ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会> 第1回国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会 議事録(2018年3月30日)




2018年3月30日 第1回国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会 議事録

厚生労働省医政局医療経営支援課

○日時

平成30年3月30日(金)16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎第5号館共用第6会議室(3階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議題

国立高度専門医療研究センターの今後の在り方について

○議事

○江口医療経営支援課長補佐
 定刻となりましたので、ただいまより第1回「国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。座長選任までの間、進行を務めさせていただきます医政局医療経営支援課長補佐の江口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。なお本日、武田医政局長におきましては、この後、冒頭から15分後に、国会対応のため中座させていただきますことをご容赦いただきたいと思います。また、椎葉大臣官房審議官が遅れてまいります。それでは、まず武田医政局長より、一言御挨拶を申し上げます。

○武田医政局長
 国立高度専門医療研究センターの今後の在り方検討会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。まず、構成員の先生方におかれましては、本検討会に御出席をいただきまして心より御礼を申し上げます。また、医療行政の推進につまして、日頃から御理解・御協力を賜っていることに対しましても、この場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。
 国立高度専門医療研究センターは、平成22年度に独立行政法人、平成27年度からは研究開発成果の最大化を目的とする国立研究開発法人へと組織を変えつつ、国民の健康に重大な影響のある特定の疾患等に係る医療に関する調査・研究、技術開発及び医療の提供等を行ってまいりました。
 急速な高齢化が進む我が国におきまして、その果たすべき役割はますます大きくなっているところでございます。この間、健康長寿社会の形成に向け、健康・医療分野における基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進と、新産業創出のための環境を整備するため、健康・医療戦略推進法が制定されたほか、国立研究開発法人日本医療研究開発機構が発足するなど、医療分野の研究開発をめぐる制度的な環境も変化をしてまいりました。
 また、「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」や「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について」において、センターの組織の在り方等についても検討するとされているところでございます。このような状況を踏まえまして、センターの役割や機能、組織等の在り方について御議論いただくための検討会を立ち上げることといたしました。
 構成員の皆様方におかれましては、それぞれの御専門のお立場から、忌憚のない御意見を賜りますようお願いを申し上げまして、開会にあたっての御挨拶といたします。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。 

○江口医療経営支援課長補佐
 次に、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。お手元に、議事次第、座席表のほか、資料1から資料5及び参考資料1から参考資料5をお配りしております。不足等ありましたら、事務局までお申し付けください。
 まず、検討会の構成員の皆様について簡単にお名前だけを御紹介させていただきます。なお、相澤英孝構成員につきましては、本日欠席という御連絡を受けております。相澤英孝構成員、大西昭郎構成員、岡明構成員、釜萢敏構成員、河村小百合構成員、神庭重信構成員、神崎恒一構成員、近藤達也構成員、末松誠構成員、祖父江元構成員、田島優子構成員、永井良三構成員、中野貴司構成員、花井十伍構成員、本田麻由美構成員、山口育子構成員、山口俊晴構成員、渡部眞也構成員、なお、畑中好彦構成員は御欠席の御連絡をいただいており、代理として、国忠聡参考人に御出席いただいております。
 次に事務局につきまして簡単に御紹介させていただきます。武田医政局長、遅れてまいりますが椎葉大臣官房審議官、佐原大臣官房審議官、榎本総務課長、佐藤医療経営支援課長、森光研究開発振興課長、岩下国立病院機構管理室長、原田地域医療機能推進機構管理室長、伯野医療イノベーション企画官、松永政策医療推進官です。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、本検討会の座長の選出についてです。本検討会の座長につきましては、事務局提案といたしましては、国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会の部会長を務めていただいている永井構成員にお願いしたいと存じますが、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。それでは、永井構成員に座長をお願いしたいと思います。今後の議事運営につきましては、永井座長にお願いいたしたます。

○永井座長
 それでは御指名ですので、座長を務めさせていただきます。是非、建設的な御意見をいただき、首尾よくこの会議をまとめたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、カメラの方は、ここで御退室をお願いいたします。まず、座長代理の選出ですが、私といたしましては、祖父江構成員にお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。
 それでは、祖父江委員、よろしくお願いいたします。一言お願いします。

○祖父江座長代理
 永井座長の御指名ですので、座長代理を務めさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

