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2022年7月25日 第4回健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキング・グループ(議事録)

○日時

令和4年7月25日(月) 14:00~16:00

 

○場所

AP東京丸の内 会議室E+F+G(オンライン開催)
 

○議題

 <審議事項>
 

1.健診項目について

2.受診勧奨判定値について

3.その他

 

○議事

【第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会
第4回健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキング・グループ
令和4年7月25日
 
 
【山本健康課長補佐】 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会、健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキングを開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。出欠状況ですが、本日は構成員全員に御出席いただく予定です。室原構成員は途中退席されます。
また、本日もオンラインによる開催としておりますので、初めに発言の仕方などを説明させていただきます。会議中、御発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックし、主査の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。
本日の会議ですが、佐々木健康課長は公務の都合で途中より参加させていただきます。御了承ください。また本日は、女子栄養大学特任教授の津下一代先生、慶応義塾大学の平田あや先生、公益社団法人日本人間ドック学会の武藤繁貴理事に御出席いただきます。津下先生、武藤先生は途中より参加されます。労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室、医政局歯科保健課はオンラインで参加しております。
なお、本日は新型コロナウイルス感染防止対策のため、会場における傍聴は報道関係者のみとさせていただきますので、御承知おきください。
次に、資料の確認をお願いいたします。構成員名簿、座席表、資料1、資料2、資料3、資料4になります。過不足等があれば、マイクもしくはコメントでお申し出ください。
会議冒頭の頭撮りはここまでとさせていただきます。それでは、以降の進行を主査にお願いいたします。
【岡村主査】 それでは、議事に入ります。議事次第を御覧ください。本日の議題は、1つ目が「健診項目について」、2つ目が「受診勧奨判定値について」、3つ目が「その他」ということになっております。
それでは、まず議題1「健診項目について」に関しまして、事務局より資料1の説明をお願いいたします。
【田邉女性の健康推進室長】 事務局でございます。では、資料1番、「健診項目について」というものを御覧下さい。こちらは、前回、前々回と先生方に御議論いただきました内容をまとめてございます。
まず、1ページおめくりいただきまして、こちらは第4期、次期に向けた見直しの方向性で、前回、先生方に御議論いただきました内容でございます。こちらは再掲でございますので、全く内容は変わってございません。中性脂肪について、空腹時と随時に保健指導判定値を分けるというところで御了承いただきました内容でございます。
次のページをおめくりいただきまして、こちらは中長期、いわゆる5期以降に向けた見直しの方向性についてということで、前回、先生方に御議論いただきました内容をまとめてございます。
頂きました御意見と致しまして、1点目として、特定健診ですけれども、いわゆるメタボ該当者及び予備群の減少を目的として、保険者様に実施していただいているという現状でございますので、やはり特定保健指導の効果につきましては、費用対効果の観点も含めた分析を継続的に行っていくことが重要であるという御意見を頂きました。
また、保険者様と致しましては、いわゆる学会のガイドライン等に基づいた基準のアップデートは必要だと考えているけれども、やはり各学会は各分野の疾患に応じたガイドライン等を基本に作成しているということで、メタボ該当者における当該項目のリスクであるとか、そういう観点が、やはりメタボ健診という観点では重要ではないか、そういう観点を大事にしてほしいということで、そういった点が受診者の皆様や保険者様の納得感につながるということでございました。ですので、こういう観点も踏まえて、中長期的な検討については考えてはどうかという御意見を頂きました。
また、階層化基準の部分ですけれども、現場からの御意見としては、やはり身長を考慮してほしいという御意見があるということで、その辺りのところが、特定保健指導を受ける方々の納得感につながるのではないかというような御意見を頂きました。
まとめますと、中長期的な検討の方向性でございますが、特定健診・特定保健指導の既存の健診項目、いわゆる質問項目、検査項目、また階層化基準も含めまして、制度開始以降に蓄積されたエビデンス等に基づいて、中長期的には必要な見直しを検討するということにさせていただいてございます。ここまでが基本項目についてでございます。
1ページおめくりいただきまして、こちらは「詳細な健診の項目について」でございます。こちらは前回、岡村先生に厚労科研の研究結果等、御発表いただきました内容と、その後、先生方から頂きました御意見をまとめでございます。
まず眼底検査ですけれども、こちらについては、現行の基準では、血糖や血圧の値が一定の基準に達した者について、医師の判断の下、行うということになっているのですが、医療現場としましては、やはり血糖値の異常があるという場合については当然、糖尿病の可能性がございますので、医療機関を受診した上で、糖尿病と診断された者については、医師の判断の下、こういう詳細な検査を行っていくべきではないかという御意見を頂きました。高血圧あるいは糖尿病のような生活習慣病がある者につきましては、確実に医療機関に受診していただいて、定期的に疾患に応じた眼底検査等の検査を受けていただくということであれば、こういう体制がきちんとできているのであれば、基本的に詳細な健診項目というのは健診でやる必要はないのではないかという御意見もございました。ただ、実際には医療と健診のオーバーラップする部分についても非常に悩ましいという御意見を頂きましてございます。
続きまして、心電図についてでございます。心電図は当然、循環器疾患の重症化の早期発見・予防という観点で、現在、詳細な健診項目として実施させていただいているのですが、心房細動等ということについても評価できますので、こちらにつきましては引き続き、詳細な健診項目として実施してはどうかという御意見を頂きました。
続きまして、血清クレアチニン検査に関してでございますが、クレアチニンに関しましては2つ御意見がございまして、やはり加入者の年齢が比較的高い市町村国保においては、血清クレアチニン検査というのは実施率が上がっているということでございます。一方で、労働安全衛生法に基づく事業主健診における血清クレアチニンというのは、医師が必要と認めた場合には実施することが望ましい項目というのが位置づけになってございます。やはり、このようなことを考えて、70歳まで雇用の延長等々ございますので、年齢層別のリコメンデーション、年齢層に応じてこういう健診があってもいいではないかというような考え方もあってはどうかという御意見が1つでございました。
一方で、血清クレアチニンに基づいて計算されますeGFRについては当然、慢性腎疾患(CKD)の判定で使われるのですけれども、やはりeGFRの値というのは、加齢に伴ってどうしても低下してくるというようなことがございます。ですので、加齢による変化として低下し、CKDと判定される者も一定数は発生するということで、例えば特定健診のそもそもの項目であります血圧、血糖、脂質というものに異常がない方で、CKDと判定された方というのが発生した場合に、メタボ健診・保健指導という枠組みの中で、どういう指導をするのかというような議論が以前からあるということも御紹介いただきました。
また、先ほど申しましたように、血清クレアチニンというのは労働安全衛生法にも当然関連し、事業主健診のこともありますので、慎重に対応を検討してはどうかというような御意見を頂いたと考えてございます。
おめくりいただきまして、このようなことで、先生方に頂きました御意見をまとめましたところ、事務局といたしましては、いわゆる詳細な健診の項目については、当然、生活習慣病の重症化を早期に発見するということで、現行の一定の基準の下、医師が必要と判断した場合に実施するということになってございますが、先生方の御意見をまとめまして、当面は現行の運用を継続してはどうかということで、事務局案としてはまとめさせていただいてございます。
では、1ページおめくりいただきまして、最後に、「新しい健診項目・手技について」でございます。こちらも、前回、岡村先生に御発表いただきました内容をまとめてございます。
まず血液検査からですけれども、BNP、高感度CRP、脂質の詳細検査等についてでございますけれども、こちらについては、ある程度有用な検査であるということは、前向きの研究でも証明されており、循環器疾患の発症との関連の報告があるということでございます。一方で、基幹的な項目であります血圧、脂質、喫煙、糖尿病、こういうもので調整しますと、発症予測能に関してはかなり下がってくるということで、健診の項目として全員に実施する検査としては、少しエビデンスの部分で難しいのではないかという御意見を頂きました。
