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2022年5月31日 第2回健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキング・グループ(議事録)

○日時

令和4年5月31日(火) 16:00~18:00

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター 14E(オンライン開催)
 

○議題

 <審議事項>
 

1.質問項目の見直しの方向性(案)

2.健診項目について

3.その他

 

○議事

【山本健康課長補佐】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会、第2回健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキングを開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。

 出欠状況ですが、本日は構成員全員に御出席いただいております。

 本日もオンラインによる開催としておりますので、初めに発言の仕方などを説明させていただきます。会議中御発言の際は、手を挙げるボタンをクリックし、主査の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は再度マイクをミュートにしてくださいますよう、お願いいたします。また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。

 また、本日は慶應義塾大学の平田あや先生、女子栄養大学特任教授の津下一代先生、公益社団法人日本人間ドック学会の武藤繁貴理事に御出席いただきます。

 労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室、医政局歯科保健課は、オンラインで参加しております。

 なお、本日は新型コロナウイルス感染防止対策のため、会場における傍聴は、報道関係者のみとさせていただきますので、御承知いただきたいと思います。

 次に、資料の確認をお願いいたします。構成員名簿、座席表、資料1、資料2、資料3-1、資料3-2、資料4、参考資料1、参考資料2-1、参考資料2-2になります。過不足等があれば、マイクもしくはコメントでお申出ください。

 大丈夫でしょうか。

 会議冒頭の頭撮りはここまでとさせていただきます。それでは、以降の進行を主査にお願いいたします。

【岡村主査】  それでは、早速議事に入りたいと思います。議事次第を御覧ください。

 本日の議題は結構詰んでおりますので、迅速な審議をお願いしたいと思っております。

 議題の1つ目は、質問項目の見直しの方向性(案)、2つ目は健診項目について、3つ目がその他となっております。

 まず、資料1「質問項目の見直しの方向性(案)」につきまして、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。

【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。では、資料1を御覧ください。「質問項目の見直しの方向性(案)について」でございます。

 これは、前回先生方に御議論いただきました質問事項に関する内容でございまして、前回の資料は参考資料としてお付けしておりますので、適宜御参照ください。

 おめくりいただきまして、「基本的な考え方について」でございます。標準的な質問項目に関しましては、4つの観点から考えていきましょうということを先生方にこれまで御指導いただいておりましたが、④地域の健康状態の比較というところでございますが、質問項目というのは地域全体の評価にも重要であるということに加えまして、保険者間という観点も重要ではないかという御指摘を、前回いただきました。ということで、次のページをおめくりいただきまして、④につきましては、地域間及び保険者間という言葉に訂正させていただいて、このような観点で今後ご議論をさせていただければと考えてございます。

 次のページをおめくりいただきまして、質問項目に関して先生方に御指導いただいた点につきまして、御説明と修正案を提示させていただこうと考えてございます。

 まず、たばこについてでございます。前回のワーキングにおきまして、「現在習慣的に喫煙している者」、この定義が少し分かりづらいのではないかという御指摘をいただきました。それに伴いまして、過去の喫煙者についても、定義をどのように考えるかというところで、少し表現方法等について工夫をするようにという御指導をいただいております。

 おめくりいただきまして、この点を踏まえまして、どのような方向で修正していくのかですけれども、まず、データ活用の観点における継続性という部分で、これまでNDBに、第1期からのデータは全て集積しておりますので、現在習慣的に喫煙している者の定義は可能な限り維持した上で、さらにできるだけ分かりやすくという表現方法に修正してはどうかということで、事務局のほうで少し案を考えさせていただきました。

 ご意見をいただきました分かりづらい点についてですが、合計100本以上または6か月以上吸っている者であり、最近1か月間も吸っている、ここがまず、ANDなのか、ORなのかという点等を踏まえまして、表現が少しどうかという点がございましたので、ここを2つの条件に分けさせていただきました。まず、最近1か月間吸っているということを条件1、さらに生涯で6か月間以上または合計100本以上吸っているということを条件2として、この条件1と2の両方を満たした場合は「はい」ということで、現在、たばこを習慣的に吸っている者としてはどうかということでございます。

 ③以前は吸っていたが最近1か月間は吸っていない、この方につきましては、条件1の最近1か月間は吸っていない、ただし過去を振り返ると、6か月間以上または100本吸っていたということで過去の喫煙者、③としてはどうかというふうに考えてございます。

 それ以外の①と③でない方を、②の「いいえ」ということで、吸っていない者としてはどうかというふうに考えてございます。

 この①、②、③の並びについても、少しコメント等いただいております。①、③、②のほうが分かりやすいのかもしれませんが、データの継続性という観点から、これまで②が「いいえ」でございましたので、その点も踏まえて、②を「いいえ」というふうにさせていただいてございます。

 喫煙については、以上でございます。

【岡村主査】  ありがとうございました。

 今の説明につきまして、特に基本的な考え方について、地域間及び保険者間の健康状態の比較ということについては、多分特に御異論等はないかと思いますが、もしあったら言っていただきたいんですが、喫煙のほうについては、ちょっと御意見いただきたいと思います。

 今示されました修正案ですが、確かに並びとしては①、③、②だと思いますけれども、今までのデータ等のことがあるので、あえてこの順序でどうかということと、それから注釈の部分を分かりやすくしたという整理をしていただいたかと思うんですけれども。これについて御意見、御質問等ありましたら、よろしくお願いいたします。

 杉田構成員、よろしくお願いします。

【杉田副主査】  ありがとうございます。御説明のほうもありがとうございます。

 今、8番について修正案を御提示いただいているんですが、データの継続性という理由から、①、②、③としていると思ったんですけれども、少なくとも②の「いいえ」については、これまでの「いいえ」とは違うと思うので、継続性という理由でこの順番にしているというふうにはちょっとならないんじゃないかと思うのと、回答する対象者、受診される対象者のことを考えると、現在たばこを習慣的に吸っていますかという質問に対して、上から下に見ていきますので、吸っていなければ恐らく、「はい」でなければ、「いいえ」という②に丸をして次の項目に行っちゃうんじゃないかというのが懸念されるので、この今、御提示いただいている①、②、③では、正確な回答が得られないんじゃないかということを懸念するんですが、いかがでしょうか。

【岡村主査】  ありがとうございます。順番としてはそうなんだけど、同じ②でも同じことを聞いてないから変更してはどうかという御意見だと思います。

 事務局のほうから何かございますか。

【田邉女性の健康推進室長】  先生おっしゃるとおり、定義という意味ではそのとおりだと考えてございます。NDBでの運用に配慮しておりまして、データの定義表では現在、②が「いいえ」になっているということで、データ解析をする上で、いわゆる第3期までは②が「いいえ」で、第4期から③が「いいえ」になると、定義表が全て変わってくるということで、NDB等の分析の観点からはどうなのかなと考えました。ワーキングのほうで、やはりここは変えたほうがいいということでございましたら、おっしゃるとおりかと思いますが、むしろデータ解析の部分だと、岡村先生、いかがでしょうか。

【岡村主査】  これは、定義表がはっきりしていれば、ここが何年から変わりましたということが明記されていれば、問題ないと思います。逆に、受診者が確かに書くという便宜性のほうから考えると、杉田構成員のおっしゃったほうがつけやすいかなと私も考えますけれども、ほかの構成員の皆様、何かございますでしょうか。

 津下参考人、よろしくお願いします。

【津下参考人】  今回、参考人で出席させていただいております。

 今までの②は、新しい回答の②と③の合算になると思うんですね。「吸っていない」ことで「いいえ」だったのですけれど、それは新しい質問の②と③の合算になります。今までの②の「いいえ」に含まれていたのが2つになったということになりますから、全く新たな定義になったということです。そのために「いいえ」の数がここでぐっと変わってきますので連続的なものではあありません。しっかりと定義を明確に区別して、順番としては答えやすいようにということでよさそうな気が私もしていたのですけど。実際の健診の場面で回答しやすいほうがいいかなと思いました。

 以上です。

【岡村主査】  ありがとうございます。

 そうしたら、一応そういう方向で検討いただくということでよろしいでしょうか。

 また気づかれましたら御意見いただくということで、次の項目に行きたいと思います。大丈夫でしょうか。

 では、次の説明をお願いいたします。

【田邉女性の健康推進室長】  では、6ページの飲酒に関する質問事項について、御説明させていただきます。

 前回いただきました御意見としては、まず、飲酒の頻度についての部分と、飲酒の量について、それぞれ御意見いただきました。

 まず、「やめた」という、これまでの「ほとんど飲んでない」という方の中から禁酒者を区別することについては、方向性としてはいいのではないかという御意見をいただきました。その一方で、飲酒の頻度、「ほとんど飲まない」ということに関して、その1つ上の「月に1~3日」との区別が少し分かりづらいということで、「ほとんど飲まない」に関しても定量的なものに変えてはどうかという御意見をいただきました。

 また、飲酒量に関しましては、その換算表も、国が実施しているほかの調査等との平準化が必要ではないかという御意見をいただいてございます。これらの点を踏まえまして、飲酒の頻度と飲酒量の換算に関して、修正案を考えさせていただきました。

 また、これに加えまして、標準プログラムのほうでこれらの点の解説を充実させて、分かりやすくする努力をしようと考えてございます。

 次のページをおめくりいただきまして、まず、「ほとんど飲まない」をどのような数字にするかですけれども、その1つ上が「月1~3日」でございますので、「月に1日未満」でどうかと考えております。実際に「月に1日未満」という数字はございませんが、「平均すると」月に1日未満というような記載にしてはどうかということでございます。

 また、これですと、大量機会飲酒のWHOの定義が「1回60グラム以上を30日に1回以上」ということで、「月に1日以上」ということになっておりますので、大量機会飲酒のリスクの方とも区別が可能であるということを考えまして、「月に1日未満」という表現はどうかと考えてございます。

