ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議> 第23回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(2022年12月26日)

 
 

2022年12月26日 第23回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

令和4年12月26日(月) 17:00~19:00


○場所

オンライン会議
フクラシア東京八重洲(オンライン会議場)
J会議室(3階)
東京都中央区八重洲2-4-1 住友不動産八重洲ビル(旧ユニゾ八重洲ビル)


○出席者

出席委員 

五十嵐委員、磯部委員、岩月委員、上村委員、宇佐美委員、笠貫委員、
近藤委員、佐藤委員、宗林委員、高野委員、萩原委員、原委員、平野委員、
堀委員、松野委員、宮川委員、宮園委員、湯浅委員、渡邊委員

出席参考人 

石塚参考人、斎藤参考人、舛森参考人、村山参考人

○議題

1.候補成分のスイッチOTC化について
2.スイッチOTC医薬品の候補とされた成分の承認時の対応状況について
3.その他

○議事


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 それでは、定刻を過ぎて申し訳ございません。ただいまから第23回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催いたします。
 本日の出席状況ですが、部坂構成員、矢口構成員から御欠席との御連絡を頂いております。また、宗林構成員からは遅れて出席との御連絡を頂いております。したがいまして、現在のところ18名の構成員に御出席いただいております。
 本日は、議題1の候補成分のスイッチOTC化の議論を行うに当たりまして、関係する学会あるいは医会の参考人の先生方に御出席をいただいておりますので、御紹介させていただきます。資料2(β-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)、β-ガラクトシダーゼ(ペニシリウム))の関係で日本小児科学会より村山圭先生に御参加いただきます。また、資料3(オキシブチニン塩酸塩)の関係で、日本排尿機能学会より舛森直哉先生、日本泌尿器科学会より石塚修先生、さらに日本臨床泌尿器科医会より斎藤忠則先生にそれぞれ御出席をいただきます。皆様、本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ウェブ会議を開始するに当たりまして注意事項を御説明いたします。発言される際には、画面のマイクのボタンを押してミュートを解除した上でお名前をおっしゃっていただき、座長に指名された後に御発言いただきますようお願いいたします。また、発言されないときはマイクをミュートにしておいていただければと思います。会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事前にお送りしましたウェブ会議のマニュアルに記載されている連絡先に御連絡頂ければと思います。それでは、笠貫座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。
 
○笠貫座長
 それでは、まず、本日の配付資料の確認を事務局からお願いいたします。
 
○事務局
 事務局でございます。資料につきましてはペーパーレス化を実施しておりまして、会議場での参加者の皆様におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。タブレット端末は、会議資料の議事次第を画面に表示した状態で配付しております。他の資料を画面に表示する場合には、左上の「マイプライベートファイル」を指で1回軽くタップしてくださいませ。なお、タブレットの使用方法につきましては、机上に配付してございます「ペーパーレス審議会タブレット操作説明書」を御確認ください。
 本日の資料でございますが、マイプライベートファイルに表示されております上から順に、会議資料、参考資料となります。会議資料につきましては、資料を1つのPDFファイルとしておりまして、議事次第、配付資料一覧。検討会議の進め方に関する資料として、資料1-1。資料2、資料3といたしまして、候補成分のスイッチOTC化に関する資料。資料4と資料5が、スイッチOTC医薬品の候補とされた成分の承認時の対応状況に関する資料となります。参考資料につきましては、開催要綱、構成員名簿及び日本におけるスイッチOTC成分のリストを1つのPDFファイルとしております。
 本日の資料関係の説明は以上となります。御不明な点がございましたら、事務局までお申しつけください。事務局からは以上となります。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。タブレットの不具合等がございましたら、お知らせください。
 前回会議で確認しました検討会議の進め方に従って、議論するのは初めてになりますので、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○事務局
 資料1、1ページを御覧ください。資料1は、検討会議における検討の進め方についてでございます。
 こちらは前回会議で確認いただきました評価検討会議の進め方の全体像をお示ししたものでございます。本日御議論いただきます新規の候補成分2成分ございますが、こちらにつきましては赤字のマル2に示しておりますように、医療用としての使用実績、副作用の発生状況、海外での使用状況等を収集・整理した後、マル3で関係医学会・医会にスイッチOTC化する上での課題点等を聴取し、またマル4で各構成員に任意で意見を聴取しているところでございます。本日の検討会議は、赤字のマル5の検討会議マル1に該当いたします。
検討会議では、検討会議としての方向を示しつつも、少数意見についても併記していくという方針となってございますので、会議で挙げられた意見に対しましては同旨の意見でございましても、できる限り意見表明いただきますようお願いいたします。
 検討会議の進め方に関する説明は以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、中間取りまとめでお示しした進め方、薬剤の特性、疾患の特性、適正使用、販売体制、環境に沿って話を進めていきたいと思います。
 それでは、本日の議題に移りたいと思います。スイッチOTC化の妥当性について、資料2について事務局より概要の説明をお願いします。
 
○事務局
 資料2-1でございます。2ページでございます。成分名は、β-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)及びβ-ガラクトシダーゼ(ペニシリウム)になります。産生菌の異なる2成分を取りまとめております。スイッチOTCとした際の効能・効果は「健康な成人・小児等の乳糖不耐症により生ずる消化不良の改善」になります。対応する医療用医薬品は、それぞれガランターゼ散50%及びミルラクト細粒50%でございまして、効能・効果はこちらに記載のとおりでございます。医療用医薬品の対象は乳児及び経管栄養食、経口流動食等摂取時の成人である一方、今回検討する対象は健康な成人・小児等となり、対象が異なってまいります。
 医療用医薬品の特徴・概要の項でございます。β-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス)は1971年に承認され、その後「経管栄養食、経口流動食など摂取時の乳糖不耐により生ずる下痢などの改善」の効能・効果の追加が1981年に承認されております。また、β-ガラクトシダーゼ(ペニシリウム)は1985年に承認がなされ、再審査結果は1993年に通知されており、承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断されております。本成分は、いずれも乳糖分解酵素でございまして、消化不良及び下痢の一因となる乳糖を選択的に分解するものでございます。
 続きまして、安全性に関する情報にまいります。5ページを御覧ください。重大な副作用にはショックが報告されております。「禁忌・注意事項」でございますが、添付文書上にはガランターゼ散50%及びミルラクト細粒50%に共通して、禁忌に本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者とされております。
 推定使用患者数でございますが、不明とさせていただいております。なお、参考情報としまして、牛乳を飲んで不快症状の自覚を持つ人の割合を示しております。同種同効薬・類薬のスイッチOTCはございません。
 続きまして、海外の承認状況でございます。6ページを御覧ください。OTCといたしましては、ドイツにおいてアスペルギルス・オリゼ由来のチラクターゼがございまして、効能・効果は「牛乳を飲んだり、他の乳製品を含む食品を食べたりした後に起こる乳糖不耐症の対症療法」となっております。なお、カナダではNatural Health Productとして販売されております。なお、オーストラリアではListed Medicineとして販売され、米国、イギリス、フランス、ドイツでは栄養補助食品として市販されているか、または市販が認められております。
 13ページ、資料2-2を御覧くださいませ。ここからは関係医学会・医会からの見解でございます。まず、日本消化器病学会の見解を御紹介いたします。「2.スイッチOTC化の妥当性に関する事項」でございますが、まず「1.OTCとすることの妥当性について」の薬剤特性の観点からでは、重大な副作用はなく安全性の高い薬剤であること。対象疾患の観点からは、乳糖不耐症の診断には医師の診断が必要であるため、効能・効果を「牛乳や母乳、ミルクなど乳糖を含む食品による下痢や消化不良および体重減少の改善」と置き換えたほうがよいこと。さらに、適正販売、スイッチ化した際の社会への影響の観点から、本来は医師による診断の上に使用されるのがよいが、安全性の高い消化酵素薬剤である点を考えると、スイッチ化による国民の利益は大きいことといったことを挙げていただいてございます。次のページにまいりまして「2.OTCとする際の留意事項、課題点」として、症状と疾患との関連、本薬剤の成分と用法・用量について説明できる知識が薬剤師に求められていること。乳幼児のみでなく、成人でも牛乳などで頻繁に下痢を生ずる場合には適用になり得ること。成人の有症状者に関する適切な用量が不明であること。乳製品摂取時に内服すればよいこと。使用期間について上限に関する規定は不要と思われるが、最低1週間経過しても症状が改善しない場合には、医療機関の受診勧奨が必須であることを挙げていただいております。
 続きまして、15ページを御覧ください。日本小児科学会の見解でございます。「2.スイッチOTC化の妥当性に関連する事項」の「1.OTCとすることの妥当性について」でございます。まず、薬剤特性の観点からでございますが、重篤な副作用はまれであり、安全面で大きな問題はないこと。対象疾患の観点からは、乳糖不耐症の診断には医師の適切な診断が必要であり、OTCとされた際は医師の指示のもとで購入することが望ましいこと。適正販売、スイッチ化した際の社会への影響の観点からは、診断が難しいため必要としない患者さんに投与される可能性がある一方で、本来必要な患者さんに行き届かなくなる可能性があることといったこと挙げていただいております。また「2.OTCとする際の留意事項、課題点」といたしまして、必要とする患者さんに適切に届くためには安定供給が必須であること。乳児下痢症の原因は多岐にわたり、投与を開始する際には医師の判断が必要となることを挙げていただいております。
 続きまして17ページを御覧ください。日本臨床内科医会の見解でございます。「2.スイッチOTC化の妥当性に関連する事項」の「1.OTCとすることの妥当性について」でございます。薬剤特性の観点から、乳糖摂取による下痢などの症状に悩まされている健康成人は多く、OTC化が求められる薬剤である一方、あくまで対症療法の一つで使用者によっては効果を得られない可能性があり、また頻度は少ないものの発疹、腹満、嘔吐、便秘等の副作用があること。対象疾患の観点から、海外から個人輸入されているケースが存在し、海外では栄養補助食品として販売されており、本邦においてOTC化する意義は大きいこと。適正販売、スイッチ化した際の社会への影響の観点から、乳糖不耐症と使用者自身が判断することは本来難しく、一定の対策が必要であること。薬局で使用者に対し乳糖不耐症のチェックシートを活用するなどの方法もあるが、牛乳アレルギーとの鑑別が困難な場合があり、過去に医師の診断を受けた者に限って販売することが望ましいことといったことを挙げていただいております。次のページにまいりまして「2.OTCとする際の留意事項、課題点」といたしまして、通常、摂取乳糖量を把握できる使用者は限られており、1回当たりの用量をどのように設定するか、いつ服用するかが課題となるが、その判断に必要なデータがないこと。使用期間の上限を規定する必要はないが、効果に乏しい場合は漫然と服薬されることのないよう薬剤師は速やかに受診を促す必要があること。離乳後の幼児の使用についても、判断に必要なデータがないことを挙げていただいております。説明は以上でございます。
 
