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2018年3月30日 第31回保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録

保険局医療介護連携政策課データヘルス・医療費適正化対策推進室

○日時

平成30年3月30日(金)15:00~16:30


○場所

全国都市会館 第2会議室
東京都千代田区平河町2-4-2


○議題

1.特定健診データの保険者間の引継ぎ、マイナポータルを活用した特定健診データの閲覧について
2.後期高齢者医療制度の保健事業について(現状報告)

○議事

○多田羅座長 本検討会の座長を仰せつかっております多田羅でございます。

 それでは、定刻になりましたので、第31回「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催いたします。

 委員の先生方には、お忙しいところ、本日、検討会に御出席いただきまして、ありがとうございます。

 まず、本日の委員の出欠状況について、事務局からお願いします。

○高木室長 委員の出欠状況です。井伊委員、飯山委員、岩崎委員、岡崎委員、酒井委員、蓬莱委員、武藤委員、吉田委員より欠席の御連絡をいただいています。また、飯山委員の代理で齋藤参考人、酒井委員の代理で曽我参考人、武藤委員の代理で中田参考人、吉田委員の代理で増田参考人に御出席いただいています。また、オブザーバーとして、全国知事会の太田調査第二部長、社会保険診療報酬支払基金の城審議役に御出席いただいています。

 続いて資料の確認をお願いします。議事次第と座席表、資料1、資料2、参考資料になります。以上でございます。

○多田羅座長 それでは、御用意いただきました議事次第に沿いまして、本日の議事を進めたいと思います。

 まず、議事1でございます。「特定健診データの保険者間の引継ぎ、マイナポータルを活用した特定健診データの閲覧について」、事務局から説明をお願いいたします。

○高木室長 資料1「特定健診データの保険者間の引継ぎ、マイナポータルを活用した特定健診データの閲覧について」です。昨年11月8日の医療保険部会で、適切な保険制度の運用の確保やデータヘルスの基盤整備、個人の予防・健康づくりの支援等の観点から、被保険者番号の個人単位化、オンライン資格確認、マイナポータルを活用した特定健診データの閲覧について、2020年の本格運用に向けた検討内容を保険局から説明しています。

 特定健診データの保険者間の引継ぎとマイナポータルを活用した閲覧は、マイナンバーのインフラを活用し、オンライン資格確認と一体的に整備することが効率的ですが、保険者等の関係者と協議・調整した上で整備していくこととしていますので、現時点の検討状況について御説明させていただくものです。

 おめくりいただきまして、2ページ目からが11月の医療保険部会の資料です。まず、2ページ目につきましては、被保険者番号は今、世帯単位ですけれども、これを適切な制度の運用確保、データヘルスの推進の観点から、個人単位でデータの連結ないしは資格の管理ができるようにするということで、個人単位の被保険者番号を振った上で、それを支払基金、国保中央会で履歴管理する仕組みを説明しています。

 続きまして、3ページ目、4ページ目です。こちらはオンライン資格確認ですが、マイナンバーカードの電子証明書を保険医療機関・保険薬局で読み取って、資格確認する仕組みです。これによりまして、資格確認がきちんとできるため、資格喪失後の受診に伴う事務や未収金も含めたコスト削減ができるとしています。マイナンバーカードを持っていない方については、健康保険証に個人単位の新被保険者番号を付すことによって、資格確認ができる仕組みにしています。

 続きまして、4ページ目ですが、マイナポータルを活用した特定健診データの個人向け提供サービスです。これは、国民の行動変容を促す、ないしは保険者を変わっていく中で特定健診データの管理をきちんと引継ぎできるようにするということで、個人単位の被保険者番号の履歴管理とあわせて、特定健診データについても履歴を一定期間、管理した上で、さらにマイナポータルでも閲覧できるようにして、個人の行動変容にも資するようにするものです。

 おめくりいただきまして、5ページ目が今の資格確認の仕組みとマイナポータルの閲覧という仕組みを整理しているものです。真ん中の支払基金・国保中央会のところに、オンライン資格確認等システムとあります。ここで個人単位の被保険者番号と、さらに資格情報と特定健診データを1対1の関係で管理した上で、電子証明書で資格情報を照会する、ないしはマイナポータルで特定健診データの閲覧ができる仕組みです。

 6ページ目が、住民票コード、マイナンバーと1対1になっている識別子を支払基金・国保中央会では持っていますが、これと被保険者番号を1対1で一元的に管理することによって、レセプトに個人単位の被保険者番号を付していただければ、資格喪失後の受診に伴う資格の照会とか事務コストの削減ができる。さらにいえば、未収金についても、資格を照会した上で確実に解消できるということです。

 続きまして7ページ目です。今までオンライン資格確認、ないしは個人の保健医療情報の履歴管理について閣議決定されています。直近の12月の新しい経済政策パッケージでは、被保険者番号について世帯単位を個人単位化して、マイナンバー制度のインフラを活用して、保険者が変わっても資格情報のデータを一元的に管理する仕組みについて検討し、オンライン資格確認の2020年からの本格運用を目指すとしています。また、マイナポータルの関係は、平成27年の閣議決定でも触れられています。

 続きまして9ページ目ですが、特定健診データの経年的な管理とマイナポータル閲覧の仕組みについて、幾つか検討項目があります。これについて、システム開発のための具体的な仕様や要件について、保険者・医療関係者・健診実施機関等の実務者レベルで、まず協議させていただいています。

 1の特定健診データの管理のあり方として、経年的な管理の目的や管理期間をどうするか。NDBとの連携、効率的な登録方法。2の効率的なデータの登録方法や照会の仕組み。3のマイナポータルでどのような形で表示するか。さらに、4のコスト負担については、当然ですが、ランニングコストが合理的なものであるとか、保険者の了解を得ることが前提です。こうしたことについて議論しています。

10ページ目は、まずこの趣旨です。経年データを効率的に管理できるような仕組みということで、特定健診の場面では、本人が自分の変化に気づいていただく。経年での健診結果の変化を本人にわかりやすく説明することが重要です。現在、標準的な健診プログラムでも、経年での変化をわかりやすくお伝えすることが望ましいとされています。

 他方、現在、保険者では、経年のデータを自分で管理している場合にはそれを活用していますが、過去の保険者に対してその照会を行うことは、法律上は照会があった場合には答えなければならないとなっていますが、実際には紙ないし電子媒体で提供する例は少なく、新しい保険者では、その年の健診結果で保健指導しているのが実態です。

11ページ目がその法律の規定です。旧保険者は、新しい保険者から照会があった場合には出さなければならないと法律上、規定されています。また、2015年の国保法改正で、保険者は、個人の予防・健康づくりの自助努力について支援することが、保険者の努力義務として新しく位置づけられています。

 こうしたことを踏まえ12ページ目ですが、現在、一部の健康保険組合等では、加入者の健康管理を支援する観点から、ウェブサービスによって健診データ、医療費通知、後発品の差額通知等を情報提供する取り組みも行われています。他方、こうした取り組みについては、保険者ごとに契約しているため、脱退するとそのデータの引継ぎができないとか、利用することが難しいといった課題があります。

13ページ目、14ページ目ですが、そうした健診データについて保険者間の引継ぎの仕組みが必要ではないかとしています。また、契約を結んでいる保険者・加入者の中でも、一旦IDを仮発行して、さらに自分で本パスワードを設定して使うため、使っている方と使っていない方がいるとか、一部の保険者で利用できない方もいらっしゃいます。

14ページ目は、こうした保険者間で健診の記録について引き継ぎをする場合に、どこまで対象とするかということです。特定健診は、その記録の仕様が決まっており、保険者共通で実施していますので、引き継ぎを行う健診記録の範囲については、生活習慣に起因する身体に起きている変化の把握が可能で、保険者共通で実施している「特定健診の記録」としてはどうかとしています。

 また、本人同意の取得方法についても、資格喪失時や健診の問診等を活用して、加入者の負担軽減等の観点からも確実に、かつきちんとできるような方法を検討する必要があると考えております。

 また、保存期間のあり方は、本人の健康管理の観点では、可能な限り経年で管理することが望ましいですが、現在、保険者は5年の保存期間となっていますので、まずは直近5年のデータを本人が確認できるような仕組みを整備する。ないしは、保険者間で照会できる仕組みを整備して、さらに、そのコストや利用ニーズを踏まえて、保存期間のあり方を検討することとしてはどうかと整理しています。

