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2020年7月27日 第5回年金広報検討会

年金局

○日時

令和2年7月27日(金)13:00~14:30

 

○場所

- (オンライン開催)
 

○出席者

足利 聖治(構成員)      
上田 憲一郎(座長) 
太田 英利(構成員)
尾崎 俊雄(構成員)
殿村 美樹(構成員)
富永 朋信(構成員)  
野 口  尚(構成員)          
原 佳奈子(構成員)   
森 浩太郎(構成員)
森下 郁恵(構成員)       
横尾 良笑(構成員)       
吉野 隆之(構成員)
 

○議事

○上田座長 皆様、こんにちは。
それでは、定刻になりましたので、ただいまより第5回「年金広報検討会」を開催いたします。
皆様、大変お忙しい中、御参加いただき、誠にありがとうございます。
新型コロナウイルスの感染状況を踏まえまして、本日は皆様と御相談させていただき、オンライン会議という形で開催させていただきます。
また、今回の年金広報検討会から新たに御就任された構成員の御紹介をさせていただきます。
日本年金機構副理事長の野口尚構成員です。
同機構理事の安部隆構成員に替わっての御就任となります。
○野口構成員 野口と申します。
一度、ピッチヒッターで出席させていただいたことがあるかと思いますが、改めまして構成員ということになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○上田座長 よろしくお願いいたします。
本日の出欠状況ですが、構成員の皆様御出席を頂いております。
それでは、議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。
事務局からお願いいたします。
○年金広報企画室長 では、改めましてよろしくお願いいたします。
本日はオンライン開催ということで、構成員の皆様には事前に資料をメールにて送付させていただいているところでございます。
また、議事の進行上、こちらの画面上に資料を掲載させていただきながら進行させていただきます。
また、傍聴される方につきましては、あらかじめ厚労省ホームページにて資料をお知らせさせていただいておりますが、御自身のタブレット等の端末を使用して会議に参加いただければと思っております。
オンライン開催は初めての試みになります。
私どもが、Zoomの扱いに慣れておらず、進行上、不手際等々あるかもしれませんが、御容赦いただければと幸いです。
その上で、幾つかこちらから進行上の留意点をお伝えさせていただきます。
まず、マイクの設定でございますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただければと思います。
また、御発言の方法ですが、会議中に発言を希望される方はカメラに向かって挙手ないしは何らかアクションを起こしていただくようお願いします。
また、御承知おきのとおり、Zoomには挙手の機能がございますので、そちらの機能を御活用いただくことも可能ですが、何分、画面が13分割であり、気付かずき、指名させていただく順番がずれてしまう可能性もありますので、なるべくアクションいただいたほうが分かりやすいかとは思います。
事務局からは以上でございます。
○上田座長 それでは、もしカメラの方がいらっしゃいましたら、ここで退室をお願いいたします。
これより議事に入らせていただきます。
本日は「(1)令和2年度の年金広報計画について」。
「(2)令和2年改正年金法の広報について」。
「(3)『いっしょに検証!公的年金』のリニューアルについて」の3つを議題といたします。
初めに、議題の「(1)令和2年度の年金広報計画について」、まず厚生労働省の分から具体的内容について事務局より御説明をお願いいたします。
○年金広報企画室長 では、資料1-1を御覧ください。
お手元の資料の3ページ目「1-1 今後の年金広報の方向性」というタイトルのところをご覧ください。
こちらの資料は第3回の年金広報検討会で出させていただいた資料を一部改変したものでございますが、基本的には年金広報の基本的な方向性はこちらの4本の柱で進めていきたいと考えております。
具体的には「1.技術革新への対応、きめ細かさ・わかりやすさの改善等」、「2.公的年金と私的年金を合わせた総合性の強化」、「3.エビデンスに基づいた広報のあり方」、「4.効果把握・PDCAサイクルの強化」。
こういうものを大きな柱で進めてきているところでございまして、令和2年度もこの柱を踏襲していきたいと思います。
次に、4ページ目を御覧ください。
おさらいになりますが、年金広報に関するこれまでの取組として、「年金ポータル」の設置や、本日の議題(3)として御議論いただきますが「いっしょに検証!公的年金」といった年金の難しさを漫画で分かりやすく解説するようなものの作成、個人の方の手続をより分かりやすくするためのパンフレット・リーフレット等々の作成、令和の年金広報コンテストや「学生との年金対話集会」を通じて、若い人たちと年金について一緒に考える取組などを進めてきたところです。
5ページ目をご覧ください。
御案内のとおり、本年の5月に令和2年改正年金法が成立いたしましたが、をその検討過程において、私どもの年金部会という検討会の場で改正年金法の議論を進めてきました。
その改正年金法の議論の中でも広報に関する指摘がありました。
具体的には、お手元の資料Ⅱで追って御説明しますが、今般の年金制度改革は、特に被用者保険の適用拡大について非常に大きな話題を呼んだわけですが、こちらにつきましては、事業主が労働者に対して、労働者本人が自らの適用状況について理解できるように丁寧に説明することが重要であるという御指摘をいただきました。
その上で、企業が従業員にわかりやすく説明にできるようにするため、年金制度の専門家ではない人でも理解しやすいような説明ツールを整備することが必要である、こういう御指摘を頂いたところです。
また、「今後の年金制度改革の方向性」の中でも広報に関する指摘がありました。
具体的には、公的年金、私的年金を通じて、個々人の現在の状況と将来の見通しを全体として「見える化」し、老後の生活設計をより具体的にイメージできるようにするための仕組みを検討すべき、こういう指摘も頂いたところです。
おめくりいただきまして、こういったこれまでの経緯を踏まえまして、令和2年度の広報についてですが、7ページ目をご覧ください。
「2-1 令和2年度の取組み」として、大きく3つの柱を掲げさせていただいております。
1つ目が、先ほど簡単に触れさせていただきましたが「令和2年改正年金法の広報」。
普及啓発が非常に重要です。
2つ目が「個々人の年金の『見える化』」の取組を進めること、そして、3つ目が「若年世代への広報の強化」、この3つを令和2年度の主な取組として進めていきたいと考えています。
「1.令和2年改正年金法の広報」については議題(2)で御紹介させていただきたいと思いますので、ここでは説明を省略させていただきたいと思います。
また「2.個々人の年金の『見える化』」につきましても、同様に議題(2)で紹介させていただきたいと思いますので、ここでは説明をはしょらせていただきます。
そして「3.若年世代への広報の強化」ですが、こちらにつきましては大きく2つに分けて考えています。
1つ目が年金制度の仕組みを分かりやすく、正確に理解するための教育コンテンツを開発するということ、そして、2つ目が国民一人一人が参加して、年金制度の意義や仕組みの理解を深める広報を進めてきたいと考えています。
それで、3-1の1つ目が年金教材の作成ということで、私どものほうでは小中学校向けの教育コンテンツを開発していきたいと考えていますが、まだ詳細は現在検討中ですので、今日は資料から割愛させていただきました。
そして、2つ目の「いっしょに検証!公的年金」のリニューアルです。
こちらにつきましては議題(3)で紹介させていただきますので、ここでの説明は省略させていただきます。
3-2の「第2回令和の年金広報コンテスト」と「学生との年金対話集会」について詳細を説明させていただきたいと思います。
10ページの「年金広報コンテスト」ですが、こちらは昨年に引き続きまして第2回目ということで開催させていただきます。
11ページ目を御覧ください。
6月1日から募集を開始しており、様々な広報媒体を通じて積極的に募集しているところです。
9月11日を締め切りとしています。
御案内のとおり11月30日が「年金の日」ですので、その辺りで表彰等々ができればと考えてスケジュールを組んでいるところですす。
昨年と同様に、部門ごとに厚生労働大臣賞、年金局長賞、さらには協賛特別賞を設定しようと考えておりますが、昨年との大きな違いが1つだけあります。
一旦、資料を戻っていただき、10ページ目を改めてご覧ください。
昨年はポスター部門、動画部門、そして、自由部門の3部門で募集させていただきました。
自由部門については、エッセイや作文が出てきたり、あとは川柳が出てきたりなどまさに自由に応募いただきました。
皆さんそれぞれ自由に、創意工夫をこらして応募いただいたのですが、日本年金機構でやっている年金エッセイと重複するような部分があったということも踏まえまして、今回の第2回令和の年金広報コンテストとしましては、ポスター部門と動画部門の2部門に限定することといたしました。
同じタイミングで昨年同様、日本年金機構において年金エッセイを募集しており、今回は、こういうスタイルで進めさせていただこうと考えております。
13ページ目、14ページ目をご覧ください。
「学生との年金対話集会」ですが、昨年、全国各地の6大学に訪問させていただき、私ども年金局職員、特に若手の年金局職員と学生の皆さんとの対話、交流する場を設けさせていただきました。
年金制度について一緒に考えてみよう、年金制度を他人事から自分事にしてみよう、といった取組を進めているところでます。
訪問させていただいた大学の学生からは、年金制度のことを考えるきっかけになったとか、学生納付特例、いわゆる学特があるということが知れてよかったなど、様々な好評の声を頂いているところです。
今年度も同様に精力的に全国の大学に訪問させていただきたいと考えておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染状況等々を踏まえて、ウェブ方式なども活用しながら引き続き若い世代との、学生との対話を進めていきたいと考えております。
今、全国の大学に広く案内させていただいているところで、募集があり次第、大学側と開催方法等について調整を始めさせていただこうと考えております。
議題(1)について、私のほうからの御説明は以上になります。
○上田座長 御説明ありがとうございました。
それでは、引き続き、各関係団体の皆様から年金広報計画について御説明をお願いしたいと思います。
順番は資料の順とさせていただきます。
では、日本年金機構さんからお願いいたします。
○野口構成員 日本年金機構でございます。
資料につきましては、資料1-2の最初のところでございます。
恐縮ですが、私どものほうから始めさせていただきます。
年金機構における今年度の広報活動は、紙数も限られておりますので、新しいところを中心にまとめさせていただいています。
「基本的な考え方」は、私ども、実務組織でございますので、年金制度に対する正しい知識と理解を深めていただいて、また、制度を利用いただくことについての垣根を下げていく、あるいは利用しやすくするということを通じまして、制度に御納得していただきながら加入いただく。
そして、保険料納付につなげる。
そういうことを狙いといたして広報を続けてきております。
「具体的な取組」といたしましては、毎年度広報の計画をつくりまして、その中でも重点事項という形で、今年度、何をしたらいいだろうかというところ、それから、制度改正の中身なども踏まえながら、今年度は重点的にこういうことをやろうではないかということを決めております。
それで、対象者の方々はどんな方々か、また、どんな広報手段を使おうではないかということも想定しながらつくっているところでございます。
その中で今年度、ちょっと目立つところを3点ばかり挙げさせていただきました。
