ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護給付費分科会)> 第165回社会保障審議会介護給付費分科会議事録(2018年11月22日)

 
 

2018年11月22日 第165回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成30年11月22日(木)10:00~12:00

 

○場所

ベルサール飯田橋駅前 ホール(1階)
東京都千代田区飯田橋3-8-5

○出席者

安藤、井口、石田、石本、伊藤、今井、江澤、大西、荻野、尾﨑(戸田参考人)、小原、河本、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐藤、瀬戸、
武久、田中、田部井、東、堀田、松田(敬称略)

○議題


1.介護人材の処遇改善について
2.介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について
3.その他

○議事

○川口企画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第165回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りましてまことにありがとうございます。
会の開催に当たりまして、まず本日の委員の出席状況でございますが、井上委員、亀井委員、河村委員より御欠席の連絡をいただいております。
また、尾崎正直委員にかわり戸田京子参考人に御出席いただいております。
以上により、本日は21名の委員に御出席をいただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○川口企画官 では、以降の進行は分科会長、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 皆さんおはようございます。本日は「介護人材の処遇改善について」と「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」などについて議論を行います。
早速、事務局より資料の確認をお願いします。
○川口企画官 資料でございますが、お手元のタブレットをごらんいただきながら資料の確認をさせていただきます。
まず座席表、議事次第、委員名簿がございます。
その後に03として資料1「介護人材の処遇改善について」、資料2「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」がございます。
参考資料1と2として、処遇改善と消費税の取扱いに関するこれまでの資料を整理したものをおつけしております。
参考資料3といたしまして、日本経済団体連合会の井上委員からの提出資料がございます。
資料の不足等がございましたら事務局にお申しつけください。よろしくお願いします。
○田中分科会長 では、議題1「介護人材の処遇改善について」の議論を行います。事務局から資料の説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 おはようございます。老人保健課長でございます。
それでは、資料1を用いまして、介護人材の処遇改善について御説明をさせていただきたいと思います。
おめくりいただきまして、主な意見について取りまとめてございます。これは第161回から前回までの本分科会でいただいた御意見について、事務局の責任で整理したものでございます。これは再度の御紹介になりますので、前回にいただきました御意見を中心に御紹介をさせていただきたいと思います。
資料で申し上げますと3ページ目にいっていただけますでしょうか。これまでの議論における主な意見について②のページでございます。その中で上から5つ目の○でございます。パッケージの趣旨を踏まえ、介護職員の処遇改善の効果を確保した上で、他の職員に配分できる仕組みを考えるべき。仮に等分に配分すると、改定額は月額9,000円程度になってしまうという平均での数もお示しいただいたところでございました。
そして、3ページの下4つの○が前々回いただいた意見でございまして、福祉用具貸与、特定福祉用具販売につきまして、福祉用具専門相談員についても検討対象に追加して欲しい。
「柔軟な運用」といっても、同じ事務所で介護職員と一緒に働くその他職員にも配られるとの趣旨ではないか。介護職員のいない事業所まで加算の対象とすることは適当ではない。
処遇改善の対象とならないサービスにおいても、処遇差等の改善が不十分な状態があるので、その部分については処遇改善ではなく、職能の質やサービス提供の効果に基づき、次期報酬改定等で基本報酬とか加算等で適切に評価すべき。
介護報酬で処遇改善を行うに当たり、賃金水準が他の産業と遜色のないような職種について処遇改善を行うことは理解が得られないのではないかという意見がございました。
次に、5ページでございます。こちら④のページでございますけれども、下2つの○が新たにいただいた意見かと承知しております。勤続10年以上介護職を手厚く配置している事業所やICTの導入・介護助手の活用など、職場環境が良い事業所については、サービス毎の加算に加えて、段階をつけて評価すべきではないか。
ある事業所の10年介護福祉士と別の事業所の介護職員・他職種の処遇改善が逆転するようなことがあると、現場の理解が得られないのではないか。把握が難しいのは分かるがという御指摘でございました。
こういうことを踏まえまして、8ページ以降を御説明させていただきたいと思います。
8ページ目はこれまでもお示しした資料でございます。新しい経済政策パッケージで考慮されている視点でございまして、原文は下の点線の四角囲みで書いておりますが、そこには赤字で強調しております。まず介護職員の更なる処遇改善を進め、その中で経験・技能のある職員に重点化を図る。そして、柔軟な運用を認めることということでございまして、それを図にしたのが上でございまして、介護職員の更なる処遇改善が大きな目的でございまして、その中で経験・技能のある職員に重点化し、柔軟な運用を認めることとなってございます。
9ページでございます。更なる処遇改善について①のページでございますが、このページの今回新しいところは、論点1と論点2の赤い四角囲みで書かせていただいておりますけれども、この論点1、論点2を後のページでお示しいたしております。このページで御説明するところに関しましては、今回、公費1000億程度、保険料も同額ということで2000億円程度をまずサービス事業所種類ごとに各加算率を設定して、配分をすることになろうかと思っております。このときに加算の取得要件といたしまして、下にありますように一定のキャリアパスや研修体制が構築されていることを求めてはどうか。さらに具体的な取組の見える化等を促すことも検討してはどうか。こういう論点をお示ししておりました。
次に、事業所にパーセントで加算されたものが配分された後の事業所の内部での配分のことでございますけれども、経験・技能のある介護職員、他の介護職員、そして介護職員以外のその他の職種、この3つのグループに関しまして一定の傾斜の設定等を検討してはどうかということでお示ししたところでございます。対象としては賃金改善に充てることとしてはどうか。そして、右側に吹き出しでございますけれども、勤続10年以上の介護福祉士を基本としつつ、一定柔軟に運用できるようにしてはどうかということでお示しをしてきたところでございます。
では、論点1につきまして次のページでお示しをしたいと思います。サービス事業所種類ごとの職員配置の手厚さや職場環境等を反映すべきではないかとの意見がある中、各加算率の設定や加算の取得要件について、どのように考えるか。
事務局で考えた対応案であります。加算の取得要件ということでございまして、長く働き続けられる環境を目指す観点から、事業所の事務負担を考慮した上で、一定のキャリアパスや研修体制の構築、職場環境等の改善が行われていることを担保するため、現行の処遇改善加算(I)~(III )の取得を要件としてはどうかということでございます。
そして、この加算率の設定でありますけれども、この処遇改善を一層進めるために、人材定着にもつながるよう、経験・技能のある介護職員が多いサービスが高く評価されるようにしてはどうか。
その際、同じサービス種類の中であっても、経験・技能のある介護職員の数が多い事業所や、職場環境が良い事業所について、更なる評価をすべきという意見がございました。その一方で、これらの事業所がどの程度あるかのデータが乏しいことや、実際に要件を満たしているか把握するための事務負担が増加すること、新しいサービス種類や新しい事業所が要件によっては不利になること等を考慮する必要があることなど、どのように考えるかということで、ここは御議論をいただきたいと思ってございます。