15ページ目は、その仕組みですが、既存のインフラを活用して、できるだけ効率的に、かつ安全で円滑なデータ連携をする仕組みが必要と考えております。そうした中で現在、保険者では閉域のオンライン請求ネットワークなどがございますので、こうしたインフラを活用するとか、クラウドの仕組みを提案しています。これについては、1のように、保険者とデータセンターとが閉域の通信環境で接続し、インターネットから分離されたクラウドであって、管理者自らがこうしたシステムを構築・運用する方式にかえて、クラウドサービスを組み合わせることで、最適なセキュリティを確保しつつ、コストを合理的に削減することが求められていますので、こうしたクラウドの仕組みを活用してはどうかと提案しています。

 さらに16ページ目は、その表示の方法です。こちらについては、経年での健診結果とか生活習慣の関係の説明など、わかりやすい情報の表示が重要です。どのようにわかりやすく表示するかが、利用にも大きく関わってくると思いますので、わかりやすい方法を検討する必要があるとしています。特定保健指導の場面では、こうした経年でのデータを活用するとか、さらに医療機関では、患者のスマートフォンを見て特定健診の履歴を確認できるといった利用方法もあるとしています。

17ページ目ですが、そうした特定健診の経年データの管理については、マイナポータルだけではなくて、現在、健康保険組合がPHRサービス事業者と契約して提供している場合がございます。こういう場合については、過去の保険者におけるデータについても、照会に応じて、きちんと通知する仕組みを用意することによって、現在、健康保険組合で使われているPHRサービスの内容についても、さらに改善ができるものと考えております。

18ページ目が、今、御説明した内容と重複しますが、こうした実務者レベルでいただいた意見と、現時点における我々事務局での考え方を整理したものです。

 まず、仕組みの趣旨、運営コストについては、積極的に進めるべきという意見があった一方で、行動変容につながるかどうかについて、きちんとコストも見合いながら慎重に検討すべきといった意見や、保健指導の質の向上につながることは理解するけれども、コストをかけるだけのものかどうかを考慮すべき。他方、マイナポータルの閲覧については、国が運営コストを負担してほしいといった意見もいただいております。

 これに対しては、特定健診は保険者共通で実施しているものであり、保険者間できちんと履歴管理できて、本人が必要なときにマイナポータルで閲覧できる仕組みは、保険者を移動しても的確に保健指導を実施する。ないしは、本人に生活習慣改善の自覚を促し、実践できるようにすることに資するものと考えております。

 また、保険者の委託を受けて実施する場合に、匿名化に当たっては、現在、保険者において匿名化して支払基金に年に1回提出しています。こうした今のやり方を基本的には変えない。ないしは、保険者の実務において大きな影響が生じないように、支払基金において匿名化するという形で、年に1回の手続は変えないという形で、できる限り保険者の事務への影響を最小限にして、その運営コストを合理的に縮減したいとしています。

 さらに、保険者における的確な保健指導の実施とか、本人の継続的な健康管理に資する等のメリットがありますので、共同で運用する管理コストは、保険者全体で負担いただく必要があると考えていますが、合理的なものとなるように検討したいとしています。

 マイナポータルは、マイナンバーのインフラを活用して、国民が国・自治体・保険者等が保有する情報を安全で効率的に閲覧できるよう、国が運営している仕組みです。これは国が運営コストを負担しています。また、全保険者と加入者が等しく利用できる情報インフラですので、こうした仕組みを使うことが最適ではないかと考えております。

 オンライン資格確認との関係については、保険者からは、マイナンバーの中間サーバーの運営コストの負担に加えて、オンライン資格確認ないしマイナポータルの閲覧の仕組みなど、さらに負担が増えることには納得できないといった御意見や、さらには、関係者との意見調整に時間を要するので、2020年の本格実施に盛り込むのは、実務的にハードルが高いといった意見もいただいています。

 これにつきましても、マイナポータルの活用の仕組みは、個人の被保険者番号による資格履歴の管理とあわせて、一体的にシステム管理することが効率的ですし、さらにそのシステム整備の中で、中間サーバーを含めたさらなるコスト縮減を行うことで、保険者のトータルの負担の低減を図りたいと考えております。

19ページ目と20ページ目では、マイナポータルで閲覧する情報の範囲について、特定健診データの活用の仕組みは積極的に賛成であり、それ以外の標準化や活用も重要である、という意見や、他方で、特定健診以外の情報を活用する共通のニーズがない、運営コストも考慮して必要最小限の範囲にすべき、という意見をいただいています。

 これについては、特定健診の記録から、まずスタートしたい。2ですが、特定保健指導を実施したかどうか等の照会の対応の機能については、保健指導の現場のニーズやコストを含め、引き続き、関係者と協議し、検討したいとしています。

 健診データの履歴管理する期間については、診療の場面では3年から5年程度あると活用できる。特定健診以外の健診データも活用したい。ないしは、医療関係者がデータにアクセスできる仕組みも検討してほしいといった意見をいただいています。

 これについては、先ほど申し上げたとおり、保険者を移動しても直近5年のデータを確認できるような仕組みとしたい。まずは、スマートフォンを活用して、医師が履歴を診療等の場面で容易に活用できる方法を想定しています。診療等の場面での活用は重要であり、特定健診データをより確認等しやすい工夫やシステムの改善についても検討していきたいとしています。

 さらに、中小事業者の健診実施率向上や効率的なデータ取得の観点から、特定健診データの効率的な仕組みを検討してほしいという意見もいただいています。

 これについては、中小事業者の事務負担等の軽減の観点から、健診実施機関から支払基金を経由して特定健診データを効率的に提供する仕組みも検討したいと考えております。

 マイナンバーカードの普及を積極的に進めてほしいという意見に対しては、普及について取り組んでまいります。

20 ページ目、データベースのシステム環境について、クラウドの活用について、自治体の中に反対の意見があるため、明確な方針を示してほしいという意見もいただいています。

 クラウドの活用については、インターネットから分離されたクラウドである、保険者負担の徹底した縮減を図るという観点、さらにセキュリティのことも考えますと、クラウドを組み合わせることでコストを合理的に削減することが求められています。また、将来的なシステムの拡張や段階的な利用拡大を考えても、クラウドの活用が最適になると考えております。セキュリティについても、保険者自らがやるよりは、より安全で合理的なコストにより対応が可能です。参考にありますが、政府としては、クラウドの活用について、こうしたクラウドを基本とする方針が出されています。

21ページ目は参考になりますが、支払基金が保険者の特定健診データの委託を受けて、匿名化の作業を行う。登録ないしは保険者間の連携に対応することについて、現在の高齢者医療確保法の目的達成の範囲、健診実施に関する措置を講ずると規定されていますが、これらに該当すると解されますので、現行法においてここまでの業務を行うこと、支払基金に委託することは可能であると解しています。

22ページ以降は、現在の仕組みの資料ですので、説明は省略させていただきます。以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。

 特定健診データについて、毎年2,000万人以上の人が受診しているわけですので、受診した人たちのデータについて経年の管理システム、さらに、そのデータをマイナポータルで本人がわかりやすく、自らの診療、健康づくりに利用できるシステムの構築という大きな2点に立って、今、事務局から資料1に基づいて御説明いただきました。非常に大きい体系であり、かつ多様な確認すべき点を含んでおりますが、事前に事務局のほうから各団体の皆さんにはそれなりの説明もいただいておるということで、ポイントについて、今、事務局から、簡潔に御説明いただいたと私としては思っております。

 しかし、基本のポイントは今、説明いただきましたし、この資料で触れております。また、事務局の事前のレクの中で御議論もいただいていると思いますので、そういう私の認識のもとに本日の議論は進めさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、いかがでしょうか。これだけ大きな特定健診データの管理及び国民の利用という、最終的な特定健診の地平を今、確認いただき、そして、事務局ではこれは2020年度に発足したいというお考えですね。

○高木室長 はい。

○多田羅座長 そういうことで、いろいろな御意見があるかと思いますけれども、津下委員。

○津下委員 ありがとうございます。

 今までの保健指導では、健診データの経年変化を示すことで、本人に自覚をしていただいて生活習慣病を予防するという仕組みでやってきたのですけれども、終身雇用ではなくていろいろな保険者に出入りする人も多いですし、また国保への移動、さらには後期高齢への移動ということではほぼすべての人が保険者を変わるのですが、そのたびにデータが分断してしまって、前のことがわからないまま指導しなければいけないという課題があります。また、本人も健診のときだけ指導されて、あとの364日はそのデータにふつうは触れることはないという状況でありますので、マイナポータルなどの仕組みが活用できることで、さらなる国民の健康意識の向上や、それから保険者の取り組みが向上することについてはすごく期待したいということです。

 ご質問ですが、これは保険者から上がったデータなので、1年前のデータになるという理解でよろしいでしょうか。今年のデータはすぐには入ってこないけれども、昨年、健診を受けたか、受けないかというのがわかるという理解でよろしいでしょうか。

