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第4回障害者文化芸術活動推進有識者会議

障害保健福祉部企画課自立支援振興室

                  

○日時
令和4年8月2日(火) 10:00~12:00

○場所
オンライン開催

○議題
(1)障害者文化芸術推進有識者会議の設置について
(2)「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画」の改定に向けた検討等について
(3)各構成員の自己紹介及びご意見等

(4)その他

○議事
○山村総括・政策研究グループリーダー
定刻になりましたので、ただいまから第4回障害者文化芸術活動推進有識者会議を開催いたします。本日の進行を務めます、文化庁地域文化創生本部の山村と申します。構成員の皆様方におかれましては、大変ご多忙の中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本会議は、YouTube LIVEによる公開にて開催しておりますが、人事案件に関しては非公開としておりますので、まず冒頭に座長の選任および座長代理の指名を行い、その後に公開を開始したいと考えております。それでは、まず本会議の議事進行及び取りまとめをしていただく座長の選任の手続きを行いたいと思います。本日の有識者会議に先立ち、6月28日に関係省庁会議である障害者文化芸術活動推進会議を開催し、そこで推進会議及び障害者文化芸術活動推進有識者会議の設置要綱の改正について申し合わせをいたしました。資料1が本会議の設置要綱となりますが、この要綱において本会議の座長は構成員の互選により決定することとなっております。よって、どなたか自薦他薦も含めてご意見ございませんでしょうか。はい、廣川構成員どうぞ。

○廣川構成員
はい、廣川です。平成30年度、前回の会議でも委員を務められました東京藝術大学の学長であられます日比野構成員を推薦したいと思います。

○山村総括・政策研究グループリーダー
ありがとうございます。他にございませんでしょうか。他にご推薦がないようであれば、日比野構成員に座長をお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。ご異議ございませんでしょうか。日比野先生におかれましてもよろしいでしょうか。

○日比野座長
はい、廣川さんから推薦していただきまして、皆さんからも承認していただけたということであれば、微力ではありますが務めさせていただきます。

○山村総括・政策研究グループリーダー
ありがとうございます。日比野座長からのご挨拶につきましては、会議公開後、お願いさせていただきますが、まずは日比野座長から設置要綱に基づき、座長代理をご指名いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○日比野座長
はい、では設置要綱に基づいて座長代理は座長が指名ということで、大塚構成員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ここで一旦進行を事務局にお返しします。

○山村総括・政策研究グループリーダー
日比野座長、ありがとうございました。それでは、ここから会議の公開を開始いたします。

―YouTube LIVEによる公開開始―

○山村総括・政策研究グループリーダー
お待たせいたしました。本会議は、オンラインで開催しております。本日の出席者につきましては、配布しております出席者名簿のとおりとなります。服部構成員におかれましては、本日ご欠席とのご連絡をいただいております。また、津田構成員におかれましては遅れてのご出席と伺っております。なお、本日の資料につきましては、事務局から事前にお送りさせていただいておりますとおり、議事次第、出席者名簿、資料1~4、参考資料1~4となっております。各構成員の皆様には、後ほどご意見をいただく際に併せて自己紹介いただく予定としておりますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、事務局側の出席者を紹介させていただきます。文化庁からは、地域文化創生本部の髙田事務局長が出席しております。なお、小林文化庁審議官につきましては、本日、急遽、他の公務が入り欠席となっております。厚生労働省からは、障害保健福祉部の辺見部長、奥出自立支援振興室長が出席しております。また、オブザーバーとして、内閣府、外務省、文部科学省、経済産業省及び国土交通省から担当者にご出席いただいております。よろしくお願いいたします。はじめに厚生労働省からご挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。

○辺見障害保健福祉部長
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長の辺見でございます。この度は、構成員の皆様、オブザーバー及び関係機関の皆様にはご多用中、ご参集をいただきまして誠にありがとうございます。厚生労働省では、障害のある方々の文化芸術活動のより一層の推進を目指し、文化庁と共同で「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画」を平成31年3月に策定し、今年で3年が経過したところでございます。これまで厚生労働省では、この基本計画に基づき、障害のある方々の自立と社会参加を促進するという観点から文化芸術活動の支援に取り組んでまいりました。この間、新型コロナウイルスの感染拡大といった私たちの生活を一変させるような困難もございましたが、こうした中にあっても東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機といたしまして、各地で様々な障害のある方々による文化芸術活動が活発に展開されたところでございます。今後も文化庁と密接に連携を図り、丁寧に、関連施策の展開、検討を進めてまいりたいと存じますので、ぜひ忌憚のないご意見を賜りますようお願いを申し上げます。障害のある方々の文化芸術活動がより一層推進されるよう取り組んでまいりますので、何卒よろしくお願いを申し上げます。

○山村総括・政策研究グループリーダー
ありがとうございました。先ほど、本会議の座長に日比野先生をご選任いただき、座長より大塚先生を座長代理にご指名いただいております。ここからは、まず日比野座長にご挨拶をいただき、引き続いての議事の進行をお願いしたいと思います。日比野座長、よろしくお願いいたします。

○日比野座長
では、皆さんよろしくお願いいたします。障害者文化芸術活動推進有識者会議、また新しい構成員も加わりまして、次なるステップに進められるよう皆さんで話を活発にかわしていきたいと思っております。先ほどお話していただいたように、パラリンピックなども含め、ずいぶん認識もここ数年で変わってきたかと思います。しかし、まだまだ不十分なところも多々あります。この後、皆さんから自己紹介含め、ご意見をいただく時間もございますので、そこでしっかりとまたご意見いただきたいと思いますが、周辺の整備、いわゆるサポートする人たちの支援、経済的にも、社会的な認識的にも、きちんと文化庁・厚労省の方々とともに築いていきたいと思いますし、障害者に限らず、今我々がより良く社会を生きていく上で、この文化芸術活動というものが、大変ますます重要になっていくかと思います。そのような先鞭を切って文化芸術活動の大切さをこの障害者文化芸術活動を推進することで、世の中にアピールし、発信し、その重要性を伝えていきたいと思っております。まだまだちょっと私も経験値はこれからですけれども。一生懸命努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、議事進行を進めてまいりたいと思います。本日の議事、お手元の資料を(1)(2)(3)(4)その他としてあります。まず、(1)に関しては障害者文化芸術活動推進有識者会議の設置については、先ほど既に事務局からご説明がありましたので、「(2)『障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画』の改定に向けた検討等について」、こちらの方を事務局から説明をお願いします。

○髙田地域文化創生本部事務局長
はい、失礼いたします。文化庁の髙田と申します。資料についてご説明いたします。まず、資料1から資料4を順に沿って説明いたしますが、お時間もございますので、ポイントのみ説明させていただきます。まず、資料1でございますが、先ほども少し話が出ましたけれども、障害者文化芸術活動推進有識者会議の設置要綱でございまして、座長の選出でありますとか事務局について書いてございます。事務局は、文化庁および厚労省で務めさせていただきます。この設置要綱の2枚目でございますが、そこに構成員およびオブザーバーが記載されております。今回の有識者会議の構成員は合計で21名の方にお願いしております。概ね半分程度の方が前回から引き続き、残りの方は新しく選出させていただいております。オブザーバーについては、内閣府、外務省、文部科学省、経済産業省、国土交通省にお願いしております。
続きまして、資料2の方に移りたいと思います。資料2では、今回の有識者会議はまさに第2期の障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画の改定を行うわけですけれども、それに向けた検討の方向性ということの案が資料2でございます。1番目のところで、この計画についての性格について記載しております。この計画は、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律に基づいて行われているものでございまして、この基本計画では、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律に規定されております基本理念でございますとか施策を踏まえた形で、計画が策定されておりまして、法律に基づきます11の施策の方向性について定めているものでございます。今回の改定に向けた検討におきましては、先ほどの厚生労働省あるいは座長の話でもございました東京オリンピック・パラリンピックの成果なども踏まえつつですね、また今回の第1期基本計画によって明らかになった施策の実施状況や各種調査等により明らかになった成果や課題などを精査して、第2期計画を具体的に議論していくということにしております。具体的な課題の例といたしまして、いくつか書いてございますが、例えば文化施設へのアクセス改善でございますとか、人材育成、あるいはこの障害者による文化芸術活動の推進に関する法律及び障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画の認知度向上などが挙げられるのではないかというふうに考えております。
続きまして、資料3-1、現状と今後の課題について少しまとめた資料でございます。この資料につきましては、文化庁や厚生労働省の方で行っております調査だとかヒアリング結果に基づいてまとめたものでございますし、またページめくっていただきますとそれぞれ表題がございますが、この鑑賞の機会の拡大ですとか、創造の機会の拡大、それぞれですね、法律に基づく計画の11の項目に沿ったような内容で今回現状と課題をまとめているものでございます。
少し内容をご紹介いたします。まず、鑑賞の機会の拡大でございますが、コロナの影響などもございまして、そういった割合が減っているという調査結果が出ております。またこの後ですね、美術館、博物館だとか劇場・音楽堂といったいわゆる文化施設についての調査と障害者・障害福祉施設の調査などについて、それぞれ文化庁と厚生労働省を行っていることについて少し言及いたしますが、美術館、博物館あるいは劇場・音楽堂等における障害者を対象とした鑑賞事業の実施状況については、美術館、博物館では24.2%、劇場・音楽堂では8%という形になっています。少し低い値となっておりますが、これは貸館事業みたいなものは外しているということでございまして、そういった形で実感よりも少し低い値が出ているのかなというふうに思っております。障害福祉施設の方では、鑑賞機会の拡大などについては34%というような値が出ております。これについて、この下の方にですね、アンケートに基づく課題などが挙げられておりますが、例えば具体的なノウハウが充分でないだとかですね、そういったところに難しさがあるというような意見などが出ているところでございます。
続きまして、創造の機会の拡大についても、鑑賞の機会の拡大と同じような形で結果が出ております。その中でですね、障害福祉施設の方につきましては、創造の機会の拡大が77%ということで、鑑賞、創造、発表というような大きく3つの分野がございますけれども、特に障害福祉施設については創造活動というものに取り組んでいらっしゃるというのが分かる内容になっているかと思います。
続きまして、5ページ、6ページ、上の方で言うと作品等の発表の機会の確保とかあるいは芸術上価値が高い作品等の評価などについても、それぞれアンケート結果などがまとめられておりますが、特に4番の芸術上の価値が高い作品等の評価などについては、例えば課題などで③のところですね、評価や学びの場を求める意見や文化芸術と社会との関わりを視野に入れた取り組みの必要性を言語化したり、現在の状況を批評したりすることが課題だというようなことで障害者芸術についての理解を促進する必要があるということが課題などとして挙げられているところでございます。あと、大きな5番目の権利保護の推進でございますとか、6番目、芸術上価値が高い作品等の販売等に係る支援などについても、特に著作権だとか特許だとかという問題ですとか、あと販売については実際に芸術上の価値の評価などについて難しさを感じているなどの課題が挙げられておりました。7番目、文化芸術活動を通じた交流の促進などについて、今、厚生労働省などで地域の障害者文化芸術活動ネットワークづくりに関する取り組みなどを行われておりますけれども、やはり各地域のキーパーソンやサポーター的な人材の発掘、ネットワーキングに繋がる、そういったところが課題などとして挙げられているところでございます。8番目、相談体制の整備、9番目、人材の育成など、また10番が情報の収集、11番目が関係者の連携ということについて、それぞれ挙げられておりますが、ここはおそらく共通的な課題といたしまして、やはり人材の育成ですとかそういった関係作り、そういったこのようなことを中長期的な観点できちんと育成したりしていく必要があるというようなことが今回のアンケートなどで分かっているところでございます。
最後にですね、15ページのところに参考資料といたしまして、地方公共団体における計画の策定状況について表にまとめております。障害者の文化芸術活動の推進に関する計画ということでございますけれども、都道府県についてはようやく半分以上の都道府県でこの計画の策定が進んでいるところでございますけれども、まだまだ市町村レベルでは少し低い状況になっているということでございまして、引き続きこの法律あるいは計画の認知度向上の取り組みが必要ではないかということが課題として挙げられるかと思います。
続きまして、資料3―2でございますが、これは障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画に関係する各関係省庁の取り組みをまとめたものでございます。主に文化庁と厚生労働省の施策が中心になって記述がございますが、それ以外といたしまして、例えば国土交通省さんでは、建築物のバリアフリーを促進するための施策などについての取り組みの記載がございます。また、文部科学省さんの方では、教育の観点から学校教育でありますとか、あるいは特別支援学校なども所管されておりますので、そういったところの取り組みなどについての記載がございます。また、外務省さんなどにおきましては、海外での取り組み、主に国際交流基金などを活用して行っている取り組みなどについて記載がございます。また、特許庁さん、経済産業省さんなどにつきましては、こういった障害者の活動などを企業などとですね、そういったようなところでどう取り組んでもらうのかというようなことについての取り組みなどが記載されているところでございます。これについては、その他の説明は省略させていただきます。
最後にですね、資料4でございます。資料4に今回の基本計画の改定に向けたスケジュールを記載しております。この有識者会議というのは2つ目の丸になります8月から12月、今年いっぱいかけてですね、障害者文化芸術活動推進有識者会議において議論をしていただきまして、この基本計画の具体的な内容を固めさせていただくということになっております。それを踏まえて、年明けに関係省庁で計画案を確定いたしまして、パブリックコメントにかけて、今年度末3月に公表すると、そういったような流れになっておりますので、有識者会議の皆様におかれましては、年内の様々な議論についてどうぞよろしくお願いいたします。
参考資料については、説明を割愛させていただきますが、それぞれ法律でありますとか、計画についてのそのものの資料、そして最後に関係団体のヒアリングで出た主な意見の内容をそのまま記載した資料がついているものでございます。私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○日比野座長
はい、ありがとうございました。事務局の方で、これまでの活動として今後の課題、そして各省庁の取組の状況などをまとめていただきました。事前に、構成員の方々には、この資料をお配りして見ていただいているかと思います。次の各構成員の自己紹介のところで、この今の事務局からの説明、あと事前に見ていただいた資料についてのご意見なども入れて、次の議題(3)の各構成員の自己紹介及びご意見というところの方に進めていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。では構成員の皆様から順にご意見いただきたいと思います。時間、今日出席者が20名でしたっけ。でおしりの時間が12時ということで、だいたい1人3分位目安でお願いできればと思います。名簿順で今日はいきたいとおもいますが、津田委員に関してちょっと遅れて参加ということで一番最後にご指名させていただきます。まず、今中さん。お久しぶりです。よろしくお願いいたします。