一方で、ある特定の対象者、いわゆる詳細な健診項目のような方向で考えた場合に、より効果的な検査の対象というものについても、まだエビデンスが乏しいのではないかということで、やはりその方向でも少し考えにくいのかなというような御意見だったかと考えてございます。
続きまして、生理検査でございます。上下肢の脈波伝播速度あるいは血圧比等々につきまして候補として考えられるのですけれども、ハザード比が一般集団では2を超えない程度であるということ。それから、先ほどの基幹項目の血圧、脂質、喫煙、糖尿病等で調整しますと、やはり同様に発症予測能は下がってくるということでございますので、同様に健診の項目として全員に行うという部分では、エビデンスが少し難しいのではないかというふうな御意見であったかと考えてございます。
最後ですけれども、指先採血でございます。非接触型の検査として、指先で採血した場合、これの値がどうかということも厚労科研で検証いただいてございます。健診の場で、通常の採血と同様に指先で採血した場合、これの各検査項目についての相関係数はおおむね0.8から0.9と非常に高いということだったのですけれども、一方で空腹時血糖等は0.7ぐらいで、やはり少し相関が下がるというような項目があるということが確認されました。また、検体の不適切な処理、いわゆる検体をちゃんと処理できていなかったということで、一定数、約2割前後ということで再検査となるケースがあるという問題もあるということでございました。まとめますと、現時点で、いわゆる特定健診で行われております血液検査として実施するのは、少し難しいのではないかと考えられますので、今後、測定精度の改善あるいは検体の処理の簡便化というようなことを踏まえて、検討してはどうかというふうにまとめてございます。
ということで、新しい健診項目・手技につきましても、引き続きエビデンスの収集等を継続し、その上で、様々な観点から検討することとしてはどうかと考えてございます。資料1については、以上でございます。
【岡村主査】 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問、御意見等ありましたらよろしくお願いいたします。
津下参考人、よろしくお願いします。
【津下参考人】 ありがとうございます。少し遅れての参加で申し訳ございません。
先ほど御紹介いただいた、4ページのところでございます。血清クレアチニン検査に関する議論については、労働安全衛生法にも関わるのでという記述がございます。働く人の高齢化、またクレアチニン、eGFRというのは、腎不全だけではなく、心血管イベントのサロゲートマーカーにもなるということも知られておりますので、循環器疾患の労働災害などの防止の観点で、労働安全衛生法の健診についての検討は今後どのようにされていくのかお尋ねしたいと思います。
労働安全衛生法の検診は本検討会のマターではないということは存じ上げた上でなのですけれども、労働安全衛生法の検診と特定健診が連動しているということもありますので、そちらのほうで今後、高齢労働者の増加に伴う循環器疾患等のリスク低減のために、何か方策が検討されるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
【岡村主査】 分かりました。これはあれですか。労働安全衛生部は今日入られていますか。何かコメントなど頂けますか。
【田邉女性の健康推進室長】 先生、また情報の共有をさせていただきますので、すみません。
【岡村主査】 分かりました。何か、視聴だけの状態らしいので、情報を共有させて、意見をお伝えさせていただきます。ありがとうございます。
【津下参考人】 ありがとうございます。
【岡村主査】 ほかにございますでしょうか。綿田構成員、よろしくお願いします。
【綿田構成員】 全く、資料に関して、そのとおりだと思うのですが、1点だけ、資料としてというのは、6ページのところでハザード比と書いてあるんですけど、何のハザード比かというのは書かれたほうが、恐らく資料としてはいいのかなと思いました。
【岡村主査】 ありがとうございます。これは、脳心血管疾患発症・死亡のハザード比になります。
【綿田構成員】 多分そうだと思うんですけど。
【岡村主査】 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
だから、健診項目については大体、前回の状況を踏まえてということで、クレアチニンのほうは労安でまた検討してくださいということの申し送りということと、それから項目については、これはなかなか変えられそうで変えられないという状態がずっと続いていて、こちらもじくじたる思いがやっぱりあるわけですけれども、エビデンスをどういうふうに積み重ねるかということです。当初やっぱり議論が出てきた、費用対効果をどうしていくかみたいな話と、これは、そうですね、保険者に義務づけられている健診なので、その辺のエビデンスをしっかりで積み上げていくべきではないかという御意見だったと思うので、そうは言いながら、もう10年を過ぎてしまっている状態なので、ちょっとそろそろ、次の次には、ある程度、抜本的に見直さなければいけない時期に来ているだろうなということで、そういう議論がなされたということを検討会に申し送る感じになるかと思いますけれども、よろしゅうございましょうか。
【室原構成員】 すみません。1点だけちょっと。
【岡村主査】 室原構成員、お願いします。
【室原構成員】 申し訳ございません。最初の中性脂肪のところで、空腹時の定義ですね。食後何時間以内は随時で、空腹時というのは食後何時間以降とか、そういうのはもう決まっているのでしょうか。
【岡村主査】 これは、2つ一致していまして、特定健診で随時血糖・空腹時血糖を取るときが12時間となっております。それから、動脈硬化のガイドラインでも12時間となっておりますので、基本的にはそれと合わせる形に恐らくなるので、特定健診はとにかく、空腹時血糖のほうの特定健診の基準と合わせるというのが一番、混乱がないということと、学会のガイドラインもそれと合っていますのでということになるかと思います。
【室原構成員】 分かりました。どうもありがとうございます。
【岡村主査】 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
津下構成員、よろしくお願いします。
【津下参考人】 津下です。よろしくお願いします。先ほどの空腹時血糖なのですけれど、食後4時間は非常に血糖変動が激しいので3.5時間以内は使わないということになっていたと思うんですけど、それと同じ扱いということでいいんですか。
【岡村主査】 中性脂肪は12時間の空腹だけを使うことになると思います。
【津下参考人】 随時中性脂肪のほうは。
【岡村主査】 はい。
【津下参考人】 血糖は、随時でも3.5時間以内は、随時の値が使えないのではないかという話があったと思うのですが。
【田邉女性の健康推進室長】 先生、事務局でございます。随時に関しましても血糖と同じような取扱いを、現場の混乱が生じないように、同様に並びでというふうに考えてございます。
【津下参考人】 ありがとうございました。
【岡村主査】 よろしいでしょうか。
それでは、健診項目については、ここで議論を閉じたいと思います。どうもありがとうございました。
次に、議題2つ目の受診勧奨判定値のほうに移りたいと思います。まず資料2については、厚生労働科学研究の研究班を代表いたしまして、平田参考人より説明をしてもらいたいと思います。それでは、資料2に基づいて、説明をよろしくお願いいたします。
【平田参考人】 慶応大学の平田です。よろしくお願いいたします。
私からは、フィードバック文例集の血圧・脂質・血糖に関する対応分類に関しまして、そして受診勧奨判定値以上における服薬状況を、NDBを用いて分析いたしましたので、その状況について御報告いたします。
まず、血圧高値に関するフィードバック文例集をお示ししております。こちらは、受診勧奨判定値、収縮期血圧140、拡張期血圧90以上となっておりまして、140から160、拡張期が90から100未満の場合には、生活習慣を改善する努力をした上で、数値が改善しないならば医療機関の受診をという記載になっております。一方で、収縮期血圧が160以上、または拡張期血圧が100以上の場合には、すぐに医療機関の受診をということで推奨されております。
こちらは2019年高血圧治療ガイドラインの高血圧の診断基準といたしましてⅠ度高血圧以上、こちらの判定値が、収縮期血圧140以上、拡張期血圧が90以上ということで、先ほどの受診勧奨判定値と一致したものになっております。
こちらは、それらの血圧の分類におけるリスクの層別化ということですけれども、循環器疾患に関しましては、血圧だけでなく、年齢や性別、また脂質異常、喫煙など、複数リスクがございますため、そちらを包括したリスクの層別化が必要となってまいります。こちらにお示ししております、例えばⅠ度高血圧に関しましては、リスクが全くない場合には低リスクと定義されており、ほかにリスクが何らかある場合には中等リスク以上と定められております。一方で、先ほどすぐに医療機関受診をと記載のあった値、収縮期で160以上、拡張期で100以上の場合には、中等リスク以上が定義されております。
そして、各リスクにおける管理目標、管理の計画につきましても、高血圧である場合に、まずは生活習慣の修正、非薬物療法として修正を行った上で、さらに高リスクであった場合には直ちに薬物治療をということになっており、低リスク・中等リスクの場合には、1か月経過観察した後に、降圧がなければ薬物療法も含めて考慮するといった流れになっております。
次に、脂質異常に関してです。脂質の値の受診勧奨判定値は、LDLで140以上、中性脂肪で300以上となっています。そして、LDLが180を超える場合、または中性脂肪が500を超える場合には、すぐに医療機関の受診をといった記載になっております。これらの値は複数の疫学研究の結果に基づいて設定されたものとなっております。