まず一つめでございますが、広報の極めて重要な手段としてホームページがございますが、今年は5年に一度と言っていいと思いますが、大幅なリニューアルを本年9月に予定しております。
それが一つ大きな柱ではないかと思います。
このホームページのデザインリニューアルに関しましては、上田先生はじめ多数のこの場にご出席の先生方にも昨年夏から御協力いただきまして大変ありがとうございました。
おかげさまで、ここまでまとまってきたということでございます。
まず、ホームページのリニューアルの内容の一つが分かりやすい中身にしましょうということでございます。
もう一つが、やはり若い方を中心にスマートフォンを利用される方が多い。
そういうことで、スマートフォンを利用される方について使いやすいようにする。
それから、私どもに、お問合せを頂く場合にコールセンターや事務所にお電話を頂くのですが、できましたら、ホームページを御覧いただいて、なるべく、そこで解決していくようにしたい。
このために今日的な技術、例えばチャットボットといったことも活用しようではないか。
あるいはQ&Aも充実しようではないか。
あるいは、まだ素人動画のレベルなのですけれども、動画も入れたらいいではないかということを取り組ませていただいています。
そのホームページのリニューアルの中身につきましては、裏面のほうに出させていただいておりまして【デザインコンセプト】として4点挙げさせていただいております。
分かりやすくしようではないかでありますとか、あと、対象者の方々、あるいはライフイベントといったシーン別にしようではないかとか、ストレスなく見ていただこう。
それから、障害のある方、高齢者も利用しやすいように配慮しよう。
この辺は本当に先生方の御意見も取り入れさせていただいて、現在、このような形にデザインコンセプトが固まったということでございます。
具体的なスマートフォン対応につきまして、その下のほうに書いてございますが、スマートフォンで操作する場合の操作性、それから、ボタンをどう設置したらいいだろうか。
また、個人の方々が中心であろうから、その個人の方々が見やすいようにしようではないか。
そんなような工夫をさせていただければというところでございます。
以上がホームページの中身で、また前の1ページに戻っていただきまして、2つ目の柱がICT化の推進でございますが、特に電子申請の推進が大事であろうかと思っております。
この令和2年度は大きな節目で、一つが大規模な事業所の方々が電子申請を頂くことが法律的に義務化されたということでございます。
それが一つのポイントです。
2つ目が、電子申請をしますのに電子証明書という形でなかなか難しい手続があるのでございますが「GビズID」というやり方が無料で使えることになりまして、それを使っていただいて、ぜひ進めていただきたい。
それがまた令和2年4月から始まったということがございます。
また、私どもの事務処理といたしましても、経過管理システムというものがあるのですけれども、そこに電子申請が全面的に対応するようになったことも受けまして、まさに令和2年度は電子申請元年であると言ってもいい状況でございます。
それを踏まえまして積極的な広報をしようではないかと。
この電子申請を進めますと、お客様から頂いた情報を入力する手間が省けますし、また、正確な情報ということで使わせていただけるということで非常に私どもの事務処理の効率化も図れるということでございます。
そこでこれをなるべく進めたいのが2つ目の柱でございます。
3つ目の柱は、今年の初めの頃はあまり想定していなかったのですが、やはりコロナの問題が大きいということで、なるべくコロナの関係で困難となられたような事業者の方、個人の方々にできるだけ寄り添わせていただこうということで、様々な猶予制度なり免除制度なりがございます。
それについて、利用を極力御案内していくことがもう一つの柱ということで今年度の広報計画として進めているところでございます。
簡単ですが、以上でございます。
○上田座長 ありがとうございました。
それでは、次にGPIFさん、よろしくお願いいたします。
○森構成員 年金積立金管理運用独立行政法人の森でございます。
当面の広報の取組を御説明させていただきます。
私ども、本年度から新しい中期目標期間が始まりました。
振り返ってみますと、2016年の頃は私どもの団体を信じられないという方々のほうが、私どもの団体を信じられる方々の2倍以上いた。
そういう状況でございました。
その間、私どもは業務概況書、もしくは動画、SNSとか、様々な手段を使って広報いたしまして、昨年度でいいますと私どもの団体を信じられる方たちのほうがやっと私どもの団体を信じられない方を上回るような形になりました。
そういうことで、私ども、次の当面5年間を見据えてどんなことを考えているかについて御説明いたしたいと思います。
①で、専門家以外の国民の皆様を意識したホームページの全面改訂ということでございます。
「年金積立金の役割」ということで、年金積立金で一時的に損が出ても、すぐ年金給付に影響するものではなくて、むしろFor All Generationということで、多数の世代の方々に係るものである。
「長期分散投資の効用」で、ぶれは短期的に大きいかもしれませんけれども、やはり長期に収益を投じていくことが重要。
「ESG投資の意義」ということで、これは国内外でいろいろと雑誌に取り上げられたりとか、いろいろアワードといいますか、受賞をいたしたりしまして、ここ数年、専門家の方々には非常に評価されていたと思います。
他方、先ほど申しましたように、一般の方々にも浸透はしてきておるのですが、最終的なプラットフォームとなるべきホームページにつきまして、やはり国民に親切なつくりではないということを意識しておりますので、これは被保険者の方々も利用しやすいよう、デザインやコンテンツのところを変更したいと考えております。
②でございます。
我々、運用ということで、時々の市場状況によって皆さん心配いただきます。
特に最近はコロナということで運用に関して御心配いただくのでございますけれども、我々、行っています長期分散投資。
これについては、きちんと情報発信をすることで、私ども、コンテンツもいろいろございますので、それらを活用し皆さんが我々に対する信頼を醸成できればなと思います。
あとは、最近始めました、③でございます「オルタナティブ投資」。
株式とか債券という今までの伝統的資産と違いまして、インフラ、不動産、もしくはプライベートエクイティですが、ちょっと怖いなとか、一体何だろうという方が一般には多くいらっしゃるかと思いますので、やはり一般向けホームページのコンテンツを充実させていきたいと思います。
④は、この場、もしくはまさに皆様方でございますが、厚労省による年金広報の強化の動きと連携ということです。
よく言われますけれども、我々の積立金から被保険者のために運用しているものでございますので、年金制度とともに年金広報の一環として連携させていただければと思います。
あとは⑤でございます。
我々、いろいろな取組みを行うわけですが、やはり効果測定が重要であろうということで、独法評価において、資金運用部会でもご意見をいただいているのですが、やはりPDCAをちゃんと回すためには効果測定が必要と考えており、より適切なものを考えていきたい。
以上が、当面の広報の取組方針でございます。
簡潔でございますが、以上でございます。
○上田座長 御説明ありがとうございました。
次に、企業年金連合会さん、お願いいたします。
○足利構成員 私ども企業年金連合会の令和2年度の広報活動について簡単に御説明いたします。
私ども企業年金連合会は、この資料の一番下にございますように、企業年金基金、規約型確定給付企業年金を実施する事業主さん、それから、企業型確定拠出年金を実施する事業主さん及び厚生年金基金。
こういう皆さん方を会員とする集まりでございまして、したがいまして、主に会員であります企業年金に対して、制度運営の支援や人材育成等を目的とする事業展開を通じた広報活動を実施しているところでございます。
この「広報媒体」にございますように、ホームページ、広報誌『企業年金』、それから、ニュースレター。
そこにいろいろそれぞれ記載しております手段を通じまして広報に努めております。
したがいまして、会員向けの制度運営の支援、人材育成ということがメインになっている広報を展開しているところでございます。
次のページで、この中でちょっと重点といいますか、最近の取り組んでいるところを例示的に御説明したいと思いますが、御承知のように現在、企業年金の動向としまして、確定給付型から確定拠出型、いわゆるDBからDCへという動きがあるわけでございますけれども、この動きに対しまして、それぞれの実施されている企業型確定拠出年金の事業主さんから委託を受けまして、加入者の皆さんに投資教育を実施するという継続投資教育事業を受託して実施しております。
要はDC、確定拠出のほうは基本的に加入者個々人がどういう投資をするかというのを御本人が決めないとそれなりの成果が上がらない。
そういう仕組みでありますので、いかに加入者の投資に対する認識を高めていくかというところを私どもとしても力を入れているところでございまして、そこにあるようなeラーニングですとか共同セミナー、それから、私どもから事業主さんのほうに伺って訪問でセミナーを行うとか、そういったところを今、重点として取り組んでいるところでございます。
一番下にございますように、今般の年金制度改正法によりまして、国民年金基金連合会さんから私どもが委託を受けて、私どもは企業年金連合会でございますけれども、企業年金の方が中心なのですが、個人型の確定拠出の加入者の方に対しても継続投資教育というものを今後、委託を受けて実施していくということができることになりましたので、その方策について今、考えているところであります。
資料にはございませんけれども、このほか、当然、企業年金連合会から年金を受給している方、これから受給をする方も多数いらっしゃいますので、そういう方々に対する、ホームページを中心とする広報にも従来から取り組んでいるところでございます。
以上、非常に簡単でございますけれども、私どもの広報の取組を紹介させていただきました。
ありがとうございました。
○上田座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、国民年金基金連合会さん、よろしくお願いいたします。
○尾崎構成員 国民年金基金連合会の尾崎です。
私のほうから国民年金基金とiDeCo、2つの制度の今年度の広報の取組について御報告いたします。
国民年金基金は、御案内のとおり、第1号被保険者で、自営業者あるいはフリーターといった方々に対する確定給付型の個人で加入する年金制度です。
後でまた出てきますけれども、iDeCoは確定拠出型の個人年金ですが、国民年金基金とは違いまして、会社員や第3号被保険者、専業主婦の方なども加入ができる制度でございます。
まず、この1ページ目にございますとおり、確定給付型の国民年金基金ですが、ここに4つほど書いてございます。
ダイレクトメール、テレビ広告と新聞広報、それから、国民年金基金の広場、その他ということで、いずれもこれまで実施してきているものでありますが、毎年、内容を充実させています。
まず、ダイレクトメールですが、第1号被保険者のうち、ターゲットとする対象者の方の優先順位を明確にして送るようにしております。
国民年金を前納した人とか、あるいは口座振り込みなどをしている人などは国民年金基金に入りやすいのではないかということで、こうした方々に優先的に送るということで、このダイレクトメールをきっかけにして資料請求あるいは加入につなげていく。
また、次にありますとおり、ダイレクトメールを発送する時期に合わせてテレビ広告とか新聞広告をしていますので、こちらもダイレクトメールによって関心が高まったのと併せて、こういうテレビ広告等をやることによって実際の加入につなげていくということでございます。
今年度もタレントの優香さんにテレビ広告と新聞広告に出演していただいています。
それから、「国民年金基金の広場」を毎年お送りしたり、その他の広報としてポスターやパンフレット、ポスターは3万部、パンフレットは30万部作成して、毎年、内容を変えておりまして、お客様の方々により注目されるような媒体となるように工夫しています。
それから、インターネット、ホームページ等の充実を図っています。
