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2018年12月12日 第166回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成30年12月12日(水)14:00~16:00

 

○場所

ベルサール飯田橋駅前 ホール(1階)
東京都千代田区飯田橋3-8-5

○出席者

安藤、井口、石田、石本、伊藤、井上、今井、江澤、荻野、尾﨑(岡林参考人)、小原、河村、河本、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐藤、瀬戸(小泉参考人)、武久、田中、田部井、東、堀田、松田(敬称略)

○議題


1.介護人材の処遇改善について
2.介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について
3.その他

○議事

○川口企画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第166回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りましてまことにありがとうございます。
 会の開催に当たりまして、まず本日の委員の出席状況でございますが、大西委員、亀井委員より御欠席の連絡をいただいております。
 また、尾﨑正直委員にかわりまして、岡林明子参考人に御出席いただいております。
 瀬戸雅嗣委員にかわりまして、小泉立志参考人に御出席をいただいております。
 以上により、本日は21名の委員に御出席をいただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
 また、事務方で、社会・援護局福祉人材確保対策室長の柴田拓己が出席しております。
 それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
 では、以降の進行は分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 皆さんこんにちは。本日も引き続き「介護人材の処遇改善について」と「介護保険サービス等に関する消費税の取扱いについて」などについて議論いたします。
 事務局より資料の確認をお願いします。
○川口企画官 資料でございます。お手元のタブレットをごらんいただければと思いますが、議事次第、座席表、それから、委員名簿がございます。
 続いて、資料1「介護人材の処遇改善について」、資料2「介護保険サービス等に関する消費税の取扱いについて」という資料がございます。
 さらに、それぞれの参考資料ということで、参考資料1、参考資料2がございます。
 資料に不足がございましたら、事務局にお申しつけください。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 早速議題1「介護人材の処遇改善について」を取り上げます。事務局から資料の説明をお願いします。
 老人保健課長、よろしくお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 それでは、資料1に基づきまして、「介護人材の処遇改善について」御説明をさせていただきたいと思います。
 2ページから8ページまでが、これまで御議論いただきました内容を事務局の責任において整理したものでございます。このうち前回の本分科会で御議論いただきましたことを中心に御紹介をさせていただきたいと思います。
 3ページ、一番上に事業所内での配分についてということでございます。1つ目の○でございます。その中で、方向性としては賛同するが、他職種も勤務している。その後、どの職種にどう配分するかについて、事業所の判断が非常に重要という御指摘がございました。
 6つ目の○です。経験・技能のある介護職員への重点化という点を踏み外してはならない。実際の配分が1~2万円というのは少ないという御指摘もいただいたところでございます。
 さらにその2つ下であります。事業所内での配分について、事業所間で設定方法があまりに異なると、働く事業所により労働者間に不公平がでる可能性があるため、全て事業所任せにするのではなく、一定のルールの設定が必要ではないかという御指摘もいただいていたところでございます。
 4ページ、対象サービスについてでございますけれども、上から2つ目の○でございます。処遇改善の対象となっていないサービスで働く者の賃金実態についても示した上で、処遇改善策について提起してほしいという御指摘もございました。
 6ページ、上から3つ目の○以降が前回いただいた御意見をまとめて記載しているところでございまして、現行の介護職員処遇改善加算(I)から(III)を要件化することは賛成。さらに、人材定着につながることが必要であり、離職原因として多い人間関係や、両立支援の取組状況等の報告を求めることや職場環境改善に複数項目を取り組むことを求めてはどうか。職場環境改善に関する取組の好事例を横展開してはどうかというものでございます。
 4つ目の○です。公正な評価制度や賃金制度等が、加算対象労働者全体をカバーしていることを要件としてはどうか。
 5つ目の○でございます。介護職員の人材確保や定着支援の観点から、処遇改善加算(I)から(III)を取得しているということでなく、処遇改善加算(I)の取得に限定すべきではないか。また、追加の要件を検討し、加算率に差をつけることも必要ではないか。
 その次の○でございます。処遇改善加算(I)と、処遇改善加算(II)と(III)で加算率に差を設けること等により、処遇改善加算(I)に誘導してはどうか。
 その次の○でございます。処遇改善加算(I)に限定した場合、対象が狭過ぎるのではないか。
 その次の○でございます。現行の処遇改善加算の(IV)と(V)の取得事業所は、処遇改善加算(I)から(III)に移行できなければ対象外となることから、取得促進支援事業がどの程度効果があるのか示してほしい。
 次の○でございます。これまでの成果を踏まえて新たに評価していくという考えが重要であり、処遇改善加算により離職率が改善したことや定着が進んだといった実績を加算の評価に用いてはどうかというものでございます。
 7ページ目の1つの○が前回いただいた御指摘でございまして、経験・技能のある介護職員が多い事業所でも適切に配分できるよう、一律の加算ではなく、加算率に差を設けるべきであり、サービス提供体制加算や特定事業所加算等の取得状況に応じて差を設けることにしてはどうか。また、経験・技能のある介護職員の中でも、技能が高い職員をさらに評価することも検討してはどうか。
 次の○でございます。取得に当たっては確実な改善を担保するため、一定の報告は従来どおり求めていく必要があるのではないか。
 8ページ目、その他の項目の一番下でございますけれども、ヒアリングの中で派遣労働者が増えているという話があり、これを受けまして、派遣労働者の処遇改善がきちんと行われることが必要であるといった御指摘もございました。
 以上のような御指摘等を受けまして、私どもとして、次のページ以降、このようにしてはどうかという御提案を申し上げます。
 9ページはこれまで何回か御説明している資料で、おさらいでございますが、新しい経済政策パッケージの抜粋の中に、赤字でマル1介護職員の更なる処遇改善、マル2経験・技能のある職員に重点化、マル3柔軟な運用を認めることを入れております。今回はマル1介護職員の更なる処遇改善を進めることが本旨であるということ。その中で、マル2でありますけれども、経験・技能のある職員に重点化を図るということが示されているところでございます。そして、こういうことを前提にしながら具体的にはということで、他の介護職員などの処遇改善にこの収入を充てることができるよう、マル3として柔軟な運用を認めることを前提に、次に積算根拠でありますが、勤続年数10年以上の介護福祉士について、月額8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠にということで、公費1000億となっているものでございます。
 実施時期でありますけれども、一番下の行に、こうした処遇改善については、消費税率の引上げに伴う報酬改定において対応し、2019年10月から実施するとされているものでございます。
 10ページ、更なる処遇改善について、マル1のスライドでございます。これもこれまで何度かお示ししているものでございますけれども、下の図で見ていただきますと、公費1000億程度、保険料も同額ということで2000億程度を、まず論点1、これは各サービス種類にどのように加算率として設定していくかという論点でございます。論点2といたしまして、各サービス種類に配分されてくる原資となる報酬に関しまして、事業所内でどのように配分するかという論点の2つをお示ししたものでございます。
 この1つ目の論点につきまして、11ページ以降で御説明申し上げたいと思います。11ページ、事業所ごとの職員配置の手厚さや職場環境等を反映すべきではないかということでございます。それで各加算率の設定やその取得要件についてどのように考えるかであります。
 対応案といたしまして、1つ目の○です。加算の対象(取得要件)でありますが、現在対象としていないものも評価すべきとの意見もある一方で、今般の更なる処遇改善が、これまで数度にわたり取り組んできた介護職員の処遇改善をより一層進めるものであるということから、これまでの処遇改善加算と同様のサービス種類としてはどうかと御提案しております。
 次の○です。長く働き続けられる環境を目指す観点から、一定のキャリアパスや研修体制の構築、職場環境等の改善が行われていることを担保し、これらの取組を一層推進するため、マル1、マル2、マル3とありますが、マル1現行の処遇改善加算(I)から(III)を取得している事業所を対象とすることとし、あわせて、新たにマル2処遇改善加算の職場環境要件に関し、職場環境等についての改善の取組を複数行っていること。そして、マル3処遇改善加算に基づく取組についてホームページへの掲載などを通じた見える化を行っていることを求め、このマル1、マル2、マル3を加算の対象の要件としてはどうかということでございます。
 12ページ、それをより具体的にお示しするものでございます。まずサービス種類ごとの加算率でありますが、こちらは介護職員確保に向けた処遇改善を一層進めるとともに、人材定着にもつながるよう経験・技能のある介護職員が多いサービスを高く評価することとし、サービス種類ごとの加算率は、それぞれ勤続10年以上の介護福祉士の数に応じて設定することとしてはどうかというものでございます。これは前回と同様の御提案でございます。
 マル2でございますが、サービス種類内の加算率であります。同じサービス種類の中であっても、経験・技能のある介護職員の数が多い事業所や、職場環境がよい事業所について、更なる評価を行うこととしてはどうかということでございまして、その際、現時点で把握可能なデータですとか、事業所や自治体の事務負担、新しいサービス種類・事業所があるということに一定の留意をする必要があると思っております。
 こういうことを踏まえまして、2つ目の○でございますが、具体的には介護福祉士の配置が手厚いと考えられる事業所を評価するサービス提供体制強化加算等の取得状況を加味して、加算率を2段階に設定してはどうかということでございます。
 ここに※をつけてございますけれども、このサービス提供体制強化加算のほか、特定事業所加算、日常生活継続支援加算が考えられるのではないかというようにお示ししております。
 一方で、これは現在把握できる加算ということでございますので、今般の趣旨に鑑みますと、経験・技能のある介護職員を評価するという観点ですので、そういった介護職員が多い事業所や職場環境がよい事業所を的確に把握する方法について、今後検討を進めさせていただきたいというものでございます。これが論点1の私どもの御提案するものでございます。
 次に論点2でありますけれども、事業所内での配分方法についてどのように考えるかであります。
