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2018年9月5日 第161回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成30年9月5日(水)14:00~16:30

 

○場所

ベルサール半蔵門 ホール(2階)
東京都千代田区麹町1-6-4

○出席者

安藤、井口、石田、石本、伊藤、稲葉(今井参考人)、江澤、荻野、尾﨑(戸田参考人)、小原、河本(三宅参考人)、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐藤(小玉参考人)、瀬戸、武久、田中、田部井、東、松田(敬称略)

○議題

1.平成30年度介護従事者処遇状況等調査の実施について
2.介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について
3.その他

○議事

○川口企画官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第161回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
会の開催に当たりまして、委員に変更がございましたので御紹介いたします。
まず、公益社団法人日本医師会常任理事の江澤和彦委員でございます。
次に、公益社団法人日本薬剤師会常務理事の荻野構一委員でございます。
本日の委員の出席状況でございますが、井上委員、大西委員、亀井委員、河村委員、それから、堀田委員から御欠席の御連絡をいただいております。また、松田委員よりおくれての御出席という御連絡をいただいております。
また、稲葉雅之委員にかわりまして、今井順幸参考人でございます。
尾﨑正直委員にかわりまして、戸田京子参考人でございます。
河本滋史委員にかわりまして、三宅泰介参考人でございます。
佐藤保委員にかわりまして、小玉剛参考人でございます。
以上により、本日は15名の委員に御出席をいただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
続きまして、事務局のほうに異動がございましたので、紹介させていただきます。
まず、老健局長の大島一博でございます。
大臣官房審議官(老健担当)の諏訪園健司でございます。
それから、おくれて出席予定でございますが、大臣官房審議官(医療介護連携担当)の山本麻里です。
次に、総務課長の黒田秀郎でございます。
振興課長の尾崎守正でございます。
老人保健課長の眞鍋馨でございます。
それから、本日欠席でございますが、医療介護連携政策課長の宮崎敦文でございます。
最後に、私、大臣官房企画官の川口俊徳でございます。
また、本日は、議題の関係で、社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長の柴田拓己が出席しております。
それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほう、よろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○川口企画官 では、以降の進行は田中分科会長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 皆さん、こんにちは。本日は、「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」、2番目、「介護人材の処遇改善について」などについて議論を行います。
初めに、事務局より資料の確認をお願いします。
○川口企画官 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
まず、議事次第、それから委員名簿がございます。
その後ろに、
資料1 消費税負担に関する関係団体ヒアリング・実施要領について(案)
資料2 介護人材の処遇改善について
資料3 介護給付費分科会のスケジュール(案)
がございます。
もし資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
○田中分科会長 ありがとうございました。
早速、議事次第に沿って進めてまいります。
議題1の「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」議論を行います。事務局から資料の説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。よろしくお願い申し上げます。
それでは、議題1につきまして、資料を用いまして御説明させていただきます。資料1をごらんください。
「消費税負担に関する関係団体ヒアリング・実施要綱について(案)」でございます。
「趣旨」でございますけれども、31年10月に予定されております消費税率引上げに伴いまして、介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について検討を行うということでございます。
この運営の進め方につきましては、7月4日に開催されました前回の介護給付費分科会でもおおむね、ヒアリングを行うことについては御了解を得られておると承知しておりますが、2の「ヒアリング項目」であります。消費税率8%へ引上げ時の対応の評価、それから、消費税率10%への引上げの対応に関する御意見をいただこうというものでございます。
※印がございまして、このヒアリングは、介護保険事業に係る控除対象外消費税負担の現状等について実施するものでございまして、事業経営の状況ですとか、あるいは介護報酬全般についてヒアリングを実施するものではないということを明確化した上でヒアリングを実施したいと思ってございます。
その方法でございます。3でございますが、事前に各団体から意見陳述要旨を提出していただきまして、それを資料配付いたします。これに沿ってヒアリングを行うこととし、意見陳述は書面のみでも可といたしまして、書面提出のみの団体につきましては、当日配付資料に含めて事務局から御紹介いたします。
各団体からの意見陳述が一通り終了した後、必要に応じ委員から陳述内容に関しての質問を行わせていただきます。ただし、意見陳述内容についての御議論というものは行わないということでございます。
実施する対象の団体でございますが、これはヒアリングの実施に係る事前の照会に対して、意見ありと、このヒアリングを行いたいという意向のある団体を対象にしてはどうかと思っております。
裏をおめくりいただきまして、(別紙)とございますけれども、ここに掲げております団体は、これまでの消費税の増税のときのヒアリングを行った団体、そしてまた、平成30年度診療報酬改定でのヒアリングを行った団体を網羅してございますけれども、こういうところにお声がけをして、希望のある団体からヒアリングを行ったらどうかと思うものでございます。
御説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。ただいま説明のありました事項について、御意見、御質問等がございましたらお願いします。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
団体ヒアリングの進め方につきましては、特段異論はございません。ただ、1点だけちょっとお願いがございまして、今回の関係団体ヒアリングは、設備投資の議論のベースとなります介護サービス施設、事務所の設備投資に関する調査が消費税率8%への引き上げ前に行われたものであることから、消費税負担の現状等を把握するために行われるものであって、調査を補完する意味合いであると理解しております。
そのような観点からいたしますと、消費税8%への引き上げ時に、実際にどのような影響があったのかと、そしてまた、10%への引き上げ時にどのような影響が見込まれるのかについて、できる限り定量的に数字で御説明いただくことが、今後の議論について非常に大事であると考えております。ですから、関係団体へ御依頼する際にはその点も明確にお伝えしていただければと思っております。
以上です。
○田中分科会長 課長、どうぞ。
○眞鍋老人保健課長 事務局でございます。
今、安藤委員からいただきました御指摘も含めて、私ども、ここに書いてありますとおり、消費税8%へ引き上げ時の対応の評価、そして10%引き上げ時の対応に関する御意見の中に丁寧に書いていただくように周知したいと思っております。
○田中分科会長 瀬戸委員、どうぞ。
○瀬戸委員 ヒアリングに関しては特段問題ないと思いますので進めていただければと思いますが、ヒアリングを受けない団体として私どもからも少し意見を述べさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○田中分科会長 本委員会の委員の方々はいつでも意見を述べることができますが、きょうのうちに、あればどうぞ。
○瀬戸委員 ありがとうございます。幾つか意見と、1つだけ質問させていただきたいと思います。
まず、本体報酬は当然、8%の増税時と同じように、増税分の反映を適切に行っていただきたいと思いますし、区分支給限度額についても適切に見直すことが必要だと考えています。
それから2つ目です。以前から指摘させていただいている基準費用額に関してですが、特に食費に関して、医療保険部会でも、急性期病院等でも補填不足のことが指摘されていましたけれども、介護においてもやはり補填不足というのがあるのではないかと思っています。特に食費に関しては、17年10月時以降一切変更していませんので、増税分が反映されていない状態です。10%時には軽減税率が導入されるということになっていますけれども、実は8%の増税段階の分は補填されていないので、もう既にその分が足りなくなっております。人件費は非課税ですが、委託している場合の人件費にも消費税がかかってきますので、それについて適切に反映すべきではないかと考えていますので、よろしくお願いいたします。それと、過剰な補填をしないように、できれば施設種別を分けて設定することも考えるべきではないかと思います。
