ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議> 第8回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(2019年7月25日)

 
 

2019年7月25日 第8回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

令和元年7月25日(木) 16:00~18:00

 

○場所

AP新橋虎ノ門 A会議室(11階)
東京都港区新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル(日本酒造虎ノ門ビル)

○出席者

出席委員 

五十嵐委員、乾委員、上村委員、宇佐美委員、小縣委員
柿田委員、笠貫委員、近藤委員、佐藤委員、宗林委員
高野委員、長島委員、矢口委員、湯浅委員

     

出席参考人

五味渕参考人
 
 

 

○議題

1.スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望状況について
2.パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の妥当性について
3.要望品目のスイッチOTC化の妥当性について
4.その他
 

○議事

 

 

 

○医薬品審査管理課長
定刻になりましたので、ただいまより「第8回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催させていただきます。会議に先立ちまして、本検討会議の構成委員に変更がございましたので、新たに御参加いただくことになりました先生を御紹介いたします。日本歯科医師会常務理事の宇佐美伸治委員でございます。
 
○宇佐美委員
日本歯科医師会の宇佐美でございます。新人ですが、よろしくお願いいたします。
 
○医薬品審査管理課長
本日は、門田委員、部坂委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、五十嵐委員は、少し遅れての御到着との御連絡を頂いております。現在のところ、13名の先生に御出席いただいております。また、「要望品目のスイッチOTC化の妥当性について」を議論するに際し、関係する学会・医会の参考人にお越しいただいております。座席表の次項の委員名簿にも記載させていただいておりますので御確認ください。資料4の関係で、日本整形外科学会社会保険等委員会担当理事、日本臨床整形外科学会外内保連WG委員長、五味渕整形外科院長の五味渕聡志先生にお越しいただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
続きまして、事務局に人事異動がありましたので、御報告申し上げます。現在まだ到着が遅れておりますが、医薬・生活衛生局長として樽見が着任しております。また、医薬品審査管理課課長補佐の高畑です。
 
○事務局
高畑です。よろしくお願いいたします。
 
○医薬品審査管理課長
カメラ撮影の方はここまでとさせていただきます。それでは、笠貫座長に以降の議事進行をお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○笠貫座長
それではまず、本日の配布資料の確認を、事務局のほうからお願いいたします。
 
○事務局
資料の確認をいたします。資料についてはペーパーレス化を実施しており、各委員は、お手元のタブレット端末で資料を御確認いただければと思います。タブレット端末は、資料を画面に表示した状態で配布されておりますが、他の資料を画面に表示するには、画面左上のマイプライベートファイルを1回タップしていただければと思います。タブレットの使用方法については、これまでと同様に「ペーパーレス審議会タブレット操作説明書」を御確認いただきたいと思いますが、資料のページ数が多いものもありますので、操作説明書の2ページ目の一番上の「(2)任意のページを指定して表示する」も御活用いただければ幸いです。
本日の資料として、第8回の座席表・構成員名簿が一番下にあります。一番上に当日配布資料1があります。そのほか、資料0として議事次第、配布資料一覧、資料1として「評価検討会議における検討の進め方」、資料2-1として「平成29年度要望一覧」、資料2-2「平成30年度要望一覧」、資料2-3「令和元年度要望一覧」、資料3-1~2、パブコメの資料「ポリカルボフィルカルシウム」、資料4として「エペリゾン塩酸塩」、資料5として「モサプリドクエン酸塩水和物」、参考資料1~4として開催要綱等が納められております。また、前回の第7回資料も納めております。本日の資料の関係の説明は以上となります。過不足など御不明な点がありましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。
 
○笠貫座長
よろしいでしょうか。タブレット等の不具合等があれば、お知らせください。では、前回の会議は、今年の3月14日に開催しておりますが、事務局のほうから、その後の進捗について御説明をお願いいたします。
 
○事務局
それでは、資料1を御覧ください。スイッチOTC医薬品の候補となる成分について要望の受付を開始した平成28年8月5日から本年6月末までの要望状況について取りまとめたものとなります。変更点は、資料左上の要望件数です。令和元年度の要望件数について、1件要望を受け付けておりますので、「1件」と記載しております。詳細については、後ほど資料2のほうで御説明いたします。また、資料の中ほどから下の「候補成分の公表」について前回の会議で1成分、OTC化が妥当と判断されておりますので、前回の2件と報告していた平成29年度要望を3件更新しております。次のページについても、同様の件数の修正を行っております。資料1の関係については以上です。
続けて資料2について御説明いたします。平成28年度要望については、前回会議で全ての成分の結果を公表した旨を御報告いたしましたので、今回の会議資料は、平成29年度要望から示しております。まず資料2-1「平成29年度要望」を御覧ください。3ページ目の№11及び№12の「イトプリド塩酸塩」については、前回の会議で「OTC化は妥当」と判断されましたので、「可」と記載しております。進捗については、次の4ページを御覧ください。№13のポリカルボフィルカルシウムについては、第7回会議で1回目の議論を行い、パブリックコメントが終了しておりますので、本日2回目の議論を行わせていただくこととしております。
資料2-2を御覧ください。こちらは、平成30年度の要望状況を取りまとめたものです。1~2ページについては前回から特に更新はありませんが、№1のエペリゾン塩酸塩及び№2のモサプリドクエン酸塩水和物については、医会・学会からの見解がそろっておりますので議論の準備が整い、本日1回目の御議論を行っていただくこととしております。進捗については、3ページに記載しております。
続いて、資料2-3を御覧ください。こちらは、令和元年度の要望状況を取りまとめたものとなります。新しく1件の要望が来ており、ラメルテオン(医療用はロゼレム錠)は、一時的な不眠の症状(寝つきが悪い、眠りが浅いなど)の緩和の効能効果で、個人以外の方から御要望を頂いています。進捗については2ページに示しております。資料2の関係については以上です。
 
○笠貫座長
資料1、資料2の関係につきまして、事務局より御報告を頂きましたけれども、御確認いただいたということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは続きまして、前回議論した成分についての議論に移りたいと思います。1成分ずつ事務局のほうから御説明をお願いいたします。それでは、資料3のほうから御説明いただいて、議論に移りたいと思います。
 
○事務局
まず1ページ目です。資料3-1は、ポリカルボフィルカルシウムの検討会議結果(案)となっております。前回資料を確認されたい場合は、タブレットの第7回資料のフォルダから、資料6を御覧いただければと思います。前回会議では、効能・効果は既に承認されている一般用医薬品の過敏性腸症候群の再発症状改善薬と同様とするということを条件に、OTC化は可とされたところです。
次のページ、資料3-2を御覧ください。パブリックコメントを行った結果、6件の御意見が提出されております。全てOTC化に賛成との御意見でした。御意見の主な内容は留意事項(「以前に医師の診断・治療を受けた人に限る」)の是非に関する御意見でした。
留意事項の再検討を求める御意見の主なものは、№1の「ポリカルボフィルカルシウムのスイッチOTC化に関しても、その条件に疑問があります」といった御意見。№2の「以前に医師の診断・治療を受けた人に限る」を除いた効能・効果が提案されているといったところです。4ページの№4の御意見で、「OTCの過敏性腸症候群の再発症状改善薬の市場規模が下痢止めや便秘薬より小さいのは、IBSの罹患者がOTCの過敏性腸症候群の再発症状改善薬を購入するためには、「以前に医師の診断・治療を受けた人に限る」というハードルが要因である」という御意見。5ページの№6、「留意事項の必要性に関して再度検討していただきたい」といった御意見が提出されております。
一方で、留意事項の設定を理解する旨の主な御意見としては、№3、「ポリフルの禁忌に「急性腹部疾患」とあります。医師でない人には、「急性腹部疾患」なのか「過敏性腸症候群」なのか、判断はできないです。禁忌の「急性腹部疾患」であった場合に服用する可能性も否めません。効能効果の記載は、十分議論を重ねていただきたい」という御意見。№5、「スイッチしても必ず医療機関での検査は必須と考える」といった御意見が提出されております。説明は以上です。
 
