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2018年12月5日 第6回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

平成30年12月5日(水) 16:00~18:00

 

○場所

AP新橋虎ノ門 C、D会議室(11階)
東京都港区新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル(日本酒造虎ノ門ビル)

○出席者

出席委員 

五十嵐委員、乾委員、小縣委員、柿田委員、笠貫委員
門田委員、佐藤委員、宗林委員、高野委員、長島委員
部坂委員、湯浅委員

     

出席参考人 

小早川参考人、斎藤参考人、高橋参考人


○議題

1.スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望状況について
2.パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の妥当性について
3.要望品目のスイッチOTC化の妥当性について
4.その他
 

○議事

 

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第6回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を開催いたします。本日は上村委員、近藤委員、杉山委員、矢口委員より御欠席との御連絡を頂いており、また到着が少し遅れておられる委員もおられますが、現時点で11名の先生に御出席を頂いております。

 また、本日、「パブコメを踏まえたスイッチOTC化の妥当性について」及び「要望品目のスイッチOTC化の妥当性について」を議論するに当たりまして、関係する学会・医会の先生方に参考人としてお越しいただいております。御紹介をさせていただきます。資料4の関係で、医療法人伯鳳会東京曳舟病院の斎藤忠則先生、日本大学医学部泌尿器科学系泌尿器科学分野教授の高橋悟先生、さらに資料5及び8の関係で、国立国際医療研究センター病院第三消化器内科医長の小早川雅男先生です。どうぞよろしくお願い申し上げます。カメラ撮影はここまでとさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(カメラ撮影終了)

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 それでは、笠貫座長に以降の議事進行をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○笠貫座長

 それでは、よろしくお願いいたします。まず、本日の配布資料の確認を事務局からお願いいたします。

 

○事務局

 本日の資料につきましては、ペーパーレス化を実施しており、各委員におかれましてはお手元のタブレット端末を御活用いただき、資料を確認いただければと思います。タブレットの方法について念のため御説明申し上げます。お手元にペーパーレス審議会タブレット操作説明書がありますので、併せて御確認ください。タブレット操作説明書の1ページですが、このタブレット端末は現在、資料の議事次第を画面に表示した状態で配布されているかと思います。ほかの資料を画面に表示するためには、画面左上にマイプライベートファイルがあるかと思いますので、そこを1度タップいただければと思います。ここに本日の資料を格納しており、上のほうから座席表、当日の配布資料15、議事次第、資料1、資料2-13、資料3-12、資料4-12、資料5-12、資料678と参考資料です。

 それからフォルダ形式で前回、前々回の第4回資料、第5回資料と表示されているかと思います。閲覧方法としては、PDFをタップしていただくと、閲覧することができます。拡大資料のページめくりは、操作説明書を御覧いただければと思います。本会議はこれまで、過去の資料はペーパーレスでやっておりましたが、今回、会議資料も含めて初めてペーパーレスで行っておりますので、念のため御参考として議事次第、座席表、名簿、資料18については、委員の先生方には紙資料も机上に配布をさせていただいていますので、必要に応じて御活用いただければと思います。次回以降は、本格的にペーパーレス化とさせていただく予定としております。タブレットの使用方法については以上で、配布資料の確認ですが、先ほど申し上げたように、席上には座席表、座席表の裏面に委員名簿、議事次第、配布資料一覧とあり、その後に資料1から資料2-12-22-3、資料3-13-2、資料4-14-2、資料5-15-2、資料6、資料7、資料8という形です。参考資料につきましては、ひとまとめにしてお配りしており、参考資料14という形であろうかと思います。

 タブレットですが、先ほど申し上げましたように、前回会議で使用した資料も保存しております。資料3-1から5-2まで御議論いただく際、前回資料に戻る必要がある場合は御活用いただければと思います。

 当日配布資料ですが、当日配布資料としてスイッチOTCの候補となる成分の要望理由についてということでタブレットに入れさせていただいております。当日配布資料2としてPPIのパブリックコメントについてということで全文を入れさせていただいております。また、当日配布資料3ということで、本日御欠席の上村委員よりPPIOTC化への意見ということで頂いております。当日配布資料45として認知症の疾患の治療ガイドラインの抜粋等を入れております。こちらはタブレットのみとさせていただいておりますので、タブレットで御確認いただければと思います。当日配布資料ですが、各成分の要望理由について取りまとめた資料です。各成分を議論するに当たり参考にしていただくものです。基本的には個人情報等含まれていないと思いますが、具体的内容についての御発言の際には御留意いただきますように御協力をお願いいたします。長くなりましたが資料の説明は以上です。過不足等ありましたら、適宜事務局までお申し付けいただければと思います。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。資料の御確認を頂きまして、何か問題がありましたらお知らせください。よろしければ、前回会議は本年81日に開催しておりますが、事務局からその後の進捗についてお話を頂けたらと思います。お願いします。

 

○事務局

 資料1を御覧ください。前回までも使っている資料ですが、これまでの要望状況について、スキームとともに取りまとめたものです。変更点は左上の要望件数の部分で、後ほど資料2で説明させていただきますが、30年度の要望件数は2件になっています。1ページ中段から下の候補成分の公表の部分ですけれども、前回の会議で1成分のOTC化が妥当と判断されていますので、資料としては6件に更新されています。2ページについても同様の箇所を更新しているところです。資料1は以上です。

 続いて資料2-1は、平成28年度にきた要望状況の進捗を取りまとめたものです。5ページを御覧ください。これまで№121317以外の部分については結果を公表するところまで至っており、本日この3つの、121317番のPPIについては、パブリックコメントが終了していますので、継続審議を含め計3回目、パブリックコメント後の御議論を頂くこととしております。

 資料2-2は平成29年度の要望状況を取りまとめたものになります。13ページ目は前回と変更はありません。4ページ目が進捗です。№6のナプロキセンと7番のプロピベリン塩酸塩については前回、1回目の議論を行い、パブリックコメントを終了していますので、本日2回目の御議論を頂きます。1112番のイトプリド、それから№14については本日1回目の御議論を頂くこととしています。

 資料2-3は、平成30年度の要望状況を取りまとめたものです。新しく1件、モサプリドクエン酸塩水和物が胸やけ、吐き気等の効能・効果で、個人以外の方から要望がきています。進捗については2ページ目です。資料2については以上です。

 

○笠貫座長

 資料1、資料2について事務局より報告いただきましたが、御確認いただいたということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。続きまして、前回議論いたしました成分についての議論に移ります。1成分ずつ事務局から説明を頂いて議論をしたいと思います。資料3の御説明をお願いいたします。

 

○事務局

 資料3-1を御覧ください。1ページ目、ナプロキセンの検討会議の結果として、パブリックコメントをかけさせていただいたものです。前回資料はタブレットの第5回資料のフォルダの資料になりますので、必要に応じて御確認ください。前回会議ですが、効能・効果は既承認のOTCの解熱鎮痛薬と同様として、骨折等の症状をマスクするリスク、長期服用の胃潰瘍等のリスク、高齢者等の副作用のリスク等を添付文書等によって適切に注意喚起するということで、OTC化は可とされたところです。パブリックコメントの結果が資料3-2です。パブリックコメントの結果、1件の御意見が提出されており、特段の問題はなさそうなので、OTC化することは可と思われるという御意見です。なお、前回御出席いただいた参考人の先生にも本件をお伝えしておりますが、特段追加の御意見は出てきておりません。以上です。

 

○笠貫座長

 学会からも特段の追加はないと聞いておりますので、委員の先生方から御意見がありましたらどうぞお願いいたします。いかがでしょうか。ナプロキセンのスイッチOTC化ですが、御意見はありますでしょうか。それでは、ナプロキセンのスイッチOTC化について、再度確認をしたいと思います。OTC化については、前回会議結果から変更なく、OTC化は可ということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。議決は取りませんが、合意が得られたということで先に進めさせていただきます。続いて、資料4の説明をお願いいたします。

 

○事務局

 資料4-1を御覧ください。プロピベリン塩酸塩の前回の検討会議の結果です。前回資料を確認される場合は、タブレットの第5回資料のフォルダの中の資料6となります。前回会議では幾つか意見がありまして、効能・効果の「軽い尿もれ」の部分、「軽い」の所が分かりにくいということで、削除すべきではないか。それから、女性限定の服用とすること、用量は10㎎として、対象者は70歳未満とすること、こうしたこと等の留意事項を満たした場合にOTC化は可だろうとされたところです。

