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2018年12月18日 第3回障害者文化芸術活動推進有識者会議

障害保健福祉部企画課自立支援振興室

○日時

平成30年12月18日(火) 10:00~12:00

 

○場所

TKPガーデンシティPREMIUM神保町プレミアムガーデン

○議題

(1)障害者による文化芸術活動の推進に関する国の基本的な計画(素案)について
(2)各構成員の意見
(3)その他
 

○議事 

 

○村山自立支援振興室長補佐 皆さん、おそろいになりましたので、ただいまから、第3回「障害者文化芸術活動推進有識者会議」を開催させていただきます。
事務局の厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室の村山と申します。よろしくお願いいたします。
構成員の皆様におかれましては、大変御多用の中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、京都とTV会議でつないでおり、一部の構成員の方につきましては、京都会場との中継により御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
なお、本日の出欠状況でございますけれども、中島諒人構成員、森田構成員から欠席の御連絡を頂戴しております。
まず、議事に先立ちまして、事務局から資料の確認をさせていただきたいと存じます。
お手元、テーブルのほうに配付させていただいておりますのが、議事次第、配席図、出席者名簿、ただ「資料」と書いてある計画の素案でございます。そして、参考資料1と2となっております。
以上、お手元に不足等なく、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
よろしければ、事務局側の出席者を紹介させていただきます。
厚生労働省障害保健福祉部企画課自立支援振興室長の田仲でございます。
同じく企画課自立支援振興室障害者芸術文化活動支援専門官の大塚でございます。
なお、障害保健福祉部長の橋本につきましては、公務により、後ほど到着の予定でございます。
続きまして、文化庁の杉浦審議官です。
同じく地域文化創生本部の松坂事務局長です。
同じく地域文化創生本部の青柴調査役です。
京都からでございますけれども、京都の地域文化創生本部からTV会議で参加されています本田上席調査役でございます。
同じく朝倉研究官です。
なお、杉浦審議官におかれましては、公務により、途中で退席させていただきます。
以上、よろしくお願い申し上げます。
カメラ撮影はここまでとなります。恐縮でございますが、カメラ撮影のみの方は御退室をお願いいたします。
 
(カメラ退室)
 
○村山自立支援振興室長補佐 ここからの議事運営につきましては、座長である本郷先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○本郷座長 それでは、議事次第に沿って進めさせていただきます。
本日は、まず「障害者による文化芸術活動の推進に関する国の基本的な計画(素案)」について、事務局から説明をお願いします。その後、各構成員から順次御意見をいただければと考えております。
それでは、議事次第の1「障害者による文化芸術活動の推進に関する国の基本的な計画(素案)」について、事務局より説明をお願いいたします。
 
○田仲自立支援振興室長 厚生労働省障害保健福祉部の田仲でございます。よろしくお願いいたします。失礼ですが、座って説明させていただきたいと思います。
まず、基本計画素案の説明に先立ちまして、ワーキンググループについての簡単な御報告からさせていただきたいと思います。
先般の有識者会議で御案内いたしましたとおり、3回のワーキンググループを開催いたしまして、各構成員とともに、有識者会議での御意見、それから各省庁の取組についての意見の整理と取りまとめを行ってございます。第1回目のワーキンググループでは、第1回の有識者会議での御意見、それから第2回目に行いました関係団体からのヒアリングにより、いただきました御意見について基本計画の構成に当たって整理するとともに、基本計画作成の方向性について、御意見をいただいたところでございます。
第2回目のワーキンググループでは、基本計画における施策の方向性に記載いたしました(1)の鑑賞の機会の拡大から、(4)の芸術上価値の高い作品等の評価等について現状認識を整理しまして、施策の方向性について御意見をいただいたところでございます。
第3回目のワーキンググループでは、基本計画における施策の方向性に記載しております(5)の権利保護の推進から、(11)の関係者の連携協力について現状認識を整理しまして、施策の方向性について御意見を頂戴いたしました。
有識者会議やヒアリングによる御意見、これらを踏まえまして、3回開催いたしましたワーキンググループにおきましては、本来、文化芸術活動においては、障害の有無は関係ないものですが、制限や障壁によって活動に困難や負担が生じている現状を解消していくため、障害者の文化芸術活動の推進を図ることが、障害者を区別してしまい、意図しない分断などを生む危険性があること。
また、芸術上価値が高いという表現があることで、ある一定の活動のみが支援されてしまいかねないということから、文化芸術活動や、その価値の多様性が失われないよう、文化芸術活動が持つ多様な価値、多様な評価の尺度を対象とした支援が行われるような視点とか方向性について御意見を頂戴したところでございます。
そのほか、施策の方向性につきまして、これまでにない人材育成のあり方や行政の縦割りの解消などについても御意見があり、文化庁とともに、できる限りこれらの御意見の整理を行いまして、基本計画素案の作成を行ってまいりました。
続きまして、資料に用意いたしました文部科学大臣及び厚生労働大臣が定めることとなっております基本計画の素案について御説明させていただきたいと思います。資料をごらんいただきたいと思います。
基本計画の構成につきましては、1ページの「はじめに」から、4ページに記載しました「基本的な方針」、5ページに記載しております「施策の方向性」、最後の23ページに記載しました「おわりに」の4つの章を立てております。
最初の「はじめに」でございますが、まず、障害者文化芸術推進法の成立までの背景や経緯について記載するとともに、主な国の取組として、文化庁と厚生労働省の取組を中心に記載しております。
次に、2ページに本基本計画の位置づけを示しておりまして、障害者基本法及び文化芸術基本法との関連について、これらの法律及びそれぞれの基本計画の基本的理念や方針を踏まえていることなどについて記載させていただいております。
3つ目は、3ページにございます、障害者による文化芸術活動の推進に当たっての意義と課題といたしまして、障害者による文化芸術活動の社会における重要性と課題について述べるとともに、本基本計画においては、現状生じている障壁や制限、それによる負担の解消とともに、誰もが多様な選択肢を持ち得る社会の構築と、文化芸術活動全般の推進や向上への貢献、我が国に新しい価値を提案することなどを述べております。
4ページでございますが、基本的な方針の章では、障害者文化芸術推進法の定める3つの基本理念を基本的視点といたしまして、施策に取り組む基本的な方針を定めてございます。
視点1の障害者による文化芸術活動の幅広い促進では、障害のある方が幼少期から生涯にわたって、全国津々浦々で多様な文化芸術活動に参加できること、そのための環境整備の必要性を記載しております。
視点2でございます。障害者による芸術上価値が高い作品等の創造に対する支援の強化。ここで掲げております「芸術上価値が高い」という表現でございますが、後ろのほうにも出てまいります施策の方向性においても使われているものですが、障害者文化芸術推進法に記載されている表現でございます。有識者会議及びワーキンググループにおいて、この表現を用いることによって、文化芸術活動の多様な価値や評価のあり方が固定されてしまうのではないかといった御指摘が多かったことから、ここでは文化芸術の持つ多様な価値、それから、その評価の相対的なあり方を考慮した創造活動の支援の重要性について記載させていただいております。
視点の3番目でございます。地域における、障害者の作品等の発表、交流の促進による、心豊かに暮らすことのできる住みよい地域社会の実現では、障害者による文化芸術活動にかかわる多様な主体の連携体制の重要性や、連携によるお互いを尊重し合う地域社会の基盤の整備について記載しております。
3つ目の章になります。5ページでございます。施策の方向性でございますが、ここでは、障害者文化芸術推進法に定められた11の基本的施策について、現状や課題について整理を行いまして、障害者文化芸術推進法において求められている具体的な目標として、取り組むべき施策を記載しております。
また、この施策に取り組む期間につきましては、障害者基本計画並びに文化芸術推進基本計画における計画期間終了年度を踏まえまして、平成31年度から34年度までと定めてございます。
最後になりますが、23ページに記載しました「おわりに」でございます。基本計画の目的、目指す社会像を再度確認し、今後の取組の方向性について記載させていただいております。
計画の素案についての説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、基本計画素案について、構成員の方々から御意見をいただきたいと思います。御発言は、お一人当たり3分から4分を目安にお願いいたします。その際、事務局から回答が必要なものは、各構成員の皆様がそれぞれ発言された後、最後にまとめてお願いしたいと思います。
それでは、本日は京都会場の岡部構成員、田端構成員からスタートし、その後、東京会場の今中構成員から時計回りの順番で。よろしいでしょうか。
まずは、京都会場の岡部構成員、お願いします。
 
