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2019年3月28日 第34回保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録

保険局医療介護連携政策課医療費適正化対策推進室

○日時

平成31年3月28日(木)15:00~17:00

 

○場所

全国都市会館 大ホール
東京都千代田区平河町2-4-2

○議題

1.特定健診・特定保健指導の2017年度実績について(報告)
 
2.特定健診データ等の保険者間の引継ぎ、マイナポータルを活用した特定健診データ等の閲覧について
 
3.特定保健指導の「モデル実施」に係る対応について
 
4.高齢者の保健事業について(報告)

○議事

○多田羅座長 定刻になりましたので、第34回「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催させていただきます。
構成員の皆様には、お忙しいところ本日御出席いただきましてありがとうございます。
私は、本検討会の座長を務めております日本公衆衛生協会の多田羅です。会の進行に対し、御協力いただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、会議に先立ちまして、本日の構成員の出欠状況について事務局から報告をお願いいたします。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 事務局でございます。
本日は、お忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。
構成員の出欠状況について御報告申し上げます。岩澤委員、岡崎委員、尾崎委員、中野委員、藤原委員、吉田委員より、御欠席の御連絡を頂戴しております。
また、今村委員から10分程度おくれてお見えになるとの御連絡をいただいております。
中野委員の代理といたしまして小池参考人、吉田委員の代理といたしまして増田参考人に御出席をいただいております。
また、オブザーバーといたしまして、社会保険診療報酬支払基金オンライン資格確認等システム開発準備室から、上田室長に御出席をいただいております。
○多田羅座長 それでは、議事を始めさせていただきます。
初めに、まず議題1でございます。「特定健診・特定保健指導の2017年度実績について」、事務局から説明をお願いいたします。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 事務局でございます。
既にお手元のタブレットを御操作いただいているところかと思いますが、本日の検討会はペーパーレスで行うこととしております。タブレットの御使用、操作方法などにつきまして御不明点がございましたら、適宜、事務局に挙手等でお声がけをいただければと思います。
それでは、早速ではございますが、お手元のタブレットの中から資料1-1とある資料をお開きいただけますでしょうか。議題の1といたしまして、特定健診・特定保健指導の2017年度の実績につきまして御説明を申し上げます。
こちらは基本的には例年と同じ体裁の資料ですので、特に大きな変化があったところを中心に、駆け足になりますが御説明をさせていただきます。
スライドの一番下にございますページ番号の1ページ目までお進みをいただきまして、健診・保健指導の全体の実施率をお示ししたスライドでございます。一番上の枠囲みに文字でお示しをしておりますとおり、2017年度の実施率につきましては健診で53.1%、保健指導で19.5%となっておりまして、いずれも2016年度実績よりも改善が見られております。
一方で、今までも申し上げてきたところと大きな変わりはないのですが、政府目標とは依然、乖離がある状況です。
この文字だけの枠囲みのところの2つ目の「○」で書いてございますけれども、3月18日に、従来より申し上げておりましたとおり、保険者別の実施率を厚生労働省のホームページにおいて公表させていただいたところでございます。あわせて御報告を申し上げます。
おめくりをいただきまして、2ページ目でございます。今、1ページ目で申し上げた健診・保健指導の実施状況を保険者種別に切り分けましてお示しをしたものでございます。まず健診のほうでございますけれども、全ての保険者種別において一定の改善が見られているという状況でございます。
1点、船員保険のところだけ注書きを書かせていただきましたけれども、船員保険の独自システムの変更の際に検査結果の一部が出力されなかった事象に伴いまして、集計値への影響が出ているという可能性の御報告を頂戴しておりますので、その旨、書かせていただいております。
下半分、保健指導でございますけれども、保健指導についても基本的には大部分の保険者種別で改善が見られているところでございます。協会けんぽと船員保険の2つの種別についてのみ、若干ではございますが、実施率の低下が見られたという特徴がございました。
続きまして、3ページ、4ページには健診と保健指導の実施率につきまして、被用者保険の保険者別、あとは市町村国保のものを切り分けまして分布をお示ししたものでございます。いずれにつきましても、2016年度と比較をいたしますと、実施率は右にシフトしているという状況でございます。保健指導についても傾向は変わりがございませんので、説明は割愛させていただきます。
5ページ目までお進みいただけますでしょうか。5ページ目も例年の資料のとおりでございますけれども、特に被保険者と被扶養者に分けて健診・保険実施率をお示ししたものでございます。健診につきましては、協会けんぽ、健保、共済、いずれの保険者種別においても実施率の改善が達成できております。
下半分、保健指導でございますけれども、協会けんぽのところで被扶養者と被保険者が少し違った動きを見せておりまして、被扶養者については2.4%から3.4%への改善、被保険者については若干の低下という状況がございました。
さらにおめくりいただきまして、6ページから7ページ、8ページにかけては、健診の実施率から離れまして「メタボリックシンドロームの該当者の割合」に着目した集計をさせていただきました。
6ページのものは、特に保険者種別などにかかわらず、やっていただいたもの全てを一律に集計したものを年次別に見たものでございます。傾向といたしましては、2013年度以降、横ばいから微増傾向という状況が続いております。
お進みいただきまして、7ページでございます。7ページには2008年度、特定健診・保健指導が始まった最初の年度でございますが、その年度と比較をしてメタボリックシンドロームとその予備群の減少がどうなっているかを数字でお示ししたものでございます。この中に数字が3つございますけれども、一番左にメタボ該当者予備群の減少率とあります。減少率というのは少しわかりにくいんですが、これは「▲」がついていると減少している、ついていなければ増加ということになりますので、この0.9%の数字というのは2008年度よりも0.9%増加をしたという意味の数字でございます。
一方で、そのお隣にあります非服薬者の中でのメタボの該当率については、減少のほうに触れているという状況でございました。
8ページにお進みいただきますと、御承知のとおりメタボリックシンドロームの該当者と保健指導の対象者は少しずれがございます。お薬を服用するか、していないかというのが大きな分かれ道になっておりますので、そのお薬の服用状況に着目をした集計でございます。これも例年のものでございますが、今年度については右半分の(2)のほうですね。メタボの該当者と予備群の中で、薬剤を服用している方の割合だけ若干の増加が見られましたけれども、全体として横ばいが続いております。
9ページは制度の概要でございますので、ここでの説明は割愛させていただきます。以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。「2017年度特定健診・特定保健指導の実施状況について」、事務局より説明をいただきました。
いかがでしょうか。全体の骨格、全国健康保険協会の方は被保険者の実施率が57.6、健保組合は被保険者88.5、非常に高いですね。共済組合は77.9、協会けんぽの藤井さんいかがでございますか。よろしくお願いします。
○藤井委員 2ページの資料の中で、船員保険の特定健診の実施率が未記載となっていることにつきまして、厚生労働省並びに関係者の皆様方に御迷惑をおかけしておりますことをおわび申し上げたいと思います。
未記載となっておりますのは、先ほど室長からも御説明がございましたけれども、船員保険の健診保健指導の委託先で船員保険会というところがありますが、国に対する報告用のファイルを作成する際のプログラミングの設定に一部ミスがありまして、多くの受診者のデータが国に報告するファイルに反映されなかったというようなことがございます。
現在、当該箇所の修正作業等を行っておりまして、数字が確定しましたら改めて数字を公表させていただきたいと考えております。
本当に申しわけございません。
○多田羅座長 ありがとうございます。
河本委員、いかがでしょうか。
○河本委員 健保組合は、ここに記載されている数字のとおりでございます。昨年よりは実施率が若干上がってよかったなと思っております。ただ、1点、今の藤井委員のお話に関連し、データが正しく国の実績報告に反映されているかどうかを検証する仕組みがありません。健保組合では、昨年の夏に健康スコアリングレポートが発出されたときに、それぞれの組合が把握している数字と、スコアリングレポートでの数字に乖離があり、多少騒ぎになったことがございました。
このため保険者側のシステムに一部問題があったものについては、今回それを修正した上で臨んでおりますので、それほど大きなずれは出ていないということでございます。一方で、インプットした数字が正しく受理されているかどうかの検証がなかなか難しいというところに、やや問題があるのではないかと思っているところでございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。
それでは、次々で申しわけないのですが、小池委員、国保のほうの状況はいかがですか。
○小池参考人 国保中央会でございます。国保のほうは、若干ではございますが、伸びてはおりますけれども、まだまだ被用者保険に比べると低い状況ということになっております。
御承知のとおり、国保の方は自営業の方が多うございますので、仕事との関係で健診を受けにくいというというような状況もございますので、健診を受けやすい時間や場所の設定、こういった体制づくりの見直しでありますとか、住民の健康に関する意識の醸成等も含めて、健診の必要性について理解をいただくような取り組みが必要ではないかと考えているところでございます。
それから、これは前回も申し上げておりますけれども、国保の方は60歳以上の割合が被保険者の割合が多うございますので、医療機関を受診している方も多うございます。健診・保健指導を始めとした保健事業を行うには医師会、それから医療機関のほうとの連携が必要不可欠でございますので、29年の3月に中央会のほうと日本医師会さんのほうで協定を結ばせてもらっているところでございます。医療機関の受診中の方に、健診を受けることを勧奨していただくというようなこともお願いしてございますので。
○多田羅座長 それは、どうですか。効果はかなり出ていますか。
○小池参考人 数字としては、まだ微増というところでございます。
○多田羅座長 何とか50%いって欲しいのですけれども、やはり国保は、制度の中心ですので。
○小池参考人 医療機関の先生方には、引き続き御支援をお願いしたいと思っているところでございます。
○多田羅座長 よろしくお願いします。
津下先生、全体としてどうですか。
○津下委員 御指名ありがとうございます。7ページの「メタボリックシンドローム該当者及び予備群の減少率」について、ワーキング等でディスカッションした内容を御紹介したいと思います。
もともとメタボ減少率に「▲」がつくと、減少するということを目指しているですけれども、今回0.9%とほぼ変わらない、制度開始時とほぼ横ばいという結果になっております。
この理由を考えてみますと、1つは先ほどの健診受診率が上がってきたことで、掘り起こしが進んだという点があります。6ページのところで保険者別のメタボ率で見ると、健保組合さんなどもともと健診受診率が高かったところはメタボ率が下がってきているんですけれども、健診受診率が伸びてきたところ、昔は低くて伸びてきたところ、船員保険さんもそうなんですけれども、メタボ率が高いところが健診受診をふやしてきています。今まで健診を受けなかった方々の中にメタボリックシンドロームの人たちが多いというような掘り起こしの効果がまず挙げられます。
次に、先ほどもお話があったように、治療中の方も健診を受診するようになりました。国保等でもメタボ関連疾患でお薬を飲んでいる方が、健診を受診するケースが増えています。そのことは保険者として加入者の健康管理面では重要なのですが、メタボ率が上がる原因ともなります。そういう意味では、国民全体の健診受診率が高まる中で、いままで受けていなかった人のデータがどんどん上積みされている結果とも言えます。
