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2019年3月6日 第169回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成31年3月6日(水)14:00~15:30

 

○場所

ベルサール九段 ホール(3階)
東京都千代田区九段北1-8-10

 

○出席者

安藤、井口、石田、石本、伊藤、井上、今井、江澤、荻野、尾﨑(沖本参考人)、小原、河村、河本、小泉、齋藤(訓)、齊藤(秀)、
佐藤、武久、田中、田部井、東、堀田、松田(敬称略)

○議題

 
1.介護人材の処遇改善について
2.新たな在留資格「特定技能」について(報告)
3.その他
 

○議事

○老人保健課 それでは、定刻になりましたので、第169回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
会議の開催に当たり、まず、前回の会議から委員の交代がありましたので、新任の委員を御紹介します。
全国老人福祉施設協議会の小泉立志委員です。
次に、本日の委員の出席状況ですが、大西委員、亀井委員より御欠席の連絡をいただいております。
また、尾﨑正直委員にかわり、沖本健二参考人に御出席いただいております。
まだいらっしゃらない委員の方もいらっしゃいますけれども、本日、現時点におきまして21名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立をしていることを御報告いたします。
また、本日は議題の関係で、社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長の柴田が出席をしております。
それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
以降の進行は田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 皆さん、こんにちは。
本日は、介護人材の処遇改善について、新たな在留資格「特定技能」について、御議論いただきます。
まず、事務局より資料の確認をお願いします。
○老人保健課 資料の確認をさせていただきます。
今回も、委員の先生方の机の上にタブレットを置かせていただいております。そちらの資料で確認をいただければと思います。
座席表と議事次第、分科会の委員名簿でございます。
資料1、介護人材の処遇改善について。
資料2、新たな在留資格「特定技能」について。
参考資料といたしまして、2019年度介護報酬改定に関する審議報告を用意してございます。
不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。
○田中分科会長 ありがとうございました。
早速、議事次第に沿って進めてまいります。まず、介護人材の処遇改善について議論を行います。事務局より説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
それでは、介護人材の処遇改善につきまして、資料を用いまして御説明させていただきます。資料1をお開きいただけますでしょうか。
資料1「介護人材の処遇改善について」でございます。2こま目でありますけれども、こちらは先月、諮問答申のための審議報告をいただきましたときの資料から同じものを持ってきてございますけれども、新しい経済政策パッケージに基づきます介護職員の更なる処遇改善の全体像をお示ししたものでございます。
この四角の中だけを読ませていただきますけれども、介護人材の確保のための取組をより一層進めるため、経験・技能のある職員に重点化を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を進める。具体的には、他の介護職員などの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めることを前提に、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費1000億円程度を投じ、処遇改善を行うとされたものでございます。
そして、その下の絵にありますとおり、公費1000億円、そして保険料も合わせまして2000億円という財源を用いまして、それぞれ介護のサービス種類ごとに加算率を設定し、それが事業所内でマル1、マル2、マル3、それぞれ経験・技能のある介護職員、他の介護職員、その他の職員に配分されるという構成となったところでございます。
また、その右側にありますとおりで、マル1、マル2、マル3、それぞれ経験・技能のある介護職員、他の介護職員、その他の職種の配分方法に当たっては、それぞれの割合がどうであるか、その比がどうであるかということを細かく規定をしたところでございました。
次に、3こま目、処遇改善加算全体のイメージでございます。こちらも前回にお示ししたスライドと同じでございますけれども、現行の処遇改善加算が(I)から(V)までございますけれども、そのうちの(I)から(III)までを取得していることということでございます。また、その中で、今回サービス種類ごとの新加算でございますが、特定処遇改善加算という名前で御報告いただきましたけれども、それを2段階に設定するということで、現行の処遇改善加算(I)から(III)にそれが乗っていくというイメージでお示しをしております。
4こま目でございます。これが具体的な今回の特定処遇改善加算の割合でございます。訪問介護から介護医療院まで、2段階に分けたものを新加算I、IIというふうにあらわしておりますけれども、それぞれのパーセンテージでお示ししているものでございます。
ここまでが前回の諮問答申の審議報告の中で御説明させていただいたものでございます。5枚目以降が、本日御意見をいただくところと考えております。
まず、論点1でございます。新加算の取得要件として、現行の処遇改善加算(I)から(III)まで取得していることに加えまして、ポツが2つあります。処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取り組みを行っていること、処遇改善に基づく取り組みにつきまして、ホームページへの掲載等を通じた見える化を行っていることとされたところでございます。そこの具体的な運用をどうするかというものでございます。
対応案としまして事務局がお示ししていますのが下の四角でございます。まず、複数の取り組みに関してであります。1つ目の○は、現行の処遇改善に係る規定ぶりをそのまま持ってきてございますが、それぞれ「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」に区分いたしまして、実施した項目について報告を求めてございます。
2つ目の○の御提案でございまして、新加算の算定要件としては、この「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」それぞれの区分で1つ以上の取り組みを行うこと等、実効性のある要件となるよう検討してはどうかというものでございます。
下に※がございますけれども、私どもが行っております処遇状況等調査のデータで把握をしている限りにおきまして、現行の処遇改善加算(I)~(III)を取得している事業所のうち、2つ以上の取り組みを既に行っているところは99.5%でございました。そして、今、御提案申し上げた「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」の3つの区分全てに取り組んでいるところが89.3%でございまして、これは昨年度のデータでございますけれども、このような要件にしますと9割の事業所が該当し得るということでございます。
参考までに、その2枚下、7こま目に「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」ごとに、現行の処遇改善加算でどのような要件というか、何をお示ししているかということを表としてお示ししております。
1枚お戻りいただきまして、6枚目でございます。ホームページへの掲載等を通じた見える化についてでございます。上2つの○が現状であります。利用者の事業所選定の比較・検討に資するべくということでございますけれども、都道府県等が情報提供をする仕組みとして情報公表制度がございます。そして、年1回、直近の介護サービスの情報を都道府県に報告し、都道府県がその内容をインターネットに公表する。
その情報には、サービス提供の内容や、従業者に関する情報として介護職員処遇改善加算の取得状況とか、従業者の教育訓練のための制度、研修その他の従事者の資質向上に向けた取り組みの実施状況も含まれているところでございます。
こういったことを踏まえまして、新加算の要件といたしまして、このホームページへの掲載等を通じた見える化につきましては、「提供サービスの内容」という項目がございますので、そこで新加算の取得状況を報告すること、そして、「従業者に関する情報」の項目におきまして、賃金改善以外の処遇改善に関する具体的な取り組み内容の報告を求めることを検討してはどうかとしております。
あわせて、情報公表制度におきましては、介護職員処遇改善加算に関する具体的な説明は現在ございませんので、そこに関しては、取り組む事業所であることを明確化することを検討してはどうかというものでございます。
これに関しましては、その2枚後、8こま目に情報公表制度の概要がございます。こちらについてかいつまんで御説明申し上げますと、介護保険法に基づきまして平成18年4月からスタートしている仕組みで、自己選択の支援ということでございます。そして、今申し上げましたとおり、事業者が都道府県に御報告をし、都道府県がそれを審査して公表していくものでございますけれども、その公表内容が右側にあります。
情報公表される内容といたしまして、基本情報として○が5つございます。その下に運営情報ということで、今申し上げたようなことが書かれているところでございます。こういったものは既に公表されているということでございました。
次に進ませていただきます。9枚目でございます。「更なる処遇改善について」ということで、論点2でございます。経験・技能のある介護職員につきまして、月額8万円の改善または役職者を除く全産業平均水準(年収440万円)を設定・確保することとし、小規模な事業所で開設したばかりである等、設定することが困難な場合は合理的な説明を求めるとしておりますが、この設定をすることが困難な場合の考え方を明確化してはどうかというものでございます。
