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2023年5月12日 第24回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

令和5年5月12日(金) 16:00~18:00


○場所

オンライン会議
野村コンファレンスプラザ日本橋(オンライン会議場)
中ホール1(6階)
東京都中央区日本橋室町2-4-3 YUITO日本橋室町野村ビル


○出席者

出席委員 

磯部委員、岩月委員、上村委員、宇佐美委員、笠貫委員、近藤委員、
佐藤委員、宗林委員、高野委員、萩原委員、橋本委員、原委員、平野委員、
堀委員、松野委員、宮川委員、宮園委員、矢口委員、湯浅委員、渡邊委員


 

○議題

1.パブリックコメントを踏まえた緊急避妊薬のスイッチOTC化の課題点とその対応策について
2.その他

○議事


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから「第24回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催いたします。
 会議に先立ちまして、本検討会の構成員の交代がございましたので、御報告いたします。
 部坂構成員が退任され、新たに1名の方に御参画いただいております。御紹介申し上げたいと思います。
 橋本耳鼻咽喉科院長であります橋本循一構成員でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○橋本構成員
 よろしくお願いいたします。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 それでは、委員の出席状況でございますが、本日は、五十嵐構成員、宮園構成員からは、御欠席との御連絡をいただいております。また、近藤構成員、原構成員、湯浅構成員、矢口構成員が、後ほど遅れて御出席されるものと思います。したがいまして、現在のところ、15名の構成員に御出席いただいているという状況でございます。
 ウェブ会議を開始するに当たりまして、注意事項を御説明いたします。発言される際には、画面のマイクのボタンを押して、ミュートを解除した上で、お名前をおっしゃっていただいて、座長に指名された後に御発言いただきますようお願いします。発言されない場合には、マイクをミュートにしていただければと思います。また、会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事前にお送りしておりますウェブ会議のマニュアルに記載されている連絡先に御連絡いただければと思います。
 それでは、冒頭のカメラ撮影についてはここまでとさせていただきたいと思います。カメラの方は御退室いただければと思います。
 それでは、笠貫座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。
 
○笠貫座長
 それでは、本日の配付資料の確認からお願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。資料につきましては、ペーパーレス化を実施しておりまして、会議場での参加者におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。タブレット端末は、会議資料の議事次第を画面に表示した状態で配付しております。他の資料を画面に表示する際には、画面左上のところを指でタップいただいて、適宜、資料を御確認いただければと思います。
 本日の資料といたしましては、マイプライベートファイルに表示されている上から順に、会議資料、参考資料、また、笠貫座長からの提出資料となります。会議資料につきましては、資料を一つのPDFファイルとしておりまして、議事次第、配付資料一覧、緊急避妊薬のスイッチOTC化に係るパブリックコメントの結果概要に関する資料として、資料1~6となります。参考資料につきましては、開催要綱、構成員名簿、日本におけるスイッチOTC成分のリスト、検討会議の進め方、パブリックコメントの意見募集対象でございます「緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る検討会議での議論」を一つのPDFファイルとしており、参考資料1~5となります。その他の資料といたしまして、笠貫座長提出資料を準備しております。タブレットには、各個別の会議資料を個別資料のフォルダに保存してございますので、適宜御活用ください。
 本日の資料関係の説明は以上となります。御不明な点がございましたら、事務局までお申しつけください。事務局からは、以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、タブレットの不具合等がございましたら、お知らせください。それでは、宮川構成員、お願いします。
 
○宮川構成員
 冒頭に、皆さん方だけではなくて、全ての方に、懸念をしていることがあるので、少しお話をしたいと思います。今回の議題である、この緊急避妊薬と、先日承認されました経口中絶薬について、国民だけではなく、報道機関の方々さえも、その内容を混同する方がいる様子が見てとれるということが懸念点だと私は思っております。私としては、これをしっかりと考えていただきたい。その目的である中絶と避妊の違い、製品の違い、流通のされ方の違い等を混同されて、いろいろ報道されては非常に困るだろうと考えております。医療機関だけではなくて、薬局の方々、製造する方々、それを流通される方々、そういうことは非常にお困りになるだろうということで、国民の方々、報道機関の方々に、ぜひ、そのことをよく知っていただいて、そして、私たちも国民や報道機関の方々によく分かるように、しっかりとした議論の中で、コメントを出していければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。以上でございます。
 
○笠貫座長
 事務局から説明をお願いします。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 宮川先生、御指摘どうもありがとうございます。先生が御指摘のとおり、先般4月28日に、いわゆる経口中絶薬を承認させていただきました。本日御議論いただくのは緊急避妊薬ということで、一般の方が若干混同しているところもあろうかと思いますので、お手元の資料を共有させていただいておりますが、これに基づいてちょっと御説明させていただきます。
 先般4月28日に承認いたしましたものは、いわゆる経口中絶薬でございます。販売名はメフィーゴパックということで、ミフェプリストンとミソプロストールの2つの成分から成るものでございます。効能・効果は、ここに書いていますとおり、これはあくまでも妊娠から9週目までの初期の人工妊娠中絶に使われるお薬という形になります。
 このお薬は2つの成分を連続して服用するという形になりますが、ミフェプリストンについては、下のほうに書いていますとおり、妊娠の維持がしにくくなるという成分。その後、右側のミソプロストールという成分を服用することによりまして、子宮内の内容物の排出を促進すると、そういったことで人工妊娠中絶を完了させる。そういったお薬でございまして、国内では、こういった経口中絶を適用としたお薬としては、初めて承認したというものでございます。
 参考資料の下のほうに、その際に、承認に併せまして、留意事項に関する通知を、二課長通知の形で出させていただいてございます。この資料のほうに書いてございますが、まず、「記」の1番目でございますが、このお薬、そもそも人工妊娠中絶というものが、母体保護法の指定医師しか扱うことはできません、対応することができませんので、当然のこととして、この中絶薬は、指定医師の確認の下で投与を行うということになります。ですから、薬局とかで手に入るのかということでありますが、これは、産婦人科医である指定医師の下でお使いいただくという形になりますから、病院または診療所で、それを受けるという形となり、薬局では手に入りません。
 この下の2ポツにございますが、この薬を使うに当たりまして、安全なお薬でございますが、出血とか嘔吐とかそのような副作用は一定のものがございます。ですので、日本ではまだなかなか慣れていないということもございますので、いずれにしても、緊急時に適切な対応がとれる体制の下で使われるべきということになっているところでございます。
 ここにただし書で書いてございますとおり、日本ではまだ慣れておりませんから、その使用体制が確立されるまでの当分の間は、お使いいただける施設は、入院可能な有床施設すなわち病院または有床診療所に限定させていただく。さらには、ミソプロストール、2剤目を投与した後には、いわゆる胎嚢が実際に排出される。これはおおむね8時間ぐらいで大体90%ぐらい排出されますので、この胎嚢が排出されるまでは施設へ入院いただくか、あるいは、入院でなくても、院内待機を必須とさせていただくという扱いにしてございます。
 この当分の間というのはいつまでなのかということについては、先般4月28日に承認しておりますが、今後、十分な調査研究を実施したいと思っておりますので、その中で、適切な医療連携体制の在り方を検討し、それを評価し、その後どうするかというのは、その結果に基づいて、検討・判断するという形にしたいと思っております。
 それから、3ポツでございますが、先ほど、1ポツで申し上げましたとおり、指定医師のみでしか使えないという形になりますから、厳格な流通管理を求めております。これは、承認時の承認条件を付しております。メーカーにおいては、流通管理手順書をつくりまして、各都道府県医師会に、メーカーはその販売数量を毎月報告する。一方で、医療機関は、その月ごとの使用数量とかそういったものを報告し、各都道府県医師会におかれては、その整合性を適宜確認するなど、必要な措置、指導を行っていただきたい。そのようなお願いをしているということでございます。
 4番、5番については、母体保護法の観点からの留意事項となっていますが、お薬に関しては、そういうことでございます。
一方、本日御議論いただくのは、いわゆる緊急避妊薬ということで、今回のものについては、性行為があってから72時間以内に服用すれば、主には、排卵を抑制する、あるいは、受精しても、その着床を抑制するということで、妊娠そのものを抑制する効果があるということで、そういったようなお薬が、今、医療用という形で承認されているもの。それを、今、御議論いただこうとしているのは、医師の処方箋がなくても、薬局などで手に入るようにできるのかできないのか、そういったことを議論しているということでございますので、先般の経口中絶薬とは、目的、使われ方は全然違うものでございますので、その点はよく御理解いただければと思っております。
我々も、厚生労働省のホームページで、この中絶薬について、新たなホームページを用意しておりますので、そちらのほうでの注意喚起、情報提供を行っておるところでございますが、そういったことで正しく御理解いただければと思っております。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。宮川構成員、よろしいですか。
 