また、メタボ、肥満が横ばいという、この結果がすごく悪いかというと、そうとは言えないと研究者は言っています。例えば、国際的にOECD諸国で比べますと、ほかの国は肥満者が非常に増加している。米国、英国等はどんどん増えていますし、韓国等と比べましても、10年前には韓国のほうが肥満度が低かったぐらいなんですけれども、今は完全に逆転しております。
国際的に肥満がまだまだふえる中で、日本の取り組みによって肥満者の増加の抑制は見られているというように解釈しているところでございます。
○多田羅座長 船員保険が4割を超えて断トツになっていますが、これはどういうふうに理解したらいいのでしょうか。
○津下委員 やはり食事のこととか、いろいろ環境的に難しい面もあるのかもしれないかなというふうには思いますが。
○多田羅座長 ずっと4割台で、ほかは大体2割台で25%とか、4分の1ぐらいの感じなんだけれども、船員保険について事務局はどう理解していますか。4割というのはどうしてかと思いますよね。
どうぞ、藤井委員。
○藤井委員 先ほど津下先生がおっしゃっていただいたとおりなのですけれども、私どもとしてもいろいろな努力をしていますが、かなり勤務条件が特殊になっています。
○多田羅座長 それは、食事関係ですか。
○藤井委員 一旦、船に乗りますと何カ月もずっと船に乗り続けているような方々がたくさんいらっしゃいますので、通常のいわゆる漁業に従事されているような漁船の方々は長期に船に乗るということは必ずしもないかもしれませんが、外航船ですと大分勤務条件が違ってくるというようなことがございまして、栄養にしても、運動にしても、いろいろな形でPRをしているところでございますが、まだまだちょっと。
○多田羅座長 船員保険は、協会けんぽに入っているところが多いんですか。
○藤井委員 船員保険という独立の保険制度を協会けんぽで運営をしております。
○多田羅座長 そうすると、やはりこういう検討会で指摘があったという話は伝えていただきたいですね。
○藤井委員 もちろんです。
○多田羅座長 ほかのところが2割5分ぐらいのところを4割超えているので、少し検討して欲しいということが意見としてあったということは協会の方にお知らせいただきたいと思います。
○藤井委員 そこはしっかりと受けとめさせていただきます。
○多田羅座長 よろしくお願いします。ほかには、どうでしょうか。全国健康保険協会は高い。
国保組合も高いですね。国保組合が高いのはどうしてですか。何かありますか。これも、やはり栄養関係でしょうか。年寄りが多いのかな。
では、どうぞ。
○伊藤委員 質問なのですけれども、8ページで年々、薬剤の多剤服用の方がふえているように見えるんですが、これは先ほどの受診者の集団が広がってきたからということで説明し切れるのか。年齢層が上がってきているといったこともあるのではないかと想像しますが、何かわかることがあったら教えていただければと思います。
○多田羅座長 津下先生、どうですか。多剤の服用者がふえている。0.9から1.5になっていますね。
○津下委員 1つはおっしゃるように、年齢が高くなればなるほど薬剤が増えます。それから特定健診受診者と右側のメタボ該当者を見ると、メタボの方のほうが服薬が多いということはあって、3剤を服用している人が多いというような傾向があります。メタボリックシンドロームというのはそういうリスクを重ねやすくて3剤になりやすいという方々がメタボについては多いということがあります。
それから、この特定健診の制度で受診勧奨なども非常にきちんと行われるようになりまして、以前は数字が高くても放置していた人も少なからずあったわけですけれども、治療継続率が上がっているというような効果も、この中には織り込まれているのかなというふうには解釈しているところです。
○多田羅座長 今村先生、その辺はいかがですか。突然申し上げて済みません。
○今村委員 高齢化というのは大きな要素だと思います。
ただ、これだけの数字で、可能性があるということは言えても、確実に何が原因かを特定するのはなかなか難しいのかなと思って見ておりました。
○多田羅座長 メタボの人は、やはり多剤服用の方が多いですか。
○今村委員 そのとおりだと思います。当然のことながら疾病も複数重複しておりまして、高血圧があって、尿酸も高くて、脂質も高いというと、それだけでも3つになってしまいます。
○多田羅座長 そういう人が、やはり対象者の中にふえてきている。
○今村委員 あくまでも推測ですが、増えてきているのではないかと思います。
○多田羅座長 わかりました。それは、やはり生活習慣関係の保健指導をしていただいて、全体の状況を改善していただくということになりますね。薬に依拠すると、どんどん薬がふえることになりますから、よろしくお願いします。
ほかには、よろしいでしょうか。座長がつたなくて、先生方の名前と所属が十分頭に入っていないもので申しわけありません。
それでは、事務局、次にいきますか。議題2「特定健診データ等の保険者間の引継ぎ、マイナポータルを活用した特定健診データ等の閲覧について」、事務局よりお願いいたします。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 事務局でございます。お手元のタブレットから、頭に02資料2とあるPDFをお開きいただけますでしょうか。
まず、この資料2のタイトルのところを前回の復習も兼ねて御説明をさせていただきます。こちらは名前の冒頭に「特定健診データ等の保険者間の引継ぎ、マイナポータルを活用した特定健診データ等の閲覧について」とございます。この後の資料でも「特定健診データ等」という言葉が随所に出てまいりますけれども、この意味はお集まりの皆さんにやっていただいている特定健診、プラス広域連合でやっていただいている後期高齢者の健康診査、この両方のものを含んで「特定健診データ等の」というふうに書かせていただきました。特定健診だけではなくて後期高齢者の健診の分も含んだ仕組みとしてシステムをつくっていくという前提で御説明をさせていただければと思います。
それでは、少し復習になりますけれども、おめくりをいただきまして一番下にページ番号がございまして、2ページまでお進みいただけますでしょうか。今回この「オンライン資格等確認システム」というものを使いまして、健診データの保険者間引き継ぎを行っていくその趣旨について1枚の紙にまとめたものでございます。
まさにこの検討会の場でございますけれども、健診データの引き継ぎには、加入者の方々の過去の状況とか病歴などの特性に応じた保健事業のアプローチが可能になるというメリットがありますと、こういった健診データの引き継ぎには非常に有用ですといった指摘を頂戴しておりました。
一方で保険者をまたいで健診データのやりとりをするという場合にはどうしてもシステム改修が伴ってまいります。従いまして、マイナンバー制度の整備の状況なども見ながら段階的に対応していこうという状況があったところです。
これまでの検討会でも説明をしてまいりましたとおり、マイナンバー制度のインフラを活用しましたオンライン資格確認等システムの整備にとりかかっているところでございます。このシステムを使って、一定程度費用を効率化しながら、健診データの引き継ぎを行っていくため、システム整備を進めていってはどうかとの考えのもと、これまでも議論をお願いしてきたところでございます。
3ページ目にいっていただきまして、この健診データの引き継ぎとそれに伴います付加的なものがございますけれども、全体像をポンチ絵でお示しをいたしました。これも復習でございますけれども、この絵が私の今から申し上げることの基本になりますので、少しお時間をとらせていただきます。
この3ページ目の絵の真ん中に青いドラム缶がございますけれども、イメージといたしましては、この中に健診データをどんどんため込んでいっていただいて、ため込んでいただいたものを右側に保険者さんがおりますけれども、保険者さん同士が健診データを引き継ぎとして使っていただく。左側には保険者さんではなくて、今度は医療機関であったり、加入者の方がいらっしゃいます。こういった方々に御活用いただく。そんな感じのことを考えております。
前回の検討会以降、実務者ワーキングにおきまして、このシステムの詳細について御議論いただいてまいりましたので、この以降のページでワーキングでの御議論の結果について御報告をさせていただきます。
3ページ目のスライドに沿って何を議論したか説明しますと、まずこの真ん中にあるドラム缶にどれぐらいのデータをため込んでおくかというのを1点目の論点として御議論いただきました。
2点目の論点でございますが、右側に保険者さんがいますけれども、この保険者さんがこのデータをどうため込んで、お互いにやりとりをするのか、その手順について御議論をいただきました。
3点目の論点といたしましては、左側でございます。保険者さん以外でございます。加入者さん御本人がマイナポータルをごらんになったり、医療機関で御活用いただく場合の手続などについて御議論をいただいたところでございます。
これら3つの論点につきまして、どんな議論が交わされたのかということを、以降のページで順を追って説明をしてまいります。
8ページ目までお進みをいただけますでしょうか。このスライドの左側にも、先ほど登場しました青いドラム缶を書かせていただきました。
1点目の論点でございます。ドラム缶の中に何年分のデータを保存するかということでございますけれども、これはワーキングのほうでも御議論いただきました結果、5年間分の健診データを保存してはどうかという結論に至っております。
またテクニカルなことでございますが、右側にパソコンのような端末の絵を書いておりますけれども、なるべく既存のインフラを活用して保険者さんがデータのやりとりをしていただけるように、今オンライン請求という形で支払基金と保険者さんがつながっておりますので、そういった端末なども活用しながらデータを御活用いただけるようにシステム整備をしていってはどうかと考えております。
2点目の論点のほうに移ってまいります。10ページまでおめくりをいただけますでしょうか。2点目では、保険者さんがデータのやりとり、引き継ぎをし合っていただく場合の運用の部分について御説明を申し上げます。
まずは、この健診データにつきましては、その保険者が実施をした健診データではなくて、あくまでも別の保険者において実施をした健診データを取り寄せていただくことになります。従って、加入者さん御本人の同意を得てから健診データを取り寄せるということが基本になります。
その同意というのをどういう業務フローでやるかということを、10ページ目のスライドにお示しをいたしました。この健診データを使っていただくタイミングとして幾つか考えられますが、活用の場面として最初に考えられますのは特定保健指導のタイミングかと思います。基本的にはこの特定保健指導のタイミングまでに保険者さんが各自対象者に対して同意をとっていただくことになります。その同意をとる時期ですとか方法というのは、各保険者さんが個別に運用できる部分を大きくとってはどうかというふうに考えております。
もう一つ、システム上のお話でございますが、この同意の情報というのを保険者さん独自のシステムで管理をするのか、それともこのオンライン資格確認等システム、青いドラム缶ですが、その中に入れていただくのか、そこも議論いたしました。この青いドラム缶の中にも同意をとったかどうかを情報として登録するという方法をまずとってはどうかというふうに考えております。
続きまして、また保険者さんのデータの登録の方法になりますが、16ページまでお進みいただけますでしょうか。資料1で健診・保健指導の実施率を説明してまいりましたけれども、実はああいったデータを毎年、毎年集計ができますのが、全ての保険者さんから毎年11月に前年度の健診と保健指導の法定報告という形で電子データをいただいているためです。この16ページの矢羽根が黄色いものと、緑の矢羽根が上のほうに2本ありますが、上のほうで、健診をやった次の年の11月に法定報告という形で電子データで御登録をいただいている流れをお示ししました。
それで、今まで申し上げてまいりました青いドラム缶ですね。あの中にデータを登録する際にも、11月にいただくデータをドラム缶の中に登録をするという方法をとって、極力、各保険者さんの業務負荷がかからないようにしてはどうかというふうに考えております。それが、1点目でございます。
一方、この法定報告をベースにした登録のあり方に若干2点ほど限界もございます。
1点目です。ごらんいただいておりますとおり、例えば4月に健診を受けた方のデータも次の年度の11月まで待たないとドラム缶の中にデータが届かない。そういうことになってしまいますので、もう少しタイミングを早めるという意味で、一部の保険者さんでも構わないと思うんですが、水色の線のオプションも可能な保険者さんにやっていただいてはどうかと考えております。
この趣旨は、年度の終わりのほうになるかと思うんですが、健診が一通り終わった段階でデータを入れていただく。そんな方法をとってはどうかと考えております。
もう一方のオプションとして、オレンジ色の線も用意をさせていただきました。これは、水色の線の少しバージョンアップしたものになりますけれども、健診が終わったらその場、その場でデータを登録していただくという方法でございます。
