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2018年12月19日 第167回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成30年12月19日(水)13:00~14:30

 

○場所

ベルサール九段 ホール(3階)
東京都千代田区九段北1-8-10

○出席者

安藤、井口、石田、石本、伊藤、井上、今井、江澤、荻野、尾﨑(沖本参考人)、小原、亀井、河本、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐藤、
瀬戸、武久(田中参考人)、田中、田部井、東、堀田、松田(敬称略)

○議題


1.介護人材の処遇改善及び介護保険サービス等に関する消費税の取扱いについて
2.その他

○議事

○川口企画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第167回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。
 会の開催に当たり、まず本日の委員の出席状況でございますが、大西委員、河村委員より御欠席の連絡をいただいております。石本委員が少しおくれていらっしゃいます。
 尾﨑正直委員にかわりまして、沖本健二参考人に御出席をいただいております。
 武久洋三委員にかわりまして、田中志子参考人に御出席をいただいております。
 以上により、本日は21名の委員に御出席をいただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
 では、以降の進行は分科会長によろしくお願いいたします。
○田中分科会長 委員の皆さん、こんにちは。本日も「介護人材の処遇改善及び介護保険サービス等に関する消費税の取扱いについて」などについて議論いただきます。
 初めに、事務局より資料の確認をお願いします。
○川口企画官 資料の確認でございます。タブレットをごらんいただければと思いますが、まず座席表、議事次第、委員名簿に続きまして、資料としまして「2019年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」というものがございます。
 続きまして、参考資料1「2019年度介護報酬改定について」、参考資料2「介護報酬改定について」という資料がございます。
 資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 早速「介護人材の処遇改善及び介護保険サービス等に関する消費税の取扱いについて」の議論を行います。
 今回、事務局から、2019年度介護報酬改定に関する審議報告の案が提示されております。審議報告案については、これまでの議論の内容を踏まえたものであります。本日はこの案をもとに取りまとめに向けた議論を行います。委員の皆様の協力をよろしくお願いいたします。
 では、事務局より説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 それでは、資料を用いまして「2019年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 資料をごらんください。こちらにつきましては、当分科会でお示しするのは初めてでございますので、読み上げをさせていただきたいと思います。
 介護職員の処遇改善については、2017年度の臨時改定も含めこれまで数度にわたる取組を行ってきたが、今般「新しい経済政策パッケージ」(2017年12月8日閣議決定)において、「介護人材確保のための取組をより一層進めるため、経験・技能のある職員に重点化を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を進める。具体的には、他の介護職員などの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めることを前提に、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費1000億円程度を投じ、処遇改善を行う。」とされ、2019年10月の消費税率引上げに伴う報酬改定において対応することとされた。
 また、介護保険サービス等に関する消費税の取扱いについては、2019年10月に予定されている消費税率10%への引上げに伴い、介護サービス施設・事業所に実質的な負担が生じないよう、対応について検討する必要がある。
 当分科会においては介護職員の処遇改善及び介護保険サービス等に関する消費税の取扱いについて議論を行ってきたが、これまでの議論に基づき、2019年度介護報酬改定に関する基本的な考え方を以下のとおり取りまとめたので報告する。
1.介護職員の処遇改善
(1)基本的な考え方
○ 介護職員の処遇を含む労働条件については、本来、労使間において自律的に決定すべきものであるが、現下の厳しい介護人材不足、依然として小さくない他産業との賃金格差等の中、介護離職ゼロ等に向けて介護職員の確保、定着につなげていくためには、公費・保険料による政策的対応も必要である。その際、今後も確実な処遇改善を担保するためには、現行の処遇改善加算と同様、介護報酬における加算として必要な対応を講ずることが適当であると考えられる。
○ このため、2019年度介護報酬改定では、現行の介護職員処遇改善加算に加えて、介護職員の更なる処遇改善を行うこととし、具体的には、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を目指し、経験・技能のある介護職員に重点化しつつ、介護職員の更なる処遇改善を行うことが適当である。
○ その際、新しい経済政策パッケージにおいて、「他の介護職員などの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めることを前提」とされていることを踏まえ、介護職員の更なる処遇改善という趣旨を損なわない程度において、介護職以外の職種にも一定程度処遇改善を行う柔軟な運用を認めることが適当である。
○ また、今般の処遇改善について、介護人材の確保等の目的が達成されたか効果検証を行うとともに、介護職員の確保に当たっては、処遇改善だけではなく離職防止に向けた総合的な取組を行うことが適当である。
○ なお、介護職員の処遇改善については、例外的かつ経過的な取扱いとして設けられたことを踏まえるべき、その必要性は認めつつも、保険者や利用者の負担に配慮すべきとの意見があった一方で、従来の交付金から財源の安定性の観点から加算で行うことになった経緯を踏まえるべきとの意見があった。
○ 本分科会で出された意見も踏まえつつ、処遇改善の在り方については、今般の処遇改善の施行状況等を踏まえ引き続き検討することが適当である。
(2)加算の対象(取得要件)
○ 加算対象のサービス種類としては、今般の更なる処遇改善がこれまでの数度にわたり取り組んできた介護職員の処遇改善をより一層進めるものであることから、これまでの介護職員処遇改善加算と同様のサービス種類とすることが適当である。
○ 長く働き続けられる環境を目指す観点から、一定のキャリアパスや研修体制の構築、職場環境等の改善が行われることを担保し、これらの取組を一層推進するため、
・現行の介護職員処遇改善加算(I)から(III)までを取得している事業所を対象とすることとし、加えて、
・介護職員処遇改善加算の職場環境等要件に関し、複数の取組を行っていること
・介護職員処遇改善加算に基づく取組について、HPへの掲載等を通じた見える化を行っていること
を求め、加算の取得要件とすることが適当である。その際、職場環境等要件に関し、実効性のあるものとなるよう検討することが適当である。
