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2018年1月26日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成30年1月26日(金)15:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(13名)五十音順

  赤 羽 悟 美、 今 井 輝 子、 大 森 哲 郎、 岡    淳一郎、
○奥 田 晴 宏、 金 子 明 寛、 川 上 純 一、 佐 藤 雄一郎、
  杉      薫、 鈴 木 邦 彦、 武 田 正 之、 森    保 道、
  山 田 清 文
 (注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名

欠席委員(8名)

 石 川 欽 也、 磯 部 光 章、 大 賀 正 一、  神 田 敏 子、
 柴 田 大 朗、 平 石 秀 幸、 増 井    徹、◎松 井    陽

行政機関出席者

 森    和 彦 (大臣官房審議官)
 山 本    史 (医薬品審査管理課長)
 佐 藤 大 作 (医薬安全対策課長)
 矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
 林    憲 一 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 猿 田 克 年 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 他

○議事

○医薬品審査管理課長 定刻より前ですが、先生方、おそろいのようですので、本日の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催させていただきます。本日は、お忙しい中、先生方、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日の委員の出席の状況ですが、石川委員、磯部委員、大賀委員、神田委員、柴田委員、平石委員、増井委員、松井委員より御欠席との御連絡を頂いております。本日は、現在のところ、当部会委員数21名のうち、13名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。なお、本日は審議事項の議題1に関しまして、公立大学法人福島県立医科大学の丸橋繁先生に参考人としてお越しいただいております。よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程への適合状況の確認につきまして、結果を御報告させていただきます。今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨の御申告を頂いておりますことを、御報告させていただきます。都度都度のことではございますが、委員の先生方におかれましては会議開催のたびに書面を御提出いただいておりまして、御負担をおかけしておりますが、何とぞ、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。なお、本日、部会長の松井委員が御欠席ですので、会議の進行につきましては部会長代理の奥田先生にお願いしたいと存じます。奥田先生、以降の進行、よろしくお願いいたします。

○奥田部会長代理 よろしくお願いします。本日の審議に入りますが、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。

○事務局 配布資料の確認を順番にさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布してございます。議事次第に記載されている資料1~5をあらかじめお送りしています。この他、資料2-3「オゼンピック皮下注2mgに係る補足資料」、資料6「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料7「専門委員リスト」、資料8「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。また、昨年11月開催の医薬品第二部会での御指摘を踏まえまして、先月発出いたしました最適使用推進ガイドラインの通知と、同日発出されました保険局医療課長通知を参考として配布しております。内容については、既に昨年12月に当部会で御確認いただいた内容から変更はございませんので、御紹介は割愛させていただきますが、今後も、最適使用推進ガイドラインを発出した際には、今回と同様、参考配布することとさせていただきます。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト(資料8)について御報告させていただきます。資料8の1ページを御覧ください。「サーティカン錠0.25mg、同錠0.5mg及び同錠0.75mg」でございますが、本品目は「肝移植における拒絶反応の抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。「オゼンピック皮下注2mg」でございますが、本品目は「2型糖尿病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページを御覧ください。「ランレオチド酢酸塩」でございますが、本品目は「甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。以上でございます。

○奥田部会長代理 今の事務局からの説明に特段の御意見はございますか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆さんの了解を得たものといたします。委員からの申出状況について報告をしてください。

○事務局 各委員からの申出状況については、次のとおりでございます。議題1「サーティカン」は退室委員なし、議決には参加しない委員は大森委員、武田委員。議題2「オゼンピック」は退室委員なし、議決には参加しない委員は大森委員。議題3「ランレオチド」は退室委員、議決には参加しない委員共になし。委員からの申出状況については以上でございます。

○奥田部会長代理 ただいまの事務局からの説明に特段の御意見はございますか。よろしいですか。よろしければ、皆さんに御確認を頂いたものといたします。本日は、審議事項3議題、報告事項1議題、その他1議題となっております。それでは、まず審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構から概要の説明をお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題1、資料1、医薬品サーティカン錠0.25mg、同錠0.5mg、同錠0.75mgの製造販売承認事項一部変更承認等の可否について、機構より御説明申し上げます。

 肝移植の最重要課題は、移植した肝臓の廃絶を防ぐための移植後の管理であるとされています。現在、本邦における肝移植後の拒絶反応抑制のための標準療法は、副腎皮質ステロイドの併用又は非併用下でカルシニューリン阻害薬を投与する免疫抑制療法ですが、カルシニューリン阻害薬は長期に投与すると、その曝露量に依存して腎機能が悪化し、慢性腎不全が発症する等のリスクがあることから、必要最低限の曝露量で維持することが望ましいとされています。また、免疫抑制効果が不十分な場合には移植した肝臓の拒絶反応のリスクが高まるため、免疫抑制療法では有効性と安全性のバランスの調整が重要です。現在、肝移植における拒絶反応の抑制に対して用いられる薬剤の治療選択肢は限られており、新たな治療選択肢が求められています。