11ページ目がそのイメージ図でございます。先ほどの論点1の9ページの図で申し上げると、サービス種類ごとに何%加算を設定するかでありますけれども、以下のようなものが考えられるのではないかということでございます。
まず一番右でありますが、事業所別の加算率を設けるということも、これは理論的にはもちろん考えられるところでございますけれども、パーセンテージでということでございますので、一つ一つの事業所ごとにということを実務上の介護報酬で行うことは、なかなか困難ではないかと思っておりますが、一つの例としてお示しをしております。下に四角がございますが、職員配置が手厚い等の事業所を個別に高く評価できるということでありますが、事業所ごとに取組状況の申請・確認が必要であるということでございました。
左側2つを御説明申し上げますと、加算率に差を設けないということでございますが、これは例えば9ページで申し上げると矢印がありますけれども、訪問介護で何%というところでございます。このパーセンテージに訪問介護の中では差を設けないという場合であります。この場合は職員配置が手厚くても同一サービスでは評価は変わらない。ただ、一方で事業所の新たな事務負担が少ないということが挙げられるかと思います。
真ん中でありますが、これは加算率に一定の差を設ける場合。例えば訪問介護なら訪問介護の中で幾つか段階を設けるということでございます。絵ではこの中で網かけをしておりますけれども、斜線部分の面積は同じということで、同じ財源がいくということですが、その中で差を設けるということでございます。これを行いますと、職員配置が手厚い等の事業所を一定程度評価できる一方で、事業所ごとに一定の取組状況の申請・確認が必要であります。あとは設定の仕方によっては横幅の大きさのようなもののデータがない場合がありますので、一律の加算率や上乗せの加算率の設定に当たり十分な配慮が必要となるということでございます。
12枚目でございます。こちら論点2、処遇改善加算額をどのように事業所内で配分するかという論点でございます。事業所内での配分方法や対象費用についてどのように考えるかでありますけれども、対応案として1つ目の○は、どの職種にどのくらい処遇改善を行うかは、一定程度事業所の裁量・判断で行う必要があると考えられますけれども、配分に当たっての要件として、①経験・技能のある介護職員、②他の介護職員、③その他の職種の順に一定の傾斜の設定等を行うことを検討してはどうか。
また、一定の傾斜の設定等において留意すべき事項はあるか。ここを御議論いただきたいと思っております。
そして、対象費用でございますが、これは前回もお示ししている文章でございますけれども、引き続き賃金改善のみに充てることとしてはどうかというものでございます。
そのイメージ図としてお示ししたのが13枚目でございますけれども、①経験・技能のある介護職員、②他の介護職員、③その他の職種の順に一定の傾斜の設定等を行う場合を考えたときに、どのような配分を行うかをイメージしております。Aは①経験・技能のある介護職員に全て配分するものでございます。BはAの介護職員に加えて②他の介護職員に配分するということでございまして、①の介護職員の配分される分が少し減りまして、②他の介護職員に配分されるということでございます。CはBに加えて③その他の職種にも配分するという図でございます。
次に14枚目でございます。こちらは平均給与額の状況でございますけれども、介護職員から管理栄養士・栄養士まで平均給与額をお示ししているところと、その隣に平均勤続年数をお示ししております。介護職員の処遇改善加算(I)~(V)を取得している事業所における介護職員の平均給与額は約29.3万円ということでございまして、これはまだ低い傾向にあるというものでございました。
15枚目以降は過去にお示しした資料でございますけれども、本日は介護職員処遇改善加算(I)、(II)、(III)をとっているところを要件としてはどうかと御提案申し上げておりますので、その説明として、15ページをつけさせていただいております。
16枚目は介護関係職種の人材確保の状況と労働市場の動向でございまして、有効求人倍率が非常に高いということ、また、17枚目は都道府県間で非常に大きな差があること。18枚目でありますけれども、介護職員に関しましては平均勤続年数が年齢とともに上がっていく年齢は大体30ぐらいまでで、その後は下回っていることが、平均勤続年数が低くなっていることをお示ししたものでございます。
19枚目は、それぞれのサービス種類におきまして介護職員の割合がどのぐらいか。そして、その介護職員の中で介護福祉士の割合がどのぐらいか。そして、最後の20ページでございますが、その中でも10年以上の介護福祉士がどのぐらいいらっしゃるかというものをお示ししているものでございます。
これがまず資料1の御説明でございまして、きょうは御欠席の日本経済団体連合会 井上委員から参考資料3でありますけれども、意見書をいただいているところでございます。介護人材の処遇改善に係る御意見でございますので、ここで御紹介をさせていただきますけれども、参考資料3をごらんいただきますと(1)、(2)、(3)ということでございます。
(1)は介護報酬で引続きやるのかどうか、根本的な議論が必要ではないかということを改めて強調したいというものでございます。
(2)は人材確保に最も効果的に新たな処遇改善加算を設定すべきというものでございまして、①、②もそのような考え方がお示しされております。①はサービス類型ごとの加算率、つまり先ほどの論点1の設定に当たっては、経験・技能のある介護職員が多いのみならず、有効求人倍率も踏まえてはどうかということでございます。②は経験・技能のある職員に重点化していくという趣旨に鑑みて、こちらは加算(I)、現行の処遇改善加算のことをおっしゃっているのだと思いますけれども、加算(I)のみを対象とすることが妥当ではないかということでございます。
(3)はこれまでの本分科会でも何人かの委員からいただいている御意見と同様でございますけれども、どのぐらいの効果があったかという検証は行うべきであるという御意見でございます。
後で御説明する資料2なのですけれども、ここで御説明してしまいますが、裏のページに介護保険サービスに関する消費税の取り扱い等についてのところで区分支給限度額に関するコメントもありまして、これも前回、何人かの委員からいただいた御意見のことでございますけれども、従前と同量のサービスの利用について、区分支給限度額を超える利用者が新たに生じない範囲での対応とすべきという御意見をいただいてございます。
その後に参考資料で1と2をつけさせていただいていますが、これはこれまで行いました介護人材の処遇改善と消費税に関する御議論をいただいたときの資料をおつけしているものでございます。
御説明は以上でございます。
○田中分科会長 説明ありがとうございました。
どういう案がいいか皆様の意見をお聞きしたいという形の資料になっています。11ページも13ページもそうですが、皆さん方からの御意見、御質問をお願いいたします。
武久委員、どうぞ。
○武久委員 安倍首相が新聞のトップで、1000億円で10年以上勤めていたら8万円上げるというニュースが流れまして、うちの職員にも10年いたら8万円も上がるのかということをあの当時話題になっておりましたように、10年たった人にみんな8万円くれるのではないような雰囲気なので、報道から見ると私は10年たったのに2万しか上がっていないということがあるかなと思いますが、これは公平性という意味ではある程度仕方がないと思うのですが、この10年という期間の問題ですが、例えば大きな全国チェーンの訪問介護のところであれば、東京支店からどこかの支店に移るとか、医療法人と社会福祉法人が両方ある、一般社団法人もあるようないわゆるグループのところが3年ずつとか4年ずつとかで勤務場所が変わった場合に、この10年をどう見るかということも結構いろいろな事業所を持っているところも多いので、特に我々慢性期医療をやっているところは病院と介護施設、さらには通所訪問をやっているところがあるので、通算できるのかどうかというのも非常に重要ということです。
そういうことでそのあたりをある程度はっきりさせていただくということと、トータルでいただいて、それを各事業所がそれなりに分配をするという方法がいいのか。いわゆる10年以上たったという職員の把握というのは各事業所ではできますけれども、それを監査する場合にかなり複雑になるということも理解しておりますが、先ほど申しましたいろいろな事業所なり違う企業体、だけれども同一のグループであるという場合の10年間の算定の仕方について、ちょっとお聞かせ願えたらと思います。