次の2ページで、iDeCoについてでございます。
iDeCoは、おかげさまで150万を超え、約170万人近くまで加入者が増えてきておりまして、年々、特に会社員の方、あるいは専業主婦も含めた第3号被保険者の方たちに加入していただいております。
このiDeCoの広報活動について、この下にございますように、iDeCo公式サイトを立ち上げておりまして、今年度、これをより充実させていきたいということで、特に資産運用に関してコンテンツの充実などを図りまして、このiDeCo公式サイトをより多くの方々に分かりやすく使いやすいものにしていきたい。
具体的な内容については今、検討中でございます。
それから、②にありますとおり、私ども連合会と金融機関で連携して様々な普及活動を行っているところでございまして、特に今年度は地方でのセミナー、これを、ここにございますように、オンライン開催等を検討しながら、このコロナウイルス感染の拡大防止という観点も考慮した上で普及活動をしていく。
それから、コールセンター、あるいは④にございますようなパンフレット・チラシなどを作りまして様々な広報活動をしているということでございます。
一番下にございます公式サイト、それから、コールセンター・iDeCoダイヤル、これらについて、より活用しやすいように引き続き推進していきたいと思います。
説明は以上でございます。
○上田座長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、構成員の皆様から御意見、御質問などをお受けしたいと思います。
なお、議題(2)と議題(3)に関する御意見、御質問につきましては、この後、別途、議題(2)と議題(3)で詳しく取り上げさせていただきますので、御意見、御質問はその際に頂戴できればと思います。
具体的に言いますと、令和2年改正年金法の広報と、それから「いっしょに検証!公的年金」のリニューアル。
この2点に関しては、また後ほどということでよろしくお願いいたします。
それでは、皆様、御意見、御質問のある方は挙手でお願いします。
特にございませんでしょうか。
では、横尾さん、どうぞ。
○横尾構成員 構成員の横尾です。
よろしくお願いします。
各団体の取組を伺って、以前に比べて前進されているということがわかりました。
すごくいいことだなと思いました。
年金積立金管理運用独立行政法人さんの賞を取られたというのは、年金をきちんと投資で増やしていくための努力が認められたということだと思います。
そういったことは、一般の方から見て客観的にすごくいい運用をしたということがわかりやすく、もっとアピールされてもいいのではないかなと思いました。
以上です。
 ○上田座長 ありがとうございます。
何か、これに関して御意見といいますか、御説明などはございますか。
特によろしいですか。
○森構成員 GPIFの森でございます。
横尾先生、どうもありがとうございました。
私ども、『アジアンインベスター』という資金運用の関係で読まれているアジアの雑誌があるのですけれども、いろいろな観点から5年連続で賞を頂いていますし、あとはアメリカ等の一番ポピュラーな年金の広報雑誌『Investment & Pensions』のヨーロッパ版 Europeのほうからも受賞を頂いています。
そのトロフィーは私どものエントランスに飾ってあるのですが、ただ、やはり重要なのは皆様からお預かりした年金をきちんと増やしていくことでございますので、皆さんの信頼を得られるような形で、華美にもならないよう、広報していきたいと考えています。
○上田座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
では、野口さん、どうぞ。
○野口構成員 すみません。
既にいろいろ御指導を頂いているところでございますが、改めましてといいましょうか、私ども、やはりホームページが大きな手段で、そのホームページのセキュリティーの確保というものが日々の課題でございます。
その中で、やはり私ども、一番手本とさせていただいていますのが厚生労働省のホームページでございます。
その中で、例えばGoogle検索の在り方をどうするのかとか、いろいろ議論になったこともございますので、引き続き、また御指導を頂いて、きちんとしていきたいと思いますので、この連携の取り方でありますとか、またいろいろ御指導を頂ければと思っています。
よろしくお願いいたします。
○上田座長 ほかはいかがでしょうか。
では、ちょっと私から1~2点申し上げてもよろしいでしょうか。
まず、企業年金連合会さんの御報告についてです。
1点目は確定拠出年金を実施している事業主が運営管理機関の評価を5年に一度行うということが先般、努力義務になりました。
これについては、なかなか運営管理機関側からは広報しにくい事案かと思いますので、ぜひ企業年金連合会さんから積極的にこういった事項があるということをアピールしていただければと思っております。
先日、企業年金連合会さんが毎年実施されているDCの実態調査を拝見しましたら、昨年に比べるとかなり事業主の方にも認識が広がっていらっしゃるという感触を受けたのですけれども、大変重要な施策かと思いますので、引き続き、よろしくお願いいたしたいと思います。
2点目は、iDeCoの継続教育のお話です。
これは前々から個人型の継続教育をどうするかということが大変大きな課題として認識されておりましたので、国基連さんと企年連さんが連携されて、前向きにお取り組みいただくことは大変ありがたいことと思っております。
それから、最後にGPIFさんの御報告についてです。
一つはESG投資が最近盛んに取り上げられているのですが、世の中にはまだまだ認識の広まりが不足しているところがあるので、この点、いろいろと御説明をお願いできればと思います。
もう一つは、長期運用の重要性です。
特にこういう相場の局面においては四半期ごとの損益がややセンセーショナルに取り上げられるケースもあるかと思いますが、長期投資の重要性というところをぜひ強調して広く世間に御説明をお願いできればと思っております。
以上です。
企業年金連合会さん、御説明か何かはございますか。
○足利構成員 上田先生、ありがとうございます。
運営管理機関の評価はなかなかこれまでは行われていなかったところであると思っていますし、私どもとしてもいろいろ会員の事業主等をはじめとしてどういった取組をしていくべきかというものを今、各会員向けにこれからそういう取組を進めようとしているところでございますので、いろいろ関係の方々の御意見も今後頂きながら進めたいと思っております。
もう一つはiDeCoの点で、先ほど申し上げましたように、国民年金基金連合会さんから委託を受けて実施するということでございますので、今、連合会さんと事務的にいろいろ話を詰めさせていただいていますので、御指摘のとおり、連携を十分に図りながら進めてまいりたいと思っておりますので、国基連さんでも同様の認識でおられると思いますので、これもまた御指導のほうをよろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございました。
○上田座長 あと、特に皆様から御意見、御質問はございますでしょうか。
原さん、どうぞ。
○原構成員 ありがとうございます。
最初の資料1-1の3ページ、4ページ、7ページなどの方針ですとか、これまでの取組といったところについて、まさにそのとおりやっていただいてと思う次第なのですが、これまでの取組で情報が探しやすいとか、視覚的に分かりやすいとか、あと、年金制度の意義とか仕組みが分かりやすい、あるいは参加型ということなど、これは引き続き、これをベースに今後、これまでやってきた取組をさらにレベルアップといいますか、改善をするところはしていただいて、そして、3ページのような次のステップ、一人一人の選択とか行動につなげるとか、そういう役割を果たすほうへつながるという形で取り組んでいただきたいと思います。
そういった中では、これは年金広報コンテストの話は出てきたかと思うのですけれども、今年も行うイベントということで、参加型という形で行うということで、これは多くの人に知っていただいたり、作品を見ていただくという、いろいろな作品が出てくるので、知っていただくことにとっては効果が大きいと思います。
これは継続をしていただいて、そして継続することが大事であると思います。
やはり応募した人だけではなくて、一般の方々にこういうことをやっていますということを見ていただくのも良いと思いますので、こういう参加型とか学生の方との対話集会とか、率直な意見とか、そういうものをこちらから仕掛けていくことも含めて、こういうことは続けていっていただきたいなと思っております。
あと、これは7ページでしたか。
これは後のお話になるのですか。
いろいろな取組の中の個々人の年金の「見える化」というものは後ほどでしょうか。
○上田座長 これは後ほどです。
○原構成員 では、それをまず聞いてから。
○上田座長 ありがとうございます。
○原構成員 すみません。
コメントにしかならなかったのですが、以上です。
○上田座長 それでは、皆様から御意見を頂きましたので、続いて議題の「(2)令和2年改正年金法の広報について」に移りたいと思います。
まずは事務局から御説明をお願いいたします。
○年金広報企画室長 では、御説明させていただきますお手元の資料2-1と資料2-2を活用させていただきながら御説明させていただきたいと思います。
まず、資料2-1の2ページ目を御覧ください。
令和2年の改正年金法の具体的な内容を記載したものです。
「改正の趣旨」については、御案内かと思いますが、より多くの人がより長く多様な形で働く社会という、社会の変化に年金制度をうまくマッチさせていくことを主な趣旨としています。
具体的には被用者保険の適用拡大ですとか、受給開始時期の選択肢の拡大等々の改正を行ったところです。
今日は、様々な改正項目の中で、年金広報検討会において皆様の御知見を頂きたい2つの改正項目に絞って御相談させていただきたいと思っています。
3ページ目を御覧ください。
まずは被用者保険の適用拡大です。
現行制度上、いわゆる短時間労働者、週20時間から30時間の労働時間で働いている方々については、企業の規模によって被用者保険、厚生年金の適用が異なっています。
具体的には、501人以上の企業で働いている場合には短時間労働者は被用者保険、厚生年金のグループに入る一方で、500人以下の企業で働いている場合には原則として入ることができません。
労使合意があれば入ることができますが、労使合意で短時間労働者を適用している事例は、あまりありませんので、実態としては企業規模500人のラインで短時間労働者の被用者保険、厚生年金の取扱いが異なっています。
今回の制度改正では、少し時間をかけてゆっくり施行することにはなるのですが、2022年10月から100人、2024年10月から50人ということで、段階的にこの企業規模要件を引き下げていくという見直しを行うことになっています。
4ページ目をご覧ください。
被用保険の適用拡大は、立場によって受け止め方が異なります。
まず事業主目線で申し上げますと、短時間労働者の方々、該当する20時間から30時間の労働者の方々が多ければ多いほど事業主負担が増えます。
保険料の負担が労使折半になっているためです。
そういう意味では事業主にとってはあまり、言ってみればハッピーではない改革と捉えることが出来ます。
次に、労働者目線で申し上げますが、どの被保険者なのかによって受け止め方が異なります。
いわゆる単身のパート労働者の方々や自営業者の配偶者といったいわゆる国民年金第1号被保険者の方々につきましては、基本的に保険料はもともと自分1人で払っていたものが労使折半になりますので減ります。
さらに受給額は1階部分の基礎年金のみであったものが、2階部分の厚生年金がつきますので、受給額が増えます。
負担が減って、給付が増えるという見直しになります。
一方で、いわゆる第3号被保険者、サラリーマンの夫ないしは奥さんの被扶養者である方々につきましては、もともとは被扶養者ですので、保険料負担はゼロですが、旦那さんなり奥さんの保険料の納付状況によりますが、基礎年金額は満額もらえるという状況です。
こちらが適用になりますと、ゼロであった保険料負担は労使折半ですので、労働者側の負担分がありますので、保険料負担が増えます。
