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2018年9月26日 障害者文化芸術活動推進有識者会議

障害保健福祉部企画課自立支援振興室

○日時

平成30年9月26日(水) 10:00~12:00

 

○場所

TKPガーデンシティPREMIUM神保町プレミアムボールルーム

 

○議題

(1)障害者による文化芸術活動の推進に関する法律の概要について
(2)障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画の策定について
(3)関係機関における障害者の文化芸術活動の推進に向けた取組について
(4)各構成員の自己紹介およびご意見等
(5)その他


 

○議事 

 

○村山自立支援振興室長補佐 第1回「障害者文化芸術活動推進有識者会議」、定刻になりましたので、ただいまから開催させていただきます。

 事務局の厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室の村山と申します。よろしくお願いいたします。

 構成員の皆様方におかれましては、大変御多忙の中、お集まりいただきましてまことにありがとうございます。

 本日は、京都とテレビ会議をつないでおりまして、一部の構成員の方につきましては京都会場との中継により御参加いただいております。

 なお、本日の出欠状況でございますけれども、保坂構成員から御欠席の御連絡を事前に頂戴しております。

 まず、議事に先立ちまして、事務局から資料の確認をさせていただきたいと思います。

 お手元に今、配付させていただいておりますのが、まず議事次第でございます。

 あとは、配席図、出席者名簿、資料1~5までが事務局用意の資料でございまして、資料6として関係機関の資料、6-1~6-7まで7点配付させていただいているところでございます。

 加えまして、参考資料として法律の条文、あとは机上配付資料がA4の1枚です。

 そして、それに続きまして構成員の方から本日の発表に際しいただいている参考の資料を配付させていただいているところでございます。

 以上、お手元にございますでしょうか。もしないようでありましたら、今でも会議の途中でも挙手でお知らせいただければ、事務局のほうでお渡しいたします。

 よろしければ、事務局側の出席者を紹介させていただきます。

 まず、厚生労働省障害保健福祉部長の橋本でございます。

 障害保健福祉部企画課長の内山でございます。

 同じく自立支援振興室長の田仲でございます。

 続きまして、文化庁文化部の藤原部長でございます。

 芸術文化課の江﨑課長でございます。

 同じく文化活動振興室の根来室長でございます。

 京都の地域文化創生本部からテレビ会議での参加となりますが、松坂事務局長でございます。

 よろしくお願いいたします。

 それでは、初めに厚生労働省と文化庁から御挨拶を申し上げます。

 

○橋本障害保健福祉部長 おはようございます。厚生労働省の障害保健福祉部長をしております橋本でございます。本日は、構成員の皆様、オブザーバー、それから関係機関の皆様には大変御多用の中、御参集いただきましてまことにありがとうございます。

 既に御承知のとおりかと思いますが、去る第196回の通常国会におきまして「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が可決・成立いたしまして、6月13日に公布・施行されたところでございます。

 私ども厚労省では、障害のある方々の文化芸術活動のより一層の推進ということを目指しまして、文化庁と共同でこの法律の基本計画を策定してまいりたいと考えております。

 これまで私どもにおきましては、障害のある方々の自立と社会参加を促進するという観点から、文化芸術活動の支援に取り組んでまいりました。これまで取り組んできたことを通じまして、障害のある方々の自己表現の幅が広がるとか、あるいは周囲の方々とのコミュニケーションが進むとか、自己肯定感が向上するとか、御家族の考え方が前向きになる、地域における障害への理解が深まる、こういったさまざまな自立と社会参加につながる好事例も報告されているところでございます。

 本日お集まりいただきました皆様方は、これまで取り組まれてきた中でいろんな障害者の方々の幸せにつながるさまざまな文化芸術活動が行われていることと思います。皆様方の御経験や知見から大いに学ばせていただきまして、総合的かつ効果的な基本計画を策定できるように、文化庁と密接に連携をとりながら丁寧に検討を進めてまいりたいと存じますので、ぜひ忌憚のない御意見をいただきますようにお願い申し上げたいと思います。

 皆様ともさらなる御協力を図りまして、障害のある方々の文化芸術活動がより一層推進されますよう取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 

○村山自立支援振興室長補佐 続きまして、文化庁よりお願いいたします。

 

○藤原文化部長 おはようございます。文化庁文化部長の藤原でございます。委員の先生方におかれましては、本日はお忙しいところお集まりをいただきましてまことにありがとうございます。

 この会の趣旨につきましては今、橋本部長のほうからお話があったとおりでございます。文化庁としても、厚生労働省としっかり連携をしながら進めてまいりたいと考えております。

 さて、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会まであと2年弱という時期に迫ってきたわけでございます。このオリンピック・パラリンピック大会は、スポーツだけではなくて文化の祭典でもあると位置づけられております。また、その中で共生社会の実現ということがこの大会の大きな眼目の一つでもあると考えているところでございます。

 この会議に基づきまして、これから基本計画を策定していくわけでございますけれども、2020ということもしっかり見据えながら、その中で障害者の方々の文化芸術活動が大きく前に進んでいくような形で進めていければと考えているところでございます。

 どうぞ委員の先生方におかれましては、御活発な議論をいただきまして、実り多き議論となりますようお願い申し上げて挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○村山自立支援振興室長補佐 ありがとうございました。カメラ撮影はここまでとなりますので、恐縮ですが、撮影のみの方は御退室をお願いいたします。

 

(カメラ退室)

 

○村山自立支援振興室長補佐 まず、本会議の議事進行及び取りまとめをしていただく座長の選任の手続を行いたいと存じます。本日の有識者会議に先立ちまして、8月8日に関係省庁とともに「障害者文化芸術活動推進会議」を開催し、そこで推進会議及び「障害者文化芸術活動推進有識者会議」の設置について申し合わせをいたしました。本日の資料の中の資料4がその設置要綱になりますが、この要綱において、本会議の座長は構成員の互選により決定することになっております。つきましては、どなたか自薦、他薦も含めまして御意見ございませんでしょうか。

 鈴木構成員、お願いいたします。

 

○鈴木構成員 これまでの懇談会でも座長をお務めいただきました本郷先生に、引き続きこちらの座長もお務めいただくということでいかがでしょうか。

 

○村山自立支援振興室長補佐 ありがとうございます。ほかにございませんでしょうか。

 ほかに御推薦がないようであれば、本郷構成員に座長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 御異議ないようでございますので、本郷先生におかれましてもよろしいでしょうか。

 

○本郷座長 はい。

 

○村山自立支援振興室長補佐 ありがとうございます。そういたしましたら、以降の議事運営につきまして本郷先生にお願いしたいと思います。
 それでは、本郷先生から簡単な御挨拶と、設置要綱に基づき座長代理の御指名をいただき、それに引き続いて議事を進めていただきたいと思います。

 では、本郷先生お願いいたします。

 

○本郷座長 御指名いただきました本郷です。よろしくお願いいたします。

 この会議は、大変重要な会議と受けとめております。座長として、構成員の皆様、関係の皆様の活発な意見交換、それと円滑な進行に努力したいと思います。何とぞご協力よろしくお願いいたします。

 それでは、本会議の設置要綱に基づきまして座長代理を指名させていただきます。座長代理は、大塚構成員にお願いしたいと思います。

 

○大塚座長代理 喜んでお引き受けさせていただきます。ありがとうございます。

 

○本郷座長 ありがとうございます。

 それでは、議事次第に沿って進めさせていただきます。

 まず、「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律の概要」及び「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画の策定について」、事務局から説明をお願いいたします。

 

○田仲自立支援振興室長 それでは、説明させていただきます。自立支援振興室長の田仲でございます。よろしくお願いいたします。

 まず資料の1に「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律の概要」をつけさせていただいております。先ほど部長から説明がありましたとおり、第196回通常国会におきまして法律が可決・成立し、6月13日に公布・施行されております。

 この法律では、第1条に「法律の背景・目的」が述べられておりまして、文化芸術基本法及び障害者基本法の基本的な理念にのっとりまして、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、文化芸術活動を通じた障害者の個性と能力の発揮及び社会参加の促進を図ることを目的とするとされております。

 また、第3条にはこの法律の「基本理念」が掲げられてございます。

 その次のところに「基本的施策」がございます。第9条からは鑑賞の機会の拡大、創造機会の拡大、発表の機会の確保など、第19条まで11の基本的施策が示されてございます。

 なお、下のほうにございますが、第7条にはこれらの基本的施策を具体化するために、文部科学大臣、厚生労働大臣が基本計画を定めることとされてございます。

 引き続き恐縮です。資料の2をごらんいただきたいと思います。障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画の策定についてでございますが、資料2では文部科学大臣、厚生労働大臣が定めることとなっている基本計画の策定の流れについて御説明させていただきます。

 8月8日に、関係省庁との連絡調整を行います「障害者文化芸術活動推進会議」を開催いたしました。以下、資料の3、4、5にはそれぞれの設置要綱等について資料をつけさせていただいておりますが、流れにつきましては資料の2で御説明をさせていただきます。

 この推進会議は法律の第20条第1項に基づくもので、文化庁、厚生労働省、経済産業省などの関係行政機関が、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るための連絡調整を行う場として設置するものでございます。

 また、本日開催しております有識者会議でございますが、これは法律の第20条の2項に基づくものでございまして、関係行政機関が連絡調整を行うに際して学識経験者から意見を聞くために設置するものとされてございます。

 これらの推進会議、有識者会議の後には、10月からになると思いますが、12月まで3回程度ワーキンググループを開催いたしまして、このワーキンググループにおきまして関係省庁の取り組みですとか有識者の御意見等を整理し、厚生労働省と文化庁が連携して基本計画案の作成を行ってまいりたいと思っております。

 その後、有識者会議及び推進会議におきまして、基本計画案について御意見をいただきまして、さらに内容を整えてまいりたいと思います。

 こうしたプロセスを経ましてまとまった基本計画案を、来年2月にはパブリックコメントにはかり、最終案を3月に関係行政機関と協議した上で基本計画として完成させる予定で進めてまいりたいと、このように考えております。

 私からの説明は、以上です。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 それでは、続いて議事に移ります。「関係機関における障害者の文化芸術活動の推進に向けた取り組みについて」、本日御出席の各関係機関から御説明いただきます。

 まずは厚生労働省からよろしくお願いいたします。

 

○田仲自立支援振興室長 それでは、厚生労働省の取り組みにつきまして御説明させていただきたいと思います。

 資料6-1が、厚生労働省の資料でございます。厚生労働省では、芸術文化活動を通じまして障害がある方々の生活を豊かにするとともに、国民の障害に対する理解と認識を深め、自立と社会参加を促進する観点から、障害者の芸術文化活動の支援に取り組んでおり、3つの輪で示しているとおり、主に3つの事業を行っているところでございます。

 1枚めくっていただきまして、後ろのページに詳細がございますが、1つ目の「障害者芸術文化活動普及支援事業」についてでございますが、これは都道府県に障害者芸術文化活動支援センターを設置いたしまして、地域の障害者の芸術文化活動の支援体制を整備するものでございます。

