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2018年7月27日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成30年7月27日(金)15:00~

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール2A

○出席者

出席委員(14名)五十音順

  赤 羽 悟 美、 石 川 欽 也、 今 井 輝 子、 岡    淳一郎、
○奥 田 晴 宏、 金 子 明 寛、 川 上 純 一、 神 田 敏 子、
  柴 田 大 朗、 武 田 正 之、 長 島 公 之、 平 石 秀 幸、
◎松 井    陽、 森    保 道
(注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(7名)

大 賀 正 一、 大 森 哲 郎、 佐 藤 雄一郎、 杉      薫、
代 田 浩 之、 増 井    徹、 山 田 清 文
 

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長) 
森    和 彦 (大臣官房審議官)
山 本    史 (医薬品審査管理課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森 口    裕 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
宇 津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○医薬品審査管理課長 先生方がおそろいですので、定刻より少し早いですが、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催いたします。本日はお忙しい中、また暑い中、御参集いただき誠にありがとうございます。初めに、本日、新しく当部会の委員になられました先生を御紹介いたします。お一方は公益社団法人日本医師会常任理事の長島公之先生です。もうお一方、順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学教授の代田浩之先生です。代田委員におかれましては、本日は御欠席との連絡を頂いておりますが、新しい委員ということで、御紹介させていただきました。
続きまして、本日の委員の出席状況ですが、大賀委員、大森委員、佐藤委員、杉委員、代田委員、増井委員、山田委員より御欠席との連絡を頂いております。本日は、現在のところ当部会委員数21名のうち、14名の委員の御出席を頂いていますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。また、部会を開始する前に、事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいております。委員の皆様におかれましては、会議の開催の都度、書面を御提出いただいており、大変御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。それでは、以後の進行を松井部会長にお願い申し上げます。
○松井部会長 早速、本日の審議に入ります。事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。
○事務局 順番に、配布資料の確認をいたします。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~資料9をあらかじめお送りしております。このほか、資料10「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料11「専門委員リスト」、資料12「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。
続きまして、資料12、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告いたします。1ページ、トラディアンス配合錠AP及び同配合錠BPですが、本品目は2型糖尿病(ただし、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの併用による治療が適切と判断される場合に限る)を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページ、アガルシダーゼ ベータBS点滴静注5mg「JCR」及び同点滴静注35mg「JCR」ですが、本品目はファブリー病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
3ページ、フェブリク錠10mg、同錠20mg及び同錠40mgですが、本品目は痛風、高尿酸血症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページ、Caplacizumabですが、本品目は血栓性血小板減少性紫斑病を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。以上です。
○松井部会長 ただいまの事務局からの説明に対して、特段の御意見、コメント等はありませんか。特にないようでしたら、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、委員の皆様の御了解を得たものといたします。
それでは、委員からの申し出状況についても報告をお願いします。
○事務局 各委員からの申し出状況については、次のとおりです。議題1、トラディアンス、退室委員なし、議決には参加しない委員は長島委員、平石委員、森委員。議題2、アガルシダーゼベータ、退室委員、議決には参加しない委員は共になし。議題3、フェブリク、退室委員、議決には参加しない委員は共になし。議題4、Caplacizumab、退室委員、議決には参加しない委員は共になし。委員からの申し出状況については以上です。