以上です。
○眞鍋老人保健課長 先ほどの図で申し上げますと9ページでございますけれども、この経験・技能のある介護職員、これは論点2の御指摘だと思いますが、経験10年以上の介護福祉士を基本としつつ、一定柔軟に運用できるようにしてはどうかというふうにまずこのようにお示しをしておりまして、それでそのあり方をどうすべきかという御指摘かと思います。
ここは今までも幾つか御意見をいただいているところでございます。4ページ目になりますけれども、経験・技能のある職員の考え方のところでありまして、対象者の選び方について定着、促進等の観点から10年以上の考え方について同一事業所、同一法人とかではなく、業界単位で考えることにしてもよいのではないかという御指摘もいただいているところでございます。こういうことを踏まえてまた御議論を深めていただければと思います。
以上です。
○田中分科会長 よろしいですか。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 まず最初に1点、確認させていただきたいのですけれども、本日の議論につきまして、介護職員が従事しているサービスのみを対象として処遇改善を行うことが前提であると理解してよろしいのでしょうかという点でございます。
○眞鍋老人保健課長 端的に申し上げて、そのとおりでございます。
もう少し説明申し上げますと、今回の御提案の中で処遇改善加算(I)、(II)、(III)を算定しているところを対象としてはどうかと御提案申し上げているのも、その趣旨でございます。
○田中分科会長 河本委員、お願いします。
○河本委員 これまでの審議会の場でも申し上げてまいりましたけれども、今回の処遇改善の大きな目的は、介護人材の確保と職場定着であります。その職場定着ということを考えたときに、いろいろなところで職場環境の改善の必要性が指摘されているという意味でも、従来の要件に加えて職場環境要件をもう少し強化すべきではないかということを申し上げてきた経緯がございます。まず今回御提案の要件ですが、処遇改善加算の(I)(II)(III)が対象ということでございますけれども、これは全体の90%の事業所が対象になるということで、その意味では本当にこの要件で本来の目的である人材確保なり職場定着に寄与するのかというのがまず感じたところでございます。
先ほどの井上委員のペーパーの中にも、処遇改善加算(I)に限ってもいいのではないかと、1つの御意見と思いますけれども、ございました。いずれにしても介護職員の人材確保、職場定着につながることをまずベースに考えて、言葉は悪いのですが、ばらまきになるようなことは絶対に避けるべきだと思います。
その意味では加算の要件の話と加算率に高低をつけることは、関連する話だと思います。確かに事業所ごとに細かく加算率を算定するというのはなかなか大変なのかなという気はいたしますが、最低限、加算率に一定の差を設けるべきだと考えます。職員配置が手厚い事業所等が評価されなければ、何のためにやっているのかということにもなりかねないと思います。加算の要件と加算率をどういうふうに設定するのか、その加算率のそれぞれの要件をどうするのかというのは連動する話かもしれませんけれども、それこそ今の御提案の処遇改善加算(I)(II)(III)を全部対象にし、かつ、加算率に差を設けないという、万が一そんなことになると今回の本来の目的、繰り返しになりますけれども、職場定着、介護職員の人材確保について、本当にそれで効果が上がるのかを疑問と言わざるを得ないと考えます。
あと、事業所内での配分について、これも従来から何回も申し上げてまいりましたけれども、事業所間で傾斜の設定が余り違うと、職員間でも不公平感は当然出てまいりますし、極端な話、ある事業所は経験の長い介護職員の処遇が高いのでそちらに移るといったいびつな偏在を惹起するリスクもあるのではないかと思います。その意味ではこの傾斜の設定は、事業所に全て任せるということではなくて、ある程度ガイドライン等の一定のルールが必要なのではないかと考えます。
意見でございます。
○田中分科会長 11ページ、13ページの図について御意見をいただきました。ありがとうございます。
東委員、どうぞ。
○東委員 まず言葉の定義をきちんとしていただきたいと思います。
資料1の10ページ「更なる処遇改善について②」の対応案の<加算の取得要件>に、現行の処遇改善加算(I)~(III)の取得を要件と書いてございます。先ほどからこのことについて複数の委員から言及がございます。
改めて資料1の15ページの現状の処遇改善加算の表を見ていただきたいのですが、ここに取得要件がございます。この取得要件はキャリアパスの1、2、3を満たす等で段階がついているわけでございます。もう一度10ページに戻りまして、ここで書かれている<加算の取得要件>につきましては、先程見て頂いた現行の取得要件と同じ意味で使っているのでしょうか。私はこれは加算の取得要件ではなくて加算の対象要件だと考えているのですが、そこをまずお聞きしたいと思います。今のまま取得要件であれば現行の処遇改善の(I)(II)(III)をもって今回の加算の傾斜を考えたりするというふうに捉えられがちですが、そこのところをお聞きしたいと思います。
○眞鍋老人保健課長 御質問に関しましては、取得要件の言葉でありますけれども、当然これは各加算の種類ごとに加算を取得するための要件を我々は設定してございます。15枚目にありますものは、現行の介護職員処遇改善加算(I)~(V)でありますけれども、それぞれを取得する際に、どういう要件が必要かということをお示ししたものでございます。
同じ名前なので紛らわしいところがあるのですが、今回10ページでお示ししておりますのは、今回、御議論いただく更なる処遇改善の加算であります。ですから現行の介護職員処遇改善加算(I)~(V)ではなく、今回御議論いただく新たな処遇改善の加算に関しまして、それを加算する取得要件についてどのように考えるか等を示しておりまして、それは(I)~(III)を算定していることというか、これを取得していることを要件としてはどうかとお示ししたものでございます。加算といった場合には、それを算定するための要件を設定することが前提になりますので、このような言い方になっているということで御理解いただきたいと思います。
もう一つは、更なる処遇改善の事業所への配分の割合を本日御議論いただいているわけですけれども、現行の介護職員処遇改善加算の(I)~(III)の取得要件が関連するものではないということは御説明しておきたいと思います。
○東委員 ありがとうございます。先ほどからの他の委員の御意見を伺っても、現状の処遇改善加算の取得要件と一緒のようにお話をされています。そこで、これは加算の取得要件ではなくて加算の対象要件であり、今回の新たな加算が対象となるのは、今の処遇改善加算の(I)~(III)をとっているところが対象になるという文言にしていただきたいと思います。これから次の加算率の話をするときに、この取得要件があたかも資料1の11ページの「加算率に一定の差を設ける場合」の条件に、そのまま現行の(I)~(III)が当てはまるのではないかという誤解を招くので、この加算の取得要件という文言は、加算の対象要件と変えていただきたいと思います。
それを踏まえた上で、今回の更なる処遇改善は「新しい経済政策パッケージ」にございますように、今までの処遇改善加算とは「経験、技能のある職員に重点化をする」というところが大きな違いでございます。そこを踏み外してはだめだと思いますし、先ほど複数の委員からもございました「10年以上8万円」という言葉は、やはり現在介護現場で働いている者にとっては大変大きな文言でございます。これが実際に配られてみると8万円どころではない。1万円とか2万円ということであれば、悲観して離職をするというリスクだってあると思います。ですから今回の新たな加算は、「経験と技能のある職員」にきちんと配られるように、8万円満額でなくても一定程度の額が行くようにしないと、現場に大変混乱を招くというふうに思います。
そういう意味でもう一度11ページに戻りますが、一番左の<加算率に差を設けない場合>についは言語道断であります。サービス種類のなかで一律の加算にしてしまいますと、そういう対象職員が多くいるところは大変薄い配分になってしまいますし、対象職員が少ないところは大変な額が配られるという逆転現象が起こってしまいます。これは前回からも言われていることでござます。私は一番右の破線で囲ってある事業所別の加算率を設けるべきで、「経験・技能がある職員」がいるところには多く加算が配分され、そういう職員にきちんと渡るということをすべきだと思います。