脂質異常の診断基準値ですけれども、高LDLコレステロール血症の判定値としまして140以上が定められております。こちらは受診勧奨判定値と一致したものとなっております。
脂質に関しましても、先ほどの血圧のリスクの層別化と同様に、やはり、その他のリスク因子を考慮した上での脂質管理が必要となってまいりますので、こちらは先日公表されたガイドラインに載っておりました久山町スコアというものですけれども、リスク因子として、性別、収縮期血圧、そして糖代謝異常、またLDLのそれぞれの値、HDL、喫煙の有無といったものを全て加算して、ポイントにしてリスクを層別化するといった流れになっております。
そこで分類された低リスク・中リスク・高リスクそれぞれに対して、例えば低リスクですとLDLの管理目標値が160未満、中リスクですと140未満、高リスクですとさらに低い値が設定されておりまして、120未満。さらに高リスクで、糖尿病、PADや細小血管障害、合併がある、または喫煙がある場合には、100未満といった数値が提起されております。
次に、血糖高値に関するフィードバック文例集をお示ししております。こちらは、受診勧奨判定値としましては、空腹時血糖、こちらの「随時」というのは、先ほどお話がありましたけれども、食後3.5時間未満を除くものになりますが、それが126以上あるいはHbA1cが6.5以上の場合に、これは血圧や脂質とはまた違った記載となっておりまして、治療しているか、していないかというところで対応が分かれております。治療されている場合には、健診受診の継続と、血糖コントロールについての確認・相談。受診・治療していない場合には、定期的に医療機関を受診していない場合はすぐに医療機関を受診するよう推奨されております。
先ほどの基準値、判定値ですけれども、こちらは糖尿病診療ガイドラインに記載されております糖尿病型の基準と合致したものとなっております。ただ、こちらに関しましても、いずれかあればすぐに糖尿病と判定されるわけではありません。血糖値とA1cがともに糖尿型の場合は糖尿病と診断されますけれども、特にA1cだけが糖尿病型の場合には、さらに1か月以内の再検査で血糖値も糖尿病型を示すというところが診断基準になっております。
血糖コントロールの目標値に関しましても、先ほどの血圧や脂質と同様に、年齢や罹病期間、その他の健康状態、リスク状態を考慮した上での目標値がそれぞれ定められております。また高齢者については、成人よりもやや高めの値でコントロール目標値が定められております。
このように、受診勧奨判定値と関連学会の要医療基準についてまとめますと、現在の関連学会における治療基準、つまり管理基準値というのは、循環器疾患に関する複数のリスク因子というのを考慮した包括的なリスク評価に基づいているため、単純に検査値の大小のみで決定されているわけではありません。一方、特定健診の受診勧奨判定値やフィードバック文例集の基準値というのは、その管理目標値というよりも診断基準に準拠しているものとなります。このように、診断基準と管理目標値というのは意義として異なっておりますし、特に受診勧奨判定値は管理目標値ではないために、すぐに必ずしも治療を開始するというものではないのですけれども、現場ではまだ十分に理解されていないということが考えられますので、今後の対策としましては、現場の混乱が少ない範囲で、現状の受診勧奨判定値、またフィードバック文例集の基準値や記載などを改訂しながら、かかりつけ医の先生の適切なゲートキーパーとしての機能を維持するべきと考えております。
続きまして、先ほどお示しした、血圧・脂質・血糖の受診勧奨判定値以上における服薬状況を把握するために、NDBの2018年度特定健診情報を用いて、それらの受診勧奨判定値以上における服薬状況を分析いたしました。こちらは、収縮期血圧、拡張期血圧、A1c、空腹時血糖、LDLコレステロールについて、非肥満/肥満別、男女別、年齢5歳階級別に分析を行いました。
まず、こちらは収縮期血圧の結果です。上に男性、下に女性、そしてそれぞれの血圧、全て受診勧奨判定値以上のものをお示ししております。そして、非肥満/肥満者、それぞれにおける服薬割合を年齢別にお示ししております。まず40歳から44歳では、収縮期血圧が180以上の場合においても、例えば男性の非肥満における服薬割合は約14%、肥満者における服薬割合は約18%程度にとどまっております。女性に関してはそれよりも服薬割合は低いという状況が見て取れます。そして、年齢が上がるにつれて服薬の割合は上昇しておりますけれども、最も服薬者の割合が多い70歳から74歳の層では、例えば男性140から160未満で、非肥満者における服薬割合が46%、肥満者における服薬割合が63%、女性でもほぼ同様な値となっております。
こちらは拡張期血圧です。こちらは、収縮期血圧で分けた場合よりも、全体的に服薬割合が少し低くなっておりますけれども、傾向としてはほぼ同様です。
次に、LDLコレステロールです。LDLコレステロールは、先ほどの血圧よりも随分、服薬割合が低いということが分かります。例えば、40歳から44歳、LDLが180以上の場合においても、非肥満者における服薬割合が2.7%、肥満者では3.8%、女性においても、それぞれ2.4%、3.2%といった割合です。こちらも年齢とともに服薬割合は増えておりますけれども、70歳から74歳において、こちらは男性の180以上、非肥満者では8%、肥満者では12.3%、女性ではそれぞれ9.7%、14.2%といった割合になっています。
次に血糖指標ですけれども、こちらは空腹時血糖の結果です。血糖値に関しましては、血圧や脂質よりも全体的に服薬割合が高いものとなっています。例えば40歳から44歳のところでは、男性で126から160未満の層で、非肥満者における服薬割合が約30%、肥満者では35%。女性でも、ほぼ同様の割合になっています。こちらも年齢とともに服薬割合は増加しておりまして、70歳から74歳では、例えば男性の126から160未満で、非肥満者における服薬割合が約55%、肥満者では54%。女性でもほぼ同様の割合になっております。
HbA1cにつきましても、血糖値とほぼ同様の傾向を示しております。
これらのNDBの分析結果をまとめますと、血糖指標が受診勧奨判定値以上における年齢階級別の服薬割合は約30から70%、血圧では10%から60%、そしてLDLコレステロールでは1から20%程度でありました。
そして、血圧、脂質、血糖のいずれにおいても、非肥満者よりも肥満者で比較的服薬割合が高く、また年齢層が高くなるにつれて、その服薬割合が増加しているということが、結果からは示されました。
私からは以上です。
【岡村主査】 ありがとうございました。ただいまの平田参考人からの報告につきまして、質問、コメント等がありましたら、よろしくお願いいたします。
津下参考人、よろしくお願いします。
【津下参考人】 ありがとうございます。後半のNDBとの関連、分析の結果を興味深く拝聴しました。
肥満者における服薬割合が非肥満より高くなっているところなのですけれど、肥満のほうがメタボということで危機感があるかもしれないし、もう一方、肥満者のほうがリスクの重複が多くて、診断基準に従っていくと、2項目、3項目、重なっている人が多いためとも考えられます。リスクの重複の面から見るとどうなのかなという質問が1点です。
それから、これは質問票の服薬状況と照らし合わせたということになるので、実際の服薬について、例えばレセプトでの薬剤の使用状況と質問票での回答状況のずれというのが糖尿病は少ないのだけれども、例えば脂質の薬だと、本人があまり認知していない場合もあるということで、この辺りはどうなのかというのが2点目です。
それから3点目は、検査値が低過ぎる人に服薬しているのも危険ではないかという話もありますので、例えば今回は受診勧奨判定値以上の方を対象にしていますけれども、例えば低い値でも服薬している人の割合などはどうなっているのか。その辺りも含めて全体像が分かると、よりいいかなと思ったんですけど、その3点、質問です。
【平田参考人】 ありがとうございます。
1点目につきましては、非肥満者のほうで服薬が多いというところでしたけれども、先生のおっしゃるように、確かに恐らくリスクの重複がとても多いので、結果的に受診しているというところもありますし、こちらは横断の結果ですので、前年度の受診勧奨の状況というのは反映していない可能性はありますけれども、少し前向きに考えますと、例えば肥満者でリスクを保有している場合ですと前年度に保健指導を受けている可能性がありますので、そちらでお声がけいただいて、結果的に翌年度の受診につながっている可能性も考えられるように思っております。
2点目の御質問ですけれども、申し訳ありません。もう一度。
【津下参考人】 質問票での服薬確認と、レセプトのずれがある点です。
【平田参考人】 ありがとうございます。そうですね。恐らく、こちらも先生のおっしゃるように、過去の先行研究でありますけれども、糖尿病とか血圧は、何の薬を飲んでいるのか御本人も意識されているので、質問票の回答が実際の服薬状況に対して感度・特異度ともにかなり高いのですけれども、脂質の場合は、何の薬を飲んでいるのか、自覚が少し薄い場合がございますので、確かにそういった実際上とのずれが、LDLコレステロールの服薬状況に関してはある可能性も考えております。
3点目につきましては、分析としましては、受診勧奨判定値未満につきまして分析いたしました。具体的な数値は忘れてしまったのですけれども、受診勧奨判定値以上よりは、全体的に服薬割合は低くなっておりました。
【津下参考人】 ありがとうございました。
【岡村主査】 よろしいでしょうか。それで、これは多分、数値の下のほうも全部、服薬率は出しているのですが、逆に言うと、元の値がどのぐらいだったか分からないと、若干、情報が多くなるということで、今回はスペースの関係もあってこういう示し方ということになるかと思います。