 資料4-2を御覧ください。パブリックコメントを行った結果、御意見として5件寄せられています。1つ目、効能・効果の「軽い尿もれ」を削除する件について、「軽い」を削除して、「尿もれ」は残したほうがいいのではないかという御意見です。尿もれは医療用のバップフォーにおいても尿失禁として承認されている効能・効果であるという御意見です。

 2つ目は、前回会議でお薬手帳に貼るシールを添付して、購入時にお薬手帳にシールを貼ることで服薬の管理の工夫があるという御意見でしたが、本方策に限定することなく有効かつ効率的なほかの方策も含めて広く検討してはどうかという意見です。

 3つ目も効能・効果の御意見です。効能・効果の1つが、前回の議論で「尿意切迫感」ではなく「残尿感」として受け止められるが、医療用のプロピベリン塩酸塩の適応として「残尿感」というのは認められておらず、副作用の中に「残尿感」があるということなので、効能・効果を「残尿感」と表現するのは適切ではないのではないかという意見です。

 4つ目は個人の方からですが、男性が服用した場合のリスクについて厳重に記述した上で、OTC化することは不可ではないのではないかという御意見です。

 5つ目もお薬手帳に貼るシールのお話で、こちらについては検討を頂きたいという御意見です。全般的にOTC化することについて反対というものではないということです。以上です。

 

○笠貫座長

 それでは、高橋参考人から御意見を頂きたいと思います。

 

○高橋参考人

 前回の議論とパブリックコメントの意見を反映しまして、要望された効能・効果というところで、このように修正するとよいのかなと思いまして、御意見申し上げます。「小便」という表現が入っていますが、これは以前私どもの学会から、時代に合った「尿」という言葉にしてほしいという要望も出しておりまして、この「小便」という言葉を「尿」に換えさせていただくということです。

 あと、軽い尿もれについて何個か御意見がありまして、軽い尿もれを削除すべきだという御意見と、パブリックコメントでは「軽い」を取って、「尿失禁」というのは非常に重要な症状だから残すべきだという御意見もありましたので、これは女性の場合には、過活動膀胱に伴う切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の両者があって、ちょっとそこが混同しやすくて、やはり使用上のときにも混乱を招くおそれがあるのでそれを明確にしたいという意図で、次のような御提案をさせていただきます。読み上げますと、「女性における頻尿」、ここは同じで、括弧内が「尿の回数が多い」と直させていただいて、「尿意切迫感(急に尿がしたいとの我慢し難い訴え)」も、「小便」ではなくて「尿」に換えさせていただいて、あとは同じです。それで最後に、「及びそれを伴う尿もれ」という形で、いわゆる尿意切迫感を伴う尿失禁ということで、これは過活動膀胱の正に定義でありますので、腹圧性尿失禁という女性に多い尿失禁はここで完全に除外できると思いますので、「尿もれ」を後ろにもってきて、「軽い」を取って、より明確にするために「尿意切迫感を伴う尿もれ」ということを「及び」の後ろに付けさせていただくという修正の御意見をさせていただきます。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。斎藤参考人から御意見、補足をお願いいたします。

 

○斎藤参考人

 日本臨床泌尿器科医会の副会長の斎藤でございます。今、高橋委員から御説明がありましたように、このほうが非常に分かりやすいし、患者さんにも分かりやすいし、学問的にもおかしくないということで、この意見には全面的に賛成いたします。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。委員の方から、一般用として適切な効能・効果ということについて御意見がありましたらお願いいたします。

 

○湯浅委員

 泌尿器の参考人の先生に教えていただければと思うのですけれども、この「頻尿」という効能・効果というのが必要かどうかということです。過活動膀胱の薬ですので、効能・効果は尿意切迫感を伴う尿もれでよいと思います。「頻尿」という言葉を入れると、ちょっと誤解を招くのではないかと思います。女性の場合は膀胱炎とか、この前も意見として言いましたけれども、水分の取りすぎで頻尿になることもあるので、その辺の御意見を聞かせていただければと思います。

 

○高橋参考人

 ありがとうございます。御指摘のとおり、過活動膀胱というのは、2002年に国際的に定義された症状・症候群で、実はこのプロピベリンというのは過活動膀胱という疾患概念が定義される前に出ている、事実上、過活動膀胱の治療薬の抗コリン薬です。ですから、そこでこの表記に少し齟齬があるという、それがまず背景にあります。それで、先生の御指摘のように、過活動膀胱の定義を明確にいうと、ここにも書いてある尿意切迫感があって、そのために頻尿あるいは尿失禁を伴った状態という定義です。だから先生のおっしゃるとおり、単なる頻尿ではなくて、尿意切迫感によって生じた頻尿状態あるいは尿失禁状態というようになって、少し狭めているのです。漠然と頻尿とは言っていないのです。ただ、「頻尿」は要らないのではないかという御指摘ですけれども、過活動膀胱の患者で、特に女性の疫学調査のデータを見ると、女性の過活動膀胱の患者の場合は尿失禁を伴っている人が結構多いのですが、それでも20数パーセントは尿失禁は伴わないで、尿意切迫感と頻尿だけの方がいらっしゃいます。ですから、「頻尿」を外してしまうとちょっとどうかなという気がします。そして用量も少ない用量できていますので、そういう意味では頻尿とか比較的軽い症状の方がむしろターゲットになるだろうと思いますので、そういう意味では「頻尿」は必要です。

 先生の御指摘もあって、実は私もこの表記をもうちょっと本当は変えてもいいのだったら御提言したいのは、過活動膀胱という定義が生まれてから今、臨床試験などを通して保険適用になっているお薬の表記を見ると、先生のおっしゃるとおり、尿意切迫感はどちらかというと前にドーンときているのです。例えば先ほど私が申し上げたような形でするとしたら、「女性における尿意切迫感及びそれを伴う頻尿、尿もれ」と、「頻尿」を一緒にもっていってしまうと多分すっきりします。最近のほかの過活動膀胱の治療薬の適応症などもそういう表記に今はなっていて、尿意切迫感は必須症状ですので、「尿意切迫感」を前にもってきて「頻尿」を後ろにもってきて、より限定させることの修正までお許しいただければ、私はそのほうがいいのかなと、先生の御指摘のとおりです。

 

○湯浅委員

 ありがとうございます。

 

○笠貫座長

 今の点について、御質問、御意見はありますか。高橋先生から分かりやすく御説明を頂いたと思いますが、よろしいでしょうか。

 

○佐藤委員

 シールのことについてよろしいでしょうか。パブコメで2点、シールについての御意見がありました。前回申し上げたように、趣旨としては一般用医薬品と医療用医薬品を併せて管理できるようなツールが必要だということで、私自身も決してシールにこだわるものではありません。パブコメにあるように、この薬に限らず、今後一般用医薬品として販売されるものについては、是非そういったツールがあると良いと思います。併せてお願いしたいのは、こういうシールでなくてもいいのですが、こういう仕組みがあったらいいね、それは素敵だね、いつのことかね、いつかね、と言うのではなくて、是非早く、この商品が出てくるときに対処していただきたいというのがお願いです。

 

○斎藤参考人

 今の御意見、本当にそのとおりでして、いつまでもだらだらやっていてもいけないので、例えば一般用医薬品にはいつからそういう小さいシールを付けるとか。現に今一番困っているのはサプリメントです。サプリメントで、実際そういう症状や表記がないので、入院されてから実は手術がキャンセルになったり、前立腺の生検とかは結構出血するのですが、入院されてからサプリメントのために中止になるということで、医療費の無駄使いになっているのが今医療現場では非常に問題になっているのです。だから今後、こういう一般薬とかサプリメントとか、そういうものにはシールを付けることを義務付けて、患者にもお薬手帳にそれを貼っておいていただければ、入院時点でもうチェックができるということで、入院してからその日に退院というような無駄使いをしなくて済むと思いますので、是非とも押し進めていただきたいと思います。

 

○乾委員

 そのお薬手帳のシールについては、本当に参考人の先生方の意見と同じです。薬局でも薬剤師がしっかりと聴き取って、飲んでおられる薬を一般用医薬品、サプリメントも含めて書きましょうということで啓発しているわけですけれども、やはりそれだけではなかなかうまくいかないと思いますので、是非こういう機会をきっかけにしっかりとそれを進めていくようになればいいなと思いますので、是非進めていただきたい。