 まず基本的な考え方といたしまして、○を3つ立てさせていただいております。介護職員の更なる処遇改善については、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を目指し、ポツが2つありますけれども、「経験・技能のある介護職員に重点化」しつつ、「介護職員の更なる処遇改善」を行うこととし、その趣旨を損なわない程度において、「その他の職種」にも一定程度処遇改善を行う「柔軟な運用を認める」ものであるということでございます。
 2つ目の○です。事業所内の配分に当たっても、この考え方を踏まえた配分となるよう、一定のルール設定が必要と考えております。あわせて事業所の裁量も一定程度可能とするというものでございます。分科会での主な意見を下に2つ取り上げさせていただいております。
 3つ目の○でありますけれども、なお、「その他の職種」の「柔軟な運用」に当たっても、「介護職員の更なる処遇改善」でリーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を目指すものであることとの整合性に留意する必要があると考えてございます。
 14ページ、配分の方法でございます。基本的な考え方を踏まえということでございますけれども、マル1「経験・技能のある介護職員」、マル2「他の介護職員」、マル3「その他の職種」の順に配分がなされるよう、以下のとおりとしてはどうかであります。
 マル1からマル3の定義でありますけれども、マル1「経験・技能のある介護職員」は、勤続年数10年以上の介護福祉士を基本とし、介護福祉士の資格を有することを要件としつつ、「勤続10年」の考え方については、事業所の裁量で設定できることとしてはどうかと。
 マル2でありますが、「他の介護職員」は、マル1の「経験・技能のある介護職員」以外の介護職員であるとしてはどうか。
 マル3「その他の職種」でございますが、こちらは介護職員以外の全ての職種の職員であるという定義を置いてはどうかということでございます。
 次の括弧が具体的な配分の方法でございまして、(1)他産業と遜色ない賃金水準を目指すということで、マル1「経験・技能のある介護職員」の中に、「月額8万円」の処遇改善となる者、または「改善後の賃金が年収440万円(役職者を除く全産業平均賃金)以上」となる者を設定することであります。
 (2)であります。マル1「経験・技能のある介護職員」の平均の処遇改善額が、マル2「その他の介護職員」の2倍以上とすることであります。
 (3)、マル3「その他の職種」は、その平均の処遇改善額が、マル2「その他の介護職員」の2分の1を上回らない等の一定のルールに基づくこと。こういったルールを設けてはどうかということでございます。
 それぞれに幾つか注釈がございまして、例えば(1)のように、8万円または440万円を達成するという要件を設定した場合も、例えば小規模な事業所で開設したばかりであるなど、そういった配慮ができない、そういう工夫ができないということが合理的に認められる事業所もあろうかと思いますので、それが困難な場合は合理的な説明を求めることとしてはどうか。
 次の※ですが、マル1「経験・技能のある介護職員」、マル2「他の介護職員」、マル3「その他の職種」に配分するに当たり、マル1、マル2、マル3、それぞれの区分の平均の処遇改善額で比較することとし、それぞれの区分内でお一人お一人の処遇改善額は柔軟に設定できるようにするということでございます。これはマル1、マル2、マル3、それぞれ一律にお配りする事業所もあろうかと思いますし、そうすると、その額は平均額となりますけれども、マル1、マル2もそうですが、何人かの職員さんを改善するといった場合に、その改善額に少し差を設けるなどの運用も可能とするというものでございます。
 マル3「その他の職種」につきましては、今般の更なる処遇改善で、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を目指すものであるということに鑑みまして、役職者を除く全産業平均賃金との整合性に留意し、改善後の賃金額がこれを超えない場合に改善を可能とする等一定のルールを検討してはどうかというものでございます。
 以上、これまで4ページにわたって申し上げてきたものを図にしたものが15ページ、16ページでございます。
 15ページ、まず論点1でありますけれども、公費1000億円のところを論点1としてお配りして、訪問介護でA%とありますが、これが基本ということでございますが、これを2段階に設定するイメージを下にお示ししておりまして、職員配置が手厚い事業所にはA1という高さの加算率、そして、そうでないところに関しましてはA2という若干低い加算率の2段階にしてはどうか。斜線部分の面積は同じということでございまして、トータルするとA%となるということでございます。
 16ページ、こちらが論点2のお配りの仕方のイメージ図でございます。マル1「経験・技能のある介護職員」、マル2「他の介護職員」、マル3「その他の職種」について下の図で御説明させていただきたいと思います。まず今回配分される加算の相当額に関しまして、一番左も真ん中も一番右も可能となるように設定しようと思ってございます。
 例えば、経験・技能のある介護職員さんのみに配分することも選択可能でございます。次に、経験・技能のある介護職員さんに加えて、例えばマル1の方が介護福祉士10年とすれば、新規採用の方から経験年数が7~8年、9年といった方も含めて、この方にも処遇改善をするということで、そこにもお配りすることであれば、その場合はマル1とマル2の間に、先ほど申し上げたように、マル2を1とした場合には、マル1は2倍以上の改善額になるようにというルールを設けてはどうかということでございます。
 そして、一番右、これも事業所の判断で選べるようにする。つまり、介護職員以外の方にもお配りができるようにするということでございまして、その場合、マル1、マル2、マル3、全ての方にお配りすることになるわけでございますけれども、その場合も先ほどのルールで申し上げますと、マル1とマル2に関しましては、マル1の改善額はマル2の改善額の倍以上になるようにということでございます。それから、マル3の方の改善額はマル2の改善額の半分以下になるように、つまり2分の1を上回らないようになるようにという、そういったルールを設けてはどうかという御提案をするものでございます。
 同時に、このチャートの中には書いてございませんが、先ほど14ページの一番下で申し上げましたように、役職者を除く全産業平均との整合性に留意することで、改善後の賃金額はその方について、これを超えない程度にしてほしいというルールを設定するかどうかということでございます。
 17ページ、これまでお示ししております介護人材の賃金の状況でありまして、今回新しくお示しするスライドがございますので若干御説明を申し上げますと、20ページ、職場環境等要件の報告に関する通知様式ということでございます。これは先ほどの論点1、ページ数で申し上げますと11ページの中で、職場環境等要件について改善の取組を複数行っていることということを申し上げました。その複数のイメージとしてお示しするものでございます。これは現行の処遇改善加算について用いているものであります。今はこのうちの1つということなのですけれども、もう1つ以上選んでいただいて、何か取組をしていただくということを設けてはどうかということでございます。
 21ページ、こちらはサービス提供体制強化加算、特定事業所加算、日常生活継続支援加算の説明でありますけれども、先ほどのスライド番号で申し上げますと12ページであります。サービス種類内で段階をつけると申し上げた介護福祉士の配置が手厚いと考えられる加算というものの類型として3つをお示ししましたけれども、その3つの加算の類型をお示しするものでございます。
 22ページ以降は、前回と同じでございますので、御説明は省かせていただきます。
 事務局の説明は以上でございます。
○田中分科会長 詳細な説明をありがとうございました。
 では、ただいま説明のありました事項について、御意見、御質問をお願いいたします。
 河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
 まず論点1の加算の取得要件の関係でございますけれども、先ほど20ページの職場環境等要件、これを複数項目、2項目以上というお話がございましたが、2項目で職場環境のさらなる改善が促せるのかというところは正直かなり疑問でございます。
 というのは、この4月の分科会に提出された、それぞれの職場環境要件をどれだけ事業所が満たしているのかという平成29年度調査の結果を見せていただいたのですが、それぞれ既に実施している事業所がかなりのパーセンテージであります。50%以上実施しているという項目が大半で、そのうち4項目は70%以上が実施しているようでございます。そうしますと、今回この加算の要件をうまく使うことによって、介護事業所として一番問題になっている離職防止などに対してどういう職場環境改善を行うのか、ある意味一番重要な部分について要件が緩過ぎるのではないか、今、ほとんど達成できているものをある種追認したようなことにならないかということを大変に心配しております。
 その意味では、今回2000億円もの巨費を投じるわけでございますので、加算の要件は介護事業所としての理想的な姿をある程度明確なメッセージとして発する、そういうものであるべきなのではないかと思っております。
 例えばこの中には入っておりませんけれども、職場内の問題に関する外部相談窓口を設置するとか、あるいは未実施の事業所が多い調査結果になっている職場環境等要件の項目の中で効果が期待できそうな項目のどれか一つを必須要件にするとか、もう少し工夫が必要なのではないかと思います。それが本来一番の狙いとする、職場環境を改善して、離職防止につなげていくという今回の趣旨に沿うことになるのではないかと思っておりまして、この複数というのでは余りにも緩過ぎる、改善に結びつくかどうか極めて不安であるということをまず申し上げたいと思います。
 論点の2点目の話でございますけれども、この中で、「「勤続10年」の考え方については事業所の裁量で設定できることとする」とございます。今までの議論の中で特定の事業所に10年以上ということではなく、複数の事業所に通算10年以上勤務しているということでいいのではないか、そのようなお話は出ていたと思うのですけれども、例えば勤続2年、3年の介護福祉士であっても事業所の裁量で経験・技能のある介護職員とみなせるということになってしまうと、そもそものところからおかしいのではないかという話にもなりかねないと思います。裁量の範囲は業界在籍年数の通算に限るとか、ある程度明確化すべきではないかというのが、この論点2に対する私の意見でございます。
 それから、この2つの論点とは別でございますけれども、先般、加算分が賃金に反映されていないという訴訟が起きているという新聞報道を目にいたしました。今回2000億円のお金を投じる加算を行っていくときに、賃金改善に充てていないなどの不正が判明した場合は、当然加算の返還とか停止が今まで以上に厳格に講じられるべきだと思うのです。今後配分ルールに沿っていないケースが判明した場合に、厚労省はどのようにお考えなのかということは確認させていただきたいと思います。
 意見と質問とでございます。
○田中分科会長 論点1、論点2に関するそれぞれの意見を伺いました。ただいまのもし不正があった場合にどうするかについてお答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 まず、先ほど御指摘いただいたような不適切な加算の配分ということが明るみに出る、あるいはそういうことが指摘された場合でございますけれども、私どもはそれが起こらないように事業所に対しては見込み額、また改善額の報告を求めるということをしてございます。ただ、そういうことをしても事業所によってはそういう事態が起こってしまうということが社会の中ではあり得るということでございますので、そういう場合には、私どもとしては、それは介護報酬の適切な算定とは言えないということになると考えております。そういった観点からの指導なりをしていくことになるのではないかと思っております。やはり公費がこれだけ投入されるということでございますので、投入する意図に応じてきちんと処遇改善に使われることが重要であろうと思ってございます。