これは事業所別の加算を設けた場合、実際に要件を満たしているか把握するための事務負担が増加するので大変だという主旨の文言がございますが、私ども事業所はそういう加算があれば職員のために事務仕事をやって、きちんと申請します。ですから厚労省は大変かもしれませんけれども、ぜひともそういう職員がたくさんいるところに、きちんとお金が行く仕組みを考えてほしいと思います。
右端のところが王道だと思いますが、そこに仮に行かないとしても真ん中の<加算率に一定の差を設ける場合>にすべきだと思います。例えば私が考えているのは、現状でサービス提供体制強化加算という加算がございます。これは介護福祉士の割合とか勤続年数が一定程度評価をされた加算でございますので、そのサービス提供体制強化加算の取得によって傾斜をつける。これは1つの方法だと思います。
それから、今回「経験と技能」というふうに言っているわけですから、単なる介護福祉士ではなくて、例えば日本介護福祉士会の行っているチームリーダー研修とか、介護福祉士の中でもより技能の高いと思われる職員がたくさんいるところを評価する。そういう研修を受けているところで傾斜配分をするとか、そういう一定程度の工夫は最低でもすべきだと考えます。
最後に事業所内での配分は、私も先ほどの河本委員と一緒でございまして、厚労省の案どおり経験・技能のある職員にきちんと配られる、その他の職員に多く配られるようなことがあってはならないという案で賛成でございます。
以上です。
○田中分科会長 文言の整理が必要ではないかという御指摘と、期待を裏切ってはいけないとの御意見でした。ありがとうございました。
石本委員、どうぞ。
○石本委員 御意見を申し上げたいと思います。
今回の議論についてですが、この加算に関しては今、東委員もおっしゃったとおりですが、そもそも技能と経験をというところを打ち出し、賃金ギャップを埋めるというところ、これによって効果的に人材確保や定着促進が進むということと、かつ、実際にもらう人が実感を得られるということが大事だろうと思います。そこが薄まってしまっては、2000億という大きいお金が充てられるのに、結局、成果がなかったというふうにはならないようにしなければいけないと思うところです。
それを踏まえまして、まず論点1に関して、ここについては御意見でもあったように、我々も1つ御提案として、サービス提供体制強化加算や訪問介護で言うところの特定事業所加算といったもので、いわゆる有資格者の割合であったり、スキルの高い人が手厚く配置されている事業所がさらに高く評価されないと、結局、質を担保するために手厚くしている事業所の、もらう側の職員さんのもらう配分が薄くなってしまうというのは、本末転倒ではないかと思うところでございます。
さらに論点2のところでしっかり確認させていただきたいのですが、マル1、マル2、マル3の箇所で、マル1に関しては10年の介護職員を基本としというのが図の中でも示してありますので、基本としていただきたいというのが私どもの思いでございます。ただし、その中においてもスキルの差もあったりしますので、自己研鑚をどれだけ積んでいるのかという中においては、例えばチームリーダーを養成するような研修であったり、マネジメントといったところに資する研修を受けている等が、いずれかの要件の中に入れられるということがあるべきではないかと思います。さらに、マル1、マル2、マル3の中においても、特にマル1に関してはマル2、マル3と比べるとしっかりとギャップの部分で、高さが見える化を担保されないと実感が得られないのではないかと思うところでございます。
いずれにしましても、今申し上げたことを踏まえて事業者に一定程度委ねるということではございますが、そこに対して先ほど河本委員もおっしゃったように何らかのガイドラインもしくは割合、計算の仕方、などを一定程度お示しした上で、もらう側の実感というのをしっかりと担保していただければと思うところでございます。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 きょうは事業所への処遇改善加算の原資の配分が論点1で、論点2が労働者への配分ということで整理されていると思います。
まず1つ目の改善原資の配分のことで、10ページの取得要件と先ほど指摘があったところですけれども、これについては現行の加算(I)~(III)を取得しているところに限るということの提起かと聞いたところ、その通りとおっしゃった点については、これはそのように決まったことではないのではないかと思っており、これから意見を申し上げたいと思います。
私どもの加盟組合であるUAゼンセンの日本介護クラフトユニオンが、今月1日から7日まで全国の介護現場で働く組合員を対象に緊急調査をしまして、2,737人の回答があり、訪問看護事業所、居宅介護支援事業所、福祉用具事業所が新たな処遇改善の対象外となることについて、65.5%の方が反対という結果となりました。これは、今言った3つのサービス事業所の組合員だけに聞いたのではなくて、組合員のいる全ての介護サービスの事業所に聞いた結果です。
この質問について、訪問系の看護職と訪問系のケアマネジャーと福祉用具専門相談員の回答は、今、言った順に74.6%、90.1%、90.9%が反対という結果でございました。それらの現場からは、処遇改善が必要ない職種であると社会的に評価されているとか、それでモチベーションが下がってしまう、離職が進む可能性すら懸念されています。介護福祉士の資格を取得してステップアップしてケアマネになったら、処遇改善から外されるなんていうのはおかしい、居宅介護支援事業所の事業所番号があったとしても、訪問介護事業所などと併設されていて、同じ事業所の中で隣の机の人と一緒に仕事をしているのに雰囲気がますます悪くなるといった声も出てまいりました。
同じ日本介護クラフトユニオンが昨年行った賃金実態調査の結果で、先ほど言った3職種のうち、特に福祉用具専門相談員の年収が介護職よりも13万1000円ほど低い結果となっています。処遇改善の対象となっていないサービスで働く人の賃金実態については、ぜひ示していただきたいと前回申し上げましたけれども、それをきちんと出していただいた上で、処遇改善策について提起していただきたいと思います。
また、現行の加算(IV)と(V)の算定事業所についても、(I)~(III)に移行できなければ対象外となります。これについても、以前より処遇改善加算の取得促進支援事業がどれだけの事業所に行き届いているのかということをきちんと出していただきたいと申し上げていまして、あわせてそれも示していただいた上での検討としていただきたいと思います。
8ページの最初の政策パッケージで考慮されている視点というところでも、3に「介護事業所の賃金のベースアップ等につなげる必要がある」と書いてあるとおりでありまして、特段に介護職員のいるサービスに関する介護事業所の賃金と書いているわけではございません。人材不足の濃淡はありますけれども、どの加算を算定していようがケアマネ、看護職、福祉用具専門相談員についての人材確保に課題はあるわけですので、そういうことを十分踏まえて検討をしていただく必要があると思っています。
それから中身のところなのですけれども、経験・技能のある職員に重点化するという視点が示されているわけですので、その原資の配分と事業所における労働者への配分の双方において、その点は考慮することが必要だと思います。そう考えますと、まず原資の配分のところでは11ページに3つの絵があるわけですけれども、右にある事業所別の加算率を設けることが難しいとすれば、真ん中の絵のような形をとるという検討をする必要があると思います。
その際、先ほど別途の加算を取得している事業所について考慮するという提起もありましたが、事業所への配分のほうで13ページに2段階、3段階の絵があるわけです。このようにそれぞれ事業所におけるカテゴリー別の介護人材のウエートを事業所に渡るお金に反映するという形も考えられるのではないでしょうか。つまり、13ページのような階段をそのまま算定時にも使うことがあり得るのではないかと思ったところであります。
前にも申し上げたのですが、取得に当たっては計画と報告の提出は従来どおり確実にしていただく必要があると思っていますし、キャリアパス要件や、職場環境等要件のようなことも考えていく必要があるのではないか。反映すべきではないかという意見があるという点についても、公正な評価制度ですとか、賃金制度が加算対象労働者に全部カバーされていることを前提として、そういうものをつくることを要件とする、現状のキャリアパス要件だと制度さえあればいいということで、別に対象労働者がどれだけカバーされているかというのが求められていなかったりするものですから、そういうこともきちんと要件化することも考える必要があるのではないかと思います。