 本剤は、エベロリムスを有効成分とするマクロライド系免疫抑制剤であり、本邦では2007年に「心移植における拒絶反応の抑制」、2011年に「腎移植における拒絶反応の抑制」の効能・効果で承認されています。

 今般、申請者は、肝移植における拒絶反応の抑制の治療法として、作用機序が異なる本剤と減量したカルシニューリン阻害薬を併用することで、カルシニューリン阻害薬の曝露量を減らしつつ、十分な免疫抑制効果が得られるものと期待されることから、肝移植患者を対象とした臨床試験を実施し、本剤の承認申請に至りました。なお、201710月現在、肝移植における拒絶反応に対する免疫抑制剤として、欧米を含む世界85か国で承認されています。本品目の専門協議では、本日の配布資料7に示します専門委員を指名しております。

 以下、本剤の有効性、安全性について、臨床試験成績を中心に御説明させていただきます。主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験が提出されています。

 有効性について、審査報告書6ページの表3を御覧ください。国際共同第III相試験において、主要評価項目である、ランダム化から移植後12か月までの効果不十分(治療を要した生検で確認された急性拒絶反応(tBPAR)、移植肝廃絶又は死亡の発現率)について、本剤+減量タクロリムス群の標準量タクロリムス群に対する非劣性が検証されました。また、審査報告書16ページの表18を御覧ください。日本人集団の被験者数は少なく、効果不十分に該当した被験者は本剤+減量タクロリムス群の1例であったため結果の解釈には限界がありますが、全集団の有効性と比較して日本人集団における有効性が劣る傾向は認められませんでした。以上より、機構は、本剤の有効性は期待できると考えました。

 続きまして、安全性について、審査報告書17ページの表19を御覧ください。国際共同第III相試験及び海外第III相試験の有害事象及び副作用の発現状況を示しております。

 国際共同第III相試験の全集団及び日本人集団並びに海外第III相試験のいずれにおいても、標準量タクロリムス群と比較して本剤+減量タクロリムス群で有害事象及び副作用の発現割合が同程度又はやや高い傾向が認められましたが、重篤な有害事象及び死亡で大きな差は認められませんでした。また、認められた事象はいずれも、本剤の既承認の効能・効果において添付文書で注意喚起されている事象であり、既承認の効能・効果と比べ、肝移植において安全性プロファイルで大きく異なる傾向は認められていないことから、免疫抑制療法及び移植患者の管理に精通している医師又はその指導の下で本剤が投与される限り、安全性は許容可能と考えました。ただし、肝移植に対して本剤を使用する場合には、本剤の添付文書において既になされている注意喚起に準じ、使用することが必要であると考えました。以上より、肝移植患者においても本剤の安全性は許容可能と考えました。なお、日本人肝移植患者の検討例数が限られていることから、製造販売後調査において十分な情報収集を行う必要があると考えました。

 以上の審査の結果、肝移植における拒絶反応の抑制に対する有効性は示され、期待できるベネフィットを踏まえると安全性は許容可能と考えられたことから、承認して差し支えないと判断し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は新効能・新用量医薬品としての申請であることから、再審査期間は4年とすることが適切と判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 事務局より、追加で御紹介をさせていただきます。本議題では、本剤の臨床的位置付け等について御説明を頂くため、丸橋参考人にお越しいただいております。

○奥田部会長代理 丸橋参考人から、本議題について御発言をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○丸橋参考人 福島県立医大肝胆膵・移植外科の丸橋と申します。よろしくお願いいたします。機構からも御報告がありましたように、この臓器移植ではカルシニューリン阻害薬は非常に重要ですけれども、ほかに使える免疫抑制剤というのは非常に限られています。免疫抑制剤の副作用というのがありまして、腎障害とか高血圧とかそういうものが問題になってきますので、我々、サードエージェント、3番目の薬剤と言いますけれども、これが非常に重要になってまいります。この薬剤はmycophenolate mofetilMMFですけれども、商品名はセルセプトです。これを現在使っているわけですけれども、やはり弱いところがある。あるいは副作用もあるというところで、この全く違う薬理機構を持ったものが使えるということは、実は随分前から現場では切望されていました。ですから、この薬剤を使うことによって例えば移植後の腎障害を抑えるとか、いろいろ期待できるところがあると思います。ただし、いろいろな副作用もありますので、そういうところを十分注意しながら使うことが必要ですから、注意喚起が要るということと、今後の市販後調査というのが非常に重要になってくると思います。以上です。

