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2018年11月12日 第164回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成30年11月12日(月)10:00~12:00

 

○場所

ベルサール半蔵門 ホール(2階)
東京都千代田区麹町1-6-4

○出席者

安藤、井口、石田、石本、伊藤、井上、今井、江澤、荻野、尾﨑(岡林参考人)、小原、河村、河本、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐藤、
瀬戸、武久、田中、田部井、東、松田(敬称略)

○議題


1.介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について
2.その他

○議事

○老人保健課 それでは、定刻になりましたので、第164回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
会の開催に当たり、本日の委員の出席状況について御報告します。大西委員、亀井委員、堀田委員より御欠席の連絡をいただいております。また、松田委員、河村委員よりおくれての御出席との連絡をいただいております。
また、尾﨑委員にかわり、岡林明子参考人に御出席いただいております。
以上によりまして、現在、19名の委員に御出席いただいておりますので、本会が成立していることを御報告いたします。
それでは、冒頭のカメラ撮影は、ここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○老人保健課 では、以降の進行を田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 皆さん、おはようございます。
本日も引き続き、介護保険サービスに関する消費税の取り扱い等について議論いただきます。
まず、事務局より、資料の確認をお願いします。
○老人保健課 それでは、お手元の資料の構成について御説明します。
今回の会議につきましても、タブレットを用いまして資料をごらんいただければと存じます。タブレットのマイプライベートファイルというところに資料が並んでおりますけれども、まず、座席表、議事次第、委員名簿をつけてございます。
その下、資料1としまして「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」。
参考資料としまして、参考資料1、本年7月4日の第160回介護給付費分科会の資料2、タイトルは「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」というものでございます。参考資料2としまして、全国老人福祉施設協議会からの提出資料を付けてございます。
資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけください。
○田中分科会長 では、早速、議題1に入ります。議題1の介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について、議論を行ってまいります。
事務局から資料の説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 おはようございます。老人保健課長の眞鍋でございます。
それでは、資料1を用いまして、本日の議題でございます介護保険サービスに関する消費税の取扱い等につきまして、御説明をさせていただきたいと思います。
おめくりいただきまして、2ページから6ページ目まででございますけれども、こちらは7月に行いました第160回介護給付費分科会におきまして、消費税の取扱いについて御議論いただいた際の資料を再度お付けしているものでございます。若干おさらいになりますけれども、ポイントを御説明をさせていただきたいと思います。
2ページでございます。消費税の仕組みについてでございますけれども、消費税は、消費に広く公平に負担を求める間接税ということでございまして、導入・引上げの経緯ということがその下にございます。そして、来年、2019年10月1日に予定されておりますのが、消費税率10%の引上げということでございます。
多段階課税の仕組みということでございますが、いろいろな流通の経緯の中で取引の段階ごとに、その事業者の売上に課税するということで、あとはその重複を回避するために、前段階で負担した税額を控除するような多段階課税の仕組みが採用されているということでございまして、このため、実質的な負担者は最終の消費者となるということでございます。これは後ほど絵が出てまいります。
3ページ目でございます。非課税となる取引というものが類型化されてございます。課税対象になじまないもの、そして、社会政策的な配慮から課税することが適当ではない取引については非課税となってございまして、①、②とございますが、医療・介護に関しましては②、社会政策的な配慮から課税することが適当でないものということでございまして、その2つ目のポツでございます。介護保険法の規定に基づく居宅介護・施設介護・地域密着型介護サービス費の支給に係る居宅・施設・地域密着型サービス等に関しましては非課税の扱い。逆に、福祉用具貸与・購入、住宅改修は課税対象ということになってございます。
下に網かけで矢印を引いてございますけれども、非課税取引であります介護保険サービスについては、介護事業者は納税義務者とならない。このため、当該介護保険サービスについて、仕入れ分に係る仕入税額控除を行えないため、その税負担は介護報酬で手当てをしてきたものでございます。
4ページ目、5ページ目でございますけれども、4ページ目が消費税の基本的な仕組みということでございまして、それぞれこのイメージにありますように、製造業者、小売店、消費者という3者を例として出させていただいておりますが、それぞれ納税義務者である製造業者、そして小売店が、特にここでは小売店でございますけれども、こちらの売り上げと仕入れに係る、それぞれ売り上げでいただく消費税分と仕入れに係る消費税分を、仕入れに係るところを控除して納める仕組みになっているということでございます。
5ページ目でございます。介護も一緒でございますけれども、これは社会保険診療における消費税の取扱いということで、現状は非課税ということでございます。
この真ん中にあります医療機関等に関しましては、介護もそうですけれども、社会保険診療分は非課税のため、当該仕入れ分に係る仕入れ税額控除を行えないということでございまして、ここの部分につきまして、介護報酬で手当てをしているものでございます。
6ページ目でございます。消費税引上げに向けたこれまでの対応ということでございます。これもおさらいでございますが、平成26年の8%への引上げ時の対応でございます。上の四角の2つ目の○に、どのようなことをしたかということが主な対応としてまとめております。介護サービス施設・事業所の仕入れ等に係る消費税負担が増大することから、引上げに伴う影響分を補填するため、介護報酬への上乗せを実施ということでございます。
