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2017年12月15日 第14回特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会議事録

○日時

平成29年12月15日(金)


○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール14A


○議事

○石川医療機能情報分析専門官 定刻になりましたので、ただいまから第14回「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、年末の御多忙のところ本検討会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 議事に入ります前に、参考人の御紹介をさせていただきます。

 本日は、東京医科歯科大学より、伏見清秀教授に参考人として御出席いただいております。

 なお、本日は、中村構成員より御欠席、松田構成員より少し遅れていらっしゃるとの連絡をいただいております。相澤構成員も、少し遅れていらっしゃるようです。

 また、事務局の武田医政局長、医療政策企画官の長房が所用により遅れて出席する予定でございます。

 続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、座席表のほか、資料1~4、参考資料1~2でございます。

 資料の欠落等がございましたら事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。

 それでは、以降の進行は座長にお願いいたします。

○遠藤座長 それでは、早速審議に入りたいと思います。議事1「特定機能病院の承認要件の見直しについて」をお諮りしたいと思います。

 承認要件の見直しについては、前回の検討会において取りまとめを行ったところです。

12月6日に開催されました医療部会において、再度、本検討会で確認してもらいたいとの御意見があったと聞いております。

 まずは、資料1「特定機能病院の承認要件の見直しについて」について、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。資料1を御用意ください。2ページ目をお開きください。

 先般、開催されました第57回「社会保障審議会医療部会」におきまして、本検討会で御議論いただきました特定機能病院の承認要件の見直しについて事務局より御説明したところ、何点か御指摘をいただきまして、本検討会において改めて確認してほしいという御指示がございましたので、事務局において、先般の医療部会における御意見と考え方について整理したのが資料の2ページになります。

 医療部会において指摘があったのが大きく3点ございました。

 1点目といたしまして、開設者と医療機関の管理者の関係または管理者と医学部、特に教授会の関係について、明確化すべきではないかというのが1点目でございます。

 2点目といたしまして、病院の管理者が有する人事・予算権限について、具体的に明示すべきではないかというのが2点目です。

 3点目といたしまして、今般のガバナンス改革が適切に行われるよう、改革の実施状況について確認が必要と考えるがどうかという3点の御指摘をいただいているところでございます。

 右に、この御指摘を踏まえましてどのような対応をするかにつきまして整理をさせていただいていますので、事務局の案として御説明させていただきます。

 1点目の指摘に関しましては、今回の改正においては開設者と管理者の権限を明確化するとともに、管理者の選任方法を透明化し、開設者と管理者の関係についても整理を行ったところでございます。

 御指摘にありますような医学部との関係についても、必要に応じてこれらの中で整理をされるものと考えております。

 2点目の指摘に対しましては、管理者が有する人事権や予算権につきましては一律に定めることは、それぞれの法人の形態が異なることから困難ではないかと考えておりますが、医療提供に当たりまして、その責任者たる管理者が、病院の管理運営に必要な指導力を発揮し、医療安全等を確保できるよう、必要な権限を有するべきということにつきましては、通知等で明確化していくという対応をしたいと考えております。

 3つ目のガバナンス構造に関する御指摘のチェックをどうするのかという点につきましては、ガバナンス構造そのものは様々であると考えておりますし、開設者によっても異なると考えておりますので、まずは今般の見直しを受けました各病院の取り組み状況について、毎年病院からの業務報告や、年に1度以上の立入検査において確認をしたいと考えております。

 また、その結果につきましては、対応状況、確認状況を整理した上で、社会保障審議会医療分科会へ報告したいと考えております。

 事務局としての対応としては3点考えております。

 3ページに、同じく医療部会の御指摘といたしまして、今般のガバナンスの改革等を行ったときの最終的な絵姿がどうなるのかを整理してほしいという宿題もございました。それを整理したのがこちらの3ページになります。

 この中で、大きく2つに分けておりまして、昨年6月の省令改正等で見直しました医療安全に係る承認要件と、今般の医療法の改正を受けて、来年6月をめどに省令改正を行った上で要件化するものということで整理をさせていただいております。お手元がカラーの資料の方につきましては、昨年の6月の対応部分を青字、今般の医療法の改正を受けたものを赤字で色づけしているところでございます。

 昨年6月の主な対応としましては、医療機関の中におけます医療安全の対応ということで、医療安全管理責任者の副院長の明確化や、統括部門たる医療安全管理部門の中に置きまして、専従の医師、薬剤師、看護師の配置を義務化すること。また、全死亡例の報告の義務化や、枠の外になりますが、医療安全に関する監査委員会の設置、特定機能病院の相互ピアレビューといったものを昨年の要件の中で追加したところでございます。

 また、それに加えまして、今般の医療法の改正を受けまして、昨今、御議論いただきました承認要件の追加等を行っているところでございまして、こういった対応を行うことによって、医療機関、さらには法人に対する医療安全の意識を高めていただくとともに、ガバナンス体制を強化していただく対応をお願いしたいと考えているところでございます。

 4ページ、5ページにおきましては、先の医療部会でいただきました意見を、未定稿でございますが御紹介している内容になっております。

 事務局からの説明は以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、御議論していただきたいと思いますけれども、始めに本検討会の構成員で医療部会の委員を兼ねている方もいらっしゃいますので、今回の議論が医療部会からの御意見への対応ということでございますので、まずは医療部会の委員の方から追加、補足などの御意見があれば、それを承りたいと思います。いかがでしょうか。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 すごく整理していただいていますけれども、医療部会の委員から、ごもっともという御心配の声が多々ありました。

 確認をしたいのですが、管理者を選考する選考委員会は、決めたとおり粛々と選考したとして、それを理事会でひっくり返すことが可能ではないかという御心配をいただきました。この辺についてはどのように考えますか。

○遠藤座長 事務局、お願いいたします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 御指摘のありました選考委員会の結果を理事会でどう対応するかについてですが、各医療機関の法人の形態は様々あろうかと思っております。最終的な管理者の決定につきましては、多くの場合、病院の法人の開設者たる理事長、場合によっては理事会を経ることもあろうかと思いますが、そういうケースが色々あろうかと思っております。

 その決定に当たりまして、場合によっては選考委員会の結果と異なることも想定されるところではございますが、選考委員会におけます選考結果は十分に尊重される必要があると考えております。仮に選考委員会の結果と異なる決定を理事会で行う場合には、相当程度、合理的な説明が求められることになろうかと思います。

 事務局といたしましては、選考委員会の選考結果につきましては、十分に尊重いただく必要があると考えておりますので、その趣旨につきましては通知等で明記して対応したいと考えております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 もう一つ、2ページの3つ目なのですが、ガバナンス構造は様々であり、開設者によって異なることから、まずは各病院の取り組み状況について毎年、病院から提出される業務報告書や、年に1度以上の立入検査時に確認することとするとなっていますけれども、年に一度では間隔が長過ぎるのではないかと思うのですが、いかがですか。

○遠藤座長 事務局、お願いします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 年に1回の立ち入りでは対応が遅いのではないかという点についてでございますが、ここに書いておりますように、特定機能病院に対しましては年1回の立ち入りに加えまして、定期的な業務報告をお願いしておりまして、承認要件の対応状況の確認をさせていただいているところでございます。

 今般の承認要件の見直しにつきましては、管理者の選考に係るルールにつきましては経過措置を設けるところでございますが、それ以外の要件につきましては、来年6月の施行と同時に対応を各医療機関にお願いすることになることを予定しております。

 その6月から見まして、来年の業務報告のタイミングが10月を予定しておりますので、施行後約4か月後に各病院の取り組み状況を確認するタイミングがございますので、その際に合わせて確認をさせていただきたいということで、施行後約4か月をめどに、各病院の取り組み状況については業務報告を通じて確認させていただきたいと思っておりますので、できる限り速やかに対応状況が把握できるように、事務局としても対応したいと考えております。

○遠藤座長 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 ありがとうございます。

 通知等で対応してくれるということなのですが、さらに確認したのですが、医療法という根拠法があって、それについて局長通知、課長通知が出されます。この通知がどのような位置づけになるのか。

 法律の解釈を国が示したことになると理解しているのですが、もしこの通知の趣旨と違うことを例えば地方行政がやった場合には、法律の解釈が間違っていると考えていいわけですね。

 確認です。お願いします。

○遠藤座長 総務課長、お願いします。

○榎本総務課長 今、お尋ねの通知の位置づけでございますけれども、御承知のとおり法令という場合には法律・政令・省令・告示という整理になりまして、そういった法令を前提として法令改正があった場合、予算事業を実行する場合あるいは現場の実務を円滑に進める上で必要な場合などに、厚生労働省として、厚生労働省の局長や課長など各組織がございますけれども、そういった組織の長の職名をもって都道府県や市区町村、関係団体の皆様宛てに文書として発出するということは、私たちはよく行っているところでございます。

 こういった中で、こういった法令を所管する私ども厚生労働省の組織として、法令の解釈や運用の方針などをお示しすることはままあるところでございます。

 こういったものにつきまして、私どもとしては、国の見解を示すものということで、実務を担う自治体などの現場における行政実務の上で大変重要な役割を果たしているものだと思っているところでございます。

 今、委員お尋ねの自治体がこういった国の通知と矛盾するような対応といった場合、どう考えるのかということでございますけれども、通知は今、申し上げましたように、法令のように直接国民などを拘束するものではございませんが、法令の解釈として、行政実務上、非常に重要な地位を占めるというのが、私が以前、法学部の学生だったときにも習ったところでございます。

 一方で、平成12年に地方分権一括法がありまして、地方公共団体の行う事務が一旦ここで整理をされております。そういった中で、住民に身近な行政は地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うといった方向に整理されております。そういった意味で、自治体の行う業務は自治体の自らの判断と責任のもとで処理することができるというのが基本的な整理となっておりますが、一方で、厚生労働省の立場から申し上げますと、自治体が事務を処理する際には当然、こういった法令の趣旨をよく御理解いただいて、厚生労働省としてお示ししております通知も十分に踏まえていただいてやっていただくことを期待しているものでございます。

 仮に、これに沿わないような、例えば厚労省の考え方と真逆の異なる対応がなされるといった場合には、国の解釈と違っていることを意味することになるのではないかと考えているところでございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 ありがとうございます。

 そうなれば、各自治体で国の法律に関する解釈が異なるということは、原則的にないと考えていいのですね。あってはならないと。わかりやすく言うと、通知は、限りなく法に近いと。そうですとは言わないでしょうけれども、それに近いですね。近いかどうかだけお答えください。

