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2022年9月26日 第1回次期国民健康づくり運動プラン(令和6年度開始)策定専門委員会(議事録)

○日時

令和4年9月26日(月) 13:00~15:00

 

○場所

AP東京八重洲11階 L+Mルーム(オンライン開催)
 

○議題

 <審議事項>
 

1.委員会の進め方について

2.次期国民健康づくり運動プランのビジョン・方向性等について

3.次期国民健康づくり運動プランにおける目標設定の考え方等について

4.その他
 

○議事

○加藤健康課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第1回「次期国民健康づくり運動プラン(令和6年度開始)策定専門委員会」を開催いたします。
本日、議事に入るまでの間、議事進行役を務めさせていただきます、健康局健康課の加藤と申します。
委員の皆様には、御多忙の折、御参加いただき、御礼申し上げます。
本日は、委員の皆様には、オンラインにて御参加いただいております。
なお、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、報道関係者及び一般の方の傍聴は行わず、代わりに会議の模様はユーチューブによるライブ配信にて公開しておりますので、御承知おきください。
まず、開会に当たりまして、健康局長の佐原より御挨拶申し上げます。
局長、よろしくお願いします。
○佐原健康局長 皆さん、こんにちは。健康局長の佐原です。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、本委員会に御参加いただきまして、誠にありがとうございます。また、日頃より、厚生労働行政に、御協力、御支援を賜りまして、誠にありがとうございます。
厚生労働省では、御存じのとおり、平成12年から、生活習慣病やその原因となる生活習慣の改善等に関する課題について、目標を設定し、国民が主体的に取り組める新たな国民健康づくり対策として、健康日本21を開始しました。また、平成25年から令和5年度までの計画期間として、健康日本21(第二次)として、取組を推進してきたところです。
健康寿命は着実に延伸してきた一方で、疾病全体に占める生活習慣病の割合は増加しておりますし、また、人生100年時代を迎えようとしている中で、誰もがより長く健康に生活できることは重要であることから、予防・健康づくりの取組をさらに進めていく必要があります。
本委員会は、健康日本21(第二次)に続く、次期国民健康づくり運動プランの策定に向けた検討を行うため、8月13日に開催されました厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の了承を得て設置されたものであります。健康日本21(第二次)の最終評価等も御参照いただきながら、次期プランに盛り込むべき目的や理念、対象とすべき分野や評価指標、目標などの在り方、運動の推進方策など、幅広く御議論いただきたいと存じます。
次期プランは、今後の中長期にわたる予防・健康づくりの基本となります。委員の皆様におかれましては、忌憚のない御意見をいただきますようお願いを申し上げます。
以上です。よろしくお願いいたします。
○加藤健康課長補佐 ありがとうございます。
それでは、議事に入る前に、ウェブ御参加への留意点、本日の出席状況について、御説明いたします。
まず、オンラインでの参加の方に向けてのお願いです。ビデオカメラをオンにしていただくこと。発言時以外は、マイクはミュートにしていただくこと。発言される場合には、挙手をしていただき、委員長からの指名後、御発言いただくこと。発言時に、マイクをオンにしていただくこと。発言時に、名前をおっしゃった上で発言してもらうこと。発言が終わったら、マイクをミュートにしてもらうこと。
以上となります。よろしくお願いいたします。
次に、資料の確認をさせていただきます。事前にお送りしているファイルに不足がないか、御確認ください。
座席表、委員名簿、議事次第がございます。資料としては、資料1~資料8の8つのファイル及び参考資料が本日の配付資料になります。
不備がございましたら、お申しつけください。
続きまして、本来であれば、委員として御就任いただきました先生方を御紹介させていただくところですが、時間の関係上、資料1にございます委員名簿をもって紹介に代えさせていただきます。当委員会の委員長につきましては、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の部会長が指名することになっております。
委員長につきましては、東北大学大学院教授、辻一郎委員に御就任いただきます。
次に、出欠及び欠席状況でございます。
本日は、委員の方はウェブでの御参加になり、座席表上に御出席委員を記載しております。山縣委員につきましては、遅れて参加されるということで伺っております。御欠席委員については、古井委員から御欠席の連絡をいただいております。また、若尾委員におかれましては、他の業務のため途中退席と伺っております。
続きまして、委員会の位置づけについて御説明いたします。資料1の次期国民健康づくり運動プラン策定委員会設置要綱案について、御覧ください。
○山本健康課長補佐 私から、資料1に基づきまして、本委員会の位置づけを御説明申し上げます。
1番、冒頭の目的のところからでございますけれども、先ほど局長からもありましたけれども、疾病全体に占める生活習慣病の割合は増加しております。また、人生100年時代が今後本格的に到来する中で、誰もがより長く健康に生活できることはより重要であるということで、予防・健康づくりの取組をさらに推進していく必要があるということでございます。厚生労働省では、平成12年より、健康日本21として国民健康づくり運動を展開してきたところです。現行の健康日本21(第二次)につきましては、計画期間が令和5年度末となっているところでございます。本委員会は、健康日本21(第二次)に続きます次期国民健康づくり運動プランの策定に向けた検討を行うものでございまして、8月13日に開催されました厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の了承を経て設置されたものでございます。
2番の検討事項でございますけれども、次期プランに盛り込むべき目的、理念、対象とすべき分野や評価指標、目標といったところに加えまして、運動の推進方策といった幅広いポイントについて御議論いただきたいと考えてございます。
3番の構成につきまして、委員の一覧につきましては、別紙のとおりとなってございます。また、先ほど御説明がありましたとおり、委員長は部会長が指名し、加えまして、副委員長は委員長が指名することとしております。
4番の委員会の運営等でございますけれども、専門委員会は委員長が招集するということでございまして、加えまして、委員長が必要と認める際には、適宜、有識者の参考人招致、あるいは、委員会の下に作業部会を置くことができるとされております。
簡単ですが、以上です。
○加藤健康課長補佐 それでは、以後の進行は、辻委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○辻委員長 委員長を拝命した、辻でございます。どうぞよろしくお願いします。
本委員会は、今後10年あまりの国民健康づくりの方向性を示す非常に重要な委員会でございます。委員の皆様方には、ぜひとも活発な御議論をいただきまして、よりよいプランをつくっていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
なお、資料1の設置要綱におけます「3.構成」には、委員長に事故があるときまたは委員長が欠けたときには副委員長がその職務を代行するということが定められております。副委員長といたしましては、津下委員が適任ではないかと思っておりますが、委員の皆様、いかがでしょうか。
(拍手起こる)
○辻委員長 ありがとうございます。それでは、津下委員に副委員長をお願いするということにいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○津下副委員長 よろしくお願いいたします。
○辻委員長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
議題1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○山本健康課長補佐 議題1「委員会の進め方について」につきまして、資料2、3を用いて御説明申し上げます。
資料2でございますけれども、こちらは先日の栄養部会におきまして示しましたスケジュールでございます。8月3日、先ほど申し上げたとおり、部会におきまして、この委員会の設置を了承いただいたところでございます。右側、矢印の伸びている先でございますけれども、9月から第1回ということで本日がその1回目、今後、1か月に1回のペースで実施していきたいと考えてございます。11月頃、栄養部会に中間報告としてこの委員会の議論をまとめたものを提出させていただいた上で、その後、年末、年明けと、さらに1か月に1回のペースで委員会を行いまして、最終的には年度末頃に部会において最終的な御審議をお願いすることを想定しております。今年度末の栄養部会の後、来年度でございますけれども、都道府県等が健康増進計画を策定するということでございまして、2024年度から次期プランが本格的に開始するという流れを考えてございます。
続きまして、資料3「次期プランにおける歯・口腔領域の検討の進め方について」でございます。歯・口腔の領域につきましては、現行の健康日本21(第二次)でも1領域としてあるところでございまして、次期プランにおきましても1つ入ってくるものかと考えております。一方で、内容面で関連の強い歯科口腔保健の推進に関する基本的事項というものは別でございまして、こちらは、歯科口腔保健の推進に関する専門委員会において、次期に関しての議論を開始する予定でございます。この次期歯科基本的事項と併せて検討を行うため、次期プランにおける歯・口腔の領域につきましては、この委員会ではなく、歯科専門委員会で中心的に御議論いただければという考えでおります。その際は、本委員会と歯科専門委員会で密な連携をとっていくということで、きちんと両者を整合させていくことと併せまして、最終的にはどちらも栄養部会で御審議いただきますので、そこで一体的な検討をするということで、不整合が起こらないようにしたいと考えております。
資料2、3につきましては、簡単ですが、以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございます。
この議題につきまして、委員の皆様から、何か、御質問、御意見はございますでしょうか。
福田委員、どうぞ。
○福田委員 ありがとうございました。
先ほど説明がありましたとおり、歯科領域の次期プランにつきましては、歯科口腔保健推進に関する専門委員会というものがございますので、そちらで検討します。また、私が両方の委員会の委員を務めておりますものですから、連携をそこでもきちんと取っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○辻委員長 福田委員、どうもありがとうございます。
そのような形で福田委員に両委員会の仲立ちをしていただくということで、どうぞよろしくお願いします。
ほかに、委員の皆様から、何か、御質問、御意見はございますか。
津下委員、どうぞ。
○津下副委員長 ありがとうございます。
歯科口腔については、今、御説明がありましたが、医療計画、データヘルス計画、特定健診・保健指導とか、いろいろな計画が同時期に改定されることになっておりますが、その辺りの関係性についてはどのように整理されるのでしょうか。御質問させていただきます。
○辻委員長 ありがとうございます。
事務局、お願いします。
○山本健康課長補佐 事務局でございます。
今、歯科の関係で御説明申し上げたのは、どちらも栄養部会の下にあるというところで、ほかの委員会、ほかの領域とは違うというところで、御説明申し上げました。加えて、津下先生が御指摘のとおり、ほかの関連する計画、医療計画等につきまして、同時期に、改定、改正に向けた検討が進んでいるということで、厚労省の中の他部局が行っているところでありますが、事務局同士でしっかりと連携をしてやっていきたいと考えております。内容につきましても、できるだけほかの計画との整合性をどのように取っていくかというのは考えていきたいと思いますので、また先生方にもこれから具体的な内容を考えていく際にいろいろ御指導いただければと考えております。
○辻委員長 津下委員、よろしいですか。
○津下副委員長 ありがとうございます。
○辻委員長 ほかに、委員の皆様から、何か、御質問、御意見はございますか。