そして、設備投資に関する調査等も行いまして、その結果や対応に伴うメリット、デメリットを踏まえ、介護報酬とは別立ての高額投資対応は行わないこととしたというものでございます。
3つ目のポツでございます。基準費用額は、食事・居住費の実態を調査した上で据え置くこととしており、4つ目のポツでございますが、負担限度額は、入所者の所得状況等を勘案して決定していることを踏まえ、見直しは行わないこととしております。
最後のポツでございますが、区分支給限度基準額は、要介護度別の支給限度額と平均的な利用率を把握した上で引上げるという措置を行ってございます。
その後の対応でございますけれども、3つ○がございます。平成27年9月に、当分科会におきまして消費税の取扱い等についての議論を再開しておりますけれども、2つ目の○でございますが、平成28年6月には、平成29年度の消費税率10%への引上げが見送りとなったということで、議論を中断しておりました。
そして、今年度の7月に来年10月の消費税率10%引上げを見据えて、消費税率引上げに係る対応について議論を再開しております。こちらは夏以降、これまで2回、団体からのヒアリングを行わせていただいたところでございます。
7ページ目以降が新しく今回の御議論をお願いする資料になりますけれども、先ほどのヒアリングの際などにいただいた御意見などをまとめたものでございます。
まず、介護報酬への上乗せ対応でございますけれども、委託費等の課税費用の中には、人材派遣に係る費用も含まれている。これが上昇傾向にあるので、報酬に反映すべきであるといった意見や送迎サービスの提供を委託している場合が多く、また、この委託に関してもやはり消費税課税となりますということでございます。こういうことで、報酬の上乗せ等を適切に行ってほしい意見、そして、今後、高額投資が見込まれる介護ロボットやセンサー等の事務負担軽減のための投資ですけれども、これも課税割合が大きくなるのではないかという御指摘でございます。
入所者の重度化が進む中で、介護用品購入数が増加し、増税の影響が大きくなる。
通所リハに期待が高まっているものの、新規開設や事業所の増改築に係る負担は大きく、増税対応が必要ではないかということでございました。
下にある3つの○でございますが、消費税率8%引上げ時の消費税負担については、平成26年度の介護報酬改定によりまして、概ね担保されているのではないかという御指摘もあったところでございます。
そして、介護事業経営実態調査の結果を用いて把握・検討するに当たり、データについては、外れ値処理を行うなど、できる限り精緻なものとなるようにしてほしい。
「8%引上げ後、介護報酬改定による基本報酬の見直しもあったところであり」というところについては、平成27年度介護報酬改定、平成30年度介護報酬改定のことでありますが、サービスによっては変動が大きいため、不平等が生じないようきめ細かな対応をしてほしいというものでございます。
8ページ目でございます。こちらは基準費用額の対応についてでございます。1つ目の○は、食費・居住費につきまして、委託費や建築費等が上昇しているということで、それを踏まえる必要があるのではないか。
食費については、既に基準費用額を上回っているということでございまして、それを勘案し、検討すべきではないか。
消費税率10%引上げ時は、飲食料品等は軽減税率が適用されるということで、それも考慮すべき。
4つ目の○は、サービス創設から20年から30年経過しておりまして、多くが建て替えを行う時期であるということで、負担が大きくなることも考えてほしいということでございます。中長期的な課題として、現行の基準費用額の設定の考え方についても議論をしたいということでございます。
次のかぎ括弧でありますが、区分支給限度基準額であります。各サービス事業所等における課税品目について、実態に合わせて適切に介護サービス費に反映させるとともに、区分支給限度基準額の見直しが必要ではないか。
福祉用具貸与につきましては、前回改定で上限設定が新たに行われましたけれども、消費税率10%引上げが反映できるようにしてほしいということでございます。
その他に関しまして、高額投資等について、医療保険と足並みをそろえるべき。そして、消費税率8%引上げ時の議論と比較して、社会的要因の変化があれば示してほしい。こういった御指摘があったところでございます。
こういったことを踏まえまして、9ページ以降、私ども、論点をお示しさせていただいてございます。
9枚目でございますけれども、論点として2つの○でお示ししております。1つ目の○は、今、申し上げたところをまとめたもの、関係団体よりヒアリングを実施したということでございます。
2つ目の○でございますが、今後、平成29年度介護事業経営実態調査や団体ヒアリングの結果を踏まえ、消費税率10%引上げ時に向け、①、②、③でございます。①が介護報酬による上乗せ、②が基準費用額、補足給付、③が区分支給限度基準額等の対応についてどう考えるかという論点を立てさせていただいておりまして、それぞれ対応案につきまして、論点を示しております。
9ページの対応案①でございます。介護報酬による上乗せでありますけれども、医療保険における対応との整合性も踏まえる必要はあるが、8%引上げ時における対応を参考に、基本単位数への上乗せを基本としつつ、消費税負担が相当程度見込まれる加算についても上乗せを検討することとしてはどうかというものでございまして、その下にかぎ括弧がありますけれども、基本単位数への上乗せということでございまして、下の括弧でくくっておりますような課税割合をきちんと出して、その分につきまして上乗せができるような基本単位数への上乗せを算出する方法で検討してはどうかというものでございます。
よりそれを精緻に御説明したのが10ページ目でございまして、これは加算の取扱いでございますけれども、具体的には、課税費用の割合が大きいと考えられる加算、これは所定疾患施設療養費や緊急時施設療養費等、介護報酬に加算として設定されているものでございますけれども、課税費用の割合が大きいと考えられるものに関しましては、課税費用に係る上乗せを行う。その他の加算につきましては、個々の加算単位数への上乗せは困難なことから、基本単位数への上乗せに際し、これらの加算に係る消費税負担分も含めて上乗せする方針としてはどうかということでございます。こちらの対応については、基本的には消費税率8%引上げ時と一緒でございます。
3つ目の○でございます。単位数ではなく基本単位数に対する割合で設定されている加算、例えばこちらは特別地域加算とかいうことが対応しますけれども、交通費相当額で設定される福祉用具貸与に係る加算については、上乗せ対応を行わないこととしてはどうかということで考えております。