 また、飲酒量の換算でございますけども、「国民生活基礎調査」及び「国民健康・栄養調査」の表記を参考にしてはどうかと考えてございます。こちらについては先生方からいろいろコメントをいただいてございますので、また御指導いただければと考えてございます。

 おめくりいただきまして、前回の赤字の修正案に加えまして、今回の修正案を青字で書かせていただいてございます。

 まず、飲酒の頻度に関しまして、⑥で「月に1日未満」、さらに飲酒量の19番でございますが、これまでの記載を、「国民生活基礎調査」等々の記載にそろえた感じでどうかという案を提示させていただいてございます。

 飲酒については以上でございます。

【岡村主査】  ありがとうございました。

 飲酒についての修正点、この前の議論を踏まえてということになりますけれども、これについて御意見、コメント等ありましたら、よろしくお願いいたします。

 田原構成員、よろしくお願いします。

【田原構成員】  よろしくお願いいたします。飲酒の単位といいますか、量の見本なんですけれども、前回、第3期の改定のときにも、瓶ビールというのが若い人には分かりにくいんじゃないかということで、缶ビール1本ということで分かりやすいものに変えた経緯があります。特にビールの中瓶というのは、なかなか今の世の中で目につかないような状況ですので、それが500ミリリットルだと知っている人の数というのは、あまり多くないんじゃないかなと思いました。

 それから焼酎は、0.6合という数え方をするのかなというのも少し疑問で、合にしてしまうと日本酒1合と混同してしまうんじゃないかなというふうにも思えます。確かに計算するとこれが正しくなるんですけれども、それよりも改定前の現行案ぐらいの目安のほうが、実際に使う上では使いやすいんじゃないかなと思いました。

 以上です。

【岡村主査】  ありがとうございました。

 これにつきまして、事務局からございますか。

【田邉女性の健康推進室長】  ありがとうございます。現行の表現も参考にした上でということでございますので、これまでの記載方法も踏まえて、また少し修正案を考えさせていただこうと思います。ありがとうございます。

【岡村主査】  小松原構成員、よろしくお願いします。

【小松原構成員】  ありがとうございます。健保連の小松原でございます。

 田原構成員の発言と同じく、瓶ビール中瓶1本は若い世代はよく分からないと思います。瓶ビールはお酌するときには使いますが、自身で飲むときは缶ビールのほうが主流だと思います。そういう意味では缶ビール1缶と示していただいたほうが、分かりやすいと思います。

 もう1点は、缶チューハイ1.5缶、約520ミリリットルとありますが、市場に520ミリリットルの缶チューハイは流通していません。これは多分350ミリ1.5缶分という意味でおっしゃっていると思いますが、500ミリリットル1缶と示していただいたほうが、分かりやすいと思います。ビールも缶チューハイも、500ミリリットル1缶でこの目安ですというほうが、よいのではないかと思います。

【田邉女性の健康推進室長】  ありがとうございます。缶チューハイにつきましても、度数も含めまして、我々でも少し調べたところ、度数も3度から9度までいろいろございますので、その辺りも工夫して記載方法を考えたいと思います。ありがとうございます。

【岡村主査】  ほかに御意見ございますか。

 ここは詳しく書けば書くほどどんどんややこしくなるというところがあり、現行は割とざくっと書いてるのですが、かえってよかったのかもという考え方もなきにしもあらずなんですけれども。御意見としては。確かに中瓶って、私もしばらく、ここ何年か見たことがないような気もしますので、そうかなという気がいたします。

 ほかにありますでしょうか。

 そうしたら、18番の飲酒のほうはこれでということで、ビンジドリンクも拾えるという修正で。あと、量につきましては表記法についてまた検討して、次回か、持ち回りか何かで見ていただいてということで考えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問項目をお願いいたします。

【田邉女性の健康推進室長】  では、9ページ、22番の質問項目でございます。「生活習慣の改善について保健指導を受ける機会があれば、利用しますか」ということで、これは前回、先生方にいろいろと御指導いただいた質問でございます。

 いただいた御意見としましては、やはり多かったのが、「いいえ」と返事したのに保健指導の対象になって、トラブルになったということであったり、アンケートを実施すると、22番が一番使いづらいという御意見であったり、そもそもこの質問は不要ではないかという厳しい御意見等いただきました。一方で、「はい」と答えた方をうまく誘導するとか、「いいえ」と答えた方に対して、それを受け止めた上でしっかり保健指導を実施する等、あってもいいのではないかという御意見も少しございましたが、大多数の先生方からはやはり、ちょっと考え直したほうがいいのではないかという御意見をいただいてございます。

 次のページをおめくりいただきまして、修正の方向性について、いただきました御意見をまとめてございます。まず、もともと保健指導に関する質問項目だったという点に鑑みて、保健指導で活用できるような質問事項に変えてはどうかという御意見をいただきました。保険者間の移動があった場合、過去に保健指導を受けたか分からないということがあり、また、初回か2回目以降かでアプローチの仕方も変わってくるということがございますので、保健指導の受診歴に関する質問にしてはどうかという御意見が一つございました。

 それから、保健指導とは少し離れたところでございますと、高血圧に関する項目がないので、そのリスク因子である食塩に関する質問をしてはどうかということで、塩分量の質問項目に関するエビデンスは少し難しい点もあるのですが、こういう質問にしてはどうかというご意見がございました。あるいは、現在治療中の疾患についての質問にしてはどうか、または今の症状、自覚症状としてどういう症状があるか、こういうことについて質問してはどうかという御意見もございました。また、親会の合同検討会のほうでは、歯の本数に関する質問を入れてほしいという御意見もいただいてございます。

 おめくりいただきまして、見直しの方向性ですけれども、標準的な質問項目に関しましては、他の調査であるとか、労働安全衛生法等での質問を踏まえて設定されているということでございまして、当然見直しに関しては科学的エビデンス、継続性の観点も踏まえて、検討をしてはどうかという御意見をいただいてございます。

 まず、医療機関への受診の必要性等も含めた判断が必要な、現在の症状についての問診でございますけれども、やはり今申しましたように、その重症度に応じて、医療機関をすぐに受診したほうがいいとか、そういう判断が必要でございますので、この点に関しては、少し責任の所在を明確にしたほうがいいのではないかと考えてございます。さらに、特定健診では医師の問診というのが必須でございますので、現在どのような症状があるかといったことは、やはり問診の場で先生にしっかりと確認していただくのがよいのではないかと事務局のほうでは考えてございます。

 これを踏まえまして、では、質問項目の修正案でございますけれども、まず案1ですが、保健指導の受診歴に関する質問にしてはどうかという案でございます。「生活習慣の改善について、これまでに特定保健指導を受けたことがありますか」。「ない」ということでは、そもそも対象になったことがない、対象になったことはあるけれども受けたことはない、あるいは1回ある、または2回以上あるということにしてはどうかという案でございます。当然、保険者間での移動があった場合も受診歴は分かりますし、初回または2回目以上ということで対応も変わってくるという点でも有用ではないかと考えてございます。

 案2でございますが、食塩に関する質問でございます。「食塩(塩分)の多い食品や味つけの濃い料理を控えていますか」という質問でございます。当然、食塩の摂取は高血圧の最大のリスク因子でございますので、高血圧予防の観点からこういう質問を入れるのは有用ではないかと思いますけれども、この質問でこのように回答すると、食塩何グラム摂取していますということが分かるような、エビデンスのある質問と回答項目は、現在なかなかございません。まさに、これについては先生方に御検討、御研究いただいている最中でございますので、もう少ししっかりエビデンスに基づいてということで、今後の宿題にしてはどうかというふうに、事務局では考えてございます。

 おめくりいただきまして、次の案3、歯の本数についてでございます。「自分の歯は何本ありますか」という質問でございます。歯の本数ですが、口腔に関する質問でございますので、間接的に口腔のことを把握できるという点ではメリットがある一方で、第3期の質問項目13番に、「食事をかんで食べる時の状態はどれにあてはまりますか」という、咀嚼機能に関する質問を、第3期から新しく入れてございます。歯の本数にかかわらず、ブリッジあるいはインプラントであったとしても、しっかり噛めるということが重要であるという御指摘もございますので、咀嚼機能という面で、1つ質問項目が既にあるという点、それから、残存の歯の本数を個人で把握することが、やはりなかなか難しいのではないかと。何本残っていますかといったとき、正確に本数を答えられるというのは、少し難しいのではないかというふうに考えてございます。

 これらの点を踏まえまして、継続性の観点を踏まえつつ、特定保健指導の質の向上に資するような内容の質問に、22番を変えてはどうかということで、次のページにございますように事務局といたしましては、保健指導の受診歴ということでどうかと考えてございます。

 以上でございます。

【岡村主査】  ありがとうございました。

 ただいまの御説明に対しまして、質問、コメント等はございますでしょうか。というか、この22番の項目については、この前の会議等で、保険者さんからの風当たりが強いというのも指摘されていますので、それを前提の上でということで。あと、ほかの項目として、例えば既往歴とか症状などは重要だということは誰も否定しないんですが、データ集計上はともかくとして、特定健診では医師の診察というのが必須になっておりますので、このあたりはそこで聞いて、御本人のための指導はできるんじゃないかという整理だろうと思います。それで残った案から、残りの項目についてこういう整理がされているんですけれども。

 今の事務局案等含めまして、検討経過等につきまして、御意見、コメント等ありましたらよろしくお願いいたします。

 安田構成員、お願いいたします。

【安田構成員】  協会けんぽの安田でございます。ありがとうございます。

 協会けんぽといたしましては、保健指導については選択肢があるかのような誤解を与えかねない質問項目については、前回削除をお願いしたところでございます。また、もう一方、過去に保健指導を受けたかどうかということについては、保健指導者が実際に特定保健指導を開始するに当たって、必ず質問する項目ともなっております。私どもとしては、変更案の1のとおりに進めていただきたいと考えております。