○松井部会長 ただいまの事務局からの説明に特段の御意見、御質問はありませんか。よろしいですか。よろしければ、皆さんに御確認いただいたものといたします。本日は、審議事項が4議題、報告事項が4議題、その他1議題となっております。早速、審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構から概要を説明してください。お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料1、医薬品トラディアンス配合錠AP他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。本剤は、SGLT2阻害薬のエンパグリフロジンとDPP-4阻害薬のリナグリプチンを有効成分とする糖尿病治療薬の配合剤となります。2型糖尿病の治療では、1剤で効果が不十分な場合、作用機序が異なる薬剤を併用することが一般的であり、エンパグリフロジンについては、DPP-4阻害薬で効果が不十分な場合の併用療法が既に承認されております。なお、本配合剤は、2018年5月現在、米国及び欧州を含む世界51カ国で承認されております。本品目の専門協議では、資料11に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。
以下、本配合剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性については、審査報告書13ページの表6を御覧ください。エンパグリフロジン10mg又は25mgの治療により、効果不十分な日本人2型糖尿病患者を対象にして、本配合剤を投与する1275.13試験が実施され、主要評価項目であるベースラインから最終評価時までのHbA1c変化量について、エンパグリフロジン単独投与に対する本配合剤投与の優越性が示されております。
また、審査報告書17ページの表11を御覧ください。リナグリプチン5mgの治療により、効果不十分な日本人2型糖尿病患者を対象に、本配合剤を投与する1275.19試験が実施されており、主要評価項目であるベースラインから最終評価時までのHbA1c変化量について、リナグリプチン単独投与に対する本配合剤投与の優越性が示されております。
また、長期投与時の有効性については、審査報告書14ページの図1及び審査報告書18ページの図2に示すように、1275.13試験及び1275.19試験において、本配合剤における効果の持続性が確認されております。
安全性については、審査報告書21ページからを御覧ください。審査報告書21ページ~27ページの「7.R.2、安全性について」の項に示すように、国内臨床試験における有害事象及び副作用の発現状況、並びにエンパグリフロジン及びリナグリプチンにおける国内の製造販売後調査や市販後の安全性情報等を検討した結果、これまでと同様の注意喚起が適切になされれば、本配合剤の安全性は許容可能と判断いたしました。
医療用配合剤の承認要件への該当性については、審査報告書27ページ~28ページを御覧ください。「7.R.3、本配合剤の配合意義及び臨床的位置付けについて」の項に記載のとおり、エンパグリフロジンとリナグリプチンの併用療法に一定の臨床的有用性が認められ、各単剤併用時と生物学的に同等とみなされる本配合剤の配合意義の科学的合理性は示されており、また患者の利便性についても、服薬アドヒアランス等の向上が期待できると判断いたしました。
以上のとおり、機構での審査の結果、本配合剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で審議されることが適当と判断いたしました。本配合剤の再審査期間については、既に付与されているエンパグリフロジンの再審査期間の残余期間である平成34年12月25日までとすることが適切であり、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。特段の御意見はないと考えていいのでしょうか。
○川上委員 添付文書案の1ページ、効能・効果に関連する使用上の注意についてお伺いします。配合剤BPの使い方で、既にAPを使っている患者では、効果が不十分な場合はBPに変更できるとの記載かと思います。単剤のエンパグリフロジンですと、効果不十分な場合には経過を十分に観察しながら増量という記載になっているので、経過を十分に観察しながらという表現が、この配合剤では記していないのですが、特に問題はないのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。機構から御回答ください。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明申し上げます。先生の御指摘については、添付文書1.8-02に記載されている効能・効果に関連する使用上の注意の(3)のトラディアンス配合錠BPの注意喚起と理解しております。(3)については、トラディアンス配合錠BPの使用の仕方を3ポツで示しております。先生の御指摘については、エンパグリフロジンの添付文書に記載されている点との相違と思います。エンパグリフロジンについては、10mgで効果不十分な場合、25mgに増量できるような剤ですが、エンパグリフロジンについては増量の際、十分経過を観察しながら増量するという記載が確かにあります。一方で、この配合剤については、増量の際に特に十分な観察をしてというような記載は特にありません。その御指摘かと思います。
○松井部会長 いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 その記載については、検討させていただけますでしょうか。
○松井部会長 というのは、今日中にということですか。それとも、また日を改めてということですか。
○医薬品医療機器総合機構 こちらに関しては、「効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら」という表現については、御指摘いただきましたので、検討させていただきたいと思います。ただ、SGLT2とDPP-4で、同じように配合剤が既に2剤出ており、それらとの並びも考えなければいけないかなというところもありますので、そちらも確認した上で、何か記載できるようでしたら、その記載を検討させていただきたいと思います。
○松井部会長 よろしいですか。