11ページ目でございます。こちらは消費税率8%への引上げ時における対応として、先ほど同様の対応としてはどうかという御提案を申し上げましたけれども、そちらの説明資料でございます。
12ページ目でございます。こちらは消費税率8%への引き上げ時における対応の中で、それぞれのサービス種類ごとに課税費用割合がどうであったかということでございます。これは平成26年1月15日、諮問答申を行いましたときの資料でお示しさせていただいたものでございますけれども、このように課税費用、比率を出して、これをもとに上乗せ単位数を計算してはどうかということでございます。
13ページ目でございます。②が基準費用額、補足給付、③が区分支給限度基準額への対応の案でございますけれども、まず、それぞれ消費税率8%引上げ時における対応を参考に、平成29年度介護事業経営実態調査や介護給付費等実態調査等を用いて、消費税引上げによるサービス利用量への影響や現状における取扱い等を踏まえて検討することとしてはどうかということでございます。その中で、特に以下の点も考慮してはどうかということでございます。
基準費用額、補足給付についてのところでございます。基準費用額(食費・居住費)につきましては、平成29年度の介護事業経営実態調査の結果におきまして、基準費用額の範囲内に収まっているものがある一方、既に基準費用額を超えているものがある。また、食費における外部委託費の増加や居住費における改修費の増加等を踏まえて、基準費用額の引上げを求める意見があります。他方、基準費用額を踏まえ、食費や居住費を設定しているところが多く、基準費用額の見直しは利用者負担を増加させるものであるということも考慮に入れなければならないのではないかと考えております。
区分支給限度基準額につきましては、下の2つの○ですが、在宅サービスの利用量の上限であります区分支給限度基準額については、介護サービス自体が生活に密接に関連し、利用に歯止めがききにくいこと、また、同じ要介護度であっても利用者のニーズが多様であること等の特性があることから、一定の範囲内でサービスの選択を可能とするために設けられてございます。
消費税引上げに伴い介護報酬の上乗せ対応を行う場合、従前と同量のサービスを利用している方が、区分支給限度額を超える可能性があるということでございまして、こういうことをどう考えるかということでございます。
14ページ以降は、7月4日にお示ししたものでございまして、前回対応、消費税率8%引上げ時の対応をまとめてお示ししたものでございます。
15枚目が、その当時にお出しした、こちらは平成25年度の調査結果と当時の基準費用額を比べたものでございます。
16ページ目は、区分支給限度基準額に関する資料でございます。
17ページは、低所得者に対する食費・居住費の負担軽減として補足給付があるというものでございます。基準費用額がございまして、その中でも低所得者に対しては負担限度額があるところでございますけれども、これを見直さないとした場合には補足給付が増額されるということで、この仕組みを17ページの上部にイメージ図でお示ししてございます。
18ページ目は、去年に本分科会にお示ししたものでございますけれども、過去の介護事業経営実態調査におきまして、事務局が調査した結果、食費・居住費に関しまして、どの程度の額であるかということをそれぞれの調査で把握しているかということを経年でお示ししたものでございます。左側に基準費用額(月額)をお示ししておりまして、これは現在の額でございます。そして、1つ右側の列ですけれども、平成29年度の介護事業経営実態調査の額でございます。
19枚目でありますけれども、区分支給限度基準額に係るこれまでの経緯ということで、平成14年1月からの経緯を記載させていただいているところでございます。
次に、参考資料1といたしまして、先ほどの資料にも適宜抜粋をさせていただいておりますが、7月4日にお示しいたしました本分科会の資料一式を参考資料1としてお付けしております。
最後、参考資料2といたしまして、こちらは全国老人福祉施設協議会から本日、分科会長宛てに提出されました要望をまとめたものということで、資料としてお付けさせていただいてございます。
説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
では、ただいま説明された事項について、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。
瀬戸委員、どうぞ。
○瀬戸委員 ありがとうございます。
参考資料2で意見書を出させていただいておりますので、それについて御説明させていただきます。
消費税に関しての要望書で、会長名で出させていただきました。まず、本体報酬に関してですが、先ほどの論点にもありましたようなところで、基本的にその対応をお願いしたいということで具体的に3つポツを書いています。基本単位数への上乗せについては、人件費その他の非課税品目を除いた課税割合を算出して、これに税率引き上げ分を乗じて、基本単位数の上乗せをしてほしい。
2つ目のポツで、各加算については、課税費用の割合が大きいと考えるものについては、基本単位数への上乗せ率と同様に課税費用にかかる上乗せをしてほしい。
それから、課税費用の割合が小さいものや、もとの単位数設定が小さいために上乗せ単位数が1単位に満たないものについては、基本単位数の上乗せに際して、これらの加算に係る消費税相当分も含めて上乗せを行ってほしいと、これが本体報酬についてです。
2つ目については、基準費用額に関してですが、1つ目の段落については、8%引き上げ時にはこれは見直しされていませんということをまとめて書かせていただきました。
しかしながら、今の説明にありました18ページの29年度の経営実態調査でもわかりますように、特養に関しては、食費・居住費とも基準費用額を大幅に上回っております。そこで、現場の負担増は無視できないとなっていますので、適切な対応ということで、次のページです。
①食費に関してですけれども、17年度の改定時以降、見直しをされておりません。8%対応がされておりません。なので、今回は軽減税率が対応されますので、食材費に関しては一定程度軽減税率でふえないとなりますが、それを差し引いても実質的な負担増になると思われていますので、利用者の栄養ケアの充実と食べる楽しみという観点から、8%増税時に遡及して調理委託相当額及び食材料費相当額にかかる消費税増税分について反映していただくようにお願いしたいと思います。
②の居住費に関しては、従来型多床室に限って一度見直しはされておりますが、10%に増税となった際には、基準費用額との差額についてはコストの補填が十分にできないというほか、ユニット型施設については、今後、従来型多床室同程度の修繕が必要になることを踏まえれば、現状の基準費用額では足りず、利用者の安心・安全のための設備の更新が困難となりますということで、このために消費税増税分及び修繕にかかる費用を見越して、適切な対応をお願いしたいということでございます。