よろしいでしょうか。
それでは、このような進め方でお認めいただいたということで、次の議題に入りたいと思います。
議題2について、事務局から御説明をお願いします。
○山本健康課長補佐 資料4、資料5を用いまして、議題2、次期プランへのビジョン・方向性等について御説明を申し上げます。
資料4でございますけれども、健康日本21(第二次)最終評価報告書概要でございます。こちらは、栄養部会等で御議論いただいたもののサマリーでございます。
2ページ目でございますけれども、健康日本21(第二次)の概要です。健康増進法第7条に基づく大臣告示として、健康日本21(第二次)というものを策定しております。こちらの内容といたしまして、基本的な方向というものを5つお示しております。1番、健康寿命の延伸と健康格差の縮小が最上位の目標とされておりまして、その下に、2、3、4、5の方向が示されております。2が生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底、3が社会生活を営むために必要な機能の維持・向上、4が健康を支え守るための社会環境の整備、5が栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善及び社会環境の改善でございます。
3ページ目でございます。今申し上げました5つの方向と全体の概念について整理した紙になってございます。「全ての国民が共に支え合い、健やかで心豊かに生活できる活力ある社会の実現」というものを目指しまして、先ほどの5つの方向を整理しますと、1が最上位の目標としてありまして、それらの下に、2、3、4、5がそれぞれに関連してあるというところでございます。
続きまして、4ページ目でございます。最終評価における目標達成状況の概要でございます。第二次の間の計画期間におけます評価といたしまして、第二次に策定されております53項目について、A、B、C、D、Eの評価をしております。全体の傾向といたしましては、A、B、「目標に達した」あるいは「目標値には達していないが改善傾向にあるもの」が約半数あるということでございますけれども、反対に、C、D、E、「変わらない」、「悪化している」、あるいは、「評価困難」というものも半分を占めているというものでございます。Eにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響でデータソースとなる調査が中止となって評価できなかったというものも含まれております。
続きまして、5ページ目でございます。今申し上げましたA、B、C、D、Eを、もう少し詳細に書いたものでございます。右上の表は基本的な方向の5つとA、B、C、D、Eをクロスしてお示ししている図でございますけれども、健康寿命の延伸という最上位の目標につきましては、1のAのところにございますが、2、3、4、5と右に行くにつれてC、D、Eの項目が増えているのかなという傾向が何となく読み取れるかなと考えてございます。先ほど申し上げたとおり、5につきましては、栄養・食生活、身体活動・運動といった一次予防的な内容が含まれているものが多くございまして、こういったところがC、D、Eがやや多いのかなというところでございます。今、私が申し上げたとおり、A、Dについて、それぞれ具体例を挙げているのが下になります。
6ページ目、7ページ目、8ページ目、9ページ目につきましては、それぞれどの項目がどの評価なのかを示しているものですので、説明は割愛させていただきます。
続きまして、10ページ目になります。最終評価報告書の最後には20年間の評価のまとめと次期プランに向けた課題というセクションがございまして、そちらの説明になります。簡単に概略として御説明申し上げますと、何点か、この20年間で評価できることがあろうかと考えております。1点目が、基本的な法制度の整備や枠組みが構築できたということ。2点目、第一次では一次予防の重視を基本方針とし、第二次では、先ほど申し上げた健康寿命の延伸と健康格差の縮小を最終的な目標としてきたこと。3点目、国際的な潮流といたしましても、SDGsにおいて全ての人に健康と福祉をという目標があり、健康づくりの重要性が認識されていること。4点目、自治体におきまして、健康増進分野以外でも、介護保険、医療保険といった各分野での健康づくりの取組が推進されている。加えて、自治体だけではない、保険者、企業と健康づくりが広まっているというところでございます。こうした各主体の取組を通じて健康寿命が着実に延伸しているというのが次の文章でございます。さらにその下、直近でございますけれども、ICTの発展、データヘルス改革といったところで、いろいろなテクノロジーを健康分野でも使っていこうという動きが活発になっているということでございます。その下、健康寿命延伸プラン、厚生労働省で定めておるものですが、自然に健康になる環境づくり、行動変容を促す仕掛けといった概念が整理されております。最後、健康格差の縮小というのが第二次でも目標でございますが、格差が拡大しているとの指摘もございます。
11ページ目、次期プランに向けた課題とございまして、最終評価報告書では論点を並べている形でございまして、まさにこの様々な論点につきまして、この本委員会で先生方に御議論いただいて策定をしていきたいと考えております。1つ目のセクション、プランの在り方でございますけれども、次期プランとして打ち出すビジョン、計画期間、中間評価、最終評価の時期、プランにおける主目標や基本的な方向、先ほど津下先生から御質問のありました他計画との整合性・調和・連携。その次のセクション、指標でございます。指標、データソースの設定、モニタリングの在り方、評価における指標の評価方法、評価の設定にとどまらない目標を達成のための方策。その次、自治体による取組でございます。住民に対して効果的に介入する体制とはどのようなものか。都道府県と市町村の役割分担、自治体と大学等外部との連携、協力を進めるための方策。最後のパートでございますが、1つ目、データを利活用した健康づくり施策、2点目、エビデンスや最新の知見を伝えるための情報発信あるいは職員の人材育成方法、3点目、健康分野におけるコミュニティーの力をより活用するための方策、4点目、社会環境整備等を通じた健康無関心層を含めた健康づくり施策、5点目、性差や年齢等も加味した健康づくり、6点目、健康格差縮小を進めるための方策、最後、直近の新型コロナ感染、生活習慣の変化も踏まえた健康づくりでございます。
続きまして、資料5でございます。先ほど最終評価でこの20年間あるいは課題をまとめたところではございますが、それらを踏まえまして、次期プランのまずは大きなビジョンあるいは方向性というものを事務局としてまとめた案でございます。
1ページ目、次期プランのビジョンでございまして、これまでの成果と課題、今後、約10年の予想される社会変化の3つのパートから、ビジョンを導いてございます。これまでの成果は、先ほど資料4で御説明したものをさらに短くぎゅっとしたものでございます。法制度の整備・枠組みの構築、自治体だけではない多様な主体の健康づくりの広がり、データヘルス・ICT、社会環境整備、ナッジ・インセンティブといった新しい要素の取り込み、こうしたものが複合的に影響しまして、健康寿命というのは着実に延伸してきたと評価してございます。一方で、課題がございますというのが右側です。1つ目、一部の指標が悪化しているということで、先ほど申し上げましたが、特に一次予防関係の指標が悪化しているのではないかということでございます。2点目、全体としては改善していても、一部の性・年齢階級では悪化している指標もあると。1つの例としては、飲酒領域でございますけれども、特に女性の飲酒量が増えているという傾向もございます。3つ目、データの見える化・活用が不十分ということで、一部においてデータ活用は進んでいるかと思いますがさらに進める必要があろうということです。4点目、PDCAサイクルの推進が不十分ということで、国・自治体どちらのレベルにおいてもPDCAサイクルをより意識した健康づくりが課題かと考えております。予想される社会変化は、健康づくりだけのものというよりはマクロ的な変化でございますが、その中でも健康づくりにも影響し得るものを挙げてございます。1点目、総人口減少、高齢化の進展、独居世帯の増加。2点目、労働市場の変化あるいは女性の社会進出といったところで、社会がより多様化するということ。3点目、あらゆる分野で、デジタルトランスフォーメーション、DXが加速するということ。4点目でございますが、この直近のコロナだけではなくて、今後、パンデミックというものが起こり得るという前提の下で、人々の健康意識あるいは生活様式というのが変わってくるというものへの対応といったところも要素としてあるかと考えております。これら3つの要素を踏まえまして、ビジョンというところでございますけれども、全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現というものを1つ提案させていただいております。前段の健やかで心豊かにというのは、第二次から継続しているものでございます。「持続可能な」というのはSDGs等でも言われておりますけれども、この持続可能性というものを健康づくり施策でもしっかり考えていく必要があろうというところでございます。このビジョンにつきまして少しブレークダウンしたものが下の矢印の先でございます。1つ目、誰一人取り残さない健康づくりを展開するということでございまして、持続可能性のところには包括性といったものがうたわれているかと思います。先ほど申し上げましたとおり、今後、約10年で社会が多様化する中で、加えまして、年齢階級や性別によっては違う傾向を示している指標も一部ある中で、個人の特性をより重視した支援やアプローチというものができないかというものでございます。2点目、より実効性を持つ取組を推進するということで、Implementationという英語を載せておりますが、こちらはWHOの文書等でも健康づくり分野で重要であると言われているところです。この20年間、健康日本21というものを推進してきまして、枠組みができた中で、さらに実効性をどう担保していくかというのが課題かと考えております。下にございますとおり、様々な担い手がしっかり連携していくあるいは社会環境の整備をしっかり進めていくということで、個人を支えるということもそうですし、ICTをはじめとするテクノロジーあるいはPDCAサイクルの強化といったところで実効性を担保していきたいということでございます。
続きまして、2ページ目、次期プランの方向性ということでございます。先ほど申し上げましたビジョンの達成のために、以下に示す方向性で予防・健康づくりを進めていくというものでございます。健康寿命の延伸・健康格差の縮小というのが赤字で書いてございますけれども、こちらを第二次から引き続き最上位の目標としてはどうかと考えております。こうした最上位の目標に向かいまして、赤色の山型のようなものがございますけれども、以下の要素というのがそれぞれ寄与していくと考えておりますので、それぞれの取組をしっかりやっていきたいということでございます。大きく2つございまして、青色の個人の行動変容というところと、社会の環境の質の向上という2つが重要な要素だと考えております。個人の行動変容と社会環境の質の向上について、こちらは両輪であるということが健康日本21(第二次)には書かれておりますが、改めて整理いたしまして、個人の行動変容を支えるという意味での社会環境の質の向上という考えを図に表したものがこちらでして、2層構造になっているのはそうした考え方でございます。個人の行動変容につきましては、左上でございます。生活習慣の改善、生活習慣病発症予防、重症化予防、これは引き続きしっかりやっていくということでございますが、その下、生活機能の維持・向上ということを書いてございます。生活習慣病によらないものであるけれども健康づくりには重要である、例えば、ロコモとか、あるいは、やせとか、そういった問題といったものもあろうかと考えておりますが、それらの状態にならないように、生活機能維持とか、向上をしていくということで、健康寿命の延伸等につながっていくのではないかということでございます。社会環境の質の向上につきましては、第二次において新たに入れられたコンセプトかと思いますが、この10年間の動きを踏まえまして、改めて3つに整理をしております。1つ目、自然に健康になれる環境づくり。こちらは、先ほども少し御説明しましたが、健康寿命延伸プランで紹介された概念でございまして、企業等による減塩の取組だったり、あるいは健康になれるまちづくりといった動きがあるかと思います。社会とのつながりの維持・向上につきましては、第二次におきましては社会参加という言葉がございましたが、もう少し緩やかなつながりも含んだ概念としてこうしたものを設定しているものでございます。3つ目、誰もがアクセスできる健康増進のための基盤の整備ということで、古典的な保健・医療サービスにアクセスできるということもそうですけれども、それに加えまして、例えば、健康に関する情報を個人でしっかり見ることができて健康づくりにつなげるといった、我々がPHRと呼んでいるようなものの取組を進めたり、あるいはその健康に関する情報というのが、ネットが広まって氾濫している中で、正しい情報をしっかり入手して活用して健康づくりを行ってもらうための基盤といったものも整備していく必要があろうかと考えております。加えまして、最後、一番下でございますが、ライフコースという言葉が書いてございます。先ほど、社会が多様化する中でというお話をいたしましたけれども、ライフコースも様々に多様化している中で、こうした青色・緑色のそれぞれの健康づくりの取組をしっかり享受できる、どんなライフコースをとっても健康づくりがしっかりできるようなものにしていくということが必要ではないかという趣旨で、このような記載にしてございます。