受給額は、先ほどの国民年金第1号被保険者と同様に、2階部分がつきますので、受給額も増えます。
負担も増えて給付も増える、こういう形になるわけです。
従って、ひとえに被用者保険の適用拡大は、給付の面からは労働者側にメリットがある話なのですが、保険料負担が増えるという観点からは、現在、第1号被保険者でいらっしゃる方々と第3号被保険者、いわゆる被扶養者でいらっしゃる方々では、見えている世界が若干違うと思っています。
5ページ目をご覧ください。
現行制度の企業規模要件を導入したのは2016年10月からですが、その当時501人以上の企業で働いていらっしゃった短時間労働者の方々が適用拡大によってどういう行動を取ったのかについて、アンケート調査を実施した結果がこちらにです。
左側の真ん中辺りをご覧ください。
第3号被保険者についてですが、制度導入当時は、やはり被扶養者である第3号被保険者の方々は、労働時間を短くして被用者保険の適用を逃れようという行動を取るのが一般的なのではないか、と推測していました。
しかしながら、実際に、蓋を開けてみたら、労働時間を延ばす、ないしは労働時間をそのままにすることによって、被用者保険に加入した方々が54.4%、労働時間を短縮された方々が36.9%で、実は労働時間を延ばす、ないしは維持することによって、被用者保険、厚生年金に加入した方々のほうが、労働時間を短くして加入を逃れた方よりも多かった、こういう結果になっています。
第1号被保険者については、加入した方が加入を逃れた方より多いのは、当初の予想どおりだったのですが、第3号被保険者については、加入された方が多かった点が、予想とは違う結果になったというわけです。
その要因について、個別の企業に対するヒアリング調査を実施し、分析してみたところ、従業員に対して事業者側が丁寧に被用者保険、厚生年金の加入メリットについて説明したことによって労働者の就業調整、加入逃れを回避することができたということが判明しました。
企業側としましても、労働者の方々が労働時間を短くすることによって、その他のオルタナティブな労働力を確保しなければいけない問題が生じますので、労働力にはいてほしいという思いがあり、従業員に対して丁寧に説明したとのことでした。
従業員に対して事業者側が丁寧に説明することによって就業調整を回避することができたのです。
このため、前回同様、今回もやはり、先ほどの年金部会の部会報告の中にもありましたが、事業者側が従業員に対して丁寧に説明することが重要であると考えています。
6ページ目を飛ばしていただいて7ページ目を御覧ください。
こうしたことを踏まえて、今回の被用者保険の適用拡大に関する広報については3本柱で考えています。
まずはニーズの把握です。
左側ですが、先ほど申し上げましたように、事業主のマインド、そして、従業員においても、第1号被保険者の方と第3号被保険者の方では、それぞれマインド、ニーズが異なると考えています。
そういった異なるマインド・ニーズというものを様々な広報ツールを使いながら分析して、どういった層がどういうマインドなのかということをまずは事前に分析しようと思っています。
次に、真ん中ですが、分析結果を踏まえて、ここが一番重要であると思っていますけれども、広報に関するコンテンツをつくりたいと考えています。
事業主向け、従業員向けに分けてコンテンツをつくりたいと考えています。
まず、特設ホームページの作成を検討しています。
この特設ホームページにアクセスすれば、年金制度や適用拡大について理解するためのマテリアル、資料が全てここにそろっているという状況をつくっていきたいと考えています。
事業主が従業員に対して説明できるような分かりやすいリーフレット、従業員が見て分かるようなパンフレット、そして、様々な方がアクセスしやすい、見やすい動画を特設ホームページに掲載しようと考えています。
これらに加えまして、影響額シミュレーションと書かせていただきましたが、用拡大に伴って20時間から30時間の短時間労働者の方々について被用者保険、厚生年金を適用した場合に事業主負担は一体どのぐらい増えるのか、といったことを簡易にシミュレーションができるようなものをこの特設ホームページに掲載しようと考えています。
それに加えて短時間労働者の方々についても、自分が、第3号被保険者から第2号被保険者、第1号被保険者から第2号被保険者になったら年金額、年金保険料額どうなるのか、といったことも簡易にシミュレーションできるものとして年金アプリの開発を検討しています。
こちらは、資料2-2で詳細を説明させていただきます。
このようにして、作成したコンテンツは、モニター調査、ABテスト、インタビュー調査などを駆使しながら、日々改善させていきたいと考えています。
最後にの右側ですが、この作成したコンテンツをどんどんと発信していきたいと考えています。
特に2つ目の項目ですが、都道府県ごとに専門家を配置して、こういった専門家の方々の協力を得ながら事業主向けのセミナーなどを開催していきたいと考えています。
もちろん、このセミナーでは作成したコンテンツを使いながら説明していただきたいと考えております。
さらに業界団体ともうまく連携しながら、業界団体が主催するミナーにこういった専門家を派遣して制度の普及・啓発を図っていくことも併せてやっていきたいと考えています。
前回の501人と今回のの50人という企業の大きな違いは、やはり自社で社会保険の専門家を雇っているかいないかという違いがあると思っています。
そういった意味でもこの専門家活用事業をうまく駆使しながら、自社で雇っていなくても社会保険の意義を事業者側が労働者側に伝えることができる機会をつくっていきたいと考えております。
影響額シミュレーションに関連して、先ほど飛ばした6ページ目を御覧ください。
年金の受給開始時期の選択肢は、原則65歳ですが、これまで60歳から70歳までの間で本人の希望によって変更することが可能でした。
60歳に繰り上げてもよいですし、70歳に繰り下げてもよいということです。
その場合に年金額が下がったり上がったりする、こういう仕掛けでしたが、令和2年改正年金法においては、今後、長く働くことを希望する人もいるだろうということを見越して、これまで70歳であった繰り下げ可能期間を75歳に引き上げるという見直しを行いました。
先ほどの適用拡大の流れとも言ってみれば趣旨・目的を一にするわけなのですが、実際、繰り上げたら、繰り下げたら自分の年金がどうなるのだろうということを簡易にシミュレーションできるものが必要なのではないかと考えています。
資料2-2をご覧ください。
1ページ目を御覧いただきたいと思います。
年金額について、先ほどの適用拡大によって、自分が第1号被保険者から第2号被保険者になったらどうなるのだろう、第3号被保険者から第2号被保険者になったらどうなるのだろう、自分の年金受給開始年齢を65歳から70歳に繰り下げたらどうなるのだろう、75歳に繰り下げたらどうなるのだろうといったものを分かりやすく見えるようにしていきたい、正確に伝えていきたいということを一義的な目的としつつ、さらにこれに加えて、公的年金のみならず私的年金等も加えて、個々人の現在の状況、将来の見通しが全体的に見えるというものにつなげていくための取組の一つの手段にも資するべく、現在、年金アプリの開発を検討しています。
具体的な流れのイメージですが、利用者がまず年金アプリを携帯電話などにダウンロードしていただきます。
それで、年に1回お届けしている年金定期便にQRコードを付し、利用者が年金アプリでQRコードを読み込むと現在の年金額と将来の見込額が年金アプリ上で表示されます。
これによって、自分の年金額が簡易に把握できるとともに、アプリ内に簡易な計算機能を付すことによって、例えば年金受給開始時期を65歳から70歳に引き上げたら、その年金額、見込額はそれぞれ幾らになるのか見てみたい場合には受給開始年齢を65歳から70歳に設定し直していただけるようにしたいと思っています。
加えて、第3号被保険者から第2号被保険者になることによって、標準報酬幾らで、何年働くとどうなるかということについても年金アプリ内で簡易に試算できるようにしていきたいと考えています。
さらにも、家計簿アプリなど、様々な民間アプリがありますが、年金アプリは、民間アプリとCSVという形で情報連携ができるようにしようと思っています。
御本人が望めば公的に加えて、その他の金融資産というものも併せて表示することもできるようなことも考えています。
1年ぐらい時間をかけてこういう公式アプリの開発を検討していきたいなと考えております。
私のほうからの説明は以上です。
○上田座長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、皆様から御意見、御質問をお受けしたいと思います。
御意見、御質問のある方、挙手でお願いいたします。
富永さん、挙手されていましたか。
○富永構成員 はい。
今、手を挙げました。
富永です。
発言、大丈夫ですか。
○上田座長 はい。
どうぞ。
○富永構成員 この変革は制度全体のよりよい運用ということで必要なことであると思うのですけれども、今、社会とか個人とか企業からしてみると負担が増えるように感じられる変革なので、ネガティブなリアクションが返ってくることが予想されて、今、いかにそれをコントロールしていくかということが多分、広報活動の要諦ではないかと思うのです。
そこで、そもそも日本の年金がいかにいいかということをきっちり伝えて、例えば諸外国と比べていかにいい運用をするかとか、いかに公平かとか、そういうことをきっちり伝えた上で、それは今回の改革というものはより公平性を増すためにやることであるみたいな感じで言うと受け入れやすいのではないかと思うのです。
この種の話はなるべくポジティブな形で冷静に理解できるかということが大事だと思いますので、とにかくいかにいいことをやっていて、いかに公平かということが残るようなやり方をすればいいのかなと思います。
それから、国民といいますか、被保険者がこういう選好といいますか、チョイスをすることが好ましいということがもしあるのだったら、それを取り込んだ形のユーザーインターフェースですとか、それから、いろいろな表現上の手段もその中にうまく盛り込んでいくと、そういう効果が大きいと思いますので、もし何かそういうところはまた別途御相談に乗ろうかと思っております。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
では、殿村さん、お願いします。
○殿村構成員 殿村です。
発言させてもらいます。
すばらしい計画だと思うのです。
今、富永さんがおっしゃったように、これからコロナ禍のもと、以前の人材不足から一転、人材を切るような方向性に行くと思うので、負担が物すごく増してくると思うのですが、それに対して一人一人にアプリまでつくって対応するのはとてもいいと思います。
ただ、コンテンツ的にはそろっていると思うのですが、今の人たちはそのコンテンツに行き着くまでの導入の言葉が必要なのですコロナ感染予防のために3密とかステイホームといった言葉がつくられたように、一言で分かる言葉がないとそこに興味を持たない。
そういう認知の仕方になっていて、これはSNSであるとかネットの影響だと思うのですが、いかにそこにたどり着く言葉をつくるかということが課題になってくると思うのです。
それがあって初めて、このアプリやいろいろなホームページの仕組みというものが生きてくるのではないかなと思うので、その言葉づくりも検討の中に入れておいたほうがいいのではないかなと思います。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
あと、太田さん、先ほど挙手されていたので、お願いします。
○太田構成員 太田です。
ちょっとアプリの件が出ていましたけれども、別でアプリの件、御相談を頂いたりとかもしていたのですが、いま一つアプリにする意味がよく分からなかったかなというのがあって、あれは年金定期便が来たときにQRコードを読み込んで、自分の年金をシミュレーションするということであると、別にブラウザで飛ばせばいいのか。