○榎本総務課長 大変難しいお尋ねをいただいておりますが、一概になかなか申し上げにくく、個別のケースで判断することが必要になるのが行政の立場ではございますけれども、いずれにしても今、委員がおっしゃったような自治体の解釈が国の解釈と異なっているということは、確かにそういったケースにおいては言えるのではないかと思っております。

 そういったことを踏まえつつ、個別にしっかりと私どものほうでも対応していきたいと考えております。

○中川構成員 よろしくお願いします。

○遠藤座長 ほかにいかがでしょうか。

 それでは、お願いいたします。

○島崎構成員 私も医療部会の委員として出席をしておりました。

 今日の資料1の4ページ、5ページにございますように、医療部会では思った以上に多くの意見が出されました。私は報告事項で簡単に終わると思っていたのですけれども、永井座長も含め各方面から色々な御指摘がありました。

 私は、医療法上は管理者に非常に強い責任が置かれている。特に医療安全に関していうと、これまでも管理者に強い責任が規定されていると思っております。開設者との関係でいえば、少なくとも民間の医療法人などの場合、開設者と管理者で向いている方向が逆だとか、ガバナンスが緩んでいることはあり得ないだろうと思います。もし、そういう病院があるとすれば、経営そのものが成り立たない形になるだろうと思います。

 ただ、医療部会の御懸念の趣旨は、大学医学部の場合、それぞれの大学によって事情は違いましょうけれども、例えば、教授会あるいは医学部長が強大な権限をもっていて病院長が管理者の権限を発揮できないとか、学校法人のオーナーというと言い過ぎかもしれませんけれども、事実上そこに権限が集中する場合もあろうかと思います。また、医学部単体で大学になっている場合と、例えば東大とか京大のようにいわゆる総合大学になっている場合では、ガバナンスのストラクチャーが相当違います。そうしたなかで、本来、医療法上は強い権限が与えられている病院長の権限が脆弱化している、あるいはガバナンス全体の規律が不明確であることが不祥事の背景にあったのだろうということで、今回、色々と改正事項を盛り込んだという理解をしております。

 私は、各大学の構造や病院の実状については色々な事情がある中で、そういうのを一切無視して法令上だけ規定すると、かえって形骸化する懸念もありますので、結論から申し上げれば、今回の一連の改正事項に盛り込んだ程度のほうが実効性という観点からも適切だと考えております。ただし、先ほども申し上げましたように、医療部会のほうで非常に強い御懸念の声があり、実体験に基づくもっともな御指摘だった面もあるということは、肝に銘じておくべきことだと思いました。

 以上でございます。

○遠藤座長 島崎構成員、ありがとうございました。

 ほかに委員の方で何かコメントはございますか。よろしゅうございますか。

 それでは、医療部会の委員でない方でも結構でございます。御質問、御意見等があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

 それでは、特定機能病院については、これまでも随分慎重に議論してまいりましたので、このぐらいにしたいと思います。特定機能病院の承認要件の見直しにつきましては、本日の議論を踏まえて、通知等に趣旨等を明記いただくなどして、着実な施行につながるよう、事務局においては対応をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 続きまして、議事2「地域医療支援病院について」を議論したいと思います。

 資料2「地域医療支援病院について」について、事務局から説明をお願いしたいと思います。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 資料2を用いまして、地域医療支援病院のこれまでの制度の変遷及び現状の各医療機関の業務報告をベースに、地域医療支援病院の概況について御説明したいと思います。

 2ページに、地域医療支援病院制度の概要をつけております。制度の趣旨といたしましては、平成9年の医療法改正において創設されまして、都道府県知事が個別に承認を行い、現在543の医療機関が承認を受けているところでございますが、その目的といたしましては、患者さんに身近な地域で医療が提供されることが望ましいという観点から、紹介患者に対する医療の提供、医療機器等の共同利用の実施、かかりつけ医への支援を通じまして、地域医療の確保を図る病院として創設されたところでございます。

 大きく4点、役割を求めておりまして、1点目が紹介患者に対する医療の提供、2点目が医療機器の共同利用の実施、3点目が救急医療の提供、4点目としまして地域の医療従事者に対する研修の実施を大きな役割として求めているところでございます。

 2ページにその承認要件を書いているところでございまして、開設主体としましてそこに掲げているもののほか、紹介につきましては、紹介率のみならず逆紹介率を定めているところでございます。それ以外に、原則として200床以上の病床を有するという要件も定めているところでございます。

 3ページに、医療法改正の経緯をつけているところでございます。昭和23年に医療法が制定されて以降、昭和60年に第一次の改正を行っております。第一次の改正におきましては医療計画制度を導入しておりまして、それ以降、おおむね5年置きに改正を行っているところでございます。例えば平成4年の改正におきましては、特定機能病院の制度化を行っております。

 本日、御審議いただきたいと思っています地域医療支援病院につきましては、平成9年の第三次改正におきまして、医療機関の役割分担の明確化及び連携の促進を改正の趣旨といたしまして、地域医療支援病院制度の創設を行っております。

 以降、平成18年の第五次改正の際に、質の高い医療サービスを提供する体制を構築することを目的としまして、地域医療支援病院の中に、従来求めておりました在宅医療に関しまして、その支援を管理者の義務として位置づける改正を行っております。それ以外には、地域医療支援病院に関しまして、特段の法律の改正等は行っていないところでございます。

 4ページに、地域医療支援病院制度の発足の経緯といたしまして、平成8年4月の医療審議会におきましていただいた御意見の中で、下にありますように「(6)地域医療の充実・支援を行う医療機関のあり方」の意見をいただいております。その中におきまして、地域で必要な医療を確保し、地域の医療機関の連携等を図る観点から、かかりつけ医等を支援する医療機関の位置づけを検討すること。その医療機関としては、一定規模の病床を有し、救急医療の実施や在宅医療の支援、施設、設備の開放といったもの、さらには地域の医師等医療関係者に対する研修、医療機関に対する情報提供の機能といった機能を持つことが適当であること。また、単一の機能を有する病院であっても、こういった機能を有している場合は適当であること。これらの医療機関は、紹介患者を積極的に受け入れることが期待されるという御意見をいただきまして、地域医療支援病院の創設に至っているところでございます。

 5ページ、制度創設以降、承認要件の見直しを行っております。例えば、平成16年におきましては2点の見直しを行っておりまして、1点目としまして開設主体の追加を行っております。

 それ以外に、エイズの治療拠点病院や地域のがんの診療拠点病院という場合であっても地域医療支援病院になれるという要件の追加を行っております。また、この際に、紹介率の考え方に、従来の要件に加えまして、逆紹介率の概念も含めた改正を行っているところでございます。

 平成18年は、先ほど御紹介いたしました法律の改正に合わせまして、管理者の義務といたしまして、在宅医療提供の推進に関し必要な支援を行うことを位置づけております。

 2といたしまして、開設者から毎年提出される業務報告につきましては、都道府県で公表いただくということを創設しております。

 6ページにお進みください。平成26年にも承認要件の見直しを行っておりまして、改正内容にございますように、1から4の改正を行っております。その際には、紹介率、逆紹介率の見直しのほか、救急搬送の受け入れの評価につきましては定量的な考え方を導入しておりますし、地域の医療従事者に対します研修の実施にも年12回という回数の要件を設けております。さらに、4にありますような努力義務も追加でお願いしておりまして、この中で逆紹介を円滑に行うための退院調整部門の設置や、地域連携を促進するためのクリティカルパスの策定、さらには他の医療機関よりも適切に情報発信をするということを、新たな要件としてお願いをしているところでございます。

 さらに、一番下の四角の囲みになりますが、本検討会におきまして、承認要件の見直しとして中間の取りまとめを26年1月に行っていただいているところでございますが、その際に宿題事項として以下のような御意見をいただいているところでございます。

 1つ目としまして、4つの機能を一体的に有する必要があるのかどうか。

 2つ目としまして、医療提供体制全体の中で、改めて位置づけの必要性から再検討すべきではないか。

 3つ目としまして、承認要件の中で標榜科についても設定してはどうかという御意見をいただいているところでございます。

 医療提供体制の中でという宿題をいただいている中で、昨今の医療提供体制の大きな制度を少し御紹介したいと思っております。

 7ページをお開きください。現在、各県におきましては、定期的に医療計画の策定をお願いして、地域の医療提供体制の構築に取り組んでいただいているところでございます。医療計画制度におきましては、昭和60年の法改正に導入されまして、平成18年の改正の際に疾病・事業ごとの連携体制の構築、さらには平成26年の改正の際には地域医療構想の記載を求めているところでございます。

 この中で、主な記載事項としまして、左にありますような三次医療圏、二次医療圏の設定のほか、地域医療構想を策定いただくといったことを盛り込んでいるところでございます。

 その中の一つの要素としまして、次の8ページをお開きください。医療計画におけます記載事項の中身につきましては、私ども医政局長通知の中で、数値目標の整備、体制の整備といったことをお願いしている項目がございます。その中の「8 医療提供施設の整備の目標」の一つとしまして、地域医療支援病院の整備の目標をお願いしているところでございます。その中におきましては、地域医療支援病院の役割、機能といったもの、さらにはそれらの機能を地域の実情を考慮しながら検討いただきたいということを明示しておりまして、そこにありますようなかかりつけ医との連携、共同利用の状況、救急医療体制、研修等を求めているところでございます。

 その検討を踏まえまして、場合によってですが、必要に応じて地域医療支援病院の整備目標、例えば二次医療圏ごとに整備するといった目標の設定をお願いしているところでございます。さらには、地域医療支援病院を整備しない二次医療圏におきましては、医療機関相互の機能の分担、業務連携の充実を図ることをお願いしているところでございます。

 実際に9ページ、10ページで各都道府県の医療計画の記述の例を少し抜粋しているところでございます。

 9ページは、長野県の医療計画の抜粋になりますが、信州保健医療総合計画の中の地域医療支援病院に関する記述といたしましては、まず「1 現状と課題」で地域医療支援病院の承認が進まない理由として、初診の方が多く集中しているということを挙げられております。

 これに対する施策の展開としまして、紹介患者中心の医療の提供が図られるよう、地域の医療機関の役割分担と連携を推進するという展開が掲げられておりまして、その数値目標といたしましては、下にありますように現行の6つの医療圏に整備が進んでいるものを7つの医療圏、現状よりも増加させるという数値目標を掲げて取り組んでいただいているところでございます。