その下に対応案がございまして、その2行目であります。この例外事由に当たるかについては、個々の実態を踏まえて個別に判断する必要があると考えております。小規模事業所等で加算額全体が少額である、2つ目の例としては、職員全体の賃金水準が低い事業所などで直ちに1人の賃金を引き上げることが困難な場合、8万円等の賃金改善を行うに当たり、これまで以上に事業所内の階層・役職やそのための能力・処遇を明確化することが必要になるために、規程の整備あるいは研修・実務経験の蓄積などに一定期間を要する場合を基本とし判断することとするなど、考え方の明確化を図ることを検討してはどうかというふうに御提案するものでございます。
10こま目、最後のこまでございますけれども、論点3と4がございます。まず3であります。経験・技能のある介護職員の考え方であります。勤続10年という考え方を基本としておりますけれども、事業所の裁量で設定できることとするというふうに報告していただいているところでございます。
対応案につきましては下の四角でございますけれども、ポツが2つございます。勤続年数を計算するに当たり、同一法人のみの経験でなく、他法人や医療機関等での経験等も通算できること。10年以上の勤続年数を有しない者であっても、業務や技能等を勘案し、対象とできることなど、事業所の裁量を認めることを検討してはどうかと。
論点4、最後の論点でございますけれども、事業所内における配分に当たり、法人単位での対応を可能とする等の配慮を求める意見についてどのように考えるかであります。
対応案ですが、現行の処遇改善加算におきましても、法人が複数の介護サービス事業所を有する場合などの特例として、一括した申請を認めております。新加算においても同様に、法人単位での対応を認めることを検討してはどうかと御提案をするものでございます。
御説明は以上でございます。参考資料に審議報告もつけてございますので、あわせてごらんいただければと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 説明、ありがとうございました。
ただいまの説明があった事項について御意見、御質問をお願いいたします。
河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
今、御説明のあった論点ごとに意見と要望と、一つ質問もさせていただきたいと思います。
まず、論点1の関係ですが、今回、準備の問題もあってやむを得ないのかなと思いますけれども、従来、この分科会で職場環境要件の個々の項目について、それが離職防止にどれだけつながるのか、そういった意味で効果検証が必要だということが御意見として随分出ていたと思います。今回は無理なのかもしれませんが、次期改定に向けて、個々の項目の効果検証を踏まえて、例えば効果の大きい項目を必須項目とするなど、加算のあり方が議論できるように効果検証を進めていただきたいというのが要望でございます。
ホームページの記載については、当然やるべきだと思います。求職者のPRという観点もございますので、当然必要と思います。
論点2の関係は質問ですけれども、「小規模な事業所で開設したばかりである等」ということが謳われていますが、具体的にどういう定義なのか、そこを教えていただきたいというのが論点2に関する話でございます。
あと、論点3の関係ですが、対応案で「他法人とか医療機関等での経験年数も通算」については理解いたしましたが、2つ目のポツの「10年以上の勤続年数を有しない者であっても、業務や技能等を勘案し対象とできること」となっておりますが、「業務や技能を勘案」というのは余りにも漠然としていないかと感じております。
例えば、「業務とか技能を勘案」というのはこういう内容だということをガイドラインで示すとか、厳密に勤続10年以上と9年11カ月のところできっちり分けろと言うつもりは全くないのですが、「業務や技能を勘案」と言うだけでは余りにもばらつきが出そうな感じが正直いたします。
それこそ、現場での混乱というか、例えばA事業所からB事業所に移ったときに全然対応が違うとか、そういったことにもなりかねないような感じもいたしますので、この部分についてはガイドラインで示すなり、もう少し具体化が必要なのではないかというのが意見でございます。
以上です。
○田中分科会長 論点2に関する御質問にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
論点2の小規模な事業所と開設したばかりの定義ということでございました。私どもとして、具体的に想定しているものがあるわけではございません。例えば小規模で加算額全体が8万円に届かないとか、そういう事業所も想定されるところでございます。そういったところを丁寧に拾いながら、現場でこういう規模であればできるだろうというところに規模を設定したいと思っております。
また、開設したばかりというのも、今回算定根拠として10年以上介護福祉士としておりますけれども、例えば一昨年とか去年とかに開設したばかりであって、賃金体系もまだ全員が安いとか、そういうことも想定されますので、そういったことを事業者さんのほうから丁寧に状況をお聞きしながら、適切なところで設定したいと思っております。
以上です。
○田中分科会長 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 情報公表制度についてお伺いしたいと思います。平成18年以降、できるだけわかりやすく、広く知らしめていきたいという狙いで進められてきているものと了解しておりますが、一般的な話かもしれませんが、こういう公表制度というのは内容が詳細になればなるほど中身がわかりにくくなるように思うのです。
今まで公表制度に関して言えば、どんな利用、活用があるのかという評価であるとか、今回、新たに盛られた内容についての検証は今後どうなさっていくのかというふうな、公表制度をより広く、よりよく使っていただくための方策について、お考えがあれば伺いしたいと思います。
○田中分科会長 お願いします。
○眞鍋老人保健課長 事務局でございます。
この情報公表制度でございますけれども、平成18年から運用していまして、順次、充実をさせてきております。一方で、佐藤委員の御指摘がありました中に、恐らく背景があるのではないかと推察しますけれども、利用者さんがこれを本当に十分に活用されているかというと、なかなか周知徹底がなされていないのではないかという御指摘もあるところでございます。
私どもとしては、この情報は網羅的にきちんと、基準としては年に1回、介護報酬収入額が年額100万円を超える事業所は全て登録となってございますので、そういう意味で一覧性にすぐれた情報であると思っておりますので、これはこういう機会を通じて私どもから積極的にPRをしていきたいと思っておりますし、今回、新たに加算を設けることも情報として追加いたしますので、そうすると利用者さんだけではなくて、求職者にも見ていただける、そういう要素も加わろうかと思っております。そういうことを積極的に周知することで利用を図っていきたいと思っているところであります。
○田中分科会長 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤(訓)委員 私も論点1のところで意見を申し上げます。
今回の処遇改善加算につきましては、いわゆる給料の不足分への補填と、働き続けられる環境づくりをより加速させるためのものであると、給付費分科会で意見がまとまったように記憶しております。
ですので、この方向性でおおよそいいと思っているのですが、資料1の7ページ目の職場環境要件については、先ほどの委員の方からも出ていたように、どれが効果的な取組みなのか実態がわかっていない状況かと思います。資質の向上や職場環境改善等々に関しては、具体的にどんなことに取り組んでおり、何が取り組まれていないのかという事業所の取り組み状況について把握をする機会を設けていただきたいと思います。
今回の対応案では、「資質の向上」「労働環境・処遇改善」「その他」それぞれから1つ以上という要件ですが、「その他」の内容は文字通りその他様々なものが含まれており、「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」に含まれるような内容もあるように思います。これら全てを同等のカテゴリーとみなしてよいのかは、やや疑問が残るところです。「3つ以上の取り組み」のカウント方法は、「資質の向上」「労働環境・処遇改善」の部分からそれぞれ必須とし、合わせて3つ以上といった考え方でもいいのかなと考えています。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 まだ十分理解し切れないところがあるので、まず質問を2点させていただきたいと思います。
論点1の職場環境等要件に関することですけれども、まず1つは、7ページ、今の職場環境等要件は3類型あって、労働環境・処遇の改善に健康診断があります。何度か発言をしていますが、これについては雇い入れ時と1年に1回の定期健康診断は義務となっていて、パートタイム労働者についてのみ、それは望ましいということで義務とされていないという状況です。ここで言う職場環境等要件で健康診断をチェックできるのは、パートタイム労働者を含めて全ての労働者に対して健康診断を行っているということがチェックできる事業所だと考えていいかというのが1つです。
もう一つは見える化のことですけれども、今回の参考資料の審議報告で2ページの下から7行目に見える化のことが出てくるのですが、事業所に対して見える化を行っていることを求めるというように書いてあるのです。算定するに当たって求めるということは、算定しようとする事業所には何らかの見える化の取り組みを求めるということなのだろうと理解しているのですけれども、きょうの資料を見てみますと、新加算の取得を報告することとか、取り組み内容の報告を求めることを検討してはどうかとか、明確化することを検討してはどうかというのは、事業所が見える化の努力をする部分はどこなのかということを教えていただきたいと思います。
