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2023年8月9日 第18回年金広報検討会

年金局

○日時

2023年8月9日(水)11:00~13:00

 

○場所

オンライン

○出席者 (五十音順)

                     
石川 賢司(オブザーバー)
上田 憲一郎(座長)
太田 英利(構成員)
高橋 和久(オブザーバー)
樽見 英樹(オブザーバー)
殿村 美樹(構成員)
富永 朋信(構成員)   
仲津留 隆(オブザーバー)
橋本 敬史(オブザーバー)
原 佳奈子(構成員)
森下 郁恵(構成員)
山口 真一(構成員)
横尾 良笑(構成員)


○議事

○上田座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第18回「年金広報検討会」を開催いたします。
 皆様、大変お忙しい中、御参加いただきありがとうございます。
 本日開催する年金広報検討会は、オンライン形式での開催とさせていただきます。
 次に、構成員の出欠状況ですが、佐久間さんから御欠席の御連絡をいただいております。
 また、今回の年金広報検討会では、オブザーバーとして、日本年金機構から樽見副理事長、国民年金基金連合会からは橋本審議役、企業年金連合会からは高橋審議役、年金積立金管理運用独立行政法人からは石川審議役、年金シニアプラン総合研究機構からは仲津留審議役が御出席されております。
 なお、本日、事務局からは橋本年金局長、小野総務課長、若林年金課長、年金広報企画室職員が出席しております。
 それでは、開催に先立ちまして、小野課長から一言お願いいたします。
○小野総務課長 7月に総務課長に着任した小野と申します。
この検討会は初めて参加いたしますので、よろしくお願いします。
○上田座長 ありがとうございました。
 それでは、これより議事に入りたいと思います。
 本日の議題は、議事次第に記載のとおり、議題1から順に議事進行を進めていくことといたします。
 まず、議題1の、被用者保険の適用拡大に向けた広報の取組について、事務局から御説明をお願いいたします。
○菊地係長 被用者保険の適用拡大に向けた広報の取組について、事務局から御説明申し上げます。
 資料2-1をお開きください。
「被用者保険適用拡大に向けた取組について」という資料でございます。
 短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大でございますが、2016年10月からは500人規模、2022年10月から100人規模、そして、2024年の10月から50人規模まで適用の範囲を拡大していくところでございます。
 これに関して、適用拡大前と適用拡大後では、保険料の負担の変化や、それに伴う給付の増額等があるわけでございます。
この点について、負担が増える分、給付も増えてメリットがあるとか、いわゆる「130万円の壁」として就業調整をされる方もおられたり、扶養認定基準を意識せず働けるようになる方もいる状況でございます。
 資料4ページをお開きください。
これまで厚生労働省では、厚生年金の受取額が増加する額の目安を、被保険者のケース別にイメージできるように記事を掲載している他、動画を収録した特設サイト、ガイドブック、チラシなどの広報コンテンツをご提供しております。
これらの広報コンテンツは非常に多くの方に閲覧いただいております。
これに加え、様々な専門家の皆様が、この特設サイト等を御覧になられて周知・広報をしていただいているという状況でございます。
 また、これに加えまして、社会保険適用拡大特設サイトを開設した後に、公的年金シミュレーターをリリースすることによって、より多くの方が個々人の年金額の変化についてお調べいただける、広報を実施している状況となっております。
 令和4年の12月に出されました、全世代型社会保障構築会議という報告書では、これまでの広報活動に加えて、新たな取り組みが記載されているところでございます。
資料3ページにお戻りください。
社会保険の適用に関する取り組むべき課題として、勤労者がその働き方や勤め先の企業規模・業種にとらわれず、ふさわしい社会保障を享受できることを目的に、課題を着実に対応することが定められております。
この中に被用者保険適用拡大のさらなる推進に向けた環境整備、広報の充実というものが挙げられているところでございます。
 この取り組みの概要については、下に4つのブロックでまとめているところでございます。
簡単に御紹介いたしますと、好事例を収集し、検討会を実施し、これに基づく広報コンテンツを制作する。
そして、広報を実施していくということでございます。
 6ページ目をお開きください。
年金広報企画室では、今後、被用者保険の適用拡大に向けた広報の取組案全体像として、次に述べる広報活動を実施してまいりたいと考えております。
 全体像として、企業側と従業員で広報ターゲットを2つに分けております。
これに加えて、縦軸で様々な広報コンテンツを並べております。
これまで制度内容について主にガイドブックやチラシを製作して広報をしてまいりました。
新たな広報施策として、これらに加えて、企業に向けた広報コンテンツとして好事例集をまとめさせていただくとともに、従業員向けの説明マニュアル、従業員及びそのご家族が被用者保険の加入に関するメリットを感じられる説明動画とか冊子を製作したいと考えております。
 これに加えまして、企業規模が50人規模まで拡大されることに伴いまして、企業内での説明を各担当者の方が従業員の方に向けて社会保険に加入することの意義やメリット、それに対するご負担について確実にご説明できるように、企業内説明用の手引動画を整備するということも検討しております。
 従業員に関しましては、従業員のライフスタイルや世帯単位で考えた場合の社会保険加入のメリットをどのように考えるかについてのコンテンツを整備することを検討しております。
これらのコンテンツについて、現在、適用拡大特設サイトに掲載誌、運営しております。
これに加え、好事例等を含めた特設サイトを新たに製作するということを検討しているところです。
 7ページ目をお開きください。
今後のタイムスケジュールは今年7月から来年3月までの計画を考えております。
本広報の製作について、被用者保険の適用拡大という特別の目的で実施する広報のためコンテンツの内容が専門的な議論になるということが予想されております。
このため、適用拡大の推進に向けた環境整備、広報充実のために、適用拡大に関する企業の好事例を活用した広報の在り方について、専門的、技術的な観点から助言を得るために、社会保険の適用に関する有識者等から成る被用者保険適用拡大に関する効果的な広報のためのアドバイザー会議を新たに設置いたしまして、アンケートの設計について定量的な観点や定性的な観点からによる議論を進めたいと考えております。
 より詳細に内容を御説明いたしますと、本日、年金広報検討会で御議論いただき、9月から広報アドバイザー会議を立ち上げることを予定しております。
本会議は年度内に3回、具体的には9月、11月、1月ぐらいを目途に開催することを検討しております。
 年度内に広報コンテンツが完成した後、来年の3月末をメドに年金広報検討会を開催させていただき、今回製作させていただいている広報コンテンツに関しても御報告できるように進めてまいりたいと考えているところです。
 以下、資料の2-2から資料の2-6までに関しましては、これまで製作したガイドブック等を参考までに添付しているというところでございます。
 事務局の説明は以上でございます。
○上田座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、皆様から御意見、御質問を承りたいと思います。
御発言のある方は、挙手をされるか発言のボタンを押してください。
よろしくお願いいたします。
 殿村さん、どうぞ。
○殿村構成員 質問になってしまうかもしれませんが、発言させていただきます。
 私は中小企業の経営者として、こういった国の制度というのは、無条件に受け入れないといけないと考えてしまいます。
