ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 年金局が実施する検討会等> 被用者保険の適用拡大に関する効果的な広報のためのアドバイザー会議> 第2回被用者保険の適用拡大に関する効果的な広報のためのアドバイザー会議(2023年11月15日)議事録

 
 

2023年11月15日 第2回被用者保険の適用拡大に関する効果的な広報のためのアドバイザー会議

年金局

○日時

2023年11月15日(水)13:00~15:00
 

○場所

厚生労働省内「専用第14会議室」
千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎第5号館12階
 

○出席者 (五十音順)

                     
上田 憲一郎(座長)
宇佐川 邦子(構成員)
岡村 正昭(構成員)
佐藤 麻衣子(構成員)
島貫 智行(構成員)   
宮武 貴美(構成員)
諸星 裕美(構成員)
山口 真一(構成員)
横川 楓(構成員)


○議事

○上田座長 それでは、皆様おそろいのようですので、ただいまより第2回「被用者保険の適用拡大に関する効果的な広報のためのアドバイザー会議」を開催いたしたいと思います。
 まず、本日の構成員の出欠状況ですが、宇佐川構成員、佐藤博樹構成員から御欠席の御連絡をいただいております。
 なお、本日、事務局からは小野総務課長、若林年金課長、年金広報企画室職員が出席しております。
 それでは、議事に入る前に事務局から資料の確認をさせていただきます。
○芦田年金広報企画室長 年金広報企画室長の芦田でございます。本日もよろしくお願いいたします。
  構成員の皆様には資料を事前にメールで送付させていただいておりますが、改めて確認をさせていただきます。
 本日の資料は、まず議事次第、資料1-1、本会議の開催要綱、資料1-2、構成員名簿、資料2が「好事例を踏まえた広報コンテンツの方向性について」、資料3-1「被用者保険適用拡大に関する広報資料の制作に関する調査」、資料3-2、3-3が前回の御議論を踏まえて実施いたしましたアンケートの調査票、それぞれ厚生年金保険の被保険者数101人以上向け、100人以下向けということでございます。
 傍聴される方は、あらかじめ厚生労働省ホームページでお知らせしておりますとおり、御自身のタブレットなどの携帯端末を使用して、厚生労働省ホームページから資料をダウンロードして御覧いただくこととしております。
 事務局からは以上でございます。
○上田座長 ありがとうございました。
 それでは、カメラの方がいらっしゃれば、ここで退室をお願いいたします。
 それでは、これより議事に入らせていただきます。
 本日は、「企業へのヒアリングと広報コンテンツの方向性について」を議題としております。
 まず、好事例を踏まえた広報コンテンツ作成の方向性について、事務局より御説明をお願いいたします。
○菊地係長 それでは、資料2をお開きください。「好事例を踏まえた広報コンテンツの方向性について」という資料でございます。御説明資料に関しましては画面投影させていただきますので、お手元の資料または画面を御覧いただきながら、御説明をさせていただければと思います。
 資料1ページ目でございます。社会保険適用拡大のコンテンツといたしまして、現在厚生労働省では社会保険の適用を円滑に実施するため、特設サイト、ガイドブック、チラシ、動画などの広報コンテンツを制作し、厚生労働省ホームページにおいて2021年2月から公開させていただいているとおりでございます。
 2ページは、社会保険適用拡大特設サイトへのアクセス数を表示しているものでございます。2021年2月からサービス開始以降700万回閲覧いただいております。特に制度施行月の前月においては約100万回のアクセスをいただいているような状況でございます。
 3ページ目でございます。社会保険適用拡大特設サイト以外に、現在公的年金の年金額の試算を円滑に行わせていただくために公的年金シミュレーターを開発し、2022年4月から運用を開始しております。本シミュレーターをご利用いただくことにより社会保険適用後の年金額の変化について個人ごとに試算することが可能となっているということでございます。
 4ページ目は公的年金シミュレーターを活用した社会保険適用後の年金額の試算について具体例をご紹介しております。公的年金シミュレーターをご利用いただくと、スマートフォンやタブレットでも簡単に社会保険適用後の年金試算が可能になっているというものでございます。こちらの試算結果については一例としてお示しさせていただいているものでございます。
 5ページ目でございます。公的年金シミュレーターの合計アクセス数については、2022年4月以降順調に伸びておりまして、現在約450万回アクセスいただいております。公的年金シミュレーターへのアクセスは順調に増加しておりますので、今後も使われるということが想定されるところでございます。
 6ページ目になります。今回好事例を踏まえた新たな広報コンテンツを制作させていただく予定でございます。現在、厚生労働省では社会保険適用拡大特設サイトを運営しており多くの方にご覧いただいております。その結果、検索サイトでも上位に位置づけられており、この優位性を活用することで好事例を周知することが有益と考えております。このため好事例を踏まえた新たな広報コンテンツの制作は、現行の社会保険適用拡大特設サイトを拡張することで対応させていただくことを予定しております。
 社会保険適用拡大特設サイトと好事例を踏まえた新たな広報コンテンツの役割分担でございますが、現行の特設サイトに載せさせていただているものは、制度内容、手続等、全般的な内容について幅広く紹介させていただくことを念頭に置いております。
 他方、新たに制作するコンテンツに関しましては、各企業の好事例を踏まえた実践的な説明ツールを提供するということを念頭に置いて今後ヒアリングを実施していきたいと考えているところでございます。
 7ページ目は、参考までに今後のスケジュールでございます。今回アドバイザー会議で御助言いただいた内容を踏まえまして、事務局及び受託事業者のほうでヒアリングを進めさせていただきまして、今後の広報コンテンツについて検討を進めていくところでございます。その結果に関しましては、来年1月ないしは2月頃に改めてアドバイザー会議を開くことを検討しております。
 8ページ目をお開きいただきたいと思います。今回大きく分けて4つの観点からの御助言をいただきたいと思っています。1つは、広報コンテンツとしてどのようなものが望ましいか。2つ目に、その広報コンテンツをつくるための基礎資料としてどのようなものが必要なのか。そして、それを支えるヒアリングの内容としてはどのような内容をヒアリングすべきなのか。そして、ヒアリング先をどのように選定すべきなのか。この4点を御助言いただきたいと考えているところでございます。
 9ページ目は、前回御提出させていただいた資料を再掲しておりまして、今回の広報コンテンツの全体像をお示しするものでございます。
 10ページ目に関しましては、過去厚生労働省が全国の市区町村の国民年金の事務に関して好事例を集約した説明マニュアル、相談シート等をつくった事例がございますが、こちらに関して参考例として載せさせていただいているものでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○上田座長 御説明ありがとうございました。
 それでは、続きまして、被用者保険の適用拡大に関する広報資料の制作に関するアンケートについて、本アンケート調査業務の受託事業者より説明をお願いいたします。
○受託事業者 ありがとうございます。
 受託事業者の中堂薗と申します。私のほうから御説明をさせていただきます。
 資料をおめくりいただきまして、1ページ目に本資料の構成を記載しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 3ページ目、4ページ目を御参照ください。第1回アドバイザー会議で委員の皆様にいただきましたアンケート調査に対する主な御意見を左側にまとめております。御意見等、本当にありがとうございました。
 御意見を踏まえ、アンケート調査における主な変更点を右側に整理しております。詳細の御説明は割愛させていただければと思いますが、特に、企業様が御回答いただきやすいように平易な表現に見直し、齟齬が生じてしまいそうな文言につきましては、例示や定義を明記いたしました。
 また、企業情報、保険適用に伴う取組、適用による変化におきましても、企業様にて具体的に取り組まれている事例をなるべく多く抽出させていただけるように、例示の追記や新しい選択肢を設けさせていただきました。ご意見、誠にありがとうございました。
 実際にこれらの修正を基にお配りさせていただきましたアンケート調査につきましては、資料の後段にて参考資料として掲載しておりますので、お時間がございますときに御覧ください。
 5ページ目から8ページ目につきましては、前回のアドバイザー会議の中でアンケート調査に関して皆様から頂戴いたしました御意見を踏まえ、実際に実施した調査概要を取りまとめておりますので、詳細は割愛させていただければと思いますが、別途御覧ください。
 9ページ目に本日お諮りしたい点について記載をしております。9ページ目下部を御覧ください。現在アンケート調査を実施させていただいておりますが、こちらの調査を踏まえまして、今後企業様に好事例のヒアリングを実施していく予定でございます。本日は委員の皆様にこちらのヒアリングにて確認が必要な情報としてどういったものがあるか、それらの情報を誰からどのように取得していくか、特に、ヒアリング対象として選ぶ企業様の考え方について、ぜひ御意見等を頂戴できればと思います。
 また、そちらの調査を踏まえ、今後分析を行い、最終的に、広報コンテンツ制作のための基礎資料等のアウトプットを作成して参るため、作成に当たりまして必要な情報はどういったものかについてぜひ委員の皆様に御意見等を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