○田中分科会長 検診についてと見える化についての御質問にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 事務局でございます。
健康診断などと確かに記載項目がございますけれども、これに関して明確な定義を置いて、そこで事業所で御判断いただいているというものでは現在ございません。ここは事業所におきまして健康診断を行っているというふうに判断した場合には、ここに丸がついて報告されてくるというもので、そういう運用になっているところでございます。そこは、厳格化すべきであるという御指摘は、次に向けて考えさせていただきたいと思っております。
それから、審議報告の中で、こちらの参考資料で申し上げますと2ページで、今、言及がございましたのは下から8行目ぐらいまででしょうか、ホームページの掲載等も通じた見える化を行っていることの具体的な内容でございますけれども、まずはこのホームページの掲載等も通じた見える化を一つ行っていれば加算取得要件、つまりこれを行っていなければ加算取得要件とできないということにしましょうということでございます。
次に、見える化につきましては、私どもとしては、こういうホームページといった場合には事業所がつくっていらっしゃるホームページ等ということもあるでしょうし、私どもが整理しております情報公表システムを通じて公表していただくものもあろうかと思っております。
以上でございます。
○伊藤委員 健康診断につきましては、特に介護の事業所においては、パートタイムでも、非常勤でも、常勤であろうとも、利用者の健康にもかかわる問題ですし、パートタイムといっても特にこの分野では基幹的な労働者だと思いますし、全ての労働者に対して健康診断を行っていて初めて意味があると思いますので、職場環境等要件の中身について検討するに当たっては、ぜひここは職場環境等要件というよりも、全ての事業所において健康診断を全ての労働者に対して行うことを義務づけるような方向で位置づけていただきたいと思います。
それから、見える化については、情報公表制度を使うことも含めるということで、情報公表制度は非常にいいものだと思っていますけれども、それでもいいということだと、見える化の努力は特に事業所は行わなくても算定できるということにも聞こえました。やはり「ホームページへの掲載等を通じた見える化を行っていることを求め」るのだと審議報告で言っているので、さらにもう一歩見える化の努力を行っているということが必要だと思います。
追加で一つ申し上げたい意見ですが、これで終わりにします。先ほどもありましたが、検証が必要というのは、私もそう思っております。今回、勤続10年以上でない人とか、あとは月額8万円の改善または年収440万円の介護福祉士について、それを決めることが困難な事業所でもいいとか、法人単位とか、今言った職場環境等要件についてもいろいろ幅を持ったような設定の仕方がされるということですので、こういう例外的なものを使って算定しているところがどれぐらいあるのかというのを実施状況として全部示していただきたいと思います。それで検討していきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○田中分科会長 御要望、御意見でした。ありがとうございます。
小泉委員、どうぞ。
○小泉委員 ありがとうございます。
論点4でございますけれども、現行の介護職員処遇改善加算と同様に、法人単位での一括申請と配分を認めていただけるということは大変ありがたいことと思います。この加算が意味のある加算となりますように、会員施設にも情報提供を勧めてまいりますが、厚生労働省におかれましても、過剰な文書を要求するような運用や、指導内容に混乱が生じないような働きかけをしていただければと思っております。
以上、意見でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
石本委員、どうぞ。
○石本委員 前回確認して、3月末ぐらいまでにQ&Aが出されるように伺ったように記憶しています。細かいところはこれから出されるものと理解しているところではございますが、今回の対応案をもってしても、まだ現場からするとわかりづらいなと思うところが幾つかあると思っております。
例えば、論点2の対応案のところにある、少額である、水準が低いなど、一定期間を要するというのは、どのくらいのことを指すのかというのがシンプルにわかりにくいなと思っております。ただ、余りここを細かく国のほうで縛るというのも、いわゆる柔軟な運用という意味ではしづらいところではあろうかと思いますが、以前からこの会議の中でも各委員から出ていますが、いろいろなローカルルールの中で複雑さが出てきてしまうという側面があり、それによって地域での格差が生じるというのは否定できない事実かなと思っておりますので、可能であればQ&Aの中で考え方や方向性を明確にしていただきたいと思います。
また、今回、私どもからしますと、リーダー級というところと経験・技能というところで、介護福祉士というのが明示的に出されてはいるものの、質を担保するということで言えば、どのような人がそこに当たるのかということ、例えば今回出されております職場環境等要件の中の「資質の向上」の自己研鑽は、研修等をしっかりと受けていることを条件にしないと、一番高いところのマル1に位置づけられたことが、職場の中や周囲からの納得も得にくいのではないかと思います。リーダー級または経験・技能に関しても事例なり、Q&Aなりで、ここが言わんとするところ、特に技能というところに関しては一定Q&Aなりで方向性をちゃんと示していただきたいという意見でございます。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
まず、本日お示しいただきました対応案につきましては、特段の異議はございません。その上で2点コメントをさせていただければと思います。
1点目は今後に向けての意見です。いろいろな委員の方からも御意見がありましたが、介護人材の確保を図るためには処遇改善だけではなくて、やはり働きやすい職場環境を整備していくということが非常に重要でございますので、資料1の7ページにあるもの、本来であれば全部やっておいていただきたいというのは気持ち的にはあるのですけれども、これは小規模のところは対応が大変だということもありますが、今後、段階的にこの要件を厳しくしていくというやり方をとったほうがいいのではないかなと。もちろんそれぞれの事業所でどういうふうにどんなことをやられているのかということをしっかり見きわめた上で、ここは安易に加算をつけるということではなくて、きちんと対応している事業所に対して加算を差し上げるということをやったほうがいいのではないかと思います。
2点目は、6ページの対応案、情報の公開についてです。現在ある情報公表制度を使ってやるというところの意見で、先ほど老人保健課長からも御説明がありましたが、今回の改定の中身をより知ってほしいのは、現場で働かれている方です。介護の現場で働いている方と、逆に現在介護の現場で働いているけれども、転職をしようと思っていらっしゃる方が、今回の改定の中身を見て、自分もこういう加算が受けられるのだと思って一生懸命働いていただく、今後より一層モチベーションを高くして働いていただけるようにするということもありますので、今回の改定の内容についてもっと厚生労働省のほうで幅広く広報していただければと思います。以上です。
○田中分科会長 御意見、ありがとうございました。
東委員、どうぞ。
○東委員 ありがとうございます。論点に沿って幾つか御意見を申し上げたいと思います。
まず、資料1の論点1でございます。先ほど、他の委員からも出ましたが、職場環境等要件の対応案については、異論はございません。しかし、この職場環境等要件については、資料1の7ページ目に数多く項目が出ておりますけれども、今後はエビデンスの出ている項目が用いられるべきだと私も思います。余りエビデンスがなくても、何でもやっていればいいのだということではなくて、やはりエビデンスが出ている職場環境要件を満たしているということが、今後求められるのではないかと思います。
次に資料1の論点2についてです。「月額8万円」上げる方か、または「年収440万円」の方、どちらかを設定することが求められているものの例外規定として、「小規模な事業所で開設したばかりである等」の対応案が3点出てございます。この3点についても大枠合意いたします。ただし、2点目のポツにある「職員全体の賃金水準が低い事業所などで、直ちに一人の賃金を引き上げることが困難な場合」には例外認定期間の設定がございません。「賃金水準が低い事業所」ということを主張し、「賃金を引き上げることができない」と、長期間この例外規定を満たすということになれば、今回の「月額8万円」または「年収440万円」という要件が適切に執行されず、事業所によって不公平が出てくると考えます。例えば、その下の3点目のポツには「一定期間」という、ある意味期間が求められているわけでございます。先ほど石本委員もこの3つの項目を余り細かくは規定できないのではないかとおっしゃいましたけれども、なるべく例外規定は例外でなくなるように期間を決めるとか、そういうことをすべきだと思っております。
最後、資料1の論点3の「経験・技能のある介護職員」についてでございます。経験に関しては10年というのが基本になるわけですから、10年が8年や9年であっても事業所の判断に任せる、それはそれでいいと思います。しかし、逆に10年以上働いていても、この方は経験があるけれども技能的にどうかという方はカウントしなくてもいいということなのでしょうか。その点について教えていただきたいと思います。また、経験は年数でございますが、技能のある職員というのが少し漠然としているのではないかと思います。事業所の判断に任せるとはいっても、何らかの事例を挙げて、例えば技能のあるという者はこういう方を指すということを示すことも、今後は必要ではないかと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 1つだけ質問が含まれていましたが、いかがでしょうか。
○眞鍋老人保健課長 この経験・技能のある介護福祉士さんに関しましては、10年以上の方に関しましても、マル1、マル2、マル3で申し上げますと、マル2のほうに入れることができるのかどうかという御質問でございました。