私からの説明は、以上になります。
○辻委員長 どうもありがとうございました。
それでは、この議題につきまして、委員の皆様から、御質問、御意見をいただきたいと思います。これが本日の最も重要な議題でございますので、できるだけ多くの方から御意見をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
黒瀨委員から、お願いいたします。
○黒瀨委員 ありがとうございます。
全体的な方向性に関して全く異存はないのですけれども、何点か私の意見を申し上げますと、まず1つは、次期プランのビジョンの中の予想される社会変化において、デジタルトランスフォーメーションが加速すると。これはもちろんそのとおりなのですけれども、大きな2つ、多分我々にとって関係ある要素が、1つは、その医療のデジタルトランスフォーメーションが加速する。これはもちろんいい方向性に我々がきちんと導いていかなくてはいけない点だと思うのですけれども、もう1点は生活のスタイル自体が多分大きく変わる。特に、既に大企業の中でも、いわゆる在宅での仕事ですよね。リモートワークというのですかね。そういったものを中心に、そっちを逆に原則にしているというような企業もあります。そうなると、例えば、企業による職域の検診とか、あるいは、その作業員の関わりとかそういったものがかなり制限されてしまったり、逆に、非常にコントロールしづらくなっていくといった環境も当然考えられるわけですので、そういった意味で、デジタルトランスフォーメーションのいい面と、そして、それによって引き起こされる、我々にとってもしかすると負の面もあるかもしれないということをきちんと認識しておく必要があるのかなという点が1点。
12年という長いスパンで見たときに、一言で今我々が想像しているデジタルトランスフォーメーションと言っても、12年後は全く違う世界がそこにあると思いますので、確かに目標をちゃんとつくっていくことも大切だと思うのですけれども、そこにフレキシビリティーを持たせておかないと、今我々が想像しているこれが最高だと思っているものと12年は全く違ったということにもなりかねないので、そういったところは、デジタルトランスフォーメーションと併せて意識していかなくてはいけないのかなと感じました。
それと、もう1点、次期プランの方向性案の内容のイメージのところにも関係するのですけれども、我々は、健康というと、肉体的な健康にどうしても意識を強く持ってしまうのですけれども、特に今、それこそDXによって、さらに今までと違う人間関係が多分起こってくると思うのですけれども、そうなってきたときに、人間のメンタルで本当にどうなっていくのかというのは非常に危惧するところもありますので、ぜひ肉体の健康と精神の健康、これが両方きっちりとかみ合いながら両立していくということを意識したイメージをこの中に少し入れられないかなと感じました。
勝手なことを申し上げますけれども、以上でございます。
○辻委員長 黒瀨委員、どうもありがとうございました。
事務局との一問一答ではなくて、幾つかまとめて何人かの先生方にお話しいただいてから、事務局から御返答いただくという形にしたいと思います。
○黒瀨委員 お願いします。
○辻委員長 若尾委員、お願いします。
○若尾委員 若尾です。ありがとうございます。
私からは、このビジョン案と方向性についてそれぞれ1点ずつ意見を述べさせていただきたいと思います。まず、ビジョン案なのですが、最終報告書にもあったのですが、この課題のところの2ポツ目、全体として改善していても一部性・年齢階級で悪化している指標があるというこれと並列で、格差が広がっている指標もあるというところは挙げておいてもいいのではないかと思いました。
それに関連して、その下のビジョンのところで、ビジョンの2、多様化する社会において個人の特性をより重視した適切な支援アプローチの実施とあるのですが、これも地域の状況に応じたアプローチも求められるのではないかと思います。そこも少し追記してはどうかというところです。
方向性について、今、黒瀬先生からも御指摘があったのですけれども、今回においては、DXをいかに使うかというところが非常に大きなポイントとなると考えまして、先ほどの説明では、この土台のところの社会環境の質の状況、健康増進のための基盤の整備の中にITとかDXが入っているということだったのですけれども、見えにくいので、一番下のライフコースのところにもDXの活用あるいはデータの見える化などをどんと置いて、それを活用する計画なのだというのを前面に出すのがいいのではないかと考えます。一方、今、一番下にライフコースがあるのですが、ライフコースというと、どちらかというと、緑の社会環境ではなく個人の行動変容に関わるので、ここのライフコースであえて載せなくてもよくて、ここの一番の基盤にDXの活用みたいなものを載せればいいのではないかと考えました。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
津下委員、北原委員の順番でお願いします。
○津下副委員長 ありがとうございます。
次期プランのビジョンのイメージ、前回は2次元だったのですけれども、今回は3次元になり、よりイメージを捉えやすくなったかなと思っております。
第二次の期間中にNDB、ナショナルデータベース等の整備など、予防・健康づくりとしては様々な進展がありました。これまでの健康日本21では国民健康・栄養調査で把握可能な指標で評価するなど、基幹的な項目は連続した指標で検討されるべきですけれども、NDBなどの新しいデータを今後積極的に活用していく方向性はいかがでしょうか。そういうことによって国・都道府県・市町村の一体的な方向性づくりなどができるのではないかなと思います。また、健康寿命についてランキングが出たときにも非常に話題になったのですけれども、ランキングが固定してしまうと、ランキング疲れではないですけれども、いつも低いよねとか、諦めになってしまうといけないと思います。誰一人取り残さないというのと同じように、自治体が前向きになって取り組めるような、そういうプランであるといいかなと思いました。
また、この間に進んできたこととして、企業の健康経営、また、スポーツ庁のスポーツ基本計画の中に健康スポーツの位置づけがあり、健康寿命の延伸を旗頭とする事業が他省庁にも広がってきていると。こういうところの力を借りて、特にその社会環境の質の向上などに取り込んでいくというのが重要かなと思います。
それから、前回の図と違うところで、社会環境の質の向上というのは残っているのですけれども、生活の質の向上、メンタルヘルスも含めて、生活満足度とか、クオリティー・オブ・ライフが抜けているのかなと思いますが。何のために健康でいるのか、本人の充実した生活のためにということでもありますので、そこは大きな目標の中に、上位に入れてもいいのではないかなと思いました。
最後にですけれども、ビジョンの下にインクルージョンとインプリメンテーションというワードがあるのですけれども、これを組み合わせて健康日本21の第三次の何かキャッチーな言葉ができると、また運動にもつながっていきやすいかなと感じました。
以上、コメントです。
○辻委員長 ありがとうございます。
次に北原委員にお願いしますが、そこで一度切って、事務局から御返事いただきたいと思いますので、まず、北原委員、お願いします。
○北原委員 ありがとうございます。
次期プランのビジョンのところで、先ほども意見が出たところですけれども、課題のところで、二次のときにも格差というワードが何度も出てきたように思います。地域格差であったり、私どもの職域であれば、企業の規模による違いというのが実はすごく大きくなっているのではないかなと感じていますので、その格差という言葉が入っていたほうがいいのではないかというのが1点。
二次のときにもありましたが、今、津下先生もおっしゃったように、省外、厚生労働省以外の省庁との連携とか、もしかしたら省内の連携もかもしれませんが、そういったところも課題であったのではないかと思いますので、より一層その連携を意識なさっていただきたいなと思いました。
それから、方向性の部分ですけれども、個人の行動変容を求めるためには、御本人様たちのリテラシーを高めるというような言葉が重要ではないかなと思いますので、もちろん入っているものだと思いますが、リテラシーというような言葉がどこかに入っているといいのではないかと思いました。
最後、1点ですが、ライフコースの矢印が右に行っているのが、何となく全体のイメージ図としては違和感があるような気がいたしますので、もう少し一工夫かなと思いました。
以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございます。
それでは、以上4名の委員の先生方から御意見をいただきましたけれども、これにつきまして、事務局から何か答えはございますか。
○山本健康課長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
まず、黒瀨先生にいただきましたDXの関係は、先生のおっしゃるとおり、いろいろな要素、いろいろな影響というのがあり得ると考えておりまして、そうしたものを踏まえた健康づくりとはどういったものかというのをしっかり考えていきたいと思います。DXが約10年後には全く違うと思われるということで、フレキシビリティーをということはおっしゃるとおりで、この長期的な計画は、DXに限らず、そうした辺はしっかり意識したいと考えております。2点目、肉体的ではなくて精神的なものというものもどうかということでございまして、次期プランの方向性のところで、つながりとか、そういった言葉で含んでいるところであるかなとは思っているのですけれども、第二次から含めて肉体的なものだけではなくてもう少し広い面を捉えて健康づくり運動を行ってきたと思いますので、今後の具体的な議論をしていく際に、そうした点もしっかり考えていきたいと考えております。
すみません。前後してしまったのですが、この方向性、ビジョンの図、どちらも、なかなか分量が限られている中で、どこまで書き込むかと。今後PRをしていく際にこうした図が出ていくかと思いますので、あまりビジーにもできないという事情がございます。先生方にいろいろ御指摘をいただいていて、しっかり検討はしたいとは思いますが、全てをこの図に書き込むのは難しいのかなという前提はあるかと思っております。一方で、最終成果物としては、この図だけではなくて、第二次と同様に、その文章編といったものを作成することになろうかと思いますので、そうした中で、先生方の今いただいたポイント等も含めていくといった整理もあるのかなということをお伝えしておきます。
戻りまして、先生方の御指摘でございますけれども、若尾先生から御指摘いただきました格差の関係でございますけれども、これが広まっているのではないかという御指摘があるというのは事実かと思います。こうしたことをどこまで書き込むかというのは、先ほど申し上げたとおり、分量の面もございますので、今後の検討をさせていただければと思います。DXについてもう少ししっかり書き込んだほうがいいのではないかということで、予想をされる社会変化のところだけではなくてということかと思いますので、その点も併せてどのように見せていくか考えたいと思います。
津下先生からの御指摘、NDBを含めた新しいデータの活用というのも、先ほどのデータの活用と同じ文脈であるところもあると思います。自治体にどうやる気を出してもらうかということもこの委員会の中で重要な点だと考えておりますので、内容もそうですけれども、見せ方、伝え方を含めてどのようにしていくか、先生方の御指導も含めて、考えていきたいと考えております。また、他省庁との連携につきましても、ほかの分野で健康づくりが進んできている中でどうしていくかというのも、考えていきたいと思います。生活の質の向上については、このビジョンのところにある「健やかで心豊かに生活できる」というワードをもって、こうしたQOLの向上というのは入ってくるのかなと考えてございます。インクルージョン、インプリメンテーションのところでキャッチーなワードをつくるというのは、こちらでアイデアを考えていきたいなと思っております。