○ なお、これまで処遇改善の対象となっていないサービス種類についても、これらのサービス種類における担い手不足や医療ニーズ対応の必要性、賃金の実態等を踏まえ、加算の対象とすべきとの意見や、現行の介護職員処遇改善加算(I)から(III)の取得に向けた支援を強化すべきとの意見もあった。
(3)加算率の設定
マル1サービス種類ごとの加算率
・介護職員確保に向けた処遇改善を一層進めるとともに、人材定着にもつながるよう、経験・技能のある介護職員が多いサービス種類を高く評価することとし、サービス種類ごとの加算率は、それぞれのサービス種類ごとの勤続10年以上の介護福祉士の数に応じて設定することが適当である。
マル2サービス種類内の加算率
・現時点で把握可能なデータや、事業所や自治体の事務負担、新しいサービス種類・事業所があることに、一定の留意をした上で、同じサービス種類の中でも、経験・技能のある介護職員の数が多い事業所や職場環境が良い事業所について更なる評価を行うことが望ましい。
・このため、介護福祉士の配置が手厚いと考えられる事業所を評価するサービス提供体制強化加算等の取得状況を加味して、加算率を二段階に設定することが適当である。なお、より精緻に経験・技能のある介護職員が多い事業所や職場環境が良い事業所を把握する観点から、その方法について、今後検討することが必要である。
(4)事業所内における配分方法
○ (1)の基本的な考え方を踏まえ、経験・技能のある介護職員、その他の介護職員、その他の職種の順に配分されるよう、事業所内の配分方法は以下のとおりとすることが適当である。なお、配分に当たっては、経験・技能のある介護職員、その他の介護職員、その他の職種について、こうした区分ごとの平均の処遇改善額を比較することとし、それぞれの区分内での一人ひとりの処遇改善額は柔軟に設定できることとする。
マル1経験・技能のある介護職員、その他の介護職員、その他の職種の設定の考え方
・経験・技能のある介護職員は、勤続10年以上の介護福祉士を基本とし、介護福祉士の資格を有することを要件としつつ、勤続10年の考え方については、事業所の裁量で設定できることとする。
・その他の介護職員は、経験・技能のある介護職員以外の介護職員とする。
・その他の職種は、介護職員以外の全ての職種の職員とする。
マル2具体的な配分の方法
・経験・技能のある介護職員において、月額8万円の処遇改善となる者又は処遇改善後の賃金が役職者を除く全産業平均賃金(年収440万円)以上となる者を設定・確保すること。これにより、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を実現。
※小規模な事業所で開設したばかりである等、設定することが困難な場合は合理的な説明を求める。
・経験・技能のある介護職員は、平均の処遇改善額がその他の介護職員の2倍以上とすること。
・その他の職種は、平均の処遇改善額がその他の介護職員の2分の1を上回らないこと(※)。また、更なる処遇改善において、リーダー級の介護職員について他産業と遜色のない賃金水準を目指す中で、改善後の賃金額が役職者を除く全産業平均賃金(年収440万円)を超えない場合に改善を可能とすること。
※平均賃金額について、その他の職種がその他の介護職員と比べて低い場合は、柔軟な取扱いを可能とする。
○ なお、その他の職種への配分について、より事業所の裁量を認めるべきであるとの意見や、一部の職員に過度に配分することによる職場環境への影響に留意すべきとの意見、小規模事業所について、法人単位での対応を可能とする等の配慮を求める意見もあった。
2.介護保険サービス等に関する消費税の取扱い
(1)基本単位数の取扱い
○ 基本単位数の上乗せ率については、人件費、その他の非課税品目を除いた課税経費の割合を算出し、これに税率引上げ分を乗じて基本単位数への上乗せ率を算出することが適当である。
(2)加算の取扱い
○ 課税経費の割合が大きいと考えられる加算については、基本単位数への上乗せと同様に課税費用に係る上乗せを行うことが適当である。
○ 一方、上乗せすべき単位数が1単位に満たない等個別に上乗せ分を算出して対応することが困難な加算については、基本単位数への上乗せに際し、これらの加算に係る消費税負担分も含めた上乗せ対応を行うことが適当である。
○ その際、単位数ではなく基本単位数の割合で設定されている加算や、交通費相当額で設定される福祉用具貸与に係る加算については、上乗せ対応を行わないことが適当である。
(3)区分支給限度基準額
○ 消費税引上げに伴う基本単位数等への上乗せ対応を行うことにより、従前と同量のサービスを利用しているにもかかわらず、区分支給限度基準額を超える利用者が新たに生じる可能性があること等から、消費税率引上げの影響分について、区分支給限度基準額を引き上げることが適当である。
(4)基準費用額、負担限度額
○ 2017年度介護事業経営実態調査による平均的な費用額と基準費用額を設定した際の平均的な費用額に一定の変動幅がみられるとともに、一部費用については、消費税率引上げにより負担が増加することが見込まれる。このため、利用者負担への影響を加味しつつ、8%から10%への消費税率引上げによる影響分を現行の基準費用額に上乗せを行うことが適当である。
○ また、基準費用額については、今後介護事業経営実態調査で実態を把握した上で、どのような対応を図るべきか引き続き検討することが適当である。
○ 他方、食費・居住費に係る負担限度額については、入所者の所得状況等を勘案して決めており、これは消費税率の引上げにより直接的に変動するものではないことから、見直しは行わないことが適当である。
○ なお、基準費用額について実態把握の方法に関する意見や、消費税の影響分のみならず実態を踏まえた対応を行うべきとの意見もあった。
(5)特定福祉用具販売、住宅改修サービス費及び福祉用具貸与
○ 特定福祉用具販売及び住宅改修サービス費については、市場価格による保険給付が行われており、特段の対応は行わない一方で、本年10月から設定された福祉用具貸与の上限額について、税率引上げ分を引上げることが適当である。
 以上が審議報告の案でございます。
 これに加えまして、参考資料1、2について御説明をさせていただきたいと思います。
 参考資料1でございます。
 2ページ、前回の介護給付費分科会で御指摘のあった事項についてというタイトルがついておりまして、3ページ目、4ページ目に新しい資料をお示ししております。
 3ページ、介護サービス事業所における給与の状況ということでございまして、こちらは平成29年度の介護事業経営実態調査のデータでございます。常勤1人当たりの給与費ということで、基本給、手当、一時金のほか、法定福利費、そして、退職金も含むということでございます。
 それぞれ訪問看護事業所における看護師の給与、准看護師の給与、福祉用具貸与事業所における福祉用具専門相談員の給与、居宅介護支援事業所における介護支援専門員の給与、各介護サービス事業所における介護職員全体の平均給与、これは加重平均したものでございますけれども、これをお示ししたものでございます。
 4ページ目、介護職員処遇改善加算の取得促進支援事業の実施計画についてということでございます。これは今年度事業を行っているものでございますけれども、下の注にございますが、現在、老人保健課において、23都府県、そして、1政令都市から聴取した結果に基づき作成したものでございます。そして、この事業を行っている各都道府県の計画の数でありますので、実際の助言・指導件数は年度末に当たって異なることが想定されます。そういう前提でお示しをしているものでございます。