○川上委員 はい。
○赤羽委員 今の添付文書のところで確認をさせていただきたいのですが、配合剤を使う前には、必ず単剤の併用投与で、まず症状が安定しているということを確認してから配合剤を使うと、その単剤の併用療法をするということが、まず先に条件になるという理解でよろしいでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明申し上げます。本配合剤の使い方について、これまでの配合剤と同様に、単剤で効果不十分な場合に本配合剤を使用できる、あるいは単剤の併用で状態が安定している場合に本配合剤を使用できる、というようになっております。その点は、御指摘のとおり、添付文書の効能・効果に関する使用上の注意に記載しているとおりです。
○松井部会長 赤羽委員、よろしいですか。もしあればどうぞ。
○赤羽委員 それでは、この場合ですと、単剤を併用して状態が安定している場合、又は単剤で効果不十分な場合ということなので、単剤で効果不十分であれば、配合錠を使うことはOKということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○赤羽委員 ありがとうございます。
○松井部会長 よろしいですね。
○平石委員 資料の33ページに、肝機能障害患者と肝機能正常者との副作用の出現率等々について記載があり、正常者と異常者でも特段の大きな差はないということです。ここで言う肝機能障害の定義ですが、いわゆる慢性肝機能障害ですと、慢性肝炎のレベルから肝硬変でChild、A、B、Cといった分類がなされるのが一般的です。ここで言う肝機能異常者というのは、どういう疾患、病態の患者さんを含むかについて、もしお分かりでしたらお願いします。
といいますのは、肝硬変患者で、糖尿病を合併していて、肝代謝を受けるような薬剤を投与されると、血中濃度が上昇することがありますので、それについて、コメントを頂きたいと思います。
○松井部会長 肝機能障害の定義と言い換えればいいでしょうか。いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明申し上げます。審査報告書の33ページの御指摘かと思います。本項7.R.6.2に肝機能障害患者について、層別した結果を記載しておりますが、33ページの肝機能障害患者についての記載の所に、肝機能異常者の定義が記載されており、その定義としてはベースライン時のALT又はASTが基準値の上限を超えるような被験者を対象として層別しております。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 なお、これらの試験については、例えばALT、AST等が基準値の3倍を超えた患者については既に除外されておりますので、それほど重篤な被験者は組み入れられていない試験になっております。
○松井部会長 いかがですか。
○平石委員 そうすると、慢性肝炎から比較的早期の肝硬変程度という理解でよろしいのでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○平石委員 といいますのは、肝機能を見る場合には、肝臓の合成能、アルブミンコリンエステラーゼ、あるいはプロトロンビン時間、またビリルビン代謝については、総ビリルビン、こういった指標で肝障害の程度を判定するのが一般的であって、ALT、ASTの値自体は、臨床的には余り大きな問題にはならないかと思うのです。
○松井部会長 仮に進行している場合でも、正常範囲内に入ってくることがありますからね。
○平石委員 ありますね。肝硬変で、ALT、ASTが正常値の肝硬変はありますので。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から補足させていただきます。先生のおっしゃるような、かなり進行した慢性肝疾患の患者は、治験に参加することで安全性に懸念がある場合があります。明確に肝硬変を伴う患者を除外するとは規定されておりませんが、安全性に懸念があると考えられる臨床状態の患者は、治験担当医師が判断して、組み入れないという基準が設けられておりますので、Child分類がなされる進行した慢性肝疾患の患者は、一般的には治験に組み入れられていないとご理解いただければと思います。
○松井部会長 平石委員、よろしいですか。
○平石委員 はい。結構です。
○松井部会長 ほかにありますか。
○岡委員 20ページの表の下なのですが、死亡例で1例あって、脳出血で死亡して副作用と判断されたということなのですが、これは非常に特殊な例と考えるのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明申し上げます。先生の御指摘については、審査報告書20ページの表16の下の部分に記載してある死亡例の御指摘かと思います。この死亡例については、エンパグリフロジン10mgとリナグリプチン5mgの配合剤を投与した被験者で、脳出血が認められて副作用と判断された症例です。この症例については、詳細については治験中に被験者がなかなか来院せずに、治験担当側が被験者に連絡を取ったところ、その患者さんの家族から既に脳出血で死亡していましたという情報を頂いて分かったと。死亡診断書の記載等のこれ以上の詳細な情報は特に得られずに、そのまま死亡と判断されており、治験担当医師より、本剤の作用機序から治験薬との関連性は低いけれども、副作用を否定できないと判断され、結果的には副作用と判断された事例になっております。
脳出血については、SGLT2で脱水が起こりますので、脳卒中等に注意してくださいという旨の注意喚起は既に添付文書の1.8の重大な副作用の項に記載しており、脱水が起きて脳梗塞等の血栓が発現する例が報告されているので、十分な注意をしてくださいという、脱水に関連した注意喚起はなされているという状態です。
○松井部会長 よろしいですか。ほかに、森委員、よろしいですか。
○森委員 添付文書の重要な基本的注意という所の項目が、(1)~(15)まで記載されているかと思います。内容は全く問題はないのです。内容は非常に良くできているのですが、(9)のケトーシスやケトアシドーシスに関する注意喚起が、内容は非常に良く書いてあるのですが、順番が9番目なので、副作用の項目では3番目ぐらいに挙げられているので、もう少し繰り上げていただいたほうが、より注意喚起が進むのではないかと思いました。