○高木室長 まずは、そういった形です。

○津下委員 そうすると、昨年受けていない人に対して、データが入っていないので、医療機関にかかったときに、去年、健診はどうしたのみたいな話が進みます。結果的に、健診受診の機会の向上があるという効果も期待できると思います。それから、その健診の結果から、その人が気をつけなければいけない点をリマインドする。マイナポータルで情報が常に見られるというのは、保健指導等との相乗効果も期待できると思います。

 あと、1つ気になるのは、特定保健指導のデータも一緒に行くかどうかはまだ決まっていないのでしょうか。昨年度、メタボに該当した人が、保健指導を実施したか、していないかの情報については、どのような状況でしょうか。

○高木室長 19ページ目の2に付記いたしましたが、引き継ぐ記録の範囲については、特定健診の記録としていますが、特定保健指導の記録まで対象とするかどうかについては、実務者の意見の中では、本人に確認すればいいという意見が多かったのですが、保健指導の現場のニーズやコストを含め、保険者等の関係者と協議し検討したい、としています。

○津下委員 保険者を移った場合に、前の保険者が指導していたかどうかという履歴とか、そういうことが次の保険者にわかるといいという要請があるのではないかと思いますし、データ変化の理由についても確認することができると思いますので、これについては、一度御検討いただきたいなと思います。

 あと、クラウドを使って情報を整理し、マイナポータルを用いて本人が見えるようにするということについてです。私も今、七福神アプリで経験しているのですが、クラウドを活用すると、本人に合わせた行動変容につながる情報の出し方をいろいろ研究することができ、アルゴリズムを改善することも比較的容易に実施できると思います。この辺は、新しい仕組みの開発につながっていくのかなと期待するわけですけれども、国としては、1つ固まったものを出すということなのか、その情報を活用して、さらに周辺の発展というものは期待できるのか、いかがでしょうか。

○高木室長 両方あると思います。これは利用者目線でつくらなければいけないものでございますので、そこがむしろ一番大事ですので、保険者、例えば市町村国保で統一的にこういう仕組みがあったほうが便利で、そこは幾つかのコンテツの中で専門の先生方に監修いただいたりしながら、いいものを用意することもできますし、さらに、個別に保険者で契約しているところがあれば、そこにマイナポータルからシングル・サインオンで情報をとることもできると思います。

 このマイナンバーカードの一番のメリットは、本人にあらかじめ発行して、しかも本人がパスワードを設定しておりますので、その情報を支払基金ないしは保険者から登録された資格情報とひもづけをすれば、一般のPHRサービスでは仮パスワードを1回発行して、さらに設定する手続きが必要ですが、そうした仕組みもシステム上は委託を受けて、契約は必要ですけれども、マイナンバーカードだけでアクセスできるようになるとか、かなり効率化できる部分はあるはずです。

○津下委員 ありがとうございました。

○多田羅座長 ありがとうございます。ほかに、いかがでしょうか。今村委員。

○今村委員 このお話というのは、どちらかというと保険者の皆様への影響が大きい話だと思っておりますが、患者さんを拝見する我々医療機関の立場として、2点確認があります。

 まず、1つは、オンライン資格確認は非常に大事な仕組みだと思っております。

○多田羅座長 何ページですか。

○今村委員 3ページです。マイナンバーカードや健康保険証を活用して、電子的に資格確認ができる。これは、今、現場では、保険証だけでなく、それぞれの自治体が交付する、ひとり親家庭などのその他の証明を同時に見せていただくことが結構多いのです。そうすると、医療保険の資格確認はこのカードで電子的にやるけれども、残りは従来どおり紙ベースで確認させてくださいみたいな話になりかねませんが、そういったものを全て合わせて、このマイナンバーの中に載せられるような、1枚のカードを見れば、その人のいろいろな情報が全部わかるような仕組みになるのかどうかということです。

 それから、ある医療機関はこれに対応できるけれども、ある医療機関はやらなくもいいという話になると、患者さんも複数の医療機関を受診することきに混乱が起こりますので、もしこういう仕組みをつくるのであれば、国全体として、医療機関に行けば全てこういう対応という方向で進めていただく必要があるのではないかなと、これはお願いです。

 もう一つは、特定健診について、先程の津下委員とのやりとりの中で、特定保健指導については載せないという話がありました。現状は、先ほど室長からも御説明があったように、特定健診で始めたいという話は、私もよくわかります。そこで、将来の拡張性、発展性について、いずれこういう形にするのだというゴールがある程度見えていて、その上で今はここから始めるという話なのか、あるいは、とりあえずは始めてみて、試行錯誤していくうちにこういうことも将来できるようになるというのは、随分意味が違っていると思うのです。

 例えば、医療機関に患者さんとして来られる方が、その方の健診データはマイナポータルで確認できるとしても、保険者が実施しているがん検診をはじめとするほかの情報については、別に紙ベースで全部持ってきてください、あるいはこの紙を見てくださいといった話になりかねませんので、その辺の将来の発展性というものをどのように考えておられるか確認させていただきたいと思います。以上です。

○高木室長 私どもとしては、将来の仕組みをつくるに当たって、被保険者番号は個別単位で履歴管理できて、かつ、保険者との間で、ないしは医療機関との間でも、閉域ないしは安全なネットワークによって情報がやりとりできて、将来の拡張性も含めて、例えばクラウドのような形で、登録ができるようにする環境を整備していく。そこができれば、その次のところ、まず本人が情報を閲覧できるところも併せてやっていく、そうした仕組みが必要だということで、御提案させていただいています。

 当然、利用者である国民、ないしは医療保険制度の運用を考えた上で、あるべき姿について、関係者の御議論をいただいた上で、目指すべきところにちゃんと用意していく必要がありますが、まず実務的には、コスト負担の課題もございますので、そこも含めて、現時点のできるところを整理して、御提案させていただいています。

 その意味では、医療機関においても、できる限り多くの医療機関できちんと利用できるような環境整備ができるように考えていきたいと思っておりますし、オンライン資格確認については、そうした方針で考えております。

○多田羅座長 よろしいですか。ありがとうございます。白川委員。

○白川委員 本日の資料には、オンライン資格確認の件と特定健診の件と、両方入っておりますけれども、オンライン資格確認とか被保険者番号の個人単位化は、別にワーキンググループがあると思いますので、ここでは私も余り意見を言うつもりはないのですが、特定健診の話で、幾つか明確にしていただきたいことがあるのです。

 まず、マイナポータルというのは、私自身も現状、どうなっているかというのを余り承知していないのですけれども、マイナンバーカードをアクセスキーにして、マイナポータル経由で、将来的には行政機関と連携するとか、あるいは自分の課税情報が見られるとか、いろいろ説明を以前からされているのですけれども、現状、どこまで進んでいるのかというのが、どうもよく見えない。それがどうなのかという話。

 それから、現在は検討中ということなので、運用コストがどのぐらいかかるのかまだ断言できない段階だと思いますけれども、どれぐらいのコスト負担になるのか。これは、多分保険者が負担するという想定だと思いますけれども、どれぐらいお考えなのか。

 その2点について、質問させていただきたいと思います。

○多田羅座長 では、事務局。

○高木室長 マイナポータルは、マイナンバーカードをアクセスキーにして閲覧する仕組みです。今、既に動いていまして、市町村、自治体、保険者がやりとりする副本データを中間サーバーに登録しますが、例えば税の情報などが登録されていて、マイナポータルで閲覧できます。

私も最初の設定は数分かかりましたが、最初の設定さえすれば、2回目以降は4桁の自分の暗証番号を入れれば、マイナポータルがすぐに立ち上がります。

 政府としてマイナンバーカードを使う仕組みにしている理由は、本人の個人情報ですので、本当にそのカードが発行されて、暗証番号を設定している人からアクセスされたものかどうかを確認するため、マイナンバーカードのICチップを用いた認証の仕組みを使っています。また、ブラウザも普通のインターネットはhttpですが、さらに暗号化が入っているhttps、例えばクレジットカードでやりとりするとそういうブラウザが立ち上がりますが、そういう機能になっています。そういう意味で、個人情報であるからこそ安全に見られるように、必要な機能を用いて、今すでに動いています。

 運用コストについては、マイナポータルは、国が運営する仕組みであり、既に運営しておりますが、国が負担しています。ですので、閲覧の利用に当たって負担が必要なインタフェースの部分だけ申し上げますと、今の時点でシステムの仕様によりますので、いくらぐらいと申し上げづらいですが、例えば今、2,700万人が受診していますが、1人当たり年間10円もかからない、そのぐらいの規模でできないと、そもそもネットワークの仕組みですので、仕様の中身によりますけれども、その部分だけで言えば、その程度でできるような仕組みを考えていかないといけないと思っております。

