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2022年4月26日 第1回健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキング・グループ(議事録)

○日時

令和4年4月26日(火) 15:00~17:00

 

○場所

AP東京八重洲11階 Lルーム(オンライン開催)
 

○議題

 <審議事項>
 

1.質問項目について

2.その他

 

○議事

【山本健康課長補佐】  それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会、第1回健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキング・グループを開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきありがとうございます。主査の選任までの間、進行を務めさせていただきます健康局健康課の山本と申します。よろしくお願いいたします。
 議事に入ります前に、本来であれば構成員の皆様方の御紹介と、事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿及び座席図の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
 本日は、構成員の皆様、全員御出席をいただいております。また、本日は、公益社団法人日本人間ドック学会の武藤理事の代理として、事務局長の中田彬参考人に御出席いただきます。労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室、医政局歯科保健課はオンラインで参加しております。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としております。
 まず初めに、発言の仕方などを説明させていただきます。会議中、御発言の際は、手を挙げるボタンをクリックし、部会長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。
 なお、本日は新型コロナウイルス感染防止対策のため、傍聴は報道関係者のみとさせていただきますので、御承知いただきたいと思います。
 それでは、まず、事務局を代表いたしまして、厚生労働省健康局健康課長の佐々木より御挨拶申し上げます。
【佐々木健康課長】  こんにちは。厚生労働省健康課長の佐々木でございます。構成員の皆様方におかれましては、本日、大変お忙しいところ御参集賜りまして、誠にありがとうございます。また、皆様方には平素より、特定健診・特定保健指導の円滑な運営に御協力くださり、この場をお借りして、重ねて御礼申し上げます。
 さて、特定健診・特定保健指導につきましては、令和6年度から第4期が始まります。この実施計画の策定に向けまして、昨年末、第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会を立ち上げまして、議論を開始しているところでございます。
 こうした中、このワーキング・グループでございますけれども、タイトルにございますように、健康増進に係る科学的な知見を踏まえた技術的事項を御議論いただくということで立ち上げることといたしまして、ちょうど昨日の検討会で御了承いただいたところでございます。委員の皆様におかれましては、本検討会で示された見直しの方向性、具体的には、これまで厚生労働科学研究等で得られた科学的な知見や、診療ガイドラインの改正などを踏まえまして御議論いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、本日、忌憚のない御意見を賜りたく、活発な御議論をお願い申し上げまして、簡単ではございますけれども、私からの冒頭の御挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いします。
【山本健康課長補佐】  次に、資料の御確認をお願いいたします。議事次第、構成員名簿、座席表、資料1、2、3-1、3-2、4になります。過不足等ございましたら、マイクもしくはコメントでお申し出ください。
 よろしいでしょうか。
 それでは、まず、本検討会の主査についてお諮りしたいと思います。資料1を御覧ください。資料1の開催要綱の2、構成の(3)におきまして、主査は構成員の互選により選出されるとされております。皆様から御推薦がございましたら、よろしくお願いいたします。
【室原構成員】  よろしいでしょうか。
 名古屋大学の室原と申しますが、本会のメンバーでもあられ、また、厚労科研の研究班も率いておられます慶應義塾大学の岡村先生を御推薦申し上げたいと思います。
【山本健康課長補佐】  ただいま岡村構成員への御推薦がありました。岡村構成員に主査をお願いすることにつきまして、皆様いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【山本健康課長補佐】  ありがとうございます。それでは、岡村構成員に主査をお願いいたします。
 それでは、以降の進行を主査にお願いいたします。会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
【岡村主査】  本検討会の主査を務めさせていただきます慶應義塾大学の岡村と申します。
 甚だ緊張しておりますけれども、御指名いただきましたので、司会と進行をさせていただきたいと思いますので、何とぞ御指導をよろしくお願いいたします。
 それでは、まず開催要綱2の(4)に基づきまして、本検討会の副主査を、これは主査から指名ということになっておりますので、指名させていただければと思います。
 副主査は、ぜひ杉田構成員にお願いしたいと思っておりますけれども、よろしゅうございましょうか。杉田構成員、お引き受けいただけますでしょうか。
【杉田副主査】  
 僭越ではございますが、ぜひともお勉強させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【岡村主査】  ありがとうございます。
 それでは、本日の議題に入っていきたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいりたいので、よろしくお願いいたします。
 まず資料2、新たなワーキング・グループの設置と検討の方向性についてということで、事務局で資料を準備しておりますので、説明をよろしくお願いいたします。
【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。では、まず資料2、新たなワーキングの設置と検討の方向性についてというのを御覧ください。こちらでございますけれども、実は昨日の第2回検討会で先生方に御説明させていただきまして、既に御案内の先生方もいらっしゃるかと思いますが、何とぞ御容赦ください。
 では、1ページおめくりいただきまして、特定健診・特定保健指導の健診項目についてというのがございます。これまでの第3期までの見直し等を通じまして先生方に御指導いただきました点をまとめた内容となっております。
 まず、健診項目(検査項目及び質問項目)の基本的な考え方という点でございますけれども、まず基本的な項目につきましては、いわゆる糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を評価する項目であるとなっております。さらに、生活習慣病の重症の早期発見と、これを評価する指標として、詳細な項目というものが設定されているという状況でございます。
 健診項目の中には当然、質問項目も入っておりまして、その項目に関しましては、さらに4点の御指摘をいただいております。生活習慣病リスクの評価ができること、生活指導の階層化に使えること、また、健診の結果を通知する際の情報提供の内容の決定に際して活用できるものであること、また、地域の健康状態等の比較に使えるものということでございます。昨日の検討会でこの4番につきましては、地域に限らず、保険者さんも含めまして、いわゆる集団の比較ができることという御指摘をいただいておりますので、今後はそのような方向で考えていきたいと考えております。
 次に、見直しの考え方につきましても御指導いただいておりまして、基本的には厚労科研等の結果を踏まえて、科学的なエビデンスに基づき検討する。それを原則といたしまして、現時点でエビデンスが十分なものに関しましても、可能な限りエビデンスを前提にして論理的に検討していくようにということを御指導いただいているということでございます。
 これを踏まえまして、次のページをおめくりいただきまして、現在、厚労科研として、大きく2本の研究をお願いしておりまして、1つ目は左側、京都大学の中山先生に、質問項目や特定保健指導の内容等について整理いただいて、成果を御報告いただいているということでございます。また、右側の方は主査の岡本先生に、検査項目の内容であるとか、階層化であるとか、そういった点について御検討いただきまして、その成果を我々に共有いただいているということでございます。
 このような成果に基づきまして、次のページをおめくりいただきまして、新たなワーキングを設置させていただいて、健康増進に関する科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキングということで、本日開催をさせていただいているということでございます。
 こちらのワーキングで先生方に御指導をお願いしたい点ですけれども、これまでの厚労科研等の科学的知見や、あるいは診療ガイドラインの改正等を踏まえた技術的事項の検討ということで、具体的には、最新の知見を踏まえて、生活習慣病に係るリスクの評価の精緻化、あるいは個人に対する生活習慣の問題点に関する注意喚起に資するという方向で、質問項目等々についての御検討をお願いできればと考えております。
 次のページはスケジュールですけれども、既に動いております保険局の実施方法ワーキングと並ぶような関係で、新しく技術的ワーキングを開催させていただいて、後ろのほうは、令和6年度から第4期が始まることが決定しておりますので、それに合わせて取りまとめを行い、検討会に上げていければと考えているという状況でございます。