なぜこんなことをしなければならないかというと、実はこの緑の矢羽根で11月まで待った形で法定報告をいただく場合には、年度を通して在籍をした加入者さんだけ報告をいただくことになりますので、例えば年度の途中で転職をしたような方の健診データがドラム缶の中に入らないという限界がございます。
この限界をクリアするための方策といたしまして、オレンジ色の線のように健診が終わったら都度、都度、ドラム缶の中にデータを届けていただけるようなオプションも御用意をして、保険者さんの選択の余地を広げるようにしてはどうかと考えております。
○多田羅座長 この現行と今後というのは、どう違ってくるんですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 「現行」が、まさに今の状態です。
○多田羅座長 今というのは、いつまでですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 ここの「今後」は、2020年度以降を考えております。
○多田羅座長 2020年実施でしょう。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 厳密に申し上げますと、2020年度に実施をした健診データ以降から下の「今後」というほうに、徐々に移行を進めてはどうかと考えています。
○多田羅座長 スマホを実際に使えるのは、2020年度からでしょう。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 スマホというか、マイナポータルになりますが、2020年度の健診データを、2020年度の年度末にかけてマイナポータル上でごらんをいただけるようなスケジュールを目指していきたいと考えております。
○多田羅座長 2020年度末ですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 はい。末を目指したいと思っております。
○多田羅座長 2020年ではない。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 20年度内ですけれども、年度末近くになるということです。
○多田羅座長 それは非常に大事なので、わかりました。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 最後のページの資料でまたおさらいをさせていただければと思います。
17ページ~19ページは、少し細かいものですので割愛をさせていただきます。
20ページをお願いいたします。今申し上げたように、法定報告という次の年の11月にいただくデータですと幾つか制約がありますので、保険者さんからの提案でこんな方法もどうかという御提案がありました。それを、20ページに書いております。
青いドラム缶が20ページの真ん中よりちょっと下のところにもございますけれども、この中に原則は国がデータを入れるのですが、そうするといろいろとタイムラグなども生じますので、健診を実施した医療機関から支払基金のほうに直接データをお届けいただく。そんな方法についても検討してほしいというお声がありまして、これも今後整理を進めていきたいと考えております。
それで、この場合、細かいことになるんですが、電子データのフォーマットについてはある程度統一をしないと、このドラム缶の中で適切な処理が難しくなります。従いまして、この電子的なフォーマットに一定程度対応いただけるような健診実施機関から優先的に運用を整理していってはどうかと考えております。
進んでまいりまして、22ページ以降が3点目の論点でございます。先ほど多田羅座長からも御指摘がございましたけれども、マイナポータルというところで医療保険の加入者さんに健診データを経年データでごらんいただけるようにしてはどうか。そんなことも3点目の論点として申し上げました。その3点目の論点で、どんな画面で加入者さんにごらんいただくかというのを、この22ページ右半分のところで表としてお示しをいたしました。
こちらに書いておりますとおり、基本的にはシンプルな一覧表形式でお示しをして、例えば受診勧奨値を赤にするなど、わかりやすさにもちょっとした工夫を添えてはどうかというふうに考えております。
○多田羅座長 この実施年月日の6/1、6/1というのは、実際の受診日が入るんですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 これは、健診をやった日が入るイメージを考えています。
○多田羅座長 6/1は、6/1で統一されているから。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 これはイメージですので。
○多田羅座長 イメージだけれども、受診日が入るんでしょう。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 健診の実施日になります。
○多田羅座長 実施日が入るんですね。登録日が入るのかなと思って。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 登録日ではないです。電子データの中に健診をやった日も入れていただいているので、そのデータをここに表示をしてはどうかと考えています。
一方で、例えばきれいなグラフにしたりといったビジュアライズのような機能は、民間の業者さんが今いろいろとサービスを発展してくださっているところでございますので、こういった民間の創意工夫を今後も促していってはどうかと考えております。
詳細は、23ページにも資料を御用意いたしました。民間の業者さんに、この健診データを御提供いただく方法として2つ御用意をしております。
1つは少しアナログではございますが、保険者さんが媒体だったり電送するような形で業者さんに手渡しをしていただく方法、下半分が何が違うかというと、保険者さんを介さずに、加入者さん御本人が開設いただく「マイナポータル」こちらを媒介するような形で民間の業者さんにデータ提供をしていく。そんなことで、民間のサービスの利用にもつなげていってはどうかと考えております。
一方で、こういった民間の業者さんについては、まだ今のところ特定健診データ等のデータの取り扱いについて必ずしもルール整備が十分でないという御指摘もワーキングのほうで頂戴をいたしました。こういった御意見も踏まえまして、23ページの一番上に字で書かせていただきましたが、2020年度の運用開始までに医学的な観点なども踏まえながら、ルール整備の検討を進めていってはどうかと考えております。
お進みいただきまして、25ページでございます。25ページは保険医療機関で健診データ、御本人ではなくて保険医療機関のお医者さんなどが健診データをごらんいただく場合の運用のルールを御議論いただいた結果でございます。
ここで特に申し上げたいのは同意のとりかたでございますけれども、保険医療機関を受診したときに医療機関で問診票の記載などに同意をとっていただくという方法を進めていってはどうかと考えております。
こうすることで、患者様について申し上げると、受診をした保険医療機関ごとに、この医療機関に対して健診データをごらんいただけるかどうかというところを都度ご検討いただく、そんな形になっていくと考えております。
○多田羅座長 医療機関というのは、診療時ということですか。診療時に、医者がどう見られるかということですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 そのとおりです。
○多田羅座長 それは、医者は本人の了解を得れば本人と一緒に見るわけですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 イメージとしては、そういう形を想定しております。診察室などで、患者さんと先生がごらんいただくようなこともあると思います。
○多田羅座長 それは、非常に大事ですよね。その場合は患者の同意を得て、得ないと逆にいけない。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 患者さんの同意があった場合には、問い合わせをかけてデータを取り寄せていただければと思います。
では、26と27ページでございます。ここでは、今まで申し上げてまいりましたデータを見ていただく方々ごとに、どんなデータの中身を見ていただけるかということを検討した結果をお示ししました。
結論を言えば、この26ページの箇条書きの4つの「・」のうち、上から2番目のところに書かせていただきましたが、保険者さんについては特定健診情報に含まれているもの全てをごらんいただけるようにしてはどうかと考えております。
一方で、加入者さんがマイナポータルで見る場合、あとは保険医療機関で見る場合、このような場合については、特に健診の実施機関の情報などについては伏せる形で、それ以外のデータをごらんいただけるようにしてはどうかと考えております。
このような対応をさせていただく理由でございますけれども、こういった個人情報に関連をすること全般で気をつけていることですが、DV被害者等の情報を保護するという観点でこういった対応とさせていただければと考えております。
○多田羅座長 全ての項目という場合、患者さん、その受診者の名前はどうなんですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 健診を受診した加入者さんのお名前は、医療機関でもごらんいただけます。
○多田羅座長 保険者も、それを見ることはできますか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 保険者さんは、全てごらんいただけます。
○多田羅座長 データは別として、血圧値とか、そういうのは置いて、本人自身の名前も同時にあわせてデータとして見られるということですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 そのとおりです。
○多田羅座長 全て名前も入るわけですね。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 はい。ちょっと細かいことですが、26ページの一覧表の項目というところの受診者情報の中に「氏名」というのがありますが、この氏名欄に「○」がついていますので、医療機関でもこちらはごらんいただけるようにしてはどうかと思っております。
○多田羅座長 医療機関への表示の要否というのがありますね。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 そこです。そこに「○」がついておりますので、医療機関でも見られますし、もちろん保険者さんは全て上から下までごらんいただけますので、全てごらんいただけます。
○多田羅座長 本人の名称というのは、どこにあるんですか。氏名というところですね。これは、もうちょっと上に書いて欲しいですね。一番大事な点だと思うんです。本人の名前というのは、項目として血圧値が幾らというのとはちょっと違うから。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 そうですね。別の方の情報が表示されてしまうと問題ですので。
○多田羅座長 これも、全部「○」がついているわけですね。医療機関への表示。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 おっしゃるとおりです。「○」がついているところはごらんになれます。
○多田羅座長 それは、その場での本人の了承を得てですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 そうです。本人の了承を得て。
○多田羅座長 もちろん、了承を得ないと全て見られないからね。了承があれば名前を見られる。
今村先生、それで大体わかりますか。議論していることはわかっていただけていると思いますが、患者さんとの関係ですよね。
○今村委員 伺いたいことはいっぱいあるので、全部終わってから。
○多田羅座長 わかりました。先生は乗り出しておられるので、何かお話があるんだろうと思いまして。
では、進んでください。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長
29ページ、最後のページでございます。途中で多田羅先生から御指摘のありましたとおり、今、申し上げたことを、ではいつやるのかでございますけれども、ちょうどこのスライドでいうと赤字のあたりになりますが、赤字の書いてあるちょっと上に緑色の矢羽根で「特定健診情報登録」というところがあるかと思います。この矢羽根がくっついているあたりですね。2020年度の第4四半期を目指して、マイナポータルであったり、保険者間での引き継ぎ、こういったことがシステムを介してできるように開発を進めていきたい。本日の御了解をいただければ、そのようなスケジュールでの開発に着手していきたいと考えております。
ただ、ごらんいただいたとおり非常にタイトなスケジュールでございますので、この2020年度の第4四半期ですね。ここでデータを登録いただく保険者さんというのは、手挙げ方式で募って、その保険者さんの中から頂戴をした一部のデータについて先行的に登録をやってみるという形で開始をしてはどうかと考えております。
