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2021年10月4日 第17回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

令和3年10月4日(月) 15:00~17:00


○場所

オンライン会議
フクラシア東京ステーション(オンライン会議場)
5K会議室(5階)
東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル


○出席者

出席委員 

五十嵐委員、岩月委員、上村委員、宇佐美委員、小縣委員、柿田委員
笠貫委員、黒川委員、佐藤委員、宗林委員、高野委員、長島委員
萩原委員、平野委員、堀委員、松野委員、宮園委員、湯浅委員

出席参考人 

安達参考人、加藤参考人、種部参考人、前田参考人
緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト

○議題

1.緊急避妊薬のスイッチOTC化について
2.その他

○議事


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第17回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日の出席状況でございますが、本日は、近藤委員、部坂委員より御欠席との御連絡をいただいております。したがいまして、現在のところ、21名中19名の委員の先生方に御出席いただいているという状況でございます。
 本日は、緊急避妊薬のスイッチOTC化の議論をするに当たりまして、構成員のほか、要望者の方、日本産婦人科医会、日本産婦人科学会から参考人の方々にも御出席いただいておりますので、御紹介をさせていただきます。まず、要望者でございます緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクトより、遠見才希子様、染矢明日香様、福田和子様でございます。それから、日本産婦人科医会より、安達知子先生、種部恭子先生、前田津紀夫先生でございます。それから、日本産婦人科学会より、加藤聖子先生にも御出席をいただいております。本日は、どうぞよろしくお願いします。
 ウェブ会議を開始するのに当たりまして、注意事項を御説明いたします。発言される際は、画面のマイクのボタンを押してミュートを解除した上で、お名前をおっしゃっていただき、座長に指名された後に御発言いただきますようお願いいたします。また、発言されないときはマイクをミュートにしておいていただければと思います。また、会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事前にお送りしたウェブ会議のマニュアルに記載されている連絡先に御連絡をいただければと思います。
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきますので、カメラ撮影の方は御退席をいただければと思います。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 それでは、笠貫座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。
 
○笠貫座長
 ただいま御紹介にあずかりました笠貫です。よろしくお願いいたします。それでは、まず、本日の配付資料の確認を事務局からお願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。資料につきましては、ペーパーレス化を実施しておりまして、会議場に来られている委員におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認いただくことができますので、よろしくお願いいたします。なお、タブレット端末は、会議資料の議事次第を画面に表示した状態で、配付をさせていただいてございます。他の資料を画面に表示する際には、画面左上の「マイプライベートファイル」を指で1回タップをしていただければと思います。なお、タブレットの使用方法につきましては、これまでと同様に「ペーパーレス審議会 タブレット操作説明書」を御確認くださいませ。
 本日の資料といたしましては、「マイプライベートファイル」に表示されている上から順に、会議資料、参考資料となっております。会議資料につきましては、資料を一つづりにしてございまして、今、画面には議事次第が映し出されておりますけれども、以降、議事次第、配付資料一覧。その下に参りまして、資料1-1と1-2、資料2-1から2-5、資料3を1つのPDFファイルとしております。参考資料につきましては、開催要綱、「評価検討会議における候補成分の検討の進め方」、構成員名簿及び「日本におけるスイッチOTC成分」のリストを1つのPDFファイルとしております。タブレットの中には、各個別の会議資料を個別資料として、前回会議第16回の会議において使用した資料を第16回資料として保存しておりますので、適宜、御活用くださいませ。
 本日の資料関係の御説明は以上となります。御不明な点がございましたら、事務局までお申しつけください。事務局からは以上となります。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。 タブレットの不具合等についてありましたら、お知らせください。よろしいでしょうか。それでは、本日の議題である「緊急避妊薬のスイッチOTC化について」に移りたいと思います。まずは、本議題の再検討の経緯について、事務局から説明をお願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。タブレットの資料1-1を御覧くださいませ。再検討の経緯でございます。緊急避妊薬のスイッチOTC化の検討に当たりましては、まずは、これまでの経緯を簡単に御説明をさせていただきます。緊急避妊薬「レボノルゲストレル」につきましては、2017年の第2回の検討会議におきまして、スイッチOTC化は認められないとの結論となってございまして、その結果につきましてパブリックコメントを行っています。パブリックコメントでは多数のコメントをいただいておりまして、それらのパブリックコメントの内容を踏まえまして、第3回の検討会議での議論を行い、最終的にスイッチOTC化が否とされているところでございます。
 次のページ、2/122ページから3/122ページを御覧ください。こちらは、2017年当時の検討会議結果をまとめたものでございます。スイッチOTC化を認められない理由といたしましては、完全に妊娠を阻止することができないこと、本邦での性教育が遅れていること、薬剤師が販売する場合、女性の生殖や避妊、緊急避妊に関する専門的知識を身につけてもらう必要があること、インターネットでの販売も含め、悪用や濫用等が懸念されること等が挙げられていたところでございます。
 続きまして、4ページ目を御覧くださいませ。その後、昨年12月に、第5次男女共同参画基本計画がまとめられまして、その中で、処方箋なしに緊急避妊薬を適切に利用できるよう検討するといった内容が、閣議決定されているところでございます。
 続きまして、5ページに参りまして、その閣議決定を受けまして、女性活躍・男女共同参画の重点方針2021に、本検討会議で国内外の状況等を踏まえ、本年度中に検討を開始することが本部決定されているところでございまして、その下に参りまして、本年度の骨太の方針2021におきましても、今年度から検討を開始することが決定されている状況でございます。
 そのような中、本日、要望者として参加いただいております「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」より、緊急避妊薬のスイッチOTC化の再検討に係る要望書が提出されたという状況でございます。
 簡単ではございますが、再検討の経緯の説明は以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。それでは、続きまして、要望者である「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」から説明をお願いします。
 
○染矢参考人
 「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」共同代表NPO法人ピルコン理事長の染矢明日香と申します。この検討会の場に市民の要望を届ける機会をいただけたことに深くお礼申し上げます。いつ妊娠するかしないかは、女性にとって人生を大きく左右することです。私自身思いがけない妊娠中絶の当事者です。15年たった今も、その経験や痛みを忘れることはありません。それほど妊娠は女性にとって大きなものです。現在、日本の年間人工妊娠中絶件数は15万件、もし緊急避妊薬が手に入っていたら、そういう悔しい思い、つらい思いをする方を少なくしていきたい、そういう思いで活動しております。
 予期せぬ妊娠で中絶をすれば、その心身の負担を背負い、出産しても、その後の学業、キャリアへの影響を及ぼします。一人で抱え込んでしまった結果、乳児遺棄や虐待につながることもあります。安心・安全で迅速な緊急避妊薬のアクセスを広げ、自分らしく生きる選択肢を増やすために、要望者であるプロジェクト共同代表3名から発表させていただきます。
 私を含め代表3名は皆大学生のときより、それぞれの立場から性教育に携わる活動をしてまいりました。2020年に市民プロジェクトとして発展し、国会議員の方向けの院内勉強会の開催、署名や要望書等、市民の声を集め、届ける活動、啓発、調査にも取り組んでまいりました。当プロジェクトには薬剤師の方からも、地域住民の健康に貢献することは薬局の使命です。私たち薬局薬剤師も研鑽を積んでいます。薬局も緊急避妊薬のアクセスステーションの1つになることができれば、患者さんにとって選択肢が増え、私たち薬剤師も貢献できるのではなど、心強いメッセージをいただいております。さらに、全国の薬局薬剤師の声をYouTubeで公開しておりますので、ぜひ御覧ください。オンライン署名キャンペーンでは、現在、12万筆に迫る非常に多くの方から御賛同をいただいております。
 当プロジェクトでは、先ほども御紹介があったとおり、今年5月に緊急避妊薬のスイッチOTC化の要望申請をいたしました。コロナ禍の中、非常に多くの妊娠の不安を訴える、特に若年層の声を聞いております。コロナ禍において、意図しない妊娠、性暴力、DVなどの増加が懸念される中、WHOなどの国際機関からは緊急避妊薬のOTC化を含むアクセス改善の勧告が出ております。また、オンライン診療が解禁されたものの、以前として高い入手のハードルがあります。緊急避妊薬の調剤に関する研修会を、皆様方の御尽力がありまして、全国で約9000名の薬局薬剤師の方が既に受講されております。また、政府の閣議決定もありまして、このタイミングで申請をさせていただきました。
 緊急避妊薬は早く服用するほど効果的で、72時間以内というタイムリミットのある薬です。一方で、私たちの調査では、緊急避妊薬のアクセスに障壁があるとの答えは、何と96%以上でした。さらに、コロナ禍で妊娠不安を抱いた人のうち、緊急避妊薬を入手できたと答えた人はわずか17%でした。そして、いち早く服用する必要がある緊急避妊薬を入手する際に、本当に様々なハードルがあるという声が寄せられています。現行の診療体制の強化を含め、緊急避妊薬の薬局販売への要望をまとめ、厚生労働省・内閣府等に提出して、政府による検討の閣議決定にも至りました。多くの若い人たちからのパブリックコメントもいただいております。
 また、緊急避妊薬のアクセス改善を求める要望書への御賛同団体も増え、国際家族計画連盟や薬剤師、ユース団体も含めて、お手元資料では63となっておりますが、最新では65の市民団体から御賛同をいただいております。多くの市民が緊急避妊薬の薬局販売を望んでいることを受け止めていただきたいです。
 続いて、福田より、当事者の声や海外での状況を発表いたします。
 
○福田参考人
 ありがとうございます。皆さんこんにちは。共同代表福田です。私たちは、これまで緊急避妊薬に関するオンラインでの調査を回答者1500人規模を2回、1万人規模を1回行いました。その際、特に顕著だった結果がこちらです。3回の調査全てで、意図しない妊娠に対する不安を感じたきっかけのトップは、破損や脱落といった男性用コンドームの失敗でした。
 日本では、より確実な避妊法の多くが承認されていません。認可があるものでも、入手には高額さなどのハードルがあります。結果として、男性用コンドームのみでの避妊が主流ですが、表から分かるとおり、1年間100人の女性がコンドームのみで避妊をした場合、破損や脱落を含め一般的使用で、13人の女性が妊娠すると言われています。日本で最もメジャーな避妊法の成功率は必ずしも高くないのです。だからこそ、緊急避妊薬はいつでも誰でも必要になり得る薬です。
 しかし、私たちのアンケートで浮き彫りになったのは、ここにあるような緊急避妊薬の入手を阻む様々の障壁でした。以下、いただいたメッセージです。以前、避妊に失敗したのは金曜の夜だった、診療を受け付けてくれるところがなく、次の生理が来るまで不安で仕方なかった。あのとき薬局で緊急避妊薬が買えていたらと今でも思う。オンライン診療での入手に関しては、いつ届くのかという不安との戦いだった。家に届くまで時間がかかり、72時間以上かかってしまったという声も届いています。ほかにも、夜間診療を行える産婦人科では、医師や助産師、看護師不足の中で翌日の外来受診を勧めざるを得ないという声も届いています。
 こういった状況は本来あってはならないことです。なぜなら、緊急避妊薬は国民の優先すべき医療ニーズを満たすWHOの必須医薬品に指定されており、適切な情報とともに、手頃な価格でいつでも利用できるべきだからです。実際、海外では、現在、約90か国以上で処方箋の必要なく薬局で入手できます。日本を除く主要7か国でも、全ての国で薬局で800~5000円程度で購入が可能、フランス、ドイツなどでは、若年層には無料です。日本では6000~2万円もします。
 私はこれまで様々な国際会議に出席し、日本の緊急避妊薬の現状もお伝えしてきました。そのたびに、会場は、最初は驚きで静まりかえり、最後には怒りやあきれの声、ため息でいっぱいになります。実際、今回、要望書には、女性の健康と権利に取り組む世界最大のNGO国際家族計画連盟(IPPF)も賛同しています。事務局長ドクター・アルバロ氏は、レターの中でこのように述べています。緊急避妊薬は数知れない多くの女性・女子に、教育、夢、希望を追いかけること、そして、望む人生の実現を可能にしています。日本は低用量ピルの認可が最も遅かった国の一つとして知られています。日本の政治家・官僚の方々は、安全な技術へのアクセスを制限することで、女性と女子を根本から傷つけているこの差別的な政策を覆す歴史的な機会を持っています。
 私はこれまで、薬局で売られる緊急避妊薬を様々な国で見てきました。2016年に初めて緊急避妊薬が薬局で売られているのをスウェーデンで見つけたときには、真っ昼間の薬局で涙が出てきました。今は、私は手を伸ばせば1000円ちょっとで緊急避妊薬を買える、でも、その瞬間にも日本では様々なハードルから入手を断念せざるを得ず、妊娠不安で眠れない夜を過ごす子がいる、その不条理が悔しくてたまらなかったからです。
 慎重な意見の中には、転売・悪用するのではという声もあります。実際、今回、産婦人科医会でされたアンケートを拝見しても、OTC化による懸念の1位は、転売の可能性でした。OTC化を再び否決し、若者や女性たちに、あなたたちは転売するかもしれない、信用できない、OTC化なんてとんでもない、そういうメッセージを送ってしまっていいのでしょうか。それとも、権利の枠組みに沿ったOTC化によって、私たちは本気であなたたちを守りたい、権利を実現したい、そういうメッセージを伝えられるのか。今、私たちは大きな分かれ目にいると思います。
 今、私はこの場にたまたま立つことができました。どうか、私たちの後ろにいる過去、現在、もしかしたらこの先すらも緊急避妊薬を入手できず、苦しむ数知れない女性たちの存在を想像してください。そして、忘れないでください。皆さんには未来を変える大きな力があります。自分を大切にしてほしい、そう思っていただけるのであれば、どうか、自分を守りたいと思った人が確実に自分を守れる、大切にできる、その手段をください。ありがとうございました。
 