○多田羅座長 どうぞ。

○白川委員 今のお話ですと、2,700万人で数円とおっしゃったから、2億円ぐらいのイメージと私は勝手に思いましたけれども、申し上げたいのは、保険者が変わったときに情報を次の保険者に移すという話と、国民が自分の特定健診の情報、過去履歴を見るという話は、私は全く別の話だと思います。というのは、特定健診の情報をほかの保険者に移すというのは、今も仕組みがあることはあるのですけれども、うまく機能していないということだと思うのですね。我々健保組合で大騒ぎしている、中間サーバーを用いた情報連携、こういった既存のインフラを使えば、ほかに工夫の余地があるのではないかと思っておりますというのが1つ。

 2つ目はマイナポータルですけれども、はっきり申し上げて、夢物語はいいのですが、現在、マイナンバーをカードで持っていらっしゃる方は、たしか国民の11%しかいないというデータを私は見た覚えがあるのですが、それで間違いないですね。

○高木室長 はい。直近の3月12日時点ですと、10.8%です。

○白川委員 11%の方しか持っていないと。しかも、マイナポータルにアクセスするには、高木室長にお聞きしたら、カードリーダーが必要だと。カードリーダーがどのぐらい出ているのかとお聞きしたら、二、三千円台だという話で、その後変わったかどうか知りませんけれどもね。こういうマイナンバーカードの普及率を見ると、今回の施策の意図が私はどうもよく読めなくて、マイナンバーカードを発行するのを促進しようとして、この仕組みを入れたいのかなという気すらしております。

 こういう過去の特定健診の履歴を見られるようにしようということは、私も別に反対するわけでもありませんし、閣議決定もされておりますから、構わないのですけれども、マイナポータルを使うと、使える人が現在は11%しかいないと。しかも、カードリーダーを買わなければいかぬというのであれば、少しおかしいのではないか。やるとすれば、何か別の仕組みというのは御検討できないのかというのが私の2つ目の意見でございます。急にマイナンバーカードの発行数が50%、60%に増えると私は思えないものですから。

 3つ目は、そういう状況の中で保険者が、私は勝手に2億円と言っていますけれども、2億円の負担を納得するかといったら、ここにおられる保険者の方はみんなとんでもないと言うと思うのです。私はそう思いますよ。ですから、これをどうしてもやると言うなら、これは国の負担でやっていただかないと。

 何でこんなことを申し上げるかというと、ほんの一部の被保険者のために、例えば健保組合でいけば、1割の加入者のためにお金を払うのか。これは、ほかの9割の方々に説明がつかない話になってしまうので。それが嫌だったらカードをつくってくれと。それは保険者の役割ではありませんから、そんなことは言えません。ともかく、このコストについては国が負担するということにならないと、保険者としては、少なくとも我々としては納得いかないということを3点目に申し上げたいと思います。

 また、言っているうちにだんだん興奮してきましたが、以上でございます。

○多田羅座長 ちょっと私からいいですか。座長は余り言わないほうがいいのかもわかりませんけれども、今の白川委員の御意見をお伺いしていて思うのですが、特定健診・保健指導というものの発足に当たって、厚労省の最大のキャッチフレーズとしては、本格的予防事業の実施ということがいわれました。つまり予防ということが非常に強調された訳です。それはどういうことかというと、私も過去50年、公衆衛生をやってきまして、基本健康診査というのが基本だったのですけれども、それは疾病の早期発見・早期対応であり、健康診査の受診というところにとどまって、結果的に早期発見・早期対応として行った基本健康診査は、国民を予防よりもむしろ医療につないでしまった。

 だから、私の言葉で言えば、元気な病人というものをつくることになった。これは、私の主観的な判断も入っておりますけれども、そういうことを反省して、それまでの日本の公衆衛生は、早期発見・早期対応によって、基本的に死亡との闘いには大きな成果を上げたけれども、結果として国民を医療につないでしまったのではないか。そこのところを大きく総括して、早期発見・早期対応、プラス予防というものを何とか実現したいということで、特定健診にプラスして保健指導が実施されることになった。

 そういう意味では、健診データを使って、政府も言っておりますけれども、国民一人一人の健康寿命の延伸を目指す、集団健診ということを媒介にしながら、最終的には国民一人一人が自らの健康づくりに努める体系をつくるということが、この特定健診・保健指導の大きな思想であり、政府は本気でこれを打ち出したと思います。そういう意味では、私ども公衆衛生を、50年やってきた人間からすると、正直なところ、政府に負けたなと言えるような状態でございました。

 つまり、本格的な予防事業をやるということで言えば、早期発見・早期対応、プラス自分の健康状態の自覚を促す。これは、健康増進法にあるわけですけれども、自分の健康状態を自覚し、自ら国民が健康づくりに努める。ですから国民一人一人が自分のデータを日常的に認識し、それについて健康づくりを行わなければならないというのは、これは健康増進法の精神なのです。その意味で、それを実態化するものとして、今回の特定健診・保健指導は、話が長くなって申しわけないですけれども、行われた。ですから、日常的に一人一人の国民が自らのデータを利用できるというシステムをどのようにつくるかということが、今回の特定健診・保健指導の精神だと言っても私は過言ではないと思います。

 そういう意味で、国民が自らのデータを日常的に使える形をどのようにすれば達成できるか。その仕組みをつくることができるかということは、法の精神であり、特定健診実施の精神だと思うのです。その形の構築に向かって、事務局は考えていただいているので、国民が日常的に自らのデータを自ら利用できるという体系の構築は、特定健診・保健指導の精神ですので、その方法として、マイナンバーを使ったマイナポータルを活用したいというのは、今の人類の文明の状況として、唯一の到達点であるというところは、私は非常に説得性があると思うのです。

 しかし、今、白川委員から、そういうマイナンバーカードを持っている人間は1割しかいないじゃないかという発言がありました。しかし、自分の健康を自分で守るためにマイナンバーカードを利用するということは自分のためであって、それは社会のためでもない、国家のためでもないわけですね。そういうことによって、国がつくったマイナンバーもまた、国民のものになっていくという見方もできると思うのですね。何もマイナンバーを増やすことが目的じゃなくて、国民が自ら一人一人が健康づくりに努めていくというのが、今の日本の公衆衛生の最大の課題です。

 それに対して、マイナポータルでできる仕組みというものを事務局がこうして示していると私は思います。制度の精神のところを御理解いただければ、その制度があくまで税金ではなくて、保険者がやっているというところもすばらしいことなのですね。私どもの公衆衛生は、基本的に今までは社会の役割は自治体が担う。それは税金によって担うという考えでした。しかし、税金によるとそれはどうしても上意下達の形を逃れられない。一人一人から始まるという形をとれない。そこのところを保険者が立ち上がることによって、国民一人一人が参加するという大きな舞台をつくっていただいたと私は思います。

 その意味において、それぞれの国民が負担しながら、保険者に負担していただきながら、国民一人一人が自分の健康を守っていくという体系を、日本の戦後の公衆衛生の総括として、この特定健診・保健指導の実施によってどうしても達成していただきたい。それを2020年に始めていただくというのは、私は大筋において、制度の精神にのっとっているものであると思います。そういうことで、白川委員。

○白川委員 私は、多田羅座長の御意見に全面的に反対と言うつもりは全くなくて、申し上げたとおり、閲覧できる仕組みをつくるということについて反対しているわけではございませんし、既に健保組合の一部では、特定健診どころか、もっといろいろな情報をスマホで見られるとか、いろいろなサービスをやっております。したがって、そういうところにしてみたら、このシステムを入れるために、また余計なお金がかかるのかという話になるわけです。

 多田羅座長のおっしゃる理想形はよくわかるのですけれども、私ども保険者にとって見ると、そこまでアクセスして自分の健康情報を閲覧したいという健康意識の高い人は、放っておいても大丈夫なのです。むしろ、健康に関しての無関心層をどうするかというのが、今、健保組合にとって最大の悩みです。

 それは、被保険者だけじゃなくて、被扶養者のほうに対して、どうアプローチするかということに一生懸命精力を割こうとしている状況でございまして、何度も申し上げますけれども、別に反対しているわけじゃないけれども、ほかの方法はないのですかと。マイナンバーカードを使うと1割しか見られないのだから、しかも40歳以上しか見られないのですから、これはほかの方法を検討中というお話でしたから、お考えいただけないか。できれば、40歳以上の方は全国民が見られるような仕組みというのは考えていくべきではないですかということを申し上げているだけでございます。