ほかにございますでしょうか。
これを見まして、高いところで多分、2つの考え方があって、こんなに高いのに服薬していないんだという見方と、それからまた飲んでいるのに、何でこんなに高いんだという見方と、多分2つが恐らくできて、どちらの側面から見てもそれぞれ問題点がありそうだというところが出てきているわけです。ただし、1回だけの検査結果で治療を開始したりしないので、普通は何回か診て、例えば血圧などだと白衣性で上がっているとか測定慣れしていない人とかもいらっしゃったりとか、いろいろあるので、なかなかワンポイントだけで、特に若い人のところは評価が難しいかなという気はしてはおります。
ほかにございますでしょうか。
それでは、実態としてこういうところでということで、これは現行のフィードバック文例集と、最新の学会のガイドラインの判定がどうなっているかが、まとまった形になっておりますので、また見ていただければと思います。それで、数値だけでなかなか治療基準が今決まっていないというのがあって、数値が大きければ単純に受診勧奨するという治療基準ではなくて、将来のイベントがどうなるかみたいなことを考えて、それぞれ皆、学会の基準がつくられているところになるので、なかなかシンプルに持っていくのが難しいなということです。どちらかというと診断基準のほうを参考にしてつくられているのではないかというのが、平田参考人からの意見だったかと思います。
それでは、ここは次に移らせていただきまして、続きまして、協会けんぽにおける受診勧奨の取組についてということで御紹介いただきたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。
【安田構成員】 協会けんぽの安田でございます。私から、協会けんぽにおける未治療者に対する受診勧奨について御説明を差し上げたいと思います。このような機会を設けていただきまして、ありがとうございます。
まず、おめくりいただきまして、目次でございます。保健事業の実施方針と、現在の未治療者に対する受診勧奨、そして今年の10月から、LDLコレステロール値を含めた受診勧奨を行いますので、そちらについて御紹介をさせていただきたいと思います。
1ページめくっていただいて3ページでございます。こちらは、「保険者機能強化アクションプラン(第5期)における保健事業の実施方針」です。この保険者機能強化アクションプランというのは、3年の中期計画のことで、今回は、保健事業の部分だけを抜き出して示させていただきます。なお、第5期というのは、令和3年度から令和5年度までの3か年をお示ししております。
1つ目の丸のところで、平成30年度から、6か年計画である第2期保健事業実施計画をスタートしており、第5期アクションプランの期間と重なる後半3年間についても、引き続き、「特定健診・特定保健指導の推進」、「重症化予防の対策」、「コラボヘルスの推進」の三本柱で取り組むとしております。その下の丸のところでございますが、それについて、保健事業については「10の重点事項」というのを定めて、今回取り組むとしたところでございます。
本日御説明させていただく重症化予防につきましては、左の下の赤い字のところで、「取組⑦」というところに書いてございます。これの2行目になりますが、従来のメタボリックシンドローム対策としての未治療者への受診勧奨を確実に実施するとともに、現役世代の循環器疾患の重症化予防対策として、LDLコレステロール値など血圧値や血糖値以外の検査値等に着目した受診勧奨の必要性の検討を実施するということを、この3年間で定めたところでございます。
おめくりいただけますでしょうか。現在の未治療者に対する受診勧奨でございます。1「目的」のところは省かせていただきまして、2「開始時期」でございます。平成25年度より順次開始いたしまして、平成28年度からは全ての支部で取り組んでいるところでございます。
3「実施方法」でございます。対象といたしましては、生活習慣病予防健診を受診し、血圧・血糖値が要治療と判定され、健診前月及び健診後3か月までに医療機関を受診していない被保険者になっております。生活習慣病予防健診というのは、協会で独自に定めた特定健診にがん検診を加えた健診の名称でございます。ですので、こちらについては、被保険者が対象となります。
その下、「実施方法」でございますが、本部において一次勧奨を実施し、このうち、より重症域にある者について各支部で二次勧奨を実施していく形の2段構えになっております。
その下のところでございます。一次勧奨、二次勧奨の基準値でございます。一次勧奨については引き続き、収縮期血糖が160mmHg以上、拡張期が100mmHg以上、空腹時血糖が126mg/dL以上、ヘモグロビンA1cにつきましては6.5%以上と決めております。二次勧奨については、下に書いてあるとおりでございます。
この数値となった根拠でございますが、次のページに行っていただけますでしょうか。一番下のところに、上の(4)の下の箱の中の一番下のところが、「協会けんぽにおける一次勧奨域」と書いております。先ほどの数値と同じでございます。160mmHg以上、100mmHg以上、126mg/dL以上、6.5%以上と並んでいますが、その上のところ、すぐ一番上の欄には、「標準的な健診・保健指導プログラム」の受診勧奨判定値というところで、140mmHg以上、90mmHg以上、126mg/dL以上、6.5%以上と並んでいます。協会ではその下のところ、「標準的な健診・保健指導プログラム」の中で「すぐに医療機関の受診」となっている、160mmHg以上、100mmHg以上、126mg/dL以上、6.5%以上という数字を採用しております。
その下のところでございます。二次勧奨域についてでございます。こちらにつきましては、収縮期血圧が180mmHg以上、拡張期血圧が110mmHg以上、空腹時血糖160mg/dL以上、ヘモグロビンA1cが8.4%以上となっております。この基準につきましては、血圧につきましてはⅢ度高血圧の判定値、血糖値につきましては「糖尿病治療ガイド2004-2005」の中における「血糖コントロール指標と評価」が「不可」の値を採用しているところでございます。
次のページでございます。これが、具体的に協会けんぽから加入者の皆様にお届けしている通知文書の例でございます。これが、はがき大の大きさになりますが、ちょうど真ん中のところで折れておりまして、圧着式になっております。真ん中が見えないようになっておりますけれども、開いていただくと、このように見えるという形でございます。これを、対象者の皆様には送っています。
次のページでございます。これが、現在の受診勧奨に対する全体のフロー図になります。一番下のところを見ていただけますでしょうか。生活習慣病予防健診受診者数は、令和元年度でいきますと970万人程度の方であります。そのうち血糖・血圧高値の者につきましては、85万5,733人。そのうち、この中で、先ほど言いました健診前1か月・健診後3か月以内に受診がなかった方につきましては、右のほう、血圧・血糖高値の未治療者の方、38万2,406人。そのうちの一次勧奨につきましては、イコールの数字になります。その中で、再掲になりますけれども二次勧奨対象となるのが9万6,354人となっております。上のほうの図は、協会から毎月受診勧奨のはがきを送らせていただき、その後、支部から電話・文書等の二次勧奨を9万6,354人に行っていくという形になります。
その右のところでございます。受診者数6万1,740人、受診率は16.1%となっております。これは、受診勧奨後6か月以内、6か月の数字でございますので、トータルで、もともと受診勧奨とされた85万5,733人のうちから、47万人相当の方は受診されていますけれども、この方と合わせると、トータルで62.5%の方が受診されているという形になります。
次のページでございます。これは、LDLコレステロール値を含めた受診勧奨についての御説明でございます。先ほど申し上げたとおり、今期はアクションプランの中で、現役世代の循環器疾患の重症化予防対策として、LDLコレステロール値などの検査値等に着目した受診勧奨の必要性を検討の上、実施すると決めております。
健康日本21の平成25年から令和4年のところにおいても、下のほうにある、4つの危険因子の低減として、高血圧、脂質異常症、喫煙、糖尿病となっております。協会では、高血圧と糖尿病についてはもう既に受診勧奨しているので、さらに脂質異常症のLDLコレステロール値に着目して受診勧奨をすることとしました。
次のページ、9ページでございます。LDLコレステロールを加えた場合に、受診勧奨対象者を、どう選定するかというところでございます。一次勧奨の対象といたしましては、その下のところでございますが、LDLコレステロール値180mg/dL以上の者であり、かつ、記載が漏れておりますが、健診前1か月と健診受診後3か月以内に医療機関を受診していない者ということになります。対象といたしましては、39万3,000人程度を見込んでいるところでございます。
その下のところでございます。LDLコレステロール値180mg/dL以上の根拠としましては、先ほどからのところでも少し述べさせていただきましたが、「標準的な健診・保健指導プログラム」において、「すぐ受診」となっているところでございます。もう一つは、「脂質異常症診療ガイド2018版」において、「専門医などへの紹介の必要性の判断」する値。その下が、「動脈硬化症疾患予防ガイドライン2017年版」の中で「薬物治療を考慮」する値になっております。
