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2018年7月4日 第160回社会保障審議会介護給付費分科会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成30年7月4日(水)9:30~11:00

 

○場所

ベルサール半蔵門 ホール(2階)
東京都千代田区麹町1-6-4

○出席者

安部、安藤、井口、石田、石本、伊藤、稲葉、尾崎(戸田参考人)、小原、亀井、齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐藤、鈴木(江澤参考人)、瀬戸、武久、田中、田部井、東、堀田、河本(敬称略)

○議題

1.平成30年度介護従事者処遇状況等調査の実施について
2.介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について
3.その他

○議事

○鈴木老人保健課長 それでは、定刻となりましたので、第160回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
会議の開催に当たり、委員の変更がありましたので、御紹介いたします。全国知事会社会保障常任委員会委員長で高知県知事の尾崎正直委員です。本日は、御欠席の御連絡をいただいておりまして、尾崎委員に代わりまして、戸田参考人に御出席いただいております。
次に、健康保険組合連合会常務理事の河本滋史委員です。
本日の委員の出席状況ですが、井上委員、大西委員、河村委員、松田委員より御欠席の連絡をいただいております。また、東委員、齋藤委員、佐藤委員からは、遅れるとの連絡を受けております。
また、本日は、鈴木邦彦委員に代わり、江澤和彦参考人に御出席をいただいております。
以上により、本日は、21名の委員に御出席いただいておりますので、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告いたします。
それでは、冒頭のカメラ撮影についてはここまでとさせていただきます。御協力をよろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○鈴木老人保健課長 では、以降の進行は田中分科会長にお願いいたします。
○田中分科会長 皆さん、おはようございます。
本日は、平成30年度介護従事者処遇状況等調査の実施並びに介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について御議論いただきます。
事務局より、資料の確認をお願いします。
○鈴木老人保健課長 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
まず、議事次第と委員名簿がございます。
その後ろに資料1-1「平成30年度介護従事者処遇状況等調査の実施について(案)」、資料1-2で調査票の案がついております。続きまして、資料2「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」という資料があります。あとは参考資料といたしまして、参考資料1と参考資料2を添付させていただいております。
資料の不足等がございましたら、事務局にお申しつけいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 ありがとうございました。
早速ですが、議事次第に沿って進めてまいります。議題1「平成30年度介護従事者処遇状況等調査の実施について」の議論を行います。
事務局から、資料の説明をお願いします。
○鈴木老人保健課長 まず、資料1-1及び1-2をもとに御説明をさせていただきます。資料1-1をごらんいただければと思います。本年度、平成30年度介護従事者処遇状況等調査の実施について(案)でございます。
今回、30年度の調査の考え方についてお示ししておりますが、3ページをごらんいただければと思います。資料として、27年度以降の処遇状況等調査をつけておりますが、この調査は、27年、28年に行っておりまして、29年につきましては、新しく処遇改善加算ができたことを鑑み、追加の調査、臨時の調査をしております。
今回の30年度調査につきましては、改定後の調査ということになりますので、基本的には平成27年度の調査と同様の形をとりたいと考えているところでございます。したがいまして、対照表で書いておりますけれども、27年度を鑑みながら行うということで、調査事業所とか調査対象については27年度の調査と同様。調査の方法につきましても、基本的には27年度と同様の形をとりたいと思います。
質問につきましては、ここにありますとおり、処遇改善加算の届出状況の質問になりますが、基本的には27年、28年の調査を基本にしておりますので、加算の状況につきましては同様となります。加算(I)のキャリアパス要件(III)を満たす昇給の仕組みにつきましては、29年度に新しくできたということを鑑みまして、29年度調査で追加をしたところでございますが、今回は全体の質問数のバランスから削除させていただきたいと思っております。
そのかわり、その下にあります旧加算、加算(II)以下につきまして、加算(II)の届出を行わない理由につきまして、前回の29年調査では、深掘りした項目を削除しましたが、今回は復活をさせていただいて、困難と回答している事業所に対する具体的な事情に関する調査を深掘りさせていただければと思います。同じように、その下にあります処遇改善加算の届出を行わない理由につきましても、同様に詳細な項目を調査させていただきたいと思っております。
また、最後にありますが、特別事情届出書につきましては、既に3回行って傾向がわかってきておりますので、今回は全体的なバランスを見て削除させていただきたいというのが基本的な考えになっております。
戻っていただきまして、1ページになります。そもそもの今回の目的でございますが、本調査につきましては、介護従事者の処遇の状況、加算の影響を評価するとともに、報酬改定の基礎資料を得ることを目的として行うものでございまして、調査時期につきましては、前回の調査と同様、同じ時期に行うということで、平成30年10月に行うということ。公表の時期につきましては、平成31年3月を予定し、その後、介護給付費分科会に報告をするという予定にしております。調査の対象及び抽出方法・抽出率につきましては、先ほどと同じですが、29年と同様の調査対象、抽出方法・抽出率とさせていただければと思っております。
続きまして、2ページでございますが、調査項目、従事者票につきましては変わっておりませんが、調査項目につきましては、先ほど御説明させていただいたとおり、一部の質問を削除させていただいて、さらにプラスアルファとして深掘りするような質問を追加するということで行わせていただきたいと思っております。
具体的には調査票の資料1-2をごらんください。資料1-2の5ページ、6ページ、黄色で色を変えておりますが、ここが今回、変更するところでございまして、28年にはこの調査の項目を追加しましたので、ここについて特に深掘りをする観点から追加をさせていただきたいと思っております。
質問項目の記載内容、記載形式につきましては、28年の時の調査の文言と同様のものをそのまま追加する形で変更させていただいているところでございます。
簡単ではございますが、今回の実態調査の概要については、以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
ただいま事務局から説明のあった議題1について、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 それでは、処遇状況等調査について、意見を申し上げます。初めに処遇改善そのものに少し触れざるを得ないのですけれども、この調査は介護職員の処遇について特段に講じている政策の効果を確認するためには欠かすことのできない調査だと思っていますので、そういう意味ではきちんと調査をして、また、それを集計して示していただくということがこの場において非常に重要だと思っています。
算定状況そのものは、介護給付費実態調査の集計で示していただくことも可能な部分もあると思っていますので、むしろそちらのほうが悉皆の状況が把握できるということで、そちらもあわせて今後の検討に当たっては示していただきたいと思っています。処遇改善については、今回の新加算(I)は1.4万円弱改善されたということで一定の効果を上げていると理解しております。ただ、賃金構造基本統計調査を見てみますと、やはり全産業平均との乖離はまだまだあるように思っています。昨年の地域包括ケア強化法の附帯決議でも、職員の処遇が著しく低いという認識が示されておりまして、その上で昨年度から実施している処遇改善の効果の把握を行うとともに、必要な措置を講ずることが政府に対して要請されております。労働者は産業間、職種間、企業間を自由に移動できるわけですので、こういった相対的な賃金の状況をあわせて評価するということが重要だということも言わせていただきたいと思っています。