事業所における配分のほうですけれども、賃金は労使自治で決定するのが筋だというのは言うまでもないのですが、やはり公費による政策的なお金ですので、それは介護報酬制度の中で、きちんと原資の使途について考える必要があると思います。そういう意味で13ページのような段階をつけるということを事業所にきちんと担保させるような仕組みが必要なのではないかと思います。
以上ですけれども、賃金のみに充てるという点については従来どおりの考え方が示されているので、そのとおりにしていただければと思います。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
今井委員、お願いします。
○今井委員 私から意見と3点ほど質問をさせていただきたいと思います。
まず資料1の論点2の13ページにあります、事業所内での配分に当たってのAからCの案についてでございます。経験・技能のある職員に重点化という考え方を踏まえつつ、一方で平成29年12月8日に閣議決定された「新しい経済政策パッケージについて」の中で、他の介護職員などの処遇改善に、この処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めることを前提にと、このような文言もありますことから、C案とすることがよろしいのではないかという意見表明をさせていただきたいと思います。
その上で質問ですけれども、まず①から③のそれぞれの中における職員や職種への配分についてですが、ほかの委員もおっしゃっていましたけれども、ここは労使関係が重要だと思いますので、この①~③の区分の中で配分の自由度があるのかどうか。これがまず1点目の質問でございます。
2点目でございます。10ページの論点1の対応案に、経験・技能のある介護職員と記載がありますけれど、技能について説明が触れられていないので、技能についてはどのようにお考えなのかお聞きしたいというのが2点目の質問でございます。
3点目でございますけれど、前回も申し上げたのですが、総合事業へ移行した介護予防、介護予防も訪問介護、通所等ありますけれども、こちらの方のさらなる処遇改善加算がどのようになるのか。この3点について質問をさせていただければと思います。
以上でございます。
○眞鍋老人保健課長 13枚目の資料の中で、①、②、③のそれぞれの中で自由度があるかという御質問でございます。これは当然あるものと思ってございます。①も複数の職員がいらっしゃるでしょうし、その中で平均的にはこの高さということでございますけれども、その中で自由度があるということは当然そのとおりだと思ってございます。
それから、技能についてどのように考えるかという御質問でございますが、まさに事務局も悩ましいところでございます。私どもとしては10年以上というところと介護福祉士という外形的な基準は一定程度、必ずしも全員がそうかと言われるとそうではない場合もあるかもしれませんけれども、外形的には担保するものなのかなと思っておりますし、どういう御提案があるかということも、それはまさに御議論をいただきたいと思います。
総合事業のほうですけれども、こちらは振興課長からお答えします。
○尾崎振興課長 御指摘いただきました総合事業についてでございますが、総合事業の中でも訪問介護なり通所介護に相当するサービスがございます。現行の処遇改善加算につきましても、総合事業も同様なルールを設けておりますので、こちらでまず給付の議論をいただきまして、それを踏まえて総合事業の対応を考えたいと思ってございます。
以上になります。
○田中分科会長 石田委員、お願いします。
○石田委員 10ページにあります処遇改善の加算の件です。加算の内容につきましては15ページに要件ということでマル1、マル2、マル3という内容がありまして、今回、改めて加算の取得要件が同じ現行の要件としてはどうかという御提案があるのですけれども、この加算についてはこれまでのずっと実績があって、その成果といいますか評価というものがどのようにされているのかが重要であると考えます。この加算の結果、具体的に処遇改善された施設がどのぐらいあるのかという検証が必要と思います。施設ごとに工夫されているマネジメントの方法であるとか、そういった内容についての評価はなかなか難しいのですけれども、例えば定着ということであれば、長年勤めている職員がどれだけ増加しているのか、また一旦は退職して、もう一度、同じ職場に復職をしてくるという職員が何人いるとか、そういった具体的な内容についてを成果としていくというような内容を、今後の新しい評価については加算に加えていただきたいなと思います。こうした内容をこれまでの評価に加えて、今後の対応策の中で、新たに評価をしていくというようなことが必要なのではないかと思っておりますので、その点を希望ということでよろしくお願いします。
○田中分科会長 質問ではなくて希望でよろしいですか。ありがとうございます。
大西委員、お願いします。
○大西委員 高松市長の大西でございます。
ここ3回ばかり、どうしても都合がつかずに出席できずに申しわけございませんでした。介護人材の処遇改善等々につきまして、総論的なものをもう一度、繰り返すようになるかもわかりませんけれども、お話をさせていただきたいと思っております。
我々はそれぞれ地域におきまして、市町村ということで介護保険の保険者として介護保険サービスを提供しているところでございますけれども、地方におきましても依然として介護に対するマイナスイメージの払拭ができていない、あるいは介護職員の離職率が低減しない、また、処遇・労働環境の改善等が十分に図られていないといったような状況になっておりまして、慢性的な職員不足が続いているところでございます。
高松市があります香川県での介護職の有効求人倍率も本年9月の状況で約4倍でございまして、深な人材不足が生じているところでございます。我々市町村といたしましても、保険者としての責任がございますので、関係機関や都道府県と連携しながら地域の介護人材確保対策に種々取り組んでいるところでございますけれども、非常に厳しい状況でございます。
このような状況に加えて、これから地方においては人口減少がどんどん進んでいきます。しかも東京圏の人材不足が相当深刻化してまいりますので、さらに東京圏や、大都市圏に人材がとられる恐れもございます。また、本年4月に総務省が発表いたしました自治体戦略2040構想研究会の報告書において介護人材の需給推計が示されておりまして、それによりますと2025年における介護職員の需要見込みが全国で253万人、これに対して現状推移シナリオによる供給見込みが215.2万人ということで、需給ギャップが2025年時点で37.7万人、必要数の15%相当は確保できないと推計されているわけでございます。
このように、現状において足りない状況が2025年に向かってさらに厳しい状況が進んでいくものと推計されているわけでございますので、介護職員の社会的評価の向上あるいはその確保のための処遇改善は待ったなしだと思っております。今回、2000億円を投じてさらなる処遇改善をということでございますので、ぜひとも介護職員の賃金改善につながる実効性のある対策を実施していただきたいと思う次第でございます。
その際、基準に応じた職員数の確保と同時に質も適切に確保できるような制度設計を私としてはぜひお願いしたいと思っております。
このことから、論点1、2とございますけれども、数が確保できるというのが大事かと思いますが、それと同時により質の高いサービスを行っている事業所への加算が適切に行われるように、あるいは職員がより高度な技能を習得し、また、研修等を受けてより難しいことができるようになれば、それが処遇面に跳ね返ってくるような加算のあり方というものをぜひ探っていただきたいと思います。
論点1、論点2のどちらがいいというのは私は申しませんが、数の確保と質の確保、それと同時に、努力する事業所にはインセンティブが働くような制度設計、それが一番大事なのではないかと思っているところでございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
田部井委員、どうぞ。
○田部井委員 利用者の立場から、なかなかこの問題についてこうすべきだというのは難しい。雇っている人と雇われている人の代表が出ているわけですので、その双方がよい知恵を出していただいて、よい結論を導いていただくということになろうと思うのですけれども、先日ある専門職の方を対象にした研修会がありまして、そこで家族という立場で話をさせていただいたのですけれども、そのときのある介護者の方の話をさせていただいたのですが、母が介護度が上がってしまって、かねてから父が掃除や洗濯、買い物などの家事の多くを担っていましたが、さすがに調理まではできず、父はパニックになりました。ストレスも手伝ってか父の認知症の症状が一気に進みました。認知症がありながら家事をやってくれていたようです。物忘れが激しくなり、何回も手帳やメモを確認しないと1日の予定がこなせません。1日の行動の段取りができなくなり、うろうろしていることがふえました。通い介護をしている方なのですけれども、嫁いでいるとはいえキーパーソンとなる私にとって父の変化は大変なショックでした。長く家長として親戚にも友人にも頼りにされていた父の大きな背中が一気に小さく、寂しく感じられました。