 また、ブロックレベルにおきましては広域支援センターと連携事務局も設置いたしまして、都道府県を越えた連携を図っているところでございます。今年度は、現在24の都道府県、5つの広域支援センター、2つの連携事務局が事業に取り組んでいるところでございます。本事業を通じまして、支援人材の育成ですとか、関係者とのネットワークの構築などを行い、地域の創造活動、鑑賞活動の環境を整えまして、それらを活用した展示会や公演なども行っております。

 同時に、広域の連携を通じて、まだ実施されていない未実施の地域も含めた全国的な障害者の芸術文化活動の振興を目指しているところでございます。

 2つ目の「全国障害者芸術・文化祭」でございますが、障害者の生活を豊かにして国民の障害への理解を深めるために開催しているものでございます。昨年度のなら大会に続きまして、今年度も文化庁さんの国民文化祭と一体的に開催することとして、10月から2カ月間にわたり、今年度は大分県において実施することとしております。

 また、3つ目でございますが、こちらは全国各地で障害者の芸術祭やアート事業等を先ほどの全国の大会のサテライト事業として開催しまして、オールジャパンで障害者の芸術文化活動を盛り上げてまいりたいと思っております。

 今後も関係機関と連携を図りながら、地域の障害者の自立や共生社会の実現に向けて、障害者の芸術文化活動の支援に取り組んでまいりたいと考えております。以上です。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、文化庁お願いします。

 

○江﨑芸術文化課長 文化庁は、資料6-2を用意してございます。

 障害者の文化芸術につきましては、昨年の3月に文化芸術基本法が振興法から改正されまして、共生社会の理念というものが明確に入ったわけでございます。これと、それから今年の6月に成立しました障害者芸術推進法に基づいて、この事業を行っているというようなところでございます。

 また、障害者関係につきましては文化芸術基本法に基づく基本計画というのもできておりますので、その中にもきちんと位置づけられております。

 資料の来年度の概算要求でありますけれども、左上にありますのがこの障害者芸術では一番大きな事業になると思いますが、「障害者による文化芸術活動推進事業」というのが5.2億円を要求しております。これは、障害者の文化芸術の鑑賞機会、それから創造の機会、発表の機会の拡充、あるいは作品の評価の向上に関する調査研究というようなものを要求してございます。

 それから、次に鑑賞機会の拡大の支援というようなことでありますけれども、映画製作支援、メディア芸術を鑑賞する際の支援、それから劇場・音楽堂の機能強化推進事業とありますが、全てバリアフリーの字幕とか、あるいは音声ガイドなどへの支援でございます。

 次に、特別支援学校の生徒の作品展示等の発表の場の機会の提供でありますけれども、高校総合文化祭におきまして特別支援学校の生徒の参加がなされております。

 それから、右上にまいりまして、特別支援学校の子供たちに対する文化芸術の鑑賞・体験機会の提供ということで、「文化芸術による子供育成総合事業」の中で特別支援学校に芸術団体の公演であるとか、あるいは全国の小中学校の子供たちに障害者芸術を見てもらうとか、こういった事業を展開しております。

 それから、「文化芸術創造拠点の形成の推進」ということですけれども、これも地方公共団体が主体となっていろんな芸術祭等の文化芸術に関係するイベントに対しての支援ということになりますが、この中で障害者芸術に関するものも支援をしております。

 それから、「新進芸術家グローバル人材育成事業」につきましては、新進芸術家や、あるいは芸術活動を支える人材の育成ということで、この中で障害者芸術の理解というものを深めようと考えてございます。

 2枚目は先ほどのいろんな事業がありましたけれども、これが具体的にどういうことをしたかというような事例でございます。例えば、右上にジャパン×ナントプロジェクトというものがありますけれども、平成29年度にフランスのナントにおきまして日本の障害者芸術の大きな発表の機会をいたしております。これについての支援でございます。

 3枚目にまいりまして、税制の関係が1つございます。ことしの3月末に30年度の税制改正がされましたけれども、その中で障害者等に対応した劇場・音楽堂の固定資産税等の特例というものができました。従来から一定のバリアフリーについては義務化されております。これは、劇場・音楽堂等の公共施設ということですけれども、ただ、それ以上の劇場、「建築物移動等円滑化誘導基準」ということで、一段高いバリアフリーを行った劇場・音楽堂について固定資産税、都市計画税を3分の1減額というようなことでことしから始まった制度でございます。こういったものも活用しながら、これは高齢者も含むことになりますけれども、障害者等がより文化芸術に親しむ環境を醸成していきたいと考えております。以上です。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、外務省お願いいたします。

 

○山谷外務省大臣官房外務報道官・広報文化組織文化交流・海外広報課長 外務省でございます。座って失礼いたします。

 配付資料は特段お手元に御用意しておりませんが、簡潔に外務省が行っている事業の取り組みについて御説明させていただきます。

 外務省国際交流基金では、日本文化を世界に発信することによって、世界に日本の理解者をふやすということを使命に文化広報活動を行っております。その中には、もちろん日本のアール・ブリュットというものもございます。先ほど藤原部長が御言及されていましたが、フランスナント市でのアール・ブリュットの展示、公演においては、大使館も一緒に連携をさせていただいた次第でございます。

 国際交流基金事業といたしましては、ヨコハマ・パラトリエンナーレの障害者とアートに関連する企画に対して助成をさせていただくなども含まれていますし、マリスアートプロジェクトというものもございます。

 あともう一つ、専門家同士のネットワーキング、交流事業ですね。こういったところにも、助成をさせていただいている次第でございます。

 各大使館、総領事館で行っている文化事業にも障害者関連のものが多々ございます。現地の障害者の方々との交流であるとか、あとは障害を持つ子供たちとの子供の日イベントといったものがあります。

 また、文化芸術に限らず、障害者スポーツ連盟と連携しての事業というものも行われています。

 これからも、外務省・在外公館、そして国際交流基金では、このような事業を続けてまいりたいと考えている次第です。以上です。ありがとうございました。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、文部科学省お願いいたします。

 

○久保田文部科学省生涯学習政策局生涯学習推進課長 文部科学省から御説明をいたします。資料6-3をごらんいただきたいと思います。

 文部科学省におきましては、教育、スポーツ、文化の施策全体にわたりまして、障害者の生涯を通じた多様な学習活動を充実しようということで、その取り組みをしているところでございます。

 1枚目をごらんください。まず、推進の体制でございます。特別支援総合プロジェクト特命チームを省内に設置しておりまして、平成29年度からは生涯学習政策局内に障害者学習支援推進室という組織を新たに設けて取り組みを進めているところでございます。

 また、29年の4月7日には「特別支援教育の生涯学習化に向けて」という標題のもと、文部科学大臣のメッセージを発出し、全国の地方公共団体へ通知したところでございます。

 2ページ目をごらんいただきたいと思います。当面の取組の状況についてまとめてございます。平成30年度の取組といたしましては、まず有識者会議での検討をすること、あるいは文部科学大臣表彰の実施をすること、それから新たな予算に基づきまして調査研究の実施等について取り組んでいるところでございます。

 3枚目をごらんください。平成30年度から新たな予算を確保し、実践研究を始めたところでございます。これは、学校卒業後の障害者の学びにつきまして具体的な学習プログラム、あるいは実施体制等についての実証的な研究開発というものを行いまして、その成果を全国に普及することを目指したものでございます。全国18カ所の国立大学、地方公共団体、あるいはNPO法人等に委託をして取り組みを始めたところでございます。

 4ページ目をごらんいただきたいと思います。ただいま申し上げた調査研究事業について、その取組事例を一部紹介させていただきますが、文化芸術に関する学びについての取組が含まれてございます。

 1つは「千葉県教育委員会」において行われているものでございまして、音楽の学習プログラムの開発を行うこととしております。ヘルマンハープを用いたワークショップ等の実施をするものでございます。

 もう一つは、「福岡市手をつなぐ育成会保護者会」において行われているものでございまして、知的障害者のための参加型音楽活動プログラムの開発に取り組んでいるものでございます。これは、福岡市の教育委員会や音楽療法士などとも連携をして、音楽会の開催などを行っているものでございます。この事業につきましては、平成30年度からの新規事業であり、31年度概算要求におきましても、増額要求をしているところでございます。

 5ページ目をごらんいただきたいと思います。先ほど紹介いたしました取組の一つとして、有識者会議がございますが、平成30年2月から学校卒業後の障害者の学びに係る現状と課題を分析し、その推進方策について検討を行う有識者会議というものを設置しております。先般、中間的な論点整理を行ったところでございますので、その内容について最後に御紹介させていただきます。

 6ページ目をごらんいただきたいと思います。このまとめの中では、障害者が学び続けることのできる社会の創造の必要性や、今後目指すべき方向性を整理した上で、障害者が生涯において生じるさまざまな課題解決のための学習の場、地域で仲間と過ごせる交流の場が必要であること、あるいは学習機会の提供主体の「障害」の理解、あるいは合理的配慮への十分な知識等が必要であることなどの充実方策の考え方を盛り込んでいるところでございます。

 また、取組を推進するためのシステムづくりといたしまして、「当事者のニーズを踏まえた学びに関する相談支援体制づくり」や「地方公共団体における関係機関・団体等の連携体制の構築」などを取り上げているところでございます。現在、この論点整理につきましてはパブリックコメントを実施しております。今後は、さらなる検討を行いまして、最終まとめを平成31年前半までに行う予定としているところでございます。

 以上、文部科学省の取り組みについてでございます。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、経済産業省お願いいたします。

 

○佐々木経済産業省商務・サービスグループクールジャパン政策課課長補佐 続きまして、経済産業省でございます。

 これまで発表のあった省庁のように、予算措置を講じている取り組みではございませんが、当省関係で障害者の文化芸術活動に関する事例を御紹介したいと思います。

 では、まず1ページをごらんください。「障害者の文化芸術鑑賞機会の拡大」をする取り組みの一つとして、音声ガイドや字幕ガイドを用いたバリアフリーの映画の取り組みを御紹介します。

 バリアフリー映画の新しいシステムとして、UDCastというものが導入されております。このシステムに対応した作品であれば、普通の映画館で、スマートフォンやタブレット端末で音声ガイドを聞いたり、メガネ型の機器で字幕ガイドを見たりすることができ、視覚障害者や聴覚障害者の方も映画鑑賞を楽しめる仕組みになっております。

 ただ、聴覚障害者の方用のメガネ型機器は高額のため、普及がおくれているといった課題もありまして、一般社団法人日本映画製作者連盟では、本年10月に行われる東京国際映画祭においてメガネ型機器の展示会を開催し、字幕表示機能を試せるようにすることでその普及に取り組まれると伺っております。

 続きまして、2ページをごらんください。こちらは、「障害者の文化芸術創造機会の拡大」につながる取り組みの一つとして、企業経営における活用例を御紹介したいと思います。