この調査票のことなのですけれども、加算(I)の届出事業所がキャリアパス要件(III)を満たしている根拠の把握をやめるという提案があります。これは加算(I)の新設を受けて調査を実施することとしたものということですけれども、一度の調査で状況がわかったとするのは、やはりまだ不十分だと思っております。ですので、継続的にキャリアパスに関する事業所における対応状況を把握していくということが、今後の処遇改善措置の検討には必要だということを言わせていただきたいと思います。
また、加算(II)の届出を行わない理由についての復活の提案はいいと思っているのですけれども、平成28年度調査は、この時点ではまだ新加算(I)がなかったので、旧加算(II)、(III)、(IV)を一まとめにして集計結果が示されております。ですが、加算(IV)、(V)については、別に厚生労働大臣が定める期間までの間に限り算定できるということになったところですので、集計に当たっては(IV)と(V)の事業所がなぜ加算(II)を届出できないのかということがわかるように集計を示していただきたいと思います。
最後に、特別事情届出書については、今までも未回答事業所が加算を算定しているうちの7%程度あったということは認識しています。調査をやめるということであれば、この提出状況と賃金の引き下げ方法については、改めての調査ではなく、実際に提出された特別事情届出書に当たって集計をしていただいて、この場に示していただくというようにお願いしたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 3点御要望がありましたが、お答えになりますか。
○鈴木老人保健課長 1点目につきましては、御要望として承りたいと思います。2点目の、特に(IV)、(V)が上の区分に上がれない理由につきましては、今回の調査票では、調査票の問2(3)で、当該事業所において何を算定しているかというところが出ておりますので、それとクロス表をかければ大体その辺について、特に(IV)、(V)を算定しているところはどういう理由でできないのかということはわかると思います。そういったクロス表を踏まえながらきちんとした対応がとれるような形で公表させていただきたいと思っております。
また、今回の特別事情届出書につきましては、全体的にこれまでの傾向といたしまして、非常に数が少ないということがございますが、委員の御指摘のとおり、別途違うような方法でもとれますので、そういったところも工夫しながら、今後、考えていきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 武久委員、お願いします。
○武久委員 毎年の調査を御苦労さまでございますけれども、いつも今までは介護療養型医療施設は、処遇改善に余り全面的に高いということがない結果がずっと出ておるのは御承知のとおりでございます。これは介護職員の処遇と言いながら、介護保険担当の部署と医療保険の担当がありまして、病院は介護職員がいましても、処遇改善交付金の対象になっていないということもありまして、介護療養が院内にあることによって、ほかの病棟の介護職員に対してのバランスをとらないといけないということで、病院内では加算のいろいろなステップがあるのですが、なかなかトップからすると、病院の職員のほうは、お金は政府のほうから出していただけないということでございますので、自助努力になりまして、残念ながら介護療養型がその影響を受けて、十分処遇改善が行われていないという現状がございます。
これも先ほどというか、大分前に安倍首相もおっしゃっていましたけれども、8年以上勤務している介護福祉士には8万円ぐらい給料を上げるような措置をとるとか、数年後にとるとかいう話もありますし、これはいずれも介護保険施設でありまして、病院の中にも非常に多くの高齢者がいまして、介護が必要な病棟が、急性期病院の中でも介護が必要な方が非常に多くなっているにもかかわらず、介護にだけ優遇をするのだということは、この間から医療・介護連携の推進の課もできておりますけれども、さらにまた今回の同時改定で、介護に対して、医療のサポートに対しての評価もつけていただいておりまして、非常に密接になろうかというところでございますが、残念ながら制度的には全く違う筋で行っている。
そのために病院の介護療養型とか、今度は介護医療院に変わりますけれども、併設の老健、特養等もありまして、病院の職員も同じように上げるためには、なかなか病院経営者は苦労しているというのが現状でございます。ここをトータルで見て、日本の介護職員はだんだん少なくなってきておりまして、病院のほうでも介護職員は必需。どうしても必ず必要なスタッフでございますので、このあたりの処遇の差をもう少しお考えいただけたら非常にありがたいかなと思います。
多分、今回の調査をいたしましても、介護療養のところは改善の処遇に対しての対応が十分ではないのではないかというような結果が出ることを私としては恐れているということでございまして、その背景には、今、申し上げましたようなことがあるということで、同じ介護職員でありながら、勤務する場所によって大きく収入が変わるというようなシステムは考え直していただけるとありがたいと思います。これについて、何かコメントをいただければありがたいと思います。
○田中分科会長 調査そのものというよりも、調査よりも介護処遇改善加算のあり方の話でしたが、何かコメントはございますか。
○鈴木老人保健課長 御指摘ありがとうございます。介護保険の関係で言いますと、今回、処遇改善加算ということで、これまでは介護職員に特に加算部分を充てるというようなことでございましたが、先ほど委員からも御指摘がありました新しい経済政策パッケージの中では、他の職種にも配れるように、配分できるようにという形で制度設計をするということが出されましたので、それにつきましては、今後この介護給付費分科会の中で議論していただきたいと考えているところでございます。
また、医療との関係、特に医療保険のほうにおける介護職員、看護補助者の方々への補填ということでございますが、これにつきましては、我々は医療を行っているところの診療報酬をやっています医療課とも連携をとりながら、御意見があったことについてはお伝えさせていただければと思っているところでございます。
○田中分科会長 今後、議論を進めることになります。
江澤参考人、お願いいたします。
○江澤参考人 本調査は当然継続すべきだと思っておりますが、この施策はもともと介護従事者の将来的な人材不足に対する対応策ということで、継続して行っているわけなので、そろそろ本施策のアウトカム評価もするべき時期ではないかと思っております。ですから、例えば処遇改善加算(I)や(II)を取得している事業所における職員の離職率が下がっているとか、定着率が高まっているかどうか。その実態がまだよく見えていませんので、今後の検討課題ではないかと思っております。
昨今、特に若者世代においてキャリアアップを望まなかったり、将来管理職につくことに抵抗感を持っている人たちがふえている可能性もございますので、賃金とキャリアアップだけでの人材定着は、そろそろ限界に達しているかとも少し思っているところでございまして、特に職場におけるやりがいであるとか、あるいは職員同士の人間関係とか、そのあたりは大きく仕事の継続に影響する因子でございますので、今後、そのあたりも含めて、これは事業所の自主的な取り組みに多分によるところでございますけれども、今後、そういったことも検討課題かなと思われております。
特に現場の職員におきましては、例えば自分が行ったケアによって利用者がよくなったり、あるいは利用者から感謝、ありがとうという言葉をかけられることがとても大きなモチベーションにつながりますし、そのあたりも含めて、もちろん賃金とかキャリアアップはとても重要なことですけれども、それに加えて、そういった利用者の関係でございましたり、職場の働く環境についても、今後、検討していくことが非常に重要ではないかと思っております。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
この調査ではなくもっときちんとした研究等を行っていくべきだとの御指摘ですね。
○江澤参考人 そうですね。もちろんこれは非常に意義があることだと認識はしておりますけれども、これが果たして介護職員の人材の不足に対して効果が出ているのかどうか、把握が必要かなと思っております。
○田中分科会長 事務局の答えはなくてよろしいですか。事務局の答えを求めているわけではないですか。事務局に何か回答を求めますか。
○江澤参考人 特になければ結構です。将来的にまた御検討いただければと思います。
○田中分科会長 将来に対する御意見でした。ありがとうございます。
瀬戸委員、どうぞ。
○瀬戸委員 ありがとうございます。調査の内容については特に問題ないと思っていますので、進めていただければと思いますが、先ほど話題になっていました新経済政策パッケージの中の処遇改善の対象拡大等については、しっかりと今後ここで議論できればと思っております。
あと一つ、今回も書類、事務負担のことが出てきましたけれども、処遇改善ばかりではないのですが、事務負担の軽減も必要だと感じております。我々が聞いている実態では、市町村ごとに別の様式が求められて、事業所を複数の市町村でやっている法人などは、対応が非常に大変だということもありまして、効率的ではないということがありますので、申請方法に裁量が余り生じないような形で、一元管理の方法も検討していただくようなことがあればと思っておりますので、今後、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 御要望ですね。ありがとうございます。
