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2019年3月14日 第7回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

平成31年3月14日(木) 15:00~17:00

 

○場所

AP新橋虎ノ門 C、D会議室(11階)
東京都港区新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル(日本酒造虎ノ門ビル)

○出席者

出席委員 

乾委員、上村委員、小縣委員、柿田委員、笠貫委員
門田委員、近藤委員、佐藤委員、宗林委員、高野委員
長島委員、部坂委員、矢口委員、湯浅委員

     
○議題

1.スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望状況について
2.パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の妥当性について
3.要望品目のスイッチOTC化の妥当性について
4.その他
 

○議事

 

 

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
定刻になりましたので、ただいまより「第7回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして、ありがとうございます。
本日の出席状況ですが、五十嵐委員、杉山委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、御到着が少し遅れておられる先生もおいでのようですが、現在のところ、13名の先生に出席いただいております。また、本日、ほかの用務の関係で医薬・生活衛生局長宮本は欠席させていただいております。何とぞ、御容赦いただければと思います。
それでは、カメラ撮影をされている方がおいでであれば、ここまででお願いいたします。以降の議事進行を笠貫座長にお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 
○笠貫座長
それでは第7回の評価検討会議を始めさせていただきます。まず事務局から御説明があると思いますが、本日の配布資料の確認を事務局からお願いいたします。
 
○事務局
資料につきまして説明させていただきます。資料につきましては、前回同様、ペーパーレス化を実施させていただいております。お手元のタブレット端末で資料を御確認いただければと思います。現在、タブレット端末は、資料、議事次第を画面に表示した状態で配布されているかと思います。ほかの資料を画面に表示するには、左上のマイプライベートファイルを1回、軽くタップしていただければと思います。タブレットの使用方法につきましては、これまでと同様にお手元にこのカラーのタブレット操作説明書を配布させていただいております。資料のページが多いものもありますので、任意のページを指定して表示する方法が裏面の一番上の(2)の部分ですので、この操作も御活用いただければと思います。また、分量の多い資料になった際に改めて御案内させていただきます。
本日の資料といたしましては、マイプライベートファイルに表示されている上から順に紹介させていただきますと、座席表と名簿、議事次第、配布資料一覧、それから、当日配布資料ということで「スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望理由について」ということで入れております。その下から、資料1、資料2-1、2-2、2-3、資料3-1~2、資料4-1~2、資料5、資料6-1~3、参考資料1~4といった形でファイルは入っているかと思います。また、タブレットの中には前回会議で使用した資料も「第6回資料」という形でフォルダ形式で保存してありまして、ここのフォルダに行っていただきますと、前回資料があります。資料3-1~資料4-2を御議論いただく際に前回資料に戻る必要がある場合には、こちらを御確認いただければと思います。長くなりましたが、資料の関係の説明は以上です。
資料に過不足、御不明な点等がございましたら、事務局までお申し付けください。また、ペーパーレス化に伴い、お手元には筆記用具とメモ用紙のみ配布させていただいております。もし印刷してきた資料をお持ちで、付箋、マーカー等が御入用の際は、事務局までお申し付けいただければと思います。説明は以上です。
 
○笠貫座長
ありがとうございます。資料の過不足あるいはタブレットの不具合等がありましたら、お知らせください。よろしいでしょうか。では、前回会議は昨年12月5日に開催しておりますが、事務局からその後の進捗について御説明をお願いいたします。
 
○事務局
まず、資料1を御確認いただければと思います。こちらは、いつも用いておりますスイッチOTC医薬品の候補となる成分についての検討の進め方、現状についての資料です。要望件数の部分、1枚目の左上ですが、1つ増えまして3件となっておりますので、ここはアップデートしているところです。また資料の中ほどから下の「候補成分の公表」という所につきましても、前回からアップデートしているものです。資料1につきましては変更点は以上です。
資料2につきましても、併せて説明させていただきます。資料2-1を御覧ください。こちらは、平成28年度に来た要望の検討状況を取りまとめたものです。まとめを最後の5ページ目で表形式にしております。こちらにつきましては、全ての要望成分について既に結果の公表まで至ったという状況です。それから資料2-2です。こちらは平成29年度に要望が来たものです。1ページ目から3ページ目までにつきましては、前回以降、特に変更はありません。4ページ目に進捗状況を表にしてあります。№1~4の成分につきましては、本日、2回目の議論を行っていただくことになります。№11、12も同様に、本日、2回目の御議論を頂くこととなっております。№13のポリカルボフィルカルシウムにつきましては医会・医学会の見解がそろいましたので、本日、1回目の御議論を行っていただくこととしております。
続きまして、資料2-3を御覧ください。こちらは、平成30年度の要望状況を取りまとめたものになります。2ページ目を御覧ください。前回以降、新しく1件の要望が来ております。有効成分の所がちょっと長くなっておりますが、栄養成分31成分が入ったものといたしまして、医療用で言いますと、エンシュア・リキッドについて個人以外の方から御要望という形で頂いているところです。こちらにつきましては、追って御議論いただくことになりますので、御承知置きいただければと思います。資料2の関係につきましては以上です。
 
○笠貫座長
ありがとうございました。それでは、今、資料1、資料2の関係につきましては事務局から御報告いただきましたが、御確認いただいたということでよろしいでしょうか。
続きまして、前回議論した成分についての議論に移りたいと思います。1成分ずつ、事務局より説明を頂き、議論していきたいと思います。それでは資料3から御説明をお願いいたします。
 
○事務局
まず、資料3-1を御覧ください。こちら、前回御議論いただきました認知症を適応とします4成分、ドネペジル塩酸塩、ガランタミン臭化水素酸塩、メマンチン塩酸塩、リバスチグミンの前回の検討結果をまとめたものとなっております。前回資料は、タブレットの第6回のフォルダの中で言いますと、資料7になります。前回会議では、認知症については医師の正確な診断が必要であること等から、OTC化については「否」とされたところです。
次のページは資料3-2になります。こちらを御覧いただければと思います。パブリックコメントを行った結果、御意見を12件頂いております。OTC化に反対という御意見は9件です。主なものとしましては、例えば№1、認知症については、医師の正確な診断が必要であり、患者の症状や副作用の発現状況に応じて薬剤の選択・用量の調整が必要であるといった御意見、それから、№8で申し上げますと、副作用報告が多い薬品であること、劇薬であること、頓服的使用にならないといった3点からスイッチOTC化には反対といったところ、さらに、次のページの№11ですが、ドネペジルは増量による消化器系の副作用よりも、認知症の周辺症状など、服用による弊害が予測される上、効果を期待して自己判断で増量するといったことで症状を複雑化、悪化させることが考えられるのでOTC化は不適といったような御意見が提出されております。
反対以外の御意見として主なもので申し上げますと、2ページ目の№2、医療費が高騰する昨今で、より適切な配分をすべく、ある程度はOTCへ移行して保険給付をやめる方向性が大事と考えますという御意見、それから、№3は、OTCの生薬の製剤ですが、オンジエキスを配合したものと同様に「中年期以降の物忘れの改善」を効能・効果とするOTCとすることはどうかという御意見です。なお、オンジの効能・効果として記載している「中年期以降の物忘れの改善」は、従前より漢方製剤で認められておりました「健忘」の効能等と変わるものではございませんで、認知症の治療に関する効能等は確認されていないというものですので、そこは事務局より補足させていただきます。それから№5ですが、厚労省の認知症研修修了薬剤師の限定でOTC販売を許可し、半年程度の観察期間を設けて、効果が認められない場合は中止とするのはどうかといった御意見が提出されております。説明は以上です。
 
○笠貫座長
ありがとうございました。御意見がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。パブリックコメントとしては数は多くありませんが、いろいろな見方もあるということは皆さんと共有できたかと思います。それでは、特に御意見がなければ、認知症を適応とする4成分、ドネペジル塩酸塩、ガランタミン臭化水素酸塩、メマンチン塩酸塩、リバスチグミンのスイッチOTC化について、再度御確認させていただきたいと思います。OTC化については前回会議の結果から変更なく、OTC化は「否」ということでよろしいでしょうか。それでは御確認させていただいたということで、次の資料4の説明をお願いいたします。
 