 10ページ目、現在実施中のアンケートの回収状況を簡単に御報告させていただきます。来週の11月21日まで調査を実施しておりますので、現段階での回収状況になりますが、101人以上、100人以下、それぞれのアンケートを500部ずつ配布し、100社以上の企業様に御回答を頂戴しているところでございます。今後は、記述内容等を踏まえ、ヒアリング対象企業を選んでいく予定です。
 11ページ目が、今回のアンケート調査を踏まえ、ヒアリングを行う際にどのような形で実施するかについてまとめたものになります。下段を御参照ください。今回のヒアリングの目的といたしましては、就業調整をせずに短時間労働者の被用者保険への加入を促進した企業様の具体的な取組や、短時間労働者の被用者保険加入によってどのようなポジティブな影響や効果があったかについて具体を把握し、今後適用拡大対象となる企業様ないしは、今、就業調整に悩まれている企業様の参考となるような事例や情報を収集したいと考えております。
 実施時期といたしましては、アンケート調査が終わりました11月下旬頃から12月中旬頃を予定しており、実際にヒアリングをさせていただく企業様といたしましては、好事例として広く活用できそうな企業10社程度に対して実施をしてまいりたく考えております。
 また、企業様において実際に取組を推進された主体者の方や、従業員の方々とコミュニケーションを取られている現場の労務管理者の方々へヒアリングをさせていただきつつ、もし可能であれば実際に保険に加入された従業員様にも、どのような形で加入を決めたか等についてヒアリングを行いたいと考えております。
 実際にどういった内容を伺うかについてはこの後御説明いたしますので割愛いたします。実施方法といたしましては、基本的には対面で、企業様の御要望に応じてオンラインでの実施も想定しているところでございます。
 12ページ目、13ページ目からが、委員の皆様に本日主に御意見を賜れればと考えている部分でございます。ヒアリング後には広報コンテンツ・ツール等を作成していく想定でございます。作成に当たってどういった情報が必要かを踏まえ、ヒアリングで何を聞いていくかという点を検討して参りたいと考えております。企業様や従業員様がどういった疑問やどういった相談をふだん持たれている/されているか等を踏まえ、それらを解消できるような広報コンテンツ・ツールを作成すべく、資料左側に、企業様、従業員様がどういった時点でどういった疑問を持たれているかという点を仮説ベースで記載しております。
 シーンとしては大きく3つあると考えており、まず企業様が企業様内で社会保険の適用を進める意思決定をされたとき。2つ目といたしましては、実際に企業様と従業員様が社会保険の加入に向けて御相談をされるとき。最後に、従業員様が企業様とお話しされた内容を基に、御家族と実際に保険に加入するかどうか御相談をされるとき。大きくこういったシーンがあるのではないかと考えております。
 それぞれ想定される企業様や従業員様が持たれている疑問を次の列に記載しております。一番上段の企業様が意思決定をされる際につきましては、例えば従業員様に社会保険に加入いただくに当たって企業側が対応すべきことは何なのか、社会保険加入に向けてどのような取組や対応をほかの企業様はやられているのか、について疑問に思われる企業様がいらっしゃると考えております。加えて、従業員様が社会保険へ加入されるに当たっての企業側のメリット・デメリットは何か、といった点を想定される疑問として考えております。
 次に、広報コンテンツ・ツールを作成する上で必要な情報といたしましては、まず企業側の部分において、企業様が対応すべき事項、よくつまずく点、それらを実際に解消された具体的な取組、また、実際に従業員様の社会保険加入によって企業側にもたらされた定性的・定量的な効果等の情報があると考えております。
 続きまして、下段を御参照ください。企業様が従業員様と社会保険の加入に向けて御相談いただく際には、社会保険の加入対象者に「私」は該当するのだろうかという点や、実際に加入した際の保険料額、年金額、手取額等が幾ら程度になるのかという点、実際に加入することによる従業員様自身、また家族様におけるメリット・デメリット、どのように働き方が変わるのかといった点等について疑問を持たれると推察しております。
 家族様とお話をされる際も同様の疑問が生じてくると考えておりますが、加入によって家族にどのような影響を及ぼすのか、という点も追加の疑問として生じてくるものと考えております。
 それらを踏まえ、広報コンテンツ・ツールを作成する上で必要な情報としては、社会保険加入対象者であるという点をうまく理解いただけるよう、どのように示されれば従業員の方々が容易に理解できるか。また、金銭的な部分について、手取り収入や将来の年金額を見える化するに当たって、どのような項目をどのような見せ方で提示すると、従業員様自身や御家族の方々が理解しやすいか、といったものや、加えて、従業員様の定量的・定性的なメリット・デメリットをどのように伝えると正しく理解していただけるか。また、働き方の変化はどういったケースが多いか。実際にどのような資料・情報を御提供させていただくと、従業員様、御家族様の理解が促進されるのか。こういった点が今後把握していくべき、必要な情報としてあると認識しております。
 続いて13ページ目を御参照ください。只今、御説明した必要な情報を踏まえ、今後企業様に対し、ヒアリングにて聞き取る情報を検討させていただきたく考えております。
 企業様側の意思決定時において、ヒアリングにて確認したいと考えている情報につきましては、まず、加入促進を企業様にて取り組まれるに当たってどのような悩みがあったか、ないしは検討されるに当たってどういった躓きがあったか。それらの悩みや躓きを解消するためにどのような取組を実施されたか。それらの具体的な内容や、加入促進を行う上での、企業様の定性的・定量的な変化・効果はどのようなものがあったか。従業員様に加入促進を行っていただく上で知っておくとよかったなと思う情報や、積極的になれたなと思う情報があれば、それらも含め、企業様にお伺いしたく考えております。
 同ページの下段部分については、従業員様における加入に当たっての悩みや躓き、それらに対し、企業様が説明される際にどのような資料を用いて、どのようにメリット・デメリットを効果的に伝えられ、伝えるにあたりどのような工夫をされたか、そのような点を確認することで、広報コンテンツ・ツール作成のインプットとしたいと考えております。
 また、企業様が従業員様に御説明される際によく従業員様から寄せられる質問や、従業員様がメリット・デメリットについてよく勘違いをされている、認識齟齬がある点、及び、それらをどのように従業員様へ説明されているのかといった点について把握したく考えております。
 また、企業様が従業員様に御説明される上で、企業様が独自で資料等を御準備されているケースもあることから、あったらよいと思った資料や、便利と思ったツールがあれば、それらも併せてお伺いしたく考えております。
 これらヒアリングにて聞き取る情報や、その前提となる広報コンテンツ・ツールを作成するために必要な情報につきまして、委員の皆様の御経験等を踏まえ、ぜひ御意見等を頂戴できればと考えております。
 続いて14ページ目にお進みください。ヒアリングにて聞き取る情報を実際に聞き取らせていただく企業様を選定する際の考え方の素案をお持ちしております。今回アンケートの記述内容を拝見する中で、短時間労働者の社会保険の適用に向けて取組を行っている企業様の取組は大きく2分類に分かれると考えております。つきましては、その2分類に該当する取組をされている企業様や、今後ヒアリング内容を広報コンテンツ・ツールの中に好事例として取りまとめていくということも想定されますので、ほかの企業様でも真似をしやすい、取り入れやすいような取組をされている企業様についても、好事例先としてヒアリングをさせていただきたいと考えております。
 前段の2分類につきまして、まず、社会保険加入の理解醸成といった部分では、従業員様が正しい理解をし、納得した形で社会保険に加入いただけるように、個人別等で詳しく企業様側から従業員様に御説明をされている事例が多くございます。
 2つ目につきましては、社内制度の改定といった部分で、従業員様が加入しやすくなるように、労働契約や賃金等、企業内の制度を見直す例がございましたので、こういった先は好事例先としてヒアリングをさせていただきたいと考えております。
 一方のヒアリング対象外につきましては、記述の回答がない企業様や、特段取組をされていない企業様については、対象外としたく考えております。
 また、何らかの取組をされている場合でも、企業様独自の特徴的な取組で、ほかの企業様がまねをしづらい取組をされている企業様につきましては、今回の好事例先の選定の対象外とさせていただきたく考えております。
 ヒアリング対象企業の選定における考え方につきましても、委員の皆様に御意見等を頂戴できればと考えております。
 15ページ目、16ページ目はあくまで御参考までにはなりますが、アンケート調査で回収できている回答の中から、取組内容として御記載いただいております具体例を掲載しております。先ほど御説明したような、実際に従業員様と個人別に面談をされて、従業員様別にケース・バイ・ケースでアドバイスや丁寧な御説明をされている企業様や、実際に従業員様の賃金をアップした例もございます。詳細のご説明は割愛いたしますが、参考までに御覧ください。
 御説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○上田座長 御説明ありがとうございました。
 本議題におきましては、事業主が検討する場面、事業主と従業員が相談する場面、従業員と御家族が相談する場面、それぞれについて各企業の好事例を踏まえた広報コンテンツ・基礎資料の制作の方向性や、それらを制作するに当たってのヒアリング内容やヒアリング選定先について御議論いただきたいと存じます。
 御議論いただく前に、佐藤博樹構成員より御助言をいただいておりますので、事務局より御紹介をお願いいたします。