また、実父という距離の近さから私自身が父の行動に心身ともに振り回され、いらいらしないと自分に言い聞かせて自宅を出ても、実家につくころにはすっかりそれを忘れてしまい、いらついてしまう私の態度は確実に父に伝わります。話の本質は伝わらなくても、感情は伝わります。実父もいらついてきます。両親のためと行ったことが悪いほうへとられることもありました。反省してまたいらついて、反省しての繰り返しというふうな介護家族の声を紹介させていただいたのですけれども、これはぜひ皆さんに認知症の介護のある一面を改めて知っていただきたいということと、その後、この処遇改善の話を情報提供として受講者に話をさせていただきました。やはり関心は高くて、すぐに終わった後に寄って話をしてくださった方が、私も介護を一生懸命やってきています。しかし、今まで処遇改善というものが職場ではとられているのだけれども、私はその恩恵に浴したことが一度もないんですよね。そういうことってどうなんでしょうかというふうに言われたのですけれども、この方は立ち話でしたので細かくは聞けなかったのですが、ひょっとして訪問介護なのか通所介護なのかわかりませんけれども、そういう話がありました。今回のこれもそういうことは決してないような制度設計をぜひ工夫していかなければいけないなと感じているところです。
もう一つ、一生懸命介護をしているそのお母さんが、私の中学生の娘がお母さんのあれを見て、私は介護の世界に行きたいとお母さんに言いましたら、今、介護で働いているお母さんは何て言ったかというと、おまえ介護はよしなさい、看護に行きなさいというふうに私は娘に話しているんですということを言われて、私は愕然としたのですけれども、ぜひ例えばこのお母さんが処遇改善によって何か明るさを先に見て、娘さんにもおまえもぜひこれから介護で働け、それでお母さんも勧めるというふうに言っていただけるような内容になるといいなと思っていますし、そのためにも利用者の立場でどういうことができるか、考えていきたいと思っております。
1つ確認をさせていただきたいのですけれども、経団連のほうからのあれでも処遇改善加算(I)のみを対象にしてはどうかという意見がありましたが、そうしますと参考資料の35ページを見ますと、訪問介護では加算(I)をとっているところは58.6%、それから、地域密着型通所介護で加算(I)をとっているところは52.1%、事業所は両方合わせますと5万事業所以上ということになるわけですけれども、もし加算(I)だけを条件とするとすれば、この4~5割の訪問介護の事業所、それから、地域密着型通所介護の事業所は門前払いということになる。そういう制度にするかどうかという議論なんですよということで間違いないかどうか。そうだとすると、余りにも門前払いのあれが大き過ぎるような気はするのですけれども、それはやむを得ない、そういう制度にするかどうかということを今、議論しているんだよということの確認を改めて、当たり前のことではないかと言われるかと思うのですが、お願いしたいと思います。
○眞鍋老人保健課長 まさに田部井委員の御指摘のとおり、今の処遇改善加算(I)、(II)、(III)を対象としてはどうかというふうに事務局から御提案申し上げて、それに関する御意見をいただいているところでございます。
○田中分科会長 江澤委員、どうぞ。
○江澤委員 今回の2000億円の配分には、まず各サービス類型への配分と、同一サービス内における各事業所への配分と、各事業所内の配分と3つの配分のプロセスがあります。そこについて意見を申し上げたいと思います。
まず1つ目の各サービス類型の配分ですけれども、これは前回から介護福祉士として勤続10年以上の比率を評価するということで、これについては賛成ですが、各事業所の勤続10年以上の介護福祉士の数がわからない中で、最終の20ページの資料にトータルが出ておりますけれども、これは一応、各事業所の数がわからないのですが、トータルはわかっているということで素朴な疑問なのですけれども、いま一度、20ページのデータが正しいかどうか精査をして取り組んでいただきたいのが1点目でございます。
続きまして事業所への配分ですが、10ページのところでまず加算の取得要件でございますが、処遇改善加算とありますけれども、先ほどの意見とも少し類似しておりますが、現行、介護療養型あるいは恐らくこれから移行する介護医療院におきましても、同一の建物の病院の中の一病棟でございますから、なかなか職員の処遇のバランスを考えて処遇改善加算の算定率が低いわけでございますが、このあたりはまたいろいろ事務局で御検討いただければありがたいかなと思っておりますというのが1点と、そもそも処遇改善加算の改定検証等のアウトカム評価を行っていないので、このあたりもよく慎重に御検討いただければと思っております。
その下の加算率の設定の2番目ですけれども、ここに事業所の評価等の記載がございますが、今回は私の認識では事業所の評価ではなくて介護業界における介護人材の確保だと思っておりますので、事業所を評価するために2000億円が配分されているとは思っておりませんので、ここの文章においては介護人材をいかに確保するか、お一人お一人の人材をどう確保していくかというところに重きを置くべきなので、ここの書いてある4行の内容についてまた御検討いただきたいと思っています。
理想的には当然、この事業所がどの程度あるのかデータが乏しいということがありまして、理想的には調査することが前提だと思っておりますし、事務負担が増加というのは介護人材の確保においては当たり前のことではありますので、そのあたりもぜひ御検討いただければと思っておりますので、事業所評価ではなくて介護人材の確保ということで重きを置いていただければと思います。
次に3番目の配分で、12ページでございますけれども、ここで一定の傾斜の設定ということでございますが、ここについては賛成でございますけれども、ただ、事業所において、そのもととなるマル1の経験・技能のある介護職員の数がわからない中で、一定の傾斜の配分を設定というのは非常に矛盾を生じることになりますので、そのあたりまたいろいろ事務局のほうで御検討いただければと思っております。
最後に、前回も申しましたが、加算の取得に当たって義務でなくていいと思いますが、付加項目でいいと思うのですけれども、離職理由の第1位の人間関係、第2位の結婚・出産・妊娠・育児、第3位の法人・事業所の理念や運営のあり方に不満、やはりこのあたりの取り組みをしていかないとなかなか介護人材の定着は難しいかと思いますので、付加項目として加算の取得においてそういったものを記載するような項目があれば、そして、その中でもし好事例があれば、それを全国に広めていくことでいい結果が出るのではないかと思っておりますので、またそのあたり御検討いただければと思います。
以上、意見でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。意見と提案でした。
齋藤委員、どうぞ。
○齋藤(訓)委員 加算の取得要件につきましては、これまでの議論でも定着に関しては賃金だけではなく、今、紹介のあった職場環境の改善もあわせて進めていくべきだということは、この場でも議論に上がっていたかと思います。
論点1の対応案のところで、現行の処遇改善加算(III)までを取得しているところに今回の新たな加算をというような提案ですが、職場環境の改善もあわせて考えるということであれば、この提案には賛成します。ただ、従来の処遇改善加算(I)~(III)の取得についてはキャリアパス要件にプラスアルファ、職場環境等要件が組み合わさっていて、現行ですとこの職場環境等の要件が1つ以上の実施という要件になっていたかと思います。、今回は、そこを何かもう一つプラスアルファの取り組みを求めるということも検討していただいて、もう一段、職場環境改善の具体的な取り組みの推進を目指していくべきではないかと考えます。当然、事務負担への配慮は必要ですが、より多面的な処遇改善の取り組みが促進されるような方法を考えていくべきではないかと思っています。
それから、加算率の設定につきましては、これも対応案にありますが、新しいサービスや事業所が不利になるとか、小規模事業所が不利になるという事態は避けるべきだと思っております。資料の19ページでも介護職員の割合はサービスごとに異なっているような状況ですし、恐らく平均経験年数もサービスごとに違っていることが推察されます。私は加算率に一定の差を設けるといった場合の資料の真ん中の案をぜひ進めるべきではないかと考えます。