具体的には、大抵、顧問の社労士さんからご指示をいただいて、それに従って経営計画を立てるという形になるので、個人が「じゃあ私はもっと就業時間を少なくします」とか、そういう話を聴くものではなく経営判断ではないかと考えてしまいます。
よって、好事例集というのは、どんな事例になるのか、私には分かりづらいのです。
国の制度ですから受け入れないといけないと考えて、人に対する経営判断があって、そして、アルバイトのままであまり働きたくない、といった人たちに対しては、他のポストを考えるみたいな、そういう判断になるような気がするのです。
なので中小企業の経営者にとって、どういったことが好事例になるのか教えていただければ光栄でございます。
○菊地係長 御質問いただきありがとうございます。
事務局から御回答申し上げます。
 好事例集に関しまして、これまでたくさんの好事例集が存在すると認識はしているのですけれども、一例として申し上げさせていただきたいと思います。
 例えば、従業員ときめ細かく御相談をいただいて、しっかりと御判断いただくという事例が1つございます。
今からお話しするのは函館にある介護老人ホームでございます。
この事業所では実際に働かれた後の手取り賃金と、社会保険料で天引きされる金額を試算され、従業員の方に丁寧に説明しご理解いただく活動をされています。
この活動に加え、ねんきんネット等をご利用いただき、将来増える年金額を適切に把握していただく取り組みを進められております。
 さらに、この企業では、個々の従業員の事情に応じてコーチングを通じた意識変容を促すための環境整備をする。
今、働けない方に関しましては、中長期的に考えて、御自身のキャリアアップをしながら、より長く働いていただけるように人材育成を検討していく。
このようなものが一つの好事例として考えられるというところでございます。
 このほかにも、好事例があると考えられますが、今後、アンケート調査を進めながら専門家の有識者の皆様とともに、好事例を選定していたいと考えているところでございます。
○殿村構成員 ありがとうございました。
○上田座長 殿村さん、よろしいですか。
 それでは、委員の方、ほかにいかがでしょうか。
 横尾さん、どうぞ。
○横尾構成員 ありがとうございます。
 全体に対する感想と致しましては、基本的に適用拡大をするに当たって、皆さんにそれぞれにきめ細やかなツールを用意していくという方向性自体は大変良かろうと思います。
今後、検討会も個別のものを設けてやっていくということで、それはそれでとても良いのではないかと思います。
 次に、殿村さんから御質問があった部分に関係し意見を述べさせていただきます。
私たちは就労管理システムの調査とか、いろいろな調査を、いろいろな立場から、50人規模もやったことありますし、100人規模もありますし、数万人規模のもっと大きな会社様、グローバルになってくるので、また、それは調査の方法は変わってくるのですけれども、いろいろなところで、どういったツールをつくっていくと有効なのかという調査を過去20年の間に何度かしたことがあります。
その時の経験から、対象となる企業の規模が、今回対象となる100人以下50人以上になり、今後、次のタイミングでは、50人からさらに下に下がっていくという中で、有効性の高い方法が大きく変わるだろうと思います。
前回までの101人以上500名以下までを対象とした場合は、今回とりあげているようなやり方がとても有効であろうと思います。
50人以上になってくると、ちょっと厚労省の皆様や事業者の皆様がイメージしている状況と、実際の企業の状況がかなりかけ離れてきているように感じました。
今回、もちろん厚労省様を含め、各種ほかの年金団体の皆様、プラス、お受けになる事業者の方々、といった皆様は、50人規模の組織の御経験がなくて、多分イメージができていないのだろうなという心象があります。
勝手な想像で申し上げると、先ほどのやりとりでは、殿村さんはそれを指摘したかったけれども、かなり遠くにいそうだから突っ込むのはやめとこうかなと思って一応了承してしまったのではないかなと感じました。
 具体的に何がイメージと実際で違うのかというと、例えば、適用拡大する方が1人増えますといったときの「経営者側がやること」「労務管理側がやること」というのが、多分想像と違っておりまして、殿村さんから聞いていないのに私が勝手に言うのも恐縮なのですけれども、殿村さんが聞きたかったこととしては、101名以上の企業と51名以上の企業では、経営者が調整しなくてはならないことや気になる部分が違うので、好事例の意味や内容がちょっと変わってくる。
 具体的に、私の組織でも、実はこの適用拡大のチラシを見て、実際やりたいという職員がいまして、月に、扶養範囲で働いていたのを、扶養を超えてフルタイムに近い形で働きたいというような申し出がありました。
そのときの体験は、いつかどこかで共有できたらと思うのですけれども、イメージしやすいように説明しますと、100人までであれば、例えばAという部署があって、企画部というところが今まで6人でやっていたところを7人にしようとか、今まで部署内に1名派遣の人が入っていたところを正社員で転用していこうとか、1つの仕事を、6人で分けてたものを7人で分けるみたいなことになってくるわけですよね。
でも、これが50人規模になってくると、部署から考えて、3人とか2人とかで回っているところにもう一人増えて終わりといった単純なことではないのです。
例えば2名でホワイトに仕事が回っていた場合、2名でできているので、1名増えてもやることがありません。
私どもで言えば、ブラック企業ではないので、その方はパートタイムで働いていたわけですから、フルタイム働いて頂いていたわけではないのです。
週に数時間、それがフルタイム規模になるといったら別の仕事をお願いしなくてはいけないわけですよね。
今まで担当してくださっていた仕事とは別のものを。
 あまり詳しく言い過ぎるとあれなのですけれども、だから、経営判断として、それに対してもちろんコストもかかってくるし、どういう仕事をやっていってもらったら良いか考える工程や、同時に仕事も増えないといけないので、采配に経営センスや熟考が要求されます。
今まで対象としていた101名以上500名以下の企業であれば、今後、今まで6人でやっていたものを7人でやってもらってもあまり痛手はないわけです。
1名増えた場合の影響が、今まで対象としていた101名以上500人以下のうちの1人企業であれば、人口比率で言っても0.2%~0.999%の影響しかないわけなので、その辺りがかなり違っているだろうと思います。
 それに加えて、皆様の想像している「様々な割合」も、イメージと現実に差があるだろうと感じました。
正社員のイメージの割合であったり、その辺りのところを。
 私の知り合いの知り合い程度ですが、正社員2名だけで100名近いアルバイトやパートの方がいる中小企業も知っています。
500名の企業ではそういった割合は少ないと思います。
1例ではありますが、きっとイメージされている割合とは、全然違ってくるのではないかと思います。
だから、もう少し、51名以上100名以下、もしくは50名以下の企業とは、どんなところなのかというイメージを掴んでいって頂くと良いのではないかと思います。
 今回の施策で拾い上げられるのは、どちらかというと100人規模に近いような、80人、90人といった企業に企業になるのではないかと感じておりますが、これから対象人数がもう少し下がっていくときのための調査を、来年度に向けてというか、次の適用拡大に向けてまたやっていくとよりよいのではないかなと思います。
 長くなってしまいましたけれども、失礼いたします。 
○上田座長 ありがとうございます。
 横尾さん、これは御意見として承るということでよろしいですか。
次に向けてということで。
○横尾構成員 そうですね。
私や殿村さんからすると、実態と対策がフィットしていないような感覚があると。
私が勝手に殿村さんを巻き込んでしまって申し訳ないのですけれども。