説明は、以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございました。
それでは、今村先生からお願いします。
○今村委員 ありがとうございます。私は、この仕組みの中でやはり一番大事なのはマイナポータルだろうと思っていて、やはり御本人が自分の健診データをずっと継続して見ることができる。そのことによって、ご自身の健康に対する意識を高めていただくということだと思います。幾つか伺いたいのは、ドラム缶の中に5年間しか保存しないということになると、そもそも保険者が移動した場合には、そのデータはなくなってしまい、本人はデータを確認できないということになるのでしょうか。
○多田羅座長 そこは非常に大事ですね。5年間という保存期間が終わった後はどうなるのかという御質問です。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 先生のおっしゃるとおり、原則は5年間たったらマイナポータル上の画面としては表示がされなくなります。
ただ、22ページの右上のウサギのところの吹き出しに書いてございます「PDFのダウンロード・コピー」というものがございますので、御本人のパソコンであったり、スマートフォンのほうにマイナポータルからデータをダウンロードして、御本人として保存していただくということは可能な仕組みとなっております。
○多田羅座長 保存しないと、見られないわけですね。
○今村委員 そうだとすると、結局、個人が健診を受けたときに、健診結果をずっと持っていればよいというのと変わらないと思うのです。
つまり、マイナポータルというのは、忘れたころに見ようと思ったとき、どうだったかなと振り返ったときに、そこにアクセスしたら見ることができるから継続性が出るのであって、5年を過ぎたら紙ベースで確認できるということであれば本人が健診結果をずっと持っていればよいということですよね。
○多田羅座長 5年以上となると、そういうことですね。
○今村委員 それが、本当に国民の方にどこまで理解していただけるかという疑念が少しあります。そういったことも含めて、ワーキングで議論され、こういうことになったのでしょうから、それはそれとして、意見は言わせていただきます。
もう一つは3ページのマイナポータルの絵と、22ページのマイナポータルの絵とは少し絵が違っている印象があるのですが、3ページで気になるのは、見ていただくと左側のほうですが、御本人は民間のPHRサービスを介さないと見ることができないという仕組みになっているということです。
つまり、直接このドラム缶にアクセスできるわけではなく、あくまでも民間のPHRサービスを介して見る仕組みになっているということですよね。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 3ページ目の絵がちょっとわかりにくいのですが、どちらでも、マイナポータルという形であれば直接ドラム缶にアクセスをしているということになります。
○今村委員 それは、例えば民間のPHRサービスは今でもあると思うのですが、アプリみたいなものでダウンロードするわけですよね。そうすると、このドラム缶に直接アクセスできる場合というのは、どういう方法で具体的には見ることができるのですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 加入者の方がドラム缶にアクセスする場合は、マイナポータルは最初の入り口になりますので、マイナポータルにまずアクセスをしていただくというのが1つの方法です。
それで、もう一つは先生が後段でおっしゃったPHRサービスを使う場合ということで、PHRサービスの例えばアプリを使ってごらんをいただく場合ですが、それはこの資料でいうと23ページの下半分に「APIを公開した場合」という絵を書かせていただいているところが近いかと思います。マイナポータルがデータを仲介するような感じで民間のPHRサービスのアプリのほうにデータを出していく。当然、御本人の同意が前提になりますが、そういったこともできるようにするという2つの方法を考えております。
○今村委員 23ページの下の段ですが、これは保険者と民間のPHRサービスとの契約がまず大前提であって、その被保険者である方は本人同意のうえでデータを渡しますといったときに、民間PHRサービスを活用できるという仕組みですよね。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 2つあります。先生がおっしゃった、保険者さんが契約をしている業者のアプリを使っていただくというのが1つ目の方法で、この23ページの下半分ですと、右に保険者というのがおりますが、そこと委託契約というのをしていただくのが1点目の方法です。
それとは別に、個人として契約していただくサービスというものも別途ございますので、そういったものを使う場合でもこのAPI連携というスキームを使えるようにしています。
○多田羅座長 それは、図のどこに入っているんですか。「個人」という言葉がないですね。
「個人との契約」ですか。
○今村委員 この下の絵の右下ということですか。例えば、個人との契約というのであれば、今でも民間でこういうサービスを提供されているところがありますよね。それとの違いは何ですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 今の民間のPHRさんのスキームで、全てについて言うと、少なくとも今はマイナポータルというものとAPI連携が実現しているものはございません。それが1つでございます。
もう一つ、個人的な印象ですが、大方のPHRサービスについて言うと、御本人からデータ入力をお願いしているというものが多いというふうに承知をしております。
○今村委員 本当に今回大がかりな仕組みで、保険者が全部連携をしてこういうデータを集める。その話と、個人が自分の健康データをずっと生涯持ち続けて利用するという話があたかも1つにくっついているようですけれども、今のお話を聞いていると、結局個人が民間の契約をすれば今だってそれはできるわけですよね。
そういう複雑な仕組みを、いろいろなパターンがありますということは、利用者さんである被保険者の方がどこまで理解できるのかというのがよくわからない。
○多田羅座長 これだけのシステムですからね。
○今村委員 それで、結局は誰のためにこういう仕組みをつくるかといったときに、利用者さんがという話になると、先ほどのように、結局は5年たてば自分で紙ベースで出してくださいとか、あるいは契約については民間で自分で契約をする形もありますよという話になっていて、よほど被保険者さんにきちんと説明をしないと利用できないのではないでしょか。
もともと保険者が契約している民間PHRサービスというのは今でもあると思うのですが、その利用者というのは現時点でどのぐらいいらっしゃるんですか。今、保険者で契約しているところは多分あると思うのですが。
○多田羅座長 PHRサービスのほうですね。それは、わかりますか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 手元にデータがなくわかりません。申し訳ありません。
○多田羅座長 では、一度検討ください。
○今村委員 それともう一つ、くどいようですが、こだわっているのは、例えば保険者を変わったときに民間PHRサービスの会社も変わる可能性があると、その会社ごとにアプリが変わるということですよね。そうすると、その都度そのアプリをダウンロードしてやると、つまり1つの仕組みで簡単に被保険者さんがデータを経年的に見るということができない仕組みになると思うのです。その辺はどうお考えなのですか。
○宮崎医療介護連携政策課長 今の今村委員の御指摘をまず前提として整理をいたしますと、今回こういう大きな仕組みをつくっていますのは生活習慣病の予防なり重症化予防をする中で、継続的な健診等が大事だろうということで、データを継続的に見られるようにしましょうということであります。
3ページの絵で御説明すると、本筋としてありますのは特定健診のデータなどを健診実施機関がきちんと見ながら継続的な指導をする、あるいは御本人がマイナポータルを通じて見られる。この左側の絵で言うと、上の2つの線のところがまずあって、こういうものをきちんとつくりましょうということで用意をしてまいりました。
ただ、こういう仕組みをつくっていく中で、既に健保組合さんなどで民間PHRサービスを使っているところは、せっかくこういう仕組みができるのであれば、今、契約している民間PHRサービスとも連携できるような出口といいますか、そういうものを用意してほしいという御要望がありましたので、この上の2つにとどめずに、初期の設計の段階からこういう選択肢をつけましょうということで用意をしたというのが、まず保険者が民間PHRサービスと契約している場合にそこと連動できるようにするという道筋を1つつくったというのがございます。
もう一つ、先ほどの23ページの下の絵のほうですが、これは具体的な内容については検討していくということでありますけれども、個々人がマイナポータルからデータをおろすときに、単にマイナポータルを使うだけではなくて、御本人がPHRサービスを使いたいという場合にも、何らかその御要望に応えるような道筋ができないかということで、これはマイナポータル側の仕組みとのかかわりも出てまいりますけれども、今後、民間PHRサービスに対してマイナポータルのAPIの公開ができるのかどうか、こういうところを検討していこうということです。
まず、健診機関とマイナポータルを通じて御本人がマイナポータル上で見るというもの、あるいはダウンロードするという2つの筋道に加えて、御要望を踏まえた中で保険者と民間PHRサービスとの契約の道筋、それとマイナポータルを直接御本人たちがそれぞれやっている民間PHRに使えないかという道筋と、そういう2つをオプションとしてつけたということでございます。
一つ一つ見ていくと、確かに例えば保険者と民間PHRサービスというルートのところは、保険者が変わっちゃうと契約しているPHRサービス技術者が変わっちゃいますものですから、そこはやはりやり直していただく。違う新しい組合が契約したPHRサービスのほうに仕様をあわせていただくことが出てくるかと思います。
それから、4本目の道の個人がマイナポータルのデータをPHRサービスを使って利用するというところであれば、それは保険者が変わっても御本人としてできるというところはあろうかと思います。
それぞれメリット、デメリットはあろうかと思いますが、今回、大きな仕組みをシステム開発する前の仕様の大枠を決めるに当たっては、後からやはりあれはあったほうがいいよねということのないように、そういう4通りの道筋をつけたということでございます。
○今村委員 私ばかりずっと申し上げていて恐縮ですが、よく経緯はわかりました。様々な要望に対してきちんと丁寧に答えていった結果、最終的にでき上がったものが、本当にお一人お一人の被保険者さんが利用しやすい仕組みになっているかどうかということだと思うのです。
せっかくこれだけお金をかけてつくるものなので、ぜひ利用しやすい形にしていただいて、本当に役に立つものにしていただかないと、結局様々なニーズを酌んだけれども、最終的には利用していませんという話になったら何の意味もなくなってしまうので、ぜひそこは使いやすい仕組みを考えていただければと思います。
○多田羅座長 先生のおっしゃるとおりですけれども、使い方としては各主治医の先生が患者に指導しないといけないところも現実にはありますよね。複雑な組織ですから、先生に患者さんとか対象者が相談すると思うんです。その意味でも、医師会のほうでもぜひその啓発普及の面の御協力をお願いしたいと思います。
では、どうぞ。
○伊藤委員 今、今村委員がおっしゃったことは非常に重要だと思っていて、私も22ページの表示というのは簡素であってもいいとは思うんですけれども、趣旨を忘れないでほしい。今PHRサービスがない保険者に加入している加入者が、きちんと自分の健診情報に継続的に触れることによって行動変容につなげるということが重要なんだと思うんですね。ただ見られればいいというものではなくて、それをちゃんと理解して行動変容につなげるような、そういう見せ方ということが絶対重要だと思っているんです。
では、それはPHRサービスと個人で契約すればいいじゃないかという話かもしれませんけれども、何のためにこのオンライン資格確認システムをマイナポータルまで見られるようにするのかというときに、どこを向いているのかなというような気がしてきます。あくまでも加入者に向き合ってほしいなと思っています。自分でPHRサービスに加入して見やすくすればいいでしょうというのは、やや違和感があります。
また、23ページの上のほうに民間PHRサービスの持っているデータの活用についてはルール整備をするということで、これは大変重要だと思っていまして、今この業者が持っている情報というのは一体どういうように活用されているのか、非常に気になっております。
前の保険者の情報まで手にして、さらに多くの情報を何かに使える可能性もあるのではないかと思いますので、このルール整備というものをきちんとやった上で、その二次利用ということについての考え方をはっきりさせてほしいと非常に思います。