○笠貫座長
それでは、ただいまの御説明に関しての御質問、御意見はございますでしょうか。
 
○長島委員
留意事項の点で、「以前に医師の診断・治療を受けた人に限る」というようなところに関しては、前回の検討会で十分に、そこが必要かどうかということを検討した結果で、それを入れるべきだということになっておりますし、今回のパブコメでも、そこの結論を変えるような内容ではなかったと思っております。
1つ問題点としましては、前回の会議で、セルフチェックシートの充実化が大事であるという意見が出ておりますし、今回のパブコメの中でも、やはりセルフチェックシートというものが重要であるということは書いてございます。したがいまして、セルフチェックシートの内容を、まずはしっかり充実させるということ、それから、更にそれが適正に活用されているということ、この2点が極めて重要だと思います。
セルフチェックシートの内容に関しては、類似薬のセルフチェックシートに関しても、片方の列に全部チェックを入れると、自動的にOKになってしまうというような内容だったので、これもきちんと変えるべきではないかというような御意見もございました。
それから、以前に医師の診断・治療を受けたということを、どのようにチェックするかというようなこと、これも重要なことかと思いますので、これを判断するためには、やはりセルフチェックシートの、ある程度の原案というようなものを事務局等で作っていただいて、それを本検討会議に提出いただいて、それを基に適正かどうかということを検討する必要があるのではないかと思います。
さらにそれが実際に、どんなに良いものを作っても、適切に運用されていなければ役に立たないということになりますが、エパデールTが要指導から第1類へ移行することを議論されたときに、セルフチェックシートが十分に適正には活用されていないということも明らかになっているということで、この2点、具体的に内容が十分なものか、そしてそれが適切に利用される担保がされているか、このことが具体的に提示されて、それを当検討会議できちんと議論しないと、可とすることはできないのではないかと思います。
 
○笠貫座長
セルフチェックシートは、このスイッチOTC化にあたり非常に重要な問題だという共通認識は前回の会議でも十分に共有できたと思います。長島委員から、ここの会議でセルフチェックシートの内容を具体的に提示されてからではないと、可とできないという意見が出たと思います。そういう理解でいいでしょうか。
 
○長島委員
はい。
 
○笠貫座長
チェックシートについて、内容はどこで議論されて決めるのかと、どう活用していくのかという、2つの問題があると思うのですが、このセルフチェックシートをどういう手順で決めていくべきかということについて、御意見がありますか。
 
○乾委員
ちょっと私も詳しくないので、事務局に教えていただきたいのですけれども、基本的にセルフチェックシートというのは当然、長島先生がおっしゃるように、医師、薬剤師の意見をしっかり聞いていただいて、有効・安全に使えるようにということで、非常に重要なツールだとは思っております。
ただ、そのメーカーが作成したものを、例えば薬食審の要指導・一般用医薬品部会とか安全対策部会で、そういうものが議論されるのではないかと私は考えていたのですけれども、その辺についてはいかがなのでしょうか。
 
○笠貫座長
事務局のほうからよろしいですか。
 
○医薬品審査管理課長
当然、ここで仮に、可になった後、企業の方々が承認申請をされて審査をして、薬食審の部会などで審議される。その際に、きちんと申請内容とともに添付文書、あるいはセルフチェックシートはどのような記載項目か。そしてその後、それをどうやって現場で使っていただくかということも含めて議論をした上で、承認の可否を最後に判断するということになろうかと思います。そういう意味で、最後の審査、そして承認前の審議会などで最終的なものを判断させていただくことにはなろうと思います。
一方で、これは事務局というよりも、私の個人的なコメントですが、「再発に限る」ということについて、今のチェックシートで十分なのか、あるいはもう少し手当てする所があるのではないかというような御意見はあろうと思います。前回も「はい」と「いいえ」の片方に寄ったチェックで購入が可能になるようなシートというのは、ちょっと安易ではないかと御意見を頂いたような記憶があります。
そういう意味で、チェックシートを折々、時代に合って、かつ服用する方がきちんとできるように、そして、先ほど長島委員がおっしゃったように、それを薬剤師にどう現場でチェックしていただくのか、それも含めて考えていくことが必要だと思います。
その意味で、ここで御議論いただくというのも、1つの、最終的にここで判断いただくというよりは、必要な事項をここで御議論いただいて、スイッチ化の際に、例えば今回のポリカルボフィルカルシウムであれば再発に限定すると、そのチェックの仕方というのは、少なくともこういうことをチェックシートに盛り込んで、それを薬局なり薬剤師が、こうやってオペレーションでチェックしてほしいというようなことぐらいまで、御意見や御提言を頂いてまとめておくというのは1つのメッセージになるのかなと思っております。
あくまでも最終的には承認のときに審議会も含め、そこでチェックを頂くというのが最終形だと思っておりますので、ぎっちりここで詰め切っていただくほどではないと思っておりますが、御意見と御提言があれば、この機会を使って盛り込んでいただくというのも1つの手かなとは思っております。
 
○笠貫座長
この検討会議では、問題としてセルフチェックシートが非常に重要だということを挙げること、そしてその内容として必要な記載項目を指摘することです。スイッチOTC化を可とした場合には、次のプロセスの部会で添付文書と同じように審議され、セルフチェックシートの内容を充実させ、最終的に承認され、それから安全対策に活かされていくということだと思います。ここでは時間も限られますし、セルフチェックシートは非常に大事であり、次のプロセスの部会で十分検討していただきたくことを、お願いするということにとどめたいと思います。
 
○長島委員
今の点ですが、細かいことをぎっちりここで決めるのは全く不要だと思いますけれども、やはりこういう点は重要ですよということは、ここでないと多分言えないのだと思います。専門家とかがいる所、あるいは市民の視点から見て、こういうところは重要なので、それを具体的にどうするか、例えば事務局等で考えていただければいいかと思いますが、ポイントはやはり言っておかなければいけないし、それがきちんと反映されているかという確認も、やはりここでしっかりしないと、なかなか上の所に行くと、そういう専門的な議論はかなり難しいかと思います。
ですので、やはりその辺のところをどうするかというのを一度、事務局のほうでしっかり検討していただいて、どういうことが可能なのかと。例えば意見を少し聞いていただいて、それを反映するとこのような形になるというものを見せていただくことが、恐らくこれからは、やはりセルフチェックシートをもっともっと重要視していかなくてはいけない、その第1歩として考えるべきではないかと思います。したがって、そういう観点で一度、この薬剤に関してもやっていただけると有り難いと思いますし、それを見た上で判断するというのが筋ではないかと思います。
 
○笠貫座長
先生のお考えでは、セルフチェックシートを確認しない限りは可とはできないということですか。この成分について、セルフチェックシートの内容を具体的に細かく検討しましょうということですか。本会議はスイッチOTC化の判断をする仕組みですが、さらに皆さんの御意見を次のプロセスへ反映するという会議であり、スイッチOTCの承認にあたっては、セルフチェックシートは非常に重要であり、次のプロセスの部会へここで議論されたことを十分伝えていただきたいと思います。さらに、可能ならば、この成分についてはどういう結果だったということも報告していただければ、最終的にこういうセルフチェックシートが作られたということを皆さんが認識していただけると思います。そらが消費者の方から見ても、専門家からも安心できるというものであれば、ここでの共通の認識を作るために、一歩前に進めるのではないかと思うのですが、お願いできますか。
 
○医薬品審査管理課長
ちょっとパイロット的に、今の座長のお言葉を聞きながら思い付いただけなのですが、今回の品目で、例えば過敏性腸症候群の再発に限るというスイッチOTCについて、チェックシートにこんなことが入っているといいのではないかというような御意見を、先生方に今日頂ければ、またそれも参考にしながら、会議後に御意見をお寄せいただいて、それでチェックシートを企業のようにきれいに整えるというよりは、このようなことが書いてあるチェックシートを使うといいのではないかといった議論をしていただくのはいかがでしょうか。ただし、それは最終的には申請があっての部会のときの審議で、一緒に添付文書やパッケージなども含めて最終的には吟味をさせていただく。
ただ、このような感じではないかというものを、例えば少し整理をさせていただいて、お示しして、かつチェックシートを現場で購入される方、あるいはそれを情報提供や助言をされる薬剤師に見ていただくか、そういった現場での流れを例示させていただいてはどうかと考えています。
それとは別に、今、座長がおっしゃったように、この検討会議で仮にそういう条件で可となった後、このように流れていきますというプロセス、企業の方が申請され審査をし、部会審議があり、その際に添付文書やチェックシートが固まり、それが承認後は販売されていくと。販売されていく際に薬局、薬剤師あるいは薬店という所で、薬剤師にこうやって売っていただく、そのしっかりした販売を担保していきますというフローのほうも一緒にお示しさせていただくと、この検討会で決まったことが行く行くはどうなっていくかということを先生方に見ていただくことができるかなと思います。
その上で、先ほど座長がおっしゃったように、部会で決まったことは、いつになるかちょっと分からないですが、スイッチが無事に承認されるときに、ここで御紹介させていただくということは是非やりたいと、今、思い付いた次第ですが、そのような感じでいかがでしょうか。ちょっと思い付きなのですが。
 