河本委員、お願いします。
○河本委員 先ほどの江澤参考人の御意見にも若干関連しますが、昨年、この分科会でお示しいただいたデータの中でも、介護福祉士の方が離職される理由として、業務に関する心身のいろいろな不調、あるいは施設の理念や運営のあり方に対する不満などが上位に挙がっていると伺っておりまして、その意味では、今回の介護職員処遇改善加算が、いわゆる給与だけではなく、給与以外の処遇改善や職場定着にどのぐらい貢献しているのかについてある程度示唆が得られるような調査ができないのかなと考えております。
設問の問題なのか、あるいはまとめ方の問題なのか、もちろん設問の中でも、いわゆる給与以外の処遇改善をどういう形でやられているのかという設問はあるのですが、処遇改善加算によって給与以外の処遇改善がどのぐらい進んだのかが示唆できるような設問の設定や分析の仕方について何か御検討の余地はないのかを伺いたいと思います。
○田中分科会長 この調査の変更ですか。それとも、別途老健事業等で研究せよとのご意見ですか。
○河本委員 この調査の変更なのか、あるいは別途ということなのか、どちらが適切なのかは、正直、私自身も分かりません。ただ、この調査自体も、今、申し上げたとおり、いわゆる給与以外の処遇改善を問うておられるので、この調査のまとめ方の工夫で対応が可能なのかどうかをまずはお伺いしたいです。
○田中分科会長 事務局、お答えください。
○鈴木老人保健課長 御質問ありがとうございます。処遇改善加算につきまして、参考資料1にありますが、処遇改善加算の見直しというところで、要件につきまして、いわゆるキャリアパス要件といわれる本人のキャリアパスに関係する要件が全部で3つあるのと、プラスアルファとして、職場環境等要件というものがあります。この職場環境等要件が、先ほどおっしゃっていただいたような処遇以外のところ、賃金以外のところに絡むような環境整備がされているかどうか。一応これは、この加算を取るために何らかの要件を満たしていただくということが必須になっております。それと調査をしているのが、調査票の資料1-2の7ページ、8ページで、これで全体的に挙がっているところで、これはやはり処遇改善加算の中での要件になっていますので、この要件をそれぞれ満たしているか、満たしていないのかというところまで今回の調査の中で聞けると思っておりまして、これをどう深掘りしクロスをかけて、詳細な分析をするかということになると思います。
あとはここに挙がっていないものということになりますと、これは今回の調査ではなくて、別途老人保健事業等を設置してやらなければいけないということになりますので、その辺は少し慎重に考えたいと思っております。
○田中分科会長 処遇改善加算があっても経営者の理念が変わったりしませんから、それは別途調査が必要でしょうね。これはあくまでお金にかかわることですからね。
石本委員、お願いします。
○石本委員 ありがとうございます。まず、調査の項目等についてはこれでよろしいかと思いますが、さきに行われました審議会の中でも申し上げましたとおり、いわゆる未取得の事業所がどうすれば取得できるのかということを、このデータ等を通じてしっかりと実態を把握していただき、今般、都道府県に取得を支援するための予算もついておりますので、それが効果的に行われているのかも国のほうでしっかりと都道府県から情報を集めていただければと思います。その上で効果的な取得につながるようにしていただきたいと思います。
先ほど来お話が出ておりますが、例えば介護福祉士というところで言えば、介護保険業界のみならず、他の医療や障害の領域、その他の現場にもいますので、本来は総じて平たく基本的な評価が上がるのが我々としても本意ではございますが、個々のスキルのばらつき等もまだまだ課題がございます。そういったものについては私どもは職能団体としてしっかり取り組みながら、質の向上は他団体の御協力もいただきながら取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
さらには、いわゆる10年8万円という大型の処遇改善についても、今後、議論がされていくということで、お話がございましたが、ぜひとも働いている当事者、現場の声を一つでも多くヒアリング等を通じて集めていただき、いわゆる現場としての効果性を実感できるようなものにつなげていただけるように改めてお願いを申し上げたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 この調査ではなく、それ以外に国としてはさまざまなデータの把握に努めよとの御指摘ですね。ありがとうございました。
東委員、お願いします。
○東委員 この介護従事者処遇状況等調査は経年的に実施されているものですので、私も今回示された案で結構だと思います。また来年の消費税率の引き上げに伴う財源をもとに、勤続10年以上の介護福祉士の処遇改善を行う『新しい経済政策パッケージ』について、大変私も期待しておりますが、それに関連して1つ質問がございます。来年消費税率が上がるかどうかもわからない状況ではありますが、この介護福祉士等の処遇改善の議論をしていくときに、経年的なこの介護従事者処遇状況等調査の結果をもとに議論をしていくのか、それとも閣議決定された『新しい経済政策パッケージ』における介護人材の確保または処遇改善ということで、先ほど江澤参考人がおっしゃったような介護職員処遇改善加算のアウトカム評価や、例えば介護福祉士養成校の定員充足の状況がこの処遇改善でどう変わったのかとか、介護福祉士になる方がどれだけ増えたのかとか、そのようなものを含めた、来年に向けて別の調査を実施した上で議論するのか。その点はどのようにお考えでしょうか。
○田中分科会長 事務局、お願いします。
○鈴木老人保健課長 来年度のいわゆる消費税増税分に伴う処遇改善加算の在り方ということになると思いますが、それにつきましては、これまでどおり実態をきちんと把握しながら、特に処遇改善ですので、賃金がどうなったかということをきちんと把握しながら行うべきだと思っております。そのときの資料となりますと、一番直近ですと、平成29年の処遇改善加算が行われたすぐ後のデータがございます。ですので、そういったデータを基本としながら議論をしていただくものと考えておるところでございます。
○田中分科会長 田部井委員、どうぞ。
○田部井委員 認知症の人と家族の会で、利用者の立場なのですけれども、利用者の立場から言うことではないのかもしれないのですが、働いている方もたくさん知っていますので、そういう観点から、ちょっと違和感を覚えた部分がありまして、意見として述べさせていただきたいのですが、もともと介護の業界で働く人の給料が低いから、それが一番大きな要因になって人が集まらないということが決定的な理由だと思うのです。そのために大幅なあれはできないけれども、せめて加算という形で上げて、働く人を少しでも得ていこうというのがこの場の議論ではないかと思うのです。
その効果を論ずるときに、職場を異動する、やめる理由の中に、給料だけではない職場の環境であるとか仲間内のコミュニケーションであるとか、いろいろなことがあるのは当然だと思うのです。どんな職種でも、そういう調査をすれば必ずこういう問題は出てくるわけです。セクハラ、パワハラの問題はいっぱいあるわけで、ですから、まるで介護の業界だけがそういう立ちおくれたような業界であるので、そこが原因になって働く人が集まらないというような形での流れがあるような気がするので、私はやはり純粋に、いかにしたら少しでも上げて働く人がふえるかという論点で考えていくべきではないかというように、ちょっと誤解もあるかもしれませんけれども、そう感じましたので、ぜひその観点で議論を進めていただければありがたいと思いましたので、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 御意見ですね。ありがとうございます。
石田委員、どうぞ。
○石田委員 ちょっとお尋ねしたいところがあって、処遇改善に関しましては、賃金というところでずっと調査が続けられているということなのですけれども、もう一つ、離職の理由の一つとして、労働時間の点について、こちらの調査といいますか、労働時間をうまく運用してマネジメントしているような施設の実績であるとか、そういった側での調査と待遇改善とのすり合わせというようなことは、実際に行われているのかどうなのか。今後、そういったことが予定されているのか、どうなのか。給与もさることながら、労働時間に関するマネジメント等は処遇改善の大きな要素と考えますので、ちょっとお尋ねしたくて質問させていただきました。
○田中分科会長 事務局、お願いします。
○鈴木老人保健課長 御質問ありがとうございます。労働時間の関係と給与の関係でございますが、今回の調査票の17ページが実は各個人の調査票になっています。この中では、一応実労働時間については記入していただくことになっております。ただ、分析につきましては、正規職員、いわゆる常勤の職員なのか、それとも、非常勤職員なのかというところで賃金を公表させていただいているところでございます。集計しようと思えばクロス集計でできないことはないということが今の調査票のたてつけになっておりますが、労働時間と関係と給与の関係がどうなっているのかということにつきましては、どういう集計方法があるのか、今後、少し検討させていただければと思います。