【岡村主査】  ありがとうございます。

 津下参考人、よろしくお願いします。

【津下参考人】  ありがとうございます。22番の項目についての御意見は、十分に了解しております。ここで保健指導の履歴を聞くというのは、非常に重要だと思います。初回の方と今まで受けた方とでは、保健指導の実施方法、また、流れも変わってきますので、この質問を入れることに賛成です。

 ただ、案1の、①特定保健指導の対象者になったことがない、②特定保健指導の対象者になったことがあるが、指導を受けたことはない、この2つを受診者がきちっと区別できるかどうかということは、若干心配かなと思います。特定保健指導の対象者になったけれど、案内がきちっと届いていないというケースも、保険者によってはあり得ると思いますし、本人が忘れるケースもあります。案1については、答えにくい部分もあるのかなと感じた次第です。

 案1については、おおむね賛成なんですけど、①と②の区別が本当にうまくできるかどうかという懸念がありますので、単純に「特定保健指導を受けたことがない」だけでもいいのかなと。もちろん、このままのほうが情報量は多いんですけれど、判断に困る人がいるんじゃないかということを若干心配しているところです。

 以上です。

【岡村主査】  ありがとうございました。この案1について、回答項目の御懸念ということだろうと思います。

 田中構成員、よろしくお願いします。

【田中構成員】  ありがとうございます。前回のとき、私ここの質問、御意見させていただいて、今回の内容で私もいい方向だと思います。津下先生が先ほどおっしゃられたことが、ちょうど私も懸念しておりまして、自分がそれに当たっていたのかどうなのか、自分が受けた指導がそうなのか、この①と②で少し迷われるかなという感じがしました。方向性はいいと思うんですけれども、どれに丸をしていいのか分からなくなるかなと。なので、先ほどおっしゃられたように「受けたことがない」でも大丈夫かなという気はいたします。

 全体の方向性としては、私はこのようにしていただいていいかなと思います。その方がどのような行動を取っていたのかというのは、現場としてはとても重要な情報ですので、この内容で、方向性は納得しております。

【岡村主査】  ありがとうございます。

 武藤参考人、よろしくお願いいたします。

【武藤参考人】  参考人で参加させていただいています、人間ドック学会の武藤です。

 実際に保健指導を行っているスタッフにいろいろ確認してみたところ、これ、非常に重要な質問だということは認識しているんですけれど、いろんな場面で保健指導というのを受けていまして、例えば我々が行っている人間ドックの後の保健指導とか、栄養指導とか、いろんな保健指導というのがあるんですけれども、それと特定保健指導の区別がどうもついてないみたいで、特定保健指導かどうか、分かってない方が結構いるんですよね。

 ですから、若干間違って書く人も、もしかしたら出てくるかもしれないということは、一応念頭に置いておいていただければと思います。

【岡村主査】  貴重な御意見、ありがとうございました。

 手の上がった順番で、田原構成員、挙げられたと思うので、どうぞ。

【田原構成員】  ありがとうございます。私も案1に賛成です。案1の選択肢の①と②なんですけれども、これはたしか前回の議論で、対象になったことがないのか、なったけれども受けなかったのかということは事前に把握しておくほうがいいんじゃないかというようなコメントがあったように思います。ですので、確かに間違える方がいらっしゃるかもしれないんですけれども、それを前提でざっと聞いておくというのも、一つ方法ではないかなと思いました。

 案2の食塩に関しては、今回はエビデンスを収集中でまだ難しいということでありますけれども、とても大切な項目だと思いますので、将来あるいは次期の改定にはぜひ入れていただきたいということを申し添えたいと思います。

 案3につきましては、第3期の改定のときにも随分議論がありました。こちらに書かれていますように、自分の歯を正確に答えられないんじゃないかという懸念と、歯が何本あるかというよりも、きちんと咀嚼ができていることのほうが重要ではないかということで、現在のような質問になったという経緯がありますので、これも申し添えたいと思います。

 以上です。

【岡村主査】  ありがとうございました。

 三好構成員、よろしくお願いいたします。

【三好構成員】  ありがとうございます。三好でございます。

 22番の質問に関しては、今の案1のとおりでお願いしたいと思っておりますが、懸念材料として、何人かの先生方がおっしゃったとおりのことで、「特定保健指導を受けたことがない」と。やっぱり特定保健指導か、ほかの保健指導か、の区別がついたほうがいいと思うのと、対象者だったかどうかというのはさすがに、これはかなり難しいと思うのと、①「ない」、②「ない」と、先に「ない」が2つ続いてしまうのも気になるので、1つでもいいのではないかと感じております。

 以上です。

【岡村主査】  ありがとうございます。

 小松原構成員、お願いします。

【小松原構成員】  保険者の代表として、案1に賛成です。津下先生のご指摘のように、①「ない」②「ない」のところもですが、③と④も実は、包含して「ある」でもよいのではないかと思います。1回あるということは、次に介入するときは2回目です。2回以上あるという方は、次に介入するときは3回目か4回目かという話になるのではないかと思います。2回目、3回目受ける方を区別すると、何かエビデンス上有効なデータが取れるという意味で分けられているのか分かりませんが、あったのか、なかったのかという2択のほうが、対象者にとっては分かりやすいのではないかと思います。

【岡村主査】  ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 ここの部分、食塩と歯について、私、大事なことは非常によく分かっていますが、これらを本格的に聞こうと思うと、1項目だと難しいので、何かそういう機会を別に設けるか、標準プログラムに書き込むか、他のところでやっていくかという感じでやらないと、多分難しいなと思っております。

 そうなってくると、継続性を考えてこの案1の方向性って、今の御意見も大体そのとおりでまとまっているんじゃないかなと考えております。確かにこれ、「ない」「ない」と来て、「1回」「2回」とあるので、参加者の立場からして、あるなしはともかく、回数まで覚えているか、確かに今も御指摘あったように、2回と1回って何か違いがあるのかというところは、検討しなきゃいけないという点。それから、それが特定保健指導かどうかということになると、恐らく分からないというか、区別してくださいといっても無理な話ではないかというのが一般的なので、これもある程度ノイズはあることを承知の上で、こういう聞き方をするしかないんだろうなと思います。

 基本的に方向性としては案1の方向で、ほぼ了解いただいたということで、よろしいでしょうか。

 あと、実際にこの分け方について、本当に2択にするのか、対象者になったことがあるかどうかということについては、これは現場のほうの感覚として、御本人が覚えているかどうかというと、かなり厳しいかなというところはなきにしもあらずです。今いただいた形を残して、もう少しシンプルな感じにという形の整理をしていけばと考えておりますけれども、そういう方向でよろしゅうございましょうか。

 杉田構成員、よろしくお願いします。

【杉田副主査】  ありがとうございます。私の意見も、御提示いただいている中で、案1を採用していくことに賛成です。

 今、挙手させていただいたのは、本日の御説明のスライド10ページの上のほうに、特定保健指導の受診履歴を聞いた上で、現行の質問21、「運動や食生活等の生活習慣を改善してみようと思いますか」というふうな、要は入れ替えることになるんですが、そのほうが特定保健指導の導入に流れていきやすいのではないかという意見をお伝えしたく、挙手させていただきました。

【岡村主査】  先生、要するに、順序の入替えをしたらどうかという御意見でよろしいですか。

【杉田副主査】  はい、そうなります。

【岡村主査】  これ、問診の項目で、それこそ位置を変えて、根本的に大丈夫かどうかという問題点がありますが、ここについては同じ系統の項目なのでということになるので、そこは少し持ち帰らせていただいて、事務局と検討させていただいてよろしいでしょうか。

【杉田副主査】  お願いいたします。

【岡村主査】  ありがとうございます。

 それでは、質問項目につきましては前回からの課題ということで、ある程度方向性については整理ができたと思っております。最終的に、今日御指摘いただいた部分をうするかということは、また御相談いただくことになるかと思いますけれども、一応そういう方向性で進めていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、次に議題2つ目の、健診項目のほうに進みたいと思います。資料2について、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。

【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。では、資料2、「健診項目についてこれまでの振り返り」をお願いいたします。

 こちら、先生方に既に御案内のとおりの内容かと思うんですけれども、振り返りということで、おさらいをさせていただければと考えてございます。

 おめくりいただきまして、まず、法律の立てつけについてでございます。特定健診は、高確法(高齢者の医療の確保に関する法律)の中で位置づけられてございまして、糖尿病その他の政令で定める生活習慣病に対する健康診査となってございます。この、その他の政令で定める生活習慣病とは何かといいますと、高血圧症、脂質異常症、糖尿病その他の生活習慣病であって、内臓脂肪の蓄積に起因するもの、いわゆるメタボリックシンドロームに起因するものというふうに定義されてございます。

 こちらの定義の下、平成20年度から特定健診を実施させていただいているという状況でございます。

 おめくりいただきまして、検査項目ですけれども、基本的な項目、いわゆる全員の方が受けていただく項目と、詳細な検査項目ということで、一定の条件の下、医師が必要と判断した場合に選択するという、このような構造になってございます。

 おめくりいただきまして、この基本的な項目と詳細な項目の関係でございますけれども、基本的な項目につきましては、虚血性心疾患、脳血管疾患等の危険因子である糖尿病、脂質異常症、高血圧症を評価するもの、さらに、詳細な項目につきましては、生活習慣病の重症化の進展を早期に評価する、そのようなことで項目の設定をさせていただいてございます。

 また、見直しにおきましては、当然科学的なエビデンスに基づいて検討すること、それに加えまして、生活習慣病対策全般を俯瞰した視点、実施体制、実現可能性や効率性等も踏まえた視点で検討するようにという御指導を、これまでいただいてございます。

 また、労働安全衛生法に基づく健診につきましても、先生方からワーキングで御指摘いただいておりますように、整合性をしっかり取った上でやることという御指摘をいただいてございます。

 次のページは御参考でございます。健康診査等の指針ということで、健康診査の項目に関して、このような検討をお願いしますということで、示させていただいているものでございます。