北原先生から御指摘いただきました点、ビジョンの中の格差の問題あるいは省外・省内との連携というのも、繰り返しになりますが、どのように見せていくかというのを考えていきたいと思いますし、リテラシーの向上というのも、先ほど私も御説明申し上げました基盤の整備のところで、そうした要素も入り得るかもしれないなと思うのですが、どのように見せていくかあるいは最終的な文書をどうするかというところを含めて検討かなと思っております。ライフコースが右に寄っているのが見えづらいというのは、我々もなかなか苦心しているところでございまして、考えていきたいなと考えてございます。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
続きまして、福田委員、山縣委員の順番でお願いします。それでは、福田先生、お願いします。
○福田委員 福田でございます。
私からは、次期プランの方向性につきまして、1点コメントと1点質問という形でお願いしたいと思います。
まず、1点、コメントですけれども、若尾委員とか黒瀬委員のコメントと重なることが大きいのですけれども、パーソナル・ヘルス・レコードあるいはマイナポータルというようなものの利用を通じまして、常に自分自身の健康状態をチェックできるような仕組みの普及というものをぜひ図っていただきたいなと思っております。データヘルス事業等々と関連しまして、医療保険者側からのデータの活用方法については常に議論が結構されていると思うのですけれども、住民側からのデータ活用ということについてはやや議論が少ないのではないかなと思っております。自分自身の健康状態を簡単に常に経時的にチェックできる、それを意識するということで、自発的な健康づくりの支援というものにつながると考えております。次期プランでは、このような自律的な個人、すなわち、自分自身で自分の健康を守っていくというか、つくっていくという、自律していく個人の創出ということを目的としたような健康づくりを進めていただきたいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
1点、質問なのですけれども、こちらの図の一番下の土台のところに、社会環境の質の向上ということで3つ要素を出していただいております。それぞれ3つ並びがあるわけですけれども、どうしても図にしますとこの並びがあるものですから、上下関係あるいは並列なのかどうかという関係性を見てしまいたくなるものですから、ここの3つの要素についての関係性というものがもしあれば、教えていただきたいなと思っております。
以上です。
○辻委員長 山縣委員、お願いします。
○山縣委員 ありがとうございます。山梨大学の山縣です。
3点ございます。
1つは、この地域プランの方向性のイメージに関しまして、これはとてもいいなと思いました。といいますのも、指標をつくっていく上で、最終的なアウトカムを目指すときに、その前の個人の行動変容、それを支えていく社会環境の整備といった3つのレベルで指標を捉えていくというのが、見やすく、表現されるのかなという気がしました。
2点目に関しましては、DXの活用も本当に推進をしていくべきだと思いますし、母子保健領域では、2020年の6月から、乳幼児健診、妊婦健診に関しての電子化が始まり、今、福田委員おっしゃったようなマイナポータルで見ることができるのですが、実際、住民がそれを活用できているかというとなかなかできていなく、そこの辺りのところの推進というのは本当に重要だと思いました。ただ、一方で、このデジタル化が進んでいけばいくほど、情報提供側としてもうこれで情報提供しているからいいだろうみたいになって終わってしまっては、情報格差のようなものが健康格差につながってくる可能性があるので、ヘルス本来のちょっとしたおせっかいのようなところでのこういった情報へのアプローチの仕方についても、支援していくべきだと思いました。
最後ですが、ある対策を行うと、その対策によってまた別のリスクを生じてしまうといった、いわゆるカウンターベイリングリスクとも呼ばれていますが、対抗するリスクというのは生じてしまうことがあります。これは薬でいえば副作用のようなものですが、今回の新型コロナの対策につきましても、ステイホームだとか、人と触れ合いができないことによるフレイルが悪化していったりとか、認知症が増えたりとか、心の問題といったようなことが出てくるといったことが現実に起きたわけで、そういった強力な対策をしていかなければいけないときに、それに伴うそのリスクと対策については、特に生活習慣予防に関しては考える必要があるのではないかと思いますので、その点も今回は入れ込んでいったらどうかと思いました。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
引き続いて、近藤尚己委員と西委員ですね。時間も大分限られていますので、皆さん、手短に御発言いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○近藤(尚)委員 京都大学の近藤尚己です。
健康格差の研究と実践をしている立場から、コメントを差し上げます。次期プランのビジョンについて、2つ挙げていただいた、誰一人取り残さない健康づくりを展開するということと、より実効性を持つ取組の中でも、特に多様な担い手の有機的な連携によって社会環境の整備をするという2点が、健康格差対策の観点でも、WHOも非常に強調している2点であり、重要と思っております。この2つにどう取り組んで、また、その活動等をモニタリングしていくかというところについて、この間、全国の研究者たちとともに考えていきましたけれども、非常に難しい面もございます。まず、社会環境の整備という言葉が、非常に多義的で、具体的に何を指しているのかというところを、できれば次期プランの中でもう少し掘り下げて説明していただけるといいのではないかなと思いました。特に、今回の誰も誰一人取り残さないという観点では、この健康づくりを進めていく面でも、社会保障、生活保護であるとか、そういったもの、所得、就労、教育、住宅、出産、冠婚葬祭、例えば、こういう生活保護の中で保障されているようなことについては、しっかりと基盤を整備していくということがあって初めて個人の健康づくりの取組というのが進むという認識がございます。これに関して疑うところはないと思うのですけれども、ぜひそういった「基盤となる社会保障が十分に整っていることが大切である」というような理念が入っていくといいのではないかなと思っております。
このように、保健以外の「社会環境」を改善するという面で、先ほど北原委員からもあったと思いますが、省外の活動あるいは他省庁による活動の重要性というものがあると思います。例えば、貧困対策が健康格差対策上非常に大事であることは明らかであると思うのですけれども、貧困対策自身は厚生労働省の管轄の範囲だけで完結できるものではありませんので、ぜひそういった省庁をまたいだ活動が促さされるような政策あるいはそれに基づくメッセージが国民全体に発信されることが大切かなと思っております。そんなふうに少し具体的なメッセージがこのビジョンの項目の中に含まれるといいのかなと思います。
もう1つ、インセンティブについては、健康日本21(第二次)にも、インセンティブを活用していくべき、という言葉があったと思います。この10年間、後半は特に特定保健指導のインセンティブ交付金であるとか、介護のインセンティブ交付金といったインセンティブの取組が実際に実装されてきました。ぜひそういったことでこれまでどれぐらい効果があったのかということを取りまとめた上で、次期プランにおいてどんなインセンティブのかけ方が効果的なのだろうか、それには、最近出てきたDxやPHRの活用等も含めた、新しいテクノロジーを用いたインセンティブのかけ方なども併せて提案していけると、より発展的なものになるのではないかなと思いました。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。
西委員、お願いします。
○西委員 西です。よろしくお願いいたします。
全体的にとても分かりやすくまとめていただいていると思いました。
その上で2件ですけれども、まず、1点目は、ビジョンのところで誰一人取り残さないというところを書いてくださっていますが、最近、疾患とか、プロジェクトの対象となる方、当事者との協働、ペイシェント・アンド・パブリック・インボルブメントとか、当事者との協働、コプロダクションとか、そういったものが非常に重要視されるようになってきていると思います。ですので、当事者と一緒に取組を推進させていくというような視点や表現みたいなものもあるとなおよいのではないかということを1つ感じました。
2点目ですけれども、この次期プランの方向性の絵ですね。これもとてもよくまとめてくださっていると思うのですが、あえてですけれども、どんなに努力しても重症化を予防できなかったり再発したりする方もたくさんいらっしゃいまして、もちろん社会環境の向上というところでカバーはされているのですが、重症度が変わらなくても、機能が維持・向上できなくても、機能が落ちていったとしても、その人らしく人生を送れること、暮らせることというのが大事で、それを支えることも大事だというような視点というのも、どこかで表現できるとなおよいのではないかと思いました。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
一応4名の委員から御発言いただきましたので、それに対して事務局から何かありますでしょうか。
○山本健康課長補佐 事務局です。
福田委員からいただきましたPHRあるいはマイナポータルを活用した自分自身で保健・医療情報を見る仕組みといったところは、我々もいろいろな検診等の情報につきまして活用を進めているところでございます。ただ、そうしたものをどのように活用していくかというところは課題であると考えておりますので、そうした点は非常に重要な点だと認識してございます。御質問のございました社会環境の質の向上の3つの要素の並びがあるのかということでございますが、こちらがすごく意識して、この並びを何か意図を持ってやっているというものではございませんので、そこは書き方としてこのようになっているということでございます。
山縣先生からいただきました御指摘でございますけれども、乳幼児を含めてDXが今進んできているということの御指摘をいただいた上で、やりっ放しでは駄目だというのは、まさに先ほど私が申し上げました個人がどのように活用していくかというところの、一歩進んだところの議論だと思っております。そのためにどのようにやっていくか、あるいは、その対策を打ったときの副作用をどのように考えていくか、こうした点も含めて、今後、研究していきたいなと考えております。
近藤尚己先生からいただきました御指摘でございますけれども、多省庁連携・多部局連携を含めまして、ほかの施策との連携あるいはほかの施策が基盤となって健康づくりを進めていくという観点は重要だと考えております。どのようなメッセージングを出していけるかということを、この図の中で考えていきたいと思います。インセンティブにつきましても、先生のおっしゃられたとおり、いろいろなインセンティブ制度がこの10年間で進んできたかと思いますので、そうしたものをどのように健康づくりに取り込んでいくかということを考えていく必要があるのかなと思っております。
西先生からいただきました御指摘、当事者との協働とか、あるいは、機能の維持・向上ができなくても自分らしく生きていける環境ができれば健康につながっていくというようなメッセージをどのようにこの中に取り込んでいくかという点も、引き続きしっかり検討していきたいなと考えてございます。
以上でございます。
○辻委員長 ありがとうございます。
現在、5名の委員から手が挙がっていますけれども、一応、進行の時間割を考えますと、今手を挙げていただいている方全員にはもちろん御発言いただきますが、今、近藤委員から挙がりましたね。この6名で、一応、この議題は止めたいと思いますので、御発言できなかった委員におかれましては、後ほど、事務局にメールあるいはお電話等で御連絡いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、瀧本委員、横山徹爾委員、お願いします。
○瀧本委員 ありがとうございます。
医薬基盤・健康・栄養研究所の瀧本です。ビジョンについて御説明いただき、ありがとうございました。
大筋で私からは本内容について特に異存はないのですけれども、1点、この図に含めるかは別だと思うのですが、第二次の最終評価で悪化はしていないけれども変わらないという項目も結構あったと思うのですね。特に栄養・食生活の分野は若干多かったと思うので、変わらないというのも、目標を達成できてなかったという意味では課題がまだあると考えますので、それをどう今後に考えていくかというのは重要なテーマかと思います。