○遠見参考人
 共同代表の産婦人科医の遠見と申します。よろしくお願いします。私は産婦人科医ですが、業界から声を上げる難しさを感じまして、市民プロジェクトの一員として発表させていただきます。
 日本における緊急避妊薬の対面診療についてです。問診のみで、内診不要で産婦人科以外の医師も処方することは可能です。面前内服や同意書については必須ではありません。病院を受診すればいいじゃないかという声もありますが、実際、厚生労働省ウェブサイトに掲載される対面診療可能な医療機関は、全体の約3%にすぎません。例え産婦人科であっても、取扱いがない医療機関もあり、私自身も臨床の現場で何時間も何時間も患者さんを待たせる、そういった経験があります。
 2019年には、オンライン診療が解禁されました。しかし、要件がつきました。転売など悪用防止のための面前内服です。これは女性の人権やプライバシーの侵害につながる可能性が考えられます。国際的には推奨されていることではありません。オンライン診療の取扱いはさらに限定的ですが、症例は着実に蓄積されております。神奈川県で行った16例のうち、宅配ではなく、薬局で当日の受け取りができたケースは11例でした。内関東以外は5例、内3例は女性が薬局に行き、薬局から診療依頼を受けました。全ての薬局において薬剤師の対応は円滑でした。
 調剤を行った薬剤師の声です。依頼者-薬剤師-医師の間に信頼関係があったことが大きかった。1000km離れていても対応可能だった。緊急で対応しなければならないのに、まだまだこういう状況なのだと、地域の薬剤師としては、本当に必要なときにすぐ飲めるシステムを構築するべきではないかと痛感した。
 今回改めて感じたのは、ハードルの高さです。もっと緊急避妊薬が身近で、自分で自分の体を守ることが普通にできる環境をつくる必要を感じます。対応マニュアルをつくりました、クリニック、ワンストップ支援センターもお伝えできるようにしてあります。グループ薬局内でも活動が進んでいます。処方医が見つからず、かかった時間は3時間です。本来は、地域でカバーできることが望まれます。私たち薬剤師は、薬局で準備をしていても、現状、先生に処方してもらわない限りお渡しすることができません。望まない妊娠を防ぐことができるような社会、緊急避妊薬の市販化の実現を望んでいます。
 私は診療を通して強く感じたことがあります。薬局の準備はめざましく進んでおります。特にこの1年2年で非常に大きく進んでおります。そして、薬剤師は、薬と健康の専門家であり、地域で身近な存在の医療従事者です。上から目線ではなくて、同じ目線で地域の人たちの健康をサポートされている、まさに薬局はヘルスケアのファーストアクセスの場であることを実感しました。
 そもそも緊急避妊薬というものは、産婦人科医しか取り扱えない特別な薬ではありません。世界中の薬局で薬剤師が対応できている薬です。日本でも、地域の身近な薬局で処方箋なしで入手する選択肢が必要です。対面診療やオンライン診療を強化することももちろん必要ですが、オンライン診療については、アプリの登録やクレジット決済や様々な手順があります。利用できない女性はいます。全ての人にアクセスするためには、薬局でという選択肢が必要だと思います。
 2017年の検討会では、様々な懸念点が挙げられました。便宜上、番号を振っております。実は、これらはOTC化を阻む理由には本来なりません。残念ながら、日本のこれまでの議論は、専門家と呼ばれる方々の個人的な価値観や科学的根拠の確認できない御発言、中には誤った御発言もあります。そういった議論をもとに否決されてきた歴史があります。私たちは、WHOや国際産婦人科連合など、国際的なガイダンスを日本語訳しております。そちらをもとにファクトチェックブックとして検証させていただきました。こちらは全24ページにわたります。この作業をしていて、本当に驚かされました。このような発言で日本の方針が決まってしまうのかと。今回は、科学的根拠に基づいた人権尊重をベースにした議論をしていただきたいと思っております。
 WHOのファクトシートがありまして、科学的根拠をもとに医学論文をもとに分かりやすくポイントがまとまっております。知っておきたい8つのこととしてまとめさせていただきました。日本では、緊急避妊薬が発売されたのは2011年、10年前です。ただ、海外では1970年代、80年代、30~40年前から広く使用されて、広く研究されています。思春期を含む全ての女性に安全に使用できます。重い副作用や長く続く副作用、血栓症のリスクはありません。子宮外妊娠のリスクは増加しません。全妊娠のうち約1%は子宮外妊娠と言われていますが、緊急避妊薬でリスクが増加することはないのです。むしろ、妊娠自体を回避するということで、このリスク自体下げるということも言えると思います。将来の妊娠しやすさに影響は与えません。男性胎児の女性化があるなど、検討会で発言もありましたが、そういった胎児の先天異常などに影響を与えないということは国際的に示されております。流産させる薬ではありません。また、市販化された場合、女性は情報を理解し、正しく使用することができる。用法は簡便で正しい使用のために医学的管理下に置く必要はない。そして、入手しやすくなっても、無防備なセックスは増加しない。複数の研究から明らかにされています。避妊しない性交や性感染症のリスクは増えません。
 以上を踏まえて懸念点を振り返りますと、懸念点1として、完全に妊娠を阻止することができないと挙げられましたが、そもそも妊娠阻止率は100%ではもちろんありません。ただ、早く服用するほど効果が高いです。妊娠阻止率約85%ですが、24時間以内に服用すれば約95%です。安全性が高いことからなども、多くの国で市販薬、処方箋なしの使用が承認されています。100%ではないのですが、服用した場合の妊娠率は約1%です。これまで10%は妊娠する人がいるとか、約1割が妊娠に至るといった御発言もありますが、こういった発言は臨床研究と比較しても非常に高く、通常は考えにくいものです。
 懸念点2としまして、悪用や濫用の懸念です。悪用に関しましては、現状、国内では未承認薬を輸入・転売して逮捕される事件が頻発しております。緊急避妊薬に正規ルートでアクセスしづらい現状が悪用を引き起こしている可能性も考えられます。繰り返し服用に関しては、健康上のリスクはなく、非常に安全です。もし、そう必要とする女性がいるならば、より長期間作用型のより効果的な避妊法を検討したほうがよいかもしれないと示されております。これは低用量ピルのことではありません。コンドームや経口避妊薬、低用量ピルは、使用する人に依存した方法です。それらを避妊法として使う女性にとって、緊急避妊薬を知ることはすごく大切なことです。長期間作用型というのは、日本では未承認の避妊インプラント、もしくは日本で承認されていますが、高額でなかなか手に入りづらい子宮内避妊具(IUD、IUS)は避妊目的の場合、3~7万円です。こちらのことです。WHOは、不必要な手順、処置を避けること。そして、将来必要になるときに備えて多めに渡しておくことも推奨しているのです。悪用や濫用の懸念があることがOTC化できない理由になる根拠や、転売などの悪用を避けるために面前内服をさせる根拠は確認できません。
 3点目としましては、月経の状況を女性自身が判断することができないとされました。しかし、若い女性もラベル表示と説明書を容易に理解できること、服用後にルーチンの再来は必要ないこと、使用者には「いつでもまた来てくださいね」と伝え、月経が7日以上遅れるときなどは再来するように伝えることになっております。服用後のフォローアップ受診を全例で行う根拠は確認できません。現行の対面診療でも全例のフォローアップ受診は行われておりません。
 懸念点4です。実際の処方現場では、避妊具と同じように意識している女性が少なくないという懸念がありましたが、緊急避妊薬が必要となる理由で最多は、コンドームの破損や脱落です。緊急避妊薬はどんな理由であっても重要なバックアップです。レイプや強要された性交などには特に有用なものです。
 そして、懸念点5として、性教育の遅れが指摘されました。しかし、そもそも教育の有無にかかわらず全ての女性及び少女には緊急避妊にアクセスする権利があります。性教育の充実や医薬品による避妊の普及が薬局販売の前提条件であるという根拠は確認できないのです。
 私自身、20歳の頃から17年間性教育の活動に携わっています。今年も100か所以上の学校で緊急避妊薬のことを伝え続けてきました。もしものときには緊急避妊薬がある。でもね、高いんだ。1万円から2万円かかるんだ。そして、受診が必要なんだ。でも、妊娠を阻止する効果があるから、どうか受診してほしい。どうかたどり着いてほしい。でも、海外では薬局で安く手に入るんだ。中には学校で無料提供している国もある。でもね、日本は性教育が遅れているからって反対されてしまっているの。どうかたどり着いて。知っていたけれども、飲めなかった。そして、妊娠して、中絶しました。そんな声も届いています。例え知識があっても、利用しやすいシステムがなければたどり着けません、知識は生かせません。こんな性教育をいつまで続ければいいのでしょうか。
 先ほどもお話ししたとおり、薬局・薬剤師の状況は、この数年で大きく変わっております。また、後発薬発売によって価格も低下しており、在庫を置く薬局も増えており、全店舗在庫配置されている、準備を整えている薬局もあります。こちらに関しては、御覧いただければ幸いです。
 性暴力に関してですけれども、残念ながら、私たち産婦人科医は、性暴力被害者支援のゲートキーパーにはなれていません。なぜかというと、内閣府の調査によると、レイプされた女性のうち、医療機関に相談した女性はわずか2.1%です。全ての性暴力被害を産婦人科医が対応できている、ゲートキーパーになれているというのはいかがなものでしょうか。 また、病院にたどり着けていない人がいることを改めて認識しなければいけない数字だと思います。性暴力被害者に対する支援が提供できていることが薬局販売の前提条件であるという根拠は確認できません。性暴力被害者支援で大切なことの1つ、それはやはり緊急避妊薬に迅速にアクセスできることです。それを阻むこれは性暴力被害者にとって二次被害につながるのではないでしょうか。
 2017年の議論の中では、性暴力被害者なら手に入れやすくしてもよいといった議論がありました。ここで皆さんに考えていただきたいのは、医療者にジャッジする役割があるのかということです。安易でない緊急避妊、安易な緊急避妊、それをジャッジする、その役割はあるのでしょうか。私たち医療者は目の前の人の人生のごく一部しか見ることはできないし、知り得ません。表面的な理由や態度で人をジャッジすることなどできません。どんな人でも、健康を守るために世界標準の価格とアクセスで、緊急避妊へのアクセスを確保する、それが大切です。医療者の役割は、ジャッジメントではなく、ノンジャッジメンタルに適切な情報とサービスを提供すること。決して、説教や脅すことをすることではありません。
 これは日本産科婦人科学会も加盟する国際産婦人科連合のコロナ禍における声明の一節です。私たち産婦人科医の役割と倫理的義務は、性と生殖に関するヘルスケア、もちろん緊急避妊薬へのアクセスを確保することも含まれます。これを科学的根拠に基づき、権利の枠組みの中で提供されていることを確認することが私たちの役割です。緊急避妊薬を必要としないであろう専門家と呼ばれる人たちが、性教育が充実していないなどとジャッジして、当事者のアクセスを阻むことは、本来、プロフェッショナルとしてあってはならないことです。
 皆さん一人一人に、性と生殖に関する健康と権利(Sexual Reproductive Health & Rights)があります。身体的・精神的・社会的に良好な状態で自分の意思が尊重されて、自分の体のことを自分で決められることです。子供を産むかどうか、子供を産むとすれば、いつ何人産むか決定する自由があります。悪用や濫用の視点だけではなく、健康と権利を尊重した議論が必要です。では、権利って何だろう。
 高校生が教えてくれています。私はこの薬に出会えたから、妊娠せずに学生を続けられています。でも、出会えたのは偶然が重なったから。手に入ることが偶然ではいけないはずなのに。緊急避妊薬は女性にとって避妊の最後の砦です。どうか誰の手にも平等に届く薬であってください。誰の手にも届く、それが権利だと思います。
 緊急避妊薬は誰のための薬ですか。産婦人科医のための薬ではありません。悪用する人のための薬でもありません。意図しない妊娠のリスクを抱えた全ての女性と女の子のための薬です。権利ですから、今はまだ駄目だ、時期尚早だとか、この国はいいけれども、この国は駄目だとか、この人は知識があるからいいけれども、この人は駄目だ、この人は繰り返しているから駄目だ、そんなジャッジメントをしていいのでしょうか。アクセスする権利、その視点でどうかこの議論を進めていただきたいと思います。
 追加の資料が抜けているということで、ここからは口頭でお話しさせていただきます。 私たちは、緊急避妊薬のスイッチOTC化に伴う課題の解決に向けての要望として、7点提出させていただきました。
 1つ目、人権尊重と科学的な根拠に基づいた議論を行うこと。
 2つ目、全国的に薬局で緊急避妊薬の販売を行い、地域での相談体制・連携の強化を行うこと。
 3つ目、緊急避妊薬の提供において、適切な情報提供を行うこと。
 4つ目、使用者の負担や障壁につながり得る要件を避けること。
 5つ目、緊急避妊薬は全ての女性が入手できる価格にすること。
 6つ目、包括的性教育の普及推進を行うこと。
 7つ目、日常的な避妊法のアクセスを改善すること。
 プレゼンテーションは以上になります。 しかし、緊急で提出させていただいた公開質問状と要望についてお話しさせていただきます。日本産婦人科医会の提出資料に関する公開質問状と要望を提出させていただきました。これは、提出された資料の中に、結果の歪曲が疑われる結論が存在する可能性が考えられたからです。全国の産婦人科医を対象にアンケート調査が行われましたが、緊急避妊薬のOTC化について、「賛成(条件付き賛成を含む)」と回答した人の中で、検討に当たって設けたほうがよいと思う要件または必要と思われる取組みを選択した人が、提出資料においては、「現状のままでは反対」とラベリングされています。そして、現状のままでスイッチOTC化には産婦人科医の91%が反対という結論になっております。これは結果の歪曲でしょうか。また、調査結果と結論の飛躍の可能性も考えられます。根拠を御提示いただきたい。
 そして、序文や設問文に誤った記載や誘導的な表現が複数存在する可能性もあります。中でも、学習指導要領は「性交」という言葉の使用を禁止するものではないのにもかかわらず、学習指導要領において、中学校の性教育で「性交」という言葉の使用を禁止しという序文掲載があり、アンケート回答者に誤情報が与えられている可能性も考えられます。全ての結果を公表し、中立性・信頼性について御見解を教えていただきたいということで提出させていただきました。
 また、現場の産婦人科医からも多くの声をいただいております。まさか自分の票が反対にカウントされているなんて本当に悲しい。このような現状だからこそ、体制を整えて進めてほしいという思いだったのに、女性だけではなく、現場の産婦人科医もばかにしているのではないか。緊急避妊薬は女性の権利です。スイッチOTC化を推進してください。様々な声をいただいております。ファクトチェックブックは要望書提出の参考資料にもありますので、ぜひ御覧いただければ幸いです。
 以上になります。御清聴いただき、どうもありがとうございました。
 