 多様な人材にその能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを活性化し、価値創造につなげる「ダイバーシティ経営」という概念がございます。この概念を取り入れている企業では、障害者の雇用を積極的に行っているところもありまして、中には障害者の文化芸術活動を企業経営に活用している企業もございます。

 今回、この資料で取り上げているパソナハートフルという会社ですけれども、ここでは雇用している障害者の中で絵を描くのが好きな社員の方がアート制作活動を業務として行う「アーティスト社員制度」というものを導入しておりまして、このアーティスト社員の作品の図柄を配したうちわだとか文房具、スマホケース、こういったものをオリジナル商品として障害者が手づくりし、自社のショップやオンラインで販売しております。

 今日も1つ持ってきましたが、こちらのクリアファイルなどが実際の商品になっております。

 このほか、作品を美術館やホテルで行われる展覧会に出展したり、オフィスや商業施設のインテリアデザイン、こういったところに活用されていたりするところでございます。

 最後に、3ページをごらんください。障害者の文化芸術創造の機会の拡大や作品の発表機会を確保する取り組みの一つとして、工芸品の産地独自の取り組みを御紹介します。今回、資料で取り上げている香川県うちわ協同組合では、産地独自の取り組みとして、地域の工芸品である「丸亀うちわ」のデザインを全国の福祉施設利用者から募集して、その中から優れたデザインを選定し、うちわにした上で、丸亀市内で展示する全国福祉施設うちわデザインアート展を開催しているところでございます。

 経済産業省としては、こういう取り組みが民間ベースで進むことを通じて障害者の文化芸術活動の推進に寄与してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、国土交通省お願いいたします。

 

○淡野国土交通省住宅局建築指導課長 国土交通省でございます。文化芸術施設など、建築物のバリアフリー化に向けた取り組みについて、資料6-5に基づきまして御説明をいたします。

 建築物のバリアフリー化の推進につきましては、平成6年に高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律、いわゆるハートビル法を制定いたしまして、平成14年に一定の建築物に基準への適合を義務づけまして、平成18年に建築部門と運輸部門等を統合した高齢者、障害者等の移動の円滑化の促進に関する法律、こちらがいわゆるバリアフリー法でございまして、こちらを制定し、総合的に取り組んでいるところでございます。このうち、建築分野の取り組みの概要につきまして、資料6-5により御説明いたします。

 資料の1枚目をごらんください。多数の方が利用する建築物を、まず特定建築物といたしまして、そのうちさらに不特定多数の方、または主として高齢者、障害者等が利用する建築物を特別特定建築物というふうに分類をいたしまして、建築物のバリアフリー化に関する最低限の基準への適合を、大規模な特別特定建築物を建築する場合に義務づけまして、それ以外の場合は基準に適合させるための努力義務を課しているところでございます。

 また、地方公共団体はその地域の実情に応じまして、義務づけ対象となる特別特定建築物の対象の拡大、義務づけの対象となる面積の引き下げ、また義務づけの基準の強化を行うことが可能となっております。

 また、より高い水準のバリアフリー化基準でございます誘導基準に適合するものといたしまして、特定行政庁という公共団体の認定を受けますと、バリアフリー化のために面積が広がった部分につきまして容積率の特例制度を受けることが可能となっております。また、先ほど資料6-2で御説明のございました固定資産税等の特例措置の対象となる文化芸術施設は、この誘導基準に適合するよう改修を行ったものでございます。

 資料の2枚目をごらんください。こちらは、義務づけられる基準とその容積率ですとか税制上の特例措置の対象となる誘導基準の概要を紹介したものでございます。例えば廊下の幅をごらんいただきますと、上の真ん中でございますけれども、義務基準では120センチメートル以上という一方で、誘導基準では180センチメートル以上と、車椅子同士がすれ違える寸法にすることとなっております。

 また、現状、右下の部分でございますけれども、義務基準上は建物全体に1つ車椅子使用者等がお使いになれる便房を設けていただくということになっている一方で、誘導基準上はそれを各階に一定比率以上設けるということになっているところでございます。

 続きまして、3枚目をごらんください。こちらは、努力義務誘導措置などが適用される特定建築物と、そのうち基準への適合義務が課される特別特定建築物の用途の一覧表でございます。文化芸術施設に該当いたします劇場、観覧場、映画館、演芸場ですとか、あとは博物館、美術館などは、いずれも特別特定建築物という義務づけの対象となる分類に該当いたします。

 国土交通省といたしましては、このような法制上の対応に加えまして、バリアフリー化を図るための設計上のポイントでございますとか、標準的な事例などを設計者の方々に紹介するガイドラインの整備、周知などの取り組みを通じまして、文化芸術施設など、建築物におけるバリアフリー化を推進しているところでございます。以上でございます。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局、お願いいたします。

 

○藤澤内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局参事官 続きまして、内閣官房オリパラ事務局より御説明を申し上げます。資料6-6をごらんください。

 先ほど、冒頭の御挨拶でもありましたとおり、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えまして、こちらは文化の祭典でもあるという考え方のもと、文化プログラムというものを推進しております。あわせて、東京オリンピック・パラリンピック自体、共生社会を実現していくきっかけにしようということで政府としても重要な柱として位置づけておりますので、文化の取り組みと共生社会の実現という両方を目指してまいります。

 ここにおられる関係省庁の皆様や東京都、それから大会組織委員会とも連携をして取り組んでおりますけれども、本日はその一端であります当方の事務局における取り組みを御紹介申し上げます。

 1ページ目をごらんいただければと思います。beyond2020プログラムというふうに書いておりますが、これが当事務局の取り組みの柱でございます。

 一番下にbeyond2020と書いたロゴマークがついてございますが、2020年以降を見据えて地域性豊かで多様性に富んだ文化を生かした文化活動事業というものを認証させていただいて、その認証事業にはこちらのロゴマークをつけていただくということで、日本全国で文化の取り組みを広げていこうという取り組みでございます。

 「認証要件」のところにございますとおり、文化の魅力を発信する事業・活動というのが当然要件になってございますが、それにとどまらず、多様性、国際性に配慮した取り組みということで、障害者の方にとってバリアになるような取り組み、これはハード面でも当然でございますが、いわゆる心のバリアフリーということでしっかり取り組んでいただくということ、それから外国人にとっての言語の壁を取り除く取り組み、この2つをやっていただくということで認証させていただいておりまして、9月7日現在で認証件数は7,000件を超えております。その中では、障害者芸術というカテゴリーのものも87件含まれておりますし、今申し上げたとおり、バリアフリー対応はこの7,000件全体においてしっかりと取り組んでいただきたいということをお願い申し上げております。

 めくっていただいて、2ページ目でございます。もう一つの取り組みを御紹介いたしますが、こちらは同じように多言語対応、バリアフリー対応に取り組む文化イベントということを試行的に実施して、そのほかの取り組みのモデルにもしていくようなものということで、オリンピック・パラリンピック基本方針推進調査という調査を用いまして、プロジェクトの試行的な取り組みを支援させていただいております。

 今年度、30年度は1件当たりの上限1,000万円というのと、3,000万円という2つのカテゴリーで10件を採択させていただきまして今、取り組んでおります。

 最後に、事例を簡単に御紹介申し上げますと、3ページ目でございます。

 左側にあるのは、埼玉県で障害者アート展というものに取り組まれているときに、先ほど申し上げましたbeyond2020のマークをつけていただいているということでございます。

 それから、右側の花火の取り組みがございますが、こちらは昨年度実施されたもので申し上げますと、障害者の方がデザインをした花火を打ち上げていただくということで、千葉県の成田市で開かれました花火大会で、この写真にあるような花火を打ち上げるということを新しい取り組みとして行っていただいたということでございます。

 引き続き、障害者芸術の推進という観点からも、オリンピック・パラリンピックの機会を通じてそこに寄与するような形で取り組んでまいりたいと思います。以上でございます。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 最後に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、お願いいたします。

 

○筒井東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会部長 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会でございます。資料の6-7をごらんいただければと思います。

 1枚おめくりいただきまして、先ほどから文化庁様、内閣官房様からもお話がございましたけれども、オリンピックはスポーツだけはなく文化の祭典である。開催都市契約の中でも文化フェスティバルの実施については書かれておりまして、組織委員会としても公式な文化プログラムとして中段にあります東京2020 NIPPONフェスティバルというタイトルで文化プログラムを実施していくというものでございます。

 2020年、大会が行われる年の4月から9月にかけて、聖火リレーも始まって、世界から日本、東京が注目を集めているであろう、そのタイミングで、象徴的な文化プログラムを実施していく。それによって、国内外に日本の文化を発信していこうという狙いでございます。

 左下のほうに「目的」とございますけれども、1点目は今の文化芸術を強く発信するというところはございますが、今回の東京オリンピックは世界で初めて夏季パラリンピックが2回目に行われる都市であるということを踏まえまして、目的に文化芸術を通じた共生社会の実現に資するということを位置づけてございます。

 もう一つ、全国的に参加いただいて大会の機運醸成を図るというものがございます。

 右側には「事業体系」ということでございますが、組織委員会は4つ、みずから文化プログラムをつくって実施するというのが主催事業でございます。そのほかに、自治体さん、文化団体さん等が行う特別な文化プログラムを共催という形で組ませていただいて、そちらもオリンピック・パラリンピックの発信力を使いながら国内外に発信していく機会を使っていただければということを考えてございます。

 1枚おめくりいただきますと、今、御説明した4つの組織委員会の主催プログラムの概要を載せてございます。3つ目のところで「2020年8月頃」と書いてございますが、オリンピックからパラリンピックの移行期を狙って共生社会の実現をテーマとした事業を一つ実施するということでございます。

 右側にございますように、「障害者やLGBTの人々を含めた多様な個性を持つ人々が参画し」の後に、「街中で様々なアートやパフォーマンス活動などを展開」する。狙っているところ、考えているところは、ダイバーシティとか共生社会という言葉は大分世の中に出てきているようになっているとは思いますが、実際にそれを感じることとか、目の当たりにできることというのは少ないと思ってございまして、町のいろいろなところでそういうパフォーマンスであるとか、展示であるとか、そういうものにふらっと接触するような機会をつくりながら、そうした考え方を実感していただこうというところを狙っていこうと思ってございます。

 そのほかの3つは、直接共生社会というものを狙うものではないのですが、せっかくの機会ですので、アピールを兼ねて後ほどごらんいただければと思います。

 続いて、参考でございますが、フェスティバルのマークとコンセプトをつけさせていただきました。

 左側のマークは、オリンピックのエンブレムをつくっていただいた野老さんにデザインいただいたものでございまして、こちらはいろんな形の四角形が混ざり合ってできているのですが、多様性と調和といった考え方を表現しているものであるというふうに伺っております。

 コンセプトのところでも、多様性の力のすばらしさを実感するといった考え方を強く入れさせていただいておりまして、これから具体的なところは検討していくわけですけれども、少しでもいいものができるように我々としては頑張っていきたいと思ってございます。以上でございます。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 それでは、次の議事に移ります。本日、御出席の各構成員の方々の自己紹介及び御意見を伺いたいと思います。これまで取り組んでこられた障害者の文化芸術活動に関するお話や、本法律に期待することについて広く御意見をお聞かせいただきたいと思います。