もう1点は、昨今、気候変動の問題というのは非常に社会的にも大きなテーマとなっているのですが、気候変動の健康への影響というのも各所で言われるようになっています。その点についてはどのようにお考えか、お聞かせいただけると幸いです。
以上です。
○辻委員長 横山徹爾委員、お願いします。
○横山(徹)委員 国立保健医療科学院の横山徹爾です。
先ほどの西先生の御意見と関係するところなのですけれども、第二次の最終評価で、疾病や障害を有したとしても日常生活への制限が最終にとどまって、主観的に健康感を保つことができる社会づくりや福祉の充実によって、日常生活に制限のない期間を延ばすことが望まれると。健康寿命の定義が日常生活に制限のない期間ということですので、その疾病や障害を有したとしてもの部分がもうちょっと分かりやすいといいかなと思ったのですが、3次元の図だとそれがどこに該当するのかが分かりにくいのですけれども、あまりビジーになるのも分かりにくくなってしまうので、この図の中で一応確認したいのですが、疾病や障害を有したとしてもというのは、この生活機能の維持・向上の辺り、生活習慣病の重症化予防の右側が少しスペースが空いているのはそこを意図しているのかなということと、社会環境のほうだと、社会とのつながりの維持・向上の辺りがそれを意図しているのかなと思うのですけれども、その辺りを確認したいということと、あとは、図に描けないようであれば言葉としてそこがはっきり分かるような書き方をしていただけるといいのではないかなと思いました。
もう1つ、ライフコースの矢印が分かりにくいというのは僕もそう思うのですけれども、ライフコースというとどちらかというと個人の行動変容に近いところもあるのかなと思うので、ライフコースが社会環境のほうにかかっているので分かりにくいのかなと思いましたので、その辺りのレイアウトを工夫できるといいかと思いました。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。
村山委員、お願いします。
○村山委員 ありがとうございました。
私も、全体としては異論はございませんが、2点コメントさせていただきます。
1点目は、ビジョンなのですが、第二次においても目標設定がかなり重点になっていて、その達成のためのアクションというところが未熟といいますか、未完成だったと思いますので、このたびより実効性を持つというところを強調していただいたのはとてもいいと思いますので、このビジョンの中に入れるって意味ではないのですけれども、ぜひ今後のアクションプランまでつくる方向で御検討いただけたらと思います。
2点目は、イメージ図についてです。第二次のときは、この全体図を基に各分野でモデルが作成できるようにしていて、それが自治体の関係者にはかなり好評で分かりやすかったということだったと思いますので、その各分野への展開のための図が、これと同じでいいのか、これは全体だからまた別にあるのか分かりませんが、展開できるような図があるといいなと感じました。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
澤田委員、お願いします。
○澤田委員 ありがとうございます。 身体活動・運動分野を担当させていただきます早稲田大学の澤田です。どうぞよろしくお願いいたします。
全体の枠につきましては、異存はございません。次期プランのビジョン案につきまして、これまでの成果の中で、基本的な法制度の整備ですとか、枠組みの構築はこの10年、20年で、しっかり進めていただいてきたところだと思います。
一方で、課題につきまして、各委員から既に多くの御指摘をいただいておりますが、他省庁との連携強化がビジョンの実現に向けた重要な課題であると考えておりますので、コメントさせていただきたいと思います。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。
岡村委員、お願いします。
○岡村委員 ありがとうございます。
この後も出てくるほかの計画と比べて、非常に長いですよね。12年というスパンありますので。特に評価指標については、今、例えば、評価ができないものでも、今後評価できるものが出てくるとか、例えば、データの利用がもっと進んで、直近の分野だと、生活習慣病の発症率はがん以外は分からないわけですけれども、ほかのものは分かるようになってくるかもしれないということがあるので、評価指標の開発というのも同時に進めて、中間評価のときにはそれなりにそこも見据えて見直すということを最初から考えておかないと、今あるものだけで12年後の評価をするというのが、なかなかそれだけでは厳しいかなと思いますので、それはあらかじめ前提として置いておくほうがよろしいのではないかと考えております。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
最後になりますが、近藤克則委員、お願いします。
○近藤(克)委員 ビジョンのほう、下の四角の中、黒ポチの2つ目のところについての意見です。社会環境の整備により個人を支えるという文脈になっているのですけれども、支えるべきなのは、個人だけではなくて、いろいろな問題を抱えている家族、家庭であったり、企業でいえば零細企業であったり、困難な地域であったり、支えるのは個人だけではないように思います。ですから、最後、社会環境の整備、そういう実効性を持つ取組を推進するのだというので、「により個人を支える」はなくてもいいのではないかというのが、1点です。
それから、ビジョンで、方向性を今後文章化するときにぜひ試みていただきたいなと思うのは、一次から二次の間で何が変わったかというと、「健康格差の縮小」が加わって「社会環境の質の向上」が加わったという点があったと思うのですけれども、二次から三次で何が加わったり発展したのかというところを、ぜひ文章化するときに書いていただきたいなと思いました。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
今、6名の委員から貴重な御意見をいただきました。事務局から、お答えをもらえますか。
○山本健康課長補佐 ありがとうございます。
瀧本先生からいただきました、まず、最終評価の「変わらない」のところは、今後、しっかりしていくべきではないかと、御指摘のとおりだと思います。その点の指標をどのように達成していくかというのは、今回というよりは今後の具体の内容に入ってきたときにより重要になってくるかと思いますので、そうした点もしっかり持っておく必要があろうかと感じております。気候変動が健康影響にどう与えるかという点につきましては、正直、我々として今こうと申し上げるのは難しい点もあろうかと思いますけれども、今後健康づくり運動を考えていく上で、もちろん、エビデンス等がある、どこまであるのかというところだったり、施策をどのように実際に展開していくのか、先ほどアクションプランというお話がありましたが、計画に書くだけではなくて実効性をどう持たせていくかということを今回は重要視したいなと思っているところもございますので、どういったものがあり得るかというのは先生方とも御相談させていただきながら、どういったものをつくれるのか考えていきたいと思います。
横山先生からいただきました、疾病や障害があっても自分らしく生きることで、健康寿命の日常生活に制限がある期間という定義からして、健康寿命の延伸につながるのでないかという御指摘は、先ほどほかの先生からもいただいたところではあるかと思いますが、そうした点も含んでいくことが、どのようにメッセージとして伝えていけるのかというところを研究していく必要があろうかと思います。今この方向性の図の中でどこに入るかという点も、どういうふうに整理していくかというのも、今後、文章化する際に考えていく必要があろうかと思いますが、社会環境の質のほうに入っているのかなとは思っておりますが、今後どのように見せていくかをしっかり詰めていく必要があろうかと思います。ライフコースのところは、やや見づらいというのはほかの先生からもいただきましたが、我々としては、個人の行動変容に当然より近しいものではあるのですが、個人の行動変容を支える社会環境の質の向上という構造も見せるということが重要であるというところとの兼ね合いかなと思っておりますので、ビジュアルをどう工夫するかという御指摘かと理解いたしましたので、もう少し練ってみたいと考えております。
村山委員からいただきました1点目のアクションプランまでしっかり考えるべきというのは、まさにこのインプリメンテーションを担保するにはどのようにしていくかという論点かと思います。今回の次期のこの専門委員会では、どちらかというと、そのコンセプトをしっかりまずは詰めていくというところに重点を置くことを想定しておりますけれども、今後、この委員会が終わった後も含めて、実際にアクションプランを示していくということをしっかりやっていく必要があろうと考えてございます。2点目の全体図をどのように各指標に落とし込んでいくかというところは、今日の議論も踏まえて、今後、具体的なものを考える際に検討したいと考えてございます。
澤田先生からいただきました他省庁との連携が重要というのは、身体活動でいえばスポーツ庁等があると思いますけれども、どのようにしっかりメッセージとして他省庁にも届くものにしていくかということかと思いますので、検討したいと考えてございます。
岡村先生から御指摘いただきました約10年間の計画の中で指標も取れるものあるいはできるものというのが変わってくるのではないかという御指摘、まさにこの10年という長いプランはなかなかほかにはございませんので、そうした論点、そうした視点もしっかり含めて、今後、指標の設定としていく必要があろうかと思っております。そういった点をどのように表していくか、関係者に見せていくかという点も重要かと考えております。
近藤克則先生からいただきました、個人を支えるだけではなくて、家族あるいは企業・地域といった点というのも重要かと思います。文章については、今日、ほかにもいただいた指摘も踏まえて総合的に考えたいと思います。また、文章化する際に何が変わったか、発展したかというところを書いてほしいという御指摘があったかと思いますが、まさにその点が関係者にどうPRしていくかという点とも表裏一体かと思いますので、その点はしっかり検討したいなと思っております。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。
委員の皆様に割と手短にコメントしていただきましたので、時間が若干余っております。5~10分近く余っておりますけれども、今まで御発言いただいていない委員から何か一言か二言でも、感想でも結構ですので、何かいただけませんでしょうか。
尾島委員、お願いします。
○尾島委員 全体として、非常に適切に分かりやすくまとめていただいていると思いました。ヘルスプロモーションの坂道を上る図でよくあるのが、その先の目的が豊かな人生であるということが書かれます。今回で言うと、このビジョンに書いてある「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」というところがそれなのだろうなと思います。これがなかなか数値化はしにくいので、目標指標にはしないのだけれども、健康寿命の延伸、健康格差の縮小の先にもそれがあるのですよということが「次期プランの方向性」の図の中に示されていると良いと思います。そこで、図の上の枠内の文章をもうちょっと短くして、図の中の「健康寿命の延伸、健康格差の縮小」の上に、キーワードと同じような並びで入れていただくというのもあるかなと思いました。
次に、生活機能の維持・向上のところが議論にも出ていましたが、病気や障害があっても、良い人生が過ごせるということで重要なことが書き込まれていると思います。機能とするかどうかは微妙なのですけれども、この辺に入れておくか、より上位という位置づけにするかという辺りになると思います。
健康寿命は国際生活機能分類であるICFに基づいてつくられています。ICFによる生活機能には、機能と活動と参加とあります。国際的にもそうなのですが、健康寿命は、数値の計算としては活動制限を直接は見ているのですが、参加や機能も含めて見ているという解釈も一般的であったりします。ということで、生活機能の維持・向上が健康寿命の延伸につながっていることを次期プラン参考資料の解説に入れておくと良いと思います。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。
矢部委員、お願いします。
○矢部委員 糖尿分野でお世話になります、矢部と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