 それと、効能についても、そういう参考人からの御意見を頂いたものがやはり分かりやすいのではないかと思いますし、正しい情報を伝えていることになるのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 

○笠貫座長

 この点について事務局から何かありますか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 お薬手帳をOTCでももっと活用できるように、シールないしはシールではなくてもいいけれども、いわゆるそういう一元管理と、サプリメントについてどうやっていけるかというのはまた工夫が必要だと思いますが、いずれにしろOTCについては、いつまで延ばしているかとお話にもありましたので、このプロピベリン塩酸塩から、かつほかの品目もどうやってやるかはちょっと工夫させていただき、何らか検討したいと思います。まず、このスイッチ化されていくものについて、特にそういうことができると、分かりやすく一元管理のニーズに応えていくことができると思いますので、どうやってやるかは検討させていただきたいと思いますが、ここからやっていきたいと思います。

 

○笠貫座長

 お薬手帳のシールの話は毎回出てまいりますので、是非スイッチOTC化の薬からという優先順位で速やかに進めめるとを御検討いただきたいということだと思います。それ以外にはありませんか。

 

○五十嵐委員

 ちょっと確認なのですが、今回のパブリックコメントを見ると1人、男性でもリスクを記述した上で、いいのではないのというようなコメントを頂いているのですが、実際にそれは泌尿器科の先生方からすると、今回は女性にということなのですが、やはりそれのほうがよろしいということですか。実際、先生方はこのお薬は女性に圧倒的に多い処方なのでしょうか。

 

○高橋参考人

 御指摘ありがとうございます。男性は前立腺がどうしても女性と違ってまずありまして、中高年以降、前立腺肥大症が大なり小なりあって、膀胱出口部閉塞という言い方をするのですが、膀胱の出口部を肥大した前立腺が圧迫して狭くしているのです。ですから、基本的にはそこを一般の方がクリニックを受診しないで、自分に閉塞があるのかないのか、男性が区別することは極めて困難だと思います。ですからそうしますと、投与禁忌にも抗コリン薬は当たりますし、あと、尿閉のリスクが少なからずあるので、というので私はやはり女性に限定がいいと思います。現在、医療の現場ではβ3作動薬というのが抗コリン薬に加えて出てきていて、実際に男性の下部尿路症状の診療ガイドラインでも、抗コリン薬プラス最近はβ3作動薬を併用しようということで、今ガイドラインは改定作業中なのですが、β3作動薬のほうがどちらかというと男性の場合には好ましいのではないかというような表記になりつつあります。ですから、医療の現場でも抗コリン薬よりはどちらかというとβ3にシフトしてきていますので、やはりここは女性限定でよろしいかと思います。

 

○笠貫座長

 それ以外にはありませんか。ないようですので、プロピベリン塩酸塩のスイッチOTC化について再度御確認したいと思います。パブリックコメントにおいても貴重な御意見を頂きました。その御意見の結果は、一般用の効能・効果を考えるということの御指摘を頂いています。高橋先生から「女性における尿意切迫感(急に尿がしたいとの我慢し難い訴え)及び頻尿」の後。

 

○高橋参考人

 「及びそれを伴う」とします。

 

○笠貫座長

 「及びそれを伴う頻尿」で、「頻尿」の後の括弧は入れると。

 

○高橋参考人

 はい、同じです。

 

○笠貫座長

 さらに「尿もれ」も入れるということですね。

 

○高橋参考人

 「尿意切迫感」があって、「及びそれを伴う頻尿(尿の回数が多い)、尿もれ」でいいのかなと思います。そういう表現が最近多くございます。

 

○笠貫座長

 それで、パブリックコメント等で御意見を頂いた問題は解決できるだろうと思います。OTC化ということについては、前回会議結果から変更なく、OTC化は可ということでよろしいでしょうか。それから、先ほどのお薬手帳のシールに関しては、共通の課題になると思いますので、引き続き先ほどのお話のように御検討を進めていただくようにしたいと思います。特に御異論がなければ、合意が得られたということにさせていただきます。ありがとうございました。続いて、資料5について説明をお願いいたします。

 

○事務局

 資料5-1、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールの検討会議の結果となります。前回資料を確認したい場合は、タブレットの第5回資料のフォルダですと資料7、前々回資料はタブレットの第4回資料のフォルダの資料9です。

 前回、前々回の議論を踏まえて、前回のまとめとして1週間程度の短期服用であれば、胸やけに対して効果が期待できるとともに、これまでの使用実績を踏まえると、重篤な副作用は出ておらず安全使用できるのではないか。その一方で、長期服用すると重篤な副作用の発現リスクが高まることや、癌の症状をマスクすることから、スイッチOTC化にはそぐわないのではないかといった意見が出ておりました。こうした議論を踏まえて、本成分のOTC化の議論の前提として、短期での使用を担保するための販売時の方策について検討が行われましたが、平成28年の医薬品の販売制度実態把握調査の結果を考慮しますと、現時点において一般用医薬品の販売の実態として短期使用は担保される状況ではないということで、こうした状況下においてスイッチOTC化は認められないとされたところです。一方で、販売実態の改善状況を踏まえて、スイッチ化に関して将来的な議論を妨げるものではないとされております。

 パブリックコメントの結果は、3ページ、資料5-2、合計で98件の御意見が提出されております。OTC化に賛成との御意見が84件、この中には対応策を講じた上でOTC化に賛成という御意見を多く含んでおります。一方でOTC化に反対との御意見を14件頂いております。実際の御意見は、当日配布資料2、タブレットのみですが配布させていただいておりますので併せて御確認ください。事務局において主な意見を34ページに取りまとめております。

 前回、前々回の議論と重複するところもありますが、OTC化に賛成との御意見は、PPIでの短期使用による重篤な副作用が発現しないと思われるので、薬剤師の対面販売を更に徹底するということで問題がないという御意見。PPIについては、胃酸分泌の抑制作用が高く、一過性の胃痛等の症状にもH2ブロッカー以上に効果的な薬剤で、既に市販されているH2ブロッカーと比べても明確なリスクは存在せずに、薬剤師の対面販売によれば市販化に当たり問題はないという御意見。OTC化で癌による死亡率が増加したエビデンスはないという御意見。PPIのスイッチOTC化は医療費の削減の観点、セルフメディケーションの選択肢拡大の観点から有益であるという御意見。需要が多いと思うので短期間の使用であればスイッチOTC化しても問題がないという御意見。逆流性食道炎の患者が多くいるため、PPIを市販化することでセルフメディケーションにつながるというのが1つ御意見。また、PPIはアメリカ等の海外では市販薬として販売されていますと。投与初期には副作用等の観点から医師の継続的な診察を要するとは思うが、一定期間の服用かつ難治性の逆流性食道炎など検査を要しない場合、安全的に投与されているように感じていると。患者自身も特に検査せず、問診のみのために病院を受診しなくて済む仕組み作りを望んでいるという御意見が出ております。

 一方、OTC化反対との御意見ですが、1つ目として、受診が必要と判断される方もあるが、受診勧奨しても販売を拒否できないため販売せざるを得ない。そういった使用者側の現状では適切な使用は難しい。安全に使用できるとは思わない。日数制限を説明しても、ほかの店で追加で買われたら分からないという御意見。PPIは効果がないので必要ないという御意見。GERD治療のPPIのやめ時は患者には判断できないという御意見。濫用の原因になると考えるという御意見。H2ブロッカーが既に販売されていて、それ以上の効果が必要であれば受診で良いという御意見です。食道癌進行などがあり得るため、OTCPPI販売すべきでないというところも入っております。