○湯浅委員
現在、使用されている過敏性腸症候群のチェックシートは、何を基にして作られたのでしょうか。上村先生にお聞きしたいのですが、例えば過敏性腸症候群の症状別の尤度比は出ているのでしょうか。もし、そういうものが出ていれば、尤度比の高いものをチェックシートに入れる、あるいは低いものを入れるということもできるかと思うのですが。薬剤師の委員の先生にお聞きしたいのですが、既存OTC薬の過敏性腸症候群のチェックシートは、今、薬局のほうで実際にどのように使われかたをしているのでしょうか。現状を精査しないと次の議論に進めないと思います。実際に使われているのでしょうか。
 
○乾委員
先に私のほうから。当然ながら使って、その生活者、相談者が本当に必要かどうかということは、お互いに確認しながら、そのセルフチェックシートで順番に確認して、こういう所で診察を受けてくださいとか、この薬は飲めませんとか、そういうことはきちんとチェックした上で、それでまた販売記録をきちんと付けて、もちろん情報提供もして、それを文書で確認していただきます。それは皆、きちんとやっております。ですから、確かにいろいろなセルフチェックシートを、各メーカーがいろいろと工夫されて作っておられて、それについて、やはり現場で使いにくいとか、そういうところがあれば、また意見を述べているというところがあります。
 
○上村委員
今の御質問に対して。過敏性腸症候群はIBSと言わせてもらいますが、IBSはもちろん先生がおっしゃるように、これはクライテリアが決まっていますから、どのような症状ということはもちろんあります。それから、セルフチェックシートというのは、OTC化というのはセルフメディケーションのためのものだと思いますから、これは当然すごく重要であるし、先ほど長島先生が言われた点がすごく重要ですので、事務局にお願いしたいのは、学会とか医会とかOTC協会の意見を聞く際に、セルフチェックシートに必ず盛り込まなければいけない項目というものを、例えばこのIBSに関しては、いつ、どこの病院で診断したかといった項目を盛り込めば、先ほど長島先生が言われたことは、ここに出てくるのです。そういうことを今後、今までのものは全部もう一回やり直して、IBSでこれをもう一回やれというのは、私は余り必要ではないのではないかと思いますが、今後そのようにしたら、それほど手間は掛からないと思いました。以上です。
 
○小縣委員
このポリカルボフィルカルシウムという名前で分かるように、これはカルシウムがくっ付いています。このカルシウムは途中で遊離する可能性もあるので、遊離して残った場合には恐らく高カルシウム血症になるわけです。とすると、まず最初に、これを飲む人は、高カルシウム血症がある人ではいけないわけなのです。要するにチェックシートというのは、添付文書にあるように、こういう人は飲めません、こういう人は駄目ですよというのが幾つか上がっていると思いますが、その一つ一つをチェックしていく、それに当てはまらないということを、患者と、売る場合には薬剤師ですが、1対1でそこをチェックするわけです。
だから例えば、これだったならば、そういうチェックの中に絶対にあってはいけない高カルシウム血症と言われたことがあるかないかとか、閉塞を起こしたことがあるかないかとか、そういうものをが入っていれば、要するに、飲んではいけない人であるかどうかの確認ができるようなチェックシートになっていればいいのだと思うのです。
 
○笠貫座長
セルフチェックシートに関しては一般論と、この成分に限ってという問題があると思います。一般論としてはセルフチェックシートを、誰がどこで原案を作って、どこでオーソライズするかというプロセスです。医療用医薬品を一般用にスイッチ化するときに、一般の人が、どのようにセルフチェックができるかは非常に大事なことであり、専門家の意見をもとに、専門家ではない人たちが分かりやすく間違わないような内容を責任を持って作っていくのか、あるいは改定するときにどうするのかなども、整理していただきたいと思います。最終的には、IBSで苦しんでいらっしゃる患者さんも含めて、消費者、国民のためにどうしたらいいかというで、このポリカルボフィルカルシウムを例に挙げて、長島委員から指摘されたことも含めて、次回にパイロット的にまとめていただくことを事務局にお願いすることにして、この成分のスイッチOTC化が可か否かという議論を進めたいと思います。一般論では制度・システムとして運用の面で大事なことはこの会議でも指摘をしながら一歩前進させたいと思います。
 
○長島委員
制度、システムのところは、やはりしっかり議論する場をつくっていただければ有り難いと思います。それから、本剤に関しては、今、少し時間を頂いただけでも専門の先生方から、かなり具体的な御意見も頂きましたから、きちんとそれを反映させますと、国民、一般市民のために非常に役に立たせるチェックシートができそうだと、この短時間でも思いましたので、それを踏まえてパイロット的に一度やってみて、それを出していただいて、可とすることには全然反対ではないのですが、せっかく良い機会ですし、実際にそれをやっていただいて、それをこの検討部会に出していただいて、それをみんなで見て、それで最終的に、可とするというのが非常に良いのではないかと、今、正に実感いたしました。今、この短い時間でも、これだけ良い御意見が出ましたので、これは是非進めるべきではないかと思いました。
 
○湯浅委員
セルフチェックシートを作る際に、念頭に置かなければならないことが、ふたつあると思います。ひとつめは、現在使用されているチェックシートにもし、使い勝手が悪いなどの不備があるのであれば、どこに問題があるのかを知らなければなりません。そもそも、今のままでいいのであれば作り直す必要はないわけですから。もうひとつは、なにを根拠にして作るのかということです。先ほども述べましたように、例えば疾患の症状別の尤度比を基に作成するというのも一法であると思います。ただ単に事務局に作ってください、最初はパイロットスタディをしてみましょうと言っても、難しいと思います。もし、当委員会で精度の高いセルフチェックシートを作るのだとすれば、そういう手順を踏んでいくべきと思いますが、この委員会の場で、そこまで考える必要があるかということも疑問です。
 
○高野委員
今、お話を伺っていて、セルフチェックシートの側面として、座長がおっしゃったとおり、疾患の識別という部分と、薬剤師的な禁忌とか、飲んではいけない人という形の添付文書的な内容の回避をチェックする側面という2つがあって、恐らくこの場で議論する場合は、疾患の部分というところになってくるのかなと思っています。いわゆる飲んではいけないこととかそういった部分に関しては、添付文書が出来上がったときの状況になってきてしまいますので、ですので、先ほど先生がおっしゃっていたとおり、学会の学識者の方から疾患の識別に関して、チェックシートに入れるべき内容がどのようなものなのかということを聞いて、それをたたき台に作っていくというほうが自然の流れなのかなと個人的には思います。
 
○長島委員
疾患の識別に関しては、本剤に関しては、以前に過敏性腸症候群の診断治療を受けていることを入れますので、まず、これを確実に把握するのが最大の目的かと思います。それを具体的にどうすればいいか。そこでしっかり診断が付いていれば疾患としていいけれども、過去にされたとしても、こういう症状がある人は駄目ですとか、こういう場合はすぐに受診したほうがいいですというような観点からの専門家からの意見が含まれる、こういう場合は、もちろん飲んだらいけないというのは最大ですけれども、もう1つは、まず、診断というのがはっきり、いつ、どういう形でされたのかが確認できれば、疾患の識別はある意味必要ないのです。ただし、それから何年もたっていたりするといけないし、されていても、こういう症状があるときは駄目とか、こういう症状があるときはすぐ医者にかかったほうがいいですということを出していただけると、正にセルフチェックとして有意義ではないかと思います。
この場で、多分細かくするのは無理だと思うので、例えば、後でメール等も使っていただいて、その辺をまとめていただいて、細かいことを全部決めることは全くないのですが、大筋のところでこうやるということを次回の会議で出していただけると、皆さんが非常に理解しやすいですし、みんながよく分かった上で、可とするというのが非常にいいのではないかと思います。
 
○笠貫座長
スイッチOTC化は30年あまりの歴史があり、セルフチェックシートはずっと存在していますが、より有効なスイッチOTCの提供にあたって、安全性確保の観点からセルフチェックシートの重要性が増してきているという時代的な変遷があるのだろうと思います。また時代としてセルフメディケーションが非常に重要な社会的課題になっています。この会議には専門家、非専門家、消費者の方も入っていますので、そうした背景を共通の認識として持っていただくために、この会議に限界があるかと思いますが、次回、事務局に、この時代の変遷とともに、どのようにセルフチェックシートを改善していこうと考えているかについてもお話いただければと思います。
次に、本成分が、これまでのスイッチOTC化で議論された成分と異なり、このセルフチェックシートリストが具体的に提示されなければ可としないということになると、これまでの評価会議の進め方と整合性が取れないことになります。本日もまたセルフチェックシートについて良い案も出ましたし、前回もかなり議論されていますので、これを含めてより良い内容のセルフチェックシートを整理していただくということで、この品目については「可」ということで御理解いただけたらと思いますが。
 