○石田委員 ぜひとも労務時間のタイムマネジメントみたいなところの方法につきましても調査の点に加えていただければと希望しております。
○田中分科会長 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 先ほど加算(II)の届出を行わない理由について、加算(IV)と加算(V)の事業所についてきちんと把握できるようにとお願いしたわけなのですけれども、それにあわせて、より上位の加算を取得しやすいように、介護職員処遇改善加算の取得促進支援事業というものが行われているということで、余り十分な予算がついているという印象はないのですが、それもきちんと活用されているという状況についても、あわせて把握をしていただきたいと思っております。
それから、今、いろいろな話があって、加算による定着状況とか人材確保の状況から見て、政策効果があるのかということをきちんとした形でまた調査などをするということについて異論はないのですけれども、今後、経済財政運営と改革の基本方針2018で新たな就労目的の在留資格を新設するとか、昨年に導入された技能実習「介護」といった新しい要素が人材確保においては出てくる見通しがあるという面がありますが、この新たな政策の方向性のようなところが余り明らかになっていない。新たな就労目的の在留資格についても、当該分野について対象職種にするかということ自体が決まっているわけではないと承知していますけれども、いろいろマスコミなどではそのようにも書いてありますので、これまでの政策とは大きく違う、政策の方向性というこのようなものも出てくるとすれば、これまでの政策評価にとどまらない大きな検討が必要になっていくのではないかというように感じているところであります。
○田中分科会長 御指摘ありがとうございました。
一渡りよろしゅうございますか。基本的には、調査そのものは大きな変更はないですね。将来この調査を超えたさまざまな研究事業等を推進することの御指摘はたくさんありましたが、調査そのものについては基本的にこの方向で、もし一部修正があるとすれば、最後、事務局と私に御一任いただく形でよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○田中分科会長 それで進めさせていただきます。ありがとうございました。
次に、議題2「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」の議論を行います。事務局から資料の説明をお願いします。
○鈴木老人保健課長 それでは、資料の説明をさせていただきます。資料につきましては、資料2「介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について」になります。
1ページをあけていただきまして、そもそも論といたしまして、消費税の仕組みについて1ページ、2ページで書かせていただいております。簡単に御説明しますと、消費税とはということですが、消費税は、消費に広く公平に負担を求める間接税でありまして、これの対象につきましては、いわゆる資産の譲渡や貸付け、役務の提供、外国の貨物の輸入、そういったものに対してかけられるものになります。これまでの導入・引上げの経緯ですが、平成元年に消費税が導入されまして、その後、平成9年には3%から5%に、平成26年には5%から8%に、2019年には8%から10%に引き上げることが予定されているところになっております。
消費税そのものにつきましては、2番にありますが、多段階課税ということになっておりまして、製造、卸、小売といった各取引の段階ごとに各事業者の売り上げに課税するという一方で、課税の重複を避けるために、前段階で負担した税額を控除、いわゆる仕入税額控除をする。そういった仕組みが採用されております。ですので、実質的な負担は最終の消費者になるというような仕組みになっております。
2ページですけれども、非課税となる取引ですが、大きく2つになります。1つは課税対象になじまないものとして、土地の譲渡や貸付け、有価証券、もしくは支払い手段の譲渡等、そういったものがなじまないものとされていると同時に、マル2といたしまして、社会政策的な配慮から課税することが適当ではないものという例の中で、2ポツ目にありますが、介護保険法の規定に基づく居宅介護・施設介護・地域密着型介護サービス費の支給に係る居宅・施設・地域密着型サービス等につきましては適当ではないとされているところでございます。ただし、※にありますが、福祉用具貸与・購入、住宅改修は課税対象となっております。
このため、非課税取引であります介護サービスにつきましては、介護事業者は納税義務者とならないということになりますので、仕入れに係る仕入税額控除を行えないために、その税負担につきましては介護報酬で手当されているというのが現状でございます。
3ページ、4ページは基本的な仕組みといたしまして、中医協のほうで出された資料をそのままつけているところでございます。基本的には3ページにありますが、各納税義務者となります製造業者、小売業者、最終的には消費者が消費税を負担するということになりますが、中間にあります小売業者につきましては、仕入税額控除をされていた分を税務署へ申告・納付をするという形で多段階制度が行われているところでございます。
一方、4ページ、これは社会保険診療におけます非課税の取扱いですけれども、今回、ここにあります医療機関というところがまさに介護事業者になりますが、そういったところで介護事業者につきましては、納税はしないということになりますので、患者もしくは保険者等がそういった分について負担をすることになります。
続きまして、5ページになります。これまでの消費税の引上げに向けた対応ということで、直近になりますが、26年の消費税8%への引上げ時にはどういう対応を行ったのかということをまとめさせていただいております。消費税8%への引上げに対する議論につきましては、平成24年9月の消費税法等の一部改正の成立に伴いまして議論が行われておりまして、このときには介護サービスにおけます消費税課税の状況の把握、消費税引上げへの対応ということで、介護給付費分科会において議論されました。
26年1月にこの議論を踏まえて諮問・答申が行われたところでございまして、その主な内容につきましては、下に書いておりますが、介護サービス施設の事業所の仕入れ等に係る消費税負担が増大することから、介護報酬への上乗せを実施するということ。それから、介護サービス施設・事業所の設備投資に関する調査の結果等を踏まえまして、別建ての高額投資対応は行わないということ。基準費用額につきましては、食事・居住費の実態を調査した上で据え置く。負担限度額につきましては、入所者の所得状況等を勘案して決定することを踏まえて見直しは行わない。区分支給限度額につきましては、要介護度別の区分支給限度額と平均的な利用率を把握した結果、引き上げるという対応がなされたところでございます。
続きまして、27年度以降の対応でございますが、27年9月に介護給付費分科会におきまして、介護保険サービスに関する消費税の取扱い等について議論を再開しております。そのときに、事業所の実態把握を行う上で、いわゆる介護サービスの課税割合の把握、関係団体へのヒアリングの実施を行うことを確認し、関係団体のヒアリングまでが行われているところでございます。ただし、28年6月にいわゆる10%への引上げが見送りになったことを受けまして、この議論については中断をされたということになっています。今回は、29年10月の消費税10%の引き上げを見据えて、今回の引上げの対応について議論を再開する形でさせていただきたいと思っております。
6ページでございますが、これまでの介護給付費分科会で確認された検討の進め方になります。10%への対応につきまして、どこまで確認されたかについての御説明になりますが、27年4月23日の介護給付費分科会におきましては、29年度に予定される10%への引上げに向けた対応については、消費税8%引上げ時の考え方及びその後の事業所の実態を踏まえて必要な対応を検討し、28年12月までに方針を策定するということ。それから、その下にありますが、前回の引上げ時の対応方針の確認を行うとともに、医療保険におけます議論の動向も踏まえて適宜検討するということが確認されております。また、30年の審議報告におきましては、基準費用額について、介護事業経営実態調査で実態を把握した上で、消費税の引上げへの対応も含めてどのような対応を図ることが適当なのか検討すべきであるというような審議報告がまとまっているところでございます。
7ページは実際に8%への引上げの時にどういう対応がされたのかということを少し詳しく載せているものでございます。まず、1つ目といたしまして、消費税の引上げに伴う影響分の補填について、消費税の引上げにつきまして、こういった介護サービス施設・事業所の仕入れ等にかかる消費税負担が増大するということから、引上げに伴う影響分を補填するために介護報酬への上乗せで対応するということを実施しております。
2つ目のマルでございますが、検討に当たりましては、医療において、特に高額な投資を行っているという指摘を踏まえまして、別途実態を把握するために関係団体のヒアリングを行うとともに、介護サービス施設・事業所の設備投資に関する調査を実施しております。