 資料の残りは、第3期の現在の検査項目であるとか、標準的な質問項目を参考に載せております。
 資料2の説明については、以上となります。
【岡村主査】  ありがとうございました。2については、設置についての話ということで、今日も実際にこれが動いていますので、ここで質問もないと思います。続きまして、資料3-1にそのまま行っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。これは質問項目についての議論ということで、今日はそちらが主な話になって、健診項目については次回ということに多分整理されていると思いますので、こちらのほうの説明をよろしくお願いいたします。
【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。では、資料3-1、質問項目について御議論いただきたい主な論点ということで御説明させていただきます。
 1枚おめくりいただきまして、まず、先ほどの基本的な考え方を書かせていただいております。保健指導の階層化であるとか、あるいは生活習慣病のリスク評価とか、このような観点での評価をお願いしますということでございます。
 また、質問項目ということに関しましては、前回の第3期の見直しの中で、さらに細かいことを御指導いただいておりまして、まず質問項目の意義として、自らの生活習慣の問題点に気づいてもらうという観点が大事ではないか。あるいは、健診のときに全員に聞く質問項目ですので、保健指導の際に保健指導の対象者のみに実施する質問項目とは目的が違うということを明確に考えなさい。また、これまでの10年以上のデータとしてNDBに蓄積されておりますので、データの継続性という点も、データ活用においては考慮しなさいというところをご指導いただいております。
 質問項目の表現につきましては、誤解のないような表現ということで、分かりやすく、ちゃんと意図が伝わるようなものにしなさいということを御指導いただいております。
 また、質問の項目数ですけれども、実際の運用等を考えますと、システム改修等の負担を考慮し、項目数についてはなるべく現行とそろえて、22問というところにしてはどうかということを御指導いただいておりました。
 これらの点を踏まえまして、1ページおめくりいただきまして、まず昨日の合同検討会で、先ほど申しましたように見直しの方向性ということについては示されておりまして、これまでの厚労科研等の科学的知見や診療ガイドラインの改正というものを踏まえて、検討をお願いしますということでございます。
 本日はこれらの点を踏まえまして、まず4つ事務局で挙げさせていただきまして、たばこと飲酒と、それから保健指導に関するものということで、先生方に御議論いただければということで、準備をさせていただいております。
 では、1ページおめくりいただきまして、まず喫煙に関するものでございます。現在の質問項目でございますけれども、たばこを吸っているか、「はい」「いいえ」という選択肢となっております。
 先生方も既に御案内のように、喫煙に関しましては、当然、禁煙をした場合に、時間の経過とともにいろいろな健康リスクというのは下がってくるのですが、生涯全くたばこを吸っていない方、生涯非喫煙者と比べると、やはり過去に喫煙されていた方というのは健康に対するリスクがあるということでございます。ここに記載しておりますような脳血管疾患であるとか、糖尿病リスクが上がるということ等を、これまで御報告をいただいております。
 つまり、現在の問題点といたしましては、「いいえ」のところに生涯非喫煙者に加えて、健康リスクのある過去の喫煙者が含まれておりまして、これの区別が難しいということが御指摘をいただいている点でございます。
 次のページをおめくりいただきまして、実際、特定健診の問診で、喫煙に関して「いいえ」と答えた方というのは、2018年度のNDBのデータを見ますと、約2,300万人いらっしゃいます。この中にどれぐらい過去の喫煙者がいるかということを、国民生活基礎調査の結果、違うデータソースではあるのですが、そのデータソースを用いて概算させていただきましたところ、大体200万人ぐらいいらっしゃるということです。
 この方々について、過去の喫煙者と生涯非喫煙者を区別することで、生活習慣病リスクの評価が可能になるとともに、過去の喫煙者に対しては、禁煙継続の重要性ということについて注意喚起を行うことができるようになり、また必要に応じて適切な助言等を行うことができるのではないかということで、この点について先生方に御指導いただければと考えております。
 続きまして、1ページおめくりいただきまして、飲酒に関する質問項目でございます。飲酒に関しましては、現在お酒を飲む頻度ということで、「毎日」「時々」「ほとんど飲まない」という3つの選択肢になっております。また、飲酒の量ですけれども、これは1合から3合以上ということで、4つの選択肢となっております。
 先生方御案内のように、飲酒によるリスクの評価ですけれども、当然、飲酒の頻度と飲酒量によって推計されるのですが、簡単に申しますと、18番の問で2の「時々」というところが、週5回から月1回程度までと幅広く入っておりまして、これですと、第二次の健康日本21等々で示されております生活習慣病リスクを高める飲酒量というところが、なかなか把握するのは難しいという御指摘をいただいております。
 また、もう1点、ほとんど飲まないというところですが、この中に過去飲酒していたが現在飲んでいないという、いわゆる禁酒者が入っているのですが、禁酒者については健康リスクや死亡リスク等が高いという御報告をいただいておりまして、この「ほとんど飲まない」の中に含まれている禁酒者を、現在の選択肢では把握するのが難しいということが課題と考えております。
 では、1ページおめくりいただきまして、続きまして、NDB等のデータを用いまして、このリスクの評価について、どのぐらいの人がどこに当たるかということを概算させていただきました。2019年度の特定健診ですけれども、約2,990万人の方が受けられまして、このうち120万人については特定保健指導を終了されております。つまり、特定保健指導の中で飲酒に関する詳細な情報を収集し、リスク評価等が可能であったと考えられます。
 一方で、残りの2,870万人については、飲酒による健康リスクというのを推計しましたところ、現在の選択肢でも、明らかにリスクがある、あるいはリスクがないというところに分かれる人たちはいるのですが、「時々」というところはどうしてもリスクの評価が難しいということで、男性・女性合わせますと、約780万人の方のリスクの評価が難しいという状況になっております。
 また、ほとんど飲まないというところに該当される方は1,460万人いらっしゃるのですが、その中で、禁酒をされているという方を区別するのは難しいという状況でございます。
 論点としましては、先ほどの2点、飲酒によるリスクの評価が困難な群について、リスク評価が可能になるようにし、リスクのある方については注意喚起ができるようにしてはどうかということと、禁酒者をリスクなしの方から区別することによって、健康障害であるとか生活習慣のリスクを評価することが可能になり、必要な方に助言を行えるようにしてはどうかということを論点として挙げさせていただいております。
 続きまして、次のページをおめくりいただきまして、質問22番ですけれども、実は、これは昨日もかなり御指摘をいただいたのですが、現行、生活習慣の改善について保健指導を受ける機会があれば利用しますか、「はい」「いいえ」という項目になっております。
 今の質問ですと、当然、生活習慣のリスクがある方というのは、一定の基準、血圧等と腹囲等と含めて該当すると、仮に「いいえ」を選択したとしても、特定保健指導の対象になるということで、この質問だと、特定保健指導が希望制のように誤解される方がいるという現場からの御指摘等いただいておりまして、これについて、表現を修正してはどうかという御指摘をいただいております。
 一方で現場では、保健指導に対する意欲という部分に関しては一定の評価ができますので、有用であるとのお声もいただいており、ちょっと誤解を与えるという部分がございますので、これについてどう考えるかというところを先生方に御議論いただければと考えております。
 資料3-1につきましては、以上となります。よろしくお願いいたします。
【岡村主査】  ありがとうございました。
 今のところ、取りあえず焦点を絞る質問項目ということを挙げていただきまして、そこと関連して、喫煙と飲酒については、科学的なエビデンスの背景がどうなっているかということについて、田原構成員から資料提供がされておりますので、先にそちらの説明をしていただいたほうがよろしいかと思いますので、お願いいたします。
 それでは、田原構成員、よろしくお願いいたします。
【田原構成員】  よろしくお願いいたします。
 最初のスライドをお願いします。この資料は、厚生労働科研をいただいて行っております特定健康診査及び保健指導における問診項目の云々という研究班、代表が中山先生でありますけれども、その中でやらせていただいたものについて、私からまとめて御紹介いたします。
 次、お願いします。まず、喫煙についての質問です。8番、現在たばこを習慣的に吸っている、「はい」「いいえ」というのが、現状の質問と選択肢になっています。課題は、過去喫煙、「やめた」ですけれども、これを把握できていないということです。
 今回この改訂を提案するに至った理由につきましては、喫煙は様々な疾患のリスク因子であるということは論をまたないわけです。一方、禁煙によって時間依存的にこれら疾患のリスクは低下しますけれども、生涯非喫煙者、吸わないという方と同じ程度まで疾患リスクが低下するためには、やめてから相当な時間が必要となってきます。
 ところが、現在の回答の選択肢では、やめたという人と吸わないという人を区別して把握することができないので、疾患リスクが高い、リスクが残っているような過去喫煙者を見逃してしまうという問題があります。過去喫煙者というのは、禁煙の継続支援など特有の保健指導が必要になってきます。また、やめるということによって生活習慣の改善に成功した人でもあり、適切な保健指導によって、ほかの生活習慣の改善にもつなげられることが期待されます。