 意見でいただいたところでございますけれども、取組が2項目では不十分ではないか、あとは、経験年数の考え方が非常に短い場合が含まれているような話になると、それは本来の趣旨が損なわれてしまうのではないかという御指摘に関しましては理解できるところでございまして、そこは今後こうした考え方が具体化していくときに、きちんと私ども、そういうことが起こらないように検討してまいりたいと思っております。
 以上です。
○田中分科会長 どうぞ。
○河本委員 今質問させていただいた不正云々の話は、今回これだけの巨費を、公費と保険料とを投じるわけですから、今まで以上に適切な運用、それを都道府県に対しても求めていただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 当然ですね。ありがとうございます。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 今回、処遇改善加算について具体的な提案がありましたが、この間、私からお願いしてきたことや言ってきたことは十分反映されていないので、非常に課題が多いと率直に思っております。
 9ページ、これまでずっと言っていますけれども、マル3に介護事業所の賃金のベースアップ等につなげる必要という視点が掲げられているにもかかわらず、今回の提案は現行の処遇改善加算の(I)から(III)を取得しているところが対象となるということですと、介護職員がいない3つのサービスの事業所と、加算(IV)と(V)の算定事業所については対象とならない。つまり相手にしない、置いてけぼりということになるわけでして、これはもう去年に出ていた政府の方針からすれば話が違うと受けとめられる。私どものところでも加盟組合から、対象が(I)から(III)に限られては困るとか、介護職員がいないところは対象とならないというような話ではなかったはずという声が届いております。このように受けとめられることに対してどのように応えるのかをぜひお聞きしたいと思います。
 職場環境等要件について、11ページで、今の通知の様式に2つ○をつけるように求めるように聞こえましたが、これではやっているのかどうなのか、もともと選ぶことが非常に易しいものも入っていますから、これで職場環境の改善にどうやって取り組んでいるということが担保されるのか。把握する情報については検討するということが書かれていますが、どのような検討をどのようなタイミングでされていくのかを教えていただきたいと思います。
 勤続年数10年以上の介護福祉士がいるところ、多いところ、つまり、特定事業所加算等の加算をとっているところはA1という高いほうを算定できるようにするということですけれども、このA1とA2の関係は財政中立なのですか。だとしたら、このそれぞれの特定事業所加算等の加算が、算定率が高いサービスではA1の山は小さく、算定率が極めて低い、ごく限られた事業所しか加算をとっていないというサービスにおいては、山がものすごく高くなるということを意味するのでしょうか。もしそうだとしたら、そういう配分の仕方に納得性があるのかということを思うからです。
 もう一つの質問をします。このA1とかA2で言いますと、A2のほうの算定事業所でも必ず1人以上は月額8万円以上の人とか年収440万円以上の人を設定するということが必要なのでしょうか。もしそうだとすると、もともと原資が少ない事業所においても、その特定の8万円をもらう人が設定されることになり、事業所内でもらえる人、もらえない人の差が特にA2の事業所では非常に大きくなると思います。その点、お聞きしたいと思います。
○田中分科会長 質問が4点ございました。お願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 まず1つ目の御指摘でございます。現在、処遇改善加算の対象外となっている事業所に対する期待にどう応えるのかという御指摘でございました。ここに関しては11ページに私どもとしては考え方を書かせていただいたつもりでございます。伊藤委員の御意見、それから、ほかにも管理的な職務を行っている看護師にもという御意見はあったところでございますけれども、私どもとしては、今回の処遇改善加算はこれまで累次に取り組んでまいりました介護職員の処遇改善の仕上げ的な位置づけになるものと考えてございます。こういった考えから、それでもまだ賃金が低い介護職員の処遇改善を進めるという観点でこのような御提案としているところでございますけれども、そこに関しましては、まだ御議論があればしていただければと思ってございます。
 次の複数の取組の把握方法というものでございます。私どもはこれまでこういった処遇改善をしてまいったところで、どのような取組をしているか、この項目ごとに何%の事業所がやっているかみたいなことは把握をしてきたところでございますけれども、今回もこの処遇改善を行うこと、さらに進めたいと思っておりますが、処遇改善の状況調査はまた引き続きやらせていただくことになるだろうと思ってございまして、その中で丁寧にどのような問い方をすればより実態に近くなるかということは工夫の余地があると思いますけれども、そこの中で工夫をさせていただいて把握させていただきたいと思ってございます。
 3つ目の御質問と4つ目の御質問は関連しますので、あわせて御回答させていただきたいと思いますけれども、15ページのA1とA2、こちらの斜線のところです。手厚い事業所とそうでない事業所の斜線に関しまして、2段階設けて斜線の面積は同じと。これは御指摘のとおり財政中立と考えているところでございます。
 その上で、大きな差がつくのかということと、大きな差がついた場合にはA2の事業所ではなかなか高い処遇改善はできないのではないかという御質問だと思いますけれども、私もそういう御指摘は十分あり得ると思っておりまして、A2となった事業所でもきちんと今回求めている要件に沿って改善がなされるような、そういう差のつけ方にしたいと思っているところでございます。
 以上でございます。
○伊藤委員 そうだと、最初の話は、まずは介護福祉士の処遇改善を中心にやるというふうに今お聞きしたような気がしましたけれども、それはこれまで政府から伝わってきているメッセージとは違うと思います。話が違うということになると現場は大変混乱を来すと思っておりますので、今後のことも含めてぜひ著しい混乱を招かないようにしてもらいたいと思います。
 例えば月額8万円の人とか、あるいは年収440万円の人は誰になるのかと想像しますと、所長とかセンター長という人なのか。サ責につけたらサ責のほうがセンター長より賃金が上がるということにもなりかねない。1人以上設定すればよいということがものすごく現場に混乱や動揺をもたらすと思います。参考資料1の10ページに職場の人間関係に問題があったからやめたというのが理由として一番に入っているわけです。本当にこの人の月給が8万円上がるのかということで、その納得性の問題を生じたり、職場に動揺が走ることが予想されますので、この点についてはもう少し詰めて考えていく必要があると思います。
 あと、先ほどの加算は財政中立だというお話がありましたので、そうだとすると、やはりサービスごとの加算の算定率をきちんと示していただかないと、どの程度A1とA2の差がつくのか見た上ではじめて、これが可能なのか、納得性があるのかということが検討できると思いますので、そういうものはぜひ示していただきたいと思います。
 職場環境要件については調査をするとおっしゃったようですけれども、調査はもちろん大事だと思いますが、加算を取得する際の要件、要は、報告の内容とか計画の内容などにつながることだと思いますので、独立した調査という意味ではなく加算にきちんと結びつける必要があると思います。
 違う話なのですが、介護職員処遇改善加算の取得促進支援事業という(IV)と(V)の加算を取得している事業所にいろいろな支援を行っていく事業については、この間私はずっとこの場で聞いてきたのです。何カ所の事業所に社労士さんが行っているのですかと、去年の11月からお聞きして、それは事業の途中ですからまだわからないというお答えでした。もう年が過ぎて1年前です。そのことをぜひ報告してもらわないと、置いてけぼり問題がどう対応できるのかと思っていますので、ぜひ新たな処遇改善の結論が出るまでに示していただきたい。
 最後です。派遣労働者についても言ってまいりましたけれども、今の加算でも、もちろん派遣先が加算をとることができる。派遣元のほうが処遇改善を行うということで話し合いがつけばそれをとれることになっているということですけれども、現状では配分には何も縛りがないわけですから、派遣労働者分の加算をとって直雇用だけに配るということもできてしまうわけです。今度の均等待遇ルールだと、それができなくなるはずなのです。できなくなるはずなのだけれども、事業所でどういう名目で賃金に反映させたりするか、手当として配るかは任されてしまっているから、下手をすると均等待遇ルールに反するような形の配り方、与え方ということが行われかねないので、きちんとそこは通知などで示さないといけないと思っているのです。ぜひこの点についても検討していただきたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 今後の留意点について、課長、お願いします。
○眞鍋老人保健課長 何点かコメントをさせていただきたいと思います。
 まず、趣旨について現場で混乱を招かないようにという御指摘については、私どもは十分それは大事なことだと思ってございますので、今回の処遇改善の趣旨等について、きちんと現場の方々に届くような周知をやってまいりたいと思っております。
 端的な例として、あるかどうかはわかりませんけれども、所長一人が高くなってしまう例が生じるのではないかという御指摘だと思いますが、現行の処遇加算においても原則、当然労使間の合意ではあるわけですけれども、事業所が賃金改善を行う際の方法を周知することですとか、あるいは介護職員から照会があった場合には書面をもってわかりやすく説明することなどを求めているところでございます。こういった取り組みも今後徹底することにおいて、今回の処遇改善においても不適切な取り扱いが広がらないようにということで私どもは努めてまいりたいと思っております。
 それから、処遇改善加算は現行で(I)から(V)までございまして、(IV)から(V)のところに関して、高い加算を算定するように取得促進支援事業がございまして、その実績についてお尋ねをいただいていることは承知してございます。たしか10月の分科会で私からも同じお答えをしていると思いますけれども、今は平成29年度のデータに関しましては、こういう(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)と分けたとり方をしてございませんので、お示しするのがなかなか困難であると申し上げたと思います。一方で、都道府県、指定都市ごとになにをやっているかということは概数としては御説明をしたと記憶してございます。
 そして、今御指摘をいただきました処遇改善加算(IV)と(V)に関します働きかけでございますけれども、こちらに関しましては、平成30年度の事業からはきちんと把握できるような形でと考えてございますので、その把握が整い次第、また御報告をさせていただきたいと思います。
 最後の派遣の話でありますけれども、既にコメントの中に現行の処遇改善加算でも可能だということを御意見いただいたところでございますが、本年6月に成立いたしました働き方改革法案でありますけれども、今後関係局とも連携いたしまして、御指摘を踏まえて施行に向けた適切な取り組みを進めてまいりたいと思っております。
 コメントは以上でございます。