この調査におきましてわかったことが3つ目のマルにありますが、介護サービス事業所におきましては、高額な投資は建物がおおむねを占めているということで、しかも、医療に比べて総額、件数ともに小さい傾向である。投資額の総額、収入に対する投資額比率ともに、年度による変動が大きい。こういったことが明らかになりまして、その結果、介護報酬とは別建ての高額投資対応は行わないことといたしております。
また、改定率につきましては、8%増額の時には平成25年の介護事業経営概況調査によって、各サービスの人件費割合、非課税品目等のデータを取得して算出しております。
8ページが先ほどの調査についての結果の概要になりますので、後でごらんいただければと思います。
9ページにつきましては、消費税率8%における対応として、ここにあります平成25年度介護事業経営概況調査をもとに、給与費等非課税費用の部分と委託費等課税費用、減価償却費、この3つに分類いたしまして、2番と3番を合計して、最終的に改定率を算出したというような結果が出ております。
続きまして、10ページになります。消費税8%への引上げ時の対応の中で、そのほか、上乗せのやり方、方法ということで、介護報酬による上乗せの方法について、こういう形でやっております。介護報酬全体として見た場合については、基本単位数のみならず、加算への影響も含めて適切に手当されることが必要であるという考え方から、基本単位数への上乗せを基本としつつ、消費税負担が相当程度見込まれる加算があれば、そちらにも上乗せを実施するというような形で対応をとっているところでございます。
その下の点線の囲みの中にあるのが具体的な対応でございますが、基本報酬への上乗せにつきましては、人件費、その他非課税品目を除いた課税割合を算出して、それに税率引上げ分を乗ずることによって基本単位の上乗せ率を算出しております。
加算の取り扱いについては、大きく3つありまして、1つはいわゆる基本単位数の割合で設定されている加算、例えば基本単位数の何%掛けというような形になっているようなもの。そういったものについては、基本単位数の上乗せが手当されているという事実があります。また、福祉用具の貸与に係る加算については、そもそもこれが交通費相当額と設定されているということなので、これについては、上乗せ対応は行わないという方針でいっております。
上記以外の加算につきまして、特に課税費用の割合が大きいと考えられるものについては、基本単位数の上乗せ率と同様に、各加算に課税費用の割合を算出して上乗せ対応をしております。
一方、課税費用の割合が小さいものとか、もとの単位数の設定が小さくて、上乗せ割合が1単位に満たないようなもの。こういったものにつきましては、基本単位数への上乗せの際に、これらの加算に係る消費税相当分も含めて基本単位数のほうに上乗せを対応するというような形で対応をしております。
続きまして、11ページになります。そのほか、基準費用額・負担限度額・区分支給限度基準額の取扱いになります。まず、基準費用額につきましては、平成25年度の介護事業経営概況調査によりまして、食費、居住費等の実態を調査した結果、こういった費用につきまして、現行の基準費用額を設定した際の費用額と、消費税引上げの影響を加味した費用額に一定の変動が認められるものの、第5期介護保険事業計画期間の途中において見直しをするほどの変動額ではないということから据え置くということで決定されております。
負担限度額につきましては、入所者の所得状況等を勘案して決めていることを踏まえて、見直しは行わないということで決定しております。
区分支給限度基準額におきましては、こういった要介護度別の支給限度額と平均的な利用率を把握した上で、従前と同量のサービスを利用するにもかかわらず、区分支給限度基準額を超える利用者が新たに生じることから引き上げるということにしております。
また、福祉用具販売、住宅改修に係る区分支給限度基準額につきましては、当該サービスは公定価格ではないということから、引上げは行わないということで対応しております。
12ページが当時の概況調査から算出しました食費、居住費についてのデータになっておりまして、平成16年、25年の概況、そのときの消費税改定の影響を鑑みて、基準費用額について勘案したところでございます。
13ページがいわゆる区分支給限度基準額の分布でございまして、一番右側にありますが、利用者に占める区分支給限度額を超えている者の割合が一定程度いらっしゃるということから、前回はここの分についても消費税相当分を上乗せしたという結果になっております。
14ページは、消費税10%への引上げに向けて、前回、28年から行っておりますが、その当時からの主な検討状況についての御説明になります。まず、介護サービスの課税割合につきましては、平成28年度の介護事業経営概況調査の結果を用いて算出することとしておりました。マル2の介護サービス施設・事業所における設備投資の状況についてでございますが、前回、消費税の引上げに向けた検討に当たりまして、関係団体のヒアリングとともに、調査を実施しましたが、この調査によりまして、基本的には高額な投資につきましては建物がおおむねを占めているということと、医療費と比べて総額、件数ともに小さいという傾向にあること、それから、投資の総額、収入に対する投資額比率ともに、年度による変動が大きいということ。こういったことが明らかになりましたので、直近の状況については介護事業経営調査委員会において関係団体のヒアリングを実施することにより把握することとしておりました。
マル3の食費・居住費の平均的な額につきましては、額の把握は、平成28年度介護事業経営概況調査において、食費は、調理員等に関する費用及び材料費等を、居住費については減価償却費や光熱水費等を把握することとしておりました。
そういった経緯を踏まえまして、今回の平成31年10月に予定されております消費税10%への引上げ時における対応に関する論点でございますが、まず、論点といたしまして、消費税8%への引上げ時におけます対応や、平成29年4月1日に予定されていた消費税10%への引上げに向けた介護給付費分科会でのこれまでの議論、医療保険におきます議論の動向等を踏まえて検討する必要があると思われますが、現時点についてどのような対応が考えられるのかというのがまずは1点目です。
特に、今後の検討に当たって、事業所の実態の把握が必要となります。このような中で、マル1からマル3までの事項の把握についてどのように考えるのかということで挙げさせていただいております。
まず、論点1は介護サービスの課税割合の関係でございますが、消費税10%引上げに伴いまして介護サービス施設・事業所の仕入れ等に係る消費税負担が増加しますけれども、これを適切に把握するという前提で、消費税8%時におけます各介護サービスの課税割合のデータ算出においてどのように考えるのか。具体的には、平成29年4月1日に予定されていた10%、前回の議論の結果を踏まえまして、介護サービスの課税割合については、当時は平成28年概況調査と言われておりましたが、直近が平成29年の実態調査になりますので、平成29年度介護事業経営実態調査の結果を用いて把握し、検討することとしてはどうかというのがまずは1点目でございます。
論点2が介護サービス施設・事業所におきます設備投資の状況の関係です。前回、8%に向けた検討につきましては、団体ヒアリングを行うとともに調査を行っております。ただ、この調査によりまして、高額な投資につきましては建物がおおむねを占めており、医療費と比べて総額、件数とも小さいとか、年度による変動が大きい等々が明らかになっていること。また、平成29年4月1日に予定されていましたこれまでの議論の結果とか、介護ロボット等の導入を財政的な支援の実施を含めて進めていること等を踏まえまして、この調査結果を基本としつつ、直近の状況については介護給付費分科会におきまして関係団体のヒアリングを実施することによって把握してはどうかということになります。
17ページが論点3になります。食費・居住費の平均的な費用につきましては、平均的な費用額を踏まえて定めることとされておりますが、消費税10%への引上げに伴います水準の検討に当たりまして、把握についてどのように考えるかということでございます。具体的には、これまでの議論を踏まえまして、食費・居住費の平均的な費用の把握については、平成29年度の介護事業経営実態調査、いわゆる直近の調査を用いまして、食費については調理員等に関する費用とか材料費、居住費については減価償却費や光熱水費等を把握した上で、消費税引上げに伴う基準費用額に係る対応について検討してはどうかということでございます。
18ページは今後の大まかなスケジュールでございます。本日、スケジュールの提示をさせていただいて、できましたら9月、11月から関係団体ヒアリング、論点の整理をして、12月に審議報告、最終的には2019年10月に消費税の引上げということ。議論の進め方といたしましては、当分科会におきまして議論を行いつつ、技術的な論点等につきましては、必要に応じて介護事業経営調査委員会において議論を行う。前回までは、どちらかといいますと、介護事業経営実態調査で議論するというようになっておりましたが、当時、委員の方々から議論がいろいろと御指摘をいただきましたので、基本的には介護給付費分科会で議論を行っていただいて、技術的なものは調査委員会ということで、立て付けをきちんと明確化するということで行ってはどうかという御提案でございます。