 次、お願いします。そこで、過去のデータから、論文から代表的なものを拾ってみました。これはJPHCあるいはJACC研究など8つの長期縦断研究のメタ解析で、32万人を対象としたものです。グラフに示しますように、非喫煙者を1とした場合に、現喫煙者が最も全がんリスクが高く、約1.4から1.5の間に位置しています。禁煙を継続していきますと、徐々にそのリスクが低下していきますが、1に戻るにはおよそ20年以上かかるのではないかというのが、この論文の成果であります。これは女性についても、短いですけれども、ほぼ同様の傾向でありました。
 次、お願いします。こちらは、禁煙による循環器疾患死亡のリスクの低下であります。同じくJPHCやJACC研究などのメタ解析でありますけれども、現喫煙、この図では1としておりますけれども、そこから禁煙歴が長くなるほどハザード比は低下していきますが、生涯非喫煙の方とそろうまでには、やはり15年以上かかるということが述べられています。
 次、お願いします。このようなことから、喫煙の質問では「いいえ」の中に、生涯非喫煙者と過去喫煙者を区別することが大事であり、そのことによって、保険者にとっても以下のようなメリットが生まれるのではないかと考えられます。
 1つは、保健指導等において、喫煙に関連する健康リスクを無視できるような、吸わないという方よりも、まだリスクが残っている、やめたという人を優先した指導ができるようになること。
 2つ目は、過去喫煙者、やめたという方に対して特有の情報提供や保健指導が可能になることで、禁煙が持続できるということ。
 3つ目は、禁煙によって生活習慣の改善を成功させた過去喫煙者では、行動変容のステージが高いということが予想されますので、適切な保健指導によって、ほかの生活習慣の改善にもつなげることができるということ。
 4つ目は、禁煙後には体重増加が認められるということが種々の研究から明らかになっていますので、禁煙の情報を得ていくということにおいて、体重増加に配慮した保健指導もできるようになるということ。
 最後には、加入者全体の循環器疾患やがんの発症リスクを、より正確に評価することが可能になるというメリットが考えられます。
 次、お願いします。次は飲酒についてです。現在はこの2問で聞いていまして、1つ目はお酒を飲む頻度、「毎日」「時々」「ほとんど飲まない」(飲めない)。2番目は、飲酒日1日当たりの飲酒量で、1合未満、1から2合、2から3合、3合以上ということです。
 課題は、たばこと同じですけれども、「やめた」を把握できていないということ。それから、総飲酒量やビンジ飲酒、これは、あまりふだんは飲まないんだけれども、飲むときにたくさん飲むような方ですが、これを把握できないということにあります。
 改訂の理由のところに書いてありますように、禁酒者、やめたという方は、死亡リスクが高いということが種々の研究から分かっています。しかし、現行の回答選択肢では、3番、ほとんど飲まないと回答した者に、そもそも飲まないという人と、やめたという人が混在することになって、禁酒者を区別することができていないということが問題です。
 2つ目に書きましたように、アルコールの健康影響というのは、曝露の頻度と曝露の量の掛け算で推計していきます。そのため、頻度の把握は週曝露を推計するためには確実に必要になってくるものですが、現行の回答選択肢では「時々」しかなく、この「時々」は分解すれば、週6日以下が全て含まれるということになるため、アルコールの健康影響を正確に評価することができません。
 平均飲酒量だけではなく、独立して死亡リスクを高めるビンジ飲酒、1回の飲酒量が多いパターンを把握するためにも、飲酒頻度の情報は不可欠になります。
 次、お願いします。そこで、ここの背景にあるデータを少し御紹介いたします。これはJACC研究に参加された9万7,000人ほどのデータを分析した結果でありますけれども、例えば総死亡のところを見ていただきますと、非飲酒者を1とした場合に、禁酒者は1.4以上6未満のかなり高いリスクになるということが分かります。これは、がん死亡や循環器疾患、それから外傷性死亡でも同様であります。このことから、まず禁酒者を把握するということが大事だということがうかがえます。
 その後に、飲酒量のところを見てください。飲酒量が高まるにつれて相対危険度が高くなるという量依存性が見受けられますので、飲酒量をきちんと評価するということも大事だということが分かります。
 次、お願いします。こちらは同様にJACC studyの女性のパターンですけれども、先ほどお見せした男性ほどきれいな相関は見られませんが、傾向としては同様であって、赤で示した禁酒者で最も高く、量依存性が認められるということには変わりありません。
 次、お願いします。こちらはJACC studyに加えてJPHC studyなども含めた30万人ほどの長期のメタ解析になります。表は総死亡・死因別死亡に対する過去飲酒、「やめた」のハザード比でありますが、生涯非飲酒者、飲まないという人を基準とした場合に、総死亡、それから死因別死亡、いずれも男性・女性ともに高くなっているということが分かります。
 次、お願いします。ビンジ飲酒、これは機会的多量飲酒と日本語では訳され、週1回以上、1機会当たり60グラム以上のアルコール摂取と定義されています。我が国ではあまりエビデンスがないんですけれども、フィンランドの研究におきましては男性5,000人ぐらいを対象とした解析において、1機会当たり6ドリンク、これはエタノールで72から75グラムに相当しますが、このような多量飲酒の機会がある群では、ない群と比較して総死亡、虚血性心疾患死亡等のリスクが週平均の飲酒量とは独立して有意に高いということが分かっています。
 なお、2013年度の国民健康・栄養調査の分析では、我が国におけるビンジ飲酒の可能性がある方というのは男性で12%、女性で2.2%でありました。
 次、お願いします。以上のような背景を踏まえて、飲酒量を正確に把握すること、禁酒者を把握することの保険者にとってのメリットです。
 まず、正確な飲酒量の把握ですけれども、アルコールの健康障害は量依存性がありますので、飲酒量の正確な把握というのは、介入が必要な方を抽出する上で不可欠であるということは論をまちません。
 18の飲酒頻度の質問と、19の飲酒量の質問の分析から、国民健康・栄養調査やアルコールの健康影響を示した先行研究とも比較しながら、加入者全体のアルコールに起因する健康障害リスクを評価できるようになり、データヘルスの計画の充実にもつながります。
 1回の飲酒量が多いビンジ飲酒者というのは、平均飲酒量とは独立して死亡リスクが高いということが分かっていますので、これまでの質問だけでは見逃されてきたようなビンジ飲酒に対しても、保険者が指導対象として介入できるようになります。
 一方、禁酒者を把握すること。禁酒(過去飲酒)の最も多い理由は健康障害(すなわち、何らかの病気のために禁酒した)であります。禁酒したからリスクが高まるのではなくて、禁酒せざるを得なかったと考えるのが妥当です。コホート研究では、いずれも禁酒者で死亡リスクが非常に高いということが指摘されています。禁酒者について禁酒理由を把握することで、確実に医療につなげていくべき者の抽出につなげることが可能になるだろうと言えます。
 受診者の気づきです。累積飲酒量が把握できるようになることで、例えば今までは「時々」と答えたような方でも、比較的頻度が高く、かつ1回の飲酒量が多いような、見落とされがちであった方についても、受診者本人が質問票を記入することで多量飲酒に気づく機会となり、生活習慣を改善するきっかけになるのではないかと考えられます。
 私からは以上です。
【岡村主査】  田原先生、ありがとうございました。
 これで見直しの次に、イメージ案に行きたいところなんですけれども、一応科学的な、特に飲酒、お酒のところはサイエンスの部分というのがちょっとありますので、ここの部分について御質問とかコメントとかありましたら、1回ここでお受けしようと思うんですけれども、構成員の皆様方から何かございますでしょうか。
 宮川先生、よろしくお願いいたします。
【宮川構成員】  宮川でございます。田原先生にお伺いしたいことがあります。たばこのところなんですけれども、今までこれは紙巻きたばこだと思うんですが、電子たばこについての何か示唆するようなお話というのはあるんでしょうか。お願いいたします。
【田原構成員】  電子たばこについては、いろいろな種類があります。その中で、ニコチンを含むようなものということの御質問だろうと思うんですけれども、恐らく現時点できちんとした大規模な成果はないのではないかなと思われます。この点につきましても、質問票に入れるかどうかということは議論があったんですけれども、今回は見送るということになりました。
 岡村先生のほうで何か御存じのデータがありましたら御紹介いただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
【岡村主査】  田原先生が言われたのと全く同じ状況でして、これは国民健康・栄養調査でも、どのように聞くかみたいなのがあるんですが、使っているかどうかという把握はできるんですが、量の換算をどうするかというのが、やるんだったら個々の具体商品名を聞いて、全部書き込まないといけないというレベルじゃないと難しいということになるので、たばこについての質問を取っていくことについては、恐らく共通の課題になるだろうと思います。ここでは共通で保険者として使う問診ということを考えているところなので、途中でちゃんとしたエビデンスが固まったら、その時点で何か通知を出すということは可能かもしれませんが、今ここで入れ込んでいくというのはなかなか難しいんじゃないかなと私も考えております。
【宮川構成員】  ありがとうございます。喫煙に関しては、電子たばこは除くという形で原則考えていくということで、何か項目の中に、電子たばこというものを吸っている、習慣的に使用しているというのが1項目、どこかであるだけでも、いろいろなことが後からの解析で分かってくるのかなと思ったもので、ありがとうございます。項目を入れるか入れないかは、また今後の別の話ですけれども、ありがとうございました。
【岡村主査】  多分、標準プログラムか何かに、どのように取り扱うかというのがそれまでに分かったら書き込んで、保険者に混乱のないような対応をしていかなきゃいけないのかなと思います。問診だと、そのような対応になるということで、またいろいろ教えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