○芦田年金広報企画室長 佐藤博樹構成員より御助言を承っておりますので、読み上げて御紹介いたします。①から④までございます。
  ①企業として何のために社会保険適用拡大をするのか、その意義、メリットを定性的・定量的に企業側に示して、企業が取り組むモチベーションをアップさせるコンテンツを作成することが大事になる。企業の取り組みを進めるためには、社員にとってのメリットの説明の前に、企業としての取組のメリットを理解させることが鍵になる。
  ②勤務先の企業がパートなどの社員に社保加入のメリットを説明するとは限らない。そのため、雇用保険に加入したパート社員に対して、社保加入のメリットなどを周知する方法を活用することが大事になる。
  ③公的年金シミュレーターを国共済、地共済、私共済でも利用できるようなことを検討すること。異なる年金間を転職で移動する人は多いことによる。
  ④パート社員に社会保険加入を考えてもらう前に、そもそも自分自身のキャリアをどう考えるか、キャリアアップした後の家庭での生活の変化、教育費のアップなど、御家族にどのようなメリットが生まれるのかを考えた上で、就業調整してもよいのかを考えることに繋がる情報提供が大事になる。
佐藤構成員の御助言は以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 それでは、これから御議論をお願いいたしたいと思いますが、最初に2点申し上げたいと思います。1点目は、コンテンツや基礎資料の制作の御議論と、ヒアリング内容やヒアリング選定先のほうを分けて御議論いただいたほうがすっきりいくかなと思いますので、まずヒアリング内容や選定先、どういう先にどういうことをお聞きしていったらいいのか、この辺をまず御議論いただきまして、それから出てきた情報を踏まえて、コンテンツや資料の作成について、皆さんの御意見を頂戴いたしたいと思います。
 2点目ですが、先ほど御説明いただいたように、スケジュール的に次回の会議開催の際には相当資料作成が進んでいるような段階に行っていると思いますので、本日の皆様からの御意見、御議論では、ぜひ制作に当たっての具体的なアドバイスとか、皆様の御経験を踏まえた様々な御意見を出し切っていただいて、突っ込んだ御議論をお願いできればと思っております。
 では、まず最初にヒアリング内容や選定先に関連する分について御意見をいただきたいと思います。皆様のほうからよろしくお願いいたします。では、岡村さん、どうぞ。
○岡村構成員 御説明いただきありがとうございました。岡村です。よろしくお願いいたします。
 ヒアリング内容というところで、目的に合わせてのヒアリングになると思うので、どの辺りの話をしようかなと思っているのですけれども、おさらい的な話になりますが、本会の成果物、目的は何かというと、円滑にこの手続自体を進めるためという話になってくると思いますけれども、では、今やっている工程は何なのかといったら、円滑にいくためのものを阻害する要因が何かを明確にしましょうという話だと思っております。それが明確になれば、そこをちゃんとクリアできるためのツールをつくっていけるよねという話。それを知るためのヒアリングという話になってくるかと思いますので、そこのヒアリングの内容になるかなと思っています。
 であれば、優良事例という話が言葉として出ると、うまくいっている事例ということになりそうですけれども、うまくいかなかったけれども、こういう考え方とかこういう理解とかこういう情報があったおかげで何とかそれが実施できましたよというものこそが本来優良事例かなと思っています。そういう意味で言うと、聞く内容としては、うまくいったという企業があるとしたら、従業員の方とのコミュニケーションをどのように取っているかとかという話になると思いますが、ここからはすごく具体的になってくるので、なかなか参考にならないかもしれませんが、1つ思っているのが、例えば経営者とか担当者の方が、自分たちの会社で働く従業員の方のことをどれぐらい知っていますかということだと思うのです。要は、短期労働者の人たちは何で短期労働者なのか知っていますかという話からスタートすると思っています。
 その理由を知っていたら、それはそういう理由だからこういうことなのだね、でも、もしかしたらその目的を達成するためにはこういう制度を使ったほうがいいかもしれないねという話だったり、そういう機会がある企業は比較的うまくいっているのではないかなという仮説が私の中であって、もしくはそれが聞ける関係性があるところです。でも、逆にそれが聞けないとか、もしくは従業員のことをそこまで知ろうとも思っていない、まあ短期労働者だしと思っている企業に関しては、それが阻害する要因になるのではないかなと思っているので、まずはその企業の従業員との関係性を経営側の方には聞く形というか、関係性がどううまくいっているかをヒアリングしてくことが、最終的なゴールとして目指す話になると思います。
おそらく今回のこの制度は、従業員を大切にしている企業からするといい制度だと思うのです。より従業員を大切にできますし、従業員の将来にとってもいいのではないかという話です。でも、従業員の方々の将来を考えていない場合は、この制度はちょっと面倒な制度で、しかも個別面談をしないといけないとか、説明会を開かないといけないという話が阻害要因になってくるかなと思うので、この制度に対応していくことがどういうことになるのかをしっかりと構造として企業には理解してもらうこと。次に、その企業が理解したら、それを従業員に話す上で、説明会や個別面談を行いやすいようなサポートツールを準備すること。例えば、従業に個別面談するときに、制度の説明だけをしても、うまくいくケースはないと思うので、まずどういう情報を聞くのかとか、どういうコミュニケーションを行い、説明をしていくのかということを作成するためのヒアリング内容にならないといけないのかなと思っています。
 ちょっと具体的ではないのですけれども、ヒアリング内容を具体的に決めていくための基準はそういったところかなと思っています。長くなってしまって申し訳ありません。ありがとうございます。
○上田座長 ありがとうございます。
 私も実は岡村さんと同じような感想を持っていまして、いい事例を出してどんどん促進するものと、底上げする部分と2通りあると思うのです。促進するためには好事例がもちろん必要なのですけれども、底上げのためには、うまくいかなかった事例もヒアリングする必要が一定程度あるかなと私も感じています。
 それも、事業主が対応する意向がないパターンと、意向はあるのだけれども方法が分からないとか、ツールがないとか、あるいはどういうふうに対応していいか分からないというパターンがあると思います。この辺の事例はすくい取って対応の必要が出てくるのだろうなと思っています。
 もしかしたら対応する考えがない事業主の方にも気づきを御提示するということも必要かもしれないと思っています。人手不足とか人的支援投資とか注目されている中ですから、そういう輝かしい目的はもちろんあるのですが、それ以外にももっと地道な、いろいろメリットをお示しする必要があるかなと思っています。
 ほか、皆様、いかがでしょうか。すみません。あまり座長がしゃべってはいけないのですけれども。諸星先生、いかがですか。
○諸星構成員 ありがとうございます。
 今、岡村さんがお話しされたことは私も同じように感じていまして、今回ヒアリングの選定先、受託事業者のほうから案が出てきたのを見てみると、1~9人ぐらいまでというのは個別に対応もできるし、本当に地道にやっている、コミュニケーションができていると思うのですが、それ以上になるとなかなかできないというのが実際ではないかと考えます。
 実は先週から顧問先を回っておりましていろいろお話を聞いてみたところ、社保加入を進めていきたいのだけれども時間がないのだよねと言われてしまうのです。時間がないということは、分かってはいるのだけれども余裕がないというのが現実ではないかと思われます。
 今回の資料で一つ気になったのが、2ページ目のアクセス数が、適用拡大の直前にばんと上がっているということは、適用拡大の広報は、一生懸命やっているのですけれども何か足りないのではないかということを実感しまして、来年の51人以上適用に対する広報で、先ほど12月にできるかもというお話があって、もうちょっと早めにできればよいのかなと。但し、そうなると大車輪になってしまうかもしれないので、アンケート結果を取って、いいツールをつくって、なるべく早めに出して、2月、3月ぐらいから皆さん動きましょうよという形に持っていかないと、これが進まないのではないかなと実感しております。
 では、具体的にどういう選定先をするのかということになれば、先ほどの10人未満というよりも、51人以上にはなりますが、ある程度の規模のところで、ある程度選定基準を設けて、人数が少ないところは個別にできますけれども、そうでないところはどのような方法で進めていったのかということをヒアリングの中でお聞きすることが大事と思います。それから先ほどヒアリングで従業員にも聞くということがあったのですが、事業主側からは従業員のヒアリングは時間的に余裕がないとか、そういうことを言われてしまうこともあるのではないかと思います。
 今回のものではないのですけれども、あることで個別に回答お願いできますかと聞いたら、もうアンケート疲れしてしまってとてもそんな余裕がないんだよと回答いただいたこともありますので、そこをどううまくどうやってつなげていくのか。先ほど感じた適用の直前でなくて、それこそ地道に広報してアナウンスをしなければいけないのかなというのを改めて感じております。ですので、ヒアリングの選定基準を、もし今日決められなかったとしても、ある程度こういうところでこう言いましょうということを、場合によっては範囲を狭めて聞くということも1つの手かなと感じております。 以上です。ありがとうございます。
○上田座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。現場のお話から宮武さんとか、いかがでしょうか。
○宮武構成員 ありがとうございます。