説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
今、説明がありましたように、2年前まで議論しておいて中断して、本日、復活したことになります。きょうは別に結論を出すわけではないので、皆様方からさまざまな御意見を伺います。スケジュールは最後のページに示されているとおりです。意見、御質問をお願いいたします。
佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 遅参してどうも申しわけございませんでした。御容赦いただきたいと思います。2点ほど質問させていただきたいと思います。先ほど来の御説明で、平成29年4月の予定が、消費税増税の見送りに伴ってこの議論が中断した。議論が再開されるに当たってというお話の中で、前回の議論の中でも幾つか14ページに議論の内容がお示しされているのですが、今回、議論を再開するに当たって、例えば前回の議論と時間軸で言いますと、介護ロボットが入ってきたとか、いろいろな社会的な要因とかいうようなものがあると思います。取り組みをしている団体に関するヒアリングを今後行うというようなことは了解いたしましたが、厚労省として、中断前後の中で、社会要因であるとか大きな議論に及ぼす変化のようなものについてお示しいただけるものであるかどうかという点が1点目でございます。
2点目でございますが、平成30年度の同時改定では、中医協と本分科会がいろいろ意見交換をした。4回にわたる意見交換があったと理解しておりますが、消費税の問題について、中医協と本分科会の間では、そういう意見の交換等を予定されているのかどうか。この2点について教えていただきたいと思います。
○田中分科会長 お答えください。
○鈴木老人保健課長 御質問ありがとうございます。1点目につきましては、基本的には消費税10%増税に伴う対応でございますので、これまでの議論を踏襲しつつ、変化があるものにつきましては適宜資料等を出させていただきながら議論していただきたいと思っているところでございます。
2点目の中医協との意見交換でございますが、今回の改定につきましては、中医協側、給付費分科会側、それぞれの相手方といろいろと意見を交わして同時改定に向けてということになっております。ただ、今回につきましては、そういったものではないと考えておりますので、基本的には意見交換は行わないという方針で考えております。
○田中分科会長 稲葉委員、どうぞ。
○稲葉委員 意見を2点申し上げたいと思います。まずは資料2の9ページにあります消費税率8%への引き上げ時における対応として、介護保険サービスにおける費用構造推計の結果について示されております。この中に、委託費等課税費用というデータがありますけれども、この費用には人材派遣に関する費用が含まれているものと思われます。介護業界への人材派遣の費用は年々上昇傾向にあります。こういった実態を把握していくためにも、費用構造推計の調査はぜひ今後も継続していただきたい。リアルに把握していただきたいと思います。
続きまして、16ページに、論点(案)のマル2として、介護サービス施設・事業所における設備投資の状況とありますが、介護サービス施設・事業所の設備投資に関する調査を踏まえて、関係団体のヒアリングを実施してはどうかと書いてあります。設備投資状況は年々変化をしておりますので、その実態をより正確に把握していくためにも、ぜひとも関係団体のヒアリングを実施していただきたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
安藤委員、お願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。資料にあります論点につきまして、特段異論はございません。今後の検討に当たりまして、2点コメントさせていただきたいと思います。
まず、1点目ですが、事務局への質問で、報酬改定による消費税対応の場合は、統計調査などから一定の割り切りのもとで改定率を算出することになると思いますが、その結果として、各サービスごとの補填率がどの程度かを確認することが技術的に可能なのかどうなのかにつきまして、教えていただきたいと思います。医療保険の分野では、診療報酬改定によりまして消費税対応を行ったことにより、病院であるとか診療所、薬局などの区分別にどの程度の補填率になるかを明らかにされておりまして、本来的にはそうした補填率も見ながら、どの報酬項目において改定を行うかを検討し、できる限り過不足のない形で補填していくべきであると考えるからでございます。
あとはもう一点、コメントでございますが、論点3にあります基準費用額を考える上での食費であるとか居住費なのですけれども、非常に小さい差ではあると思うのですが、今回の消費税10%への引き上げにおきましては、飲食料品などは軽減税率が適用されることになると思います。その消費税率は8%のままであると承知しておりますので、この辺も考慮に入れた形で検討をしていくということが当然であると考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○田中分科会長 質問にお答えください。
○鈴木老人保健課長 御質問ありがとうございます。補填率のお話でございますが、補填率につきましては、介護サービスは様々な形態がございますし、また、収入につきましても上乗せ、横出しといろいろなものがございますので、技術的に把握できるかどうかも含めて検討させていただきたいと思っております。
○安藤委員 ありがとうございます。
○田中分科会長 瀬戸委員、どうぞ。
○瀬戸委員 今の補填率に関してなのですが、かなり細分化していますし、厳密な数字で積み上げるのはかなり難しいかなと現場の実態としては思っております。
基準費用額についてですけれども、特に食費が厳しい状況もあります。今回使うことになっている29年度実態調査は既に出されていますので皆さん御存じだと思いますが、食費の基準費用額が4万1,952円で、食費の実態、合計としては4万3,644円と既に4万2,000円の基準費用額を上回っている状況が実態調査で出ています。しかも、これは既に消費税3%分を飲み込んだ部分です。今後、さらに調理員の人件費も上がっていますし、実態としては、委託事業者がこの金額ではできないと言って撤退するというような状況も聞いております。またこの実態調査を使いながら検討するのは構わないのですが、できれば食費に関しては、各施設種別ごとの費用を出していただいた上で精査していただいて、基準費用額の引き上げを検討するべきだなと思っております。
以上です。
○田中分科会長 御意見、御要望ですね。
東委員、どうぞ。
○東委員 ありがとうございます。意見とお願いを1つずつ申し上げたいと思います。まず、資料2の16ページ論点案の「介護サービス施設・事業所における設備投資の状況」についてです。介護サービス施設・事業所の高額な投資は医療と比べて小さいと今までも言われてきたところですが、私ども老人保健施設の場合、創設から20年から30年たっております。多くの施設がこれから建てかえの時期を迎えていると会員施設からも聞いております。その際には、かなり高額な費用がかかり、消費税の負担も大変大きいと考えられますので、ぜひ今後はそういうところも考慮していただきたいというのが1点目の意見でございます。
2点目は資料2の17ページ論点案の「食費・居住費の平均的な費用額」についてです。これは瀬戸委員もおっしゃった基準費用額のところでございます。瀬戸委員は食費のことをおっしゃいましたけれども、私は居住費についてお願いを申し上げたいと思います。17ページの2つ目の〇に、居住費については、減価償却費や光熱費等を把握するということになっております。本日提出された参考資料の5ページをご覧ください。これは平成26年に開催されました第100回介護給付費分科会で、消費税率が8%に上がる際に、今後の課題の資料として出されたものです。1つ目の○に「基準費用額の水準を検討するに当たっては、現行の基準費用額を設定する際の考え方が適切かという点も踏まえて検討することが必要」と明記されております。
居住費に関しては、今のところ減価償却費と光熱水費で判断されているわけでございますが、老健や特養の場合、建物に関しては毎年の保守や修繕、そこに必ず消費税がかかってきますし、維持費用にも消費税がかかってくるわけでございます。今までどおり減価償却費と光熱水費だけでこれを判断してもいいものかどうか。今回は消費税率が10%でございますが、今後、12%、15%に上がっていくときに、居住費に関しては今までの考え方でいいのかということを、8%に上がるときにも検討するとしっかりと明記されております。ですので、今回消費税率が10%に上がるときに、どうしてもということではありませんが、ぜひどこかの場でこの議論をしていただきたいとお願いしたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 今後の議論の課題について御指摘をいただきました。ありがとうございます。
武久委員、どうぞ。
○武久委員 当然のことですが、消費税は最終消費者が支払うものという大前提があるわけですけれども、医療と介護等に関しましては、課税対象としないということになりますと、最終消費者は支払わなくていいということは、担当の事業所が代払いをするというような形になっている現状であります。