○佐藤委員
佐藤です。1点申し上げたいと思います。セルフチェックシートはきちんとしたものを作ったほうがいいというお話でしたけれども、今、座長がおっしゃられたように、より買う人を選別し、より買いにくくするものではないようにしたほうがいいと思います。特に、この薬の場合は1,000万人以上の人が診療を受けないままになっており、確定診断を受けた人だけをセルフチェックシートによって選別することになれば、診断を受けていない人たちは全く蚊帳の外に置かれてしまうことになるのはバランスを欠いていると思います。セルフチェックシートを使うことで、過敏性腸症候群かもしれないけれども診断を受けていない人が、それこそきちんと診療をしていただけるような枠組みになることが大事だと思いますので、排除のためのセルフチェックシートではなくて、きちんと取り込んで、正しくルートに乗せていくようなセルフチェックシートにしていただければと思います。
 
○長島委員
正に最も重要なのは、買う人の立場に立つことですけれども、そこでは有益性というのは安全性があって初めて有用ということです。特にこういう薬剤というのは、もしも害があったら大変なことですので、当然、安全性は最大重視すべきかと思います。実際に過敏性腸症候群と思われるのに医療機関を受診していない人が非常に多いというのが問題ですので、そう思われる症状があるのに、市販薬でとなると、ますます受診しなくなるということになると思います。だから、全く逆だと思います。セルフチェックシートのところできちんとまず診断が必要ですということであれば、こういう症状だったら、まず医療機関にかかりましょうということになるかと思いますし、過去に診断されていても、セルフチェックシートでこういう場合はやはり医療機関にかかったほうがいいのですということの薬剤師からのお勧めがあれば、更にそういう方が受診していただけるということで、正に市民のためのセルフチェックシートということだと思っています。
 
○佐藤委員
表現の仕方だと思いますので、同じことを言っているような気もしますし、逆のことを言っているような気もするのですが。この薬については、考えなければいけないのは、1,000万人の医療機関にかからないままになっている人たちを、それこそどのように医療機関につなげるか、なのだろうと思います。この薬を、要は、診断しなければ使えない薬にするのであれば、きちんと診断につなげることが必要だと思います。
もう1つは、開業の先生方に診断を受けた場合でも、検査をして確定診断を受けて、この病名がカッチリ言われている人ばかりではないのだと思います。ですので、セルフチェックシートが、きちんと確定診断を受けて「過敏性腸症候群という病気です」と言われた人でなければ使えないというようなものにならないのと同時に、疑問を持っている方が医療機関に行くようなものにしていただきたいと思います。
 
○笠貫座長
佐藤委員が言われたことは、非常に大切なことで、専門家側からみた合理性と、消費する側から見た合理性との議論だろうと思うのです。両者をどのように調整するかということはこの会議の目的の一つだろうと思います。各々のステークホルダーが心配していることはこれまでの8回の会議でかなり整理されてきたのではないでしょうか。例えば覆面調査の話も出ましたが、その結果をみんなで共有しながら議論しました。本会議では、専門家、非専門家、特に消費者の人たちにとって、有効性、安全性、利便性という観点から、どのようにしてスイッチOTCによるセルフメディケーションを推進していけるかについて議論されているのだと思います。これからも科学的合理性と社会的合理性をどうとらえ、合意を形成していくかについて皆さんと議論を深めていけたらと思います。
 
○宗林委員
これは流れだと思うのですね、ですから、OTC化して、例えば受診をしていない方が行ったときに、1回医師に診てもらってくださいと受診勧奨の機会にも一旦なり、受診勧奨して医師にかかって少し落ち着いたけれども、ずっとそこは処方箋で医師にかかり続けなくても、これだったらOTCも出てきているので、そちらのほうでしばらく様子をみてはいかがですかという流れを作ることをすれば、より一層、全然病院に行っていない、6%しか行ってらっしゃらないというお話がありましたけれども、そこの所で、OTCが出ることによって薬剤師の受診勧奨でつながり、ずっと通い続けなくてもその症状が出たときにOTCでも賄えるということで、その良い循環を作るきっかけにするような形にしていけばいいのではないかと思います。
 
(五十嵐委員到着)
 
○笠貫座長
議論は十分されてきたと思いますし、この会議では「議決を取らない」ことを原則としているのですが、ポリカルボフィルカルシウムについては、「可」ということで合意が得られるかどうかについて再度確認させていただきます。前回は「可」でありパブコメの結果も十分踏まえた上で、セルフチェックシートをこれからの大きな課題であると受け止めた上で、漫然と使用されることがないよう、効果判定期間を設定し、効果がない場合には受診勧奨すること、再発症状に対象を限定するためにチェックシートを充実化させることで、OTC化については前回結果から変更することなく、OTC化は「可」ということでよろしいでしょうか。
 
○長島委員
私の考えは、ずっと一貫しております。したがいまして、せっかくいい機会ですので、きちんとセルフチェックシートのある程度のものを見せていただくと、それでみんなで判断することにしたいと思います。
 
○笠貫座長
ここで1人でも不可の方がいらしたら、今回は合意が得られないことになります。前回は「可」でパブリックコメントも同様でしたが、ここで「否」という意見が出た場合に、もう一度パブリックコメントや会議に出すことになるかどうかということです。不可の理由としてチェックシートの内容を見ない限り判断できないということは、前回の流れとしては逆行することになります。この評価会議のこれまでの流れとしても逆行することになります。チェックシート内容の充実と、時代的背景をふまえた今後のプロセスについても、次回にお示ししていただきくというところまでお話をしていてもノーということでしょうか。今まで評価会議で進めてきた流れとしては、私は「可」という合意の中に入るのではないですかということを長島委員に問い掛けています。
 
○医薬品審査管理課長
お話を聞いていると、長島委員がノーと言っているわけではないと勝手に思っているのですが、可とすること自体には、その方向性には余り異論はないと、私は勝手に理解していたのですが。
 
○長島委員
言っておきますが、最初に言っていますけれども、これ自体は可でいいのだけれども、きちんとここのところをやった上で可とすれば非常に納得がいくので、是非それでお願いしたいということです。
 
○笠貫座長
先ほども確認したのですが、次の会議でセルフチェックシートを見ないと判断できない、「可」にしないと仰っていましたので、今回「否」として、もう一度会議にかけ直すということですかと確認したのです。これまでの議論を踏まえた上で「可」ということで合意が取れませんかという皆さんへも問い掛けをしています。先ほどからの内容についてのいろいろな意見を含めて、パイロットとしてチェックシートをまとめて報告していただくことで「可」ということでよろしいでしょうか。
 
○長島委員
「可」とするためには、是非、パイロット的にやっていただければと。
 
○笠貫座長
それはやっていただけるということです。
 
○長島委員
それを条件とさせていただければ有り難いということです。
 
○笠貫座長
前回からセルフチェックシートを充実するということが条件でしたし、今回のより具体的な内容も含めたものを次回報告していただくということで皆さんの合意が得られれば、スイッチOTC化は可とするということで決まるのですが。
 
○上村委員
ちょっといいですか。今、長島委員の話と、全体の話を聞いていて、今までこういうことはやっていなかったと思います、もう一回見ようとか、出たものを。この会議でやるというのは私はナンセンスのような気がします、はっきり言って。できたものを。それではなくて、今回これを可として、それでチェックシートの中に、この項目だけはきちんと入れてくださいということを要望して、それを条件として、可にするというのはいかがですか、今日。それは専門家からの。だから、例えば、いつ診断した医療機関とか、それから薬剤の1つずつの疾病、薬剤に関しての重篤な有害事象、こういったものを鑑みて、それで、これだけはチェックシートに入れてくださいということをこの会から提唱する、それでいいのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
 
○長島委員
各委員の先生方からきちんとお聞きして、こういう条件を入れるべきだというものを十分反映したようなもの、これをしっかり作っていただくというのと、実際の運用に関しても、しっかりこのようにチェックシートの運用が確実にされていることが担保されていますといった具体的なものを見せていただくということをしっかりやっていただけると、約束していただけるのであれば「可」としますが、それが十分に確保できないということであると、やはり具体的に見せていただいてということなのですが。
 
○笠貫座長
この会議は、共通言語、共通認識、信頼関係が前提になります。先ほどからそのことについては事務局でやれる範囲のことをやりますと仰っています。最終的に企業が申請する内容まではいかないと思いますが、実際にセルフチェックシートが薬局で利用されるようになるまでのプロセスを次に御報告していただきます。本会議における委員の先生方の意見を盛り込んだセルフチェックシートを作っていただきたくように、次の薬食審の部会に、事務局として十分引き継いでいただくということです。何回も同じことを言っていますと時間がなくなります。
 