10ページは、静岡県の第7次静岡県保健医療計画になります。この中では、課題といたしまして、二次医療圏のうち2つの圏域では、現在まだ未整備になっているところがあり、診療所や他の病院などの地域の医療関係者の協力、まずはかかりつけ医を受診するなど、地域住民の理解を求めるということが掲げられております。

 対策といたしまして、かかりつけ医等への支援を通じて、地域医療の確保及び一層の病診連携を図るため、全ての2次保健医療圏において地域医療支援病院の整備を進めるということで、現状の6つの圏域、19病院から全ての二次医療圏において整備するという目標を掲げて取り組んでいただいているところでございます。

11ページ、医療提供体制の中で今、非常に重要な施策となっております地域医療構想について簡単に御紹介いたしますと、平成27年4月の「医療介護総合確保推進法」によりまして、都道府県におきまして「地域医療構想」策定をお願いして、既に策定済みとなっております。

 「地域医療構想」の目的といたしましては、2025年に向けまして、病床の機能分化・連携を進めることに現在、取り組んでいただいているところでございます。この中で、公的プランの策定を進めていただいている中で、公的医療機関以外に特定機能病院と地域医療支援病院におきましてもそういったプランを策定いただきまして、今後、どのように機能分化・連携を進めていくかということの策定を今、進めていただいているところでございます。

12ページ、地域医療支援病院に対します診療報酬におきます評価をつけております。入院初日になりますが、診療報酬におきまして1,000点が算定できるということで、診療報酬におきましてもこういった評価が行われているというところが現状になります。

 続きまして、13ページ以降、地域医療支援病院の業務報告または医療施設調査等の各種データをもとに現行の地域医療支援病院の概況をまとめております。

 まず、13ページでございますが、地域医療支援病院の数の推移でございます。平成11年以降、数を年々計上しているところでございますが、平成2810月時点におきまして、現在543病院。年々、20病院から30病院と、新たな承認を受けているところでございます。

 右の開設主体を見ていただきますと、今、約半数を公的医療機関が占めている状況になっておりますし、平成23年と28年を比べた場合、公的医療機関が100医療機関ほど増えている状況が見てとれるかと思います。

14ページは、県単位で見た場合の地域医療支援病院の数をつけております。こちらにつきましては、二次医療圏344のうち111の医療圏につきましては、現在、地域医療支援病院がないというところが見てとれるかと思います。

 次の15ページ、16ページには二次医療圏別の数を整理しているところでございます。おおよそ県庁所在地があるところにおきましては、人口が多いということも当然あろうかと思いますが、地域医療支援病院が集中している傾向が大きくとって見られるかと思います。

 また、二次医療圏の単位で見た場合には、16ページを見ていただきますと、名古屋、大阪、神戸、岡山の県南東部、福岡・糸島、北九州といったところにおきましては、一つの圏域の中で10以上あるというところが見てとれるかと思います。

17ページ以降、各地域医療支援病院の病床数等を御紹介していきたいと思います。

17ページは病床規模になりますが、最も多い病床規模としましては400床から500床未満の群が一番多くなっている一方で、600床を超える病院も56と、一定程度ございますし、承認要件は原則200床となっておりますが、200床未満の病院も15病院あることが見てとれます。

18ページは、各医療機関の紹介率、逆紹介率をつけております。紹介率につきましては6~7割の病院が最も多く、逆紹介につきましては7~8割が多かったという結果が見てとれるところでございます。

19ページにお進みくださいますと、救急医療の取り組み状況をまとめております。

 救急医療にかけましては、承認要件としまして1と2という要件があるところでございますが、救急搬送件数におきましては5,000件を超える病院が100医療機関以上ある一方で、1,000件未満という病院も44病院あったというところが見てとれるところでございます。

20ページになりますが、承認要件の一つであります共同利用につきましては、各医療機関で様々な取り組みをされているところでございますが、500件未満というところが多い一方で5,000件以上というところもあったところが見てとれます。

 この共同利用の中身につきましては、様々な取り組みがあろうかと思いますが、件数そのものを一律に数えるのもなかなか難しいところでございますが、こういう状況が見てとれる状況にございます。

21ページは、地域の医療従事者に対する研修でございます。年間の件数につきましては12回以上主催いただくことをお願いしているところでございますが、11回以下が10施設ぐらいあるというところでございますけれども、研修の参加者におきましては、500人から1,000人未満というところが100施設ぐらいあるということで、地域におきましては積極的な医療従事者に対する研修を行っていただいている様子が見てとれるかと思います。

22ページは、地域医療支援病院が担っています様々な役割の中で、救急医療や周産期医療の施設の状況をまとめております。

 地域支援病院のうち174施設、約3分の1におきましては救命救急センターでありますとか、それ以外にもへき地の拠点病院、総合周産期、がんの拠点病院という役割を担っていただいている地域医療支援病院が相当程度あるという状況でございます。

 この中のへき地の拠点病院につきましては、23ページと24ページでまとめているところでございます。

 へき地医療拠点病院におきましては、地域のへき地に対する医療の確保という観点から、下に要件が設けられておりまして、アの巡回診療や、イのへき地診療所等への代診の派遣というところをピックアップして整理を行ったのが24ページになります。

 現行のへき地の拠点病院自体は313あるのですが、そのうちの83につきましては、へき地の拠点病院かつ地域医療支援病院というところになります。この83病院におきまして、そういった医師の派遣の状況につきまして、24ページに整理しているところでございます。

 この中で順番に見ていきますと、巡回診療を行っている地区の数が1地区以上あるのが27施設、医師の派遣、診療件数というので、2カ所以上の診療所に対応いただいたのが32、1カ所が12ということで約44、半分ぐらいは医師の派遣を行っていただいています。

 代診医の派遣も22の施設ということで、それぞれ幾つかの程度を取り組んでいただいているところがわかるかと思います。

 医師の派遣の状況につきましては、真ん中の下段になりますが、診療日数というところで、日数が若干少なくなっているところが多いところではございますが、100日もしくは150日を超える医師の派遣をやっていただいている医療機関もあるということで、現状におきましては地域医療支援病院からの医師の派遣は、こういった取り組み状況ということが見てとれるところでございます。

 その地域医療支援病院に関しましては、医療部会におきましても色々な御意見、御指摘をいただいているところを25ページに御紹介しているところでございます。

 先ほども申しました「公的医療機関等2025プラン」の対象として地域医療支援病院が含まれているところでございますが、先ほど御紹介しましたように、実際は県の中では3分の1ぐらい空白というところもあるという御指摘とか、2つ目といたしまして、診療報酬上の評価もあるというところで、こういったところでどう考えるのか。3つ目としまして、制度の創設当初と少しイメージが変わってきているのではないかということで、しっかりと議論したほうがいいという御意見とか、最後になりますが、1件1医大というところから考えてみた場合に、どのような役割が求められるのかという御意見もいただいているところでございます。

26ページになりますが「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」におきまして、現在、第2次の中間取りまとめの検討をいただいているところでございます。

 その中の具体的な医師偏在対策の中で、地域医療支援病院の役割は御指摘をいただいているところでございます。

 その中の一部を御紹介いたしますと、2にありますように、医師派遣を支える医療機関に対する経済的なインセンティブという中で、医師個人のみならず、医師派遣要請に応じて医師を送り出す医療機関につきまして、経済的インセンティブを得られる仕組みを検討すべきである。

 2の2つ目の○でございますが、特に、医師派遣等の機能を発揮する医療機関の評価の検討に当たり、地域医療を支援する立場にある地域医療支援病院については、医師派遣機能や、プライマリ・ケアの研修・指導体制の確保など、その環境整備に一定の機能を果たすものについて評価を行う。それにつきまして別途検討すべきである。

 3としまして、認定医師に対する一定の医療機関の管理者としての評価の中の2つ目の○でございますが、まずは地域の医療機関と連携しながら地域医療を支えるという制度上の目的を有する地域支援病院のうち、医師派遣、環境整備機能を有する病院として、今後、具体的な医療機関のあり方について検討すべきであるという御意見をいただいているところでございます。

27ページにつきましては、将来に向けた課題として御意見をいただいているところでございます。

28ページをお開きください。本日以降、地域医療支援病院のあり方に関しましては今、御説明したようなルール、色々な課題、宿題等はあろうかと認識しておりまして、本検討会におきまして御検討をお願いしたいと思っております。

 現状につきましては3点にまとめておりますが、年々増加傾向にあるものの、繰り返しになりますが、約3分の1の中には地域医療支援病院が存在した二次医療圏があること。2つ目の○としまして、各承認要件の取り組み状況、対応状況につきましては、項目によってばらつきがあるということや、平成26年時点で定量的な承認要件を満たしていないことが一部見受けられるところでございます。

 3つ目としまして、今回御紹介いたしました業務報告のみでは、地域医療支援病院の医療機能や地域における役割を把握するのはなかなか難しいという課題もありまして、本日これから伏見先生から、病床機能報告やDPCデータを組み合わせた分析の報告をいただくこととしておりますが、これらの分析をさらに進める必要があると考えております。

 今後御検討いただきたい議論の方向性としまして、医療計画や地域医療構想等の各種医療提供体制の制度の動向を踏まえながら、地域において地域医療支援病院が果たす役割や位置づけをどのように考えていくのか。

 2つ目としまして、地域医療支援病院の機能を強化するという観点に立った場合に、承認要件をどのように見直したらいいかということで、例えばということで3点挙げさせていただいております。

 1つ目が、医療機関への医師派遣機能をどう見るのか。

 2つ目としまして、専門医や総合診療医の養成に対しましてどう考えていくのか。

 3つ目として、かかりつけ医や診療所のみではなくて、病院間の連携の実績をどのように評価していくのかといったことを、今後の承認要件の見直しの視点として、例示として挙げさせていただいております。

 3つ目といたしまして、各医療機関からいただいています今の業務報告書のみではなかなか実態が難しいということで、今後もしこういった要件を見直すということであれば、さらなる各医療機関の状況を把握するための取り組みが必要と考えておりまして、例えば、実態調査を今後行ってはどうかと考えておりまして、どういう機能を把握すべきかとか、こういうことをもっと調べてはどうかという観点から御意見をいただければと思っております。

 事務局の説明は以上になります。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 引き続きまして、資料3「地域医療支援病院等の医療提供体制上の位置づけに関する研究(中間報告)」につきまして、伏見参考人から御説明をお願いしたいと思います