 これらの都道府県、1政令指定都市から御報告いただきました助言・指導等を行う介護施設・事業所の数としては、全体では2,000件余りということでございます。そのうち、この介護職員処遇改善加算IVとV、そして、未取得という事業所を対象としている数が1,274ということで6割強、その中でIV、Vを算定している事業所は、それぞれ181、176、そして、未取得が917という割合であったということでございます。
 5ページ目以降は、これまで参考資料としてつけてまいりましたものを再度まとめて抜粋しておつけしているものでございますけれども、6ページ目が新しいスライドになります。今回の新しい経済施策パッケージに基づく介護職員のさらなる処遇改善ということでございまして、前回までの審議会で御議論いただきました内容を1枚にまとめるとこういうことではないかということで、まず2000億円を加算率の設定でサービス種類ごとに配り、その後、事業所内での配分が行われる。その後、事業所内での配分は、この6ページ目の右側のような形でお配りできるようなものかなということで、イメージとしてお示ししたものでございます。
 7ページ目以降はこれまでお示ししたものでございますので、説明は割愛させていただきます。
 次に、参考資料2を御説明申し上げます。こちらはおととい12月17日に予算の大臣折衝がございました。その後、報道発表した資料を抜粋したものでございます。
 大臣折衝を踏まえ、平成31年度の介護報酬改定(2019年10月実施)は以下のとおりとなったということでございまして、1.介護報酬改定はプラス0.39%という改定率になったということでございます。
 ※がございまして、補足給付に係る基準費用額の引き上げ分の対応として、別途国費7億円程度。
 2.新しい経済政策パッケージに基づく介護人材の処遇改善は、これは国費で申し上げまして210億円程度でございます。
 この210億円程度について付言させていただきますけれども、公費1000億との関係でございます。公費1000億といった場合には、国がその半分、そして地方自治体がその半分ということでございますので、国費で申し上げますと、満年度ベースで500億ということになります。今回、この処遇改善加算に関しましては、10月実施ということになります。10月実施から6カ月あるわけでございますけれども、10月のサービス提供分に関しましては、11月に請求が行われるということでございまして、11月から3月まで、これは5カ月になりますが、5カ月分ということでございまして、国費500億円に12分の5を乗じていただきますと、大体この額になるということで御理解いただければと思います。
 事務局からの説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 では、ただいま御説明がありました事項について、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。
 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
 本日お示しいただきました審議報告案につきましては、特段の異論はございません。ただ、介護人材の処遇改善につきまして、2点申し上げさせていただきます。
 1点目、議論を開始する際にも申し上げましたとおり、今回の処遇改善の財源なのですけれども、本来消費税などの通常の介護報酬とは別途の財源のみにより対応すべきというところなのですが、この分科会で議論をする前から実質的に報酬改定により対応することが決まっていたことについては、非常に残念でございます。本来は介護保険を所管する厚労省がイニシアチブをとって、財源のあり方を含めこの分科会で議論すべきであったと考えており、厚労省におかれてはこの点をしっかりと認識した上で処遇改善に限らず今後このようなことがないように取り組んでいただければと考えております。
 2点目でございますが、今回の処遇改善も含めまして、引き続き厚労省においてしっかりと実施状況を把握し、この分科会に御報告いただくようにお願いいたします。また、介護人材の確保を図るためには、処遇改善だけではなく、働きやすい職場環境を整備していただくことがとても重要な要素であることは、今回の議論で改めて確認されたことと考えております。
 医療介護総合確保基金の有効活用など、限られた財源の中で実効ある取り組みが行われるように、厚労省におかれましては、さらなる検討を進めていただきまして、介護職が魅力のある職種であるということになるような取り組みをぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 今回の処遇改善施策については、この場で何度も言ってまいりましたが、介護サービス事業所の賃金のベースアップにつなげる必要という認識を事務局で示していただいた上で、今回は限られた財源で限定的な仕組みとしてやるということになるという報告です。この点について、政府として一億総活躍と言ってきて、介護人材の確保のために処遇改善をしていくということであったはずですので、今回その対象にならないサービスや事業所、また、十分な配分を予定されないような労働者がいることについては、置いてけぼり感を持たれることを非常に懸念しております。
 今回、その処遇改善で月額8万円、または年収440万円という目標が具体的に示されたということ自体は画期的だと思っています。ただ、それが1人以上設定すればよいということですので、この1人ということがまた懸念でして、これで人材確保につながるのかということが非常に心配でございます。やはり介護分野全体の賃金が全産業平均以上になるということが、この誇り高い仕事には当然であると考えております。今般の処遇改善は第一歩であって、この先、さらに全体の底上げに向けて処遇改善に取り組んでいくことが必要だと思っております。その点については、この報告案の2ページ目の2つ目の○のところには意見があったというくだりがございますので、少なくともさらなる継続的な処遇改善を政策的に行う必要性があるというと、今後のことについても書いていただきたいと切に願います。
 月額8万円、年収440万円という金額を示された点については、目標としていいことだと思っているのですけれども、今後の賃金上昇や地域間の賃金や物価の差ということを十分に考慮しているわけでもないので、そういう観点からも2ページの1つ目ないし3つ目の○で今後の検討ということが書かれていることは、非常に重要だと思います。勤続10年以上の介護福祉士の数に応じて加算率が設定されるということですので、しかも、そのサービス提供体制加算などがとれていないところにおいては、さらに一段低い加算率ということで、そういった事業所においても1人は月額8万円ないし年収440万円の処遇改善が求められます。職場の人間関係の影響について前回指摘しましたが、そういう観点からも検証が必要だと思っています。
 また、大変難しい新しい仕組みですので、事業所から敬遠されて算定されないということになっては身もふたもないということになりますので、そういう観点からも検証は非常に重要だと思っています。
 これに絡めまして4ページ目の1つ目の○、上から3分の1ぐらいに「なお」と書いてあるところなのですが、「一部の職員に過度に配分することによる職場環境への影響に留意すべきとの意見」ということで、私がこれまで言ってきていることを考慮していただいたとは思うのですが、職場環境という文言が先ほどから言っている人間関係を意味しているのかどうかを御質問させていただきます。
 2ページ、これは書いていないのですけれども、事業所への配分に関するところです。これまでのように賃金規程などを提出させてキャリアパス要件という形で確認をしていくということなのだろうと思うのですけれども、今般、均等待遇原則を具体化させることになっていますので、それに関する省令の施行にあわせてということだとは思いますが、非常勤、つまりパートや有期、多分外国人労働者、技能実習生なども有期の場合が多いのではないでしょうか。それに派遣の均等待遇が必要だと今まで言ってきました。このような労働者にも均等待遇が求められることになりますので、就業規則が形式的に提出されたということだけでなく内容を確認していただきたいと思います。