○岡部構成員 おはようございます。よろしくお願いします。
この計画に関して拝読いたしました。2つ感じたことがございます。
1つ目は、先ほどから何度かおっしゃられました基本的な方針、視点2の障害者による芸術上価値が高い作品等の創造に対する支援の強化という部分で、恐らく、この会議の初期からいろいろ御意見があったからこそ、本文に関しては価値の多様性ということにも言及されていると思います。この視点のタイトルと内容に逆にずれが生じていると思います。先ほどもおっしゃられていましたが、価値の多様性を発信する、もしくは新しい価値を提案する可能性があるということを、もう少し強く方針としてははっきり伝えてもいいのかなと思いました。
もう一点が視点1のほうで、障害者による文化芸術活動の幅広い促進ということで、その後の方向性についても及ぶものですけれども、障害者が学校や福祉施設をはじめ、文化施設、民間の教室等、地域のさまざまな場所でさまざまな芸術活動を体験するということの促進という意味では、全くそのとおりだと思います。その細分化されたものがその後に記載されているのですが、さらに踏み込んで、障害のある人自身が専門的な学びの機会を得ることのサポートがもっと必要だと思いました。
具体的には、美術大学や専門学校、高等専修学校等も芸術教育には熱心で、社会へのアウトリーチ活動、地域の障害者団体とのコラボ、研究活動としての発信とかはあるのですが、障害のある学生や、そこで学びたい障害のある方々に対しての支援というのが、余り強く記載がないような印象がありました。創造の場を広げるだけではなくて、深める、専門的に学ぶ機会をつくることが必要だと思います。
あと、民間の施設、各地域で大きさはさまざまですけれども、機会をふやすといったときに、継続性が大切だと思います。自前で地域のアート教室をやっているような方から、ある程度組織化されてやっているところまであると思いますけれども、みなさん手弁当で活動されているところがほとんどです。具体的に継続的な支援をしていくということが大事だと思いました。
ちょっと長くなりましたが、意見として挙げさせていただきました。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、田端構成員、お願いします。
 
○田端構成員 田端です。よろしくお願いします。
私は昨日いただいた資料を必死に読み込んだのですけれども、この計画がつくられる過程にかかわった者として、内容を十分理解しないといけないというところからの意見と質問です。法律に掲げられている基本的施策に基づいて、そして委員の皆さんからの意見も大分含んだ形で書かれていて、事務局の方々は御苦労されただろうと思っています。
まず、施策の方向性、前半についてです。各項目について、主語が明記されていない、主体が曖昧になっているものが散見されるのですけれども、これは国の基本計画なので、それらの主語は全て「国が」と読むことでよいのでしょうかということが1つ、質問です。
次から、ちょっと細かいことになっていくのですけれども、6ページ目の⑤地域における鑑賞機会の創出です。2行目に、障害者等の作品展、舞台公演、映画祭などの機会の拡大に努めると書いてあるのですけれども、何の機会の拡大かわからない文章になっていると思います。
これは、10ページ目の⑤と連動した内容、10ページ目のほうは創作機会の創出といった項目だと思うのですけれども、これと連動した内容と思うので、同じ文言にしてはどうだろうかと思いました。もしくは、もっと鑑賞機会に絞った内容にしてはどうでしょうかと思いました。
次、同じく6ページの⑦の文章ですけれども、一番最後のところに、特に文化庁が実施、支援するこうした取組においては、他の先行事例となるよう先導的な取組を実施すると書いてあるのですけれども、こうした取組が指す内容は、直前にある障害者の鑑賞に配慮した取組ということだけでなく、さらに、その前のイベントの開催や、海外の芸術団体との共同制作などの取組にも言葉がかかっているのではないかと思っておりまして、とすると、この文言は(2)の創造の機会の創出にも再掲されることではないかなと思っているのですが、いかがでしょうか。
あと、4つあります。
8ページ目の支援の充実の最初の一文です。冒頭は、文化庁のさまざまな取組とか補助事業に主に使われている文章ですけれども、そこに「障害者の活動への配慮を行う」とつけられて、それで結ばれています。ここはちょっと唐突感があるなと思っています。会議の議論の過程で、芸術性を評価する際に障害の有無は加味しないにしても、障害のある芸術家がいないことにはしないでほしいといったやりとりが反映されたものと推察されるのですけれども、具体例を入れるなど、何を指しているのか、もう少しわかりやすい内容にできないでしょうかということが1つです。
あと、同じく8ページに④として、余裕教室、廃校施設などの活用が挙げられています。文科省担当の項目ということで、これらのスペースにまとめられているのだろうと思うのですが、空き家とか空き店舗など、文科省担当以外の遊休スペースについても提起することはできないのかなと思いました。提起することで、法律の中に出てきている縦割り感の解消といったことの一つの象徴になるのではないかと思います。
次、14ページ目の④全国での支援事業の展開、中小企業の知的財産に関する悩みと書いてあるのですが、恐らく中堅・中小企業において、障害のある人の創作物で財産的価値を伴うものを活用したいと思ったときの悩みなのかなと思うのですけれども、そういった言葉を少し補ったほうがいいのではないかと思いました。
最後に、この取組全般を進めるに当たって、さまざまな取組を推進しようとしているのですけれども、既存の文化施設の取組とか大学の研究を拡張させるだけに終わらせることでいいのかなと思いました。それぞれの担っている機関における、そういうことができる人材育成ということが掲げられているのですけれども、それらを待たずに鑑賞や発表の機会の推進を進めていかなければならないと思いまして、かなりの労力を伴うものではないかと考えます。体制が整うまででもいいですので、試行的事業を含めて、これらの取組に特化していく館の設置も必要ではないかなと思っておりました。
滋賀県においては、国の計画策定を待ちつつ、県でも計画を策定しようと準備しておりまして、懇話会が設けられております。その中においても、委員からそういった館の設置の必要性について挙げられ、議論が始まろうとしているところです。
以上です。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
それでは、東京会場に移りまして、今中構成員からお願いします。
 
○今中構成員 今中です。よろしくお願いいたします。
まず1点目は、12ページ、上から9行目、作品の評価に関するところで「本質的価値」、「社会的価値」、「経済的価値」と書かれていますが、この法を参照される方々は、芸術家や芸術系の研究者とは限りません。また健常者だけではなく、障害のある当事者の方もたくさん含まれていると思います。そのような多様な方々を射程に含めるのであればもう少し易しく表記するとか、注釈で内容を深めたほうが御理解は進むのではないかと思います。
2点目は、19ページの①と④にかかわる大学のカリキュラムに関してですが、まずは芸大や美大で履修する一般教養で、障害者の表現芸術の授業を1年間に1コマ(90分)でもいいので持っていただきたいと思います。また、すでに働いておられる学芸員の方々への再教育や学芸員資格を取得する時の履修科目にする方法もお考えいただけるといいですね。
3点目は、23ページです。オリンピック・パラリンピックの組織委員会が主催する4つの文化プログラムと障害者文化芸術活動推進有識者会議の接続についてです。2020年にむかってこの有識者会議で挙がってきた議論を今後どのようにつなげていくのか。具体的な展開を想定しているのであれば追記してください。
以上です。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、保坂構成員、お願いします。
 
○保坂構成員 東京国立近代美術館で学芸員をしております保坂と申します。
会議への出席は初めましてになりますが、僕のほうからは、主に2点指摘したいと思います。1つは、研究というものに対して、もう少し明確に明記していただきたいということで、2つ目は、国立の文化施設と大学の連携について明記していただけないかと、これまでの議論を知らないところで申し上げるのも何なのですが、思います。
具体的に言いますと、例えばページ12の④になるのですが、これはページ8の(2)の②の再掲にはなるのですけれども、ここに調査という言葉があります。作品の調査をし、それの社会的価値の波及効果についての研究とあるのですけれども、とにかく作品の発表にしても、そしてほかの項目で挙げられている販売にしても、全ての根幹にあるのが作品の研究になります。
その作品の研究について明確に書かれいない、触れられていても、研究を新たに行うことを検討すると、非常に婉曲的に書かれています。ほかのことについては、たとえば施策の研究を行うと、非常に明確に義務として書かれているのですけれども、研究についてはとにかく非常に婉曲的に書かれている。このことに対して、私も研究者なので非常に気になります。作品の研究をするのだと、それを支援するのだと、ぜひ明記してください。
その研究に資する機関として、僕が勤めているような国立の文化施設としての美術館があるわけですけれども、日比野先生もきょう、いらしていますが、美大等の大学もあるわけです。例えば、20ページの人材育成のところには、文化施設と大学の連携ということが書かれております。一方で、13ページの作品の保存のところには、文化施設としか書かれておりません。ただ、大学の中にも保存研究の研究部門がありますし、とにかく大学と文化施設が連携していくことが、この分野における今後の発展を促していくことになると思いますので、そうした連携についても、ぜひ明記していただければうれしいなと思いました。
以上になります。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、廣川構成員、お願いします。
 