 よろしくお願いします。

○伏見参考人 東京医科歯科大学の伏見でございます。資料3に基づいて説明をさせていただきます。

 今回の報告につきましては、地域医療支援病院に関わる、基本的には公表データを集めまして、データクリーニングをしてデータベースを作るということと、基本的な集計を行ったという段階になっていますので、御了承いただきたいと思います。

 2ページは、本研究で活用したデータですけれども、先ほどの業務報告書データに加えて、公開されている病床機能報告データ、平成27年度分、一部厚生局の公表データ、さらにDPCの評価分科会で公表されている個別病院のDPC公表の集計データを組み合わせて、データクリーニングを起こった上でデータベースを作って集計を進めております。

 3ページ目ですけれども、細かいことになりますが、データベースの作成について、病床機能報告データをもとに様々なエラーチェックとかデータクリーニングなどを行いながら、業務報告データと組み合わせてデータベースを作っていったということが書いてあります。

 4ページに、現在作られているデータベースに記入されている項目があります。様々な資料に入っております基本的な情報とともに、病床機能報告データに基づいて、それぞれの医療機関の診療実態、それから地域医療支援病院の業務報告のデータが組み合わさったものが現在のところできているという段階になっております。

 5ページ目は、DPCの公表データということで、これはDCP評価分科会で年に1回公表されているものですけれども、DPC病院が約1,600プラス一部の病院が入っていますが、その病院の病院名がついた形で、基本的な患者数とか在院日数、救急患者の割合というものが集計されて公表されておりますので、これと病院名で連結して、先ほどのデータベースに追加しております。

 6ページです。まず、業務報告データについての分析ということで、先ほどの事務局からの報告と多少重なりますので、重ならない部分だけ説明させていただきます。

 7ページは、地域医療支援病院の設置状況ということで、左側に地域医療支援病院、各病院がカバーする人口がどのような規模になっているかを集計したグラフを作っております。これは二次医療圏ごとの人口がわかりますので、それを二次医療圏ごとの地域医療支援病院数で割り戻す形で、各病院が大体何万人をカバーしているかを示したヒストグラムになっておりまして、大体1020万人のところがピークで、次が2030万人規模という形で、2030万人規模の人口をカバーする支援病院が多いということがわかると思います。

 カバー人口については表で示したように、平均値が約16万という形になっています。

 右の図が地域医療支援病院、それから200床以上のそれ以外の病院の分布ですけれども、ほぼ全国的に分布していることが見えると思います。

 8ページは、体制についてです。これも基本的に業務報告書ですので、先ほどのデータとほぼ同じ内容になっております。紹介率、それから右側で研修プログラムの実施率、研修の回数と、全体の平均値はこのぐらいになっているという形になっております。

 9ページにつきましては先ほどと同じです。追加としては、100床当たりの看護師数が大体100人ぐらい。左下のグラフで薬剤師数が6人ぐらいという形。右下で、退院調整部門の職員数が4人以下というところが多いという数値になっております。

10ページは、先ほど報告されましたので、こちらは省略させていただきます。 11ページ、分析用データベースにおける分析で、地域医療支援病院の業務報告書だけではそれ以外の病院との比較ができませんので、病床機能報告データと組み合わせて、その他の病院との比較の集計を行っております。

12ページ、全体の概要がこのようになっておりまして、地域医療支援病院が543、その他の病院が6,600です。

 病床総数が、支援病院が23万ぐらい、その他の病院が64万ぐらい。平均の在棟患者数が12万と4万です。一番下の手術総数で、支援病院が356、その他が63という数値が出ております。

13ページ目は、箱ひげ図で、地域医療支援病院の中の手術の実施状況等の分布を見たものになります。左側が手術の総数ですが、月間大体200300ぐらいのところが多くなっています。ただし、その箱ひげのひげを見ていただくと、最小値から最大値の分布はかなり広くて、ほとんどゼロに近いところから、月に1,000件以上やっているというところもあります。

 地域医療支援病院以外の病院で見ると、平均値としてはかなり少な目の数値にはなっていますけれども、実際のところは1,600とかなり数値が高くなっているところもありますので、ばらつきは非常に大きいということが言えると思います。

 右側のほうで全身麻酔手術、胸腔鏡下手術、腹腔鏡下手術についても、大体似たような傾向で、地域医療支援病院の中でもかなり幅があり、様々な機能の病院が含まれているということを示しているといえるのではないかと思います。

14ページ、がん治療に関しまして、地域医療支援病院のほうが全体としては、平均値、中央値としては、その他の病院よりも多い傾向にありますけれども、箱ひげはかなり伸びておりますので、数が少ないところから多いところと、多様な病院があるということが言えると思います

 右側の化学療法、放射線治療につきましても、ほぼ同様の傾向が出ているのではないかと思います。

15ページ目は、患者さんの移動、連携の一つの情報になるかと思いますけれども、地域医療支援病院とその他の病院で、入棟前の場所の違いを比較したのが左上のグラフになります。

 自宅に退院している患者さんが地域医療支援病院では非常に多い。それから、院内から入ってくる患者さんが非常に多いということが特徴になりまして、それ以外の病院に比べて、介護施設その他から移動する患者さんは、どちらかというと非常に少ないという傾向が見えてきております。

 右側が、退院先、退棟先の情報になりますけれども、似たような傾向になりますが、院内の他病棟に移る患者さんが地域医療支援病院では多いということと、介護施設等に移る患者さんは非常に少ない。自宅に移る患者さんが比較的多いことが見えるかと思います。

 左下は、在宅医療の提供状況になりますけれども、地域医療支援病院では在宅医療を必要としないような患者さんが多い傾向にあることがいえるのではないかと思います。

16ページから、DPCデータによる分析です。

17ページ、DPC病院につきましてはI群、II群、III群で、I群は大学病院本院、II群が特定病院群で、比較的高機能である病院です。III群が標準病院群で、多くのDPCの一般病院とグループが分けられております。全体数の基本情報は右のような数値になりまして、III群の一般病院が非常に多い。II群の高機能病院群は大体100前後になっております。

 この中で、それぞれ地域医療支援病院とその他の病院がどのぐらい違うかを比較してみました。

18ページ目になります。I群病院は大学病院ですので、地域医療支援もあるということでII群とIII群でその他の病院と地域医療支援病院を比較することができます。

 ざっと見ていただいて、例えば救急車による搬送の率の平均値を見ていただくと、II群ではその他の病院が13%に対して、地域医療支援病院が17%とかなり高くなっています。

 一方、III群については、余り差がないという数値が出ております。

 下から3番目の在院日数の指標は病院の効率性、平均在院日数が非常に短く、効率的な医療を行っていることをあらわす指標になっておりますけれども、これが地域医療支援病院では比較的高い。それはII群の地域医療支援病院、III群の地域医療支援病院ともにやや高い傾向にあることが見えるのではないかと思います。

19ページ目が、診療機能の比較という形になります。II群病院については、地域医療支援病院とその他の病院で余り大きな差はないのではないかと思いますけれども、III群病院、要するに一般病院1,300病院の中で地域医療支援病院とその他の病院を比較すると、例えば化学療法の患者さんが多いとか、全身麻酔の患者さんがやや多いという形で、比較的重症度の高い患者さんが多く集まっている傾向があるのではないかと見えます。

20ページは、DPCデータから見た退院先の分析になります。II群病院のところで比較していただくと、地域医療支援病院では下から8.4%と書いてある。他の病院への転院の割合が比較的多くなっているという形になっています。

 それ以外の保険施設とか介護老人福祉施設への入所については、その他の病院と余り変わりはないという状況になっていますが、III群病院で見ていただくと、上のほうの家庭への退院とか、他病院への転院はそんなに変わりないのですけれども、III群病院の地域医療支援病院以外の病院は介護老人福祉施設等への入所等が比較的多くなっていることが見えるのではないかと思います。

21ページは、DPCの機能評価係数の平均値を積み上げたものになりますけれども、これは病院の全般的な機能をあらわす数値と見ていただいていいかと思います。II群の地域医療支援病院では、例えば緑色の0.0096と書いてあるのは救急医療係数で、救急医療に力を入れていると高くなる係数ですが、そういう部分が高く、その下の地域医療係数の部分が高いという形で、II群病院の中でも、この部分で地域医療支援病院の機能の違いが数値上出てきているのではないかと思います。

III群につきましても似たような傾向があるのではないかと思います。救急医療係数、地域医療係数等が比較的高くなっています。一番下の重症度係数なども含めて、やや高い傾向にありますので、この辺が機能の違いとして数値上も出てきているのではないかと見えます。

22ページです。二次医療圏における地域医療支援病院の役割を見るという形で、患者あるいは診療行為の二次医療圏内でのシェアを分析しました。今回は、長野県についてのみ分析を行っております。

23ページ目、まず施設数になりますけれども、先ほど言いましたように、長野県では地域医療支援病院がない二次医療圏が3つあるという形になります。左下の在棟延べ患者数の規模では、2030%前後のシェアを占めている地域医療支援病院があるということが多く認められております。右下の新規入棟患者数で見ていくと、さらに割合が増えまして、地域によっては50%を超えるような形になっておりますので、この辺で地域医療支援病医の地域医療における役割の大きさを示しているのではないかと思います。

24ページの手術総数についても、一部の地域では50%を超える形になっていますので、病院数としては1割程度ですけれども、手術の実施数としては地域医療に大きく貢献していることが見えるのではないかと思います。

 左下は同様に、救急医療管理加算で見ましても、40%が一部の地域では100%になっておりますので、地域における救急医療管理についてもかなり十分な役割を果たしていると思いますし、右下の救急車の受け入れ件数につきましても、3050%ぐらい。地域における役割としては非常に大きい、一定の役割を果たしているのではいなかということが見えると思います。

 最後に25ページで、簡単な要約程度のまとめをつくっております。

 1番目は、業務報告書のデータなので飛ばします。

 2番目は、分析用データベースによる分析の結果、手術状況は他の病院と比較してやや多い傾向にある。全身麻酔手術、その他の手術がやや多くなっています。

 それから、がん治療にいてもやや多くなっているという傾向があると思います。

 入棟前の場所については、院内、自宅が多いのに対して、それ以外の施設では介護施設等の割合が多いという特徴になっておりますし、DPCデータの分析では、在院日数の指標、救急搬送等の率がほかの病院よりも高いという形で、機能的な違いを示しているのではないかと思います。