 なお、本日ご欠席の保坂構成員については資料の配付のみとさせていただきます。

 これから、構成員の皆様に御発言いただきたいと思います。お一人当たり4~5分を目安にお願いいたします。

 最初に東京会場の構成員からお願いし、その後、京都会場の構成員にお願いしたいと思います。

 それでは、早速ですが、今中構成員からお願いいたします。

 

○今中構成員 アトリエインカーブの今中です。よろしくお願いいたします。

 インカーブの特徴は、日本だけではなく海外のアートフェアを含めて作品と市場の接点をつくっているところです。

 発言時間も少ないのでインカーブの話はさておき、今回の「障害者文化芸術活動推進法」に関して2~3、感じるところを述べたいと思います。

 皆様のお手元の資料で、朝日新聞の資料Bのほうを見ていただけますか。その下段のほうに、私の意見と、今日は欠席されていますが、保坂委員の意見が出ています。要約すると、この法律ができることによって健常者と障害者というのが「分断」されるのではないかという懸念を、私も保坂委員も持っているということが書かれています。

 アートに障害者という冠をかけたところに何か誤解が生まれる、認識のずれが生まれるのではないかということを私も懸念をしております。それが、まずこの法全体に関しての感想です。

 もう一つは、法律のプロセスに関しては、これは皆さん御存じのとおり議員立法だったので途中経過が全くわからず今日に至っています。法律の成立過程について疑問をはさんでもいまさら仕方がないので、この法律の中身に関して疑問点と評価する点を挙げたいと思います。

 まず、この法律は文化芸術基本法にのっとっているわけです。その中の2条6項で、障害の有無にかかわらず、文化芸術を鑑賞し、参加、創造することができるように環境整備を図っていきますということが書いてあるにもかかわらず、またぞろなぜこの法律をつくる必要があったのかというのが第一の疑問です。

 もう一つは、文化芸術基本法で踏み込まなかった芸術性の高い作品を評価するということが、今回の法律では12条と14条に出てきます。これは、非常に難しい問題です。それを誰が評価をするのか。それこそ本郷先生の御専門ですけれども、現在、アートやデザイン系の大学、専門学校で障害者の文化や芸術に関するカリキュラムをもっているところはゼロに近いはずです。専門家が育っていないのに彼らの作品を誰がどのように評価をするのか。とても不透明ですね。

 一方ですばらしいと思うところは17条の人材等育成です。これは、ぜひやっていただきたい。いま実働されている学芸員の方々が障害者の文化芸術を学んでいただき制作現場に足を運んでいただきたい。くわえて特に私が期待をしているのはJUCA(ジュカ)、56大学で組織している全国芸術系大学コンソーシアムです。この組織を有効に活用して法律の意義や人材育成を図っていただきたいと強く願っています。この分野にはアートと福祉を架橋した人材が圧倒的に不足しています。

 もう一つ付け加えたいことがあります。先ほどの文化庁の発言しかり、厚労省、外務省のお言葉にもアール・ブリュットという文言がなんども出てきていますが、この法律にはアール・ブリュットという文言は出ていません。そのあたりをもう一度ご理解いただきたいと思います。平成25年に私が「障害者の芸術活動への支援を推進するための懇談会」の委員になったときに「名付け」の問題を議論したのですが最終的には非常に玉虫色な話で終わりました。アール・ブリュットと呼んでもいい。アウトサイダーアートでもいい。障害者アートでもいい。何と名付けてもいいというのが着地でしたが、今日、配布された各省の資料を読むとアール・ブリュットや日本のアール・ブリュットと受け取れるような文言が多数あります。それに対する異議申し立ては美術研究者や美術愛好家が論文やSNSを通して多数発信しています。そのあたりもきちんと参照していただきたい。

 障害者の文化芸術をアール・ブリュットという言葉で統一するのであれば、きちんと公的に発表していただきたいと思います。美術的、学術的裏付けをとっていただきたい。言葉の整理、名付けはとても大事ではないでしょうか。私はオリンピック・パラリンピックの組織委員会で文化・教育委員会の委員もしているのですが、そこではアール・ブリュットという言い方は一度もされません。そのカテゴライズは世界のインテグレーションの潮流に逆らっているというのが私の立場です。1人の障がいのある人間としてもそう感じます。いずれにしても非常に玉虫色になっている現状を整理したうえで今回の法律の議論を展開するべきだと思います。うやむやにしてほしくないですね。以上です。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、大塚構成員お願いいたします。

 

○大塚構成員 上智大学の大塚と申します。私は、平成26年から28年度に厚生労働省が実施しました障害者の芸術活動支援モデル事業というものの評価などにかかわらせていただきました。この事業によって、障害者芸術の活動はさまざまな知見が得られて、全国的な普及が少しずつ進んだというふうに評価しております。

 それから、今般、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律というのができて、一層文化芸術活動が進むということを期待しております。

 私は、特に障害のある方の中でも意思決定に困難を抱えていて、意思決定支援が必要な人たちのこと、芸術活動についても周りが勝手にということではなくて、本人の意思を尊重した芸術活動、そのための支援ということをぜひ具体的な今後の芸術活動の推進においては考えていきたいと思っております。

 また、私の考え方なんですけれども、例えば障害のある方、本人を真ん中において、支援する方たち、それから住民の方、あるいは地域の人たち、そして行政が連携をとりながら、ネットワークをつくりながら、地域で支援体制していくことによって芸術活動が進むものと考えております。

 このような支援体制を、全国どのようなところでも構築できるような、そんなことを皆さんと考えていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、岡部構成員お願いいたします。

 

○岡部構成員 こんにちは。たんぽぽの家の岡部と申します。奈良市を拠点に活動している、障害のある方の表現活動を発信、サポートする市民団体です。

 活動に関しては、資料があるのでお読みいただければと思います。

 最近、国や地方行政との事業を受託する機会が増えています。厚生労働省事業では障害者の芸術活動、文化活動普及支援事業の近畿ブロックを担当しておりまして、近畿2府4県の各支援センターのサポートをしています。

 文化庁の事業も実施していまして、平成30年度戦略的芸術文化創造推進事業の、障害者のほうではなくて共生社会実現のための芸術文化活動の推進ということで、共創の舞踊劇、ダンス作品をつくっています。障害のある人とともに、生きづらさを抱える人たちとダンスの公演を2月に兵庫、3月に東京でする予定です。

 今年度経産省とは知的財産の活用に向けた人材育成のための調査と学習プログラムの開発をしています。著作権等をふくめた知的財産について、障害のある方、サポーター、クリエイター、非専門家が学ぶための学習プログラムを開発しています。

 障害のある方がアートを通して仕事にしていくためのさまざまな活動もしています。

 たくさん説明し過ぎるとそれで終わってしまいますので、このぐらいにさせていただきたいと思います。全般的には、その時々で、特に制度からこぼれ落ちるようなことを見つけて価値提案、実験、実践をしていく団体ということで認識いただければと思います。

 今回の法律に関してなんですけれども、期待することの前に私自身もやはり不明なことや不安なことがあります。

 まず、今中さんとも重なるんですけれども、文化芸術基本法というものがあるのですが、そこと切り分けて法律をつくっているということの危惧があります。障害のある方の文化芸術の推進というのは大前提ですが、特に奈良のような地方都市では、特に同時代の表現に関して若手のアーティストの表現を評価、発信する機会がとても少ないです。もちろん、障害のある人の文化芸術の振興は大事なのですが、障害のある人の芸術「だけ」が振興されないことを願っています。

 もう一つは、主体の不在です。この法律の。

基本理念を何度読んでも、誰が何の目的で障害者のアートを普及させたいのかがわかりません。もちろん、今から基本計画に落とし込んでいくとは思うのですが、特に障害のある方の芸術活動というのは本人たちの声が聞こえにくいものだと思っています。どうしても親御さんや支援者、サポーターがメインとなり、結果として私たちもそうですが、中間支援団体というのがとてもふえると思います。

 それによって横の連携、ネットワークがとれるのは大変いいんですが、時には情報やお金がそこでストップしてしまって、肝心の障害のあるアーティストや支援者がなかなか実感を持てないこともあると思います。

 本来、芸術文化活動というのは始まりとか終わりというのはなく、自然発生的に生まれ、成果も見えにくいものだと思います。その地域で芸術文化を本当に必要としている強い意思を持った人たちの場づくりみたいなものだと思うのですが、そういったものをどうサポートしていくかをぜひ御検討いただければと思います。

 また、この法律を読むと、地方公共団体の努力義務というのが結構出てきます。私自身、地元の奈良も含め、さまざまな都道府県を訪れますが、必要だと思うのは地方行政の縦割りの解消です。

 特に障害福祉系と文化振興系と、すでに2つの課に分かれています。さまざまな事業がこの2つの課のはざまに落ちてしまうことが多いと思っています。本来であれば、最低限でも障害福祉の事情と、その地域の文化振興の事情に通じた人というのが必要だと思うんですが、そういった人材が果たして行政の中でこれから生まれるのかというのが、これからの特に行政側のポイントだと思っています。そういった人たちが実際につくれるかどうかは、私にはわかりませんが。

 もう一つが、行政側とともに地域に必要なのが、メディエイター(間にいる人)と私たちは呼んでいるんですが、そういった人たちの存在です。特に社会福祉施設などの職員に話を聞きますと、ただでさえ日ごろの専門性を持った福祉の仕事に加え、美術の専門性も持たないといけないのかとか、美術の専門性を持った人を職員として雇わないといけないのかというようなことを思っている施設もあるようです。

 福祉施設がこれ以上いろいろ担うのは現実的に難しい話ですので、第三者的な人材、メディエイターが必要だと思っています。地域には多様なリソースがありますので、障害福祉の分野、文化振興の分野に通じてコーディネトできる人を育てることが必要だと思います。

 現在、厚労省の事業でこの芸術文化活動支援普及事業をしているので、その延長でもいいと思いますが、何分、障害福祉寄りな気もしますので、文化にも通じた人が必要かとは思います。

 最後ですけれども、期待できるのは教育分野との連携です。先ほども、生涯学習としてのさまざまな学習プログラムの御報告がありましたが、特別支援学校、支援学級、そこで非常に豊かな美術教育をされている事例をよく見るのですが、卒業後にその活動が切れてしまうことがよくあります。

 私たちも実験的に、地域の中で誰もがアート活動を楽しめるオープンアトリエという活動をしているのですが、これが全国的に広がるといいと思っています。日常生活の中で、さまざまな人たちが芸術分野とつながるチャンネルを幾つつくれるかが肝心だと思っています。

 ちょっと長くなりましたが、意見でした。ありがとうございました。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、久保構成員お願いいたします。

 

