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2023年6月26日 第25回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

令和5年6月26日(月) 16:00~18:00


○場所

オンライン会議
トラストシティ カンファレンス・京橋(オンライン会議場)
STUDIO2
東京都中央区京橋2-1-3 京橋トラストタワー4階


○出席者

出席構成員 

磯部構成員、岩月構成員、上村構成員、小野寺構成員、笠貫構成員、
近藤構成員、佐藤構成員、宗林構成員、高野構成員、橋本構成員、原構成員、
平野構成員、堀構成員、松野構成員、間藤構成員、宮川構成員、宮園構成員、
湯浅構成員、渡邊構成員


 

○議題

1.パブリックコメントを踏まえた緊急避妊薬のスイッチOTC化の課題点とその対応策について
2.その他

○議事


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第25回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催いたします。
 会議に先立ちまして、本検討会議の構成員の交代がございますので御報告いたします。
 宇佐美構成員、萩原構成員が退任され、新たに2名の先生に御参画いただいております。御紹介申し上げます。
 日本歯科医師会、常務理事、小野寺哲夫構成員でございます。それから、自治医科大学呼吸器内科、准教授、間藤尚子構成員でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の出欠状況でございますが、五十嵐構成員、矢口構成員からは御欠席との御連絡をいただいております。また、近藤構成員、宮川構成員は遅れて御出席される、さらには橋本構成員、原構成員、間藤構成員も後ほど御参加いただけるものと承知しております。したがいまして、現在のところ21名中14名の構成員に御出席いただいておりますことを御報告申し上げます。
 ウェブ会議を開始するに当たりまして注意事項を御説明いたします。発言される際は、画面のマイクのボタンを押して、ミュートを解除した上で、お名前をおっしゃっていただき、座長に指名された後に御発言いただきますようお願いいたします。また、発言されないときにはマイクをミュートにしておいていただければと思います。会議中に接続トラブルなどが発生しましたら、事前にお送りしましたウェブ会議のマニュアルに記載されている連絡先に御連絡いただければと思います。
 冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。
 それでは、以降の進行を笠貫先生によろしくお願いしたいと思います。
 
○笠貫座長
 笠貫でございます。それでは、本日の配付資料の確認を事務局からお願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。資料につきましては、ペーパーレス化を実施しておりまして、会議場での参加者におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。タブレット端末は、会議資料の議事次第を画面に表示した状態で配付しております。他の資料を画面に表示する際は、画面左上の「ファイル」を指で一回軽くタップをして、適宜ほかの画面を表示してください。
 本日の資料としましては、「ファイル」に表示されている上から順に、会議資料、参考資料となります。会議資料につきましては、資料を1つのPDFファイルとしており、議事次第、配付資料一覧、地域の一部薬局における試験的運用に関する資料として資料1、検討会議結果(案)に関する資料として資料2となります。参考資料につきましては、開催要綱、構成員名簿、日本におけるスイッチOTC成分のリスト、検討会議の進め方、パブリックコメント実施前までの検討会議での議論とパブリックコメントで提出された主な意見をまとめました前回第24回会議の資料2、第24回会議を受けて要望者でございます緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクトから厚生労働省に6月23日付で提出された要望書を1つのPDFファイルとしており、参考資料1から6となっております。
 本日の資料関係の説明は以上となります。御不明な点がございましたら、事務局までお申しつけください。事務局からは以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、本日の議題である、パブリックコメントを踏まえた緊急避妊薬のスイッチOTCの課題点とその対応策に移りたいと思います。前回の会議では、提案された試験的運用が実現可能なのかという検討のほか、新たに出された意見の整理等を事務局で行い、改めて議論することになりました。まず、試験的運用の実施に関する検討状況について、事務局から説明をお願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。資料1を御覧ください。ただいま座長からお話がございましたように、前回の会議では試験的運用について提案されたところでございます。そもそも試験的運用が実現可能なのかということにつきまして、前回事務局宛ての宿題事項となっておりましたので、資料1において事務局で考えなどを整理させていただいておりますので、御説明いたします。
 まず、緊急避妊薬に関しましては、現在は処方箋医薬品となっているところでございます。資料1の上のほうの※のところでございますが、処方箋医薬品は、正当な理由なく、処方箋を交付された者以外の者に販売してはならないと薬機法で規定されているところでございます。正当な理由につきましては、局長通知において具体的に規定をしておりますところ、今回の緊急避妊薬の試験的運用に関しましても、例えば局長通知に、緊急避妊薬の適正販売等に係る研究のために、一定の要件を満たす薬局を通じ、女性に緊急避妊薬を販売する場合、を加えることの検討が必要ではないかということで、今回考え方をお示しさせていただいております。
 地域の一部薬局における試験的運用といたしましては、一定の要件を満たす特定の薬局に限定し、試行的に女性へ緊急避妊薬の販売を行うことを通じ、適正販売が確保できるか、代替手段でも問題ないか等を調査解析するモデル的調査研究を委託研究として実施する方法が考えられるのではないかというところで事務局としてはまとめております。
 なお、その下にモデル的調査研究のイメージ(案)ということで、これまでの評価検討会議での議論を踏まえ、どのような調査を行ったらよいか、販売を行う薬局はどのような要件であったらよいかということで、あくまでもイメージということでまとめをさせていただいております。例えば調査の内容といたしましては、薬局に対する販売状況の調査、購入者に対するアンケート調査、薬局と連携する産婦人科に対するアンケート調査等を検討してはどうかというところでございます。また、販売を行う薬局につきましては、緊急避妊薬の調査実績のある薬局を中心に調査研究に協力してくれる薬局でございまして、下の1から4、オンライン診療に基づく緊急避妊薬の調剤の研修を修了した薬剤師が販売可能であるとか、夜間及び土日祝日の対応が可能であるとか、プライバシー確保が可能な販売施設を有するとか、近隣の産婦人科医等との連携体制を構築可能であるといった条件を満たすような薬局を地域ごとにあらかじめ選定、公表するということで行ってはどうかというものでございます。調査期間といたしましては、早ければこの夏頃から開始をして、年度末までの予定としてはどうかというところでございます。
 事務局からは以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。前回の会議で提案された試験的運用について、実施可能と考えられるモデル的調査研究のイメージ(案)が説明されました。
 本検討会議の目的は、スイッチOTCの課題点とその対応策の整理検討であり、対応策の選択採否の一助としての試験的運用の実施方法の詳細について検討する場ではないということです。具体的な実施計画等については、事務局の責任の下、今後、事務局と関係者で検討していただきたいと思います。今後の試験的運用の参考のために、お気づきの点とか御指摘がありましたらお願いします。いかがでしょうか。
 堀委員、お願いします。
 
○堀構成員
 座長、ありがとうございます。今、調査内容を拝見いたしました。まずは前回の提言からここまでたたき台をつくっていただいて、本当にありがとうございました。
 私からは1点質問です。この調査内容に関しまして、1及び2を見ていただきますと、購入者への説明という文言が2か所あります。その説明とは購入者へ薬局薬剤師から、1番に関しましては、薬剤を服用するに当たっての説明・指導、そして2番目に関しましては、アンケートの調査依頼に関しての説明があると思いますが、私はどちらの場合においても説明の際には、やはり購入者の立場、気持ちというものを今回尊重していただきたいと思っております。そのため特に説明・指導に関しましては、説明を受ける女性はかなりセンシティブな精神状態になっていると思いますので、今後その説明の内容、または説明の仕方に関する検討の際には、やはりこれは有識者の方たちのみではなく、一般の女性の意見を入れて検討していただきたいと思っております。そこに関してはいかがでしょうか。
 