○多田羅座長 だけれども、マイナンバーカードは1割だけれども、それは国民が自ら一人一人という認識を持てば、どんどん増えていくという制度ではないのですか。はい、津下委員。

○津下委員 健保さんでは健診データを活用して行動変容につながる事業をどんどん発展させています。そういうところに入れる人は本当に幸せだと思うのですが、実施していない、またはできない保険者さんもある。結果として健康格差も広がってしまう。また良い取り組みをしている保険者に属していても保険者が変わるごとにデータが途切れてしまう。健康管理が分断されてします。これは、何とかつなぐ方策を考える必要があるのではないでしょうか。

 今、私は生活保護受給者の健康管理に関する検討会に入っているのですけれども、生活保護以前の健康状態がわからないから市町村としては健康支援もなかなかしにくいという声をききます。データはそこにあるのだけれども、つながっていないことによって、本来受けられるサービスが受けられません。被扶養者についても、健診受診率向上のためにお金と労力を費やしているのですが、去年受けていない人については、マイナポータルからの情報の中に、今年はいつですよとか、そういう情報をしっかり入れることによって、受診勧奨のコストをもしかしたら落とせる可能性もある。

 だから、データの使い方の工夫というものをしっかりと研究してやっていくことが可能なインフラができることは有用ではないでしょうか。健診受診率向上や保健指導実施率向上など、サービスの入り口までのところで結構労力がかかっているので、新たな仕組みによりデータの有効的な活用ができれば、保健事業をより効率的にできるのではないかと思います。未来思考で活用できたらなと思うところです。

○多田羅座長 どうぞ。

○今村委員 白川委員に確認ですけれども、確かにおっしゃるとおり、マイナンバーカードの普及というのは10%強しかなくて、これで本当に役に立つ仕組みができるかというところは私もよく理解できるところですけれども、先ほどのお話を伺っておりますと、1割の人しか利用できないもののために他の被保険者が負担を追うというのは、被保険者に対して説明できない。そうだとすれば、もしこれが2億円というお金を国が用意してやるのであれば、マイナポータルを使ってもよいというお考えでおられるか確認させてください。

○白川委員 結構でございます。今、高木室長のところで御提案の仕組みをやるのであれば、それは国が負担すべきじゃないかと言っているだけで、ほかの手段で保険者として納得できる、あるいは多くの加入者が見られるような仕組みであれば、これは当然、保険者が負担すると思っておりまして、今のマイナポータルを使うのであれば、これは国が負担すべきだという意見でございます。

○今村委員 分かりました。そういうお話しであれば、こういう仕組みを作ることにより、国民の健康の維持増進につながるという理念の話と、今、白川委員がおっしゃった費用負担の話は、少し整理して議論する必要があるように思います。

○多田羅座長 座長として、白川委員の意見について、ちょっと。1割、これは固定していないですよ。国民がどんどん利用していけば、自ら一人一人の健康づくりのためにどんどん伸びていく数字であって、だからこそ、言っている話であって。

○今村委員 そこはよく理解しています。

○多田羅座長 1割だけに固定して、1割しか利用できないものという言葉に私は非常に抵抗を覚えます。

○今村委員 もちろん、座長のお気持ちはよく理解しています。

○多田羅座長 お気持ちというか、言葉です。

○今村委員 おっしゃるとおりですが、エビデンスに基づいて考えなければいけないということだと思います。今、1日当たり1万人ぐらいマイナンバーカードが増えている。こういう仕組みがさらにそれを後押しすることになる可能性はあると思いますが、同時に現実的に今の数字をもとに考えることも大事ではないかと思います。

 白川委員もこの仕組み自体に反対しているわけではなく、それをどういう財源で行うかということに力点が置かれており、マイナンバーカードを普及させるための仕組みとしてやるべきではないというお考えだと私は理解しております。したがいまして、国庫が2億円という費用をもし出せるのであれば、これを進めればいいのではないかということをおっしゃっており、仕組み自体を反対しているわけではないということだと思います。

○多田羅座長 ちょっとすみません、座長ばかりで申しわけないのですが、大事なところなのでお許しください。費用負担の問題です。結局、費用負担の問題を白川委員もこの間、話していると思うのですが、今回の特定健診は、税金ではなくて保険制度でやるということは決定的なことなのです。それまでの基本健康診査は、市町村、都道府県及び国家の税金で全部やっているわけです。それは上から下への上意下達的な発見型であって、立ち上げ型ではないのです。上が発見して処理したらいいという考えなのですね。しかし、それでは処理の結果として病人をつくっただけ、医療につないだだけだということの反省に立って、今回はその上意下達型の制度ではなくて、国民側からつくる制度でないといけない。

 国民側からつくる制度としては、税金じゃなくて、保険制度なのです。だから、保険制度に持っていったということは、精神が費用負担は保険制度というか、国民が担うということなのです。基本的な点は、そういう精神なのです。

○今村委員 その点はよく理解しております。ただし、この特定健診・保健制度には税金が全く入っていないかというと、そんなことはなくて、さまざまな仕組みの中にある程度補助するための税金も入っているわけです。したがいまして、現在でも国、保険者の一定の負担割合が決まっており、百かゼロかという話にはなっていないと思います。

○多田羅座長 私に言わせたら百かゼロです。国家は支えていくのであって、負担するのではない。

○今村委員 確かに支えているという理解で私はよいと思っております。2億円という金額を考えた場合、国民全体の負担からすればそれほど大きなものではありませんので、保険者が責任放棄しているということではなく、これを進めていくスタートとして、国が支えるために費用を出すという考え方も、私はあるのではないかと思います。

○多田羅座長 費用負担のところは、ものすごく大事なところなのですね。 どうぞ。

○藤井委員 私も保険者の立場から少しつけ加えさせていただきますと、さっき白川委員もおっしゃったように、保険者としては、このマイナンバーの中間サーバーの運営などでも結構重い負担がある中で、この仕組みは費用負担のあり方をどう考えるかというところが大きな論点で、これは当然のことだと思います。

 もちろん、総コストという意味では、これは保険局のペーパーでもありますけれども、システム面ではオンライン資格確認の基盤を最大限活用するとか、効率化を図るべきだというのは当然だと思うのですけれども、仮にこれを保険者として一定の運営コストを負担することになりましたら、その財源は当然、加入者とか事業主が払う保険料から捻出することになるわけですから、加入者とか事業主にとってのメリットというものができるだけ明確で納得できるようなものにならないと、なかなか理解が得られない。

 私ども協会で言えば、外部の方々が入っている運営委員会、それから、各県ごとの評議会で被保険者代表とか事業主代表とかいらっしゃるわけです。そういう方々がちゃんと納得できるような説明ができないと、なかなか難しいところだと思います。これは、事務局にはワーキングでもお願いしていますけれども、そこがとにかく明確かつ、事業主代表あるいは被保険者の方々、加入者の皆さんが一目で理解できるような格好でびしっと示していただかないと、保険者として負担ができるということになかなかならないのではないかと私も思わざるを得ないということです。

○多田羅座長 今の御意見では、だからこそ、国民が自らマイナポータルを使って、自分の健康状態を日常的に見ることができるというのが最大の目標ですよ。

○藤井委員 私も多田羅座長の精神のところは共感いたしますけれどもね。

○多田羅座長 利用できるというのが、国民にとって魅力ある制度じゃないのですか。

○藤井委員 それは、現実問題として、少なくとも現時点では、マイナポータルやマイナンバーカードの普及率というのは、先ほど出てきたとおりですから。

○多田羅座長 それを国民が使えばいい。

○藤井委員 国民が使えばいいのですけれども、現時点ではなかなかそうなっていないわけですから、それを前提にして、例えばうちで言えば、被保険者代表あるいは事業主代表が負担に対して、うんと言ってくれるかどうかという議論です。そこで、こういうメリットがあるということがきちんと説明できないと、なかなか。

○多田羅座長 メリットは、自分のデータが日常的に見られるというのが最大のメリットです。

○藤井委員 しかし、現実にうちの加入者で言えば、それこそマイナンバーカードを持っていらっしゃる方が一体どれぐらいいるのかということですね。

○多田羅座長 だから、持ってくれということになるのです。私、何度も言っているように、今回、税金制度から保険制度に持っていったということは、法の精神は国民が自ら負担してくれということなのですよ。ただ、事務局は遠慮して、それを明確には言わない。税金制度で全部やればいいのですが、税金制度では発見はできるけれども、予防はできないのです。だから、予防というのは、国民一人一人が自分の負担で立ち上がってもらわないと、国民一人一人の健康というのは守れないという精神に立っている。だから、負担もしてもらわないと仕方ないということがあるのです。