それから3つ目ですが、同じく基準費用額の居住費に関してですけれども、前回もほかの方からもありましたけれども、高額な投資であるにもかかわらず、今回も見送るほうがいいのではないかという御意見もありましたが、将来の修繕等を考えれば、現状の数字には足りていませんので、居住費についても見直しすることが必要だと思います。
それから、ちょっと介護報酬とは直接関係しませんが、養護老人ホームですとか軽費ケアハウスの運営費に関して、これは当然、もう既に一般財源化されていますので直接的に関係ないですが、各地域によって増税分を見込んでいるということの改定モデルをぜひ厚労省として、各都道府県、市町村に技術的助言をしていただけるような流れをつくっていただければなと思います。
最後に質問ですが、いわゆる総合事業に関しての消費税というのはどのように考えているのか、少し教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○田中分科会長 最後の質問にお答えください。
○眞鍋老人保健課長 ありがとうございます。
まず、前段の今回の議論の進め方に関する御指摘と受けとめましたけれども、丁寧にこちらに数字をお出しして御議論いただけるような環境を整えたいと思っております。
○尾崎振興課長 振興課長でございます。
総合事業の消費税の扱いでございますが、総合事業の中にも、従前相当サービスということで、ヘルパーさんのサービスなりデイサービスに近いサービスがございます。こちらについては、国の補助要綱で価格を決めてございます。このため、本体の給付の方の改定の内容を見させていただいて、その内容に沿ったような形にするというのが基本だと思いますが、そういった発想で、まずは給付の動きを見た上での対応を考えたいと思ってございます。
○田中分科会長 ほかに御質問、御意見はございますか。
特段に追加がないようでしたら、議題1については、本日提示された内容に基づいて進めていくことでよろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○田中分科会長 事務局は、その旨準備をお願いいたします。
次に、議題2の介護人材の処遇改善について、議論を行います。事務局から資料の説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
それでは、介護人材の処遇改善につきまして、資料2を用いまして御説明させていただきたいと思います。
1枚おめくりいただきまして、スライド番号2となります。こちらに「現状・課題」を整理させていただいております。
1つ目の○にありますように、平成21年度以降、介護人材の処遇改善について多くの取組が行われてきてございます。近年では、平成29年に臨時で介護報酬改定を行ってございます。
3つ目の○でございますが、平成30年度の介護報酬改定におきましても、介護職員処遇改善加算、これは後ほど表が出てきます。IからVまでございますけれども、IV及びVに関しましては、一定の経過期間を設けて廃止するという決定がなされているところでございます。
4つ目の○でございます。このような中で「新しい経済政策パッケージ」、昨年12月8日の閣議決定におきましては、2020年代初頭までに50万人分の介護の受け皿を整備するということで、その中でも最大の課題は介護人材の確保であるとされているところでございます。ということで、介護職員の更なる処遇改善を進めるとされており、具体的には、下にポツが2つございますけれども、これは最後のほうに出てまいりますので、これから御説明させていただきたいと思います。
3枚目以降が介護従事者に関する統計でございます。
4枚目をごらんください。こちらは「介護職員数の推移」でございます。施行以来、要介護者、要支援の認定者数は増加してきてございます。折れ線グラフが要介護者、要支援者の合計でございます。平成28年度で622万人となってございます。そして棒グラフが介護職員でございまして、平成28年度で183.3万人ということで、いずれも右肩上がりということでございます。
5枚目は「介護職員の現状」ということで、介護職員の就業形態でありますけれども、非正規職員の割合が、介護職員で39%、訪問介護員で69.7%となってございます。年齢構成にも差がございまして、施設等の介護職員については30~49歳、訪問介護員については40歳以上の割合が比較的高くなってございます。今申し上げたことは、下の表の中で青く囲んでいるところにお示ししているところでございます。
6枚目でございます。有効求人倍率につきまして見たものでございます。まず、この表の中で介護分野の有効求人倍率は青い折れ線グラフでございます。29年度で3.5という値が出ておりまして、非常に高い値となっている。そして、失業率がこの赤い折れ線グラフで、これは20年代に入りましてからずっと右肩下がりの状況にあるということでございます。
そして、この有効求人倍率を都道府県別に見たものが7枚目でございます。地域ごとに大きな差があるということでございますけれども、おしなべて2倍は超えていること、そしてまた、特に都市部においてこの有効求人倍率が高いということが示されております。
8枚目でございます。こうした中で、介護サービス事業所における人手不足感が強くなってきているということでございます。左側の緑のグラフでございますけれども、上から下にいくにつれて新しくなってきてございますけれども、不足している、大いに不足しているという回答が来ているということ。そしてまた、その理由としては、「採用が困難である」ということを挙げている事業所が多いということでございます。
9枚目でございます。介護職員の採用率・離職率は低下傾向にありますが、産業計、全産業と比べるとやや高い水準となっているということでございます。
10枚目でございます。介護関係職種が退職を検討するきっかけといたしまして、その理由を問うたものでございますが、最も高い割合を示したものが「職場の人間関係に問題があったため」というものでございます。
そこから幾つか右側に見ていただきまして6番目でございますが、ここに「収入が少なかったため」というのがございます。また、その左側、「自分の将来の見込みが立たなかったため」、これもキャリアを含めて処遇のことも関係しているのではないかと思われるところでございます。
11枚目は介護分野の収支差率でありますけれども、こちらは低下傾向にある一方で、収入に対する給与費の割合は増加傾向にあると。収支差率の表がございますけれども、介護サービスの収支差率として、一番上の表でございますが、24年度決算から28年度決算にいくにつれて、ここは低下している傾向でございます。そして、一番下の表が収入に対する給与費の割合でございますが、これは伸びてきている状況にあるということでございます。
次に、介護福祉士について御説明を申し上げます。13枚目、「介護福祉士の資格の概要」でございます。資格の定義に関しましては、1の中に○がございまして、ここに書いてございます。資格の取得方法は3つございます。マル1、マル2、マル3とございますけれども、まず数を御説明申し上げたいと思いますが、国家資格でございまして、直近の第30回試験結果(平成29年度実施)とございますが、ここでは、受験者数が9万人でありますところ、合格者数が6万5000人余りということで、合格率は7割強となってございます。
一番左下に4として登録状況とございますが、160万人余りが登録されているということでございます。
先ほど、資格の取得方法については、3つあると申し上げましたけれども、介護福祉士養成施設等の状況でございますが、それは5でまとめておりまして、福祉士養成学校、施設などがございます。それぞれ合わせますと大体2万人ぐらいの定員があるところでございます。この定員の中で合格者数が6万ということでございますので、次のページをおめくりいただきまして、実務経験ルート、養成施設ルート、福祉系高校ルートというのがございますけれども、この一番左の実務経験ルートでなられる方が最も多いということがわかっていただけるかと思います。
15枚目であります。「介護職員に占める介護福祉士の割合の推移」でございます。上の棒グラフと折れ線グラフを見ていただきますと、棒グラフが職員数でございます。そして、緑色の折れ線グラフが、介護職員のうち介護福祉士さんの占める割合ということで、これは年を追うごとに非常に高くなってきているということでございます。
下のグラフでございますけれども、こちらは勤続年数別にどのぐらいの方が介護福祉士資格を取得していらっしゃるかということを示したものでございまして、経験が5年以上となってきますと、約半数の方は介護福祉士の資格をとられているということがわかっていただけると思います。
16枚目でございます。こちらは介護福祉士の方に限って、「過去働いていた職場を辞めた理由」をお聞きしたものでございます。先ほどの介護職員に対して辞めた理由を聞いたものと調査が異なりますので、若干、理由であったり、それからパーセンテージ、割合に違うところがございますが、そのようなものとごらんいただければと思います。
この中では、腰痛を含みます心身の不調が一番高い理由の割合となっているところでございます。4番目に「収入が少なかった」ということも入ってきてございます。
17枚目以降が「他の産業及び職種と比較した介護人材の状況」でございます。