アプリは結構、使用頻度が高いときにはかなり有効なものだと思うのですけれども、プログラムのサイズとかでいっても結構大きいものになりそうなところで、仮に年に1回使うということを想定しているのだと、アプリにする意味があまりないのかなという気がしたのですが、何か違うユーザーシーンみたいなところを想定されているのだったらちょっとお伺いしたいなと思ったのと、単純に年金定期便が来たことをきっかけとして自分のシミュレーションをしてもらうということであれば、あまりアプリは必要ないのかなというのはちょっと思ったのですけれども、もしその辺、コメントがあれば聞きたいです。
○上田座長 ありがとうございました。
では、どうぞ。
○年金広報企画室長 ありがとうございます。
太田委員の質問の関係ですが、このアプリ自体は年に1回、年金定期便が来たときに自分の年金額の気づきを与える目的というよりは、むしろ今回の適用拡大や、受給開始時期の選択肢の拡大などの普及・啓発を目的としています。
特に適用拡大の場合、対象になる労働者の方々は就業調整するかしないか、今後の自分の働き方をどうしようか検討されると思います。
こうした方々が検討する際に、実際に年金がどういうふうに変化するのかということを認識せず、旦那さんや奥さんといった家族の意見だけで就業調整することを決めてしまうことや、パートさんのコミュニティーの中で発言力の強い人の意見に強く影響を受けて就業調整することを決めてしまう、ということが結構現実に起こっているように考えています。
年金アプリのように簡易に計算できるものをつくることによって、自分自身が例えば第3号が第2号になって、労働時間はこのぐらいで給与がこのぐらいだとすると、将来の年金額がどのように変化するのかということを簡易に見られるようにしたいというのが、検討の端緒です。
ねんきん定期便情報を手入力していただければいいのですが、定期便情報を入力せずにQRコードで読めるようにすると、特に若者たちも関心を持ってくれるのではないか、定期便が来ても全く見ないといったことが減るのではないかなということも期待しています。
適用拡大によって、多くの短時間労働者の方々が、2年後、4年後に自分の労働時間や働き方を考えなければいけないという局面を迎える中で年金アプリによって、年金に対するいわゆる距離感を縮めていただきたいなということを企図しています。
○太田構成員 分かりました。
ありがとうございます。
○上田座長 ほかの方はいかがですか。
では、横尾さん、お願いします。
○横尾構成員 横尾です。
よろしくお願いします。
この新しい制度の改正年金法の広報について、御説明ありがとうございました。
それで、ちょっと私のほうで少し気になったのが、この改正年金法が終わった後も多分、改正した場合、しますね。
改正改正年金法になるわけではないとですね。
そうすると、これは「令和2年改正年金法」でセットなのでしょうか。
○年金広報企画室長 御指摘の通りです。
○横尾構成員 分かりました。
この令和2年の改正法が10年続くということですか。
10年ぐらいかける。
○年金広報企画室長 4年3か月です。
2024年10月というのが最後の施行日になります。
○横尾構成員 そのときにやっているのは令和2年の改正年金法。
○年金広報企画室長 そうです。
令和2年改正年金法で企業規模要件を、今、500人とあるものを、2022年ですから、令和4年10月から100人、令和6年10月から50人に改正するものです。
法律の改正自体は令和2年、今年の5月に行ったのですが、それぞれのスタートが令和4年であったり令和6年であったりということです。
○横尾構成員 それは、例えばなのですけれども、もしかしたら令和3年に何か新しい年金の改定がある可能性もあるわけですね。
○年金広報企画室長 現在、私どもの方で何も想定していませんが、あり得ないとも言えないです。
○横尾構成員 分かりました。
そうすると、やはりこの「令和2年改正年金法」という名前は社内で流通させる名前だと思うのですが、この制度の名前はもう変えられないのでしょうか。
○年金広報企画室長 便宜的に令和2年改正年金法というふうに呼んでいるだけでと申しますか、私どもの間の共通言語として使っていたということです。
制度の呼び方については検討させていただきます。
○横尾構成員 社内で年金のことを毎日やっている方々にとって、何年に始まったかというのは分かりやすい指標で、スケジュールも立てやすいですし、いろいろな制度がいろいろなところで起きているときには社内で大変有用性の高い名称であると思います。
しかしながら、今回の年金広報検討会は良い機会ですので、これから新しい制度を広報していこうというときに、まずネーミングを国民にわかりやすく変えることを、ここから始めてはいかがでしょうか、というのが1点目の御提案です。
具体的には、何を改正しているのかということが分からないと、対象者ではなく年金制度の内容が変わってしまったかのような印象もありますし、「令和2年改正年金法」という名前を、もっと、内容を自明なネーミングにされてはいかがでしょうかということです。
次に、2点目なのですが、先ほどのご説明で、マインドとかニーズとかを把握されて対応していくのはすごく大事であるということをおっしゃられていて、そのときにモニター調査などをやるということが入っていたので、その点について、大変良い取り組みであると思いました。
ぜひやっていただきたいなと思います。
モニター調査をするときですが、インタビューとかをする場合と、モニター調査というものは少し分けて考える必要があると思います。
インタビューの場合は、回答者の視点でみると、年金制度の関係者に対して答えるという心構えがあるので、インタビューの質問者側への気遣い等も出てきます。
一方、モニター調査においては、具体的なやり方について注意すべきことは多々ございますが、それらの対応が上手くいけば、今までのインタビュー調査では得ることができない本音の部分に触れることができるのが、今回のモニター調査の価値になると思います。
私たちなどは、そういうモニター調査をいかに意味のあるものにしていくかということを日々、調査研究しているわけなのですけれども、その点、今回のモニター調査の内容を充実し良い形でスタートをきれると、今後の年金広報のさらなる発展のためにも大変よい取り組みになるのではないかなと思いました。
3点目なのですが、これは全体の話で、制度の広報の基軸となるメッセージ戦略としては、先ほど富永構成員のおっしゃっていたようなことがすごく重要であると思いますし、導入のきっかけ、トリガーになるようなものも殿村さんのおっしゃっていた御意見とも全く私も同意見です。
このメッセージ戦略、この制度はどのようなものなのかという、私たちの言葉でいうと概念モデルを頭の中に構築するというのですけれども、「これはこういうものなのだなという理解する」、その「メッセージ」の話と、「細かい内容の理解の促進」というものを分けて考えられたほうがよりいいのかなと思いました。
今回、様々なご説明を聞いている中で、「内容をきちんと理解さえできればメッセージが伝わるのではないか」という錯覚を起こす方も、社内の方にはいらっしゃると思うのです。
なぜならば、よかれと思ってやっていることだからです。
この錯覚は、企業としては一押しの保険商品の広報プロジェクトなどでも起きやすく、対策が必要なものです。
どんなに素晴らしい内容であっても、そもそも、国民側が「自分達にとって嫌なことをしてくるのではないか」という心構えで、「どういう嫌なことをしてくるのだろうか?」という気持ちで聞かれてしまうと内容がまったく頭にはいってこない、理解できないということがあります。
この点、イメージ戦略といいますか、メッセージ戦略ということが大事だということです。
具体的には、この「令和2年改正年金法」はそもそも、まず「従業員にとっていいことをしようとしている話であったのだ」というざっくりした理解がないと内容の理解をし始められないのです。
3つ目にご提案したいことは、今お話ししたメッセージ戦略の話と「内容が分かりにくい」ことを解決するという話はまた別の話だという認識でこの広報検討をおこなっていくと言うことです。
例えば、内容が分かりにくいという点に関しては、図であるとか、書き方であるとか、いろいろな表現の仕方であるとか、そういったことを見直していくことで年金全体の分かりやすくしていく必要もあろうかと思います。
このメッセージ戦略の話と、わかりにくさの解消という話は、両方とも年金広報で取り扱うべき議題かと思いますが、それぞれ実行すべきことは異なりますので、この2つを別けて年金広報を取り扱っていってはどうか、というのが3点目の提案です。
4点目としては、GPIFさんの取組の賞を取った話もそうなのですけれども、先ほど富永さんがおっしゃっていたように、今回の「令和2年改正年金法」の広報と合わせて年金自体の理解や信頼構築を行うことは、良い機会であると同時に、必要不可欠なことでもあると思いました。
情報の受取手が、そもそも年金が悪いものであると思っている前提からスタートして聞くと、本制度の根幹に対する理解が得難いためです。
国が自分たちのお金を奪おうとしているのではないかみたいな気持ちを持っている方もやはりいらっしゃるので、そういう気持ちで、今度は何を奪われるのだという気持ちで、情報を受けとってしまうと話が理解できないので、まずは年金を理解してもらおうという話になってくると思うのです。
その中で、ポイントとなるのが、多くの国民が、年金の資金を投資で運用しているということをそもそも知らない上に、「投資は失敗の可能性が高い、ギャンブルである」と思っている人が一定数いるという点だと思います。
情報が上手く伝わらないことで「そんなギャンブルまでされていたなんて!」というような誤解をされてしまうことは避けたいところですが、過去にそういう誤解に基づく記事がインターネット上に書かれているのを私も読んだこともあります。
賞を頂いている、客観的に評価されている、ということは、本当にトップページで何度も出したほうがいいのではないかというぐらいに、個人的には思っています。
「私は信用できるのです」と自ら10回言うよりも、海外からもこんな風に評価されている、外部機関から賞を頂いている、という方が、よほど分かりやすいといいますか、不信感を持っている人には伝わるきっかけになると思いますので、同じことを2度言っているようなものですが、賞の話をもっとアピールされるのは、是非前向きにご検討頂きたいと思いました。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
では、原さん、どうぞ。
○原構成員 ありがとうございます。
2点なのですけれども、どちらからでもいいのですが、まず改正法の広報というところで、これはやはり適用拡大のところについてはターゲットを分けて、そのターゲットごとに異なる内容・手法で広報していくことが大切で、おっしゃっていましたけれども、従業員向けとか働く人向け、そして、事業主向けではもちろん発信する内容とか手法とかというものは変わってくると思います。
さっきの説明の図にもありましたが、あれには500人以下というところでなかなか自力でそういった説明とかができない。
100人とか50人単位になってくるとなかなかできないところが多いと思うので、都道府県単位などで事業主ですとか従業員に対して、ここにもありましたけれども、きちんとアドバイスできるような専門家の方の確保とか活用は必須ではないかなと思っております。
その方々がそれぞれまちまちな話をするということではなくて、共通な認識で共通コンテンツ、リーフレットなどを使ってもらって、特に事業主向けにはきちんとセミナー等でそちらのお話をしたり、もちろん、年金の仕組みから始まるのかもしれませんが、適用拡大とか、そういったことを説明したり、あるいは必要であれば相談会をしてもらったり、きちんとこの改正について理解していただく、そして、行動を起こしていただくというところまで見届けることは必要な体制であると思います。
その際、業界団体の方々との積極的な連携とありましたけれども、そういったところですとか、あとは専門家の皆様、関係する方々のご協力はぜひ仰ぎたいところだと思いますので、これも改正法として決まって、施行日も決まっているものなので、そこに向けてきちんと説明をしに行くというスタンスでやっていただければと思います。
2つ目はアプリについてなのですが、先ほど年金アプリというお話がありましたが、やはり所得代替率であるとか給付水準が何%といっても、なかなか一般の方は皆さん、イメージが湧かないと思いますので、目安額という意味でイメージを出すことは非常に大事であると思いますし、考え方を示すことも大事だと思います。