○事務局
それでは資料4の関係です。まず、資料4-1を御覧いただければと思います。こちらは前回のイトプリド塩酸塩の御議論いただいた結果となっております。前回資料は、タブレットの第6回資料のフォルダの中の資料8に該当するものです。前回の会議ですが、効能・効果の中で「胃痛」とございましたが、こちらの胃痛は胃潰瘍等の胃痛と誤解される懸念があることから削除することといったこと、それから、長期に漫然と服用されるようなことがないように薬剤師が説明するとともに、2週間服用しても症状が良くならない場合は中止して受診勧奨するような情報提供を行うといった留意事項を満たした場合にOTC化は可であるとされたところです。
次のページ、資料4-2を御覧ください。パブリックコメントを行った結果、9件の御意見が提出されております。№1につきましては、本成分をOTCとすることは認められないという御意見は提出されておりますが、理由を読みますと、「認知症については」と記載がございます。提出書類を確認したところ、認知症を適応とする先ほどの4成分と同様に一括しての御意見が提出されていたところですので、こちらについては、先ほどの4成分と混在されたものと思料されるところです。それ以外の8件の意見につきましては、いずれもOTC化に賛成といった御意見を頂いております。
主なものを紹介させていただくと、資料4-2の№2、検討会議の結果に賛成ということで、イトプリドは比較的安全で消化管運動の改善薬なので潰瘍の胃痛に使用しては悪化させる危険があるので、胃痛の削除は良いと思いますという御意見です。№9ですが、こちら、OTC化は賛成ではありますが、効能・効果の「胃痛」は胃潰瘍等の胃痛と誤解される懸念があることから削除することとされたが、効能・効果に含めても問題がないのではないかという御意見です。理由としましては、医療用医薬品の効能・効果に「上腹部痛」があるということ、それから、一般用医薬品の総合胃腸薬のようなものの半数以上に「胃痛」が標榜されており、2週間ぐらい服用しても症状が良くならない場合は服用を中止し、専門家にも相談するといった注意喚起がなされているということで、本剤も同様に「胃痛」を効能・効果に含めても差し支えないのではないかといった御意見が提出されているところです。説明については以上です。
 
○笠貫座長
ありがとうございました。御意見、御質問はございますでしょうか。
 
○長島委員
長島です。前回の検討会の際に医会の見解として、店頭に並べず、カウンターで必ず薬剤師が説明する必要があるという見解がありました。そこで私から「それをどのように実現できるのですか」とお聞きしたところ、「要指導医薬品の間は担保できるけれども、調査期間経過後にその後も要指導にとどめるのは、今の制度上は難しい」と、要指導医薬品が、規制がより緩い第1~第3類医薬品に移行するとインターネット販売が可能になるということで、医会の見解である、必ずカウンターで説明するということが実現できなくなってしまうのですが、この点に関して、今のところ、何か方策はお考えでしょうか。
 
○笠貫座長
事務局からお願いします。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
今のところ、要指導を一定期間経た後、基本、問題なければ一般用にいくことになります。一般用でどういう売り方が担保できるかといった点においては、ネット販売も可能になる仕組みですのでその中で、例えば1類であれば、薬剤師がきちんと管理しながらネット販売も認められた上での薬剤師による販売ということになります。その中で何ができるのかというのは、もしその議論が起きてくるときには、十分考えなければいけないと思っておりますし、また、それがもし担保できないのであれば、どういうことをしなければいけないかということも併せて検討しなければいけないと思っております。そういう意味で、現時点でこうこうできるというところまではまだ詰めておりません。
 
○長島委員
本剤に対して否とするわけではないのですが、今後、要指導のようにしっかり指導できるのであれば可と認めるけれども、そうでなければ可とは認められないという意見が出た場合に、それに対してきちんと対応できるようなものは、やはり今のうちからしっかり準備するべきではないかと思います。以上です。
 
○笠貫座長
事務局から加えることはありますか。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
事務局としても、今、長島先生がおっしゃったようなところは、スイッチ化をしていくに当たっての1つ大きなポイントだと思っておりまして、要指導まではいいと見えても、その後の売り方が一般用の1類、2類、3類になったときにどうできるのか、それは多分、お薬によっていろいろ違ってくる面がありますし、この場合はこういう売り方できちんと薬剤師さんないしは、2類、3類であれば薬剤師、登録販売者、それぞれがやっていただけるという場合もあるでしょうし、なかなか難しい、要は、具体的な管理策がなかなか難しい場合もきっとあり得ると思っております。そこは一つずつ丁寧にやっていくしかないかなと、ちょっと言い訳めいて先生方には聞こえるかもしれませんが、今のところ、そのようには考えております。
 
○笠貫座長
ありがとうございます。この問題点は、第1回から続けて各委員から指摘されているところではあります。ただ、今の制度上はスイッチOTC化の後の一定期間ということではなっているのですが、要指導の問題、ネット販売の問題を含めて、これから各製剤の経過を見ながら、制度上の運用をどのように考えていくかについてもここから発信できたらいいのかと、それもこの評価会議の大切な役割だろうと思っています。そういうことで、一般論にもなりますがこれは大切な問題ですので、皆さんと共通の認識を持っておきたいと思います。それでは、上村委員から御意見をお聞かせいただけませんか。
 
○上村委員
消化器内科からの御指名だと思います、上村です。イトプリドは比較的安全な薬ですが、やはりどんな薬でも副作用はあります。これは薬品名ガナトンで使用しているわけですけれどもこのイトプリドにも、まれですけれども、錐体外路症状とか、女性化乳房とか、プロラクチンの上昇、こういったものがあるわけです。薬剤師さんとか患者さんにも徹底してほしいのは、薬というのは100パーセント副作用があるということなのです。特に効果のある薬に関しては100パーセント副作用があるということを販売する薬剤師さんには徹底していただきたいと思います。それを患者さんに話して、そういう症状が出たらすぐに対応するような形を取っておくことが重要かと思います。イトプリドのスイッチ化に関しては、ほとんど問題ないのではないかと思います。以上です。
 
○笠貫座長
ありがとうございました。それでは、「胃痛」につきまして湯浅委員から御意見を伺いたいと思います。
 
○湯浅委員
今、上村委員からもお話がございましたが、イトプリドに関してOTC化することに対する大きな問題点はないと思いますので、OTC化を認めるということでいいと思います。ただ、副作用が全くないというわけではありませんので、OTC化を進めるに当たり、薬剤師さんに対面で説明していただき、必要があれば受診勧奨をお願いしたいと思います。
 
○笠貫座長
ありがとうございました。今の「胃痛」の点に関して薬剤師会のほうから。
 
○乾委員
今、上村委員、それと湯浅委員からも御指摘いただきましたが、しっかりとその辺は、当然ながら薬剤師としては、体にとっては薬が異物であるということを一番分かっております。また、今回の件についても受診勧奨をするということがうたわれておりますので、その辺もしっかりと、当然ながら薬剤師としてその場で一元的な管理をしながら、服用期間中も含めてしっかりと見守っていくということで進めているところですので、その辺については、私だけが保証してもいけないのかも分かりませんけれども、是非信頼していただけたらと。決して調剤だけではなくて、要指導・一般用医薬品の販売についても薬剤師がしっかりと、地域住民、患者の安全、安心を担保するということでの職能と理解しておりますので、その辺は是非進めていただけたらというところで、よろしくお願いしたいと思います。また薬剤師会としても、その辺も薬剤師の生涯教育、学習ということでしっかりと進めておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 
○笠貫座長
ありがとうございます。ほかに御意見はございませんでしょうか。この「胃痛」に関しても特に御意見が。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
「胃痛」について前回どおりでいいか、あるいは、何か少し変えるかという点についても。
 