○長島委員
今の点は内容の点で、それはそれでいいと思います。
 
○笠貫座長
分かりました。
 
○長島委員
もう1つは実際の運用がしっかりされていることを確保することに関して、少なくとも、そこをしっかり考える場なりをやりますということを。
 
○笠貫座長
事務局からどういうプロセスで運用するかということも、次回に話をしていただきます。セルフチェックシートを如何に適正に活用するかも非常に大事なことで、次のプロセスの部会でセルフチェックシートの内容のみならずどう活用するかについても議論されるはずですし、そこでしっかりやっていただくようお願いすることになると思います。国の制度、システムとしてこれまでもなされているのですから、そこに我々の意見を反映できるようにお願いすることが本会議の限界ではないかと思いますが。
先ほど上村委員から話されたように、これまでの長島委員のお話は十分反映されているのではないかということで、「可」という合意が得られませんかということを皆さんに問い掛けをしたのです。それを具体的に提示されない限り判断できないとなると、もう一度、事務局のまとめたものを会議に出して、議論をして「可」として合意を得ることになりますかということも再度問いかけをしています。
 
○長島委員
内容の点はそれでよろしいのですが、運用の点に関しては例えば、本検討部会でこういうことを要望するというようなものをしっかり全員の合意として出すと、みんなの合意で、あるいは決議なり何なりでセルフチェックシートに関して、しっかり要望をするということになればよろしいかと思います。
 
○笠貫座長
私は、各ステークホルダーが集まって、全員で熱い議論をされている会議はあまりないと思いますし、ここで議論されたことは、是非、これから次のプロセスの部会には十分反映していただけくようにお伝えいただくことを事務局にお願いするという前提で議論しています。ということで、本品目は「可」ということでよろしいでしょうか。
 
(異議なし)
 
○笠貫座長
ありがとうございます。それでは、この成分の今後の進め方ですが、先ほどいろいろな条件が出ましたけれども、これからの進め方について御説明いただけたらと思います。
 
○医薬品審査管理課長
今回、「可」といただいて、ただし、セルフチェックシートはどうあるべきか、あるいは使い方はどうあるべきかというお話が条件として付されましたので、そこについて次回、こちらで今日頂いた御意見、それから、これから会議が終わってからまた御意見を頂きますので、それも含めてもう一度というか、流れなり、チェックシートで盛り込むべき項目などを次回に御提示させていただきたいと思います。
例えばですが、これはまた座長と御相談ですけれども、いつもこの検討会議の結果というので、検討会議結果として、こういう留意点が議論されたという紙を作るのですが、例えば、次回の議論のうちのポリカルボフィルカルシウムというものについて、次回、御議論いただくことを、更にその紙に追加させていただくという形だとコンプリートするのかとも少し感じましたので、その辺りの段取りは座長や先生方と御相談させていただきたいと思います。次回、そういった資料なり、考え方なり、案を少し工夫して御提示して、この件の議論を終結させたいと思います。
 
○笠貫座長
皆さんの御意見を聞いた上で、まとめたものを次回御報告いただければと思います。
 
○医薬品審査管理課長
頑張ってそういうものがつくれるように努めたいと思います。
 
○笠貫座長
お願いします。
 
○医薬・生活衛生局長
先生方に御相談した上で、それでまとめたものを報告させていただくということではないかなと理解しています。
 
○医薬品審査管理課長
御報告を差し上げつつ、次回また御意見が出るところもあろうかと思いますので、そういうものも含めて作業をしたいと思います。
 
○笠貫座長
セルフチェックシートの重要性について現状と、これから先のプロセスを含めて共通の認識を持っておいたほうがいいと思いますので、各委員の先生のお話を反映したものを報告していただき、少し時間を取って、議論させていただくようにしたいと思います。次に入らせていただきます。
次の要望品目に入る前に、どうしましょうか。
 
○医薬品審査管理課長
それでは、次の議題に入る前に、樽見局長が参りましたので、ここで御挨拶を申し上げたいと思います。
 
○医薬・生活衛生局長
7月9日付けで医薬・生活衛生局長に就任いたしました樽見でございます。この会議はOTCへのスイッチということで、セルフメディケーションの推進、あるいは正に患者の利便性の向上という観点から非常に重要なことと考えています。今、私も初めてこの会議に参加させていただきましたけれども、正に本人の判断で使用できる安全な薬ということが重要ということと思いますが、今の議論をお聞きしても、それに向けて非常に丁寧な議論を重ねていただいているということで、引き続きまして、先生方にしっかり御検討いただくことをお願いしたいと思います。前宮本局長同様、よろしくお願いしたいと存じます。簡単でございますが、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 
○長島委員
よろしいですか。せっかく局長が来ていただいたので、確認させていただきたいことがあるのでお願いいたします。日本経済新聞の7月12日の朝刊に、本検討会に関する言及がありまして、その内容が非常に看過できないような内容でしたので、そのことについて御見解を伺えればと思います。その記事のタイトルが『市販薬あるのに病院処方5,000億円』と、その中のこの会に関する言及の部分を読み上げます。「市販の可否を決める国の検討会メンバーは医師が過半を占める。調査会社の医療に詳しい主任は、市販品が増えれば病院に来る人が減り、病院経営に響きかねない。余り広めたくないのが医者の本音と指摘する。病院に来てもらえば検査や処置、処方などで幅広く診療報酬を得られるからだ。製薬会社などの国への市販化要望は、18年度に3件と、16年度の18件から急減した。」、以上ですけれども、この医師である委員の先生方には非常に看過できないような、侮辱的な内容ではないかと私は感じました。
この本検討会議というのは、医療用医薬品としての使用実績、あるいは要指導・一般用医薬品として適切と考える理由、副作用の発生状況、あるいは海外での使用状況など、そういう観点から、スイッチOTC医薬品とすることの妥当性、これを市民、国民の立場にとって有益性と安全性をきちんと科学的に検証することが目的だろうと思っております。したがいまして、単に必要度が低いというような理由でスイッチOTC化をするというのは検討外れというように思います。
その中で、医師は、何か病院や医師のために判断しているということは全くなくて、医師としての専門家の立場、あるいは常に患者さんに寄り添う医療現場の立場、そういう様々な知識とか、経験から科学的に、あるいは人道的な立場できちんと判断していると思っております。日本医師会のかねてからの主張としては、スイッチOTC化の基準というのは自覚症状があり、それから、比較的短期間の使用で改善が期待できて、そして、自ら使用の中止を判断できるというような形でも安全性が十分担保されているということを基準としております。また、スイッチOTC化というのは、もともと医療用医薬品が含まれておりますので、それなりの副作用というリスクも当然あるということです。したがって、単に医療費を節減するためということが目的とされるのは全く的外れで、そうあってはいけないと思います。
そのような形で、例えばスイッチOTC化、あるいは市販品類似薬を保険収載から外そうという動きもあると認識しておりますけれども、そのようなことがあると、国民にとって必要な適切な医療へのアクセスが阻害されるということで、国民のためにはよくならないと思っております。そういう観点でスイッチOTC化に関しては、しっかりと厳重に検討する必要があるかと思います。この記事の内容に関して、局長の御見解があれば、よろしくお願い申し上げます。
 
○医薬・生活衛生局長
いろいろ御指摘を賜りました。この検討会議については、今日の資料でも参考資料の所に入っておりますが、どういう目的でお願いをしているかということで言うと、スイッチ化について欧米諸国の承認状況や消費者、学会等からの要望等を定期的に把握するということ。それから、その適切性、必要性に関する科学的な検証をするということ。それから、理解度調査等の新たな評価方法についての提言といったようなことについて、正に専門的な見地から御議論いただく場であると考えております。
具体的に、医療用の医薬品からスイッチする品目について言うと、今、先生がおっしゃったような品目というのはふさわしいものと思いますけれども、具体的にどのような品目が適切かということについては、正に個々別々に、丁寧に検討していただいていますし、また、これからも丁寧に検討していただくべきものと考えています。
それから、スイッチOTC化されたとしても、医療用医薬品として必要性がなくなるものではありませんので当然、医療用医薬品でなくなるということではありません。その点で、この記事はそういうところが余りはっきり書かれていないという印象を持っております。
これまでも、私自身の前職は保険局長でございましたので保険との関わりということについて申しますと、これまでも医療上必要な医薬品については診療報酬上、適切に評価が行われてきていると認識しています。国民皆保険の維持、あるいは国民の医療へのアクセスという観点から、今後、保険でそれぞれの医薬品についてどう扱うか、診療報酬等でどのように扱うかといったような点については、保険サイドのほうで、中医協などの場で行っていただくべきものと考えているところです。ですので、ここの場というのは、先ほど申し上げたように、正にそれぞれの専門家としてのお立場から、スイッチOTCについての検証・検討をお願いする場と考えております。繰り返しになりますが、スイッチOTC化をするかどうかの是非については、正に御参加していただいている多様なステークホルダーの皆さんの御意見を伺いながら、長島委員の御意見も踏まえて、この検討会議の場で丁寧に検討していくべきものと認識しているところです。
 