3つ目に関しては、処遇改善加算についてですので、今回の話題ではございませんが、一応意見書としてつけさせていただきました。
以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
河本委員、お願いします。
○河本委員 ありがとうございます。
確認と意見でございます。まず、介護報酬による上乗せのところでございますけれども、基本的にこういう考え方だなとは思いますが、介護報酬による上乗せ率の算出の基礎となる課税経費割合、これは前回、8%のとき、12ページ目の注3にもございますように、保険給付対象外のサービス費用を除いて計算されるということでよろしいですねという確認が1点でございます。
この12ページは前回の資料ですけれども、今回の資料の中には、この保険給付対象外のサービス費用について、課税経費割合から除外するということが論点には書かれていないので、当たり前といえば当たり前なのですけれども、しっかり明示をしていただきたいと思います。
また、基準費用額、補足給付の関係でございますけれども、18ページ目の過去の推移を見ますと、例えば食費では、消費税率が5%時代の平成16年、それと8%引上げ後の平成26年度を比較しても、消費税と連動したような動きになっているとも思えません。居住費もいろいろなパターンがございますけれども、金額が一貫して下がっているものとか、そういった点から見ると、必ずしも増税と連動した傾向は読み取れないということからすれば、単に消費税率引き上げを契機として基準費用額見直しというのも、この数字から見る限り、余り理屈に合わないのかなという感じがしております。
3点目の区分支給限度額の関係でございますけれども、これについては前回の消費税率改定のときには、利用者に占める支給限度額を超えている方の割合とか、いろいろな判断の材料になるデータを提示されているようですけれども、今回はその辺はまだ出ていないので、そういったデータを踏まえて議論をするべきだと考えております。
以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
では、確認の部分についてお答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
本日の資料で申し上げますと12ページにありますような、それぞれの課税経費率を出すときに、どういった費用に関しましてはどのように考えるかということに関しまして、今、河本委員から御指摘いただいたことも踏まえて、きちんと扱いを明示させていただきたいと思います。
それから、御意見ということでございましたけれども、付言させていただきますと、基準費用額に関しまして、確かに18枚目の表にお示ししたように、それぞれ経年でお示ししてございますけれども、今回の御議論自体は、この基準費用額の構成や高さそのものを議論するというよりは、その中に含まれております課税経費対象になるものの取扱いをどのように考えるかということが議論の対象かなと思ってございまして、基準費用額の在り方そのものや高さ自体はやはり3年に1度の介護報酬改定で議論されるべきものでございます。そして、今回御議論いただくべきものは、その中に含まれております消費増税によって影響を受けているところをどのようにするかということで御議論を賜れればと思っております。
以上でございます。
○田中分科会長 田部井委員、どうぞ。
○田部井委員 関連しましてお願いなのですけれども、16ページに今の区分支給限度額との関係での資料を出していただいていると思うのです。恐らく、議論するときには一番新しいデータを出していただけるのだろうと思うのですけれども、この支給限度額を超えている人の人数とその割合も出していただかなければいけないと思うのです。私どもとしますと、いろいろな議論をするときに、支給限度額に対して何%利用されているかということの資料についても、ぜひ一緒に出していただきたいと思いますし、できれば在宅・居住系、あるいは施設サービスで、その別でもし出せるものであれば、ぜひ出していただけますとありがたいと思うのですけれども、よろしくお願いしたいと思います。
○田中分科会長 御要望ですね。
齊藤委員、お願いします。
○齊藤(秀)委員 ありがとうございます。
質問と意見なのですが、基準費用額についてであります。これに関して、改修費が増加して居住費に影響するというのは理解できるのでありますが、食品に関して、外部委託が増加しているとあります。一方で、基準費用額を踏まえて食費・居住費を設定しているところが多いという表現もあって、全体として外部委託の比率がどのくらいあるのかということは、質問として教えていただきたいと思います。
これは全部が全部そうだと申し上げているわけではないのですが、外部委託にして、食事に関して質の低下を招いているのではないかという指摘もございまして、外部委託との関連性、なぜ外部委託をしなければいけないのかという主たる理由についても、わかればお伺いしたいと思います。
2つ目、区分支給限度基準額についてでありますが、論点の中にもありますように、従前と同量のサービスを利用しているにもかかわらず、限度を超えて10割負担になるということでありますとか、また、サービスを控えざるを得ないということのないようにしていただく必要がありますので、先ほど来、他の委員からもお話がありますように、この基礎となるデータをまずしっかりと出していただいて、納得の得られるような対応をお願いしたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 質問の部分にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 ありがとうございました。老人保健課長でございます。
外部委託の実態ですけれども、こちらはこれまで事務局で調査している中で、どのような形態でやっているかの把握をしているところですけれども、どのような形でお示しすることが可能か、検討させていただきたいと思います。
そしてまた、外部委託を行った場合に質がどうなのかという御質問でございましたけれども、事務局の調査は、やっている、やっていないの調査でございますので、なかなかそこまでお示しするのは困難かなと思っていますが、そこは、できればこれまでのヒアリングや、あるいは本分科会の委員の中で御議論を賜れればと思っております。
以上です。
○田中分科会長 小原委員、どうぞ。
○小原委員 ありがとうございます。
資料1の9ページの論点の2つ目の○につきまして、3点意見を述べさせていただきます。
まず1つ目ですけれども、介護報酬による上乗せにつきまして、消費税8%から10%への引き上げに伴い、例えば居宅介護支援事業所等に係る仕入れとか、ガソリン代などの利用者宅を訪問するのに欠かせない経費においてコストアップが見込まれますので、課税支出については実態に合わせて、基本報酬や加算を上乗せする対応案に賛成します。