○宮川構成員
 ありがとうございます。医薬品は、正しい理解の下で安全に使用されていることが大前提になります。このように、厚生労働省は、国民への啓発を十分に行ってほしいと私も考えております。また、報道関係の方々にも、国民の理解のために、ぜひ、御協力をいただきたいと思います。皆さんのこれからの御理解をいただきたいなと思って、今、発言させていただきました。座長、ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 本日の議題である「パブリックコメントを踏まえた緊急避妊薬のスイッチOTC化の課題点とその対応策について」に移りたいと思います。今回、パブリックコメントは、非常にたくさんの国民の方々から御意見をお寄せいただきましたこと、心から感謝いたします。それだけ国民の関心の高さを示していると思いますが、パブリックコメントの結果概要について、まず事務局から説明をお願いして、次の皆さんの議論を進めたいと考えています。それでは、事務局から説明をお願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。それでは、資料1を御覧ください。資料1は、パブリックコメントに寄せられた御意見等についてまとめた資料でございます。本検討会議における緊急避妊薬のスイッチOTC化に係る検討内容につきましては、令和4年12月27日から令和5年1月31日まで御意見を募集したところでございます。今回のパブリックコメントでは、参考資料5が、実際のパブリックコメントを実施した際の資料になるのですけれども、その資料の内容により、スイッチOTC化の課題点、その対応策等について、広く意見を募集し、46,312件の御意見が提出されました。
 今回のパブリックコメントでは、スイッチOTC化の可否についての御意見を募集したものではございませんでしたが、提出されたコメントは、結果的に、ほとんどの御意見に賛成や反対という御意見が含まれており、中には賛否のみを示した御意見も多数提出されておりましたことから、参考までに、賛否の件数をお示しさせていただいております。スイッチOTC化に賛成との御意見が45,314件、スイッチOTC化に反対との御意見が412件、スイッチOTC化への賛否が不明である御意見が586件でございました。なお、賛成の御意見の中には、対応策を講じれば、将来的なOTC化に賛成との御意見、アクセスの向上を求める御意見、使用するかどうかは本人が決めるべきとの御意見も含まれているところでございます。なお、参考までに、平成29年にパブリックコメントを実施した際の件数といたしましては、348件の御意見でございまして、その内訳は、賛成が320件、OTC化に反対との御意見が28件でございました。
 それでは、資料の下のほうに参りまして、寄せられた主な御意見について御紹介申し上げます。まず、スイッチOTC化のニーズでございます。緊急避妊薬は性犯罪や性暴力の被害者が使う薬であるという誤った認識を持っているのではないか。DVなどはごく一部であり、例え良好な性関係であっても、望んだタイミングでの妊娠ではない女性が多くいて、ここにも緊急避妊薬の大きなニーズがあるといった御意見でございます。
 続きまして、課題点、対応策、考え方、意見等に参ります。項目ごとに御紹介いたします。次のページに参りまして、まず、年齢制限等に関する御意見でございます。1点目は、年齢制限は設けるべきという御意見。2点目は、年齢制限を設けてはならない、親の同意を求めることは反対するという御意見です。なお、年齢に関しましては、本検討会議の議論におきましても、性交同意年齢と医療同意年齢が乖離しており、その乖離によって、受診のハードルまたは受診したときの医療のハードルが高くなっていると考えられるという課題が示されているところでございます。こちらにつきましては、本日の資料3でお示ししておりますように、法務省で、性交同意年齢を16歳に引き上げるという点も含めた法改正が進められているところでございます。この資料3でお示しした情報は少し古い情報となっておりますけれども、現在、国会にて法案審議中という状況であると聞いているところでございます。
 また、資料1に戻りまして、続きまして、2番目の薬剤師の研修に関する御意見でございます。1点目は、薬剤師の研修にも性教育の項目を課すべきという御意見でございまして、セカンドレイプのような発言が出てくることも容易に想像できるため、研修できちんと教えてほしいといった御意見でございました。2点目は、研修を必須化することで対応できる薬剤師が限定され、薬へのアクセスの妨げになりかねない、全ての薬剤師が、いつでもeラーニングで習得できる環境を整えることが必要という御意見でございます。3点目は、レボノルゲストレルは安全性が高く、用法も簡便な薬であり、その他多くのOTCと同様に、全ての薬剤師が適切に販売できると考えられるため、研修を義務づけることは不要であり、チェックシートやリーフレット等で対応可能という御意見で、その下に具体的な記載がございました。なお、薬剤師の研修に関しましては、本日の資料4でお示ししておりますように、本検討会議におきましても、第17回検討会議におきまして、岩月構成員から研修の現状について御紹介をいただいているところでございます。
 資料1に戻りまして、3番目のアクセス・体制に関する御意見でございます。1点目は、本検討会議の議論において、緊急避妊薬のスイッチOTC化は、十分なニーズが確認されており、早急に、薬局等にてアクセスできる環境が必要である。一部地域の薬局等での試験的な運用等を行い、運用上確認された課題を随時検討するほうが望ましいという御意見。2点目は、全ての薬局に配置できずとも、市区町村の中で何か所か取り扱う薬局を定め、それを厚生労働省や県等のサイトで一覧を提示することで構わないと思うという御意見。3点目は、緊急避妊薬の手に入れづらさは多くあるといたしまして、受診するための時間や初診・受診・薬代を含めると高価である。いまだに男性医が多く、打ち明けづらいという観点をお示しいただいており、特に金銭負担が受診の妨げになりやすいという御意見でございます。4点目は、必ず個室で対応するというような特別な配慮は不要だが、プライバシーに配慮した相談を希望した場合には、対応が必要という御意見でございます。
 次のページへ参りまして、4番目、薬事規制に関する御意見でございます。1点目は、対面での情報提供や相談を経ずにアクセスすることへの危うさも残されている。スイッチOTC化するに当たって、処方箋医薬品の分類を、処方箋以外の医療用医薬品に分類し直すとされると思われるが、その段階で、薬局は、先んじて対面販売をすることもでき、この段階で、薬剤師が情報提供や相談に応じて、実績を収集することで、大きく制度を変えずに、規制緩和への道筋に具体的に示せるのではないかという御意見でございます。2点目は、悪用・濫用については、対面販売ならある程度のハードルがあるので、そういうことにはなりにくいのではないかという御意見。3点目は、薬剤師の対面販売や事情聴取等を必要とする根拠が乏しい。オンラインでの分かりやすい説明書、動画等への誘導で足りる、対人ストレスを感じさせない媒体による指導が望ましいという御意見です。4点目は、リスクマネジメントの点において、要指導医薬品に留め置くことの合理的な理由は見いだせない。一方で、薬剤師が直接販売することで、各種情報提供が確実に行われたり、相談の機会となるメリットがある。スイッチOTC化後の状況を分析した上で、これらのメリットとインターネット販売を含むアクセス改善について評価し、判断すべきという御意見です。なお、販売制度に関しましては、本日の資料5にお示ししておりますように、厚生労働省においても、本年の2月から、医薬品の販売制度に関する検討会において検討が進められておりまして、その中の検討項目には、要指導医薬品・一般用医薬品等の区分の在り方についても含まれているところでございます。
 資料1に戻りまして、5番目の観点、性教育・認知度に関する御意見でございます。1点目は、小・中学生の早い段階で、性交や妊娠・出産、性的少数者の人権などについての教育推進も並行して行うことを前提として進めてほしいという御意見。2点目は、性に関する知識は大切だが、逆に今、性教育が遅れて、避妊や対等な男女関係についての正しい知識を持たない人が多いからこそ、緊急避妊薬へのアクセスのよさが重要といった御意見。3点目は、不十分な性教育は文部科学省の問題であるため、OTC化の否定とは別に論じられることだと思う。一方、性教育が不十分だからというのは、OTC化を妨げる理由になっていないという御意見です。なお、性教育に関しましては、本日の資料6にお示ししておりますように、文部科学省等においても、地域・学校におけるこどもの性と健康に関する取り組みの充実についての事務連絡を、本年3月に発出しているとのことです。各都道府県、市区町村、母子保健主管部局、各都道府県教育委員会等及び学校に対しまして、産婦人科医や助産師等の専門家と連携することや、各地域の実情に応じて、こどもの性と健康に関する普及活動・相談支援に係る取り組みの充実を図ることなどを依頼するという対応について、記載されているものでございます。
 資料1に戻りまして、6番目、価格に関連する御意見でございます。自分自身の判断で誰もが入手できるように、安価な価格で、薬局で購入できるようになることを希望するという御意見です。
 続きまして7番目、医療機関との連携に関する御意見でございます。1点目は、OTC販売時には、72時間以内に産婦人科に受診する緊急性が高いことを必ず薬剤師から説明し、薬剤師が最寄りの産婦人科を案内し、つなげるなどとして、産婦人科を受診しやすいように手助けするといった御意見。2点目は、緊急避妊薬を販売後、産婦人科医の受診を勧めることが望ましいと考えるが、受診必須化するという管理の考えは、女性が自らの意思で決定するとの観点から、妥当ではない。薬剤師から医師への紹介状の制度化などの工夫が必要という御意見。3点目は、在庫の有無等でアクセスが担保されないとの懸念については、薬局間での在庫確認や近隣薬局の案内、薬局-病院間でも疑義照会など、連携する体制は既に整っており、緊急避妊薬のスイッチOTC化に伴って、特別な体制づくりは不要。よりよい連携に向けて、近隣病院・薬局との連携に積極的に取り組むことや、薬剤師が関係機関の役割について学ぶことは、地域のヘルスケアを担う存在として、緊急避妊薬に関連する連携に限らず、求められるという御意見でございます。
 続きまして8番目、性暴力被害者への対応に関連する御意見でございます。1点目は、ワンストップ支援センターの認知度は非常に低く、センター自体も十分な拠点数があるとは言えない状況であり、このような状況で、ワンストップ支援センターを中心に性暴力支援を語ることは、助けにはならない。理想的な支援体制と異なるから、緊急避妊薬のスイッチOTC化を阻むのは問題という御意見。2点目は、都道府県のワンストップ支援センターは、多くて3か所程度、夜間非対応のところもあり、十分にアクセス可能と言えるのか。アフターフォローはあるにこしたことはないが、時間の経過とともに効力が下がってしまう薬である性質に鑑み、今、この瞬間にすべき対応を先延ばしにしてはならないという御意見。3点目は、性暴力被害への対応は、隠れた被害者も想定し、全ての購入者に情報提供を行えるよう、分かりやすく、なじみやすい情報提供資材を配布するのが望ましい。性暴力被害者への直接介入は、専門機関が行うべきであり、販売者が介入方法を習得する必要はないという御意見です。
 最後に、その他の御意見でございます。1点目は、もし、事前の説明や検査が十分でなかったとして、訴えられたときに備えて、薬剤師も賠償責任保険に加入する用意はあるのかという御意見。2点目は、ドラッグストア勤務の薬剤師に関する実態に関する御意見で、正社員の薬剤師がワンオペで勤務していることが多い。非現実的かもしれないが、非正規の薬剤師を含めて複数人でローテーションすれば、平日の営業時間外や休日の対応も可能になるかもしれない。調剤薬局やドラッグストアの経営者、従業員も交えて、72時間以内の服用に間に合うように提供するために、この問題点にどう対処していくのかを議論する必要があるという御意見。3点目は、基本的人権としてのSRHRが尊重されることを強く望む。リーフレットやウェブサイトを活用することで、避妊についての正しい情報提供は可能であり、合理的な理由なく、服用後の産婦人科受診を勧奨することは、女性を主体性のない存在と見る行為であるという御意見でございます。以上が、パブリックコメントで寄せられた主な御意見でございます。
 続きまして、資料2を御覧ください。資料2は、本検討会議での議論をまとめた内容、つまり、参考資料5の内容とパブリックコメントで提出された主な意見を項目ごとに整理したものとなっております。主な御意見として記載しているものは、資料1で記載している主な意見と同じものになっております。本検討会議でこれまでどのような議論があって、それに対するパブリックコメントによる御意見はどのようなものかということを対比させたものとなります。本日の議論の際に、資料2を御活用いただければと存じます。
 事務局からの説明は、以上となります。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。46,000件を超えるパブリックコメントは、項目ごとに御意見をいただいておりますので、それを踏まえて、御議論をいただく必要があると思っております。具体的には、項目ごとに、課題点、それに対する対応策・考え方の是非、それから、新たな課題点・対応策等の有無について御議論いただき、さらには、課題ごとに、今後どのような方向性があるのかについて、議論をいただけたらと考えております。緊急避妊薬は、2021年に要望がありましてから、今日で6回目の会議になるわけですが、その間に、この評価会議で、課題点・対応策について議論を進めてまいりました。今回のパブリックコメントを受けて、議論の進め方として、資料2に、パブリックコメントで提示した課題とその対応策、そして、それぞれの課題ごとに、パブリックコメントで提出された主な御意見を併記してありますので、資料2に沿って、また、項目も大きく3つにまとめながら、議論を進めていきたいと考えています。進め方に関して、御意見はございますか。まず、堀構成員から、あらかじめのコメントが出されていますので、堀構成員お願いします。
 