○笠貫座長
 事務局からありますか。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 御意見どうもありがとうございます。今後この調査研究につきましては、日本薬剤師会に委託する、その際に日本産婦人科医会の協力を得て実施できればということを考えております。その際には、当然その説明の仕方とか、先ほど先生がおっしゃいましたとおり、購入者に対してお薬を売る場合の説明の内容、販売する、それから使ってもらう際の注意事項としての説明の内容と、そもそもこれは調査研究という枠の中でしか扱えないという形になりますから、当然のこととして購入者に対しては、その調査研究の一環であることを説明して、同意を取って、それでアンケートに答えてくださいということも含めて説明する形にしないと、調査研究として販売するという形にならないと思っておりますので、もちろん説明して100%回収できるという保証はございませんけれども、一応そういった形で購入者からのアンケート結果も当然フィードバックとして求めるという前提で、この調査研究を実施していければと思っております。
 その際に、当然のこととしてこの説明内容は、医学的な難しさというのもあろうかと思いますし、あと先生御指摘のとおり一般消費者、購入サイドの心理的なものだとか、いろいろあろうかと思いますので、プロトコルを組む際に、いわゆる研究者といいましょうか、専門の先生、また日本産婦人科医会の先生にも参画いただくような形でプロトコルを検討していただいた上で、きちんとした説明の内容、あるいは同意の取り方等々、そこはしっかりとマニュアル的なものをつくった上で、この研究を実施していただければなと思っていますので、できるだけ一般の方の声もプロトコルの検討の中で拾えるようにお願いしたい。もちろん一定の限界があることは御了解いただきたいと思いますが、できるだけそんな方向で工夫をさせていただきたいと思っております。ありがとうございます。
 
○堀構成員
 分かりました。どうもありがとうございます。産婦人科の先生方からの御意見がやはり重要視されると思います。いろいろな方々が緊急避妊薬を必要としていますけれども、その方々に沿ったしゃべり方、言い方、内容、いろいろあると思いますけれども、配慮していただけるよう、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。以上です。ありがとうございます。
 
○笠貫座長
 お願いします。
 
○湯浅構成員
 調査研究の中で、購入者にこれはアンケート調査を行うというお話しですが、どのくらいの回答数あるいは回答率を見込まれているのか、今わかる範囲で結構ですので、教えていただければと思います。
 
○渡邊構成員
 渡邊です。それに関連しましてもう一つお聞きしたいことがございます。
 
○笠貫座長
 渡邊委員、どうぞ。
 
○渡邊構成員
 もうこちらは試験的運用をすることありきでお話を進めていると考えてよろしいですよね。それで、販売を行う薬局数は2次医療圏、3次医療圏に1つ程度ということですが、2次医療圏というのは県に1つでしょうか。市に1つでしょうか。3次医療圏というのはどこに1つになりますでしょうか。教えてください。
 
○笠貫座長
 事務局から。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 まず簡単なほうから、2次医療圏というのは現在、全国で約335です。3次医療圏というのは都道府県単位であります。ですから、ここでの目安は、2次医療圏、3次医療圏で、その間ぐらいというのが一つの目安ではないかということを今のところ、原案ではそのように考えているというのが現時点のイメージでございます。
 
○渡邊構成員
 そうすると、日本で335軒から、県1つに1つかもしれないということですか。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 一定の要件を満たす薬局である必要がございますので、例えば研修を受けた薬剤師さんがこれを取り扱う必要があるだろうという問題。それから、土日あるいは祝日に対応できる。これも恐らく夜間休日も1人の薬剤師さんだけで対応するのはいろいろ難しい面があるということは日本産婦人科医会の経験を通じて聞いておりますので、そういったようなことも対応できる薬局である必要があるとなると、2次医療圏から3次医療圏の間が想定されるのではないかなと考えております。数の話はそんなところでございます。
 前者のほうの湯浅先生からの御指摘につきましては、アンケート調査という形になりますので、できるだけ回収率を上げたいと思っております。その方法は、これに研究者として参画いただく先生のほうからは、回収率を上げるような工夫といいましょうか、スマートフォンのアプリを使って回答できるとか、例えばそのような方法を使えば回収率を上げることができるのではないかというような御提案もいただいておりますので、例えばそのような工夫をして上げていければと。
 実際何%いけばいいかというのは、ちょっと具体的なイメージはありませんが、できるだけ回収率を上げるような、先ほどのような工夫をして、恐らく紙とかそういうのでは回収率は上がらないと思いますけれども、アプリとか、それに対しての一定の報酬といいましょうか、例えば協力謝金的のようなものもアプリと連動したような形でできるような工夫をしていくと、かなり回収率を上げられるのではないかなと。
 
○湯浅構成員
 もう一つよろしいですか。調査研究の際に、販売を行う薬局というのは、一定の要件を満たすという形にせざるを得ないと思うのですけれども、調査期間が終了して、その結果を精査し、実際に薬局・薬店で販売するときにも、特定の要件を満たすような薬局でなければ販売できないということになるのでしょうか。緊急避妊薬をOTC化する当初の目的は、できるだけ幅広くアクセスできるようにするということであったと認識しているのですが、試験的運用に関して、一定の要件を満たす薬局と限定してしまう以上、調査研究の結果を一般の薬局まで拡げることは難しいと感じてしまいます。調査研究の後、販売する薬局を拡げられるのか、それとも一定の要件を満たす薬局に限定されたままになるのか、お考えを聞かせてください。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 ありがとうございます。先生おっしゃられましたとおり、基本的には今は試験的運用、しかも今は処方箋薬の世界でございますから、そもそも正当な理由で外す形でしか使えないということでの限定もあります。それから、そもそもまだ薬局の薬剤師さんはこのお薬を扱ったことがない中で、これまでいろいろな議論をしてきた課題、あるいは対応策に対して対応できるのかという問題もありますので、これまでの出された課題、対応策に対応できるというような要件を課した形で取りあえずはやる。情報とデータを取る形の調査研究をする必要があるだろうということについては御理解いただきたいと思っております。
 ただ、その結果、ここに書きましたとおり、代替手段とか何らかの形でも代用できる部分というのは当然出てくる可能性がある。それはパブリックコメントでも出ているし、この会議でもそういう意見が出ておりますから、取りあえずはそういう形で調査研究をやりますが、その中でこういう販売実態、あるいはアンケート調査、産婦人科医からのフィードバック等々を通じて、代替手法的なものも含めた対応策が検討できる余地はあると思っていますから、代替手段でも問題ないかということを含めた調査研究をやる必要があるのだろうと考えておりますので、結論からいいますと、結果はこの後の話かもしれませんが、このままで限定するというのがもし問題なのであれば、広げられる余地があるのかないかを探るという方向での調査研究をさせていただきまして、その結果次第では、当然いろいろなパターンがあり得るのだろうなと思っております。
 
○笠貫座長
 佐藤委員、どうぞ。
 
○佐藤構成員
 産経新聞の佐藤です。1つ質問をさせていただいて、その後で意見をさせていただきたいと思います。調査期間なのですけれども、令和6年3月末となっています。これは3月末、終了した後はどう考えていらっしゃるのか教えてください。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 調査研究は一旦、年度末までという形を考えております。これは後ほどの議題で御議論いただきたいと思っているのですけれども、この結果については公表する形を取りたいと思っていますし、最終的なスイッチOTCには品目としての薬事承認を伴わなければいけませんから、OTC化の最終決定はPMDAあるいは薬事審議会になります。ですから、その結果は、先ほどの通り、いろいろな課題に対する対応策の選択あるいは採否のための一助になる情報だと事務局は思っておりますので、その一助、すなわちもしかしたら企業さん、あるいはPMDA、薬事・食品衛生審議会、厚労省、それぞれがどういう選択肢を取るべきか、それから最終的な採否をするのかということが検討できるような形でその情報を提示して、それを選択あるいは採否の際に御活用いただくということではないかなと考えています。
 
○佐藤構成員
 そうしますと、3月末に調査研究が終わった後、可及的速やかにOTC化を前提にした議論をする。どのようにOTC化するかの議論をするということでしょうか。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 それもまた後ほど御議論いただきたいと思うのですが、これまでの議論の中で一定の解決しなければいけない課題があろうかと思います。その確実に解決しなければいけない課題が解決しているのかどうかというのも問題だと思います。この調査研究だけで全てが解決するわけではないと思っておりますから、この調査研究は調査研究でやりつつ、別の取り組まなければいけない課題への対応状況等々を踏まえて、今後の見通しはその時点で判断するしかないのではないかなと思っています。
 