 端的にまとめると、これから、適用拡大の対象となる規模がもう少し下がっていくタイミングがあると思うので、今のタイミングから、どのようなものを用意するのか、誰にとってどういうものを用意していくのかということを、実際の組織をイメージして調査した上で把握をしていかれると、今やっているものが、今もすばらしいと思うのですけれども、さらにまた一歩よくなっていくのではないかなと思います。
ありがとうございました。
○菊地係長 御指摘いただき、ありがとうございました。
 今回、アンケート分析、定量調査とか実際にフィールドワークとして、実際のヒアリングも行う予定でございますのでしっかりとしたフィールドワークに基づいて、そういうイメージが持てるようなものにしたいと考えているところでございます。
○上田座長 殿村さん、どうぞ。
○殿村構成員 今、横尾さんがおっしゃっていただいたこと、私の疑問を代弁していただいて、本当ありがとうございました。
おっしゃるとおり、中小企業の実態というのは、恐らく厚労省さんには想像がつかないものなのではないかなと思います。
今後、従業員の数を減らしていく部分に関しましては、その辺りのことも御配慮いただくとよりいい広報になるのではないかなと思います。
○上田座長 ありがとうございました。
  中小企業や零細企業に関しては、厚労省さんでも、厚生年金基金の総合型の加入会社には本当にいろいろな規模の会社が入っていらっしゃったので、そこでいろいろなお付き合いがあったと思いますから、その御経験をぜひ生かしていただければと思っています。
 殿村さんと横尾さんがおっしゃることは、私も、総合型の厚生年金基金の理事会社、加入会社をよくお邪魔しましたり、お付き合いがありましたので、よく存じております。
私からも、そういう経験から気がついたところで御意見を述べさせていただければと思います。
 ほかの皆さん、いかがでしょうか。
 特によろしいですか。
 特に御意見がないようでしたら、それでは、議題1を終わりまして、続きまして、議題2の、若年層を対象とした年金広報の取組について、事務局から御説明をお願いいたします。
日本年金機構(樽見) 日本年金機構の樽見でございます。
○上田座長 どうぞ。
○日本年金機構(樽見) 適用拡大に関して、来年の10月に向けて、年金機構では、今年の下半期から、個別に対象になると思われる事業所を年金事務所が回る作業を予定しております。
それから、対象となる可能性のある事業所に、ダイレクトメールを送るということも予定をしておりまして、その中で、年金局のほうでつくっていただいたいろいろな資料を同封して送ることも予定をしてございます。
 我々も、今お話があったように、いろいろな形の企業があると思います。
実際、日々の保険料徴収・適用というところでも、非常に小さいところも含めて、いろいろな事業所を年金事務所では対応しておりますので、その辺での反応、あるいは働きかけの状況みたいなところも、適宜、年金局のほうにも、事業部門のほうが窓口になると思いますけれども共有させていただいて、そういうことの中から、よりよいコンテンツ、あるいはよいより働きかけ方みたいなところに向けて一緒になって努力していきたいと思いますし、また、我々の動き方みたいなところについても、いろいろ御示唆を賜りますれば、それを現場で生かしていくようにしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それだけ申し上げておきたいと思います。
○上田座長 どうもありがとうございました。
 貴重な御意見として承っておきたいと思います。
 それでは、議題2の、若年層を対象とした年金広報の取組について、事務局から御説明をお願いいたします。
○菊地係長 改めまして、事務局から御説明申し上げます。
 議題の2つ目でございます。
資料3をお開きください。
「若年層を対象とした年金広報の取組について」という議題でございます。
令和5年度の年金広報の取組といたしまして、今年の春先に年金広報の年度計画を御説明申し上げたときに出した資料でございます。
これまで厚生労働省年金局年金広報企画室では、こども霞ヶ関デー、学研マンガなどといった小学生に向けた広報コンテンツから始まりまして、大学生とか一般社会人向けのYouTube動画の制作など、様々なことを行ってきたところでございます。
今回は、この取組の中間報告と今後の取組の進め方について御報告申し上げたいと考えているところでございます。
 3ページ目資料をお開きいただきください。
「『学生との年金対話集会』令和5年度上半期の実績について」です。
 令和5年4月3日からの開催期間のうち、上半期に関しましては18校ほど開催しているところでございます。
これも全国様々な大学からお申込みをいただきまして、北は北海道、南は九州まで訪問させていただいております。
 今回は中間時点でございますので、個々の細かいヒアリング結果等々、アンケート結果等々は出しておりませんが、おおむねどの講座に関しても非常に好評でございます。
 このコンテンツは多くの学生から好評をいただいております。
その理由として、職員との対話を通じて、学生の皆様からの年金制度に関する素朴な疑問に若手職員が丁寧にお答えしていくということにより理解を進むと考えております。
対話を通じて年金制度を学んでいただくということが、制度の理解の観点から重要だということを考えられるという授業でございます。
 この活動については厚生労働省では、新たにパイロット授業といたしまして、これまで公的年金を中心に学生対話集会を運営しております。
近年、公的年金と私的年金を連携した形で年金教育ができないかというような御指摘が、年金部会及び企業年金部会等々からお寄せいただいていると認識しております。
これを踏まえまして、年金広報企画室では、今年度、2回ほどパイロット授業といたしまして、日本女子大学様では、外部講師として岩城みずほ様をお迎えいたしまして「人生100年時代。
自分のライフプランに合わせた資産形成を」と題して、公的年金の制度の話とライフプラン、マネープランをどのように考えるかというご講演をいただきました。
 また、帝京大学、上田座長講座では金融経済教育を専門とされている横川様にお迎えして「社会人になる前に知っておきたいお金の話」ということをテーマに、給与明細書をベースとして、給与の仕組みとか社会保険、そこから派生して企業年金とか個人型確定拠出年金等々の講義をしていただきました。
 パイロット授業でございますが、アンケートを抜粋いたしますと、就職後にされるような話を大学のときから聞けるのは非常に重要だったとか、公的年金とともに私的年金を考えていくということはすごく重要な視点だとお考えになられている方とか、様々な学生の意見をお寄せいただいているところでございます。
 今後も年金広報室としては、このようなパイロット授業を通じて、公的年金と私的年金を全体系としてどのように考えていくのかということも含めた教育教材も含めて、引き続きパイロット事業として運営を進めていきたいと考えているところでございます。
 それから、次の資料でございますが、今年度、冒頭の年度計画の中で、中高生向けの学生対話集会のためのコンテンツづくりを進めていきたいということも申し上げておりました。
この点について、新たに1つの事業を立ち上げることを検討しているところでございます。
 こちらに関しましては、令和5年度中に、中高等学校における家庭科、総合学習におけるライフプランと年金に関する新基軸の教育教材の開発を検討しているというところでございます。
 具体的な内容を御説明申し上げますと、現在、高校学習指導要領の家庭科に、中長期的なライフプランの考えと、それに対するリスクや社会保険を関連づけて学ぶという事項が新たに設定されています。
これに対して、学校教育の現場からも、ライフプランと年金制度を的確に学べるためのコンテンツ提供というのが非常に重要になってきていると認識しております。
 これらの状況を踏まえまして、年金広報企画室では、中高生をはじめとする学生の皆様が、ライフプランと年金制度を学ぶために、これまで厚生労働省年金局とQuizKnock様とのコラボ動画である年金クイズ動画を学習という観点から再編集し、ウェブページに盛り込みの教育動画的な位置づけと学んでいただくとともに、教員の方が授業で活用できるよう授業用の台本を作成し、授業実施のため周知実施してまいりたいと考えております。
 