私は、特にねんきん定期便を使うのはいいアイデアだなと思いました。
企業のセミナーなどでやっていますと、50歳未満の方がどうしてもねんきん定期便に将来の額が入っていないので自分の額が幾らかと結構言われます。
そういった意味では手軽に今、ほとんどスマホで見る時代なので、スマホで、ねんきん定期便は21歳から届きますから、若い人にも使ってもらえればといいアイデアだと思います。
10年前にはならないのですが、そのぐらい前に、あるプロジェクトで私もそういったことをやったことがありまして、それは、先ほどもおっしゃられていたのですけれども、将来の年金額であるとか、いろいろなものを組み合わせて、生活費とか、それらがどうなっていくのかというものをパソコン上で見せていくというものでしたが、目安額という前提で見ると、棒グラフとか折れ線グラフでやったのですが、そういうものは将来のイメージが湧きやすいので、そこから質問が出たりとかもしましたけれども、すごくイメージが分かって、皆さんに将来像を描いていただく意味ではいいと思います。
まずは公的年金の将来の額であると思うのですが、いろいろなところと連携してというお話もありましたけれども、目指すところは企業年金や個人年金といった私的年金とか、あとはそれぞれが希望する将来像、生活費とか、そういったもの、年金の受け取り方をどうするか、支出はどのぐらいなのかとかという、それぞれが希望する老後の生活がこのまま行くと収入と支出がどうなっていくのかというのが見えるようなところまでなどと連携してでもいいのですが、持っていけるとすごくイメージを出すことができていいのではないかと思います。
何となく将来に不安である方に対して何か安心材料の一つになるといいのではないかなと思います。
それで、老後の資産形成とかを考えてもらうきっかけにもなると思いますので、若い人向けにもいいのではないかなと思います。
そういった意味ではきちんと説明するところは説明するものが必要ですけれども、こういったイメージとか概算とか、そういったものを出す、試算額を出してあげるものは手軽にできるものも必要であると思いますので、こういった取組ができるといいのではないかなと思いますし、いろいろなもので年金の情報を発信していくことはすごくいいのではないかと思っております。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
ほか、御意見は。
森下さん、どうぞ。
○森下構成員 すみません。
皆さんと大体同じところが多いのですが、一応、私からも発言させていただきます。
一つがアプリとか、あの辺の話になるのですけれども、やはり民間のデータが連携できる話とか、すごくいい取組だと思います。
その年金アプリが必要かという議論と重なってくると思うのですが、受け手からしたら、年金について自分で何かを変えていきたいという意欲よりは、自分のライフプランを立てたいとか、何か将来の生活設計をしたい。
そういうニーズの中で多分出てくる課題の一つが年金だと思うので、そういうふうに捉えてもらえるような広報の仕方を今後されるとやはりいいのではないかなと思いました。
そのときに、太田構成員もおっしゃっておりましたけれども、年金アプリ単体の必要性があるのかなというのは私もちょっと思うところがありました。
もちろん、展望としていろいろ活用の可能性があるということだったのですが、民間との連携というものは非常にヒントがある手段なのかなと思いましたので、ぜひ議論を進めていただければと思います。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
あと、殿村さん、どうぞ。
○殿村構成員 一言だけなのですけれども、私、中小企業のオーナーなので、その立場からも思うのですが、先ほど事業者に対しての説明が一番聞くというご報告があり、事業者が従業員にどういうふうに話をするか、また、話をさせることが一番大事であるというフレーズがありましたが、このセミナーについて、事業者に最も影響力を持つ人が行わないと効果が期待できないと思います。
たとえば銀行と税理士のような方です。
また、社労士さんの言うことはもちろん聞くのですが、一番聞くのは銀行と税理士かなと思います。
そういう場合に、セミナーを開く場所とか対象に工夫が必要だと思います。
銀行のセミナーや、税理士対象のセミナーでも良いかもしれません。
税理士からちょっと説明してみるとか説得してみるとか、伝え方についても少し考えたほうが事業者には効率的なのではないかなと思います。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
では、横尾さん。
○横尾構成員 横尾です。
私も殿村さんと同じく事業者の規模の話なのですが、本件を、今回の対象事業者を、500人以上の人たちを雇っている規模の企業と同列で考えるのは、絶対にしないように全員で共通認識をもってやっていくことが大切だと思いました。
といいますのは、事業規模が違うので、500人いれば確かに、みんなを集めて社内セミナーで伝えることもできると思うのですけれども、50人程度だとそもそも、まず全員を集めることも多分難しいでしょうし、事業主から従業員へ説明をすることもすごく難しさがあります。
それ以上に大きな違いとなってくるのが、それだけ規模が少ないと社長との距離がすごく近いとう点で、この制度の説明で労働時間の話をするだけで、この人は自分をやめさせようとしているのではないかとか、何かいろいろな憶測を呼んでしまうというようなこともあると思います。
500人規模だったから制度の説明だという、気持ちで聞けるのです。
そういった意味でも、今回のプロジェクトに関わる方々全員で同じ認識を持ってプロジェクトを進められるようにするためにも、「マインドやニーズを把握するためのモニター調査については、できるだけプロジェクトの初めにやって、皆さんの肌感覚みたいなものを捉えて進めていけると一番効率的かなと思いました。
○上田座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
富永さん、どうぞ。
○富永構成員 さっきから出ているアプリの話なのですけれども、私は今、自分のスマートフォンに銀行のアプリとか東証のアプリとかを入れていて、結構見るのです。
これは生体認証でパスワードを入れなくてよくなってからすごく頻繁に見るようになって、何を見ているかといいますと、自分のカウントが増えているとかを見ると楽しいかなみたいな、ちょっとそういうものを見たりしているのです。
よく考えたら、そういうことはあると思うのですよ。
年に1回、年金定期便が来たらいろいろなカウントがたまっているし、確定拠出年金でもいろいろたまっているし、あと、主婦の人がポイントがたまって、それを確認するのがうれしいとかがあると思うのですよ。
そういうふうに何か見てうれしいようなコンテンツとかインターフェースをつくって、ユーザーがアプリに接触する回数を増やせば増やすほど、ユーザーからのアプリに対するエンゲージメント、ひいてはアプリを通じて年金に対するエンゲージメントが上がっていくと思っていて、一旦そうなったら相当のことが解決するのではないかと思って、アプリを通じた啓蒙とか、アプリを通じたコミュニケーションとか、アプリを通じたインベストメントとかということがやりやすくなるのではないかと思うのです。
もちろん、そうなるためにはアプリ自体のマーケティングをしなければいけないという難しさもあるのですが、そういうやる価値があるべきだと僕は思いますし、それから、もしそれができるのだったら、例えばアプリをダウンロードしてくれたら、ある時期の保険を増額してあげるみたいな報酬を入れればたちまち広がるような話だと思うので、何が言いたいかといいますと、コンテンツとかインターフェースを工夫して、なるべく接触頻度を高めるようなアプリができるとよいなと思っています。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
事務局から何かございますか。
○年金広報企画室長 皆様、いろいろな示唆に富む御指摘、ありがとうございます。
まさにそういったことをこれから考えていかなければいけないなということで、今日は基本的なコンセプトといいますか、基本骨格の紹介にとどまっております。
現在、適用拡大に関する特設ホームページ、リーフレット、動画、影響額シミュレーション、アプリなど、いろいろなコンテンツを検討しているところですので、次回以降、具体的なものをお示ししながら皆様から御意見を頂きたいなと思っているところです。
殿村委員から導入の言葉が必要ですとか、横尾委員から、言ってみれば年金自体の理解が重要などの御指摘をいただきましたが、まさに御指摘のとおりだと考えております。
適用拡大のリーフレットは適用拡大だけ書いては意味がなくて、年金自体を正しく理解してもらうところから始めていかないと適用拡大の理解にまでは至らないなとは思っています。
そういったリーフレットにつきましても、公的年金とはというところに立ち返って、その上で適用拡大という意味を解いていかないと意味がない、そして、説明するプロセスの中でみんなが関心を持ち続けてくれる言葉をうまく使っていかなければいけないなと考えています。
アプリにつきましても、1年ぐらいかけてじっくりと開発していきたいと思っております。
あまりこういった部分について、私どもは、十分な専門的な知見を持ち合わせておりませんので、また皆様から御意見を頂きたいと思っています。
あと、専門家派遣事業について原委員から頂いた御意見ですけれども、まさにおっしゃるとおりであり、アドバイスできる専門家を確保することが非常に重要であると考えています。
今回の適用拡大は50人というところでとどまっていますが、実はこの適用拡大については、企業規模要件はそもそも将来撤廃すべきものと位置づけられており、50人よりさらに先、企業規模要件廃止に向けて今後も検討を進めていかなければなりません。
適用拡大の趣旨を正確に従業員、事業者に説明できるような社労士をはじめとする専門家を育てていきたいと考えておりますので、次の制度改正も見据えながら、専門家の皆様の育成を進めていきたいと考えています。
500人と50人で全然フェーズが違うだろうという御指摘はそのとおりですので、そういう意味では前回501人という企業規模要件を入れたときよりも広報に力を入れてやっていきたいと思っております。
私のほうからは以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
それでは、大分時間が押してまいりましたので、続いて議題の「(3)『いっしょに検証!公的年金』のリニューアルについて」に移りたいと思います。
まず、佐藤室長のほうから御説明をよろしくお願いいたします。
 ○数理調整管理官 年金局数理課の佐藤です。
よろしくお願いいたします。
当課では5年に一度の財政検証を行っておりまして、将来の財政の見通しを作成して年金財政の健全性を検証するということを行っています。
その財政検証について分かりやすく解説するホームページということで「いっしょに検証!公的年金」というホームページを開設しておりまして、その中で漫画を使って財政検証について解説するということを行っています。
漫画ではあまり専門的・技術的なことよりも年金財政の基本的な仕組みとか、その背景にある制度の考え方とか、そういったものを解説することに努めているものであります。
まさに今、御覧いただいているものがその漫画ですけれども、年 金子(とし かねこ)という社会保険労務士という設定のキャラクターを使って、家族が持っている年金についての疑問に答えたりとか、あと、誤解を正したりとか、そういったことで解説していくということになっています。
それで、漫画があって、その下にまた細かい解説を行うという形でホームページをつくっているところであります。
資料3に移ってもらって、このホームページの漫画を今回はリニューアルというものを考えておりまして、このリニューアルするのは、このホームページをつくったのは2014年5月ということで、つくって6年ぐらいたつわけですが、その間に、まず昨年、新しい財政検証を行って、今年、制度改正を行ったということなので、それに合わせるということと、あと、つくって6年たって、やはり6年の中には内容についてもこういった説明も加えたいなとか、説明を変えたほうがいいのではないかというところも出てきましたので、半分ぐらい漫画をつくり替えてリニューアルしたいと考えています。