○笠貫座長
 どうもありがとうございました。それでは、日本消化器病学会の見解について、上村構成員から御意見・補足を、お願いします。
 
○上村委員
 消化器病学会は私も属しているわけですけれども、私も一緒になって社会保険審議委員会で作成いたしました。このガラクトシダーゼは50年前からの薬で、安全性も高いし、OTCになって当然のような気がします。ただ、乳糖不耐症という病名を診断することは非常に難しいわけですから、効能・効果の中に乳糖不耐症を入れるかどうかが議論になりました。入れてもなかなか診断できないからあまり意味がないのではないかということで、OTC化する際には乳糖不耐症をとって、ここに書いてあるように「牛乳や母乳、ミルクなどの乳糖を含む食品による下痢や消化不良および体重減少を起こす人に対する」という形がいいのではないかと思われました。それ以外に課題としては、診断も難しいわけでありまして、一般の方がOTC化された場合に薬局で購入することができるようになるわけですから、そうすると、薬剤師さんが知識を持っていただくことが必要かなと思いました。内服する量が、私も調べたのですけれども、はっきり分からない部分があるので、特に成人の場合にどのくらいの量がいいのかが分かりませんでしたけれども、これはどなたか薬学系の先生にお聞きすればいいのではないかということでした。最後は、漫然と内服するのではなくて、薬剤師さんのほうで1週間、10日で全然効いていないという、先にそれを言って販売するというように注意していただければと思いました。以上、消化器病学会及び私の意見でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。次に、日本小児科学会の見解について、村山参考人から御意見・補足をお願いします。
 
○村山参考人
 よろしくお願いします。小児科学会としては、安全性の点ではよいということになります。ただ、小児の下痢症、特に小さい子の下痢症は非常に成長障害や、時にショックなどを起こしたりしますので、その辺しっかりとした診断のもとで投与すべきだろうという意見が多数でございます。もう一つは、ちょうど同時期に高田製薬がなかなか販売困難ということがございまして、私たちが議論した中でこのOTCの話が出てきたということがあります。本当に必要な患者さん、お子さんに関しては安定供給は必須ですので、その辺も含めて考える必要があるだろうという結論になりました。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、日本臨床内科医会の見解について湯浅構成員から御意見・補足をお願いします。
 
○湯浅委員
 お二人の先生方がお話しされたように、安全性という面では大きな問題はないと考えております。見解にも書かせていただきましたけれども、下痢などの症状に悩まされている方は多いと聞いておりますし、個人輸入されているケースも存在しているということで、需要という面からいってもこの薬はOTC化が求められる薬剤と考えております。幾つか課題があるのですけれども、OTC化を阻害するような大きな課題はないように考えております。1回当たりの用量設定をどうするか、いつ服用するのか、使用期限の上限を設けるかどうかといった課題がありまして、この部分に関してはデータがありませんので、ステークホルダーの皆さんの御意見を伺わせていただきながら議論していただければと考えます。それから、OTC化の前提として乳糖不耐症の方に使用するということで、医師の診断がなされているかがポイントになってくると思います。当然、患者本人が乳糖不耐症かどうか判断できないわけですから。効能・効果に乳糖不耐症を入れるのであれば、過去に医師の診断を受けたことがあるなど、制約が必要になると思います。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。それでは、この成分のOTC化について個別の御意見があればお願いしたいと思います。まず、これまでの中間取りまとめで行いました課題に沿って話を進めていたきいと思うのですが、薬剤特性の観点から、先ほどから副作用についてはあまり大きな問題はないということで、ニーズの高さについても今、湯浅構成員からお話がありましたとおりですが、この特性について御意見はございませんか。どうぞ。
 
○磯部委員
 今の各先生方の御意見を伺っておりまして、まず、薬剤特性からいって効能・効果をどう設定したらいいのかということだと思います。私もこの会議に臨むに当たりまして乳糖不耐症、これは小児の特定疾患にも選定されているものなので、診断は幾つかの検査を組み合わせて専門医がやられているようなことは確認させていただきました。現実に乳糖不耐症という効能でやるとすればそういうことになりますが、この薬剤の特性から言うと、乳糖をきちんと分解して、腸内環境、消化器の環境をよくするということだと思いますので、消化器病学会の先生がおっしゃっていた乳糖不耐症という効能で進めるのではなく、この薬剤特性から考えると「牛乳や母乳、ミルクなど乳糖を含む食品による下痢や消化不良及び体重減少の改善」という形でOTC化を考えたほうがいいのではないかと思います。それから、もともとは子どもの乳糖不耐症の問題から開発が進められ、だからこそ医療用医薬品として保険診療でも使われてきた薬ではございますが、そういう状況を考えますと、こういった下痢や消化器不良を起こされる方、お子さんの特にひどい方については、医師の治療が必要な方々も非常に多いわけでございますが、成人でもそういった症状に悩まれている方はそれなりの数、乳糖不耐症協会の発表の資料でも出ておりますが、かなりの数がおられると思うので、そういった方々に広く使えるようなアクセスを確保するという視点も大事なので、そういう意味でOTC化は考えるべきではないか。その上で、特に今回の問題は小児科学会の先生方もおっしゃられているように、2社やられておりますが、1社が販売中止をする、原薬が確保できないと。1社も供給量が増えるので出荷調整をかけているという状況下にいて、こういったものの供給をどう確保していくのか。メーカーから考えると、一定の数量はかなり出るとなれば、いろいろな設備更新や原薬の確保がやりやすくなりますので、例えば成人に効能を認めるということで、新たに臨床試験をやってデータを全部取り直すということまでやっていきますと、通常の新薬と同じような感じになって、また元に戻ってしまうのかなと思いますので、これまでいろいろな海外における治験などもありますので、ある程度症状に応じて使用量を増減するなどして使えるような工夫をして、なるべく供給を確保できるような、メーカーがそういうことができるような環境をつくっていただけますと、この薬の問題も解決に向かう可能性も出てくるのではないかと思ってございます。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。薬剤の特性に限らず、疾患、適正使用、販売体制全体についてお話をいただきました。これまでも乳糖不耐症のような病名は使用しないということは本会議の統一した考え方で、具体的な症状をお聞きして対象にするということ、安全性についても同じ意見だと思います。適正使用と販売体制の環境の話について個別に御意見がございましたら、お願いします。平野委員どうぞ。
 