○堀構成員
 笠貫座長、ありがとうございます。COMLの堀でございます。今回、たくさんのパブリックコメントの御意見をいただき、私から、一般市民、そして、消費者の立場から、あくまでも個人的な意見として、今回、コメントをさせていただきます。
 私は、この緊急避妊薬が、今後、販売されるに当たり、女性が自分で自分の心と体を守るための選択肢の一つとして、今後、どのように取り扱われるべきか、その重要性を改めて感じました。パブリックコメントに寄せられた意見を拝見しますと、様々な立場の方からの多種多様な意見がございました。賛否に関しましては、先ほど御報告がありましたように、賛成意見が多数だったこともあり、今まで、本検討会議で議論に挙げられていたような、様々の課題の対応策を早急に見つけていかなければならないとも思いました。しかしながら、全ての対応方策を講じるには、時間を要します。また、慎重に進める必要もあると考えます。そのために、私からは、まず、現在挙げられている課題を検証するために、パブリックコメントにも意見がありましたが、現時点でも実現できそうな一部地域における試験的な運用をスタートする必要があるのではないかと思いました。もちろん、平等に、全ての地域においてスタートすることは私も必須だと思っております。しかしながら、まずは、今は、多くのデータを収集し、その結果を分析することは、今後、当該薬品をどのように販売するか、その重要な判断要素になることを考えると、まずは、購入者の背景、安全性、及び有効性やそのほか、販売に関わる情報収集を行うことが、先決ではないかと思いました。
 ただし、試験的な運用をするためには、早急に解決する課題として、販売における2つの課題が挙げられると考えます。1点目は年齢制限。2点目は、薬局における薬剤師との対面でのやり取りです。以下、その2点に関しまして、私から、それらの課題に対する意見をお伝えいたします。
 まず、薬局における1点目の年齢制限についてです。私は、販売に関しては、年齢制限は設けずに販売は必要と考えますが、18歳を境に、年齢に応じた薬局での販売方法を変えることを提案します。例えば18歳以上であれば、そのまま直接本人へ販売します。しかしながら、18歳未満は、副作用やその後の対処方法なども考慮すると、保護者付き添いであれば、その場で販売するなどの販売の方法に違いを設けることが必要かと思います。また、18歳未満で、本人のみの来局の場合は、様々な状況における望まない妊娠の可能性が高いこと。また、消費者自身がその症状を的確に判断することが困難であるなどの理由から、販売後の薬剤師のアフターフォローが必要と考えました。ですので、例えば、服用後は薬局からLINEなどの媒体を通して、必ず本人と連絡を取り、副作用などの確認、及び相談などのアフターフォローをすることを条件として販売することを検討すべきではないかと思いました。また、販売時に、薬剤師が必要であると判断した患者、消費者においては、服用時に、薬局と連携している産婦人科やワンストップセンターに、何らかのアクセスを取るなどの条件を設けることも必要かと思いました。
 2点目の薬局における薬剤師とのやり取りですが、パブリックコメントでも記載がありましたが、DVなどの被害者は、被害を受けた直後は、特に体だけではなく、心に大きなダメージを受け、センシティブになっているため、男性に対してより恐怖や不快を感じがちになっています。そのような被害者が、夜間や深夜に薬局で購入する場合、その時間帯での対応可能な薬剤師は、男性がほとんどかと思います。ですので、その場合の対面でのやり取りの方法に関し、早急に検討が必要かと思いました。そのためには薬剤師の研修の内容も大変重要とは思いますが、なるべく購入者との直接会話を控えることができるような、デバイスやアプリを活用し、チェックリストを使った問診を行うことも検討すべき項目かと思います。また要指導医薬品として販売されれば、服用する本人には、対面により、薬剤師からの書面による情報提供が義務づけられます。そうなれば、全ての購入者には、薬の副作用や効果の説明だけではなく、近隣の婦人科やワンストップセンターなどの、今後の相談先の情報提供、及び、避妊方法や性感染症などの予防方法に関する情報のQRコードやURLの提供も同時に行うことができれば、本人にとっても、今後の対策につながっていくのではないかと、パブリックコメントを読みながら、感じました。
 本会議における緊急避妊薬の検討に当たり、緊急避妊薬の服用を必要とする女性が購入しやすい環境の整備は、とても重要だと思います。しかし、同様に、服用後に、その女性に対して、どのようなフォローが必要なのか、そのデータを集めることも、今後、望まない妊娠の数を減少させるためには必要かと思います。そのためにも、早急に、実現の可能性が高い一部地域における試験的な運用を望みます。以上です。
 これらの意見は、あくまでも個人的な意見ですので、実現の可否も含め、様々な有識者の方からは御批判または御意見もあるかと思います。しかし、これだけたくさんの方からパブリックコメントをいただいたのであれば、何かしら、今すぐに、アクションを起こす必要があると私は考えました。ですので、私からの意見に関しましては、それをたたき台にして、皆様から御意見及び御検討をいただけましたら、幸いです。座長、ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。堀構成員から、多くの課題についての対応策を講じる必要があるということを、改めてお話しいただくとともに、時間がかかるので、まず早急に、一部地域における試験的運用を通じて、データ情報を収集・分析した上で、判断してはどうかという御意見がありました。試験的運用についての提案は、今回初めてだと思いますが、いかがでしょうか。
 