○永井座長
 それでは議事に入りたいと思います。まず、事務局より議題であります「国立高度専門医療研究センターの今後の在り方」について資料の説明をお願いします。

○松永政策医療推進官
 事務局です。資料について御説明いたします。まず、資料1を御覧ください。本検討会の開催要綱となります。2.検討事項として、センターを取り巻く政策課題を踏まえたセンターの役割、各センターの研究開発、医療提供、人材育成等の在り方、センターの組織の在り方等と、大きく整理しております。
 資料2は本検討会の進め方の案です。本日第1回については、NCの今後の在り方について自由討議をいただく予定です。第2回、第3回については5月を予定しておりますが、センターからのヒアリングの場を設けております。その後、第4回以降については、本検討会で御議論いただきたい事項についてそれぞれ深掘りをしていただき、最終的には本年10月を目途に、報告書をおまとめいただければと考えております。なお、7月には23区内のNCにおいて見学会を実施する予定です。御参加は任意となり、詳細は追って事務局からお知らせいたしますが、なるべく多くの構成員の皆様に御参加いただきたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
 資料3は、国立高度専門医療研究センターの概要になります。1枚目の日本地図に各センターの所在地をまとめております。全国に計6センター、8病院ありますが、まず、吹き出しを御覧ください。東京都23区内に築地の国立がん研究センター、国立成育医療研究センター、国立国際医療研究センターの3センター、それと小平市に国立精神・神経医療研究センターがあります。東に移りまして、千葉県に柏の国立がん研究センター東病院、それと国立国際医療研究センターの国府台病院、西に移りまして愛知県大府市に国立長寿医療研究センター、大阪府吹田市に国立循環器病研究センターと、計6センター8病院があります。
 2ページ目より、各センターの沿革・組織、設置目的等をおまとめしております。時間の関係でここでは簡単に特徴を中心に、それぞれ2つ程度抜粋して御説明させていただきます。まず、国立がん研究センターです。創設は最も古く昭和37年になります。我が国のがん対策の中核機関として設置され、中央病院で年間約5,500件の手術、1日約150人の通院化学療法を実施、東病院では陽子線治療等の先進医療やモデル的緩和ケアを提供するなど、質の高い医療の提供を行うとともに、日本臨床腫瘍研究グループの中央支援機構を担うなど、多施設共同臨床研究によるがん医療の標準化や、がん登録推進法に基づくがん登録によって収集したデータを基に、がんの死亡、罹患、生存率等について正確な統計情報を整備し、国民に分かりやすく発信する取組等を実施しております。これ以降は創設順で各センターを御紹介いたします。
 3枚目の国立循環器病研究センターについてです。年間約3,400件の重症循環器病救急搬送の受入れとか、国内有数の心臓移植症例数と世界的にも高い移植症例生存率の実績があります。2019年7月に大阪府内で移転予定で、現在その準備を進めているところです。
 続いて4枚目の国立精神・神経医療研究センターについてです。精神保健研究所と神経研究所の2つの研究所を運営しています。精神・神経疾患等の我が国の中核的医療機関としての医療の実践を担うとともに、精神・神経・筋疾患等における全ての研究ステージを実施する、総合的な研究機能を有し、例えば筋バンク、ブレインバンクなどは、質・量ともに世界的に貴重なバイオリソースの蓄積と、研究活用促進のための産官学連携体制を構築しております。
 5枚目の国立国際医療研究センターについてです。エボラ出血熱疑いの患者の受入れや、医療従事者向けの研究会を実施するなど、新興・再興感染症をはじめとする感染症対策、国府台病院においては、肝炎・免疫研究センターを整備し、専門医療を提供するなどの肝炎対策に資する取組、加えて開発途上国における医療、保健衛生の向上のための研究プロジェクトの実施や人材育成等を行っております。さらに看護大学の運営も行っているところが特徴です。
 6枚目の国立成育医療研究センターです。我が国の成育医療の中核的機関として設置され、肝移植は年間57件、生着率100%という高い成功率を有し、また希少疾患・難病の病因解明と診断法の開発を行うなど、成育医療を発展させる先端的医療研究等の推進に資する取組を行っております。
 最後に、7枚目の国立長寿医療研究センターについてです。我が国の高齢者医療の中核的機関として、健康長寿支援ロボットの開発・実証等、高齢者疾患の包括的全人的医療の提供に資する取組や、認知症、フレイル等の病態解明と新規治療法の開発や、全国の医師に研修を実施し、年間約1,500名の「認知症サポート医」を養成する等、老化の制御と老年病の克服のための新しい医療の発展の普及に資する取組を実施しております。
 次に資料4を御覧ください。資料4は国立高度専門医療研究センターのこれまでの経緯になります。平成17年度に行政改革の重要方針において、特別会計改革、総人件費改革の実行計画の中で、NCの独立行政法人化の方針が決定されました。2ページの中ほどになりますが、独立行政法人化に向け、NCに共通する役割等の基本骨格について検討するため、平成19年度に国立高度専門医療センターの今後の在り方についての有識者会議を開催し、その際、法人形態についてはNCごとに法人化する必要があるとされました。平成22年度に関連法が施行され、国立高度専門医療センター特別会計を廃止した上で、6NCが独立行政法人に移行しました。その法律附則において、この法律の施行後3年以内に、その組織及び業務については、独立行政法人として存続させることの適否も含めた検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとされております。
 次ページで、この附則等を踏まえ、NCの在り方を検討するため平成24年度に「国立高度専門医療研究センターの在り方に関する検討会」を開催し、NCの役割、組織等について論点整理を行っております。その後平成25年度に独立行政法人制度の見直しが行われ、6NCについては、研究開発型の法人とし、研究開発力の一層の向上を図る観点から、将来的には6法人の統合など国立高度専門医療研究センター全体としての組織の在り方について検討を行うとの方針が閣議決定で示されております。平成26年度においては、「健康・医療戦略推進法」や「独立行政法人日本医療研究開発機構法」の成立等、研究を取り巻く環境に大きな変化があり、現在に至っております。
 最後のページですが、そうした中、平成27年1月に総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告」を受けております。抜粋させていただきますが、「厚生労働省は、国立高度専門医療研究センターとして存続させるべきか否か、各法人を統合させるべきか否か等、国立高度専門医療研究センター全体としての組織の在り方に関して、次期中長期目標期間の可能な限り早期に検討を行い、結論を得るものとする。検討結果については公表するとともに、総務省に設置予定の独立行政法人評価制度委員会に説明するものとする」とされ、検討事項として以下の観点について留意することとされております。1.国立長寿医療研究センターについては、1)各疾患において高齢者の割合が増加しており、他の国立高度専門医療研究センターと重複する疾患が多いこと、2)では、現時点ではありますが、当時、医師主導治験の実績がなかったことを指摘されており、3)専門修練医の育成を行っていないこと、4)患者構成はほぼ近隣地域に限られていること等に鑑み、国立高度専門医療研究センターとしての機能の発揮状況。2.国立国際医療研究センターに担当させるべき疾患の再整理。3.国立高度専門医療センター間で重複する疾患の役割の再整理として、ア.国立がん研究センターと国立成育医療研究センターの間における小児がん、イ.国立循環器病研究センターと国立長寿医療研究センターの間における高齢者の心臓病、ウ.国立精神・神経医療研究センターと国立長寿医療研究センターの間における認知症、エ.国立精神・神経医療研究センターと国立国際医療研究センターの間における精神・神経疾患。4.厚生労働省所管機関の役割の再整理として、ア.国の医療政策における国立高度専門医療研究センターと独立行政法人国立病院機構、イ.感染症・エイズ・肝炎における国立国際医療研究センターと国立感染症研究所。以上のような指摘を受けているところです。
 続いて資料5です。資料5は先ほど申しましたとおり、以上のようなNCを取り巻く現状を踏まえ、NCを取り巻く政策課題を踏まえたセンターの役割、各NCの研究開発の推進、医療提供、人材育成等の在り方、NCの組織の在り方等について御議論いただき、一定の結論を得たいと考えている次第です。
 次に、参考資料1、基礎資料について簡単に御説明いたします。2から7ページまでは各センターの組織や中長期計画の概要を、先ほどよりは詳細のものを紹介しております。
 8ページは、平成22年度の独立行政法人化以降の運営費交付金、いわゆる国からの予算措置の額を示しております。独立行政法人化以降、予算額が減少しており、ここ最近は下げ止まっている状況ですが、平成22年度に比べて平成29年度は6センター合計で約100億円の減となっております。続いて10ページ目は、各センターの年度ごとの新規の臨床研究実施件数のグラフです。1部データが欠損している部分もありますが、国立がん研究センターの件数がかなりの伸びとなっています。11ページは各センターの年度ごとの新規治験実施数のグラフです。こちらも国立がん研究センターの件数がかなり伸びています。12ページは各センターごとの新規治験実施数のうち、企業主導と医師主導の割合を示しています。国立がん研究センターにおいては医師主導の件数も増えているところです。13ページは各センターごとの新規共同研究実施件数及び内訳として大学等と企業の数を示しています。一部データが欠損している部分もありますが、国立がん研究センターと国立国際医療研究センターの件数がかなりの伸びとなっています。14ページは各センターごとの英語論文数です。特徴としては、差がありますが、おおむね全てのセンターで伸びとなっています。15ページは各センターごとの知的財産取得件数です。差はありますが、おおむね全てのセンターで伸びとなっています。16ページは各センターの年度ごとの外部資金の獲得状況のグラフです。国立がん研究センターの額がかなり伸びています。
 続いて診療関連のデータになります。18ページは各センター、各病院の1日当たりの平均外来患者数をまとめたものです。全体的に患者数が増えている傾向になります。19ページは各センター、各病院の1か月当たり平均新規入院患者数となります。こちらも全体的に患者数が増えております。20ページは各センター、各病院の1日当たり平均病床利用率になっております。こちらも全体的に利用率は増えている傾向にあります。21ページは国立精神・神経医療研究センター以外の各センター、各病院の患者1人当たりの一般病棟における平均在院日数です。国立長寿医療研究センター以外は下がっている傾向にあります。国立国際医療研究センターの国府台病院については、児童精神科の平均在院日数が平成22年度から平成23年度にかけて下がっています。22ページは国立精神・神経医療研究センターのみのグラフになりますが、平成22年度の病棟建て替え後、病床の再編成を行い、地域の医療機関との連携を図りつつ、より急性期の患者さんを受け入れる方針とした結果、平均在院日数が下がっております。
 23ページは他院等からの紹介患者の割合を示す紹介率になります。こちらは増えている傾向にあります。特に国立国際医療研究センターの戸山病院においては、救急搬送患者数が全国トップクラスであり、現在100%を超えているところです。
 24ページは地域の病院に返す割合を示す逆紹介率です。国立がん研究センター中央病院と国立循環器病研究センターは減っていますが、その他は増えている傾向にあります。地域との連携が進んだことで再診患者も含めて地域の医療機関での受入れが進み、逆紹介率が上昇しております。25ページの救急患者受入れ件数は、全体的にはおおむね横ばいとなっています。
 26ページは年間の手術件数と手術1件当たりの平均診療報酬となります。一部データの欠損及び件数の取り方がセンターによって異なる取り方をしていることから、経年のトレンドを見ていただくための資料ですが、国立循環器病研究センターと国立成育医療研究センターにおいては単価が高くなっている傾向にあります。
 27ページは各センターの外来患者1人当たりの日額単価です。全センターで増えている傾向にあります。28ページは各センターの入院患者1人当たりの日額単価です。全センターで増えている傾向にあります。
 29、30ページは、国から独立行政法人に移行した初年度である平成22年度と直近の平成28年度の収支状況等を比較した資料です。事業規模を示す経常収益、経常費用は各法人それぞれ2割から5割程度伸びております。経常収益の大部分を占める医業収益の伸びは、独立行政法人化によって柔軟な人員配置ができるようになり、より高い診療報酬基準を取得できたことや、紹介・逆紹介などの医療連携の向上により新規患者の確保に努めた結果等によるものです。また、研究収益も公的競争的資金や共同研究の積極的な獲得等に努め、高い伸びとなっています。事業規模の拡大に伴い職員数や費用も増加しておりますが、業務運営の効率化を図り、法人運営に影響が生じないように努められております。例えば、国立がん研究センターでは入院期間の適正化、個室料の価格改定等により、入院診療収入の増加が図られており、また外来での化学療法件数や高額の抗がん剤の増加により材料費も増加しておりますが、需要のある時間に他部署の職員が業務支援を行う等の工夫により、人件費等も抑えられていると聞いております。
 31ページ以降は、その他の参考資料として、法人制度や関係法令を添付していますが、説明は省略し、私からの説明は以上とさせていただきます。

○永井座長
 ありがとうございました。残りの時間をディスカッションに当てたいと思います。ただいま事務局から御説明いただいた事柄について、どの点からでも結構ですので、御質問、御意見を頂きたいと思います。ちょっと歴史的な経緯ですが、法人化されたのは平成何年だったでしょうか。

○佐藤医療経営支援課長
 平成22年です。

○永井座長
 平成22年で、6年の中期計画で行って、今が2期目の3年目になりますか。

○佐藤医療経営支援課長
 はい、そのとおりです。

○永井座長
 そして平成27年1月に次期中期計画期間中に議論をするようにというのは、今のことを言うわけですね。第2期の中期計画期間中。

○佐藤医療経営支援課長
 そのとおりです。この2期目のときに結論を出すというようになっております。

○永井座長
 平成24年7月から12月に、実は似たような検討会が開催されており、私もそのときメンバーで加わっていたのですが、結論が出ないままに終わってしまったという記憶があります。どういう経緯だったのか御説明お願いできますか。

○佐藤医療経営支援課長
 当時は法律の附帯決議の中にセンターの組織及び業務について検討することとなっていたわけですが、政権が交代したこともあり、7回ほど検討して各々のご意見を単純に取りまとめたところで終わっていると承知しております。

○永井座長
 そのときの資料はこの中にあるのでしょうか。

○佐藤医療経営支援課長
 お手元の参考資料1の基礎資料の38ページに、当時頂戴した各々のご意見をまとめております。

○永井座長
 いかがでしょうか。運営費交付金が減り続けていて、スタート時点よりも100億円少なくなっていますが、これは今後の見通しはどうでしょうか。

○佐藤医療経営支援課長
 この運営費交付金は、裁量的経費という形で毎年削減をされる経費の対象になっており、本来この経費については予算要求の方針には10%削減と出ています。ここ3、4年については、財務省との間である程度、考え方の整理があり、それに基づいて要求しており、一部減らす経費として若干均てん化とかそういうものについては1%減となっておりますが、厚労省の全体の中で調整を行い、全体としてほぼ100%と、下げ止まっている状況にあります。

○永井座長
 山口委員どうぞ。

○山口(育)構成員
 先ほどの御説明の中で、資料4の最後の5ページの、平成27年に行われた勧告という所で、非常に具体的な1から4の項目の御説明がありましたけれども、この上の所を見ると、「次期中長期目標期間の可能な限り早期に検討を行い、結論を得るものとする」というのは、「今」と読んでよろしいのでしょうか。例えば今回のこの検討会で、ここに出ている具体的な1から4について、このことについて重点的に考えていくという受け止めでよろしいのでしょうか。確認をさせていただきたいと思います。

○永井座長
 いかがでしょうか。当然これは重点項目に当たりますが。

○佐藤医療経営支援課長
 この平成27年1月になされた勧告の内容についても、当然御検討いただくとともに、先ほど資料5で御説明をさせていただきましたセンターの役割、○の2つ目にある人材育成についても、御議論いただければと考えております。