あとは、加入者の同意のことです。これは質問なのですが、同意の範囲というのが5年間しかデータを持たないということで、現時点から5年前までの同意だということなのかということを明確にするべきだと思います。
○多田羅座長 同意のところは、どうですか。同意の範囲というのは、考えていますか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 10ページのところの同意で申し上げると、基本的にはその前の健診データということになるので、ドラム缶に入っている5年分のデータについての同意を包括的に頂戴するというのが今、考えているイメージになります。
ただ、現段階ではあくまでシステムの仕様を見当する前提での議論の結果ですので、同意のとり方の細かい運用の部分については引き続き検討が必要な内容だと考えております。御指摘の点を踏まえて、さらにもう少し細かい検討をやってまいります。
○伊藤委員 同意というのはとても重要だと思いますので、どこまでを同意したのかということをはっきりしないといけないと思います。以上です。
○多田羅座長 課長、何かありますか。
○宮崎医療介護連携政策課長 伊藤委員、またはその前の今村委員の御指摘はそのとおりだと思っております。あくまでも個人の行動変容につなげていくのが目的でありますので、それぞれの御本人がよくわかってそのサービスなりを利用していく形にしないといけませんし、同意であれば何に対して同意をしたのかということはわかっていただかないといけないので、これはまだ具体的にさらに施行までの間にいろいろ詰めていくことがありますけれども、その中では啓発ですとか広報ですとか、そういうところをどのようにしていくのかとかが大変大きなテーマになるのだと思いますので、きちんとやっていきたいと思います。
○多田羅座長 これは、国際的にも日本だけですか。どこかモデルになったり、参考にしているとか、例えばドイツであるとか、アメリカであるとか、あるいはWHOとか、そういう認識は国のほうで持っているんですか。
日本だけかなと私は思っているんですが、日本だけだとすると人類史的な意味を持つと思うので、まねをしているところはないですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 今回は特に保険者さんの業務ということで整理をしたという意味で申し上げると、オリジナルといったらあれなのですが、諸外国の何かを意識してというものではないと思っています。
○多田羅座長 アメリカなんかはマネージドケアなど、歴史の中で、かなり患者さんとか加入者のデータを生かしながらというものもありますから、何か参考になることもあるかなと思いますけれども、今のところは日本独自のものとして開発しているという理解でいいですね。
○宮崎医療介護連携政策課長 座長が御指摘のように、そもそも各国でかなり医療保険の仕組みが違いまして、アメリカであればそれぞれの医療保険で加入者向けにいろいろなサービスが提供されているかと思いますので、パラレルなものだと思いますが。
○多田羅座長 これだけのものはないと思いますけれども、部分的に参考にしているものはあるかです。
○宮崎医療介護連携政策課長 ただ、一方で、日本でいえばこの特定健診、保健指導という仕組みをオールジャパンでやっていて、これだけデータを重ねてきているというところはありませんので、それをこういう形で活用していくという点では非常に独自性があるということだと思っています。非常に意義があることだと思っております。
○多田羅座長 ありがとうございました。まだ意見はありますか。
では、簡潔にお願いします。
○河本委員 つくる以上は使いがいのあるものにと、それはおっしゃるとおりだと思いますが、本検討会の下に設置しているワーキンググループでもコストに関する議論はほとんどされていない。それは別の場ということになっているようですが、そのコストに関する議論はどこでされるのか。その意味では、費用対効果の高いものでないと、構築費は国が出すとしても、ランニングコストについて、保険者の負担があるといったことになると、そのコストがどうなのかということは重要な問題になってくると思いますが、どこで議論されるのかという質問が1つです。
それからもう一つ、先ほど16ページで、基本的には法定報告をベースにするが、一部の保険者については先行して登録可能な体制を設けるとのお話がございました。これは、法定報告の場合であれば特にコストは必要ないと思いますが、先行してということになると保険者のシステムの改修費とか、そういうものも当然出てくると思います。そういうことに対する費用の負担が必要になると思いますが、そのあたりの質問と要望ということでございます。
○多田羅座長 これは、課長からお願いします。
○宮崎医療介護連携政策課長 御質問の点についてでございます。この健診にかかわるシステムと、そのもとになるといいますか、ベースになりますオンライン資格確認の仕組みとございます。当然トータルで見たときにランニングコストの負担をお願いすることになります保険者の皆さんにとって、やるべきだよねということで加入者の方を含め、御同意が得られるような仕組みにしていかないといけないと考えております。
トータルの費用コストにつきましては、一度社会保障審議会医療保険部会にお示しをしたことがございます。昨年の5月だったと思いますが、それ以降、その間の検討の進捗を踏まえた形での額をお示ししたり、あるいはその額も細かな分担などを示しているわけではございませんので、御心配の点はあろうかと思います。そうした点については、むしろオンライン資格確認全体について今、関係者の方々を交えて意見調整をしながら具体的な内容を進めておりますので、この点も含めてコストについてお示しをして御理解をいただくような場を、この場というよりはそういう全体の場でお示しをさせていただいて御理解いただくような場を持ちたいと思っております。
○多田羅座長 どうもちょっとトーンが弱いような感じがするんですけれども。
○宮崎医療介護連携政策課長 今、具体的な数字をお示しできないのであれですけれども、そういう形できちんとお示しをして、御理解を得る場をつくってまいりたいと思います。
○多田羅座長 河本委員、よろしいですか。ちょっと納得しにくいですね。
○河本委員 先ほど申し上げたとおり、ランニングコストを保険者が負担するということになると、それは加入者の方々に負担していただくことになるわけですから、どういうメリットがあるのか、それが妥当なコストなのかということは、当然示していただかないといけない。また、それが納得できるものでないと賛成できないという話にもなりかねないので、そこはぜひよろしくお願いしたいと思います。
○多田羅座長 国のほうもそこは十分理解していると思いますので、ひとつ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
まだ、ありますか。それでは、どうぞ藤井さんから。
○藤井委員 コストにつきましては、私も河本委員と同じような意見で、そこは本当によろしくお願いします。
座長、申しわけございませんが、私のほうから大きく2点ございます。
○多田羅座長 簡潔にお願いします。課長に答えてもらうということでよろしいですか。
○藤井委員 意見、要望ですので、特段お答えがなくてもよろしいかと思います。
1つは10ページの同意の取得についてですが、現実の保健指導に至るまでの私ども保険者の業務の流れを具体的に頭に描きつつ考えたときに、加入時に同意を取得する方法はなかなか難しいです。全ての加入者の同意をとるというのは難しいですし、また特定保健指導の対象の40歳以上の方に限定して確認をするといっても健診の受診前になりますから、加入者の理解はなかなか得られなくて事業主の負担が大きくなるというようなこともあろうかと思います。
したがって、現実問題としてどこで同意をとるかというと、初回面談のときに同意の有無をその場で本人に確認をして、確認後リアルタイムで過去の健診データを閲覧、参照しながら保健師さんが保健指導する。そういった流れが、一番自然なんじゃないかと思うわけです。
そうしますと、私ども協会けんぽでいいますと、実際に特定保健指導というのは直営で協会けんぽの保健師が実施する場合と、委託で実施する場合とがありますが、協会けんぽの保健師が直接実施する場合というのは初回面談時にリアルタイムで過去の健診データもその場で同意をとってすぐに閲覧できるように、これは恐らく協会けんぽと支払基金で双方システムを改修して、それができるような格好に御検討いただければありがたいと思うのですが、一方で委託の場合というのは、私どもからお願いした健診機関のほうで同意取得も含めてお願いできればありがたいことではありますけれども、しかし、なかなかそれが難しいとすれば、これは健診当日に初回面談を実施しようとすると、事前に保険者で同意をとらなければいけないということになって、やはりなかなか先ほど申し上げたような難しいことになる。
すなわち、総じて同意の取得というのは現実の実務に照らすと、保険者にとりましてはかなり難しい仕事なんですね。
加えて、10ページの整理でいきますと、同意の取得方法が、保険者によって異なってくることにもなって、加入者さんも混乱をするんじゃないかとも思います。
それで、何か工夫がないかというふうに私ども考えるのですが、11ページに厚生労働省令がありますが、例えば省令を見直すということも議論としてはあり得るのかもしれませんが、同意を取得するという前提で考えたときに、例えばいわゆる黙示による包括的な同意とか、そういうことができないのか。
○多田羅座長 黙示というのは、どういう意味ですか。黙っていれば同意であるという意味ですか。
○藤井委員 そうですね。同意をしていただけない方は御連絡をいただくということで。
○多田羅座長 黙っていれば、同意として進めますと。
○藤井委員 もちろん、何がしか皆さんにアナウンスはするとして。
○多田羅座長 それはしますけれども、一々同意のサインをしてもらわなくてもいいとか、そういうことですか。
○藤井委員 そういう格好ですね。やり方としてはいろいろなやり方があると思うんですけれども、そういうことができれば健診データの引き継ぎなどが円滑に進むし、統一した方法で各保険者ができれば加入者の理解も得やすくなるのかなと思いますし、先ほど私が申し上げたような問題点も解決できるし、全体のシステムの改修コストも抑えられるんじゃないかとも思いますし、何よりも事業主や加入者御自身に同意の返信をしていただくような御負担も軽減できるのではないかとも思いますので、ぜひ厚労省としても、あるいはワーキングの場で、御検討いただきたいというのが1点目でございます。
○多田羅座長 あとは、簡潔にお願いします。ちょっと予定より時間がたっていますのでる
○藤井委員 申しわけありません。もう一つは20ページですが、これは健診実施機関からのデータ登録ということで、この検討の方向性を示していただきましたのは私どもとしても大変感謝をしています。
ただ、このイメージ図で真ん中の四角の中に、「集合契約に基づく健診データの登録」と記載されていますけれども、これは被扶養者の健診だけが登録されるということになりまして、私ども協会けんぽが実施している被保険者の方の健診である生活習慣病予防健診につきましても、健診の実施機関からこのシステムにデータが登録をされるようにお願いしたいと思います。
それから、昨年来この検討会で、この仕組みを活用して労働サイドの事業主健診のデータにつきましても健診実施機関からこのシステムに登録をいただいて、それを協会けんぽとしても取得できるような仕組みの構築というのをお願いしてきましたが、改めましてそもそも協会けんぽの一般の加入者というのは、自分が受けた健診が労働サイドの事業主健診なのか、あるいは協会けんぽの実施する生活習慣病予防健診なのかというのは、余り認識をされていないと思うんです。
にもかかわらず、仮に労働サイドの事業主健診データがこのシステムに登録できないということになりますと、事業主健診を受診した加入者というのは協会けんぽにデータはないわけですから、特定保健指導が受けられないということになるんですね。
かつ、当然これは退職した後も、次の保険者に健診データは引き継がれませんから、今回のこの施策の対象にもならないということになって、効果的な特定保健指導が受けられなくなるし、当然ですけれども、その加入者はマイナポータルを通じて自分の健康管理もできなくなるということなので、未来投資戦略で言われている内容にも合致しないのではないかと思うんです。
したがいまして、支払基金のシステム改修が終了するのは2021年度でしょうか。それまで若干時間もあるわけですけれども、事業主健診データの登録というのが確実になるように、具体的な論点やスケジュールを示して、私ども保険者の加入者の健康管理を進めるためにお願いをしていますので、省内でいろいろ労働サイドや健康局との調整もあると聞いていますけれども、これはあくまでも加入者の健康管理を進めるということなので、ぜひ保険局がイニシアチブをとって実現に向けて御努力をいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。失礼しました。
○多田羅座長 ありがとうございました。事業主健診のように重なっているというところがありますから、そこのところは非常に大事な点を御指摘いただいたと思いますが、きょうのところは御要望をお聞きしたということで、課長から何か一言でもありますか。