○今中構成員
アトリエインカーブの今中です。ご無沙汰している方もたくさんおられまして、よろしくお願いいたします。持ち時間3分ということで、簡潔に大きくは2点で、少し疑問に思っているところを1点お伝えしたいと思います。芸術関係の構成員の方もたくさんおられますので、今日の有識者会議では、私の立ち位置を社会福祉事業の運営者ということでお話をさせてもらいます。
まず1つ目、人材育成についてなんですけれども、参考資料の関係団体のヒアリングで挙がっていたことですが、生活支援員の方々の特定改善加算の様に芸術文化・福祉、両輪の能力をお持ちのスタッフは、そのような加算制度を設けてもいいのではないかというご意見がありました。僕も深く同意をしています。施設では2つのポテンシャルを持っている実績のある方が非常に少ないのが現状です。そういう能力のある方々にインセンティブ、いわゆる報酬を加算する必要があるように思います。今回の議論の前段階というか、少し俯瞰的になっちゃうけれども、厚生労働省の方々に考えていただきたいと思います。このようなインセンティブは離職を防ぐことにも大きく寄与するとはずです。
2つ目、これも厚生労働省に関することなんですけれども、皆さんのレポートであがってるようにですね、障害者の芸術活動を行っている施設って小さいんですね。大きな施設ばっかりではございません。社会福祉法人格を持ってないところもたくさんありましてね、そういう意味では、事業所が存続できないという時代になってきています。その心はですね、コロナ恐怖というものが特に内部疾患をお持ちの知的障害者の方々に非常に根深く入り込み、引きこもる方々が急増したからです。その対策として、現在厚生労働省から「柔軟な取組み」として施設に通所できなくても、電話やメール、テレビ会議などのサービス提供で、正規の出席にカウントできると令和2年の新型コロナウイルス感染症に係る人員基準の臨時的な取扱いで指示されました。現在もその取り扱いは続行中です。ただですね、例えばコロナが軽症化扱いになり、柔軟な取組ができなくなった時にはですね、どういう事態が起こるかというと今引きこもっている方々、コロナを起因として引きこもっている方々が施設にカムバックする確率はさほど高くないのではないかと思っています。そうなれば2つのことが起こります。1つは彼らの制作環境が剥奪されるということ。もう一つは小さな事業所が存続できなくなるということです。ぜひ、その辺も検討すべきだと思います。障がいのある方々がアート活動を行うのは生活介護事業であるケースが多いですね。僕の周りにも多いんですけれども、このような報酬の見直しでアーティストがたくさん集う生活介護事業所が生き延びるはずです。これも厚生労働省の方々にお願いです。この2点は、今日の議論からちょっとずれたようなお話ですが、非常にベーシックなことだと思うので提案させてもらいました。
最後にもう1つ。資料3―2の3ページの参考資料ですね、そこに、こういう文言が書かれていました。文化庁の「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」では、障害者の方々の事業推進を行っていますとあるのですが、令和4年の次代の文化を創造する新進芸術家育成事業の募集、これは終わってますが、そこには障害者の方をサポートする事業企画は募集されてないと、私には読めました。後ほどまたその辺の私の読み間違いがあればご指示いただきたいです。一方で、文化庁ではインカーブも参画したんですけれども、「障害者等による文化芸術活動推進事業」も行っています。それとの記述間違いかなと思ったりしています。また文化庁は、平成26年から30年度まで、東京藝術大学と金沢美術工芸大学が連携し「障害者の芸術活動を支援する新進芸術家育成事業」に補助を行なっていました。ここでは次世代の芸術活動を、新進芸術家を応援するよという前にですね、障害者の芸術活動を支援する新進芸術家という冠がついてました。とても有意義な数年間だったと思います。このような障害者分野の芸術活動に特化した次代の新進芸術家の人材育成にフォーカスする助成金なり補助金があれば、人材の裾野も広がるのではないかと思います。はい以上です。

○日比野座長
はい、ありがとうございました。事務局、今中さんから資料3-2に関して3ページのところですね、実施してますかってちょっと確認がありましたけども、こちらの方はすぐ確認できますか。それとも後ほどにいたしましょうか。

○山村総括・政策研究グループリーダー
すいません、ただいま手元にその資料がございませんので調べさせていただきたいと思います。

○日比野座長
分かりました。では、後ほどちょっとまた今中さんの方にそれは確認のご連絡をお願いいたします。はい、では続きまして、大塚構成員よろしくお願いいたします。

○大塚構成員
上智大学の大塚です。ありがとうございます。障害者の文化芸術活動推進法ができて、様々な場面で芸術文化の分野において、活動が推進されていると言うことは喜ばしいことだと思いますね。でも、何年か経って見直しということも含めて、これをどのように計画の中に位置付けて推進して行くかと言うことが重要だと思っております。特に今回基本的な計画と言うことで、その文言について改定するということは勿論必要だということでありましょうけれども、その基礎となる情報であるとかあるいは全国の実施状況ということの把握が必要だと思っております。資料の3―2ですか、各省庁の取組状況というのを見させていただくとこういうことをやっているということはいいんですけども、定量的というよりは取り組んでいるということだけで書かれていますので、これが3年後にまたどうなってるかとかいうところをなかなかどのような積み上げの中に置いて推移しているということは把握することが困難だと思っております。それはまた、都道府県や市町村が計画を作る時にも国はこういう観点から、例えば鑑賞の機会の拡大ということはこういう観点から推進してくださいとそのためにはこういう統計を取ってくださいとかということで初めていろんな価値ある情報、評価というものに資する情報が得られると思っています。唯一、相談支援の観点からは相談件数が何件あったとこれも国はとってますので都道府県レベルではとれるんだと思いますけども、他の分野においてもそういうこれからの計画づくりのためにあるいは都道府県や市町村がより良い計画を作れるような具体的な計画の実施のための要項というか基礎の考え方、そういうものを都道府県に示す。そういうものをもって、この基本的な計画も全国の状況はこうだからこういう改定をしていこうというところに結びつくのではないかというふうに思っています。以上です。

○日比野座長
はい、ありがとうございます。あのまさにそうだと思います。きちんとした資料を作り、そのエビデンス的なものを確立することによって具体的に進められる案件が出てくるかと思いますし、全国的に各都道府県そして施設などでも、定量的な数字が取れるような工夫も必要かと思います。ありがとうございました。続きまして、岡部構成員よろしくお願いいたします。