○廣川構成員 おはようございます。廣川です。
読ませていただきますと、全体的には以前よりは進んだ内容、一歩踏み込んだ内容になっていると思います。いろいろ評価できる面も多いと思います。その上で、具体的な言葉について、定義についてちょっと確認したいと思います。そのあたりの整理が必要かと思います。例えば、バリアフリーですとかアクセシビリティ、情報アクセシビリティ、その3点の言葉について、ちょっと曖昧な表記になっていると思います。いろいろなところで掲げられている文言ですけれども、そのあたりを統一するなり、定義を明確にするなり、したほうがいいと思います。
個人的には、バリアフリーという言葉は障害者向けという感じが強いのですけれども、できればアクセシビリティが誰でも使いやすいという意味で使われている言葉ですので、そのあたりも今後進めて、聞こえない、目が見えない方だけではなくて、全てのいろいろな人が使いやすいという意味で、そのアクセシビリティという言葉をもっと表現していければいいかなと思います。
情報保障の部分ですが、今まではどうしても後退、後回しになっている部分でした。車椅子の方たちとか施設の整備ですとかありますけれども、情報保障に関しては、意識がまだまだという状態で続いていました。そのあたりもわかりやすく明記していただけたらありがたいなと思います。
続いて、福祉施設という言葉があります。多く出されていますけれども、障害者とか障害者団体を含むというお話を前、聞いたことがありますけれども、ここの文章を見ますと、福祉施設という場合には、障害者を支援する健常者というイメージを私の場合は持っていますので、障害者と明確に書く、参加できる。お客様ではなくて、検討段階から障害者・当事者として参画できるような状況が必要だと思います。この会議でも、障害者・当事者、3名出席しておりますけれども、責任をもって話ができるような機会が大事だと思います。
施策の中でも、施設という言葉、プラスもうちょっと踏み込んで、障害者が行ける施設とか、そういう積極的に、主体的にかかわれるような形の言葉を入れていただいたほうがいいと思います。
あと、顕彰という項目がありますが、それも意義があることだと思います。ただ、社会的に注目されるということも大切です。注目されるために表彰するという面もあると思いますので、新たに設けるというよりも、今までいろいろ表彰されてきたものを、もっと新しい部門として、そこを含める。具体的に言いますと、芸術選奨ですとか、私が前いただきましたけれども、社会的な注目を高めるような表彰の場を新たに含めていただけると、そういうところで、また一般の方に対しての効果が大きいと思います。
最後になりましたけれども、専門家という支援者養成についてですけれども、身分保障が大切だと思います。ですので、育成と安定的な身分保障というところをうまく取り入れていただきたいと思います。
以上です。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、日比野構成員、お願いします。
 
○日比野構成員 東京芸大の日比野です。よろしくお願いいたします。
何ページのどこという細かいところではないのですけれども、人材育成とか優秀な者を支援するとか顕彰して広く発信していく、あと海外に発信していくという書き方がありますが、例えば、これまでの芸術文化の発信だと、専門性の高い人を育成し、発表の場を提供し、顕彰し、広く発信していくという構図でいいかと思うのですけれども、今回の障害者を支援するということの一番違い、今までの文化発信の違いが何かというと、意識を変えていく。周りの人たちの意識を変えていくということを強くイメージした構図をつくっていくというのが、きっとこれまでの文化発信とは違うところになってくるのかなと思います。
具体的に、例えば先ほど保坂さんも言っている19ページの(9)の人材の育成等のところに、各分野をつなげる人材を育成するという言い方がありますけれども、そこに他分野に関する知識や理解、経験を深め等々、専門性を高めると同時にとありますけれども、こういう専門性の高い人たちを育てるというのと同じように、日常というか、一般の中で触れ合う場を創出するとか、さりげない1こまの中で意識が変わっていくというところのつむぎ方が大変重要になってくるのかなと思います。
そういうところは、なかなか演出しづらい、場を提供しづらい、見えにくいところになるのかもしれませんけれども、これまでの人材を育成し、発表し、発信していくというストレートな構図ではなくて、何かそれを取り巻く地域とか時間をかけた意識を1つずつ変革していくとか、それを支える人々をまた支える人々という、その周辺の周辺の周辺の人たちを意識できるような発信の仕方とか推進の仕方というのが重要になってくるのかなと思いました。
すみません、具体的にどこの文章がというわけではないのですけれども、これまでの文化発信とは違うというところは、より多くの人たちを巻き込む、影響していくということが必要だなと。これまで芸術というと、芸術は僕、難しいからわかりませんとか、ちょっと敷居が高いから美術館も余り行ったことがない。舞台芸術も関心ないなという芸術の意識というのは、悲しいかな、あるところもあるのですけれども、そことは違った広め方、使い方というのが、新しい、3ページ目の障害者による文化芸術活動の推進に当たっての意義と課題というところの上から7行目、障害者を新たな価値提案する主役として位置づけというところ。
そして、一番下の、我が国に新しい価値の提案をもたらすものであるという、この新しい価値を提案するというところを目指していければいいなと思っております。
すみません、抽象的な意見でした。よろしくお願いします。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、原構成員、お願いします。
 
○原構成員 おはようございます。
私は、基礎自治体から出ておりますので、そういう視点で御意見を述べさせていただきますが、まずもって、全体的に今、ほかの構成員の方からもございましたように、言葉の定義ですとか文末等で、より具体的に何を言いたいのかというのが少しわからない。全体的に抽象的なのかなと。例えば、この推進法で努力義務としてある地方公共団体の計画の作成というところで、この基本計画を勘案すると定義されているわけですから、このような内容で、例えば私ども川崎市が仮に作成するとなると、私どもも抽象的にならざるを得なくなってしまいますので、現場サイドとしては、市民・議会に説明し切れないなと率直に感じております。
少し具体的に申し上げますと、基本的方針では法の3条をなぞっていて、施策の方向性は9条から19条をなぞっていて、各法律の条文で講ずるものとするとあるわけですけれども、それが施策の方向性で幾つかの視点で列記されていて、先ほど他の構成員からもありましたけれども、少し具体に欠けているのかなと思います。
あと、もう一つ、非常に大きな問題かなと思っているのですけれども、法律の7条の中で、達成時期と具体的な目標という法の文言があって、達成時期については計画期間が示されているので、それが達成時期と捉えてもよろしいかと思いますけれども、具体的な目標が記載されていないことによって、どのように個々の列記した施策を展開していくのかということになかなかつながっていかないのかなと。私も自治体の職員ですので、各省庁、横串的に刺している計画ですので、予算等の関係もあると思いますけれども、もう少し目標達成等について記載すべきではないかなと思います。
それと、文化芸術基本法が改正されて、年齢ですとか障害の有無というものについて、かかわらずという基本理念として位置づけられていて、この法律ができたということで、既に3ページの意義と課題の後段でその辺に触れているかと思うのですけれども、その中で留意する必要があるということではなくて、その辺を文化芸術活動をされている方々が懸念されているというのであれば、もう少し強く、否定するとまでは言いませんけれども、そういうものを払拭できるような表現にしていただいたほうがいいかなと思います。
あと、細かい点は、また事務局にお話ししたいなと思うのですけれども、国の計画ですので、やむを得ない部分もあるのかもしれませんが、一例で申し上げますと、19ページの②地方公共団体における美術館、博物館という項目の中で、最後の締め括りが、十分配慮した取組が期待されるということではなくて、方向性なので、配慮する。その配慮の仕方は、基礎自治体なり美術館、博物館、大学も含めて、どのように配慮していくかというのは、そこに委ねられる部分だと思うので、他人的に期待されるという文言がかなり散見されているので、その辺はもう一度きちんと読み返していただいて修正していただければと思います。
最後に、今、日比野構成員も話されたのですが、私、美術館の館長を3年経験したことがあって、基礎自治体で専門性の高い文化芸術活動家を育てるというのは、税金を投入していく上ではなかなか難しくて、障害のある方々が自己実現ですとか自己肯定感、社会参画ということに一歩踏み出す手段として文化芸術活動がある。それはスポーツも同様だと思っておりますので、そういうことに税金を投入していくという立場にありますので、そういう裾野の広い展開ということも少し明記していただくと、基礎自治体としては非常にありがたいかなと思います。
以上でございます。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、野澤構成員、お願いします。
 