○山口(育)構成員
 では、追加でよろしいでしょうか。今、申し上げたところに、国立長寿医療研究センターについて、4)に「患者構成はほぼ近隣地域に限られている」と。国立長寿医療研究センターについてはこういった記載があるのですけれども、今回お配りいただいた資料の中に、それぞれのナショナルセンターの中で、患者さんがどういう傾向があるかというのがちょっと見えなくて、例えば国立長寿医療研究センターだけではなくて、それぞれのナショナルセンターが、どのエリアの患者さんに対応しているのかとか、患者側から見える資料というのを、できれば次回以降でも結構ですので、御用意いただければなと思います。もし可能であればお願いいたします。

○佐藤医療経営支援課長
 資料を作成して、御用意をさせていただきたいと考えております。

○河村構成員
 これまでの経緯の所で、少し詳しく御説明をお願いできればと思います。資料4の中で最後から3ページ目辺りに書いていらっしゃるのですが、安倍政権になってからの独立行政法人制度の改革があったと。私もその改革に行革の立場で関わったのですけれども、このとき、独法の類型が3つできたと。中期目標管理型の法人、研究開発型の法人、それから単年度管理型の法人とできた中で、このNCについては研究開発型法人をお取りになったときの、厚労省としてのお考えを伺えればと思います。
 このNCというのは研究ということで、研究開発型法人を選択されたのだろうとは思うのですけれども、国民の目から見ると立派な病院を持っていらっしゃると。一番、各疾患の難しいところの寄りどころと言うか、国民の頼みの綱と言うか、そういう意味での立派な病院を持っていらっしゃる。その医療と研究という2つのことをお持ちになりながら、研究開発型の法人というのが選ばれて、実際にどういう運営上の工夫をされているのか、医療と研究のウエイトというようなお尋ねの仕方でいいのか分からないのですが、どのようにこれまで平成27年度、28年度、29年度の3年間やっていらしたのかといったところを併せてお教えいただければと思います。

○佐藤医療経営支援課長
 もともとは、やはり臨床研究ということで、その研究と臨床をつなげているというのが、国時代からのナショナルセンターでした。もともと独法は、3つの類型に分かれておりませんでしたけれども、中期目標型と研究開発型と単年度管理型とに分かれた中で、やはりナショナルセンターは研究開発にふさわしいということで、研究開発型法人になったと承知しています。今、河村構成員からお話のあった、研究と臨床が全体の中でどのように分かれているかというのは、各病院ともセグメントという形で、研究所は研究所、病院は病院というように分かれますので、今、ここには御用意しておりませんので、次回のときに、また提出させていただければと思っております。よろしいでしょうか。

○河村構成員
 では、資料はそのようにお願いできればと思うのですが、お仕事されているときの力の掛け方というか、何か研究と病院と診療のほうと分けて取り組めるものなのか、それともどちらかが中心か、それとも一体としてなさるようなものなのか、そういった辺りはどういう感覚でいらっしゃるのか。それは、この6つあるNCについて、大体同じ感じなのか、それとも各NCごとに少し違いがあるのかといったところも、定性的なお尋ねで恐縮ですが、教えていただければ有り難いです。

○佐藤医療経営支援課長
 センターによって若干異なるのではないかと考えています。研究を中心にやっている方もいらっしゃいますし、臨床研究ということで、病院で勤務をしながら研究もやっている方もいると、私どもは考えています。

○河村構成員
 具体的には、どちらのNCがそれに該当するのでしょうか。

○佐藤医療経営支援課長
 6センター全て、そういう形になると思います。

○河村構成員
 では、どこかの特定のNCが臨床のほうが中心でとか、そういうことでは必ずしもないということですね。分かりました。ありがとうございます。

○本田構成員
 今の御質問に関連してですけれども、その研究の部分と臨床の部分というのを今度は出していただけるということですが、その臨床の部分でも、例えばがんであっても循環器であっても、一般の病院でも臨床医療提供ということは当然やっていらっしゃるわけですよね。ですから、NCがやる臨床の部分というか、政策医療の部分とか、そういう部分をどのように考えてやっているのか、一般の病院でも普通にできるような医療をたくさんやることをどう考えるのか。例えば、患者さんが大変増えているというのは、いいことなのかもしれませんけれども、単にそういう部分で競っての医療提供なのか、政策医療としての考え方があっての医療提供なのかという点についても、考え方などを一緒にお示しいただければと思っています。

○中野構成員
 私は臨床医で、先ほどちょうど臨床研究という言葉が出ましたので、それに関してちょっと質問させていただきたいと思います。先ほど来、出ておりますように、「研究」という名称が全ての施設に付いているわけで、ただ、今日頂いた資料5を拝見すれば、各NCの研究開発の推進、医療提供、人材育成、それぞれ3つのテーマがあるわけで、これは確かに、国立がん研究センターとか国立成育医療研究センターとか国立国際医療研究センターとか、それぞれの項目によって、どれを重視するかとか、お互いにどういう相互関係があるかというのは、少し異なってくるとは思うのです。
 折しも、臨床研究法がこの4月に新たに施行されるわけで、現行のこのNCの果たしている役割というのは、臨床研究法が施行される中で指導的な立場をできるところまで既に来ているのか、あるいは今後その新たな法律のできる特定臨床研究その他を実施しながら、各地域に指導的な研究をすることももちろんですし、それに関する人材育成というのも関係してくると思うのですが、そういった方向も見詰めていく議論でいいのか、それとは切り離して考えるべきなのかというのは、いかがなのでしょうか。

○森光研究開発振興課長
 臨床研究法を所管しておりますので、私のほうから少しお話をさせていただきます。当然、臨床研究法自身は、特に医薬品ですとか医療機器の評価に当たっての臨床研究の手続きを提示した法律になります。今回、臨床研究法というのは、そういう手続きで臨床研究をやってくださいということです。私どもとしては、それとは別に政策として臨床研究をきちんと日本においてしっかりやっていただくということで推進しております。
 その中でナショナルセンターというのは、正に診療という場があって、その上に臨床研究ということをやっていただいておりますので、そういう意味では、その量というか質というか、それを高めていただくということで今まで活動してきていただいております。当然そういう意味での議論というのもあるだろうと思っております。

○中野構成員
 ありがとうございます。先ほど、医師主導治験の数が幾つぐらいとか、そういう項目も出ておりましたので、この時期に御質問しておいたほうがいいと思って、お尋ねさせていただきました。

○山口(俊)構成員
 今度、ヒアリングが2回にわたって開かれるわけですよね。今までそういうことが行われたかどうかということが1つと、そのときにフォーマットをきちんと決めて、こういう形で出せということで出ているのかということを、ちょっとお聞きしたいと思います。

○江口医療経営支援課長補佐
 まだフォーマットを提示しておりませんので、本日の御議論を受け、各センターに依頼をかけて、来月に3センターずつ来ていただくことを考えております。

○山口(俊)構成員
 と言うのは、結構今までの御質問は、こういうセンターの中で比較しても余り意味のないデータがたくさん出ていて、まず研究部門と病院部門と明確に分かれていないまま出したり、全然、性格の違う病院を出したりしているので、本田委員がおっしゃったように、ほかの、例えば民間の病院ではどうかということも含めて資料を出すようにとか、そういうことをきちんと言っていただいたほうがいいのではないかと思います。
 それから、研究の論文数なども研究者数当たりで出さないと余り意味はないので、そういう出し方はある程度こちらできちんと言って同じ形で出ないと、これは2回しかありませんから、それぞれ1回ですけれども、そのときに結局何だか資料がありませんで終わってはまずいので、その辺りを、今日できるだけ皆さんの意見を聞いて、それを受け止められるようなデータを出すようにしていただきたいと思います。

○永井座長
 毎年、評価委員会がありますので、そこでの資料をご覧いただくとか、先生から御要望のいろいろな項目について、事前に御意見を頂ければと思います。

○花井構成員
 今、皆様が言われた意見と重なるのですけれども、まず資料4の一番最後にアジェンダ的にいろいろ挙がっているのですが、やはりここでも診療機能と研究機能が混同された形で提案されており、恐らく一般的な、つまり直接関わっていない国民、私のような素人とか、そういう視点から言えば、病院としてのイメージというのは大きいということがあるのかなと思いました。
 今、散漫な議論をするつもりはないのですが、資料として、例えば病院機構であれば政策医療という観点があって、それはいわゆる非採算性のものがあって、そこについては、ある程度税金、運営費交付金で投入するという整理がありますよね。ところがNCの場合は、確かに中期目標とか年度計画で、いわゆるNCにふさわしい高度な医療を提供するということをやっていても、基本的には診療のほうには国費は入っていなくて、セグメント別に見ると研究部分には国費は入るけれど、ということは病院は、ざっくり言えば、頑張って経営して病院として黒字でやってくださいという話でしかないわけですから、診療部門に対しては、NC特有のものをやってもらうためのお金というのは、多分、整理上は入っていないです。ところが、先ほどもあった臨床研究法でも、例えば倫理委員会の体制を整えるとか、それから言ってみれば臨床研究中核病院にふさわしい機能を維持するためのお金が余分に掛かるわけですよね。こうしたものは大学であればいろいろなやり繰りをして、いろいろな形で病院の臨床研究ができるための体制を取るためにやり繰りしながらその体制を整えていると思います。
 NCの場合は、運営費交付金で見ると、研究部分では入っているけれども、余り臨床部分では入っていないということがあって、一体、国として高度専門的な医療の提供という機能と、それから研究という機能がありながら、それはどうやり繰りしているかという実態がやはり見えないと。比較としては、普通、大学病院の先生が多いので、大学病院と多分頭の中で比較すると思うのですけれども、それがNCでどうなっているかというところが分かるような形での資料が必要だと思います。NCはセグメント別に見ると診療部分には税金は入っていませんとなっているわけですよね。ですから、そういうきれいな整理の話と、それから本当の機能をどうやってやり繰りしているか。例えば具体的に言うと、臨床研究体制で、事務局に何人いて、それは給料はどう出ているからやれているとか、そういう所が見えないとちょっと分からないので、そういうことも分かる資料を作っていただきたいと思います。
 それから、これは総論としてですが、やはり研究開発をしているというイメージが外から分かりにくいということは事実だと思うので、それをいかに、AMEDもできている中で、NIHだったらインハウスの研究費を持っているわけですけれども、日本の場合はAMED自体はもってなくて、むしろそこからお金を分けてもらう側に立っていて、全体として何か日本の研究開発というのをやるという形では、NIHとは違うわけですよね。
 それともう1つは、どのナショナルセンターも、みんな保険療養上のベッドしか持っていないわけであって、そういったところもやはり研究開発法人としてはちょっと分かりにくいのだと思うので、それが今の保険療養で診るベッドで、その臨床研究、若しくはTRと言うのですか、トランスレーショナル・リサーチということがあるのですが、それはやはりそれでできるものなのか、一部、例えばAMEDのインハウス研究費を運用するような特別な、それぞれのナショナルセンターに研究・治験だけのベッドとか、そういうものがあるという形もあり得るのか、そういうところも教えていただけたらと思います。以上です。