 これを踏まえまして、次のページに行っていただきまして、現在、まさに主査の岡村先生に、厚労科研で検査項目の見直し、整理について御検討いただいてございます。この後、先生のほうから御指導いただくことになってございます。

 おめくりいただきまして、内容につきましては、これまでの既存の健診項目についてのレビューであるとか、あるいはガイドラインの変更、これらについて岡村先生から御指導いただく予定でございます。

 では、お願いいたします。

【岡村主査】  ありがとうございます。

 今の部分につきましては、もう既知の事項でございますので、続きまして、厚生科研のほうで検診項目の見直しでどういうことをやったかということについて、私のほうから簡単に説明させていただきたいと思います。それでは、資料3-1の研究班のまとめを御参照いただければと思います。

 時間が限られていますので、簡単に、どういうふうに研究班を進めたかということを説明させていただきたいと思います。

 2ページ、これは先ほど事務局から提示していただいた部分以外の、一応公的な書類、文書等の整理ということで、標準的な健診・保健指導プログラム、平成30年度版に書いているものですけれども、メタボリックシンドロームに着目する意義ということで、メタボリックシンドロームの診断基準を使っているということと、メタボと高LDLコレステロール血症というのが主な動脈硬化の原因であるということが、標準プログラムのほうの序文に書いてあります。

 それからもう一つ、いわゆる脳卒中、循環器病対策基本法というのが、その間制定されまして、予防の推進が第12条に書いてございます。ここで見なければいけないものというのが幾つか、食生活、運動等、生活習慣のこともありますが、あと喫煙、肥満、赤字で書いておりますけど、高血圧、脂質異常症、糖尿病、心房細動というのが記載されているということになるかと思います。

 そこを踏まえまして、次になりますけれども、現状の検診項目のリスク評価の論点ということを、少し整理させていただきました。

 まず、基本的な項目というのがあるかと思います。この基本的な項目のところで、階層化に使うものというのがこちらに整理されていて、階層化に使わないものがこちらのほうに分かれています。だから、基本的に階層化に用いる項目はこれでいいのかという検討がまず1つ、階層化に使ってない項目の狙いは何なのかというのが次の論点です。

 それから、詳細な項目ということで今、眼底、心電図、クレアチニン、貧血検査と入っていますが、ここは要するに、基本項目で見るもの以外のハイリスク者の選定ができているかどうかという論点ということになって、一応こういう視点で研究班のほうは進めさせていただきました。

 それから、本来これは最初に研究班の班員、分担研究者のリストを出すべきだったんですけれど、今日ちょっと資料を入れ忘れまして、多くの分担者の先生がいらっしゃいまして、今日参考人で来られている津下先生にも入っていただきまして、議論等していたということを申し添えておきます。

 もう一つ、労安法の項目というのも、当然研究班で見ておりまして、これは労働安全衛生法の定期健康診断項目ということで、青地の部分が特定健診と異なっている部分になります。ですから、例えば貧血検査は、労安法だと全員やる検査になりますけれども、特定健診の場合は、先ほど言ったように詳細な項目ということになってきます。心電図についても同じでございまして、労安法だと、基本的に省略できる年齢等あるんですけれども、全員測ることになっていますが、特定健診では詳細な項目ということになります。

 クレアチニンのほうは、医師が必要と認めた場合は実施することが望ましいとなっておりまして、多分法定項目にはなってないというふうに理解しております。

 一応こういうことを踏まえて検討するということでやっておりました。

 次のステップとして進めましたのが、海外のガイドライン等で、例えば脳・心血管疾患、脳卒中とか心筋梗塞の発症死亡予測に、どういうものを使っているかということを整理しています。NCEP、これはアメリカの古いやつで、フラミンガムスコアというのを使っていますし、あと、最近アメリカで使っているACC/AHAのガイドライン、ニュー・プールド・イクエーション、あとヨーロッパのSCORE、イギリスはQRISKというのを使っていますけれども、ここに幾つかの項目を書いています。

 そんなに特異なものはあんまりなくて、例えば、ACC/AHAのガイドラインとESC/EASのガイドラインは、大体、基本項目と似たようなものが列挙されているのが分かります。イギリスのQRISKだけは何か貧困指数とか、これは要するに郵便番号を放り込むだけなんですけれども、ちょっと変わったものが入っていますけれども、基本的には、基本的な健診項目を予測で使うということになっています。これを使うことによって将来の発症リスクを予測する、いわゆるハイリスク者を選定できるということに用いているわけですね。

 同じような、日本国内で今のような予測スコアみたいなのは、どんなものがあるかというのをざっと、列挙しました。本当はもうちょっと数があって、全てをこのスライドには入れてないんですけれども。例えば、NIPPONDATA80というのは、動脈硬化学会のガイドラインの2012年で使われていましたし、吹田研究は動脈硬化学会ガイドラインの2017、JALS研究というのは高血圧学会ガイドラインの2019で使われています。

 どういうものを使っているかという危険因子も、ここにざっと書いてございます。それから何を予測するかですね。冠動脈疾患の死亡であるとか、心筋梗塞の発症だとか、いろんなものを予測することに使われています。

 基本的に、これを全部整理すると、先ほどの国際的なものも含めまして、こういうものはもう基幹項目として整理できるだろうということになります。

 要するに、血圧測定は降圧治療で対処ができます。

糖尿病の血糖値、ヘモグロビンA1cは血糖コントロールで、それから脂質異常症については、国際的にはLDLコレステロールが主要ターゲットということになりまして、検討会で示された実証事業でも脂質異常症はスタチンを使えみたいになってますけれど、スタチンって結局LDLを下げる薬でございますので、LDLがターゲット目標になっていると。それから、リスク評価としてはHDLコレステロールを使うんですが、後で述べますけど、これ、薬物療法のターゲットにはならないという、逆にややこしい側面がございます。あと、トリグリセライドについては、HDLとセットで考えるというのが一般的で、トリグリセライドが高いとHDLが低い、もしくはその逆ということです。

 それから喫煙歴の聴取ということで、これは禁煙指導ということができます。

 以上、この辺は介入研究と観察研究のエビデンスがほぼ合致しているということになるので、この辺を外した健診というのはあり得ないかなというところが、国際標準であろうというふうに考えています。

 それから、メタボリックシンドロームの階層化に必要な項目は、要するにウエストとかBMIとか、これはどちらかというと法的な側面が強いわけですけれども、上記1から4と脂質異常症以外の追加リスクは、ほぼ共通であろうと考えております。

 9ページ、これは去年出ました日本の複数のコホート研究を統合解析した結果ということになりますけれど、日本の基準で分類した場合、なかなか国際誌に通すのが難しいわけですけども、「Journal of the American Heart Association」に日本基準で出ていまして、情報提供レベル、動機づけ支援レベル、積極的支援レベル、下段が前期高齢者で、上段が40から64歳、積極的支援は前期高齢者はいませんので、こういう分類になります。

 棒の高さというのは、脳卒中と虚血性心疾患の発症リスク、要するに相対危険度に当たるもので、ここにあるパーセンテージというのは集団寄与危険割合ですから、そこにいることによって何%患者さんが増えているかということを示しているもので、一応こういうエビデンスがちゃんとあると。要するに、この右半分のところに対する対策を今していますということが、ある程度明らかになりましたし、寄与についてもきちんと出たということで。

 恐らく日本の今の特定健診の基準についてのエビデンスとしては、これが一番きちんとしたものであろうと考えています。3万人を9年追跡して循環器疾患の発症との関連を見たということになります。

 あと、ガイドライン等の変更ということになりますが、動脈硬化学会のガイドラインは今、2022年版に変更中で、概要はウェブサイトに載っています。これ、実は7月4日にも公表されることになって、7月5日にプレスセミナーがされますけれども、影響する点というのは、トリグリセライドのところが、これは長年の懸案なんですけど、空腹時と随時で初めて基準が分かれたということになります。これは御存じのとおり、食事をしますとトリグリセライドは上がります。LDL、HDLは1食食べた、食べないぐらいだとほとんど変わりませんけれども、トリグリセライドは直前の食事とかの影響をかなり受けるので、これによって基準値を変えるということで、空腹では今までどおり150なんですが、非空腹の場合は175というふうにガイドラインの変更がされることになっております。これは要するに、食べた後で測ると余分にリスク有と判定されちゃっていたという可能性があるんですね、高トリグリセライド血症で。ということがありますので、こういうのが影響することになります。

 それで実際のエビデンスを調べますと、空腹時のほうのトリグリセライドについては、吹田研究から最近出た論文なんですけれども、冠動脈疾患と脳梗塞の発症リスクというのが、5分位で切って、155から明らかに有意に上がっておりますので、空腹の150というのはまあいいだろうというのが一つです。

 随時のほうにつきましては、これは古い論文で、非空腹時のトリグリセライドだと、段階的に冠動脈疾患の発症リスクは上がるんですけど、167から上がるというのが一つ。

 もう一つは私どもがNIPPON DATAでやりました研究になりますけれども、まず、食後時間別に、食後0.5時間から8時間未満まであるんですけれども、食事直後は明らかにトリグリセライドの値が高い。直後だと平均で150ぐらいまでいっちゃってます。それで、食後時間で変わってくるということ。また実際に脳・心血管疾患の死亡リスクを見ると、これは65歳未満での集計ですけれども、これは非空腹時ですから、150を真ん中にしていますけれども、200を超えるとリスクが上がると。だから、167とか210とか、そんな感じの値になっています。

 実際に、ヨーロッパのガイドラインでは175で切っていて、これは結構研究によって微妙に値がずれるんですけども、大体真ん中を取るとこのぐらいの値になるということで、日本のほうもカットオフとして、ヨーロッパとそろえて175ということで、今度決まりましたので、そういう形の変更がなされているということになります。