○笠貫座長
ありがとうございます。「胃痛」について前回、削除ということでしたが、この点に関して御意見は特にございませんでしょうか。特に御意見がなければ、イトプリド塩酸塩のスイッチOTC化について、再度御確認させていただきたいと思います。パブリックコメントにおいて貴重な御意見を頂きました。頂いた御意見につきましては、「胃痛」は胃潰瘍等の胃痛と誤解される懸念が払拭できないことから、OTC化について前回会議から変更なく効能・効果から「胃痛」を削除することでOTC化は「可」ということでよろしいでしょうか。
それでは続きまして、資料5の説明をお願いいたします。
○事務局
それでは資料5です。こちらのパブリックコメントですが、先ほど御紹介しました資料3、4以外にも全般的な御意見が1つ来ておりますので、こちらで紹介させていただきます。
1件来ておりまして、文章がちょっと長いのですがかいつまんでポイントを申し上げますと、1段落目としまして、パブリックコメントの期間が1か月ということで短いのではないかという御指摘、それから、2段落目の3、4行目ですが、セルフメディケーションの推進に向けて、産業界・消費者等の多様な主体から要望された成分について妥当性を評価していただいていることを高く評価するといった御意見、それから一番最後の文章ですが、医薬品は、流通経済面の一方通行的な原始的操作を排除して、医療領域に惹起されるであろう重大な課題を念頭にして国民のための慎重な取扱いを御希望されている御意見ですので、御参考まで紹介させていただきます。以上です。
 
○笠貫座長
ありがとうございました。ただいまの資料5についての御質問、御意見はございますでしょうか。それでは、資料5については御確認いただいたということにさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、これらの成分の今後の進め方につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
 
○事務局
本日御議論いただいた内容につきましては、これまで同様、会議結果を事務局で取りまとめさせていただきましてホームページで公表させていただくとともに、薬事・食品衛生審議会に報告させていただきたいと考えております。各企業より薬事申請がなされましたら、当然、PMDAで個別の審査を行うこととなりますが、本検討会議で御議論いただいた留意事項の反映状況、それから、従来どおり、科学的見地から必要となる資料を個別に審査の中で求めていき、最終的には審議会での審議を経て承認という運びになろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。説明は以上です。
 
○笠貫座長
ありがとうございました。続きまして、要望品目のスイッチOTC化の妥当性について御説明をお願いいたします。まずは資料6につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
 
○事務局
資料6のポリカルボフィルカルシウムです。2ページを御覧ください。要望された効能・効果ですが、「下痢、便秘、下痢・便秘の繰り返し」ということで、要望が個人以外からあったものです。対応する医療用医薬品はポリフル錠500mg/細粒83.83%でして、効能・効果は「過敏性腸症候群における便通異常(下痢、便秘)及び消化器症状」となっています。こちらの医薬品の作用機序ですが、38ページに分かりやすいものがあります。こちらの医薬品の作用機序ですが、体内に入ると吸水して膨潤・ゲル化するということで、生体に吸収されずに消化管の中で内容物の性状を正常化させるといったことで、下痢及び便秘を改善するといった作用機序になっているものです。
2ページ目以降に戻ります。3ページ目です。本成分の効能は、過敏性腸症候群の治療薬ということで、2000年に承認されたものです。再審査結果は2009年に通知されており、承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断されているものです。
安全性に係る情報については、5ページ目を御覧ください。本剤は、禁忌に急性腹部疾患、虫垂炎等の患者等が設定されております。重大な副作用は該当がなく、設定されておりません。推定使用患者数等は、文献等において約1,200万人と推定されているところです。7ページは海外での承認状況についてです。米国において一般用医薬品として承認されております。その他の国においては、承認は確認できておりません。また、同種・同効薬の状況は10ページを御覧ください。こちらは過敏性腸症候群に係る症状の緩和ということで承認があるOTCの事例を載せております。カラムとしては右から2番目の、セレキノンS、トリメブチンマレイン酸塩ですが、そちらに記載の効能・効果のような形で、既にOTCとして過敏性腸候群の再発症状の改善といった形で承認があります。
次に、医学会・医会からの見解ですが、15ページ目を御覧ください。日本消化器病学会からの見解です。こちらはOTC化することの可否については、可ということで頂いています。留意点として3つ御指摘いただいています。②ですが、下痢止めや便秘薬とは異なるので、どういった症状のときに服用すべきであるのかを記載したほうがいいということです。それから、医療用の適応ですが、便通異常ではなく過敏性腸症候群なので注意が必要であるといった御指摘を頂いております。
17ページは、日本臨床内科医会からの御見解です。こちらについても、OTC化することに関しては妥当だという御意見を頂いております。留意点としては、十分な量の水と共に服用することと、下痢状態では1.5gから開始すること、それから禁忌の内容を遵守するといった使用時の注意について、見解を頂いているところです。
19ページを御覧ください。関係業界として、日本OTC医薬品協会から見解を頂いております。OTCとすることの可否については、可ということです。留意点として、本剤の適応が過敏性腸症候群(IBS)でして、単なる便通異常で服用されることがないようにチェックリストの活用とか、効能・効果のところは19ページの下にあるように、「腹痛又は腹部不快感を伴い、繰り返し又は相互にあらわれる下痢及び便秘」といった効能が提案されております。こちらは10ページにあるセレキノンSの効能の一部を取ったものかと思います。
また、20ページには、そうした理由が記載されておりまして、本邦におけるIBSの有病率が13%で、医療機関受診率は7%ということがございます。こちらの中に、(過去に医師の診断・治療を受けた方に限る)とされると、未受診の93%が適応外となるということから、病名ではなくてIBSの特徴である症状名を記載し、「こういった症状が続く場合は、医療機関の受診をお勧めします」といった受診勧奨を促すことも可能ではないかといった御意見です。説明は以上です。
 
○笠貫座長
それでは、上村委員から、御意見、補足がありましたらお願いいたします。
 
○上村委員
まず、臨床の現場で、このポリフルないしはコロネルというのを使っていますけれども、過敏性腸症候群が適応症です。この症候群を説明をするのが非常に難しいものですので、これは消化器病学会が書いているように分かりやすい記載が必要かなと思います。だから、OTC協会が出しているようなセルフチェックシートが、理解を助けるためにすごくいいのではないかなと思いました。
それと、高カルシウム血症とか炎症性の急性腹症といったものに使われる可能性がゼロではないので、これは何としてでも使われないようにするというような注意点があれば、OTC化して何の問題もないのではないかなと思いました。以上です。
 
○笠貫座長
それでは、湯浅委員から御意見、補足がございましたらお願いいたします。
 
○湯浅委員
私もOTC化することに関しては問題ないというように思われます。長く使われている薬で、安全性についても問題ありません。ただし、効能・効果について各委員の先生方でもう一度御議論いただければと思います。私のように非専門医の立場からすると、過敏性腸症候群は、まず腹痛を認め、便秘又は下痢を繰り返す疾患と理解していますので、OTC協会が述べられている効能・効果、「腹痛又は腹部不快感を伴い、繰り返し又は相互にあらわれる下痢及び便秘」という記載が妥当と思っております。
それから、腎不全、腎機能低下など禁忌病名がございますので、薬剤師の先生方には、この点にも留意していただければと思います。
 