 ただ、室長たちは、それを言うと国として無責任として、怒られるから言わないだけで、これは保険制度になった以上、保険者の皆さんは我々の負担制度になったと思ってください。私の主観的判断です。この制度は、そういう思想のもとに生まれたのです。

 はい。

○伊原審議官 多田羅座長から随分応援いただいているのですけれども。

○多田羅座長 応援じゃない。政府が応援してくれたらいい。

○伊原審議官 正直申し上げると、確かにコストについて御理解いただかないと前に進まないとは思っています。今のマイナンバーカードの普及率が1割のままであったら、仮に今のまま導入しても見る人は少ないし、これに何の意味があるのだろうということになると思っております。

 そういう意味で、資料の3ページをご覧いただきたいと思いますけれども、今、政府全体としては、マイナンバーカードに関して、健康保険証とできるだけ一体化させていこうという議論がなされています。本日、総理も出席する未来投資会議でも、2020年に向けてこのオンラインの資格確認をきちんとやることで、マイナンバーカードが健康保険証の代わりになるということをきちんと位置づけていって、できるだけ多くの国民が、病院で使えるのならマイナンバーカードをとろうと思っていただけるだろうということで、まずこの3ページの仕組みによってマイナンバーカードの普及率を増やしたいと思っております。

 我々としては、相当数それで期待できると思っております。あるいは、それを進めるため、医療機関にカードリーダーを普及させていただく、そういう努力も精一杯やらせていただく。そうした上で、この特定健診データをマイナポータルで見られるようにするというのを、あわせてやりたいと思っております。

 そのときに問題になるのは、マイナポータルを開くためにはカードリーダーが必要だと白川委員からも言われました。確かに個人がカードリーダーを自分で家に買うか。二、三千円で買ってもらえるかどうかについては、確定申告するような方は買うかもしれないけれども、普通の人はそこまでしないのではないかという指摘があります。しかし、今はスマートフォンでマイナンバーカードを読み取りできる仕組みも普及していまして、既に30機種ぐらいのスマホにカードリーダー機能があって、マイナポータルを使えるようになっています。

 厚労省だけでなく政府全体として、スマートフォンにマイナンバーカードの認証機能を持たせる方向で検討を進めていまして、そうなってくると家のパソコンでマイナポータルをあける方もいれば、スマホで開いて、開業医の先生に、私の特定健診のデータはこうですと見せる方もいるだろうと思いますし、我々はそれを増やそうと思っています。そういう環境をつくっていこうという中で今回、御提案申し上げているので、今のように普及率が低くて、家のパソコンでカードリーダーを買わなければ開けられませんという中で、この制度を入れようと思っているわけではないということを御理解いただきたいと思います。

 ただ、多田羅座長から、これは保険者の制度だから保険料でという。

○多田羅座長 保険者の制度じゃない、保険制度。

○伊原審議官 保険制度では確かにありますけれども、もちろんそうですが、我々としても、中間サーバーに関してコストの問題でいろいろ御批判もいただいているので、とにかくトータルのコストを今よりも低減できるような最大の工夫をしながら、できるだけ安い価格でこういう仕組みを入れられないかと考えております。

○多田羅座長 はい。

○伊藤委員 加入者、被保険者の立場から考えたことをお話しさせていただきたいと思います。

 私も白川委員と同じように、保険者資格の引継ぎの問題とマイナポータルで閲覧できる仕組みの話とを区別して考えています。まず資格引継ぎのほうで言いますと、14ページに、本人同意で旧保険者から新保険者への情報提供は行うことになっている。それはいいことだと思うのですけれども、ぜひここで留意していただきたいのは、雇用管理に使うことがないように、そこのファイアウォールをはっきりしてもらわないと、前の会社でこういう健康上の問題があったということが、新保険者の会社のほうに伝わったりすると問題がありますので、用途を明確にしていただきたいというのが1つ。

 それから、PHRサービスのことが13ページにあるのですけれども、ここにたまっていく情報の扱いについてルール化をしていく必要があると思っています。現状、ここに集まってくる情報というのは、何年で破棄するのか、あるいは離職したり、契約解除や、被保険者でなくなったときに、この情報がどうなるか、考え方を教えていただきたいと思います。そこにたまっていく情報が別の目的で利用されていけば問題も生じ得ると思っていますので、ルールが必要だと思います。

 それで、今、話題になっていたマイナポータル問題ですけれども、これも加入者から言わせれば、国民一人一人の行動変容を促すということが4ページの上のほうに書いてありますから、そういう目的に資するものじゃないといけないと思っているのですけれども、恩恵を受けられる可能性があるのは、津下委員がおっしゃったように、流動的な雇用、つまり非正規労働者、あと勤続年数で言うと、中小企業労働者のほうが移動は多いのですね。こういう人に資するものじゃないといけないと思っているのですけれども、こういう方々の受診率がどうも低いようです。

 データがあればぜひ出してほしいのですけれども、マイナポータルを閲覧したら、情報が何も入っていませんというのでは全く意味がないし、投資するコストについても正当化できなくなってしまうと思いますので、ここはぜひ実施率を大幅に引き上げるということを、むしろ先行する取り組みとしてやっていく必要があると思っています。

PHRサービスを使っているところとの重複投資になるという面も含めて、その投資が正当化できるような考え方にしないといけないと思いますので、ぜひそういうところは議論を積み重ねていかないといけないと思います。

○多田羅座長 どうぞ。

○藤井委員 まさに今、伊藤委員がおっしゃったことの繰り返しになりますけれども、保険者あるいは加入者にとってどんなメリットがあるかというのを詰めて整理してほしいと思っているわけです。

 そういう中で、資料の19ページの下から2つ目の、ちょっとごらんいただきたいのです。ワーキングの中で、こういうメリットができないかということで、うちのグループ長以下の若手が考えてくれた一つのメリットなのですけれども、提案を私どものほうからしています。私ども協会けんぽでは、特定健診の実施率の向上に向けて、事業主健診のデータの取得率の向上というものがものすごく大きな課題になっているのです。

 既に御案内の方も多いかと思いますが、改めて簡単に制度の仕組みを申し上げますと、法律上は事業主が労働安全衛生法に基づいて行う、いわゆる事業主健診につきましては、健診項目が一致すればということではありますけれども、特定健診に代替できるとなっています。したがいまして、私ども保険者としては、自ら特定健診を実施するだけじゃなくて、事業主から事業主健診のデータをいただくという取り組みをずっと行ってきているのですけれども、協会けんぽの場合は、これも御案内のように、事業主は単に我々協会けんぽに強制加入しているだけで、結構距離が遠いので、事業主健診のデータの取得というのがなかなか十分に進んでいないという実態がございます。

 今回、御提案いただいている仕組みというのは、特定健診のデータが支払基金に集約されることになるわけですけれども、ぜひこの機会を捉えて、健診実施機関から事業主健診データを直接支払基金に登録していただいて、それを協会けんぽとしても、そのルートに乗って事業主健診のデータが取得できるような仕組みの構築を、あわせてお願いしたいと思っています。

○多田羅座長 それは事務局、考えていますね。

○藤井委員 後から申し上げますけれども、事務局も割と前向きに考えていただいているのですけれども、そういうことが実現しますと、保険者としても特定健診の実施率の向上につながるということもあるのですけれども、それは結果として特定保健指導の確実な実施にもつながりますし、ひいては医療費の適正化ということにもなると考えられます。

 この資料に記載されている、19ページの右側、厚生労働省における考え方がありますけれども、ここでも前向きに検討いただいていると私ども、解釈していますけれども、私どもとしては、この事業主健診データの効率的な取得のための仕組みづくりというのは、今回の仕組みの構築とセットで必要不可欠な、私どもとしての大きなメリットとしてやっていただければありがたいなと思っていますので、ぜひともお願いしたいと思っています。

○多田羅座長 事務局、何か一言ありますか。

○高木室長 今の19ページですが、事業主が実施している事業主健診のうちの特定健診のデータを、支払基金を経由して保険者に効率的に提供する仕組みを検討したいと、書いているとおりです。そこは、伊藤委員の御質問の3番目、受診率向上ということです。

 それと引継ぎの雇用管理の話がございました。25ページ目になりますが、現在は資格喪失後その翌年度末まで、特定健診データを保存することが法令上の義務になっています。また、保険者間の引継ぎは、法律に規定されていますので、要配慮個人情報ではございますが、個人情報保護法上の第三者提供に当たらないというか、出さなければならないとなっているので当たりませんが、現在は、高確法で本人同意を求めています。