実際に地域で糖尿病診療に従事すると共に、特定保健指導や糖尿病性腎症重症化予防プログラムの企画等に関与する立場から、地域性を考慮したうえでプランを実践することの可能性について不安な点があります。例えば、PHRの活用について地域の高齢者では是時たるリタラシーが低いこと、サービスの担い手となる就労世代の確保が困難なことが挙げられます。誰一人取り残さない全ライフコースを通した健康づくりを達成するためにも、他省庁との連携し、地域格差の是正することが必要でないかと考えた次第です。以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。
もうお一方ぐらい、ご発言をいただける時間はあるかなと思うのですが、いかがでしょうか。
吉村委員ですね。よろしくお願いします。
○吉村委員 吉村です。私はこの策定委員会は初めての参加ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
最初にこの文案を見せられたときに、大変よくできていて、もう特に付け加えることはないと思っていたのですが、今日、たくさんの先生のお話を伺って、なるほど、こういう考え方もあるんだと、大変感銘を受けた次第でございます。私から1点だけ、インクルージョンとインプリメンテーションのところなのですけれども、頭韻を踏んでいて、きっとWHOとかではよく使われている言葉なのだと思うのですが、例えば、これが市町村に下りていったときに、特にインプリメンテーションって言われてもねと、日本語訳を横に、例えば、実装とか、ちゃんと書いてあげたほうが、私も、正直言って、最初は辞書を引いた次第でして、そのほうが親切なのではないのかなという、その1点だけ、コメントをさせていただきます。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、3名の委員から御意見をいただきました。これにつきまして、事務局からお答えをお願いします。
○山本健康課長補佐 事務局です。
尾島委員からいただきました、ヘルスプロモーションにおいて、豊かな人生とか、そういったことにつながっていく、そういった点が書けないかという提案は、先ほどからの繰り返しになって恐縮ですけれども、どのように見せていくか、全て図の中に書き込むのかあるいは文章の中に向けていくのかといった点も含めて、検討させていただきたいと思います。障害あるいは疾患のある人も含めて自分らしく生きていくことが健康づくりにつながるという点も、先ほど来、複数の先生方からいただいているかと思いますので、そういったメッセージングがうまく伝わるような見せ方というのを考えていきたいと考えてございます。
矢部先生からいただきました、地域によって健康づくりのありようも違うのではないかということは御指摘のとおりだと思います。個人の特性をより重視したというところは、ある意味、そういった地域、どこに住んでいるかといったこと、ライフコースも含めてですけれども、どんなパターンがあっても健康づくりというのがしっかりできるというところが今回のコンセプトになってくるかと考えておりますので、多省庁連携も含めた方策の在り方というのはしっかり検討していく必要がありますし、どのように各自治体あるいは各地域において取組を進められるかといったところは、今後の検討ということで、しっかり考えていく必要があろうかと思います。
吉村先生からいただきましたインプリメンテーションやインクルージョンという言葉が分かりづらいというのは、確かに、このPRをする際に、あまねくいろいろな人に伝えていくというのが厚労省の役割の一つだと考えております。キャッチーなものである一方で、分からない人がいては意味がないものかと思いますので、そのPR活動をする際のありようというのは、今後、内容とともにしっかり先生方にも御指導いただきながら考えていくものかと思っております。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
今までの議論といたしましては、次期プランのビジョン並びに方向性につきましては、委員の皆様からおおむね御了承いただいたということで、さらにそれを深めるために、あるいは、具体化するために、様々な貴重な御意見を賜りましたので、そういった方向で、事務局は改定に努めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
議題3について、事務局から説明をお願いします。
○山本健康課長補佐 事務局でございます。
議題3の次期プランにおける目標設定の考え方等について、資料6~8を用いて御説明申し上げます。
資料6でございますけれども、プランの期間についての資料でございます。次期プランの計画期間につきましては、結論から申し上げますと、12年間としてはどうかということで、中ほど太線で下線を引いているところがございますが、考えてございます。1点目からその理由を御説明申し上げますと、健康日本21(第二次)、現行でございますが、計画期間を1年間延長いたしまして、他計画と計画期間を一致させたという経緯もございます。医療費適正化計画等、ほかの計画との一致、整合性というのが計画期間の観点でも必要だと考えております。2点目でございますが、この健康あるいは健康づくりの分野におきましては、その効果を短期間ではかることはなかなか難しく、評価を行うには一定期間を要するのではないかと考えてございます。3点目、現行もそうでございますけれども、プランの計画期間中、最後の1年間は、自治体による次々期の計画策定のための期間というのが必要になってこようかと考えてございます。こうしたことから12年間としたいと考えておりまして、加えて、中間評価、最終評価等におきまして、用いるデータソースであります国民健康・栄養調査でございますけれども、こちらの大規模調査が約4年に1回ということでございまして、12年というプランの期間において、この4年に1度の国調をうまく活用できればと考えてございます。12年間は、先ほど先生方からも御指摘いただきましたが、長期になりますので、ビジョンあるいは方向性というのは、この12年間に耐え得るもの、あるいは12年間の変化に対応できるフレキシビリティーを持ったものであることが必要であると考えております。加えまして、次期プラン期間中におきましては、推進専門委員会ということで、別途委員会を立てまして、フォローアップをしっかりやっていきたいと考えてございます。また、中間評価におきましては、必要に応じて指標の見直し等も含めて行うことで、アップデートを絶えず行っていくということを考えてございます。最後でございますが、米印のところで書いてございますのは、内閣府におきまして、地方分権改革に関する提案募集というものを毎年実施しております。自治体からそれぞれの各制度につきまして意見を募集するものでございますが、その中で、この健康づくりの次期プランについては計画期間を12年とすべきという意見が上がっているということを申し添えさせていただきます。
続きまして、資料7でございます。目標項目のベースライン値と目標値の考え方についてという資料になります。計画期間は12年間ということを先ほど御提案させていただきましたが、その前提にあった上で、どのようなタイミングの指標、データを使っていくべきかということを御説明している資料になります。1点目、第一次、第二次、これまででございますが、それぞれの目標項目につきまして、計画策定時に入手できる最新の数値というものを、ベースライン値、評価を行うための比較値として設定し、加えまして、計画期間の最終年の数値を目標値と設定してございました。具体的に申し上げますと、第二次は、2012年7月に策定されておりますけれども、最終評価等に活用しますベースライン値については2010年まで、目標値は当初の計画期間の最終年でございます2022年と設定をしてございました。こうした構造から、比較のためのベースライン値は、計画期間の開始前のものになっている。第二次で申し上げると、2013年からの計画にもかかわらず、2010年までの数値が比較のためのベースラインになっていた、加えまして、最終評価は計画期間の終了前に行いますので、目標値に実際に到達したかではなくて、到達しそうかの評価を行ってきたというものでございます。資料4で御説明いたしましたA、B、C、D、Eの評価でも、B評価は改善しているが目標に到達しそうにないということで、実際に到達したかという観点ではないというものでございます。ただ、目標項目につきましては、運動期間、健康づくりの運動の期間内の取組評価のために設定されているということを鑑みますと、ベースライン値は、計画期間の初年度の値、目標値は最終評価時に評価できるデータ、が入手できるタイミングのものを使うべきではないかと考えてございます。このため、具体的に申し上げますと、次期プランにおける最終評価等に用いますベースライン値につきましては、2024年までの最新値、目標値については2032年としてはどうかというものでございます。下の図でございますけれども、2024年から計画がスタートいたしまして、12年間の計画といたしますと2035年度までとなります。2035年度が自治体の計画策定期間となりますと、おおよそ2033年頃に最終評価を行うことを想定しております。その際、2033年の最終評価に使うデータとしては、ベースライン値は、2024年、計画期間の開始年のものを使用いたしまして、2032年までにどのように変化したか、どのように改善あるいは悪化したかというものを評価したいと考えてございます。米印のところでございますが、1点、申し添えさせていただきますと、目標値自体はこの委員会で策定をいたします。その際は直近のデータ等を用いて策定することを考えております。2032年の目標値は、本委員会で策定いたしますが、先ほど申し上げたとおり、最終評価に使うベースライン値は事後的に2024年度までの最新値で設定をいたしまして、2025年に公表する。繰り返しになりますが、2024年から2032年ごろまでの変化を捉えて最終評価を行う、そのことをもって計画期間内の取組がどのように進展しているかということをしっかりPDCAサイクルの中で考えていくということにしたいと考えてございます。
続きまして、資料8について御説明申し上げます。次期プランにおける目標の枠組みについてという資料でございます。1番、これまでの経緯・現状から御説明を申し上げます。1点目、第一次におきましては、80項目の指標を設定してございました。第二次におきまして、策定時に実行可能性のある目標はできるだけ少ない数で設定すべきという意見等踏まえまして53項目になったということでございます。現在の目標につきましては、先ほどの資料4で御説明申し上げました5つの方向性、それぞれにつきまして設定がされております。4点目、全目標につきまして中間評価及び最終評価を実施しております。加えまして、全目標につきまして、国立健康・栄養研究所のウェブサイトにおきまして、年次推移を可能な範囲で公開しております。5点目でございますが、第二次の最終評価におきまして、以下のような課題があったところでございます。1点目、データソースとなる調査が、直近では実施されていない。2点目、調査自体は継続しているが、調査方法が途中で変更となっている。3点目、当初想定していた目標の算出、計算方法、あるいはデータ参照のタイミング等が不明になっている。4点目、厚生労働科学研究で集めましたデータを使っている場合もございますが、そもそも厚生労働科学研究自体が終了しているため、データ収集が不可能となった。次の点、オープンとなっていないデータソースのため、事後的な検証が不可能である。最後の点、多くの指標のデータソースである国民健康・栄養調査がコロナの影響で中止となった。こうしたことから、評価困難ということだったり、あるいは、事前の想定とは異なる評価を行った目標がございました。
こうした経緯と現状を踏まえまして、2番、次期プランでの方向性というものを案としてお示ししております。1点目、次期プランにおきましても、引き続き目標の設定は行う。2点目、第二次に引き続きまして、実行可能性のある目標をできるだけ少ない数に設定する。現行は53項目ございますので、全体でおおよそ50というところが1つのキャップの目安になろうかと考えてございます。3点目、こちらは次期プランから少し新しい要素になりますが、全ての目標を同列に扱うのでなく、目標を複数の群、グループに分類するというものでございます。具体的な分類につきましては、2ページ目で御説明を申し上げます。最後の点、目標の設定に当たりましては、生活習慣病発症予防といった健康に関するエビデンスがしっかりあるものに限るというものでございます。また、最終評価時の課題を踏まえまして、データソースにつきましては、事後的なフォローアップが可能である公式統計を利用することを原則とするというものでございます。