○岩月構成員
 今、堀構成員から御提案をいただきましたことに関しましては、常々、薬剤師会も申しておりますけれども、アクセスの改善。ただ、議論でありましたように、いろいろな課題もあるということですから、この試験的な運用で、私たちも、どのような課題があって、それをどのように解決していくのかということでは、ぜひトライしてみたい、やってみたいと考えております。フィードバックをして、問題点を改善するためには、必要なことだと考えておりますので、このような御提案をいただいて、進めることができればと考えております。以上です。
 
○笠貫座長
 宮川構成員、お願いします。
 
○宮川構成員
 私も、今、岩月構成員がおっしゃったことと、それから、堀構成員からも御提言があったことは的確なことだと思っております。私としては、試験的な使用は、しっかりとした体制を構築をしていかなければいけない。場所的な問題等も含めて、それから、そのチームを組んでいく構成員ですね。そこのチームをどうやってつくっていくのかということが重要で、その中でも重要なのは、時間的な問題があるため、72時間以内に、確実にその対応が取れること、そして、確実にその避妊がきちんとした形でできているかどうかの検証ができることです。この薬による避妊は100%ではないので、その中で、きちんとしたことができるということの検証も含めて、医療機関で、その後のフォローもしっかりとできなければいけない。ですから、今、岩月構成員がおっしゃったように、試験的なことを、しっかりとしたチームをつくって、検証していくことが重要ではなかろうかと考えます。時間的なことは少しずれるかもしれませんが、育薬をして、確実に、国民の皆さん方にこの薬が届くということになるのではないかと思いますので、ぜひよろしく御検討いただければと思います。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。堀構成員の提案に対して、岩月構成員、宮川構成員からの御意見をいただきました。
 
○松野構成員
 日本保険薬局協会の松野と申します。お二人の御意見と、堀構成員からのすばらしい発表等を聞いて、私も同じように感じておるのですけれども、一番大切なことは、早急に対応することだと感じておるのですね。それが、一部地域でやることのほうが、早急に対応できる試験的な運用につながるということでしたらば、それに沿うことが必要であろうと思うのですけれども、その一部地域で、試験的な運用がどれぐらいの期間やったことで、その課題点が見つかるのかという点で、また、ここで数年かかって、やっと全地域に行くということになれば、望まれる方たちへ、いつ、実際に到達できるのかというところも、問題として残ってくると思うのですね。ですから、それが早急にできるにはどうすればいいのかということを、一部地域だけにとらわれずに、やっていただくことがいいのではないかなと感じております。以上です。
 
○笠貫座長
 今後の方向性として、試験的運用を通じたデータ情報の収集を実施して、課題対応策を検討するという、新たな提案がありましたが、この提案について、御意見がありましたら、どうぞ。
 
○佐藤構成員
 産経新聞、佐藤です。ありがとうございました。試験的な運用について、発言をいたします。今すぐに、全ての薬局で扱えるとは思っておりませんので、一部の薬局でするというのは、現実的であると思います。なぜ、全ての薬局でできると思わないかというと、研修の受講、それから、相談機能をきちんと果たせるかどうか、この薬が、産婦人科にアクセスできない人のために用意される薬であることを考えると、土・日に開いている薬局かどうか、在庫が置けるかどうか、ということもあると思います。そう考えますと、全ての薬局にすぐに置けるわけではないということは理解します。一方で、これまで、かなり長いこと議論をしていて、今から、またモデル実施か、という感じもいたします。パブリックコメントも堀構成員も「一部地域の薬局」とされましたが、私の感覚としては、「地域の一部薬局」のほうが適切ではないかと思いました。地域の中でできる薬局の何か所かで、普通の方が一般にアクセスできる数を確保して始めるというほうが、私としてはしっくり来る感じがします。もしも、そうではなくて、本当に地域を絞って、日本の中のある地域でしかやらないというのであれば、それは、いつまでそうして、どのぐらいの期間で広げるのか、例えば1年程度だと、お尻を決める必要があると思います。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。どうぞ。
 
○宗林構成員
 宗林です。私も、同じような考えをしていまして、一部地域で、たくさんの方が集中的に利用するという形よりも、全国的に、利便性とかアクセスは、それほどは皆さんが行けるような形にはなりませんけれども、薬局の活動をすごく絞りながら、全国でやっていくというほうが、いろいろな意味でいいかなと思います。そうしますと、研修はどのぐらい必要かとか、年齢等の関係で、どんな場合に、特に医師につなげていかなくてはいけないかということであったり、あるいは、ここで、今までなかなか議論がされていませんけれども、アクセスがよくなることは、利便性も上がり、使用頻度も、私たちは、めったに使わない緊急と思いますけれども、利便性が上がるという言葉に言い換えてしまうと、1回使った後、次はどのぐらい最低空けなくてはいけないかとか、そういう安全性の問題もあると思いますので、そういった最低限のことを決めて、アクセスはそれほどよくないけれども、全国的に幅広に、一部の薬局で始めるというほうがよろしいのではないかと思います。その場合でも、同じように、1年とか試行期間を絞れば、同じようなことが言えると思いますので、そんな形でやっていただくほうが、私は賛成いたします。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。磯部構成員、どうぞ。
 
○磯部構成員
 ありがとうございます。OTC医薬品協会の磯部でございます。今の堀構成員の御意見、それから、松野構成員や佐藤構成員、宗林構成員のお話もお伺いいたしまして、私としては、この問題、私は途中から入ってまいりましたが、非常に長い期間をかけてきて、これだけの御意見をいただいています。こういった国民の皆様の声に応えていくのが、この検討会の大事なことだと思いますので、先ほどの堀構成員の御提案も、一歩前に必ず進めるのだということの意識だと思います。そういうために、まだ御心配をされている向きもあるので、その点については、データも含めて、しっかりやっていくと、先ほど宮川構成員も、検証していくというお言葉でされておりましたが、そういう御心配されている方々に対してお応えできるものをつくっていくっていうことは、よく分かります。では、一回喉元過ぎて、それでやったら、もういいのかという話に意外となりがちになりますので、私は、一部試験的運用をやる上では、佐藤構成員もおっしゃっていましたが、期限を一回決めて、それで、次の段階を必ず考えるということははっきり決めた上で、スタートしないと、何となく試験的運用が、データもなかなか集まらないと思いますので、だらだらと行って、結局、何だったのかとならないようにすることが、極めて大事だと思います。それから、具体的なやり方の中身は、これからだと思いますが、私は、特に、日本薬剤師会で、各県の薬剤師会が、オンライン診療を認められたことに伴ってやった研修をつぶさに見ておりまして、各地域の薬局薬剤師の方々が、ほとんど来るかどうかも分からない、在庫を置いても、ほとんど研修を受けるだけという中で、必死になって研修を受けられていた姿をよく思い出しまして、私は、そういう現場の薬局薬剤師の先生方のそういう気持ちは非常に大事にして、今回の問題の試験的運用の非常に重要なことは、その患者さんの気持ち、いろいろな場面でこういうものが必要になる方がいます。DVの方もいるし、そうではないようなケースの方もいるので、その方の気持ちをよく分かって、その方に寄り添っていくような人、そういうことの研修を、これまで薬剤師会、ほかでもやられていると思いますが、そういう研修を受けた方がしっかりこのことをやっていく。だから、地域を限定するというよりは、そういう人がこの中でやっていくのだということをはっきりさせていくことのほうが大事で。今、大体1万人以上受けられてきて、もう2巡目、下手したら3巡目ぐらいやられていると思いますので、そういう方々を中心にやっていけば、かなりの数のところも確保もできますし、かなり全国的な対応で、ある程度の地域ごとに、複数の薬局が確保できる可能性もありますから、そういうような形での運用をやるのが、現場の薬局薬剤師の皆さんの非常に献身的な勉強の姿も対応でき、また、一般の方々のいろいろなこういった声、45,000件あった声にも対応できて、これは間違いなく一歩進んだなと。その上で、また、次のことをどうするのかとなると思いますので、そのようなことを考えていただければ、ありがたいと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 高野構成員、どうぞ。
 