 また、雇用管理などの目的外に使うことは、そもそも個人情報保護法上、禁じられており、制限されていますので、利用目的以外に使うことはできません。

 その上で、例えば保険者が委託した場合、レセプトや特定健診のデータをPHRサービス事業者が分析に用いる場合、ないしは情報提供する場合は、あらかじめ保険者において、その利用目的以外の保健指導に使うとか、医療費のデータ分析に保険者で使うことを公表ないし、その被保険者が分かるように通知して、ちゃんと伝える必要があることについて、個人情報保護法上の運用のガイダンスのさらに手引きですけれども、厚生労働省で示しており、そういう運用になっております。

○多田羅座長 ありがとうございます。 どうぞ。

○茂原委員 全国町村会から国保の立場で申し上げます。このような仕組みといいますか、国の向かっていることは、そうなのかなと聞いているわけでありますが、実務者レベルの協議でも意見が出ていましたように、また、先ほど御意見ございましたけれども、運営にかかわる負担につきましては、ぜひ万全の財政支援を講じていただきたいと保険者としては思うところであります。

 それと同時に、仕組みを進めていくに当たって、住民といいますか、町民の人たちは、セキュリティは大丈夫なのかという思いを必ずいつも持ちますから、安全性を確保する中で、私ども自治体の首長や職員だけでなく、町民の皆さんも理解できるようなしっかりした説明をしてもらって、これらを進めてもらうことが必要じゃないかなと思いました。もう一度ですけれども、万全な財政支援が必要かなと思うところであります。以上です。

○多田羅座長 ありがとうございます。 どうぞ。

○齋藤参考人 国民健康保険中央会の齋藤と申します。

 本会のほうでマイナポータルを活用した特定健診データの閲覧について、本会とシステム等の関係があります国保の保険者、具体的には大規模・中小規模の市町村がありますので、そこから複数ピックアップしまして簡単な意識調査をさせていただきましたので、その結果を踏まえて発言させていただきたいと思います。

 まず、被保険者本人がマイナポータルを活用して特定健診の結果データを閲覧できる仕組みの導入につきましては、保健事業を行う上で必ずなければならないものではないとか、余り効果がないという消極的な意見がほぼ半数近くを占めております。その一方で、被保険者本人の生活習慣の行動変容につながり、より効果的な保健指導になるという積極的な意見もございます。

 次に、過去の他保険者において実施した特定健診の結果を、現在の保険者が閲覧できる機能が付加された場合、保険者が活用するかどうかという質問ですが、こちらは7割以上の保険者が活用すると思うという回答が出ておりますが、逆に2割の保険者については、過去の保険者のデータまでさかのぼる時間、マンパワーの余裕がないとか、現状のままでも対応できるということで、活用しないと思うというのが、先ほど申しました2割ぐらいいらっしゃるという状況です。

 ただ、この意見は、先ほどから議論されております、誰が費用負担するのかという観点を含んでおりません。マイナポータルの閲覧の仕組みそのものに関する質問でしたので、今度は保険者がランニングコストを負担することを前提として、マイナポータル閲覧の仕組みに参加するかという質問については、具体的な費用がわからないと判断はできない。費用対効果を見て判断したいという意見が95%と、ほとんどの保険者の方がおっしゃっております。

 したがいまして、保険者が負担する場合には、話に出ておりましたとおり、費用負担額が具体的に幾らぐらいになるのか、そして利用者数はどの程度になるのか、何割ぐらいの人たちが行動変容につながるかなど、具体的な費用対効果を明確にした上で、この施策を検討していかなければいけないのではないかというのが、我々が今、思っている結論でございます。以上です。

○多田羅座長 御意見として、お伺いしておきます。 ほかにいかがでしょうか。繰り返しであれば、もう時間が。

○伊藤委員 違います。13ページのPHRサービス事業者のところですけれども、さっき言った意図は、今後、右側にある保険者1の後ろに過去の保険者がずっとつらなることになると思います。そうなると、事業者にどんどん膨大な個人情報がたまる。それがいつまで保存されるのかということを聞いたのです。もし何かに使う、ビジネスに使うのなら、匿名化させるとか、何かルールが必要じゃないかということが言いたかったことですので、今日じゃなくてもいいですけれども、教えてください。

○多田羅座長 御意見として了解しました。 どうぞ。

○中田参考人 ドック学会でございます。

 まず、先ほどの協会けんぽ様の藤井委員の健診実施機関から支払基金に特定健診データを渡してほしいということでございましたが、実際問題として、私、健診機関にこういうことができるかどうか、いろいろ聞きました。例えば、工場とか一つの事業所では、パートの方や派遣の方がおられたり、いろいろな雇用形態の方がおられて、システム的に協会けんぽさんだけ、はじき出すことになりますと、事業所がその人たちがどういう保険に入っているかということを明確にしていただかなくてはなりません。個々の従業員の方がどの保険に加入されているのかを誰が知っているかというと、健診機関はわからないものですから、その事業所の総務課の方たちとかで確実に把握していただいて、私たちにその人がどういう保険に入っているかを確実に教えていただくことが重要なことになります。

 ただ、そういう形にするためには、例えば協会けんぽさんと私ども健診機関の話し合いで、保険者様と健診機関で話し合って決めればいいという問題ではなくて、契約の内容のところから、国のほうでもこういう制度でやるという形にしていただかないと、健診機関の努力だけでやれということになりますと非常に問題がございますので、その辺は、制度的にも後押しを是非していただきたいということでございます。

 あわせて、もう一つ思いますのは、健診機関は40歳から74歳までのデータだけでなく当然、事業主健診も全部やっていますから、まとめて支払基金に渡すとか、この部分だけ渡せとかは、非常に難しいわけじゃないですけれども、また事務的にシステムを組んでやるようになると大変なことになるので、やるのなら制度的に全てのデータは支払基金を通すとか、40歳以上の人は国保に渡すとか、そういう仕組みにしていただくのが一番健診機関に負担がかからない、単純ではないかと思っております。

 もう一つ、確認したいのですが、4ページ目の下のところでございます。特定健診データということになっていますけれども、詳細健診のデータ、画像関係のデータ、即ち眼底とか心電図検査のデータがございます。その所見データも特定健診データに当然含まれるという形で、マイナポータルで見られるという仕組みにされることになるのかなと思っているわけでございます。先ほど、津下委員が特定保健指導のデータもこの仕組みに入れるべきではないかとおっしゃっていました。画像関係の所見データについては、所見あり、なしだけじゃなくて、医療につながるような役に立つ所見データで必ず書くということでも標準化していただきたいと思っております。以上でございます。

○多田羅座長 今日のところは御意見を伺ったということにさせていただきます。それで事務局いいですね。ありがとうございます。

 時間が押してまいりまして、申しわけございません。御意見として伺って、事務局のほうで最大限取り組むということをお願いしたいと思います。ほかによろしいでしょうか。

 それでは申しわけございません。本日、もう一つの議題、高齢者の医療に関する報告がございますので、それについて議論をお願いします。

今日の御議論は、議論伯仲という感じがあるところだと思います。ただ、私、座長として申し上げたいのは、税金制度から保険制度に法の精神として移っているということです。それは、国民が自らやってくださいという精神だと思いますので、その後、国民の負担に対して、国がどうそれを支援するかというところがあるかと思いますけれども、国民自らやってくれということが、これが制度の精神じゃないかと座長としては思っているし、そこのところは、具体的に制度が成熟していく中で、一番皆さんに理解いただかないといけない。自らがやるのだ、自らが制度をつくっていくのだという精神がまずあって、それを国がどうサポートするかという順番であるということは非常に大事なことかと思いますので、御理解いただきたいと思います。

 その辺を含めまして、本日は、特定健診データの経年管理、マイナポータルを使った利用方法について、国のほうからの原案について御報告いただきました。まだ議論が続くところがあると思いますが、それは事務局のほうでどのように対処するかは御検討いただいて、各保険者の皆さんに説明する場をつくることを確認させていただいて、本日の会を今年度の最終の検討会とさせていただきたいと思います。その点、御了解いただきたいと思います。

 ありがとうございます。

 それでは、議題2でございます。「後期高齢者医療制度の保健事業について(現状報告)」、事務局からお願いいたします。

○泉高齢者医療課長 高齢者医療課長でございます。

 資料2「後期高齢者医療制度の保健事業について」と題する資料を用いまして、後期高齢者制度におけます保健事業の概況を御説明したく思います。

 おめくりいただきまして、1ページ目、2ページ目でございます。後期高齢者即ち75歳以上の高齢者の方につきましては、皆様御存じのとおり、国保や協会けんぽではなく、後期高齢者医療制度に御加入いただくこととなっており、その財政運営の主体は、市町村が設立する広域連合が担うこととされております。都道府県の区域ごとに、その区域内の全ての市町村が集まって、後期高齢者医療広域連合を構成しております。