 4ページ、先ほど言ったところなのですけれども、「小規模事業所について、法人単位での対応を可能とする等の配慮を求める意見」については、小規模事業所に限らず複数のサービスを提供している事業所だとか、全国展開しているところもあったりするということで、小規模に限らず法人単位での対応については検討していく必要があるのではないかとの指摘が現場から出ていますので、配慮をお願いできればと思います。
 長くなって申しわけないのですが、最後、参考資料1ですけれども、3ページから4ページに、私からこの間申し上げたことに対して資料を出していただいたと思うのですけれども、遅きに失していると言わざるを得ません。最後の段階で出てきた。しかも、これは8ページとか9ページに出ているような賃金構造基本統計調査とか介護従事者処遇状況等調査を使ったものとは全く違います。3ページの出典である介護事業経営実態調査では法定福利費や退職金、残業代も入っていますから、全く比較にならないものでして、こういうものはもっと早くきちんと公平な資料として出していただきたかった、誤解を招かない形で議論をさせていただきたかったということで申し上げたいと思います。
 4ページ、取得促進支援事業の実施計画については初めて見ました。現行の処遇改善加算(IV)は181事情所、同じく(V)は176事業所に助⾔・指導等を行う計画が出ているということで、これは後ろのほうにあります、加算を算定している事業所の数と比較すると15%程度なので、十分行き届いているとは言いがたい状況です。
 この点については、現行の処遇改善加算(I)から(III)を今度とれば2階の新加算もとれる可能性があるということを、少なくともきちんと一つ一つの事業所に個別に周知していっていただきたいと思っています。この点は意見として書いていただいたところだと思いますので、何か取り組みを御検討いただけるのでしたら、ぜひ御説明いただきたいと思います。
 以上、2点ほど御質問させていただきます。
○田中分科会長 質問にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 まず、御質問を2ついただいてございます。4ページでございますけれども、上から1つ目の○になります。「なお、その他の職種への配分について」ということでございまして、その2行目でございますが「一部の職員に過度に配分することによる職場環境への影響に留意すべき」、伊藤委員から、この職場環境に人間関係というのは含まれるかというお尋ねでございまして、これは当然含まれるものと考えているものでございます。また、それを含めてもう少し広く読めるように書いておると思っております。
 参考資料1の4ページでございます。介護職員処遇改善加算の取得促進支援事業の実施計画に関連した御質問ということでございました。まず、伊藤委員から御質問をいただいた資料を示すべきという御指摘に対して、きょうのタイミングになりましたことをおわび申し上げたいと思います。以後は適切なタイミングで御議論に供するように努めたいと思います。
 その上で、丁寧な周知が必要ということは私どももそのとおりだと思っております。ここに関しては、今回この処遇改善加算の新しいものが、非常にこれまでのものよりもかなり複雑というか、込み入ったものであるということから、事業者には相当私どもは丁寧に御説明をして、御理解を得る努力は必要だと思っております。その具体的な方法は、今これですと申し上げるアイデアがあるわけではございませんけれども、何らか手当てをさせていただいて、御理解を促進する。それから、事務負担にも少し配慮できるような、そういう取り組みを何らか行わなければならないのではないかと思っているところでございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 どうぞ。
○伊藤委員 長くなって申しわけないのですが、あと1つだけ発言させてください。今の周知のところですけれども、現行の処遇改善加算(I)から(III)を今とれていない個別の事業所にぜひ接触をしていただきたいと思うのです。地方自治体などを通じて伝えるということもあり得ると思います。仮にそのような場合、また来年になると課長会議などがあると思いますが、口頭説明ではなくきちんと文書として通知するという形で、担当者が変わってもこの理解が変わったりしないようにするとか、個別対応を含め自治体に対する周知を十分丁寧にお願いしたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 周知徹底並びに効果検証について、きちんと行うべきという意見を言っていただきました。
 河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
 今回の審議報告案、基本的には異論はございませんけれども、その上で3点ほどコメントをさせていただければと思います。
 1点目は、先ほど安藤委員からもお話がございましたし、この報告案にも書いていただいておりますが、処遇改善というのは本来、労使間の協議・調整で行われるべきものですが、特定職種の処遇改善を行うということであれば、それは税で対応するのが筋であって、保険料を充てるということは被保険者、事業主の理解が得られません。私どものその主張は現在も変わっておりません。
 今回2000億円もの巨費を財源として行われるさらなる処遇改善ということで、これがその介護人材の効果的な確保につながらなければ意味がないし、その絶好の機会ということでいろいろ意見を申し上げました。従来から申し上げているとおり、離職理由の上位に挙がっております職場環境改善に向けた要件については、今回必ずしも十分とは思いませんけれども、2ページ目の○の2つ目の「その際、職場環境等要件に関し、実効性のあるものとなるよう検討することが適当である」と書いていただいたことについては、一定の評価ができるかなと思っております。
 逆に言うと、せっかく書いていただいた以上、職場環境等を改善する重要性について、分科会で示されたデータとか、あるいは御意見とか、そういったものを踏まえつつ、今後発出される通知に明記していただくとか、要するに、単にこの職場環境要件について、従来1つだったものを複数取り組めばよいということではないということを通知等で明記することによって明確化するなどの工夫をぜひ行っていただきたいと思います。この点、前回の委員会でも申し上げましたし、また、同意見の委員の方はかなりおられたと思いますので、よろしくお願いいたします。
 3点目でございますけれども、これは既に何人かの委員の方もおっしゃっていますが、今回のこういった改善が最終的に職場環境改善、あるいは、もっと言えば職場定着、離職低下、それらにどの程度寄与したのかという効果検証をしっかりやっていただいて、PDCAを回して、それをまた次期の通常改定に向けた課題としてしっかり対応していただきたいと思っております。
 以上、3点申し上げました。
○田中分科会長 職場環境要件に関して御懸念がありましたが、大丈夫ですか。単に複数行っているという宣言だけではだめだとおっしゃいましたが。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 御指摘いただきましたところ、2ページの下の4分の1ぐらいのところでしょうか。「実効性のあるものとなるよう検討することが適当である」という御指摘、これは河本委員におっしゃっていただいたとおり、前回の分科会でも複数の委員から御指摘をいただいたと受けとめておりまして、それを表現した文章でございます。私どもとして、この設定に関しまして、今、詳細なデータを集めているところでございます。その上で、こういった加算を設けるときにどのぐらいの事業所でちゃんと算定していただけるものか。そして、それが実際に職場の環境改善につながっていくものかというところを担保できるような形で設定したいと思っております。ですので、そこは事業者の皆様等の意見も丁寧に聞きながら、実際に実効性のあるものとなるように要件を設定するということで考えているところであります。