○笠貫座長
 どうもありがとうございました。時間がオーバーしましたが、非常に大事なお話しをいただきました。それでは、ただいまの御説明について、御質問・御意見はございますか。どうぞ。
 
○湯浅委員
 章平クリニックの湯浅です。いろいろ貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。アフターピルに関しては、副作用については大きな問題点はないように思っています。内閣府の第5次基本計画策定専門調査会の中で、「薬剤師が十分な説明の上で、対面で服用させることを条件に」という条件付がされていますが、現在研修を終了された薬剤師のかたはおよそ9000人程度と聞いております。一方で、正確な数字は分かりませんが、薬局薬剤師のかたは全国で10万人以上いらっしゃるのではないでしょうか。そうすると、研修制度がかなり遅れているように感じます。また、研修を受講した薬剤師が都市部で多く、地方で少ないなど地域によりばらつきもあるのではないかと推測できます。アフターピルをOTC薬とし販売できる薬局は、全国一律でなければ意味がありません。そのあたりについてどのようにお考えなのか、簡単にお聞かせいただけますか。
 
○遠見参考人
 御質問ありがとうございます。遠見です。オンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤に関する研修会は、日本薬剤師会、日本産婦人科医会の連携の下、全都道府県で急ピッチで進めていただけていると考えております。また、この研修の内容には、緊急避妊薬だけではなく、月経・妊娠・避妊・緊急避妊など、女性の健康に関する幅広い内容が含まれていると認識しております。今後も研修は広く行っていただけるというお話も聞いておりますので、薬剤師の先生の中には、受けたかったけれども、まだ受けられてないのですという声も多くいただいていますので、広げていっていただけたらと思います。
 
○笠貫座長
 ただいまの御質問については、この後、薬剤師会、産婦人科医会から、お話を聞けると思いますので、ここまでにしたいと思います。ほかにございませんか。これまでの会議でリプロダクティブ・ライツについて、科学的根拠を踏まえて、皆さんと共通認識、共通言語の下で議論を進めていきたいと願っています。
 
○堀委員
 資料の46ページの下のところを確認、質問させていただきたいと思います。46ページに、教育のことが書いてありまして、歯止め規定が書いてあると思うのですけれども、先ほどのご説明では、実際に学校によっては行政や民間と連携し性教育が行われていると断言なさっていらっしゃいます。これは、この後、文部科学省からの説明もあるかと思うのですけれども、具体的に簡単で結構なので、どのような教育が行われているのか、もしお分かりになれば教えていただきたいと思いました。
 
○染矢参考人
 御質問ありがとうございます。この後、文部科学省からも御説明あるかと思いますが、実際に学校で行われている性教育の現状としましては、小学校4年生のときに月経・射精・精通など取り扱います。その後、中学校段階で、エイズとか性感染症の教育があるのですけれども、コンドームが避妊法とか、性行為という言葉が性的接触という言葉に書かれておりまして、避妊法としては出てこないという状況があります。また、高校になりますと、家族計画とか中絶とか避妊のことも出てきますし、緊急避妊薬について記載がある教科書とない教科書がありますが、今、教科書の改訂が進んでおりますので、記載についても増えているというようなことを伺っております。
 あとは、生命(いのち)の安全教育を内閣府と文部科学省と共同で進めておりまして、その中で、高校生以上の対象とする教材の中には緊急避妊薬の記載をしていただいております。中学校段階で、歯止め規定と言われるような記載はあるのですけれども、2018年の東京都の性教育の手引き改訂の際に、学習指導要領はそこが最低の基準であって、それ以上は教えてはいけないということではないということですとか、学習指導要領を超える内容であっても、保護者や学校全体の理解の下伝えていくということは、選択肢として禁止されているものではないという認識でおります。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。
 
○堀委員
 ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 それでは、これまで指摘された課題をめぐる対応状況等に関する議題に移りたいと思います。指摘された主な課題として性教育の問題と薬剤師さんの資質向上などが挙げられておりましたので、これらを検討するに当たり、これらに対する対応状況等について、文部科学省、事務局から、その後、日本薬剤師会、産婦人科医会から説明をさせていただきたいと思います。
 それでは、文部科学省からお願いします。
 