2つ目ですけれども、基準費用額につきまして、食費について、人件費や材料費等は今回の消費税アップには直接影響しませんが、資料1の18ページのデータから、現コストが基準費用額を超えていることや、厨房スタッフの人材確保の難しさや人件費の高騰の声も耳にしており、課税支出である外部委託費の増加など事業所の努力だけでは限界もあると思います。こういった状況の中で心配されることとして、コスト増が食材の質などに反映され、利用者さんの食の安全等が損なわれることがとても心配です。
これは本当に例え話で、さすがにこういったことはないと思うのですけれども、食事提供のコストと質というのは相対してきますので、食の安全と利用者負担の視点も持ちながら、基準費用額の見直しや補足給付について考えていくことが重要ではないかと考えます。
3点目ですけれども、区分支給限度基準額につきまして、30年4月にはプラス0.54%の報酬改定がなされましたし、今回、10%への引き上げによる介護報酬への上乗せ対応が行われた場合、従来と同量のサービスを利用しているのにもかかわらず、区分支給限度基準額を超える利用者さんが新たに生じる可能性があります。今、田部井委員と齊藤委員もおっしゃっていましたけれども、16ページのデータを見ますと、そういった利用者さんの割合というのは数字だけ見ると少ないのですが、ここは多い、少ないの問題ではなくて、ここに該当する利用者さんにとっては地域生活を続けられるかどうかの問題ともなってきますので、利用者さんの利益が損なわれないように、区分支給限度基準額を見直す必要はあると思います。
以上、意見です。
○田中分科会長 御意見でよろしいですね。ありがとうございます。
東委員、どうぞ。
○東委員 ありがとうございます。
資料1の18ページ「施設系サービスにおける食費・居住費の平均的な費用額の推移」の表をご覧ください。先ほど別の委員からもこの表に関しての御意見がございました基準費用額についてです。居住費のところを見ていただきますと、老健と療養の減価償却費が急激に下がったり、また余り下がっていないものまであったり、大変ばらつきがございます。減価償却に関しましては皆さん御存じのように、定率法や定額法、またその選択制と、制度がこの間色々変わっております。そういう制度の変更が、きちんとした形でこの調査の減価償却費の額に反映されているとはとても思えない。そういうところがこの減価償却費のばらつきになっているのではないかと思います。
それを踏まえて、基準費用額のあり方について御意見と御質問をします。先ほど眞鍋老人保健課長がおっしゃったように、今回の対応はこれまでの基準費用額の考え方に従ったものになるとのことですので、2点目の質問でそれについて申し上げます。
基準費用額の考え方に関しましては、平成26年の第100回介護給付費分科会で私もかなり意見を申し上げております。そのときに今後の課題の資料に「基準費用額の水準を検討するに当たっては、現行の基準費用額を設定する際の考え方が適切かという点も踏まえて検討することが必要」というふうに明文化をされております。このときから基準費用額の考え方、特に居住費の考え方というのは問題があると言われていたわけでございますので、これは介護給付費分科会で議論することではないかもしれませんが、どこかで議論すべきことだと思います。そもそも補足給付自体も、何遍も申し上げておりますが、特養で入所者の約70%、老健で約60%の方が低所得者対策の補足給付を利用されているという現状、これをまず厚労省としてどのように捉えておられるのか。このままこの補足給付を制度的に継続していくのかお伺いしたいと思います。
2点目の質問は、先ほど申しました基準費用額を設定する際の考え方を、別の場で議論する予定があるのか。この2点をまずは質問したいと思います。
それから、その議論とは別に今回どうするかということでございます。先ほど委員の方から、食費に関しては余り上がっていないではないかというご発言もございました。確かに16年、17年、20年、26年にかけては、デフレの影響とかもあって少し上がっておりませんが、29年度に関しましては明らかに上がっております。食費に関しても、前回は26年までの議論をしていたわけで、確かにこれは上がっておりませんでしたが、今回は上がっておりますので、きちんと対応をしていただきたいと思います。
居住費に関しましても、先ほどから申し上げておりますように、示された数字自体が実態を反映していないものだと考えます。先ほどからいろいろな意見が出ている建物の補修、修繕、維持費用等も消費税の影響を大きく受けてくることになりますので、居住費に関しても何らかの消費税対応をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 質問が2点ございました。お答えください。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
まず1点目でございます。現在の食費・居住費に関しまして、補足給付というものがあり、その補足給付の対象となる方の割合がそれなりに高いということにつきまして、どのように受けとめているかという御質問でありました。
事務局として、基準費用額に関しまして、本来、食費・居住費は保険給付の対象外ということ自体は過去、平成17年か18年頃からそのように決まって運用してきたところでございます。その中で一定程度いらっしゃる低所得者の方への配慮が必要であるというのは、真っ当な議論だと思っております。また、その方々に対して負担の状況を見ながら負担限度額を設定し、それと基準費用額との差額を補足給付で給付するということに関しては、事務局として必要な仕組みと思っているところでございます。
この仕組み自体ですけれども、またいろいろな御意見があろうかと思いますので、先ほど別の場で議論するのかどうかという2つ目の御質問でございますが、今、東委員からいただきました意見についても、過去の本分科会でお示しして御議論に供してきたところでございますが、今後また大きな制度改正なりの場で、本分科会が適切なのか、または別なのかということも含めて、事務局としては宿題として受けとめさせていただきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 まず、今回の消費税率引き上げ分を報酬で対応するということの趣旨をもう一回確認しておきたいのですけれども、8%に引き上げた時の対応として、6ページの2つ目の○の1つ目のポツに、引き上げに伴う影響分を補填するため、介護報酬への上乗せを実施と書いてあります。今回もそういうことで前回と違いはないのだと理解してよいのかということを、まずお聞きしておきたいと思います。なぜかといいますと、7月のこの分科会でも議論があったところですけれども、やはり報酬で対応するとすれば、それが過不足のない形で補填されるということが不可欠だと思うのです。そうでないと、目的とは違う報酬対応を含んでくることになりますので、そういう意味で7月のこの分科会ではそれが補填率という形で確認できないのかという議論があったのだと思っております。やはりきちんと過不足なく補填されているということが確認できるような形でないと、利用者に負担がかかりますので、その点で納得感がきちんと得られるような形にしていかないといけないと思っています。