○岡部構成員
はい、一般財団法人たんぽぽの家の岡部太郎と申します。ご無沙汰の方もいると思いますが、よろしくお願いいたします。私たち、たんぽぽの家は、主に障害のある人たちの表現活動と地域社会をどう繋げるかという活動をしておりまして、両者のいい所みたいなことをなるべく把握しながら障害のある人たち、あるいは障害のない人たちも含めて芸術文化活動を社会に普及させるという仕事をしております。文化庁さん、厚労省さんとも、両者とも受託をしておりまして、特にですね、厚生労働省の障害者芸術文化活動普及支援事業では、近畿ブロック支援センター、広域の支援センターも担っております。今日は時間があまりありませんので、あと3、4回はあるということですので、皆さんの話をまずお聞きしながらと思ったんですけども、私の方でも少し感じたことをお話したいと思います。
資料3―1ですね、これ以前から何度か共有させていただく機会もあったんですけども、一旦ですね、障害のある人たち、福祉側の視点は別として、特に美術館や劇場等の文化施設の取り組みの実態が分かったのが私にとっては新鮮でした。で、その中でもその数字では分かるんですが、福祉施設等での創造の機会はかなり増えているのに、発表の機会ですね。美術館や劇場・音楽堂での発表の機会は、数字としては低いというのが分かりました。発表の機会、やっぱり障害のある人たちや支援者は求めている傾向があると思います。作ったはいいんだけどもどこで発表したらいいんだっていうことも含めて、課題になってるんですが、その地域のいろんな社会資源、文化資源を使って、そういった機会を増やして行くということは一つ大事なことかなと思います。
もう一つですね、美術館側でなかなかその機会がないにもかかわらず、割と外部機関との連携というのは結構されていると。なので、美術館側がどのような人の体制でされているのか、なかなか分かっていないんですが、美術館だけでやるというよりは地域のNPOや市民団体、様々な団体と連携してアウトリーチをしていくと言うことが今既にされていると思うんですがそういうその連携によってもっと豊かな活動というのができるのかなというふうに思っています。もう1つ思ったのが、私あの結構事あるごとに疑問ですと言ってるのがその芸術上高い価値の評価という部分なんですけれども、障害のある人の表現はその芸術上の価値が高いかどうかというよりは、芸術上の価値や評価のあり方そのものを問うような表現だったりとか活動だと思っております。なので、もちろんですね美術館側の例えばコンセプトに合わないとかキュレーション的になかなか合う作品がないというのは理解できるんですけども、そもそもその価値を問うような企画そのものを美術館側がしていく。あるいは地域社会の中でどう美術館が存在するべきかという中で、障害のある人の表現を考えてみるといった、そういった発想を持っていただくと障害のある人の表現をその特別扱いではなくてその地域の中にある表現として捉えることができますし、その視点から障害のある人たちだけではなく、その文化施設が在る地域の特性や課題にどうアートを通して向き合うかということができるのではないかなと思います。既に各地ではそういった取り組みをされていると思うんですが、そういった形で普及されていくと障害のある人の表現だけが評価されるということにはならずに、芸術文化活動の日本の中での発展というのが見込まれるのではないかなと思います。最後に1つですね、文化施設も都市・地方によって多分その規模も予算規模も人の体制も存在価値もそれぞれ変わると思うので、一律に変わるのではなくて、やっぱりその色んなタイプといいますか、何か細分化して対応していただけるといいのかなというふうに思っております。はい、すみません。話がまとまらないんですがちょっと感じたことを述べさせていただきました。ありがとうございます。

○日比野座長
はい、岡部構成員ありがとうございました。まさに美術館の役割を見つめ直すきっかけとしてアートの価値観っていうものが既存のものに対して検討するきっかけにもなっているのが現実でありますし、それをもっともっと進めていければなと思って、私も個人的には思っております。ありがとうございます。はい、では続きまして小川構成員よろしくお願いいたします。

○小川構成員
アートNPOリンク事務局の小川智紀です。アートNPOリンクは2006年に設立されました。アートが多様な価値を創造し社会を動かす力を持つ社会的な存在であるとの認識をもとにアートの力を広く社会にアピールしています。またアートNPOの基盤整備や社会的ポジションの確立のために事業を行っています。2021年度からは、厚生労働省障害者芸術文化活動普及支援事業の連携事務局を担っています。全国にある都道府県の支援センターや全国7ブロックの広域支援センターとともに、障害者による芸術文化活動の基盤整備を進めています。具体的には、全国連絡会議の開催や広報、ネットワークづくり支援、成果の取りまとめを行っています。劇場・音楽堂、美術館あるいはアーツカウンシル、そういったアートの現場では、まだまだこの障害者の芸術文化活動に関する認知度は低いと考えています。資料にもあった通りです。狭い意味の障害福祉だけではなく、共生社会の創造という枠組みでウイングをこれからどう広げていくのかを考えていくことが最も重要だと考えています。先ほど岡部さんもおっしゃってましたけれども、芸術上価値が高いっていう言葉がやはり計画の中ではだいぶ出てきましたが、この表現についても再考するタイミングが少しずつ近づいてきているのではないかなというふうに考えます。簡単ですが、以上です。

○日比野座長
はい、小川構成員ありがとうございました。続きまして、尾上構成員よろしくお願いいたします。

○尾上構成員
はい、DPI日本会議の尾上と申します。この会議では初めての参加になります。初めての方も多いと思いますが、どうぞよろしくお願いします。今日はオンラインですので上半身しか映ってないので分かりにくいかと思いますが、普段電動車椅子を使って生活をしています、障害当事者であります。私どもDPI日本会議では、日本博を契機とした障害者文化芸術フェスティバルでの合理的配慮ガイドラインの監修をさせていただきました。また、私は2025大阪・関西万博のユニバーサルデザインの検討会の委員をさせていただいております。そういった立場から発言をさせていただきます。
まず1点目、文化芸術における合理的配慮の推進であります。現在、映画館や劇場・音楽堂等では、車椅子座席が、ともすれば最前列の端っこだったりする場合が多く、同伴者と離れ離れになることもあります。夫婦で行ったのになぜ離れ離れのところに座らなきゃいけないのか、非常に疑問を感じることがあります。あるいは、バリアフリー映画も上映される回数、時間帯等が限られている現状です。そしてまた私自身、講演会なんかで舞台に立つことが多いんですけれども、舞台裏とか楽屋側のバリアフリーが本当に進んでいないですね。控え室に入ろうと思ったら、扉が狭くて車椅子で入れないということが多々あります。あるいは、打ち合わせが終わってトイレに行こうと思ったら楽屋側にはなくて、またもう一度客席側に降りて、みたいなこともあったりします。そういった現状を踏まえまして、ぜひ、文化芸術における合理的配慮を進めていただきたいと思います。特に、障害者差別解消法、これが合理的配慮の提供を民間事業者も含めて法的義務に改正されたわけですが、遅くとも2024年までに実施になるわけですね。文化芸術関係の事業者さんっていうのは、やっぱり民間が多いと思いますので、文化芸術における合理的配慮を、2025年までにはちゃんとやれるようにしておかなきゃいけないよということになります。特に他の者と一緒に楽しめる、障害のあるものとないものが共に楽しめるという観点から合理的配慮の義務化とそのための環境整備の推進を、この第2期の基本計画の重点施策として盛り込んでいただきたい、そういうに検討ができればと考えております。
2点目は、2025大阪・関西万博に関してです。先ほどからの説明の中でもオリパラのレガシーということで、オリパラのことが触れられていましたが、そのレガシーを引き継ぎ、この大阪・関西万博にさらに繋ぎ、発展させていく、そういった視点で検討を進めていただきたいなあと思います。特に万博というのはスポーツ競技以上に、展示でありますとか催事といった、化芸術と非常に重なる部分があると考えています。この2025年の万博の中でどこかのパビリオンで、障害者文化芸術やバリアフリー映画、バリアフリー演劇を常設展示するようなところができて、そこに行けば半年間ずっと楽しめる。そしてさらに世界に発信ができる、そういった展開に繋げていけるような計画作りができればというのが2点目でございます。
3点目ですが、自治体計画に関してです。先ほどの事務局の資料の説明の中でもございましたが、自治体の計画策定率が極めて低いと感じました。その要因、もう少し背景分析みたいなことを教えていただければと思います。それを受けて、計画策定を進めていくためにどういった方策が考えられるのかいうことをぜひ検討したいなあと思いました。特に学校教育での取り組み、私は文化庁さんのユニバーサル公演、バリアフリー演劇のユニバーサル公演なんかにも参加する機会をいただいていますけれども、本当に大切な取り組みだと思うんですね。こういった取り組みがもっともっと進んでいくように学校教育での取り組み、あるいは公立の文化芸術施設のバリアフリー化などが関係してきますので、この自治体計画に関して推進していくような観点での検討をぜひお願いしたいと思います。以上です。

○日比野座長
尾上構成員ありがとうございました。では続きまして、久保構成員よろしくお願いいたします。

○久保構成員
はい、ありがとうございます。障害者の文化芸術活動を推進する全国ネットワーク代表をしております、全国手をつなぐ育成会連合会会長の久保と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私の方から皆さんのお手元にあるかなと思いますけど、文化芸術推進基本計画の第2期の策定に向けた意見というのを出させていただいております。お読みいただいたらいいかと思いますけれども、今私の方から申し上げたいことはですね、障害者の文化芸術推進法ができました。海外ではこのような法律はなかなかあまり聞いてはいないんですね。そういうことはですね、日本は国として障害者の文化芸術を推進していく基本的な考え方は海外よりも進んでいるのかなっていうふうには思っておりますが、一方でですね、この実施してきた側としましてはですね、この我が国における障害者による文化芸術活動についてですけれども、2008年にスイスのアールブリュットコレクションで開催されたジャパン展を皮切りとしてですね、フランス、韓国、イギリス、タイなど世界各国で日本のアールブリュット展が開催され、注目を集めてきた経緯がございます。また、2017年からはですね、障害のあるパフォーマンスによる舞台芸術ですね、車椅子ダンスとか神楽みたいなものもそうですけれども併せて発信されるようになりまして、高い評価を海外でもいただいているところでございます。どちらかというと海外で評価を受けて日本に帰ってきて日本で評価を受けるというようなパターンが多いかなというふうに思うんですけれども。加えて、東京の2020のオリンピック・パラリンピックの文化プログラムとしてですね、この国の文化芸術の振興と日本の美の多様かつ普遍的な魅力を国内外へ発信するという日本博が行われました。全国津々浦々の風土や歴史の中で育まれた障害者の文化芸術を日本の美の一つとして国内外で発信するための日本博を契機とした障害者の文化芸術フェスティバルを開催されまして、私たち障害者団体としましてもですね、そこに参加をして進めさせてまいりました。ただ、それでもまだそれぞれの障害者団体から聞こえてくる声は、やはり資料にもありますけれども、財源が少ない。そして、推進する人材がいない。そして、発表の場がないというような意見がまだたくさんございます。美術館や劇場、それから映画館ですか。映画館のユニバーサルとか合理的配慮というものもまだまだ進んでいない現状がございますので、第2期の策定に向けてですね、皆さんとお知恵を合わせて良い計画ができたらいいなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○日比野座長
はい、ありがとうございました。では続きまして、熊谷構成員よろしくお願いいたします。