具体的な根拠を申し上げますと、副作用頻度に関する専門委員の御検討された内容などを見ると、エンパグリフロジンを併用した場合に、特に25mgのエンパグリフロジンを併用したときに、ケトアシドーシス関連有害事象という事象が、比較的、高率に認められた集団があったと記憶しています。どこのページかちょっと。20%ぐらいの頻度で認められているポピュレーションがあったと記憶していまして。
○医薬品医療機器総合機構 審査報告書23ページが御指摘の箇所かと存じます。
○森委員 ありがとうございます。そうです。23ページのケトアシドーシス関連有害事象の所で、PartBの所の12.1%という頻度の所もありましたし、表20に載っている所でも、やはりエンパグリフロジンを25mg併用した群で16.4%という項目もありましたので、特にBPの場合には重要かと思われるのですが、やはり内容は同じでも、載っている順番はかなり。もし御検討いただけるならと思いました。以上です。
○松井部会長 それは要望ということで、よろしいでしょうか。
○森委員 要望です。
○松井部会長 検討していただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、承知しました。検討させていただきます。
○森委員 そのほか、この薬剤の将来的なリスク管理計画の所は42ページに御記載いただいているのですが、表33に一覧がありますが、重要な特定されたリスク、重要な潜在的リスク、重要な不足情報等々のアセスメントは非常に適切だと思いますし、SGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬で従来分かっている潜在的なリスクについて、十分評価されていると思いました。以上です。
○松井部会長 いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 コメント、ありがとうございます。
○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかにありませんか。もしなければ、議決に入ろうと思うのですが、よろしいでしょうか。なお、長島委員、平石委員、森委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。
それでは、議題2に移ります。機構から御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題2と報告事項の議題2を、併せて説明させていただきます。資料2と資料6を御覧ください。本剤は遺伝子組換えヒトαガラクトシダーゼAであるアガルシダーゼ ベータ(遺伝子組換え)[アガルシダーゼ ベータ後続1]を有効成分とする製剤であり、ファブラザイムを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、JCRファーマ株式会社により製造販売承認申請がなされました。
バイオ後続品は、既に承認されたバイオ医薬品と基本的に同じアミノ酸配列を有するタンパク質医薬品であり、品質、有効性・安全性が同等/同質の医薬品として開発された医薬品です。バイオ後続品は、生物由来製品又は特定生物由来製品や毒薬又は劇薬の指定の要否については審議事項、品目の承認の可否については報告事項とされているため、本日も従前に従い、本剤の審議事項及び報告事項について、順番に説明いたします。
まず、審議事項の議題2についてです。本剤はチャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、生物由来製品とすることが適当と考えております。また、先行バイオ医薬品のファブラザイムは、原体・製剤ともに劇薬に指定されていることから、ファブラザイムと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに劇薬とすることが適当と考えております。
次に、報告事項の議題2について説明いたします。機構における審査の結果、本剤とファブラザイムの同等性/同質性が確認されたことから、本剤をファブラザイムのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。報告事項については以上です。審議事項の議題2、本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ちょっとややこしいと思いますが、審議事項についての御質疑をお願いします。特にありませんか。ないようでしたら議決に入ろうと思います。まず本議題について、劇薬及び生物由来製品の指定を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。2番目の報告事項についても、御承知いただいたものと確認いたします。
それでは、議題3に移ります。議題3について、事務局から概要を御説明ください。
○事務局 議題3、資料3、医薬品フェブリク錠10mg、同錠20mg及び同錠40mgの再審査期間延長の可否について、事務局より御説明いたします。まず、再審査期間の延長に係る製剤について御説明をいたします。資料3の表紙です。諮問書に記載がありますとおり、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条の4第2項において、「厚生労働大臣は新医薬品の再審査を適正に行うため特に必要があると認めるときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、再審査期間をその製造販売の承認があった日から10年を超えない範囲内において延長することができる」旨の規定があります。この規定に基づき、今回、小児の用法・用量設定等のための臨床試験を計画する場合で、必要があると認められる場合には、個別に本部会にお諮りした上で、再審査期間を延長しているところで、本議題についても御審議を頂ければと考えております。