内容なのですけれども、9ページで、まずは基本単位数に対する上乗せで、課税費用の割合が高いと見込まれる加算は別に上乗せという2段階の考え方はあると思っております。ただ、先ほど言いましたように補填が過不足のない形で行われるのかというのが、この9ページ、10ページだけだと今のところはわからない状況だと思っています。というのは、9ページの基本単位数にかかるほうの上乗せ率は課税経費割合に108分の110から1を引いた率を乗じて算出するということですけれども、加算に係るほうの上乗せ率ではそれがわかりませんので、その点をどのように考えていくのか。現時点で加算に対する上乗せ率の考え方があったら、それも教えていただきたいと思います。
あと、基準費用額で、先ほど特養のほうから適切な対応をという要請があったところでありますけれども、15ページを見てみますと、特に特養については国庫補助金等相当額を勘案して決定と書いてあって、それがどれぐらい勘案されているのかというところが見てとれないので、そういうところも含めて妥当性が検討できるという必要があると思っています。
区分支給限度基準額については、意見がありましたとおり、利用者にとってサービスの利用が抑えられてしまい、結果的に介護離職につながるようなことになっては困りますので、この点についてはやはり見直しが必要だと思っております。
最後ですけれども、この前から発言させていただいているのですが、ヒアリングで最初に出てきます派遣の費用の件です。7ページの最初の○に、「委託費等課税費用のデータの中には、人材派遣に係る費用が含まれているが、この費用は年々上昇傾向にあり、こういった状況を把握し、報酬に反映すべき」とあります。これについては、きちんと根拠を示してから検討していただきたいと思っています。介護労働安定センターの調査を見ると、受け入れ事業者数については平成26年、27年、29年とふえていった結果、受け入れ事業所割合はふえているわけですけれども、逆に派遣労働者割合、受け入れている労働者の割合は横ばいから少し減っている状況で、一事業所の平均派遣人数はこの間ずっと減ってきているので、受け入れ事業者の数の伸びに対して、派遣労働者を受け入れている数についてはそれほど伸びが追いついていないのだろうと思います。
加えて、派遣労働者の受け入れ数というのは、常勤換算ではないと調査結果に明確に書いてありますので、派遣費用との連動は見てとれないと思っていますので、その辺についてきちんとした形で検討をしていただきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 質問のところにお答えください。
○眞鍋老人保健課長 大きく2つお尋ねいただいたと思っております。
まず1つ目の、6枚目の上部の平成26年度の消費税率8%引上げ時の対応の2つ目の○の1つ目のポツでございます。消費税負担が増大すると、それに伴いまして影響分を補填するための介護報酬への上乗せを実施するものであるということ、これは間違いございません。今回の御提案もこのとおりだと思っているところでございます。
また、その中で御発言にありましたように、なるべく過不足が生じない、そして精緻なものであるべきだろうとも思ってございます。これはヒアリングでも、また御意見でも御指摘いただいたところでございます。そういう観点から、前回対応でも基本単位数への上乗せ以外に課税経費率が高いであろうと思われる加算に関しまして、その加算ごとの上乗せをしたところでございまして、これに関しましてのお尋ねでございましたけれども、事務局はその中の費用を把握いたしまして、やはり課税経費対象率が高そうであるというところに関しましては、そこをきちんと計算して上乗せをしているところでございます。
そういうことによりまして、まず、きちんと事業者の方々が納得のあるようなやり方であることが必要だろうと思っておりまして、今後も事務局はここでまたお示ししてまいりたいと思っております。
もう一つ、3つ目でございましたが、基準費用額の中で福祉施設の国庫補助の勘案分ということでございますけれども、月額1万5000円相当ということで、こちらを勘案していることは付言をさせていただきたいと思います。
御説明は以上でございます。
○伊藤委員 ありがとうございました。
今、過不足のない形でなるべく精緻に対応していくという考え方が示されましたが、最後に、事業者が納得感を得られる形でとおっしゃっていた点については、利用者の納得感も得られるようにすることが必要であるということも忘れないでお願いしたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 武久委員。
○武久委員 税金のことは余りよくわからないので、特に消費税のことはよくわからないのですけれども、たしか人件費には消費税はかからないのですよね。ところが、この委託給食、18ページに書いてあると思いますけれども、表の上のほうです。食費のところで、調理員等のこれは多分給料だろうと思うのですけれども、大体6割です。要するに、委託すると、委託の中の人件費の分の消費税を払っていることになるのではないかなと。
これは6割ですけれども、例えば清掃業務につきましては、人件費以外はモップ代と洗剤代ぐらいしかないのではないかなと。また、介護報酬の請求とか診療報酬の請求の事務委託についても、ほとんど人件費ではないかと。そうすると、病院や施設側は消費税が今後、10%、20%と上がっていくと仮定すると、自己防衛上からすると、人件費にかからないのに委託することによって人件費にはさっとかかるというのであれば、自分で雇ったほうがいいのではないかということになって、委託業者の運営がだんだん厳しくなる。これは本意ではないと思いますし、最近どうも委託給食も食材費が上がってきたり、人件費が上がってきたりして、委託費用の金額を上げてくれというような動きにもなってきておりますし、利益を確保するために食事内容がだんだん悪くなっているという話も時々聞く。これであると、我々は委託しているわけですけれども、入所者の人は施設側が出していると思っていますので、あそこの施設は食事が悪いということが入所を忌避する方向に動く可能性もある。
基本的に一番の問題は、人材派遣業の場合は、今おっしゃっていた、まさに人件費に丸々かかる。この辺のところをちょっと、この介護給付費分科会が適切かどうかわかりませんが、人件費が非常に多い医療・介護の分野において、人件費には消費税がかからないと言いながら、実質、非常に大きくかかっている。それに依存している委託業者が存亡の危機に瀕する可能性もある。これは今、2%しかわかりませんが、これがまた15%とかに上がってきますと非常に大きな問題になる。