私どもとしては、経験・技能のある方であればマル1のほうにと思いますけれども、そこは当然、事業所ごとに配置されている職員さんの状況は異なると思います。それよりも経験のある方がたくさんいらっしゃるとか、そこは一概に私どもからこれはこうですと申し上げることは適切ではないですけれども、やはり労使の間できちんと話をしていただいて、ここに関しましても事業所で最終的にはお決めいただくものだと思っております。
以上です。
○田中分科会長 武久委員、お願いします。
○武久委員 私はこの論点はすばらしいと思っています。どうして老健局がこういうことをおっしゃっているかが皆さんわかっていないのでしょうか。曖昧でいいと言っているのですよ。どういう意味ですか。10年といっても、10年でなくてもいい。介護福祉士といっても、介護福祉士でなくてもいい。地方へ行けば、非常にひどい現場がありますよ。人もいないし。だけど、8年だけれども、介護福祉士でもないけれども、この人がうちの事業所のトップだと。だったら、上げてあげたいなと思いますよね。そのように、全国が一律と言いながら、現状は全然一律ではない。だから、この辺のところを曖昧にしてくれているからこそ、このとおりいったらうまくいくと思う。余りぴしっとクリアカットにしたら、都会でちゃんとできているところはできても、あとのところは残念だな、あとちょっとでだめだなということになると思うので、私はこれは老健局の親心かなと。
この10年の経験も、医療機関とかほかのところも入れてもいいとおっしゃっていただいて、私は非常にグローブになっているからこそ、全国の過疎地とかいろいろな厳しい事業所でもとれるように仕向けてくれていると、皆さん、感じたらどうでしょうか。その辺をクリアカットにして、びしびしと落として、落ちたところには一切やらんぞと、その目的のためのお金ですか。もうちょっとクリアカットにしろという人は不思議ですね。私は介護保険制度を維持して、地方の過疎地にもちゃんとサービスが行き届いて、介護職員にもちゃんとした給料が出せて、要介護者が非常にいい介護を受けるためには、これはすばらしいと私は思っています。事業者の裁量をある程度認めているということは、これはお役所としては珍しいなと思っているのですね。
そういうことで、私は医療保険から介護保険に移り、また、医療保険に移る国民が保険によって差を受けるというのはいけないと思っていますけれども、介護保険は保険ですよね。医療保険も保険ですよね。同じ保険なのに、どうも介護保険は措置制度の名残が残っているように思うのです。だから、介護保険の事業所としては措置制度の名残が残っているほうが非常にありがたいわけですけれども、逆に言うと、医療保険は同じ保険制度と言いながら、介護保険のやり方と医療保険のやり方とまるきり違うなと思いながら両方やっておりますので、両方やっている職務も非常に多いと思いますけれども、ここは老健局で介護保険のことについて論じるところでございますので、余り細かなことは言いませんけれども、私はこの論点はすばらしいの一言に尽きると思います。
○田中分科会長 お褒めいただきました。
○眞鍋老人保健課長 今の分科会長のコメントの後に申し上げるのがなかなか難しいのですけれども、武久委員の御発言の中で、介護福祉士に関してだけは要件とさせていただいておりますので、そこは柔軟になってございませんので、そこは御理解をいただければと思います。
以上です。
○田中分科会長 小原委員、どうぞ。
○小原委員 ありがとうございます。
論点の方向についてはよいと思うのですけれども、その中で論点1の職場環境等要件というところですけれども、これから国民の多くが遭遇していくであろう介護課題について、それを解決するために介護人材の資源というのはとても大切な要素だと思います。そういった中で、この介護人材確保ということは、これから介護の仕事の魅力をしっかりと創造し、発信することだと思いますし、それに見合った給与的評価を得られることもすごく大切ではないかと思います。
そのために、介護事業所ごとに介護人材の採用や教育、定着、こういった要件に出ているようなことをしっかりやって、促進因子となっていくということが大切ですし、そのためにこの財源を活用していかなければいけないのではないかと思います。
介護の仕事というのは肉体労働でもあり、感情労働でもあり誰にでもできる仕事ではありません。そういった中で仕事を続けていくということは、自己実現がしっかりできたり、適切な評価をされる仕組みだったり、10年後のキャリアがしっかり創造できるような仕組みというのもすごく大切だと思いますので、今回の施策が介護人材のためになって、最終的に国民の利益や利用者さんの利益になっているかをしっかりと検証していくことが大切ではないかと思います。
以上、意見です。
○田中分科会長 そのとおりですね。
今井委員、どうぞ。
○今井委員 ありがとうございます。1点質問と、あとは要望をさせていただければと思います。
先ほどの議論の中でもありましたけれども、以前、私もこの介護保険給付費分科会におきまして、経験・技能についてお聞きしたことがございました。回答としては、外形的な指標としては、先ほどから御回答もありましたけれども、経験10年以上ということや、介護福祉士ということが考えられるという回答をいただいております。
しかしながら、シルバーサービス振興会が受託した平成29年度の厚生労働省の補助金事業である老健事業、OJTを通じた介護職員の人材育成に関する調査研究事業の報告書の中で、経験年数別に実践スキルが分析されていた。その中で、基本介護技術の評価の中の状況の変化に応じた対応とか、利用者視点での評価の中の介護過程の展開、もしくは終末期ケアなどの項目においては、経験年数10年以上であっても高い割合でできていないという結果が示されている。
こういう状況を踏まえますと、現状の職場環境等要件、7ページに示されていますけれども、「資質の向上」にある事項ではちょっと不十分ではないかと思います。経験・技能を的確に評価し、処遇改善に努力した事業者とその介護職員が報われるような要件にすべきと考えておりますけれども、その辺、いかがでしょうかという質問でございます。
それと、資料1の論点2、論点3について、先ほど石本委員のほうからもありましたけれども、論点2、論点3については私も発言をさせていただきましたけれども、対応案にあるような配慮をしていただいて本当にありがとうございますと思っています。
そこで1点要望ですけれども、国において示された考え方や対応案がそれぞれの保険者において解釈が異なったりしないように、新たなローカルルールがつくられないようにということで、先ほどもございましたけれども、Q&Aなどで丁寧な説明を行っていただくようにお願いをしたい。これは要望でございます。
2点ほど、質問と要望ということで終わりにさせていただきます。
○田中分科会長 では、質問にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
スライドで申し上げますと7こま目であろうかと思います。この要件でありますけれども、冒頭の河本委員からの御指摘にも、またその後の齋藤委員からの御指摘にも、ほかの委員からの御指摘もいただいたところでございます。
こちらの項目でございますけれども、経緯を申し上げますと、平成21年に処遇改善をしてから、順次発展をしてきて、この項目も充実してきているという形で承知をしております。
現在は、処遇改善加算(I)~(V)のような形で報告をしていただいているところでございますけれども、確かに御指摘いただいたとおりで、一つ一つを見ると、本当にここでいいのか、あるいは一つ一つの定義が決まっていないという御指摘もあろうかと受けとめております。
その上で、これだけ御指摘をいただきましたので、私どもとしては何が本当に資質の向上であったり、労働環境・処遇の改善にきくのか、何が有効であるかということについて、私どもなりに調査や研究などを行うことを通じまして、ここの項目については、恐らく次期のタイミングであれば改定となるかもしれませんけれども、そういう時期においてしかるべく見直しをさせていただきたいと思っております。
以上です。
○田中分科会長 江澤委員、どうぞ。
○江澤委員 ありがとうございます。
まず、論点1についてでございます。今回、各事業所における介護職員等のキャリアとか配置状況の詳細なデータがないため、苦肉の策として新加算が設定されていると認識しております。本来、このようなデータがあれば、新加算の設定は不要であったと思っております。
そこで、今回の本施策の趣旨は、職員個人の処遇改善であるため、新加算を算定するハードルは低く設定し、事業所の事情によって個人への配分が妨げとなることはあるべきではないと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
あわせて、介護事業所における働きやすい職場環境づくりについては、まだまだ改善の余地があろうかと思いますので、これはもう官であれ、民であれ、いろいろと研修会の開催や資料配付等を通じて積極的に職場環境づくりのノウハウの支援は今後ともぜひ必要であると思っております。
続きまして、論点2につきましては、小規模な事業所の定義等については慎重に御検討していただきたいと思っています。
論点3の対応案の2ポツ、「10年以上の勤続年数を有しない者であっても、業務や技能等を勘案し対象とできること」とございますけれども、これも今回の施策の趣旨を踏まえて、慎重に検討していただければと思っております。
最後に論点4でございますけれども、同一法人で複数の小規模事業所が存在したり、あるいは大規模と小規模事業所の混在があったり、いろいろなケースが想定されますので、その際に他の介護職員、あるいはその他の職員等への配分も、いろいろとシミュレーションして慎重に検討していただきたいと思っております。
できれば、経営責任を担っている事業所には、いろいろ事情もさまざまでございますので、ある程度は事業所の裁量を認めていくべきではないかと考えております。以上でございます。
○田中分科会長 御意見、ありがとうございました。
齊藤委員、どうぞ。
○齊藤(秀)委員 ありがとうございました。
論点全体については特段反対するものではございませんが、幾つか意見を申し上げたいと思います。
特に7ページのことについて、ほかの委員からも言及があったわけでありますが、これは事業所としてここにあるからやるというのではなくて、本来的に取り組んでいただく必要があることだと思いますし、今回、非常にハードルが低く、それぞれの項目で1つずつということで、できるだけ多くの事業所でこの加算をとってもらうという配慮だと思っておりますけれども、未来永劫それでいいと思いませんので、ぜひ今後はこのハードルが一定期間を置いて高くなるように、特にエビデンスの話もありましたけれども、優先順位を決めつつ、ぜひ全体のレベルアップにつながるような誘導策を講じていただきたいと思っております。