 最後の二次医療圏別のシェアを見ると、地域医療支援病院は限られた数ながら手術数、患者数、救急数ともに医療圏において高い地域が複数存在していることがわかります。

 以上のことから、医療提供体制の中で、二次医療圏の中で地域医療支援病院が一定の役割を担っていることが伺われるのではないかと思います。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 それでは、事務局及び参考人から御説明がありましたので、その内容につきまして御意見、御質問等をいただければと思います。また、新たな分析をしてほしいというリクエストでも結構でございますので、御自由にどうぞ。

 本多構成員、どうぞ。

○本多構成員 今、色々見させていただいた中で、制度発足当初に比べて地域の医療事情などが大きく変化していることを踏まえますと、地域医療の支援のあり方を一概に論じることは難しいのではないかと思います。

2025年に向けて、高齢者が急増する大都市と、これから地域医療構想などで指摘されているように、高齢者数がもうピークに達している地方あるいはもう既にピークが過ぎているような地域があるかと思いますので、医療需要だけでなく、地域医療支援病院に求める支援のあり方も地方によって違ってくるのではないかと思います。

 一方、高齢者の数が増える地方もあるということで、医療のあり方は、これまでと比べ大きく変わってくるのだと思います。

 また、そのような実態を踏まえますと、地域医療支援病院に対する実態調査や、今、先生からもありましたがDPCなどの既存のデータから、都市部とそれ以外で地域医療支援病院が果たしている機能に違いがあるかなどについて把握する必要があるのではないかと思います。

 そういった調査や分析などを踏まえて、その上で、地域医療支援病院が果たしている医療機能と、第7次医療計画に記載される今後の方向性との間にミスマッチがないかということも考慮して、承認要件の見直しを議論していくべきではないかと思います。

 また、先ほど診療報酬上も、救急医療の提供等を評価する観点から入院初日に1,000点ということが出ておりましたが、救急などを踏まえた総合的な評価として、総合入院体制加算が診療報酬上であると思いますが、そちらの要件には、先ほど先生から説明があった化学療法とか手術の要件とが出ていますので、診療報酬上で評価が重複していないかどうかという問題点もあるのではないかと思います。

 診療報酬上の取り扱いにつきましては、中医協で議論していただくマターであるとは思いますが、新たな承認要件を整理していく過程の中では、そういった評価のあり方についても議論していただければと思います。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 資料2の14ページで、全344の二次医療圏のうち111圏に地域医療支援病院がないと書いてありますけれども、これはないのが問題だという意味ですか。

 議論してくださいと答えるのでしょうけれども、どのように考えているのですか。

○遠藤座長 それでは、事務局お願いします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 地域医療支援病院の位置づけに関しての考えという御質問かと思います。

 医療計画の中においてどう考えるかにつきましては、8ページに医政局長通知の抜粋をつけさせていただいているところでございます。各2次医療圏に地域医療支援病院がないことが一概に悪いということではなくて、記載させていただいておりますように、地域の中でどう考えるかという中で、必要に応じて、もし整備をもっと進めていこうということでは、具体的な整備目標を設けてくださいということを考えておりますし、地域医療支援病院が無い医療圏が全て課題があるということではなくて、無い場合には、医療機関相互の機能分担、業務連携の充実を図って、地域の医療提供体制の構築の中で不備がないようにしていただきたいと考えているところでございます。

○遠藤座長 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 模範的なお答えだと思いますが、気になるのが13ページの右側の開設主体の平成23年と28年ですが、公的医療機関が急増しているのです。この公的医療機関の内訳はわかりますか。公立病院と公立病院以外の公的医療機関の内訳です。

○遠藤座長 事務局、いかがでしょうか。

○木下保健医療技術調整官 今すぐに具体的に数をお答えすることはできないですけれども、調べることは可能でございます。

○中川構成員 山本構成員はわかりそうなお顔をされていますが、違いましたか。

 何を言いたいかというと、地域医療構想で新公立病院改革プラン、それ以外の公的医療機関等には2025プランを今年中に作るとなっているわけですけれども、そういう中で、地域医療支援病院がない二次医療圏があるというのはかなり重大な指摘なのです。

 私は今、必ずしもこれ以上地域医療支援病院を増やす必要はないのではないかという考えにあります。

 そこで、伏見構成員の発表で18ページと19ページを見ると、DPCの分析の中で、地域医療支援病院のほうが、それ以外の病院よりも重症の患者さんが多いと先ほど説明されたような気がするのですが、このデータからそういうことを言えますか。

○遠藤座長 伏見参考人、どうぞ。

○伏見参考人 19ページで行きますと、III群の病院の右側のところで、例えば手術のある患者さんの割合がわずかに多い。それから、化学療法等をやっている患者さんの割合が多い。一番下では全身麻酔を行っている患者さんの割合が、2~3ポイントですけれどもわずかに多いという形で、その意味で、症度の違いは多少あるのではないかという形でのコメントをさせていただきました。

○遠藤座長 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 私は、この程度の差は有意な差ではないと見えるのです。地域医療支援病院の分析なので、先生はそれに注目されているのでそのように表現されたのだと思いますけれども、私はこのDPCII群、III群においては余り差はないのではないかと見えます。

 そこでもし差があるとすれば、これは想像ですけれども、最近急増した公的医療機関が地域医療支援病院になったところは、患者を吸引しているのではないかという気がするのです。

 そうなると、公的医療機関と民間医療機関が競合している可能性があって、民間の医療機関を圧迫しているのではないかという心配をします。したがって、その辺の分析をしっかりやるべきではないかと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 島崎構成員、お願いします。

○島崎構成員 地域医療支援病院について、私はかねがね同じことを申し上げております。医療法上、地域医療支援病院という特定の類型を設ける必要はないというのが私の意見です。

 理由は、例えば紹介、救急、共同利用、研修それぞれの機能について、その機能ごとに診療報酬上、個別に評価をすればよくて、その4つを一体的に持っているからといって、地域医療支援病院入院診療加算という形で、初診時に1,000点ものお金をつけてしまうのは非常にラフなやり方だと思っています。

 なおかつ、先ほど御紹介はありましたように、二次医療圏ごとに考えるべきかどうかということ自体、議論があるとは思いますけれども、二次医療圏の中で10以上も地域医療支援病院がある地域が相当数ある。その一方で全くない地域があるというのは、医療資源、医療費の配分という意味からも、私は適切ではないと思っています。

 そこで質問なのですけれども、先ほどの厚生労働省の資料でもそうなのですが、紹介、救急、共同利用、研修に相当ばらつきがあることがよくわかりましたけれども、この4つは、例えば1つだけ突出して高くて、ほかは低位にあるという傾向にあるのか、全体として4つとも高い、4つとも低いという傾向にあるのかという分析はできるのでしょうか。これが質問の1つ目です。

 2つ目として、今日はせっかく伏見参考人が来ておられるので質問を申し上げたいのですけれども、繰り返しになりますが、紹介、救急、共同利用、研修を個別に評価するのではなくて、4つ一体的に持っているからということを強調するのであれば、その4つを一体的に持っていることの、言ってみればシナジー効果というか、一体的に持っているからこそ非常に重要な意味を持っているということを言わなければいけないのだろうと思うのですけれども、それについてはどのような分析の仕方があるのでしょうか。

 以上の2つです。

○遠藤座長 わかりました。

 最初の質問は事務局あるいは伏見構成員にもされているのかと思いますけれども、事務局からお答えいただけますか。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 4つの要件を全部満たしているのか、一部突出しているのかということですが、個々の医療機関のそれらのデータはありますので、分析することは可能かと思います。分析の方法とか、どういう形のイメージでお出しするかとかも含めて、御相談しながら対応したいと思います。

○遠藤座長 伏見参考人、お願いします。

○伏見参考人 御指摘のシナジー効果については、現在まだやっていないのですけれども、それぞれの要件を満たしている数等と実際の実態機能等を比較する形の分析をすることで見えてくるのではないかと思いますので、今後、検討したいと思います。

○遠藤座長 よろしいですか。

 相澤構成員、お願いします。

○相澤構成員 私は地域医療支援病院の開設者なので、独断と偏見が入るかもしれませんが、第一に、地域医療支援病院が最初にできたときは、外来において病院と診療所の役割分担をしようということから始まったのです。そのときは、紹介率が80%以上というのがあって、60%以上でもいいのですけれども、1年以内に80%にしなさいというのがあって、これはかなりきつくて、そのときは地域医療支援病院になる病院は極めて少なかったのです。理由は色々あると思うのですが、ここに書いてあるように紹介率、逆紹介率をだんだん下げてきて、色々な病院がどんどん入ってくるようになったというのがあります。

 最初の目的は紹介、逆紹介から始まっているので、これは外来の問題なのです。ですから、DCPを分析しても外来はわからないのです。そこには地域で開業医の先生と病院の外来がいかに役割分担ができているかどうかという視点は全く入っていないわけです。私の感じとしては、病院の外来とかかりつけ医の先生の役割分担というのは、相当できてきたと考えております。

 もう一つは紹介、逆紹介をどう計算するのかという計算式があると思うのですが、誠に不思議なことに、私の病院はその計算式でやると逆紹介は100%を超えていまして、逆紹介100%というのは計算式がおかしいのではないかと思うことがあります。こういう数値でやるとどんどん色々な病院が入ってくるというのが、先ほど御質問があった、なぜ公立病院がどんどん増えてくるかという一つの要因になっているのではないかと思います。

 もう一点、私たちの病院は平成10年に地域医療支援病院になって、全国で46番目だったと思うのですが、それからずっとやっていますと、最初のころの地域医療支援病院のあり方等と今の様相は随分違っています。最初のころは、かかりつけ医の先生、開業医の先生とのやりとりだったのですが、最近は病院間のやりとりに変わってきているのです。

 それをどうここに表現するかというのは、大切です。これからは地域医療構想では病病連携はすごく大事になってくると思っていまして、ここには病診連携の推進はあるのですが、病病連携がどうなっているかは全くわからない。

 先ほど、どこから入院してくるのかがありましたけれども、御自宅といいましても色々なパターンがありまして、ある病院に通院している。ただ、その病院からの紹介で地域医療支援病院に入ってくる場合もありまして、それは病院からではなくて御自宅からということになってしまうのです。これも地域医療支援病院の機能、紹介、逆紹介あるいは地域の患者さんを診るということであれば、そこをもう少しきめ細かにデータをとらないと、やっている機能がわからないのではないかと思います。

 少し長くなって申し訳ありません。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 御意見としてよろしゅうございますね。特段コメントは必要ないと。