次のページでございます。指導を行う二次勧奨についてどのように決めるかということでございますが、LDLコレステロールにつきましては、先ほど申し上げたように、血圧のコントロール不可であるとか、血糖値のほうでコントロール不可であるとか、Ⅲ度高血圧症というような明確な基準がありませんので、今回につきましては重なりというものに着目することといたしました。①、②、③は全て一次勧奨域の数字でございます。①・②、①・③、②・③、どれかが重なることに対して受診勧奨を行うと定めたところでございます。対象としましては、6万1,004人となっております。ただし、この6万1,000人の中には、既に血圧・血糖で受診勧奨の対象になっていらっしゃる方なども重複して含まれているところでございます。
その下のところの、リスクの重なりにつきましては、吹田スコアを使わせていただいております。
次のページでございます。今年の1月に有識者会議を開催させていただきました。ここの中で、一次勧奨及び二次勧奨の対象者の選定方法について、その妥当性を有識者に諮ることを目的として会議を開催し、了承を得たところでございます。有識者会議のメンバーは、下記の皆様でございます。
次のページでございます。これは、LDLコレステロール値180mg/dL以上の未治療者の内訳でございます。34万1,565人は単独でLDLで未治療者の方がいらっしゃる。その上の赤いところ、緑色のところにつきましては、重なりのところでございますが、説明は省略させていただきたいと思います。
次の13ページでございます。今後、LDLコレステロール値を含めた場合の未治療者に対する受診勧奨の全体フローでございます。また、一番下のところを見ていただけますでしょうか。健診受診者数、令和元年度を例に取りました。ここの数字は変わらないです。血圧・血糖・脂質の高値の者につきましては134万2,202人になり、血圧・血糖・脂質未治療者につきましては72万3,971人になるということで、これは一次勧奨としては34万1,565人増え、二次勧奨といたしましては、4万3,375人増えると想定しています。これが、本年10月から協会が取り組む、LDLコレステロール値を含めた受診勧奨のフローになります。
私からの説明は以上になります。
【岡村主査】 ありがとうございました。ただいまの説明に対しまして、質問、コメント等がありましたら、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
これも受診勧奨……、田中構成員、よろしくお願いいたします。
【田中構成員】 詳細な御報告をありがとうございました。とても参考になりました。
私が聞き逃したのかもしれないのですけれども、もし分かれば教えていただきたいなと思うのですが、これは、25年度から受診勧奨を全国展開とありますが、今日ここでお示しいただいているのが元年のところのデータだと思うのですけれど、例えば受診の実績などというのはほぼこれぐらいだと、ほかの年度もこのぐらいだと考えていてよろしいでしょうか。
【安田構成員】 受診勧奨の受診率のお話でよろしかったでしょうか。
受診率につきましては、開始当初から少しずつ上がっておったのですけれども、実は2年度・3年度につきましてはコロナの影響があり、受診勧奨に関する受診率は少し落ちているというところでございます。
【田中構成員】 ありがとうございます。やはり影響があったということですね。
【安田構成員】 はい。
【田中構成員】 ありがとうございました。
【岡村主査】 だから、7ページは令和元年度の実績ですね。
【安田構成員】 そうです。
【岡村主査】 ほかにございますでしょうか。綿田構成員、よろしくお願いいたします。
【綿田構成員】 内容に関しては全く問題ないんですけど、ちょっと御質問だけさせてもらいたいんですけど、ヘモグロビンA1cというのは、NGSP値というのを、健診ではまだ入れているのでしたっけ。それから、あともう一点が、おっしゃるとおり、ヘモグロビンA1c高値の8.4%以上というのは、2004年から5年の糖尿病治療ガイドに載っていたのですが、血糖コントロール目標を優・良・可・不可と言うことが非常に上から目線だということで、8.4以上は不可などという文言は取り下げているというのが、今の糖尿病学会の立場だということだけ、ちょっとコメントさせてください。以上です。
【岡村主査】 ありがとうございます。NGSPは、ずっと前からの経過を見るために多分、整理上入っているのだと私は理解しております。それで、糖の基準のほうは、安田構成員、何かありますか。
【安田構成員】 すみません。もう一度お願いします。
【岡村主査】 血糖値の二次勧奨のほうの基準ですけれども、そちらのほうは、今あまり使われていない表現だというようなことで、今、御指摘いただいたのですが、そこはどうでしょうか。
【安田構成員】 先ほどの血糖値の一次勧奨のものを見ていただくと、6ページのところなのですが、加入者に対してはこのような形でお知らせをしておりますので、不可とか、そういう表現は使っていません。これで回答になっていましたでしょうか。
【綿田構成員】 ありがとうございます。二次勧奨の皆様はあくまでも以前のものでということで理解いたしました。ありがとうございます。
【岡村主査】 津下参考人、よろしくお願いいたします。
【津下参考人】 ありがとうございます。受診勧奨について、システマティックに対応を取るというのは保険者として非常に重要だろうと思いますので、このような整理をしていただくと分かりやすいなと思っています。
質問なのですけれども、一次勧奨は本部で一律にばっと送るということで実施されていて、この二次勧奨との間のタイムラグはどうかという点です。それで、1つは、一次勧奨を実施して、一次勧奨だけでどのぐらいの人が受診につながったかとか、さらに電話・文書など支部ごとの行動で、一次で行かなかった人の中で何%動いたかとか、そういうことは分かりますか。追加的に行うことについての評価、それから毎年毎年受診勧奨該当になる方と、今回初めてなった方とではちょっと受け止めが違うのかもしれないので、その辺について何か御検討されていることがあるかという点を伺いたいのですけれど。
【安田構成員】 津下構成員の直接の回答になるかどうか分からないのですけれども、令和2年度版のところで見てみると、事業報告などで、私のほうでお話をさせていただいているところですと、一次勧奨後3か月以内で受診された方は12.9%ある。ただし、一次勧奨文書発送後6か月以内で見ると16.1%あったということになりますので、ここの16.1%と12.9%の中には、時期がずれてしまったという方もいらっしゃいますし、二次勧奨のほうを見て実際に受診につながったという方もいらっしゃるかと考えております。厳密な意味で、一次勧奨でどれだけ受けた、二次勧奨でどれだけ受けたというのは、そこまで厳密な分析は行っていないところでございます。
また、定例的にずっと受けていらっしゃらない方についてどのような対応というお話だったと思うのですが、こちらにつきましては今の段階では、そこまでの受診勧奨に至っていないというところでございます。
以上でございます。
【津下参考人】 ありがとうございました。
【岡村主査】 ありがとうございます。今のもまた、連続でやっている人とそうではない人で違いなどというのも非常に重要な視点なのです。この人数なので、ちょっとやそっとでぱっと集計はできないと思うんですけど、ぜひ検討いただければと思います。ありがとうございました。
ほかに何かございますでしょうか。杉田構成員、よろしくお願いします。
【杉田副主査】 ありがとうございます。今、津下先生から御質問いただいた内容は私もとても気になっていたので、御質問いただいてありがとうございます。
プラスの質問になると思うのですが、二次勧奨になると、各支部ごとのオリジナリティーというか、何かアプローチの違いがあって、差があるということを把握しておられたら、ぜひ教えていただきたいということが1点。それと、やはり二次勧奨の対象者は大分、心配な方たちだと思うんです。それで、その先の受診率を見ると、決して高くはないので、その後にさらに何か、例えば電話をかけるとか、訪問するとか、その先の何かアプローチをしているのであれば教えていただきたいというのが2点目になります。よろしくお願いします。
【岡村主査】 よろしくお願いします。
【安田構成員】 今、御質問があった、支部によってどれだけオリジナリティーになったことをやっているかということですが、これにつきましては、本部からは文書を全国一斉に送っていますが、支部においては電話をかけたり、あるいは当然、文書を送るというようなこと、あるいは訪問するところもございます。ここは、支部の規模とか、できる範囲内ということで考えているところでございます。
【杉田副主査】 ありがとうございます。そうすると、やはり、はがきを出すだけではなくて、そうやって直接的なお電話なり訪問なりをしているということで、何かプラスのアクションがあることによって受診率に違いが出てきているみたいな。そういうところまで把握されておられますか。
【安田構成員】 厳密にどの施策が効いたかというところは把握していませんが、ただ、もう一つあるのは、支部からも1回だけ送るのではなく、もう何回か送るという手は、効果があると認識しております。それが電話になるのか、あるいは文書プラス電話になるのか、文書・文書になるのかとか、いろんなことがあると思います。全国一律にどういうやり方がいいのかというのは、我々としては判断しかねるところでございます。
【杉田副主査】 分かりました。御説明ありがとうございます。以上となります。
【岡村主査】 ありがとうございました。ほかに何かございますか。
それでは、ありがとうございました。
それでは、資料4に移りまして、受診勧奨判定値のほうに移りたいと思います。それでは説明をよろしくお願いいたします。
【田邉女性の健康推進室長】 事務局でございます。では、資料4番「受診勧奨判定値について」というものを御覧ください。
1ページおめくりいただきまして、最初のページは前回の資料の再掲でございます。受診勧奨判定値は、各学会のガイドライン等々に基づいて、今このような感じで一覧にさせていただいておりますということでございます。