【田原構成員】  ありがとうございます。私も今のプログラムの件を少し申し上げようと思ったんですけれども、来年度の中山班では、この質問票の解説ということを充実してつくっていこうということになっています。その中で、できる限り盛り込むように検討していけたらと思っています。よろしくお願いいたします。
【宮川構成員】  よろしくお願いいたします。
【岡村主査】  ほかにございますでしょうか。
 たばこは、昨日の検討会でも、横断だけで禁煙者の評価も禁煙していった人の評価もできるということなので、あったほうがいいのではないかという御意見もありましたので、これを取っていくというのは非常に大事なのかなと私も思っております。
 あと、アルコールのほうも、禁酒者をどうするかというのは懸案の課題でございまして、実は吹田研究等でアルコールと循環器疾患の関連を検討した論文なんかでも、最初から禁酒者は除外して分析しています。入れるとむちゃくちゃになるということと、飲まない人に禁酒者が入っていると、飲まない人がちょっと悪く出るので、逆に飲んでいる人がすごくよく見えてしまうという妙な状態が起こってしまうので、禁酒者の取扱いも懸案の課題だったろうと考えております。
 田原先生、ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。
【野出構成員】  ちょっとよろしいですか。
【岡村主査】  野出先生、お願いします。
【野出構成員】  すいません。私が分かっていないのかもしれませんけれども、現行の表現で合計100本以上というのがございますが、これは月に100本以上という意味でしょうか。
【岡村主査】  たばこのところですか。
【野出構成員】  たばこのところです。現行の合計100本以上です。これは、100本というのはどういう基準で。
【岡村主査】  事務局からありますか。大丈夫ですか。
【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。こちらですけれども、恐らく、これまでトータルで生涯を通じて100本以上吸ったことがある、または6か月間以上吸っているということだと思います。
【野出構成員】  トータルですね。
【田邉女性の健康推進室長】  はい。
【野出構成員】  トータル100本。ということは、これは禁煙者も含まれているんですかね。
【田邉女性の健康推進室長】  現在たばこを習慣で吸っているということで、「いいえ」の中には禁煙者が入るということになります。
【野出構成員】  なるほど。そうすると、現在、習慣的に喫煙はしているんですが、トータルとして100本以上ということですね。
【田邉女性の健康推進室長】  少なくとも100本以上となります。
【野出構成員】  分かりました。ありがとうございました。
【岡村主査】  ほかにございますでしょうか。
 宮川先生、お願いします。
【宮川構成員】  すいません。今、野出先生がすごく的確なことを御質問されたんですが、こういうことを全ての方が知っていらっしゃるのかどうか、それから、100本というものがどれだけ意味あることだったのかどうか、この表現を変えるということをこれからもお考えになっているのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
【岡村主査】  ありがとうございます。この後で一応、酒とたばこについて、見直しの提案みたいなものを作成しているかと思いますので、そのときに併せて議論するということでよろしゅうございましょうか。
【宮川構成員】  承知しました。ありがとうございます。
【岡村主査】  ありがとうございます。すいません。
【田原構成員】  こちらの100本以上云々という文言は、恐らく国民健康・栄養調査とそろえている部分があるのではないかなとは思います。どちらが先だったのか、私は経緯を知りませんので定かではありませんが、今見る限り、似たような質問であるようです。
【岡村主査】  ほかにございますでしょうか。
 三好構成員、よろしくお願いいたします。
【三好構成員】  国保中央会の三好でございます。一つだけ御確認させてください。
 飲酒のほうの研究成果では、頻度に関しては週の内訳として今回、提案いただいている内訳が細かく分かれていましたので、エビデンスがあるのかなというのを知りたいのですが、今のところ、頻度に関してはあまり細かな内訳は出ていないという認識でよろしいですか。教えてください。
【田原構成員】  私の理解で申し上げますと、頻度と量の掛け算で決まってきますので、細かく見れば見るほど、それはリスク因子ときちんと相関するんだろうと思います。ただ、どこまで細かくするか、それは使う側、保険者側の都合というのもありますので、それを勘案して、適当なところに決めたというのは、この次の資料に出てくるのではないかと思いますが。
【三好構成員】  ありがとうございます。
【岡村主査】  ありがとうございます。この中身、次の提案のほうをどうするかということにだんだん移りつつありますので、先にそちらの見直しのイメージ案を提示していただいて、この後の議論をもう少し詰めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、資料4の見直しのイメージについての案ということで、資料を準備していただいておりますので、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。では、資料4、見直しのイメージについての案について御説明させていただきます。こちらはたたき台ということで、先生方に御議論いただくものを何か用意しようということで出させていただいたもので、決してこれで決まったというか、そういう方向でということでは全くございません。先生方の議論を踏まえてということでございますので、よろしくお願いいたします。
 まず、1ページおめくりいただきまして、喫煙に関する質問項目についてということで、先ほどの課題を書かせていただいて、見直しのイメージ(案)というところを御覧ください。申しましたように、「いいえ」のところから過去喫煙者、いわゆる禁煙者を分けることができるようにしてはどうかということで、回答の選択肢を「吸わない」と、「以前は吸っていたが、1か月以上吸っていない」と。1か月以上吸っていないというのは、現在の国民生活基礎調査に合わせたものでございます。
 あと、すいません、100本のところでございますけれども、昔の国民生活基礎調査、平成20年頃のものと同じような表現ということで100本と書かせていただいたということでございまして、現在は少し国民生活基礎調査とは整合がついていないものもあるということでございます。
 次、おめくりいただきまして、飲酒の部分でございます。飲酒に関しましても、質問項目に関しましての課題として、禁酒者の部分と、頻度と飲酒量のリスク評価の部分でございます。健康日本21(第二次)等々の、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している方は、飲酒頻度と飲酒量の関係でいうと、この赤い枠の部分になります。週何回というところから、1回の飲酒量が幾らかというところで、このような方々を見分けると、リスクが評価できますということでございます。
 これを踏まえまして、次のページを御覧いただきまして、このぐらいの粒度で見分けるようにしてはどうかということで、飲酒の頻度の部分を少し細かくさせていただいたのと、やめたという方、いわゆる禁酒者を何とか拾えるようにしてはどうかというイメージを持っております。
 また、飲酒量に関しましても、5合以上というところがビンジ飲酒のこともございますので、必要ということがあり、飲酒量のところも上限を5合以上ということにさせていただいております。おおむね国民生活基礎調査と同じような選択肢となっていますが、飲酒量に関しては、国民生活基礎調査の方は3から4と4から5がさらに細かくなっていますが、飲酒によるリスク評価という部分では3から5とまとめておりますので、このような選択肢にしてはどうかというイメージを持っているということでございます。
 続きまして、最後の22番の保健指導に関する部分ですけれども、2つイメージがございまして、まずは、もともと保健指導が希望制ではないというところを明確にするという部分と、保健指導の対象になった場合に、現場のお話を伺いますと、その方の意欲というものを評価する上では使えるものであるという御意見をいただいておりますので、その辺りも少し表現を修正して、分かりやすいものにしてはどうかということを考えているところでございます。この辺りについて、先生方に御指導いただければと考えております。
 以上でございます。
【岡村主査】  ありがとうございました。
 今、一応踏まえまして、見直しのイメージについての案を出していただきまして、ここが特に議論していただきたいところということになるかと思います。まず、たばことお酒のところと、それから、サイエンスの根拠があるからどうのということではなく、一番最後の問診項目は、実は昨日の検討会でもここについての話が一番多かったところでございますけれども、22番について、どう扱うかということについての議論になると思います。
 まず、ばらばらにやるとだんだん分からなくなってくるので、喫煙のところからいきたいと思いますけれども、見直し案についてのイメージについて、御意見等あれば、ぜひよろしくお願いいたします。
【野出構成員】  すいません。野出です。
【岡村主査】  お願いします。
【野出構成員】  先ほどの件ですけれども、国民栄養調査が変わっているということをおっしゃったかなと思ったんですけれども、現在、国民栄養調査では、表現はこのところはどうなっているんでしょうか。合計100本以上または6か月以上ということですね。
【岡村主査】  事務局で分かりますか。
【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。よろしいでしょうか。
 現在の国民生活基礎調査では、まず「吸う」「吸わない」の後に、吸う場合は本数を書いていただくようになっております。1日何本というのを、紙巻きたばこだと、本数を数字として御本人様に御記入いただくという表現というか、記入方法となっております。
【野出構成員】  よろしいですか。これは合計100本、生涯100本とすると、例えば50歳の方だったら、かなり平均すると少ないんじゃないかなということと、この文章が、合計100本以上という文言と、または6か月以上吸っている者であり、これと後半の最近1か月以上吸っている者って、どうかかるのかなと思ったんですね。または6か月以上吸っている者で、かつ最近1か月間も吸っている者という表現でよろしいんでしょうか。すいません、私の理解が悪くて。