○高野構成員
 高野です。ありがとうございます。皆さんの御意見出尽くしてしまったので、手を挙げたタイミングがちょっと遅かったかなと思ったのですけれども、ただ、私が思ったのは、いろいろな検討が必要かなというのは確かに思います。テストケースも、そういった中で、工夫をしながら、意見を求めていくという工夫も必要ですけれども、その中で、全国に点をつくって、それが広がって、最終的に面になっていくことが、一番重要なのかなと思うのですね。求めている方は全国におられて、偏在化しているわけでもないので、全国いろいろな地域の特徴もありますので、地域を限るのではなくて、その地域の中の薬局をピックアップして、しかも、日本薬剤師会さんで研修なども行われて、かなり先進的な取り組みをされているところもありますので、そういった方がリーダーシップを取りながら、地域の中で研修に参加していただいて、その地域の中で、よりリーダーシップを解禁された中でとれていくような流れができたほうが、いいのかなと思いました。以上です。ありがとうございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。宮川構成員、どうぞ。
 
○宮川構成員
 宮川でございます。今もずっと意見が出ましたけれども、何回も私言いますが、72時間で日本の中でアクセスできないところはないわけです。先ほど、岩月構成員や磯部構成員がおっしゃったように、一生懸命研修されて、懸命に努力されている薬剤師の方がいっぱいいらっしゃいます。そこのところに、72時間で届かないところはないわけですね。ですから、地域の中でしっかりとした箇所をつくれば、必ずやお救いできる。困っている女性の方々に寄り添うということができている薬剤師の方に届くような、そういう方策を取っていただければいいのではないでしょうか。それで、高野構成員がおっしゃったようなところが実現できるのではないかなと考えます。ですから、72時間の中で届くような、地域の拠点をつくっていくことをしっかりとして、その中で検証をしていくことにすれば、1年という猶予がなくても、ある程度検討していけるのではないかと思います。時間を区切るだけではなくて、人を信じていくという形の中でできていくのではないかなと私は思っております。よろしくお願いします。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、一部の地域の試験的運用と、地域の一部の薬局での運用という二つの流れが議論されてきたと思いますが、試験的運用については、新たな問題点、方法論も含めて、事務局から、現実的なお話をしていただけたらと思います。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 いろいろな御意見、どうもありがとうございます。皆様方の御発言、御提案を聞きますと、もう既に、こういう試験的運用を行って、その具体的な内容をどうするのかと、そういったようなところまで議論が進んでいるように思っている次第でございます。
 ちょっと水を差すようで恐縮でございますけれども、御提案いただいた試験的運用、確かに、できれば、すごく非常に効果的だと思いますが、そもそも今、この薬につきましては、いわゆる処方箋医薬品ということで、処方箋を持ってきた方にしかお渡しできない、そういったお薬、法的にそう位置づけられているわけでございますので、これを試験的に運用するという形になりますと、そういうことをしていいのかという、その法的な根拠、法的な妥当性があるのかということについても、ちょっと検討する必要がございます。
 たった今御提案をいただいたという形になっておりますので、その辺りについて、我々として十分な検討が進んでいる状況ではありません。また、法的な根拠があったとしても、場合によっては、薬剤師さんがそうすることによる何らかの責任問題、そういったことも発生するかもしれませんので、そういった意味ではいろいろな課題も、具体的な試験的運用をどうするのか、どんな課題を解決するのかという問題もあるかもしれませんが、そもそもこの試験的運用をどういうふうにやれるのかといった意味での課題、問題点があろうかと思いますので、そもそもこの試験的運用が実施可能かどうかを含めて、大変申し訳ありませんが、事務局でちょっと引き取らせていただきまして、そもそも実施可能なのかどうかも含めて、検討させていただければ、ありがたいかと思っております。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。医療用医薬品の試験的運用は臨床研究レベルの話になりますし、スイッチOTC化をどうするかということでの試験的運用は、初めての御提案になります。そういう意味で、事務局からお話しいただいたように、それが実現可能なのかどうかを詰めていただいて、できるだけ早く、次回にお話をいただくということになると思います。さらに、地域の中の一部の薬局からという、議論が出ましたが、いずれにしても、方向性としては、OTC化の採否の話にも関わってくると思います。改めて、この評価会議の位置づけは課題点を整理して、その解決策を検討するということですので、まず、今日御提案いただいた試験的運用は可能かどうかについて、事務局にまとめていただきたいと思います。どうぞ。
 
○宗林構成員
 いわゆる事務局がおっしゃっていることは、OTCとして申請を出してくるときのいろいろな要件が、なかなか難しい部分がまだ詰まってないということですよね。その中に、試験的運用をするときには、それがまずないと駄目だよなという話を私も思って言ったのですが、例えば何錠の包装とか、投与の方法とか、それから、対象者、この辺が、今回の年齢の制限にも関わってくるので、関わってくる部分はちょっと議論したほうがいいかなと思ったのと。先ほども少しお話ししましたが、安全性としての最低限空けなければいけない投与間隔、そういった問題は、データがあるのかないのかということも含めて、次までに、もし教えていただければと思います。そうしないと、それが出てきたときに、結局、それがスイッチOTC化医薬品として承認ができるかどうかということに関わってくると思いますので、そうしないと、この議論がなかなか難しいので、よろしくお願いします。
 
○笠貫座長
 こうした問題については、必ずしも正解がないもので、不確定要素の高い中で、生活者、国民にとっての解を求めようとして、いつも困難さに悩んでいるところだと思います。いずれにしても、時間に制限がありますので、まず、46,000件のパブリックコメントについて議論させていただいた上で、最後にもう一度、試験的運用についての議論をする時間を取りたいと思います。
 それでは、項目ごとに、課題点・対応策・考え方の是非、それから、それぞれの新たな課題点・対応策の有無、そして、今後の方向性を、最後に、試験的運用へ話を進めたいと思います。
 まずスイッチOTC化のニーズについての御意見がありましたらお願いします。これも、議論はかなり出尽くされたと思いますので、特にご意見がなければ、次の話に移りたいと思います。
 続いて、スイッチOTC化にする上での課題点・対応策についてですが、先ほども話が出ましたが、年齢制限、薬剤師の研修の項目について、御意見がありましたらお願いします。資料3で説明がありましたが、性交同意年齢の見直しについては、法務省において、法改正の動きがあるということです。それから、資料4にあるように、第17回検討会議において、薬剤師の研修の現状については、岩月構成員から説明いただき、確認しているところです。年齢制限、薬剤師の研修等について、何か議論がございますでしょうか。佐藤構成員、お願いします。
 
○佐藤構成員
 年齢制限について発言したいのですが、よろしいでしょうか。
 
○笠貫座長
 どうぞ。
 
○佐藤構成員
 ありがとうございます。年齢制限について、この場できちんとテーマ出しして議論されたことはないのではないかと思いますが、年齢制限をつけることは望ましくないと考えます。3つ理由があります。まず1つ目は、安全性です。薬として安全な薬であり、年齢によってフィジカルな影響が違う薬ではないと理解しています。2つ目は、これ以外の避妊の手段は、ピルを含めて、年齢制限はついていないものと理解しています。この薬のみ年齢制限をつける理由がよくわかりません。3つ目です。事が起きてから使う薬であることを考えると、窓口で、若いからといって、あなたには売れないと言われたときの当事者の気持ちを考えると、絶望的な感じがします。その後どうすればいいのかということを考えますと、一律に年齢で区切るべきではないと思います。一方で、いろいろなトラブルを抱えていたり、若い女性が来たりすることを考えると、そこに対面機能をつけて、相談ができるようにすることは必須だと思います。専門職が対面で売ることの意味は、そういうところにあるのであって、そこで寄り添い型の支援をすることが必要だと思います。パブコメの中に、対面機能は必要ないというものもありましたけれども、そこは、専門職が「どうしたの」「相談できることがあれば相談に乗るよ」という声掛けをすることが必要だと思います。ワンストップセンターの情報提供をするとか、産婦人科医につなげるとか、そういうことをしていただきたいと思います。また、ついでに申し上げますと、産婦人科医の紹介ができるようにというパブコメがありましたけれども、産婦人科医の団体から、その地域で相談に乗ってくれる産婦人科医をリストアップしていただいて、若い子の妊娠と避妊に関する相談に応じるよと言ってくださる産婦人科医のリストを薬局が持って、「ここの先生たちはみんな、相談に乗ってくれると言っているよ」という情報提供ができるとよいと思います。以上です。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。宮川構成員、どうぞ。
 