○伊藤委員 ありがとうございました。
○田中分科会長 小泉参考人、次に武久委員、お願いします。
○小泉参考人 まず、論点2におきまして、事務の簡素化に御留意いただきたいと思っております。
 実績報告等を行うわけでございますが、既存の処遇改善加算に加えまして、さらに新しい加算の実績報告の申請業務が私たちに加わることになります。申請に係る事務負担だけでなく、また、給与規程の見直しであったりとか、そういった事業所内、法人内での見直しも行わないといけない。そのような中で文書量の半減、業務の効率化が指摘されていることも踏まえまして、申請業務、実績報告につきましては、ぜひとも簡素なものとしていただければありがたいと感じております。
 そして、今回2対1対0.5に配分する趣旨はよくわかるのでございますが、支給方法も非常に難しいのではないかと考えます。余り厳密に区分すると支給方法が本当に難しくなるのではないかと危惧しておりますので、それをまた賃金規程に落とすときにはどのような形にすればよいのかと非常に心配しておるところでございますので、ぜひ御配慮を賜れればという意見でございます。
○田中分科会長 御要望ですね。ありがとうございます。
 武久委員、どうぞ。
○武久委員 いろいろお考えいただきまして、かなり事業所側の裁量を認めていただいたことは非常にありがたいと思います。
 私、事業者側というか、介護保険施設等を運営している側からの意見としてお話しさせていただきますけれども、さまざまな意見の中にもありましたが、前にもありましたように、10年間の経験の中に医療機関でいた間も介護職員をしておれば算入するような方向でお話を聞いたのでございます。
 現実問題として、同じ医療法人の中でもいわゆる医療の病棟と介護の病棟とある。さらには、いろいろな介護の訪問通所サービスもあると。そこでこのように訪問介護と通所リハでパーセントが違うと、突然に訪問介護なりに欠員ができたと。急にやめて、ヘルプに通所リハが行くというか、そちらに転勤をするというか、仕事がかわると加算のパーセントが変わることになって、それが3カ月行っておれば3カ月間で、また戻ったら何カ月ということになると、実際問題、同じ医療法人、病院なりいろいろな介護施設の中で人事交流というのは結構ございますので、そのためにどうするかというのは現場サイドに委ねられていると考えていいのでしょうか。それとも、介護のサービスの種別によって、ここはある程度厳密にされているのかということもあります。
 また、最大8万円をもらっている方が、同じようなことですけれども、今度は急に医療のほうに欠員ができたので医療のほうの介護職員に行ってくれというと、8万円がぽんと抜かれてしまうということになるのかどうか。
 今の状況は、医療保険、介護保険の両方の事業所をやっている者の立場で真ん中に立って考えてみますと、病院の入院患者も7対1で平均年齢70歳ですし、高齢者はいっぱいなのです。そこで介護する人もいっぱいいるわけですね。だから、これを保険局とか老健局とか医政局と分けて考えるより、高齢者対策として介護・医療・福祉全体で一緒に考えていただかないと、現場でいろいろなどうしたらいいかなと思うようなことが毎日起こるようなことでも困るし、かといって余り厳密にきちんと決められても困るし、今のようなある程度フレキシブルな環境はいいのですけれども、医療と介護のところについては同じ医療人の中で人事交流があったりすることも含めますと、医療のほうにもいる介護についても同様に考えていただくような時期が来ればありがたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 法人内異動について御質問がありました。
 お願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 武久委員から同様の御指摘を前回もいただいたところでございます。例えば介護療養病床、例えば介護医療院は、医療療養病床と併設されているケースが多いと承知してございます。その中で、介護職員の方が人事ローテーションで、例として医療療養病床の介護者として働かれることは十分に想定されることだと思っておりますし、行っている業務の内容も同じ施設の理念のもとであれば同じようなことをやっていらっしゃることが想定されますので、その方の経験をこちらの経験として事業所の裁量で認めることは十分あると思っております。
 あとは、そういう突然の緊急の援助というか、そこをどう考えるかは、これまでの処遇改善加算にもあった議論でございますけれども、そこに関しては私どもとしては、基本もちろん事業所単位で考えていただくものではあるのですが、その上で現場の日々の変動といったものに関しては余り大きな負担がないような形でと考えてございまして、今後運用を詰めていく段階で配慮させていただきたいと思っております。
○田中分科会長 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
 本日事務局から御提案いただきました中身につきましては、全体の方向性に特段の異論はございません。しかし、その中でも2点コメントをさせていただければと思います。
 まず資料1の11ページなのですけれども、今回の処遇改善加算の対象となるサービスにつきまして、これまでの処遇改善と同様に介護職員が従事しているサービスのみを対象とすることに賛同いたします。職場環境等の改善の取り組みを複数実施していることを取得要件とすることにつきましても賛成ではございますが、職場環境等の改善の取り組みが実際に介護職員等の離職防止につながっているのかどうかを確認する必要があると思います。ですから、介護職員等へのアンケートを実施することなどとか、例えば事業所ごとの取り組み状況と離職率の相関関係を調査するであるとか、そういったことを具体的に実施していただければと考えます。
 また、昨日、介護現場革新会議がスタートし、今後介護事業所における介護職員の負担軽減であるとか業務の効率化をテーマに議論が行われるものであると考えております。議論の成果を厚労省が通知で示している職場環境等の改善の取り組み項目に反映させていただければと考えております。
 次に、14ページの事業所内での具体的な配分の方法につきまして、介護職員の処遇改善は、介護職員の基準賃金水準が他産業と比べて低く、人材確保の障壁となっていることから、これを改善するということであると考えております。これが基本ですので、今回は介護職員の中でも特に経験・技能のある介護職員に重点化を図りつつ、事業所の判断で介護職員以外の職員の処遇改善も可能とするものであると理解しております。一部報道によりますと、事業所内での配分方法を設定せず、事業主の裁量に委ねるべきとの意見もあるように見受けられますけれども、ただいま申し上げました観点から、配分比率など一定のルールを設定することは必要であると考えており、今回事務局から御提示いただきました案で妥当であるかと考えております。
 ただし、経験・技能のある介護職員の中に、月額8万円の処遇改善となる者、または改善後の賃金が年収440万円以上なる者に該当する方を1名以上設定するというようになりますが、事業所の中で不公平が生じないなど、現場での運用がうまくいくかに一抹の不安が残ります。そこの部分につきましては事業所の裁量でございますので、それはそれで今後実施していただいて経過を見守りたいと考えております。これも実施後のアンケート調査など、きっちりとフォローアップしていただければと考えております。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。
 今回の処遇改善につきましては、繰り返しになりますけれども、大きいマクロの目的は介護人材の確保だというところを皆さんで共有しながら制度設計を進めていく必要があると思います。今回、経験・技能のある介護職員に重点化をしながら配分していくところについては、方向性としてはそれでいいと思うのですけれども、企業の方々といつも話をしている感覚から言いますと、例えば10年いたから処遇がよくなるということでもないように思っておりまして、むしろ技能があるところを評価して処遇改善すべきであるし、生産性が上がったということから処遇改善がなされるというのが大原則だと思います。ですから、そのあたりについても十分配慮していただきたいと思います。
 それと、今回非常に財源規模も大きくなりますので、ぜひ事後的な効果の検証を行っていただきたい。これだけの公金を投下するわけですので、評価をお願いしたいということを強くお願いしたいと思います。
 また、これはそもそも論のところで質問になってしまうのですけれども、参考資料の9ページに離職率は必ずしもほかの産業に比べてそんなに高くないというようなグラフが入っているのです。今回経験のある人たちの定着という目的が制度設計の前提として議論されていると思うのですけれども、そことこの資料の関係性について御説明をいただければと思います。
○田中分科会長 参考資料の9ページについて、お願いします。
○眞鍋老人保健課長 参考資料1の9ページに介護職員の採用率・離職率の状況というグラフがございます。このうち採用率は上のグラフで離職率は下のグラフでございますけれども、下のグラフの介護職員の離職率に関しましては、産業計と比べるとやや高い。緑の濃い折れ線グラフでありますけれども、やはり産業計に比べると高いというものでございます。
 これと、これまで御説明した資料の内容でしたので本日は御説明申し上げませんでしたけれども、資料1の24ページをごらんいただきますと、こちらに介護職員の平均勤続年数というものもございまして、オレンジ色は産業計で、比較的年齢と勤続年数がリニアに伸びていくということもあれば、濃い青色と水色でありますけれども、こちらで介護職員と介護支援専門員がございますが、年齢が上がっても勤続年数が短いというデータがございます。特に今回の処遇改善は、ここで経験年数の多いベテランの介護職員さんに重点的に手当てするということで、この両方を見て、このような趣旨で処遇改善を図るべしとなっていると承知しているものでございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 今井委員、お願いします。
○今井委員 ありがとうございます。
 3点ほど質問をさせていただきたいと思います。
 論点1、論点2とも、事業所単位で整理をされているのですけれど、例えば14ページの一番下に3つの※がありますが、小規模な事業所で開設したばかりであるなどという形で書かれてございます。今の運営上だと、大手の事業者はこれを運用しやすいかなと思うのですけれども、小規模の事業者はかなり運用に関して難しくなってくるかなと思います。そういった点で、例外規定を設け、法人単位での取り扱いを認められないかというのがまず1点目の質問でございます。
 2点目としましては、前回も発言をさせていただいたのですが、事業所の中には予防給付と二枚看板、三枚看板で事業運営を行っているようなところがあり、そこの配分方法はどのようにお考えであるのかをお聞きしたいというのが2点目でございます。
 3点目は、12ページです。加算の種類でサービス提供体制強化加算等という形で3つほど例示されておるかと思いますけれども、この30年度の制度改定で新設されたかと思いますが、特定施設に設けられている入居継続支援加算、これは多分同じような加算だと思うのですけれど、この辺は認められるのか認められないのか、同様に取り扱っていいのかという、この3点を質問させていただきたいと思います。
○田中分科会長 老人保健課長。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 お答え申し上げます。まず1つ目の御質問でございますけれども、法人単位でできないかということでございますが、確かに私どもは小規模、そして、新しいところに関しましては合理的な理由があれば今求めているような配分はできないことも当然認めなければならないと思ってございます。そういう点で配慮するということ。そして、次に、あくまでもちろん原則は事業所ごとということでございますけれども、現行の処遇改善加算も一定の場合は法人単位での申請とかも認めているということがございます。どちらかというと、原則は事業所ですけれども、法人単位での申請の場合、どのような場合を認めるか、そういう制度設計の運用の段階で御配慮できるようにしていきたいとは思ってございます。それは2つ目の御質問もそのとおりでございます。