 私も諸星先生と同じように感じたのが2ページ目の社会保険の適用拡大のサイトへのアクセス数で、本来であればもう少し早めに山が来て。9月だと正直言って遅いと感じているので、そこの部分は何らかの仕掛けをしてアクセス数を伸ばしていかなくてはいけないのかなと思っています。
 併せてスケジュール感をヒアリングすることは非常に重要なのではないかと思っておりまして、決断をするにしても、家庭に持ち帰って、意思決定をするのが本人だけではなくて、恐らく御主人も大きく影響してくると思いますので、その決断をするに当たっての資料と判断と、あとは駄目と言われないような対応をしたのではないかと思いますので、変な話、御主人を説得できるような材料みたいなものも提供しているのではないかなと思うので、そういうのがあるのかどうなのかというところを確認したいなと思いました。
 もう一点、年収の壁のパッケージが出ておりますけれども、助成金の活用をされている企業があるのではないかなと想像しておりまして、特に賃上げとか労働契約の見直しというところに関しては深く助成金と絡んでくると思いますので、それも併せてヒアリングの内容にされたらどうだろうかと思っております。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございます。
 これは私の個人的な感想ですけれども、サイトへのアクセスというのは、中小企業の経営者の皆さんや、働いている皆さんは非常に時間がないので、切羽詰まらないとなかなかやらないという傾向はあるのかなと思っています。ちょっと事例は違うのですが、私が以前、運営管理機関に勤務していたときに、企業型DCの商品の選択も締切りの3~4日前になって初めてアクセス数がいきなり上がるという傾向がよく見られましたので、これを何とか早めにならしていこうとさんざん努力したのですけれども、なかなかうまくいかなかったです。この辺りは皆さんの御経験を生かしていろいろ御意見をいただければと思います。
 ほか、皆様、いかがでしょうか。横川さん、どうぞ。
○横川構成員 どういうヒアリングをするかというところは、これからコンテンツをつくっていくに当たって、どういった内容を聞いていくかということだと理解しているのですが、こちらの資料にもある企業の取組で既に回収できているものを見てみると、結構個別に具体例が出てきているなと思っておりまして、この中でいろいろな企業に反映できそうなもの、転用できそうなものが上がっている企業に対してヒアリングをしたほうがいいのではないのかなというところ。あと、私は日頃セミナー等をさせていただいているのですが、そういったときに伝える資料として、こういったことを知っておいたらいいかなというところを自分でも考えたり、相手にもヒアリングとかしたりするのですけれども、ヒアリングしたものでコンテンツをつくらなくてはいけないとなったときに、そのコンテンツに何を載せるのだろうというところを見据えた上でヒアリングをしなくてはいけないかなと思っていて、どういったことをコンテンツに載せたらいいのかなと考えたときに、ヒアリングする際に、従業員に手取りの話とかが一番響いたのか、社保のメリットの話が一番響いたのかなど、どういう話が一番響いたのかというところを好事例をヒアリングする際には聞いたほうがいいのかなというところ。
 先ほどもちらっとお話が出たかなと思うのですが、入らなかった人がなぜ入らなかったというところもヒアリングしたほうがいいのかなというところ。
 あと、説明を行っている企業さんや、集団での説明会や、個別でも説明されているという企業さんがこちらの例にも載っていましたが、説明をする際につまずいた点などもヒアリングしたらいいのではないかなと思いました。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございます。
 そのほか、皆様、いかがでしょうか。佐藤さん、どうぞ。
○佐藤(麻)構成員 御説明ありがとうございました。
 私は、実際に今回の年収の壁パッケージの話も含め、企業と対応する中で、今、どうしても助成金もですが、年収の壁が唯一の壁みたいなイメージが先行しているような気がしてしまっていて、お話を聞くと、そもそも週4時間の4日しか時間が取れませんというケースでは、企業側が促進しようとしても可処分時間に壁があるということで、やりようがないという話になってしまいますから、まずは従業員の方の壁、阻害要因が何かというところを明確にした上でお話を進めることが大事だなと。宮武構成員も言っていましたが、御家族の協力が得られるのかも含めてです。
 もう一つは、企業規模が小さくなってくるので、対応できるリソースはどのぐらいありましたかという質問が結構ポイントになるかと思っていまして、話ができる担当者がいたのか。社長だけというケースもあると思います。
 あとは従業員の人数です。今回対象となる従業員、20時間以上30時間未満の従業員が何人いたのかというのもヒアリングのポイントになると思います。
 あとは、人員不足なので、これにかけられる時間とかかけた時間なども聞き取れれば、どこを優先的に押さえればいいのかということが見えてくるのではないかなと思います。
 あればなのですが、社内で対応したのか、社外、社労士や税理士に協力を仰いだのか。もし仰いだパターンがあれば、仰いでやったパターンと社内で解決したパターンがあると選択肢が広がると思います。
 最後、最近インボイスの対応で追われているという実感がありまして、そういったことも踏まえて、決算や繁忙期、こういった法改正などの対応。4月は労働契約の改正もありますので、スケジュール感について検討したのかというところも1つ事例として聞いて、それをフィードバックすることで、ああ、早めにやらないと、この時期しかないなということに気づいてもらえるかなと思いました。
 私からは以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 そのほか、皆様。では、島貫先生、お願いします。
○島貫構成員 1点補足しますと、冒頭で佐藤先生から企業側のメリットは何があるのかをしっかり伝えるべきであるという御意見がありました。今、ちょうどアンケートも回収中ということで、集計結果が出れば、企業がどういうところにメリットを感じているのかはわかると思います。これまでの委員の御意見には、それぞれの企業が一人一人の従業員の皆さんにどう説明し個別に丁寧に向き合っていくのかという点と、経営的なインパクトがどれくらいあるのかという点の両方があると思っていまして、私のコメントは後者に関しての追加コメントです。経営のシミュレーションというところを、規模の小さいところと一定の規模があるところが実際にどういうことをなさっているのかを聞いていただくといいかもしれません。
 例えば規模が小さい企業であれば、経営的なインパクトは、従業員が少ないということで、ある程度見通せるということもあるでしょうし、他方で、人数が多いということであれば、細かくシミュレーションをなさっているかもしれませんし、あるいは社労士の皆さんのお力も借りて、おおよそのインパクトを想定した上でプロセスを進めていると思いますので、その辺りを聞いていただけるとよろしいかと思います。
○上田座長 ありがとうございました。
 山口先生、いかがですか。
○山口構成員 御説明いただきありがとうございました。
 私からは何点かありまして、まずヒアリングあるいはアンケート分析というところについてです。ヒアリング対象企業の選定といったところで、資料のP14で、うまくいった企業を対象にするということで、うまくいった企業というものを定義されているかと思います。例えばこういったところがいいのではないかと。ただ、これらに当てはまらない中でうちはうまくいったと考えているような企業もあるかと思うのです。今回、たしかアンケート調査の中では自主評価も取得していると思うので、そういった企業を洗い出すことは可能だと思います。そういった企業ばかり聞けとは全く思わないのですけれども、一方で、こちらが想定もしていなかったような参考になるようなものを洗うためにも、これらに該当しないけれども自己評価の高い企業、うまくいったと思っている企業を幾つかヒアリング対象にしてもよいかなと思いました。
 また、対象企業は、もちろん分野がばらけないようにしたほうがいいということ。並びに、これまでも議論に出てきておりましたが、苦労した企業とかうまくいかなかった企業も比較のために幾つかあってもいいかなと思いました。
 また、今回は、このアンケート調査結果というのは定量的に何か見るというよりは、ヒアリング対象企業の選定が目的であるということは重々理解しておりますが、このアンケート回答結果並びにヒアリング調査結果について、テキスト分析とかして、うまくいっていると回答している企業の特徴だけでも客観的に出せると面白いかなと感じております。とりわけヒアリング結果については、恣意的にならないためにもいろいろ特徴を出すということはやったほうがいいかなと思いますし、アンケート回答結果もさすがにもったいないので、自由記述で書かれた内容を分析すると何か見えてくるかなと感じました。こちらが分析に関してです。
 次に、ヒアリングの内容というところで申しますと、既に幾つか書かれている内容もありますけれども、まず実際にしたコミュニケーションとか、そのときに使用した資料というのを見られると思うのですが、なぜそういう資料にしたかとか、そういう過程というところもヒアリングするといいかなと思いました。また、その効果ですが、定量的な数字があるのだったら、ぜひというところ。
 そして、これもさんざん出ていますけれども、何に困ったかとか課題感というところ。課題感というのは、従業員に説明するときの課題ももちろんある。つまり、何に困ったかという話。もう一つが企業内でそういう取組をしたいと思ったときに、抵抗勢力がいなかったかとか、何が壁になったかとか、そういった課題感も洗えるといいのかなと思いました。