おめくりいただきまして、前回、先生方に受診勧奨判定値につきまして御議論いただきました内容をまとめてございます。
まず1点目でございますけれども、特定健診・特定保健指導の制度の中で、受診勧奨判定値、また保健指導判定値というものを決めているのですけれども、やはり制度改正のタイミングで今回のように見直しを行いますので、なかなかタイムリーに変えるというのは難しいという現状がございます。一方で、学会のガイドラインというものは当然、エビデンスがございましたら随時更新され、また医療現場は当然ガイドラインにのっとって治療を進めるということで、その齟齬を埋めるために、そもそもフィードバック文例集というものができたという経緯がございます。ですので、当然、血圧につきましても、受診勧奨判定値は140ですけれども、140と160、180の方へは当然、治療法または経過観察等も異なりますので、そういうことについてフィードバック文例集を御参考にいただければということなのですけれども、当然、医師会の先生方あるいはかかりつけ医の先生、また健診や自治体の保健事業に関わっている先生方というのは、この辺りはよく御存じだと思うのですが、いわゆる特定機能病院等の大病院を受診した場合に、どうしても医療機関側と受診者の間で、指導方針、いわゆる生活習慣の改善等々につきましては、見解が違うというような可能性が生じるという御指摘がございました。
そういうことで、どういう目的でどのような医療機関を選択するかということが、その後の医療機関での円滑な治療等を含めた対応につながるということも、こういうストーリーも考えた上で受診勧奨あるいは保健指導というのをやっていくのが重要であるという御意見を頂いてございます。
また、現場からの御意見としまして、言葉の行き違いというのはやっぱり起こっている可能性があるということで、医療機関側にしても、整理をして適切な方向性を出していくということが必要であるという御意見も頂いてございます。そういうことで、フィードバック文例集をどのように参考にしていただいて、忙しい現場で活用していただくのかということについて、しっかり改訂等をしていく、変えていくということが必要ではないかという御意見を頂きました。
最後のところは少しニュアンスが変わるのですけれども、産業医の先生方について頂いたコメントを書いてございます。産業医の先生方はどうしても、労働災害あるいはメンタルヘルス、就業制限等々が必要な労働者への対応がお忙しいということで、どうしても保健指導に使える時間は少ないというような御報告もございます。ですので、医療機関の受診は必要ないと説明されて、その後に特定保健指導等の連絡が来た場合に、どうしてもトラブルのようなことが少なくはないということで、産業医の先生方に、受診勧奨だけではなくて保健指導ということについても、お忙しいと思いますが、少し御留意いただければというところで、書かせていただいてございます。
おめくりいただきまして、フィードバック文例集についての記載の仕方をどのように変えて、現場で使いやすいようにしていくかという点でございますが、まず、これも受診勧奨判定値を超えるレベルの場合に、直ちに服薬等の治療が開始されるというような誤解を防ぐ必要があるというのが1点ございます。また併せて、この一覧表だけではなくて、フィードバック文例集に丁寧に書いてございますので、こちらを何とか参考に活用していただくようにというようなことができないかということでございます。
赤字のほうで、まず上の受診勧奨判定値のところに、このレベルを超える場合というのは、再検査あるいは生活習慣の改善の指導ということを含めて、一応、医療機関で診ていただいて、管理が必要な場合があるというようなことを書き加えてございます。一番下のところには、当然、健診受診者の方に対応する場合にフィードバック文例集を御参考くださいということなのですけれども、この一覧表に書いただけでもなかなか難しいと思いますので、次のページをおめくりいただきまして、このページ自体の構成を見直して、このような感じで、見開きの1ページで、もう取りあえずこのページを御参考にまずしてくださいという中の、保健指導を担当される方に向けたメッセージを出せればと考えてございます。
先ほどの一覧表での受診勧奨判定値に加えまして、フィードバック文例集では、その受診勧奨の判定値を超えた場合のレベルに応じて、すぐに病院に行ったほうがいい場合、それから生活習慣の改善をした上で病院に行く場合、まずは生活習慣の改善からトライしていただく場合と、それぞれ値によって変わっておりますので、その辺りを、なるべく一目見て分かるような形にさせていただいて、こちらを参考にしていただいて、判定値を超えるから病院に行ってくださいのみではなくて、値によって、いろんな対応があり、その値に応じた御対応をお願いしますというようなことのメッセージを出していければと考えてございます。こちらに関しては、主に保健指導をもちろん担当していただく方への、アプローチになるかなと考えてございます。
次のページを見ていただきまして、一方で病院を受診される方、また実際に医療機関で御対応いただく先生方に対しても、何らかの情報を御提供できればと考えてございます。医療機関を受診される場合、いわゆる紹介状的なもの、医療機関に持参する文書を大体持っていくことが多いかと思うのですけれども、そのひな形といいますか、イメージというものを御用意させていただいてございます。この中で、例えばあなたはヘモグロビンA1cが6.0から6.4ですよというところで肥満がある場合には、まず生活習慣の改善というようなことが、現在のフィードバック文例集にも書いてございますので、この辺りに印か何かをつけて、あなたはここに当てはまっていますよと。またガイドラインも同時に示して、こういうものをまず御本人に見ていただくということで、病院に行く、医療機関の受診が必要な場合だけれども、まずは生活習慣の改善から図るのかというところから、少し自分の状態及び必要な対応について御理解いただけるかなと考えてございます。
また、こちらのようなものを御持参いただければ、当然、診察のときに先生方も御覧になりますので、その方が来られたそもそもの目的といいますか、このような範囲でどういう介入が必要だから受診したのかということを情報共有できるかなということで、医療機関側と受診させる方の間の情報共有、また見解の相違等を少しでも少なくするというようなことに貢献できればと考えてございます。
ですので、こういうものを持参していただいて、まずかかりつけ医の先生に御相談いただいて、今後の治療法について御相談いただくということについて文例集等で示した上で、またイメージのようなものを用意させていただいて、こちらについては、受診される方、それから医療機関の先生方について、少しでも情報提供できればというようなことで、フィードバック文例集の改善の方向を考えてございます。
事務局からは以上でございます。
【岡村主査】 ありがとうございました。これは、5ページと6ページのフィードバック文例集が右側に行っているものとか、最後の結果返しのページはイメージで、こんな方向でつくりましたけど、これで決定しますということではなくて、これから、これはつくっていくということですね。
【田邉女性の健康推進室長】 はい、もちろんでございます。
【岡村主査】 なので、こういう方向でやっていっていいかということと、それから、この数値の部分ですね。受診勧奨判定値の、これは4ページのところですけど。それについては、ある程度ここで議論しておく必要があるということで理解していますけど、そういう形でよろしいですね。それを踏まえまして……、小松原構成員、よろしくお願いします。
【小松原構成員】 フィードバック文例集の活用は、健保連も支持したいと思っています。非常に分かりやすい記載になっていますので、保健指導の実施者は、有効に活用できるのではと思います。
一方で、田邉室長の説明資料、3ページですが、我々健保組合においてトラブルになっているのは、対医療機関と対産業医です。受診勧奨判定値で医療機関に行くと行き違いがあるということです。これについては、6ページに新たにペーパーを1枚追加いただいているので、少し改善は図れると思いますが、もう一点の産業医との関係をどうしていくかについては、一定程度、我々保険者はシステマチックに、受診勧奨をしていく必要があると思います。その際に受診勧奨の数値が共有されないと、産業医との齟齬が生まれてしまいます。ぜひ協会けんぽで言う一次勧奨なのか二次勧奨なのか分からないですが、ここの域を超えたら医療につなぐという、共有数値は、労働安全衛生の部分と特定健診の部分で、同じ認識でお願いしたいのですが、書き込む手法はないでしょうか。
【田邉女性の健康推進室長】 事務局でございます。先生がおっしゃるとおりの部分と、血圧などに関しては、やはり御存じのように、1回の健診の値だけで受診という部分と、医療機関ではおそらく1週間くらい血圧を、毎朝測った上での治療になりますので、では、ここだと絶対、病院に行って薬が出るかというところは、若干難しい部分があるのと、白衣高血圧という病名があるぐらいですので、やはり一定の方というのは、健診だとどうしても高く出るということがございますので、その辺りも含めて、何といいますか、当然、1回病院に行っていただくというのは非常に大事なのですが、必ずここだと医療機関に行って、その後、では保健指導になる可能性はないかというと、ちょっとまた違ってきますので、医療機関に行かれた後でも保健指導を受けていただくようなケースも当然あると思いますので、その辺りも含めて、値についてはフィードバック文例集のみならず、プログラムを今回、制度の改正の固まった上で見直しを行いますので、御相談させていただければと考えてございます。
【小松原構成員】 座長、よろしいですか。
【岡村主査】 どうぞ。