【岡村主査】  御回答いただけますか。
【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。「または」ですので、「かつ」ではなく、この表現を虚心坦懐に読むと、「または」ということで、「かつ」ではないと。
【野出構成員】  または6か月以上吸っている者であり、最近1か月間も吸っている者ですか。
【田邉女性の健康推進室長】  すいません。そちらについては「かつ」でございます。
【野出構成員】  そうしたら、6か月以上吸っている者というのは、現在も吸っている者は含まれないということですね。6か月以上吸っている者というのは、最近1か月間も吸っている者を含まないということですか。合計100本以上であり、最近1か月間も吸っている者、あるいは6か月以上吸っている者のほうが妥当なのか、その辺が理解できなくて、すいません。
【田邉女性の健康推進室長】  期間としてはおっしゃるとおりで、最近1か月吸っている方で、かつ6か月以上吸っている場合になりますと、1か月と、プラスその前5か月間吸っている方というのが、まず後半の6か月以上という部分ではかかってくると思いますし、もう一つは、1か月間吸っていて、かつその中で100本は吸っている方ということになるかと思います。
【野出構成員】  分かりました。100本以下であっても、7か月前から1本でも吸っていて、かつ最近1か月、数本吸っていれば、ここに該当するということですね。
【田邉女性の健康推進室長】  はい、大丈夫です。すいません。
【野出構成員】  その辺り、少し分かりにくいんじゃないかなと思ったもので、すいませんでした。ありがとうございました。
【田邉女性の健康推進室長】  ありがとうございます。この辺は整理させていただきます。
【佐々木健康課長】  すいません。課長の佐々木でございます。ここは事務局でまた整理して、今日もし間に合えばお返ししたいと思いますし、間に合わなければ、またメール等で御連絡をしたいと思いますけれども、普通に読めば、過去に累積として100本以上もしくは6か月以上吸っている。かつ最近1か月も吸っているということで、現在たばこを習慣的に吸っているかというところについて、まず最近1か月も吸っていて、なおかつ過去にもそれなりの一定程度の累積があると捉えるのが自然かなと思います。
 ただ、いずれにしましても、確認いたしまして、またフィードバックさせていただきたいと思っております。
【野出構成員】  分かりました。そうすると、6か月以上吸っていた者というニュアンスですね。
【佐々木健康課長】  そうですね。
【野出構成員】  分かりました。
【佐々木健康課長】  だと思われますけれども、確認いたします。すいません。
【岡村主査】  ありがとうございます。
 そうしたら、手が挙がって見えている順番で、小松原構成員、お願いします。
【小松原構成員】
 座長から今、たばこから順番に御議論ということですが、少し大前提の話をさせてもらってもよろしいでしょうか。問診票の改革について、我々も方向性としては賛成ですが、少し懸念する部分がございますので、発言させていただきます。
 現状、問診項目は22項目ですが、今、保険者に来ている項目が、この22項目全て来ているかというと、実際そうではなくて、かなり歯抜けで来ているのが現状です。手引のほうで必須項目と書かれているのは、現行の質問票だと、1番と2番と3番と8番だけで、その他の項目は、労働安全衛生法の健診時に聴取ができていた場合のみ保険者に提供する、任意項目になっています。
 そういう意味では、ここでたくさん御議論いただいて、中身をいいものにしても、実際問題、問診項目が保険者の手元に来ないという実態が多々あります。そういう意味を込め、昨日の検討会では私どもの代表の河本から、労働安全衛生法との平仄合わせをお願いしたところです。項目の議論に入る前に、全体像について、一回事務局の御意見をお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【岡村主査】  ありがとうございます。労安法現場と合わせる際に、恐らく階層化に使うものだけはマストになっていて、ほかのところは任意になっているということですね。これは状況としては理解はしておりますが、事務局としてはどのように判断されていますでしょうか。
【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。実はその点、保険局とも今、相談をしておりまして、運用の部分に関わるところですので、どちらのワーキングでやるかというのは相談しているのですが、おっしゃるとおり、課題だということは事務局でも考えておりますので、検討させていただく方向で準備はしているということでございます。
【岡村主査】  これは労政との調整とかもありますし、ここですぐに書いてしまったら、二十何項目全部、全ての企業で取らなきゃいけなくなってくるみたいな形に、恐らくなるんだろうと思うので、なかなかすぐお返事は難しいと思います。小松原構成員の言われることは非常にごもっともなことなので、ぜひ議事に残して、事務局でも検討していただけるということなので、よろしくお願いいたします。
 それでは、手の挙がった順番で、宮川構成員、お願いいたします。
【宮川構成員】  先ほどの野出構成員の話のつなぎですけれども、事務局が調べてみて、後ほどとか思いますとかいう表現は、好ましくないと思います。そもそも項目の表現の仕方がなっていないと考えます。これは誰でも分かるようにするのが項目の質問票という形になりますので、このような表現は全て改善していただきたいと思います。
 つまり、括弧の中に入っている現在から云々と、そして100本とか6か月だとか、1か月の云々という表現というのは非常に曖昧で、どの方も読んでも分からないと思います。「かつ」なのか「または」なのかという、こういう表現はやめていただいて、飲酒のほうでは層別化されているわけですから、そういう表現にしっかりと書き直して議論しないといけないのではないかなと思います。
 以上でございます。
【岡村主査】  ありがとうございます。ぜひこれは検討課題ということで記録をさせていただくということで、事務局ともまた進めていくということかと思います。
 綿田構成員、よろしくお願いいたします。
【綿田構成員】  ありがとうございます。先ほどのお話なのですが、喫煙している者の定義が合計100本以上または6か月以上吸っている者という定義であれば、以前は吸っていたというのも、それぐらい吸っていないと「過去に吸っていた」にならないという理解でいいんでしょうか。すなわち、過去に10本ぐらいしか吸っていないヒトは非喫煙者ということになるのでしょうか?
 もう1点なんですけれども、1か月以上吸っていないで禁煙したということになるのかというのは大変疑問で、臨床上は1か月ぐらいやめて、喫煙し出す人がすごく多いです。禁煙指導をやられている先生はどういう定義でやっているのかを参考にするのは重要かなと思いました。
 それから、現在は、喫煙している人は自分で自分を制止できない人と、捉えられています。私は専門が糖尿病ですけれども、糖尿病自体もそういう病気と扱われて、現在スティグマが問題とされています。したがって、たばこをやめて10年以上たつ人に、そういった質問をして答えさせるということに対して、公衆衛生的に必要だというのはよく分かるんですけれども、そういう質問設定というのは、スティグマとか、アドボカシーとか考えた場合は問題ないのかということに関して、御議論いただければと思います。
【岡村主査】  今の点につきまして、事務局または構成員の皆様から、何かコメント、御意見等ございますでしょうか。
 これは健診を受けた人に全員取るものと、実際に保健指導等に来たものと取るものとを、どう分けていくかみたいなことも多分絡んでくるのかなと思うんですけれども、いずれにしても、全体の表現等を含めて、どう考えるかということとセットになってくるかなという御意見だと認識しました。ありがとうございます。
 室原構成員、よろしくお願いいたします。
【室原構成員】  ありがとうございます。先ほど電気加熱式たばこの議論がありましたけれども、データがないということで、今回は書かれないということではございましたが、この第四次自体が、開始が数年先から、また5年間ぐらいあるわけですね。今、既に外来なんかをやっておりますと、かなりの方が実は電気加熱式たばこに変えているという状況がございまして、そこで、いい悪いというのは別にして、参考質問という形で電気加熱式たばこを吸っているとかいう項目も聞いてもいいのではないかなとは感じました。
 以上です。
【岡村主査】  ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
 また思い出されましたら、まだ時間の中でできると思いますので、今度はアルコールのほうに移りたい。
 三好構成員、よろしくお願いします。
【三好構成員】  ありがとうございます。いろいろな研究成果を御説明いただけるので、すごく分かりやすいのですが、現場の保健師から質問が上がってくるのが、米印から後のところなので、先ほど御検討いただくという方向で動いていただいていましたので、ぜひここを見直していただけるとありがたいなと思います。
 それと、回答の選択肢に、以前は吸っていたが、1か月以上が妥当かどうかという御意見が出ていましたが、それ以降吸っていないという項目を入れていくのはいいのではないかと思っております。後期の質問票を検討していた段階でも、やめたとか、そういった観点での情報として、あってもいいんじゃないかという意見もいただいていたのではないかと思います。なので、そういった意味でも、この辺りは3番目があってもいいかと。ただ、期間に関しては御検討いただく必要があるのかなと感じました。
 あと、スティグマの話が出ていましたが、健診受診者は何百万人も国保にもおりますので、医療保険者として、受診者を保健指導につなげる上で、リスクや優先度により振り分けて、効率的に進める手法等も必要となります。このような事情に、さらに個別の保健指導に当たっては、丁寧なアセスメントなど、それから、その人に寄り添った形での指導につなげるといったことをセットで考えておりますので、そういうことも考慮していただけたらと思います。ありがとうございます。