○相澤構成員 はい。

○遠藤座長 ほかにいかがでしょうか。

 高野構成員、どうぞ。

○高野構成員 資料3の14ページにありますように、地域医療支援病院はがん治療を担っているところが多いと思うのですが、がん治療に関連して、周術期口腔ケアの実施を支援病院の中の歯科を利用して行っているかとか、または歯科がないところが多いかと思いますが、地域との連携で行われているかどうかというデータ分析などは可能なのでしょうか。

 その辺をお願いしたいと思います。

○遠藤座長 それば事務局でよろしいですか。それとも伏見参考人ですか。

 事務局、どうぞ。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 現行の業務報告から見ることはできないところでございますけれども、病床機能報告の項目で、もしそのようなものがあれば、それと連携してやれると思うのですが、あとは追加調査を行うかというところで把握できるかと思います。

 ですので、ここで色々な御意見をいただきまして、追加調査をするということの対応はできるかと思いますが、現行あるデータで分析するのは難しいかと思います。

○遠藤座長 高野構成員、よろしいですか。

○高野構成員 できたら、そのような分析のソースを出していただければと思います。

 よろしくお願いします。

○遠藤座長 わかりました。ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 海野構成員、どうぞ。

○海野構成員 これからの議論の中で、資料2の28ページの議論の方向性のところで、地域医療支援病院が果たす役割、位置づけということなのだと思うのですけれども、今、それぞれの地域でどういう役割を果たしているのか。それに関して、資料3の7ページで、要するに地域医療支援病院は200床以上が原則ですね。それを考えると、7ページで200床以上の病院がたくさんある中で、この地域医療支援病院に手を挙げてなっているところは、どこがどう違うのだろうというのがすごく気になるところです。

 それは恐らく何か理由があるのだと思うのですけれども、それがどうなのか。これは全体を拝見していると、今、この地域医療支援病院が実施されていることは、地域の急性期のかなりの部分になっていらっしゃるという印象がありますが、その辺がこれに反映されているのかどうかということがございます。

 あと、先ほど資料3の18ページ、DPCデータの分析のところで、多分これからされることなのだと思うのですけれども、平均の病床数が250ですから、III群病院の中には200に満たない病院がいっぱい入っているわけです。そうすると、その200以上の病院とは、それぞれの病院が持っている機能自体がかなり違っていて、そうすると、それを合わせて分析しないと、色々な手術の件とか化学療法の件ということも、地域医療支援病院だからなのか、200床以上の病院だからなのかというところがなかなかわからないというところがあるかと思います。ですから、その辺もちょっと分析していただいて、今の地域医療支援病院が担っている役割と、それぞれの地域で本当に必要とされている役割というところが少し見えるような状況になって、今後の要件等について御検討いただくとよろしいのかなと感じました。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 伏見参考人、何か御意見はございますか。

○伏見参考人 大変重要なアドバイスをありがとうございます。

 その方向で検討したいと思います。

○遠藤座長 どうぞよろしくお願いします。

 中川構成員、どうぞ。

○中川構成員 各地域医療支援病院が、その地域でどのような役割を果たすかという議論は、まさに地域医療構想調整会議のど真ん中の議論ではないですか。それを全国一律の基準を見直そうというのも、非常に違和感があるのです。

 この辺のところは皆さんどう思いますか。私が質問するのも変ですけれども。

○遠藤座長 相澤構成員、どうぞ。

○相澤構成員 今日、データの出ている長野県なのですが、これは地域の事情を勘案しないと非常にかわいそうと思います。二次医療圏のある地域は1つしか病院がなくて、開業医の先生は余りいないのです。そうすると、どうしても紹介率は確保することすらも難しいというところが地域によってはあります。

 今度は逆に二次医療圏にたくさん病院がありますと、それが分散されて、かかりつけ医の先生もたくさんいるのですけれども、結局、病院当たりの紹介の件数は減るものですから、幾ら頑張っても地域支援病院になれないという嘆きの声が、そういう医療圏から聞こえてきます。何を言いたいかというと、地域のかかりつけ医の先生の状況あるいは病院の数の状況それぞれを色々勘案しないと、難しいと思うのです。

 中川先生がおっしゃられたような、ある地域では地域医療支援病院がないと言ってもそれは当たり前なのです。その地域で病院が1つしかなかったらもう絶対無理なのです。かかりつけ医の先生がいっぱいそこにあって、やりとりできればいいのですが、大体そういうところはかかりつけ医の先生も少ないものですから、非常に難しい。

 だから、二次医療圏に1つ必ずつくるというのは、私は非常に無理やり作るような感じがしまして、もっと地域の事情を勘案した中でどうしていくのかを考えるべきではないかと私は思っています。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 松村正巳構成員、どうぞ。

○松村正巳構成員 自治医科大学のデータでございますけれども、卒業生が派遣されている診療所の数でございますが、平成15年に年間230カ所で推移しておりましたが、現在は200を切るぐらいの数で直線的に減っておりまして、我々が行く遠隔地の診療所の数は減っています。地域ごとの丁寧な手当が必要だろうと私は考えております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 地域の事情を反映したような形の議論をするべきだということですね。

 島崎構成員、どうぞ。

○島崎構成員 先ほどの御説明にはなかったのですけれども、地域医療支援病院が創設されたときの背景としては、あるいは同時にやっていると言ったほうが適切かもしれませんが、総合病院という制度を廃止しているのです。つまり、地域医療支援病院というのは総合病院の「衣がえ」という面もありますが、では一体、総合病院の何が問題だったかというと、単に一定以上の病床規模があり診療科を並べただけで、地域のなかでどのような役割を発揮すべきなのかが不明瞭であった。逆にいえば、地域医療支援病院は、どのような機能が必要なのかというアプローチの仕方だったと思うのです。

 私は、今の中川委員のおっしゃることはもっともだと思うのですけれども、逆の見方をすると、地域によって実際に果たしている機能がまったく違う。それから今、相澤先生がおっしゃったように、二次医療圏に病院が1つしかない圏域もあるわけで、その病院は、まさに地域医療を支えているという見方もできるわけです。それほど地域の実情が違うときに、あえて共通の要件をつくって、それで医療法上、このような類型を設けることの意義がどこまであるのか。仮に設ける意義があるにしても、その要件は今の要件でいいのか。それから、承認要件について、ある程度共通の枠組みをつくるにしても、それが適当なのか、診療報酬で代替できないのか。そういう議論はここで是非やるべきだと私は思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 川上構成員、どうぞ。

○川上構成員 実態把握や分析に関してなのですけれども、地域医療支援病院とその他の病院を単純に比較してしまうと、地域医療病院の約半数ががん診療拠点病院ですので、どうしても地域医療支援病院の方ががん治療が多く実施されていたり、救命救急センターも170施設含まれているので、DPCの分析をしても入院単価の高い患者さんが地域医療支援病院に含まれてくると思われます。そこで例えば、がん診療に関して比較するのであれば、がん診療拠点病院であって地域医療支援病院になっているところと、地域医療支援病院にはなっていないがんの診療拠点病院とを比較すると、本当の意味で、がんの診療も担っているけれども、さらに地域で果たしている役割などがより明確に分析されるかと、今回のデータを拝見して思った次第でございます。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 邉見構成員、どうぞ。

○邉見構成員 私も相澤委員と同じように、この地域医療支援病院はある程度の役割を果たしたと思っています。我々の地区は一つもなかったのですけれども、私が勤めているときに、私の病院はとりました。

 ただ、始めは紹介率の問題が大変厳しくて、とって2年目か3年目に新しい科を作ったのです。その科は近所に全く紹介してくれる診療科がなくて、紹介率が落ちまして、地域医療支援病院をまたやめたのです。

 今度は歯科を作りますと、歯科口腔外科は歯科医師会の先生のところを通さないといけないという、歯科医師会との一種の話し合いで歯科を作りましたので、今度は紹介率がぱっと上がって、また3年目に戻りました。

 そのような紹介率だけで大変苦労したのですけれども、最終的には病診連携とか病病連携が進んで、地域医療を支援したという感じはしています。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 ほかにいかがですか。これは一律の要件でいいのかという話でございますので、重要な課題ですね。

 大体よろしゅうございますか。

 松村明構成員、どうぞ。

○松村明構成員 当院は特定機能病院となりますが、私共の近隣の関連病院を見てみますと、先ほどもお話が出たように、がんの得意な病院と救命救急センターの病院とではかなり性格が違います。そういう中で、今回の6ページにある承認要件の4機能を一体的に、全部一緒にして行うのはどうかという疑問が確かにあります。今、DPCで救急の件数や地域のカバー係数など色々な項目立てがございますので、それぞれの病院が得意分野を生かして、それぞれの係数を上げるなどと努力していったほうが、むしろ現実的かなという印象は持っております

○遠藤座長 ありがとうございます。

 御意見としては、大体よろしゅうございますか。

 それでは、この議論はとりあえず本日はこのぐらいにさせていただきたいと思いますけれども、色々なリクエスト、御意見が出ましたので、事務局におかれましては、それらを反映した形で、次回以降の議論がより進むような資料作成をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 また、研究班におかれましても同様な御対応をしていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、資料4について山本構成員から御説明いただきたいと思います。

○山本構成員 長野県の健康福祉部長の山本と申します。本日は県の立場から、地域医療支援病院のあり方につきまして説明のお時間をいだたきまして、誠にありがとうございました。

 県の立場といたしましては、医療提供体制を考える上でも非常に重要な役割を果たしていただいていると思っています。県域にその医療機関しかない、医療資源が乏しいところは、我々はその医療機関にかなりお願いさせていただきながら、協力していただきながらやらせていただいている。その立場で少しお話をさせていただきたいと思っています。

 単に要件を追加して何かをお願いしたいというだけではなく、医療機関が役割を果たしていただくには、支援を受ける他の医療機関や、実際にその役割を担っていただく医師をどのように考えていくかという観点も含めて議論していく必要性があると思っておりますので、長野県の実情をお話しさせていただければと思っています。

 また、これは47都道府県で本当に状況が違うと思っておりまして、私は集約して意見をお話しするわけではありませんので、先ほど事務局から医療機関の調査を引き続きというお話があったのですけれども、ぜひ47都道府県の意見をそれぞれ把握していただければと思っております。その上で議論を進めていただければと思っております。