 最後に、これは御報告事項となります。
本年8月2日に「こども霞ヶ関見学デー」が実施されました。
今回は、これまでQuizKnock塾と呼ばれている年金クイズ動画が、約210万回、三部作で再生されており、非常に好評価をいただいております。
今回、伊沢拓司さんを招きいたしまして、「伊沢拓司さんと考える 私の将来とキャリアプランと年金」と題しまして、多くの子供たちと年金について楽しく学ぶイベントを開催させていただきました。
 実際の実施概要は、下を御覧いただきますと、実際にクイズを出して、お子様たちがクイズのワークシート、赤と青と黄色、このワークシートを使ってクイズに答えていくというものでございますが、年金制度を用いて年金制度を題材としたクイズイベントを実施しました。
非常に多くのお子様が喜びながら楽しそうに年金のクイズをしながら親子で学んでいただくというものを開催いたしました。
 こちらに関しまして、アンケート結果を分析しているところでございますが、非常に好評価をいただいておりまして、お子様が年金制度を楽しく学ぶというコンテンツとしてできたと考えております。
 事務局からは以上でございます。
○上田座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、皆様から御意見、御質問がございましたらよろしくお願いいたします。
 原さん、どうぞ。
○原構成員 先に話をさせていただきます。
 御説明、ありがとうございました。
まず、2点ございます。
 1つは、4ページのところで、学生との年金対話集会というところで、いろいろな角度からアプローチの試みをされていると思います。
ライフプランの話からとか、お金の話からなどということで、学生の興味のあるところからというのは非常にいいかと思うのですが、一つ、私は金融機関向けなどの研修ではそのようにしているのですけれども、必ずはじめに公的年金の意義や役割や理念といったところはぜひ入れていただきたいと思います。
初めじゃなくてもいいのですけれども、そういった意味では、公私の「公」のところは基本ですので、公的年金のところの意義、理念というところについては、いろいろなアプローチ、入り口はどんな簡単の形でもいいと思うのですけれども、必ず入れてほしいと思います。
やはり、公的な部分と、私的な部分のところの違いというものも分かっていただくために、お願いしたいと思います。
 それから、もう一つは、5ページの教材のところで、これも数年前、高校生の教科書を比較するといったことをある研究会でやったことがあるのですけれども、そのときは、主に政治経済のほうだったので、公的年金の課題とかそういう話が多かったのですが、ここで家庭科から入るのはすごくいいなと思いました。
 当時も家庭科の教科書は見てたのですけれども、家庭科というのは、自分事としてといいますか、制度をどう使うかとか自分がどう使えるか、申請することもありますし、利用者としてという目線だといえるかと思います。
ここの5ページにもあるとおり、事故とか病気とか失業という、それぞれのライフプランの中でのリスクに対応するというようなこともありますので、そういった意味で、社会保険を含む社会保障制度とも関連づけて扱うという意味では、家庭科がベースとなると、自分事というか、個人個人、自分がどうこの制度を使っていくか、利用者としての目線になるので、家庭科というところからのアプローチは非常にいいと思いました。
ぜひこの辺りは、中高生向けに引き続きお願いしたいと思います。
 以上です。
○菊地係長 御指摘いただきありがとうございます。
 まさに1つ目のお話でございますが、今回、お話しさせていただいた学校では、公的年金制度についてある程度学びが進んでいるという前提でした。
このため、公的年金・私的年金を組み合わせお話ししたときにも、既に公的年金の理解がベースにあった上でのお話をさせていただいております。
 御指摘のとおり、やはり公的年金をベースとして老後の生活設計をどのように考えていくのか、公的年金の理念、意義をどのように考えていくのかということはすごく重要なアプローチでございますので、公的年金と私的年金についてバランスをはかりながら実施していきたいと考えております。
世界的に見ますと、スウェーデンでは、ギラー・ディン・エコノミと呼ばれている年金教育活動というのが行われていますので、その諸外国の事例も参考にしながら進めていきたいと、このように考えているところでございます。
○上田座長 ありがとうございました。
 そのほか、皆様、いかがでしょうか。
 富永さん、どうぞ。
○富永構成員 ありがとうございます。
 年金に係るコミュニケーションは、どちらかというと、自分が積み立てた分がちゃんとリターンが返ってくるんだよというような文脈で語られることが多いのではないかなという、これは印象なのですけれども、そのように感じていまして、片やもう一つ語り口があるかなと思うのが、この前、寄附は気持ちいいのに何で納税に義務感があるのかみたいなことを考えていたときに、寄附のほうは、自分が支払ったお金が何のために使われるか分かるみたいなところの気持ちよさがあるのではないかなと感じたことがあったのです。
この話は、全ての拠出に対して援用できることだと思うのです。
つまり、一人一人の労働者が年金を支払うことによって、自分にどうリターンが来るみたいな言い方もいいのですけれども、そのときそのときで、何人の人をどれぐらい救っているかみたいなこととか、何人の人のどれぐらい生活の向上に貢献しているかみたいな語り口を語ると、使い道が曖昧じゃなくてはっきりしてくるからより気持ちがよくなるということもあるし、あと、人間が持っている、利他をすると気持ちがいいみたいなところにもちゃんとオンできるのかなという気もするのです。
 散文的になってしまったのですけれども、そういったコンテンツ面の工夫もあるといいかなと思いました。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 では、御意見として承りたいと思います。
 そのほかにいかがでしょうか。
 山口先生、どうぞ。
○山口構成員 御説明いただき、ありがとうございました。
 本当に様々な取組を以前からされていて、大きな効果が出ているのだと理解しております。
 その上で、私から2点コメントがありまして、両方とも5ページに関わるところなのですが、まず1点目、年金教育特設サイトをつくられるということで、これは非常にいいことだと私も思います。
ただ、官公庁ウェブサイト、あるいはプラットフォームあるあるで、どんどんどんどんテーマごとにウェブサイトが立ち上がっていって、それがあまり体系だっていないということがあるかなと思っております。
 何が言いたいかというと、長期的に考えますと、こういうサイトあるいはプラットフォームが、もっと上位の1つのプラットフォームから行けるという状態がいいのではないかなと思っておりまして、官公庁というのは部署ごとにやってしまいがちなのですけれども、そうではなくて、例えば厚労省だけで見ても必要な教育はいっぱいあると思うのです。