○文部科学省
 文部科学省健康教育・食育課堀江と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私からは、現状の学校教育の中での性教育の内容について御紹介をさせていただきたいと思います。先ほど御質問ございましたとおり御説明いただいておりますが、現状、学校教育は学習指導要領に基づいて行われているというもの、その内容を御紹介をさせていただきたいと思います。後半、具体の教科書の記載例なども御紹介させていただきたいと思います。教科書につきましては、教科書会社の著作物というところもございますので、事前配付の公表資料には含まれていないものもございますので、その点御了承いただければと思います。
 次のスライド、「性に関する指導について」でございます。こちらは現状の指導の内容を簡単に1枚にしてございます。学校での性教育は学習指導要領に基づいて行われるというもの、児童生徒が性に関して正しく理解して、適切に行動を取れるように、そういったことを目的に行われております。教科としては保健体育科が中心になりますが、特別活動など学校教育全体を通じて指導することとされております。
 実際の指導に当たっての留意として、発達の段階を踏まえていくこと、それと、個人の考えではなくて、学校全体で共通理解を図って行うこと、それと、保護者の理解を得ていくこと、先ほどもございましたが、集団で一律に指導する内容と個別に指導する内容を区別して行っていくことも重要だと考えております。
 東京都の例も御紹介いただきましたが、東京都では、中学校の段階で保護者の同意をいただきながら、性交に関するような内容も含めて指導するグループ、そうでないグループを分けて指導しているという実態もあるかと思います。実際の学校段階の内容につきましては、次のスライド、小学校から順番に御説明させていただきたいと思います。
 次の次のスライド、60ページ目を御覧いただければと思います。
 小学校の指導の内容、こちらは第4学年の内容でございますが、こちらは、子供たちの成長は思春期に近づいてくる年代でございます。体の成長が大人に近づいてくること、体つきが変わったり、初経、精通などが起こったり、異性への関心が芽生えていくというもの。その内容として、下に枠囲みしてございますが、男女の特徴が現れてくること、初経、精通、変声、発毛などが起こって、異性への関心も芽生えていく、個人差はあるけれども、これらは大人の体に近づいていく現象であることを理解できるようにするというのが小学校の段階でございます。この指導に当たって、先ほど申し上げたような発達の段階等を踏まえていくことが重要だと考えております。
 次のスライドが、特別活動等の内容でございますが、こちらは御参考でございます。その次も御参考でございます。62ページ目は、学校で授業を行う際の展開例などを示してございます。
 63ページ、64ページが、中学校の指導の内容でございます。中学校の指導では、この成長について実際に思春期に入ってまいります。内分泌の働きによってその機能が成熟していく、成熟に伴う変化に応じた適切な行動が必要になってくるというものがその内容でございます。実際に妊娠、出産が可能になる、そういった段階になってまいりますので、受精・妊娠について取り扱う。そして、妊娠の経過は取り扱わないとしております。この部分がいわゆる歯止め規定と言われている部分かと思います。体の成長に合わせて、性衝動あるいは異性への関心が高まる、そういったことから、異性を尊重する、あるいは情報に対して適切に対応する、適切な行動選択が必要になってくることが、学習の内容になってまいります。詳細は、その枠の中にございます。
 続いて、次のページが65ページ目にございます。65ページ目は性感染症に関するものも含めて、感染症についても中学校段階で扱ってまいりますので、その際に、性感染症について扱っていくことになっております。特にエイズに関して学習指導要領上も明記をしてございます。予防に関しては、枠囲みの中にございますが、コンドームを使うことが有効であるということにも触れることが、中学校3年生の学習の内容となっております。
 66ページ、67ページは、特別活動を学校教育全体の中で行っていくという部分での注意事項などを示させていただいております。68ページ目は、中学校で文部科学省が作成している保健教育の教材などで示している、エイズに関して、性感染症に関しての啓発の部分でございます。69ページ、70ページは、実際に中学校で授業を行う際の展開例などを参考に示させていただいております。性感染症の予防のもの、あるいは、この後実際に教材などをお示しさせていただきたいと思いますが、性に関するトラブル、性被害の部分に関しての文脈での特別活動の取扱いでございます。
 次の71ページ、72ページ目から高等学校の内容を少し詳しめに御説明させていただきたいと思います。高等学校保健体育科<第1学年・第2学年>で扱う内容でございますが、72ページは、性感染症に関しての先ほどと同様に、エイズに関する内容が含まれてございます。学校の教科書の中では、こういった際にコンドームの使用など、予防に関する扱い方も併せて行われております。
 次の73ページ目からは、学習指導要領の内容として、生涯にわたっての健康とその各段階における健康課題を扱う中で、思春期、それと、結婚生活の健康に関して扱ってまいります。生殖に関する機能も必要に応じて関連づけて扱うようにしております。これは中学校で同様の内容を扱っておりますので、これと関連づけて扱っていくと。ここでは主に責任感を涵養する、そういったことや異性を尊重する態度、性に関する情報への適切な対処などについて扱っていくことが中心になってまいります。
 詳細な内容を次の74ページ、枠囲みの中で示させていただいております。身体・心理面、行動面の変化に関わって健康課題が生じて、それに対して、自身の責任感とか、異性を理解して尊重したりする態度が必要となる、性に関する情報への適切な対処が必要となるということ。結婚生活に関しては、受精、妊娠、出産と、それに伴う健康課題について理解をできるようにすること。また、以下として示しておりますが、家族計画、避妊が主な中心的なテーマとして出てまいりますが、家族計画や人工妊娠中絶の心身への影響などについても理解ができるようにする。これらが高等学校の学習の内容として示されているものでございます。
 77ページ目からは、文部科学省で作成している教材でございますが、こちらが文部科学省でお示しをしている保健教育の教材でございます。78ページ、少し字が細かくなって恐縮ですけれども、先ほどの学習内容を少し補足させていただく部分でございます。妊娠・出産に関して、ライフプランについて考えるということ、2つ目の項目として、性にかかわる意思決定・行動選択を行っていく重要性という部分を示してございます。この中でも避妊の重要性、あるいは、少し小さい枠囲みの中になりますけれども、その避妊や緊急避妊薬に関する部分なども御紹介をさせていただいております。そのほか、現代的な課題として、不妊に悩む方々が多くいらっしゃるでありますとか、関連する内容を補足するような意味で教材として示させていただいております。
 79ページ、80ページは、こちらも授業の展開例などを参考で示させていただいております。
 その次の追加資料でございます。ここからは事前配付の公表資料には含まれてございませんが、教科書の記載例などを簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。2ページ目でございます。こちらが具体の教科書の記載でございますが、高等学校で来年度から使用される教科書の記載例などを御参考にお示しをさせていただいております。思春期の体の変化として、女性・男性それぞれの体に起こることを、下にもございますが、実際の生殖器、あるいは、女性であれば性周期などを分かるような形でお示しをさせていただいている。隣の83ページ、思春期における心の変化・健康課題としては、心に起こる変化、あるいは、健康課題として示されているものなども御紹介をさせていただいております。
 次の追加資料、3ページ目は、発展的な内容ですが思春期の脳と心の発達と自己実現、教科書会社によってはこういったものも扱っているというものです。
 次の追加資料4ページ目でございます。性意識の変化と性行動の選択。高等学校の内容としては、こういった部分非常に重要になってくる部分かと思います。性意識の変化に関しては、性意識には男女の違いがある。人間関係がうまくいかなくなったりする背景に、そういった男女の性意識の違いへの誤解や無理解があることが少なくないということ。あるいは、異性を尊重することについて、男女の人間関係、何よりも人として対等で平等な関係が前提であるということ。異性の体や心を的確に理解すること、異性を尊重する態度を身につけて、自分の行動に責任を持つことが、この時期の重要な課題だということを伝えております。
 隣の性に関する情報、こちらも、性情報は様々現状氾濫している状況がございますが、それらをうのみにするのではなく、正しいかどうかというのを確認していく必要があるということ。そして、2つ目の項目で、性に関する意思決定・行動選択として、性に関わる意思決定・行動選択は、自分や相手の人生に大きな影響を与えるものだということ、一時的な欲求ではなくて、自分と相手の人生設計を明確にして、対等に話し合っていくことが必要、お互いの立場や感情、考え方を尊重し、行動と行動の結果に対する責任を自覚した上で判断し、行動することが重要だということを示してございます。
 続いて、追加資料の5ページ目、こちらは結婚生活に関する内容でございます。結婚生活、仕組みとしてのもの。それと、2つ目の項目では、夫婦関係、親子関係、そういった関係性に関しての内容でございます。
 追加資料6ページ目は、妊娠と出産に関しての内容でございます。実際に受精、妊娠、出産、行っていく際のその仕組みでございます。受精と妊娠に関するもの、出産に当たっての母体に起こるような様々な状況を御説明しているものでございます。2つ目の隣の2番目の項目は、母子の健康のために必要な様々なサービスなど、行政的な分野からの説明も行わせていただいているものでございます。
 続いて、教科書の最後のページ、追加資料7ページ目になります。こちらが家族計画という項目でございますが、家族計画の意義が説明されております。子供を望む場合だけ妊娠するようにし、望まない場合には避妊をする必要がある、そういったことが女性の健康と子供の健康を守ることにつながるということが示されております。右側のページにその方法として、避妊方法とその選択として、一般的には、コンドームや経口避妊薬、低用量ピルが使用されているということ、それぞれについての説明と、左下には、それぞれについての特徴などを紹介しているもの。この教科書会社はコラムとして、緊急避妊薬に関しても記載をしているところでございます。現状の教科書の内容はこういった内容でございまして、これらも活用いただきながら、実際の学校での指導、それぞれの教員が、先ほど御紹介もありましたが、外部講師の先生方とも協力をして進めているという状況でございます。
 次に、追加資料の8ページでございますが、こちらも追加で御説明させていただきたいと思います。こちらは、昨年度、性犯罪・性暴力対策の強化の方針、政府で決定をしております。これに基づきまして、内閣府と文部科学省が連携して、生命(いのち)の安全教育を進めようということで、その教材を作成させていただきました。その内容を簡単に御紹介させていただきますと、子供たちを、生命(いのち)を大切にすること、性被害の加害者にも被害者にも傍観者にもしないという、そういう考え方の下に教材を作成してございます。内容としては、幼少期であれば、水着で隠れる部分は自分の大切なもので、相手に見せたり触らせたり触ったりしてはいけないというようなこと。中学校段階であれば、性暴力とは何かという分も含めて、昨今のSNSなども通した被害の例示などもして紹介をしていく。先ほどもございましたが、高校卒業前の段階では、それを具体の事例などをもとに説明をしていくことになっております。
 次のスライドがそれぞれの教材に関して簡単に示してございます。追加資料の9番ですね。その次の追加資料の10番で、先ほど言及もございましたが、高校を卒業する直前、あるいは大学生、一般の方々向けに啓発資料としてつくっているものでございます。実際に性暴力のない社会を目指してということで示しているものでございまして、次のスライドの資料11ページから具体の内容ですが、性暴力とはどういうものかというものの紹介、それと、どういう被害が起きているのかという紹介、次のスライドで、具体にこういう被害が起きているという状況、それが起きないようにするためにはどうしたらいいのかというもの。
 そして、最後のページでございます。追加資料13番。困ったときにどうすればいいのかというような対応ですね。実際に相談窓口を紹介しながら、上の枠囲み、「被害直後(72時間以内)の人へ」というところでも、併せて、緊急避妊薬によって妊娠を防げるという部分についての言及もさせていただいているところです。
 引き続き、文部科学省としても取り組んでいきたいと考えているところでございます。現状の学校教育に関しての御説明は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 どうもありがとうございます。文部科学省から、小学校から高校まで、非常に幅広い教材の内容をお話しいただきました。それでは、続きまして、オンライン診療及び薬剤師の資質向上につきまして、事務局から説明をお願いします。
 
○事務局
 事務局から、資料2-2と2-3を用いまして、オンライン診療及び薬剤師の資質向上に関しての概要について、御説明を申し上げます。81ページを御覧くださいませ。
 まず、オンライン診療についてでございます。オンライン診療につきましては、2019年1月から、「オンライン資料の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」が開始され、その中で、オンライン診療における緊急避妊薬の処方についての議論が行われました。それらの議論を受けまして、2019年7月に、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の改訂がされまして、地理的要因、女性の心理的な症状に鑑みて、対面診療が困難であると判断した場合には、初診からオンライン診療による緊急避妊薬の処方が可能となりました。
 2020年に入って、新型コロナウイルス感染症が発生し、急激に拡大したことを受け、2020年4月10日に、院内感染を含む感染防止のため、オンライン診療やオンライン服薬指導等について時限的・特例的な対応として、オンライン診療等を実施するための研修の受講が猶予され、現在まで当該対応は継続されているという状況でございます。
 続きまして、少しページが飛びまして、85ページを御覧くださいませ。オンライン診療において緊急避妊薬の処方が対象となったことを受けまして、令和元年度から、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に基づきまして、各都道府県薬剤師会が関係団体と連携し、令和2年2月より、オンライン診療に基づく緊急避妊薬を調剤する薬局での対応、女性の性、避妊、緊急避妊薬等に関する研修が行われております。四角の中でございますけれども、真ん中辺り、令和3年7月30日現在におきまして、全国の都道府県で研修が実施され、6,626薬局、8,951人の薬剤師が研修を修了しているという状況でございます。
 このように、2017年度の評価検討会議以降、緊急避妊薬を含め女性の性に関する事項、避妊に関する事項の研修が行われ、薬剤師の資質の向上が図られているという状況でございます。
 事務局からの説明は、以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。
 それでは続きまして、日本薬剤師会の岩月委員より説明をお願いします。
 