それでリニューアル案としては、まず一つは、全部で12話あるわけですけれども、12話が平成26年の財政検証を基にオプション試算の解説というふうになっていますので、そこは昨年の2019年財政検証をベースに更新しなければいけないことと、やはり若い人に共感してほしいなということで、若い人に理解していただくために、例えばマクロ経済スライドは世代間の分かち合いの仕組みで、将来世代の給付を確保するためにやっているのですということとか、あと、若い人がやはり年金について不安に思っているのは少子高齢化ということであると思いますので、少子高齢化については、今はちゃんと厳しい見通しを織り込んで計算していますとは説明しているのですが、あまり数字を使って漫画の中で説明していなかったので、ここはちょっと数字も示して少子高齢化の影響をきちんと解説するということもやっていきたいなと考えております。
今後のスケジュールとしては、2年計画で考えておりまして、今年、漫画のリニューアル案としてストーリーをつくって、それであらあらのストーリーができたところにもう一回、この検討会でも御意見を頂きたいと思っています。
それで来年度に、そのストーリーを基に漫画を完成させてリニューアルするということを考えております。
リニューアル案について、ちょっと細かく、次のページを見ていただきますと、第6話までは基本的には今のままでいいかなと考えておりまして、ここでは公的年金の意義、年金というものは想定外のリスクに対応するためにあるのですという話とか、社会的扶養、世代間扶養の仕組みなのですということとか、2階建ての仕組みでやっていますということ。
あと、財政方式については世代間扶養の賦課方式を基本にやっていますということを解説しているところであります。
次のページに第7話以降をリニューアルしようと考えているところでありまして、右側の「リニューアル後(案)」というほうを見ていただきますと、財政方式について、賦課方式というものを第6話で説明しておりますので、その後の第7話に賦課方式を基本とする中で積立金の役割を解説していきたい。
特に積立金というものは将来世代の給付水準の確保のために使うのだということで、若い人の理解を得たいと考えています。
次の第8話は、これは2004年改革で導入された現在の年金財政フレームについて解説しているのですが、その中で財政の健全性を検証するのは、今の財政フレームの中では、将来の給付水準の十分性を検証しているのだということについて、はっきりと示していなかったので、そこを明確化することを考えています。
次の第9話は、財政検証の重要な要素は何なのかというところですけれども、特に大きく3つありまして、人口と労働力と経済ということですが、これが重要なのだという解説をする。
あと、将来は非常に不確実なので、前提については幅広く設定してやっていますということとか、幅広く設定するとよくどれが正しいのだということを言われたりするのですけれども、将来は分からないので、どれが正しいかという話ではなくて、それをも幅広く捉えて、将来どうしていくかということを考えていくことが必要なのではないでしょうかという話を入れたいと考えています。
次の第10話は、公的年金の給付水準というものは名目額で語られるものではなくて、実質的な、将来、何十年も先に老後生活の基本となり得るかどうかを見るのが大事ですので、実質的な額ということで、現役世代の賃金との相対的水準を示す所得代替率と、もう一つは購買力を示す物価で割り戻した年金額の2つで見ていますということ。
あと、マクロ経済スライドによって所得代替率は低下していくことになるのですが、経済が発展して実質賃金が上がっていくと年金の購買力は必ずしも下がるものでもないということとかも解説していきたいなと思っています。
次の第11話は、先ほども話しました少子高齢化の影響で、ここはちょっと数字を入れて、例えば人口構成で言いますと、1人の高齢者を支える現役というものは今から比べると最も厳しいところで4割ぐらい減っていくわけですけれども、労働参加が増えることと、あと、積立金を使うことで給付水準が4割も下がることはなく、モデル年金で見れば2割ぐらいの低下に収まっているのですと。
こんな解説を入れていければいいかなと思っています。
もう一つ、余命が延びる中で、これは昨年の財政検証でも示したのですが、長く働いて受給開始を遅らせると、この所得代替率の低下を補うことも可能なのですということ。
財政検証でも67歳ぐらいまで働ければ十分、今の高齢者と同じ水準の年金がもらえますというのを示しておりますので、そういったことも紹介していきたいなと考えております。
次のページの第12話ですけれども、世代間格差の正体ということで、これもなかなか難しいところなのですが、今の制度もマクロ経済スライドという世代間の分かち合いの仕組みを入れて、将来世代の給付水準の確保のための仕組みが導入されているのですという話をしたりとか、年金については税金が入っていたりとか有利なところもあるということとか、老齢給付だけではなくて障害給付・遺族給付などもあるのだという話とかをしたいと考えています。
あと、世代間格差について、これは今も漫画の中で入れているのですけれども、年金だけで見るのは必ずしも適当ではないという話とかをきちんと説明していきたいなと考えております。
最後の13話はオプション試算についての解説なのですが、これからの年金制度はどうしていけばいいかを考えてもらうということで、昨年のオプション試算の内容とか昨年の制度改正の内容を紹介していきたいなと考えています。
こういったリニューアル案を考えているところでありまして、本日御意見を頂ければ、それを踏まえて我々、しっかり受け止めて開発に入っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○上田座長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、皆様のほうから御意見、御質問をお受けしたいと思います。
いかがでしょうか。
殿村さん、どうぞ。
○殿村構成員 私、PRの専門家なので、使い方のほうになってしまうのですけれども、今、長い漫画というものは興味がないと最後まで読めないと思うので、年金について漫画を読めと言われてもなかなか最後まで読めないと思うのです。
それで、最初は4こまにしたほうがいいのではないかなと思うのです。
最初、4こまにしておいて、大体の内容を起承転結で伝えておいて、その後は長いマンガでも良いですが、検討の余地があるなら、動画にしたほうがよほど伝わるのではないかなと思うのです。
それと、漫画のテクニックなのですけれども、もうちょっとトレンドを考えて、かわいい主人公のほうが受けるのではないかなと思いますので、その辺り、もう一度、御検討の材料にしていただければなと思います。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
森下さん、どうぞ。
○森下構成員 私もよく出版コンテンツで漫画とかをよく手法として使うのですけれども、そもそも今回は前に使われた作家さんのフレームをリニューアルするという前提だと思うのですが、前回はこういう形で御意見を聞かれて、それを集約してコンテンツがつくられたという認識でよろしいのでしょうか。
○数理調整管理官 前回はこういった広報検討会というものが立ち上がっていなかったものですから、基本的には年金局のほうで作成して、それを公表したところであります。
○森下構成員 分かりました。
その上で意見なのですけれども、せっかく御意見を募るのであれば、必ずしも前のフレームをここまで踏襲するときに我々に意見をというよりは、さっき殿村構成員からもお話がありましたように、もう少しゼロベースから考える機会をどこかで持ったほうがいいのかなと思いました。
これだとリニューアルというほどリニューアルかなという気もしますし、時代に合ったコンテンツに改訂するというところだと思いますし、ちょっと目的が違うと思うのですが、あくまでここまで来てしまうと作家さんの御意向とか表現によってちょっと変わってしまうみたいなところもあると思うので、やはり最終的な、今回伝えたいファクトは何かというところの整理は多分、厚生労働省さんの中でされると思うので、もう少し何か抜本的な改革をするときに何か意見をさせていただくほうが建設的なような気もしまして、ちょっと不思議に思った次第です。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
横尾さん、どうぞ。
○横尾構成員 私のほうから幾つか質問もあるのですけれども、これは描き直すのでしょうか。
○数理調整管理官 はい。
つくり直すところについては全面的に描き直す予定です。
ただ、キャラクターは今、考えていたのは同じキャラクターを使おうかなと思っていたところです。
○横尾構成員 ということは、0~6話までは描き直すのでしょうか。
○数理調整管理官 0~6話は基本的にはそのままで、せりふとかは若干変更したほうがいいかなというところがあれば変更することは考えています。
基本的にはそのとおりということで考えておりました。
○横尾構成員 では、同じ作家さんでということですね。
○数理調整管理官 実はこれは一回、第12話を付け足したということをやったのですけれども、そのときも実は絵を描く作家さんは替わっておりまして、同じ絵を描いてもらっているのですが、今回も同様に同じような絵を描ける人に描いてもらうということになるかと思います。
○横尾構成員 分かりました。
では、まず御提案の1点目です。
0~6話のほうの文言修正はあり得るということなので、もし可能でしたら、これだけ専門家の方もいらっしゃるので、ここはちょっと直したほうがいいとか、そういった意見を、今回表現上取り入れられる部分については、取り入れてはいかがかなと思いました。
背景としてはといいますか、私は分かりやすさとか使いやすさとかを専門にしているのと、保険関係の情報伝達に関するモニター検証などをかなりの数をやっている機関なのですが、一般保険商品でも、情報の受取手がちゃんと理解できないと、ごまかされた気持ちになってしまい不信感に繋がることがあります。
一個一個は理解できるのだけれども、全部合わせたときにどう理解していいのか分からない。
そういうことが割と、難しいことを分かりやすくしようとして失敗する例としては結構あって、そのような場合に不信感が高まってしまうケースがあります。
この漫画は、これだけたくさんの情報を詰め込んでいらっしゃるので、教育的な意味合いがすごく強い情報伝達だと思います。
先ほどもお伝えしていたのですが、仕組みの理解とメッセージの発信は別で考える必要があり、広報では両方ともを兼ねる形でやることになるので、その点を一応、アドバイスをもらったほうが本当はいいのかなと思いました。
例えば「はじめに」は何のメッセージもないのですけれども「はじめに」で伝えたいメッセージはきっとあると思うのです。
できる範囲の改善はやってみては如何かなというのが1点目でした。
2点目の7~10話を変えるという点に関しても、同様にされてはいかがかなと思いました。
3点目は、今、漫画を若い人が読むときにいろいろなチャネルを利用されていらっしゃいます。
例えば毎日1日1回見ると無料になるような漫画のチャネルなどは多数ありまして、代表的なものは、「LINEマンガ」というLINEの漫画のブランドがあるのですけれども、そういうもので、別に1日1回しか見られないとかというふうに制限する必要はないと思うのですが、無料で読んでいただけるようにいろいろな漫画のチャネルとも連携されては如何でしょうか。
AmazonのKindleなども含めてだとは思うのですけれども、年金のページというところまでわざわざ来ない人も多いと思うので、チャネルをもっと拡大されてはいかがかということが3点目です。
4点目は、数字の話です。
私は海外の年金を先に理解していたので、日本の年金はすごくいいなということが理解できたと思っています。
言い換えれば、さきに年金の根幹となるメッセージ理解はできていたので、情報理解が可能であったということです。