○熊谷構成員
はい、ありがとうございます。岐阜県健康福祉部障害福祉課長の熊谷と申します。よろしくお願いいたします。本県におきましては、障害者の芸術文化に関する業務を私ども障害福祉行政を所管する障害福祉課とそれから文化行政を所管する文化創造課で分担しております。簡単に本県の取り組みと今後の課題についてお話しさせていただきます。
まず本県では平成30年7月に県とそれから県の外郭団体である岐阜県教育文化財団という団体と共同いたしまして、岐阜県障がい者芸術文化支援センター、通称TASCぎふと言っておりますけれども、こちらを当県のいわゆる障害者芸術文化活動支援センターとして開設をいたしまして取り組みを行っております。またこの支援センターの設置前から取り組んでおりますけれども、障害者の当事者団体でございます岐阜県身体障害者福祉協会で行います陶芸教室でございますとか、あるいは大型商業施設で作品展示など行います、ふれあい福祉フェアといったイベントの取り組みを支援しております。こうした支援の取り組み等につきましては、障害者文化芸術活動推進法に基づきます県の計画といたしましても、私どもでは、県の障害者政策の基本計画となる岐阜県障がい者総合支援プランの中に明確に位置づけまして取り組みを進めている状況です。この国の第1期基本計画期間におきましては、当県におきましては先ほど申し上げましたTASCぎふを中心といたしまして、鑑賞の機会の拡大に向けた鑑賞支援コーディネーターの育成、あるいは創造の機会の拡大に向けたオープンアトリエの開催、また発表の場の機会の確保に向けたいろんなみんなの展覧会と題しました作品展示やパフォーマンスなどを行うイベントの開催、また、各地域の団体との連携を含めましたアウトリーチ展といった取り組みを行っております。この期間、支援センターを開設いたしまして、また国の補助金を活用させていただくことで、それまで当県ではできていなかった様々な事業を展開することが出来つつあります。
今後の第2期基本計画においての必要と考えられる取組につきましては主に3点ございます。
1点目は、まず何よりも多くの障害者の方にこうした取り組みに参加していただくことが重要だと考えております。また、こうした取り組みにつきまして、幅広い県民の方々のご理解・ご協力を得ていくことが必要と考えております。先ほどアウトリーチ、連携といったお話もございましたけれども、これを含めて裾野を拡大、それから周知啓発の取り組みを行いたいと考えております。
また2点目といたしまして、これも先ほどお話がございましたけれども、障害者差別解消法の改正、また最近は障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の施行がなされているところです。こちらによりまして、それぞれの方の障害の特性に応じた情報の保障や環境整備が一層重要と考えておりますので、文化芸術活動においても充分な配慮を進めていく必要があると考えております。
また3点目、本県ではこの第二期基本計画期間中の令和6年度に第24回全国障害者芸術・文化祭と第39回国民文化祭を開催いたします。両大会を合わせた統一名称として「『清流の国ぎふ』文化祭2024」と題しまして、本日の有識者会議の日比野座長様に当県の企画委員会の委員長にご就任いただきまして実施事業の検討など準備を進めております。この大会を通じましては、オンライン通信やデジタル画像の活用などDX推進の取組も進めまして、文化芸術とデジタル化の融合を図りながら障害の有無などにかかわらず、誰もが参加できる新たな交流の促進を図るといった取り組みも進めて参りたいと考えております。私からの発言は以上となります。ありがとうございました。

○日比野座長
岐阜県の国文祭、障文祭 があるということで、ぜひそういう機会などもこの第2期のものと、何かこう連携していけるところがあれば、より充実した発信の場としても、使える、活用できるかなとは思っております。はい、では続きまして柴田構成員よろしくお願いいたします。

○柴田構成員
柴田英杞と申します。よろしくお願いいたします。私長年にわたりまして全国の公立文化施設への助言・アドバイス、劇場・音楽堂の評価制度にかかわっております。また、現在では地方自治体の文化行政への助言などを行っている者でございます。会議資料や第2期に向けた各団体の意見を拝読いたしました。
まず第1期から約5年間にわたりまして、障害者アートに関する皆様のご努力に敬意を表したいと思っております。障害者当事者だけを支援するのではなくて、周辺環境の整備などに各団体が懸命に力を入れたことが伝わってくる内容でした。当初、私の記憶では支援センターが10ヵ所ぐらいであったというのが37ヵ所に増えたということには大変驚きました。着々と前に進んでいることがよく分かります。そこで私の意見でありますが簡潔明瞭に5点ぐらいお伝えしたいと思っております。
まず1点目。第2期に向けて必ず盛り込むべき内容としては、全国にある支援センターの更なる機能強化が必要だと思いました。支援拠点を増加させるということも必要だと思いますけれども、事業の質とか職員の方々の環境整備など、質の強化が求められていると思います。全国の支援拠点の横の繋がりの強化やさらなる仕組みづくりが必要と思っています。社会全体で障害者の文化芸術活動を支えるということが必要で、この障害者の文化芸術活動について、無関心な層への普及啓発活動も考えて良いと思っています。
2点目です。障害者の文化芸術活動を支える統括団体の機能強化も必要だと思いました。具体的にどの部分をどのように改善すればもっと発展させていくことができるのか。このことは、支援者のみならず、障害を持って活動を行っている方自身の主体的な意見が反映されるということが重要だと思っております。
3点目。制度や統括団体の活動範囲からこぼれ落ちてしまう個人の活動の関係者はいらっしゃらないでしょうか。その方々の存在を顕在化することが必要だと思います。今一度確認する必要があります。良い活動はさらに伸ばして強化して、不足しているところの改善を行うことだと思います。
4点目。資料3―1でまとめられました現状と課題について、劇場・音楽堂等における活動の実施状況が私の予想以上に低いことに大変驚きました。第1期の策定の折も、実演芸術の取り組みが少ないという課題が挙げられていたと記憶に残っています。ただ一方で、劇場・音楽堂を取り巻く環境が非常に激しさを増しておりまして、指定管理者制度の課題や人員不足、自治体における法的枠組みの不足、感染症の発生などでなかなか活動の見込みが立たなかったということを推察するのです。しかしながら、それにいたしましてもかなり低い状況でございます。これは政策的にも現場環境から見ても改善していかなくてはならないと思っています。ハードの整備については、設置者である自治体と両輪で進めなくてはいけませんし、ソフトの面の改善については地域の様々な活動アクターと共に推進することが必要だと思います。劇場・音楽堂が何でも単体で推進して行くと言うことは無理ですから、劇場・音楽堂が地域の多様な主体(アクター)との「つながり」を持っていただいてそのファシリテートをしていくということが求められていると思います。現在、劇場・音楽堂は全国に2160館あるといわれており、公立文化施設協会の加盟館は1308館ございます。そのうち約8割が貸館事業、鑑賞事業、普及啓発事業の中心の施設です。今後草の根的に障害者アートを推進して行くのであれば、基礎自治体における施設に障害者アートの普及啓発を積極的に推進していただく人的体制の整備と財源措置を講ずる必要があると思っています。
また、地方交付税制度では包括算定経費に位置付けられている劇場・音楽堂では活動展開に限界も生じているのではないかということを推測いたします。この地方交付税制度について敢えて指摘いたしますが、事務局の皆様方にはこのことについて何かご存知の点があればあとでご教示いただきたいと思っております。
最後に、本年度に入りまして社会開発論を学ぶ機会に恵まれまして、地域社会から文化芸術活動を捉え直すということを考えてきました。その観点から申し上げますと、障害者の文化芸術活動のウェルビーイング(well-being)は何かということであります。つまり、暮らしぶりの良さですね。これにつながることが最も肝心であると思います。第2期につきましては、その実現に向けてウェルビーイングの考え方を総論としてしっかり位置づけるということが必要だと思っています。また障害者アートの広がりについては、さらに推し進めるためにはコレクティブインパクトという手法がもっとも適しているのではないかと考えております。人と人、団体と団体がより一層繋がっていく社会関係資本を発現する仕組みが求められていると思います。以上でございます。

○日比野座長
はい、柴田構成員ありがとうございました。劇場を中心とする発表の場の今後のますますの障害者に対する充実は重要だと思っています。はい、ありがとうございます。では、続きまして島構成員よろしくお願いいたします。

○島構成員
はい、島です。初めてこの会議に参加させていただきます。これまでの色んなアンケートですとか調査された成果を見て、ちょっと今たじろいているというか、ここまで色々な形でですね、もちろんまだまだ改善しなくてはいけない課題がたくさんあるのでしょうけれども、こういった蓄積がですね、これから形になっていくといいなと思いました。美術館に所属しているわけなんですけれども、美術館の特に鑑賞の機会ですけれども、これはそれなりの形で、各館努力してきたんではないかなと思います。例えば、私は以前、金沢21世紀美術館におりまして、その際にはろう学校の生徒さんが団体鑑賞でいらっしゃるとか。あるいは、ろう映画祭を開催いたしまして、ろうの人たちが作った映画ですね。それをろう者の方はもちろん、一般の方々も含めてその映画祭を鑑賞するわけなんですけれども、実はその際に私は金沢21世紀美術館の職員だったんですが、手話の研修を受けました。これは非常に良い機会で、私自身、手話はもちろんテレビでも手話の番組がありますけれども、あまり意識して見なかったなと思うんですね。ですから、今後はやはり芸術文化に関わる人たちは、必ず例えば手話を学ぶ。そういう機会をですね、作るっていうことが案外大事なのではないかなというふうに思いました。今回も人材育成の課題もありますけれども、いろんな意味で裾野を広げるという意味では、そういった手話を例えば少なくとも、一度学ぶと言う機会があってもいいのかなっていうふうに思いました。鑑賞の機会は、展覧会ももちろんそうなんですけれども、今私が所属しています国立国際美術館では、目の見えない方々と共に、例えばジャコメッティという有名な彫刻家がおりますけれども、その彫刻家の複製の彫刻を作りまして、それに直接触っていただくというような形で鑑賞していただく機会を設けたりしております。こういったことは、これまでも美術館でそれなりに各地でされてはいますけれども、今後より積極的にですね取り組んでいくべきではないかなというふうに思います。
今日は、あともう一つですね、つい先日愛知県の国際芸術祭「あいち2022」という国際展が始まりました。国内外で活躍されている芸術家たちが参加しているわけなんですが、その中に、愛知県在住の方で小寺良和さん、それからもう一人は岐阜県のお生まれで愛知県を拠点にされている升山和明さんですね、このお2人、障害のある方なんですが、このお2人の作品が出品されていました。これは本当に国際的にいわゆる活躍しているアーティスト達と全く遜色ない立場で展示されていますし、特別にこれは障害があるなしという形で色分けされてない形で展示されていました。これは、これまで行われてきた国際展の中でも珍しい取り組みの一つにはなるのではないかと思います。今後もこういう形で作家が、当たり前にこういった中に参加して行くということが重要ではないかと思いました。もうおひと方ですね、渡辺篤さんというこの方は長い間引きこもりを経験された方、アイムヒアプロジェクトというのを展開されて今回出品作家の一人として参加されておられました。そういった意味でですね、先ほど岡部さんがおっしゃっておられた芸術上の価値とは何か、ということそのものを問うことが、この障害者の方の芸術の中にあるっていうのは、まさにおっしゃられる通りで、今回この愛知の国際芸術祭においてはそれが形になっていたのではないかなと思いました。と同時に、それぞれの作品が非常に見応えがあり、今回の芸術祭のSTILL ALIVEというテーマにも合致しておりまして、こういったことが今後も継続していくことが必要だと思いました。そういった意味で、美術館で仕事をしている者としましては、やはりそういった障害を持っている方の作品を見る機会、我々自身も増やして行く必要がありますし、様々な施設や作業所などとの連携とかも増やして、いろんな形で企画する側が、そういったものを必ず視野に入れていくということが必要ではないかなと思いました。以上です。

○日比野座長
はい、島構成員ありがとうございました。手話の話もありましたが、ろう文化を学ぶという形で私も刺激を受けております。はい、では続きまして鈴木構成員よろしくお願いいたします。