こういうことは、事業所が代払いする場合には、損税とならないように最大限の努力を担当部局にしていただくということが必要です。というのは、損税となって食費とかが今、出ていますけれども、介護報酬により補填がなされていますが、ほんの少し事業所が代払いするようなことが継続的に続くと、これはボディーブローのように効いてくる。しかも介護報酬は介護保険が2000年に始まって以来、最近は実質的には下がっている可能性が非常に高い。介護保険の施設では、非常に運営が厳しくなって、特養などは優等生だったのがだんだん厳しくなってきているという現状も、これはもう明らかになっております。
ここの中に書いてあるのは、建築が大宗を占めると書いてありながら、その建築に対して何かするというようなことは一言も書いていない。このアンバランスが、文章を読むと非常にわかりにくいところがあるのです。大宗を占めるのに何もしない。こういう論理はどこから来ているのかということも考えられますけれども、10万円以上のいわゆる高額なものに対して、ベッド等もそうですが、結局事業所側が介護報酬で補填するといいながら、0.何%かは見なさいというのであれば、それはそれなりに運営ができるようにしていただかなければいけないと思います。
ここは介護保険の場ですけれども、問題は医療保険ですね。だから、ここでは余り、医療保険に準じて介護保険は対応していただけると思いますが、事業所にしわ寄せが来るような対応だけはしていただきたくない。そのしわ寄せが来ると、結果的にいろいろなサービスの面で利用者にしわ寄せがいくという非常に困ったことになりますので、我々は病院とかの医療に対しての消費税がどうなるかということを注目しながら、同時に並行して介護保険に対する消費税にどう対応するかということで、ぜひ担当部局は、そうでなくてもなかなか赤字化しているとこが多い事業所に対しての温かな対応を期待したいということで、一言申し上げたいと思います。
○田中分科会長 ありがとうございます。
事業所にしわ寄せがいかない報酬のあり方を秋以降しっかり議論してまいりたいと存じます。ありがとうございます。
小原委員、お願いします。
○小原委員 ありがとうございます。一応確認ですけれども、資料2の13ページに区分支給限度基準額についてありますが、消費税アップによる基本単位の上乗せは、区分支給限度基準額に大きな影響がありますので、利用者のサービス利用量とか在宅生活の継続に支障がないように適正な対応をお願いしますということで、意見させていただきます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
江澤参考人、どうぞ。
○江澤参考人 3点ございます。1点目は、先ほど武久委員並びに東委員からも御意見がございましたけれども、特に建物等に対する高額投資への対応は非常に重要な論点だと思っております。特に介護事業所はかなり経営規模が小さかったり、経営体力が必ずしも高くないところが多く事業所として参入しておりますので、そのあたりの御配慮が必要かと思います。ただ、これに関しましては、医療保険と同様の対応であり、医療保険と足並みをそろえていることが大前提だと思いますので、まずはそのあたりを御検討いただきたいということが1点でございます。
2点目は、29年度の介護経営実態調査、いわゆる実調の結果を用いて把握、検討ということになっておりますので、実調の回答の中でも常識的に妥当性のあるデータを抽出していただきたいと思っております。というのは、我々も、例えば入所と通所が一体型の施設においての費用案分が、回答するときに非常に悩むのが正直なところでございまして、恐らくその法人あるいは担当者の裁量によって費用案分を記載している。そして、回答しているということが実態としてございますので、その辺の問題と、中にはちょっと常識的には考えられないような数値、いわゆる外れ値のようなものがございますので、なるべく精緻なデータとするために、そのあたりの御配慮をいただきたいのが2点目です。
3点目は、前回の消費税の増税以降、平成27年と平成30年に2回介護報酬改定が行われております。この2回の改定の特徴は、事業所の種別にもよりますが、基本報酬を大きく下げた上で質の高い事業所は加算を積み上げて報酬をまた獲得していくというようなところで、これはもちろん私も歓迎、賛成の上で言っていますけれども、質の高い事業所がちゃんと評価されて、質の低い事業所はそれなりの評価になるという改定が2回行われました。今回の平成30年度の改定におきましても、改定率はプラス0.54%でございますが、そのうち1%は質の高い事業所の給付に配分されていて、それから、経済財政計画の改革工程表にのっとって、通所サービス等の給付の適正化でマイナスが0.5%ぐらい、ざっくり言うとそういう構造になっています。ということは、事業所の種別によってかなり基本報酬の変動が大きいので、今までの、前回の対応のように、今回も基本報酬への上乗せ対応が論点に挙がっておりますけれども、事業所の種別によってはきめの細かい対応で公平性を担保する。不平等が生じないような取り扱いが重要な視点ではないかと思っておりますので、もしそのあたりを御検討いただけるのであればよろしくお願いしたいと思います。
以上、3点でございます。
○田中分科会長 いずれもテクニカルな、大切な点の御指摘でした。これは御要望でいいのですね。
○江澤参考人 もしコメントがあればよろしくお願いしたいと思います。
○田中分科会長 何かコメントはございますか。
○鈴木老人保健課長 御意見ありがとうございます。まさに高額投資につきましては、医療との足並みをそろえるということが重要だと思いますので、基本的には医療課ときちんと連携をとりながらやっていきたいと思っております。
実調につきましては、実調のデータにつきましては、これまでも精査はしておりますが、今回、かなりこういったことがありますので、慎重に精査をしながらデータのほうについては提出をさせていただきたいと思っております。
最後に、今回、2%という増税につきましては、これまでの改定と違いまして、すべからく全ての事業所に対して公平に税率がかかるものでございますので、そういったところの観点も踏まえて議論させていただければと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 ほかに御質問、御意見はございますか。
議題2はここまでにいたします。議題2については、きょうは第1回ですので、今後も検討を進めてまいります。また、ヒアリングも予定されているようです。各団体でしっかり御意見をおまとめください。
ほかに何かございますか。
○亀井委員 質問をいいですか。介護保険のプランナーというのは、どこでいらっしゃるのかなと思ったりするのです。これは社会保障制度全体にかかわりますけれども、局長の御所見をお聞きしたいと思っているのですが、3月末に社人研が人口推計を出されましたね。これは5年ごとに出されているのですけれども、その中で、5年前と比較したら、人口減少がかなり加速化してきておると。720ぐらいの自治体でかなり加速してきている。800の自治体が2040年、あと20年ですけれども、存続が危ぶまれると。こういうことも言われているわけでございますけれども、きょうのとある新聞の朝刊でも、自治体は連携してまちづくりを進めていかざるを得ない。そんなことは今までもやっていますけれども、法律を変えていただいたら、もっとこれを進めることができるわけなのですが、その中で、2040年はあと20年、1億2,700万の人口が1億人になってしまうということですが、この1億人という人口構成が、これが厳しいのです。2025年から2040年が高齢化率の最高潮に達するわけでございます。社会保障の給付が2040年に190兆。今は120兆ですから、1.6倍になってしまうわけです。これは消費税を30%にしても追いつかないわけです。
そうしたら、この制度をこのまま持続していくということは、もうここにいらっしゃる皆さんは、そんなことはできっこないと認識されていると思うのです。それでは、どうするかと、こういうことになるのですが、これは保険者の問題であり、保険者が責任者なのです。これから、その検討を違う組織で検討していく必要があるのではないかと思っています。それは少人数でないといけないと思います。余り広げ過ぎるといけないと思うのですが、そのような検討会。当面する課題、2040年中長期的なものを見据えた課題、施設のあり方、あるいはそれの従事者のあり方、以前にもちょっと申し上げましたけれども、日常のケア、フィンランドのラヒホイタヤみたいなことが、実は内閣府で検討を始めてもらっていたのですが、今はまたとまってしまっているのですが、そういうことは本当にこれから考えていかなければならないと思っているのです。
これは局長、どう思われていますか。
○田中分科会長 御指名ですので、お願いします。
○濱谷老健局長 新聞報道等で御案内かと思いますけれども、4月、5月に加藤大臣から2040年に向けた社会保障計画についてプレゼンテーションと社会保障給付費の推計を出しています。御指摘のとおり、社会保障給付費は2040年に向けてかなり膨らんでいくというのは事実であります。ただ、まず、負担の話から言いますと、一方で、対GDPに対する比率で言いますと、そう大きく伸びないということ。対GDP比に対する社会保障の比率で見ますと、諸外国の今のドイツとか、そういう水準と、2040年時点でもそう変わらない水準だというような事実もございます。そういう意味では、必ずしも負担ができない水準ということでもないのではないかと思います。