 最後にその他のコメントになるのですけれども、今回企業を対象としたヒアリングということはもちろん理解しておりますが、従業員自身にも聞きたいなというのが正直なところです。例えば従業員がその企業のその資料を見て、その企業はうまくいったと思っているわけですけれども、その企業のその資料を見て、では、どういうプロセスで納得したのか。例えば、先ほどから家庭で夫婦とかで話し合って納得してという話も出ていましたが、そういうプロセスをしっかり調査するというのも大事なのかなと思いまして、それはもしかしたら企業の理解と大きく異なっている可能性があるわけです。今回の広報コンテンツは、もちろん企業の経営者、ないしは取組をする方を対象にしているものですので、今回のような調査になるのはよく分かるのですけれども、その先、末端には受ける従業員という者がいますので、今後そちらも対象にできれば、さらにいいものができるのかなと感じた次第です。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 一通り皆様から御発言いただいたのですけれども、ヒアリング対象先については成功例というか、好事例だけでなくて、うまくいかなかったところもある程度ヒアリングしたほうがいいだろうという方向でよろしいですか。そんな感じでしょうか。
(構成員首肯)
○上田座長 うまくいかなかったところに詳しく突っ込んで聞くというのもなかなか難しいと思うのですけれども、いかがですか。大丈夫ですか。
○受託事業者 ありがとうございます。
 アンケートの中で、うまくいかなかった企業様がどこまで記述をしていただいており、うまくいかなかったと回答していただいているのかという部分は確認させていただき、検討できればと思っておりますが、何かつまずかれた御経験がある企業様に、そのつまずきはどのように解消しようとしたのか、どのような点でつまずいたのかについて、確認させていただくため、そのような企業様も選定できるようにさせていただきたく思います。
○上田座長 あと、皆様から出していただいた御意見でいくと、うまくいかなかったのは、時間がなかったのか、組織体制とか人員がいなかったのかとか、あるいは資料とかの問題とか、社内に反対する方がいたのかとか、そういう幾つかのポイントがあったので、その辺のポイントでお聞きいただくような感じですかね。
(首肯する構成員あり)
○上田座長 よろしいでしょうか。あと、対象先で何か付け加えることはありますか。岡村さん。
○岡村構成員 岡村です。ありがとうございます。
 その対象先の切り方のほうでいいかなと思っているのですが、参考までですけれども、我々が実際いろんな調査とかをさせていただく際は、今回のケースで言うと、「うまくいきました」と回答しているところと「うまくいきませんでした」と回答しているところ以外も調査します。つまり、回答しなかった企業というのは、回答する時間がないのか、回答する気がないのか、回答したくなかったのかというところがあったりするので。大体アンケートで調査すれば、そこのほうが多数になるはずなので、その多数のブラックボックスの部分を解明していくということも実施できると一番いいのですが、ただ、とても難しいと思うので、あくまで参考までのお話でございます。なので、今回うまくいったというところとうまくいかなかったところとの差分、違いみたいなところをあくまで分析するためのヒアリングという形にしていただければいいのかなと思っております。
 以上です。
○上田座長 岡村さんの今の御発言は参考ということで。答えないところにあえてお電話すると、「うるさい」と言われそうですよね。そういう可能性もなきにしもあらずですけれども、そういう可能性もあるということですよね。
○岡村構成員 はい。
○上田座長 ありがとうございます。
 ヒアリングの内容については、皆様からも一通り御意見をいただきましたが、追加でもしあれば。特に諸星さんとか宮武さん、現場の御意見として。
○諸星構成員 先週から顧問先を回っているというお話をさせていただいたのですが、企業側が一番困っているのが、従業員に正しい理解がないということが一番の問題で、後ほど話しますけれども、税金の問題がやはり多いです。103万、130万だけでなくて、配偶者控除が受けられる・受けられないも、150万まで受けられることも知らないという状況なので、「いや、社会保険加入を勧めているのだけれども、従業員の方々が一生懸命週刊誌などを読んで、新聞を読んで、でも、分からないと言っている。どうしたらいいのでしょうか。でも、私はきちんと説明できないのです」という社長や担当者が多くて、そういった意味から、もし従業員の方々にヒアリングをするのであれば、従業員側が何がわからないのか、正しい理解があるかどうかということを、先に一応確認は取られたほうがいいのかなと感じました。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございます。
 宮武さん、いかがですか。
○宮武構成員 ありがとうございます。
 私も諸星先生と近いことですが、メリット・デメリットの話のところで、一体何に影響があるかというところ、どこまでの範囲で。先ほど税金の話というところもありますし、所得が増えることで、今は影響がないのかもしれないですけれども、保育園の保育料が高くなるかとか、そういう幅広い、何に影響があるかというところまでを配慮して従業員に伝えたのかというところをヒアリングできたらなと思います。
 もう一点、これは14ページのヒアリングの企業の選定のほうに書かれているのですが、社内制度の改定という取組に関して、従業員が加入しやすくなるようにというところがあるのですけれども、実際に社内制度をきちっとつくって、そこの社内制度に当てはめることによって社会保険に加入したのか、個別にシミュレーションをして、入る・入らないというのを決めたのか。制度をつくると、その制度に乗っかって加入の促進になるというケースもあるのかなと顧問先の企業を見ていて思いますので、そこら辺の社内制度のつくりがどうだったかといったこともヒアリングで聞けるといいのではないかと思いました。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございます。
 従業員の方に対しては税金等控除の知識の話ですね。企業に対してはそういう制度的な話をヒアリング項目に加えたらいいだろうということですね。
○宮武構成員 そうです。雇用区分とかで正社員と言うと、社会保険に加入して、家庭でも正社員ですということで、家庭内でのプレゼンスが上がるみたいなところがあると思いますので、例えば短時間正社員という言葉を使って、そこに当てはめることで社会保険の適用に動いたというケースもあるのではないかと想像しておりますので、そのような仕組みというところです。
○上田座長 ありがとうございます。
 ほか、皆様のほうからいかがでしょうか。ヒアリング内容、項目等についてです。会社向けと従業員向け。従業員の方は御家族と御相談する際のお話とか、いろいろな切り口があると思いますけれども。特によろしいでしょうか。岡村さん、いいですか。
○岡村構成員 たびたび申し訳ございません。具体的になるかもしれないのですけれども、従業員の方というか、企業の雇用者の方に対して聞いてみたいなと個人的に思うのは、短期労働者の方が時間が延びた分の仕事はどのように創出したのかということです。短期労働者であれば、今の仕事でやってもらってオーケーだった業務が、時間が延びますよとなったときに、その延びた時間をどのような仕事で当てはめたのか。新しくつくったのか、今ある仕事を単純に長めにしてもらったのかとか、その辺りは結構悩みが出るのかなと思っているので、ただ延ばしたらいいと言っても、延びてもそんなに役に立たなかったら意味がないと思う企業の方もいると思うのでというところがあります。
 従業員の方へのヒアリングというのはちょっと難しいかもしれませんが、その従業員の方が就業時間が延びた分どんなことが企業に貢献できたと思いますかとか、延びたことによって、その人はお金だけ、給料だけでなくて、企業に対して自分がどのような貢献ができたかとか、その辺りも知りたいなと思っています。大枠よりは枝葉になるかもしれませんが、そういったことも聞けたらいいなと思っています。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 非常に原始的な質問で恐縮ですけれども、企業に働く人の就業調整で苦労したことはありせんかとか、そういうことはそもそも論で聞く必要はないですか。というのは、このメリットを感じてもらうために、そういう苦労した御経験がこういうことである程度いい方向へ行きますよということを言えるのではないかなと。
 私の大学のゼミで外食産業とか小売りでアルバイトをやっている学生は、12月になるとゼミに出てこなくなったりするのです。どうしたのだと聞くと、パートの人がある日急に辞めますと言うので、店長に辞めた方の代替としてシフトをばんばん入れられて忙しいのですと。こういう話があったりするので、企業の経営の方にそういうことは生じていないですかと。こういういい話があるので、こういうことでいい方向へ行きませんかという話も、ちょっと聞いてみるきっかけとして価値があるかなと経験的に思ったのですけれども、あまり価値がないですかね。すみません。そういう話はどうですか。諸星さん、どうですか。
○諸星構成員 飲食はもちろんなのですが、クリーニング業でよく10月か11月は急にシフトを短くしてくれと言われて困るとありました。実は昔あったのは、自分の収入が超えてしまうので、姪っ子の名前でアルバイトにして出していたけど実際の仕事はその方本人がやっていたなど違法的なことも結構ありました。ですので、今おっしゃっていただいたことを聞くというのは必要なのかなと思います。
○上田座長 対象先として、業種的に言うと、一般的には外食とか小売がぱっと頭に浮かぶのですけれども、クリーニングというのも入ってくるわけですか。
○諸星構成員 はい。
○上田座長 あと、業種的にはいかがですか。こういう業種に聞いたほうがいいのではないかと。
○宮武構成員 私自身は飲食業のイメージがかなり強いですね。
○上田座長 そこですよね。
○宮武構成員 清掃業に関してはアルバイトをあまり入れないというところがあるので、逆にパートさん全体が働けなくなって、正社員の残業が延びるという話はあります。