○永井座長
 事務局から何か。

○佐藤医療経営支援課長
 今、花井構成員からご指摘いただいたような資料について、内容も含めてどのように出せるかというのを、次回までに検討したいと思います。

○永井座長
 非常に大事な御指摘だと思うのです。政策課題はあると思いますので、それを踏まえてセンターの役割をどう考えるか、それからセンターの研究開発、医療提供、人材育成、さらに組織の在り方、この辺を少し整理しながら議論する必要があると思います。それは先ほどもお話に出た研究と診療の問題、それから使命を含めた機能の問題、それとマネジメントの問題です。この辺、話が輻輳しますので、よく整理しながら在り方を検討する必要があると思います。

○祖父江座長代理
 私は、NCの評価委員会でずっと永井先生や、今の花井先生などと一緒に6年間やらせていただいて、今は中期計画の第1期から第2期に入りつつありますね。最初の頃に比べると、各評価項目に対する対応というのは、非常にいいところまで来ているのではないかと、評価の指標に対するレベルアップというのは相当図られていると思うのです。それは以前のNCのあり方委員会の議論が結構反映されてきているのではないかと、私自身は考えています。ではここで何をやるかということなのですが、第1期から第2期に入って、今後、このナショナルセンターの在り方というか、存在様式というか、何を目指すかということを、もう一回考える必要があるのではないかなと思っています。
 例えば、国立がん研究センターが評価ではトップで、いつも優等生なのですが、それでも国立がん研究センターの人からお話を伺うと、世界のトップがんセンターに比べると、やはり相当見劣りがすると。ですから、世界水準で見て何を目指すのか、研究とかも含めてですが、今後、これを更に発展させるには世界のベンチマークと比してという視点が非常に重要だと思います。ですから、政策医療とか、もちろんそれは非常に重要ですし、それからレジストリーとかコホートで、全国の状況を把握するとか、治療研究、それから地域の病院としての役割とか、いろいろな切り口で今までやってきたのですけれども、では、今後6年間で何を目指すのか。私はやはり世界水準に照らして、どれぐらいの位置にあるのかという、やはりそれを目指して何か特徴的なものだけでもレベルアップしていくという、国立がん研究センターでさえそういう状況だという話を少し聞いたものですから、それは非常に重要ではないかということです。
 もう1つは、先ほど来お話が出ているのですが、そういうことをやっていこうと思うと、運営費交付金は減らされるし、財務の在り方が、いわゆる行政役所的な枠組みの中に押し込められているので、これを研究型にどう向けていくのかというか、本当にそういうことを思って期待するということなのかどうかというところが、若干、疑問符が付いてしまう感じがするのです。片方では研究をどんどんやっていこうと思いながら、片方ではお金をどんどん減らしていくというような、非常に矛盾したやり方について、いつもその議論になってしまうのですけれども、では、そこをどう考えるのかという問題が、もう1つあります。
 それから、先ほどの問題とも絡みますけれども、大学とどう差別化して、あるべきものをやっていくときに、では、何をどうやるのか、何をミッションとして10年ぐらいの、あるいは6年ぐらいのタームでやろうとしているのかということを、やはり本格的に議論したほうがいい時期に来ているのではないかと思います。

○永井座長
 私も今の点に関して、時代が変わってもしなければいけないこと、あるいは常に基本的にしないといけないことと、時代の変化にどう対応するかという両方の視点が必要なのだろうと思います。海外の動向とか、特に今は情報化とかメディカルリサーチが大型化していて、拠点化をどうするかとか、あるいは大学と公的研究機関の関連とか、人材育成をどうするかとか、いろいろな問題があろうかと思います。末松先生、その点いかがでしょうか。

○末松構成員
 先ほどからデータとか全体部分の把握のことがありましたので、若干、ファクトデータで御紹介したいことがあります。AMEDは発足から3年がたちまして、2,000数百課題の採択課題の詳細なデータベースをほぼ構築しています。採択率がだいたい15%ですので、応募総数の15%にあたります。それによると、研究開発費のうち競争的研究資金に当てられているもの、つまり、それぞれの努力で獲得している金額の大きさの規模感を単純に申し上げると、6つのナショナルセンターの採択課題の合計金額が大体、東大と同じぐらいです。平成28年度で東大は111億円で、ナショナルセンター6つを全部集めると、大体106億円です。以後、ランキングは京都大学、大阪大学とつながって、ナショナルセンターを全部集めると、大体、東大の次ぐらいの金額です。
 我々が把握できていないのは、先ほど御指摘のあった運営費交付金の部分です。運営費交付金のうち、いわゆるR&Dに関わる部分、特許や知財の維持に関わるお金、それから研究開発で何年もの間特定の疾患の患者さんの経過を追い掛けるコホートの研究やデータベース、バイオバンクなどの維持に必要なお金というのは、競争的研究資金からほとんど出ていません。これはナショナルセンターが相当血のにじむ思いをして、運営費交付金その他のいろいろなお金をやり繰りしながら、ぎりぎりで維持をしているというのが現状だと思います。
 この運交費の使途の詳細はともかく、NCにおけるR&Dに関わる運交費がどれくらいの規模感なのかを我々は把握する手立てがありません。もしそれをNC等の研究機関と情報共有をできれば、AMEDが把握するdataと相互に共有して公的資金のさらなる有効活用に貢献できるのではないかと考えています。
 したがいまして、この委員会でもしお入り用なことがあれば、競争的研究資金のフラクションに関しては、マクロな情報の御提供やファクトデータを可能な限り厚労省の方々、事務局と共有をして、議論の深化に御協力させていただきたいと考えております。以上です。

○永井座長
 ありがとうございました。ちょうど運営費交付金が100億円減って、AMEDから100億円、外部資金が導入されているという計算になるのです。企業からの研究費、あるいは共同研究の額についての推移はいかがでしょうか。

○佐藤医療経営支援課長
 資料の中に出ていないので、次回に提出したいと思います。

○永井座長
 マネージメントという意味で、ここも大事な視点だと思うのです。もちろんAMEDも大事ですけれども、それ以外の外部資金をいかに導入するかという努力が求められるということだと思いますが、いかがでしょうか。

○渡部構成員
 医療機器の立場でお話をしたいのですけれども、次の6年間で何を目指すか、やはり世界水準を目指していくということで、医療機器、医工連携、産学連携という視点でも、そういう期待というのは非常にあります。今、産学連携、例えば国立がん研究センターで言うとNEXT棟があったり、それから国立循環器病研究センターも新しく「健都」という形で活発にやっておられるということで、非常に一定の評価はできるのですけれども、やはり医療機器のイノベーションというのは、世界で通用するイノベーションということを目指していく、それをナショナルセンターにリードしていただきたいという思いが、やはり我々医療機器の立場ではあるということです。
 例えばアメリカなどを見ますと、クリーブランドクリニックなどは、非常にゲーム・チェンジャーのイノベーションを積極的に取り入れている例だと思っています。例えば毎年10月にイノベーションサミットというものがあって、世界中から2,500人ぐらい来て、GEなどでもCEOがプレゼンするということで、非常に活発にイノベーションを拾っている、それから育てているということで、我々も日本の企業として、そういう所にチャレンジしようかなと思っています。是非、そういったレベルの役割を担ってほしいという期待があります。
 ですから、そのためには、いろいろなナショナルセンターが世界のイノベーションをリードしていただけるということの議論を、是非していただければと思っています。それから企業からのいろいろな資金というのも、そういったコンテキストの中でエンカレッジされて、お金を出して一緒にやりたい、やっていくというような形になっていくと、非常にwin-winになっていくと思っておりますので、是非そんな議論をしていただければと期待しております。

○永井座長
 その産学連携の在り方のときの窓口ですが、6つのナショナルセンターそれぞれと交渉するのがよいのか、共通の窓口があったほうがよいのか、どちらが産学連携を進めやすいとお考えですか。

○渡部構成員
 それはクリーブランドなどの例ですと、やはりテーマが非常に多岐にわたっていまして、それぞれの専門分野のテーマというのもありますし、あるいは横断的なテーマ、例えば今年の10テーマという中で、アフターサージェリーのクオリティを上げていくためにはどうするかとか、遠隔医療を次どうするべきかとか、割と横断的なテーマと両方混じっています。ですから、その6つが、ある意味ではともかくどういう形であるにせよ連携していただきたいという期待はあります。ですから、先生の質問にはYesとNoと両方混じっているということです。

○釜萢構成員
 2点申し上げたいと思います。まず1点は、ナショナルセンターができたときに、例えば国立病院機構のように全体でやるということではなくて、独立採算で一つ一つ独立にするということで始まったわけですが、検討の中では、場合によってはナショナルセンターを一体的に運用というような意見も出てきています。それはそれぞれ利点と欠点があるだろうと思います。今後それをどのようにしたらいいかということも考えて、しっかりとそれぞれのナショナルセンターが運営しやすいようにすべきであろうと思います。そのところの検討が必要なのかと思っております。
 もう1つは、ナショナルセンターの大きな役割であるところの人材育成について、これはどのように評価するかなかなか難しいので、今日の資料の中には余りそれに関するものは出ていなかったと思いますが、私の個人的なところでは、ナショナルセンター出身、あるいは、そこに勤めている方々が非常に活躍しておられることを身近にたくさん知っております。人材育成に関して、どういう役割を担うか、大学とどこがどう違うかということについて整理ができるといいと思っております。以上です。