【小松原構成員】 例えば、Ⅲ度高血圧で受診を勧奨しても、産業医と食い違うことは、ほぼないです。しかしながら、この特定保健指導の受診勧奨判定値は、特定保健指導前に、安衛法の観点から既に産業医が介入していて、これは様子を見ればいいですよ、しばらく血圧手帳をつけてくださいね、と指導されている場合も多々あり、一番トラブルになりやすいところです。薬を飲むか飲まないかは別として、緊急的に医療機関の受診を促さないといけない域値は、システマチックに保険者に御提示いただけると、我々保険者も勧奨をしやすいという現場の声があります。
【岡村主査】 ありがとうございます。これは多分、産業医対象の研究か何かで、就業制限をかけないといけないレベルというもののコンセンサスがあって、脂質だけコンセンサスが出ていなかったような気がしていますが、今やっている、例えばⅢ度の高血圧みたいなものは多分、コンセンサスが取れていたようなところがあります。なのでこれはその辺も見た上で、受診勧奨判定値、保健指導判定値という文言を変えるのがなかなか難しいということになると、横のほうのフィードバック文例集の色を変えて、この部分はすぐ見られるようにするとか、ちょっとそこを分かりやすくするということで、運用上の工夫をするということになるのではないかなと思っております。なので、これはちょっとまた一緒に考えていくことになるかと思いますので、御意見をよろしく頂ければと思います。
綿田構成員、よろしくお願いいたします。
【綿田構成員】 すみません。ちょっとした質問なんですけど、5ページとか6ページの、肥満者の場合、非肥満者の場合というのは、BMIのことを言っているんですか。メタボのことを言っているのでしょうか。
【岡村主査】 これは私から説明させていただきます。これは、前回からつくったときに、特定保健指導というのが基本的に、ウエストかBMIが引っかからないと特定保健指導にいきませんので、要するに肥満というところは、制度上の特定保健指導に引っかかる肥満というふうな整理になります。だから、左だと特定保健指導になり、肥満がなければ、名称としては特定保健指導が使えないのでこういう整理の仕方になっております。つまりそういう制度上の都合というものが入っています。
【綿田構成員】 理解しました。
【岡村主査】 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
三好構成員、よろしくお願いします。
【三好構成員】 ありがとうございます。受診勧奨判定値について議論の場を設けていただいて、とてもありがたいと思っております。
このフィードバック文例集、実際の保険者の担当者もよく参考にさせていただいていると思っております。2つあって、先ほども議論になっていた、より重症度の高い設定について、国保の場合はシステムの中で、緊急度が高いとはしていないのですけど、より重症度の高いラインを独自に持たせて、どのくらいの人数がいるかというのを保険者単位で見ながら、そこのリストに上がっている人の優先順位をつける際の参考にしてもらっています。あくまで保険者が判断する取組にはなるとは思うのですけれども、もしそういうラインを見せて、示していただくことができるのであれば、参考にさせていただけると思います。国保としても期待したいなと思ったところです。
2つ目が、5ページ・6ページの医療機関への受診の持参の文書例は、ありがたいと思います。これをまずは本人に見ていただきながら、あなたの場合は、こういう項目のところで医療機関受診が勧められていますよと、目の前で、ここですなどと丸をつけて、それを持っていってねと言えば、医療機関受診の動機も非常に高まりますし、行った先で先生方にも御理解いただき、誤解がない形で導入しやすくなると思うので、ぜひいい形に検討して載せていただきたいと思います。
もう一つは、協会けんぽさんのデータで発生割合などを見ていたら、国保ではもう少し多いのかなと思います。全国値は出していないので、お示しすることができないのですが、重複している人の割合が多ければ、この枚数をたくさん出さないといけないことになってしまうかなと。重なっている人に対してたくさん出さないでいいように検討していただけるとありがたいと思いました。よろしくお願いします。
【岡村主査】 ありがとうございます。重複したらどうするのかと、私が事前に事務局に聞いたことと実は同じでございます。ありがとうございます。
津下構成員、よろしくお願いします。
【津下参考人】 ありがとうございます。フィードバック文例集は、今まで各単元ごとに、一番上の5ページのそれぞれが載っていたのですけれど、このように一覧にしていただくことで、より検査データと照合しやすいとか、横並びで見やすいとか、それから幾つ引っかかっているとか、少なくともこの3つについて何項目重複しているというのがすぐお話ができるので、活用が進むことになるのかなと期待しています。
それと、綿田先生にもちょっと御意見といいますか、伺いたいのですけれども、血糖値については、空腹時血糖が126mg/dl以上もしくはHbA1cが6.5%以上という、糖尿病の診断基準であれば受診勧奨となっています。糖尿病の診断をつけることとか、合併症の検査をすることとか、教育することということが重要なので、まずは受診が必要なため、この数字になっていると認識しています。一方で、緊急性が高いとか、もう絶対にすぐ薬が始まるぞという値ではないと思うんです。なので、この上のランクをつけることはどうなのかというのは悩ましい点と思います。前回も糖尿病学会の先生とも議論したことがあったのですけれども、例えばA1cが8%以上だとコントロール不良とか、7%という数字がコントロール目標としては考えられるのですけれども、そういう数字を入れてしまうと、6.5%という数字が軽く見えてしまうのでよくないという考え方で整理しています。今回もこれを最上の数字とするのか、もう一段、緊急アクションを起こすような値を入れることについて、どう考えていくのか。先ほどの協会けんぽの例でも、非常に高いところについては、緊急性があり繰り返し確認をしたい人と、1年間ぐらい様子を見てもいいかなと思う対象者と、区別できたらよいかもしれないと思うんですけど、いかがでしょうか。
【岡村主査】 綿田構成員、何かコメントを頂ければ幸いです。
【綿田構成員】 津下先生もおっしゃるとおりで、一部、すごい高値の人には、例えばⅠ型糖尿病発症とか、がんの人とか、そういう人もいて、緊急性が必要な人がいて、今、糖尿病治療ガイドなどを見てみると、一応フローでは、インスリン非依存状態で9%以上であれば、初めから薬剤を使っていいというフローには一応なっていますので、何か根拠があるというと、その値は使えるかもしれません。
【津下参考人】 ありがとうございます。
【岡村主査】 ありがとうございます。これは、だから今、血圧やコレステロールはそれなりに層別化しているんですけど、糖のところをどうするかという議論ですよね。だから、フィードバック文例集でこういう値が使えるかもということの理解ですよね。
ありがとうございます。津下先生、何かあと追加はございますか。
【津下参考人】 それにしても、でも放置はしてほしくないとか、6.5%が何かまだいいよね的な数字ではないよということは、しっかりお伝えしつつ、これは対象者に見せるものなのか、どう使うかということになると思うんですけど、保健師とか保険者とかが緊急的にアクションを起こすべき数字というのは明記したほうがいいのかなという気がいたしました。ありがとうございました。
【岡村主査】 ほかにございますか。事務局から何かありますか。
【田邉女性の健康推進室長】 事務局でございます。おっしゃるとおり、いわゆる今の5ページの一番上の、すぐに医療機関を受診というレベルのところの値をどうするかということだと思うのですけれども、津下先生がおっしゃるように、糖尿病のところはヘモグロビンA1c6.5からとなっているところに、もう一個上のところを設定するかどうかだと思うのですが、一方で、フィードバック文例集、このプログラムというのはインターネットで公開していますので、みんな見えるというところもありますので、そこで、先ほど綿田先生がおっしゃった9.0をもう一個上に持ってきてしまうと、おっしゃるとおり、6.5から9.0の間は、では病院に行かなくてもいいのかというふうに見えるのも若干気持ち悪いですので、いや、むしろこれは綿田先生にお尋ねした方がよいかなと思うのですが、やはり6.5が上限でよろしいのではないでしょうか。
【綿田構成員】 いや、そうなんですけど、恐らく指導するほうは9.0だと相当やばいという認識を、多分、津下先生、そうですよね。受けるほうはそうなんだけど、管理するほうは、ちゃんとそれは相当やばいということを理解しておいてくださいという。何か、ほかの文書で欲しいなという意味かと理解しました。
【津下参考人】 そうです。保険者とか重症化予防とか保健師は、8とか9であれば、ぴりっとくる数字にはなっていると思います。一般的に公開されるものに、何か7%だったらまだいいよねぐらいの感覚の受け止めにはならないようなメッセージの出し方は必要だと思います。例えば健診機関とか保険者は、パニック値ではないですけれども、緊急アクションを起こす数字持っていていただきたいなと思います。
【岡村主査】 課長、よろしくお願いします。
【佐々木健康課長】 健康課長の佐々木でございます。貴重な御指摘をありがとうございます。
非常に緊急を要するような場合の取扱いというのをどうするかというのは、もう少し、もう一段、整理が必要かなと思っています。先ほどⅢ度の高血圧であれば、現場と保険者でそれほど齟齬はないという話がございましたように、やっぱりそこはしっかりと浸透させていく必要があるかなと思っていまして、血糖値も同じだろうと。あと、津下参考人からも頂きましたように、6.5が逆にあまり目立たなくなるというところも問題だと思っていまして、9とか、その辺りは割とコモンセンスで御対応いただけるというところも大事だと思っています。