2ページ目、具体的な分類案でございます。4つの分類に分けております。1つ目、生活習慣の改善、生活習慣病の発症予防、社会環境の質の向上に関するものということでございまして、資料4あるいは5で申し上げましたが、一次予防の関係の指標が特に悪化しているという現状もございます。健康づくり運動におきましては、1番目に書いてあるような内容というのがより重要であるということ、あるいは、短期的に変化もより大きかろうということでございますので、Ⅰ群といたしまして、データソースは公式統計を用い、モニタリングは基本的に毎年行うということを想定しております。2番目、生活習慣病の状況を表すものでございます。Ⅰ群のもののアウトカム指標をイメージしてございます。3点目、他計画等で位置づけられているが、国民健康づくり運動プランに関連するものということで、この20年間で、他計画、他省庁を含め、様々な計画が動き出しているかと思います。健康づくり運動としては重要であるので引き続き含んではいくものの、他計画で位置づけられているということで、少しグループを分けてみてはどうかというものでございます。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲにつきましては、公式統計等を原則とするということを申し上げたものの該当でございますけれども、それ以外、公式統計にはよらないけれども重要であるとか、そういったものもあろうかと考えておりますので、Ⅳ群というものを設定してございます。Ⅰ~Ⅲ群、Ⅳ群の違いは、今申し上げたデータソースに加えまして、告示に書くかどうかというところで差をつけたいと考えております。ただ、この委員会の最終成果物は、告示だけではなくて参考資料というものを第二次ではつけておりまして、同様のものになると想定しております。その参考資料の中にはⅠ~Ⅳ群もしっかり書いていくということでございますので、自治体等にはしっかりお示しをしていくことになろうかと思います。モニタリング頻度につきましては、中間評価、最終評価は全て行いますが、特にⅠ群につきましては、毎年行ってみてはどうかというものでございます。
議題3につきましての説明は、私からは以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
本議題につきましては、若尾委員が午後4時の段階で退席されていますので、あらかじめ御意見をいただいております。若尾委員の御意見について、事務局から御説明をお願いします。
○山本健康課長補佐 若尾委員からいただきました意見につきまして、代読させていただきます。
1つ目、プランの計画期間につきましてでございますが、他計画と時期を合わせる、あるいは、自治体の計画策定期間を確保する等の理由から、2024年度開始とすることは適切であると考える。
2点目、期間についても、12年とすることは適切であると考える。
3点目、計画策定時にベースライン値がないということにやや違和感を感じる。策定時には、利用可能なデータに基づき、推定に基づくベースライン値を仮置きし、2025年度にベースライン値を公表し、必要に応じて目標値を見直すことが好ましい。
4点目、12年の計画に対し評価対象とされるのが8年と限られることが好ましくないのではないか。最終目標を2035年として、2033年に公表される結果に基づき、2035年の推計値を算出し、達成状況を評価することとしてはどうか。
5点目、目標の枠組みに関して、実行可能性のある目標をできるだけ少ない数で設定することは妥当である。
次の点、目標について、全て同列ではなく複数の群に分類することも適切であると考える。一方で、モニタリング頻度について、公式統計等で毎年公表されるものについては、最終評価、中間評価だけではなく、毎年行うことが望ましいのではないか。
次の点、データ公表について、全国値のみとなっているが、都道府県別データを公表することで、自治体の取組支援につながるのではないか。
以上でございます。
今若尾先生からあらかじめいただいた意見について、事務局の考えを御説明申し上げます。
1点目、資料7の関係でございます。計画策定時にベースライン値がないのはどうかということでございますが、説明は繰り返しになりますけれども、ここで言っているベースライン値は、最終評価等に活用するための比較値でございます。今委員会で目標値自体は設定いたします。その際の使用する直近の値、直近のデータを用いて設定をするわけですが、どういったデータを活用したか、どういう算出方法をしたかということ自体は、今後の評価のためにも、一定程度経緯は残しておく必要があると考えてございます。先ほど申し上げましたとおり、告示だけではなく参考資料を含めまして成果物をつくることを想定しておりまして、そうした中でどういった方法があるかというのは今後の検討ですけれども、どういったデータを参照してこの最終的な目標値をつくったかということはしっかり残していきたいと思っておりますので、その点は事後的に検証できるようにしていきたいと考えております。なので、ベースライン値自体は事後的になってしまいますが、2024年頃に、その時点での新しいデータということを取って、最終評価に使うとしたいと考えてございます。モニタリング頻度と書いてある資料8のグルーピングのところでございますけれども、Ⅰ群が毎年となっておりますが、我々事務局としては、毎年取れるデータは全てⅠ群という趣旨ではなくて、あくまで健康づくり運動を考えていく際により重要であろうというものだったり、この第二次の最終評価を踏まえ今後重点的に取り組んでいく必要があろうというもの、あるいは、短期的な効果が一定程度図れるものであろうというものをⅠ群にするということを想定しております。ですので、データが上がってくる、データが毎年取れるものは全てⅠ群というものではなくて、あくまでその内容あるいは性質や位置づけによって、Ⅰ群になるのか、あるいは、ほかの群になるのかというのは決まってくるかと考えてございます。
私からは、以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から、御質問、御意見をいただきたいと思います。
尾島委員から、お願いします。
○尾島委員 全体として、事務局の御提案の流れで妥当だと思いました。目標指標についても、第Ⅳ群として、告示でのメニューにはしないけれども、より詳細な指標も見ていくということはとても良いと思いました。一方で、都道府県とか自治体もこれを参照して見ていきますので、告示に含める目標はなるべく数を少なくということでいいと思います。
先のことなので、今言ってもしようがないかもしれないのですが、最後の2033年度、2034年度の流れについてです。今回、自治体が健康づくり計画をつくるスケジュールとして、来年度の策定に向けて今年度調査をしているところが多くて、今年度の調査が最終評価という意味と次期プランについてのベースラインを取るという両方を兼ねてやっているところが多いと思います。そうすると、次期プランでどんなことが大事なのだろうかということを考えながら調査ができると非常に効率がいいなと思います。そのためには、次回、2034年度に自治体が調査できるようにということを配慮して、最終評価とプラン作成を一体的に進めて、次期プラン作成の方向性をその前年度に示して、こんな調査を自治体はしておくといいですよということを予告しておくといいのではないかなと思いました。
以上です。
○辻委員長 津下委員、お願いします。
○津下副委員長 ありがとうございます。
目標項目について、全体を50、あまり多過ぎるといけないということなのですけれども、インプリメンテーションを考えると、具体的に国民向けの目標、健康指標的なものと、アクションに関するような指標も必要ではないかと思います。目標の構造といいますか、大項目はこうなのだけれども、それをブレークダウンして、それを達成するためにどういうことが必要なのかということを構造を示して、インプリメンテーションの状況を評価できるようにするというのが必要なのかなと、思いました。大きな目標を立てても、何をしたらそこに到達できるか分からないということではいけないかなと思っております。
2点目は、都道府県別のデータで、出るものであれば、同じ手法で算出された都道府県別データがあらかじめ配付されていることが重要かなと思います。確かに都道府県の健康調査とかをされるところもありますが、自治体によって実施状況がばらばらであり、また、方法も、層化無作為とかをやっているところもあれば、そうはできていないとか、それから、中間評価のときに予算の関係でできなくなったとか、いろいろな事態も想定されます。基幹項目については都道府県値を出すということも考慮していただければと思います。
3点目です。国民健康・栄養調査についてです。先ほど、DXの話とか、新たな枠組みのことが出てきました。例えば、国民がDXを活用した健康づくりしているかどうかとか、社会のつながりとか、いろいろなことについて、この指標となるような設問を国民健康・栄養調査にきちんと組み込んでいただくことが必要と思います。また、大規模調査年のデータで糖尿病の有病率を出しているのですけれども、今回は大規模調査ができなかったということで、暫定的な方法になりました。そういうことで、国民健康・栄養調査について、健康日本21を支えるような項目とか、実施体制とか、都道府県別に分析できるような客体数とかの確保をお願いしたいなと思いますし、今回のコロナ禍で評価が難しかった事態、BCPではないですけれども、そういう事態に備えてどういうするのかということもあらかじめ検討いただくとよいのではと思います。その年でできないなら前後とか、評価を適切に行っていくための対策なども、今回の経験を踏まえ整理をしておいていただいたほうがいいのかなと思いました。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
澤田委員、お願いします。
○澤田委員 御説明をありがとうございました。よく理解できました。
御提案いただきました内容につきまして、異議等はございません。
1点質問と、1点、コメントをさせていただきたいと思います。
まず、資料6に関しまして、他の計画との計画期間との一致ですけれども、一致するとよさそうだなとは思うのですけれども、具体的に次期プランとこういった計画が一致することによってどのような良いことがあるのか、イメージがありましたらお教えいただければと思います。
2点目ですけれども、次期プランの期間が12年になるということは、長期的な視点で展開できていいと思いますけれども、一方で、資料7の中で、PDCAサイクルを回すという話はいろいろなところで出てくるわけで、それはとても大切なことであると思いますが、短期でどんどん回して改善をしていくということももちろん大切で、12年に延びるという中で、対策をするアクションが随分先になっているような図になっていると感じます。中間評価というのは非常に大切で、中間の時点で改善をする対策をして、柔軟に次の6年を迎えていくといった書き方もあるのではないかなと思っております。延びることはいい面もたくさんあると思いますけれども、一方で、しっかり中間で、短期で改善をしていく、短期でPDCAサイクルを回していって世の中の変化とか情勢に対応していくという視点も大切だと思いました。
以上になります。
○辻委員長 ありがとうございます。
横山徹爾委員、お願いします。
○横山(徹)委員 横山です。
全体の設定についてはいいと思うのですけれども、ベースライン値と目標値の設定は、国民健康・栄養調査を指標としているものという前提のお話のように思うのですけれども、それ以外をデータソースとしているものについてはどう考えるのかというところを確認したいと思います。それについてのベースラインは2024年で、目標2032年にするのかという辺りです。
健康寿命なのですけれども、これは国民生活基礎調査に基づいて計算されていて、次回、今後の予定は分かりませんが、今までどおり、3年に1度でいくと、2032年のちょっと前、2031年の実施になるということで、ずれるということもありますので、データソースが違うものについてどう考えるのかという辺りを教えていただければと思います。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。 それでは、近藤尚己委員、その後、克則委員、お願いします。
○近藤(尚)委員 近藤尚己です。
項目数が50項目程度というお話で、数としては妥当なものなのだろうなと思います。
一方、新型コロナのパンデミックを受けて、様々な課題が増えておりますので、そういった新しい課題、とりわけ健康格差については、各委員からもコメントがありましたが、第2次で評価した都道府県の地域格差以外にも、市町村間にも大きな健康格差があることが分かっておりますし、あるいは、所得や就労状況による格差などもございます。そういったものまで測ったほうがいいだろうとは思いつつ、項目数は増やせないというジレンマがございます。そこで、辻先生が代表になって別途行っている厚生労働科学研究等でも検討されているように、この主要な50項目とは別に、追加で評価を推奨するような項目として、補助項目や開発途上の項目を盛り込んでいくようなことを推奨する枠組みはいかがかと思います。