【岡村主査】  ありがとうございます。現状のプログラムでも、保健指導に行った人はこういう問診を使ったらいいというのが、実はエクストラで標準プログラムについていると思います。ただ、逆に活用されているかどうかということになると、それはどうかというところもありまして、ただ、今日議論しているのは、全員に取るもの、健診を受けた人は皆取らなきゃいけない、何千万人から取る問診ということになるので、その点と、あと全体の容量の制限というのが若干かかってくるという前提があります。両方の事情を分かった上で、いろいろ苦しい議論を今までしてきたところであろうと思いますので、そういうことは、ぜひ御考慮いただければと思います。
 お酒のほうに移りますけれども、改訂案について、御意見等ありましたらよろしくお願いいたします。
 すいません。アルコールの改訂案に画面を変えられますか。ここですね。ありがとうございます。見直しのイメージというのが、ここにあるようにしてはどうかということで、案が出ております。これは先ほどの田原構成員からのエビデンスを踏まえてということになります。目的としては、禁酒者をちゃんと拾うということと、それから、ビンジドリンキングを把握できるようにするということで、こういう構成になっているんだと思うんですけれども、これについて御意見等ございますでしょうか。
 田中構成員、よろしくお願いします。
【田中構成員】  ありがとうございます。少し現場のイメージも併せてお話をさせていただくことと、それから、一つお聞きしたい。これを現場で実際にやるといった立場の者として見たときに、現行のような状態の聞き方というのは、特定保健指導をするときには、今、修正案で示していただいたぐらいの内容を、実際は聞き取っていることです。でないと、保健指導になりませんので、実際はこれぐらいの内容にしていただくというのは、大枠としてはいいことだなと思っております。
 一つ質問なんですが、もし私が担当者だったとすると、細かく書いていただいているのはいいんですが、ぱっと見た感じなんですけれども、週に1から6までと毎日もあるので、1から4までは分かります。それで、月に1から3だと、週に1回飲むか飲まないかというところが5になる。となると、ほとんど飲まないという人と、飲まないという人の6と8の違いじゃないですけれども、これはどのようなイメージでしょうか。
 そうなると、要するに5でなければ、次はたまに飲む、本当にたまに飲む人は、ほとんど飲まないになるんでしょうか。それとも、月にゼロ回になっちゃうので、それは飲まないに等しいのか、どのようなイメージなんでしょうか。その辺を少し教えていただけると、と思います。
【岡村主査】  ありがとうございます。実は自分もそこがちょっと気になっていたところでございまして、これは田原先生のエビデンスを踏まえて、ここについて何かございますか。
【田原構成員】  こちらはエビデンスを踏まえてといいますか、国民健康・栄養調査と合わせたらどうかということで、研究班ではこの提案になりました。ですので、月1から3というのは、週1回未満ということになろうと思います。ほとんど飲まないというのは、恐らく機会酒みたいな形になって「飲まない」、あと「飲めない」は、体質的に飲めない人も含むという仕分になろうかと思われます。
【岡村主査】  多分、今の田中構成員の言われた感じだと、例えば正月にお屠蘇を飲むだけという人は、6なのか8なのか迷うんじゃないかという、多分そんなイメージですよね。だから、現場で聞かれるときに、どう答えるかということは、多分、マニュアルか何かに書いておかないと混乱するんじゃないかなというところになるんだろうと思います。
 ほかにございますでしょうか。宮川構成員、よろしくお願いします。
【宮川構成員】  田中構成員と同じように、私も指導をする立場ですので、田原先生がおっしゃったように、5、6というのはすごく分かりやすいようにしたいと考えます。ですから、今言った機会飲酒、宴会があったときだけ飲むんですよという話なのか、月に1回ぐらいか2回ぐらいという認識でいると、月に1回から3回という表現と、整合性がとれず、私たちが患者さんにお尋ねするときにわかりにくくなってしまいます。より指導しやすく、丸もつけやすい表現にしていただければと思います。
 以上です。
【岡村主査】  ありがとうございます。
 野出構成員、よろしくお願いします。
【野出構成員】  全体的には、すごくよろしいかなと思ったんですが、私は今の点で、5番と6番というのは、「月に」というのと「ほとんど」と、その基準が違いますので、例えば6番だったら年に何回とか、毎日、日、週、月、年とすると比較がしやすいのかなと思ったので、基準を標準化されたらいかがかなと思いました。
【岡村主査】  ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは、また思い出したら、両方のところもあると思いますので、次の質問に行きたいと思います。これは今の22番に入っているところということなんですが、ここについて、この項目自体の意義、あと修正案について御意見ありましたら、ぜひよろしくお願いいたします。
 安田構成員、よろしくお願いいたします。
【安田構成員】  協会けんぽの安田でございます。私から2つ、お話をさせていただきたいと思います。
 1つ目に、先ほど健保連の小松原構成員が言われていた、そもそも論のところの労働基準局との連携について、令和2年12月23日には労働基準局長と保険局長の連名通知で、事業主健診が特定健診の問診票の項目を必ず含む問診票を用いることが示され、事業主健診データの取得がつながるようになったというところがございます。
 先ほどのような必須項目以外保険者に提供されていない歯抜けのお話もございますので、必ず事務局と労働基準局とは連携を取っていただいて、せっかくこれだけの項目を取りながら、なかなか保険者のほうに来ないということになると、例えばこれは広がりとしては、コラボヘルスに使えるとか、あるいは保険者協議会の中で地域ごとのデータとして使えるとか、いろいろな活用の用途がありますので、ぜひともここのところについては、もう少し議論を深めていただきたいと考えております。
 2つ目に、問診票の22番の項目でございますけれども、もともとこの質問の目的というものは何かというのを、改めて確認をさせていただきたいと考えています。
 先ほど標準的な質問項目、4つの観点のお話がございましたけれども、そこの中でどのように絡んでくるのかということを、まず御説明をお願いしたいということと、あと、標準的な健診・保健指導のプログラムにおいて、質問項目の解説と留意事項を見る限り、「いいえ」と回答し、積極的でないと思われる場合であっても、健診結果を見てから気持ちの変化が生じることもあるため、健診結果や本人の準備状態を十分配慮しつつ支援を行うという記載がありますけれども、例えばこれを具体的に見ると、気持ちの変化が生じるというのはどこでつかめばいいのかというのがよく分からないというところもございますので、この質問の意図というところをもう一度教えていただきたいということがございます。
 また、そもそも論でいきますと、問診票を提出する段階では、特定保健指導の具体的な内容をまだ理解されていない方がいらっしゃると思います。この段階で回答を求めるということは、ある意味、保健指導を受ける権利を逸することになるのではないかと危惧しております。保健指導の当日実施を特に促すということでいくと、健診機関の担当者がその場で、特定保健指導の利用勧奨を行うということが一番効果的ですけれども、そのときに、ここに「いいえ」と回答されているということで、声がけを躊躇してしまうということがあるという意見もございます。
 我々協会けんぽは、なかなか事業主の方、加入者の方に接触する機会が少のうございますが、せっかくのこういう機会を見逃さずに、保健指導に確実につなげていくということで考えると、この質問項目については、できれば削除をお願いしたいと思っております。
 健診から特定保健指導、重症化予防は、保健事業として一連の流れのものと考えております。特に保健指導については、早期介入により行動変容を促すメタボリック解消に重要な役割を果たすと考えておりますので、できるだけ多くの方が保健指導を受けていただくという観点から、あえて選択できるように受けとられかねない質問項目は不要ではないかと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
【岡村主査】  ありがとうございます。今の部分は、昨日、親検討会でも幾つかここについて議論があり、あまり擁護をされる方もいなかったような記憶もあるんですけれども、意欲を聞くんだったら、その前の21番で行動変容のステージを聞いているということになります。この項目について積極的に、これがあったほうがいいと、これは特に構成員の方にもお伺いしたいんですけれども、何かこれについて、用途とか、必要だみたいな御意見はございますか。こうしたほうがいいとか。
 取りあえず、そうしたら、手が挙がっていますので、今、田中構成員のほうが先に手を挙げられていますかね。田中構成員、よろしくお願いします。
【田中構成員】  ありがとうございます。先ほどの必要かどうかという話なんですが、一概には、私は言えないと思っております。確かに、聞くことによって「いいえ」を把握してしまうというか、拾ってしまうということもあるんですが、私は以前、市町村の職員でして、市町村国保で特定保健指導を担当しておりましたけれども、市町村国保の場合ですと、参加者をどれだけ募るかというところがかなり勝負でございまして、そのときに、「はい」と答えてくださっている方を、割と行動変容しやすい方として勧誘していくということは、割と有効なことでしたということ。
 それから、確かに「いいえ」がいつ「はい」になるのかということまで、実際現場にいて把握しているわけではないんですが、私がいた、前の自治体のところで昨日聞いてみたんですが、250人ぐらいの特定保健指導を初回、令和3年度にやっているんですが、実際そこで260人ぐらいの参加者のうち、「はい」と答えていた人は52.9%、「いいえ」の人が47.1%参加しているんですね。
 ということで、固い決意表明として「いいえ」と言っているわけでは割となくて、そういう意味では、修正案のところの内容が、積極的にという言葉がいいかどうか、これが一番ベストかどうかということは置いておいたとしても、利用することがノーではないということで、私は残しておいていただく。市町村国保にとっては、非常にこれは重要なものだと認識しております。