 また、OTC化に当たって対応策に関する御意見のようなものも多々きております。1つ目として、要指導医薬品として販売して、販売に当たる薬剤師には研修を義務付け、研修を受講した薬剤師のみが販売できるようにすることで指導方法が統一され、安全性が担保できると考えるという御意見。要指導医薬品が一般用医薬品に原則3年で移行するものとされているが、移行させない要指導医薬品があっても良いのではないかという御意見。多くても15錠までの、少量包装のことかと思いますが、パッケージで販売して、最初のパッケージを飲み切っても改善しない場合は受診を促すことを義務化すれば良い。短期間の間に2箱目以降は購入できない仕組み作りも必要という御意見。長期服用による重篤な副作用の発現リスクが高まることや、癌の症状をマスクすることについても外箱、添付文書等の記載による注意喚起で対応は可能ではないかという御意見。購入者にお薬手帳のようなものの持参を義務付ける等の方法で、長期連用や併用に関するモニタリングを強化することなども関与や不適切使用を回避するために有用であるという御意見。長期にわたり購入を防ぐための対策として、登録制にして購入状況を管理できるIDを付けてはどうかという御意見。更には、医師向けにOTCの医薬品服用許可カードのようなものを配布して、許可を受けた患者だけが確認の上、買えるというような仕組みではどうかというもの。包装にお薬手帳に貼ることができる服用シールのようなものを添付して、手帳への貼付を促してはどうかということ。販売時の条件としては、例えばあらかじめ健康診断等で癌ではないと証明できる書類を発行してもらい、それを確認できないと販売できないようにすること。有効期間、検査内容などを記載した処方箋の概念に近い診断書様式を作成して、医師に記載してもらったものを確認しないと販売できないようにすることといったもの等が挙げられております。当日配布資料2に全意見は示しております。説明としては以上です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございました。それでは、湯浅委員から御意見がありましたらお願いします。

 

○湯浅委員

 私の意見としては前回と変わっておりません。効能・効果に具体的な症状が記載されていても、患者さんはH2ブロッカーとPPIのどちらを選択するべきか選ぶことができません。また、症状が改善しなければ医療機関を受診ということになれば、PPIを服薬した状態で医療機関を受診することになります。これは我々、かかりつけ医からすると少し疑問を感じるところでもあります。

 わたくしとしては、今後PPIの販売体制の整備などを議論したうえで、再度検討したいと思っております。ただ余り縛りを強くしてまで、OTC化する必要があるのかどうかも疑問を感じております。

 

○笠貫座長

 小早川参考人から御意見をお願いします。

 

○小早川参考人

 国立国際医療センターから来ました小早川と申します。PPIというのは非常によく使われている薬で、強力な酸分泌抑制剤ということで、最近は特に胃・食道逆流症などの患者さんによく使われている薬です。既に市販のH2ブロッカーもあるという状況の中で、更により強い酸分泌抑制薬ということで、症状緩和効果ということであればH2ブロッカー、またそれ以上の効果も少し期待できるのかなという感じではあります。

 PPIで我々の中でよく問題になっているのは、肺炎のリスクとか骨折のリスク等が、長期に内服していますと出てくるのではないかとか、いろいろな報告があります。そういった面で長期に関しては少し心配事はあるのですが、2週間ぐらいの短期のスパンで使うことであれば、そんなに心配されるような副作用といった問題は余りないのかなと。むしろH2ブロッカーのほうが腎障害とか、そういったものの問題もありますから、それらに比べて特により懸念されることはないのではないかと思います。やはり、だらだら続けて服用されるというのはまずいことだとは思います。あとは癌の方の症状がマスクされて、医療機関を受診しなくなるというのが一番気になるところではあります。そういった意味で投与制限というか、期間をせいぜい2週間程度に限定するというのが妥当ではないかと思います。このようなちゃんとした対策が取られるようであれば、大きな問題なくOTCとしても使われるのではないかと思いますが、やはりその辺の対策がちゃんとできていないと癌の患者さんをマスクしてしまう、だらだら長期に使われてしまう患者さんを作ってしまうというリスクは少しあるのではないかと思います。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。当日配布資料3にあるように、今日欠席された上村委員から御意見を頂いております。それを代読させていただきます。「PPIは、胃酸分泌抑制薬として、胃・食道逆流症などの症状改善などに大きな有用性を発揮している薬剤であり、長期使用に際しては骨折のリスクや市中肺炎のリスクが増加する可能性などの有害事象に関する研究結果が報告されています。しかし、2週間以内の短期使用に関しては、H2RAと比較しても胸やけなど不快な症状を速やかに消失に導く有用性が高い一方、有害事象の報告は皆無に近く、極めて安全性の高い薬剤と思われます。したがって、短期間の内服に限定され、それ以上に内服が必要な場合には、必ず医療機関を受診することが厳密に遵守されるものであれば、薬剤(PPI)のベネフィットがリスクを大きく凌駕できるものと推察できます。しかし、残念ながら、この使用条件が整備されていない状況であることが実態調査で示されたことから、現時点でのスイッチOTC化は時期尚早と思われた次第です。前回の検討結果に示されているように、今後、上記の厳密な条件ないし体制が整備されることを条件として、PPIOTC化に関しては再度討議されることが期待されます」という御意見を頂いております。

 それでは先生方から御意見を頂きたいと思いますが、前回の議論では、PPIの短期使用のエビデンスと安全性については一定の安全性が示されたと思います。また、現行の販売制度でも再販売が防止されるため、一定の仕組みが法令上規定されてはおりました。しかしながら、短期間使用が担保できるという意味では、再購入時のチェック体制も十分でなく改善を要請する必要があり、一旦OTC化は否と判断されていると思います。前回のまとめが大雑把過ぎるかもしれませんが、そういう形で先ほどのパブリックコメントを含めて、各委員の先生方から御意見を頂けたらと思います。ございませんか。

 

○乾委員

 前回のこの議論を受けて、日本薬剤師会としても販売実態調査を、前回もお話しましたが、遵守100%を目指して自己点検を進め、またそれ以外の実効性のあるものの活動を今検討しております。ただ、短期使用に関するデータとして、やはり濫用のおそれのある医薬品の複数個購入ができたということについての調査は、全て指定第二類の医薬品で、基本的にはいろいろ調べた結果、登録販売者が情報提供、販売しているという実態があります。しかも、平成28年の調査にしても薬局数が全体で5,020の調査をされているのですが、実際に購入できたのは2,030の店舗販売業・薬局で、実際には薬局はその中の111という結果が出ております。薬局でも登録販売者が情報提供、販売しているというのが実態としてあるわけです。店舗販売業であればなおさらというところがあります。ですから、私としては短期間しっかりと薬剤師が対面販売ができるということで、早急にスイッチOTC化を是非進めていただけたらという意見です。よろしくお願いいたします。

 

○長島委員

 パブリックコメントを見ても、こういう条件が満たせればとか、将来、こういう対応ができればということで、現状でできますよということではなくて、やはり、現状では難しいところで認めているというものが実はほとんどということかと思います。つまり、現在これをOTC化するかどうか検討しているわけですから、現在、短期間ということを厳密に遵守できる体制が整っていないということであれば、これは当然、前回の討論の内容を変えるようなパブリックコメントではないと判断しますので、前回同様、否ということでよろしいかと思います。

 

○笠貫座長

 ほかに御意見はありませんか。

 

○柿田委員

 眼科なので余り専門的なことは分からないのですが、今、H2ブロッカーが基本的に処方、販売されている現状で急いで販売する理由は、私は今はないと思います。だとしたら、今問題になっている点をしっかりと解決した上で販売したほうが、将来的には安定するのではないかと考えます。

 

○小縣委員

 薬剤師が店頭で販売するに当たって、黙ってH2ブロッカーを渡すわけでもなく、もちろんPPIがそうなったときに率先してPPIを渡すわけではなく、必ず患者さんの状況を聞き、もちろん現在飲んでいるお薬等の確認をして全般的に判断した上で、その段階で、もしかしたらその方にはH2ブロッカーかもしれませんし、既にH2ブロッカーが何日か続いた状況での相談かもしれませんので、そういう意味での薬剤師の力というものは、今では足りないと思われているかもしれませんが、しかし、ここは今後も含めて薬剤師として信用していただきたいと思います。

 

○柿田委員

 今の話だと、H2ブロッカーが効かない人にPPIを出すというお話ですか。

 

○小縣委員

 そうではないです。

 

○柿田委員

 それは駄目ですよね。

 

○小縣委員

 そんなことはないです。

 

○柿田委員

 だから、薬剤師の判断でそれに変えるということはあり得ませんよね。

 

○小縣委員

 はい。

 

○湯浅委員 H2ブロッカーにするかPPIにするのか、患者さんが判断することはできません。つまり、薬剤師の判断に委ねられるということになりますが、薬の選択は簡単なようで難しいと思います。

 