事業所内での配分につきましては、1つの事業所でそれぞれの専門職がお互いの職能の補完をしながら、クオリティーの高いサービスを提供していくのがあるべき姿であり、これまでの議論でもC案でいくべきだという意見は出ていたのではないかと思います。これまでの加算は使い道が賃金改善に限られていて、なかなか職場環境改善に柔軟に使えるということではなかったという声もありましたので、今回はC案で行くべきではないかと思っております。
そして、処遇改善加算の対象費用につきましては事務局の提案でよろしいかと思います。事務方の事務処理が煩雑にならないよう、一定の考慮はしなければいけないと思いますが、ぜひ進めていきたいと考えております。
○田中分科会長 ありがとうございました。
齊藤秀樹委員、どうぞ。
○齊藤(秀)委員 論点1でありますが、おおむね事務局案の現行の処遇改善の(I)~(III)を対象にしようという考え方については賛成いたしますが、ただ、今回は経験年数に非常に着目した改善という視点から見ますと、例えばキャリアパス要件のマル1、マル2、マル3とありますが、特にマル3は経験に着目して昇給の仕組みでありますとか、定期昇給を判定する仕組みをつくりましょうと、こういうふうに要件がある中で、そういうことを事業所として十分にされていない加算の取得のところも対象にするというのは、加算(I)同じ形でいいのかという疑問は素朴に感じます。
したがって、加算(II)(III)でいいというのではなくて、より加算(I)に近づき得るような誘導策というものが欲しいと思います。今回の改正は経験年数に着目しているわけですが、現場の事業所が経験年数に着目していないということになると、これはまさしく本末転倒の話でありますので、ぜひその辺の工夫というものはあってほしいと思います。
論点2でありますけれども、これまでの議論を踏まえますと13ページの資料でA、B、Cとございますが、重点的な部分は別にして、その他の職員、職種に関しても柔軟に対応することについては、C案というのが当初から議論されているものでありますし、C案を否定するということはなかなかできないのではないかと思いますので、事務局案について私も賛成をいたします。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
瀬戸委員、お願いします。
○瀬戸委員 まず論点1について、加算の取得要件についてはここに書かれているように、処遇改善加算の(I)(II)(III)ということでよいと思います。
加算率の算定についてなのですが、これは前回、私も言いまして、先ほど江澤委員からも20ページの各サービス種別ごとの10年以上の者の割合がどうかという話もありましたが、あの表はあくまでも推計でしかないのではないかと思いますし、前回言ったように事業所がふえて、職員がふえればふえるほど10年以上の比率は下がっていきますので、そういうところが不利になるような算定方法はいかがなものかと考えています。この経験・技能をどう捉えるかですが、10年ということが本当に経験・技能があるのかというところについても、再考すべきだと思います。
一方で介護業界に10年いるということは非常に大事なことですので、そこを踏まえれば先ほど事業所なのか法人内なのか関連事業所なのかという話もありましたが、私は介護業界全体の中で10年というのも評価するようなことが必要なのではないかと思います。
具体的な加算の配分の方法ですが、11ページのところでやはり基本的には今回は②の方法を何とかとって、頑張っている事業所についての評価をするような方向がいいのではないかと思います。
論点2についてですけれども、今、何人かがおっしゃっていましたが、基本的に13ページ、今までの議論もそうですが、Cしかあり得ないと思っています。どの職種にどう配分するかについてですが、私は事業所の判断が非常に大事だなと思います。14ページの表を見ていただきますと、調理員も非常に厳しい状況というのがわかっていますので、いろいろなところで必要としている人がいます。そう考えれば傾斜配分云々の話がありましたが、チームということを考えれば、事業所内で1、2、3についての配分を柔軟にするようなことを考えていくべきだと思いますし、そうすると①にたくさんいかないのではないかというのであれば、きっちりと報告の段階で①②③でどのような配分をしたのかということをしっかりとすることで、ここの事業所はどの職種をいくら引き上げたかとか、この事業所は③にしっかりと評価しているなどがはっきりするのでそのような形で柔軟に使えるようにしていただきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
小原委員、どうぞ。
○小原委員 1点、確認なのですけれども、14ページの平均給与額の状況という表がございますが、こちらの介護支援専門員の部分につきましては、介護職員処遇改善加算(I)~(Ⅴ)を取得している事業所におけるということですので、例えば居宅、介護支援事業所の介護支援専門員の給与ではないということでよろしいでしょうか。
○眞鍋老人保健課長 御指摘のとおりでございます。独立のものではなくて、いわゆる施設内のケアマネの給料ということになります。
○田中分科会長 武久委員、どうぞ。
○武久委員 先ほど申しましたけれども、4ページの一番上の○で10年以上の考え方について眞鍋課長から報告がありましたが、これは意見であって、どうするかという厚労省側の考え方ではないと思うのですが、基本的に介護福祉士で10年以上の人に対してこのお金は出るのだけれども、それを事業所でA、B、CでCの配り方というか、介護福祉士でない介護職員にも配るというやり方というのもいいと思うのですが、実際問題として先ほど言いました10年の考え方ですけれども、病院の中でも介護療養病床とか介護医療院、こういうところは介護事業になると思うので10年の中に入ると思うのですが、病院の中のデイケア等も入ると思うのですが、療養病床とか地域包括とか一般病床でいる間は、今の感じでは算定の範囲の10年に入らないのだなと思うのですが、これについての御意見と、実は7対1の病棟でも患者の平均年齢は70歳ということになって、後期高齢者の割合が7割近いという状況でありまして、看護専門の方は介護は看護の一部であるというふうに今でも主張されておりますけれども、介護の職員が非常にふえておりまして、国家資格である介護福祉士もどんどんふえていまして、看護が全部介護も含むんだという考え方が現実の現場では介護の分野というふうになってきております。
したがって、そのような高齢者が急性期病院の中にもたくさんいる状況でありますと、介護福祉士の存在というのは非常に重要になってくる。こういうところの医療保険の入院患者のいる病棟でいたのは、この10年間には算定しないよというふうに多分、現在はなるのではないかと思いますけれども、病院でも後期高齢者が非常にふえている現状でもう少しその辺のところ、医療と介護を分けているところについてお考えいただいたらいいと思うのですが、課長にもう一回、質問ですけれども、この10年の中には病院の中の医療保険担当の病棟にいる間は入らないというふうに理解して、現在のところはいいのかどうか、もう一回確かめたいと思います。よろしくお願いします。
○眞鍋老人保健課長 9ページにありますとおりでございまして、事務局もそこも御議論の対象であろうと思っております。原則を考えますとそのように取扱うのが適当かと思いますけれども、事務局としては事業所内での配分のところにおいては勤続10年以上の介護福祉士を基本としつつ、一定柔軟に運用できるようにしてはどうかということで、認めてはどうかという御提案をしております。この取扱いについても御意見を賜れればと思っております。
○田中分科会長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 先ほど発言したのですけれども、追加でお願いしたいことが1つあります。きょうお示しされた論点にないのですけれども、この間の消費税のヒアリングで事業者側は派遣労働者がふえているとおっしゃっているわけですが、その派遣労働者について処遇改善がきちんと行われることが必要だと思います。今般、同一労働同一賃金に係る法改正も行われて、まだガイドラインはつくっている途中ではありますが、その点も踏まえて検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○田中分科会長 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 論点について意見を述べていなかったので。