 空腹は今までどおり150で。血糖値は、何か随時と空腹時が今まで特定健診でも分かれていたんですけれども、何でトリグリセライドは分かれてないんだと。これは前からちょっと不思議な話で、理由をたどれば学会のほうに基準がないからということだったかと思います。

 それから、HDLの話なんですけれども、HDLコレステロールはリスク予測に非常に有用なんですが、こちらも大規模コホートの統合研究というものになりますけれども、HDLだけが低くて、トリグリセライドとか、これは総コレステロールでやってますけど、LDLコレステロールが高いということを意味してますが、そちらの異常が伴った低HDLというのは、冠動脈疾患の死亡リスクが増えるんですが、単にHDLが低いだけだと、あんまりリスクは上がらないんですね。トリグリセライドもLDLも正常ということであれば、こういう形になりまして。

 それから治療ターゲットについても検証したんですが、このHDLを上げるという薬の開発が幾つかありまして、CETP阻害薬とナイアシンを使った研究というのがありますけれども、これ、ほぼ全滅状態で、HDLを上げる薬は駄目で、①のイルミネート試験に至っては25%リスクが上昇しています。これ、薬入れるとHDLが百何十かに上がっちゃうという、すごい強烈な薬なんですけれども、別の理由、血圧も一緒に上がったとかあります。最後の④だけちょっとリスクは減ったんですけど、結局LDLが下がっているほうで説明できるので、LDL下げるんだったら、スタチンを飲めばいいやって話になっている。あと、ナイアシン使ったやつも全く効果なしということで。

 要するにHDLについては、それだけを狙った治療というのが、現在服薬としてはないということで、これは動脈硬化学会のガイドラインにも記載されます。

 しかも、④の薬は効果あったんですけれども、何か薬が脂肪組織に残留することが分かって、結局市販しないことになったという落ちがついているというのが現状でございます。

 今のがガイドライン、脂質関係なんですけれど、もう一つ、高血圧のガイドラインの変更というのがございまして。高血圧治療ガイドライン2014というのが、ここにあるとおりで、正常域血圧と高血圧を分類し、至適、正常、正常高値、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度と。140の90から高血圧になるわけです。

 今現在、特定健診では、正常高値の130の85のところを使っていることになるかと思うんですけれども、2019年にガイドラインの変更というのがありまして、こういう感じで変わりました。正常域と正常高値というのがなくなって、前の至適が正常、120の80が正常です。それで高値血圧というのが130の80ということになりましたので、要するに拡張期血圧の区分の85というのが、どこにもなくなったというのが、現在のガイドラインの状況になります。

 これ、80と85で違いがあるかということになって、公表済みのものではちょっとなかったので、これは労働者8万人を追跡したJ―ECOH研究というもので、実は学会演題として投稿されているもので、論文としては未公表情報ですが、国際医療センターの溝上先生と帝京大学の大久保先生からいただいてきたんですけれども、拡張期血圧80未満を1とすると、脳・心血管疾患の発症の相対危険度というのは、1.58、2.26、2.85、2.88、5.65というふうに上がっていくことになります。やっぱり85と80のところでリスクが違って、80未満は1ですから、明らかにリスクが違うということが、こういうデータで分かってきたということになります。

 ということで、ガイドラインとか法制度の検討、それから今度、基本項目以外の検診項目の検証等もしていまして、研究班では、3つの方法でやっています。要するに、文献レビューと、疫学調査データの解析と実地調査ということで、文献レビューだけじゃなくて、実際に我々が関わっているようなコホート研究というのがありますけれども、そこでの既存データ解析とか、実際に検査をそこで行うということも含めて両方でやってきて、吹田研究とかCIRCS研究とか、やった研究が入っておりますけれども、要するに、論文がなかったら自分のところのデータで解析する、データがなければそこに行って調査するという感じの進め方をしたということになります。

 基幹項目以外の基本項目だと、肝機能検査というのが前からありまして、こちらについては文献レビュー、AST/ALT、γ-GTPについてですけれども、一応諸条件で、どういう条件かというと、国内のコホート研究でアウトカムが脳・心血管疾患、糖尿病、腎機能の低下等で、初発予防のセッティング、要するに、患者さんの集団じゃないということですね、健診の項目ですから。それを検索したということをやっております。それから、疫学データの解析等をしております。

 結局、肝機能についてまとめますと、γ-GTPが一番いろいろな疾患の発症との関連が見られるということ、次いで、ALTがちょっとあって、ASTはほぼ皆無という感じです。あと、γ―GTPとトリグリセライド、BMI、腹囲から、FLIという指標を計算できるんですけれども、これを使うと、糖尿病の発症との関連があるということが分かりました。

 なので、脂肪肝の評価で、FLIは現状の基本項目のみで計算できます。あと、FIB-4というのがあるんですけれども、これは血小板数が必要なので、現状の基本項目では計算できないということです。

 それからもう一つ、いろんなスコアがあります。個々の危険因子を1個1個見るよりも、複数のスコアで発症確率か何かで見たほうがいいんじゃないかというのが、意見としてはもともとありまして。吹田スコアとか、JALSスコアとか、ガイドラインに使っているのもあるんですけれども、問題点もあって、絶対リスクの罠って私は呼んでいるんです。これ、年齢の影響が非常に大きく出ます。発症確率を出すと。なので、若い集団だと、10年後の発症確率は地を這うような値になるということになるので、そのまま使うのは結構難しいだろうなというのが、この発症スコアの結論ということになりました。

 これはFLIの例ですけれども、空腹時血糖が正常なところでも、FLIが高値だと糖尿病の発症を予測するみたいなデータが出ているということになります。

 あとは、検証した現状の詳細項目として、心電図、眼底、クレアチニン、貧血ということになりまして、これはもう参考、ちょっと時間の関係で、今日は基本項目の話かなと思っておりますけれども。心電図、眼底は現状の選定基準というのが、特に3期からの見直しで非常にうまくいっていまして。心電図は不整脈の疑いがある者と高血圧、眼底は高血圧と糖尿病のある人ということになって、ハイリスク者の選定にしてはうまくいっているかなということ。

 あとクレアチニンについては、もちろん意味がありますが。あと貧血については、先ほど内臓脂肪に起因するどうのこうのって、法の趣旨からすると、これは何のためにやっているんだという話で、詰め出すと幾つか出てくるんですけれども、ただ、血液検査の場合は、詳細項目にしてしまうと、じゃあ、もう1回採血するのかとか、実は運用上ややこしい面があって。心電図や眼底はまあいいんですけれどもというところがありまして、そういう運用上の問題点というのが、検証過程で出てきております。

 それから、これは全く参考で、一応新しいものとして入れられないか検討したものが幾つかありまして。例えば、心不全のスクリーニングとしてBNP・NT-ProBNPとか、高感度CRPとか、脂質の詳細検査ですね、small dense LDLとか。あと、尿中微量アルブミンで、例えば、今は顕性たんぱく尿がないと健診でも引っかからなくて、その前の状態は見つけることができないです。それから尿中のナトリウム、カリウム。これは塩分摂取等の指標として非常に重要で、尿中クレアチニンもあれば、摂取量の推計もできるとか。

 生理検査では、頸動脈超音波検査、PWV、CAVI、FMD、あと、検査手技として指先採血、インピーダンス法による内臓脂肪測定などです。

 これらは、研究班で全部検証しておりますけれども、時間がないので、今日は基本項目のところに絞っての御紹介ということにしたいと思いますので、これで終わりです。

 一応研究班でどういうことをしたかというのが、今の御紹介になるかと思います。

 質問等はまとめてやっていきたいと思いますので、基本項目に影響するのが、臨床ガイドラインの変更ということになります。

 続きまして、資料3-2を見ていただければと思います。これは、保健指導対象者の選定における血圧、トリグリセライドの判定基準値変更の影響についてということを、NDBを用いてシミュレーションしております。平田参考人からの資料提供でございますので、説明のほうをよろしくお願いいたします。

【平田参考人】  平田です。資料3-2を御覧ください。

 私からは、先ほどのエビデンスに基づきまして、血圧、中性脂肪の判定値の変更案をお示しさせていただいて、そちらを実際変更した場合に、保健指導の対象者、人数がどのように変化するかということに関しまして、NDBを用いてシミュレーションを行いました。その結果を御報告させていただきます。次のスライドお願いします。

 こちらは、現行の保健指導対象者の選定基準となります。まず、腹囲あるいはBMIでリスクを階層化して、さらにこの下に記載しております、血圧高値、脂質異常、血糖高値、これらがこの基準値以上の場合、追加リスクとして加算して、保健指導レベルを分類していきます。次のスライドお願いします。

 判定値の変更案としまして、まず、血圧高値に関しまして、現行では拡張期血圧85mmHg以上となっているところを、80mmHg以上とするということ。もう一つ、脂質異常に関しましては、現行の中性脂肪150mg/dL以上という基準についてですが、採血時間は空腹時、非空腹時を問わず中性脂肪を測定している場合には全て150mg/dL以上で脂質異常症と判定していましたが、今回の変更案としましては、空腹時採血、つまり食後10時間以上での採血の場合は今のままの基準で150mg/dL以上、それ以外、採血時間が食後10時間未満の場合では175mg/dL以上を脂質異常症の判定値とするという変更案となっております。

 血糖に関しましては、変更はございません。次のスライドお願いします。

 そこで、実際に変更した場合のシミュレーションを行いました。方法としましては、NDBのデータ、2018年度特定健診情報を用いて、血圧と脂質の判定基準値変更前後における、保健指導対象者の人数をそれぞれ算出して、その変化数、また、特定健診受診者を分母としたときの変化割合を推計しました。

 こちらの分析は、保険者全体、年齢別、また、資料としてお配りしております通り、保険種別にも分析いたしました。次、お願いします。

 こちらが、保険者全体の結果となります。まず、特定健診受診者について、現状としましては、全体で約3,000万人です。そして、保健指導対象者はそのうちの約500万人となっています。割合としては17.1%です。そこで、まず、血圧のみ判定値を変更した場合、その割合が18.15%になり、変化割合としては1.02%の増加という結果になりました。