そういったものが、そのプラットフォームに行くと、全てその教育啓発コンテンツにアクセスできるみたいな状態になるのが恐らく望ましいのではないかなと思っておりまして、私の仲のいい総務省とかでも、言い方が難しいですけれども、サイトが乱立するという現象はどうしても起こってしまうのです。
なので、そういったことを回避するためにも、そういうプラットフォームをつくるという意識、1つのプラットフォームをつくって、そこから利用者が分かりやすくアクセスできるということの意識を持つことが大事かなと思っております。
 何なら、教育啓発コンテンツという看板を掲げて、そこで、企業の作成したものにもアクセスできて、例えば中高の教師が、そこからダウンロードした資料を使って、企業のものもダウンロードできるし政府のつくったものをダウンロードできるし、それを使って啓発できる、そういった状況になると効果が高いのではないかなと思います。
 これが1点目です。
 2点目が、教師向けガイドラインをつくられるというお話もありましたが、ぜひ、読み上げるだけでできるというような内容にしていただきたいなと思っております。
 例えば、私も最近、総務省とフェイクニュースに関する啓発教育教材をつくったのですが、その資料を使う人、使う教師のリテラシーというのは、すごく高い人からあまり詳しくない人までいらっしゃるわけですよね。
そういう千差万別の中で、読み上げるだけで生徒に教えられるというのは、とても重要な観点かなと思いますので、ぜひそういう内容でつくっていただければ幸いです。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 山口先生の前者の御意見、これは私も全くなるほどなと感心いたしまして、賛成でございます。
切り口とすると、例えば年金だけではなくて、健康保険とか介護とか、社会保険全体でそういう切り口であるとか、あるいは、厚生労働省全体で見ると、例えば働くことという切り口で、そこに関連してくるもの全てをそこに、教育コンテンツを集めておくとか。
例えば、世の中に出ると、皆さん働かれて、社会保険とか失業の際どうするかとか、いろいろなことが関わってくるので、そういう1つの視点でつくっていくというのもありかなと、今、山口先生の御意見を拝聴していて感じました。
ありがとうございました。
 そのほかはいかがでしょうか。
 森下さん、どうぞ。
○森下構成員 ありがとうございます。
 意見の程度になるのですけれども、まず、大学での授業の取組が広がっていくのはすごくすばらしくて、どんどん拡大ができればということで進めていただければと思うのですが、あと、こども霞ヶ関デーとか、ああいうところでの面がまた広がっているというのも御報告いただいて、非常によいと思いました。
 広がると、ただ一方で欲が出てくるところがありまして、その部分でお話が幾つかございます。
 例えば大学で授業をしたとして、ただ、その授業に出ていない方にはなかなかリーチし切れなかったり、全学生に届くかと言われるとちょっと難しかったり、そういうときの受皿として、恐らくQuizKnockさんのコンテンツがあったり、先ほどの家庭科での導入というのが、また中・高生段階からありますよというやり方だとは思うのですけれども、影響力のある人から届けてるということで言うと、伊沢さんのQuizKnockのコンテンツは最強なのですが、そこだけに頼らない次の矢がもうそろそろ将来的には必要なのかなというのはちょっと思います。
 やはり、若年層向けのマーケティングは、今、いろいろ多様化もしている状況の中ですので、また、伊沢さんも大変お忙しくいらっしゃるので、それ以外にもアンバサダーがいたらもっと広がりがつくれるのではないかとか、そういうイメージが非常に持てるのではないかなと思います。
例えば大学内にアンバサダーがいるとか、いろいろそういう若い方を攻略するマーケティング手法というのがまたいろいろあると思いますので、すぐにこの1年でということではないと思うのですけれども、次の矢をまた考えていくフェーズに今後入っていけるといいのかなというのを思いました。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 これも貴重な御意見として拝聴していきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 私からも一、二点、皆さんから御意見がなければ、述べさせていただきたいと思います。
 まず、大学と高校と分けると、私は現在、大学で教鞭を取っておりますので、大学をまずベースとしてお話ししたいと思います。
 大学生が社会出る前に、社会保険あるいは働くことに関して基本的な知識を身につける場があるということは大変貴重なことかなと思っています。
私自身振り返っても、最初の給与明細をもらっても、何でこの項目が引かれているのかと全然分からなかったので、この辺のところを社会に出る前に、基本的な知識を身につけておく場が必要なのだろうなと思っています。
 ただ、先ほどちょっとお話にも出たのですけれども、大学でも、例えば、私は経済学部で教えているのですが、経済学部あるいは法学部の学生は、そういう機会を持つことが授業の科目からいってもあり得るのですけれども、例えば同じ文系でも文学部とか、あるいは理系の理工学部の学生でいくと、ほとんどそういう機会がない。
これを、自らを振り返って反省も込めて言うと、そういうところにどうやって社会保険の基本的な知識を社会に出る前に身につけてもらう場をつくっていくか、これが1つの課題かなと思っております。
 私の今いる大学で、ちょうど厚生労働省さんからお声がけいただいて、卒業間際の4年生を対象に社会保険労務士の方、原さんに来ていただいてお話をしていただいたことがあったのですけれども、これは非常に学生に評判がよくて、感想を聞くと、社会に出る前にこういう話を聞けて本当によかったという感想がありました。
こういったことを広げていくことが必要かなと思っています。
 あと、手法とすると、対話が一番いいのですけれども、対話はやはり機会が限られてしまいますので、そういう意味では動画がやはり強力なコンテンツなり得るかなと思っています。
私の授業でも、QuizKnockの動画を授業の合間に挟んで動画を見せるのですけれども、講義だけではなくて、講義の間に動画を入れると非常に教育の効果が高まるようです。
これは学生に、社会保険論の授業が半期終わってアンケートを取ってみると、学生のほとんどが「動画がよかった」と。
「非常によく分かった」と。
もしかして僕の話よりもよく分かったのではないかと、非常に内心忸怩たるものがあるのですけれども、非常によく分かったと言うのです。
僕の話だけだと、ある女子学生が書いてきたのは「先生はよく『分かるよね』と言うのですけれども、先生はよく分かっているけれども私たちは分かりません」と言われて、ところが、間に動画を挟むと、頭の中の整理ができて、これが上田先生がさっき言っていたことだなということが理解できたと言うのです。
このような意味でも、動画をうまく使っていくことが、皆さんの御指摘のとおり非常に大事なことかなと感じました。
 それから、あと、高校生については、もちろん高校で直接社会に出ていかれる方も多いので、先ほど原さんが御指摘のように、高校の段階で、社会出る前に基本的な知識を身につけていたことは大変大事かなと思っています。
 