○宮川構成員
 今、佐藤構成員がおっしゃったことは、非常に重いことだと思います。つまり、望まない妊娠はどの年齢でも起こってくるということです。ただ、そのときに、どのような妊娠なのか、本当に妊娠なのか、妊娠でないのかも分からない。それから、子宮内なのか子宮外なのか、どのような妊娠のタイミングなのかも含めて、しっかりと見なければいけません。その妊娠がどのような状態なのかということを診なければいけないのです。ですから、医療に速やかにつなげる、確実につなげるというシステムがなければ、より若い年齢になればなるほど、これは重要なことになってくるので、そのところは、避妊だけの議論ではなくて、その方の体の状態をしっかり診ることが、最も先に重要なことになるわけですね。緊急避妊薬を使用したにもかかわらず妊娠した場合母体の保護をすべきところがありますので、これは、今言ったような、先走る話ではなくて、それは、確実に医療につなげて、その方をどう守るかというところから始まっていく議論だろうと私は思っていますので、その辺のところは、しっかりと議論していただければと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 高野構成員、どうぞ。
 
○高野構成員
 ありがとうございます。私も、先ほど両構成員から発言されたとおり、薬剤師とかいろいろな専門職が、対面の中で相談に乗れることに関しては、必要ではないかと思っております。それは、若い年齢になればなるほど重要であって、薬一つを取っても、正しい情報を基に、適切に安全に使用するという観点、それは、若ければ若くなるほど、その判断ができづらいといいますか、正しい判断ができづらくなる傾向もありますので、そういった意味では、きちんとした対面の方法を設けていただくことが必要だと思います。パブリックコメントでは、必要ないという意見も多くあって、こういった発言をすると、ちょっと怖いなという気もするのですけれども、ただ、私の個人的な意見としては、そういうふうに思っております。以上です。ありがとうございます。
 
○笠貫座長
 岩月構成員、どうぞ。
 
○岩月構成員
 ありがとうございます。今、お三方のお話を聞いていて、改めて、今、国で進めています地域包括ケアが、実はこういったケースでもかなり必要だし、実践をしていかないと、いろいろな方々の安全とか安心が、多分、確保できないのだろうなということを強く思いました。試験運用の話はとりあえず置いておいたとして、そういったことが課題として出てくれば、解決をするための手段としては、こういうことは前向きに考えていくべきだろうと思いましたし、まさに、いろいろな方々と、この場合は、多分、医療関係だけではなくて、教育とかいろいろな方がもっと広がると思いますけれども、そういったきっかけにもなるかと思いましたので、そういった意味で、いろいろなこういった言葉があまりいい使い方ではないかもしれませんが、経験ができるチャンスだと捉えて、我々も臨んでいきたいなと考えております。ありがとうございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。磯部構成員、お願いします。
 
○磯部構成員
 ありがとうございます。私はお伺いしておりまして、佐藤構成員の意見に賛成でございます。最後にお話があった、宮川構成員からもお話があった、特に若い子たち、未成年の子たちは、非常に不安を持って、薬局に来るのさえ、物すごいどきどきしながら来るという方が多分非常に多くて、普通は、行って、何でこんなことをしちゃったのというようなことが顔色に出たり、一言でも出た瞬間に、もともと罪悪感を感じている方も多いと思うので、そういうところにいかに寄り添っていくのかが非常に大事で、また、薬剤師の方もそういうのが大事ですが、また、宮川構成員に言っていただいた、本当は産婦人科のお医者さんに診てもらいたいというのは非常に多いと思います。大分違うのですが、私が昔やっていたカラーコンタクトレンズで、中学生の使用がいろいろ多くて、「何で眼科医に行かないの」と聞くと、眼科の先生に行くと怒られると。「何でそんなことをしているのだ」というようなことが、多分、先生から言うと、そんなことは言ってないと言うけれども、顔色に出るとか、ちょっとしたことで、非常に緊張感を持って行くところに、お偉い先生から一言そんな感じが出るだけで、非常につらくなってしまうこともあると思うので、特にそういう未成年の子たちには、本当にその子たちの気持ちに寄り添って、話を聞いてあげられる、対応してあげられる産婦人科の先生たちが、どういう人たちがいるのかということも、いろいろな情報提供をうまくしてあげてくれると、こういう問題も解決しやすくなるのではないかなと思いました。私は、佐藤構成員の意見に賛成でございます。
 
○笠貫座長
 どうぞ。
 
○松野構成員
 私も、基本的には皆さんにおっしゃっていただいた意見に賛成ですけれども、ただ、全ての御意見が、女性が被害に遭われたとか、望まない何かをされたことが全て対象になり過ぎているところがあって、そうではなくて、単に通常のそういう営みの中で、望まない妊娠があるかもしれないという、一般的な方が使う場合も、思った以上に多いということが最初の御意見にも書かれているものですから、全てのこれを飲まれる方が、必ずそういうところに相談しなさいということではなく、女性の人権を尊重しながら、そういう紹介はもちろん薬剤師が研修をする上で、適切な対応をする必要はあると思うのですけれども、必須というところまで決めてしまうことには、ちょっと危険性もあるのではないかなと感じているので、そこに、選択権が女性側にもあってしかるべきではないかなと感じながら、聞いておりました。以上です。
 
○笠貫座長
 それでは、全体の流れの議論を進めたいと思いますので、アクセス・体制、薬事規制の項目について、お願いします。先ほど事務局から説明がありましたように、医薬品販売制度の必要な見直し等に関する検討を行うための検討会が、今年の2月に新たに立ち上がり、検討が進められています。そのときに、評価検討会議の座長としての経験を踏まえて、意見を述べさせていただきました。今日の参考資料はその一部ですが、その時の全ての資料は、こちらの検討会で公開されると思います。その中で、レギュラトリーサイエンスとしてどう考えるかを踏まえて、販売制度の在り方について、提言をさせていただきました。アクセス・体制、薬事規制等について、新たに議論あるいは強調しておきたいことがございましたら、お願いします。72時間の問題も含めて、議論はもう大分されていると思いますが、新たに、議論しておくことはございますか。宮川構成員、どうぞ。
 
○宮川構成員
 宮川でございます。アクセス・体制の中で重要なことは、時間の問題もあります。それから、飲んだからといって必ず100%避妊できるわけではないのだということは、以前にも、参考人からも重々お話があったので、そこはしっかりと確認をしなければいけない。この薬を飲んだから100%避妊できたということではないのだということを、私たちはかなりしっかりと認識をしながら、次のフェーズにいつでも移れるよう考えながらやっていくことは、確認していかなければいかないなと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。磯部構成員、お願いします。
 
○磯部構成員
 研修のことと体制のことになると思うのですが、先ほど、薬剤師会の研修のことを少し触れましたが、私の理解では、47都道府県全てで研修会が行われ、各都道府県に必ず研修を受けた薬剤師がいるという理解をしています。ただ、先ほどから宮川構成員からも言われたように、72時間という問題を考えたときに、試験的運用をどうするのかはまたあるわけですが、地域のカバーを考えるときに、でき得れば、地域包括ケアの単位といいましょうか、中学校区の単位ぐらいで1つはあるべきではないかとしますと、これが、中学校区で大体1万か所で、小学校区まで考えると3万か所になってしまいますが、つまり、1万か所に最低1つはあるということを考えると、これまた、岩月構成員へのお願いになりますが、各都道府県でやっている研修会で、きちんと受けられている方が、中学校区で、地域包括ケアの単位で見たときに、一応カバーできているのかは見ていただいて、カバーできてないところがあれば、そこの薬局の方で、どなたかきちん研修を受けるようにしてもらいたいということは、ぜひやっていただけると、先ほどからの72時間問題は、この検討会でいろいろ説明しやすいなと思いますので、そういった面でも、研修をたまたま受けてないだけの方も多いと思うので、なるべくそういう方にお声掛けをして、研修をきちんと受けてほしいということも含めて、全国くまなくできるような形で、研修も考えていただければ、ありがたいなと思いました。以上です。
 