○野澤構成員 おはようございます。毎日新聞の論説委員の野澤と言います。よろしくお願いします。
私も大慌てで、大急ぎで読ませていただいたので、読み込みが足りなかったら、認識の違いがあれば御指摘いただきたいのですけれども、理念としては誰も異論がないところだと思いますが、実際にこれによって何がやられるのかといいますか、何が変わるのかということに一番関心があります。
施策の方向性、(1)から(11)まで挙げられておりますけれども、これをざっと読ませていただいた感想ですが、既に障害者の文化芸術活動をやっている法人といいますか、やっている現場を想定したものが多い。当然だと思います。そういう先駆的な取組をしている方が集まって、これをつくるわけですから、大事だと思います。そういう先駆的なところが、こういう鑑賞の機会の拡大とか発表の拡大とか評価、権利保護、販売の支援等、これは当然進めていって、引っ張っていっていただきたい。
ただ、全国のいろいろな現場を見ますと、関心はあるけれども、まだ何もやっていないところが圧倒的多数だと思います。さらに、もっと多いのは、全く価値を感じていないといいますか、遊びぐらいにしか思っていないところが圧倒的な数だと思います。ここをどうしていくのか。先駆的なところがいい実践をどんどん進めていって、だんだん目覚めていってくれればいいのですが、こういうところにももっと目配せのあるものが必要かなと思います。
それを考えたときに、(1)から(11)までの施策の方向性の中で、それらしきものは(9)の人材育成と、その次の相談ぐらいかなという感じを受けます。確保も含めた人材育成というのは、極めて重要だと思います。有能でやる気のある人材がいれば、鑑賞の機会とか販売の機会というものも、そういう人たちがどんどんやっていきますし、既にやられているところもある。なので、この人材確保、育成あたりは、一番前ぐらいに持ってきてもいいのかなと私は個人的に思ったりします。
もう一つ、相談です。相談は大事ですが、その相談に来る人の相談を受けるのはいいのですけれども、むしろ出かけていって、無関心といいますか、知らない方たちに対して、啓発とか研修というものをやってもいいのかなと思います。これは、現場の法人・事業所だけじゃなくて、地方自治体がとても大事だなと思っています。どんなにいい法律・制度をつくっても、自治体になかなか波及していかないという現実があって、去年あたりも、全然分野が違いますけれども、触法の方の再犯防止の法律ができて、地方自治体が計画をつくることになっていますが、なかなか難しい状態です。何をどうしていいのかわからないところがある。
今回の障害者の文化芸術についても、もっと地方自治体に対する啓発とか研修とか、自治体も職員さんがどんどん変わっていきますので、絶えずやっていくぐらいのものが必要なのかなと思います。
もう一点が、先ほどもお話ありましたけれども、基本計画という性格であるから制約がありますけれども、主語がなくて、役割とか責務の明確化というものがもう少しあってもいいのかなという気がするのです。多分、この基本計画を受けて、各省庁とか自治体で具体的な施策について話し合われるのでしょうけれども、どうするのがいいのか、これは思いつきですが、例えば厚生労働省だったら、こういう文化芸術の活動に対する加算とか、こういうことができる指導者を採用したときに、そこに加算がつくとか、あるいは新しいサービス類型をつくる。そんなことが具体的にどのぐらいできるか、ただの思いつきだと思って聞いていただければいいのですが。
あるいは、文科省にしても、芸術系大学で障害者支援に対するカリキュラムとか、そういうプログラムの導入とか、あるいは就職の機会、マッチングとか、具体的にいろいろなことが考えられます。そういうものが、これをざっと読むだけではほとんど読み取れないなというのが率直な感想で、基本計画はそういうものだと言われれば、そうですかと言うしかないのですけれども、このあたりがもう少し見えてきてもいいのかなという気がします。
すごく、大きくて美しいボディーを持った車があるけれども、エンジンがどんなものなのか、燃料をどのぐらい用意するのかというのがなかなか読み取れない。ちょっとその辺がもどかしいかなという気がいたします。
以上です。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、中島隆信構成員、お願いします。
 
○中島隆信構成員 我々は、この会議の意義を考えるべきだと思います。何のために集まってやっているのか。もともと障害者の方たちというのは、福祉の領域だったわけです。だから、厚労省、その前は厚生省が専ら管轄した。しかし、それが就労という形に広がってきたわけですね。そうすると、旧労働省というか、今は厚労省で一緒ですけれども、その中にも僕は縦割りがあると思っているけれども、大分連携が進んできた。
今度、文化活動ということになると文科省あるいは文化庁ということになって、もともと障害者の方というのは、別に自分の体の中が、福祉サービスと就労と教育とか文化活動に縦割りに切れているわけじゃなくて、1人の人間であるにもかかわらず、それが自分の予算というものをなかなか持てないがゆえに、公的な機関がその予算配分をはっきり言ってしまえば勝手に決めてきたということだと思います。そこに穴をあけて、その人たちの全体最適というのをどうやって実現していくかというために、多分こういう会議が開かれているのだろうと私は認識しています。
ですから、こういう会議の基本計画の目的というのは、いかに予算配分の縦割りを是正していくかということだと思います。結局、全部そこに行き着いていく。この活動をしなければいけない。そのためには、こういう予算が必要だということになってくるわけですね。
例えば、障害者の方たちは、日中活動で一般就労できなければ福祉施設に通う。その中に非常に芸術的な才能を持っている人が見出されたとしましょう。あるいは、自分はこの福祉施設に通っていても、大した工賃も得られずに、もっと有意義な活動をしたいと思っている人がいたとする。それが文化活動だとしたら、そこに穴をあけて、その人たちが全体最適になるように、要するに金のつけかえをするということが非常に重要ですね。つまり、今、施設外就労というものは認められているかもしれないけれども、施設外文化活動というのはほとんどないわけで、その施設の中で文化活動をやるしかないわけですね。それを、文化活動に関しては、ほとんど素人の人たちが、福祉職員がやっているという状況です。
ですから、私は、今後、調査あるいは研究みたいなことがされるとするならば、現状の予算配分の中でどういうふうに障害者の方たちの本来の能力が生かされていないか、あるいは不適切な配分がされているかどうかということをチェックした上で、そういうエビデンスを踏まえて、今後、この委員会がどういう活動になっていくかわからないけれども、そういうことを随時検証し、チェックし、予算配分の縦割りに穴をあけていくということは、非常に意義が大きいと思っています。
以上です。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、髙橋構成員、お願いします。
 
○髙橋構成員 新潟県の髙橋でございます。よろしくお願いいたします。
私、最初のときにも申し上げましたように、障害者の分野というものは全く経験がございませんで、文化的な面だけからずっと見てきているというところがあるのですけれども、私ども、来年度、国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭を開催するに当たりまして、特に全国障害者芸術・文化祭の準備について、非常に戸惑ったり、苦労したりしているところがございます。その準備のこととちょっとかかわりを持たせて、お話しさせていただければと思います。
まず、この計画の中にも、国民文化祭と障害者芸術・文化祭を一緒にする、統一的に一体的に開催して名称も統一するという文言がございますが、これについては早急に進めていただきたいなと思っているところでございます。私ども、準備の段階で現場にたくさん行くわけですけれども、その中でも、なぜ国民文化祭とそれを分けるのだということはたくさん言われます。また、この会議でも、当初そういう御意見がたくさんあったかと思います。その意味でも、統一というのは非常に重要じゃないかと思っております。
ですが、その一方で、この計画の「おわりに」のところにもありますように、障害の有無は関係ないと言いながらも、現状ではなかなか困難が生じている部分もある。このことは、本当に事実だと思いますので、先ほどの予算の縦割りというものが関係するのかなとも思いますけれども、そういった部分をきちんとやるようにという予算の配分というのも必要ではないかなと考えております。
それから、19ページの人材育成等ということに大きくかかわってくると思うのですけれども、先ほど、さまざまな構成員の皆様からもお話がありましたように、こちらにいらしている障害者に携わっている団体ですとか、そういった皆様は、本当に先進的な取組をされているのではないかなと強く感じまして、現場の小さな施設ですとか障害者の方ですとか、それを取り巻く皆様にお目にかかってお話しをすると、これが芸術作品と言うのみたいな、そういう目で全く見ていないというスタッフは非常に多くいます。
そういう面からも、まず調査研究というのも非常に重要だと思いますので、国のほうで研究していただき、結果をどんどん発表していただければとお願いするのと同時に、人材育成の部分を、ここの計画の中でいいますと、19の⑥地域における多様な人材の育成。この3行だけでまとめられているような印象があるのですけれども、私ども、地方自治体からしますと、どのようにこれに取り組んで、どのようなことをやっていけばいいのか。もちろん、それは私どもも考えていくわけですけれども、もう少しかみ砕いたようなものがあれば、よりやりやすいのかなと考えております。
自治体も先進的なところもあれば、私ども、県の基本計画をどうするかといったところにまでもなかなか到達していないような状況です。これが市町村ということになれば、もっとそういうことになるのかなと思いますので、できるだけわかりやすく、具体的に、私どもの期待されていることと、やらなければいけないことを明確にしていただければ大変ありがたいなと思います。
それから、ネットワーク化ですけれども、私ども、実際やってみて、知らない間に何か事業をやっていたらネットワーク化が進んでいるということもありますので、私どもがネットワークしろよと言わなくても、さまざまな手法を通じてネットワークというのはできていくのかなと感じておりますが、この計画の中でも、ちょっとわかりにくく、関連分野等の有機的な連携とかネットワークづくりという抽象的な言葉になっておりますが、どのようにこれをかみ砕けばいいのかというのをわかりやすくしていただくと同時に、国からの支援も期待しているところです。
地方公共団体として、国が私たちに求めているものといいますか、どういったことをやればいいのかといったことをもう少し教えていただけるような形になっているとありがたいと思います。
以上です。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、鈴木構成員、お願いします。
 