○久保構成員 全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございますけれども、きょうは2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた障害者の文化芸術活動を推進する全国ネットワークのほうから参加をさせていただいています。

 私は、皆さんのように専門的な知識とか、そういうものはなくて、もともと知的障害の親と当事者からなる団体の代表者でございまして、私自身は何の資格もなく、ただの障害者の母親であるということですので難しいことはよくわかりませんけれども、私は出身は滋賀でございます。

 滋賀というのは、戦後間もないころから糸賀一雄先生の活動されてきたお膝元でございますので、障害のある人がつくり出すものを見て大切に扱うということが戦後間もないころから60年余り続いてきた地域でございますので、そんな中で滋賀そのものを障害者ということも含めてですけれども、文化芸術を割と大切にしようというようなところからきております。

 近年ではアール・ブリュットという呼び方を使いながら、社会福祉法人のグローさんなんかが滋賀のほうでは障害ということを明確にするわけではなくて、きちんと美術の学習を積んだ人でないというつくりみたいなことを思いながら文化芸術を進めてこられました。

 そこに私も参加をさせていただいてきましたし、滋賀県の育成会の会長をしているときに、滋賀県庁のほうから障害者の文化芸術展をやってくれないかというような話も受けまして、現在も障害者の文化芸術、「ぴかっtoアート展」というようなネーミングでありますけれども、そういう事業も引き続きやらせていただいていましたので、その辺のところは私がだんだん深く障害のある人の文化芸術に携わるきっかけになってきています。

 その後、全国の会長になってから今日参加をさせていただいているこの団体の代表を務めさせていただきながら、28団体ですね、全国組織の障害者団体28団体が集まっていただいていますので、その皆さんとともに障害のある人の文化芸術の裾野を広げたいというふうに思って立ち上げてやらせていただいております。

 今までに私たちもこの全国ネットワークの中で話をしたり、アンケートをとったりしますと、障害者団体の皆さんが障害者というか、自分たちの会員さん、仲間の描いたもの、創ったものの発表の機会がないとか、資金がないとか、そういう制作の場がないというような答えが、どの団体も皆さんからもたくさん返ってきました。ということは、障害のある人の文化芸術活動をするというところの裾野がまだまだだなということを実感しております。

 先ほど、文化庁や外務省のほうからも御説明がありましたように、ナントプロジェクトには私たちネットワークも一緒に参加をしてやらせていただきましたし、今年はスウェーデンのほうにも行ってきました。来年は少し大きなというので、もう予定もあります。そんなことを28団体で力をあわせながら国際交流も含めて、そして国内の中で障害者の文化芸術の裾野を広げるということをもっともっと進めていきたいと思っております。

 いよいよ2020年のオリンピック・パラリンピック、私たちの団体の名前も「オリンピック・パラリンピックに向けた」というふうに書いていますけれども、このオリンピック・パラリンピックで終わりだと私たちは思っておりませんので、これを一つのきっかけとしてという思いであります。

 各省庁の皆さんがおっしゃっているのも多分、同じ思いでいてくださると思いますので、それを一つのきっかけとして障害のある人、またはボーダーといいますか、障害のある、ないにかかわらず、みんなの文化芸術の意識をもう少し高めていったり、裾野が広がっていったらいいなと思っていまして、私どもの計画としてはオリンピックの年にトーチランをするように、全国組織の団体が28も集まっているわけですから、全国のいろいろなところでトーチランのようにずっと展覧会とか、パフォーマンスする機会というのができたらいいなというようなことを密かに計画しておりまして、ぜひ実現に向けて頑張っていきたいと思っています。

 その中で、いろいろな人に障害があるとか、ないとかよりも、こんなアートがあるとか、こんな芸術があるんだということを知っていただくということは、先ほど町の中でやりましょうということをオリパラのほうから言っていただいておりまして、とても私は心躍りまして、ぜひそこにも参加させていただいて、全国でその町の中でということができたらすばらしいなと思っておりまして、今回のこの障害者の文化芸術の推進法がその後押しになってくれたらいいなと、大変期待をしております。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて柴田構成員、お願いいたします。

 

○柴田構成員 ありがとうございます。全国公立文化施設協会アドバイザーを務めております柴田英杞と申します。

 私が障害者の文化芸術活動を応援するに至ったきっかけ、これはお手元の資料に配付してございます発表資料の中に一枚物で詳しく述べております。

 きっかけは、文化庁の在外研修員としてイギリスとアメリカに行きまして研修を受けた際に、バリアフリー対応のすばらしさに非常に感動したということでありまして、帰国後、早速、その当時勤めておりました北海道演劇財団で文化ボランティアさんたちと共同してバリアフリー対応を実践させていただきました。

 その後、劇場音楽堂等々で障害のある方々の文化芸術活動のいろいろな支援の啓発のようなことも行ってきている状況です。現在、北九州市の顧問のアーツディレクターを務めておりまして、2020年に「東アジア文化都市」を北九州市で開催する運びになりました。

 その企画提案には、「北九州市障害者芸術祭」を開催することが企画の中に含まれておりまして、この芸術祭でアジアからの障害者アーティストの招聘などを企画して、障害者の文化芸術活動を盛り上げていこうと考えています。

 今、私は劇場の仕事に多く携わり、劇場に対する助言、アドバイスを行っています。劇場音楽堂は全国に2,200余あると言われております。文化庁の劇場音楽堂機能強化推進事業という助成事業では、総合支援16施設、地域の中核支援202施設が採択されておりまして、その中でバリアフリー対応や多言語対応に取り組んでいる劇場というのは、総合支援の施設で16施設のうち14施設、約88%、地域の中核支援では202施設のうち31施設、15%のみにとどまっているという現状であります。

 若干、数年前に比べますと、増加している傾向ではあるのですけれども、障害者が安心して文化芸術に参加できる機会というのはいまだに限られているという状況です。そこには、設置自治体の対応が遅いでありますとか、予算がなかなかつかない。劇場音楽堂の助成金の上限に限りがあるなどの施設のバリアフリー化を促進していくことに不足があるようです。

 私はイギリスに時々、調査研究に行く機会があります。そのときロンドンオリンピック・パラリンピックで開会式の演出を務めた劇団の芸術監督の方とお話をする機会がありました。「障害というのは個性である。障害をつくってしまっているのは、社会の責任ではないか。障害のない社会へ移行していくということが、とても重要である。あらゆる人々が文化芸術活動に社会参加できる環境整備が急がれるけれども、育成と同時に障害者が安心して生活を営むことができるような雇用創出というのも非常に重要である。」というようなお話をいただきまして、とても感銘を受けた記憶がございます。

 この「共生社会」の実現でありますけれども、目指す法的基盤が整備されたことは非常に高く評価をしたいと思っていまして、さまざまな意味を込めまして、期待をしているところでございます。

 ただし、この法律をよりよい方向に運用していくのは我々関係者の務めであると認識しておりまして、一歩でも障害をつくらない社会へ進めていきたいと思っているところであります。

 特に3つ考えておりますのは、まずは自治体への働きかけを、個人レベル、組織レベルでしていかなければいけないだろうと思います。

 二つ目は、新法ができたことの周知徹底を図っていく、浸透を図っていく、理解を促進していくということが必要ですので、普及に努めていきたいと思っております。

 三つ目は、基本計画をこれからつくっていくのですが、パブリックコメントが来年の2月に予定されているということでありますので、それまでにいろいろなところでこの法律の普及活動を行っていきまして、多様な意見をパブリックコメントに寄せていただけるように、委員として尽力をさせていただきたいと思っております。以上でございます。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、鈴木構成員お願いいたします。

 

○鈴木構成員 国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)の鈴木と申します。

 国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)は、2001年にオープンした厚生労働省の管轄で大阪の堺にある福祉施設です。2001年から障害のある方も、ない方も、ともに文化芸術活動を楽しめる場所、障害のある方が文化芸術を通して社会参加や自立、自尊心を高めることを目的に、福祉施設の中で文化事業を行ってまいりました。

 今年でちょうど18年目になるんですけれども、この2~3年障害者の舞台芸術や美術活動の支援も増え、どんどん活発になってきたところです。ビック・アイも厚生労働省障害者芸術文化活動普及支援事業の全国連携の事務局で、舞台芸術の分野を担当しております。

 今回のこの法律の中で思うのは、文化芸術基本法とこの法律と2つできたことによって分断していかないかという懸念があるのと、この後、基本計画ができて地方自治体におりたときに、やはり文化と福祉、両方に横断的に取り組む、分断しないような取り組みをできるような基本計画に落とし込んでいっていただきたいということを期待しております。

 実際、この法律の中で読み解いていきますと、美術にかなり寄ったことも多くて、舞台に関しては薄いというか、ないなというのが実感です。それ以外に、障害のある方のニーズがどこにあるかというところでは、例えば情報保障も大切なんですけれども、鑑賞の機会をもっとふやすということが一番ニーズの多いところであると思います。情報保障という鑑賞支援だけではなくて知的・発達障害のある方たちにも、より広く鑑賞の機会ができるような公演づくりを、文化施設なりがどんどん人材育成していっていただいて、人を含めた環境整備をしていっていただきたいと思います。

 ビック・アイは厚生労働省の管轄の福祉施設ですけれども、今年度、文化庁の戦略的芸術文化創造事業で、文化施設や文化事業にかかわる方たちの人材育成を行っています。知的・発達障害の方たちが、どういった特性があって、どういう環境でならば劇場のマナーを学びながら鑑賞できるかという支援人材の育成もしています。

 ですから、文化と福祉というところを分けて考えるのではなくて、特に文化施設にあるノウハウと福祉側にあるノウハウがうまく共有し合うことで、より広く芸術文化に触れる方々がふえていく。こういったことに、この法律が有効的に運用されるといいなと思っています。

 あとは、法律の中で10条の文化芸術の創造の機会の拡大というところで、社会福祉施設、学校等とあるんですけれども、こちらも障害のある方、特に舞台芸術は社会福祉施設や学校だけではなくて民間の劇団やバレエ教室、音楽教室、こういったところでも障害者自身が創造活動をしていきたいと思っても、まだまだできない環境が多いので、こういった創造の機会の拡大というところももう少し広い視野で法律の中で捉えていただけたらと思っております。

 最後に、人材の育成に関しましては両分野をつなぐ、横断的に見られる人材が不足していることです。美術のほうも舞台のほうも、かなり今は人が不足している状況です。鑑賞にしろ、作品の創造にしろ、人がいないとできないことですので、こういった人材育成のほうにもこの法律が効果的に使われるようにしていただけたらと思います。以上でございます。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 今、ちょうど予定から10分ぐらいオーバーしているところです。できましたら、お話は5分以内で進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、続いて髙橋構成員お願いいたします。

 

○髙橋構成員 新潟県文化振興課の髙橋でございます。私も文化の振興のほうを担当しておりまして、障害者の芸術文化活動等、専門的な知見もございませんで、この場でどういったお話ができるか、非常に不安に思っているのですが、勉強させていただければと思って参りました。