 3つ目の御質問でございますけれども、特定施設に設けられている入居継続支援加算でございますが、これもコメントにございましたとおりで今年度からできたものでございます。資料の中では昨年度の実績を拾えるものということで今3つの加算を掲げさせていただいてございますが、私どもとして、この介護福祉士に着目した加算であることは同じでございますので、こちらの加算のほうに移ってきている、もともとこちらの3つの加算のどれかをとっていらして、こちらに移ってきている実態があると聞いておりますので、そこは私どもとして算定実績を何らか推計できるようなことができれば、対象とすることができるかなと思っているところでございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 江澤委員、どうぞ。
○江澤委員 まず資料11ページ目からで、対応案マル1の処遇改善加算(I)から(III)を取得している事業所を対象ということで、この処遇改善加算と経験・技能のある介護職員の配置数とは必ずしも関係がないわけなのですけれども、今回は各事業所のデータもないということと、時間も限りがございますのでやむを得ないと思いますが、次回へ向けて、ぜひ各事業所にどういった介護職員がどう配属されて、配置されているかというところについて、より精緻なデータをお願いしたいと思います。
 今回の施策の本意は決して事業所評価ではなくて、個々の介護職員の評価、個人個人の評価ですから、例えば処遇改善加算を算定していない事業所で10年以上の経験・技能のある介護職員が今回報われないということは実際にあり得るかもしれませんが、今後はあってはいけないことだと思いますので、近い将来へ向けてぜひ各事業所の精緻なデータの調査をお願いしたいというのが1点でございます。
 11ページのマル2、マル3は賛成でございます。特にマル2の職場環境等への取り組みについて、前回も申しましたが、もし好事例があればそれを全国で共有化したり、横串していくことはいい波及効果が出ると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。離職理由のトップは人間関係でございますので、そのあたりの取り組み、あるいはストレスチェックというものを各事業所はやっているわけですから、そのストレスへの対応、ストレス軽減へ向けた取り組み、そのあたりをぜひ好事例があれば共有できるようにしていただきたいと思います。
 12ページでございます。マル1は賛成でございます。マル2ですけれども、3つ目のところですが、これは先ほどと重複しますけれども、ぜひ次回の改定までにはこのあたりを整理していただいて、今回の経験・技能のある介護職員、その他の介護職員、その他の職員にちゃんと適切に配分できるようによろしくお願いしたいと思います。
 14ページ、最初のマル1の勤続年数10年以上の介護福祉士を基本としとあります。勤続10年の考え方については事業者の裁量というところは、これはもう各事業所の個々の事情がありますので、ここは賛成でございますし、リーダー級の認定についても各事業所の裁量によって設定していただくというのがよろしいかと思っております。
 14ページ、下の※の2番目のところで、これは質問でございますが、2行目の「柔軟に設定」の「柔軟」というところでございますが、ここについてはマル1、マル2、マル3において、マル1の一番低い人とマル2の一番高い人で逆転があってはいかがなものかと思うのですけれども、柔軟については御質問をさせていただければと思います。
 15ページ、経験・技能のある介護職員の数はなかなかここで加味できないわけでございますし、特に同一のサービス類型において勤続年数10年以上の介護職員が多い事業所になると、1人当たりの取り分、配分は減るわけでございますので、そのあたりも先ほどと重複しますけれども、またぜひ今後へ向けてお願いしたいと思います。恐らくここは詳細は次回等で出るかと思うのですけれども、このサービス提供体制強化加算にも(I)、(II)、(III)、いろいろ種類がありますし、特定事業所加算にもありますので、また今後御検討いただければと思います。
 16ページの配分につきましては賛成でございます。
 以上でございます。要望と御質問です。
○田中分科会長 質問にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 14ページの下から4行目になりますか、2つ目の※の一番最後の表現でございます。それぞれの区分内での一人ひとりの処遇改善額を柔軟に設定できるようにするということでございます。例で申し上げますと、例えばマル1の経験・技能のある介護職員とマル2の他の介護職員の中で、これは平均でございますので、マル1の介護職員さんが複数いらっしゃったときにその中で濃淡がつく場合がある、高低がつく場合があって、マル2の介護職員の中でも高低がつく場合がある。その場合に、マル1の最も改善額が低い額とマル2の改善額の最も高い額で逆転があったらどうなのかという御質問だと受けとめております。私どもとしてはお示ししているもので理論的はあり得ると思うのですが、ただ、先ほどこちらでお示ししましたように、マル1とマル2で平均処遇改善額に2倍以上の差を設けるとしておりますので、今申し上げたような極端な例を設定して、しかも労使の間でやっていただく、合意していただくということがどのぐらいあり得るかというと、なかなかレアなケースではないかと思っているところであります。
 質問に対しては以上でございます。
○江澤委員 ですから、一定のルールの設定をお願いします。レアな例とか、あり得ないと思いますけれども、恣意的な事例があると好ましくないと思いますので、よろしくお願いします。
○田中分科会長 小原委員、どうぞ。
○小原委員 ありがとうございます。
 今回の介護人材の確保について、経験・技能のある介護福祉士に重点化された対応となっていることについては、良いと思います。
 ほかにも資料1の14ページの※の一番下に記載されている、「マル3のその他の職種」についての上限が、他産業平均の440万ということで示されております。18ページの現在の処遇改善加算の(I)から(V)を算定している事業所、例えば介護支援専門員の平均給与を年にした約415万円と比較しますと、約25万円の処遇改善が可能となるということになりますので、月2万円ということになってきます。この介護支援専門員には専任の方から管理職等との兼務のケースまでさまざまな状況が含まれると考えられますが、今回の介護人材確保を目的とした処遇改善の中で、その他の職種への柔軟運用で介護支援専門員も評価の対象に入れていただき、ありがたく思います。
 一方で、介護支援専門員全体の人材確保として考えますと、数の問題としてですが、実務研修の受験者数や合格者数が激減しています。なぜ急激にそこまで減ったのか、受験資格要件の厳格化だけが原因ではなくて、介護支援専門員という仕事に対するイメージ低下等も受験者数減と予測されます。利用者さんがケアマネジメントを依頼する介護支援専門員が不足してサービスが利用できないということにならないように考慮して、次期介護報酬改定の際は処遇も踏まえて検討していく必要があると思います。
 このことについては、業界当協会としても、居宅介護支援事業所及び施設等の介護支援専門員双方の処遇についての実態調査をしていく必要があると考えています。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 それでは、石本委員、石田委員の順でお願いします。
○石本委員 ありがとうございます。
 改めまして、今回論点1、論点2に示されている案に関しては、特段申し上げることはないと思っております。その中で今回9ページ、10ページにも改めてですが、最大の課題は介護人材の確保ということで、介護職員については他職種との賃金差も踏まえ改善してきたけれども極めて厳しい状況があるため、今回これをやりますというのが今回の趣旨であると改めて理解しなければいけないと思っております。
 その中で数点意見でございますが、先ほど江澤委員からもありましたけれども、14ページに関係する話で、やはり柔軟に運用していただくところは、それで良いと思うのですが、マル1の人の低いところとマル2、マル3の高い人とが逆転現象が起きてしまっては、私どもが一貫して言ってきた現場で処遇改善してもらった実感というのが得にくいと思いますので、そういった逆転現象が起きないような御配慮はしていただきたいと思うところが1点目でございます。
 また、いわゆるリーダー級のというところが今回言葉として出てきております。13ページに出てきておりますが、当然それは事業所の判断ということにもなってくるのであろうと思いますけれども、これが事業所ごとにリーダー級と言える人の質がばらばらで、それが正しい姿かというと、決してそうではないと私どもは思うところでございます。介護の質を上げていくこともあわせてしなければいけませんので、平準化された基準などは一定必要ではないかと思います。
 前回のこの場でも申し上げさせていただきましたけれども、例えば今私どものほうではチームリーダー養成の研修のガイドライン策定のモデル事業や中核的な役割を担う介護福祉士の資質向上といったものに取り組んでおりますし、それらの研修会なども含めた学ぶ機会を経たような方々がリーダー級として現場で御活躍いただくというのを、ぜひとも今回のこの処遇改善をきっかけにより一層進める必要があるのではないかと思います。
 それに関連づきますが、いわゆる職場環境のところの要件、20ページに示されている通知の資料がございますが、その中でも特にメンタルヘルスの部分に関する取り組みや学習の機会をきちんと職場として持つ取り組みをされているところこそが重要ではないかと思いますので、重点的に要件として、マストとは言いませんが、特に芽出ししていただきたく思うところでございます。
 以上です。
○田中分科会長 御意見ありがとうございます。
 石田委員、どうぞ。
○石田委員 ありがとうございます。
 2つあるのですけれども、まず11ページの論点1の対応案のところですが、2つ目の○のマル2ですね。先ほども御意見があったのですけれども、職場環境についての改善の取り組みというところで、20ページをお示ししていただいて、そこの中でチェックするというような、こういった内容が職場改善の要件なのだなというのはよくわかったのです。ただ、その中で複数という非常に簡単な言葉での表記にとどまっております。これだけ細かい項目があるにもかかわらず複数は2つ以上すべてが対象になります。細かい項目が掲げられ、さらにいろいろなキャリアとか、育児休業であるとか、せっかく多様な内容があるにもかかわらず、ただ単に複数であればオーケーという簡単な括りの表現に違和感を覚えました。今後これは検討されていくというお返事はございましたので、ぜひここのところは細かくきちんと数値化していくなり分類するということが必要なのではないかと思います。これが1点目です。
 その次は14ページなのですけれども、今回示された中で具体的な配分の方法の(1)で、月額8万の処遇改善または賃金が年収440万という数字が出ておりましたこの数字の根拠は、例えば17ページにあります全産業の36万6000円掛ける12ということで、これでよかったのですね。その中で、例えば17ページの同じ表で介護職全員というと27万4000円で、それに12を掛けると約330万になります。そうすると、その差は110万円になります。一方で、もう一つ18ページにあります介護職員というのが29万3400円、これを12倍しますと350万ですね。そうすると440万との差が90万となって、これが月額掛ける12で96万になるのかなと思います。これらの数字の根拠について、私の今の解釈で正しかったかどうかを説明していただければと思います。よろしくお願いします。