○鈴木構成員
国際障害者交流センタービッグ・アイの鈴木と申します。皆さん初めての方もいらっしゃいますがよろしくお願いいたします。オープンアーツネットワークという、障害者の文化芸術活動に関わる有識者と実践者が集まったプラットフォームを4年前に作り、活動してまいりました。ここに居る森田さん、吉野さん、長津さん、廣川さんはじめ8名で作ったプラットフォームです。そこでこのメンバーたちと、この基本計画に向けた政策提言をまさに作り終えたばかりで、皆さんに事前に見ていただけるのが一番良かったんですけれども、こういうものなんですが。今日はその提言を作る中で私なりに今回の基本計画の改定に向けての課題とこういった取り組みがさらに必要じゃないかっていうことをお話できたらなと思います。この提言は20ページもありますので、一部抜粋になるんですが、何点か絞ってお話しします。
鑑賞の機会と創造、発表の機会、情報発信について私の方から話したいと思います。まず、鑑賞の機会に関しましては、先ほど柴田委員からもおっしゃった劇場・音楽堂がまだ8%っていうのは私もちょっと驚いたんですが、これはコロナの影響もあるかと思うのですがビッグ・アイでは劇場・音楽堂の職員の方からは鑑賞支援について多くの相談を受けています。相談を受ける中で、やっぱりなかなか進まない一つの原因は予算的な問題じゃないかと思います。あと、ノウハウもずっと言われていますけど。ノウハウに関してはビッグ・アイの方で劇場・音楽堂をサポートしながら鑑賞のサポートの実施を各地の劇場でおこなうことも増えてきましたがまだまだ少なく感じています。予算に関して、いろんな助成制度の中の予算のあり方を少し次は考えていただいて、年1回の助成ではなく、四半期ごとに申請できる情報サポートに関する予算制度があるとかなりこれは劇場・音楽堂には使い易い制度になるんじゃないかなと思います。
また情報アクセシビリティに関する法律もできたことによって、公的な機関だけではなくて、例えば商業演劇であったり、エンターテイメントであったり、社会にもっと広がるような取り組みがあるとこういった鑑賞に関する支援の必要性も、社会の意識向上につながっていくんじゃないかと思っています。また、鑑賞支援に関しては物理的なサポートだけではなくて、やはり心理的なことがハードルになって劇場・音楽堂に行けないっていう方もたくさんいらっしゃいます。特に知的・発達障害のある方は、一緒に行く親の考えや支援者の方がやっぱり連れて行くと迷惑だと思ってします。そういう心理的なハードルをどう取り払っていくかっていう具体的な取り組みがあってもいいのかな。ビッグ・アイでは、劇場体験プログラムっていうプログラムで、劇場側も障害者の側も保護者もかかわる人たちそれぞれが気づきや学びを得て、ハードルを下げていけるような取り組みをしています。このプログラムは、現在、全国10ヶ所ぐらいの劇場さんに取り組んでいただくようになりました。次に創造、発表の機会に関してですが、裾野の方は広がりつつあるとおもいます。一方で、例えばパラリンピック。パラリンピックには、ビッグ・アイが関わったアーティストたちもたくさん出ていました。裾野の活動から表現活動を続けてきたアーティストが次の段階に目指そうと思った時になかなか次に上がれる道がない。こういった、高みを目指していけるような取り組みっていうのはまだまだ少ないって感じています。プロになろうっていう、なりたいとかって思うとやはりいろんな環境整備が必要です。その中のひとつに福祉サービス自体も見直して、表現活動に利用できるサービスがあるとさらに色んな場所で創造、発表の機会を得られるんじゃないか思っています。
もう1点は、重度の障害のある方、やっぱり家から出られない。そういった方たちは先端技術をもっと活用できるような取り組みで、ある種、物理的なハードルを取り除くような創造、発表の機会が生まれるのではないでしょうか。単なる映像配信っていうものではなくてもっとリアルな体験、感覚のあるもので。これから万博もありますし、こういった開発もできるんじゃないかとい思っています。また、アーティストの育成に関しては文化庁さんの次世代の新進芸術家育成に関してなんですが、現場の中で声が出ているんですが、障害のあるアーティストがここに応募しようと思った時にやはり環境、物理的なハードルがありまして、自身が応募したい、参加したいと思ったときに支援があるのか、あるならどこまでの支援なのかなどわからず、諦めたアーティストも沢山いるっていうことを併せてお伝えしたいと思います。情報に関しましては、情報発信への支援は少しずつですが増えてきてるんですが、障害のある人個人に届く情報発信っていうのはまだまだ進んでいかないのかな。せっかく手話通訳がついたり、字幕がついたり、こういった取り組みも増えているのに、その情報が届くのは、福祉団体や施設、事業所ぐらいまで。個人のところにまではなかなか情報が届かない。それは情報の作り方、例えば視覚障害のある方や聴覚障害のある方にどういった情報発信なら届くのかを考えていくことが大切だと思います。障害のある人に届ける情報の発信については、もっと推進していく必要があるのではないかと思っています。私の方からは以上です。ありがとうございました。

○日比野座長
はい、鈴木構成員ありがとうございました。じゃあ、続きまして長津構成員よろしくお願いいたします。

○長津構成員
こんにちは、長津結一郎と申します。私は、障害のある人が関わる芸術活動を通じて生まれる関係性の変容に着目しながら、主に舞台芸術の分野を中心としてその現場に伴走して来た研究者でもあり、アートマネージャーです。第1期基本計画策定後は、文化庁や厚生労働省の政策にも実際に関わりながら、この問題を考えてきました。具体的には、厚生労働省の障害者総合福祉推進事業におきまして、障害福祉分野の行政職員等を対象とした障害者による文化芸術活動に関する研修ツールの研究のアドバイザーなども務めております。また、文化庁では障害者等による文化芸術活動推進事業にかかる企画案の審査員等も務めさせていただいております。私からは3点申し上げます。
1つ目は、主に鑑賞や創造の機会拡大および人材育成に関連して、文化関係者への福祉との連携に関する啓発です。このことについてはすでにほかの構成員からもありますけれども、鑑賞や創造の機会拡大に向けては、公立の文化施設が果たす役割は大きいことはいうまでもありません。資料3-1においてもあります通り、優れた展覧会の作品や舞台芸術作品に障害のある人が関わるような枠組みというのが未だ多くの文化施設で整えられているとは言えない状況だと思います。また、今回の会議で行われているような情報保障を私自身や私の大学の研究室で受託することもこの数年多いのですが、充分にこうした運営のノウハウが文化団体や文化のセクターに蓄積されているとはいえない状況にあると思います。文化施設を取り巻く制度の充実ももちろんですけれども、学芸員や劇場の制作スタッフだけでなく、例えば舞台技術者のような、場を安全かつ魅力的にコーディネートする人材。さらには、こうした方々の統括団体への更なる実践的な啓発が必要なのではないかと考えています。
2つ目は主に評価や情報収集に関連して、障害者の文化芸術活動の持つ価値の多様さに関する言語化と実践への還元です。資料3―1の6ページにおいても、厚労省の普及支援事業の実施団体から、芸術上の評価の在り方や基準に関して障害者の表現が既存の芸術の価値観を揺さぶっている現状からしても、既存の芸術の価値観では測れないものではないかなどの意見があったとされています。すでに岡部構成員などからもありましたけれども、芸術上の価値は1つではありません。障害者の文化芸術活動と一口に言っても、例えば健常者の文化もしくは既存の芸術の尺度の中で位置づけられるものもありますけれども、障害と健常の境界線を問いかけるような、健常者の文化あるいは既存の芸術に対して抵抗・対抗して行くような立場を見せるものもありますし、さらには先程ありましたろう文化に代表されるような、障害のある人固有の文化を見せていくものなども様々にあります。これまで私自身も携わった文化庁による調査研究においては、評価の物差しが活動によって異なるということや、評価という場をつくることを通じたコミュニケーションの重要性について啓発をしてきました。このような価値の多様さを捉える視点に関するさらなる調査研究ですとか、研究の実践への還元がこの分野をさらに発展させると考えますのでこのことに関する今後の推進体制についてぜひ構築をお願いしたいと思っております。
3つ目は主に連携協力に関連して文化庁と厚生労働省の連携のあり方です。これまで各省庁は本基本計画を実施するにあたり、省庁を横断した実質的な連携を行ってきたと思われます。このような有機的な連携は、文化芸術基本法にも謳われているとおり、今後の日本の文化政策を考える上では欠かせない視点です。ですが、文化庁地域文化創生本部の多くの職員は地方自治体からの出向であり、厚生労働省についても障害者による文化芸術活動の現場を担当している職員はこれまで時限的なポストでした。ノウハウを更に蓄積し、次世代につないでいくとともに、本日ウェルビーイングというキーワードも出ましたけれども、高齢者やLGBTなど他の分野との連携も視野に今後入れていくことを考えると、国が主導で文化と福祉の政策をつなぎ、調査研究や活動支援を行う、例えばアーツカウンシルのような専門家組織やそれに準ずるものを組織できないでしょうか。このことは今後の文化政策全体のあり方を考える上でも有効なのではないかと考えています。私からの意見は以上です。本日の多様な意見が建設的に組み合わされることを願っています。