 簡単に、新潟県のこれまでの取り組みを御説明いたします。新潟県では障害者芸術文化祭というのを平成14年度から開催しておりまして、これは日ごろ取り組んでいる活動発表の場ということ、あるいはそれを見ることによって新たな活動のきっかけの場になればいいなということで行っております。

 また、先ほど厚生労働省のほうからも御説明がありましたが、平成28年度から障害者の芸術活動支援モデル事業というものを社会福祉法人が受けまして、新潟県アール・ブリュットサポートセンターを設置し、これは福祉部門だけではなく文化部門も参加するようにということでしたので、私どもそれに参加させていただいて、ようやくこの分野に目を向けたといったような次第でございます。

 その後、このアール・ブリュットサポートセンターをやっていた社会福祉法人が昨年度、今年度と東海北陸ブロックのほうの障害者芸術活動支援センターの仕事も行っております。

 また、昨年度、県のほうで芸術文化活動実施状況調査というものを行いまして、来年度、国民文化祭、また全国障害者芸術文化祭を行いますので、それに向けました作家ですとか作品発掘、その他、支援策はどのようなものが必要かといったことを調査いたしました。

 また、今年度は障害者芸術文化活動普及支援事業におきまして、新潟県障害者芸術文化活動支援センターを設置いたしました。これは、全般的には障害者芸術文化活動の相談支援ですとか人材育成云々ということを行うことになっておりますが、特に来年度の障文祭に向けまして仕事をしているところでございます。

 来年度はその一体開催ということで今、私どももどのような形を一体開催と言えるのか、どのようなことを行えばいいのかということに非常に頭を悩ませているところでございます。

 ただ、一緒にやっていけるような事業を必ず考えていきたいなというふうには考えております。

 このたびの障害者文化芸術活動推進法に期待することなんですけれども、文化芸術の分野というのは障害のあるなしにかかわらず、人が自分を表現するような分野かと考えておりまして、障害の有無にかかわらず同じ土俵でやっていけるものは非常に多いのではないかと感じております。

 そういった意味では、先ほど来出ております文化芸術基本法のほうで包含できるのではないかという考え方もあると私も思うのですけれども、ただ、やはり現在、障害のある方の参加の場ですとか教育、あるいは指導する側に知識がないためにそういうことを積極的にできないとか、探し出すことができないとか、そういった課題というのはたくさんあるように私も見受けますので、この法律に期待することといたしましては、そういう指導者の確保ですとか、あるいは活動環境の整備ですとか、専門知識ですね。

 知的財産というお話がありましたけれども、そういったものに関する専門知識などを持つ人を育成して、障害のある方もない方もこれは同じだと思うのですが、活動を自由にできたり、一緒に参加できたりするきっかけになっていけばいいのかなと考えております。

 また、私どもでも、今まで障害者の芸術文化活動は障害福祉課がやっておりまして、今、国文祭と障文祭の一体開催ということで、その事務局が私ども文化振興課にまいりました。素人ばかりで本当に難しいんですけれども、やはり芸術文化の面から見るということが大事なんじゃないかということを強く感じております。

 いろいろ勉強させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、中島隆信構成員お願いいたします。

 

○中島(隆)構成員 よろしくお願いします。慶應義塾大学の中島です。

 私は専攻が経済学なので、この場にこうやって呼んでいただいたというのは、経済学の視点から何か意見を言うということになると思いますので、その点に限って話をさせていただきます。

 私がこの法律を拝見したときに、ほかの委員もおっしゃっていましたけれども、ちょっと違和感があったのは、要するにここに書かれていることは障害者の差別解消法とどういう関係があるのかということです。つまり、差別解消法の中では差別をするな、配慮しなさいということが言われていて、この法律はそれ以上のことをせよと言っているのかどうか、その辺の関連が私はよくわからなかったんですね。

 それで、実際、予算というものに限りがある以上、無制限に障害者芸術にお金を注ぎ込んでいくことはできない。そうなってくると、優先順位というのを当然つけていかなければいけない。その優先順位をつけていく上での指針として、この法律が役に立つのか。今もちらちらと見ていたんですけれども、よくわからないというのが私の印象です。そうだとすると、やはり一番わかりやすいのは障害者差別解消法であって、一般の人たちが文化芸術活動をやっている。それで、障害者の方たちがそれをやろうと思ったとき、教育を受けたいと思ったとき、あるいはそういうものを鑑賞したいと思ったときに、どういう障害があり、どういう配慮をすればそういう人たちの望みなり、意欲なり、それから才能がしっかりと評価されるのかというところにまずは優先順位をつけていくべきじゃないかというふうに私は思いました。

 その点でいうと、やはりいろいろなところに無駄にお金が落ちしまうということを一番懸念するわけです。障害者差別解消法の施策を受けて、各自治体でも条例を今つくっております。もちろん、はっきりとした罰則というものはありませんけれども、やはり条例に違反するということは不法行為ということにもなりうるため、私は差別解消法を基準に考えるのが一番わかりやすいかなという感じがします。

 基本的な理念としては、今回の文化活動の推進に関する法律というものを指針とはしても、実際の基本計画は差別解消法をベースにする方がわかりやすいかなと思いました。

 それからもう一つ、これはほかの方もおっしゃっていたのですが、障害者芸術というものの表現に若干違和感があって、やはり何となく分断されたような感じを受けるんですね。つまり、差別解消法で差別をするなと言っておきながら、障害者芸術ということをはっきりと定義してしまうと、何となく本来のこの法律の趣旨に反するような感じもいたします。

 例えば辻井伸行さんは、彼が盲目だから評価されていたわけではなく、彼の高い芸術性が評価された上で、盲目というところが加わってすごく努力されたんだなという感じだと思うのです。

 ですから、そのようなことも考えながら、今回の基本計画がつくれればいいなというふうに考えております。以上です。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、野澤構成員お願いいたします。

 

○野澤構成員 こんにちは。毎日新聞の論説委員の野澤と申します。事前に、点訳用に資料を出すようにと言われたので、それに沿って自己紹介と、この法律への期待をお話しさせていただきたいと思います。

 私自身は新聞記者をずっとやってきたわけですけれども、重度の知的障害と自閉症の子がいるという関係で、親の会の活動ですとか、いろいろな各省庁の審議会、検討会のメンバーに加えていただいたり、あるいはNPOで障害者の権利擁護に関するいろいろな調査研究等をやってきたものであります。昨年のフランスのナント市だとか、今年のスウェーデンの日本の障害者の文化芸術のイベントに参加して、シンポジウムで意見発表の機会をいただいたりもしてきました。

 この法律への期待ですけれども、私自身は特に知的な障害、あるいは重度の自閉症の人たちへの虐待を防止するとか、あるいは差別をなくしていくとか、そういう権利擁護のフィールドであれこれと考えて物を言ってきた立場であります。

 最近、福祉サービスもそれなりに整ってきて、権利擁護のシステムも整ってきたんですけれども、福祉サービスを受けるとか、権利擁護で守られるという立場だけではなくて、もっともっとみずから社会的にいろいろなかかわりをもって能動的に生きるという障害のある方のアイデンティティーといいますか、そういうものをもっと獲得し、あるいは社会的にそういうものをバックアップしていくという点で、文化芸術というのは大きな可能性があるんじゃないかということを期待しております。

 最近は、障害者や少数の人、困窮者に非常に厳しい視線を向けたり、生産性がないというような批判が話題になったりしています。実際に、そういう風潮が広がっているようにも思えます。

 2年前には、津久井山やまゆり園で19人もの障害のある方が殺されたという事件もありました。被告が最近、出版された本の中で手記を書いていますけれども、「意思疎通のできない重度障害者は生きる価値がない」とか「重度・重複障害者を養うことはばく大なお金と時間が奪われる」というようなことが書かれています。この被告だけじゃなくて、やはりそれに賛同するような意見というのは今でもネットで散見されますし、実際に福祉の現場で働いている人たちの中にもそういう考えのある人がいることは否定できないと思います。

 その一方で、今回のこの法律が成立した背景には、生きる価値がないと言われた重度あるいは重複の障害のある方たちの創作する芸術作品というのは日本国内や、あるいは海外で高く評価されているということがあると思います。実際にこういう意思疎通ができないとされている人たちの中にも、非常にその芸術性を評価されたり、その作品に高額の値段がつけられたり、そういう人たちも含まれているというのは事実だと思います。

 つまり、社会の価値観というものが変わっていくと、芸術的文化的な評価だとか、あるいは生産性というふうな言葉で言われるような、こういう評価についてもやはり変わってくるのではないかと思うんです。直接そういう芸術活動ができない重度の障害者もいっぱいいるわけですけれども、彼らも家族や支援者、身近な人たちを通していろいろなメッセージを社会に発信して、それなりにいろいろな有形無形の影響力を及ぼしているというのも事実だと思います。

 多くの仕事はそうですけれども、特に文学とか、こういう創造性に富んだ仕事はさまざまな価値観や感性が複雑に影響し合って生み出されるんだと思いますし、重度の障害のある方を近親者に持った方たちが、そういう彼らから多くの影響を受けて、その作品の着想ですとか表現方法に重度の障害の方たちの存在というものが大きな影響を与えていると思います。

 障害者文化芸術というのは、これまで見えにくかった障害者の価値といいますか、生産性というか、こういう言葉で議論すること自体がナンセンスだという意見もあります。私もそうだと思いますけれども、あえてこういう積極的な評価、価値といいますか、そういうものを生み出すとすれば、こういう文化芸術というものは大きなわかりやすく社会に彼らの存在を伝えていくものだと思います。

 もちろん、障害のある方の芸術活動というものをバックアップしていくというのがこの法律の趣旨ではありますけれども、社会的な価値の転換というか、改めての再評価というものにも大きく寄与する可能性を秘めているので、そういうことを期待したいと思います。以上であります。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、日比野構成員、お願いいたします。

 

○日比野構成員 東京藝術大学の日比野です。よろしくお願いいたします。

 今、各構成員から新たにつくる法律のこと、そして障害者の言葉の問題、定義づけの問題等がありました。この障害者による文化芸術活動の推進という言葉の中で、障害者とは何かとか、そういう話がありましたけれども、例えばもうちょっと引いて文化芸術活動とは何を指すのか。文化芸術、そして活動ですね。それは何を指すのかということを改めて考えると、何か特殊な技術があるから物がつくれるということに限ることではないと思いますし、制作者だけの話ではなく、当然そういうものを鑑賞するということも芸術活動には含まれると思います。

 そして、個人の制作、個人の鑑賞ではなく、地域での活動とか、グループでの活動という集団とか、エリアとかというところも含まれるかと思います。

 いわゆる気持ちが動くとか、何かを感じるとか、自分とは違ったものに出会うとか、日常にはない非日常の価値観に気がつくとか、今ではない、ここではないところに何か、ふっと自分の気持ちが動くとか、そういうものが文化芸術活動なのではないかと私は思っています。決して物ではなく、高尚なとか、高額なものだけではなく、ある出来事であったり、ある瞬間の時間であったりというものも文化芸術活動なのではないかと考えております。