年金の成果を伝えるときに、数字を載せていなかったので載せていくというお話自体は、大変良いことだと思うのですが、数字を判断できるだけのリテラシーが読み手にないこともぜひ配慮していただいて伝えるとなお良いのではないかと思いました。
その数字を客観的に理解できるようにしてあげる。
という意味です。
例えば何度も賞の話が出てきていますが、それはどういうことかといいますと、年金制度の広報をするにあたって、この数字の情報を伝える時であっても、投資の良しあしを判断できるほどのプロフェッショナルでない人が日本国民のほとんどになると思ったほうがいいと思うのです。
私の理解としては、例えばですけれども、経済の下落をしている場合においては、例えば下落率が10%であったときに5%になっていれば、下落はしているけれども、成績はいいわけですね。
頑張っているということです。
よくやっているのだというふうに分かるわけですが、自分の目の前の仕事を見ていて世界経済まで気にかける余裕のない人も多くいるので、そこまでの細微な変化に常に気づいているわけではないということも考慮する必要があると思います。
1年で評価すべきものなのか、10年で評価すべきものなのかとか、そういった期間であるとか、あとは何%であったらどうなのかということはやはり素人にはなかなか解らないので、それがいかなる価値があるものなのかということが分かるように伝えたい。
賞を取ったということもそうですが、客観的に分かりやすい、何も理解しなくても良いと分かるというような工夫をしていかれると、すごくいいことをされていると思うので、よりいいのではないかなと思いました。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
富永さん、どうぞ。
○富永構成員 今の横尾さんの話とほぼ同じかもしれないのですけれども、ここで提示された内容を全部、読者といいますか、国民が理解することは非常に期待薄なのだと思います。
たくさんのことを伝えようとした結果、一番大事なことが残ってしまうようなコミュニケーションになる心配が非常に大きいと思うのです。
この議論でなくて、1個目の議論で横尾さんから、メンタルモデルをちゃんと伝えるということがあったと思うのですが、それは本当に大事なことで、年金は一言で言ったらどんなものかということを分かりやすく伝えるということです。
先ほどの中には世代間の扶養というキーワードがあると思うのですけれども、それならそれで、その世代間の扶養なのだということだけは伝わり切るような言い方をするような話などもあると思うのです。
でも、ここで1つ思うのは、世代間の扶養と言ってしまうと自分事感が全然ないでしょうし、それから実際、年金というものは自分で掛けてきた掛金とまあまあ比例して、もらうときにはもらえるものだという理解をしているのです。
もしかしたら私は間違っているかもしれないのですが、もしそうであれば、投資という側面が強いので、自分でちゃんと積み立てて、自分で頂くのだという言い方をしたほうが読み手の関心を変えて、より自分事化するのかなということを思います。
すみません。
私、今、非常に乱暴に言っているのですけれども、メンタルモデル以外に何か伝えなければいけないことは幾つかあると思うのです。
とにかく言いたいことは、フォーカスして、最低限これだけは分かってもらわなければいけないということだけに絞ってから伝えないと、なかなか我々が意図している認知変容というものはできないのではないかなと心配だったので、ちゃぶ台返しっぽい話で申し訳ないのですが、意見を申し上げました。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
大分時間が押してまいりましたので、恐縮ですが皆さん、短めにコメントをお願いできればと思います。
では、原さん、どうぞ。
○原構成員 すみません。
ありがとうございます。
この漫画について、私はよく見るのですけれども、漫画自体のところももちろん見るのですが、その下に細かい補足の説明がついているので、それはかなり、若干細かくはなるのですけれども、すごく参考になるので、2014年にできてから割とよく見ているほうだと思います。
そういった意味では、最初の0~6話というところが、年金というものは社会保障制度で社会保険ということなど、その意義のところが一番のメッセージとなるかと思いますので、今回そんなにストーリーの変更はしないでよいと思いますが、そこはぜひ継続していただきたいと思うのです。
ただ、漫画自体で大分伝わりやすいようにするのはいろいろ御意見を伺いながらと思うのですけれども、内容的なところについては、まずは意義のところをしっかりと0~6話のところで言って、7話以降は財政検証とか、難しいところであるのですが、ただ、そこを理解していただくチャレンジといいますか、そこは続けていただきたいなと思いますし、そこの財政検証のところはやはり伝えないといけない内容ですので、漫画でなるべく砕いてわかりやすく説明しているので分かりやすいと思います。
また、補足説明も細かくしてあります。 
こういった意味では、いろいろ今まで6年ぐらいたって割と周知といいますか、伝わった部分もありますし、まだ伝わっていない部分もあると思うので、言葉の使い方とか、そういったところをなるべく分かりやすいように砕けて漫画のほうでは展開していただいて、補足説明もしっかりと入れていただいて、リニューアルといいますか、財政検証もあったことですので、必要かと思います。
一方では年金アプリという、概算の金額が分かるものがあって、一方では、こういう仕組みで公的年金はできているというようなものを細かく説明するマンガのページがあると理解しています。
そういった意味では、漫画ではあるのですが、非常に難しいところを丁寧に分かりやすく説明していると思いますし、マンガの下の部分でも詳しく補足説明していると思いますので、そういった意味ではぜひ、この部分はさらに分かりやすくするために、項目がたくさんあって大変だと思いますが継続していただきたいと思います。
最初の部分が一番伝えたいメッセージ、意義とかというところで、その次は財政検証というところが若干難しいので、その辺はリニューアルするときにより伝わるような工夫はしていただければと思います。
私はこの漫画はよく活用しているので、続けて、さらに読みやすく、とっつきやすいものにしていただければと思っています。
小学生などへの説明に使ったりしたことがあったので、さらに何か工夫して継続していただければと思います。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
横尾さん、挙手されていますか。
○横尾構成員 すみません。
最後に、富永さんの言っていた世代間扶養についてですが、私も今後の広報戦略の中ですごく重要であると思っていて、いつか話せたらと思っていたところでした。
私たちの言葉で言うと、世代間扶養というものは一つのメンタルモデルとか概念モデルとか、そういうものに該当します。
それに対し、「自分にとっての投資である」というのも概念モデルです。
どっちのメッセージ戦略でいくのかということを国としても、国の機関としても全員で統一して、今後の情報発信をしていくことが大事だと思います。
 世代間扶養というメッセージ、概念モデルは、多分、昔の若い人にとってはすごく魅力的であったのだと思うのです。
「自分の親は自分が面倒を見なければいけないけど、大変だな」というときに、「国が積み立ててくれて、一緒にやってくれるなんて、助かる」というとても魅力的なメッセージであったのだと思うのです。
ただ、今、核家族化して、高齢者がこれだけ元気に飛び回っている中で、今の若者がその人たちの面倒を見たいと孫が思っているかといいますと、「いや、高齢者は自分たちよりいい思いをしているね」と思っているぐらいの状況に、今の世の中があるのではないかと思います。
そうなってくると、世代間扶養というメッセージは、これからの年金を担う今の若い人にとっては、魅力的というよりは、むしろ負担に思ってしまう、ネガティブメッセージになってしまう危険があると思います。
世代間扶養というものは仕組みではなくて概念モデルだという共通認識も必要だと思います。
複雑な仕組みの一つの捉え方と言うことです。
第三のビールをコクがないと思うか、後味がさわやかだと思うかという、どう理解するか、という話になります。
この仕組み自体に対する表現である概念モデルが、今の年金広報は今の若い人により魅力的な「投資」にシフトしてきていると思います。
そこを統一せずに、両方の情報発信をていると、聞き手である国民にとってはごまかされている気がしてしまうと思います。
もちろん漫画だけのことではないのですが、広報検討会全体に対する一つの提案として、世代間扶養と投資のどちらのメッセージ戦略で行くのか統一していくことを提案したいと思います。
ありがとうございました。
○上田座長 ありがとうございました。
では、予定時間を大幅にオーバーしておりますので、佐藤室長、最後に何かコメントがあればお願いします。
○数理調整管理官 いろいろ御意見ありがとうございました。
財政検証自体がなかなか難しいものをいかに簡単に伝えていくかで、とにかく簡潔なメッセージが大事であるというものがまず一つあったと思います。
そこら辺、特によく考えて、いかに分かりやすくというところを考えていきたいと思います。
いろいろ難しい御意見も頂きましたけれども、御意見を受け止めて開発に当たっていきたいと思います。
今後もよろしくお願いいたします。
○上田座長 皆様、いろいろ御意見ありがとうございました。
それでは、時間も大分オーバーしておりますので、以上で議題(3)を終了したいと思います。
あと、もうお時間も大分オーバーしているのですが、全体を通じて何かありましたら、自由に御意見を、恐縮ですが短めに賜れればと思いますけれども、いかがでしょうか。
では、横尾さん、どうぞ。
○横尾構成員 すみません。
資料2-1の6ページ目の下のほうに、今回の年金の改正に、細かいところはあるのですが、この下の表があるかと思います。
減額とか増額率が書いてあるところで、こういった表現はもちろん、一般の保険などでもよく使われるのですけれども、私たちの研究機関での調査結果としても、この表現方法は、分かりにくいタイプのほうになっております。
国民の人口として、会計ができる人の人数より、算数のできる人の人数が多い点を考慮する必要があり、会計の知識のない人にもわかるようにするためには、マイナスは△ではなく、マイナス記号になります。
しかしながら、それ以上に問題なのは、増額側で、一番多い数字で84%と書いてありますが、これは算数で理解すると、100%より減っているという誤解を招く可能性があります。
こういう誤解を招きやすい表現は、なるべく誤解を産まない表現に変更することを、ここから初めていくと良いのではないかと思いました。
では、具体的にどう表現するのがわかりやすいのかといいますと、まず、65歳を100%と明記し、65歳を基準とした数字であることを明確にします。
現在は、どこが基準か明記されていないので、昔、よくあった現在位置が書いていない地図看板のようにわかりにくくなっています。
65歳を100%とし、△6%ではなく94%と書く。
増額するほうも同様に84%ではなく184%と書く。
見る側が暗算する手間も省けます。
この図自体は、今後ホームページであるとか様々なところで共通で利用されていくものかと思いますので、ぜひ統一して分かりやすい表現になさるとよろしいのではないかと思いました。
以上です。
○上田座長 ありがとうございました。
ほかは何か、もし全体を通じてありましたら伺いたいと思いますが、皆さん、よろしいですか。
(首肯する者あり)
○上田座長 それでは、本日の議題はこれで終了いたしました。
最後、事務局のほうから御連絡等をお願いいたします。
○年金広報企画室長 次回の検討会につきましては、またメール等々で御案内させていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
本日はありがとうございました。
○上田座長 それでは、全ての議題が終了しましたので、本日の会議を終了いたしたいと思います。
オンライン会議は私も慣れていないので、時間をオーバーいたしまして、皆さん、大変失礼いたしました。
どうもありがとうございました。

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