○日比野座長
はい、ありがとうございました。様々な機関との連携っていうのは本当に要だと思います。ありがとうございます。野澤構成員、よろしくお願いいたします。

○野澤構成員
皆さん、こんにちは。野澤と申します。ご無沙汰の方、はじめましての方、よろしくお願いいたします。これまで私毎日新聞の論説委員としてですね、こういう機会に出させていただいたんですけど、2020年から新聞社を辞めて、千葉県にあるですね、植草学園大学という、保育士や学校の先生や医療職を目指す学生たちに対して教えているとそういう立場です。ただ、今も毎日新聞の客員編集委員として連載をしたりですね、現役の時以上に文量を書いていますので、やっていることはあまり変わらないということで、引き続きよろしくお願いいたします。
私の地元の千葉県でもですね、3年前に障害者文化芸術支援センターができまして、その設立や運営に私は少し携わらさせていただいています。一昨日も人材育成のワークショップとかやってきたんですけどね。やってやっぱ感じるのは予算が足りないということですね、率直に言うとですね。やりたいこととかやらなきゃいけないこといっぱいあるんですけれども、人件費なかなかままならなくてですね。ボランティアと持ち出しで賄っている現状で。もう少しこの辺りを手当てしていただけるともっといろんなことできるなって言うのは率直な意見であります。一昨日のそのワークショップで感じたのは、その教育職とか福祉職の方が多いんですが、中高年の方が凄く多いんですよね。それとあと高校生とかも来てですね。いろんなことをやっぱりそこで感じさせられましてですね、コロナもあっていろんな社会課題が今噴出しているということが現状じゃないかなと思います。私、地元でも障害のある人やひきこもりの人たちの支援をする社会福祉法人とかやっていますけども、もうなんかここ2、3年は、もう障害だけじゃなくてもうあらゆる困窮がこんがらがったケースがどんどん押し寄せてきてですね。ちょっと社会一体どうなっていくんだろうっていうのは少し不安な思いをしております。なんていいますか、その特に引きこもりなんか見てもですね、もう全世代に渡っています。私20年以上前に新聞社で取材してきた時には不登校の延長みたいに考えていたんですけど、とんでもないですね。内閣府の調査でも、初めて引きこもった年齢は何歳かという問いに対して、一番多いのは60から64歳なんですよ。この間も、高齢者の雇用確保の法律が変わる前にですね、駆け込みで中高年のリストラですよね、大リストラ。すごい数の方がリストラされていて、この方たちがですね、生きがいを喪失したり、つながりを失ったりした時に、一体この社会ってどうなっていくんだろうみたいなことを考えてしまいます。つまり何て言いますかね、産業構造全体が大きく変わっていく。人々の暮らしだとか社会の価値観が大きく変わっていく時にこの生きがいやつながりを失った人たち。この人たちに対してこの文化芸術のその役割と言いますか、果たせる可能性って非常に大きいものがあるんじゃないかなっていうのを直感的に感じたりしております。
これまでは障害者の文化芸術活動というと、生きがいの創出だとか、趣味だとか、芸術性の追求だとか、あるいは就労の機会だとかそういう文脈で考えられてきたんですけども。もっともっと、なんて言いますかね文明論的な視座から見た時に、この表現活動を持っている大きくて深い可能性というものを我々も目を向けなきゃいけないのかなあなんてことを考えています。この表現のその主体だけじゃなくて、その彼らの活動をサポートする側、あるいはその鑑賞する側がそのあらゆる機会をその通して文化芸術の意味を問い直し、その可能性を追求して広げていく、そんなステージに来ているのかもしれないなと考えております。これから次のですね、かつ、なんて言いますか、国全体のその活動をどんなふうにしていくのかっていうことを皆さんと建設的な議論ができることをとても楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。

○日比野構成員
はい、野澤構成員ありがとうございます。表現活動の重要性、まさに必要なものだと思います。はい、続きまして廣川構成員よろしくお願いいたします。

○廣川構成員
NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワークの廣川麻子と申します。字幕や手話通訳などをつける鑑賞サポートの考え方を広め、公演の情報発信をする活動を始めて10年目となりました。また、日本ろう者劇団のメンバーとして25年以上、ろう者の芸術活動の現場に関わっております。鑑賞の機会、創造の機会、それぞれについてお話をさせていただきます。
公演情報サイトを運営してきまして、ここ数年、字幕付き、手話付きというのが非常に増えてきて嬉しく思っております。その一方で、予算の確保ですとか、また継続して取り組むことが難しいという現状があります。最近、鑑賞サポートがあるということを知ったろう者、難聴者の方が自分で様々な劇場に問い合わせるという動きが増えていますが、逆にどこに聞いたらいいのかが分からない。また、断られたりしてしまっている状況があって、個々のストレスの負担をなくす取り組みが必要だと考えています。また、逆に問い合わせを受けた団体がすぐにサポートに取り組めるような観劇サポートに特化した助成金制度の創設が必要だと考えております。質の高いサポートがあるからこそ、観客の満足度につながります。ボランティアではなく、専門知識を持った人材育成と確保ということが重要となってきます。鑑賞サポートという観点から著作権の問題を解決していただきたいと思っています。台本データをタブレットに入れて見るという取り組みがありますが、例えば海外のミュージカル作品等ですと、字幕を出せなかったという事例が複数報告されています。著作権の問題の解決というところが早急に必要だと思われます。
また、ろう者が俳優としてスタッフとして、色々な場所で映画ですとか、ドラマ、舞台芸術に出演しようと思った時、大きな障壁となるのが手話通訳の費用の問題です。撮影や稽古期間が長期になればなるほどその通訳費用というものも膨大となってしまいます。それがネックで、ろう者の起用が難しい、団体の負担が大きくなってしまうという現状があります。稽古通訳費などの負担の解決が急務となっています。先週ですが、メディアでニュースになったので、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、ベネチア映画祭にノミネートが決まりました「LOVE LIFE」という映画にろう者の俳優が非常に重要な役柄で出演をしております。その時の手話通訳費用も大変だったのではないかなと思われます。やはりその辺りの解決に繋げて活動の場が増えることを期待しております。以上です。

○日比野座長
はい、ありがとうございました。続きまして、広瀬構成員よろしくお願いいたします。

○広瀬構成員
はい、国立民族学博物館の広瀬です。よろしくお願いいたします。僕からは3点申し上げようと思います。まず僕は全盲の視覚障害者当事者で、13歳の時から点字を使っておるんですけども今回

○日比野座長
ちょっと広瀬さんのZoomが落ちちゃいましたかね。じゃあ、すみません。ちょっと広瀬さん飛ばしまして、また再接続したら繋ぎたいと思いますので、保坂構成員よろしいでしょうか。

○保坂構成員
はい、滋賀県立美術館の保坂健二朗です。よろしくお願いします。前回この会議に参加させていただいた時には、東京国立近代美術館っていうところで学芸員をしておりました。その移る直前にですね、ある事に関わったんですけれども。先ほどリンクも送ったんですが、映像に対して手話通訳とバリアフリー字幕をつけるということをやりました。で田中功起さんという現代美術のアーティストの1時間ぐらいの作品に対して、田中功起さんの協力も得ながら、そして木下知威さんという、ろう者の方で研究者の方の協力も得ながら作ったんですね。これは非常に良い経験で、手話で説得力のあるものを作るためには、これだけの、ほぼ演劇とも近い時間が必要になるということが分かって、非常に面白いもので、こういう経験というものを、先ほど島さんが手話を学んだ事の経験と言われていましたけれども、全国の美術館、博物館の学芸員がすると良いのではないかなというふうにちょっと思った次第です。僕自身それをやろうと思ったきっかけは、ご存知の方も多いと思うんですけれども、イギリスの博物館の多くは、解説の映像とかにもだいたい手話をつけてるんですね。そういうものを見ていると、翻って、この国でいろんな博物館、国公立のところに行っても、解説に映像があったとしてもそこに手話がついていることはほとんどないと。なんなら、言葉が日本語の場合には日本語の字幕が付いていることもあんまりなかったりして。そうした状況を、制度なのか補助金なのかをつくることで、変えていけるのではないかなというふうに思っております。
その他、今日いま皆さんの意見を聞いてて思ったことがいくつかありまして、尾上さんも言われていた自治体の策定率の低さというのは私自身も見て驚いた次第ですけれども、大事なことは、ああいう方針が自治体で策定されてないと美術館の学芸員がもし何かしたいと思っても、それを後押しする根拠がないわけですね。ですので、これはやっぱり、ぜひとも、いろんな自治体が策定するように様々な方面から刺激を与えてほしい、刺激を与えていかなければならないというふうに思います。
あとあえて言いますと、岡部さん、や長津さんの方で芸術的価値を既存の価値観で問うべきではないというご意見もありましたが、一方でその価値を問わないと何が起こるかといいますと、非常にオーソドックスな美術の研究者がですね、意識を変えないということがあると思います。それはオルタナティブな施設がやってればいいよねとか、それは現代美術の範疇でやってればいいよねみたいになって、自分たちは関係ないというふうに考えてしまいがちである……僕は美術館でずっと働いているのでそういうことを感じるんですね。なので、やっぱり優れたものは優れているというふうに言っていくことも大事ではないかなというふうに思いました。また、作品も大事なんですけれども、今回ぜひ皆さんで議論したいなと思うのは鑑賞も大事だということ。どうしても日本の美術教育というのは作ることがずっと重視されてきたと思うんですけども、鑑賞を、障害者に対しても開いていくことが大事ではないかなと思っています。そうしたことを進めていく中で、うちの美術館のやっていることの1つが、美術館にはその評議員会とか協議会というものがあるんですけども、うちはその次期メンバーにですね、光島貴之さん、ご存知の方も多いと思うんですけども、全盲の方なんですが、視覚を使わないで楽しめる作品というものもあるのではないかということで取り組んでいる方ですけども、この人に協議会に入ってもらいました。いわゆる障害のある当事者を、美術館の一種の運営に関わっていただくっていうことも、そんなに難しくなくできることであるので、それも各館で取り組んでいけることではないかなと思っています。とりあえず、私の方からは以上です。

○日比野座長
保坂構成員ありがとうございました。美術の価値に対するまたご意見、そして美術館の当事者の方がメンバーに加わるという話で、とても具体的でありがとうございます。はい、それでは続き、まだ広瀬さんが入ってないですよね。事務局の方でちょっと確認できたらご連絡ください。はい、じゃあ続きまして、森田構成員よろしくお願いいたします。

○森田構成員
はい、森田かずよと申します。聞こえますでしょうか。どうぞよろしくお願いします。知った顔も多いですが、はじめましての方もいらっしゃるのでよろしくお願いします。俳優、ダンサーとして活動しております。あと尾上構成員と同様、私も今回オンラインですので上半身しか見えませんが、私も車椅子を使用する障害のある当事者です。東京パラリンピック開会式の聖火灯火前にソロで踊ったダンサーになります。また、障害のある人やその他市民の方に向けたワークショップや声の振付や演出などもしています。また、ダンスを始めとする障害のある人の表現活動に実際に関わるだけでなく、そこに含まれる当事者の身体感覚の共有や、健常者を主とする規範的身体への問いや表現の価値に関する視点を含んだ研究などもしております。特に障害のある当事者として、この場で意見を述べさせていただく機会を得ることをとても有難く光栄に思っております。
関連団体のヒアリングから、まだこの法律自体が認知されていないことをちょっと改めて知って、私は驚きました。私の肌感覚では、障害のあるなし関係なくという言葉をよく耳にするようにはなったのですが、将来的に本当にその障害のある人という言葉をなくしていくために、何をしていくのかというのが今後の政策には重要であると考えます。「障害者」という言葉というのは本当にとても広くて問題も多岐にわたります。特に私みたいな個人で活動する障害のある表現者は、制度からこぼれ落ちることというのがとても多いです。この会議自体また厚生労働省と文化庁をはじめ様々な事業に取り組んでいただいているにもかかわらず、連携が少ないなと感じることも多くあります。
私の個人的な話となりちょっと恐縮なのですが、私は当事者で実演家であり、例えば私は医療ケアが必要な障害を持っています。表現活動をする中で宿泊を伴う仕事になると、外部的な機関の医療ケアを必要とします。コロナ渦もあり、居住区を超えた中で福祉サービスや医療サービスを受けることがとても難しくて困難を極めます。なので、障害とひとくくりにはしがちですが、個々のニーズと言うのはとても違います。また先日とある人の障害のある俳優のツアー公演に関する介護問題を聞いて、その自己負担額を聞いてとてもその大きさに驚かされました。制度上はみ出してしまう介護に対して、障害のある人自身が、自分に必要な介護であるにも関わらず、全額負担しなければならない。障害のある人が文化表現に関わることが趣味や娯楽の範疇と捉えられる限り、この問題は続くのではないかと懸念します。
また、人材育成について障害のある人が主体的な立場として関わるにはどうすればいいのか。私はこの問題を数年間言い続けているような気がします。育成はサポートの人材だけではなく、障害のあるリーダー的な位置づけに置いていくことも必要です。障害のある人自身が社会の中で文化芸術の中で何ができるのかを考えていくフェーズにはもう充分入っていると思っています。障害のある表現者がただ守られるのではなく、自身を問う段階に入っていると感じます。また、資料3-1の中の参考資料の地方公共団体における計画策定状況を見ても、まだまだ文化と福祉という溝を感じざるを得ません。私の住む大阪でもそうで、私自身、大阪の障害者施策推進協議会文化芸術部会の委員なのですが、計画の位置づけがまだ障害施策の計画の一部であり、文化芸術として連携されていないっていうのはまだ多数の都道府県でそうなんだなあと改めてこの資料を見て思っております。以上です、ありがとうございます。