それでは資料に基づき、今回の品目の概要について御説明いたします。はじめに、品目概要のタブをお開きいただければと思います。本品目の申請者は帝人ファーマ株式会社、品目名はフェブリク錠10mg、同錠20mg及び同錠40mgです。有効成分としてフェブキソスタットを含有し、今回の開発対象の効能・効果は痛風、高尿酸血症、がん化学療法に伴う高尿酸血症となっております。用法・用量の欄に記載があるとおり、本品目については「通常、成人には」という用法・用量になっており、小児に対する痛風、高尿酸血症、がん化学療法に伴う高尿酸血症に係る用法・用量の設定は今はされていません。
本品目の効能・効果に係る用法・用量の承認日は、痛風、高尿酸血症が平成23年1月21日、再審査期間は8年となっております。また、がん化学療法に伴う高尿酸血症の承認日は平成28年5月23日、再審査期間は4年間となっておりますが、今回、再審査期間延長案の根拠の欄に記載があるとおり、申請者から小児を対象とした臨床試験の治験計画届が提出されることから、再審査期間を初回承認より2年間延長し、平成33年1月20日までの10年間とする要望が提出されております。
続いて要望書のタブの資料の中で、22ページを御覧いただければと思います。22ページの小児における高尿酸血症・痛風治療に関するまとめの箇所を御覧いただければと思います。一番下から4行のパラグラフに、まとめとしての記載があります。小児の高尿酸血症の治療意義として、成人と同様に痛風症状を起こさせないことが重要であり、尿酸降下薬に対する医療ニーズがあること、成人のデータではあるものの、尿酸降下薬による治療介入によって、無症候性高尿酸血症患者の痛風関節炎の発症リスクが抑制されるというエビデンスが近年得られていること、小児の無症候性高尿酸血症の患者においても、生活指導等により改善が認められない場合には、薬物による治療介入を考慮すべきであるということ、更には日本小児腎臓病学会から帝人ファーマに対し、フェブリク錠の開発要請がされていることから、フェブリク錠の小児用量開発のニーズは高いと、申請者は説明しております。以上より、本剤の小児開発の必要性は高いものと考えております。
続いて27ページを御覧いただければと思います。今回、小児患者を対象とした試験実施計画について、まず27ページに記載がありますが、30例の痛風を含む高尿酸血症の小児患者を対象に、治験薬を34週間反復経口投与した際の有効性・安全性等を評価する試験を計画しているところです。加えて、35ページを御覧ください。35ページに記載があるのは、先ほどの試験の34週間の観察を完了した被験者を対象とし、18週間の継続投与試験を実施することで、合計52週間の長期安全性データを取得する試験計画も、併せて計画がなされております。これらの試験の実施に当たり3年以上の期間を要すると、申請者は説明しております。
以上のことから、再審査期間は、再審査期間の最長である10年間、平成33年1月20日までに延長することが適当であると考えております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○奥田部会長代理 一つ教えてください。症例数30というのは、どういうところから出てきているのですか。よく知らないのですが、小児の痛風、高尿酸血症の患者というのは、そんなには多くないのでしょうか。そういった中で、この30という数字が出てきているのでしょうか。小児の用法・用量が決まるということはとても素晴らしいことで、私自身、この制度はいいと思うのです。ただ、いつも割に時間がたった後で臨床試験が企画されるというのが、少し残念だなと思っています。今回30名ということであれば、もう少し短い時間でできるのかなとも思ったのですが、3年かかったと。いろいろな事情があってここまで延びたと思うのですが、30名というのはどういう根拠で設定されたのか、もしお分かりになれば教えていただきたいのです。
○事務局 30例という症例設定に関しては、今回、小児の有効性・安全性が確認できる必要最小限の人数です。もともと小児の方で高尿酸血症を有する患者というのは、基礎疾患をお持ちの方が多いのですが、基礎疾患を持っている小児の患者数が非常に少なく、組入れにも〇〇間掛けて、これでもギリギリ到達できるかどうかというように聞いております。
○奥田部会長代理 分かりました。
○松井部会長 参考までに、非常にまれです。
○柴田委員 今の点については、資料31ページにダイレクトに書いてあるようです。
○松井部会長 31ページのどの辺でしょうか。
○柴田委員 31ページの(5)です。
○松井部会長 ここに根拠が書いてあるわけですね。
○事務局 御指摘いただいた箇所は、統計学的な設定根拠も含めて記載しております。
○奥田部会長代理 ありがとうございます。
○松井部会長 ほかにありませんか。
○今井委員 この30名について、体重が40kg未満を10名、40kg以上を20名ということで、投与される錠剤としては〇〇〇mgまであります。体重で投与量を決めるのか、それとも、症状で決めるのか。かなり体重に幅がありますが、投与量の設定は、どういうようにされるのでしょうか。
○事務局 投与量の設定根拠については、先ほどの資料の30ページの(3)を御覧いただければと思います。もともと成人の方でも、対象とした場合、最高用量は60mgということで、安全性に問題がないと考えられていることから、最大の用量としては60mgというところまでは考えておりました。また、小児に関して40kg以上、40kg未満で分けるというところに関しては、これまでの血中濃度などの検討から、小児の場合は体重によって分けるということで、血中濃度がある程度、成人で得られているものと合うような形に設定できると考え、今回40kgで設定を分けているということです。
○今井委員 40kgのところで投与量が変わるということですか。
○事務局 今回の計画としては、開始用量を5mgとするか10mgとするかというところで、40kgという体重で分けております。その後の投与量に関しては、今回の試験結果によるところではありますが、恐らく症状を見ながら適切な量を使っていただくことになろうかと思います。
○松井部会長 ほかにありますか。
○森委員 この試験は男女ともに行われて、年齢が18歳未満までということですので、女性の対象者ですと、妊娠可能年齢になる方が一部含まれる可能性があるかと思ったのです。フェブリクは特に禁忌ではないと思いますが、安全性未確認という薬剤ですので、その点は治験実施の際に、可能であれば注意喚起をしていただくことが良いかと思いました。