○笠貫座長
ありがとうございます。この会議ではスイッチOTC化について、各ステークホルダーが患者、消費者、国民のためにどうあるべきかということを真摯に議論していることは公開の場を通して理解していただいていると思います。皆さんの合意を原則として、スイッチOTCとセルフメディケーションを推進すべく、安全性を最優先として有効性と利便性を含めて議論を深めていきたいと考えています
続いて、要望品目のスイッチOTC化の妥当性について、資料4について事務局からお願いします。
 
○事務局
資料4を御覧ください。まず2ページですが、成分名はエペリゾン塩酸塩です。要望された効能・効果は、「腰痛・肩こり痛」で、個人からの要望がありました。対応する医療用医薬品はミオナール錠50mgで、効能・効果はこちらに記載のとおりです。
3ページを御覧ください。本成分は、筋緊張緩和作用を有する薬剤であり、1982年に承認されたものです。再審査結果は1991年に通知されており、承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断されたものです。続いて安全性に関する情報ですが、4ページを御覧ください。本剤は、禁忌に本剤の成分に対し過敏症の既応歴のある患者が設定されています。重大な副作用として、ショック、アナフィラキシー様症状等が設定されています。推定使用患者数等ですが、厚生労働省の調査、総務省統計局の統計から、腰痛が1,291万人、肩こりが1,095万人と推定されています。海外での承認状況については、6ページです。本成分は、欧米等6か国において一般用医薬品として承認されておりません。同種同効薬の状況については8ページの表を御覧ください。同効薬として、メトカルバモール、クロルゾキサゾンがOTCとして承認されています。
続いて、13ページを御覧ください。医学会・医会からの見解です。まず日本整形外科学会からは、OTC化は「否」との見解を頂いています。「否」の理由として、腰痛・肩こり痛は慢性疼痛で、他の疾患が原因となる場合があり、自己判断することは危険。長期にわたり内服することは医療機関受診の妨げになる。重要な基本的注意には、自動車等の運転が含まれており、高齢者の交通事故の問題が生じている状況ではOTC化は勧められないといったことを挙げていただいています。14ページですが、日本臨床整形外科学会からもOTC化は「否」との見解を頂いています。「否」の理由としては、単独使用での効果のエビデンスに乏しく、消炎鎮痛剤との併用後に使用する方法が推奨されている、筋緊張性疾患治療剤の急性毒性ではエペリゾン塩酸塩の報告が最も多いこと、大量服用時の心臓毒性の指摘があることといったことを挙げていただいています。続いて16ページは、関係業界として、日本OTC医薬品協会からの見解です。OTCとすることの可否については、有効性及び安全性が確認されている薬剤であることなどからOTCとすることは「可」との御意見を頂いています。また、18ページの3.その他になりますけれども、添付文書等において、本剤投与中の患者には自動車の運転等は従事させないように注意すること等の注意喚起を御提案いただいています。説明は以上です。
 
○笠貫座長
どうもありがとうございました。それでは五味渕参考人から御意見、補足がありましたらお願いいたします。
 
○五味渕参考人
よろしくお願いいたします。先ほど資料にありました日本整形外科学会、それから日本臨床整形学会の意見を補足する形で説明をさせていただきたいと思います。まず腰痛、それから肩こり、確かに国民生活基礎調査でも非常に有訴者の多い疾患ではあるのですけれども、それだけ難治性というか、そうそう簡単には治らないから1位になっているという背景があると考えています。
まず腰痛についてですが、椎間板ヘルニアとか脊柱管狭窄症、脊椎すべり症などの典型的な整形外科の疾患のほか、昨今は高齢化に伴い、骨粗鬆症を背景とする圧迫骨折などによる腰痛。それから化膿性脊椎炎とか、がんの脊椎転移などの腰痛も珍しくはなくなってきました。大動脈解離といった重篤な疾患であるとか、腎盂腎炎や尿管結石などの泌尿器科疾患、膵炎や消化管穿孔などの消化器系の疾患。それから子宮外妊娠などの婦人科の疾患によっても腰痛が出る場合があります。うつ病などの精神科の症状としても、腰痛はよく知られるところです。
また肩こりに関しては、こちらは傷病名というよりは症状名なわけですけれども、肩関節周囲炎とか、それから頸肩腕症候群、胸廓出口症候群とか、頸椎疾患などの整形外科的な疾患のほかに、高血圧や狭心症などの内科疾患、それから自律神経疾患、メニエール病や上咽頭炎などの耳鼻咽喉科の疾患、さらには緑内障や眼精疲労などの眼科領域の疾患、顎関節症や咬合不全などの歯科領域の疾患、それからまた、うつ病などの精神科の疾患においても、こうした症状が出ることが知られております。
ある意味で、非常に専門科であっても診断の難しい症状で、それゆえに本当にセルフメディケーションに適したものなのかということが、まず1つ疑問として挙げられると考えています。
資料5ページにあった関連するガイドライン等に、「腰痛診療ガイドライン2012」を掲げてありますが、この中で推奨される腰痛に対する薬剤としての第一選択薬は、非ステロイド性の消炎鎮痛剤とアセトアミノフェンであり、本剤を含む筋弛緩薬は第二選択薬です。実際の臨床の場でも、単独でこれが用いられるということはまず希であり、NSAIDsやアセトアミノフェンを補助する役割として使われてきたのが現状だと思います。
実は今年、この「腰痛診療ガイドライン2019」の改訂版が出て、この7年間で大きく変わってきたのは、腰痛も急性のものと慢性のものとで分けて考えようという、特に最近は慢性腰痛症のみに適応するような薬剤も出てきていて、その中で腰痛に対して薬物療法は有用かという設問に対しては、筋弛緩薬は急性腰痛に対しては推奨度が「2」です。弱く推奨するという位置付けで、エビデンスレベルは「C」、強中弱の中の「弱」でした。信頼のできるエビデンスレベルが「C」というのは、論文が1編しかなかったためであり、慢性腰痛や坐骨神経痛に対しての有効性に関しては、質の高い論文がなかったためという理由でコメントがないという状況です。
最近は、かつて整形外科というのは、すぐに薬に頼ることを批判されたこともあるわけですけれども、従来言われれてきた胃潰瘍だけではなく、CKDの問題などもあり、薬に頼らない治療というものをやっていこうということが主流になっております。
こうした肩こりや腰痛というものは、仕事などを含む生活習慣の見直しであったりとか、それから運動療法など、自分自身で取り組むような、そういうところでもってやっていかないと、ただこの薬を飲んだら治るというものではないということが、我々の中でも広く知れわたるようになっています。
それに加えて、先ほどありました資料9ページに、ミオナールの右側の「使用上の注意」の2.重要な基本的注意に、「本剤投与中に脱力感、ふらつき、眠気等が発現することがあるので、その場合には減量又は休薬すること。なお、本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作には従事させないように注意すること。」とあります。自動車の運転というのは、実際にそれしか交通手段のない方にとっては、やめろと言われてやめられるものではありませんので、この薬を飲んでいる間は、車を運転しないことというのは余り現実的な注意ではないように思います。
また、患者自身が、こういう成分の違う薬を飲んでいる場合、この薬を飲んだら危ないというような意識を持っていらっしゃらない方も多く、それからこれはちょっと外れるかもしれませんけれども、常用量を守らない患者さんも決して珍しくはない。効かないからという理由で、余計に飲んでしまったりする方もおられる現状を考えますと、この薬を飲むことによって、そうした自動車の運転に伴う危険というものが懸念されるのではないかと考えます。
以上をまとめますと、なかなか自分で診断することが難しいものであるということ、それからこの薬の期待される効果というものが非常に限定的であるということ、それに対して懸念される副作用等が非常に心配であるという理由から、日本整形外科学会と日本臨床整形外科学会は、「否」という結論に達しました。以上です。
 
○笠貫座長
ありがとうございました。それでは、この成分のOTC化について、個別の御意見、御質問がありましたらお願いします。
 
○長島委員
長島です。私も整形外科医ですので、この薬剤はよく処方しますけれども、五味渕先生からも御説明があったとおりで、まず腰痛、肩こりの原因となる疾患は、極めて多種多様であるということ。仮に、それが骨関節とか筋肉等の運動器由来であったとしても、治療法としてはきめ細かく日常生活指導とか、姿勢とか運動とか、あるいは他の薬剤との併用というのがほとんどであって、この単剤で用いることは通常はあり得ないということから、これは「否」であるべきと思います。
 
○近藤委員
近藤です。五味渕先生にお伺いしたいのですが、既にOTC化がなされている成分が2つあるようなのですが、これと、このミオナールの成分で、何か副作用とか薬効に違いがあるものでしょうか。
 