 次に、脂質の判定値のみを変更した場合ですと、こちらは基準を少し緩めることになりますので、保健指導対象者の割合が16.96%となり、0.16%の減少という結果でした。

 そして、血圧と脂質の両方を変更した場合は、血圧で増加した分と脂質で減少した分がやや相殺されたような数字になりますので、全体としては0.89%の増加という結果でした。次、お願いします。

 次に、65歳未満での結果です。こちらは変化割合の数値のみお伝えいたしますが、血圧のみ変更した場合は0.94%の増加、脂質のみの場合は0.15%の減少、そして両方変更した場合には0.82%の増加という結果でした。次、お願いします。

 次は65歳以上の結果です。保険者全体のうち約75%程度が65歳未満ですので、65歳以上に関しましては、その変化割合も小さいものとなっています。

 結果としては、血圧のみ変更した場合は0.08%の増加、脂質のみでは0.02%の減少、両方変更した場合には0.07%の増加といった結果が得られました。

 保険種別につきましては、お手元の資料を御覧いただければと思います。

 私からの報告は以上となります。

【岡村主査】  ありがとうございました。

 研究班の流れ、それから今のシミュレーションの結果を通じまして、何か御質問、御意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。

 小松原構成員、よろしくお願いします。

【小松原構成員】  ちょっと、そもそも分からなくなっております。岡村先生の御説明、エビデンスに基づいてとても研究なさっていただいて、理解はできました。また、平田先生から御説明いただいて、NDBを活用されて、これだけ影響があるということも理解はできました。しかしながら、ここで基準の変更案が提示され、これをどう解釈していいか分からなくなっております。

 厚労省として、この検討会に基準の変更案を提供されているのか、研究班として基準を変更したほうがいいという案なのか、そこを教えていただきたいと思います。

【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。それでは、次の資料4の、論点について(案)というものを御覧いただいたほうがいいかなと思っております。

 おめくりいただきまして、先ほど岡村先生、平田先生から御紹介いただきましたものにつきましては、ガイドラインが変更になったということでございまして、現在、保健指導の判定値は血圧に関しては130と85を使っている。また、中性脂肪に関しては150の1本でやっているということでございます。それを踏まえた特定保健指導の判定値ということで、これらの値を参考にしているというのが現状の立てつけになっているということでございます。

 厚労省と致しましては、そもそもこれについてどう考えるかということでございまして、次のページに行っていただきまして、厚労科研の結果等を踏まえ、メタボリックシンドロームに対する特定健診・特定保健指導の制度体系において、標準的なプログラムの保健指導判定値及び受診勧奨判定値、特定保健指導対象者の選定基準について、どう考えるかということで、全くニュートラルな状態でございまして、これについて先生方に御議論いただいて、方向性について御検討いただければということで、全くまだ、このガイドラインの変更をどのように考えていこうかというスタンスでございます。

 すみません。ちょっと説明が不足しており、失礼いたします。

【岡村主査】  小松原構成員、よろしいでしょうか。

 野出構成員、よろしくお願いします。

【野出構成員】  ありがとうございます。学会のガイドラインが変わったことで、日本高血圧学会では、最近のスプリント研究やステップ研究によって、130/80、120/80に低下、抑制したほうが、心血管イベントが少ないデータがございましたので、今回は、下が85だったのが、80ということにしております。これはESHもISHも、米国の学会も同じような形で、全て拡張期血圧は80になっておりますので、国際標準としてはこの値が妥当だろうということで、前回のガイドラインでは変更してございます。

 したがって、この判定基準に関しても、130/85から、80に変更することは、国民の心筋梗塞や脳卒中を予防する観点からは妥当と思いました。

 一方で、中性脂肪に関しても、今までは空腹時TGだったのが、LDLコレステロールに比べると中性脂肪は、日内変動が大きく変化いたします。食後のTGを評価することも、動脈硬化の指標としては重要であるという知見が多く出ています。特にインスリン抵抗性とか肥満、脂肪肝ということに、中性脂肪は大きく影響しています。

 中性脂肪を下げた結果、心血管イベントが低下するかは、エビデンスはございませんので、今後の課題ですが、空腹時と食後を分ける考え方は、ヨーロッパも含めて現在のコンセンサスになっております。

 今回、非空腹時であれば175にしたことによって、従来、食後のTGが160ぐらいのところは除外されるということで、トータルとしてはこの判定を変更することによって該当者は減少するわけですけれども、真のリスクのある方をスクリーニングするという観点からは、よいのではないかということになります。

 動脈硬化学会は、7月の新しいガイドラインでは空腹時と非空腹時ということを分けてTGを提示するということになっています。

 以上の観点から、岡村主査が出された案は、妥当ではないかと考えております。

【岡村主査】  ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 津下参考人、よろしくお願います。

【津下参考人】  ありがとうございます。各学会がいろいろなエビデンスに基づいて、また、国際的な協調の中でガイドラインの見直しを定期的に行うということについては、非常に重要なことでありますし、また、そのことを健診の数字として国民に知らしめていくことは重要だということは、認識しております。その上での発言として受け止めていただければと思います。

 一つは全体のルールの話でございまして、各学会がガイドラインを出される、そのタイミングごとにこういうような検討をしていく方向にするのかどうかということ。そもそも、健診の判定と特定保健指導の対象者選定という2つのずれをどうするかというか、の問題もあります。現在「保健指導判定値」というのは、特定保健指導の対象者選定の基準となっているんですけれども、その基準で現実的に特定保健指導該当として適切かどうかということについて、検討すべきと思います。人数が増えることによる実際の保健指導の現場の状況とか、また実施率への影響とか、より軽度な対象者における改善可能性とか、を検討すべきかと思います。また、特定健診の対象年齢は74歳までとなっております。先ほどの血圧では、拡張期の80は64歳までのエビデンスというふうに出ていたかと思うんですけれども、65歳以上も同じ基準をそのまま使ってもいいかどうかとか。そういうことを検討する必要があるかなというふうに思っております。

 先ほど平田参考人からお話あったように、NDBを使って実際に対象者数がどうなるかという試算、これは非常に重要だと思います。その結果、私も以前一度、血圧の判定を変えることによってどれだけ変わるかということを、岡村先生の研究班でやってみたことがあるんですけれど、やはり国民全体の中での増加というのは数十万、30万人ですか、かなり増えるという印象があります。もう一つは、これがリスク1個とカウントされるので、積極的支援該当者が増えることになります。動機づけ支援よりも積極的支援に増えていくということが、保健指導現場への影響としては出てくるのかなと思います。

 現場の実施率を高めていく努力を保険者さんはされているんですけれども、その対象者数が増えることに対する影響をどう考えるか。特定保健指導の対象の優先順位の考え方とか、どちらかといえばコストをかけて積極的支援をやっていますので、そういうものの対象者としてどう考えるべきかということについては、ちょっと慎重に、基準とは切り離して考えていく必要もあるのかなというふうには思った次第なんですけれども。

【岡村主査】  ありがとうございます。

 今のことなんですけれども、学会の基準についてどう思うかということで、基本項目と関係する学会というのがそんなに多くないのと、見直しのタイミングがあれば、やはり最新のガイドラインのほうは見なければいけないなというのは思っております。例えば、随時血糖を前に入れたとかいうのも、実は保健指導のところでございますので、基準を永久不滅のものにしてしまったら、どんどん取り残されていくことになるので、そこはまあ、いいんだろうと。

 ただ、保険者の負担をどう考えるかという点は、確かに御指摘のとおりだろうと、私ども考えております。

 小松原構成員、よろしくお願いします。

【小松原構成員】  

 津下先生からご指摘いただいたように、我々保険者からしてみると、これによってどれだけ対象者が増えるのか、とても気にかけています。実際問題、国の目標として保健指導の実施率45%と目標で掲げられていますが、今はその半分行くか、行かないかという現状です。そのような状況の中で裾野を広げていくことが本当にいいのか、あるいは血圧の値85と80の間の方たちに対応することが、コストパフォーマンスとして優先順位があるものなのか、我々保険者としては、分からない状況です。

 手元にあるデータ、500組合程ですが、試算をすると、やはり1%から1.5%ぐらい対象者が増えるような状況になっています。この血圧の値を下げて、積極的に介入していくこと、効率性や費用対効果も含めて、保険者としては、効果検証なり何かをしていただきたいと思っております。

【岡村主査】  はい。ほかにございますでしょうか。

 これ、エビデンスと実務の問題ということになるので、ある程度予測をたてられるので、NDBのほうで実際の数の試算をさせていただいたという経緯になっております。大方の話として思っていたのが、トリグリセライドのほうは対象者が減りますし、もともと必要ない人が保健指導に行っていた可能性があるので、そちらのほうはということになるんですが、血圧のほうがちょっと、影響がどのぐらいあるかということに、恐らく保険者の立場からは不安になっているんだろうというふうに思いますが。

 先ほど国際的な流れみたいなことで、野出先生からの意見もございましたという状況です。三好構成員、よろしくお願いします。

【三好構成員】  ありがとうございます。確かにトリグリセライドに関しては、こちらの基準、空腹時との差は納得できるものではあったんですが、65歳以上の74歳までの対象者を引き受けるのは、割合としてかなり国保が多いと思いますので、エビデンス的にはっきりしない状態で増えていくのはどうなのかなと思っています。

 あと、組合せで階層化にも影響してくるので、システム的な対応について複雑なロジックの部分もありますので、そこら辺への影響を御配慮いただけると。今、小松原構成員が言われたように、多少検証のプロセスを組んでいただいて、これでどうだろうというような結果が出てからでもいいのではないかなと感じているところです。