○笠貫座長
 どうぞ。
 
○岩月構成員
 ありがとうございます。今、磯部構成員から研修の話が出ましたので、今の72時間、宮川構成員からもお話がありましたが、それを24時間、365日を一人でやるのは多分不可能だと思うのですね。ですから、バックアップといいますか、地域で連携できる薬局が複数ないと、365日は対応できませんので、そういったことも含めて、きちんとした体制を取ることが本当に重要だと思っています。各地区に1つあればいいよねということは絶対ないはずですので、そこは、私どもも十分に体制を考えていくという必要があることは、改めて認識をしていますので、御指摘もいただいたことでありますので、お答えをさせていただきました。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。渡邊構成員、お願いします。
 
○渡邊構成員
 渡邊でございます。私は、埼玉県で、緊急避妊薬のオンラインの勉強会に、ここ3年ほど携わって、開催しております。延べ人数でいきますと、1,000人まではいかないですが、たくさんの薬剤師がもう受けられております。ただし、これはあくまでもオンラインで来たときの対応でございます。OTCとして販売するというところは、そこにプラスアルファが必要になってまいりますので、そちらの体制ですね。アクセスは、多分、たくさんの薬局がもう準備しておりますので、体制をどうするかというところさえあれば、プラスアルファのお勉強だけでスタートができることだと思います。先ほど、一部地域で試験的にとおっしゃいましたけれども、そのほうが大変難しくて、きちんとすみ分けといいますか、産婦人科さんは産婦人科さんでできる、それから、薬局に来たら、薬局できちんと対応ができて、さらに、非常事態のときは婦人科さんにつなげたり、ワンストップセンターにつなげることができたりというシステムがきちんとできてれば、各県、ほとんどの県薬剤師会でお勉強はしておりますので、その点はどうぞ御安心くださいと言いたいです。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。ほかにはございませんか。平野構成員、どうぞ。
 
○平野構成員
 今までの議論で、私、ほとんど異論はございません。非常に前向きな議論がされているなと思うのですが、アクセスについて言うならば、置いてある薬局、買える薬局があるということと、実際に欲しい方が、買える薬局をどうやって認識できるのかという話は、少し違う話だと思います。という点で言いますと、例えば研修を条件にするとか、仮にそういうことになるならば、その研修を終えた薬剤師がどこにいて、あるいは、そのときにその薬剤師が勤務していて、いつ、その店で買えるのかということを、何らか表示をする必要が出てくるのかなと思います。私、今回、JACDSという立場でお話をするわけですが、JACDSの企業であれば、ほとんどホームページ、あるいは何らかのアプリ等があるわけですが、そういったところに、研修済みです、あるいは、こちらできちんと取りそろえておりますということの表示をすることによって、生活者に明確に分かるという体制づくりを併せてさせていただければと思います。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。ほかにはございませんか。それでは続いて、性教育・認知度、医療機関との連携の項目です。資料6にありますように、最近の文部科学省における取り組みについては、先ほど事務局から御説明いただいて、共有できていると思います。この項目について、御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 次に、医療機関等との連携等についても、先ほどお話が出ましたので、最後に、性暴力被害者への対応、その他の意見というところで、御意見がございましたら、お願いします。高野構成員、どうぞ。
 
○高野構成員
 ありがとうございます。パブリックコメントを読ませていただいて、感じたことですけれども、薬局で購入する際に、男性の薬剤師ですと、寄り添えた感じを得られないようなという、相談しにくいというような意見を書かれている方が結構おられまして。ですので、そんなことがないのかあるのかというのは、被害者の方とかそういう方だけではないのですけれども、その辺はちょっと分からないのですけれども、こういった方々に対してきちんと寄り添うということを、何らかの形で薬局薬剤師としてアピールすることが必要なのではないかなと思うのですね。何となく行きにくいというような、もしくは、行けないよねというのが前提で、パブリックコメントの中で話されているので、ぜひ、研修をして、そういった方に寄り添うような形の相談を受けているということを、広くアナウンスするとか、もしくは、ドーピングの薬局みたいな形で、そういうことができるかどうかは分からないのですけれども、認定の薬局さんみたいなものをされて、薬局に掲示するとか、そういった形でアナウンスできるようなものというか、分かりやすいような形で薬局を識別できるような制度があるといいのかなと、パブリックコメントを読んで思いました。すみません。これは項目とはちょっと離れてしまうのですけれども、ありがとうございます。
 
○笠貫座長
 岩月構成員、お願いします。
 
○岩月構成員
 ありがとうございます。女性から見たときに、女性の薬剤師のほうが話しやすいだろうなというのは、私、男性ですけれども、よく分かるのですね。薬剤師は、幸いなことに、女性のほうが多い職場でもありますので、そういった要望があれば、そういったことに比較的対応しやすいだろうと思います。ただ、その上で、私もオンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤の勉強をしましたが、例えばワンストップ支援センターの方々とお話をしていると、どういうような会話の仕方があるのかとか、態度をとるべきなのかということも、実は御教示をいただくのですね。そうすると、それは、我々の日頃の業務でも、かなり役に立つことなのですね。ですから、こういったことも経験を積んでいくことで、不安だとかをお持ちの方々が、体験をすることで不安が解消できるのではないかなと。相手の思うことですから、幾らこっちが大丈夫と言っても、相手が嫌だとおっしゃれば、それで終わりですけれども、経験を積んでいくことで、双方がそういったことに歩み寄れるのではないかという意識を持っています。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。全体を通してでも結構です。宗林構成員、どうぞ。
 
○宗林構成員
 宗林です。薬事規制のところのアクセスとちょっと関係するところですけれども、薬剤師さんが対面で、それなりに「どうしたの」というような形で寄り添うことがとても大事だということで、皆さん御意見を出されていまして、私も同じように思うのです。
 これが、行く行く、要指導薬からネット販売になっていくときの問題も、一応は議論をしておいたほうがいいかなと思いまして、もし、ネット販売になったとしても、今のように、チェックを打つだけで、人が出てこないでも買えてしまうという制度が、今、相当定着していますけれども、これについては、薬剤師さんなり何なりがきちんと会話をするという場面を必ず担保していただくということを、要指導薬でとめるとなると、本当に、法制自体を変えなくてはいけないので、それができるなら、これからのほかスイッチ化を推進するためにも、それも一案だと思いますけれども、もし、それができなくても、薬剤師さんとの対話をする場面は、必ず担保できるようにお願いしたいと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。磯部構成員、お願いします。
 