この前、新しい金融とか社会保険の教育、どうやっていくかという座談会がオンラインであって、私も聞いていたのですけれども、先ほど原さんの話にありましたように、家庭科で教えると、これは生活者目線で社会保険の話を我が事として取ってもらえるとのコメントがありました。
ただ、一方で、先生のほうにも悩みが非常に多くて、家庭科の先生は、公的年金はまだしも、その上の私的年金の部分になるとなかなか難しいというお話が出ていましたように記憶しております。
 公私年金の連携については、4月の企業年金個人年金部会でも話が出ていたと思いますし、年金学会でも公私年金の連携は度々出ているのですが、公的年金は全ての方に共通項目で、同じ項目で教えられるのですけれども、私的年金になると、その方の勤務先とかお立場で、入れる制度とかやっている制度がまた個別で違ってくるので、公私の年金をセットで教えるのはなかなか課題が多いのではないかと感じました。
 特に、この前、帝京大学に来ていただいて、年金対話集会をやっていただいたときも、短い時間の中で全てを網羅するというのは、ハードルが高いなということも感じましたので、この辺り、これからこの検討会で考えていくことなのではないかなと感じました。
 以上でございます。
長くなりました。
 あと、ほかの皆さん、いかがでしょうか。
 以上でございます。
長くなりました。
 あと、ほかの皆さん、いかがでしょうか。
 太田さん、今日まだ御発言がないですが、いかがですか。
○太田構成員 意見というか感想になってしまうかもしれないですけれども、先ほど、日本女子大ですかね。
ライフプランとか資産形成の文脈でお話しされたというのがあったのですけれども、日本の場合、あまり金融リテラシーそのものを向上させる教育はあまりなされていないイメージがあるのですけれども、私、個人的には、長期投資とか個人資産形成はあまり自分に関係ないと思っていたのですが、興味を持つきっかけは401Kの仕組みを理解しようとしたところからなのです。
 政府としては、個人の資産形成をレコメンドしているようにも見えるので、場合によっては、副次的な効果として、こういうちゃんと年金制度を理解するということが、結果として金融そのものに興味を持つということに大いにつながり得るのかなという気もするので、先ほどの山口先生の御意見とも近いと思うのですけれども、ほかのそういう制度と併せて、例えば個人の資産形成みたいなところとも連携すると、ひょっとしたら、学生さんがそれをきっかけにいろいろ興味を持ってくれる端緒になる可能性はあるなと思いました。
すごくいい試みだと思います。
ありがとうございます。
○上田座長 ありがとうございます。
私も太田さんのおっしゃられたことは全くそのとおりだなと思っています。
 よく金融教育ですと、金融庁が資産所得倍増計画とか、いろいろ資産形成について非常に力を入れていらっしゃるのですけれども、これは決して批判ではないのですが、目的、何のために資産形成するのかという辺りが、仏つくって魂入れずのようなところがなければいいなと思っています。
この点、年金教育の話でいくと、老後の資産形成のため、あるいは老後の生活をどうしていくのか、そこに至る過程についても、いろいろな社会保険が関係してくるという一連の流れが完成するような気がするのです。
 また、年金シニアプランで昨年から研究会を立ち上げているのですけれども、今までは資産形成だけ、つまり、どうやって60歳あるいは65歳まで資産を形成していくかだけに非常に関心が集中していたのですけれども、その先が見えないところが不安を増長している部分があるのではないかなと思っています。
例えば60歳あるいは65歳以降、積み上げた資産をこのように取り崩していって、公的年金と併せて使っていくと老後の生活は大丈夫ですよということを、モデルとして見せてあげることも必要なのではないかなと。
その形成した資産をどうやって使っていくのか、そういう辺りを一つの視点として取り入れていったらいいのではないかなと個人的には感じています。
 事務局、いかがでしょうか。
 ほかに皆さん、いかがでしょうか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、一通り御意見はお伺いしたということで、次の議題に行きたいと思います。
 次は議題3、公的年金シミュレーターの運用状況について、事務局から御説明をお願いいたします。
○菊地係長 事務局から御説明申し上げます。
 資料番号が変わりまして4番でございます。
「公的年金シミュレーターの運用状況について」の資料になります。
 公的年金シミュレーターに関しましては、昨年リリースをしてから様々な方にご利用いただいております。
 簡単に概要を御紹介いたしますと、ねんきん定期便の二次元コードからスマートフォンで読み取っていただき、生年月日を入力して試算するというのを押していただくと、すぐに将来の年金見込み額が表示されるというような機能でございます。
このシステムは試算が手軽であり、個人情報を一切記録しないシステムになっていますので、サイトから離れれば、すぐ個人情報は消えるという仕組みになっているわけでございます。
 このような手軽さ、便利さというものが、一つのコンテンツの強力なポイントになっていると考えられております。
 公的年金シミュレーターのアクセス元を分析すると、ほとんどがねんきん定期便に記載された二次元コードからアクセスしていただいている状況になっているところでございます。
 この公的年金シミュレーターは、本年度令和4年度の新宿区の参考例として所得税や介護保険料等も試算できるようになり、税額等の大まかなイメージをしていただくという機能も設けており、こちらに関しましても、多くの方が使いやすいと言っていただいているという状況です。
 この公的年金シミュレーターについて、昨年から、我々の開発したソースコードと呼ばれているプログラムを、民間企業様のサービスでも実装し利活用できないかという実証実験しておりまして、前回の年金広報検討会でご報告申し上げたとおり、民間企業様のサービスにおいてプログラムを盛り込むことができたという結果を踏まえ、ソースコードを公開してほしいという御要望を承っております。
 これに関しまして、厚生労働省では、令和5年7月21日から、公的年金シミュレーターのプログラムを民間事業者の皆様に公開する取り組みを始めました。
この取り組みは、公的年金シミュレーターのソフトプログラムに関する利用規約への同意をいただいた上で行っているものです。
例えば、公的年金シミュレーターのプログラムを用いた不正行為が行われないかとか、利活用先の事業のことを事前にお聞かせいただき、不正目的によるプログラム利用ではないかを事前に把握させていただいた上で、利用規約に基づいてプログラムを提供しております。
 現在は、各社、プログラムの公開をプレスリリースしたところであり、民間企業様から利活用されたいという意向を持っているというお問合せはいただいているのですけれども、現在、利用申請の準備をされているようで現時点で公開の実績はございません。
 さて、この公的年金シミュレーターの利用状況でございますが、非常に多くの方に御利用いただいているところでございます。