○岩月委員
 それでは、ただいまから「緊急避妊薬について~薬剤師の立場から~」ということでお話をさせていただきます。今日お話ししたいことにつきましては、先ほどから重々話が出ておりますけれども、まず、「薬剤師の資質について」という我々の考え方と、もう一つは「薬局で緊急避妊薬を提供するうえで」どういったことを考えているのかということを、この2つに絞ってお話をさせていただきます。
 最初に、オンライン診療に伴う調剤の研修の話の前に、まず、薬剤師がふだんどういう仕事をしているのかということで、確認のためにこのスライドを御用意いたしました。ここにもありますように、薬剤師は全ての医薬品を適切に供給する力を持っている。例えば、消化器系の内服薬であっても、当該者が妊娠可能年齢であれば、当然、そのことは情報の共有が必要ですから、そういったことをお尋ねしますし、場合によっては、性周期についてもお話を伺うこともあります。避妊具や低用量ピルについても同様の取扱いをしています。排卵日の予測検査薬とか妊娠検査薬につきましても、薬局は当然この知識をもって需要者に対して説明をしているところであります。
 また、全ての医薬品は、妊娠中や授乳中の服薬に関する情報提供は必須でありますし、また、そのことが受診時には判明しなくて、薬局で判明した場合には、当然、処方医とそのことについて情報共有するということもふだんからしている仕事であります。
 また、最近は、更年期に関する情報提供、これもいわゆる不定愁訴と言って、なかなか医師の先生にはお伝えになってないことを薬局でお話しになる方もいらっしゃることから、これにつきましても、上の妊娠中と同様に、医師との連携が必要な情報と考えて対応をしております。その上で配慮が必要なものについては、薬剤師会で研修をしたり、あるいは、地域の薬剤師会でそういった勉強会をしているのが実態でございます。
 特に女性の健康に関する薬剤師の研修につきましては、「妊娠・授乳サポート薬剤師」養成講座をやっております。それから、性犯罪等への対応研修とか、薬物治療学の中の婦人科系疾患の薬物治療、あるいは、女性の健康支援を学ぶということで、産婦人科領域の特に緊急避妊ピルの処方とマイナートラブルへの対応というテーマでの研修。それから、薬剤師が支えよう!「女性の健康」ということで、緊急避妊薬や性感染症への最新知識を研修する。こういったことも薬剤師会のなかでは研修をしています。
 特に、「妊娠・授乳サポート薬剤師」養成講座でありますけれども、これは愛知県薬剤師会でやっている講座を1つの例としてお示しをしました。平成22年度から取組みを開始しまして、養成講座としましては、年に6回、ここに書いてありますように、妊娠中の胎児の生理や先天異常、母乳に薬物が影響するかといったことを含めたことを、医師であり、大学の教員から解説をしていただく。こういった研修を修了しまして、ペーパーテストを経た上で、認定した妊娠・授乳サポート薬剤師を養成しているということであります。これは5年ごとの更新制を取っておりまして、毎年50例の提出と講座の受講は継続で受けることを条件にしております。現在、愛知県では450名が認定をされているということで、こういったものを薬局に掲示をしておりますので、需要者の方からの「妊娠反応が出たけれども、大丈夫ですか」とか、「こういった鎮痛剤を飲みたいのですけれども、大丈夫ですか」というような相談もあり、的確に対応しているということであります。
 今までの議論の中でもいろいろな懸念材料がありましたが、これは日赤さんが24時間対応制をでやっていらっしゃるホットラインですけれども、ここの構成員の中に薬剤師会の役員を送り込んだりして、情報の共有をしていく。こういったときにはこういった対応をしてくださいということも具体的に情報提供いただきながら、性暴力救援センターの方々もお招きした上で、薬局薬剤師に研修をしていただいているということもやっております。
 これまでは、いろいろな医薬品に絡んで女性に関係した研修をしていたというお話でありましたけれども、ここからはオンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤に関する研修についてお話します。これは令和元年度から、都道府県薬剤師会が主催となって、日本薬剤師会が提供する標準プログラムに基づきまして実施をしているということであります。緊急避妊薬を必要とする患者が不安なく薬局を利用できる体制を整備するために、全国の都道府県で実施しており、約9,000名の方が全国で受講をしていただいています。数が少ないか多いかというのは、また、これから議論があると思いますけれども、やはりコロナ禍の影響があって、ほかの研修も止まっている状況ですので、正直言って、なかなか進んでいないということでおらず、これで十分だとは思っていませんが、中学校区が全国で約1万でありますので、地域偏在をカウントしなければ、オンライン診療に伴う研修としては、一定程度の数が確保できているという認識でおります。
 この中身につきましては、四角の中に書いてありますのが、日本薬剤師会が提供している標準プログラムでありまして、この中で3番のところに、「オンライン診療に伴う緊急避妊薬処方上の留意点」ということで、緊急避妊薬全般のお話とか、性周期に関すること、避妊に関することを、各都道府県の産婦人科の先生方と連携を取りながら、講師を務めていただいているということであります。そのほかに、「オンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤について」も薬剤師会でお話しし、標準プログラムの追加的に、先ほどの性暴力救援センターの講演でありますとか、妊娠検査薬などについても研修を実施しているということであります。
 その緊急避妊薬のアクセス改善につきましては、これも皆さん方いろいろお話をされているところでありますけれども、改めて、予期せぬ妊娠の可能性を生じた女性が、緊急避妊薬に関する専門の研修を受けた薬剤師の十分な説明の上で、対面で服用すること等を条件に、処方箋なしに緊急避妊薬を適切に利用できるよう、薬の安全性を確保しつつ、当事者の目線に加え、幅広く健康支援の視野に立って検討するということでありますので、まさに、こういった研修を踏まえてこういった対応に近づいているという認識を持っています。
 今まで申し上げましたように、薬剤師は既に緊急避妊薬や低用量ピルの調剤や妊娠検査薬等を取り扱っております。医療用医薬品やOTC医薬品であるかを問わず、医薬品が適正・適切に使用されるためには、医師との情報共有ができ、研修を修了した薬剤師の直接の関与が不可欠と考えます。
 これは少し解説をさせていただきますと、例えばこの検討会でも話題になって、かつてスイッチ化されましたH2ブロッカーの医薬品がありますけれども、処方医が出したお薬のH2ブロッカーと薬局で販売しているOTC医薬品のH2ブロッカーで、需要者あるいはその処方箋をお持ちになった患者さんに提供する情報の内容やヒアリングすべき情報の内容が何か違いがあるかというと、これは全くないわけであります。当たり前ですけれども、同じ薬品でありますので、処方箋によるのか、薬局で販売するかを問わず、医薬品が適正・適切に使用されるためにはそういったことが必要不可欠で、全く同じ対応をしているということをぜひ御理解をいただきたいところであります。
 その上で、特に今回の緊急避妊薬を提供する際には、どこの薬局で取扱いがあって、どこの医療機関に、例えばこういう方がお見えになったのですけれども、妊娠が予想されるので販売できませんでしたというような情報があったときに、どのようにして産婦人科の先生にその情報を共有するかということを考えると、どこの薬局が取り扱っていて、どこの産婦人科に行けばいいのかという情報は、地域の利用者とともに共有をすべき内容だろうと考えております。
 その上で、日頃から、今、調剤でやっていますスキルをもって研修をさらに受けた薬剤師が直接に関与することが不可欠だろうと考えております。
 現行制度では、スイッチOTC医薬品は要指導医薬品として区分をされるのでありますけれども、3年たちますと、ほぼ自動的に一般用医薬品に移行されてしまいます。一般用医薬品になりますと、インターネット販売が可能になるということが今後問題になる可能性があるかと考えます。インターネット販売の場合でも、第1類医薬品は薬剤師が担当しますけれども、対面に比べると情報の制限があることや緊急性がある場合の対応に少し問題があるだろうと考えております。
 したがいまして、処方箋を要せずに緊急避妊薬を提供する上で、具体的にどういった方法がいいのかは、これからまた議論すべき課題だろうと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、そういった課題を踏まえて、薬剤師はその職能をもって全力で適正使用に資するよう、提供時のみならず、服用後3週間の問題も含めまして、フォローアップを含めて、真摯に対応をしていくという覚悟を持っています。
 日本薬剤師会といたしましても、緊急避妊薬を必要とする方が不安なく薬局を利用できる環境を整えるために、今後も引き続き研修会とかその内容のブラッシュアップにつきまして、関与していくつもりでおります。繰り返しになりますけれども、課題がないわけではないと思いますけれども、アクセスを改善して、必要だという方にそういった医薬品を提供できる、そのためにあらゆる方法の可能性を否定しないで検討をして、関係者が合意をした上で、この問題については積極的に進めていくべきだろうと考えておりますので、これが日本薬剤師会の緊急避妊薬を提供する上での覚悟といいますか、気持ちといいますか、こういったことで前に進めていきたいと考えております。以上でございます。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。 続きまして、日本産婦人科医会から種部参考人より説明をお願いしたいと思います。
 