18枚目に移っていただきまして、このグラフは、左から、有効求人倍率が高い職種を並べております。それが折れ線グラフでお示しをしてございますけれども、一番左が建設解体工事の職業、ここは非常に有効求人倍率が高いということでございます。その後、その職種ごとに高い順に並べていると。左から10番目くらいのところに介護関係職種(関係職種の合計)というのがございまして、2.5倍を超えて3.5倍という状況ですが、加えて、この棒グラフの高さが求人数でございまして、目盛りは右側であります。有効求人倍率も高く、求人数も多い職種であろうということでございます。
19枚目のグラフが「業種別の非正規雇用労働者の割合」ということで、医療・福祉に限って見たものが右から4番目の比較的高い棒グラフがございます。ごらんいただきますと、約4割の方が非正規であるということでございます。
20枚目にいかせていただきます。こちらは「一般労働者の産業別水準」をお示ししたものでございます。全産業平均が真ん中より少し上のところに、えんじ色で線を引いてございます。
青い棒グラフが幾つか並んでございますけれども、その左から6つ目のところに医療・福祉がございます。医療・福祉でくくってみましても、全産業平均よりは低く、その中で一番左側に赤で書いておりますのが、介護職員でございます。こちらも全産業に比べると低く、医療・福祉よりも低いという状況が出ているところでございます。
次に21枚目でございます。こちらは介護職員につきまして産業計と比較しますと、勤続年数が短くなっているとともに、賞与込みで計算しました給与も低くなっているということをあらわしたものでございまして、産業別で、全体で見てみますと、平均年齢41.8、勤続年数10.7、その中での賞与込み給与が36.6万円だったところが、下、緑の網かけをしておりますけれども、CとDの平均で、勤続年数が6.4、そして賞与込み給与として27.4となっているところでございます。
22枚目でございます。介護職員の平均勤続年数について、職種間及び産業計と比較しますと、30~40歳まではおおむね変わりませんけれども、35歳以上は下回っている。真ん中のオレンジ色の折れ線グラフがほぼ、年齢が上がるごとに勤続年数も上がっていっているというのが産業計でございます。その中で濃い青と薄い青がそれぞれ介護職員と介護支援専門員でございまして、これらの職種に関しましては年齢が上がるにつれて勤続年数というのは上がっていかない。ですから、途中で転職するなどしていらっしゃるという実態があらわれているかと思っております。
「介護人材確保対策」について御説明申し上げます。24枚目でございます。こちらは第7期の介護保険事業計画に基づきます介護人材の必要数についてでございます。これは介護保険事業計画ですので、市町村が立てる計画でございます。この計画に位置付けられたサービス見込み量等に基づき都道府県により推計しました介護人材の需要を見ますと、2020年度末には約216万人、2025年度末には約245万人が必要ということで、これを2016年度末の約190万人加えますと、2020年末までには26万人、2025年度末には55万人ということで、年間6万人程度のペースで人材を確保していく必要があるというようなことが単純に推計されるところでございます。
25枚目でございます。「介護人材確保の目指す姿」ということで、これは過去にも出したことのある資料でございますけれども、現状のまんじゅう型から富士山型へということで、裾野も広げて、なおかつ、専門性の高い人材が継続的に残っていくように、定着していくことを目指していこうということで、そのために、26枚目でございますけれども、総合的な介護人材確保対策ということで、主な取組を表のような形でお示ししてございます。
左側に「介護職員の処遇改善」「多様な人材の確保・育成」「離職防止、定着促進、生産性向上」「介護職の魅力向上」「外国人材の受入れ環境整備」が掲げられておりますけれども、今日、御議論いただきますのは、この上の「介護職員の処遇改善」のところでございまして、これまで月額平均で5.7万円の改善が行われてきたということをお示ししておりまして、さらにこれから御議論いただきます、来年10月の消費税率の引上げに伴う更なる処遇改善の実施を予定しているということでございます。
(介護報酬における対応)を御説明します。28枚目をごらんください。加算の全体像でございますけれども、まず上の四角の枠の1つ目の○です。平成24年度に、介護報酬において、介護職員の賃金改善に充てることを目的とした処遇改善加算を創設いたしました。平成27年度に上乗せ評価を行う区分を設けております。そして平成29年度に、介護職員の技能・経験等に応じた昇給の仕組みを構築した事業者につきまして、更なる上乗せを行ったところでございます。
そして、平成29年度末で約90%の事業所が加算のI、Ⅱ、Ⅲを取得していただいているところでございます。
29枚目でございます。これは前回の介護報酬改定でございますけれども、IV、Vに関しましては、今後一定の経過措置期間を設けて廃止していくことが決定されているところでございます。
30枚目でございます。この処遇改善加算についてどのようにしてこの加算の割合を計算しているかということをお示ししてございまして、上の囲っている中にございますけれども、例えば、これは訪問介護事業所の改善加算(I)の場合でありますが、全国の訪問介護事業所における介護職員数、これは私ども全体で把握している職員数に、想定しております3.7万円というものを掛けます。この掛けたものを分子に置いて、そして分母を全国の訪問介護事業所に対する費用額で割ってございます。そうすると13.7という数が出てまいりまして、これが加算(I)をとるところで13.7%、介護給付費に掛ければ、その3.7万円分の行き渡るだけのお金が事業所に行き渡るでしょうということで計算しているものでございます。それが処遇改善加算の給付としてありまして、それぞれの事業所にいくと。その中で事業所の介護職員に配分されているということでございます。
今お示ししたのがこの訪問介護事業所の例でございますけれども、この13.7というのは、31枚目で申し上げますと、一番左上、加算(I)、訪問介護のところでございます。同じような計算の仕方をいたしまして、介護サービスごとに加算(I)、加算(Ⅱ)、加算(Ⅲ)が決まっているということでございます。
なお、加算算定の非対象サービスは2に掲げるサービスでございます。
32枚目でございます。こういう介護職員処遇改善加算につきましては、なるべく高い段階の加算をとっていただきたいと思っておりまして、各事業所に対しまして、その加算、高いものを取る努力をしていただいたところに対して、これは一般会計の予算でございますけれども、支援事業などをさせていただいているところでございます。
33枚目、そして34枚目でございますが、介護職員処遇改善加算のうちどれをとっていただいておりますかというもので、33枚目で御説明申し上げますと、処遇改善加算(I)をとっていただいているところが、一番右にいっていただきまして、平成29年度末でございますが、平成30年3月サービス提供分で67.9%。ですから、7割弱のところが(I)をとっていただいている。処遇改善加算(Ⅱ)が12.5%、処遇改善加算(Ⅲ)が8.7%になっております。(IV)と(V)はそれぞれ0.8%ということでございます。
それをさらに細かくサービス別に見たものが34枚目でございますが、これは説明を略させていただきます。
35枚目、こちらは平成29年度の介護従事者処遇状況等調査結果でありまして、これも過去にお示ししたものでございますけれども、加算(I)を取得した施設・事業所におきまして1万円相当の処遇改善の加算だったわけでございますけれども、結果としては1万3660円ということで、配分した額以上に、施設・事業所におきまして処遇改善の努力をしていただけているという実態が出ております。
それでは、36枚目でございます。これが閣議決定の文章をそのまま抜粋してきたものでございます。「人生100年時代において」と書かれてございますが、その中で、「介護職員について、経験などに応じて昇給する仕組みを創り」云々とございます。そして、その段落の一番最後にありますとおり、「経験・技能のある職員に重点化を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を進める」ということがまず前段でございまして、「具体的には」とございます。「他の介護職員などの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めることを前提に、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費1000億円程度を投じ、処遇改善を行う」となってございます。
実施時期でございますけれども、こうした処遇改善につきましては、消費税の税率の引上げに伴う報酬改定において対応し、2019年10月から実施するとされているところでございます。
37枚目、最後のスライドでございます。「主な論点」でございますが、1つ目の○、2つ目の○は、これまで申し上げてきたとおりでございます。
3つ目の○でございます。「このような中で、『新しい経済政策パッケージ』に基づく、『経験・技能のある職員に重点化を図った上』での『他の介護職員などの処遇改善のこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めることを前提』とした、介護職員の更なる処遇改善について、これまでの処遇改善の取組と整合を図りつつ、具体的にどのような枠組みが考えられるか。とりわけ『重点化』及び『柔軟な運用』の在り方について、どのように考えるか」というような論点にさせていただいているところでございます。