○田中分科会長 説明をよろしくお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 17ページでございますけれども、年収440万というのがここに示しております産業計36.6万円の12倍であるというのはまさにそのとおりでございます。この表の見方でございますけれども、その下に職種別とございます。介護職員で27.4万円、これは私どもが別の賃金構造基本調査等を用いまして推計をした結果でございます。
 その上で18ページ、こちらは現行の処遇改善加算を既に(I)から(V)をとっていらっしゃるところでございますので、前のページの処遇改善加算をとる、とっていない、全ての事業所を対象としたものよりは高くなるということは当然かと思っておりまして、27.4万円よりは、こちらは約29.3万円と高くなってございます。
 処遇改善の御説明でございますけれども、もともと勤続10年以上の介護福祉士の賞与込みの給与に関しましては、17ページの下のほうに注で書いてございまして、ここが約33万円となってございます。こういったことを勘案しまして8万円ということで設定しているところでございます。
○石田委員 ということは、今回の処遇の改善の主な対象者、その人がいるようにしなさいと、「なる者を設定する」と書いてありますけれども、これは全部というよりは、こういった処遇改善をこれまでも重ねてきて、そしてさらにということの方々を対象としているという受けとめ方でよろしいですね。
○田中分科会長 田部井委員、東委員、お願いします。
○田部井委員 認知症の人と家族の会です。
 利用者の立場でなかなか意見を言いにくいところではあるのですけれども、近くの具体的に事業をやっている人に聞いてみました。一体どういう形にしたいですかと言いましたら、ある責任者は、私はもう10年働いていて介護福祉士を持っている人には8万円をぽんと渡しますと言う責任者もいました。そうではなくて、そうはいっても働いている人の調和を保たなければいけないから、なるべく傾斜を緩やかにするかなと言った責任者もおりました。これは2つに分かれていて、どちらが正しいとかは言いにくいのだなと。
 そうすると、ますます利用者の立場からはどうすべきだということは言いにくいということではあるのですけれども、私は今回の案というのは、私どもの会の会員たちにどれがいいのかをアンケートをしてどれがいいという答えを得ることも不可能ですので、ある程度自己責任で発言をせざるを得ないかと思うのですが、今回の提案のようにより資格があるということ、あるいは経験年数があるということ、それについて具体的な数字としてこういう改善が目標値としてはあるのだよということをきちんと設定する方向に今回の提案で言ったということは、私としては好ましいことではないかと思っています。
 例えば9年働いた人はあと1年頑張ればいい。5年働いた人も、あと5年頑張ればいいのだと。3年の人でも、その現場で一生懸命働こうと思えば7年はそんなに長い期間ではないような気も私はしますので、そういう将来を見越せるという一つのあれが出たというのは好ましいことですし、これから働こうという人にとっても、資格を取って10年働けばそういうものも受けられるというのは力になるのではないかと。
 前回、お母さんが介護の現場で働いていて、せっかく娘さんが介護福祉士の学校に行くと言うのに、やめておけ、看護に行けと言うお母さんの話をしましたけれども、娘さんがお母さんと論争するのに、お母さん、介護福祉士をとって10年働いたらこういうものも受けられるのだよということで頑張って介護の現場に行く後ろ盾にもなるのではないかと思います。基本的には今回の案については、私としては支持したいと考えております。
 ただ、最初に打ち出された例、これは江澤委員や石本委員もおっしゃっていましたけれども、介護福祉士10年、8万というもの、そこにある種の期待を抱いた人が現実にいると思うのです。その方が、自分はその条件を満たしているのに自分以外の理由でそのことが受けられないことがある。つまり、処遇改善加算(I)から(III)をとっていない事業所にいたらだめということになりますので足切りをされることは、なるべく避けなければいけないのではないかと思うのです。それは将来のことでしかないのか、今何か打つ手はないのかと思ったりもするのですけれども、もし可能性があったら教えていただきたい。要するに、せっかくそこでモチベーションを持って働いてきた人の期待を持たせたことに何か応えるものが、方策というものが考えられないかと思うのですけれども、もし何かございましたら教えていただきたい。
 もう一つは、このことが実施されまして、またと言うと語弊があるかもしれませんが、やはり恩恵が受けられなかった、それなりの条件を満たしているのに恩恵がないということがもし起こったとすれば、これはその財源を負担した利用者としては当然納得がいかないと思いますので、きちんとその条件を持っている、あるいはどれだけの改善がなされたということを明確に把握する作業をぜひやっていただきたいと思います。
 そのときに、例えば経験年数がより延びたとか、有効求人倍率が下がったとか、そういういろいろな指標があるかと思うのですけれども、この措置によってこういう効果を得たい、あるいはここまで行っていれば効果があったと言えるのではないかという目標値のような想定をもしされているようでしたら、お答えいただける範囲でいいのですけれども、聞かせていただけるとありがたいと思います。
○田中分科会長 2点ございましたので、お願いします。
○眞鍋老人保健課長 2つお尋ねいただいてございます。まず将来に向けて、御提案申し上げている処遇改善加算の(I)から(III)をとっているところ、今回はそこが対象となるということで御提案しております。それ以外のところに勤められた方の将来の希望という観点での御質問だったかと思っておりますけれども、私どもとしては現状に満足することなくなるべく介護職員の方が定着し安定的に処遇されていく事業所が広がっていくこと
がいいと思ってございます。
 そういう意味において、現行の処遇改善加算(I)から(III)をとっていらっしゃる事業所の約9割をカバーしてございます。その上でも、より高い加算、そしてまだとっていないところに関しては、現行の処遇改善加算(I)から(III)をとっていただけるようにということで、この取得促進支援事業というものを丁寧にやらせていただいてございます。そういうことで、どの介護職を希望される方もこの加算の恩恵を将来的に受けていただける方が増えるような、そのような方向で努力をしてまいりたいと思ってございます。
 それから、こちらの処遇改善加算、これは平成21年度以降、累次にわたってやってまいりました。この効果の検証が必要であるということはこれまでもたびたび分科会で御指摘いただいたとおりでございます。私どもは、現時点で離職率が何%であればいいというような目標値を持っているものではございませんけれども、まずはこれから効果をどのように検証するのかということについて検討を進めさせていただきたいと思っております。
 以上です。
○田中分科会長 検討については今後だそうです。
 東委員、お願いします。
○東委員 ありがとうございます。全老健の東でございます。
 総論でございますが、資料1の9ページにあります今回の「新しい経済政策パッケージ」ですが、先ほど石本委員のおっしゃった介護職員の確保が目的になっているというのは、そのとおりだと思います。
 その上で、今回は既存の介護職員処遇改善加算とは異なり、介護職員の経験や技能というところに特に注目をした点、具体的に介護福祉士で勤続年数10年以上に月額8万円相当というメッセージ、これは大変大きいものだと感じております。ぜひ現場の方々、介護を目指す若い人たちにこのメッセージを受け取っていただければと思います。それを踏まえて今回事務局から出されました論点1、論点2の案に関しましては、おおむね私も賛成でございます。
 ただ、2~3点お願いを申し上げたいと思います。これは先ほど江澤委員がおっしゃったことと重複しますが、今回私どもが危惧しております逆転現象を少しでも防いでいただきたいということです。このA1、A2という考え方が出されたことに関しては評価もしております。ただ、このサービス提供体制強化加算等で段階を付けても逆転現象が完全に解消するかというと、なかなかそれは難しいところもあると思います。ですので、次回の改定までに逆転現象が起こらないようなデータの蓄積をしていただいて、現場の介護職員の方が公平にこの恩恵を受けられるようなものを構築していただくようお願いを申し上げたい。
 また同じ論点1のところで職場環境要件というものがございます。資料1の20ページの既存の職場環境要件を見ますと、大変多くのことが挙げられております。ここから複数の改善の取り組みということでございましたが、これを見ますと、どれも恐らく職場環境がよくなるだろうという予測のものの項目が大変多いのではないかと思います。つまり、この各項目が、例えば離職率が減ったなどのエビデンスを持った項目なのかというとそれは少し違うかなと思います。この職場環境要件につきましても、今後はきちんと離職率の低下などというエビデンスが出ているものに集約して頂きたい。そして、事業者がエビデンスが出た職場環境要件にトライするという形で行くべきだと思います。
 それに関して言いますと、私どもの協会で4年前から始めております、元気高齢者の介護助手事業におきましては、介護助手を導入した施設では明らかに離職率が減っているというエビデンスも出ております。今のところ、この職場環境要件には介護助手という文言は入っておりませんけれども、今後はそういうエビデンスの出ている項目で構築していただきたいとお願い申し上げたい。
 最後に、リーダー級の介護職員という文言についてでございます。これは各事業所で何がリーダー級なのかを判断してもいいのではないか、という江澤委員の意見に私も賛成でございます。ただ、現場では何をもってリーダー級の介護職員で年収440万というものを目指すのかがわからないというところもあるかと思いますので、このリーダー級の介護職員に関しましても、事例のようなものを提示して、こういう方でこのような研修も受けて、技能もこのようにしっかりしている、そういう事例を出すことも一つの手ではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 齊藤秀樹委員。
○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。
 私も論点1、2に関して大きく異論があるわけではございません。賛同したいと思います。ただ、幾つか質問や要望をしたいと思います。
 1つ目の加算取得要件でありますが、3つの要件をそろえたということは理解できるのですが、このうち一番重要なのが、マル1の現行の処遇改善加算ではないかと思います。この資料が19ページにありまして、以前から示されている資料でありますが、この取得要件でキャリアパス要件、マル1、マル2、マル3がここにあるわけですが、これはいずれも職場に介護職員が定着する意味では大きな意味を持つもので、任用要件、賃金体系、マル2では研修、マル3では今回と特に関連の深い昇給の仕組みでありますとか、それを判定する仕組みをしっかりつくろうということを目指しているわけであります。こういうことができるかできないかということが、そこにいる職員の意欲に大きく影響するわけでありますから、もともとのここのところがおろそかにされたのでは、私は次のステップは危ういなと見ております。
 そこで、特に今回と関連するキャリアパス要件のマル3の昇給の仕組みやそれを判定する仕組みにつながるように、加算(II)や(III)のところではこの要件が入っていなくてもとれることになっていますが、できるだけ加算(I)に今回のことを契機にして誘導していただくような方向性を示さないといけないのではないかと。これは要望ベースであります。