○宮崎医療介護連携政策課長 後段の部分は、まさに座長からいただきましたけれども、中小の事業主の方を傘下に抱えている協会けんぽさんの一番御苦労されているところだと思いますので、どういう形で工夫できるのか、検討させていただければと思っております。
前段の同意の部分につきましては、御質問がありましたのでお答えをさせていただきますと、11ページに特定健診のデータの引き継ぎに関しての法律と省令の記載がございます。今回のシステムのテーマでもございますけれども、こういう特定健診の記録というものをきちんと引き継ぐということは特定保健指導の上では非常に重要なテーマでありますので、法律上、その特定健診にかかわる記録については新旧の保険者間でちゃんと引き継ぎをしましょうということの記載があります。
ただ、その一方で、省令のほうで記載をしておりますのは、例えば個々に見ますと特定健診データにつきましてはやはり個人の健康状態を示す機微性のある情報でありますので、あるいはいろいろ事例をお伺いしますと、どこの会社に勤めていたかということを伝えてほしくないとか、いろいろ労働者個々人の御事情もあるものですから、これの引き継ぎに当たってはきちんとした同意をとるということを省令上、記載をして運用をお願いしているというところがございます。その健診データの引き継ぎという要請と、その機微性のある情報を御本人の同意をきちんととるという要請と、両方を両立させないといけないのでこのような規定になっております。
いろいろ今、前段の部分で御指摘いただいた点について、同意を得るということを前提としつつ、システムなり何か工夫ができないかというところについては検討していきたいと思いますけれども、なかなかこれまでの整理ではそういう機微性のある情報であるということでこういう省令などを記載しているところがございますので、そういう経緯なども踏まえてどういう工夫ができるか、検討してまいりたいと思います。
○多田羅座長 では、簡単にどうぞ。
○藤井委員 先ほど、私は黙示による包括的な同意と申し上げましたけれども、これまで黙示による包括的な同意が認められているのは高額療養費、付加給付、それから医療費通知とかありますよね。ああいうものとも違って、これはあくまでも保険者間のデータの移動であって、特に私ども協会けんぽや、健保組合でも総合健保などですと、まず事業主にデータが出ていくようなリスクはないですよ。
ですから、そういう意味ではこれまでに認められているものと比べても可能性があるのではないかと私どもも思っていますので、ぜひその点は御検討いただければありがたいと思います。
○宮崎医療介護連携政策課長 失礼しました。保険者と事業主と主体が異なりますので、保険者から事業主に出す場合も第三者提供になるので、種々の制約がかかっておりますから、単純にどこの事業主にというのがデータの移動ではないということは御指摘のとおりではありますが、機微性の高い情報であるということは確かですから、その取り扱いについては御指摘も踏まえつつ、よく整理をしたいと思います。
○多田羅座長 よろしくお願いします。大事な点かと思います。
では、小池委員、簡単にお願いします。
○小池参考人 先ほど来、ランニングコストの話が出ておりますので、このランニングコストについてはいつからどのような形で按分されるのかというところを早くお示しいただきたいと思います。
手挙げ方式ということでありましたので、そうであれば定着するまでランニングコストは国で負担していただくというような案もあろうかと思います。これが1点目です。
もう一点、簡潔に言いますけれども、今回法改正におきまして国保連合会のほうがこういったデータを扱えるというところについては国保法の改正がございましたけれども、私どもが要望しておりました国保中央会については記載がございませんでしたので、こういった制度がスムーズにいきますように、今後とも厚労省のほうから市町村のほうに周知、説明をお願いしたいと思います。以上でございます。
○多田羅座長 課長、何かございますか。
○宮崎医療介護連携政策課長 まず、オンライン資格確認なり、この仕組み自体については手挙げというよりは全部の関係者が御参加いただく仕組みとしてお願いをしておりますので、その前提ではございます。今日説明にあった手挙げありの部分というのは、例えば健診データを先に登録しようとか、そういう部分については手挙げで、自分はもうタイムラグは嫌だから先に入れたいというところについては手挙げでやるというような意味合いであります。
その前提で、仕組み全体としては全医療保険者の御協力のもとで進めるということでございますし、今回、実はその点、現在国会で御審議中の関係改正法案の中でも、こうしたシステム情報化の進展を取り込む仕組みについては関係者の御協力が必要だということで、関係者がこの点については心を合わせてやっていくというような規定も入れております。そういう仕組みのもとであるということは御理解いただいた上で、必要なコストについてはきちんと御了解を得ながら進めるという形をしたいと思います。
○多田羅座長 費用については、別途ちゃんと検討いただくということですね。
ありがとうございます。よろしいでしょうか。まだ議論はあるかと思います。歩きながら考えているというようなところもございますので、その点はひとつ御了解いただきたいと思います。
それでは、ちょっと時間が押してまいりましたので、勝手ではございますが、次の議題に進めさせていただきます。
議題の3でございます。「特定保健指導の「モデル実施」に係る対応について」、事務局から説明をお願いいたします。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 お手元のタブレットから頭に03、資料3とあるPDFをお開きいただけますでしょうか。いわゆる「モデル実施」と言われている柔軟な特定保健指導のやり方が平成30年度より始まってございますが、この資料では、こちらについての進捗の状況を御報告させていただきます。
1ページ目でおさらいさせていただきます。そもそもこのモデル実施とは何かということの御説明をさせていただいております。非常に粗い説明で申し上げますと、従来はこの1ページ目の資料の左上にございますとおり、積極的支援については支援の投入量に応じまして180ポイントの介入量をお願いをしてまいりました。今回「モデル実施」ということで国のほうにあらかじめお届けをいただいた場合については、腹囲2センチ、体重2キロを減らしていただくというアウトカムに着目した柔軟な方法で成果を出していただいた場合、保健指導を実施したこととみなす対応を始めたところでございます。
具体的な例として取り組みのイメージを3つ書いておりますけれども、後ほど事例の紹介のところで触れてまいりたいと思います。
実際にこのモデル実施をどれくらいの保険者さんがやっていただいているのかというのを、2ページ目にお示しをいたしました。国のほうにモデル実施をやるということでお届けいただいているところが、現在206カ所ございます。大部分が健保組合でございます。基本的には委託でやっているところが多いのですが、一部20%程度については直営でも実施をいただいている状況でございます。
前のこちらの検討会でも御了解をいただいて進めてまいりましたけれども、このモデル実施については別途ワーキングを設けまして、その効果の検証というものを進めるということで現在対応している最中でございます。
先に最後のスライドの10ページまでおめくりをいただきたいと思うのですが、実はこの検証についてワーキングのほうで種々御議論いただきました。その結果、ことしのモデル実施のよしあしや効果を評価するのは、あくまでもその次の年の健診のときのデータを見ないと何とも申し上げることが難しいという御意見がございました。従いまして、ざっと3か年程度をかけて検証を行っていってはどうかということを、この10ページのスライドの中にお示しをいたしました。
こういったことがございますので、ことしは、まずヒアリング調査を一部の保険者さんの御協力を得て実施をさせていただきました。このヒアリング調査につきましては、これからモデル実施を検討してみようかという保険者さんにとって参考となり得る取り組み事例として横展開をする目的で行ったものでございます。
それで、ヒアリング調査のほうに移りますので4ページにまた戻っていただけますでしょうか。4ページにありますとおり、23カ所の保険者さんに御協力をいただきましてヒアリング調査を実施いたしました。この23カ所の選定の仕方でございますが、国のほうにあらかじめ計画書を出していただいておりますので、それを拝見しながら、その内容について偏りがないように、23の保険者を選定させていただいたところでございます。
5ページ目に移りまして、ヒアリングの項目を一覧表でお示しをしました。ちょっと細かいので割愛をいたしますが、なぜモデル実施を始めようと思ったのかとか、どんな人を対象にやっているのかとか、どんな体制でやっているのか、こんなことを中心にお伺いをしたところでございます。
6ページから7ページに、その結果をお示しいたしました。23カ所の保険者全て御紹介をしてはどうか、そういったこともワーキングの中で御議論させていただきました。その結果として、今回7の保険者について取り上げるということにさせていただいてはどうかとの御意見をワーキングから頂戴しました。その資料でございます。
この7つの保険者を取り上げた理由でございますけれども、モデル実施の狙いや保険者固有の課題について、特に丁寧に分析していた保険者さんを7つ選定をさせていただきました。
一番上は、さいたま市さんでございます。次が日本航空さんの健保、阿波銀行さん、全国土健保さん、遠州鉄道さん、ヤマザキマザックさん、全国健康保険協会さん、この7つの保険者につきまして、これからさまざまな機会を通じまして、こんなモデル実施をやっていますよということで、各保険者さんへの周知を横展開していってはどうかと、そのように考えております。
本来であれば、このそれぞれについて御紹介をしたいところなのですが、ちょっとお時間の関係もありますので詳細は割愛させていただきます。。
○多田羅座長 このモデル実施のところは、かなり実績を上げているところですか。実績が上がっていないところも入っているんですか。成果が上がっているところを、7団体挙げているということですね。
実績が上がらなくて、苦労しているところどうなんですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 成果というのを何で切り取るかということかと思います。今時点でわかっている成果というのは、どれくらいの加入者さんに、モデル実施に参加をいただいたのかということしか、まず今、成果としては。
○多田羅座長 実施率ですか。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 参加率になります。モデル実施に対しての参加率になるかと思います。
冒頭申し上げましたとおり、このモデル実施のよしあしというのはあくまでも来年度以降も引き続き、3カ年かけて検証をしていきたいと思っていますので、この段階でこの保険者はすごく成果をあげています、実績があがっていますといったことを申し上げることは適切ではないと思います。
○多田羅座長 どういう基準でこれを選んだのかということを、簡単にお願いします。
○廣瀬医療費適正化対策推進室長 どういう理由で選んだかというと、6ページから7ページにありますとおり「モデル実施のねらい」というものを1列をつくって説明しておりますけれども、この「ねらい」についてかなり丁寧な課題分析を行っていた保険者、明確な狙いに対してモデル実施を行っていた保険者、こういった保険者を選定いたしました。今後の横展開を図っていく中で、他の保険者にとっても参考になると考えております。
では、続いて8ページにまいります。途中で申し上げましたとおり、この効果検証につきましてはことしだけではなくて来年以降も3カ年程度かけて実施をしていってはどうかと考えております。
例えば8ページにありますとおり、NDBのデータを用いてモデル実施に参加をした方と、普通の保健指導に参加をした方、こういった方々をグループ分けするような形で健診データを用いた比較を行ってはどうかと考えております。
それでは、9ページにお進みをいただけますでしょうか。途中で多田羅先生からも御指摘があったかと思いますが、何をもってモデル実施はよかったのか、実績が上がっているのか、それをどんな指標で見るかということも、ワーキングで御議論いただきました。ちょっと細かくなるのですが、この9ページの一覧表の中に効果検証に用いるべきインディケーターをお示しいたしました。
幾つか要素はあるかと思うのですが、大きく分けて、1つはその内容がどうだったのかということと、2点目はモデル実施が終わったとき、保健指導が終わったときに2センチ2キロという目標を達成していた加入者がどのくらいいたのか、3点目として、翌年度の実施の健診のときに、モデル実施直後の状態を維持、改善できていたのかどうか。こういった3つに着目をして、ここに書いてあるような指標を用いて、定性的、定量的に分析をしていってはどうかと考えております。