 以上です。

【岡村主査】  三好構成員、いずれにしても、恐らくシステム変更にはねそうなところを今議論していると、私は理解しているのですが。血圧の値を変えたときにどうなるかみたいなのが1つ。それから、トリグリセライドのほうは、そもそも血糖値の随時のところと同じロジックになりますから、それはあまり問題ないだろうというふうに、もともとこちらでも検証していましてという状態でございます。

 結局、対象者の数と、実際の保健指導の実施率の目標値と連動させることができるかどうか、みたいなところに恐らくかかってくるのかなと。そういう御懸念ですよね、基本的に。そういう理解でよろしいですか。はい。

 ほかにございますでしょうか。

 野出構成員からお願いします。

【野出構成員】  先生方御指摘のように、変更したとき、その指導にかかる費用あるいは人手の問題を計算することが非常に大事なので、その検証は必要と思いました。

 もう一つ参考に申しますと、実際のデータではないんですけれど、65歳未満の方に関して血圧の判定値を変更した場合、増えるのは27万6,730名です。一方で、65歳以上の方に関して血圧の判定値を変更した場合は2万3,000人です。0.08%ですね。何を意味しているかというと、高齢者は比較的、拡張期血圧が下がってくるんです。脈圧が大きくなるからですね。高齢者は収縮期血圧が影響するということなんですね。このデータも鑑みますと、拡張期血圧を85から80にしたとき、どの層がかかってくるかというと、65歳未満の、あるいはもっと若い方がスクリーニングにかかってくることが考えられます。

 65歳以上、74歳ぐらいの方はもっと下がってくるので、拡張期血圧で厳しくすると、若年層から中年層がスクリーニングされていくことが一般的だと考えられます。ただ、詳細な費用対効果の検証は、していただきたいと思っております。

【岡村主査】  安田構成員、お願いします。

【安田構成員】  ありがとうございます。協会けんぽの安田でございます。今まで皆様の御指摘等ございましたけれども、学会の基準変更によって特定保健指導対象者の選定の基準を変更するということについて、なかなか保険者として異論を挟むことができるかどうかというのは、正直なところ、お聞きしていて、よく分からないことがございます。

 ただ、参考資料にもございましたが、影響度が保険者種別ごとに異なっているということがあります。むしろ、今後議論される、第4期特定健康診査等の実施計画における実施率の目標値の設定について、影響があると思いますが、その点については考慮が必要かと思っております。

 以上です。

【岡村主査】  ありがとうございました。

 だから、学会のエビデンスについては特に問題ないということですけれど、結局、実施率に影響するので、そこのところを見ていただけるかどうかという御意見でよろしいですか。

【安田構成員】  はい、結構でございます。

【岡村主査】  分かりました。

 ほかにございますでしょうか。

 津下参考人。

【津下参考人】  空腹時血糖のときに随時血糖が入った経緯ですけれど、学会で随時血糖の基準が決まったから入れたというのではなくて、空腹時、10時間の絶食をしていることが難しいので、随時採血でも可能にしてほしいという、より健診実施率を上げるために、検討されたという経緯があります。食事の影響が出やすい血糖については、食後の血糖のパターンをこの検討会等で議論して、入れたという経緯です。学会基準が決まったから入れたという経緯ではないということだけ、ちょっと補足しました。

【岡村主査】  先生、それ、十分存じ上げておりまして。何というのかな、要するに、基準は永久不滅のものでなくて、変えたことがあるという例として挙げただけで、私はその場にいましたから、十分存じております。

【津下参考人】  そうですね。分かりました。なので、やはり実施しやすさということも考慮して、検討していただければと思います。

【岡村主査】  武藤参考人、よろしくお願いいたします。

【武藤参考人】  岡村先生にちょっと伺いたいんですが、先ほどの先生の資料で、HDL低値単独では特にリスクがないというお話だったんですけれど、例えば、腹囲が男性で85以上で、HDL低値1個リスクがあると動機づけ支援の対象になるし、2つあれば積極的支援の対象になる。そうすると、HDL単独で低値の方の階層化もちょっと考えたほうがいいのかなと先生のお話を聞いていて思ったんですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。

【岡村主査】  これ、今日、専門の先生もおられるのであれなんですけど、HDLとトリグリセライドの場合って、基本的に耐糖能異常をある程度反映している指標なので、要は痩せれば、先々の耐糖能異常の出現みたいなのが抑えられるみたいな形での意味はあるだろうということになりまして。HDLについてはなかなかややこしい指標で、予測のほうとしては結構強く出るんですけど、何と関係しているかって、裏には多分耐糖能異常が隠れててということで、ちょっとほかに臨床の先生おられるので、そちらから御説明いただいたほうがいいんですが、LDL系とは明らかに違う動きをしています。そういう意味では少なくとも腹囲が大きい人が痩せるということについては、多分、意味としてはあるんだろうと。これは個人的な意見になりますけど、そう思っています。

 先ほどの単独で薬物利用の適用にはなりませんよということの、説明の一環として入っているというふうに御理解いただければと思います。

【武藤参考人】  分かりました。

【岡村主査】  野出構成員、よろしくお願いします。

【野出構成員】  もう一つの観点から申しますと、HDLコレステロールを上げるのは非常に難しいんですね、生活習慣で。一方で、中性脂肪は、運動とか食事制限とかアルコール制限でかなりよく下がります。したがって、そういう観点からも、中性脂肪をマーカーといいますか、評価したほうが、より生活改善に資しやすいということがあると思いました。

【岡村主査】  ほかにございますでしょうか。

 今日まだ発言されてない構成員の方、もし何か御意見ありましたらいただきたいんですけれど、大丈夫でしょうか。

 お願いいたします。

【室原構成員】  名古屋大学の室原と申します。今の議論とはあまり直接関係ないんですが、私自身は全ての項目に通して喫煙のところを、ぜひ、電気加熱式たばこあるいは電子たばこを吸っている方も喫煙者とみなしていただきたいと。この点のみです。内容を含むかどうかは、もう皆様の意見に依存いたしたいと思います。

 以上です。

【岡村主査】  ありがとうございました。

 これ、問診を取るときの書き方、要するにどういうふうに取ってくださいというのを、また考えていくことになるかと思うんですけれども。事務局から何かございますか。

【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。先生の御指摘、事務局のほうでも検討させていただきます。標準プログラム等の解説等も含めて、どう対応するかというのは、しっかり検討したいと思います。ありがとうございます。

【岡村主査】  ほかにございますでしょうか。

 津下参考人、よろしくお願いいたします。

【津下参考人】  すみません。何度も申し訳ないです。詳細健診の話は今日じゃなくてもいいですか。それとも、もし詳細健診についてお話ししてもよいのであれば。現実にどのぐらい実施されているかということについてNDBで、基準に該当した人のうち、例えば心電図を実施している人は18.7%、血清クレアチニンは17.1%、眼底は10.7%という数字が報告されています。

 心電図については、労働安全衛生法でやっているのが取り込まれて、該当してない人も登録されているということもあるんだろうと思います。

 血清クレアチニンは国保においては実施率が高いので、その影響もあって全体では17.1%なんですけれども、被用者保険のほうでは、クレアチニンの測定はまだまだ進んでないように思います。

 眼底検査については10.7%で、そしてNDBに登録されている情報についても、前回の第3期改正時に改変Davis法を入れて、臨床では現在あまり使われていないScott分類から変わったということもあるんですけれど、実際に登録をきちっとされている数は非常に少なくて、保険者ごとにばらついているという状況があるかと思います。

 詳細健診については第3期で十分議論されたんですけれど、その実施とか活用については、まだ課題があるのかなと感じているんですけれども、これについてはどこかで議論されるんでしょうか。

【岡村主査】  今日は恐らく詳細健診のところまでの対応にはなっていなくて、時間がありましたので、今、御意見をいただいたので、ちゃんと次へつながるかと思いますけれども。

 実施基準については、3期のときに割ときれいに整理できたんですが、多分、実施率とか、保険者ごとにばらばらであるという御意見だろうと思います。それから、特に労安法が混じると心電図は確かに訳が分からなくなるので、どちらでやっているのかよく分からないということになりますけれどもということなんだろうと思います。

 ほかにございますでしょうか。

 それでは、一応御意見いろいろいただいたということで、最後に論点について、残りの時間ちょっとだけなんですけれど、事務局のほうから頂きました資料4のほうです。

 資料4で、今の判定基準というのが入っていますけれども、保健指導判定値というのはいいんですけれど、受診勧奨判定値についての考え方について、御意見を聞いておきたいと思っていて。この受診勧奨判定値というのが、イコール服薬基準みたいになっている場合もあるんじゃないかということで、ここは、例えば服薬しなくても、かかりつけの先生に指導いただくみたいなことも含めてのことなのか、それともイコール服薬治療なのかというのが、何か現場の運用で結構混乱しているような気がするんですけれども。ここについては何か、構成員の皆様のお考えはありますでしょうか。

 例えば具体例を言いますと、さっき言ったHDLの34というのは困ってしまう状況で、HDLが34だからと医療機関に来られても、何の治療をするんだみたいな話に当然なってしまいますけれども、トリグリセライドも高かったら、生活習慣の改善でそちらのほうの生活指導をするということで、対処できるみたいなことになるかもしれませんし。

 あとLDLが140といきなり来て、これだけで投薬って、ガイドラインでもなっていないはずで、総合的にリスク判定して見ろという話になっているんですけど。ここはどういう整理なんでしょうか。

 津下参考人、よろしくお願いします。

【津下参考人】  ありがとうございます。第3期のときに、フィードバック文例集をかなり整理して、受診勧奨を超えても、まずは医療機関で定期的な検査とか、治療の必要性を判断するということも含まれていることを明記しており、すぐ薬物療法というふうには書いていないんですけれども。このフィードバック文例集について、どこまで活用されているかということが、非常に気になるところになります。

 例えば、受診勧奨判定値を超えるレベルで、すぐに医療機関で受診をというところには、HDLは入っていないんですね。なので、フィードバック文例集をきちんと参照していただくということが重要だと思うんですが、この活用状況とか、受診勧奨判定値とフィードバック文例集をどう活用するか、そこの理解をもう少ししていく必要があるのかなというふうに思うんですけれど。