2023年8月1日時点で365万回ほど試算されております。
これがグラフの推移を見ていますと、2023年の3月までが第一段階として、今一巡しているという段階ですが、ここからグラフの傾きが急激に変わりまして、多くの方が急に利用しているという現象が起きております。
先ほど申し上げましたとおり、個人情報を取得しているシステムではないので、どのような属性の方がどのように御利用されているのかということは、詳細が把握できないところではございますが、ソーシャルメディア等々を拝見させていただきますと、多くの方が「利用しやすい」とか「シンプルで使いやすい」「ぱっと試算できる」というようなことなので「みんな使ってみませんか」みたいなことを、ソーシャルメディアでシェアいただいたり、民間企業様のメディア媒体で、公的年金シミュレーターを使った試算を促すような周知啓発をしていただいているということが非常に効果的に続いていると考えておりまして、順調に推移しているということでございます。
 順調な推移の中で、我々といたしましては、今後、遺族年金、障害年金に関しては見込み試算を取得できるような機能がないかというご要望をいただいているものでございます。
今回の検討会では今後の利用促進に向けた論点といたしまして、公的年金シミュレーターの利用場面や利用後の感想官民連携をどのように進めていくのかなど多岐にわたります。
今回は年金広報検討会ということでもございますので、今後の利用促進に向けた取組について、皆様方からも御助言を承れればと考えているところでございます。
 事務局からは以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、皆様からの御意見、御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
 太田さん、どうぞ。
○太田構成員 ありがとうございます。
 利用回数が370万回近いということで、このサービスの特性を考えると、1人のユーザーが何回も何回もという感じではないと思うので、かなりユニークユーザー数に近い数字ではないかなと思いますけれども、そう考えるとかなり多くの人に利用いただいているサービスだと思います。
 この手のサービス、これだけの利用者がいると、出して終わりではなくて、継続的にサービスを向上していくという必要があると思いますし、意見を聞いていくというのは非常に必要だと思うのですけれども、私もネット上の公告を仕事にしているのですけれども、データで、どういう属性の人がどういう広告を見て何を買ったかみたいなところはある程度補足できるのですけれども、何でその行動を取ったかというのは、やはり聞かないと分からないです。
これだけユーザーがいらっしゃることは、かなりポジティブに捉えられて拡散しているということだと思うのですけれども、どういう部分がよくてとか、どのように使われてというのは、しょっちゅう聞く必要はないと思うのですけれども、どこかで定点観測する必要があるかなと思いますので、サービス上でアンケートを取るとか、そういうことは定期的にやられたほうがいいかなと感じました。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございます。
○菊地係長 御助言いただき、ありがとうございました。
 まさに御指摘のとおり多くの方に御利用いただいておりますし、それに対する好反応も受けているところでございまして、我々としてもそのようなことが継続できないかということは考えていきたいと思います。
 ただ、このシミュレーターは、個人情報を取得する機能が設けられていないため、公的年金シミュレーターとは別に調査項目を設けることになるとは思いますが、検討していきたいと思います。
○上田座長 ありがとうございました。
 ほかの皆様はいかがですか。
 殿村さん、どうぞ。
○殿村構成員 最近、資産形成の在り方が社会的に変わってきていると実感しています。
ひとつの例を挙げると、最近、三井住友銀行が出されたOliveという仕組みはキャッシュカードとポイントとクレジットカードとデビットカード、それらがみな一緒になっていて、使えば使うほどポイントが物すごくつくのです。
さらに、そのポイントでNISAの積立てや投資ができてしまうのです。
 今までは投資するには、証券会社での手続きなど、いろいろ面倒くさい手続きがあったと思うのですが、アプリやポイントでできてしまうというな、まったく新しい時代が来た印象を持ちました。
恐らく、ほかの金融機関にも、こういった仕組みは広がっていくと想像するのですが、そういう事態になると、金融機関が運用するアプリやサイトが資産形成のベースになる可能性があると思うのです。
なので、年金の情報やシミュレーションも、リンクを貼るというような、新たな工夫も必要なのではないかなと思うのです。
 年金は資産形成、それから、今後のライフプランに不可欠であるだけに、新たな資産形成の仕組みを一緒につくっていく考え方を、具現化されたらどうかと思いました。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございます。
 貴重な御意見として承りたいと思います。
 あと、横尾さん、先ほど挙手されていませんでしたか。
○横尾構成員 重要なことは皆さん言ってらっしゃると思いますので、今なされた議論に関しての感想というところになります。
おっしゃっているように、うまくいっていること、そこに対して、ユニークユーザーのデータを取っていないので、別立てで今後調査してくということに関してはすごくいいのではないかなと感じました。
皆さんのいろいろな意見を取り入れて、今よりさらにもいいものをつくっていくという点も良いと思います。
そして、私たちは大手企業等から実際の利用者の調査を依頼される関係から、今より良いものにガラリと変えるような改変などをするタイミングで私たちの調査をすること多いのですけれども、その理由としては、提供者側が気づかずに、「今のいい部分」、どうして皆さんが来てくださったのかなという部分、みんなが気に入っていた部分がなくなってしまうということが、結構、システム改変だとあるのです。
もちろん、提供者側は良かれと思って改変をするわけなのですが、提供者側も意識せずにいた部分、かつ、利用者からの声としても上がらないような部分で、利用者にとって大事なポイントが必ずと言って良いほどあります。
 なので、「今、何がそんなに気に入っているのか」という事に関して、私たちが気づいている部分はいいのですけれども、気づいていない部分に関しても探りを入れて良くしていくということをすると、「こっちが良くなったのだけれども、こっちはちょっと残念」みたいなことを防ぐことができ、全体としてより良くなっていくと思います。
それにより、この取り組みが、いろいろな公的なシステムのフラッグシップモデルになっていく、もう既になっていると思うのですけれども、この進め方自体もフラッグシップモデルになっていくということが、私はすごく重要なのではないかなと思います。
ありがとうございました。
 