今回の問題の本質というのは、そういった、明らかに緊急を要する場合の手前のところの段階で、産業医との齟齬というのを御指摘いただいておりますので、この辺り、ツールとしての工夫というものと、あと運用面、仕組みというか仕掛けといいますか、そういった部分についての議論といいましょうか、その辺りをちょっとまた、今回、産業部門の労働衛生の担当もオンラインで参加してございますので、事務局で預からせていただきまして、今後、文例集の記載の在り方、見直しと併せて、運用面についてもしっかり周知できるような形のものを考えていきたいなと思っております。ありがとうございます。
【岡村主査】 ありがとうございます。恐らく、誰が知っていればいい情報かというのがあって、要するに、受けられた方、御本人にどう伝えるかということと、あと運用する側が今のを知っているかどうかという側面を、多分分けて考えないといけないのだろうと思います。
武藤参考人、よろしくお願いします。
【武藤参考人】 ドック団体の武藤で参考人ですけど、申し訳ないです。
受診勧奨なんですけど、大体、大きな健診機関は緊急連絡値というのを設定していまして、我々の施設などもそうなのですけれども、当日分かれば、その場で受診の勧奨をして、血液系などだと、後日分かった場合は、もうすぐに直接電話して、1週間以内ぐらいにかかるような感じでアプローチしますと、大分、受診率が高くなりますので。ですから多分、保険者から連絡が行くと、それはダブルでいいと思うのですけれども、健診機関側からも、しっかりアプローチするようにしたほうがいいのかなと思います。
ちなみに、先ほど岡村先生がおっしゃっていた、産業医大が厚労科研で、産業医が受診勧奨の就業上の措置の勧奨値というのが出ていまして、血圧はやっぱり180の110、空腹時血糖は200で、随時血糖が300、ヘモグロビンA1cが10%で設定されていました。ちょっと10%は高いかなと私も思うのですけれども。あと、ちなみにヘモグロビンは8.0ということで設定されていました。
あと、それから先生、もう一つ、別件で受診勧奨判定値ではないのですけれども、1つ確認していただきたいのがあって、保健指導判定値のところのヘモグロビンの値なのですけれども、これは我々ドック学会では、一応、基準値というのを設定しているのですけれども、そこでヘモグロビンの値が、男性が13.0、女性が11.0になっていて、これがWHOの基準を採用してそうなっているということなのですけれども、実はWHOは、男性が12.9で、女性が10.9なんです。だから、大したことはないのですけれども、微妙にずれていまして、多分、13.0未満、女性だと11.0未満にすれば問題ないのですけれども、これが以下なのか未満なのか。そこは確認しておいていただいたほうがいいかなと思いますので、お願いしたいと思います。以上です。
【岡村主査】 ありがとうございます。これは恐らく、ほかの並びからすると、恐らく未満なのだと思いますけれども、ちょっとこれは確認しておくということになるかと思います。
なかなか、階層化に使う項目とLDL以外は、どちらかというと、最初分布から基準値を決めたとお聞きしていますので、それについてもちょっと国際基準がどうなっているかというのは、そろそろ見ていってもいいのかなと思いますが、あまりがらっと変わって、対象者のグループがすごく変わったら保険者は大混乱すると思うので、そこも含めてということになると思います。ありがとうございます。
ほかにございますでしょうか。
それでは、大体の方向性ということ……、安田構成員、よろしくお願いします。
【安田構成員】 最後に1つだけ、直接、今の議論とは関係ないのですけれども、お願いがあって、発言させていただきたいと思います。
効率的・効果的な実施方法に関するワーキンググループについても同じですが、議論が進められて、今回でいくと健診項目の見直しが正式に決まるということになると思います。そうすると、システム改修等が必要になってくるということになります。その対応には国と保険者とのやり取りだけではなくて、保険者と健診機関と、保健事業に関わる事業者との相応の準備が必要だと考えております。そのためには十分な事前の調整はもちろんのこと、仕様書の速やかな提供やテスト等のスケジュールの提示が必要と考えておりますので、これは保険者と関係者に相応の負担がかかると考えておりますので、迅速な対応をお願いしたいと思います。
【岡村主査】 ありがとうございました。大事な点なのでよろしくお願いいたします。
野出構成員、よろしくお願いいたします。
【野出構成員】 内容的には申し分なく問題ないと思いました。
血圧に関しては140以上で受診した場合、主治医と齟齬があるというところが問題だと思うのですけれども、140以上あると生活習慣の改善を、ローリスクでしていくと。1か月後に再検して、異常があれば受診なり薬物療法を考える、違うところで指導されている場合、1か月後再評価して、異常であれば受診という流れを説明して、フィードバック文例集に書くと整理されると思いました。140以上でもハイリスクには、薬物療法を考えることで、ローリスクとハイリスクを分けて時間的な経過を説明して、どの点で受診していくということで、生活習慣の改善をした上で受診であれば、ドクターも納得されるかなと感じました。
ヘモグロビンA1cに関して、6.5から8.0はローリスクで、心不全、大血管障害、心筋梗塞は6.5から上がって、9.0でも変わらない。6.5から8.0が見逃されるよりも、早めに検査をして心不全、心筋梗塞やアテローム血栓性脳梗塞を評価する重要性から、その時点で受診して評価することが大事と思いました。血圧が160以上でも服薬率が低いことに驚いたのですけれども、放置して治療されていないところが問題で、どこの時点で受診するかはフィードバック文例集で、流れが止まらないようにしていただけたらなと思いました。
以上でございます。
【岡村主査】 ありがとうございます。津下参考人、よろしくお願いします。
【津下参考人】 今の野出先生の話も受けてなのですけれども、例えば受診勧奨判定値で血圧が140/90とか、A1cが6.5%を超えていても、特定保健指導でまずは1回、3か月やってみましょうという場合が想定されます。その後医療機関受診時に、健診データとともに特定保健指導の実施記録などを持参されて、その上で検査をするのがよいかもしれません。それで改善していたねとか、こんなに頑張ってもまだ高いからやっぱりお薬を飲んだほうがいいよねということで、その経過をうまく活用した受診につながるのではないかなと思います。健診データとその後の保健指導の情報、どんなことを保険者や保健指導機関が実施して、そして受診に至ったか。その経過を、受診するときに持参できるようなものを持っていくというのはどうなのかなと思いました。
それから、受診してもお薬も何も出ないと、受診したかいがなかったのではないかと思う人もいます。この前もニュースで出ていましたけれども、薬が出ないと言って怒り出した患者さんもいるという話もありますけれども。お金を払わないとかですね。やはり、生活指導というのが、保健指導とか療養指導というのが重要な医療であるということの認識をきちんと伝えていくことが非常に重要で、具体的な指導につなげるということが重要だろうと思っています。
それで、特に私が先ほどのデータで気になっているのは、薬を飲んでいて肥満の方です。薬を飲んでいて血圧等は改善しているけれど肥満が解消できていない人が多くいらっしゃります。医療の中でもメタボに対する指導をしっかりと取り組んでいただけるといいのかなと思います。
【岡村主査】 ありがとうございました。これは、特定保健指導が絡む人は、本人にいろいろできるからまだいいんですけど、これも前からの懸案で、血圧と脂質のところは、LDLのところがそうなんですけど、太っていないとどうするんだという問題があり、これまた本来は、そこも対策が要るので、どういうふうに工夫して、情報提供でできるのか。そこを全部、受診勧奨というわけには当然いかないわけですから、どういうふうにやっていくか、情報提供をどうするか等も併せて考えていくということになるのだろうと思います。
ほかにございますでしょうか。
それでは、ありがとうございます。それでは、本日の議事は、これで予定していたものは終了ということになりますので、それでは佐々木健康課長から一言お願いしたいと思います。
【佐々木健康課長】 健康課長の佐々木でございます。本日も活発な御議論を頂きまして、誠にありがとうございました。
本ワーキングでございますけれども、タイトルにございますように、特定健診・特定保健指導につきまして、現時点で得られている知見を基に、技術的な事項、質問項目、研修項目等について御議論いただいたところでございます。先生方におかれましては、お忙しい中、集中的に御議論に参加いただきまして、この場をお借りして重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました。
さて、今後でございますけれども、これまでに頂きました内容を、文書という形で取りまとめをさせていただきまして、これをいわゆる親検討会、第4期見直しの検討会に御報告いただくことを考えているところでございます。その際には、次回のワーキング・グループでございますけれども、書面での開催も含めて検討しているところでございます。具体的な日程等につきましては、追って事務局より御案内いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。ありがとうございました。
【岡村主査】 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただければと思います。お忙しい中、御参集いただき、活発な御議論をしていただき、本当にありがとうございました。今後ともよろしく御指導のほうお願いいたします。
では、これで閉じさせていただきます。
 

 ── 了 ──

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