健康格差や社会環境整備に関しては、定量的なエビデンスとしてはまだ不明確であるものもありますので、そういったものでも、これから研究が必要だが重要な項目であるとお認めいただけるものに関しては、柔軟に取りこみ、副項目のような形でキープしていただけると大変ありがたいと感じております。
以上です。
○辻委員長 克則委員。
○近藤(克)委員 大きく言うと、3点あります。
まず、1つは、目標というのと指標というのは、似ていますけれども、違うと思うのですね。指標の中で、これは目標値を定めるものだというものもある。一方で、今回、インプリメンテーションに向けてロジックモデルを示そうという論議がありますけれども、そのロジックモデルというのは仮説なので、そのロジックモデルが妥当かどうかというのは検証しないと分からない。データを取って、指標をつくって、それで期待したような関連あるいは時間的な前後関係があるかどうかを検証していく、そういう指標は必要だけれども、まだ十分なエビデンスがない段階では目標までは設定できないというような関係があると思います。なので、目標の話をしているのとは別に、その指標は設定して、それに必要なデータを集めて、指標にできるようにする。量的な指標とするためにはデータが要りますから。そこを区別して書き分けていただきたいなと思いました。それが1点目です。
2点目が、今のことにも関わるのですけれども、目標の枠組みとは違うかもしれませんが、その評価計画を立てるということをぜひ第三次では具体化していただきたいなと思いました。それは、今、言ったようなエビデンスが、現状ではデータが整備されていないために検証自体ができないのだけれども、少なくとも12年後にはそういうデータが取れて、指標をつくれて、そのロジックモデルの妥当性を検証できるようなことをやりたい。そう思うと、最終評価の段階で、さあ、やりましょうと言っても、ベースラインの値がないと変化が分からないとか、その評価計画がないと、結局、12年後も分からないという事態が起きてしまうと思います。そのために、目標値は設定しないのだけれども、指標はぜひつくりたい、だから、こういうデータをこのタイミングで取って、このような形で検証するのだという評価計画をぜひ目標値の論議と並行して出していただきたい。そうしないと、いつまでたってもロジックモデルは検証できない、目標値を設定できないということになるからです。
3点目は、その具体的な方法、中身の例ということになりますけれども、今、近藤尚己先生も言ってくれましたけれども、国としては、目標値としては都道府県格差ということになるのでしょうが、都道府県が立てる計画においてはぜひ都道府県下の市町村格差に着目してくださいとか考え方を示す。そして市町村が計画策定のためにやる調査のひな形を厚労省が示して、そのひな型のコアの部分は市町村が変えずに共通でやるようにすると、市町村間の比較が可能になります。そういうデータを集めて、ビッグデータにして、エビデンスを増やして、ロジックモデルを検証しながら、だんだん進めていく。そんな調査票のひな型を示すことも含めた評価計画、それを国として都道府県や市町村に示す、そんなことが評価計画の具体的なイメージです。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございます。
北原委員で最後にいたします。よろしくお願いします。
○北原委員 ありがとうございます。
今、何名かの先生からもありましたように、都道府県の調査にすごくばらつきがあると、結局、最後にビッグデータになったときに残念な結果になるような気がするので、骨子みたいなところは同じものを使うことにしたほうがいいのではないかと思いました。今回、第二次の時に都道府県別のデータはとてもインパクトがあるものだったと思いますので、ああいったものをもっと活用できないかなと思いました。
資料7のところに、中間評価にちっちゃいCとAがあるのは、中間評価をしたときに、チェックとアクションで少し見直そうというところなのですよね。これはもうちょっと目立つようにしたほうがいいのではないかということと、12年はすごく長いので、中間となると、中だるみしそうな気がしますから、単なる言い方ですけれども、例えば、フェーズ1、フェーズ2みたいな感じにして、何か言い方を工夫するといいのかなと思いました。
最後、質問なのですが、今回、この委員会で計画をするというのは、健康日本21の第三次という言い方が正しいのでしょうか。健康日本21という言葉を今後もずっと使っていくものなのかどうか分からなくなってしまって、お伺いしたいと思いました。
以上です。
○辻委員長 ありがとうございました。
ただいま、7名の委員の先生方から、御質問、御意見をいただきました。
事務局からお答えをお願いします。
○山本健康課長補佐 事務局です。
尾島委員からいただきました。2033年度、2034年度のところ、最終評価からプラン作成どうやっていくかということでございますが、今回と同じく、最終評価とプラン作成自体は一体的にやっていくのが望ましいのではないかと考えてございます。図といたしましてはそのようなことを意識して書いたつもりではあったのですけれども、その裏には、先生がおっしゃってくださったとおり、自治体における取組の予見可能性を高めるということかなと思っておりますので、そうした趣旨も含めてどのような書き方があるかと考えていきたいと思っております。
津下先生からいただきました、各指標の50個という数値のキャップがある中でも、どのようにブレークダウンして、構造化して、インプリメンテーションでやっていくかということでございますが、指標の設定もそうですけれども、今後、アクションプランの策定というものが1つ今回のキーになってくると思います。どのようなものをつくっていくかということ自体は、コンセプトを固めた後の議論にもなるかもしれませんが、数値の見せ方も含めて考えていく必要があろうと思っております。また、県別でデータの取り方がいろいろと異なっているという点は津下先生以外にも様々な先生から御指摘いただいておりますが、そこはどのように県に見せていくかということがございます。健康増進計画自体は、都道府県には義務にはなっておりますが、その内容についてどこまで法的に縛れるかというところが、まず、1つあります。法的には絞れないけれども、一定、一つの案として示すということはあり得ると思いますが、各県によってその運用体制だったりとかというのも異なってくるというのもあるかと思います。どのようなところまで県にひな形みたいなものを示せるかということは、1つ、大きな論点になろうかと思っておりますので、今後、インプリメンテーションを高めるというところの重要なツールだと思いますので、しっかり考えていきたいなと思っております。国調自体が、直近、コロナで中止になっていて、そのBCP的なことでしっかり対応方法を考えておくべきというのは御指摘のとおりだと思います。仮に12年間という長い計画だとしますと、なかなか全てを予見するのは難しいと思いますけれども、ある一定程度、こういう場合はこういう対応するというのが示せればいいかなと考えておりまして、その点も最終成果物に書き込めればいいかなと思います。どのような見せ方をしていくかというのは研究していく必要があろうかと思っております。
澤田先生からいただきましたほかの計画との一致のメリットでございますけれども、1つは、国レベルもそうですし、自治体レベルもそうですが、他計画の様子を見ながら連携できるパーツはしっかり連携させていくということで、一体的な取組ができるというメリットを考えてございます。自治体の中では、国もそうですけれども、縦割りになっているところもあろうかと思います。一方で、連携して計画をつくれているところもありますので、そうした実際の事項でのレベルでうまく相乗りできるとか、そういった取組が進むものであると考えております。12年間で、そのPDCAサイクルを短期でも回していくことが必要だというのは、御指摘のとおりだと思います。資料6の最後、なお以下はそうした趣旨で書いているところでございまして、しっかり短期間でも見直しをしていくのだということをメッセージとして伝えていく必要があろうかということでございます。
横山先生からいただきました、国調以外はどのようにしていくかというところでございますが、ここはいろいろなパターンがあり得るとは思いますが、ほかの国調のものと違って、2032年というのがそのまま使えないものもあろうかと思います。そうしたものは、2033年頃の最終評価時で一番入手できる直近のものということになろうかと思います。ベースライン値につきましても、2024年と断言しておらず、2024年度までの最新値としているのはそうした趣旨でございまして、その辺はもう少し分かりやすい書き方をしていく必要があるかと思います。
近藤尚己先生からいただきました、様々な課題がある中で、指標の設定の50というキャップとのジレンマという話でございますけれども、国としては、インプリメンテーションをしっかりやっていきますということとも表裏一体でありますけれども、どうしてこのような目標を設定したかということの、ある程度、説明責任みたいなことが、今後はより必要に問われてくるのだと思っております。その観点からしても、なかなか全てを自動的に載せるとかということは難しくて、50という指標、そういった約50というキャップはそうした趣旨で申し上げたところではございます。一方で、それ以外にも重要なものだったり、今後発展可能性があるものといったものは想定されるかと思います。特に12年間という計画期間ですので、そうしたようなものというのが、よりあり得るのだと考えております。ですので、そこは50とは別に、指標とか目標という形で設定するのは、先ほど申し上げた理由から難しいかもしれませんけれども、何か最終的な文章化の中で、そうした研究もあるとか、こうした批評もあり得るとか、こうした捉え方もあるとか、そういった見せ方が、1つ、案としてはあるのではないかと思っております。ただ、繰り返しになりますが、指標全体は、ある程度、制限、抑制的にしていく必要があろうかというところでございます。
近藤克則先生からいただきました目標と指標の区別は、実はまだもう少し整えていく必要があろうかと思っております。そこはしっかり取り組んでいく必要があろうかと思います。エビデンスがないものについて今からどのように考えるかということでございますが、先ほどの説明と重複いたしますけれども、国としてはある程度その説明責任というのを負っている中で、どのようなものを指標としてあるいは目標として設定するかというのは、エビデンス等を含めたものがバックグラウンドとしては必要になってくると認識しております。ですので、その中で、特にアクションプランの中で、どのように活用できるかだったり、どのような見せ方あるいは見える化というのをしていくかということは、検討の中で考えていく必要があるのかなと思っております。また、県の格差だったり市町村格差について、またその取り方についてばらばらだというのは、先ほど津下先生等からもいただいた意見と重複いたしますけれども、どこまで県の方にお示ししてやっていくかというのは、うまい方法を考えられればいいかなと思っております。
北原先生も、同じ御指摘、県の調査のばらつきの点を御指摘いただいたと承知しております。骨子を仮に示すとして、どのようなものがあり得るかというのは、今後の検討かと思っております。
また、最後に御質問いただきました次期プランの名称でございますけれども、まさに次期プランと今のところしているのは、名称もこの策定委員会で決めていく必要があろうかと思っております。健康日本21という名称をそのまま使うのかというのは、内容だったり今後の具体的な施策や指標や目標等によっても変わってくるかと思いますので、どこかのタイミングで、この委員会で事務局から案を提示して、先生方に御議論いただきたいと考えてございます。
以上です。
○辻委員長 どうもありがとうございました。
時間となりましたので、本日の議論はここまでとさせていただきますが、委員の皆様におかれましては、大変活発な御議論いただきましたことを改めて御礼申し上げたいと思います。
最後に、今後のスケジュールなどにつきまして、事務局から御説明をお願いします。
○加藤健康課長補佐 今後のスケジュールについて、御案内申し上げます。
次回の委員会については、今回の議論等を踏まえて、追って調整させていただきますので、お忙しい中、恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
以上です。
○辻委員長 それでは本日の委員会を終了したいと思います。
委員の皆様におかれましては、スムーズな議事進行に御協力いただきましたこと、誠にありがとうございます。これで閉会といたします。
どうもありがとうございました。


―― 了 ――

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