情報公表制度については、これは大事なものでありまして、資料にありますように、自己選択の支援だと出ているわけであります。しかし、高齢者にとってアクセスがなかなか難しいということで、これを見て自分で判断するということができる人ばかりではないということだろうと思いますので、いい制度が広く行き渡るには、特に介護支援専門員がかかわっているわけでありますので、こういうことで選べるのです、またこういう仕組みがあるのですということはぜひPRをしていただくようにお願いしたいと思いますし、自己選択の支援もしていただけるようにしていただくと、時間はかかると思いますけれども、制度の普及につながるのではないかと思っております。
それから、論点2で例外規定の話が出ているわけでありますが、ここに3つの例示があるわけでありますが、上のほうに「個々の実態を踏まえ個別に判断する必要がある」ということが書かれておりますから、しっかりとここは個別の判断をしていただいて、ローカルルールが広まらないように努めていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
以上であります。
○田中分科会長 ありがとうございます。
石田委員、どうぞ。
○石田委員 ありがとうございます。
今まで何度もいろいろな委員の方からの御質問や御意見で、先ほど老人保健課長からも御回答がありました7ページの職場環境等要件については、今後もっと詳細に検討していただけるということなので、意見ということで述べさせていただきたいと思います。まず、「その他」になっているところについて、その内容をよく見てみますと、むしろこれは処遇の改善ではないかと思われるものがあります。例えば、非正規職員から正規職員への転換というのは、明らかに処遇の改善そのものではないかと思います。その上段に記載されている「地域の児童・生徒や住民との交流による地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上」というのは確かに「その他」に該当するものであろうと思うのですが、「非正規雇用から正規雇用への転換」という処遇改善を意味する内容とは意味が異なっているように感じます。
職場環境要件の部分ですが、「労働環境・処遇の改善」と並列に記されておりますけれども、ここをむしろ「労働環境の改善」と「処遇の改善」というふうに2つに分けたほうが、もっと細かく、わかりやすく、選択する側もチェックをしやすいのではないかと思いましたので、意見として述べさせていただきたいと思います。
もう一点で、情報公表制度の件です。これの制度そのものは利用者にしてみてもて大変ありがたいことで、もっと推進していただきたいと思うのですが、一方で、例えば施設の側にとってはマイナスになる可能性を持つ情報があります。代表的なものとして「介護事故」などです。これについては、介護事故が多いという数字だけを捉えてしまうと、この施設は事故ばかり起こすところかと不信感をあおってしまうことになりがちですけれども、逆の見方をすれば、そういった配慮を十分しているので、ほかでは気づかないところまで気づいたという細かいチェックの結果であるということも考えられます。これらの内容については、今後は都道府県等の情報公開の推進が図られていくものと思いますけれども、マイナス情報の公開について、今回の件であげられた処遇改善についても同様と思いますが、イメージダウンにつながるような結果になれば施設のほうとしてはなかなか報告しにくいし、さらにいえば隠してしまうということになってはならないと思いますので、そうしたことにも配慮した方法をぜひ今後検討していただきたいと思っております。要望として述べさせていただきます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
田部井委員、どうぞ。
○田部井委員 最初に、大事な会議に遅刻をしまして、まことに申しわけありませんでした。
おくれましたので、既に出ておりましたお話がございましたら結構なのですけれども、先ほど小原委員からおっしゃっていただいたことと同様なのですが、今回の介護職員処遇改善は従来の処遇改善よりもっと個々の働き手によりメリットがあるという形で設定をされたと理解をしておりますので、これはなかなか現実には難しいのかもしれないですけれども、どういう形で処遇改善の原資の入りがあって、それがどのように具体的に生きたのかということを、一般的には難しいのかもしれないですけれども、例えば労使間ではきちんと話し合いがなされて、働いている人には説明がなされるとか、そういうふうな具体的な措置が必要なのではないかと思います。もし何かお考えがありましたら、教えていただければというのが1つ。
もう一つ、見える化の責任は、例えば保険者なのか都道府県なのか、自主的な点検ということなのか、ここについてもお考えがありましたら伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 お願いします。
○眞鍋老人保健課長 今回の処遇改善加算が、冒頭で読み上げましたように、新しい経済政策パッケージにありますように、経験・技能のある職員に重点化を図りながらということで、介護職員を一律に見るのではなく、その中で経験・技能のある方にというところで、より個人化というか、対象が絞られてきて、濃淡をつけましょうというふうな仕立てになっていることはそのとおりでございます。
その内容がどのように働く人にわかりやすくなるか、あるいはきちんと事業所で設定されるかに関しましては、最終的には労使の中で話をしていただいて、事業所として御判断いただくものと思いますけれども、私どもとしては、次の質問にもつながるところですけれども、より周りからもどのような努力をしているかということがわかっていただけるような取り組みが必要であろうかと。
その意味では、この新加算に関しまして、具体的にこのような取組をしながら処遇改善を図っていますよということが発信されればいいなと思いまして、みずからのホームページ、あるいは私どもが設定をしております情報公表制度を活用していただいてもいいですので、より発信に努めていただきたい。そういう趣旨で設定したものでございます。
以上でございます。
○田中分科会長 一わたりよろしゅうございますか。
活発な御議論、ありがとうございました。事務局においては、本日の御意見を踏まえて、今後具体的な運用を検討するようにお願いいたします。
次の議題に移ります。議題2、新たな在留資格「特定技能」についてであります。事務局から報告があります。説明をお願いします。
○武井高齢者支援課長 高齢者支援課長でございます。
資料2で御説明いたします。新たな在留資格「特定技能」について、御報告でございます。
1ページをお願いいたします。こちらは、新たな外国人材受け入れに関する経緯・背景を御説明しているものでございます。この中で4番、経済財政運営と改革の基本方針2018、いわゆる骨太の方針でございますけれども、昨年6月15日に閣議決定が行われました。その中で、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築する必要がある。このため、新たな在留資格を創設するという方針が決定されております。
2ページ目をお願いいたします。こちらは、その骨太の方針と、右側に「法案の骨子」とありますが、その対比について御説明しているものです。法律の内容につきましては、3ページをお願いいたします。
こちらは、出入国間及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の概要でございます。この中で、1番、在留資格「特定技能1号」「特定技能2号」の創設というところでございますけれども、特定技能1号という、不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に属する相当程度の知識または経験を要する技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格として位置づけられております。また、特定技能2号に関しましては、同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格として位置づけられております。
そのほか、2番の受け入れのプロセス等に関する規定の整備、3番の外国人に対する自演に関する規定の整備、4番、受け入れ機関に関する規定の整備、5番、登録支援機関に関する規定の整備、6番、届け出、指導・助言、報告等に関する規定の整備などがなされているところでございます。
資料4ページをお願いいたします。こちらは在留資格について御説明しているものです。特定技能1号、特定技能2号があると先ほどお話しいたしました。その中で、特定産業分野として重要分野のうち一分野として介護が位置づけられているところでございます。特定技能2号に関しましては、建設、造船分野ということでございまして、介護に関しましては特定技能1号のみ創設をすることとなっております。
その下に、特定技能1号のポイントとございますけれども、在留期間に関しましては通算で上限5年まで。技能水準に関しては試験などで確認。技能実習2号を修了した外国人は試験等免除。また、日本語能力水準につきましては、生活や業務に必要な日本語能力を試験などで確認するなどの制度のポイントがございます。
次の5ページ目をお願いいたします。こちらは受け入れ機関と登録支援機関についての位置づけでございます。受け入れ機関に関して、例えば外国人と結ぶ雇用契約が適切であること、また、機関自体が適切であること、外国人を支援する体制があり、外国人を支援する計画が適切であること。また、受け入れ機関の義務に関しましては、雇用契約を確実に履行する。また、外国人への支援を適切に実施するなどがルール化されております。
また、下の箱でございますけれども、登録支援機関について。登録を受けるための基準として機関自体が適切であること。また、外国人を支援する体制があること。登録支援機関の義務といたしまして、外国人への支援を適切に実施する。また、出入国在留管理庁への各種の届け出を行うことがルール化されているところでございます。