○奥田部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。よろしくお願いいたします。

○武田委員 審査報告書の20ページの腎機能に関する表23ですが、国際共同第III相試験の全集団が142例で、12か月の経過観察でeGFRが105.53から73.39までかなり下がっています。これに比べると日本人集団は例数が16例と少ないですけど、94.25から93.07とほとんど変わらないです。これは何か海外と日本で背景に違いがあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきましたように、国際共同第III相試験では、全集団と比較して日本人集団では本剤と減量したタクロリムス群及び標準量タクロリムス群いずれにおいてもeGFRが急激に下がっている傾向はみられませんでした。

 国内外の移植の医療実態の背景ですが、肝移植の主なドナータイプ、手術や術後管理の手技等の医療環境の違いというのはありますけれども、免疫抑制剤に対する反応性や、その後の治療管理による有効性・安全性に、大きく違いはないことは文献等からも報告されています。今回、臨床試験では全集団に比べて、日本人集団ではそれほど腎機能が悪化している傾向はみられませんでしたが、日本人集団の例数が16例と少なかったことから、本剤投与によるeGFRも含めた腎機能の評価については、製造販売後調査において更に情報収集し、確認する予定で考えています。

○武田委員 審査報告書の表23ですね、これの減量タクロリムスの投与量というのは、体重キロ当たり、外国人と日本人と全く一緒ですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい。タクロリムスの用量はTDMを実施し血中濃度を踏まえて調整されておりますが、国際共同第III相試験を立案する際に、国内外の各施設のレジメンや医療実態を踏まえて、国内外で同じタクロリムス目標血液中濃度を維持するように用量を調整することでよいか妥当性を確認した上で、国内外同じ基準で設定したところでございます。

○武田委員 日本の症例数は少ないけど、腎機能が保持されているのでこれはいいと思いますが、たった1年で普通のタクロリムスを減量していて、ここまで腎機能が下がるのが余り理解できないので、海外の患者さんが特殊なのか。余り管理がよくないことが想定されますね。

○医薬品医療機器総合機構 丸橋先生、ご専門の観点からご意見がありましたら、お願いできますでしょうか。

○丸橋参考人 海外と日本の差はそんなにないと思います。このスタディでは、確かタクロリムスの濃度が結構高めに推移していたのがあったと思いますが、Biopsy proven(肝生検で組織学的に認められた)の拒絶反応がないというような、安全性とか有効性を見ていますので、実は腎機能障害、腎障害を抑える効果というのは、もう少し長期的に見ていかないといけないと思いますから、今後の課題であり、今後の臨床研究等が必要になってくるのだと思います。

○武田委員 一般に、腎移植よりも肝移植のほうが免疫原性が少ないので拒絶反応が起こりにくいですよね。

○丸橋参考人 はい。

○武田委員 なので、タクロリムスは、多分、濃度が低くていいと思うので、通常、今、タクロリムスはかなり低濃度で腎移植をやっていますけど、それでも1年でここまでeGFRは下がらないので、ちょっと解せないなという印象があります。

○丸橋参考人 ネイティブの腎臓、自分の腎臓だとタクロリムスのセンシティビティが、違うのだと思います。腎移植の場合は良い腎臓が入りますので、腎機能の低下というのはある程度抑えられるのです。有名なNEJMの論文を見ても、肝移植の腎障害の発生比率というのは、いろいろな臓器の中でも一番上なのです。ということなので、そういうことが腎臓と肝臓では差があるのかなと思います。

○奥田部会長代理 武田先生、よろしいでしょうか。ほかの先生方から御意見、コメントを頂けますか。期待されているお薬ということですけれども、私から一つ、この臨床試験は全てカルシニューリン阻害薬との併用で、減量して行われているわけですが、この効能・効果は特にそこには限らずに決まっているわけですね。通常、よく臨床試験のデザインは効能・効果の書きぶりに縛りを与えたりするのですが、これについてはどういう御判断の下に、こういう効能・効果の書きぶりになるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 臨床試験では本剤とカルシニューリン阻害薬を併用して実施されていますので、それに基づいて、承認効能・効果並びに用法・用量を検討させていただきました。効能・効果につきましては、臨床試験における対象患者等を踏まえて、肝移植における拒絶反応の抑制とさせていただいています。カルシニューリン阻害薬との併用に関しては、臨床試験成績等を踏まえると基本的には本剤を投与する際は併用投与されることが望ましいということ、ただし、一方で、患者さんの状態に応じて免疫抑制剤の種類を適宜変更等が必要となることも考慮しまして、用法・用量に関連する使用上の注意として、本剤とカルシニューリン阻害薬を併用する旨を設定しました。