○諸星構成員 私は、クリーニングと配送で、配送はお歳暮のとき、今まで結構働いていたのに制限しますみたいな形というのはございます。
 あと、引っ越し業者。春先とか。ただ、年末に近いと言ったら、先ほどのクリーニングとかそういった業種で私はよくご相談を受けました。
○上田座長 ありがとうございました。
 そのほか、対象先等については追加で御意見ございますか。よろしいですか。
 事務局、受託業者の方、もしあれば。
○受託事業者 ありがとうございます。
 頂戴いたしました御意見を基に、ヒアリング項目や対象企業様も選定させていただければと思います。ありがとうございました。
○上田座長 それでは、次のコンテンツとか基礎資料の制作の方向性の議論に移りまして、皆様から御意見を頂戴いたしたいと思います。いかがでしょうか。今の御議論を踏まえて、ヒアリングのときにこういう資料があったらいいなと。こんなものも含めて様々御意見をいただければと思います。岡村さん、どうぞ。
○岡村構成員 岡村です。
 これも従業員の方用と経営者の方向けで別々になると思っているのですが、まずは経営者の方が今回この取組を積極的に採用するために企業へのメリットが理解できるツールが必要かなと思っています。そのツールによって、経営者のもやもやが晴れるほうがいいなと思っています。制度だからやらなければいけないではなくて、それをやることによってどんな効果が生まれるのか。私は個人的に今回の制度をうまく取り入れることができることで、従業員と経営者との関係性をよりよくするためのコミュニケーションにつながるのかなと思っています。
 というのは、経営者の方が従業員の方と個人面談とか説明会とかヒアリングをするときに、そこで、ああ、従業員の方がこういう理由でこういう働き方をしていたのだとか、実はこういうふうなキャリアを考えていたけれども家の事情でできなかったのだとか、いろんなことが分かってきたときに、では、この適材適所で部署を変えようとか、では、給料を変えてこういう仕事をしてもらったらいいのではないかとか、逆にそんなに忙しいのだったらもうちょっと時間を減らしたほうがいいのではないかとか、企業と従業員の関係性が今よりもよくなっていくための機会を創出するものに今回の制度を当てることができたらいいのではないかなと思っています。例えば経営者の方に企業と従業員の関係性が今よりもよくなる可能性があると伝わっていけば、それはやったほうがいいよねとか、むしろやらないとよくないよねという話になってくる。企業が従業員のことを大切にしていることが伝わるなら、やはりやったほうがいいよねという概念モデル、そういうイメージをつくっていければいいのかなと思っています。
 それを理解した経営者の方が今度従業員に話をしますというときに、やはり従業員の方のもやもやが晴れることが重要で、先ほどからも出ているとおり、いろんな壁の話があったりするのですけれども、情報というのは、認知科学的な話ですが、自分がこうだと思い込んだものは、そこから先、間違いに気づけないという特性があったりしますので、そこの誤解を解いていくためには、従業員にまずはこの制度に対してどう思っていますかとちゃんとヒアリングをする。従業員はこう思っています。そしたら、その思っていることは誤解でとか、逆にこういうことをするとこういうこともあり得ますよということを、営業の方で言うと、トークスクリプトだったり、保険会社の保険の外交員の方で言うと、大体優秀なトップ保険外交員の方は自分用の資料をつくっていて、何を聞いてから何を返すとか、こういう不安が出てきたらこういう話をするというツールを準備しているので、経営者の方や担当者の方が従業員の方と個別面談をするときに、そういったものと同じようなツールを基に聞いていって、それが出たらこういうふうな話をして、こうやって誤解を解いていって、その上で判断を仰ぎましょうとか判断しましょうというようなコミュニケーション構築ツールみたいなものが出来上がったらいいなと思っています。最終的な成果物の話ですけれども、そういったものができればいいなと思っております。
 以上でございます。
○上田座長 ありがとうございます。
 ほかの皆様、いかがでしょうか。
 まず、経営者の方向けにどういう御納得いただく資料をつくるかというのもありますし、あとは企業の経営者が従業員にどういうツールをもって説明するのかというのもありますし、従業員の方が御家庭に持ち帰るようなものもあると思いますので、それぞれの切り口でこんなものがあったらいいなと。現場感覚でいろいろお話をお伺いできればと思います。
 あと、私が企業型DCの投資教育などをやっているときの経験とか、最近の学生の動向などを見ると、動画がいいかなと。授業の合間に動画を挟むと非常に授業の評価が上がるのです。先生のつまらない話よりよっぽどいいと。かつ90分授業だと、間に5分ぐらい。人間の集中力が続くのは45分だそうで、だから小学校の授業は45分なのです。45分たったところで5分の動画、国基連とか厚労省さんのつくった動画を流すと、ちょうどいいですと。そこで先生が言ったことはそういうことだったのだなと理解が深まるようです。こういう話がよくあるのですが、そんな短い動画などもつくったらいいかなと個人的には思っています。
 あと、現場の感覚としていかがでしょうか。宮武さん、諸星さん、いかがですか。
○諸星構成員 ありがとうございます。
 私自身の経験でいえば、101人以上の適用拡大のときに、きっとこういうことを説明すれば面談とかヒアリングできるだろうということで、一応オリジナルのシートを作りました。そのときに作成したのは、ご本人がどういう理由で今の会社に短時間で働いていらっしゃるのか。長い時間働けない阻害要因も簡単にチェックできるように、想定できるものを全部入れてみました。
 もう一つ、これからどういう働き方をしたいのか。時間を長くすることはできるのか、今のままの働き方がよいのか、それとご家庭の事情についても入れて、とにかくチェックをしやすいようにしてみました。また面談のときに長くやるのでなくて、まずこれを聞いてあげてくださいというような形で考えてみました。
 もう一つそこで重要だと思えたのが、その方のキャリアのこと。冒頭佐藤先生の話でもあったと思うのですが、それぞれ皆さんの考えるキャリアについて簡単に確認をしています。今は短時間だけれども、阻害要因がなくなればもっと長く働きたい。今や女性活躍ということも言われていますので、一般的に女性を対象とした作りにしておりました。男性ももちろんいるのですが、短時間で働く女性がどうしても主となってしまいますので、そういったことも含めて、では、そういうものがなくなったら長く働く気持ちがあるかとか、キャリアの関係で言うと、どういうふうにしていきたいのかを聞けるようにすることでした。
 以前私が女性の就労支援をやっていたときに就職が成功した方から、ついこの間、「無事定年退職しました。ありがとうございました。」と直接お礼を言われました。そのときに私に言われたのが、将来の子供の学費がどのくらいかかるのかとか、そういった金銭関係のシミュレーションみたいな形のことを言われて、はっと働く意義も含めて気がついたということをおっしゃっていたのです。あのときに私に会えなかったら、今の自分はありませんと言われました。それはちょっとうれしかったのですけれども、そういったことも含めてコンテンツの中に、社会保険に入りましょうということでなくて、人生100年時代を考えて、あなた方のキャリアをどう考えるかとか、そういったものも含めたシートみたいなものを厚労省さんのほうで出されるのもよいのではないかと思いました。もしかしたら今回の会議体の中でつくり上げるのかもしれませんけれども、そういうものがあったほうがいいのかなとちょっと思いました。 
以上です。
○上田座長 ありがとうございます。
 諸星さんが最初におっしゃったものは、例えば相談シートというか、相談するときの、あるいは面談するときのチェックシートのようなイメージですか。
○諸星構成員 はい。エクセルで簡単に作成してみたのですが、そんな形で、ただ聞くだけでなくて、キャリアとか、今後今の阻害理由がなくなったら長く働けますかとか、自分が将来この会社でどのようになりたいですかとか、そういうことをちょっと聞いて、アンケートに回答してもらいながら、面談をしたというのもので、顧問先だけになりますけれどもお渡ししました。
○上田座長 そういうチェックシート、相談シートがあると、経営者の方も従業員の方とお話しするときに聞き漏らしがないし、何を聞いたらいいか分からないというところで、項目がはっきりしてきますね。どこに一番チェックがつくかも分かってきますしね。
 後半のお話だと、ライフプランシートのようなイメージですか。
○諸星構成員 そんな重い話ではなくて、将来的に幾らぐらい年収があったほうがいいと考えていらっしゃるのかとか、その程度です。そういうことを細かく聞くということは面談者もできませんし、一番重要なことは、面談する方、例えば上司の方に前もってそのシートの使い方を簡単に分かるような形、見本のような形で聞くといいですよというのをつくってお渡ししたというのがございました。
 以上です。
○上田座長 具体的にメリットを分かっていただくというところ。このままパートで行って国民年金だと、今はこんな感じだけれども、将来はこうなりますよと。今、厚生年金に入ると、今、これだけ社会保険料の負担がかかるけれども、将来こうなりますと。その辺がある程度明示できるような感じですかね。
○諸星構成員 そのような内容自体については、実際はセミナーの中で簡単に説明をしています。例えば仮の名前を3名ほど作り、最初から社会保険に入る場合、途中で社会保険に入る場合と、ずっと国民年金に加入している場合は、年金額の差がこれだけあります、という簡単な絵をつくってセミナーをすることはあるのですが、今回のシートの話で言うと、面談用のシートなので、数字的なことを伝えるのであればそういったものをそばに置いておいて説明するのも一つの手かなとは思います。
○上田座長 ビジュアル、図で示すというのは非常に視覚効果が高いですね。