○鈴木構成員 他の構成員の方と重複するかもしれませんし、5ページの、これは廣川さんが先ほどおっしゃっていたところと重なりますが、鑑賞の機会の拡大の「バリアフリー」という言葉が、鑑賞サポートとバリアフリーという言葉の違いによって何がかわるのかが非常にわかりづらいです。また、情報アクセシビリティとアクセシビリティの違いもはっきりした方がよいと思います。アクセシビリティの後の括弧書きの中に、日本語字幕、手話通訳、音声ガイド、ヒアリングループ等とありますが、ここで示されているのは、情報アクセシビリティのことだと思うのですね。
実際、鑑賞の支援に関しましては、情報保障はもちろんですけれども、それ以外の、例えば感覚過敏の方に対応できるような支援とかサポートがありますので、情報保障以外の支援もあります。言葉の整理が必要ですね。バリアフリーなのか、情報アクセシビリティなのか、アクセシビリティなのか、ここがわかりづらいので整理していただきたい。
また、これはどこに入るか、まだきっちり読み込んでいないところもあるのですが、情報発信というところに関しましては、障害のある方に文化芸術等の情報を届けるというところで、以前、ビッグ・アイのほうで調査したときに、文化事業者が情報をどんどん発信するのですけれども、実際、当事者や御家族、周辺の方には情報がなかなか届きづらかったという結果もあります。この情報発信に関しましても、障害のある人にも届く情報発信の方法をしなければならないと思います。情報提供に関しても具体的に支援を明記していただけるほうがいいかなと思いました。
あと、19ページの人材育成ですけれども、ここも何人かの委員の方がおっしゃっている部分は省きまして、地方公共団体における美術館、博物館、①求められる人材とその研修とあるのですけれども、劇場・音楽堂に関しても求められる人材や、それを育成していくということは、美術館、博物館等の「等」の中に入っているのかもしれないですけれども、劇場・音楽堂に対しても具体的に明記されているほうがよりわかりやすいのではないかと思いました。
それから、今、国民文化祭と障害者芸術・文化祭のお話で、地方公共団体の役割というところがもう少し具体的にという御意見も出たのですけれども、鑑賞の機会や鑑賞支援というところで、国民文化祭、障害者芸術祭を、ここでやりながら広げていくということを書いておられるページがありました。多様な人が来るから鑑賞の機会が広がるかというだけではなくて、多様な人がそこで鑑賞する上で何を、どのように支援していくか。この支援があるからだから、多様な人が鑑賞できるという、そこがこの文章ではわかりづらいなと思いました。
以上でございます。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、柴田構成員、お願いします。
 
○柴田構成員 柴田でございます。
拝読させていただきまして、論点がおおむね整理されておりまして、かつ、有識者の委員の意見も御配慮くださっている内容が読み取れました。ワーキンググループの構成員の皆様方には感謝申し上げたいと思っております。
それで、私から3点ばかり指摘させていただきたいと思っております。
まずは、国と地方の役割について、もう少し具体的に書き込むことができないかという点でございます。随所に「国は地方公共団体と連携し」という表現が出てまいります。そういう中で、国は自治体への助言とか働きかけを絶えず行うべきだと考えております。これは自治事務になりますので、地方自治から見た支援の内容と体制、その位置づけというものが書き込みとして希薄であろうと感じております。地方は、自治体の主体性を尊重すべきであります。地方自治法の本旨がそうなっているからです。
ただし、複雑な縦割りがございます。自治体の中でも、障害者文化芸術活動については、複数の部署にわたって事業が実施されておりますし、また、教育委員会の中では社会教育的な観点からの事業が進んでいるかと思います。こういう縦割りの解消を考えませんと推進が停滞すると思います。基本計画は物すごく立派なのだけれども、具体的に進んでいないじゃないかという状況が起こってくるということでございます。
では、どうすればいいかということでありますけれども、例えば自治体の中で、あるいは広域的な自治体の中で、横断的な調整会議を設けるとか、そういう具体的なことを書き込む必要があるのではないかと思います。今回オブザーバーとして、各省庁の方が御参加いただいていることは非常にありがたいのですが、なぜこのオブザーバーの中に総務省の方がいらっしゃらないのか。私は非常に残念に感じております。国でこの基本計画をつくりますけれども、これを実際に推進していくのは、基礎自治体であったり、圏域の自治体でございますので、総務省の御参加を求めたかったと感じております。
加えて、地方財政上の位置づけでございます。文化芸術全般、地方財政上の位置づけが弱い。弱いために、地方交付税の中における文化予算がなかなかつかないといった現状がございます。これを解消していきませんと、推進はなかなか困難ではないかと感じております。
2点目、劇場・NPOなどを中心とした拠点化。それから、ネットワークを公共私という考え方から捉え直す必要があるのではないかという考えでございます。これは、少子高齢化などの構造的な問題に対応するためであります。自治体戦略2040というものが総務省から発表されましたけれども、その中には、新しい公共私の協力関係の構築ということで、さまざまな考え方が明記してあります。新しい公と共益と私益の共同作業がこれから必要となります。そういった観点もこの基本計画に取り入れることが必要なのではないかと考えております。
3点目です。随所に地域の文化施設という表記が出てまいります。これは、一括りにしてしまっている表現だと考えておりまして、例えば、特に今、劇場・音楽堂に勤務する職員ですが、障害者文化芸術活動を推進していきたいという積極的、前向きな姿勢が昨今見られます。一括りの表現でございますと、この職員の方々のモチベーションが下がってしまうおそれがあります。明確に明記していただきたいと思っております。
また、人材育成19ページですけれども、美術館、博物館への記述が①、②と書き込んであるのですが、劇場・音楽堂と実演芸術分野の項目が③のみで、書き込みも非常に薄いです。たった2行ぐらいでおさまっています。これは美術館、博物館に何か大きな問題が発生しているのでしょうか。それとも、劇場・音楽堂や実演芸術は期待されていないということのあらわれなのでしょうか。非常に残念に感じておりまして、劇場・音楽堂の記述をもっと膨らませていただきたいと思っております。
また、社会文教施設の一つで図書館がございますけれども、図書館は文化施設の中に含んでいらっしゃるのでしょうか。それとも別扱いでいらっしゃいますでしょうか。
最後に、この基本計画を策定いたしまして、これから2022年までの間で推進していくわけですが、具体的に推進するに当たっては、ロードマップというものが必要になってくるかと思いますので、この辺のお考えを後ほどお伺いさせていただきたいと思っております。
以上でございます。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、重光構成員お願いします。
 