 これまでの議論の中でも、加算(I)がとれるようにすべきだという意見がほかの委員からもありましたし、私もそれは大事なことではないかと思います。それから、加算の(IV)、(V)について、ここにいる頑張っている職員を対象外にするのかという御意見もあって、私もそれは非常に忍びないという部分がありますけれども、これは職員の努力というのではなくて事業所がしっかりとこの仕組みをつくっていく努力なくしては、これは先に進まないわけであります。今回は職員の努力以上に経営の努力が求められているということを認識すべきだと思います。
 その上で事業所内の配分についてでありますけれども、お示しいただいた経験年数のある人、それ以外の介護職員、さらにその他の職員という分け方をして、今16の資料が画面に出ておりますけれども、これで行くと一番右側の形をとる事業所が多いのかなと予測されますが、私の計算が間違いなければ、マル1がこれで言うと57%ぐらいの全体の配分、マル2が29%ぐらい、その他が14%、私は全体としては穏当な提案ではないかと見ております。
 この中で御指摘は幾つかありましたけれども、それぞれのところで高いところと低いところで逆転するということが理論値としてあり得るという先ほどの事務局の説明でありましたが、私はむしろそれを国に要望するのではなくて経営の努力ではないか。労使の関係の中で円満に事業所が回っていくようにしっかりと経営をしていくことが求められているということなのであって、一つ一つを全てこういうことを国でガイドラインをつくれということ自体が私はいかがなものかと思っております。
 そういう意味では、全体的には私はバランスのとれた今回の提案ではないかということで支持させていただきたいと思います。
○田中分科会長 経営側の責任について御指摘いただいて、ありがとうございます。
 齋藤委員、どうぞ。
○齋藤(訓)委員 論点1につきましては、事務局の提案を支持したいと思います。それから、今回の加算は当然、離職防止と職場定着促進、かつ、これらを整備した上でケアのクオリティーが改善されることが最終目的になるのではないかと考えておりますので、より多面的な処遇改善の取り組みの推進についてはこの提案を支持したいと思っております。
 ただ、何人かの委員からも御指摘がありましたように、職場環境要件等については、この20ページの資料で示されている項目から、改善の取組を「複数」行っていることが提案されているのですけれども、介護福祉士で10年以上のキャリアとなりますと、新人の指導や、いわゆる多職種連携のキーパーソンを担う役割が期待されていくものだと思います。この職場環境要件の中でも、10年のキャリアを積んでいく上で必要な要件は必須にするという形で検討されてはどうかと思っております。
 加算率の設定につきましては、2段階の加算率を設けることは良いと考えています。ただ、新しいサービス事業所が若干不利になるのではないかという懸念もしておりますので、今後はこの経験・技能のある介護職員が多い事業所を的確に把握することについて、詳細に検討していくことが必要であると思っています。
 2点目の事業所内での配分方法につきまして、これも何人かの委員からも御意見があったかと思います。今回示されたのは、かなり厳格な基準なのではないかと思っております。こういった厳格な基準を設けることによって、各事業所の実情に応じた処遇改善がより難しくなるのは良くないと思っています。確かに加算分を職員に等しく分配することになると、目に見えるほどの賃金改善にはならないため、職種や経験年数で傾斜をつけるという趣旨は理解しているのですけれども、傾斜のつけ方に関しましては、やはり事業所の裁量というものを認める方向で持っていったほうがよいのではないかと思っています。
 先ほど小泉参考人がおっしゃっていたように、非常に支給が難しくなるとか、職員間の不公平感が強くなるとか、処遇改善対象にならない職員がキャリアパスを描けなくなるということも懸念されます。特に看護職では病院での経験を経て、介護へ参入していくというキャリアになっております。介護現場で働く看護職のベテラン層にとって、介護業界に私たちは要るのか要らないのかみたいな話になっていきますと、かえって医療職の介護への参入のハードルが非常に高くなってしまう可能性もあります。経験・技能のあるベテランの看護職が介護業界から流出するという逆効果になってはいけないと考えています。
 ですので、より一層の経営努力ということも事業所には当然必要ですし、今回の趣旨を踏まえれば事務局の提案は理解しているのですけれども、事業所の裁量というものを一定程度入れていくことを検討していくべきだと考えています。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 2回目になりますが、先ほど老人保健課長からの回答がありましたので、その点、処遇改善加算の取得促進支援事業の資料につきまして、先ほど資料が整い次第という話でしたけれども、これは基礎的な資料だと思っているのです。賃金のデータについても、対象にしないという提案の3つのサービス事業所についての賃金データも示されておりませんので、こういったものは必ず結論を出すまでに出していただきたいと思います。
 事業所内での配分につきまして、一定の裁量が必要だということは私どももそう思っているのですけれども、それが管理者だけの裁量で決められると誤解されないように、集団的労使関係がない事業所においても公正な形で恣意的な運用がされないような仕組みが必要だと思っています。
 例えばキャリアパス要件のマル1が、新加算の対象とするとしている加算(Ⅲ)では必須要件にはなっていないですけれども、これは必要ですし、かつ新加算を算定できるところは、この加算をもらう人はきちんとこの賃金規程が及んでいるのだということが必要だと思っておりますので、単に今のようなキャリアパス要件を満たす、つまり規程さえあればいいということでは済まないと考えますので、その点についてもさらに検討してもらいたいと思います。
 事務負担のお話が先ほど委員からありましたが、私たちもそう思っていまして、現行の加算に加えて新加算をとる場合については、一体的な計画や報告ができるような仕組みも考えていただきたいと思います。
 勤続年数10年の考え方については同一法人と同一事業所ということが考えられているようですけれども、働いている側からすればいろいろな事業所でキャリアアップをしてきているということがありますので、何らかの形でこれが考慮できるような考え方をさらに追求してもらいたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 一あたりよろしゅうございますか。
 貴重な御意見をありがとうございました。時間制約もありますので、議題1については本日いただいた意見を事務局においてきちんとそしゃくし、その上で次回において当分科会としての一定の方向性を示すことができるよう準備することをお願いいたします。整理してください。
 きょうは4時までに終わらないかもしれませんが、もう一つ議題がありますので、2に移ります。議題2「介護保険サービス等に関する消費税の取扱いについて」を議論します。
 事務局から資料の説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 それでは、資料2を用いまして、介護保険サービス等に関する消費税の取扱いについて御説明をさせていただきたいと思います。
 先ほどと同様の構成になってございまして、2ページ目から4ページ目までがこれまでいただいた主な御意見でございます。前回いただきました主な御意見につきまして、4ページの一番上でございます。区分支給限度基準額のところにつきましては、各サービス事業所等における課税品目について、実態にあわせて適切に介護サービス費に反映させるとともに、区分支給限度基準額の見直しが必要ではないかということですね。それから、サービスを控えざるを得ないことが生じることのないようにする必要があるという御意見もいただいていたところでございます。
 ということで、次ページ以降で案を申し上げたいと思います。
 5ページ、こちらは介護報酬本体での対応ということでございます。論点の2つ目の○でございますが、マル1介護報酬による上乗せ、そして、マル2区分支給限度基準額、マル3に基準費用額、負担限度額等の対応についてどう考えるかでございます。
 まずマル1介護報酬による上乗せでございまして、5ページの下の中にありますけれども、8%引上げ時における対応を参考に基本単位数への上乗せを基本としつつ、税負担が相当程度見込まれる加算についても上乗せすることとしてはどうかということでございまして、下には前回と同じ考え方をお示ししているものでございます。
 6ページ、加算についてでありますけれども、こちらも8%引上げ時における対応を参考に対応方針を検討することとしてはどうかということでございまして、2つ目の○でございますが、課税経費の割合が大きいと考えられる加算に関しましては、それを上乗せしてはどうかということでございます。
 7ページ、これは今回新しく出す資料でございまして、各介護保険サービスにおける費用構造推計の結果ということでございまして、サービス種類ごとにそれぞれ課税経費割合がどの程度かというパーセンテージで、この赤い枠で囲っているところでお示ししてございます。ちなみに全体では21%になってございまして、こちらは平成26年度に消費税率が5%から8%に上げたときの課税経費割合は22.1%だったと思いますけれども、ほぼ同じ課税経費割合になっております。
 2つ目でございます。8ページでございますが、区分支給限度基準額についてどのように考えるかということでございます。こちらの意見は余りなく、丁寧に対応すべしということだったと思いますが、対応案といたしましては、消費税引上げに合わせた介護報酬の上乗せ対応により、従前と同量のサービスを利用しているのにもかかわらず、基準額を超える利用者が新たに生じる可能性があること、中重度の要介護者により大きな影響が及ぶこと等から、消費税引上げによる影響分について区分支給限度額の基準額を引上げることとしてはどうかという御提案にしてございます。
 9ページ、10ページは前回出した資料でもありますけれども、区分支給限度基準額に対してどのぐらいのサービスを利用しているかということを資料としてお示ししてございます。
 11ページは基準費用額、負担限度額の御提案でございますけれども、基準費用額に関しましては消費税率8%引上げ時においては対応しなかったということでございますが、今回はどのように考えるか。そして、福祉用具販売や福祉用具貸与、住宅改修の価格について、こちらも消費税率8%引上げ時は対応してございませんが、今回どうするかということでございます。
 対応案でございます。こちらは実態を調査しましたところ、平成29年度の介護事業経営実態調査による平均的な費用額と基準費用額を設定した際の平均的な費用額に一定の変動幅が分かるものでございます。そして、一定の費用については消費税率により負担が増加することが見込まれる。この状況を踏まえまして、基準費用額について、利用者負担への影響を加味しつつ、8%から10%への消費税率引上げによる影響分を現行の基準費用額に上乗せを行うこととしてはどうかというものでございます。
 その際、引上げに当たっては、負担限度額については入所者の取得状況等を勘案して決められているものでありますから、これは消費税率の引上げにより直接的に変動するものでないことから見直しは行わないこととしてはどうか。つまり、これは現在取得状況によりまして、区分1から4までございます。軽減措置が図られている方々に関しては負担額が上がらないようにしてはどうかという御提案でございます。
 次に、福祉用具販売や福祉用具貸与、住宅改修でありますけれども、この中で特定福祉用具販売、そして、住宅改修サービス費については、市場価格による保険給付が行われており、特段の対応は行わない一方で、本年10月から設定されております福祉用具貸与の上限額につきましては、消費税率引上げ分を引上げることとしてはどうかということでございます。