○五味渕参考人
ここに掲げてあるお薬、私はこの仕事を30年以上やっているのですが、実際この成分のものを使ったことがありません。それぐらい医薬品としては、もう既にある意味で廃れてしまっているものだと思います。それに対して今回のエペリゾン塩酸塩は今でも使われているものですから、当然効能も違うでしょうし、副作用も違うと思うのです。ちょっと使用経験もないので、何とも言えないのですが、少なくともエペリゾン塩酸塩に関しては、これを飲んでふらつくようになったりとか、めまいを起こしたりする方がいらっしゃることは存じております。
 
○近藤委員
ありがとうございました。
 
○小縣委員
通常の処方の中では、お話にあったように多くはミオナールとNSAIDsのような鎮痛剤と、そこに加えて胃の粘膜を保護するような胃の薬と、いわゆる3点セットのような感じで処方されています。1、2週間それで継続される方と、状況によって脳梗塞の後のような筋のこわばりがあったような方は、何か月も続けて飲んでいらっしゃいます。先ほどおっしゃったように、恐らく筋の緊張をほぐす目的は、そういう意味で違った両側面があるのだと思います。肩こり、腰痛に関しては、1、2週間で治ったのかもしれない人と、1、2週間で諦めたのかもしれない方と、その辺りは何とも言えないところなのですね、実際に見ていると。もし、この薬が「可」になった場合、恐らく出来上がってくる医薬品としては、単剤ではなく、やはり鎮痛剤と胃の薬が混ざった合剤になって出てくると思います。そういうことについてはどのようにお考えですか。
 
○五味渕参考人
そうした薬剤がもし認められれば、一定の効果はもちろん期待できると思います。ただその場合、先ほども申しましたが、消炎鎮痛剤を含むものになりますと、そちらの副作用もまた考えなければならなくなってきて、やはり最近はCKDの問題がどうしてもあるものですから、長期にわたる、そういった消炎鎮痛剤の使用というものは、我々も慎むようにしていますので、そこの心配が新たに加わるという側面もあるのではないかと思います。
実際処方していて、やはり先生がおっしゃるように、複数のものを出すことはよくあるのですけれども、実際には、それを数週間分出すということはせずに、医療機関でも効能・効果を見ながら、効かないと思ったら変えていく。効いていると思ったら、どれかをやめてみて、それでも良くなっていることを確かめることを、我々は通常にしていますので。その辺のことが、なかなか合剤の場合だとしづらくなってしまうかと思います。
 
○笠貫座長
ほかにはございませんか。専門の方々からは、「否」という意見が根拠をもって示されたと思います。ほかに御意見がありませんでしたら、パブコメを行うに当たり、この検討会議としての方向性というものをまとめたいと思います。
腰痛、肩こりの原因疾患が多く自己判断が難しいこと、消炎鎮痛剤との併用が多く本剤の効果が限定的であること、めまい、ふらつき等の副作用で自動車運転の危険等を伴うこと、筋緊張性疾患の治療剤の急性中毒では本剤の報告が最も多いこと、大量服用時の中毒性が指摘されていること等を踏まえて、OTC化は「否」とすることと判断して、パブコメを進めるということで、差し支えないでしょうか。ありがとうございました。それでは、そのような内容でパブコメを実施していただきますよう、お願いします。続いて、モサプリドクエン酸塩水和物について、事務局より御説明をお願いします。
 
○事務局
それでは、資料5を御覧ください。まず2ページ目ですが、成分名はモサプリドクエン酸塩水和物です。要望された効能・効果は「胸やけ、はきけ(むかつき、嘔気、悪心)、嘔吐」で、個人以外から要望があったものです。対応する医療用医薬品はガスモチン錠5mg、2.5mg、ガスモチン散1%で、効能・効果はこちらに記載のとおりです。
3ページ目を御覧ください。本成分は消化管運動機能改善薬であり、1998年に承認されたものです。慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心、嘔吐)に対する再審査結果は2008年に通知されており、承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断されたものです。
続いて安全性に関する情報です。5ページ目を御覧ください。本剤は、禁忌内容は該当なし、重大な副作用は劇症肝炎、肝機能障害、黄疸が設定されています。推定使用患者数等ですが、文献から、胃腸薬全体の市場規模として525億円と推定されております。海外での承認状況については、6ページ目を御覧ください。本成分は欧米と6か国において一般用医薬品として承認はされておりません。同種同効薬の状況については、9ページの一覧表を御覧ください。同効薬として、トリメブチンマレイン酸塩がOTCとして承認されております。
続いて14ページ目を御覧ください。医会・医学会からの見解です。日本消化器病学会からは、OTC化は「可」との見解を頂いております。可の理由としまして、重篤な副作用が極めて少なく、比較的安全性が高い薬剤である。胸やけ、むかつき等の症状は非常に多く、OTC化の需要が大きい。胸やけ、むかつき等に対して使われるOTC薬品は他にもあるが、必ずしも効果が十分ではない。他のOTC薬品で治まらない症状も本剤で軽快する可能性があるといったことを挙げていただいております。また、OTCとする際の留意事項として7点挙げられておりますが、4番目の服用期間については2週程度の内服で効果が見られない場合は内服継続の可否を再検討するといったことを挙げていただいております。
続いて、16ページに、日本臨床内科医会からも、OTC化は「可」との見解を頂いております。その理由として、食後投与が可能であり、薬効が速やかに発現する、高頻度の副作用は認められないといったことを挙げていただいております。また、OTCとする際の留意事項としては、一定期間(通常2週間)投与後、消化器症状の改善について評価し、投与継続の必要性について検討する。改善が認められない場合には慢性胃炎以外の器質的疾患を疑い、医療機関への受診及び精密検査を勧めるといったことを挙げていただいております。
18ページを御覧ください。こちらは関係業界として、日本OTC医薬品協会からの見解です。OTCとすることの可否については、既承認の類似薬の状況等からOTCとすることは「可」との御意見を頂いております。
また、19ページの「その他」ですが、副作用として肝機能障害の注意喚起を行うとともに、本剤の漫然とした使用を避けるべく、例えば「2週間服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医師、薬剤師に相談する。」等の記載の検討を御提案いただいております。説明は以上です。
 
○笠貫座長
ありがとうございました。それでは、上村委員から御意見、補足がありましたらお願いします。
 
○上村委員
これは「ガスモチン」という名前で市販されていますが、14ページの資料5-2に、日本消化器病学会が非常に適切な形で書いてくれています。OTCはもちろん、可でいいのではないかと思います。
それから、やはり先ほどのIBSに関しては、要するに診断されたことが前提でOTC化となっていましたが、これは症状でもって、医療機関で診断されていないのですよね。したがって何が重要かというと、2週間ということで、2週間後もまだ症状があったりとか、消化器病学会がここに書いているような消化管出血とか、いろいろな症状を、セルフメディケーションの場合にはチェックするようなチェックシートに、先ほど問題になっていたのですが、その中に取り込んでいただくということが必要かと思います。
そういう症状のガイドラインを消化器病学会で出していますが、それには4週間となっています。もちろん、これは医療機関にかかっている場合ということで、4週間は責任を持とうということですが、やはりセルフメディケーションの場合は、2週間後に判断していただき、医療機関の受診勧奨を必ずしていただくということがいいのかなと思います。いずれにせよ、OTC化は問題ないと思います。以上です。
 
○笠貫座長
ありがとうございました。それでは、湯浅委員から御意見、補足をお願いします。
 
○湯浅委員
私も皆さんの御意見と同じで、OTC化に関しては「可」です。この薬はセロトニンの受容体を刺激し、アセチルコリンを増やして胃や腸の運動機能を改善します。類似薬のなかには、ドパミンの受容体をブロックして、アセチルコリンを増やし、運動を改善する薬があり、こういった薬の場合には薬剤性のパーキンソニズムすなわち、錐体外路障害という、副作用が出現する場合がございます。この薬に関してはそれがないということで、比較的安全に使用できると考えております。 ただ、上村先生もおしゃっておられましたが、やはり2週間に処方上限を置くべきと思います。この薬は肝臓で分解されますので、肝機能障害、あるいは、頻度は少ないですが劇症肝炎という副作用も考慮しなければなりません。長期続けなければならない場合には、薬剤師の先生には受診勧奨をしていただき、医療機関を受診してていただく、場合により血液検査で肝機能等をチェックするということも必要になってくると思います。 これに対してチェックシートを作るかどうかということに関しては、私はそこまでは必要ないと思っております。
○笠貫座長 ありがとうございました。それでは、この成分のOTC化について、御意見、御質問はありますか。
○乾委員 今、上村委員と湯浅委員から御意見をお聞きしまして、私も賛成です。やはり生活者の利便性を向上してセルフメディケーションを推進する上には非常によいお薬ではないかと。我々、薬剤師がよく処方箋調剤をいたしますが、このお薬についても非常に多くしておりますが、やはり2週間というのをまず目安にして、それで医師等に情報提供させていただいておりますし、特に要指導医薬品となりますと、やはり2週間服用しても症状がよくならない場合は、服用を中止して受診勧奨するということを、前々回のイトプリド塩酸塩錠と同じようなものを、セルフチェックシートをしっかりと、私はやはりあったほうがいいと思います。セルフチェックシートを確認しながら、また2週間後には必ず来ていただいて、症状がよくならないようであれば、必ず受診勧奨するとか、医師等へ行ってくださいということでいいのではないかと考えます。以上です。
 