○笠貫座長
OTC化の可否、その効能・効果について御議論いただけたらと思います。まず、委員の先生方から御意見はございますでしょうか。
○長島委員
効能・効果の点ですが、日本消化器病学会の見解にありますように、診断するのは一般の方が症状だけで診断するのは非常に難しいということと、さらに、これを使ってしまうことで、器質的なほかの疾患の発見と治療が遅れる危険性があるということです。
OTC協会の方が見解として、医療機関受診率が7%と低く、いろいろな市販のもので独自に対処しているということですが、そういう方に最初からこの薬を使うことにしてしまうと、ますます医療機関を受診しなくなって、きちんと過敏性腸症候群の診断と治療を受けなくなってしまうということで、これは効能・効果をきちんとしないとかえって逆効果になるだろうと思います。
そこに参考になると思われますのが、同じ過敏性腸症候群に対する類似薬であるセレキノンのOTCがどうなっているかですが、これは10ページにありますが、OTCの効能・効果は「過敏性腸症候群の次の諸症状の緩和」ということで、最後に更に「以前に医師の診断・治療を受けた人に限る」となっています。効能・効果に、きちんと「過敏性腸症候群」、更に「以前に医師の診断・治療を受けた人に限る」となっていまして、ここは極めて重要なことかと思います。
さらに、セルフチェックシートもしっかりと作られておりますが、その中できちんと、以前に医師から過敏性腸症候群で診断・治療を受けたことがあるか、「はい」「いいえ」と聞いています。さらに、過敏性腸症候群の再発かどうかは分からない、例えば今回の症状は以前に過敏性腸症候群の診断と治療を受けたときと違うか、「はい」「いいえ」と、ここできちんとチェックするようになっておりますので、こういうチェックは必ず要るだろうと思います。
それから、本人への添付文書の所で、「長期連用はしないでください」とあります。これも極めて重要だと思います。症状が出たときに、この薬を飲んで一時的に治まったということで、しばらくしたらまた同じ症状が出たときに、そのときに本来であれば医療機関を受診すべきところを、これを繰り返し長期間飲むということで医療機関の受診が遅れるだけではなくて、ほかの疾患があるのに受診しないという危険性があるということで、長期連用はしないということです。例えば1度飲んで改善したけれども、次にまた繰り返したという場合は、医療機関の受診を勧奨するというようなこと、あるいは以前に医療機関の受診と治療を受けているけれども、例えば1年以上受診していないとか、長期間受けていない場合は、やはり医療機関の受診を勧奨するなどということで、しっかりとここのところは患者に受診を勧める。とにかく、効能・効果として、きちんと過敏性腸症候群で以前に医師の診断と治療を受けたことがあるということをしっかりと入れる必要がある。それから、セルフチェックの所て、長期連用、今まで長く使っていないかとか、繰り返しこの薬を使っていないかということを加えるべきです。セレキノンのほうにも今は入っていないようなので、セレキノンにもそれは追加すべきではないかと考えています。以上です。
 
○笠貫座長
ほかに御意見はございますか。
 
○宗林委員
一般消費者からみた効能・効果の書き方ですが、専門家の方にも伺いたいのですが、過敏性腸症候群の場合には、下痢と便秘を必ず繰り返すことが1つの特徴であるのか、あるいは下痢ばかり、あるいは便秘ばかりということがあるのかということで、「下痢、便秘、下利・便秘の繰り返し」と3つ書いてありますと、私は分かりにくいと思います。なので、今、長島先生がおっしゃったような再発性のIBSであるということなのか、あるいは下痢と便秘の繰り返し、そして2週間を超えても症状の改善がない場合は医療機関の受診勧奨というようなことになっているようですので、そういう形なのか私などは片方の症状が現れ気味ですが、これは両方を繰り返すというのが特徴であるということであれば、もうそれに絞ったほうが分かりやすいと思います。
そうでない場合もあるかもしれませんが、それはお医者さんに行ってもらうということで、OTCで使う場合は下痢と便秘の繰り返しということが前提であるほうが分かりやすいということであればそれに絞るとか、そういうようなことについて専門家の方にも御意見を伺いたいのですが。
 
○笠貫座長
専門の先生から、どうでしょうか。
 
○上村委員
消化器のことなので上村からお話します。過敏性腸症候群、IBSは、器質的疾患を除外して、症状としては腹痛、腹部症状を伴う下痢型のIBS、便秘型のIBS、宗林先生が言われた下痢と便秘の交代型のIBSとなっています。先ほど長島先生が言われたセレキノンは、いつOTC化されたのでしょうか。
 
○事務局
承認年月日は2013年5月となっています。
 
○上村委員
私は少しびっくりしたのですが、効能・効果で過敏性腸症候群と表記しても、これはなかなか分かりにくいものです。医療機関でも、私たち消化器の専門家であれば大腸の内視鏡とかで、器質疾患を除外して、症状に対する治療を始めるわけですが、これはIBSというものをOTC化したものに対して使うというのは、使用者は全く分からないのではないかと私は思います。そうなのではないでしょうか。
○事務局
事務局から補足させていただきます。セレキノンSですが、再発の過敏性腸症候群という形での効能・効果となっておりまして、括弧として最後に「以前に医師の診断・治療を受けた人に限る」という形で限定が掛かっているところです。
 
○上村委員
これは再発性のということでやっているわけですが、これは私は2013年にOTC化した際に、一般の方に分かりやすいような症状でやるべきだったのではないかなと思いました。今言っても仕方ないのですが、そのように思います。
したがって、今回、ポリフルに関しては、やはり症状で分かりやすいもの、それは私たちよりも一般の、もちろん薬剤師を含めて一般の方々の御意見を伺って、便秘とか下痢とか交代型と、こういったものが分かりやすいかなと思います。そうしなければ、薬事承認を取っているのはIBSなのです。IBSということになると、腹痛を入れなければいけません。これをOTC化するときに、では、腹痛を入れていいのかという問題、いろいろな問題が生じるので、その辺は何らかの形で、一般の使用する立場の方、また薬剤師の御意見をお聞きしたいと思います。OTC化というのは、このポリフルに関しては、その辺が問題かなと思いました。薬剤自体は注意をすれば安全な薬だと思いますが。
 
○笠貫座長
どうでしょうか。
 
○乾委員
上村先生の御指摘はもっともなことだと私も思います。ここのOTC医薬品協会の資料6-3の効能・効果の文言でないと分かりにくいのではないかと。「腹痛または腹部不快感を伴い、繰り返しまたは相互にあらわれる下痢及び便秘」ということであれば、そういう症状で来られて、この薬がほしいと言われても、そのときに初めてセルフチェックシートなりを使って禁忌症も含めてチェックして、それで受診勧奨しなければならなければ、もちろん薬局薬剤師としては受診勧奨を行いますので、またそれに適しているのであれば、2週間縛りがいいのかどうかはあれですが、2週間で判断して受診勧奨を行うということで進めれば、より生活者にとっては使いやすくなるのではないか、またより受診勧奨も、それがきっかけとなって診療所また病院へ受診に行かれるのではないかと考えますが。
 
○佐藤委員
一般的な消費者からしますと、病名を書かれても分からない面がありますので、おっしゃったように症状がどうであるかを分かりやすく書いていただくのがいいかと思います。「下痢と便秘の繰り返し」あるいは「胃痛、不快感を伴う繰り返しの下痢、あるいは繰り返しの便秘」あるいは「下痢と便秘を繰り返すことがある」などと書いていただく。御専門の先生方が「これはどうしても再発に使うものなのだ」ということであれば、その後ろに「診断をされていること」と書いていただくのがよいのではないかと思います。
それで、御指摘のあった、既にOTC化されているセレキノンについても同じ配慮か必要だということであれば、それは同じように表記していただきたい気がいたします。以上です。
 
○笠貫座長
ありがとうございます。
 
○長島委員
例えば、初めて繰り返し下痢とか便秘とか、あるいは下痢と便秘が続くという場合は、まずは医療機関を受診していただいたほうがいいと思います。それが最初で。というのは、まずはそれが病気なのか、それともほかに何か重大な病気がある可能性も十分にあるので、そこは一般の方は御自分では全く判断できないものですから、まずは医療機関をしっかりと受診していただいて、そこで過敏性腸症候群という診断がしっかり付いて、治療もこの薬だけではなくて、日常生活とか食生活とか、様々な治療があると思いますので、それをまずはしっかりとやっていただくと。それをやった上で、例えば夜間とか休日が続いているようなところで、こういう症状が出て、医療機関にはすぐには掛かれない状態であるというときに、症状の緩和という意味で、短期間飲んでいただくというのが一般の方にとってこの薬が一番役に立って、安全な使い方だと思います。
したがいまして、セレキノンと同様に、全く診断も付いていないという状態で飲むのではなくて、一度しっかりと医師の診断と治療を受けて、過敏性腸症候群だと分かった方が、症状が出たときに一時的な緩和の目的で使っていただくと。それも一時的に症状がよくなったとしても、それをまた繰り返す場合は、やはり医療機関をしっかりと受診して、適切な治療を受けていただくというのが、一般の方の一番いい使い方であるし、一番安全だと思います。
 