 以上です。
【岡村主査】  ありがとうございます。
 室原構成員、よろしくお願いいたします。
【室原構成員】  ありがとうございます。私自身は個人的には、改善の必要性がある方は積極的に保健指導を受けていただきたいと思いますので、私自身はこの質問は、もう要らないのではないかなと思います。
 一方で、質問票を見させていただいたときに、どこにも自覚症状、何か症状がありますかということを聞く項目がないんですね。例えば今、循環器では心不全が非常に増えているんですけれども、息切れがあるかないかを聞くだけでも、かなり取っかかりといいますか、病気があるかないかというのが分かってきますので、最後はそういう症状が何かありますかのような質問に変えたほうがいいんじゃないかなと思います。
 以上です。
【岡村主査】  ありがとうございます。
 手が挙がった順番で、宮川構成員が多分一番、挙がる手が早かったので、どうぞ。
【宮川構成員】  21番は意欲があるか、気持ちとしてあるかというところで、実際には希望しているけれども、方法論が分からないという方もいらっしゃると思います。逃げようとする意識を行動変容に持っていく、あるいは持っていきにくい人をどうやっていくのが正しいのか、という意味では22はあってもよろしいと考えます。その人がどういう心持ちでいるのかというのを、私たち医療者としては知りたいと思っています。
【岡村主査】  ありがとうございます。
 次、手が挙がっているのは、中田さん、よろしくお願いいたします。
【中田日本人間ドック学会事務局長】  ドック学会でございます。参考人でございますが、意見を述べる場を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
 それでは、私どもはこの22項目目については、この健診項目、質問票は、誰が利用するのかということを考えますと、これは主体者である保険者さんが、被保険者さんとか被扶養者さんの健康状態を的確に把握するのが最大の目的だろうということで理解しておりました。
 そういう意味では、まず結論を先に言いますと、協会けんぽ様の安田部長がおっしゃったことに、私どもは賛同したいと思っております。実はドック学会としても、2010年の古いデータですけれども、質問票を集計しております。私どもの学会は、人間ドックといっても、1,750の会員で全体の健診実施者数の内二、三割ぐらいが人間ドックで、それ以外は事業者健診とか保険者の定期健診をやっているものですから、健診機関から問診票の結果データをそのまま提出してもらって70万人ぐらいのデータを取りましたところ、その内6割の方たちがこの項目に「いいえ」という回答を出しておりました。健診機関が保健指導をしない理由に、実は本人が希望していないからできないんだと言って、この項目があるためにというのはおかしいんですけれども、保健指導をしない理由にも挙げている健診機関がございました。
 また、ここ数年間、協会けんぽ様から、健診当日に保健指導してほしいという要望が強く出ております。そういうこともあって、実際に多くの特定保健指導を実施されている会員施設ではこの項目を全く無視しているとの回答を得ております。要するに、この22項目目を参考にしないということも直接聞いております。
 このように、全く利用しないのであれば、この22項目目を削除していただいて、むしろ新しい項目をつくられて、必要な項目があるんだったら付け加えたらどうかなと思った次第です。
 あと、すいません。もう一つ、こういう機会をいただいたので言わせていただきたいんですけれども、私どもの学会の施設会員は自前というか、自分たちでシステムを組んでいるところが多くございまして、この質問項目から少し離れるんですけれども、システムを実際に扱っている事務方からは、22質問項目数をこれ以上増やさないでほしいという意見が非常に強くございました。
 ですから、この22項目という項目数は維持していただいた上で、22項目の中で文言を変えていただくというのがシステム変更に際しては一番影響が少ないだろうということと、当然、できるだけ早めに決めていただいて、ある程度、システム変更期間をいただければスムーズに保険者様等に対応できると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
【岡村主査】  ありがとうございます。
 小松原構成員、よろしくお願いいたします。
【小松原構成員】  健保連でも、この項目は非常に悩ましい項目になっていまして、21番の項目で、例えば既に改善に取り組んでいると御回答いただき、保健指導の機会は「いいえ」で回答される方もいます。そういう方に保険者が介入すると、トラブルになる場合もあります。中田参考人もおっしゃったように、6割ぐらいが「いいえ」と回答している中で、この項目は本当に必要なのかと我々も思います。
 一つ御提案ですが、もしこれと近い項目として聞くならば、例えば、「過去に保健指導を受けたことがありますか」と聞いてほしいと思います。対象者の中で、保険者を移動してこられた場合に、過去に保健指導介入があったかどうかというのはその場で分かりませんので、初めてなのか、そうでないのかにより、最初のアプローチもかなり変わると思います。こういう形で聞くのであれば、過去に特定保健指導を受けたことがありますかという質問のほうがよろしいかと思います。
【岡村主査】  ありがとうございます。
 田原構成員、よろしくお願いいたします。
【田原構成員】  ありがとうございます。私からは、中山班、研究班での検討過程について御紹介しようと思いました。
 この22番につきましては、研究班では不要じゃないかという議論になっています。それは、この質問でよしあし、あるいは必要性という問題もあると思いますけれども、本来、健診の目的ということを考えると、ハイリスクの人をいかに抽出するかというところがあるわけですので、そこに特化したような質問にすべきではないか、差し替えるべきではないかという意見でした。
 例えば、今抜けているものの中で、食塩であるとか、あるいは睡眠・呼吸障害、あるいは心房細動であるとか、先ほどもありましたけれども、心不全であるとか、そういったものを問診項目でカバーするほうが、よりよい質問項目に全体としてなるのではないかという意見であったと思います。
 現在は第4期に向けての見直しでありますけれども、第3期の見直しのときにも私は参加させていただいていたんですが、当時も同じような意見で、この22番というのは不要であったと理解しています。
 以上です。
【岡村主査】  ありがとうございます。
 杉田構成員、よろしくお願いします。
【杉田副主査】  杉田です。よろしくお願いいたします。
 実は、まだ報告書としてまとめ切ってはいないんですけれども、田原先生も入っておられる中山先生代表の厚労科研で、2月に全国調査をやらせていただいております。その中で、この22項目の中で使いづらい項目はと尋ねたところ、項目22番が一番使いにくいという御意見を多数いただいて、メールでも電話でもいただきまして、その理由としては、希望を尋ねてしまうので、そこで「いいえ」と回答したのに、なぜ特定保健指導といって案内が来て、受けろと言われるんだと。そこでマイナスからの出発になるので、大変使いにくいので、工夫していただけないかという理由でした。
 本日の資料の中で、資料3-1にてスライドの8枚目で、現状と課題、そして論点ということで、その論点で示されている「特定保健指導に対する意欲を評価し、特定保健指導導入時に参考となるよう、表現を改めてはどうか」なんですけれども、意欲を評価し、導入時に参考になるというのは、まさに示しているのは項目21ではないかと思うんですね。
 なので、先ほど小松原委員から御提案がありましたように、保険者を移動したり、あるいは、これまで対象者の方が特定保健指導とかを受けたことをどう捉えているかとか、経験があるかとか、とにかく特定保健指導というものをどう捉えておられるかということを尋ねる、過去に特定保健指導を受けたことがありますかと尋ねてから、現行の21番が来ると、この論点である、最終的に意欲を評価し、特定保健指導の導入のほうに流れていくのかなと考えているところになります。
 以上になります。
【岡村主査】  ありがとうございます。
 田中構成員、よろしくお願いします。
【田中構成員】  いろいろ先生方、ありがとうございます。参考になります。
 田原先生ですかね、先ほど、もしそうなりますと、別のエビデンスのあるようなものとか、別の項目がいいんじゃないかというお話が少しありましたが、もしそういうことを考えていらっしゃるならば、私は減塩とかを勧めたいと個人的には思いますが、それに関して、入れられるようなエビデンスとか、そういうのはございますでしょうか。
【田原構成員】  ありがとうございます。私も減塩を入れるというのは全く同感でありまして、今回の特定健診はメタボ健診と言われておりますので、そちらにシフトしたような質問が多いわけですけれども、我が国で最も多い高血圧に関する質問がないということで、そのリスク因子である食塩を見るというのは非常に重要だろうというのも、研究班の意見でありました。
 ただ、質問1問だけで、その人の食塩の摂取量を把握するというのは、現実問題、困難であろうと思います。ですので、食塩の摂取量そのものというよりも、嗜好を聞くとか、食習慣を聞くということで、食塩過多になっていないかというのを推測するというのが適切な方法ではないかなという、研究班での議題もありました。
 現実問題、きちんと、先ほどお示ししましたような論文になっていて、これだったら大丈夫ですよという成果まで示されているような質問項目はないということになりますので、その中でベストなものは何かということで、前回の研究班で考えたものは、うろ覚えなので違っているかもしれないんですけれども、味つけは濃いほうですかとか、そういったことを聞くほうがよいのではないかという提案になったと思っています。
 以上です。
【岡村主査】  ありがとうございます。
 宮川構成員、よろしくお願いします。
【宮川構成員】  この22項目の中で、現時点で、省いてよさそうなものはたくさんあると考えます
 その中で、入れていただきたい項目のほうが、先ほど田原構成員がお話しになったような、項目である、減塩を一番入れていただきたいと思います。味が濃いものは好きですかとか、濃いめの味つけが好きですかというようなところから、減塩のところに入っていただくという項目は、ぜひとも入れていただきたいと思います。ある程度、省いていいものを省いていくという形の中で、しっかりとした質問項目をつくっていただきたいというのが私からの望みでございます。