 そうした場合、障害というものと、その言葉を掛け合わせると何だろうなという疑問が出てくる。各構成員の方々から話がありましたけれども、そういうものもそうだろうなとは思うところがあります。

 私が日ごろちょっと思うのは、自分も制作をしている者であるので、自分が何をきっかけにつくっているんだろう、どんなふうに見てもらいたいんだろうと思ったとき、自分の中で何か足りないところをきっかけにして制作し始めるんですけれども、そうすると自分も何か欠落した当事者であるような気がすることもあります。

 今お手元に配らせていただきましたけれども、『TURN』というチラシのプログラムで行っている活動は、アーティストがいろいろな福祉施設に訪ねて行って交流し、そこで生み出してきたものを発信していくという活動になります。多くのさまざまなアーティストがさまざまな福祉施設、障害者施設を含む、あとはマイノリティのコミュニティーを含む施設だけでなくエリアであったり、そういうところに交流していくんですけれども、そうするとそこで本当に新たな価値観とか気持ちの交流とかというものが生まれてきます。

 そんなときに、世の中で福祉施設と呼ばれているものが、実は新たな価値を気づかせてくれる施設、それは何かというと、我々が例えば美術館に行ったり、劇場に行ったり、映画に行ったり、世の中でいう文化施設と呼ばれているところに行くと新たな、そんなことがあったんだ、こんなふうな見方があるんだという気づきがあるんですけれども、それと本当に同じような感覚を味わうことがあります。

 なので、それは実は文化施設なのではないかなと思うときがありまして、福祉施設というものをもっともっと新たな価値観に出会わせてくれる文化施設として地域に広げていくというようなことが、文化芸術活動を福祉施設と掛け合わせることによってできていくのではないかなということをこのTURNプログラムで行っております。

 この文化芸術活動というものを、ただ単なる美術館だけが文化芸術活動ではなくて、いろいろな価値観があるんだということで、先ほど構成員の中の言葉でもありましたけれども、障害と今、呼ばれているものが実は個性であるということの認識がきちんと社会の中に伝わっていく、共生できる社会を実現するための活動にこれがなっていくんだろうということはすごく感じております。

 本来の文化芸術活動の推進という既にある法律と、新たにこれがどのような関係になるかという議論もありましたけれども、これをつくることによって、その先の障害という言葉さえも要らなくなるというか、そういうものもわざわざ言わなくても、全ての人がその当事者であるというような意識を持てるような社会にしていくには、文化芸術活動というものは価値を変える力がありますので、とても重要なことだと思いますし、こういう機会があってさまざまな意見を交流する中で気づいていくことができればと思っております。以上になります。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、廣川構成員お願いいたします。

 

○廣川構成員 NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワークの廣川と申します。

 私どもは、「みんなで一緒に舞台を楽しもう」を合い言葉に、舞台芸術を愛好する障害当事者が主体になり、観劇サポート環境の環境推進を展開して5年になります。そういった意味で、このような場に障害当事者をお招きいただきましたことに厚くお礼を申し上げます。

 私が、その活動を始めたきっかけを少しお話ししたいと思います。私自身が、英国で手話通訳つきの演劇公演を見たことでした。さらに、手話通訳者がその作品と一体化している様子を見ました。聴覚障害者を観客として認めてもらえたと感じました。ほかに聞こえる観客と同様に作品に入り込み、感動できる体験が日本でも当たり前になってほしいと思いました。

 そして今、文化芸術基本法及び障害者による文化芸術活動の推進に関する法律ができたことに大変感謝をしております。これからは、中身を育てていく作業が大切だと感じております。そのためにも、今後ともしっかりと私自身かかわってまいりたいと思います。

 これからの課題について、お話しします。鑑賞サポートのポイントは3つあります。1つ目は支援の質の向上、2つ目は予算の質の向上、3つ目は告知の質の向上です。

 支援に関心のある人はふえていますが、そのための専門的な訓練の場がありません。また、字幕システムなどのデバイスの開発に取り組んでいる方々はいますが、導入の場がふえないと続きません。導入しやすい環境をつくることが大切です。

 手話通訳についても、同様です。現在の手話通訳養成は厚生労働省の管轄となっておりますが、芸術文化における手話通訳の技術は手話通訳ができれば誰でもできるというものではなく、俳優たちが歌やダンスなどの訓練を受けると同様に専門の訓練が必要です。そして、演出、照明スタッフと同様に作品を観客に届けるスタッフの1人として認めてもらえることを願っています。

 また、支援者と舞台創作を行う現場を調整する役割を持った専門家、つまりアクセスコーディネーターが必要です。私どもの団体では東京を拠点にしておりますが、全国から相談を受けており、養成が今、急がれております。

 2つ目、予算についてです。今回の法律ができたことで予算をつけやすくなりましたので、今後は予算の効果的な使い方を考える必要があります。ありがたいことに、今年度の文化庁の助成金にはバリアフリー加算ができました。

 しかし、現状では観劇サポートに特化した助成金制度がありません。そのため、後から観劇サポートが必要になった場合に予算がなく、断念したり、支援者のボランティアに頼ったり、主催者の持ち出しで行い、サポートが続かなかったりということがあります。文化庁に申請するハードルが高いので、都道府県レベルで相談、申請しやすい助成金制度があるとよいのではないでしょうか。

 3つ目、告知についてです。いろいろとサポートを整えても、当事者に届かなければ意味がありません。ある例ですが、サポートを整えたにもかかわらず、ウエブサイトにその案内が出ていなかったり、わかりにくかったために、必要とする人が来場しなかったということがありました。サポートがありますよということをきちんと誰にでもわかりやすい形で表示することで、当事者だけではなく、一般の観客に障害者が来場するという認識が生まれます。同じ空間に多様な観客がいることが、共生社会をつくる一助となります。

 最後になりますが、劇場や主催者が心からウエルカム感を持ってサポートを続けることによって、障害者が文化、芸術に親しみ、豊かな生活を過ごせるようになることを願っています。それを支えるシステムづくりを、この会議で検討していただければありがたいと思います。

 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いては、京都会場の方々にお願いしたいと思います。

 初めに、重光構成員お願いいたします。

 

○重光構成員 NPO法人障碍者芸術推進研究機構の重光でございます。

 私どもは、障害のある人の芸術活動について、学齢期から、学校卒業後も生涯にわたって支援することを目的に7年前に設立いたしました。目標としているところは、裾野を広げるということと、それから裾野を広げた結果、頂点も高まっていくであろう。そういうことを、目指して取り組みを進めております。

 お配りしました資料に、私どもの主な取り組み事業内容を5点挙げております。

 1点目は、これが一番大事なところですけれども、対象となる人々が自由に制作できる環境、場を提供するということで、閉校しました元小学校の空き教室を借用しましてアトリエを運営しております。現在、6教室で運営しております。

 それから、できた作品を保存していく。そして、将来的なことも考えまして、その作品を高精細の画像で作品アーカイブとして保存している。この2つを進めております。

 それから、作品の展覧会、展示発表ですね。これを年2回、総合展という形と企画展、ほかの福祉施設等にも呼びかけまして京都市内、あるいは府下の作品も集めまして、一斉に総合的に展示する展覧会と、それからテーマによって展示します企画展という2つをやっております。

 あとは、ほかにも「まちなかにアートの彩り」ということで、アーカイブを活用して耐光性のあるパネルをつくりまして、工事現場等の囲い塀に展示する「青空美術館」というものをしたりしております。また、公共の地下通路に作品をポスター印刷しまして、それをポスターパネルにして展示するといったことも進めております。

 それから、作品のアーカイブを利用していろんなグッズをつくって販売して、その収益を還元するといった取り組みも進めておるところでございます。

 それから、いろいろその申し込みもきていますが、近い将来、原画の販売の取り組みをこれから進めたいということで準備中でございます。

 あとは、広報活動ということで、会報をこれまで18号まで、季刊ですけれども、発行してきております。

 それで、私どもは発足時15名でしたけれども、今は44名の作家が登録しております。11歳から53歳までの方が登録していて、私ども福祉施設ではございませんので、普段はそれぞれが学校とか、それから福祉事業所に通っておられますので、そういった方を対象に土日に開催するものと、それからずっと仕事として今後やっていきたいという人のために平日もアトリエを開設しておるところでございます。

 法律につきましては、法律ができた以上は財政的な措置がなされるわけでございますので、これは大いに期待しているところでございます。

 時間も迫っておりますので、これくらいにしておきます。以上でございます。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、田端構成員お願いいたします。

 

○田端構成員 社会福祉法人グローの田端と申します。

 社会福祉法人は、滋賀県にある団体です。私たちの活動について紹介しますと、障害のある方の造形による表現と身体表現、パフォーマンスですね。その魅力を発信していくということがあります。

 造形による表現については、滋賀県の近江八幡市にボーダレス・アートミュージアムNO-MAという美術館を開館しておりまして、そこを拠点として国内外の作者さんの作品調査をしたり、展覧会をしたり、それにかかわるシンポジウムを開催するなどしております。

 パフォーマンスについてですけれども、滋賀県内の保健福祉圏域単位にありますさまざまな表現活動をしているグループがあります。例えばダンスですとか、打楽器ですとか、歌といったことですが、それらの恒常的に活動している団体の年に1回の集大成として発表する場、糸賀一雄記念賞音楽祭というものがありますが、その運営をしております。

 法人でアーティストを抱えるという仕組みは持っておりませんで、法人内の事業所でアート活動をしているという事業所はありますけれども、そこのアーティストの作品などを発信していくということに重きは置いておりませんので、国内外の団体と協力し合っていろんな事業を展開しているということが特徴だと思います。

 先ほど、昨年のナントでのプロジェクトにつきましても、お隣にいる中島さん、鳥の劇場さんですとか、28団体で構成していますとおっしゃっていた久保さんたちの団体とも協力して、日本のアール・ブリュット展と、日本の障害のある方の舞台表現を発表してきたところです。

 自分たちの捉えとしては、受け手側としての障害のある方というところに力点が置かれてきたなと思っていたので、文化の担い手としての障害のある方という側面に光を当てて活動してきたんですけれども、さらにまた最近、自分たちが発信していることを障害のある方にもきちんと受けとめてもらいたいということで、その鑑賞のあり方みたいなことについても昨年度くらいから力を入れ始めているところです。

 おとといも、今回参加くださっている廣川委員にもお越しいただいて、耳の聞こえない方、聞こえにくい方に対する劇場での鑑賞支援について学ばせていただいたところです。

 この法律に期待することですけれども、何人かの委員さんからも話が出ているように、文化芸術基本法と障害者基本法の理念にのっとりということがこの法律の目的のところに書いてありまして、それぞれの基本法に、文化のほうは文化芸術推進計画の第1期がありますし、障害者基本法のほうには障害者基本計画の第4次ということがありまして、それぞれ計画があるわけです。