ちょっと事務的なことになりますけれども、NDBはあくまでも定量的な健診データとか、数字で出てくるものが中心になります。保険者さんへの御負担をお願いすることになりますが、どんなモデル実施をやったのかという内容面については、引き続きモデル実施計画書や実績報告書といった、紙での情報提供に御協力をいただきながら、この取り組みを続けてまいりたいと考えております。以上でございます。
○多田羅座長 ありがとうございます。モデル実施ということで、具体的な数字で成果なり評価というものの道筋を示していただきたいと思います。
いかがでしょうか。鎌田委員、看護師さんとしていかがですか。
○鎌田委員 御指名ありがとうございます。
この評価についてはまだわからないということですので、これらを注視しながら見ていき、保健指導のあり方等を含めて、その結果が出た段階で、また新たな保健指導のあり方等を検討していただければいいかなと思います。これがうまくいくことを期待したいと思っております。
○多田羅座長 ありがとうございます。
河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。お手元に、私から提出資料を出させていただいておりますが、資料5でございます。
これは、健保連が個々の健康保険組合にこのモデル実施という枠組みを使い保健指導の実施率を上げていくPR用につくった資料でございます。
先ほどの事務局の説明の中でも、モデル事業を実施しているのはほとんど健保組合ということが紹介されておりましたが、この第3期計画のスタートに当たり、健保組合は保健指導の実施率をもっと高め、その行動変容の機会をつくっていく。
そのためにどうしたらいいのかと検討する中で、保健指導を勧めても本人が利用してくれないとか、あるいは途中でやめてしまうとか、そういうケースを防いでいくためにどうすべきかと考えました。いろいろな組合からの声で、面談とか電話とかメールを用いた、いわゆる180ポイント以上の保健指導が働いている方にとってはそれなりに負担となっているとの意見がありました。
例えば、夜勤の方とか、トラック運転手の方の様にたえず移動している方とか、いろいろな働き方の人がおられるわけですが、そういう問題等を、検討会で申し上げ、こういう枠組みを入れていただいたということでございます。その意味では、このパンフレットにもございますが、対象者にとっての負担もできるだけ軽くし、個々の企業や組合が従来行ってきた保健事業をうまく利用しながら行動変容につなげていく。
一方で、保健師等専門職の人数も事業所や組合だとかなり限られているということもございます。そういう中で、このモデル実施を広く実施をし、それがきちんと改善に結びつくということを、先ほどお話がありましたワーキンググループなどで検証していただき、私どもとしては効果があるものをもっと展開していこうという流れになって4期にさらにつなげていきたいと考えています。
○多田羅座長 お示ししていただいているこの図は、誰が誰に対してつくったものですか。
○河本委員 これは、健保連が個々の1,400の組合に対して、まずはPR用に作成しました。
○多田羅座長 では、これを1,400枚配っていただいたんですか。
○河本委員 そうです。
○多田羅座長 ありがとうございます。
○河本委員 一方で、個々の組合が今度は事業主とも相談をしながら、あるいは組合会などで被保険者の代表の方とも相談をしながら、うちはこういうことをやっていこうという組合が200組合あり、今、進めているところです。私どもとしてはこれをもっともっと広げてきちんと成果を出して、それを認めていただき第4期につなげていければと思っているということでございます。
○多田羅座長 よろしいでしょうか。
ありがとうございます。健保連のほうから、具体的に1,400団体に呼びかけていただいているというのは非常に貴重な第一歩かと思います。よろしくお願いいたします。
津下さん、何か言いたそうですが。
○津下委員 モデル実施について簡単に所感ですけれども、今までは180ポイントこなすという指導になっていた場合もあったと思うのですが、特にリピーターの方については毎年マンネリ化してきている状況もあったかと思います。実際にこれに取り組まれた話を幾つか聞いておりますけれども、マイナス2センチ2キロ、わかりやすいということで成功者も出ている。
ただ、成功率がどうかという観点でいくと、冬からのスタートで、この時期にお正月を挟んで体重が減るのはかなりハードルが高くて、私が聞いたところだと10%ぐらいの方が達成できたとのことで思ったよりも少なかったと。でも、今まで過去2年間、成果が上がらなかった人で効果が上がる人が出てきたというのは大きな成果かもしれないですね。
もう一つは、血液検査で評価もしていて、その3カ月の時点で特定保健指導の階層化判定を使うと、3割ぐらいの方が判定が改善していたということです。短期なので、1年後とはちょっと評価の軸が違うので比較は難しいんですけれども、いろいろな選択肢の中でこういう目標を掲示していろいろなやり方をトライするということも重要なことなのかなと、私どもは評価しながら受けとめているところです。
○多田羅座長 手ごたえはどうですか。
○津下委員 データヘルス見本市でも幾つかの健保さんとディスカッションしたんですけれども、やはり創意工夫が生かせるとして積極的に取り組んで、この機会に一回、特定保健指導で何を目標にしていたのか、見直す機会になったというような話もされていました。保険者さんにとってこの戦略を考えていただくことが重要と思います。ただ毎年同じように該当したから指導しますということではなくて、こういう方法も検討していただくことが重要かと思います。
特に、効果評価をやっていますと、初代、初めて保健指導をした人というのはかなり効果が出るんですけれども、リピート率が高くなるとやはりそこは効果が落ちてくるということも明らかですので、この辺のてこ入れというのは重要なのかなと感じています。
○多田羅座長 わかりました。
○藤井委員 今、津下先生から実績というお話がありましたけれども、私ども協会けんぽは規模が大きい保険者でもありますので、ポイント検証モデルにしても、新手法検証モデルにしても、とにかくいろいろやってみようということでやっていますが、これは全く暫定的な数字ですけれども、この1月末時点までの積極的支援の終了者数が4,500人余りいらっしゃるんですが、その中でこのポイント検証のモデル要件、すなわち2センチ2キロが達成できたことでもって終了した方が2,100人余りなので、半分まではいきませんけれども、今だとそれぐらいの実績が上がってきています。
もちろん、これはまだこの後リバウンドがあるんじゃないかとか、いろいろなことは考えられますので。
○多田羅座長 2センチ2キロというのはわかりやすいですね。
○藤井委員 そうですね。そこは確かにそうで、効果検証は来年度、年度が明けましたら私ども前半にとにかく迅速にきっちりと行っていきたいと思っています。
○多田羅座長 ありがとうございます。
それでは、申しわけありませんが、議題を進めさせていただきます。
議題4でございます。「高齢者の保健事業について」の報告をお願いします。
○込山高齢者医療課長 高齢者医療課長でございます。議題4の「高齢者の保健事業について」の御報告でございます。
資料4でございますが、2ページ以降をお開きいただきたいと思います。きょう主に御報告する内容は、高齢者の健診における質問票について新たに策定させていただきましたので、その御報告でございます。
その前段といたしまして、高齢者の保健事業をめぐる最近の状況を簡単に御報告と思いましたが、時間も限られておりますので簡潔に申し上げます。
2ページ以降、書かせていただいているとおり、これからの高齢者の保健事業につきましてはフレイル対策、「フレイル」に着目した事業をどう充実していくのか。その点が大きな課題になっています。
御案内のとおり、フレイルというのは身体的な脆弱性であったり、また精神・心理上の脆弱性、さらにいえば社会的な脆弱性という問題を含んでおり、そういったお年寄りの多面的な課題に対して保健事業としてどうアプローチをしていくのかが問題でございます。
また、フレイルというのは疾病予防にとっても大きな問題であり、かつ生活機能の低下といった介護予防の面でも大きなテーマになっています。そういったことから、保健事業と介護予防をどう一体的に市町村さんで展開していただくか、これも大きな課題になってきました。
資料で申し上げますと9ページでございますが、ただいま国会のほうに法案を提出させていただいて御審議を賜っているところでございますけれども、今回の法案の中に高齢者の保健事業と介護予防をどう一体的に効果的に進めていくかといったスキームの内容も盛り込ませていただいております。
簡潔に申し上げますと、後期高齢者医療のいわば保険者である広域連合、こちらは特別地方公共団体でございますが、こちらが責任主体となりつつ、具体的な事業展開についてはそれぞれの構成する市町村さんに委託をする。市町村さんにおきましては、介護の地域支援事業であったり、さらに国保の保健事業と一体的な取り組みを進めていただくということを、法律上そのスキームを明確化させていただいたものでございます。
その具体的な保健事業に取り組んでいただくイメージが、例えばですが、10ページにあるような内容になりますけれども、基点といたしまして医療専門職の方を地域に配置して、そして医療レセ、介護レセ、さらには健診のデータ、そういったものをKDBシステムなどを活用して分析をしていただく。
その分析の結果、どういった地域課題があるかとか、個々の高齢者の方にとってどんなサービスが適当であるかとか、メニューをいろいろ検討していただき、それぞれ個別のアプローチとか、または集団的なアプローチとか、そういったことの工夫をしていただくというものでございます。
今、申し上げたように基点としての健診というのがございますので、その健診を行うに当たりまして御質問をさせていただく質問票について、高齢者向けということでどんな内容が適当かということをワーキンググループのほうで鋭意検討していただいた次第でございます。
スケジュール的なものは、15ページになります。15ページの真ん中に平成30年度という枠がございますが、有識者の先生方によるエビデンスの収集等も含め、作業チーム、さらにワーキングでこの質問票の内容を検討していただきました。
その内容でございますが、16ページでございます「後期高齢者の質問票の見直しについて」でございます。
「経緯」につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、ガイドラインの中でも、今後高齢者向けの質問票をきちんと考えなければいけないという御指摘もいただいているところでございます。
また、2番目の枠ですが、質問票が用いられる状況ということで、とりわけ高齢者の方におきましては、そのスクリーニングという機能とともに必要なサービス、必要な支援につないでいく。そういったところの機能が非常に大事であろうということに着目しております。
また、活用の場面といたしましては、基本的には健診時ということになりますが、ただ、通いの場などで活動されるときに最初に質問票等を通じて、その方のもろもろの課題を把握するといった使い方もあるのではないかということも含めて検討しております。
3つ目の箱でございますけれども、「質問項目の考え方」です。これは冒頭来申し上げているとおり、フレイルというところに着目をして、それぞれのお年寄りが抱える多面的な課題を簡潔な項目の中で把握させていただくということを主眼に検討させていただきました。
具体的な内容は、最初の「○」に(1)~(10)まで並んでございますけれども、フレイルの概念に照らしてこういった項目を検討した次第でございます。
17ページが、その内容です。
18ページが質問票そのものでございますけれども、17ページにはそれぞれの質問票の質問文と、右側に考え方を書かせていただいております。
○多田羅座長 この質問票は、もう既に決定ですね。
○込山高齢者医療課長 ワーキングで作成し、決定しております。
○多田羅座長 では、ここでは報告を受けているということですね。
○込山高齢者医療課長 また、その点での御意見も頂戴できればと思います。
○多田羅座長 ここで意見をいただいて、この文言はどうというのではないんですね。
○込山高齢者医療課長 どういった考え方で策定されたのかということについて、きちんと御説明申し上げるということです。
○多田羅座長 報告を受けているということでいいですね。
○込山高齢者医療課長 はい。
では、1と2でございますが、こちらは高齢者の方自身が御自身の健康状態をどのように認識されているか。いわゆる主観的健康観というようなことになりますけれども、そういった部分をお尋ねしております。
3番目がお食事の面、関連いたしまして4番、5番ですが、口腔機能についての質問でございます。
また、体重変化でございますが、特定健診の質問票ですと20歳のときから比べて10キロふえていますかというようなことを聞いておりますが、これをお年寄りのバージョンに合わせております。6カ月で2~3キロ以上の、むしろ体重減少がありましたかといったことで、フレイルに着目をした内容にしています。
7、8、9につきましては、運動面、身体機能面についてのお尋ねでございます。また、お年寄りの御自身の生活に密着したような形で質問票も構成させていただいております。