次の6ページをお願いいたします。こちらは、特定技能の在留資格に係る制度運用に関する基本方針の概要でございます。この中で御紹介いたしますのは、2番、外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に関する事項といたしまして、「生産性向上や国内人材確保のための取り組みを行ってもなお、人材を確保することが困難な状況にあるため、外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野」と位置づけられておりまして、介護がこれに相当するとされております。
また、5番の制度の運用に関する重要事項といたしまして、1号特定技能外国人に対する支援といたしまして、生活オリエンテーションや日本語習得の支援、外国人からの相談・苦情対応など、さまざま配慮をするということが求められるところでございます。
続きまして、8ページをお願いいたします。こちらは、外国人の介護人材受け入れの仕組みについてお示ししているものでございます。EPA、平成29年9月からは在留資格の「介護」、平成29年11月1日から技能実習、また、ことし4月1日から特定技能1号が開始されるところでございます。
次の9ページをお願いいたします。こちらは、分野別の運用方針の概要でございまして、介護分野を抜粋しているものです。この赤囲みのところでございますけれども、人材の基準としましては、技能試験は介護技能評価試験(仮称)、こういう試験の仕組みを新規に創設いたします。また、日本語試験に関しましては日本語能力判定テスト、こういったものなどを実施する準備を進めているところでございまして、上記に加えて、介護について介護日本語評価試験の実施も想定しております。
それに関しましては、10ページをお願いいたします。技能試験と日本語試験に分かれておりますけれども、介護技能評価試験(仮称)に関しましては、右側の四角囲みにありますように、介護業務の基盤となる能力や考え方などに基づいて、利用者の心身の状況に応じた介護をみずから一定程度実践できるレベル。また、日本語試験に関しましては、2種類ございますけれども、日本語能力判定テスト(仮称)といたしまして、右側の四角囲みにございます、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力があること。また、これに加えて、介護の分野で実施される介護日本語評価試験(仮称)に関しましては、右の比較囲みにございます、介護現場で介護業務に従事する上で支障のない程度の水準の日本語能力。こういった水準を想定して、試験の準備をしているところでございます。
さらに、次のページをごらんいただきまして、こちらは予算制度でございます。31年度の予算案といたしまして、「外国人介護人材受入環境整備事業」の創設を予定しているところでございます。こちらは試験の実施機関について、介護技能評価試験の実施事業、また外国人材の受け入れの支援事業、3番の介護の日本語学習支援等事業、3番の外国人介護人材相談支援事業、こういった予算制度も予定して準備を現在進めております。
この次からきょうの御報告事項でございます、外国人介護人材の配置基準上の取り扱いについてでございます。
13ページをお願いいたします。特定技能1号の外国人の介護報酬上の取り扱いに関する基本的考え方の案でございます。特定技能1号の外国人につきましては、技能実習3年修了の人材と介護技能が同等であるということでございますので、就労と同時に配置基準に算定する。ただし、一定期間、他の日本人職員とチームでケアに当たる等、受け入れ施設における順応をサポートし、ケアの安全性を確保するための体制をとることを求めることとしていきたいと考えております。この一定期間につきましては、6カ月を想定しているところです。
次の14ページに関しましては、参考といたしまして、ほかの外国人の介護人材に関する配置基準の考え方をお示ししているものでございます。
事務局からの説明は以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
では、ただいま説明のありました事項について、御質問、御意見をお願いいたします。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 きょうもまた報告事項として出てまいりましたが、介護報酬を充てるということにする理屈としては、介護サービスの質がこの仕組みで担保できるのだということがあってはじめて、それが認められるかどうかという話になると思いますので、幾つか確認をさせてもらいたいと思います。
まず、質の確認という意味で一番重要だと思うのは介護技能評価試験で、これを新設するということですが、そのやり方を10ページで見ますと、CBTという方式でやるということで、これがどういうものなのかを教えていただきたいと思います。
試験をどうやって実施するのかについてはどんな検討をされているのか。先に報酬を充てることだけをここで決めると言って、質がどう担保されるのかもわからないまま、それを報告されても、何とも納得しがたいところがありますので、どうやって今それを検討されているのかを教えていただきたい。
あと、このCBTで試験をやる場所は、外国でやるらしいことは報道などで見ていますけれども、替え玉受験をはじめとする不正の防止など試験の管理を含めた実施体制をどうやって担保するのかをお聞きしたいと思います。
それから、一定期間は6カ月ということで、今、サポート体制を求めるというお話でしたが、それはどう確認されるのかをお聞きしたいと思います。
あともう一つは、やはりやってみて、真に技能実習2号修了相当の能力があると現場の人が思うかどうかが重要だと思うのですけれども、評価の見直しはどういう仕組みを考えられているのかということを教えてください。
○田中分科会長 質問にお答えください。
○柴田福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長です。幾つか御質問をいただいた点にお答えしたいと思います。
1つ目の質の確保についてどうするかという、CBTのやり方ですね。技能試験につきましては、10ページにあるように、ここに「介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づいて、利用者の心身の状況に応じた介護をみずから一定程度実践できるレベル」、これは御案内のとおり、技能実習2号修了相当の到達点ということに置いています。
それをどう試験をするかということでありますけれども、技能実習制度の実技試験の考え方等を踏まえながら、介護福祉士の国家試験の試験委員の経験者を含みます介護の分野の有識者とか、あるいは職能団体、あるいは業界団体等の御議論をいただいた上で、法務省等の制度所管官庁と協議をして決定するというものでございます。
具体的な実技試験につきましては、例えば技能実習で使われている判断等試験といいまして、実際に麻痺の人をどう衣服を着脱するかとか、そういった観点からの絵を用いた実技試験にかわるようなものについて考えており、今、質の担保に向けて試験を検討しているというところでございます。それが1つ目です。
2つ目につきましては、替え玉防止の話でございます。こちらは12月8日に法案が成立をし、12月25日に各種各分野の運用別基本方針や運用要領が定められているわけですけれども、その間、替え玉をどう防ぐか等の議論も当然ございました。その点につきましては、しっかり運用方針なり運用要領の中で、試験実施に必要な設備を備えていて、国外数カ国で大規模試験の実施実績があり、かつ替え玉受験等の不正受験を防止する措置を講じることができる試験実施団体に業務委託することで、適切な実施を担保する旨を書いていますので、こちらについてはしっかりとそういった業者について選定をしていきたいと思っています。
マル4の、今回のそもそもの制度の見直し等の御質問だと思いますけれども、6ページ目の5の一番下の矢印でありますが、法律や、この政府基本方針を含めて、改正法施行後2年を目途として検討を加えて、必要があれば見直しというたてつけに全体の制度としてなっているということでございます。
以上、4つあるうちの3つお答えしました。
○武井高齢者支援課長 3番目の御質問に関しまして、6カ月という期間をどういうふうに確認するのかという御質問でございましたけれども、必要に応じて指導監査の場面などで事業者の方に確認するという方法もございますし、また、実際の介護現場でお仕事をされている方の相談などについても、民間団体を公募により選定いたしますけれども、そういった対応も行うことによりまして、また、その機関と緊密に指導監査の部署と連携をとって、適切な対応が行われるように考えていきたいと思っております。
○伊藤委員 ぜひ、このCBT方式による試験が実際の技能実習2号修了相当の技能を持っている人がクリアできているものかどうかをきちんとチェックしていただいて、2年ということですけれども、2年を待たずに、経過をきちんと確認していっていただきたいと思います。
それから、6カ月の確認については、指導監査と、あと特定技能1号の労働者からの相談なども契機になるというお話だったと思いますので、そういう相談体制が極めて重要だと思います。その連携はぜひお願いしたいと思います。
見直しはこれからの話でありますが、技能実習で、1号で本当は日本語能力試験N3をとらないと2号に行けないところについて、日本語能力試験N4のまま2号に進めるようにすることでパブコメがかかっていました。これについては、サービスの質と外国人労働者の人権の面で非常に問題があると思っています。
介護現場においては、非常に大きい問題としてハラスメントがもう明らかになっておりますが、日本語能力は非常に重要だと思っています。特定技能1号について見直しをするときに、受け入れ人数ありきで基準を下げるといった非常に問題のある対応をしないように今の時点で強く求めておきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 CBTに関して、もうさまざまな分野で実施されていると理解していますし、当然、厚生労働省の中でもさまざまな場面でお使いになっていらっしゃる、経験値もおありだと思います。