○重光構成員 京都から参りました重光でございます。前2回は京都のほうにおりましたので、きょうは出させてもらっております。
私のほうから、基本計画を読ませていただいて、これまでの議論を踏まえ、あるいは全国各地で取り組まれている内容、必要な項目は、ほぼ網羅されているのではないかと思いました。ただ、それをどう具体化していくのか、どう実行していくのかということの記載がもう少しあってもよいのかなと思いました。基本計画ということですので、方向性というだけでいいのかもしれないですけれども、もう少し具体化、どうするのかということがあってもいいのかと。
例えば、文中に環境整備とか関係機関・関係者の連携、国と地方自治体との連携、あるいはネットワークづくり、意見交換の場を設けるということがキーワードとして挙がっているのですけれども、環境整備して、一つの枠組みができた。ネットワークづくりして集まれば、それは365日の1日、2日、3日間で、あとの360日は障害のある人と向き合って、制作したり、それらを保存したり、作品をアーカイブしたり、あるいはそれらを取りまとめて評価して展示・展覧会をしたり、いろいろなことをすることが必要です。
それは誰が担うのかということです。国と自治体との連携だけでは、それはちょっとしんどい。関係者の連携は1日であって、次の日からどうするのか。そこに担い手が必要である。そうした担い手の育成を、あるいは支援をどうしていくのかという文言が少しあってもいいのかなと思います。
私の所属しているNPO法人も、そうした、ここに記載されているような項目についても、既に取組を幾つかしておりますけれども、いま一番困っておりますのは人材の確保ということです。展覧会とか広報物の発行とか、そうした物の面では予算が十分確保できるのですけれども、担い手である人材、特に例えば若い人を育てていくという部分で、資金面で非常に四苦八苦しているという状況がございます。
これは、全国的にも共通する課題だろうと思いますので、そうしたあたりの項目があってもいいのではないかと思っています。
以上でございます。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、久保構成員、お願いします。
 
○久保構成員 東京オリンピック・パラリンピックに向けた障害者の文化芸術活動を推進する全国ネットワークの久保でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今、皆さん、おっしゃったことと結構重複するなと思いながら聞いておりますけれども、1つは、7ページの⑫beyond2020プログラムというものが3行ほど書いてあるのですけれども、私は、オリンピック・パラリンピックのときの文化芸術活動というのは、障害者の文化芸術を知ってもらったり、進めたりする、とてもよいきっかけ、チャンスでもあるなと思っておりますので、ここをもう少し具体的に膨らませて書いていただいたらどうかなと思います。
それから、あとはいろいろな皆さんがおっしゃっていることではありますけれども、19ページです。基本的に障害者の作品を文化芸術活動として見るとか、作品として見るという視点がまだまだ日本の国の中に育っていないなという思いを持っていますので、ここで皆さんと議論しているような施策はとても大切になってくるのですけれども、もう少しこの文化芸術作品として、文化芸術活動として見る視点みたいなものを育てるという視点が裾野を広げることにつながっていくのではないかなと思っておりまして、そんな仕組みを進めましょうということも書いていただいたらいいかなと思っています。
また、19ページですけれども、人材育成です。(9)の冒頭も書いていただいていますし、いろいろ書いていただいているのですけれども、今、重光構成員もおっしゃいましたように、連携しましょうとか、一緒にネットワークを組んでやりましょうと言っても、そのときだけになってしまいますので、ここに書かれている文化、福祉、教育、それから専門家、大学、もっと言えば自治体も含めて、これからの活動を進めるための拠点のような、ここが進めていくのだというものをつくる必要があるのではないかと思っています。
そのときにみんながちょっと集まって議論をして、ぱっと離れてしまうというのではなくて、常時そこが拠点になって、いろいろなところとつながりながら進めていくという拠点のようなものをつくっていただいたらいいかなと思っています。そのことは、地域における多様な人材の育成のところも、(9)の最初に書いていただいているように、こんなにいろいろなところと連携するのですよということは、それを国も進めるけれども、地方自治体もやっていただくということでつながるなと思っていました。
ですので、そこにも少し具体的に書いていただいて、各地方でそういう拠点のようなものを設けて進めましょうという、ちょっと具体的な、どこが進めていく中心になるのかというものがないと、なかなか進んでいかないなと思っておりますので、そんなことを書いていただいたらいいかなと思っています。
以上です。ありがとうございます。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
続いて、大塚構成員、お願いします。
 
○大塚構成員 上智大学の大塚と申します。よろしくお願いします。
基本的な計画素案ということに関して、3点ほど意見を述べさせていただきます。
まず、1つ目は、障害者文化芸術活動推進法、その基本的な計画ということですけれども、これの内容について一定の整理ができたのではないかと思っております。特に、文化芸術基本法との関係であります。文化芸術基本法というのは、一般に広くということで、障害に関しても記述があるわけですけれども、さらに障害者文化芸術活動推進法が、なぜ必要だったかということが、特に3ページの文化芸術活動の推進に当たっての意義と課題というところで整理されたのではないかと思います。
基本法には障害についても書かれていますけれども、障害のある方の文化芸術活動を推進するに当たっては、まだまださまざまな障壁であるとか課題がある。そういうものについて、これからはそういう障壁を取り除いていくことを一つ一つやっていく。ここに法律の趣旨があり、それをこの基本的計画で実施していくということが整理されたと思っております。特に、物理的・心理的障壁を取り除く、ある意味で障害のある方の文化芸術活動が全国津々浦々で可能になるような環境をいかに整備していくかということが整理されたと思っています。それは、とりもなおさず、障害のある方の文化芸術活動の合理的配慮を行っていくことが重要であることが書かれたと思っています。
2番目は、有識者会議でもたびたび意見が出されていました、先ほどのお話の中にもありましたように、4ページあるいは本文の中にもあります視点2の障害者による芸術上価値が高い作品等の創造ということでございます。芸術上価値が高い作品、今後もこの言葉については、その意味内容を検討していく必要があります。すなわち、芸術上価値が高い作品とは、一体何ぞやということです。この基本的な計画の中においては、多様な価値を考慮するということが重要なのではないでしょうか。この芸術上価値が高い作品を狭い範囲で捉えないで、より広く、さまざまな形態の芸術に適用していこうと。例えば、結果だけでなく文化芸術活動のプロセスも含めて考えていくことが大切です。結果としての作品だけではないということの考えが一定程度整理されたことによって、意味内容が与えられたと思っています。
ただ、個人的には、この芸術上価値があるということはこれからも検討すべき課題になっていくのと思われますので、まさにこの基本的な計画にのっとって、それぞれの地方自治体などで実際の文化芸術活動の推進のための施策が行われるわけですから、この中において、芸術上価値が高いというのは一体何なのということを検証していくということになっていくのだと思っています。その結果として、この芸術上価値が高いということの意味がより明確になるか、あるいは明確にならなかったら、法律改正も含めてどう考えるかということが検討すべき課題になっていくのではないかと思っています。
ただ、法律の中にこの概念は、もう規定されているので、最初からということはないので、まずは、この意味をどう私たちがこれから考えていくかということの契機になるのではないかと思っています。
もう一つ、14ページ、3番目ですけれども、権利保護の推進ということで、これについては成年後見制度の利用についても触れられています。障害のある方を中心に考えながら、さまざまな形でそれぞれの人の文化芸術活動を支援していくかということが重要になっています。本人を常に真ん中に置いて考えていくということにおいては、主体としての障害のある方の意思であるとか、そういうものが大切であるということを書きこんでいただいていることを評価するものです。
ただ、気になるのは、4行目の自らの意思表示に困難を伴う障害者もいること。「いること」というのはダイレクトな言葉なので、この文脈は、自らの意思表示に困難を伴う障害者に関しては、芸術活動を行う過程でということにしたほうがいいのではないかと思っています。
以上でございます。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
きょう、御欠席の森田構成員、中島諒人構成員の意見が提出されていますので、事務局からお願いします。
 