10、11につきましては、認知機能の部分でございます。物忘れ等々ということになりますけれども、むしろほかの方から何か指摘を受けることがあるかといった形で、客観性も持たせる質問の内容にしてございます。
12番は、たばこに関しての質問です。特定健診の質問票に比べまして、たばこにつきましては簡潔に質問を構成しております。
13~15にかけましてはまさに社会的な部分でございますけれども、お年寄りの社会参加の側面、ソーシャルサポートといったことで、身近に相談できる方がいるかどうかといったことの社会性の部分につきましてもお尋ねしております。
こうした質問を通じまして、それぞれの健康課題を把握し、スクリーニングをかけるということももちろんですし、これに加えまして、この質問を契機に専門職の方とのお話を進める中で、その方のいろいろ抱えるさらなる生活上の課題なども把握することができる。そういったことにつなげていくということの目的も持っております。
報告で恐縮でございますが、以上でございます。
○多田羅座長 わかりました。まず、最初に御説明がございましたフレイルというのは、何か正式にもう定義となっている文書はあるんですか。
○込山高齢者医療課長 ありがとうございます。16ページの「質問項目の考え方」のところでちょっと引用させていただいておりますが、日本老年医学会さんのほうで定義をしていただいております。
○多田羅座長 老年医学会で、正式にフレイルを定義しているんですか。それは、どこですか。
○込山高齢者医療課長 16ページの一番下の箱の中、「質問項目の考え方」の括弧のところにその定義を掲げてございます。
○多田羅座長 ちょっと長いですね。
○込山高齢者医療課長 身体面、心理面、そして社会的な面と、そういった部分を内容としていて、自立障害、死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態とされております。
○多田羅座長 フレイルであるという状態を、どのようにして評価できるんですか。
○込山高齢者医療課長 現段階では、フレイルについての統一的な診断基準というようなものはまだありませんけれども、ただ、ここにあるようなフレイルの診療ガイドというようなものもこの日本老年医学会さんでおつくりいただいております。そういったものを踏まえて、いろいろそれぞれでスクリーニング等をかけてやっていただいているところでございます。
そういった考えを踏まえた上で、今回の質問票も検討したということでございます。
○多田羅座長 課長は、フレイルについてこれで納得されたんですか。メタボというのは、85とか90というのはかなり議論があったじゃないですか。でも、85、90というのは1つの基準としてわかりやすかったわけです。
だけど、フレイルというのはそういう意味で何かわかりやすい基準のようなもの、例えば30メートルを1分以上だったらフレイルとか、何かそういうような基準でも、それが正しいかどうかは別ですよ。
しかし、一つの見方として、そういう具体的なものは。
○込山高齢者医療課長 フレイルは多面的な課題でもあり、個々具体的なスケールみたいなものというのは、引き続きこれから学会さんなどでいろいろな御議論はさらに続いていくと思います。
○多田羅座長 では、学会に任せているんですか。
○込山高齢者医療課長 ただ、考え方として、まさにこの社会的なもの、身体的なもの、精神的なもの、そういった多面的な要素をもってこのフレイルというのが構成されているというのは極めて明確な。
○多田羅座長 明確じゃないですよ。それは、アバウトであって。
○込山高齢者医療課長 そういう考え方をいただいておりますので、さらに具体的な個々のスケールは今後、先生方の御議論の中でさらに形成されていくことだと思いますが。
○多田羅座長 それは、老年医学会がやるんですか。フレイルという言葉が標準になるとすると、もう少し何か具体的なものがないと、一般的に社会的、心理的というと広くなり過ぎてフォーカスが難しいんじゃないかというのが私の個人的な意見ですけれども。
○込山高齢者医療課長 そこは先生方には大変恐縮ですけれども、今後、学会なども含めた御議論を頂戴することだと思いますので。
○多田羅座長 今村先生、どうですか。
○今村委員 項目はとりあえず決まって報告ということなので、個人的にはいろいろ意見がありますが、それを踏まえた上で確認したいことがあります。
これは後期高齢者の質問票ということですけれども、フレイル予防という意味では年齢で切れない部分があって、メタボ健診を受けている方たちの中でもその健診を受ける際に、この方は少し虚弱が疑われるといった場合、この質問票を活用できるのかどうかという確認が1点です。
それと、まさしく多田羅先生がおっしゃったように、この全体の「はい」が幾つあったらフレイルと言えるのかというようには多分使えない。そうだとすると、それぞれの項目で、ではここにチェックが「はい」と入ったら具体的に何につながるのかというのが多分まだ明確ではないのです。
それは今後決めていきますという話になると、ただ、高齢者から問診票をとっただけで終わってしまうので、ここに課題がありそうだと分かったときにどうするかという具体的なものをもう少しはっきりと出していただきたい。
○多田羅座長 そうですね。判断の指標になるようなものですね。
○今村委員 そうです。私は、以上です。
○多田羅座長 どうぞ。
○津下委員 この質問票の作成の会議にかかわってきました。身体的フレイルについては、学会でも明確な基準ができてきつつありますが、フレイルの概念はそれだけではなく、精神的、社会的という概念もあるのでやや複雑です。身体的といいますと、例えば体重減少とか、筋力低下とか、歩行速度が低下するとか、さまざまですが、ただ、1つに決まっていないというのが現状ですので、そこの公約数をとって、国としての質問票には大事な構成要素を盛り込んだということなんです。
また、実際にこの質問票をどのように使っていくのか、どのぐらいの有所見率になるのかについては研究班で今後しっかりと分析する予定です。エビデンスも踏まえてどういう指導につなげるのかということを来年度というか、もうすぐにも整理をしたいと思います。
○多田羅座長 それは、今からですか。
○津下委員 はい。もう有識者会議の中ではいろいろ議論は進んでいますし、高齢者の保健事業は平成28年度もずっとモデル事業等をやってきております。実際に市町村でどんな取り組みをされているかということとを把握して、現実も踏まえたガイドライン的なものが作成できればということで、質問票が世の中で広く使われるまでに、できるだけわかりやすいものを研究班等でも検討していきたいと考えております。
それからもう一つ、今村先生が言われた前期高齢者についてですけれども、74歳まで特定健診・保健指導の該当になっているので、特定健診の項目は必須になっているとは思うんですけれども、おっしゃるようにフレイルが始まってきておりますので、これを応用していただくというのは非常に重要なことなのかなとは思います。
ただ、基本チェックリストでの有所見率というのはデータがあるので見ていきますと、やはり後期高齢者からこのフレイルの有所見率は非常に高くなってくるということもありまして、前期高齢者は必ずしも必須ではないだろうというふうには捉えているところでございます。
○多田羅座長 活用することは、歓迎ということですね。
○津下委員 勧められるとは思います。
ただ、65歳の方全員にこれをしなければいけないかというと、そこまではいかないのではないかとは思います。
○多田羅座長 この質問票というのは、もう既にワ-キンググループで決定いただいているということで、きょうは報告としてお受けいたしました。この検討会として、いろいろ御意見はあるかと思うんですけれども、それで高齢者の質問票として使うことについては了承ということでよろしいでしょうか。
(委員 異議なし)
○多田羅座長 ありがとうございます。そういうことで、せっかくつくった質問票でございますので、具体的な指標作成ですね。フレイルとは何かというような、いろいろ切り口はあると思うんですけれども、やはりメタボでも85、90というのは決めておりますので、何かそんな感じがあると国民もわかりやすいんじゃないかということはございますので、今後フレイルという概念が国民に理解できるような指標というんでしょうか、視点を示していただければと思います。
基本的に、この質問票についてはこの検討会で了承いただきましたので、そのように進めていただきたいと思います。ありがとうございました。
そういうことで、きょうはかなり大きな議論の内容がありましたので、時間がいっぱいになってしまいました。十分な議論ができなかったことは申しわけないんですけれども、しかし、それでも結構いろいろ意見をいただいて、要望としては出していただいたと思うんですね。
だけど、歩きながら考えているというところもありますから、その経過を見てほしいというのが特に課長からの言葉でもあったように思いますので、今後この検討会でもその都度それなりの報告をいただいて確認していただくように、私から改めてお願い申し上げたいと思います。
それでは、これで会を終わりにしますが、せっかく審議官が横に座っているので一言お願いします。
○山本審議官 審議官の山本でございます。年度末の大変お忙しい中、お集まりいただきまして、真摯に御議論をいただきましてありがとうございました。
きょう御議論いただいた関係なんですけれども、政府の中では今、健康寿命延伸を進めていきたいということで、予防・健康づくりの取り組みの強化について政府を挙げて検討しているところでございます。
その中で、保険者におけるこの取り組みというのは中核になるものだと考えております。もう十数年前に特定保健指導の仕組みが始まりましたけれども、皆様方の御尽力もありまして、そのころと比べて今の取り組みというのは隔世の感があるほど進んできたと思います。
その中でも、やはりこれから人口も減少していきますし、いかに効率的で効果を上げていくかというところがポイントになっているかと思います。
きょう御説明をさせていただきましたマイナポータルを使った閲覧であるとか、保険者間の引き継ぎであるとか、これは今、法案を出しておりますけれども、オンライン資格確認の仕組みをベースにして仕組みをつくっていくというものですし、また、特にフレイル対策に着眼した高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施についても、市町村に取り組んでいただくためにデータを活用して、国保連とか、後期高齢者医療も一緒に頑張っていただく仕組みを、これも法改正事項ということで今、進めているところでございます。
きょう、いろいろな御意見、課題を御指摘いただいたところでございますが、引き続き実施に向けまして、私どもも皆様とよく御相談をしながら詳細を詰めていきたいと思っております。
今後とも御協力をお願いしまして、きょうは御礼の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○多田羅座長 どうも、審議官ありがとうございました。
それでは、事務局、よろしいでしょうか。
○宮崎医療介護連携政策課長 ありがとうございました。今後の関係で、一言御説明させていただきますと、きょう議事の中で2の特定健診データ等の引き継ぎ関連のところにつきましてはワーキングで積み上げてきたものを御説明させていただきました。この内容に沿いまして今後システム開発等のほうに進めさせていただきたいと思っております。
その上で、きょう出た課題についていろいろ御指摘をいただいた点につきましても並行して、実務的な部分について検討をしてまいりたいと思っております。
また、議題3の「モデル実施」に関しましては、多分取り組んでおられる保険者の皆様はわからない中で取り組んでいただいているところがあると思うんですけれども、そういう意味では積極的に手を挙げていただいたところに大変感謝をしておりまして、効果検証の中でいい知見が得られるのではないかと思って大変期待もしております。
きょうお示しさせていただいた今後の効果検証のスケジュールに沿いまして、引き続きこの取り組みをいい形で活用させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○多田羅座長 ありがとうございます。
きょうは、非常に充実した審議をいただいたと思います。特に、私の個人的な認識は同意のところです。これだけの大きなシステムが円滑にいくかどうか、きょうのところはどのような形で国民、参加者の皆様の同意も得ながら、保険者がそのことを了承しながら、国民の皆さんに同意をどのように確保していくシステムかというのはやはり一番難しいんですけれども、大事だと思います。
廣瀬室長も、ワーキングでは常に同意、同意ということをおっしゃっていただいていたのを私はよく覚えております。そういう点で、特に国民の同意による健康診査であり、保健指導だという点が認識できたんじゃないかと思います。その点、今後ともよろしくお願いいたします。
それでは、以上で本日の検討会を終わりにさせていただきます。どうも御協力ありがとうございました。

 

 

(了)

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