○平野委員
 本薬剤がOTC化されることの最大のメリットは何かを考えたときに、恐らく乳糖不耐症という病名を使う必要はないわけですが、自分の下痢の原因が乳糖であるかもしれないということをほとんどの方は現在知らないということですね。それをOTC化によって知ることができる。恐らく今下痢をしている場合に、確かに乳糖不耐症かどうかという判断は難しいわけですが、それができないがゆえに、ほとんどの方は下痢止めを飲むとか民間療法を使うとか、そういう方向に行ってしまっている可能性が高いんですね。むしろ積極的にOTCとなり、先ほど消化器病学会から言われましたような効能を示してあげることによって、より適切な方向に向かう。また、これが効いた場合には、あなたはその可能性が高いですねということで受診勧奨するというような流れを積極的につくっていけるのではないかと思います。さっき御指摘がありましたように、OTCを売っている立場からすると、これはそこそこの市場があるように感じています。実際に特に乳幼児で下痢という方は非常に多いものですから。そういう点からすると、その段階でどこかのメーカーが安定供給に乗り出すことは考えやすいのではないかと思っております。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。そのほかにはございませんか。
 
○堀委員
 私からは適正使用の箇所について発言させていただきます。適正使用に関しましては、先ほども日本消化器病学会からもありましたように、今、海外では栄養補助食品として売られております。特に男性の方が牛乳などを飲んだときに下痢になってしまうということで、かなり海外から個人購入をしている方がいらっしゃると私どもも聞いております。そういうことを考えますと、ちゃんと日本の国で認められたお薬を市場に出すことは、私は非常に賛成です。ただし、先ほどおっしゃいましたように、小児に対して、成人に対して幾つか課題があります。小児に関しましては、先ほど日本小児科学会でもおっしゃっていましたように、例えば乳児に関しまして下痢などが起こったときに、母親はそれが乳糖不耐症かという判断は非常に難しいと思います。乳児の症状が下痢だったり、戻したりした場合、その原因が飲み合わせが悪かったということを考えた場合に、果たしてこの薬を飲ませるか否かを考えると、小児科学会でおっしゃっていたように、乳児の病名が乳糖不耐症と分かった保護者が、処方薬ではなくOTCとして購入できる裾野を広げるという意味では非常にいいと思います。それから、成人に対してですけれども、今までの処方におきましては、成人に関しては経管栄養食や経口流動食などの医師の管理下での処方が行われていたと思います。それが今度、健康な成人というように裾野をかなり広げた場合、ガランターゼ散の添付文書にも書いてありますが、用法・用量の2のところで「症状により増減する」と書かれています。その場合、先ほども学会でおっしゃっていたように、どれくらいの量を成人が飲んだらいいか、飲み過ぎてしまったらどうなるのかということも懸念はしておりますので、そういうところもきちんとデータが出た状況の中でOTC化していただけたらありがたいと思いました。私からは以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。先ほどから用量・用法と年齢の話がありましたし、大人の場合の安全性についても御指摘があったと思います。この点についてお答えいただける先生はいらっしゃいませんか。データがないというお話も出ましたが、いかがでしょうか。
 
○宮川委員
 日本医師会の宮川ですけれども、よろしいでしょうか。座長が今おっしゃったようにデータがないですよね。どこを探してもないです。ただ、海外のいろいろな使用状況を鑑みて広く情報を集めることはできます。ただし、何度も繰り返しますが、臨床のデータはないという認識をもちながら、そこを考えていかなければいけない。堀委員がおっしゃったように、そこに危険性が伴ってくる。安全性については問題ないと書かれていますが、過剰摂取のことに対して何も考えていないわけですよね。データがない状況で、どのように用量、投与間隔、投与時期、時刻等を考えるのかは、しっかりと宛てがっていかないといけない。冒頭、磯部委員がおっしゃったように、成人に対しては、海外の状況をしっかりと精査することを前提として検討しなければいけない。小児に関しては鑑別診断という入り口の問題があります。どのような年齢まで設定して、どのような年齢から投与を許すのか、どのような年齢以上であるのか、例えば学童なのかという年齢設定をしっかりしなければいけない。小児の場合には問題が非常に起こってくるため、鑑別をしっかりと行った上で進めていかなければいけない。しっかりとした鑑別診断の上で行っていく中でも、先ほどいろいろな委員がおっしゃったように、安定供給の問題があります。安定供給がしっかりなされなければいけないということは、先ほど磯部委員がおっしゃったように前提条件です。しっかりとした前提条件がなければ駄目だということが非常に重要でございます。繰り返しの意見となりますけれども、個人輸入をしている中での問題がたくさんあるので、しっかりとした国の建付けの中で行っていくことが非常に重要と思っております。ただし、問題なのは、適応疾患について下痢や消化不良が入ることは分かるのですが「および体重減収の改善」が入った場合に、小児の場合は非常に大きな問題点だろうと。「体重減少」という言葉は、小児から成人でもいいのですが、どのようなことが想定されるのか、しっかりと厳密に見ていかなければいけないので、入れるのであればどのくらいの体重減少なのかはっきりしなければいけません。今日も参考人が出ていらっしゃいますから、体重減少についてはいろいろな消化器の病気を設定されるのでしょうけれども、漠然とした言葉を入れるのは少し危険かなと思っておりますので、検討をお願いできればと思っております。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。それ以外にはございませんか。
 
○佐藤委員
 産経新聞の佐藤です。まず、事務局に資料の作り方ですけれども、食品、サプリメントなどとしての販売状況についての欄を設けていただきまして、ありがとうございました。今まで医療用と一般用の欄しかなくて、一般用にはなっていないけれどもサプリメントはありますという国があることが分からなかったので、そういうことが分かるようになったのはとてもよかったと思います。この薬に関して、安全性については特段の懸念がないということで、日本消化器病学会さんからも乳糖不耐症ということではなくて、今ちょっと課題が出ましたけれども「牛乳や母乳、ミルクなど乳糖を含む食品による下痢や消化不良および体重減少の改善」と置き換えたほうがいいのではないかという指摘がされたのはいいことだと思います。実際に悩んでいらっしゃる方のQOLの改善にもなりますし、例えば、小学校で牛乳が飲めないお子さんにとっても光明になる可能性があると思います。7日や10日ぐらいで改善がなかった場合は、医療にかかることが必要だというのは全くそのとおりで、薬局で提供すると同時に、医療とネットワークを持てるような環境をつくり、悩んでいらっしゃる方のQOLの改善になるようにしていくことが大事ではないかと思います。そういう点で言うと、年齢に応じた量で一包化するなどの使いやすい包装が重要だと思います。また、特にOTC化の際には、薬局薬剤師さんには、相談できる医療機関のリストを持っていただくことと同時に、栄養や食品に関して問題・課題があるお子さんの育児は親御さんにとっても大変負担が大きいので、例えば、地域の子育て世代包括支援センターや育児サークルなども併せて紹介できるなど、伴走支援ができるような体制づくりをお願いしたいと思います。以上です。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。ほかにはございませんか。よろしいでしょうか。それでは、今の御意見を待ってパブコメに入るわけですけれども、検討会議としての方向性をまとめたいと思います。スイッチ化に関してはニーズの問題、安全性に特段問題ないということ、適正使用の課題として用量・用法についてデータが十分にない、科学的根拠としてはないけれども今までの経験的なもの、海外の経験的なものを含めてどう捉えるかという問題、使用期間についても1週間ないしは10日間で効果がなければ、医師あるいは受診勧奨を含めた地域医療での対応を考えること、年齢については乳児の問題と小児の年齢の問題と成人についての問題が指摘されたと思います。また、乳糖不耐症ではなく、牛乳やミルクなどの乳糖を含む食品による下痢、消化不良、「体重減少」は慎重にしたいというお話をいただいたと思います。そこで、パブコメに当たりましては、国民・市民あるいは消費者の方々がこの製品による利益といいますか、QOLという観点とリスクについての課題対策をどうするかだと思います。先ほどの問題以外にはセルフチェックシートも出ましたし、また、薬剤師の専門知識の話も出たと思いますが、挙げられた問題を整理してスイッチOTC化する上での課題点として進めていくということでよろしいでしょうか。
 