資料3につきましても一括して御説明させていただきます。こちら、介護給付費分科会のスケジュール(案)ということで、本日9月5日でございますが、今月から11月まで、3カ月ですけれども、各月に2回程度開催させていただきたいと思っております。その中で、1回は消費税10%引上げに向けた対応、そしてもう1回は今後の処遇改善についてということで、各1回程度を想定してございます。そして年内には審議報告をとりまとめ、そして来年10月に消費税の引上げに合わせて実施というスケジュールを考えているところでございます。
長くなりました。御説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
ただいま説明のありました事項について、御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
石田委員、どうぞ。
○石田委員 失礼します。3点、意見と要望を述べたいと思います。
まず、5ページにあります「介護職員の現状」ですが、就業形態(職種別)と年齢構成(職種別)というのがあります。この後でいいですから、このデータに基づいてこれらのクロスの集計数というのをぜひ拝見したいなあと思っております。つまり、正規職員の年齢別、それから、非正規雇用の人の年齢別についてどのように分布されているかというのは、何となく想像はつくのですけれども、正確なものがわかるような表をぜひつくっていただければなというのが1つ目の要望でございます。
それから2点目は給与に関することで、資料の19、20ページにあるところです。特に非正規雇用の人の給与、多分、全体の給与が引き下げられている点にはその非正規雇用の問題というのは大きくかかわっているとは思うのですけれども、19ページで見て、介護の従事者の非正規の割合は約39%、その裏の20ページ、それで介護職は一番給料が低いとなっているのですが、例えば同じ19ページのグラフで、卸売業、小売業のところは、非正規のところが48.9%と半分ぐらいを占めていますね。にもかかわらず、20ページをみますと、卸、小売業というのはぐっと、この介護の職員よりは給料が高くなっています。何でこのようになっているのか疑問に思ったものですから、その辺のところはもう少し細かな分析をしていただくと、給与の面、それから正規、非正規の関連というのが見えてくるのではないかなあと思い、説明していただきたいなと思います。
それから最後ですけれども、26ページにあります人材確保の対策の件です。一番左にずっと項目が挙げられております。前にも申し上げたのですが、1つには、給与というのは非常に大きな要素ではあるのですが、もう一つ、事業所の中における人材の活用といいますか、マンパワーの効果的な運用、つまり、労務管理、マネジメントというのが非常に重要なものになってくるのではないかと思います。今、パワハラの問題などが取り上げられておりますが、やはり現場では組織の理念が正しく守られていない、人材が適正・的確に活用されていないといったことが理由で職場から離れていく人が想像以上に多いのではないかと思ったりもしております。
例えば10ページとか16ページのデータでも、給与というのは1位には上がってこないというところがあります。職場環境であったり、それから、本人のやる気であったりというところも非常に重要で、そこをうまくマネジメントできているかどうかという点については、事業所の評価としてぜひ認めていく必要があるのではないかと思っております。
37ページの最後に、「柔軟な運用」ということが書かれてありまして、この言葉だけだと、どのように運用していくのかなかなか難しいのですけれども、キャリアを積んでいって、途中で、もうこれ以上の給与の増加が見込めないということで、例えば転職していくというようなケースがあると、事業所も、それ以上の収益とか、そういったことの確保というのも考えていく必要があるのではないかと考えます。そうしたことも含めた柔軟な運用というのは、やはりマネジメントも含めて、今後はさらに重要になってくると思いますので、要望として、柔軟な運用の中身、施設の運営の側にとってやりやすい方法というのを今後提示していただきたいと思っております。ありがとうございました。
○田中分科会長 御要望ですね。
○石田委員 要望でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
石本委員、どうぞ。
○石本委員 ありがとうございます。それでは、介護福祉士会としての要望について申し上げさせていただきたいと思います。
実はことし平成30年は、介護福祉士の資格が施行されてちょうど30周年の節目の年にも当たりまして、この大きな節目の年に、今回のような介護福祉士の資格、これを根拠とした大型の処遇改善について示されたことは大変感慨深く、また、こういった方向で議論されることに心より感謝を申し上げます。
介護職員のさらなる処遇改善を進めるとされた今回の閣議決定により、先ほど来事務局からの御説明にもありましたように、他職種、他産業との賃金ギャップの差、これが効果的に縮まることで、現場の介護福祉士が誇りを持って介護サービスに向き合う大きな励み、そしてモチベーションにつながるものと期待しているところでございます。
その結果として、人材の定着促進、新規参入、そして潜在有資格者の掘り起こし、これらに効果的に作用すること、また期待を寄せているところでございます。経験・技能のある職員に重点化を図るという趣旨に基づき、勤続10年、そして介護福祉士というものが示されているところでございます。
昨年の人材確保専門委員会におきましても、介護職チームの中核的かつリーダー的役割、これに位置づけられた介護福祉士が質の高い介護サービスの提供に対してしっかりと責任を負うことが求められており、今回の評価や御期待に報いるためにも、認定介護福祉士養成研修を含む体系的な生涯研修などを通じ、より一層私どもも資質の向上に努めてまいる所存でございます。
しかしながら、多様な人材の活用や多職種連携の推進等の流れを踏まえますと、他の介護職員などの処遇改善にも柔軟に運用することにより全体の底上げを図るということ自体を否定はいたしませんが、まずは本来の趣旨でありますインパクトが薄まることなく、経験・技能を有する者、介護福祉士がしっかりと実感が持てる処遇改善として運用されることを希望いたします。
また、今後、この対象者の割り出しや就労証明などにかかわる事務的な手法について細かく整理が進んでいくことと思います。ただし、介護現場の介護福祉士の就労実態を考えますと、例えば同じグループの傘下であるが、違う法人に部署の異動や配置転換があった場合どう取り扱うかなど、大変複雑なケースが想定されます。
そこで、私ども職能団体が管理している登録情報などが、この経験や技能を有する者の割り出しや申請手続をスムーズに進めるに当たりお役に立てるのであれば、何らかの形で協力させていただくことも考えているところでございます。
いずれにしましても、国民の皆様の御負担の上に成り立っていること、これをしっかりと私どもも肝に銘じながら、質の高い介護サービスの提供にしっかりと取り組んでまいりたいと思うところでございます。 以上です。
○田中分科会長 団体としての決意表明を承りました。ありがとうございます。
齋藤委員、どうぞ。
○齋藤(訓)委員 約1,000億円の公費投入というのは、非常に重いことだと思っており、ぜひ人材の一時的な確保ということではなく、離職防止、定着対策につながる効果的な使い道を検討していければと考えています。
以前にも申し上げましたが、私も、石田委員がおっしゃったように、10ページや16ページの資料から、離職の理由について、収入が少ないとか将来の見込みがないということが上位だということは認識しておりますが、それ以上に、心身の不調や、職場の人間関係や運営のあり方に不満があるといった回答が多く挙がっています。今後目指すべきは、健康で安全に働き続けることができる職場環境を作ることであり、多額の公費を投入して賃金が一時的に上がったとしても、その職場環境がないと参入や定着には結びつかないと思っています。
これまで、確保対策ということで幾つか総合的な取組が挙げられていますが、職場環境要因の分析とか職場環境の改善に向けた対策というのが十分ではないと思っています。ですので、今回の処遇改善に関しましては、単に職種や勤続年数で一律に上乗せというイメージではなく、介護人材が働きやすい、定着し得る職場環境であること、あるいは施設や事業所の適切な運営や、先ほどのマネジメントに関する何らかの指標を入れて、処遇と一緒に改善していってはどうかと考えています。
それから、これまでもこの処遇改善につきましては、対象職種についていろいろと議論がありましたが、介護の現場はチームで働いているということで、多職種にも広く適用できるように柔軟に考えていくべきではないかと思います。
○田中分科会長 職場環境の重要性を指摘いただきました。
三宅参考人、どうぞ。
○三宅参考人 ありがとうございます。健保連でございます。
まず、介護人材の確保が非常に重要だという政府の方針につきましては十分理解しておるところでございます。ただし、処遇改善につきましては、本来は経営努力や労使間での協議、調整で行われるものと考えております。さらに、特定業種に改善が必要だということであれば、やはり税で対応するというのが筋ではないかと考えておりまして、保険料を充てるということは広く被保険者や事業主の理解を得られず、疑問を持っているところでございます。
今回、保険料負担をする側の意見を十分に踏まえた上での決定ではなかったということにつきましては、残念であります。保険財政は逼迫しておりまして、また、保険料の負担者側には、介護職員の皆様よりも収入が低い方々もたくさん存在しております。そういうことからも、今回の審議の中で、例えばなぜ8万円なのかということも含めて、それらの内容であるとか根拠であるとか、意義につきまして、十分に御説明をお願いしたいと考えております。