一方で、土地代には消費税はかからないといいながら、建築費にはかかる。そろそろ改築をしないといけない特養もいっぱいありますけれども、10億かかるとすると1億の消費税がかかる。その1億の消費税を取り返すのは並大抵のことではない。人件費に関することについては財務省が相手ですけれども、老健局の皆さんも、厚労省の皆さんも、委託業務における人件費に対して、その部分についてはのけてもいいとか、何か要望を出していただくと現場としては非常にありがたいのです。難しいかとは思いますが、現状はこういうことだということを御理解賜って、施設や医療機関が順調に運営できて、国民の健康や介護を担えるようにしていただくというのが厚労省としても仕事かと思いますので、この人件費関連について、もし御意見がございましたら、述べていただけると大変ありがたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 質問ですか。意見を述べよという御要望ですね。
では、お願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
本分科会の議論の範囲を超えるかもしれないですけれども、本来施設で働かれる職員の方々は、その施設の管理者、運営者の方々がきちんと労働者として直接雇用を行い、そして、現在であれば働き方改革の流れも踏まえて定着率が上がるようにということで、雇用関係の中で雇っていただいているものだと思っております。その直接雇用以外に、どうしても直接雇用しにくい職ですとか、あるいはなかなか手が回らないところに関しまして、職員派遣のサービスを利用するという実態があることも承知しているところでございます。
事務局としては、報酬が全体に影響するというよりは、まずはきちんと事業所を運営する中でどのような雇用形態がいいのか、そして、どこまで直接雇用で行い、どこまでを派遣で補うのかということは、それはどちらかというと収入以外の、まずは労働環境をどう整えるかということで施設としてはお考えいただく話かなと思っております。
その上で、介護報酬で賄う、手当てをするといった場合に、事務局としては、やはり今の現場での働き方や、派遣で働いていらっしゃる方々の割合というものをきちんと把握し、それがちゃんと賄われるような介護報酬を設定していくことが大事かなと思っております。そのような考え方で事務局はいつも考えているところでございます。
以上です。
○田中分科会長 石本委員、どうぞ。
○石本委員 ありがとうございます。御意見を申し述べます。
今回出されております消費税増税分に伴う報酬の引き上げには賛成でございます。そのようにすべきであると思いますし、基準費用額に関しても、区分支給限度基準額に関しましても、実態に合わせてその枠を広げる、または長年据え置きにされている基準費用額もきちんと見直されて、適正化されるべきだろうと思います。処遇改善等でさまざまな改善を御検討いただいておりますが、事業者本体の部分の経営が窮屈になってしまっては、本来クリアすべき課題というのは、やはり処遇改善等だけでは改善できないと思いますので、しっかりと適正化していただくのが大事だろうと思います。
他方で、今申し上げたこと全ては御利用者、国民の負担の上で成り立つということも我々は忘れてはならないと思いますので、例えば、感覚的にこの御利用者の場合は、これにあわせて引き上げが行われたときに、月額どれぐらい上がっていくのかといった感覚は持ちたいなと思います。そのために今後、何か参考にできるような資料等があるようであれば、また事務局のほうから出していただけるとありがたいなと思うところでございます。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
では、お二人、井上委員、今井委員の順でよろしいですか。
○井上委員 ありがとうございます。
来年10月の消費税率の引上げは、介護保険制度を持続させるためにも必要なことでありますので、これはまず必ずしっかりとやらなくてはいけません。その際に本日のテーマでございますけれども、消費税の多段階型の課税制度というもとでは、課税取引にしない限りは何らかの手当てが必要になってきてしまうということでございますので、9ページ、10ページにあるような対応案につきましては、前回の引上げ時と同様に処理するということで適当かと、我々としては考えております。
また、区分支給限度基準額等につきましても、その実態をよく調査した上で、どのようなケースで限度額を超えてしまっているのかといった実態を明らかにした上で、このような対応をしていくことで賛成いたします。
以上でございます。
○田中分科会長 今井委員、どうぞ。
○今井委員 ありがとうございます。3点ほど要望させていただきたいと思っています。
1点目でございます。ほかの委員もおっしゃっていますけれども、消費税率8%への引き上げ時と同様に、介護サービス施設・事業所の仕入れ等にかかる消費税負担の影響分を補填するために、介護報酬への上乗せ等の対応策を講じていただきたい。
2点目でございます。区分支給基準限度額の見直しについても、的確な対応を行っていただきたいと思っております。
3点目でございます。介護予防日常生活支援総合事業における国が定める単価も、介護報酬と同様の対応を行っていただきたい。以上3点、要望しておきたいと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 江澤委員、どうぞ。
○江澤委員 ありがとうございます。
基準費用額の取り扱いについて意見させていただければと思います。今回、12月までの介護保険に関する消費税の取り扱いにつきましては、当初の予定どおり基準費用額そのものの中身に関する議論ではなく、基準費用額に及ぼす消費税の与える影響について議論するということで、そこは予定どおりお願いできればと思っております。
つきまして、基準費用額の中身について、今後の要望でございますけれども、15ページの資料で少し説明させていただきます。特にそこの中で平成16年と25年のデータが出ておりますけれども、居住費のところで影響します減価償却費、これが介護保険3施設、軒並み16年から25年にかけて減価償却費の部分が大きく下がっています。
御存じのとおり、建物は一般的に50年間を償却期間としているわけで、介護施設においては、この減価償却費の多くは当然建物が占めるわけでございます。まず、これは建物に関する減価償却費の取り扱いですけれども、平成10年4月1日に旧定額法が制定されて、平成19年4月1日には現行の定額法に取り扱いが規定されています。ですから、それ以前の施設は、先ほど東委員もおっしゃったように、定率制を現在も踏襲している施設が少なからずあるのではないかと推測しています。そういった中で、平成16年から25年にかけて、老健、特養とも施設数は約1.3倍にふえています。したがいまして、平成25年の老健、特養の施設数のうち、ともに約2割強が平成16年以降に建設されたものとなっています。そうすると、その間に、16年から25年にかけて建築費指数は5%上昇していますので、これは恐らく減価償却費を上げる要因であると考えています。