○奥田部会長代理 了解しました。使用上の注意の所でそこは触れているということですね。ほかに、川上先生、よろしくお願いいたします。

○川上委員 用法・用量で、原則として移植後4週以降の投与ということが規定されています。これは恐らくシロリムスのことなどを反映してかと思いますが、こういった4週目以降の投与を原則としていることの理由とか、使用上の注意の説明が添付文書の中にないように思うのですが、これはあえて書いていないのか、あるいは書かなくてよろしいものなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 用法・用量として、肝移植では4週目以降に投与することと設定するにあたって、その理由を添付文書の注意喚起としてどのように反映するかも含め検討しました。肝移植では移植後4週以降の投与とした理由として、川上委員からコメントいただきましたように類薬シロリムスの情報として肝移植後4週以内に投与した場合に移植肝血栓が認められたこと、また、肝移植では心移植や腎移植とは異なり大きな切開となり、移植後の創傷治癒が問題になることがあげられます。国内外の臨床試験において本剤の投与を肝移植後4週以降とすることで、これらの移植肝血栓や創傷治癒に関する有害事象を、なるべく回避できるようにしたのですが、数例で創傷治癒や移植肝血栓が認められました。添付文書の4ページに「重大な副作用」の項があり、その4番目に「肝動脈血栓症」を注意喚起し、そこに本剤の臨床試験で認められた有害事象とともに、シロリムスの情報として移植後30日以内に移植肝廃絶や死亡に至った例が報告されていることの説明を記載しました。同じく「肝動脈血栓症」の項の二つ下の項に、創傷治癒不良を注意喚起として設定しました。

○川上委員 分かりました。ありがとうございます。

○奥田部会長代理 よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。

○武田委員 今回でも試験は、一緒に使っているカルシニューリンインヒビターはタクロリムスだけで、シクロスポリンの試験はやっていないのですね。審査報告書の34ページを見ると「本剤と併用するCNIについて」と書いてあって、試験をやっていないので、結局、十分なデータがないと。添付文書案を見ますと、肝移植でもシクロスポリンを使うことはあると思いますが、添付文書案の2ページ目の一番上に、「肝移植においては、通常併用するカルシニューリン阻害薬はタクロリムスとすること」と。その次に、「併用するカルシニューリン阻害薬として、シクロスポリンのマイクロエマルジョン製剤を用いる場合は、本剤を慎重に投与すること」。ということは、このエマルジョンは使ってもいいのですね。

○医薬品医療機器総合機構 国際共同第III相試験ではカルシニューリン阻害薬としてタクロリムスを使わせていただいたところですので、添付文書における用法・用量に関連する使用上の注意では、「肝移植においては、通常、併用するカルシニューリン阻害薬はタクロリムスとすること」と記載しています。海外の肝移植における臨床試験でシクロスポリンを併用した臨床試験もあり、得られたデータを踏まえますと、シクロスポリンと本剤を併用することは安全性の問題から特に懸念はないと考えられること、また、日本の医療実態を踏まえましても肝移植に対してシクロスポリンを併用投与される場合も想定されることから、シクロスポリンを併用する場合の注意喚起を記載しました。なお、製造販売後調査では、シクロスポリンを併用した場合の有効性・安全性についても確認する予定です。丸橋先生から何か補足等ありましたら、お願いいたします。

○丸橋参考人 現在の肝移植では、実はタクロリムスかシクロスポリンかではタクロリムスが断然優勢というか、有効だということが言われていますので、シクロスポリンを使うことは余りないのですが、ただし、タクロリムスで例えば中枢神経の白質脳症とか出てくる場合とか、どうしてもシクロスポリンにスイッチしないといけないときもあります。薬理的にはタクロリムスもシクロスポリンも同じカルシニューリン阻害剤で、この本剤とは、薬理作用が全く違いますので、その分では組合せというのはまず問題ないものと考えています。これも使えるようにならないと現場で非常に不都合というか、困ってしまうのではないかと思うので、使えるというのは有効性や安全性を確認しながらということになるのだと思います。

○奥田部会長代理 よろしいでしょうか。ほかに何か追加で御発言、コメントはございますか。特段、御発言いただいたようですので、それでは議決に入ってよろしいでしょうか。大森委員、武田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異論ないようですので、承認を可として薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうございました。丸橋先生、ありがとうございました。それでは、議題2について事務局から概要を説明してください。