○日比野座長
はい、森田構成員ありがとうございました。では続きまして、吉野構成員よろしくお願いいたします。

○吉野構成員
はい、こんにちは。愛知大学の吉野さつきと申します。よろしくお願いいたします。専門は舞台芸術分野のアーツマネジメントです。障害のある人による芸術も含め、社会包摂につながる舞台芸術分野が主な領域になります。早速、第1期基本計画についてなんですが、参考資料2-2の16ページにある、芸術上価値が高い作品等の販売等にかかる支援について少し意見を述べさせていただきます。
まず、この内容自体が主に美術分野を想定した書かれ方になっているのではないかと思います。出演という言葉も少し出てきてはいますが、大部分は美術作品を想定しているように読み取れますし、資料3-2の取組状況をみても、やはり美術分野の取り組みが主であるというふうに読み取れます。参考資料2-2の16ページ2つ目の段落の最後に、自立と社会参加の観点からも文化芸術活動が障害者の生活支援や就労・雇用の選択肢の1つとして用意されることが望ましい、とあるんですけれども、障害のある人の就労の手段というのは作品の販売だけではないと思うんですね。舞台芸術分野では、障害のあるアーティストが仕事として活動を行う上で必要となる支援。例えば、人的・物的・移動手段なのですが、これらにかかる経費や手配の負担を、本人または仕事相手のいずれかが負うしかないのが現状です。先ほど、廣川さんや森田さんのコメントにあったこともその一例ですよね。このままでは、就労や雇用の選択肢の一つとなることはとても困難ですね。その上、後に続く人たちのロールモデルとなるようなアーティストも育ちにくいですし、創造や発表の機会も限定的なものにとどまってしまいます。先ほど柴田さんや鈴木さんからも御指摘のあったことにつながるのではないかと思っています。
また、現在の厚生労働省による相談支援の制度ですが、これは主に福祉関係者などが対象で、舞台芸術分野で、障害のあるアーティストの仕事相手となるような作品創造やプロデュースを行う芸術団体、劇場などは対象になっていませんね。こうした現状と課題について、第2期基本計画では、文化芸術活動が障害者の生活支援や就労・雇用の選択肢の1つとなるように、障害のあるアーティストが文化芸術の多様な分野で多様な仕事の仕方を継続できるように、それぞれの障害の種別や状態と、活動内容に合わせた支援制度を整備する必要があると思います。また芸術団体や劇場もしくは個人のアーティストなど、障害のあるアーティストに出演依頼、作品創造の委嘱、アウトリーチなどの講師やファシリテーターといった仕事を依頼しやすくするために、障害に関連することの支援に関わる負担をできる限り軽減するような支援制度や相談窓口の整備など、障害のある人の文化芸術分野での多様な就労を支援する仕組みづくりが必要だと思います。
こういったことに関して最後に1つ質問です。このような支援制度や仕組みづくりについては、文化庁と厚労省の協働が必須だと思われるんですけれども、そのあたりすでに何らかの計画や予定はあるのでしょうか。

○日比野構成員
はい、ありがとうございました。今の最後の質問に関してまた事務局の方からお伝えすることになるかと思います。では、四元構成員よろしくお願いします。

○四元構成員
失礼いたします、京都市文化芸術企画課の四元と申します。初めて出席をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。この度は自治体、また市町村の意見を聞いていただけるということで、このようにお声がけをいただきまして参画させていただきますことを大変ありがたく存じます。
本市では文化芸術の分野別計画でございます京都文化芸術都市創生計画を、障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画に位置づけているところでございます。私は本計画を所管し、また本市の文化芸術振興を担っております部署、文化芸術企画課に所属しています。2011年度から京都の、若手芸術家の居住・制作・発表の支援を行っている団体に、一般社団法人HAPSという団体がございます。こちらのHAPSでは、この5年ほど、文化芸術による共生社会実現に向けた基盤づくり事業というものを実施しているところです。この中で障害のある方、またご高齢の方、LGBTQ、また外国籍市民の方などですね、社会参加に何らかの困難さがある方々に、アートプロジェクトを実施し、そちらに参加いただくなど、文化芸術により新たな交流を創出したり、地域文化の価値に気づいていただいたり、そういうような取り組みを実施しております。また本事業の一環で、一昨年度から、Social Work / Art Conference略してSW/ACですけれども、アートにより社会的課題・困難の緩和に繋げられるような、そういうような相談事業を開始したところでございます。こうした中で障害のある方を支援する施設・団体などからの相談も受けております。また、先日は障害のあるアーティストのレジデンスなどの取り組みにも協力をいたしました。
さらに、今年度からHAPSはですね、障害者等の文化芸術の推進に係る人材育成につきまして、文化庁さんの委託事業に採択されたところです。本事業の企画にあたりましては、関西を中心に主に公立美術館の学芸員さんなどにヒアリングを行いました。先ほど来ございます岡部委員、また長津委員、保坂委員のお話にも関わることですけれども、障害のある方などによる文化芸術活動の評価基準、またキュレーションの手法が一般化、また共有されていないこと。また障害のある方の文化芸術活動に関わる学芸員さんですとか、職員さんの情報共有をさらに進める必要があるのではないかということ。
また、日本のこれまでの文脈では、障害のある方等による文化芸術活動は、福祉施設が創造また発表の中心を担ってきておりますこと、なので1施設の実践報告を超えた活動に対する批評ですとか、分析・調査そういったものは不足しているのではといったような課題があるのではということを感じております。これらの課題認識を踏まえまして、今後、公立美術館を中心に学芸員さん、教育普及の担当職員の方々と共に、障害のある方の文化芸術活動のさらなる推進に向けまして現状ですとか、課題、さらに悩み、そういったものを共有したりとか、学んだりとか、交流するようなカンファレンス、先進事例のリサーチ、また障害のある方の作品の展覧会制作したパイロット事業。こうした取り組みをそのプロセスを、文書や映像などによりアーカイブにしていく、また公開していくようなことを予定しております。今回の有識者会議におきまして、皆様のご知見を学ばせていただきまして本事業にも生かしてまいりたいと考えております。また、第2期の改定計画に対しても貢献できるものと、できればと考えております。以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○日比野座長
はい、ありがとうございました。先ほどちょっと広瀬構成員、途中で切れてしまいましたがまた繋がりましたので、改めまして広瀬構成員よろしくお願いいたします。

○広瀬構成員
すみません、僕は全然切れてることが分からず、いい気になって独演会をしておりましたが、どこまで繋がってたんでしょうかね。3点申し上げて、一つは点字の資料のことで、2つ目人材育成で、3つ目はその健常者に対するこうインパクトの話をしたんですけど。どこまでそうだったんですか。