一方で、平成25年の老健、特養の施設のうちの6割弱が、先ほど申しました旧定額法制定以前に設立された施設となっています。とすると、6割弱の施設が現行定率法あるいは定額法、どちらを採用されているかわかりませんけれども、仮に定率法で処理している場合には、減価償却費は相当圧縮されて、非常に低い金額になっていると思われます。
したがいまして、そのあたりの減価償却費に対するより精緻な調査というのが必要ではないかということで、特に減価償却費の中にはそういった、かなり平均値だけでは物が言いづらい、異なっている要素を総和して平均で出しているという数値なので、この数値に関してもうちょっと、より、いろいろな手法が考えられると思いますけれども、今後、検討していただきたいと思っておりますし、当然、施設側が100%御回答するのが筋かと思いますが、これはあくまでその当時の母集団が異なる回答施設数の平均値であるということと、それから、当時は単月の実績を12倍するような手法をとっておりますから、当然、数値のぶれ、誤差が大きくなる可能性があると思います。
平成17年10月に食費・居住費が自己負担化となったわけですけれども、そのときは当時の平均値から金額を設定したわけでございます。それからもう10年以上の時が経過しておりまして、名目GDPも1.06倍、実質GDPも1.1倍で48兆円が上乗せになっておりますし、一方で、この7年間で建築費の平米単価は1.4倍に、直近では一番頂点は少し下がりましたけれども、まだ高どまりをしているという状況がございますので、次回の介護報酬改定までにはこの基準費用額の見直しというのが必要ではないかと思っております。
以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
介護保険サービスに関する消費税の取り扱い等については、基本的に26年度と同様の対応にしていただくことにつきましては賛成でございます。
意見なのですけれども、繰り返しになってしまうのですが、その中の基準費用額についてコメントいたしますと、今回の消費税10%への引き上げにおいては、飲食料品などは軽減税率が適用されますので、ここの部分はやはり影響を加味した上で、どのようになるのかということを再度精緻に分析していただいた上で対応をお願いいたしたいと思います。
もう一点、基準費用額を引き上げるべきであるという御意見がたくさん出ているのですが、基準費用額を引き上げますと、負担限度額を据え置くというふうにした場合、補足給付に係る費用が増加しますので、この点も十分に考慮した上で慎重に検討する必要があると考えておりますので、その点もよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 齋藤委員、お願いします。
○齋藤(訓)委員 私も、介護報酬の上乗せにつきましては、事務局提案に賛同したいと思います。
それから、区分支給限度基準額につきましては、やはり特に心配されるのは在宅療養で中重度の方々、要介護の方々が不利益をこうむらなように配慮が必要だと考えております。当然、ケアマネジメントが適切に実施をされるということは前提ですが、この区分支給限度基準額については、前回対応と同様に消費税増税分の影響相当分は引き上げるべきではないかと考えています。
それから、議論になっております基準費用額につきましては、一方で軽減税率なのでという御意見と、そうはいっても調理等々の人件費の高騰もあるので、施設運営の方々からは非常に厳しい状況だということは伺っております。ただ、先ほど齊藤(秀)委員からの質問にあったように、食事の質という点はどうなのだろうかという懸念もあるので、ほかの委員からも出ておりますように、もう少し実態のデータを出していただいた上で判断をしたいなと考えています。
以上です。
○田中分科会長 田部井委員、どうぞ。
○田部井委員 認知症の人と家族の会、利用者の立場ということになりますけれども、これは意見というよりは、厚生労働省の方々や委員の皆さんへのお願いということになろうかと思いますが、私どもは再三申し上げていますように、今回、26年と同じような形で、あるいはプラスアルファという形で実施してはどうかというものについては、利用者負担増には結びつくわけですけれども、それは働く人の向上に資するものであるので、支持しているということを申し上げております。
ただ、実際に改定のたびに行われる内容が利用者にとってどういう影響を与えているのか、あるいは次期改定に向けてどのように考えていったらいいのかということをきちんとするために、現状把握ということで最近、「介護保険の困りごとアンケート」というのを会員に対して実施いたしました。決して大規模なものではありませんけれども、必要なサービスは何かという形で利用するよりも、負担にたえる範囲のサービスを利用するという形で対処している。あるいは、必要なサービスを守るために生活費を切り詰めている。あるいは、必要なサービスを守るために預貯金を取り崩しているという形でしのいでいるという意見が寄せられております。
やはり制度の行く末に非常に大きな不安を抱いているという声が上がっております。1つ御紹介をしますけれども、介護を10年以上になるという方ですが、誰が一体私たち介護者を守ってくれるのだろうかと非常に不安になる、先が見えない介護の中で認知症患者は肉体的衰えに加え、精神的な日々の変化も常にあわせ持っているため、家族はそれにおびえながらも、それでも家族としての慈愛の心を見失わないように毎日を生きているということをもっと理解してもらいたいという声が寄せられております。
今回の消費税アップにしましても、新しい処遇改善にしましても、いずれも負担増にはなるわけですけれども、そういう議論をするときに、ぜひ、今、お話ししたような介護の実態があるということを十分に踏まえていただいて、どういうものがいいのかということを議論していただけますようにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 ありがとうございました。
議題1については、一当たりよろしゅうございますか。
この案件については、今後も検討を進めていく予定でございます。その扱いでよろしゅうございますか。
特にほかに御発言がなければ、本日の審議はここまでといたします。
ちょっと早く終わりますが、では、次回の予定について、事務局よりお願いします。
○老人保健課 本日は御議論ありがとうございました。
次回の日程は、事務局から追って御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれで閉会といたします。お忙しいところ、ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。

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