○磯部委員
 何度も発言して申し訳ございません。先ほど申し上げたこととレベル感が違ったので。販売体制のところなのですが、通常であればスイッチOTCされて要指導医薬品に移っていくということになると思いますが、要指導薬の場合は基本的に本人が買いにくるという立てつけになってございまして、今回のように乳児はさすがに違うとしても、学童の子が必要だという場合に、本人が来ずにお母様やお父さんとか親族が購入する場合でも、うちの子のために必要なんだということは当然想定されるので、これまでスイッチOTCの場合に子どもがある程度使うものをあまり考えていなかったので、そういう立てつけがなかったのですが、例えば今回の場合については、親族が買いにくる場合でもそれは認めるとか認めないとかそういうことも必要ではないかと。その上で、今の笠貫先生のおまとめでいくと、なるべくアクセスできる、先ほど宮川先生がおっしゃったような確認も必要になりますが、アクセスポイントをなるべく増やさなければいけないのではないかということも考えますと、単純に要指導薬にいけばいいのかどうかということも実は論点になるのではないかと思いまして、この会議を超えた部分かもしれませんが、供給拠点をある程度確保する、また、本人でなくても親族が買いに来た場合でも買えるような形を考えるということに合った販売の仕組みも考えておく必要があるのではないかと、この薬の特性からいって思いましたので、先ほどとレベル感が違うので分けてコメントさせていただきましたが、その点も追加でコメントさせていただきます。
 
○笠貫座長
 緊急避妊薬のときも年齢や保護者をどうするかという話も出たと思いますが、それぞれの製品によって違うので、具体的な製品の採否を決めるときには議論が必要ではないかと思います。
 
○宮川委員
 今お話があったように、私が先ほどなぜ小児について強調して意見したのかというと、今の磯部委員がおっしゃったことそのものなんですね。年齢設定をしっかり考えないと、蟻の一穴ではないですが、後々いい加減な議論になってしまう。それは非常に困るので、どのような設定にしていくのかという、もともとの大前提がどうあるべきかを提起されていて、そのことを私たちはより自覚しなければいけない。どう取り扱うのか、小児と言ってもどの年齢の部分で考えていかなければいけないのか、というのが非常に重要だと思います。ですから、スイッチOTC化した際の効能・効果に、先ほど事務局から「健康な成人・小児等」と書いてありますけれども、この薬を使うという時点で健康な成人・小児ではないじゃないですか。そこに乳糖不耐症が入ってくるのであれば完全な疾病です。そこはしっかりとした考え方をしていかないといけないので、「健康な成人・小児」という言葉が入ってくることに非常に疑念を持っております。その中で、どのような定義をしていくのかが非常に重要だとお考えいただければと思います。以上です。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 年齢の問題や、今挙げられた問題も、具体的な製品ごとに問題を抽出して、課題を解決していくかを具体的な議論として進めていきたいと思います。今日は1回目ですので、この製品についての課題抽出と、解決策が具体的にあれば少し議論しますが、課題を抽出してパブリックコメントで消費者の御意見をお聞きする。2回目で、パブリックコメントも踏まえた上で課題と課題解決について議論することになると思いますので、それぞれどういう課題点と課題解決を考えられるかをお考えいただけたらと思います。それでは、議決は取りませんので、そういう形でパブコメに入らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
○湯浅委員
 効能・効果については、先ほどの乳糖不耐症を記載するのかどうかなど、色々と検討課題があると思います。また、「乳児」をいれるのか。効能・効果には、「小児等」と書いてありますけれども、小児の中で幼児、つまり、学校に上がる前のお子さんに関してはどう扱うのか、あるいは用量や用法も含めて、もう少し踏み込んだ議論をしていただいたほうがいいようには思います。
 
○笠貫座長
 それぞれの細かな課題解決について議論はまだあると思います。安全性について特段懸念する問題はないということ、牛乳等の食品を食べると下痢をするとか消化不良になるという幅広い症状からたくさんのニーズを持っている人がいるとしたら、ベネフィットとリスクがどうかという議論になると思いますが、そのデータがないところで議論を進めることも難しいのかもしれません。ここでパブコメで御意見を頂くのもいいと思います。2回目のパブコメを含めた検討会では、データがどの程度まであるのかも含めて最終的な課題抽出に対する解決策をまとめていきたいと思います。
 
○宮川委員
 よろしいでしょうか。今、座長がおっしゃったように非常に際どいところがございまして、乳児の場合は成長曲線もしっかり書かせて、成長の具合をきちんと見なければいけないわけです。それを逸脱しているのはどの辺りなのかも含めて、カーブが非常に重要なところになってくるわけです。ですから、私がたびたび意見していますが、年齢は非常に重要であるということをお考えいただかないといけない。小児というくくりでまとめてしまうのは非常に問題だろうと。成人と小児をまず分ける形が重要なポイントの一つになってくる。そして、小児の中でどのように年齢区分を考えていくのか、学童のときはどうなのかも含めて年齢区分は非常に重要です。すなわち、まず第一には、成人と小児をきちんと分けて検討しなければいけないということです。先ほど日本消化器病学会が(適応疾患に)体重減少と入れていることについて私が発言したのは、成人であれば少しばかりは問題ないのですが、小児で体重減少となると非常に問題になってくるわけです。保護者等の教育的な問題にも関わってきて、学校の中でも問題になってくるわけです。そこをどのように取り扱うのかが将来的な問題として残ってしまうことになるので、問題点として整理していくべきところではないかと考えています。よろしくお願い申し上げます。
 
○笠貫座長
 この会議での課題抽出と解決に関しては、特に年齢の問題、用量・用法の問題、使用期間の話は非常に大事だということを御指摘いただきました。そこについて具体的に年齢を何歳にするのか、そのときの適正使用はどうするのかについては、パブリックコメントを終えた後にそれぞれのデータの捉え方、ニーズとリスクについて少数意見・多数意見がどこにあるのか含めてまとめることになっていくと思います。まず今回はパブリックコメントとして、指摘された3つの問題点については十分御意見を頂けたら意義が深いのではないかと思います。今日は1回目として課題ということでの共通の認識を皆さんと持った上で、パブリックコメントに向かってまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。どうぞ。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 パブコメの内容、最終的にこの検討会議は課題と対策をまとめるのですけれども、その前のパブコメの段階でも、ある程度課題と対応策を整理してパブコメにしましょうという形になっております。本日いろいろ御意見頂いた内容、課題と思われるところもあれば、対応策っぽく書いているところもありますので、あるいは留意しなければいけないところとかありますから、その辺は今日の議論を踏まえまして、先生方からまたフィードバックでコメントを頂くという立てつけになっているかと思いますが、それを頂きつつ、課題と思われる部分、対応策と思われる部分を事務局で整理させていただいて、それで先生方にフィードバックするという形でパブコメ案をつくり上げるというのがこの会議の立てつけだと思いますので、よろしければそのような形でさせていただければと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
 
○笠貫座長
 私も、同じ認識ですけれども、今回年齢を何歳にするかとかという整理までは。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 そこでは難しいと思いますが、例えば、年齢については注意しなければいけないとか、成人と区別して議論すべきだというのも一つの考え方だし、小児の年齢については慎重にしなければいけないというのは課題なのかもしれませんが、そこは課題なのか対応策なのか難しいところはありますけれども、そこは整理する中で先生方とやりとりする中でブラッシュアップさせていただくという感じでいかがかなと思います。
 