また、先ほど来皆様から御意見が出ておりますように、介護離職の理由につきましては、収入が低いよりも、例えば心身の不調などの理由がございます。また、ほかにも理由は多々ございます。これまでの介護給付費による改善、つまり加算による対応が収入以外の職場環境改善、ひいては職場定着、離職低下にどのように、あるいはどの程度寄与したのかも踏まえて処遇改善策を検討していく必要があるものと考えております。
これらを今後継続的に検証していただきまして、いかに介護の離職を防ぎ、国民の利益がある仕組みとしていくか、それが大切だと考えております。ありがとうございます。
○田中分科会長 今後の審議に関する御要望というか、見解です。
では、課長、コメントください。
○眞鍋老人保健課長 御意見でございますが、1点、回答できる部分に関してでございます。8万円ということでございますけれども、まずは、この介護サービス事業所における経験・技能のある介護職員ですね。ここで言うと10年以上の介護福祉士の方、この賃金をできれば全産業平均まで引き上げたいということになると、おおむね8万円になったというのが私どもの推計でございます。それが8万円の根拠でありまして、それで、このような方々にお配りするための規模となってくると、この1000億円になったということでございます。
あと、ほかの進め方に関する御指摘に関しましては受けとめさせていただきたいと思います。
○田中分科会長 田部井委員、どうぞ。
○田部井委員 認知症の人と家族の会ですけれども、利用者の立場からということですが、今回の、公費1000億円程度を投じ、月額8万円の処遇改善を行うということであります。これは当初といいますか、きちんと事前説明を受けて内容を理解したつもりでいたのですけれども、ここへ来まして、「消費税率の引き上げに伴う報酬改定によって対応する」ということを見まして、今まで処遇改善というのは、1つは加算というのがあったと思うのですね。それから、処遇改善交付金という形があったと思うのです。で、今回のあれを私は、処遇改善交付金的な形で行われるものかなと理解していたのですけれども、そうではなくて、介護報酬において行うということは利用者の負担が発生する形で行われるというふうな理解になるのか、処遇改善交付金のように利用者の負担ではない形で行われるということになるのか、それについての御説明をお願いしたいと思います。
それと、この改善の形というのは、1000億円を投じますと。それに想定された対象になる人数が出てくると思うのですけれども、この1000億円が終わったら、その次に登場してきた10年の経験者というのはどのような扱いになるのかということが、そういう一時的なものなのか継続的に保証されていくものなのかというのはちょっと理解の範囲を超えておりましたので、御説明いただければと思います。
○田中分科会長 大切な疑問ですので、説明をお願いします。
○眞鍋老人保健課長 重要な御指摘かと思います。まず、先ほどの閣議決定の文章に戻らせていただきますけれども、スライド番号で申し上げますと36枚目ですが、この新しい経済政策パッケージの一番下のところでございます。実施時期のところでございますけれども、「こうした処遇改善については、消費税率の引上げに伴う報酬改定において対応し」と書いてございます。当初、ですから、交付金という形ではなくて、介護報酬改定の中で対応するということを想定しております。
現在の処遇改善、先ほど交付金という御指摘もございましたけれども、これは長い歴史がございます。平成21年に介護報酬改定に対応することから経緯が始まっておりますけれども、24年度の介護報酬改定に関する審議報告におきまして、一時的な財政措置によるものではなくて、事業所の自主的な努力を前提とした上で、安定的・継続的な事業所に見込まれる介護報酬で対応することが望ましいとされたところでございまして、それ以降、介護報酬で対応することとしているところでございます。
そういうことを踏まえますと、今回、この処遇改善が行われた後に、確かに処遇が上がった分、例えば加算なりの形でついたものに関しまして、利用者の自己負担が一部増えるということに関しましては、増えるということになろうかと思います。
ただ、高額介護サービス費ですとか別途の手当てはありますけれども、そういう意味では、報酬も増えますので、自己負担についても額面は増える。別途、その後、高額介護サービス費などで手当てがされるということでございます。
以上でございます。
○田中分科会長 もう一点、継続的かどうかという御質問。
○眞鍋老人保健課長 失礼いたしました。介護報酬改定で対応するということでございますので、それは継続されるということになります。
○田中分科会長 よろしゅうございますか。
齊藤秀樹委員、どうぞ。
○齊藤(秀)委員 資料の21ページを見ますと、産業計との比較が出ておりまして、全体としては、介護人材、介護職員のみならず、各職種において、勤続年数、賞与込み給与、レベルが低いということは明らかだと思います。さらに22ページでは勤続年数のグラフが出ているわけですが、35歳を境にして、特に介護職員とケアマネージャーのグラフが低くなったという図になっております。
あわせて35ページでは、これまで加算(I)の届け出が困難な理由の筆頭にあります職種間や事業所間の賃金バランスがとれなくなるおそれがあるので届け出をしないということがあります。これまでは、人材確保と言いながらも、介護職員にある意味特化してきたという歴史だと思いますし、その必要度は今日も変わらないと思いますけれども、今出てきた資料から見ますと、介護職員のみならず、全体として介護従事者そのものが全体としてレベルが低い位置にあるということだろうと思いますので、今回は、特に重点化という意味では、長年勤めていただいた方々に対する処遇の改善というのは当然だと思いますが、一方で、今申し上げたように、その介護職員以外の人たちにもやはりスポットを当てたという改善が必要なのではないかなと思います。具体的なことは今後のことになると思いますけれども。
それから、先ほどほかの委員の方から、基本的には労使間で進めるべきものだということは私も当然だと思いますが、全体の底上げを図らない限りはそこに至らない、そのレベルにないと思っておりますので、今後は、しかし、全体の大枠を示しつつ、細部にわたる柔軟な部分については労使間の中の話し合いで進めるというようなことも必要だろうと思いますので、その辺どのようにこの1000億円というものを十分に活用するのかというのは今後の議論に付していきたいと思いますし、また意見も述べさせていただきたいと思います。
○田中分科会長 ありがとうございます。
東委員、どうぞ。
○東委員 ありがとうございます。
まず、資料2の18ページの「職業別有効求人倍率」を見ますと、介護関係職種の有効求人倍率、有効求人数が共にかなり高いというのが、誰が見ても明らかだと思います。また、資料2の20ページの「一般労働者の産業別賃金水準」を見ますと、これまで介護職員の処遇改善が行われてきましたが、それでも全産業の様々な職種に比べて、介護職員の賃金が低いというのが明らかにわかると思います。
次に資料2の13ページ「介護福祉士の資格の概要」の「4 資格者の登録状況」を見ますと、介護福祉士は約160万人いらっしゃいます。しかし、このうち潜在介護福祉士が約40万人もいると言われております。つまり、介護福祉士資格者のうち、約4分の1が現場で働いていないということになるわけです。
このような状況を考えますと、資料2の36ページ「新しい経済政策パッケージ」にある「勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善」という提案は、私は大変評価ができると考えております。若い方たちが介護福祉士を目指すというモチベーションになりますし、多くの潜在介護福祉士がまた現場に戻ってきてくれるのではないかという期待まで抱かせる、大変評価できるものだと考えております。
一方、資料2の10ページ「前職の仕事をやめた理由(介護関係職種:複数回答)」と同じく16ページ「過去働いていた職場を辞めて理由(介護福祉士:複数回答)」を比べますと、恐らく出典が違うのだと思いますが、回答項目が微妙に違っております。前段の10ページの介護関係職種が前職をやめた理由のデータのうち、介護福祉士がどの程度の割合で含まれるのか、また別けることが可能なのか。逆に、16ページの介護福祉士の職場を辞めた理由のところで、介護関係職種全体のものがあるのか。このデータが違う出典なのかも含めて、後で少し教えていただきたいと思います。そしてこの結果を見たときに、特に16ページの介護福祉士の職場を辞めた理由で、「収入が少なかった」と賃金に対する不満もあるのですが、「業務に関連する心身の不調」、「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」が1位、2位を占めております。
ということは、介護福祉士の方々は、収入ももちろんですが、現場で働いている環境や仕事の内容についてかなり不満を感じていらっしゃるのではないかというのが如実にわかると思います。10ページの介護関係職種全体を見ると、1番目の「職場の人間関係」や2番目の「結婚・出産」というのはほかの職業でもあることでございます。従って、3番目の「法人・施設・事業所の理念や運営のあり方」や5番目の「自分の将来の見込みが立たなかった」というところが実態を表していると思われ、やはり介護現場の仕事自体にいま少し問題があるのではないかと私は考えざるを得ません。
資料2の25ページ「介護人材確保の目指す姿 ~「まんじゅう型」から「富士山型」へ~」は以前から出されているシェーマでございますが、介護の現場の仕事を切り分けて、現場の、特に介護福祉士の方が夢を持って、かつ、離職することなく働き続けていけるような工夫というものを考えていくべきではないかと考えております。