○永井座長
 今の連携の問題というのは、人事とか予算は、これは6つのナショナルセンターは別ということでよろしいのでしょうか。

○佐藤医療経営支援課長
 人事については、一部、人事交流を行っております。これはナショナルセンターのみならず、国立病院機構との人事交流等もやっております。

○永井座長
 あと、6つのナショナルセンターの連絡会議、あるいは調整会議は必要ないのでしょうか。プロジェクトも重複することもあると思いますが、その辺の調整というものはどういう仕組になっているのでしょうか。

○佐藤医療経営支援課長
 6つのセンターの理事長会議が年4回ほど行われております。事務方の総務部長たちの会議も年6回程度行われている状況です。

○永井座長
 岡構成員、どうぞ。

○岡構成員
 東京大学の岡でございます。私自身は小児科医ですので、直接的によく存じ上げているのは成育医療関係ということにはなりますが、この検討会での課題として資料5にも、先ほどもお話がありました様に医療提供と人材育成のの2点が挙げられているわけです。先ほど頂いた資料にある、医療提供についての資料は、例えば平均在院日数とか外来患者数とか、それこそ私たちが病院でいつも経営面で検討している数字が多くなっています。、これからヒアリングがあると思うので、その際にどういう点をプレゼンしていただくのかということを少し考えていただいたほうがよいと思います。経営効率の話というのはそれはそれで多分各病院は努力されていると思いますが、どういった医療をされていて、それが世界的にはどういうプレゼンスになっているかという先ほどお話がありましたけれども、やはりそこはすごく大事ではないかと思います。私が聞いたところでは、国立成育医療研究センターは確か去年の世界のベスト小児病院のリストの中に入ったということを関係者が喜んでいると聞きましたけれども、そういったような指標があるのかどうか、全部の領域で分かりませんけれども、そういったような視点がやはりすごく大事ではないかと。どういった医療を特色として、それが世界的にどう評価されているかということを、是非ここの会議で教えていただきたいと思いました。
 あと、ただいまの御質問にもあったように、人材育成に関しても、今回の資料の中に特に人材育成に関する資料はありませんでしたので、人材育成ということで、どういった点を各施設が大事にしているのかというようなことを、例えば研究者のプログラムとか、臨床面で言えば、何らかのコースを準備しているとか、それが大学との間で人事交流をして、例えば、ある全国の大学からそこで何年間かレジデントをやって、それでまた戻っていって、全国的なその領域の水準を上げているとか、何かそういったような工夫をされているのかといったことを是非教えていただくと、ナショナルセンターとしての何か役割というのが見えてくると思いますので、是非、お願いしたいと思いました。以上です。

○祖父江座長代理
 お願いなのか、質問なのか分かりませんが、先ほど、国立がん研究センターの話をしましたけれども、国立がん研究センターがいろいろな点でうまく回っていると思いますが、病院と研究とが非常にリンクして、かつ全国ネットでビッグデータを解析できる方向に今向かっていると思います。それは、なぜやれているのかというと、一つのベースはがん特例法という法律があるのです。ですから、全国の癌拠点病院からそういう非常に重要な情報が国立がん研究センターに集約されているという状況があって、先ほど、永井先生もおっしゃいましたが、今後のビッグデータ解析という点から考えると、国立がん研究センターはひとつ非常に優位な立場に、今立っていると思います。ほかのナショナルセンターは、循環器も今、法律化を目指していろいろやろうとしていますが、なかなかうまく行っていません。法律化ということが、イコール研究の推進や診療の推進になるかどうかは、ちょっとはっきりしない点もあるのですが、やはり国としても、ネーションワイドで何か研究なり、診療なりのベースを作っていくという観点に立つと、何かナショナルセンターがやっているある特定の疾患については、そういう少し法律とまではいかないかもしれませんけれども、全国ネット的な枠組みを作っていくということが、今後、非常に重要なミッションになるのではないかと思います。
 厚労省の今後の計画として、そういうものをどういう位置付け、どう考えておられるのか、どのような方向を考えているのかということを、今後、これも議論の1つにする必要があるのかどうか分かりませんが、いつも私はそういう感想を持っておりますので、触れさせていただきました。

○永井座長
 末松構成員、どうぞ、

○末松構成員
 連携とか、データの共有に関して、私どもも3年間の経験ではありますけれども、やはりここで記録に残しておいていただきたいことがあります。データを集めて統合的に理解するのに何が一番妨げになっているかというと、人間の特性でありまして、研究者がデータを出さない、これに尽きると私は思っています。ナショセンの在り方を考える上で、データの共有ができれば、ロケーションがそのままでも、かなりのことが解決できるのではないかというのが私どもの考えであります。
 実際にあったことですが、NCで運営するあるプログラムで、医学部の附属病院にご協力いただいてデータをNCに集めるときに、何が一番苦労するかというと、「何で我々の大学の集めたデータを、NCに持っていかなければいけないのだ」というところから、まず、始まります。協力していただくことを採択の条件にすると言うと、渋々とは言いませんけれども、やっとそれで協力してくれるというのが、日本の現状です。さらに言えば同様のことが海外でも起きていてアメリカのNIHでもデータシェアリングが大変困難です。データ共有が大事だと言っている国はたくさんありますが、実際にそれがうまくいっている国は非常に少ない。そのような中で、NC同士の連携は極めて重要なしくみと言えます。例えば国立成育医療研究センターのイニシアチブ、あるいは国立精神・神経医療研究センターのイニシアチブで、難病の患者さんのデータを集めるというところに関しては非常に協力的にやっていただいており、大学病院のレジストリがサイロ化する中で、国内外で汎用されるレジストリの構築にも大きな貢献をされています。
 それから、例えば国立長寿医療研究センターですが、「オレンジレジストリ」の施策として粒度の高い臨床情報の入ったレジストリを、名古屋地域で非常に頑張って構築を進めているところです。しかしここで何が障壁になっているかというと、文科系と厚労系のそれぞれの予算でサポートされてきた全国に散在している個々のコホートが、協力関係ができていないというところが問題と考えます。これから全世界で必要とされるプレクリニカルの認知症レジストリの構築に、それぞれのローカルなプロジェクトがどう貢献する必要があるか、真摯に考える必要があります。Preclinical registryが重要だということは、みんな分かっているのだけれども、異なるステークホルダーが共通のフォーマットでデータを集めることができない、そして、データを出した者同士が共有できないという状態が続いています。これは厚労省だけではなくて、文科省の協力ももらいながら、AMEDがファンディングルールの力で誘導していかないと、なかなか解決ができないのではないかと思います。NCの使命は省庁を超えた連携を社会実装することも見据えるべきと考えます。

○永井座長
 では、国忠参考人、続いて、本田構成員にお願いいたします。

○国忠参考人(畑中構成員代理)
 製薬協から来ました国忠と申します。今、レジストリとか、ビッグデータのお話が出ていましたので、その辺に絡んで私たちの製薬業界の考え方を少し御紹介いたします。
 今、開発経費がものすごく掛かるということから、レジストリ、ビッグデータをどうやってうまく使えば効率化になるのだろうというのを、業界としても考えておりますけれども、ナショナルセンターで、いわゆるクリニカル・イノベーション・ネットワークを中心に動かしてくれているセンターがほとんどです。ですから、今、御紹介があった国立がん研究センターとかは、非常に良いレジストリを持っていて、実際に製薬企業とタイアップして、例えば、確か国立精神・神経医療研究センターだったと思いますが、一緒にレジストリを使いながら薬を開発しようということを共同研究しているはずなのです。そういうことで、ナショナルセンターに対する期待というのは私たちはものすごく大きい、どうやってレジストリを使って薬の開発ができるかということを、実際に企業も参加して一緒にやらさせていただきたいと思っています。そのためには、やはり企業もお金を出さなくてはいけないというのもありますし、あるいは、クリニカル・イノベーション・ネットワークでレジストリがしっかりできているのであれば、それをどう利用させていただくかということでも、企業はお金を出します、出しますと偉そうなことは言えないですけれども、そういうことで協力させていただきながら一緒に動いていかなくてはいけないと思っています。
 1つ、希望としては、先ほどの最初のほうで、ヒアリングのフォーマットがまだ決まっていないとおっしゃっていましたけれども、レジストリ、それからビッグデータ、あるいはクリニカル・イノベーション・ネットワークに絡んで、どのぐらいのことを各ナショナルセンターがやられていて、それが実際にどのぐらいの実用性に近いのかという辺りを、もし御紹介いただければ、私たちは大変有り難いと思っております。その辺、よろしくお願いいたします。

○永井座長
 今、お話にあったような臨床研究体制、支援体制、運営体制というのは、ある意味では、各ナショナルセンターに共通の課題です。こういう課題をもう少し規模を大きくして、窓口を一本化したらいかがかと思います。それぞれで実施する部分と、人材育成などは共通して行ったほうがよいようにも思うのですが、そういうことについてはどのようにお考えでしょうか、製薬協として、今の窓口でよいのかということですが。

○国忠参考人(畑中構成員代理)
 一本化されるのは、いいことだろうと思います。ただ、現在のナショナルセンターというのは、それぞれ得意領域が別々ですので、そういう意味では、必ずしも一本化していなくても、個別にも対応していただければいいのではないかという気もします。YesでもNoでもない答えですけれども、そのように思っております。