○佐藤構成員
 では、意見を申し上げます。まず第一に、前回、一部地域の薬局における試験的運用をという提案が出て、それに対して、一部地域ではなくて、地域の一部薬局ではないかという発言をさせていただきました。ボリューム感、扱う薬局の数について意見を申し上げたもので、私の頭の中には、地域というのは地域包括ケアの単位がありました。実際に前回の会議でも磯部委員から中学校区に1つぐらいというような意見が出て、私は大変それに共感するところでありました。今回出てきた提案は、2次医療圏から3次医療圏に1つとあります。2次医療圏は、先ほども課長もおっしゃられたとおり全国に335ですけれども、例えば23区で言うと7つの医療圏に分かれますし、例えばここ、中央区は千代田、中央、港、台東、文京で1か所の医療圏です。広過ぎると思います。最低でも1次医療圏、市区町村単位が1次医療圏だと思いますけれども、市区町村単位ではないかと思いますし、地域包括ケアの単位だともっと小さいと思います。もっと薬局の数を増やすべきだと思います。
 また、アンケートなのですけれども、どのように回答を得るのか、どれぐらいの回答率が得られるのかということもありますし、こういうアンケートをした場合に利用を抑制する可能性があると私は思います。その場合、回答にバイアスがかかるのではないかということを懸念しています。
 3月、年度末に結果が出てきて十分に結果が得られず、その後、だらだらと限定的な実施で緊急避妊薬の販売を行ったという結論にすることはよくないと考えます。以上です。ありがとうございます。
 
○笠貫座長
 宗林委員どうぞ。
 
○宗林構成員
 宗林です。私も、確かに要件はあるのですが、この要件は、私は前から言っています健康サポート薬局、それは中学校の学区内に1つというのを目指しながら、まだできていないのですが、要件は近いですね。研修も受けなくちゃいけない、土日も開けなくちゃいけない、夜間もと書いてありますけれども、その要件はほぼそれに近くて、それから先日お話があった、今佐藤委員からもあった感じにすごく似ているので、そうしないとこの調査をしようと思っても、実際にこれにアクセスできないのではないか、必要な人が本当にアクセスできるのかという問題があると思いますし、実際にこれで3月までの間にn数はどのぐらいできると思って見込みがあるのかどうか。幾ら調査でも数の見込みが少しは立たないといけませんし、それにはやはり必要な人がある程度アクセスできないと調査にはならないと思いますが、この辺いかがでしょうか。私はもっと増やすべきだと思います。そして、その要件にはまる薬局ももう少しあるのだろうと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。平野委員、お願いします。
 
○宗林構成員
 どのぐらいのn数かだけお答えいただきたいのですけれども。
 
○笠貫座長
 事務局、どうぞ。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 薬局の数の問題はあるかと思います。ただ、実際にどれぐらいの方が緊急避妊薬を必要としているのかという実態が我々は分からないのですね。だから、そこで具体的な購入者のn数が分かるのかと言われると、そこはなかなか我々として見込むのは無理だろうと思います。ですから、実際の薬局の数と、あと期限でどれぐらい集まるのか、ちょっとやってみないと分からないところがあるのではないかと思います。
 
○宗林構成員
 ですが、やはり調査としても、n数が10だったら調査として成り立たないよねという話があると思いますので、幾つ以上というのをある程度調査の最低ラインとして考えていらっしゃるかはめどが必要だと思いますけれども。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 その辺りはまた日本産婦人科医会などと相談しながら検討するというのはあるかもしれません。
 
○笠貫座長
 平野委員、どうぞ。
 
○平野構成員
 先ほど湯浅委員からもございましたように、もともと今回はOTC化ということがテーマにある。では、そもそも今回の調査研究は一体何を調査し、何を研究し、何を決めたいのか。そこをはっきりさせなければいけないと思うのです。OTC化がテーマであるということならば、OTC化したときの売り方に極力近い形で調査研究をしなければ、恐らく課題は出てこないのではないかと思うのです。
 では、何が問題かといいますと、例えば先ほどございましたように、アンケート調査そのものが実はひょっとすると購入の意思を妨げるものになるかもしれない。あるいはアンケートの中に、例えばこういう課題があったということを拾い上げることが実は大事かもしれない。さらに言えば、アンケートを拒否した事例がどのぐらいあったか。むしろそういったことのほうが必要になるのではないのかなという気がいたします。
 最終的なゴールとして、以前この検討会議の冒頭のほうでも私はお話をしましたけれども、ポジティブリストをつくりたいのか、ネガティブリストをつくるのか。今回のパブコメの意向からすれば、国民の意向は明らかにネガティブリスト。こんなときは駄目ですよ、基本は自由に買えるんですよというものを求めているのだと思います。であるならば、例えば販売を行う薬局についても、先ほどから出ていますけれども、2次医療圏、3次医療圏という数の問題もありますが、ほかにもいろいろな立地、いろいろな形態、あるいは深夜に開いていなくても立地によってはいいかもしれない。むしろあまり選定をするという形で絞り込むのではなくて、いろいろな薬局、手を挙げたところにやらせながら課題を見つけるほうがよほど今後のためには役に立つ情報を得られるのではないかなと思います。
 そういった点でいきますと、例えばこの1、2、3、4とあるわけですが、1番については私は納得できる。というのは、やはり非常にデリケートな部分がございますので、そこについてはきちんとやるべきですし、4番についても、本当にちゃんと解決できたのかという意味では必要だと思うのですが、2番、3番のようなところを逆につくってしまうと、そうじゃなくてもやれたのではないかという可能性を最初から潰してしまいます。あえてできるだけ自由に手挙げ制をしながら、ただし、この調査研究に協力をしてくれるということだけを条件にして、幅広く試していただくことを求めたいと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。磯部委員、お願いします。
 
○磯部構成員
 ありがとうございます。本件の問題で私の意見は、もともと緊急避妊薬の早期のスイッチOTC化は考えていくべきだと。それについてのアプローチをどうしていくのかということで今まで議論がある。そこのゴールは変わらないわけでございますが、このプロジェクト、新しい試行的運用に関して言うと、先ほどからn数のお話がございました。どうなるかは、今、吉田課長がおっしゃるようになかなか読みにくいというのが現実だと思いますが、医療用医薬品で新薬で承認をされ、再審査期間が4年かかっていまして、平成23年から25年6月まで市販後調査が実施されています。これは丸2年やっておられまして、当然これは医療用ですから、医療機関のほうの調査なのですが、この際には国内で135の施設が参加して、902例集まっている。これは丸2年で900例ぐらい集めているのですが、この再審査報告書にも書いてありますが、緊急避妊薬をお渡しして再来院される方が非常に少なくて、再来院されなかった方が324例いたと。実際に安全性の解析は578例しかできなかったという結果でございまして、2年間どういうふうに、最初が多いのか少ないのか分かりませんが、この結果は一つの目安になるのではないかと思います。ですから、そう考えると実質半年ぐらいしかないので、多分n数は皆さんが幾ら頑張っても、普通にやれば100例もいかないと見るのが素直な見方ではないかと思うのです。例数が少ないと、検討できないからまだもう少しやってという先ほど佐藤委員がお話しされたようなことにはならないように、どういうふうにしていくのかということが大事だと思います。
 その上で、先ほど2次医療圏のお話が佐藤委員や平野委員からありました。薬局の場合は、医療計画でも御議論があるように、2次医療圏は入院医療を提供する圏域として設定されまして、がん拠点病院をどうするかも含め、基本的に2次救急をどういう単位で整備していくのかというような単位の医療圏の考え方でありますので、外来医療ですとか在宅医療に関しましては、今まではもともと1次医療圏、市町村単位ということでありましたが、介護との連携も考えて、最近の医療計画の検討会では地域包括ケアの単位、介護保険法で言う日常生活圏、原則、中学校区ということでありますが、そういった関係で整備していくことが今後の医療・介護の連携を考えると大事じゃないかということでございます。こういった外来の問題で考えますと、最終的には日常生活圏に何件こういった薬局を整備するのかという目標を考えていかなければいけないと思います。そういう意味で、最終的にはこの前、岩月先生がおっしゃった、やはり日常生活圏に2か所は欲しいと。そうすると大体2万件ぐらいの薬局を最終的な形としては目指すというのが一つの目安ではないかと思います。そこに至る、例えばこれはOTC化を認めるという前提になっていますが、それに至るためにどういうデータを取り、ステップアップして、データを見ながら一歩一歩検討しながら進めていくという形を取るときに、ここでの300施設ぐらいをどう見るのかということになるかと思います。私は、実際に日本薬剤師会で募集をかけるとすると、各県の薬剤師会が参加してみたい薬局は手を挙げてくださいと、こうやると思うのです。先ほど平野先生からもお話がありましたが、手を挙げられた薬局は、でき得れば参加させてやってほしい。そうすると総務課で調べていただいている、緊急避妊薬の研修を日薬の関係で受けられている方は6,800ぐらいの薬局があるので、全部が手を挙げるとは思いませんけれども、意欲がある方についてはなるべく参加していただくということを考えると、例えば2次医療圏で1つ以上とか、それは県によっても少し違いますし、本来は日常生活圏でやるべきだと思いますが、データをどういうふうに取っていくのかという吉田課長の御懸念もいろいろあるとすれば、そういった手を挙げたところはなるべく拾ってデータを取っていく。しかも、最低100例ぐらいはないとなかなか議論もしようがないと思いますので、そんなことを目安に考えていくべきではないかと思います。
 それから、要件についても、先ほど平野委員がおっしゃったように、あまりハードの面での間口を狭くすると、アクセスという点では非常に厳しいと思いますので、薬剤師がいない場合、どういうふうに対応するのかということは決めておく必要があると思いますが、ハードの要件はある程度柔軟に考えて、研修を受けて、こういった問題をしっかり理解して、その必要な方々に寄り添えるようなことができる薬剤師というのが一番大事な要件だと思います。また、産婦人科の方々と連携を取れることも大事だと思いますので、それを十分にやっていただければと思います。申し訳ございません。そんなことでございました。長くなりまして失礼しました。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。宮園委員、お願いします。
 