私ども全老健とか三重県老健協会では、介護助手という事業を平成27年から始めまして、現在、全国25都道府県に広がっているところでございます。先ほどほかの委員からもありましたが、このような介護職の労働環境をしっかりと考えていくことも重要な施策かなと考えております。そういう意味で、今までの処遇改善加算というのは、いわゆる介護福祉士とか介護職にしか使えませんでしたけれども、介護助手というものにも使えるように御配慮をお願いしたい。
最後に、私どもは老健でございますので、介護職以外にも、リハ職や支援相談員や看護職など、多職種協働でケアを提供しております。今回この消費税財源を柔軟に使うということでございますので、リハ職や支援相談員、加えて、やはり看護職にもこれを認めていただきたいなと思うところでございます。
しかし、これはあくまで介護職の処遇改善でございますので、他の職種を認めたとしても、やはり介護職の処遇改善というところが損なわれるようでは意味がないと思いますので、基本は介護職の処遇改善に多くが使われるべきだと考えております。
以上でございます。
○田中分科会長 10ページと16ページの統計の違いについてお願いします。
○眞鍋老人保健課長 10ページと、そして16ページ、こちらは両方とも職場を辞めた理由でございますけれども、その出方が違う、介護関係職種と介護福祉士に特化したものと、それが包含関係どうなのかというお尋ねでございました。
まず、両方とも、御説明でも申し上げたと思いますが、出典が違っておりまして、それぞれ、例えば10ページで介護福祉士としてくくったものがあるかどうか、あるいは16ページで介護職全体にしたものがあるかどうか、もしお許しいただければお時間をいただきまして、もし必要があれば次回にでも御説明させていただけたらと思います。
以上です。
○田中分科会長 小原委員、どうぞ。
○小原委員 ありがとうございます。
今回の介護職員の処遇改善ということで、技能・経験のある介護職員の処遇改善ということは、この日本の介護の課題ということを考える上でもとても重要な施策だと思います。そういった意味では、方向性として賛同しております。
その上でですが、介護施設とか事業所では介護職以外の職種も勤務しておりまして、多職種協働で、チームケアで利用者さんを支えていくという仕組みがとられておりまして、チームでやっていくということが、その質だったりとかやりがいということにもつながっていっておりますので、離職の理由に人間関係の課題ということも結構上位で挙がっておりますので、そういったことで、多職種という視点からも考えていくということはとても重要ではないかなと思います。
そういった観点から考えますと、介護職員にも処遇改善の必要性というのはあるのかなと思いますので、経験・技能のある介護福祉士の処遇改善ということが最重要ではありますが、運用の範囲で他職種も含んだ対応というのは必要ではないかなと思いますので、意見として述べさせていただきます。
○田中分科会長 江澤委員、それから伊藤委員。
○江澤委員 ありがとうございます。意見と要望について少しお話しさせていただきたいと思います。
まず、新しい経済政策パッケージの処遇改善については大変ありがたいと受けとめております。つきましては、この重点化及び柔軟な運用についてですけれども、介護事業所の規模、あるいは各事業所においての賃金体系を初めとした労務管理、これはさまざまでございますので、介護職員などの処遇改善を基本としつつ、この賃金の配分について、こういった処遇改善の一定の割合の範囲内で事業所へ裁量を認めてはどうかと考えております。
それから2番目は、先ほどから意見が出ておりますように、私も経営者として長くやっている経験上、決して賃金だけで職員が離職するというのは余り印象深く思っておりません。賃金、キャリアアップ以外のいろんな離職要因が既に示されておりますし、以前も、この審議会等でも、事業所において離職率の割合が二極分化しているというデータが再々示されておりますので、ということは、まだ事業所側の取組の工夫の余地は相当残っているのだろうなと思っておりますので、こういったタイミングとあわせて、賃金、キャリアアップ以外の、いろいろ働きやすい職場の観点での取組もあわせてセットで取り組むほうがより効果的ではないかと思っております。
3点目は、これも以前この場でも意見が出ておりますけれども、医療現場におきましてもたくさん介護職員は働いておりますし、医療現場における介護人材の確保というのも非常に深刻かつ重要な課題だと思っていますので、そのあたりを今後どう考えていくのか。同一の法人グループで働いている職員もたくさんいますし、こういったことは恐らく全ての介護職員の方が最近では周知の事実だと思いますので、医療現場で働いている介護職員の処遇をどうするかというのは、こういう施策が出た以上はどこかでやはり議論なり方向性を少し考えておかないと、医療現場の介護職員の人材確保も非常に苦慮している状況がございますので、今後どこかで検討できればありがたいかなと思っております。
最後に4点目ですけれども、これも先ほどから出ておりますが、もちろん、公費1000億に加えて保険料1000億円を投じるということで、2,000億円を投じるということになりますが、さすがに保険料1000億円ということは、保険者、あるいは被保険者のある程度のコンセンサスもとっていかないとなかなか前に進みにくいのではないかなと考えているところでございまして、もともと、スタート時点は介護職員処遇改善交付金で、公費のみで行っていた国策として取り組んだものでございますが、それが途中で介護職員処遇改善加算に移行したわけですけれども、中長期な視点で考えたときに、加算でどこまでいけるのか、限界点があるのか、今後継続して考えた上で、介護処遇改善加算がいいのか、あるいは交付金のほうが望ましいのか、一度またディスカッションが必要な時期ではないかなと思っておりますので、いずれも意見と要望でございます。
ありがとうございます。
○田中分科会長 4点とも大切な指摘です。ありがとうございました。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 そうしましたら、まず議論の前提としていくつか確認をして、皆さんと共有したほうがいいと思うので、質問を3点ほどさせていただきます。
24ページに第7期の介護人材の必要数が出ていて、これは第7期で算出し直した数字だと思いますけれども、これが第6期でこれまで示されていた介護人材の必要数とどれぐらい変わったのか。何か減っているように見えるものですから、その点について御説明いただきたいと思います。どれだけ減って、その理由はどのように見ているのかというのが1つ目です。
それから、36ページの新しい経済政策パッケージの読み方ですけれども、これは勤続10年以上の介護福祉士に8万円配るということが算定根拠だから、その半分のうちの公費が1,000億円ということだと思います。ああそうかというような感じはするのですが、では、勤続10年以上の介護福祉士の数というのは何人くらいいるのかということがきょうのデータで見えないので、その数字を教えてほしいと思います。何割ぐらいいるとかいうお答えでもいいですけれども、それを教えてくださいというのが2つ目です。
それから、26ページの人材確保対策で、いろいろやっていますというところの一番下に外国人材のことが出ています。きょうは処遇改善が議題ですが、資料上出てくるものですから、やはり聞かざるを得ない。7月の末にかなり報道が出ていて、ベトナムから、2020年夏までに1万人、1年以内には3,000人の技能実習「介護」を受け入れる。そのために日本語要件を緩和するとか、優良事業所なるものをつくるなどというような報道がありました。そのことは今ここに書いてないのですけれども、そういうことはあるのかないのか。この前、介護保険部会でもお聞きしましたが、承知していないとかいう話で終わっていまして、それにしてはやたら報道がすごいものですから、その点について、もう一回御説明いただきたいというのが3つ目です。
以上です。
○田中分科会長 質問3点ございました。お願いします。
○眞鍋老人保健課長 老人保健課長でございます。
まず、24ページであります。積み上げでございますが、私の手元に第6期の数がないものですから、どのぐらいという数がすぐ出てこないのですけれども、たしか6期よりもちょっと減っていると思います。
2つ目の御質問で、10年以上の介護福祉士は何人ぐらいかということでございますが、私ども、単純に計算しますと、大体20万人ぐらいはいらっしゃるのではないかと計算しているところでございます。
○柴田福祉人材確保対策室長 まず1点目の点について、第6期と第7期の人材推計の違いということで御質問がありましたので、補足させていただきます。
現在、第7期でお示ししていますとおり、第7期ですと、2020年に約216万人、そして2025年ですと約245万人という数字が出ております。第6期の計画に基づいているものにつきましては、2020年で約231万人、2025年で約253万人ということなので、2020年で比べると約15万人減っていて、そして、2025年ですと約8万人減っているということでございます。
必要と見込まれる介護職員数が減少した要因につきましては、介護保険事業計画のサービスの見込み量に応じて、利用者100人当たりどのぐらい職員が必要かということを計算して推計しておりますので、第7期の介護保険事業計画におけるサービスの見込み量の減少が影響しているものであると考えております。
それが1点目です。
3点目の、外国人材の報道でベトナム1万人介護人材を受け入れるということの御質問がありましたけれども、政府の別の関係のほうで事実ではない旨の答弁をされておりますので、その点についてはそういう認識でいただければと思います。