○笠貫座長
ほかに御意見はございますか。
 
○柿田委員
この薬は機序を考えると飲んですぐには効かないと思うのです。何日間か飲み続けて、やっと落ち着くという薬ですよね。私のイメージは、こういう過敏性腸症候群というのは2週間飲んだから治ってしまったというわけにはならないと思うのです。結局、ずっと続けなくてはいけないような薬ですよね。やはり長島委員の言うように、診断はちゃんと受けないと、ずっと飲み続けるという非常に困った事態が起こるのではないかと私は思います。
 
○湯浅委員
この薬剤のOTC化は問題ありませんが、どのような患者を対象に販売するのかを考えないと、OTC薬としてのメリットが失われてしまうような気がいたします。
 
○笠貫座長
ほかの委員の御意見も。
 
○宗林委員
先ほどの質問もそういった観点でさせていただきました。ですから、すっきりと治ってしまうような病気ではないので、再発性と言うか、やはり一度診断を受けて、何度も経験されて、ストレスがあったり体調が悪いときにそういう症状が出てきたときに、慣れている方が使うというようなことで、これで治るということが分かっている方がお使いになるというところで、利便性が大変あるのではないかなと思います。
 
○笠貫座長
乾委員、何か御意見ありますか。
 
○乾委員
確かに委員の方がおっしゃる再発性というのは大事なことだと思います。ただ、やはりなかなか行けないという方とか、これだけで効くということは当然ながらないと思いますので、これで効かなければ専門医に相談しないといけないというきっかけがより作れるのではないかなと、安全性も非常に高い薬ということもあるので。そういう意味で、私は再発でなくてもいいのではないかという意見です。
 
○笠貫座長
ほかに御意見はございますか。
 
○佐藤委員
セルフチェックシートはセレキノンでは使われていないのですか。
 
○長島委員
使っています。
 
○佐藤委員
分かりました。
 
○長島委員
先ほどセレキノンのチェックシートを御紹介しましたが、そこで以前に医師から過敏性腸症候群で診断・治療を受けたことがあるか、「はい」「いいえ」になっていますし、過敏性腸症候群の再発かどうかは分からない、例えば以前のものとも違うという場合も、「はい」「いいえ」できちんとチェックするようになっています。このほか、細かい症状もたくさん書いて、それでチェックするというようになっています。
 
○部坂委員
部坂と申します。実際に使われているセレキノンSというものが薬剤師の方の感覚として、どれぐらいの量がどれぐらいの人に出ているかというのは、実際、どの程度のものなのかということをお教えいただきたいのですが。
 
○乾委員
資料の20ページに、「参考:OTC医薬品市場 販売金額・販売個数(2018年)」というものがあって、その中の「IBSの再発症状改善薬」というのがセレキノンだと思います。これしか出ていないと思います。ですから、これが0.1億円ということで、1,000万円、4,000個ということです。3,000個を超えると、要指導医薬品から第1類というところになるということで、今そういうリスク分類になっていると思います。今こういう状況だと理解しております。
 
○佐藤委員
何度も申し訳ありません。チェックシートの使われ方なのですが、既に市販されているセレキノンを薬局で買う場合は、薬剤師が必ずそこでチェックをされるような形になっているのですか。
 
○乾委員
当然そうです。それを用いて必ずチェックするということで、販売が可能か受診勧奨するかというところも含めて、それが再発性のものできちんと診断された上で来られているかというところも含めてチェックして、初めて販売可能かどうかというところで進めております。
 
○佐藤委員
ネット販売された場合も、ネット上でそれをチェックするような形になっているのですか。
 
○乾委員
そういうシステムになっていると思いますし、当然ながら、法律上きちんと薬剤師が情報提供するということになっておりますので、それを守らない連中は別ですが、本来は当然皆守っていると理解していいと思います。
 
○笠貫座長
前回の調査の中でネット販売の話も出ましたが、そこで薬剤師がきちんとチェックをしているというのは、70%ぐらいだったと思います。それをどのように改善するかについては今後の課題だと思います。どうぞ。
 
○門田委員
門田と申します。私は呼吸器感染症が専門なのですが、別の目で見せてもらうと、併用注意薬剤というのが結構多くて、その中にキノロンが入っています。この抗菌薬は短期間投与の薬剤ですので、この薬剤をOTC化して、長く飲まれている方が例えば肺炎を起こして受診したときに、私ども医師はキノロンを処方する可能性があると思います。そうすると、キノロンの作用が減弱して肺炎に対する効果が低下する可能性があるということなので、処方時には別の抗菌薬を考えないといけなくなると思われます。その観点から、このような薬剤をOTCで投与される場合には、病院を受診したときに感染症に対して、抗菌薬で治療されるような状況においては、この薬剤を飲んでいることを医師に伝えるということの注意喚起を患者さんに対してしていただくことが必要ではないかと思います。
それと、ジゴキシンも併用注意になっており、作用を増強して不整脈を誘発するということもあり得ますので、注意しておく必要があると思います。セレキノンのほうは、併用注意薬剤というのは、この薬剤ほど多くないのでしょうか。セレキノンの併用注意薬剤がそんなに多くなくて、OTC化しているのであれば問題点は少ないと思いますが、この薬剤をOTC化するに当たっては併用注意薬剤の種類が多いように感じました。活性型ビタミンDなどは、恐らく長期間服用している方が多いのでしょうから、OTC化したときにこの薬剤の投与時には薬剤師の方が併用薬について聞くことは可能だと思うのですが、キノロンのように短期間の投与が基本の薬剤の併用に関しては、病院受診時にこの薬剤を投与していることを注意喚起するということお願いできればと思っています。
 
○乾委員
これが成分がカルシウムということで、そういういろいろな相互作用を御心配されているのかもしれませんが、この薬自体はほとんど腸管から吸収しない、血液中には入らないということですので、それほど門田先生が御心配されるほどではないのではないかと思います。
それと、もう1点ですが、この検討会でいつもOTCに関してもしっかりと使用者が、「おくすり手帳」に自分が使用している薬を記載して、それを医療機関に必ず持っていくようにということをきちんとできるようにしましょうということで、薬剤師会としても、その辺は必ず1つの「おくすり手帳」で、しかも常時携帯しましょうと。それが、徐々にですが、大分それは皆さん持つようになっていただいておりますし、それを必ず医師に見せるという習慣がもうすぐできると思いますが、それができれば先生が御心配されていることも、なくなるのではないかと。
これについては、医療用の医薬品の調剤のほうも、当然ながらそういうことを注意してやっておりますので、OTCについてもそういうことはやっていかなければならないと思っております。
 
○笠貫座長
ほかにございますか。
 
○矢口委員
皮膚科の矢口と申します。議論を聞いていまして、やはりこの薬剤、過敏性腸症候群は、器質的な変化を否定して診断を付けた上で使うべき薬だろうということは長島先生もおっしゃったとおりで、私も全くそう思います。しかも禁忌が非常に多いといいますか、我々、皮膚病ですと禁忌というのが少ないものですから、これだけあるとかなり多いなという印象があります。やはりこれだけ議論をして、どういう疾患、どういう症状に飲んでいただくのかという議論がどんどん出てくる。もう一度ゼロに戻って、今回は取りあえず不可にするのが妥当ではないかと私は思います。以上です。
 