○宮園構成員
 お世話になります。宮園です。私は地方に住んでいる消費者という視点で、この調査は少し懸念するところがあるのですが、事務局から御提案いただいた内容の調査ということになると。OTCとして薬局で手に入るメリットというのは、オンライン診療もなかなか厳しいし、性暴力の被害者のセンターに行くのも厳しい。そういう方たちのニーズが満たされ薬局でなら買えるというのが大きな効果だと私は思っているのです。そういったときに、この調査モデルであれば、そういうところにアクセスが現状なかなか困難な地域の人たちの声が漏れてしまって、どこまで反映されて、運用が続いていくのかというのはちょっと心配な気がするのです。それで、ほかの先生方もおっしゃっていたように、もう少し対象を広げていくとか、現在、利用したくてもなかなかアクセス困難な地域の声が拾えるような調査設計にしていただくとか、そういうふうに考えていただけたら、より効果的ではないかと思っております。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。事務局からどうぞ。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 いろいろ貴重な御意見をどうもありがとうございます。いろいろな要件、あるいは薬局の数、n数の関係等々、いろいろ御懸念の点、あるいは具体的な御指摘、御示唆もいただいたと思いますので、その辺はどういった形ができるのか、できるだけいただいた御意見を参考にさせていただいて、具体的な調査委託研究のプロトコルづくりに取り組ませていただければなと思っています。その際、一定の目的を達成するための理想的なプロトコルはあろうかと思います。一方で、実施可能性等々もあろうかと思いますので、その点での一定の制約があるということについては御理解いただければなと思っておりますし、さらには、ちょっとお叱りを受けるかもしれませんが、この緊急避妊薬は72時間以内という、そういったようなアクセスが担保されるというのが必要最低限の条件だと思っておりますので、少なくともそれは確実に担保できるようなことにはする必要があるのだろうと思っておりますので、その辺りも考慮しつつ、どのような最終的なプロトコルができるのか、引き続き検討させていただければなと思っております。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 宗林委員、どうぞ。
 
○宗林構成員
 宗林です。OTC化のことは後でということで、課長のおっしゃったお話もよく分かるのですが、一般的には、今まだ各企業がOTCの錠剤をどこまでつくられている最中なのか分かりませんが、もしかするとこの3月までいろいろなものを、多少アクセスできたとしても、そこからPMDAに相談してOTC部会を通していくとなると、そこから下手したら長期間かかると思うのです。年単位でかかる可能性もあります。空いてしまった時間は何か策があるのでしょうか。多分メーカーのほうから、各メーカー、OTC化できるよということになったら、OTC部会のほうにスイッチ化していくものをダイレクトに上げていくということだと思いますが、その間の時間は多分相当長くかかるかなと一般的には思います。その間は何かお考えがありますでしょうか。教えてください。
 
○笠貫座長
 事務局からお願いします。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 その辺りについては、いろいろ検討しなければいけない事項がございます。薬事規制の話もございます。それから、メーカーの申請がなければならないということがあります。それをとにかく急いでもらうということについては片方でやりつつ、一方でこの調査研究をやって、一時的にアクセスができたものが間が空いてしまうことについては、またそれで問題もあろうかと思っておりますので、その辺り、ラグが見込まれる場合にはそれはそれで考えなければいけないのかなと思ったりはしています。ただ、今の段階でどうするというのは、なかなか言えないということについては御理解いただければと思います。
 