○本田構成員
 ちょっと視点が違うのかもしれませんけれども、先ほどのレジストリの話もそうですし、疾患とか、そういう医療連携を推進するための法律にしてもそうなのですが、いずれにしても、患者、国民の協力とか理解、支援というものが必ず必要になってくると思います。そういう中で、ナショナルセンターが今後、どこを目指すのかという議論について、私は実は平成19年の、そもそもNCにするときの委員会に参加していて、一体どこを目指すのかという議論に参加させていただいていたのですが、そのときにも、世界に通用する研究をやっていくべきだという議論もありましたし、もちろん、みんなそうだと思っていました。けれども、一方で、今後、患者、国民に理解してもらわないといけないという視点からすると、医療提供の在り方、特にほかの民間病院ではなかなか診ることができないような難しい病態とか、そういう医師の政策的な医療、もちろんレジストリとかも政策医療だと私は思いますが、例えば、がんで言うと、最近は動きはありますけれども、希少がんとか、原発不明で、どこの病院でも、さじを投げられてしまうような患者さんとか、がんしか具体的には言えませんけれども、そういう部分をしっかりNCが担うのか、若しくはNCは基本的に世界に通用する研究開発に特化していくのだとするならば、そういう患者さんはどこが診るのかということまで、しっかりしたものを示していかないと、結局、国民の不安や不満になってしまうと思います。例えば、昔、国立がん研究センターが、がん難民を生んでいると言われ、大きな運動になりました。今後、世界の研究開発につなげていくためのレジストリとかも大事ですが、そういうものへの理解・支援を十分、国民から得られるのかなということもちょっと感じます。もちろん私は世界に通用する研究開発を担っていけるようなNCになるということは反対ではありませんが、こうした部分もしっかり議論していただきたい。今、現状として、各NCはその辺をどのように対応しているのか、連携というのは何ができているのか、そういうものもしっかり出していただきたい。患者さんが増えているからいいという問題ではないと感じています。

○永井座長
 神庭構成員、お願いいたします。

○神庭構成員
 精神医学を専門としている神庭と言います。6つのナショナルセンター間の連携ということで、常々私が感じていることをお話したいと思います。精神・神経疾患の中には、児童・思春期の神経発達障害と、老年期の認知症研究を外から見ていると、いろいろなナショナルセンターで行われていて、果たしてナショナルセンター間で連携がうまくいっているのか、あるいは、個別に研究しているのか、だとすれば、無駄も多いでしょうし、効率も悪いと思います。国立精神・神経医療研究センターの中でも、神経のグループと精神のグループの間でも、それは同じようなことが言えると思います。近接領域で似たような研究をしている部署が、今後どうすれば効率よく、より高い成果が得られるかということを是非話し合っていきたいと思います。

○永井座長
 近藤構成員、どうぞ。

○近藤構成員
 PMDAの近藤と申します。昨今、日本における、世界における立ち位置を眺めてみると、発明・発見も非常に多いし、それから、医薬品・医療機器・再生医療等製品も、新しいものが日本から次々に出てくる状況にあって、この世界では日本の評価は高い。そういう流れの中で、一方に於て日本の医療ということについて、世界の中でどのように見られているのか見てみると、今一つ我々が思う以上に評価が高くはない。そこで改めて日本の医療体制の中でのNCの在り方というのを考えていかなければならないだろうと思います。
 本検討会で議論していただきたい内容ということで挙げられているのを拝見しますと、特にナショナルセンターについて考えてみると、国立病院とどこが違うのかと言われたときに、どれだけの強い答えができるかどうかとなったときに、現状では、やはり躊躇せざるを得ないだろうと思います。恐らくNCは、臨床研究が中心だろうと思いますが、いかにNCが日本全体をお世話するような役目で統括をするべきではないかと思うところです。既に御存じのとおりクリニカル・イノベーション・ネットワーク(CIN)というのがありまして、臨床研究中核病院もさることながら、日本中のいかなる疾患についても、レジストリーを作って臨床研究をまとめていこうという流れがあることは存じ上げておりますけれども、これを更に強化する必要があるだろうと。各ナショナルセンターには、それぞれの所掌分野でレジストリーを作ろうという流れがあるし、そのレジストリーをパブリックな形で集めていただくということをしっかりやっていかなければいけないのかなと思っているところです。
 大学の役目と、NCの役目はどこが違うかというと、大学は医学教育を行うことを前提に医療現場を持って、基礎研究、臨床研究を行っているわけですが、NCの役目は、医療現場を持った臨床研究が大きな役目かと思います。特に日本が今一番どんどんやってほしいのは、日本列島を統合された形で臨床研究を推進することなのかと思いますし、日本中のいろいろな大学も含めた臨床研究を、是非ネットワークをうまく組んで、まとめ上げられるようにやってほしいと思う所です。例えば、国立がん研究センターが敢えてがんの患者を全国から集めて一人浮きする話ではないということです。国立がん研究センターを例にとれば、全国のがん患者さんのレジストリーを正確に行い、それを全国のがんを治療している病院に情報交換を行い、統合された情報から臨床研究などを様々な形で組み立て成果を公表し、逐一、未来に向かったがんの診断治療のガイドラインなどを共同で作る作業のお世話する組織となることと考えます。一方、現状各NCがひとつのナショナルセンターして組織統合して一本化をめざすべきか、6つのナショナルセンターでそのまま維持するのかは、皆さんにこの会で御検討いただくのだろうと思いますが、やはり外から見たときにナショナルセンターというのはインテグレーションされたものでなければならないであろうと思うわけです。ですからファンクションとしては、それぞれ別かもしれませんが、機能的には統一された何らかの形を作ってほしいという気がします。いずれにしろ、世界中から見て、日本はこういう臨床研究をやっているのだと、こういうところが世界をリードしているのだと見せられるようなことを意識して、クリニカル・イノベーション・ネットワークなりをしっかり運営していただきたいと思うところです。以上です。

○永井座長
 ありがとうございます。大西構成員、どうぞ。

○大西構成員
 いろいろな観点のお話があったのですが、人材育成という項目の中に関して、今の近藤先生のお話にも関係するのですが、例えば臨床研究の専門家、臨床研究をどのように組み立てて、どのように診療現場と連携し、かつ企業と連携をし、かつ研究を進めていく、又はデータの共有化も進めていくといったようなことについて、十分なその知識を兼ね備えて持っておられる方というのはなかなか実はいらっしゃらないような気がするのです。先ほど臨床研究の法律を作られたというお話もありまして、その部分についていろいろな検討が進んでいると思いますが、非常にたくさんのルールがあることも事実ですし、場合・場合でいろいろなことに配慮しながら組み立てていかなければならないということも現実だと思います。したがって、例えば人材育成の在り方を取っても、そういった分野に非常に見識の深い方々をNCの中で育てていただくということができれば、それも一つあるかと思います。研究開発の変容、時代によって変わっていくというお話もありましたし、医療そのものも時代によっていろいろ変わっていくと思いますが、そういったことに関しても先進的な知見を持っておられる方がNCには多くいらっしゃるということも、1つの望むべき姿なのかなと感じた次第です。
 こういったことに関しても、できれば、先ほどのヒアリングされる中で、それぞれのセンターがどのような考えをお持ちなのか、構想、願望をお持ちなのかということについても聞いていただくということも入れていただきたく思います。

○永井座長
 河村構成員、どうぞ。

○河村構成員
 いろいろ先生方のお話を伺っていて、6NCがある中で、それぞれ違う中で、いろいろな論点があることが少しずつ分かってきたような気がします。考え方についても、ナショナルセンターは6つとしての連携的な論点もあり、だけれども、特に国立がん研究センターということなのでしょうか、世界に通用するようなところで、いろいろ目指してやっていくべきというお考えもあるということであり、では、そのように考えていったときに、今回の資料5の「御議論いただきたい事項」という中には明確には書いていらっしゃらないのですが、国としても独法改革のときに、世界に通用する研究ができるようにということで、独法類型を3つに分けた中でも、研究開発法人の中でも特定研究開発法人というのをつくっております。それは今のところ、まだ3つで、理化学研究所と産総研と物質・材料研だったと思いますが、厚労省の所管はないですけれども、例えば、6つのナショナルセンターの中のどこかがその特定研究開発法人を目指すというようなことも、1つ検討の対象に入ってくる可能性はあるのでしょうか。これは多分、次回以降の各ナショナルセンターからのヒアリングということになると思いますが、そういうことが選択肢としてあり得るのかというのは事前に伺っておいたほうがいいと、今日、いろいろ伺っていて思ったものですから、そこまでは考えていらっしゃらないという感じですか。

○佐藤医療経営支援課長
 今の河村構成員からの御意見について、私どもは6センターのうちどこかを特定研究開発法人にするという御意見があったようには聞いていますが、最終的にそこまでという感じにはなっていないということではないかと思います。

○永井座長
 国立がん研究センターに特に国際化を目指してほしいではなくて、日本でトップクラスにある国立がん研究センターですら国際的に見るとまだ課題があるということで、6つ全部目指してほしいということですね。

○佐藤医療経営支援課長
 そうです。

○永井座長
 ほかにいかがでしょうか。

○田島構成員
 政策評価でも検討を求められている、法人の統合について関心を持っております。例えば、一例を挙げると、今、地方銀行の統合ということが推奨されておりまして、幾つかのモデルケースが出てきておりますが、どれについても大なり小なり統合効果が出ておりまして、ある一定以上の規模になると、その規模の利益によって経費率が下がって、利益を出しやすくなる体質に転換できるということがあるので、ナショナルセンターについてもそういう一般の企業の例に倣って、統合ができるものなのか、できない何か問題点があるのか、問題点があるとすれば、その理由は何なのかということについても検討を進めていただければと思っております。

○永井座長
 これはかなり大きな問題ですので、じっくりいろいろな角度から議論が必要だろうと思います。

○中野構成員
 今までの議論で、余り取り上げられなかったということなので、1点申し上げたいことがあります。私は今は大学の小児科におりますけれども、前職が国立療養所、国立病院機構におりました。そのときに国際医療協力ネットワークというのを国立国際医療研究センターと組んでいて、私は三重の地方におりましたので、私どもはいろいろなことを一緒にさせていただいていたのですけれども、6つのナショナルセンターを拝見して、先ほど来、がんのお話とか、いろいろ高齢者のお話や、小児の成育のお話が出てくるわけですが、5つのナショナルセンターが疾患とか、年齢対象、特異的に名前が付いているのに対して、国際というのは非常に分かったような分からないようなと言ったら叱られますけれども、どう定義付けしていいのかというのがすごく難しいところがあると思うのです。先ほど来も研究の話とか、人材育成の話とか、本来は国立成育医療研究センターとか、国立精神・神経医療研究センターとか、ナショナルセンターの名前に付いたことに特化した研究なり人材育成なりというのが本来与えられた使命なのでしょうけれども、では、それを国際ということに当てはめると、非常に難しいものがあるでしょうし、逆に救急車をたくさん受け入れたりとか、短い入院期間で済む疾患をたくさん扱えば、そちらのほうの病院としてのいろいろな指標の評価は上がってくるわけですので、もしかすると、6つのナショナルセンターの評価、今後のことを検討するということにおいても、全てが同じ物差しとか、同じレベルでは論じられない点もあるのかと思って、1つ問題提起をさせていただきます。