一方で、今のままでいいかと言いますと、特に生産年齢人口が減っていくということで、今のままでいきますと、今、8人に1人が医療・福祉に従事していますけれども、このままでいきますと5人に1人が医療・福祉に従事するということで、人材不足など大きな課題があるということも事実であります。
大臣からは、そういうことで、健康寿命の延伸をするということで、まずは国民の健康度を上げることによって医療・介護需要を減らしていくということ。かつ、元気な高齢者をふやすことによって支え手もふやしていこうということ。それから、きょうの議論は処遇改善の話でありましたけれども、職場環境の改善の中には生産性の向上が入っておりましたが、日本全体として生産性を上げていくことによって、なるだけ少ない人手でケアをしていこうということもあります。
そういったことで、医療・介護のみならず社会保障全体として今後議論していくべきということは、御指摘のとおりだと思います。そういう意味では、現在では、社会保障全体について、必ずしも議論する場がないわけでありますけれども、来年の消費税10%の引き上げで、社会保障と税の一体改革のメニューが一定程度完了するわけでありますので、厚労省といたしましては、今後の2040年に向けての社会保障のあり方について、国民的な議論の場が必要ではないかというのが基本的な認識であります。その場をどのようにしていくかというのは、これは政府全体の話ですので、厚労省としても関係省庁と相談しながら、そういった場づくりも含めて検討する必要があるのではないかと思います。
また、けさの新聞ですか、総務省で自治体の今後のあり方についての提言がなされているのも承知しています。これはそういう意味では介護サービスなども含めて地方、特に小規模自治体については新たな連携制度も含めて検討するということであります。総務省の検討は、我々の方向性ともかなり検討の視点と重なるところがありますので、総務省などの関係省庁とは連携しながら検討していく必要があるのではないかと思います。
○亀井委員 濱谷局長はもうしばらくいてくれるだろうと思いますけれども、我々自治体も期待させていただいているので、こういう課題に対して、検討会も含めたそんなものを今後、検討していってほしい。そのように思っています。要望しておきます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
田部井委員、どうぞ。
○田部井委員 その他で3つほどお考えを伺えればと思っております。認知症の人と家族の会では、利用者2割負担をぜひ撤回していただきたいとずっと言い続けているわけですけれども、2割負担導入の影響調査の老健事業の結果報告が公表されたということで、この4日のあれにあわせてぜひ読んでこなければと思って、せめてまとめのところだけは読んでこようと思ったのですが、まとめを読みましたら、まとめが1ページ半しかないのです。実際に影響がどうであったかという分析がありませんし、どう考えていいのかが全くわかりませんでしたので、厚生労働省としまして、私はまとめが1ページ半しかないような報告書を初めて見たのですけれども、調査そのものというか報告そのものがどのように評価されているかということと、この調査報告書を見て厚生労働省のほうとしては2割負担の導入を改めてどのように考えておられるか、もしお考えを伺えればと思います。
もう一つは、生活援助についてのケアプラン届出制についてですけれども、私が住んでいる前橋も暑いのですが、これから暑さに向かって、生活援助を減らされたときに、もし何かその影響による事故があったときに、誰が責任を問われるのだろうかと考えると、恐らくこれはケアマネさんが問われざるを得ないだろうなと。減らしてはいけないと言っているわけではありませんので、どういう考えで減らすかということを考えるケアマネさんが問われざるを得ないのではないか。そういう点では、かわいそうというと失礼ですけれども、大変だと思わざるを得ません。
私たちは、制限はしないでほしいと考えているわけですけれども、経済財政諮問会議では、回数の多い利用についての調査研究事業をすると提案されているわけですが、厚生労働省としてもそのお考えで改めて回数の多い利用についての調査をやられる計画があるのかについてお考えを伺えればと思います。先般は90回以上利用されている個々の利用者についての実態調査ということで、実態として非常によくわかる調査をしていただきましたけれども、この諮問会議のほうのあれは、明らかに制限を拡大するという方向ではないかと思われるわけですが、その辺についてのお考えがもしありましたら、教えていただければと思います。
もう一つ、ケアマネジャーの利用についての利用者負担の導入についてなのですけれども、6月1日付の報道で、新聞で見たのですが、政府は導入する方向で本格的な検討に入った。厚生労働省は、2020年の通常国会への法案提出を目指すというように書かれていたわけですが、この報道はこのとおりに受け取らなければいけないものでしょうか。この辺についてのお考えと、こういう報道が先行して出ていくということの中で、社会保障審議会、介護保険部会であるとか介護給付費分科会は、どのようにそういう事態に対処していったらいいのだろうか、あるいはどのような位置づけで運営されていくのだろうかということについても、もし一言いただければと思います。
○田中分科会長 御質問が3点ございました。答えられる範囲でお答えください。
○橋本介護保険計画課長 計画課長でございます。まず、1点目の2割負担の調査の関係でございます。資料はお出ししていないのですけれども、老健事業で実施いたしました結果が4月に公表されております。その概略を申し上げますと、2割負担を導入したのが27年8月でございますが、それの導入後5カ月以内の週間サービス計画表の1週間当たりの利用単位数の合計値の変化を見ました。
そうしたところ、合計の利用単位数が減ったという方の割合、これは1割負担と2割負担の両方を聞いておりますけれども、1割負担の方で1.3%、2割負担の方で3.8%ということで、2割負担の方がやや高かった。利用単位数が減った方のうち介護に係る支出が重いということを理由に掲げた方が、2割負担の利用者で35%ということで、これは2割負担者全体の1.3%、1%強というところでございました。この2割負担の方で介護に係る支出が重いことを理由にサービスの利用を減少させた方が、先ほど申し上げましたが、全体の1.3%。この方につきまして、ほかの2割負担の利用者の方と比較しますと、医療保険の患者負担の3割の割合が低いという状況がございましたので、以上申し上げたような結果が老健事業の報告書で概略として公表されています。
この結果を踏まえつつ、厚労省といたしましては、ことしの8月に介護保険の3割負担導入につきましては予定どおり実施させていただこうと考えてございます。
○田中分科会長 総務課長、お願いします。
○北波総務課長 残りの2点の御質問がございました。
1つはまさに介護保険制度の制度論については、介護保険部会のほうでも主たる議論の場として設定させていただいて、いろいろな利用者負担の問題、制度全体の構築の問題については議論いただこうと思っています。
御指摘がありましたいわゆる生活援助の回数の関係でケアプランがどうなるかという話につきまして、実態をよく見て調査をする。これにつきましては、今年度、老健事業の中でも地域ケア会議等におけるケアプラン検証のあり方に関する調査研究事業ということで一つ枠を立てまして、実際、地域ケア会議等でケアプランがどのような形で検証が行われているのか、生活援助の回数等について、どのような形で利用者サービス、利用者が利用されているか。このようなことも幅広くきちんと検討して、実態を見て状況を検討したいと考えております。
また、ケアマネジメントについての利用者負担の話は、これは以前も介護保険部会でも議論がありまして、意見は両端ございました。これについては継続的な検討課題というような形で私たちも受けとめておりますので、制度論の議論をする中できちんと検討したいと考えております。
以上です。
○田中分科会長 ほかにございますか。
小原委員、どうぞ。
○小原委員 今、生活援助の回数の話が出ましたけれども、こちらにつきましては、回数を減らすことがありきということでは全く考えておりませんし、適切に利用者に滞りなくサービスが提供できるように、当協会としても、居宅サービス計画の生活援助の記載事例集といったものもつくっておりまして、それに基づいて中央研修、居宅介護支援事業所の管理者研修等も行って、それを全国で伝達するというような取り組みもしておりますので、そういった動きをしているということだけは申し添えておきたいと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 ほかにないようでしたら、本日の議論はここまでといたします。
次回の予定について、事務局からお願いします。
○鈴木老人保健課長 本日は、ありがとうございました。
次回の日程につきましては、また追って御連絡させていただきたいと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 お集まりいただきまして、御議論ありがとうございました。
 

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