○笠貫座長
 私も言っていることは同じです。課題を中心にその対応についていろいろ議論されましたが、課題解決について絞り込んだ議論は、今回はデータがないので、そこまでするのはなしにしましょうとお話ししたつもりです。本成分については、検討会議としてはただいまの議論を踏まえて、ここまで出た課題抽出と課題対応についての意見をまとめた上で、事務局からそれを各構成員にお渡ししますので、その間、構成員の方々もいろいろ考えていただいて御意見を頂いて、それを踏まえたパブコメ案としてまとめさせていただくことにしたいと思います。それでは、事務局に今言った形で進めていただけたらと思います。
 続きまして、次の候補成分につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○事務局
 資料3-1、19ページを御覧ください。成分名はオキシブチニン塩酸塩になります。スイッチOTCとした際の効能・効果は「尿意切迫感(急に尿がしたいとの我慢しがたい訴え)及びそれを伴う頻尿(尿の回数が多い)、尿もれ」になります。対応する医療用医薬品は、ネオキシテープ73.5mgでございまして、効能・効果は過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁になります。
 2にまいりまして医療用医薬品の特徴・概要でございます。オキシブチニン塩酸塩の経皮吸収型製剤は2013年に承認され、再審査結果は2020年に通知されており、承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断されております。本成分は、抗ムスカリン作用及び平滑筋直接弛緩作用を有し、膀胱排尿筋の収縮抑制及び排尿筋弛緩により、膀胱の過緊張を緩解させます。また、国内で販売されている経皮吸収型製剤の過活動膀胱治療薬は本剤のみとなります。
 続いて、21ページにまいりまして安全性に関する情報でございます。本剤は、重大な副作用は血小板減少、麻痺性イレウス、尿閉が報告されております。禁忌といたしまして、尿閉を有する患者、閉塞隅角緑内障の患者、重篤な心疾患のある患者、幽門、十二指腸または腸管が閉塞している患者及び麻痺性イレウスのある患者、胃アトニーまたは腸アトニーのある患者、重症筋無力症の患者、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者、授乳婦が設定されております。
 続きまして、24ページにまいりまして推定使用者数等でございます。40歳以上の日本人における過活動膀胱の患者の実数は、2002年は810万人、2012年は1,040万人と推定されております。同種同効薬・類薬の状況につきましては、OTCとしましては過活動膀胱治療薬としてプロピベリン塩酸塩(バップフォーレディ)が販売されております。なお、プロピベリン塩酸塩につきましては、平成30年8月の第5回検討会議及び平成30年12月の第6回検討会議で議論した候補成分になります。
 海外での承認状況についてでございますが、25ページを御覧ください。現時点で、本成分は米国で一般用医薬品として承認されております。医療用医薬品としては、そちらに記載の6か国において承認がなされております。
 続きまして、31ページにまいりまして、関係医学会・医会からの見解でございます。まず、日本排尿機能学会の見解でございます。「2.スイッチOTC化の妥当性に関する事項」の「1.OTCとすることの妥当性について」の薬剤特性の観点からでございます。過活動膀胱は、本邦の中高年者に多く認められること、既に同効薬の塩酸プロピベリンがOTCとなっており適切に使用されていることから、OTCとする妥当性はあること。用量については、73.5mgの半量程度が副作用の出現抑制のため妥当であり、その際は半量での薬効評価が必要であること。対象疾患の観点から、抗コリン作用を有するため前立腺肥大症などの膀胱出口部閉塞を伴う場合、急性尿閉を含む排尿困難の増悪を誘発する可能性があるため、女性に限定することが妥当であること。高齢者の認知機能への影響の可能性があることから、長期服用の禁止及び年齢上限の設定が必要であること。適正販売、スイッチ化した際の社会への影響の観点から、軽度の過活動膀胱の最初の治療機会になると考えられ、適切な用量、対象設定、副作用の周知、モニターを行えば有益であること。無効の場合に加え、有効の場合にも長期服用は避け、医師の診察・治療を推奨することが望ましいことを挙げていただいております。次のページにまいりまして、「2.OTCとする際の留意事項、課題点」といたしまして、抗コリン作用を有することから、口渇、便秘、認知機能への影響、排尿困難への留意が必要であること。近年、多剤服用時の抗コリン作用負荷の認知機能への影響等が指摘されているため、OTC薬を含めたお薬手帳などの運用を提案すること。貼付薬であり、かぶれなどの局所の皮膚関連の副作用が報告されているため、これらへの対処・周知が必要であることを挙げていただいております。
 続きまして、33ページを御覧ください。日本泌尿器科学会の見解でございます。「2.スイッチOTC化の妥当性に関する事項」の「1.OTCとすることの妥当性について」の薬剤特性の観点からでございます。抗コリン作用のため、口内乾燥、便秘、排尿障害、閉塞隅角緑内障の悪化を誘発する可能性があること。また、貼付剤であるため、適用部位の皮膚炎、掻痒感、紅斑を起こす可能性があること。対象疾患の観点から、過活動膀胱の原因の1つに前立腺肥大症があり、本人が自覚していない排尿困難を合併していることがあり、本剤投与により尿閉を起こす可能性があること。また、閉塞隅角緑内障も本人の自覚がないことがあり、本剤投与にて症状が悪化する可能性があること。適正販売、スイッチ化した際の社会への影響の観点から、尿意切迫感や尿漏れの相談は気恥ずかしい側面があるため、特に女性の医療機関への受診率は低いことが報告されており、OTC化によって過活動膀胱に対する認知度が高まり、QOLの向上が期待できることを挙げていただいております。続いて「2.OTCとする際の留意事項、課題点」といたしまして、過活動膀胱の女性を対象として、医師による処方の場合の半量投与が適正と思われること。高頻度に起こる可能性がある貼付部位の皮膚症状に対する対策を明示する必要があること。抗コリン作用による症状の悪化が懸念される閉塞隅角緑内障についても確認が必要であることを挙げていただいております。最後の「3.その他」といたしまして、医療用医薬品として米国で承認されておりますoxytrol for womenの用量に差が認められることを挙げていただいております。この点につきましては、事務局から少し補足させていただきます。医療用医薬品の用法・用量の73.5mgは、製剤の有効成分含量を示しているのに対し、oxytrol for womenの用法・用量の3.9mgは、一日当たりのオキシブチニンとしての吸収量を示しております。なお、oxytrol for womenの有効成分含量はオキシブチニンとして36mgです。医療用医薬品の有効成分含量はオキシブチニンとして約66.6mgであり、oxytrol for womenよりも多いですが、その要因の一つとして、貼付期間の差異や製剤自体の差異により両製剤の吸収率が異なることが考えられます。
 続きまして、35ページを御覧ください。日本臨床泌尿器科医会の見解でございます。「2.スイッチOTC化の妥当性に関する事項」の「1.OTCとすることの妥当性について」、薬剤特性の観点からでございます。抗コリン作用による口内乾燥、便秘、排尿障害、頻度は少ないものの閉塞隅角緑内障の悪化を来たすことがあること。また、抗コリン剤の投与による認知症への影響が指摘され、最新版の過活動膀胱診療ガイドラインでは、β3アドレナリン受容体作動薬が第1選択となり、抗コリン薬は第2選択薬となっていること。医療用医薬品は発売当初から皮膚障害が指摘され、2018年に副作用を減ずるために貼付面積を1.5倍にした製品が発売されたこと。また、適用部位皮膚炎、接触性皮膚炎、適用部位掻痒感、適用部位紅斑などの皮膚関連副作用は33.80%に上り、口腔内乾燥4.08%と比べても圧倒的に多かったことが挙げられております。対象疾患の観点からは、既にOTC化されたバップフォーレディは男性の尿閉を考慮し適応は女性のみであり、認知症対策として70歳以上の適応はないこと。米国での適応は18歳以上の女性となっていること。実診療では、本剤の対象患者は、経口薬内服コンプライアンス不良の高齢患者であり、貼付薬をはがさないよう、患者の手が届かない背部などに貼付することがあるが、見えにくい部位のため皮膚障害に気づくことが遅れ、重症化の例が増えていること。最近は、中年以降の女性患者に対しても糖尿病や脊柱管狭窄症を原因とする神経因性膀胱による尿閉・頻尿に対し、一般医が抗コリン製剤を投与し尿閉となり、泌尿器科専門医に受診する頻度も増加していること。このことにより、第1選択薬は抗コリン剤から尿閉や残尿量の増加を予防できる可能性のあるβ3アドレナリン受容体作動薬へ移行していることを挙げていただいております。適正販売、スイッチ化した際の社会への影響の観点から、OTC化する場合でも適応は18歳以上の比較的若い中年までの女性に限ることが望ましいこと。ただし、中年以降の女性はシェーグレン症候群などの口腔内乾燥が多く、本薬剤を使用できる患者層は限られると考えられること。ガイドラインでは、残尿量100mL以上の患者、特に前立腺肥大症で50mL以上の患者は泌尿器科専門医に受診することが推奨されていることから、OTC化により発売された場合、初回投与で改善しない患者は再販売することなく泌尿器科専門医の受診勧奨をする条件が必要と考えること。副作用の多い薬剤であり、残尿量増加には泌尿器科専門医へ、皮膚障害に対しては皮膚科専門医に受診勧奨が必要と考えることを挙げていただいております。「2.OTCとする際の留意事項、課題点」につきましては、適応は18歳以上の比較的若い中年までの女性に限ることが望ましいこと。初回投与で症状が改善しない場合は、再販売することなく泌尿器科専門医への受診勧奨をする条件が必要と考えることを挙げていただいております。「3.その他」といたしまして、OTC化により泌尿器科専門医に受診する機会を減らす可能性があり、また、尿閉により救急医療に負担をかけ、副作用により皮膚科診療に負担をかける可能性もあり、認知症が増加する可能性も考慮され、慎重さを要すると考えることを挙げていただいております。説明は以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。日本排尿機能学会の見解について、舛森参考人から御意見や補足を、お願いします。
 