○小縣委員

 この状況でスイッチOTCになった段階で、患者さんが棚から持ってきて売れる状況にはありません。OTCという、必ず薬剤師と応対をした上で販売するという位置に属しますので、単純に患者が選んだからといって薬剤師が販売するものではないと思います。

 

○笠貫座長

 皆さんから御意見をお伺いしたいと思います。ほかに御意見はありますか。

 

○五十嵐委員

 私も前回のときには選択肢が多いほうがいいのではないかと申し上げましたが、前回、今回のように安全性が担保される体制が整うまでは、先ほど柿田先生がおっしゃったように、急ぐ必要はないのかなとは思いました。

 

○笠貫座長

 ほかには御意見はありませんか。

 

○佐藤委員

 パブコメの賛成意見の多くが、環境整備について指摘をしているものだと私も感じました。その上で、検討会議結果の2.一番最後の所に「販売実態の改善状況を踏まえ、本成分のスイッチ化に関し、将来的な議論を妨げるものではない」とあるのですが、ここにある「販売実態の改善状況を踏まえ」というのは、これはいつ頃のことを考えて書かれているのですか。

 

○笠貫座長

 事務局からお答えいただけますか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 事務局としてはになるのですが、厚生労働省としてやっている調査とかありますので、そういったものはその遵守状況とか販売状況などが1つの材料にはなるかなと思います。もちろんほかのいろいろな工夫とかも含め、ここの販売実態の改善状況というのはもう少し広い様々な材料が該当するのだと思います。例えば、前回ここで御紹介した厚生労働省でやっている覆面調査の結果なども1つ御覧いただきながら、また将来的な議論の可能性はあり得るだろうなとは思っております。

 

○佐藤委員

 短期使用であれば、ということについては、前回、多くの方のコンセンサスがあるようにお見受けしましたので、そうしますと、1年後にまた検討するということなのかなと私は理解しております。

 

○長島委員

 将来的には医学の進歩とか治療も変化しますので、今回の検討に関してはここで完全に否で終了。将来のことは状況が変わりますから、そのときにもう一度ゼロから検討するというのが筋ではないかと思います。

 

○湯浅委員

 仮にいろいろな資料が出てきたとしても、やはりその資料をきちんと精査しなければいけないと思います。12つの資料ではなくて、やはり複数の資料が私は必要だと思いますし、その資料の妥当性みたいなものはきちんと検討しないと、ただ単に資料が出てきたからOKという流れにはならないと思います。

 

○高野委員

 お話を聞いていて分からないところがあるので教えていただきたいのですが、この薬剤に関して薬剤師が症状から選択できないというお話があったということで、私は、セルフメディケーションという形では患者さんが専門的な知識がないので、患者さんに寄りそって薬剤師がいろいろなことをアドバイスしながら適切な薬を選んで、それに関して治療に関する項目とか経過といったことも含めて適切性を担保していくのかなと考えていたのですが、薬剤師は適切な薬を今回選ぶことができないということになってくると、そもそもの部分というのが、薬剤師がセルフメディケーションの関わり方というのが、この薬に関してはどういうふうになっていくのかということが分からなかったので、教えていただければ有り難いですが。

 

○乾委員

 まず先ほど委員からお話がありましたが、やはりしっかりと相談者の状況を十分把握するためにいろいろな質問をさせていただき、また聴き取りをして、その状況に合わせて受診勧奨すべきものなのか、それとも要指導一般用医薬品で対応できるのか、それともお薬がなく養生だけでいけるのか、生活の養生とか、サプリメントも含めてですが、そういうことを判断して、その中から例えば要指導一般用医薬品で対応できるという判断をすれば、また顧客と、相談者とお話をしながら、最後はもちろん顧客が購入するかしないか判断するということで、それまでに患者の情報を十分に聴き取って判断するということになります。ですから、受診勧奨することも当然選択になるわけですが、決してこれが欲しいからこの薬、例えば呑酸だからPPIというわけでは決してないですし、指名されたとしてもそういうふうに説明しながら進めていくということです。

 

○高野委員

 ありがとうございました。薬剤師が非常にセルフメディケーションの分野では、ある意味医学とは違う観点で、広い視点で薬剤を服用する必要があるかということも含めて考えているということですね。

 

○宗林委員

 ドラッグストアでもともとOTCはたくさん売られていますが、例えば頭痛薬1つ取ってもピリンが本当に入っているものとそうでないもの、また生理痛には特にこういったものというのが並んでいるわけです。もともとOTC自体は症状を一時緩和するというもので、根本的な治療ではないと思っていますので、そういったものをある意味、今自分で試しながら、あるいは薬剤師に寄りそっていただきながら相談応需をしながら、症状を一時、短期間楽になるかというような観点のものにはまるものがOTCだと思っているのです。

 ですから、今回のものもそのところに当てはまるのかという判断もあるのではないかと思います。重篤な有害事象が出るのかというところがあれば絶対的に駄目でしょうが、短期間症状を抑えられるというものの中でガスターがあり、PPIがあって、例えばどっちから試しても、もしかしたら症状が5日間とか3日間とかで少し楽になればOTCで、そうやって選択をしていき、相談をしていって、次はどうしようかというようなものだと思っているのです。実際に消費者はそうやって生活しているのだと思うのです。ですから、その要件にはまるかどうかという原点に立ち戻っていただいて、短期間であっても重篤な有害事象が出るということであれば、これは決してOTC化してはいけないと思いますが、症状が一時抑えられるということであれば、ある程度そういうふうに検討する余地があるのではないかと思います。

 

○小縣委員

 宗林先生、ありがとうございました。薬剤師は今日ここでPPIの議論をする以前から、はるか昔から、調剤薬局でOTCを扱っている所もそうですし、OTC専門の薬局もありますが、患者さんと応対して適切な薬をお渡ししてきたつもりです。1点ここで規則に合わない売り方をしていたという覆面調査の結果が出てきました。これは本当に反省するところだとは思いますが、痛み止めの1つを取っても、1つしか置いてないということはないです。何種類もの痛み止めがあって、どこかが痛いと言われたときに、本当にその人に合うもので、本当にその人に与えてもいい薬を必ずその場で、患者さんとお話しながら売ってきたのが今までですし、今ですし、今後もそうです。そういう意味での知識を薬剤師として積み重ねてきたつもりです。今回PPI1点その部分には引っ掛かっております。その部分は今後払拭するとして、長島先生がおっしゃったように、今回はこれはこれで一旦の終止符を打っていただいてもいいのではないかとも思います。

 

○笠貫座長

 セルフメディケーションの議論になりましたが、基本的には一番大事な消費者の利便性という、生活の上で何を求めているのかということと、消費者が受け入れられるリスクとベネフィットを含めて、受容可能なものは何かということをここで議論されていると思います。その中で薬剤師の方は国家資格を持った薬のプロフェッショナルとして、また医師の方は診断治療のプロフェッショナルとして御意見を出されたと思います。セルフメディケーションについては皆さんと一緒に意識を高めていかなければいけないだろうと思います。PPIについては前回の継続審議と今回のパブリックコメント後の議論において、PPIに限らず幅広くOTC制度について皆さん認識を高めていただいたと思っております。

 PPIに戻りますが、前回、前々回を含めて特に御意見がなければ、ここでPPIのスイッチOTC化について再度御確認したいと思います。たくさんのパブリックコメントを頂きましたが、その中で、先ほど事務局からもまとめを頂きましたし、これからの対応策についても今回細かく触れていただいたと思います。その中で前回会議で上がった論点と基本的には大きく変わりはないのではないかと思いました。現時点で覆面調査といいますか、実態調査は公表されているものですが、こういう場で、実際の薬剤についてOTC化するかどうかという観点から実態調査について議論をされたことは、大変意義があったと思っています。

 販売実態の解決はすぐできるものではないということは、皆さんのコンセンサスが得られたのではないかと思います。今回は前回の会議結果と変更はなしで否ということでよろしいでしょうか。先ほどから細かくいろいろな販売状況の話も出ました。それについていろいろな対応策、改善策も議論されましたが、その販売実態の改善がなされたと考えられるときに、再度議論を妨げるものではないということは、前回の決議の中でもお話をいたしました。今日のお話もそうだと思いますが、販売実態の改善状況を適宜フォローアップしていただき、そういう意味では、薬剤師会のほうでもお願いし、事務局のほうでもフォローアップしていただいて、改善が確認された際には対応策を含めてスイッチOTC化の可否に関する議論を再度行うと判断されたときに、ここでまた皆さんと議論をさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。