○日比野座長
最初からいっていただいたほうがよろしいかと。

○広瀬構成員
申し訳ありません。ご迷惑をおかけして。全盲の視覚障害者なのでちょっとZoomの操作は慣れてるつもりなんだけど、途中で切れてるとは気づかずに大変失礼しました。改めて自己紹介をさせてもらいます。今申し上げた3点お話をさせてもらいます、国立民族学博物館の広瀬です。
まず最初に、僕は全盲の視覚障害者で、今回大変驚いたのは先週の金曜日にどさっと大きな箱に入って点字の資料が届きました。で、僕は2008年、2009年に日比野先生とか今中さんとご一緒させてもらって、障害者アート推進会議というものに参加したんですけど、10年ちょい前ですけど、その当時っていうのはもう点字の資料があるっていうことは考えられないことでしたし、当時は電子データでワードファイルとかエクセルファイルを事前にメールで送ってもらって、それを事前にチェックして会議に臨むという形でした。ところが、今日点字の資料を見ながら会議に参加してみると、当たり前ですけどその事前にデータをいただくって、もちろんありがたいんですけど、結局その会議の音声、皆様の発言を聞きながらその資料を音声で確認するっていうのは、その音声と音声で重なるので難しいわけですね。ところが、その点字の資料があるとその音声で発言を聞きながら、その触覚モードで資料を確認できる。だから能動的にすごくこう会議に入りやすいということを改めて確認しました。とってつけたように云うとそのマルチモーダルとかっていうことがよく言われますけど、本当にこういろんな視覚、聴覚、触覚含めていろんな感覚で情報保障されるってことによって、多様な人が参加しやすい環境が整うんだということを改めて実感しました。大量の資料を点字に時間がない中してくださった事務局の方々の配慮に改めてここでお礼を申し上げます。でそのオチにもならないんですけど実はその資料がどんと届いて点字であると安心してですね、今日ギリギリまでその資料を読み込むのを怠っておりまして慌てて付け焼刃で読んでたんですけど、それで到底読みきれるものではございませんので、次回以降の会議で改めてその細かい文言とかに対する質問とか提言というのを僕なりにしていければと思います。今日はそういう意味では少し抽象的なお話になるかと思います。
2つ目のお話ですけど、ここは人材育成ということに関わる部分で、既に国際美術館の島館長等からもご発言がありまして、最近僕自身の周りを見てても本当にこう鑑賞プログラムとか色んな来館者を想定したプログラム・展覧会っていうのは本当に増えてきて、これは国の政策もあるし、今日ご参加の方々のご努力っていうのもあると思うんです。本当にこの10年で変わってきたと実感しています。多少我田引水になりますけど、次のステップはやはり運営側にどれだけこう当事者が入っていけるのかっていう部分だと思っています。で具体的に言えば、例えばその学芸員、博物館、美術館の学芸員っていうことで言うと、現状その今日本の博物館、美術館で、例えば視覚障害の当事者あるいは聴覚障害、ろうの方で学芸員の正規の職にある人がどれぐらいいるかと。これはきちんと調査したわけじゃないですけどほとんど皆無に近い状態。特に視覚障害の場合はゼロと言っていいと思います。人材育成ということで言うとその学芸員養成課程というのは各大学にございますが、今こう欠格条項が削除されたりしてですね、資格取得のための科目履修をするというところではハードルがなくなったわけです。でも現実問題としてその博物館実習をじゃあどう受け入れるのか。実際僕の周りでもその視覚障害の人でこう学芸員資格を履修しているけれども博物館実習の受け入れ先がないということで資格取得を断念するというふうな話を何度か聞いたことがあります。ですから、現実的にその少ない人数、限られた時間でその障害がある実習生を受け入れるってすごく難しいことなんですけど、逆に言うとその今日何人かの委員から発言があったようにその芸術とか学芸員の仕事とかですね、そういう常識的なことを問い直す、新たな価値観を創出していくという意味で、その障害がある人が学芸員資格が取れる環境を整備していくということも、広い意味で、この有識者会議の課題のひとつになってくるのではないか。
もう一つこういう場で発言するのはちょっとずるいかもしれないですが、あえて日比野先生が座長をされてますので、ちょっとこの場を借りて申し上げたいんですけど、その芸術大学の入試っていうことについてです。これご承知のように視覚障害の場合で言うとその音楽学部については、もうたくさんの卒業生が出て活躍されている演奏家っていうのは、たくさんいるわけですけど、美術学部の入試をその全盲の視覚障害者が受験するというのは現状のシステムではなかなか難しい。デッサンを描いたりすることができませんので、よく芸大の知り合いの先生と雑談レベルで話すんですが、その大学院レベルの教育であれば、その全盲の人が受験する、受け入れるってことは可能だけど、現状の制度ではその学部の入試を全盲の人が受ける、芸術大学が受け入れるっていうことは、なかなか難しいだろうと。ここもやはり既存のその視覚芸術の意味を問い直すとかですね、そういう意味合いでも入試制度というものを少し問い直していく、そんなこともあっていいのではないかと。具体的に申し上げると例えば視覚障害のある教員ですね、中学高校等の教壇に立っている全盲の人がこれはもう70年代80年代以降ずいぶん増えているわけですけど、やっぱりそういう人たちがこう教育現場に立つことによって、生徒に与える影響ってすごく大きいわけです。そういう事例を考えると学芸員とか芸術大学の学生で勉強するとかっていうことは、まだやはりこれから変わっていくのかなというふうなことを感じたりしています。
最後、その健常者に与えるインパクトということなんですけど、これは自分の活動を振り返って申し上げることですし、少しその障害者文化芸術活動推進ということに対するある種の苦言かもしれないんですけど、何度も言うようにこの10年ずいぶんこう皆様の努力によってこう障害者文化芸術活動が推進されてきたのは間違いないわけですけど、やはりちょっと意地悪な言い方をすると、確かにその障害当事者であったりそういう分野に関わる人たちの関心は高まっているわけですけど、じゃあ一般社会、障害とかに特に関係ない人達にどれぐらい波及効果があるのかというと、なかなかそこが難しい部分です。僕自身の活動は、その触るとかということを中心にしてずっとユニバーサルミュージアムというのを追求してきて、そのユニバーサルミュージアムっていうのは単なる障害者支援、弱者対応ということではないんだと。むしろそのマジョリティの世界観、価値観っていうところにこうインパクトを与えて、新たな価値観を創出していく。新たな普遍性を築いていく。それが本当の意味のユニバーサルなんだいうことをずっと主張しています。今回のその有識者会議は直接的にはその障害者の文化芸術活動の推進ということがテーマですけれども、やはり大きな展望としてはそのマジョリティの側、健常者側にどういう効果をもたらすのか。そこの部分っていうのを特にその報告書を作るのであれば最後の部分とかにそういう大きな見通しを入れていくことができるとですね、さらにこう関係者のところで盛り上がっているところから一歩こう進むことができるのではないかというふうなことを勝手に考えたりしております。なんだか、2回喋ることになって大変申し訳なかったんですけど、先程申し上げたように、次回以降、資料に即して僕なりの何かしら提案とかがしていければと思います。よろしくお願いいたします。

○日比野構成員
はい、広瀬構成員ありがとうございました。博物館実習とか先ほど広瀬さんが切れてた間にその後の保坂さんが話されてました。滋賀県立美術館での当事者の方も美術館の委員になっているという実例も保坂委員からは挙げていただきました。ありがとうございました。津田構成員お願いいたします。

○津田構成員
はい、津田と申します。聞こえていますでしょうか。大丈夫ですか、はい。津田と申します。神戸大学の教員をしております。専門は、社会教育という領域です。ご存知の方も多いと思うんですけれども、2017年に文部科学省に障害者学習支援推進室ところが作られまして施策を進めてこられています。当時から私もこちらの方でも協力をさせていただいていて、このおそらくですね、この文化庁のあるいは厚生労働省のこの文化芸術の流れと、それから障害者学習支援推進室の流れをですね、どういう風に連携させていくかというところで私は今回この場に呼んでいただいたのかなというふうに思っております。
資料3-2でもですね、障害者学習支援推進室との連携の形跡はないというところでですね、やはりここは少し改善する必要があるかなというふうに思っております。今日オブザーバーに鈴木室長が来られているので、おそらくこれから連携というものを本格的に進めていこうかなというところなのかなということで、私自身も具体的にそういう連携ができるのかっていうことを皆さんのご意見を伺いながら、具体的に考えていきたいと思います。理念としてもですね、文化芸術活動の中に学びがあるということは明確ですし、それから学習活動の内容としてもですね、文化芸術活動であることがとても多いという関係で、現場に行けば行くほど、学びとアートというか文化芸術というのは一体というふうに実感をしているところでもあります。現実的にもですね、その文化庁の事業とその障害者学習支援推進室ちょっと長いので推進室というふうに言いますけれども、推進室の事業とが現場で相乗り状態になるというふうなところもぼちぼちと出てきています。それとですね、問題意識として持っているのは、その都道府県によってですね、文化庁の事業について、とても意欲的に大きな活力で進めているところと、そうでないところ。それから推進室の事業についても意欲的な都道府県とそうでない都道府県があると。この格差は結構大きいというふうに感じております。組織の事情によってですね、どこがどういう形でですね、この全体的に底上げをしていくのかというようなことを考えていけばいいというところで、そういう点でもですね、連携が必要なところがあるというふうに思っております。
ちょっと手前味噌になるんですけども、兵庫県のコンソーシアムの話を少しさせていただきます。推進室では、都道府県にコンソーシアムを作っておりまして、今年少し増えたのかな、昨年度までは北海道、秋田県、兵庫県、宮崎県がコンソーシアムを作って、その障害のある人たちの生涯学習を推進するという活動をしております。兵庫県の場合、3年目になるんですけども、今ちょっとチャットの方にですね、リンクを送らせていただこうと思うんですけれども。障害のある方たちのですね、学びの場が、兵庫県内にどれぐらいあるのかということの調査をずっとして、それをデータベース化して配信するという活動をしております。大体100件ぐらいのですね、データが集まってきているんですけども、見ていただけたら、検索していただいたらお分かりになると思いますが、文化芸術活動が大変多いです。音楽活動とかですね、アートの活動とか、ダンスが結構ある、そういったような状況にある中で、文化庁の活動の方とはですね、あまり接点がないというのが少し違和感を感じながらやっているところがあります。それからこれはおそらくもういろんなところで様々な調査がされているわけですけども、我々もですね兵庫県の中で独自の調査をして、障害のある、特に知的障害のある人たちがどういうふうにその余暇時間、自由時間を活用しているかという調査をしたところですね、自由時間も本当にたっぷりある。平日でも、7、8時間、休日になると15時間ぐらいの自由時間があるって答えておられるんですが、これしかもその時間ですね、充実した活動したいっていうふうなことも答えておられるんですけども、それにも関わらず活動の機会とか場がないという人たちは、全体の活動の場を欲してる人の約半数に達しているというデータになっています。あのともかく時間はたっぷりあるけど、活動する場がないというようなところで問題意識を持っていて、兵庫県全体としてこの問題をどういうふうに扱うかというところで、今年度から少し具体的な取り組みを始めているんですが、その取り組みの内容が博物館を絡めていくというものなんです。ですので、この文化庁との活動、取り組みともかなり接点を持ち得るもので、具体的に言うと博物館等にですね、協力を求めて障害者団体はコンソーシアムの構成員でいますので、そこで障害のある人たちがチームになってその博物館を訪れてですね、時間、はい、わかりました。もう終わります。その博物館がより改善される、あるいはその資料がより享受できるような形に提案していくというですね、博物館側も意見をきちんと受けとめる体制を作ってもらって、こういう双方向性を作っていこうというふうなプロジェクトを今、あの画策しているところです。いずれにしてもですね、そういう具体的には連携の種はいっぱいあると思うんですけども、具体的にどうしていくのか、その特に国策として、国レベルでどういうふうにしていくのがいいのかってこと、まだ具体的にはつかめていないところがありますので、ぜひここで勉強させていただきたいと思います。すいません、長くなりました。

○日比野座長
はい、ありがとうございました。以上の皆様からご意見いただきました。いくつか事務局への質問もありましたけれども、時間がかなりオーバーしておりますので、一度事務局の方にお返しいたします。議題4の方ですねその他について含めて回答できる部分がありましたらよろしくお願いいたします。

○山村総括・政策研究グループリーダー
事務局でございます。尾上構成員他の構成員の皆様から自治体計画についてのお話がございました。文化芸術と障害福祉という、2つの分野を融合させて計画を作らないといけないというところはございます。都道府県の方で資料3-2の方にありますとおり、ここ1年間で一気に計画が進んでいるということでございますけれども、引き続きちょっと自治体のご意見なども踏まえながら、どういうことができるのかということは考えていきたいというふうに考えてございます。
2点目は、柴田構成員の方から、地方交付税の包括算定経費の件についてお話がございました。ちょっとこれの答えは、今持ち合わせてはいないところですけれども、文化庁の方では地域の中核になる劇場・音楽堂などへ支援もしておりますし、ネットワークという支援もしております。今、文化芸術基本計画の方も議論が進んでおりまして、地域振興全体の中でも、文化施設のあり方を考えていかなければならないと思いますので、引き続き議論を進めてまいりたいというふうに考えております。吉野構成員から就労支援のことについてご質問がございました。厚生労働省さんの方でやっていただいている普及支援事業のですね、結果とかそういった課題をまとめたのが本日の資料3-1の方だというふうに私ども思っておりますけれども、これからどういうことができるのかということは厚生労働省さんと引き続き今回の議論の経過も踏まえまして考えていきたいというふうに考えてございます。
続きまして、次回の第5回の有識者会議の日程についてですが、既にご案内させていただきましたとおり、9月12日(月)10時からオンラインにて開催する予定でございます。第6回以降の会議日程につきましては、改めて事務局よりご連絡いたします。以上でございます。

○日比野座長
はい、事務局どうもありがとうございました。皆さまからのご意見、大変たくさんいただきまして、本日まだまだ色々これについてご意見も皆さんたくさんおありかと思いますが、しっかりと次回9月12日の開催の方に引き継いでまた話し合っていきたいと思います。では、本日はこれで締めたいと思います。では、事務局に進行をお返しいたします。

○山村総括・政策研究グループリーダー
日比野座長、本日は円滑な進行をいただきありがとうございました。また構成員の皆様におかれましても、貴重なご意見をたくさんいただきました。誠にありがとうございました。次回も、お忙しい中恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。本日は、これで閉会させていただきます。ありがとうございました。
 

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