○笠貫座長
 試験的運用に関して、実現可能性についての御議論をいただきましたが、この件につきましては、事務局と関係者の方々で引き続き検討をしていただくようお願いします。
 続きまして、パブリックコメントで提出された主な意見や前回の会議の議論を反映した検討会議結果(案)について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○事務局
 事務局でございます。資料2を御覧ください。資料2はパブリックコメントを実施しました検討会議の結果案に、網かけ部分として、パブリックコメントで御提出いただいた御意見や前回第24回の会議を踏まえて新たな課題点及び対応策を追記させていただいております。網かけの部分を中心に御紹介させていただきます。
 まず、2ページ目、スイッチOTC化のニーズのところでございます。真ん中辺り、「緊急避妊薬は性犯罪や性暴力の被害者が使う薬」とは誤った認識。DVなどはごく一部であり、たとえ良好な性関係であっても望まないタイミングでの妊娠を回避したい女性が多くいて、ここにも緊急避妊薬の大きなニーズがある、というパブリックコメントで提出された御意見を追記させていただいております。
 次のページに参りまして、適正使用の部分でございまして、右側でございます。こちらは検討会議で構成員の方からいただいた御意見でございますが、薬の安全性、他の避妊薬の扱いとの整合性、当事者が窓口で販売を断られた後の選択肢を考えると、年齢制限をつけるのは適切とは思えない。相談機能を提供できるようにすることこそが必要ではないか、というものでございます。
 その下に参りまして、販売体制の一番下でございます。こちらはパブリックコメントで提出された御意見でございますが、薬剤師の研修にも性教育の項目を課すべき。他方、研修を必修化すると薬剤師が限定されアクセスの妨げになる。eラーニングの環境を整えることが必要ではないか、あるいは研修を義務づけることは不要であり、チェックシート、リーフレット等で対応可能ではないか、という御意見でございます。
 その下に参りまして、アクセス・体制に関しての御意見でございます。こちらもパブリックコメントで提出された御意見でございまして、緊急避妊薬は手に入れづらく、早急に薬局等にてアクセスできる環境が必要。一部地域の薬局等での試験的な運用等を行い運用上確認された課題を随時検討すべき。市区町村で何か所か扱う薬局を定め、それを厚生労働省等のサイトで一覧を掲示すべき、というもの。
 その下は構成員からいただいた御意見でございますが、緊急避妊薬を必要とする方が薬局等を訪ねた際に、閉局時間もしくは薬剤師がいない時間帯となってしまった場合の対応策を考えておくべきではないか、というものでございます。
 その下のほうに参りまして、薬局で必ず個室で対応することは不要だが、プライバシーに配慮した相談を希望した場合には対応が必要、というパブリックコメントで提出された御意見を追記したものでございます。
 その下は構成員からの御意見でございまして、どの薬局にも人目につかない場所はあるはずゆえ、プライバシーの確保は可能ではないか、というものでございます。
 次のページに参りまして、薬事規制の観点でございます。まずパブリックコメントで提出された御意見を追加したものとして、対面での情報提供・相談を経ずにアクセスすることには危うさがある。悪用・濫用の問題は、対面販売ならある程度のハードルがあるのではないか。
 その下は構成員からの御意見でございまして、薬剤師による対面販売は必須というもの。
 その下がパブリックコメントで提出された御意見でございまして、薬剤師の対面販売や事情聴取等を必要とする根拠が乏しいのではないか、というものでございます。
 少し飛びまして、8ページでございます。性教育・認知度に関してでございますが、パブリックコメントで提出された御意見を追加したものといたしまして、緊急避妊薬のOTC化と並行して性教育の見直しを進めるべき。性教育が不十分なことが緊急避妊薬のスイッチOTC化の妨げにはならない。性教育の遅れがあり避妊や対等な男女関係についての正しい知識を持たない人が多いからこそ緊急避妊薬のスイッチOTC化が重要ではないか。
 その下のほうに参りまして、医療機関との連携でございます。構成員からの御意見といたしまして、若年者の性の悩みも含めて相談に応じてくれる産婦人科医のリストを、地域の産婦人科医会などから出してもらい、薬局が持つことで連携を促してはどうか、というものでございます。
 その下のほうに参りまして、パブリックコメントで提出された御意見でございまして、緊急避妊薬を販売後、産婦人科への受診を勧めることは望ましいが、受診必須化は、女性が自らの意思で決定するとの観点から妥当ではない。薬剤師から医師への紹介状の制度化などの工夫が必要。緊急避妊薬のOTC化に伴って特別な体制づくりは不要ではないか、というものでございます。
 その次に参りまして、性暴力被害者への対応でございます。10ページに参りまして、パブリックコメントで提出された御意見の追加でございますが、ワンストップセンターの認知度は低く、各県で多くて3か所程度と十分な拠点数があるとはいえない。このような状況で理想的な支援体制の整備を緊急避妊薬のスイッチOTC化の課題とすることは問題。性暴力被害者への対応は、すべての購入者に情報提供資材を配付する等が望ましいのではないかというものでございます。
 その下のほうに参りまして、課題点全般に対する御意見といたしまして、パブリックコメントで提出された御意見を追加したものでございますが、もし事前の説明や検査が十分でなかったとして訴えられたときに備えて、薬剤師も賠償責任保険に加入する用意はあるか、というものでございます。
 最後、総合的意見でございます。最後でございますが、こちらは前回の検討会議での御意見でございまして、多くの課題について対応策を講じるには時間を要するので、まずは、近隣の産婦人科やワンストップ支援センター等と連携が可能な一部地域の薬局における試験的運用を開始し、データ・情報を収集分析し課題・対応策を検討してはどうか。これに対して、「薬剤師の研修、医療機関との連携、土日の開局、薬の在庫等の観点から、対象薬局を検討するとすれば、「一部地域の薬局」ではなく、「すべての地域の一部薬局」における試験的運用とするほうが適切ではないか。」との意見があった、というものを追加してございます。
 それに加えまして、本日、追加の資料をお配りさせていただいております。会場の構成員の皆様におかれましては紙で配付をさせていただいております。また、オンラインで参加されている構成員へはメールで送付させていただきましたので、そちらの資料を御覧いただければと存じます。
 これまでの検討会議での御議論を踏まえまして、本検討会議の結果、すなわち今御紹介さしあげました資料2の最後の部分、「総合的意見(総合的な連携対応策など)」に、次の総括的意見を追記してはどうかということで、事務局でまとめさせていただいておりますので、御紹介申し上げます。
 四角の枠の中でございますが、「本検討会では、これまで、緊急避妊薬のスイッチOTC化に関する多くの課題点と対応策について十分に検討・整理し、議論を尽くしたうえで、本検討結果を総合的にとりまとめた。本検討会としては、総じて、課題点に対応したうえで緊急避妊薬の早期のスイッチOTC化が望まれるとの方向性の意見であった。しかしながら、緊急避妊薬をスイッチOTC化する際には、企業からのOTCとしての薬事承認申請を受け、薬事・食品衛生審議会等における迅速な対応策の採否判断及び薬事承認が必要となる。加えて、薬剤師による対面販売を担保できる医薬品販売に係る薬事規制の検討が必要であるほか、対応策の選択・採否にあたり、試験的運用を通じて更なるデータ・情報の集積が望ましいとの意見もある。このため、今後、一定の要件を満たす特定の薬局に限定し、試行的に女性へ緊急避妊薬(処方箋医薬品)の販売を行うこと(処方箋医薬品の取扱に関する通知の一部改正が必要)を通じ、緊急避妊薬の適正販売が確保できるか、あるいは代替手段(チェックリスト、リーフレット等の活用等)でも問題ないか等を調査解析し(モデル的調査研究の実施)、その結果を厚生労働省が広く公表するとともに、薬事・食品衛生審議会要指導・一般用医薬品部会等にも報告し、個別品目審査・審議の際の具体的対応策の選択・採否の一助として使うことも考えられる。いずれにしても、緊急避妊薬のスイッチOTC化を望む多くの女性に思いをいたし、これらのことについて可能な限り早期の対応が強く望まれる」と整理させていただいております。こちらに関しまして、また後ほど御意見を頂戴できればと思います。
 また、同じく当日の配付資料といたしまして、座長から提出いただいた資料を配付してございますので、併せて議論の御参考にしていただければと存じます。事務局からは以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。パブリックコメントを含めてまとめていただきましたが、今回の重要なポイントは、それぞれの重要度、中長期・短期的課題について御意見をいただき、ニーズについては必要性が高いという意見、課題点については重要性が高いという意見、課題の対応策については賛成意見が多かったものを太字で記載したことです。重みづけをした本会議の多数意見だということを御理解いただけたらと思います。この重みづけは非常に重要なものだと考えています。
 それから、先ほど本日配付の資料のお話が出ましたが、その前にこの検討会議結果(案)について、さらに追加する意見がございましたら。
 佐藤委員、どうぞ。
 
○佐藤構成員
 ありがとうございます。産経新聞の佐藤です。この検討会は、OTC化するか否かについて結論を出せる場ではないと理解しておりますし、試行的実施をどのようにするかについても決定権限はないものと理解しております。その上で、これまでの議論のまとめなのですけれども、一番最後に試行的実施に関して前回の会議で行われた議論を踏まえて、一部地域の薬局における試験的運用の意見があり、これに対して一部地域の薬局ではなく、全ての地域の一部薬局における試験的運用とするのが適切ではないかとの意見があったと書いていただいたことは、意見を反映していただいたものと思い、ありがたく受け止めております。ただ、先ほども申し上げましたように、これが2次医療圏としての試行的実施に反映されるのであれば、それは本意とするところではありませんので、前回の議論を正しく反映して残していただきたいと思います。そのためには、11分の4のところにパブリックコメントで一部地域の薬局等で試験的な運用を行いというグレーがかかっている丸がありますけれども、その後ろに地域の一部薬局でするべきという意見があり、そして、委員の中からも、宗林委員からは以前に健康サポート薬局でやってはという意見があったところですし、磯部委員からは中学校区に1つというような意見がありましたので、両委員の御賛同が得られるのであれば、ここにこの検討会としてはもう少し薬局規模の多くなる単位を目指したということを書き加えていただけないかと思います。以上です。よろしくお願いします。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。宗林委員、どうぞ。
 
○宗林構成員
 岐阜医療科学大学の宗林です。いろいろな紙の中に、試行的に女性へ緊急避妊薬の販売を行うこととあったり、女性のためのという言葉はあるのですけれども、これは年齢制限の項目はあるのですが、販売自体は女性に行われるということがすごく明確に書かれているのが、女性に届くように、女性のためのというようなイメージはもちろんあるのですが、いろいろなことを聞き取ったり、薬剤師さんとお話しするのは女性御本人ということをもう少し明確に、私は発言したつもりだったのですが、どこで発言したのかちょっと明確じゃなかったので、今日発言させていただきますというふうに事務局にはお話ししたのですが、販売自体は男性には売らない。これはやはり女性本人、使う本人が購入すべきというようなことを、結構明確にどこかに入れていただければと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 磯部委員、どうぞ。
 