○笠貫座長
ほかに御意見をお出しになっていない方、近藤委員、どうぞ。
 
○近藤委員
耳鼻咽喉科の近藤と申します。専門の先生方から、薬剤そのものは安全性が高いお薬だというお話でしたので、一般の方に安全に使っていただくにはどうしたらいいかというのが観点になるかと思います。そうしますと、本来は医療機関に受診しないといけない病気の方が、これを使ってしまって病気が進行してしまうというようなことが多分一番避けなければいけないことではないかなと思います。
ですから、効能のところをどのように書くかという点です。もちろん、過敏性腸症候群というのはいろいろな症状を呈する患者さんがいらっしゃると思いますが、例えば、慢性的な便秘の方ですとやはり器質的な病気の方とかも混じっているのではないかと思うので、典型的な過敏性腸症候群の方で余りほかの病気の可能性が低いような、そういう症状の方だけをこういう一般薬はターゲットにしてもいいのではないかと思います。そういう形で何か効能を書いていただければ、比較的安全に使えるのではないかと思いました。
 
○笠貫座長
症状と過敏性腸症候群との関係ですが、どういう症状があったらIBSと診断が付くのか、どれぐらい特異度があるのか、専門家の立場からいかがでしょうか。
 
○上村委員
今の議論をお伺いしていて、最初、私もお話したように、OTC化というのは何かという、薬事承認されているのはIBSに対しての有用性と安全性を担保した臨床治験が行われてこれが承認されたのです。したがって、それを今度OTC化するとき、このIBSというものがなくなってということはやはり若干おかしいなと思います。それは長島先生が言われたのですかね、確かにそういう気はします。OTC化という問題に関して今後どういうように、やはり最初に薬事承認との関係、それを担保した日本で最も精度の高い臨床試験ですから、そのデータやエビデンスはやはり重要である。
今、先生がおっしゃったことに対して専門家としてお答えすると、やはりIBSという診断は非常に難しいです。したがって、これをOTC化する際も薬事承認されたものをベースにするということになると、先ほどの門田先生の心配も一緒になって、きちっと医療機関でIBSと診断された方ということになると思います。
症状的にはいいと思うのです。セレキノンと同様のものでいくほうが無難であると。そして、これは本当なら非常に禁忌のもの、コントラが多いですし、薬剤の相互作用を持つものも多いですよね。キノロンがあるというのは実は私は知らなかったのですが、PPIはよく知っていました。やはりそういうような形で、そこも担保した形で販売するときのものを次までに作り上げていく。
これは、今、矢口先生もおっしゃったようなOTC化しないというのは私はないと思います。なぜなら、はっきり言って、IBSで医療機関にずっとかかっているというのも余りいいことではないです。それはきちんと、がんとか器質的な疾患を除外して、これはIBSということになれば、患者さんの安全性と利便性も考えたほうがいいので、IBSをベースにしたOTC化をして、再発というか、セレキノンと同じような形がいいのではないかと思いました。以上です。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
本当に補足だけでございますが、今、上村先生が正に御指摘になったように、このお薬は、スイッチということであれば、医療用での効能・効果は過敏性腸症候群というところでございますので、言葉遣いはさておきですが、これをスイッチするというところで御検討いただければと思っております。
その意味で、過敏性腸症候群という情報も入れ、かつ、ちゃんと切り分けをした診断が付いた患者さん、そして、一般の方が分かりやすい症状も併記するということを全部具現化したのが、実はセレキノンかなとは感じながら、先生方の御議論を伺っていたところです。最後のほうは付け足しでございます。スイッチということであれば、エビデンスがあるのは過敏性腸症候群ということであることも議論のベースに置いていただけますと大変有り難いと思います。
 
○笠貫座長
OTCが誰のためかといえば、患者さんのためであり、その利便性と安全性の話です。安全性としては薬の副作用と器質的疾患を見付けられないというリスクの問題であり、そこで効能をどうするかということが議論されてきたと思います。
セレキノンで書いてある「腹痛又は腹部不快感に伴い、繰り返し又は交互にあらわれる下痢及び便秘」が過敏性腸症候群の典型的な症状であれば両方書くかどうかの議論も出てきます。最初の御説明にもあったように、過敏性腸症候群は1,200万人の人がいて、下痢、便秘ないしは下痢と便秘を繰り返している人はもっと多くいます。1,200万人というのは想像以上の数であり、しかも、受診率が7%しかないとすると、病院にも薬局にも行っていない人たちをどのように、苦痛を緩和しながら、器質的疾患を見付けないままで薬を出してしまうというリスクを冒さないような仕組みを考えることが必要だと思います。
病院に行かない、行きにくい、行けないなどの状況があるのだと思います。禁忌云々を含めて、薬剤師は薬のスペシャリストですから、きちんと情報提供と指導をしてくださるという前提と、前回の調査では必ずしもそうではないところもあるという端境期にある今、どう最適化を図るのかということがポイントかと思ってお聞きしていました。
 
○宗林委員
前にも再発性の口唇ヘルペスの薬をOTC化されていると思うのですが、ヘルペスを繰り返される方には口の脇、いつも同じ所に出るような人が使っているということで、大変喜ばれているだろうと思います。
今回のIBSについても、病院に行かない方も大変多いというお話でちょっとびっくりしましたけれども、やはり症状があるので、もしお医者さんに行ったとしても、すっきりかっきり治るものではなくて、やはり繰り返し通院する。ちょっといい時期があると、また1年後にまた行くというようなことで、その人の体質的にそういうことを繰り返すことの多い疾病ではないかと素人ながら思います。
そういった場合には、何も診断を受けないでこれを飲むというのは、今、課長からも、ベースとしてはIBSの診断を受けた方がという、それで安全性・有効性の審査を受けているのでというお話がありましたので、それをベースとして、その再発、繰り返す場合にもう慣れていらっしゃって、長いことかかっているときの利便性を確保するという意味でOTC化をするということであれば私はいいのではないかと思います。
 
○佐藤委員
多くの先生方がOTC化自体は問題ないとおっしゃっていらして、たくさん苦しんでいらっしゃる方がいらっしゃることも考えると、やはり薬局でそういった薬があることが大事ではないかと思います。そのことと、再発であること、既に診断をされて過敏性腸症候群だと診断されていることをどう担保するかということです。その担保するツールがチェックシートなのであって、長島先生はチェックシートの内容が大変よくできているというお話でしたので、チェックシートの内容を専門の先生方で過不足なく書かれているかを見ていただいて、買うときには薬剤師さんと一緒にそれを確認できて、ちゃんと医療機関に行くんだよという話がそこでできることが大事ではないかと思います。
 
○笠貫座長
OTC化にすることに関しては、否とするという御意見も頂きました。ここは合議制で皆さんの合意を原則としています。これまでの議論も踏まえた上での、矢口委員の御意見をお聞かせいただきたいと思います。否なら反対意見を載せていただくことにいたしますし、OTC化という方向ということでしたら、効能・効果をどうするかという議論を進めて参ります。
 
○矢口委員
OTC化不可と言いましたけれども、もちろんそれは極論でございまして、いろいろな条件のもとでOTC化するというのはそれはもうそれでよろしいかと思います。
逆に1つ質問があります。このお薬というのは個人以外からの要望で、効能・効果というのが先ほどから出ている「下痢、便秘、下痢・便秘の繰り返し」ということです。この薬とその適応に対する質疑をするということでよろしいのでしょうか。ということは、これをOTC化するためにこの適応を、例えば過敏性腸症候群と医者に診断を受けた者に限るというように病名を変えていいということですね。
 
○笠貫座長
これから議論させていただきます。
 
○矢口委員
もちろん、もちろん。
 
○笠貫座長
安全性と消費者の利便性ということを含めてOTC化という方向性については合意を得られたと思います。次に、消費者の安全と利便性を更に担保するため効能・効果について考えていきたいと思います。
 
○矢口委員
もちろん、多くの方の意見に私も賛成せざるを得ないのですが、ただ、診断をしっかり受けないで使うというその怖さというのはやはりあるでしょうということが1つです。決して、強く不可を訴えるものではないということで分かっていただければと思います。
 