論点1と論点2の対応案につきましては、基本的に事務局案に賛成でございます。そして、論点1の処遇改善についてというところで、できれば11ページのところの一番右側の図が一番いいのですが、最低限でも真ん中にやったほうがいいなと考えております。
論点2ですが、ここにつきましては皆さんもう既におっしゃっているのですけれども、Cというところをとっていただきたいなと思っていますが、一定のガイドラインというものはつくったほうがいいと考えております。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
議題1についてはよろしゅうございますか。この議題については今後も検討を進めてまいります。次回以降もまた取り上げますので、御準備ください。
次に、議題2「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」の議論を行います。事務局から資料の御説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 資料2を用いまして、消費税の取扱い等について御説明をさせていただきたいと思います。
こちらは前回の本分科会で幾つかこういう資料を提出してほしいという御指摘、御質問がございましたので、それに答える形で用意させていただいたものでございます。
3ページ、4ページでございます。こちらは区分支給限度基準額についてでありまして、現在どのような利用状況かという御指摘があったものでございます。3ページの上の○にありますように、現在、在宅サービスについては居宅サービスのモデルを用いて要介護度ごとに区分支給限度基準額を設けているところでございます。そして、これを超えるとその全額が自己負担になるということでございまして、下の表の中に要介護度別の支給限度額と平均的な利用率がございます。こちらは介護給付費等実態調査を用いてこの表を作成しているものでございますので、実際に使っていらっしゃる方でございます。
左から3つ目の列に支給限度額というものがございまして、円で示しておりますけれども、例えば要支援1は5万30円ですとか、要介護度5が36万650円という限度額が決まっております。その中で右側に受給者一人当たりの平均費用額ということで、実際にどのぐらい利用いただいているかという額を示しております。それが支給限度額に占める割合はその右側の列でございまして、超えている方の人数はその右側の列にございます。そして、超えている方の割合が実際にこのサービスを利用されている方の何%であるかということを一番右の列にお示ししておりまして、トータルで申し上げますと2.5%の方は、区分支給限度額を超えて利用されているというものでございます。
これをもう少しイメージ図というかグラフにしたものが4ページでございまして、こちらはサービス給付単位数の分布状況でございます。左側から要支援1、要支援2、要介護1~5が右に向かって並んでおります。それぞれ認定を受けておりましてもサービスを使っていない方がいらっしゃいますので、こちらで青い棒グラフが出ていないところがございますけれども、イメージはしていただきやすいのかなと思います。
そして、上のグラフでございますが、赤い横線がそれぞれの要支援、要介護度ごとの限度額でございまして、平均単位数はオレンジ色の横線でお示しをしているものでございます。
次は5ページでございます。介護サービスの課税割合につきまして、どのようなデータを把握しているのかということでございまして、こちら平成29年度の介護事業経営実態調査の結果を用いて、各介護サービスの人件費、その他の非課税品目を除いた課税割合を推計するということでございまして、これは平成26年度の消費税率が5%から8%に上がったときのものと同じような考え方でございます。
そして、この課税費用に何が含まれるかという話でありますけれども、委託費の中には派遣等は当然含まれておることをお示しします。それから、介護用品、減価償却費(居住費以外)等、こういったものが含まれているということ。そして、食品、居住費でありますけれども、食費としてはここに掲げているものが、給食委託費等もちゃんと入れて計算をしていますよということをお示しております。居住費に関しても減価償却費の中には建物附属設備も入れております。そして賃借料も入れておりますということをお示ししてございます。
6~8ページに関しましては、前回の分科会でお示しした資料でございます。
資料2に関する御説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
ただいま説明のあった事項について御意見、御質問をお願いいたします。小原委員、どうぞ。
○小原委員 3ページの区分支給限度基準額のデータを見ますと、それを超える利用者さんの平均は2.5%ですが、重度化するほどその割合は増加傾向にあります。地域での生活を続ける重度者を支えるということは、介護保険制度の趣旨からも重要ですし、前回も意見として申しましたが、利用者さんの利益が損なわれないように、区分支給限度基準額の見直しについては改めて要望します。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 瀬戸委員、お願いします。
○瀬戸委員 前回、意見書を出させていただきましたので、そのとおりなのですが、改めて特に基準費用額に関して、特に食品に関しては17年10月以降、上がっていませんので、経済成長、物価上昇などから非常に厳しい状況になっています。
今回5ページで記載していただいたとおり、給食委託費が消費税にかかってくるということでございますので、5%から8%時も大きかったですし、8%から10%になったときもかなり大きな影響があると思われています。
以前は委託しておけば少しもうかるのではないかと言われていたのでありますが、今、決してそんなことはありませんし、現在はいい食材の確保ですとか調理員の確保のために委託費自体が非常に上昇してきております。ただ、基準費用額を考えると委託費を余り上げることもできないという状況の中で、現在の価格では委託業者が手を引いて撤退してしまうという悲痛な訴えが我々のほうに寄せられてきていますので、食の安全の確保を考えれば、実態を踏まえて基準費用額の見直しは絶対に必要だと思います。
以上です。
○田中分科会長 伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 前回までにも申し上げていることの繰り返しになってしまいますが、区分支給限度基準額については、利用者の生活に大きな影響が考えられますし、広い意味での利用者である働く者、家族にとっても大きな問題ですので、区分支給限度基準額の引き上げ、見直しについては、ぜひしていく必要があると思っています。
あと、消費税負担分の報酬による引き上げ補填の部分の話ですけれども、これも申し上げたことですが、あくまでも過不足なく行うという原則を忘れないようにしていただいて、それで加算に係る上乗せ率のところについては検討していただきたい。今回示されていませんので、そういう観点からきちんと検討していただきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 ほかによろしゅうございますか。
議題2についても本日で終わりではなく、今後も検討を進めてまいります。次回以降もよろしくお願いします。
ほかに御発言ありますか。松田委員、お願いします。
○松田委員 ここで申し上げるようなことかどうかわからないですけれども、給食の施設が今、非常に厳しい条件になっていて、その厳しい条件になっている要件の一つに病院とかの給食の、あるいは介護施設の給食の基準の問題があるのです。いろいろな要件の。これだけ調理員とかの確保が難しくなっている状況を考えたときに、より委託業者が効率的な業務ができるような、いわゆる関連法規の見直しをやっていただきないと、多分これから厳しくなるのではないかと思いますので、そのこともあわせてやっていただかないと、介護給付とか診療報酬だけで賄え切れなくなると思いますので、ぜひその辺の基準の見直し等もあわせてやっていただけたらと思います。
○田中分科会長 ほかはよろしゅうございますか。
それでは、本日の審議はここまでといたします。
次回の予定について、事務局より説明をお願いします。
○川口企画官 次回の日程につきましては、事務局から追って御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれにて閉会をいたします。お忙しいところありがとうございました。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(介護給付費分科会)> 第165回社会保障審議会介護給付費分科会議事録(2018年11月22日)

ページの先頭へ戻る