 

○長島委員

 今のは一般論ですか、それともPPIに関することですか。

 

○笠貫座長

 PPIに限って販売実態について議論がされました。PPIOTC化について再び議論が必要だという環境の改善がなされたと考えられたときに、もう一度PPIについて議論しましょうということです。

 

○長島委員

 その議論を妨げるものではないということに関しては同意しますが、ここでそうなったらもう一度やりましょうというのは筋が違うと思いますので、先ほど申しましたが、例えば将来的には医学の進歩とかいろいろな状況の変化で、PPIを取り巻く環境そのものが変化することが当然想定されますから、今回のところで完全に終止符を打って否で終わりにします。将来的なことはもう一度全くのゼロから、もし要望があれば検討するというのが筋であると。ここで将来的なものをどうこうするというのを決めるべきではないと思います。

 

○笠貫座長

 将来的にどうこうするということよりも、ゼロとかうんぬんの筋論の話よりも、消費者が何を求めているかというパブリックコメントがかなり出ていることです。その中で、環境が整えばという話が出ています。環境の改善をどこで判断されるかということについては、薬剤師会あるいは事務局かもしれませんが、再度ここに出していただき、議論をここで行うことはできますということについて、この門戸は広げておくべきだろうと思います。

 

○長島委員

 妨げるものではないということに関しては同意します。ただ、将来ここでやりますよということを決めるのはおかしいのではないかということです。

 

○笠貫座長

 ここでやりますということで、妨げない状況かを判断するのは、薬剤師会なり、事務局なり、企業なり、それは場合によっては消費者でもいいですということです。

 

○長島委員

 スイッチOTC化を検討する場合には、実際の販売状況がどうかというのは極めて重要な件かと思いますので、要するに先ほど言ったのは、一般論として適宜この会議で、もしそういうものの結果が出れば報告していただくというほうがいいのではないかと思います。

 

○笠貫座長

 適宜フォローとしていただき、その都度例えば覆面調査の結果を報告していただいてもいいですし、あるいは薬剤師会で改善の実態としてこういうものがあるということを出していただき、そしてセルフメディケーション、OTCについて、皆さんで議論して合意を得るという非常に大事な会議なので、皆さんで共通言語と共通認識を持っていただきたいと思います。そのことがOTC化の推進、あるいはセルフメディケーション、最終的には消費者の健康を増進するという意味では大事なことだと思いますので、是非お願いしたいと思います。どこで乗せるかについては、それぞれのステークホルダーからどんどん出していただき、それを事務局のほうで整理して、こちらで議論するタイミング、あるいは報告をどうするかも含めて検討していただくことにしたいと思いますが、それでよろしいですか。それでは、PPIについてはトータルで何時間議論したか分からないのですが、皆さんといろいろな意味で共有できたと思っております。それでは、PPIについては先ほど言ったような形で、今回は否ということで出させていただきますが、これからのフォローを期待します。続きまして、資料6の説明をお願いします。

 

○事務局

 資料6です。パブリックコメントでは、先ほど御紹介しました資料35以外にも、スイッチOTCについての全般的な御意見や個別成分に関わらない御意見が届いておりますので、こちらに示す3件を御参考までに紹介いたします。3つともスイッチOTC化は進めてほしいというものでして、夜間・休日における医療機関の負担の軽減や治療が困難な場合に、一時しのぎ等でメリットがあるのではないかといった御意見です。以上、紹介です。

 

○笠貫座長

 セルフメディケーションが議論されましたが、スイッチOTC化の推進とそれにかかわるいろいろな販売の実態を含めて、これからも議論を進めていきたいと思います。

 それでは、資料6については御確認されたものといたします。ありがとうございました。これらの成分の今後の進め方について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○事務局

 本日、御議論いただいた内容については、会議結果を事務局で取りまとめまして、ホームページのほうで公表するとともに、薬事・食品衛生審議会にも御報告したいと考えております。その後、薬事申請されましたら、医薬品医療機器総合機構で個別の審査を行うことになりますが、その審査の中では本検討会議で御議論いただいた留意事項について確認を行いたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。説明は以上です。

 

○笠貫座長

 続きまして、要望品目のスイッチOTC化の妥当性について、説明をお願いいたします。まず、資料7において、事務局、お願いいたします。

 

○事務局

 それでは、資料7を御覧ください。こちら、資料の分量が非常に多くなっております。タブレットの操作説明書の裏面、2ページの(2)で、任意のページを指定して表示するという方法もありますので、適宜これも御活用いただきながら、お手元に紙ベースでも配っておりますが、御活用いただきながら御覧いただければと思います。

 資料7ですが、4成分、ドネペジル塩酸塩、ガランタミン臭化水素酸塩、メマンチン塩酸塩、リバスチグミン、これらを取りまとめた資料となります。同種の医薬品でして、同一の個人からの御要望のため、まとめて説明いたします。

 2ページ目を御覧ください。ドネペジル塩酸塩です。要望された効能・効果は、アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制ということで、個人から要望のあったものです。対応する医療用医薬品はアリセプト錠5mgであり、効能・効果については、このページに記載されております。

 3ページ目です。この成分についての説明ですが、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬です。脳内のアセチルコリンエステラーゼを阻害して、脳内のアセチルコリンを増加させることによって、アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症の認知機能障害の進行を抑制する薬剤で、1999年に承認されたものです。再審査結果は2010年に通知されており、承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断されたものです。

 同種の薬として、今回、ほかに要望が上がっておりますガランタミン臭化水素酸塩が9ページです。それから、15ページ目がメマンチン塩酸塩です。21ページ目がリバスチグミンです。それぞれの医薬品の特徴等はこちらに記載されているとおりで、それぞれ若干の違いはあります。ただ、こちらのガランタミン、メマンチン、リバスチグミンについては、いずれも医療用医薬品としても、まだ再審査期間中のものです。

 続いて、安全性に係る情報です。5ページ目にお戻りください。ドネペジル塩酸塩については、禁忌に本剤の成分等に対し過敏症の既往歴のある患者、重大な副作用としてはQT延長、心筋梗塞等が設定されているということです。禁忌と重大な副作用については、ほかの薬剤、ガランタミン臭化水素酸塩については11ページ目、メマンチン塩酸塩については18ページ目、リバスチグミンについては25ページに記載のとおりです。

 それから6ページ目、推定使用患者数ですが、認知症疾患治療ガイドライン2010等を参考にしますと、65歳以上の高齢者による認知症有病率というのが、3.8%~11%とされていますので、約132万人~383万人と推定されております。

 海外でのOTCとしての承認状況です。7ページ目を御覧ください。ドネペジル塩酸塩については、欧米6か国いずれの国においても、処方箋なしで購入される医薬品としては承認されておりません。同様に、ガランタミン臭化水素酸塩は13ページ、メマンチン塩酸塩は19ページ、リバスチグミンは27ページに記載されていますが、同様に欧米6か国いずれの国においても一般用の医薬品としては承認されておりません。

 それから、54ページからが関係する学会・医会からの見解を頂いているものです。まず、OTC化することの可否についてですが、54ページ目の日本神経学会については否、56ページ目の日本精神神経学会からも否。58ページ目、日本脳神経外科学会も否。60ページ目、日本臨床内科医会、否。62ページ、日本老年医学会、否。64ページ、日本認知症学会・日本老年精神医学会からも否という見解を頂いております。

 理由としては、認知症については医師の正確な診断が必要であること。それから、医師が患者の症状や副作用の発現状況等に応じて、薬剤の選択、用量の調整が必要であること。それから、これらの薬剤を服用する場合は自動車運転が不可になること。更には、記憶をよくする薬と誤解されて、濫用されることを防ぐことができるか、などが理由に上がっております。

 66ページ目です。関係業界として、OTC医薬品協会からも見解を頂いておりますが、OTC医薬品協会からも、OTC化することの可否については否という見解を頂いております。理由としては学会・医会とほぼ同様です。説明は以上です。

○笠貫座長

 学会からの見解以外に追加意見があったとは聞いておりません。では、湯浅委員から御意見の補足がありますので、よろしくお願いします。

 