○諸星構成員 先ほどから言っています従業員の方々が正しい理解をすると、皆さん、今は働けないのだけれども、ちょっと先のことを考えたら社会保険に入ったほうがいいよねとか、あるいはこの会社が好きだから、会社が今、人手不足で困っているので、では、社会保険に入りますと言ってくれる場合もあるようですので、何かしらのものがあればよいのではないかと思います。先日ヒアリングに行ったときも、今回の年収の壁のパッケージについて、従業員側からこんな制度もあるから会社のほうで使いませんかと言われたというケースもございますので、そういった部分の周知がやはり必要なのかなと思いました。
○上田座長 ありがとうございます。
 ほか、皆様、いかがですか。宮武さん、どうぞ。
○宮武構成員 私自身は、受託事業者さんの資料の12ページ「(5)広報コンテンツ等を作成する上で必要とされる情報」の「活用シーン」のもう一個上があるのではないかと思っています。先ほど申し上げたのが、社会保険の適用拡大サイトのアクセスが2022年9月にばっと上がったという話ですが、そもそも対象企業となるかどうかを自覚していない事業主が多いのではないかと思っていますので、自分が適用拡大の対象となる企業になるかどうかを分かるような。私は101人のときにフローチャートみたいなものをつくって、左のほうから始まって、過去6か月間に101人以上の被保険者数がありましたか、どうですかというふうに行って、あなたは2022年10月から適用拡大の対象ですよ、あなたは違いますよと。ただ、このまま続くと適用拡大の対象になりますよというのをつくったので、まずそういうところから必要になってきて、適用拡大の対象企業になったのであれば、実際にパートさんが今、何人社会保険に加入することになるのかという話になり、その後にこのままそのパートさんが社会保険に加入することを選択してくれるのかどうなのか。週20時間未満に就業調整してしまうのかどうなのかというところがあって、その後にそのパートさんを説得するためにはという形になるのかもしれないのですが、適用してくれるためにはどういうものが必要なのかというところまでが必要になってくると思っています。
 どのようにすれば入ってくれますかというところは、家庭に持ち帰るような資料になってきて、例えばAパターンだと、就業調整して20時間未満になるとこういう手取りになります。収入としては全体額は低くなります。Bパターンですと、25時間。今のままだと、社会保険に入るとどれぐらいの手取りになります。Cパターンだと、今度は増やして、全体的な世帯の所得として上がるためには30時間と。そういうA、B、Cを比較しながらどれかを選べる。そういう算出、シミュレーションができるようなものがあると一番ベストなのかなと思っております。これにプラスして公的年金シミュレーターで自分の将来の年金が計算できる。
 もう一つあると一番ベストなのかなというのが、それに影響するような項目です。先ほど申し上げた保育園の保育料が影響するかもしれない。学童の利用料が必要になるかもしれない。配偶者の家族手当がなくなるかもしれない。そういう個別具体的な内容でここをチェックするといいのではないかという項目が上がっていると、家庭で総合的に検討ができるのではないかと思っています。個人の状況で変わってくるものがあると思うのですけれども、検討が必要な項目を洗い出してあげると、それが検討できるというような材料になるのではないかと思っています。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございます。
 皆さん、結構シビアに考えますから、チェック項目、どれがあるかとはっきり分かったほうがいいですよね。
 横川さん、どうぞ。
○横川構成員 広報コンテンツは、そもそも読んで理解してもらわないといけないので、分かりやすいものがいいのではないかなと思います。今も事業者さん向けとパート・アルバイトで働かれる方向けのパンフレットがあると思うのですが、事業者さんのほうはそれを読んで御自身で説明していかなければならないと思うので、そういった意味でも理解が進むような内容にしたほうがいいかなと思います。
 まず、どういう制度で、事業者さん自身がどういう影響があって、どういう作業を行わなければいけないのかというところを記載するというのはもちろんですけれども、ヒアリングのほうで、例えばこういう話をすると従業員には一番理解が進むとか、つまずいた点とかで注意したほうがいいポイントとか、せっかくヒアリングした内容とか、こういうふうに説明すると従業員は理解が進みやすいですという内容も入れたほうがいいということ。あと、従業員の方のメリットという部分も事業者さんのほうのパンフレットに入れたほうがいいのかなと思いました。
 実際に働かれている方向けのほうのパンフレットは結構手厚くしたほうがいいかなと思います。社会保険の適用拡大で社会保険に入られる方が増えてくると、リテラシーが低い方も増えてくるのではないかなと思いますので、それこそ税とか社会保険料の壁の話を分かりやすく説明したり、あと、主婦の方とか高齢者の方とか、ペルソナを具体的に設定して、この方であればこういうふうになるということを書いたほうがいいのではないのかなと思います。
 主婦の方は意外と20代の方とか若い方も多いので、若い方を想定した内容も入れてほしいなと私自身は思います。そこには社会保険に入った場合、入っていない場合の比較も入れたほうがいいかなと思います。社会保険は例えば健康保険とかも結構関係してくると思うので、健康保険に入った場合のメリットとか、公的年金シミュレーターは、私もよくセミナーのときに話すとびっくりされるのですけれども、国民年金と厚生年金で将来もらえる年金額が圧倒的に違うので、もらえる部分でかなり差があるという見せ方とかの比較もしたほうがいいのではないかなと思いました。
 若い世代とか普通に暮らしていらっしゃる方は、思っている以上に年金とか社会保険料を払うことに抵抗感がある方が多いので、メリットというところは強く押したほうがいいのかなと思います。そういった意味では、ちょっと若い方向けに動画コンテンツとかがあってもいいのかなと思いました。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございます。
 ここまでの議論を踏まえて、例えば今、ペルソナの設定というお話も出てきたのですけれども、ある程度定型化というか、ペルソナを設定して、それに向けてコンテンツを考えるという必要性も出てくると思いますが、この辺の設定についてはいかがですか。山口先生、もし御意見があれば。
○山口構成員 ありがとうございます。
 すみません。ペルソナの設定については、私の専門から何かを述べることは難しいので、私の専門から少しマイナーなコメントをさせていただいてもよろしいでしょうか。
○上田座長 はい。
○山口構成員 御説明いただきありがとうございました。
 私から2点ありまして、1つは、今、議論にも上がっていた分かりやすさ重視というのは、私もとても大事だと思っていて、誰が対象かという話にもよると思うのですけれども、従業員なのか、それともそれを説明する人なのかという話ですが、昨今の全体的なトレンドとして文字はあまり読まないと。コンテンツの中で動画というものがある。それはとてもいいのですけれども、例えばリーフレットとかもインフォグラフィックスとかを使ってとにかくすごく分かりやすくするというのが何よりも重要かなと感じております。
 もう一点が、リスクという話が今、全然書かれていないので、私の炎上の話は特に空を切るかもしれないのですけれども、働き方とか社会保険とかお金の話というのは、とにかく炎上リスクがものすごく高いセンシティブなテーマです。さらに言うと、働くと言うと性別とかそういった話も入ってきますので、そういった様々な点に考慮してリスクを最小限にしたコンテンツをつくるということは大前提かなと考えております。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございます。
 そのほか。今までの議論を踏まえて、島貫先生、佐藤さん、いかがでしょうか。
○島貫構成員 私からは追加的なコメントですけれども、企業側への支援として業務支援ツールなどはそれぞれの企業に柔軟に使ってもらうといいのではないかと思います。厚労省のリーフレットやパンフレットは、規模の小さいところであればそのまま使ったほうが楽かもしれませんし、100人、300人、500人と規模が上がっていくにつれて、それぞれの企業でカスタマイズして、自社用の説明に活用することもあると思います。特に100人、200人という規模が、人事制度をつくって短時間労働者をマネジメントするのか、それとも個別対応にウエートを置きながら人事制度に依存しないでマネジメントするかの分岐点になっていると思います。各社各様の取組をなさっていると思うので、自社に当てはめて多少カスタマイズできたほうがいいのではないかということです。
 先ほど山口先生の御意見を伺って、リスクとの兼ね合いを考慮すべきだとは思うのですが、このリーフレットやパンフレット以外にも、例えばパワーポイントの資料とかそういったものをある程度企業側が自由に変更して使えるように提供するというのも一案としてあっていいのではないかと思います。
 先ほど座長からも大学の例がありましたが、最近ですとテキストブックに加えてパワーポイントの資料も併せて出版社が提供するようになりました。特に教育歴の短い先生方がテキストブックを使用して、付録のパワーポイントの資料を自分なりにアレンジして授業で活用することも今は一般的ですし、その応用として考えると、少しそういう柔軟性があってもいいかなと思いました。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございます。
 佐藤さん、いかがですか。
○佐藤(麻)構成員 ありがとうございます。