○舛森参考人
 まず、OTCとすることの妥当性についてですけれども、先ほど御説明がありましたように、過活動膀胱、尿意切迫感を主訴とする症状・症候群ですけれども、40歳以上の男女の14%に認めるということで、非常に有病率の高い状況であるということは言えます。ただ、やはり泌尿器科への敷居が高いと感じる方も多くて、皆さんが医療機関に気軽に受診しているわけではないということで、そういった意味では、そういった人たちの助けになるようなOTCの薬の社会的な要求は高いと思います。ただ、何度も先ほどから強調されましたように、抗コリン薬特有の副作用がございます。重要なのは尿閉です。特に高齢男性においては、ベースに前立腺肥大症による膀胱出口部閉塞が潜在している可能性があると。それによって膀胱・排尿筋が異常に収縮して、何とかおしっこを絞り出している状況、それが尿意切迫感に結びついている可能性があると。そういった人に抗コリン薬を投与しますと、それまで頑張って出していた尿が出せなくなって尿閉に至ってしまうということでございます。したがって、対象疾患を考えた場合は、潜在的に膀胱出口部閉塞を伴うことが多い高齢男性に関しては、適応とすることは安全上の面から好ましくないと考えます。もう一つ、認知機能への問題がございます。最近、Anticholinergic burden、いろいろな抗コリン作用を持つ薬がございますけれども、その総量が認知機能に影響を及ぼすことがございます。したがいまして、特に70歳を超えるような高齢者、ベースとしては認知機能への異常が潜在している可能性がありますので、高齢者への処方も避けたほうがいいのではないかと考えております。したがって、日本排尿機能学会が考える適応患者は、女性かつ70歳未満ぐらいまでの比較的若い方ということになります。一方、先行する薬剤、先ほど塩酸プロピベリンが本会議によってOTCとして認められたというお話がございました。昨年の11月にバップフォーレディという名前で発売されて、ちょうど1年OTCとしての使用実績がございます。大きな懸念は学会には届いておりませんので、恐らく適切に処方・運用されていることかと思うのですけれども、そのバップフォーレディ、塩酸プロピベリンにおいても全く同じような対象症例が設定されております。女性で、かつ15歳から70歳。もう一つが薬の量です。通常塩酸プロピベリンは20mgというのが標準の用量なのですけれども、安全性を考慮して半量の10mgがOTCとして認められております。したがいまして、今回のテープ製剤のオキシブチニンテープに関しても、73.5mgの半量、それが可能かどうかは薬屋さんに聞いてみないと分からないのですけれども、安全性を考慮して半量の処方が適切ではないかと考えますが、半量での効果が日本人において有効かどうかというデータは恐らくないと思いますので、先ほどの米国の製剤のデータなども参照しながら考えていかなければならないと思っております。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。次に、日本泌尿器科学会の見解について石塚参考人から御意見・補足を、お願いします。
 
○石塚参考人
 もう既に事務局から御説明もありましたし、舛森先生からも結構お話がありましたので簡単にコメントさせていただきます。まず、私の見解は33ページに書いてありますけれども、まず20ページの成分情報等の欄に、今、過活動膀胱の薬物治療の中心は抗コリン薬が第一と書いてありますが、これは第1版の引用でございまして、今は第3版になっています。それでは抗コリン薬は第一にはなっていませんので、そこは注意が必要です。なぜならなかったかといいますと、口渇、便秘、認知症、緑内障の悪化が問題になっているからでございます。あと、舛森先生がBPH(前立腺肥大症)の問題についてもお話しされましたのでコメントはしません。あと、目の問題、緑内障の問題というのは結構ありまして、本人が自覚していないこともあります。自覚されていても開放性の隅角緑内障の場合と閉塞性の隅角緑内障の場合で対応が違うんです。閉塞性の場合は問題になります。それは本人は当然分からないし、我々も分からないです。眼科に一応問い合わせるということをやっています。そういうこともやらないで処方を出していいのかという問題があります。あと、OTC化されたときの使われ方が24ページにありますけれども、最初のみ医師の診療のもとで本剤を使用するとコメントに書いてありますが、最初だけでは不十分だと思います。長期投与の安全性、特に皮膚炎や尿閉などの排尿障害の出現、認知症、目の症状など詳しくフォローする必要があると考えています。あと、21ページに皮膚炎の問題が書いてありますけれども、頻度が尋常ではないです。46.6%でございます。医師の処方、我々が出すときには必ず皮膚の保湿剤を同時に処方するケースが多いんです。ヘパリン類似製剤、ヒルドイドとか処方することが多くて、それでも起こるので、これは非常に要注意でございます。あと、海外の話がありましたけれども、女性のみの適応であるということですね。あと用量がバップフォーの話も出ましたけれども、半量であるということも十分考慮して、慎重な判断が必要ではないかと考えています。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。それでは、最後に日本臨床泌尿器科医会の見解について、斎藤参考人から御意見・補足等をお願いします。
 
○斎藤参考人
 日本臨床泌尿器科医会会長の斎藤でございます。既に議論は尽くされた感じですが、臨床医としてお話しさせていただくと、この薬は発売のときに皮膚障害が非常に多かったので、実は1cm当たりの量を減らすために製剤が変わっているんです。要するに小さいパップ剤から大きくパップ剤にして、量は同じなのですが、1cm当たりの量を減らすということで副作用の軽減を図ったのですが、今お話ししましたように45%近くの有害事象が出てくると。予防的にやっても出てくるということですね。メーカーさんの営業などに聞きますと、ほとんど大病院では出ていないということなんです。実際、我々、日本臨床泌尿器科医会の先生方、クリニックや訪問医の先生方がお使いになっているのがメーンです。特に、訪問医の先生方が、おしっこが近くなったと御年配の女性に言われて割と気楽に出すのですが、認知機能が入っていますと、おむつをとるのと同じように足やお腹に貼ったパップ剤をはがしてしまうんですね。4日間もたないわけです。ということで、どうしても介護者は背中に貼ったり、それで日付を書いて今度の交換はいつですよということでやっているのが実態で、皮膚障害に気づくのが遅い。背中でなかなか気づかないということもありますし、認知症の方が多いので訴えもなかなかないという問題が起きます。リアルワールドでお話ししますと、実際は、男性については前立腺肥大症の話が先ほどありましたので割愛させていただきますけれども、女性の場合でも最近、脊柱管狭窄症や重症の糖尿病、HbA1Cが10を超しているような御年配の方がいまして、そのための尿閉、脊柱管狭窄症で神経がやられて尿閉になるという神経因性膀胱が非常に増えていまして、まず、救急科に行かれて敗血症のショック状態で運ばれると。どうにか乗り切って泌尿器科に回ってくると、入院時のCTを撮ると膀胱がパンパンに、600とか1,000ccたまっていまして、逆流性の腎障害で腎盂腎炎を起こして敗血症になっているというのが非常に多いということなので、この頻度も月に何件ではなくて週に何件くらいの頻度で入ってきますので、女性も油断してはならいないということでございます。現場では、実はこのパップ剤はかなりにおいがきついんですよね。だから、緩和ケアの訪問で行きますと、すごいにおいがします。特に、調剤薬局ではなくてクリニックで応対している先生などからも、置いておくとにおいが強くてたまらないという訴えもございます。そういう意味で以外と泌尿器科医が気づかずに救急科の先生方に御迷惑をかける、または皮膚科の先生に御迷惑をかけるということが非常に多いので、我々でも、まずは患者さんがいらっしゃったら排尿状態を診まして、残尿量が100以上だとかなり慎重になります、抗コリン剤は。ですから、β3のお薬がどうしても増えてきてしまいますが、その辺がリアルワールドの使い方と問題点だと我々は考えております。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。全体を通して個別の御意見がございましたら、今の薬剤の特性、疾患の特性、適正使用、販売体制の順番でもいいですし、特に御意見がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
 