○種部参考人
 私からは、日本産婦人科医会で調査をいたしました結果について御報告いたします。背景については、書いてあるとおりでございます。緊急避妊薬のスイッチOTC化については様々な御意見がございます。これを聞き取ることが一番の目的でございました。また、オンライン診療で緊急避妊が始まりましたけれども、性教育を充実させるという方針が示されていたにもかかわらず、まだ、具体的な政策の方向は示されていません。そして、日本においては、確実な避妊法の普及が進んでいないと理解しています。このような背景から、現場からどのような懸念事項があるのかということを調べました。
 調査につきましては、調査期間等は示すとおりであります。これが、資料提出を求められたときにちょっと間に合いませんでしたので、Web回答分だけ、一部だけということで、データクリーニングはまだ未実施の状況であります。最終的には5,571件の回答が寄せられたことを、今現在、調査を検討している最中でございます。以下につきましては、Web回答分だけの暫定値ということを御承知おきいただきたいと思います。属性については、示したとおりであります。これも属性についてですけれども、おおむねいろいろな所属の方ということになろうかと思います。緊急避妊薬の処方経験は9割の産婦人科医が経験をしていました。処方時に問診を行っているかということについては、処方時に、緊急避妊薬を必要とした理由を確認している人が91%でありました。確認している中身については、その必要とした理由とか、中には、性暴力がないかということを確認しているという先生もおられました。
 経験がある緊急避妊薬の処方理由です。これは使っている人たちの目から見て、何割がどういう理由だったかということではありません。そうではなくて、産婦人科医の中で、緊急避妊薬を必要とした理由を聞いた人たちの中で、どのような処方理由を経験したことがあるか、経験値であります。コンドームの脱落と破損や不適切な使用というのが最も多かったということであります。そして、58.1%は、相手が避妊に協力していないということを聞き取っています。そして、その背景として、自由記載に埋められている中で最も多かったのが、DVが含まれているということでありました。相手が避妊に協力しないというケースの後ろには暴力が潜んでいるものがあるということは認識しております。3割が同意のない性交あるいは性暴力のために処方をしているということが聞き取れました。中には、性的な搾取に関することですね。自由記載にはかなりたくさんの意見がありましたので、全部解析はし切れていませんけれども、例えば、風俗店で大量な緊急避妊薬を所持していて、半ば強制的に服用させている。それについて警察に相談しても取り合ってもらえない。中学生が親には内緒にしておいてほしいと言って処方を求めてくるケースで悩んでいる。それから、性交の前に男性が緊急避妊薬を取りに来るというケースがあるということでありました。
 これらの様々な理由、自由記載の分についてはまだ全部は把握していませんので、割合がどうかということは出せないのですが、要は、これは全て暫定値ということでお話をしたいと思います。
 時間的な特性につきましては、約4分の1(26%)の産婦人科医が夜中の処方を経験しています。受診者にとっては、これは、当然、緊急避妊のアクセスが悪いと考えています。土日の処方を行っているところは救急病院であったりとか、産科を扱っている施設が多いということになろうかと思いますけれども、例えば総合病院以外の産婦人科がない地域では、週末、夜間の処方が大変負担であるという意味で、そういう意味ではOTC化は、アクセスを上げるという意味では非常にいい方法ではないかと思います。しかし、早いほうが効果は高いということを利用して、深夜に受診するというケースもあるということでありまして、それを担い切れるのかということは、課題として考える必要があろうかと思います。また、救急外来とかそういうところを受診するのは、そもそも医療の適正化という意味では問題だろうかと思っています。
 同じ女性に複数回処方した経験を持つ産婦人科が53%おりました。複数回処方のケースには、避妊に協力しない、デートDVやDVのケースが多い。それから、軽度知的障害と思われるケースで、話をしてもその後の避妊にはつながらないというケース、あるいは、お金がないというケース、加害者がお金を出しているような場合というのがあるということでありました。
 そして、確実な避妊法の提供について情報提供しているかということでありますけれども、必ず情報提供をしているという人、そして、必ずOCを処方している、必要に応じて情報提供等々ということを含めますと、8~9割の方たちが、何とか確実に避妊法の普及を促そうと努力はしていますが、実際には、確実な避妊につなげることに相当苦労をしていて、繰り返されることについて、現場で悩んでいる産婦人科医の意見がたくさん記載されておりました。
 OTC化について産婦人科医はどう考えているのかということであります。資料提供をもとめられたときには全部のデータがそろっていませんでした。全回答でデータクリーニングの前でありましたので、元の設問が、条件付を含む賛成と反対の2択でありました。ほかの設問の回答からこの中身を見ますと、条件付賛成には大きな温度差がありました。かなり右から左までたくさんの意見があったということであります。設問のつくり方では、条件付を含む賛成という選択肢であったために、現状のままでは反対という、こういう表記をしたことに対してお叱りを受けています。アンケートに協力していただいた方の意思を反映した表記にしなかったことについては、産婦人科医の先生方にこの場でお詫びを申し上げます。
 全回答が今はまだ解析が間に合っていません。他の設問とのクロス集計をして、この温度差ということをぜひお伝えしたいと思うのですが、今はまだ暫定値の段階だったのですけれども、これだけはちょっと注目が大きいデータと聞いていますので、この項目について、全回答での解析を行いました。口頭で申し訳ありませんけれども、最終版のデータでは、無条件で賛成する人が432人(7.8%)、条件付で賛成する人が2,613人(46.9%)、合わせると、条件付を含む賛成は3,045人(54.7%)であります。これに対して反対は2,343人(42%)という結果でありました。
 OTC化の検討に当たって必要と思う要件や取組についてサブ解析をしていますけれども、傾向としては、全てのデータでも同じですが、一番多いのは性教育でありました。条件付賛成のうちの8割以上ということになります。男性任せの避妊の使用とか膣外射精、自覚のない性暴力が非常に多いということ。特に中学生が性的同意のない性交後に、緊急避妊のために受診をしているという現場を見ているということから、このようなことが起こらないようにしてほしいという意見が多数書かれておりました。
 義務教育つまり小中学校から性教育を求めたいという意見が多く書かれています。小学生に緊急避妊を教えろと言っているわけでは全くなく、性交の前提となる関係性や相手の意見の尊重、先ほど生命(いのち)の教育がこれから令和5年度から実際に本格スタートだと理解しています。それに非常に期待するものでもあります。コミュニケーションとか利害調整を含めた性教育は圧倒的に不足をしていると思いますし、これを含めたものを包括的性教育と言いますが、海外ではこれが主流であります。
 先ほど文部科学省から御説明がありましたとおり、歯止め規定がありますが、教育基本法上は都道府県に裁量があることになっています。そういたしますと、県が人事権を持っていることから、過去に学校性教育をめぐって裁判が起こりました。教員が教員の裁量でできるということは自由に決めていいはずでありますけれども、現場では、いまだに性教育に関して性交という言葉を用いたり、あるいは避妊や中絶ということを中学生に教えてはいけないと萎縮しているというのが地方での現状であろうかと思います。
 一方で、先ほど文部科学省からも御説明がありましたが、発達段階に応じて性教育を行うのが非常に大切だと思っています。理解が不十分になることから、発達段階の評価は非常に大切かと思います。しかし、私ども産婦人科医としては、それは現状とは乖離していると考えています。中学生が親に内緒で緊急避妊薬を処方してほしい、あるいは、親に内緒で中絶をしてほしいと希望して来院しているという現状を産婦人科医は見ています。それぞれの地域や中絶を行う現場で産婦人科医が見てきた現状をフィードバックしてほしいと願っているというのが、この性教育の充実というところにかけられた思いではないかと思います。
 そして、学習指導要領については、これは最低ラインを示しているものでありますから、実際は自由にできますけれども、先生については、人事権がある都道府県に責任があるということになろうかと思いますので、そうであれば、例えば学校医は、今、産婦人科医は参入していません。しかし、性の問題は、その後の受け皿という意味でも恐らく産婦人科医が一番必要なのではないかと思うのですが、学校医をもう一度見直すという議論はまだ行われていないと認識しています。
 そして、性暴力についても意見が多かったです。性暴力、同意なし性交の場合は、緊急避妊薬はワンストップセンターで無料で処方ができるはずです。しかし、産婦人科医療機関以上に性暴力ワンストップセンターの配置は非常に少ないです。海外においては、大体人口10万人当たりに1か所となっておりますが、まだ日本の現状では47都道府県、各都道府県に1か所しかないというようなところも多いということで、果たして、これがOTC化になった場合であっても、薬局からそこにつなぐことができるのか。性暴力については、証拠保全をする時間も限られています。その情報をきちんと伝えた上であっても遠くてなかなか行けないとすれば、これを放置しておくことはできないのではないかという意見がありました。
 OTC化により懸念される問題ということでは、92%が懸念事項があるということであります。これは2017年の議論と全く同じことが書かれておりますので、詳しいことはお話しいたしません。しかし、中でも、現状でもコンドームをつけてほしいと言いにくい関係性にあるカップルは非常に多いと。私は、これは立派な暴力だと思っています。しかし、それを暴力と捉えるかどうかというのは主観の問題でありまして、そういう意味では関係性の性教育は非常に大事なのだろうなと思っています。
 コンドームが避妊の多数を占める日本においては、コンドーム着用を一層求めにくくなるということがあってはいけないと思いますので、関係性については早急にこれは教育を始める必要があると思います。そして、確実な避妊法の普及を滞らせる可能性も懸念をしています。産婦人科医が緊急避妊薬を処方するときに、一緒にピルを処方しているような先生、それから、DVが翌日も繰り返される可能性がある場合に、ほかの避妊も勧めているというところは大きいかと思いますが、先ほど薬剤師会から御紹介がありましたように、連携は非常に大事なことなのだろうと思っています。
 これは、先ほどと同じで、まだ暫定値の段階でデータクリーニングをしていない段階での解析でしたので、先ほど、OTC化には条件付賛成とした中に非常に温度差があることをお伝えいたしました。その点についてちょっと補足をさせていただきます。
 今回掲載できなかった設問があります。日本産婦人科医会は、義務教育で適切な性教育が行われていない状況が、今の学習指導要領、いわゆる歯止め規定によって、学校の先生が萎縮してしまっている状況です。どちらかというと、現場で十分な性教育が行われているとはまだ言えない状況と思っていますけれども、中学校卒業までに性交や避妊、人工妊娠中絶について教えられない状況で緊急避妊薬のOTC化には反対という姿勢を取っていました。
 この産婦人科医会の姿勢に対して賛成か反対かということを問う設問がございます。これについて、日本産婦人科医会の性教育を現況の状況ではOTC化に反対と答えた人が3分の2でありました。そして、逆に反対、要は、教育云々と言っていないで、まずOTC化を先行すべきであるということについては3割弱ということでありました。これも詳しいデータについては細かいところがデータクリーニングがまだされていませんので、今日公開はさせていただくことはできませんけれども、必要であれば、次の検討会等で、詳しい解析について公表させていただきたいと思います。
 それを併せますと、緊急避妊薬のOTC化に反対と言った方たちは2,342人、そして、現況のOTC化に反対と言われる人、これも同じように3分の2が現状のままでは反対ということであります。そして、現状のままで賛成とおっしゃった方が約3割弱、28%程度ではないかということであります。
 これは解析前であったため、暫定値の結果から、91%の反対というのは、これはバイアスがあり過ぎるという御指摘を受けています。そのとおりだと思います。産婦人科医を代表する意見としてこれを出すのは、暫定値の段階なのに、雑な解析のまま、このまま出してしまったことについては、改めて、調査協力いただいた先生方にお詫びを申し上げたいと思います。
 その上で、性教育を望む声は非常に多かったというのは事実であります。中絶や緊急避妊を通じて従来の性を見てきた産婦人科医が、これらの社会課題に向き合わなくていいのか、潜在化してしまうのではないかということに強い危機感を持っているということが、この3分の2の意見の裏返しだと思っています。すなわち、反対と言う産婦人科医は、これは暫定ではなく、最初の結果で42%が反対しておりましたが、なぜ反対したのか、懸念事項が何なのかということに対する議論なくしてこの検討をするということであれば、今回、この調査をする必要はありませんでしたし、今日出席する必要もないと思います。
 一方で、予期せぬ妊娠を防ぎたいという願いは全ての人の共通の願いであろうかと思っています。そういう意味では、賛成か反対かという議論で対立をつくるのではなくて、この反対と言われた方たちの合意形成を図るために何が課題なのかと。その課題解決に向けて考えるということは、これはいろいろなヒントが隠されていると思います。この国のリプロダクティブ・ヘルスの向上に向けて課題にどう向き合うかということを、ぜひ、この会議の中でよく考えていただきたいと思っています。
 また、現状では包括的性教育が必要ですけれども、ほど遠い状況というところであります。そして、コンドーム、膣外射精が主流であるということですけれども、女性が主体的に避妊を選択するという風土醸成がなかなか進んでいなくて、残念ながら低用量ピルが承認された後、選択肢が非常に多かったわけであります。しかし、販売業者がニーズが少ないために減少してしまって、現在、選択肢が狭められました。この薬剤のサプライの問題は非常に大きいと思っていまして、例えば海外では、多数ほかのすばらしい優れた避妊の選択肢がございます。ピルについても無料で提供している国があるぐらいでありまして、こういう状況を考えますと、その選択肢を広げるということもゴール、着地点ではないかと思っています。
 こんな状況の中で、本邦においては、中学生がピルを求めて来る場合があります。本邦で、性交同意年齢が13歳であります。13歳を過ぎると同意ができる能力があるということでありますけれども、13歳の女性が親に内緒で処方を求めた場合、あるいは、その後妊娠をしてしまって中絶をするという場合には、医療法上、中絶をする場合の子供の同意ということは、医療同意年齢は二十歳になります。となりますと、国連の子供の権利条約を批准していながら、国内法の整理がされていませんので、子供たちにとっては、13歳で性交には同意できますけれども、二十歳までははしごが外されている状況であります。このはしごのない状況の中でOTC化は、私は個人的には必要だろうと思っています。今すぐの救済という意味では必要なのではないかと思います。
 しかし、このはしごがない状態の中で、実際に妊娠してしまった人の中絶はどうなるのかということも併せて考える必要がある課題だと思います。やりやすいところからというのも手だとは思いますけれども、やりにくいところにずっと手をつけないまま行くということについては産婦人科医は、これは重大な懸念事項と考えているというのが今回の結果ではないかと理解をしております。
 ぜひ、広い視点に立って薬のサプライとか医療提供体制とか、子供の人権、子供の同意とか、暴力に対する対応とか、それも含めて広い視点で議論をしていただくことを望みたいと思っております。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。
 それでは、日本産婦人科学会から、加藤参考人に御意見をいただくことになっております。加藤先生、お願いします。
 
○加藤参考人
 日本産婦人科学会の副理事長をしております加藤聖子と申します。よろしくお願いいたします。今日は、参考人としてこの会議に出席させていただいて、非常にいろいろな立場からの御意見をお聞きすることができ、よかったと思っています。
 このようにOTC化に関しては、本当にいろいろな立場から様々な意見があると思っています。今後、今の流れから言ってOTC化の流れに進むと思うのですけれども、10年後、20年後を見据えて、できるだけ多くの国民に理解、納得していただいて、結果として多くの女性が恩恵を受けられる医療体制構築が必要であると思います。
 私も産婦人科医といたしまして、先ほど医会がされたアンケートに答えました。私の立場としては、条件付賛成というところに丸をしております。その条件というのは、1つは、今の日本の医療状況に応じた制度設計です。私としては、後で、また、詳しく言いますけれども、岩月先生がお話しされたように、薬剤師さんの役割は非常に大きいと思っていまして、要指導医薬品として研修を済ませた薬剤師さんが書面で説明して、面前で1錠服用してもらうと。そして、産婦人科医の受診につなげていただけるような仕組みをつくっていただければと思っております。
 もう一つの条件は、先ほど種部先生も言われましたが、性教育の問題で、私はOTC化と同時並行で義務教育からの性教育の内容を見直していただき、性被害を防ぐことと同時に、避妊や中絶も含む包括的な性教育に、文部科学省も一緒に取り組んでいただきたいと思っております。
 薬剤師さんのことですが、一番最初にお話しされた市民プロジェクトの方ですよね。私もお話を聞いたことがあるのですけれども、ファクトチェックブックもつくられていて、非常にためになるのですけれども、その中の35番目の問いに、本来1錠でもいいのに、何錠も買うことがあり得るのはいけないことかというのがあります。本日の資料でも47ページに同様な内容がありましたが、これは、根拠はWHOとかFIGOとかのいろいろな見解をもとにされていると思うのですが、私も立場上、WHOとかFIGOの先生たちとお話しすることありますけれども、そういう世界的機構は、医療体制のことは多くの国を対象にして活動されております。ですから、世界的にいろいろな国で当てはまるような、そういう見解を出されます。
 例えば、日本では分娩直後に子宮内に避妊具を入れることは、子宮穿孔とか感染など、安全上の観点から、まず行わないのですけれども、FIGOとかでは、その後患者さんが病院に来ることが難しいという条件がありますので、そういう国においては、分娩後の女性に避妊具を入れる操作を助産師さんに教育するプロジェクトなども積極的に行われています。
こういうふうに医療行為というのは国の状況において異なっております。
 日本においては、薬剤師さんは、6年間の大学教育を受けて、難しい国家試験も合格されて、先ほどのような研修とかされて、いろいろな資格も持たれております。今日提示されたように、緊急避妊薬の研修も進んできており、十分な知識を持つ薬剤師さんも増えてきており、本当に薬剤師さんの役割が重要になってきていると思います。先ほども言いましたが、OTC化を進める際には、すなわち薬剤師さんが対面、書面での情報提供を行って、インターネットでの販売ができないという、要指導医薬品として国は承認していただき、そして、それを継続して、ある程度たったら一般の医薬品にかえるのではなくて、それを継続して扱う制度をしてほしいなと思っております。
 また、対面での1錠服用も、いろいろな考え方があると思いますが、いろいろな懸念がありますので、対面での1錠服用というのをしていたほうが、多くの方々に理解が得られるのではないかなと思っています。そして、その上で、避妊法についての相談のために産婦人科受診を勧める条件でお願いしたいと思います。
 先ほど、ちょっと岩月先生のお話を聞いていて思ったのですけれども、もしかしたら全例登録というような制度もいいのかもしれません。これはちょっと要望です。
 性教育については、先ほど種部先生が示された医会のアンケートの懸念事項はやはり非常に重いと思っております。性教育とか複数錠の処方とかいうのを多数の先生が懸念事項に挙げられておりました。ですので、我々の学会としては、性暴力被害を防ぐだけではなく、もっと普遍的な意味での包括的な性教育を文部科学省の方に進めていただきたいなと思います。先ほど、高校生は結構深く突っ込んだ教育がされているなと感心したのですけれども、中学生がいわゆる妊娠のメカニズムとか避妊とか中絶とかその辺がまだちょっとなかなか教えにくいところだとは思うのですけれども、その辺も少し踏み込んで教えていただけるような制度をつくっていただけたらなと思っております。以上です。
 