 以上です。
○田中分科会長 井上委員、どうぞ。
○井上委員 既に出ている意見と重なりますけれども、今回の審議報告案につきましては、特に基本的な考え方のところに大体私どもの主張を含めていただきましたので、異論はございません。
 その上で、何人かの委員からも出ましたけれども、この効果をしっかり検証して、この分科会で御報告をお願いしたいと思います。
 今回2000億円という非常に大きな政策になりますので、定着率という点では恐らく効果が出てくるのだろうと思いますけれども、これが特に新しい人材を確保していくというところにどのぐらいの効果が出るのかというのは検証してみないとわからないと思いますので、そのあたりも含めて検証をお願いしたいと思います。
 特に今申し上げた新しい人材の確保というところにつきましては、広報とか、いろいろな形で新規の人材を獲得する努力を、これは厚労省のみならず関係業界の皆様も含めて人材確保に努力をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 石田委員、お願いします。
○石田委員 ありがとうございます。
 2ページの一番最後にありますサービスの種類ごとの加算というところと、3ページの頭で「経験・技能のある介護職員が多いサービス種類を高く評価する」という表現があります。サービスの種類においても経験や技能の大変高い介護のスタッフがかかわっているところのサービスについては評価が高いということだと理解しているのですけれども、前にも質問したのですが、今後こういったことが発表された後、介護の仕事に従事する人たちが目標を持って、自分もキャリアを積んでいきたい、技能を高めていきたいと思うときに、この経験とか技能という言葉の中に含まれた具体的な内容について、どういったことを積み、どういった内容のスキルをアップするかということが今後具体的に提示されていくのかどうかということをお聞きしたいと思います。介護という言葉には非常に幅広い意味がありますので、いろいろな立場の人がいろいろな解釈をしているのではないかと思っております。隣接領域の看護とかリハビリテーション、あるいはケアマネジメントもそうなのですが、そういった関連領域に多様な形でかかわっているのが介護」ではないかと私は受けとめております。
 今後は厚労省としてもこういった経験とか技能、これは今回の資料の中で重要なタームと思いますけれど、その具体的な内容についての指標のようなものを提示していただける予定があるのかどうか。実際にそれを目指す人たちにとっての目標というものがちゃんと持てるのかどうか。その辺のところをお聞きしたいと思いますよろしくお願いします。
○田中分科会長 お答えいただけますか。
 振興課長、お願いします。
○尾崎振興課長 振興課長でございます。
 この加算に直接関連してお示しできるかどうかという問題とは別に、職員のキャリアアップなりスキルアップは大事なことだと思ってございます。関連の資格として当然介護福祉士なりの資格もございますし、また、シルバーサービス振興会さんのほうで、キャリア段位という形で個別具体的な介護の場面で、どういうことができてどういうことができていないか。そのようなものを個別に判断していくようなシステムもございますので、そういったものも広く周知、活用していただきながら、各職員がどのぐらいのレベルにあって、その次にどこを目指せばいいのか。そういうことも含めていろいろと我々としても考えさせていただければと思っています。
 直接の回答ではないかもしれませんけれども、職員のキャリアアップについて、今のように考えているということでございます。
○田中分科会長 石本委員、どうぞ。
○石本委員 ありがとうございます。
 2点ほど。前回も申し上げさせていただきましたが、この報告書に関して何かをいうことはございません。ただし、懸念を1点申し上げると、参考資料1で申し上げたほうがいいと思うのですが、6ページにフローチャートを今回また新しく入れてございます。前回も申し上げたように、事業所内での配分でマル1、マル2、マル3という段階づけがあって、どのような配り方をするかは事業所の判断に委ねるということで、余りここで事細かにルールをつけ過ぎるというのは現場のほうが配分するときに配分しづらいところがあろうかと思うので、マル1、マル2、マル3の逆転現象が起きてしまうようなことはないように、適切に事業主が判断されるところだろうと思います。そこの部分は心配しており、本来、手厚く配分されるべきところの要素が薄まってしまうのは、効果が薄れてしまうのではないかと懸念しております。この辺は解釈が示せるような形になるといいなと思うところです。
 それと、今回リーダー級の介護職が明示的に出されているというところに関しては、今までの議論の中でも特にチームマネジメントなどがしっかりできる人材が介護というのは今から先、特に必要だという中で、私ども職能団体としては、そういった人材を養成していきますということを申し上げてきました。今、石田委員の御質問にも関連づくところなのですけれども、介護に関する専門職の介護福祉士というものについては昨年社会局で示されておりますけれども、求められる介護福祉士像というものが10項目あり、その示された10項目を目指して人材養成をしましょうという厚労省としての方向性が示されておりますので、示されたスキルなどを踏まえつつ、今後リーダー級もしくは経験と技能というものを見据えた人材がどうあるべきかというところはリンクさせてお考えいただけるとありがたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 田部井委員、どうぞ。
○田部井委員 認知症の人と家族の会ですけれども、今回の措置というのは、もう経営者と働いている人との間で自律的に決定するものだと委ねていてはどうしようもないので、こういう手当てが必要だということで登場してきたものではないかと考えています。
 私どもは利用者ですので、税金も負担をしなければいけません。保険料も負担をしなければいけません。その上、利用料も負担しなければいけません。そのいずれもが余るわけですね。でも、それでも今回の措置は必要であるということで、受け入れてきたつもりです。もちろん1000億円というお金を使えば、無限にお金があるわけではありませんので、どこかで何か別の形で生活上のものが削られるのではないかという懸念もあります。それでも今回の措置は必要であったと私どもは考えています。
 直接は関係ないかもしれないのですけれども、保険料も上がるわけです。そうすると、2019年度の後期分、少なくとも5カ月分は保険料が上がることになると思うのですけれども、その金額は420億円ということになるのだろうと思うのです。その数字というのは、平均的なあれになるかと思うのですけれども、保険料が1人について幾らぐらい、何%上がるとか、そういう試算がもしありましたら教えていただきたい。
 それから、このアップというのは、やはり2019年の11月からすぐに上がるものなのか、次の改定からということになるのか、その辺も方向が決まっておりましたら教えていただきたいと思います。
○田中分科会長 保険料についての質問にお答えください。どなたがお答えになりますか。
 どうぞ。
○橋本介護保険計画課長 介護保険計画課長です。
