の線維化が進行し、重症例では二次的に肝中心静脈が閉塞する疾患です。本邦におけるVOD/SOSの発症率は、同種HSCTで10.8%、自家HSCTで0.38%と報告されており、日本造血細胞移植データセンター/日本造血細胞移植学会による2016年のHSCT年間実施件数からは、本邦におけるVOD/SOSの患者数は年間403例程度と推定され、5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
 次に、2ページ目を御覧ください。「医療上の必要性について」、御説明いたします。VOD/SOSの重症例では、腎不全、呼吸不全、脳症・意識障害等の多臓器不全を続発する致死的な疾患であり、本邦では、VOD/SOS患者でのHSCT後100日生存率は32%、多臓器不全を伴う重症VOD/SOS患者では15%と報告されています。VOD/SOSに対する治療は、水分バランスの管理、血行動態の維持等の支持療法が主体となり、薬物治療については、本邦ではVOD/SOSを適応症とする既承認薬は存在しません。Defibrotide(以下、「本剤」)は、ブタ腸粘膜由来の一本鎖ポリデオキシリボヌクレオチドの混合物であり、作用機序は明確でないものの、内皮細胞保護、線溶亢進作用等により、VOD/SOSに対する治療効果を発揮することが期待されます。そして、欧米のガイドライン等で、VOD/SOSに対する治療薬として本剤が推奨されています。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に「開発の可能性について」、御説明いたします。HSCT後の多臓器不全を伴う重症VOD/SOS患者を対象とした海外第III相試験の試験成績に基づき、2013年に欧州、2016年に米国で承認されています。本邦においては、HSCT後のVOD/SOS患者を対象とした第II相医師主導治験で、HSCT後100日生存率が、事前に規定した治療効果の基準を超えたこと等から、日本人における本剤の治療効果が示唆されました。
 以上より、開発の可能性は高いと考えられます。よって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。
○大賀委員 12ページの患者背景の所を見ますと、国内の医師主導治験で、16歳以下の患者の数がかなり少ないということですが、今回の使用に当たっては、特に小児に対する使用の注意喚起は現場に任せるということになるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構よりお答えいたします。今回、国内の試験に組み入れられた小児患者の数に関しては、御指摘のとおり非常に限られておりますが、注意喚起の要否も含めて、審査時にその点も評価させていただくこととしておりますが、希少疾病用医薬品の指定の段階で、特に小児に投与できない、あるいは成人に限定するといった限定の仕方で指定を行う予定はございません。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。ございませんでしょうか。もしなければ議決に入ろうと思いますが、よろしいですか。本議題につきまして、指定を可としてよろしいですか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。別室で御待機されている柴田委員をお呼びください。
                                 (柴田委員入室)
○松井部会長 それでは、議題8に移ります。議題8につきまして、事務局から概要を御説明ください。
○事務局 議題8、資料8、セルリポナーゼ アルファ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料はオレンジ色のタブ、「事前評価報告書」をお開きください。1ページの中段を御覧ください。申請者はBioMarin Pharmaceutical Japan株式会社、予定される効能・効果はセロイドリポフスチン症2型になります。
 まず、1ページの「対象患者数」について、御説明します。本邦におけるセロイドリポフスチン症2型(以下、「CLN2」)の患者数は報告されていないものの、CLN2はセロイドリポフスチン症の一種であり、2001年の患者調査においてセロイドリポフスチン症の患者数は11人と報告されています。以上より、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
 次に、2ページの「医療上の必要性について」、御説明いたします。CLN2はライソゾームに存在するセリンプロテアーゼであるトリペプチジルベプチダーゼ1の欠損が原因の疾患であり、ライソゾームにポリペプチドが蓄積します。中枢神経系におけるライソゾームへのポリペプチドの蓄積は神経変性症状を引き起こすとされており、CLN2は通常10~16歳で死亡する重篤な疾患です。本邦においてCLN2の疾患進行の根本原因に対する治療を可能とする医薬品は承認されていません。本剤は、ヒトトリペプチジルペプチダーゼ1であり、本剤の投与によりライソゾーム蓄積物質を減少させることで、CLN2患者の徴候及び症状の改善が期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、2ページの下の段、「開発の可能性について」、御説明いたします。本剤はCLN2患者を対象とした海外第I/II相試験が実施され、2017年4月に米国、同年5月に欧州で承認されております。また、海外第I/II相試験に日本人患者が参加しており、2018年中に本邦において製造販売承認申請が行われる予定です。
 以上より、本剤の開発される可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがですか。ないようですので、議決に入ろうと思います。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。報告事項に移ります。
○事務局 事務局より、報告事項についてまとめて御説明させていただきます。初めに、報告事項議題1、医薬品ラグノスNF経口ゼリー分包12gの製造販売承認について御報告いたします。資料9を御覧ください。本剤はフルクトースとガラクトース各1分子からなる人工二糖類であるラクツロースを有効成分とする経口ゼリー剤です。現在、ラクツロース製剤は「高アンモニア血症に伴う精神神経障害、手指振戦、脳波異常の改善」等の効能・効果で承認されております。今般、株式会社三和化学研究所より、「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」の効能追加に係る製造販売承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題2、ドブトレックス注射液100mg他5品目の製造販売承認事項一部変更承認について、御説明させていただきます。資料10を御覧ください。本剤はドブタミン塩酸塩を有効成分とする注射剤であり、本邦においては現在、「急性循環不全における心収縮力増強」の効能・効果で承認されております。本剤については、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請への該当性に係る報告書が取りまとめられ、平成30年4月27日に開催された本部会における事前評価の結果、公知申請が適当と判断されたことを踏まえて、今般、共和薬品工業株式会社、及びマイラン製薬株式会社から、「心エコー図検査における負荷」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて、報告事項議題3、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料番号は11-1と11-2で、これらは医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますので、まとめて御報告いたします。資料11-1は、一般的名称はトラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン、販売名はトラムセット配合錠のもの、資料11-2は一般的名称はアリピプラゾール、販売名はエビリファイ錠1mg他8規格のものです。これらの品目について、製造販売後の特定使用成績調査及び使用成績調査等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。事務局からの報告事項に関する説明は以上です。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。よろしいですか。それでは、報告事項の議題1から議題3については、先生方の御確認を頂いたものといたします。本日の議題は以上なのですが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会については、11月9日(金)の午後4時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いします。
○松井部会長 それでは、委員の先生方、本日はこれで終了といたします。どうも御苦労さまでした。
( 了 )
 

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

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