ただ、介護分野において、先ほど御回答の中で、試験に関しては実技を含めた施設を想定しながらという発言がございました。ということは、いわゆる試験実施機関と実習養成機関の峻別、もしくは同じところが実施するとなりますと、透明性や公平性、さまざまな課題からそこが担保されるのかどうかという点はいかがでしょうか。
○田中分科会長 室長、お願いします。
○柴田福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長です。
少し舌足らずで恐縮でございます。ここの10ページ目のところにありますCBT方式で実施するテストというのは、CBTでございますので、今の御質問は実技を。すみません、もう一度お願いします。
○佐藤委員 先ほどの御回答の中で、試験に関しましては実際の実技を含むような内容を御検討というふうに私は伺ったのですが、その件とCBTは当然違ってくるわけだと思うのですけれども、基本的に試験をする機関と養成する機関をどう峻別していって、公平性とか透明性を図るのかということが質問の主眼でございます。
○柴田福祉人材確保対策室長 失礼しました。御質問ありがとうございます。
前者につきましては、実技試験ということについて、技能実習制度でも、先ほど申し上げたような判断等試験で、絵を見せて、例えば介護に対する対応としてどの選択肢がいいかを問うことで実技を測るという手法もありますので、CBT試験の中にそういう評価手法を入れていくということを申し上げたというのが1つ目でございます。
2つ目は、当然、おっしゃるような御指摘というのは非常に重要な指摘だと思います。民間の試験の実施機関は、しっかりと、替え玉受験等の不正を防止する措置を講じることができる団体を選定していくということについて、先ほど御説明したとおりですけれども、養成機関とは別の形でお願いするということを考えております。
以上です。
○田中分科会長 では、井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。外国人の受け入れにつきましては、前半の議論にありました報酬の見直し等をおこなってもなお、人材が不足するという見込みを踏まえ、今回、介護分野でも受け入れることになったものと認識しております。
全体の受け入れ見込み数の35万人のうち、介護分野では6万人ということで、最も受入れ人数が多い分野になります。受入れ分野の中でも介護分野は、公的な制度によって成り立つ分野で、ほかの民間のビジネスの人手不足とは性質が異なるものと考えております。こうした点から、サービスの質の確保という点には十分配慮する必要があると思います。
また、重要な点として、外国人材を受け入れる機関にも多くの義務があると思います。政府でも法務省が中心となって、共生のための総合的対応策をまとめておりますが、受け入れ機関の責務や外国人材への支援に対する指導についても、政府としてしっかり対応いただきたいと考えております。受け入れた外国人との共生も、今後、重要な課題となりますので、共生に向けた取り組みもしっかり進めていただきたいと思います。
あと、質問ですけれども、6万人のうち、技能実習制度から移行する人数と、技能実習制度から移行せず新たに受け入れる人数の内訳があれば教えていただきたいと思います。
○柴田福祉人材確保対策室長 ありがとうございます。最後の質問に関しまして、6万人の内訳の中で、今回、基本方針あるいは分野別の方針に載っているものについては、あくまで上限でございますので、分けはございません。ただ、介護以外の13分野の中には既に技能実習が以前から始まっているものがございます。介護につきましては、先ほどの資料にございましたように、29年11月から施行されており、早くても3年後に技能実習から特定技能1号に移る方が誕生するという状況なので、基本的には海外で実施する試験に受かってから来る方等を中心に考えているということでございます。
○田中分科会長 今井委員、どうぞ。
○今井委員 ありがとうございます。
今回は、特定技能に関する報告として、13ページ、14ページに配置基準上の取り扱いについて示されております。しかしながら、そもそも特定技能の介護分野に関する全体像が示されていないので、よくわからないというのが正直な感想でございます。
4月から施行となるというお話でございますので、早急に特定技能1号の介護分野の制度全体についての全体像をお示しいただいて、介護現場の不安を解消していただければと思っております。
また、一昨年に制度化された在留資格の「介護」、それから介護技能実習制度と、この特定技能1号との関係については、国としてどのように考えてどう対応していくのか、御説明いただけたらと思っております。
介護現場では、資料2の8ページにございますように、EPAを含めると外国人材の介護人材で受け入れる仕組みは4通りできるかと思います。それぞれ制度、趣旨は異なると思われますけれども、介護現場がそれぞれの仕組みを理解できているとはちょっと思えない。したがいまして、国によるさまざまな支援策が構築されないと、制度的な脱落部分とか離脱部分なんかも出てくるのかなと思っております。その辺は早急に対応策を示していただけたらなと思っています。
最後に1点質問ですけれども、11ページにあります「外国人材介護受入環境整備事業ですけれども、これは特定技能のみに対象となる事業なのか、他の在留資格の「介護」や介護技能実習制度は対象とならないのか、この辺を質問させていただきたいと思います。
○田中分科会長 室長、お答えください。
○柴田福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長です。
最後の質問に関連しまして、この11ページの予算案は特定技能1号に対応するものと、外国人材全体に対応するものがあります。4つありまして、マル1につきましては、特定技能1号のための試験を定めるという費用ですので、これは特定技能1号向けのもの。
マル2で、介護人材、先ほど幾つか質の担保ということが出てきましたので、我々も当然介護現場における介護サービスの質は重要だと思っていますので、来年度、例えば地域の中核的な受け入れ施設で介護人材の介護技能向上のために集合研修等を実施する、そういった予算をとってございます。これは特定技能1号だけでなく、ほかの外国人材にも活用いただこうと思っております。
マル3は、介護の日本語学習支援等事業ということで、これは現在、技能実習でもウエブコンテンツ等々を開発・運用させていただいていますけれども、これは来年度以降、特定技能1号等も予想されるので、もう少しバージョンアップをしたり、利便性が良いものにしていくということで、これも外国人材全体でございます。
マル4につきましては、先ほど相談支援事業とよく連携をという貴重な御示唆をいただきましたけれども、これは在留資格「介護」が一昨年の9月から始まったことも踏まえまして、今年度から留学生向けに相談支援事業を実施しています。それで、来年度は特定技能1号も4月から施行されますので、そういったことを踏まえて、これも特定技能1号だけではなくて、外国人介護人材向けに相談支援事業を実施していきたいと思っています。
以上です。
○田中分科会長 よろしいですか。
では、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 13ページの考え方につきましては、14ページの現状の6カ月要件の状況を踏まえますと、他の日本人とチームでケアに従事する期間については6カ月でよろしいかと思っております。
今後について2点申し上げたいと思います。1点目は、特定技能や技能実習ルート以外の、例えば留学生は週に28時間労働ができるわけですけれども、留学生が現場に配置されると配置基準に算定されますが、一般的には留学生のほうが恐らく技能は低いのではないかと思われるので、現場としては矛盾を感じる部分がございます。2点目は、医療現場においてはこの6カ月要件がないので、その点も今後検討課題かと思っております。したがいまして、利用者へのサービス提供への支障がないなどをちゃんと確認した上で、実習や指導機関における6カ月要件においては、整合性の観点から一度検討が必要ではないかと思っているところでございます。
最後の点は、本日の趣旨とは若干外れるかもしれませんが、8ページに在留資格「介護」の養成施設ルートがございまして、こちらにおいては2021年卒までは養成施設卒業後5年間介護業務に従事していれば、5年後に介護福祉士としての有資格者となる経過措置がございますけれども、今後、現場の人材不足等も勘案して、このあたりの取り扱いは慎重にまた検討していただきたいと思っております。
以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
齋藤委員、どうぞ。
○齋藤(訓)委員 特定技能1号外国人について、13ページに「受け入れ施設における順応をサポートし、ケアの安全性を確保するための体制をとること」と記載されていますが、順応するまでのサポートについて、先駆的に取り組まれている施設等にヒアリングを行い、そのノウハウや事例を早目に公開していただけるとありがたいと思っております。
やはり、実際に受け入れている施設の管理者等からは一様に大変だったという声を聞いております。御苦労されたケースや、うまくいったケースや方法がオープンになることで、各施設が参考にして準備に取り組み、安心して特定技能1号の方々をお迎えすることができると思いますので、ぜひ研究事業等での実施を検討し、体制整備をしていただきたいと思います。
○田中分科会長 御指摘、ありがとうございます。
齊藤委員。
○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。
質問ですが、人手不足で空きベッドまであるというような介護現場からしますと、外国人介護人材というのは大変大きな期待を持っておいでだろうと理解できるわけですが、一方、その中でこの人材が都市部に集中して、地方にはなかなか来てもらえないのではないかと。地域偏在ということが懸念されている方々もいらっしゃるようでありますけれども、地域偏在対策ということについて何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
○田中分科会長 室長、お願いします。
○柴田福祉人材確保対策室長 福祉人材確保対策室長です。