○事務局 妊娠等の状況に関しては、基本的に治験の対象外となっておりますが、今後、承認に当たっての注意喚起の必要性については、また検討させていただきます。
○松井部会長 ほかにありますか。それでは議決に入ります。本議題について、延長を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、延長を可として薬事分科会に報告いたします。
それでは、議題4に移ります。
○事務局 議題4、資料4、Caplacizumabを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料の評価報告書のタブをお開きいただき、1ページ目を御覧ください。申請者は「Ablynx.N.V.」。予定される効能・効果は血栓性血小板減少性紫斑病となります。まず、対象患者数について御説明いたします。血栓性血小板減少性紫斑病(以下、「TTP」)は、血小板粘着凝集に重要なフォン・ヴィレブランド因子の切断プロテアーゼであるADAMTS13の活性低下により、全身の微小血管に血小板血栓が形成され、血小板減少症、溶血性貧血、脳及び心臓等における組織虚血を引き起こす疾患であり、指定難病です。厚生労働省の血液凝固異常症に関する調査研究班により、2017年に本邦におけるTTPの患者数は約1,100人と報告されており、患者数が5万人未満という基準を満たしているものと考えております。
次に、2ページの2行目を御覧ください。医療上の必要性について、御説明いたします。後天性TTPの急性期の治療としては、血漿交換療法が第一選択とされ、同時にステロイド療法を実施することが推奨され、難治例及び再発例に対しては、血漿交換療法に加えリツキシマブの併用が広く用いられており、その他、シクロフォスファミド、ビンクリスチン、シクロスポリン等の免疫抑制剤の投与も考慮されます。先天性TTPに対しては、急性期の治療及び再発抑制の目的で血漿輸注が行われますが、急性期において、より早期の効果発現が期待できる治療法や定期的な血漿輸注の負担軽減又は代替が可能となる治療法等が望まれています。ですが、現時点でTTPを適応症とする既承認薬は国内外ともに存在しません。Caplacizumabは抗フォン・ヴィレブランド因子ナノボディであり、フォン・ヴィレブランド因子に結合して血小板との結合を阻害する新規作用機序の薬剤で、血小板血栓の形成を抑制することで、血小板数が正常化するまでの時間が短縮されること、TTP関連死等のリスクが低下することが期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、開発の可能性について、御説明いたします。海外第III相試験において、後天性TTPを対象に、血漿交換療法及び免疫抑制剤併用下で有効性及び安全性が検討されました。有効性については、血小板数が正常化するまでの期間は、プラセボ群と比較して本剤群で統計学的に有意に短く、安全性については、重篤な出血性事象が本剤群14.1%、プラセボ群2.7%に認められましたが、このうち最も多く認められた事象は鼻出血であり、本剤群で認められた重篤な出血性事象はいずれも回復しておりました。そして、本邦においては、2019年第1又は第2四半期より、後天性TTP患者を対象に、国内第II/III相試験を実施予定です。また、作用機序からは本剤の有効性が期待される先天性TTPに関する開発についても検討されています。以上より、開発の可能性は高いと考えられます。よって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 それでは、委員の先生方から御質疑をお願いします。
○森委員 2ページの「開発の可能性について」という所で、海外第III相試験の成績をお示しいただいているのですが、血小板が正常化するまでの期間というのが主要評価項目に挙げられていまして、2.69日と2.88日ということで、統計的に有意差があったということですが、これは治験が行われたときに、統計的に有意差があるかどうかをまず第一義に指標にされているのか、それとも何か目標の差が設定されていて、そこをクリアしたという御判断なのか。つまり、臨床的に有意な改善というのが、どの程度かということがあらかじめ見込まれた上の試験だったのかどうかは分かりますか。
○医薬品医療機器総合機構 お答えいたします。今、御指摘のありました海外の第Ⅲ相試験につきましては、計画当初の臨床的意義のある差がいくつとされたのかというところまでの確認はできていないのですが、統計学的な有意差を示すことを目的とした検証的な試験です。この臨床試験における有効性につきましては、その臨床的意義等も含めて、承認審査時に判断されることになろうかと考えております。
○森委員 副次評価項目の成績は明確にすばらしい成績だと感じたのですが、主要評価項目の、どう評価したらいいかが分からなかったということで御質問させていただきました。ありがとうございました。
○柴田委員 今の点なのですが、こちらは日にちで見るとそうなりますが、実際に資料を見ると、血小板数の正常化を達成する可能性が試験全体で1.55倍であったというのが、手元の資料の最後のタブの指定申請資料の39ページの所に書いてありますので、日数は細かい日数で刻んであるので中央値としてはくっ付いているけれども、グラフを描くとリスクが下がっていることになるということだと思います。ただ、設定根拠は先生が御指摘のとおり、事前の設定は資料には書いてありません。
○松井部会長 これで十分な意義があるという御意見ですね。ほかにございますか。
○今井委員 この薬物の体内動態について教えていただきたいのですが、heavy chainだけでできているナノボディということで、分子量的には28kDaと非常に小さな分子です。ダイマーですが、それで28kDaということで、糸球体濾過を非常に受けやすい薬物だと思います。フォン・ヴィレブランド因子に結合すると、分子量が大きくなって、肝臓に取り込まれて、その後はどうなるか分からないという記載がありました。ナノボディが薬になるのは初めてではないかと思いますので非常に興味はあるのですが、こういう小さな分子なのに、体内動態としては非線形であるということも34ページに少し書かれていました。健康被験者での消失は、早いと思われるのですが、半減期が7.8時間ということで、ちょっと辻褄が合わないような、動態から考えると分かりにくい薬物動態を示す化合物だと思います。詳しい内容を教えていただけないでしょうか。