○堀委員
 私はまず、この資料の、24ページのOTC化された際の使われ方を読み、今まで同様の効能・効果をもつ市販薬、OTC化されているものが70歳未満までの成人女性だったのに対して、75歳を超える高齢者に向けても使用可能とし、年齢制限を設けず使用可能と考えるという文言から、この薬は、70歳以上で頻尿に悩む方々の救いになると思いました。特に、今、斎藤先生がおっしゃっていたように、在宅介護をなさっている御家族の方にとってみると、飲み薬というより貼り薬で一日1回ということであるならば、非常に助かるお薬ではないかと思ったのです。しかしその反面、添付文書の特定の背景を有する患者に対する注意では「認知症又は認知機能障害のある方」という項目が書かれていましたので、70歳以上の方で確実に認知症又は認知機能障害があると診断された方に貼付する場合は注意をします。けれども、その認知症状が曖昧な方に対しては、この薬を使ったことによってどういう副作用が起きるのだろうということは、使う消費者の側からして非常に心配になりました。ですので、70歳以上が使えることは消費者にとってみたらとてもうれしいことなのですが、その使い方が非常に難しいなということを感じましたので、簡単に移行という形にはいかないでいただきたいということが私からの意見です。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。この薬剤については、先行薬としてこの評価会議でプロピベリンが承認されていることを前提にして、同じ抗コリン作用のものです。今回の製品は貼り薬であり飲み薬ではないということをどう捉えるかについて御意見を頂けたらと思います。平野委員、お願いします。
 
○平野委員
 私自身、実は前立腺肥大を持っておりまして、それによって抗コリン作用による排尿障害や尿閉の恐ろしさも十分認識しているつもりでございます。一方で、前立腺あるいは排尿困難についてQOLが著しく阻害されるということも自身で実感しているものでございます。その立場で、先生方のおっしゃる懸念は重々承知の上であえて申し上げるのでのすが、女性に対しては、少なくとも前回のバップフォーレディやレディガードコーワという商品がございます。ただ、実は過活動膀胱の対象者の6割は男性であって、男性に救いの手がない。では、どうすればという中で、今まさにおっしゃっていただいた貼付剤であるということ、血中濃度の上がり方が恐らくゆっくりであろうということ。内服であれば飲んでしまったものを吐き戻すわけにはいきませんが、貼付剤であればはがすことはできる。何らかの方法で男性に適応がとれるような方法を考えることも、一つこの会の在り方ではないかと思います。通常であれば男性を外すほうがはるかに簡単に物事が進むことは承知の上で、あえて男性に道をつくるという議論をしていただければということでございます。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。大事な御指摘を頂いたと思います。
 
○磯部委員
 私はこのお話で最初に排尿機能学会の舛森先生がおっしゃった、まさしく有病者が非常に多いと。そして、適切な医療機関に受診されていない方が多いと。そういう方々が、自分の病気は医療機関をきちんと受診して管理していくべき疾患なのかということを、どうやって認識度を高め、そういう方々が適切な医療を受けていくか。これも医療提供体制で非常に大事なことだと思いますが、なかなかその手段が結局は本人の自覚に委ねられてしまっていることがあると思います。そういった方々に一定の期間、こういう医薬品があって、それでもうまくいかない、何かおかしなことが起こる、そういった方々がそれで自分の病気のことに気づいて医療機関にかかる。私は、OTC医薬品は国民と医療をつなぐ大切な存在として生かしていくべきだと思っておりますので、先ほどの有病者が多いけれども、多くの方が放置されているという事情があるのであれば、こういった医薬品を男女を問わず認めて、本製剤が73.5mgで下に用量がないこともありまして、そのとおり認めていいのではないかと思いますが、そういった選択肢を与えることは国民にとって大事なことではないかと思います。また、いろいろ危険性のお話がございましたので、私もこの会議に臨むに当たりまして、先ほどのβ-ガラクトシダーゼはデータがない中でどうするかというお話がありましたが、これは比較的新しい薬剤でもありまして、承認申請のデータ、再審査、その後の使用成績調査が行われた結果のレビューもPMDAで行われていて、かつ、全ての副作用報告も全部オープンになっていますので、私はそれを全部見てまいりました。そうしますと、特に再審査の報告の中では、今お話があったような皮膚炎の問題、抗コリン作用に基づく有害事象の問題についても特定使用成績調査という形で、それにターゲットを絞ってどういうことが起こっているのかをつぶさにデータを集めて、医療用医薬品として見てきておりまして、皮膚炎では31%ぐらいあったのですが、全て非重篤で重篤なものはなかったと。ですから、新たな安全措置は要らないのだという結論になっており、抗コリン作用のものも6.7%あったのですが、全部で2,035例のうち重篤例1例で、今までいろいろ危険性のお話がありましたが、そうであればそれに対して注意喚起をしたり、使用するときに注意をしなければいけないという医師サイドへのいろいろなレターなり注意喚起が行われるわけですが、そういう追加の措置がないことを見ると、確かにあることはあるのだろうけれども、それは現状の管理の中ででき得る範囲で、新たな措置は要らないのだという結論になっているので、そういったことを見ますと、先ほどの有病者が多いという現状と、今の集められたデータ、臨床家としていろいろ見られていることは当然よく分かっているのですが、少なくとも公的なもので収集されたデータで評価されたものから言うと、そこまでのものは今のところは出ていない。副作用報告も私もざっと見ましたけれども、それほど大きな、今お話し申し上げたものとほぼ同様の結果でございましたので、私はこういうデータの結果から見ると、OTC化を考えて、先ほど73.5mgで男性にものがない、しかも、有病者も多いということから認めて、必要な方はちゃんと受診につなげていくような道筋をつくることが、この会議として大事なことなのではないかと思いまして発言させていただきました。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。宮川委員どうぞ。
 
○宮川委員
 まさしく今おっしゃったとおりです。適正な管理下において、今述べられたことが行われているのであり、そのことはしっかりと重きを置いて考えなければいけない。斎藤参考人からもお話がありましたように、貼付剤という特性において、しっかりとした管理下でいろいろな状況を察知し対応できるかにかかっているのだということが分かってきているので、磯部委員がおっしゃったことは大前提であり、当然のことだろうと。しかしながら、その大前提がしっかりできる体制が整っているかどうかが問題です。私はこの薬に対して全く否定はしていません。しかしながら、スイッチ後に3年の経過措置により、なし崩し的に一般用へ移行がなされたときの怖さは非常にあるのではないかと思います。そこはしっかりとこれから考えていかなければいけないと。スイッチすれば、3年後どうするのかというところはこれからも十分な考え方を持っていくことが重要です。さらに、閉塞性の隅角緑内障の問題は非常に大きな臨床の問題ですし、認知症に対する問題、皮膚症状の問題もあります。そこで実際に、先ほど斎藤参考人がおっしゃったように、在宅で使われているところもあるのですが、結構問題が起こっている。救急で運ばれて実際どうなのかといったら、適応されるべきではない方に使用される問題が起こっていて、今この問題は表に出ていない状況だとお考えいただければ一番いいのかなと。ここが非常に大きな注意点であると思います。そして、実際にはβ3のアドレナリン受容体作動薬が第1選択薬となっており、この薬がファーストチョイスではなくて、セカンドチョイスあるいは今後サードチョイスになっていくのかもしれないということもあります。その中でどのように使われていくのかが非常に大きな問題になっていくのではないかと。そこについてしっかりと議論し、これからも問題点を明らかにしていかないと非常に大きな問題が起こってくる。そして高齢者の場合には、夏場の水分摂取、過剰に水分摂取をしているところがあります。実際に泌尿器科の先生方といろいろやりとりをしている中で、患者さんは尿が近いとか排尿のいろいろな症状を訴えるのですが、水分チェックをしていると、かえって多く取られていることがあると。脳梗塞の予防のため何リットルも飲んでいるお年寄りの方もいらっしゃる。しっかりとした泌尿器科の先生の診断のもとですると、瞬く間に問題がなくなってきて、過剰摂取という問題が明らかになる。そういうところが今までの医療の適正な管理の中で行われている、そこが磯部委員がおっしゃったデータであるということを皆さんが理解していくことが非常に重要だと思った次第です。以上です。
 