○磯部構成員
 全体の話ということだったので、その他の御意見でもよろしいですか。
 
○笠貫座長
 結構です。
 
○磯部構成員
 その他の御意見の中の2番目のポツにある御意見ですが、ドラッグストア勤務の薬剤師は、ワンオペ勤務で、土・日に薬剤師がいないとか、夜間いなくて、薬を買い、要指導や第一類を買いに行ったら、買えなかったと。こういう経験は多くの方がしていると思うのですが、この緊急避妊薬に関しては、何とか対応することが必要ではないかと、先ほど佐藤構成員からもお話ありました。例えば、ここは扱っている、行った、そうしたら、薬剤師がいないから対応できません。このショックは、もし自分が本人であれば、物すごく重く感じますね。何なのか、これはと。ですから、そういうことへの対応についても、私はぜひ考えてもらいたい。その人の気持ちになって、開いているから行ったら、駄目だと、これは本当に重いと思うので、例えばそういうときには、今は認められておりませんが、販売制度の検討会でも議論されているように、オンラインの服薬指導は、こういう場合は認めるとかいうことも含めて、せっかく書き込んだ方に、しかも、扱っていると言っているところで、たまたまそこに薬剤師がいないから駄目ですというような紋切り型ではなく、何とか対応するという方策を、ぜひとも考えていただきたいなと私は思います。それは、オンラインであろうとなかろうと、方法は別にどうこう問いませんが、ぜひ考えていただきたいと思います。それから、薬局の構造で、ハードの問題がいろいろ出ていますが、私はハードの要件は要らないと思っております。ただ、多くの薬局のお薬をお渡しするところが、ほとんどパーテーションもなく、後ろにも患者さんたちがいる中でやっていることが多いので、せめて、この場合については、ほかの方から見えない場所でやってもらいたいなという気持ちだけは持っています。薬局のカウンターの横でも、ほかの人の目に触れないような場所は必ず薬局はあると思いますので、そういう場所で、ほかの人から見えないようなところでお話をする、相談もお聞きする、ほかの人に聞こえないなということの安心感を持ってもらえるようなエリアというところだけは考えていただきたいなと。これが、寄り添うということではないかと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。全体として、御意見はございませんか。いかがでしょうか。
 これまでに比べ、御意見が少ないのは、それだけ、ここで皆さんと議論を尽くしてきたということかと思います。2017年に、個人の方からの要望で始まったわけですが、そのときのパブリックコメントが約350件でしたが、今回は約46,000件のパブリックコメントをいただきました。膨大なパブリックコメントをまとめていただいた、事務局の方々の多大な努力に対して、心から感謝を申し上げます。2017年の1回目の個人からの要望に対しては、否という結論でしたが、そのときにも、課題の抽出とか対応策については、随分議論いたしました。その後、2021年2月にスイッチ化に共通する課題を抽出し、それぞれのステークホルダー毎に課題を抽出し、それぞれの対応策について、随分議論を詰め、また、薬事規制の問題も取り上げ、会議として中間とりまとめを行いました。2021年の6月からは、再び緊急避妊薬の議論を始め、ほぼ2年間にわたり、6回の評価検討会議を行いました。その中で、日本産婦人科医会、日本薬剤師会、緊急避妊薬の入手を実現する市民プロジェクト、性暴力救援センター、文部科学省のお話をお聞きし、海外実態調査の結果などを踏まえて、十分議論させていただきました。各ステークホルダーを代表する構成員の方々は、緊急避妊薬のスイッチ化に関して、長期間かつ長時間にわたり、真剣に国民目線で議論を重ねてきましたし、さらに、今日は46,000件のパブリックコメントによる国民の声も踏まえて、議論をいただいたと思います。パブリックコメントも、前回の350件から今回の46,000件となり、国民的な関心が非常に高いことと、何よりも、ニーズとして、予期せぬ妊娠で、緊急避妊薬を求める女性の方々が非常に多いことを痛感しております。また、性暴力被害者が年間6~7万人いるというお話も聞きました。こうした悩みや苦しみをお持ちの方々へ、各ステークホルダーが力を合わせて、これまでの課題をどう乗り切れるかということが議論されてきたと思います。そういう意味で、膨大なパブリックコメントを受けた評価会議として、どう対応するか重い責務があることも痛感しております。先ほどからも、期限としては、早急にということで、1年の試験的運用か、2年か議論されましたが、それだけ構成員の先生方が非常に緊迫した問題として、認識された上での発言だっただろうと思っています。それが皆さんとの共通認識だと思いますが、その中で、スイッチOTC化を検討するための試験的運用は、これまでの臨床試験とは異なった、新たな問題を提起されたと思います。
 そういう意味で、スイッチ化のリスクを低減させるための適正使用、あるいは販売体制の改善や環境の整備について、どこまで解決できれば、スイッチOTC化を認めるのか、あるいは、これで苦しんでおられる生活者が許容可能なリスクとは何か、どこまでニーズが高いのかということの判断については、多分、科学的根拠を出せと言っても、どこで線を引くのかということは、また議論を続けなくてはいけなくなります。したがって、現在の時点でどうかということで考えなくてはいけないと思っています。この評価会議としてのミッションは、課題抽出と課題解決の対応策を考え、検討することです。そういう意味では、パブリックコメントをみましても、現時点で出される課題とその対応策については十分議論が尽くされたと思います。
 本会議では、それぞれの対応策について、賛否を取ることは今までしておりません。佐藤構成員からの御意見があったように、具体的に、例えば年齢制限をどうするかということも、ここでは賛否は取っておりません。そこで、これまでのたくさんの課題と対応策について、緊急避妊薬のスイッチOTC化について十分に検討されてきた構成員の先生方がどうお考えになっているか、現時点で、この評価検討会議から次の採否を決める部会に出せるのかも含めて、お考えをお出しいただけたらと思います。今日提案された試験的運用については、有効性・安全性を慎重かつ厳格に考え、かつ患者・生活者・国民に対して優しい日本において、どういう形をとるのがいいのか検討するために、新たな試みとして、試験的運用も一つの方法としてあり得ると思います。しかし、評価会議で、試験的運用をすることを決められるのか、法的根拠や責任問題はどうか、その期間をどうするのか、プロトコールをどうするのか、誰が組むのか、その結果について、どのように評価・判断できるのかを含めて、この試験的運用が可能であるならば、その検討を早急に進めなければいけないことになると思います。
 いずれにしても、先ほど、猶予期間の話も出ておりますが、早急に事務局に検討していただき、次の会議はいつ頃開けるということになりますか。それから、全体として、現時点でも、もう2年間たっていますので、皆さんのお考えを事務局でまとめていただき、たくさんの対応策について、構成員としてはこういう意見がありましたということを添えて、部会に上げるかどうかを、次回検討させていただきたいと思います。この会議が、当初は全員合意を原則としたのは、賛否を決めるためですが今回は、課題と対応策について、十分検討し、現時点でのまとめをすることです。私は、販売制度の検討会で、薬局行政の大変革期にある現在、その時点で、国民や生活者のニーズを生活者の目線で、新しい対応へ挑戦しながら、改善・改革を進めていくべきだろうというお話をさせていただきました。ここでリプロダクティブ・ヘルスライツは大切ですし、こういった予期せぬ妊娠で苦しんでいらっしゃる方に対して、薬剤師だけではなく、産婦人科専門医、かかりつけ医、救急医など医師、薬局開設者、製造・販売業者、それから、ワンストップセンターということになりますと、自治体の対応も求められます話になります。センターも施設によっては、月曜から金曜の9時-5時というところも、24時間、365日というところもありますし、各都道府県での数も違います。そういう意味では2021年の取りまとめにおいても指摘しましたが、緊急避妊薬こそ、生活者、薬剤師・薬局開設者、製造・販売業者、医師・医療機関、ワンストップセンター・自治体、そして、国の連携が極めて重要であり、ネットワーク構築は非常に大切だということを痛切に感じております。2年間にわたり6回の会議で長時間にわたり、これだけ緊急避妊薬について熱心に討論された会議はなかったと思いますし、パブリックコメントの46,000件も、厚生労働省の新記録ではないかとも思います。
 今回も、大変なことを事務局にお願いしましたが、今の進め方でよろしいかどうか、御意見をいただけたらと思います。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 どうもありがとうございます。座長から、全体の方向性についてはお話しいただいたところでございます。本日も、多くの対応策みたいなことについての新たな御意見をたくさんいただいたと認識しております。
 今後の私どもの作業といたしましては、冒頭に提案がございました試験的運用について、まずは、そもそも可能なのかどうか、法的なことも含めまして、早急に整理し、検討をさせていただくとともに、やるとすれば、どのような項目をどういうふうにやっていくのか、いろいろ本日も御意見いただいたところでございますので、その辺やれるのかどうか、やるとしたら、どんな形があり得るのかみたいなことについては、早急に検討させていただくというのが1点。それから、たくさんいただきました新たな御意見、特に新たな対応策についての御提案だったと思いますけれども、それについては、今日の御意見をとりあえず事務局で整理させていただきたいと思っており、それを、また、先生方にフィードバックする過程の中で、座長がおっしゃられました、全体としてのこういう政策の方向性といいますか、御意見といいますか、賛否というわけではないですが、全体的にこうなのではないかみたいな御意見をさらにいただければ、そういうやり取りをさせていただきながら、次の検討会に向けての作業という形を取らせていただければと思っております。
 そういった作業が終わり次第、また、改めまして、次回のこの御議論の場を設けさせていただきたいと思っております。時間がとにかくございませんので、早急にやる必要があるという認識は全くその考えでございますので、かなり大変な作業を申しつけられているという認識ではございますが、これを待っておられる患者の皆様が非常に多いという認識でございますので、できるだけ早く、事務局的な整理・検討を終えさせていただいて、次回、改めまして、御議論をいただき、課題・対応策についての議論を深めていただければと思っているところでございます。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。2017年から2021年までは、薬剤師研修制度を、新たに進めていただき、文部科学省も教育について進めていただきました。社会全体として、関心が非常に高い緊急避妊薬のスイッチ化について、評価会議において、早急に方向性を出していきたいと思っています。
 今日も、事務局に大変なことをお願いしたことは十分認識しておりますし、また、構成員の先生方にも、度々お願いすることがあるかと思います。ここは、膨大なパブリックコメントに応えるべく、これまでのたくさんの資料と議論を踏まえて、皆さんの高い見識に基づく大所高所からの御意見をいただけたらと思っています。そして、構成員の先生方の御意見から重みづけというものを少しできれば、次のステップにより進みやすいのかと思います。よろしくお願いいたします。
 御協力ありがとうございました。


 

 

(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
03-5253-1111(内線 2737、4225)
 

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