 この介護職員の処遇改善に係る保険料の増分につきましては、7期の介護保険料を設定していただく際に、こういったことも前提に保険料の基準額の設定をしてくださいということで自治体にはお願いをさせていただいております。その前提ですので、7期につきまして、今回の措置につきましては保険料の中で設定がされていると理解しております。
○田中分科会長 よろしいですか。
○田部井委員 どれくらい上がるかという試算がもしあれば教えていただきたいのですけれども。
○橋本介護保険計画課長 その件につきましては、設定していただくときには大体見込みとしては0.4%分ということで見込んでいただきたいということをお願いしておりました。ですので、改定率は0.39ということですので、大体見合っているのではないかと考えております。
○田中分科会長 老人保健課長、どうぞ。
○眞鍋老人保健課長 若干補足させていただきます。
 消費税対応分で実際に介護報酬を0.39上げる分に関しては、今の計画課長の御説明したとおりでございます。この処遇改善の分を含めまして、大体保険料に関しましては2%ぐらい上がるということで見込むようにお願いしたところでございます。実際の保険料額は自治体によって変わりますので、幾らというのはなかなか申し上げられませんけれども、2%分ぐらいと思っていただければと思います。
○田中分科会長 瀬戸委員、お待たせしました。
○瀬戸委員 ありがとうございます。
 報告書案については特に異存はないのですが、2~3点、今後に向けての意見を述べさせていただきます。
 2ページの一番最後、サービス種類ごとの加算率についてですが、今回は勤続10年の介護福祉士の割合でということになっていますけれども、以前からほかの方からもありましたが、介護業界全体に長く勤めたということを評価するという考えもあると思います。今後見直しをする際には、サービスごとに限定することではなく、業界に勤続したということも計算できるような、勘案できるようなことにしていただければと思います。
 2つ目のサービス種類内の加算率に関してですけれども、2段階設定のための加算要件についてですが、特養の日常生活継続支援加算について、これは1年間の入所のうち要介護IV、Vが何%とか、そういう基準があるのですが、実は非常に質の高い介護をすることで1年間入退所がないというところは加算設定できないという加算になっていますので、そこに配慮するような設定ができればお願いしたいなと思っております。
 5ページの消費税に関してです。基準費用額に関してですけれども、今回に関しては消費税への対応ということで仕方がないなと思っておりますが、○の2つ目に書いていただきました通り、今後、実態調査も踏まえて、実情を勘案しながら基準費用額の検討をするということが書かれていますので、ぜひこれを継続してやっていただきたいなと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 東委員、どうぞ。
○東委員 全老健の東でございます。
 おおむねこの審議報告(案)については同意をするところでございますが、2~3点意見を述べたいと思います。
 まず資料の2ページ、(2)加算の対象(取得要件)の2つ目の○の3つ目のポツでございます。先ほどから職場環境等要件の話も出ておりますが、私もこの職場環境要件に関して実効性のあるものを、と御意見を申し上げました。これをきちんと書いていただいたことを評価したいと思います。
 同じく3ページ、マル2の2つ目のポツでございます。今回、サービス種類内の加算率が2段階になっていますが、現在あるサービス提供体制強化加算等で段階を決めるということでしか、今は分けようがないのですが、これが「より精緻に経験・技能のある介護職員が多い事業所、職場環境がよい事業所を把握する観点から、今後検討する」という文章も入れていただいたことを評価したいと思います。ぜひ現場の職員に合った加算率の段階を設定できるよう、今後もまた検討していただきたいと思います。
 最後に5ページ、消費税の基準費用額についてですが、今も瀬戸委員からもお話がありましたが、前回消費税8%になったときに基準費用額は全く上がらなかったので、今回上乗せをしていただけるということで、これは大変ありがたいと考えております。最後の○のところにも、「基準費用額について実態把握の方法に関する意見」等と記載がありますが、私も基準費用額の居住費の設定における減価償却等について御意見を申し上げましたけれども、それが反映されたものだと考えておりますので、これも感謝を申し上げたいと思います。
 ただ1点だけ、今回基準費用額については、実態把握等をして検討するということが書いてありますが、基準費用額というのは補足給付の中の一部でございます。補足給付の実態についても余りデータがございません。老健の入所者で6割、特養の入所者で7割という補足給付の利用の実態についても、実際に第4段階の方の食費や居住費と基準費用額がどれぐらい乖離しているのか、第4段階の方の食費や居住費も基準費用額に合わせている事業所が多いのかなど、そういうデータは全く示されておりません。ぜひ基準費用額だけではなくて、補足給付の使われ方自体の実態調査を行って、低所得者対策である補足給付、現在のたてつけが適当であるかどうかはきちんと議論していくべきだと思います。
 以上です。
○田中分科会長 今後の調査について御意見をいただきました。ありがとうございました。
 今井委員、どうぞ。
○今井委員 1点だけ要望ということでお話をさせていただければと思います。
 3ページの(4)の事業所内における配分方法についてですけれど、前回の介護給付費分科会以後、この部分についてかなり反響がありました。事業所単位の配分方法では、中小規模の事業所では対応がかなり厳しいという意見をいただいています。先ほど伊藤委員からも御指摘があったのですけれども、前回も申し上げたのですが、法人単位での対応も可能とできるような配慮をしていただきたいことをお願いしまして、発言を終わらせていただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤(訓)委員 処遇改善加算の取得要件の中の職場環境要件について、先ほど事務局からの回答で、実効性のあるものという部分に関して、通知等で明確に示されるということを伺うことができました。経験・技能のある職員の確保、定着という観点からすれば、当然マネジメント研修の受講支援あるいは管理者の育成、質の向上等に取り組んでいるということとつなぎ合わせて、取組みが複数ということのみならず、ある程度の項目を必須にして通知等で示すことを検討していただきたいと考えています。
 処遇改善の配分方法については、事業所の裁量を少し認めているような状況になっており、基本給に反映させるなり、手当に反映させるということは事業所の判断なのでお任せしたいとは思うのですけれども、今後処遇改善の効果を検証する際には、労働の実態というものを踏まえた上で、加算等についての要件を考えていくというのが必要なのですが、なかなかそのあたりがまだ出てきていない。夜勤体制や休憩がとれているのか等、夜勤の問題というのは必須になってくると思うのですけれども、なかなかこういった場で出てこない。この場が検討の場なのかどうかということもあるのですけれども、検証調査につきましては、夜勤労働の実態等を踏まえて調査設計をしていただければと思っています。
 3ページ目のマル2の、事業所内での具体的な配分の方法のところで、※の「小規模な事業所で開設したばかりである等、設定することが困難な場合は合理的な説明を求める。」の部分が気になっております。確かに新設の小規模なサービス事業所には、設定するのが困難という事業所の事情も様々あるのではないかと思っており、この「設定することが困難な場合」の解釈が多様になるのではないかと危惧しております。例示を多くするなど、ローカルルールでいろいろなものが決められていくことにならないような形をぜひお願いしたいと思っています。