○笠貫座長
 原委員、お願いします。
 
○原委員
 日本眼科医会の原と申します。先ほどから副作用として閉塞隅角緑内障のことがたくさん出ていますので、少し補足というか意見を述べさせていただきたいと思います。まず、緑内障というのは、もちろん有病率はすごく多い病気でして、40歳ですと5%くらい、70歳代になると10%ぐらいと、すごく成人には大きい病気ですので注意しなければいけないし、閉塞隅角緑内障というのは数時間や数日で失明につながることもある病気ですので、もちろん十分注意が必要だと思います。ただ、実際の閉塞隅角緑内障に関して言うと、全体の頻度のうちの0.6%しかないと言われていますし、40歳代ではほぼゼロです。50歳代でも0.2%、60歳代で0.9%と、緑内障全体の有病率から考えると閉塞隅角緑内障は1桁有病率が違うというデータが日本人のデータから分かっています。この中でバップフォーレディのときに、医療用医薬品だったときは禁忌は閉塞隅角緑内障となっていたのですけれども、それがOTC化されたときに、ただの緑内障と禁忌の表示が変わりましたので、安全性を考えればそちらのほうがいいのかもしれませんけれども、有病率を考えると、私どもとしてはOTCの趣旨から考えて、必要以上に使える人を制限してしまうのではないかということを非常に懸念しております。なので、これをOTC化するに当たっても、閉塞隅角緑内障はそのままの表示にして、禁忌は閉塞隅角緑内障と。ただし、病型が分からないのであれば、通っている眼科に問い合わせてくださいという表記をしてくださいとバップフォーレディに関しても今年7月に申し入れをしたのですけれども、一旦なってしまったものに関しては変更は難しいという現状ですので、これをOTC化するのであれば非常以上に投薬を制限することがないように、禁忌は閉塞隅角緑内障で、もし病型が分からないのであれば眼科に問い合わせてくださいという記載に、ぜひしていただきと思っております。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。湯浅委員、どうぞ。
 
○湯浅委員
 我々、実臨床の中で男性のOAB(過活動膀胱)を疑うような場合に、50歳以上であれば前立腺肥大がありますので、まずα1受容体遮断薬を使い、前立腺肥大をコントロールした上で、OAB薬が必要であれば使用するのが一般的です。ましてや、当該薬は抗コリン作用を有しており、尿閉には特に注意が必要です。男性患者に対し、前立腺肥大の治療を考慮せずに、抗コリン作用を有するOAB薬をOTCとして販売することは、我々が日常、普通に行っている診療からかけ離れてしまいます。その辺りを考慮せずに、OTC薬として市場に出してしまうのは問題があると思っています。確かに経口薬と比べると貼付剤の副作用は少ないということは言われている通りですが、本薬は、「高齢者の安全な薬物療法のガイドライン2015」の中に、特に慎重な投与を要する薬剤として医療用としてもリストアップされています。すなわち医療用としても、特に高齢者に対しては、慎重な投与が必要になります。また、ポリファーマシー(多剤処方)につながりやすいお薬ということも言えると思います。薬の有害事象により、その有害事象に対する内服が増えることが考えられるわけです。本薬も例えば、便秘を起こし、緩下剤を飲まなければいけないというようなこともあります。先ほど学会からお話があったように、医療用として抗コリン作用を有する他のお薬を服用していないか、お薬手帳等を用いてきちんと確認することが大事だと思います。もし、確認が確実にできないということであれば、効能・効果は中年女性に限定するべきと思います。抗コリン剤というのは、それだけ慎重に取り扱っていかなければいけない薬なのだと思っております。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、時間が迫ってまいりました。磯部委員からご指摘があった副作用の頻度、重篤性、可逆性、再評価のときということを基にして議論を進められたらと思います。これは医療用医薬品としての管理下というデータをきちんと把握した上で、それを薬剤師あるいは薬局の管理下でどこまでの対応策で解決できるのか、できないのかという具体的な議論が入れば、さらに課題抽出と課題解決策に進んでいくのだろうと思います。特にこのように男女差がある場合、男性・女性のそれぞれの副作用がどうであるかも詰めていく必要があると思います。もう一つ、有病率について、特にどう考えるのかについて含めて、御意見を整理してパブコメにしていきたいと思います。それでは、論点として主として挙げられたのは、女性に限定の話、有病率の話、認知症の副作用の頻度・重篤性です。それから、年齢をどうするかという問題は非常に大事だということ。男性・女性の問題。それから、貼布剤の用量を半量にすることでどういう効果があるのか。これは先行薬を半量にしたときの効果がどうであったのかも含めてデータがあれば、さらに議論が進むと思います。もう一つ皮膚症状ですが、飲み薬と貼り薬が皮膚の強い人と弱い人がいるという意味で選択肢が増えるということ、この3つが主な論点だったように思います。それぞれの課題と対応策の議論を踏まえて事務局でまとめていただき、再度各構成員にお送りして、追加をお願いできたらと思います。そういうことでパブコメを事務局にお願いしたいと思います。特に御異論がなければ、そのような形で進めさせていただきます。
 続きまして、スイッチOTC医薬品の候補とされました成分の承認時の対応状況について、事務局より資料4、5で御説明をお願いします。
 
○事務局
 37ページにまいりまして、資料4-1を御覧ください。本議題では、過去に本検討会議で御検討いただきました成分について、その後、薬機法に基づく承認がなされましたので御報告をさせていただきます。本日は2成分について御報告をさせていただきます。
 資料4-1は、ヨウ素・ポリビニルアルコールについてでございます。ヨウ素・ポリビニルアルコールは、平成29年11月15日の第3回検討会議で議題として挙げられた候補成分となってございます。令和4年6月3日にサンヨードが要指導医薬品として承認されております。検討会議で挙げられた点への対応状況に関連する資料といたしまして、資料4-2、4-3、4-4、4-5、4-6として貼付文書、チェックシート、販売店向け及び使用者向けの情報提供資料、審査報告書を添付しております。検討会際では、効能・効果には角膜ヘルペスを含めないなど、OTCとして適切な効能・効果(例えば、眼の殺菌・消毒・洗浄)とすることと指摘され、審査ではその指摘を踏まえた効能・効果が設定されております。また、OTC化する際には一般消費者が自ら容易に使用できるような製剤工夫を行うとともに、製剤の確実な取扱いに向けた薬剤師による指導体制を構築する必要がある、包装単位については製剤の安定性を考慮し、設計する必要があるという意見を踏まえまして、薬剤液と希釈液の2液から成る製剤とされ、また、こちらに記載の製剤工夫及び情報提供を行うこととされました。
 続きまして、ページが飛びまして恐縮ですが75ページを御覧ください。資料5-1でございます。ポリカルボフィルカルシウムでございまして、平成31年3月14日の第7回検討会議で議題として挙げられた候補成分となっております。令和4年9月16日にギュラックが要指導医薬品として承認されました。検討会議で挙げられた点と、その対応状況について関連する資料といたしまして、以降資料5-2、5-3、5-4として添付文書、チェックシート、審査報告書を添付してございます。検討会議では、効能・効果は既承認の一般用医薬品の過敏性腸症候群の再発症状改善薬と同様の効能・効果を設定することとされ、既承認の一般用医薬品と同一の効能・効果が設定されております。また、長期に漫然と服用されることがないように薬剤師が説明するとともに、2週間服用して症状がよくならない場合は、服用を中止し、受診勧奨する旨の情報提供を行うこととの意見を踏まえまして、貼付文書の使用上の注意の「相談すること」に「2週間服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この文書を持って医師又は薬剤師に相談すること」が設定されております。また、チェックシートの記載様式や含めるべき項目についての意見を踏まえまして、対応状況に記載の対応がなされているところでございます。説明は以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。ただいまの御説明に委員の先生方から御意見がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。この検討会議での結果を部会に挙げていただいて、対応策についてかなり細やかに検討されていることをよくお分かりいただいたと思います。そういう意味で、この検討会議の意義があるとお考えいただき、これからも作業を進めていきたいと思います。
 それでは、資料4、5については御確認いただいたものといたしたいと思います。ありがとうございます。
 本日の議題は以上でございますが、ほかに事務局より何かありましたら、お願いいたします。
 
○事務局
 本日も長時間にわたりまして御議論いただき、ありがとうございました。本日検討いただきました内容につきましては、また事務局で取りまとめをさせていただいた後、さらにパブリックコメントに向けて内容を精査してまいりますので、またそちらの御確認もどうぞよろしくお願いいたします。なお、次回の検討会議は詳細が決まりしだい、改めて御連絡をさせていただきます。御多用のところ大変恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。それでは、これで第23回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を終了させていただきます。師走のお忙しいところ対面で御参加いただいた委員の方々、オンラインで御参加いただいた委員の方々に心から御礼申し上げます。昨年は、この検討会議が採否を決めないことになり、どう進めるかについて随分議論させていただきましたが、来年は充実した検討会になることを期待しております。御協力ありがとうございました。

 

 

(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
03-5253-1111(内線 2737、4225)
 

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議> 第23回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(2022年12月26日)

ページの先頭へ戻る