○笠貫座長
まず過敏性腸症候群という診断名と「下痢、便秘、下痢・便秘を繰り返し」、という症状の入れ方です。「過敏性腸症候群」は薬機法での適応症ですので、これを書くことについては、皆さん同じ御意見だったと思います。
もう一つ、再発例に限定するのかどうかということについては両方の御議論があったと思います。再発は繰り返すということですか。
 
○上村委員
IBSの再発というのがよく分からないです。IBSであればずっと症状が続いていますし、それをコントロールするということなのですよね。だから、セレキノンで再発と付いているのがちょっと分からないのです。日本ではまだ難しいかもしれないですけれども、診断した医療機関と薬剤師さんの連携がどうしても必要ですよね。そうでないと、逆に言えば、今度はこれをほしいために医療機関で診断を受けない方が薬局に行かれたら、薬剤師さんから、医療機関を受診して先に診断してもらうようにという連携があれば、すごくやりやすいかなと思います。
 
○笠貫座長
再発性ということはこの疾患の特殊性であるとすれば、この症状に対して、薬が効いた場合、それを繰り返しずっと使ってしまうと、器質的疾患を見逃してしまうことがどれぐらいあるのでしょうか。
 
○上村委員
これはIBSと診断している医療機関によってもう全然違うと思います。消化器内科の専門であれば、今はIBSと診断するときは必ず器質的疾患を大腸の内視鏡検査で確認するわけです。もちろんレントゲンとかも確認するわけです。そうでないと大きな病変を見逃すというか。しかしながら、通常、この1,200万人の7%が受診しているというところで、そこまで厳密に診断するということもないわけです。お腹の触診とかレントゲンを撮って、これは閉塞症状がないから、それで症状が複数伴う下痢・便秘とかいうことになればIBSと診断する。ただ、医療機関の場合は医者は責任をちゃんと取るわけです。そういうところで、医療機関でIBSと診断されたということで、再発性というのは私は必要ないのではないかと思います。いかがですか。
 
○長島委員
再発というのは病気の再発ではなくて、症状が1度目ではなく2度目以降だという意味での再発という意味だと多分思います。それは効能・効果のところに「以前に医師の診断・治療を受けた人に限る」と書けば自動的に2度目以降だということになるかと思います。
それから、器質的疾患がマスクされてしまうという危険性に関しては、最初に診断したときにはそうだったのだけれども、あとでまた症状が出たときには別の疾患が発生しているという可能性が十分あります。したがって、セルフチェックシート等で、長期連用は避けるとか、長期間医療機関を受診していない場合は医療機関の受診を勧奨するとか、そういう形で担保する必要があるというように思います。
 
○笠貫座長 それでは、再発というよりも、繰り返しとさせていただきます。同じ症状で苦しんでいる人たちが、日本には1,100万人いるとすると、これだけいい薬と診断・治療体系があるのですから、この症状で来られた方に薬剤師の方々がこの薬を出して受診勧奨するか、薬を出さないで受診を勧奨するのかという2つの考え方があると思います。また薬が効くと非常にIBSの特異度は高いのですか。
 
○上村委員
これがですか。
 
○笠貫座長
この薬が。
 
○上村委員
効くかどうかですか。
 
○笠貫座長
ええ。
 
○上村委員
難しいですね。大体IBSに対してはプラセボ効果が非常に高いのです。薬事承認の試験でも、プラセボと比較して10%以上の差がなければ、承認されないようです。こういう消化器の機能的な疾患の場合は、この間のFD(機能性ディスペプシア)でもやはりプラセボよりも10数パーセント、10%以上も上の効果がないと薬事承認できなかったのですが、やっと初めて1つできたのです。そういうレベルですから、IBSに対してこれが効くというのが何パーセントぐらいというのは非常に難しい。はっきり言って、最初にどのぐらい効くかというのは難しいです。
 
○笠貫座長
診断なしで長期連用するとリスクが高いという御意見が出ましたので、長期連用は2週間までということでよろしいですか。症状として、繰り返し又は交互にあらわれる下痢及び便秘に対して、薬は2週間以内にとどめて、薬剤師から受診勧奨をしていただけると、1,100万人のうち、より多くの人が正しい診断と治療が受けられるのではないでしょうか。
OTC化を「可」とするということで、効能・効果としては、セレキノンの「過敏性腸症候群の次の諸症状の緩和」は基本的には外せないのですね。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
はい。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
医療用でエビデンスがあるのがそこだということです。
 
○笠貫座長
それ以外まで広げるということは難しいですね。
 
○長島委員
過敏性腸症候群にしか薬剤提供の有効性と安全性が確保されておりませんので、これは過敏性腸症候群と診断されていない者には出してはいけないということかと思います。以前に医師の診断・治療を受けた人に限るということを厳密に守る必要があります。セレキノンSのチェックシートでも、前に受けたことがない人には出さずに、医療機関を受診してくださいとなっておりますので、当然、それを踏襲するべきと思います。
 
○笠貫座長
薬剤師の方々にきちんと指導していただけるということで、受診勧奨により受診して診断書をもらわない限り出せないとするか、2週間以内で薬を出して受診勧奨をするかについてはいかがでしょうか。
 
○長島委員
もう1点は、診断が付いていないのですから、ほかの器質的な疾患の可能性は十分にあるということです。そうすると、2週間遅れたために、その疾患が進行してしまい治療が遅れて悪化するという危険性は十分あるということです。
 
○笠貫座長
2週間でも危険性が十分あるならばそうなると思います。この症状のあるときに、2週間を待たずに緊急で医者に行かなければこの薬は出せないという科学的根拠があるのでしょうか。先ほどから、この薬の安全性は高いというのが皆さんの御意見でしたし、マスクされている重篤な器質的疾患がないことをどのように担保されるかについては議論されてきましたが、今、薬局ビジョン2018で見られるように、2013年以降、薬剤師の役割は大きく変わってきています。その中で、ここでどのように考えるかということは意義のあることだと思います。医師会の立場から御意見をお聞きしましたので、薬剤師会と消費者の立場から御意見を頂きたいと思います。乾委員から、お願いします。
 
○乾委員
長島委員が御心配されているのも当然のことだと思います。ただ、症状に限らず、当然ながら地域の住民の方が症状の改善とかで薬局へ御相談にまいられます。それについては、前々回でしょうか、お話をさせていただきました。必ず薬を売る薬剤師はいないと思います。そのときの相談者の状態をしっかり確認して、分からなければ当然ながら受診勧奨するでしょうし、はっきりと分かった上で受診勧奨するのが当然だと思っております。
そういうところで、危険なサインをできるだけ見落とさないようにして、相談者に合った方法でこういうやり方があるということを勧める。もちろん、最後に判断されるのはその相談者の方ですけれども、基本的には地域の医療機関としっかり連携を取り、地域包括ケアの中で薬局、薬剤師はしっかり活躍するということで今進めているところですので、その辺りは心配ないかと思っております。
ただ、過敏性腸症候群の薬について、以前に医師の診断・治療を受けた人に限るとすべきかどうかというのは非常に悩ましいと思いながら聞いておりました。セレキノンとどう違うのかというと、使う対象も一緒ですし作用機序が違うくらいだと思っており、そうであればこのままいくのがいいのかとも思いますけれども、その辺りは、非常に悩ましいというところです。
 