 それで、この法律ができてさらに重複するのではないかという意見もありましたけれども、私はちょっと前向きに捉えておりまして、さっきの2つの計画を推進することに、この法律に基づく基本計画というのは大きく寄与していくのではないかと思っています。

 というのは、この法律による基本計画を定めるのは文科大臣と厚労大臣ということになっておりまして、今回参加されている構成員の方々を見ましても、文化芸術の関係者の方、障害福祉、それ以外の福祉の関係者の方が対等にというか、どちらかに偏りがあるというわけではなく、しっかり入っているということが大きいと思っています。

 どちらもの有識者や専門家の方々が入っているということで、それぞれの立場から一歩踏み込み合って意見を出しながらつくられて、その意見が参考となりまして計画が立てられていくということになりますので、より実効性がある計画になり、施策になっていくと思っております。

 さらに、先ほど柴田構成員がおっしゃっていましたけれども、ここに自分たちが参加したからには、これからできていった計画や施策について自分たちも推進していく役割があると思っていまして、今回参加されている方々はそれぞれで現場を持っている方、障害のある方にこのことを届けるという役割を持った方々がほとんどですので、実効性のあるものになっていくのではないかと思っています。

 あとは、分断ということについてもちょっと楽観的に考えていまして、この法律に基づいていろいろな事業が展開されていくと思うんですけれども、事業を展開されていく中では、多分事業を実施する団体はその障害者のということを強調して打ち出すということは、最近はどの事業を見てもされていないと思うんです。それで、そこに出展されている方が障害のある方、そしてそこでパフォーマンスをしている方が障害のある方であっても、出会ってきた人たちというのはそこはどうでもよくなっていくというか、自然と溶け合っていくということが自分たちの実践の中でも必ず起きていくことですので、障害のあるということを突出させることへの疑問というのもありましたが、私はきっかけはそこでもいいけれども、出会ったらどの方も気にならなくなっていくというか、その方への向かい合い方も皆さん知っていけると思うので、まず進んでいくのがいいことではないかと思いまして大きくはその辺に期待したいと思って、この計画がさらに先行している計画も後押ししていくんじゃないかということに期待しています。以上です。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 続いて、中島諒人構成員お願いいたします。

 

○中島(諒)構成員 鳥取で廃校を劇場にかえて演劇活動をしております鳥の劇場の中島と申します。

 私どもは、障害のある人と一緒の活動というだけではなくて、演劇関係、演劇を通じて人の人生を尊敬できるように、もっと尊敬できるようにしたらいいなとか、豊かになったらいいなというような活動を展開しておりまして、その中の一環として障害のある人との活動というのもあります。

 お手元にお配りしているものの中に、『じゆう劇場』というチラシを3枚ほどこんな形で入れさせていただいております。

 1つが、このじゆう劇場という活動で、人間にとっては一番大事なものが自由で、自由というのは選択可能性に基づく自己決定だということで、そういうものを大事にする表現をやっていこうということでこれをやっています。

 それからもう一つは、鳥の演劇祭という国際演劇祭の中で障害のある人の演劇表現を海外の作品なども含めて紹介するということをやっています。

 それで、演劇のいいところというのは、人の姿が直接見えるところなんです。舞台上にある種、共生社会の理想像、現実に共生社会ができるとしたらこういう姿になるのかもしれないなというような、いろんな人がそれぞれに自分ができることをして人を助け、場面によっては助けられながら舞台の時間をつくっていくという姿が見られるところというのが、演劇の特徴なのかなということを思っています。

 そして、そういう活動を通じて改めて感じるのは、芸術において障害によるカテゴライズ分けはないのだということ、オリンピックにおいてはオリンピックとパラリンピックがあるけれども、芸術においてはそういう分け方は必要ないのではないかということを思います。

 ただ、今までの皆さんがおっしゃっていることもお聞きしながら、そうだなと思うんですけれども、現状においてやはり推進されるというか、底上げされるべき状況というものがあるので、障害者芸術という概念自体はやがて消えていけばいい過渡的な概念なのかなというようなことを思ったりもしています。

 それで、法律で気になるところをちょっと申し上げると、やはり芸術上、価値が高いという概念が入っているのが、例えば市場性が高いとかという言い方だったらわかるんですけれども、芸術上、価値が高いという概念を入れるということが、そもそもこの法律が目指す表現を保障し、それが生きることの豊さかにつながり、人と人をつないでいくというようなことが価値なのかなと私は思うんですけれども、もしそうだとするならばその法律が目指すところの概念、大目標と芸術的価値が高いという概念の導入は若干の矛盾があるのかなというようなことも感じています。

 それから、ほかの構成員の方もおっしゃっていらっしゃいましたが、実演芸術に関する言及が若干弱いのかなという感覚も持ったりしています。

 最後に基本計画に向けてなのですけれども、まずは障害のある方が別にアートをしなければいけないわけではないんだけれども、いろんな表現に触れることをまずは学校教育の段階からどのように保障し、それを社会教育に向かってつないでいく中で、いろんなことを体験し、やりたいことを選べるようにしていくという環境づくり、そしてそのためにそれを支える専門家というものをどのように育てていくか。特に、地方においては支える専門家の存在というのが非常に重要になるのではないかということです。

 それから、もしその中でもっとやりたいという人が出てきたときに、それを専門家としてどのように支援していくかということも課題になるのかなと思います。

 全体としてはこの法律、あるいは基本計画が障害のある方の当事者だけのためのものということではなくて、今、社会全体で人間的な価値というものが何か揺れている。それこそ先ほども出ていましたが、生産性という言葉で人間の価値の全てが語られてしまいかねないような状況の中で、人間の普遍的な価値というのは何なんだろうかということを考えさせる一つの機会になるように、この基本計画がつくられていくということが重要なんじゃないかと思っています。以上です。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 最後に、森田構成員お願いいたします。

 

○森田構成員 森田かずよと申します。Performance For All People.CONVEYという団体をユニットで主宰しております一ダンサーと俳優アーティストです。

 ですから、当事者のアーティストの立場でこの場所にいさせていただくことはとても幸せに思っています。

 皆さんが先ほどからおっしゃっているように、障害のある人の芸術活動というふうな言葉は、法律ができたときにやはり私たちの周りでも、今この言葉を使うことは分断になるかというのはよく聞きました。

 ですが、私が20年間やってきた中で思うことは、特に私はパフォーミングアーツの分野にいますので、舞台に立つということに対して何がバリアになっているのかということは非常に多岐にわたっていると思っています。

 これは物理的なバリアだけではなく、精神的なバリア、もっと細かいことを挙げていくと、とてもたくさんの問題があると思っているので、まずバリアが何なのかということを共通認識、いろんな人の認識によって明確にしていかなければならないと思っています。

 そして、地方都市の問題が出ていますが、私は実はこの3年、宮崎県の都城市総合文化ホールというところで年に1回くらいで活動させていただいて、去年は3カ月かけて障害のある人とない人で3作品をつくるということをやらせていただきました。

 その結果、宮崎の文化振興財団と社会福祉協議会さんが包括連携協定というものを結ばれました。これは、非常に日本でもまれなケースだと思っています。講演、ワークショップで開催誘致、広報活動など、計画段階から連携をしていくということなんですが、これは私たちだからというわけではなく、もともと宮崎はまるい劇場がありまして、障害のある人の演劇活動はそもそも盛んであって、障害のある人が劇場を使うということが当たり前のようにあった中で、私が行ったことでもう一つ企画ということも考えられるようになってきたと思っています。

 ただし、地方都市なので、なかなかこの協定を結んでそこからどうなったかというと、はまだ何も動いていない状態なんですが、2020の年に宮崎県は国民文化祭、障害者芸術祭が開催されますので、それに向けて一歩進んだ形になっています。

 私は、まずこの法律を含めてなんですけれども、障害のある人の表現活動をしたいということがありますが、いろんな人にとってすごく固定化しているなと感じることがあります。今日いただいた資料でも、文化庁さんの資料の中に障害のある芸術家を派遣し、車椅子ダンスの披露と車椅子体験の機会をと書かれていました。ダンスと言ったら車椅子ダンスなのかというふうな認識をされているのかと思って、ちょっとびっくりしました。ですから、障害のある人の芸術というまず考え方の固定をできる限りしないように進めていきたいと思っています。

 そして、法律自体は非常に文化芸術によって社会の意識を変えていくものだと思っています。先ほど言った固定観念を含め、いろんな人の考え方を変えていけるようになりたいですし、特に2020に向けていろんな方がおっしゃっているように、この数年、障害のある芸術活動というのは非常に盛んになったと思っています。パフォーミングアーツをやっていた中でもそう思います。

 ただ、どうしてもパラリンピックとともに開催されるので、障害のある人の能力ということにすごく特化されてしまっている危険性も私は感じていて、能力主義的な考え方に社会全体が少し偏っているなと思うことはあります。文化芸術は、そういうところでない部分も多くあると思いますので、そういった分野も大事かと思っています。

 そして、人材育成に関してです。もちろん私たちは障害のある人を支援される立場なのですけれども、それが支援されるだけではなく、ここからは私たちがどう社会でともにやっていくか。例えば障害のある人が雇用されるとか、そもそもその中に入って一緒に芸術活動とか、障害のある人自身が考えていけるような社会をつくっていきたいと思います。

 以上です。どうぞよろしくお願いします。

 

○本郷座長 ありがとうございました。

 構成員の皆さんには、貴重な御意見をありがとうございました。

 それでは、最後の議事に移ります。議題「その他」について、事務局から説明をお願いします。

 

○田仲自立支援振興室長 事務局でございます。

 お手元に机上配付資料がございますが、こちらにヒアリング候補と書かせていただいております。文化庁さんと厚労省で基本計画を作成するに当たりまして、関係行政機関や構成員の皆様方の取り組み、御意見に加えまして、法律の基本的施策に掲げられている項目において幅広く網羅できるように、参考になる活動や取り組みを行っております団体から、次回の有識者会議におきましてヒアリングを行いたいと考えております。

 ヒアリング候補の案を資料のほうでお配りしておりますが、資料2はそれぞれの団体の概要、活動及び関連する基本的施策の条文などについて記載をしております。

 なお、これから協力をお願いする団体もございますので、この資料につきましては机上配付とさせていただきまして、後ほど回収をさせていただきたいと考えておりますので、退席の際は机の上に置いたままにしていただきたいと考えております。以上でございます。

 

○本郷座長 ありがとうございました。時間が10分以上オーバーしてしまいました。申し訳ありません。時間もまいりましたので、本日はここまでとしたいと思います。

 それでは、事務局に進行をお返しいたします。

 

○村山自立支援振興室長補佐 本日は、貴重な御意見をいただきましてどうもありがとうございました。

 次回の有識者会議につきましては、1023日火曜日、午後1時からの開催を予定しております。

 本日は、これで閉会とさせていただきます。長時間、どうもありがとうございました。

 京都会場の方も、どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

—— 了 ——

 

 

 

 

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