 この後期高齢者医療広域連合は、2ページ目の一番上にありますとおり、後期高齢者に対して保健事業を実施するということが努力義務とされているところでございまして、広域連合におきましては、保健事業をそれぞれ構成市町村に委託して実施したり、あるいは民間事業者などに委託して実施している場合もございます。さまざまな事業が行われておりますが、その事業は2ページ目に記載のとおりでございます。

 特に下から3つ目の、高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進について、本日は若干詳しく御説明したく存じます。

 おめくりいただきまして、3ページ目、高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進でございますが、概要に記載のとおり、低栄養などによります心身機能の低下の予防、また生活習慣病の重症化予防のため、フレイルなどの高齢者の特性を踏まえた保健事業などを実施しております。予算額は、平成29年度、30年度同額を確保しております。28年度と29年度にモデル事業を実施しておりまして、30年度も同様に展開させていただく予定にしております。

 モデル事業の実施状況につきましては、4ページ目と5ページ目に概要を記載しておりますので、後ほどご覧ください。

 続きまして、6ページ目以降から、高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループの検討の状況について御報告いたします。このワーキンググループは、当検討会の下に位置づけられたワーキンググループでございまして、座長はここにいらっしゃいます津下委員にお願いしております。

 おめくりいただきまして、7ページ目の年表のところをご覧いただきたく思いますが、既に28年度と29年度におきまして、ガイドラインを検討していただいております。28年度は、ガイドラインの暫定版を一旦作成しまして、29年度はガイドラインの完成を進め、検討いただいております。昨日、3月29日に行われましたワーキンググループにおきまして、ガイドラインの正式版を基本的にお取りまとめいただいたところでございます。来年度からは、このガイドラインなどを用いまして、高齢者の特性を踏まえた保健事業を全国の広域連合において展開していくことを目指しております。

 8ページ目以降、このガイドラインの概要を記しておりますが、お時間の関係上、説明は省かせていただきます。中身の御説明が必要という委員の方は、また個別にお申し出いただきたいと思います。完成版も間もなくでき上がりますので、お申し出いただければ、お届けするように取り計らいたいと思います。

 以上でございます。

○多田羅座長 ありがとうございます。今村委員、どうぞ。

○今村委員 ワーキンググループの報告自体はこれで承りましたが、感想を一言申し上げさせていただくと、75歳という年齢で区切って、こういう対策をとられていると思いますが、高齢者は非常に個人差があり、例えばフレイル対策や口腔内の環境といったものは、もう少し早い段階から取り組むからこそ、高齢者になったときの重症化が防げるということがあります。

 そういう意味で、実施主体のモデルで実施しているのは、広域連合の中でも全県ということではなく、それぞれの自治体がモデルで取り組まれているわけですが、もう少し対象をクロスして、メタボリックシンドロームとフレイル対策というのはある意味重なっている部分がありますので、そこをぜひ御検討いただきたいという感想でございます。

○多田羅座長 連続性ですね。

○今村委員 そうです。

○多田羅座長 では、津下委員、座長として。

○津下委員 ありがとうございます。

 ワーキングの中でも、高齢者の個別性、そして多様性ということを議論しております。それから、国保からの連続性ということで、後期高齢者を中心としていますけれども、前期高齢者から引き続きやっていくことを意識してガイドラインを作成しています。

 それから、栄養とか個別の課題だけではなく、さまざまな状況が重なっていることに着目しています。保健事業の入り口としては、重症化予防、栄養や口腔、服薬など、いろいろな入り口がありますが、やってみると他の要因も絡んできます。一方、市町村によってやりやすい事業というのも考慮すべきで、今までの市町村の取り組み状況によって、どこが強くやれるかとか。例えば、薬剤師会が熱心とか、いろいろな組み合わせがあって、実現性の高いところから、まず動いてみませんかという内容になっています。

 そして、悪いところを見つけて指導するというよりも、10ページの真ん中の相談支援のスタンスですけれども、高齢者が元気に健康管理をしていくために、高齢者の元気を維持するような支援をしていく。諦めないで食事をちゃんと食べることとか。これまで75歳以上の方の健康管理支援には不十分で、例えば健診においても特定健診・保健指導に準じて実施、みたいなことになっていて、余り丁寧に書かれていないのでということで、そこに踏み込んだ記載となっています。

 一方では、介護保険制度での予防事業で、運動機能向上など、かなり進んでいるところもあるので、いろいろな制度をうまく組み合わせて連続的にやっていけるといいですね、というガイドラインになっております。また完成版がお届けできたらいろいろ御指導いただければと思います。

 ありがとうございました。

○多田羅座長 座長として確認ですけれども、1ページに24.5とか25%とありますね。これは、各市町村、トータルだと1,700ですか。それの25%という意味ですね。受診率というのは実施率とは違うのですか。

○泉高齢者医療課長 今、ご覧いただいております表の印に書いてございますが、各広域連合において定める健診の受診対象者数の合計と、実際に健診を受診した方の合計の割り算です。

○多田羅座長 全国の合計人数ですか。

○泉高齢者医療課長 この人数では合計です。ただ、若干つけ加えるとすれば、各広域連合において受診対象者と定めたものを母数として、それで割り算しています。

○多田羅座長 足し上げているわけですね。そうすると、市町村で言うとどういう格好になるのですか。この保健事業は、1,700の市町村が単位なのでしょう。

○泉高齢者医療課長 これは、保険者が広域連合ですので、市町村ごとということは、もちろん統計で割っていけばできますけれども、概念としては、保険者の広域連合が単位です。

○多田羅座長 広域連合というのは、47の都道府県が単位ですね。

○泉高齢者医療課長 都道府県ごとに1つある広域連合です。

○多田羅座長 市町村が単位ではないのですか。

○泉高齢者医療課長 市町村が単位ではないです。

○多田羅座長 県の広域連合がやっているかどうかですね。

○泉高齢者医療課長 はい。実施形態は、市町村に委託したり、もろもろございますが。

○多田羅座長 そうすると、モデル事業とありますけれども、モデル事業というのは全部がやっているわけではないとすると。どういう目標になるのですか。モデル事業の目標はどういうことですか。

○泉高齢者医療課長 まず、モデル事業をやっていただいて。

○多田羅座長 47、全部で。

○泉高齢者医療課長 47の広域連合に手がけていただくということが当面の目標になっております。

○多田羅座長 47、全部がやる。今は、それがまだできていない。

○泉高齢者医療課長 まだできていないという状況です。

○多田羅座長 わかりました。

 事業数の分母は47ですか。47のうちの10と考えればいいのですか。

○泉高齢者医療課長 広域連合ベースで言うと、47のうちの。

○多田羅座長 例えば栄養指導だと10とあります。

○泉高齢者医療課長 30ですね。一つの広域連合でも2つ、3つの箇所でやっておりますと、2事業、3事業とカウントしておりますので。

○多田羅座長 これは市町村単位になっていますね。

○泉高齢者医療課長 市町村単位ですが、広域連合でやっているところというカウントの仕方をしますと、47分の30です。

○多田羅座長 わかりました。

 津下委員、よろしいですか。

○津下委員 今のお話で言うと、1112ページにありますように、事業の全体の流れとしては、広域連合が保険者としてデータを持っていて実施主体となるのですが、住民に身近な市町村と一緒になってやるということで。

○多田羅座長 市町村を指導してやる。

○津下委員 実際の保健事業は市町村に委託して実施するという形になっています。ですから、ある県が実施したとしても、市町村によっては違う事業に手を挙げたり、取り組みやすいところに手を挙げています。実施の県が全部やっているわけではないというのが現状です。地域の実情に合わせていろいろな取り組みをしているということで、それに横串を刺して整理したというのが今回のガイドラインです。

○多田羅座長 御理解いただけたでしょうか。47の都道府県広域連合があって、それが各市町村を指導して全体の保健事業を進めている。1,700全体の各市町村がやっていただくということを目指している。これを頑張ってもらわないと、最終的に特定健診・保健指導をものすごく頑張っても医療費が下がってきませんから、ひとつよろしくお願いいたします。

 よろしいでしょうか。時間が過ぎてしまっておりますので、了解としていただければ幸いです。

 それでは、委員の皆さん、今日はどうもありがとうございました。

 事務局、何かございますか。よろしいですか。それでは、本日の検討会はこれにて終了いたします。御協力、どうもありがとうございました。


(了)

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