○事務局 それでは、議題2、オゼンピック皮下注2mgの承認の可否等について、前回の部会以降の状況について、事務局より御説明いたします。本日、議題2の資料としては、資料2-1、資料2-2を事前に送付しております。当日配布として、資料2-3をお配りしております。まず、資料2-2を用いて御説明いたします。資料2-2、1ページ目に、前回の部会での御指摘を頂いた内容を記載しております。主な御指摘としては、重度の腎機能障害患者における本剤の投与例数や、安全性情報が限られており、その注意喚起等について慎重に検討すべきという御意見を頂いたところです。前回の部会から、本日までに改めて得られている情報について整理しました。

 2ページ目、審査報告書にも同じ表の記載がありますが、本剤の重度の腎機能障害のある糖尿病患者に使用された臨床試験の成績においては、この試験だけということになります。この臨床試験で得られた情報について、安全性の情報の詳細を別添として、3、4ページ目に記載しております。3ページ目を御覧いただくと、こちらに重度の腎機能患者の低血糖といった有害事象に関する発現状況を記載しております。また、4ページ目には、末期腎機能障害患者における低血糖等の有害事象の発現状況を記載しております。これらを確認しましたが、いずれも例数は非常に限られますけれども、プラセボ群と比較して、リスクが高くなるというような傾向は認められていないという状況でした。

 続いて、資料2-3、本日お配りしている横長の表の資料です。本剤においては、前回、12月4日の部会の後に、米国で昨年12月5日に承認されておりまして、欧州では昨年1215日に承認勧告がなされております。それぞれ各国の腎機能障害患者の使用に関する添付文書での注意喚起の状況について、資料2-3の1ページ目にまとめております。真ん中のカラムを見ていただくと、米国の添付文書の記載になりますが、腎機能によって用量調節が必要ないということと、腎機能障害患者における薬物動態のデータが記載されています。

 また、右側のカラムを見ていただくと、欧州の添付文書の記載状況ですけれども、こちらに関しては腎機能によって用量調節が必要ないということ。また、腎機能障害患者のうち、重度の腎機能障害患者については、使用経験が限られているということ。また、末期の腎機能障害患者の使用は推奨しないということ。また、薬物動態のデータについて記載されています。

 これらの添付文書の記載状況ですが、2ページ目を御覧いただくと、本剤と同じく週1回投与を行うGLP-1受容体作動薬であるデュラグルチド(遺伝子組換え)、販売名としてはトルリシティ皮下注になりますが、こちらの記載状況と、ほぼ同じ内容がそれぞれ米国と欧州ともに記載されている状況です。

 こちらのデュラグルチド(遺伝子組換え)に関しても、日本での承認時に、本剤と同様に腎機能によって曝露量が大きく変わらないという薬物動態の情報と、安全性に関しても、腎機能障害患者において情報はかなり限られておりましたけれども、リスクが高まるという情報がなかったことから、日本の添付文書においては、この2ページ目の一番左のカラムに記載がありますが、添付文書の使用上の注意では、特段の注意喚起は行わず、薬物動態の項において、腎機能障害患者での薬物動態のデータを記載するというような注意喚起をしておりました。市販後においても、現在までに腎機能障害患者に対する新たな注意喚起が、トルリシティ皮下注について行われているという状況はないというのが現状です。

 これらの情報に基づきまして、本剤の注意喚起については、添付文書において、類薬であるデュラグルチド(遺伝子組換え)と同様に腎機能障害患者に対する特別な注意喚起は行わないものの、薬物動態の試験結果を記載するということ。また、同じく資料2-3の5ページ目を御覧ください。

 こちらに資材案として付けておりますが、腎機能障害患者における安全性・有効性に関する情報ということで、日本人で重度の腎機能障害患者及び末期の腎機能障害患者に投与経験がないということ。また、海外においても、重度の腎機能障害患者及び末期の腎機能障害患者の使用経験が限られているということ。また、それらの試験で得られている情報について、資材を作成し、医療現場に情報提供を行うということ。

 6ページから、インタビューフォームの案をお付けしていますが、こちらに関しても、12ページ目の中ほどから16ページまでの4ページにわたり、今回の重度の腎機能障害患者で使用された臨床試験の成績について情報提供を行うということを予定しております。

 資料No.2-2に戻っていただきます。2ページ目の3「対応」の1点目、本剤の情報提供資材については、先ほどの二つの資材を配布するということを予定しております。また、2点目にあるように、「本剤の医薬品リスク管理計画書」において、腎機能障害患者への投与時の安全性を重要な不足情報として設定して、製造販売後調査においても腎機能障害患者に関する情報を収集し、また、そちらの調査で得られた情報については、速やかに医療現場に情報提供をしたいと考えております。