 以上です。
【岡村主査】  先生、ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。
 現在までの話を聞きますと、喫煙のところは、本数のところの書きぶりと平仄というところで混乱がないように、ぱっと見て分かりにくいので、そこをどうかしようかというところで、提案としては、こんなところでよろしいかなと。
 あと、アルコールのところは、先ほどの飲まないということ、「ほとんど飲まない」と「飲まない」と、月1から3か月みたいなところが、混乱がないように交通整理できるように、どう書くかみたいなところで、これは元のところをどう合わせるか、研究班の検討結果もありますし、ほかの調査等もあるということで、ここは書きぶりをどうするかということを見ていただくことで判断できればと思います。
 最後の質問につきましては、なかなかいろいろ御意見がございまして、あと、昨日の検討会であったのは、先ほどの室原構成員の意見とも近いんだと思いますけれども、何か疾患をやったみたいなところを聞くことがないと、病気をやって痩せた人がみんな、保健指導で痩せたのと一緒になってしまって、訳が分からなくなるからという話で、これは症状とか、既往歴を聞くものがあってもいいのではないかという話もありました。
 あと、今日の話だと、保険者間を移動したときに、保健指導を受けたことがあるかどうかを聞くみたいな話がありますね。これは多分、杉田構成員のほうで何かアンケート等をまとめておられるということなので、またそういうものを見せていただいてということでいいと思います。
 あと、保険者側からは、今日の話をお聞きしますと、確かにこれがあるが故に断られるというのは、私も実際にいろんな保険者の話としては聞いています。逆にこれをきっかけに、本人との会話ができるという意見もありますが、それは保健指導などで会ったときに、別に話してもいいのかなというところもなきにしもあらずで、非常に難しいところがあろうと考えております。
 今、挙がった議論は、こういうところになるんですけれども、時間的に、今の酒・たばこの表現の整理とかも含めて、今日即決するということは、特に22番のところはできないと思いますので、それ以外の部分も含めて、何か御意見ございますか。
 杉田構成員、よろしくお願いします。
【杉田副主査】  御意見を取りまとめていただきまして、ありがとうございます。
 この質問項目の役割といいますか、資料3-1でも示していただいたように、④として地域の健康状態、あるいはそのグループといいますか、ある程度の集団の健康状態の比較に資する項目としても活用していきたいというのがあるかと思います。そういうことを考えると、医療保険者によって、必須以外の選択項目が使われたり、使われなかったりすると、地域の健康状態の比較をしていく上で、もともとの条件がそろっていないということになっていくので、できたら、全部必須にしていくべきではないかなと考えますので、併せて発言させていただきました。
 以上となります。
【岡村主査】  ありがとうございます。先ほど安田構成員から言われたように、通知としては出ているということなので、徹底をどこまでするかみたいなことも多分、絡んでくるのかなと思って聞いておりましたけれども、ありがとうございます。
 ほかはございますでしょうか。
 そうしたら、三好構成員、お願いします。
【三好構成員】  ありがとうございます。私は、もう一つ検討が進んでいる効率的・効果的な実施方法に関するワーキングのほうも参加させていただいております。そちらの議論を踏まえての話にはなるのですけれども、効果的な保健指導を実施できたかどうかといったときに、2センチ2キロの改善というアウトカム指標を導入する方向性が、今検討されているところです。その中に、行動変容をどう見ていくかという観点で補足的に、行動が変わった事も評価に取り込んではどうかという御意見が、提案という形でも出ております。その際、行動を見る、生活習慣を見るのは、この質問票がベースになるのではないかなと思っていまして、地域の健康状態を見るという目的の中にも整理されておりましたので、この辺りを継続的に、検討いただきたいと思います。
 今のところ、それが国ベースでどのように使われているのか、まだあまり検証がされていないのではないかなと思います。一方で、市町村の保健師さんなどは、我がまちでは、運動の多い人がだんだん増えていっている状態が見えるとか、食べ方が、夜遅く食べている人の結果が悪いとか、そういうのを地域の食文化とかも含めてクロスして評価しながら、どういう方向に健康づくり、ポピュレーションアプローチも使いながら、うまく支援していきたいということを考えています。この質問票の活用に関しては、項目の議論そのものからはちょっと外れてしまうかもしれませんが、評価にも活用するような観点での継続的な実証をお願いすることと、それを公表していただけたらというのを、希望としてお願いしたいと思います。
 以上です。
【岡村主査】  活用法についても、このように活用して、比較するときに、こう使いましょうということを書いていったほうがいいということですね。ありがとうございます。
 小松原構成員、よろしくお願いします。
【小松原構成員】  三好構成員がおっしゃったように、行動変容の評価を将来的にしていただきとは、保険者は常々思っています。お酒をやめた、たばこをやめたということも、ある意味、行動変容になるとは思います。それ以外のところでも行動変容をどう評価するかは、大事な視点だと思っています。
 もう1点、全体的な話ですが、問診票の順番です。現在は、1番、2番、3番と服薬について聞いて、8番でたばこを聞いています。全て特定保健指導の階層化に関わる項目ですが、3番の次に8番へ飛んでいるために、実は8番だけが欠落していることのが、現場として非常に多い状態になっています。
 もう1点は、ほかの先生方からもお話がありました、既往歴についての話です。4番、5番、6番の質問は、過去にかかっていたか、治療を受けていたかという質問で、現在進行形の、例えばがんの治療中であるとか、脳卒中の治療中であるなどの既往歴の情報がない状態になっています。例えば保健指導介入するに当たり、がん治療中の方に痩せることを求める保健指導は難しい部分があります。既往歴をここのところで聞き方も変えて、取れるようにしていただきたいと思います。
【岡村主査】  ありがとうございます。貴重な御意見だと思います。
 ほかにございますでしょうか。
 ありがとうございます。大体の方向性みたいなところが少し見えてきてということで、今日で最後のワーキングではございませんので、出てきた意見で、ある程度まとめられるところはまとめていく形、それから、継続的に見ていくものは見ていくことということで、これは親検討会との調整というのも恐らくあるかと思いますので、そういうのを含みながら進めていくということになるかと思います。
 それでは、特に全体を通じて何か御意見とかありますでしょうか。
【野出構成員】  ちょっとよろしいですか。
【岡村主査】  野出先生、よろしくお願いします。
【野出構成員】  また表現の問題で恐縮ですけれども、飲酒日の1日当たりの飲酒量ということで、例えば焼酎25度、110ミリリッターとか、ウイスキーダブル60ミリリッターという数字があって、それから、回答では1合、2合という数字があるんですが、恐らくこれも、回答する方は全てお分かりとは思うんですけれども、なかなか100%、いろいろな方がおられるので、この数字を踏まえて、何合ということが換算できることは難しいんじゃないかなと思うので、もう少し説明で見やすいものがあれば、回答するときにも参考になるかなと思いましたので、その点だけでございます。
【岡村主査】  ありがとうございます。これは恐らく保険者で、対面で聞いているところはちゃんと聞き取ったりしているし、分からないところは補助文書をつけたりとかもあるかもしれませんが、中にはこのまま配りっ放しでというところもあるかもしれないので、濃淡は恐らくあるということなので、そこを平準化しないといけないということになるんだろうと思います。先生、ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは、大体今日のところの議題ということで御意見をいただきましたので、どのように次にしていくかということを、また事務局とも詰めて行くことになりますが、こちらのワーキングも次の機会がございますので、そちらを含めてどのような調整をしていくかを含めて、場合によったらメール等で御審議いただいたり、次の検討会のときに見ていただいてとか、いろいろあるかと思いますけれども、そちらはまた事務局から連絡してもらうようにいたしますので、進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、一応こちらで議事というのはあれなので、次回の検討会の日程については事務局で調整して、改めて御連絡いただくということになるかと思います。
 それでは、少し早いですけれども、早くて困る方はいらっしゃらないと思うので、本日はこれで閉会させていただきたいと思います。
 一旦事務局にお戻ししますけれども、何かございますでしょうか。
【田邉女性の健康推進室長】  事務局でございます。御議論いただき、ありがとうございました。特に22番につきましては、いろいろな方向性の御指導をいただきまして、ありがとうございます。事務局でまとめて、どれがいいのかというのはまた先生方にお諮りして、御相談させていただければと思っておりますので、引き続き御指導をお願いいたします。
 あと、データの地域差の部分ですけれども、おっしゃるとおりなので、NDB等では問診の項目については、都道府県レベルでの集計は全て公開しておりますので、そういうところも御紹介できればと思っております。本日はありがとうございました。
【岡村主査】  ありがとうございました。
【田邉女性の健康推進室長】  では、次回の日程につきましては、また事務局で調整の上、先生方に改めて御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

―― 了 ――

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