○松井部会長 今の御質問は、何についてお聞きしていますか。
○今井委員 体内動態についてです。排泄過程と半減期の関係とか。この薬物単体だと直ぐに糸球体濾過を受ける化合物だと思うのですが、フォン・ヴィレブランド因子に結合すると分子量が大きくなりすぎて糸球体濾過を受けなくなると。そうすると、それは肝臓に取り込まれると説明に書いてありました。その肝臓に取り込まれた後、どのような消失過程を経るものなのか。それが毒性などにつながらないかということも聞きたいところです。
それから、糸球体濾過を受けるなら、半減期としては7.8時間という長い時間は絶対に出ないのですが、それがこんなに長いというのは、どういう機序によるものなのか。そういう詳しいところを教えていただきたいと思います。
○事務局 今回はオーファンドラッグとしての指定の可否を本日御審議いただいておりまして、先生に御指摘いただいた点、具体的に例えば薬物動態であるとか作用機序に関しては、承認申請がなされた後に承認審査の中で詳細を評価することになろうかと思います。
○今井委員 まだ危険性なども孕んでくると思いますので、その辺のことを詳しく見ながらやっていっていただきたいと思います。このナノボディというheavy chainだけでできている特異的な構造だと思いますし、新規のものでこういう希少疾患に使う薬としては、非常にいいと思うのですが、新しいからこそ何かを孕んでいるということもあるので、その辺も注意深く審査していただきたいと思います。
○事務局 ありがとうございます。今後、日本でも治験もやる予定と聞いておりますので、その治験の実施に際して、また承認申請なされた場合の審査では、そういった点も慎重に評価をしたいと思います。
○松井部会長 今井委員の今の御意見は、これからそういう検討するのでよろしいと、決してその検討を妨げるものではないということですね。
○今井委員 はい。
○松井部会長 今の点につきまして、ほかの委員の先生方はいかがでしょうか。それでは、今後検討を待つということでよろしいですか。ほかに何かございますか。
○森委員 後天性TTPの基礎疾患に妊娠というのはありましたか。SLEとか、自己免疫疾患はよくあると思うのですが、妊婦の方に見られるDIC様症状もTTPの範疇に含まれるでしょうか。つまり、このお薬が使われる可能性があるかどうか。もし御見解が分かっていましたら伺っていいでしょうか。
○松井部会長 今お答えになられますか。
○事務局 今回、TTPのという適応症で希少疾病用医薬品の指定をさせていただきますが、具体的にどういった方に使うべきかどうかということに関しては、正に審査の中で、妊娠によって起きた場合にも使えるのかどうかということも、併せて評価させていただくことになろうかと思います。
○松井部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。それでは議決に入ります。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告いたします。
それでは報告事項に移ります。よろしくお願いします。
○事務局 事務局より報告事項について、まとめて御説明いたします。初めに、資料5を御覧ください。報告事項議題1、医薬品リンゼス錠0.25mgの製造販売承認事項の一部変更について御報告いたします。本剤はリナクロチドを有効成分とするグアニル酸シクラーゼC受容体の作動薬です。現在、便秘型過敏性腸症候群の効能・効果で承認されております。今般、アステラス製薬株式会社より、慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
また、報告事項議題2について、先ほど審議事項議題2とともに御確認いただいておりますので、説明は割愛させていただきます。
○事務局 報告事項議題3、希少疾病用医薬品の指定の取消しについて御説明いたします。資料7を御覧ください。届出者は、ノバルティスファーマ株式会社、医薬品の名称はイマチニブメシル酸塩です。本剤は、平成24年3月19日、肺動脈性肺高血圧症を予定される効能又は効果として、希少疾病用医薬品に指定されました。
試験研究を中止する理由について御説明いたします。届出者は製造販売承認申請を行っておりましたが、重症肺動脈性肺高血圧症患者への適用は、「日本人患者が参加した第III相国際共同治験の結果からは、本薬によるベネフィットがリスクを上回ると判断できない」との機構からの指摘を受け、製造販売承認申請を取り下げております。国内外共に開発計画がなく、届出者は、国内で本剤の開発中止を決定したとのことです。よって、本剤の本予定効能・効果に係る希少疾病用医薬品の指定を取り消すこととしました。以上、御報告いたします。
○松井部会長 4についてはいかがでしょうか。
○事務局 続きまして、報告事項議題4、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料8-1~8-5で、これらは医薬品再審査確認等結果通知書となっていますので、まとめて御報告いたします。資料8-1及び資料8-2は、一般的名称はリドカイン、販売名はペンレステープ18mgのもの、資料8-3は、一般的名称はトラマドール塩酸塩、販売名はトラマールOD錠25mg及び同OD錠50mgのもの、資料8-4は一般的名称はバレニクリン酒石酸塩、販売名はチャンピックス錠0.5mg及び同錠1mgのもの、資料8-5は、一般的名称はアトモキセチン塩酸塩、販売名はストラテラカプセル5mg他5規格のものです。
これらの品目については、製造販売後の特定使用成績調査、使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。報告事項に関する事務局からの説明は以上です。
○松井部会長 委員の先生方から、御質問等がありましたらお願いします。もしなければ、報告事項の議題1、議題3、議題4については、御確認をいただいたものといたします。