 新しい資料といたしまして、14ページ、15ページに福祉用具貸与で平成30年度介護宝珠改定にどのような対応をしたかということを資料としてお示ししてございます。14ページにございますけれども、見直し内容としてポツが3つ並んでおりますが、3つ目のポツで福祉用具貸与価格に上限を設定などしておるところでございます。
 資料2の説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 同じくただいま説明のありました事項について、御意見、御質問をお願いいたします。
 江澤委員、どうぞ。
○江澤委員 7ページなのですけれども、今回はこれでよろしいかと思うのですが、特養の減価償却費のところの特養とか、前回は6.8で今回は1.8になっていますし、施設によって特に減価償却費は、これはもちろん個々の母集団が違うということと、以前申しました定率制、定額制の影響があるかもしれませんけれども、今後どうしていくか。今回はこれで別に差し支えないと思っていますけれども、減価償却のばらつきによって全体的な数字に影響が出ているのかなと。また今後に向けていろいろその辺の精査もできればお願いしたいと思います。
○田中分科会長 今後の精査についての御注文でした。
 小泉参考人、どうぞ。
○小泉参考人 ありがとうございます。
 基準費用額について、今回12ページに御提示いただいております数字から読み込ませていただきますと、食費の基準費用額1人当たりの金額というのは、こちらに書いております4万4,452を30.4日で割りますと、1,462円ということになるわけでございますが、現在の基準費用額が1,380円ということで差額が82円程度ございます。この差が本当に経営にも影響を及ぼしていると思いますので、このあたりを御参照の上、新しい単価を御考慮いただきたいと思っております。今回負担限度額を変更しないという意見については、大いに賛成でございます。
 以上、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 御意見ありがとうございます。
 小原委員、どうぞ。
○小原委員 ありがとうございます。
 今回の消費税アップの対応について、現状のサービスが利用できないことが生じないように要望してまいりましたけれども、区分支給限度額の上乗せがされる対応案を示していただきまして、ありがとうございました。
 以上です。
○田中分科会長 武久委員。
○武久委員 消費税についてはほかの医療の分野もございますけれども、介護保険については医療に比べると影響が少ないということで、皆さんの御質問も少ないのかと思います。3ページの○の下から2つ目ですかね。「サービス創設から20~30年経過し、多くが建て替えを行う時期であり、負担が大きくなるという状況も考慮して欲しい。中長期的な課題としては」と書いてございます。要するに、特養の場合はずっと30年、40年前からございましたけれども、建てかえをしないといけないと。そうすると、仮に20億かかるとすると、2億円を建築会社に払うと同時ぐらいに払わないといけないわけですね。
 これは今、消費税は5年間で減価償却できるというようになっていると理解しておりますが、これで間違いないのかということと、ただし、それは黒字が出ているところしか減価償却できない。建物を建てると建物の減価償却が、これも結構大きなあれになって、その上に消費税の5年間に限って減価償却できるとあるのですけれども、赤字の場合にはこれが丸損になってしまうということもあります。これは病院も全く同じことと思いますけれども、この辺のところは意見も出ておりますが、現実に現場ではどのように動いているのかというのを教えていただけたらと思います。
○田中分科会長 消費税を資産に計上した場合の償却の仕方について解説してください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
 消費税率を計上した場合の減価償却の仕方について、きちんとしたルールが今手元にございませんので、今すぐ明確に回答をすることは困難な状況でございます。また機会もあると思いますので、そのときにはお示しできるように準備させていただきたいと思います。
○田中分科会長 きちんと会計の専門家の正しい答えを得ないと、いいかげんな答えをされても困りますからね。答えていただきましょう。
 井上委員、お願いします。
○井上委員 単純な質問ですけれども、8ページ目の区分支給限度額の基準額について、これは消費税引き上げによって新たに限度額を超えてしまう利用者が生じないようにという調整だと思いますけれども、これは前回の8%のときも同じことをやられたということでよろしいですか。
○田中分科会長 課長、お願いします。
○眞鍋老人保健課長 消費税率8%引上げ時にも対応しております。
○田中分科会長 前回の記憶がありますが、消費税の対応について大枠は前回と変わりませんね。
 ほかによろしゅうございますか。
 東委員、どうぞ。
○東委員 基準費用額についても、今回の消費税10%のときには見直しをしていただくということになりました。前回の消費税8%のときにかなり私は抵抗したのですけれども、全く上がらずに押し切られてしまったのを思い出しておりましたが、今回は対応していただけるということでありがたいと思います。
 これは以前にも申し上げておりますが、先ほどの江澤委員の意見とも一緒なのですけれども、基準費用額の設定のあり方、減価償却を使っているという根本的なところを介護保険部会等できちんとまた議論して見直していただきたいと思いますし、そもそも、この補足給付が施設入所者の60%、70%という状況もどこかで何か手を打っておかないと、介護保険制度の持続性にも影響していくことなので、またぜひそういう議論もしていただきたいとお願いしておきます。
○田中分科会長 ほかによろしゅうございますか。
 議題2については短く済んで、4時に終わりそうですね。ありがとうございます。
 では、議題2についても本日の御意見を踏まえて、次回において当分科会として一定の方向性を示せるよう事務局において整理をお願いします。
 「その他」に移ります。
 どうぞ。
○田部井委員 認知症の人と家族の会です。
 前々から意見を申し上げている訪問介護の生活援助を一定回数以上含んだケアプランの届け出制についてなのですが、御承知のように認知症の早期の人が診断を受けられるようになりまして、ひとり暮らしの人が生活していく上で生活援助の重要性は今までよりもずっと大きくなっているのではないかと考えています。
 この届け出制について「ケアマネジメントオンライン」という、これは団体というのかネット上のサイトというのかわからないのですけれども、ケアマネジャーさんを会員とするもので、会員さん向けにこのことについてアンケートをしてくれた結果が公表されておりました。11月20日から12月3日の間に行って609人から回答をいただいたということでした。私はこれは非常に時宜を得たアンケートで高く評価させていただきたいと思っております。それから、率直に答えていただいた回答者のケアマネジャーさんにも敬意を表したいと思っております。
 今回のこの基準が示されたことでケアプラン作成の考え方が変わったかという問いをされたようなのですけれども、まず第一に私が注目したのは、基準を超えそうになった場合減らすように依頼したという回答が9.5%、約1割あったのです。その説明の仕方が、法律の改定で回数に制限ができた、あるいは国のせいで回数が減ったという事実と異なる説明をして減らすように依頼したということで、それが1割近くあるということは大変なことではないかと私は思っています。「ケアマネジメントオンライン」のように、こういうところに加盟して仕事をしていこうという人たちは、どちらかといえばきちんとした意識を持って仕事をされている方ではないかと思うのです。それでも1割の人がそういうことをせざるを得なかった。私はこれはケアマネジャーさんが非力であると責めるつもりは全くございませんで、むしろこれは板挟みになって苦しんでいることを伝えたいというメッセージではないかと私としては受け取りました。
 それから、常に基準を超えないようにしているという回答は17%で、基準に近いケースでは少しだけ気にするようになったという方が42%、何らかの形で気にせざるを得ない方が6割近くに達しているという回答が出ています。その中でも、基準を超えて市区町村に届け出をしてくれたケアマネジャーさん、そういう経験があるというケアマネジャーさんの回答が4.5%あったと。私どもとしてはよく頑張っていただいていると思います。でも、残念ながら頑張っているケアマネさんがそれだけの数字ですので、恐らく一般的に全てを対象に調査をしたら、届け出た数字はこれよりもずっと低い数字になって出てくるのではないかと推測されます。
 そういうことから、私ども利用者としますと、数字にはあらわれない形で区分支給限度額を超えてもいないのに不当な利用制限を強要されて、苦しい介護生活を強いられている利用者が生まれていると言わざるを得ないと思っております。ですので、利用者の立場からは、この施策はやめていただくように検討していただくように、ぜひお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 ほかに、その他について。
 江澤委員、どうぞ。
○江澤委員 時間が押しているところ、申しわけございません。
 介護職員の処遇あるいは介護事業所の経営にも影響がある案件なので2点申し上げたいと思います。
 御存じのように働き方改革ですが、ことしの4月1日から労働基準法、労働安全衛生法、労働時間等設定改善法の改正がなされ、残業時間の上限規制については、中小企業は1年間猶予がございますけれども、残業時間の上限の規制、あるいは勤務間インターバルの制度の導入、あるいは有給休暇の取得の規定等、いろいろな施策が盛り込まれており、そこにはそれぞれ厳しい項目だと懲役、または罰金刑とか、場合によっては施設の存続にも影響するようなペナルティーが法律上決まっていて、4月1日から施行していくわけなのです。
 介護人材の不足の話で非常に重要な案件で、一方で、私の杞憂であればいいのですが、この4月1日から果たして全国の各事業所が今回の4月1日からの働き方改革の法改正にうまく対応できるのかどうか。そこを非常に心配しているところで、人材が不足しているから、当然残業もふえるわけだろうし、有給休暇もとりにくいのが当たり前のことだと思います。そして、特に介護事業所は規模の小さいところも多く、施設ごとの事業所ごとの自助努力で対応できる範囲なのかどうか。現状、そういった状況にあるのか。
 もし仮に、恐らく多くの事業所がこの対応をするために現場の職員をふやさないといけないことが発生すると思うのですけれども、人を配置したときにそれがどのように介護事業の経営に影響を及ぼして、処遇改善がどういう間接的な影響を受けるのか。いろいろ検討していかなければいけない重要な課題があろうかと思っております。
 もうあと4月1日までさほど日数もなく、私の印象ですけれども、現場に情報伝達が隅々まで行っているのかどうか若干不安な部分がありますので、ぜひ事務局におかれましては情報提供並びに注意喚起も含めて、我々も民間団体としては当然最大限の努力はしていきますけれども、果たしてこの4月1日から本当にいろいろな混乱が生じないかどうか、事務局で対応できる部分についてはお願いしたいと要望させていただきます。
 以上でございます。
○田中分科会長 介護経営者の対処、4月からの警告ですね。本当は厚労省も一番残業の多い省なので、4月からどうするのか聞きたいところですが。これは冗談です。
 以上をもちまして本日の議論を終了いたします。どうもありがとうございました。
 次回の予定について、事務局からお願いします。
○川口企画官 次回の日程につきましては事務局から追って御連絡をさせていただきますで、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日はこれで閉会いたします。お忙しいところありがとうございました。
 
         

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