 今回は政策パッケージの趣旨として、介護人材の確保というところが非常に大きく、介護職員の処遇改善がメインということでしたが、今後の介護ニーズが、利用者の高齢化に伴い多様化・複雑化することを考えていきますと、介護職員以外の介護に関わる職種の技能やマネジメントの評価など、そういったところまで本来は考えていかなければいけないのではないかと思っています。次回改定に向けては、多職種連携のもとでクオリティーの高いサービスを提供している事業所の評価に向かうような、検討ができればと考えています。
 以上です。
○田中分科会長 設定することが困難な場合に関する御懸念がありましたが、これは大丈夫ですか。
 ちゃんと考えるそうです。
 小原委員、どうぞ。
○小原委員 まず、審議報告案につきまして異論はございません。その上で2点意見を述べさせていただきます。
 まず1ページの(1)基本的な考え方について、今回の介護人材確保のための取り組みは、介護人材の確保や定着の面でも大きなインパクトになると思います。それと同時に、サービスの質や技能ということももちろん重要なのですけれども、利用者さんにとって信頼、安心できるケアスタッフに長く寄り添ってもらうということは生活支援の基盤となることであって、大きなことだと思います。
 ここについて、多職種の処遇が向上して介護業界の仕事を長く続けられることが、利用者さんが安心して生活を続けられる重要な要素ですので、前回も申しましたが、その他の職種への柔軟運用では施設等に従事する介護支援専門員も対象にしていただきまして、本当にありがたく思います。
 2点目ですけれども、4ページの(3)区分支給限度基準額についても引き上げていただきまして、これで利用者さんに必要なサービスが引き続きプランニングできることになりましたので、感謝をいたします。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 江澤委員、お願いします。
○江澤委員 審議報告につきまして、やむを得ない部分もありますけれども、全体的には賛成したいと思います。
 その上で、まず1ページ目の基本的な考え方の3行目に、他産業との賃金格差がまだ存在しているということで、今までの介護職員の処遇改善で月額平均5.7万円上積みされている中でまだまだ賃金格差があるということは、これは以前も申しましたが、賃金のベースアップの問題、あるいは他産業と比べて賞与の支給額、どうしても介護報酬がなかなか上げづらい状況の中で、そういうことが起きています。一方で、介護報酬の大半は人件費に消費されていますので、今後そのあたりにも着目して処遇改善を御検討いただければありがたいかなと思っています。
 その下の2行のところに、今後も介護報酬における加算として必要な対応を講ずることが適当という、処遇改善加算が適当と書いてありますが、これは今までも委員の皆様から複数御意見が出ておりますけれども、今後もとございますが、今後も介護職員の処遇改善加算がいいのか、あるいは交付金という考え方がいいのか、もしくは基本報酬に組み込むことがいいのか。ここはいろいろ議論していかないと、ここは複数の委員から意見が出ていることだと思いますので、指摘させていただきました。
 2ページ、(2)の中ほどの○の1個目のところに、この加算の算定要件が「現行の介護職員処遇改善加算(I)から(III)を取得している」、それから、3ページの上のマル2の3行目あたりから「経験・技能のある介護職員の数が多い事業所や職場環境が良い事業所について更なる評価」、その次にも「介護福祉士の配置が手厚いと考えられる事業所を評価」とありますけれども、今回はやむを得ないのですが、今回の施策につきましてはあくまでも事業所の評価ではないはずであって、介護職員のお一人お一人の処遇を改善するということですから、近い将来に向けまして、各事業所別の事業所における職種別の配置数であったり有資格者の有無、あるいは職員の勤続年数等をぜひ詳細に調査していただいて、介護職員に平等に、公平に、こういった配分がなされるように、これは要望としてお願いしたいと思います。
 それから、今回は経験・技能のある介護職員は勤続10年以上の介護福祉士とおおむねされておりますけれども、経験・技能というのは決して勤続年数や経験だけではなくて、幅広い観点から評価されるべきだろうと思います。これも次回以降また御検討いただければ幸いでございます。
 最後に5ページの基準費用額ですけれども、基準費用額、今回は中身については議論しないというルールで行っておりますからよろしいのですが、次回の報酬改定までに、平成17年10月から全く基準費用額について数値が変わっていないということと、もともとの基準費用額の考え方ですね。食費・居住費、特に居住費の考え方であったり、そのあたりはぜひまた今後の検討課題としていただければありがたいと思っています。
 最後に、賃金だけではなくていろいろな職場環境の問題もありますし、どうしてもやりがいを余り今まで議論していないと思うのです。やりがいをどう高めていくのか。介護職員が誇りを持って活き活きと、時には楽しく有意義に仕事ができるということをどうつくっていくのかが非常に重要な課題ではないかと思っております。
 特に、私はお一人お一人の人生の最期まで尊厳を保障するということで、尊厳の保障というものをライフワークで取り組んでいるのですけれども、現場の介護職員も、お一人お一人がちゃんと状態が改善したり、笑顔がふえたり、あるいはいろいろ生き生きとしてくることに関しては非常に共感を持つわけで、これが介護の仕事のだいご味であり、お一人お一人がちゃんと幸せになることに共感するということが現場レベルでは一番モチベーションの向上につながると思っております。ですから、お一人お一人をちゃんと尊重したケアのあり方、特に集団的なケアからの脱却であったり、ケアの質を高めるということに余り取り組んできていなかったかもしれませんので、そういったいろいろなケアの質を高める指標であったり、あるいは療養環境の改善であったり、好事例を共有して、ぜひケアの中身の本質をどう高めていくかというところも今後御検討いただければありがたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 田中参考人、お願いします。
○田中参考人 済みません。風邪を引いていて大変お聞き苦しいかもしれませんが、日慢協の武久の代理で参りました田中でございます。よろしくお願いいたします。
 これまで余り上っていないようですので、女性の介護職員の産休・育休の問題について少しコメントをさせていただきたいと思います。
 経験年数10年ということでありますと、女性においては育休・産休ということで、欠席をしなければいけないところがあるかと思いますけれども、処遇ということに関すれば、しっかりと休める環境も非常に重要でございますので、そういった面の配慮に対しても、少し御配慮いただければと考えます。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 亀井委員、どうぞ。
○亀井委員 我々自治体、保険者の責務として、無駄や不当な支出をなくし、住民負担をできるだけ抑える。これは大きな柱だと思っているのです。そこでまた新しい制度がスタートします。しかしながら、これはやっていかざるを得ない、そんな制度である。こう理解いたしているのですが、それでは、誰がこれをチェックしていくのか。こういうことが非常に今後のテーマとなってきたなと思っているのです。こんなものはアウトカムとしてあらわれてくるのだ、そんなチェックは必要ないのではないかというわけにはいかぬ。これはかなりの財源が使われるわけですから、アウトプットの部分も非常に重要だろうと、こんなふうに思っているのですが、これについて御所見をお聞きしたい。