 私のほうからはコンテンツの内容についてですけれども、従業員側のほうからですが、今、対応している企業で事例としてよかったなと思ったことがあったのですが、短期的なところは手取りの減少。あとは給付。傷病手当金が増えるとか、その辺りはシンプルなシミュレーションツールを提供できるのが一番いいと思います。厳密に言うと、社会保険料の負担が増えると社会保険料控除で税金が減ったりするのですが、そこまではやらなくていいと思っていて、単純に社会保険料と給付が分かるぐらいのものを提供できれば、説明にすごく役立つなと思いました。
 給付に関しては手取りと給付と、あとは視点として短期と長期がすごく大事だと思っていまして、短期的には損をしたような気持ちになりますが、長期的な面で言うと、諸星先生もよく言っていましたけれども、見えないものを積み上げている意識がないというところで、最近あった事例が、少ない人数なので任意で特定適用事業所になった会社様なのですが、加入をしたのと併せて企業型DCをパートにも導入したというところだったのです。そうすると、必然的に導入時投資教育をする中でライフプランの話になってきたので、そのときに今あったようなお話につながったのですけれども、事例、分かりやすいモデルをつくったのですが、社員さんのメーン層は40代だったのですけれども、今、加入をしないでいたら、今の生活は回るのだけれども、山は老後だけではなくて、大学のときに貯金が600万ぐらいあったとしても資金ショートしてしまう。老後の資金もためられない。
 もしこのキャリアアップ。と言っても、年収150万ぐらいのキャリアアップなのですが、それをすれば、資金ショート、中期の課題も、年金という意味で老後の資金もクリアできると。分かりやすいモデルをつくると何となく言おうとしていることが伝わって、そこで初めて行動してみようかなと。言い方は悪いですが、このままではじり貧というか、結局、駄目になってしまうということを会社と一緒にクリアしていきましょうというようなメッセージになると思います。個別にライフプランシミュレーションをするというのは現実的ではないと思うのです。時間がないので。なので、何かしらのモデルを示せたらいいのではないかなと。それをインフォグラフィックスとか動画などに載せられたら非常にいいのではないかなと思いました。
 それから、ペルソナというお話があったところですが、今回年収の壁のパッケージの話もあるので、パート主婦に何となく注目が集まっていると思うのですが、父が去年の適用拡大でちょうど対象になったのです。いわゆる高齢者です。父は「加入してすごくよかった。今まで就業調整していたのがもったいなかった」という感想だったのですが、ペルソナとしてはパート主婦とそういった嘱託で働かれているようなイメージの方。年金に関して敏感になっているので、増えるメリットも感じてもらいやすいでしょうし、傷病手当金のメリットも、高齢期だからといって民間の保険料のように高いわけではないというメリットもあると思うのです。
 もう一つ、1号被保険者で、いわゆる非正規の方がこれから年金を受給していくときに非常に生活が困窮するのは、氷河期世代の問題として認識されていますけれども、でも、まだ40代、50代だったら積み上げていけば間に合うかもしれない。この人たちにとっては、多分国保を払っていたら加入するメリットしかないはずなので。扶養がいないとかシングルとか。なので、厚労省の適用拡大のホームページもこの3つで分類していたと思うのですが、ペルソナとしてはいいのではないかなと思いました。
 企業側に関しては、もちろん人手不足の話もそうですけれども、今後最低賃金が上がってくると、就業時間がもうどうしようもなくなって、特に都心、首都圏はもはや年収の壁パッケージを使えないのではないかという状況なので、最低賃金が上がるというのは、もうそういう時代になっているのですよ、今から早めに人員を確保していったほうがいいですよと。それをやるためには時間がどうしても必要なので。急にテレワークを入れて、労働時間を延ばせるようにしようとか、フレックスタイム制を導入しようと言っても、定着するのは時間がかかるので、今からやるメリットを伝えられたらいいのではないかなと思っています。
 私からは以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 先ほど島貫先生から資料のお話が出たのですけれども、私の場合、念頭にあるのが公的年金シミュレーターでして、ベースとなるものを用意して、その上に乗せるのは各企業がつくって、全部仕様も公開するので、あとは各企業でやってくださいということをやったのですが、それに近いイメージがいいのかなと個人的には思っていました。
 先ほど山口先生から御指摘があったリスクの面から言っても、ここまではがっちり固めるけれども、そこから先は自己責任で、各企業でどうぞという形が各企業のいろんな制度や業態にうまく当てはまってくるのかなと。こんな感触を持っています。
 あと、先ほど山口先生からリスクの話も出たのですが、この辺りで山口先生からこういう辺りをもっと気をつけたほうがいいとか、何か御助言があればお願いできたらと思うのですけれども。
○山口構成員 今の段階だと何とも言えないところで、もう少しコンテンツの骨子が出てくると、多分この辺りがリスクだという話はできると思うので、また出てきてからぜひコメントをさせていただければと思います。ありがとうございます。
○上田座長 分かりました。
 一通り皆様から御意見を出していただいたのですけれども、そのほか追加でコメント、御意見があれば。どうぞ。
○諸星構成員 自分は社労士なのに公的年金シミュレーターを全然知らなくて、今回情報をいただいて、「えっ?」となってしまいました。ただ、顧問先に一昨日行ったときに、社会保険に入ることで手取りがどのぐらい減るのとか、年金が入ることによって将来幾らもらえるのでしょうかと尋ねられまして。意外と皆さん送られてくる定期便を見ていないなという印象がありまして、今はスマホで簡単にできるというお話をしたら、企業の担当者が興味津々に聞いてきました。ぜひそのアナウンスをしてほしいということもありましたので、私も近いうちに顧問先に対し周知をする予定ですが、先ほどアクセスが非常に増えているというお話はありつつも、まだまだ周知が足りないのかなという印象を持ちましたので、今回の社保適用拡大とセットにしてアナウンスするとか、もう既にできている厚労省さんのHPでアクセス数が強いようなところにいれておくのも良いのではないではないかと。先ほど佐藤さんがおっしゃったように、年金の壁パッケージの関しては、現在物すごくお問合せを受けていますし、その説明にも行っているので、年金の壁パッケージのところにも当てはめておき、年金額がどうなるのか聞かれたときに、シミュレーターを利用するのもいいですよという形を入れ込むことができたら、もうちょっと進むのかなと感じました。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 そのほか、皆様、追加のコメント、御意見等があれば。岡村さん、どうぞ。
○岡村構成員 これも参考までの話かもしれないのですけれども、企業の経営者の方が、従業員にいろいろ説明したり、説明会を開くということがあるときに、主に従業員の方がこの適用拡大によって受けられるメリットとか誤解を解くみたいな話をされると思うのですが、もし可能であれば企業側の努力している部分も見せてあげられればいいなと思っています。というのは、我々はふだんいろんな保険関係の企業とお仕事をさせていただく中で、実際の利用者の調査をたくさん実施していますが、利用者側は保険会社に毎回お金を払っていると、その自分が払った分が戻ってくるのだと。つまり、保険会社は預かったお金は何もしないで持っているだけだと思っている方が多いのです。
 でも、実際問題は保険会社の方はそのお金をいろいろ運用して増やしたりして、そこで何かあったら契約者に還元できるようにという保険会社の努力は全く知らない方が多いので、今回の適用拡大に関しても、例えば従業員の方に対して説明する時間もそうだと思いますし、こういったものを入れることによって、年間のいろんな利益とかいろんなものが変わってくるかもしれないと。企業も努力をしていますよと。それは何のためかといったら、当然従業員を大切にしたいし、企業自体をいい企業にしたいと思っているからやるのですよということとかも、見えないようにしないで、ちゃんと見えるようにしてあげたほうが、経営者側もモチベーションが上がるのかなという気はしますので、そういったものも入ればいいなと個人的には思っております。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございます。
 そのほか、皆様、御意見、御質問等はよろしいでしょうか。よろしいですか。
 それでは、皆様から様々御意見をいただきましたので、受託事業者様におかれましては、今日いろいろ出された御意見を参考に進めていただければと思います。
 本日予定している議事は以上でございます。
 事務局のほうからもし御連絡等があればお願いいたします。
○芦田年金広報企画室長 ほかに何かというものではないのですけれども、いかに分かりやすく実践的な、真に必要なツール・コンテンツを準備できるかという中で、皆様方の豊富な御経験、御知見に基づき様々な御助言をいただきましたので、本当にありがとうございました。引き続き御相談をさせていただきながら取組を進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 今後のスケジュール等につきまして、御連絡をお願いいたします。
○芦田年金広報企画室長 次回の議題や開催日程につきましては、追って御連絡を差し上げます。
○上田座長 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事は以上で全て終了となります。皆様、本日は御多忙の折、御参集いただきまして誠にありがとうございました。では、本日はこれで終了いたします。

 

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 年金局が実施する検討会等> 被用者保険の適用拡大に関する効果的な広報のためのアドバイザー会議> 第2回被用者保険の適用拡大に関する効果的な広報のためのアドバイザー会議(2023年11月15日)議事録

ページの先頭へ戻る