 早速ですけれども、説明に入らせていただきます。2ページをご覧いただけますでしょうか。長野県の医療状況を少し御説明させていただければと思います。

10医療圏に分かれておりまして、都道府県でいうと小さい県に相当するような面積がある圏域を10抱えております。

 ポイントといたしましては、大学がある松本医療圏、県庁がある長野医療圏は人口規模が大きく、それ以外のところは20万人前後ですけれども、木曽、大北、北信は、いわゆる脆弱医療圏という言い方を県内ですることが多いのですけれども、10万人を切るような医療圏が存在するというのが実情です。

 医療機関数、病床数、医師数等は全国平均よりも少ないという状況でございます。

 3ページは簡単に御説明します。基本的には人口規模に応じて医療機関が存在しているという状況でございます。

 4ページがポイントになるかと思います。長野県は10圏域あるうちに、計11病院が指定を受けておりまして、今、御議論いただいたとおり3圏域で空白という状況でございます。

 ページが飛んで恐縮ですけれども、26ページは医療機関の配置状況で、当然この広大な面積でありますので、例えば上小圏域であれば信州上田医療センターが指定を受けていく中で、丸子中央病院、依田窪病院など、周辺に様々な医療機関がある中で、各圏域で今、医療が実施されているという状況で、この連携を本当にどのように考えていくかということが重要だと思っています。

 7ページにお戻りいただきまして、具体的なお話に進めさせていただければと思います。

 先ほど事務局のほうからも、医師の偏在、需給のほうからも色々な意見があったということなのですけれども、地域で必要とされる医師を養成し、どうやって診療支援していくかというのは非常に重要な課題で、7ページは総合診療専門医の状況、基幹病院の状況をお示しさせていただいております。

 8ページ、この医師偏在の問題につきまして、国では都道府県間の偏在もしくは県域間の偏在について取り組み、検討をいただいて、本当にありがたいと思っております。それらに加えて、今後おそらく県域内、医療機関間でどう連携し、医師確保をしていくかが本当に重要になってくると思っております。

 したがいまして、今、我々の状況といたしましては、修学資金の貸与制度等を運用しておりますけれども、引き合いが多いのは幅広い診療能力を有する医師であります。地方の中小病院になってまいりますと個別診療科を全てというわけにはいきませんので、そういった医師をどう養成していくか。また、そういう医師をどうやってその病院に配置していくかが非常に重要で、ここと地域医療支援病院をどのように考えていくかが非常に重要なポイントではないかと思っております。

 また、国の仕組みと県の仕組みをどう組み合わせていくかについては、こうした機能を担う医療機関で、我々も県の予算はまだ2月議会にかかりますけれども、財政的な取り組みも進めております。これは国全体の仕組みと県のそれぞれの取り組みの組み合わせが必要なのだろうと思っております。

 続きまして、9ページをお願いいたします。

 診療支援といいましても、その医師を派遣するだけでなかなか難しいところで、経験が十分ではない医師が医師不足病院に行くこともありますので、ちょっと困ったときにどうやって診療を支えてあげられるか。ICTが普及していますので、色々厚生労働省でも予算措置をしていただいていますけれども、より効率的な仕組みを考えていければと思っております。これはちょっと時間もありますので割愛させていただきます。

10ページをご覧いただけますでしょうか。

 もう一点、承認要件から外れて恐縮なのですけれども、実際にそこで活躍していただく医師をどう考えていくかというのが非常に重要で、6年間修学資金を貸与して9年間義務を果たしていただくのですけれども、9年間で本当に地域で一人前になるのはなかなか難しい。要するに、6年間で一定の診療能力となると、なかなか難しいのも実情でして、研修体制を含めて、我々も大学や各病院と連携させていただいております。医師をどうやって養成していくのかも非常に悩んでおります。これも地域医療支援病院が関係するのかどうか、またよく御相談というか、ここで御検討いただければと思っております。

11ページでございます。

 ここでいきなりなぜ特定機能病院がというお話ですが、先ほども構成員からお話がありましたけれども、大まかなお話をすると、各圏域で大学、基幹病院、中小病院と、大きく分けると3つの構造の中で医師派遣や診療を行われているかと思っています。

 おそらく、各個別の大学等々がいきなり中小病院に全て医師派遣していくのは難しい状況になってきていると思っております。

 長野県でも、本当に信州大学の多大な御支援のもとで、基幹病院等に派遣をしていただいて成り立っているのですけれども、要件でどう書くかという前に、実際ももう成り立っているのですけれども、いわゆる特定機能病院でも大学病院、基幹病院、中小病院の連携をどのように考えていくのかという、地域医療支援病院だけではなかなか議論が閉じない面もあるのではないかということで、課題という形で論点を挙げさせていただいております。

 続きまして、救急医療体制の確保についてでございます。

13ページで、県内の、先ほども様々な医療機能を担っているというお話がありましたけれども、当然救急は担っていただいておりますが、ほかの医療機能も多くの病院に担っていただいております。

14ページ、県で運用していく中で悩むのが、重症救急患者です。国からのお示しがあるのですけれども、入院が必要であれば全て重症ととるのか、そのあたりは本当に運用として、そこはなかなか解釈しづらいところもありますので、我々は当然、定量的な要件で対応しているというのが実態でございます。

15ページをご覧いただけますでしょうか。今後、先ほどがんの機能はそれほど変わらないのではないかという議論もございましたので、圏域で、時間と争う脳卒中、急性心筋梗塞による疾患は、この医療機能が落ちてくると住民の方から非常に御意見が出るところですので、こういった観点でも先ほどの分析をしていただけると大変ありがたいと思っております。

 その上で、地域医療支援病院の要件、役割を考えていただければありがたいと思っております。

16ページをご覧いただけますでしょうか。先ほどの議論でも、本当に刻一刻と地域の実情が変わっているのではないかというお話でございます。

 ここは本当に今回の議論の方向性はどのように行くか、我々としても非常に関心があるところなのですけれども、私も今年度は、県でも保健医療計画を作る年で、住民の方々、各現場の方々から、様々な医療をどのように圏域で確保していくのかという様々な意見をいただきました。

 そのときに、どうやって確保するのかというのは本当に悩ましいところになってまいります。先ほども出ておりました在宅、歯科も含めてどうしていくのか。また、近年は発達障害、認知症など様々な課題が出ております。全て何でも地域医療支援病院ということでは当然ないと思っておりますけれども、何らかの連携の中で、地域医療支援病院と現地の他の医療機関、県との関係で、政策医療の中で位置づけをどのように考えていくのか。全国一律なのか、少しきめ細やかな対応ができるような形になるのか。ここは御議論をいただければ大変ありがたいと思っております。

18ページは、それとも関連いたしますし、先ほども御議論あったとおりで、おそらく昨今大きく変わってきているのは、地域医療構想を踏まえて調整会議で様々な議論がなされてきているということであります。我々もデータを提供して、圏域でここの部分がもうちょっとどうにかならないかという議論がございます。

 それを踏まえて19ページでございますけれども、おそらく一旦指定をしてずっとということなのか、先ほど邉見構成員からも、一旦取り下げてもう一回というお話がありましたけれども、本当に色々な状況変化をしてまいります。

 今回の承認要件がどうなっていくのか、施設類型が残るかどうかも含めてですけれども、定量的なものであれば比較的、運用は簡単というか、県としては運用しやすいのですけれども、定性的な要件等が増えてくると、地域の実情への変化と、そうした求められる役割をうまくマッチングするように、その都度きちんと考えていく仕組みも考えられるのではないかと思って、課題として挙げさせていただいております。

20ページは、先ほど、空白圏域をどうしていくのかという御議論があったかと思います。これは長野県で空白になっているところの一つの北信医療圏の状況でございます。

 大きくは北信総合病院という厚生連で運営していただいている病院と、飯山市にある飯山赤十字病院で、どうしても紹介率の基準を満たせないために、いずれの病院も指定を受けられない状況になっています。

21ページは、まさに先ほどの議論そのままなので、私がこうやって課題と挙げるところでもというところではあるのですけれども、こうした病院を地域医療支援病院として考えていくのか、支援を受ける病院として整理をしていくのか。これは要件を御議論いただく中で整理をいただけると、我々も医療政策をやっていく上で、どのような形で考えていけばいいのかということが非常に明らかになってくるかと思っております。

 最後に23ページをご覧いただけますでしょうか。先ほども、診療報酬の話も含めてお話が出ております。これは本当に色々な財源が出てきていて、我々もどのように組み合わせるのか、補助金をどうやって組んでいくのかは頭を悩ませております。

 お金の議論というよりも、実は矢印のところの後段が非常に重要だと思っております。

 色々なことを考えていく上で、職員の質をどうやって向上していくのかは非常に悩みます。医療政策をやる上では、財政もわからないといけない、医療もわからないといけない。本当に大変で、これをきちんとやっていかないと、色々な要件を課して、今日、都道府県の権限をというお話をさせていただきましたけれども、運用できなければ全く意味がないと思っていまして、厚生労働省でも様々な研修をやっていただいておりますし、島崎先生のところでもお取り組みいただいておりますけれども、これも合わせて考えていかないと、地域の実情や変化に応じた施策が非常に難しいのではないかと思っております。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 長野県の県としてのお立場の御報告でした。

 これは報告事項ですけれども、何かただいまの内容についてお考えあるいは御質問があれば承りたいと思うのですが、いかがでしょうか。

 よろしゅうございますか。

 吉川構成員、どうぞ。

○吉川構成員 今後のことを考えていく上で、長野県の状況を教えていただきたいのですけれども、今後は地域で働く医療職の確保は重要になると思いますし、特に看護職も今後、地域に出ていかなければならないと私たちは考えているのですけれども、長野県では地域で働く看護職に関して、何か確保対策を考えられているのかどうか。今後のために教えてください。

○遠藤座長 山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 これは、おそらくほかも一緒だろうと思うのですけれども、入職促進、離職防止、再就職支援は看護協会でも御協力いただきながら、県内でも取り組みを進めております。

 これを質的に色々どうするかというと、多分、取り立ててというよりも、養成所に対する支援や、もう一つ重要なのは多分、勤務環境の改善で、前回の法改正で入れられておりますので、働きやすいというか、いい環境を作って、これを新しい取り組みとしては進めているという状況かと思います。

○遠藤座長 いかがですか。

 吉川構成員、どうぞ。

○吉川構成員 今後、在宅での医療が必要になってくると思いますので、例えば訪問看護ステーションの人材のように、地域で働くナースを増やそうと思っても、多分そう簡単には増えていかないことを私たちは危惧していて、その対策を考えています。地域で働くナースを増やすためには、今、おっしゃった対策だけだと多分できないだろうと予測しているのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○遠藤座長 山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 ありがとうございます。