○村山自立支援振興室長補佐 中島構成員、森田構成員からコメントを預かっておりますので、読み上げさせていただきます。
まず、中島構成員のほうからでございます。
「4ページ、視点2で、文化芸術が有する本質的価値、社会的・経済的価値という文化芸術推進基本計画からの引用がありますが、これが後では「本質的価値」、「社会的価値」、「経済的価値」と言う表記になっています。意味的にも若干違和感があり、ここでの正確な引用の表現に全てをそろえたらどうでしょうか。
5ページ、施策の方向性、(1)鑑賞機会の拡大で、①バリアフリーから始まって、⑬まで続きますが、いろいろなものが混交し過ぎていないでしょうか。やむを得ないことかもしれませんが。
12ページ、(4)芸術上価値が高い作品等の評価等。「芸術上価値が高い」は必要でしょうか。誰が評価するか、低い作品等は評価の対象から外れるのでしょうか。「本質的価値」、「社会的価値」、「経済的価値」という表記のそろえの問題。」という記載になっております。
続きまして、「14ページ、(5)権利保護の推進。いいと思います」というコメントをいただいています。
「15ページ、(6)芸術上価値が高い作品等の販売等に係る支援。「芸術上価値が高い」は、必要でしょうか。誰が評価するか、低い作品等は支援の対象から外れるのでしょうか。特に、障害者の生活支援や就労・雇用の選択肢ということであるならば、芸術上価値が高い作品等という限定は、とりわけ不要と思われます。1000万円の作品がもっと売れるようにする支援はするが、1万円で売れる絵がもっと売れるようにする支援はしないということになるのでしょうか。」
そして、「「本質的価値」、「社会的価値」、「経済的価値」という表記のそろえの問題」というコメントもございます。
「19ページ、(9)人材の育成等。いいと思います」というコメントです。
「22ページ、(11)関係者の連携協力、④学校卒業後における。いい視点だと思いますが、アートについての学びの話になっていない印象を受けます」というのが中島諒人構成員からいただいたコメントでございます。
続きまして、森田構成員からでございます。
「地方自治体への負担が大きいように感じられた。障害への認識の地域差が大きいので、取組の差が生まれるところをどう解決していくのか。劇場・音楽堂などと連携した取組が必要ではないか。」
まだ続いておりまして、「今回の計画の前文を読んで、思い出したことがあります。障害のある人の舞台表現というと、私は2005年からのエイブルアート・オンステージのかかわりが印象的なのですが、ダンスボックスも含め、あのときに経験したことは余りに大きくて、貴重でした。企画のコンセプトなども、違いを超えてコラボレーションし、創る人と観る人の考え方や価値観に揺さぶりを与える、いいプロジェクトだったと思います。
ですが、よくそのときに言われていた、これまでに見たことのないような新しい表現という言葉、当時の私は、これを好意的に受け取ることができませんでした。障害者だから新しいことをしなければいけないのか。そうでなければ表現する行為を認められないのか。障害者だからといった新たな価値を認められないといけないのか。助成金が切られれば、そこで終わってしまうプロジェクトの連続でしたし、場所がない、理解がない、ないない尽くしだった時代を生きてきたので、そのような考えになったのかもしれません。本当、ひねくれていたと思います。(笑)
あのとき私が欲しかったのは、表現することへの機会均等でした。そこから、大きく時代や考え方は変わったと思います。価値があるから認められるのではなく、一緒に価値を揺さぶっていく。障害の有無なく、誰もが対等に文化芸術を享受・創造できる指針を手に入れることができたこと、これは大きな前進だと思っています。
この法律は、まだ不十分なところがあるかもしれません。まだまだ、これからどのような取組がされていくのか。そして、障害者本人が、ただ上からのことを待っているだけでなく、みずからの取組として進めていくことができるか。私は、これから続く障害のある表現者たちが障害で悩むのではなく、自分の身をどう表現するかで悩んでほしいと思っています。存在意義を問う価値ではなく、もっと次元の違う文化だからこそ、障害をもっと新しい視点で描いていけると確信しているのですが。」
というコメントでございます。以上、読み上げさせていただきました。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
最後に、座長という立場ではありますが、私のほうからもコメントさせていただきます。短くさせていただきます。
全体に、この素案が上がって、何度か読み返し、少し気になるところ、私の中でどうも引っかかるところがありました。それは、例えば障害がある方々、それから支援に携わる方々に対する、この施策、計画の目線がどのあたりまで届いているかということです。私が聞いている範囲で、社会福祉事業所や特別支援学校等々の課題というものは、構成員の方々からのご発言から、おおむね含められているのですが、例えば特別支援学校に行けない子供たち、それから社会福祉事業所にも行くことが出来ない、もしくは社会福祉事業所でもお断りしなければならないような方々の存在です。
そういう方々がいらっしゃるということも聞いております。出来るならば、そういう方々まで、目線が届いているようなイメージがつくれないものかという気がしました。実際、何人かの方々から、そういう方々に対する支援というのは、本法案や基本計画において、どのように取り扱われているのでしょうかと聞かれることもあります。当然そういう内容は含まれているのではないかとお答えしますが、実際、その辺のところがどのように受けとめられるかということをもう一度省庁のほうでも御検討いただけたらと思います。
要するに、医療で言えば在宅医療がありますが、実際に来られない子供たちや障害のある方々、支援者の方々を、支えることができるか、この全体の文案の中から汲み取れるかどうかというところを御検討いただけたらと思います。そういう目線について少し感じたものですから、発言させていただきました。また、できるだけ全ての国民の皆さんに役立つような基本計画であったらいいと思いますので、発言させていただきました。
それでは、私は終わりにします。一通り皆様からコメントをいただきましたが、そのほかに何か御発言がありますでしょうか。
中島構成員。
 
○中島隆信構成員 有識者会議は、きょうは最後だと思うので、ちょっと申し上げたいと思います。
私も、かつてこういうテーブルのあっち側に座って、役人として事務局をやった経験もあるので、そういう立場からもいつも見てしまうのですけれども、構成員の方、私も含めてですけれども、基本計画をつくるときにいろいろ要望も出ますし、意見も出る。
今回、見ていて決定的に重要だなと思うのは、エビデンスが余りにも少ないということです。人材育成という話もよくわかるのですけれども、どういう人材が何人必要で、それをどこから、どういう形で連れてくるのかとか、そういう情報が余りにも足りないので、それぞれの立場の方がそれぞれに意見を言う。実際にそれを踏まえて、この基本計画でロードマップを書くとか、具体的なスケジュールを組んでいくというときに、どう組めばいいかというのが非常にわかりづらいような感じが僕はしました。
というのは、予算にも限りがありますし、全部に予算をつけることはできないので、何かをふやせば何かを削らなければいけないという状況の中で、何が必要かというと、数字であり、情報なのです。ですので、私からの要望ですけれども、実際のエビデンスをもっと積み上げるための調査研究をぜひやっていただきたいという感じです。それを踏まえて、もう少し具体的な工程表を今後つくっていく。それに関して、この会議が今後どういう役割を果たせるかわからないけれども、今回で終わりというわけではなくて、今後、またそれをチェックしていくという形をつくっていかないと、本当に絵に描いた餅に終わる可能性があるので、それを非常に危惧します。
ということを最後に申し上げたいと思います。よろしくお願いします。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
廣川構成員、どうぞ。
 
○廣川構成員 今、お話がありましたが、障害者全体に対する、全国民に対しての障害者の人数というのは少ないです。その少ない中で、どうやって支援をどこまで広げることができるのかが課題。その課題が大切だと思います。ただ、この計画を出したという意味は、少ないけれども必要な人がいるということですので、支援をしていきましょうということだと思うのです。そのあたり、例えば経済的、予算的なところに限界がある。それが現実だと思います。どうやって工夫していくのか、そのあたりを具体的に計画のところでバックアップできるような流れをつくっていくことが大切だと思っております。
聞こえない人、見えない方は、劇場に来てくださる中の数としては実際には少ないです。だから、できませんと、今までは、そういう感じでした。ではなくて、来てくださる人に対しても、同じようにお金を払っているお客様ですので、その人のためには、団体だけが負担するのではなく、国として支援していこうという流れを持っていくということが計画、法律の意義だと思っております。そのあたりを、ぜひもっと明確に出していければ、この鑑賞の機会がふえるという意味で、もっと深まると思っております。
以上です。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
ほかにございますか。
今中構成員、お願いします。
 
○今中構成員
きょうの有識者会議で一番こころに響いたのは、保坂委員がおっしゃった、大学と文化教育が共同して第一線の研究を進めていこうという発言です。ぜひ、実践していただきたいと切に願います。
数年前から、厚生労働省の施策で、全国の福祉を中心とした事業所が集まって、障害者の芸術表現の調査研究、相談業務等をされていると思いますが、そこでは社会福祉の職員が中心で、クオリティの高い芸術やデザインの専門職がリードするケースが少ないように思います。彼らの参加は委員会や会議を行う時だけというのが多いのではないでしょうか。そうではなくて、まずは大学と文化教育が軸となって、研究事業、調査事業を行い、先ほど中島委員がおっしゃいましたように、クオリティの高いエビデンスをそろえていく必要があるように思います。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
ほかにございますか。
それでは、時間もありますので、御発言は以上としたいと思います。皆さん、御発言どうもありがとうございました。
それでは、事務局から回答をいただきたいものが幾つかありますので、ここで一旦、10分間程度の休憩を挟み、その後、事務局より回答いただきたいと思います。よろしいでしょうか。幾つかの御質問に対しての回答を事務局からお願いしたいと思います。10分休憩ということでよろしくお願いします。
 
(休 憩)
 
○本郷座長 それでは、御質問等に関しまして、事務局から回答という形でお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。
 