○磯部構成員
 ありがとうございました。先ほどの佐藤委員のお話は、まさしく私が申し上げたことで、この緊急避妊薬のアクセスをどういう圏域単位で整備していくべきかと考えれば、日常生活圏を基本にしてアクセスできる拠点を整備していくという考え方がこの薬の特性から考えて適切だと思います。日常生活圏を基本にして整理をしていく意見があったという先ほどの佐藤委員の意見には全く賛同させていただきたいと思います。その上で、今日お配りいただいた当日追加資料がございます。若干今の意見とぶつかるところがございまして、真ん中よりちょっと下ぐらいですが、このため、今後、一定の要件を満たす特定の薬局に限定し、試行的に女性へ緊急避妊薬の販売を行うこととありますが、限定しという言葉が非常に狭く狭くという形のイメージが出てしまうので、どのくらいの単位で、実際どのくらいの薬局が手を挙げてくれるか分からないので、今のところニュートラルに考えておこうとすると、ここに限定するというような、絞り込むんだというイメージの言葉は消しておいたほうがいいのではないかと思います。一定の要件を満たす特定の薬局に限定しというのはなくても、意味的には、あとはそれをどのくらいでやるのかは、もう少し、薬剤師会が受けるのであれば薬剤師会のほうと議論ができればいいのではないかと思います。
 それから、最終的に私が申し上げた日常生活圏にどのくらいの薬局を整備するのかと考えたときに、生活者のそういうことを必要とされる方からいうと、今、OTCの圧倒的多くはドラッグストアで購入されるケースが多いので、固定の薬局やチェーンの調剤薬局でも対応してもらいたいのは当然なのでございますが、生活者の方が、例えば探すときにそういうドラッグストアでも最終的には薬剤師がいる、しかも研修を受けているという前提でありますが、そういうところでも置けるようにするためにどういうことを満たしていったらいいのかということで、先ほどの試験的運用にも入れていただいて、いろいろなデータ、どういうふうにやるのかということを見極めていただくとありがたいなと私は思います。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。松野構成員、お願いします。
 
○松野構成員
 ありがとうございます。日本保険薬局協会の松野です。今回の事業が広く望まれる女性にいち早くスイッチOTC化として購入できる体制を調えるということが前提にあると思います。先ほどから磯部委員もおっしゃっていただいている限定されたイメージを払拭するのはもちろん重要だと思いますし、平野委員や宮園委員が言われているように、モデル的調査研究内容の項目は、情報を集めるに当たって購入者に対するハードルを高くしているようにも感じます。さらに、どの薬局でもスイッチOTCとなった緊急避妊薬が入手できるための調査項目を入れる必要もあるのかなと思いますので、それが反映されるような内容を追加した具体的な項目を盛りこんでいただけるよう、よろしくお願いしたいと思います。
 そして、調査対象となったものを分析するための時間が必要ですので、2年もかかるであろうというふうな意見もありましたけれども、出来る限り早く、どうすればスイッチOTC化が進むのかというところも強く望まれているのだというところをお伝えしておきます。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。事務局はいいですか。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 いろいろ御議論、御指摘をありがとうございます。また内容は少し精査させていただく必要があるかと思いますが、先ほどの佐藤委員からの部分につきましては、一部地域の薬局での試験的な運用等々のところにもう少し規模の大きい範囲内で検討するべきという意見があったところですが、そこは意見があったという形で追記することは可能だと思っておりますので、その方向で対応したいと思います。
 それから、宗林委員からございました女性が購入すべき、これはもちろんそういう前提だろうと思っております。今回明示的にいただきましたので、今回も一応女性へとかいう表現を入れておりますが、その内容が明確となるようにどこかに入れるようにしたいと思います。年齢制限等みたいな、そのようなところにそういう意見があったということで追加させていただければと思っております。
 それから、追加資料の表現です。磯部委員、あるいは松野委員からあったところについては、限定的な感じをもし出さないという形にするのであれば、あまり「限定」という表現がそぐわないのであれば、一つの方法としては、当初御提案があったのは一部の地域の薬局かもしれませんが、地域の一部薬局における試験的運用という形になったわけなので、例えば「地域の一部薬局で試行的に」云々というような表現にすると、「限定」というのは取れますし、「要件を満たす特定の」という表現がもう少し軟らかく。いずれにしても「地域の一部薬局」であることには違いないと思いますから、例えば「地域の一部薬局で試行的に」云々というような表現にさせていただくことで、今後、調査研究の内容についてはさらに検討していくわけですけれども、その内容も見込んだような形の表現になるのではないかなと思いますので、そのような形でいかがかなと思っております。それから、早くという部分につきましては、最後のところで、これらのことについて可能な限り早期の対応が強く望まれる。全てのことが早期の対応が望まれるという表現で盛り込んでいるといいますか、思いを表現させていただけているのではないかなと思っておりますが、一応そのようなところで、いただいた御意見について当座の対応としてはそんなところが考えられるのではないかなと思っているところでございます。私からは以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。渡邊構成員、お願いします。
 
○渡邊構成員
 最後に1つだけよろしいでしょうか。調査期間をあくまでも来年の3月までとするのであれば、その後の処理をどのぐらいの期間までにするというのを少し分かるようにしていただけたらと思います。これが分析されるまで2年もかかるのであれば、どうにもこうにも今検討されていることがまた先延ばしになってしまいますので、例えば2か月でけりをつけるとか、今年の夏までに結果を出していくとかいう文言も欲しいかなと思います。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 この結果につきましては、委託研究で行いますので、結果としてのまとめというのはそれなりに出るのだろうと思います。その結果を公表させていただくことを考えております。このペーパーにもございますとおり、この調査結果を今後どう扱うのかということにつきましては、厚労省としては当然即座に公表させていただくつもりでございます。それを受けて実際にメーカーのほうでOTCとしての申請をするかどうかという問題も、それを受けてか、その前かもしれませんけれども、そういう話もあります。それから、ここにも書きましたとおり、薬剤師による対面販売を担保できる薬事規制の検討というのもございます。ですから、そういったようなこともいろいろな要素が絡んでまいりますので、もちろん全てを素早くといいましょうか、迅速に、可能な限り早くということは書いているつもりでございますが、いつまでに何をというのは、いろいろな要素が絡んでまいりますので、これ以上具体的にいつまでというのは、書いても保証できるものではないということがございますので、可能な限り早期の対応というところで、この表現としては、この会議だけでできる話ではないということです。場合によっては法改正の話もあるかもしれません。さらにはメーカーさんが対応できるのかということもあるのかもしれません。そういったいろいろな問題がございますので、もちろん気持ちとしては可能な限り早く、みんなが全て、いろいろなことについて早くするべきだと思いますが、いつまでに何とかすると書いても、この会議体としてそれを担保できる権限もないということがございますので、この辺りの表現で御理解いただければと思います。もちろん、だからといってやらないということでは全くございませんので、全てのことを可能な限り早期の対応に努めるという形にはいささかも変わりはございませんが、表現ぶりとしては、いつまでと書くのはなかなか難しいということは御理解いただきたいと思っています。以上です。
 
○宮川構成員
 宮川ですけれども、いろいろな議論、非常に重要なことを今回お話しできたと思います。ただ、根本として、医療者として非常に懸念していることがございます。それは、このパブリックコメントに書かれていますけれども、緊急避妊薬では100%避妊できるわけではないということです。緊急避妊薬とは書いてあるのですが、この薬は緊急のときの避難薬なのです。ですから、磯部委員も先ほど言っていましたけれども、意欲があるというだけでは駄目なのです。やりたいからといって、きちんとした教育もできていない、きちんとしたサポートをしていくような産婦人科が控えているわけでもない、そのような薬局が軽々に手を挙げられるようではいけない。緊急避妊薬を求めて、72時間以内に服用したとしても、100%避妊はできないということをしっかりと言えるような薬局でなければならないはずです。そうしないと、その方がお困りになるということをよくよく私たちは理解していなければいけません。軽々に物事を進めるのではなくて、しっかりとしたこのような立てつけをつくっていく必要があります。ですから、このような非常に多くのパブリックコメントが寄せられたことに耳を傾けながら、しっかりとした運用をしていただきたい。困った方を本当に100%救えるというような形にしないと、この緊急避妊薬は100%の薬ではない、90%程度でしかないわけですね。そのところをしっかり理解した上で運用というものを考えていただきたいと、医療に関わる人間としてはその方をお守りしたいということに尽きるので、ぜひともそのような考え方でおまとめいただければ幸いかなと思います。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。岩月委員、どうぞ。
 