 1点、新しい制度で特定行為の研修制度が始まりまして、実は県内に実習機関がなかったのですけれども、在宅医療の中心のところを取り組んでいただけるようになってまいりましたので、そうしたところと連携しながら、我々としても取り組んでいきたいと思っております。

 以上でございます。

○遠藤座長 邉見構成員、どうぞ。

○邉見構成員 伏見先生に、資料3の24ページは長野県のことなので山本構成員にお聞きしても、どちらでもいいのですけれども、救急医療管理加算1、2の上伊那という地区ですけれども、100とっていて、手術はゼロなのですけれども、ここは救急の患者は皆どこかへ送っているということでしょうか。

 細かいことで、どうでもいいといえばどうでもいいのですけれども、こういうこともあるのかなと思って。

○遠藤座長 伏見参考人、お願いします。

○伏見参考人 手元にデータがないのですけれども、あるデータを集計するとこうなったので、実態については改めて調べてみます。

○遠藤座長 よろしくお願いします。

 山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 これは伊那中央病院ですので手術をやっております。恐らくデータの問題ではないかと思っております。

 以上でございます。

○遠藤座長 ほかにございますか。

 海野構成員、どうぞ。

○海野構成員 人材養成というか人材の確保の件で、これはもうそれぞれ大きな課題があると思うのですけれども、それに関連して今、専門医制度の導入のところで非常に難しいというか、局面を迎えているところだと思うのですが、お示しいただいた中で7ページの総合診療専門研修、長野県のようなところで総合診療専門医研修をするのがいいのだと私は思うので伺っているのですけれども、もう一時申請の締め切りがあって、これから二次申請になろうかという時期ですけれども、実際、この制度がうまくいくかどうか。総合診療専門医に関しては今回全く新しく始まるということもありますので、どのような応募状況になっているかはわかりますでしょうか。

○遠藤座長 山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 我々はまだ詳細まで把握していないのですけれども、把握している限りですと、昔から取り組まれている佐久総合病院や諏訪中央病院では引き合いというか相談があるようですが、ほかの状況をまだ把握できていないという状況でございます。

○遠藤座長 松村正巳構成員、どうぞ。

○松村正巳構成員 ほかの状況でございますけれども、全国では一時登録者が158名でございます。

11の県で応募者ゼロがございまして、東北、北陸、和歌山、山陰、香川、佐賀、宮崎ではゼロでございます。

 多いのは東京が13、北海道が10、愛知が10でございます。

 全国レベルで65歳以上、人口10万人当たりで応募者数を計算しますと0.5という数で、今回の一次募集の結果は、数としてはまだまだまだ十分でないという結果でございます。

○遠藤座長 よろしいですか。

 相澤構成員、どうぞ。

○相澤構成員 ただいまの総合診療専門医研修なのですが、佐久医療センターも、私たちの病院も、伊那中央も、飯田市立も地域医療支援病院なのですが、手挙げをしていません。

 なぜか。救急をやって、急性期の患者さんをたくさん診ているところでは、まず各科専門医が欲しいのです。専門医研修はやるのだけれども、総合診療医の研修はなかなか難しいというのがあります。私のところも外科と内科と救急はやっているのですが、総合専門医の研修には手を挙げられません。だから、地域医療支援病院が全部この総合研修をやれというのは、何か無謀な議論ではないかと私は思います。

 その上で言いたいのですが、これから地域にとって必要なのは、介護と医療をうまくくっつけて、そこを総合的に診てあげる。私は、それこそ地域医療の支援をする病院ではないかと思っているのです。

 どう言ったらいいのか、地域に密着して、そんなに広い範囲ではないですが、本当に地域をきちんと見ていく病院の評価のほうが大事であって、手術をやったり、がんを診たりする病院の評価はもういいなどと言うとまた怒られてしまいますが、もう十分ではないかという感じがします。是非、地域に密着して、地域を本当に支えていく、それから医療、介護の重なりのところもしっかりと支えていくという病院を機能としてどうしていくのかは、極めて大事な視点ではないかと思いますし、これから75歳以上の人が急に増えてくるのですから、むしろそういう病院をどうしていくかという議論のほうを、私は先にしていただいたほうがいいのではないかという感じがいたします。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 邉見構成員、どうぞ。

○邉見構成員 今の相澤先生の意見に大賛成です。

 私どもの病院団体は地域包括ケア支援病院というのを提唱しております。これを制度としてあるいは診療報酬上もやっていただきたいという要望を出しております。これから地域包括ケア制度を、厚労省が、地域が病棟だということを打ち出している以上、それに対する制度あるいは金銭的な裏づけが必要になっていくのだろうと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 松村明構成員、どうぞ。

○松村明構成員 先ほどの長野県の資料を読みますと、8ページに大事なことが書いてありまして、いわゆる総合診療専門医や総合内科専門医、つまりコミュニティー・メディシンやファミリー・メディシン、家庭医である診療所の医師と、それとは別に地域医療支援病院や小さい病院で総合的に患者さんを診るホスピタリストの養成が必要であり、私共の病院も総合診療科のプログラムがありますが、201710月に病院総合内科を別途新たに立ち上げました。これはまさにホスピタリスト養成です。病院協会などでも今、ホスピタリストの養成を行なっておりますが、地域としてはかなり需要がありますので、そこの観点もどうしても必要かなと思っております。

 長野県はこれを分けておられるのでしょうか。

○遠藤座長 山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 専門医制度の中で分けられているので、おそらく、いきなり総合診療専門医だけでもなくて、今のキャリアパスを見ますと、総合内科専門医とサブスペを色々組み合わせながらやっていると思いますので、総合診療専門医だけありきではないという趣旨で、分けて書かせていただいております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 川上構成員、どうぞ。

○川上構成員 長野県の状況を伺えればと思うのですけれども、病院に勤務する薬剤師関連のことです。人口200万で病院も100施設以上ある長野県においては、薬学部がない県なので、病院勤務の薬剤師を確保するということに各医療機関は相当に苦労されているのではないかと思います。

 県として、どういった実態把握をされているのか、もし何かお取り組みをされている、あるいは今後考えられているのであれば、参考のために伺わせていただきたいと思いました。

○遠藤座長 山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 非常に重要な御指摘で、やはり長野県は薬学部がございませんので、病院の薬剤師はかなり厳しい状況でございます。

 ここは県の薬剤師会とも御協力というかお願いをさせていただいて、マッチング支援や情報発信、説明会などを県の薬剤師会と連携しながらやらせていただいている状況です。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 中川構成員からお願いします。

○中川構成員 今の話は、長野県も調剤薬局には薬剤師がたくさんいるわけでしょう。ですから、薬学部があるかないかということとは別の問題があると思います。

○遠藤座長 御意見として承りました。

 高野構成員、どうぞ。

○高野構成員 資料4にありますが、長野県ですから医療提供体制を考えるときにおそらくやっていると思うのですけれども、病床機能ごとの流出入のシュミレーションが25ページにありますが、それによると長野県だけの分析を示してあります。恐らく近隣の県からの流れを理解しなければいけないと思ってやっていると思いますが、ここには示していないだけだと思いますが。実際にはどうなのでしょうか。

○遠藤座長 山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 これは近県との流出入も示しております。実は長野県は余り流出がない状況で、見ていただきますと回復期のところで、木曽から岐阜県に出ているものと、急性期のところで山梨県からの流入がある。それ以外は基本、山あいなこともありまして、都道府県完結型の医療になっているということかと思います。

○高野構成員 ぱっと見て、新潟県がちょっと近かったので、あるのではないかと思ったのでお伺いしました。

○遠藤座長 ほかにございますか。

 三浦構成員、どうぞ。

○三浦構成員 私も先ほどの相澤委員の御意見に全面的に賛成なのですが、地域医療の支援病院といったときに、地域包括ケアの中で介護、福祉との連携とか、在宅の支援の機能が非常に重要になってくるかと思います。

 これまでの御説明をお聞きすると、今の地域医療支援病院は割と大きな急性期病院というイメージがあります。ただ、この4要件を全部満たす必要はないといいますか、高度急性期医療ができるとか、がん治療ができるとか、そういうことではなくて、この議論の方向性の最後にもありましたけれども、そういう病院を適切に紹介できる病病連携の機能が必要かと思いますので、在宅、地域包括ケア、病病連携の方向性を議論していただければと思いました。

 あと、1つ質問なのですが、先ほどの北信の2つの大きな病院、厚生連と飯山赤十字は、紹介率の件でクリアできないとおっしゃっていたのですが、それ以外ではクリアしているといいますか、地域医療を支援している病院という位置づけになりますでしょうか。

○遠藤座長 山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 まだ申請に至っておりませんので、我々も共同利用や研修の実施状況までは定量的に把握できておりませんが、紹介率が一番ハードルになっているのではないかと推測しております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 島崎構成員、どうぞ。

○島崎構成員 先ほどおっしゃった中で、地域医療支援病院に対する色々な名前のつけ方や機能、さらに言いますとそこに対する診療報酬のつけ方の問題があるのですけれども、一方で、先ほど御説明されたように、へき地の中核病院みたいな概念もあるわけです。それから臨床研修指定病院というものもあるし、さらに言うと、救急に関して特定の加算のつけ方もできるわけですね。つまり、総合性みたいな軸と、もう一つは個別に評価していくという軸があって、そこが色々クロス状態になっているというのが今の率直な状況なのではないかと思います。

 もう一つは、自治体立病院いわゆる公立病院についても、公立病院の役割は何かといったときに、政策医療という概念があるわけですけれども、それに着目して一定の地方交付税措置も講じられているわけです。あるいは、個別の補助金もあります。ことほどさように、それらが非常に入り乱れている形になっているので、地域医療支援病院の問題だけを捉えて議論できないという山本構成員の指摘は重要だと思いました。以上、感想です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。大体よろしゅうございますか。

 ただいまお話がありましたように、地域医療支援病院のあり方は非常に多様な議論ができますし、つかみどころ満載の議論になりますので、じっくり議論をしていきたいと思います。

 また、事務方もできるだけエビデンスに基づいて議論できるような資料の整理をしていただきたいと思います。

 本日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 事務局、何かございますか。

○石川医療機能情報分析専門官 次回に関しましては、また改めて御連絡させていただきます。

○遠藤座長 よろしくお願いします。

 それでは、本日はこれぐらいにしたいと思います。

 長時間どうもありがとうございました。


(了)

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