○田中分科会長 よろしいですか。
○伊藤委員 そういう認識というのがちょっとよくわからなかったので、もう少し詳しく説明してください。
○柴田福祉人材確保対策室長 おっしゃっている報道が、ベトナムから1万人を目標に介護人材を受け入れることに合意をしたという報道のことをお話しになられたと思っているのですけれども、そちらについては、政府としてそういった事実はないという旨を答弁した事実もございますので、担当は、別のところにありますが、そういった事実はないという認識でいただければと思います。
○伊藤委員 済みません。ありがとうございました。
20万人というのが勤続10年以上の介護福祉士の数だということだったので、その根拠をまたお示しいただきたいと思います。
それから、7期での人材の必要数が減った理由のところに、6期のほうでは5万人追加で必要になるといった記述があったかとは思うのですけれども、それが入っていないかというのと、人材不足によってサービス供給が減っているということが7期の前提になっていないかという心配をしております。6期での供給実績が減ったということで過小評価されていないかということです。その辺もさらに御説明いただければとは思います。
あとは意見を少し申し上げさせていただきたいと思います。
6ページと18ページに有効求人倍率の図を出していただいていますが、介護と全産業平均の差が非常に開いてきているというのは、私がずっと言ってきていることです。改めて全産業平均に対して介護の雇用情勢が厳しくなっているということで、新しい経済政策パッケージの閣議決定が今から1年近く前になっている。その後の月次の有効求人倍率を見ても、やはり拡大しているのです。しかも、実施するのはまた来年だということで、大分、やる、やると言いながら実施までに時間がかかるということで、その足元の状況をきちんと踏まえて処遇改善を考えていく必要があると思います。
この間、報酬で加算という形でやってきていることについては、今も議論がありましたけれども、かつて、確かに税でやっていて、連合としてもそれを望んでいると発言してまいりました。しかし、その後、保険料で行うという提案があって、当初は反対しましたけれども、やはりそうせざるを得ないという中で、連合の組合員は介護労働者より被保険者のほうが圧倒的に多いのですが、全体で議論した結果、保険料による加算でいこうということになったということは御報告させていただきたいと思います。
きょう資料としてすごくありがたかったのが、20ページに産業別の賃金水準が示されています。本当に残念ですけれども、これが実情ということで、ここからぜひこの場の議論を出発してもらいたいと思っています。もちろん、離職防止のために職場の雇用管理が重要だというのも全くそのとおりだと思っていますし、健康と安全が前提だというのも全く同感です。しかし、新しい人に来てもらうということも含めて、この賃金の状況を見て、来てもらえるのかということを冷静に受けとめて、一層の処遇改善が必要だと考えるべきだと思います。年収としては未だに170万円ぐらいの格差があると考えておりますので、ぜひそういう現実を直視して議論していきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
今、介護人材の確保のための更なる処遇改善について、ここの基本的な方針につきましては特に異存はございません。ただし、そうした特別な事情に対する施策であれば、やはりその財源については、消費税などの通常の介護報酬とは別途の財源のみにより対応されるということが基本であると我々は考えております。公費1000億円投入ということですので、これを報酬改定により対応するということは保険料を使うということを前提にしておりますので、そこの部分で、この分科会で議論する前から実質的にそれありきみたいな感じになっているということに、我々としては非常に違和感を覚えております。ということをまず御意見として申し述べさせていただきます。
その上で、重点化、柔軟な運用というところについてコメントさせていただきますけれども、介護福祉士など経験・技能のある職員に関しましては重点化ということで、この方たちを伸ばしていく、そしてやめていただかないように給料を上げるということについては問題ないとは思うのですけれども、それは必要だと思いますが、介護福祉士だけではなく、介護の現場で働いていらっしゃる皆様がやはり働きがいを持って働けるような職場にするということが非常に大切だと思いますので、今回の資料の10ページ、16ページにやめた理由というのが書いてありますが、このやめた理由は、先ほど来各委員から出ていますけれども、給料だけのことではないわけですね。その以前のところの部分、東委員からも御指摘ありましたようなところの理由をやはり対策として今後しっかりと各現場でやっていただくことが非常に大切だと思いますので、ここの部分に対して、厚生労働省のほうとしても、例えば16ページの4番目に「収入が少なかった」というのがありますけれども、その前の1番目、2番目、3番目について、今後、対策とかいうこともきっちりと考えていただく。どのようにしたら、それぞれの施設の方たちにこういうことも実践していただけるのかということをきちんと考えていただいてやっていただければと思います。
以上です。
○田中分科会長 御要望ですね。
田部井委員、どうぞ。
○田部井委員 認知症の人と家族の会ですけれども、今回の措置の内容が利用者にとっては負担がふえるということがわかりました。それで、その上で私どもの考えというのを申し述べさせていただきたいと思いますけれども、私どもは、1割負担が2割負担になった、あるいは、今回、8月から3割負担が実施されました。そのことに関しては、やはり過酷な制度だと。境界線にいる方からそういう声も既に寄せられています。まさか2割負担になるとか3割負担になるとか、それほどの負担増にはならないと思いますし、今実際に介護の現場で働いてくださっている方たちを本当に大切に思うと。そのためにはどうしても必要な負担だということで、利用者の私ども団体としても、コンセンサスが得られるだろうと思っております。そういう意味で、今回の措置は歓迎したいと思います。そう思っていることをお伝えしておきたいと思います。
まさか、会に戻ったら、「なんだ、負担増に賛成してきて」と言われて糾弾されて委員を更迭されるとか、そのような事態が起こらないであろうと我が会を信じておりますけれども。
○田中分科会長 力強いお言葉、ありがとうございます。
瀬戸委員、武久委員、どうぞ。
○瀬戸委員 新政策パッケージの他の介護職員などの処遇改善にということですので、ほかの委員の方もおっしゃられていましたが、相談員ですとか、看護、ケアマネ、あと事務とか調理員など、そういうところに充てるということを進めていくというのはぜひ必要だと思います。ただし、現行の処遇改善加算で上がってきた、26ページの資料によると、5.7万円、今まで上げてきたということがありますので、それを確保することが大前提ですし、あるいは、それを超えた上で、残った財源で、他の介護職員などという形での振り分けをするような仕組みをつくらないと、せっかく今まで積み上げてきた介護職員の処遇改善手当がないがしろにならないようにしていただきたいなと思っています。
あと、これはここで言っても仕方ないと思いますが、勤続10年、月額8万円がひとり歩きしていまして、10年以上の職員は8万円もらえるみたいな、そういうイメージがかなりついてきています。実際にうちの職員にも「上がるんですね」と言われたことがありましたので、これがひとり歩きして事実誤認がないような形での説明も今後必要かなと思います。
○田中分科会長 ありがとうございます。世の中への説明は前もってちゃんとしておかないと、一挙に信頼を失いますからね。
武久委員、どうぞ。
○武久委員 34ページを見ていただいたらと思いますけれども、一番下の欄が、介護療養型医療施設、加算の算定率が66.1%、右下ですね。よその事業に比べると30%ぐらい低い。また、加算(I)のところをずっと下まで見ていただくと、35.9%と、ほかのサービス事業に比べると極端なのですね。これは一体どうしてかということを皆さん方はお考えいただいていますでしょうかということですね。一斉に政策を行うときに、いろいろとでこぼこがあるというのはいいことではないと私は理解しておりまして、ここは上がってほしいのですけれども、どうして上がらないかと。毎回やっても低いのですね。これは、はっきり言いますと病院の中にございますので、4月からは介護・医療にこれから変わっていきますけれども、介護医療院というのがここに、1年後、2年後に出ていましても、多分低い値になるでしょうと。
これは病院内にいて、ここは介護保険の会です。老健局ですけれども、患者さんは介護に行ったり医療に行ったりしながら年をとっていくわけですけれども、病院の場合は医療保険で行っている入院というのがございますし、医療サービスもございます。そこに従事している介護福祉士等の職員については、この処遇改善加算は該当しないということでございます。
医療・介護を促進する感もありますけれども、介護施設に従事している介護職員だけにこれを出し続けるというのは、これは老健局の予算であるから仕方ないとは思いますが、一方で診療報酬もどんどん厳しくなってきておりまして、病院の数も減ってきているという現状もございます。ここで言ってもあれですけれども、新しい大島局長さんも来られたので、視野をもう少し広く見ていただいて、全体を俯瞰して改善していただいたらいいと思うのですけれども、現実は、7対1の最高の高度急性期病院におきましても、高齢者がどんどんふえています。入院患者。特に診療科によっては高齢者が8割以上の患者さんがいる大学病院もございます。そこで看護基準という基準がございまして、看護師さんが患者さんに対して何人いるかによって診療報酬が決まっております。