次の、その他事項に移る前に、私は反省しているのですが、先ほどの議題4での今井委員の御指摘に対して、初めてのナノボディであるということ、知られていない部分が現時点で必ずしも少なくないということですから、その点を今後検討するということを議事録の訂正の段階で、あるいは先生、今日でもいいのですが、質問事項を事務局に確認していただけないでしょうか。余りにも簡単に流しすぎたと思って反省しております。よろしくお願いします。
それでは、報告事項の「その他事項」に移ります。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 その他事項議題1、資料9、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、御説明いたします。
初めに、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(以下、「検討会議」)における検討における本事前評価の位置づけについて御説明いたします。資料9の最終ページの28ページを御覧ください。
検討会議とは、欧米等では使用が認められているが、国内では承認されていない医薬品及び適応について、開発要望を募集し、要望があれば本邦での医療上の必要性の評価、承認のために必要な試験の有無及び種類の検討を行う会です。
資料の右上から御説明いたします。学会や患者会等から要望が挙げられ、検討会議で医療上の必要性を評価し、医療上の必要性が高いと評価された医薬品については、厚生労働省が企業に対して開発要請を行います。企業は、開発の手段として、その医薬品が医療現場において、既に医学薬学上公知である場合には公知申請を選択し、本邦において有効性・安全性を確認する試験が必要な場合には、治験等を行います。
本部会での事前評価については、図の真ん中の左下の辺りに記載されておりますが、企業が開発の手段として公知申請を希望し、検討会議で公知申請に該当すると判断された場合に、公知申請の事前評価として御確認いただくこととしています。本部会で御確認いただいた後に、企業が公知申請を行い、機構での審査を経て、改めて部会で承認を頂くという流れになります。それでは、検討会議で公知申請を行うことが適当と判断されたアザチオプリンについて御説明いたします。
資料の3ページ目を御覧ください。本要望は日本肝臓学会より、自己免疫性肝炎に対する適応追加の要望です。本要望については、平成28年2月の第26回の検討会議にて、医療上の必要性が高いと判断され、開発要請が行われたものです。
本要望の公知該当性について説明します。有効性の評価については、20ページ~21ページを御覧ください。要望内容に関して、アザチオプリンは海外臨床試験成績、承認状況、本邦の臨床使用実態及び診療ガイドラインの記載内容等を踏まえ、自己免疫性肝炎に対する有効性は期待できると評価されました。
安全性の評価については22ページを御覧ください。国内外の公表文献等に記載されているアザチオプリンの安全性に関する内容は、アザチオプリンの既承認の効能・効果において既に添付文書で注意喚起されており、自己免疫性肝炎に対してアザチオプリンを使用する場合には、既承認の効能・効果に対して行われている注意喚起に準じて使用することが妥当と考えると評価されました。以上より、本要望内容の臨床的有用性は医学薬学上公知であると判断されました。
続いて、効能・効果及び用法・用量等の記載の妥当性について説明します。効能・効果の評価については、23ページを御覧ください。海外における承認状況、国際的な教科書及び国内外のガイドライン、国内外の公表文献等の記載内容等を踏まえ、自己免疫性肝炎を本薬の効能・効果として設定することは妥当と判断されました。用法・用量の評価については、23~24ページを御覧ください。海外における承認状況、国内外のガイドライン及び国内における公表文献等より、「通常、成人及び小児には、1日量としてアザチオプリン1~2mg/kg相当量(通常、成人には50~100mg)を経口投与する」とすることが妥当と判断されました。以上でございます。
○松井部会長 委員の先生方から、その他事項について御質疑をお願いします。平石委員、何かございますか。
○平石委員 では、発言させていただきます。公知申請の必要性については、今御説明いただいたとおりです。要望を挙げた日本肝臓学会で、今年の6月に総会が開かれ、教育講演会が行われました。肝臓病の専門医を目指す医師、あるいは資格を更新する肝臓専門医が必要とされる教育講演会を受講しています。そこで、自己免疫性肝炎の治療について講演がなされ、テキストに以下の記載があります。
自己免疫性肝炎の治療について、「自己免疫性肝炎の多くは適切な治療が行われないと肝硬変や肝不全に進行することから、副腎皮質ステロイドや免疫抑制剤による治療が必要である。重症と判断された場合には肝不全に移行しているか、今後移行する可能性があるため、肝移植の適応も考慮して、可能施設に紹介することが望ましい」という内容です。又、「本邦では、このアザチオプリンの使用が保険適用外であるため、積極的にその使用を勧めることはできないが、副作用、合併症でステロイドの使用が困難、若しくはステロイド単独でトランスアミラーゼの持続正常化が得られないで再燃を繰り返す例には、アザチオプリンの1ないし2mg/kg/dayの投与を行う」と記載されており、治療の指針として専門医あるいは専門医を目指す医師に教育講演がなされたところですので、御紹介しておきます。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。何か御質問、あるいはその他でも結構ですが御発言はありますか。よろしいでしょうか。それでは、本議題については御確認いただいたものといたします。
本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会は8月30日(木)午後3時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日はこれにて閉会といたします。どうも先生方、御苦労さまでございました。
 
( 了 )
 

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

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