 なお、これらの対応方針について、当該品目の専門協議に御参加いただいた臨床の専門委員の3名の先生方にも、再度、御確認いただきまして、方針については御賛同いただいたということです。事務局からの御説明は、以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○奥田部会長代理 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いいたします。

○今井委員 この薬は、一つのDDS製剤と受け取れます。アルブミンへの結合性を非常に強くすることで滞留性を増しているというのは、DDS的な分子修飾をされた医薬品と考えても良いと思います。アルブミンとの結合がほぼ100%ぐらいと書かれておりますので、かなり強い結合をすることでフリー濃度を減らしています。こういう場合に、体内動態としてタンパク結合したものも含めたトータル量で見ていくと、ちょっと勘違いするところも出てきます。フリー濃度が、薬効に反映されてますので、アルブミンへの結合性を利用した製剤だということも、どこかで注意喚起したほうがいいかという気がします。アルブミンの状態が変わる、腎機能障害も一つの例だと思いますが、低アルブミン血症の方々とか、そういう人たちへの投与に関して、注意が必要だと思います。確かに腎機能では、アルブミン量も変わられる方もおられますし、変わられない方もおられます現状ではそれほど副作用が出ることはないという臨床データだと思います。薬として、アルブミン結合性を利用した血中滞留型の薬だということの説明があってもいいのかと思います。どうでしょうか。

○奥田部会長代理 その点は、事務局、機構から。

○医薬品医療機器総合機構 すみません、少々お待ちいただけますでしょうか。

○事務局 まず、今現在の添付文書の記載状況の御説明をさせていただきます。資料2-1の1.8添付文書()を御覧ください。ページ数で言うと、4ページ目の右側のカラムに「薬効薬理」があります。作用機序に「本剤はアルブミンと結合して代謝による分解の遅延及び腎クリアランスの低下を示すと考えられており」ということで、アルブミンに結合するという機序であるということと、戻っていただきまして、3ページ目の上から3「分布」で、in vitro試験の結果になりますが、「本剤の血漿中のアルブミンに対するin vitro結合率は99%超であった」ということで、アルブミンに結合する薬剤であるということを記載しております。

○今井委員 結合の度合いが普通の薬物よりも非常に強いです。99%超と書いてありますが、ほかのところを読むと、99.8100%と、100%という数字まで出てくるので、そういう強い結合性ですと、やはりアルブミン結合した状態で動き回るので、それが薬効を長引かせているし、DDSとして非常に役立っています。よい面もたくさん持っているのですが、その点でアルブミンの量が違う人、あるいは酸化型のアルブミンが増えたときの結合性がどう変わるかといったデータは、今から取られるかもしれませんけれども、そういうところの注意についても、どこかでされたほうがいいかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘をありがとうございます。機構より、1点補足させていただきます。審査報告書の記載になりますが、例えば、審査報告書34ページに、海外の臨床薬理試験として、腎機能障害者における薬物動態試験を記載しております。34ページの上から1、2行目に腎機能正常者、軽度、中等度、重度腎機能障害者及び末期の腎機能障害者で、タンパク結合率を検討した結果を記載しておりますので、補足情報として、1点コメントさせていただきます。

 これらの被験者では、腎機能が悪くなるにつれてタンパク結合率が下がって、フリー体が大きく変化するというようなデータはなく、いずれも99%以上のタンパク結合率でありました。さらに、その右側のページに、今度は肝機能障害者における薬物動態試験の結果を記載しておりますが、表14の下側に肝機能障害者においても、いずれもタンパク結合率は99%以上であったというような、データが現時点では得られているという状況です。

○奥田部会長代理 よろしいでしょうか。いずれ、いろいろな情報がこれから積み上がってくるだろうと思います。森委員、御発言がありましたらお願いいたします。

○森委員 前回の部会の終了後に、米国で承認されまして、FDAのほうでは、特に腎機能に関する警告はないということでした。EMAでは今、承認相当ということで勧告がされていますが、先ほど御紹介があったとおりの添付文書の案として今、挙がっております。

 本邦としては、添付文書の状況は、デュラグルチドとほぼ同様の対応ということで、先ほど御紹介いただきましたし、また、今後の対応についても情報提供資材の準備を適切に、迅速に行っていただいたことと、また、医薬品のリスク管理計画においても今後、腎機能障害の患者さんに十分な情報収集をしていただく御対応を今、伺いましたので、非常に適切な対応ではないかと思っております。以上です。

○奥田部会長代理 どうもありがとうございます。ほかの委員の先生方から加えての御質問、御意見はありますでしょうか。ないようですので、ありがとうございます。それでは、議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。なお、大森委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。御異論がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、議題3に移ります。議題3について事務局から概要を説明してください。