最近、看護師さんの教育が非常に高度になってまいりまして、非常にレベルの高い看護師さんが現場に出てきていただいておりまして、我々としては非常に助かっておりますけれども、介護は看護の中に包含されているというのが看護師さんのお考えと思いますけれども、私もそう思います。常に介護がちゃんとできているかというのは、看護の目で見て評価していくというのは必要ですけれども、高等教育を受けた看護師さんがいわゆる介護の仕事全部を引き受けてやるというのは少し効率が悪いのではないか。医療の中にも介護福祉士等の介護職員を、介護の部分について、これは高齢者が非常に多くなっているからいっているわけで、高齢者ゆえに必要な介護業務というのは非常にたくさんある。それを現実には看護師さんが全部行っているということ。そこを効率化していくということも重要ですし、介護職員を看護助手と呼ぶのが正しいのかどうかは別として、介護は介護として、看護師の管理のもとに適切な介護を行ってもらうほうが高度急性期病院でも回復が早いのではないかと思います。
このところで介護職員がいる病院もたくさんあります。高度急性期病院以外は。その人たちにこの介護給付費と同じだけの給与アップをするのは、診療報酬の中から病院の経営者が考えてするのですけれども、同じ病院なりに勤めている場合に差をつけるということがなかなか、現実問題として、経営者としてできません。したがって、どうしても、介護給付金を全部もらってやったら医療のほうも上げないといけない。上げてしまうと病院は非常に厳しくなるというようなこともございまして、これは同じ患者さんが、急性期のときは病院に行って、それから介護へ行って、また悪くなって病院に行ってという同じ道を通っていくということから考えますと、医療と介護で介護職員の待遇に差をつけてきたという今の処遇改善加算について、もう少し大きい目で見ていただいて、厚労省内部でお考えいただかないと。
皆さん御存じかと思いますけれども、去年1年間で、医療・介護関係の国家資格者、都道府県資格者が31万人新しくできていると。毎年30万ぐらいできている。この人たちが2025年になりますと、生まれる数が80万前後、切るかなというところです。女性が主として40万として、果たしてこの方が20歳になったときに、40万人のうち30万人なり25万人がこの医療・介護職に行っていただけるかというと、めちゃくちゃ厳しいのではないか。そのとき私はおりませんので、皆さんよく考えていただいて、そういうことを考えると、これはちょっとやばいのではないか。インドネシア、ベトナムだけで解決する問題でないと思いますし、そういう意味で、この介護保険関係だけにこの処遇改善加算をずっと充ててきたわけですけれども、医療分野における介護職員についても今後お考えいただけると大変にありがたいということで、御意見として述べさせていただきました。ありがとうございます。
○田中分科会長 分科会とは違って、長期の視点を持った研究とか検討も欠かしてはならないということを言っていただきました。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
ここまでの御意見に対して何か回答なりコメントはございますか。特にないですか。
○眞鍋老人保健課長 ありがとうございます。老人保健課長でございます。
たくさんコメントいただきまして、まずは御礼申し上げますということと、私ども、次かその次ぐらいに、具体的にこのような運用でいかがでしょうかという案をお示ししたいと思っておりますが、それに対しまして非常に役立つ御意見をたくさんいただきましたので、例えばその使い道の範囲ですとか、あるいは設定する際の例えばマネジメントに関する工夫ですとか、そういう幾つかのテーマ、これから事務的に詰めさせていただく内容をいただいたと思っております。そういうことを詰めさせていただいて、今後また御議論を進めさせていただきたいと思っております。
○田中分科会長 ほかによろしゅうございますか。
議題2については、きょうは第1ラウンドでしたが、今後も検討を進めてまいります。きょうのように、建設的・積極的発言をお願いいたします。
本日の審議はここまでとしてよろしゅうございますか。
どうぞ、田部井委員。
○田部井委員 認知症の人と家族の会ですけれども、その他のところということで。
今もう9月ですけれども、10月から、訪問介護の生活援助、一定の回数を超えたケアプランについては届け出制が実施されるということになっております。この分科会において届け出制を行うということは承認された。私どもは反対してきましたけれども、一律制限するものではなく、必要に応じて認めるとされてはおりましたけれども、実質的に利用制限につながると、そういうことが危惧されるということを理由に、私どもとしては反対してきました。
来月も実施するということですけれども、既にこの春以降、ケアマネージャーさんから、1日2回利用していた回数というのを試しに1日1回だけにしましょうと提案されたとか、あるいは10月から1日に1回しか利用できませんと言われたという声が聞こえてきております。市区町村や地域包括支援センターから、地域ケア会議に回数オーバーしたプランを地域ケア会議にかけても、恐らく1日複数回の利用は認められないだろうと言われたという話も聞こえてきております。
1日複数回の利用を必要としている人に1日1回までしか使えなくなったと通知する保険者や地域包括センターもあるようですし、そのように説明する居宅介護支援事業者も、あるいはケアマネージャーも出てきているようです。これは私どもが制度を決めるときに懸念していたよりももっと深刻な事態が起こりつつあると言わざるを得ないのではないかと私どもとしては考えております。
聞くところによりますと、この届け出制についての市区町村に向けたガイドラインというのを今検討されているというお話を伺っておりますけれども、それを待たずに。私どもは、これはやはりやめたほうがいい制度だと今も思っております。できればそうしてほしいですけれども、もう10月すぐそこですので、せめて一律利用制限をするのは、それは誤った解釈で、そういうことをしてはならないよということをきちんと通知をするなり、あるいは事務連絡といいますか、そのような形で、保険者の方であるとか、あるいは事業所の皆さんにきちんと理解してもらうための措置を必ず講じていただきたいと思うのですけれども、ぜひそれについてのお考えを伺いたいと思います。
○田中分科会長 振興課長、お願いします。
○尾崎振興課長 振興課長でございます。
御指摘ありがとうございました。今、田部井先生からお話ございましたとおり、この10月から、生活援助を1月に一定回数以上プランに盛り込む場合には届け出をいただくというルールになってございます。こちらにつきましては、この分科会でも議論させていただきましたが、生活援助の利用を制限するということでは全くなくて、それぞれのサービスについて、より自立支援・重度化防止に資するようにしていこうということで取り組んでいるものでございます。
そういった観点から言いますと、今いただいたような、一律、1日複数回はいけないだとか、そのようなお話が出ているということについては、大変残念に思ってございます。御指摘にありましたとおり、市町村向けのマニュアルは今作成している段階でございますが、それはできるだけ早く出すとともに、もう一度きちんと今回の制度改正の趣旨を現場に伝えるのが大事だと思いますので、何をすることが大切なのかということをしっかりと受けとめさせていただいて、対応を考えさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 小原委員、どうぞ。
○小原委員 今の田部井委員の意見についてですけれども、本当におっしゃるとおりだと思いますけれども、こちらにつきまして、先日も、日本介護支援専門員協会、全国から介護支援事業者の管理者、都道府県の推薦を受けた者を集めまして、利用者さんの不利益にならないようにしっかりとやっていくということで伝達研修を行わせてもらっております。また、市町村とも、地区の協会のほうが窓口になりながら、しっかりとその届け出後の確認とかそういったことのルール整備ということで周知とか動いておりますので、まずは利用者さんの利益ということをしっかりと図っていくように努めていきたいなと思っておりますので、意見として述べさせていただきます。
○田中分科会長 ありがとうございました。よろしいですか。
○伊藤委員 この前の報酬改定で実施することになった、介護職員処遇改善加算(IV)(V)を将来的には廃止するということに関して、32ページに取得促進支援事業の趣旨や内容が出ています。これについては報酬改定の議論のときに何度か申し上げたのですけれども、どれだけの事業所にこの助言・指導等が行われているか、平成29年度はもう終わっていますので、まずは平成29年度について報告していただきたい。また、平成30年度についても、今は年度途中ですけれども、わかる範囲で報告していただきたいと思います。お願いします。
○田中分科会長 御要望ですね。事務局、検討してください。
ほかにないようでしたら、本日の議論はここまでといたします。活発な御議論、ありがとうございました。
次回の予定について、事務局から説明をお願いします。
○川口企画官 本日はありがとうございました。
次回の日程でございますが、これは事務局のほうから、また追って事務的に御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれで閉会いたします。お忙しいところ、ありがとうございました。
 

 

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