○上田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 山口先生、富永さん、よろしいですか。
○山口構成員 一言だけ。
 御説明いただきありがとうございました。
 非常に利用者が伸びていて、伸び続けているというのは私は結構驚いています。
あまりこういうサービスはないと思うので。
パターンとして。
しかも直線的に伸びているという、指数関数的でもなく、ただ、直線的にどんどん伸びているという状況、これがどこまで続くのかなというのは、サービスのビジネスとかを考える一研究者としても非常に興味深いところです。
 また、これが伸びていくことによって、利用者が増えることによって、理解が深まっているのかとか、行動変容がどう促されているのかとかということも私は興味がありますので、その辺りのことを今後調査されていくというのはとてもいいことだと思いますので、そういうエビデンスベースで今後の改善策とかにつなげていければいいなと思います。
ありがとうございました。
○上田座長 ありがとうございました。
 富永さん、いかがですか。
○富永構成員 では、私も感想になってしまうのですけれども、山口先生と同じようなことを私も思っておりまして、通常、こういう仕組みがこのように伸び続けるというのは本当に異例なことだと思っていて、すばらしいなと思いますし、こういった取組に対して、民間の企業側からソースコードを公開してくれみたいな機運というのも本当にいいなと思うのです。
ですので、調査をやって、どこがそんなに刺さったのかみたいなところを抽出するのも大事ですし、こういった機運を、同じ厚労省の中とか霞が関の中で横展開していっていただけて、さらなる発信を国がしていけるのだったらいいなということを、本当に雑感ですけれども思いました。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 原さん、どうぞ。
○原構成員 ありがとうございます。
 この年金シミュレーターがすごくたくさんの方に使われているというのは非常によいことだと思いますし、もちろん、なかなか個人情報が取れないという部分があると思いますけれども、どういう部分がいいのかと考えると、おそらくその手軽さがいいと思いますし、どうして使っているかというところでは、おそらく、この金額がある程度分かれば、では、自分でどのぐらい準備すればいいかというところなのではないかなと想像します。
どんどん使う人が増えてきて、年齢層にもよると思うのですが、それもなかなか把握するのは難しいとは思うのですが、より年代が上がっていくと、この中の、もうちょっと細かいところで、リテラシーも上がっていったときに、公的年金自体の部分についてはねんきんネットの方につながっていくなど、より詳しく年金をシミュレーションしたいという人も増えてくると思います。
 年代層によっても違うと思いますけれども、そういった点については、50歳未満であればねんきんネットにつなげる、あるいは、50歳以上であればねんきん定期便を見てもらうなどになるかと思います。
 個人ごとに年金シミュレーターの利用目的などによっても違うと思いますが、公的年金自体の中でどう増やしていくかなどより深く知りたいというようになっていったときに、そこはねんきんネットとか、ねんきん定期便とかもそうですけれども、年代層によっても違いますが、つなげていければよいのではないかと思います。
公的年金自体の部分の、例えば、厚生年金と国民年金がどうなるのかみたいな点もあると思いますし、そういったところも、次のステップとしてまたご検討いただければと思います。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 皆さん御指摘されたように、非常に数字が伸びているので、どこがウケたのか、それをやはり分析して知っておく必要があると思いますし、このシミュレーターによって、山口先生が先ほど御指摘されたように、行動変容が起きたのかどうかですね。
この辺は非常に興味あるところです。
それが次の改良につながっていくと思います。
その際は、先ほど横尾さんが御指摘のように、落としてはいけないポイントがあると思いますので、この辺も押さえておく必要があるのだろうなと思っています。
 森下さん、よろしいですか。
○森下構成員 もう皆さんおっしゃったことがほぼなのですけれども、今使っている方のインサイト調査もですし、そもそも今の認知度自体みたいなものも、もう少し増えていったらまたできるのかなと思っていて、どのぐらいそれが国民に浸透していると、態度変容がこのように起きて、厚生労働省が描く理想的な社会というのが、また目安が見えてくると思いますし、あと、次の行動の喚起がどのぐらいできたら、それこそ理想的なゴールになるのかみたいな、絵図みたいなものも描けていけるようなポジティブな、今、動きが出ているかなと思いますので、ぜひ推進をいただけたらと思いました。
 以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
 それでは、皆様、特に御発言がないようでしたら、議題3につきましては、こちらで議論のほうを終了いたしたいと思います。
 あと、皆様、全体を通じて何か御発言されたかったところがもしあれば。
 よろしいですか。
最初に、議題1のところで殿村さんと横尾さんが御指摘されたこと、これは全く私もそのとおりだと思いますし、小規模な企業においては、その会社の体制とか人数的な制約により導入のハードルがどんどん上がっていくと思いますし、経営者の方の御理解を得ることが非常に鍵を握っている部分があると思いますので、この辺は引き続き皆様から御助言をいただければ大変ありがたいと思います。
 それでは、特にほかに御質問、御意見がないようでしたら、内容につきましてはこれで終了いたしたいと思います。
 原さん、今手を挙げましたか。
どうぞ。
○原構成員 最初に戻るのですけれども、全体的なところで、被用者保険の適用拡大の広報のためのアドバイザー会議というのを実施されると思うのですけれども、ここはぜひ次のステップとして、制度の告知から制度の適用拡大に関してどのようにしていくか、そして、適用拡大は労務管理といった話にもなりますので、ぜひ、労務管理や労働基準法など、そういう分野にも詳しい専門家の方にも入っていただいたきたいと思っております。
また、そういった両面で、実務だけではなくて学識的な面のバランスの取れた形で、あとは、企業の方なども含められればよいのではないかと思います。
ツールなどもつくられると思いますが、そういったものもより実践的なものにしていただければと思っております。
 事業主の方の中には、まだほとんど分からない方も多いと思いますので、それを見れば、ノウハウといいますか、実務的なステップがきちんと分かる、あるいは説明の仕方もそうですし、もちろん、冒頭の意義というのもそうだと思うのですけれども、より実践的なものにしていただいて、労務管理の面からも、どういうことが必要かというようなこともあると思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
ありがとうございました。
○上田座長 ありがとうございました。
 あと、皆さん、よろしいですか。
 それでは、最後に事務局から次回の日程についてお願いいたします。
○菊地係長 事務局でございます。
 本日も多数のすばらしい御助言をいただきまして、誠にありがとうございました。
 次回の日程に関しましては、後日、事務局から御案内させていただきます。
○上田座長 ありがとうございました。
 それでは、本日の会議はこれで終了いたしたいと思います。
皆様、お忙しい中、御参加いただきまして誠にありがとうございました。

 

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