 問題はこの言葉かもしれないですね、受診勧奨というのは……。

【岡村主査】  ありがとうございます。フィードバック文例集、津下先生は糖尿のところを書かれて、血圧と脂質のところは私が書いたと思うんですけれども。フィードバック文例集のほうはガイドライン準拠で多分最新のものになってます。しかし基準値に入っているものはシステム改修にはねるので、ここの部分が触れないので、参考にするときにはフィードバック文例集のほうを見てくださいということになっていて、フィードバック文例集のほうが多分情報が新しいはずなんです。

 こんな整理を第3期にしていて、ここはこのまま残っていて、これはこれで置いておいてあっちはあっち、要するに、公式な厚労省が出しているものに両方入っていますが、文例集のほうが文献もついてエビデンスも整っているということになるんですが、食い違っていていいのかみたいな話になります。脂質だとHDLの受診勧奨判定値はないし、LDLは180になっているんですね、ガイドラインに合わせて。すぐ医療機関に行けというのは。

 そういうようなことがあるので、そこは確かに議論しなきゃいけないところで。これは標準プログラムをつくる段階での議論なのか、ここで話しておくのかというのは、ちょっとまた考えなきゃいけないところだろうと思います。

 小松原構成員、よろしくお願いします。

【小松原構成員】  現場から我々にいただいている意見をお伝えしたいと思います。先ほど岡村先生もおっしゃったように、受診勧奨値で医療機関に初めて受診し、その医療機関で、問題ないから戻りなさい、のような話になったとき、その受診勧奨を勧めた保健師の話を二度と聞いてもらえないということが、現場で多々あります。そういう意味では、この受診勧奨判定値という言葉遣いがいいかどうかも含めて、一度オーソライズしていただきたいなと感じています。

【岡村主査】  貴重な御意見ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。

 宮川構成員、よろしくお願いします。

【宮川構成員】  宮川でございます。先ほどからずっと議論を聞かせていただいて、今のところが問題点であろうと思います。実際の医療現場で齟齬が生まれてしまって、当事者が非常に困窮するという状態が継続します。ですから、この受診勧奨判定値という言葉そのものも含めて今後考慮していくことが非常に必要なのではないかと思っています。

 しかしながら、医療機関においては、何で来たんだということがあります。少し様子見ようねといって、1か月あるいは2か月ごとにいろいろお話を聞きながら、その人にとって良い生活環境に結びつけるというようなことも、結構いらっしゃるわけです。

 ですから、治療が医療機関の目的ではない、予防も含めてその人の生活をどのように見つめていくか、できているところとそうでない医療機関が混在しますが、今後非常に医療機関にとっても重要なことと思っております。

 以上です。

【岡村主査】  ありがとうございます。

 室原構成員、よろしくお願いします。

【室原構成員】  ありがとうございます。私もこれはなかなか難しいポイントで、これも採用していただけるか分かりませんが、私、3段階つくったらいいと思うんですね。赤、青、黄色とありますように、黄色というものと、もう赤、絶対行きなさい、例えば、LDLが190以上あるとか、血圧が160以上あるとか、もう明らかに行ったほうがいいという列をもう1個つくって、この今の勧奨判定値を黄色ということで、一応、治療とか医療機関をお勧めしますよぐらいの程度にして。そのように3段階設けてもいいんじゃないかなと思います。

 以上です。

【岡村主査】  ありがとうございます。本当にシステム改修はどうかみたいなことと、かなり関わってくるだろうと思いますので、またそれは相談していきたいと思います。

 ほかにございますでしょうか。

 今ありましたけれど、いずれにしても、少なくともこの受診勧奨判定という用語をどうするかとか、あと、用語を変えたときの判定値ですね、例えば、今のHDLを段階で分けていく意味があるのかとか、幾つか恐らく問題点が……。野出構成員、お願いします。

【野出構成員】  血圧、脂質、血糖は分かるんですけど、AST、ALTの保健指導31とか、勧奨51、それがどういう理由でこうなっているのかをお教えいただきたいのと、e-GFRですけど、年齢によって、高齢者の場合には60未満は該当する方が増えると思うんですね。45といっても、高齢者で痩せ型の方はかなりの方が45になると思うんですけど、その方もやっぱり受診勧奨をするということで、何かデータがあるのかどうか。この辺よく分からないので、教えていただきたいと思いました。

【岡村主査】  ありがとうございます。e-GFRは恐らく、ガイドライン等でステージで60とか45で切っているので、年齢を考えるとややこしいのでということで入っているんだと思いますが。

 肝臓のところは私のほうも、実はよく分からないというか、何で最初にこれで決まったのかというのは、実は調べたときもよく分からなかったところがございまして。これ、事務局で何か把握していることとかありますか。津下先生、御存じですか。

【津下参考人】  最初にこの制度ができるときに、臨床検査系の先生からの御提案だったのではないかというふうに記憶しています。高血圧、糖尿病、肥満、動脈硬化については各学会の先生が、またほかの項目については臨床検査の専門の先生が入っていらっしゃって、そこからの御提案だったというふうに記憶しています。その後関連学会にも照合をかけたところ、これでいいんじゃないかという話になったという経緯だったと覚えております。

【岡村主査】  ありがとうございます。

 多分、血圧と脂質と糖のところは、実際の循環器疾患等の発症確率か何かから基準値を決めるのが当たり前で、ここから発症確率が上がるというところで切ることになっていると思います。多分、AST、ALTの話は、恐らく分布から決めるという、私が学生時代に習ったような基準値の決め方というのがあって、プラスマイナス2SDとか。多分、発症リスクなどの決め手がないときはそういう決め方をする時があるので。それは方法論としてあるんだろうということです。

 野出先生、すみません。そんな感じなんですけど。

【野出構成員】  分かりました。ありがとうございました。

【岡村主査】  ほかにございますでしょうか。

 それでは、大体意見等いろいろいただきまして、次の宿題というのも出てきて、ある程度出そろったかと思います。

 問診のところは大体方向性が見えて、最後細かいところをどうするかという確認でいけるだろうと。

 基準値のほうにつきましては、要するに、対象者が増える分をどうするかということになりまして、保健指導の流れとかから考えたとき、脂質のほうはともかくとして、血圧のほうをどうするかというところが、今の保険者の方からの御懸念かと。

 それから、今の受診勧奨判定値と保健指導判定値のところの、特に言い回しの部分ですよね。あと、実際に動かしたとき、システム改修にどのぐらい手間がかかるものか等を踏まえての検討ということになるかと思いますので、そちらが次に残された課題なのかなというふうに整理させていただきたいと思います。

 ほか、何か。三好構成員、よろしくお願いします。

【三好構成員】  いつ発言しようかと思っており、場を与えていただいてありがとうございます。

 どなたか構成員からもありましたが、保険者の立場では、医療機関とうまく連携しながら、疾病の重症化をしっかり防いでいくという観点で、この特定健診なり活用していきたいと思っています。受診勧奨判定値よりさらに重症度の高い、緊急性の高い対象への対応について、多分フィードバック文例集等には書いていただいていると思うのですが、そういったものがもう少し積極的に伝わるよう、整備されることを希望しています。

 その辺りは、国保の分として見ることはできるのですが、エビデンスとしてNDB等を活用いただきお示しいただけるならありがたいかなと思います。

【岡村主査】  ありがとうございました。

 安田構成員、よろしくお願いします。

【安田構成員】  ありがとうございます。直接今までの議論とは関係はないのですけれども、協会においても今、保健指導をどういうふうにやっていくべきか、要はアウトプットだけではなくて、アウトカムをどういうふうに捉えていくかということが非常に課題だと考えております。

 そこで我々どもといたしましては、外部有識者を活用した委託研究等を実施しておりまして、協会けんぽが今実施している保健事業の効果等を明らかにすることを通じて、事業の改善や事業主、加入者の行動変容を促す方策を検討することとしています。これらの研究成果については、協会が開催する調査研究フォーラムや学会、ホームページ等で保健事業の効果を、これから公表していきたいと考えております。

【岡村主査】  ありがとうございました。いつも見直しのときに、急にエビデンスを集めるのは大変で、コンスタントにエビデンスの評価ができているという体制があると一番いいなと私のほうも思っております。ありがとうございました。

 ほかに。杉田構成員、よろしくお願いします。

【杉田副主査】  ありがとうございます。全体的にといいますか、今回、1つ目で質問項目の見直しということで、幾つかの項目を見直すということを検討したと思っているんですが、今、このワーキングがシステムにはねるところを、まずは検討しようということで動いているというのは承知しているんですが。

 第1回のときにもちょっと申した、昨年度末にやった全国調査の中で、今ある22項目全部を、93%から96%ぐらいの割合で使っているという実態が出てきているんですね。なので、もちろん全項目の必須化まで極論は申しませんけれども、この全項目をこれまで以上に積極的に使っていくということとか、あと、受診者によって、その保険者としては22項目を使っているんですが、やはり問診の段階でぼこぼこ穴があるみたいで、問診票を丁寧に取ることで、基本的な考え方の4つ目である、地域間及び保険者間の健康状態の比較に資するというところに貢献していくと思うので、そのことを含めたメッセージを、いずれか的確なところで発信していくことが必要じゃないかと思っております。

 以上になります。

【岡村主査】  ありがとうございました。確かに、せっかくあるのに全部使ってないところがあるというのは非常に問題なのでということですよね。ありがとうございます。

 ほかに何かございますか。よろしいですね。

 それでは、本日の議事は以上で終了したいと思います。

 それでは、事務局から次回日程等、連絡事項がありましたら、よろしくお願いいたします。

【山本健康課長補佐】  次回の検討会の日程は、6月22日14時から16時を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【岡村主査】  それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しい中御参集いただき、本当にありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

 

 ── 了 ──

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