○事務局 それでは、議題3、資料3、ランレオチド酢酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料3の事前評価報告書のタブをお開きください。

 報告書1ページ目の中段ですが、申請者は帝人ファーマ株式会社、予定される効能・効果は「甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍」となります。まず、1ページ目の「対象患者数」について御説明いたします。

 本邦における甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍の総患者数は、数字としては、2ページ目の一番上になりますが、約125375人と推定されています。以上より、5万人未満という基準を満たしているものと考えております。

 次に、2ページ目の「医療上の必要性について」御説明いたします。2ページ目の中ほどから記載がありますが、甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍患者に対する治療の第1選択は手術療法とされておりまして、手術不能な場合等においては放射線治療が実施されております。手術療法及び放射線療法での効果不十分な場合などには薬物療法が行われております。薬物療法においては、甲状腺機能と腫瘍サイズのコントロールのためにソマトスタチンアナログの投与が、欧州のガイドラインで推奨されております。しかしながら、本邦において、ソマトスタチンアナログを含め、甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍の適応を有する医薬品が存在しておりません。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。

 最後に、3ページの「開発の可能性について」御説明いたします。甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍を対象とした海外第III相試験において、本剤、ランレオチドを投与することで甲状腺刺激ホルモン等が低下し、投与開始6か月後には、16名中12名で遊離トリヨードサイロニン及び遊離サイロキシンが正常化したという結果が得られており、海外20か国で承認されている状況です。本邦においても、本剤の国内第III相試験が、今、実施中となっております。以上より、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○奥田部会長代理 委員の先生方から、御質問、御意見をお願いいたします。特段、御意見がなければ、議決に入りたいと思います。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。御異義がないようですので、指定は可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、報告事項に移ります。事務局から報告事項について説明をお願いします。

○事務局 報告事項、議題1、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。資料4-1から資料4-9で、これらは各製剤の医薬品再審査確認等結果通知書となっておりますので、まとめて御報告いたします。

 資料4-1、一般的名称はポラプレジンク、販売名は、プロマック顆粒15%のもの。資料4-2から資料4-4は、一般的名称はペグインターフェロンアルファ-2a(遺伝子組換え)並びにリバビリンに関するものです。それぞれ資料4-2は、販売名はペガシス皮下注45μg及び同皮下注90μg並びにコペガス錠200mgのもの。資料4-3は、販売名はペガシス皮下注45μg、同皮下注90μg及び同皮下注180μgのもの。資料4-4は、販売名はペグイントロン皮下注用50μg/0.5mL用、同皮下注用100μg/0.5mL用及び同皮下注用150μg/0.5mL用並びにレベトールカプセル200mgのもの。資料4-5は、一般的名称はインターフェロンベータ並びにリバビリン、販売名はフエロン注射用100万、同注射用300万及び同注射用600万並びにレベトールカプセル200mgのもの。資料4-6は、一般的名称はモザバプタン塩酸塩、販売名はフィズリン錠30mgのもの。資料4-7は、一般的名称はエストラジオール、販売名はジュリナ錠0.5mgのもの。資料4-8は、一般的名称はエストラジオール及びレボノルゲストレル、販売名はウェールナラ配合錠のもの。資料4-9は、一般的名称はアレンドロン酸ナトリウム水和物、販売名は、ポナロン点滴静注バッグ900μgのものとなっております。

 これらの品目について、製造販売後の特定使用成績調査、使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと。すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。報告事項に関する事務局からの御説明は、以上でございます。

○奥田部会長代理 委員の先生方から御質問などありましたらお願いいたします。特段、よろしいですか。では、報告事項については、御確認いただいたものといたします。

 それでは、その他の事項に移ります。事務局から説明をお願いします。

○事務局 その他、議題1、資料5、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について御説明いたします。

 はじめに、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議、以下「検討会議」と呼びますが、検討会議による検討における本事前評価の位置付けについて御説明いたします。資料5の25ページを御覧ください。検討会議とは、欧米等では使用が認められているが、国内では承認されていない医薬品及び適応について、要望があれば本邦での医療上の必要性の評価及び承認のために必要な試験の有無及び種類の検討を行う会議です。資料の右上から御説明いたします。

 厚生労働省は、学会や患者会等から要望が上げられ、検討会議で医療上の必要性が高いと評価された医薬品については、企業に対して開発要請を行います。開発の手段として、その医薬品が臨床現場において既に医学薬学上公知である場合には、公知申請を選択し、本邦において有効性・安全性を確認する試験が必要な場合には治験等を行います。