○湯浅委員

 私もこれは否ということにしたいと思います。認知症の診断というのは非常に難しく、認知症に類似した疾患も複数あります。例えば、私の所にもの忘れを主訴として患者さんが来られた場合には、最初にスクリーニング検査を行います。それ以外に血液生化学検査をし、ビタミン欠乏症とか甲状腺機能低下症などの有無を確認いたします。それから、脳の他疾患を除外するために、やはりMRIが必要になってきます。非常に診断が難しい、類似疾患が多いということが1点。

 それから、やはり徐々にではありますけれども進行していきますので、薬を増量する、あるいは併用するということも必要になってきます。それぞれの薬を処方するときに、例えば抗アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を投与する場合、必ず心電図を撮ります。これはQT延長症候群という重篤な副作用があるからです。以上の理由によりOTC化するということに関しては、この薬剤に関しては難しいと考えております。以上です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。それでは、本剤について御意見ありますでしょうか。

 

○長島委員

 先ほどの議論にもありましたけれども、この薬は短期間、症状を緩和するというものとは全く性質が違うということで、そもそも全くOTCの趣旨に合わないということだと思います。

 

○笠貫座長

 ほかには御意見はありますか。

 

○小縣委員

 この薬の御要望があったのは一般の方ということだったのですけれども、大きな間違いが、もしかしたらあるのではないかなということで、単純に認知症が治るとか、そういう感覚を持たれていたり、認知症については本当に判断が難しいことですが、例えば介護の中で、「私は今日、出掛けたいんだけど、徘徊されちゃったら困るから、ちょっとペタッと貼っておこうかしら」みたいな、そういう感覚が一般の方に植え付けられることが怖いので、認知症の本来の症状の出方ももちろん、人それぞれによって型が違うということと、こういうお薬が、それを改善するものではないということを、しっかりと国民に周知することのほうが大事なのかなと思います。

 怖いのは、今、もちろん家族に持っている方がいらっしゃるのです。それを簡単に湿布を渡すかのように人に渡すようなことのほうが、今は私たち薬剤師としても非常に怖い。そこをしっかり説明しながら投薬していくようにしているつもりです。

 

○湯浅委員

 追加ですけれども、認知症というのは、一番多いのはアルツハイマー型認知症なのですが、幾つかのタイプがあります。混合型認知症といって病理所見が重複するものもあります。ドネペジルというアセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症には適応は通っていますが、その他の認知症にはこの薬の効果自体がエビデンスとしてありません。したがって薬を投与する際に、認知症とまず診断をして、その認知症がどのタイプに分類されるのかというところも、専門医の診察が必要になってくると思います。

 さらに、自動車免許の問題があります。この薬を飲んでいると自動車の運転ができなくなります。安易にOTC化すると、社会的にも非常に混乱を招くのではないかと考えます。

 

○笠貫座長

 頂きましたご意見の中では、否とするという意見だったと思いますが、パブリックコメントを行うに当たりまして、検討会議としての方向性ということでまとめたいと思います。認知症は医師の正確な診断が必要であるということを踏まえまして、OTC化は否とすることと判断して、パブコメに進めることで差し支えないでしょうか。

 先ほど、御意見が出ましたが、私は、いろいろなステークホルダーがいて、いろいろな考え方があって、それぞれのニーズがここで出てきて、ここでオープンに議論されて、OTC化は否ですという議論が深まることによって、逆に認知症の重要性についても、一般の国民の人たちに多く知られてくれたら良いのではないかなと思います。それでは、否ということで進めることで、御了承いただいたということにいたします。

 

○長島委員

 今の点に関連してなのですが、今後の対応の考え方ですけれども、やはり個人の方は、薬が簡単に入手できれば便利だなとか有り難いと思うのは当然のことですし、医師の正確な診断などが必要かどうかというのが分からないのも当然のことです。そうすると、やはり個人の方から、こういう薬をOTC化したいという要望がどんどんきてしまうということもあり得るので、1つは、OTC化にふさわしい薬というのはこんなものですよと、例えば要望を受ける時に、ある程度の説明みたいなものがあるといいかなと思います。

 もう1つは、それを受けたときの対応として画一的なルールを作るのはちょっと難しいと思いますけれども、ケースバイケースで少し前処理というか、ある程度、例えば事務局と座長の先生で御相談していただいて、少し対応も今後の検討課題として考えていただくと良いかと思います。

 

○笠貫座長

 この会議をこれから進めていく過程で、基準というものがある程度できてくれば、そういうことも可能でしょうし、現在の時点では、一番大切なことは各ステークホルダーから幅広く要望をというところから、まず始めたということです。今日のこの薬剤は、こういう意見でしたと、パブコメに出していただき、そのパブコメの結果を見て、その後で進め方をどうするかを考えていくということで、事務局はよろしいでしょうか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 御意見と、それから座長のコメント、ありがとうございます。また事務局としても、どうできるかというのを検討したいと思います。例えばですが、1つは、御要望をお受けしたときには、本日も冒頭、新しくきた御要望を御紹介いたしました。新しく到着したものについて、その時点で事務局として気が付いたものなどは、前さばきか前処理か、何という言葉がいいのか分かりませんが、そういったところでもう少し振り分けをしたほうがいいか、いずれにしろ事務局のほうで考えたいと思います。

 

○笠貫座長

 それでは、資料8です。イトプリド塩酸塩につきまして、御説明をお願いいたします。

 

○事務局

 それでは、資料8を御覧ください。2ページ目に成分情報を書いております。成分名はイトプリド塩酸塩です。要望された効能・効果は2種類きております。個人以外から要望があったものです。対応する医療用医薬品ですが、ガナトン錠50mgというもので、効能・効果については2ページ目に記載されているように、慢性胃炎における消化器症状という形になっております。

 3ページ目を御覧ください。この成分は消化管運動の賦活剤であり、1995年に承認されたものです。再評価結果ですが、2005年に通知されており、承認拒否事由のいずれにも該当しないとされたものです。

 安全性に関する情報です。4ページ目に記載されたような、禁忌、相互作用等の情報があります。推定使用患者数ですが、参考として一般用医薬品市場の販売金額、販売個数が挙げられており、胃腸薬全体ですと419億円、5,220万個という数字があります。

 海外での使用状況ですが、6ページ目を御覧ください。こちらは欧米等で一般用医薬品としても承認されているものではありません。ただし、同種同効薬の状況については、8ページ目を御覧ください。同種とは少し違うかもしれませんが、消化管運動の調律薬として、トリメブチンマレイン酸塩というものがあります。こちらについては、OTCの胃腸薬にも配合されているようなものです。

 それから7ページ目です。医会・医学会からの見解等です。具体的なものは11ページ目以降にあります。日本消化器病学会からの見解ですが、OTC化することの可否については可ということで、使用頻度が高く、副作用の少ない薬剤であるということが理由に挙げられております。一方で、長期間の服用を避けさせる配慮が必要であるというコメントを頂いております。

 また、12ページですが、日本臨床内科医会のほうからも、OTC化することの可否については可ということで、安全性など特に問題とは思わないということ。それから、OTCで悪心や嘔吐を抑制するものがないというところでメリットを挙げていただいております。また、留意事項については、カウンターで薬剤師が説明することを求めるというコメントを頂いております。

 それから13ページですが、OTC医薬品協会のほうからもコメント、見解を頂いております。こちらもOTC化は可と考えるということです。留意事項としては、セルフチェックシートの活用等により、適正使用を図るということ。それから、効能・効果の面で、一般用の胃腸薬の製造・販売承認基準のような範囲を参考としてはどうかといったコメントがありました。また、漫然とした使用を避けるべく、2週間服用しても症状がよくならない場合は服用を中止して、医師、薬剤師に相談することなども検討するといった記載をすべきだという趣旨だと思いますが、そういった御意見を頂いております。説明は以上です。

 

○笠貫座長

 湯浅委員から御意見、補足がありましたら、お願いします。

 

○湯浅委員

 私は学会・医会の御意見と同じで、可とさせていただきたいと思います。理由は、使用頻度が非常に高いということと副作用が極めて少ないということです。

 ただし、漫然と長期使用をすることについては、やはり避けなければならないということがあります。受診勧奨等も必要になってくると思いますので、薬剤師の方が、できれば対面で薬の御説明をしていただければと思います。以上です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。小早川参考人から、御意見、補足はありますか。