○長島委員
専門家の御意見の中で、他のOTC薬で治らない場合も、これでよくなるのではないかというような記述があるのですが、とすると、既にあるOTC薬と、どのように使い分けをすればいいのだろうかという疑問があります。例えば最近スイッチ化されたイトプリド塩酸塩ですか、このような薬もありますが、これは少し作用機序が違うというお話が先ほどもありましたが、そういう作用機序が違うものが幾つかあるという場合に、自覚症状としては同じようであると。では、どの薬、どのOTCを出せばいいかという判断は、どのようにすればよろしいのでしょうか。
 
○上村委員
難しい質問ですよね。それは医者で、消化器の専門の私たちでも、これは症状だけで来るといえば機能性ディスペプシアです。関係ないですが、慢性胃炎という病気が日本に蔓延しているのは、私はおかしいなと思っている。機能性ディスペプシアで、要するに潰瘍やがんがない場合に、こういう不定愁訴を持っている場合に、では何からいくかということです。一応、PPIとか、酸を抑えてみてとか、その次には、何か精神的なものがある方には向精神薬とか、それで消化管運動改善薬という形で使うわけですね。
では、そのイトプリドとモサプリド(商品名はガスモチン)をどうやって使い分けるかというのは、それは難しいですね。日本人は胃薬が好きですから、それで薬局に行って胃薬をもらうわけですが、この薬やイトプリドは、はっきり明確に作用機序が決まっているのです。
だから湯浅先生が言われたように、イトプリドは錐体外路障害などで、危険な場合がある。だから、どちらかというとガスモチンのほうが安全だから、こちら側から使おうというようになるのではないかなと思いますが、先生の御質問に明確に答えるのであれば、以前のOTC、こういう症状があれば、まずこれをファーストラインに用いたほうが、薬局、薬剤師は患者、いわゆる症状のある市民の方に信頼を持たれるのではないかなと思います。これは個人的な見解です。
 
○乾委員
現場では自覚症状を聞いて、それで過酸タイプか減酸タイプか、例えば今回のような場合でしたら、健胃作用の生薬の入った胃腸の働きを高めるお薬を選択すると。
長島先生は、いろいろなお薬が出ているのをどうするのだと。これは実際に、それを薦めて、患者、消費者、生活者に喜ばれるというものを、経験も踏まえた上で薦めているというところがやはり強いのではないかと。もちろん症状に合わせて、ですから胃酸過多であれば、またそういう減酸するようなお薬を用いながら、一般用医薬品ですと、総合胃腸薬といって、全てのものが入っているというものもあるわけですが、できるだけ症状を確認し、また患者の背景を聞きながら、生活の養生も含めて説明して、販売といいますか、適切なお薬を選択した上で、生活消費者が納得して選択されるというのが現状です。
 
○小縣委員
なかなか吐き気、嘔吐があるときに使いやすいお薬というのはないので、この辺りのところは、OTCで出てきていただけると非常に薦めやすいかなと思います。
 
○長島委員
非常に使い分けが難しいところもあるということで、やはりセルフチェックシートはきちんとあって、それで例えば前回スイッチ化が許可されたイトプリドもありますから、そちらも後から付けることが可能かどうかは分かりませんが、そちらも両方、ある程度、特に副作用や注意すべき点などがしっかりチェックできるようなものがあって、それが薬剤師の判断の助けにもなるし、市民の方御自身が判断するための助けになるという形で、やはりセルフチェックシートが、こういう判断が難しい薬のときはいいのではないかなと思いました。
また、その場合に症状が少しでも良くなっている場合と、全く良くなっていない場合とで、例えば全く良くなっていないのであれば、その場合は1週間でとか、少しは良くなっているなら2週間とか、その辺も、受診勧奨に関しても、セルフチェックシートなどを入れることで、薬剤師もきめ細かい指導がしやすいのではないかと思いますので、その辺りを検討していただければ有り難いと思います。
 
○笠貫座長
ほかにはありますか。
 
○柿田委員
質問なのですが、抗コリン作用を有する薬剤と併用するのは駄目だと、ずらさなければいけないとか、これは、いわゆる薬剤師はチェックできますが、一般的に薬剤師のチェックがなくなった時期にはどうなるのでしょうか。
 
○乾委員
抗コリン作用のあるお薬と飲むと、効果が落ちるわけですよね。ですから、当然飲まれた方が分かるでしょうし、使用上の注意等は当然ながら入るわけですので、添付文書ですが、それは要指導医薬品、一般用医薬品についても、使用者が分かりやすいものになっておりますので、その辺は十分工夫されるのではないかと考えていますし、現状もそういうことになっています。
 
○小縣委員
そういう注意があるお薬に対しては、これください、はいどうぞ、という売り方はしておりません。必ず病院にかかっているなり、市販薬をほかに飲んでいるなり、併用薬を確認した上で、そのお薬がいいかどうかということを見極めて、患者にお渡ししますので、そこのチェックは十分できるかと思います。
 
○柿田委員
つまり安全性がある程度、経過した場合は、ネット販売などにもそのうち移るわけですよね。そのときに、それができるのでしょうか。
 
○乾委員
そこが先ほど申しましたように、要指導1類で止まる可能性もあるわけですし、1類で止まればずっと薬剤師が情報提供するという形になりますし、それが1類から指定第2類となれば、確かに登録販売者の情報提供という形も出てくる。薬剤師ももちろん関わりますが、そのときに丁寧な添付文書や使用上の注意等でしっかりと確認するという形になると思います。使われる方がですけれども。
 
○宗林委員
ちょっと記憶は曖昧ですが、もう既に1類から2類に落ちたものの中にも、これと同様の注意が入っているものが出ているのではないかと思います。ですから、例えば緑内障の方が飲んではいけない禁忌のものであるとか、そういったものにも、かなりはっきり書いてあったような気がしますので、前例はたくさんあるのではないでしょうか。
 
○長島委員
今の点はここでも、何回も重要な点として指摘されているし、一定期間がたつと、要指導医薬品から一般用医薬品に移行して、そのとき自動的にネット販売が可能になってしまうという現行制度には大きな問題があるので、ここはやはりきちんと検討すべきであると。ここで繰り返し言われていることですので、改めて、もう一度強調させていただきたいと思います。
 
○笠貫座長
ほかにはありますか。それでは、先ほど症状が良くならない場合は2週間ということだったのですが、ドクターの場合は最長で4週間という話が先ほど出たのですが、症状がよくなったら4週間でもいいということはあり得るのですか、ないのですか。これは、もう2週間ということでよろしいですか。

○上村委員
私は2週間で終わっていいのではないかと思います。
 
○笠貫座長
よろしいですね。それでは、特に御意見がありませんでしたら、パブコメを行うに当たりまして、この検討会議としての方向性をまとめたいと思います。長期に漫然と服用されることがないよう薬剤師が指導を行うとともに、2週間服用しても症状が良くならない場合は服用を中止して、受診を勧奨する旨の情報提供を行い、最長の服用期間も2週間ということで設定すること、副作用や注意事項がチェックできるセルフチェックシートを作成することであれば、OTC化は「可」とするということで判断して、パブコメに進めるということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、そのような内容でパブコメを実施していただくようにお願いします。
本日の議題は以上ですが、その他、事務局から何かありますか。
 
○事務局
次回の検討会議は、本年の12月18日を予定しています。次回は本日御議論いただいた成分、資料4及び5についてのパブコメを含めた2回目の検討と、残りの成分で準備が整ったものについての議論を予定しています。
また、先ほど御報告という形にさせていただきましたセルフチェックシートの関係についても御報告させていただくことにしたいと思っています。御多用のところ恐縮ではありますが、どうぞよろしくお願いします。以上です。
 
○笠貫座長
本日はセルフチェックシートに関するたいへん大事な議論がなされました。これまでの8回の会議でスイッチOTC化に当たって、ほかにも多くの課題が抽出されてきたと思います。それらの課題まとめていただき、さらにそれぞれの課題解決に向けて各ステークホルダーが考えていくことによって、本会議は次のステージに上がれるのではないかなと思っています。
それでは「第8回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を終了といたします。長時間にわたりまして、御協力、どうもありがとうございました。
 

 

 

(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
03-5253-1111(内線 2737、4225)
 

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