○笠貫座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、これまでの御発表・御報告について、御質問・御意見の時間に入りたいと思いますが、時間が長くなっていますので、御質問はできるだけ端的にお願いします。 遠見参考人どうぞ。
 
○遠見参考人
 私からの質問は、日本産婦人科医会に対してです。
 アンケート調査に関して不備をお詫びされましたが、この検討会議は4年ぶりの開催です。健康と権利に関わる重要な会議です。それに対してあまりにも準備不足ではないか。そして、女性と現場の産婦人科医をばかにしていると捉えざるを得ない調査結果、提出資料を出されたなというのが露呈しましたので、この社会的信頼が大きく失われた可能性を危惧しています。
 産婦人科医会の関係者の先生方、どうか、一緒に速やかにリプロダクティブ・ライツを実現しましょう。そのためには、産婦人科医自身が学び直す必要があります。産婦人科医が条件をつけてジャッジメントするというのは、リプロダクティブ・ライツの視点からかけ離れています。女性自身が自己決定する、それをサポートする役割です。パターナリズムから脱却して、女性を管理下に置いて指導するという、そういった時代錯誤なお考えからはどうか脱却していただきたいという思いを強く持ちました。
 そして、質問ですが、性教育の充実を条件とする意見が多数とおっしゃいましたが、そもそもこのアンケート、賛成の場合、括弧書きで条件付の賛成を含むですので、賛成であり、必要と思われる取組みで性教育を選んでいる先生方も含まれる可能性がありますので、そういったところも含めて、きちんとデータを発表していただければなとは思います。質問は、性教育の充実は、いつ、誰がジャッジメントするのですか。いつ、誰が充実したと、行き届いたとジャッジするのかということです。
 性教育というのは果てしなくて、1回授業や講演を受けたから大丈夫というものではありません。私も長年携わってきて、それまでは失敗させないための、傷つかないための教育が必要だと思ってやってきました。でも、それだけではないのです。失敗したときに、こういった選択肢もあるよ、つまずいたときに、大丈夫だよ、こういう選択肢もあるからねと、そういう選択肢を提示できる社会にならないと、性教育は効果が発揮されないと思います。人生いろいろなことが起こりますので、避妊の失敗や性暴力被害、様々な理由で緊急避妊薬が必要になる。そういったことが起こり得るので、どうか、選択肢を広げるという視点を持って、女性の健康と権利を尊重する社会に変わっていっていければなと思いました。これ以上、根拠のない反対理由で女性たちを絶望させないでいただきたいですし、産婦人科医の先生方、御一緒にリプロダクティブ・ライツを実現していただきたいと思います。
 
○笠貫座長
 ただいまの御質問にどうでしょうか。
 
○種部参考人
 ありがとうございます。医会というのは、皆さんの集団でありますので、いただいた御意見については医会のほうに持ち帰らせていただきます。皆様の中の42%が反対という意見を言っていたというところが私は重要なところだと思っていまして、反対したというか、その理由が大事だと思っています。合意形成ということをするためにはどうすればいいのかということは、医会として取り組む課題かと思っておりますので、持ち帰って、この42%の方たちの懸念について検討をさせていただきたいと思います。
 また、資料につきましては、未熟な資料をこのような会議に出すのは大変いかがなものかということでありました。しかし、ちょっと数が多かったことと期間が短かったということで、今日、データを全部出さなければよかったのかと思いますが、皆様の御議論の参考になるものがあればというので出しました。最終的なデータについては、もう少しサブ解析をしないといけないということとデータクリーニングをしなければいけない状況にあります。それが全部整ってから、会員の皆様あるいは必要であれば、この会には提示をさせていただきたいと思っています。以上です。
 
○遠見参考人
 種部先生、医学教育の中でリプロダクティブ・ライツの教育は本当に乏しいと思っています。産婦人科医の中でも、あまり状況を分からずにお答えいただいた先生もいらっしゃるのかなとは思っています。なので、主語は女性です。産婦人科医が決めるものではなく、女性が決められるように、そこをサポートする。それを一緒につくっていければなと思っております。今後もよろしくお願いいたします。
 
○笠貫座長
 それでは、湯浅委員どうぞ。
 
○湯浅委員
 産婦人科医会のアンケート調査は、現場の先生がたの声が反映されている貴重なデータであると思います。気になった点がいくつかあるのですが、一つだけ挙げさせていただきますと、調査の背景の中に記載されている文章が、回答を誘導しかねない、色眼鏡的な内容になっていると考えてしまいます。アンケートは終了しており、今更どうにもならないと思いますが、医会を代表して先生のご意見を伺えますでしょうか。
 
○種部参考人
 ありがとうございます。私個人として答えるということでよろしいでしょうか。
 
○湯浅委員
 お願いします。
 
○種部参考人
 医会としては、意思決定の場だと思うので、全体の意見ということではなくてということで聞いていただければと思います。個人としてですけれども、様々な御意見が寄せられてきています。緊急避妊薬OTC化の検討に入るのだという時点で、産婦人科医の方々から、医会の役員とかではなく、これは放っておいていいのかということが産婦人科医以外のドクターからも寄せられたというのがあります。このような状況を見てみますと、その中で懸念されていることを皆さんで検討していただくということが大事なのかなということで、この調査をしたということであります。色眼鏡的にというこの背景の文言については、色眼鏡に見えるかも分かりませんけれども、こういう意見があったということであります。OTC化だけを検討するのであれば、産婦人科医会としてこのアンケートをする必要は全くなかったのではないかと思っています。
 
○湯浅委員
 アンケート調査を行う場合、背景や目的には、OTC化する上でのメリットとデメリットを両面から書き込まなければならないと考えています。ひとつの意見として聞いていただければと思います。
 
○種部参考人
 御参考までですけれども、賛成する方たちの御意見もたくさん伺っています。アクセスがよくなるとかというのも当然あります。ですから、それも含めて解析をしなくてはいけないのですが、ちょっと追いついていないというところは御理解いただきたいと思います。
 
○笠貫座長
 長島委員、お願いします。
 
○長島委員
 今後、建設的に進めるために、まずデータの要望がございます。文部科学省には、実際に性教育の現場で、特に避妊や関係性についてどの程度実際に行われているのか、理解度はどうなのかという調査結果があれば、次回でも、別な形でもいいので、出していただきたい。なければ、ぜひやっていただきたいと思います。
 次に、厚生労働省に対しては、オンライン診療における緊急避妊薬の調剤の実数で、それが例えばどんどん増えているのかどうか。あるいは、そこでどんな課題があるのか。これも次回以降でいいので、データを出していただきたいと思います。
 それから、日本薬剤師会の先生方にお願いがあるのは、不安なく出すために、あるいはと薬剤師の先生方が不安なく出すためには、どのような課題があって、どのような対応を必要とお考えなのか。これを出していただければありがたい。
 最後に、産婦人科医会のデータ、特に115/122のところで、「OTC化の検討にあたり必要と思う要件や取り組み」とか、「OTC化により懸念されると思うこと」は、まさに本会議でどんな課題があって、それで、どんな対応が可能かということを検討する会議であって、非常に重要なデータかと思います。この中を見ると、例えば販売の場面で対応が可能なこともある、性教育とか研修とか、ほかの場面で必要なこともあるので、ここのところを少し区分けしていただいて、例えば産婦人科医会としてはここのところでこのようなアプローチが可能とかいうようなふうにしていただけると、非常に参考になるかと思います。以上でございます。
 
○笠貫座長
 どうぞ。
 
○文部科学省
 文部科学省でございます。教育に関して種々御意見をいただいておりまして、ありがとうございます。文部科学省は、実際の教育の現場でどういった教育が実数としてどのぐらい行われているのかというところは、先ほど申し上げたような、実際に学校で行われるもの、その教育内容がそれぞれの教育委員会が行っていくということですので、その実数自体を把握しているわけではございませんが、何らかその実態がお示しできるような内容は考えたいと思います。
 スタンスとしては、子供たちに必要な教育を行っていく。それは大事なことだと思っております。一方で、教育自体は、子供たちの個人としての資質をどう向上させていくのかというものですので、教育が何らかの社会システムができていく部分の前提になるという考え方、スタンスは取っておりませんので、その点だけは御承知おきいただければと思います。文部科学省からは以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。平野委員、お願いします。
 
○平野委員
 今回の議論をお聞きしておりまして、まず、とにかく困っている方がいる、緊急避妊薬を必要とする人がいる。このことについての異論は多分誰にもないのだと思います。ただ、そこに何らかの課題がある。その感じ方は、それぞれの立場でいろいろある。ただ、ここで我々医療従事者として共に取り組まなければいけないのは、それぞれの立場でできることをまず自分がやるということではないかと思います。それは医療従事者に限らず、今、文部科学省の方もそうだと思いますけれども、この困っている方がいることに対して、まず自分が何ができるのかということと同時に、先ほどからいろいろな課題というお話があるのですが、その課題はどんな具体的な課題であって、結論としてどうなればいいと思っておられるのか。そういう形で課題を述べていただかなければ、実は、例えば医師会からの御報告に関しても、薬局やドラッグストアで解決できることがあるかもしれないのです。具体的にこうなればという形をぜひ示していただければと思います。
 それと、もう一つ、今後のアプローチですけれども、一般薬としてのOTC化をするのか、要指導医薬品にとどめるのか、対面の違いを求めるのか、それぞれの段階があると思うのですが、これを条件が整えばハードルを下げていくという考え方でいくのか、そうではなくて、本当に困っている人がいるのだから、まずは救済すべきである。その上で、なるほどと思われる理由があればハードルを上げるというアプローチなのか。そこは最初に議論をしておく課題かなと思います。私は、今、この4年間放置してきた責任を感じる立場から、後者、いわゆるネガティブリスト方式であるべきと考えています。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。
 佐藤委員、お願いします。
 
○佐藤委員
 ありがとうございます。産経新聞の佐藤です。
 1つは、先ほどのアンケートの数値ですけれども、種部先生が口頭でおっしゃられた数字をお聞きしますと、資料に掲載された数値とは、むしろ逆の印象を受けました。資料上は反対のほうが多いのですが、おっしゃられた数値ですと、半数以上が条件が整えば賛成とおっしゃられたように思います。
 そういう話ですと、データの事実関係が違ってきます。今お持ちの数字で結構ですので、暫定数値でも、出し直していただくことが必要ではないかと思います。データクリーニングしたものをいずれ出していただくことは必要かもしれませんが、今日の時点でも、ご提出の数値をこのまま資料掲載することが適切だという感じがいたしませんでした。データの差し替えについて御検討をいただけないかと思います。それが1つです。
 2つ目です。岩月先生と加藤先生からインターネット販売についての御懸念が出ました。現状、既にコロナ禍でオンラインでの服薬指導が行われている中で、インターネット販売では対面指導ができないから駄目だということが、どのぐらい説得力を持つかなという気がいたしました。平野先生がおっしゃられたことにも近いのですけれども、これから先、例えばインターネット販売するときに、例えばzoomで対面したらどうかとか、どういう形ならインターネットでの対面販売を実現できるかとか、その具体策はどのようなものかということを考える必要がある気がしました。
 その上で、インターネットだと薬の入手に時間がかかるということについては、利用者が判断すべきことだと思います。インターネットが認められる現行制度ではOTC化できない、ということではなくて、例えば1類にとどめおくことはできるわけですから、その上でインターネット販売ならどのような環境を整備すべきかという形方向で議論することが重要ではないかなと思いました。
 以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。
 岩月委員、どうぞ。
 