○岩月構成員
 委託先であります日本薬剤師会から出ております岩月でございます。今いろいろ御議論いただいて、宮川構成員からも、ごくごく基本的な懸念を示されたと理解をしておりますが、今回の事業は、例えばスイッチをするときにこういった試験的運用が必要なのだということでは多分なくて、前例のない効能・効果が対象であることと、非常にセンシティブな内容であることと、OTC医薬品としての前例がないということが一番大きな問題だろうと思っています。
 今、たくさんの薬局で、たくさんのn数を、というお話がありましたけれども、今回限られた期間と限られた予算の中で、どのような研究のモデルをつくるかということがかなり重要だろうと思います。ここに関しましては、幸いにも産婦人科医会の先生方からも御協力をいただけるとのことですので、そういったことを綿密に打合せしながら、なおかつ早急に手をつけなければならないと考えています。
 これは調査研究でありますので、倫理審査等も当然必要になりますし、準備には一定程度の時間がかかるだろうということが当然予想されます。その上で、こういった研究をするということを国民に広くアナウンスする必要があるだろうと思います。国民にもこういったことで自分たちの生活を少しでも変えていくんだということで参加していただき、当然薬剤師も参加をする方々から評価をされるということをきちんと肝に銘じて、前に進めるという覚悟を持ってやっていく所存であります。多方面の方がここにいらっしゃいますから、ぜひ調査研究の中身が決まった段階でも御意見をいただきたいと思いますし、そういった形でより前に進められると思います。この検討会に緊急避妊薬で出てきてから10年近くが経とうとしておりますので、もう待ったなしだということは重々承知しております。ぜひいろいろな御意見を私どもにもいただきたいと思っておりますので、引き続き御協力をお願いいたします。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。堀委員、お願いします。
 
○堀構成員
 COMLの堀です。ありがとうございます。今の岩月委員の意見に関して、私は賛同させていただきます。といいますのは、確かに国民、市民は今回の緊急避妊薬の試験的運用に関しては意見を発信なさったり、関心を持たれている方も多いと感じてはいるのですが、一方では、一概には言えないのですけれども、特に男性の方に関してはあまり興味を持っていらっしゃらない方がいるのではないかなと思っております。そのためにも、やはり今、試験的運用にあたっては改めて、今回、緊急避妊薬のOTC化のための試験的運用方法が検討されているということを再度、国民全体に周知してもらって、「このモデル的調査研究に関わる場合は皆さんに協力をしてもらいたい。皆さんの意見によって、世の中が変わるんだ。」ということをぜひアナウンスしていただくことは、今とても大切なことではないかと思います。ですので、もちろん厚労省だけでなく、ほかの省に関しましても、そこからアナウンスをしていただいて、いろいろな、例えばテレビ・新聞とかを見ないようなSNSでしか情報を得られない若い方々にも、こういうモデル的調査研究が行われるということをぜひ知らしめていただければと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。以上です。
 
○笠貫座長
 どうぞ。
 
○湯浅構成員
 岩月委員からもお話がありましたけれども、調査研究を行う際には、個人情報の問題も絡んできますので、倫理審査委員会に諮る必要があると思います。特に緊急避妊薬の購入者へのアンケート調査については、厳密な説明文書と同意文書を作成しなければなりません。調査研究を開始することは、とても大変だと思います。したがって、先ほど事務局からもお話しがありましたが、薬剤師会の先生だけでなく、産婦人科医会の先生、統計解析の専門家など多方面の方々に加わっていただくことが必要です。時間を十分に取り、今後の緊急避妊薬販売に参考となるデータが得られるよう、慎重に進めていただければと思います。
 
○笠貫座長
 ほかにはございませんか。それでは、座長提出資料をご覧ください。私は、2017年から評価検討会議の座長を務めさせていただきました。資料左上のように、緊急避妊薬については2017年に2回開催して、当時は採否を決める会議でしたので、約350のパブリックコメントを含めて否と決めました。その時の課題あるいは対応策を踏まえて、2021年の申請後の検討においては、4年間の対応や背景の変化を含め、さらに慎重な議論を進めてきました。日本産婦人科医会の方、緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクトの方、薬剤師会の方、文部科学省の方、ワンストップ支援センターの方等々の御意見もいただき、それから海外調査も実施し、2年間にわたって7回開催してきました。現時点で我々が入手できる資料、エビデンスをもとに、十分議論を尽くしてきたと思っています。しかし、2021年以降は採否を決められないという本評価会議の限界があり、その使命は、課題を抽出して対応策をまとめるところまでしかできません。
 私が提出した資料の図はレギュラトリーサイエンスの観点から、緊急避妊薬のスイッチ化の考え方を示しています。レギュラトリーサイエンスは、科学技術が人、社会に役立つために根拠に基づく評価を行い、科学技術と人、社会の調和の上で調整を図るという科学です。図右上に示した国の政策を踏まえた上で、生活者のニーズと社会のニーズ、それから生活者にとって許容可能なリスクという、リスクとベネフィットの比較考慮をした上でスイッチ化の採否を決めていくわけです。そのときに最も重要になるのは、青で示した薬局薬剤師によるリスク低減策です。薬局開設者も製造販売業者も含まれますが、ここに挙げられた低減策は適正使用、販売体制の改善、環境の改善です。これらは2021年の評価会議の中間とりまとめに記載されています。その課題と対応策に関して、緊急避妊薬についての具体的な議論は十分詰められたと思っています。この低減策を踏まえた上で、リスクをいかに低減できて、生活者にとって許容可能なリスクになり得るのかについて、これまで7回にわたり議論されてきたと思います。
 試験的運用としてのモデル的調査研究との関連ですが、図左中に示したようにどこまでのエビデンスを求めるのかが最も重要なポイントになります。この評価会議で、基本的には不確実性を補う仕組みとして、それぞれのステークホルダーの有識者と市民の代表の方、メディアの方に御参加いただき、課題を抽出し対応策をまとめ、さらにパブリックコメントをいただき、広く国民の声をお聞きするという形で進めてきました。
 今回は、パブリックコメント数は約4万6000ということで、厚労省が行うパブリックコメントでは多分最も多いのではないかと思っています。それだけ国民の関心が非常に高かったということです。いろいろパブリックコメントに対する御意見はあるかと思いますが、私は、日本の民主主義国家の中でパブリックコメントは、選挙には至らないまでも、非常に大事な国民の声だと思っています。前回の350、今回の4万6000の中で、殆どは、早期にスイッチ化を進めるべきだという意見であったと思います。詳細は資料を後でゆっくり見ていただきたいと思います。そうした有識者の意見とパブリックコメントの結果を踏まえて、資料2として、出された意見については、その重みづけをしてまとめる形にしており、十分議論が尽くされたと考えております。評価会議としては、薬事・食品衛生審議会の部会におかけして、採否を決めていただくことになるのだろうと思います。そこまでが我々の評価会議としての役割だと考えています。
 2020年中間とりまとめのときに最も重要なこととされたのは、各ステークホルダーがどのように連携を取って、リスク低減を最大化できるか、そして最適化できるかというこということです。図下のように、緊急避妊薬については生活者、薬剤師、薬局開設者あるいは製造販売業者、そして産婦人科医を中心とする医師、医療機関、それからワンストップセンター、そして自治体、国の連携が非常に大事です。国民のニーズに応えて、早急に連携体制をつくることを期待しています。ネットワークをつくることによって、例えばどの地域のどの薬局が緊急避妊薬を販売できるのか、あるいは医療機関とどのような連携が取れるのか、性暴力であるならばワンストップセンターとどのように連携が取れるのか。そうした連携とネットワークを国民に広く知らせていくことが非常に大切です。また、生活者のニーズとして、緊急避妊薬を求める女性が非常に多いということを、この評価会議の中で学ばせていただきました。緊急避妊薬の必要な方が具体的にどの位おられるかはわかりませんが、1年に6~7万人の女性が強制性交等の被害に遭っていると試算されています。また、望まないタイミングでの妊娠を緊急避妊薬により回避したい方々は、もっと多いのではないかと思います。この人たちが24時間365日、悩んでいて、その人たちをどう救えるのか。先ほどの薬剤師、医師、ワンストップセンター、自治体、国がどう対応できるのかということが、緊急の課題だろうと強く思っています。
 次に試験的運用についてです。先ほどどこまでのエビデンスを求めるかという話をしましたが、試験的運用が実現可能なのか、実施可能なのかについて事務局で検討していただきました。その前に、今日も構成員の方々から発言されたように、早期にスイッチOTC化を実現するという方向性は、7回の会議の結果として出ていると認識しています。そこで、早期とはいつまでかという時間軸が非常に問題になります。先ほど限られた期間、予算という重要な問題が指摘されました。またプロトコルとしては、n数、回答率、対象地域、アクセス、バイアスなど多くの問題が出されました。その重大性を鑑みた上で、厚労省と関係者で慎重かつ迅速に検討を続けていただきたいと思っています。
 試験的運用で緊急避妊薬を服用するという方々への説明・同意は非常に重要で、法的、倫理的な問題が生じます。そういったことも踏まえて、来年の3月までにどんな結果が出るのか、n数も少なく、エビデンスとして部会での採択に役立つのかなど、私は危惧しています。そういう意味で、早期にというのは、先ほど企業の話も出ましたが、2年以内には遅くても我々の評価の結果を踏まえて薬事・食品衛生審議会に現時点での結論を出していただきたいと強く思っています。それでも2年間で緊急避妊薬を求めている人、苦悩している人たちがどれだけいるかということを考えれば、我々は早急に行動をしなければいけないと感じています。
 評価会議の最後のまとめとしては、生活者、薬剤師、医師、医療機関、ワンストップセンター、自治体、国が連携とネットワークをつくって、少なくとも2年をめどに、苦悩する人たちを救えるようになっていただきたいという強い願いであります。そういう意味で、本日追加資料として事務局でまとめていただいた提案は一部修正していただくとしても、評価検討会議としては、ぎりぎりの表現をしていただいたと思います。磯部委員、どうぞ。
 