 本部会の事前評価については、図の真ん中左下辺りに記載されておりますが、企業が開発の手段として公知申請を希望し、検討会議で公知申請に該当すると判断された場合に、公知申請の事前評価として御確認いただくこととしております。本部会で御確認いただいた後に、企業が公知申請を行い、機構での審査を経て、改めて部会で承認いただくという流れになります。

 それでは、検討会議で公知申請を行うことが適当と判断されたインドシアニングリーンについて御説明いたします。資料3ページを御覧ください。本要望は、日本外科学会等によりインドシアニングリーン、以下「ICG」と言いますが、血管及び組織の血流評価に対する適応追加の要望です。本要望については、平成28年5月の第27回の検討会議において医療上の必要性が高いと判断され、開発要請が行われたものになります。

 本要望の公知該当性について説明いたします。資料1415ページを御覧ください。有効性について、要望内容に関して、ICGはイギリス及びドイツにて承認され、アメリカにおいても保険償還がされていると判断できます。また、海外文献報告において、ICGは消化管手術、皮弁形成、CABG等の様々な領域での血流評価を目的として、ICG蛍光撮影に使用されております。本邦においても、ICGは海外と同様の用法・用量で、血管及び組織の血流評価に幅広く使用されている実態が公表文献から確認できます。さらに、国内外の教科書及び海外のガイドラインにおいて、ICG蛍光撮影は血管及び組織の血流評価に有用な方法と位置付けられております。

 安全性に関してです。国内外の文献報告では、いずれもICGの高い安全性が報告されています。また、本邦でのICGの市販後による副作用報告において、要望内容である血管及び組織の血流評価等を目的とした使用に関して、重大な安全性上の懸念は認められておりません。さらに、要望内容での使用におけるICGの用法は、既承認の用法を超えるものではなく、既承認のほかの適応症と比較して安全性上の懸念が高まる可能性は低いと考えられております。以上により、本要望内容に関するICGの有効性及び安全性は、医学薬学上、公知であると判断されました。

 効能・効果については、資料15ページ、16ページを御覧ください。前述しましたように、ICG蛍光撮影は、血管及び組織の血流評価に有用な方法と位置付けられていると判断し、本剤の効能・効果は、血管及び組織の血流評価とすることが妥当と判断されました。なお、本邦では、ICG蛍光撮影による脳血管の評価については、脳神経外科手術時における脳血管の造影(赤外線照射時の蛍光測定による)として承認されておりますが、今回の要望内容と原理は同一であることを踏まえ、上述の効能・効果の脳血流の評価に関する既承認の効能・効果も含めることが妥当と判断されました。

 血管及び組織の血流評価におけるICGの用量については、海外の承認用量を基本とした上で、国内外の公表文献においてICGの有効性が報告されている用量及び本邦における使用実態も踏まえ、0.040.3mg/kgとすることが妥当と判断しました。また、公表文献で報告されているICGの投与濃度を踏まえ、ICGは、2.5~5mg/mLと調整して投与することが妥当と判断されました。以上でございます。

○奥田部会長代理 委員の先生方から御質問がありましたらお願いいたします。

○佐藤委員 1点教えてください。これはイギリスとドイツで承認されているということですが、6ページを見ると、この内容では海外臨床試験はやっていないということですけれども、イギリスとドイツがどのような制度、あるいは情報に基づいて承認したか、情報をお持ちでしたら教えてください。

○事務局 製造販売業者にも確認したのですけれども、確認ができていないということです。

○奥田部会長代理 これについては、今の段階では情報が取れていないということですね。今後の、実際の承認の過程で、だんだん出てくるということでしょうか。

○事務局 事務局よりお答えいたします。海外のほうのICGの製造販売業者と、国内での製造販売業者は異なりますので、必ずしも同じ情報を持って国内の製造販売業者が申請などにこぎ着けられるわけではないという状況がありまして、この検討会議の中で国内の製造販売業者にも知りうる情報については、全て出していただいた上で検討会議のほうで御評価いただいております。その中では、海外の承認に至った根拠というところは国内の製造販売業者から提示はされませんでしたが、それ以外の公表文献等を評価させていただきまして、公知に該当するだろうというような御判断を頂いたというところです。

○佐藤委員 そうすると、これは、欧州では別企業が承認を受けているものという理解でよろしいですね。

○事務局 はい、その理解でよろしいかと思います。

○佐藤委員 分かりました。

○奥田部会長代理 ほかに御質問等はありますでしょうか。それでは、なければ、本議題については、この席で御確認いただいたものといたします。

 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告がありましたらお願いします。

○事務局 次回の部会は、3月1日()、午後1時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。

○奥田部会長代理 それでは、本日は、これで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 課長補佐 荒木(内線2746)

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