○岩月委員
 ありがとうございます。
 先ほど長島委員のほうから、研修をどういうふうに考えているのかというお話がありましたけれども、スイッチOTC化するかしないかはともかく、具体的に産婦人科医会の先生方に来ていただいて開催していますので、足らないところを御指摘いただいて、すぐさま変えたいと思っていますので、必要であるならば、そのようなことを御示唆いただければと思います。
 それと、もう一点は、今、佐藤委員からありましたけれども、販売の具体的な枠組みにつきましては、多分、今後の議論だろうと思うのです。その上で、今回のことに関してもそうですけれども、これはステップ・バイ・ステップで考えていくべきだろうと。最初からインターネット販売ありきで議論するのと、要指導医薬品で問題があるのかないのかということを試した上で進めていくというようなことも方法としてはあるのだろうと思います。そのときそのときで、現状を検証した上で次に進めるということが必要だろうと思います。インターネット販売を否定しているわけではありませんので、そこは御理解をいただければと思います。
 
○笠貫座長
 インターネット販売のことについては、また。
 
○佐藤委員
 ちょっと誤解があるようなので、別にいきなりインターネット販売をしようという話をしているのではなくて、インターネット販売になるから、一般用医薬品にできないという議論ではなくて、一般用医薬品にするには、どのような環境整備が必要かという方向で話していくことが大事だろうという意見です。
 
○笠貫座長
 もう一つ御指摘のありました、先ほどの産婦人科医会の種部参考人からお示しされた資料の扱いについて、事務局のお考えをお聞きしておいたほうがよろしいかと思います。どうでしょうか。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 先ほど、産婦人科医会のほうとして、データの暫定値の扱いについての一定のお考えがあったかと思いますので、データとして、先ほど口頭ではございますけれども、数字は御紹介いただいたという形になってございますので、詳細な解析は置いておいて、とりあえず現時点では、もし、産婦人科医会としてよろしいのであれば、そういった形でのデータを、本日の議論を踏まえて差し替えるというような形はあり得るのかなと思います。その辺、御相談して、また、座長と御相談した上で考えさせていただきます。
 
○種部参考人
 よろしいですか、確認ですが。確認をしてください。最終版で差し替えるという形でしょうか。それとも、最終データをいただいたのが先週の金曜日なので、まだ少ししか集まっておりませんで、細かい計算ができていませんけれども、全てがきちんと出そろった時点で、有意差等も出した上で提示したほうがよろしいということですか。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 そこも、また御相談になりますけれども、時間との兼ね合いだと思いますし、佐藤先生が先ほどおっしゃった部分だけということですか。
 
○種部参考人
 今すぐということではちょっと。すぐにとおっしゃっていましたが。
 
○佐藤委員
 すみません。何か私の発言から発しているのかと思いますので、発言させていただきます。
 お手元に御紹介になった数字があるのですから、それに差し替えていただくことは、今日の時点でも可能ではないかと思いました。資料も暫定値で出されており、口頭で紹介された数値も暫定値であることは共有したところです。きちんとデータクリーニングしたものを出すのは後日でよいと思いますが、それを待っていると、提出された資料が固定化されてしまいますので、そのことの方が問題だと感じます。以上です。
 
○遠見参考人
 調査自体の信頼性を検討いただいてからのほうがいいかと思いました。失礼します。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 事務局的な一つの提案としては、先ほど口頭でお話をされた数字がありますから、注釈で、例えば115ページですか、そこに口頭でお話しされた数字をスライドの中に記載した形にしておくというのが、一番今日の会議の議論を踏まえて、最低限の手当てではないか。今後どうするかというのは、また、全体の会の運営の中で検討させていただければと思います。
 
○笠貫座長
 どうぞ。
 
○小縣委員
 日本女性薬剤師会の小縣です。4年前は、私たちもその当時の状況ではおおよそ反対という意見で、終わってしまったところでした。しかし、様々な団体からそれぞれの意見がやっと同じ台に上がってきたなと、皆様に感謝します。市民プロジェクトの方たちのご意見を、もう一度見直すことも必要です。し、薬剤師の立場から申し上げますと、以前の討議のときには薬剤師に対する不信感が非常に大きかったのですが、今回のアンケートに薬剤師への不信感はありませんでした。私たちは、一昨年から、本当に大急ぎで薬剤師の教育を進めてきました。思った以上の薬剤師の協力があり、それぞれの地方でコロナ禍にもかかわらず、研修が進み、着実にその数は増えております。今後、ますます増やしていかなければいけないですし、止まっていてはいけないと思っています。いつも申し上げますが、否定的な意見が出てきたとき、その否定をどうしたら賛成の方向に持っていけるか、どういう努力をそれぞれの団体がすればいいのかというのをよく考え、継続してやっていきたいと思います。お願いします。
 
○笠貫座長
 ほかにも御意見があるかと思いますが、うすでに5時になりました。これまでお聞きしまして、皆さんの共通認識としては、リプロダクティブ・ライツが非常に重要であり、その中で緊急避妊薬をのOTC化をどう論じるかということだと思います。2017年のまとめでは、時期尚早で否という話結論になりました。そのときは、各委員の全員合意という形で進めてきました。
 今度の評価会議では、課題抽出とその課題解決をまとめて、提言するという会議に変わったことになります。今回は初めて緊急避妊薬プロジェクト、市民の声の考えをよく聞かせていただきましたし、文部科学省、薬剤師会、政府のその後の動き、そして、産婦人科医会のアンケート調査を含めて、この4年間で日本の社会が大きく変わったと感じました。もう一つ、先ほど話も出ましたけれども、国際的な動きはどうかです。宗林先生、お願いします。
 
○宗林委員
 2点だけお願いしたいのですが、文部科学省でも厚生労働省でもよろしいので、避妊ができていなかったことによる青少年に対する影響について海外の実態を調査する前に、日本の実態はいま一つよく分からないところがあるので、何らかの形でそれを調査していただきたいということが1点です。
 日本薬剤師会さんですが、要指導でとめなければならないのか、例えば面前で1錠飲んでいただくというのは、これも健康薬局とか相談応需の部屋がない状態でやるのはなかなか難しいと思うので、日本薬剤師会さんとしては、どういう状態で対面でやればよろしいのかということを、次の会までにまとめていただきたいなと思います。すみません。
 
○笠貫座長
 解決策として、具体的にどうどのように実現可能かということと、最終的には、この緊急避妊薬については、リプロダクティブ・ライツとして、緊急に避妊を望む女性のベネフィットがリスクを上回るというところがどこにあるのかについて、議論を重ねて、皆さんの合意を取りつつ、取る方向で、話を進めていきたいと思いました。
 日本の実態の調査が必要だと思いますし、国際、特にWHOあるいはFIGOの話もそうです。世界はどういう形で今進んでいるのか。日本がどういうところにあるのか。どういうふうに変わるべきなのか。どう急ぐべきなのか。そのために実現可能な解決策を考えていく会議として、検討を進めていかなければいけないと思います。本日は、最初のディスカッションとして、非常にホットな平場の議論ができたことは大変よかったと感じています。
 
○堀委員
 最後、申し訳ありません、お時間がない中。 一つの要望ということで、私からお願いしたいのですけれども、せっかく今日は文部科学省の方がいらっしゃっているので、今年4月から、先ほどおっしゃっていた生命(いのち)の安全教育が試験的にスタートしたと伺っています。先ほどの種部先生のお話だと、来年からはそれが本格的にスタートされるということでした、先ほどその内容を見させていただき、かつ加藤先生からも、高校生では足りているけれども、中学生をにも高校生並みの教育をしてもらいたいという要望もあったと思います。
 それで、私からのお願いですけれども、せっかく生命(いのち)の安全教育をスタートしたのであるならば、子供たちが、中学生・高校生たちが、そのつくっていただいた教材に対してどう感じているのか。そしてそれ以外に、実際には性について知るためにどういう行動をしているのか、授業を受ける対象者に、アンケートをもしできるのであるならば、実施し、その結果をぜひ提出していただきたいと思います。というのは、確かにいろいろと薬が必要となる方はいろいろな立場の方がいらっしゃると思いますけれども、今、産婦人科学会等で問題になっているのは、レイプとかDVなどの望まない妊娠への対処にどうすべきか?そういう問題だと思います。そのときに、その当事者が中学生などの低年齢化が起こってきたということは、さっき種部先生も力説なさっていたので、もし、その部分が可能であれば、ぜひ調査をしていただき、また、この場で報告をしていただけたらありがたいと思います。時間がないなかすみません。以上です。
 
○笠貫座長
 たくさんの要望が出てくると思いますが、事務局へ上げていただいて、期限の中で実現可能な要望を、御検討いただけたらと思っています。それでは、今後の予定について、お願いしたいと思います。
 
○事務局
 時間も押しておりますので、事務局からは簡単に御説明申し上げます。前回第16回の6月の検討会議におきまして、海外調査について御紹介申し上げましたけれども、本日の資料3、119ページ以降に、海外調査の目的、調査項目を示しております。このような内容につきまして、海外調査を今後進めてまいるという予定でございます。121ページにまいりまして、調査のスケジュールが、来年の令和4年の1月21日までを予定してございますので、次回のこの検討会議につきましては、この調査結果を解析した後の令和4年2月頃に実施できたらと考えております。
 次回の会議におきましては、まずは海外調査の調査結果を御報告させていただくことと、本日いろいろ御意見をいただいたところでございますので、その中で整理できたものについて御紹介をしたりとかそういったことをさせていただくという形になりますけれども、海外調査の結果とか、本日の議論を踏まえて、論点整理ができたらと考えてございます。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。リプロダクティブ・ライツという観点から、海外の調査していくことと、国内においても、必要で可能なものについては、ぜひお願いしたいと思います。
 
○染矢参考人
 今後の検討会の議論の予定ですけれども、最終的に、議論の論点整理をする場とお伺いしていますが、OTC化の決定時期はいつ頃を見越しているのでしょうか。これは事務局のほうになりますでしょうか。
 
○笠貫座長
 そうですね。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 本日もいろいろ御意見がありましたし、場合によってはいろいろ調査をしなければいけないものがあるのかもしれません。ですから、いつ頃というのを申し上げるのはなかなか難しいと思っておりまして、今言えることは、来年2月を目途に、次の回。そこで、さらなるエビデンスに基づいた議論をされ、論点整理を次回し切れるかどうか分かりません。そうすると、その次も、また論点整理を行うとなると、一定の時間はかかるかなと思っておりますので。もちろんできるだけ早く議論は進めていければなと思っておりますが、いろいろなエビデンスを集めた上での議論も大事かなと思っておりますので、その辺りに一定の時間を要することについては、御理解いただきつつ、環境がどう整うのかみたいなことについてもあるのかもしれないなと思ったりもしますので、そういう意味で確固たる時期なりを予断をもってお答えするのはなかなか難しいとは思いますが、できるだけ早く前に議論を進めていきたいと思っております。以上です。
 
○染矢参考人
 今年5月に申請を出させていただいておりますので、また、女性の立場、リプロダクティブ・ライツに基づく議論ということで、ぜひ、次も参考人として呼んでいただきたいと思っております。ありがとうございます。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 会議の運営については、また、座長と相談しながら進めさせていただきます。
 
○笠貫座長
 日本の遅れた状況をどう改善するのか、そして、実現に持っていくか、慎重かつ迅速にと思っていますけれども、今日議論されただけでも、これだけの論点が出ました。それをそれぞれの立場の人たちが納得いく形で、リプロダクティブ・ライツの実現に向けてどうするか。議論を詰めれば詰めるほど、実現可能に近づくという気持ちで進め、粘り強く続けていきたいと思っております。それでは、本日の議題は以上ですが、事務局から何かございますか。
 
○事務局
 本日も長時間にわたりまして御議論いただきまして、ありがとうございました。次回の検討会議は、先ほど来年の2月をめどということを申し上げましたけれども、現時点では、開催日時は未定となってございます。決定次第、改めて、御連絡いたします。御多用のところ恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
 
○笠貫座長
 それでは、これで第17回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を終わらせていただきます。長時間にわたりましたこと、座長の不手際ということでお許しをいただきたいと思います。本日は、どうも御協力をありがとうございました。
 

 

 

(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
03-5253-1111(内線 2737、4225)
 

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