 

○小早川参考人

 本剤については日本国内で主に使用されている薬で、かなり古い薬ということです。PPIと違って作用機序が、本剤の場合は特に上部消化管の運動を改善し、胃の排泄を良くするということで、症状としては胃もたれ感といったものに、よく効く薬です。こちらの薬に関しては、PPIのような長期投与における副作用の問題等は、特に言われておりませんし、PPIのようにがんの症状をマスクするという作用も余りないのかなと考えておりますことから、かなり比較的安全に使える薬かなと思っております。したがいまして、皆様の御意見ということで、ここに書かれてあるような形で、可とすることで問題ないのかなと考えております。

 

○笠貫座長

 ありがとうございました。この成分のOTC化について、委員の方から御意見はありますか。

 

○長島委員

 医会・学会からは、長期間の服用は避けさせる配慮が必要ということですが、例えば、日本OTC医薬品協会からだと、3.その他にあるように、「2週間服用しても症状がよくならない場合は中止し、医師・薬剤師に相談する」というようなことを書くとのことですが、例えば、ここで期限を切るとして、専門家の先生から見ると、2週間という期間が適切とお考えでしょうか。

 

○小早川参考人

 一般的に胃の症状には、良性の胃潰瘍、逆流性食道炎から癌のような疾患、いろいろありますが、大抵は2週間飲んで治らないものは、やはりちょっと何かあるかなという一般的な印象はあります。

 

○長島委員

 であれば、やはり2週間服用しても症状がよくならない場合は、服用を中止し、例えば医療機関の受診を勧めるというような内容が適切でしょうか。

 

○小早川参考人

 そうですね、そういった形で余り問題がないかなと思います。

 

○長島委員

 また、意見のところで、カウンターで必ず薬剤師が説明することというような書き方になっていますが、これを実際に制度としてやる場合には、どのような制度をすれば、これが実現できるということになりますでしょうか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 まずはスイッチですので、要指導に行くということですが、要指導で薬剤師に対面で対応いただくということで実現できると思います。その後、果たして一類、二類、三類の中で、今の法制度ですとネット販売もできるという状況ですが、そこにはふさわしくない、あるいはそのときの条件設定を、その段階でもう一段、もう一回考えなければいけないところだと思います。いずれにしろ要指導にある分については、今、御指摘のあったような環境は作れると思っております。

 

○長島委員

 長期間の服用は避けたほうがいいということで、自動的にネット販売に移行できるのはやめたほうがいいのではないかと、そこには置かないほうがいいのではないかと思います。

 

○笠貫座長

 ネット販売の件については、いつも議論されるのですが、ネット販売できるという第一類に移行するかどうかについて、もう一度チェックされる仕組みはあるのですね。ほかの検討会でか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 要指導から、いわゆる一般用医薬品に移すか、そうではないかと。そうではないかというのは、医療用に戻すか、ほかにもいろいろあるわけですが、そこのところで検討と判断が入ると思います。

 

○笠貫座長

 そうですね。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 要指導にとどまるというのは、制度上なかなか難しいと思っておりますので、そこで一旦判断するのだと思います。

 

○笠貫座長

 それから、先ほどの小早川先生の話では、2週間を具体的に書いたほうがいいのではないかということですね。それと、OTC医薬品協会から、医師又は薬剤師に相談するということになっていますが、これは医師の受診勧奨という御意見でよろしいですか。

 

○湯浅委員

 恐らく、この薬に関しては長期服用しても、そんなに問題はないと思います。ただ、やはりOTC化を推進していくためには、慎重な進め方というか、手順というものが大事なのかなと思います。その意味では、やはりきちんと期間を2週間なら2週間に区切って、症状が改善しないときには医師に相談という形を明記したほうがいいようには思います。

 

○長島委員

 今の点に追加させていただくと、副作用というよりは、2週間飲んでも改善しないような場合は、何らかの重篤な疾患がある可能性があるということで、2週間服用しても改善しない場合は、やはり医療機関の受診を勧めるというのが、国民のためだと思います。

 

○笠貫座長

 協会も、症状がよくならない場合は服用を中止し、医師に相談するということでよろしいですね。特に異論がなければそれを加えさせていただきます。

 

○柿田委員

 これ、効能・効果に「胃痛」と入っているのですが、もともと「胃痛」というのは入っていませんよね。胃痛というと消化不良によるものもありますし、逆に胃潰瘍によるものもありますよね。これを効能・効果に入れてしまってよろしいのでしょうか。すみません、専門外なので分からないのですが。

 

○笠貫座長

 小早川先生、どうでしょうか。

 

○小早川参考人

 そうですね、胃の症状には様々な症状が出るわけですが、特に胃痛というところで想起されるものは、胃潰瘍とか十二指腸潰瘍といったものがあります。ただ、そういったものではない場合でも、胃痛がないのかと言われると、胃痛が出ることもありますので、この辺はどのように規定するかというのは、かなり難しいところではあるのですけれども、この辺の疾患で、そのほかの類薬との同じような形で、効能・効果を書けていければいいのかなとは思っています。一応、今の医薬品の添付文書の中では、上腹部痛という効能・効果が書いてあります。

 

○湯浅委員

 小早川参考人がおっしゃられたように、消化管の運動低下でも胃痛が起こることは、もちろんあるとは思いますが、柿田委員がおっしゃられたように、胃痛という症状は除いてもいいのかなとは思います。

 

○小早川参考人

 ちょっとうろ覚えで、余り覚えてはいないのですが、確かほかの上部消化管の「胃粘膜保護剤」とか「胃痛」という言葉が除かれたような記憶があるのです。そういった形で、別に除いても構わないかなとは思っています。

 

○笠貫座長

 ほかの薬剤では、「胃痛」を除いたものもあるのですか。

 

○小早川参考人

 今、ここには資料がないから分からないです。確かあったような気がするのですけれども、同じような形でもいいのかなとは思います。

 

○笠貫座長

 事務局でも御確認いただくことにします。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 資料88ページに、これまでのOTC2つほど、右の2つの欄ですが、効能・効果を持っているものを御紹介はしております。「胃痛」は入っているのですが、それぞれ成分は違いますので、今回の品目について「胃痛」を入れてもいいのか、除いたほうがいいのかという御議論は、プラスあるとは思いますが、一応、ほかのOTC胃腸薬の例は、ここにお示ししております。

 

○笠貫座長

 「胃痛」はどこにありましたか。

 

○医薬・生活衛生局長

 OTC2つです。

 

○笠貫座長

 分かりました。これについてはいかがですか。

 

○宗林委員

 薬剤師さんと相談するにしても、自分で表示を消費者が見ることになりますので、これはこういう症状、なるべくは差別化をして、選びやすい形の、症状の優先順位ではないですけれども、こういうときにはこういったものを飲んでみようと、そしてよくなったかなというようなことを、積み重ねていきやすくするような形で書いていただくと選びやすいのではないかと思います。全部が総合胃腸薬みたいになってしまいますと分からないので。ただ、どの症状を削除すればいいのかというのは私には分かりませんけれども。

 

○小早川参考人

 今、確認したのですけれども、セルベールというOTC薬は、「胃痛」というのは書いていないですね。ですから、そういった形で余り、本薬の作用機序からすると、なくてもいいのかなという感じはいたします。

 

○笠貫座長

 「胃痛」は取るという御意見だと思います。それでは、このパブコメに当たりまして、本会議の方向性をまとめたいと思います。長期間ということですが、2週間以上の服薬を避けること、その効果がない場合、症状の改善がないときには受診勧奨をすること、それから、効能も「胃痛」は除くことであれば、OTC化は可とすると判断して、パブコメに進めることで差し支えないでしょうか。ありがとうございます。それでは、そのような内容でパブコメを実施していただくようにお願いいたします。本日の議題は以上でありますが、そのほか事務局のほうから何かありますでしょうか。

 

○事務局

 次回の日程ですが、先に日程調整をいたしまして、次回は来年の平成31314日の15時から17時を予定しております。場所については、また別途、御案内いたします。次回ですが、本日御議論いただいた成分についてのパブコメを踏まえた2回目の検討、それから、残りの成分で準備が整ったものについて、御議論を頂くことを予定しております。御多用中のところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○笠貫座長

 これで第6回の医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

 

(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
03-5253-1111(内線 2737、4225)
 

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