○磯部構成員
 ありがとうございます。全く反論はございませんが、1つ、今回の緊急避妊薬の問題は、企業が要望している品目ではなく、NPO法人の、どちらかというとそれを必要とされている方々からこういう女性の権利を守ってほしいということで御意見があって、今、医療用として出ているものをOTC化してほしいという形で来ています。企業の目線から見ると、事業予測性が非常に立ちにくい製品だと思います。どこで、いつ、どういうことが出るのかということも分かりにくいですし、企業は当然こういうことを、こういうニーズがある以上やってほしいということは、私としてもお願いしていきたいと思いますけれども、全く事業性のめどが立たないで、つまり、例えばドラッグストアとか薬局という新たな供給ルートの方々に必要な安全対策を全部説明し、提供し、また開発するコストもどうするのか、添付文書をどうするのか、外箱をどうするのか、ある一定の事業性の予測がないとなかなか各企業も取り組むのは難しいと思います。実際に今までそういうことの議論よりも、まず安全に使えるのかということでずっと議論してきましたが、ある程度めどが立ってきた段階では、今の笠貫先生の資料で言いますと、まさしく生活者ニーズ、社会のニーズからどのくらいの供給量が見込まれるのかとか、どのくらいのところで扱うべきなのかとか、そういった企業が事業性の予測をできるようなことも最終的には入ってくるとありがたいなと思います。なかなか難しいことなので、もうこういう場面しか言うところがなかったのですが、多分こういったケースのものは、まさしく未承認・適応外薬会議でもドラッグラグの解消のために一生懸命公募の仕方をどうするかとか、適応外の要請をしてどうするかということは苦労してやってきているわけです。今回のようなケースについては、そういうことも念頭に置きつつ、企業のほうに、どのように実際に提供、申請してもらうか、ちゃんと供給してもらえるか、また安定供給をどう確保するかということも近い将来考えなければいけないと思いますので、そんなことが何か参考になるような情報がいろいろなところで出てくればありがたいなと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 磯部構成員のご指摘も含めて、私が提出した資料の図には薬剤師、薬局開設者、製造販売業者を含めています。企業の方ができる作業はあるはずで、今の課題についても整理していただきたいと思っています。申請企業の課題については、国が早急に対応を考えていただければと思います。この評価会議の枠を超えた問題として、企業の事業予測性の問題やいつも指摘されている薬事規制の問題も、早急に検討していただきたいと思います。また、年齢制限の問題も、ここだけでは決められない問題だと認識しています。ステークホルダーの連携とネットワークをつくることは目的ではなくて結果であると思っています。それぞれのステークホルダーが今やれることを行動する、その結果として横の連携ができてネットワークができるのではないかと思います。生活者の強いニーズに対して、令和2年からでも3つの大きな政策が取り上げられており、国の積極的な関与が望まれるのではないかと感じています。この評価会議では、国の対応策を含めたところまで課題抽出と対応策について議論できたと思っています。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 貴重な御意見をどうもありがとうございます。先生が最後におまとめいただいたところで、これまでの議論の全体像がサマライズされたかなと思っておりますが、最後に磯部委員がおっしゃったところについては、確かに企業さんから見れば事業化予測、ビジネス的にどうかというのは当然重要なファクターになる。当然そういう認識でございます。そういったこともあるので、最後の総括意見のところで、企業から申請がなければ、そもそもOTCの承認はないわけなので、そういったようなことも含めて、最後、いずれにしても、これらのことについて対応が望まれるというのは、企業さんも含めて対応が望まれる。検討会議とか厚労省とか薬食審だけではなくて、企業さんに対しても当然、早期の対応が望まれるというところに一応思いを入れさせていただいているところについては御理解いただきたい。もちろん、必要な情報提供や情報共有は当然のこととしてやっていくことかと思っていますが、一緒になって、先生の言葉をお借りすれば全体が連携してやっていくことだと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。
 その上で、大体いろいろな御意見をいただきまして、資料2の内容、それから総括意見、一部追加あるいは修正等々ございますので、それについては本日の議論を踏まえて整理させていただきますが、確認でございますが、一応これで最終的な検討会の結果として、報告としてのとりまとめについては概ね検討会として御了解いただけたということでよろしいかと思っておりますが、それでよろしいでしょうか。
 
○笠貫座長
 宗林委員、どうぞ。
 
○宗林構成員
 岐阜医療科学大学の宗林です。ちょっと乱暴な質問ですけれども、今の処方箋薬をそのまま、単剤をそのままスイッチ化する場合は安全性、有効性の審査はそれほど時間とかはかからないのではないですか。本当に同じ用量のものをそのままスイッチ化する場合というようなことも考えられることは考えられるのですよね。他剤を入れたりとか配合を変えたりしないで、そのままそれをスイッチ化するという場合はいかがでしょうか。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 物としての有効性、安全性みたいなものについては、もちろん医療用で今一定の有効性・安全性が確保されて使われているわけですから、それはそれで問題ないと思います。ただ、今は当然のこととして、産婦人科医の診療、処方に基づいての調剤あるいは服用という形になっています。それが今度、OTCになるということは、薬剤師が直接購入者の女性に対して説明し、それで宮川先生が御指摘されたように、有効性の面もそうかもしれませんし、安全性の面での一定のリスクみたいなものがありますが、それをちゃんとカバーできるのか。それを薬剤師がきちんと説明できる、適切に購入者が使用できるような形で、添付文書はどうするのかと、効能・効果の書き方、用法・用量の書き方、注意事項の書き方をどうするか、それがまさにOTCとしての審査そのものでございます。OTCの審査はそういうところも含めてやる形になりますから、今すぐにとなると、逆に言いますと、これだけ課題と対応策があってどこまでやればいいのかというのが出ていない状況で、今すぐにというのはなかなかハードルが高いということになっているのかなというのがあります。以上です。
 
○笠貫座長
 本評価検討会議が2020年まで採否を決めていたときには、会議で議論された用法・用量や年齢などの方向性については本会議で決めていましたが、今後は部会において、本会議での多くの資料と議論を踏まえて採否を決めていただき、採択の場合は用法・用量、年齢等をどうするか決めていただくことになるのだと思います。
 2021年に再申請された緊急避妊薬のスイッチ化について、構成員の方々には2年間にわたり真摯に議論を重ねていただいたこと、そして多くの方々からパブリックコメントをお寄せいただいたことを深く感謝申し上げます。御協力ありがとうございました。

 

 

(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
03-5253-1111(内線 2737、4225)
 

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