 もう一つ、これは大島局長にお聞きしておこうかと思っているのですが、今月8日未明に出入国管理法が成立を見たわけでございます。これは実は我々自治体が最も責任を負うようなことになってくるわけですね。それは我々自治体が市民として受け入れる覚悟があるのか、そして、事業所が正規職として受け入れる覚悟があるのか。こういうことになっていきます。これは社会保障と教育の問題等となってくるわけです。厚労省あるいはまた文科省の問題となってくるわけですが、これは当面する課題、幾つかあると思います。中長期的にこれをきっちり考えていかなければならない、その課題もあります。その辺のことを今局長はどのようにお考えか、ちょっとお聞かせいただければと思っています。
○田中分科会長 初めに効果検証ですね。アウトプットをきちんとはかれるかについてお尋ねでした。
○眞鍋老人保健課長 アウトプット、実際に結果がちゃんと出ているかどうかということでございます。私ども、そこは非常に大事だと思っております。もともと経済政策パッケージの中でこれを実現していくとうたっているものでございますので、そういうことが実現されるように私どもとしては御提案を申し上げたつもりでございますし、実際にそれは何らかの形では、事務負担にはもちろん配慮しなければいけないということは前提として、私どもとしては、その実績をちゃんと求めていくことは大事だと思っているところでございます。
○田中分科会長 局長、お願いします。
○大島老健局長 今、亀井委員から新しい在留資格について法案が通りまして、そのことでお尋ねがございました。年内に政府としての方針、それから、個別14業種の一定の方向性を出すということになります。
 重要なのは、来ていただく外国人の方に対して、日本人と同等以上の処遇をするということですので、安く使い倒すということではなくて、きっちりそれについての対価をお支払いするということが前提になります。介護の分野においては今までもそういう方針でずっとやってこられていますので、EPAにしましても、技能実習もこれから始まりますけれども、ぜひその方向できちんとした処遇をし、できれば本当に日本のいい介護技術を身につけていただくこともあわせ行えればと思っております。
 今後、これがどういうことになるのか。まずは日本としての社会保障とか教育の問題を同時に考えていくことになるわけですが、当面、最初の計画期間がございます。介護だと最初は6万人を上限にということになるわけですけれども、他の業種もそれぞれに条件を設けて取り組みが進んでいきますので、その間、こちらも検証というか、それがどういう状況になっているのか。地域での受け入れ、あるいはそれに対応した課題などが見えてくると思います。それらを踏まえて、これは国民全体として議論していって答えを出す問題ではないかと思います。それぞれに御意見は分かれると思いますが、まずは始めてみて、その情報、状況を共有しながら、次の時期にどうしていくのかを考えていくということかと思います。
 私個人としては、介護の分野を担当しておりますので、いい制度としてこれが受け入れられて、ぜひ次につながるような形で最初の取り組み、非常に肝心な時期ですけれども、しっかりいいものとしてこれを運用していきたいと考えております。
○田中分科会長 ほかに審議報告案について御意見はございませんか。
 ないようでしたら、審議報告案に関する審議は終了いたします。
 大きな修正を求める意見はなかったと判断いたします。微修正が必要かどうかについては、事務局と打ち合わせて判断いたします。
 今後の取り扱いについては、私に御一任いただき、もし何か微修正があった場合は、それを皆様にお送りするとともに、厚労省のホームページで公表する取り扱いでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○田中分科会長 ありがとうございます。
 ほかに「その他」で発言はございますか。
 田部井委員、どうぞ。
○田部井委員 認知症の人と家族の会です。
 前回12日のこの場でもお話をしたのですけれども、一定回数を超える生活援助を含むケアプランの届け出制度なのですが、「ケアマネジメントオンライン」というサイトでのアンケートの中に、自治体から回数をこれ以上しないようにと働きかけがあったという答えが15%あったというデータが画面上に出ていました。「ケアマネジメントオンライン」としては、厚生労働省にそのことについてインタビューして回答を得たということが載っておりました。厚生労働省の方の回答としては、御自分たちできちんと必要だと思って決めたものは、きちんと自信と誇りを持って実施するようにしてもらいたいということで、それをエールとして受け取っておられて、何と幅の広い寛容なあれを持った皆さんなのだろうと私としては思ったわけです。
 実際にケアマネジャーさんと毎日接している立場からしますと、ケアマネジャーさんが事業所ないし市町村と利用者の間で板挟みになっているというのはよくわかるのです。事業所としても市町村と利用者、あるいはケアマネジャーとの間で板挟みになっている。これは本当に一つ聞いた話だけですのでそれほどあれはないのかもしれないですけれども、自治体からにらまれたくないと事業所としては考えているということを聞いたこともございます。そういう中で、ケアマネジャーさんは仕事をしている。そのことにもっと誇りと自信を持ってと言われても、私どもは自信と誇りを傷つけているのは、あえてこういう届け出制度を設けていることではないかと。私たちはむしろケアマネさんを云々するよりも、ケアマネさんの気持ちはよくわかるというほうが、私たちの心情としてはそこにあると言っていいと思います。
 それから、数字だけ見たときには、こんなにたくさん市町村、自治体からそういう働きかけがあるのかということで驚き、かつ怒りも覚えました。そういうことをする自治体は本来の目的と違うのだから、きつい罰則を与えてほしいという発言をしようかと思ったのですけれども、よく考えみれば、小さな自治体で少しでも出費を減らしたいとかということを考えているときにこういう制度ができたら、それに乗っかってしまうこともやむを得ないことなのかとも思いました。そのように考えていきますと、やはり私はこの届け出制度は、ケアマネさんあるいは自治体も苦しい立場に追い込んでいる制度ではないかと。そのことによって私たち利用者は、支給限度額を超えてもいないのに不当な利用制限を押しつけられているというのが実態ではないかと思います。
 自立支援のために、多職種の視点を入れたケアプランをつくるためにこの制度があるのだということですけれども、より自立支援に向けたケアプランをつくるために利用者が利用を抑制される、こんなばかな話はないのではないでしょうか。もしそういう目的であれば、利用者にそんな負担を負わせるのではなく、もっと別の手立てでそれは講じられるべきではないかと私たちとしては考えます。
 これはこの分科会でも決めたことですので、委員の皆さんにももう一度お考えをいただきたいですし、厚生労働省としては、ぜひこの届け出制をもう一度きちんと検討して、できれば廃止するという方向に進んでいただくようにぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ほかにございませんか。
 では、事務局から次回の説明をお願いします。
○川口企画官 事務局でございます。
 次回の日程につきまして、またこれも事務局から追って御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、本日はこれで閉会をいたします。お忙しいところ、ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。

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