○永井座長
 今までは研究の在り方について御意見をたくさん頂きましたけれども、病院の在り方はいかがでしょうか。マネージメントについても別の視点から議論が必要なのだろうと思います。そもそも病院が独立採算でやっていけるかどうかという資料も、これからは必要ですので、お見せいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○末松構成員
 病院のことに関する視点で、1つ指摘しておきたいことがあります。私は前職で私立大学の人材をナショナルセンター等に派遣する立場におりました。例えば国立がん研究センターがチャンピオンナショナルセンターかというと、病院の機能を考えた場合に、大変、御苦労されています。人材育成の話なのですが、医学部を卒業した人材が、国立がん研究センターの麻酔科とか集中治療とかに行きたいかというと、Cardiovascularの症例はほとんどありませんから、行ってもあまり修錬にならないのではという本音があります。一定期間、Cardiopulmonaryのacuteの急性期の医療を経験した人間でないと国立がん研究センターには行けない。同じような人材育成上の障害は、ほかのNCにもいろいろあるはずで、つまり、それぞれのNCの病院の人材を確保して育成するという視点で何が障害になっているかをつまびらかにして、むしろこういうところで苦労しているのだということをこの会議体ではっきり出していただいたほうがよいのではないかなと思って、ちょっと問題提起をさせていただきました。

○永井座長
 それは私もいろいろ経験があります。国立がん研究センターでも大動脈の手術を一緒にすることが必要ながんの手術はできないわけです。それから、最近は糖尿病や循環器の疾患を持ったがんの患者さんが必要です。がん患者における総合診療は1つの専門領域として、育ちつつあると思うのです。ただ、どのセンターも領域横断型の診療医の確保には相当苦労されていると思います。特に専門医制度が始まったときに、本当に求心力を発揮できるかという状況も、ちょっとお聞きしてみたいと思うのですが。

○山口(俊)構成員
 今の点で、がんの専門病院というのは、私の所もがんの専門病院なのですが、昔、がんの治療は非常に特殊なもので、余り一般的でなかったので、特殊な病院としてがんの専門病院ができたと思うのです。今、御指摘のように、最近いろいろな合併症を持った人が増えていますので、むしろがんの専門病院であることがマイナスというか、マイナスの面があることも事実です。逆さまに、がんに余り特化していない病院で、いくら循環器があっても、高度のがん治療ができないという病院もあることも事実です。そういう意味では、国立国際医療研究センターも総合病院ですよね。例えば、あそこに国立がんセンターの病院部門を全部移してしまっても、本当は理想の運営ができる可能性もあるのではないかと思います。大きな枠組みの変更ということも考えるべきだと思うのです。がんの専門病院の総合病院化というのは極めて大きな問題で、それは誠に時代の要請に合ったものですから、今のままの形でずっと残るというのはやはりおかしいと、私たち自身も思っています。

○祖父江座長代理
 病院の関連で一言だけ、ちょっと感じていることなのですが、がんの話がたくさん出てきているのですが、国立がん研究センターは教育などは置いておきますと、一応がんというミッションに見合った患者さんが入って、臨床研究もやり、研究もやりという、非常に好循環の流れになっていると思うのです。しかも、全国から患者さんがここで治してもらおうということで、非常に特化した病院としてやっていると思うのですが、例えば国立長寿医療研究センターの病院は、認知症、フレイルを扱っているわけです。それは全国から患者さんがここで診てもらいたいと思って来るかというと、なかなか難しいと思います。だから、先ほどあったように、大府市の地域の病院になってしまっている面があると思います。入っている患者さんについても、ミッション性のない患者さんでは利潤がむしろ上がっていることもあると思います。
 同じ問題は、実は他のNCにもあると思うのです。ですから、各病院は1回、これを洗い直して、ミッション性とは何ぞや、各センター独立採算といった場合に、これは医療費が一番大きなソースになるわけですが、独立採算をずっと突き詰めていくと、ミッション性でない患者さんをどんどん入れて、黒字にしているという面も否めないと思います。ですから、このナショナルセンターの附属病院という考え方をもう一回、整理する必要があるのではないかと思っています。非常に順行性に動いている病院が幾つかあります。だけど、それがなかなかうまく動かなくて苦労しているというナショナルセンターも幾つかある。その辺をもうちょっと整理して、病院の在り方というのは非常に大きなテーマだと思います。もっとたくさんの社会的な位置付け、あるいは国民に対してどうするかとか、いろいろなテーマがあると思いますが、今、私がちょっと触れたような観点も非常に重要ではないかなと思っています。

○神崎構成員
 杏林大学の神崎と申します。今のお話を聞いていて感じることがありましたので発言いたします。私は国立長寿医療研究センターの人間ではないのですが、確かにローカルな病院になっていることは、恐らくはそうではないかという気はします。ただ、そこにはいろいろな問題があるような気がしています。例えばですが、もちろん研究と直接結び付く診療を行うべきだとは思うのですが、一方で独立採算ということで、病院を黒字経営しないといけないという現実もあって、そういった中で、先ほどもちょっと言葉が出ましたが、例えばフレイルであるとか、認知症はそうでもないですが、そこに高い診療報酬がないという現実を鑑みた際、現実的には別のところで稼がざるを得ないという、病院としての事情も当然あるのではないかと思います。がんであったり、循環器であったり、高い診療報酬がつく疾患は診る病院と、それぞれのナショナルセンター病院としての性格の違いは当然あり、そこのところはヒアリングで、きちっと話を聞くべきだと思います。先ほどもお話がありましたように、頑張っていますという話だけではなくて、どう困っているのかというところも、意見としてきちっと聞いておく必要があるのではないかと思っております。以上です。

○永井座長
 ありがとうございます。ほかに。

○岡構成員
 東京大学の岡でございます。先ほど国立がん研究センターで心血管の患者さんがなかなか診られないのではないかといった難しさの御指摘がありましたが、例えば国立がん研究センターにも小児がんの部門があって、国立成育医療研究センターにも小児がんの部門があります。私は同じ東京都内で診療をしていて、それぞれ特色があるのではないかと思っていますし、確かに国立成育医療研究センターのほうが小児の集中治療が可能ですので、同じ小児がんの患者さんが非常に重症になった場合に、小児のintensive careでもできますしと、そういう特色があるのかなと思います。ただ、一方では、国立がん研究センターにはまたそれぞれのスペシャリストの外科系の先生がいらっしゃいますので、例えば眼科などでも非常に特色のある小児がんをされて、全国から患者さんが集まっているかと思います。
 そうしますと、ナショナルセンターで1つのピースをここだけというようにはなかなかしにくくて、特に小児の場合には、年齢という横軸と疾患という縦軸があるので、そこを両方、ある程度重なるような形でナショナルセンターの中に配置しておいていただかないと、例えば国立がん研究センターの中に小児部門はなくていいのかというと、私はまたそれはちょっと違うような気がします。つまり、がんの国の施策の中心の病院に小児がんがないと。一方、小児の中心の病院に小児がんの部門がないということは、もちろんあり得ないわけです。ですから、その辺りをどのように整理していったらいいのかというのは、恐らくまた御説明いただけるのだと思いますが、その辺りを今後この会議で聞かせていただいたらいいかなと思います。ただ、縦軸も横軸も、両方必要なのではないかなと、実際の現場としては感じているところがあります。以上です。

○本田構成員
 私は今の岡構成員の意見と同じことを感じていて、資料4の5ページの所に、指摘という形で重複している疾患の再整理も議論するというようにありますが、私たち一般の国民からすると、医療の中身のことまでしっかり分からないことも多いので、こういうことも、こうした指摘となっているのだと思うのです。実際には、それぞれが必要なんだということも専門の方々にきちんと聞けば分かると思いました。ただ、問題は、そういう部分が国民に見えていないことだと思います。実際問題どのように、例えば本当に困ったことをこのように解決しているのだとか、連携しているのだとか、意見を出し合っているのだとか、テレビカンファレンスもこのようにやっているのだとかというようなことを社会に見せる努力も必要なのではないでしょうか。普段の診療が大変お忙しいし、研究もしなければいけないしということは分かるのですが、これからはアピールというか、ちゃんとこのようにやっているのだというのを世の中に見せていくことも必要だと思うので、そういうこともどのように考えているのか。あれもこれも聞くのは大変かもしれませんが、そういう視点も持っていただくという議論もあってもいいのかなと思っています。