○笠貫座長
消費者の立場からお願いいたします。
 
○小縣委員
遅れまして申し訳ありませんでした。今やっと追い付いてきました。薬剤師は医師ではありませんので、どこまでいっても診断はできません。過去のお薬を見せていただいたり、お薬手帳も含めて、それによりこの方にはこういう既往歴があったのだという判断はできます。そういうものがあれば確かにできると思いますが、例えば、下痢と便秘を繰り返す症状について、1、2週間の下痢と便秘の繰り返しで患者さんが来るのか、それとももっと長期にわたって2、3か月、若しくは1、2年の範囲、もっと長い範囲でずっと苦労されている方もいらっしゃいます。
そういうことも含めて、私たちは診断はできませんが、過去の患者さんの状況、状態を伺うことにより、薬の側から過去にどのような薬を飲んだことがあるのか、そのときにどうであったのかというお話から仕事をするのが薬剤師のできる仕事であり、薬剤師にはどうやっても診断はできませんので、立場が違うところで決め手が違うということも、OTC化するに当たり薬剤師の仕事として1つお認めいただけるところかと思います。
 
○笠貫座長
宗林委員、佐藤委員、何かございますか。
 
○宗林委員
私は先ほどから余り変わっていないのですが、過敏性腸症候群の方は、割と長きにわたり症状が繰り返している。再発性という言葉は症状の再発なのですけれども、何か違うストレスだったりいろいろなことが起きたときに、自分特有のお腹の調子が出てくるということかと思っています。初めて症状が3日程度でた際に、この薬を自分で飲む選択はなかなかないのではないかと思います。
ですから、そういうときに一度病院にかかって診断されて、また1年後にも2年後にもそういう機会が訪れたり、1回病院に行ったけれども、それが治らずに来月も続くということが往々にしてあると思います。そういうときに、毎回、毎回、まだ治らないのですと言ってお医者さんにかかることを避け利便性を担保するというのが、この薬の位置付けなのではないかと思います。やはり、一定の診断を受けた上で、繰り返す症状のときに利便性のある形として使うものがよろしいのではないかと思います。
 
○笠貫座長
佐藤委員、いかがでしょうか。
 
○佐藤委員
「以前に医師の診断・治療を受けた人」に限ると、そういう症状で医師の診断を受けた人を対象にするわけです。若干、疑問なのは、診察を受けたときに医師が患者に「あなたは過敏性腸症候群です」と必ずおっしゃるのだろうかということです。また、常に医師の診断を受けてからとなると、そもそもそれはOTCなのかという問題になると思います。
要は、そのスパンの問題になると思うのです。その辺りについて、半年以内に医師にかかりましたか、1年以内に医師にかかりましたか、そのときはどうでしたかという内容をチェックシートに入れて、包装の数を考えて、もう行ったほうがいいのではないですかということを薬剤師に勧めていただくことで、逆に、今、医師にかかっていない人もかかるチャンスになるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 
○笠貫座長
多くの議論を頂きました。このOTC化の要望が出てきて、1,100万人の人たちがこうした症状で苦しんでいるということを知ることができたと思います。そういう意味で、このOTC化をどのように位置付けして、具体的にはOTC化を図るかということについて議論されてきたと思います。
そういう意味では、セレキノンSという文章は、まず、「過敏性腸症候群の次の諸症状の緩和」ということで、症状が書いてあります。文章としてうまくできていると思います。最後に(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る。)という括弧を入れるか入れないかという問題ですが、括弧を入れるという意見が多かったかと思います。私は一委員としては2019年の今、なくてもいいのではないかという考え方もあると思いますが、皆さまのご意見はわかりました。
 
○長島委員
以前に医師の診断、判断を受けた人に限るを入れないというのであれば否にします。全く賛成できません。患者さん、一般の方の安全性を保つという意味で非常にデメリットが大きすぎると思います。
 
○笠貫座長
まとめに入りますが、セレキノンSの効能・効果にのっとった形で、今回はOTC化を可としてパブリックコメントに出していただくということで、特に御異存はないでしょうか。
 
○長島委員
再確認させていただきます。セレキノンに従うということなので、(以前に医師の診断・治療を受けた人に限る)も入るということですね。
 
○笠貫座長
そういうことです。
 
○長島委員
それなら結構です。
 
○笠貫座長
セレキノンSと同じ効能・効果で、今回はOTC化を「可」としてパブリックコメントを進めるということで、差し支えないでしょうか。
 
○柿田委員
この件は、終わりで結構です。今、セレキノンSのセルフチェックシートを見ていました。中身は濃いですが、全部「いいえ」にすれば通ります。欲しい人は簡単に選択できるようなセルフチェックシートなので、今後、この新しいOTCについても採用されると思いますが、これは少し検討し直したほうがいいと思います。後でやってみると分かりますが、全部「いいえ」にすればいいのです。よろしくお願いします。
 
○笠貫座長
薬剤師のオートノミーの話として、専門の医師の方々の御意見も十分聞いた上で、セルフメディケーションの自己責任も含めて検討して頂けたらと思います。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
柿田委員と笠貫座長の御意見を頂きましたので、もちろん、一旦、世に出ているチェックシートであっても、より改良していく道はありますので、頂いた御意見も伝えさせていただき、薬を求める方の状態をもっと的確に判断できるチェックシートの在り方を常に考えてもらいたいと思いますし、貴重な御意見だったと思います。ありがとうございました。
 
○湯浅委員
チェックシートを使う側から考えますと、短時間で簡単にチェックできるものが良いと思いますが、一方で、信頼性の高いものでなければなりません。使用されているチェックシートの感度、特異度などはわかっているのでしょうか。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
そうですね。診断とかそういうものではなく、OTCとしてこういう方々に使っていただく甲斐がある、逆に、それ以外の方は、このお薬を飲む対象から外れていただいたほうがよかろうという目的のためのチェックシートなので、何か疾病の診断のために感度、特異度等、そういう形の目的でやっているものではありません。
 
○湯浅委員
単に、消化器の先生がたの経験値から作成されたシートということですね。OTC薬として販売する際に利用するのであれば、それで十分とは思いますが、やはりある程度は、チェックシートの信頼性を数字を用いて担保できるほうがよいと思います。チェックシートも既存のものを使うのか、OTC化にあわせて新規に作成するのかなども含めて、今後の検討課題にしていただいてもよいと思います。
 
○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
そうですね。もちろん、OTCとして初めて世の中に出すときにその時点で得られているいろいろな、こういう方々であれば安全に、かつ、お薬の効き目を期待していただけるであろうという目的で、まず、チェックシートを設問も含めて作っていただき、ただ、当然、5年、10年のうちにより良い問い方は変わってもしかるべきですし、その辺りはスイッチ化された後の仕事になってくるのかと思います。
そういう意味で、セレキノンの話になってしまってすみませんが、セレキノンも3,000例規模の調査が終わった後で、今は1類に落ちているところです。1類できちんと売れているのかと、チェックシートを書いていただけているのかということも含め、一旦、振り返ってみるのも1つだとは思っております。湯浅委員の感度とかそういうところについての。
 
○湯浅委員
当面は、既存のものを使用すれば事足りると思いますが、それなりの根拠も必要だろうということです。
 
○笠貫座長
OTC化した後に、その時代、時代でチェックリストをどのように充実化していくかは薬剤師だけの仕事ではなく、薬剤師と医師が一緒に作ることだと思います。薬剤師と医師との連携によって、より良いものを作り、その内容や方法は変わり得るもので、改善されていくものだと思います。チェックリストの大事さが議論されたということは、今日の会議の1つの成果だったと思います。それでは、この薬剤に関しては、先ほどのようなコンセンサスを得たということでパブコメを進めさせていただきます。
本日の議題は以上ですが、そのほかに事務局から何かありますか。
 
○事務局
次回の検討会は、7月25日(木)の16~18時を予定しております。本日、御議論いただいたもののパブコメを踏まえて2回目の御議論等をお願いできればと考えております。御多用のところ恐縮ですが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
 
○笠貫座長
新たな要望品目が一つだったということで、今回はOTC化について、時間をかけて議論を深めていただいたと思います。OTC化は時代とともに非常に重要になってきていますので、チェックリストやお薬手帳等を含めて、薬剤師と医師の連携が消費者のためにどのように貢献していくかについて、議論を進めていただけたらと思います。これで、第7回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を終了させていただきます。ご協力ありがとうございます。
 

 

 

(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
03-5253-1111(内線 2737、4225)
 

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