皆様のお手元にある資料の6ページに、特定技能の基本方針の概要を添付しておりますけれども、おっしゃったような課題意識は政府全体として持っています。ここの2の2つ目の矢印に、人材が不足している地域の状況に配慮ということで書いてございまして、大都市圏その他の特定地域に過度に集中して就労することがないよう、必要な措置を講じるように努めるという文言が入っていますので、これを今、政府全体として何ができるかということも含めて検討しているところでございます。
以上です。
○田中分科会長 石田委員、どうぞ。
○石田委員 ちょっと質問があります。平成29年11月からスタートした技能実習で、今現在、何名ぐらいの方たちが介護の現場でこの実習を受けているかということについて数字を教えていただきたいと思います。また、31年4月1日からこちらに来る予定になっている特定技能1号の人たちの見込みの数について、把握されている数字があれば、ちょっと確認したいと思いました。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 おわかりですか。
○柴田福祉人材確保対策室長 まず、1つ目の技能実習の数字について、手元にあるのが申請件数となっていますが、技能実習計画を一人一人出すことになっておりますので、この「件」というのは「人」に置きかえていただければといいと思います。昨年の12月31日時点の外国人技能実習機構調べで、申請件数としては1,516件なので1,516人分が申請されていて、計画が認定されている件数は946件、946人分ということでございます。
実際にどのくらいの人数が入国したかにつきましては、法務省の方で管理をしていて、今、私は数字を持っていないので、この計画に基づく認定件数から踏まえると900人強の方々が今後入ってくるだろうと捉えていただければと思っています。
2つ目の特定技能1号の見込みについて、初年度に何人見込まれるのかという数字は、手元に特段計算したものはございません。
○田中分科会長 石本委員、お待たせいたしました。
○石本委員 ありがとうございます。介護福祉士会として一言申し上げたいと思います。
先ほど別の委員もおっしゃられましたが、まず外国人を受け入れることが日本の現状からすると避けて通れないという事実の中で、介護の業界に受け入れていくと。ただ、外国人の受け入れと引きかえに介護の質が下がってはいけないのだということを改めてしっかりと認識しなければいけないと思いますし、外国の人でも介護なんかできるじゃないかというような議論があると、せっかく介護の質に対して評価を高めていこうという流れと逆行してしまうので、介護の質の向上を基本としながら関係する施策を進められていくべきだろうと思います。
その中で、私どもも一昨年から技能実習を受け入れる施設側に指導員を配置する指導員養成を全国的に行っており、その中でどのようにしてお越しになる外国の方をサポートするのか、そして適切に現場で受け入れ体制が整うというところにコミットしてやっておりますので、今後、指導員養成を通じた好事例などをしっかりと横展開できるようにしたいと思います。また、特定技能を含めます外国人材の受け入れに関するいろいろな事業に関しましては、関連する各団体様と協力しながらしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 決意でしたね。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 先ほど意見を言わせていただいたところで、言ったことが質問ではなかったからお答えがないのかもしれないのですけれども、技能実習2号の日本語要件の緩和についてパブコメがかかっていたことについて、今回特に報告も何もないということは、やらないということでよろしいのですね。
○柴田福祉人材確保対策室長 やらないというのは、パブコメをして告示改正をやらないという意味だとすると、それは手続に向けて進めているということです。
○伊藤委員 改正をしないということでよろしいのですかということが質問です。
○柴田福祉人材確保対策室長 それは、去年の6月の骨太の方針で、既に2年目に日本語要件を満たさない場合でも在留できる仕組みを検討するということが閣議決定されておりまして、我々としてはその閣議決定に基づいて検討し、今般、パブリックコメントにかけて必要な手続を進めているということでございますので、改正する方向で検討しております。
○伊藤委員 骨太の方針では検討すると書いてあったわけです。その結果については聞いていませんので、やらないのですかということを確認させてもらいました。やらないということですか。
○柴田福祉人材確保対策室長 ちょっとお答えが同じになってしまうかもしれませんけれども、改正する方向で今手続を進めているという状況でございます。
○伊藤委員 それだったら、きちんと説明する必要があると思います。理由については、先ほど言いましたように、サービスの質にかかわる問題だからということで非常に問題があると思っています。
以上です。
○田中分科会長 松田委員、お願いします。
○松田委員 意見ですけれども、少し大きな話になってしまうのですけれども、実は私たちの教室で、プレリミナリーな調査なのですけれども、外国人労働者の人たちの労働条件というか、実態に関する調査を少しやっています。そうすると、一番大きな悩みの一つがメンタルヘルスなのです。メンタルヘルスの原因というのが、文化的な摩擦、違いということなのです。
今回の外国人介護人材受入環境整備事業の中でも、介護人材相談支援事業等がありますけれども、そういう文化的な摩擦に対する対策というのを事前にやっておかないといけないだろうと思っています。
今回は技能とか日本語の教育はあるのですけれども、例えばヨーロッパだと、基本的なそれぞれの受け入れ国の文化的なことに関する研修というのをしっかりやるのです。向こうは移民政策もあるので、かなり厳しい試験なんかを例えばオランダとかフランスはやって、そこはちょっとやり過ぎだと思うのですけれども、やはり日本に来て働く人たちに対して、日本の社会制度というか、文化というか、そういうものに対する教育もこの中に組み込んでいかないといけないのではないかと、今回調査をやってみて思いました。
特にオランダなんかがかなりそういうレポートを出しているので、後で堀田先生がフォローしてくれるかもしれないですけれども、実際、オランダはかなり介護労働者を受け入れてきた事実があるのですけれども、宗教的な違いによってターミナルケアとかそういうところでいろいろな問題が起こってきたという経緯があって、そういうところから文化的な教育みたいなことをかなりやるようになってきているのですけれども、日本もそれをやらないと。特に日本はそういうところに無関心な部分もあるので、やらなければいけないのではないかと思います。
考えてみると、これも外国人労働者の人のアンケートで出てきたのですけれども、受け入れ側が余りにも自分の国のことを知らない。ミャンマー人の人が、ミャンマーのことを受け入れが全然知ってくれていない。ベトナム人を受け入れている事業者の方がベトナムのことを全然知らない。東南アジアは全部十把一絡げみたいになっているのですね。やはりもともとの彼らの国に対する基本的な理解というのも受け入れ側で少し持っていかないと、介護労働というのはかなり感情労働的な部分が強いですので、そういうところも少し教育とか研修で配慮していただけるといいのではないかと思います。これは意見です。
○田中分科会長 貴重な御意見、ありがとうございました。
一わたりよろしゅうございますか。
御議論、ありがとうございました。本日は、新たな在留資格「特定技能」について報告を受けました。厚労省におかれては、引き続き、4月からの施行に向けて特定技能制度が適切に実施されるよう取り組んでください。
本日の審議はここまでといたします。
なお、本日をもちまして2019年度介護報酬改定に関する当分科会の議論は終了となります。
最後に、老健局長から委員の皆様に御挨拶があるそうです。
○大島老健局長 ちょっと時間を過ぎておりますが、3分ほどお時間をお願いいたします。
2019年度報酬改定に向けて、昨年7月から8カ月にわたりまして御議論を頂戴しました。ありがとうございました。今回の改定は、ことし10月の消費税率引き上げに合わせた改定ということで、介護職員のさらなる処遇改善と、非課税取引である介護報酬の上乗せ対応という2つの点につきましてテーマといたしました。
特に介護職員のさらなる処遇改善につきましては、今までの処遇改善よりも複雑な条件設定がありました。そうした中で、真摯な御提案、熱心な御議論をいただきました。おかげで十分練られた加算の新しい制度ができたと考えます。ただし、10月の実施に向けまして、事務局におきましては円滑な運用という大きな課題があると考えております。
本日頂戴した御意見も踏まえながら、わかりやすく丁寧に周知していくということ、それから過度な事務負担を避けるということ、あるいは事後の検証も行えるようにするといいったことに配慮しながら、適切な運用に努めてまいりたいと考えます。
また、きょうの御議論でもかなり出てまいりました職場環境要件は、非常に重要なことであるということを改めて認識いたしました。内容の精査を今後したいと思いますし、同時に処遇改善を今回行うことに合わせまして、国、自治体、関係団体が一丸となって、職場環境の改善に向けたノウハウの支援を進めていくことにしていきたいと考えます。高齢者というケアの対象者だけではなくて、職員も大切にするという文化をつくっていって、あるいは実態をつくっていって、離職率を下げていくということが非常に大きな課題であると考えます。
なお、次回、2021年度の報酬改定に向けまして、今、審議報告でいただいた宿題について検証作業を我々の中で進めているところでございます。時期が参りましたら、またこの分科会で2021年度に向けた御議論をお願いしたいと思っておりますので、その際にはまたよろしくお願いしたいと思います。
非常に雑駁ではございますが、お礼の挨拶とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
では、本日の審議は以上で終了いたします。
最後に、次回の分科会の日程について、事務局より説明をお願いします。
○老人保健課 次回の日程は、事務局から追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれで閉会いたします。お忙しいところ、ありがとうございました。

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