○花井構成員
 今の話の続きなのですが、今、新専門医制度が始まっていて、特に各学会があって、disciplineが分かれているけれども、内実、現実、1例を挙げると、心療内科医というのがあったときに、精神科ベースの先生と内科ベースの先生がいるとか、そういうところが専門領域というときに、国民の目から見て、この先生は何のスペシャリスト、この先生は何のスペシャリストと、クリアカットに分かれるかというと、全くそういうことはなく、専門領域という領域の中でも、国民の理解と実態の現場の世界というのは乖離していて、今、正に岡構成員がおっしゃったところが医療の当然の現実として、内科に足場を置いてこういうことができる先生とか、私は素人で分からなかったのですが、驚いたのは、脳神経外科という領域の学会を初めてこの前、訪れたのですが、発表内容を見て、一般素人の思う領域と全然違う領域に広がっていて、本当の現場の先生方の扱う疾病と足場というのは、必ずしも整理どおりに行っていないということを知りました。ナショナルセンターにも同じことが言えて、今、重複するのが整理できるというけれども、それは全くそういう話ではなくて、現場・現場でそれぞれの専門領域から立って、人間というのは患者全部いろいろ合併を抱えて、高齢になれば、がんもあれば、循環器もある、糖尿病もあると。当たり前の話であって、それを分けて私の中の一部は国立がん研究センターにいて、一部は国立国際医療研究センターにということはできないので、国民に分かるようにうまく説明できて、ナショナルセンターの全体の在り方を提案できたらなと思うのです。
 今、何でも専門家が一番いいという感じになって、専門に行けば全部行けるみたいな感じもあると思うのです。患者からすればそういう感じで、冬になると熱を出した子供たちが国立成育医療研究センターに殺到する、一般の診療所に行かずに、大事な子だからと行ってしまうとかいうことがあると聞いていますし、医療の実態の世界と、国民が思う医療と、専門家が考える整理の乖離というのはどこまで行っても付きまとうので、ナショナルセンターの議論においても、その辺は分かりやすい議論ができるように整理があってほしいと思いました。
 1つ質問なのですが、いろいろ議論が出てきて、統合の話なども出ているのですが、5ページの最後の統合というのは、法的整備は要らないですか。現行制度上で統合できる、ここでいうアジェンダというのは、全て現行法制下で可能なのですね。ここでの議論というのは、例えば中期目標は今、現行制度の中で行われていて、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が出している話だから、現状の中の建て付けの中の話なのか、いや、もうちょっと広い話なのかというところが、ちょっと今分かりにくい。大鉈を振るうならなら法整備もいるのかという話が当然出てくると思うのですが、少なくとも5ページに書いてある内容は、現行法制下で全部、可能なのですか。それとも、これにおいても何か法的整備が要るのですか。

○佐藤医療経営支援課長
 今、花井構成員がおっしゃった話ですが、組織の統合のような話であれば、おそらく法整備が必要だと考えます。例えば、機能の話などであれば、場合によっては法整備が不要となる場合もありますが、組織自体を統合するということ、若しくは現行の法律に書いてあるものを変えるような状況なった場合は必ず法整備が要るものと考えます。

○花井構成員
 ということは、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会の権限は、現行法制下の評価ではなくて、それ自体も議論にできる権限を持った委員会ということになりますか。何かそれが入れ子になっていて、ちょっと分かりにくい。

○佐藤医療経営支援課長
 恐らく総務省はそこまで考えて勧告をされているというようには、私どもは思っていませんでした。第1期中期計画が終わって2期目に入ったときに、課題について勧告をしたものという理解をしています。

○花井構成員
 面倒くさいことを言っているのかもしれませんが、今までここでの議論の規模感がちょっと分かりにくくなったので。今回、各構成員の先生方の話を聞いていると、6NCが今後、日本としてこんな形であるべきだという話まで、ここでやろうという議論だったと思うのです。それはそれでよいということでいいですか。ありがとうございます。

○永井座長
 もし本当に統合という話になれば、法改正の話になりますね。結構大きな話になると思うのですが、いかがでしょうか。

○山口(育)構成員
 先ほど永井座長が少し触れられたのですが、事務局から一部人事交流等が行われているという話でした。6つあるナショナルセンターの中で、現実に今行われている人事交流にしても、人材育成にしてもそうですが、どことどこが共通でやっていることがあるとか、そういう現状を何か見えるような形で出していただいて、先ほどから統合の話も出ているのですが、現在既にこういうことは一緒にできている、でも、ここはできないというところが、研究にしても、臨床にしてもいろいろ問題が複雑になっていて分かりにくいなという気がしますので、ちょっと整理できるようなものを見える形で出していただくと、少し見えてくるのではないかなと思いますので、是非、次回お願いしたいと思います。

○永井座長
 その点、私も非常に感じていて、時代の変化は少なくとも2つあって、高齢化によって患者さんがいろいろな病気を持つようになったという横断性と、もう1つは、情報化時代で、ゲノムも画像も臨床データも、場合によったらtelemedicineのデータまで全て統合するという、情報化時代への対応をどうするか。そういう話になると、必ず拠点化ということが出てくるのです。6つのナショナルセンターに全部同じような拠点を作るということは、今の時代はできないだろうと思います。その辺にどう取り組んでいったらよいのだろうかという問題、臨床と研究、両方に時代の変化を反映させる必要があると思うのですが、むしろ末松先生に、大型研究に向かう時代のナショナルセンターの研究の在り方ということについて。

○末松構成員
 大局観が申し上げられなくて申し訳ないのですが、情報の集積、インテグレーションというのは、一番重要なポイントになると思います。世界の医学の一番問題になるところは、がんはもちろん入りますし、認知症と、それから2050年になると世界のがん死よりも感染症の死亡者のほうが多くなると。これは間違いなくそうなるだろうと。あと、生活習慣病と難病ということで、5つか6つになるわけですね。これを、資源は限られてはいるものの、今あるそれぞれのNCにどういう情報がある、あるいはどういう情報なら集められるということを、お互いが知っていることが極めて重要と考えます。AMEDではこのような在り方を「広域連携と分散統合」という言葉で置き換えています。どこか1か所にデータを集める、あるいは機能を集めようとすると、先ほど指摘したようないろいろな破綻が起こる。協力体制ができない。だから、今ある場所でいいから、最低きちっとお互いの情報リストを共有する仕組みをしっかり作ることが必要だろうと思います。超高齢社会で1人の患者さんが複数の病気にかかるわけです。デンマークは560万人、スウェーデンは1100万人で国家レベルでの悉皆性のある健康情報の登録をしています。一億の人口を持つ日本でそういった医療情報の統合をする場合にもNCの役割は極めて大きいと考えます。そういう規模感ですべてのNCが共有するべき新たな機能を議論することが重要と考えます。
 国立長寿医療研究センターのヒアリングのときにも私は是非聞きたいと思っているのですが、認知症のレジストリー、プレクリニカルレジストリーは作るのが大変難しくて、世界中みんな困っています。お金を集めている所はいっぱいあるのですが、模範となる例は意外と少ない。こういうときに、ナショナルセンターがきちんと意見を言えるか言えないかというのは非常に重要で、恐らくほかのナショセンにも同じような地球規模の課題とか、ネイションワイドの課題で日本がお手本を示せるような領域はどこなのでしょうかと、これは絶対に6つのナショセンに全部聞くべきだと私は考えています。

○永井座長
 研究はそれぞれのナショナルセンターでよいのだと思いますが、機器の共有とか、人材育成、特にシステムをどう作るかとか、こういうことは是非共通でやってほしいと思うのです。そのために、ある程度は横断的な組織は必要だろうと思うわけです。

○山口(俊)構成員
 大分、時間がなくなってきたので、次のヒアリングに向けて、資料4を拝見すると、10年ぐらい、ここにおられるたくさんの委員の方が随分議論されて、今日の議論も恐らく何回か出てきたことばかりではないかと思うのです。でも、最終的には5ページにある平成27年1月9日のこれが最後の問いで、これは中期計画の中で早急に結論を出しなさいということは、ここで言われているわけです。ということは、ヒアリングのときに現時点で、まず存続がどうかということに関しては、例えばナショナルセンターがなくなったとしてもいいのではないかという問いに答える必要があります。いや、そうではないというのであれば、その根拠を示す必要があります。もう1つ、例えば国立精神・神経医療研究センターと国立長寿医療研究センター、認知症、2つあるのですが、一方でいいのではないか。あるいは、片方なくなってもいいのではないかという御指摘が実際に具体的にあるので、その当事者たちはこれに対して答えるべきだと思うのです。それが納得できるものであれば、こちらでも認めるし、そうでなければ、この全体の論調を見たら、これだけ見ていると何となく国立長寿医療研究センターだけもう存続をなくしてしまっているというように読めるので、そうではないというところを是非示していただきたいと思います。

○永井座長
 ほかにいかがでしょうか。

○大西構成員
 先ほどのセンターの機能をどのような共有化をしていくか、また共通化をしていくかという議論にも関わると思うのですが、ナショナルセンターという言葉で6センターという言い方をしますと、あたかも6個の場所にそれぞれ存在しているようなイメージがあるのですが、情報の共有をはじめとしてネットワーク上で機能するものが進んできているということを考えると、1つのセンターであっても、一部の機能は、物理的に一つの場所にあるということではなく、本体にしかなかった機能がバーチャルにあちこちに存在する、あちこちからアクセスできるといった形でのあり方も可能になっていくように思います。また、先ほど山口委員がおっしゃられたように、どこかの病院に物理的に部屋を作って、そこはナショナルセンターの一部なのだという形を取ることもできるでしょう。いろいろなセンターの在り方について、工夫ができるような感じがします。そういうことについても、是非どんな考え方がありうるか、又は望ましいと考えておられるか、ヒアリングでお聞かせいただくようにしていただけたらと思いました。
○永井座長
 よろしいでしょうか。これからヒアリングに当たって、どういうことを資料として提出していただくか、これは非常に重要な問題だと思いますので、本日の会議終了後、次回までに是非、項目について事務局へお寄せいただければと思います。まだいろいろ御議論はあろうかと思いますが、おおよそ時間になりましたので、今後の予定について、事務局から連絡事項等をお願いいたします。


○江口医療経営支援課長補佐
 事務局です。次回及び次々回の会議については、各ナショナルセンターからヒアリングを予定しております。3センターずつヒアリングを行って、各々2時間の開催を予定しております。次回は、5月9日の14時からを予定していますが、場所等の詳細については追って御連絡いたします。併せて、今、永井座長のほうからありましたヒアリングに当たっての留意点というか、こういったものをということであれば、メールがかなり開通しているかと思いますので、メールベタ打ちでも結構ですので、事務局のほうにお寄せいただけると、大変有り難いなと思っています。それを踏まえて、また永井座長に御相談させていただくような形を取りたいと思います。また、本日の資料ですが、今日、持ち帰っていただいても結構ですし、机上に残されれば、前回資料ということでファイルにとじて、また次回以降も出しますので、持ち帰っても持ち帰らなくても、次回以降、前回資料を机上に配布いたします。事務局からは以上です。

○永井座長
 それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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