○田仲自立支援振興室長 本日は、数々の御意見をいただきまして、ありがとうございました。たくさん御意見をいただいておりますので、個別の御意見に関して、お答えできることはなかなか難しい状況でございますが、何点か総体的な御意見をいただいたところで御回答させていただきたいと思います。
まず、芸術上価値が高いという表現についての内容の説明で、3つの価値等について、本質的価値とか社会的価値とか経済的価値といった表現についての御意見があったことと思います。それについては、何を指しているのか、一般の方にわかりづらいということがありましたものですから、ちょっと工夫させていただきたいと思っております。
それから、全体的に施策の方向性等で主語が曖昧だという御意見もあったと思います。それについても、関係省庁と整理させていただきたいと思います。
また、そのほかに言葉の定義ということで、バリアフリー、アクセシビリティ、情報アクセシビリティ等々についての整理につきましても、改めて調整させていただければと考えております。
それから、複数の構成員の方々から、本郷先生からも、計画がどこまでの目線という難しい問題がございましたが、それについてはちょっと工夫させていただきまして、複数の構成員の先生方から、エビデンスの問題ですとかロードマップの問題ですとか目標値の問題ですとか、共通したような御意見があったかと思います。実は、これにつきましては、確かに先生方おっしゃるとおりでございまして、現在、障害者による文化芸術活動に関する基本的な調査、それから総合的な実態把握というのは十分だとは考えておりませんで、そういう意味では、目標値の設定方法についても検討が必要だろうと考えているところでございます。
本基本計画期間中に、次期計画策定に向けて必要な調査を行いまして、具体的な目標値の設定等について検討を行ってまいりたいと考えております。
また、文化芸術推進基本計画のほうでも、障害者による文化芸術活動の参加割合について、同計画期間中に指標の開発について検討するということとなっておりますので、同計画とも連携を図りながら進めていきたいと考えておるところでございます。
私のほうからは以上です。
 
○松坂地域文化創生本部事務局長 文化庁でございます。本日は、貴重な御意見をいただいて、ありがとうございます。
ことしの10月から、共生社会関係の施策につきましては、京都に置かれております地域文化創生本部のほうで担当することになりまして、いつもTV会議で失礼させていただいておりました。
本日いただきました御意見、特にただいま厚生労働省からお話ありましたけれども、「芸術上価値が高い」との表現につきましては、文化芸術基本計画の中に、芸術には多様な価値がある旨書いてありまして、今回の計画を考えるに当たって、多様な御意見をいただいたところですが、そのことも踏まえて、文化芸術基本計画における表現についても、あわせてこの4年間で考えていきたいと考えております。
また、御意見ありましたように、障害者による文化芸術活動が、周りに与える影響等を考えることは大変重要な御指摘だと思っておりますので、価値の考え方については、今後、しっかりと検討していきたいと考えております。
それから、個別の御意見をいろいろいただいておりまして、特に文部科学省として考えられることとして、大学等におけるカリキュラムでの取組や調査研究に関することがあるのかなと考えております。カリキュラムにつきましては、個別に高等教育局にも御相談させていただいて、芸術系教育の中における、障害者芸術のあり方を知る機会をどういうふうにつくっていくのかということを問いかけてみたいと思います。
また、文化庁では芸術系大学ネットワークがございますので、そういう中で、例えば芸術系大学の一般教養の授業の中での取り上げ、そういったものの働きかけができるのではないかと思っております。そういうことも含めて、記載できるのであれば、しっかり記載していきたいと考えております。
それから、オリ・パラについても御意見いただきました。これは、障害者芸術、スポーツも含めて、障害者のことを理解する貴重な機会だという御意見だと思います。私たちも文部科学省全体でオリ・パラは大きな機会と考えておりますので、記載の充実を図れる部分も検討していきたいと考えております。
それから、調査研究についてですけれども、先ほどと同じように、芸術系大学ネットワークでの取組について、まず検討してみたいと思います。
また、地域文化創生本部では、現在、共同研究のプロジェクトということで、鳥取大学、群馬大学、九州大学と、障害者等と文化芸術のかかわりについて共同研究を進めております。そこの成果も十分に踏まえながら、さらなる共同研究の可能性についても検討したいと思っています。
それから、博物館、美術館における研究につきましても、これも担当課とよく相談していきたいと思います。中島先生から御指摘ありましたように、評価するにしても、活動するにしても、何しろエビデンスが不在であるということを痛切に感じておりますので、その辺について、基盤的な調査がまずできるように、予算確保も含めて進めていきたいと思います。
劇場・音楽堂等の扱いと、それから博物館、美術館の扱いについて、表現が少し不統一なところがあると思っております。舞台芸術と表現芸術で配慮が必要なところがもちろんあると思うのですけれども、気持ちとしては、そこに全く差をつけているつもりはなかったので、その辺は配慮して表現を考えたいと思います。
とりあえず、全部ではないかもしれませんけれども、感じたことを御説明させていただきました。ありがとうございました。
 
○本郷座長 以上でよろしいですか。
構成員の皆様、今、事務局のほうから回答がありましたけれど、よろしいでしょうか。
保坂構成員。
 
○保坂構成員 すみません、初めて出るので、もう一言だけつけ加えさせてください。
きょう、いろいろな意見が出ていて、僕がふだん美術館の中でも保守的なところで働いているからそう感じるのかもしれないのですが、この基本計画というのは、少なくとも僕が働いているような美術の世界に対してはすごいインパクトを持っていると思っています。こんなふうに文化芸術に対して、劇場の人と一緒に話すことも実は余りないし、経済の人と話すこともないですし、福祉の人と話すこともないのが、こうやって起きているわけです。
この基本計画が進んでいくと、そういう会話が国ないし全国各地で行われていくわけですが、それは今この場がそうであるように楽しいことなのだということが、これを読む人に伝わるといいなと思います。現状では、義務みたいに読めてしまうと思うのですけれども、これをやると楽しいよとわかるような書きぶりになってほしいです。同じようなことは、日比野さんも言われていたと思うのですけれども、そういうことが読む人に伝わるような工夫が、せめて「はじめに」あたりで書かれていればと。僕は、「はじめに」を読んだ瞬間に、正直もう読むのをやめようと思ったぐらいでした。今回の基本計画は画期的なものであるはずなので、ぜひそうしていただけないかなと思いました。
以上です。
 
○本郷座長 ありがとうございます。
日比野構成員、お願いします。
 
○日比野構成員 すみません、私も保坂さんに引きずられて。
これをやることによって、福祉とか新しい美術というよりも、新しい社会ができるすごく大きな推進力になると思いますし、信じています。中島構成員からもありましたけれども、縦割りのものじゃなくて、この話は全てのものに関連してくることになりますし、とはいえ、きちんと大学とか美術館の専門的な人が専門的なものを研究するという裏打ちもやりつつ、さっき原構成員も言われたような裾野も視野に入れつつという、そんな世界観を持って進めていけると、きっとこれは経済的にも、国にとっても新しい産業になるものも大変たくさん要素としてはあるような気がいたしますし。
世界をリードすることもできるような価値観が日本から、そして、それをベースとした産業と言うのですか、新しい発信力を持つ文化というものができるような気がしますので、それを保坂さんの言葉をかりれば、楽しく進めていけると一番よいのかなと思っております。
失礼いたしました。
 
○本郷座長 よろしいでしょうか。
それでは、事務局から、この後について説明をお願いします。
 
○村山自立支援振興室長補佐 どうもありがとうございます。
本日は、お忙しい中、御出席、そして貴重な御意見を頂戴いたしまして、まことにありがとうございました。
本日、皆様方からさまざまな御意見を頂戴いたしましたので、文化庁と厚生労働省でもう一回整理して、関係省庁とも調整しながら、必要な修正等を進めていきたいと考えております。修正の進め方は、本郷座長とも相談してまいりますが、必要に応じて構成員の方に御連絡させていただくこともあると思いますので、その際にはどうぞよろしくお願いいたします。
そのような進め方でさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、その方向で進めさせていただくことといたしまして、今回の御意見を踏まえた修正の後は、関係省庁で構成いたします障害者文化芸術活動推進会議で計画案にかかる連絡調整を行いたいと考えております。その後、パブリックコメント、関係省庁の協議を経て、基本計画としてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
 
○本郷座長 ありがとうございました。
時間も参りましたので、本日はここまでとしたいと思います。
それでは、事務局に進行をお返しいたします。
 
○村山自立支援振興室長補佐 本日はどうもありがとうございました。
予定しておりました3回の有識者会議を無事開催することができました。構成員の皆様におかれましては、本当に御多用の中、御出席いただきまして、ありがとうございます。この場をおかりして、厚く御礼申し上げます。
今後とも関係する方々と協力を図りながら、障害のある方々の文化芸術活動がより一層推進されますよう取り組んでまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
本日は、これで閉会とさせていただきます。
どうもありがとうございました。京都会場の方もどうもありがとうございました

 

 

 

—— 了 ——

 

 

 

 

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